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特表2023-527427プローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送、および取り扱うためのプローブカセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】プローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送、および取り扱うためのプローブカセット
(51)【国際特許分類】
   G01Q 30/00 20100101AFI20230621BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
G01Q30/00
B81B3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573349
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 NL2021050340
(87)【国際公開番号】W WO2021242104
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】2025703
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522390087
【氏名又は名称】ニアフィールド・インストゥルメンツ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス・グラドゥス・マルティヌス・コールス
(72)【発明者】
【氏名】セルヴァース・ルイ・バンク
(72)【発明者】
【氏名】ハメド・サデギアン・マルナニ
(72)【発明者】
【氏名】アルテム・ハチャトゥリャンツ
(72)【発明者】
【氏名】アルセニー・カリーニン
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081BA21
3C081BA29
3C081BA30
3C081BA41
3C081BA43
3C081BA48
3C081BA55
3C081BA72
3C081EA18
3C081EA19
3C081EA41
(57)【要約】
本発明は、プローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送、および取り扱うためのプローブカセットに関し、カセットは、プローブ装置を収容するように構成された少なくとも1つのプローブ容器を有するカセット本体と、カセット本体に接続可能な蓋と、蓋が閉位置にあるときに前記プローブ装置にクランプ力を加えることによってプローブ装置を容器に保持するように構成されたクランプユニットと、を備え、クランプユニットは、クランプ力を調整するための調整部材を含み、クランプユニットは、クランプ力がクランプを提供するのに不十分である第1の位置から、容器でのプローブ装置の移動が防止される程度にクランプ力が十分である複数の第2の位置に選択的に動作可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送、および取り扱うためのプローブカセットであって、
プローブ装置を収容するように構成された少なくとも1つのプローブ容器を有するカセット本体と、
前記カセット本体に接続可能な蓋であって、閉位置にある前記蓋は、前記少なくとも1つのプローブ容器を実質的に覆うように構成されている、蓋と、
前記蓋が前記閉位置にあるときに前記プローブ装置にクランプ力を加えることによって前記プローブ装置を前記プローブ容器に保持するように構成されたクランプユニットと、
を備え、
前記クランプユニットは、前記クランプ力を調整するための調整部材を含み、前記クランプユニットは、前記クランプ力が前記プローブ容器での前記プローブ装置のクランプを提供するのに不十分である第1の位置から、前記クランプ力が前記プローブ容器での前記プローブ装置の動きを制限する複数の第2の位置に選択的に動作可能であり、前記複数の第2の位置は、前記プローブ装置を異なる程度に制限するための異なるクランプ力を提供する、
プローブカセット。
【請求項2】
前記クランプユニットが、前記第1の位置から前記複数の第2の位置のうちの1つに選択的に作動可能なアクチュエータを含む、請求項1に記載のプローブカセット。
【請求項3】
前記クランプユニットは、前記第1の位置および前記複数の第2の位置で達成される前記クランプ力を選択的に提供するように構成された電気機械アクチュエータを含む、請求項1または2に記載のプローブカセット。
【請求項4】
前記電気機械アクチュエータは、圧電アクチュエータまたはエラストマーアクチュエータのうちの少なくとも1つである、請求項3に記載のプローブカセット。
【請求項5】
前記クランプユニットは、前記蓋が前記閉位置にあるときに前記プローブ容器で前記プローブ装置の表面に向かって液体を案内するように構成された毛細管を含み、前記クランプユニットは、結果として生じる前記液体の表面張力によって前記クランプ力を達成するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のプローブカセット。
【請求項6】
前記クランプユニットが、前記クランプ力を提供するための1つまたは複数の磁石を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のプローブカセット。
【請求項7】
前記クランプユニットは、前記蓋が閉じられたときに前記クランプ力を提供するための反発力を生成するように構成された極を有する少なくとも2つの対向する磁石を含む、請求項6に記載のプローブカセット。
【請求項8】
前記クランプユニットは、流体圧力下で拡張可能な膜を含み、前記複数の第2の位置において、前記クランプユニットは、前記クランプ力を提供するために前記プローブ容器で前記プローブ装置に接触する拡張位置に前記膜を導くように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のプローブカセット。
【請求項9】
前記膜は、前記蓋が前記閉位置にあるときに、前記プローブ装置に近接して配置される伸縮自在のバルーンを形成する、請求項8に記載のプローブカセット。
【請求項10】
前記クランプユニットは、前記クランプ力を提供するために前記プローブ装置に向かって流体の流れを吹き付けるように構成された流体送風機を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプローブカセット。
【請求項11】
前記クランプユニットは、前記プローブ装置をクランプ力で選択的に保持するように構成された真空クランプ部材を含み、前記プローブ容器には、前記プローブ装置を選択的に保持している間、前記カセット本体に配置された通路を介して真空圧に接続可能である少なくとも1つのアパーチャが配置されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のプローブカセット。
【請求項12】
前記クランプユニットは第1のクランプユニットであり、前記プローブカセットは、前記第1のクランプユニットとは異なるさらなる第2のクランプユニットを含み、前記蓋が閉じている場合、前記第1のクランプユニットは、前記第1の位置から前記複数の第2の位置のうちの1つに動作可能であり、前記第2のクランプユニットは、第2のクランプ力の下で前記プローブ装置を前記プローブ容器に選択的に保持するために前記カセット本体に配置され、前記第2のクランプユニットは、前記第2のクランプ力が前記プローブ装置のクランプを可能にするほど十分に大きい第1の状態と、前記第2のクランプ力が前記プローブ装置の解放を可能にするほど十分に小さい第2の状態と、の間で調整可能であり、前記第2のクランプユニットは、前記蓋が開位置にあるときに動作可能であり、前記開位置において、前記プローブカセットに収容された前記1つまたは複数のプローブ装置にアクセスできる、請求項1から11のいずれか一項に記載のプローブカセット。
【請求項13】
前記第1のクランプユニットは前記カセットプローブの前記蓋に配置され、前記第1のクランプユニットは、前記蓋が前記閉位置にある場合、前記複数の第2の位置のうちの1つに自動的に動作される、請求項12に記載のプローブカセット。
【請求項14】
前記プローブカセットは、前記クランプユニットによって加えられる前記クランプ力を調整するために前記クランプユニットを制御するように構成されたコントローラを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のプローブカセット。
【請求項15】
プローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送および/または取り扱うための、請求項1から14のいずれか一項に記載のプローブカセットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型プローブ顕微鏡などのプローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送、および取り扱うためのプローブカセットに関する。本発明はさらに、プローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送、および取り扱う方法に関する。さらに、本発明はプローブカセットの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型プローブ顕微鏡などのプローブベースのシステムは、プローブ装置とサンプルとの間の相互作用によってサンプルの特性を特徴付けるために広く使用されている。プローブ装置は、走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡など)に取り付けることができる。様々な型のプローブ装置が存在する。一般的に、カンチレバーベースのプローブ装置が採用されている。そのようなカンチレバーベースのプローブ装置は、サンプルの1つまたは複数の特性の局所測定を行うための先端を有する場合がある。プローブベースのシステムは、サンプルと関連するプローブ装置の先端との間の相互作用を監視することにより、小規模サンプルの特性を特徴付けることができる。チップと関連するプローブ装置との間の相対的な走査運動を提供することにより、表面の特徴付け、表面下の特徴付け、および/または他のサンプル依存データを、サンプルの特定の領域にわたって決定することができる。追加的にまたは代替的に、プローブ装置は、プローブベースのシステムを使用してサンプルの表面を修正するためにも使用され得る。
【0003】
走査型プローブ顕微鏡で使用されるプローブ装置は、通常、寸法が非常に小さく、繊細な取り扱いが必要になる傾向がある。輸送を容易にし、プローブ装置の損傷を防止するために、ユーザまたは顧客に送達するために、1つまたは複数のプローブ装置をプローブカセットに入れることが知られている。プローブカセットは、カセットを輸送するとき(例えば、出荷、オンサイト輸送、取り扱いなど)であっても、プローブ装置を実質的に適所にしっかりと保持するように配置された保持要素を含む容器またはホルダであってもよい。プローブ装置は、プローブ装置を所定の位置に保持するためのゲルを有するゲルボックス内に配置することもできる。
【0004】
プローブ装置がカセットの本体に装填されるとき、蓋がカセットの本体の上に配置され得る。蓋を閉じると、プローブ装置が覆われ得る。さらに、蓋は、例えば、蓋の下側に取り付けられたプローブ装置保持具を使用することによって、カセットへのプローブ装置の固定を容易にするように構成されてもよい。
【0005】
特許文献1は、走査型プローブ顕微鏡の1つまたは複数のプローブ装置を保持するためのプローブカセットを記載している。上記プローブカセットは、少なくとも1つのプローブ保管容器を有する基部と、少なくとも1つの容器を少なくとも実質的に覆うように基部に取り付け可能な蓋と、圧縮力下で容器内にSPMプローブ装置の少なくとも1つを保持するプローブリテーナと、を備え、圧縮力は、ばねを変形させることによって生成される。
【0006】
既存のプローブカセットは適切なクランプを提供しない場合がある。このような蓋またはカバーによって提供される機械的なクランプでは不十分な場合がある。カセットは、プローブ装置の損傷を防ぐために衝撃を吸収できない可能性がある。さらに、プローブ装置は、例えばプローブカセットの輸送または取り扱い中に、そのような衝撃または振動の結果として変位する可能性がある。
【0007】
蓋またはカバーを閉じるときに、前記蓋に配置または接続されたリテーナがプローブ装置を損傷する可能性がある。通常、クランプは工学的公差に対して敏感すぎる。さらに、機械的クランプ機構は特定のプローブ装置本体の厚さでのみ利用できるが、厚さはプローブ装置のメーカーによって異なる。
【0008】
プローブカセットで使用されるクランプを改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7908909号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述の欠点の少なくとも1つを取り除く方法およびシステムを提供することである。
【0011】
追加的にまたは代替的に、本発明の目的は、カセット用の改良されたクランプ機構を提供することである。
【0012】
追加的または代替的に、本発明の目的は、輸送または取り扱い中のプローブ装置の損傷のリスクを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
それに対して、本発明は、プローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送、および取り扱うためのプローブカセットを提供し、カセットは、プローブ装置を収容するように構成された少なくとも1つのプローブ容器を有するカセット本体と、カセット本体に接続可能な蓋であって、閉位置にある蓋が、少なくとも1つの容器を実質的に覆うように構成されている、蓋と、前記プローブ装置にクランプ力を加えることによってプローブ装置を容器に保持するように構成されたクランプユニットと、を備え、クランプユニットは、クランプ力を調整するための調整部材を含み、クランプユニットは、クランプ力が容器でのプローブ装置のクランプを提供するのに不十分である第1の位置から、クランプ力が容器でのプローブ装置の動きを制限する複数の第2の位置に選択的に動作可能であり、複数の第2の位置は、プローブ装置を異なる程度に制限するための異なるクランプ力を提供する。
【0014】
蓋が閉じているときにプローブ装置に加えられるばねベースまたは材料剛性ベースのクランプ力を使用する代わりに、クランプユニットは複数の選択可能な位置を提供し、異なるクランプ力をもたらす。このようにして、クランプユニットによって調節可能なクランプ力を提供することができる。プローブ装置のクランプを改善することができ、さらに異なるクランプ力を必要とする動的条件(例えば、輸送、取り扱い、保管など)に応じてクランプ力を選択することができる。クランプユニットは、蓋が閉位置にあるときにプローブ装置に非材料剛性ベースのクランプ力を生成するように構成されている。容器に配置されたプローブ装置に対してそれぞれ異なる所定のクランプ力を有する複数の第2の位置をクランプユニットが含むので、クランプ力に対する改善された制御を得ることができる。したがって、クランプを改善して、保管、輸送、および/または取り扱い中に1つまたは複数のプローブ装置を損傷するリスクを低減できる。
【0015】
クランプユニットの複数の第2の位置は、クランプ力の調整可能性を提供する。例えば、プローブカセットの保管、取り扱い、輸送などのアクティビティに応じて、クランプ力を正確に制御できる。いくつかの実施例では、クランプ力も測定および/または記録することができる。
【0016】
任意選択で、クランプ力は、複数の第2の位置において、容器でのプローブ装置の移動を防止するのに十分である。
【0017】
プローブ装置をプローブカセット内に保持するためのクランプユニットによって、プローブ装置にクランプ力を選択的に与えることができる。調節可能なクランプユニットは、容器でプローブ装置を保持するための構造要素との構造的相互作用にあまり依存しない正確なクランプ機構を提供することができる。例えば、弾性またはばねに基づく機械的リテーナは、時間の経過とともに変形、損傷、剛性の変化、またはプローブ装置の擦過がより容易になり得る。さらに、そのような弾性ベースの機械的リテーナは、例えばクランプの有効性を低下させるなど、時間の経過とともに剛性を変化させる可能性がある。このような損傷は、調整可能なクランプユニットを使用することで防ぐことができる。
【0018】
任意選択で、1つまたは複数のプローブ装置は、使用後にカセットに装填可能である。
【0019】
蓋は、例えばヒンジ機構によってカセット本体に移動可能に接続することができる。蓋は、開位置と閉位置との間で移動可能であってもよい。蓋の開位置では、容器の1つまたは複数のプローブ装置にアクセスできる。例えば、カセットは、原子間力顕微鏡などのプローブベースのシステムに移動する前に開かれ得る。それにより、原子間力顕微鏡は、プローブカセットによって担持されたプローブ装置の少なくとも1つにアクセスすることができる。蓋の閉位置では、1つまたは複数のプローブ装置が前記蓋によって覆われる。クランプユニットは、少なくとも蓋が閉じているときに、1つまたは複数のプローブ装置をクランプするように構成することができる。このようにして、例えば、取り扱い中または輸送中に、プローブ装置がカセット内でずれて損傷する可能性を実質的に防止することができる。
【0020】
任意選択で、閉位置にある蓋は、プローブカセットの本体のそれぞれの容器に1つまたは複数のプローブ装置を保持するように構成される。蓋は、蓋が閉位置にあるときにプローブ装置に非材料剛性/弾性ベースのクランプ力を生成するように構成されたクランプユニットを含んでいてもよい。有利なことに、クランプユニットを使用して生成されるクランプ力は、適応可能および/または調整可能である。このようにして、配置は公差にあまり依存しなくなり得る。さらに、カセットは、例えば、異なる寸法を有する、異なる型のプローブ装置で動作するように構成され得る。したがって、プローブカセットのプローブ適合性を高めることができる。
【0021】
任意選択で、プローブカセットは、1つまたは複数の第1のプローブ装置および/または1つまたは複数の第2のプローブ装置を保持するように構成され、1つまたは複数の第1のプローブ装置および1つまたは複数の第2のプローブ装置は、異なる寸法および/または形状を有する。
【0022】
任意選択で、クランプユニットは、蓋が閉位置にあるときだけクランプ力が前記プローブ装置に作用するように構成される。
【0023】
任意選択で、クランプユニットは、第1の位置から複数の第2の位置の1つに選択的に作動可能なアクチュエータを備える。
【0024】
プローブカセットは、選択的なクランプを提供するためのアクチュエータ構成を有していてもよく、誘起されたクランプ力は、前記アクチュエータを制御することによって調整可能である。各種アクチュエータが使用可能である。
【0025】
アクチュエータは、作動時に作動を提供し得る。カセットは、蓋がカセット本体上に設けられたときにクランプユニットが複数の第2の位置に導かれ得るように構成され得る。
【0026】
任意選択で、クランプユニットは、クランプ力を選択的に提供するように構成された電気機械アクチュエータを含む。
【0027】
電気機械アクチュエータは、機械的なクランプを提供するために電気的に作動させられてもよい。電気的作動を調整することにより、機械的なクランプ力を調整できる。
【0028】
任意選択で、電気機械アクチュエータは圧電アクチュエータである。圧電アクチュエータは様々な構成を有していてもよい。例えば、圧電アクチュエータは、伸長位置と収縮位置との間で切り替え可能であるように構成され得る。追加的または代替的に、圧電アクチュエータは、クランプ力を得るために使用可能な変位を引き起こすように曲がるように構成され得る。このようにして、圧電アクチュエータの先端でより大きなたわみを得ることができる。追加的または代替的に、圧電アクチュエータは、せん断変位を得るためにせん断モードで動作してもよい。
【0029】
任意選択で、電気機械アクチュエータはエラストマーアクチュエータである。
【0030】
圧電アクチュエータおよびエラストマーアクチュエータにより、クランプ力を正確に制御できる。例えば電気モータなどの他の電気機械アクチュエータも使用できることを理解されたい。
【0031】
任意選択で、クランプユニットは、蓋が閉位置にあるときに容器でプローブ装置の表面に向かって液体を案内するように構成された毛細管を含み、クランプユニットは、結果として生じる液体の表面張力からクランプ力を提供するように構成されている。
【0032】
毛細管は、その出口と容器のプローブ装置との間に液体の滴を提供するように構成され得る。液体の滴によって得られるクランプ力は、毛細管の出口とプローブ装置との間のギャップ距離に依存し得る。この距離は、クランプ力を調整できるように調整可能である。追加的または代替的に、毛細管を通して案内される液体の量を変えることによって、クランプ力が調整される。
【0033】
任意選択で、クランプユニットは、クランプ力を提供するための1つまたは複数の磁石を含む。
【0034】
電磁石、静的磁石、またはそれらの組み合わせを使用することが可能である。例えば、静的磁石は、蓋が閉じられたとき、磁石の同様の磁極が互いに近づき、プローブ装置を適所に保持するために必要なクランプ力を誘起するように構成されてもよい。同極同士は反発し合い、蓋を閉じた状態で極同士のギャップ距離を変えることで、クランプ力を調整することができる。したがって、同様の磁極間の相互作用の結果として、クランプ力を達成することができる。
【0035】
任意選択で、少なくとも1つの電磁石が使用される。このように、電磁石によって生成される磁場を変更することにより、クランプ力をより簡単に調整できる。クランプ力を達成するために、各種ソレノイドを使用できる。
【0036】
容器のクランプユニットは、互いに向き合うように配置された2つの磁石を含み得る。プローブカセット内の2つの磁石のうちの少なくとも1つの相対位置は、結果として得られるクランプ力を調整できるように、互いに対して調整可能であってもよい。
【0037】
2つの永久磁石と少なくとも1つの電磁石とを使用することも想定される。例えば、第1の永久磁石を別の電磁石に結合して、2つの永久磁石の間で生成される磁場をオーバーレイすることができる。コントローラまたはコントロールユニットを電磁石にリンクして、磁場を変化させ、結果として生じるクランプ力を調整することができる。任意選択で、対向する同様の磁極(N、N、またはS、S)間のギャップ距離の変化を監視するためのセンサを配置して、より強い磁場の電磁石を作動させ、結果として生じるクランプ力を調整する。結果として生成されるクランプ力を推定または監視するために、他のセンサを使用することもできる。
【0038】
任意選択で、クランプユニットは、流体圧力下で拡張可能な膜を含み、拡張位置にある膜は、クランプ力を提供するために容器でプローブ装置に接触する。膜は、拡張位置にあるときにプローブ装置の表面を押すことができる。押し込み動作の結果、クランプ力が得られる。膜にかかる液圧を変えることでクランプ力を調整することができる。
【0039】
任意選択で、膜は、蓋が閉位置にあるときにプローブ装置の近くに配置される伸縮自在のバルーンを形成する。拡張可能なバルーンは、プローブ装置に加えられる誘起クランプ力に対する制御を改善することができる。
【0040】
任意選択で、クランプユニットは、クランプ力を提供するためにプローブ装置に向かって流体の流れを吹き付けるように構成された流体送風機を含む。
【0041】
流体の流れは、プローブ装置を容器の位置に保持するための押し込み動作を提供することができる。流体送風機によって達成される流体の流れは、容器でプローブ装置に加えられるクランプ力をもたらす。流体送風機によって提供される流体の流れから生じる適用圧力またはクランプ力は、プローブ装置に向けられる流れを変更することによって調整できる(パラメータは、例えば、流量、流れ方向、流体圧力などである)。
【0042】
任意選択で、クランプユニットは、プローブ装置をクランプ力で選択的に保持するように構成された真空クランプ部材を含み、容器には少なくとも1つのアパーチャが配置され、アパーチャは、プローブ装置を選択的に保持している間、カセット本体に配置された通路を介して真空圧に接続可能である。
【0043】
任意選択で、クランプ力は引張り保持力および/または吸引力である。
【0044】
任意選択で、クランプユニットは第1のクランプユニットであり、プローブカセットは、第1のクランプユニットとは異なるさらなる第2のクランプユニットを含み、蓋が閉じている場合、第1のクランプユニットは、第1の位置から複数の第2の位置のうちの1つに動作可能であり、第2のクランプユニットは、プローブ装置を容器にクランプ力で選択的に保持するためにカセット本体に配置され、第2のクランプユニットは、引張り保持力がプローブ装置のクランプを可能にするほど十分に大きい第1の状態と、引張り保持力がプローブ装置の解放を可能にするほど十分に小さい第2の状態と、の間で調整可能であり、第2のクランプユニットは、蓋が開位置にあるときに動作可能であり、開位置では、プローブカセットに収容された1つまたは複数のプローブ装置にアクセスできる。
【0045】
任意選択で、第2のクランプユニットは、真空圧によるクランプを提供する。このような真空クランプ部材は、プローブ装置をクランプ力で選択的に保持するように構成することができる。容器には、プローブ装置を選択的に保持している間、カセット本体に配置された通路を介して真空圧に接続可能な少なくとも1つのアパーチャを配置することができ、カセットは、真空圧を送達するための第1の真空源に接続可能な第1の流体ポートを含む。
【0046】
真空は、クランプ力(例えば、吸引力)をもたらす低圧として理解することができることを理解されたい。クランプ保持力を達成するために、様々な低圧または真空圧を使用できる。クランプは、クランプユニットとプローブ装置との間の界面にシーリング部材を設けることによって改善することができる。
【0047】
真空クランプ部材に伝達される真空は、プローブ装置に作用する差圧によって、プローブ装置を容器でカセットの本体にしっかりと保持させることができる。プローブ装置をカセット本体の所定の位置に保持するための改良された真空ベースのクランプ機構が得られる。カセットの取り扱い、輸送、装填、取り付けなどの間にプローブ装置の完全性が損なわれる可能性を減らすことができる。真空は、プローブ装置に加えられる吸引力を生成することができる。この誘起された引張力は、プローブ装置をカセットの本体に効果的に固定するのに十分な大きさにすることができる。真空クランプ部材は、限られたメンテナンスしか必要としない信頼性の高いクランプ機構を提供できる。
【0048】
真空クランプ部材は、機械的保持手段、例えば、蓋が閉じているときにプローブ装置を覆って保持するように構成された蓋などを必要とせずに、プローブ装置をカセットの本体上に保持することができる。したがって、機械的保持手段(例えば、蓋)が取り除かれ(例えば、蓋が開いたり取り除かれたり)ても、クランプ機構が提供され得る。さらに、プローブカセットによって運ばれるプローブ装置の変位を最小限に抑えることができ、プローブベースのシステム(例えば、原子間力顕微鏡などの走査型プローブ顕微鏡)での取り扱い、輸送、および/または装填の結果としてのプローブ装置への潜在的な損傷のリスクを低減することができる。
【0049】
真空クランプ部材は、1つまたは複数の点でプローブ装置に接触および保持するように構成された他のリテーナ(例えば、キネマティックリテーナなど)に対して、より容易に制御され、より正確で、より堅牢であり、かつ/または寸法公差にあまり敏感でない真空保持機構を提供する。追加的にまたは代替的に、真空保持機構は、カセットの本体上のプローブ装置の容易な位置合わせを可能にし得る。
【0050】
任意選択で、第1の流体ポートは、対応する可撓性チューブを介して第1の真空源に接続可能である。可撓性のないチューブを使用することもできる。
【0051】
任意選択で、プローブカセットは、第2の真空源に接続可能な第2の流体ポートを含む。
【0052】
第2の流体ポートは、第1の流体ポートとは異なり得る。このようにして、カセットを異なる真空源に接続することができる。例えば、カセットは移動され、続いてプローブベースのシステムに挿入され、第1の真空源が真空クランプ部材に真空圧を提供してもよい。プローブベースのシステムに挿入されたカセットは、第2の真空源(例えば、プローブベースのシステムによって提供される機械真空圧)に接続され得る。第1の流体ポートは、カセットが第2の真空源からのみ真空圧を取得するように切り離されてもよい。第1の流体ポートと第2の流体ポートとが同じであることも想定される。
【0053】
プローブカセットは、(例えば、第1の流体ポートを介して)真空源をプローブカセットに一時的に接続するための手段を含み得る。任意選択で、カセットは、カセットがプローブベースのシステムに受け入れられると、第2の真空源(機械真空)に自動的に接続するための手段をさらに含む。第1の流体ポートは、カセットの取り扱いおよびプローブベースのシステムへの移送中に真空を(一時的に)提供するために使用され、第2の流体ポートは、プローブベースのシステムで適用される機械真空を提供するために使用され得る。両方の場合において、同じ真空部材を使用して、真空の結果として誘起される引張り保持力を使用してプローブ装置を所定の位置に固定することができる。
【0054】
任意選択で、真空クランプ部材は、プローブ装置の真空クランプを可能にするために真空圧が十分に低い第1の位置と、プローブ装置の解放を可能にするために真空圧が十分に高い第2の位置と、の間で調節可能である。
【0055】
プローブ装置は、真空クランプ部材に提供される真空圧を制御することによって解放可能であってもよい。真空クランプ部材に供給される圧力は、少なくとも2つの状態、すなわち真空クランプ状態と非クランプ状態との間で切り替えることができる。真空クランプ状態では、真空圧が真空クランプ部材に供給され、プローブ装置をカセットの本体上の所定の位置に保持する。非クランプ状態では、真空クランプ部材に真空圧が供給されず、プローブ装置が他の手段によって保持されていない場合(例えば、蓋によって形状ロックされていない場合)、カセットの本体からプローブ装置を解放することができる。
【0056】
任意選択で、第1のクランプユニットはカセットプローブの蓋に配置され、蓋が閉位置に導かれると、第1のクランプユニットは複数の第2の位置のうちの1つに自動的に作動する。
【0057】
任意選択で、カセットは、クランプユニットによって加えられるクランプ力を調整するためにクランプユニットを制御するように構成されたコントローラを含む。
【0058】
任意選択で、カセットは、互いに接続可能なパッケージベースとパッケージ蓋とを含むプローブ装置送達パッケージに収納可能に配置され、パッケージ蓋は、少なくとも1つの容器を実質的に覆うように、カセットの本体上に取り付け可能であり、パッケージ蓋または本体の少なくとも1つは、カセットの本体に1つまたは複数のプローブ装置を保持するように構成された手段を含み、第1の流体ポートは、パッケージ蓋が閉位置にある状態で第1の真空源に接続可能である。
【0059】
蓋は、カセットのベース上に少なくとも1つのプローブ装置を保持するのを容易にし得る。真空クランプ部材によって誘起される吸引力が生成されると、蓋を取り外すことができ、プローブ装置をプローブベースのシステム(例えば、走査型プローブ顕微鏡)のプローブマウント上に自動的に装填することができる。吸引力は、蓋を開ける/取り外す前および/または後に選択的に加えることができることを理解されたい。
【0060】
プローブ装置送達パッケージに収納可能/取り付け可能なプローブカセットを提供する代わりに、蓋およびベースを含むカセットを提供することができ、蓋が閉じた状態では、カセットの本体に配置された1つまたは複数のプローブ装置が蓋によって覆われていることを理解されたい。
【0061】
有利なことに、蓋が閉じられているか、開いているか、開かれつつあるか閉じられつつあるとき、またはカセットが機械に出入りするとき、または取り扱い中に、プローブ装置がカセットまたは蓋に対して動くことがないようにすることができる。粒子汚染も防止され得る。
【0062】
任意選択で、カセットはコントローラを含み、コントローラは、真空圧を制御することによって、真空クランプ部材によって加えられる引張り保持力を調整するように構成される。
【0063】
任意選択で、真空クランプ部材は、少なくとも1つのプローブ装置の表面に適合するように構成された少なくとも1つの接続部分を有し、プローブ装置と封止接触を形成する。容器におけるカセットの本体は、プローブ形状に相補的な形状を有するように構成され得る。
【0064】
容器は、プローブ装置用のシートを形成するように適合されてもよく、シートに受け入れられたプローブ装置は、真空クランプ部材の接続部分がプローブ装置を適所に真空保持することを可能にする位置に支持される。このようなシートは、例えば、カセットの本体上のくぼみ、低い平面、傾斜面などによって形成され得る。このシートは、任意選択で、少なくとも1つの寸法、好ましくは少なくとも2つの寸法における形状ロックを提供するように構成され得る。任意選択で、容器は、その上にプローブ装置を着座させるのを容易にする傾斜面を有する。
【0065】
任意選択で、少なくとも1つのプローブ装置を選択的に保持する間、カセットの本体上にプローブ装置を真空保持するために、容器に複数のアパーチャが配置される。このようにして、プローブ装置の表面全体に力がより均一に分散され得、真空クランプの改善が可能になる。
【0066】
任意選択で、真空クランプ部材は、ガスの漏れを実質的に防止するために、プローブ装置との封止界面を提供するように構成されたシールを含む。
【0067】
このようにして、プローブ装置を容器に固定して保持するために、プローブ装置上でより低い真空圧を維持することができる。シーリングにより、得られた引張力を正確に制御できる。多くの型のシールが使用可能である。シールはまた、カセットの本体の一部によって形成されてもよい(形状シール)。追加的または代替的に、プローブ装置の一部(例えば、下面)とカセットの本体との間のコンフォーマルシールを得るために、弾性またはゴムシールを配置することができる。一実施例では、真空クランプ部材は吸盤を含む。
【0068】
任意選択で、カセットは、少なくとも1つのアレイに配置された複数の容器を含む。カセットは、複数のアレイを含み得る。このようにして、カセットによって多数のプローブ装置を運ぶことができる。各容器は、少なくとも1つのプローブ装置を受け入れることができる。
【0069】
任意選択で、カセットの本体は、1つまたは複数の型のプローブ装置を収容するように設計されたプローブ装置容器またはポケットのいくつかのアレイ/列を含む。プローブ装置は、異なる走査型プローブ顕微鏡プローブベースのシステムで使用され得る。
【0070】
任意選択で、カセットは走査型プローブ顕微鏡プローブベースのシステムに取り付け可能であり、1つまたは複数のプローブ装置をプローブベースのシステムのプローブマウントに自動的に装填し、任意選択で使用後にカセットに戻すことができる。
【0071】
プローブカセットは、真空動力クランプ固定具を使用して、プローブカセットに収容されたプローブ装置の安全な輸送および保管を可能にし得る。プローブ装置をカセットの本体に選択的にクランプするために、真空(吸引を参照)が使用される。
【0072】
プローブベースのシステムのプローブマウント上へのプローブ装置の取り付けは、例えば、真空クランプ、機械的クランプ、電磁力クランプ、静電力クランプ、および/または接着剤クランプなど、様々な方法で実行され得る。
【0073】
真空圧は、外部真空源によってカセットの外側で発生させることができる。カセットは、たとえ真空源が切り離されたとしても、真空クランプ部材に提供される真空を少なくとも所定の期間維持するように構成され得る。
【0074】
任意選択で、真空はカセット内で内部的に生成される。カセットは、真空圧を送達するためにカセット内に組み込まれた真空源を含み得る。真空は真空ポンプを使用して発生させることができる。真空ポンプは、例えば、電源に接続されてもよい。電源は、カセットの外部および/または内部(例えばバッテリ)であってもよい。内部真空源は、より統合された設計を提供し得る。外部真空源は、カセットの流体ポートに接続されたエアチューブなどを介してカセットと流体連通されてもよい。
【0075】
一態様によれば、本発明は、プローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送、および/または取り扱うためのプローブカセットの使用を提供する。
【0076】
装置(プローブカセット)を考慮して説明された態様、特徴、および任意選択のいずれも、使用および説明された方法に等しく適用されることを理解されたい。また、上記の態様、機能、および任意選択のいずれか1つまたは複数を組み合わせることができることも明らかである。
【0077】
本発明は、図面に表された例示的な実施形態に基づいてさらに説明される。例示的な実施形態は、非限定的な説明によって与えられる。図面は、限定されない例として与えられた本発明の実施形態の単なる概略図であることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1A】カセットのクランプユニットの実施形態の概略図を示す断面図である。
図1B】カセットのクランプユニットの実施形態の概略図を示す断面図である。
図2】プローブカセットの一部の概略図を示す断面図である。
図3】プローブカセットのクランプユニットの実施形態の概略図である。
図4】プローブカセットのクランプユニットの実施形態の概略図である。
図5】プローブカセットのクランプユニットの実施形態の概略図である。
図6】プローブカセットのクランプユニットの実施形態の概略図である。
図7A】プローブカセットのクランプユニットの実施形態の概略図である。
図7B】プローブカセットのクランプユニットの実施形態の概略図である。
図8】プローブカセットのクランプユニットの実施形態の概略図である。
図9】カセットの一実施形態の概略図を示す斜視図である。
図10A】カセットのクランプユニットの概略図を示す断面図である。
図10B】カセットのクランプユニットの概略図を示す断面図である。
図10C】カセットのクランプユニットの概略図を示す断面図である。
図10D】カセットのクランプユニットの概略図を示す断面図である。
図11】処理の概略図である。
図12A】カセットの概略図を示す斜視図である。
図12B】カセットの概略図を示す斜視図である。
図13】プローブ送達パッケージおよびカセットの概略図を示す斜視図である。
図14A】カセットの概略図を示す斜視図である。
図14B】カセットの概略図を示す斜視図である。
図15A】容器におけるカセットの概略図を示す断面図である。
図15B】容器におけるカセットの概略図を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1Aおよび図1Bは、プローブカセットのクランプユニットの実施形態の概略図を断面図で示す。プローブカセットは、プローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置を保管、輸送、および取り扱うために配置される。カセットは、プローブ装置15を収容するように構成された少なくとも1つのプローブ容器5を有するカセット本体3と、カセット本体3に接続可能な蓋であって、閉位置にある蓋が、少なくとも1つの容器5を実質的に覆うように構成された、蓋と、蓋が閉位置にあるときに前記プローブ装置15にクランプ力Fを加えることによってプローブ装置15を容器5に保持するように構成されたクランプユニット2と、を含み、クランプユニット2は、クランプ力Fを調整するための調整部材を含み、クランプユニット2は、クランプ力Fが容器5でプローブ装置15のクランプを提供するのに不十分である第1の位置から、クランプ力Fが容器5でのプローブ装置15の移動を制限する複数の第2の位置に選択的に動作可能であり、複数の第2の位置は、異なる範囲でプローブ装置を制限するために異なるクランプ力Fを提供する。複数の第2の位置において、クランプ力Fは、容器5でのプローブ装置15の移動が使用中に防止される程度に十分であり得る。ただし、例えばカセットの輸送などの特定の動作または活動中により良いクランプを達成するために、クランプ力を増加させることができる。このようにして、カセットに衝撃力、振動、または大きな加速度が加えられた場合でも、クランプ力が容器でプローブ装置を首尾よくクランプするのに十分であることをより確実に保証することができる。
【0080】
図1Aおよび図1Bでは、プローブ装置15を収容する1つの容器5が断面で示されている。カセットの一部のみが断面で示されている。プローブ装置15は、クランプユニット2によって選択的に適所にクランプすることができる。異なる型のプローブ装置15は、容器5でカセットによって保持することができる。この実施例では、プローブ装置15は、プローブ先端17を有するカンチレバーベースのプローブ装置である。カセットは、他の型のプローブ装置を受け入れるように構成できることを理解されたい。
【0081】
クランプユニット2は、プローブ容器5に配置される。クランプユニット2は、クランプユニット2によって引き起こされる調整可能なクランプ力の下でプローブ装置15を選択的に保持するように構成される。プローブカセットは、図1Aおよび図1Bに示されるように、複数の容器を含み得る。例えば、プローブカセットは、プローブ容器の複数のアレイ/列を含むことができ、各アレイは、複数の容器5を含む。各プローブ容器5は、プローブ装置を受け入れるように構成され得る。この実施例では、プローブ装置15は先端が上方にある状態で容器に受け入れられる。ただし、容器がプローブ装置15を下向きに受け入れるように適合されていることも想定される。プローブ容器は、プローブ装置15を収容するように調整することができ、できるだけ多くのプローブ装置を収容するために互いに近接して配置することができ、それによってプローブカセット1のパッケージ効率を改善する。
【0082】
図1Bでは、プローブ装置15の形状および寸法に適合されたシート21が、カセット本体3上でプローブ容器5に形成される。シート21は、カセット1の本体3上の低く/窪んだ表面23によって形成される。シート21は、プローブ容器5でのプローブ装置15の位置決めを容易にするような寸法にすることができ、クランプユニット2によるプローブ装置15の選択的な保持を可能にする。
【0083】
クランプユニット2は、プローブ装置を所定の位置に保持するのに十分強いが、プローブ装置の完全性を損なうほど大きくない、調整可能な押し込み力を提供するように構成することができる。クランプユニットにより、プローブ装置は、プローブ装置15を損傷することなく、適応可能な精密力でプローブカセットの本体の表面に対して保持することができる。さらに、プローブ装置15に加えられるこのクランプ力Fは、クランプユニット2のアクチュエータを使用して正確に制御することができる。有利なことに、クランプ力は、プローブ装置の型、形状および/または寸法に応じて選択できる。このようにして、プローブカセットは多種多様なプローブ装置と互換性があり得る。
【0084】
図2は、プローブカセットの一部の概略図を断面図で示す。複数のプローブ容器5を、1つまたは複数のアレイで互いに隣接して配置することができる。各プローブ容器5は、プローブ装置15を受け入れるように適合される。クランプユニット2は、調整可能なクランプ力Fを各プローブ装置15に提供するように適合され得る。クランプ力Fは、すべてのプローブ装置で同じであってもよい。ただし、例示的な実施形態では、クランプ力Fは、プローブ装置15ごとに別々に調整することができる。このようにして、カセットのカセット本体3上の容器5に保持されたクランプ装置15のそれぞれおよび/またはグループに対してカスタムのクランプ力を提供することができる。
【0085】
図3は、プローブカセットのクランプユニット2の一実施形態の概略図を示す。クランプユニットは、クランプ力Fを提供するための1つまたは複数の磁石を含む。カセットは、閉位置で少なくとも1つの容器5を実質的に覆う蓋25を含む。蓋25の閉鎖動作の結果として、磁気クランプユニット2を使用して、1つまたは複数のプローブ装置15をプローブカセット1の本体3上に保持することができる。閉位置にある蓋25は、容器5にプローブ装置15をロックまたは固定することができる。カセットは、突然の動きや取り扱いを含めて衝撃に耐えることができる。調整可能なクランプユニット2によって、プローブ装置15は、選択可能なクランプ力を提供することができる。
【0086】
蓋25は、第1の静的磁石30aを含んでいてもよい。包囲ピン32上に第2の静的磁石30bを配置してもよい。第1の磁石30aは、蓋が閉じられたときに包囲ピン32をプローブ装置15に向かって下方に押すように配置される。この磁気誘導クランプ力Fは、蓋25の閉位置で2つの静的磁石30a、30bの間の距離を変えることによって調整することができる。これにより、クランプ力Fの調整をより正確に行うことができる。クランプユニット2は、包囲ピン32を案内するための1つまたは複数の任意選択のベアリング34を含んでいてもよい。
【0087】
図4は、プローブカセットのクランプユニット2の実施形態の概略図を示す。第1の磁石30aおよび第2の磁石30b(静的および/または電磁石)が使用され、蓋が閉じられると互いに接近し、クランプ力を生成するために使用される反発力を生じる。クランプユニットは、蓋が閉位置にあるときにプローブ装置を押すように構成された可動構造36を含む。この実施例では、可動構造36は屈曲可能である。他の型の移動装置も想定される。一実施例では、可動構造36は、例えば板ばねなどのばねである。
【0088】
押圧力は、囲んでいる板金案内ストリップの上部の磁力によって得られる。例えば、蓋内の静的磁石は、プローブ装置15上でそれ自体の剛性に逆らって、囲んでいる板金案内ストリップを下向きに押し続けることができる。一実施例では、ばねは15°を超えて曲げられているため、シートメタルの案内ストリップは、板ばねの剛性で押し付ける板ばねとして機能している。一実施例では、板金案内ストリップは13°未満に曲げられ、磁石が使用されているため、ストリップは磁力によってプローブ装置に押し付けられる案内および接触要素としてのみ機能する。他の有利な実施例も想定される。
【0089】
図5は、プローブカセットのクランプユニット2の実施形態の概略図を示す。クランプユニットは、蓋が閉位置にあるとき、容器5でプローブ装置15の表面に向かって液体40を案内するように構成された毛細管38を含み、結果として得られる液体40の表面張力からクランプ力Fが得られる。毛細管38は、その出口38aとプローブ装置15との間に液体40aの滴を提供するように配置される。液体40aの滴によって得られるクランプ力Fは、毛細管38の出口とプローブ装置15との間のギャップ距離Gに依存し得る。このギャップ距離Gは、クランプ力の調整を可能にするために調整可能であり得る。追加的または代替的に、クランプ力Fは、毛細管38の出口38aを通って案内される液体の量を変えることによって調整される。
【0090】
流体は、毛細管38によってプローブ装置の上面から導かれ得る。力は、液体の滴の拡張の表面張力によって発生し得る。流体の滴は、収縮または蒸発によって除去できることが理解されよう。
【0091】
図6は、プローブカセットのクランプユニット2の実施形態の概略図を示す。クランプユニットは、クランプ力Fを選択的に提供するように構成された電気機械アクチュエータ60を含む。電気機械アクチュエータは、カセット本体3上に配置された容器5でプローブ装置15を機械的にクランプするために電気的に作動される。電気機械アクチュエータ60の電気的作動を調整することによって、機械的クランプ力Fの調整を得ることができる。
【0092】
圧電アクチュエータまたはエラストマーアクチュエータなど、異なる型の電気機械アクチュエータ60を使用することができる。有利なことに、クランプ力Fの正確な制御が得られる。
【0093】
各プローブ装置に小さなエラストマー要素を使用できる。一実施例では、ポケット/穴付きのエラストマーホイルを配置できる。電気的作動を使用してエラストマーを拡張させることにより、圧縮力を生成できる。エラストマーは、電気的張力を加えることで拡張できる。このような電気的張力は、電力源をカセットに提供すること、例えばプローブカセットの蓋または本体に電池を組み込むことによって印加できることが理解されるであろう。
【0094】
一実施例では、各プローブ装置の蓋にピエゾ素子が採用されている。ピエゾ素子の作動が拡張をもたらし得る。ピエゾシートは小さな素子にカットできるため、プローブ装置ごとにピエゾ素子を簡単に配置できる。ピエゾ素子は、例えばプローブカセットの蓋または本体に配置された外部電源または電池を介して給電されるPCB上に接着されてもよい。
【0095】
図7Aおよび図7Bは、プローブカセットのクランプユニット2の一実施形態の概略図を示す。クランプユニット2は、流体圧力下で拡張可能な膜を含み、拡張位置にある膜は、クランプ力Fを提供するために容器5でプローブ装置15と接触する。膜は、拡張位置にあるとき、プローブ装置15の表面を押すことができる。押し込み動作の結果として、クランプ力が得られる。クランプ力は、膜に加えられる流体圧力を変えることにより調整することができる。この実施形態では、膜は、蓋25が閉位置にあるときにプローブ装置15に近接して配置される伸縮自在のバルーン70を形成する。拡張可能なバルーン70は、プローブ装置に加えられる誘起クランプ力を正確に制御する。図7Aは、非クランプ位置にあるクランプユニット2のバルーン70を示し、図7Bは、膨張/伸張したバルーンがプローブ装置15にクランプ力を及ぼすクランプ位置にあるクランプユニット2のバルーン70を示す。
【0096】
膜を使用した空気圧作動(上面の膜へのガス圧)により、多種多様なプローブ装置15に適切なクランプ力を提供できる。各種の押し要素を膜上または膜に配置できる。膜はガス圧によって膨張可能であり得る。ただし、液圧(油圧作動)も使用できる。ガスを使用して最大空気圧、膨張力またはストロークを設定する方がより容易となり得る。
【0097】
図8は、プローブカセットのクランプユニット2の実施形態の概略図を示す。クランプユニット2は、クランプ力Fを提供するためにプローブ装置15に向かって流体の流れを吹き付けるように構成された流体送風機80を備える。流体の流れは、容器に固定されたプローブ装置を保持するための十分な押し動作を提供することができる。クランプユニット2は、圧力下の流体をプローブ装置15の表面に向かって導くように構成された流体チャネル82を含む。より安定したクランプ力Fを得るために、任意選択のフォーム部材84を、流体チャネル82を囲むように配置することができる。
【0098】
図9は、例示的なプローブカセット1の実施形態の概略図を斜視図で示す。プローブカセット1は、走査型プローブ顕微鏡などのプローブベースのシステム用の1つまたは複数のプローブ装置(この図には示されていない)を保管、輸送、および取り扱うように構成される。カセット1は、プローブ装置を収容するように構成された少なくとも1つのプローブ容器5を有する本体3を含む。この例では、プローブ容器5に、プローブ装置をクランプ力で選択的に保持するための真空クランプ部材7が配置される。各容器7にはアパーチャ9が配置されている。アパーチャ9は、カセット1の本体に配置されている。プローブ装置を選択的に保持している間、アパーチャ9は、カセット本体3に配置された通路を介して真空圧に接続可能である。カセット1は、真空圧を送達するための第1の真空源に接続可能な第1の流体ポート11を含む。
【0099】
容器5はそれぞれ、プローブ装置を受け入れるように適合されたスロットを形成することができる。この例では、カセット1は、複数のアレイ13に配置された複数の容器5を含む。この例示的な実施形態では、各アレイ13は10個の容器5を有する。さらに、カセット1は、互いに隣接して配置された合計20個の連続したアレイを有する。異なる数のアレイおよび/または容器が可能であることを理解されたい。多くの構成が可能である。他の型の容器配置も可能である。例えば、1つのカセットは、100以上のプローブ装置、例えば、200以上のプローブ装置を収容するように構成され得る。
【0100】
プローブカセット1を使用することで、個々のプローブ装置を事前装填して、離れた場所やプローブベースのシステムに輸送することができ、ユーザの介入を低減することができる。事前装填されたカセット1は、プローブ装置送達パッケージで簡単に出荷できる。送達されると、プローブ装置送達パッケージおよび/またはカセット1または少なくともその一部は、プローブベースのシステム(例えばAFM)に直接取り付けることができる。プローブベースのシステム動作中、プローブ装置はプローブベースのシステムによって自動的にアクセスされ得る。
【0101】
プローブカセットは、プローブベースのシステムとインターフェースすることができる。例えば、プローブカセット1が送達されると、蓋を取り外したり、開けたりすることができる。次いで、プローブカセット1を、ステージなどのプローブベースのシステムの取り付け位置に配置することができる。代替的に、プローブカセットまたはプローブ装置送達パッケージをプローブベースのシステムに導入することができ、その後、プローブベースのシステム内で蓋を開けることができる。有利なことに、真空クランプ部材によって、プローブ装置は、蓋が開かれたり取り外されたりしても保持され、さらには蓋が開かれたり取り外されたまま取り扱うことができる。したがって、輸送および取り扱い後の完全に動作するプローブ装置の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0102】
容器5は、プローブ装置を載せることができる支持面を含むことができ、支持面には、(選択的な)真空クランプを可能にするために少なくとも1つの真空アパーチャ(開口部)が配置される。カセットの本体は、複数のアパーチャ(開口部)を含むことができ、各アパーチャは、真空クランプを提供するように配置される。
【0103】
図10A図10B図10Cおよび図10Dは、カセット1の真空クランプ部材7(すなわち、さらなる/第2のクランプユニット)の概略図を断面図で示す。プローブ装置15を収容する1つの容器5が断面で示されている。カセット1の一部のみが断面で示されている。プローブ装置15は、真空クランプ部材7によって選択的に適所にクランプすることができる。この例では、プローブ装置15は、プローブ先端17を有するカンチレバーベースのプローブ装置である。カセットは、他の型のプローブ装置を受け入れるように構成できることを理解されたい。
【0104】
プローブ容器5には真空クランプ部材7が配置されている。真空クランプ部材7は、アパーチャ9を通してクランプ部材7によって選択的に誘起される真空吸引から生じるクランプ力の下で、プローブ装置15を選択的に保持するように構成される。アパーチャ9は、容器7でカセット1の本体に配置される。プローブ装置を選択的に保持している間、アパーチャ9は、カセット本体3に配置された通路19を介して真空圧に接続可能である。カセット1は、真空圧を送達するための第1の真空源(図示せず)に接続可能な第1の流体ポート11を含む。
【0105】
プローブカセット1は、図10Aおよび図10Bに示すように、複数の容器を含み得る。例えば、プローブカセット1は、プローブ容器の複数のアレイ/列を含んでいてもよく、各アレイは、複数の容器5を含む。各プローブ容器5は、プローブ装置を受け入れるように構成されてもよい。この例では、プローブ装置15は先端が上方にある状態で容器に受け入れられる。しかしながら、容器がプローブ装置15を下向きに受け入れるように適合されていることも想定される。プローブ容器は、プローブ装置15を収容するように調整することができ、できるだけ多くのプローブ装置を収容するために互いに近接して配置することができ、それによってプローブカセット1のパッケージ効率を改善する。
【0106】
図10Bでは、プローブ装置15の形状および寸法に適合されたシート21が、プローブ容器5に形成される。シート21は、カセット1の本体3上の低く/窪んだ表面23によって形成される。シートは、プローブ容器5でのプローブ装置15の位置決めを容易にするような寸法にすることができ、真空クランプ部材によるプローブ装置15の選択的保持を可能にする。
【0107】
真空クランプ部材7は、プローブ装置を所定の位置に保持するのに十分強いが、プローブ装置の完全性を損なうほど大きくない引張力を提供するように構成することができる。真空クランプ部材によって、プローブ装置は、プローブ装置を損傷することなく、正確な力でプローブカセットの本体の表面に対して保持することができる。さらに、プローブ装置に加えられるこの引張力は、正確に調整可能である。任意選択で、プローブ装置の型に応じて真空力を選択できる。
【0108】
図10Cおよび図10Dは、カセット1の真空クランプ部材7の概略図を断面図で示す。蓋25は、プローブカセット1に取り付け可能であり、少なくとも1つの容器5を実質的に覆う。蓋25は、プローブカセット1の本体3上に1つまたは複数のプローブ装置15を保持するための保持手段(図示せず)を含むことができる。閉位置にある蓋25は、例えば、容器5でプローブ装置15を形状ロックすることができる。有利なことに、真空クランプ部材7は、蓋が開いているかつ/または取り外されている場合でも、真空によって誘起されるクランプ力を使用して、プローブ装置をプローブ容器5の位置に保持することができる。蓋25は、カセットがプローブベースのシステムに配置されるとき、例えば開けられ、かつ/または取り除かれてもよい。また、これらの動作中、プローブ装置15は、カセット1の本体3上の適所に保持することができる。図10Dの実施形態では、クランプ部材7は、2つのアパーチャ9と、プローブ容器5で前記それぞれのアパーチャ9に接続された2つの通路19と、を有する。真空クランプを達成するために他の構成も可能であることを理解されたい。カセット1の本体3は、プローブ装置15を収容するように適合された傾斜した凹面を有するスリットを含む。
【0109】
プローブ装置15は、蓋25が閉じた位置にあるとき、蓋25とプローブカセット1の本体3との間に固定することができる。カセットは、突然の動きや取り扱いを含む衝撃に耐えることができる。真空クランプ部材によって、プローブ装置15は、蓋25が取り外されたり開かれたりしても保持され得る。蓋25がもはやクランプを提供しない(すなわち、開いた/取り外された)場合、選択的な真空クランプのみが採用されることが可能である。
【0110】
例えば、プローブ装置15をプローブカセット1の本体3に固定する真空ベースの引張り保持力は、プローブ装置15の完全性を損なうことなく、輸送中または取り扱い中の送達中の押し合いまたは振動にプローブ装置が耐えることができるように、十分に大きくすることができる。
【0111】
図11は、プローブベースのシステムにおいてプローブ装置を送達するための処理100の概略図を示している。プローブカセット1は、プローブ装置を収容するように構成された少なくとも1つのプローブ容器を有する本体を含む。プローブ装置は、真空クランプ部材によってプローブ容器においてクランプ力の下で選択的に保持される。容器は、少なくとも1つのアパーチャを備え、アパーチャは、プローブ装置を選択的に保持する間、カセット本体に配置された通路を通じて、真空圧に接続される。プローブカセットは、真空圧を送達するための第1の真空源に接続可能な第1の流体ポート31を備える。流体接続は、可撓性チューブ35によって実現される。
【0112】
プローブカセット1はさらに、第2の真空源に接続可能な第2の流体ポート33を備える。真空クランプ部材によって加えられる引張り保持力は、真空圧を制御することによって調整可能である。さらに、蓋37がプローブカセット1に取り付けられ、少なくとも1つの容器を実質的に覆っている。任意選択で、蓋37は、プローブカセット1の本体上に1つまたは複数のプローブ装置を保持するための保持手段27を備えている。この例では、カセット1は最初に、基部39と蓋37とを備えたプローブカセット送達パッケージに収容されている。蓋37および/または基部39は、カセットの一部であってもよく、かつ/またはカセット1と一体化されていてもよいことが理解されるであろう。
【0113】
プローブ装置は、蓋37が開けられるかつ/または取り除かれるときに、真空クランプ部材によってプローブ容器の位置に選択的に保持することができる。第1の流体ポート31は、蓋37を閉じた状態で第1の真空源に接続可能である。
【0114】
処理100では、第1の流体ポート31が第1の真空源に接続される(ステップB)。カセット1、蓋37、基部39および/または任意選択のパッケージ送達パッケージは、蓋37が閉位置にある間にこれを可能にするように配置される。次いで真空がカセット1に提供され、引張り保持力を加えることによって真空クランプ部材がプローブ装置をプローブカセット1に収容された位置に保持することを可能にする。次に、プローブ装置がカセット1の真空クランプ部材によって適所に保持されている間、蓋37をカセット1から取り外すことができる(ステップC)。次いで、プローブカセット1は、真空を提供する第1の真空源に接続された第1の流体ポート31を有するプローブベースのシステムに移動される(ステップD)。次に、プローブベースのシステムのチャンバ41に挿入されたプローブカセット1は、プローブカセット1の第2の流体ポート33を介して第2の真空源に接続される(ステップE)。第2の真空源は、プローブベースのシステムの機械真空である。次に、第1の流体ポート31が第1の真空源から切り離される(ステップF)。プローブベースのシステムで使用されたプローブは、カセット1に戻されてもよい。
【0115】
プローブベースのシステムは、プローブカセット上に配置されたプローブ装置に選択的にアクセスされ得る。この点に関して、1つまたは複数の選択されたプローブ装置は、プローブカセットからプローブ装置を回収/保持するための手段を使用して、プローブベースのシステムの1つまたは複数のプローブマウントに装填され得る。機械的クランプ、(電磁)磁気クランプ、静電力クランプ、接着剤クランプ、および/または真空クランプを使用することができる。
【0116】
図12Aおよび図12Bは、カセット1の概略図を斜視図で示す。図12Bでは、図12Aに示した斜視図に対して図を回転させている。カセット1は、第1の流体ポート31および第2の流体ポート33を含む。流体ポート31、33は、流体接続システム45内に配置される。プローブカセット1は、カセット1の本体のプローブ容器5内に配置されたプローブ装置を保持するために配置された一連のプローブ真空リテーナを含む。
【0117】
図13は、プローブ送達パッケージ50およびその中に収容されたカセット1の概略図を斜視図で示す。カセット1は、プローブ装置送達パッケージ50に収納可能に構成される。プローブ装置送達パッケージ50は、互いに接続されたパッケージ基部39’とパッケージ蓋37’とを含む。パッケージ蓋37’は、カセット1の本体上に取り付け可能であり、本体の上に配置された少なくとも1つの容器を実質的に覆う。第1の流体ポート31は、パッケージ蓋37’が閉位置にある状態で、第1の真空源に接続可能である。パッケージ蓋37’は、ヒンジ51によってパッケージ基部39’に対して移動可能に配置される。このようにして、パッケージ蓋37’は、カセット1を取り出すために開くことができる。この実施形態では、パッケージ基部39’は、プローブ装置送達パッケージ50が閉じている(すなわち、パッケージ蓋37’が閉位置にある)間、プローブカセット1の第1の流体ポート31と外部真空源との間の流体接続を可能にするように構成されたポート開口部53を含む。したがって、このようにして、プローブカセットの真空クランプ部材は、パッケージ蓋37’が開かれる前に選択的に動作することができ、クランプシステムが改善される。
【0118】
任意選択で、蓋は、容器5に配置されたプローブ装置とインターフェースするように構成された一連のクランパ55を有するクランプユニットを含み、クランパ55の遠位端はプローブ装置15に衝突し、それによって容器内のプローブ装置の保持を改善する。形状ロックはこの方法で達成され得る。任意選択で、プローブ装置は、蓋37’とカセット1の本体との間に挟まれる。真空クランプ部材は、プローブ装置をクランプ力(例えば、引張力/吸引力)下でカセット内に保持するように動作され得る。容器には、蓋が取り外されたとき、または開かれたとき、および/または蓋が複数の容器を覆っていない状態(開/取り外し位置)で蓋が取り扱われたときにカセットのベース上にプローブ装置を保持するために、プローブ装置の少なくとも一部と接触するための真空アパーチャ/開口部が配置される。
【0119】
真空クランプ部材によって、プローブ装置に加えられる引張力を調整することができる。様々な引張力を選択することができる。任意選択で、引張真空保持機構によって加えられる引張力は可変であり、加えられた真空条件を調整するコントローラによって制御することができる。プローブカセット1の輸送および/または取り扱い中に、前記プローブ装置をプローブカセット1の本体に固定するために、構成可能な吸引力をプローブ装置に加えることができる。
【0120】
いくつかの実施例では、蓋はカセット本体に接続されていないが、カセット本体と整列して配置されている。
【0121】
図14Aおよび図14Bは、プローブカセット1の概略図を斜視図で示す。クランプユニット2は、クランプ力を提供するための2つの磁石を含む。この例では、2つの静/永久磁石30a、30bが配置されている。磁石30a、30bは、蓋が閉じられると、磁石30a、30bの同様の磁極が互いに近づき、プローブ装置15が受け取られる容器5の位置にプローブ装置15を保持するために必要なクランプ力を誘起するように構成される。磁石30a、30bの同じ極同士は反発し合い、蓋の閉位置でのギャップ距離を変えることにより、クランプ力を調整することができる。クランプ装置は、プローブ装置がクランプされる複数の第2の位置に調節可能であり、各第2の位置は異なるクランプ力を有する。
【0122】
図示の例では、第1の磁石30aおよび第2の磁石30bは、磁石30a、30bの同じ極が互いに向き合うように配置される。クランプユニット2は、蓋25が閉じられたときに第1の磁石30aと第2の磁石30bとが互いに接近し、プローブ装置15を容器5にクランプするために使用される力を生成するように構成される。
【0123】
磁石30a、30bは互いに接触しておらず、プローブカセット1の蓋25を閉じたときに互いに対向している。磁石30a、30bは、蓋25が閉じているときに互いに相互作用し、クランプ力を生成する。クランプユニット2の各磁石30a、30bの同様の極(例えば、N、NまたはS、S)は互いに向き合う。2つの磁石30a、30bのうちの少なくとも1つの互いに対する位置は、少なくとも蓋が閉じられているとき、得られるクランプ力が調整可能であるように調整することができる。この例では永久磁石が使用されているが、電磁石の配置も想定されることを理解されたい。図示の例では、単一のプローブ装置15を収容する1つの容器に対して1つのクランプユニット2のみが示されている。ただし、クランプユニット2は、各容器に配置されてもよい。複数のプローブ装置15が容器5に受け入れられることも想定される。
【0124】
図15Aおよび図15Bは、容器でのカセットの概略図を断面図で示す。クランプユニット2は、磁極30a-1および30a-2を有する第1の磁石30aと、磁極30b-1および30b-2を有する第2の磁石30bと、を含む。両方の磁石30a、30bは、反発のために互いに向き合う同じ極(30a-1、30b-1)を有する永久磁石である。2つの磁石30a、30bは、図示の例では互いに対して位置合わせされている。蓋25が閉じられ、かつ/またはプローブカセット1の本体3上に配置されるとき、得られるクランプ力が達成される。蓋が閉位置にあるとき、2つの磁石30a、30bの間の距離を調整することによって、クランプ力を調整することができる。クランプユニット2は、クランプ力を調整するための調整部材を備えており、クランプユニットは、容器5でのプローブ装置15のクランプを提供するのにクランプ力が不十分である第1の位置(例えば、蓋25が開いているとき)から、クランプ力が容器5でのプローブ装置15の動きを制限する複数の第2の位置(例えば、蓋が閉じられているとき)であって、プローブ装置15を異なる程度に制限するための異なるクランプ力を提供する、複数の第2の位置に、選択的に動作可能である。
【0125】
図15Aおよび図15Bに示される例では、第1の磁石30aおよび第2の磁石30bは、プローブ装置を容器に保持するためのクランプ力が2つの磁石30a、30bの間の反発力に基づくように構成される。第1の磁石30aは蓋25に固定され得、第2の磁石30bは案内部材90に固定され得る。第2の磁石30bは、プローブクランプピン91がプローブ装置15を押すように案内され得る。案内部材90は、案内湾曲部であってもよい。案内湾曲部90は、プローブカセット1の蓋25が閉じられるときに、プローブクランプピン91をプローブ装置15に向かって案内すること、およびプローブカセットの蓋25を開けたり、カセット本体3から取り外したりするときに、プローブクランプピン91をプローブ装置から遠ざけることを行うように構成することができる。他の構造(例えば、付勢部材)も案内部材90として使用できることを理解されたい。
【0126】
例示的な実施形態(図示せず)では、クランプユニットは、永久磁石30a、30bおよび少なくとも1つの電磁石を含む。第1の永久磁石を別の電磁石に結合して、2つの永久磁石の間に生成された磁場をオーバーレイすることができる。コントローラまたはコントロールユニットを電磁石にリンクして、磁場を変化させ、結果として生じるクランプ力を調整することができる。
【0127】
任意選択で、真空穴クランプユニットは、蓋25が開かれたり、カセット本体3から取り外されたりしたときも、プローブ装置を容器の位置に保持するように構成することができる。
【0128】
図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。また、図面において、同一の機能および構成を有する要素には同一の符号を付し、これらの要素についての詳細な説明は省略する。
【0129】
さらに、本発明のすべての詳細は、他の技術的に同等の要素で置き換えることができ、使用される材料、ならびに様々な構成要素の形状および寸法は、要件に応じて変化してもよい。
【0130】
カセットは、多くの型のプローブベースのシステムで使用できる。走査型プローブ顕微鏡に続いて、他のプローブベースのシステムも想定されている。原子間力顕微鏡(AFM)もまた、1つまたは複数のプローブ装置を使用して基板の部分(例えば原子)を操作するために使用できることを理解されたい。この場合、走査型プローブ顕微鏡は走査型プローブマニピュレータと呼ばれることもある。本発明は、他の機械またはシステム、例えば、定期的に交換しなければならない壊れやすいユニット(例えば、基板、チップ)を使用する機械に採用することができる。壊れやすいユニットは寸法が小さく、繊細な取り扱いが必要な場合がある(細心の注意を払って取り扱わないと損傷する可能性がある)。本発明によるカセットは、前記壊れやすいユニットの輸送および取り扱いに使用することができる。
【0131】
本明細書において特徴または要素が別の特徴または要素の「上」にあると言及されるとき、それは他の特徴または要素のすぐ上にあってもよいし、または介在する特徴および/または要素も存在し得る。また、機能または要素が、別の機能または要素に「接続されている」、「取り付けられている」、または「結合されている」と呼ばれる場合、他の機能または要素に直接接続、取り付け、または結合することができるか、介在する機能または要素が存在し得ることも理解される。
【0132】
「第1の」および「第2の」という用語は、本明細書では様々な特徴/要素を説明するために使用される場合があるが、文脈上別段の指示がない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある機能/要素を別の機能/要素と区別するために使用され得る。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下で論じる第1の特徴/要素を第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下で論じる第2の特徴/要素を第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0133】
「任意の」または「任意に」は、その後に記述された事象または状況が発生する場合と発生しない場合とがあり、その説明には、前記事象または状況が発生する場合と発生しない場合とが含まれることを意味する。
【0134】
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面において、同様の数字は、異なる図における同様の構成要素を表す場合がある。異なる文字の接尾辞を持つ同様の数字は、同様の構成要素の異なる例を表す場合がある。
【0135】
ハードウェア要素、ソフトウェア要素、または両方の組み合わせを使用して、様々な実施形態を実装することができる。ハードウェア要素の例としては、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuits)、プログラマブルロジック装置(PLD:programmable logic devices)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processors)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、論理ゲート、レジスタ、半導体装置、マイクロチップ、チップセットなどが含まれ得る。ソフトウェアの例としては、ソフトウェア構成要素、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、モバイルアプリ、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、関数、コンピュータで実装された方法、手順、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API:application program interfaces)、方法、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコードなどが含まれ得る。
【0136】
ここで、本発明は、本発明の実施形態の特定の例を参照して説明される。しかし、本発明の本質から逸脱することなく、様々な修正、変形、代替、および変更を行うことができることは明らかであろう。明瞭かつ簡潔な説明のために、特徴は、同一または別個の実施形態の一部として本明細書に記載されているが、これらの別個の実施形態に記載された特徴のすべてまたは一部の組み合わせを有する代替実施形態も想定され、特許請求の範囲によって概説されるとして本発明の枠内に入ることが理解される。したがって、明細書、図、および例は、限定的な意味ではなく、説明的な意味で見なされるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にあるすべての代替、修正、および変形を包含することを意図している。さらに、説明されている要素の多くは、任意の適切な組み合わせおよび場所で、個別のまたは分散された構成要素として、または他の構成要素と組み合わせて実装できる機能エンティティである。
【0137】
特許請求の範囲において、括弧内に配置された参照記号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈してはならない。「含む」という言葉は、クレームに記載されているもの以外の他の機能またはステップの存在を排除するものではない。さらに、「a」および「an」という言葉は、「1つだけ」に限定されると解釈されるべきではなく、代わりに「少なくとも1つ」を意味するために使用され、複数を排除するものではない。特定の措置が相互に異なるクレームに記載されているという事実だけで、これらの措置の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0138】
1 プローブカセット
2 クランプユニット
3 本体、カセット本体
5 プローブ容器
7 真空クランプ部材、容器
9 アパーチャ
11、31 第1の流体ポート
13 アレイ
15 プローブ装置
17 プローブ先端
19 通路
21 シート
23 表面
25、37、37’ 蓋
27 保持手段
30a 第1の磁石
30a-1、30a-2 磁極
30b 第2の磁石
30b-1、30b-2 磁極
32 包囲ピン
33 第2の流体ポート
34 ベアリング
35 可撓性チューブ
36 可動構造
38 毛細管
38a 出口
39、39’ 基部
40、40a 液体
41 チャンバ
45 流体接続システム
50 プローブ送達パッケージ
51 ヒンジ
53 ポート開口部
55 クランパ
60 電気機械アクチュエータ
70 バルーン
82 流体チャネル
84 フォーム部材
90 案内部材
91 プローブクランプピン
100 処理
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
【国際調査報告】