(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(54)【発明の名称】SARS-CoV-2流行性変異株に対するモノクローナル抗体20D8
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230622BHJP
C07K 16/10 20060101ALI20230622BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230622BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230622BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20230622BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/10
A61K39/395 S
A61P31/14
G01N33/569 L
G01N33/53 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558431
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-09-23
(86)【国際出願番号】 CN2022082375
(87)【国際公開番号】W WO2022252770
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110625569.7
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522377963
【氏名又は名称】武漢生物制品研究所有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】楊暁明
(72)【発明者】
【氏名】申碩
(72)【発明者】
【氏名】段凱
(72)【発明者】
【氏名】李新国
(72)【発明者】
【氏名】王澤▲ゆぇん▼
(72)【発明者】
【氏名】潘勇兵
(72)【発明者】
【氏名】盧佳
(72)【発明者】
【氏名】万▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】郭靖
(72)【発明者】
【氏名】王文輝
(72)【発明者】
【氏名】楊東升
(72)【発明者】
【氏名】林鳳傑
(72)【発明者】
【氏名】李茜
(72)【発明者】
【氏名】施金栄
(72)【発明者】
【氏名】孟勝利
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BA71
4C085BB36
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA29
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、野生型SARSCoV-2と、P.1株、B.1.351株、B.1.1.
7株を含む複数のSARS-CoV-2変異株を中和できる、SARS-CoV-2流行
性変異株に対するモノクローナル抗体20D8に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6つのCDR領域が、
(1)配列番号1のアミノ酸配列の重鎖CDR1(VHCDR1)と、
(2)配列番号2のアミノ酸配列の重鎖CDR2(VHCDR2)と、
(3)配列番号3のアミノ酸配列の重鎖CDR3(VHCDR3)と、
(4)配列番号4のアミノ酸配列の軽鎖CDR1(VLCDR1)と、
(5)配列番号5のアミノ酸配列の軽鎖CDR2(VLCDR2)と、
(6)配列番号6のアミノ酸配列の軽鎖CDR3(VLCDR3)とであることを特徴
とするSARS-CoV-2ウイルスに対するモノクローナル抗体20D8。
【請求項2】
前記モノクローナル抗体20D8の重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号7であり、
前記モノクローナル抗体20D8の軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号8であるこ
とを特徴とする請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記モノクローナル抗体20D8はIgG型抗体であることを特徴とする請求項1又は
2に記載の抗体。
【請求項4】
前記モノクローナル抗体20D8は野生型SARS-CoV-2と、P.1株、B.1
.351株、B.1.1.7株を含む複数のSARS-CoV-2変異株を中和すること
ができることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項5】
前記モノクローナル抗体20D8の結合する抗原構造領域が、SARS-CoV-2ウ
イルスのスパイクタンパク質S1であり、且つ、D614G、K417T/N、E484
K、N501Yのいずれか1つ又は複数の変異を含むSARS-CoV-2のスパイクタ
ンパク質S1に結合することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体をコードする核酸フラグメント。
【請求項7】
SARS-CoV-2ウイルスを検出する試薬の製造における請求項1~5のいずれか
1項に記載のモノクローナル抗体20D8の使用。
【請求項8】
前記SARS-CoV-2ウイルスはSARS-CoV-2ウイルスP.1株、SAR
S-CoV-2ウイルスB.1.351株、SARS-CoV-2ウイルスB.1.1.
7株であることを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
SARS-CoV-2ウイルスを阻害する試薬の製造における請求項1~5のいずれか
1項に記載のモノクローナル抗体20D8の使用。
【請求項10】
前記SARS-CoV-2ウイルスはSARS-CoV-2ウイルスP.1株、SAR
S-CoV-2ウイルスB.1.351株、SARS-CoV-2ウイルスB.1.1.
7株であることを特徴とする請求項9に記載の使用。
【請求項11】
SARS-CoV-2ウイルスへの感染に起因する疾患を予防及び/又は治療する医薬
品の製造における請求項1~5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体20D8の使
用。
【請求項12】
前記SARS-CoV-2ウイルスはSARS-CoV-2ウイルスP.1株、SAR
S-CoV-2ウイルスB.1.351株、SARS-CoV-2ウイルスB.1.1.
7株であることを特徴とする請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ医薬品技術の分野に属し、詳しく言えば、SARS-CoV-2流行
性変異株に対するモノクローナル抗体20D8に関する。
【背景技術】
【0002】
SARS-CoV-2は、感染率と致死率がどちらも高い新型のコロナウイルスで、そ
の感染が発生して以来、既に世界的な大流行を引き起こしており、世界的に深刻な公共健
康問題が起きている。ワクチンは感染症を効果的に予防でき、現在、一部の新型コロナワ
クチンが使用承認されているが、主に健康な集団を対象としている。SARS-CoV-
2に対する中和抗体はウイルスの細胞との結合を効果的にブロックすることができ、臨床
試験では良好な結果が得られている。
【0003】
現在、一部のSARS-CoV-2に対するモノクローナル抗体は緊急使用が承認され
ており、開発中のものも多い。しかし、既存の抗体の殆どは主に変異前のSARS-Co
V-2野生株(Wild-type、WT)を対象としている。P.1株(K417T、
E484K、N501Yなどの変異を含む)、B.1.351(501Y.V2とも呼ば
れ、K417N、E484K、N501Yなどの変異を含む)、B.1.1.7(E48
4K、N501Yなどの変異を含む)などの新たに出現した変異株は、スパイクタンパク
質(RBD及びNTD領域を含む)アミノ酸配列における複数の点変異が変異株の伝播速
度、病原性に影響を与えるだけでなく、モノクローナル抗体の中和活性にも大きな影響を
与えるため、ウイルスの免疫回避が起こり得る。そのために、SARS-CoV-2野生
株及び変異株に広域な中和能を有するモノクローナル抗体の開発が急務となり、SARS
-CoV-2の野生株及び変異株などの検出と治療におけるその大幅な使用が見込まれる
。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、6つのCDR領域が、
(1)配列番号1のアミノ酸配列EYTMYを含む重鎖CDR1(VHCDR1)と、
(2)配列番号2のアミノ酸配列GINPNIGDTGYNQKFKGを含む重鎖CD
R2(VHCDR2)と、
(3)配列番号3のアミノ酸配列DTGNYPFDYを含む重鎖CDR3(VHCDR
3)と、
(4)配列番号4のアミノ酸配列KSSQSLLYSSNQKNYLAを含む軽鎖CD
R1(VLCDR1)と、
(5)配列番号5のアミノ酸配列WASTRESを含む軽鎖CDR2(VLCDR2)
と、
(6)配列番号6のアミノ酸配列QQYYSYPLTを含む軽鎖CDR3(VLCDR
3)とであることを特徴とするSARS-CoV-2ウイルスに対するモノクローナル抗
体20D8に関する。
【0005】
さらに、前記モノクローナル抗体20D8の重鎖可変領域の全長は配列番号7のアミノ
酸配列EVQLQQSGPELVKPGASVKISCKTSGYTFTEYTMYWV
KQSHGKSLEWIGGINPNIGDTGYNQKFKGKATLTVDKSSS
TAYMEIRSLTSEDSAVYYCARDTGNYPFDYWGQGTTLTVS
Sを含み、
前記モノクローナル抗体20D8の軽鎖可変領域の全長は配列番号8のアミノ酸配列D
IVMSQSPSSLAVSVGEKVTMSCKSSQSLLYSSNQKNYLAW
YQQKPGQSPKVLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTI
SSVKAEDLAVYYCQQYYSYPLTFGAGTKLELKを含む。
【0006】
さらに、前記モノクローナル抗体20D8はIgG型抗体である。
【0007】
さらに、前記モノクローナル抗体20D8は、野生型SARS-CoV-2と、P.1
株、B.1.351株、B.1.1.7株を含む複数のSARS-CoV-2変異株を中
和することができる。
【0008】
具体的には、前記モノクローナル抗体20D8が結合する抗原構造領域はSARS-C
oV-2ウイルスのスパイクタンパク質S1のRBDドメインであり、且つ、D614G
、K417T/N、E484K、N501Yなどの変異を含むSARS-CoV-2のス
パイクタンパク質S1に結合することができる。
【0009】
本発明は、さらに、前記モノクローナル抗体20D8をコードする核酸フラグメントに
関する。
【0010】
本発明は、さらに、
軽鎖が、
(1)配列番号8のアミノ酸配列に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失又は付加され
て形成された同じ機能を有する配列であり、
又は、(2)配列番号8のアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で
あり、
重鎖が、
(1)配列番号7のアミノ酸配列に1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失又は付加され
て形成された同じ機能を有する配列であり、
又は、(2)配列番号7のアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で
ある、抗体に関する。
【0011】
本発明は、さらに、SARS-CoV-2ウイルスを検出する試薬の製造における前記
モノクローナル抗体20D8の使用を含み、好ましくは、前記試薬はSARS-CoV-
2ウイルスP.1株、B.1.351株、B.1.1.7株を検出する試薬である。
【0012】
本発明は、さらに、SARS-CoV-2ウイルスを阻害する試薬の製造における前記
モノクローナル抗体20D8の使用を含み、好ましくは、前記試薬はSARS-CoV-
2ウイルスP.1株、B.1.351株、B.1.1.7株を阻害する試薬である。
【0013】
本発明は、さらに、医薬品の製造におけるモノクローナル抗体20D8の使用を含み、
前記医薬品はSARS-CoV-2ウイルスへの感染に起因する疾患を予防及び/又は
治療する医薬品であり、好ましくは、前記医薬品はSARS-CoV-2ウイルスP.1
株、B.1.351株、B.1.1.7株への感染に起因する疾患を予防及び/又は治療
する医薬品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は次のとおりである。現在開発されているワクチン及び緊急使用が
承認された一部の抗体は、主に変異前のSARS-CoV-2野生株を対象としている。
P.1株、B.1.351株、B.1.1.7株などのSARS-CoV-2変異株は、
程度の差があるが、開発中の一部の抗体や、回復期患者の血漿、ワクチン免疫化後の血漿
に耐性を示している。本発明の20D8モノクローナル抗体に関する実験結果から、当該
抗体20D8はSARS-CoV-2野生株と、P.1株、B.1.351株、B.1.
1.7株などの変異株に強い中和活性を有することが示されている。そのため、本発明か
ら得られる、広域な中和活性を有するモノクローナル抗体20D8はSARS-CoV-
2野生株及びその変異株に起因する疾患の特異的な予防、治療及び診断のための研究と使
用に大きな価値があるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、モノクローナル抗体20D8のSDS-PAGE電気泳動検出結果である。レーン1は非還元SDS-PAGE電気泳動で、レーン2は還元SDS-PAGE電気泳動である。
【
図2】
図2は、モノクローナル抗体20D8のSEC-HPLC検出結果である。
【
図3】
図3は、モノクローナル抗体20D8の結合活性の検出結果である。SARS-CoV-2野生株スパイクタンパク質S1に対する結合活性である。
【
図4】
図4は、モノクローナル抗体20D8のSARS-CoV-2シュードウイルスに対する中和活性の検出結果、及び、SARSCoV-2変異株P.1、B.1.351及びB.1.1.7変異部位を含むシュードウイルスに対する中和活性の検出結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特段の説明がない限り、下記の実施例で用いられる技術的手段はいずれも当業者に熟知
される通常の手段で、全ての試薬が市販品である。
【0017】
実施例1:モノクローナル抗体20D8の製造及び精製
1.製造:
7日前にフロイント不完全アジュバントを注射した後、20D8抗体を安定的に分泌す
るモノクローナルハイブリドーマ細胞株(0.5mL、3×106細胞/mL)をマウス
の腹腔に注射して、引き続き7~10日間培養した。
【0018】
2.精製:
腹水を採取し、37℃下で2時間静置した後、5000rpmで30分間遠心分離し、
中間部の上清を回収して濾過し、続いてプロテインGアフィニティークロマトグラフィー
により精製した。精製ステップを要約すると次のとおりであった。
pHが7.0で0.1MのTrisバッファーで平衡化させた。
サンプルを注入した後に、pHが7.0で0.1MのTrisバッファーで溶出した。
続いて、pHが8.0で1.0MのTrisバッファーで溶出した。
【0019】
溶出液を回収してPBSバッファーにおいて透析した。精製後の抗体に対し、SDS-
PAGE及びSEC-HPLCによる検出と解析を行った。
【0020】
3.結果分析:
SDS-PAGE結果である
図1に示されるとおり、非還元条件では、20D8抗体が
、分子量が約150kDaのバンドとして現われた。還元条件では、分子量が約50kD
aと25kDaの2つのバンドとして現われ、それぞれが抗体の重鎖及び軽鎖に対応する
。SEC-HPLC結果である
図2からは、精製後のモノクローナル抗体の純度が99%
以上に達していることが示されていた。精製後のモノクローナル抗体に対しペプチドマッ
プ法で解析したアミノ酸配列が想定したアミノ酸配列に一致した。
【0021】
具体的には、前記20D8抗体の6つのCDR領域の配列構造は、
配列番号1のEYTMYである重鎖CDR1(VHCDR1)と、
配列番号2のGINPNIGDTGYNQKFKGである重鎖CDR2(VHCDR2
)と、
配列番号3のDTGNYPFDYである重鎖CDR3(VHCDR3)と、
配列番号4のKSSQSLLYSSNQKNYLAである軽鎖CDR1(VLCDR1
)と、
配列番号5のWASTRESである軽鎖CDR2(VLCDR2)と、
配列番号6のQQYYSYPLTである軽鎖CDR3(VLCDR3)とである。
【0022】
前記20D8抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の配列は、それぞれ、配列番号8、
配列番号7である。
配列番号7:EVQLQQSGPELVKPGASVKISCKTSGYTFTEYT
MYWVKQSHGKSLEWIGGINPNIGDTGYNQKFKGKATLTVD
KSSSTAYMEIRSLTSEDSAVYYCARDTGNYPFDYWGQGTT
LTVSS。
配列番号8:DIVMSQSPSSLAVSVGEKVTMSCKSSQSLLYSS
NQKNYLAWYQQKPGQSPKVLIYWASTRESGVPDRFTGSGS
GTDFTLTISSVKAEDLAVYYCQQYYSYPLTFGAGTKLELK
。
【0023】
実施例2:抗体の機能分析
1. SARS-CoV-2に対するモノクローナル抗体20D8の抗原結合活性の検
出
ELISA法で20D8抗体のSARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質S
1に対する結合能を測定した。ステップを要約すると次のとおりであった。
(1)SARS-CoV-2スパイクS1-His組換えタンパク質(Sino社、カ
タログ番号:40591-V08H)をコーティング抗原として、マイクロプレートに炭
酸塩バッファーを使用して2.0μg/mLの抗原をコーティングし、37℃下で2時間
インキュベートした。
(2)カゼインバッファーを使用して37℃下で2時間ブロックし、段階的に希釈した
被検抗体を加えて、37℃下で1時間インキュベートした。
(3)1:10000に希釈したヤギ抗マウスIgG-HRP(Biodragon社
、カタログ番号:BF03001X)を加えて、37℃下で1時間インキュベートした。
(4)発色溶液で発色させて、2M HClで反応を停止させた。マイクロプレートリ
ーダーにおいて450nmの吸光度を検出した。
【0024】
結果:
20D8抗体の抗原に対する結合活性の検出結果である
図3に示されるように、モノク
ローナル抗体20D8のS1タンパク質に対する結合活性がEC
50=0.050nMで
あった。
【0025】
2. SARS-CoV-2に対するモノクローナル抗体20D8の(変異型)シュー
ドウイルスに対する中和試験
シュードウイルス検出系を使用して20D8のSARS-CoV-2野生株(WT)及
びその変異株に対する中和活性として(シュードウイルスは全て北京天薬物生物技術開発
会社から購入した)、野生株(カタログ番号:80033)、P.1株(カタログ番号:
80045)、B.1.351株(カタログ番号:80044)及びB.1.1.7株(
カタログ番号:80043)に対応するシュードウイルスへの中和活性を検出した。ステ
ップを要約すると次のとおりであった。段階的に希釈した抗体20D8とシュードウイル
スを混合させて37℃下で1時間インキュベートし、対照群は抗体又はウイルスを加えな
かった。その後、予め用意したHuh7単層細胞を含む検出プレートに加えて24時間培
養し、続いて、100μLの培養上清を等量の蛍光基質と交換して、室温下で2分間イン
キュベートして150μLのライセートを新しい96ウェルプレートに移して蛍光値を測
定し、シュードウイルスの中和活性を計算した(IC50で示した)。
【0026】
結果:
抗体20D8のシュードウイルスに対する中和試験の検出結果は
図4であり、野生株(
WT)と、変異株P.1株、B.1.351株、B.1.1.7株シュードウイルスに対
する中和活性のIC
50はそれぞれ次のとおりであった。
野生株(WT):1.37ng/mL(
図4のA)、
変異株P.1株:0.56ng/mL(
図4のA)、
変異株B.1.351株:0.47ng/mL(
図4のB)、
変異株B.1.1.7株:0.95ng/mL(
図4のC)。
【0027】
したがって、当該モノクローナル抗体はSARS-CoV-2野生株、変異株にいずれ
も中和活性を有している。
【0028】
なお、上記の実施例は当業者が本発明の趣旨に対する理解を促すためのものに過ぎず、
本発明の保護範囲を限定するものではない。
【国際調査報告】