(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】モジュラハイブリッドトランスミッション
(51)【国際特許分類】
B60K 6/40 20071001AFI20230621BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20230621BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20230621BHJP
B60K 6/36 20071001ALI20230621BHJP
B60K 6/485 20071001ALI20230621BHJP
【FI】
B60K6/40 ZHV
H02K5/20
H02K9/19 A
B60K6/36
B60K6/485
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572464
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 US2021033567
(87)【国際公開番号】W WO2021242624
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ ファイファー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ラムジー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ペイン
【テーマコード(参考)】
3D202
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
3D202AA09
3D202EE00
3D202EE02
3D202EE08
3D202EE21
3D202EE22
3D202EE23
3D202FF15
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC04
5H605DD13
5H605EB10
5H609BB01
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609RR31
5H609RR48
(57)【要約】
ロータの改善された支持、並びにステータの改善された冷却レイアウトを提供する、モジュラハイブリッドトランスミッション。モジュラハイブリッドトランスミッションは、回転アセンブリと、ハウジングアセンブリと、を有する。回転アセンブリは、ロータと、ロータを支持するロータキャリアハブと、入力シャフトと、を含む。ロータキャリアは、入力シャフト上に回転可能に固定されている。ハウジングアセンブリは、回転アセンブリを収容し、外壁を有するハウジングと、外壁に接続されたステータアセンブリと、外壁から出力シャフトに向かって延在する、半径方向に延在する固定壁と、を含む。固定壁は、入力シャフトの外面と平行に延在する、軸方向に延在する壁部分を含み、ラジアル玉軸受は、この軸方向に延在する壁部分上で入力シャフトを支持する。2つのステータ冷却経路は、ハウジング内に導かれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュラハイブリッドトランスミッションであって、
回転アセンブリであって、
トルクコンバータへ接続するように適合されたロータ、
前記ロータを支持するロータキャリアハブ、及び
入力シャフトであって、前記ロータキャリアハブが、前記入力シャフト上に回転可能に固定され、クランクシャフトによって支持されるように構成されている前端を有し、前記クランクシャフトに駆動接続されるように構成されている、入力シャフトを含む、回転アセンブリと、
前記回転アセンブリを収容するハウジングアセンブリであって、
外壁を有するハウジング、
前記ロータを駆動するように適合されている前記外壁に接続されたステータアセンブリ、及び
前記外壁から前記入力シャフトに向かって延在し、前記入力シャフトの外面に平行に延在する軸方向に延在する壁を含む、半径方向に延在する固定壁を含む、ハウジングアセンブリと、
前記軸方向に延在する壁部分上で前記入力シャフトを支持するラジアル玉軸受と、を備える、モジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項2】
前記固定壁と前記入力シャフトとの間に、前記固定壁の一方の側の湿潤領域と前記固定壁の反対側の乾燥領域とを分離するシールを更に備える、請求項1に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項3】
前記入力シャフトを前記クランクシャフトに駆動接続するように適合されているダンパアセンブリを更に備える、請求項1に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項4】
前記入力シャフトの前端上にニードル軸受を更に備える、請求項1に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項5】
前記ロータキャリアハブに接続されたレゾルバロータと、前記レゾルバロータ、したがって、前記ロータの位置を感知し、前記固定壁に接続されている、レゾルバステータと、を更に備える、請求項1に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項6】
前記レゾルバロータが、前記ロータキャリアハブのIDに圧入リングを用いて接続される、請求項5に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項7】
前記ラジアル玉軸受を所定の場所に保持する、前記入力シャフトに接続されたリテーナリングを更に備える、請求項1に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項8】
前記入力シャフトに接続されており、かつトルクコンバータに接続するように構成されている、P1モジュールアダプタプレート及びP1モジュールフレックスプレートを更に備える、請求項1に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項9】
前記P1モジュールフレックスプレートが、リテーニングリングを用いて前記入力シャフトに保持されるスプラインフランジに接続される、請求項8に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項10】
前記ロータキャリアハブ上に前記ロータを保持するエンドリングを更に備える、請求項1に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項11】
前記ハウジング外壁が、冷却水ポートを含み、前記冷却水ポートが、前記ステータアセンブリに隣接して延在するハウジングポケットに接続される、請求項1に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項12】
前記ハウジング外壁内の冷却オイルポートと、前記固定壁に接続されて、前記冷却オイルポートと連通する冷却オイル流路を画定するプレートと、前記ステータアセンブリの巻線に隣接する前記固定壁内に画定され、トランスミッション側の前記ステータ巻線上に冷却オイルを噴霧するように構成されたオリフィスと、を更に備える、請求項9に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項13】
前記固定壁から軸方向に反対側の前記ハウジング外壁内に画定されたポケットと、エンジン側の前記ステータ巻線上に冷却オイルを方向付けるように構成された、前記ポケットと流体連通している、前記ハウジング外壁内のフロントオリフィスと、を更に備える、請求項12に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項14】
前記ポケットを封止するフロントプレートを更に備える、請求項13に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項15】
モジュラハイブリッドトランスミッションであって、
回転アセンブリであって、
トルクコンバータへ接続するように適合されたロータ、
前記ロータを支持するロータキャリアハブ、及び
入力シャフトであって、前記ロータキャリアハブが、前記入力シャフト上に回転可能に固定され、前記入力シャフトが、クランクシャフトによって支持されるように構成されている前端を有し、前記入力シャフトが、前記クランクシャフトに駆動接続されるように構成されている、入力シャフトを含む、回転アセンブリと、
前記回転アセンブリを収容するハウジングアセンブリであって、
外壁を有するハウジング、
前記ロータを駆動するように適合されている前記外壁に接続されたステータアセンブリ、及び
前記外壁から前記入力シャフトに向かって延在する、半径方向に延在する固定壁を含む、ハウジングアセンブリと、
前記ハウジング外壁内の冷却水ポートと、を備え、前記冷却水ポートが、前記ステータアセンブリに隣接して延在するハウジングポケットに接続される、モジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項16】
前記ハウジング外壁内の冷却オイルポートと、前記固定壁に接続されて、前記冷却オイルポートと連通する冷却オイル流路を画定するプレートと、前記ステータアセンブリの巻線に隣接する前記固定壁内に画定され、トランスミッション側の前記ステータ巻線上に冷却オイルを噴霧するように構成されたオリフィスと、を更に備える、請求項15に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項17】
前記固定壁から軸方向に反対側の前記ハウジング外壁内に画定されたポケットと、エンジン側の前記ステータ巻線上に冷却オイルを方向付けるように構成された、前記ポケットと流体連通している、前記ハウジング外壁内のフロントオリフィスと、を更に備える、請求項16に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【請求項18】
前記ポケットを封止するフロントプレートを更に備える、請求項17に記載のモジュラハイブリッドトランスミッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月27日に出願された米国非仮特許出願第16/884,208号の優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、モジュラハイブリッドトランスミッションのための駆動配置に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車OEM及びTier1は、MHEV(マイルドハイブリッド電気車両)向けに様々な主要パワートレインアーキテクチャを検討してきた。これらのアーキテクチャでは、電気モータは、他のパワートレイン部品に対して、P0からP4と称される、5つの主要なポイントにおいて位置決めすることができる。
図3に示すように、P0はICE(内燃エンジン)の前端に位置し、典型的にはベルトを介してクランクシャフトに動力を提供する前端補機駆動部である。P1は、電気モータのクランクシャフトへの直接接続を提供する。P0及びP1アーキテクチャは、ICEからの電気モータの機械的接続解除を可能にしない。P2アーキテクチャは、ICEとトランスミッションとの間に、ICEから接続解除可能な側方取り付け電気モータを提供する。P3アーキテクチャは、相互噛合するギアを介してトランスミッションに接続される電気モータを提供する。最後に、P4アーキテクチャは、相互噛合するギアを介して駆動軸に接続される電気モータを提供する。P2~P4のアーキテクチャは、いずれも、電気モータがICEから接続解除されることを可能にする。
【0004】
P1アーキテクチャは、自動車産業で使用されており、自動車のトランスミッション及び下流のドライブラインの前に、eモータがクランクシャフトに直接接続される一部の小型乗用車において見出され得る。そのような配置は、クランクシャフトのパイロット内に支持される入力シャフトに取り付けられたハイブリッド電気モータのロータを提供し、ロータは、ステータの中央に位置する。しかしながら、早期接触は、不十分な支持に起因して、eモータのロータとステータとの間で生じ得、これは、機能喪失をもたらす。ベアリングがロータの中心軸方向の場所から離れているMHT(モジュラハイブリッドトランスミッション)と同様に、ラジアル玉軸受からの傾き許容も、MHTの場合、軸受がエンジン側に向かってより近いことに起因して、ロータとステータとの間の早期接触につながる可能性がある。
【0005】
多くの車両用途では、従来の車両パワートレインアーキテクチャをeドライブで利用することができるように、車載用eドライブシステムをパッケージ化することもまた、可能ではない。軸外ソリューションは、しばしば、車両のフロアボードが存在する空間を消費し、費用をかけて既存のツール及びダイを取り壊す必要がある。P0用途には、サーペンタインベルトを介したトルク伝達という問題があるため、高トルクハーベスト又は高車両ブーストでは使用することができず、モータの場所の有効性が限定されてしまう。
【0006】
既知のP1アーキテクチャの更なる問題は、ステータの冷却である。これらの用途の多くでは、ステータは、単独の専用冷却システムで冷却される。しかしながら、これは、負荷によっては、十分でない場合がある。1つの既知のソリューションは、ステータにオイル/トランスミッション液を送達するために、2つの異なる冷却経路を使用する。オイルは、トランスミッション側の溶接されたプレートのオリフィスに通され、いくつかの場所において、ステータ巻線上へオイルを噴霧する。エンジン側では、キャストポケットは、流路を充填する冷却オイルを有しており、そのオイルは、ハウジングに穿孔されたいくつかのオリフィスを通してステータ巻線上に噴霧される。
【0007】
主にブースト目的で、かつ複雑なP2アーキテクチャを必要とせずに、プラットフォームのための電動化を提供することが望ましいであろう。また、そのような配置をコンパクトかつシンプルな方法で提供し、一方でステータコイルの追加冷却の可能性を依然として提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、回転アセンブリ及びハウジングアセンブリを有するモジュラハイブリッドトランスミッションを提供する。回転アセンブリは、トルクコンバータに接続するために適合されたロータ、ロータを支持するロータキャリアハブ、及び入力シャフトを含む。ロータキャリアは入力シャフトに回転可能に固定され、入力シャフトは前端がクランクシャフトによって支持されるように構成されている。入力シャフトは、クランクシャフトによって駆動されるように構成されている。ハウジングアセンブリは、回転アセンブリを収容し、外壁を有するハウジングと、外壁に接続され、ロータを駆動するように適合されたステータアセンブリと、外壁から入力シャフトに向かって延在する、半径方向に延在する固定壁と、を含む。固定壁は、入力シャフトの外面と平行に延在する、軸方向に延在する壁部分を含み、ラジアル玉軸受は、この軸方向に延在する壁部分上で入力シャフトを支持する。ラジアル玉軸受は、ロータと軸方向に並んで位置することが好ましい。
【0009】
別の態様では、固定壁と入力シャフトとの間に、固定壁の一方の側の湿潤領域と固定壁の反対側の乾燥領域とを分離するシールが提供される。
【0010】
1つの配置では、ダンパアセンブリは、入力シャフトをクランクシャフトに駆動的に接続する。クランクシャフトのパイロット内に支持される入力シャフトの前端上には、ローラベアリングを位置させることができる。
【0011】
1つの配置では、レゾルバロータは、ロータキャリアハブに接続され、レゾルバロータの位置を感知するレゾルバステータは、固定壁に接続される。レゾルバロータは、ロータキャリアハブの内径(ID)に圧入リングを用いて接続することができる。
【0012】
1つの配置では、ラジアル玉軸受を所定の場所に保持する、入力シャフトに接続されたリテーナリング。
【0013】
トルク伝達を可能にするために、P1モジュールアダプタプレート及びP1モジュールフレックスプレートが入力シャフトに接続されており、かつトルクコンバータに接続するように構成されている。P1モジュールフレックスプレートは、リテーニングリングを用いて入力シャフトに保持されるスプラインフランジに接続される。
【0014】
1つの配置では、ロータアセンブリをロータキャリアハブ上に保持するエンドリングがある。
【0015】
この新しいP1構成により、eモータのロータ及びステータの早期接触が発生しにくくなる。この構成ではまた、ロータキャリアハブ内径の下に軸方向のスペースを使用し、2つの回転アセンブリの間に固定壁が下降してベアリングに接続するため、アウトランナースタイルのレゾルバロータとレゾルバステータのパッケージでは任意の軸方向の長さの増加が制限される。
【0016】
このベアリングレイアウトにより、ステータに対するロータの位置決めをより良くすることができる。機能喪失をもたらし得る、eモータのロータ及びステータの早期接触の発生が防止される。また、ロータスタックに関して軸受が軸方向に位置することで、運転中の不整合を補正するために、ベアリングが傾いたときに、改善されたモータの機能を可能にする。このレイアウトではまた、軸方向のスペースをあまり利用しないため、支持する固定部品を回転アセンブリの下に持ってくることにより、モジュールを含めるようにパワートレインの軸方向の長さを長くする必要性が低くなる。
【0017】
ステータコイルの既知の冷却問題に対処することに関して、本開示は、回転アセンブリ及びハウジングアセンブリを含むモジュラハイブリッドトランスミッションを提供する。回転アセンブリは、トルクコンバータに接続するために適合されたロータ、ロータを支持するロータキャリアハブ、及び入力シャフトを有する。ロータキャリアは入力シャフトに回転可能に固定され、入力シャフトは前端がクランクシャフトによって支持されるように構成されている。入力シャフトは、クランクシャフトによって駆動されるように構成されている。ハウジングアセンブリは、回転アセンブリを収容し、外壁を有するハウジングを有する。ステータアセンブリは外壁に接続され、ロータを駆動するように適合される。半径方向に延在する固定壁は、外壁から入力シャフトに向かって延在する。ハウジング外壁内には冷却水ポートが提供され、冷却水ポートは、ステータアセンブリに隣接して延在するハウジングポケットに接続される。
【0018】
一態様では、冷却オイルポートは、ハウジング外壁内に提供され、プレートは、固定壁に接続されて冷却オイルポートと連通する冷却オイル流路を画定し、オリフィスは、ステータアセンブリの巻線に隣接して固定壁内に画定されて、冷却オイルをトランスミッション側のステータ巻線上に噴霧するように構成されている。
【0019】
更なる態様では、固定壁から軸方向に反対側のハウジング外壁内にポケットが画定され、ハウジング外壁内のフロントオリフィスはポケットと流体連通し、エンジン側のステータ巻線上に冷却オイルを方向付けるように構成されている。フロントプレートを使用して、ポケットを封止することができる。
【0020】
この冷却レイアウトでは、eモータ専用の冷却を追加することで、eモータの性能能力を上昇させる。これは、ステータ鋼積層のウォータージャケット冷却と、ステータ巻線へのオイル噴霧の両方によって行われる。ステータ巻線のオイル冷却は、ハウジング内のオリフィス及びクロスドリル穴、並びにハウジングに対して密閉されたプレートを通して行われる。これらのプレートは、溶接することができる。
【0021】
軸受配置及び冷却レイアウトは、別個に、又は共に使用することができる。
【0022】
前述の概要及び以下の詳細な説明は、本開示の好ましい実施形態を示す添付の図面と併せて読むときに、より良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】組み立てられた駆動配置を通る半断面図である。
【
図3】様々なMHEVのアーキテクチャを説明する従来技術概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明では、特定の用語が便宜的にのみ使用されており、限定的なものではない。「前」、「後」、「上」、及び「下」という用語は、参照される図面における方向を示す。「内向き」及び「外向き」という用語は、図面で参照される部品に向かう方向及び離れる方向を指し得る。「軸方向に」は、シャフトの軸に沿った方向を指す。「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」と引用されている項目のリストへの言及(a、b、及びcがリスト化されている項目を表す)は、項目a、b、若しくはcのうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを意味する。用語には、上記で具体的に述べた単語、その派生語、及び類似の重要な単語が含まる。
【0025】
eマシンという用語は、本明細書では概して、ハイブリッド駆動システムに関連して使用される、ロータ、巻線を有するステータ、レゾルバなどを含むモータなどの、電気モータを指すために使用される。
【0026】
図1及び
図2を参照すると、回転アセンブリ20及びハウジングアセンブリ50を含むモジュラハイブリッドトランスミッション10が示されている。回転アセンブリ20は、第1の端部において内燃エンジンのクランクシャフト14に接続されるように構成され、かつ他方の端部においてトルクコンバータ12(模式的に示す)に接続されるように構成されている。
【0027】
回転アセンブリ20は、積層スタックから構成されるロータアセンブリ22を含み、これは、アルミニウム製であり得るプレート23、ダイヤフラムスプリング24、鋼製であり得るエンドリング25の間で軸方向に拘束され、これらはロータキャリアハブ26上に位置している。エンドリング25は、ロータ36を支持するロータキャリアハブ26上にロータ36を保持する。
【0028】
入力シャフト30が提供され、ロータキャリアハブ26は、入力シャフト30に、好ましくは溶接接続を介して、回転可能に保持されて、固定される。入力シャフト30は、クランクシャフト14によって支持されるように構成された前端を有し、好ましくは、クランクパイロットに圧入されるニードル軸受35によって支持される。ロータキャリアハブ26は、クランクシャフト14から来るトルク伝達のための入力シャフト30に、例えば、ボルト34を介してクランクシャフト14にボルト接続されたダンパスプリング34を有するダンパアセンブリ33のスプラインフランジ32を通して接続されている。入力シャフト30はまた、入力シャフト30に押し付けられるラジアル玉軸受29を介して中心位置に保持されるが、以下で詳細に説明する。ラジアル玉軸受29を所定の場所に保持するために、リテーナリング31を入力シャフト30に接続することができる。
【0029】
ハウジングアセンブリ50は、回転アセンブリ20を収容する。ハウジングアセンブリは、外壁66を有するハウジング51、並びにロータ22を駆動するように適合された外壁66に接続されたステータアセンブリ36を含む。半径方向に延在する固定壁37は、外壁66から入力シャフト30に向かって延在し、入力シャフト30の外面に平行に延在する軸方向に延在する壁部分37Aを含む。ラジアル玉軸受29は、この軸方向に延在する壁部分37A上で入力シャフト30をここに支持する。ロータ22は、ラジアル玉軸受を、かしめたリテーニングリング38を用いて所定の場所に保持する固定壁37の肩部を通してステータアセンブリ36に中心に置かれている。ステータ36は、主に、積み重ねられた積層と銅線巻線58で構成されている。
【0030】
レゾルバロータ27は、圧入リング28を用いてロータキャリアハブ26のIDにおいて組み立てられ、レゾルバロータをロータキャリアハブ26に固定することができる。レゾルバロータ27、したがってロータ22の位置を感知するレゾルバステータ67は、固定壁37に接続される。
【0031】
固定壁37と入力シャフト30との間に、固定壁37の一方の側の湿潤領域と固定壁37の反対側の乾燥領域とを分離するシール39が位置する。シール39は、壁37と入力シャフト30との間の動的シールであり、軸受29と、P1モジュールアダプタプレート41がP1モジュールフレックスプレート42に好ましくはいくつかのボルト接続でボルト固定され、接続されたトルクコンバータ駆動プレート40との間に位置している。P1モジュールフレックスプレート42は、好ましくはリベット43などの機械的ファスナを用いて、リテーニングリング45を用いて入力シャフト30に保持されるスプラインフランジ44に接続される。エンジン側とトランスミッション側の両方の入力シャフト30上のスプライン部分は、エンジン及びeモータからトランスミッションへのトルク伝達を提供する。
【0032】
入力シャフト30はまた、好ましくは、トルクコンバータパイロット46を中心とするボアを有する。
【0033】
ハウジング51はまた、好ましくは、Oリング53を用いてハウジング外壁66に封止されるステータキャリア52と同様に、それに組み立てられた高電圧及び低電圧ヘッダ接続(両方とも写真なし)を含む。固定壁37は、ハウジング外壁66にボルト固定されている。プレート55は、その間に流路を画定するために固定壁37に好ましくはレーザ溶接で接続され、また、ハウジング外壁66にOリング56で封止される。固定壁を通る流路により、オイルはハウジング外壁66のポート57を通って、矢印で示すように、溶接プレート内のオリフィス68に流れ落ち、ステータ36のステータ巻線58にオイルを噴霧することを可能にする。エンジン側のステータ巻線58上にオイルを噴霧するために、トランスミッション側からハウジング外壁66内のポケット59に移動する同じポートを通して、ポケット59内に穿孔されたオリフィス69を用いるオイルの噴霧も利用可能である。本明細書では、ポケット59は、ボルト締めされたプレート60で封止されているように示されている。
【0034】
追加の冷却もまた、ステータキャリア52に延在するハウジング外壁66の別のポート61を通して循環される冷却流体によって利用可能であり、ステータキャリア52を通してステータ36を冷却するポケット62が画定される。
【0035】
ラジアル軸受29を使用した追加の軸受支持配置は、冷却レイアウトとは別に、又は冷却レイアウトと共に使用することができる。
【0036】
このように本実施形態を詳細に説明してきたが、多くの物理的な変更は、そのうちのいくつかのみが本開示の詳細な説明に例示されているが、実施形態内に具現化されている本発明の概念及び原理を変更することなく行うことができることが理解され、かつ当業者には明らかであろう。
【0037】
また、好ましい実施形態の一部のみを組み込んだ多数の実施形態が可能であり、これらの部分に関しては、実施形態内で具現化された本発明の概念及び原理を変更しないことを理解されたい。
【0038】
したがって、本実施形態及び任意選択的な構成は、全ての点において例示的及び/又は説明的なものであり、制限的なものではないとみなされ、開示の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されるものであり、したがって、当該特許請求の範囲の目的及びその等価物の範囲内に入る全ての代替の実施形態及び本実施形態への変更は、当該特許請求の範囲に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0039】
10 駆動配置
12 トルクコンバータ
14 クランクシャフト
20 回転アセンブリ
22 ロータアセンブリ
23 アルミニウムプレート
24 ダイヤフラムスプリング
25 鋼製エンドリング
26 ロータキャリアハブ
27 レゾルバロータ
28 リング
29 ラジアル玉軸受
30 入力シャフト
31 止め輪
32 スプラインフランジ
33 ダンパアセンブリ
34 ダンパスプリング
35 ニードル軸受
36 ステータアセンブリ
37 固定壁
38 リテーニングリング
39 動的シール
40 トルクコンバータ駆動プレート
41 P1モジュールアダプタプレート
42 P1モジュールフレックスプレート
43 リベット接続
44 スプラインフランジ
45 リテーニングリング
46 トルクコンバータパイロット
50 ハウジングアセンブリ
51 ハウジング
52 ステータキャリア
53 Oリング
55 レーザ溶接プレート
56 封止用Oリング
57 ポート
58 ステータ巻線
59 ポケット
60 ボルト締めプレート
61 冷却水ポート
62 ハウジングポケット
64 冷却水
65 冷却オイル
66 ハウジング外壁
67 レゾルバステータ
68 オリフィス
69 オリフィス
【国際調査報告】