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特表2023-527520中間留分について改善された選択性及び低温流特性を備える水素化分解触媒のための、支持体でのMTW-ゼオライトの使用
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  • 特表-中間留分について改善された選択性及び低温流特性を備える水素化分解触媒のための、支持体でのMTW-ゼオライトの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(54)【発明の名称】中間留分について改善された選択性及び低温流特性を備える水素化分解触媒のための、支持体でのMTW-ゼオライトの使用
(51)【国際特許分類】
   C10G 47/20 20060101AFI20230622BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20230622BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20230622BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20230622BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20230622BHJP
   B01J 29/80 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
C10G47/20
B01J37/00 D
B01J37/08
B01J37/04 102
B01J37/02 101Z
B01J29/80 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570652
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021032561
(87)【国際公開番号】W WO2021236457
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/028,069
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ビ - ゼン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、アン、ジア - バオ
(72)【発明者】
【氏名】メーセン、テオドラス リュドヴィカス、ミカエル
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA03A
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA21A
4G169BA21C
4G169BB12C
4G169BB16C
4G169BC60A
4G169BC60B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC68C
4G169BD01A
4G169BD01C
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4G169BD02C
4G169BD04A
4G169BD04C
4G169BD06A
4G169BD06C
4G169BE06A
4G169BE06C
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4G169BE08C
4G169BE14A
4G169BE14C
4G169BE15A
4G169BE15C
4G169BE17C
4G169CC05
4G169DA06
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EB14Y
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4G169EC06Y
4G169EC07Y
4G169EC14Y
4G169EC21Y
4G169EC26
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB06
4G169FB14
4G169FB16
4G169FB57
4G169FB67
4G169FC02
4G169FC08
4G169FC09
4G169ZA05A
4G169ZA05B
4G169ZA12A
4G169ZA12B
4G169ZA19A
4G169ZA19B
4G169ZD06
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4G169ZF05B
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4G169ZF07B
4H129AA02
4H129CA08
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4H129KA12
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4H129KC03X
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4H129KC10Y
4H129KC15X
4H129KC15Y
4H129KC16X
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4H129KC17X
4H129KC17Y
4H129KC18X
4H129KD16X
4H129KD16Y
4H129KD24X
4H129KD24Y
4H129KD35X
4H129KD40X
4H129KD40Y
4H129KD41X
4H129KD41Y
4H129KD44X
4H129KD44Y
4H129NA01
4H129NA23
4H129NA32
4H129NA37
4H129NA45
(57)【要約】
本プロセスは、単一ステージで、炭化水素供給物を水素化分解することを含む。触媒は、周期表の第6族、及び第8族~10族の金属が含浸された基材を含む。本水素化分解プロセスで使用する触媒の基材は、アルミナ、非晶質シリカ-アルミナ(ASA)材料、USYゼオライト、場合によりβゼオライト、及びゼオライトZSM-12を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素供給物を単一ステージ水素化分解ユニットに通すことを含む水素化分解プロセスであって、前記供給物が水素化分解条件下で水素化分解され、前記水素化分解ユニット中の触媒が、アルミナ、非晶質シリカ-アルミナ材料、USYゼオライト、ZSM-12、及びβゼオライトで構成される基材を含む、前記プロセス。
【請求項2】
前記基材が5~40重量%のアルミナ、30~80重量%のASA、0.5~40重量%のUSYゼオライト、0.1~40重量%のZSM-12、及び、0~40重量%のβゼオライトを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
アルミナの量が約20~約30重量%の範囲である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
ASAの量が約45~約75重量%の範囲である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
USYゼオライトの量が約4~約20重量%の範囲である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
βゼオライトの量が約4~20重量%の範囲である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
ZSM-12の量が約2~約20重量%の範囲である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記供給物がVGOを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
中間留出物(380~530°F)の選択性が、約60重量%の見かけの転化(<700°F)において少なくとも28重量%である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記触媒が、前記基材に含浸された金属ニッケル(Ni)及びタングステン(W)を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記触媒が、前記水素化分解触媒のバルク乾燥重量を基準にして、約2重量%~約10重量%のニッケル材料、及び、約8~約40重量%のタングステン材料を含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記触媒が改質剤を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記改質剤が、構造(1)~(4)であって、

【化1】

式中、
(1)R、R及びRは、水素、ヒドロキシル、メチル、アミン、ならびに、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、C-Cヒドロキシアルキル基、C-Cアルコキシアルキル基、C-Cアミノアルキル基、C-Cオキソアルキル基、C-Cカルボキシアルキル基、C-Cアミノカルボキシアルキル基、及びC-Cヒドロキシカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
(2)R~R10は、水素、ヒドロキシル、及び、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
(3)R11は、直鎖または分枝鎖の、飽和及び不飽和、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cヒドロキシアルキル基、及びC-Cオキソアルキル基からなる群から選択される、
前記構造(1)~(4)により表される化合物からなる群、及びこれらの縮合形態から選択される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記改質剤がクエン酸を含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記水素化分解ユニット中の前記触媒が、
(a)前記触媒基材を含有する押し出し可能な塊を形成することと、
(b)前記塊を押し出して、形状化された押出品を形成することと、
(c)前記塊を焼成して、焼成押出品を形成することと、
(d)少なくとも1種の金属硝酸塩または金属炭酸塩、溶媒、改質剤及びアンモニウム含有成分を含有する含浸溶液を調製して、前記含浸溶液のpHを、水酸化物塩基により1~5.5(両端を含む)に調節することと、
(e)前記形状化された押出品を前記含浸溶液と接触させることと、
(f)前記含浸押出品を、前記含浸溶液溶媒を取り除いて、乾燥含浸押出品を形成するのに十分な温度で乾燥させることと、により調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記含浸溶液が炭酸ニッケルを含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記改質剤が、構造(1)~(4)であって、
【化1】

式中、
(1)R、R及びRは、水素、ヒドロキシル、メチル、アミン、ならびに、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、C-Cヒドロキシアルキル基、C-Cアルコキシアルキル基、C-Cアミノアルキル基、C-Cオキソアルキル基、C-Cカルボキシアルキル基、C-Cアミノカルボキシアルキル基、及びC-Cヒドロキシカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
(2)R~R10は、水素、ヒドロキシル、及び、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
(3)R11は、直鎖または分枝鎖の、飽和及び不飽和、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cヒドロキシアルキル基、及びC-Cオキソアルキル基からなる群から選択される、
前記構造(1)~(4)により表される化合物からなる群、及びこれらの縮合形態から選択される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
前記改質剤がクエン酸を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
アルミナ、非晶質シリカ-アルミナ、USYゼオライト、βゼオライト、及びZSM-12の基材を含む水素化分解触媒。
【請求項20】
前記基材が5~40重量%のアルミナ、30~70重量%のASA、0.5~40重量%のUSYゼオライト、0.5~40重量%のβゼオライト、及び0.1~40重量%のZSM-12を含む、請求項19に記載の水素化分解触媒。
【請求項21】
アルミナの量が約20~約30重量%の範囲である、請求項20に記載の水素化分解触媒。
【請求項22】
ASAの量が約45~約75重量%の範囲である、請求項20に記載の水素化分解触媒。
【請求項23】
USYゼオライトの量が約4~約20重量%の範囲である、請求項20に記載の水素化分解触媒。
【請求項24】
βゼオライトの量が約4~20重量%の範囲である、請求項20に記載の水素化分解触媒。
【請求項25】
ZSM-12の量が約2~約20重量%の範囲である、請求項20に記載の水素化分解触媒。
【請求項26】
前記触媒が、前記基材に含浸された金属ニッケル(Ni)及びタングステン(W)を含む、請求項19に記載の水素化分解触媒。
【請求項27】
前記触媒が、前記水素化分解触媒のバルク乾燥重量を基準にして2重量%~10重量%のニッケル材料、及び、8~40重量%のタングステン材料を含む、請求項26に記載の水素化分解触媒。
【請求項28】
前記触媒が改質剤を含む、請求項19に記載の水素化分解触媒。
【請求項29】
前記改質剤が、構造(1)~(4)であって、
【化1】

式中、
(1)R、R及びRは、水素、ヒドロキシル、メチル、アミン、ならびに、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、C-Cヒドロキシアルキル基、C-Cアルコキシアルキル基、C-Cアミノアルキル基、C-Cオキソアルキル基、C-Cカルボキシアルキル基、C-Cアミノカルボキシアルキル基、及びC-Cヒドロキシカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
(2)R~R10は、水素、ヒドロキシル、及び、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
(3)R11は、直鎖または分枝鎖の、飽和及び不飽和、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cヒドロキシアルキル基、及びC-Cオキソアルキル基からなる群から選択される、
前記構造(1)~(4)により表される化合物からなる群、及びこれらの縮合形態から選択される、請求項28に記載の水素化分解触媒プロセス。
【請求項30】
前記改質剤がクエン酸を含む、請求項28に記載の水素化分解触媒。
【請求項31】
前記水素化分解ユニット中の前記触媒が、
(a)前記触媒基材を含有する押し出し可能な塊を形成することと、
(b)前記塊を押し出して、形状化された押出品を形成することと、
(c)前記塊を焼成して、焼成押出品を形成することと、
(d)少なくとも1種の金属硝酸塩または金属炭酸塩、改質剤、溶媒、及びアンモニウム含有成分を含む含浸溶液を調製して、前記含浸溶液のpHを、水酸化物塩基により1~5.5(両端を含む)に調節することと、
(e)前記形状化された押出品を前記含浸溶液と接触させることと、
(f)前記含浸押出品を、前記含浸溶液溶媒を取り除いて、乾燥含浸押出品を形成するのに十分な温度で乾燥させることと、により調製される、請求項19に記載の水素化分解触媒。
【請求項32】
前記含浸溶液が炭酸ニッケルを含む、請求項31に記載の水素化分解触媒。
【請求項33】
前記改質剤が、構造(1)~(4)であって、
【化1】

式中、
(1)R、R及びRは、水素、ヒドロキシル、メチル、アミン、ならびに、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、C-Cヒドロキシアルキル基、C-Cアルコキシアルキル基、C-Cアミノアルキル基、C-Cオキソアルキル基、C-Cカルボキシアルキル基、C-Cアミノカルボキシアルキル基、及びC-Cヒドロキシカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
(2)R~R10は、水素、ヒドロキシル、及び、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
(3)R11は、直鎖または分枝鎖の、飽和及び不飽和、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cヒドロキシアルキル基、及びC-Cオキソアルキル基からなる群から選択される、
前記構造(1)~(4)により表される化合物からなる群、及びこれらの縮合形態から選択される、請求項31に記載の水素化分解触媒。
【請求項34】
前記改質剤がクエン酸を含む、請求項33に記載の水素化分解触媒。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
触媒水素化処理とは、望ましくない不純物を除去し、及び/または炭素質原料を所望の生成物に転化する目的で、その炭素質原料を高めの温度及び圧力で、水素及び触媒と接触させる石油精製プロセスを指す。水素化処理プロセスの例としては、水素化加熱、水素化脱金属処理、水素化分解、及び水素異性化プロセスが挙げられる。
【0002】
水素化処理触媒は通常、非晶質酸化物、及び/または結晶性微多孔性材料(例えば、ゼオライト)で構成される支持体または担体に付着した、1種以上の金属で構成される。支持体及び金属の選択は、触媒が用いられる、特定の水素化処理プロセスにより左右される。
【0003】
ゼオライトは、水素化分解及び水素異性化反応で重要な役割を果たし、ゼオライトの細孔構造は、その触媒選択性を大きく決定することがよく知られている。2つのプロセスが異なる結果をもたらし、異なる触媒が必要である。
【0004】
水素化分解とは、水素化及び脱水素に、炭化水素のクラッキング/分解が伴うプロセス、例えば、より重質な炭化水素をより軽質な炭化水素に転化すること、あるいは芳香族化合物及び/またはシクロパラフィン(ナフテン)を非環状分枝パラフィンに転化することを指す。水素異性化とは、ノルマルパラフィンが、触媒上の水素の存在下で、より分枝した対応物に異性化するプロセスを意味する。
【0005】
水素化分解は、留出燃料の産生に極めて有用である。水素化分解プロセスにより、所望の留分生成物の転化及び収率に焦点を当て、これらを改善することができる新規の触媒の組み合わせを作製することは、業界にとって非常に有用となろう。
【発明の概要】
【0006】
要約
水素化分解プロセスにおいて、本プロセスに記載の新規の触媒を利用することにより、中間留分生成物が改善されることが発見されている。プロセスは、単一ステージで、炭化水素供給物を水素化分解することを含む。本水素化分解プロセスの単一ステージで使用する触媒は、周期表の第6族、及び第8族~10族の金属が含浸された基材を含む。単一水素化分解ステージで使用する触媒の基材は、アルミナ、非晶質シリカ-アルミナ(ASA)材料、USYゼオライト、及びゼオライトZSM-12を含む。基材には、βゼオライトもまた含まれる。
【0007】
他の因子の中でもとりわけ、ZSM-12を含む、本触媒基材の使用により、単一水素化分解ユニットにおける多くの利点が実現されることが発見されている。触媒システムにより、生成物の低温流特性もまた改善しながら、所望の中間留分生成物に対する選択性の向上がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な記述
図1図1は、ZSM-12を用いて、及び用いずに作製した水素化分解触媒の性能を比較した際の、中間留分の低温流特性の改善を示す。
【0009】
図2図2は、ZSM-12を用いて、及び用いずに作製した水素化分解触媒の性能を比較した際の、未転化油の低温流特性の改善を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい形態の記述
本プロセスは、単一ステージで、炭化水素原料を水素化分解することに関する。プロセスは、中間留分(380~530°F、193~277℃)、またはさらに、軽留分(300~380°F、149~193℃)相当の転化における選択性を改善するように設計されている。プロセスは、また留分の低温流特性を改善するためにも設計されている。プロセスは、単一ステージ水素化分解プロセスにおいて特定の触媒を用い、当該触媒は、アルミナ、非晶質シリカ-アルミン酸塩(ASA)、USYゼオライト、場合によりβゼオライト、及びZSM-12ゼオライトで構成される基材を含む。基材には、周期表の第6族、及び第8族~第10族から選択される触媒金属、好ましくはニッケル(Ni)及びタングステン(W)が含浸される。用語「周期表」とは、2007年6月22日の日付のバージョンのIUPAC元素周期表を意味し、周期表の族に関する番号付けのスキームは、Chemical and Engineering News, 63(5), 27 (1985)に記載されているとおりである。
【0011】
触媒の基材は、基材の乾燥重量を基準にして、約0.1~約40重量%のアルミナ基材、別の実施形態では、約5~約40重量%、または別の実施形態では、約20~約30重量%のアルミナを含むことができる。約25重量%のアルミナを、別の実施形態では使用することができる。触媒の基材は、基材の乾燥重量を基準にして、約30~約80重量%のASA、または別の実施形態では、約45~約75重量%のASAもまた含むことができる。Yゼオライトは、基材の乾燥重量を基準にして、基材の0.5~約40重量%を占めることができる。別の実施形態では、Yゼオライトは、基材の約1~約30重量%、または別の実施形態では、約4~約20重量%を占めることができる。βゼオライトは場合により、基材の乾燥重量を基準にして、基材の0~約40重量%、または、0.5~約40重量%を占めることができる。別の実施形態では、βゼオライトは、基材の約1~約30重量%、または別の実施形態では、約4~約20重量%を占めることができる。基材のZSM-12成分は、基材の乾燥重量を基準にして、基材の約0.1~約40重量%、または別の実施形態では、約0.5~約30重量%、または、約2~約20重量%を占めることができる。βゼオライトが存在する場合、ZSM-12の量を減少させることができる。
【0012】
アルミナは、触媒基材で使用するのに既知である、任意のアルミナであることができる。例えば、アルミナは、γ-アルミナ、η-アルミナ、θ-アルミナ、δ-アルミナ、χ-アルミナ、またはこれらの混合物であり得る。
【0013】
触媒支持体のASAは、平均メソ孔直径が通常は70Å~130Åである、非晶質シリカ-アルミナ材料である。
【0014】
一実施形態では、非晶質シリカ-アルミナ材料は、ICP元素分析により測定されるように、担体のバルク乾燥重量の5~70重量%の量でSiOを、300~550m/gのBET表面積を、及び、0.95~1.55mL/gの総細孔容積を含む。
【0015】
別の実施形態では、触媒支持体は、ICP元素分析により測定されるように、担体のバルク乾燥重量の5~70重量%の量でSiOを含有する非晶質シリカ-アルミナ材料を、300~550m/gのBET表面積を、0.95~1.55mL/gの総細孔容積を含み、平均メソ孔直径は70Å~130Åである。
【0016】
別の下位実施形態では、触媒支持体は、表面が0.7~1.3の、バルクシリカ:アルミナ比率(S/B比率)を有する、高均質非晶質シリカ-アルミナ、及び、約10重量%以下の量で存在する結晶性アルミナ相を含む。
【数1】
【0017】
S/B比率を測定するために、シリカ-アルミナ表面のSi/Al原子比率を、x線光電子分光法(XPS)を用いて測定する。XPSは、化学分析用電子分光法(ESCA)としても知られている。XPSの透過度は50Å未満であるため、XPSにより測定されるSi/Al原子比率は、表面化学組成に対するものである。
【0018】
シリカ-アルミナ特性決定のためにXPSを用いることは、W. Daneiell et al. in Applied Catalysis A, 196, 247-260, 2000により公開されている。したがって、XPS技術は、触媒粒子表面の外層の化学組成を測定するのに効果的である。オージェ電子分光法(AES)及び二次イオン質量分析(SIMS)などの、他の表面測定方法もまた、表面組成の測定に使用することができる。
【0019】
これとは別に、組成物のバルクSi/Al比率が、ICP元素分析から測定される。次に、表面Si/Al比率とバルクSi/Al比率を比較することで、シリカ-アルミナのS/B比率及び均質性が測定される。S/B比率が粒子の均質性をどのように定義するかを、以下のとおりに説明する。1.0のS/B比率は、材料が、粒子全体を通して完全に均質であることを意味する。1.0未満のS/B比率は、粒子表面にアルミニウムが豊富に存在しており(または、ケイ素が枯渇しており)、アルミニウムが粒子の外面に主に位置することを意味する。1.0を超えるS/B比率は、粒子表面にケイ素が豊富に存在しており(または、アルミニウムが枯渇しており)、アルミニウムが粒子の内面に主に位置することを意味する。
【0020】
「ゼオライトUSY」とは、超安定化Yゼオライトを意味する。Yゼオライトとは、3以上のSAR(シリカ:アルミナモル比)を有する、合成フォージャサイト(FAU)ゼオライトである。Yゼオライトは、熱水安定化、脱アルミニウム化、及び同形置換のうちの1つ以上により、超安定化され得る。ゼオライトUSYは、出発物質の(合成時の)Na-Yゼオライト前駆体よりも高いフレームワークシリコン含有量を有する、任意のFAU型ゼオライトであることができる。そのような好適なYゼオライトは、例えば、Zeolyst、Tosoh、及びJGCから市販されている。
【0021】
βゼオライトのβとは、12員環チャネルが交差した直鎖12員環チャネルを有する、3次元結晶構造を有し、約15.3T/1000Åのフレームワーク密度を有するゼオライトを意味する。ゼオライトβは、Ch. Baerlocher and L. B. McCusker, Database of Zeolite Structures: http://www.iza-structure.org/databases/に記載されているBEAフレームワークを有する。
【0022】
一実施形態では、ゼオライトβは、20~400μmol/gのOD酸性度、及び、800~1500nmの平均ドメインサイズを有する。一実施形態では、OD酸性度は30~100μmol/gである。
【0023】
一実施形態では、ゼオライトβは、有機テンプレートを使用して合成により製造される。3つの異なるゼオライトβの例を、表1に記載する。
【表1】
【0024】
総OD酸性度は、FTIR分光法により、酸性ヒドロキシル基のH/D交換により測定した。総OD酸性度を測定するための方法は、Emiel J. M. Hensen et. al., J. Phys. Chem., C2010, 114, 8363-8374により出版物に記載されている方法を採用した。FTIR測定の前に、試料を、1×10-5Torr未満の真空下にて、400~450℃で1時間加熱した。次に、試料にCを投与し、80℃で平衡状態にした。C投与の前及び後に、OH及びOD伸縮領域に対するスペクトルを収集した。
【0025】
以下のとおりに、透過型電子(TEM)とデジタル画像解析の組み合わせにより、平均ドメインサイズを測定した:
【0026】
I.ゼオライトβ試料の調製:
【0027】
エポキシに少量のゼオライトβを埋め込み、ミクロストーム処理することにより、ゼオライトβ試料を調製した。好適な手順の記載は、多くの標準的な顕微鏡テキストに見出すことができる。
【0028】
工程1。代表的な少量のゼオライトβ粉末をエポキシに埋め込んだ。エポキシを硬化させた。
【0029】
工程2。代表的な量のゼオライトβ粉末を含有するエポキシを、ミクロストーム処理により80~90nm厚にした。ミクロトームの切片を、顕微鏡供給業者から入手可能な400メッシュの3mm銅グリッド上で収集した。
【0030】
工程3。十分な量の導電性炭素の層を、ミクロトーム処理した切片の上に真空蒸着させ、TEM内の電子ビーム下で、ゼオライトβ試料が帯電しないようにした。
【0031】
II.TEMイメージング:
【0032】
工程1。上述のとおりに調製したゼオライトβ試料を低倍率、例えば250,000~1,000,000倍で、ゼオライトβチャネルを確認可能な結晶を選択して調査することができる。
【0033】
工程2。選択したゼオライトβ結晶を、その晶帯軸に傾斜させ、シェルツァー・デフォーカス付近まで焦点を合わせ、画像を2,000,000倍以上の倍率で記録した。
【0034】
III.平均ドメインサイズ(nm)を得るための画像解析:
【0035】
工程1。前述した、記録されたTEMデジタル画像を、市販されている画像解析ソフトウエアパッケージを使用して分析した。
【0036】
工程2。個別のドメインを分離させて、ドメインサイズをnmで測定した。投影がチャネルビューを明確に下げないドメインは、測定値に含めなかった。
【0037】
工程3。統計的に関連する数のドメインを測定した。未加工のデータを、コンピュータースプレッドシートプログラムに保存した。
【0038】
工程4。記述統計及び頻度を測定した-相加平均(dav)、または平均ドメインサイズ、及び標準偏差(s)を、以下の式を用いて計算した:
【数2】
【0039】
一実施形態では、平均ドメインサイズは900~1250nm、例えば、1000~1150nmである。
【0040】
触媒基材の最後の構成成分は、ZSM-12として具体的に知られているMTWゼオライトである。ZSM-12ゼオライトは、5.7オングストローム~6.1オングストロームの固有の孔開口部を有する、一次元の12員環チャネル系で構成される、シリカリッチなゼオライトである。ZSM-12ゼオライトは、米国特許第3,832,449号及び同第4,391,785号に詳細に記載されており、これらの開示はそれら全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0041】
ZSM-12は、少なくとも1種の環状四価アミンハロゲン化物、酸化ナトリウム、シリカの酸化物、及び場合により、アルミナの酸化物及び水を含有し、酸化物のモル比換算で、以下の範囲に収まる組成を有する溶液を調製し
【表A】

[式中、Rはジメチルピロリジニウム、ジメチルピペリジニウム、またはジメチルピリジニウムハロゲン化物である、Mはアルカリ金属である。]、ゼオライトの結晶が形成されるまで、混合物を維持することにより好適に調製することができる。その後、結晶を液体から分離して回収する。典型的な反応条件は、反応混合物を、約6時間~150日間の範囲の所定の期間、約80℃~180℃の温度まで加熱することで構成される。より好ましい温度範囲は、約2~40日の範囲の所定の期間での、約100℃~約150℃である。
【0042】
ZSM-12ゼオライトは、X線回折パターンが、以下の顕著なラインを示す、明確に区別のできる結晶構造を有する:

【表B】
【0043】
これらの値は、標準的な技術により測定した。放射線は、銅のK-αダブレットであり、ストリップチャートペンレコーダーを備えるシンチレーションカウンタースペクトロメーターを使用した。ピーク高さ、I、及び2θの関数としての位置(θはブラッグ角である)を、スペクトロメーターチャートから読み取った。これらから、相対強度の100I/I[式中、Iは、最も強いラインまたはピークの強度である。]、記録されたラインに対応する、Aでの格子面間隔であるd(obs.)を計算した。表1において、相対強度は、記号m=中間、w=弱い、及びvs=非常に強い、という用語で与えられる。このX線回折パターンは、ZSM-12組成物の全ての種の特徴を示すものと理解されるべきである。ナトリウムイオンをカチオンでイオン交換することにより、格子面間隔のいくつかの微小なシフト、及び、相対強度の変化を伴う、実質的に同一のパターンが明らかとなる。他の微小な変化は、特定の試料での、ケイ素:アルミニウムの比に応じて、加えて、熱処理に供されているか否かにより生じ得る。
【0044】
ZSM-12ゼオライトは、例えば、Clariant, Zeolyst, China Catalyst Groupから市販されている。
【0045】
本明細書において上述したとおり、本単一ステージ水素化分解プロセスの水素化分解触媒は、1種以上の金属を含有し、当該金属が、上述した基材または支持体に含浸される。本明細書に記載する各実施形態に対して、用いられる各金属は、周期表の第6族、及び第8~10族の元素、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、各金属は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、水素化分解触媒は、周期表の、少なくとも1種の第6族金属、及び、第8~10族から選択される少なくとも1種の金属を含有する。例示的な金属の組み合わせとしては、Ni/Mo/W、Ni/Mo、Ni/W、Co/Mo、Co/W、Co/W/Mo、及びNi/Co/W/Moが挙げられる。
【0046】
水素化分解触媒中の金属材料の総量は、水素化分解触媒のバルク乾燥重量を基準にして、0.1重量%~90重量%である。一実施形態では、水素化分解触媒は、水素化分解触媒のバルク乾燥重量を基準にして、2重量%~10重量%のニッケル材料、及び、8重量%~40重量%のタングステン材料を含有する。
【0047】
水素化分解触媒の形成に、希釈剤を用いることができる。好適な希釈剤としては、酸化アルミニウム及び酸化シリコン、酸化チタン、粘土、セリア、ならびにジルコニアなどの無機酸化物、ならびにこれらの混合物が挙げられる。水素化分解触媒中の希釈剤の量は、水素化分解触媒のバルク乾燥重量を基準にして、0重量%~35重量%である。一実施形態では、水素化分解触媒中の希釈剤の量は、水素化分解触媒のバルク乾燥重量を基準にして、0.1重量%~25重量%である。
【0048】
本プロセスの水素化分解触媒は、リン(P)、ホウ素(B)、フッ素(F)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、及びこれらの混合物からなる群から選択される、1種以上のプロモーターもまた含有することができる。水素化分解触媒中のプロモーターの量は、水素化分解触媒のバルク乾燥重量を基準にして、0重量%~10重量%である。一実施形態では、水素化分解触媒中のプロモーターの量は、水素化分解触媒のバルク乾燥重量を基準にして、0.1重量%~5重量%である。
【0049】
水素化分解触媒の調製
一実施形態では、金属付着は、少なくとも触媒支持体を、含浸溶液と接触させることで実現される。含浸溶液は、金属硝酸塩または金属炭酸塩などの、少なくとも1種の金属塩、溶媒を含有し、pH1~5.5(両端を含む/1≦pH≦5.5)を有する。一実施形態では、含浸溶液は、本明細書で後述する改質剤をさらに含有する。一実施形態では、形状化された水素化分解触媒は、
(a)アルミナ、非晶質シリカアルミナ(ASA)、USYゼオライト、ZSM-12ゼオライト、及び場合により、βゼオライトで構成される触媒基材を含有する、押し出し可能な塊を形成することと、
(b)上記塊を押し出して、形状化された押出品を形成することと、
(c)上記塊を焼成して、焼成押出品を形成することと、
(d)上記形状化された押出品を、少なくとも1種の金属塩、溶媒を含有し、1~5.5(両端を含む/1≦pH≦5.5)のpHを有する含浸溶液と接触させることと、
(e)上記含浸押出品を、上記含浸溶液溶媒を取り除いて、乾燥含浸押出品を形成するのに十分な温度で乾燥させることと、により調製される。
【0050】
別の実施形態では、形状化された水素化分解触媒は、
(a)アルミナ、非晶質シリカアルミナ(ASA)、USYゼオライト、ZSM-12ゼオライト、及び場合により、βゼオライトで構成される触媒基材を含有する、押し出し可能な塊を形成することと、
(b)上記塊を押し出して、形状化された押出品を形成することと、
(c)上記塊を焼成して、焼成押出品を形成することと、
(d)上記形状化された押出品を、少なくとも1種の金属、溶媒、及び改質剤を含有する含浸溶液と接触させることであって、上記含浸溶液が1~5.5(両端を含む/1≦pH≦5.5)のpHを有する、上記接触させることと、
(e)上記含浸押出品を、上記改質剤の分解温度を下回るが、上記含浸溶液を取り除いて、乾燥含浸押出品を形成するのに十分な温度で乾燥させることと、により調製される。
【0051】
別の実施形態では、形状化された水素化分解触媒は、
(a)アルミナ、非晶質シリカアルミナ(ASA)、USYゼオライト、ZSM-12ゼオライト、及び場合により、βゼオライトで構成される触媒基材を含有する、押し出し可能な塊を形成することと、
(b)上記塊を押し出して、形状化された押出品を形成することと、
(c)上記塊を焼成して、焼成押出品を形成することと、
(d)上記形状化された押出品を、少なくとも1種の金属、溶媒、及び改質剤を含有する含浸溶液と接触させることであって、上記含浸溶液が1~5.5(両端を含む/1≦pH≦5.5)のpHを有する、上記接触させることと、
(e)上記含浸押出品を、上記改質剤の分解温度を下回るが、上記含浸溶液溶媒を取り除いて、乾燥含浸押出品を形成するのに十分な温度で乾燥させることと、
(f)上記乾燥含浸押出品を十分に焼成して、上記改質剤を取り除き、少なくとも1種の金属を酸化物に転化することと、により調製される。
【0052】
一実施形態では、弱酸を使用して、触媒基材を含有する押出可能な塊を形成する。例えば、一実施形態では、0.5~5重量%のHNOの、希釈されたHNO酸水溶液を使用する。
【0053】
一実施形態では、含浸溶液は、金属炭酸塩と改質剤とを含む。本触媒の調製において使用するための、好ましい金属炭酸塩は炭酸ニッケルである。
【0054】
希釈剤、プロモーター、及び/またはモレキュラーシーブ(用いる場合)は、押出可能な塊を形成する際には、担体と組み合わせることができる。別の実施形態では、担体、及び(場合により)希釈剤、プロモーター、及び/またはモレキュラーシーブは、所望の形状に形状化される前、またはされた後に含浸することができる。
【0055】
本明細書に記載する各実施形態に対して、含浸溶液は、pH1~5.5(両端を含む/1≦pH≦5.5)を有する。一実施形態では、含浸溶液は、1.5~3.5(両端を含む/1.5≦pH≦3.5)のpHを有する。
【0056】
含浸溶液を形成するのに使用する金属硝酸塩及び他の成分に応じて、塩基性成分を添加する前に、含浸溶液のpHは通常、1未満のpH、及び、より典型的には、約0.5のpHを有する。塩基性成分を含浸溶液に添加して、pHを1~5.5(両端を含む/1≦pH≦5.5)に調整することで、酸が取り除かれ、または酸の濃度は、焼成の間に、水素化分解触媒に有害な影響を及ぼすのに十分速い速度で、硝酸アンモニウムの酸触媒分解を行わないレベルまで低下する。一実施形態では、酸が取り除かれ、または酸の濃度が、焼成の間に、水素化分解触媒のバルク乾燥重量の10重量%を超えて、有害な影響を及ぼすのに十分速い速度で、硝酸アンモニウムの酸触媒分解を行わない(例えば、焼成後の水素化分解触媒のバルク乾燥重量の10重量%超を占める、微粉または断片化押出品を作製しない)レベルまで低下する。
【0057】
塩基性成分は、含浸溶液に対して選択される溶媒中で溶解可能であり、触媒の形成に対して、または、触媒の水素化分解性能に対して実質的に有害でない、任意の塩基であることができ、このことは、塩基が、水素化分解触媒の性能に、測定不可能な影響を有する、または、材料上の欠点を付与しないことを意味する。触媒の形成に対して実質的に有害でない塩基は、pH補正なしの水素化分解触媒の性能に基づき、10°F(5.5℃)を超えて触媒活性を低下させない。
【0058】
水素化分解触媒が本水素化分解プロセスで使用される予定の場合、好適な一塩基は、水酸化アンモニウムである。他の例示的な塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0059】
一実施形態では、金属のうちの少なくとも1種の付着は、その縮合形態を含む、構造(1)~(4)により表される化合物からなる群から選択される改質剤の存在下で実現される:

【化1】
【0060】
上記の式中、
(1)R、R及びRは、水素;ヒドロキシル;メチル;アミン;ならびに、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、C-Cヒドロキシアルキル基、C-Cアルコキシアルキル基、C-Cアミノアルキル基、C-Cオキソアルキル基、C-Cカルボキシアルキル基、C-Cアミノカルボキシアルキル基、及びC-Cヒドロキシカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
【0061】
(2)R~R10は、水素;ヒドロキシル;及び、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換C-Cカルボキシアルキル基からなる群から独立して選択され、
【0062】
(3)R11は、直鎖または分枝鎖の、飽和及び不飽和、置換または非置換C-Cアルキル基、C-Cヒドロキシアルキル基、及びC-Cオキソアルキル基からなる群から選択される。
【0063】
本実施形態で有用な改質剤の代表的な例としては、2,3-ジヒドロキシコハク酸、エタン二酸、2-ヒドロキシ酢酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸、メトキシ酢酸、cis-1,2-エチレンジカルボン酸、ヒドロキシエタン-1,2-ジカルボン酸、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2,3-トリオール、プロパン二酸、及び、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)が挙げられる。
【0064】
一実施形態では、使用する改質剤は2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸(クエン酸)である。このような改質剤は優れた結果をもたらし、経済的であり、速やかに入手可能である。
【0065】
代替の実施態様では、金属のうちの少なくとも1種の付着は、N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン、2-アミノ-3(1H-インドール-3-イル)-プロパン酸、ベンズアルデヒド、[[(カルボキシメチル)イミノ]ビス(エチレンニトリロ)]-テトラ-酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン、2-ヒドロキシ安息香酸、チオシアネート、チオサルフェート、チオ尿素、ピリジン、及びキノリンからなる群から選択される改質剤の存在下で実現される。
【0066】
改質剤は金属凝集を阻害することにより、触媒の活性及び選択性を向上させる。
【0067】
本明細書に記載する各実施形態に対して、使用する場合、焼成前の水素化分解触媒中での改質剤の量は、水素化分解触媒のバルク乾燥重量を基準にして、2重量%~18重量%である。
【0068】
押し出された塊の焼成は、変化し得る。通常、押し出された塊は、1~3時間の期間、752°F(400℃)~1200°F(650℃)の温度で焼成することができる。
【0069】
好適な溶媒の非限定例としては、水、及びC~Cアルコールが挙げられる。他の好適な溶媒としては、アルコール、エーテル、及びアミンなどの極性溶媒が挙げられる。水は好ましい溶媒である。金属化合物は水溶性であり、それぞれの溶液が形成される、または、両方の金属を含有する単一溶液が形成されることもまた好ましい。改質剤は好適な溶媒中、好ましくは水の中で調製することができる。
【0070】
3つの溶媒成分を、任意の順序で混合することができる。即ち、3つ全てを同時に合わせてブレンドすることができるか、または、これらを任意の順番で連続して混合することができる。一実施形態では、まず、水性媒体中で1種以上の金属成分を混合した後、改質剤を添加するのが好ましい。
【0071】
含浸溶液中の、金属前駆体及び改質剤(用いられる場合)の量は、乾燥後の触媒前駆体中での、金属:改質剤の好ましい比率を実現するように選択されなければならない。
【0072】
通常は、押出品を回転させながら、0.1~100時間(より典型的には、1~5時間)、室温~212°F(100℃)で、初期の湿り具合が実現されるまで、焼成した押出品を含浸溶液に曝し、その後、0.1~10時間、通常は、約0.5~約5時間エージングをする。
【0073】
乾燥工程は、含浸溶液溶媒を取り除くのに十分ではあるが、改質剤の分解温度を下回る温度で実施する。別の実施形態では、次いで、乾燥含浸押出品を、改質剤の分解温度を上回る、通常は約500°F(260℃)~1100°F(590℃)の温度で、効果的な時間焼成する。本発明は、含浸押出品が焼成されるとき、温度が、目的の焼成温度まで上昇、あるいは上昇している間に乾燥が行われることを熟視する。この効果的な時間は、約0.5~約24時間、通常は約1~約5時間の範囲である。焼成は、空気などの酸素含有ガス流、窒素等の不活性ガス流、または、酸素含有及び不活性ガスの組み合わせの存在下で実施することができる。
【0074】
一実施形態では、含浸押出品は、金属を金属酸化物に転化しない温度で焼成される。さらに別の実施形態では、含浸押出品は、金属を金属酸化物に転化するのに十分な温度で焼成することができる。
【0075】
本発明の乾燥及び焼成水素化分解触媒を硫化させて、活性触媒を形成することができる。触媒前駆体を硫化させて触媒を形成することは、触媒を反応器に導入する前に実施することができる(即ち、ex-situで予め硫化する)か、または、反応器内で実施することができる(in-situ硫化)。
【0076】
好適な硫化剤としては、元素状硫黄、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム([(NH)、チオ硫酸アンモニウム((NH)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、チオ尿素CSN、二硫化炭素、ジメチルジスルフィド(DMDS)、ジメチルスルフィド(DMS)、多硫化ジブチル(DBPS)、メルカプタン、多硫化第3級ブチル(PSTB)、多硫化第3級ノニル(PSTN)、水性硫化アンモニウムが挙げられる。
【0077】
一般に、硫化剤は、硫化触媒を形成するのに必要な理論量に対して過剰量で存在する。別の実施形態では、硫化剤の量は、硫化触媒を作製するために、少なくとも3:1の硫黄:金属モル比を表す。
【0078】
触媒は、150°F~900°F(66℃~482℃)の温度、10分~15日間、及び、101kPa~25,000kPaのH含有ガス圧下にて、硫化剤との接触の際に、活性硫化触媒に転化される。硫化温度が硫化剤の沸点を下回る場合、プロセスは一般に、大気圧にて実施される。硫化剤/任意成分の沸点を上回ると、反応は一般に、加圧下で実施される。本明細書で使用する場合、硫化プロセスの完了とは、金属を、例えば、CO、MoS、WS、Niなどに転化するのに必要な硫黄の化学量論量の少なくとも95%が消費されていることを意味する。
【0079】
一実施形態では、硫化は、水素と、HSに分解可能な硫黄含有化合物と、を含むガス相内で完了することができる。例としては、メルカプタン、CS、チオフェン、DMS、DMDS、及び、好適なS含有精製流出ガスが挙げられる。Hと、硫黄含有化合物とのガス状混合物は、工程が同一である、または異なり得る。ガス状相内での硫化は、固定床プロセス、及び(触媒が反応器(例えば、蒸発プロセス及び回転炉)に対応して移動する)流動床プロセスを含む、任意の好適な様式で実施することができる。
【0080】
触媒前駆体の、水素及び硫黄含有化合物との接触は、1~100時間の期間、68°F~700°F(20℃~371℃)の温度、及び、101kPa~25,000kPaの圧力にて、1工程で行うことができる。通常、硫化は一定時間にわたり実施され、温度は増加するか、または徐々に上昇して完了まで一定時間にわたり維持される。
【0081】
硫化の別の実施形態では、硫化はガス状相内で実施することができる。硫化は2つ以上の工程で実施され、第1工程は、その後の工程(複数可)と比較して低温で実施される。
【0082】
一実施形態では、硫化は液相内で実施される。まず、触媒前駆体は、触媒の全間隙体積の20%~500%の範囲の量で、有機液体と接触させられる。有機液体との接触は、周囲温度~248°F(120℃)の範囲の温度であることができる。有機液体を組み込んだ後、触媒前駆体を、水素及び硫黄含有化合物と接触させる。
【0083】
一実施形態では、有機液体は、200°F~1200°F(93℃~649℃)の沸騰範囲を有する。例示的な有機液体としては、重油などの石油留分、鉱物性潤滑油などの潤滑油留分、常圧軽油、減圧軽油、直留軽油、ホワイトスピリット、ディーゼル、ジェット燃料、及び灯油などの中間留分、ナフサ、ならびにガソリンが挙げられる。一実施形態では、有機液体は、10重量%未満、及び好ましくは5重量%未満の硫黄を含有する。
【0084】
本プロセスは、単一ステージの水素化分解プロセスである。単一ステージ水素分解器への供給物は、多くの場合アンモニア及び硫化水素として、確かな濃度の窒素及び硫黄を有する。したがって、触媒は、窒素及び硫黄の存在が反応速度に影響を及ぼす可能性があるため、そのような汚れた供給物に対して耐性を有しなければならず、それにより、異なる生成物の選択性及び触媒活性がもたらされる。
【0085】
本単一ステージ水素化分解プロセスは、炭化水素原料を、本触媒と炭化水素条件下で接触させて、単一ステージで中間留分を含む溶出物を作製することを含む。一実施形態では、触媒を、再利用して、または再利用せずに(貫流して)、単一ステージ水素化分解ユニット内の1つ以上の固定床にて用いる。場合により、単一ステージ水素化分解ユニットは、並行して操作される複数の単一ステージユニットを用いることができる。
【0086】
好適な炭化水素原料としては、ビスブレーキングガス油(VGB)、重コーカーガス油(heavy coker gas oils)、水素化分解残留物または脱硫化残留物から得られるガス油が挙げられる。他の熱クラック油、脱アスファルト化油、フィッシャー・トロプシュ由来の原料、FCCユニット由来のサイクル油、重コール由来の留分、コールの気化副生物であるタール、重シェール由来の油、パルプもしくは紙ミル、または、廃棄バイオマス熱分解ユニット由来のものなどの、有機廃油。
【0087】
水素化分解条件は、175℃~485℃の範囲の温度、1~100の水素:炭化水素充填モル比、0.5~350バールの範囲の圧力、及び、0.1~30の範囲の、時間当たりの液空間速度(LHSV)を含む。単一ステージの水素化分解プロセスにおいて、ZSM-12を含む本触媒基材を使用することで、より望ましい中間留分(380~530°F)生成物における、選択性の改善(相当する転化における)ことが観察されている。中間留分生成物に関しては、選択性は少なくとも20重量%であり得る。他の実施形態では、少なくとも25重量%、少なくとも28重量%、またはさらに、少なくとも30重量%の、中間留分生成物に対する選択性が実現できる。軽留分もまた、増加を示すことができる。中間留分の低温流特性の有益な改善もまた、観察されている。
【0088】
例1
支持体ならびに触媒組成、ならびに、試料A、B、C、及びDの特性を表2に示す:

【表2】
【0089】
例2
触媒(試料)A-比較水素化分解触媒
比較水素化分解触媒を、以下の手順に従い調製した:49.4重量部シリカ-アルミナ粉末(Sasolから入手)、22.6重量部シュードベーマイトアルミナ粉末(Sasolから入手)、22.4重量部ゼオライトY(Zeolyst,JGC,Tosoh製)、及び、5.6重量部ゼオライトβ(Clariant,Zeolyst,China Catalyst Group,BASF製)を十分混合した。希釈したHNO酸水溶液(2重量%)を混合粉末に加え、押出可能なペーストを形成した。ペーストを1/16インチの非対称な四つ葉型に押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥させた。乾燥した押出品を1100°F(593℃)で1時間、余分な乾燥空気をパージしながら焼成し、室温まで冷却した。
【0090】
メタタングステン酸アンモニウム及び炭酸ニッケル塩基性水和物を、完成した触媒のバルク乾燥重量において、3.8重量%のNiO、及び32.0重量%のWOの標的金属使用量で使用することで、Ni及びWの含浸を終えた。キレート剤のクエン酸(酸/Niのモル比が0.79)を、最初にDI水と共に、炭酸ニッケル塩基性水和物と混合した。次に、カーボネートの分解のために、ニッケル/酸溶液を水浴中で149°F(65℃)以上まで加熱した後、メタタングステン酸アンモニウムを溶液に添加した。溶液の総体積は、基礎押出品試料の103%の水細孔容積に一致した(初期浸潤法)。押出品を回転させながら、金属溶液を基礎押出品に徐々に加えた。溶液の添加が完了した際、浸漬させた押出品を2時間エージングさせた。次に、押出品を250°F(121℃)で2時間乾燥させた。乾燥した押出品を425°F(218℃)で1時間、余分な乾燥空気をパージしながら焼成し、室温まで冷却した。この触媒は触媒Aと名付け、その物理的特性は上の表2にまとめている。
【0091】
例3
触媒(試料)B-第2の比較水素化分解触媒
比較水素化分解触媒を、以下の手順に従い調製した:52.5重量部のシリカ-アルミナ粉末、22.6重量部のシュードベーマイトアルミナ粉末、16.6重量部のゼオライトY、及び8.3重量部のゼオライトβを十分混合した。希釈したHNO酸水溶液(2重量%)を混合粉末に加え、押出可能なペーストを形成した。ペーストを1/16インチの非対称な四つ葉型に押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥させた。乾燥した押出品を1100°F(593℃)で1時間、余分な乾燥空気をパージしながら焼成し、室温まで冷却した。
【0092】
メタタングステン酸アンモニウム及び炭酸ニッケル塩基性水和物を、完成した触媒のバルク乾燥重量において、3.8重量%のNiO、及び32.0重量%のWOの標的金属使用量で使用することで、Ni及びWの含浸を終えた。キレート剤のクエン酸(酸/Niのモル比が0.79)を、最初にDI水と共に、炭酸ニッケル塩基性水和物と混合した。次に、カーボネートの分解のために、ニッケル/酸溶液を水浴中で149°F(65℃)以上まで加熱した後、メタタングステン酸アンモニウムを溶液に添加した。溶液の総体積は、基礎押出品試料の103%の水細孔容積に一致した(初期浸潤法)。押出品を回転させながら、金属溶液を基礎押出品に徐々に加えた。溶液の添加が完了した際、浸漬させた押出品を2時間エージングさせた。次に、押出品を250°F(121℃)で2時間乾燥させた。乾燥した押出品を425°F(218℃)で1時間、余分な乾燥空気をパージしながら焼成し、室温まで冷却した。この触媒は触媒Bと名付け、その物理的特性は上の表2にまとめている。
【0093】
例4
触媒(試料)C-ZSM-12ゼオライトを含む新規の水素化分解触媒
以下のプロセスに従った水素化分解触媒を、以下の手順に従い調製した:49.4重量部のシリカ-アルミナ粉末、22.6重量部のシュードベーマイトアルミナ粉末、16.0重量部のゼオライトY、8.0重量部のゼオライトβ、及び4.0重量部のゼオライトZSM-12を十分混合した。希釈したHNO3酸水溶液(2重量%)を混合粉末に加え、押出可能なペーストを形成した。ペーストを1/16インチの非対称な四つ葉型に押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥させた。乾燥した押出品を1100°F(593℃)で1時間、余分な乾燥空気をパージしながら焼成し、室温まで冷却した。
【0094】
メタタングステン酸アンモニウム及び硝酸ニッケル塩基性水和物を、完成した触媒のバルク乾燥重量において、3.8重量%のNiO、及び32.0重量%のWOの標的金属使用量で使用することで、Ni及びWの含浸を終えた。キレート剤のクエン酸(酸/Niのモル比が0.79)を、最初にDI水と共に、炭酸ニッケル塩基性水和物と混合した。次に、カーボネートの分解のために、ニッケル/酸溶液を水浴中で149°F(65℃)まで加熱した後、メタタングステン酸アンモニウムを溶液に添加した。溶液の総体積は、基礎押出品試料の103%の水細孔容積に一致した(初期浸潤法)。押出品を回転させながら、基礎溶液を基礎押出品に徐々に加えた。溶液の添加が完了した際、浸漬させた押出品を5時間エージングさせた。次に、押出品を150°F(66℃)で1時間乾、その後、250°F(121℃)で1時間乾燥させた。乾燥した押出品を425°F(218℃)で1時間、余分な乾燥空気をパージしながら焼成し、室温まで冷却した。この触媒は触媒Cと名付け、その物理的特性は上の表2にまとめている。
【0095】
例5
触媒(試料)D-ZSM-12ゼオライトを含む第2の新規の水素化分解触媒
新規の水素化分解触媒を、以下の手順に従い調製した:49.4重量部のシリカ-アルミナ粉末、22.6重量部のシュードベーマイトアルミナ粉末、16.0重量部のゼオライトY、及び12.0重量部のゼオライトZSM-12を十分混合した。希釈したHNO酸水溶液(2重量%)を混合粉末に加え、押出可能なペーストを形成した。ペーストを1/16インチの非対称な四つ葉型に押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥させた。乾燥した押出品を1100°F(593℃)で1時間、余分な乾燥空気をパージしながら焼成し、室温まで冷却した。
【0096】
メタタングステン酸アンモニウム及び炭酸ニッケル塩基性水和物を、完成した触媒のバルク乾燥重量において、3.8重量%のNiO、及び32.0重量%のWOの標的金属使用量で使用することで、Ni及びWの含浸を終えた。キレート剤のクエン酸(酸/Niのモル比が0.79)を、最初にDI水と共に、炭酸ニッケル塩基性水和物と混合した。次に、カーボネートの分解のために、ニッケル/酸溶液を水浴中で149°F(65℃)以上まで加熱した後、メタタングステン酸アンモニウムを溶液に添加した。溶液の総体積は、基礎押出品試料の103%の水細孔容積に一致した(初期浸潤法)。押出品を回転させながら、金属溶液を基礎押出品に徐々に加えた。溶液の添加が完了した際、浸漬させた押出品を5時間エージングさせた。次に、押出品を150°F(66℃)で1時間乾燥させ、その後、250°F(121℃)で1時間乾燥させた。乾燥した押出品を425°F(218℃)で1時間、余分な乾燥空気をパージしながら焼成し、室温まで冷却した。この触媒は触媒Dと名付け、その物理的特性は上の表2にまとめている。
【0097】

【表3】
【0098】
例6
例1の様々な触媒を、同様の条件下で、表3に示すVGO供給物の水素化分解に使用した。触媒押出品は全て、1~2のL/Dに短縮し、3/8インチのODステンレス鋼反応器に詰めた。16.0mLの総触媒体積を、ベンチスケールユニット(BSU)で2つの反応器に装填した。8.0mLのICR 511を、水素窒素化、水素硫化、及び水素脱芳香族化のための水素化分解前処理として、第1の反応器に装填した。ICR 511を710~725°F(373~385℃)の温度で操作して、5~50ppmの範囲の窒素含有量の、全液体生成物(WLP)を生成した。例1で調製した8mLの水素化分解触媒を第2の反応器に装填し、710~780°F(373~416℃)の範囲の温度で操作し、20重量%~90重量%の水素化分解転化(<700°F、または<371°F)に到達させた。
【0099】
選択された水素化分解特性結果を表4で以下に示す:
【表4】
【0100】
表4の前述の結果から確認できるように、試料C及びDは、本プロセスで使用する触媒を示し、中間留分生成物(380~530°F、193℃~277℃)において、相当の転化で、著しい改善をもたらす。軽留分(300~380°F)における改善もまた、確認することができる。図1及び図2は、試料B及び試料Cを使用する際に実現される低温流特性を比較する。試料Cは、曇り点及び流動点特性が改善された生成物を示す。
図1
図2
【国際調査報告】