(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】複素環式化合物の製造のための中間体の立体選択的合成
(51)【国際特許分類】
C07D 337/12 20060101AFI20230621BHJP
C07D 407/12 20060101ALI20230621BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20230621BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20230621BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230621BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
C07D337/12 CSP
C07D407/12
C07D471/04 119
A61K31/5025
A61P43/00 111
A61P31/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573650
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 CN2021096871
(87)【国際公開番号】W WO2021239126
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522084935
【氏名又は名称】太景生物科技股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIGEN BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】7F, 138, Shin Ming Road, Neihu District, Taipei City, 11470 Taiwan
(71)【出願人】
【識別番号】522464230
【氏名又は名称】太景医薬研発北京有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIGEN BIOPHARMACEUTICALS CO. (BEIJING), LTD.
【住所又は居所原語表記】Suite 2312, A Tower, Full Link Building, No.18, Chaoyangmenwaidajie, Chaoyang Dist. Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 文章
(72)【発明者】
【氏名】許 涵霈
(72)【発明者】
【氏名】鄒 先岩
(72)【発明者】
【氏名】莊 世杰
(72)【発明者】
【氏名】嚴 啓峰
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC96
4C063DD78
4C065AA03
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ03
4C065JJ04
4C065KK02
4C065KK09
4C065LL04
4C065PP06
4C086AA01
4C086AA04
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC20
(57)【要約】
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤としての複素環誘導体を製造するための中間体の立体選択的合成が提供される。この製造方法は、操作が簡単で、収率が高く、立体選択性を比較的制御できるという利点があるため、大規模生産に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物またはその塩。
【化1】
ここで、R
1はハロゲンであり;R
1’はハロゲンであり;「*」はR-エナンチオマーまたはS-エナンチオマーを表す。
【請求項2】
前記化合物が、下記式(Ia)または式(Ib)で表される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【化2】
【請求項3】
下記式:
【化3】
である、
請求項2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
下記式(II)で表される化合物またはその塩。
【化4】
ここで、R
1はハロゲンであり;R
1’はハロゲンであり;R
2は、水素、重水素、ハロゲン、またはC
1-C
6アルキル基であり;R
3は、水素、NO、またはNH
2であり;mは0、1、2、または3であり;Pは保護基であり;「*」はR-エナンチオマー、S-エナンチオマーまたはラセミ体を表す。
【請求項5】
前記化合物が、下記式(IIa)または式(IIb)で表される、請求項4に記載の化合物またはその塩。
【化5】
【請求項6】
前記化合物が、下記式(IIa-1)、式(IIa-2)、式(IIb-1)または式(IIb-2)で表される、請求項5に記載の化合物またはその塩。
【化6】
【請求項7】
下記式:
【化7】
で表される、請求項6に記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
下記式(I-1)の化合物と、(S)-C
1-6アルキルスルフィンアミド、または非置換またはハロゲンもしくはC
1-3アルキル基を含む1つまたは複数の基で置換されたアルキルスルフィンアミド(S)-(-)-メチルベンジルアミン、を接触させることにより縮合反応を行って、下記式(Ia)の化合物またはその塩を形成する工程を含む、式(Ia)の化合物またはその塩の製造方法。
【化8】
【化9】
ここで、R
1はハロゲンであり、R
1’はハロゲンである。
【請求項9】
還元工程をさらに含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
下記式(I-2)の化合物を下記式(Ia)の化合物と反応させることにより、下記式(IIa-1)の化合物またはその塩を形成する工程を含む、式(IIa-1)の化合物またはその塩の製造方法。
【化10】
ここで、R
1はハロゲンであり;R
1’はハロゲンであり;R
2は水素、重水素,ハロゲン、またはC
1-C
6アルキル基であり;mは0、1、2、または3の整数であり;およびPは保護基である。
【請求項11】
下記式(I-1)の化合物と、(S)-C
1-6アルキルスルフィンアミド、または非置換またはハロゲンもしくはC
1-3アルキル基を含む1つまたは複数の基で置換されたアルキルスルフィンアミド(S)-(-)-メチルベンジルアミン、を接触させることにより縮合反応を行って、式(Ia)の化合物またはその塩を形成する工程をさらに含む、請求項10に記載の製造方法。
【化11】
【請求項12】
式(IIa-1)の化合物をニトロソ化反応に供して、下記式(IIa-2)の化合物またはその塩を形成する工程をさらに含む、請求項10に記載の製造方法。
【化12】
【請求項13】
式(IIa-2)の化合物の環化反応を行って、下記式(III)の化合物またはその塩を形成する工程をさらに含む、請求項12に記載の製造方法。
【化13】
【請求項14】
式(III)の化合物の酸化および脱保護を行って、下記式(IV)の化合物またはその塩を形成する工程をさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
【化14】
【請求項15】
式(IV)の化合物を、下記式(V)で表されるプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩に変換する工程をさらに含む、請求項14に記載の製造方法。
【化15】
ここで、Gはプロドラッグ基である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、置換された複素環式化合物を製造するための立体選択的方法に関する。さらに、本開示は、置換された複素環式化合物を製造するための中間体にも関する。
【背景技術】
【0002】
キャップ依存性エンドヌクレアーゼは、インフルエンザウイルスのmRNA合成の阻害に関与する酵素である。キャップ依存性エンドヌクレアーゼの阻害剤は、インフルエンザウイルスAおよびBに対して有効であることがわかっている。いくつかの化合物は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害することにより、インフルエンザウイルスに対して強力な抗ウイルス活性を示した。PCT公開出願WO2019/144089では、強力なキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤としての新規複素環式化合物が最初に開示された。また、WO2019/144089では、中間体として硫黄原子を含むラセミ多環式化合物を使用することを含む、複素環式化合物の製造方法が記載されている。しかしながら、複素環式化合物のキラリティーに対する合成の制御は、この先行技術に欠けている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、簡単な化学単位操作、より高い収率、制御可能なキラリティーを有し、工業生産に適している複素環式化合物を製造するための中間体および合成経路を提供する。また、いくつかの実施形態において、本開示は立体選択的中間体を使用して複素環式化合物を製造するための製造方法を提供する。
【0004】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、下記式(I)で表される中間体またはその塩が提供される。
【化1】
ここで、R
1はハロゲンであり;R
1’はハロゲンであり;「*」は、R-エナンチオマーまたはS-エナンチオマーを表す。
【0005】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、下記式(II)で表される中間体またはその塩も提供される。
【化2】
ここで、R
1はハロゲンであり、R
1’はハロゲンであり、R
2は、水素、重水素、ハロゲン、またはC
1-C
6アルキル基であり、R
3は、水素、NO、またはNH
2であり、mは0、1、2、または3であり、Pは保護基であり、「*」は、R-エナンチオマー、S-エナンチオマー、またはラセミ体を表す。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)の中間体を製造するための製造方法が提供される。
【0007】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(II)の中間体を製造するための製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載の開示の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。
【0009】
一般に、本明細書で使用される命名法、および本明細書で説明される有機化学、医化学、および薬理学における実験手順は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、一般に、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0010】
「約」という用語は、当業者によって理解され、それが使用される文脈によってある程度変化する。本明細書で使用される場合、量、時効期間などの測定可能な値に言及する場合、用語「約」は、指定された値から±20%または±10%(±5%、±1%、および±0.1%を含む)の変動を包含することを意味し、そのような変動は、開示された製造方法を実行するのに適切である。
【0011】
本明細書で使用される「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0012】
本明細書で使用される「C1-6アルキル基」という用語は、1~6個(例えば、1~3個、1~4個および1~5個)の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖飽和炭化水素置換基を指す。C1-6アルキル基の例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基などが挙げられる。
【0013】
本明細書で使用される「1つ以上」という用語は、1または1より大きい数(例えば、2、3、4、5、6、7以上)のいずれかを指す。
【0014】
本明細書で使用される「保護基」という用語は、官能基部分を非反応性にするために形成される部分を指す。保護基は、除去されることで官能基部分を元の状態に戻ることができる。様々な保護基および保護試薬(ヒドロキシ保護基を含む)は、当業者に周知であり、Protective Groups in Organic Synthesis,4th edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons,New York,2006に開示されている化合物を含む。
【0015】
本明細書で使用される「塩」という用語は、本開示の化合物の酸または塩基付加塩を指す。「塩」には、例えば、「薬学的に許容される塩」が含まれる。本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、無機または有機塩基および無機または有機酸を含む、薬学的に許容される無毒の塩基または酸から調製される塩を指す。無機塩基に由来する塩の例には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄(ferric)、第一鉄(ferrous)、リチウム、マグネシウム、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが含まれる。薬学的に許容される無毒の有機塩基に由来する塩の例には、第一級、第二級、および第三級アミン、天然に存在する置換アミン、環状アミン、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレン-ジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチル-モルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が含まれる。本開示で使用される化合物が塩基性である場合、薬学的に許容される無機酸および有機酸から塩を調製することができる。このような無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが含まれるが、これらに限定されない。このような有機酸の例には、ギ酸、酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、イセチオン酸、コハク酸、吉草酸、フマル酸、マロン酸、ピクリン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、マンデル酸、クエン酸、酒石酸、ピラノシジル酸(例えば、グルクロン酸やガラクツロン酸など)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタル酸やグルタミン酸)、芳香族酸(例えば、安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、ナフトエ酸や桂皮酸)などが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、本開示の化合物への言及は、その薬学的に許容される塩も含むことを意味することが理解される。
【0016】
まず、本明細書において詳細に開示されるのは、下記式(I)で表される中間体、またはその塩である。
【化3】
ここで、R
1はハロゲンであり;R
1’はハロゲンであり;「*」は、R-エナンチオマーまたはS-エナンチオマーを表す。少なくとも1つの実施形態において、R
1はフッ素であり、R
1’はフッ素である。
【0017】
少なくとも1つの実施形態において、式(I)の中間体は、下記式(Ia)または式(Ib)で表され得る。
【化4】
【0018】
いくつかの実施形態において、式(I)の中間体は、
【化5】
である。
【0019】
また、本開示は下記式(II)で表される中間体をも提供する。
【化6】
ここで、R
1はハロゲンであり;R
1’はハロゲンであり;R
2は、水素、重水素、ハロゲン、またはC
1-C
6アルキル基であり;R
3は水素、NOまたはNH
2であり;mは0、1、2、または3であり;Pは保護基であり;「*」は、R-エナンチオマー、S-エナンチオマーまたはラセミ体を表す。少なくとも1つの実施形態において、R
1はフッ素であり、R
1’はフッ素である。いくつかの実施形態において、R
2は、水素、重水素、またはメチル基である。いくつかの実施形態において、R
2は水素である。いくつかの実施形態において、R
3は水素またはNOである。いくつかの実施形態において、mは0である。いくつかの実施形態において、保護基の例として、ベンジル基(Bn)、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、9-フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、アセチル基(Ac)、ベンゾイル基(Bz)、トリチル基などが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
少なくとも1つの実施形態において、式(II)の中間体は、下記式(IIa)または式(IIb)である。
【化7】
ここで、R
1、R
1’、R
2、R
3、m、およびPは上記の通り定義される。
【0021】
いくつかの実施形態において、式(IIa)の中間体は、下記式(IIa-1)または式(IIa-2)で表されてもよい。
【化8】
ここで、R
1、R
1’、R
2、m、およびPは上記の通り定義される。
【0022】
少なくとも1つの実施形態において、式(IIb)の中間体は、下記式(IIb-1)または式(IIb-2)で表されてもよい。
【化9】
ここで、R
1、R
1’、R
2、m、およびPは上記の通り定義される。
【0023】
いくつかの実施形態において、式(II)の中間体は、
【化10】
である。
【0024】
本開示の一態様において、式(I)の化合物から式(II)の化合物の製造方法が提供される。
【0025】
少なくとも1つの実施形態において、本開示は、式(IIa-1)の化合物の製造方法を提供し、当該製造方法は、不活性溶媒、適切な酸および還元剤の存在下、約-20℃~約30℃(例えば-15℃~25℃、-10℃~20℃、-5℃~15℃、0℃~10℃、0℃~5℃および5℃~10℃)の温度で、下記式(I-2)の化合物を下記式(Ia)の化合物と以下のように反応させて、下記式(IIa-1)の化合物またはその塩を形成する工程を含む。
【化11】
ここで、R
1、R
1’、R
2、m、およびPは上記の通り定義される。
【0026】
少なくとも1つの実施形態において、不活性溶媒の例には、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、ジクロロメタン(DCM)、ジエチルエーテル、アセトニトリル、炭酸ジメチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物が含まれるが、それらに限らない。少なくとも1つの実施形態において、不活性溶媒は、トルエン、THF、mTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物である。
【0027】
少なくとも1つの実施形態において、適切な酸の例には、酢酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸など、またはそれらの混合物が含まれるが、それらに限らない。少なくとも1つの実施形態において、適切な酸の例は、酢酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸など、またはそれらの混合物である。
【0028】
少なくとも1つの実施形態において、還元剤の例には、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc)3)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)、水素化ホウ素リチウム(LiBH4)、水素化ホウ素カリウム(KBH4)など、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
少なくとも1つの実施形態において、式(IIa-1)の化合物を製造する方法は、式(IIa-1)の化合物を、不活性溶媒、適切な酸および亜硝酸塩の存在下、約-20℃~約30℃(例えば-15℃~25℃、-10℃~20℃、-5℃~15℃、0℃~10℃、0℃~5℃および5℃~10℃)の温度で、ニトロソ化反応に供して、下記式(IIa-2)の化合物またはその塩を形成する工程をさらに含む。
【化12】
ここで、R
1、R
1’、R
2、m、およびPは上記の通り定義される。
【0030】
少なくとも1つの実施形態において、不活性溶媒の例には、トルエン、THF、MTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、アセトン、炭酸ジメチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。少なくとも1つの実施形態において、不活性溶媒は、トルエン、THF、MTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物である。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において、適切な酸の例には、酢酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸など、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
少なくとも1つの実施形態において、亜硝酸塩の例には、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸アミル、亜硝酸イソアミル、亜硝酸ブチル、および亜硝酸イソブチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態において、式(IIa-2)の化合物を製造する方法は、不活性溶媒、適切な酸および触媒の存在下、約30℃~約80℃(例えば35℃~75℃、40℃~70℃、45℃~65℃、50℃~60℃、55℃~60℃および50℃~55℃)の温度で、式(IIa-2)の化合物の環化反応を行って、下記式(III)の化合物またはその塩を形成する工程をさらに含む。
【化13】
ここで、R
1、R
1’、R
2、m、およびPは上記の通り定義される。
【0034】
いくつかの実施形態において、不活性溶媒の例には、トルエン、THF、MTBE、ジエチルエーテル、アセトニトリル、アセトン、炭酸ジメチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
少なくとも1つの実施形態において、適切な酸の例には、酢酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸など、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
少なくとも1つの実施形態において、触媒の例には、亜鉛、鉄、マンガン、銅、ニッケル、コバルトなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
いくつかの実施形態において、上記の式(III)の化合物を製造する方法は、式(III)の化合物の酸化および脱保護を行って、下記式(IV)の化合物またはその塩を形成する工程をさらに含む。
【化14】
ここで、R
1、R
1’、R
2、およびmは上記で定義したとおりであり、ここで、酸化反応は、第1の溶媒および酸化剤の存在下で、約20℃~約60℃(例えば25℃~55℃、30℃~50℃、35℃~45℃、40℃~45℃、40℃~50℃および45℃~50℃)の温度で行われる。また、脱保護は、第2の溶媒、触媒、および適切な酸の存在下で、約60℃~約100℃(例えば65℃~95℃、70℃~90℃、75℃、~85℃、75℃~80℃および80℃~85℃)の温度で行われる。
【0038】
少なくとも1つの実施形態において、第1の溶媒の例には、トルエン、THF、MTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、アセトン、炭酸ジメチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
少なくとも1つの実施形態において、酸化剤の例には、デス・マーチン・ペルヨージナン、二酸化マンガン、2-ヨードキシ安息香酸、ペルルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム/N-メチルモルホリンN-オキシド(TPAP/NMO)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、重クロム酸ピリジニウム(PDC)、過ヨウ素酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、次亜塩素酸ナトリウム、スワーン酸化試薬などが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
少なくとも1つの実施形態において、第2の溶媒の例には、トルエン、THF、MTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、アセトン、炭酸ジメチル、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
少なくとも1つの実施形態において、適切な酸の例には、酢酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸など、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
少なくとも1つの実施形態において、触媒の例には、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化亜鉛、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム、塩化テトラ-n-ブチルアンモニウムなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物を製造する方法は、
(1)式(III)の化合物を第1の溶媒および酸化剤の存在下、約20℃~約60℃(例えば25℃~55℃、30℃~50℃、35℃~45℃、40℃~50℃、40℃~45℃および45℃~50℃など)の温度で酸化して、下記式(III-a)の化合物またはその塩を形成する工程、および
【化15】
(2)式(III-a)の化合物を第2の溶媒、触媒、および適切な酸の存在下、約60℃~約100℃(例えば65℃~95℃、70℃~90℃、75℃~85℃、80℃~85℃および75℃~80℃)の温度で脱保護して、下記式(IV)の化合物またはその塩を形成する工程、をさらに含む。
【化16】
ここで、R
1、R
1’、R
2、およびmは上記の通り定義される。
【0044】
少なくとも1つの実施形態において、第1の溶媒の例には、トルエン、THF、MTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、アセトン、炭酸ジメチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、ヘキサン、ヘプタンおよびのような、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
少なくとも1つの実施形態において、酸化剤の例には、デス・マーチン・ペルヨージナン、二酸化マンガン、2-ヨードキシ安息香酸、ペルルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム/N-メチルモルホリンN-オキシド(TPAP/NMO)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、過ヨウ素酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、次亜塩素酸ナトリウム、スワーン酸化試薬等が含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
少なくとも1つの実施形態において、第2の溶媒の例には、トルエン、THF、MTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、アセトン、炭酸ジメチル、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
少なくとも1つの実施形態において、適切な酸の例には、酢酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸など、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
少なくとも1つの実施形態において、触媒の例には、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化亜鉛、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム、塩化テトラ-n-ブチルアンモニウムなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、任意の既知の方法によってプロドラッグに変換されてもよい。例えば、上記の式(IV)の化合物を製造する方法は、式(IV)の化合物を、不活性溶媒、適切な塩基および触媒の存在下、約30℃~約80℃(例えば35℃~75℃、40℃~70℃、45℃~65℃、50℃~60℃、50℃~55℃および55℃~60℃)の温度で、下記式(V)を有するそのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩に変換する工程をさらに含む。
【化17】
ここで、R
1、R
1’、R
2、およびmは上記で定義したとおりであり、Gは、任意の適切なプロドラッグ基である。
【0050】
少なくとも1つの実施形態において、プロドラッグ群の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【化18】
【0051】
少なくとも1つの実施形態において、不活性溶媒の例には、トルエン、THF、MTBE、DMA、ジエチルエーテル、アセトニトリル、アセトン、炭酸ジメチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H2O、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
少なくとも1つの実施形態において、適切な塩基の例には、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、Cs2CO3)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム)、アルカリ金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド)または有機塩基など、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
少なくとも1つの実施形態において、触媒の例には、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB)など、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
本開示の別の態様において、式(I)の化合物またはその塩のR-エナンチオマーまたはS-エナンチオマーの製造方法が提供される。
【化19】
【0055】
当該製造方法は、遷移金属の存在下で、C
1-6アルキルスルフィンアミドまたは非置換またはハロゲンまたはC
1-3アルキル基を含む1つまたは複数の基で置換されたメチルベンジルアミンなどの(R)型または(S)型キラル分割剤(resolving agent)と接触させることにより、下記式(I-1)の化合物の縮合を行う工程、不活性溶媒の存在下で、ボラン試薬などの適切な還元剤で還元する工程、鉱酸で処理することにより、スルフィニル基部分およびエチルベンゼン部分などの保護部分を除去する工程を含む。
【化20】
【0056】
少なくとも1つの実施形態において、下記式(Ia)の化合物またはその塩の製造方法は、遷移金属触媒および不活性溶媒の存在下で、(S)-C
1-6アルキルスルフィンアミド、または非置換またはハロゲンもしくはC
1-3アルキル基を含む1つ以上の基で置換された(S)-(-)-メチルベンジルアミンと接触させることにより、下記式(I-1)の化合物の縮合反応を行う工程;約-30℃~約30℃(例えば-25℃~25℃、-20℃~20℃、-15℃~15℃、-10℃~10℃、-10℃~5℃、-5℃~5℃、-5℃~0℃、および0℃~5℃など)の温度で、不活性溶媒の存在下で、ボラン試薬などの適切な還元剤で還元する工程;および鉱酸で処理してスルフィニル基部分またはエチルベンゼン部分を除去する工程、を含む。
【化21】
【化22】
ここで、R
1はハロゲンであり、R
1’はハロゲンである。
【0057】
少なくとも1つの実施形態において、遷移金属触媒の例には、チタンエトキシド、チタンメトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンtert-ブトキシドなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
少なくとも1つの実施形態において、ボラン試薬の例には、BH3DMS、BH3-THF、BMS、BH3-Et2NPHなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
少なくとも1つの実施形態において、不活性溶媒の例には、トルエン、THF、MTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tertーブチルアセテート、H2O、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
少なくとも1つの実施形態において、鉱酸の例には、塩酸、オルトリン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、硫酸など、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
いくつかの実施形態において、下記式(Ia)の化合物またはその塩の製造方法は、
【化23】
(1)式(I-1)の化合物を、遷移金属触媒および第1の溶媒の存在下で、(S)-C
1-6アルキルスルフィンアミド、または非置換またはハロゲンもしくはC
1-3アルキル基を含む1つ以上の基で置換された(S)-(-)-メチルベンジルアミンなどの分割剤と接触させて縮合反応を行うことにより、下記式(I-1a)もしくは(I-1b)またはその塩を形成する工程;
【化24】
【化25】
ここで、R
1はハロゲン;R
1’はハロゲンであり;R
4はC
1-6アルキル基であり;またR
5はハロゲンまたはC
1-3アルキル基であり;ここで、遷移金属触媒は、チタンエトキシド、チタンメトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンtert-ブトキシドなどであってもよく;ここで、第1の溶媒はトルエン、THF、MTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tertーブチルアセテート、H
2O、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物であってもよい。
【0062】
(2)式(I-1a)または(I-1b)の化合物を、第2の溶媒の存在で、約-30℃~約30℃(例えば-25℃~25℃、-20℃~20℃、-15℃~15℃、-10℃~10℃、-10℃~5℃、-5℃~5℃、-5℃~0℃、および0℃~5℃)の温度で、ボラン試薬などの適切な還元試薬で還元して、下記式(I-1a-1)または(I-1b-1)またはその塩を形成する工程、
【化26】
ここで、還元試薬は、BH
3DMS、BH
3-THF、BMS、BH
3-Et
2NPHなどであってもよく、ここで、第2の溶媒はトルエン、THF、MTBE、DCM、ジエチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルアセテート、H
2O、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、ヘプタンなど、またはそれらの混合物であってよい;および
【0063】
(3)鉱酸で処理することにより、式(I-1a-1)の化合物のスルフィニル基部分を除去する工程、ここで、鉱酸は、塩酸、オルトリン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、硫酸など、またはそれらの混合物であり得る;または、水素化試薬などの適切な試薬で処理することにより、式(I-1b-1)の化合物のエチルベンゼン部分を除去する工程、を含む。
【0064】
少なくとも1つの実施形態において、式(IIa-1)の化合物を製造する方法は、式(I-1)の化合物を、遷移金属触媒および不活性溶媒の存在下で、(S)-C1-6アルキルスルフィンアミド(例えば、(S)-(-)-2-プロパンスルフィンアミド)と接触させることにより、式(Ia)の化合物を製造する工程;不活性溶媒の存在下で、適切な還元剤で還元する工程;鉱酸で処理してスルフィニル基部分を除去する工程を含む。
【0065】
さらに詳しく述べることなく、当業者は、上記の説明に基づいて、本開示を最大限に利用できると考えられる。したがって、以下の実施例は、単なる例示として解釈されるべきであり、本開示の残りを限定するものではない。本明細書に引用された刊行物は、参照によりその全体が組み込まれる。
【実施例】
【0066】
実施例1:2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸(1,2-ジフルオロ-11H-10-チア-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-イリデン)-アミドの製造
【化27】
Toluene:トルエン
【0067】
1,2-ジフルオロ-11H-10-チア-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-オン(21g、80mmole)と(S)-(-)-2-プロパンスルフィンアミド(11.6g)のトルエン溶液にTi(OEt)4(チタンエトキシド、65g)を添加した。反応混合物を撹拌し、負圧下で55℃に5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(EA、80mL)を添加し、続いて1NのHCl(aq)(塩酸、250mL)を添加し、10分間撹拌し、さらにEA(200mL)を添加し、3分間攪拌した。相を分離し、分離した水相を除去して有機相を得た。MgSO4(硫酸マグネシウム、15g)を加え、5分間攪拌後、ろ過、濃縮した。次に、EA(20mL)を加えて攪拌した。その後、ヘプタン(200mL)を徐々に加え、固体を析出させた。混合物を室温で4時間撹拌し、ヘプタン(50mL)で洗浄し、乾燥して、黄色の固体生成物(25.5g、収率87.3%、純度>99%)を得た。
【0068】
実施例2:2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸(1,2-ジフルオロ-5,11-ジヒドロ-10-チア-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-イル)-アミドの製造
【化28】
【0069】
2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸(1,2-ジフルオロ-11H-10-チア-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-イリデン)-アミド(3.65g、10mmole)の溶液に無水THF(テトラヒドロフラン、70mL)を加えて撹拌した。反応混合物を-10℃まで冷却した。上記THF溶液にBH3DMS(2M)を滴下し、-5℃~0℃で2時間撹拌した。反応の終了をHPLCで確認した。メタノールを徐々に加え、30分間攪拌した後、氷飽和食塩水(250mL、0℃~5℃)とEA(30mL)を加え、10分間攪拌した後、有機相を分離かつ抽出した。水相にさらにEA(20mL)を加えて、5分間攪拌した後、再度に有機相を分離かつ抽出した。抽出した有機相を合わせた。MgSO4(15g)を添加して水を除去し、次いでろ過し、濃縮して塩を形成した。撹拌しながらEA(50mL)を加えた。この溶液をセライト(15g)を含むプレートフィルターでろ過して、濃縮した。IPA(イソプロピルアルコール、7mL)を加え、固体が完全に溶解するまで加熱した。次いで溶液を室温まで冷却し、固体が析出した。ヘキサン(50mL)を徐々に加え、室温で2時間撹拌しろ過し、ヘキサン(30mL)で洗浄し、乾燥させて、白色の固体生成物(2.3g、収率63%、純度>99%、e.e.値(S:R)>96%)を得た。
【0070】
実施例3:1,2-ジフルオロ-5,11-ジヒドロ-10-チア-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-イルアミンの製造
【化29】
【0071】
2-メチル-プロパン-2-スルフィン酸(1,2-ジフルオロ-5,11-ジヒドロ-10-チア-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-イル)-アミド(1.08g、2.94mmole)のTHF(5mL)溶液に、4NのHClのジオキサン(3.5mL)溶液を徐々に加えた。試薬を完全に添加した後、氷浴を取り外した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応の終了をHPLCで確認した。反応混合物を0℃~5℃に冷却した後、pH値が11~12になるまで4N水酸化ナトリウム(NaOH)を徐々に加えた。EA(20mL)を加え、5分間攪拌し、そして有機相を分離かつ抽出した。水相にさらにEA(10mL)を加えて5分間攪拌し、再度に有機相を分離かつ抽出した。抽出した有機相を合わせた。MgSO4(3g)を添加し、撹拌して水を除去し、次いでろ過し、EA(10mL)で洗浄し、濃縮かつ乾燥した。EA(3mL)を加えた後、ヘプタン(30mL)を徐々に加え、1時間攪拌し、ろ過し、乾燥させて、白色の固体生成物(0.658g、収率85%、純度>99%、e.e.値(S:R)>97%)を得た。
【0072】
実施例4:化合物(IIa-1-1)の製造
【化30】
【0073】
1-((3-ベンキシルオキシ-4-オキソ-4H-ピラン-2-イル)-ヒドロキシ-メチル)-シクロプロパンカルバルデヒド(360g、1.2mole)、1,2-ジフルオロ-5,11-ジヒドロ-10-チア-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-イルアミン(263g、1mole)、THF(5L)および酢酸(90mL)を10Lの三つ口瓶に加えた。反応混合物を5±5℃に冷却し、10分間撹拌した。NaBH(OAc)3(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、165g/30分ごと、3回)を加え、5±5℃で2時間攪拌した。反応終了後、MeOH(メタノール、500mL)を加えて10分間攪拌した後、飽和食塩水(5L)とEA(2L)を加えて10分間攪拌し、EA層を回収した。水相にさらにEA(1L)を加え、5分間攪拌した後、水相を分離して除去した。集めた相を合わせた。MgSO4(150g)を加え、10分間攪拌して水を除去した後、ろ過し、濃縮して化合物(IIa-1-1)を得、これを精製せずに次の工程に使用した。
【0074】
実施例5:化合物(IIa-2-1)の製造
【化31】
【0075】
上記工程の粗残留物を酢酸(3.6L)およびH2O(1L)中で5±5℃で10分間攪拌した後、NaNO2(亜硝酸ナトリウム、69g/30分、3回)を加え、5℃~10℃で2時間撹拌。氷H2Oを添加し、30分間攪拌し、ろ過し、次いでH2O(1.5L)で洗浄した。EA(3L)を加えて固体を溶解させた後、飽和食塩水(1.5L)を加えて10分間攪拌した後、水相を分離して除去した。MgSO4(150g)を加え、10分間攪拌して水を除去し、ろ過後、濃縮した。IPA(500mL)を加えて50℃に加熱し、10分間攪拌した。次に、反応混合物を40℃まで冷却した後、ヘキサン(3L)を徐々に加えた。試薬を完全に添加した後、反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いでろ過し、乾燥して、化合物(IIa-2-1)(540g、収率93.7%、純度99.28%)を得た。
【0076】
【0077】
Zn(80g)をTHF(1.2L)、H2O(800mL)およびAcOH(酢酸、100mL)の溶液に攪拌し、60℃に加熱した。化合物(IIa-2-1)(115g)をTHF(300mL)に溶解し、上記溶液に徐々に滴下し、60℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却してろ過し、2NのNaOHでpHを約7~8に調整し、次いで有機相を分離して回収した。水相にさらにEA(500mL)を加え、5分間攪拌した後、再度に有機相を分離かつ回収した。回収した有機相を合わせた。MgSO4(40g)を添加し、室温で10分間攪拌してろ過し、EA(100mL)で洗浄し、次いで濃縮した。EA(200mL)を加えて攪拌し、50℃に加熱して、そして固体が析出した。10分間攪拌後、反応混合物を室温まで冷却し、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル、200mL)を加え、30分間攪拌後、ヘプタン(300mL)を徐々に加えた。試薬を完全に加えた後、反応混合物を室温で2時間攪拌し、そしてろ過し、MTBE/ヘプタン(1:1、100mL、0~5℃)で洗浄し、真空乾燥(45~50℃)することで化合物(III-1)(52g、収率48%、純度94%)を得た。
【0078】
【0079】
化合物(III-1)(172g、320mmole)のDCM(ジクロロメタン、3.6L)溶液に、DMP(2,2-ジメトキシプロパン、58g)を加えた。反応混合物を約40℃で1時間撹拌加熱した後、25℃~30℃まで冷却した。DMP(58g)を加え、約40℃まで昇温し、1時間攪拌後、再度に25℃~30℃まで冷却した。DMP(30g)を加え、約40℃に加熱し、2時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、ろ過し、DCM(400mL)で洗浄し、次いで撹拌しながらH2O(4L)に添加した。NaHCO3(重炭酸ナトリウム、174g)を徐々に加えた後、Na2S2O3.5H2O(チオ硫酸ナトリウム、296g)を加え、3時間撹拌した。水相を除去し、MgSO4を加え、10分間撹拌して水を除去し、次いでろ過および濃縮して化合物(III-1-a)を得、これを精製せずに次の工程に使用した。
【0080】
化合物(III-1-a)(133g)、LiCl(塩化リチウム、66.3g)、DMA(ジメチルアセトアミド、520mL)を3Lの三つ口瓶に加え、80℃で1時間攪拌した後、0℃~10℃に冷却し、THF(700mL)、0.5NのHCl(1.4L)を加え、1時間攪拌した。DCM(1.4L)を加え、5分間攪拌し、抽出し、H2O(1.4L)で2回洗浄した。MgSO4(80g)と活性炭(80g)を加え、30分間攪拌し、ろ過し、濃縮してDCMとTHFを除去すると、固体が沈殿した。THF(200mL)を加えて10分撹拌後、MTBE(1.4L)を加え、室温で2時間撹拌後、ろ過し、MTBE(230mL)で洗浄後、真空乾燥(40℃~45℃)して化合物(IV-1)(115.8g、収率80%、純度99%)を得た。
【0081】
他の実施形態
本開示で開示されるすべての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本開示で開示される各特徴は、同じ、均等または同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、別段の明示的な記載がない限り、開示された各機能は、一連の均等または類似の機能の例にすぎない。
【0082】
上記の説明から、当業者は、本開示の特徴を容易に確認することができ、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の様々な変更および修正を行い、様々な用途および条件に適合させることができる。したがって、他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内にある。
【国際調査報告】