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特表2023-527411がん細胞の負荷を減少させ、正常な造血を保護するための化合物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】がん細胞の負荷を減少させ、正常な造血を保護するための化合物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230621BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230621BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230621BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61P7/00
A61P35/02
A61K31/7008
A61K31/44
A61K31/5377
A61K31/407
A61K31/4709
A61K31/497
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573207
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 US2021034773
(87)【国際公開番号】W WO2021247396
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/032,675
(32)【優先日】2020-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/060,595
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/063,892
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/198,864
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506167421
【氏名又は名称】グリコミメティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マグナニ, ジョン エル.
(72)【発明者】
【氏名】フォグラー, ウィリアム イー.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC39
4C086BC50
4C086CB22
4C086CB26
4C086EA09
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
例えば急性骨髄性白血病などのがんの処置、骨髄における正常な造血の維持の増強、および/または白血病芽球を移動性にすることを、それを必要とする対象において行うための方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを対象に投与することを含む方法。いくつかの実施形態では、がん患者は再発がん患者である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを前記対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
骨髄における正常な造血の維持の増強を必要とする対象における骨髄における正常な造血の維持を増強する方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを前記対象に投与することを含む方法。
【請求項3】
白血病芽球を移動性にすることを必要とする対象において白血病芽球を移動性にする方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを前記対象に投与することを含む方法。
【請求項4】
前記対象がヒトである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記対象ががん患者である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記対象が再発がん患者である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象が、化学療法および/または放射線療法を受けているか、受けたことがあるか、または受ける予定である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、MMP阻害剤、炎症性サイトカイン阻害剤、肥満細胞阻害剤、NSAID、NO阻害剤、MDM2阻害剤、もしくは抗微生物化合物を投与されているか、投与されたことがあるか、または投与される予定である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記がんが液体がんから選択される、請求項1または4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記がんが固形がんから選択される、請求項1または4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記がんが、結腸直腸がん、肝臓がん、胃がん、肺がん、脳がん、腎臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮がん、子宮内膜がん、乳がん、膵臓がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色腫、色素嫌性腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、胸腺腫、精巣胚細胞性腫瘍、および頭頸部扁平上皮癌から選択される、請求項1または4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記がんがFLT3変異がんから選択される、請求項1または4~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記がんがFLT3-ITD変異がんから選択される、請求項1または4~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記がんがAMLである、請求項1または4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記がんが再発性/難治性AMLである、請求項1、4~8または14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記がんがFLT3-ITD変異AMLである、請求項1、4~8、14または15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、FLT3の1またはそれを超える変異変化を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記変異変化が、FLT3のチロシンキナーゼドメイン活性化ループ内の内部タンデム重複およびミスセンス変異から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象の芽球細胞が、非がん対象、新たに診断されたがん対象、または患者と同じがんを有する対象から得られた対照試料と比較して、FUT7の遺伝子発現レベルが上昇している、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのFLT3阻害剤および少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤を前記対象に投与することを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つのFLT3阻害剤および少なくとも1つのCXCR4阻害剤を前記対象に投与することを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つのFLT3阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤を前記対象に投与することを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つのFLT3阻害剤、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤および少なくとも1つのCXCR4阻害剤を前記対象に投与することを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの阻害剤が、
【化96】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの阻害剤が
【化97】
である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの阻害剤が、
【化98】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの阻害剤が
【化99】
である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、5mg/kgから100mg/kgの範囲の用量の前記少なくとも1つの阻害剤を投与することを含む、請求項1~19または24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、1日当たり20mgから4000mgの固定用量の前記少なくとも1つの阻害剤を投与することを含む、請求項1~19または24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、0.5mg/kgから100mg/kgの範囲の用量の前記少なくとも1つのFLT3阻害剤を投与することを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、1日当たり20mgから4000mgの固定用量の前記少なくともFLT3阻害剤を投与することを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つのFLT3阻害剤が、第一世代マルチキナーゼ阻害剤および次世代阻害剤から選択される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つのFLT3阻害剤が、ソラフェニブ、レスタウルチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、クレノラニブ、ギルテリチニブ、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つのFLT3阻害剤がソラフェニブである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つのFLT3阻害剤がキザルチニブである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月31日に出願された米国仮特許出願第63/032,675号、2020年8月3日に出願された米国仮特許出願第63/060,595号、2020年8月10日に出願された米国仮特許出願第63/063,892号、および2020年11月18日に出願された米国仮特許出願第63/198,864号の優先権の利益を主張し、これらの各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
がん(例えば、急性骨髄性白血病など)の処置、骨髄における正常な造血の維持の増強、および/または白血病芽球を移動性にすることを、それを必要とする対象において行うための方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを対象に投与することを含む方法が、本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
セレクチンは、白血球ホーミングにおいてよく特徴付けられた役割を有する細胞接着分子のクラスである。これらの細胞接着分子は、1型膜タンパク質であり、アミノ末端レクチンドメイン、上皮増殖因子(EGF)様ドメイン、可変数の補体受容体関連リピート、疎水性ドメインスパン領域および細胞質ドメインから構成される。結合相互作用は、セレクチンのレクチンドメインと様々な炭水化物リガンドとの接触によって媒介されるように見える。
【0004】
3つの既知のセレクチン、すなわち、E-セレクチン、P-セレクチン、およびL-セレクチンが存在する。E-セレクチン(内皮セレクチン)は、毛細血管の内壁を裏打ちする活性化内皮細胞の表面上に発現される膜貫通接着タンパク質である。E-セレクチンは、炭水化物シアリル-ルイス(sLe)に結合し、これは特定の白血球(単球および好中球)の表面上に糖タンパク質または糖脂質として提示され、これらの細胞が、周囲の組織が感染または損傷している領域の毛細血管壁に付着するのを助ける。さらに、E-セレクチンは、多くの腫瘍細胞上に発現するシアリル-ルイス(sLe)に結合する。P-セレクチンは、炎症を起こした内皮および血小板上に発現し、sLeおよびsLeも認識するが、硫酸化チロシンと相互作用する第2の部位をさらに含む。E-セレクチンおよびP-セレクチンの発現は、一般に、毛細血管に隣接する組織が感染または損傷した場合に増加する。L-セレクチンは白血球上に発現される。
【0005】
いくつかのがんは、がんが原発部位を越えて移動する前に処置可能である。しかしながら、がんが原発部位を超えて広がると、処置選択肢が制限される場合があり、生存統計が劇的に低下する場合がある。最近の研究は、がん細胞が免疫刺激性であり、セレクチンと相互作用して血管外に出て転移することを示唆している。
【0006】
推定発生率データに基づいて、最も一般的なタイプのがんには、前立腺がん、乳がん、肺がん、結腸直腸がん、黒色腫、膀胱がん、非ホジキンリンパ腫、腎臓がん、甲状腺がん、白血病、子宮内膜がん、および膵臓がんが含まれる。予想される発生率が最も高いがんは前立腺がんである。最も死亡率が高いのは肺がん患者である。金銭的および人的資源の莫大な投資にもかかわらず、結腸直腸がんなどのがんは依然として主要な死因である。実例として、結腸直腸がんは、男性および女性の両方に影響を及ぼすがんの中で、米国におけるがん関連死の第2の主因である。過去数年にわたって、結腸直腸がんを有する50,000人を超える患者が毎年死亡している。
【0007】
4つの最も一般的な血液がんは、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)および急性骨髄性白血病(AML)である。白血病ならびに血液、骨髄およびリンパ系の他のがんは、小児の10倍多く成人に罹患する。ただし、白血病は最も一般的な小児がんの1つであり、小児白血病の75%がALLである。
【0008】
急性骨髄性白血病(AML)は、異常な未成熟白血球の蓄積を特徴とする血液悪性腫瘍である。AMLの症状として、疲労、息切れ、あざや出血が起こり易い、ならびに感染のリスクの増加を挙げることができる。これは急性型の白血病であり、急速に進行する可能性があり、処置せずに放置した場合、典型的には数週間または数ヶ月以内に命取りになる。AMLは、成人において最も一般的な白血病である。毎年約47,000人の新規症例が診断され、毎年約23,500人が白血病で死亡している。AMLの5年生存率は27.4%であり、AMLは米国におけるがん死のおよそ1.8%を占める。急性骨髄性白血病は、急性骨髄白血病とも呼ばれる。
【0009】
AMLの第一選択処置は、主にアントラサイクリン/シタラビンの組み合わせによる化学療法からなり、2つの段階、すなわち、誘導療法および寛解後(または地固め)療法に分けられる。誘導療法の目標は、白血病細胞の数を検出不能なレベルまで減少させることによって完全寛解を達成することであり、地固め療法の目標は、検出不可能な残留疾患を排除し、治癒を達成することである。がん細胞内に存在する特定の遺伝子変異は、治療を導くことができるだけでなく、その人がどのくらい長く生存する可能性があるかを決定し得る。
【0010】
AMLの発症機序の理解の進歩にもかかわらず、AML患者の短期および長期の転帰は、30年にわたって変わらないままである(Robozら、2012)。診断時の年齢の中央値は66歳であり、治癒率は10%未満であり、生存期間の中央値は1年未満である(Burnettら、2010)。60歳未満の患者の70~80%が完全寛解を達成するが、ほとんどは最終的に再発し、全生存率は5年でわずか40~50%である(Fernandezら、2009、Mandelliら、2009、Ravandiら、2006)。再発は、最初の誘導療法を回避し、AMLの再発を推進する白血病幹細胞に起因して起こると考えられている(Deanら、2005、Guanら、2003、Konoplevaら、2002)。治療薬の存在下でがん細胞が回避または対処する能力である化学療法抵抗性もまた、治療成功のための重要な課題である。
【0011】
Fms様チロシンキナーゼ3における内部タンデム重複(FLT3-ITD)は、成人AML症例の30%を占め、予後不良をもたらす(Nakaoら、1996、Kottaridisら、2003、Thiedeら、2002)。ソラフェニブのようなFLT3阻害剤は、末梢血(PB)において白血病芽球を効率的に排除するが、骨髄(BM)においては排除しないことが多い(Zhangら、2008)。これは、白血病性幹細胞に対するBMの保護効果を示唆しており、これは、BM血管および骨内ニッチにおける内皮細胞(EC)および間葉系幹細胞(MSC)上のE-セレクチンおよびCXCL12によって媒介される(Chienら、2013、Horacekら、2013、Peled and Tavor、2013年)。
【0012】
FLT3遺伝子に変異を含むAML細胞の特徴は、これらのがん細胞の構成的キナーゼ活性化である。AML患者におけるFLT3-ITD変異は、E-セレクチンの発現と有意に関連している(Kupsaら、2016)。具体的には、AML細胞においてFLT3-ITD変異を含む患者におけるより高いE-セレクチン発現の相関は、強く有意である(P=0.0010)(Kupsaら、2016)。
【0013】
E-セレクチンリガンドのグリコシル化遺伝子であるFUT7の遺伝子発現は、患者のAML細胞の表面上のE-セレクチンリガンド(シアリルLe)の発現と相関する。FUT7は、E-セレクチンリガンドの結合活性に必要な末端フコースを付加するフコシルトランスフェラーゼをコードする。NCIが提供するTCGA(がんゲノムアトラス)として知られている、全生存と対になった151のデータを含むAML患者の公開データベースの分析では、FUT7発現によって判定したときに、E-セレクチンリガンドを発現するFLT3-ITD AML患者でのみ不良な生存が観察された(参照により本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2021/011435号を参照されたい)。FLT3-ITD患者におけるFUT7発現によって確認されるE-セレクチンリガンドの発現と生存不良との相関は統計学的に有意であり(P=0.015)、AML細胞のE-セレクチンへの結合が、FLT3変異を有するAML患者で観察される生存不良に至らせることを示唆する。
【0014】
BMに存在するAML細胞は、治療剤の細胞傷害性効果から大きな保護を受ける。対照的に、循環白血病細胞は、典型的には、BMニッチに埋め込まれたものと比較してより化学感受性である。AML細胞のBMホーミングは、内皮上のE-セレクチンに結合するがん細胞上のシアリル化糖タンパク質によるもの、およびSDF-1/CXCL12勾配のCXCR4媒介センシングによるものをそれぞれ含む、複数の接着性およびケモキネシスの相互作用によって媒介される。多くの点で、BMホーミングシグナルは、白血病と造血幹細胞(HSC)との間で共有される。
【0015】
CXCR4、E-セレクチンおよび/またはFLT3のコンビナトリアルターゲティングに有用な化合物としては、化合物A:
【化1】
および/またはその薬学的に許容され得る塩、ならびに、化合物B:
【化2】
および/またはその薬学的に許容され得る塩を挙げることができる。
【0016】
以前の研究は、E-セレクチンおよびCXCR4を二重E-セレクチン/CXCR4アンタゴニスト化合物Aで標的化すると、ECおよびMSCへの白血病細胞接着が著しく減少し、インビトロでのFLT3標的化治療中に白血病細胞のBM媒介性保護が排除され、インビボでのBMにおいて白血病細胞が効果的に減少したことを示していた(Zhangら、2016)。さらに、化合物Aをシタラビンおよびダウノルビシンと組み合わせると、FLT3変異白血病細胞、MV4-11を有するマウスにおいて顕著な生存利益が得られた(Zhangら、2015)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
CXCR4、E-セレクチンおよびFLT3のコンビナトリアルターゲティングは、白血病芽を移動性にすることに有効であり得、BM媒介性保護を無効にすることによって殺傷を増加させ得る。さらに、このレジメンは、BMにおける正常な造血の維持を増強し得る(図1A)。
【0018】
以下の説明では、様々な実施形態の完全な理解を提供するために、ある特定の詳細について記載する。しかしながら、当業者は、開示された実施形態がこれらの詳細なしで実施され得ることを理解するであろう。他の例では、実施形態の説明が不必要に不明瞭になるのを避けるために、周知の構造は詳細に図示または説明していない。これらおよび他の実施形態は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。
【0019】
少なくとも1つのFLT3阻害剤、ならびにE-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤を使用する処置方法(例えば、がん、例えば、AMLを処置する方法)への本明細書における言及はまた、
- がん、例えばAMLなどを処置する方法において使用するための、少なくとも1つのFLT3阻害剤ならびにE-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤、および/または、
- がん、例えばAMLなどを処置するための医薬の製造における、少なくとも1つのFLT3阻害剤ならびにE-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤の使用への言及と解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A図1Aは、化合物AおよびソラフェニブによるCXCR4、E-セレクチンおよびFLT3のコンビナトリアルターゲティングの潜在的な機構を例示する図である。
【0021】
図1B図1Bは、インビトロで96時間キザルチニブまたはソラフェニブのいずれかに曝露されたFLT3-ITDまたは二重FLT3-ITD+TKD変異を有するマウス白血病細胞におけるCXCR4リガンドおよびE-セレクチンリガンドの発現レベルを示すチャートである。
【0022】
図1C図1Cは、インビトロで96時間キザルチニブまたはDMSOのいずれかに曝露されたFLT3-ITDまたは二重FLT3-ITD+TKD変異を有するマウス白血病細胞におけるCXCR4、CD162およびCD44の相対的なmRNA発現レベルを示すチャートである。
【0023】
図2A図2Aは、FLT3-ITDまたは二重FLT3-ITD+TKD変異を有するマウス白血病細胞におけるE-セレクチンリガンドCD162およびCXCR4の発現レベルを示すチャートである。
【0024】
図2B図2Bは、ヒトFLT3-ITD変異AML細胞におけるE-セレクチンリガンドCD162およびCXCR4の発現レベルを示すチャートである。
【0025】
図3A図3Aは、20時間の化合物B、化合物Aまたはプレリキサフォル処置後のBMニッチ成分(E-セレクチン、SDF-1a、およびI型コラーゲン)への白血病細胞MOLM14接着に対する効果を示すチャートである。
【0026】
図3B図3Bは、E-セレクチン阻害剤である化合物BまたはE-セレクチン/CXCR4阻害剤である化合物Aによる16時間の処置後の、NMSC/HUVEC細胞への白血病細胞移動に対する影響を示すチャートである。
【0027】
図3C図3Cは、E-セレクチン阻害剤である化合物BまたはE-セレクチン/CXCR4阻害剤である化合物Aによる48時間の処置後のMOLM14細胞におけるソラフェニブ誘導性アポトーシスに対する感受性を示すチャートである。
【0028】
図4A図4Aは、250cGyの照射後にFLT3-ITD変異AML患者細胞(i.v.)を注射することによるNSGマウスにおけるPDXモデルの確立を示す図である。
【0029】
図4B図4Bは、化合物A単独、ソラフェニブ単独、または組み合わせを投与されたマウスのKaplan-Meier推定生存曲線を示すチャートである。
【0030】
図4C図4Cは、白血病細胞浸潤を評価するための抗ヒトCD45抗体染色パラフィン切片の免疫蛍光画像を示す図である。
【0031】
図4D図4Dは、化合物A単独、ソラフェニブ単独、または組み合わせを投与されたマウスについて抗CD45抗体染色によって測定された白血病細胞浸潤を示すチャートである。
【0032】
図5A図5Aは、低酸素条件において化合物Aおよび/またはソラフェニブの存在下で24時間、MOLM14細胞をHS-27A/HEBC-5iと共培養した後のヒトサイトカイン抗体アレイによるサイトカイン/ケモカインのプロファイリングを示す図である。
【0033】
図5B図5Bは、低酸素条件において化合物Aおよび/またはソラフェニブの存在下で24時間、MOLM14細胞をHS-27A/HEBC-5iと共培養した後の造血関連サイトカインおよびケモカインのレベルを示す図である。
【0034】
図5C図5Cは、巨核球および骨髄球を評価するために抗マウスCD41およびCD13を使用して、H&EまたはIFで染色した53日間の薬物処置後の骨髄試料の顕微鏡画像を示す図である。
【0035】
図5D図5Dは、造血細胞の半定量的カウントを示すチャートである。エラーバーは、4つのランダムな顕微鏡視野からの平均カウントの標準偏差を示す。
【0036】
図6図6は、MOLM14移植白血病マウスの骨髄におけるhCD45+細胞のフローサイトメトリー測定を示すチャートである。
【0037】
図7図7は、化合物AのIV注入後の骨髄におけるAML細胞速度の生体内2光子顕微鏡測定を示すチャートである。ウィスカーは95%信頼区間を表す。
【0038】
図8図8は、ビヒクル(左)または化合物A(右)の投与4時間後のインビボの頭蓋冠骨髄腔の顕微鏡画像を示す図である。画像には、T細胞(hCD2-DsRed)、骨髄細胞(CD11c-EYFP)、骨芽細胞(Col2.3-GFP)および骨コラーゲン(SHG)の蛍光標識が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
定義:
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で引用される全ての参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。参考文献の用語または議論が本開示と矛盾する範囲においては、後者が優先されるものとする。
【0040】
本明細書における用語が範囲(例えば、C1~4アルキル)または「~の範囲」として特定されるときはいつでも、その範囲は独立してその範囲の各要素を開示し、含む。非限定的な例としては、C1~4アルキル基は、独立して、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、およびCアルキル基を含む。別の非限定的な例として、「nは0から2の範囲の整数である」は、独立して、0、1、および2を含む。
【0041】
本明細書で使用される場合、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、単語の単数形はその単語の複数形も含む。例えば、本明細書で使用される場合、「a」または「an」実体は、1またはそれを超えるその実体を指し、例えば、「a compound(化合物)」は、そうでないことを明記しない限り、1またはそれを超える化合物または少なくとも1つの化合物を指す。したがって、「a」(または「an」)、「1またはそれを超える」、および「少なくとも1」という用語は、本明細書では互換的に使用される。例えば、「少なくとも1つのC1~4アルキル基」という用語は、1つのC1~4アルキル基、2つのC1~4アルキル基などの1またはそれを超えるC1~4アルキル基を指す。
【0042】
「または」という用語は、特定の文脈がそうでないことを示さない限り、「および/または」を意味する。
【0043】
「アルキル」という用語は、飽和の直鎖、分枝鎖、および環状(シクロアルキルとしても識別される)の、第一級、第二級、および第三級の炭化水素基を含む。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、secブチル、イソブチル、tertブチル、シクロブチル、1-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、イソヘキシルおよびシクロヘキシルが挙げられる。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、アルキル基は必要に応じて置換されていてもよい。置換アルキル基の非限定的な例としては、重水素化アルキル基、例えば、CDおよびCDCDが挙げられる。
【0044】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分岐および環状炭化水素基を含む。アルケニル基の二重結合は、非共役であってもよく、または別の不飽和基と共役していてもよい。アルケニル基の非限定的な例としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、2-エチルヘキセニルおよびシクロペンタ-1-エン-1-イルが挙げられる。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、アルケニル基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0045】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含む直鎖および分岐炭化水素基を含む。アルキニル基の三重結合は、非共役であってもよく、または別の不飽和基と共役していてもよい。アルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられる。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、アルキニル基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0046】
「アリール」という用語は、少なくとも6つの炭素原子および少なくとも1つの芳香環を含む炭化水素環系基を含む。アリール基は、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得、縮合環系または架橋環系を含み得る。アリール基の非限定的な例としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレンおよびトリフェニレンから誘導されるアリール基が挙げられる。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、アリール基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0047】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0048】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で定義される少なくとも1つのハロゲンで置換された本明細書で定義されるアルキル基を含む。ハロアルキル基の非限定的な例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピルおよび1,2-ジブロモエチルが挙げられる。「フルオロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンがフルオロであるハロアルキルである。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、ハロアルキル基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0049】
「ハロアルケニル」という用語は、本明細書で定義される少なくとも1つのハロゲンで置換された、本明細書で定義されるアルケニル基を含む。ハロアルケニル基の非限定的な例としては、フルオロエテニル、1,2-ジフルオロエテニル、3-ブロモ-2-フルオロプロペニルおよび1,2-ジブロモエテニルが挙げられる。「フルオロアルケニル」は、少なくとも1つのフルオロ基で置換されたハロアルケニルである。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、ハロアルケニル基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0050】
「ハロアルキニル」という用語は、本明細書で定義される少なくとも1つのハロゲンで置換された、本明細書で定義されるアルキニル基を含む。非限定的な例としては、フルオロエチニル、1,2-ジフルオロエチニル、3-ブロモ-2-フルオロプロピニルおよび1,2-ジブロモエチニルが挙げられる。「フルオロアルキニル」は、少なくとも1つのハロゲンがフルオロであるハロアルキニルである。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、ハロアルキニル基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0051】
「ヘテロシクリル」または「複素環式環」という用語は、2から23個の環炭素原子と、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1から8個の環ヘテロ原子とを含む3から24員の飽和または部分不飽和非芳香族環基を含む。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、ヘテロシクリル基は、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であってよく、縮合環系または架橋環系を含んでいてもよく、部分的または完全に飽和していてもよく、ヘテロシクリル基中の任意の窒素、炭素または硫黄原子は、必要に応じて酸化されていてもよく、ヘテロシクリル基中の任意の窒素原子は、必要に応じて四級化されていてもよい、ヘテロシクリル基である。複素環式環の非限定的な例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニルおよび1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、ヘテロシクリル基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0052】
「ヘテロアリール」という用語は、1から13個の環炭素原子、ならびにN、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1から6個の環ヘテロ原子、ならびに少なくとも1つの芳香環を含む、5から14員の環基を含む。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、ヘテロアリール基は、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得、縮合または架橋環系を含み得、ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、必要に応じて酸化されていてもよく、窒素原子は、必要に応じて四級化されていてもよい。非限定的な例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルおよびチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられる。本明細書で別段の具体的な記載がない限り、ヘテロアリール基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0053】
本明細書で別段の具体的な記載がない限り、置換基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0054】
「置換された」という用語は、上記の基のいずれかにおいて、少なくとも1つの水素原子が、例えば、重水素原子;F、Cl、BrおよびIなどのハロゲン原子;水酸基、アルコキシ基およびエステル基などの基における酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基およびスルホキシド基などの基における硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミドおよびエナミンなどの基における窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基およびトリアリールシリル基などの基におけるケイ素原子;ならびに、様々な他の基における他のヘテロ原子などの非水素原子で置き換えられている状況を含む。「置換された」はまた、上記の基のいずれかにおいて、少なくとも1つの水素原子が、オキソ基、カルボニル基、カルボキシル基およびエステル基における酸素、ならびにイミン、オキシム、ヒドラゾンおよびニトリルなどの基における窒素などのヘテロ原子へのより高次の結合(例えば、二重結合または三重結合)によって置き換えられている状況を含む。
【0055】
「急性骨髄白血病」、「急性骨髄性白血病」、「急性骨髄芽球性白血病」、「急性顆粒球性白血病」および「急性非リンパ性白血病」および「AML」という用語は互換的に使用され、本明細書で使用される場合、骨髄性幹細胞の異常な増殖を特徴とする骨髄のがんを指す。本明細書で使用されるAMLは、限定するものではないが、AMLの世界保健機関(WHO)2016分類によって分類されるサブタイプ、例えば、骨髄異形成関連変化を伴うAMLまたは骨髄性肉腫、および、French-American-British(FAB)分類系によって分類されるサブタイプ、例えば、M0(急性骨髄芽球性白血病、低分化型)またはM1(成熟なしの急性骨髄芽球性白血病)(Faliniら、2010、Leeら、1987)などが挙げられる、疾患の任意のまたは全ての既知のサブタイプを指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、患者への化合物の「投与」は、APIを患者に導入または送達する任意の経路(例えば、経口送達)を指す。投与には、自己投与および他者による投与が含まれる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「芽球」および「芽球細胞」という用語は、未分化前駆血液幹細胞を指すために互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「芽球数」という用語は、試料中の芽球細胞の数を指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「有効量」または「有効用量」は、単回または複数回投与時に、病状に罹患している患者を処置する化合物の量を指す。有効量は、担当診断医が公知の技術を使用し、同様の状況下で得られた結果を観察することによって決定することができる。有効量を決定する際に、限定するものではないが、患者の体格、年齢、および全般的な健康状態;関与する特定の病状、障害、または疾患;病状、障害または疾患の程度または関与または重症度、個々の患者の応答;投与される特定の化合物;投与様式;投与される調製物のバイオアベイラビリティ特性;選択された用量レジメン;併用薬の使用;ならびに他の関連状況などが挙げられるいくつかの要因が主治医によって考慮される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「E-セレクチンアンタゴニスト」という用語は、E-セレクチンのみのアンタゴニスト、ならびにE-セレクチンおよびP-セレクチンまたはL-セレクチンのいずれかのアンタゴニスト、ならびにE-セレクチン、P-セレクチンおよびL-セレクチンのアンタゴニストを含む。「E-セレクチンアンタゴニスト」および「E-セレクチン阻害剤」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0060】
いくつかの実施形態では、E-セレクチンアンタゴニストは、E-セレクチンの活性を阻害するか、または1もしくはそれを超えるE-セレクチンリガンドへのE-セレクチンの結合を阻害する(これはE-セレクチンの生物学的活性を阻害し得る)。
【0061】
E-セレクチンアンタゴニストには、本明細書に記載される糖模倣化合物が含まれる。E-セレクチンアンタゴニストには、E-セレクチン上の結合部位またはその近傍に結合して、シアリルLe(sLe)またはシアリルLe(sLe)とのE-セレクチン相互作用を阻害する抗体、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド模倣体、およびアプタマーも含まれる。
【0062】
開示される方法に適したE-セレクチンアンタゴニスト(例えば、化合物および組成物)に関するさらなる開示は、2016年2月9日に発行された米国特許第9,254,322号および2016年11月8日に発行された米国特許第9,486,497号に見出すことができ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、E-セレクチンアンタゴニストは、参照により本明細書に組み込まれる、2015年8月18日に発行された米国特許第9,109,002号に開示されているE-セレクチンアンタゴニストから選択される。いくつかの実施形態では、E-セレクチンアンタゴニストは、参照により本明細書に組み込まれる、2013年4月2日に発行された米国特許第8,410,066号および2019年12月31日に発行された米国特許第10,519,181号に開示されているヘテロ二機能アンタゴニストから選択される。開示された方法および化合物に適したE-セレクチンアンタゴニストに関するさらなる開示は、参照により本明細書に組み込まれる、2019年8月1日に公開された米国特許出願公開第US2019/0233458号、2019年7月4日に公開された国際公開第2019/133878号、2020年7月2日に公開された国際公開第2020/139962号、2020年10月29日に公開された国際公開第2020/219419号、および2020年10月29日に公開された国際公開第2020/219417号に見出すことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、開示される方法に適したE-セレクチンアンタゴニストには、汎セレクチンアンタゴニストが含まれる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「CXCR4受容体阻害剤」および「CXCR4ケモカイン受容体阻害剤」は互換的に使用され、薬剤がケモカインSDF-IのSDF-Iリガンドへの結合を阻害する(例えば、SDF-IのCXCR4への結合を防止する)ことを意味する。そのような阻害剤は、典型的には、間質由来因子-1(SDF-1)のCXCR4受容体への結合を妨げる。CXCR4ケモカイン受容体阻害剤の非限定的な例としては、AMD-3100(Hendrixら、2000)、ALX40-4C(Doranzら、2001)、およびT134(Arakakiら、1999)が挙げられる。これらの例としては、有機小分子およびT22ペプチドなどのアミノ酸系分子が挙げられる。AMD-3100はビシクラムである。2つのシクラム環の各々は、メチレン基を介して同じフェニル環(各シクラム環は他方に対してパラである)に結合している。
【0065】
いくつかの実施形態では、CXCR4受容体阻害剤は、ペプチド、ジケトピペラジン模倣物、ビシクラム、テトラヒドロキノリン、チアゾリルイソチオ尿素誘導体、およびベンゾジアゼピンから選択され得る。いくつかの実施形態では、CXCR4受容体阻害剤は、AMD-3100、ALX40-4C、T134、およびT22ペプチドから選択され得る。
【0066】
E-セレクチンおよびE-セレクチン阻害剤-リンカー-CXCR4ケモカイン受容体阻害剤を含むCXCR4ケモカイン受容体の阻害のためのヘテロ二機能化合物も当技術分野で公知である。非限定的な例は、例えば、米国特許第8,410,066号に開示されている。
【0067】
本明細書で使用される場合、「[X]およびその薬学的に許容され得る塩から選択される少なくとも1つの化合物のmg」の表現で表される量は、遊離塩基および/または[X]の1またはそれを超える薬学的に許容され得る塩の形態で存在する[X]の遊離塩基の総重量に基づく。当業者は、本明細書に記載される化合物の1日投与量および個々の用量に等しい薬学的に許容され得る誘導体(例えば、薬学的に許容され得る塩)の量を理解するであろう。すなわち、例えば、1600mgの化合物Aの固定された1日用量の上記開示を考える場合、当業者は、化合物Aの薬学的に許容され得る塩の等価な固定された1日用量を求める方法を理解するであろう。
【0068】
本明細書で使用される場合、「増加する」という用語は、少なくとも1%正に変化することを指し、限定するものではないが、少なくとも5%(例えば、5%)正に変化すること、少なくとも10%(例えば、10%)正に変化すること、少なくとも25%(例えば、25%)正に変化すること、少なくとも30%(例えば、30%)正に変化すること、少なくとも50%(例えば、50%)正に変化すること、少なくとも75%(例えば、75%)正に変化すること、または、100%正に変化すること、5%から10%正に変化すること、5%から15%正に変化すること、5%から25%正に変化することなどが挙げられる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「調節する」という用語は、正または負に変化することを指す。調節の非限定的な例としては、少なくとも1%(例えば、1%)の変化、少なくとも2%(例えば、2%)の変化、少なくとも5%(例えば、5%)の変化、少なくとも10%(例えば、10%)の変化、少なくとも25%(例えば、25%)の変化、少なくとも50%(例えば、50%)の変化、少なくとも75%(例えば、75%)の変化、100%の変化、5%から10%の変化、5%から15%の変化、5%から25%の変化などが挙げられる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「患者」および「対象」という用語は互換的に使用される。いくつかの実施形態では、患者または対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、患者または対象はヒトである。
【0071】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、少なくとも1つの活性医薬成分と、少なくとも1つの薬学的に許容され得る添加剤との混合物または組み合わせを指す。医薬組成物は、医療分野の当業者によって決定されるように、処置される疾患または障害に適切な任意の様式で投与され得る。適切な用量ならびに適切な投与期間および投与頻度は、患者の病状、患者の疾患の種類および重症度、有効成分の具体的な形態、ならびに投与方法が挙げられる本明細書で論じられる要因によって決定される。一般に、適切な用量(または有効用量)および処置レジメンは、治療的および/または予防的利益(例えば、より頻繁な完全寛解もしくは部分寛解、またはより長い無病生存率および/もしくは全生存率、または症状の重症度の低下、または本明細書に詳細に記載される他の利益などの臨床転帰の改善)を提供するのに十分な量の医薬組成物を提供する。
【0072】
本明細書に記載の医薬組成物は、有効量の化合物を効果的に送達することができるいくつかの経路のうちのいずれかによって、それを必要とする対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は非経口投与される。非経口投与の非限定的な適切な経路としては、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、空洞内、髄腔内、および尿道内注射および/または注入が含まれる。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は静脈内(IV)投与される。IV投与の非限定的な適切な経路としては、末梢ライン経由、中心カテーテル経由、および末梢から挿入された中心ラインカテーテル(PICC)経由が挙げられる。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は皮下投与される。
【0073】
本明細書に記載の医薬組成物は、滅菌水性または滅菌非水性の溶液、懸濁液、またはエマルジョンであり得、少なくとも1つの薬学的に許容され得る添加剤または希釈剤(すなわち、活性成分の活性を妨害しない非毒性物質)をさらに含み得る。そのような組成物は、固体、液体、または気体(エアロゾル)の形態であり得る。液体医薬組成物は、例えば、以下に挙げる、注射用水などの滅菌希釈剤、生理食塩水溶液(例えば、生理食塩水)、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒として機能し得る固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、緩衝剤および等張性を調整するための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロースのうちの少なくとも1つを含み得る。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回投与バイアルに封入され得る。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は生理食塩水を含む。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は注射可能な医薬組成物であり、いくつかの実施形態では、注射可能な医薬組成物は滅菌されている。
【0074】
いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、固体医薬組成物である。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、単回投与単位形態である。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、複数回投与単位形態である。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は錠剤組成物である。いくつかの実施形態では、本医薬組成物はカプセル組成物である。
【0075】
いくつかの実施形態では、本医薬組成物は液体として製剤化される。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、静脈内投与用の液体として製剤化される。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、非経口投与用の液体として製剤化される。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、皮下(subQ)投与用の液体として製剤化される。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、筋肉内(IM)投与用の液体として製剤化される。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、骨内投与用の液体として製剤化される。
【0076】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る添加剤」は、医薬組成物を調製するのに有用な担体または添加剤を指す。例えば、薬学的に許容され得る添加剤は、一般に安全であり、哺乳動物の薬学的使用に一般に許容され得ると考えられる担体および添加剤を含む。非限定的な例として、薬学的に許容され得る添加剤は、凝集物中で活性成分のためのビヒクルまたは媒体として機能することができる固体、半固体または液体材料であり得る。薬学的に許容され得る添加剤のいくつかの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences and the Handbook of Pharmaceutical Excipientsに見られ、例としては、希釈剤、ビヒクル、担体、軟膏基剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味剤、香味剤、ゲル基剤、徐放性マトリックス、安定化剤、保存剤、溶媒、懸濁化剤、緩衝剤、乳化剤、染料、噴霧剤、コーティング剤などが挙げられる。
【0077】
一般に、添加剤または希釈剤の種類は、投与様式ならびに有効成分(複数可)の化学組成に基づいて選択される。非限定的な例として、非経口投与用の医薬組成物は、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス、および緩衝液のうちの1またはそれを超えるものをさらに含み得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る塩」という用語は、酸付加塩と塩基付加塩の両方を含む。薬学的に許容され得る酸付加塩の非限定的な例としては、塩化物塩、臭化物塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩およびアスコルビン酸塩が挙げられる。薬学的に許容され得る塩基付加塩の非限定的な例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム(置換および非置換)、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガンおよびアルミニウムの塩が挙げられる。薬学的に許容され得る塩は、例えば、医薬品の分野で周知の標準的な手順を使用して得ることができる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、例えば、生理学的条件下または加溶媒分解によって、本明細書に記載の生物学的に活性な化合物に変換され得る化合物を含む。したがって、「プロドラッグ」という用語は、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容され得る代謝前駆体を含む。プロドラッグの議論は、例えば、Higuchi,T.ら、’’Pro-drugs as Novel Delivery Systems,’’A.C.S.Symposium Series,Vol.14,and in Bioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に見出される。「プロドラッグ」という用語はまた、そのようなプロドラッグが対象に投与されたときにインビボで本明細書に記載の活性化合物(複数可)を放出する共有結合した担体を含む。プロドラッグの非限定的な例としては、本明細書に記載の化合物中のヒドロキシ官能基、カルボキシ官能基、メルカプト官能基およびアミノ官能基のエステルおよびアミド誘導体が挙げられる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「低減する」という用語は、少なくとも1%負に変化することを指し、限定するものではないが、少なくとも5%(例えば、5%)負に変化すること、少なくとも10%(例えば、10%)負に変化すること、少なくとも25%(例えば、25%)負に変化すること、少なくとも30%(例えば、30%)負に変化すること、少なくとも50%(例えば、50%)負に変化すること、少なくとも75%(例えば、75%)負に変化すること、100%負に変化すること、5%から10%負に変化すること、5%から15%負に変化すること、5%から25%負に変化することなどが挙げられる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置すること」または「処置」という用語は、障害または病状に関連して使用される場合、障害または病状の改善をもたらす任意の効果、例えば、軽減、減少、調節、改善、または排除を含む。その効果は、疾患またはその症状の発生を最初に完全にまたは部分的に予防するという点において予防的であり得、かつ/あるいは疾患および/または疾患に起因する有害作用の部分的または完全な治癒という点において治療的であり得る。非限定的な例として、本明細書で使用される「処置」などの用語は、哺乳動物、例えば、ヒトにおける、例えば、AMLまたはそのサブタイプのいずれかおよび関連する血液がんなどのがんの任意の処置を包含し、(a)対象、例えば、疾患にかかりやすいことが確認されたか、または疾患にかかるリスクがあるが、それを有するとまだ診断されていない対象において疾患が発生するのを予防すること、(b)例えば、処置の非存在下での疾患の予想される発症または進行と比較して、疾患の発症または進行を遅延させること、(c)疾患を阻害すること、すなわち、その発症を止めること、および/あるいは(d)疾患を軽減すること、すなわち、その疾患の退縮を引き起こすことを含む。障害または病状の任意の症状の改善または重症度の低減は、当技術分野で公知の標準的な方法および技術に従って容易に評価することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、「処置すること」とは、組成物、例えば、本明細書に開示されるような、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを含む組成物の有効用量または有効複数回用量を、AMLまたは別の関連するがんに罹患していることが疑われるか、またはすでに罹患している動物(ヒトを含む)に、例えば、皮下的に投与することを指す。
【0083】
いくつかの実施形態では、有効用量は、処置されている障害/疾患状態に関連する少なくとも1つの症状を部分的または完全に緩和する(すなわち、排除または低減する)用量、障害/疾患状態の発症または進行を遅らせ、遅延させ、または防止する用量、障害/疾患状態の進行を遅らせ、遅延させ、または防止する用量、疾患の程度を減少させる用量、1またはそれを超える症状を好転させる用量、疾患の寛解(部分的または全体)をもたらす用量、および/あるいは生存を延長する用量である。処置のために企図される疾患状態の例を本明細書に記載する。いくつかの実施形態では、患者は、現在がんを有しているか、がんの処置をかつて受け、寛解しているか、またはがんの処置後に再発するリスクがある。
【0084】
いくつかの実施形態では、「処置すること」はまた、疾患の1もしくはそれを超える症状ならびに/または疾患および/もしくはその合併症に関連する1もしくはそれを超える症状を軽減すること、排除すること、または少なくとも部分的に停止させること、ならびに任意の有益な効果を及ぼすことを指すことができる。
【0085】
本出願は、本明細書に開示される化合物の全ての異性体を想定している。本明細書で使用される「異性体」には、光学異性体(例えば、立体異性体、例えば、エナンチオマーおよびジアステレオ異性体)、幾何異性体(例えば、Z(zusammen)またはE(entgegen)異性体)、および互変異性体が含まれる。本開示は、その範囲内に、本化合物の全ての可能な幾何異性体、例えば、ZおよびE異性体(シスおよびトランス異性体)、ならびに本化合物の全ての可能な光学異性体、例えば、ジアステレオマーおよびエナンチオマーを含む。さらに、本開示は、その範囲内に、個々の異性体およびそれらの任意の混合物、例えば、ラセミ混合物の両方を含む。個々の異性体は、出発物質の対応する異性体形態を用いて得ることができ、または従来の分離方法に従って最終化合物の調製後に分離してもよい。光学異性体、例えば、エナンチオマーをそれらの混合物から分離するために、従来の分割方法、例えば、分別晶出を使用することができる。
【0086】
本開示は、その範囲内に、全ての可能な互変異性体を含む。さらに、本開示は、その範囲内に、個々の互変異性体およびそれらの任意の混合物の両方を含む。本明細書に開示される各化合物は、その範囲内に、全ての可能な互変異性形態を含む。さらに、本明細書に開示される各化合物は、その範囲内に、個々の互変異性形態およびそれらの任意の混合物の両方を含む。本出願の方法、使用および組成物に関して、1または複数の化合物への言及は、その化合物をその可能な異性体形態のそれぞれおよびそれらの混合物に包含することを意図している。本出願の化合物が1つの互変異性形態で示されている場合、その示されている構造は、他の全ての互変異性形態を包含することが意図されている。
非限定的な実施形態例:
【0087】
限定するものではないが、本開示のいくつかの実施形態は以下を含む。
1.がんの処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを対象に投与することを含む方法。
2.骨髄における正常な造血の維持の増強を必要とする対象における骨髄における正常な造血の維持を増強する方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを対象に投与することを含む方法。
3.白血病芽球を移動性にすることを必要とする対象において白血病芽球を移動性にする方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを対象に投与することを含む方法。
4.対象がヒトである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.対象ががん患者である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.対象が再発がん患者である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤との投与が、対象が寛解している日数を延長し、寛解までの日数を短縮し、がん細胞の転移を阻害し、かつ/または生存を改善する、実施形態1または4~6のいずれか1つに記載の方法。
8.対象が化学療法および/または放射線療法を受けているか、受けたことがあるか、または受ける予定である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.対象が2またはそれを超える化学療法剤(例えば、ミトキサントロン、エトポシド、およびシタラビンまたはフルダラビン、シタラビン、およびイダルビシンなど)を投与されているか、投与されたことがあるか、または投与される予定である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.対象が、ベラフェルミン、パリフェルミン、サリドマイドおよび/またはサリドマイド誘導体を投与されているか、投与されたことがあるか、または投与される予定である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.対象が、MMP阻害剤、炎症性サイトカイン阻害剤、肥満細胞阻害剤、NSAID、NO阻害剤、MDM2阻害剤、または抗微生物化合物を投与されているか、投与されたことがあるか、または投与される予定である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.がんが液体がんから選択される、実施形態1または4~11のいずれか1つに記載の方法。
13.がんが固形がんから選択される、実施形態1または4~11のいずれか1つに記載の方法。
14.がんが、結腸直腸がん、肝臓がん、胃がん、肺がん、脳がん、腎臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮がん、子宮内膜がん、乳がん、膵臓がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色腫、色素嫌性腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、胸腺腫、精巣胚細胞性腫瘍、および頭頸部扁平上皮癌から選択される、実施形態1または4~11のいずれか1つに記載の方法。
15.がんが、黒色腫、白血病、色素嫌性腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、リンパ腫、胸腺腫、精巣胚細胞腫瘍および頭頸部扁平上皮癌から選択される、実施形態1、4~11または14のいずれか1つに記載の方法。
16.白血病が、急性骨髄白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病および慢性骨髄性白血病から選択される、実施形態1、4~11、14または15のいずれか1つに記載の方法。
17.リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択される、実施形態1、4~11、14または15のいずれか1つに記載の方法。
18.骨髄腫が多発性骨髄腫である、実施形態1、4~11、14または15のいずれか1つに記載の方法。
19.黒色腫が、ぶどう膜黒色腫および皮膚黒色腫から選択される、実施形態1、4~11、14または15のいずれか1つに記載の方法。
20.がんがFLT3変異がんから選択される、実施形態1または4~11のいずれか1つに記載の方法。
21.がんがFLT3-ITD変異がんから選択される、実施形態1または4~12のいずれか1つに記載の方法。
22.がんがAMLである、実施形態1、4~12、14~16、20または21のいずれか1つに記載の方法。
23.がんが再発性/難治性AMLである、実施形態1、4~12、14~16または20~22のいずれか1つに記載の方法。
24.がんがFLT3-ITD変異AMLである、実施形態1、4~12、14~16または20~23のいずれか1つに記載の方法。
25.対象がFLT3の1またはそれを超える変異変化を有する、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
26.変異変化が、FLT3のチロシンキナーゼドメイン活性化ループ内の内部タンデム重複およびミスセンス変異から選択される、実施形態25に記載の方法。
27.変異変化が、FLT3のチロシンキナーゼドメイン活性化ループ内の内部タンデム重複から選択される、実施形態25または26に記載の方法。
28.変異変化が、FLT3のチロシンキナーゼドメイン活性化ループ内のミスセンス変異から選択される、実施形態25または26に記載の方法。
29.対象の芽球細胞が、非がん対象、新たに診断されたがん対象、または患者と同じがんを有する対象から得られた対照試料と比較して、FUT7の遺伝子発現レベルが上昇している、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
30.少なくとも1つのFLT3阻害剤および少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤を対象に投与することを含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
31.少なくとも1つのFLT3阻害剤および少なくとも1つのCXCR4阻害剤を対象に投与することを含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
32.少なくとも1つのFLT3阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤を対象に投与することを含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
33.少なくとも1つのFLT3阻害剤、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤および少なくとも1つのCXCR4阻害剤を対象に投与することを含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
34.少なくとも1つの阻害剤が、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
35.少なくとも1つの化合物が、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、(IIIa)、(IV)、(V)、(IVa/Va)、(IVb/Vb)、(VI)、(VII)および(VIII)の化合物ならびに前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
36.少なくとも1つの阻害剤が、
【化3】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
37.少なくとも1つの阻害剤が
【化4】
である、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
38.少なくとも1つの阻害剤が、
【化5】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
39.少なくとも1つの阻害剤が、
【化6】
である、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
40.方法が、5mg/kgから100mg/kg(例えば、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kgなど、例えば、5mg/kgから50mg/kg、10mg/kgから30mg/kg、10mg/kgから50mg/kgなど)の範囲の用量の少なくとも1つの阻害剤(例えば、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤、少なくとも1つのCXCR4阻害剤、またはE-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤など)を投与することを含む、実施形態1~29または34~39のいずれか1つに記載の方法。
41.方法が、1日当たり20mgから4000mg(例えば、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mgなど、例えば、800mgから3200mg/日、1000mgから2000mg/日)の固定用量の少なくとも1つの阻害剤(例えば、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤、少なくとも1つのCXCR4阻害剤、またはE-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤など)を投与することを含む、実施形態1~29または34~39のいずれか1つに記載の方法。
42.方法が、0.5mg/kgから100mg/kg(例えば、0.5mg/kg、1mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kgなど、例えば、5mg/kgから50mg/kg、10mg/kgから30mg/kg、10mg/kgから50mg/kgなど)の範囲の用量の少なくとも1つのFLT3阻害剤を投与することを含む、実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
43.方法が、1日当たり20mgから4000mg(例えば、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mgなど、例えば、800mgから3200mg/日、1000mgから2000mg/日)の固定用量の少なくともFLT3阻害剤を投与することを含む、実施形態1から41のいずれか1つに記載の方法。
44.少なくとも1つのFLT3阻害剤が、第一世代マルチキナーゼ阻害剤および次世代阻害剤から選択される、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
45.少なくとも1つのFLT3阻害剤が、ソラフェニブ、レスタウルチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、クレノラニブ、ギルテリチニブ、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
46.少なくとも1つのFLT3阻害剤がソラフェニブである、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
47.方法が、400mgの固定用量のソラフェニブを1日2回投与することを含む、実施形態46に記載の方法。
48.少なくとも1つのFLT3阻害剤がキザルチニブである、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
49.方法が、30mg、60mgまたは90mgの固定用量のキザルチニブを1日1回投与することを含む、実施形態48に記載の方法。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態は、がん患者を処置する方法であって、
1.がん患者から芽球細胞を含む生物学的試料を取得すること、またはすでに取得していること、
2.FUT7の遺伝子発現レベルを調べるために生物学的試料に対してアッセイを行うこと、またはすでにアッセイを行っていること、および
3.試料中の芽細胞が、非がん対象、新たに診断されたがん対象、または患者と同じがんを有する対象からの対照試料と比較して、FUT7の遺伝子発現レベルが上昇している場合、または
試料中の芽球細胞の少なくとも10%がFUT7を発現する場合に、
少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とをがん患者に投与すること、を含む方法に関する。
【0089】
遺伝子発現レベルを測定する方法は、当業者に公知である。遺伝子発現は、mRNA転写物の数または発現されるタンパク質の量によって測定され得る。mRNAの量を測定するための例示的な方法としては、サンガー配列決定、ハイスループット配列決定、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、逆転写酵素qPCR(RT-qPCR)、RNA配列決定、マイクロアレイ分析およびノーザンブロットが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、遺伝子発現レベルは、RNA-seqによって測定される。いくつかの実施形態では、遺伝子発現レベルは、高カバレッジmRNA配列決定によって測定される。
【0090】
いくつかの実施形態では、遺伝子発現レベルは、mRNAの量によって測定される。いくつかの実施形態では、上記方法は、FUT7をコードするmRNAの量を測定することを含む。
【0091】
遺伝子発現はまた、患者の試料中のタンパク質の量によって測定され得る。タンパク質の量を測定するための例示的な方法としては、免疫染色、免疫組織化学、親和性精製、質量分析、ウェスタンブロッティングおよび酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
いくつかの実施形態では、遺伝子発現レベルは、患者の試料中のタンパク質の量によって測定される。いくつかの実施形態では、上記方法は、患者の試料中のFUT7タンパク質の量を測定することを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、上記方法は、FLT3の1またはそれを超える変異変化の存在を判定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、変異変化は、FLT3のチロシンキナーゼドメイン活性化ループ内の内部タンデム重複およびミスセンス変異から選択される。
【0094】
いくつかの実施形態では、1またはそれを超える診断アッセイは、FLT3 AML細胞の表面上のE-セレクチンリガンドの発現を検出するアッセイを含み得、フロー分析、フローサイトメトリー、または適切な試薬を使用した免疫組織学を含み得る。いくつかの実施形態では、免疫組織学のための試薬として、HECA-452-FITCモノクローナル抗体、または同様の試薬を挙げることができる。他の実施形態では、免疫組織学のための試薬として、E-セレクチン/hIgキメラ/PEまたは同様の試薬を挙げることができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、がん患者は再発がん患者である。
【0096】
いくつかの実施形態では、がん患者は、固形がんおよび液体がんから選択されるがんを有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、がん患者は、結腸直腸がん、肝臓がん、胃がん、肺がん、脳がん、腎臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮がん、子宮内膜がん、乳がん、膵臓がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色腫、色素嫌性腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、胸腺腫、精巣胚細胞性腫瘍、および頭頸部扁平上皮癌から選択される1またはそれを超えるがんを有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫、白血病、色素嫌性腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、リンパ腫、胸腺腫、精巣胚細胞腫瘍、および頭頸部扁平上皮癌から選択される1またはそれを超えるがんを有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、白血病は、急性骨髄白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、および慢性骨髄性白血病から選択される。
【0100】
いくつかの実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択される。
【0101】
いくつかの実施形態では、骨髄腫は多発性骨髄腫である。
【0102】
いくつかの実施態様では、黒色腫は、ぶどう膜黒色腫および皮膚黒色腫から選択される。
【0103】
本開示の実施形態のいくつかは、がんの処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを対象に投与することを含む方法に関する。
【0104】
本開示の実施形態のいくつかは、骨髄における正常な造血の維持の増強を必要とする対象における骨髄における正常な造血の維持を増強する方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを対象に投与することを含む方法に関する。
【0105】
本開示の実施形態のいくつかは、白血病芽球を移動性にすることを必要とする対象において白血病芽球を移動性にする方法であって、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤とを対象に投与することを含む方法に関する。
【0106】
いくつかの実施形態では、対象は、FLT3の1またはそれを超える変異変化を有する。いくつかの実施形態では、変異変化は、FLT3のチロシンキナーゼドメイン活性化ループ内の内部タンデム重複およびミスセンス変異から選択される。
【0107】
いくつかの実施形態では、対象の芽球細胞は、非がん対象、新たに診断されたがん対象、または患者と同じがんを有する対象からの対照試料と比較して、FUT7の遺伝子発現レベルが上昇している。
【0108】
いくつかの実施形態では、対象はがん患者である。いくつかの実施形態では、対象は再発がん患者である。
【0109】
いくつかの実施形態では、対象は、固形がんおよび液体がんから選択されるがんを有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、対象は、結腸直腸がん、肝臓がん、胃がん、肺がん、脳がん、腎臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮がん、子宮内膜がん、乳がん、膵臓がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色腫、色素嫌性腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、胸腺腫、精巣胚細胞性腫瘍、および頭頸部扁平上皮癌から選択される1またはそれを超えるがんを有する。
【0111】
いくつかの実施形態では、対象は、黒色腫、白血病、色素嫌性腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、リンパ腫、胸腺腫、精巣胚細胞腫瘍、および頭頸部扁平上皮癌から選択される1またはそれを超えるがんを有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、白血病は、急性骨髄白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、および慢性骨髄性白血病から選択される。
【0113】
いくつかの実施形態では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択される。
【0114】
いくつかの実施形態では、骨髄腫は多発性骨髄腫である。
【0115】
いくつかの実施態様では、黒色腫は、ぶどう膜黒色腫および皮膚黒色腫から選択される。
【0116】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤との投与は、対象が寛解している日数を延長し、寛解までの日数を短縮し、がん細胞の転移を阻害し、かつ/または生存を改善する。
【0117】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象がAMLを有する場合、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチン阻害剤、CXCR4阻害剤、ならびにE-セレクチンおよびCXCR4のヘテロ二機能阻害剤から選択される少なくとも1つの阻害剤との投与は、対象が寛解している日数を延長し、寛解までの日数を短縮し、AML細胞の転移を阻害し、かつ/または生存を改善する。
【0118】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は、化学療法および/もしくは放射線療法を受けているか、受けたことがあるか、または受ける予定である。いくつかの実施形態では、対象は、2またはそれを超える化学療法剤、例えば、ミトキサントロン、エトポシドおよびシタラビン、またはフルダラビン、シタラビンおよびイダルビシンなど、を投与されているか、投与されたことがあるか、投与される予定である。いくつかの実施形態では、対象は、ベラフェルミン、パリフェルミン、サリドマイド、および/またはサリドマイド誘導体を投与されているか、投与されたことがあるか、投与される予定である。
【0119】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は、MMP阻害剤、炎症性サイトカイン阻害剤、肥満細胞阻害剤、NSAID、NO阻害剤、MDM2阻害剤、または抗微生物化合物を投与されているか、投与されたことがあるか、投与される予定である。
【0120】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤は、
【化7】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0121】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤は、
【化8】
である。
【0122】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤は、
【化9】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0123】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤は、
【化10】
である。
【0124】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤は、ソラフェニブ、レスタウルチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、クレノラニブ、ギルテリチニブ、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤は、ソラフェニブ、レスタウルチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、クレノラニブ、およびギルテリチニブから選択される。
【0125】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤は、第一世代マルチキナーゼ阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤は、ソラフェニブ、レスタウルチニブ、ミドスタウリンおよび前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0126】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤は、次世代阻害剤から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤は、キザルチニブ、クレノラニブ、ギルテリチニブ、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0127】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤は、ソラフェニブ、キザルチニブ、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤はソラフェニブである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのFLT3阻害剤はキザルチニブである。
【0128】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤とを対象に投与することを含む。
【0129】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、少なくとも1つのCXCR4阻害剤とを対象に投与することを含む。
【0130】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、E-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤とを対象に投与することを含む。
【0131】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つのFLT3阻害剤と、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤と、少なくとも1つのCXCR4阻害剤とを対象に投与することを含む。
【0132】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、5mg/kgから100mg/kg(例えば、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kgなど、例えば、5mg/kgから50mg/kg、10mg/kgから30mg/kg、10mg/kgから50mg/kgなど)の範囲の用量の少なくとも1つの阻害剤を投与することを含む。
【0133】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、5mg/kgから100mg/kg(例えば、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kgなど、例えば、5mg/kgから50mg/kg、10mg/kgから30mg/kg、10mg/kgから50mg/kgなど)の範囲の用量の少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤を投与することを含む。
【0134】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、5mg/kgから100mg/kg(例えば、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kgなど、例えば、5mg/kgから50mg/kg、10mg/kgから30mg/kg、10mg/kgから50mg/kgなど)の範囲の用量の少なくとも1つのCXCR4阻害剤を投与することを含む。
【0135】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、5mg/kgから100mg/kg(例えば、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kgなど、例えば、5mg/kgから50mg/kg、10mg/kgから30mg/kg、10mg/kgから50mg/kgなど)の範囲の用量のE-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤を投与することを含む。
【0136】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、0.5mg/kgから100mg/kg(例えば、0.5mg/kg、1mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kgなど、例えば、5mg/kgから50mg/kg、10mg/kgから30mg/kg、10mg/kgから50mg/kgなど)の範囲の用量の少なくとも1つのFLT3阻害剤を投与することを含む。
【0137】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1日当たり20mgから4000mg(例えば、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mgなど、例えば、800mgから3200mg/日、1000mgから2000mg/日)の固定用量の少なくとも1つの阻害剤を投与することを含む。
【0138】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1日当たり20mgから4000mg(例えば、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mgなど、例えば、800mgから3200mg/日、1000mgから2000mg/日)の固定用量の少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤を投与することを含む。
【0139】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1日当たり20mgから4000mg(例えば、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mgなど、例えば、800mgから3200mg/日、1000mgから2000mg/日)の固定用量の少なくとも1つのCXCR4阻害剤を投与することを含む。
【0140】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1日当たり20mgから4000mg(例えば、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mgなど、例えば、800mgから3200mg/日、1000mgから2000mg/日)の固定用量のE-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤を投与することを含む。
【0141】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1日当たり20mgから4000mg(例えば、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mgなど、例えば、800mgから3200mg/日、1000mgから2000mg/日)の固定用量の少なくとも1つのFLT3阻害剤を投与することを含む。
【0142】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、1日当たり20mgから4000mg(例えば、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mgなど、例えば、800mgから3200mg/日、1000mgから2000mg/日)の固定用量のソラフェニブを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、800mg/日の固定用量のソラフェニブを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、400mgの固定用量のソラフェニブを1日2回投与することを含む。
【0143】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施態様では、本方法は、1日当たり20mgから500mg(例えば、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、300mg、400mg、500mg、例えば、20mgから100mg/日、30mgから90mg/日)の固定用量のキザルチニブを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1日当たり30mg、60mgまたは90mgの固定用量のキザルチニブを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1日当たり30mg、60mgまたは90mgの固定用量のキザルチニブを1回投与することを含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、式(I)の化合物:
【化11】
式(I)の異性体、式(I)の互変異性体、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択され、式中、
は、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から選択され、
は、H、-M、および-L-Mから選択され、
は、-OH基、-NH基、-OC(=O)Y基、-NHC(=O)Y基および-NHC(=O)NHY基から選択され、式中、Yは、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基、C6~18アリール基およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、
は、-OH基および-NZ基から選択され、式中、ZおよびZは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立して、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から選択され、式中、ZおよびZは一緒になって環を形成していてもよく、
は、C3~8シクロアルキル基から選択され、
は、-OH基、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から選択され、
は、-CHOH基、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から選択され、
は、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から選択され、
Lは、リンカー基から選択され、
Mは、ポリエチレングリコール、チアゾリル、クロメニル、-C(=O)NH(CH1~4NH基、C1~8アルキル基、および-C(=O)OY基から選択される非糖模倣部分であり、Yは、C1~4アルキル基、C2~4アルケニル基、およびC2~4アルキニル基から選択される。
【0145】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、非糖模倣部分がポリエチレングリコールを含む式(I)の化合物から選択される。
【0146】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、Lが-C(=O)NH(CH1~4NHC(=O)-であり、非糖模倣部分がポリエチレングリコールを含む式(I)の化合物から選択される。
【0147】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、式(Ia)の化合物:
【化12】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択され、式中、nは1から100の範囲の整数から選択される。いくつかの実施形態では、nは、4、8、12、16、20、24および28から選択される。いくつかの実施形態では、nは、12である。
【0148】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、化合物B:
【化13】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0149】
いくつかの実施形態では、E-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤は、式(II)の化合物:
【化14】
式(II)の異性体、式(II)の互変異性体、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択され、式中、
は、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から選択され、
は、-OH基、-NH基、-OC(=O)Y基、-NHC(=O)Y基および-NHC(=O)NHY基から選択され、式中、Yは、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基、C6~18アリール基およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、
は、-CN基、-CHCN基および-C(=O)Y基から選択され、Yは、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、-OZ基、-NHOH基、-NHOCH基、-NHCN基および-NZ基から選択され、式中、ZおよびZは、同一でも異なっていてもよく、独立して、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から選択され、ZおよびZは一緒になって環を形成していてもよく、
は、C3~8シクロアルキル基から選択され、
は、H、ハロ基、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から独立して選択され、
nは、1から4の範囲の整数から選択され、
Lは、リンカー基から選択される。
【0150】
いくつかの実施形態では、E-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤は、式(IIa)の化合物:
【化15】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0151】
いくつかの実施形態では、E-セレクチンおよびCXCR4の少なくとも1つのヘテロ二機能阻害剤は、化合物A:
【化16】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0152】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、式(III)の化合物:
【化17】
式(III)の異性体、式(III)の互変異性体、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択されるヘテロ二機能汎セレクチンアンタゴニストであり、式中、
は、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、
【化18】
基から選択され、
は、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、-OH基、-OX基、ハロ基、-NH基、-OC(=O)X基、-NHC(=O)X基および-NHC(=O)NHX基から選択され、式中、Xは、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、C2~12ヘテロシクリル基、C6~18アリール基およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、
は、-CN基、-CHCN基および-C(=O)X基から選択され、式中、Xは、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、-OY基、-NHOH基、-NHOCH基、-NHCN基および-NY基から選択され、式中、YおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基およびC4~16シクロアルキルアルキル基から独立して選択され、式中、YおよびYは、一緒に結合して環を形成してもよく、
は、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基および-C(=O)R基から選択され、
各Rは、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、
【化19】
【化20】
基から独立して選択され、
式中、各Xは、H、-OH基、Cl、F、N、-NH基、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C6~14アリール基、-OC1~8アルキル基、-OC2~8アルケニル基、-OC2~8アルキニル基、および-OC6~14アリール基から独立して選択され、式中、上記の環化合物のいずれかは、Cl、F、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C6~14アリール基、および-OY基から独立して選択される1から3個の基で置換されていてもよく、式中、Yは、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、およびC6~14アリール基から選択され、
nは、0から2の範囲の整数から選択され、
pは、0から3の範囲の整数から選択され、
Lは、リンカー基から選択され、
Zは、ベンジルアミノスルホン酸基から選択される。
【0153】
ベンジルアミノスルホン酸(BASA)は、セレクチンと相互作用する能力を有する低分子量硫酸化化合物である。その相互作用は、セレクチン媒介機能(例えば、細胞間相互作用)を調節(例えば、阻害または増強)するかまたはこの調節を補助する。それらは、それらのプロトン化酸形態として、またはナトリウム塩としてのいずれかで存在するが、ナトリウムはカリウムまたは任意の他の薬学的に許容され得る対イオンで置き換えられ得る。
【0154】
開示された化合物に適したBASAに関するさらなる開示は、2014年2月25日に発行された米国再発行特許第RE44,778号および2018年12月27日に公開された米国特許出願公開第US2018/0369205号に見出すことができ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0155】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、式(IIIa)の化合物:
【化21】
式(IIIa)の互変異性体、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択されるヘテロ二機能汎セレクチンアンタゴニストである。
【0156】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、化合物C:
【化22】
化合物Cの互変異性体、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択されるヘテロ二機能汎セレクチンアンタゴニストである。
【0157】
いくつかの実施形態では、式(I)、式(II)および/または式(III)のリンカー基は、スペーサー基を含む基、例えば、-(CH-および-O(CH-(式中、pは1から30の範囲の整数から選択される)などのスペーサー基から独立して選択される。いくつかの実施形態では、pは、1から20の範囲の整数から選択される。
【0158】
スペーサー基の他の非限定的な例としては、カルボニル基および、例えば、アミド基などのカルボニル含有基が挙げられる。
【0159】
いくつかの実施形態では、式(I)、式(II)および/または式(III)のリンカー基は、
【化23】
から選択される。
【0160】
いくつかの実施形態では、式(I)、式(II)および/または式(III)のリンカー基は、
【化24】
から選択される。
【0161】
例えば、ポリエチレングリコール(PEG)および-C(=O)-NH-(CH-C(=O)-NH-(式中、pは1から30の範囲の整数から選択され、またはpは1から20の範囲の整数から選択される)などの他のリンカー基は、当業者および/または本開示を十分に把握している者にはよく知られているであろう。
【0162】
いくつかの実施形態では、式(I)、式(II)および/または式(III)のリンカー基は、
【化25】
から選択される。
【0163】
いくつかの実施形態では、式(I)、式(II)および/または式(III)のリンカー基は、
【化26】
から選択される。
【0164】
いくつかの実施形態では、式(I)、式(II)および/または式(III)のリンカー基は、
【化27】
から選択される。
【0165】
いくつかの実施形態では、式(I)、式(II)および/または式(III)のリンカー基は、-C(=O)NH(CHNH-、-CHNHCH-および-C(=O)NHCH-から選択される。いくつかの実施形態では、リンカー基は、-C(=O)NH(CHNH-である。
【0166】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、式(IV)の化合物:
【化28】
式(IV)のプロドラッグ、式(IV)の異性体、式(IV)の互変異性体、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択され、式中、
各Rは、同一でも異なっていてもよく、H、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基、C2~12アルキニル基、および-NHC(=O)R基から独立して選択され、式中、各Rは、同一でも異なっていてもよく、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基、C2~12アルキニル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から独立して選択され、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、ハロ基、-OY基、-NY基、-OC(=O)Y基、-NHC(=O)Y基、および-NHC(=O)NY基から独立して選択され、式中、各Yおよび各Yは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基、C2~12アルキニル基、C1~12ハロアルキル基、C2~12ハロアルケニル基、C2~12ハロアルキニル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から独立して選択され、式中、YおよびYは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、
【化29】
から独立して選択され、
式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~12アルキルおよびC1~12ハロアルキル基から独立して選択され、式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、-OY基、-NHOH基、-NHOCH基、-NHCN基および-NY基から独立して選択され、式中、各Yおよび各Yは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から独立して選択され、式中、YおよびYは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、-CN基、C1~4アルキル基、およびC1~4ハロアルキル基から独立して選択され、
mは、2から256の範囲の整数から選択され、
Lは、リンカー基から選択される。
【0167】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、式(V)の化合物:
【化30】
式(V)のプロドラッグ、式(V)の異性体、式(V)の互変異性体、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択され、式中、
各Rは、同一でも異なっていてもよく、H、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基、C2~12アルキニル基、および-NHC(=O)R基から独立して選択され、式中、各Rは、同一でも異なっていてもよく、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基、C2~12アルキニル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から独立して選択され、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、ハロ基、-OY基、-NY基、-OC(=O)Y基、-NHC(=O)Y基、および-NHC(=O)NY基から独立して選択され、式中、各Yおよび各Yは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基、C2~12アルキニル基、C1~12ハロアルキル基、C2~12ハロアルケニル基、C2~12ハロアルキニル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から独立して選択され、式中、YおよびYは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、
【化31】
から独立して選択され、
式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~12アルキルおよびC1~12ハロアルキル基から独立して選択され、式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、-OY基、-NHOH基、-NHOCH基、-NHCN基および-NY基から独立して選択され、式中、各Yおよび各Yは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から独立して選択され、式中、YおよびYは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、-CN基、C1~4アルキル基、およびC1~4ハロアルキル基から独立して選択され、
mは2であり、
Lは、
【化32】
から選択され、
式中、Qは、
【化33】
から選択され、
式中、Rは、H、C1~8アルキル基、C6~18アリール基、C7~19アリールアルキル基、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、各pは、同一であっても異なっていてもよく、0から250の範囲の整数から独立して選択される。
【0168】
いくつかの実施形態では、式(IV)または式(V)の少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、下記の式(IVa/Va)の化合物から選択される(上記の式(IV)または(V)についてのLおよびmの定義を参照のこと)。
【化34】
【0169】
いくつかの実施形態では、式(IV)または式(V)の少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、下記の式(IVb/Vb)の化合物から選択される(上記の式(IV)または(V)についてのLおよびmの定義を参照のこと)。
【化35】
【0170】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、化合物D:
【化36】
である。
【0171】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、式(VI)の化合物
【化37】
式(VI)のプロドラッグ、式(VI)の異性体、式(VI)の互変異性体、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択されるE-セレクチンおよびガレクチン-3のヘテロ二機能阻害剤であり、式中、
は、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基、
【化38】
【化39】
基から選択され、
式中、nは、0から2の範囲の整数から選択され、Rは、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、および-C(=O)R基から選択され、各Rは、独立して、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、
は、-OH基、-OY基、ハロ基、-NH基、-NY基、-OC(=O)Y基、-NHC(=O)Y基、および-NHC(=O)NHY基から選択され、式中、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、独立して、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、C2~12ヘテロシクリル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、式中、YおよびYは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、
は、-CN基、-CHCN基および-C(=O)Y基から選択され、式中、Yは、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、-OZ基、-NHOH基、-NHOCH基、-NHCN基および-NZ基から選択され、式中、ZおよびZは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基およびC7~12アリールアルキル基から独立して選択され、式中、ZおよびZは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成してもよく、
は、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基およびC6~18アリール基から選択され、
は、-CN基、C1~8アルキル基およびC1~4ハロアルキル基から選択され、
Mは、
【化40】
基から選択され、式中、Xは、OおよびSから選択され、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、独立して、C6~18アリール基、C1~13ヘテロアリール基、C7~19アリールアルキル基、C7~19アリールアルコキシ基、C2~14ヘテロアリールアルキル基、C2~14ヘテロアリールアルコキシ基、および-NHC(=O)Y基から選択され、式中、Yは、C1~8アルキル基、C2~12ヘテロシクリル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、
Lは、リンカー基から選択される。
【0172】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、以下の式:
【化41】
【化42】
を有する化合物から選択される。
【0173】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、以下の式:
【化43】
【化44】
を有する化合物、並びに
前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0174】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、以下の式:
【化45】
【化46】
を有する化合物から選択される。
【0175】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、以下の式:
【化47】
【化48】
を有する化合物、並びに
前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0176】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、化合物Eである。
【化49】
【0177】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、式(VII)の化合物:
【化50】
式(VII)のプロドラッグ、式(VII)の異性体、式(VII)の互変異性体、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択され、式中、
は、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基、
【化51】
【化52】
基から選択され、式中、nは、0から2の範囲の整数から選択され、Rは、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、および-C(=O)R基から選択され、各Rは、独立して、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、
は、-OH基、-OY基、ハロ基、-NH基、-NY基、-OC(=O)Y基、-NHC(=O)Y基、および-NHC(=O)NHY基から選択され、式中、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、独立して、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、C2~12ヘテロシクリル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、または、YおよびYは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成し、
は、-CN基、-CHCN基および-C(=O)Y基から選択され、式中、Yは、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、-OZ基、-NHOH基、-NHOCH基、-NHCN基および-NZ基から選択され、式中、ZおよびZは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基およびC7~12アリールアルキル基から独立して選択され、または、ZおよびZは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成し、
は、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基およびC6~18アリール基から選択され、
は、-CN基、C1~8アルキル基およびC1~4ハロアルキル基から選択され、
Mは、
【化53】
基から選択され、
式中、
Xは、-O-、-S-、-C-、および-N(R10)-から選択され、式中、R10は、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、およびC2~8ハロアルキニル基から選択され、
Qは、H、ハロ基および-OZ基から選択され、式中、Zは、HおよびC1~8アルキル基から選択され、
は、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、C6~18アリール基、C1~13ヘテロアリール基、C7~19アリールアルキル基、およびC2~14ヘテロアリールアルキル基から選択され、ここでC1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、C6~18アリール基、C1~13ヘテロアリール基、C7~19アリールアルキル基、およびC2~14ヘテロアリールアルキル基は、必要に応じて、ハロ基、C1~8アルキル基、C1~8ヒドロキシアルキル基、C1~8ハロアルキル基、C6~18アリール基、-OZ基、-C(=O)OZ基、-C(=O)NZ基および-SO基から独立して選択される1またはそれを超える基で置換されており、式中、ZおよびZは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~8アルキル基およびC1~8ハロアルキル基から独立して選択され、またはZおよびZは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成し、
は、C6~18アリール基およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、ここでC6~18アリール基およびC1~13ヘテロアリール基は、必要に応じて、R11、C1~8アルキル基、C1~8ハロアルキル基、-C(=O)OZおよび-C(=O)NZ基から独立して選択される1またはそれを超える基で置換されており、式中、R11は、必要に応じて、ハロ基、C1~8アルキル基、-OZ基、-C(=O)OZ基および-C(=O)NZ基から独立して選択される1またはそれを超える基で置換されたC6~18アリール基から独立して選択され、式中、Z、Z、ZおよびZは、同一であっても異なっていてもよく、HおよびC1~8アルキル基から独立して選択され、またはZおよびZは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成し、かつ/またはZおよびZは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成し、
式中、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZのそれぞれは、必要に応じて、ハロ基および-OR12基から独立して選択される1またはそれを超える基で置換されており、式中、R12は、HおよびC1~8アルキル基から独立して選択され、
Lは、リンカー基から選択される。
【0178】
式(VII)のいくつかの実施形態では、Mは、
【化54】
基から選択される。
【0179】
式(VII)のいくつかの実施形態では、Mは、
【化55】
基から選択される。
【0180】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、スペーサー基、例えば、-(CH2)-および-O(CH2)-(式中、tは1から20の範囲の整数から選択される)などのスペーサー基を含む基から選択され得る。スペーサー基の他の非限定的な例としては、カルボニル基および、例えば、アミド基などのカルボニル含有基が挙げられる。スペーサー基の非限定的な例は、
【化56】
である。
【0181】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化57】
から選択される。
【0182】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、ポリエチレングリコール(PEG)、-C(=O)NH(CHO-基、-C(=O)NH(CHNHC(=O)基、-C(=O)NHC(=O)(CH)NH-基、および-C(=O)NH(CHC(=O)NH-基から選択され、式中、vは、2から20の範囲の整数から選択される。いくつかの実施形態では、vは、2から4の範囲の整数から選択される。いくつかの実施形態では、vは、2である。いくつかの実施形態では、vは、3である。いくつかの実施形態では、vは、4である。
【0183】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化58】
である。
【0184】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化59】
である。
【0185】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化60】
である。
【0186】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化61】
である。
【0187】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化62】
である。
【0188】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化63】
である。
【0189】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化64】
である。
【0190】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化65】
である。
【0191】
式(VII)のいくつかの実施形態では、リンカー基は、
【化66】
である。
【0192】
式(VII)の化合物の合成を示す図および例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT国際出願公開第2020/139962号に示されている。
【0193】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのE-セレクチン阻害剤は、式(VIII)の化合物:
【化67】
式(VIII)のプロドラッグ、および前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される、E-セレクチン、ガレクチン-3、および/またはCXCR4の多量体阻害剤であり、式中、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基、C2~12アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基、C2~8ハロアルキニル基、
【化68】
基から独立して選択され、
式中、各nは、同一であっても異なっていてもよく、0から2の範囲の整数から選択され、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、および-C(=O)R基から独立して選択され、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基、C6~18アリール基、およびC1~13ヘテロアリール基から独立して選択され、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、H、非糖模倣部分およびリンカー-非糖模倣部分から独立して選択され、ここで、各非糖模倣部分は、同一であっても異なっていてもよく、ガレクチン-3阻害剤、CXCR4ケモカイン受容体阻害剤、ポリエチレングリコール、チアゾリル、クロメニル、C1~8アルキル、R、C6~18アリール-R、C1~12ヘテロアリール-R
【化69】
基から独立して選択され、
式中、各Yは、同一であっても異なっていてもよく、C1~4アルキル基、C2~4アルケニル基およびC2~4アルキニル基から独立して選択され、式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、-OH基、-OSOQ基、-OPO基、-COQ基および-SOQ基から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたC1~12アルキル基、ならびに-OH基、-OSOQ基、-OPO基、-COQ基および-SOQ基から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたC2~12アルケニル基から独立して選択され、式中、各Qは、同一であっても異なっていてもよく、Hおよび薬学的に許容され得るカチオンから独立して選択され、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、-CN基、-CHCN基、および-C(=O)Y基から独立して選択され、式中、各Yは、同一であっても異なっていてもよく、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、-OZ基、-NHOH基、-NHOCH基、-NHCN基、および-NZ基から独立して選択され、式中、各ZおよびZは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基、C2~12アルキニル基、C1~12ハロアルキル基、C2~12ハロアルケニル基、C2~12ハロアルキニル基、およびC7~12アリールアルキル基から独立して選択され、式中、ZおよびZは、それらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成していてもよく、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~12アルキル基、C2~12アルケニル基、C2~12アルキニル基、C1~12ハロアルキル基、C2~12ハロアルケニル基、C2~12ハロアルキニル基、C4~16シクロアルキルアルキル基およびC6~18アリール基から独立して選択され、
各Rは、同一であっても異なっていてもよく、-CN基、C1~12アルキル基、およびC1~12ハロアルキル基から独立して選択され、
各Xは、同一であっても異なっていてもよく、-O-、および-N(R)-から独立して選択され、式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、H、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8ハロアルキル基、C2~8ハロアルケニル基およびC2~8ハロアルキニル基から独立して選択され、
mは、2から256の範囲の整数から選択され、
Lは、リンカー基から独立して選択される。
【0194】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのリンカー基は、スペーサー基、例えば-(CH2)z-および-O(CH2)z-(式中、zは1から250の範囲の整数から選択される)などのスペーサー基を含む基から選択される。スペーサー基の他の非限定的な例としては、カルボニル基および、例えば、アミド基などのカルボニル含有基が挙げられる。スペーサー基の非限定的な例は、
【化70】
である。
【0195】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのリンカー基は、
【化71】
【化72】
【化73】
基から選択される。
【0196】
式(VIII)のある特定の実施形態のための他のリンカー基、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)および-C(=O)-NH-(CH-C(=O)-NH-(式中、zは1から250の範囲の整数から選択される)は、当業者および/または本開示を十分に把握している者によく知られているであろう。
【0197】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのリンカー基は、
【化74】
である。
【0198】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのリンカー基は、
【化75】
である。
【0199】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのリンカー基は、-C(=O)NH(CHNH-、-CHNHCH-、および-C(=O)NHCH-から選択される。式(VIII)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのリンカー基は-C(=O)NH(CHNH-である。
【0200】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、デンドリマーから選択される。式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、ポリアミドアミン(「PAMAM」)デンドリマーから選択される。式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、コハク酸を含むPAMAMデンドリマーから選択される。式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、四量体を生成するPAMAM GOである。式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、八量体を生成するPAMAM G1である。式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、16量体を生成するPAMAM G2である。式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、32量体を生成するPAMAM G3である。式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、64量体を生成するPAMAM G4である。いくつかの実施形態では、Lは、128量体を生成するPAMAM G5である。
【0201】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、mは、2であり、Lは、
【化76】
基から選択され、
式中、Uは、
【化77】
基から選択され、
式中、R14は、H、C1~8アルキル基、C6~18アリール基、C7~19アリールアルキル基、およびC1~13ヘテロアリール基から選択され、各yは、同一でも異なっていてもよく、0から250の範囲の整数から独立して選択される。式(VIII)のいくつかの実施形態では、R14はC1~8アルキルから選択される。式(VIII)のいくつかの実施形態では、R14はC7~19アリールアルキルから選択される。式(VIII)のいくつかの実施形態では、R14はHである。式(VIII)のいくつかの実施形態では、R14はベンジルである。
【0202】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化78】
【化79】
から選択され、
式中、yは、0から250の範囲の整数から選択される。
【0203】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化80】
基から選択され、
式中、yは、0から250の範囲の整数から選択される。
【0204】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化81】
である。
【0205】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化82】
基から選択され、
式中、yは、0から250の範囲の整数から選択される。
【0206】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化83】
基から選択され、
式中、yは、0から250の範囲の整数から選択される。
【0207】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化84】
から選択される。
【0208】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化85】
である。
【0209】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化86】
基から選択され、
式中、yは、0から250の範囲の整数から選択される。
【0210】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化87】
である。
【0211】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化88】
である。
【0212】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化89】
である。
【0213】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化90】
【化91】
から選択される。
【0214】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化92】
である。
【0215】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化93】
基から選択され、
式中、各yは、同一であっても異なっていてもよく、0から250の範囲の整数から独立して選択される。
【0216】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化94】
から選択され、
式中、各yは、同一であっても異なっていてもよく、0から250の範囲の整数から独立して選択される。
【0217】
式(VIII)のいくつかの実施形態では、Lは、
【化95】
から選択される。
【0218】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化合物は、各Rが同一であり、各Rが同一であり、各Rが同一であり、各Rが同一であり、各Rが同一であり、各Xが同一である、式(VIII)の化合物から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化合物は、式(VIII)の化合物から選択され、当該化合物は対称である。
【0219】
式(VIII)の化合物の合成を示す図および例は、参照により本明細書に組み込まれるPCT国際出願公開第2020/219417号に示されている。
【0220】
併せて、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、(IIIa)、(IV)、(V)、(IVa/Va)、(IVb/Vb)、(VI)、(VII)および(VIII)の化合物から選択される少なくとも1つの阻害剤を含む医薬組成物も提供される。これらの化合物および組成物は、本明細書に記載の方法で使用され得る。いくつかの実施形態では、化合物A、化合物B、化合物C、化合物Dおよび化合物Eから選択される少なくとも1つの阻害剤を含む医薬組成物が提供される。これらの化合物および組成物は、本明細書に記載の方法で使用され得る。
【0221】
併せて、少なくとも1つの薬学的に許容され得る添加剤と、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、(IIIa)、(IV)、(V)、(IVa/Va)、(IVb/Vb)、(VI)、(VII)および(VIII)の化合物、ならびに前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される、少なくとも1つの阻害剤とを含む医薬組成物も提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬学的に許容され得る添加剤と、化合物A、化合物B、化合物C、化合物Dおよび化合物E、ならびに前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される少なくとも1つの阻害剤とを含む、医薬組成物が提供される。これらの化合物および組成物は、本明細書に記載の方法で使用され得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤が、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、(IIIa)、(IV)、(V)、(IVa/Va)、(IVb/Vb)、(VI)、(VII)および(VIII)の化合物ならびに前述のもののいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤が、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、(IIIa)、(IV)、(V)、(IVa/Va)、(IVb/Vb)、(VI)、(VII)および(VIII)の化合物から選択される。
【0223】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤は化合物Aである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤は化合物Bである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤は化合物Cである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤は化合物Dである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの阻害剤は化合物Eである。
【実施例
【0224】
以下の実施例は、例示を意図しており、いかなる形であれ、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0225】
細胞表面E-セレクチンリガンドおよびCXCR4の発現レベルを、FLT3変異白血病細胞(図1B~1C、2A~2B)においてE-セレクチン-IgGキメラおよびCXCR4で染色した後、フローサイトメトリーによって評価した。FLT3変異白血病細胞は、それぞれ最大約5.6倍および10倍の高レベルのE-セレクチンリガンドおよびCXCR4を発現することが見出された。
【0226】
E-セレクチン阻害剤である化合物B、CXCR4阻害剤であるプレリキサフォル、またはE-セレクチン/CXCR4二重阻害剤である化合物Aで1時間前処理した後、MOLM14細胞を、予めコーティングしたケモカイン層に20時間播種した。トリパンブルー色素排除法によって、付着した細胞を定量した(図3A)。細胞ホーミングの評価のために、細胞をインサートに16時間播種した。移動した細胞を、フローサイトメトリーによって外チャンバー中のhCD45陽性細胞を計数することによって決定した(図3B)。
【0227】
MOLM14細胞を、化合物Bまたは化合物Aで2時間前処置した後、ソラフェニブで48時間処置した。CD45+集団に対するゲーティング後にアネキシンV陽性を測定することによって、フローサイトメトリーを用いてアポトーシス誘導を決定した(図3C)。
【0228】
化合物AによるE-セレクチン/CXCR4の遮断は、白血病細胞接着およびBMニッチ成分への移動を減少させ、インビトロでソラフェニブ誘導アポトーシス促進効果を増強した。
【0229】
FLT3-ITD変異AML患者の試料から得られた細胞を照射NSGマウスに注射した(図4A)。これらの細胞を取り出した患者は、ソラフェニブ/DACおよびソラフェニブ/CLIAを含む6化学療法レジメン後に処置され、再発していた。マウス生存を、ログランク統計を用いたカプラン・マイヤー法によって推定した(図4B)。マウスは、白血病細胞がPBにおいて1%の生着に達したとき、ソラフェニブ(8mg/kg)および/または化合物A(40mg/kg)による処置を開始した。hCD45/mCD45細胞を測定するフローサイトメトリーを使用して生着を分析した(図4C図4D)。E-セレクチン/CXCR4を化合物AおよびFLT3とソラフェニブで共標的化すると、末梢血における白血病細胞の生着が著しく減少し、骨髄、肝臓、肺および脾臓における白血病細胞浸潤が減少し、FLT3-ITD変異を有するAML PDXマウスモデルにおける生存期間が延長された。
【0230】
サイトカイン/ケモカインレベルを、ヒトサイトカイン抗体アレイ(Abcam、ケンブリッジ、英国)を用いて、BM模倣共培養系(低酸素状態のMOLM14+HS-27A/HEBC-5i)においてMOLM14白血病細胞を化合物Aおよび/またはソラフェニブの存在下で24時間処置し、培養培地中の42サイトカインパネルを測定することによって決定した(図5A~5B)。
【0231】
マウスの臓器を、白血病細胞注射後74日目に解剖した。組織を、抗マウスCD41、CD13および抗ヒトCD45抗体による慣用的なH&E分析および免疫蛍光(IF)染色のために調製した(図5C)。細胞数を、倍率20倍の顕微鏡検査によって決定した。エラーバーは、4つのランダム顕微鏡視野から得られた平均カウント数の標準偏差を示す(図5D)。化合物Aおよびソラフェニブとの併用療法は、造血関連サイトカイン/ケモカインを上方制御し、巨核球および骨髄細胞の数を増加させることによって、マウス骨髄における正常な造血を増強した。
【0232】
別の例では、二重E-セレクチン/CXCR4遮断をインビボでのソラフェニブによるFLT3阻害との関連でさらに評価した。FLT3阻害剤感受性Ba/F3-FLT3-ITD細胞と、それらの阻害剤耐性対応物であるBa/F3-FLT3-ITD+D835YおよびBa/F3-FLT3-ITD+F691Lとにおける、E-セレクチンリガンドおよびCXCR4の発現レベルを比較した。耐性細胞は、可溶性E-セレクチン試薬によって検出された1.7~約5.6倍高いレベルの総E-セレクチンリガンド、および10倍高いレベルのCXCR4を発現した。さらに、BM模倣低酸素培養は、白血病細胞上のPSLG-1(E-セレクチンに対する高親和性リガンドであるP-セレクチン糖タンパク質リガンド-1)およびCXCR4の細胞表面発現を大きく上方制御した。
【0233】
E-セレクチン/CXCR4およびFLT3を化合物Aおよびソラフェニブで共標的化することの抗白血病効果を、FLT3-ITDおよびWT1変異を有する患者由来AML異種移植片(PDX)モデルにおいて評価した。化合物Aをソラフェニブに添加すると、ソラフェニブ単独と比較して白血病細胞充実度が大幅に低下し、ビヒクル処置マウスと比較して、肝臓、肺、脾臓およびBMにおいて、それぞれ92%、82%、69%および45%も低下した(図6)(p<0.05)。予想通り、循環白血病細胞の数は一時的に増加した。化合物A/ソラフェニブの組み合わせは、マウスの生存を改善した(化合物A/ソラフェニブ対ビヒクル、化合物A、およびソラフェニブについて、それぞれ生存期間中央値138.5日対109日、87日および126日、p<0.001)。
【0234】
別の例では、生体内2光子顕微鏡法を使用して、急性化合物Aボーラス注入に反応するAML細胞の挙動が頭蓋冠BMにおいて観察された。注目すべきことに、AML細胞の可動性は、処置の20分後すぐにBM微小環境において増加し始め(図7)、その後、次の2~4時間にわたって血管内侵入およびBM毛細血管系を通じた細胞流出が続いた。
【0235】
さらに、BMホーミングシグナルは白血病とHSCとの間で共有されると考えられているが、併用療法はソラフェニブ単独と比較して造血パラメータを改善した。特に、この重要な効果は、BMにおける巨核球(2.1倍)、骨髄球(2.1倍)、および赤血球(7.1倍)の数の増加に関連していた(p<0.01)。化合物Aによる造血保護の基礎となる機構(複数可)は調査中である。
【0236】
別の例では、生体内2光子顕微鏡法を使用して、インビボでの化合物Aによる二重CXCR4およびE-セレクチン阻害に対するAML細胞の行動応答を調べた。mTurquoise2蛍光タグ付き移植可能マウスAMLモデル(MLL、ENL-FLT3、ITD、p53-/-を特徴とする)を使用した。骨および血管ニッチを描写するために、同系の免疫適格レシピエントマウスは、それぞれ第二高調波発生(SHG)および蛍光デキストランによって強調される骨コラーゲンおよび血液を有するCol2.3-GFP、hCD2-DsRedおよびCD11c-EYFPなどの細胞系統蛍光レポーター遺伝子を有していた。静脈内注入AML細胞(5×10E4)は、BMにホーミングし、ここでほとんどの内因性細胞を徐々に置き換えた。この実験系では、化合物Aまたはビヒクルのいずれかを尾静脈に注入し、その間、4時間にわたって頭蓋冠BM間質中のAML細胞運動性を3Dで記録した(図8)。
【0237】
未処置または対照ビヒクル処置マウスでは、AML細胞は遅い運動性であり、約2μm/分の平均速度で移動した。細胞軌跡は、BM空洞のサイズに対応する平均400μmの閉じ込め半径内でランダムであった。ほとんどのAML細胞は、最も近い血管から50μm以内の距離として定義される血管ニッチに局在した。少数のAML細胞は、骨芽細胞および骨の近くに(すなわち、骨ニッチに)もまた存在した。
【0238】
対照的に、化合物Aの注入は、20分以内にAML細胞の細胞運動性の平均速度の66%の増加をもたらし、3.5時間以内に最大100%の増加をもたらした。運動性パターンは、骨腔の閉じ込め容積内でほぼランダムな状態を維持し、血管系の近傍に集中していた。毛細血管腔へのAML細胞の血管内侵入の複数の例が観察され、続いて数分間の血管壁付着および突然の流出が観察された。これらのインビボ細胞動態は、BM AML細胞性の実質的であるが構造的に偏った減少をもたらし、それによって血管ニッチが優先的に空にされ、一方で骨ニッチはAML細胞によって占められた状態を維持した。
【0239】
いずれの場合も、AML細胞の完全なBM枯渇は観察されなかった。興味深いことに、単一のCXCR4のみの阻害剤は、有意な細胞運動性亢進なしにBM中のAML細胞の長期(24~48時間)枯渇を引き起こした。
【0240】
これらの観察により、二重E-セレクチン/CXCR4阻害剤(化合物A)によるAML細胞の血管内侵入前のBM間質における細胞移動運動性の増強を伴う予想外の作用機序が明らかにされた。E-セレクチン分子およびCXCR4分子がそれらの対応するリガンドに結合するのを設計的に遮断することに加えて、二重部分化合物A剤は、AML細胞において、単一阻害剤が誘発しないように思われる運動増強シグナルを生成する能力を有し得る。可能ないくつかの機構の中で、この作用は、二重部分分子構造または結合アビディティー増強によるE-セレクチンおよびCXCR4の架橋に関与している可能性があり、さらなる調査を必要とする。
【0241】
さらに、これらの所見は、骨/造骨性ニッチにおけるがん細胞の持続性に関与する治療的に「移動性にすること」に対するAML耐性の可能性のある作用機序を強調している。
【0242】
まとめると、これらの結果は、E-セレクチン、CXCR4およびFLT3の共標的化が白血病負荷を軽減し得、正常な造血を保護し得ることを示している。E-セレクチン/CXCR4の共阻害は、AMLのPDXモデルにおいてFLT3阻害の抗白血病効果を増強し、BMにおける造血を維持する。例えば、FLT3-ITD+TKD変異を有する白血病細胞は、高レベルのE-セレクチンリガンドおよびCXCR4を発現し、それらの親FLT3-ITD変異細胞と比較して、それぞれ約5.6倍および10倍増加する。さらに、化合物AによるE-セレクチン/CXCR4の遮断は、インビトロおよびインビボで白血病細胞の接着、移動およびBMニッチの成分へのホーミングを減少させる一方で、インビボで血管ニッチにおける細胞運動性を増加させる。化合物Aおよびソラフェニブでの併用療法は、対照と比較して、造血関連サイトカインおよびケモカインを上方制御することによってマウスBMにおける正常な造血を増強し、巨核球(16.5倍)および骨髄球(4.5倍)の数を増加させた。有望なことに、E-セレクチン/CXCR4を化合物AおよびFLT3とソラフェニブで共標的化すると、血液中の白血病負荷が著しく減少し、BM、肝臓、肺および脾臓における白血病細胞浸潤が減少し、FLT3-ITD変異AML PDXマウスモデルにおいて全生存期間が延長され、これはソラフェニブを含む2つを含む6つの異なる処置レジメンに抵抗性であった。
【0243】
当業者は、慣用的な実験のみを使用して、本明細書に記載の本開示の特定の実施形態に対する多くの均等物を理解し、または確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
参考文献
【0244】
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図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
【国際調査報告】