(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】スメルトスパウト清掃アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F23J 1/02 20060101AFI20230621BHJP
F23J 1/08 20060101ALI20230621BHJP
F23G 7/04 20060101ALI20230621BHJP
F23J 1/00 20060101ALI20230621BHJP
F22B 37/56 20060101ALI20230621BHJP
D21C 11/10 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
F23J1/02 Z
F23J1/08
F23G7/04 601E
F23J1/00 B
F22B37/56 Z
D21C11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572749
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 US2021034695
(87)【国際公開番号】W WO2021243112
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509106500
【氏名又は名称】ザ・バブコック・アンド・ウイルコックス・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Babcock&Wilcox Company
【住所又は居所原語表記】1200 E. Market Street, Suite 650, Akron, Ohio 44305 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミーケル・エリクソン
(72)【発明者】
【氏名】シモン・エフ・ユセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・クレイ
【テーマコード(参考)】
3K161
4L055
【Fターム(参考)】
3K161AA05
3K161AA06
3K161AA29
3K161CA01
3K161CA05
3K161DB32
3K161DB34
3K161EA35
3K161HA37
3K161LA20
4L055BC05
(57)【要約】
スメルトスパウトを清掃するためのアセンブリは、清掃ヘッド、清掃ヘッドに接続された駆動ロッド、及び駆動ロッドを選択的に伸長又は収縮させるべく接続された空気圧式又は他の駆動源を含む。駆動ロッドは、枢動結合により清掃ヘッドに接続され得る。清掃ヘッドは、二叉に分岐され得る。清掃ヘッドは、化学還元炉からのスメルトがスパウトに流入するスパウトの開口に係合して清掃するように構成された先端エッジを含み得る。アセンブリは、更に、枢動点を含み得、駆動源が選択的に駆動ロッドを伸長させるに応じて、清掃ヘッドと駆動ロッドの伸長部分から生じる枢動点回りのトルクが清掃ヘッドを下方に回転させてスメルトスパウトに係合させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スメルトスパウトを清掃するためのアセンブリであって、
清掃ヘッド;
前記清掃ヘッドに接続された駆動ロッド;及び
前記駆動ロッドを選択的に伸長又は収縮させるべく接続された駆動源を備える、アセンブリ。
【請求項2】
前記駆動ロッドは、枢動結合により前記清掃ヘッドに接続される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
枢動点を更に備え、
前記駆動源が前記駆動ロッドを選択的に伸長させるに応じて、前記清掃ヘッド及び前記駆動ロッドの伸長部分により生じる前記枢動点回りのトルクが前記清掃ヘッドを下方に回転させてスメルトスパウトに係合させる、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記清掃ヘッドが二叉に分岐されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記清掃ヘッドは、化学還元炉からのスメルトが前記スパウトに流入するスパウトの開口に係合して清掃するように構成された先端エッジを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記清掃ヘッドの前記先端エッジが二叉に分岐されている、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記駆動源が空気圧式駆動部を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記清掃ヘッドが長さを有し、前記長さが湾曲したプロファイルを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
スメルトスパウトアセンブリであって、
スメルトスパウト;及び
前記スメルトスパウトを清掃するべく設けられた請求項1に記載のアセンブリを備える、スメルトスパウトアセンブリ。
【請求項10】
スメルトスパウトアセンブリであって、
スメルトスパウト;及び
前記スメルトスパウトを清掃するべく前記スメルトスパウト又は前記スメルトスパウトのハウジングに接続して設けられた請求項1に記載のアセンブリを備える、スメルトスパウトアセンブリ。
【請求項11】
スメルトスパウトアセンブリであって、
スメルトスパウト;及び
前記スメルトスパウトを清掃するべく設けられた請求項1に記載のアセンブリにして、当該アセンブリが多関節アーム上に実装され、これにより当該アセンブリが前記スメルトスパウト外に離れるように揺動可能である、請求項1に記載のアセンブリを備える、スメルトスパウトアセンブリ。
【請求項12】
スメルトスパウトの清掃方法であって、当該方法は、
清掃ヘッドが枢動可能に取り付けられた駆動ロッドを伸長させること;
前記伸長に応じて、第2枢動点回りに前記清掃ヘッドが枢動させられ、前記清掃ヘッドが前記スメルトスパウト上に降下し、次に前記スパウトに沿って前記清掃ヘッドが動かされて前記スパウトを清掃することを含む、方法。
【請求項13】
前記伸長に応じて更に、スパウトの開口内に少なくとも部分的に前記清掃ヘッドを動かして前記スパウトの開口を清掃する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
駆動アームを収縮させること;及び
前記収縮に応じて、前記清掃ヘッドを前記スパウト沿いに引き戻し、次に、前記清掃ヘッドを第2枢動点回りに枢動させて前記スメルトスパウトから離れるようにレスト位置まで前記清掃ヘッドを上昇させること、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
スメルトスパウトを清掃するためのアセンブリであって、当該アセンブリは、
駆動ロッド;
清掃ヘッドに枢動可能に取り付けられた清掃ヘッド;
前記駆動ロッドを選択的に伸長又は収縮させるように接続された駆動源;及び
前記駆動ロッドの伸長駆動に応答して前記清掃ヘッドを選択的に降下させるべく、及び前記駆動ロッドの収縮駆動に応答して前記清掃ヘッドを選択的に上昇させるべく前記清掃ヘッドが回転する第2枢動点を備える、アセンブリ。
【請求項16】
前記清掃ヘッドが二叉に分岐されている、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記清掃ヘッドは、スパウトの開口内に少なくとも部分的に伸長するように構成された先端エッジを含む、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記駆動ロッドに平行に設けられ、前記駆動ロッドにリンクにより取り付けられた安定化ロッドにして、前記安定化ロッドが前記駆動ロッドと一緒に伸長又は収縮する安定化ロッド;及び前記安定化ロッドが通過するカラーにして、前記駆動源に固定されたカラーを含む伸長したロック機構を更に備える、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記駆動源が空気圧式駆動部を含む、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項20】
スメルトスパウトアセンブリであって、
スメルトスパウト;及び
前記スメルトスパウトを清掃するべく設けられた請求項15に記載のアセンブリを備える、スメルトスパウトアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収ボイラー、クラフトウッドパルプ化処理、及び関連分野に関する。
【0002】
本出願は、2020年5月28日に出願されたタイトル「スメルトスパウト清掃アセンブリ及びプロセス」の米国仮出願No.63/031,172の利益を主張する。2020年5月28日に出願されたタイトル「スメルトスパウト清掃アセンブリ及びプロセス」の米国仮出願No.63/031,172が、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
木材を木材パルプに変換することは、典型的には、クラフトプロセスを用いて行われる。木材チップは、水、水酸化ナトリウム、及び硫化ナトリウムを含む混合液で調理される。この混合液は、一般的には、白酒と呼ばれ、セルロースファイバー(木材パルプ)を、ファイバーを一緒に保持するリグニンから分離することを手助けする。続いて、分離したセルロースファイバーが取り除かれ、典型的には、黒酒と呼ばれる廃棄物が残される。
【0004】
黒酒から調理薬品を回収及び再利用することは、製紙プロセスに関連するコストを制御するために望ましい。回収プロセスの最中では、黒酒が、約65~80パーセントの固形分を含む溶液に濃縮される。濃縮液は、時折、回収ボイラーとも呼ばれる化学還元炉の内容積に噴霧される。化学還元炉では、黒酒の有機物は、蒸発、ガス化、熱分解、酸化、還元といった様々なプロセスによって燃焼し、使用済み調理薬品の溶融スメルトに黒酒を還元する。溶融スメルトは、ボイラー出口ポートを介して化学還元炉から流出し、スメルトスパウト(smelt spout)沿いに回収タンクに流入する。
【0005】
ボイラー出口ポート及びスメルトスパウトは、炉内の安全なスメルトレベル及び炉の効率を維持する所望の速度で溶融スメルトを炉の内容積から排出するように設計される。典型的には、溶融スメルトは、およそ摂氏1000℃の温度でボイラーから排出され、周囲の空気に接すると、スメルト流の末端が十分に冷えて硬化する。このように硬化すると、出口開口部及び/又はスメルトスパウトにおいて溶融スメルトの上部にデポジット(付着物)及び/又は硬化したクラスト(外皮)が生じ得る。硬化したスメルトは好ましくない。溶融スメルトの流れを遮断し、従って、出口ポート及びスメルトスパウトの効率が低下し、炉内のスメルトレベルが望まない程度まで高くなることに帰結し得る。更には、スメルト流の低下によってスメルトスパウト内に溶融スメルトが長く滞在することになり、スメルトが周囲温度に晒される時間が長くなり、硬化したデポジットの追加形成の可能性が高まる。
【0006】
炉内の高いスメルトレベルは望ましくなく、なぜなら運用上の懸念及び/又は困難に帰結し、さもなければ運用上の懸念及び/又は困難を生じさせるためである。例えば、高いスメルトレベルは、回収可能な化合物質の量の減少、炉のボイラー管から放出される処理蒸気の減少、一酸化炭素及び二酸化硫黄といった有害ガスの放出の増加といった非効率及び予測不可能な炉運行を生じさせ得る。更には、硬化した妨害物及び/又は抑制された流れによって、溶融スメルトがスパウトから飛散することを生じさせ、望まない運行状況及び/又は局所的な損傷を生じさせ得る。極端な閉塞状態では、スメルトは、危険なレベルにまで炉内で増大し、腐食、火災、運行の低下、ボイラー故障、及び/又はスメルトの溢出に帰結する。
【0007】
一般的に、硬化したデポジットは、出口ポート及びスパウトから規則的な間隔にて手動で除去される。典型的には、「棒作業(rodding)」と呼ばれる工程において、作業者は、スパウト及び/又は出口ポートから硬化したデポジットを削り取るツールが遠位端に取り付けられた長い棒を持つ。手動の棒作業は、非効率又は不適切な清掃の影響を受けやすい肉体的に辛い仕事である。スメルトスパウトは、典型的には、スパウトの周囲の冷却筒の循環水によって冷却される。不適切な棒操作は、冷却筒を破裂させるリスクを有し、爆発又は他の望まない状況に帰結し得る。
【0008】
本明細書に幾つかの改善が開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
非限定の実施例として本明細書に開示の幾つかの説明用の実施形態では、スメルトスパウトを清掃するためのアセンブリが開示される。アセンブリは、清掃ヘッド、清掃ヘッドに接続された駆動ロッド、及び駆動ロッドを選択的に伸長又は収縮させるべく接続された駆動源を含む。幾つかの実施形態においては、駆動源が空気圧式駆動部を含む。幾つかの実施形態においては、駆動ロッドが枢動結合により清掃ヘッドに接続される。幾つかの実施形態においては、清掃ヘッドが長さを有し、長さが湾曲したプロファイルを含む。幾つかの実施形態においては、清掃ヘッドが二叉に分岐されている。幾つかの実施形態においては、清掃ヘッドは、化学還元炉からのスメルトがスパウトに流入するスパウトの開口に係合して清掃するように構成された先端エッジを含む。幾つかの実施形態においては、アセンブリが枢動点を更に含み、駆動源が駆動ロッドを選択的に伸長させるに応じて、清掃ヘッド及び駆動ロッドの伸長部分により生じる枢動点回りのトルクが清掃ヘッドを下方に回転させてスメルトスパウトに係合させる。
【0010】
非限定の実施例として本明細書に開示の幾つかの説明用の実施形態では、スメルトスパウトアセンブリは、スメルトスパウト、及びスメルトスパウトを清掃するべく設けられた直上段落に記載のアセンブリを含む。幾つかの実施形態においては、その配置は、スメルトスパウトを清掃するためのスメルトスパウトとの又はスメルトスパウトのハウジングとの接続によるものである。幾つかの実施形態においては、アセンブリが多関節アーム上に実装され、これにより当該アセンブリがスメルトスパウト外に離れるように揺動可能である。
【0011】
非限定の実施例として本明細書に開示の幾つかの説明用の実施形態では、スメルトスパウトの清掃方法が開示される。この方法では、清掃ヘッドが枢動可能に取り付けられた駆動ロッドが伸長させられる。この伸長に応じて、第2枢動点回りに清掃ヘッドが枢動させられ、清掃ヘッドがスメルトスパウト上に降下し、次にスパウトに沿って清掃ヘッドが動かされてスパウトを清掃する。オプションとして、方法は、更に、その伸長に応じて更に、スパウトの開口内に少なくとも部分的に清掃ヘッドを動かしてスパウトの開口を清掃することを含む。幾つかの実施形態においては、方法は、更に、駆動アームを収縮させることを含む。この収縮に応じて、清掃ヘッドがスパウトに沿って引き戻され、次に、清掃ヘッドが第2枢動点回りに枢動してスメルトスパウトから離れるようにレスト位置まで清掃ヘッドを上昇させる。
【0012】
非限定の実施例として本明細書に開示の幾つかの説明用の実施形態では,スメルトスパウトを清掃するためのアセンブリが開示される。アセンブリは、駆動ロッド;清掃ヘッドに枢動可能に取り付けられた清掃ヘッド;駆動ロッドを選択的に伸長又は収縮させるように接続された駆動源;及び駆動ロッドの伸長駆動に応答して清掃ヘッドを選択的に降下させるべく、及び駆動ロッドの収縮駆動に応答して清掃ヘッドを選択的に上昇させるべく清掃ヘッドが回転する第2枢動点を含む。幾つかの実施形態においては、駆動源が空気圧式駆動部を含む。幾つかの実施形態においては、清掃ヘッドが二叉に分岐されている。幾つかの実施形態においては、清掃ヘッドは、スパウトの開口内に少なくとも部分的に伸長するように構成された先端エッジを含む。幾つかの実施形態においては、アセンブリは、駆動ロッドに平行に設けられ、駆動ロッドにリンクにより取り付けられた安定化ロッドにして、駆動ロッドと一緒に伸長又は収縮する安定化ロッド;及び安定化ロッドが通過するカラー(環部)にして、駆動源に固定されたカラーを含む伸長したロック機構を更に含む。
【0013】
非限定の実施例として本明細書に開示の幾つかの説明用の実施形態では、スメルトスパウトアセンブリは、スメルトスパウトと、スメルトスパウトを清掃するべく設けられた直上段落に記載のアセンブリを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、スメルトスパウトを清掃するためのスパウト清掃アセンブリと共に、仮想で示されたスメルトスパウトの斜視図を模式的に示す。
【0015】
【
図2】
図2は、
図1のスパウト清掃アセンブリの清掃/切断ヘッド及び接続駆動ロッドの一部の隔離斜視図を模式的に示す。
【0016】
【
図3】
図3は、スパウトの受け口に挿入された
図1及び
図2の分岐清掃ヘッドの分岐先端エッジを模式的に示す。
【0017】
【
図4】
図4は、
図1のスメルトスパウト及びスパウト清掃アセンブリの側面図を模式的に示し、スパウト清掃アセンブリの清掃/切断ヘッドがスメルトスパウトに係合している。
【0018】
【
図5】
図5は、清掃/切断ヘッドがスメルトスパウトから離れるように持ち上げられたレスト位置において
図1乃至4のスパウト清掃アセンブリの上面図を模式的に示す。
【
図6】
図6は、清掃/切断ヘッドがスメルトスパウトから離れるように持ち上げられたレスト位置において
図1乃至4のスパウト清掃アセンブリの側面図を模式的に示す。
【0019】
【
図7】
図7は、手動清掃又は他のメンテナンスのためにスメルトスパウトへのアクセスを提供するメンテナンス位置まで動かされた
図1乃至4のスパウト清掃アセンブリの側面図を模式的に示す。
【0020】
【
図8】
図8は、
図1乃至4のスパウト清掃アセンブリを用いて適切に実施されるスメルトスパウトの清掃のための方法を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、スメルトスパウト2を清掃するためのスパウト清掃アセンブリ8と共に、スメルトスパウト2が仮想にて示される。オプションのスパウトフード又はハウジング4も仮想にて示される。スメルトスパウト2は、例えば、例としてクラフトプロセスで用いられ得るような化学還元炉のスメルトスパウト2を含み得る。スパウト清掃アセンブリ8は、スパウト2を駆け上がる
図1に示した切断ヘッド10を含む。切断ヘッド10は、その末端位置で
図1にも示される(ヘッド図示10e)。切断ヘッドのレスト位置11も
図1に示される。スパウト清掃アセンブリ8は、ボルト及び/又は他の連結具又は同種のものを用いてスパウトフード又はハウジング4に固定される。
【0022】
図1への参照を継続しつつ
図2を更に参照すると、清掃/切断ヘッド10と接続駆動ロッド12の一部の隔離図を示し、清掃/切断ヘッド10が駆動ロッド12に取り付けられている。第1の清掃位置において、駆動ロッド12が収縮される。第2の清掃位置において、駆動ロッド12が伸長される。第1の清掃位置において、清掃ヘッドが第1の高さにある。第2の清掃位置において、清掃ヘッドが第2の高さにある。(
図1の清掃ヘッド10eの図示に対応する)完全に伸長した位置において、清掃ヘッド10eは、スパウト2の遠位端を越えて伸長し得る。駆動ロッド12は、切断ヘッドが上昇してスパウト上で静止したレスト位置にも在り得る(例えば、
図1に示した切断ヘッドのレスト位置11)。
【0023】
第1及び第2清掃位置の間の動きは、空気圧式駆動部14(他の想定の実施形態では、液圧式(水圧式又は油圧式)駆動源、電気モーター駆動源など)といった駆動源によって制御される。駆動源14により付与される力によって清掃ヘッド10がスパウト2に係合する。駆動源14によって追加の力が付与されて駆動ロッド12が更に外側に伸長するに応じて、清掃ヘッド10が、スパウト2の長さを横切り、第2清掃位置に到達する。幾つかのシステムでは、清掃ヘッド10と駆動ロッド12の間の接続が枢動結合16である(図示の全伸長ヘッド10eに関する枢動接続16eとして
図1にラベル付けされてもいる)。枢動接続16は、清掃ヘッド10がスパウト2の長さを横断する時、清掃ヘッド10が、枢動点16回りに回転し、スパウト2のプロファイル(輪郭)に整合することを可能にする。幾つかのシステムでは、1つ又は複数のスプリング(不図示)が枢動点16に取り付けられ、所望の回転抵抗が得られる。幾つかの実施形態では、回転抵抗によって冷えたスメルトを取り除く清掃ヘッド10の能力が高められる。
【0024】
レスト位置(即ち、
図1に示した位置11)から他の位置への移動が重力又は重量で補助され得る。ある実施形態では、駆動ロッド12及び清掃ヘッド10が、枢動点18を有する揺動アームとして機能し、清掃ヘッド10がレスト位置から第1清掃位置に降下する。揺動アームの枢動点18も1以上のスプリング又は回転制動具(不図示)を有し、所望の回転抵抗を獲得し得る。
【0025】
図1及び
図2の参照を継続しつつ更に
図3を参照すると、炉出口、スパウト受け口、及びスパウトのバリエーションは、典型的には、各スメルトスパウト2のために詳細な形状が設計された清掃ヘッドにより包含され得る。好ましくは、清掃ヘッド10は、スパウト2の幾何形状に適合する。図示の清掃ヘッド10では、清掃ヘッド10の先端エッジ20が二叉に分岐されている。
図2は、(
図2だけでラベル付けされた)ヘッド部10
1及びヘッド部10
2を有する分岐清掃ヘッド10を完全に図示する。
図3は、スパウト受け口6に挿入された分岐清掃ヘッド10の分岐した先端エッジ20を示す。より端的には、
図3において、各清掃ヘッド部10
1及び10
2の先端エッジ部20
1と先端エッジ部20
2が
図3(のみ)においてラベル付けされる。清掃ヘッド10(より端的には、その先端エッジ部20)は、スパウトの開口6よりも僅かに小さく設計される。この態様において、(スパウトの開口6の清掃を含む)清掃は、分岐したヘッド10がスパウトの受け口6に係合して内側に曲がることを要求せずに生じることができる。この設計は、更には、スパウトの開口6に清掃ヘッド10が嵌まり込む(スタック)するリスクを低減する。清掃ヘッド10の先端エッジ部20
1,20
2は、好適には、ブレード及び/又はフィレット(細片)を含むように輪郭付けられ、所望の方向に取り除かれた硬化したスメルトを清掃して動かすことを補助する。特には、(例えば、全伸長位置10eとして
図1に示した)全伸長位置への駆動ロッド12の伸長は、
図3に見られるように清掃ヘッド10の先端エッジ20
1,20
2をスパウトの開口6内に幾分だけ押動するように作動し、スパウト清掃プロセスの一部としてスパウトの開口6が効果的に清掃される。
【0026】
図2を特に参照すると、清掃ヘッド10は、その長さに沿って湾曲したプロファイルも含み得る。そのような実施形態においては、そのプロファイルの後方エッジ22がスパウト・チャンネル(スパウト流路)に係合する。この係合によって枢動点16回りの清掃ヘッドの所望の回転が促進され、所望の回転で先端エッジ20がスパウトの受け口6(
図3参照)に進入し、さもなければ清掃ヘッドを逆に回転させる硬化したスメルトとの係合で清掃ヘッド10が更に安定化される。後方エッジ22のプロファイルは、また、内側の湾曲(曲率(curvature))を含み得、スメルトスパウト内に存在する硬化したスメルトを取外し及び/又は除去することを補助し、さもなければスメルトスパウトの中心に押動される。
【0027】
図1乃至3への参照を継続しつつ更に
図4を参照すると、操作方法において、清掃ヘッド10は、第1位置と第2位置の間で伸長される。この伸長過程で、清掃ヘッド10は、第1枢動点16回りに回転し得、第1枢動点16は、清掃ヘッド10と枢動ロッド12(例えば、
図2参照)の間の接続点である。
図4から最もよく分かるように、回転は、第2枢動点18回りにも生じ得、第2枢動点は、駆動ロッド12/駆動源14アセンブリの長さに沿う枢動点18である。第2枢動点は、第2枢動点18までの清掃ヘッド10及び枢動アーム12(及び、オプションとして、駆動源14の部分)を含むアセンブリが揺動アームとして機能することを可能にする。特には、駆動ロッド12が駆動源14外に伸長するに応じて、清掃ヘッド10及び駆動ロッド12の伸長部分を含むアセンブリにより枢動点18に付与されるトルクが増加する。このトルクは、清掃ヘッド10を下方に回転させようとし、清掃ヘッド10が下方に動かされる。
【0028】
操作は、様々なシーケンスで成され得る。操作シーケンスは、第1位置から第2位置への移動、第2位置から第1位置へ戻る移動、第1位置と第2位置の間の中間位置への又はそこからの移動、及び組み合わせ、及び/又は、1つ又は複数の移動を連続して含む移動のシーケンスを含むことができる。
【0029】
図5,6及び7を参照すると、操作は、1つ又は複数のメンテナンスモード及び手動清掃モードも含み得る。
図5,6及び7は、(
図5及び6の各上面図及び側面図に図示された)操作位置から(
図7の側面図に図示された)メンテナンス位置への推移を示す。清掃アセンブリ8は、多関節アーム24によりスパウト2(より端的には、図示の実施形態においては、オプションのスパウトハウジング4)に実装される。
図6に最もよく見られるように、メンテナンス位置への移動の前、駆動ロッド12が空気圧式駆動部14内に完全に収縮し、枢動点18回りの清掃ヘッド10を含むアセンブリのトルクを最小値まで低減し、枢動点18の反対側で駆動源14(の一部)により提供される逆トルクを生じさせ、清掃ヘッド10をそのレスト位置(即ち、
図1に示されたそのレスト位置11まで)へ上方に持ち上げる。特に、これにより、スメルトスパウト2から離れるように清掃ヘッド10が持ち上げられる。
図6に示したレスト位置は、スメルトスパウト2が使用中であり、清掃が実施されていない時の通常の位置であり、スメルトスパウト2を空の状態とし、化学還元炉(不図示)からのスメルトがスパウトの開口6(
図3参照)を通過することができ、スメルトスパウト2を下ってスメルト回収タンク(不図示)にまで流れる。
【0030】
図5及び6に示したレスト操作位置から
図7に示したメンテナンス位置に推移するため、清掃アセンブリ8は、スパウトハウジング又はフード4からロック解除され、及び/又はラッチ解除され、清掃アセンブリ8が、多関節支持アーム24を用いてスパウト2/ハウジングアセンブリ4の外方及び離れるように揺動する。この
図7に示したメンテナンス位置において、メンテナンス活動の期間中、スパウトの手動清掃及び/又は他のメンテナンスのために、清掃アセンブリ8がこれらの構成要素2,4,6へのアクセスを妨害することなく、スパウト2、スパウトの開口6、及び/又は、スパウトハウジング4にメンテナンスが行われる。多関節アーム24は、スライド支持アームといった別の変位可能な支持機構で代替可能であるものと理解される。
【0031】
図4に戻って参照すると、既に述べたように、駆動ロッド12の伸長によって清掃ヘッド10及び駆動ロッド12の伸長部分を含むアセンブリにより生じた第2枢動点18回りのトルクが増加し、このトルクは、清掃ヘッド10が下方に回転してスメルトスパウト2に接触することを生じさせるのに十分になる。オプションとして、
図4に最も良く見られるように、図示のように下方突片といったストッパー26が、(清掃ヘッド10及び駆動ロッド12の伸長部分を含む)揺動アームの下方回転を制限する。代替として、ストッパー26が省略され、スメルトスパウト2との清掃ヘッド10の接触により停止力が提供され得る。
図4に最も良く見られる追加の特徴は、図示の設計において、安定化ロッド28を備える伸長したロック機構が、駆動ロッド12と平行に配置され、図示のストッパー26が、安定化ロッド28に取り付けられることである。安定化ロッド28は、駆動ロッド12に対して(
図4及び6においてラベル付けされた)リンク30により取り付けられ、安定化ロッド28が駆動ロッド12と一緒に伸長又は収縮する。伸長したロック機構は、カラー32を更に備え、これを安定化ロッド28が通過する。カラー32は、空気圧式駆動部14に固定され、従って、伸長したロック機構は、駆動ロッドの軸回りの駆動ロッド12の回転を阻止する。
【0032】
想定される変形例においては、1つ又は複数のカメラ(不図示)がスパウト清掃アセンブリ8に固定される。カメラは、スパウト2の妨害されないカメラ視野及び清掃活動を提供する態様で位置付けられ、従って、遠隔監視を許容する。
【0033】
別の想定される変形例においては、アセンブリを収縮させることが、清掃サイクルの完了に際して、清掃ヘッド10を
図1に示したレスト位置11(例えば、
図6に示したように)に動かすことを補助する。アセンブリの収縮は、駆動ロッド12/駆動アセンブリ14の収縮時に作動する。
【0034】
図8を参照すると、
図1乃至4のスパウト清掃アセンブリを活用して好適に実施されるスメルトスパウト2を清掃するための方法が説明される。操作S1において、清掃ヘッド10は、最初、
図1に示され、
図6に示されたそのレスト位置11にある。操作S1において、例えば、空気圧式駆動部14の場合には圧縮空気で、又は液圧駆動源の場合には液圧で、又は電気モーター駆動源の場合には電気的に、又は他の方法で、駆動源14が操作されて駆動ロッド12の伸長を開始する。操作S3では、清掃ヘッドが下方に動いてスメルトスパウト2に係合する。これは、第1移動M1として
図1で模式的に図示されている。例えば、この移動M1は、駆動ロッド12の伸長に応じたロッド延長操作S2に応答して生じ、従って、枢動点18に関するトルクが増加し、清掃ヘッド10と駆動ロッド12の伸長部分のアセンブリを回転させてヘッド10を下方に動かす。操作S3は、下方に動いている清掃ヘッド10が、
図4に模式的に示すように、スメルトスパウト2に係合する時に終了する。
【0035】
操作S4において、駆動源14は、駆動ロッド12を伸長させることを継続するように操作され続け、これに応答して、操作S5では、清掃ヘッド10がスメルトスパウト2に沿って動かされてスパウト2を清掃する。これは、第2の移動M2として
図1において模式的に示されている。例えば、操作S5は、例えば、硬化したスメルトを切断し、硬化したスメルトを擦り減らすこと等によって、スメルトスパウト2から硬化したスメルトを除去し得る。
【0036】
操作S6において、駆動源14は、駆動ロッド12の伸長を継続するように操作され続け、これに応答して、操作S7では、清掃ヘッド10(より端的には、その先端エッジ20)が、
図3に図示のようにスパウトの開口6に係合して清掃するように動かされる。これは、
図1において第3の移動M3として模式的に示されている。
【0037】
操作S8では、駆動源14は、駆動ロッド12を収縮するように逆方向に作動する。これに応答して、操作S9では、清掃ヘッド10が、スメルトスパウトに沿って引き戻され、移動M3及びM2を引き返し、清掃ヘッド10を上方へレスト位置11に戻し、移動M1を引き返す。例えば、移動M1を引き返す清掃ヘッド10の後者の上方移動は、駆動ロッド12が収縮する時のロッド収縮操作S8に応答して生じ、従って、枢動点18に関するトルクを低減し、清掃ヘッド10及び駆動ロッド12の伸長部分のアセンブリが回転してヘッド10をそのレスト位置11まで上方に動かす。
【0038】
移動M3及びM2を引き返すスメルトスパウト2沿いの清掃ヘッド10の引き戻しは、スメルトスパウト2の清掃に貢献可能であるものと理解される。加えて、操作S4,S5,S6,S7,S8,S9を繰り返してスパウト2上での清掃ヘッド10の往復移動の2パス以上を生じさせて清掃効率を高めることが考えられる。
【0039】
好適には、
図8の方法が、コンピューター制御下で実行される。例えば、マイクロプロセッサーを有する電子制御ボックスは、駆動源14を制御するようにプログラムされて
図8の方法を実行する。一つのアプローチでは、制御ボックスは、手動の「スタート」ボタンを有し、操作者が手動で清掃を開始することを可能にする。制御ボックスは、タイマー(例えば、マイクロプロセッサーのクロック)を含み得、
図8の方法の様々な操作が所望の時間インターバル上で実行されることを確実にする。別のアプローチでは、制御ボックスは、事前設定された時間インターバルで
図8の清掃方法を実行するようにプログラムされ、これは、化学還元炉の制御操作に合わされ、炉の操作に干渉しない清掃を確実にする。例えば、一つの想定される事前設定では、
図8の方法は、3つの清掃サイクルで10分毎に稼働する。即ち、操作S4,S5,S6,S7,S8,S9の3つの繰り返しで、スパウト2上での清掃ヘッド10の3回の往復運動のパスを生成する。これは、単に、非限定の説明の例である。
【0040】
上述の説明が本発明の好適な実施形態を構成するが、本発明は、添付請求項の適正な範囲及び公正な意味から逸脱することなく、修正、変更、及び変化の影響を受けるものと理解される。
【国際調査報告】