IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧 ▶ ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシテイ オブ イリノイの特許一覧

特表2023-527401歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液
<>
  • 特表-歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液 図1
  • 特表-歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液 図2
  • 特表-歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液 図3
  • 特表-歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液 図4
  • 特表-歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液 図5
  • 特表-歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液 図6
  • 特表-歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液 図7
  • 特表-歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】歯科および外科処置中のエアロゾルの発生を低減または排除する洗浄溶液
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/02 20060101AFI20230621BHJP
   A61C 17/20 20060101ALI20230621BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
A61C17/02 B
A61C17/20
C11D7/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572754
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 US2021034358
(87)【国際公開番号】W WO2021242930
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/030,340
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】500436215
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシテイ オブ イリノイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シェートリヒ,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ボック,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーリン,アレグザンダー,エル.
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,リンドン
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003DA02
4H003DB01
4H003EB28
4H003EB34
4H003EB38
4H003EB41
4H003EB44
(57)【要約】
歯科/外科的洗浄工程においてエアロゾル化を低減/排除するための組成物が記載されている。エアロゾル化を低減/排除するために、1以上の組成物を実質的に同様の濃度で提供することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科器具に水性組成物を供給するためのシステムであって、
ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチンサルファイトおよびそれらの組合せから選択される1以上のポリマーを含むリザーバと、
前記リザーバと流体連通する供給ラインとを有し、
前記供給ラインは、前記リザーバの前記1以上のポリマーを最終濃度の水性組成物として歯科器具に供給するように構成されており、
前記1以上のポリマーの総濃度は、前記水性組成物の全重量に対して0.01~5重量%である、
システム。
【請求項2】
前記リザーバが、歯科ユニットウオーターラインに接続されるように構成された入口を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リザーバの前記1以上のポリマーが第1の濃度で水性組成物中にあり、
前記供給ラインは、前記水性組成物を歯科ユニットウオーターラインに供給するために前記歯科ユニットウオーターラインと接続するように構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記歯科ユニットウオーターライン内の水の流れを測定するように構成されたフローセンサをさらに備えている、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記供給ラインは、前記歯科ユニットウオーターライン内の測定された水の流れに基づいて前記リザーバからの前記水性組成物の流量を変化させるように構成されたアクチュエータをさらに備えている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記供給ラインと流体連通する超音波スケーラーをさらに備えており、
前記超音波スケーラーには、前記最終濃度の水性組成物の流れが供給される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
医療または歯科の洗浄処置中のエアロゾル飛沫の形成を低減または排除する方法であって、
1以上のポリマーを含む水性組成物で個体の治療領域を洗浄する工程を含み、
前記水性組成物は、10-3~10poiseの剪断粘度と、10~10poiseの伸長粘度を示す、
方法。
【請求項8】
前記水性組成物の前記伸長粘度が前記水性組成物の剪断粘度より10倍~10000倍である、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1以上のポリマーの総濃度は、前記水性組成物の全重量に対して0.01~5重量%である、
請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記1以上のポリマーは、天然ポリマー、合成ポリマーまたはそれらの組合せから選択される、
請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記1以上のポリマーは、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチンサルファイトおよびそれらの組合せから選択される、
請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記水性組成物は、1以上の添加剤をさらに含む、
請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記1以上の添加剤は、過酸化水素、抗酸化剤または抗酸化相乗剤、キレート剤、香料、着色料、抗菌剤、防腐剤、バイオフィルム除去剤、粒子、歯石または歯垢染色染料、湿潤剤/洗剤、およびそれらの組合せから選択される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
歯科器具を使用して歯科処置を行う工程をさらに有する、
請求項7~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記歯科処置は、超音波、回転式または動力学的洗浄、研磨、空洞の準備、裂け目の延長、根管の準備、修復作業中またはインプラント中の咬合の調整、または、空気/水スプレー洗浄および/または粒子研磨を必要とする工程である、
請求項14に記載の方法
【請求項16】
前記歯科器具は、超音波スケーラーである、
請求項14に記載の方法
【請求項17】
前記歯科器具は、回転器具である、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
水と、1以上のポリマーを含む組成物であって、
前記1以上のポリマーの総濃度が、前記組成物の全重量に対して0.01~5重量%であり、
前記組成物は、10-3~10poiseの剪断粘度と、10~10poiseの伸長粘度を示す、
組成物。
【請求項19】
前記組成物の前記伸長粘度が前記組成物の前記剪断粘度より10倍~10000倍である、
請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記1以上のポリマーは、天然ポリマー、合成ポリマーおよびそれらの組合せから選択される、
請求項18または19に記載の組成物。
【請求項21】
前記1以上のポリマーは、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチンサルファイトおよびそれらの組合せから選択される、
請求項18~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記水性組成物は、1以上の添加剤をさらに含む、
請求項18~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記1以上の添加剤は、過酸化水素、抗酸化剤または抗酸化相乗剤、キレート剤、香料、着色料、抗菌剤、防腐剤、バイオフィルム除去剤、粒子、歯石または歯垢染色染料、湿潤剤/洗剤およびそれらの組合せから選択される、
請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
別々の容器に含まれるキットであって、
a)1以上のポリマーと;
b)a)と混合して前記1以上のポリマーを含む組成物を準備するのに十分な量の水性媒体とを備え、
前記組成物は10-3~10poiseの剪断粘度および10~10poiseの伸長粘度を示す、
キット。
【請求項25】
過酸化水素、抗酸化剤または抗酸化相乗剤、キレート剤、香料、着色料、抗菌剤、防腐剤、バイオフィルム除去剤、粒子、歯石または歯垢染色染料、湿潤剤/洗剤、およびそれらの組合せから選択される1以上の添加剤をさらに含む、
請求項24に記載のキット。
【請求項26】
前記1以上のポリマーは、天然ポリマー、合成ポリマーおよびそれらの組合せから選択され、
前記天然ポリマーは、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチンサルファイトおよびそれらの組合せから選択される、
請求項24または25に記載のキット。
【請求項27】
ホース、フィッティング、容器、前記組成物を含む容器を洗浄システムと接続するための物品およびそれらの組合せから選択される1以上の使い捨てアイテムをさらに有する、
請求項24~26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項28】
水と、1以上のポリマーとを有する組成物を備え、
前記ポリマーの総濃度は、500~990,000ppmであり、水で5~100倍に希釈した場合、前記組成物は、10-3~10poiseの剪断粘度および10~10poiseの伸長粘度を示す、
キット。
【請求項29】
過酸化水素、抗酸化剤または抗酸化相乗剤、キレート剤、香料、着色料、抗菌剤、防腐剤、バイオフィルム除去剤、粒子、歯石または歯垢染色染料、湿潤剤/洗剤、およびそれらの組合せから選択される1以上の添加剤をさらに含む、
請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記1以上のポリマーは、天然ポリマー、合成ポリマーおよびそれらの組合せから選択され、
前記天然ポリマーは、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチンサルファイトおよびそれらの組合せから選択される、
請求項28または29に記載のキット。
【請求項31】
ホース、フィッティング、容器、前記組成物を含む容器を洗浄システムと接続するための物品およびそれらの組合せから選択される1以上の使い捨てアイテムをさらに有する、
請求項28~30のいずれか1項に記載のキット。
【請求項32】
医療または歯科処置中のエアロゾル飛沫の形成を低減または排除するための1以上のポリマーの使用であって、
前記1以上のポリマーは、水性組成物の形で使用され、
前記水性組成物は、前記1以上のポリマーを含み、10-3~10poiseの剪断粘度および10~10poiseの伸長粘度を示す、
1または複数のポリマーの使用。
【請求項33】
前記組成物の前記伸長粘度が前記組成物の前記剪断粘度より10倍~10000倍である、
請求項32に記載のポリマーの使用。
【請求項34】
前記1以上のポリマーの濃度は、前記組成物の全重量に対して0.01~5重量%である、
請求項32または33に記載のポリマーの使用。
【請求項35】
1以上ポリマーは、使用前に希釈される濃縮物の形態で提供される、
請求項32~34のいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項36】
前記1以上のポリマーは、天然ポリマー、合成ポリマーおよびそれらの組合せから選択される、
請求項32~35のいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項37】
前記1以上のポリマーは、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチンサルファイトおよびそれらの組合せから選択される、
請求項32~36のいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項38】
前記水性組成物は、1以上の添加剤をさらに備えている、
請求項32~37のいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願への相互参照」
この出願は、2020年5月27日に出願された米国仮特許出願第63/030,340号に対する優先権を主張するものである。この出願の全ての内容は、参照に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
回転器具、レーザー器具、動力学的器具および超音波器具を伴う歯科的処置または外科的処置は、処置中にエアロゾル化する洗浄水を利用する。エアロゾル(10-4~10μm)は、呼吸器系ウイルス(例えば、SARS、SARS-CoV-2)を運ぶことで知られている。これらの工程において、発生したエアロゾルと飛沫は、非常に遠くまで運ばれることがある。現在の世界的なパンデミックのため、そして、将来、ウイルスまたは微生物が同様のベクトルで感染する可能性があるため、これら歯科的/外科的処置中の病気の伝染のリスクが注目を集めている。特に、特定の歯科的/外科的処置中に、処置での水の使用からエアロゾル化が生じる可能性がある。エアロゾル飛沫がウイルスやその他の微生物を運ぶおそれがあるため、感染管理に多大な時間と費用が必要となる可能性がある。そのため、特に、SARS-CoV-2などの伝染性微生物を保有する患者が関与する歯科的処置およびその他の外科的処置を、安全に実施するための戦略が必要である。
【0003】
さらに、歯科用回転器具、動力学的器具、超音波用器具の取り扱い中に、飛沫やエアロゾルが生成されると、オペレーターの作業領域の視認性を低下させるおそれがあり、特に拡大鏡を使用する場合に顕著である。飛沫やエアロゾルは、眼鏡、ゴーグル、顔面シールドを曇らせ、患者の体や衣類、並びに近くの作業面を汚染する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、治療領域が頻繁に水性組成物によって洗浄される歯科的または外科的処理中の洗浄に好ましい組成物およびシステムを提供する。さらに、その組成物を使用する方法を提供する。組成物、システムおよび方法は、ウイルスや細菌の感染等、微生物の感染の潜在的なリスクがある場合に、特に有用である。
【0005】
本開示の組成物は、1以上のポリマーを含んだ水性組成物、または、実質的に1以上のポリマーからなる水性組成物である。ポリマーは、天然ポリマーであっても、合成ポリマーであってもよい。ポリマーを含む水性組成物の使用がエアロゾル化を減少させることを実証するために、データは提供されている。
【0006】
一つの態様として、本開示は、治療領域を洗浄するシステムを提供する。例えば、システムは、1以上のポリマーを含む組成物、または、実質的に1以上のポリマーからなる水性組成物を供給するように構成された歯科ユニットに用いるためのウオーターラインを備えている。組成物は、歯科処置において通常使用される圧力下で歯科治療領域に放出される。様々な態様において、システムは、ポリマーを含む水性組成物を備えた歯科ユニットウオーターボトル(本明細書では、リザーバとも言う)と、歯科治療領域に組成物を送達するウオーターラインとを有する。システムは、例えば、歯科治療領域への組成物の流れまたは放出を制御する歯科ハンドピースなどの制御手段をさらに有していてもよい。
【0007】
組成物およびシステムは、治療領域の洗浄のための外科的/歯科的処置に使用することができる。例えば、組成物は、回転、超音波または動力学的撹拌での水の洗浄によりエアロゾルが発生する可能性がある場合に使用される。発生点でのエアロゾルの削減または排除は、ウイルスの空中/エアロゾル感染の防止となる。現在、COVID19のパンデミックのさなか、待機手術または歯科処置は、頻繁に延期されている。あるいは、手術室に常設が必要な、または、手術室にモバイル設置が必要な、異常で広範囲な保護手段が使用されており、外科的処置または歯科的処置の必要な費用と時間を増加させている。ここで開示する方法、組成物およびシステムを用いることにより、患者、医療従事者および傍観者へのエアロゾル疾患伝染のリスクを減少させ、歯科治療を正常化させることができる。さらに、歯科治療においてエアロゾルを減少させることは、オペレーターの視界を向上させ、より正確でタイムリーな治療を可能とする。エアロゾルと飛沫の形成を減少させることにより、歯科処置による空気中の残留物による露出した身体部分や衣服への汚染を防止できて患者にも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の内容および目的をより完全に理解するため、同封の図と合わせて以下に詳細に説明する。
【0009】
図1は、エアロゾル減少の効果について組成物を試験するためのセットアップの概略図を示す。
【0010】
図2は、所定の材料/組成物の存在下でのエアロゾル形成のイメージを示す。左図は、水の存在下でのイメージであり、全体にエアロゾル化されている。右図は、非常に希薄なPEO溶液の存在下でのイメージであり、大きな飛沫だけが形成され、細かいエアロゾルの形成はない。
【0011】
図3は、所定の材料/組成物の存在下でのエアロゾル形成のイメージを示す。PEO濃度を徐々に上げることによりエアロゾル形成を完全に抑制できた。左図は、実質的に抑制され、右図は、完全に抑制されている。
【0012】
図4は、超音波撹拌中に歯科用スケーラーの先端で形成されたエアロゾルと飛沫の移動距離を測定するために使用される実験セットアップを示す。左図は飛沫を採取するためのガラススライドであり、中央図は水を洗浄材料として使用した場合、エアロゾル形成の一連の記録画像のフレームであり、右図は実験セットアップの重要な要素の概略図である。
【0013】
図5は、染色されたFluorprotector Sでニス塗りしたジルコニアブロックモデルの洗浄効率を示す(ジルコニアの上部は洗浄していない)。水と0.1%のPEG600kDa溶液との比較。
【0014】
図6は、本開示のシステムの一実施形態であって、独立したリザーバを備えたシステムを示す。
【0015】
図7は、本開示のシステムの他の実施形態であって、歯科ユニットウオーターラインと直列するように構成されている。
【0016】
図8は、本開示のシステムのさらに他の実施形態であって、歯科ユニットウオーターラインに水性組成物を供給するように接続されるように構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
主張されている発明の特徴は、特定の実施形態および実施例として明細書に記載している。しかし、明細書に記載されている実施形態および実施例の利点および特徴の全てを有さない他の実施形態および他の実施例も、本開示の範囲内である。本開示の範囲から逸脱することなく、様々な構造的、論理的およびプロセスステップが挙げられる。
【0018】
本明細書で指定した全ての数値範囲は、上限と下限を含む。またそれに含まれる全ての狭い範囲も、本明細書に明示的に記載されているように含む。そして、特に別段の記載がない限り、全ての値は下限値の10分の1まで含む。
【0019】
本明細書の内容にあるように、本開示は、治療領域の洗浄のためのシステムを提供するものである。このシステムは、歯科/外科的洗浄の処置で生じるエアロゾル化した飛沫の数を減少または無くすことができる適切な組成物、すなわち、本明細書で提供される適切な濃度の水溶液およびその混合物(合成ポリマー)を送達する。このシステムは、歯科的/外科的洗浄工程の安全性を向上させる。エアロゾルの削減または排除は、ウイルスの空気感染またはエアロゾル感染を減少または防止できる。特定の理論に縛られるものではないが、歯科/外科的洗浄溶液の伸長粘度の増加は、歯科/外科的洗浄処置中のエアロゾル化した飛沫を削減または排除することに貢献すると考えられている。より詳しくは、エアロゾル化は、高分子材料(すなわち、ポリマー)を追加することにより洗浄媒体の伸長粘度(すなわち、液体からの飛沫形成するときの伸長応力への服従)を操作することによって測定または排除できる。
【0020】
歯科では、回転式、超音波式、動力学式、レーザーベースの器具を用いて、患者の定期的な治療を毎日行っている。これら全ての器具は、歯の表面を冷却するためおよび/または歯から堆積物を洗浄するため、水洗浄あるいは水/空気シリンジを用いる。水洗浄を提供する際、高い圧力差または可動部品の高速化によっておびただしい量のエアロゾル飛沫が連続的に発生される。これらのエアロゾルは、患者の口や歯科医師が作業している領域を超えて何フィートも広がる可能性がある。SARS-CoV-2ウイルスなどを含む複数のウイルスがアメリカおよび世界中に広がっている。いくつかの研究では、SARS-CoV-2ウイルスは、飛沫(可視的な飛沫)およびエアロゾル感染の両方で拡散することが紹介されている。歯科においてエアロゾルの生成は、ほとんどの歯科的/外科用の美容および洗浄処置で避けられない部分、ウイルスを他人に遠くまで拡散する可能性があり、ハイリスクな状況を作り出している。
【0021】
米国疾病管理予防センター(CDC)および労働安全衛生局(OSHA)は、SARS-CoV-2や他の呼吸器系ウイルスの拡散の可能性において、歯科処置が「最も高いリスク」であると考えている。ウイルスを減少または排除する方法はいくつかある。(1)歯科治療の中止または延期(公衆および個人の健康リスク)。(2)歯科治療の直前に患者をスクリーニングする(ただし、適切な検査はまだない)。(3)厳格なPPEの使用と併せて工学的管理により、エアロゾルを含むウイルスをブロックまたは除去する。本明細書に記載されているように、歯科で使用される回転力または超音波力に対する水の物理的反応を代えることにより、エアロゾル飛沫の生成およびエアロゾルが生成した点を超えて広がる可能性のある距離を抑制したり、完全に除去することができる。
【0022】
他の管理およびエンジニアリング方法と比較して、本明細書の組成物の利点を次のように挙げることができる。
(1)エアロゾル形成の直接緩和。
(2)手順に含めることを除いて、人の動作に依存しない顕著で完全なエアロゾルの除去。
(3)気流(HVAC)または部屋の建設を含む工学的制御と比較して低コスト。
(4)洗浄溶液を他の方法で使用される水と代えれる単純さ。
(5)患者間の滅菌を必要とする追加のハードウエアが不要。
(6)室温で容易に保存可能。
(7)ケアコミュニティへのアクセスが不十分なサポートを含む全てではないにしてもほとんどの臨床設定に広く適応。
(8)ローテク=トレーニング不必要。
(9)小規模な組織から大規模な組織まで拡張可能。
(10)フレーバー/カラーリング可能
(11)継続的な人の関与が不要。
【0023】
様々な実施形態において、この水ベースの洗浄溶液は、最低限、水と、定義された濃度または濃度範囲の生体適合性の高分子量ポリマーまたはレオロジー的に類似した他の化合物とを含む2部構成の溶液である。本明細書の原理のさらなる拡張は、外科用洗浄溶液(典型的には0.9%生理食塩水)中のエアロゾルの低減であり、水ベースの洗浄(例えば、整形外科手術または創傷デブリードマン)を使用して他の外科分野においてもエアロゾルの同じ低減を達成することである。この洗浄溶液は、水道システムに接続される通常の歯科医院の椅子で使用される。洗浄溶液は、エアロゾルの発生を減少または完全に排除する。これは、抗ウイルス/抗バクテリアではなく、ウイルス/バクテリアを殺すことを目的としたものでもない。したがって、臨床歯科では、労働者による自然なエアロゾル化(話す、咳、くしゃみ)を保護するためにPPEを使用する必要がある。
【0024】
本明細書の原理に従って、多くの実施形態を構築することができる。これらの特徴を紹介(図1参照)するため、また、本明細書の原理に従って結果を達成する本明細書に挙げられた他の例を紹介するために、いくつかの例示的な実施形態が提供される。
【0025】
一つの態様において、本開示は、医療、歯科または外科的処理に使用するためのエアロゾル化を減少する組成物を提供する(図2、3参照)。組成物は、実質的にポリマーおよび水からなり、または、ポリマーおよび水からなる。様々な実施形態において、組成物は有機溶剤を含まない。様々な実施形態において、組成物は、パーソナルケアまたはクリーニング製品の形態をとらない。様々な実施形態において、組成物中の水以外の唯一の成分はポリマーである。様々な実施形態において、組成物は、1以上の非機能性の添加剤または賦形剤をさらに含む。非機能性の添加剤または賦形剤は、組成物の剪断粘度および/または伸長粘度に影響を与えない(例えば、実質的に影響与えない)が、例えば、組成物にフレーバーを与える等の二次的効果を与える。
【0026】
組成物は、エアロゾル飛沫の形成を減少または排除する。ここで「エアロゾル飛沫の形成を減少」あるいはこの明細書で使用する類似の用語は、液体(例えば、水)を洗浄および/または機械的撹拌中(例えば、歯科処理において歯を水で洗浄している間)に生成されるエアロゾル飛沫の数を減少させることをいう。例えば、歯科洗浄処置中で生成される飛沫の数を減らすことができる。エアロゾル化の減少は、図2および図3に示すように、完全なエアロゾル形成の抑制(例えば、排除)を含む飛沫形成の減少をもたらすことができる。一実施形態において、大きさ(径)が5μmから100μm、5μmから75μm、5μmから50μm、5μmから25μmまたは5μmから10μmの飛沫が排除される、または、これらの大きさ飛沫の形成が低減される。エアロゾル飛沫は、組成物、水および/または唾液を含む。他の様々な例において、エアロゾル飛沫は、例えば、パーソナルクリーニング製品、歯磨き粉などまたはそれらの組合せ等の追加のクリーニング剤によって形成されない。
【0027】
様々なポリマーまたはその組み合わせを、本開示の組成物として用いることができる。ポリマーの例としては、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチンサルファイト等およびそれらの組合せに限定されるものではない。
【0028】
本開示の組成物を含む水性ポリマーは、粘弾性パラメータの好ましい組合せを有する。例えば、好ましい粘弾性とは、高い伸長粘度に比べて低い剪断粘度(水の粘度程度)、すなわち、伸長応力(急速に回転または振動する表面または圧力の存在下での飛沫またはエアロゾルの生成)を受けずに低い応力下で流動する液体媒体の能力(例えば、液体供給チューブの通過中など)を指す。一実施形態において、剪断粘度は低く、伸長粘度は高い。例えば、剪断粘度は、0.001-1000poiseであり、0.001poise毎の値とその範囲が含まれる(例えば、0.001-500、0.001-250、0.001-100、0.001-50、0.001-25、0.001-10、0.001-1、0.001-0.1、0.001-0.01、0.01-500、0.01-250、0.01-100、0.01-50、0.01-25、0.01-10、0.01-1、0.01-0.1、0.1-500、0.1-250、0.1-100、0.1-50、0.1-25、0.1-10、0.1-1、1-1000、1-500、1-250、1-100、1-50、1-25、1-10、10-1000、10-500、10-250、10-100、10-50、10-25、100-1000または100-500poise)。例えば、伸長粘度は、100-10poiseであり、全ての整数とその範囲が含まれる。ある実施形態において、伸長粘度は、剪断粘度より少なくとも1桁または少なくとも複数桁高くあるべきである。例えば、伸長粘度は、水性組成物の剪断粘度の10倍、100倍、1000倍または10,000倍あるいはそれ以上である。さらに他の実施形態において、組成物の剪断粘度は6mPas.より小さい。
【0029】
粘度は、当該技術分野で知られている様々な方法によって測定することができる。例えば、固有粘度は、ウベローデ粘度計および/またはジム-クローザーズ粘度計を使用して測定することができる。例えば、異なる濃度のポリマーの組成物は、ウベローデ粘度計で測定することができる。一定量の組成物の流れる時間を様々な濃度で測定した。
固有粘度は、還元粘度の2つのプロットの外挿後に取得され、ゼロ濃度の対数粘度である。
還元粘度:ηred=ηsp/C対C
対数粘度:ηinh=ln(ηrel)/C対C
ただし、Cはg/cm単位のポリマー濃度である。還元粘度は、次の式により計算できる。
ηred=ηsp/C=(ηrel―1)/C
ηrel=η/η=t/t
この式において、「η」は、溶媒の動的粘度であり、「t」はポリマー溶液の流れる時間であり、「t」は、測定時の温度における溶媒の流れる時間である。同じ手順をジム・クローザーズ粘度計でも使用できる。
【0030】
剪断粘度は、当該技術分野で知られている様々な方法によって測定することができる。例えば、剪断粘度はレオメーターによって測定できる。レオメーターは、例えばコーンプレート形状などの様々な形状を利用でき、そして、回転粘度計(例えば、クエット回転粘度計)を使用できる。剪断粘度は、ポリマーの様々な濃度で測定することができる。
【0031】
伸長粘度は、当該技術分野で知られている様々な方法によって測定することができる。例えば、伸長粘度は、表面張力の作用下でのサンプルの液状糸の自己薄化に基づく伸長レオメーターを使用して測定することができる。この装置では、レオロジー挙動を測定するために必要な液体は1摘だけである。典型的には、装置は、上部プレートと下部プレートからなる2枚のプレートを有し、その間にサンプルの1摘を配置させる。上部プレートの位置を固定するために磁力コイルが用いられ、それによりサンプルの液体糸が形成される。時間(t)に基づいた糸の半径(α)の減少は次の式で表される。
α=α-t/3θ
ここでαは、t=0のときの初期の糸の半径であり、θは緩和時間である。伸長粘度(μel)は、次の式で表される。
μel=(3θσ/2α)et/3θ
ここでσは、表面張力定数である。伸長粘度の決定は、年弾性緩和時間の決定でもある。
【0032】
ポリマーは、天然ポリマーおよび/または合成ポリマーであってよい。合成ポリマーの例としては、ポリエチレンオキシド(PEOまたはポリエチレングリコール(PEG)ともいう)、ポリビニルピロリドン(PVP)を含む。天然ポリマーの例としては、アルギン酸、キサンタンガム、ヒアルロン酸、コンドロイチンサルファイト等およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。追加の例としては、界面活性剤および界面活性剤から形成されたミセルが含まれる。
【0033】
ポリマーは、様々な分子量(Mwおよび/またはMn)を有する。例えば、ポリマーは、1kDaから10MDaまでの分子量(MwまたはMn)を有し、その間の1Da毎の値およびその間の範囲が含まれる。例えば、ポリエチレンオキシドは、1kDaから10MDaまでの分子量を有し、その間の1Da毎の値が含まれる。ポリエチレンオキシドは、600kDaまたは8MDaの分子量を有しても良い。ポリアクリル酸(PAA)は、450kDaの分子量を有してもよい。キサンタンガムは、1-7MDaの分子量を有してもよい。アルギン酸は、10-600kDaの分子量を有してもよい。ポリマーは直鎖ポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーは分枝ポリマーであってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、異なる分子量を有する同じポリマーの組合せが用いられる(例えば、600kDaのポリエチレンオキシドと8MDaのポリエチレンオキシドとを含み、それぞれが異なる濃度である組成物)。様々な例において、同じまたは近い分子量(Mwおよび/またはMn、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である)を有する異なるポリマーの組合せ、または、異なる分子量(Mwおよび/またはMn)を有する異なるポリマーの組合せが用いられる。ポリマーの分子量は、例えば、標準ポリスチレンとの比較による方法などの当該技術の公知の方法で測定される。
【0035】
ポリマーは、所定の範囲の分散度を有する。例えば、分散度(D)(Mw/Mnで表される)は、1.00から6.00であり、その間の0.01ごとの値およびその間の範囲が含まれる。様々な例において、分散度は、1以上である。様々な実施形態において、ポリマーは単分散または多分散である。分子量および分散度を測定する方法は、当該技術分野で公知である。例えば、ポリマーの分散度は、標準ポリスチレンとの比較または光散乱法によって測定できる。
【0036】
実施形態では、ポリマーは、歯科ユニットウォーターラインでの使用に適した溶液の濃度とすることができる。例えば、歯科処置領域と接触するときのポリマーの最終濃度は、0.01wt%(100ppm)から5wt%(50,000ppm)であり、その間のppmの全ての整数値およびその間の範囲が含まれる。例えば、濃度は、0.01-1wt%、0.01-2wt%、0.01-3wt%、0.01-4wt%、0.05-1wt%、0.05-2wt%、0.05-3wt%、0.51-4wt%、0.1-1wt%、0.1-2wt%、0.1-3wt%、0.1-4wt%、1-2wt%、1-3wt%または1-4wt%である。
【0037】
様々な例において、組成物は、分子量600kDa、濃度0.1wt%(1000ppm)のポリエチレンオキシド;分子量600kDa、濃度1wt%(10000ppm)のポリエチレンオキシド;分子量2MDa、濃度0.01wt%(100ppm)のポリエチレンオキシド;分子量2MDa、濃度0.05wt%(500ppm)のポリエチレンオキシド;分子量2MDa、濃度0.1wt%(1000ppm)のポリエチレンオキシド;分子量2MDa、濃度1wt%のポリエチレンオキシド;分子量8MDa、濃度0.01wt%(100ppm)のポリエチレンオキシド;分子量8MDa、濃度0.05%(500ppm)のポリエチレンオキシド;分子量8MDa、濃度1wt%(10000ppm)のポリエチレンオキシド;分子量8MDa、濃度1wt%(10000ppm)のポリエチレンオキシド;濃度0.1wt%(1000ppm)のキサンタンガム;濃度0.5wt%(5000ppm)のキサンタンガム;濃度1wt%(10000ppm)のキサンタンガム;濃度1wt%(10000ppm)のピロリドン;濃度5wt%(50000ppm)のピロリドン;または濃度2wt%(20000ppm)のアルギン酸(アルギン酸多糖類)を含む。
【0038】
ポリマーは、荷電されても、実質的に荷電されていなくてもよい。ポリマーは、カチオン性、アニオン性または両性イオンであってもよい。
【0039】
本開示の組成物に好ましいポリマーは、水性媒体(例えば、水または他の液体、例えば、エチレングリコール、を含む水性混合物)に対して好ましい溶解度を有し、その溶媒の沸点まで可溶するものである。ポリマーの溶解度は、周囲の温度に対して上昇することにより変化する可能性がある。エージェントの溶解度は、0.001wt%から25wt%である。水性媒体に添加した場合、ポリマーは、低い剪断粘度と高い伸長粘度を有する組成物を形成する。ポリマーの溶解度は、水に容易に混和できるようにする必要がある。
【0040】
組成物は、粘弾性特性を実質的に変化させない範囲で、様々な添加剤を有してもよい。添加剤の例としては、過酸化水素、抗酸化剤または抗酸化相乗剤、キレート剤、香料、着色剤、抗菌剤、防腐剤、バイオフィルム除去剤、粒子、歯石または歯垢(プラーク)染色染料、湿潤剤/洗剤等およびそれらの組合せが挙げられるが、これらには限定されない。
【0041】
様々な実施形態において、組成物は、1以上の安定化剤をさらに含む。安定化剤の非限定的な例としては、以下の表のものがある。
【0042】
表1:非限定的な安定化剤のリスト
【表1】
【0043】
本開示の組成物の利点は、歯科処置などにおいて、その成分(例えば、PEOなど)はすぐに洗い流され、治療領域に残留しないため、後の工程に影響を与えないことが挙げられる。本開示の組成物によって引き起こされる有害な影響(例えば、接着剤の接着など)がないことは、その後に行われる歯科処置にとって極めて重要である。
【0044】
一つの態様において、本開示は、歯科処置中の歯科治療領域へ組成物を放出するときにエアロゾル粒子の生成が減少する(例えば、水のみと比較して)歯科ユニットシステムを提供する。この歯科ユニットシステムは、歯科ユニットボトルと、本明細書に記載されている水性ポリマー組成物を含む組成物を患者の歯科治療領域に供給するように構成されたウオーターラインとを備える。このシステムは、選択的に、歯科治療領域への組成物の放出を制御するハンドピースを備えていてもよい。このシステムは、既成のすぐに使用できるエアロゾル化低減組成物として使用するよう構成することができ、または、濃縮された組成物を含むリザーバから治療領域での使用時までの任意点において、濃縮エアロゾル化低減組成物を希釈するように構成することができる。これはタンク内の一般的に使用される水を本開示の組成物の実施形態で置き換えることによって、水タンクを有する歯科器具(例えば、可動式歯科用スケーリングユニット)に対して行うことができる。一方、非可動式の歯科器具(例えば、固定式の超音波スケーラー)は、歯科用椅子に組み込み、主給水源(歯科ユニットウオーターライン)に取り付けることができる。このような器具には、液体供給システムの生物付着を防止する消毒剤を連続的に導入するポートがあってもよい。このポートは、液体供給システムを通過してハンドピースに到達するまでの間に所望の濃度となるように希釈するように、正しい量の本開示の組成物の濃縮物をウオーターラインに供給するために使用することができる。
【0045】
例えば、剪断粘度およびスケーリングユニット(例えば、EMS Scaler PIEZON250)内での流速など、いくつかの機能に関連する組成物の特性は、特に、組成物の使用に関係する。例えば、ビルドイン液体リザーバを使用する超音波スケーラーに組み込まれた液体供給システムは、水のような粘度の液体で使用するように設計されている。スケーラーチップまたは他の関連部分に供給される液体の速度は、デバイスの機能に影響を与えずに、または、液体供給システムの変更を必要とせずに大幅に変更することはできない。迅速かつ容易な実装ができて有益であり、本開示の組成物は、ツールを変更することなく、当該ツールに使用することができる。
【0046】
一つの態様において、本開示は、歯科器具内(例えば、水注射器、空気/水注射器、超音波スケーラー等)におけるエアロゾル化が少ないシステムとして具現化される。システムは、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチンサルファイトおよびそれらの組合せから選択される1以上のポリマーを含むリザーバを備えている。供給ラインは、リザーバと流体連通している。サリーラインは、リザーバの1以上のポリマーを最終濃度の水性組成物(すなわち、器具に送達される水性組成物)として歯科用分配器に供給するように構成されている。いくつかの実施形態では、最終濃度は、水性組成物の全重量に対して、1以上のポリマーの総濃度が0.01から5wt%である。システムの実施形態は、本明細書に開示される組成物のいずれかの最終濃度のために構成される。
【0047】
図6に示すように、歯科器具90に水性組成物を供給するためのシステム10は、リザーバ12を備えている。リザーバ12は、本明細書に記載のいずれかの実施形態による1以上のポリマーを含む。供給ライン14は、リザーバと流体連通している。図6に開示のシステム10において、リザーバはスタンドアロン(すなわち、独立)リザーバである。したがって、リザーバに含まれる1以上のポリマーは、最終濃度ですでに水性組成物の一部となっている。これにより、供給ライン14は、水性組成物を最終濃度(リザーバ内と同じ濃度)で歯科器具90に送達する。
【0048】
図7を参照するように、システム40は、既存の歯科ユニットに取り付ける(すなわち、改造する)ように構成されていてもよい。例えば、リザーバ42は、リザーバ42の入口が歯科ユニットウオーターライン95と直列接続するように歯科ユニットと列をなして固定されるように構成されてもよい。この場合、歯科ユニットウオーターラインからの水の流れは、リザーバに入り、その中に含まれる1以上のポリマーと混合される。リザーバ内に含まれる1以上のポリマーは、供給ライン44を介してリザーバ42から出てくる水性組成物が好ましい最終濃度となるように濃縮されていてもよい(例えば、濃縮液体の形態、固体の形態)。
【0049】
図8に開示された実施形態では、システム80は、歯科ユニットウオーターライン95に取り付けられるように構成されている。そのような実施形態において、供給ライン84は、リザーバに含まれている材料をウオーターラインに導入できるようにリザーバ82をウーターライン95に流体の流通可能に固定する。
【0050】
いくつかの実施形態では、システム80は、歯科ユニットウオーターラインの水の流れを測定する流量センサ86をさらに備えている。システム80は、測定した水の流れ(例えば、流量センサ86によって測定される)に基づいてリザーバ82からの水性組成物の流れを変えるアクチュエータ88をさらに備えている。例えば、アクチュエータは、リザーバからの組成物の流れを制御する可変バルブであってもよい。他の例としては、アクチュエータは、ウオーターライン内で測定された水の流れに基づいて、リザーバの組成物を所望の速度で分配することができる可変速ポンプであってもよい。アクチュエータは、例えば、所定の速度で流れを制御するサイズのオレフィスのように、組成物の流れを受動的に制御してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、供給ラインを通る液体(例えば、水)の流れの測定値に基づいて組成物の流れを変化させる電子的に制御または機械的に制御されるバルブ等によって、アクチュエータは、組成物を直接的に制御してもよい。この場合、アクチュエータは、得られる水性組成物の特性が本明細書に開示される値と一致するようにリザーバ内の貯蔵剤の流れを制御するように構成される。例えば、アクチュエータは、歯科治療領域に到達したときのポリマーの最終濃度(水中の)が溶液の全重量に対して0.01wt%(100ppm)から5wt%(50000ppm)であって、その間のppmの全ての整数値およびその間の範囲が含まれるように構成されている。例えば、濃度は、0.01-1wt%、0.01-2wt%、0.01-3wt%、0.01-4wt%、0.05-1wt%、0.05-2wt%、0.05-3wt%、0.51-4wt%、0.1-1wt%、0.1-2wt%、0.1-3wt%、0.1-4wt%、1-2wt%、1-3wt%または1-4wt%である。このような最終濃度は、供給流体の流れ(例えば、固定または可変)、組成物の流れ(それに応じて固定または可変)、ポリマーの濃度などに依存してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、流体が流れている供給ラインに追加されてもよい。例えば、組成物は、ベンチュリ効果を使用して流体に放り込まれてもよい。他の実施形態において、リザーバは、供給ライン(例えば、自動的または選択的)に組成物が注入されるように加圧されてもよい。そのような実施形態において、組成物は、供給ラインに流体として運ばれても良い。
【0052】
いくつかの実施形態では、ポリマーは固体(例えば、顆粒または他の形態)である。そのような実施形態において、供給ラインからの流体の流れ(または流れの一部)をリザーバに向けて、ポリマーと混合/溶解し、その後(下流)、患者に使用してもよい。そのような実施形態は、また流体(液体)ポリマーと共に使用してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、複数の技術を組み合わせて使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、供給ラインからの流れの一部は、ポリマーを溶解および/または希釈するためにリザーバに向き直され、続いて、供給ラインの残りの流れに再合流させてもよい。
【0054】
一つの態様において、本開示は、外科的洗浄工程および歯科処置工程において発生するエアロゾル飛沫の形成を減少させる、または、排除する方法を提供する。この方法は、ポリマーを含む本開示の水性洗浄組成物を準備する工程と、大気圧または加圧された状態で歯科治療領域などの外科的領域に当該組成物を導入する工程とを含む。この方法でのエアロゾル化は、ポリマーを含まない水性組成物を用いたときに発生するエアロゾル化と比較して減少する。
【0055】
様々な例において、この方法は、洗浄工程(例えば、歯科工程)で形成されるエアロゾル飛沫を減少または排除する。様々な例において、方法は、ポリマーを含む水性組成物での患者の口腔内の洗浄工程を含む。歯科工程によって、または歯科工程の間に生じるエアロゾル化は、ポリマーを含まない水性媒体によるエアロゾル化より少ない。一実施形態では、組成物は、エアロゾル化の少ない洗浄組成物である。洗浄組成物は、生物学的な空洞/表面の洗浄または歯科または外科器具での使用に好ましい。本開示の組成物および方法は、歯科治療領域などの治療領域に用いる超音波式、回転式、運動式撹拌機と共に使用するのが好ましい。本開示の組成物および方法は、臨床現場内に関連する外科的器具または他の器具または、例えば、浴として組成物を含んだ超音波浴を使用するなどの表面の洗浄(例えば、滅菌)中のエアロゾル化を低減するために使用される。
【0056】
本開示の組成物は、すぐに使用できる状態で提供されてもよく、濃縮液または粉末として提供されてもよい。濃縮液または粉末は、使用時またはその前の任意の時点で、使用可能な組成物に調整することができる。
【0057】
様々な例において、組成物は、歯科医または歯科衛生士に様々な状態(例えば、濃縮状態または最終希釈状態)で供給される。例として、ポリエチレンオキシドの最終濃度がスケーラーの液体タンク内に直接充填できる場合、液体タンクを備えたスケーラーユニットで使用する前の希釈用または歯科椅子ユニットの供給ユニットでの自動希釈用のポリエチレンオキシドの濃縮物(これまで使用されていた液体供給消毒濃縮物と同様)が含まれる。選択的に、微生物汚染に対して容器内に入れる防腐剤を追加してもよい(例えば、標準的なFDA承認防腐剤)。例えば、濃縮組成物は、0.01wt%(100ppm)から5wt%(50000ppm)よりも5~100倍濃縮された濃度を有する。実施形態として濃縮組成物は、5~10倍、5~25倍、5~50倍、5~75倍、10~20倍、10~50倍、10~75倍、10~100倍、25~50倍、25~75倍、25~100倍、50~75倍、50~100倍または75~100倍濃縮されてもよい。濃縮組成物は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100倍濃縮されていてもよい。例えば、濃縮組成物は、500ppmから99,000ppmの濃度を有し、全てのppmの整数値およびその間の範囲を含む。実施例として、濃縮組成物は、500~1,000、500~10,000、500~100,000、500~990,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~990,000、10,000~100,000、10,000~990,000または100,000~990,000ppmの濃度を有する。
【0058】
組成物は、洗浄液体が使用される様々な処理工程にて使用することができる。例えば、組成物および方法は、外科的処置または歯科的処置を受けている個人に対して実施されてもよい。歯科的工程の例としては、超音波、動力学的洗浄のロータリー、粒子摩耗研磨、空洞の準備、裂け目の延長、根管の準備、修復作業中の咬合の調整、インプラント、医療処置(例えば、創傷の超音波デブリードマン、骨の水冷ドリル処置、洗浄など)、空気または水のスプレー洗浄を必要とする工程などが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の組成物は、歯科検査/治療室に見られるなどの現存する洗浄設備およびウオーターラインに組み込むことができる。様々な例において、組成物は超音波浴に使用してもよい。様々な他の例において、組成物は冷却剤に使用してもよい。
【0059】
人の医療に使用される上述したいずれかの態様も、獣医学での使用にも同様に適用される。例えば、上記の態様のいずれも、エアロゾルを発生させる獣医ケアで使用される任意の外科的処置に適用することができる。
【0060】
一つの態様では、本開示は、キットを提供する。キットは、本開示の組成物の成分を含んでもよく、または、外科的または歯科的処置のためにすぐに使用できる容器に分配された本開示の組成物を含んでいてもよい。
【0061】
キットは、治療領域のすすぎに使用するための組成物を調整するために、ポリマー用と適切な水などの水性媒体用の別個の容器を含んでもよい。水またはポリマーを含む容器は、添加剤を含んでいてもよく、または添加剤は別々に提供されていてもよい。例えば、キットは、ポリマー、滅菌水および任意に添加剤を含んでもよい。ポリマーは、濃縮液体または粉末などの任意の形態で提供される。キットは、例えば、ホース、フィッティングおよび本開示の組成物を送るために使用される他のアイテムなどの使い捨てアイテムをさらに含んでもよい。キットは、組成物を調整および/または使用するための説明書をさらに含んでもよい。キットは、容器(例えば、組成物を含む容器または他の容器)を洗浄システムと接続するための1以上の物品を含んでもよい。キットは、様々な使い捨てアイテムの組み合わせを含む。
【0062】
本明細書の原理に従って、多くの実施形態を構築することができる。以下の例示的な実施例は、これらの特徴の内容を実証し、以下に挙げる他の例が本明細書の原理に従って結果を達成することを実証するために提供される。
【実施例1】
【0063】
この実施例は、本開示の様々な組成物の説明を提供する。
【0064】
様々な濃度および様々な分子量の様々なポリマーの溶液を代表的なスケーリングユニット(Piexon250、EMS(CH))を用いて試験した。試験の目的として、スケーリングユニットの液体タンクに配合物を充填し、以下に説明する試験設定にてスケーラーの作動時のエアロゾル形成を評価した。
【0065】
次の組成物について、Piezon250で使用する場合と同様に、歯科/外科的洗浄組成物の粘度を高める能力およびエアロゾル化の減少能力の試験を行った。
【0066】
分子量600kDaのポリエチレンオキシドの濃度が0.1重量%(1000ppm)は、エアロゾル化の減少が観測された。しかし、エアロゾル化を完全に抑制できなかった。
【0067】
分子量600kDaのポリエチレンオキシドが1重量%(10000ppm)は、下の表2に示すように「1」の評価を受けた。
【0068】
分子量2MDaのポリエチレンオキシドの濃度が0.01重量%(100ppm)は、エアロゾル化の減少が観測された。しかし、エアロゾル化を完全に抑制できなかった。
【0069】
分子量2MDaのポリエチレンオキシドの濃度が0.05重量%(500ppm)は、ほぼ完全にエアロゾル化を抑制した。
【0070】
分子量2MDaのポリエチレンオキシドの濃度が0.1重量%(1000ppm)は、完全にエアロゾル化を抑制した。
【0071】
分子量2MDaのポリエチレンオキシドの濃度が1重量%(10000ppm)は、完全にエアロゾル化を抑制した。
【0072】
分子量8MDaのポリエチレンオキシドの濃度が0.01重量%(100ppm)は、エアロゾル化の減少が観測された。しかし、エアロゾル化を完全に抑制できなかった。
【0073】
分子量8MDaのポリエチレンオキシドの濃度が0.05重量%(500ppm)は、完全にエアロゾル化を抑制した。
【0074】
分子量8MDaのポリエチレンオキシドの濃度が0.1重量%(1000ppm)は、完全にエアロゾル化を抑制した。
【0075】
分子量8MDAのポリエチレンオキシドの濃度が1重量%(10000ppm)は、完全にエアロゾル化を抑制した。
【0076】
キサンタンガムの濃度が0.1重量%(1000ppm)は、ほぼ完全にエアロゾル化を抑制した(ある種の人工唾液の一部)。
【0077】
キサンタンガムの濃度が0.5重量%(5000ppm)は、完全にエアロゾル化を抑制した(ある種の人工唾液の一部)。
【0078】
キサンタンガムの濃度が1重量%(10000ppm)は、完全にエアロゾル化を抑制した(ある種の人工唾液の一部)。
【0079】
ポリビニルピロリドンの濃度が1重量%(10000ppm)は、エアロゾル化を減少させた(ある種の人工唾液の一部)。
【0080】
ポリビニルピロリドンの濃度が5重量%(50000ppm)は、エアロゾル化を大幅に減少させた。
【0081】
アルギン酸(アルギン酸、多糖類)の濃度が2重量%(20000ppm)は、エアロゾル化を完全に抑制した。
【0082】
上記ポリマーを有し、歯科/外科的処置でエアロゾル化の生成を減少/排除するための合成ポリマー組成物を含む他の組成物は、実質的に同様に適切な濃度で調整することができる。
【実施例2】
【0083】
この実施例は、本開示の組成物のエアロゾル化の減少の定量化の説明を提供する。
【0084】
エアロゾル検出の定性的評価の目的として、ガラススライドを超音波スケーラーチップから所定の距離に配置した。疑似歯を用いて、臨床状況の幾何学を模倣した。スケーラー操作によって生じたエアロゾル飛沫は、ガラススライド上に集められ、肉眼で定性的に評価された。もし、飛沫が検出されなかった場合、飛沫が検出されるまで、スライドガイドをスケーラーチップに少しずつ近づけた。この距離が、製材を使用した超音波操作によって生成された飛沫の移動距離であると判断した。
【0085】
スケーラーの流量は、ある一定の時間スケーラーを操作し、総流出量を収集することによって評価された。
【0086】
UV/VIS分光法によるスライドガラス上に収集されたエアロゾルの定量的評価を可能とするため、微量の蛍光色素を含む製剤を使用して試験は、繰り返し行われた。
【0087】
スプラッタテストの試験のセットアップは、次の通りに行われた(図4参照)。訂正試験について、境界条件の飛沫が存在するかで決定した。定量試験について、フルオレセインナトリウム/水/ポリマー混合物を洗い流し、UV-vis分光測光法で分析し、染料の濃度を計算し、どれだけのエアロゾル化/小さな飛沫が進化したかの直接的な相関関係を決定するために使用した。
【0088】
以下のパラメータを用いて、本開示の組成物の達成された効果を1~4段階で評価した。
【0089】
表2:超音波スケーラー操作中の組成物の効果の評価
【表2】
【0090】
表3:定性テスト結果
【表3】
n.m.:未測定
【0091】
様々な工業用ポリマー、バイオポリマーおよび界面活性剤がテストされた。ポリエチレンオキシド(ポリエチレングリコール)ポリマーは、好ましい剪断粘度を提供し、従って好ましい流量(水と似た)および伸長粘度を提供し、飛沫またはエアロゾルの形成を抑制した。ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのような多糖類も、好ましい物性を提供した。しかし、より高い濃度(1%)およびより高い剪断粘度では、低い流量となった。ヒアルロン酸も0.1%では好ましい性能を示したが、流量は低かった。
【0092】
表4:スプラッターによる定量検査と蛍光色素(Na-フルオレセイン)による評価
【表4】

n.m.:未測定
【0093】
スケーラーとガラススライドとの間の距離を最小距離、つまり、スライドの上に飛沫が観測された場所、とした(図4参照)。フルオレセインの対数濃度をスケーラーからガラススライドまでの距離で割ることによって、定数を導入した。それにPIEZON250スケーラーの特定な流量を掛けることにより、重み付けされた性能を算出した(表4参照)。さらに、Dentsply Cavitron Scalerを用いて定性的な方法で模擬臨床評価を行った。いくつかの実験は、26.5psiの給水圧と、40.6ml/分の流量で行われた(Cavitronのメーカーのガイドラインに基づいて、水の供給は最小25psi(172kPa)から最大60psi(414kPa)としなければならない。)。
【0094】
最良の性能は、分子量600kDaのポリエチレングリコール、濃度が1200から2400ppm、分子量8MDaのポリエチレングリコール、濃度280ppmで見られた。
【0095】
言うまでもなく、液体またはエアロゾルの形成が減少すると、操作者の手術領域を見る能力に良い影響を与える。この効果は、拡大ルーペを用いる場合、特に顕著で役に立ち、強力なライトを使用して手術領域を照らす場合はなおさら顕著で役に立つ。
【0096】
洗浄効果:ポリマーの導入が、歯科超音波スケーラーの洗浄能力に悪影響を及ぼさないことを確認するために、モデルシステムの洗浄効果を調べた。このため、フッ素ワニス(Fluorprotector S)をペリレン染料(蛍光レッド)で染色し(図5参照)、スケールされるジルコニアモデルを調整された材料でコートした。コートされ、乾燥されたブロックを、PIEZONハンドピースを用いて、水または処方されたポリエチレンオキシド/水溶液のいずれかで洗浄した。両方の試験において、ワニスはスケーラーユニットを用いて30秒以内にすばやく除去できた。これは、組成物の使用が、歯科工程における洗浄の効果を減少させるものではないことを示す。
【0097】
本開示は、1以上の特定の実施形態および/または実施例に関して説明されているが、本開示の他の実施形態および/または実施例を、本開示の範囲から逸脱することなく作ることができることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】