(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(54)【発明の名称】共通接触物品の微生物除染
(51)【国際特許分類】
A61L 2/24 20060101AFI20230622BHJP
A61L 2/08 20060101ALI20230622BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A61L2/24
A61L2/08 104
A61L2/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573271
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 US2021033326
(87)【国際公開番号】W WO2021242595
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ランドル ハッチ
(72)【発明者】
【氏名】ポール ドミニク クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ポール アール.クラウス
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA24
4C058AA26
4C058BB06
4C058DD07
4C058DD13
4C058DD20
4C058KK01
4C058KK02
(57)【要約】
抗菌照明システムは、共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するために、1つ以上の抗菌波長範囲内の抗菌光を放射する抗菌照明アレイを含む。共通接触表面としては、例えば、レストランのメニュー、航空会社の安全指示、パンフレット、指示カード、又はほぼ平坦なフォームファクタを有するか若しくは平坦なフォームファクタに低減することができる他の共通接触対象物が挙げられ得る。共通接触表面への抗菌光の適用は、そのような共通接触表面の衛生状態を改善し、微生物の増殖を許容可能なレベル未満に維持するのに役立ち得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
1つ以上の抗菌照明セグメントを含む照明アレイであって、各抗菌照明セグメントは、1つ以上の抗菌波長範囲内の光を放射する1つ以上の光源素子を含む照明アレイと、
照明コントローラと、を備え、前記照明コントローラは、
1つ以上のプロセッサと、
命令を含むデータ記憶デバイスと、を備え、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、前記1つ以上のプロセッサに、
共通接触対象物に関連付けられた対象物種類情報を受信すること、
前記抗菌光アレイが、受信した前記対象物種類情報に基づいて、前記共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な抗菌光を送達するように、各抗菌照明セグメントを制御すること、
を行わせる、システム。
【請求項2】
対象物種類情報は、ユーザによって入力される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記対象物種類情報は、前記共通接触対象物がレストランのメニュー、航空会社の安全指示、又は使用説明書(IFU)のうちの1つであることを示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記共通接触対象物は、平坦なかつ/又は折り畳まれたフォームファクタを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサは、前記対象物種類情報に基づいて、前記抗菌照明セグメントのうちの1つ以上を活性化し、前記抗菌照明セグメントのうちの1つ以上を非活性化する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、
カバーと、基部と、1つ以上の側壁と、を含む、ハウジングを更に含み、
前記ハウジングは、閉鎖された除染チャンバを画定し、
前記ハウジングは、前記側壁のうちの1つに、共通接触対象物を受容するサイズのスロットを更に含み、
前記抗菌光セグメントは、前記除染チャンバ内の除染領域に向かって抗菌光を方向付けるように配置され、前記共通接触対象物は、抗菌光処理中に前記除染領域内に定置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の抗菌照明セグメントは、前記除染チャンバ内に配設されて、前記共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するのに十分な波長及び照射照度で光を方向付ける、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み、各LED素子は、約380~420ナノメートルの第1の波長範囲内でありかつ約405ナノメートルのピーク波長を有する抗菌光を放射する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のLED素子は、前記基板上に線形状に配置されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のLED素子は、前記基板上にグリッド状に配置される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記基板は、可撓性基板又は剛性基板のうちの1つである、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み、前記LED素子のうちの1つ以上は、約380~420ナノメートルの第1の抗菌波長範囲内で光を放射し、前記LED素子のうちの1つ以上は、約200~280ナノメートルの第2の抗菌波長範囲内で光を放射する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み、前記LED素子のうちの1つ以上は、約380~420ナノメートルの第1の抗菌波長範囲内で光を放射し、前記LED素子のうちの1つ以上は、第2の抗菌波長範囲内の光を放射し、前記第2の抗菌波長範囲は、315~400nmの波長範囲内の紫外線A(UVA)光、280~315nmの波長範囲内の紫外線B(UVB)光、又は200~280nmの波長範囲内の紫外線C(UVC)光のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記データ記憶デバイスは、命令を更に含み、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、前記1つ以上のプロセッサに、
前記共通接触対象物に関連付けられた寸法情報を受信すること、
前記抗菌光アレイが、受信した前記寸法情報に基づいて、前記共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な抗菌光を送達するように、各抗菌照明セグメントを制御すること、を行わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記共通接触対象物は、第1の共通接触表面と、対向して面する第2の共通接触表面と、を含み、前記システムは、
前記共通接触対象物を受容するサイズの、閉鎖されたチャンバを形成するハウジングと、
1つ以上の抗菌光セグメントのアレイであって、前記チャンバ内に配置されて、前記第1の共通接触表面を照射するサイズの抗菌光源素子の第1のグリッド状を形成し、前記第2の共通接触表面を照射するサイズの抗菌光源素子の第2のグリッド状を形成する、1つ以上の抗菌光セグメントのアレイと、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記抗菌光セグメントは、前記第1及び第2の共通接触表面を同時に照射するように制御可能である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記抗菌光セグメントは、前記第1及び第2の共通接触表面を順番に照射するように制御可能である、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
方法であって、
1つ以上の抗菌照明セグメントを含む照明アレイを配設することであって、各抗菌照明セグメントは1つ以上の光源素子を含み、各光源素子が1つ以上の抗菌波長範囲内の抗菌光を放射する、配設すること、
共通接触対象物に関連付けられた対象物種類情報を受信すること、
前記抗菌光アレイが、受信した前記対象物種類情報に基づいて、前記共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な抗菌光を送達するように、各抗菌照明セグメントを制御すること、を含む、方法。
【請求項20】
各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み、前記LED素子のうちの1つ以上は、約380~420ナノメートルの第1の抗菌波長範囲内でありかつ約405ナノメートルのピーク波長を有する光を放射する、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記LED素子のうちの1つ以上は、約200~280ナノメートルの第2の抗菌波長範囲内で光を放射する、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月29日に出願された「MICROBIAL DECONTAMINATION OF COMMON TOUCH ARTICLES」と題された米国仮出願第63/031,931号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
共通に接触される環境表面は、相互汚染による人から人への病原菌の伝染につながる。共通接触表面は、感染性病原菌の病原巣として機能する可能性があり、これらの微生物及び他の微生物は、ユーザの手によって直接的又は間接的に伝染する可能性がある。例えば、レストランのメニュー、航空会社の安全指示などの再使用可能な共通接触対象物は、有害な微生物の堆積及び移動を繰り返す可能性がある。しかしながら、レストラン及び航空会社などの企業は、このリスクに対処するために考えられた清掃手順を実施している場合があるが、実際には、そのような物品の清掃及び/又は消毒が頻繁でないか又は不十分である可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
概して、本開示は、抗菌光を使用して共通接触表面での微生物の増殖を低減又は軽減するシステム及び/又は方法を対象とする。いくつかの例では、本開示は、1つ以上の抗菌波長範囲内の抗菌光を印加して、1つ以上の共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するシステム及び/又は方法を対象とする。共通接触表面としては、例えば、レストランのメニュー、航空会社の安全指示、パンフレット、使用説明書(IFU)、クレジットカード、又はほぼ平坦なかつ/若しくは折り畳まれたフォームファクタを有するか若しくは平坦なフォームファクタに低減することができる、他の共通接触対象物の表面が挙げられ得る。他の例では、共通接触対象物/表面は、三次元であり得る。抗菌光を適用して共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化することにより、共通接触表面の相互汚染による微生物の伝染の可能性を低減するのに役立ち得る。
【0004】
別の例では、本開示は、非熱(NT)プラズマ生成器を使用して共通接触表面上での成長を低減又は軽減するシステム及び/又は方法を対象とする。例えば、除染デバイスは、共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するためのNTプラズマ生成器を含み得る。
【0005】
一例では、本開示は、システムであって、1つ以上の抗菌照明セグメントを含む照明アレイであって、各抗菌照明セグメントは、1つ以上の抗菌波長範囲内の光を放射する1つ以上の光源素子を含む照明アレイと、照明コントローラと、を備え、照明コントローラは、1つ以上のプロセッサと、命令を含むデータ記憶デバイスと、を含み、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサに、共通接触対象物に関連付けられた対象物種類情報を受信すること、抗菌光アレイが、受信した対象物種類情報に基づいて、共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な抗菌光を送達するように、各抗菌照明セグメントを制御すること、を行わせる、システムを対象とする。
【0006】
対象物種類情報は、ユーザによって入力され得る。対象物種類情報は、共通接触対象物がレストランのメニュー、航空会社の安全指示、又は使用説明書(IFU)のうちの1つであることを示し得る。共通接触対象物は、平坦なかつ/又は折り畳まれたフォームファクタを有し得る。1つ以上のプロセッサは、対象物種類情報に基づいて、抗菌照明セグメントのうちの1つ以上を活性化し、抗菌照明セグメントのうちの1つ以上を非活性化し得る。
【0007】
システムは、カバーと、基部と、1つ以上の側壁と、を含む、ハウジングを更に備え得、ハウジングは、閉鎖された除染チャンバを画定し、ハウジングは、側壁のうちの1つに、共通接触対象物を受容するサイズのスロットを更に含み、抗菌光セグメントは、除染チャンバ内の除染領域に向かって抗菌光を方向付けるように配置され、共通接触対象物は、抗菌光処理中に除染領域内に定置される。1つ以上の抗菌照明セグメントは、除染チャンバ内に配設されて、共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するのに十分な波長及び照射照度で光を方向付け得る。
【0008】
各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み得る。各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み得、各LED素子は、約380~420ナノメートルの第1の波長範囲内でありかつ約405ナノメートルのピーク波長を有する抗菌光を放射する。複数のLED素子は、基板上に線形状に配置され得る。複数のLED素子は、基板上にグリッド状に配置され得る。基板は、可撓性基板又は剛性基板のうちの1つであり得る。
【0009】
各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み得、LED素子のうちの1つ以上が、約380~420ナノメートルの第1の抗菌波長範囲内で光を放射し、LED素子のうちの1つ以上が、約200~380ナノメートルの第2の抗菌波長範囲内で光を放射する。
【0010】
各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み得、LED素子のうちの1つ以上が、約380~420ナノメートルの第1の抗菌波長範囲内で光を放射し、LED素子のうちの1つ以上が、第2の抗菌波長範囲内の光を放射し、第2の抗菌波長範囲が、315~400nmの波長範囲内の紫外線A(UVA)光、280~315nmの波長範囲内の紫外線B(UVB)光、又は200~280nmの波長範囲内の紫外線C(UVC)光のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
データ記憶デバイスは、命令を更に含み得、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサに、共通接触対象物に関連付けられた寸法情報を受信させ、かつ各抗菌照明セグメントを制御させ、これにより抗菌光アレイが、受信した寸法情報に基づいて、共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な抗菌光を送達するようにする。
【0012】
共通接触対象物は、第1の共通接触表面と、対向して面する第2の共通接触表面と、を含み得、システムは、共通接触対象物を受容するサイズの、閉鎖されたチャンバを形成するハウジングと、1つ以上の抗菌光セグメントのアレイであって、チャンバ内に配置されて、第1の共通接触表面を照射するサイズの抗菌光源素子の第1のグリッド状を形成し、第2の共通接触表面を照射するサイズの抗菌光源素子の第2のグリッド状を形成する、1つ以上の抗菌光セグメントのアレイと、を更に備える。抗菌光セグメントは、第1及び第2の共通接触表面を同時に照射するように制御可能であり得る。抗菌光セグメントは、第1及び第2の共通接触表面を順番に照射するように制御可能であり得る。
【0013】
別の例では、本開示は、方法であって、1つ以上の抗菌照明セグメントを含む照明アレイを配設することであって、各抗菌照明セグメントは1つ以上の光源素子を含み、各光源素子が1つ以上の抗菌波長範囲内の抗菌光を放射する、配設すること、共通接触対象物に関連付けられた対象物種類情報を受信すること、各抗菌照明セグメントを制御することであって、これにより抗菌光アレイが、受信した対象物種類情報に基づいて、共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な抗菌光を送達するようにする、制御すること、を含む、方法を対象とする。
【0014】
各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み得、LED素子のうちの1つ以上が、約380~420ナノメートルの第1の抗菌波長範囲内でありかつ約405ナノメートルのピーク波長を有する光を放射する。LED素子のうちの1つ以上は、約200~280ナノメートルの第2の抗菌波長範囲内で光を放射し得る。
【0015】
1つ以上の例の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載される。他の特徴及び利点は、記述及び図面から、かつ特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示による、共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するための複数の抗菌光セグメントを含む、例示的な除染デバイスの断面側面図を示す。
【
図2A】抗菌光セグメントに関する例示的なグリッド設計を示す。
【
図2B】抗菌光セグメントに関する例示的なグリッド設計を示す。
【
図2C】2つの異なるLED光源素子の例示的な放射角を示す。
【
図3】基板上にグリッド状に配置された複数の抗菌光源素子を各々が含む、2つの例示的な抗菌光セグメントを示す写真である。
【
図4】本開示による、光アレイ、コントローラ、及び1つ以上の個別に制御可能な抗菌光セグメントを含む例示的な除染デバイスを示すブロック図である。
【
図5】本開示による、共通接触表面上で微生物を不活化するためにコントローラが1つ以上の抗菌光セグメントを個別に制御し得る例示的なプロセスを示すフロー図である。
【
図6】本開示による、共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するための非熱(NT)プラズマ生成器を含む例示的な除染デバイスのブロック図を示す。
【
図7】三次元対象物の除染のための1つ以上の抗菌照明セグメントの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概して、いくつかの例では、本開示は、抗菌光を使用して共通接触表面での微生物の増殖を低減又は軽減するシステム及び/又は方法を対象とする。例えば、本開示は、1つ以上の抗菌波長範囲内の抗菌光を印加して、共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するシステム及び/又は方法を対象とする。共通接触表面としては、例えば、レストランのメニュー、航空会社の安全指示、パンフレット、指示カード、又はほぼ平坦なフォームファクタを有するか若しくは平坦なフォームファクタに低減することができる他の共通接触対象物が挙げられ得る。抗菌光を適用して共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化することにより、共通接触表面の相互汚染による微生物の伝染の可能性を低減するのに役立ち得る。
【0018】
別の例では、本開示は、非熱(NT)プラズマ生成器を使用して共通接触表面上での成長を低減又は軽減するシステム及び/又は方法を対象とする。例えば、除染デバイスは、共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するためのNTプラズマ生成器を含み得る。
【0019】
抗菌光は、380~420ナノメートル(nm)の第1の抗菌波長範囲内の光、及び/又は10~400ナノメートル(nm)の波長範囲内の紫外線光などの第2の抗菌波長範囲内の光を含み得る。いくつかの例では、第1の波長範囲内の抗菌光は、約405nmのピーク波長を有する。いくつかの例では、第2の波長範囲内の抗菌光は、315~400nmの波長範囲内の紫外線A(UVA)光、280~315nmの波長範囲内の紫外線B(UVB)光、及び/又は200~280nmの波長範囲内の紫外線C(UVC)光を含み得る。抗菌光の適用により、衛生状態を改善し、共通接触対象物の1つ以上の表面上の微生物の増殖を低減し得る。いくつかの例では、システム及び/又は方法は、噴霧及び/又は拭き取りなどの手動の洗浄手順を補完し、共通接触表面の相互汚染によって微生物が伝染する可能性を低減するのに役立ち得る。
【0020】
本開示では、概してレストランのメニュー、航空会社の指示カード、及びほぼ平坦なかつ/又は折り畳まれたフォームファクタを有する他の共通接触対象物などの共通接触表面上の微生物の増殖を低減するための抗菌照明について考察するが、本開示の抗菌照明アレイが、同様のフォームファクタを有する他の種類の共通接触対象物における微生物の増殖を低減するためにも使用され得、本開示がこの点において限定されないことを理解されたい。例えば、抗菌照明アレイは、クレジットカード、封筒、手紙、セルフレジ通路で使用されるハンドヘルドバーコードスキャナ、食料品店のレジで顧客の商品と別の顧客の商品を区別するために使用される仕切りバー、席に案内されるのを待っている顧客に渡されるレストランのテーブル番号プラカード又は電子「パック」、再利用可能な布ナプキン若しくは他の再利用可能な布地、及び微生物の増殖の影響を受けやすいか又は微生物の増殖を軽減若しくは低減することで恩恵を受ける可能性のある、任意の他の共通接触対象物上の微生物の増殖を低減するためにも使用され得る。
【0021】
約380~420nmの範囲の波長を有する光は、微生物及び病原菌を不活化することによって空気及び露出表面を除染することが実証されている。本開示の目的のため、いくつかの例では、「抗菌光」という用語は、約380~420nmの第1の波長範囲内の光を含む。いくつかの例では、第1の波長範囲内の抗菌光は、約405nmのピーク波長を有する。抗菌光は、結果として所望の期間内に標的表面で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な、これらの波長の照射照度(標的表面が受容する、単位面積当たりのパワー)を有する。いくつかの例では、抗菌光源は、約380~420nmの第1の波長範囲内の光を放射する発光ダイオード(LED)などの1つ以上の光源素子を含み得る。いくつかの例では、LEDによって放射される第1の波長範囲内の抗菌光は、約405nmのピーク波長を有する。光源素子によって放射される波長の特定の範囲は、例えば、特定の光源素子ごとの応答曲線に応じて、これらの記載された範囲からいくらか変化する可能性があることが理解されるべきであり、この点において本開示は限定されない。また、各光源素子が必ずしも全波長範囲にわたって光を放射するとは限らない。概して、抗菌光は、これらの波長の少なくとも一部を、所望の期間内に標的表面上の1つ以上の微生物を不活化するのに十分な強度で含む。
【0022】
いくつかの他の例では、「抗菌光」は、第2の波長範囲内の光を含み得、第2の波長範囲は、10~400ナノメートル(nm)の波長範囲内の紫外線光を含む。紫外線光は、315~400nmの波長範囲内の紫外線A(UVA)光、280~315nmの波長範囲内の紫外線B(UVB)光、及び/又は200~280nmの波長範囲内の紫外線C(UVC)光を含み得る。紫外線光の強度は、結果として所望の期間内に標的表面で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な、これらの波長の照射照度(標的表面が受容する、単位面積当たりのパワー)を有する。いくつかの例では、第2の抗菌波長範囲内の光を放射する光源素子は、発光ダイオード(LED)を含む。第1の波長範囲の光及び第2の波長範囲の光は、同じ光源素子によって放射されても、異なる光源素子によって放射され得る。
【0023】
合成された抗菌光(すなわち、第2の波長範囲の光と合成された第1の波長範囲の光)のスペクトルエネルギーは、第1の波長範囲内の光のスペクトルエネルギーの割合及び第2の波長範囲内のスペクトルエネルギーの割合が、標的の微生物の種類、標的の微生物を十分に不活化するのに必要な時間量に関して最適化されて、標的表面の退色又は他の劣化などの損傷を最小限に抑えるように、抗菌光の特定の波長、部屋の占有率、及び/又は印加される抗菌波長の相対量に影響を与える可能性のある他の要因へのヒト曝露を最小限に抑えるように、設計され得る。例えば、いくつかの用途では、合成光は、合成光のスペクトルエネルギーの少なくとも30%が第1の波長範囲内にあり、合成光のスペクトルエネルギーの少なくとも30%が第2の波長範囲内にあるように設計され得る。
【0024】
第2の抗菌波長範囲内の光素子は、UVA、UVB及び/又はUVC波長のうちの1つ以上を含むことができ、これらは、380~420nmの第1の抗菌波長範囲内の光を放射する光素子と併せて、又は独立して使用され得る。第2の抗菌波長範囲の光素子は、アレイ全体に散在され得、それらが順次サイクルされる、第1の抗菌波長範囲の光素子とは無関係にパルス化される、異なる電力設定で操作される、などの様態で活性化することができる。
【0025】
合成光(すなわち、第2の波長範囲の光と合成された第1の波長範囲の光)の場合、第1の波長範囲の光のスペクトルエネルギーの割合は、合成光のスペクトルエネルギーの少なくとも30%が第1の波長範囲内にあり、合成光のスペクトルエネルギーの少なくとも30%が第2の波長範囲内にあるようなものであり得る。
【0026】
除染デバイスは、1つ以上の個別に制御可能な抗菌光セグメントのアレイを含み得る。各抗菌光セグメントは、基板及び1つ以上の発光素子を含み得、発光素子の各々は、標的表面上の1つ以上の微生物を不活化するのに十分な波長及び照射照度で光を放射する。例えば、抗菌光セグメントは、概して線形状に配置された1つ以上の行を含む複数の表面取り付け型LEDが装着された回路基板を含むLEDライトストリップを含み得る。他の例では、抗菌光セグメントは、固体基板、パネル、又は他の基板上に印刷されたLEDのグリッドを含み得る。基板は、設置の必要性に応じて、剛性又は可撓性であり得る。他の例として、LEDチューブライト、ライトバー、ロープライト、電球、個々の発光素子、及び任意の他の可撓性若しくは非可撓性の光素子構成若しくは形状が挙げられ得る。いくつかの例では、照射される共通接触表面の寸法にほぼ対応するように、光セグメントのサイズ及び形状は、カスタマイズされ得る。換言すれば、共通接触対象物の共通接触表面全体が同時に照射されるように、光セグメントは、カスタマイズされ得る。概して、抗菌光セグメントは、共通接触対象物の1つ以上の共通接触表面で波長及び照射照度で光を方向付けて、それらの表面における所望のレベルの微生物不活化を達成するか、又は所望の期間内にそれらの表面における微生物の増殖を低減又は防止する。
【0027】
各々の個々の光素子は、指向性又は無指向性であり得る。更に、全ての光素子が同じ指向性を有する必要はなく、すなわち、「フラッド」スタイル及び「スポット」スタイルの照明素子は、同じ照明セグメント内で、又は照明アレイの照明セグメントを通して使用され得る。抗菌光セグメントの個別制御、又は各光セグメント内の抗菌光源素子の個々若しくはグループの個別制御は、共通接触表面及び/又は共通接触対象物の寸法、除染する表面又は対象物の種類、共通接触表面及び/又は共通接触対象物の材料、除染が行われる事業又は環境の種類、共通接触面及び/又は共通接触対象物上で除染される微生物の種類、除染に利用可能であると予想される時間量、若しくは除染が時間内に行われることが所望されるその時間量、光源素子と共通接触表面との間の距離、除染事象間の時間、共通接触面上の汚れ残留量、並びに/又は共通接触表面及び/若しくは共通接触対象物を適切に除染するために必要な抗菌光の種類及び/若しくは量に影響を及ぼし得る他の要因、に基づき得る。
【0028】
共通接触対象物としては、レストランのメニュー、航空会社の指示カード、パンフレット、クレジットカード、又は本明細書に記載するほぼ平坦なフォームファクタを有するか若しくは平坦なフォームファクタに低減することができる他の共通接触対象物が挙げられ得る。そのような例では、共通接触対象物は、第1の共通接触表面と、対向して面する第2の共通接触表面と、を含み得る。除染デバイスは、第1の共通接触表面を照射するサイズの抗菌光源素子の第1のグリッド状を形成するように配置され、かつ第2の共通接触表面を照射するサイズの抗菌光源素子の第2のグリッド状を形成するように配置された、1つ以上の抗菌光セグメントのアレイを含み得る。抗菌光セグメントは、第1及び第2の共通接触表面を同時に照射し得る。別の例では、抗菌光セグメントを個別に制御して、第1及び第2の共通接触表面を順番に、又は部分的に重複する順番で照射し得る。
【0029】
識別された各標的共通接触表面は、所望の期間内に識別された標的表面上で微生物の不活化をもたらすのに十分な照射量で、1つ以上の抗菌波長範囲内の光で照光される。照射量は、放射照度、又は標的表面で測定される、表面が受容する抗菌波長の単位面積当たりのエネルギー(例えば、平方センチメートル当たりのジュール、J/cm-2
、W・s・cm-2で測定される)として定義され得る。照射照度は、光源に印加される電力、光源から標的表面までの距離、照光される総表面積、及び露出時間によって少なくとも部分的に依存する。
【0030】
いくつかの例では、共通接触対象物の種類並びに/又は共通接触対象物が使用及び/若しくは除染される環境に依存して、共通接触対象物のための抗菌光処置プロトコルは確立され得る。例えば、共通接触対象物内又はその上の全てのゾーン又は表面を、連続的に若しくは一度に、又は同じ用量で照光する必要がない場合がある。ゾーンは、処置が最も効果的又は最も便利なときに、抗菌光によって自動的かつ選択的に処置され得る。例えば、レストランの用途では、メニューの除染は、各顧客の間、各シフトの後、一日の終わり、及び/又は任意の他の指定された時間に実施され得る。例えば、航空会社の用途では、指示カードの除染は、各フライトの前/後、定期的な清掃若しくはメンテナンス中、及び/又は任意の他の指定された時間に実施され得る。別の例では、抗菌照明は、共通接触対象物又は共通接触表面が抗菌光処置により利益を得ることができると判断されたときはいつでも、手動で活性化され得る。
【0031】
抗菌光処置プロトコルには、高曝露設定(フルパワーオン又は最高強度)の抗菌サイクルモード、節電又は曝露リスクの最小化のための処置中断モード(電源オフ)が含まれ得る。また、抗菌光処置プロトコルには、電力低減モード又は修正設定を含み得、ここでは、特定の抗菌光セグメントが選択的に制御されて出力強度が低減するが、標的表面で1つ以上の微生物を不活化するのには十分なレベルである。例えば、抗菌性光素子は、光素子がアレイ全体で順次サイクルするように「レース(race)」モードでサイクルされ得る。
【0032】
除染デバイスは、1つ以上の抗菌波長範囲内の光を出力する照明セグメント及び/又は照明素子を含み得る。例えば、いくつかの照明セグメント又は照明素子は、第1の抗菌波長範囲内の光を出力し、他の照明セグメント又は照明素子は、第2の抗菌波長範囲内の光を出力し得る。
【0033】
抗菌光アレイは、微生物の不活化が望まれる標的表面において、連続する各々の照明素子からの照光が重なり合うように構成され得る。この円錐状の照光は、各照明セグメント内の個々の光素子の設計及び物理的配置、並びに標的表面からの素子の距離に応じて、表面領域を照光する。照明アレイの設計及び設置は、処置されている標的表面全体にわたって、表面に連続的又は断続的な照光が存在するように行われる。処置されている表面での照射照度パワーは、エミッタと表面との間の距離に依存することを理解する必要がある。抗菌光のパワーは、微生物の軽減に必要な十分な照射照度が所望の期間内に達成されるように制御されなければならない。微生物の軽減に必要な時間/照射照度/距離出力の関係は、標的有機体に依存することを更に理解する必要がある。
【0034】
抗菌照明素子のLED寿命は、数百時間~100,000時間超の動作に及ぶ場合がある。更に、ランプの放射電力は、パルス幅変調(PWM)技術を使用して変調されて、一定の電力で動作させたときに光の寿命が悪影響を受ける程度まで抗菌光にストレスを与えることなく、より高い照射出力を実現することができる。抗菌光セグメントに適用される周波数及びデューティサイクルは、標的表面で所望の照射パワーを達成するために変調され得る。PWMにより、LEDランプの色温度(スペクトル分布)を維持しながら、観察されるランプの輝度を変化させることを可能にする。
【0035】
共通接触対象物の1つ以上の共通接触表面上で見られ、本開示の除染デバイス及び方法を使用して不活化され得る微生物としては、環境微生物及び/又はListeria monocytogenes、Legionella属菌、Salmonella属菌、Pseudomonas属菌、Acinetobacter属菌、Moraxella属菌、Alcaligenes属菌、Flavobacterium属菌、Acremonium、Euro basidium属菌、Exophiala属菌、Sporobolomyces属菌、Rhodotorula属菌、Campylobacter jejuni、Escherichia coli、Shigella、Vibrio cholerae、C.difficileなどの病原微生物、様々な菌類、藻類、カビ及び/若しくはスライム、並びに/又はそのような共通接触表面で遭遇する可能性のある任意の他の病原菌又は微生物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
図1は、本開示による、共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するための1つ以上の抗菌光セグメントを含む、例示的な除染デバイス10の断面側面図を示す。このような微生物不活化は、共通接触表面上の1つ以上の微生物の増殖を低減又は軽減するのに役立ち得、そのような共通接触表面の衛生状態を改善し、微生物の増殖を許容可能なレベル未満に維持するのに役立ち得る。
【0037】
例示的な除染デバイス10は、カバー12A、基部12B、及び除染チャンバ14を画定する1つ以上の側壁12によって形成されるハウジング若しくは筐体12を含む。ハウジング10は、少なくとも1つの側壁に、共通接触対象物20を受容するサイズの開口部又はスロット16を含む。ハウジング12は、密閉された除染チャンバ14を提供するように、スロット16を覆うように構成された少なくとも1つの側壁にドアを含み得る。この例では、共通接触対象物20は、ほぼ平坦なかつ/又は折り畳まれたフォームファクタを有し、少なくとも2つの共通接触表面、この例では、第1の共通接触表面22A及び対向して面する第2の共通接触表面22Bを含む。このような共通接触対象物の例としては、レストランのメニュー、指示カード、パンフレットなどが挙げられる。
【0038】
1つ以上の抗菌照明セグメント26、この例では抗菌照明セグメント26A及び26Bは、各々が1つ以上の光源素子30を含み、チャンバ14内に設置され、除染領域32に向かって抗菌光を方向付けるように配置されている。除染領域32は、共通接触対象物が除染領域32内に適切に位置決めされたときに、共通接触表面22A及び22Bが、それぞれ抗菌照明セグメント26A及び26Bによって放射される抗菌光を受容するように位置決めされるように、チャンバ14内で抗菌照明セグメント26A及び26Bに対して位置決めされる。
【0039】
例えば、抗菌光セグメント26A及び26Bは、共通接触対象物20が除染領域32内に受容されたときに、所望の期間内で、1つ以上の抗菌波長範囲内で、それぞれ第1及び第2の共通接触表面22A及び22Bの各々の1つ以上の微生物の不活化をもたらすのに十分な照射照度を有する抗菌光を方向付けるように配置され得る。
図1の例には抗菌照明セグメント26A及び26Nの特定の数及び配置が示されているが、任意の数の抗菌照明セグメント26が使用され得ること、及び1つ以上の任意の抗菌照明セグメント26が除染チャンバ14内の代替の場所に設置され得ること、及び本開示がこの点において限定されないことを理解されたい。
【0040】
いくつかの例では、抗菌照明セグメント26の一部又は全部は、回路基板などの剛性又は可撓性基板に表面取付型LED照明素子30のグリッド又はアレイとして実装され得る。LED照明素子30のグリッド又はアレイは、これらの波長の十分な照射照度(標的表面が受容する、単位面積当たりのパワー)の抗菌光を方向付けて、所望の期間内に標的表面で1つ以上の微生物の不活化をもたらすように配置され得る。他の例では、抗菌照明セグメント26A及び26Bは、可撓性のLEDライトストリップを使用して実装され得る。したがって、各抗菌照明セグメント26は、セグメントが設置されるハウジング内の標的空間に適合するように、又は所望のサイズ、形状及び/若しくは数の光源素子30を有する1つ以上の照明セグメントを形成するように、切断及び/又は成形され得る。他の例では、抗菌照明セグメント26の一部又は全部は、LEDチューブライト、ライトバー、ロープライト、電球、個々の光源素子、及び任意の他の可撓性又は剛性の光素子構成又は形状であり得る。光源素子30は、LEDであり得るか、又は本明細書に記載の抗菌光を放射することができる任意の他の光源であり得る。
【0041】
いくつかの例では、抗菌照明素子30は、基板の平面に対して垂直に光を放射するように構成される。他の例では、照明素子の一部は、光源素子30の第1のサブセットが、基板に対して垂直に(かつひいては除染領域32及び/又は高頻度接触対象物20の平面に対して垂直に)光を放射するように取り付けられるか、又は構成され、光源素子30の第2のサブセットが、基板に対して垂直から所定の角度(例えば、15度、30度など)で光を放射するように取り付けられるか、又は構成されるように、互い違いの配置で取り付けられ得る。基板上の照明素子の交互の行は、オフセット状に従い得る。そのような構成により、全ての照明素子が高頻度接触対象物に向かって同じ方向で光を放射する場合に生じ得る、三次元表面を備えた高頻度接触対象物の陰影効果を除去し得る。
【0042】
除染デバイス10は更に、スロット16を通して共通接触対象物20を除染領域32内に自動的に引き込むか又は供給するように構成される。例えば、除染デバイスは、矢印Aによって示される方向でスロット16を通して共通接触対象物20をチャンバ14及び除染領域32内に引き込むように構成された、1つ以上の供給ローラ28A及び/又は28Bを含み得る。除染デバイス10は、抗菌光処置を受けるために共通接触対象物20を除染領域32に案内する、1つ以上の案内部又はレール24を更に含み得る。除染領域32は、抗菌光処置を受ける間、共通接触対象物20を適所に受容して保持するように構成された、保持部又はトレイを更に含み得る。
【0043】
使用中、ユーザは、共通接触対象物20の第1の端部をスロット16内に矢印Aで示す方向で供給する。共通接触対象物20は供給ローラ28A及び/又は28Bによってピックアップされ、供給ローラ28A及び/又は28Bは、共通接触物品20を、チャンバ14内に除染領域32内に位置決めされるまで引き込む。抗菌光セグメント26A及び/又は26Bは、ユーザによって手動で活性化され得るか、又は除染領域32の位置で共通接触対象物20の存在を検出すると自動的に活性化され得る。共通接触対象物20が定義された期間だけ抗菌光にさらされると、抗菌光は非活性化され、共通接触対象物は矢印Bで示される方向でスロット16を通って自動的に排出され得る。別の例では、物品は、抗菌効果を維持するために、保持ビンに入れられ、1つ以上の波長の抗菌光を照射され得る。その例の電力レベルは、維持用量であり得る。
【0044】
共通に接触される環境表面は、相互汚染による人から人への病原菌の伝染につながる。共通接触対象物の1つ以上の共通接触表面上で見られ、本開示の除染デバイス及び方法を使用して不活化され得る微生物としては、環境微生物及び/又はListeria monocytogenes、Legionella属菌、Salmonella属菌、Pseudomonas属菌、Acinetobacter属菌、Moraxella属菌、Alcaligenes属菌、Flavobacterium属菌、Acremonium、Euro basidium属菌、Exophiala属菌、Sporobolomyces属菌、Rhodotorula属菌、Campylobacter jejuni、Escherichia coli、Shigella、Vibrio cholerae、C.difficileなどの病原微生物、様々な菌類、藻類、カビ及び/若しくはスライム、並びに/又はそのような共通接触表面で遭遇する可能性のある任意の他の病原菌又は微生物が挙げられるが、これらに限定されない。抗菌光を適用して共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化することにより、共通接触表面の相互汚染による微生物の伝染の可能性を低減するのに役立ち得る。
【0045】
各抗菌光セグメント26は、それらが互いに独立して活性化及び/又は非活性化され得るように個別に制御可能であり得る。追加的又は代替的に、各抗菌光セグメント26内の各光源素子は、互いに独立して活性化及び/又は非活性化され得るように個別に制御可能であり得る。抗菌光セグメント26は、少なくとも1つの抗菌波長範囲内で、指定された期間内に標的表面(すなわち、1つ以上の共通接触表面22)で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な照射照度を有する抗菌光を放射する。例えば、抗菌光セグメント26のうちの1つ以上は1つ以上の光源素子を含み得、1つ以上の光源素子は、380~420nmの第1の波長範囲内で、指定された期間内に標的表面で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な照射照度を有する抗菌光を放射する。いくつかの例では、第1の波長範囲内の光は、約405nmのピーク波長を有する。別の例として、抗菌光セグメント26のうちの1つ以上は、第2の波長範囲内の抗菌光を放射する1つ以上の光源素子を含み得、第2の波長範囲は、315~400nmの波長範囲内の紫外線A(UVA)光、280~315nmの波長範囲内の紫外線B(UVB)光、及び/又は200~280nmの波長範囲内の紫外線C(UVC)光を含み得、指定された期間内に標的表面で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な照射照度を有する。
【0046】
カスタマイズ可能で個別に制御可能な複数の抗菌光セグメント26を使用することにより、抗菌光のより大きな分布及び照光が可能になり、任意の寸法、サイズ、又は形状の共通接触表面上の微生物の不活化を実現する。加えて、共通接触対象物が平坦なフォームファクタを有さない例では、1つ以上の抗菌光セグメントを、三次元対象物を取り囲むように、かつそのような三次元対象物の任意の所望の表面に向かって抗菌光を方向付けるように定置され得る。例えば、共通接触対象物は、パック形状又はディスク形状の対象物など、長さ及び幅に対して薄型の又は小さな奥行の寸法を有する3D対象物を含み得る。抗菌照明アレイは、陰影を最小限に抑えるために、複数の照光角度を含み得る。1つの抗菌光源により陰になり得る領域又は表面は、除染チャンバ14の内部及び周囲に戦略的に定置された他の抗菌光源によって照光され、これにより陰になることを最小限に抑えることができる。
【0047】
1つ以上の抗菌光セグメントを含む抗菌光アレイの他の構成を除染チャンバ14内への設置に適合され得、1つ以上の抗菌波長を放射することが可能な任意の種類の照明セグメントが使用され得ることを理解されたい。加えて、複数の剛性及び/又は可撓性の抗菌光セグメントは、ほぼ全ての平坦な、平面状の、湾曲した、又は任意の他の形状に適合するように、切断、折り曲げ、又は湾曲され得、個別に制御可能な抗菌光セグメントのアレイに一緒に組み立てて、微生物の増殖が懸念される任意の共通接触表面に完全に抗菌光の印加することをもたらし得る。
【0048】
図2A及び2Bは、抗菌光セグメント200及び210の例をそれぞれ示す。各抗菌光セグメント200、210は、基板204、214上にグリッド状で配置された複数の光源素子202、212を含む。光源素子は、好適な寸法(例えば、形状に応じて長さ、幅、直径など)及びグリッド密度(単位面積当たりの光源素子の数)のグリッド設計で構成されて、所望の期間内に標的表面上の1つ以上の微生物の不活化を達成するのに十分な照射照度を提供し得る。例えば、グリッド状は、照射される標的表面の寸法に対応する寸法及びグリッド密度を有するように構成され得る。一例として、抗菌光セグメント200及び/又は210などの第1の抗菌照明セグメントは、共通接触対象物20の第1の共通接触表面22Aに光を方向付けるように構成され得、抗菌光セグメント200及び/又は210などの第2の抗菌照明セグメントは、共通接触対象物20の第2の共通接触表面22Bに光を方向付けるように構成され得る。
【0049】
抗菌光セグメント200は、光源素子202などの複数の光源素子を含み、これらは、光源素子の各行が隣接する行の光源素子と一列に並んで配置される積み重ねられたグリッド設計で配置されている。抗菌光セグメント210は、光源素子212などの複数の光源素子を含み、これらは、光源素子の各行が隣接する行の光源素子とずれているオフセットグリッド設計で配置されている。いくつかの例では、抗菌光セグメント210などのオフセットグリッド設計により、光源素子がより密に詰められることを可能にし得、ひいては基板上の光源素子の密度を増加させる。光源素子の密度を増加させることにより、標的表面に衝突する光エネルギーの量を増加させることが可能である。基板上の光源素子の任意の好適な配置が使用され得ること、並びに本開示がこの点において限定されないことを理解されたい。
【0050】
LEDなどの光源素子は、既知の放射角で光を放射するように設計されている。角度は、光強度が50%になる角度として定義される。放射角に基づいて光源素子のグリッドを設計すると、例えば、隣り合う素子の放射特性が重なり合うことで強度が増加する場合に、標的表面上に衝突するエネルギーを最大化することを可能にする。
図2Cは、第1の光源素子220及び第2の光源素子222についての2つの代表的な放射角を示す。
【0051】
図2Cにおいて、光源素子220の放射角θ
1は、光源素子222の放射角θ
2よりも相対的に大きい。結果として、重なり合う放射を達成するために、より広い放射角を有するLED(光源素子220など)は、より狭い放射角を有する光源素子(光源素子222など)と比較して、相対的に遠くに配置することができる。光源素子と標的表面との間の距離もまた、放射の重なりに影響する。これらのパラメータ(光源素子の放射角、光源素子間の距離及び/又は光源素子の密度、標的表面までの距離など)は、標的表面における抗菌光エネルギーの衝突を最大化するように調整することができる。代替的に、寸法は、標的表面に衝突する所望の量の抗菌光エネルギーを達成するように調整することができる。
【0052】
図3は、2つの例示的な抗菌光セグメント230及び250を示す写真である。各々の例示的な抗菌光セグメント230、250は、それぞれ基板234、254上にグリッド状で配置された複数の抗菌光源素子を含む。回路基板240は、セグメント230の未実装回路基板レイアウトを示している。これらの例では、各抗菌光セグメントは、28個のLED抗菌光源素子を含む。抗菌光セグメント230/240は、公称0.333インチの間隔を有し、光源素子232などの表面取付型LED光源素子が装着されている。抗菌光セグメント250は、公称0.5インチ間隔のレイアウトを有する。これらの例では、基板234/244、254の寸法は同じであるが、セグメント250内の光源素子間の距離が増加すると、結果としてセグメント230/240と比較してセグメント250内の光源素子の密度が減少する。
【0053】
図4は、共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するための例示的な除染デバイス100を示すブロック図である。除染デバイス100は、コントローラ106と、1つ以上の抗菌光セグメント122A~122Nを含む光アレイ120と、を含む。抗菌光セグメント122A~122Nは、任意の数のセグメントを含み得、本開示がこの点において限定されないことを理解されたい。いくつかの例では、抗菌光セグメント122A~1122Nは個別に制御可能である。デバイス100は、1つ以上のセンサ130を更に含み得る。
【0054】
いくつかの例では、各抗菌光セグメント122A~122Nは、380~420nmの第1の抗菌波長範囲内の光を放射し、約405±5nmのピーク波長を有する、St.Louis,Missouri,USAのSuper Bright LEDs Inc.(www.superbrightleds.com)から入手可能な、Single Color Outdoor Weatherproof LED Flexible Light Strip、波長405nm、部品番号WFLS-UV30などの市販のLEDライトストリップを使用して実装され得る。これらのセグメントは防水性があり、可撓性であり、用途ごとに所望の長さ若しくは形状に切断及び/又は折り曲げられ得る。いくつかの例では、各抗菌光セグメント122A~122Nは、一体化された接着ストリップを使用して取り付け治具に接着され得る。他の例では、各抗菌光セグメント122A~122Nは、好適な接着剤又は取り付けハードウェアを使用して所望の位置に取り付けられ得る。いくつかの例では、
図2A~2Cに示されるような、剛性又は可撓性基板上にグリッドで配置された複数の光源素子を使用して、抗菌光セグメント122A~122Nのうちの1つ以上は実装され得る。
【0055】
除染デバイス100は、1つ以上のプロセッサ102、アレイ制御モジュール108、1つ以上のユーザインターフェース構成要素104、1つ以上の通信構成要素112、及び1つ以上のデータ記憶構成要素114を更に含む。ユーザインターフェース構成要素104は、オーディオインターフェース、ビジュアルインターフェース、及び接触ベースのインターフェース構成要素のうちの1つ以上を含み得、これらにはタッチスクリーン、ディスプレイ、スピーカ、ボタン、キーパッド、スタイラス、マウス、又は人が除染デバイス100と対話すること及び/若しくは除染デバイス100を制御することを可能にする他のメカニズム機構が含まれる。この例では、通信構成要素112は、アレイ制御モジュール108に格納された、かつ/又はユーザインターフェース104を介して受信された命令に従って、プロセッサ102からの制御信号を通信して、抗菌照明アレイ120内の抗菌光セグメント122A~122Nを制御するように構成されている。抗菌光セグメント122A~122Nは、個別に又は集合的に制御され得る。通信構成要素112は、コントローラ106が有線及び/又は無線接続を介して他のリモート又はローカルコンピューティングデバイス135と通信することを可能にする。例えば、リモート又はローカルコンピューティングデバイス135には、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、又は他のモバイルコンピューティングデバイス、又は中央コンピューティングデバイスが含まれ得る。このようにして、除染デバイス100の制御は、コンピューティングデバイス140を介して成し遂げられ得る。
【0056】
アレイ制御モジュール108は、コントローラ106が、光アレイ120の抗菌光セグメント122A~122Nの活性化を制御することを可能にするために、1つ以上のプロセッサ102上で実行されるように構成されたコンピュータ可読命令を含む。抗菌光セグメント122A~122Nは、個別に又は集合的に制御され得る。例えば、アレイ制御モジュール108は、コントローラ100が、ユーザインターフェース112から受信したステータス情報信号又はコマンドに基づいて、1つ以上の抗菌光セグメント122A~122Nの活性化を制御することを可能にし得る。別の例では、アレイ制御モジュール108は、コントローラ100が、コンピューティングデバイス140のうちの任意の1つから受信したステータス情報信号又はコマンドに基づいて、1つ以上の抗菌光セグメント122A~122Nの活性化を制御することを可能にし得る。別の例では、制御モジュール108は、コントローラ100が、1つ以上のセンサ130から受信した信号に基づいて、1つ以上の抗菌光セグメント122A~122Nの活性化を制御することを可能にし得る。
【0057】
いくつかの例では、抗菌光セグメント122A~122Nのうちの1つ以上を活性化して、第1の高設定(すなわち、最高強度)で抗菌光を放射し得る。別の例として、抗菌光セグメント122A~122Nのうちの1つ以上を活性化して、第2の低設定(すなわち、高設定よりも相対的に低い強度)で抗菌光を放射し得る。別の例として、抗菌光セグメント122A~122Nのうちの1つ以上は、抗菌光を放射しないように非活性化され得るか、又は「オフ」設定若しくはスリープモードにされ得る。したがって、抗菌光セグメント122A~122Nの各々がコントローラ106によって制御されて、各抗菌光セグメント122A~122Nによって出力される抗菌光のパワー及び/又は強度を、個別に活性化/非活性化及び/又は調節し得、ひいては標的表面で受容した抗菌光の照射照度を調節し得ることが理解されるべきである。
【0058】
他の例では、抗菌光セグメント122A~122Nは、抗菌光セグメント122A~122Nのうちの1つ以上が第1の抗菌波長範囲内の光を放射し、抗菌光セグメント122A~122Nのうちの1つ以上が第2の抗菌波長範囲内の光を放射し、かつ/又は抗菌光セグメント122A~122Nのうちの1つ以上が非活性化又はオフにされるように、コントローラ106によって制御され得る。したがって、抗菌光セグメント122A~122Nの各々は、除染デバイス100によって出力される抗菌光の波長を制御又は調節するために、ひいては標的表面で受容される抗菌光の波長を調節するために、個別に制御され得ることが理解されるべきである。
【0059】
いくつかの例では、第1の抗菌波長範囲内の光は、約380~420nmの波長範囲内の光を含む。第1の抗菌波長範囲内で放射される光は、約405nmのピーク波長を含み得る。いくつかの例では、第2の抗菌波長範囲内の光は、315~400nmの波長範囲内の紫外線A(UVA)光、280~315nmの波長範囲内の紫外線B(UVB)光、及び/又は200~280nmの波長範囲内の紫外線C(UVC)光を含み得る。
【0060】
コントローラ106のデータ記憶デバイス114は、アレイ制御モジュール108及び/又はコントローラ106の他の機能の実行中にプロセッサ102によって受信、使用、又は生成されたデータを含む。例えば、記憶構成要素114は、センサ130から受信した任意のデータ若しくはサイクル信号、ユーザインターフェース構成要素104を介してユーザによって入力されたデータ、アレイ制御モジュール108によって使用若しくは生成されたデータ、又はコンピューティングデバイス140から受信したデータ若しくはコマンドを含み得る。
【0061】
除染デバイス100(コントローラ106及び抗菌光セグメント122A~122Nを含む)は、それ自体の内部電源(1つ以上のバッテリなど)を含み得るか、又は壁のコンセントを介するなどライン電源(例えば、AC電源)から電力供給され得る。
【0062】
抗菌光セグメント122A~122Nはまた、通信インターフェース112を介してコントローラ106に接続された1つ以上のLED駆動部を含み得、これらのLED駆動部は、コントローラ106から受信したコマンドに応答して抗菌光セグメント122A~122Nを駆動するように構成されている。
【0063】
アレイ制御モジュール108は命令を含み、これらの命令は、コントローラ106が1つ以上の設定を使用して抗菌光セグメント122A~122Nを制御することを可能にする。抗菌光セグメント122A~122Nは、個別に又は集合的に制御することができる
【0064】
例えば、設定には、高電力若しくは全電力又はレベル設定(例えば、印加される最大電圧/電流)を含み得、これは、抗菌セグメント122A~122Nのうちの選択された1つ以上に、最大電力又はレベルが印加されることを意味する。設定はまた、1つ以上の減光設定(例えば、最大電力の50%、最大電力の25%、又は他の選択されたパーセンテージ)などの、1つ以上の変更された電力設定又はレベル設定を含み得、これは、抗菌光セグメントのうちの選択された1つ以上に、変更された電力が印加されることを意味する。設定はまた、非活性化設定も含み得、その設定では、抗菌光セグメント122A~122Nのうちの1つ以上が、オフにされるか又はスリープモードにされる。
【0065】
異なるレベル設定は、抗菌光セグメント122A~122Nによって出力される異なるレベルの光に対応する。例えば、高設定又は最大設定は、抗菌光セグメントの最高の光出力に対応する(しかしながら、その最大値は、システム設計用に定義され得る)。中設定又は変更された設定は、抗菌光セグメントの、低減した(低減したか又は高設定若しくは最大設定に相対してより低い)光出力に対応する。「オフ」設定は、光出力がないことに対応する。抗菌光の応答曲線は印加された電流に対して必ずしも線形ではないため、中設定又は変更された設定は、抗菌光セグメントに印加される電流と必ずしも線形関係に対応するとは限らない。換言すれば、(最大出力と比較して)50%の出力を印加しても、問題の抗菌光の応答が線形でない場合、結果として必ずしも最大光出力の50%になるとは限らない。しかしながら、低減された設定は、印加される電力又は電圧の低減、及び影響を受けた抗菌光セグメントによって出力された低減された光に対応することを理解されたい。
【0066】
いくつかの例では、抗菌光セグメント122A~122Nは、アレイコントローラ106によって個別に制御可能であり、必ずしも全てが同じ設定で同時に駆動される必要はない。したがって、任意の所与の時点で、1つ以上の抗菌光セグメント122A~122Nの第1の選択されたセットは、第1の高設定で駆動され得、1つ以上の抗菌光セグメント122A~122Nの第2の選択されたセットは、第2の変更された設定で駆動され得、1つ以上の抗菌光セグメント122A~122Nの第3の選択されたセットは、非活性化されるか又はオフにされ得る。
【0067】
除染デバイス100は、1つ以上のセンサ130を更に含み得る。センサ130は、例えば、除染チャンバ14内で放射される1つ以上の波長の存在を検出し、かつ/又は1つ以上の標的表面で受容される照射照度(光電力)を検出する、1つ以上の光学センサを含み得る。1つ以上のセンサ130は、第1の波長範囲内の光、及び/又は第2の波長範囲内の光を検出し得る。例えば、センサ130は、第1の波長範囲内の抗菌光を検出する1つ以上の光検出器、及び/又は第2の抗菌波長範囲内の光を検出する1つ以上の光検出器を含み得る。1つ以上のセンサ130は、関連する波長内の光の存在又は関連する波長の照射照度に対応する信号を生成し得る。光検出器は、標的表面で受容した抗菌波長の照射照度を測定するために、又は標的表面で受容した抗菌波長の照射照度を表すものとなるように、除染チャンバ内で位置決めされ得る。例えば、1つ以上の光検出器は、除染チャンバ14内で抗菌光処置を受けている標的表面が受容するであろう放射照度を表す照射照度を受容するように、除染領域32内又はその近くに位置決めされ得る。
【0068】
センサ130は、共通接触対象物12の存在を検出する1つ以上のセンサを更に含み得る。例えば、1つ以上のセンサを除染デバイス10の入口16又はその近くに位置決めして、共通接触対象物が除染チャンバ14に入ったときを検出し得る。別の例として、1つ以上のセンサを除染領域32又はその近くに位置決めして、共通接触対象物が除染領域32内に正しく位置決めされたときを検出し得る。別の例として、1つ以上のセンサは、除染デバイスへのドアが開いているか又は閉じているかを検出し得る。センサ130はまた、除染されている対象物が過熱しないことを確実にするのを助けるために、対象物又は除染チャンバ内の温度を監視する1つ以上の温度センサを含み得る。
【0069】
除染デバイス100は、ユーザからの入力に応答して、ユーザインターフェース104を介して制御され得る。例えば、ユーザインターフェースは、ユーザがデバイス100の電源を入れるオン/オフスイッチ、ボタン、又はセレクタを含み得る。ユーザインターフェース104はまた、1つ以上の抗菌照明セグメント122A~122Nを活性化させるための1つ以上の制御部を含み得る。例えば、ユーザインターフェース104を介して、ユーザは、抗菌光セグメント122A~122Nの一部又は全部に対して所望の設定(例えば、高、修正、オフなど)を入力し得る。別の例として、ユーザが、除染対象の共通接触物品及び/又は共通接触表面の種類に関する情報を入力し得、コントローラ106が、受信した情報に基づいて抗菌光セグメント122A~122Nを制御する方法を決定し得る。コントローラは、除染される共通接触対象物及び/又は共通接触表面の種類に基づいて、どの抗菌波長を放射すべきか、1つ以上の抗菌光セグメント122A~122Nのうちのどれを活性化すべきか、活性化される各抗菌光セグメント122A~122Nの電力設定、抗菌光を印加する時間量、及び送達される抗菌光の照射量に関連する任意の他のパラメータを、自動的に決定し得る。
【0070】
例えば、レストランの設定では、スタッフが除染デバイスを手動で起動及び/又は制御して、メニューなどの物品及び/又は共通接触表面を有する他の共通接触対象物に抗菌光処置を適用し得る。除染デバイス100は、例えば、受付カウンタ又はレストラン内の他の指定された場所に設置され得る。メニューは、各顧客の間、各シフト中/各シフト後、又は除染が必要若しくは望ましいと見なされる任意の他の時点で消毒され得る。別の例として、修理点検技術者又は管理人は、修理点検依要請中に除染デバイスを手動で起動及び/又は制御し得る。別の例として、ユーザは、除染デバイス100を、手動で起動及び/又はコンピューティングデバイス140のうちの1つ以上を介してリモートで制御し得る。
【0071】
図5は、
図4のコントローラ106などのコンピューティングデバイスが、
図4の抗菌光セグメント122A~122Nなどの1つ以上の抗菌光セグメントを制御し得る、本開示による除染デバイスの例示的なプロセス150を示すフロー図である。プロセス(150)は、ほぼ平坦な又は折り畳まれたフォームファクタを有する共通接触対象物の1つ以上の共通接触表面で1つ以上の微生物の微生物不活化を達成するための、抗菌光の印加及び制御に関して記載するが、プロセス(150)が、三次元の対象物を含む、任意のサイズ及び形状の共通接触対象物の1つ以上の共通接触表面での微生物不活化のための抗菌光の印加及び制御に適用され得ること、並びに本開示がこの点に限定されないことを理解されたい。
【0072】
図5の例では、コンピューティングデバイス(
図3のコントローラ106など)がサイクル起動信号を受信する(152)。サイクル起動信号には、オン/オフスイッチ若しくはスタートスイッチを押すこと、タッチスクリーン上のオン/オフボタン若しくはスタートボタンを選択すること、又はユーザが抗菌照明処置を開始し得る他のユーザ作動可能な手段などの、ユーザからの入力に応答して生成される信号が含まれ得る。別の例として、サイクル起動信号は、除染デバイス10の除染領域32内に共通接触対象物の存在を検出すると、1つ以上のセンサ(
図4のセンサ130など)から自動的に受信され得る。
【0073】
起動信号の受信に応答して、コンピューティングデバイスは、除染領域内の共通接触表面に抗菌照明セグメントによって印加される抗菌光の照射量を決定するために必要な情報を取得する(154、155、156)。例えば、コンピューティングデバイスは、印加される抗菌光の照射量に影響を与える可能性がある、共通接触対象物の1つ以上の特性を示す対象物情報を受信し得る(154)。対象物情報には、例えば、対象物の種類(例えば、メニュー、指示カードなど)、材料の種類(例えば、プラスチック、紙、ラミネートなど)、又は他の関連する対象物情報が含まれ得る。対象物情報は、ユーザインターフェース104などのユーザインターフェースを介してユーザによって手動で入力され得る。例えば、ユーザインターフェースは、1つ以上の対象物情報選択肢を提示し得、そこからユーザは共通接触対象物に対応する対象物情報を選択し得る。代替的に、除染デバイスは、対象物又は設定情報を受信しないデフォルト設定で動作し得る。
【0074】
別の例として、コンピューティングデバイスは、印加される抗菌光の照射量に関連する1つ以上の設定を示す設定情報を受信し得る(155)。例えば、ユーザインターフェースは、1つ以上のユーザ選択可能な設定値を提示し得、そこから、ユーザは、除染デバイスの所望の設定を選択し得る。設定値は、除染領域内の対象物に印加される抗菌光の異なる照射量レベル(例えば、高、中、低など)に対応し得る。別の例として、設定値は、除染サイクルの異なる所定の継続時間(通常のサイクル、延長されたサイクル、迅速なサイクルなど)に対応し得る。各継続時間設定で放射される抗菌光の照射照度及び/又は波長は、選択されたサイクル継続時間内に標的共通接触表面上の1つ以上の微生物の不活化が十分に達成されるように調節によって自動的になされ得る。
【0075】
コンピューティングデバイスは、除染デバイスに関連付けられた1つ以上のセンサから情報も受信し得る(156)。例えば、コンピューティングデバイスは、共通接触対象物が除染領域内に正しく位置決めされているかどうかを示す情報を、1つ以上のセンサから受信し得る。このようにして、コンピューティングデバイスは、共通接触表面全体が有効用量の抗菌照明処置を受ける位置にあることを確実にするのに役立ち得る。
【0076】
別の例として、コンピューティングデバイスは、除染領域内の共通接触対象物及び/又は共通接触表面のサイズ及び/又は形状を示す寸法情報を、1つ以上のセンサから受信し得る。例えば、コンピューティングデバイスは、1つ以上のセンサから受信した情報に基づいて、共通接触対象物及び/又は共通接触表面の寸法(例えば、長さ、幅など)を決定し得る。1つ以上のセンサから受信した寸法情報に基づいて、コンピューティングデバイスは、共通接触対象物及び/又は共通表面の寸法に対応する光を方向付ける抗菌照明セグメントのみが、抗菌照明処置中に活性化されるように、抗菌照明セグメントを制御し得る。これは、電力を節約し、かつ/又は抗菌照明アレイ内の照明素子の寿命を延ばすのに役立ち得る。
【0077】
コンピュータデバイスは、抗菌照明アレイによって印加される抗菌光の照射量を決定する(158)。照射量は、抗菌光が印加される波長、放射照度、及び時間量(継続時間)によって決定される。いくつかの例では、照射量は、各除染サイクル中に自動的に印加されるデフォルトの照射量である。他の例では、照射量は、ユーザインターフェースを介してユーザによって入力された選択された照射量レベルに基づいて決定され得る。他の例では、照射量は、受信した対象物情報(上述した対象物種類及び/又は材料種類など)に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。他の例では、照射量は、ユーザによって入力された受信された設定情報に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。他の例では、照射量は、センサ情報(上述の位置情報及び/又は寸法情報など)に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
【0078】
いくつかの例では、共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するのに有効な照射量を決定する(158)ために、コンピューティングデバイスは、抗菌波長、照射照度、及び抗菌光処置のための時間量(継続時間)を決定する。例えば、コンピューティングデバイスは、照射量が、380~420ナノメートル(nm)の第1の抗菌波長範囲内の抗菌光、及び/又は10~400ナノメートル(nm)の波長範囲内の紫外線光などの第2の抗菌波長範囲内の抗菌光を含むことを決定し得る。いくつかの例では、第1の波長範囲内の抗菌光は、約405nmのピーク波長を有する。いくつかの例では、第2の波長範囲内の抗菌光は、315~400nmの波長範囲内の紫外線A(UVA)光、280~315nmの波長範囲内の紫外線B(UVB)光、及び/又は200~280nmの波長範囲内の紫外線C(UVC)光を含み得る。いくつかの例では、コンピューティングデバイスは、対象物情報、設定情報、及び/又はセンサ情報に基づいて、抗菌光の照射量を決定し得る。他の例では、コンピューティングデバイスは、対象物情報、設定情報、又はセンサ情報のいずれも受信せず、これらの例では、コンピューティングデバイスはデフォルトの照射量を使用し得る。印加される1つ以上の抗菌波長に基づいて、コンピューティングデバイスは、選択された各抗菌照明設定によって放射される照射照度と、選択された各抗菌照明セグメントが活性化される継続時間とを決定する。
【0079】
コンピューティングデバイスは、決定された照射量の抗菌光を除染領域内の共通接触表面に印加するように、1つ以上の抗菌光セグメントのうちの選択されたセグメントを活性化する(160)。例えば、コンピューティングデバイスは、第1の抗菌波長範囲内の光を放射する1つ以上の光セグメントを活性化し、かつ/又は第2の抗菌波長範囲内の光を放射する1つ以上の光セグメントを活性化し得る。別の例として、コンピューティングデバイスは、抗菌光セグメントの一部又は全部を高設定若しくは最大設定で活性化すべきであると決定し得、コンピューティングデバイスは、抗菌光セグメントの一部又は全部が変更された設定若しくは低減設定で活性化されるべきであると決定し得、かつ/又はコンピューティングデバイスは、光セグメントの一部又は全部が非活性化されるべきであると決定し得る(162)。
【0080】
コンピューティングデバイスは、除染領域内の標的共通接触表面で1つ以上の微生物を不活化するのに有効な照射量を印加するために、決定された時間量の間、決定された放射照度で決定された波長で抗菌光セグメントのうちの選択されたセグメントを活性化する。
【0081】
抗菌照明処置中、コンピューティングデバイスは、抗菌照明アレイによって共通接触表面で送達される照射量を監視し得る(164)。一例では、コンピューティングデバイスは、抗菌光処置の継続時間の経過を追跡する。所定の時間量が経過していない場合、コンピューティングデバイスは、照射量が完了していないと判断し(166のいいえ分岐)、コンピューティングデバイスは、所定の時間が経過するまで、抗菌照明セグメントを制御して、決定された抗菌照明処置を送達し続ける。所定の時間量が経過すると、コンピューティングデバイスは、照射量が完了したと判断し(166のはい分岐)、選択された抗菌光セグメントを非活性化する(168)。
【0082】
別の例では、除染デバイスは、除染領域で受容した照射照度及び/又は選択された抗菌光アレイセグメントによって放射された放射照度を測定する1つ以上のセンサを含む。例えば、1つ以上の光検出器が、代表的な表面で受容した抗菌光の照射照度及び/又は1つ以上の抗菌光セグメントによって放射された光の照射照度を測定し得る。コンピューティングデバイスは、検出された照射照度と抗菌光が印加された時間量とに基づいて、送達される照射量を決定し得る。目標照射量が受容されていない場合(166のいいえ分岐)、コンピューティングデバイスは、抗菌光セグメントを制御して、決定された抗菌光処置を送達し続ける。目標照射量が達成されると(166のはい分岐)、コンピューティングデバイスは、選択された抗菌光セグメントを非活性化する(168)。
【0083】
コンピューティングデバイスはまた、サイクルデータを記憶する(168)ための1つ以上の記憶デバイスを含み得る。サイクルデータには、例えば、除染サイクル中に送達される総照射量、印加される抗菌波長、抗菌波長の各々の照射照度、及び抗菌波長の各々が印加される継続時間など、各除染サイクル中に印加される抗菌光に関する詳細が含まれ得る。サイクルデータは、抗菌照明処置中に抗菌照明アレイのどの光セグメントが活性化されたか、及びそれぞれに対応する照射照度及び継続時間に関する情報を更に含み得る。サイクルデータは、時刻/日付スタンプ、除染デバイス識別子、場所識別子/施設名、並びに受信した対象物情報、設定情報及び/若しくはセンサ情報を更に含み得る。サイクルデータは、抗菌照明処置に関連する他の情報を含み得ること、並びに本開示がこの点において限定されないことを理解されたい。
【0084】
いくつかの例では、コンピューティングデバイスは、決定された照射量が送達され、選択された光アレイセグメントが非活性化されると(168)、除染チャンバから共通接触対象物を自動的に排出するように除染デバイスを更に制御し得る。
【0085】
図6は、本開示による、共通接触表面262などの共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するための非熱(NT)プラズマ生成器を含む例示的な除染デバイス260のブロック図を示す。大気圧コールドプラズマとしても知られる非熱プラズマは、空気、又は窒素、ヘリウム、酸素、又は他のガス混合物などのガスの供給流を高電圧電界に通すことによって生成することができ、結果としてヒドロキシラジカル、ニトロキシラジカル、オゾン、イオン、電子、及び他の励起原子など、非常にエネルギーが高く反応性の高い種の動的な気体状態が作成される。これらのエネルギーガス種は、材料表面の様々な微生物種と直ちに反応し、微生物の不活化を引き起こす。以下の表に示されるように、モデル生物汚染物質を接種したプラスチッククーポン(Delrin)の実験結果では、クーポンがプラズマ源から約1.0インチの距離で冷気プラズマ放電に曝露されたときに、正の殺傷率を示した。
【表1】
【0086】
微生物除染のプロセスは、多種多様の構成の材料で作られた平坦な又は折り畳まれた物品(例えば、レストランのメニュー、安全上の指示、又は同様の使用説明書(IFU))などの共通接触対象物を保持するように設計された密閉容器で行うことができる。プラズマ放電デバイスを封じ込め空間に適用することにより、エネルギーガス種が形成され、空間を満たし、共通接触対象物の層間、折り目間、ページ間だけでなく全体に浸透し、全ての表面の微生物不活化による消毒がもたらされる。これは、共通接触対象物の物理的又は視覚的な品質に悪影響を及ぼすことなく、安全に成し遂げることができる。
【0087】
同様にして、除染チャンバ内に霧、ガス状の雲、又は浸透蒸気を生成する消毒剤は、除染チャンバ内の空間にある共通接触対象物上の1つ以上の微生物を不活化し得る。二酸化塩素(ClO2)サシェは、パウチ又はパケットに包含される殺生物剤の形態の例であり、除染チャンバに定置されると、殺生物ガスを放出して筐体の空間を満たし、適切な濃度の二酸化塩素で所与の十分な時間による、1つ以上の微生物の微生物不活化をもたらすことができる。例えば、果物及び野菜の密閉輸送コンテナ内に定置されたPETパウチから放出されるClO2ガスは、コンテナ内の農産物の表面上のE.coli及び他の有害な病原菌を不活化し得る。同様に、PETなどの半透膜から制御された様態で放出されるClO2ガスは、メニュー、指示書、及び他の平坦な在庫材料などの物品の表面を汚染する有害な病原菌を不活化し得る。
【0088】
図7は、三次元対象物270の除染のための1つ以上の抗菌照明セグメント272A、272Bの概略図を示す。三次元対象物を除染するための除染デバイスは、明確にするために
図7には示されていない追加の抗菌照明セグメントを更に含み得る。例えば、追加の照明セグメントは、上側及び下側から、並びに左側(272A)及び右側(272B)の照明セグメントから、対象物270を照射するように含まれ得る。
【実施例】
【0089】
抗菌光の抗菌効果を評価するためのラボ実験を実施した。Gentec Pronto-Siレーザパワーメータを使用して、標的表面上の12箇所のそれぞれで405nmでの照射照度を測定した。アレイ全体の平均出力は、14.4±1.1mW・cm
-2であった。この平均出力に基づいて、試料ウェルに経時的に衝突するエネルギーを使用して、試料ウェル内の抗菌光曝露を算出した。
【表2】
【0090】
液体環境にある一般的な有機体(Pseudomonas fluorescens、E.coli、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans)を使用して、液体培地中の抗菌光の有効性を評価/理解した結果を以下の表に示す。
【表3】
【表4】
【0091】
一般的な有機体(Pseudomonas fluorescens、E.coli、Candida albicans)に対する乾燥した表面(ステンレス鋼クーポン)での抗菌光の有効性を評価した結果を以下の表に示す。
【表5】
【表6】
【0092】
結果の考察
液体培地の試験結果は、対照結果と比較して、抗菌光への曝露から24時間以内に、液体培地中の細菌及び酵母の残留物が完全に低減されたことを示した(5logから0log)。
【0093】
ステンレス鋼クーポンの試験結果は、対照結果と比較して、抗菌光への曝露から48時間以内に、硬い表面上の細菌及び酵母の残留物が完全に低減されたことを示した(5logから1log-最小検出限界)。
【0094】
1つ以上の例では、記載される機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、機能は、1つ以上の命令又はコードとして、コンピュータ可読媒体に記憶されるか、又はコンピュータ可読媒体を介して送信され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体などの有形媒体に対応するコンピュータ可読記憶媒体、又は、例えば、通信プロトコルに従って、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含み得る。このようにして、コンピュータ可読媒体は概して、(1)非一時的である有形のコンピュータ可読記憶媒体、又は(2)信号若しくは搬送波などの通信媒体に対応し得る。データ記憶媒体は、本開示に記載した技術の実装のための命令、コード、及び/又はデータ構造を取り出すために1つ以上のコンピュータ又は1つ以上のプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0095】
限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、又は他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、又は他の磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリ、又は命令若しくはデータ構造の形で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体で構成され得る。また、接続はいずれも、厳密には、コンピュータ可読媒体と呼ばれる。例えば、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線、無線、及びマイクロ波などの無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから命令が送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、又は赤外線、無線、及びマイクロ波などの無線技術が媒体の定義に含まれる。ただし、コンピュータ可読記憶媒体及びデータ記憶媒体は、接続、搬送波、信号、又は他の一時的な媒体は含まず、代わりに、非一時的な有形の記憶媒体を対象としていることを理解されたい。本明細書で使用されるディスク(disk)及びディスク(disc)としては、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、及びBlu-ray(登録商標)ディスクが挙げられ、ディスクは、通常、データを磁気的に再生し、ディスクは、レーザを使用して、光学的にデータを再生する。上記の組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲に含める必要がある。
【0096】
命令は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブル論理アレイ(FPGA)、又は他の同等の集積又は離散論理回路などの1つ以上のプロセッサによって実行され得る。したがって、本明細書で使用される場合、「プロセッサ」及び「処理回路」という用語は、前述の構造のいずれか、又は本明細書に記載の技術の実装に好適な任意の他の構造を指す場合がある。更に、いくつかの態様では、本明細書に記載の機能は、符号化及び復号化用に構成された専用のハードウェアモジュール及び/若しくはソフトウェアモジュール内で提供されるか、又は組み合わされたコーデックに組み込まれ得る。また、これらの技術は、1つ以上の回路又は論理素子に完全に実装され得る。
【0097】
例に応じて、本明細書で記載される技術のうちのいずれかの特定の行為又は事象は、異なる順序で実施することができ、追加、併合、又は完全に除外され得る(例えば、記載した全ての行為又は事象が必ずしも技術の実践に必要というわけではない)ことが認識されよう。更に、特定の例では、行為又は事象は、例えば、順次ではなく、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサを介して同時に実施され得る。
【0098】
開示された技術を実施するように構成されたデバイスの機能的側面を強調するために、本開示では様々な構成要素、モジュール、又はユニットが記載されているが、必ずしも異なるハードウェアユニットによる実現を必要としない。むしろ、上述したように、様々なユニットが単一のハードウェアユニットに組み合わされるか、あるいは好適なソフトウェア及び/又はファームウェアと併せて、上述した1つ以上のプロセッサを含む相互運用可能なハードウェアユニットの集合によって提供され得る。
【0099】
追加の実施例
実施例1。システムであって、1つ以上の抗菌照明セグメントを含む照明アレイであって、各抗菌照明セグメントは、1つ以上の抗菌波長範囲内の光を放射する1つ以上の光源素子を含む照明アレイと、照明コントローラと、を備え、照明コントローラは、1つ以上のプロセッサと、命令を含むデータ記憶デバイスと、を備え、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサに、共通接触対象物に関連付けられた対象物種類情報を受信すること、抗菌光アレイが、受信した対象物種類情報に基づいて、共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な抗菌光を送達するように、各抗菌照明セグメントを制御すること、を行わせる、システム。
【0100】
実施例2。対象物種類情報は、ユーザによって入力される、実施例1のシステム。
【0101】
実施例3。対象物種類情報は、共通接触対象物がレストランのメニュー、航空会社の安全指示、又は使用説明書(IFU)のうちの1つであることを示す、実施例1のシステム。
【0102】
実施例4。共通接触対象物は、平坦なかつ/又は折り畳まれたフォームファクタを有する、実施例1のシステム。
【0103】
実施例5。1つ以上のプロセッサは、対象物種類情報に基づいて、抗菌照明セグメントのうちの1つ以上を活性化し、抗菌照明セグメントのうちの1つ以上を非活性化する、実施例4のシステム。
【0104】
実施例6。カバーと、基部と、1つ以上の側壁と、を含む、ハウジングを更に含み、ハウジングは、閉鎖された除染チャンバを画定し、ハウジングは、側壁のうちの1つに、共通接触対象物を受容するサイズのスロットを更に含み、抗菌光セグメントは、除染チャンバ内の除染領域に向かって抗菌光を方向付けるように配置され、共通接触対象物は、抗菌光処理中に除染領域内に定置される、実施例1のシステム。
【0105】
実施例7。1つ以上の抗菌照明セグメントは、除染チャンバ内に配設されて、共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上の1つ以上の微生物を不活化するのに十分な波長及び照射照度で光を方向付ける、実施例6のシステム。
【0106】
実施例8。各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含む、実施例1のシステム。
【0107】
実施例9。各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み、各LED素子は、約380~420ナノメートルの第1の波長範囲内でありかつ約405ナノメートルのピーク波長を有する抗菌光を放射する、実施例1のシステム。
【0108】
実施例10。複数のLED素子は、基板上に線形状に配置されている、実施例9のシステム。
【0109】
実施例11。複数のLED素子は、基板上にグリッド状に配置されている、実施例9のシステム。
【0110】
実施例12。基板は、可撓性基板又は剛性基板のうちの1つである、実施例9のシステム。
【0111】
実施例13。各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み、LED素子のうちの1つ以上は、約380~420ナノメートルの第1の抗菌波長範囲内で光を放射し、LED素子のうちの1つ以上は、約200~380ナノメートルの第2の抗菌波長範囲内で光を放射する、実施例1のシステム。
【0112】
実施例14。各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み、LED素子のうちの1つ以上は、約380~420ナノメートルの第1の抗菌波長範囲内で光を放射し、LED素子のうちの1つ以上は、第2の抗菌波長範囲内の光を放射し、第2の抗菌波長範囲は、315~400nmの波長範囲内の紫外線A(UVA)光、280~315nmの波長範囲内の紫外線B(UVB)光、又は200~280nmの波長範囲内の紫外線C(UVC)光のうちの少なくとも1つを含む、実施例1のシステム。
【0113】
実施例15。データ記憶デバイスは、命令を更に含み、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサに、共通接触対象物に関連付けられた寸法情報を受信すること、抗菌光アレイが、受信した寸法情報に基づいて、共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な抗菌光を送達するように、各抗菌照明セグメントを制御すること、を行わせる、実施例1のシステム。
【0114】
実施例16。共通接触対象物は、第1の共通接触表面と、対向して面する第2の共通接触表面と、を含み、システムは、共通接触対象物を受容するサイズの、閉鎖されたチャンバを形成するハウジングと、1つ以上の抗菌光セグメントのアレイであって、チャンバ内に配置されて、第1の共通接触表面を照射するサイズの抗菌光源素子の第1のグリッド状を形成し、第2の共通接触表面を照射するサイズの抗菌光源素子の第2のグリッド状を形成する、1つ以上の抗菌光セグメントのアレイと、を更に備える、実施例1のシステム。
【0115】
実施例17。抗菌光セグメントは、第1及び第2の共通接触表面を同時に照射するように制御可能である、実施例16のシステム。
【0116】
実施例18。抗菌光セグメントは、第1及び第2の共通接触表面を順番に照射するように制御可能である、実施例16のシステム。
【0117】
実施例19。方法であって、1つ以上の抗菌照明セグメントを含む照明アレイを配設することであって、各抗菌照明セグメントは1つ以上の光源素子を含み、各光源素子が1つ以上の抗菌波長範囲内の抗菌光を放射する、配設すること、共通接触対象物に関連付けられた対象物種類情報を受信すること、抗菌光アレイが、受信した対象物種類情報に基づいて、共通接触対象物上の1つ以上の共通接触表面上で1つ以上の微生物を不活化するのに十分な抗菌光を送達するように、各抗菌照明セグメントを制御すること、を含む、方法。
【0118】
実施例20。各抗菌照明セグメントは、基板及び複数の発光ダイオード(LED)素子を含み、LED素子のうちの1つ以上は、約380~420ナノメートルの第1の抗菌波長範囲内でありかつ約405ナノメートルのピーク波長を有する光を放射する、実施例19のシステム。
【0119】
実施例21。LED素子のうちの1つ以上は、約200~280ナノメートルの第2の抗菌波長範囲内で光を放射する、実施例20のシステム。
【0120】
様々な実施例を記載した。これら及び他の実施例は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【国際調査報告】