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特表2023-527422SARS-CoV-2感染を予防および治療するための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】SARS-CoV-2感染を予防および治療するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20230621BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230621BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230621BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 31/4706 20060101ALI20230621BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230621BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230621BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20230621BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20230621BHJP
【FI】
A61K38/17 ZNA
A61P31/12
A61P31/14
A61P43/00 121
A61K31/675
A61K31/4706
A61P11/00
A61K45/00
A61P1/00
C12N5/071
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573297
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 US2021034234
(87)【国際公開番号】W WO2021242850
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/031,310
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
3.MySQL
4.Linux
5.UBUNTU
(71)【出願人】
【識別番号】507238218
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】セックストン,ジョナサン ゼット.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA93X
4B065AC20
4B065BB19
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA19
4C084CA17
4C084CA53
4C084DC50
4C084MA16
4C084MA52
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086DA38
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB33
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA43
4H045EA29
(57)【要約】
本発明は、医薬薬理学の分野に属する。特に、本発明は、SARS-CoV-2ウイルス(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態に関連する症状を、予防、治療、および/または改善することができる医薬組成物に関する。本発明はさらに、SARS-CoV-2ウイルス(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態に関連する症状を、予防、治療、および/または改善する方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビル(単独または追加の薬剤とともに)を含む医薬組成物を、対象(例えば、ヒト患者)に投与する工程を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるウイルス感染に関連する状態を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記ウイルス感染に関連する状態は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記投与する工程は、経口、局所、または静脈内である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは組換えラクトフェリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および、前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合を阻害することによる前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項13】
前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ラクトフェリンを含む前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記投与する工程は、経口、局所、または静脈内である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは組換えラクトフェリンである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および、前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合を阻害することによる前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
対象におけるウイルス感染に関連する症状を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルを含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項23】
対象におけるウイルス感染に関連する前記症状は、発熱、倦怠感、乾性咳嗽、筋肉痛、呼吸困難、急性呼吸促進症候群、および肺炎のうちの1つ以上である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンである、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記投与する工程は、経口、静脈内、または局所である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは組換えラクトフェリンである、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および、前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合を阻害することによる前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する症状を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項34】
対象におけるウイルス感染に関連する前記症状は、発熱、倦怠感、乾性咳嗽、筋肉痛、呼吸困難、急性呼吸促進症候群、および肺炎のうちの1つ以上である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンである、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記投与する工程は、経口、静脈内、または局所である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは組換えラクトフェリンである、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および、前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合を阻害することによる前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
対象における急性呼吸窮迫症候群を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項44】
前記急性呼吸窮迫症候群は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
ラクトフェリンを含む前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンである、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記投与する工程は、経口、静脈内、または局所である、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは組換えラクトフェリンである、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合を阻害することによる前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する急性呼吸窮迫症候群を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項55】
前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
ラクトフェリンを含む前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記投与する工程は、経口、静脈内、または局所である、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは組換えラクトフェリンである、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合を阻害することによる前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
対象における肺炎を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロスアミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項65】
前記肺炎は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
ラクトフェリンを含む前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンである、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記投与する工程は、経口、静脈内、または局所である、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは組換えラクトフェリンである、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項64に記載の方法。
【請求項72】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項64に記載の方法。
【請求項73】
肺炎を治療するための追加の薬剤を投与する工程をさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項74】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項75】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合を阻害することによる前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項64に記載の方法。
【請求項76】
対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する肺炎を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項77】
前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
ラクトフェリンを含む前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンである、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記投与する工程は、経口、静脈内、または局所である、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは組換えラクトフェリンである、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合を阻害することによる前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項76に記載の方法。
【請求項86】
対象における1つ以上の胃腸の状態を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項87】
前記1つ以上の胃腸の状態は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
ラクトフェリンを含む前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンまたは組換えラクトフェリンである、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記投与する工程は、経口、静脈内、または局所である、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記1つ以上の胃腸の状態は、便秘、過敏性腸症候群、痔核、裂肛、肛門周囲膿瘍、肛門瘻、肛門周囲感染症、憩室疾患、大腸炎、および下痢から選択される、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項86に記載の方法。
【請求項94】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項86に記載の方法。
【請求項95】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項86に記載の方法。
【請求項96】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合の阻害による前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項87に記載の方法。
【請求項97】
対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する肺炎を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項98】
前記対象は、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
ラクトフェリンを含む前記医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア中に分散される、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
医薬組成物はラクトフェリンを含み、前記ラクトフェリンは哺乳類ラクトフェリンまたは組換えラクトフェリンである、請求項97に記載の方法。
【請求項101】
前記投与する工程は、経口、静脈内、または局所である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記1つ以上の胃腸の状態は、便秘、過敏性腸症候群、痔核、裂肛、肛門周囲膿瘍、肛門瘻、肛門周囲感染症、憩室疾患、大腸炎、および下痢から選択される、請求項97に記載の方法。
【請求項103】
投与される前記医薬組成物の量は、約1mg~約10g/日である、請求項97に記載の方法。
【請求項104】
投与される前記医薬組成物の量は、約10mg~約1g/日である、請求項97に記載の方法。
【請求項105】
レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンを前記対象に投与する工程をさらに含む、請求項97に記載の方法。
【請求項106】
前記医薬組成物の投与は、前記対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記対象内のNK細胞活性の増強、前記対象内の好中球活性の増強、および前記ウイルスと当該細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合の阻害による前記対象の細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項97に記載の方法。
【請求項107】
細胞におけるウイルス侵入を阻害するための方法であって、
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロスアミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を前記細胞に曝露する工程を含む、方法。
【請求項108】
細胞は、ウイルス感染の危険性がある(例えば、SARS-CoV-2感染の危険性がある細胞)、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記細胞は、ウイルスに曝露されている(例えば、SARS-CoV-2に現在曝露されている細胞)、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記細胞は培養中である、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
前記細胞は、対象(例えば、ヒト対象)(例えば、COVID-19に罹患しているヒト対象)(例えば、COVID-19に罹患している危険性があるヒト対象)における生存細胞である、請求項107に記載の方法。
【請求項112】
前記細胞の前記医薬組成物への曝露は、前記細胞内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の阻害、前記細胞内のNK細胞活性の増強、前記細胞内の好中球活性の増強、および前記ウイルスと前記細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合の阻害による前記細胞へのウイルス侵入の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項107に記載の方法。
【請求項113】
以下(1)~(3)を含む、キット。
(1)ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロスアミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物;
(2)容器、包装、またはディスペンサー;および
(3)投与のための指示書。
【請求項114】
キットは、レムデシビル(前記医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンをさらに含む、請求項113に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2020年5月28日に出願された米国仮特許出願第63/031,310号の優先権を主張する。前記出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、医薬薬理学の分野に属する。特に、本発明は、SARS-CoV-2ウイルス(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態に関連する症状を、予防、治療、および/または改善することができる医薬組成物に関する。本発明はさらに、SARS-CoV-2ウイルス(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態に関連する症状を、予防、治療、および/または改善する方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビル(単独または追加の薬剤とともに)を含む医薬組成物を、対象(例えば、ヒト患者)に投与する工程を含む方法に関する。
【0003】
〔導入〕
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)は、2019年11月に武漢で出現し、世界的なパンデミックへと急速に発展した被覆された一本鎖陽方向鎖RNAβ-コロナウイルスである。関連疾患であるCOVID-19は、インフルエンザ様疾患および胃腸障害(Xiaoら、2020;Linら、2020)から急性呼吸窮迫症候群、心臓の不整脈、脳卒中、および死亡(Avulaら、2020;Kochiら、2020)に及ぶ一連の症状を有する。薬物の再利用は、COVID-19治療法の探索において重要な役割を果たしてきた。最近、FDAは、COVID-19を有する重症患者に対してエボラウイルス治療のために開発されたヌクレオシド阻害剤のモノホスホロアミド化プロドラッグ(Mulanguら、2019)であるレムデシビル(GS-5734)、および1940年代にマラリア治療のために最初に開発されたアミノキノリン誘導体であるヒドロキシクロロキンの緊急承認を発した。しかしながら、SARS-CoV-2感染を制限し、関連疾患のCOVID-19を予防/治療するために利用可能な確立された予防計画または直接的な抗ウイルス治療は存在しない。
【0004】
SARS-CoV-2/COVID-19の症状を、予防、治療、および改善するための予防計画、および/または直接的な抗ウイルス治療が必然的に必要とされる。
【0005】
本発明はこの必要性に取り組む。
【0006】
〔要約〕
FDAに承認された薬物を再利用することは、COVID-19のための迅速に活用可能な治療を同定するための有望な計画である。再利用することの利点には、公知の安全性プロファイル、強固なサプライチェーン、および開発に必要な短い期間が含まれる(Opreaら、2011)。さらに、承認された薬物はウイルス感染の生態を理解するための化学的探索としての役割を果たし、COVID-19と疾病の病因に影響を及ぼす分子標的/分子経路との間の新たな関連を作り出すことができる。通常のインビトロ抗ウイルスアッセイに対する補足的な手法は、ハイコンテンツの画像化に基づく形態学的プロファイリングである。形態学的プロファイリングを用いて、感染の根底にある経路および新規な生態を同定することが可能である。したがって、特定の生物学的プロセスの周辺の標的スクリーニングまたはウイルス感染を制限する宿主プロセスを標的にすることを可能にする。これは複数の抗ウイルス機構の同定を可能にし、薬物の組み合わせの合理的なデザインを可能にするか、あるいは逆に、感染性を悪化させ、または細胞障害性に関連する薬物を明らかにする。
【0007】
本発明のための実施形態を同定する過程で行われた実験は、SARS-CoV-2感染の定量的ハイスループット画像に基づくスクリーニングのためのパイプラインの開発をもたらした。機械学習手法を活用して、抗ウイルスの有効性および作用機構を予測する特徴を正確かつ確固とて同定するアッセイ指標を作成した。いくつかのFDAに承認された薬物および臨床候補が独自の抗ウイルス活性で同定された。そのような実験は、ラクトフェリンがウイルス侵入およびウイルス複製を阻害し、抗ウイルス宿主細胞応答を増強し、レムデシビルおよびヒドロキシクロロキンの効果を増強することをさらに実証した。さらに、そのような実験は、ウイルス感染性を悪化させる現在処方されている薬物の同定をもたらした。まとめると、本発明は、形態学的プロファイリングがSARS-CoV-2感染に対する新規の潜在的な治療薬、ならびにCOVID-19転帰を潜在的に悪化させる薬物を確実に同定することができるというエビデンスを表す。
【0008】
したがって、本発明は、SARS-CoV-2ウイルス(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態に関連する症状を、予防、治療、および/または改善することができる医薬組成物に関する。本発明はさらに、SARS-CoV-2ウイルス(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態に関連する症状を、予防、治療、および/または改善する方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビル(単独または追加の薬剤とともに)を含む医薬組成物を、対象(例えば、ヒト患者)に投与する工程を含む方法に関する。
【0009】
特定の実施形態では、本発明は、ウイルス感染(例えば、SARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19))の症状を、治療、予防、および/または改善するために、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、対象(例えば、ヒト対象)(例えば、ヒト対象はSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性がある)に投与するための方法を提供する。
【0010】
そのような実施形態では、該方法が、特定の型またはウイルス感染の種類の症状を、治療、予防、および/または改善することに限定されない。いくつかの実施形態では、ウイルス感染は、SARS-CoV-2に関連したウイルス感染(例えば、COVID-19)である。いくつかの実施形態では、ウイルス感染は、インフルエンザ、HIV、HIV-1、HIV-2、薬物耐性HIV、ジュニンウイルス、チクングニアウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ピンデウイルス、ラッサウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルス、パンタトロウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、リフトバレーウイルス、RHDV、SARSコロナウイルス、タカリベウイルス、および西ナイルウイルスに関連する任意の感染である。いくつかの実施形態では、ウイルス感染はMproプロテアーゼ活性および/またはMproプロテアーゼ発現を有する任意のウイルスに関連する。
【0011】
そのような実施形態では、医薬組成物の投与は、対象内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の抑制をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、対象内のNK細胞活性の増強をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、対象内の好中球活性の増強をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、ウイルスと当該細胞内でのヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合の阻害を介して、対象の細胞へのウイルス侵入の阻害をもたらす。
【0012】
いくつかの実施形態では、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロスアミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、レムデシビル(医薬組成物中にない場合)またはヒドロキシクロロキンと組み合わせて投与する。
【0013】
そのような実施形態では、医薬組成物はラクトフェリンを含み、ラクトフェリンは、天然源(例えば、哺乳動物乳などが挙げられるが、これに限定されない)からの単離および精製によって得られる。ラクトフェリンは、好ましくは哺乳類ラクトフェリン(例えば、ウシラクトフェリンまたはヒトラクトフェリン)である。いくつかの実施形態では、ラクトフェリンは、当技術分野で公知であり使用されている遺伝子操作技術(例えば、遺伝子改変された動物、植物、または真核生物における組換えの発現または直接的な製造、もしくは化学合成)を用いて、組換えにより製造されるヒトラクトフェリンである(例えば、米国特許第5,571,896号;同第5,571,697号、および同第5,571,691号を参照のこと)。
【0014】
特定の実施形態では、本発明は対象におけるウイルス感染に関連する状態を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、任意の投与様式(例えば、経口、静脈内、局所)に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である。いくつかの実施形態では、ウイルス感染は、SARS-CoV-2ウイルス感染である。
【0015】
特定の実施形態では、本発明は、対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、ラクトフェリンを含む医薬組成物は、経口投与に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。
【0016】
特定の実施形態では、本発明は、対象におけるウイルス感染に関連する症状を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリンを含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、任意の投与様式(例えば、経口、静脈内、局所)に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2ウイルス感染に罹患しているヒト対象である。いくつかの実施形態では、ウイルス感染に関連する1つ以上の症状には、発熱、倦怠感、乾性咳嗽、筋肉痛、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群、および肺炎が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
特定の実施形態では、本発明は、対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する症状を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、任意の投与様式(例えば、経口、静脈内、局所)に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、ウイルス感染に関連する1つ以上の症状には、発熱、倦怠感、乾性咳嗽、筋肉痛、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群、および肺炎が含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
特定の実施形態では、本発明は、対象における急性呼吸窮迫症候群を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、任意の投与様式(例えば、経口、静脈内、局所)に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2ウイルス感染に罹患しているヒト対象である。
【0019】
特定の実施形態では、本発明は、対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する急性呼吸窮迫症候群を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、任意の投与様式(例えば、経口、静脈内、局所)に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2ウイルス感染に罹患しているヒト対象である。
【0020】
特定の実施形態では、本発明は、対象における肺炎を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、任意の投与様式(例えば、経口、静脈内、局所)に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2ウイルス感染に罹患しているヒト対象である。
【0021】
特定の実施形態では、本発明は、対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する肺炎を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、任意の投与様式(例えば、経口、静脈内、局所)に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2ウイルス感染に罹患しているヒト対象である。
【0022】
急性呼吸窮迫症候群および/または肺炎の治療を含むいくつかの実施形態では、医薬組成物は呼吸器疾患を治療するための公知の薬剤と組み合わせて投与される。呼吸器疾患を治療するために使用される公知のまたは標準的な薬剤または治療法には、抗喘息剤/治療法、抗鼻炎剤/治療法、抗副鼻腔炎剤/治療法、抗肺気腫剤/治療法、抗気管支炎剤/治療法、または抗慢性閉塞性肺疾患剤/治療法が含まれる。抗喘息剤/治療法には、肥満細胞脱顆粒剤、ロイコトリエン阻害剤、コルチコステロイド、β-拮抗薬、IgE結合阻害剤、抗CD23抗体、トリプターゼ阻害剤、およびVIP作用薬が含まれる。抗アレルギー性鼻炎剤/治療法には、H1抗ヒスタミン剤、α-アドレナリン剤、およびグルココルチコイドが含まれる。抗慢性副鼻腔炎治療法には、手術、コルチコステロイド、抗生物質、抗真菌剤、塩水鼻洗浄または塩水鼻スプレー、抗炎症剤、充血除去剤、グアイフェネシン、ヨウ化カリウム、ルエコトリエン阻害剤、肥満細胞脱顆粒剤、局所湿潤剤、熱風吸入、機械的呼吸装置、酵素洗浄剤、および抗ヒスタミンスプレーが含まれるが、これらに限定されない。抗肺気腫、抗気管支炎、または抗慢性閉塞性肺疾患の剤/治療法は、酸素、気管支拡張剤、真菌溶解剤、ステロイド、抗生物質、抗真菌剤、噴霧による湿潤化、鎮咳剤、呼吸刺激剤、手術、およびα1アンチトリプシンを含むが、これらに限定されない。
【0023】
特定の実施形態では、本発明は、対象における胃腸の状態を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、任意の投与様式(例えば、経口、静脈内、局所)に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2ウイルス感染に罹患しているヒト対象である。いくつかの実施形態では、胃腸の状態は下痢である。いくつかの実施形態では、胃腸の状態は、便秘、過敏性腸症候群、痔核、裂肛、肛門周囲膿瘍、肛門瘻、肛門周囲感染症、憩室疾患、大腸炎、および下痢から選択される。
【0024】
特定の実施形態では、本発明は、対象におけるSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する胃腸の状態を、治療、改善、および/または予防するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、任意の投与様式(例えば、経口、静脈内、局所)に適するように構成される。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2感染(例えば、COVID-19)に関連する状態に罹患しているか、または罹患する危険性があるヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象はSARS-CoV-2ウイルス感染に罹患しているヒト対象である。いくつかの実施形態では、胃腸の状態は下痢である。いくつかの実施形態では、胃腸の状態は、便秘、過敏性腸症候群、痔核、裂肛、肛門周囲膿瘍、肛門瘻、肛門周囲感染症、憩室疾患、大腸炎、および下痢から選択される。
【0025】
特定の実施形態では、本発明は、細胞でのウイルス侵入を阻害するための方法であって、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物を細胞に曝露する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、細胞はウイルス感染の危険性がある(例えば、SARS-CoV-2感染の危険性がある細胞)。いくつかの実施形態では、細胞はウイルス(例えば、SARS-CoV-2に現在曝露されている細胞)に曝露されている。いくつかの実施形態では、細胞は培養中である。いくつかの実施形態では、細胞は対象(例えば、ヒト対象)(例えば、COVID-19に罹患しているヒト対象)(例えば、COVID-19に罹患している危険性があるヒト対象)における生存細胞である。いくつかの実施形態では、ラクトフェリンを含む医薬組成物への細胞の曝露は、細胞内のプロ炎症性サイトカイン活性(例えば、IL-6活性)の抑制をもたらす。いくつかの実施形態では、ラクトフェリンを含む医薬組成物への細胞の曝露は、細胞内のNK細胞活性の増強をもたらす。いくつかの実施形態では、ラクトフェリンを含む医薬組成物への細胞の曝露は、細胞内の好中球活性の増強をもたらす。いくつかの実施形態では、ラクトフェリンを含む医薬組成物への細胞の曝露は、ウイルスと細胞内のヘパリン硫酸プロテオグリカンとの結合を阻害することによる細胞へのウイルス侵入の阻害をもたらす。
【0026】
特定の実施形態では、本発明は、(1)ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物、(2)容器、包装、またはディスペンサー、および(3)投与のための指示書、を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットはさらにレムデシビル(医薬組成物中にない場合)またはヒドロキシクロロキンを含む。
【0027】
〔図面の簡単な説明〕
図.1A-C:A)VeroE6細胞、Huh-7細胞、およびCaco-2細胞の増殖動態。細胞を48のウェルプレート中にて、0.2のMOIで、SARS-CoV-2に感染させ、0日目(吸着後1時間)、1日目、2日目、および3日目に採取した。TCID50を、上清および細胞画分について決定した。グラフは中央値を表し、N=2の生物学的複製のSDであり、それぞれn=3の技術的複製を有する。B)SARS-CoV-2に感染したVeroE6細胞(左)およびCaco2細胞(右)に対するHoechst 33342(シアン)および抗SARS-CoV-2 NP抗体(マゼンタ)での染色における合胞体の形成(マゼンタ、抗SARS-CoV-2 NP抗体)。C)アッセイ検出の限界。Huh-7細胞を、指示されたMOIで感染させ、感染48時間後(p.i.)に画像化させた。MOIの増加と相関して、進行性でより多機能な合胞体の形成が観察された。検出は0.004のMOIの低さの感染で可能であった。
【0028】
図.2:SARS-CoV-2に感染したHuh-7細胞の形態学的プロファイリング(48時間、0.2のMOI)。中心像:核(シアン)、中性脂質(緑色)、およびSARS-CoV-2 NPタンパク質(マゼンタ)を有する代表的な照射野。特徴抽出を介して、SARS-CoV-2感染の重要な特質は、HCS CellMask Orange チャネルからの多核合胞体(左上)および豊富な核小体(左下)で特徴付けられた。SARS-CoV-2 NP チャネルからの細胞質突起(右下)を有する細胞ウイルス区画化(右上)。Yokogawa CQ1 ハイコンテンツ撮像装置で代表的な画像を取得し、Fiji ImageJ パッケージで分析した。
【0029】
図.3A-B:A)qHTSスクリーニングからの132ヒットの用量-反応曲線。XX B)複製プレート間で抗ウイルスの有効性に強い相関を示す複製プロット。
【0030】
図.4A-B:a)抗SARS-CoV-2治療法の発見への取り組みの概略図。1)SARS-CoV-2に感染した384のウェルプレート上にて培養された細胞に、化合物が投与される。それぞれのプレートは、プレート間の変動をコントロールするために、24の陰性(感染)コントロールウェルおよび24の陽性(非感染)コントロールウェルを含む。2)細胞は固定され、染色され、画像化される。これらの細胞区画の特徴を抽出しながら、核の含有量、細胞境の含有量、中性脂質の含有量、およびウイルス合胞体の形成を区分するCell Profilerに基づくパイプラインによって、画像は分析される。3)画像ごとにウイルス感染性を定義するために、多変量解析によって用量-反応曲線が算出される。4)抽出された特徴に基づいて、陽性コントロールウェルおよび陰性コントロールウェルの周りに機械学習モデルが構築され、それぞれの薬物状態に適用される。5)得られた特徴を通して、モデルは抗ウイルス作用の個々の化合物モードを知らせる。6)確認された抗ウイルスヒット;b)薬物スクリーニングの15ヒットの用量-反応曲線。グラフは、N=3の生物学的複製について、一連の選択された化合物の、10点の1:2希釈の中央値SEMを表す。IC50は、コントロールに対する正規化に基づき、GraphPadプリズムに適合させた後に計算された。
【0031】
図.5A-C:それらの形態学的特徴による細胞の埋め込みは、細胞の状態および感染の状態によるクラスター化を示す。a)非感染の(PC)、感染した(NC)、または感染し、かつFDAに承認され、臨床候補である12の薬物のスクリーニングヒットを用いて10用量にわたり処置されることからなる、379の形態学的特徴による200万の個々の細胞の2次元UMAP埋め込み。b)UMAP中のクラスター関心領域(ROI)は、感染した合胞体(ROI 3)および単離された(ROI 4)細胞および非感染の有糸分裂(ROI 6)、正常(ROI 10)、散在性脂質(ROI 11)、および細胞質点状物(ROI 12)細胞を含めて強調される。c)6つのROIについて、代表的な細胞は、核(左上)、細胞境界(右上)、中性脂質(左下)、およびSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(右下)のチャネルによって示される。以下では、それぞれの処置および用量にわたる細胞数がヒートマップとして示される。ここで、ROI 3およびROI 4の用量-反応の挙動を見ることができる。
【0032】
図.6A-H:ラクトフェリンはウイルス周期の様々な段階で、SARS-CoV-2の複製を遮断する。a)Huh-7細胞をラクトフェリン(0~2.3μM)で処置し、384のウェルプレート中にてSARS-CoV-2(0.2のMOI)に感染させた。自動蛍光顕微鏡法を用いてプレートは画像化され、本発明者らの画像分析パイプラインを用いて処理され、ウイルスの阻害割合を決定した。グラフは用量-反応(RED、IC50=308μM)を示す。細胞生存率は黒色で示される。b)Huh-7をSARS-CoV-2(1のMOI、5のMOI、および10のMOI;0のMOIは非感染の細胞を示す)に感染させ、2.3μMのラクトフェリンを用いて、1時間p.i.および24時間p.i.で処置させた。バーは、様々な状態における感染した細胞の割合を示す。データは、8回の複製の平均である。統計学的有意性は、Bonferroni-Dunn法による多重T検定を用いて、α=0.05で測定した。0のMOIを除いて、全ての状態(未処置対ラクトフェリン、1時間、もしくは、未処置対ラクトフェリン、24時間)は、p値<0.0001を有する。c-d)2.5×10Huh-7細胞を、48時間p.i.、0.2のMOIでSARS-CoV-2に感染させた。細胞が採取され、RNAが抽出された。ウイルスゲノムコピーは、絶対定量法(標準曲線)(c)を用いて計算され、細胞のIFNβ、MX1、ISG15、およびIFITM3(d)のmRNAレベルは、非感染のHuh-7に対するΔΔCtを用いて計算された。データは平均であり、N=2の生物学的複製のSDであり、それぞれn=3の技術的複製を有する。統計学的有意性は、Bonferroni-Dunn法による多重T検定を用いて、α=0.05、p値<0.001で測定した。e)2.3μMの濃度で、アポラクトフェリン、ホロラクトフェリン、およびトランスフェリンを用いる治療の際の、SARS-CoV-2に感染したHuh-7細胞の割合。f)レムデシビル(50nM)、ラクトフェリン(1.2μM)、およびレムデシビル/ラクトフェリン(25nM/600nM)の組み合わせ処置を用いた処置の際の、10のMOIでの48時間p.i.、感染した細胞の割合。g)およびh)レムデシビルとヒドロキシクロロキンとを組み合わせたラクトフェリンの2次元用量反応ヒートマップ。レムデシビルの組み合わせは0.2のMOIで評価され、HCQはラクトフェリンの効能において関連する変化をもたらす10のMOIで評価される。
【0033】
図.7A-B:A)レムデシビル単独、ならびに、有効性の増強を示すレムデシビルと280nMラクトフェリンとの組み合わせ、およびレムデシビルと1μMラクトフェリンとの組み合わせについての用量-反応曲線。B)ヒドロキシクロロキン単独、ならびに、有効性の増強を示すヒドロキシクロロキンと280nMのラクトフェリンとの組み合わせ、およびヒドロキシクロロキンと1μMラクトフェリンとの組み合わせについての用量-反応曲線。
【0034】
〔発明の詳細な説明〕
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)および関連疾患COVID-19の世界的な広がりは、臨床ケアに迅速に転換することができる治療的介入を必要とする。残念なことに、従来の製薬方法は、>90%の失敗率を有し、標的の同定から臨床的な使用まで、10~15年間かかることがある。薬物の再利用、すなわち、以前に開発され、試験された様々な疾患の状態のための薬剤の使用は、変換を著しく加速する可能性がある。
【0035】
本発明のための実施形態の開発中に行われた実験は、SARS-CoV-2に対する有効な単剤および組み合わせ治療法を同定するための定量的ハイスループットスクリーニングの開発をもたらした。定量的ハイコンテンツの形態学的プロファイリングをAIに基づく機械学習計画と組み合わせて、細胞の特徴を感染およびストレスに対して陽性または陰性として分類した。このアッセイは、ウイルス侵入の阻害、増殖、および宿主細胞応答の調節を含む、多数の抗ウイルス作用機構を検出した。1,441のFDAに承認された化合物および臨床候補のライブラリーから、抗ウイルス効果を有する15の用量-反応化合物が同定された(例えば、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビル)。特に、ラクトフェリンは、308nMのIC50を用いるSARS-CoV-2感染の効果的な阻害剤であり、レムデシビルおよびヒドロキシクロロキンの両方の有効性を増強することが発見された。ラクトフェリンはまた、抗ウイルス宿主細胞応答を刺激し、iPSC由来の肺胞上皮細胞における阻害活性を保持することが示された。ヒトにおけるその安全性プロファイルを考慮すると、これらの前臨床データは、ラクトフェリンがCovid-19のための容易に変換可能な治療補助剤であることを示す。さらに、いくつかの一般的に処方される薬物は、ウイルス感染を悪化させ、より悪い患者転帰の臨床調査に値することが見出された。
【0036】
したがって、本発明は、SARS-CoV-2ウイルス(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態に関連する症状を、予防、治療、および/または改善することができる医薬組成物に関する。本発明はさらに、SARS-CoV-2ウイルス(例えば、COVID-19)によって引き起こされる状態に関連する症状を、予防、治療、および/または改善する方法であって、
【0037】
【化1】
【0038】
を含む医薬組成物を、対象(例えば、ヒト対象)に投与する工程を含む方法に関する。
【0039】
本発明の重要な態様は、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物が、ウイルス感染(例えば、SARS-CoV-2感染)およびそのようなウイルス感染に関連する症状(例えば、発熱、疲労、乾性咳嗽、筋肉痛、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群、および肺炎)の処置に有用であることである。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、ラクトフェリンおよび少なくとも1つの追加の治療剤(SARS-CoV-2感染、および/またはそのようなウイルス感染に関連する症状(例えば、発熱、疲労、乾性咳嗽、筋肉痛、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群、および肺炎)を処置するのに役立つ任意の医薬品を含むが、これらに限定されない)を含む医薬組成物の有効量を投与するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、追加の薬剤はレムデシビル(医薬組成物中にない場合)および/またはヒドロキシクロロキンである。
【0041】
本発明の範囲内の組成物は、その意図された目的を達成するのに効果的な量で含まれる全ての医薬組成物を含む。個々の必要性は様々であるが、それぞれの構成要素の有効量の最適範囲の決定は、当業者の範囲内である。典型的には、SARS-CoV-2ウイルス侵入の阻害剤として機能する医薬品は、経口的に、0.0025mg/kg~50mg/kgの用量、または薬学的に許容されるその塩の同等量で、処置される哺乳類の身体体重の日ごとに、哺乳類(例えば、ヒト)に投与され得る。一実施形態では、約0.01mg/kg~約25mg/kgが経口的に投与され、そのような障害を、治療、改善、または予防する。筋肉内注射の場合、用量は一般に経口用量の約半分である。例えば、適切な筋肉内への用量は、約0.0025mg/kg~約25mg/kg、または約0.01mg/kg~約5mg/kgであろう。
【0042】
単回経口用量は、約0.01mg~約1000mg(例えば、約0.1mg~約100mg)の阻害剤を含み得る。単回用量は、それぞれ約0.1mg~約10mg、好ましくは約0.25mg~50mgの薬剤(例えば、模倣ペプチド、小分子)またはその溶媒和物を含む1つ以上の錠剤またはカプセル剤として、1日1回以上投与され得る。
【0043】
局所製剤物中にて、ラクトフェリンは、キャリア1g当たり、約0.01mg~100mgの濃度で存在し得る。一実施形態では、ラクトフェリンは、約0.07mg/ml~1.0mg/ml(例えば、約0.1mg/ml~0.5mg/ml)、一実施形態では約0.4mg/mlの濃度で存在する。
【0044】
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を生化学物質として投与する工程に加えて、ラクトフェリンの製剤への処理を容易にする賦形剤および助剤を含む、好適な薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬製剤の一部として、任意のものが投与され得る。製剤、特に、経口的または局所的に投与することができ、1つの型の投与に使用することができる製剤(例えば、錠剤、糖衣錠、緩効性のロゼンジおよびカプセル、口腔リンス剤および含嗽剤、ジェル、液体懸濁液、毛髪リンス剤、毛髪ジェル、シャンプーなど)、ならびに、直腸に投与することができる製剤(例えば、坐剤、同様に、静脈内注入、注射、局所または経口による投与に適した溶液など)は、約0.01%~99%、一実施形態では、約0.25%~75%の活性模倣ペプチドを賦形剤と共に含有する。
【0045】
本発明の医薬組成物は、ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上の有益な効果を経験し得る任意の患者に投与され得る。主要な該患者は哺乳類(例えば、ヒト)であるが、本発明はそのように限定されるものではない。他の患者には、獣医学的な動物(ウシ、ヒツジ,ブタ,ウマ,イヌ,ネコなど)が含まれる。
【0046】
ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK、アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン、ニクロサミド、およびレムデシビルのうちの1つ以上を含む医薬組成物は、それらの意図される目的を達成する任意の手段によって、投与され得る。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、頬側、くも膜下腔内、頭蓋内、鼻腔内、または局所経路によるものであり得る。あるいは、または同時に、投与は経口経路によるものであり得る。投与される投薬量は、レシピエントの年齢、健康および体重、併用治療の種類、もしあれば、治療の頻度、ならびに所望の効果の性質に依存する。
【0047】
本発明の医薬製剤は、それ自身公知の方法で製造される(例えば、従来の、混合、造粒、糖衣錠製造、溶解、または凍結乾燥のプロセスの手段による)。したがって、経口使用のための医薬製剤は、好適な助剤を添加した後に、活性模倣ペプチドを固体賦形剤と組み合わせること、場合により、得られた混合物を粉砕すること、および顆粒の混合物を処理すること、任意にまたは必要であれば、錠剤または糖衣錠コアを得ることによって獲得することができる。
【0048】
好適な賦形剤は、特に、充填剤(サッカリド(例えば、ラクトースまたはスクロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロース製剤および/またはリン酸カルシウム(例えば、リン酸3カルシウムまたはリン酸水素カルシウム))など)、ならびに結合剤(デンプンペースト(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンを使用する)など)である。所望であれば、崩壊剤(例えば、前述のデンプンおよびカルボキシメチルデンプン、交差結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはそれらの塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど))が添加され得る。助剤はとりわけ、流動調節剤および滑沢剤(例えば、ケイ酸、タルク、ステアリン酸、またはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール))である。糖衣錠コアは、所望であれば、胃液に耐性のある適切な被覆剤を使用して提供される。この目的のために、濃縮糖溶液が使用され得る。濃縮糖溶液は、任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。胃液に耐性のある被覆剤を製造するために、適切なセルロース製剤の溶液(例えば、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)が使用される。例えば、識別のために、または活性模倣ペプチド投与の組合せを特徴付けるために、染料または色素は錠剤または糖衣錠被覆剤に添加され得る。
【0049】
経口的に使用することができる他の医薬製剤としては、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチン製および可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)製の軟質の密封カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、充填剤(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)、および/または滑沢剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)、および、任意に、安定剤と混合され得る顆粒形態の活性模倣ペプチドを含有することができる。一実施形態では、軟質カプセル中にて、活性模倣ペプチドは、適切な液体(例えば、脂肪油または流動パラフィンなど)に溶解または懸濁される。さらに、安定剤が添加され得る。
【0050】
直腸に使用することができると考えられる医薬製剤としては、例えば、1つ以上の活性模倣ペプチドと坐剤基剤との組合せからなる坐剤が挙げられる。好適な坐剤基剤は、例えば、天然トリグリセリドもしくは合成トリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。さらに、活性模倣ペプチドと基材との組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。可能性のある基材としては、例えば、液状トリグリセリド、ポリエチレングリコール、パラフィン炭化水素が挙げられる。
【0051】
非経口投与に適した製剤物としては、水溶性形態の活性模倣ペプチドの水溶液(例えば、水溶性塩類およびアルカリ性溶液)が挙げられる。さらに、好適な油性注射懸濁液として、活性模倣ペプチドの懸濁液が投与され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル、またはトリグリセリド、またはポリエチレングリコール-400)が挙げられる。水溶性注射用懸濁液は、懸濁液(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランを含む)の粘性を高める物質を含み得る。任意に、懸濁液物は安定剤を含有し得る。
【0052】
一実施形態では、本発明の局所組成物は、適切なキャリアの選択によって、油、クリーム、ローション、軟膏などとして製剤化される。好適なキャリアとしては、植物油または鉱油、白色ワセリン(白色軟質パラフィン)、分枝鎖脂肪または分岐鎖油、動物脂肪および高分子量アルコール(C12より大きい)が挙げられる。キャリアは、活性成分が可溶性であるものであり得る。乳化剤、安定剤、保湿剤および抗酸化剤、ならびに、所望であれば、色または芳香を付与する薬剤が含まれ得る。さらに、経皮浸透促進剤をこれらの局所製剤物に使用することができる。そのような促進剤の例は、米国特許番号3,989,816および米国特許番号4,444,762に見いだすことができる。
【0053】
軟膏は、植物油(例えば、アーモンド油)中の活性成分の溶液を加温軟質パラフィンと混合し、混合物を冷却させることによって製剤化し得る。そのような軟膏の典型的な例は、重量当たり約30%のアーモンド油および重量当たり約70%の白色軟質パラフィンを含むものである。ローションは、適切な高分子量アルコール(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど)中に活性成分を溶解することによって好適に調製され得る。
【0054】
通常の当業者のうちの1人であれば、前述のことが本発明の特定の好ましい実施形態の詳細な説明を単に表すことを容易に理解するであろう。前述の組成物および方法の様々な修正および変更は、当技術分野で利用可能な専門知識を用いて容易に達成することができ、これらは本発明の範囲内である。
【0055】
〔実験〕
形態学的プロファイリングは、SARS-CoV-2感染に関連する特有の特徴を明らかにする。
【0056】
抗ウイルス薬スクリーニングのための最適な細胞系および適切なエンドポイントを決定するために、以前に報告された許容細胞系、すなわち、Vero-E6、Caco-2、およびHuh-7におけるSARS-CoV-2感染性を評価する実験を行った(Chuら、2020)。0.2の感染多重度(MOI)でのウイルス増殖動態から、Vero-E6細胞、Caco2細胞、およびHuh-7細胞は、感染48時間後(時間p.i.)にウイルス価の最高値を伴うウイルス感染を支持することが明らかになった(図1A/B)。ウイルス量はVero-E6細胞で高かったが、Huh‐7はACE2およびTMPRSS2の両方を発現するヒト細胞株であるため、形態学的薬物スクリーニングのためにHuh‐7が選択された。これらは、SARS-CoV-2の主要な侵入因子である(Hoffmannら、2020)。興味深いことに、Huh-7細胞は、48時間p.i.で、0.004という低いMOIで検出可能な感染を支持した(図1C)。図1Cは、画像に基づくスクリーニングの高い感度を強調している。感染を阻害または悪化させる化合物を同定するために、0.2のMOIが選択され、20%の基準感染率を導いた。
【0057】
細胞レベルの形態学的プロファイリングは、多重染色および自動化されたハイコンテンツの蛍光顕微鏡法によって可能であった。多重化色素集合は、SARS-CoV-2核タンパク質、核(Hoechst 33342)、中性脂質(HCS LipidTox Green)、および細胞境(HCS CellMask Orange)についてのマーカーを含んだ。これらの蛍光プローブは、核形態、核組織、細胞質および細胞骨格の特徴、ならびに細胞の健全性の指標および機能の指標を含む、ウイルス感染性に関連する多種多様な細胞の特徴を捕えるように選択された。最初のプロファイリングから、SARS-CoV-2感染に関連する3つの顕著な形態学的特徴、すなわち、合胞体の形成、核小体数の増加、細胞質突起の形成が観察された(図2)。SARS-CoV-2感染の重要な指標であるこれらの特徴を用いて、抗ウイルス薬スクリーニングのための機械学習パイプラインを作成した。
【0058】
機械学習は、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性を有するFDAに承認された分子を同定する。
【0059】
SARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性を有する化合物を同定するために、1,441のFDAに承認された化合物および合理的に含まれる臨床候補のカスタムライブラリーが、Huh-7細胞中にてスクリーニングされた。初回通過定量的ハイスループットスクリーニング(qHTS)手法により、50nM~2μMの間の中等度の投与反応性抗ウイルス挙動を有する132種の化合物が同定され、有意な活性を示さないか、または細胞数の厳しい低下をもたらす化合物を首尾よく排除した(図3A)。感染した細胞を同定し、その形態学的特性を定量化するために、CellProfilerに基づく画像解析およびフォローアップランダムフォレスト分類アルゴリズムを用いて、化合物のライブラリーはその抗ウイルス活性について効率的に評価された(図4A)。このランダムフォレスト分類器は、それぞれの蛍光チャネル(核、細胞質、脂質、ウイルス)についての強度、組織、および放射状分布の測定を含む660の独特の細胞特徴の定量化を活用した。一次qHTSスクリーニングから、ヒットは試験された濃度の少なくとも3つにおけるウイルス感染性の一貫した減少、ならびに最小の細胞障害性を有する化合物として定義された。ヒット同定のためのこの手法は、偽陰性を最小限に抑え、後に洗練されるであろう有効な化合物の本発明者らのリストを最大限にするために、意図的に広く設計された。一次qHTSスクリーニングの再現性を検証するために、化合物のサブセット(320)が選択され、元のスクリーニングとの相関を示す生物学的複製実験を行った(図3B)。
【0060】
予備的な132のqHTSヒットについて、フォローアップ10点、2倍希釈用量反応実験が3連で実施され、15の化合物について用量反応の有効性を検証した(表1および図4B)。これらのヒットは、インビトロ観察では新規である9つ(ラクトフェリン、S1RA、エンテカビル、ロミタピド、メトクロプラミド、ボスチニブ、チオグアニン、フェドラチニブ、Z-FA-FMK)、および抗ウイルス活性を有することが以前に同定された6つ(アミオダロン、ベラパミル、ギルテリチニブ、クロファジミン(Rivaら、2020;Heiserら、2020)、ニクロサミド(Jeonら)、およびレムデシビル)を含み、本発明者らのスクリーニング結果の実現性を実証する。抗ウイルス薬ヒットに加えて、乳癌を治療するために使用される抗エストロゲン薬であるアナストロゾール、およびパーキンソン病を治療するために使用されるカルビドパを含むHuh-7細胞中のSARS-CoV-2感染を悪化させると思われるいくつかの化合物も同定された(表3)。
【0061】
【表1】
【0062】
細胞レベル特徴クラスタリングは、リード化合物の潜在的な作用機構を明らかにする。
【0063】
単一アウトプットを用いた標準的なインビトロアッセイとは対照的に、形態学的プロファイリングは、ウイルス感染および細胞障害性の固有の生物学的特性の効率的な可視化および定量化を可能にする。これは、治療時に測定された宿主-細胞変動を通して、抗ウイルス化合物の潜在的な作用機構の同定を容易にする。したがって、以前に同定されたヒットについてさえ、抗ウイルス機構は、従来のスクリーニングアッセイを通して捉えることができないことを特徴付けることができた。例えば、侵入阻害剤は、ウイルスチャネルにおけるシグナルの完全な欠如によって同定されることができる。対照的に、複製阻害剤はしばしばウイルスチャネルに核周囲のスポットをもたらし、これらの点は不全感染のレムナントであると仮定された。測定された660の細胞特徴にわたる潜在的な作用機構のヒットをより良く分析するために、均一多様体近似および投影(UMAP)埋め込みを用いた次元減少が使用され、細胞特徴ベクトルを2次元プロットに投影し、それらの異なる形態学的特徴に基づく細胞のクラスター化を観察した(McInnesら、2018)(図5A)。
【0064】
高い細胞密度を有する15の関心領域(ROI)が同定された(図5B)。広域密度(ROI 9、ROI 10)は、細胞分裂(ROI 6)、散在性脂質(ROI 11)、および点状細胞質(ROI 12)を含む、特有な形態を有する付随体集団を有する非感染の細胞を含んでいた。大きな非接続密度(ROI 1-4)は、個々に感染した細胞(ROI 4)、合胞体中にて感染した細胞(ROI 4)、および感染した細胞に近接した細胞(ROI 1、ROI 2)を含む(図5C)。それぞれのROIについて、それぞれの化合物治療用量にわたる細胞の数が数えられた。抗ウイルスヒットについては、細胞数計算における用量反応の低下が、感染した細胞(ROI 1-4)を有する領域においてのみ観察された。さらに、感染した細胞集団を単離し、ウイルスヌクレオカプシド染色画像から測定した特徴を除外した後、UMAP座標空間に再び埋め込み、感染した細胞が均質な濃度分布を有する主なクラスター本体中に存在することを観察した。これは、Huh-7細胞内の特異的細胞表現型/クラスター化について、ウイルス感染に対する感受性に実質的な偏りがないことを示している。
【0065】
ラクトフェリンは、ウイルスサイクルの異なる段階でSARS-CoV-2複製を遮断する。
【0066】
形態学的スクリーニングから同定された最も有効なヒットの1つは、乳および他の分泌液中に見出されるタンパク質、ラクトフェリンであった(Langら、2011)。ラクトフェリンは、用量依存性(3nM~2.3μM)およびMOI依存性(0.2~10)の抗ウイルス活性を有することが確認された(図6Aおよび6B)。関連するSARS-CoV-1による感染との関連において、ラクトフェリンに関する以前の研究は、ラクトフェリンが早期のウイルス付着に重要であるヘパラン硫酸プロテオグリカンを結合することによってウイルス侵入を遮断することを示唆している(Langら、2011)。これらの研究は、ラクトフェリンが1時間p.i.または24時間p.i.で、添加される際に、抗ウイルス活性を保持するので、SARS-CoV-2感染を侵入レベルで、さらなる作用機構を用いて遮断することを示した(図6B)。ラクトフェリンは、宿主細胞内のウイルス複製を制限するために、先天性インターフェロン反応を調節することが提案されている(Siqueiros-Cendonら、2014)。治療により、ウイルス複製の用量依存的減少が観察された(図6C)。これは、ラクトフェリンで処置されたHuh-7細胞におけるIFNβおよびインターフェロン刺激遺伝子ISG15、MX1、ビペリン、およびIFITM3の上昇と一致していた(図6D)。興味深いことに、ホロおよびアポラクトフェリンの両方によって、強力な抗ウイルス効果が検出された。後者は、広く利用可能な栄養補助食品の構成要素である。全身的な鉄欠乏機構を含む作用モードを除外するために、タンパク質トランスフェリンが見出された。タンパク質トランスフェリンは、2.3μMの濃度で抗SARS-CoV-2活性を欠くことが見出された(図6E)。最後に、生理学的に関連する誘導肺胞上皮細胞2型(iAEC)におけるSARS-CoV-2感染を阻害するラクトフェリンの有効性を試験した(Jacobら、2017;Jacobら、2019;Hurleyら、2020)。Huh-7細胞での本発明者らの知見と一致して、ラクトフェリン(1.15μM)を使用したiAECの前処置は、10のMOIでSARS-CoV-2に感染した細胞の比率の2倍の減少をもたらした(表6F)。
【0067】
抗ウイルス療法のための臨床的に効果的な計画は、組み合わせ(または「薬物カクテル」)手法を使用する。組み合わせ手法では、ウイルスのライフサイクルの様々な段階を標的とし、単剤選択圧から獲得される薬物耐性のリスクを最小限にするために、様々な作用機構を有する化合物が同時に使用される。これは、特にRNAウイルスに当てはまる。それらは非常に多様であり、薬剤耐性を迅速に発達させることができる(Pallelaら)。ラクトフェリンの高い単剤の有効性を考慮して、ヒドロキシクロロキンまたはレムデシビルとの組み合わせが、全体的な抗ウイルス活性を改善し得るかどうかが試験された。ラクトフェリンは、レムデシビル(図6G)およびヒドロキシクロロキン(図6H)の両方の有効性を増強することがわかった。それらは、現在、SARS-CoV-2感染の治療法を探索している(図7)。ラクトフェリンとの組み合わせ療法は、COVID-19パンデミックの治療において、中毒を減らすこと(例えば、ヒドロキシコルキン)または摂取を減らすこと(例えば、レムデシビル)によって有益であり得る。
【0068】
〔考察〕
本発明のための実施形態を展開する過程で行われた実験では、FDAに承認された化合物の迅速なスクリーニングを可能にするハイコンテンツの画像化および形態学的プロファイリングに基づいて、機械学習を活用して潜在的な作用機構を決定する実験的ワークフローが開発された。インビトロでSARS-CoV-2感染を制限する15のFDAに承認された化合物が同定された。これらのうち、6つは以前に報告されており、本発明者らのエンドポイントおよび実験的手法のベンチマーク検証として役立っており、9つはこれまで知られていなかった。この手法は多用途(すなわち、形質転換された、およびより生理学的に関連する非形質転換細胞株の両方に適用させることができる)として実証され、感染の出現特性、ならびに化学的阻害を通して変動させることができる新規の表現型を同定することができる。
【0069】
ハイコンテンツの形態学的プロファイリング手法は、再利用のための薬物を選択し、優先順位を付けるための画像細胞計算(陽性率を表にする)およびプレートリーダーアッセイよりも優れている。ウイルス染色は、単なるウイルス感染(または阻害)の絶対的な尺度ではなく、感染歴の詳細な調査、ならびに、合胞体の形成の阻害、ウイルス侵入、またはウイルス複製、および宿主細胞の調節を含む多数の表現型標的の観察の出発点である。Scripps/Reframedb(Rivaら、2020)、Institut Pasteur Korea(Jeonら)、および、Recursion Pharma(Heiserら、2020)の研究を含む様々なアッセイ技術および細胞モデルを用いた他の薬物再利用スクリーニングとは対照的に、本研究者らはSARS-CoV-2に対する真正の抗ウイルス活性を有する化合物のみではなく、関連する作用機構もまた報告する。
【0070】
UMAPの可視化は、細胞塗布スタイルアッセイからの細胞表現型の調査において重要な進歩であり(Brayら、2016)、薬理学的変動を特徴付けるための計画である。本明細書に記載される実験では、UMAPの埋め込みは1細胞当たり660の測定を行う。それらは特徴ベクトルを含み、表現型の天然クラスター化を視覚化するために、それらを2次元グラフに投影する。この非線形データ低減技術は、天然の表現型クラスターを同定するのに優れている。再利用スクリーニングでは、ウイルスに感染した細胞集団の同定に非常に効果的であり、ウェル内部のウイルス感染歴の進行が明確に見られた。非感染の状態では、細胞は正常な細胞表現型を反映して主なクラスター本体に投影する。Huh7細胞株では、脂質蓄積および核サイズ/核形状/核組織に顕著な差異があり、細胞の約10%が細胞分裂を受けている。これらの生物学的プロセスは、クラスターエリア内の個々の細胞を観察することによって明確に見ることができる。図5では、ROI 6細胞は有糸分裂的に活性であり、主なクラスター本体とROI 6との間に弱い結合を見ることができ、主なクラスター本体で始まり、ROI 6に進み、主なクラスター本体に戻る細胞サイクル歴を表す。同様に、細胞が主なクラスター本体で始まり、遠くの北東クラスター本体を横断し(ROI 1-4)するウイルス感染プロセスとの関連において、疑似時間が観察され得る。ここで、点状のウイルスシグナルで始まり、単離された感染した細胞に進行し、周囲の細胞の感染および合胞体の形成で終わる(ROI 3)ウイルス感染の進行を観察することができる。有効性(ROI 1-4の密度低下)ならびに主な細胞本体の薬理学的変動を効果的に特徴付けるために、UMAP分析を用いた。例えば、細胞障害性薬剤/細胞増殖抑制薬剤によるSARS-CoV-2の有効性に関する多数の報告がある。これらの薬物処置されたウェルがUMAP座標系に埋め込まれると、有糸分裂クラスターは消失し、主なクラスター本体の主要な移動が感染した細胞クラスターの減少と共に存在する。これは、非感染の細胞が著しく変動し、ウイルス複製の阻害要因が転写/翻訳の全体的な停止に起因することを示す。これは、UMAPの埋め込みがレムデシビルを使用して観察されるように、非感染集団において最小の変動で有効な化合物の優先順位付けを助けることができることを実証する。
【0071】
重要なことに、本明細書に記載される実験は、SARS-CoV-2の病因に新しい分子標的/分子経路を関与させ、臨床的に試験可能かつ容易に変換可能な仮説を生み出す薬物を同定した。例えば、胃食道逆流症を治療し、悪心および嘔吐を含む他の胃腸症状を予防するために使用される強力なD2受容体拮抗薬であるメトクロプラミドの用量依存性抗ウイルス活性が観察された(HibbsおよびLorch、2006)。SARS-CoV-2に感染した患者の半数以上で胃腸症状の報告が増加している(Linら、2020)。特に、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル-リトナビル、トシリズマブなどの治験薬は、胃腸および肝臓の有害事象と関連する可能性があり、したがって、すでに重篤な胃腸症状を経験している患者には理想的ではない(Hajifathalianら、2020)。したがって、メトクロプラミドは、COVID-19患者にとって興味深い二標的治療の選択肢である。
【0072】
たいていのFDAに承認された薬物はヒト分子標的を対象とするため、スクリーニングはSARS-CoV-2感染に関与する重要な宿主因子の同定に役立った。カテプシンB、カテプシンL、およびカテプシンSを含むシステインプロテアーゼの不可逆的阻害剤であるZ-FA-FMKは、強力な抗ウイルス活性を示した(Roscowら、2018)。偽ウイルスを用いた最近の報告では、カテプシンLがSARS-CoV-2の重要な侵入因子であることを示した(Ouら、2020)。Z-FA-FMKの抗ウイルス効果は、カテプシンLがSARS-CoV-2感染との関連においてもまた必要条件であることを示唆し、この分子がウイルス侵入を研究するための有用な調査ツールであり得ることを示唆する。同様に、フェドラチニブは凝固および線維症を引き起こす稀な血液癌である骨髄増殖性新生物について、2019年にFDAによって承認された経口的に生物学的に利用可能な半選択的JAK2阻害剤である(Pardananiら、2007)。JAK-阻害剤は、TH17媒介炎症反応を特異的に阻害するためにCOVID-19について提案されている(WuおよびYang 2020;Zhangら、2020)。加えて、JAK-阻害剤は、クラスリン媒介ウイルスエンドサイトーシスに関与する麻痺関連キナーゼ(NAK)を遮断することが提唱されている(Stebbingら、2020)。現在、バリシチニブ(中等度から重度のコロナの治療)、ジャコチニブ(ChiCTR2000030170)、およびルキソリチニブ(ChiCTR2000029580)を含むいくつかのJAK阻害剤が、COVID-19管理のための治験において評価されている。FDAに承認された4つのJAK阻害剤、すなわち、バリシチニブ、ルキソリチニブ、トファシチニブ、およびフェドラチニブのうち、SARS-CoV-2に対して活性を示したのは最後のみであり、IC50は25nMであった。しかしながら、JAK-STAT経路を阻害することが保護的インターフェロン反応を制限する可能性があるという多少の懸念がある(Favalliら、2020)。
【0073】
シグマ受容体(SigmaR1/R2)は、小胞体ストレス反応および脂質ホメオスタシス(Delpratら、2020)、Huh-7細胞におけるC型肝炎ウイルス感染の初期段階に関与しているプロセス(Frieslandら、2013)、およびコロナウイルス病因(FungおよびLiu 2014)、を媒介する許容シャペロンである。2つのシグマ受容体モジュレーター、すなわち、強力な抗ウイルス活性を有するアミオダロン(SigmaR1 IC50:1.4nM、SigmaR2 IC50:1nM)(Moebiusら、1997)、およびS1RA(E-52862;SigmaR1 IC50:17nM拮抗薬、SigmaR2 IC50:>1μM)(Diazら、2012)が同定され、限定された細胞毒性を有する52nMのIC50および222nMのIC50をそれぞれ実証した。アミオダロンは不整脈の治療のために承認されているが、ヒドロキシクロロキンと同様に、その治療の可能性を制限するhERGイオンチャネルの阻害による強力な心毒性副作用を有する(Torresら、1986)。S1RAは神経因性疼痛の治療のための第2相治験を完了している(Vidal-Torresら、2014;Grisら、2016)。Gordonらは、Vero-E6細胞中にてSARS-CoV-2感染を阻害するいくつかの他のシグマR1/R2モジュレーターを同定したが、S1RAに対する抗ウイルス活性は観察されなかった(Gordonら、2020)。このことは、S1RA活性がそれぞれの細胞株に特異的な宿主細胞因子に依存しており、ヒト細胞がこの化合物に対してより敏感に反応し得ることを示唆している。
【0074】
最も注目すべきことに、スクリーニングは、多様な有効性を用いて、インビトロでSARS-CoV-2阻害剤としてラクトフェリンを実証する。有効性は、気道上皮の非形質転換および気道上皮の臨床的に関連するiPSC由来モデルを含む複数の細胞型において示された。ラクトフェリン遺伝子発現は、SARS-CoV-1感染に反応して高度にアップレギュレートされることが以前に示されている(Reghunathanら、2005)。ナチュラルキラー細胞および好中球活性の増強に加えて、ラクトフェリンは、ヘパラン硫酸プロテオグリカンへの結合を介してウイルス侵入を遮断する。興味深いことに、ラクトフェリンは、最大24時間p.i.まで抗SARS-CoV-2活性を保持する。このことは、単純な侵入阻害以外のさらなる作用機構を示唆する。決定的かつ完全な作用機構には依存しないが、記載された結果はラクトフェリンでの治療の際に、いくつかのインターフェロン刺激遺伝子の発現の増加を介して有意な宿主細胞調節を示した。さらに、ラクトフェリンはIL-6の産生を低下させることが以前に示されている(Cutoneら、2014)。これは、SARS-CoV-2感染によって産生される「サイトカインストーム」の重要なプレーヤーのうちの1つである(Contiら、2020;Lagunas-RangelおよびChavez-Valencia、2020)。重要なことに、本発明者らは、ラクトフェリンがホロ形態およびアポ形態の両方で活性を保持し、後者が経口的に利用可能なラクトフェリンサプリメントの構成要素であることを見出した。経口的に利用可能なラクトフェリンは、COVID-19患者に存在する胃腸症状を軽減するのに特に効果的であり得る(Hanら、2020)。機構はラクトフェリンが先天性免疫反応の誘発を介してヒトノロウイルス感染をどのように減少させるかに類似し得(Odaら、2020)、特に、ラクトフェリン遺伝子多型は感染性下痢に対する感受性の増加に関連している(Mohamedら、2007)。ラクトフェリンが胃腸管におけるウイルス量を減少させると、COVID-19の糞口伝播を減少させることができる(Guら、2020)。
【0075】
組み合わせ療法はSARS-CoV-2感染を効果的に治療するために必要とされる可能性が高く、この手法はいくつかの有望性を既に示している。例えば、インターフェロンβ-1bと、ロピナビル-リトナビルと、リバビリンとの組み合わせ療法は、前向き非盲検無作為化第2相試験にて、SARS-CoV-2に対する有効性を示した(Hungら、2020)。本明細書に記載される結果は、ラクトフェリンが、レムデシビルおよびヒドロキシクロロキンの両方の抗ウイルス活性を増強し、これら薬物との組み合わせ療法として使用され得ることを実証した。それらは、現在、COVID-19の治療のために使用または研究されている。その広い利用可能性、わずかなコスト、および副作用が存在しないことの理由から、ラクトフェリンはCOVID-19の予防および管理の両方のための迅速に展開可能な選択であり得る。
【0076】
細胞およびウイルス
VeroE6細胞、Caco2細胞、およびHuh7細胞は、10%の熱不活化ウシ胎児血清(FBS)、HEPES、非必須アミノ酸、L‐グルタミン、および1X抗生物質-抗真菌溶液(Gibco)を使用したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Welgene)中、5%のCO2を用いて、37℃に維持された。iPSC由来気道上皮細胞株(iAEC)を、以前に記載された分化プロセスに基づいて培養させた(Hurleyら、2020)。簡単に述べると、iPSCは、二次元細胞培養において、NKX2.1陽性肺内胚葉に分化される。NKX2.1陽性細胞はフロー選別され、Matrigel(Corning)に埋め込まれ、「CK+DCI+Y」培地中で培養され、肺胞分化を促した。SARS-CoV-2 WA1菌株を、VeroE6細胞中で培養させた。ウイルス力価は、顕微鏡スコアリングによって、VeroE6細胞中にて、TCID50アッセイ(リード・アンド・ミュンヒ法)によって決定された。SARS-CoV-2を用いた全ての試験は、ミシガン大学の研究所バイオセーフティー委員会(IBC)および環境安全衛生委員会(EHS)によって使用が承認された研究室でのコンテインメント手順に従って、バイオセーフティーレベル3(BSL3)プロトコールの下、ミシガン大学において実施された。
【0077】
ウイルス定量:増殖動態およびRT-qPCRアッセイ
VeroE6細胞、Caco2細胞、およびHuh7細胞は、一晩培養された2×10^4細胞/ウェルで48のウェルプレート中、5%のCO2を用いて37℃で播種した。次いで、細胞にSARS-CoV-2 WA1を0.2の感染多重度(MOI)で感染させた。感染から1時間後、細胞は採取されるか(感染0日目)、または37℃で1日間p.i.、2日間p.i.、および3日間p.i.保たれた。ウイルス力価の決定は、全てのウイルスのVeroE6細胞(上清および細胞内画分)について、TCID50アッセイによって実施された。あるいは、細胞はトリゾールで採取され、全ての細胞およびウイルスRNAはZymoGen Direct-zol RNA抽出キットで抽出された。ウイルスRNAは、2019-nCoV CDC qPCRプローブアッセイおよびプローブセットN1(IDT技術)を用いて、RT-qPCRによって定量された。IFNβ、ビペリン、MX1、ISG15、IFITM3、およびハウスキーピング遺伝子GAPDH mRNAレベルは、SsoAdvanced(商標)Universal SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-Rad)を使用して、特異的プライマー(IFNβ:F-TTGACATCCCTGAGGAGATTAAGC(配列番号:1)、R-TCCCACGTACTCCAACTTCCA(配列番号:2);MX1:F-CCAGCTGCTGCATCCCACCC(配列番号:3)、R-AGGGGCGCACCTTCTCCTCA(配列番号:4);ISG15:F-TGGCGGGCAACGAATT(配列番号:5)、R-GGGTGATCTGCGCCTTCA(配列番号:6);IFITM3:F-TCCCACGTACTCCAACTTCCA(配列番号:7)、R-AGCACCAGAAACACGTGCACT(配列番号:8);GAPDH:F-CTCTGCTCCTCCTGTTCGAC(配列番号:9)、R-GCGCCCCACCAAGCTCAAGA(配列番号:10))を用いて、qPCRによって定量された。非感染の未処置Huh-7に対するΔΔCt方法を使用することによって、倍率の増加が計算された。
【0078】
ウイルス感染性アッセイ
384のウェルプレート(Perkin Elmer、6057300)は、Huh-7細胞を用いて3000細胞/ウェルで播種され、一晩接着させた。次いで、化合物が細胞に添加され、4時間培養された。その後、プレートはBSL3コンテインメントに移された。SARS-CoV-2 WA1を使用して、10μLの添加にて、0.2の感染多重度(MOI)で振盪しながらウイルスを分散させ、感染させた。吸収の1時間後、ウイルス接種材料は除去され、培地は新鮮な化合物と交換された。非感染の細胞およびビヒクル処置された細胞を、それぞれ陽性コントロールおよび陰性コントロールとして含めた。感染後2日間、細胞は4%のPFAで、室温で、30分間固定され、0.3%のTriton X-100で透過処理され、抗体緩衝剤(1.5%のBSA、1%のヤギ血清、および0.0025%のTween20)でブロックされた。次いで、最適化された蛍光色素セット、すなわち、4Cで一晩処置された抗ヌクレオカプシドSARS-CoV-2抗体(Antibodies Online, Cat# ABIN6952432)を用いて染色し、続いて二次抗体Alexa-647(goat anti-mouse、Thermo FIsher、A21235)、核染色(Thermo Fisher、H1398)のためのHoechst-33342 Pentahydrate(bis-Benzimide)、HCS LipidTOX(商標)Green Neutral Lipid染色(Thermo FIsher、H34475)、および細胞描写のためのHCS CellMask(商標)Orangeを用いて染色するために、プレートは密封され、表面を除染され、BSL2に移された。3D培養にて維持されたiPSC(ボストン大学 SPC2-ST-B2)由来肺胞上皮細胞(iAEC)は、単一細胞に分離され、8000細胞/ウェルの播種密度で、コラーゲンで被覆された384ウェルプレート中に播種され、72時間にわたって増殖させた。以下の感染、化合物処置、および固定は、Huh-7のものと同一であった。iPSC由来の肺胞上皮細胞の染色プロトコールは、HCS CellMask Orangeの代わりに、抗アセチル化チューブリン一次抗体(細胞シグナル伝達、5335)の追加、およびさらなる二次Alexa488(donkey anti-rabbit、Jackson ImmunoResearch、711-545-152)の使用により、わずかに異なった。
【0079】
化合物ライブラリー
薬物スクリーニングのために展開された化合物ライブラリーは、Cayman Chemical CompanyからのFDAに承認された薬物スクリーニングライブラリー(アイテム番号.23538)を用いて作製された。875種の化合物のこのライブラリーにはさらなるFDAに承認された薬物が補給され、MedChemExpress、Sigma Aldrich、およびTocrisを含む他のベンダーからの臨床候補が合理的に含まれた。ライブラリーは5つの384ウェル化合物プレートにフォーマットされ、10mMでDMSOに溶解した。ホロラクトフェリン(Sigma Aldrich、L4765)、アポラクトフェリン(Jarrow Formulas、121011)およびトランスフェリン(Sigma Aldrich、T2036)は別々に取り扱われ、細胞培養培地に手作業で加えられた。希釈プレートは、2mM、1mM、500μM、250μM、および50μMの濃度のqHTSについて作製された。
【0080】
qHTS一次スクリーニングおよび用量反応確認
qHTSスクリーニングのために、50nLのpin tool Caliper Life Sciences Sciclone ALH 3000 Advanced Liquid Handling systemを用いて、ミシガン大学の化学ゲノミクスセンター(CCG)にて、化合物が細胞に添加された。2μM、1μM、500nM、250nM、および50nMの濃度が、一次スクリーニングに含まれた。qHTSスクリーニング後、全ての化合物がHP D300eデジタル化合物ディスペンサー(HP D300e Digital Compound Dispenser)を用いて分配され、0.1%DMSOの最終DMSO濃度に正規化された。確認用量反応は、3回で、かつ10点:2倍希釈で実施された。
【0081】
画像化
染色された細胞板は、20X/0.45NA LUCPlan FLN対物レンズを用いて、Yokogawa CQ1およびThermo Fisher CX5ハイコンテンツ顕微鏡の両方について画像化された。Yokogawa CQ1画像化は、4つの励起レーザ線(405nm/488nm/561nm/640nm)を用いて、回転ディスク共焦点および100msの露光時間で行われた。レーザ出力を調整し、それぞれのチャネルについて最適なシグナル対ノイズ比を得た。最大強度投影画像は、3ミクロンステップサイズを有する5つの共焦点面から収集された。レーザーオートフォーカスが実施され、ウェル面積の約80%をカバーする1ウェル当たり9照射野が画像化された。LED励起(386/23nm、485/20nm、560/25nm、650/13nm)を有するThermofisher CX5もまた使用され、シグナル/バックグラウンドを最大にするように露光時間が最適化された。Hoechstチャネル上の画像に基づくオートフォーカスによって決定されるように、9照射野が単一のZ面で収集された。一次qHTSスクリーニングはCX5画像を用いて実施され、全ての用量反応プレートはCQ1を用いて画像化された。
【0082】
画像分割および特徴抽出
オープンソースのCellProfilerソフトウェアは、分割、特徴抽出、およびMySQLを使用するAmazon RDSリレーショナルデータベースに記録される結果のために、Ubuntu Linuxに基づく分散型Amazon AWSクラウド実装にて使用された。特徴抽出のために、核、細胞、細胞質、核小体、中性脂質滴、および合胞体を自動的に同定するためのパイプラインが開発された。複数強度特徴および半径方向分布は、それぞれの物体についてそれぞれのチャネルで測定され、細胞サイズおよび形状特徴が測定された。核は、Hoechst-33342画像を用いて分割され、核マスクをCell Mask Orange画像の縁部に拡張することによって、全ての細胞マスクが生成された。
【0083】
データ前処理
細胞レベルのデータは前処理され、オープンソースKnime分析プラットホーム(Bertholdら、2009)で分析された。細胞レベルのデータはMySQLからKnimeにインポートされ、薬物治療メタデータは結合され、特徴は中心付けられてスケーリングされた。特徴は、低分散(<5%)および高相関(>95%)について取り除かれ、1細胞当たり660の特徴をもたらした。
【0084】
機械学習-感染性スコアおよび照射野レベルスコアリング
統計的言語および環境Rで実施された多重ロジスティック回帰を用いて、感染したウェル内の細胞に特徴的な特性を同定した。定量的ハイスループットスクリーニングの最初の5つのプレートシリーズにて、感染コントロールウェルおよび非感染コントロールウェルからの細胞にモデルを適合させた。独立した基準として、これらのロジスティック回帰モデルが手動で選択された個々の感染した細胞および非感染の細胞のセットに対して検証され、基準上の性能を低下させた特徴はモデルから除外された。最終モデルには、細胞および細胞質のROIにおけるウイルスチャネル強度の特徴のみが含まれた。最初の分類基準として、基準におけるウイルス感染した細胞の最小値が用いられた。最終的な判定基準を式.1に示す。
【0085】
(式.1):細胞が感染している場合(Cells_Intensity_IntegratedIntensityEdge_Virus×0.1487025+Cells_Intensity_MeanIntensityEdge_Virus×-38.40196+Cells_Intensity_MaxIntensityEdge_Virus×42.70269+Cytoplasm_Intensity_StdIntensity_Virus×42.54849)≧1.525285。
【0086】
次いで、感染したコントロールからの個々の照射野画像は、照射野内の全ての細胞にわたる平均特徴値が式1の基準を上回った場合に、感染が確認されたと分類された。それぞれの照射野における全ての660の細胞プロファイラーの特徴の平均値を用いて、ランダムフォレスト分類器が仕立てられ、感染が確認された照射野に対する非感染コントロール照射野のカテゴリーに属する可能性を予測した。このランダムフォレスト分類器のアウトプットは、全体を通して「Probpos」(陽性、非感染コントロールについて)として報告される。80/20交差検証を用いて、照射野レベルの平均特徴値/中央特徴値が計算され、ランダムフォレストモデルを陽性コントロール(32の非感染ウェル)と陰性コントロール(32の感染ウェル、0.1%のDMSOビヒクルで処置された)との間に適合させた。化合物で処理されたウェルはRFモデルでスコア化され、有効性スコアは個々のプレートに対して正規化された。
【0087】
UMAP埋め込み
MPLearn(v0.1.0、https://github.com/momeara/MPLearn)のembed_umapの適用を使用して、UMAP埋め込みを生成した。簡潔に述べると、それぞれ1組の細胞、それぞれの特徴がプレートごとに標準化され、sklearn.IncrementalPCA(n_components=379、batch_size=1000)を使用して共同直交化された。次に、umap-learn(v0.4.1)(McInnesら、2018)、および、umapUMAP(n_components=2、n_neighbors=15、min_dist=0、init=’spectral’、low_memory=True、verbose=True)を使用して、特徴が2次元に埋め込まれた。Holovies Datashader(v1.12.7)(Stevensら、2015)を使用して、ヒストグラム同等化およびビリジスカラーマップを用いて埋め込みを視覚化した。
【0088】
HC Stratominer
ヒットコールのための独立方法として、HC Stratominer(Core Life Analytics、Utrecht NL)(Core Life Analytics、Utrecht NL)が用いられ、完全に自動化された/合理化された細胞レベルのデータ前処理およびスコア生成を行う。IC Stratominerはまた、qHTSの用量反応曲線に適合するために使用された。
【0089】
ACAS
化合物の登録およびアッセイデータの登録は、オープンソースACASプラットフォーム(Refactor BioSciences github https://github.com/RefactorBio/acas)を用いて行われた。
【0090】
用量反応分析および化合物選択-全ての予定外の小分子のFDAに承認された薬物を含む最初のスクリーニングにおいて
qHTSスクリーニングでは、以下の基準のうちの1つを満たす場合に、化合物が全ての用量反応確認に持ち越されるように選択された:1)照射野あたりの細胞数が陽性コントロールの少なくとも60%であり、ウェル内の照射野にわたるProbposにて観察された標準偏差が0.4以上ではない、少なくとも3つの濃度での中央値照射野について0.75を超えるProbpos、2)2つの最高濃度で0.90を超えるProbposを有する化合物を含む試験された5つの濃度にわたり、Probposとの用量反応関係が観察された(検査によって)、あるいは、3)文献で陽性が報告された場合には、またはCOVID-19の治験で評価されている場合には、この基準を満たさない対象化合物は持ち越された。
【0091】
確認スクリーニングおよび組み合わせスクリーニングにおける用量反応分析
単一ウェルにわたる感染した細胞の空間的不均一性のために、照射野の約半分は不飽和であり、試験されたそれぞれの濃度ごとに27のランク順照射野(9照射野および3つのウェルから)のうちの上位3分の1で飽和するProbposにて、一貫した分配をもたらした。化合物の濃度に関するProbpos効果は、ランク順照射野の上位3分の1を平均することによって表に示された。高いProbpos値を有する外れ値照射野は視覚的に検査され、アーチファクト(分割エラーまたはデブリ)が観察された場合には除去された。クロファジミンを含む公知の蛍光薬で処置された細胞は、スペクトル障害を有さないことが確認された。用量-反応曲線は、半対数4パラメーター可変勾配モデルを用いて、Graphpad Prismに適合された。
【0092】
ここで本発明は十分に記載されたが、当業者であれば本発明の範囲またはその任意の実施形態に影響を与えることなく、広範かつ同等な状態、製剤物、および他のパラメーターの範囲内で同じことを行うことができることを理解するのであろう。本明細書に引用される全ての特許、特許出願、および刊行物は、その全体が参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0093】
同等物
本発明は、その精神または本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態にて実施され得る。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載される本発明を限定するのではなく、全ての点において例示的であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は前述の記載によってではなく、むしろ添付された特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の同等物の意味および範囲の内に入る全ての変更は、特許請求の範囲の中に包含されることが意図される。
【0094】
参照による組み込み
本明細書で言及される特許文書および科学論文のそれぞれの全開示は、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。加えて、本明細書で参照される以下の参照文献は、その全体が参照により組み込まれる:
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【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】A)VeroE6細胞、Huh-7細胞、およびCaco-2細胞の増殖動態。細胞を48のウェルプレート中にて、0.2のMOIで、SARS-CoV-2に感染させ、0日目(吸着後1時間)、1日目、2日目、および3日目に採取した。TCID50を、上清および細胞画分について決定した。グラフは中央値を表し、N=2の生物学的複製のSDであり、それぞれn=3の技術的複製を有する。B)SARS-CoV-2に感染したVeroE6細胞(左)およびCaco2細胞(右)に対するHoechst 33342(シアン)および抗SARS-CoV-2 NP抗体(マゼンタ)での染色における合胞体の形成(マゼンタ、抗SARS-CoV-2 NP抗体)。C)アッセイ検出の限界。Huh-7細胞を、指示されたMOIで感染させ、感染後48時間後(p.i.)に画像化させた。MOIの増加と相関して、進行性でより多機能な合胞体の形成が観察された。検出は0.004のMOIの低さの感染で可能であった。
図2】SARS-CoV-2に感染したHuh-7細胞の形態学的プロファイリング(48時間、0.2のMOI)。中心像:核(シアン)、中性脂質(緑色)、およびSARS-CoV-2 NPタンパク質(マゼンタ)を有する代表的な照射野。特徴抽出を介して、SARS-CoV-2感染の重要な特質は、HCS CellMask Orange チャネルからの多核合胞体(左上)および豊富な核小体(左下)で特徴付けられた。SARS-CoV-2 NP チャネルからの細胞質突起(右下)を有する細胞ウイルス区画化(右上)。Yokogawa CQ1 ハイコンテンツ撮像装置で代表的な画像を取得し、Fiji ImageJ パッケージで分析した。
図3】A)qHTSスクリーニングからの132ヒットの用量-反応曲線。XX B)複製プレート間で抗ウイルスの有効性に強い相関を示す複製プロット。
図4】a)抗SARS-CoV-2治療法の発見への取り組みの概略図。1)SARS-CoV-2に感染した384のウェルプレート上にて培養された細胞に、化合物が投与される。それぞれのプレートは、プレート間の変動をコントロールするために、24の陰性(感染)コントロールウェルおよび24の陽性(非感染)コントロールウェルを含む。2)細胞は固定され、染色され、画像化される。これらの細胞区画の特徴を抽出しながら、核の含有量、細胞境の含有量、中性脂質の含有量、およびウイルス合胞体の形成を区分するCell Profilerに基づくパイプラインによって、画像は分析される。3)画像ごとにウイルス感染性を定義するために、多変量解析によって用量-反応曲線が算出される。4)抽出された特徴に基づいて、陽性コントロールウェルおよび陰性コントロールウェルの周りに機械学習モデルが構築され、それぞれの薬物状態に適用される。5)得られた特徴を通して、モデルは抗ウイルス作用の個々の化合物モードを知らせる。6)確認された抗ウイルスヒット;b)薬物スクリーニングの15ヒットの用量-反応曲線。グラフは、N=3の生物学的複製について、一連の選択された化合物の、10点の1:2希釈の中央値SEMを表す。IC50は、コントロールに対する正規化に基づき、GraphPadプリズムに適合させた後に計算された。
図5】それらの形態学的特徴による細胞の埋め込みは、細胞の状態および感染の状態によるクラスター化を示す。a)非感染の(PC)、感染した(NC)、または感染し、かつFDAに承認され、臨床候補である12の薬物のスクリーニングヒットを用いて10用量にわたり処置されることからなる、379の形態学的特徴による200万の個々の細胞の2次元UMAP埋め込み。b)UMAP中のクラスター関心領域(ROI)は、感染した合胞体(ROI 3)および単離された(ROI 4)細胞および非感染の有糸分裂(ROI 6)、正常(ROI 10)、散在性脂質(ROI 11)、および細胞質点状物(ROI 12)細胞を含めて強調される。c)6つのROIについて、代表的な細胞は、核(左上)、細胞境界(右上)、中性脂質(左下)、およびSARS-CoV-2ヌクレオカプシド(右下)のチャネルによって示される。以下では、それぞれの処置および用量にわたる細胞数がヒートマップとして示される。ここで、ROI 3およびROI 4の用量-反応の挙動を見ることができる。
図6】ラクトフェリンはウイルス周期の様々な段階で、SARS-CoV-2の複製を遮断する。a)Huh-7細胞をラクトフェリン(0~2.3μM)で処置し、384のウェルプレート中にてSARS-CoV-2(0.2のMOI)に感染させた。自動蛍光顕微鏡法を用いてプレートは画像化され、本発明者らの画像分析パイプラインを用いて処理され、ウイルスの阻害割合を決定した。グラフは用量-反応(RED、IC50=308μM)を示す。細胞生存率は黒色で示される。b)Huh-7をSARS-CoV-2(1のMOI、5のMOI、および10のMOI;0のMOIは非感染の細胞を示す)に感染させ、2.3μMのラクトフェリンを用いて、1時間p.i.および24時間p.i.で処置させた。バーは、様々な状態における感染した細胞の割合を示す。データは、8回の複製の平均である。統計学的有意性は、Bonferroni-Dunn法による多重T検定を用いて、α=0.05で測定した。0のMOIを除いて、全ての状態(未処置対ラクトフェリン、1時間、もしくは、未処置対ラクトフェリン、24時間)は、p値<0.0001を有する。c-d)2.5×10Huh-7細胞を、48時間p.i.、0.2のMOIで、SARS-CoV-2に感染させた。細胞が採取され、RNAが抽出された。ウイルスゲノムコピーは、絶対定量法(標準曲線)(c)を用いて計算され、細胞のIFNβ、MX1、ISG15、およびIFITM3(d)のmRNAレベルは、非感染のHuh-7に対するΔΔCtを用いて計算された。データは平均であり、N=2の生物学的複製のSDであり、それぞれn=3の技術的複製を有する。統計学的有意性は、Bonferroni-Dunn法による多重T検定を用いて、α=0.05、p値<0.001で測定した。e)2.3μMの濃度で、アポラクトフェリン、ホロラクトフェリン、およびトランスフェリンを用いる治療の際の、SARS-CoV-2に感染したHuh-7細胞の割合。f)レムデシビル(50nM)、ラクトフェリン(1.2μM)、およびレムデシビル/ラクトフェリン(25nM/600nM)の組み合わせ処置を用いた処置の際の、10のMOIでの48時間p.i.感染した細胞の割合。g)およびh)レムデシビルとヒドロキシクロロキンとを組み合わせたラクトフェリンの2次元用量反応ヒートマップ。レムデシビルの組み合わせは0.2のMOIで評価され、HCQはラクトフェリンの効能において関連する変化をもたらす10のMOIで評価される。
図7】A)レムデシビル単独、ならびに、有効性の増強を示すレムデシビルと280nMラクトフェリンとの組み合わせ、およびレムデシビルと1μMラクトフェリンとの組み合わせについての用量-反応曲線。B)ヒドロキシクロロキン単独、ならびに、有効性の増強を示すヒドロキシクロロキンと280nMのラクトフェリンとの組み合わせ、およびヒドロキシクロロキンと1μMラクトフェリンとの組み合わせについての用量-反応曲線。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
【配列表】
2023527422000001.app
【国際調査報告】