(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】硬度試験システム
(51)【国際特許分類】
G01N 3/42 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
G01N3/42 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573327
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 US2021024313
(87)【国際公開番号】W WO2021242385
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】マティアス パッシャー
(57)【要約】
試験対象の材料又は構成要素の機械的特性を測定するシステムは、コンピューティングデバイスとともに硬度試験装置を備える。硬度試験装置は、試験対象の材料又は構成要素の硬度を示す少なくとも1つの測定値を測定するように構成される。コンピューティングデバイスは、ディスプレイ、プロセッサ、及びメモリを備える。メモリは、実行されると、プロセッサに、材料の硬度を示す測定値を測定するように硬度試験装置を制御することを行わせる命令を有する。命令は、実行されると、プロセッサに、試験データをデータベースに保存するように制御することを更に行わせる。コンピューティングデバイスは、データベースにアクセスし、硬度に関するパラメーターを計算し、データベースの一部及び硬度に関するパラメーターのうちの少なくとも一方を表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象の材料又は構成要素の機械的特性を測定するシステムにおいて、
試験対象の材料又は構成要素の硬度を示す少なくとも1つの測定値を測定するように構成される硬度試験装置と、
コンピューティングデバイスとを具備し、
前記コンピューティングデバイスは、
表示装置と、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合され、コンピューター可読命令を記憶するメモリとを具備しており、
前記コンピューター可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記材料の前記硬度を示す前記少なくとも1つの測定値を測定するように前記硬度試験装置を制御することと、
前記少なくとも1つの測定値を含む試験データをデータベースに保存することとを実行させ、
更に、前記コンピューティングデバイスを介して前記データベースにアクセスするコマンドに応答して、
前記コマンドに基づいて、前記少なくとも1つの測定値を含む前記データベースの少なくとも一部にアクセスすることと、
前記データベースの前記アクセスした一部に関連した硬度に関するパラメーターを前記少なくとも1つの測定値を用いて計算することと、
前記データベースの前記一部及び硬度に関する前記パラメーターのうちの少なくとも一方を前記表示装置上に表示することとを行わせるシステム。
【請求項2】
前記試験データは、少なくとも2つの測定値を含み、硬度に関する前記パラメーターは、表面硬化深度値を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データベースの前記一部は、硬度値、硬度値の少なくとも1つの変換値、平均硬度値、最小硬度値、最大硬度値、硬度値の標準偏差、硬度値の第2の標準偏差、硬度値の第3の標準偏差、最小値を含まない硬度値の平均、最大値を含まない硬度値の平均、硬度値の範囲、Cp値、Cpk値、CHD値、表面硬度、基底硬度、第2の基底硬度、日付、時間、力、窪みの深度、距離、第1の対角線距離、第2の対角線距離、対称性、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素上の位置と関連する位置情報のうちの少なくとも1つを含む値を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記試験データは、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素上の位置に関連する位置情報を更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
入力装置を更に具備し、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、試験対象の単数の材料又は構成要素及び試験対象の複数の材料又は構成要素の複数の試験位置のうちの少なくとも1つからの複数の硬度試験による試験データを前記表示装置上に表示することを行わせる請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
入力装置を更に具備し、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、データベースから直接試験データを前記表示装置上に表示することを行わせる請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
入力装置を更に具備し、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記プロセッサに、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、
特定のタイプの試験データごとに複数の硬度試験による前記試験データをソートすることと、
前記ソートした試験データを前記ディスプレイ上に表示することとを行わせる請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記試験データは、時間と、少なくとも1つの試験データ値及び硬度に関する前記パラメーターのうちの少なくとも一方とを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
入力装置を更に具備し、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、少なくとも1つのタイプの試験データを示すグラフを作成し、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
入力装置を更に具備し、
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、時間と硬度及び距離のうちの少なくとも一方とを示すグラフを作成し、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
入力装置を更に具備し、
前記試験データは、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素上の位置に関連する位置情報を更に含み、
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、複数の時間に関する少なくとも1つの試験データ値又は硬度を示すパラメーターを示すグラフを作成し、前記複数の時間に関する前記少なくとも1つの試験データ値又は硬度を示すパラメーターの位置を表示することを行わせる請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記プロセッサに、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、
試験対象の単数の材料又は構成要素及び試験対象の複数の材料又は構成要素の複数の試験位置のうちの少なくとも1つからの複数の硬度試験による、少なくとも1つのタイプの試験データを含む傾向情報のグラフを作成することと、
前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することとを行わせる請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
入力装置を更に具備し、前記傾向情報は、前記ユーザー入力装置を介して選択可能である請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
試験対象の材料又は構成要素の機械的特性についてデータベースのデータにアクセスする装置において、
表示装置と、
入力装置と、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合され、コンピューター可読命令を記憶するメモリとを具備し、
前記コンピューター可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、
少なくとも1つの測定値を含む試験データをデータベースに保存することと、
前記プロセッサからのコマンドに応答して、
前記コマンドに基づいて前記少なくとも1つの測定値を含む前記データベースの少なくとも一部にアクセスすることと、
前記少なくとも1つの測定値を用いて、前記データベースの前記アクセスした一部と関連する、硬度に関するパラメーターを計算することと、
前記データベースの前記一部及び硬度に関する前記パラメーターのうちの少なくとも一方を前記表示装置上に表示することとを行わせる装置。
【請求項15】
前記試験データは、少なくとも2つの測定値を含み、硬度に関する前記パラメーターは、表面硬化深度値を含む請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記データベースの前記一部は、硬度値、硬度値の少なくとも1つの変換値、平均硬度値、最小硬度値、最大硬度値、硬度値の標準偏差、硬度値の第2の標準偏差、硬度値の第3の標準偏差、最小値を含まない硬度値の平均、最大値を含まない硬度値の平均、硬度値の範囲、Cp値、Cpk値、CHD値、表面硬度、基底硬度、第2の基底硬度、日付、時間、力、窪みの深度、距離、第1の対角線距離、第2の対角線距離、対称性、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素上の位置と関連する位置情報のうちの少なくとも1つを含む値を含む請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記試験データは、時間と、少なくとも1つの試験データ値及び硬度を示すパラメーターのうちの少なくとも一方とを含む請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、試験対象の単数の材料又は構成要素及び試験対象の複数の材料又は構成要素の複数の試験位置のうちの少なくとも1つからの複数の硬度試験による試験データを前記表示装置上に表示することを行わせる請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、データベースから直接試験データを前記表示装置上に表示することを行わせる請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、
特定のタイプの試験データごとに複数の硬度試験による前記試験データをソートすることと、
前記ソートした試験データを前記ディスプレイ上に表示することとを行わせる請求項14に記載の装置。
【請求項21】
前記試験データは距離及び時間を更に含む請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、少なくとも1つのタイプの試験データ又は硬度を示すパラメーターを示すグラフを作成し、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、時間と硬度及び距離のうちの少なくとも一方とを示すグラフを作成し、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる請求項17に記載の装置。
【請求項24】
前記試験データは、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素の位置に関連する位置情報を更に含み、
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、複数の時間に関する少なくとも1つの試験データ値又は硬度を示すパラメーターを示すグラフを作成し、前記複数の時間に関する前記少なくとも試験データ値又は硬度を示すパラメーターの位置を表示することを行わせる請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、
試験対象の単数の材料又は構成要素及び試験対象の複数の材料又は構成要素の複数の試験位置のうちの少なくとも1つからの複数の硬度試験による、少なくとも1つのタイプの試験データを含む傾向情報のグラフを作成することと、
前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することとを行わせる請求項14に記載の装置。
【請求項26】
前記傾向情報は、前記ユーザー入力装置を介して選択可能である請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、「HARDNESS TESTING SYSTEMS」と題する2021年3月22日に出願された米国特許出願第17/208,587号及び「HARDNESS TESTING SYSTEMS」と題する2020年5月28日に出願された米国仮特許出願第63/031,328号の利益を主張する。米国特許出願第17/208,587号及び米国仮特許出願第63/031,328号の全体は、引用することにより明確に本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、試験対象の材料又は構成要素の機械的特性を測定するシステムに関し、より詳細には、硬度試験システムに関する。
【背景技術】
【0003】
既知の硬度試験装置、例えば、押込み硬度試験装置は、材料が永久変形に抵抗する能力を決定する。そのようなシステムは、圧子又はペネトレーターと、事前選択された負荷をペネトレーターに印加することで、試験対象の試料を窪ませるように力を印加する作動機構とを備える。印加される力及び長さ及び/又は深度測定値を含む様々な測定値に基づいて、硬度値を決定することができる。ビッカースタイプの試験では、例えば、ピラミッド形の圧子を試料に押し込む。形成された窪みを横切る2つの対角線長さを測定し、ビッカース硬度値を計算することができる。ヌープタイプの試験については、非対称的な圧子を使用し、幅よりも長さの大きい窪みを形成する。対角線の測定値からヌープ試験の硬度値を決定することができる。他の硬度試験が数多く知られており、硬度試験装置は、多くの場合、そのような試験を幅広く行うことができる。
【0004】
予想され得るように、様々な産業における試験動作及び他の動作を行う硬度試験システム及び装置、並びに硬度試験方法が必要とされている。改善された硬度試験システムを提供することが有利となる。
【発明の概要】
【0005】
実施の形態において、試験対象の材料又は構成要素の機械的特性を測定するシステムは、試験対象の材料又は構成要素の硬度を示す少なくとも1つの測定値を測定するように構成される硬度試験装置を備える。実施の形態における硬度試験装置は、コンピューティングデバイスを備える。前記コンピューティングデバイスは、表示装置と、プロセッサと、前記プロセッサに結合され、コンピューター可読命令を記憶するメモリとを備え、前記コンピューター可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記材料の前記硬度を示す前記少なくとも1つの測定値を測定するように前記硬度試験装置を制御することと、前記少なくとも1つの測定値を含む試験データをデータベースに保存することと、前記コンピューティングデバイスを介して前記データベースにアクセスするコマンドに応答して、前記コマンドに基づいて前記少なくとも1つの測定値を含む前記データベースの少なくとも一部にアクセスすることと、前記少なくとも1つの測定値を用いて、前記データベースの前記アクセスした一部と関連する、硬度に関するパラメーターを計算することと、前記データベースの前記一部及び硬度に関する前記パラメーターを前記表示装置上に表示することとを行わせる。
【0006】
実施の形態における前記試験データは、少なくとも2つの測定値を含み、硬度に関する前記パラメーターは、表面硬化深度(CHD)値を含む。実施の形態において、前記データベースの前記一部は、硬度値、硬度値の少なくとも1つの変換値、平均硬度値、最小硬度値、最大硬度値、硬度値の標準偏差、硬度値の第2の標準偏差、硬度値の第3の標準偏差、最小値を含まない硬度値の平均、最大値を含まない硬度値の平均、硬度値の範囲、Cp値、Cpk値、CHD値、表面硬度、基底硬度、第2の基底硬度、日付、時間、力、窪みの深度、距離、第1の対角線距離、第2の対角線距離、対称性、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素上の位置と関連する位置情報のうちの少なくとも1つを含む値を含む。
【0007】
実施の形態において、前記試験データは、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素上の位置に関連する位置情報を更に含む。実施の形態において、システムは、入力装置を更に具備し、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記プロセッサに、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、試験対象の単数の材料又は構成要素及び試験対象の複数の材料又は構成要素の複数の試験位置のうちの少なくとも1つからの複数の硬度試験による試験データを前記表示装置上に表示することを行わせる。
【0008】
実施の形態において、システムは、入力装置を更に具備し、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、データベースから直接試験データを前記表示装置上に表示することを行わせる。更なる実施の形態において、システムは、入力装置を備え、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、特定のタイプの試験データごとに複数の硬度試験による前記試験データをソートすることと、前記ソートした試験データを前記ディスプレイ上に表示することとを行わせる。
【0009】
或る特定の実施の形態において、システムは、入力装置を更に具備し、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、少なくとも1つのタイプの試験データ又は硬度に関するパラメーターを示すグラフを作成し、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる。
【0010】
実施の形態において、前記試験データは、時間と、硬度及び距離のうちの少なくとも一方とを含む。実施の形態において、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、時間と硬度及び距離のうちの少なくとも一方とを示すグラフを作成し、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる。
【0011】
システムが入力装置を備える或る特定の実施の形態において、前記試験データは、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素上の位置に関連する位置情報を更に含み、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、複数の時間に関する少なくとも1つの試験データ値又は硬度を示すパラメーターを示すグラフを作成し、前記複数の時間に関する前記少なくとも1つの試験データ値又は硬度を示すパラメーターの位置を表示することを行わせる。
【0012】
実施の形態において、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、試験対象の単数の材料又は構成要素及び試験対象の複数の材料又は構成要素の複数の試験位置のうちの少なくとも1つからの複数の硬度試験による、少なくとも1つのタイプの試験データを含む傾向情報のグラフを作成することと、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することとを行わせる。いくつかの実施の形態において、前記傾向情報は、ユーザー入力装置を介して選択可能である。
【0013】
他の実施の形態において、試験対象の材料又は構成要素の機械的特性についてデータベースのデータにアクセスする装置は、表示装置と、入力装置と、プロセッサと、前記プロセッサに結合され、コンピューター可読命令を記憶するメモリとを備え、前記コンピューター可読命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、少なくとも1つの測定値を含む試験データをデータベースに保存することと、前記データベースにアクセスするコマンドに応答して、前記コマンドに基づいて前記少なくとも1つの測定値を含む前記データベースの少なくとも一部にアクセスすることと、前記少なくとも1つの測定値を用いて、前記データベースの前記アクセスした一部と関連する、硬度に関するパラメーターを計算することと、前記データベースの前記一部及び硬度に関する前記パラメーターを前記表示装置上に表示することとを行わせる。
【0014】
実施の形態において、前記データは、少なくとも2つの測定値を含み、硬度に関する前記パラメーターは、表面硬化深度値を含む。或る特定の実施の形態において、前記データベースの前記一部は、硬度値、硬度値の少なくとも1つの変換値、平均硬度値、最小硬度値、最大硬度値、硬度値の標準偏差、硬度値の第2の標準偏差、硬度値の第3の標準偏差、最小値を含まない硬度値の平均、最大値を含まない硬度値の平均、硬度値の範囲、Cp値、Cpk値、CHD値、表面硬度、基底硬度、第2の基底硬度、日付、時間、力、窪みの深度、距離、第1の対角線距離、第2の対角線距離、対称性、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素上の位置と関連する位置情報のうちの少なくとも1つを含む値を含む。
【0015】
実施の形態における前記試験データは、時間と、少なくとも1つの試験データ値及び硬度を示すパラメーターのうちの少なくとも一方とを含む。他の実施の形態において、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、試験対象の単数の材料又は構成要素及び試験対象の複数の材料又は構成要素の複数の試験位置のうちの少なくとも1つからの複数の硬度試験による試験データを前記表示装置上に表示することを行わせる。或る特定の実施の形態において、前記コンピューター可読命令は、前記プロセッサに、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、データベースから直接試験データを前記表示装置上に表示することを行わせる。
【0016】
装置の他の実施の形態において、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、特定のタイプの試験データごとに複数の硬度試験による前記試験データをソートすることと、前記ソートした試験データを前記ディスプレイ上に表示することとを行わせる。
【0017】
或る特定の実施の形態において、前記試験データは、距離及び時間を更に含む。いくつかの実施の形態において、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、少なくとも1つのタイプの試験データ又は硬度に関するパラメーターを示すグラフを作成し、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる。いくつかの特定の実施の形態において、前記試験データは、時間と、硬度及び距離のうちの少なくとも一方とを含む。実施の形態において、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、時間と硬度及び距離のうちの少なくとも一方とを示すグラフを作成し、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる。
【0018】
いくつかの実施の形態において、前記試験データは、硬度試験を行った試験対象の材料又は構成要素の位置に関連する位置情報を更に含み、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、複数の時間に関する少なくとも1つの試験データ値又は硬度を示すパラメーターを示すグラフを作成し、前記複数の時間に関する前記少なくとも試験データ値又は硬度を示すパラメーターの位置を表示することを行わせる。
【0019】
いくつかの実施の形態において、前記コンピューター可読命令は、実行されると、前記入力装置からの初期化イベントに応答して、前記プロセッサに、試験対象の単数の材料又は構成要素及び試験対象の複数の材料又は構成要素の複数の試験位置のうちの少なくとも1つからの複数の硬度試験による、少なくとも1つのタイプの試験データを含む傾向情報のグラフを作成することと、前記グラフを前記ディスプレイ上に表示することとを行わせる。更に他の実施の形態において、前記傾向情報は、前記ユーザー入力装置を介して選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】
図1の硬度試験システムの構成要素のブロック図である。
【
図3】硬度試験システムのユーザーインターフェースの一例を示す図である。
【
図4】硬度試験システムのユーザーインターフェースの一例を示す図である。
【
図5】硬度試験システムを使用する方法のフローチャートである。
【
図6】硬度試験システムを使用する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面は必ずしも縮尺どおりではない。適宜、同様又は同一の要素を指示するために同様又は同一の参照符号を使用する。
【0022】
本開示は、包括的には、硬度試験システム、装置、及び方法に関する。好ましい実施形態を、添付の図面の図を参照して記載する。下記の記載では、既知の機能又は構成については詳細に説明しないが、これは不必要に詳細なこのような記載によって、本開示が曖昧になると考えられるためである。
【0023】
特許請求される技術の原理の理解を促すとともに、現在理解されている最良の動作モードを提示する目的で、これより図面で示される実施形態に言及し、これを説明するために、具体的な言い回しを用いることになる。しかし、このことは特許請求される技術範囲の限定を意図するものではなく、示されるデバイスにおけるこのような変更及び更なる修正、またそこで示された特許請求される技術の原理のこのような更なる適用が、特許請求される技術に関連する技術分野の当業者にとって通例、想到されるものであると考えられると理解されたい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「例示的な」という語は、「例、実例、又は例証としての役割を果たす」ことを意味する。本明細書に記載の実施形態は、限定するものではなく、単に例示するものである。記載の実施形態は必ずしも他の実施形態に対して好ましい又は有益であると解釈されるものではないことを理解されたい。さらに、「実施形態」という用語は、全ての開示する実施形態が、論述する特徴、利点、又は動作モードを含むことを必要とはしない。
【0025】
本明細書において使用される場合、「回路」及び「回路部」という用語は、物理的な電子構成要素(すなわち、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本明細書で使用される場合、例えば特定のプロセッサ及びメモリは、コードの1つ以上のラインの第1のセットを実行しているとき、第1の「回路」を含むことができ、コードの1つ以上のラインの第2のセットを実行しているとき、第2の「回路」を含むことができる。本明細書において使用される場合、「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。本明細書において使用される場合、「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例又は例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書において使用される場合、「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。本明細書で使用される場合、回路部は、或る機能を実施するために必要なハードウェア及びコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザーが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かに関わりなく、回路部はその機能を実行するように「動作可能」である。
【0026】
図1~
図4は、硬度試験システムの一実施形態を示す。
図1を参照すると、硬度試験システム100は、支持フレーム104を備える硬度試験器102と、試験モジュール106と、試料ステージ108とを備える。この実施形態において、支持フレーム104はモジュール106を支持する。試料ステージ108も、支持フレーム104に取り付けられる。試験対象のワーク又は試料は、試験を受けるために試料ステージ108上に配置することができる。図示の実施形態における試料ステージ108は、XY方向において駆動される可動ステージであり、図示のサンプル109等の複数のサンプルの自動配列を可能にするように制御することができる。
図2を参照すると、試料ステージ108は、ステージをX-Y方向において移動させるように構成されるアクチュエーター120を備える。
【0027】
図1に戻ると、試験モジュール106は、対物レンズユニット124及び圧子126を備える。再び
図2を参照すると、試験モジュール106は、カメラシステム128を更に具備しる。カメラシステム128は、試験対象のワーク又は試料全体にわたるナビゲーションを提供し、正確な窪み位置決めを提供するデジタルカメラである。任意の所望のカメラシステムを利用することができる。対物レンズユニット124は、複数の対物レンズを有し、所望の対物レンズを試料ステージ108に対して位置決めするように対物レンズユニット124を変化(例えば、回転)させることによって複数の視野を提供する。対物レンズユニット124は、ユーザーが手動で移動(例えば、回転)させることもできるし、対物レンズユニット124を動作位置に回転させるように構成されるアクチュエーター122によって移動させることもできる。アクチュエーター122は、モジュール106を試料ステージ108に対して(例えば、Z方向に)移動させるように更に構成される。したがって、アクチュエーター122は、動作時に、圧子126を試験対象のワーク又は試料に接触するように移動させるとともに、対物レンズ及びカメラシステムをワーク又は試料に対して接離するように移動させるように制御することができる。
【0028】
図示の実施形態においては、ステージ108は、アクチュエーター120によってX-Y方向において移動するように構成され、試験モジュール106は、アクチュエーター122によってZ方向において移動するように構成されるが、他の実施形態においては、ステージ及び試験モジュールの片方又は両方は、所望に応じて、アクチュエーターによってX方向、Y方向、及び/又はZ方向において移動するように構成してもよい。例えば、実施形態において、ステージは、Z方向において移動するように構成される。実施形態において、試験モジュールは、X-Y方向において移動するように構成される。或る特定の実施形態において、ステージは静止スタンドであり、アクチュエーターは、試験モジュールをX方向、Y方向、及びZ方向において移動させる。ステージ/スタンドと試験モジュールとを互いに対して適切に位置決めするために、任意の所望のステージ又はスタンド、及び任意の所望のアクチュエーター(複数の場合もある)を実装することができる。システムは、硬度試験システムにとって望ましい追加の構成要素、例えば、
図2に示す力センサーユニット129も備えることができる。実施形態において、力センサーユニット129は、試験対象の試料に対して圧子126が印加した負荷を検知するように構成されるロードセル(例えば、閉ループ、開ループ)を含む。他の実施形態においては、圧子を介して既知の圧力を試料に印加するように制御される較正重量を伴って死重試験器が実装される。更に他の実施形態においては、一般的なばね及び/又は屈曲ばねが、圧子を介して試料に負荷を印加するように制御される。
【0029】
硬度試験器100は、制御回路部又はコントローラー118も備える。制御回路部又はコントローラー118は、制御ユニット110、アクチュエーター120、122、カメラシステム128、及び力センサーユニット129からのデータ又は制御信号を受信して処理し、それに応答して、硬度試験システムの構成要素を制御するように動作可能な回路部(例えば、マイクロコントローラー及びメモリ、例えば非一時的機械可読記憶装置)を含む。負荷を試料に印加する死重試験器又はばねシステムを備える実施形態において、コントローラー118は、そのようなシステムからのデータ又は制御信号を処理するようにも動作可能である。コントローラー118は、システム動作を制御するプロセッサ(複数の場合もある)及び/又は他の論理回路部を含むことができる。例示のプロセッサ(複数の場合もある)としては、1つ以上のマイクロプロセッサ、例えば、1つ以上の「汎用」マイクロプロセッサ、1つ以上の専用マイクロプロセッサ及び/又はASIC、1つ以上のマイクロコントローラー、及び/又は他の任意のタイプの処理及び/又は論理装置を挙げることができる。例えば、コントローラー118は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)を含むことができる。
【0030】
硬度試験システム100は、制御ユニット110を更に具備しる。図示の実施形態において、制御ユニット110は、ユーザーが、コマンドの入力と、試験パラメーター、変数、並びに硬度試験及び試験システムに関する他のデータ及び情報の閲覧及び編集とを行うことを可能にする。図示の実施形態において、制御ユニット110は、入力装置112と、グラフィカルユーザーインターフェース116を有するディスプレイ114とを備える。ディスプレイ114は、試験データ、硬度に関するパラメーター、硬度試験に関する統計等を含む硬度試験に関するデータ及び情報を、ユーザーが望む様式で表示する。グラフィカルユーザーインターフェース116は、ユーザーが選択可能な複数の異なるスクリーン、メニュー、表示フォーマット、ウィンドウ、領域、及び設定を有する。
【0031】
図2を参照すると、制御ユニット110は、コントローラー回路部又はコントローラー119を備える。制御回路部又はコントローラー119は、硬度試験器102と通信するように動作可能な回路部(例えば、マイクロコントローラー及びメモリ、例えば非一時的機械可読記憶装置)を含む。例えば、コントローラー119は、通信ケーブル(例えば、USB、シリアルケーブル等)又は無線接続を介して、硬度試験器102に直接又は間接的にリンクさせることができる。コントローラー119は、コントローラー118及び/又は硬度試験器のハードウェア構成要素のうちの任意のもの、例えば、アクチュエーター120、122、カメラシステム128、力センサー129及び硬度試験器の他の任意の構成要素と通信することができる。制御ユニット110を使用することで、試験装置102の構成要素の制御と、ユーザー入力の提供と、硬度試験器102の様々な構成要素、例えば、アクチュエーター120、122、カメラシステム128、力センサー129及び硬度試験器の他の任意の構成要素からのデータ及び制御信号の受信とを行うことができる。
【0032】
実施形態において、制御ユニット110は、タッチパッド及びキーボードタイプの入力装置及びモニタータイプのディスプレイを備えるモバイルコンピューティングデバイスである。任意の所望の制御ユニット、入力装置、又は表示装置を利用することができる。例えば、コントローラー、制御パネル、手持ち式ポータブルデバイス、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター(PC)、キオスク、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、ノートブックコンピューター、スマートフォン、タブレットパーソナルコンピューター(PC)、キオスク、デスクトップコンピューター、タッチスクリーンデバイス、キーボード、タッチパッド、ボタン、スイッチ、又は他の任意のコントローラー、ディスプレイ若しくは入力装置を実装して、ユーザー入力の提供、制御信号及びデータの処理、又はシステムに関する情報の表示を行うことができる。複数の制御ユニット、複数のディスプレイ、又は複数の入力装置を利用して、システムの制御、ユーザー入力の受取り、ユーザーへの情報の表示又は通信、信号及びデータの処理等を行ってもよい。制御ユニット(複数の場合もある)は、硬度試験器の位置において、又は硬度試験器から離れた位置において、硬度試験器又はその構成要素のうちの或る特定の構成要素若しくは全ての構成要素と有線又は無線で通信することができる。
【0033】
一方又は両方のコントローラー118、119は、硬度試験に関するデータ及び情報のアクセス、処理、編集、及び保存を行うように更に構成される。データ及び情報は、ローカルに、リモートに、又はその組合せで記憶することができる。コントローラー118、119は、例えば、単一の試験、経時的な複数の試験、単一のサンプル、複数のサンプル、サンプル上の単一の位置、サンプル上の複数の位置、複数のサンプル上の複数の位置等からのデータのアクセス、処理、編集、及び保存を行うことができる。
【0034】
実施形態において、データ及び情報は、硬度試験システムの測定値等の試験データを含む。硬度試験システムにおける測定値は、硬度試験システムによって測定される様々な値、例えば、日付、時間、力、深度、距離(例えば、第1の対角線距離、第2の対角線距離)、対称性(例えば、第1の対角線及び第2の対角線の対称性)等を含むことができる。実施形態において、値は試験中にサンプル上に生じた1つ以上の窪みに関して測定され、選択される特定のタイプの硬度試験(例えば、ビッカース、ヌープ、ロックウェル等)に依存する場合がある。例えば、ビッカースタイプの試験では、窪みの対角線を横切る第1の距離(D1)及び第2の距離(D2)を含むことができる。実施形態における深度は、窪みの深度である。コントローラー118及び/又は119は、試験が行われる日付及び時間、試験の持続時間等を保存する。コントローラー118及び/又は119は、実施形態において、硬度試験中に生成され、力センサーユニット129から受信される制御信号(又は他のシステム、例えば、死重試験器システム及びばねシステムからの信号)から力値を決定する。実施形態において、コントローラー118及び/又は119は、硬度試験中にカメラシステム128から捕捉された窪みの画像データを処理する。コントローラー118及び/又は119は、画像データ及び/又はユーザー入力に基づいて、例えば、硬度試験中に形成された窪みの距離及び深度値を決定するように構成される。測定値を取得及び/又は決定する任意の所望の方法を実施することができる。
【0035】
データ及び情報は、硬度に関するパラメーターも含む。コントローラー118及び/又は119は、1つ以上の測定値等、少なくとも試験データに基づいて、硬度値等の硬度に関する様々なパラメーターを決定するように構成される。実施形態において、硬度に関するパラメーターは、硬度値(例えば、ビッカース値、ヌープ硬度、ロックウェル値等)、変換値(例えばルックアップテーブルによって、或る硬度値タイプを別の硬度値タイプに変換したもの)、CHD値、表面硬度、基底硬度等を含む。データ及び情報は、他の試験データ及び統計、例えば、硬度値、変換値、平均硬度値、最小硬度値、最大硬度値、硬度値の標準偏差、硬度値の第2の標準偏差、硬度値の第3の標準偏差、硬度値の平均、最小値を除いた硬度値の平均、最大値を除いた硬度値の平均、硬度値の範囲、Cp値、Cpk値等も含む。様々な他の試験データ及び統計、例えば、試験の時間、試験の日付、試験の持続時間、平均、合計時間、試験を行った試験対象の材料又は構成要素上の位置に関連する情報、試験機の位置に関連する情報、試験の名称及び試験のタイプを含む試験識別情報、材料特性等も記憶することができる。コントローラー118及び/又は119は、そのような任意のデータを処理して様々な値及び統計を決定することもできる。
【0036】
データ及び情報、例えば、試験データ、測定値、パラメーター、及び統計等は、ローカル又はリモートにメモリに保存される。実施形態において、データは、データベースに保存される。データベースは、コントローラー118及び/又は119がアクセス可能であり、他の装置(例えば、他の硬度試験システム、リモートコンピューティングデバイス等)が更にアクセスすることができる。硬度に関するパラメーターは、コントローラー118及び/又は119によって計算し、メモリに記憶することができる。代替的に、硬度に関するパラメーターは、ユーザーがパラメーターの表示を要求すると、様々な保存データ及び情報、例えば試験データに基づいて、コントローラー118及び/又は119によって計算することができる。
【0037】
コントローラー118及び/又は119は、保存データ及び情報にアクセスし、アクセスしたデータ及び情報を処理し、保存及び処理したデータ及び情報を制御ユニット110のディスプレイ114上に表示するように更に構成される。例えば、コントローラー118及び/又は119は、硬度試験に関するデータ及び情報にアクセスし、これらを処理し、データベースから例えばディスプレイ114等のディスプレイ上に表示するように構成される。
図3を参照すると、ユーザー入力からのコマンドに応答して、コントローラー118及び/又は119は、データベースにアクセスしてデータ及び情報を取り出し、データを処理し、様々なデータタイプ142、144、146、148、150を表示するようにディスプレイ114を制御した。この例において、データタイプ142、144、146、148、150は、チャート又はスプレッドシート140の形態で表されている。各データタイプに関連する値は、各列の行に現れている。図示の例において、データタイプ142、144、146、148、150は、プログラム又は試験名、最後のユーザー(例えば、データを編集する)、作成日、位置、及び硬度値を含む。データタイプ142、144、146及び148は、ユーザーが複数の硬度試験を行った時間の経過に伴ってコントローラー118が作成したデータベースから取り出したものである。データタイプ150の値(硬度値)は、データベース内に記憶された様々な硬度試験による試験データに基づいて、コントローラー118及び/又は119によって計算して表示したものである。この実施形態における硬度値は、硬度値を表示するというユーザー要求に応答してデータベース内の試験値から計算したものであるが、実施形態において、硬度値は、事前に、例えば、試験が行われるときに計算され、他のデータ及び情報とともにデータベース内に記憶される。そのような実施形態において、コントローラー118及び/又は119は、データベースから直接硬度値にアクセスし、硬度値を表示する。
【0038】
チャート140は、データタイプ142、144、146、148、150を示しているが、所望に応じて任意の数のデータタイプを選択することができる。加えて、図示の特定のデータタイプは、試験名、最後のユーザー、作成日、位置、及び硬度値であるが、データ及び情報、例えば、試験データ、測定値、パラメーター、他の統計等のうちの任意のものを選択することができる。さらに、ユーザーは表示するフィールドの数を選択することができる。データは、単一の試験についても、又は、単一の試料若しくは複数の試料に対して行う任意の数の試験についても表示することができる。
【0039】
データは、ユーザーが望む方法で更に処理することができる。例えば、データは、昇順で、降順で、データタイプごとに、試験タイプごとに、位置ごとに、試験識別情報又は試験名ごとに、位置ごとに等でソートすることができる。更なる例として、制御ユニット110におけるユーザー入力から、データの列をソートすることができ、特定のデータの検索を行って表示することができる。データがデータベース内に記憶される実施形態において、コントローラー118及び/又は119は、データベースにアクセスし、データベースから直接値を表示するように構成することができる。そのような実施形態のうちの或る特定の実施形態において、ユーザーは入力装置を用いてデータを編集することができ、これにより、例えば、コントローラー118及び/又は119は、それに応じた編集をデータベース内のデータに行う。これに関して、ユーザーは、データベース内のデータ及び情報を直接編集することができる。そのようなデータを閲覧及び/又は編集する権限を、管理者等の或る特定のユーザーが保持することもでき、したがって、実施形態において、そのようなデータは、管理者によって又は管理者モードにおいてのみ編集することができる。
【0040】
図3にはチャート又はスプレッドシートが示されているが、所望に応じて他の多くの形態の表示を使用することができる。例えば、データは様々なタイプのチャート、グラフ、リスト、グループ、テキスト、スプレッドシート、グラフ表現等で示すことができる。データ及び情報をデータベースから読み取る実施形態において、ユーザーは、例えば、データにアクセスする及び/又は所望の様式でデータ表示するためにデータを可読フォーマット(例えば、CSV、xls等)にエクスポートする必要はない。同様に、直接データベースにアクセスすることにより、データベースのデータを直接編集することができる。
【0041】
図4を参照すると、別の例において、ユーザーからの入力に応答して、ディスプレイ114は、システム100が行った硬度試験に関連する様々な傾向線162、164、166を有するグラフ領域を示している。図示の実施形態において、Y軸値168は硬度値であり、X軸値170は試験が行われた時間(例えば、日付、時刻、時間系列)である。傾向線を表示するというユーザーによる要求に応答して、コントローラー118及び/又は119は、メモリにアクセスして、様々な選択した試験ジョブについて行った硬度試験の値をデータベースから取り出す。硬度値は、実施形態において、データベースから取り出された試験情報等のデータ及び情報に基づいて計算することもできる。この実施形態において、処理アルゴリズム(例えば、補間、回帰、外挿)を実行して、データベースから取り出されたデータ点を所与として湾曲した傾向線を視覚的に示しているが、ユーザーが望む任意の視覚的な線又はグラフタイプを利用することができる。
【0042】
実施形態において、傾向線162、164、166は、例えば、複数の試料に対して、複数の時間に、1つ以上の試料上の複数の位置において等行った様々な硬度試験を表す。他の情報及び傾向線を傾向線162、164、166とともに表示することができる。図示の実施形態において、例えば、ユーザーコマンドに応答して、基底硬度167が傾向線162、164、166とともに表示されている。他の任意の所望のフィールドを表示することができる。更に別の実施形態において、別のフィールドに関連する副次的な軸(例えば、第2のy軸)を、ユーザー入力に応答して追加することができる。
【0043】
グラフ領域160は、経時的な硬度の傾向線を示しているが、硬度試験システムに関する任意のデータ及び情報を傾向線の基礎とすることができる。例えば、X軸及びY軸に割り当てられる値は、システムからの任意の試験データ、測定値、パラメーター、統計、システム情報、又は他のデータ及び情報とすることができる。ユーザーインターフェース114内で、ユーザーは、システムによって例えばデータベースに保存され、傾向線の基礎になるデータ及び情報のうちの任意のものを選択することができる。
図4に示す特定の実施形態において、選択領域170は、ユーザーが選択可能な様々な試験プログラム172を含む。試験プログラムは、実施形態において、保存された試験プログラム、例えば、特定の製品、材料、試験位置、又は試験データ及び情報の任意の所望の集合体に関連する1つ以上の試験である。選択されると、試験プログラムに関連するフィールドは選択領域174に格納される。ユーザーは、選択領域174において、傾向線として表示される様々なデータ及び情報176を選択することができる。チェックボックス177は、いずれのデータ及び情報が選択されるかを示す。
図4において、ユーザーが選択することができる閲覧可能データ及び情報は、表面硬化深度(CHD)、時間、及び深度を含むが、利用可能なデータ及び情報のうちの任意のものが閲覧可能であり、傾向線の基礎とすることができる。図示の実施形態において、例えば、更なる選択可能なデータが、ボタン179を押すことによって閲覧可能である。チェックボックス177は、特定のデータタイプが選択されたかどうかを示す。データを選択すると、制御ユニット110は、傾向線を計算し、対応する値とともにグラフ領域160内に表示する。
【0044】
選択領域180は、グラフ領域160内に情報を表示するための追加オプションを含む。例えば、選択領域180は、ユーザーが様々な他のオプションを選択することを可能にするチェックボックス、ドロップボックス、又は他のユーザー入力を含むことができる。一実施形態において、選択領域180は、データラベルの表示と、傾向線の補間とを行うオプション182を含む。X軸及びY軸の範囲も選択することができる。他のフィールド、例えばフォーマットデータ182を選択領域180内で選択することができる。フォーマットデータは、傾向線のうちの1つ以上の色、線の太さ、線のタイプ、又は他のフォーマットオプション(例えば、CHDは赤色の傾向線であり、基底硬度は緑色等)を含むことができる。グラフ領域160内の傾向線は、選択したフォーマットを反映するように更新される。選択領域内には任意の所望の閲覧オプションを含めることができる。特定のユーザーインターフェースを
図4に関して記載したが、グラフで、例えば傾向線で表示される選択データ及び情報の任意の所望の形態を、様々なスクリーン、メニュー、入力等を含めて実施することができることが理解されるべきである。
【0045】
図5には、硬度試験システムを動作させる方法200が示されている。方法200は、コントローラーにステップ202~210を行わせる機械可読命令を実行することを含む。ステップ202は、材料の硬度を示す少なくとも1つの測定値を測定するように硬度試験装置を制御することを含む。ステップ204は、試験データをデータベースに保存することを含む。試験データは、少なくとも1つの測定値を含む。ステップ206~210は、コンピューティングデバイスを介してデータベースにアクセスするコマンドに応答して行われる。ステップ206は、コマンドに基づいて少なくとも1つの測定値を含むデータベースの少なくとも一部にアクセスすることを含む。ステップ208は、少なくとも1つの測定値を用いて、データベースのアクセスした一部と関連する、硬度に関するパラメーターを計算することを含む。ステップ210は、データベースの一部及び硬度に関するパラメーターを表示装置上に表示することを含む。
【0046】
図6には、硬度試験システムを動作させる方法300が示されている。方法300は、コントローラーにステップ302~310を行わせる機械可読命令を実行することを含む。ステップ302は、材料の硬度を示す少なくとも1つの測定値を測定するように硬度試験装置を制御することを含む。ステップ304は、試験データをデータベースに保存することを含む。試験データは、少なくとも1つの測定値を含む。ステップ306~310は、コンピューティングデバイスを介してデータベースにアクセスするコマンドに応答して行われる。ステップ306は、コマンドに基づいて少なくとも1つの測定値を含むデータベースの少なくとも一部にアクセスすることを含む。ステップ308は、少なくとも1つのタイプの試験データ又は硬度に関するパラメーターを示すグラフを作成することを含む。ステップ310は、グラフを表示装置上に表示することを含む。
【0047】
記載した方法及びシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組合せで実現することができる。本方法及び/又はシステムは、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中的に、又はいくつかの相互接続されたコンピューティングシステムにわたって異なる要素が分散される分散的に、実現することができる。本明細書に記載した方法を実行するように適合された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組合せは、汎用コンピューティングシステムを、ロードされ実行されるとコンピューティングシステムを本明細書に記載した方法を実行するように制御するプログラム又は他のコードとともに、含むことができる。別の典型的な実施態様は、特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。いくつかの実施態様は、非一時的機械可読(例えば、コンピューター可読)媒体(例えば、フラッシュドライブ、光ディスク、磁気記憶ディスク等)を含むことができ、そうした非一時的機械可読媒体は、機械によって実行可能なコードの1つ以上のラインを記憶し、それにより、機械に、本明細書に記載したようなプロセスを実施させる。
【0048】
上記の説明及び添付の図面は、原理、好ましい実施形態、及び動作モードを示す。ただし、本開示は、上述した特定の実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。上述した実施形態の追加の変形は、当業者によって理解されるであろう。
【0049】
本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法及び/又はシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。例えば、開示した例のブロック及び/又は構成要素を、組み合わせ、分割し、再配置し、及び/又は他の方法で変更することができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されない。代わりに、本方法及び/又はシステムは、字義どおりにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。コントローラー及び方法を硬度試験システムと連動して使用するものとして説明しているが、本教示は、硬度試験動作を決定又は制御することが望ましい場合、他の装置にも同様に適用することができる。
【0050】
刊行された学術論文若しくは抄録、公開された若しくは対応する米国特許出願若しくは外国特許出願、発行された特許若しくは外国特許、又は任意の他の文献を含む本明細書で言及された文献は全て、言及される文献内に提示された全てのデータ、表、図面、及びテキストを含め、それぞれその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【符号の説明】
【0051】
100 硬度試験システム
102 硬度試験器
104 支持フレーム
106 試験モジュール
108 試料ステージ
109 サンプル
110 制御ユニット
112 入力装置
114 ユーザーインターフェース
116 グラフィカルユーザーインターフェース
118 コントローラー
119 コントローラー
120 アクチュエーター
122 アクチュエーター
124 対物レンズユニット
126 圧子
128 カメラシステム
129 力センサーユニット
140 スプレッドシート
142 データタイプ
144 データタイプ
146 データタイプ
148 データタイプ
150 データタイプ
160 グラフ領域
162 傾向線
164 傾向線
166 傾向線
167 基底硬度
168 Y軸値
170 X軸値
172 試験プログラム
174 選択領域
176 情報
177 チェックボックス
179 ボタン
180 選択領域
182 フォーマットデータ
【国際調査報告】