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特表2023-527454中鎖トリグリセリドを使用して点頭てんかんを処置する方法
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  • 特表-中鎖トリグリセリドを使用して点頭てんかんを処置する方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】中鎖トリグリセリドを使用して点頭てんかんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/23 20060101AFI20230621BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230621BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20230621BHJP
【FI】
A61K31/23
A61P25/08
A61K45/00
A61K9/107
A23L33/115
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573444
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 US2021034883
(87)【国際公開番号】W WO2021243226
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/032,111
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/176,747
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502398171
【氏名又は名称】セレシン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,ジュディス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,サミュエル・ティー
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD14
4B018ME14
4C076AA17
4C076BB01
4C076BB13
4C076CC01
4C076FF11
4C076FF68
4C084AA17
4C084MA22
4C084MA52
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA06
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB48
4C206DB49
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA42
4C206MA72
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZA06
(57)【要約】
本開示は、点頭てんかんの処置、および/または点頭てんかんの攣縮の予防の方法に関する。本方法は、当該処置および/または予防を必要とする対象においてケトン体濃度を上昇させることができる少なくとも1種の化合物(例えばケト原性化合物)を含む組成物を投与するステップを含み、当該組成物は、点頭てんかんの処置および/または点頭てんかんのスパム(spams)の予防に有効な量で投与される。一態様において、組成物は中鎖トリグリセリド(MCT)を含む。組成物は、対象においてケトン体濃度を上昇させることができる少なくとも1種の化合物を含む経口剤形、特に栄養ドリンクとして投与されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点頭てんかんの処置および/または点頭てんかんの攣縮の予防を必要とする対象において、点頭てんかんの処置および/または点頭てんかんの攣縮の予防を行う方法であって、
それらを必要とする対象の体内のケトン体濃度を上昇させることができる化合物を含む組成物の有効量を投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
ケトン体濃度を上昇させることができる化合物が中鎖トリグリセリド(MCT)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が少なくとも1種のMCTを含むエマルションである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記MCTがトリカプリリンである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記MCTの脂肪酸の95%より多くが、8炭素(C8)で構成されるオクタン酸である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、点頭てんかんの処置および/または点頭てんかんの攣縮の予防を、それらを必要とする対象において行うのに有効な量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、点頭てんかんの攣縮の減少を必要とする対象において、点頭てんかんの攣縮を、無処置と比較して少なくとも50%減少させるのに有効な量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、点頭てんかんの攣縮の減少を必要とする対象において、点頭てんかんの攣縮を、無処置と比較して少なくとも75%減少させるのに有効な量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、経口でまたは静脈内に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、栄養補助食品として経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、組成物中約0.01g/kg/日~約30g/kg/日の化合物の範囲の量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、組成物中約0.05g/kg/日~約20g/kg/日の化合物の範囲の量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、単回または分割用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、1日1回、2回、または3回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年5月29に出願された「点頭てんかんの処置のための中鎖トリグリセリド」と題する米国仮特許出願第63/032,111号、および2021年4月19日に出願された「中鎖トリグリセリドを使用して点頭てんかんを処置する方法」と題する米国仮特許出願第63/176,747号の利益を、米国特許法第119条の下で主張し、これらの内容はそれぞれ、その全体が、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、点頭てんかんを処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
点頭てんかん(IS)、別名、ウエスト症候群は、てんかん性攣縮/乳児攣縮、ヒプスアリスミアと呼ばれる異常な脳波パターン、および知的障害を特徴とする一連の症状である。点頭てんかんは、1841年、The Lancetに、Dr.William Westにより、自身の4カ月の息子の病態を記載することで初めて報告された。ISは、発生率が10,000出生数当たり1.6~4.5人の特有の稀な障害であり、これはおおまかに、米国では年当たり2000~2500の新規症例ということになる[1]。
【0004】
発作の発症は、通常、生後1年以内に生じ、発症のピークの月齢は3~5カ月である。ISに冒された小児の90%は、1歳未満で発症し、3~7カ月で発生のピークを生じる。攣縮は通常、突然の、一般に両側性で対称的な、頚部、体幹、および四肢の収縮からなり、短時間の意識消失を伴う。一般的ではないが、脚部および脊柱の伸筋の攣縮、または単純な点頭からなることもある。発作は、群発的に、または連続して発生することが多い。一般に、20回程度であるが、100回もの攣縮が1回の群発において発生する場合があり、個々の各攣縮は1~2秒続く[2]。大抵の場合、3歳までに回復するが、稀に10~15歳まで持続する場合がある。
【0005】
ISはヒプスアリスミアと呼ばれる異常な脳波パターンを特徴とする。ヒプスアリスミアは、ランダムな、高電圧の棘波および徐波を特徴とするEEGパターンである。その典型的な出現は、点頭てんかんの初期段階において認められる傾向が強い。
【0006】
ISは、脳性麻痺およびダウン症候群などの数種の障害に関連する。結節性硬化症および神経細胞移動異常症など、攣縮の発症後に発見される障害もある。しかし、ごくわずかなケースで、病因は不明のままである。150年以上にわたってこの病態が認識されているにもかかわらず、この病態の病態生理に関する我々の理解にはほとんど進歩がなく、この障害の処置は依然として経験によるところが大きい。
【0007】
この発作は、最も一般的な抗てんかん薬での処置に不応性である。攣縮は経時で回復するが、長期の予後は不良である。多くの小児が他の形態の重度のてんかんを発症し、大多数(80%~90%)が精神運動発達遅滞を有する[3]。発作を発症する前に、素因となる病態、例えばダウン症候群などの一部として、発達が遅滞する小児もいる。それにもかかわらず、これらの患者においてさえ、攣縮の発症後に発達のさらなる退行が認められることが多い。精神運動遅滞の程度は小児のおよそ70%において重度であり、介護者および保健制度の両方に大きな負担となっている。
【0008】
点頭てんかんは、症候性および特発性のいずれかに分類されてきた。症候性ISは、症例のおよそ60%~70%に見られ、「攣縮発症時に、病因が特定され、および/または著しい発育遅延がある」患者に割り当てられる[1]。さらに、症候性ISは、発作が発生したタイミングを基に、3つの異なる群(出生前、周産期および出生後)に分けることができる。
【0009】
病因が特定された出生前の例は、中枢神経系(CNS)形成異常、神経皮膚障害、染色体異常、遺伝子変異、先天性代謝異常、および先天性感染症と関連することが判明している。出生前期に発生する最も一般的なCNS形成異常は皮質形成異常であり、IS症例の約30%を占める。ISに関連する他の形成異常は、大脳形成異常、滑脳症、全前脳症、および片側巨脳症を含む[4]。点頭てんかんに関連する最も一般的な神経皮膚障害は結節性硬化症(TSC)であり、出生前の原因の約10%~30%を占める。TSCの患者の約68%がISを有する[4]。これほど多くはないが、ISに関連する他の神経皮膚障害は、線状脂腺母斑、色素失調症(incontinentia pegmenti)、Ito症候群、および神経線維腫症1型を含む。ISに関連する最も一般的な染色体異常はダウン症候群である。ISの出生前の原因の15%までが、18q重複、7q重複、染色体7q11.23-q21.11上のMAGI2遺伝子の欠失、および部分2p三染色体を含む染色体異常に起因する[5]。フォークヘッドタンパク質G1、シンタキシン結合タンパク質1、カルシウム/カルモジュリン依存性セリンタンパク質キナーゼ、ALG13、ピリドキサミン-5’-リン酸オキシダーゼおよびアデニロコハク酸リアーゼをコードする遺伝子などの遺伝子変異は、ISに関連することが特定されている[6]。ISに関連する最も一般的な先天性代謝異常はフェニルケトン尿症(PKU)である。PKUの患者の約12パーセントがISを発症する[7]。先天性感染症もまた、ISに関連しており、トキソプラズマ症、梅毒、サイトメガロウイルス、およびジカウイルスを含む[1]。
【0010】
出生前要因が症候性ISの原因の最大の割合を占めるが、ISの周産期の原因は、低酸素性虚血性脳症、新生児低血糖および低出生体重を含む[8]。症候性の出生後の例は、外傷、溺水、腫瘍、およびCNS感染症に関連し、症候性ISの症例の約15%~67%を占める[1]。
【0011】
ISの患者の10~40%には特定可能な原因がなく、特発性ISと呼ばれ、次の基準、すなわち:他の種類の発作がない、正常な検査結果、正常なCTおよびMRI、群発中の連続的な攣縮の間にヒプスアリスミアの反復、ならびに任意の限局的な発作間欠期または発作中のEEG異常の欠如を満たす[1]。
【0012】
ISの一因となる様々な発作が原因で、その病態生理を確証的に決定することは困難である。しかし、その原因の多様性の故に、共通の基礎をなす機序があり得ると考えるに至った人々がいる。StafstromおよびHolmesは、ISは「脳の個体発生的発達における臨界点での非特異的な発作に起因する」と提唱した[9]。注目を集めた2つの潜在的機序がある。すなわち、興奮性の増大および抑制の喪失である。調査された1つの動物モデルは、IS患者の辺縁系および脳幹の領域における神経ペプチドコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)のストレス関連の増加である。CRHは、発達中の齧歯動物において発作を引き起こし、ACTHはCRHの合成を抑制するが、これはISにおけるこのストレスホルモンの有効性の機序であり得る(概要については[10]を参照)。抑制共通経路の喪失に関連するモデルは、トリプルヒットモデル[11]、TTXモデル、およびTs65Dマウスモデルを含む[12]。
【0013】
2010年に、ISのコンセンサスグループは、患者の転帰を改善することを目標に、ISの処置のガイドラインを策定した[10]。ガイドラインは、第一選択治療、および処置の有効性を判定するためのEEG評価の重要性を示した。このグループはまた、特に特発性の症例において、神経発達の転帰を改善するために、ISの早期検出がきわめて重要であることも強調した[10]。
【0014】
ISの第一選択処置は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)でのホルモン治療である。典型的には、低用量または高用量の、2つの異なる投与計画が使用される。低用量は通常、1日当たり20~30単位で筋肉内に(IM)投与されるACTHからなり、2週間後に再評価され、攣縮またはヒプスアリスミアが持続する場合、1日当たり40単位に増加される。高用量は、75単位/m2でIMに1日2回、2週間投与されるACTHからなり、これはその後さらに2週間で漸減される。両方の投与計画について、再発した場合、4~6週間の第2のコースが施される。攣縮が停止する典型的な時間は7~12日であると予想され、ACTHはかなり有効であり得る[8]。例えば、Baramらは、短期間にわたって投与された高用量の天然ACTH(1日2回投与される150IU/m2/日)(すなわち2週間、その後は次のように漸減される:朝30IU/m2を3日、朝15IU/m2を3日、朝10IU/m2を3日、およびその後、隔日朝10IU/m2を6日)を評価し、対象の87%が、攣縮の臨床的な停止、およびEEGのヒプスアリスミアの消滅の両方に応答した[13]。ACTHを使用した試験および転帰のリストについては表1を参照されたい。
【0015】
ISの第一選択治療の別の候補はビガバトリンである。ビガバトリンは、CNS中のGABAの増加をもたらすGABAトランスアミナーゼ阻害薬である[8]。ビガバトリンの投与は、通常、1日当たり50mg/kgで開始され、1日当たり100mg/kgに増加させることができる。ビガバトリンでの処置の典型的な期間は6~9カ月であり、攣縮の停止までの時間は12~35日である[14]。ビガバトリンを使用した試験および転帰のリストについては表1を参照されたい。
【0016】
コルチコステロイドもまた、ISの処置に使用されてきた。一部の試験において、プレドニゾンは、1日当たり2mg/kgの用量の6週間のコースで有効であることが示された。プレドニゾンを使用した試験および転帰のリストについては表1を参照されたい。
【0017】
ケトン食療法(KD)はISの第二選択処置と考えられ得る。ACTHまたはビガバトリンが有効でないと分かった場合、KDがISにおいて開始されることが多い。KDは、高脂肪、適正タンパク質、低炭水化物の食事である。最も一般的なタイプのKDは「古典的KD」であり、この場合、主要栄養素の含量は、4:1または3:1の脂肪対非脂肪の比に制限される。2017年に、Preziosoらは、点頭てんかんにおけるケトン食療法の使用のレビューを行った。そのレビューは、患者345名中116名(33.62%)が、追跡調査の6カ月以内に攣縮がなくなったことを見出した。長期の結果もまた、試験の部分集団において入手可能であり、169名中40名(23.7%)が12~24カ月後に発作がないままであった[15]。KDを使用した試験および転帰のリストについては表1を参照されたい。
【0018】
【表1】
【0019】
攣縮のより迅速な制御と並んで、早期診断がIS患者の予後を改善するというのは広く受け入れられている見解である[31]。しかしながら、ISは最も一般的な抗てんかん薬に不応性である。加えて、ACTHおよびビガバトリンは両方とも、常に有効であるわけではなく、重度の副作用を起こす可能性がある[14]。ACTHによる処置は、「高血圧、免疫抑制、感染、電解質平衡異常、胃腸障害、眼の混濁、肥大型心筋症、大脳萎縮症および成長障害」を含む複数の重篤な有害事象(AE)に関連する[32]。これらの副作用のため、低用量、短期治療が推奨される。ビガバトリンもまた、鎮静、易刺激性、不眠症および低血圧を含む複数のAEに関連する。重要なことであるが、ビガバトリンは、薬物を中止しても永続的で持続する重篤な視野欠損を引き起こす可能性がある[1]。ケトン食療法は、一般にAEの発生率が低いが、乳児におけるKDの長期の使用に起因する線形発育状態の減少をもたらす可能性がある[33]。
【0020】
したがって、ISにはより有効で安全な処置が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示は、点頭てんかん(infantile spasms)の処置および/または点頭てんかんの攣縮(spasms)の予防を必要とする対象において、点頭てんかんの処置および/または点頭てんかんの攣縮の予防を行う方法に関する。ある特定の態様において、本方法は、それらを必要とする対象の体内のケトン体濃度を上昇させることができる化合物を含む組成物の有効量を投与するステップを含む。
【0022】
一部の態様において、組成物は、点頭てんかんの処置および/または点頭てんかんの攣縮の予防を、それらを必要とする対象において行うのに有効な量で投与され得る。一部の態様において、組成物は、点頭てんかんの攣縮の減少を必要とする対象において、点頭てんかんの攣縮を、無処置と比較して少なくとも50%減少させるのに有効な量で投与される。他の態様において、組成物は、点頭てんかんの攣縮の減少を必要とする対象において、点頭てんかんの攣縮を、無処置と比較して少なくとも75%減少させるのに有効な量で投与される。
【0023】
ある特定の態様において、ケトン体濃度を上昇させることができる化合物は中鎖トリグリセリド(MCT)である。ある特定の態様において、組成物は少なくとも1種のMCTを含むエマルションである。ある特定の態様において、MCTはトリカプリリンとすることができる。
【0024】
ある特定の態様において、組成物は、経口でまたは静脈内に投与され得る。ある特定の態様において、組成物は栄養補助食品として経口投与され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A図1Aは、本開示の態様による例示的なMCTであるトリカプリリンの投与に反応した尿中ケトンレベルを示す。トリカプリリンは強制経口投与後に尿中ケトンレベルの上昇をもたらした。単位はmmol/Lである。
図1B図1Bは、本開示の態様による例示的なMCTであるトリカプリリンの投与に反応した尿中ケトンレベルを示す。トリカプリリンは乳汁に入れて投与した後に尿中ケトンレベルの上昇をもたらした。単位はmmol/Lである。
図2A図2Aは、本開示の態様によると、ISのラットモデルにおいて、トリカプリリンが、強制経口投与後に攣縮を減少させることを示す
図2B図2Bは、本開示の態様によると、ISのラットモデルにおいて、トリカプリリンが、乳汁に入れて投与した後に攣縮を減少させることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、点頭てんかん(IS)の処置における重篤な副作用に関連する有効でない処置の問題の解決策を記載する。ある特定の側面において、本開示は、ケトーシスの外因性の誘導がISを処置することができるという新規な発見に関する。ある特定の態様において、中鎖トリグリセリド(MCT)、特にトリカプリリンはISを処置することができることが示される。MCTは、脂肪酸が5~12炭素長であるトリアシルグリセロールである。トリカプリリンの場合、脂肪酸の95%、96%、97%、98%もしくは99%より多くが、または100%が、8炭素(C8)で構成されるオクタン酸である。
【0027】
本明細書の記載から、点頭てんかんを処置するため、および点頭てんかんにおける攣縮を予防するための本開示の複数の利点が明らかになるであろう。すなわち、
(a)現在の点頭てんかんの処置は、完全に有効であるわけではなく、重篤な副作用に関連する。本開示の方法は、その病態を処置する簡便で安全な方法を提供する。
【0028】
(b)ケトン体の血中レベルの増加は、中鎖トリグリセリド、例えばトリカプリリンなどのケト原性組成物を豊富に含む、組成物またはレジメンの、投与または施行によって実現され得る。
【0029】
(c)中鎖トリグリセリドなどの多くのケト原性化合物は、患者の静脈内に注入され得るか、または経口投与され得る。
(d)ケトン体のレベルは、市販製品(例えば、Ketostix(登録商標)、Bayer,Inc.)によって、尿中または血液中で容易に測定され得る。
【0030】
理論に制限されるものではないが、ケトン食療法は、トリカプリリンなどのケト原性剤の使用によるケトーシスの外因性の誘導とは等しくはなく、これらの2つの戦略は、2つの異なる代謝状態を働かせるため、等しくはない[34、35]。ケトン食療法は、通常、炭水化物とタンパク質とを組み合わせた量に対して消費される脂肪の量によって定義される。ケトン食療法は、通常、3:1または4:1の脂肪:炭水化物+タンパク質の比を使用する。実際、KDは、炭水化物(CHO)を1日当たり50g未満に、またはエネルギー摂取量を<5%に、タンパク質からのエネルギー摂取量を15~20%に、脂肪からのエネルギー摂取量を75~80%に制限する。ISの処置に使用されてきたケトン食療法は、すべて3~4:1と記載されている。
【0031】
KDは、主要栄養素の含量を制限するという性質の故に、患者に広範囲の代謝性変化をもたらす。KDは、炭水化物と、アミノ酸からのグルコース新生によってグルコースを合成する能力とを制限するため、代謝を、主に燃料としての脂肪の使用に移行させる。この代謝の移行が、ケトーシスの外因性の誘導からは明らかでない多くの著しい代謝性変化をもたらす。ケトン食療法を6週間行ったヒト対象は、インスリン(-34.2%)、トリグリセリド(-33.0)、およびVLDL(-29.4%)の有意な下降を示し、これらはすべて、脂肪代謝への著しい移行を示す[36]。ケト原性剤の投与によるケトーシスの外因性の誘導にはこれらの代謝作用はなく、代わりに、循環中のケトン体の存在を単純に増加させ、トリカプリリンの場合、循環中のオクタン酸の量を増加させる。ケトン食療法もまた循環中の遊離脂肪酸を増加させるが、それはオクタン酸ではなく、代わりに長鎖脂肪酸であることに留意されたい[35]。
【0032】
第1の側面において、本開示は、ISの処置および/またはISにおける攣縮の発生の予防を必要とする対象において、ISの処置および/またはISにおける攣縮の発生の予防を行う方法であって、対象(例えばヒト対象)の体内のケトン体濃度を上昇させることができる少なくとも1種の化合物、例えば、中鎖トリグリセリド(MCT)を含む組成物の有効量を、それらを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。本開示の側面によれば、本開示の組成物は、血中ケトン体を、ISを処置するレベル、および/またはISにおける攣縮の発生を予防するレベルに増加させるのに有効な投与量で投与され得る。
【0033】
一部の態様において、組成物は、点頭てんかんの攣縮の減少を必要とする対象において、点頭てんかんの攣縮を、無処置と比較して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%など減少させるのに有効な量で投与される。
【0034】
治療剤の治療有効量は、所望の効果をもたらすのに十分な任意の量または用量とすることができ、一部、病態の重症度および段階、患者のサイズおよび病態、ならびに当業者に容易に知られる他の要因に依存する。一般に、有効量は、(1)処置されようとする疾患の症状を軽減する、または(2)処置されようとする疾患を処置するために適切な変化を誘導する、のいずれかに有効な量である。投与量は、本明細書の他の部分で述べられるように、単回用量として、または複数回用量として、例えば、数週間のコースを通じて分割されて、付与され得る。これらのすべての化合物の適切な投与量は、当業者によって決定され得る。
【0035】
すべての態様において、ケトン体濃度を上昇させることができる少なくとも1種の化合物を含む組成物は、ISを処置、および/またはISの攣縮を予防する方法と関連して使用され得る。一態様において、本開示の方法に関連して有用な組成物は、対象の体内のケトン濃度の上昇をもたらし、高ケトン血を誘導するのに有効な量で投与され得る。そのような化合物はまた、まとめてケトン体前駆体化合物またはケト原性化合物とも呼ばれる。そのような化合物は、例えば、MCT、MCFA、およびケトン体のプロドラッグ、代謝前駆体などを含む。
【0036】
一態様において、体内のケトン体濃度を上昇させることができる化合物は、レシピエントホストによって対象化合物に代謝的に変換され得る1種または複数種のプロドラッグを含む。本明細書で使用される場合、プロドラッグとは、体内で化学変換を受けた後に薬理活性を示す化合物である。プロドラッグはまた、プロドラッグの変換が直接ケトン体の形成をもたらす場合、代謝前駆体とも呼ばれ得る。MCTおよびMCFAは、最初にアセチル-CoAへと酸化されなければならず、その後、合成されてケトン体になる前にいくつかのステップを経なければならない。多種多様なプロドラッグ製剤が当技術分野において公知である。例えば、プロドラッグの結合はエステルまたは無水物など、加水分解性であってもよく、またはアミドなど、酵素的に生分解性であってもよい。
【0037】
一態様において、本開示の方法に関連して有用な組成物は、対象において少なくとも1種のケトン体の循環中濃度を増加させることができる。一態様において、循環ケトン体はD-ベータ-ヒドロキシブチレートである。循環ケトン体の量は、投与後複数の時点で測定され得、一態様において、血液中ピーク濃度に近いと予想される時点で測定されるが、予想されるピーク血中濃度レベルの前または後でも測定され得る。これらのオフピーク時に測定された量は、次に、任意選択により、予想されるピーク時での予想されるレベルを反映するように調整される。一態様において、予想されるピーク時は、約2時間である。ピークの循環血中レベルおよびタイミングは、当業者に知られているように、食物、飲料の個々の消化速度、同時摂取または摂取前もしくは摂取後などを含む、当業者に知られている要因に依存して変化し得る。一態様において、D-ベータ-ヒドロキシブチレートの到達したピーク血中レベルは、約0.05ミリモル(mM)~約50mMの間である。D-ベータ-ヒドロキシブチレートの血中レベルが約0.05~約50mMに上昇しているかどうかを判定する別の方法は、D-ベータ-ヒドロキシブチレートの尿排出の測定によるものであり、範囲は約5mg/dL~約160mg/dLの範囲である。他の態様において、ピーク血中レベルは、約0.1~約40mM、約0.1~約20mM、約0.1~約10mM、約0.1~約5mMに上昇し、より好ましくは約0.15~約2mM、約0.15~約0.3mMに上昇するが、例えば上に述べたように、製剤およびホストに依存して、多様なことが必然的に起こる。他の態様において、D-ベータ-ヒドロキシブチレートの到達したピーク血中レベルは、少なくとも約0.05mM、少なくとも約0.1mM、少なくとも約0.15mM、少なくとも約0.2mM、少なくとも約0.5mM、少なくとも約1mM、少なくとも約1.5mM、少なくとも約2mM、少なくとも約2.5mM、少なくとも約3mM、少なくとも約4mM、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約30mM、少なくとも約40mM、および少なくとも約50mMである。
【0038】
本明細書で使用され、本明細書の他の部分で述べられる場合、本開示のMCTは、次式:
【0039】
【化1】
【0040】
で表され、式中、R1、R2およびR3は、独立して、グリセロール骨格にエステル結合した、炭素骨格中に5~12個の炭素を有する脂肪酸残基(C5~C12脂肪酸)、グリセロール骨格にエステル結合した、炭素骨格中に5~12個の炭素を有する飽和脂肪酸残基(C5~C12脂肪酸)、グリセロール骨格にエステル結合した、炭素骨格中に5~12個の炭素を有する不飽和脂肪酸残基(C5~C12脂肪酸)、および上記のうちいずれかの誘導体からなる群から選択される
一部の態様において、R1、R2およびR3は、6炭素の骨格を含有する脂肪酸(tri-C6:0)である。Tri-C6:0 MCTは、複数の動物モデル系において消化管によってきわめて迅速に吸収される。吸収が高速であると、肝臓の灌流が速く、強力なケト原性反応をもたらす。別の態様において、本方法は、R1、R2およびR3が7炭素の骨格を含有する脂肪酸(tri-C7:0)であるMCTの使用を含む。別の態様において、本方法は、R1、R2およびR3が8炭素の骨格を含有する脂肪酸(tri-C8:0)であるMCTの使用を含む。別の態様において、本方法は、R1、R2およびR3が10炭素の骨格を含有する脂肪酸(tri-C10:0)であるMCTの使用を含む。別の態様において、本方法は、R1、R2およびR3がC8:0およびC10:0脂肪酸の混合物であるMCTの使用を含む。別の態様において、本方法は、R1、R2およびR3がC6:0、C8:0、C10:0、およびC12:0の各脂肪酸の混合物であるMCTの使用を含む。
【0041】
別の態様において、MCTの混合物が本開示の方法に関連して使用され得る。例えば、一態様において、1つのMCTは、脂肪酸が10炭素の骨格を含有するR1、R2およびR3(tri-C10:0)で構成され、別のMCTは、R1、R2およびR3が8炭素の骨格で構成される(tri-C8:0)。別の態様において、1つのMCTは、脂肪酸が8炭素の骨格を含有するR1、R2およびR3(tri-C8:0)で構成され、別のMCTは、R1、R2およびR3が6炭素の骨格で構成される(tri-C6:0)。別の態様において、1つのMCTは、脂肪酸が10炭素の骨格を含有するR1、R2およびR3(tri-C10:0)で構成され、別のMCTは、R1、R2およびR3が6炭素の骨格で構成される(tri-C6:0)。
【0042】
別の態様において、MCTのR1、R2およびR3の各炭素鎖の95%より多くが、8炭素長である。さらに別の態様において、R1、R2およびR3の各炭素鎖は、6炭素または10炭素の鎖である。別の態様において、MCTのR1、R2およびR3の各炭素鎖の50%は、8炭素長であり、MCTのR1、R2およびR3の各炭素鎖の約50%は、約10炭素長である。
【0043】
別の態様において、5、6、7、8、9、10、11および12の炭素鎖長の中鎖脂肪酸(MCFA)、または上記の混合物が、本開示の方法に関連して使用され得る。
本開示の方法において有用な脂質化合物、例えば、MCTまたはMCFAは、当技術分野において公知の任意のプロセス、例えば、直接エステル化、転位、分画、またはエステル交換などによって調製され得る。例として、MCTの供給源は、半合成、合成または天然の任意の適切な供給源を含む。MCTの天然源の例は、植物源、例えば、ココナッツおよびココナッツ油、パーム核およびパーム核油、ならびに動物源、例えば、様々な種のいずれか、例えばヤギなどの乳汁を含む。加えて、MCTの利用度は、乳化によって高められ得る。脂質の乳化は、リパーゼによる作用のための表面積を増大し、より迅速な加水分解およびMCFAの放出をもたらす。これらのトリグリセリドの乳化の方法は、当業者に周知である。
【0044】
他の態様において、ケトン体前駆体化合物が本開示の方法に関連して使用され得る。本開示に関連して有用なケトン体前駆体化合物は、哺乳動物、例えば患者の体内で、ケトン体濃度を直接上昇させることができる任意の化合物を含み、当業者によって決定され得る。これらの化合物は、脂肪酸の酸化を増大する効果を模倣することができ、ケトン体、D-μ-ヒドロキシブチレートおよびアセトアセテート、ならびにこれらの代謝前駆体を含むが、それらに限定されない。本明細書で使用される代謝前駆体という用語は、1,3ブタンジオール、アセトアセチルまたはD-β-ヒドロキシブチレートの部分、例えば、アセトアセチル-1-1,3-ブタンジオール、アセトアセチル-D-β-ヒドロキシブチレート、およびアセトアセチルグリセロールを含む化合物を指す。任意のそのような化合物と一価、二価または三価のアルコールとのエステルもまた、本開示の方法に関連して有用である。代謝前駆体はまた、D-β-ヒドロキシブチレートのポリエステル、およびD-β-ヒドロキシブチレートのアセトアセテートエステルも含む。D-β-ヒドロキシブチレートのポリエステルは、ヒトまたは哺乳動物によって容易に消化および/または代謝されるようにデザインされたこのポリマーのオリゴマーを含む。これらは、好ましくは、2~100の繰り返し長、典型的には2~20の繰り返し長、および最も好都合には3~10の繰り返し長である。ケトン体前駆体として使用できるポリD-β-ヒドロキシブチレートまたは末端が酸化されたポリ-D-β-ヒドロキシブチレートエステルの例が下に挙げられる。
【0045】
【化2】
【0046】
各場合において、nは、ポリマーまたはオリゴマーが、ヒトまたは哺乳動物の身体に投与されると容易に代謝されて、血液中のケトン体レベルの上昇をもたらすように選択される。nの値は、0~1,000の整数で、より好ましくは0~200、さらにより好ましくは1~50、最も好ましくは1~20、特に好都合には3~5である。各場合において、mは、1以上の整数、治療または栄養摂取に使用するための、1つまたは複数の陽イオンを有するその錯体、またはその塩である。陽イオンおよび典型的な生理学的な塩の例は、本明細書に記載され、各々、生理学的な対イオンによって平衡されて塩錯体を形成するナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、L-リジン、L-アルギニン、メチルグルタミン、および当業者に知られているその他をさらに含む。
【0047】
点頭てんかんを処置するのに有用な他のケトン体前駆体化合物は、本明細書にさらに詳細に記載されるように、多価アルコールのエステル、3-ヒドロキシ酸エステルおよびグリセロールエステルを含む。
【0048】
本明細書で使用される場合、「誘導体」は、親化合物から誘導される、または親化合物から理論的に誘導可能な化合物または化合物の部分を指し;「ヒドロキシル基」という用語は、式-OHで表され;「アルコキシ基」という用語は、式-ORで表され、式中、Rはアルキル基とすることができ、下に定義されるような、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロゲン化アルキル、またはヘテロシクロアルキル基で任意選択により置換された低級アルキル基を含み;「エステル」という用語は、式-OC(O)Rで表され、式中、Rは、下に定義されるような、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロゲン化アルキル、またはヘテロシクロアルキル基とすることができ;「アルキル基」という用語は、1~24個の炭素原子の分岐または非分岐の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、およびテトラコシルなどと定義される。「低級アルキル」基は、1~10個の炭素原子を有する飽和の分岐または非分岐の炭化水素であり;「アルケニル基」という用語は、2~24個の炭素原子、および少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する構造式の炭化水素基と定義され;「アルキニル基」という用語は、2~24個の炭素原子、および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する構造式の炭化水素基と定義され;「ハロゲン化アルキル基」という用語は、上記に定義されたアルキル基に存在する1個または複数個の水素原子がハロゲン(F、Cl、Br、I)で置換されたアルキル基と定義され;「シクロアルキル基」という用語は、少なくとも3個の炭素原子から構成される非芳香族炭素系環と定義される。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。「ヘテロシクロアルキル基」という用語は、環の炭素原子のうち少なくとも1個が、窒素、酸素、硫黄、またはリンの(phosphorous)を含むがこれらに限定されないヘテロ原子で置換された、上記に定義されたシクロアルキル基であり;「脂肪族基」という用語は、上記に定義されたアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキルおよびシクロアルキル基を含むと定義される。「低級脂肪族基」は、1~10個の炭素原子を含有する脂肪族基であり;「アリール基」という用語は、ベンゼン、ナフタレンなどを含むが、これらに限定されない任意の炭素系芳香族基と定義される。「芳香族」という用語はまた「ヘテロアリール基」も含み、これは、少なくとも1つのヘテロ原子を芳香族基の環内に組み込んだ芳香族基と定義される。ヘテロ原子の例は、窒素、酸素、硫黄、およびリンの(phosphorous)を含むが、これらに限定されない。アリール基は、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ハロゲン化物、ニトロ、アミノ、エステル、ケトン、アルデヒド、ヒドロキシ、カルボン酸、またはアルコキシを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されてもよく、またはアリール基は非置換であってもよく;「アラルキル」という用語は、上記に定義されたアルキル基をアリール基に結合させたアリール基と定義される。アラルキル基の例はベンジル基であり;「エステル化」は、アルコールをカルボン酸またはカルボン酸誘導体と反応させてエステルを得ることを指し;「エステル交換」は、エステルをアルコールと反応させて新たなエステル化合物を形成することを指す。「3-ヒドロキシブチレート」という用語は、「3-ヒドロキシ酪酸」という用語と互換的に使用される。
【0049】
一態様において、ケトン体濃度を上昇させることができる化合物は、式:
【0050】
【化3】
【0051】
の化合物を含み、式中、Rは多価アルコール残基であり、n、mおよびxは整数を表し、mはx以下である。
(R)-3-ヒドロキシブチレートおよびその誘導体とエステルを形成するのに適した生理学的に適合性のアルコールは、一価および多価のアルコールを含む。多価アルコールのエステルは、より短い(R)-3-ヒドロキシブチレートオリゴマーを使用する(R)-3-ヒドロキシブチレート誘導体の当量当たり、より高密度の(R)-3-ヒドロキシブチレート当量をもたらす。より短いオリゴマーは、一般に、より容易に加水分解されて、血液中の(R)-3-ヒドロキシブチレートの濃度を上昇させる。そのようなエステルを調製するのに適した多価アルコールの例は、炭水化物および炭水化物誘導体、例えば炭水化物アルコールを含み、炭水化物の例は、アルトロース、アラビノース、デキストロース、エリトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、ラクトース、リキソース、マンノース、リボース、スクロース、タロース、トレオース、およびキシロースなどを含むが、これらに限定されない。(R)-3-ヒドロキシブチレート誘導体を調製するのに有用な炭水化物の追加の例は、アミノ誘導体、例えば、ガラクトサミン、グルコサミンおよびマンノサミンを含み、N-アセチル誘導体、例えばN-アセチルグルコサミンなどを含む。炭水化物の例はまた、炭水化物誘導体、例えばアルキルグリコシドも含む。炭水化物アルコールの例は、グリセロール、マンニトール、リビトール、ソルビトール、トレイトール、およびキシリトールなどを含むが、これらに限定されない。上に列挙した炭水化物および炭水化物アルコールの鏡像異性体もまた、上記の式の(R)-3-ヒドロキシブチレート誘導体を調製するために使用され得る。
【0052】
態様は、nが1~約100であり、xが1~約20であり、mが1~約20である化合物を含む。一態様は、Rが(R)-1,3-ブタンジオールである化合物を含む。
別の態様において、ケトン体濃度を上昇させることができる化合物は、式:
【0053】
【化4】
【0054】
の化合物および
【0055】
【化5】
【0056】
の化合物も含み、式中、nおよびmは、独立して、1~約100の整数である。一部の態様において、nおよびmは同じであり、nおよびmは異なり、nおよびmは3である。加えて、ケトン体濃度を上昇させることができる化合物は、式:
【0057】
【化6】
【0058】
のR-3-ヒドロキシブチレートのエステル化合物を含み、nは1~約100の整数である。一態様において、nは3である。
ケトン体レベルを上昇させることができる他の化合物は、3-ヒドロキシ酸を含む。組成物は、3-ヒドロキシ酸、その直鎖または環状オリゴマー、3-ヒドロキシ酸またはオリゴマーのエステル、3-ヒドロキシ酸の誘導体、およびそれらの組合せを含む。一態様において、組成物は、3つ、4つ、または5つの単量体サブユニットを含有するR-3-ヒドロキシ酸の環状マクロライドを含む。3-ヒドロキシ酸は、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシヘキサン酸および3-ヒドロキシヘプタン酸を含む。一部の態様において、オリゴマーの長さは、誘導体が単量体の徐放に適切な消化速度を有するようでなければならない。別の態様において、環状三量体(トリオライド(triolide))が、他の環状オリゴライド(oligolide)もしくは直鎖型エステルおよび/または両者の混合物と組み合わされて使用される。
【0059】
3-ヒドロキシ酸の一般式は:
【0060】
【化7】
【0061】
であり、式中、R1は、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、チオール、ジスルフィド、エーテル、チオールエーテル、アミン、アミド、ハロゲンから選択される。R2およびR3は、独立して、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、チオール、ジスルフィド、エーテル、チオールエーテル、アミン、アミド、ハロゲン、ヒドロキシ、エステル、窒素置換基、および/または酸素置換基から選択される。R4は、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、チオール、ジスルフィド、エーテル、チオールエーテル、アミン、アミド、ハロゲン、ヒドロキシ、エステル、窒素置換基、および/または酸素置換基から選択される。さらに、R4が水素でもハロゲンでもない場合、R3は直接結合であり得、R4はメチルであり得る。
【0062】
ケトン体レベルを上昇させることができる他の化合物は、式:
【0063】
【化8】
【0064】
を有するグリセロールエステル、すなわち、少なくとも1つのケト酸またはヒドロキシ酸の易水溶性ではないグリセリドを含み、式中、R1、R2およびR3の基のうち2つまたは3つが、互いに独立して、アセトアセテート基、α-ケトプロピオネート基、β-ヒドロキシブチレート基およびα-ヒドロキシプロピオネート基のうち1つまたは複数であり、R1、R2およびR3の基のうち2つのみが前記基のうちいずれかである場合、3番目の基は、ヒドロキシ基または2~24個の炭素原子を含有する飽和または不飽和の脂肪酸の残基である。他のグリセロールエステル、特に、式
【0065】
【化9】
【0066】
を有する少なくとも1つのケト酸またはヒドロキシ酸の易水溶性ではないグリセリドが想定され、式中、1つのR基は水素であり、2つのR基は(-COCH2、COCH3)である。加えて、式中、各Rは同じであるか、または異なり、水素または(-COCH2、COCH3)であり、但し、少なくとも1つのRは水素ではなく、R’は2~20炭素の偶数炭素数の直鎖型酸エステルである。
【0067】
ケトン体は、ニューロンによってアセチル-CoAの供給源として使用される。アセチル-CoAは、クレブス回路またはクエン酸回路(TCA回路)中でオキサロアセテートと組み合わされて、シトレートを形成する。効率的なエネルギー代謝を維持するために、ニューロンがアセチル-CoAの供給源およびTCA回路中間体を有することは重要である。しかし、ニューロンは、グルタメートの形成などの合成反応のため、TCA回路中間体を失う。ニューロンはまた、ピルビン酸カルボキシラーゼおよびリンゴ酸酵素を欠き、それらからTCA回路中間体を補充することができない。したがって本開示は、一態様において、ケトン体とTCA回路中間体の供給源との組合せを開示する。TCA回路中間体は、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、α-ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される。本開示の一態様は、TCAの効率を上昇させるための製剤中のTCA回路中間体とMCTとの組合せである。
【0068】
TCA回路中間体の別の供給源は、体内でTCA回路中間体に変換される化合物(TCA中間体前駆体)である。そのような化合物の例は、2-ケト-4-ヒドロキシプロパノール、2,4-ジヒドロキシブタノール、2-ケト-4-ヒドロキシブタノール、2,4-ジヒドロキシ酪酸、2-ケト-4-ヒドロキシ酪酸、アスパルテート、ならびにモノ-およびジ-アルキルオキサロアセテート、ピルベートおよびグルコース-6-ホスフェートである。
【0069】
ある特定の態様において、TCA回路中間体およびアセチル-CoAの追加の供給源は、有利なことにケトン体療法と組み合わされ得ることが判明した。TCA回路中間体およびアセチル-CoAの供給源は、単糖および二糖、ならびに様々な鎖長および構造のトリグリセリドを含む。したがって、ある特定の側面において、本開示は、TCA中間体前駆体とケトン体との組合せがISの処置および/またはISの攣縮の予防に有益であることを提供する。例えば、本開示は、TCA中間体前駆体と組み合わされたMCTは、ISの処置および/またはISの攣縮の予防に有益であることを開示する。
【0070】
他の態様において、さらなる有益性は、代謝補助剤を含む医薬組成物の製剤から引き出され得る。代謝補助剤は、ビタミン類、ミネラル、抗酸化剤および他の関連化合物を含む。そのような化合物は、アスコルビン酸、ビオチン、カルシトリオール、コバラミン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン、レチノール、レチナール(レチンアルデヒド)、レチノイン酸、リボフラビン、チアミン、a-トコフェロール、フィチルメナキノン、マルチプレニルメナキノン、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、亜鉛、カリウム、クロム、バナジウム、セレン、リンの(phosphorous)、マンガン、鉄、フッ素、銅、コバルト、モリブデン、ヨウ素を含むがこれらに限定されないリストから選択され得る。したがって、代謝補助剤、ケトン体レベルを上昇させる化合物、およびTCA回路中間体から選択される成分の組合せは、ISの患者におけるニューロン代謝の低下の疾患の処置および予防に有益であることが判明するであろう。
【0071】
一態様において、本開示の組成物は経口投与される。別の態様において、本開示の組成物は静脈内に投与される。MCTおよび他のケト原性化合物製剤の経口投与および静脈内投与は、当業者に周知である。一部の態様において、本開示の組成物は、様々な容器の中に組み込まれた投与量単位を含む、投与に好都合な任意の製剤にしてもよい。
【0072】
一態様において、例えばMCTまたはMCFAなどの、ケトン体濃度を上昇させることができる化合物を少なくとも1種含む組成物の経口および/または静脈内投与は、高ケトン血をもたらす。一態様において、高ケトン血の結果として、グルコースの存在下でさえも、ケトン体が脳内のエネルギーのために利用される。
【0073】
好都合な単位投与量の容器および/または製剤は、とりわけ、錠剤、カプセル剤、ドロップ剤、トローチ剤、ハードキャンディー、栄養バー、栄養ドリンク、定量スプレー、クリーム剤、および坐剤を含む。組成物は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、ゼラチン、油、および/または他の薬学的な活性剤と組み合わされてもよい。例えば、組成物は、有利には、対象化合物とは異なる他の治療剤もしくは予防剤と組み合わされてもよく、および/またはそれらと組み合わされて使用されてもよい。多くの場合、対象組成物と併用する投与は、そのような作用剤の有効性を増強する。例えば、本化合物は、有利には、抗酸化剤、グルコース利用の効率を増強する化合物、およびこれらの混合物と併用して使用されてもよい。
【0074】
一態様において、対象は、MCT、MCFAなどのケト原性化合物を直接、点頭てんかんの発生の処置および予防に必要なレベルまで、静脈内に注入される。静脈内用の脂質およびケトン体の溶液の調製は当業者に周知である。
【0075】
本開示の方法に関連して有用な化合物の投与量の有効量、すなわち、点頭てんかんの処置または予防に有効な量の、ケトン体濃度を上昇させることができる化合物は、当業者には明らかであろう。そのような有効量は、開示された血中ケトンレベルに照らして決定され得る。
【0076】
ある特定の態様において、本開示の方法に関連して使用されるケト原性化合物の1日用量は、対象の体重(BW)のkg当たりのMCTのグラムに換算して測定され得る。一部の態様において、本開示の方法に関連して有用な組成物は、約0.01g/kg/日~30g/kg/日のケト原性化合物の範囲で投与され得る。
【0077】
ケトン体濃度を上昇させることができる化合物がMCTである場合、MCTの用量は、一態様において、約0.01g/kg/日~約30g/kg/日のMCTの範囲である。他の態様において、用量は、約0.05g/kg/日~約10g/kg/日のMCTの範囲であってもよい。他の態様において、用量は、約0.25g/kg/日~約5g/kg/日のMCTの範囲である。他の態様において、用量は、約0.5g/kg/日~約2g/kg/日のMCTの範囲である。他の態様において、用量は、約0.1g/kg/日~約2g/kg/日である。他の態様において、MCTの用量は、少なくとも約0.05g/kg/日、少なくとも約0.1g/kg/日、少なくとも約0.15g/kg/日、少なくとも約0.2g/kg/日、少なくとも約0.5g/kg/日、少なくとも約1g/kg/日、少なくとも約1.5g/kg/日、少なくとも約2g/kg/日、少なくとも約2.5g/kg/日、少なくとも約3g/kg/日、少なくとも約4g/kg/日、少なくとも約5g/kg/日、少なくとも約10g/kg/日、少なくとも約15g/kg/日、少なくとも約20g/kg/日、少なくとも約30g/kg/日、少なくとも約40g/kg/日、および少なくとも約50g/kg/日である。
【0078】
一部の態様において、対象は哺乳動物、例えばヒトである。本開示の範囲内の他の哺乳動物は、コンパニオンアニマルなどの哺乳動物、例えば、ペットまたは長期か短期かにかかわらずヒトが管理をする哺乳動物などである。一部の態様において、コンパニオン哺乳動物はイヌまたはネコである。
【0079】
別の態様において、本開示の方法に有用な組成物は、特にヒトの消費用に処方された食品または薬効のある食品であり得る。そのような食物組成物は、対象、例えばヒトに必要な栄養必要量を供給することを目的とする食物および栄養素、ならびに他の健康補助食品を含み得る。一態様において、食品または薬効のある食品は、ヒトの消費用に処方され、完全で、栄養バランスが取れている。他の態様において、食品または薬効のある食品は、バランスの取れたまたは処方された食事に関連して使用されることになる栄養補助食品として意図される。
【0080】
栄養補助食品は、飲料水、飲料、濃縮液、ゲル、ヨーグルト、散剤、顆粒剤、ペースト剤、懸濁剤、噛む菓子(chew)、ひと口食品(morsel)、菓子(treat)、スナック、ペレット剤、丸剤、カプセル剤、錠剤、または任意の他の送達形態として処方されてもよい。栄養補助食品は、特定の種または実に個々の対象、例えばコンパニオンアニマル、またはヒトによる消費のために特別に処方されてもよい。一態様において、栄養補助食品は、補助食品が対象に少量で投与され得るように、または対象への投与の前に希釈され得るように、相対的に濃縮された用量のMCTを含むことができる。一部の態様において、栄養補助食品または他のMCTを含有する組成物は、例えば、用量を調整するため、味をより良くするため、またはより少ない用量でより頻回の投与を可能にするために、哺乳動物への投与の前に水などと混合することを必要とし得る。
【0081】
本開示の方法において有用な組成物は、冷蔵または冷凍されてもよい。ケト原性化合物、例えばMCTは、必要とされる有益な量になるように組成物の他の成分と予めブレンドされてもよく、乳化され、食物組成物、栄養もしくは健康補助食品、もしくはヒトもしくはコンパニオンアニマルの消費用に処方された食品にコーティングされてもよく、または組成物を消費する前もしくは組成物を対象に提供する前に、例えば、粉末もしくはミックスを使用して組成物に添加されてもよい。
【0082】
一態様において、組成物は、ISの処置、および/またはISにおける攣縮の予防を必要とする、当該組成物が投与された対象において、ISの処置、および/またはISにおける攣縮の予防を行うのに有効な量で、ケト原性化合物を含む。例として、ヒトの消費用に処方される場合、ケト原性化合物、例えば、MCTの、組成物のパーセンテージとしての量は、乾燥物ベースで組成物の約1%~約50%の範囲であるが、それより少ないまたは多いパーセンテージが供給され得る。種々の態様において、その量は、乾燥重量ベースで、組成物の約1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、25%、25.5%、26%、26.5%、27%、27.5%、28%、28.5%、29%、29.5%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、またはそれより多い。栄養補助食品は、錠剤、カプセル剤、濃縮液、または他の類似の剤形の形態での対象への投与に適するように、または、例えば、水中希釈、ペットフードへの噴霧または振りかけ、および他の類似の投与方式によって投与前に希釈されるように、数倍高い濃度のケト原性化合物、例えばMCTを含有するように処方されてもよい。栄養または健康補助食品については、ケト原性化合物単独が、対象に直接投与されてもよく、対象の通常食に直接適用されてもよい。種々の態様における栄養または健康補助食品製剤は、約30%~約100%のケト原性化合物を含有するが、それより少ない量も使用されてもよい。
【0083】
種々の態様において、本開示の方法において有用な組成物は、任意選択により、ミネラル、ビタミン類、塩、調味料、着色料、および保存料などの補足物質を含む。補足のミネラルの非限定的な例は、カルシウム、リンの(phosphorous)、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、およびセレンなどを含む。補足のビタミン類の非限定的な例は、ビタミンA、ビタミンB群のいずれか、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKを含み、前述のビタミンの種々の塩、エステル、または他の誘導体を含む。追加の健康補助食品も、例えば、任意の形態のナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、およびアミノ酸など、ならびにそれらの塩および誘導体も含まれてもよい。加えて、組成物は、有益な長鎖多価不飽和脂肪酸、例えば、(n-3)および/または(n-6)脂肪酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、およびドコサヘキサエン酸、ならびにそれらの組合せを含んでもよい。
【0084】
本明細書に記載されるように、本開示は、点頭てんかんの処置および/または点頭てんかんにおける攣縮の予防における、MCTまたはMCFAなどのケト原性化合物の使用に関する。本開示は多くの特異性を含有するが、そのような特異性は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、単に本開示の態様の一部の説明を提供するものと解釈されるべきである。例えば、本開示の方法によるケト原性化合物の投与は、インスリン感受性改善剤、例えば、硫酸バナジル、ピコリン酸クロム、およびビタミンEと組み合わされた場合により有効であることが判明し得る。そのような作用剤は、グルコース利用を増加させるように機能し、高ケトン血と相乗的に作用し得る。別の例では、MCTなどのケト原性化合物は、脂肪酸利用の速度を高める化合物と組み合わされ得る。そのような化合物の混合物は、循環ケトン体のレベルを相乗的に上昇させ得る。
【実施例
【0085】
実施例1
ISの種々の動物モデルが、種々の介入の有効性を試験するためのツールとして作り出された。そのような一例は、Scantleburyおよび共同執筆者によって開発されたラットトリプルヒットモデルである。このモデルは、「皮質および皮質下の構造における構造的または機能的な異常がISを引き起こすのに必要であり得るという証拠に基づいて」開発された[11]。このモデルは点頭てんかんを誘発するために3つの病変を使用する。その病変は、ドキソルビシン(DOX)、リポ多糖(LPS)およびp-クロロフェニルアラニン(PCPA)を含む。DOXは、脳室内に注射されると、前脳および脳幹に関わるびまん性脳損傷を引き起こす、トポイソメラーゼ2の阻害薬である。LPSは、種々の細胞型において炎症性サイトカインの放出を刺激し、急性炎症反応を導くことができる。仔ラットにLPSを脳内注射すると、炎症カスケードを活性化し、ミエリン形成不全症、白質の希薄化および壊死を引き起こす。PCPAは、酵素であるトリプトファンヒドロキシラーゼを阻害することによってセロトニンを枯渇させる[11]。
【0086】
本開示の態様に従い、このトリプルヒットモデルにおいて、トリカプリリンを、攣縮の頻度を減少させる能力について試験した。この試験は、時限妊娠(timed pregnant)Sprague Dawleyラットを使用して行われた。動物を12時間明/暗サイクルに維持し、餌および水を自由に摂取させた。出生日をP0とみなした。動物の管理および使用は、American Association for the Accreditation of Laboratory Animal Careの機関方針およびガイドラインに従った。すべての手順および実験は、米国国立衛生研究所(National Institute of Health)の実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)に従って実行された。
【0087】
出生後(P)3日目に、DOX(5μg/2.5μl)およびLPS(3μg/1.5μl)を脳内に投与し、P5日目にPCPAを腹腔内に(i.p.)投与した(200mg/kg)。DOXおよびLPSの脳内注入は、イソフルラン麻酔下で定位的に行った。仔ラットを、新生仔のラット手術用定位フレーム(Benchmark Angle One、MyNeurolab.com、St Louis MO)の中に置いた。DOXを右側脳室中に、続いてLPSを右頭頂皮質中に注射した。仔ラットを、水浴で加温し床敷を満たしたビーカー内に(31~33℃)個別に入れ、頬カニューレで授乳した。攣縮はP4日目に始まり、P13日目まで継続する。
【0088】
トリカプリリンを、強制経口投与(1日2回投与)により、または着実に乳汁に入れて頬カニューレを介してのいずれかによって、P5~P7日目に投与した。したがって、介入は、病変後および発作の発症後であった(予防パラダイムではなく処置パラダイム)。強制経口投与では、トリカプリリンを5ml/kg/日および10ml/kg/日で投与した。乳汁と混合する場合は、トリカプリリンを5、10および30ml/kg/日で投与した。各群に動物5匹を含めた。攣縮は、P7日目に記録し、スコア付けをし、尿中ケトンは、P7日目に、強制経口投与後6時間および12時間で、および乳汁で投与した仔ラットについても同じ時点で採取した。仔ラットの行動を、P4日目(術後の初日)からP20日目まで、1日2回2時間、ビデオカメラを使用してモニターした。
【0089】
トリカプリリンの投与後、尿中ケトンは対照レベルより上昇した。図1Aを参照すると、ビヒクルと、5および10ml/kg/日のトリカプリリン強制経口投与との間の、強制経口投与後6時間での、F統計量(二乗平均値の比)として計算されるケトンレベルの差は、統計的に有意であった(F(2,10)=24.286、p<0.001)。テューキー事後検定によると、ビヒクル処置は、5(p=0.001)および10(p<0.001)ml/kg/日用量と有意差があった。ビヒクルと、5および10ml/kg/日のトリカプリリン強制経口投与との間の、強制経口投与後12時間でのケトンレベルの差もまた、統計的に有意であった(F(2,10)=21.968、p<0.001)。テューキー事後検定によると、ビヒクル処置は、5および10ml/kg/日用量(両方p<0.001)と有意差があることが判明した。図1Bを参照すると、ビヒクルと、5、10、および30ml/kg/日の乳汁中トリカプリリンとの間のケトンレベルの差もまた、統計的に有意であった(F(3,17)=6.395、p=0.004)。テューキー事後検定は、30ml/kg/日用量と、ビヒクル処置との間(p=0.003)、および5ml/kg/日用量との間(p=0.024)に有意差を示した。
【0090】
攣縮の頻度は、使用されたトリカプリリンの濃度によって変動した。ビヒクルおよび乳汁のみの投与のデータを組み合わせると、結果は平均4.5回(SD2.3)の攣縮/時間であった。強制経口投与(図2A)の場合、および乳汁と混合した場合(図2B)、トリカプリリンは、ビヒクルと比較して攣縮/時間の減少をもたらした。図2Aを参照すると、トリカプリリンの強制経口投与は、5ml/kg/日では2.3回の攣縮/時間(SD1.6、p値0.155)、10ml/kgでは1.4回(SD0.9、p値=0.036)であった。図2Bを参照すると、トリカプリリンを乳汁と混合した場合、攣縮/時間は、5ml/kg/日では3.1回(SD1.7、p値=0.300)、10ml/kg/日では3.0回(SD0.8、p値=0.139)、30ml/kg/日では1.75回(SD1.7、p値0.079)であった。
【0091】
まとめると、ISのトリプルヒットモデルにおいて、トリカプリリンの投与は、尿中ケトンレベルの上昇、および攣縮の減少をもたらした。トリカプリリンはケト原性中鎖トリグリセリドであり、MCT単独の投与はKDを模倣することができ、したがって、有効な治療の可能性を提供する。
【0092】
実施例2
この乳児での第I相、パイロット、非盲検試験において、対象は、第一選択処置(ACTH/プレドニゾロンおよびビガバトリン)に対する不応答を基に選択されることになる。この試験は、ISにおける非製剤のMCTおよびKDの使用のデータに基づくトリカプリリンの用量を使用することになる。用量は漸増され、安全性および忍容性が、24時間vEEG記録および介護者の攣縮/発作ダイアリーによる、臨床的攣縮活動およびEEG活動に対する効果とともにモニターされることになる。
【0093】
この試験は、安全性および忍容性の情報、ならびにISを有する乳児におけるトリカプリリンの使用に関する有効性の予備データを提供することになる。
およそ30名の対象をスクリーニングして、最大10名までの評価可能な対象を選択することになる。対象は、次の基準のすべてに当てはまる場合にのみ、試験への組み入れに適格となる。
【0094】
月齢および性別
・親/法定後見人がインフォームドコンセントに署名した時点で月齢3カ月~24カ月(上下限を含む)の男子および女子の乳児。
【0095】
対象のタイプおよび疾患特性
・少なくとも1回の攣縮の記録を含む、24時間vEEG記録の解析によって確認されたISの臨床診断。
【0096】
・経口プレドニゾロン(またはACTH)およびビガバトリンでの適切な処置にもかかわらず、点頭てんかんが継続。
・対象は処置を試みたが失敗したことが必須、または親/法定後見人がプレドニゾロン/ACTHおよびビガバトリンでの処置を拒否した、またはこれらのクラスの作用剤の使用に対する禁忌がある。
【0097】
・ケト原性治療/ケトン食療法以外の併用の抗発作薬(ASD)で処置されている場合。
・現在のASDは少なくとも1週間、一定の1日用量であった。注:治験責任医師およびメディカルモニターの判断で、微量の用量調整のある対象は、調整後1週間を経ずに試験に入ることが許可される場合がある。
【0098】
・対象は3種以下の併用ASDを使っている。
・体重が、対象の月齢の平均体重の2標準偏差内。
・親/法定後見人は、独立倫理委員会(Independent Ethics Committee:IEC)により承認されたインフォームドコンセントフォーム(ICF)を読み、自発的に署名し、このプロトコールに収載された要求および制限の順守に同意する。
【0099】
5.2.除外基準
対象は、次の基準のうちいずれかが当てはまる場合、試験から除外される。
・治験責任医師によって、何らかの理由で、治験薬を受けるには不適な候補者であるとみなされた対象。
【0100】
・既存の重大な活動性の、心血管の、腎臓の、肝臓の、感染性の、または他の全身性の疾患。
・対象は、クレアチニン>1.5mg/dLまたは血中尿素窒素>2×正常上限(ULN)と定義される臨床的に重要な腎障害;総ビリルビン≧2×ULN、またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼもしくはアラニンアミノトランスフェラーゼ≧3×ULNと定義される臨床的に重要な肝機能不全を有する;あるいは臨床的に重要な臨床検査値異常を有する。しかしながら、治験責任医師がその臨床検査値を臨床的に重要ではないと判断した場合、その対象を適格とみなすことがある。
【0101】
・治験責任医師の所見では試験への参加の安全性リスクを高める、ECGの臨床的に重要な異常。
・治験薬に対する既知のアレルギーまたはその疑い。
【0102】
・この1年以内の誤嚥性肺炎の既知の既往歴。
・以前に本治験薬の別の臨床試験に参加、または試験登録前30日以内に任意の治験薬物、デバイス、または治療を受けた、または他の治験薬物の5半減期以内。
【0103】
・スクリーニング前14日以内に、対象が以下に該当する。
○フェルバメート、カンナビノイド、ケトン食療法または迷走神経刺激を用いる治療を受けた。
【0104】
○ACTH、プレドニゾロンまたは他のステロイドを用いる治療を受けた。
○18カ月齢より前に既存の、点頭てんかん以外の重大な死亡リスクのある致死的または致死的可能性のある病態、例えば非ケトーシス型高グリシン血症。
【0105】
○ケトン食療法の適切なトライアル(少なくとも2週間)に対する過去の応答不全。
対象は、体重を基準にした1日のカロリー摂取量の5%に等しい用量を、1日当たりおよそ6時間毎の4用量にわたって開始することになる。用量は、授乳時にまたは他の時点で投与され得る。
【0106】
治験責任医師の判断に基づいて、IMPが良好な忍容性を維持している限り、対象は、5~14日かけて、攣縮/発作の適切な制御をもたらす用量に漸増することになる。用量は、1日のカロリー摂取量の60%がトリカプリリンによって供給されるというレベルを超えて、または事前に定義した最大値10g/kg/日までを超えて増量はされない。
【0107】
【表2】
【0108】
必要な体積のトリカプリリンは、使い捨てのシリンジをシリンジアダプターに取り付け、瓶を逆さにすることによって、瓶から吸引される。
トリカプリリンは、ブレンダーの中で、乳児用調製粉乳/乳汁/母乳とともに乳化され(体積および方法の詳細についてはIMPマニュアルを参照)、乳児に投与される。
【0109】
対象の月齢、体重、および栄養必要量に基づいて対象毎に個別化された詳細な指示が、親/法定後見人に提供される。対象の親/法定後見人は、対象の1日の全摂取量が等カロリーを維持するように、必要に応じて通常の授乳の量を減らすよう助言される。各小児について、各投与レベルで、具体的な指示が親/法定後見人に提供され、必要な場合、栄養バランスを維持するために栄養補助食品が提供される。
【0110】
試験のアウトカム
発作/攣縮ダイアリー
介護者ダイアリー中の発作/攣縮の記録は、対象の親/法定後見人によって試験期間中毎日記入され、その日観察されたすべての攣縮および発作活動の回数が含まれる。介護者ダイアリー中の発作/攣縮の記録は、来診時に毎回レビューされ、追跡調査(6回目の来院)時または中止来院時に試験スタッフによって回収される。
【0111】
行動質問票
親/法定後見人は、対象の泣きおよび睡眠(普通より少ない、普通、普通より多い)、覚醒性/注意性(普通より悪い、普通、普通より良い)、ぐずり(ぐずらない、ややぐずる、中程度にぐずる、非常にぐずる)について5つの質問に答えることになる。対象の1日はどうであったかについての総合評価は(良い、まずまず、悪い、非常に悪い)とした。
【0112】
ブリュッセル乳児および幼児の便スケール(Brussels Infant and Toddler Stool Scale)ダイアリー
親/法定後見人は、介護者ダイアリー中のブリュッセル乳児および幼児の便スケール14の記録を毎日記入する。ダイアリーは、乳児により排泄される毎回の便について、時間および硬さの評価(硬い、形がある、緩い、または水っぽい)を収集する。
【0113】
24時間ビデオ脳波図(vEEG)
24時間vEEGが、ベースライン測定のために1回目の来院時に実行される。対象が用量調整期間の終わりに臨床的有益性を示さない場合、4回目の来院時にvEEGが行われる。維持期間に入る対象全員が、再度vEEG(試験における対象の2回目または3回目のvEEGであり得る)を維持期間の終わり(5回目の来院)にとる。
【0114】
変化についての、介護者のおよび臨床的全般印象度(CaGIC、CGIC)
変化についての介護者の全般印象度(CaGIC)は、親/法定後見人によって回答される単一質問評価である。この質問は、処置開始からの対象の病態の状態を評価する。親/法定後見人は、1(きわめて大幅に改善)から7(きわめて大幅に悪化)までの7段階尺度での評価を提供する。
【0115】
変化についての臨床的全般印象度(CGIC)は、治験責任医師によって回答される単一質問評価である。この質問は、処置開始からの対象の病態の状態を評価する。治験責任医師は、1(きわめて大幅に改善)から7(きわめて大幅に悪化)までの7段階尺度での評価を提供する。
【0116】
Vineland評価
Vineland適応行動尺度第3版(Vineland Adaptive Behavior Scales Third Edition:Vineland-3)15は、知的障害および発達障害を評価するためにデザインされている。この評価は、治験責任医師または代行者によって、2回目、4回目および5回目の来院時に行われる。
【0117】
尿中ケトン評価
尿中ケトン評価は、ベースライン期間、用量調整期間、および維持期間を通じて毎日実行される。尿中ケトン試験紙が使用される。尿は、対象のおむつの中に置かれた綿球を使用して採取される。その後、綿球は尿中ケトン試験紙の上で絞られ、結果が介護者ダイアリーに記録される。
【0118】
アウトカム
主要目的は、点頭てんかん(IS)の対象におけるトリカプリリンの毎日の投与の安全性および忍容性を、以下におけるエンドポイントを測定することによって決定することである。
・有害事象
・バイタルサイン
・臨床検査
・ブリュッセル乳児および幼児の便スケール
副次的目的は以下のとおりである。
【0119】
1.点頭てんかんの対象におけるトリカプリリンの毎日の投与の、攣縮の頻度(臨床)に対する有効性を、以下におけるエンドポイントを測定することによって決定すること:
2.ベースライン(1週間)と比較しての処置期間(1週間)の終わりの、介護者のダイアリーに基づいた群発の回数および平均群発継続時間によって測定される、攣縮の頻度の変化、および少なくとも48時間攣縮がなく発作がない(任意の種類、ISまたはその他の発作活動を示さない)対象の人数およびパーセンテージ(臨床ダイアリーの反応)による。
【0120】
3.点頭てんかんの対象におけるトリカプリリンの毎日の投与の、攣縮の頻度(vEEG)に対する有効性を、以下を測定することによって決定すること。ベースライン期間の最後の24時間と比較しての、処置期間の終わりの、24時間ビデオEEG(vEEG)に基づいた群発の回数、平均群発継続時間によって測定される、攣縮の頻度の変化。ベースライン期間の最後の24時間と比較しての、処置期間の終わりの、vEEGによって測定されるすべての発作の頻度の変化。ビデオによる発作カウントおよび24時間vEEGに基づいて、各期間の終わりに少なくとも24時間攣縮がなく発作がない(任意のタイプ、ISまたはその他の発作活動を示さない)参加者の人数およびパーセンテージ(電気臨床的反応)。処置期間の終わりの、24時間vEEGに基づいた応答者(攣縮の頻度が≧25%、50%、75%減少)の人数およびパーセンテージ。
【0121】
4.行動質問票におけるベースラインからの変化を測定することによってトリカプリリンの毎日の投与の忍容性を評価すること。
探索的目的は以下のとおりである。
【0122】
1.血中ケトンレベルと、攣縮および発作の頻度(任意の種類の発作、ISまたはその他を含む)、ヒプスアリスミアおよび他のvEEGの変化、安全性の測定値との間の関係を測定することによって、ケトンレベルと臨床的アウトカムのマーカーとの間の関係の可能性を探索すること。
【0123】
2.併用のASDの薬物レベルを測定することによって、併用のASDの薬物レベルに対するトリカプリリン投与の効果を探求すること。
3.臨床的アウトカム測定値とベースライン測定値との間の関係、例えば、ISのタイプ(特発性または症候性)、攣縮の発症の月齢、処置の時間のずれ(攣縮の発症と処置の開始との間の時間)、非攣縮タイプの発作の発生、を測定することによる臨床的アウトカムの予測の可能性の探索。
【0124】
4.Burden of Amplitudes and Epileptiform Discharges(BASED)スケールスコアによって判定される、ヒプスアリスミアの頻度の変化を測定することによって、点頭てんかんの対象におけるトリカプリリンの毎日の投与の、攣縮の頻度(vEEG)に対する有効性を探索すること。
【0125】
5.処置の終了時の変化についての介護者の全般印象度(CaGIC)スコア、変化についての臨床的全般印象度(CGIC)を測定することによって、ISの対象におけるトリカプリリンの毎日の投与の、変化についての全般印象度に対する有効性を判定すること。
【0126】
本明細書に記載される範囲はいずれも上下限を含む。本開示の全体を通して使用される「実質的に」および「約」という用語は、小幅な変動を述べ、説明するために使用される。例えば、それらは、±5%以内、例えば±2%以内、例えば±1%以内、例えば±0.5%以内、例えば±0.2%以内、例えば±0.1%以内、例えば±0.05%以内を指すことができる。
【0127】
いくつかの態様を記載してきたが、様々な変形、代替の構成、および均等物が、本発明の趣旨から逸脱することなく使用され得ることが、当業者によって認識されるであろう。加えて、本発明を不必要に不明瞭にするのを回避するために、複数の周知のプロセスおよび要素は記載されていない。したがって、上の記載は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0128】
当業者は、ここに開示された態様が、限定ではなく、例として教示することを理解するであろう。したがって、上の記載に含まれた、または添付の図面に示された事項は、説明のためのものであり、限定する意味ではないと解釈されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載されるすべての全般的および特異的な特徴、ならびに言葉どおり特許請求の範囲に当てはまると言われ得る、方法およびシステムの範囲のすべての記載を包含するものである。
【0129】
本明細書に記載される範囲はいずれも上下限を含む。本開示の全体を通して使用される「実質的に」および「約」という用語は、小幅な変動を述べ、説明するために使用される。例えば、それらは、±5%以内、例えば±2%以内、例えば±1%以内、例えば±0.5%以内、例えば±0.2%以内、例えば±0.1%以内、例えば±0.05%以内を指すことができる。
【0130】
いくつかの態様を記載してきたが、様々な変形、代替の構成、および均等物が、本発明の趣旨から逸脱することなく使用され得ることが、当業者によって認識されるであろう。加えて、本発明を不必要に不明瞭にするのを回避するために、複数の周知のプロセスおよび要素は記載されていない。したがって、上の記載は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0131】
当業者は、ここに開示された態様が、限定ではなく、例として教示することを理解するであろう。したがって、上の記載に含まれた、または添付の図面に示された事項は、説明のためのものであり、限定する意味ではないと解釈されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載されるすべての全般的および特異的な特徴、ならびに言葉どおり特許請求の範囲に当てはまると言われ得る、方法およびシステムの範囲のすべての記載を包含するものである。
【0132】
参考文献
【0133】
【表3-1】
【0134】
【表3-2】
【0135】
【表3-3】
【0136】
【表3-4】
図1A
図1B
図2A
図2B
【国際調査報告】