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特表2023-527391患者の発熱検出による患者の体温制御のためのシステム及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】患者の発熱検出による患者の体温制御のためのシステム及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
A61F7/00 310F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572713
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2021034308
(87)【国際公開番号】W WO2021242892
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/032,226
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ボールヒーズ、マーク イー.
(72)【発明者】
【氏名】メリル、ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】ラシュタッター、カリーヌ
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA03
4C099AA04
4C099CA19
4C099EA01
4C099EA05
4C099GA02
4C099GA30
4C099HA01
4C099HA03
4C099JA01
4C099LA01
4C099LA13
4C099LA21
4C099PA03
4C099PA04
4C099PA08
(57)【要約】
患者体温制御システムが開示され、この患者体温制御システムは、流体を加温又は冷却するように構成された熱交換システムと、熱交換器及び少なくとも1つの相互接続可能なパッドを通して流体を循環させるように構成された循環ポンプと、1つ以上のプロセッサ及び論理を格納した非一時的コンピュータ可読媒体の制御とを含む。論理は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、目標体温管理療法を開始するステップと、流体温度センサ、体積流量センサ及び患者体温センサから測定値を得るステップと、循環中の流体の体積流量の測定値を体積流量センサから得るステップと、患者の体温の1つ以上の測定値を患者体温センサから得るステップと、得られた測定値のうちの1つ以上に基づいて患者の発熱のレベルを判定するステップと、1つ以上の無線信号を介して、患者の発熱のレベルを示すデータをネットワーク装置に送信するステップと、を含む動作を引き起こす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者体温制御システムであって、
流体を加温又は冷却するように構成された熱交換システムと、
前記熱交換器及び少なくとも1つの相互接続可能なパッドを通して前記流体を循環させるように構成された循環ポンプと、
患者体温センサと、
1つ以上の流体温度センサ、体積流量センサ、1つ以上のプロセッサ、及び論理を格納した非一時的コンピュータ可読媒体を含む制御モジュールと、を備え、前記論理は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、
目標体温管理(TTM)療法を開始するステップと、
流体温度測定値を前記1つ以上の流体温度センサから得るステップであって、前記流体温度測定値は前記流体が前記少なくとも1つの相互接続可能なパッドに流れているときの第1の温度及び前記流体が前記少なくとも1つの相互接続可能なパッドから戻ってくるときの第2の温度を含む、ステップと、
循環中の前記流体の体積流量の測定値を前記体積流量センサから得るステップと、
患者の体温の1つ以上の測定値を前記患者体温センサから得るステップと、
前記流体温度測定値、体積流量の前記測定値、又は患者の体温の前記1つ以上の測定値のうちの1つ以上に基づいて患者の発熱のレベルを判定するステップと、
1つ以上の無線信号を介して、患者の発熱の前記レベルを示すデータをネットワーク装置に送信するステップと、を含む動作を引き起こす、システム。
【請求項2】
前制御モジュールは、前記ネットワーク装置から帰還信号を受信するように構成され、前記帰還信号は前記TTM療法を変更するために前記制御モジュールによって使用可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
患者の発熱の前記レベルを判定するステップは、前記第1の温度と前記第2の温度との差、前記流体の前記体積流量、及び前記流体の熱容量に基づいて、前記流体と前記患者との間の伝熱量を計算することを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記論理は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、所定のルールセットに従って、患者の体温の前記得られた1つ以上の測定値に基づいて、患者の発熱の前記レベルを判定する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御モジュールは、前記TTM療法中に利用される前記少なくとも1つの相互接続可能なパッドのサイズの選択に対応するユーザ入力を受信するように構成され、前記論理は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記ユーザ入力に少なくとも部分的に基づいて、患者の発熱の前記レベルを判定する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御モジュールは、前記少なくとも1つの相互接続可能なパッドと前記制御モジュールとの接続の後に、前記少なくとも1つの相互接続可能なパッドのサイズを識別するのに使用可能な信号を受信するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記論理は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、患者の発熱の前記レベルを視覚的に示すように構成されたユーザインタフェース表示を生成することを含む動作をさらに引き起こす、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ユーザインタフェース表示は、前記制御モジュールの表示スクリーン上に描画され、患者の発熱の指標を提供する時間ベースのグラフィックを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記時間ベースのグラフィックは、前記TTM療法の開始後、待機期間の後の前記TTM療法の継続時間にわたって患者の発熱の前記指標を提供する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ユーザインタフェースは、前記ネットワーク装置の表示スクリーン上に描画される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
患者の発熱の前記レベルは、前記制御モジュールの前記論理に対するフィードバックとして利用され、前記熱交換システムの動作を変更するための1つ以上の指示を生成するために使用可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
簡潔に要約すると、本明細書に開示される実施形態は、患者の体温を選択的に制御するためのシステム、方法及び装置に関する。より詳細には、本開示の態様は、患者と接触する1つ以上の相互接続可能なパッド(「パッド」)を通じた加温及び/又は冷却された流体の循環によって患者の体温を制御する目標体温管理装置に関する。さらに、本開示のいくつかの実施形態は、目標体温管理療法中に患者によって発生した熱を測定するシステム、方法及び装置に関する。
【0002】
本開示のいくつかの実施形態は、センサ測定値を受信して、加温器/冷却器に流体を自動的に加温又は冷却させるように構成された電子システムを備えた目標体温管理(targeted temperature management:TTM)装置について説明する。TTM装置は、TTM装置と流体連通した1つ以上のパッドを通して加温又は冷却された流体を循環させるように構成され得る。さらに、TTM装置は、TTM装置を退出する(パッドに向かって流れる)水、及びTTM装置に戻る(パッドから戻る)水の温度測定値を受信するように構成され得る。電子システムは、水温測定値及び流体の体積流量を分析して患者から循環流体への伝熱量(これは患者の発熱量を示す)を判定する論理を備え得る。患者の発熱の指標は、グラフィカルユーザインタフェースを介して表示スクリーンに表示され得る。
【背景技術】
【0003】
いくつかの従来のTTM装置は、当該技術分野において、患者の身体と直接的又は間接的に接触して配置された1つ以上の加温/冷却要素を通して加温又は冷却された流体を循環させることによって患者の体温を制御(加温/又は冷却)することで知られている。これらの加温/冷却要素の例としては、外部又は表面冷却要素、例えば、ブランケット、ウォーターブランケット、ラップ(コルゲート加工したもの)、血流と熱を交換するように構成された脈管間カテーテル(intervascular catheter)等が挙げられる。従来の加温/冷却要素の多くは、流体を全体に循環させるために構成されている。さらに、従来のTTM装置は、典型的には、流体の温度を制御するための1つ以上の熱交換器(例えば加温器/冷却器)と、加温/冷却要素に対する加温又は冷却された流体の循環を制御する1つ以上のポンプとを備える。流体は次に、(例えば、陽圧下又は陰圧下で)加温/冷却要素を通って循環され、TTM装置に戻される。次に戻された流体の温度が調節され、加温/冷却要素を通って再循環されて、目標の患者体温を実現するために目標体温管理過程を継続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
理解されるように、患者にTTM療法を施す場合に生じる特定の課題が存在する。例えば、臨床医がTTM療法を施している間に直面する1つの共通の課題は、TTM中における患者の震え(shiver)の存在と、具体的にはその検出である。具体的には、震えは、代謝率の上昇及び体温の上昇を引き起こし、これにより正確なTTM療法を施すことがより困難になる。現在、震えの問題を解決するために、臨床医は療法の目標体温を増大させる場合がある。代わりに、又は加えて、臨床医は、TTM療法中に震えを低減するために麻痺薬又は鎮静薬を投与する場合がある。震えに対するさらに別の現在の解決法としては、中核温(core temperature)を上昇させる(つまりエネルギー消費及び発熱を増進させる)ことが挙げられるが、これはTTM療法に悪影響を与える。さらに、現在の解決法において、最初に臨床医は、低体温法を受けている患者の震えを発見する必要があり、これは共通の技術的課題である。シバリングの早期発見の成功及びそれに続く管理は、TTM療法及び患者の転帰を促進する。加えて、効果的でない震え管理は、患者による全身酸素消費量を増大させるだけでなく、冷却TTM療法に関連する恩恵を無効にもする。従来、震え検出は臨床医によって管理される主観評価であった。しかしながら、その初期状態におけるシバリングは、多くの場合、観察している臨床医がその発生に気づくことができないほど微妙なものである。
【0005】
さらに、患者の震えは、患者の身体がTTM療法に影響を与える熱を発生し得る1つの態様に過ぎない。患者が熱を発生する他の場合としては、熱病(例えば、伝染性又はウイルス性)、中枢性発熱(例えば外傷による、例えば、内部の視床下部に対する損傷に基づくもの)及び/又は発作の発症が挙げられるが、これらに限定されるものではない。とりわけ、発作は、しばしば新生児患者に対して大きな懸念となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を考慮して、本開示の実施形態は、上記の例に明確に示されているか否かにかかわらず、冷却療法中及び復温療法中の双方を含めた患者が熱を発生し得るすべてのTTM療法に適用可能であり、また患者の発熱が生じる各々の場合に適用可能であることを理解されたい。
【0007】
本明細書において、本開示は、上記で述べたTTM療法中に患者の発熱を検出するように構成されたTTM装置を含むシステムの様々な態様について説明する。付加的な実施形態は、TTM療法中に経時的にTTM装置によって利用された電力の量を検出するように構成されたTTM装置を含むシステムに関する。
【0008】
一実施形態において、患者体温制御システムが開示され、この患者体温制御システムは、流体を加温又は冷却するように構成された熱交換システムと、熱交換器及び少なくとも1つの相互接続可能なパッドを通して流体を循環させるように構成された循環ポンプと、1つ以上の流体温度センサ、体積流量センサ、1つ以上のプロセッサ、及び論理(logic)を格納した非一時的コンピュータ可読媒体を含む制御モジュールとを備える。論理は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、目標体温管理(TTM)療法を開始するステップと、流体が少なくとも1つの相互接続可能なパッドに流れているときの第1の温度及び流体が少なくとも1つの相互接続可能なパッドから戻ってくるときの第2の温度を示す測定値を1つ以上の流体温度センサから得るステップと、循環中の流体の体積流量の測定値を体積流量センサから得るステップと、患者の体温の1つ以上の測定値を患者体温センサから得るステップと、得られた流体温度、体積流量及び患者体温センサの測定値のうちの1つ以上に基づいて患者の発熱のレベルを判定するステップと、1つ以上の無線信号を介して、患者の発熱のレベルを示すデータをネットワーク装置に送信するステップとを含む動作を引き起こす。
【0009】
制御モジュールは、ネットワーク装置から帰還信号を受信するように構成され得、帰還信号はTTM療法を変更するために制御モジュールによって使用可能である。さらに、患者の発熱のレベルを判定するステップは、第1の温度と第2の温度との差、流体の体積流量、及び流体の熱容量に基づいて、流体と患者との間の伝熱量を計算することを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、論理は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、得られた患者の体温の測定値のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、患者の発熱のレベルを判定する。いくつかの場合において、制御モジュールは、TTM療法中に利用される少なくとも1つの相互接続可能なパッドのサイズの選択に対応するユーザ入力を受信するように構成され得、論理は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、ユーザ入力に少なくとも部分的に基づいて、患者の発熱のレベルを判定する。加えて、制御モジュールは、少なくとも1つの相互接続可能なパッドと制御モジュールとの接続の後に、少なくとも1つの相互接続可能なパッドのサイズを識別するのに使用可能な信号を受信するように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、論理は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、患者の発熱のレベルを視覚的に示すように構成されたユーザインタフェース表示を生成することを含む動作をさらに引き起こす。いくつかの実施形態において、ユーザインタフェース表示は、制御モジュールの表示スクリーン上に描画され、患者の発熱の指標を提供する時間ベースのグラフィックを含む。さらに、いくつかの実施形態において、時間ベースのグラフィックは、TTM療法の開始後、待機期間の後のTTM療法の継続時間にわたって患者の発熱(patient generation)の指標を提供する。他の実施形態において、ユーザインタフェースはネットワーク装置の表示スクリーン上に描画される。いくつかの実施形態において、患者の発熱のレベルは、制御モジュールの論理に対するフィードバックとして利用され、熱交換システムの動作を変更するための1つ以上の指示を生成するために使用可能である。
【0012】
加えて、本開示の実施形態には、目標体温管理(TTM)療法を患者体温制御システムで開始するステップであって、患者体温制御システムは、流体を加温又は冷却するように構成された熱交換システムと、熱交換器及び少なくとも1つの相互接続可能なパッドを通して流体を循環させるように構成された循環ポンプとを備える、ステップと、流体が少なくとも1つの相互接続可能なパッドに流れているときの第1の温度及び流体が少なくとも1つの相互接続可能なパッドから戻ってくるときの第2の温度を示す測定値を1つ以上の流体温度センサから得るステップと、循環中の流体の体積流量の測定値を体積流量センサから得るステップと、患者の体温の1つ以上の測定値を患者体温センサから得るステップと、得られた流体温度、体積流量及び患者体温センサの測定値のうちの1つ以上に基づいて患者の発熱のレベルを判定するステップと、1つ以上の無線信号を介して、患者の発熱のレベルを示すデータをネットワーク装置に送信するステップとを含む方法が含まれる。
【0013】
いくつかの実施形態において、患者体温制御システムは、1つ以上の流体温度センサ、体積流量センサ、1つ以上のプロセッサ、及び1つ以上のプロセッサによって実行可能な論理を格納した非一時的コンピュータ可読媒体を含む制御モジュールを備える。患者体温制御システムは、ネットワーク装置から帰還信号を受信するように構成され得、帰還信号はTTM療法を変更するために患者体温制御モジュールによって使用可能である。
【0014】
この方法はまた、得られた流体温度及び体積流量の測定値に少なくとも部分的に基づいて、患者の発熱のレベルを判定するステップも含み得る。加えて、いくつかの実施形態において、患者の発熱のレベルを判定するステップは、第1の温度と第2の温度との差、流体の体積流量、及び流体の熱容量に基づいて、流体と患者との間の伝熱量を計算することを含む。さらなる実施形態において、患者の発熱のレベルを判定するステップは、得られた患者の体温の測定値のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいている。
【0015】
いくつかの実施形態において、この方法は、患者体温制御システムを介して、TTM療法中に利用される少なくとも1つの相互接続可能なパッドのサイズの選択に対応するユーザ入力を受信するステップをさらに含み、患者の発熱のレベルを判定するステップは、ユーザ入力に少なくとも部分的に基づいている。この方法は、患者の発熱のレベルを時間ベースのグラフィックによって視覚的に示すように構成されたユーザインタフェース表示を生成するステップをさらに含む。いくつかの場合において、この方法は、ネットワーク装置の表示スクリーンに描画されるユーザインタフェースのレンダリングを引き起こすステップを含む。
【0016】
本明細書で提供される概念のこれらの特徴及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に開示する添付図面及び以下の説明を考慮すれば当業者にはより明らかとなるであろう。
【0017】
本開示の実施形態は、添付図面の図において限定としてではなく、例として示されており、添付図面では同様の参照符号は類似した要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】いくつかの実施形態に従った目標体温管理(TTM)システムのブロック図である。
図2】いくつかの実施形態に従った図1のTTMシステムの制御モジュールのブロック図である。
図3】いくつかの実施形態に従った本発明の例示的な使用についての線図である。
図4】いくつかの実施形態に従った図2の制御モジュールの論理表現を示す図である。
図5】いくつかの実施形態に従ったネットワーク装置のアプリケーション上に展開された図1のTTMシステムの態様を制御するように構成された論理の論理表現を示す図である。
図6】いくつかの実施形態に従った図1のTTMシステムの実施に関連して使用可能なパッドの選択に関する例示的なユーザインタフェース表示を示す図である。
図7A】いくつかの実施形態に従った図1のTTMシステムの実施に関連して使用可能な低体温法及び正常体温法のメトリックに関する例示的なユーザインタフェース表示を示す図である。
図7B】いくつかの実施形態に従った図1のTTMシステムの実施に関連して使用可能な低体温法及び正常体温法のメトリックに関する例示的なユーザインタフェース表示を示す図である。
図8】いくつかの実施形態に従ってTTM療法中に図1のTTMシステムによって患者の発熱検出を実施する例示的方法を示すフローチャートである。
図9】いくつかの実施形態に従ってTTM療法中に図1のTTMシステムによって患者の発熱検出を実施する詳細な例示的方法を示すフローチャートである。
図10】いくつかの実施形態に従った図1のTTMシステムの実施に関連して使用可能な患者の発熱に関する例示的なユーザインタフェース表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、又は置換することができる特徴を有することが可能であることも理解されたい。
【0020】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3、等)は、一般に、複数の特徴又は複数のステップの群内の異なる特徴又はステップを区別又は識別するために使用され、連続的な限定又は数値限定を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、及び「第3」の特徴又はステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴又はステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などの表示は、便宜上使用されており、例えば、特定の固定した位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表示は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、及び「その」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0021】
「近位」に関して、例えば、本明細書に開示されるプローブの「近位部分」又は「近位端部分」は、プローブが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したプローブの部分を含む。同様に、例えば、プローブの「近位長さ(proximal length)」は、プローブが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したプローブの長さを含む。例えば、プローブの「近位端」は、プローブが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたプローブの端部を含む。プローブの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、プローブの近位端を含むことができるが、プローブの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、プローブの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、プローブの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、プローブの末端部分又は末端長さではない。
【0022】
「遠位」に関して、例えば、本明細書に開示されるプローブの「遠位部分」又は「遠位端部分」は、プローブが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、又は患者内にあることを意図したプローブの部分を含む。同様に、例えば、プローブの「遠位長さ(distal length)」は、プローブが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあることを意図したプローブの長さを含む。例えば、プローブの「遠位端」は、プローブが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあるように意図されたプローブの端部を含む。プローブの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、プローブの遠位端を含むことができるが、プローブの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、プローブの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、プローブの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、プローブの末端部分又は末端長さではない。
【0023】
「論理」という用語は、1つ以上の機能を実施するように構成されたハードウェア、ファームウェア又はソフトウェアを表し得る。ハードウェアとして、論理という用語は、データ処理及び/又はストレージ機能を有する回路構成を指すか、又は含み得る。そのような回路構成の例としては、ハードウェアプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、1つ以上のプロセッサコア、デジタル信号プロセッサ、プログラマブルゲートアレイ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路「ASIC」等)、半導体メモリ、又は組み合わせ要素を挙げることができるが、これらに限定又は制限されるものではない。
【0024】
加えて、又は代わりに、論理は、1つ以上のプロセス、1つ以上のインスタンス、アプリケーションプログラミングインタフェース(複数可)(Application Programming Interface:API)、サブルーチン(複数可)、関数(複数可)、アプレット(複数可)、サーブレット(複数可)、ルーチン(複数可)、ソースコード、オブジェクトコード、共用ライブラリ/ダイナミックリンクライブラリ(dll)、又は1つ以上の指示などのソフトウェアを指すか、又は含み得る。このソフトウェアは、任意のタイプの適当な非一時的記憶媒体、又は一時的記憶媒体(例えば、搬送波、赤外線信号、若しくはデジタル信号などの、電気的、光学的、音響的、又は他の形態の伝播信号)に格納され得る。非一時的ストレージ媒体の例としては、プログラマブル回路、揮発性メモリ(例えば任意のタイプのランダムアクセスメモリ「RAM」)などの非永続ストレージ、又は不揮発性メモリ(例えば、読み出し専用メモリ「ROM」、パワーバックドRAM(power-backed RAM)、フラッシュメモリ、相変化メモリ、等)、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、若しくはポータブルメモリデバイスなどの永続ストレージを挙げることができるが、これらに限定又は制限されるものではない。ファームウェアとして、論理は永続ストレージに格納され得る。
【0025】
目標体温管理(TTM)装置
ここで図1を参照すると、目標体温管理(TTM)システムのブロック図がいくつかの実施形態に従って示されている。図示したように、目標体温管理(TTM)システム100は、制御モジュール102と、冷却/加温システム104と、患者体温センサ(複数可)106とを備える。制御モジュール102は、複数の制御モジュールセンサ108によって、例えば、TTM療法中に制御モジュール102と冷却/加温システム104との間を循環する流体の流体温度及び/又は体積流量などの様々な測定値を得るように構成されていることが示されている。
【0026】
例えば、TTM療法は、冷却/加温システム104によって誘発される低体温療法(therapeutic hypothermia)を含み得る。冷却/加温システム104は、例えば、冷却された接触パッド、血管冷却、患者エマーション法(patient emersion approach)、及び/又は患者を迅速に冷却するための他のシステム、例えば、米国特許第6,669,715号、米国特許第6,827,728号、米国特許第6,375,674号、米国特許第6,645,232号、及び国際出願公開第WO2007/121480号に記載のシステムを含む、患者の選択的な冷却のためのいくつかの異なる様式のうちの任意のものを備え得る。上記特許文献の各々は、参照によりその全容が本出願に援用される。
【0027】
以下でさらに詳細に述べるように、制御モジュール102は、実行時及び処理時に、患者体温センサ106及び/又は制御モジュールセンサ108のうちの任意のものによって提供される信号を分析するように構成され得る論理及びプロセッサ(複数可)/回路構成を備える。例えば、患者体温センサ106は、制御モジュール102に患者Pの体温を示す信号を提供し得る。制御モジュール102は、次に、冷却/加温システム104の冷却/加温努力(effort)を変更するか、又は維持する。一実施形態において、冷却/加温努力は、制御モジュール102から冷却/加温システム104(例えば接触パッド又はカテーテル)を通って循環する流体の温度を指し得る。本明細書では、「パッド」という用語は、冷却/加温システム104を指すために用いられるが、これは冷却/加温システム104の他の可能な実施形態を限定することを意図したものではない。
【0028】
加えて、患者体温センサ106及び/又は制御モジュールセンサ108のいずれかによって提供された信号は、制御モジュール102のユーザインタフェース、又は制御モジュール102に通信可能に結合された他の出力装置(例えば1つ以上の発光ダイオード(LED))及び/若しくはネットワーク装置を通して、患者及び/又はTTM療法のメトリック又は他のステータス情報の視覚的出力及び/又は可聴出力を提供するために利用され得る。いくつかの実施形態において、以下で述べるように、出力は、TTM療法に応答した患者の発熱の大きさ(magnitude)、度合い、及び/又は段階の指標を提供する。
【0029】
認識され得るように、制御モジュール102のプロセッサ/回路構成及びユーザインタフェースは、これらの間で対話型動作を行うために設けられ得る。より詳細には、所与の患者冷却手順に関連して、ユーザは、ユーザインタフェースを利用して、例えば所与のユーザサイト(例えば特定の医師用のもの)で確立された所与のプロトコルに対応する、複数の治療/療法プロトコルのうちの所与の1つにアクセスし、選択することができる。例えば、ユーザは、ユーザ入力によって、正常体温法又は低体温法(冷却又は復温)のいずれかの療法を開始するように選択することができる。
【0030】
次に、選択された治療/療法について、制御モジュールセンサ108は、患者の冷却手順の提供に関係する変数を検出するか、得るか、又はそうでなければ測定するように構成され得る。例えば、以下で述べるように、TTMシステム100の実施形態は、制御モジュールセンサ108が、制御モジュール102とパッド104との間を循環する流体の体積流量、並びに制御モジュール102の出口点及び進入点での(すなわち制御モジュール102を退出してパッド104を通って循環する、及びパッド104を通って循環した後に制御モジュール102に戻る)循環流体の温度を測定するように構成されていることを含む。制御モジュール102のプロセッサ/回路構成は、論理が、プロセッサ/回路構成によって実行されると、患者Pと循環流体との間で伝達された熱を判定することができ、また患者Pによって発生した熱を判定することができるように、測定値を1つ以上の信号として受信し得る。次いで患者の発熱の判定の指標がユーザインタフェースを介して表示され得る。そのような表示の例は、図7A図7B及び図10に示す。
【0031】
いくつかの実施形態において、1つ以上の対話型表示スクリーンを介して受信されたユーザ入力は、TTMシステムによる患者の発熱の判定の間に利用され得る。例えば、TTMシステム100の一部として利用される1つ以上のパッドのサイズは、制御モジュール102の論理によって行われる判定に影響を与えるか、又は影響を及ぼす可能性がある。
【0032】
信号及びユーザ入力は、制御モジュール102の非一時的コンピュータ可読媒体に格納され得るか、又はそうでなければそのような非一時的コンピュータ可読媒体によってアクセス可能であり得る。例として、上記の分析及び判定は、所与のTTM療法に関連した、kcal/時での患者の発熱量、患者の発熱の継続時間、及び/又は時間スケールベースでの患者の発熱量(例えば、まとめて「トレンドデータ」)に関したアルゴリズム的分析を含み得る。そのような分析若しくは判定によって判定される進行中の治療情報及び/又は将来予想される治療情報は、ユーザインタフェースを通してユーザに提供され得る。そのようなさらなる情報は、トレンドデータ評価に部分的に基づいている。
【0033】
ここで図2を参照すると、図1のTTMシステムの制御モジュールのブロック図がいくつかの実施形態に従って示されている。制御モジュール102は、熱交換システム200、循環ポンプ202、流体リザーバ204、ユーザインタフェース206、1つ以上のプロセッサ(「プロセッサ」)208、並びにTTM論理212及び患者発熱論理214を格納した非一時的コンピュータ可読媒体210を少なくとも含む複数の構成要素を備えることが分かる。熱交換システム200は、パッド104を通って循環する流体の加温又は冷却の少なくとも一方に影響を与えるために構成される。循環ポンプ202は、熱交換システム200及びパッド104を通して流体を循環させてパッド104と患者Pとの間の伝熱に影響を与えるように構成される。
【0034】
制御モジュール102はまた、パッド104と流体が流れるように(fluidly)相互接続可能な流体リザーバ204を備え得る。流体リザーバ204は、使用中にパッド104を通して充填/循環させるためにリザーバから取り出すことができる流体を収容するために利用され得る。この態様に関連して、システムは、正常な加温/冷却動作中、流体が循環ポンプ202によってパッド204及び熱交換システム200を通って循環できるように定められ得る。制御モジュール102が米国特許第6,645,232号に記載されるように複数の流体リザーバを備える付加的な実施形態が想定されており、上記特許文献は、参照によりその全容が本出願に援用される。
【0035】
加えて、制御モジュール102は、出力情報を本明細書に記載される可聴形式及び視覚的形式のうちの少なくとも一方で提供するための出力装置としてユーザインタフェース206を備え得る。例として、これらの情報は、対話型表示装置(例えばタッチスクリーン)及び任意選択で物理的な入力ボタンを介して提供され得る。
【0036】
制御モジュール102は、いくつかの論理モジュールを含む非一時的コンピュータ可読媒体210を備えることができ、これらの論理モジュールの動作は本明細書で説明される。一般に、TTM論理212は、プロセッサ208によって実行されると、パッド104を通って循環する流体を加温又は冷却するように熱交換システム200に指示する動作の実施を引き起こす論理、アルゴリズム及び/又はデータを含む。熱交換システム200に対する指示を生成する際、TTM論理212は、患者Pのプロフィール情報(例えば、年齢、性別、体重、等)、パッド104の数及びサイズ(並びにパッド104が患者Pを覆う範囲)、患者体温センサ106及び制御センサ108から受信された信号、並びに任意のユーザ入力のうちの1つ以上を含むいくつかのパラメータを考慮し得る。
【0037】
同様に、発熱論理214は、プロセッサ208によって実行されると、TTMシステム100の1つ以上のセンサから受信した信号に基づいて患者による発熱量を判定するための分析、判定及び/又は計算の実施を引き起こす論理、アルゴリズム及び/又はデータを含む。患者による発熱量を判定する際、発熱論理214は、流体温度の測定値(Tin、Tout)、流体密度、流体の質量流量、流体の熱容量、利用されたパッド104のサイズ及び数、等のうちの1つ以上を含むいくつかのパラメータを考慮し得る。本明細書で述べられる論理の判定、評価又は分析のうちのいずれも、ユーザインタフェース206又はその他を介した(例えば、他の表示装置、スピーカ、又は制御モジュール102に通信可能に結合されたネットワーク装置、例えばモバイル機器などの、遠隔の表示装置又はスピーカへの警報、警告又は一般的な表示の通信を介した)、警報、警告又は一般的な表示によって、提供されるか、又は示されてもよいことに注目されたい。
【0038】
ここで図3を参照すると、本発明の例示的な使用についての線図がいくつかの実施形態に従って示されている。図3は、制御モジュール102が患者Pに近接して位置するTTMシステム100の1つの使用の例を提供する。患者Pは、手術台、病院のベッド、又はその他に配置され得る。加えて、制御モジュール102は、制御モジュール102の論理の実行を開始させ得るユーザ入力を提供する能力をユーザに与えるユーザインタフェース206を備えることが示されている。制御モジュール102は、流体送達ライン300を介してパッド104と流体連通することができ、有線接続302を介して患者体温センサ106に通信可能に結合され得る。制御モジュール102と患者体温センサとの通信可能な結合は無線接続を介してもよいことを理解されたい。
【0039】
ここで図4を参照すると、図2の制御モジュールの論理表現がいくつかの実施形態に従って示されている。制御モジュール102は、通信インタフェース400に結合された1つ以上のプロセッサ208を備え、通信インタフェース400は、臨床医のモバイル機器などの他のネットワーク装置及び/又は本開示で述べるセンサのうちの任意のものとの通信を可能にする。本開示の一実施形態によれば、通信インタフェース400は、有線コネクタ用の1つ以上のポートを含む物理インタフェースとして実現され得る。加えて、又は代わりに、通信インタフェース400は、他のネットワーク装置との無線通信をサポートするための1つ以上の無線ユニットで実現されてもよい。
【0040】
プロセッサ(複数可)208は、永続ストレージ402、例えば非一時的コンピュータ可読媒体にさらに結合される。本開示の一実施形態によれば、永続ストレージ402は、(i)TTM論理212、(ii)発熱論理214、(iii)ユーザインタフェース論理404、及び(iv)1つ以上の治療データベース406を備え得る。もちろん、ハードウェアとして実現された場合、これらの論理ユニットのうちの1つ以上は、互いに別々に実現されてもよい。上記で言及したように、TTM論理212は、プロセッサ208によって実行されると、パッド104を通って循環する流体を加温又は冷却するように熱交換システム200に指示する動作の実施を引き起こす論理、アルゴリズム及び/又はデータを含む。さらに、発熱論理214は、プロセッサ208によって実行されると、少なくとも複数の水温センサ216から受信された信号、及び任意選択で複数の体積流量センサ218から受信された信号を分析して、特定の期間にわたって患者Pによって発生した熱を判定する動作の実施を引き起こす論理、アルゴリズム及び/又はデータを含む。
【0041】
図5を参照すると、ネットワーク装置800のアプリケーション上に展開された図1のTTMシステムの態様を制御するように構成された論理の論理表現がいくつかの実施形態に従って示されている。ネットワーク装置500は、通信インタフェース504に結合された1つ以上のプロセッサ502を備え、通信インタフェース504は、制御モジュール102などの他のネットワーク装置との通信を可能にする。本開示の一実施形態によれば、通信インタフェース504は、有線コネクタ用の1つ以上のポートを含む物理インタフェースとして実現され得る。加えて、又は代わりに、通信インタフェース504は、他のネットワーク装置との無線通信をサポートするための1つ以上の無線ユニットで実現されてもよい。
【0042】
プロセッサ(複数可)502は、永続ストレージ506、例えば非一時的コンピュータ可読媒体にさらに結合される。本開示の一実施形態によれば、永続ストレージ506は、(i)TTM論理508、(ii)発熱論理510、(iii)ユーザインタフェース論理512、及び(iv)1つ以上の治療データベース514を備え得る。もちろん、ハードウェアとして実現された場合、これらの論理ユニットのうちの1つ以上は、互いに別々に実現されてもよい。TTM論理508及び発熱論理510の各々は、図2に関して上述した対応する論理のすべて又は一部を含み得る。例えば、TTM論理508及び発熱論理510の各々は、ネットワーク装置500上に格納された論理が、制御モジュール102の対応する論理の任意の手順を開始できるように、及び/又はそのような対応する論理によって受信された同一の信号を受信できるように、制御モジュール102に格納された対応する論理(例えば、TTM論理508はTTM論理212に対応する)と通信する論理を含み得る。他の実施形態において、ネットワーク装置500上に格納された論理は、単に制御モジュール102から信号(例えば、制御モジュール102の論理によって受信された信号を潜在的に反映するもの)を受信し、ユーザインタフェース論理512の処理の結果として、そのような情報の表示を可能にし得る。手順を開始するために、ネットワーク装置500の論理は、TTM療法の開始に関する予め設定された手順、プロトコル、又は他の情報を格納し得る1つ以上の治療データベース514に問い合わせを行い得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、ネットワーク装置500は、例えば、本明細書で述べるような特定の論理モジュール(例えばアプリケーション又は「アプリ」)がインストールされて処理を行う医療専門家のモバイル機器(電話、タブレット、等)であってもよい。これらの論理モジュール、例えばTTM論理508、発熱論理510及び/又はユーザインタフェース論理512は、無線信号を、患者体温センサ106及び/又は制御モジュールセンサ108を含むTTMシステム100のセンサから直接受信してもよいし、又は制御モジュール102を介して間接的に受信してもよい。次に、論理508~512は、制御モジュール102の対応する論理モジュールに関して以下で述べるように処理を実施し得る。次に、論理508~512は、TTM療法の変更又はユーザインタフェース206上におけるユーザインタフェース表示のレンダリングのために信号が制御モジュール102に送信されるようにする動作を実施し得る。加えて、ユーザインタフェース論理512は、ネットワーク装置500のユーザインタフェース上における説明図のレンダリングを引き起こし得る。したがって、論理508~512により、医療専門家が、患者Pの場所から離れた場所からTTM療法を監視すること、及び任意選択で制御することが可能となる。
【0044】
図6を参照すると、図1のTTMシステムの実施に関連して使用可能なパッドの選択に関する例示的なユーザインタフェース表示がいくつかの実施形態に従って示されている。上記で言及したように、TTM療法は、ユーザ入力によって、例えば正常体温法か、又は低体温法(冷却又は復温)かを選択され得る。提供すべき療法の選択の後、TTM論理212及びユーザインタフェース論理404などの制御モジュール102の論理が生成し、選択した療法中に使用されるパッドのサイズの選択に対応する付加的なユーザ入力を受信するように構成されたユーザインタフェース表示600のレンダリングを引き起こす。例示的な説明図として、ユーザインタフェース表示600は、ユーザがそこに含まれる1つ以上のサイズ選択肢を選択することができる3つのカテゴリ、成人用602(ラージ、ミディアム、スモール)、小児用604(エクストラスモール、スモールユニバーサル)、及び新生児用606(新生児用)を提供する。使用されるパッドのサイズの選択に対応するユーザ入力の受信は、TTM論理212及び/又は発熱論理214のうちの1つ以上によって実施される分析、判定及び/又は計算に影響を及ぼすであろう。別の選択肢、付加的な選択肢、又はより少数の選択肢が、ユーザインタフェース表示600によってユーザ選択のために提示されてもよいことを理解されたい。
【0045】
TTM療法に使用されるパッドのサイズの選択により、発熱論理214によって実施される計算又は分析が決定され得る。各論理モジュールによって利用される計算については、以下でさらに詳細に述べる。
【0046】
図7A図7Bを参照すると、図1のTTMシステムの実施に関連して使用可能な低体温法及び正常体温法のメトリックに関する例示的なユーザインタフェース表示がいくつかの実施形態に従って示されている。図示したように、パッド104を通る冷却及び/又は加温された流体の循環に関する情報を示すユーザ入力を受信して、所定の自動化された及び/又は他の方法で制御可能なプロトコルに従って患者の体温を調節するように構成された制御モジュール102によって、様々なユーザインタフェースが生成され提供され得る。加えて、様々なユーザインタフェースは、スケールによって表示される相対量などの患者Pによる発熱量に関する情報を表示する。いくつかの実施形態において、スケールは、時間の単位を示し、患者体温/流体温度の時間ベースのグラフに対応し得る一組の水平に配置されたアイコン(例えば矩形)とすることができる(図7Aの対話型スクリーン700及び図7Bの対話型スクリーン702の双方に示す)。加えて、又は代わりに、患者の発熱レベルのテキスト形式のインジケータ、又は現在若しくは直近の患者の発熱レベルを示す一連のブロック(例えば3つ)であって、各ブロックがレベルに対応している一連のブロック(双方とも図7Aに示す)などの他のインジケータが表示され得る。
【0047】
さらに、図10に示すように、図に示される例示的な説明図のうちのいずれも、伝熱量(W)の数値インジケータ又は変換されて患者の発熱量(例えばkcal/時)として示された数値インジケータを含んでもよい。様々なユーザインタフェースは、シングルユーザインタフェース又は個別ユーザインタフェースについて本開示で述べられる情報のうちの任意のものを表示するように構成され設計され得ることを理解されたい。
【0048】
図7Aに関して、対話型スクリーン700は、ユーザインタフェース206で提供され得、ユーザインタフェース206は、第1の領域において例えば時間の関数として温度関連データをグラフィックで示し、第2の領域において時間の関数として患者の発熱データをさらに示すグラフィック表示部さらに備える。第1の領域は、時間の関数としての目標患者体温レベルの第1のプロット、例えば、循環流体の温度の制御によって到達すべき所望の患者体温を反映する所定の患者体温調節速度プロットを提示し得る。さらに、時間の関数として測定された患者体温の第2のプロットが提示され得る。加えて、制御モジュール102によってパッド104を通って循環される流体の測定温度の第3のプロットが提供されてもよい。
【0049】
図7Bに関して、対話型スクリーン702は、様々な形式で表示された図7Aの情報の別の例を提供する。例えば、図7Bによって示されるように、対話型スクリーン702のある領域は、所定の大きさのスケール(magnitude scale)に関して患者の発熱データを視覚的に表示するために提供され得る。例として、患者の発熱の複数の所定のレベルが、時間の関数としてグラフィックで提示され得る。図示した例では、検出された患者の運動の4つのレベルをユーザに提供することができ、低レベル又は「0」レベルの運動に対しては視覚的指標が提供されず、運動のレベルの増大は、1つ、2つ、又は3つの積み重なった「ボックス」インジケータによってグラフィックで提示され得る。加えて、レベルを示すテキスト、例えば図7Bに見られるような「LOW」がグラフックに付随してもよい。
【0050】
認識され得るように、スクリーン700~702に表示された患者の発熱のレベルを視覚的に監視することによって、医療関係者は、対応措置をとる必要性及び/又は望ましさを評価することができる。例えば、そのような対応措置には、本明細書の上記で述べた加温手順及び/又は患者の冷却/加温プロトコルに対する修正(例えば、目標患者冷却速度の低減及び/又は患者を冷却するための目標体温の増大)の開始が含まれ得る。本明細書で述べたように、制御モジュール102の論理は、受信した信号を分析し、例えば、センサ106~108から受信した信号が制御モジュール102の論理によって処理されて患者の発熱レベルが所定の閾値よりも高いことを示す場合、そのような修正を自動的に開始し得る。図7A図7Bは、本開示で提供される情報をユーザインタフェース上に示すことができる複数の方法の例を提供していることを理解されたい。
【0051】
患者の発熱検出
本明細書の実施形態は、患者の発熱が生じているときを検出するために伝熱計算を利用する図1のTTMシステム100の患者発熱機構を開示する。患者からのエネルギー消費量が増大するにつれて、患者からTTMシステム100への(具体的には循環流体への)伝熱量も増大する。
【0052】
患者の発熱は、代謝亢進指数(hypermetabolic index:HMI)を用いて定量化され得る。HMIは、シバリング発現中のエネルギー消費量の安静時エネルギー消費量に対する比から計算される一連の値を含む。具体的には、エネルギー消費量についての代謝亢進指数(HMI)は、安静時エネルギー消費量(resting energy expenditure:REE)(kcal/日)の時間平均測定値を予想エネルギー消費量(kcal/日)で除算することによって導出される。REE、すなわち基礎代謝率(basal metabolic rate:BMR)は平均的なヒトでは約80W(68.6kcal/時)である。予想エネルギー消費量の値は、ハリス-ベネディクトの式から導出することができ、これは患者重症度について調整され得る。加えて、当該技術分野で知られているように、ベッドサイドシバリング評価スケール(Bedside Shiver Assessment Scale:BSAS)により、TTM療法中の患者のエネルギー消費量は0~3のスケールで定量化される。BSAS値はHMI値と相関し得る。
【0053】
上記で述べたように、従来、患者は医療専門家によって視覚的に監視され得る。しかしながら、ある程度の(certain)HMIレベル、例えば0~3の変域のうちの1.5~2.5と関連付けられる震え、そして事実上患者の発熱は、多くの場合、TTM療法を受けている患者において気付かれないままとなる。したがって、様々なレベルのHMIの検出を可能にするシステム、方法及び装置を提供することは、従来のシステムに対してユーザに有利であり、これにより、様々なHMIレベル及びBSASレベルの患者の発熱が検出され、患者の発熱を示す表示が生成される。そのようなシステム、方法及び装置により、ユーザが必要によりTTM療法を調整することが可能となる。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態によれば、発熱論理214は、患者に対するTTM療法の提供中に信号を受信し得る。例えば、発熱論理214は、制御モジュール102及びパッド104を通る流体の流量、並びに、例えば(i)制御モジュール102を退出し、送達ラインに進入してパッド104を通って循環する流体の温度測定値(Tout)、及び(ii)パッド104を通って循環した後に送達ラインを介して制御モジュール102に戻る流体の温度測定値(Tin)を受信し得る。
【0055】
受信した信号に基づいて、発熱論理214は、信号の分析を実施して患者の発熱を判定する。いくつかの実施形態において、この判定は、発熱量の下記計算の利用を含む。
【0056】
【数1】
【0057】
ここで、Q=伝熱量であり、m=流体の質量流量であり、C=流体の熱容量であり、ΔT=Tin-Toutである。いくつかの実施形態では、4.18kcal/kgKの一定の熱容量が用いられる。加えて、循環流体の体積流量は、体積流量センサ218によって測定され、体積流量センサ218又は発熱論理214のいずれかによって、1kg/Lの一定の密度を用いて質量流量に変換される。
【0058】
さらに、ユーザインタフェース論理404は、得られた伝熱の程度(measure)(W)をユーザインタフェース206上にグラフィックで示す表示部を生成し得る。いくつかの場合には、数値が表示されてもよい。しかしながら、他の場合には、伝熱量の範囲(spectrum)を示すゲージのグラフィック表現が表示されてもよく、この場合、「針」又は線が上記範囲を横切ることで得られた伝熱の程度を示す。いくつかの実施形態において、この範囲は0~500Wの変域(range)を有する。さらに、表示は得られた伝熱の程度に基づいて色分けされてもよい。例えば、得られた伝熱の程度が閾値未満である場合にはゲージは第1の色(例えば青色)で表示されてもよく、得られた伝熱の程度が閾値より高い場合には第2の色(例えばオレンジ色)で表示されてもよい。複数の閾値が利用されてもよく、ゲージは、達した又は超過した閾値ごとに異なって表示されることを理解されたい。
【0059】
他の実施形態では、式1は、kcal/時の単位での伝熱量を得るために調整されて下記式となる。
【0060】
【数2】
【0061】
発熱の判定の後に、値は、例えば図4の発熱データストア408に格納され得る。式2が利用される実施形態において、発熱論理214は、計算した
【0062】
【数3】
【0063】
に基づいて、発生した患者の熱のレベル又は閾値を判定し得る。例示的なレベル又は閾値は、ベースライン:0~100kcal/時、低発熱:100~200kcal/時、及び高発熱:>200kcal/時とすることができる。上記で挙げた閾値は、TTM療法の開始前、又は場合によってはTTM療法の提供中に、調整可能であってもよいことを理解されたい。さらに、例えばkcal/時の代わりに、別の測定スケールが用いられてもよく、例えば、kcal/日、kcal/週が用いられてもよい。発熱レベルの判定の後に、ユーザインタフェース論理404は、判定した発熱レベルをグラフィックで示す表示部を生成し得る。加えて、ユーザインタフェース論理404は、所定の期間にわたる患者の発熱レベルのグラフィック表現を生成し得る。そのようなグラフィック表現の例は、図7A図7Bに示されている。
【0064】
上記で述べ、図6に示したように、制御モジュール102のユーザインタフェース206は、TTM療法において使用されるパッド104のサイズの選択に対応するユーザ入力を受信し得る。いくつかの実施形態において、上記で述べた式1~式2は、デフォルトとして(例えば、パッドサイズ選択を示すユーザ入力が受信されない場合)、及び/又はユーザ入力が成人用サイズのパッドの選択に対応する(例えば、ユーザ入力が図6の成人用602の選択に対応するボタンを作動させる)場合に用いられ得る。
【0065】
小児用604又は新生児用606のいずれか(例えば平均的なサイズの成人を冷却するために必要とされるよりも小さなパッドサイズ)の選択に対応するユーザ入力が受信された場合には、式1~式2の適用から代わるものを用いて患者の発熱を判定することができる。具体的には、第1のサイズより小さなパッドサイズが使用される場合、1つ以上の所定のルールセットが適用され得る。いくつかの実施形態において、所定のルールセットは、図2の非一時的コンピュータ可読媒体210に格納され得る。
【0066】
例えば、患者の発熱の判定は、現在のTTM療法の提供中に記録された以前の患者体温に基づく患者の体温トレンドデータに基づいて行うことができ、この判定は1つ以上の所定のルールセットに従って行われる。例えば、いくつかの実施形態において、下記を用いて患者の発熱レベルを判定することができる。(i)ベースライン、患者の体温トレンドにかかわらず、患者体温が目標体温未満であるか、又は目標体温より0.1℃未満だけ高い場合、(ii)低発熱、患者体温が目標体温よりも0.1℃以上高く、患者の体温トレンドが0~0.25℃/時の割合で増大している場合、及び(iii)高発熱、患者体温が目標体温よりも0.1℃以上高く、患者の体温トレンドが0.25℃/時を超える割合で増大している場合。
【0067】
待機時間及び上記で提供される患者の発熱のレベルのグラフィック表現(「インジケータ」)に関する議論は、パッドサイズにかかわらず、患者の発熱に基づく判定に関して等しく当てはまる。加えて、パッドサイズ(よって使用される式又は判定方法)にかかわらず、患者体温が下降傾向にあるか、又は目標体温未満である場合、インジケータは、患者の発熱レベルがベースラインにあると示し得る(又は表示されない場合もある)。
【0068】
いくつかの実施形態において、患者の発熱は、上記で述べた式の1つ以上を使用して、5分間移動平均で判定されるであろう。いくつかの付加的なパラメータは、上記で述べたグラフィック表現の表示に影響を与えるか、又は該表示を変更し得る。例えば、いくつかの実施形態において、患者の発熱に関連するグラフィック表現は、TTM療法が停止又は休止されている場合には表示されないであろう。TTM療法が停止又は休止され、再開されるとき、場合により、発熱論理214は、一定の待機期間の後に、例えば15分後に、続きの患者の発熱の判定に戻るであろう。この待機期間は、例えば流量を安定させるなど、TTMシステム100を安定させ、TTMシステム100を通して流されている停滞水温度からのアーチファクトを排除するのに役立ち得る。例えば、15分間は5分間移動平均を含み、この場合、5分間移動平均は目標体温を変更した後の10分間の使用後に始まる。いくつかの実施形態において、患者の発熱のレベルのグラフィック表現は、待機期間中、灰色に表示され得る。患者の発熱のレベルのグラフィック表現は「インジケータ」と称され得る。
【0069】
目標体温がTTM療法中に(例えばユーザ入力によって)変更される場合があるため、発熱論理214はこれを考慮し得る。いくつかの実施形態において、発熱論理214は、一定の待機期間の後に、例えば15分後に、引き続きの患者の発熱の判定に戻るであろう。例えば、15分間は5分間移動平均を含み、この場合、5分間移動平均は目標体温を変更した後の10分間の使用後に始まる。いくつかの実施形態において、インジケータは、待機期間中、灰色に表示され得る。いくつかの実施形態において、目標体温の変更に関して上記で述べた待機期間は、TTM療法の患者の復温期中には適用されない場合がある。
【0070】
さらに、ユーザインタフェース論理404は、発熱論理214と関連して、患者体温が(例えば5分間にわたって)下降傾向にあるか、又は目標体温未満であるとき、インジケータに患者の発熱がベースラインにあるという指標を表示させ得る。
【0071】
ここで図8を参照すると、TTM療法中に図1のTTMシステムで患者の発熱検出を実施する例示的方法を示すフローチャートがいくつかの実施形態に従って示されている。図8に示した各ブロックは、TTMシステム100を使用してTTM療法を提供する方法800で実施される動作を表す。ここで、方法800は、ユーザ入力の受信に応答してTTM療法を開始することによって始まる(ブロック802)。例えば、TTM療法は、患者の冷却又は低体温状態からの患者の復温を対象とし得る。TTM療法の開始の後に、TTMシステム100の制御モジュール102は、センサ108からデータ(信号)を(例えば、周期的又は非周期的な間隔などで)継続的に受信する(ブロック804)。いくつかの実施形態において、受信したデータは、センサ108によって得られた流体温度測定値及び体積流量測定値に対応する。
【0072】
センサデータの受信に応答して、TTMシステム100の論理は、TTMシステム100を通って(具体的にはパッド104を通って)循環する流体と患者との間の伝熱(例えば患者の発熱)のレベルの判定をもたらす1つ以上の分析、判定及び/又は計算を実施する(ブロック808)。患者の発熱のレベルの判定の後に、TTMシステム100の論理は、患者の発熱のレベルを視覚的に示すように構成されたユーザインタフェース表示を生成し、そのレンダリングを引き起こす(ブロック810)。
【0073】
方法800は、上記の伝熱量(W)又は患者の発熱量(例えばkcal/時)を制御モジュール102の論理にフィードバックとして、例えば電気的データ信号として、提供することをさらに含み得る。TTM論理212などの論理は、流体温度の自動制御において伝熱量又は患者の発熱量を利用し得る。例えば、TTM論理212は、プロセッサ208によって実行されると、パッド104を通って循環する流体を加温又は冷却するように熱交換システム200に指示する動作の実施を引き起こす論理、アルゴリズム及び/又はデータを含む。したがって、そのようなアルゴリズムは、伝熱量又は患者の発熱量を熱交換システム200に対する指示に影響を与える入力として受信し得る(例えば、患者の発熱が一定の閾値より高く検出された場合、指示は、患者の発熱量を低下させるために、患者の身体の冷却を遅くする計算量だけ流体温度を増大させることであってもよい)。代わりに、又は加えて、伝熱量又は患者の発熱量が、ユーザインタフェース論理404に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、ユーザインタフェース論理404は、本明細書で述べたような1つ以上の説明図の提供に加えて、患者の発熱のレベルのユーザへの警報、警告又は他の通知を提供するようにトリガされる。例えば、伝熱量又は患者の発熱量が所定の閾値より高い場合、ユーザインタフェース206上に描画される視覚的表示ボックスを伴う音声警報が生成されてもよい。他の例としては、1人以上のユーザ(例えばTTM療法を監督する医療専門家)の電子機器への電子的警報(テキスト、電子メール、自動通話、等)の自動送信を挙げることができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、制御モジュール102の論理は、比例・積分・微分(proportional-integral-derivative:PID)制御器を指し得る。PID制御器の動作は、測定された水温のうちの1つ以上をフィードバック信号として含み、これは目標体温と比較され、PIDアルゴリズムに供給される。PIDアルゴリズムは、患者を目標体温にさせる際の時間的要因を考慮に入れて、測定された温度信号間の変化差分(change delta)に比例する水温(Tout)に対する任意の必要な調整を判定する。比例・積分・微分制御は、ユニットが水温の変化を自動的に補償することによって、水温(Tout)の厳密で安定した制御を提供するのを助ける。いくつかの実施形態において、PIDアルゴリズムはまた、患者の発熱量(式1~式2のいずれかに関して上記で述べたもの)が与えられてもよい。
【0075】
図9を参照すると、TTM療法中に図1のTTMシステムで患者の発熱検出を実施する詳細な例示的方法を示すフローチャートがいくつかの実施形態に従って示されている。図9に示した各ブロックは、TTMシステム100によって患者の発熱検出を行う方法900で実施される動作を表す。ここで、方法900は、例えばユーザ入力の受信に応答して、TTM療法を開始することによって始まる。上記で述べたように、TTM療法は、患者の冷却又は低体温状態からの患者の復温を対象とし得る。TTM療法の開始の後に、TTMシステム100のセンサは、TTM療法に関係する様々な測定値を継続的に得る(ブロック902)。TTM療法がTTMシステム100によって提供されているとき、発熱論理214は、センサによって得られた測定値を処理し、患者の発熱のレベルを判定するように作動される。しかしながら、いくつかの実施形態において、患者の発熱が判定される手法(例えば、利用される1つ以上の分析、判定及び/又は計算)は、本療法を提供するために利用されたパッド104のサイズに依存する。したがって、そのような実施形態では、発熱論理214は、利用されたパッドサイズに関して判定を行う(ブロック904)。いくつかの実施形態において、この判定は、パッドサイズの選択に対応するユーザ入力の分析であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、流体送達ラインを介してパッド104を制御モジュール102に結合することで、パッドサイズに関して指標が制御モジュール102に自動的に提供されてもよい(例えば、パッド104が結合されていることを示す電子信号は、製品識別子とともに制御モジュール102に基づくことができ、この製品識別子は、製品識別子に対応するパッドサイズを調べるために、制御モジュール102によって使用され得る)。
【0076】
パッドサイズが第1のサイズ(例えば成人用サイズ)に対応する場合、TTMシステム100の論理は、患者から循環流体に伝達された熱を計算する(ブロック906)。続いて、TTMシステム100の論理は、計算された患者の発熱に対するレベル(例えばkcal/時の値など)を1つ以上の所定の閾値に割り当てる(ブロック908)。ここで、各閾値は患者の発熱の異なるレベルに対応する。第1のサイズのパッドが使用される場合に実施される例示的な計算は、式1~式2に関して上記で述べられている。
【0077】
パッドサイズが第2のサイズ(例えば小児用サイズ又は新生児用サイズ)に対応する場合、TTMシステム100の論理は、患者の現在体温(任意選択)及び患者の体温トレンドデータを分析して患者の発熱のレベルを判定する(ブロック910)。小児用サイズ又は新生児用サイズのパッドが使用される場合に実施される例示的な判定及び分析は、上記で述べられている。図9のブロック910は、TTMシステムの論理が、患者の現在体温及び患者の体温トレンドデータの双方を分析して患者の発熱のレベルを判定することを示しているが、患者の現在体温の利用は(とりわけ新生児患者用のサイズのパッドでは)任意選択である。そのような場合には、患者の発熱のレベルは判定されない可能性があるが、その代りに、患者の体温トレンドが患者の発熱のレベルの代わりに表示され得る(したがって、患者の体温トレンドを視覚的に示すように構成されたユーザインタフェース表示を生成し、そのレンダリングを引き起こすようにブロック912を修正する)。
【0078】
ブロック908~910のいずれかの後に、TTMシステムの論理は、患者の発熱のレベルを視覚的に示すように構成されたユーザインタフェース表示を生成し、そのレンダリングを引き起こす(ブロック912)。
【0079】
図10を参照すると、図1のTTMシステムの実施に関連して使用可能な患者の発熱に関する例示的なユーザインタフェース表示がいくつかの実施形態に従って示されている。ユーザインタフェース表示1000(例えば対話型スクリーン)は、ユーザインタフェース206を通して提供することができ、温度関連データをグラフィックで示す表示部を備える。ユーザインタフェース表示1000は、(i)提供されているTTM療法の種類及び目標体温の指標(例えば、「冷却:34.5℃まで」)、(ii)現在の患者体温の指標(例えば「患者:36.5℃」)、(iii)現在の流体温度の指標(例えば「水:19.0℃」)、及び(iv)患者の発熱レベルの指標(例えば、初めの三分の一に陰影を有した陰影の付いたスケールを含むグラフィック表示、及び患者の発熱レベルが「ベースライン」又は最低レベルであることを示すテキストの「ベースライン」)を含むデータを示す。図10に提供される説明図は、単にこのようなデータを示す一実施態様であり、本開示はこのようなものによって限定されることを意図しないことを理解されたい。
【0080】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、特定の実施形態が若干詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。付加的な適応及び/又は変更は当業者には明らかであり、より広い態様において、これらの適応及び/又は変更は同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示された特定の実施形態から発展させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
【国際調査報告】