(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(54)【発明の名称】オーディオビジュアルコンテンツの遠隔制作のためのシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/222 20060101AFI20230622BHJP
H04N 21/854 20110101ALI20230622BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20230622BHJP
H04N 5/268 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H04N5/222
H04N21/854
H04N23/60 500
H04N5/268
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573313
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 IB2021054527
(87)【国際公開番号】W WO2021240359
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102020000012292
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522462432
【氏名又は名称】ビーエルティ イタリア エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】BLT ITALIA S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via F.lli Rosselli 91, 55041 Lido di Camaiore (LU) (IT)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】セリ,マリアテレザ
【テーマコード(参考)】
5C023
5C122
5C164
【Fターム(参考)】
5C023AA26
5C023BA16
5C023CA01
5C023CA08
5C122DA37
5C122EA42
5C164FA29
5C164MA02S
5C164MC01P
5C164SA41S
5C164TA08S
(57)【要約】
第1の品質レベルで1つ又は複数のオーディオビジュアル信号を生成するように適合しているオーディオビジュアルソース(101a~101l)と、前記オーディオビジュアルソース(101a~101l)に有効に接続された少なくとも1つのオーディオビジュアル処理装置(203a~203b)と、データ通信ネットワーク(207)を介して前記オーディオビジュアル処理装置(203a~203b)に有効に接続された少なくとも1つの遠隔制御装置(206a~206c)を有するオーディオビジュアルコンテンツ(200)を制作するためのシステムであって、前記オーディオビジュアル処理装置(203a、203b)は、前記1つ又は複数のオーディオビジュアルソース(101a~101l)からの前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号を第1のレベルで受信し、第2の品質レベルで前記1つの前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の少なくとも1つのコピーを生成し、前記データ通信ネットワーク(207)を介して、前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の前記コピーを前記遠隔制御ユニットに送信し、前記データ通信ネットワーク(207)を介して、前記遠隔制御ユニット(206a~206c)からの1つ又は複数の命令を含む少なくとも1つの制御信号を受信し、前記1つ又は複数の命令に応じて、前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号に基づいて、オーディオビジュアルコンテンツを生成するように構成されている、オーディオビジュアルコンテンツ(200)を制作するためのシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオビジュアルコンテンツ(200)を制作するためのシステムであって、
第1の品質レベルで1つ又は複数のオーディオビジュアル信号を生成するように適合された1つ又は複数のオーディオビジュアルソース(101a~101l)と、
前記1つ又は複数のオーディオビジュアルソース(101a~101l)に有効に接続された少なくとも1つのオーディオビジュアル処理装置(203a~203b)と、
データ通信ネットワーク(207)を介して前記オーディオビジュアル処理装置(203a~203b)に有効に接続された少なくとも1つの遠隔制御ユニット(206a~206c)を有し、
前記オーディオビジュアル処理装置(203a~203b)は、
前記1つ又は複数のオーディオビジュアルソース(101a~101l)からの前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号を前記第1の品質レベルで受信し、
第2の品質レベルで前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の少なくとも1つのコピーを生成し、
前記データ通信ネットワーク(207)を介して、前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の前記コピーを前記遠隔制御ユニット(206a~206c)に送信し、
前記データ通信ネットワーク(207)を介して、前記遠隔制御ユニット(206a~206c)からの1つ又は複数の命令を含む少なくとも1つの制御信号を受信し、
前記1つ又は複数の命令に応じて、前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号に基づいて、オーディオビジュアルコンテンツを生成する
ように構成されている、オーディオビジュアルコンテンツ(200)を制作するためのシステム。
【請求項2】
前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の前記コピーは、前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の受信と同期して生成され、前記遠隔制御ユニット(206a~206c)に送信される、請求項1に記載のオーディオビジュアルコンテンツ(200)を制作するためのシステム。
【請求項3】
前記オーディオビジュアルコンテンツは、前記少なくとも1つの制御信号の受信と同期して生成される、請求項1に記載のオーディオビジュアルコンテンツ(200)を制作するためのシステム。
【請求項4】
前記第2の品質レベルは、前記データ通信ネットワーク(207)の伝送遅延に応じて決定される、請求項1~3のいずれかに記載のオーディオビジュアルコンテンツ(200)を制作するためのシステム。
【請求項5】
前記オーディオビジュアル処理装置(203a~203b)は、
入力された前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号と入力された前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の前記少なくとも1つのコピーとの間の同期のための1つ又は複数の同期情報を生成し、
前記データ通信ネットワーク(207)を介して、前記1つ又は複数の同期情報を前記遠隔制御ユニット(206a~206c)へ送信する
ように構成される、請求項1~4のいずれかに記載のオーディオビジュアルコンテンツ(200)を制作するためのシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数の命令が、前記1つ又は複数の同期情報への少なくとも1つの参照を含む、請求項5に記載のオーディオビジュアルコンテンツ(200)を制作するためのシステム。
【請求項7】
オーディオビジュアルコンテンツを制作するためのシステムであって、
前記1つ又は複数の遠隔制御ユニット(206a~206c)は、第1のアクセスネットワーク及び第2のアクセスネットワークによって前記データ通信ネットワーク(207)にアクセスするように構成され、
前記1つ又は複数の遠隔制御ユニット(206a~206c)は、
前記第1のアクセスネットワークに関連する少なくとも1つの第1の品質パラメータを決定し、
前記第2のアクセスネットワークに関連する少なくとも1つの第2の品質パラメータを決定し、
前記第1の品質パラメータ及び前記第2の品質パラメータに応じて前記第1のアクセスネットワーク又は前記第2のアクセスネットワークのいずれかを選択する
ようにさらに構成される、請求項1~6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
第1の品質レベルで1つ又は複数のオーディオビジュアル信号を受信するように構成された1つ又は複数の入力と、
データ通信ネットワーク(207)に有効に接続された通信モジュールと、
第2の品質レベルで前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の少なくとも1つのコピーを生成するように構成されたエンコーダと、
処理ユニットであって、
前記通信モジュールを介して、前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の前記コピーを遠隔制御ユニット(206a~206c)に送信し、
前記データ通信ネットワーク(207)を介して、前記遠隔制御ユニット(206a~206c)から1つ又は複数の命令を含む少なくとも1つの制御信号を受信し、
前記1つ又は複数の命令に応じて第1の品質レベルで前記1つ又は複数のオーディオビジュアル信号から開始してオーディオビジュアルコンテンツを生成する
ように構成された該処理ユニット
を含むオーディオビジュアル処理装置(203a~203b)。
【請求項9】
1つ又は複数の命令を受信するように構成されたユーザインターフェースと、
データ通信ネットワーク(207)に有効に接続された通信モジュールと、
前記データ通信ネットワーク(207)を介して、第1の品質レベルの1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の第2の品質レベルでのコピーを受信するステップであって、前記第2の品質レベルでのコピーは、オーディオビジュアル処理装置(203a~203b)から送信される、該ステップと、
前記ユーザインターフェースを介して1つ又は複数の命令を受信するステップと、
前記1つ又は複数の命令を含む制御信号を生成するステップと、
前記制御信号を、前記データ通信ネットワーク(207)を介して前記オーディオビジュアル処理装置(203a~203b)に送信するステップ
を実行するよう構成された処理ユニット
を有する遠隔制御ユニット(206a~206c)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオビジュアルコンテンツを制作するためのシステムに関する。特に、本発明は例えば、番組、スポーツイベント、政治的キャンペーン討論、ジャーナリスティックイベント、コンサート、eスポーツ(エレクトロニクススポーツ、すなわち、プロフェッショナルビデオゲーム競技又は非プロフェッショナルビデオゲーム競技)などのイベントを放送するためにリアルタイムで送信及び配信されるオーディオビジュアルコンテンツの制作の分野に属する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
このフレーム(枠組み)では、あるイベントを表すオーディオビジュアルコンテンツを制作し、配信するために、例えば、ビデオカメラ、マイクロフォンなどの複数のソースを使用することによって、かなりの数のオーディオビジュアル信号をリアルタイムで生成することが知られている。1つ又は複数のオペレータの制御下で、そのようなオーディオビジュアル信号は通常、放送に適した(すなわち、例えば、テレビジョン放送ネットワークなどの電気通信ネットワークを介したリアルタイム配信に適した)オーディオビジュアル信号を生成する目的で、リアルタイムで選択及び編集される。
【0003】
イベントの表現を改善するために、リアルタイムで放送されているオーディオビジュアル信号に、ソースからリアルタイムで取得された同じオーディオビジュアル信号から開始して処理されるいくつかの追加のオーディオビジュアルコンテンツを含めることが知られている。例えば、スポーツイベント中の所与の画像シーケンスの理解を向上させるために、いくつかの選択された画像の繰り返しを送信すること、又は別法として、異なる撮影角度(すなわち、代替ソースから取得された)から同じシーケンスを提案することがしばしば有用である。一般に、リアルタイムで取得されたオーディオビジュアル信号から、例えば、リプレイ(再生)、スローモーションシーケンス、ビデオクリップのシーケンス(プレイリスト)、その後に編集されるビデオ素材、履歴ビデオアーカイブの生成などの複数の追加のオーディオビジュアルコンテンツを、例えば、記憶、編集、及び再生などの動作を実行することによって生成することが可能である。
【0004】
当該技術分野において知られている技術によれば、前記追加コンテンツを制作するために、オーディオビジュアルソースによって生成された信号は通常、リアルタイムで、又は予め設定された遅延(単に、時間帯又はスケジュール要件による非限定的な例として)で、1つ又は複数のオペレータの制御下で、例えば、受信されたオーディオビジュアル信号のカッティング及び編集、記憶及び再生などの特定の数の処理動作を実行することができる、1つ又は複数のオーディオビジュアル処理装置(本明細書においてオーディオビジュアルサーバ、ビデオサーバ又はオーディオビジュアル処理ユニットとも呼ばれる)に送信される。
【0005】
したがって、このような追加コンテンツの作成は、オーディオビジュアルソースからリアルタイムで受信されたシグナルに基づいて、1つ又は複数のオーディオビジュアル処理装置によって1つ又は複数のオペレータによって実行される。典型的には、そのようなオペレータがリアルタイムで受信された特定の数のオーディオビジュアル信号を表示することができる1つ又は複数のモニタと、オーディオビジュアルサーバに有効(動作可能)に接続され、そのような追加のコンテンツを作成するために有用な命令を送ることができる制御ユニットとを、そのようなオペレータの自在に扱えるように有している。そのような指示は、オペレータのモニタ上にリアルタイムで表示される画像に応じて(又は、の関数として)オペレータによって発出され、したがって、オペレータのモニタ上に表示される画像がソースによってリアルタイムでキャプチャされるオーディオビジュアル信号と可能な限り同期されることが基本的に重要である。言い換えれば、ソースによるオーディオビジュアル信号の取得と、オペレータのモニタ上のそのような信号の視覚化との間の遅延時間(又は、レイテンシ/待ち時間)はオペレータによって与えられた命令と、リアルタイムで取得されたオーディオビジュアル信号に対するそれらの正しい実行との間の同期を確実にするために、必然的に非常に低くなければならない。この要件が満たされない場合、すなわち、待ち時間が大きすぎる場合、オペレータによって発行される命令はモニタ上に表示される画像から時間的にシフトされ、その結果、追加コンテンツを生成するために使用される画像のシーケンスを選択する動作は非常に不正確になる。
【0006】
このような待ち時間を許容可能な閾値未満に保つために、追加のコンテンツを作成する作業者のステーション(すなわち、モニタ及び制御ユニット)は、通常、オーディオビジュアル処理装置に近接して配置されるので、オーディオビジュアル処理装置の高解像度ビデオ出力を直接利用することが可能である。
【0007】
次に、オーディオビジュアル処理装置は、テレビジョンスタジオとして恒久的に使用される部屋、又は移動手段内のオーディオビジュアルソースの近くに必ず配置される(「アウトサイドブロードキャスティングバン」又は「OBバン」とも呼ばれる)。両方の場合において、そのような空間の利用可能性は特に非常に重要なイベントの場合には通常、非常に限られており、したがって、よくあることであるが、追加のコンテンツの選択のために多数のオペレータを使用する必要があるときはいつでも、テレビジョンスタジオの限られたサイズが問題であることが明らかである。
【0008】
本発明の1つの目的は、従来技術の欠点を改善することである。特に、本発明のオーディオビジュアル制作システムの目的の1つは、常設(恒久)及び移動テレビスタジオの空間的限界の問題を克服することである。本発明のさらなる目的は、オーディオビジュアル信号の取得と、追加のコンテンツの生成を委託されたオペレータのモニタ上でのそのような信号の視覚化との間の待ち時間を、所定の閾値未満に保つことである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のさらなる目的、特徴及び利点は、単に非限定的な例として提供される以下の詳細な説明及び添付の図面に照らして明らかになるのであろう:
図1は、従来技術によるオーディオビジュアル制作システムを概略的に示す;
図2は、本発明の一実施形態によるオーディオビジュアル制作システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照すると、
図1の参照番号100は、従来技術に従って構成されたオーディオビジュアル制作システムの一例を全体として示している。特に、オーディオビジュアル制作システム100は例えば、HDTV又はUHDTV高解像度ビデオカメラ、マイクロフォンなどの複数のオーディオビジュアルソース101a~101lを備える。このようなオーディオビジュアルソース101a~101lは、オーディオビジュアル信号伝送システム102aを介して、オーディオビジュアルミキサ108及び複数のオーディオビジュアル処理装置103a及び103bに有効に接続される。オーディオビジュアル制作システム100に含まれる様々な装置間のオーディオビジュアル信号の伝送の遅延を最小限に抑え、高品位オーディオビジュアルソース101a~101lによって取得されるオーディオビジュアル信号の質の劣化を回避するために、オーディオビジュアル信号伝送システム102aは、通常、例えば同軸又は光ファイバケーブルによって、有線の(又は、ワイヤード)形態で実装される。オーディオビジュアル信号伝送システム102aはオーディオビジュアルソース101a~101lによって生成されたオーディオビジュアル信号の非圧縮及び非暗号化形態での伝送を可能にするようなものであり、例えば、信号伝送システム102aを介したオーディオビジュアル信号の伝送は通常、「シリアルデジタルインターフェース」(SDI)規格ファミリーに属する非圧縮高解像度デジタルインターフェース(業務用の他の同等のインターフェースはHDMI(登録商標)又は非圧縮ビデオオーバーIP SMPTE 2022/2110以降のインターフェースを含み得る)によって実行される。待ち時間及び信号品質の面で非常に効率的であるが、同軸又は光ファイバケーブルによって実現される信号伝送システム102aは互いに非常に離れて配置された接続装置には適していないことが知られている。
【0011】
オーディオビジュアル制作システム100はまた、例えば、リプレイ、スローモーションシーケンスなどの追加のオーディオビジュアルコンテンツを生成するためのいくつかのステーションを備える。少なくとも1つのオペレータによって制御されるこのようなステーションの各々は、少なくとも1つのモニタ105a~105cと、1つの制御ユニット106a~106cとを備える。前記制御ユニット106a~106cはローカルデータ通信ネットワーク107、例えば、LAN又はWLANを介して、オーディオビジュアル制作装置103a~103bに有効に接続される。モニタ105a~105cはオーディオビジュアル信号伝送システム102aの特性と同様の特性を特徴とするオーディオビジュアル信号伝送システム102bを介して1つ又は複数のオーディオビジュアル信号処理装置103a~103bに直接又は間接的に接続され、
図1に示される例ではオーディオビジュアル信号処理装置103a~103bがオーディオビジュアルソース101a~101lからリアルタイムで受信されたオーディオビジュアル信号を含む1つ又は複数のオーディオビジュアル信号をモニタ105a~105cに伝送するように構成される。したがって、モニタ105a~105cは制御ステーションオペレータがオーディオビジュアルソース101a~101lによって取得された少なくとも1つのオーディオビジュアル信号をリアルタイムで表示することを可能にし、モニタ105a~105c上に表示された画像に応じて、制御ステーションオペレータは命令を含む1つ又は複数の制御信号を、ローカルデータ通信ネットワーク107を介してリアルタイムでオーディオビジュアル処理装置103a~103bに直接送信することができる。そのような命令に基づいて、オーディオビジュアル処理装置103a~103bはオーディオビジュアルソース101a~101bからリアルタイムで受信されたオーディオビジュアル信号からスタートして(開始して)、たとえば、リプレイ、スローモーションシーケンスなどの1つ又は複数の追加コンテンツをリアルタイムで生成するように構成される。モニタ105a~105cに表示される画像と、制御信号に含まれる命令の送信及び実行との間の同期を提供するために、非常に短い待ち時間を保証することが必要である。特に、制御ユニット106a~106bのうちの1つによってオペレータによって発行された制御信号の送信と、オーディオビジュアル処理装置103a~103cによるそのような制御信号の受信との間の待ち時間を所定の許容範囲内に保つ必要があり、この要求は、通常、ローカルデータ通信ネットワーク107の高速度のため、及びそのような制御信号が一般にほとんど情報を含まないために満たされる。オーディオビジュアルソース101a~101lによるオーディオビジュアル信号の取得と、モニタ105a~105c上のそのような信号の視覚化との間のレイテンシ(遅延)時間を所定の許容範囲内に保つことも最重要であり、したがって、オーディオビジュアル処理装置203a~203bからモニタ105a~105cへの、リアルタイムであるか否かにかかわらず、オーディオビジュアル信号の送信の間のレイテンシ時間を所定の許容範囲内に保つことが必要である。
図1に示されるオーディオビジュアルコンテンツ制作システム100の例では、この必要条件の達成が高精細度信号伝送システム102a及び102bの使用によって保証される。
【0012】
オーディオビジュアル処理装置103a~103bはまた、オーディオビジュアル信号伝送システム102bを介してオーディオビジュアルミキサ108に接続され、このようにして、オーディオビジュアル処理装置103a~bは、1つ又は複数の追加コンテンツを含む出力オーディオビジュアル信号をオーディオビジュアルミキサ108に送信することができる。
【0013】
最後に、オーディオビジュアルミキサ108は、オーディオビジュアル信号を放送するために放送センター109にオーディオビジュアル信号を送信するように構成される。
【0014】
図2は、本発明によるオーディオビジュアルコンテンツ制作システム200の一例を示す。オーディオビジュアルコンテンツ制作システム200の全ての装置は、オーディオビジュアルコンテンツ制作システム100の装置の上述の特徴の少なくとも全てを個々に含む。オーディオビジュアル制作システム100について先に説明したように、オーディオビジュアル制作システム200は例えば、HDTV又はUHDTV高解像度ビデオカメラ、マイクロフォンなどの1つ又は複数のオーディオビジュアルソース101a~101lを備える。前記オーディオビジュアルソース(101a~101l)は第1の品質レベル(例えば、高精細度に対応する品質レベル)で1つ又は複数のオーディオビジュアル信号を生成するように構成される。オーディオビジュアル制作システム200はまた、オーディオビジュアル信号伝送システム102aを介して、前記1つ又は複数のオーディオビジュアルソース101a~101lに有効に接続された1つ又は複数のオーディオビジュアル処理装置203a~203bを備え、上記で既に示された理由のために、オーディオビジュアル信号伝送システム102aは非常に短い待ち時間を保証するが、互いに非常に遠くにある装置を接続するのには不適切である。オーディオビジュアル処理装置203a、203bは、オーディオビジュアル信号伝送システム102aを介してオーディオビジュアルソースから1つ又は複数のオーディオビジュアル信号を受信するように構成されている。
【0015】
本発明の一態様によれば、オーディオビジュアル制作システム200は、それぞれが少なくとも1つの遠隔制御ユニット206a~206cと、任意選択的に1つ又は複数のモニタ105a~105cとを備える、1つ又は複数の遠隔制御ステーションをさらに備える。前記遠隔制御ユニット206a~206cの各々は、データ通信ネットワーク207を介して少なくとも1つのオーディオビジュアル処理装置203a~203cに有効に接続される。前記データ通信ネットワーク207は、好ましくはIP(インターネットプロトコル)通信プロトコルに従って動作する任意のデータ通信ネットワークを含むことができる。例えば、データ通信ネットワーク207は単純なLAN又はWLANローカルネットワークであってもよく、又はWANネットワークなどのより拡張されたデータ通信ネットワークを含んでもよく、又はより一般的にはインターネットグローバルデータ通信ネットワークに接続された2つ以上の端末間の通信を可能にするようなものであってもよい。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、オーディオビジュアル処理装置203a及び203bはまた、第2の品質レベルで前記1つ又は複数の入力オーディオビジュアル信号の少なくとも1つのコピーを生成するように構成され、例えば、各オーディオビジュアル処理装置203a及び203bは第2の品質レベルで入力オーディオビジュアル信号を符号化し、符号化されたオーディオビジュアル信号のコピーを含む1つ又は複数のデータストリームを生成することができるエンコーダを備えることができる。オーディオビジュアル処理装置203a及び203bはさらに、1つ又は複数のオーディオビジュアル信号の前記コピーを含むデータストリームを、データ通信ネットワーク207を介して遠隔制御ユニット(リモートコントロールユニット)206a~206cにリアルタイムで送信するように構成される。したがって、次に遠隔制御ユニット206a~206cに接続された遠隔モニタ205a~205cよって、制御ステーションオペレータはオーディオビジュアル処理装置203a~203bから送信されたオーディオビジュアル信号のコピーのコンテンツをリアルタイムで表示することができ、例えば、オペレータは、オーディオビジュアルソース101a~101lによって生成されたオーディオビジュアル信号のコピーをリアルタイムで表示することができる。さらに、遠隔モニタ205a~205cにリアルタイムで表示された画像に応じて(又は、の関数として)、オペレータは、遠隔制御装置206a~206c及びデータ通信ネットワーク207を介して、例えばリプレイ、スローモーションシーケンスなどの追加のオーディオビジュアルコンテンツを作成するための1つ又は複数の命令を含む制御信号を、オーディオビジュアル処理装置203a~203cに送信することができる。
【0017】
上述のように、制御信号と、遠隔モニタ205a~205cに表示される画像と、オーディオビジュアル処理装置203a~203cによる制御信号に含まれる命令の実行の間での同期を提供するために、非常に短い遅延時間を保証する必要がある。特に、遠隔制御ユニット206a~206bのうちの1つを介してオペレータによって発せられる制御信号の送信と、オーディオビジュアル処理装置203a~203cによるそのような制御信号の受信との間の遅延時間(又は、レイテンシ/遅延時間)間隔を所定の許容範囲内に保つ必要があり、そのような遅延時間は、制御信号に含まれる情報量が少ないため、通常は無視できる。また、オーディオビジュアルソース101a~101lによるオーディオビジュアル信号の取得と、リモート(遠隔)モニタ205a~205c上のそのような信号の視覚化との間の遅延時間を所定の許容範囲内に保つことも、最も重要であり、本発明の一態様によれば、そのような遅延時間間隔は、入力オーディオビジュアル信号に対して実行される符号化操作のおかげで、許容可能なレベルの下に保たれる。特に、オーディオビジュアル信号のコピーの品質レベル(すなわち、第2の品質レベル)は、それが知覚可能な遅延なしに遠隔制御ユニット206a~206cに送信され得るようなものでなければならない。このため、第2の品質レベルは、通常、ソース101a~101lによって生成されるオーディオビジュアル信号の第1の品質レベルよりも低い。
【0018】
遠隔モニタ105a~105c上のオーディオビジュアルソース101a~101lによって取得されたオーディオビジュアル信号のリアルタイムでの(すなわち、知覚可能な遅延のない)視覚化を確実にするために、オーディオビジュアル処理装置203a~203cはそのような信号のコピーを作成し、そのような信号の受信と同期してそれを遠隔制御ユニット206a~206cに送信するように構成される。言い換えれば、オーディオビジュアル信号のコピーを含むデータストリームを符号化し送信する動作はソース101a~101lからのオーディオビジュアル信号の到着と同時に、オーディオビジュアル処理装置203a~203bの各々によって開始される。
【0019】
オーディオビジュアル処理装置203a~203bはまた、オーディオビジュアル信号伝送システム102bを介してオーディオビジュアルミキサ108に接続され、このようにして、オーディオビジュアル処理装置203a~bは、1つ又は複数の追加コンテンツを備える出力オーディオビジュアル信号をオーディオビジュアルミキサ108に送信することができる。
【0020】
最後に、オーディオビジュアルミキサ108は、「プログラム(又は、番組)」とも呼ばれるオーディオビジュアル信号を、オーディオビジュアル信号をブロードキャストするためのブロードキャストセンター109に送信するように構成される。オーディオビジュアル処理装置203a~203bは、第2の品質レベルで「プログラム信号」の少なくとも1つのコピーを生成し、「プログラム信号」のコピーをデータ通信ネットワーク207を介して遠隔制御装置206a~206cに送信するようにさらに構成することができる。本発明を用いることにより、制作スタジオ及び/又は携帯手段にすでに存在するサードパーティ(第三者)のプログラム信号を利用することができる。
【0021】
モニタ105a~105c上に表示された画像と、制御ユニット106a~106cを介してオペレータによって与えられた命令との間のさらなる同期を保証するために、オーディオビジュアル処理装置203a~203cによって送信されたオーディオビジュアル信号の符号化されたコピーを含むデータストリームは、高解像度オーディオビジュアル信号の1つ又は複数のポイントと同じ信号のコピーの1つ又は複数のポイントとの間の双一義的(biunivocal)な対応を確立することが可能な追加の同期情報を含み得る。そのような追加情報は例えば、モニタ105a~105c上に表示されている信号のコピーのフレームから始まる高解像度オーディオビジュアル信号のフレームを識別するために有用であり得る。したがって、モニタ105a~105c上に表示され、オーディオビジュアル処理装置203a~203bに送信される1つ又は複数の画像に基づいてオペレータによって発行される命令はモニタ105a~105c上に表示される1つ又は複数の画像に関する同期情報を含むことができ、このようにして、オーディオビジュアル処理装置203a~203b上で、遠隔制御ユニット206a~206c上でオペレータによって与えられる命令を、そのような命令が参照する高解像度オーディオビジュアル信号の正確なポイントに関連付けることが可能である。
【0022】
オペレータのステーションに関しては、オーディオビジュアルソース101a~101lの信号、主出力ビデオ信号(すなわち、「プログラム信号」)、ビデオサーバのコマンド、及びすべてのオペレータが接続されているインターフォンを利用することができることを注意しておくべきである。このため、本発明を使用することによって、制作スタジオ及び/又は携帯手段内にすでに存在するサードパーティのインターフォン信号(すなわち、外部装置からの)を利用可能にすることができる。
【0023】
保守の継続性を保証するために、制御ユニット206a~206cは、第1のアクセスネットワーク及び第2のアクセスネットワークによって前記データ通信ネットワーク207にアクセスするように構成され得る。たとえば、制御ユニット206a~206cはたとえば、ローカルWiFiネットワーク及びセルラーネットワーク(たとえば、LTE、LTE-a、5Gなど)などの別個のアクセスプロトコルによって特徴付けられる2つ又は複数のアクセスネットワークを介して、データ通信ネットワーク207(たとえば、インターネットグローバルデータネットワーク)を介して相互接続され得る。あるいは制御ユニット206a~206cが同じタイプの2つ以上のアクセスネットワークを介してデータ通信ネットワーク207(例えば、インターネットグローバルデータネットワーク)を介して相互接続され得るが、別個のオペレータによって管理され得る。したがって、遠隔制御ユニット206a~206cは、前記第1のアクセスネットワークに関連する少なくとも1つの第1の品質パラメータ、例えば、遠隔制御ユニット206a~206cとオーディオビジュアル処理ユニット203a~203bとの間の接続の遅延を示すパラメータを決定するように構成されてもよい。同様に、遠隔制御ユニット206a~206cは、前記第2のアクセスネットワークに関連する少なくとも1つの第2パラメータを決定するように構成されてもよい。データ通信ネットワーク207へのアクセスは、第1の品質パラメータ及び第2の品質パラメータの値に応じて(又は、の関数として)、第1又は第2のアクセスネットワークのいずれかを介して得ることができる。各アクセスネットワークの品質パラメータは利用可能なリソースの最適な利用を保証するために、周期的に測定され得る。加えて、遠隔制御ユニット206a~206cは使用中のアクセスネットワークが適切なネットワーク性能を提供できない場合(すなわち、品質パラメータが所定の閾値を下回る場合)、一方のアクセスネットワークから他方のアクセスネットワークに自動的に切り替えるように構成され得る。
【0024】
さらに、制御ユニット206a~206cはデータ通信ネットワーク207を介して、例えば、グラフィカルテキストコンテンツ、画像、追加のオーディオビジュアルコンテンツなどの補足的なオーディオビジュアルコンテンツを送信するように構成され得る。そのような補足的なオーディオビジュアルコンテンツは遠隔制御ユニット206a~206cに含まれるメモリ(例えば、制御ユニットの外部の内部ソリッドステートメモリ又はUSBメモリ)に記憶され得る。あるいは、遠隔制御ユニット206a~206cがデータ通信ネットワーク207(例えば、インターネットグローバル通信ネットワーク)を介して、処理ユニット206a~206b以外のビデオサーバから相補的なオーディオビジュアルコンテンツを取り出すように構成されてもよい。
【0025】
本発明によるオーディオビジュアルコンテンツ制作システムは制御ステーション(すなわち、遠隔制御ユニット206a~206c)を、常設テレビスタジオ又はOBバンとして使用される部屋の外側に配置することを可能にするという利点を有することは明らかである。特に、本発明の一態様によれば、遠隔制御ユニット206a~206cは、地理的な制約を受けることなく、オーディオビジュアル処理装置203a~203bから任意の距離に位置決めすることができる。このように、追加のオーディオビジュアルコンテンツの制作を委託されるオペレータの数は、テレビスタジオ又はOBバンで利用可能な小さな部屋によって制限されない。本発明のさらなる利点は、処理ユニット203a~203bと遠隔制御ユニット206a~206cとの間で交換されるオーディオビジュアルコンテンツの遅延時間隔を所定の閾値未満に維持することにある。
【0026】
本明細書で例として説明されるオーディオビジュアル制作システムは本発明の思想の新規性の精神から逸脱することなく、多くの可能な変形を受けることができ、また、本発明の実際の実施において、図示された詳細が、異なる形状を有し得るか、又は他の技術的に同等の要素と置き換えられ得ることも明らかである。
【0027】
したがって、本発明は上述のオーディオビジュアル制作システムに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に明確に明記されるように、本発明の思想から逸脱することなく、同等の部品及び要素の多くの修正、改良、又は置換を受けることができることが容易に理解されよう。
【国際調査報告】