(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(54)【発明の名称】歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 37/12 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
F16H37/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537581
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 CN2021102306
(87)【国際公開番号】W WO2022266988
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110698769.5
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517405840
【氏名又は名称】江▲蘇▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 鎮
(72)【発明者】
【氏名】曽 令新
(72)【発明者】
【氏名】蔡 英▲鳳▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 龍
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 雨林
(72)【発明者】
【氏名】孫 暁東
(72)【発明者】
【氏名】田 翔
(72)【発明者】
【氏名】王 勇
(72)【発明者】
【氏名】曽 ▲発▼林
(72)【発明者】
【氏名】▲盤▼ 朝奉
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA12
3J062AB06
3J062AB15
3J062AC02
3J062BA12
3J062BA31
3J062BA35
3J062CG02
3J062CG33
3J062CG42
3J062CG46
3J062CG82
(57)【要約】
【課題】本発明は、入力部品、液圧伝動機構、前部遊星歯車機構、ピラミッド型の無段変速伝動機構、後部遊星歯車機構、出力部品、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれる、歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置を提供する。
【解決手段】前記のクラッチ部品は、入力部品の出力端を液圧伝動機構の入力端と前部遊星歯車機構の入力端にそれぞれ接続する。前記のクラッチ部品は、液圧伝動機構の出力端を前部遊星歯車機構と後部遊星歯車機構にそれぞれ接続する。前記のクラッチ部品は、前部遊星歯車機構、ピラミッド型の無段変速伝動機構、後部遊星歯車機構、及び出力部品を順次に接続する。前記のクラッチ部品とブレーキ部品は、入力部品と出力部品との間で連続的なギア比を提供する。
本発明は、多作動状態作業における工作機械に対する要件を満たし、エンジンの電力利用率を向上させ、燃費経済性を改善することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部品(1)、液圧伝動機構(2)、前部遊星歯車機構(3)、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)、後部遊星歯車機構(5)、出力部品(6)、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、前記のクラッチ部品は、入力部品(1)の出力端を液圧伝動機構(2)の入力端と前部遊星歯車機構(3)の入力端にそれぞれ接続し、前記のクラッチ部品は、液圧伝動機構(2)の出力端を前部遊星歯車機構(3)と後部遊星歯車機構(5)にそれぞれ接続し、前記のクラッチ部品は、前部遊星歯車機構(3)とピラミッド型の無段変速伝動機構(4)とを接続し、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)を後部遊星歯車機構(5)に接続し、後部遊星歯車機構(5)と出力部品(6)とを接続し、前記のクラッチ部品とブレーキ部品は、入力部品(1)と出力部品(6)との間で連続的なギア比を提供することを特徴とする、歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項2】
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、前記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の液圧伝動H、歯車伝動Gとピラミッド型の無段変速伝動Sの中の任意の1つまたは任意の2つの組み合わせまたは3つの組み合わせの伝動方式を提供することを特徴とする、請求項1に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項3】
前記のクラッチ部品は、第1のクラッチC
1(2-2)、第2のクラッチC
2(2-6)、第3のクラッチC
3(2-7)、第5のクラッチC
5(3-2)、第7のクラッチC
7(4-2)、第8のクラッチC
8(4-12)、単向クラッチF(4-11)、及び第10のクラッチC
10(5-1)が含まれ、前記の第1のクラッチC
1(2-2)は、入力部品(1)と液圧伝動機構(2)の入力端を選択的に接続するために使用され、前記の第2のクラッチC
2(2-6)は、液圧伝動機構(2)の出力端を前部遊星歯車機構(3)のリングギアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第3のクラッチC
3(2-7)は、液圧伝動機構(2)の出力端を後部遊星歯車機構(5)の遊星キャリアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第5のクラッチC
5(3-2)は、前部遊星歯車機構(3)の太陽歯車を前部遊星歯車機構(3)の遊星キャリアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第7のクラッチC
7(4-2)は、前部遊星歯車機構(3)の遊星キャリアを第3の歯車対(4-4)に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第8のクラッチC
8(4-12)は、第4の歯車対(4-8)を後部遊星歯車機構(5)の遊星キャリアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、第3の歯車対(4-4)は、第4の歯車対(4-8)に接続され、前記の単向クラッチF(4-11)は、第4の歯車対が後部遊星歯車機構(5)の遊星キャリアに接続させる動力の順方向伝達を制御するために使用され、前記の第10のクラッチC
10(5-1)は、後部遊星歯車機構(5)の遊星キャリアを後部遊星歯車機構(5)のリングギアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(2-2)、第3のクラッチC
3(2-7)、及び第10のクラッチC
10(5-1)の接合を選択的に制御することにより、または液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(2-2)、第2のクラッチC
2(2-6)、第5のクラッチC
5(3-2)、第7のクラッチC
7(4-2)、第8のクラッチC
8(4-12)、単向クラッチF(4-11)、及び第10のクラッチC
10(5-1)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間でそれぞれ異なる液圧伝動Hを提供することを特徴とする、請求項2に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項4】
前記のクラッチ部品は、さらに第4のクラッチC
4(1-3)が含まれ、前記の第4のクラッチC
4(1-3)は、入力部品(1)を前部遊星歯車機構(3)の太陽歯車に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記のブレーキ部品は、ブレーキB(3-5)が含まれ、前記のブレーキB(3-5)は、前部遊星歯車機構(3)のリングギアを固定部に選択的に接続するために使用され、前記の第4のクラッチC
4(1-3)、第7のクラッチC
7(4-2)、第8のクラッチC
8(4-12)、単向クラッチF(4-11)、第10のクラッチC
10(5-1)、及びブレーキB(3-5)の接合を制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の歯車伝動Gを提供することを特徴とする、請求項3に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項5】
前記のクラッチ部品は、さらに第6のクラッチC
6(4-1)と第9のクラッチC
9(4-10)が含まれ、前記の第6のクラッチC
6(4-1)は、前部遊星歯車機構(3)の遊星キャリアをピラミッド型の無段変速伝動機構(4)の入力端に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第9のクラッチC
9(4-10)は、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)の出力端を後部遊星歯車機構(5)の太陽歯車に選択的に接続して共同回転させるために使用され、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、前記の第4のクラッチC
4(1-3)、第5のクラッチC
5(3-2)、第6のクラッチC
6(4-1)、第9のクラッチC
9(4-10)、及び第10のクラッチC
10(5-1)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間のピラミッド型の無段変速伝動Sを提供することを特徴とする、請求項4に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項6】
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(2-2)、第2のクラッチC
2(2-6)、第4のクラッチC
4(1-3)、第7のクラッチC
7(4-2)、第8のクラッチC
8(4-12)、単向クラッチF(4-11)、及び第10のクラッチC
10(5-1)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の液圧-歯車の複合伝動HGを提供し、
ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、第4のクラッチC
4(1-3)、第5のクラッチC
5(3-2)、第6のクラッチC
6(4-1)、第7のクラッチC
7(4-2)、第8のクラッチC
8(4-12)、単向クラッチF(4-11)、及び第9のクラッチC
9(4-10)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の歯車-ピラミッドの複合伝動GSを提供し、
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、第1のクラッチC
1(2-2)、第5のクラッチC
5(3-2)、第6のクラッチC
6(4-1)、及び第9のクラッチC
9(4-10)接合を選択的に制御することにより、第2のクラッチC
2(2-6)と第10のクラッチC
10(5-1)の接合または第3のクラッチC
3(2-7)と第4のクラッチC
4(1-3)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間でそれぞれ異なる液圧-ピラミッドのタンデム・パラレル複合伝動HSを提供する
ことを特徴とする、請求項5に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項7】
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、第1のクラッチC
1(2-2)、第2のクラッチC
2(2-6)、第4のクラッチC
4(1-3)、第6のクラッチC
6(4-1)、第9のクラッチC
9(4-10)、及び第10のクラッチC
10(5-1)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動HSGを提供することを特徴とする、請求項5に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項8】
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、クラッチとブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、「液圧伝動H→歯車伝動G→液圧-歯車の複合伝動HG→液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動HSG」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供することを特徴とする、請求項5に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項9】
ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、クラッチとブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、「歯車-ピラミッドの複合伝動GS→ピラミッド型の無段変速伝動S」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供することを特徴とする、請求項5に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項10】
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、クラッチ部品の接合を制御することにより、「液圧伝動H→ピラミッド型の無段変速伝動S→液圧-ピラミッド複合伝動HS」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供することを特徴とする、請求項5に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速伝動装置の分野に関し、特に歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市の発展と主要なエンジニアリング建設の加速につれて、工作機械は、より大きな市場と発展スペースを持ち、工作機械の作業環境が複雑で変化しやすく、エンジンの負載が作業中に大きく変化し、機械の運行速度が頻繁に変化するため、工作機械にとっては、変速伝動装置により回転速度とトルクをタイムリーに変化させて、実際の負荷の継続的な変化に適応し、車両の動力特性と燃費経済性を確保することが非常に重要である。
【0003】
現在、工作機械に適用されている変速伝動のモードは、一般的に、歯車のシングルフロー伝動、液圧のシングルフロー伝動、液圧-歯車の複合伝動がある。歯車のシングルフロー伝動は、効率が高いが、ギア比が固定されており、操作中で頻繁なギアシフトが必要である。液圧のシングルフロー伝動は、無段階速度調整を便利に実現でき、かつ伝達のトルクが大きいが、伝動効率が低い。液圧-歯車の複合伝動は、液圧動力流れと機械動力流れがパラレルに接続された伝動方式の1つであり、歯車伝動の効率が高く、液圧伝動のトルクが大きいが、可変液圧ポンプ、定量液圧モーター、及び液圧システムに対する要件が高く、ピラミッド型の無段変速伝動は、伝動功率が大きく、担持能が強く、出力回転速度が低いという特徴を持ち、工作機械にも広く使用されているが、ギア比の変化範囲は限られている。
【0004】
先行技術は、シングルフロー伝動装置と2つのシングルフロー伝動がパラレルに接続された複合伝動装置の設計にのみ係わり、工作機械の異なる作動状態でマルチモード、特に複数の複合モードの伝動装置に対する設計要件を完全に満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、先行技術の不足について、歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置を提供し、クラッチ部品とブレーキ部品とを切り替えることにより、液圧伝動、歯車伝動、ピラミッド型の無段変速伝動、液圧-歯車の複合伝動、歯車-ピラミッドの複合伝動、液圧-ピラミッドのタンデム複合伝動、液圧-ピラミッドのパラレル複合伝動、及び歯車-液圧-ピラミッドの複合伝動という複数モードの切り替えを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の技術的手段により上記の技術目的を達成する。
【0007】
歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置は、入力部品、液圧伝動機構、前部遊星歯車機構、ピラミッド型の無段変速伝動機構、後部遊星歯車機構、出力部品、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、前記のクラッチ部品は、入力部品の出力端を液圧伝動機構の入力端と前部遊星歯車機構の入力端にそれぞれ接続し、前記のクラッチ部品は、液圧伝動機構の出力端を前部遊星歯車機構と後部遊星歯車機構にそれぞれ接続し、前記のクラッチ部品は、前部遊星歯車機構とピラミッド型の無段変速伝動機構とを接続し、ピラミッド型の無段変速伝動機構と後部遊星歯車機構とを接続し、後部遊星歯車機構と出力部品とを接続し、前記のクラッチ部品とブレーキ部品は、入力部品と出力部品との間で連続的なギア比を提供する。
【0008】
さらに、液圧伝動機構の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構のギア比を調整すること、前記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力部品と出力部品との間の液圧伝動H、歯車伝動Gとピラミッド型の無段変速伝動Sの中の任意の1つまたは任意の2つの組み合わせまたは3つの組み合わせの伝動方式を提供する。
【0009】
さらに、前記のクラッチ部品は、第1のクラッチC1、第2のクラッチC2、第3のクラッチC3、第5のクラッチC5、第7のクラッチC7、第8のクラッチC8、単向クラッチF、及び第10のクラッチC10が含まれ、前記の第1のクラッチC1は、入力部品と液圧伝動機構入力端とを選択的に接続するために使用され、前記の第2のクラッチC2は、液圧伝動機構の出力端を前部遊星歯車機構のリングギアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第3のクラッチC3は、液圧伝動機構の出力端を後部遊星歯車機構の遊星キャリアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第5のクラッチC5は、前部遊星歯車機構の太陽歯車を前部遊星歯車機構の遊星キャリアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第7のクラッチC7は、前部遊星歯車機構の遊星キャリアを第3の歯車対に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第8のクラッチC8は、第4の歯車対を後部遊星歯車機構の遊星キャリアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、第3の歯車対は、中間軸に介して第4の歯車対に接続され、前記の単向クラッチFは、第4の歯車対が後部遊星歯車機構遊星キャリアに接続される動力の順方向伝達を制御するために使用され、前記の第10のクラッチC10は、後部遊星歯車機構の遊星キャリアを後部遊星歯車機構のリングギアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、液圧伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC1、第3のクラッチC3、及び第10のクラッチC10の接合を選択的に制御すること、または液圧伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC1、第2のクラッチC2、第5のクラッチC5、第7のクラッチC7、第8のクラッチC8、単向クラッチF、及び第10のクラッチC10の接合を選択的に制御することにより、入力部品と出力部品との間でそれぞれ異なる液圧伝動Hを提供する。
【0010】
さらに、前記のクラッチ部品は、さらに第4のクラッチC4が含まれ、前記の第4のクラッチC4は、入力部品を前部遊星歯車機構の太陽歯車に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記のブレーキ部品はブレーキBが含まれ、前記のブレーキBは、前部遊星歯車機構のリングギアを固定部に選択的に接続するために使用され、前記の第4のクラッチC4、第7のクラッチC7、第8のクラッチC8、単向クラッチF、第10のクラッチC10とブレーキBの接合を制御することにより、入力部品と出力部品との間の歯車伝動Gを提供する。
【0011】
さらに、前記のクラッチ部品は、さらに第6のクラッチC6と第9のクラッチC9が含まれ、前記の第6のクラッチC6は、前部遊星歯車機構の遊星キャリアをピラミッド型の無段変速伝動機構の入力端に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第9のクラッチC9は、ピラミッド型の無段変速伝動機構の出力端を後部遊星歯車機構の太陽歯車に選択的に接続して共同回転させるために使用され、ピラミッド型の無段変速伝動機構のギア比を調整すること、前記の第4のクラッチC4、第5のクラッチC5、第6のクラッチC6、第9のクラッチC9、及び第10のクラッチC10の接合を選択的に制御することにより、入力部品と出力部品との間のピラミッド型の無段変速伝動Sを提供する。
【0012】
さらに、液圧伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC1、第2のクラッチC2、第4のクラッチC4、第7のクラッチC7、第8のクラッチC8、単向クラッチF、及び第10のクラッチC10の接合を選択的に制御することにより、入力部品と出力部品との間の液圧-歯車の複合伝動HGを提供し、
ピラミッド型の無段変速伝動機構のギア比を調整すること、第4のクラッチC4、第5のクラッチC5、第6のクラッチC6、第7のクラッチC7、第8のクラッチC8、単向クラッチF、及び第9のクラッチC9の接合を選択的に制御することにより、入力部品と出力部品との間の歯車-ピラミッドの複合伝動GSを提供し、
液圧伝動機構の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構のギア比を調整すること、第1のクラッチC1、第5のクラッチC5、第6のクラッチC6、及び第9のクラッチC9接合を選択的に制御すること、及び第2のクラッチC2と第10のクラッチC10との接合または第3のクラッチC3と第4のクラッチC4との接合を選択的に制御することにより、入力部品と出力部品との間でそれぞれ異なる液圧-ピラミッドのタンデム・パラレル複合伝動HSを提供する。
【0013】
さらに、液圧伝動機構の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構のギア比を調整すること、第1のクラッチC1、第2のクラッチC2、第4のクラッチC4、第6のクラッチC6、第9のクラッチC9、及び第10のクラッチC10の接合を選択的に制御することにより、入力部品と出力部品との間の液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動HSGを提供する。
【0014】
さらに、液圧伝動機構の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構のギア比を調整すること、クラッチとブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、「液圧伝動H→歯車伝動G→液圧-歯車の複合伝動HG→液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動HSG」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供する。
【0015】
さらに、ピラミッド型の無段変速伝動機構のギア比を調整すること、クラッチとブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、「歯車-ピラミッドの複合伝動GS→ピラミッド型の無段変速伝動S」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供する。
【0016】
さらに、液圧伝動機構の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構のギア比を調整すること、及びクラッチ部品の接合を制御することにより、「液圧伝動H→ピラミッド型の無段変速伝動S→液圧-ピラミッド複合伝動HS」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有益な効果は、次の通りである。
1.本発明に係る歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置は、クラッチ部品とブレーキ部品とを切り替えることにより、歯車伝動、液圧伝動、ピラミッド型の無段変速伝動、液圧-歯車の複合伝動、歯車-ピラミッドの複合伝動、液圧-ピラミッドのタンデム複合伝動、液圧-ピラミッドのパラレル複合伝動、歯車-液圧-ピラミッドの複合伝動という複数モードの切り替えを実現し、複数の作動状態での作業の工作機械に対する要件を満たし、エンジンの電力利用率を向上させ、燃費経済性を改善することができる。
【0018】
2.本発明に係る歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置は、ギアシフトの衝撃を効果的に減少し、速比の調整範囲を拡大した。液圧伝動は、起動が速く、作業が安定で、迅速で衝撃のない変速と逆転を実現しやすい。ピラミッド型の無段変速機は、ギア比が連続的な変化プロセスを有し、使用中に機構に対する衝撃が非常に小さく、ピラミッド型の無段変速伝動機構と後部遊星歯車機構との間で単向クラッチが設けられているため、ギアシフト時のダウンシフトの衝撃を排除することができる。
【0019】
3.本発明に係る歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置は、液圧-ピラミッドのタンデム、液圧-ピラミッドのパラレルの2種類の伝動モードが設けられる。液圧-ピラミッドのタンデム伝動方式は、速度調整範囲を効果的に拡大し、広範囲の非線形無段階速度調整の要件を満たすことができ、液圧-ピラミッドのパラレル伝動方式は、システムの伝動効率が向上し、領域内の高効率の無段階速度調整の要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置の構造原理図である。
【
図2】本発明に係る液圧伝動H1モードの動力流れの模式図である。
【
図3】本発明に係る液圧伝動H2モードの動力流れの模式図である。
【
図4】本発明に係る歯車伝動Gモードの動力流れの模式図である。
【
図5】本発明に係るピラミッド型の無段変速伝動Sモードの動力流れの模式図である。
【
図6】本発明に係る液圧-歯車の複合伝動HGの動力流れの模式図である。
【
図7】本発明に係る歯車-ピラミッドの複合伝動GSの動力流れの模式図である。
【
図8】本発明に係る液圧-ピラミッドのタンデム複合伝動HS1の動力流れの模式図である。
【
図9】本発明に係る液圧-ピラミッドのパラレル複合伝動HS2の動力流れの模式図である。
【
図10】本発明に係る液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動HSGの動力流れの模式図である。
【
図11】本発明に係るモード切り替えプロセス(H2→G→HG→HSG)における出力回転速度と入力回転速度との関係を示す図である。
【
図12】本発明に係るモード切り替えプロセス(GS→S)における出力回転速度と入力回転速度との関係を示す図である。
【
図13】本発明に係るモード切り替えプロセス(H1→S→HS)における出力回転速度と入力回転速度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面及び具体的な実施例を参照して本発明をさらに説明するが、本発明の保護範囲は、これらに限定されない。
【0022】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、前記の実施例が図面に示されるが、同じ符号または類似的符号は、常に、同じモジュール又は類似的モジュール、或いは、同じ機能又は類似的機能を有するモジュールを表す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するためだけに用いられ、本発明を限定するものと理解されてはならない。
【0023】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「軸方向」、「半径方向」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本発明を便利にまたは簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置又は部品が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本発明に対する限定と理解してはいけない。なお、「第1の」、「第2の」という用語は、説明のみを目的として使用され、相対的な重要性を示したり暗示したり、示された技術的特徴の数を暗黙的に示したりするものでない。従って、「第1の」、「第2の」の特徴は、1つ又は複数のこの特徴を明確又は曖昧に含んでもよい。本発明の説明において、特に具体的に限定されない限り、「複数」は、2つ又は2つ以上を意図する。
【0024】
本発明において、「取り付け」、「結び」、「接続」、「固定」という用語は、特に明記および限定されない限り、広い意味で理解されるべきであることを説明したい。これは、機械的接続または電気的接続であり、直接接続または中間媒体を介して間接的に接続され、2つのコンポーネントの内部通信である可能性があります。当業者が本発明における前記の用語の特定の意味は、特定の状況下で理解することができる。
【0025】
図1に示すように、本発明に係る歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置は、入力部品1、液圧伝動機構2、前部遊星歯車機構3、ピラミッド型の無段変速伝動機構4、後部遊星歯車機構5、出力部品6、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、前記のクラッチ部品は、入力部品1の出力端を液圧伝動機構2の入力端と前部遊星歯車機構3の入力端にそれぞれ接続し、前記のクラッチ部品は、液圧伝動機構2の出力端を前部遊星歯車機構3と後部遊星歯車機構5にそれぞれ接続し、前記のクラッチ部品は、前部遊星歯車機構3とピラミッド型の無段変速伝動機構4とを接続し、ピラミッド型の無段変速伝動機構4と後部遊星歯車機構5とを接続し、後部遊星歯車機構5と出力部品6とを接続し、前記のクラッチ部品とブレーキ部品は、入力部品1と出力部品6との間で連続的なギア比を提供する。
【0026】
入力部品1は、エンジン1-1、入力軸1-2、第4のクラッチC4 1-3、及び第1の歯車対1-4が含まれ、前記のエンジン1-1の入力軸1-2は、第1の歯車対1-4に介して液圧伝動機構2の入力端に接続される。前記の第4のクラッチC4 1-3は、入力軸1-2を前部遊星歯車機構3の太陽歯車に選択的に接続して共同回転させるために使用される。エンジンの動力は、第4のクラッチC4 1-3を接合することにより、入力軸1-2に介して前部遊星歯車機構3に伝達される。
【0027】
液圧伝動機構2は、液圧伝動入力軸2-1、第1のクラッチC1 2-2、可変液圧ポンプ2-3、定量液圧モーター2-4、液圧伝動の出力軸2-5、第2のクラッチC2 2-6、及び第3のクラッチC3 2-7が含まれ、液圧伝動入力軸2-1は、可変液圧ポンプ2-3に接続され、定量液圧モーター2-4は、液圧伝動の出力軸2-5に接続され、前記の可変液圧ポンプ2-3は、定量液圧モーター2-4を駆動するために使用され、前記の第1のクラッチC1 2-2は、入力軸1-2と液圧伝動入力軸2-1とを選択的に接続するために使用され、前記の第2のクラッチC2 2-6は、液圧伝動の出力軸2-5を第2の歯車対3-6に介して前部遊星歯車のリングギア3-4に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第3のクラッチC3 2-7は、液圧伝動の出力軸2-5を第5の歯車対5-5に介して後部遊星歯車の遊星キャリア5-3に選択的に接続して共同回転させるために使用される。
【0028】
前部遊星歯車機構3は、前部遊星歯車の太陽歯車3-1、第5のクラッチC5 3-2、前部遊星歯車の遊星キャリア3-3、前部遊星歯車のリングギア3-4、ブレーキB 3-5、第2の歯車対3-6、及び前部遊星歯車機構の動力出力軸3-7が含まれ、前記の前部遊星歯車の太陽歯車3-1、前部遊星歯車の遊星キャリア3-3、及び前部遊星歯車のリングギア3-4は、遊星歯車系を構成し、前記のブレーキB 3-5は、前部遊星歯車のリングギア3-4を選択的に固定するために使用され、前記の第5のクラッチC5 3-2は、前部遊星歯車の太陽歯車3-1を前部遊星歯車の遊星キャリア3-3に選択的に接続して共同回転させるために使用され、すなわち、前部遊星歯車機構3は一体に固定して接続され、前部遊星歯車機構の動力出力軸3-7は、前部遊星歯車の遊星キャリア3-3に接続される。
【0029】
ピラミッド型の無段変速伝動機構4は、第6のクラッチC6 4-1、第7のクラッチC7 4-2、ピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸4-3、第3の歯車対4-4、ピラミッド型の無段変速機4-5、中間軸4-6、ピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7、第4の歯車対4-8、固定速度比伝動装置の出力歯車軸4-9、第9のクラッチC9 4-10、単向クラッチF 4-11、及び第8のクラッチC8 4-12が含まれ、
その中で、第3の歯車対4-4と第4の歯車対4-8は、中間軸4-6に介して接続され、それら3つの要素がピラミッド型の無段変速伝動機構における固定速度比伝動装置を構成し、第4の歯車対4-8の出力歯車は、固定速度比伝動装置の出力歯車軸4-9に介してピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7に自由にスリーブされ、ギア切り替え中のピラミッド型の無段変速伝動機構の動力逆流れの状況を防止するために、固定速度比伝動装置の出力歯車軸4-9と後部遊星歯車の遊星キャリア5-3との間で単向クラッチF 4-11が設けられると共に、エンジンの逆引き作動状態の実現を保証するために、固定速度比伝動装置の出力歯車軸4-9と後部遊星歯車の遊星キャリア5-3との間で単向クラッチF 4-11の他に、第8のクラッチC8 4-12がパラレルで組み立てられており、具体的な取り付け方法は、単向クラッチF 4-11の内輪と第8のクラッチC8 4-12の駆動ディスクは、スプラインによって固定速度比伝動装置の出力歯車軸4-9に固定され、第8のクラッチC8 4-12の受動ディスクと単向クラッチF 4-11の外輪とは、接続スリーブに介して接続されると同時に、第8のクラッチC8 4-12の受動ディスクは、後部遊星歯車の遊星キャリア5-3に固定して接続されるため、固定速度比伝動機構の動力を後部遊星歯車の遊星キャリア5-3に伝達することができ、前記の第6のクラッチC6 4-1は、前部遊星歯車機構の動力出力軸3-7をピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸4-3に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第7のクラッチC7 4-2は、前部遊星歯車機構の動力出力軸3-7を第3の歯車対4-4に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第9のクラッチC9 4-10は、ピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7を後部遊星歯車機構の太陽歯車5-2に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記のピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸4-3は、ピラミッド型の無段変速機4-5に介してピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7に接続され、前記のピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7は、第9のクラッチC9 4-10に介して後部遊星歯車の太陽歯車5-2に接続して共同回転させる。
【0030】
後部遊星歯車機構5は、第10のクラッチC10 5-1、後部遊星歯車の太陽歯車5-2、後部遊星歯車の遊星キャリア5-3、後部遊星歯車のリングギア5-4、及び第5の歯車対5-5が含まれ、前記の後部遊星歯車の太陽歯車5-2、後部遊星歯車の遊星キャリア5-3、及び後部遊星歯車のリングギア5-4は、遊星歯車系を構成し、前記の第10のクラッチC10 5-1は、後部遊星歯車の遊星キャリア5-3を後部遊星歯車のリングギア5-4に選択的に接続して共同回転させるために使用され、すなわち、後部遊星歯車機構は一体に固定して接続され、前記の出力部品6は、後部遊星歯車のリングギア5-4に接続させる。
【0031】
液圧伝動機構2の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構4のギア比を調整すること、前記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力部品1と出力部品6との間での歯車伝動、液圧伝動、ピラミッド型の無段変速伝動、液圧-歯車の複合伝動、歯車-ピラミッドの複合伝動、液圧-ピラミッドのタンデム複合伝動、液圧-ピラミッドのパラレル複合伝動、及び液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動という複数モードの切り替えを提供する。各伝動モードの接合素子は、表1に示される。具体的に、次の通りである。
【0032】
【0033】
ここで、▲は実行素子が接合状態にあることを表し、△は実行素子が分離状態にあることを表し、no(H1)は液圧伝動H1モードの出力回転速度であり、no(H2)は液圧伝動H2モードの出力回転速度であり、no(G)は歯車伝動Gモードの出力回転速度であり、no(S)はピラミッド型の無段変速伝動Sモードの出力回転速度であり、no(HG)は液圧-歯車の複合伝動HGモードの出力回転速度であり、no(GS)は歯車-ピラミッドの複合伝動GSモードの出力回転速度であり、no(HS1)は液圧-ピラミッドのタンデム複合伝動HS1モードの出力回転速度であり、no(HS2)は液圧-ピラミッドのパラレル複合伝動HS2モードの出力回転速度であり、no(HSG)は液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動HSGモードの出力回転速度であり、nIはエンジン回転速度であり、k1は前部遊星歯車機構の遊星歯車の特性パラメーターであり、k2は後部遊星歯車機構の遊星歯車の特性パラメーターであり、eは液圧伝動機構の排気量比であり、iSはピラミッド型の無段変速伝動機構のギア比であり、i1は第1の歯車対1-4のギア比であり、i2は第2の歯車対3-6のギア比であり、i3は第3の歯車対4-4のギア比であり、i4は第4の歯車対4-8のギア比であり、i5は第5の歯車対5-5のギア比である。
【0034】
図2に示すように、液圧伝動H1伝動モードは、第1のクラッチC
1 2-2、第3のクラッチC
3 2-7、及び第10のクラッチC
10 5-1のみが接合され、他のクラッチとブレーキとが分離する場合、入力軸1-2に伝達されるエンジンの動力が第1の歯車対1-4に介して可変液圧ポンプ2-3を駆動して作動させ、さらに定量液圧モーター2-4を駆動して回転させ、定量液圧モーター2-4に出力される動力が第5の歯車対5-5に介して後部遊星歯車の遊星キャリア5-3に伝達され、この場合、後部遊星歯車機構5は一体に固定して接続され、動力が出力部品6に出力される。
【0035】
図3に示すように、液圧伝動H2伝動モードは、第1のクラッチC
1 2-2、第2のクラッチC
2 2-6、第5のクラッチC
5 3-2、第7のクラッチC
7 4-2、第8のクラッチC
8 4-12、及び第10のクラッチC
10 5-1のみが接合され、他のクラッチとブレーキとが分離し、単向クラッチF 4-11の方向配置により、そのような場合で第8のクラッチC
8 4-12と一緒に順方向トルクを伝達することができ、この場合、入力軸1-2に伝達されるエンジンの動力が第1の歯車対1-4に介して可変液圧ポンプ2-3を駆動して作動させ、さらに定量液圧モーター2-4を駆動して回転させ、定量液圧モーター2-4に出力される動力が第2の歯車対3-6に介して前部遊星歯車のリングギア3-4に伝達され、この場合、前部遊星歯車機構3は一体に固定して接続され、動力が第3の歯車対4-4、中間軸4-6、及び第4の歯車対4-8に介して後部遊星歯車の遊星キャリア5-3に伝達され、この場合、後部遊星歯車機構5は一体に固定して接続され、動力が出力部品6に出力される。
【0036】
図4に示すように、歯車伝動G伝動モードは、第4のクラッチC
4 1-3、第7のクラッチC
7 4-2、第8のクラッチC
8 4-12、第10のクラッチC
10 5-1とブレーキB 3-5のみが接合され、他のクラッチ部品が分離する。単向クラッチF 4-11の方向配置により、そのような場合で第8のクラッチC
8 4-12と一緒に順方向トルクを伝達することができ、この場合、入力軸1-2に伝達されるエンジンの動力が第4のクラッチC
4 1-3に介して前部遊星歯車の太陽歯車3-1を駆動し、前部遊星歯車のリングギア3-4は、ブレーキB 3-5に制動されるため、動力が前部遊星歯車の遊星キャリア3-3より前部遊星歯車機構の動力出力軸3-7に出力され、第7のクラッチC
7 4-2、第3の歯車対4-4、中間軸4-6、第4の歯車対4-8、及びパラレルの第8のクラッチC
8 4-12と単向クラッチF 4-11に介して後部遊星歯車の遊星キャリア5-3に伝達され、第10のクラッチC
10 5-1が接合するため、後部遊星歯車機構5は一体に固定して接続され、動力が出力部品6に出力される。
【0037】
図5に示すように、ピラミッド型の無段変速伝動Sモードは、第4のクラッチC
4 1-3、第5のクラッチC
5 3-2、第6のクラッチC
6 4-1、第9のクラッチC
9 4-10、及び第10のクラッチC
10 5-1を接合し、他のクラッチとブレーキとが分離する。エンジンの動力が入力軸1-2に介して前部遊星歯車機構の太陽歯車3-1に伝達される場合、前部遊星歯車機構3は一体に固定して接続され、エンジンの動力が前部遊星歯車機構3に介してピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸4-3に伝達され、ピラミッド型の無段変速機4-5を駆動し、ピラミッド型の無段変速機4-5は、ピラミッドが駆動受動輪の両側に接触する作動径を変化させることにより無段変速を実現し、ピラミッド型の無段変速機出力の動力がピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7に介して後部遊星歯車の太陽歯車5-2に伝達される場合、後部遊星歯車機構5は一体に固定して接続され、動力が出力部品6に出力される。
【0038】
図6に示すように、液圧歯車の複合伝動HG伝動モードは、第1のクラッチC
1 2-2、第2のクラッチC
2 2-6、第4のクラッチC
4 1-3、第7のクラッチC
7 4-2、第8のクラッチC
8 4-12、及び第10のクラッチC
10 5-1のみが接合され、他のクラッチとブレーキとが分離する。単向クラッチF 4-11の方向配置により、そのような場合で第8のクラッチC
8 4-12と一緒に順方向トルクを伝達することができ、この場合、入力軸1-2に伝達されるエンジンの動力は、2つの分路に沿って伝達され、一つの分路が前部遊星歯車の太陽歯車3-1に直達され、もう一つの分路が第1の歯車対1-4に介して液圧伝動入力軸2-1に伝達されて可変液圧ポンプ2-3を駆動し、さらに定量液圧モーター2-4を駆動して回転させ、定量液圧モーター2-4に出力される動力が液圧伝動の出力軸2-5、第2の歯車対3-6に介して前部遊星歯車のリングギア3-4に伝達されて、2つの分路の動力が前部遊星歯車の遊星キャリア3-3で合流し、前部遊星歯車機構の動力出力軸3-7、第3の歯車対4-4、中間軸4-6、第4の歯車対4-8に介して後部遊星歯車の遊星キャリア5-3に伝達され、この場合、後部遊星歯車機構5は一体に固定して接続され、動力が出力部品6に出力される。
【0039】
図7に示すように、歯車-ピラミッドの複合伝動GS伝動モードは、第4のクラッチC
4 1-3、第5のクラッチC
5 3-2、第6のクラッチC
6 4-1、第7のクラッチC
7 4-2、第8のクラッチC
8 4-12、及び第9のクラッチC
9 4-10のみが接合され、他のクラッチとブレーキとが分離する。単向クラッチF 4-11の方向配置により、そのような場合で第8のクラッチC
8 4-12と一緒に順方向トルクを伝達することができ、この場合、前部遊星歯車機構3は一体に固定して接続され、入力軸1-2に伝達されるエンジンの動力が前部遊星歯車機構3に介して2つの分路にし、一つの分路が前部遊星歯車機構の動力出力軸3-7、第3の歯車対4-4、中間軸4-6、第4の歯車対4-8に介して後部遊星歯車の遊星キャリア5-3に伝達され、もう一つの分路がピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸4-3に介してピラミッド型の無段変速機4-5を駆動し、ピラミッド型の無段変速機4-5は、ピラミッドが駆動受動輪の両側に接触する作動径を変化させることにより無段変速を実現し、ピラミッド型の無段変速機出力の動力がピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7に介して後部遊星歯車の太陽歯車5-2に伝達され、2つの分路の動力は、後部遊星歯車のリングギア5-4で合流し、出力部品6に介して出力される。
【0040】
図8に示すように、液圧-ピラミッドのタンデムHS1伝動モードは、第1のクラッチC
1 2-2、第2のクラッチC
2 2-6、第5のクラッチC
5 3-2、第6のクラッチC
6 4-1、第9のクラッチC
9 4-10、及び第10のクラッチC
10 5-1のみが接合され、他のクラッチとブレーキとが分離し、この場合、入力軸1-2に伝達されるエンジンの動力が第1の歯車対1-4に介して液圧伝動入力軸2-1に伝達されて可変液圧ポンプ2-3を駆動し、さらに定量液圧モーター2-4を駆動して回転させ、定量液圧モーター2-4に出力される動力が液圧伝動の出力軸2-5、第2の歯車対3-6に介して前部遊星歯車のリングギア3-4に伝達され、この場合、前部遊星歯車機構は一体に固定して接続され、動力がピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸4-3に介してピラミッド型の無段変速機4-5を駆動し、ピラミッド型の無段変速機4-5は、ピラミッドが駆動受動輪の両側に接触する作動径を変化させることにより無段変速を実現し、ピラミッド型の無段変速機出力の動力がピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7に介して後部遊星歯車の太陽歯車5-2に伝達され、この場合、後部遊星歯車機構5は一体に固定して接続され、動力が出力部品6に出力される。
【0041】
図9に示すように、液圧-ピラミッドのパラレルHS2伝動モードは、第1のクラッチC
1 2-2、第3のクラッチC
3 2-7、第4のクラッチC
4 1-3、第5のクラッチC
5 3-2、第6のクラッチC
6 4-1、及び第9のクラッチC
9 4-10のみが接合され、他のクラッチとブレーキとが分離する場合、入力軸1-2に伝達されるエンジンの動力は2つの分路にし、一つの分路が第1の歯車対1-4に介して液圧伝動入力軸2-1に伝達されて可変液圧ポンプ2-3を駆動し、さらに定量液圧モーター2-4を駆動して回転させ、定量液圧モーター2-4に出力される動力が液圧伝動の出力軸2-5、第5の歯車対5-5に介して後部遊星歯車の遊星キャリア5-3に伝達され、もう一つの分路が一体に固定して接続された前部遊星歯車機構3に介してピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸4-3、ピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸4-3に伝達されピラミッド型の無段変速機4-5を駆動し、ピラミッド型の無段変速機4-5は、ピラミッドが駆動受動輪の両側に接触する作動径を変化させることにより無段変速を実現し、ピラミッド型の無段変速機出力の動力がピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7に介して後部遊星歯車の太陽歯車5-2に伝達され、2つの分路の動力は、後部遊星歯車のリングギア5-4に合流し、出力部品6に介して出力される。
【0042】
図10に示すように、液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動HSGモードは、第1のクラッチC
1 2-2、第2のクラッチC
2 2-6、第4のクラッチC
4 1-3、第6のクラッチC
6 4-1、第9のクラッチC
9 4-10、及び第10のクラッチC
10 5-1のみが接合され、他のクラッチとブレーキとが分離し、この場合、入力軸1-2に伝達されるエンジンの動力は2つの分路にして伝達され、一つの分路が前部遊星歯車の太陽歯車3-1に直達され、もう一つの分路が第1の歯車対1-4に介して液圧伝動入力軸2-1に伝達されて可変液圧ポンプ2-3を駆動し、さらに定量液圧モーター2-4を駆動して回転させ、定量液圧モーター2-4に出力される動力が液圧伝動の出力軸2-5、第2の歯車対3-6に介して前部遊星歯車のリングギア3-4に伝達され、2つの分路の動力が前部遊星歯車の遊星キャリア3-3で合流してから、ピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸4-3に介してピラミッド型の無段変速機4-5を駆動し、ピラミッド型の無段変速機4-5は、ピラミッドが駆動受動輪の両側に接触する作動径を変化させることにより無段変速を実現し、ピラミッド型の無段変速機出力の動力がピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸4-7に介して後部遊星歯車の太陽歯車5-2に伝達され、この場合、後部遊星歯車機構5は一体に固定して接続され、動力が出力部品6に出力される。
【0043】
図11に示すように、液圧伝動機構2の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構4のギア比を調整すること、前記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、「液圧伝動H2→歯車伝動G→液圧-歯車の複合伝動HG→液圧-ピラミッド-歯車HSG」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供する。液圧モードH2で起動して、出力回転速度が液圧伝動機構の排気量比であるeの増加と共に線形的に増加し、e=-1である時、液圧伝動H2モードが負の最大値に達し、e=1である時、液圧伝動H2モードが正の最大値に達し、e∈[n
0(H2)=n
0(G)]を満たす時、歯車伝動Gモードに同期的に切り替え得、歯車伝動Gモードが固定のギア比伝動であり、e∈[n
0(G)=n
0(HG)]を満たす時、液圧-歯車の複合伝動HGモードに同期的に切り替え得、e∈[n
0(HG)=n
0(HSG)]かつe∈[0、1]を満たす時、i
Sが決定されたギア比の範囲内であると、液圧-ピラミッド-歯車HSGモードに同期的に切り替える。
【0044】
図12に示すように、ピラミッド型の無段変速伝動機構4のギア比を調整すること、前記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、「歯車-ピラミッドの複合伝動GS→ピラミッド型の無段変速伝動S」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供する。歯車-ピラミッドの複合伝動GSモードで起動して、ピラミッド型の無段変速機ギア比であるi
Sが最小値から最大値まで変わると、n
o(GS)が非線形的に増加し、n
o(GS)=n
o(G)かつi
Sが決定されたギア比の範囲内であると、歯車-ピラミッドの複合伝動GSモードは、歯車伝動Gモードに同期的に切り替え得、歯車伝動Gモードにある時、固定ギア比であり、ピラミッド型の無段変速機ギア比がi
S∈[n
o(GS)=n
o(S)]を満たす時、歯車-ピラミッドの複合伝動GSモードは、ピラミッド型の無段変速伝動Sモードに同期的に切り替え得、ピラミッド型の無段変速機ギア比であるiSが最大値から最小値まで変わると、n
o(S)が非線形的に増加し、液圧伝動機構排の気量比であるeが該モード切り替えプロセスにおける伝動装置ギア比の変化に影響を与えず、伝動装置は、iSを変えるだけで、決定されたギア比の範囲内で無段変速する。
【0045】
図13に示すように、液圧伝動機構2の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構4のギア比を調整すること、前記のクラッチ部品の接合を選択的に制御することにより、「液圧伝動H1→ピラミッド型の無段変速伝動S→液圧-ピラミッド複合伝動HS」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供する。モードH1で起動し、出力回転速度が液圧伝動機構の排気量比であるeの増加と共に線形的に増加し、e=1である時、液圧伝動H1モードが正の最大値に達し、e・i
S∈[n
o(H1)=n
o(S)]かつe∈[0、1]を同時に満たし、i
Sが決定されたギア比の範囲内であると、液圧伝動H1モードは、ピラミッド型の無段変速伝動Sモードに同期的に切り替え得、ピラミッド型の無段変速機ギア比であるiSが最大値から最小値まで変わると、n
o(S)が非線形的に増加し、e・i
S∈[n
o(S)=n
o(HS1)]かつe∈[0、1]を同時に満たし、i
Sが決定されたギア比の範囲内であると、ピラミッド型の無段変速伝動Sモードは、液圧-ピラミッド複合伝動HS1モードに同期的に切り替え得、e・i
S∈[n
o(S)=n
o(HS2)]かつe∈[0、1]を同時に満たし、i
Sが決定されたギア比の範囲内であると、ピラミッド型の無段変速伝動Sモードは、液圧-ピラミッド複合伝動HS2モードに同期的に切り替え得、切り替える位置が異なるため、液圧-ピラミッド複合伝動HS1モードの出力値が異なるが、出力回転速度が液圧伝動機構の排気量比であるeの減少につれて線形的に減少する。
【0046】
以下、実施例を挙げて説明する。
主なパラメーターは、i
1i
2=1、i
3i
4=1.25、i
1i
5=1、k
1=1.5、k
2=2.5、i
S∈[0.357、1.6]である。
第1のモード切り替えプロセス:液圧伝動H2→歯車伝動G→液圧-歯車の複合伝動HG→液圧-ピラミッド-歯車HSG
液圧伝動H2の出力-入力回転速度の関係は、
【数1】
歯車伝動Gの出力-入力回転速度の関係は、
【数2】
液圧-歯車の複合伝動HGの出力-入力回転速度の関係は、
【数3】
液圧-ピラミッド-歯車伝動HSGの出力-入力回転速度の関係は、
【数4】
図11に示すように、液圧伝動モードH2で起動し、出力回転速度が液圧伝動機構の排気量比であるeの増加につれて線形的に増加し、e=-1である時、H2モードが負の最大値の-0.8n
Iに達し、e=1である時、液圧伝動Hモードが正の最大値の0.8n
Iに達し、e=0.4である時、液圧伝動モードH2は歯車伝動Gモードに同期的に切り替え得、この場合、歯車伝動は固定ギア比であり、歯車伝動Gモードも液圧-歯車の複合伝動HGモードに同期的に切り替え得、この場合、出力回転速度がeの増加につれて線形的に増加し、e=1である時、正の最大値の0.8n
Iに達し、この場合、液圧-歯車の複合伝動HGモードは、液圧-ピラミッド-歯車HSGモードに同期的に切り替え得、i
Sが1.6から0.357まで変わると、n
o(HSG)が非線形的に増加し、伝動装置は、eとi
Sを変えることにより[0、2.80]n
Iの範囲内に無段変速する。
【0047】
第2のモード切り替えプロセス:歯車-ピラミッドの複合伝動GS→ピラミッド型の無段変速伝動S
歯車伝動Gの出力-入力回転速度の関係は、
【数5】
ピラミッド型の無段変速伝動Sの出力-入力回転速度の関係は、
【数6】
歯車-ピラミッドの複合伝動GSの出力-入力回転速度の関係は、
【数7】
図12に示すように、歯車-ピラミッドの複合伝動GSモードで起動し、ピラミッド型の無段変速機ギア比であるi
Sが0.357から1.6まで変わると、n
o(GS)が0から0.87n
Iまで非線形的に増加し、ピラミッド型の無段変速機ギア比i
S=0.5である時、歯車-ピラミッドの複合伝動GSモードは歯車伝動Gモードに同期的に切り替え得、歯車伝動Gモードが固定のギア比伝動であり、ピラミッド型の無段変速機ギア比がi
S=1.25である時、歯車-ピラミッドの複合伝動GSモードは、ピラミッド型の無段変速伝動Sモードに同期的に切り替え得、このモードにおいてi
Sが1.6から0.357まで変わると、n
O(S)が0.625n
Iから2.80n
Iまで非線形的に増加し、液圧伝動機構排の気量比であるeが該モード切り替えプロセスにおける伝動装置ギア比の変化に影響を与えず、伝動装置はi
Sを変えるだけで、[0、2.80]n
Iの範囲内で無段変速する。
【0048】
第3のモード切り替えプロセス:液圧伝動H1→ピラミッド型の無段変速伝動S→液圧-ピラミッド複合伝動HS
液圧伝動H1の出力-入力回転速度の関係は、
【数8】
ピラミッド型の無段変速伝動Sの出力-入力回転速度の関係は、
【数9】
液圧-ピラミッドのタンデム複合伝動HS1の出力-入力回転速度の関係は、
【数10】
液圧-ピラミッドのパラレル複合伝動HS2の出力-入力回転速度の関係は、
【数11】
図13に示すように、モードH1で起動し、出力回転速度が液圧伝動機構の排気量比であるeの増加につれて線形的に増加し、e=1である時、Hモードが正の最大値の1.0n
Iに達し、e・i
S=1.0、かつe∈[0、1]、かつi
S∈[0.357、1.6]という3つの要件を同時に満たす時、Hモードは、Sモードに同期的に切り替え得ると共に、HS2モードに同期的に切り替え得る。Sモードに同期的に切り替えると、i
Sは1.6から0.357まで変わり、n
o(S)は0.625n
Iから2.80n
Iまで非線形的に増加し、e=1を満たすと、Sモードは、HS1モードに同期的に切り替え得、e・i
S=1.0かつe∈[0、1]、i
S∈[0.357、1.6]という3つの要件を満たすと、Sモードは、HS2モードに同期的に切り替え得、切り替える位置が異なるため、液圧-ピラミッドのタンデムまたはパラレル複合伝動モードの出力値が異なるが、出力回転速度が液圧伝動機構の排気量比であるeの減少につれて線形的に減少する。
【0049】
ピラミッド型の無段変速機は、過度の圧押力から伝動部を保護するために加圧装置がよく用いられ、伝動効率と寿命が向上し、伝動効率が一般的に85%~93%の範囲に保たれ、液圧素子の比出力が大きいが、伝動効率が低く、一般的に80%~90%の範囲であり、ピラミッド型の無段変速機の伝動効率が90%である場合、液圧素子の総効率は80%であり、ピラミッド-液圧のタンデムHS1モードが用いられると、システム伝動の効率=90%×80%=72%であり、ピラミッド-液圧のパラレルHS2モードが用いられる場合、2つの分路の入力電力が同じであると、システムの伝動効率=0.5×90%+0.5×80%=85%であり、液圧-ピラミッドのタンデム伝動HS1と比べて、効率が13%向上し、9/10の入力電力がピラミッドの分路を通過し、1/10の入力電力が液圧の分路を通過すると、システム伝動効率=0.9×90%+0.1×80%=89%であり、液圧-ピラミッドのタンデム伝動HS1と比べて、効率が17%向上するため、このモードは、システムの伝動効率を効果的に向上させるが、その速度調整の範囲が制限され、出力回転速度であるno(HS2)は、正の速度調整区間[0、1.12]nI内で変化し、領域内での高効率無段階速度調整に適しており、液圧-ピラミッドのタンデム伝動HS1は、伝動効率が低いが、速度調整の範囲が広く、出力回転速度であるno(HS1)が[0、2.80]nIの範囲内で変化し、広範囲の非線形無段階速度調整に適している。
【0050】
本明細書は様々な実施例に従って説明されているが、各実施例が独立した実施形態のみを含むわけではなく、説明書のこのような記載方式がはっきりしたためだけであるので、当業者は明細書を全体にみなしなければいけなく、各実施例の実施形態を適切に組み合わせて、当業者が理解できる他の実施形態にしてもいい。
【0051】
上記の一連の詳細な説明は、本発明の実行可能な実施例の特定の説明にすぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の技術的精神から逸脱しない変更は、すべて本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0052】
1 入力部品
1-1 エンジン
1-2 入力軸
1-3 第4のクラッチC4
1-4 第1の歯車対
2 液圧伝動機構
2-1 液圧伝動入力軸
2-2 第1のクラッチC1
2-3 可変液圧ポンプ
2-4 定量液圧モーター
2-5 液圧伝動の出力軸
2-6 第2のクラッチC2
2-7 第3のクラッチC3
3 前部遊星歯車機構
3-1 前部遊星歯車の太陽歯車
3-2 第5のクラッチC5
3-3 前部遊星歯車の遊星キャリア
3-4 前部遊星歯車のリングギア
3-5 ブレーキB
3-6 第2の歯車対
3-7 前部遊星歯車機構の動力出力軸
4 ピラミッド型の無段変速伝動機構
4-1 第6のクラッチC6
4-2 第7のクラッチC7
4-3 ピラミッド型の無段変速伝動機構の動力入力軸
4-4 第3の歯車対
4-5 ピラミッド型の無段変速機
4-6 中間軸
4-7 ピラミッド型の無段変速伝動機構の動力出力軸
4-8 第4の歯車対
4-9 固定速度比伝動装置の出力歯車軸
4-10 第9のクラッチC9
4-11 単向クラッチF
4-12 第8のクラッチC8
5 後部遊星歯車機構
5-1 第10のクラッチC10
5-2 後部遊星歯車の太陽歯車
5-3 後部遊星歯車の遊星キャリア
5-4 後部遊星歯車のリングギア
5-5 第5の歯車対
6 出力部品
【手続補正書】
【提出日】2022-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部品(1)、液圧伝動機構(2)、前部遊星歯車機構(3)、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)、後部遊星歯車機構(5)、出力部品(6)、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、前記のクラッチ部品は、入力部品(1)の出力端を液圧伝動機構(2)の入力端と前部遊星歯車機構(3)の入力端にそれぞれ接続し、前記のクラッチ部品は、液圧伝動機構(2)の出力端を前部遊星歯車機構(3)と後部遊星歯車機構(5)にそれぞれ接続し、前記のクラッチ部品は、前部遊星歯車機構(3)とピラミッド型の無段変速伝動機構(4)とを接続し、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)を後部遊星歯車機構(5)に接続し、後部遊星歯車機構(5)と出力部品(6)とを接続し、前記のクラッチ部品とブレーキ部品は、入力部品(1)と出力部品(6)との間で連続的なギア比を提供
し、
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、前記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の液圧伝動H、歯車伝動Gとピラミッド型の無段変速伝動Sの中の任意の1つまたは任意の2つの組み合わせまたは3つの組み合わせの伝動方式を提供し、
前記のクラッチ部品は、第1のクラッチC
1
(2-2)、第2のクラッチC
2
(2-6)、第3のクラッチC
3
(2-7)、第5のクラッチC
5
(3-2)、第7のクラッチC
7
(4-2)、第8のクラッチC
8
(4-12)、単向クラッチF(4-11)、及び第10のクラッチC
10
(5-1)が含まれ、前記の第1のクラッチC
1
(2-2)は、入力部品(1)と液圧伝動機構(2)の入力端を選択的に接続するために使用され、前記の第2のクラッチC
2
(2-6)は、液圧伝動機構(2)の出力端を前部遊星歯車機構(3)のリングギアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第3のクラッチC
3
(2-7)は、液圧伝動機構(2)の出力端を後部遊星歯車機構(5)の遊星キャリアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第5のクラッチC
5
(3-2)は、前部遊星歯車機構(3)の太陽歯車を前部遊星歯車機構(3)の遊星キャリアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第7のクラッチC
7
(4-2)は、前部遊星歯車機構(3)の遊星キャリアを第3の歯車対(4-4)に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第8のクラッチC
8
(4-12)は、第4の歯車対(4-8)を後部遊星歯車機構(5)の遊星キャリアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、第3の歯車対(4-4)は、第4の歯車対(4-8)に接続され、前記の単向クラッチF(4-11)は、第4の歯車対が後部遊星歯車機構(5)の遊星キャリアに接続させる動力の順方向伝達を制御するために使用され、前記の第10のクラッチC
10
(5-1)は、後部遊星歯車機構(5)の遊星キャリアを後部遊星歯車機構(5)のリングギアに選択的に接続して共同回転させるために使用され、液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1
(2-2)、第3のクラッチC
3
(2-7)、及び第10のクラッチC
10
(5-1)の接合を選択的に制御することにより、または液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1
(2-2)、第2のクラッチC
2
(2-6)、第5のクラッチC
5
(3-2)、第7のクラッチC
7
(4-2)、第8のクラッチC
8
(4-12)、単向クラッチF(4-11)、及び第10のクラッチC
10
(5-1)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間でそれぞれ異なる液圧伝動Hを提供することを特徴とする、歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項2】
前記のクラッチ部品は、さらに第4のクラッチC
4(1-3)が含まれ、前記の第4のクラッチC
4(1-3)は、入力部品(1)を前部遊星歯車機構(3)の太陽歯車に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記のブレーキ部品は、ブレーキB(3-5)が含まれ、前記のブレーキB(3-5)は、前部遊星歯車機構(3)のリングギアを固定部に選択的に接続するために使用され、前記の第4のクラッチC
4(1-3)、第7のクラッチC
7(4-2)、第8のクラッチC
8(4-12)、単向クラッチF(4-11)、第10のクラッチC
10(5-1)、及びブレーキB(3-5)の接合を制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の歯車伝動Gを提供することを特徴とする、請求項
1に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項3】
前記のクラッチ部品は、さらに第6のクラッチC
6(4-1)と第9のクラッチC
9(4-10)が含まれ、前記の第6のクラッチC
6(4-1)は、前部遊星歯車機構(3)の遊星キャリアをピラミッド型の無段変速伝動機構(4)の入力端に選択的に接続して共同回転させるために使用され、前記の第9のクラッチC
9(4-10)は、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)の出力端を後部遊星歯車機構(5)の太陽歯車に選択的に接続して共同回転させるために使用され、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、前記の第4のクラッチC
4(1-3)、第5のクラッチC
5(3-2)、第6のクラッチC
6(4-1)、第9のクラッチC
9(4-10)、及び第10のクラッチC
10(5-1)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間のピラミッド型の無段変速伝動Sを提供することを特徴とする、請求項
2に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項4】
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(2-2)、第2のクラッチC
2(2-6)、第4のクラッチC
4(1-3)、第7のクラッチC
7(4-2)、第8のクラッチC
8(4-12)、単向クラッチF(4-11)、及び第10のクラッチC
10(5-1)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の液圧-歯車の複合伝動HGを提供し、
ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、第4のクラッチC
4(1-3)、第5のクラッチC
5(3-2)、第6のクラッチC
6(4-1)、第7のクラッチC
7(4-2)、第8のクラッチC
8(4-12)、単向クラッチF(4-11)、及び第9のクラッチC
9(4-10)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の歯車-ピラミッドの複合伝動GSを提供し、
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、第1のクラッチC
1(2-2)、第5のクラッチC
5(3-2)、第6のクラッチC
6(4-1)、及び第9のクラッチC
9(4-10)接合を選択的に制御することにより、第2のクラッチC
2(2-6)と第10のクラッチC
10(5-1)の接合または第3のクラッチC
3(2-7)と第4のクラッチC
4(1-3)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間でそれぞれ異なる液圧-ピラミッドのタンデム・パラレル複合伝動HSを提供する
ことを特徴とする、請求項
3に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項5】
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、第1のクラッチC
1(2-2)、第2のクラッチC
2(2-6)、第4のクラッチC
4(1-3)、第6のクラッチC
6(4-1)、第9のクラッチC
9(4-10)、及び第10のクラッチC
10(5-1)の接合を選択的に制御することにより、入力部品(1)と出力部品(6)との間の液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動HSGを提供することを特徴とする、請求項
3に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項6】
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、クラッチとブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、「液圧伝動H→歯車伝動G→液圧-歯車の複合伝動HG→液圧-ピラミッド-歯車の複合伝動HSG」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供することを特徴とする、請求項
3に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項7】
ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、クラッチとブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、「歯車-ピラミッドの複合伝動GS→ピラミッド型の無段変速伝動S」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供することを特徴とする、請求項
3に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【請求項8】
液圧伝動機構(2)の排気量比を調整すること、ピラミッド型の無段変速伝動機構(4)のギア比を調整すること、クラッチ部品の接合を制御することにより、「液圧伝動H→ピラミッド型の無段変速伝動S→液圧-ピラミッド複合伝動HS」という伝動方式の間での無段階速度調整の切り替えを提供することを特徴とする、請求項
3に記載の歯車-液圧-ピラミッドを統合したマルチモードの複合伝動装置。
【国際調査報告】