IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソリュゲン インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特表-反応装置スパージャアセンブリ 図1
  • 特表-反応装置スパージャアセンブリ 図2
  • 特表-反応装置スパージャアセンブリ 図3
  • 特表-反応装置スパージャアセンブリ 図4
  • 特表-反応装置スパージャアセンブリ 図5
  • 特表-反応装置スパージャアセンブリ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】反応装置スパージャアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B01J 10/00 20060101AFI20230621BHJP
   B01J 19/26 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
B01J10/00 104
B01J19/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572642
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021034621
(87)【国際公開番号】W WO2021243083
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/031,257
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522352199
【氏名又は名称】ソリュゲン インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハント,シーン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ケクラー,ケネス
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA13
4G075BA10
4G075BB05
4G075BD10
4G075BD13
4G075BD27
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB01
4G075EC01
(57)【要約】
反応装置システムは、プロセス流体を収容する反応容器と、反応容器に稼働するよう接続されており且つ気体と再循環プロセス流体との混合物を反応容器に供給するスパージャアセンブリとを有する。スパージャアセンブリは複数のスパージャ室を有する。各スパージャ室は、プロセス流体入口を介して反応容器のプロセス流体循環路に流体接続されたプロセス流体通路を有する。プロセス流体入口は第1のブロック弁ブリード弁アセンブリを備える。各スパージャ室は、プロセス流体通路に流体接続されたスパージャ通路と、スパージャ通路内に配置されており且つ気体入口を介して気体源に流体接続されたスパージャとを有する。各スパージャ室は、スパージャ通路を反応容器のスパージャ出口に流体接続するプロセス流体-気体混合物出口を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応装置システムであって、
プロセス流体を収容する反応容器と、
反応容器に流体接続されており且つ気体とプロセス流体の混合物を反応容器に供給するスパージャアセンブリと
を有し、
スパージャアセンブリは複数のスパージャ室を有し、
各スパージャ室は、
プロセス流体入口を介して反応容器のプロセス流体循環路に流体接続されたプロセス流体通路と、ここで、プロセス流体入口は第1のブロック弁ブリード弁アセンブリを有し、
プロセス流体通路に流体接続されたスパージャ通路と、
スパージャ通路内に配置されており且つ気体入口を介して気体源に流体接続されたスパージャと、
スパージャ通路を反応容器に流体接続するプロセス流体-気体混合物出口と
を有し、
プロセス流体-気体混合物出口は、スパージャ通路と反応容器との間に配置された第2のブロック弁ブリード弁アセンブリを有し、
第1及び第2のブロック弁ブリード弁アセンブリはスパージャを反応容器から流体的に隔絶可能である。
【請求項2】
請求項1に記載の反応装置システムであって、
スパージャアセンブリは一つ以上のプロセス流体ヘッダを有し、
プロセス流体ヘッダは、反応容器のプロセス流体循環路と各スパージャ室のプロセス流体入口との間に流体接続されている。
【請求項3】
請求項1に記載の反応装置システムであって、
スパージャアセンブリは一つ以上の気体ヘッダを有し、
気体ヘッダは、気体源と各スパージャ室の気体入口との間に流体接続されている。
【請求項4】
請求項1に記載の反応装置システムであって、
スパージャは、スパージャの表面に配置された複数の細孔スパージャ部を有し、
各細孔は第1の直径を有する。
【請求項5】
請求項4に記載の反応装置システムであって、
スパージャ通路は第2の直径を有し、
第2の直径に対する第1の直径の比率は0.01未満である。
【請求項6】
請求項1に記載の反応装置システムであって、
反応容器は一組の流体再循環ノズルを有し、
流体再循環ノズルは、スパージャアセンブリのスパージャ出口の上に配置されており且つ反応容器のプロセス流体循環路に流体接続されている。
【請求項7】
請求項1に記載の反応装置システムであって、
各プロセス流体-気体混合物出口は反応容器の下部においてスパージャ板内に配置されている。
【請求項8】
請求項1に記載の反応装置システムであって、
スパージャアセンブリは反応容器の外側に位置する。
【請求項9】
反応装置用のスパージャアセンブリであって、
複数のスパージャ室を有し、
各スパージャ室は、
プロセス流体入口に流体接続されたプロセス流体通路と、ここで、プロセス流体入口は第1のブロック弁ブリード弁アセンブリを有し、
プロセス流体通路に流体接続されたスパージャ通路と、
スパージャ通路内に配置されており且つ気体入口に流体接続されたスパージャと、
スパージャ通路に流体接続されたプロセス流体-気体混合物出口と、
を有し、
プロセス流体-気体混合物出口は第2のブロック弁ブリード弁アセンブリを有し、
第1のブロック弁ブリード弁アセンブリ及び第2のブロック弁ブリード弁アセンブリはスパージャアセンブリを流体的に隔絶可能である。
【請求項10】
請求項9に記載のスパージャアセンブリであって、
各スパージャ室のプロセス流体入口に流体接続された一つ以上のプロセス流体ヘッダを有する。
【請求項11】
請求項9に記載のスパージャアセンブリであって、
各スパージャ室の気体入口に流体接続された一つ以上の気体ヘッダを有する。
【請求項12】
請求項9に記載のスパージャアセンブリであって、
スパージャは、スパージャの表面に配置された複数の細孔スパージャ部を有し、
各細孔は第1の直径を有する。
【請求項13】
請求項12に記載のスパージャアセンブリであって、
スパージャ通路は第2の直径を有し、
第2の直径に対する第1の直径の比率は0.01未満である。
【請求項14】
請求項9に記載のスパージャアセンブリであって、
反応容器は一組の流体再循環ノズルを有し、
流体再循環ノズルは、スパージャアセンブリのスパージャ出口の上に配置されており且つ反応容器のプロセス流体循環路に流体接続されている。
【請求項15】
請求項9に記載のスパージャアセンブリであって、
プロセス流体通路は10から90度の角度でスパージャ通路に接続されている。
【請求項16】
反応装置内の流体に気体を供給する方法であって、
プロセス流体を第1の弁アセンブリを介してスパージャ室に送る工程と、
スパージャ室内において気体をスパージャ部に通す工程と、
スパージャ室内においてプロセス流体内に気泡を形成して混合流体を形成する工程と、
混合流体をスパージャ室から反応容器内へ送る工程と、
を有する。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
プロセス流体を反応容器の外に出す工程を有し、
プロセス流体をスパージャ室に送る工程は、プロセス流体を反応容器からスパージャ室に循環する工程を含む。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
スパージャ室は反応容器の外側に位置しており、
混合流体をスパージャ室から反応容器内へ送る工程は、混合流体を反応容器の下部において開口を通す工程を含む。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、
気泡は平均直径が0.2cm以下である。
【請求項20】
請求項16に記載の方法であって、
スパージャ部は気泡を形成する開口を有し、
開口の大きさは0.01から100μmである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年5月28日に出願された「反応装置スパージャアセンブリ(Reactor Sparger Assembly)」の名称である米国仮特許出願第63/031,257の利益を主張し、当該出願の全てがあらゆる目的のために参照によって本明細書中に援用される。
【0002】
スパージャは、通常、反応容器の底部において大量のプロセス流体の下に配置されるよう設計されており、また、プロセス流体中に気体流を導入して化学反応又は生物学的反応を促進するように設計されている。当該システムでは、プロセス流体は液体と固体の両方を含有することがあり、そこに含まれる微小粒子がスパージャの稼働の邪魔になる、あるいは稼働を阻害する可能性がある。従来のスパージャの整備には、通常、反応装置の連通を遮断すること、及び、スパージャにアクセス、洗浄、及び/又は修理するために反応容器からプロセス流体を排出することを含む。しかし、反応容器からのプロセス流体の排出は数時間から数日かかる場合があり、実質的な稼働コストや遅延をもたらす。
【発明の概要】
【0003】
特許請求の範囲に係る発明に相当する範囲の実施形態を以下に概説する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に係る発明の範囲を限定することを意図しておらず、発明の可能な形態の概要を提供することのみを目的とする。実際、発明は、以下に記載の実施形態と類似する又は異なる様々な形態を含み得る。
【0004】
ある実施形態では、反応装置システムは、プロセス流体を収容するよう構成された反応容器と、稼働可能に反応容器に接続されており且つ反応容器に気体及び循環されたプロセス流体を供給するよう構成されたスパージャアセンブリとを有する。スパージャアセンブリは、複数のスパージャ室を有してもよい。各スパージャ室は、プロセス流体入口を介して反応容器のプロセス流体循環路に流体接続されているプロセス流体通路を有してもよく、プロセス流体入口は第1のブロック弁ブリード弁アセンブリを有する。各スパージャ室は、プロセス流体通路に流体接続されたスパージャ通路と、スパージャ通路内に配置されており且つ気体入口を介して気体源に流体接続されているスパージャとを有する。また、各スパージャ室は、スパージャ通路を反応容器のスパージャ出口に流体接続するプロセス流体-気体混合物出口を有してもよい。プロセス流体-気体混合物出口は第2のブロック弁及びブリード弁アセンブリを備えており、第1及び第2のブロック弁ブリード弁アセンブリは、スパージャを反応容器から流体的に隔絶可能に構成されている。
【0005】
ある実施形態では、反応装置内の流体に気体を供給する方法は、プロセス流体を第1の弁アセンブリを介してスパージャ室へ送ること、気体をスパージャ室内のスパージャ部に通すこと、スパージャ室内においてプロセス流体内で気泡を形成して混合流体を形成すること、及び、混合流体をスパージャ室から反応容器内へ送ることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより良く理解される。図面において、類似の部品は類似の文字で表記されている。
【0007】
図1】本開示の実施形態に係る気泡の直径と気泡の体積に対する気泡の表面積の比率との関係を表すグラフである。
図2】本開示の実施形態に係るスパージャアセンブリを備える反応容器を有する反応装置システムの一実施形態の模式図である。
図3】本開示の実施形態に係るスパージャアセンブリのスパージャ板の模式図である。
図4】本開示の実施形態に係るスパージャアセンブリのスパージャ室の一実施形態の模式図である。
図5】本開示の実施形態に係るスパージャアセンブリのヘッダの配置の一実施形態の模式図である。
図6】本開示の実施形態に係るスパージャアセンブリのヘッダの代替配置の一実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一つ以上の具体的な実施形態が以下に説明される。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するため、実際の実施品の全ての特徴は明細書に記載されない。実用化又は設計の計画などの実際の実施品の開発においては、開発者の具体的な目的を達成するために、ある実施品と他の実施品では相互に異なる可能性があるシステムに関する制約又はビジネスに関する制約に対する適合等の多数の実施品に特有の決定がなされなければならないことが理解されるべきである。更に、そのような開発努力は複雑であり時間がかかるが、本開示の利益を有する当業者にとって日常的に実施する設計、製作、及び生産であることが理解されなければならない。
【0009】
本発明の様々な実施形態の要素を説明する際、「a」、「an」、「the」、及び「said」は要素が一つ以上存在することを意味する。「備える(comprising)」、「含有する(including)」、及び「有する(having)」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0010】
本明細書で開示される発明は、スパージャを利用する反応装置(例えば気泡塔)、より具体的には整備のためにスパージャを反応容器から流体的に隔絶できるスパージャアセンブリに関する。
【0011】
従来のスパージャは反応容器内に配置されており、容器全体が排水されることにより、整備のためにスパージャにアクセス可能になる。更に、従来のスパージャは複数が共に連結されており、単一ユニットとして使用される。仮にスパージャ全体の一部が遮断できるように異なるリング又はセクションが使用されても、スパージャは反応容器全体を排水しなければアクセスできない。
【0012】
更に、スパージャは一般に反応容器内に気相を放出することが可能であり、気体は反応容器内においてスパージャから流体の主要な流れへと放出される。スパージャの周囲の流体の流れを制御すること、又は、気体が反応容器内に放出される際に任意の種類の高速の流れを生じることは困難であろう。
【0013】
本明細書における開示内容は、反応容器と流体連通するスパージャ室内にスパージャ部を配置しており、他のスパージャ部に影響を与えることなく整備のために個別にアクセス可能であるスパージャの設計である。一例として、スパージャ部はスパージャ室内に配置可能であり、流体はスパージャ室を通過することにより気相の泡を含有して反応容器へと届ける。各スパージャ室(又は一群のスパージャ室)を整備のために反応室から隔絶可能にするために、スパージャ室は一つ以上の弁を用いて反応容器から隔絶可能である。
【0014】
整備を容易にするために加えて、本明細書で提供されるスパージャの設計は反応装置を伴う一つ以上のスパージャの選択的な利用も可能にする。これは、所望されるように、反応装置に流入する流体及び/又は気相の流量及び速度、反応装置内の流動パターン、並びに、反応装置を弱める性能を制御可能にする。
【0015】
以下に説明されるように、開示される実施形態はスパージャアセンブリを備える反応装置(例えば、気泡塔式反応装置)を有する。スパージャアセンブリは、反応容器の底部に又は底部付近に配置された複数のスパージャ出口を備えるスパージャ板を有する。スパージャ出口は、スパージャ板を通る流体連通路を備えることにより、気体及び/又は再循環プロセス流体がスパージャ室から反応装置内へと流れることを可能にする。ある態様では任意の形状又は構成が可能であり、スパージャ出口はスパージャ板に格子状、パターン環状、同心円状などに配置可能である。各スパージャ出口は独立したスパージャ室に流体接続されており、独立したスパージャ室は、反応容器の外部に配置されており且つ反応容器内に気体及び/又は再循環プロセス流体の流れを供給するスパージャ室に流体接続可能である。
【0016】
スパージャ室は、混合流体が反応装置内で主要な流体に流入する前に、流体相と混合される気相を提供するよう構成されている。ある態様では、スパージャ室はスパージャマニホールドとも呼ばれる。スパージャ室は、スパージャ周囲の流体の流れを受容する外筒状部材内に配置されるスパージャを備えてもよい。これは、パイプインパイプ配置(例えば、外側筒部内にスパージャパイプが配置されている)、同心配置、又は任意の形状又は大きさのスパージャ部が流体源に流体接続された外部チャンバ内に配置されている他の配置であってもよい。
【0017】
ある実施形態では、各スパージャ室は一つ以上の細孔スパージャ部を備えるスパージャを有しており、細孔スパージャ部は、気体が適切な圧力(例えば、流体の圧力以上の圧力)でスパージャに供給されてスパージャを通って周囲の流体内に流入する際に小さな気泡(例えば、直径約0.2cm以下)を生じる。本明細書で用いられる場合、スパージャ部は、気体が通過して周囲の流体内に気泡を形成する孔又は穴を有するスパージャの部分を指す。直径の小さな気泡は、気泡が反応装置に入り容器内でプロセス流体内を上昇する際に気泡間の界面積を向上するため、所望の量の気体-プロセス流体の混合を達成するために使用される気体の流量を低減できる。
【0018】
理解されることであるが、小径の気泡を生じるスパージャ部は、その孔が小さいために詰まる可能性がある。そのため、開示されるスパージャ室は、整備のためにスパージャ室を反応容器のプロセス流体から隔絶できる適切な弁を備える。つまり、開示されるスパージャ室の設計を用いる場合、反応容器が稼働しており且つスパージャアセンブリの他のスパージャが稼働し続けている間に、個々のスパージャ部を除去及び処理(例えば、保全、修理、洗浄、交換など)できる。したがって、本開示の実施形態は、一つ以上のスパージャを整備するために、反応装置をオフラインにすることなく、反応容器を連続的に作動させることができる。開示の実施形態は、反応装置と共に稼働するスパージャをそれぞれ独立して設定及び稼働可能である。
【0019】
ここで図面を参照すると、図1は、気泡のサイズに対する気体-液体混合容器の効率を示すグラフ100である。より具体的には、グラフ100は、気泡の直径と、気泡の体積に対する気泡の表面積の比率との関係を示している。図示するように、直径の大きな気泡(例えば約2cm)は体積に対する表面積の比率が小さい。図示するグラフにおいて矢印110で示される直径の大きな気泡は従来のスパージャで生成される。本開示の実施形態は、気泡の直径が約0.5cm未満である小さな気泡を生じる。矢印110で示される直径が小さな気泡は気泡間の界面積が向上している。小径の気泡は、大径の気泡に対して気泡間の界面積が2~10倍(例えば2×~10×)に向上していることが理解される。気泡間の界面積の向上に加えて、本開示の実施形態は、反応装置のスパージャ出口を介して気体と再循環プロセス流体との混合物を導入する際に、十分な気体-液体混合を達成する。液体の圧送は気体の圧送よりもエネルギー消費がかなり少ないことが現在では認識されているため、開示のスパージャの設計は、所望の量の気体-液体混合を実現するために高速の気体速度及び大径の泡を利用する反応装置と比較して、実質的により効率的に所望のレベルの気体-液体混合を達成する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る、スパージャアセンブリ208を備える反応装置200(例えば、気泡塔型反応装置)の一実施形態の模式図である。反応装置200は反応容器202を有しており、スパージャアセンブリ208は容器202の底に配置されたスパージャ板210を備える。スパージャ板210は、図3に図示されており、より詳細に説明される。プロセス流体及び気体をスパージャ板210に供給するスパージャ室は、図4に図示されており、より詳細に説明される。ある実施形態では、スパージャ板210は反応容器202の底壁内に形成される、又は、底壁として構成される。スパージャ板210は、反応容器202の底部付近で気体の流れ及び/又は再循環プロセス流体を供給するよう設計されたスパージャ出口212を備えてもよい。理解されるように、反応容器202の底部における加圧下の気体は、容器の頂部における液体よりも密度が低い。そのため、反応容器202の底部付近に導入された気体は、通常は容器の頂部に向かって上昇し、気体とプロセス流体との更なる混合を引き起こす。
【0021】
反応容器202は、反応容器202の底部付近に配置されたプロセス流体循環路206を備えてもよい。ある非限定的な実施例において、プロセス流体の一部(例えば、1分当たり500ガロン)は反応容器202からプロセス流体循環路206を介して排出される。ある実施形態では、プロセス流体循環路206を介して反応容器202から排出されるプロセス流体の少なくとも一部は、プロセス流体から生成物を選択的に分離可能であり且つ残存するプロセス流体を容器202に再導入可能である精製又は分離システム(例えば、ナノ濾過ユニット214)に送られる。別の実施形態では、プロセス流体は精製又は生成物の分離を行うことなく反応容器202に再導入される。ある態様では、本明細書に開示のスパージャに使用されるプロセス流体は、システムに流入する新しい流体及び/又はシステムの異なる箇所由来の循環流体によって供給されてもよい。
【0022】
別の実施形態では、反応容器202に再導入又は再循環されるプロセス流体は、異なる態様で容器に送られる。例えば、以下に説明するように、反応容器202に再導入されるプロセス流体の少なくとも一部は、スパージャ室内で気体と混合された後に、スパージャ板210のスパージャ出口を介して容器内に再導入されてもよい。更に、ある実施形態では、プロセス流体の少なくとも一部は、容器の底部又はその付近に位置するスパージャ出口の上に配置された一組以上の流体再循環ノズル216を介して反応容器202に再導入される。ある実施形態では、一組の流体再循環ノズル216は反応容器202の内周付近に配置された環状配列のノズルを有し、ノズルは、スパージャ板210のスパージャ出口212に向かって通常は下向きに再導入プロセス流体を向けるよう配向されている。流体再循環ノズル216は、反応容器202の軸長204に沿ってに任意の好適な位置に配置可能である。また、ある実施形態では、流体再循環ノズル216は、反応容器202の軸長204の底から3分の1(例えば、1/3、33%)以内に配置されてもよい。そのような実施形態にとって、再循環ノズルより上の反応容器の部位において観察される気体と液体の混合は、通常、より「プラグ流」のようであり、再循環ノズルの下の反応容器の部位では気体と液体の混合はより連続的又は均一的であることが認識される。
【0023】
ある態様では、気体がスパージャ部を介して導入される間に、スパージャ室が開けられることにより反応装置内のプロセス流体がスパージャ室へ流入する。これらの実施形態では、気体が反応装置に入る前に、(スパージャ部を介する気体の導入による混合に起因して反応装置から流入する流体を除いて)流体がスパージャ室に導入されて気体と混合されることはない。この態様では、スパージャ室はスパージャ部を整備するために隔絶されてもよい。
【0024】
図3は、図2の反応容器202の線3-3を通る断面図を示す。より具体的には、図3はスパージャアセンブリ208のスパージャ板210を図示しており、スパージャ板210は反応容器202の底付近に配置されている、又は、底を形成している。上述した通り、スパージャ板210は、スパージャ板210の中央付近に配置されたプロセス流体循環口218を有しており、プロセス流体循環口218は、プロセス流体を反応容器202から排出するために反応容器202のプロセス流体循環路206に流体接続されている。図示されたスパージャ板210はプロセス流体循環口218の周囲に配置された複数のスパージャ出口212を備えており、図4に関して説明されるように各スパージャ出口212は別個のスパージャ室の出口から気体とプロセス流体の混合物を受容できるように流体接続されている。
【0025】
スパージャ板210のスパージャ出口212は、異なる実施形態のスパージャアセンブリ208では違う態様で配置されている。例えば、図示されるスパージャ板210は、外輪224及び内輪226上に配列されたスパージャ出口212を有する。他の実施形態では、三個の輪や単一の外輪などの他の配列が用いられてもよい。また、図示のスパージャ板210では、スパージャ出口212は等間隔(例えば、約6~30インチの間隔、又は約12インチの間隔)を有することにより、気泡を反応容器202内に均一に分散可能にしている。ある実施形態では、一つ以上のスパージャ出口212が、約6-18インチ、8-16インチ、又は10-12インチ等の反応容器202の外壁から離間して位置することにより、容器内での気体とプロセス流体との十分な混合を可能にしている。
【0026】
説明した通り、プロセス流体の一部はスパージャ出口212を介して反応容器202へと再導入され、各スパージャ出口212は別個の又は独立したスパージャ室222から供給されてもよい。図4は、ある実施形態のスパージャアセンブリ208のスパージャ室222の模式図である。図示されるスパージャ室222は二個の入口(例えば、流体入口231及び気体入口233)と一個の出口(プロセス流体-気体混合物出口235)を備えており、前記出口はスパージャ出口に接続されることにより、混合流体ストリームを反応装置に供給できる。ある態様では、プロセス流体は流体入口231から入り、混合物出口235に向かって流れる。スパージャ230は、密閉接続を介して流体管242へと連結されており、気体をスパージャ部234に送る。スパージャ部はプロセス流体内に小さな気泡を生成し、スパージャ部234の周囲を流れる流体はプロセス流体と共に気泡を反応装置内に運ぶ。
【0027】
ある態様では、気体(例えば、空気、酸素、窒素)流が気体源(例えば、コンプレッサ、気体供給タンク)を介してスパージャ室222の気体入口233に供給される間に、再循環されるプロセス流体がスパージャ室222の流体入口231に送られる。スパージャ室222内において、プロセス流体は反応容器202に再導入される前に気体流と混合される。スパージャ室222のプロセス流体-気体混合物出口235は、図3に示すようにスパージャ板210の個々のスパージャ出口212に流体接続されることにより、プロセス流体と気体の混合物を反応容器202内に供給している。
【0028】
流体管242はスパージャ通路232に直角に接続されるように図4に示しているが、適切な任意の角度にすることができる。ある態様では、流体管242は鋭角(例えば、約10から約90度)でスパージャ通路232に接続されることにより、流体の勢いをスパージャ230に沿って伝えることを可能にする、及び/又は、スパージャ部234の周囲に所望の程度の乱流を生じることにより気泡をプロセス流体と混合する。
【0029】
スパージャ室222は、スパージャ通路232内に配置されたスパージャ230を有する。スパージャ230は、穴あき管型スパージャよりも小さい気泡を生じる複数の細孔スパージャ部234を有してもよい。スパージャ部234における細孔は、約0.01-100μmの直径である。ある実施形態では、スパージャ部の細孔は約5μmの直径を有する。ある態様では、スパージャ通路232はスパージャ部234の外径より約2-4倍大きい内径を有する。ある態様では、スパージャ通路の直径に対するスパージャ部の直径の比率は0.01未満である。
【0030】
上述したように、スパージャ部234は、その小さな孔径のために詰まる可能性がある。スパージャ室222は、スパージャ室222の流体入口231を介して供給されるプロセス流体と同様に、反応容器内のプロセス流体からスパージャ230を流体的に隔絶するのに適した弁を備える。そのため、スパージャアセンブリ208の他のスパージャ230が稼働している間に、一個のスパージャ室222のスパージャ230を流体的に隔絶し、排水し、取り外し、整備(例えば、洗浄、修理、取替)できる。従来のスパージャと比較して、本開示のスパージャアセンブリは反応装置200を連続稼働出来るため、維持管理のための反応装置200の停止時間を省略できる。ある態様では、反応装置を所望の要領で稼働できるようにしつつ、複数のスパージャ部が詰まる及び/又は整備されるのを許容するようにスパージャアセンブリの数は選択される。
【0031】
図示したスパージャ室222は、流体の遮断、及び、スパージャ通路232からのスパージャ230の取り外しを容易にするために、複数の異なる弁(例えば、ブロック弁及びブリード弁)を備える。図示した実施形態では、スパージャ室222の気体入口233は、スパージャ通路232を気体源(例えば、エアコンプレッサ)から選択的に隔絶可能な空気入口弁236を有する。図示するスパージャ室222のプロセス流体-気体混合物出口235は、反応容器202内のプロセス流体からスパージャ通路232を選択的に隔絶可能なダブルブロック弁ブリード弁アセンブリ238を有する。スパージャ室222の流体入口231は、再循環のためにスパージャ室222に輸送されるプロセス流体からスパージャ通路232を選択的に隔絶可能なダブルブロック弁ブリード弁アセンブリ240を有する。
【0032】
整備のためにスパージャ230がアクセスされる際、空気入口弁236とダブルブロック弁ブリード弁アセンブリ238は閉弁され、流入する気体の流れを遮断し、反応容器202内のプロセス流体がスパージャ通路232に流入することを防止する。同様に、再循環プロセス流体管242に沿って配置されたダブルブロック弁ブリード弁アセンブリ240は、流入するプロセス流体の流れがスパージャ通路232に到達するのを防止し、スパージャ室222内に残存するプロセス流体を排出するために用いられてもよい。
【0033】
ある実施形態では、プロセス流体及び気体は、一つ以上の流体ヘッダ及び一つ以上の気体ヘッダをそれぞれ介して反応容器202の各スパージャ室222に供給される。例えば、図5はスパージャアセンブリ208のヘッダ配置300の一実施形態の模式図であり、プロセス流体循環路206に流体接続された流体供給ライン306と同様に、適切な気体源に流体接続された気体供給ライン302を有する。図示する実施形態では、図4に示すように、各スパージャ室222の気体入口233は気体供給ライン302の少なくとも一つの気体出口304に流体接続されることにより、気体の流れをスパージャ室222に到達可能にする。このようにして、プロセス流体及び気体は、混合物が反応容器202に導入される前に、スパージャ室222内に輸送されて混合される。
【0034】
図6は、スパージャアセンブリ208の別のヘッダ配置400の一実施形態の模式図であり、プロセス流体循環路206に流体接続された流体供給ライン306と同様に、適切な気体源に流体接続された気体供給ライン302を有する。図示する実施形態では、液体供給ライン306及び気体供給ライン302は環状又は円状の流路に形成されてもよい。例えば、図示する実施形態のように、供給ライン302及び302は同心円状に配置されてもよいし、他の適切な配置であってもよい。図6の代替ヘッダ配置400の利用は、スパージャ室222及び/又はスパージャ出口212の配置の自由度を非常に高め、また、点検及び整備のための供給ライン302及び306へのアクセスを非常に容易にすることが理解されるであろう。
【0035】
ある態様は、限定されないが、上述した様々な装置、システム、及び方法を包含し得る。
【0036】
第1の態様では、反応装置システムは、プロセス流体を収容する反応容器と、反応容器に流体接続されており且つ気体とプロセス流体の混合物を反応容器に供給するスパージャアセンブリと、を有する。スパージャアセンブリは複数のスパージャ室を有する。各スパージャ室は、プロセス流体通路と、スパージャ通路と、スパージャと、プロセス流体-気体混合物出口とを有する。プロセス流体通路は、プロセス流体入口を介して反応容器のプロセス流体循環路に流体接続されている。プロセス流体入口は第1のブロック弁ブリード弁アセンブリを有する。スパージャ通路はプロセス流体通路に流体接続されている。スパージャは、スパージャ通路内に配置されており、気体入口を介して気体源に流体接続されている。プロセス流体-気体混合物出口はスパージャ通路を反応容器に流体接続している。プロセス流体-気体混合物出口は、スパージャ通路と反応容器との間に配置された第2のブロック弁ブリード弁アセンブリを有する。第1及び第2のブロック弁ブリード弁アセンブリは、スパージャを反応容器から流体的に隔絶可能である。
【0037】
第2の態様は第1の態様のシステムであって、スパージャアセンブリは、反応容器のプロセス流体循環路と各スパージャ室のプロセス流体入口との間に流体接続されている一つ以上のプロセス流体ヘッダを有する。
【0038】
第3の態様は第1又は第2の態様のシステムであって、スパージャアセンブリは、気体源と各スパージャ室の気体入口との間に流体接続された一つ以上の気体ヘッダを有する。
【0039】
第4の態様は第1から第3の態様のいずれかのシステムであって、スパージャは、スパージャの表面に配置された複数の細孔スパージャ部を有し、各細孔は第1の直径を有する。
【0040】
第5の態様は第4の態様のシステムであって、スパージャ通路は第2の直径を有し、第2の直径に対する第1の直径の比率は0.01未満である。
【0041】
第4の態様は第1から第5の態様のいずれかのシステムであって、反応容器は一組の流体再循環ノズルを有し、流体再循環ノズルは、スパージャアセンブリのスパージャ出口の上に配置されており且つ反応容器のプロセス流体循環路に流体接続されている。
【0042】
第7の態様は第1から第6の態様のいずれかのシステムであって、各プロセス流体-気体混合物出口は反応容器の下部においてスパージャ板内に配置されている。
【0043】
第8の態様は第1から第7の態様のいずれかのシステムであって、スパージャアセンブリは反応容器の外側にある。
【0044】
第9の態様では、反応装置用のスパージャアセンブリは複数のスパージャ室を有する。各スパージャ室は、プロセス流体通路、スパージャ通路、スパージャ、及びプロセス流体-気体混合物出口を有する。プロセス流体通路はプロセス流体入口に流体接続されている。プロセス流体入口は第1のブロック弁ブリード弁アセンブリを有する。スパージャ通路はプロセス流体通路に流体接続されている。スパージャは、スパージャ通路内に配置されており、気体入口に流体接続されている。プロセス流体-気体混合物出口はスパージャ通路に流体接続されている。プロセス流体-気体混合物出口は第2のブロック弁ブリード弁アセンブリを有する。第1のブロック弁ブリード弁アセンブリ及び第2のブロック弁ブリード弁アセンブリはスパージャアセンブリを流体的に隔絶可能である。
【0045】
第10の態様は第9の態様のスパージャであって、スパージャアセンブリは、各スパージャ室のプロセス流体入口に流体接続された一つ以上のプロセス流体ヘッダを有する。
【0046】
第11の態様は第9又は第10の態様のスパージャであって、スパージャアセンブリは、各スパージャ室の気体入口に流体接続された一つ以上の気体ヘッダを有する。
【0047】
第12の態様は第9から第11の態様のいずれかのスパージャであって、スパージャは、スパージャの表面に配置された複数の細孔スパージャ部を有し、各細孔は第1の直径を有する。
【0048】
第13の態様は第12の態様のスパージャであって、スパージャ通路は第2の直径を有し、第2の直径に対する第1の直径の比率は0.01未満である。
【0049】
第14の態様は第9から第13の態様のいずれかのスパージャであって、反応容器は一組の流体再循環ノズルを有し、流体再循環ノズルは、スパージャアセンブリのスパージャ出口の上に配置されており且つ反応容器のプロセス流体循環路に流体接続されている。
【0050】
第15の態様は第9から第14の態様のいずれかのスパージャであって、プロセス流体通路は10から90度の角度でスパージャ通路に接続されている。
【0051】
第16の態様では、反応装置内の流体に気体を供給する方法は、第1弁アセンブリを介してスパージャ室にプロセス流体を送る工程、スパージャ室内で気体をスパージャ部に通す工程、スパージャ室内においてプロセス流体内に気泡を形成して混合流体を形成する工程、及び、混合流体をスパージャ室から反応容器に送る工程を含む。
【0052】
第17の態様は第16の態様の方法であって、プロセス流体を反応容器の外に送る工程を更に含み、プロセス流体をスパージャ室に送る工程はプロセス流体を反応容器からスパージャ室に循環する工程を含む。
【0053】
第18の態様は第16又は第17の態様の方法であって、スパージャ室は反応容器の外側にあり、混合流体をスパージャ室から反応容器に送る工程は、混合流体を反応容器の下部にある開口を通すことを含む。
【0054】
第19の態様は第16から第18の態様のいずれかの方法であって、気泡は平均直径が0.2cm以下である。
【0055】
第20の態様は第16から第19の態様のいずれかの方法であって、スパージャ部は気泡を形成する開口を有し、開口の大きさは0.01から100μmである。
【0056】
上述の説明は、ベストモードを含む発明を開示するため、また、任意の装置又はシステムを作製及び使用すること並びに取り入れた方法を実施することを含む発明の実施を当業者に可能にするために、実施例を用いている。発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって特定され、当業者が想定する他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構成要素を有している場合、又は、特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない同等の構成要素を有している場合、特許請求の範囲の範囲に入ることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】