(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(54)【発明の名称】視覚機能を増強するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/54 20170101AFI20230622BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230622BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230622BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230622BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230622BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20230622BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20230622BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20230622BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20230622BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20230622BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230622BHJP
A61K 31/655 20060101ALI20230622BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230622BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230622BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230622BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20230622BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230622BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230622BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20230622BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A61K47/54
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61P27/02 ZNA
A61K47/68
A61K47/64
A61K47/65
A61K47/40
A61K9/107
A61K9/127
A61K9/51
A61K39/395 L
A61K39/395 C
A61K31/655
A61K38/17
A61K48/00
A61K35/76
C12N15/115 Z
C07K19/00
C07K16/28
C12N5/071
C12N15/864 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573584
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 US2021034625
(87)【国際公開番号】W WO2021243086
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(71)【出願人】
【識別番号】508348956
【氏名又は名称】マックス-プランク-ゲゼルシャフト ツア フェルデルンク デア ヴィッセンシャフテン エー.ファウ.
(71)【出願人】
【識別番号】508057896
【氏名又は名称】コーネル・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】CORNELL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】イサコフ エフド ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブロイヒハーゲン ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】レヴィッツ ジョシュア ティー.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA65
4C076AA95
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4C076EE39A
4C076EE41
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4C076FF11
4C084AA02
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4C084AA13
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4C087MA22
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4C087MA38
4C087MA58
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA13
4C087ZA33
4C087ZB21
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
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4H045BA41
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA33
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、親和性剤と、分岐鎖リンカーと、2つ以上の光異性化可能な調節因子とを含むコンジュゲートを提供する。本開示は、当該コンジュゲートを含む組成物、及び当該組成物を含むデバイスを提供する。本開示は、視覚機能を増強するための方法を提供し、この方法は、それを必要とする個体に当該コンジュゲートを投与することを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)コンジュゲートであって、
a)親和性剤であって、
i)標的リガンド結合ポリペプチド;または
ii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチド
に特異的に結合する、前記親和性剤;
b)分岐鎖リンカー;ならびに
c)2つ以上の光異性化可能な調節因子であって、それぞれ独立して、
i)光異性化可能な基;及び
ii)前記標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンド
を含む、前記調節因子
を含む、前記コンジュゲートと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記親和性剤がベンジルグアニンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記親和性剤がクロロアルカンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記親和性剤がベンジルシトシンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記親和性剤が抗体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記親和性剤がアプタマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記親和性剤が小分子またはペプチドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記分岐鎖リンカーが、光異性化可能な調節因子をそれぞれ独立して含む2つ以上のアームを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記分岐鎖リンカーが2つのアームを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記分岐鎖リンカーが4つのアームを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記分岐鎖リンカーが、式(BL):
(式中、nは1~10の整数である)
である部分を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
nが1である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
nが3である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記光異性化可能な基が、アゾベンゼン、環状アゾベンゼン、アゾヘテロアレーン、フルギド、スピロピラン、トリフェニルメタン、チオインジゴ、ジアリールエテン、及び過密アルケンから選択される部分を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記光異性化可能な基がアゾベンゼンを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記リガンドがアゴニスト、アンタゴニスト、アロステリックモジュレーター、またはブロッカーである、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記標的リガンド結合ポリペプチドが、転写調節因子、イオンチャネル、カチオンチャネル、リガンド依存性イオンチャネル、電位依存性イオンチャネル、クオラムセンサー、フェロモン受容体、神経伝達物質受容体、Gタンパク質共役受容体、及び酵素から選択される、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記カチオンチャネルがカリウムチャネル、ナトリウムチャネル、またはカルシウムチャネルである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記標的リガンド結合ポリペプチドが、グルタミン酸受容体、代謝型グルタミン酸受容体、イオンチャネル型グルタミン酸受容体、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型GABA-A受容体、代謝型GABA-B受容体、代謝型ドーパミン受容体、イオンチャネル型プリン作動性P2X受容体、代謝型プリン作動性P2Y受容体、代謝型セロトニン受容体、イオンチャネル型セロトニン受容体、イオンチャネル型グリシン受容体、カチオンチャネル、カリウムチャネル、カルシウムチャネル、ナトリウムチャネル、プロトンチャネル、アニオンチャネル、またはクロライドチャネルである、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記光異性化可能な基が、可視光に応答して異性化するアゾベンゼンを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記リガンドがグルタメートである、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記抗体が単鎖Fv(scFv)またはナノボディである、請求項5に記載の組成物。
【請求項23】
前記抗体が代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)に特異的であり、任意選択で、前記mGluRが、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、またはmGluR6である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
滅菌されており、発熱物質を含まない、請求項1~23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
前記薬学的に許容される賦形剤がシクロデキストリンを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、または誘導体化シクロデキストリンである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記コンジュゲートがナノ粒子内にカプセル化されている、請求項1~26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記ナノ粒子がナノミセル、リポソーム、ナノスフェア、またはナノカプセルである、請求項54に記載の組成物。
【請求項29】
眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)システムであって、
a)請求項1~23のいずれか1項に記載のコンジュゲート;
b)融合ポリペプチドであって、
i)前記コンジュゲート中に存在する前記リガンドに対する結合部位を含む、標的リガンド結合ポリペプチド;及び
ii)前記親和性剤に結合する異種融合パートナー
を含む、前記融合ポリペプチド
を含む、前記システムと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【請求項30】
前記異種融合パートナーが、配列番号1または配列番号4で示されるSNAPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記異種融合パートナーが、配列番号2で示されるCLIPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
前記異種融合パートナーが、配列番号3で示されるHALOポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)システムであって、
a)請求項1~23のいずれか1項に記載のコンジュゲート;
b)融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸であって、
i)前記リガンドに対する結合部位を含む、標的リガンド結合ポリペプチド;及び
ii)前記親和性剤に結合する異種融合パートナー
を含む、前記核酸
を含む、前記システムと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【請求項34】
前記異種融合パートナーが、配列番号1または配列番号4で示されるSNAPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記異種融合パートナーが、配列番号3で示されるHALOポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
前記異種融合パートナーが、配列番号2で示されるCLIPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
前記核酸が組換えアデノウイルス随伴ウイルス(AAV)ビリオン中に存在する、請求項33~36のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
前記AAVビリオンが、対応する野生型カプシドポリペプチドを含むAAVビリオンと比較して、前記AAVビリオンによる網膜細胞の感染性の増加を提供するバリアントカプシドポリペプチドを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項39】
眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)システムであって、
a)請求項1~23のいずれか1項に記載のコンジュゲート;
b)第1の融合ポリペプチドであって、
i)前記リガンドに対する結合部位を含む、標的リガンド結合ポリペプチド;及び
ii)異種ポリペプチド
を含む、前記第1の融合ポリペプチド;ならびに
c)第2の融合ポリペプチドであって、
i)前記異種ポリペプチドに結合する抗体;及び
ii)前記親和性剤に結合する異種融合パートナー
を含む、前記第2の融合ポリペプチド
を含む、前記システムと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【請求項40】
前記親和性剤に結合する前記異種融合パートナーが、配列番号1または配列番号4で示されるSNAPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記親和性剤に結合する前記異種融合パートナーが、配列番号3で示されるHALOポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
前記親和性剤に結合する前記異種融合パートナーが、配列番号2で示されるCLIPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
前記抗体が単鎖Fvまたはナノボディである、請求項39~42のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
前記異種ポリペプチドがエピトープタグである、請求項39~43のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)システムであって、
a)請求項1~23のいずれか1項に記載のコンジュゲート;
b)融合ポリペプチドであって、
i)前記標的リガンド結合ポリペプチドに特異的に結合する抗体;及び
ii)SNAPポリペプチド、HALOポリペプチド、及びCLIPポリペプチドから選択される、前記親和性剤に結合するポリペプチド
を含む、前記融合ポリペプチド
を含む、前記システムと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【請求項46】
光に対する網膜細胞の感受性を増強する方法であって、
前記網膜細胞を光に曝露することを含み、
前記網膜細胞が請求項1~23のいずれか1項に記載のコンジュゲートまたは請求項29~45のいずれか1項に記載のシステムを含み、
前記光が、前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合をもたらす波長のものであり、
前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合が、光に対する前記網膜細胞の感受性を増加させる、前記方法。
【請求項47】
網膜細胞に光応答性を付与する方法であって、請求項1~23のいずれか1項に記載のコンジュゲートまたは請求項29~45のいずれか1項に記載のシステムを前記網膜細胞に導入することを含む、前記方法。
【請求項48】
光に対する応答性の低下を特徴とする眼障害を治療する方法であって、請求項1~29のいずれか1項に記載の組成物または請求項29~45のいずれか1項に記載の組成物を、前記眼障害を有する個体の眼に投与することを含む、前記方法。
【請求項49】
前記眼障害が遺伝性網膜変性疾患である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患が網膜色素変性症または加齢黄斑変性症である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
a)請求項1~29のいずれか1項に記載の組成物または請求項29~45のいずれか1項に記載のシステムを含む組成物を含む、容器と;
b)個体の眼に前記組成物を導入するための手段と
を含む、医療装置。
【請求項52】
個体の眼に前記組成物を導入するための前記手段が針を含む、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記容器が注射器を含む、請求項51または請求項52に記載の装置。
【請求項54】
滅菌されている、請求項51~53のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2020年5月29日に出願された米国仮特許出願第63/032,241号の権益を主張し、その出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、米国立衛生研究所によって授与されたEY018241の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
導入
網膜色素変性症(RP)は、光受容体の変性による失明をもたらすが、他の網膜細胞は温存するため、生存細胞における光活性化シグナル伝達タンパク質の発現によって視力が回復する可能性がある。ほとんどの取り組みは光活性化イオンチャネルを採用しているが、光受容細胞のオプシンなどの光活性化Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、網膜にネイティブで高感度で機能し、増幅シグナルカスケードの下流のチャネルを活性化するためにおそらく低発現で機能する魅力的な代替手段を表している。実際、最近、ロドプシンまたはメラノプシンの異所性発現が薄暗い光の下で光応答を回復することが示された。しかしながら、光受容細胞の外では、ロドプシンは遅い光応答を生成し、メラノプシンはさらに遅い光応答を生成する。ロドプシンの場合、運動はすでに遅すぎて、不動の視覚刺激があっても、パターン化された視覚をサポートできない。
【0004】
視覚機能を増強するための組成物及び方法が当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
概要
本開示は、親和性剤と、分岐鎖リンカーと、2つ以上の光異性化可能な調節因子とを含むコンジュゲートを提供する。本開示は、コンジュゲートを含む組成物、及び組成物を含むデバイスを提供する。本開示は、視覚機能を増強するための方法を提供し、この方法は、それを必要とする個体にコンジュゲートを投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1B-1】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1C】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1D-1】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1E-1】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1F】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1G】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1H】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1I-1】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1J-1】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図1K-1】本開示のコンジュゲートの実施形態の合成スキームを示す。
【
図2A】mGluR2の光活性化に対するPORTLの効果を示す。
【
図3A】ラットSNAP-mGluR2またはヒトSNAP-mGluR6を発現するHEK293細胞におけるGIRK光電流に対する一価BGAG
12,460の効果を示す。
【
図4A】HEK293細胞におけるGIRKチャネルのSNAP-mGluR2活性化の効力及び感度に対する多分岐BGAG
12,460の効果を示す。
【
図5A】AAV2 4YF hSyn-SNAP-mGluR2の硝子体内注射後のrd1マウスのRGCにおけるSNAP-mGluR2の発現を示す。
【
図6A】rd1マウスの光回避行動に対する、網膜神経節細胞(RGC)またはON双極細胞(ON-BC)における
4×BGAG
12,460:SNAP-mGluR2の効果を示す。
【
図7A】rd1マウスにおける学習した空間パターン認識誘導行動に対する、RGCまたはON-BCにおける
4×BGAG
12,460:SNAP-mGluR2の効果を示す。
【
図8A】SNAP-mGluR2 rd1マウスにおけるパターン認識の回復に対するβ-シクロデキストリン中の
4×BGAG
12,460の効果を示す。
【
図9A】
4×BGAG
12,460の硝子体内注射後のrd1マウスにおける高視力線パターン認識の回復を示す。
【
図10】RGCにおけるBGAG
12,460:SNAP-mGluR2またはRGCの中波錐体オプシン(MWオプシン)のいずれかを有するrd1網膜から単離されたRGCの微小電極アレイ(MEA)記録を示す。
【
図11A】MWオプシンと比較した、移動ディスプレイでの線パターン認識の回復に対する、rdlマウスのRGCにおける
4×BGAG
12,460:SNAP-mGluR2の効果を示す。
【
図12】新規オブジェクト認識に対するrdlマウスのRGCまたはON-BCにおける
4×BGAG
12,460:SNAP-mGluR2の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
別途示されない限り、以下の用語は、以下の意味を有する。いずれかの未定義の用語には、それらの技術分野に認識されている意味がある。
【0008】
「アルキル」という用語は、例えば、1~40個の炭素原子、1~10個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を有するモノラジカルの分枝または非分枝の飽和炭化水素鎖を指す。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、n-デシル、テトラデシルなどの基によって例示される。
【0009】
「置換(された)アルキル」という用語は、アルキル鎖中の1個以上の炭素原子が、-O-、-S(O)n-(式中、nは0~2である)、-NR-(式中、Rは水素またはアルキルである)などのヘテロ原子で任意選択で置き換えられており、かつアルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリック、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリール、及び-NRaRb(式中、Ra及びRbは、同じであっても異なっていてもよく、水素、任意選択で置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロサイクリックから選択される)からなる群から選択される1~5個の置換基を有する、上で定義されるアルキル基を指す。
【0010】
「アルキルアミノアルキル」、「アルキルアミノアルケニル」、及び「アルキルアミノアルキニル」という用語は、RaNHRb-基(式中、Raは、上で定義されるアルキル基であり、Rbは、上で定義されるアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基である)を指す。
【0011】
「アルカリール」または「アラルキル」という用語は、-アルキレン-アリール基及び-置換アルキレン-アリール基を指し、アルキレン、置換アルキレン、及びアリールは本明細書中に定義されている。
【0012】
「アルコキシ」という用語はまた、アルキル-O-基、アルケニル-O-基、シクロアルキル-O-基、シクロアルケニル-O-基、及びアルキニル-O-基を指し、式中、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアルキニルは、本明細書中に定義されるとおりである。
【0013】
「置換アルコキシ」という用語は、置換アルキル-O-基、置換アルケニル-O-基、置換シクロアルキル-O-基、置換シクロアルケニル-O-基、及び置換アルキニル-O-基を指し、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、及び置換アルキニルは、本明細書中に定義されるとおりである。
【0014】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルキル基上の1個以上の水素原子がハロ基で置換されたアルキル-O-基を指し、例として、トリフルオロメトキシなどの基などが挙げられる。
【0015】
「アルキルアルコキシ」という用語は、-アルキレン-O-アルキル基、アルキレン-O-置換アルキル基、置換アルキレン-O-アルキル基、及び置換アルキレン-O-置換アルキル基を指し、アルキル、置換アルキル、アルキレン、及び置換アルキレンは、本明細書中に定義されるとおりである。
【0016】
「アルキルチオアルコキシ」という用語は、-アルキレン-S-アルキル基、アルキレン-S-置換アルキル基、置換アルキレン-S-アルキル基、及び置換アルキレン-S-置換アルキル基を指し、アルキル、置換アルキル、アルキレン、及び置換アルキレンは、本明細書中に定義されるとおりである。
【0017】
「アルケニル」という用語は、2~40個の炭素原子、2~10個の炭素原子、または2~6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つのビニル不飽和の部位(例えば、1~6個の部位)を有する、分枝または非分枝の不飽和炭化水素基のモノラジカルを指す。
【0018】
「置換アルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリック、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、及び-SO2-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換、または1~3個の置換を有する、上で定義されるアルケニル基を指す。
【0019】
「アルキニル」という用語は、2~40個の炭素原子、2~20個の炭素原子、または2~6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つのアセチレン(三重結合)不飽和の部位(例えば、1~6個の部位)を有する、不飽和の炭化水素のモノラジカルを指す。
【0020】
「置換アルキニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリック、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、及び-SO2-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換、または1~3個の置換を有する、上で定義されるアルキニル基を指す。
【0021】
「アシル」という用語は、HC(O)-基、アルキル-C(O)-基、置換アルキル-C(O)-基、シクロアルキル-C(O)-基、置換シクロアルキル-C(O)-基、シクロアルケニル-C(O)-基、置換シクロアルケニル-C(O)-基、アリール-C(O)-基、ヘテロアリール-C(O)-基、及びヘテロサイクリック-C(O)-基(式中、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロサイクリックは、本明細書で定義されるとおりである)を指す。
【0022】
「アシルアミノ」または「アミノカルボニル」という用語は、-C(O)NRR基を指し、式中、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリックであるか、または両方のR基が一緒に結合してヘテロサイクリック基(例えばモルホリノ)を形成し、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロサイクリックは、本明細書で定義されるとおりである。
【0023】
「アミノアシル」という用語は、-NRC(O)R基(式中、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリックであり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロサイクリックは、本明細書中に定義されるとおりである)を指す。
【0024】
「アミノアシルオキシ」または「アルコキシカルボニルアミノ」という用語は、-NRC(O)OR基(式中、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリックであり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロサイクリックは、本明細書中に定義されるとおりである)を指す。
【0025】
「アシルオキシ」という用語は、アルキル-C(O)O-基、置換アルキル-C(O)O-基、シクロアルキル-C(O)O-基、置換シクロアルキル-C(O)O-基、アリール-C(O)O-基、ヘテロアリール-C(O)O-基、及びヘテロサイクリック-C(O)O-基を指し、式中、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロサイクリックは、本明細書中に定義されるとおりである。
【0026】
「アリール」という用語は、単一の環(例えば、フェニル)または複数の縮合(縮合)環(例えば、ナフチルもしくはアントリル)を有する、6~20個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基を指す。例示的なアリールとしては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。アリール置換基についての定義によって別段の定義がない限り、そのようなアリール基を、任意選択で、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリック、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリール、及びトリハロメチルから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基で置換することができる。
【0027】
「アリールオキシ」という用語は、アリール-O-基(式中、アリール基は、上記で定義されるとおりであり、同様に本明細書で定義されるとおりの任意選択で置換されたアリール基を含む)を指す。
【0028】
「アミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0029】
「置換アミノ」という用語は、-NRR基(式中、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロサイクリックからなる群から選択されるが、ただし、両方のRが水素ではないという条件である)を指す。
【0030】
「カルボキシアルキル」または「アルコキシカルボニル」という用語は、「-C(O)O-アルキル」基、「-C(O)O-置換アルキル」基、「-C(O)O-シクロアルキル」基、「-C(O)O-置換シクロアルキル」基、「-C(O)O-アルケニル」基、「-C(O)O-置換アルケニル」基、「-C(O)O-アルキニル」基、及び「-C(O)O-置換アルキニル」基を指し、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、及び置換アルキニル、アルキルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0031】
「シクロアルキル」という用語は、単一の環状環または複数の縮合環を有する、3~20個の炭素原子の環状アルキル基を指す。そのようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどの単環構造、またはアダマンタニルなどの多環構造が挙げられる。
【0032】
「置換シクロアルキル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリック、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、及び-SO2-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換、または1~3個の置換を有する、シクロアルキル基を指す。
【0033】
「シクロアルケニル」という用語は、単一の環状環及び少なくとも1点の内部不飽和を有する、4~20個の炭素原子の環状アルケニル基を指す。適切なシクロアルケニル基の例としては、例えば、シクロブタ-2-エニル、シクロペンタ-3-エニル、シクロオクタ-3-エニルなどが挙げられる。
【0034】
「置換シクロアルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリック、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、及び-SO2-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換、または1~3個の置換を有する、シクロアルケニル基を指す。
【0035】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを指す。
【0036】
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環内(1つを超える環が存在する場合)に、1~15個の炭素原子、ならびに酸素、窒素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する芳香族基を指す。ヘテロアリール置換基についての定義によって別段の制限を受けない限り、そのようなヘテロアリール基を、任意選択で、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリック、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、及び-SO2-ヘテロアリール、及びトリハロメチルから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基で置換することができる。
【0037】
「ヘテロアラルキル」という用語は、-アルキレン-ヘテロアリール基を指し、アルキレン及びヘテロアリールは、本明細書で定義されるとおりである。そのようなヘテロアラルキル基は、ピリジルメチル、ピリジルエチル、インドリルメチルなどによって例示される。
【0038】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、ヘテロアリール-O-基を指す。
【0039】
「複素環」または「ヘテロサイクリック」という用語は、環内に、1~40個の炭素原子、ならびに窒素、硫黄、リン、及び/または酸素から選択される1~10個のヘテロ原子、例えば1~4個のヘテロ原子を有する、単環または複数の縮合環を有する、モノラジカルの飽和または不飽和の基を指す。ヘテロサイクリック置換基についての定義により別段の制限を受けない限り、そのようなヘテロサイクリック基は、任意選択で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリック、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、及び-SO2-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換、または1~3個の置換で置換することができる。
【0040】
窒素ヘテロアリール及び複素環の例としては、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリン、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェンなど、及びN-アルコキシ-窒素含有複素環が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「ヘテロシクロオキシ」という用語は、ヘテロサイクリック-O-基を指す。
【0042】
「ヘテロシクロチオ」という用語は、ヘテロサイクリック-S-基を指す。
【0043】
「ヘテロシクレン」という用語は、本明細書で定義される複素環から形成されるジラジカル基を指し、2,6-モルホリノ基、2,5-モルホリノ基などで例示される。
【0044】
「ヘテロアリールアミノ」という用語は、1つまたは2つの環原子がNであり、残りの環原子がCである5員の芳香族環を指す。ヘテロアリールアミノ環は、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール環に融合されていてよく、任意選択で、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、-OR(式中、Rは水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アシル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキル)、または-S(O)nR(式中、nは0~2の整数であり、Rは水素(ただし、nは0であるという条件である)、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アミノ、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルから選択される1つ以上の置換基、例えば、1つまたは2つの置換基で置換されていてもよい。
【0045】
「ヘテロシクロアミノ」という用語は、4~8個の環原子の飽和一価環状基を指し、ここで、少なくとも1個の環原子はNであり、N、O、またはS(O)n(式中、nは0~2の整数である)からなる群から選択される1つまたは2つの追加の環ヘテロ原子を任意選択で含み、残りの環原子はCであり、ここで1つまたは2つのC原子は任意選択でカルボニル基で置き換えられていてもよい。ヘテロシクロアミノ環は、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール環に融合されていてよく、任意選択で、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、アシル、アミノ、置換アミノ、アシルアミノ、-OR(式中、Rは水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アシル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキル)、または-S(O)nR(式中、nは0~2の整数であり、Rは水素(ただし、nは0であるという条件である)、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アミノ、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキル)から選択される1つ以上の置換基、例えば、1つまたは2つの置換基で置換されていてもよい。
【0046】
「オキシアシルアミノ」または「アミノカルボニルオキシ」という用語は、-OC(O)NRR基(式中、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリックであり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロサイクリックは、本明細書中に定義されるとおりである)を指す。
【0047】
「チオール」という用語は、-SH基を指す。
【0048】
「チオアルコキシ」または「アルキルチオ」という用語は、-S-アルキル基を指す。
【0049】
「置換チオアルコキシ」という用語とは、-S-置換アルキル基を指す。
【0050】
「チオアリールオキシ」という用語は、アリール-S-基(式中、アリール基は、上で定義されるとおりであり、同様に上で定義されるとおりの任意選択で置換されたアリール基を含む)を指す。
【0051】
「チオヘテロアリールオキシ」という用語は、ヘテロアリール-S-基(式中、ヘテロアリール基は、上で定義されるとおりであり、同様に上で定義されるとおりの任意選択で置換されたアリール基を含む)を指す。
【0052】
1つ以上の置換基を含む上記の基のいずれに関しても、当然ながら、そのような基は、立体的に実用的でない及び/または合成上非実現的な置換または置換パターンをいっさい含まないことが理解される。さらに、実施形態の化合物は、これらの化合物の置換から生じるすべての立体化学異性体を含む。
【0053】
「薬学的に許容される塩」という用語は、生物学的効果を保持し、生物学的またはその他の点で望ましくないものではない塩を指す。多くの場合、実施形態の化合物は、アミノ基及び/またはカルボキシル基またはそれに類似する基の存在により、酸及び/または塩基の塩を形成することができる。
【0054】
薬学上許容される塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基から調製可能である。無機塩基由来の塩としては、例示にすぎないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩が挙げられる。有機塩基に由来する塩としては、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、二置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、ヘテロサイクリックアミン、ジヘテロサイクリックアミン、トリヘテロサイクリックアミン、ジアミンとトリアミンの混合物などの第一級、第二級、及び第三級アミンの塩が含まれるが、これらに限定されず、アミン上の置換基の少なくとも2つが異なり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリックなどからなる群から選択される。2つまたは3つの置換基がアミノ窒素と一緒になってヘテロサイクリック基またはヘテロアリール基を形成するアミンも挙げられる。適切なアミンの例としては、例示にすぎないが、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソ-プロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N-アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンなどが挙げられる。
【0055】
薬学上許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸から調製可能である。無機酸由来の塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸由来の塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエン-スルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0056】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために交換可能に使用される。本用語は、修飾された(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、リン酸化、または標識構成成分とのコンジュゲーション)アミノ酸ポリマーも包含する。
【0057】
ポリペプチドは、別のポリペプチドに対して特定のパーセントの「配列同一性」を有し、アラインメントしたときに、塩基またはアミノ酸のパーセンテージが、それら2つの配列を比較したときに同一であることを意味する。配列類似性をいくつかの異なる様式で決定することができる。配列類似性を決定するために、配列は、ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/のワールドワイドウェブ上で利用可能なBLASTを含む方法及びコンピュータプログラムを用いてアラインメントすることができる。別のアラインメントアルゴリズムはFASTAであり、Oxford Molecular Group,Inc.の完全所有子会社である、米国ウィスコンシン州マディソンのGenetics Computing Group(GCG)パッケージで利用可能である。アラインメントの他の技術は、Methods in Enzymology,vol. 266: Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis(1996),ed. Doolittle,Academic Press,Inc.,a division of Harcourt Brace & Co.,San Diego,California,USAに記載されている。配列間のギャップを許容するアラインメントプログラムが特に興味深い。Smith-Watermanは、配列アラインメントにおけるギャップを許容する一種のアルゴリズムである。Meth. Mol. Biol.70:173-187(1997)を参照されたい。また、Needleman-Wunschアラインメント方法を用いたGAPプログラムを利用して、配列をアラインメントさせることができる。J. Mol. Biol. 48:443-453(1970)を参照されたい。
【0058】
配列同一性を決定するためのSmith-Watermanのローカルホモロジーアルゴリズム(Advances in Applied Mathematics 2:482-489(1981))を用いたBestFitプログラムが興味深い。ギャップ生成ペナルティは一般に1~5、通常2~4の範囲であり、多くの実施形態では3である。ギャップ拡張ペナルティは一般に約0.01~0.20の範囲であり、多くの場合0.10である。このプログラムは、比較するために入力された配列によって決定されるデフォルトパラメーターを有する。配列同一性は、このプログラムによって決定されるデフォルトパラメーターを用いて決定することができる。このプログラムは、Genetics Computing Group(GCG)パッケージ(Madison,Wisconsin,USA)からも入手可能である。
【0059】
興味深い別のプログラムは、FastDBアルゴリズムである。FastDBは、Current Methods in Sequence Comparison and Analysis,Macromolecule Sequencing and Synthesis,Selected Methods and Applications,pp. 127-149,1988,Alan R. Liss,Inc.に記載される。配列同一性パーセントは、次のパラメーターに基づいてFastDBによって計算される:
ミスマッチペナルティ:1.00、
ギャップペナルティ:1.00、
ギャップサイズペナルティ:0.33、
結合ペナルティ(Joining Penalty):30.0。
【0060】
「リンカー」または「連結」という用語は、2つの基を接続し、100原子以下の長さの骨格を有する連結部分を指す。リンカーまたは連結は、2つの基を接続する共有結合または1~100原子の長さの鎖、例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、またはそれ以上の長さの炭素原子の鎖であり得、リンカーは直鎖状、分枝鎖状、環状、または単一の原子であり得る。場合によっては、リンカーは、3つ以上の基を接続する連結部分を指す分枝鎖リンカーである。特定の場合において、リンカー骨格の1、2、3、4、または5、またはそれ以上の炭素原子は、硫黄、窒素、または酸素ヘテロ原子で任意選択で置換され得る。場合によっては、リンカー骨格は、エーテル、チオエーテル、アミノ、アミド、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、エステル、チオエステル、またはイミンなどの連結官能基を含む。骨格原子間の結合は、飽和または不飽和であってもよく、場合によっては、1つ、2つ、または3つ以下の不飽和結合がリンカー骨格に存在する。リンカーは、例えば、アルキル、アリール、またはアルケニル基を有する、1つ以上の置換基を含み得る。リンカーとしては、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、第三級アミン、直鎖状または分枝鎖状であり得るアルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。リンカー骨格は、環状基、例えば、アリール、複素環またはシクロアルキル基を含み得、環状基の2個以上の原子、例えば、2、3または4個の原子が骨格に含まれる。リンカーは、切断可能または切断不可能であり得る。
【0061】
「ポリエチレンオキシド」、「PEO」、「ポリエチレングリコール」、及び「PEG」という用語は交換可能に使用され、式--(CH2--CH2--O--)n-によって表される鎖を含むポリマー基またはその誘導体を指す。いくつかの実施形態では、「n」は、5000以下、例えば、1000以下、500以下、200以下、100以下、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、例えば、3~15、または10~15である。
【0062】
「網膜細胞」という用語は、本明細書において、網膜神経節細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、ならびに桿体及び錐体を含む光受容細胞などの網膜を含む細胞型のうちのいずれかを指し得る。
【0063】
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語には、Fab、Fv、scFv、及びFd断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体(scAb)、単一ドメイン抗体(sdAb)、単一ドメイン重鎖抗体、単一ドメイン軽鎖抗体、ナノボディ、二重特異性抗体、多重特異性抗体、及び抗体の抗原結合(本明細書中では抗原結合とも呼ばれる)部分と非抗体タンパク質などを含む融合タンパク質を含むがこれらに限定されない、任意のアイソタイプの抗体または免疫グロブリン、抗原(例えば、標的リガンド結合ポリペプチド)への特異的結合を保持する抗体の断片が含まれる。この用語にはまた、Fab’、Fv、F(ab’)2、及び/または抗原への特異的結合を保持する他の抗体断片、及びモノクローナル抗体も包含される。
【0064】
本明細書で使用される場合、「ナノボディ」(Nb)という用語は、天然に存在する重鎖抗体に由来する最小の抗原結合断片または単一可変ドメイン(VHH)を指し、当業者に知られている。それらは、ラクダ科動物に見られる重鎖のみの抗体に由来する。「ラクダ科」の科では、軽鎖ポリペプチドを欠く免疫グロブリンが見られる。「ラクダ科」には、旧世界のラクダ科(Camelus bactrianus及びCamelus dromedarius)と、新世界のラクダ科(例えば、Llama paccos、Llama glama、Llama guanicoe、及びLlama vicugna)が含まれる。単一可変ドメイン重鎖抗体は、本明細書ではナノボディまたはVHH抗体と呼ばれる。
【0065】
軟骨魚類も重鎖抗体(IgNAR;「免疫グロブリン新抗原受容体」)を有しており、そこからVNAR断片と呼ばれる単一ドメイン抗体を得ることができる。したがって、場合によっては、親和性剤はIgNARである。
【0066】
「抗体断片」には、無傷の抗体の一部分、例えば、無傷の抗体の抗原結合領域または可変領域が含まれる。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体(Zapata et al.(1995)Protein Eng. 8(10):1057-1062);ドメイン抗体(dAb;Holt et al.(2003)Trends Biotechnol. 21:484);単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、それぞれが単一の抗原結合部位を有する、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映する名称である、残りの「Fc」断片とがもたらされる。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、かつ依然として抗原を架橋することができるF(ab’)2断片がもたらされる。抗体断片としては、例えば、scFv、sdAb、dAb、Fab、Fab’、Fab’2、F(ab’)2、Fd、Fv、Feb、及びSMIPが挙げられる。sdAbの例としては、ラクダ科のVHH及び軟骨魚類のVNARがある。
【0067】
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、緊密な非共有結合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。それぞれの可変ドメインの3つの相補性決定領域(CDR)がVH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を画定するように相互作用するのは、この配置においてである。まとめると、6つのCDRは、抗体に抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえも、完全な結合部位よりも低い親和性においてであるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0068】
「単鎖Fv」または「sFv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これにより、sFvが抗原結合に望ましい構造を形成することが可能になる。sFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol. 113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp. 269-315(1994)を参照されたい。
【0069】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、これらの断片は、同じポリペプチド鎖内の軽鎖可変ドメイン(VL)に接続した重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH-VL)。同じ鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインを別の鎖の相補的ドメインと強制的に対形成させ、2つの抗原結合部位を生成することができる。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;及びHollinger et al.(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448により完全に記載される。
【0070】
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療すること」などの用語は、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを指す。その効果は、疾患もしくはその病状を完全にもしくは部分的に予防することに関して予防的であり得、及び/または疾患及び/または疾患に起因する有害作用の部分的もしくは完全な治癒に関して治療的であり得る。本明細書で使用される場合、「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、(a)その疾患にかかりやすいか、その疾患にかかる危険性を有し得るが、まだそれを有すると診断されていない対象における発症を予防すること、(b)その疾患を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、(c)その疾患を軽減すること、すなわち、その疾患の退行を引き起こすこと、及び(d)疾患によって失われた機能を補うこと、を含む。
【0071】
本明細書で交換可能に使用される「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、マウス(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)、ウサギ類などを含むがこれらに限定されない哺乳動物を指す。場合によっては、個体はヒトである。場合によっては、個体は非ヒト霊長類である。場合によっては、個体はげっ歯類、例えばラットまたはマウスである。場合によっては、個体はウサギ類、例えばウサギである。
【0072】
「網膜細胞」という用語は、本明細書において、網膜神経節細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、ならびに桿体及び錐体を含む光受容細胞、ミュラーグリア細胞、星状細胞(例えば、網膜星状細胞)、及び網膜色素上皮などの網膜を含む細胞型のうちのいずれかを指し得る。
【0073】
「AAV」は、アデノ随伴ウイルスの略語であり、ウイルス自体またはその誘導体を指すために使用することができる。本用語は、その他の点で要求される場合を除いて、すべてのサブタイプ、及び天然に存在する形態と組換え形態の両方を包含する。「rAAV」の略語は、組換えアデノ随伴ウイルスを指し、組換えAAVベクター(または「rAAVベクター」)とも呼ばれる。「AAV」という用語には、AAV1型(AAV-1)、AAV2型(AAV-2)、AAV3型(AAV-3)、AAV4型(AAV-4)、AAV5型(AAV-5)、AAV6型(AAV-6)、AAV7型(AAV-7)、AAV8型(AAV-8)、AAV9型(AAV-9)、AAV10型(AAV-10)、AAV11型(AAV-11)、鳥類AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAVが含まれる。例えば、Mori et al.(2004)Virology 330:375を参照されたい。「AAV」という用語には、キメラAAVも含まれる。「霊長類AAV」は霊長類から単離されたAAVを指し、「非霊長類AAV」は非霊長類哺乳動物から単離されたAAVを指し、「ウシAAV」はウシ哺乳動物(例えばウシ)から単離されたAAVを指すなどである。
【0074】
本明細書で使用される場合、「rAAVベクター」は、AAV由来ではないポリヌクレオチド(すなわち、AAVと異種のポリヌクレオチド)を含むAAVベクターを指し、例えば、異種のポリヌクレオチドが、細胞の遺伝子形質転換のための目的の遺伝子産物(例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド)をコードするヌクレオチド配列を含む。概して、異種ポリヌクレオチドは、少なくとも1つ、一般的には2つのAAV末端逆位配列(ITR)によって隣接される。rAAVベクターという用語は、rAAVベクター粒子とrAAVベクタープラスミドの両方を包含する。
【0075】
「AAVウイルス」または「AAVウイルス粒子」または「rAAVベクター粒子」は、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質(典型的には、野生型AAVのカプシドタンパク質のすべてによる)とカプシド形成されたポリヌクレオチドrAAVベクターとからなるウイルス粒子を指す。粒子が異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子などの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、これは、典型的には、「rAAVベクター粒子」または単に「rAAVベクター」と呼ばれる。したがって、rAAV粒子の生成は、rAAVベクターの生成を必然的に含み、例えば、ベクターは、rAAV粒子内に含有される。
【0076】
本発明をさらに説明する前に、本発明は記載された特定の実施形態に限定されず、よって当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを目的とするものではないことも理解されるべきである。
【0077】
一定の範囲の値が提供されるとき、文脈が他を明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限との間、及び、その述べられた範囲内の任意の他の述べられた値または中間の値における、各々の中間の値は、その下限の単位の10分の1まで本発明に包含されることが理解されるべきである。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、述べられた範囲内の任意の具体的に除外された限定を有することを条件として、独立してより小さな範囲に含まれ得、本発明にも包含される。述べられる範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限界のいずれかまたは両方を除外する範囲はまた、本発明に含まれる。
【0078】
別段定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明の所属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において記載されているものと類似または同等の任意の方法及び物質はまた、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法及び物質はここに記載される。本明細書において述べられたすべての刊行物は、ともに刊行物が引用されている方法及び/または物質を開示及び記載するための参照により本明細書に組み入れる。
【0079】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含むことは注目されるべきである。したがって、例えば「コンジュゲート」に対する言及は、複数のそのようなコンジュゲートを含み、「光異性化可能な部分」に対する言及は、1つ以上のそのような光異性化可能な部分及び当業者に公知のそれらの均等物などへの言及を含む。特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。そのようなとき、この記述は、特許請求の範囲における要素の列挙、または「否定的な」限定の使用に関連して「単独で」、「のみ」などのような排他的用語の使用の先行詞として役立つことを意図する。
【0080】
明確さのために別個の実施形態と関連して記載される本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得る。逆に、簡潔さのために単一の実施形態と関連して記載される本発明のさまざまな特徴はまた、別個に、または任意の好適な部分的な組み合わせとして提供され得る。本発明に関する実施形態のすべての組み合わせは、本発明に具体的に包含され、各々及びすべての組み合わせが個別にかつ明示的に開示されるかのように、本明細書において開示される。さらに、さまざまな実施形態のすべての部分的な組み合わせ及びそれらの要素もまた本発明に具体的に包含され、各々及びすべてのそのような部分的な組み合わせが個別にかつ明示的に本明細書に開示されるかのように、本明細書に開示される。
【0081】
本明細書において論じられている刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示についてのみが提供されている。本明細書中のいかなるものも、先行発明のために、本発明がそのような刊行物に先行する権利がないということの承認として解釈されるべきではない。さらに、提示される公開日が、実際の公開日と異なることがあり得、それは、個別に確認する必要がある場合がある。
【0082】
詳細な説明
本開示は、i)標的リガンド結合ポリペプチド、またはii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチドと;b)分岐鎖リンカーと;c)2つ以上の光異性化可能な調節因子とを含み、2つ以上の光異性化可能な調節因子のそれぞれが独立して、i)光異性化可能な基;及びii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンドを含む、コンジュゲートを提供する。本開示は、本開示のコンジュゲートを含むシステム及び組成物を提供する。本開示は、標的ポリペプチドの活性を調節するため、及び標的細胞または細胞集団の活性を調節するために、本開示のコンジュゲートを使用する方法を提供する。
【0083】
光スイッチコンジュゲート
本開示は、a)i)標的リガンド結合ポリペプチド、またはii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチドに特異的に結合する親和性剤と;b)分岐鎖リンカーと;c)2つ以上の光異性化可能な調節因子とを含み、2つ以上の光異性化可能な調節因子のそれぞれが独立して、i)光異性化可能な基;及びii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンドを含む、コンジュゲートを提供する。本開示のコンジュゲートはまた、本明細書では「親和性タグ付き光スイッチ」とも呼ばれる。光異性化可能な調節因子はまた、本明細書では「光スイッチ」とも呼ばれる。
【0084】
本開示のコンジュゲートは、標的リガンド結合ポリペプチドの活性を調節する。コンジュゲート中の光異性化可能な調節因子のそれぞれは、標的リガンド結合ポリペプチドと独立して相互作用することができ、光異性化可能な調節因子のそれぞれに存在するリガンドは、光によって制御される様式で標的リガンド結合ポリペプチドのリガンド結合部位に結合することができる。リガンド、光異性化可能な調節因子の設計、及び光の波長などの因子に応じて、本開示のコンジュゲートは、標的リガンド結合ポリペプチドの活性を増加もしくは減少させることができ、他の刺激に対するその感受性を調節する(例えば、増加もしくは減少させる)ことができ、標的リガンド結合ポリペプチドを特定の立体配座に安定化させることができ、または標的リガンド結合ポリペプチドの立体配座の変化を誘導することができる。
【0085】
本開示のコンジュゲートに存在する親和性剤は、標的リガンド結合ポリペプチドに結合し、それによってコンジュゲートに存在するリガンドを標的リガンド結合ポリペプチドと近接させ、リガンドの1つが光依存的な様式で、標的リガンド結合ポリペプチドのリガンド結合部位に結合できるようにする。本開示のコンジュゲートが標的リガンド結合ポリペプチドに結合すると、標的リガンド結合ポリペプチドは光調節されたポリペプチドになる。
【0086】
光調節されたポリペプチドが曝露される光の波長の変化及び/または強度(Δλ)は、光調節されたポリペプチドのリガンド結合部位へのリガンド結合の変化をもたらす、例えば、光調節されたポリペプチドのリガンド結合部位への本開示のコンジュゲートのリガンド部分の1つの結合の変化をもたらす。「光調節されたポリペプチドが曝露される光の波長の変化」としては、1)λ1からλ2への変化;2)λ2からλ1への変化;3)λ1から暗(光なし)への変化;及び4)暗からλ1への変化が挙げられる。λ1からλ2へ、次いでλ2からλ1へ、そして戻る、例えば、第1の波長から第2の波長への切り替え、そして再び戻るという繰り返しの変化も企図される。また、明から暗、暗から明などの繰り返しの変化も企図される。
【0087】
上記のように、本開示のコンジュゲートは、a)親和性剤と;b)分岐鎖リンカーと;c)2つ以上の光異性化可能な調節因子と、を含む。本開示によるコンジュゲートでは、分枝鎖リンカーは、親和性剤を2つ以上の光異性化可能な調節因子に結合する。例えば、分岐鎖リンカーは、親和性剤と2つ以上の光異性化可能な調節因子との間のリンカーであり得、分岐鎖リンカーは、2つ以上のアーム、例えば、3つ以上のアーム、4つ以上のアーム、5つ以上のアーム、6つ以上のアーム、7つ以上のアーム、8つ以上のアーム、9つ以上のアーム、または10個以上のアームを含む。分岐鎖リンカーのそれぞれのアームは、光異性化可能な調節因子に結合することができる。本開示のコンジュゲートの実施形態は、分岐鎖リンカーを介して親和性剤に接続された、2つ以上の光異性化可能な調節因子、例えば、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10個以上の光異性化可能な調節因子を含むことができる。上記のように、コンジュゲート中の光異性化可能な調節因子のそれぞれは、標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンドを含む。対応して、本開示のコンジュゲートは、分岐鎖リンカーを介して親和性剤に接続された、2つ以上のリガンド、例えば、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10個以上のリガンドを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、分岐鎖リンカーは2つのアームを含むことができ、それぞれのアームは光異性化可能な調節因子に接続されている。これらの実施形態では、親和性剤は、分岐鎖リンカーの別々のアームを介して、2つの光異性化可能な調節因子のそれぞれに結合され、したがって2つのリガンドのそれぞれに結合される。他の実施形態では、分岐鎖リンカーは4つのアームを含むことができ、それぞれのアームは光異性化可能な調節因子に接続されている。これらの実施形態では、親和性剤は、分岐鎖リンカーの別々のアームを介して、4つの光異性化可能な調節因子のそれぞれに結合され、したがって4つのリガンドのそれぞれに結合される。
【0088】
場合によっては、波長の変化(λ1からλ2;明から暗へ;または暗から明へ)は、リガンドの1つのリガンド結合部位への結合に変化をもたらす。本明細書で使用される場合、「リガンド結合部位へのリガンドの結合の変化」または「リガンド結合部位へのリガンドの1つの結合の変化」は、増加した結合及び減少した結合を含む。本明細書で使用される場合、「増加した結合」には、コンジュゲート中の光異性化可能な調節因子中のリガンドの1つのリガンド結合部位への結合の増加した可能性;リガンド結合部位に対する1つ以上のリガンドの増加した結合親和性;リガンド結合部位でのリガンドの増加した局所濃度;リガンド結合部位におけるリガンドの1つの増加した占有率のうちの1つ以上が含まれる。本明細書で使用される場合、「減少した結合」には、コンジュゲート中の光異性化可能な調節因子中のリガンドの1つのリガンド結合部位への結合の減少した可能性;リガンド結合部位に対する1つ以上のリガンドの減少した結合親和性;リガンド結合部位でのリガンドの減少した局所濃度;リガンド結合部位におけるリガンドの1つの減少した占有率のうちの1つ以上が含まれる。本明細書で使用される場合、本開示の調節因子のコンジュゲートが曝露される、または受容体/合成光調節因子複合体が曝露される、「波長の変化」という用語は、λ1からλ2への波長の変化;明から暗への変化;または暗から明への変化を指す。結合の増加としては、結合における、約10%から約20%、約20%から約50%、約50%から約2倍、約2倍から約5倍、約5倍から約10倍、約10倍から約50倍、約50倍から約102倍、約102倍から約104倍、約104倍から約106倍、約106倍から約108倍、または108倍を超える増加が挙げられる。結合の減少としては、結合における、約5%から約10%、約20%から約30%、約30%から約40%、約40%から約50%、約50%から約60%、約60%から約70%、約70%から約80%、約80%から約90%、または約90%から100%の減少が挙げられる。
【0089】
例えば、場合によっては、コンジュゲートのリガンドは、第1の波長の光でリガンド結合部位に結合する第1の確率を有し、リガンドは、第2の波長の光でリガンド結合部位に結合する第2の確率を有し、第2の確率は第1の確率よりも低くなる。他の場合では、コンジュゲートのリガンドは、第1の波長の光でリガンド結合部位に結合する第1の確率を有し、リガンドは、第2の波長の光でリガンド結合部位に結合する第2の確率を有し、第2の確率は第1の確率よりも高くなる。他の場合では、コンジュゲートのリガンドは、光に曝露された場合にリガンド結合部位に結合する第1の確率を有し、リガンドは、光がない(例えば暗で)とリガンド結合部位に結合する第2の確率を有し、第2の確率は第1の確率よりも低くなる。他の場合では、コンジュゲートのリガンドは、光に曝露された場合にリガンド結合部位に結合する第1の確率を有し、リガンドは、光がないとリガンド結合部位に結合する第2の確率を有し、第2の確率は第1の確率よりも高くなる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示のコンジュゲートは2つ以上の光異性化可能な調節因子を含み、したがって2つ以上のリガンドを含むため、リガンド部位に結合するリガンドの確率は、光異性化可能な調節因子を1つだけ有し、したがってリガンドを1つだけ有するコンジュゲートよりも高くなる。本開示のコンジュゲートは、2つ以上の光異性化可能な調節因子を含むため、リガンド結合部位に近接するリガンドの局所濃度は、光異性化可能な調節因子を1つだけ、したがってリガンドを1つだけ有するコンジュゲートよりも高くなり得る。リガンド結合部位近くの本開示のコンジュゲートのリガンドの増加した局所濃度は、上記の結合の増加をもたらし得る。
【0091】
光調節されたポリペプチドのリガンド結合部位における本開示のコンジュゲートのリガンドの局所濃度は高い。例えば、対象の光調節されたポリペプチド中のリガンド結合部位における本開示のコンジュゲートのリガンドの局所濃度は、約500nM~約50mM、例えば、約500nM~約10mM、約750nM~約1mM、約1μM~約750μM、約10μM~約500μM、約10μM~約250μM、約50μM~約200μM、または約50μM~約150μMの範囲、例えば約100μMである。いくつかの実施形態では、対象の光調節されたポリペプチドのリガンド結合部位における本開示のコンジュゲートのリガンドの局所濃度は、約500nM~約50mM、例えば、約500nM~約750nM、約750nM~約1mM、約1mM~約5mM、約5mM~約10mM、約10mM~約20mM、約20mM~約30mM、または約30mM~約50mMの範囲である。
【0092】
リガンド結合部位へのリガンドの結合、またはリガンド結合部位へのより高い親和性のリガンド結合をもたらす波長の変化
場合によっては、光調節されたポリペプチドが曝露される光の波長の変化は、光調節されたポリペプチドにおけるリガンド結合部位に対する本開示のコンジュゲートのリガンドの1つ以上の結合親和性の増加をもたらす。例えば、場合によっては、光調節されたポリペプチドが曝露される光の波長の変化は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約250倍、少なくとも約500倍、少なくとも約103倍、少なくとも約5×103倍、少なくとも約104倍、少なくとも約5×104倍、またはそれ以上、結合親和性が増加する。
【0093】
リガンドがアゴニストである場合、波長の変化は、場合によっては、光調節されたポリペプチドの活性化をもたらす。リガンドがアゴニストである場合、波長の変化は、場合によっては、光調節されたポリペプチドの脱感作をもたらす。逆に、リガンドがアンタゴニストである場合、波長の変化は、場合によっては、光調節されたポリペプチドの活性化のブロック、例えば遊離アゴニストで光調節されたポリペプチドを活性化する能力のブロックをもたらす。リガンドがブロッカー(例えば、イオンチャネルの細孔ブロッカー、またはポリペプチドまたは核酸などの他の生体高分子に結合する相互作用ドメイン)である場合、波長の変化は、場合によってはポリペプチド活性のブロックをもたらす。
【0094】
別の言い方をすれば、リガンドがアゴニストであり、光調節ポリペプチドが曝露される光の波長の変化が、光調節されたポリペプチドのリガンド結合部位に対するコンジュゲートのリガンド部分の結合親和性がより高くなる場合、波長の変化により、不活性状態から活性状態、または脱感作状態への移行が起こる。リガンドがアンタゴニストである場合、波長の変化は応答状態から非応答状態への移行をもたらす。リガンドがブロッカーである場合、波長の変化により、活性状態から不活性状態への移行が起こる。
【0095】
リガンド結合部位からのリガンドの除去、または結合親和性の低下をもたらす波長の変化
場合によっては、光調節されたポリペプチドが曝露される光の波長の変化は、光調節されたポリペプチドのリガンド結合部位からの本開示のコンジュゲートのリガンドの除去をもたらし、例えば、リガンドはリガンド結合部位に結合していない。いくつかの場合において、光調節されたポリペプチドが曝露される光の波長の変化は、光調節されたポリペプチドのリガンド結合部位に対する本開示のコンジュゲートのリガンドの1つ以上の結合親和性の低下をもたらし、例えば、リガンドは、リガンド結合部位に対する結合親和性が低下している。例えば、場合によっては、光調節されたポリペプチドが曝露される光の波長が変化すると、結合親和性が少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ以上低下する。
【0096】
リガンドがアゴニストである場合、波長の変化は、場合によっては、光調節されたポリペプチドの活性化をもたらす。リガンドがアゴニストである場合、波長の変化は、場合によっては、光調節されたポリペプチドの不活性化をもたらす。リガンドがアゴニストである場合、波長の変化は、場合によっては、光調節されたポリペプチドの脱感作からの回復をもたらす。逆に、リガンドがアンタゴニストである場合、波長の変化は、場合によっては、リガンド結合部位の占有及びポリペプチドのバックグラウンド活性の低下、または代替的に、生理学的刺激による活性化の喪失をもたらす。リガンドがアンタゴニストである場合、波長の変化により場合によってはアンタゴニストが除去され、生理学的刺激による活性化が可能になる。リガンドが負のアロステリックモジュレーターである場合、結合を引き起こす波長の変化は、別の刺激に対する感受性または有効性の増加をもたらし得る。リガンドが正のアロステリックモジュレーターである場合、結合を引き起こす波長の変化は、別の刺激に対する感受性または有効性の減少をもたらし得る。場合によっては、リガンド結合部位は、リガンドによる結合が別の刺激に対する感度または有効性を増加または減少させる調節部位となり、光スイッチ調節因子の結合を制御することによって光がこのプロセスを調節する。場合によっては、リガンドは、ポリペプチドの活性部位のブロッカー(例えば、イオンチャネルの細孔ブロッカー、またはポリペプチドもしくは核酸などの他の生体高分子に結合する相互作用ドメイン、または酵素活性部位のブロッカー)であり、波長の変化は、受容体が正常に機能するのを防止にするかまたは可能にするために、ポリペプチド活性のブロックまたはブロックの緩和をもたらす。
【0097】
別の言い方をすれば、リガンドがアゴニストであり、光調節されたポリペプチドが曝露される光の波長の変化が、光調節されたポリペプチドのリガンド結合部位からの本開示のコンジュゲートのリガンドの除去(または非結合)をもたらす場合、波長の変化により、より活性な状態からより活性の低い状態へ、または脱感作状態から応答状態への移行が生じる。リガンドが負のアロステリックモジュレーターである場合、非結合を引き起こす波長の変化は、別の刺激に対する感受性または有効性の増加をもたらす。リガンドが正のアロステリックモジュレーターである場合、非結合を引き起こす波長の変化は、別の刺激に対する感受性または有効性の減少をもたらす。リガンドがアンタゴニストである場合、非結合を引き起こす波長の変化は、非応答状態から応答状態へ、または不活性状態から何らかのバックグラウンド「基底」(非リガンド)活性を伴う状態への移行をもたらす。リガンドがブロッカーである場合、非結合を引き起こす波長の変化は、不活性状態から活性状態への移行をもたらす。
【0098】
親和性剤
本開示のコンジュゲートに存在する親和性剤は、標的リガンド結合ポリペプチドに直接結合することにより、または標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチドに結合することにより、または標的リガンド結合ポリペプチドと融合して発現される融合パートナーに結合することにより、光異性化可能な調節因子を、標的リガンド結合ポリペプチドを標的とする。
【0099】
場合によっては、親和性剤は標的リガンド結合ポリペプチドに特異的に結合する。したがって、例えば、場合によっては、親和性剤は、少なくとも10-6M、少なくとも10-7M、少なくとも10-8M、少なくとも10-9M、または少なくとも10-10Mの親和性で標的リガンド結合ポリペプチドに結合する。場合によっては、親和性剤は標的リガンド結合ポリペプチドに直接結合する。場合によっては、親和性剤は、標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチドに結合する。
【0100】
適切な親和性剤としては、自己標識ポリペプチドに結合する剤;抗体;アプタマー;ペプチド;及び小分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
自己標識ポリペプチドに結合する剤
適切な親和性剤としては、ヌクレオシド塩基誘導体が挙げられる。場合によっては、ヌクレオシド塩基誘導体のヌクレオシド塩基は、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、キサンチン、及びヒポキサンチンから選択される。例えば、ヌクレオシド塩基誘導体のヌクレオシド塩基は、グアニン、キサンチン、またはヒポキサンチンであり得る。場合によっては、ヌクレオシド塩基誘導体のヌクレオシド塩基はグアニンである。他の例では、ヌクレオシド塩基誘導体のヌクレオシド塩基は、シトシン、チミン、またはウラシルであり得る。場合によっては、ヌクレオシド塩基誘導体のヌクレオシド塩基はシトシンである。ヌクレオシド塩基を誘導体化して、本開示のコンジュゲートの親和性剤のヌクレオシド塩基誘導体を提供することができる。場合によっては、親和性剤のヌクレオシド塩基誘導体は、ベンジルグアニンまたはベンジルシトシンなどのベンジルヌクレオシド塩基である。場合によっては、親和性剤はベンジルグアニンである。親和性剤がベンジルグアニンである実施形態では、ベンジルグアニン親和性剤は、SNAPタグへの共有結合を提供し得る。場合によっては、親和性剤はベンジルシトシンである。親和性剤がベンジルシトシンである実施形態では、ベンジルシトシン親和性剤は、CLIPタグへの共有結合を提供し得る。場合によっては、親和性剤はクロロピリミジンである。クロロピリミジンはSNAPタグに結合できる。
【0102】
適切な親和性剤としてはまた、アルキルまたはアルキル誘導体中の1個以上の水素原子がハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、またはブロモで置換されているハロアルキル誘導体などのアルキル誘導体が挙げられる。場合によっては、ハロアルキル誘導体はフルオロアルカンである。場合によっては、ハロアルキル誘導体はクロロアルカンである。場合によっては、ハロアルキル誘導体はブロモアルカンである。場合によっては、親和性剤は、Cl(CH2)6(OCH2CH2)2などのクロロアルカンである。親和性剤がクロロアルカンである実施形態では、クロロアルカン親和性剤は、HALOタグへの共有結合を提供し得る。
【0103】
抗体
場合によっては、本開示のコンジュゲートに存在する親和性剤は抗体である。場合によっては、本開示のコンジュゲートに含めるのに適した抗体は、標的リガンド結合ポリペプチドに結合する。標的リガンド結合ポリペプチドの例を以下に提供する。本開示のコンジュゲートに含めるのに適した抗体は、光異性化可能な調節因子に存在するリガンドの標的リガンド結合ポリペプチドへの結合を阻害しない。一般に、本開示のコンジュゲートに含めるのに適した抗体は、標的リガンド結合ポリペプチドの活性を実質的に変化させない。場合によっては、親和性剤は単鎖Fv(scFv)である。場合によっては、親和性剤はナノボディである。
【0104】
場合によっては、親和性剤は、標的リガンド結合ポリペプチドに特異的に結合する抗体であり、標的リガンド結合ポリペプチドは、転写調節因子、イオンチャネル、カチオンチャネル、リガンド依存性イオンチャネル、電位依存性イオンチャネル、クオラムセンサー、フェロモン受容体、神経伝達物質受容体、Gタンパク質共役受容体、及び酵素から選択される。
【0105】
場合によっては、親和性剤は、標的リガンド結合ポリペプチドに特異的に結合する抗体であり、標的リガンド結合ポリペプチドは、カリウムチャネル、ナトリウムチャネル、またはカルシウムチャネルから選択される。
【0106】
場合によっては、親和性剤は、標的リガンド結合ポリペプチドに特異的に結合する抗体であり、標的リガンド結合ポリペプチドは、グルタミン酸受容体、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)、イオンチャネル型グルタミン酸受容体(例えば、カイネート受容体;AMPA受容体;NMDA受容体)、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型GABA-A受容体、代謝型GABA-B受容体、代謝型ドーパミン受容体、イオンチャネル型プリン作動性P2X受容体、代謝型プリン作動性P2Y受容体、代謝型セロトニン受容体、イオンチャネル型セロトニン受容体、イオンチャネル型グリシン受容体、カチオンチャネル、カリウムチャネル、カルシウムチャネル、ナトリウムチャネル、プロトンチャネル、アニオンチャネル、及びクロライドチャネルから選択される。場合によっては、親和性剤は、代謝型グルタミン酸受容体に特異的に結合する抗体であり、代謝型グルタミン酸受容体としては、例えば、mGluR2、mGluR3、mGluR5、mGluR6などが挙げられる。
【0107】
非限定的な一例として、親和性剤は、mGluR2に特異的に結合するscFvである。別の非限定的な例として、親和性剤は、mGluR2に特異的に結合するナノボディである。別の非限定的な例として、親和性剤は、mGluR3に特異的に結合するscFvである。別の非限定的な例として、親和性剤は、mGluR3に特異的に結合するナノボディである。別の非限定的な例として、親和性剤は、mGluR5に特異的に結合するscFvである。別の非限定的な例として、親和性剤は、mGluR5に特異的に結合するナノボディである。別の非限定的な例として、親和性剤は、mGluR6に特異的に結合するscFvである。別の非限定的な例として、親和性剤は、mGluR6に特異的に結合するナノボディである。
【0108】
小分子
本開示のコンジュゲートにおける親和性剤としての使用に適した小分子としては、2kDa未満、1kDa未満、500ダルトン未満、250ダルトン未満、200ダルトン未満、100ダルトン未満、75ダルトン未満、または50ダルトン未満の分子量を有する小分子が挙げられる。例えば、本開示のコンジュゲートにおける親和性剤としての使用に適した小分子は、10ダルトン~2kDa、例えば、10ダルトン~25ダルトン、25ダルトン~50ダルトン、50ダルトン~100ダルトン、100ダルトン~150ダルトン、150ダルトン~250ダルトン、250ダルトン~500ダルトン、500ダルトン~1kDa、または1kDa~2kDaの分子量を有することができる。
【0109】
本開示のコンジュゲートにおける親和性剤としての使用に適した小分子は、一般に、標的リガンド結合ポリペプチドのリガンドではない。本開示のコンジュゲートにおける親和性剤としての使用に適した小分子は、一般に、リガンドが結合する部位以外の部位で標的リガンド結合ポリペプチドに結合し、標的リガンド結合ポリペプチドへのリガンドの結合を実質的に阻害しない。
【0110】
アプタマー
親和性剤としての使用に適したアプタマーとしては、RNAアプタマー、DNAアプタマー、及びペプチドアプタマーが挙げられる。本開示のコンジュゲートに含めるのに適したアプタマーは、光異性化可能な調節因子に存在するリガンドの標的リガンド結合ポリペプチドへの結合を阻害しない。一般に、本開示のコンジュゲートに含めるのに適したアプタマーは、標的リガンド結合ポリペプチドの活性を実質的に変化させない。
【0111】
核酸アプタマーは、約10ヌクレオチド~約200ヌクレオチド、例えば、10ヌクレオチド(nt)~15nt、10nt~15nt、15nt~20nt、20nt~25nt、25nt~50nt、50nt~75nt、75nt~100nt、100nt~150nt、または150nt~200ntの長さを有し得る。核酸アプタマーは、約10ヌクレオチド~約50ヌクレオチドの長さを有し得る。核酸アプタマーは、約10ヌクレオチド~約25ヌクレオチドの長さを有し得る。
【0112】
DNAアプタマーは、任意の公知の方法を用いて調製することができる。例えば、DNA-SELEX法を用いることができる。SELEX法では、ラウンド数を増やしたり、または競合物質を用いたりして厳しい選択条件を設定することにより、標的ポリペプチドに対してより強い結合能を示すアプタマーが濃縮及び選択される。そこで、SELEXのラウンド数を調整することにより、及び/または競合条件を変えることにより、結合力の異なるアプタマー、結合様式の異なるアプタマー、結合力または結合様式が同じでも塩基配列の異なるアプタマーを得ることができる。SELEX法は、ポリメラーゼ連鎖反応による増幅プロセス、プロセス中マンガンイオンなどを用いて変異を起こすことを含み、より多様性のあるSELEXを行うことが可能である。ポリペプチド(またはポリペプチドの一部)に特異的なアプタマーは、例えば、Ogawa,A.,et al.,Bioorg. Med. Chem,Lett,14:4001-4004,2004;及びJayasena,S. D.,Clinical Chemistry 45:1628-1650,1999に記載されるものなどの標準的な技術を用いて製造することができる。
【0113】
核酸アプタマーは、天然に存在するヌクレオチドを含むことができ、天然に存在しないヌクレオチドも含むことができる。天然に存在するヌクレオチドのみを含むDNAアプタマーとしては、アデニン、グアニン、シトシン、及びチミンのいずれかの天然塩基を有するデオキシリボヌクレオチドから構成されるDNAアプタマーが挙げられる。天然に存在するヌクレオチドのみを含むRNAアプタマーとしては、アデニン、グアニン、シトシン、及びウラシルのいずれかの天然塩基を有するリボヌクレオチドから構成されるRNAから構成されるRNAアプタマーが挙げられる。天然に存在しないヌクレオチドは、天然に存在しない塩基、リン酸基、及び糖を含む。天然に存在しない塩基(または「人工塩基」)とは、天然のヌクレオチドを構成する天然の塩基と同様の特性を有し、天然塩基のようにそのパートナーの塩基類似体(「相補的な人工塩基」と呼ばれる)と人工的な塩基対を形成できる人工的に構築された塩基類似体を指す。「人工塩基対形成」という用語は、一対の相補的な天然塩基アデニンとチミン、アデニンとウラシル、またはグアニンとシトシンのように、一対の相補的人工塩基間に形成される塩基対形成を指す。人工塩基対形成には、天然塩基間の塩基対形成に見られる水素結合による化学結合、人工塩基間の分子構造に基づく会合による物理的結合、疎水性相互作用によるスタッキング効果が含まれる。
【0114】
アプタマーは、2’-O-メチル部分、2’-NH2部分などの1つ以上の部分を含むように改変できる。
【0115】
さまざまなポリペプチドに結合するアプタマーは、当該技術分野で知られている。例えば、アプタマーデータベースは、インターネットでwww(dot)aptagen(dot)com/aptamer-index/aptamer-listで入手できる。さらに、上記のように、当業者は、目的の標的リガンド結合ポリペプチドに結合するアプタマーを容易に設計することができる。
【0116】
分岐鎖リンカー
上記のように、本開示のコンジュゲートは、a)親和性剤と;b)分岐鎖リンカーと;c)2つ以上の光異性化可能な調節因子と、を含む。分岐鎖リンカーは、コンジュゲートの2つ以上の光異性化可能な調節因子に親和性剤を結合するリンカーである。したがって、分枝鎖リンカーは、親和性剤に結合することができ、光異性化可能な調節因子をそれぞれ独立して含む2つ以上のアームを含むことができる。例えば、分枝鎖リンカーは、第1の末端で親和性剤に結合することができ、第2の末端に2つ以上のアームを含むことができ、2つ以上のアームのそれぞれは、光異性化可能な調節因子に独立して結合する。場合によっては、分岐鎖リンカーは、2つ以上のアーム、例えば、3つ以上のアーム、4つ以上のアーム、5つ以上のアーム、6つ以上のアーム、7つ以上のアーム、8つ以上のアーム、9つ以上のアーム、または10個以上のアームを含み、アームのそれぞれが独立して光異性化可能な調節因子に接続されている。さらに、上記のように、本開示のコンジュゲートのそれぞれの光異性化可能な調節因子は、光異性化可能な基を含む。そのようなとき、分岐鎖リンカーは、2つ以上のアーム、例えば、3つ以上のアーム、4つ以上のアーム、5つ以上のアーム、6つ以上のアーム、7つ以上のアーム、8つ以上のアーム、9つ以上のアーム、または10個以上のアームを含むことができ、アームのそれぞれが独立して光異性化可能な基に接続されている。さらに、上記のように、本開示のコンジュゲートのそれぞれの光異性化可能な調節因子は、標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンドを含む。そのようなとき、分岐鎖リンカーは、2つ以上のアーム、例えば、3つ以上のアーム、4つ以上のアーム、5つ以上のアーム、6つ以上のアーム、7つ以上のアーム、8つ以上のアーム、9つ以上のアーム、または10個以上のアームを含むことができ、アームのそれぞれが独立してリガンドを含む。場合によっては、分岐鎖リンカーは2つのアームを含む。場合によっては、分岐鎖リンカーは4つのアームを含む。さらに、場合によっては、本開示のコンジュゲートの分岐鎖リンカーは、4~10個のアーム、または4~9個のアーム、または4~8個のアーム、または4~7個のアーム、または4~6個のアーム、または4~5個のアーム、または5~10個のアーム、または5~9個のアーム、または5~8個のアーム、または5~7個のアーム、または5~6個のアーム、または6~10個のアーム、または6~9個のアーム、または6~8個のアーム、または6~7個のアームを含み、アームのそれぞれは独立してリガンドを含む。他のより具体的な実施形態では、本開示のコンジュゲートの分岐鎖リンカーは、4個のアームを含み、アームのそれぞれは、目的の標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンドを独立して含む。
【0117】
本開示のコンジュゲートの分岐鎖リンカーは、親和性剤を2つ以上の光異性化可能な調節因子に結合する任意の適切な分岐鎖リンカーであり得る。分岐鎖リンカーは、親和性剤及びそれぞれの光異性化可能な調節因子への好都合な結合化学を提供する適切な官能基を含み得る。例えば、アミド、エーテル、アミン、エステル官能基などであるがこれらに限定されない任意の種類の官能基を使用して、分岐鎖リンカーを親和性剤及び/または光異性化可能な調節因子に接続することができる。いくつかの実施形態では、アミド官能基は、分岐鎖リンカーと親和性剤及び/または光異性化可能な調節因子との間の便利な結合化学を提供する。
【0118】
場合によっては、分枝鎖リンカーは、式(BL):
(式中、nは1~10の整数である)
である部分を含む。
【0119】
場合によっては、親和性剤は、部分の左側で式(BL)の分岐鎖リンカーに結合する、すなわち、波線で示される位置で部分の左側のアミド基に結合する。上記のように、本開示の分岐鎖リンカーは、2つ以上のアームを含むことができ、それぞれのアームは別個の光異性化可能な調節因子に接続される。場合によっては、nが1で、分岐鎖リンカーが2つの光異性化可能な調節因子に結合する。場合によっては、nが2で、分岐鎖リンカーが3つの光異性化可能な調節因子に結合する。場合によっては、nが3で、分岐鎖リンカーが4つの光異性化可能な調節因子に結合する。場合によっては、nが4で、分岐鎖リンカーが5つの光異性化可能な調節因子に結合する。場合によっては、nが5で、分岐鎖リンカーが6つの光異性化可能な調節因子に結合する。場合によっては、nが6で、分岐鎖リンカーが7つの光異性化可能な調節因子に結合する。場合によっては、nが7で、分岐鎖リンカーが8つの光異性化可能な調節因子に結合する。場合によっては、nが8で、分岐鎖リンカーが9つの光異性化可能な調節因子に結合する。場合によっては、nが9で、分岐鎖リンカーが10つの光異性化可能な調節因子に結合する。場合によっては、nが10で、分岐鎖リンカーが11つの光異性化可能な調節因子に結合する。
【0120】
例えば、nが1である式(BL)の部分において、この部分は、1つのグルタルアミド基、すなわち、式(BL)の括弧内に示される基を含む。この場合、nが1の場合、部分の右側に2つのアームが示され、それぞれのアームにはアミド官能基が含まれる。式(BL)の部分において、グルタルアミド基のアームのそれぞれは、部分の右側の波線によって示されるそれぞれの結合点で光異性化可能な調節因子に結合することができるアミド官能基を含む。そのようなとき、nが1の場合、それぞれのアームは光異性化可能な調節因子を含み、分岐鎖リンカーは2つの光異性化可能な調節因子に結合する。
【0121】
他の実施形態では、nは3であり得る。この場合、式(BL)の部分は、3つのグルタルアミド基を含み、第2のグルタルアミド基は、式(BL)の部分の第1のグルタルアミド基の右上のアミド官能基に波線で示される結合点で結合し、第3のグルタルアミド基は、式(BL)の部分の第1のグルタルアミド基の右下のアミド官能基に波線で示される結合点で結合する。さらに、第2のグルタルアミド基は2つのアームを含み、それぞれのアームはそれぞれの光異性化可能な調節因子に結合しており、第3のグルタルアミド基は2つのアームを含み、それぞれのアームはそれぞれの光異性化可能な調節因子に結合している。したがって、nが3である場合、式(BL)の分岐鎖リンカーは、分岐鎖リンカーが4つの光異性化可能な調節因子に結合するように、それぞれが光異性化可能な調節因子を含む4つのアームを含む。
【0122】
他の場合では、式(BL)の部分において、nは1~10、または1~9、または1~8、または1~7、または1~6、または1~5、または1~4である。他の場合では、式(BL)の部分において、nは2~10、または2~9、または2~8、または2~7、または2~6、または2~5、または2~4である。他の場合では、式(BL)の部分において、nは3~10、または3~9、または3~8、または3~7、または3~6、または3~5、または3~4である。他の場合では、式(BL)の部分において、nは、4~10、または4~9、または4~8、または4~7、または4~6、または4~5である。他の場合では、式(BL)の部分において、nは、5~10、または5~9、または5~8、または5~7、または5~6である。他の場合では、式(BL)の部分において、nは、6~10、または6~9、または6~8、または6~7である。
【0123】
光異性化可能な調節因子
上記のように、本開示のコンジュゲートに存在する光異性化可能な調節因子は、i)光異性化可能な基と;ii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンドと、を含む。
【0124】
光異性化可能な基
上記のように、本開示のコンジュゲートに存在する光異性化可能な調節因子は、i)光異性化可能な基と;ii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンドと、を含む。
【0125】
光異性化可能な基は当該技術分野で既知であり、任意の既知の光異性化可能な基を、本開示のコンジュゲートに存在する光異性化可能な調節因子に含めることができる。適切な光異性化可能な基としては、アゾベンゼン、環状アゾベンゼン及びアゾヘテロアレーンならびにそれらの誘導体;スピロピラン及びその誘導体;トリフェニルメタン及びその誘導体;4,5-エポキシ-2-シクロペンテン及びその誘導体;フルギド及びその誘導体;チオインジゴ及びその誘導体;ジアリールエテン及びその誘導体;ジアリルエテン及びその誘導体;過密アルケン及びその誘導体;及びアントラセン及びその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、適切な光異性化可能な基は、本明細書の実施例に示されるような光異性化可能な基である。
【0126】
適切なスピロピラン誘導体としては、1,3,3-トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン;1,3,3-トリメチルインドリノ-6’-ニトロベンゾピリロスピラン;1,3,3-トリメチルインドリノ-6’-ブロモベンゾピリロスピラン;1-n-デシル-3,3-ジメチルインドリノ-6’-ニトロベンゾピリロスピラン;1-n-オクタデシル-1-3,3-ジメチルインドリノ-6’-ニトロベンゾピリロスピラン;3’,3’-ジメチル-6-ニトロ-1’-[2-(フェニルカルバモイル)エチル]スピロ;[2H-1-ベンゾピラン-2,2’-インドリン];1,3,3-トリメチルインドリノ-8’-メトキシベンゾピリロスピラン;及び1,3,3-トリメチルインドリノ-β-ナフトピリロスピランが挙げられるが、これらに限定されない。スピロピランまたはスピロピラン誘導体に対応するメロシアニン形態も使用に適している。
【0127】
適切なトリフェニルメタン誘導体としては、マラカイトグリーン誘導体、具体的には、例えば、ビス[ジメチルアミノ)フェニル]フェニルメタノール、ビス[4-(ジエチルアミノ)フェニル]フェニルメタノール、ビス[4-(ジブチルアミノ)フェニル]フェニルメタノール、及びビス[4-(ジエチルアミノ)フェニル]フェニルメタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
適切な4,5-エポキシ-2-シクロペンテン誘導体としては、例えば、2,3-ジフェニル-1-インデノンオキシド及び2’,3’-ジメチル-2,3-ジフェニル-1-インデノンオキシドが挙げられる。
【0129】
適切なアゾベンゼン化合物としては、例えば、側鎖に架橋したアゾベンゼン残基を有する化合物、例えば、4-カルボキシアゾベンゼンがポリビニルアルコールのヒドロキシル基に結合したエステルである化合物、または4-カルボキシアゾベンゼンがポリアリルアミンのアミノ基に結合したアミドである化合物が挙げられる。また、適切なものは主鎖にアゾベンゼン残基を有するアゾベンゼン化合物、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン(ビスフェノールAとも呼ばれる)と4,4’-ジカルボキシアゾベンゼンとのエステル結合、またはエチレングリコールと4,4’-ジカルボキシアゾベンゼンとのエステル結合によって形成されるものである。
【0130】
本発明のコンジュゲート及び光異性化可能な調節因子での使用に適合させることができる適切な環状アゾベンゼン及びアゾヘテロアレーン化合物としては、11,12-ジヒドロジベンゾ[c,g][1,2]ジアゾシン-5-オキシド、
、ヘテロジアゾシン、例えば、Hammerich et al. J. Am. Chem. Soc.,2016,138(40),pp 13111-13114)に記載される光スイッチ、ならびにCalbo et al. J. Am. Chem. Soc.,2017,139(3),pp 1261-1274に記載されるような、3-ピラゾール(3pzHまたは3pzMe)、5-ピラゾール(5pzHまたは5pzMe)、3-ピロール(3pyHまたは3pyMe)、トリアゾール及びテトラゾール(tetまたは3tri)などのアゾヘテロアレーン光スイッチが挙げられるが、これらに限定されない。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
適切なフルギド誘導体としては、イソプロピリデンフルギド及びアダマンチリデンフルギドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
適切なジアリルエテン誘導体としては、例えば、1,2-ジシアノ-1,2-ビス(2,3,5-トリメチル-4-チエニル)エタン、2,3-ビス(2,3,5-トリメチル-4-チエチル)無水マレイン酸;1,2-ジシアノ-1,2-ビス(2,3,5-トリメチル-4-セレニル)エタン;2,3-ビス(2,3,5-トリメチル-4-セレニル)無水マレイン酸;及び1,2-ジシアノ-1,2-ビス(2-メチル-3-N-メチルインドール)エタンが挙げられる。
【0133】
適切なジアリールエテン誘導体としては、置換ペルフルオロシクロペンテン-ビス-3-チエニル及びビス-3-チエニルマレイミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
適切な過密アルケンとしては、シス-2-ニトロ-7-(ジメチルアミノ)-9-(2’,3’-ジヒドロ-1’H-ナフト[2,1-b]チオピラン-1’-イリデン)-9H-チオキサンテン及びトランス-ジメチル-[1-(2-ニトロ-チオキサンテン-9-イリデン)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]チオクロメン-8-イル]アミンが挙げられるが、これらに限定されない。過密アルケンは文献に記載されている。例えば、terWiel et al.(2005)Org. Biomol. Chem. 3:28-30;及びGeertsema et al.(1999)Agnew CHem. Int. Ed. Engl. 38:2738を参照されたい。
【0135】
他の適切な光異性化可能な基としては、例えば、ジアゾケトン、アリールアジド、ジアゼレン、及びベンゾフェノンを含む、アフィニティー標識に一般的に使用される反応基が挙げられる。
【0136】
場合によっては、コンジュゲートの光異性化可能な基(例えば、本明細書で定義される)は、以下の式のアゾベンゼン(例えば、アゾベンゼン光スイッチ):
(式中、
R
1及びR
6が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、-NR
10R
11、-NR
12C(O)R
13、-NR
12C(O)OR
13、-NR
12C(O)NR
12R
13、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、ヘテロアリール、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロチオ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロシクロアミノ、C
4-10シクロアルキル、置換C4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、置換C
4-10シクロアルケニル、シアノ、ハロ、-OR
10、-C(O)OR
10、-SR
10、-S(O)R
10、-S(O)
2R
10から選択される1つ以上の任意の置換基であり;
xが、1~5の整数であり;
yが、1~5の整数であり;
式中、R
10~R
13は以下に定義されるとおりである)
またはその薬学的に許容される塩である。
【0137】
場合によっては、本開示のコンジュゲートに存在する光異性化可能な基は、式1の化合物:
(式中、
Q
1が、-CH
2-または-C(=O)-であり;
Q
2が、本開示に従って記載されるように、リガンド(または標識または反応基または第2の親和性剤)であり;
それぞれのR
1が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、-NR
10R
11、-NR
12C(O)R
13、-NR
12C(O)OR
13、-NR
12C(O)NR
12R
13、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、ヘテロアリール、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロチオ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロシクロアミノ、C
4-10シクロアルキル、置換C4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、置換C
4-10シクロアルケニル、シアノ、ハロ、-OR
10、-C(O)OR
10、-SR
10、-S(O)R
10、-S(O)
2R
10から独立して選択され;
wが、1~10の整数であり;
xが、1~5の整数であり;
yが、1~4の整数であり;
R
2が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、及び置換C
4-10シクロアルケニルから選択され;
それぞれのR
6が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、-NR
10R
11、-NR
12C(O)R
13、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、ヘテロアリール、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロチオ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロシクロアミノ、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、置換C
4-10シクロアルケニル、シアノ、ハロ、-OR
10、-C(O)OR
10、-SR
10、-S(O)R
10、-S(O)
2R
10から独立して選択され;
R
10及びR
11が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、及び置換C
4-10シクロアルケニルからそれぞれ独立して選択され;
R
12が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、及び置換C
4-10シクロアルケニルから選択され;
R
13が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-C
10アリール、置換C
6-20アリール、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、置換C
4-10シクロアルケニル、-CH
2-N(CH
2CH
3)
3
+、及び-CH
2-SO
3
-から選択される)
またはその薬学的に許容される塩である。
【0138】
式1の特定の実施形態では、Q1は、-CH2-である。式1の特定の実施形態では、Q1は、-C(=O)-である。
【0139】
式1のいくつかの例では、R1の1つは、リンカーを介して親和性剤に連結される(例えば、本明細書に記載されるように)。場合によっては、リンカーは分枝鎖リンカーを含む(例えば、本明細書に記載されるように)。
【0140】
場合によっては、本開示のコンジュゲートに存在する光異性化可能な基は、式2の化合物:
(式中、
Q
2が、本開示に従って記載されるように、リガンド(または標識または反応基または第2の親和性剤)であり;
それぞれのR
1が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、-NR
10R
11、-NR
12C(O)R
13、-NR
12C(O)OR
13、-NR
12C(O)NR
12R
13、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、ヘテロアリール、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロチオ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロシクロアミノ、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、置換C
4-10シクロアルケニル、シアノ、ハロ、-OR
10、-C(O)OR
10、-SR
10、-S(O)R
10、-S(O)
2R
10から独立して選択され;
wが、1~10の整数であり;
xが、1~5の整数であり;
yが、1~4の整数であり;
R
2が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、及び置換C
4-10シクロアルケニルから選択され;
それぞれのR
6が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、-NR
10R11、-NR
12C(O)R
13、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、ヘテロアリール、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロチオ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロシクロアミノ、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、置換C
4-10シクロアルケニル、シアノ、ハロ、-OR
10、-C(O)OR
10、-SR
10、-S(O)R
10、-S(O)
2R
10から独立して選択され;
R
10及びR
11が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-20アリール、置換C
6-20アリール、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、及び置換C
4-10シクロアルケニルからそれぞれ独立して選択され;
R
12が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C6-20アリール、置換C6-20アリール、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、及び置換C
4-10シクロアルケニルから選択され;
R
13が、水素、C
1-10アルキル、置換C
1-10アルキル、C
2-10アルケニル、置換C
2-10アルケニル、C
2-10アルキニル、置換C
2-10アルキニル、C
6-C
10アリール、置換C
6-20アリール、C
4-10シクロアルキル、置換C
4-10シクロアルキル、C
4-10シクロアルケニル、置換C
4-10シクロアルケニル、-CH
2-N(CH
2CH
3)
3+、及び-CH
2-SO
3
-から選択される)
またはその薬学的に許容される塩である。
【0141】
式2のいくつかの例では、R1基の1つは、リンカーを介して親和性剤に連結される(例えば、本明細書に記載されるように)。場合によっては、リンカーは分枝鎖リンカーを含む(例えば、本明細書に記載されるように)。
【0142】
場合によっては、本開示のコンジュゲートに存在する光異性化可能な基は、式3の化合物:
(式中、
Q
2が、本開示に従って記載されるように、リガンド(または標識または反応基または第2の親和性剤)であり;
wが、1~10の整数であり;
R
1が、水素、C
1-10アルキル、-NR
10R
11、-NR
12C(O)R
13、-NR
12C(O)OR
13、及び-NR
12C(O)NR
12R
13から選択され;
R
2が、水素またはC
1-10アルキルであり;
R
10及びR
11が、水素及びC
1-10アルキルから独立して選択され、
R
12が、水素またはC
1-10アルキルであり;
R
13が、水素、C
1-10アルキル、C
1-8アルケニル、C
6-10アリール、及び置換C
1-10アルキルから選択される)
またはその薬学的に許容される塩である。
【0143】
式3の特定の実施形態では、R1は、C1-8アルキルなどのC1-10アルキル、例えば、C1-6アルキル、C1-5アルキル、またはC1-4アルキルである。式3のいくつかの実施形態では、R1はC1-4アルキルである。
【0144】
式3の特定の実施形態では、R1は-NR10R11である。
【0145】
式3の特定の実施形態では、R1は-NR12C(O)R13である。
【0146】
特定の実施形態では、R2はHである。
【0147】
式3のいくつかの例では、R1基は、リンカーを介して親和性剤に連結される(例えば、本明細書に記載されるように)。場合によっては、リンカーは分枝鎖リンカーを含む(例えば、本明細書に記載されるように)。例えば、R1が-NR10R11である実施形態では、R1基は、リンカーを介して、R10基またはR11基のいずれかを介して親和性剤に結合することができる。R1が-NR12C(O)R13である他の場合では、R1基は、リンカーを介して、R13基を介して親和性剤に連結され得る。
【0148】
式1、2、または3のいくつかの例では、Q2は、本開示に従って記載されるようにリガンドである。
【0149】
式1、2、または3のいくつかの例では、Q2は、本開示に従って記載されるように標識である。例えば、標識は、本明細書に記載されるように、フルオロフォアなどの検出可能な標識であり得る。
【0150】
式1、2、または3のいくつかの例では、Q2は、本開示に従って記載されるように反応性基である。
【0151】
式1、2、または3のいくつかの例では、Q2は、本開示に従って記載されるように第2の親和性剤である。
【0152】
場合によっては、本開示のコンジュゲートに存在する光異性化可能な基は、以下に示すアゾベンゼン化合物である:
ここで、波線はコンジュゲートの残りの部分への結合点を示している。例えば、アゾベンゼンの左側の波線は、リンカー(例えば、本明細書に記載の分岐鎖リンカー)への結合点を示し得、アゾベンゼンの右側の波線は、本明細書に記載のリガンドへの結合点を示し得る。
【0153】
場合によっては、光異性化可能な基はアゾベンゼンであり、例えば、アゾベンゼンの光異性化可能な基はWO2019/060785に見られ、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0154】
リガンド
上記のように、本開示のコンジュゲートに存在する光異性化可能な調節因子は、i)光異性化可能な基と;ii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンドと、を含む。
【0155】
本明細書で使用される場合、「リガンド」という用語は、ポリペプチドに結合し、ポリペプチドの活性に変化をもたらし、及び/またはポリペプチドの立体構造に変化をもたらし、及び/またはポリペプチドへの別のポリペプチドの結合に影響を及ぼす、またはポリペプチドに対する別のリガンドの影響に影響を及ぼす分子(例えば、小分子、ペプチド、またはタンパク質)を指す。リガンドとしては、アゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリックモジュレーター、及びブロッカーが挙げられる。
【0156】
場合によっては、リガンドは天然に存在するリガンドである。他の場合では、リガンドは合成リガンドである。場合によっては、リガンドは内因性リガンドである。いくつかの場合、リガンドはアゴニストである。いくつかの場合、リガンドは逆アゴニストである。他の場合では、リガンドは部分アゴニストである。他の場合では、リガンドはアンタゴニストである。他の場合では、リガンドはアロステリックモジュレーターである。他の場合では、リガンドはブロッカーである。「アンタゴニスト」という用語は、一般に、リガンド結合ポリペプチドに結合し、リガンド結合ポリペプチドの結合を阻害する薬剤を指す。「アンタゴニスト」は、オルソステリック部位(アゴニストが結合するのと同じ部位)もしくはアロステリック部位、またはその近くに結合するが、リガンド結合ポリペプチドを活性化しない薬剤であり得る。代替的に、アンタゴニストは一般に、アゴニストによる結合を排除するか、またはアゴニストによる活性化を妨害し、したがって活性化を防止または妨害する。「アロステリックモジュレーター」は、オルソステリックリガンド結合部位から離れたアロステリック部位に結合する薬剤であり得、アロステリックリガンドの結合は、オルソステリックリガンドに対する感受性もしくは有効性を低下させる(負のアロステリックモジュレーター)か、またはオルソステリックリガンドに対する感受性もしくは有効性を増加させる(正のアロステリックモジュレーター)。「ブロッカー」という用語は、活性部位、細孔、またはアロステリック部位に直接作用する薬剤を指す。本明細書での使用に適したリガンドは、リガンド結合ポリペプチドのリガンド結合部位に可逆的に結合する。
【0157】
リガンドは、標的リガンド結合ポリペプチド、及び標的リガンド結合ポリペプチドに対する所望の効果に部分的に基づいて選択される。例えば、ホルモン結合転写因子のリガンドは、場合によっては、ホルモン、またはホルモンの合成類似体、またはホルモン結合もしくは作用を正もしくは負に妨害もしくは調節するリガンドである。テトラサイクリントランス活性化因子のリガンドは、場合によってはテトラサイクリンまたはその合成類似体である。酵素に対するリガンドは、場合によっては、酵素の合成アゴニストまたはアンタゴニストである。場合によっては、リガンドがリガンド結合部位をブロックする。酵素またはイオンチャネルのリガンドは、場合によっては、酵素活性部位またはイオンチャネル細孔のブロッカーである。リガンド依存性イオンチャネルまたはGタンパク質共役受容体または他の膜関連受容体または可溶性受容体のリガンドは、場合によっては、天然に存在するリガンド、またはリガンドの合成バージョン、例えばリガンドの合成類似体、または、そのリガンドの結合もしくは作用を正もしくは負に妨害もしくは調節するリガンドである。
【0158】
場合によっては、リガンドは小分子リガンドである。小分子リガンドは、約50ダルトン~約3000ダルトン、例えば、約50ダルトン~約75ダルトン、約75ダルトン~約100ダルトン、約100ダルトン~約250ダルトン、約250ダルトン~約500ダルトン、約500ダルトン~約750ダルトン、約750ダルトン~約1000ダルトン、約1000ダルトン~約1250ダルトン、約1250ダルトン~約1500ダルトン、約1500ダルトン~約2000ダルトン、約2000ダルトン~約2500ダルトン、または約2500ダルトン~約3000ダルトンの範囲の分子量を有することができる。
【0159】
他の場合では、リガンドはペプチドリガンドである。ペプチドリガンドは、約1kDa~約20kDa、例えば、約1kDa~約2kDa、約2kDa~約5kDa、約5kDa~約7kDa、約7kDa~約10kDa、約10kDa~約12kDa、約12kDa~約15kDa、または約15kDa~約20kDaの範囲の分子量を有することができる。ペプチドリガンドは、2アミノ酸~20アミノ酸の長さを有することができる。例えば、ペプチドリガンドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸の長さを有することができる。ペプチドリガンドは、2アミノ酸~5アミノ酸、5アミノ酸~10アミノ酸、10アミノ酸~15アミノ酸、または15アミノ酸~20アミノ酸の長さを有することができる。ペプチドリガンドは、20アミノ酸よりも長く、例えば200アミノ酸までであり得る。
【0160】
適切なリガンドとしては、リガンド結合タンパク質の機能をブロックまたは活性化するリガンドが挙げられるが、これらに限定されず、リガンド結合タンパク質としては、イオン及び高分子透過チャネル;受容体(伝達物質に結合するイオンチャネル型受容体;ホルモンに結合するイオンチャネル型受容体;メタボトロピック受容体、及び他のGタンパク質共役受容体(mGluR2、mGluR3、mGluR5、及びmGluR6などのmGluR受容体が挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられるがこれらに限定されない);受容体チロシンキナーゼ;増殖因子受容体;及び可溶性または膜結合または細胞外の小分子またはタンパク質に結合することによってシグナル伝達する他の膜受容体);トランスポーター(イオントランスポーター、有機分子トランスポーター、ペプチドトランスポーター、及びタンパク質トランスポーターが挙げられるがこれらに限定されない);酵素(キナーゼ;ホスファターゼ;ユビキチンリガーゼ;アセチラーゼ;オキソ還元酵素;リパーゼ;脂質部分をタンパク質に付加または除去する酵素;プロテアーゼ;リガーゼ、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、及びテロメラーゼが挙げられるがこれらに限定されない核酸を修飾する酵素が挙げられるがこれらに限定されない);モータータンパク質(キネシン、ダイニン及びその他の微小管ベースのモーター、ミオシン及びその他のアクチンベースのモーター、DNA及びRNAポリメラーゼ、及びポリヌクレオチドに沿って移動するその他のモーターが挙げられる);足場タンパク質;アダプタータンパク質;細胞骨格タンパク質;ならびに細胞内のタンパク質ドメイン及び上部構造を局在化または組織化する他のタンパク質が挙げられる。
【0161】
適切なリガンドとしては、全身麻酔薬として機能するリガンド;局所麻酔薬として機能するリガンド:鎮痛剤として機能するリガンド;合成及び半合成オピオイド鎮痛薬(例えば、フェナントレン、フェニルヘプチルアミン、フェニルピペリジン、モルフィナン、及びベンゾモルファン)、(例示的なオピオイド鎮痛薬としては、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、ペンタゾシン、ヒドロモルフォン、メペリジン、メタドン、レボルファノール、オキシモルフォン、レバロルファン、コデイン、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、及びペンタゾシンが挙げられる);イオンチャネル型グルタミン酸受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、例えば、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アゴニスト、アンタゴニスト、及びアロステリックモジュレーター、カイネート(KA)受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、及びアロステリックモジュレーター、α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチルイソオキサゾール-4-プロピオン酸(AMPA)受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、及びアロステリックモジュレーター、ならびに代謝型グルタミン酸受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、及びアロステリックモジュレーター;非オピオイド鎮痛薬、例えば、アセチルサリチル酸、トリサリチル酸コリンマグネシウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、フェノプロフェン、ジフルシナル、及びナプロキセン;ムスカリン受容体アゴニスト;ムスカリン受容体アンタゴニスト;アセチルコリン受容体アゴニスト;アセチルコリン受容体アンタゴニスト;セロトニン受容体アゴニスト;セロトニン受容体アンタゴニスト;酵素阻害剤;ベンゾジアゼピン、例えばクロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムまたはトリアゾラム;バルビツレート鎮静剤、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メフォバルビタール、メタバルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール、またはチオペンタール;鎮静作用を有するH1アンタゴニスト、例えば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、またはクロルシクリジン;NMDA受容体アンタゴニスト、例えばデキストロメトルファン((+)-3-ヒドロキシ-N-メチルモルフィナン)またはその代謝物であるデキストロルファン((+)-3-ヒドロキシ-N-メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキニーネ、cis-4-(ホスホノメチル)-2-ピペリジンカルボン酸、ブジピン、トピラメート、ネラメキサン、またはペルジンフォテル;α-アドレナリン、例えば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グアンファシン、デクスメタトミジン、モダフィニル、フェントラミン、テラザシン、プラザシン、または4-アミノ-6,7-ジメトキシ-2-(5-メタン-スルホンアミド-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノール-2-イル)-5-(2-ピリジル)キナゾリン;三環系抗うつ薬、例えば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン、またはノルトリプチリン;抗痙攣薬、例えば、カルバマゼピン、ラモトリジン、トピラトメート、またはバルプロエート;タキキニン(NK)アンタゴニスト、特にNK-3、NK-2、またはNK-1アンタゴニスト、例えば(α-R,9R)-7-[3,5-bis(トリフルオロメチル)ベンジル]-8,9,10,11-テトラヒドロ-9-メチル-5-(4-メチルフェニル)-7H-[1,4]ジアゾシノ[2,1-g][1,7]-ナフチリジン-6-13-ジオン(TAK-637)、5-[[(2R,3S)-2-[(1R)-1-[3,5-bis(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ-3-(4-フルオロフェニル)-4-モルホリニル]-メチル]-1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-オン(MK-869)、アプレピタント、レーンピタント、ダピタント、または3-[[2-メトキシ-5-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-メチルアミノ]-2-フェニルピペリジン(2S,3S);ムスカリンアンタゴニスト、例えばオキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウム、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリン、またはイプラトロピウム;シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)選択的阻害剤、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、またはルミラコキシブ;バニロイド受容体アゴニスト(例えばレジンフェラトキシン)またはアンタゴニスト(例えばカプサゼピン);プロプラノロールなどのβ-アドレナリン;5-HT受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、例えば5-HT1B/1Dアゴニスト、例えばエレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、またはリザトリプタン;5-HT2A受容体アンタゴニスト、例えばR(+)-α-(2,3-ジメトキシ-フェニル)-1-[2-(4-フルオロフェニルエチル)]-4-ピペリジンメタノール(MDL-100907);などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
Na+チャネルに適したリガンドとしては、リドカイン、ノボカイン、キシロカイン、リグノカイン、ノボカイン、カルボカイン、エチドカイン、プロカイン、プロントカイン、プリロカイン、ブピバカイン、シンコカイン、メピバカイン、キニジン、フレカイニド、プロカイン、N-[[2’-(アミノスルホニル)ビフェニル-4-イル]メチル]-N’-(2,2’-ビチエン-5-イルメチル)スクシンイミド(BPBTS)、QX-314、サキシトキシン、テトロドトキシン、及びIII型コノトキシンが挙げられるが、これらに限定されない。Na+チャネルに適したリガンドとしては、テトロドトキシン、サキシトキシン、グアニジニウム、ポリアミン(例えば、スペルミン、カダベリン、プトレシン、μ-コノトキシン、及びδ-コノトキシンなど)も挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
K+チャネルに適したリガンドとしては、四級アンモニウム(例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム)、4-アミノピリジン、スルホニル尿素、グリベンクラミド;トルブタミド;フェントラミン、キウニン、キニジン、ペプチド毒素(例、カリブドトキシン、アギトキシン-2、アパミン、デンドロトキシン、VSTX1、ハナトキシン-1、ハナトキシン-2、チチュウ毒素K-αが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
CNGチャネル及びHCNチャネルに適したリガンドとしては、1-cisジルチアゼム及びZD7288が挙げられるが、これらに限定されない。グリシン受容体に適したリガンドとしては、ストリキニーネ及びピクロトキシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
ニコチン性アセチルコリン受容体に適したリガンドとしては、(+)-ツボクラリン、メチルリカコニチン、ガラミン、ニコチン;アナトキシンA、エピバチジン、ABT-94、ロフォトキシン、シチシン、ヘキサメトニウム、メカミラミン、及びジヒドロ-β-エリスロイジンが挙げられるが、これらに限定されない。ムスカリン性アセチルコリン受容体に適したリガンドとしては、米国特許第7,439,255号に記載のムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト;AF267B(例えば、米国特許第7,439,251号を参照されたい);フェニルプロパルギルオキシ-1,2,5-チアジアゾール-キヌクリジン;カルバコール;ピレンザピン;マイグラスタチン;米国特許第7,232,841号に記載の化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
GABA受容体に適したリガンドとしては、ムシモール、THIP、プロカビド、ビククリン、ピクロトキシン、ガバジン、ガバペンチン、ジアゼパム、クロナゼパム、フルマゼニル、β-カルボリンカルボン酸エチルエステル、バクロフェン、ファクロフェン、及びバルビツレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
場合によっては、例えば、標的リガンド結合ポリペプチドがmGluRである場合、リガンドはグルタメートである。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドがmGluR受容体である場合、リガンドは、mGluR受容体(mGluR2、mGluR3、mGluR5、及びmGluR6が挙げられるがこれらに限定されない)の天然に存在するリガンドまたは合成リガンドである。
【0168】
多くの適切なリガンドが当業者に知られている。リガンドの選択は、リガンドが結合する標的(例えば、受容体、イオンチャネル、酵素など)に部分的に依存する。
【0169】
フルオロフォア
場合によっては、本開示のコンジュゲートはフルオロフォアを含む。例えば、上記のように、Q2は、フルオロフォアなどの標識であり得る。フルオロフォアの例としては、Alexa Fluor(登録商標)色素(例えば、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)405、Alexa Fluor(登録商標)430、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)500、Alexa Fluor(登録商標)514、Alexa Fluor(登録商標)532、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)555、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)610、Alexa Fluor(登録商標)633、Alexa Fluor(登録商標)635、Alexa Fluor(登録商標)647、Alexa Fluor(登録商標)660、Alexa Fluor(登録商標)680、Alexa Fluor(登録商標)700、Alexa Fluor(登録商標)750、Alexa Fluor(登録商標)790など)、ATTO色素(例えば、ATTO 390、ATTO 425、ATTO 465、ATTO 488、ATTO 495、ATTO 514、ATTO 520、ATTO 532、ATTO Rho6G、ATTO 542、ATTO 550、ATTO 565、ATTO Rho3B、ATTO Rho11、ATTO Rho12、ATTO Thio12、ATTO Rho101、ATTO 590、ATTO 594、ATTO Rho13、ATTO 610、ATTO 620、ATTO Rho14、ATTO 633、ATTO 647、ATTO 647N、ATTO 655、ATTO Oxa12、ATTO 665、ATTO 680、ATTO 700、ATTO 725、ATTO 740)、DyLight色素、シアニン色素(例えば、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy3b、Cy5、Cy5.5、Cy7、Cy7.5)、FluoProbes色素、Sulfo Cy色素、Seta色素、IRIS色素、SeTau色素、SRfluor色素、Square色素、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、テトラメチルローダミン(TMR)、シリコンローダミン(SiR)、テキサスレッド、オレゴングリーン、パシフィックブルー、パシフィックグリーン、及びパシフィックオレンジが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
標的リガンド結合ポリペプチド
上記のように、本開示のコンジュゲートは、標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンドを含む。
【0171】
適切な標的リガンド結合タンパク質としては、イオン及び高分子透過チャネル;受容体(伝達物質に結合するイオンチャネル型受容体;ホルモンに結合するイオンチャネル型受容体;メタボトロピック受容体、及び他のGタンパク質共役受容体;受容体チロシンキナーゼ;増殖因子受容体;及び可溶性または膜結合または細胞外の小分子またはタンパク質に結合することによってシグナル伝達する他の膜受容体が挙げられるがこれらに限定されない);トランスポーター(イオントランスポーター、有機分子トランスポーター、ペプチドトランスポーター、及びタンパク質トランスポーターが挙げられるがこれらに限定されない);酵素(キナーゼ;ホスファターゼ;ユビキチンリガーゼ;アセチラーゼ;オキソ還元酵素;リパーゼ;脂質部分をタンパク質に付加または除去する酵素;プロテアーゼ;リガーゼ、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、及びテロメラーゼが挙げられるがこれらに限定されない核酸を修飾する酵素が挙げられるがこれらに限定されない);モータータンパク質(キネシン、ダイニン及びその他の微小管ベースのモーター、ミオシン及びその他のアクチンベースのモーター、DNA及びRNAポリメラーゼ、及びポリヌクレオチドに沿って移動するその他のモーターが挙げられる);足場タンパク質;アダプタータンパク質;細胞骨格タンパク質;ならびに細胞内のタンパク質ドメイン及び上部構造を局在化または組織化する他のタンパク質が挙げられる。
【0172】
場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドは、転写調節因子、イオンチャネル、カチオンチャネル、リガンド依存性イオンチャネル、電位依存性イオンチャネル、クオラムセンサー、フェロモン受容体、神経伝達物質受容体、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、または酵素である。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドは、カチオンチャネル、例えば、カリウムチャネル、ナトリウムチャネル、またはカルシウムチャネルである。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドは、グルタミン酸受容体、代謝型グルタミン酸受容体、イオンチャネル型グルタミン酸受容体、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型GABA-A受容体、またはイオンチャネル型プリン作動性P2X受容体である。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドは、グルタミン酸受容体、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)、イオンチャネル型グルタミン酸受容体(例えば、カイネート受容体;AMPA受容体;NMDA受容体)、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型GABA-A受容体、代謝型GABA-B受容体、代謝型ドーパミン受容体、イオンチャネル型プリン作動性P2X受容体、代謝型プリン作動性P2Y受容体、代謝型セロトニン受容体、イオンチャネル型セロトニン受容体、イオンチャネル型グリシン受容体、カチオンチャネル、カリウムチャネル、カルシウムチャネル、ナトリウムチャネル、プロトンチャネル、アニオンチャネル、及びクロライドチャネルから選択される。
【0173】
場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドは、代謝型グルタミン酸受容体から選択され、代謝型グルタミン酸受容体としては、例えば、mGluR2、mGluR3、mGluR5、mGluR6などが挙げられる。
【0174】
標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチド
上記のように、本開示のコンジュゲートは、i)標的リガンド結合ポリペプチド、またはii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチドに結合する親和性剤を含む。
【0175】
場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチドは、i)標的リガンド結合ポリペプチドに結合する抗体と、ii)コンジュゲート中に存在する親和性剤に結合するポリペプチドと、を含む融合ポリペプチドである。例えば、コンジュゲート中に存在する親和性剤に結合するポリペプチドは、SNAPポリペプチド(ここで、親和性剤はベンジルグアニンである)、CLIPポリペプチド(ここで、親和性剤はベンジルシトシンである)、またはHALOポリペプチド(ここで、親和性剤はクロロアルカンである)であり得る。
【0176】
例示的なコンジュゲート
場合によっては、本開示のコンジュゲートは、式I:
(A)-(X1)n-(B)-[(X2)m-(C)-(X3)p-(D)]q (式I)
(式中、
Aは親和性剤であり;
X1は、存在する場合、第1のリンカーであり、nは0または1であり;
Bは分岐鎖リンカーであり;
X2は、存在する場合、第2のリンカーであり、mは0または1であり;
Cは光異性化可能な基であり;
X3は、存在する場合、第3のリンカーであり、pは0または1であり;
Dはリガンドであり;
qは、2~10の整数である)を有する化合物である。
【0177】
適切な親和性剤は、本開示に記載されているものである。例えば、本開示に記載されるように、親和性剤は、ベンジルグアニン、ベンジルシトシン、クロロアルカン、抗体、アプタマー、小分子、またはペプチドなどであり得るが、これらに限定されない。場合によっては、親和性剤は、標的リガンド結合ポリペプチドに特異的な抗体である。適切な抗体の非限定的な例としては、例えば、標的リガンド結合ポリペプチドに特異的なナノボディ(例えば、mGluR2に特異的に結合するナノボディ);及び標的リガンド結合ポリペプチドに特異的なscFv抗体(例えば、mGluR2に特異的に結合するscFv)が挙げられる。
【0178】
X1は、存在する場合、第1のリンカーであり、nは0または1である。例えば、nが0である場合、X1は存在せず、AはBに直接的に接続する。他の例では、nが1であり、X1が存在する。同様に、X2は、存在する場合、第2のリンカーであり、mは0または1である。例えば、mが0である場合、X2は存在せず、BはCに直接的に接続する。他の例では、mが1であり、X2が存在する。同様に、X3は、存在する場合、第3のリンカーであり、pは0または1である。例えば、pが0である場合、X3は存在せず、CはDに直接的に接続する。他の例では、pが1であり、X3が存在する。場合によっては、X1、X2、及びX3の少なくとも1つが存在する。場合によっては、X1、X2、及びX3のうちの1つのみが存在する。場合によっては、X1とX2が存在し、X3が存在しない。場合によっては、X1とX3が存在し、X2が存在しない。場合によっては、X2とX3が存在し、X1が存在しない。場合によっては、X1、X2、及びX3が存在する。
【0179】
X1、X2、及び/またはX3に適したリンカーとしては、ポリカーボン鎖、ポリ(エチレングリコール);ペプチドなどが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、リンカーはC1-C25アルキルである。場合によっては、リンカーは置換C1-C25アルキルである。場合によっては、リンカーはポリ(エチレングリコール)(PEG)であり、PEGは2~50個のエチレングリコールモノマーを含む。例えば、PEGは、2~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、または45~50のエチレングリコール単位を含む。例えば、リンカーは、PEGが12個のエチレングリコールモノマー(すなわち、PEG12)を含むPEGであり得る。場合によっては、リンカーは2アミノ酸~50アミノ酸、例えば、2アミノ酸~5アミノ酸、5アミノ酸~10アミノ酸、10アミノ酸~15アミノ酸、15アミノ酸~20アミノ酸、20アミノ酸~25アミノ酸、25アミノ酸~30アミノ酸、または30アミノ酸~50アミノ酸のペプチドである。場合によっては、リンカーは、長さが2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸のペプチドである。
【0180】
適切な分岐鎖リンカーとしては、本開示に記載されているものが挙げられる。例えば、適切な分枝鎖リンカーとしては、本明細書に記載されるように、1つ以上(例えば、1~10個)のグルタルアミド基を含む分枝鎖リンカーが挙げられる。他の適切な分岐鎖リンカーとしては、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー、ポリエチレングリコール(PEG)デンドリマーなどのデンドリマー構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
適切な光異性化可能な基としては、アゾベンゼン、環状アゾベンゼン、アゾヘテロアレーン、フルギド、スピロピラン、トリフェニルメタン、チオインジゴ、ジアリールエテン、及び過密アルケンから選択される部分などの本開示に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、光異性化可能な基はアゾベンゼンである(例えば、本明細書に記載のように)。
【0182】
適切なリガンドとしては、本開示に記載されたものが挙げられる。場合によっては、リガンドは、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリックモジュレーター、またはブロッカーである(例えば、本明細書に記載のように)。
【0183】
式Iの他の実施形態では、Dは、本開示に記載の標識、反応性基、または第2の親和性剤である。
【0184】
場合によっては、コンジュゲートは式(A)-(X1)n-(B)-[(X2)m-(C)-(D)]qを有する。
【0185】
場合によっては、コンジュゲートは式(A)-(X1)n-(B)-[(C)-(D)]qを有する。
【0186】
場合によっては、コンジュゲートは式(A)-(B)-[(X2)m-(C)-(X3)p-(D)]qを有する。
【0187】
場合によっては、コンジュゲートは式(A)-(B)-[(X2)m-(C)-(D)]qを有する。
【0188】
場合によっては、コンジュゲートは式(A)-(X1)n-(B)-[(X2)m-(C)-(X3)p-(D)]qを有する。
【0189】
第1のリンカー(X1)、第2のリンカー(X2)、または第3のリンカー(X3)を含むかまたは含まない、適切なA、B、C、及びD部分の任意の組み合わせが、本開示によるコンジュゲートにおいて使用され得る。コンジュゲートの例としては、コンジュゲートであって、
(i)Aがベンジルシトシンであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼンであり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(ii)Aがベンジルシトシンであり、X1がPEG(例えば、PEG12)であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼンであり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(iii)Aがベンジルシトシンであり、X1がPEG(例えば、PEG12)であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン380であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(iv)Aがベンジルシトシンであり、X1がPEG(例えば、PEG12)であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(v)Aがクロロアルカンであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼンであり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(vi)Aがクロロアルカンであり、X1がPEG(例えば、PEG12)であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼンであり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(vii)Aがクロロアルカンであり、X1がPEG(例えば、PEG12)であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン380であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(viii)Aがクロロアルカンであり、X1がPEG(例えば、PEG12)であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(ix)Aがベンジルグアニンであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼンであり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(x)Aがベンジルグアニンであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12)であり、Cがアゾベンゼンであり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(xi)Aがベンジルグアニンであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12)であり、Cがアゾベンゼン380であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(xii)Aがベンジルグアニンであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(xiii)Aがベンジルグアニンであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼンであり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xiv)Aがベンジルグアニンであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12)であり、Cがアゾベンゼンであり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xv)Aがベンジルグアニンであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12)であり、Cがアゾベンゼン380であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xvi)Aがベンジルグアニンであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
などのコンジュゲートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
第1のリンカー(X1)、第2のリンカー(X2)、または第3のリンカー(X3)を含むかまたは含まない、適切なA、B、C、及びD部分の任意の組み合わせが、本開示によるコンジュゲートにおいて使用され得る。コンジュゲートの例としては、コンジュゲートであって、
(i)Aが標的リガンド結合ポリペプチドに特異的な抗体であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(ii)Aが標的リガンド結合ポリペプチドに特異的な抗体であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(iii)Aが標的リガンド結合ポリペプチドに特異的な抗体であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(iv)Aが標的リガンド結合ポリペプチドに特異的な抗体であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(v)Aが代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)に特異的な抗体であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(vi)AがmGluR(例えば、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、またはmGluR6)に特異的な抗体であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(vii)AがmGluR(例えば、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、またはmGluR6)に特異的な抗体であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(vii)AがmGluR(例えば、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、またはmGluR6)に特異的な抗体であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(vii)AがmGluR2(例えば、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、またはmGluR6)に特異的な抗体であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(ix)AがmGluR2に特異的な抗体であり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(x)AがmGluR2に特異的な抗体であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xi)AがmGluR2に特異的な抗体であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xii)AがmGluR2に特異的なナノボディであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(xiii)AがmGluR2に特異的なナノボディであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(xiv)AがmGluR2に特異的なナノボディであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xv)AがmGluR2に特異的なナノボディであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xii)AがmGluR2に特異的なscFvであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(xiii)AがmGluR2に特異的なscFvであり、Bがグルタルアミドを含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが2である;
(xiv)AがmGluR2に特異的なscFvであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xv)AがmGluR2に特異的なscFvであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xvi)AがmGluR(例えば、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、またはmGluR6)に特異的な抗体であり、X1がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xvii)AがmGluR(例えば、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、またはmGluR6)に特異的なscFvであり、X1がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xviii)AがmGluR(例えば、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、またはmGluR6)に特異的なナノボディであり、X1がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xix)AがmGluR4に特異的なナノボディであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xx)AがmGluR4に特異的なナノボディであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xxi)AがmGlu4に特異的なナノボディであり、X1がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xxii)AがmGluR5に特異的なナノボディであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xxiii)AがmGluR5に特異的なナノボディであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xxiv)AがmGluR5に特異的なナノボディであり、X1がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xxv)AがmGluR6に特異的なナノボディであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xxvi)AがmGluR6に特異的なナノボディであり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、X2がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
(xxvii)AがmGluR6に特異的なナノボディであり、X1がPEG(例えば、PEG12またはPEG28)であり、Bが3つのグルタルアミド部分を含む分岐鎖リンカーであり、Cがアゾベンゼン460であり、Dがグルタメートであり、qが4である;
などのコンジュゲートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】
光スイッチコンジュゲート及び融合ポリペプチドを含む組成物及び組み合わせ
場合によっては、本開示は、a)本開示の光スイッチコンジュゲートと、b)光スイッチコンジュゲート中に存在する親和性剤に結合するポリペプチドを含む融合ポリペプチド、または融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む、組成物及び/または組み合わせを提供する。光スイッチコンジュゲート及び融合ポリペプチドまたは融合ポリヌクレオチドは、同じ組成物の一部であり、対象に一緒に投与することができる。代替的に、光スイッチコンジュゲート及び融合ポリペプチドまたは融合ポリヌクレオチドは、異なる時期に及び/またはさまざまな手段もしくは投与方法によって投与される薬剤の組み合わせを含む治療アプローチの一部であり得る。場合によっては、本開示の組成物は、a)本開示の光スイッチコンジュゲートと、b)i)リガンド(例えば、本開示の光スイッチに存在するリガンド)に対する受容体、及びii)融合パートナーを含む融合ポリペプチド(または融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)と、を含み、融合パートナーは光スイッチコンジュゲートに存在する親和性部分に結合するポリペプチドである。場合によっては、本開示の組成物は、a)本開示の光スイッチコンジュゲートと、b)i)リガンド(例えば、本開示の光スイッチコンジュゲートに存在するリガンド)に対する受容体、及びii)融合パートナーを含む第1の融合ポリペプチド(またはそれをコードするポリヌクレオチド)と、を含み、融合パートナーは第2の融合ポリペプチドに存在する抗体によって結合されるエピトープを示し、第2の融合ポリペプチドは、i)第1の融合ポリペプチドの融合パートナーに存在するエピトープに結合する抗体、及びii)光スイッチコンジュゲートに存在する親和性部分に結合するポリペプチドを含む。
【0192】
光スイッチコンジュゲート及び単一の融合ポリペプチドを含む組成物
場合によっては、本開示の組成物または組み合わせは、a)本開示の光スイッチコンジュゲートと、b)光スイッチコンジュゲートに存在する親和性剤に結合するポリペプチドを含む融合ポリペプチド(または、融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド)と、を含む。場合によっては、融合ポリペプチドは、a)リガンド(例えば、本開示の光スイッチコンジュゲートに存在するリガンド)に対する受容体と、b)融合パートナーと、を含み、融合パートナーはSNAPポリペプチド、CLIPポリペプチド、またはHALOポリペプチドである。例えば、場合によっては、リガンドに対する受容体は、グルタミン酸受容体、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)、イオンチャネル型グルタミン酸受容体(例えば、カイネート受容体;AMPA受容体;NMDA受容体)、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型GABA-A受容体、代謝型GABA-B受容体、代謝型ドーパミン受容体、イオンチャネル型プリン作動性P2X受容体、代謝型プリン作動性P2Y受容体、代謝型セロトニン受容体、イオンチャネル型セロトニン受容体、イオンチャネル型グリシン受容体、カチオンチャネル、カリウムチャネル、カルシウムチャネル、ナトリウムチャネル、プロトンチャネル、アニオンチャネル、及びクロライドチャネルである。
【0193】
場合によっては、本開示の組成物または組み合わせは、a)本開示のコンジュゲートと、b)融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸と、を含む。核酸は発現ベクターであり得る。ヌクレオチド配列は、プロモーターに作動可能に連結することができる。発現ベクターは、例えば、組換えウイルス発現ベクターであり得る。非限定的な例として、発現ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであり得、組換えAAVベクターは、融合ポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。組換えAAVベクターはまた、バリアントカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むことができ、バリアントカプシドタンパク質は網膜細胞の感染をもたらす。場合によっては、組換えAAVベクターを眼に投与する。場合によっては、組換えAAVベクターを硝子体内で眼に投与する。
【0194】
場合によっては、本開示の組成物または組み合わせは、a)本開示の光スイッチコンジュゲート(親和性剤は、上記のヌクレオシド塩基誘導体(例えば、ベンジルグアニン、ベンジルシトシン、クロロアルカン、クロロピリミジンなど)である)と、b)i)標的リガンド結合ポリペプチドに特異的な抗体(例えば、scFvまたはナノボディ);及びii)コンジュゲートに存在する親和性剤に結合するポリペプチド(例えば、SNAPポリペプチド;CLIPポリペプチド;HALOポリペプチドなど)を含む融合ポリペプチドと、を含む。場合によっては、本開示の組成物または組み合わせは、a)本開示の光スイッチコンジュゲート(親和性剤は、上記のヌクレオシド塩基誘導体(例えば、ベンジルグアニン、ベンジルシトシン、クロロアルカン、クロロピリミジンなど)である)と、b)i)mGluRに特異的なナノボディまたはscFv;及びii)コンジュゲートに存在する親和性剤に結合するポリペプチド(例えば、SNAPポリペプチド;CLIPポリペプチド;HALOポリペプチドなど)を含む融合ポリペプチドと、を含む。場合によっては、本開示の組成物または組み合わせは、a)本開示の光スイッチコンジュゲート(親和性剤は、上記のヌクレオシド塩基誘導体(例えば、ベンジルグアニン、ベンジルシトシン、クロロアルカン、クロロピリミジンなど)である)と、b)i)mGluR2、mGluR3、mGluR5、またはmGluR5に特異的なナノボディまたはscFv;及びii)コンジュゲートに存在する親和性剤に結合するポリペプチド(例えば、SNAPポリペプチド;CLIPポリペプチド;HALOポリペプチドなど)を含む融合ポリペプチドと、を含む。
【0195】
光スイッチコンジュゲート及び2つの融合ポリペプチドを含む組成物
場合によっては、融合ポリペプチドは、a)リガンド(例えば、本開示の光スイッチコンジュゲートに存在するリガンド)に対する受容体と、b)融合パートナーを含み、融合パートナーは、抗体によって特異的に結合される抗原である。場合によっては、抗体は融合ポリペプチドであり、a)抗体と、b)融合パートナーとを含み、融合パートナーはSNAPポリペプチド、CLIPポリペプチド、またはHALOポリペプチドである。他の適切な融合パートナーとしては、例えば、エピトープタグ(例えば、ヘマグルチニンタグ、FLAGタグ、ポリ(His)タグなど)が挙げられる。ハロベースのオリゴヌクレオチド結合剤(HOB)ポリペプチドも使用に適している。例えば、Kossman et al.(2016)Chembiochem. 17:1102を参照されたい。HOBポリペプチドは、クロロヘキシル部分に結合する。トリメトプリム(TMP)タグ、トリメトプリム誘導体との非共有高親和性複合体を形成するE. coliジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)の操作された形態も使用に適している。例えば、Gallagher et al.(2009)ACS Chem. Biol. 4:547;及びJing and Cornish(2013)ACS Chem. Biol. 8:1704を参照されたい。
【0196】
SNAP
場合によっては、SNAPポリペプチドは、次のアミノ酸配列:MDKDCEMKRTTLDSPLGKLELSGCEQGLHRIIFLGKGTSAADAVEVPAPAAVLGGPEPLMQATAWLNAYFHQPEAIEEFPVPALHHPVFQQESFTRQVLWKLLKVVKFGEVISYSHLAALAGNPAATAAVKTALSGNPVPILIPCHRVVQGDLDVGGYEGGLAVKEWLLAHEGHRLGKPGLG(配列番号1)に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。SNAPポリペプチドは、O6-ベンジルグアニン(BG)に結合する。
【0197】
場合によっては、SNAPポリペプチドは、次のアミノ酸配列:DKDCEMKRTTLDSPLGKLELSGCEQGLHEIKLLGKGTSAADAVEVPAPAAVLGGPEPLMQATAWLNAYFHQPEAIEEFPVPALHHPVFQQESFTRQVLWKLLKVVKFGEVISYQQLAALAGNPAATAAVKTALSGNPVPILIPCHRVVSSSGAVGGYEGGLAVKEWLLAHEGHRLGKPGLG(配列番号4)に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0198】
場合によっては、SNAPポリペプチドまたはそのバリアントはベンジルグアニンに結合する。
【0199】
CLIP
CLIPポリペプチドは、次のアミノ酸配列:MDKDCEMKRTTLDSPLGKLELSGCEQGLHRIIFLGKGTSAADAVEVPAPAAVLGGPEPLIQATAWLNAYFHQPEAIEEFPVPALHHPVFQQESFTRQVLWKLLKVVKFGEVISESHLAALVGNPAATAAVNTALDGNPVPILIPCHRVVQGDSDVGPYLGGLAVKEWLLAHEGHRLGKPGLG(配列番号2)に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。CLIPポリペプチドは、O2-ベンジルシトシン(BC)に結合することができる。
【0200】
HALO
HALOポリペプチドは、次のアミノ酸配列:MAEIGTGFPFDPHYVEVLGERMHYVDVGPRDGTPVLFLHGNPTSSYVWRNIIPHVAPTHRCIAPDLIGMGKSDKPDLGYFFDDHVRFMDAFIEALGLEEVVLVIHDWGSALGFHWAKRNPERVKGIAFMEFIRPIPTWDEWPEFARETFQAFRTTDVGRKLIIDQNVFIEGTLPMGVVRPLTEVEMDHYREPFLNPVDREPLWRFPNELPIAGEPANIVALVEEYMDWLHQSPVPKLLFWGTPGVLIPPAEAARLAKSLPNCKAVDIGPGLNLLQEDNPDLIGSEIARWLSTLEISG(配列番号3)に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。HALOポリペプチドはクロロアルカンに結合する。
【0201】
ベクター
本開示はまた、本明細書に記載の組成物及び/または組み合わせを含む発現ベクター、送達ベクター、及び他のベクターを提供する。
【0202】
発現ベクターとしては、任意の手段による、本開示の細胞への本開示の組成物のインビトロまたはエクスビボ送達に適した任意のベクターが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、発現ベクターはプラスミドを含む。場合によっては、プラスミドを本開示の細胞にエレクトロポレーションする。本開示の発現ベクターはまた、インビトロまたはエクスビボで組成物を導入するために使用される場合、本開示の送達ベクターを含み得る。
【0203】
送達ベクターとしては、インビボまたはインサイチュで(無傷の眼の文脈で)、本開示の細胞への本開示の組成物のインビボ送達に適した任意のベクターが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の送達ベクターとしては、ウイルスベクター及び非ウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なウイルスベクターとしては、任意の血清型のアデノ随伴ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な非ウイルスベクターとしては、脂質ベクター、ポリマーベクター、及び粒子ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。脂質ベクターとしては、リポソーム、脂質ナノ粒子、ミセル、脂質ポリマーソーム、及びエキソソームが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーベクターとしては、ポリマーソーム、脂質ナノ粒子、及びナノ粒子が挙げられるが、これらに限定されない。粒子ベクターとしては、すべての形状及び組成のナノ粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
場合によっては、本開示の送達ベクターは、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターをコードする配列を含む組成物を含む、本開示の組成物を含む。本開示の送達ベクターのいくつかの実施形態では、ベクターはウイルスベクターである。場合によっては、ウイルスベクターはアデノ随伴ベクター(AAV)である。場合によっては、AAVは組換えAAV(rAAV)である。場合によっては、rAAVは、第1の血清型のAAVから単離されたかまたはそれに由来する配列と、第2の血清型のAAVから単離されたかまたはそれに由来する配列と、を含む。場合によっては、rAAVは、第1の血清型のAAVから単離されたかまたはそれに由来するカプシド配列と、第2の血清型のAAVから単離されたかまたはそれに由来するカプシド挿入配列と、を含む。例示的なAAV血清型としては、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、本開示のAAVベクターは、AAV2、AAV4、AAV5、及びAAV8のうちの1つ以上から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む。場合によっては、本開示のAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、及びAAV9のうちの1つ以上に由来する野生型配列を含む。場合によっては、本開示のAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、及びAAV9のうちの1つ以上から単離されたかまたはそれに由来するカプシド配列を含む。場合によっては、本開示のAAVベクターは、AAV2及びAAV4から単離されたかまたはそれに由来するカプシド配列を含む。場合によっては、本開示のAAVベクターは、AAV2及びAAV5から単離されたかまたはそれに由来するカプシド配列を含む。場合によっては、本開示のAAVベクターは、AAV2及びAAV8から単離されたかまたはそれに由来するカプシド配列を含む。場合によっては、本開示のAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、及びAAV9から単離されたかまたはそれに由来する2つ以上の配列を含む組換えまたはキメラカプシド配列を含む。
【0205】
本開示のある特定の実施形態では、改変アデノ随伴ベクター(AAV)が、WO2018/022905及び/または米国出願連続番号63/032,206に記載されるように使用される。これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0206】
場合によっては、AAVベクターを含む送達ベクターは、網膜細胞型を標的とする。場合によっては、AAVベクターを含む送達ベクターは、網膜細胞型に対する指向性を有する。場合によっては、網膜細胞型はニューロンである。場合によっては、網膜細胞型は網膜神経節細胞である。場合によっては、網膜細胞型は水平細胞である。場合によっては、網膜細胞型は、アマクリン細胞である。場合によっては、網膜細胞型は双極細胞である。場合によっては、網膜細胞型は光受容細胞である。場合によっては、網膜細胞型は光受容細胞ではない。光受容細胞としては桿体細胞と錐体細胞が挙げられる。
【0207】
場合によっては、細胞は網膜ニューロンまたはその前駆細胞である。いくつかの実施形態では、前駆細胞は、神経褶細胞、初期網膜前駆細胞(RPC)、後期RPC、胚性幹細胞(ESC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、または網膜色素上皮(RPE)細胞である。いくつかの実施形態では、本開示のESCは、ヒト胚またはヒト組織から単離されず、それらにも由来しない。
【0208】
場合によっては、本開示の組成物を分化細胞及び/または分化した細胞型になることができる前駆細胞に送達することができる。
【0209】
調節因子
場合によっては、本開示のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、1つ以上の転写調節因子に作動可能に連結される。例えば、場合によっては、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、構成的プロモーターなどのプロモーターに作動可能に連結されている。他の場合では、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに作動可能に連結されている。場合によっては、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、組織特異的な調節因子または細胞型特異的な調節因子に作動可能に連結されている。例えば、場合によっては、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、網膜細胞特異的プロモーターに作動可能に連結されている。例えば、場合によっては、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、光受容体特異的調節因子(例えば、光受容体特異的プロモーター)、例えば、光受容細胞における作動可能に連結された遺伝子の選択的発現をもたらす調節因子に作動可能に連結されている。好適な光受容体特異的調節因子としては、例えば、ロドプシンプロモーター、ロドプシンキナーゼプロモーター(Young et al.(2003)Ophthalmol. Vis. Sci. 44:4076);βホスホジエステラーゼ遺伝子プロモーター(Nicoud et al.(2007)J. Gene Med. 9:1015);網膜色素変性症遺伝子プロモーター(Nicoud et al.(2007)supra);光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)遺伝子エンハンサー(Nicoud et al.(2007)supra);IRBP遺伝子プロモーター(Yokoyama et al.(1992)Exp Eye Res. 55:225)が挙げられる。
【0210】
適切なプロモーターとしては、CAGプロモーター(Miyazaki et al.(1989)Gene 79:269);サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター;グルタミン酸代謝型受容体-6(grm6)プロモーター(Cronin et al.(2014)EMBO Mol. Med. 6:1175);Pleiadesプロモーター(Portales-Casamar et al.(2010)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 107:16589);コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)プロモーター(Misawa et al.(1992)J. Biol. Chem. 267:20392);小胞グルタミン酸トランスポーター(V-glut)プロモーター(Zhang et al.(2011)Brain Res. 1377:1);グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)プロモーター(Rasmussen et al.(2007)Brain Res. 1144:19;Ritter et al.(2016)J. Gene Med. 18:27);コレシストキニン(CCK)プロモーター(Ritter et al.(2016)J. Gene Med. 18:27);パルブアルブミン(PV)プロモーター;ソマトスタチン(SST)プロモーター;ニューロペプチドY(NPY)プロモーター;及び血管作動性腸管ペプチド(VIP)プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。適切なプロモーターとしては、赤錐体オプシンプロモーター、ロドプシンプロモーター、ロドプシンキナーゼプロモーター、及びGluRプロモーター(例えば、GluR6プロモーター;grm6とも呼ばれる)が挙げられるが、これらに限定されない。適切なプロモーターとしては、卵黄様黄斑ジストロフィー2(VMD2)遺伝子プロモーター、及び光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)遺伝子プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。L7プロモーター(Oberdick et al.(1990)Science 248:223)、thy-1プロモーター、リカバリンプロモーター(Wiechmann and Howard(2003)Curr. Eye Res. 26:25);カルビンジンプロモーター;及びβアクチンプロモーターも使用に適している。適切なプロモーターとしては、合成(天然に存在しない)プロモーター/エンハンサーの組み合わせも挙げられる。
【0211】
本開示に従って有用な他の適切なプロモーターとしては、例えば、ガンマシヌクレイン(SNCG)プロモーター(例えば、Chaffiol et al.(2017)Mol. Ther. 25(11)2546)、CBhプロモーター(例えば、Grey et al.(2011)Hum. Gene Ther. 22(9):1143-53)、miniCAGプロモーター(例えば、Grey et al.(2011)Hum. Gene Ther. 22(9):1143-53)、ニューロフィラメントヘビー(NEFH)プロモーター(Millington-Ward et al.(2020)Sci. Rep.10:16515)、Gタンパク質共役受容体キナーゼ1(GRK1)プロモーター(例えば、Khani et al.(2007)Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 48(9):3954-61)、レチンアルデヒド結合タンパク質1(RLBP1)プロモーター(例えば、Choi et al.(2015)Mol. Ther. Methods Clin. Dev. 2:15022;Vogel et al.(2007)Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 48,3872-3877)、卵黄様筋ジストロフィー-2(VMD2)プロモーター(例えば、Conlon et al.(2013)Hum. Gene Ther. Clin. Dev. 24,23-28)、シナプシンI(Syn1)プロモーター(例えば、Kugler et al.(2003))、enhSyn1プロモーター(例えば、Hioki et al.(2007)Gene Ther.14(11):872-82)、またはそれらの機能的断片もしくはバリアントが挙げられる。
【0212】
本開示のいくつかの実施形態では、組成物は、エンハンサーを含む配列、イントロンまたはその任意の部分を含む配列、エクソンまたはその任意の部分を含む配列、Kozak配列を含む配列、転写後応答エレメント(PRE)を含む配列、末端逆位配列(ITR)配列を含む配列、長い末端反復(LTR)配列を含む配列、及びポリA配列のうちの1つ以上をさらに含む。
【0213】
本開示の組成物のいくつかの実施形態では、組成物は連結要素をさらに含む。本開示の連結要素は、プロモーターをコードする配列を、目的のポリペプチドをコードする配列に連結することができる。代替的に、または付加的に、本開示の連結要素は、組成物を、表面、タグ、標識(検出可能または配列バーコード)、リガンド、エピトープ、捕捉プローブ、選択可能マーカー、または本開示の送達ビヒクルのうちの1つ以上に可逆的にまたは非可逆的に連結することができる。
【0214】
組成物
実施形態は、本開示のコンジュゲートを含む組成物をさらに提供する。本開示のコンジュゲートを含む組成物は、塩、例えば、NaCl、MgCl2、KCl、MgSO4など;緩衝剤、例えばTris緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-tris[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)など;可溶化剤;界面活性剤、例えば、Tween-20、Nonidet-P40などの非イオン性界面活性剤;プロテアーゼ阻害剤;などのうちの1つ以上を含むことができる。
【0215】
医薬組成物
本開示は、本開示のコンジュゲートまたは本開示の組成物を含む医薬組成物を提供する。場合によっては、医薬組成物は、それを必要とする個体に投与するのに適切である。場合によっては、医薬組成物は、それを必要とする個体に投与するのに適切であり、個体はヒトである。
【0216】
本開示のコンジュゲートまたは組成物を含む医薬組成物は、患者に単独で、または他の補助活性剤と組み合わせて投与され得る。医薬組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、及び凍結乾燥を非限定的に含む、さまざまなプロセスのいずれかを使用して製造することができる。医薬組成物は、無菌溶液、懸濁液、エマルション、凍結乾燥物、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、粉末、シロップ、エリキシル、または投与に適した任意の他の剤形を含むがこれらに限定されないさまざまな形態のいずれかを取ることができる。
【0217】
本開示のコンジュゲートまたは組成物を含む医薬組成物は、活性成分の薬学的に許容される組成物への加工を促進する薬学的に許容される担体(複数可)を任意選択で含むことができる。本明細書で使用される場合、「薬理学的に許容される担体」という用語は、投与された場合に長期的または永続的な有害な影響を実質的に持たない任意の担体を指し、「薬理学的に許容されるビヒクル、安定剤、希釈剤、補助剤、または賦形剤」などの用語を包含する。そのような担体は、一般に、活性化合物と混合されるか、または活性化合物を希釈または封入することが可能であり、固体、半固体、または液体の薬剤であり得る。活性成分は、可溶性であってもよいし、所望の担体または希釈剤中の懸濁液として送達できることが理解される。例えば、蒸留、脱イオン水、生理食塩水などの水性媒体;溶剤;分散媒体;コーティング;抗菌剤及び抗真菌剤;等張及び吸収遅延剤;またはいずれか他の不活性成分を含むが、これらに限定されない種々の薬学的に許容される担体のいずれかを使用することができる。薬理学的に許容される担体の選択は、投与様式に依存し得る。いかなる薬学的に許容される担体も活性成分と不適合でない限り、薬学的に許容される組成物に使用することが企図される。そのような薬学的担体の特定の用途の非限定的な例は、“Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems”(Howard C. Ansel et al.,eds.,Lippincott Williams & Wilkins Publishers,7th ed. 1999);“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”(Alfonso R. Gennaro ed.,Lippincott,Williams & Wilkins,20th 2000);“Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics” Joel G. Hardman et al.,eds.,McGraw-Hill Professional,10.sup.th ed. 2001);及び“Handbook of Pharmaceutical Excipients”(Raymond C. Rowe et al.,APhA Publications,4th edition 2003)に見出すことができる。
【0218】
本発明の医薬組成物は、非限定的に、緩衝液、防腐剤、等張化剤、塩、抗酸化物質、生理学的物質、薬理学的物質、増量剤、乳化剤、湿潤剤、甘味、または香味剤などを含む、他の薬学的に許容される成分を非限定的に任意選択で含み得る。得られる調製物が薬学的に許容されるという条件で、pHを調整するためのさまざまな緩衝液及び手段を使用して、本明細書に開示される医薬組成物を調製することができる。薬学的に許容される緩衝液の非限定的な例として、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、中性緩衝食塩水、リン酸塩緩衝食塩水、及びホウ酸塩緩衝液が挙げられる。酸または塩基を使用して、必要に応じて組成物のpHを調整できることが理解される。薬学的に許容される防腐剤としては、非限定的に、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられる。有益な防腐剤としては、非限定的に、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、及び安定化オキシクロロ組成物、例えば、PURITE(商標)が挙げられる。本発明の医薬組成物に含めるのに適した張度調整剤としては、非限定的に、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールまたはグリセリンなどの塩、及び他の薬学的に許容される張度調整剤が挙げられる。薬理学の分野で知られているこれら及び他の物質が、本発明の医薬組成物に含まれ得ることが理解される。
【0219】
薬学的に許容される担体として機能し得る物質のいくつかの例としては、(1)ラクトース、グルコース、及びスクロース等の糖、(2)トウモロコシデンプン、及びジャガイモデンプンなどのデンプン、(3)セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)カカオバター及び坐剤用ワックス等の賦形剤、(9)落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びダイズ油等の油、(10)プロピレングリコール等のグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール等のポリオール、(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張食塩水、(18)リンガー液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/またはポリ無水物、ならびに(22)医薬製剤に使用されるその他の非毒性の適合物質が挙げられる。
【0220】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とともに製剤化することができる。多種多様の薬学的に許容される賦形剤が当該技術分野で既知であり、本明細書で詳細に説明される必要はない。例えば、A. Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,” 20th edition,Lippincott,Williams,& Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C. Ansel et al.,eds.,7th ed.,Lippincott,Williams,& Wilkins;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H. Kibbe et al.,eds.,3rd ed. Amer. Pharmaceutical Assocを含むさまざまな刊行物に、薬学的に許容される賦形剤が十分に記載されている。
【0221】
ビヒクル、アジュバント、担体または希釈剤などの薬学的に許容される賦形剤は、一般に容易に入手可能である。さらに、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、安定化剤、湿潤剤などの薬学的に許容される補助物質は、一般に容易に入手可能である。
【0222】
本開示の方法(以下に記載)では、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、病状または症状の所望の軽減をもたらすことができる任意の便利な手段を使用して宿主に投与され得る。したがって、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、治療的投与のためにさまざまな製剤に組み込むことができる。より具体的には、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、適切な薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせることによって医薬組成物に製剤化することができ、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、及びエアロゾルなどの固体、半固体、液体、または気体形態の製剤に製剤化することができる。
【0223】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、錠剤、粉末、顆粒、またはカプセルを製造するために、単独で、または適切な添加剤、例えばラクトース、マンニトール、コーンスターチまたはポテトスターチなどの従来の添加物とともに;結晶セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチンのような結合剤とともに;コーンスターチ、ポテトスターチまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムのような崩壊剤とともに;タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑剤とともに;及び必要に応じて、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、及び香味剤とともに組み合わせて使用することができる。このような製剤は、経口投与に使用することができる。
【0224】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、植物または他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコールなどの水性または非水性溶媒に溶解、懸濁、または乳化することにより;及び、必要に応じて、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤、及び防腐剤などの従来の添加剤とともに、注射用の製剤に製剤化することができる。注射に適した製剤は、硝子体内、眼内、筋肉内、皮下、舌下、または他の投与経路、例えば、歯肉組織または他の口腔組織への注射によって投与することができる。このような製剤は局所投与にも適している。
【0225】
場合によっては、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、硝子体内注射によって投与される。場合によっては、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、眼内投与によって投与される。場合によっては、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、網膜下注射によって投与される。
【0226】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、吸入によって投与されるエアロゾル製剤で利用することができる。本開示のコンジュゲートまたは組成物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容される加圧噴射剤に製剤化することができる。
【0227】
さらに、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、乳化基剤または水溶性基剤などのさまざまな基剤と混合することによって坐剤にすることができる。本開示のコンジュゲートまたは組成物は、坐剤を介して直腸に投与することができる。坐剤は、体温で溶けるが、室温では凝固する、カカオバター、カーボワックス、ポリエチレングリコールなどのビヒクルを含むことができる。
【0228】
シロップ剤、エリキシル剤、及び懸濁剤などの経口投与または直腸投与のための単位剤形を提供してもよく、それぞれの剤形単位、例えば、小さじ1杯、大さじ1杯の、錠剤または坐剤は、1つ以上の阻害剤を含む所定量の組成物を含む。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、生理食塩水、または別の薬学的に許容される担体中の溶液として組成物中に本開示のコンジュゲートを含み得る。
【0229】
本明細書で使用される場合、「単位剤形」という用語は、ヒト及び動物の対象のための単位投与量として適切な物理的に分離した単位を指し、それぞれの単位は所定量の本開示のコンジュゲートを含み、薬学的に許容される希釈剤、担体、またはビヒクルと組み合わせて所望の効果を生じるのに十分な量で計算される。本開示のコンジュゲートに関する仕様は、使用される特定の化合物、及び達成すべき効果、ならびに宿主におけるそれぞれの化合物に関連する薬力学に依存する。
【0230】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、注射可能なものとして投与することができる。注射可能な組成物は、液体の溶液または懸濁液としてとして調製される。注射前に液体ビヒクルに溶解または懸濁するのに適した固体形態も調製することができる。調製物はまた、乳化されるか、または活性成分がリポソームビヒクルにカプセル化され得る。
【0231】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、薬学的に許容される賦形剤と一緒に医薬組成物に製剤化することができる。場合によっては、本発明の医薬組成物は対象への投与に適しており、例えば無菌である。例えば、場合によっては、本発明の医薬組成物は、例えば、組成物が無菌であり、検出可能な発熱物質及び/またはその他の毒素を含まない場合、ヒト対象への投与に適している。
【0232】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、個体の眼への投与に適した医薬組成物に製剤化することができる。例えば、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、硝子体内投与に適した医薬組成物に製剤化することができる。
【0233】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、コンジュゲートのインビボ半減期を増加させる薬学的に許容される賦形剤と一緒に医薬組成物に製剤化することができる。例えば、場合によっては、本開示の組成物は、i)本開示のコンジュゲートまたは組成物と、ii)シクロデキストリンと、を含む。
【0234】
適切なシクロデキストリンとしては、例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、2,6-ジ-O-エチル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、メチル化シクロデキストリン(例えば、メチル化β-シクロデキストリン;例えば、DIMEBと呼ばれるC-2及びC-6位のすべてにメチル基を有するβ-シクロデキストリン);CRYSMEB;RAMEB;など)、ヘプタキス-(2,3,6-トリ-O-メチル)-β-シクロデキストリン(TRIMEB)、マルトシル-β-シクロデキストリンなどが挙げられる。場合によっては、本開示の組成物は、i)本開示のコンジュゲートまたは組成物と、ii)シクロデキストリンと、を含む。場合によっては、本開示の組成物は、i)本開示のコンジュゲートまたは組成物と、ii)β-シクロデキストリンと、を含む。場合によっては、本開示は、薬剤をシクロデキストリンと組み合わせて製剤化することにより、薬剤を必要とする対象に薬剤を硝子体内投与する方法を提供する。本明細書に示されるように、優れたインビボ有効性及び/または治療効果の持続性は、シクロデキストリンとともに製剤化された本開示のコンジュゲートの硝子体内投与後に達成することができる。
【0235】
場合によっては、本開示の組成物は、i)本開示のコンジュゲートまたは組成物と、ii)アルキルグリコシドと、を含む。場合によっては、アルキルグリコシドは、ウンデシルマルトシド、ドデシルマルトシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、スクロースモノドデカノエート、スクロースモノトリデカノエート、及びスクロースモノテトラデカノエートからなる群から選択される。
【0236】
場合によっては、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、連続送達システムによって送達される。「連続送達システム」という用語は、本明細書では「制御送達システム」と交換可能に使用され、その多種多様なものが当該技術分野で知られている、カテーテル、注射装置などと組み合わせた連続(例えば、制御)送達装置(例えば、ポンプ)を包含する。
【0237】
場合によっては、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、ミセル(例えば、ナノミセル)、ナノ粒子、またはリポソーム中に存在する(例えば、その中にカプセル化されている)。例えば、場合によっては、本開示のコンジュゲートは、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド(PHEA)とペグ化PHEAとのコポリマーを含むナノミセル中に存在する(例えば、その中にカプセル化されている)。別の例として、場合によっては、本開示のコンジュゲートは、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)コポリマーを含むナノミセル中に存在する(例えば、その中にカプセル化されている)。別の例として、場合によっては、本開示のコンジュゲートは、アルブミン、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、及びポリカプロラクトンのうちの1つ以上を含むナノ粒子中に存在する(例えば、その中にカプセル化されている)。別の例として、場合によっては、本開示のコンジュゲートは、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、ステアリルアミン、またはN-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-塩化トリメチルアンモニウムを含むリポソーム中に存在する(例えば、その中にカプセル化されている)。
【0238】
方法
本開示のコンジュゲートは、標的リガンド結合ポリペプチドの活性を調節するのに使用される。本開示のコンジュゲートは、本開示のコンジュゲートを含む細胞の活性を調節するのに使用され、細胞は標的リガンド結合ポリペプチドを含む。したがって、本開示は、標的リガンド結合ポリペプチドの活性を調節する方法、及び本開示のコンジュゲートを含む細胞の活性を調節する方法であって、細胞が標的リガンド結合ポリペプチドを含む方法を提供する。場合によっては、本開示の方法は、リガンドが標的リガンド結合ポリペプチドのリガンド結合部位に結合するように、コンジュゲート(またはコンジュゲートを含む細胞または組織)を適切な光条件に曝露することを含む。場合によっては、本開示の方法は、リガンドが標的リガンド結合ポリペプチドのリガンド結合部位に結合しないように、コンジュゲート(またはコンジュゲートを含む細胞または組織)を適切な光条件に曝露することを含む。
【0239】
本開示は、標的リガンド結合ポリペプチドの活性を調節する方法であって、方法が、a)標的リガンド結合ポリペプチドを、本開示のコンジュゲートと接触させて、光調節可能なポリペプチドを生成することと、b)光調節可能なポリペプチドへのリガンドの結合をもたらす波長の光に光調節可能なポリペプチドを曝露することであって、光調節可能なポリペプチドへのリガンドの結合が光調節可能なポリペプチドの活性を調節する曝露することと、を含む方法を提供する。本開示は、標的リガンド結合ポリペプチドの活性を調節する方法であって、方法が、a)標的リガンド結合ポリペプチドを、本開示のコンジュゲートと接触させて、光調節可能なポリペプチドを生成することと、b)光調節可能なポリペプチドのリガンド結合部位からのリガンドの放出をもたらす波長の光に光調節可能なポリペプチドを曝露することであって、光調節可能なポリペプチドのリガンド結合部位からのリガンドの放出が光調節可能なポリペプチドの活性を調節する曝露することと、を含む方法を提供する。
【0240】
標的リガンド結合ポリペプチド(または光調節可能なポリペプチド)の「活性を調節すること」には、ポリペプチドの活性を増加すること;ポリペプチドの活性を阻害すること;ポリペプチドを別の(例えば、非光)刺激に対して感作すること;別の刺激に対するポリペプチドの感受性を低下させること;別の刺激がポリペプチドを活性化する効力を増大させること;及び別の刺激がポリペプチドを活性化する効力を減少させることが含まれる。活性は、調節されるポリペプチドに依存する。例えば、場合によっては、リガンドはアゴニストであり、標的リガンド結合ポリペプチド(または光調節可能なポリペプチド)へのリガンドの結合は、標的リガンド結合ポリペプチド(または光調節可能なポリペプチド)の活性化をもたらす。他の例では、リガンドはアンタゴニストであり、標的リガンド結合ポリペプチド(または光調節可能なポリペプチド)へのリガンドの結合は、標的リガンド結合ポリペプチド(または光調節可能なポリペプチド)の阻害、脱感作、または非活性化をもたらす。
【0241】
標的リガンド結合ポリペプチドとしては、転写調節因子、イオンチャネル、カチオンチャネル、リガンド依存性イオンチャネル、電位依存性イオンチャネル、クオラムセンサー、フェロモン受容体、神経伝達物質受容体、酵素、酵素、モータータンパク質、トランスポーター、膜輸送タンパク質、Gタンパク質共役受容体、Gタンパク質、受容体チロシンキナーゼ、足場タンパク質、アダプタータンパク質、細胞骨格タンパク質、接着タンパク質、膜標的タンパク質、分泌を指示するタンパク質、及びタンパク質の局在化ドメインまたはタンパク質相互作用ドメインが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドはカチオンチャネルである。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドはアニオンチャネルである。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドはカリウムチャネルである。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドはナトリウムチャネルである。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドはカルシウムチャネルである。
【0242】
場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドは無細胞組成物である。すなわち、標的リガンド結合ポリペプチドは細胞内に存在しない。
【0243】
場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドはインビトロで細胞に存在する。場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドはインビボで細胞内に存在する。
【0244】
標的リガンド結合ポリペプチドが細胞内に存在する場合、細胞は任意の型の細胞であり得る。例えば、細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞、非ヒト霊長類細胞、げっ歯類細胞などであり得る。細胞は、網膜細胞、筋細胞、神経細胞、血球(例えば、有核血球)、上皮細胞、内皮細胞、皮膚細胞、肺細胞などであり得る。
【0245】
場合によっては、標的リガンド結合ポリペプチドは細胞内に存在する。場合によっては、細胞は網膜細胞である。場合によっては、細胞はアマクリン細胞である。場合によっては、細胞は神経節細胞(例えば、網膜神経節細胞(RGC))である。場合によっては、細胞は双極細胞である。場合によっては、細胞はミューラー細胞である。場合によっては、細胞はON双極細胞(ON-BC)である。場合によっては、細胞はOFF双極細胞である。
【0246】
本開示は、標的細胞の活性を調節する方法であって、この方法が、標的細胞を光に曝露することを含み、標的細胞が、本開示のコンジュゲート及び標的リガンド結合ポリペプチドを含み、光は、標的リガンド結合ポリペプチドへのリガンドの結合をもたらす波長のものであり、標的リガンド結合ポリペプチドへのリガンドの結合は標的細胞の活性を調節する、方法を提供する。本開示は、標的細胞の活性を調節する方法であって、この方法が、標的細胞を光に曝露することを含み、標的細胞が、本開示のコンジュゲート及び標的リガンド結合ポリペプチドを含み、光は、標的リガンド結合ポリペプチドからのリガンドの放出をもたらす波長のものであり、標的リガンド結合ポリペプチドからのリガンドの結合の放出は標的細胞の活性を調節する、方法を提供する。場合によっては、細胞は標的細胞集団である。場合によっては、標的細胞または細胞集団は組織に存在する。
【0247】
本開示は、通常は光に直接応答しない網膜細胞に光に対する感受性を導入するか、またはすでに光感受性の網膜細胞の光応答を増強する方法であって、方法は、網膜細胞を光に曝露することを含み、網膜細胞が本開示のコンジュゲート及び標的リガンド結合ポリペプチドを含み、光が標的リガンド結合ポリペプチドへのリガンドの結合をもたらす波長のものであり、標的リガンド結合ポリペプチドへのリガンドの結合が、光に反応した網膜細胞の活性を調節する、方法を提供する。例えば、網膜細胞中の標的ポリペプチドは、アマクリン細胞中のmGluR2もしくはmGluR8または双極細胞中のmGluR6もしくはmGluR7または神経節細胞中のmGluR4などの代謝型グルタミン酸受容体であり得る。これらの場合、適切な光異性化部分-リガンドの組み合わせは、D立体異性体結合を持つアゾベンゼン-グルタミン酸であり得る。例えば、Broichhagen et al.(2015)ACS Central Science 1,383-393;及びLevitz et al.(2017)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 114,E3546-E3554を参照されたい。他の例として、標的ポリペプチドは、双極細胞、アマクリン細胞、または神経節細胞におけるGluK2、GluK5、GluN2A、またはGluN2Bなどのイオンチャネル型グルタミン酸受容体であり得る。これらの場合、適切な光異性化部分-リガンドの組み合わせは、L立体異性体結合を有するアゾベンゼン-グルタメート(例えば、Volgraf et al.(2006)Nature Chem. Bio. 2:47;Volgraf et al.(2007)J. Am. Chem. Soc. 129:260;及びBerlin et al.(2016)Elife 5:e12040を参照されたい),または ATG(例えば、Laprell et al.(2015)Nat. Commun. 6:8076を参照されたい)であり得る。別の例として、標的ポリペプチドは、GluRA1などのイオンチャネル型グルタミン酸受容体であってもよい。この場合、適切な光異性化部分-リガンドの組み合わせは、ShuBQX-3であり得る(例えば、Barber et al.(2017)Chem. Sci. 8:611を参照されたい)。別の例として、標的ポリペプチドは、アマクリン細胞または神経節細胞におけるイオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体であり得、リガンドは、AC-5、MAACh、HoChPE、MG-624、またはMAHoChであり得る(例えば、Tochitsky et al.(2012)Nat. Chem. 4:105を参照されたい)。別の例として、標的ポリペプチドは、アマクリン細胞または神経節細胞におけるイオンチャネル型GABA-A受容体であり得、リガンドは、PAG-2A、PAG-2B、またはPAG-3Cであり得る。別の例として、標的ポリペプチドは神経節細胞におけるイオンチャネル型P2X受容体であり得、リガンドはMEA-TMAであり得る(例えば、Lemoine et al.(2013)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110:20813を参照されたい)。
【0248】
本開示は、光に対する低下した応答性を特徴とする眼障害を治療する方法であって、方法が、本開示のコンジュゲート、または本開示のコンジュゲートを含む組成物(例えば、医薬組成物)を、眼障害を有する個体の眼に投与することを含む、方法を提供する。場合によっては、コンジュゲート、またはコンジュゲートを含む組成物(例えば、医薬組成物)は、硝子体内注射を介して個体に投与される。場合によっては、コンジュゲート、またはコンジュゲートを含む組成物(例えば、医薬組成物)は、眼内投与を介して個体に投与される。場合によっては、コンジュゲート、またはコンジュゲートを含む組成物(例えば、医薬組成物)は、網膜下注射を介して個体に投与される。
【0249】
光に対する応答性の低下を特徴とする眼障害としては、網膜色素変性症及び加齢性黄斑変性症などの遺伝性網膜変性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の方法による治療に適した眼障害としては、網膜色素変性症、黄斑変性症、網膜分離症、レーバー先天性黒内障、及び糖尿病性網膜症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
視覚機能を増強する方法
本開示は、個体の眼の視覚機能を増強または回復する方法を提供する。この方法は、有効量の本開示のコンジュゲートまたは組成物を個体の眼に投与することを含む。
【0251】
個体の眼への本開示のコンジュゲートまたは組成物の投与は、個体によるパターン化された視覚及び画像認識を提供することができる。画像認識は静止画像及び/または動く映像のものであり得る。
【0252】
場合によっては、有効量の本開示のコンジュゲートまたは組成物を個体の眼に投与することは、約10-5W/cm2~約10W/cm2の光強度での画像認識を提供する。場合によっては、有効量の本開示のコンジュゲートまたは組成物を個体の眼に投与することは、5W/cm2未満、例えば、3W/cm2未満、2W/cm2未満、または1W/cm2未満の光強度での画像認識を提供する。例えば、有効量の本開示のコンジュゲートまたは組成物を個体の眼に投与することは、約10-5W/cm2~約10-1W/cm2、約10-4W/cm2~約10-2W/cm2、約10-4W/cm2~約1W/cm2、約10-4W/cm2~約10-1W/cm2、または約10-4W/cm2~約5×10-1W/cm2の光強度での画像認識を提供する。場合によっては、有効量の本開示のコンジュゲートまたは組成物を個体の眼に投与することは、約10-5W/cm2~約10-4W/cm2、約10-4W/cm2~約10-3W/cm2、約10-3W/cm2~約10-2W/cm2、約10-2W/cm2~約10-1W/cm2、または約10-1W/cm2~約1W/cm2の光強度での画像認識を提供する。
【0253】
場合によっては、本開示のコンジュゲートは、上記の「460アゾベンゼン」を含む。場合によっては、「460アゾベンゼン」を含む本開示のコンジュゲートは、「アゾベンゼン380」を含むコンジュゲートによって網膜細胞にもたらされる「オフ」キネティクスよりも、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも7,500倍、少なくとも10,000倍、または10,000倍を超えて速い「オフ」キネティクスを提供する。「オフ」キネティクスとは、光を取り除くとき(暗闇で)、光応答がオフになるキネティクスを指す。例えば、場合によっては、「460アゾベンゼン」を含む本開示のコンジュゲートは、10秒未満、5秒未満、1秒未満、900ミリ秒(ms)未満、800ms未満、700ms未満、600ms未満、500ms未満、または400ms未満の「オフ」キネティクスをもたらす。場合によっては、「460アゾベンゼン」を含む本開示のコンジュゲートは、約100ms~約200ms、約200ms~約300ms、約300ms~約400ms、約400ms~約500ms、約500ms~約600ms、約600ms~約700ms、約700ms~約800ms、約800ms~約900ms、約900ms~約1秒、約1秒~約5秒、または約5秒~約10秒の「オフ」キネティクスをもたらす。
【0254】
場合によっては、本開示のコンジュゲートは、上記の「460アゾベンゼン」を含む。「460アゾベンゼン」を含む本開示のコンジュゲートは、可視光(例えば、青色光)による励起をもたらす。したがって、「460アゾベンゼン」を含む本開示のコンジュゲートの眼への投与は、可視光に対する眼の応答性をもたらす。
【0255】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、有効量で投与されて、個体の視覚機能を、コンジュゲートの投与前の視覚機能と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍を超えて増加する。視覚機能の試験は当該技術分野で知られており、視覚機能を評価するために任意の既知の試験を適用することができる。
【0256】
場合によっては、本開示のコンジュゲートは、画像が約4センチメートル/秒(cm/s)を超える、約5cm/sを超える、約6cm/sを超える、約7cm/sを超える、または約8cm/sを超える速度で移動している場合に、動く映像の視覚的検出をもたらす。場合によっては、本開示のコンジュゲートは、画像が8cm/sを超える、例えば8cm/s~約9cm/s、9cm/s~10cm/s、10cm/s~12cm/s、12cm/s~14cm/s、または14cm/s~約16cm/sの速度で移動している場合に、動く映像の視覚的検出を提供する。
【0257】
場合によっては、本開示のコンジュゲートは、実施例において
4×BGAG
12,460として言及される(及び
図1J及び
図4Aに示される)コンジュゲートである。
4×BGAG
12,460コンジュゲートは、増強された視覚機能をもたらし得る。
4×BGAG
12,460コンジュゲートは、パターン化された視覚と画像認識をもたらし得る。画像認識は静止画像及び/または動く映像のものであり得る。場合によっては、
4×BGAG
12,460コンジュゲートは、画像が約4センチメートル/秒(cm/s)を超える、約5cm/sを超える、約6cm/sを超える、約7cm/sを超える、または約8cm/sを超える速度で移動している場合に、動く映像の視覚的検出をもたらす。場合によっては、
4×BGAG
12,460コンジュゲートは、画像が8cm/sを超える、例えば8cm/s~約9cm/s、9cm/s~10cm/s、10cm/s~12cm/s、12cm/s~14cm/s、または14cm/s~約16cm/sの速度で移動している場合に、動く映像の視覚的検出を提供する。場合によっては、
4×BGAG
12,460コンジュゲートは、一価のBGAG
12,460よりも100倍~250倍高い光感度をもたらす。
【0258】
場合によっては、本開示のコンジュゲート、またはコンジュゲートを含む組成物(例えば、医薬組成物)は、硝子体内注射を介して個体に投与される。場合によっては、コンジュゲート、またはコンジュゲートを含む組成物(例えば、医薬組成物)は、眼内投与を介して個体に投与される。場合によっては、コンジュゲート、またはコンジュゲートを含む組成物(例えば、医薬組成物)は、網膜下注射を介して個体に投与される。
【0259】
場合によっては、本開示のコンジュゲートまたは組成物の複数回用量が個体に投与される。投与の頻度は、さまざまな因子のいずれか、例えば症状の重症度などに応じて変動し得る。例えば、場合によっては、本開示のコンジュゲートまたは組成物は、6週間に1回、5週間に1回、1か月に1回、4週間に1回、1か月に2回、1か月に3回、隔週(qow)、1週間に1回(qw)、1週間に2回(biw)、1週間に3回(tiw)、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、2日に1回(qod)、1日に1回(qd)、1日に2回(qid)、または1日に3回(tid)投与される。
【0260】
本開示のコンジュゲートまたは組成物は、約1日から約1年または1年を超える期間にわたって個体に投与することができる。例えば、本開示のコンジュゲートは、1週間~2週間、2週間~1か月、1か月~4か月、4か月~6か月、6か月~1年間、または1年を超える期間にわたって個体に投与することができる。
【0261】
本開示の方法による治療に適した個体としては、桿体及び錐体の光受容体の喪失により視覚機能が低下した個体が挙げられる。場合によっては、個体は、網膜色素変性症、網膜分離症、またはレーバー先天性黒内障などの遺伝性の網膜変性疾患を有する。場合によっては、個体は、網膜色素変性症、黄斑変性症、加齢性黄斑変性症、網膜分離症、及びレーバー先天性黒内障、及び糖尿病性網膜症から選択される眼疾患(例えば、遺伝性眼疾患)を有する。本開示の方法による治療に適した個体としては、天然の光感受性が失われ、したがって視力が損なわれる網膜変性状態を有するが、網膜回路の後半のニューロン(例えば、双極細胞または脳に出力されるアマクリン介在ニューロンまたは神経節細胞)は免れ、錐体オプシン(複数可)の導入によって光に直接感応することができる個体が挙げられる。
【0262】
本開示の方法による治療に適した個体としては、遺伝的または遺伝された根拠のない、外傷性または急性の網膜損傷を有する個体が挙げられる。例えば、場合によっては、個体は、爆傷などの鈍的外傷(例えば、軍事戦闘における)に起因するか、または例えば自動車事故または頭部への衝撃をもたらすその他の事故の過程での頭部への衝撃に起因する網膜剥離を経験している。いくつかの例では、下にあるRPEからの網膜の外傷性剥離により光受容体が失われるが、内部網膜ニューロンは無傷である。本開示の方法による治療に適した個体としては、急性光損傷、レーザー曝露、または化学毒性による光受容体喪失を有する個体が挙げられる。
【0263】
装置
本開示は、本開示のコンジュゲートまたは組成物を含む装置を提供する。
【0264】
本開示の装置は、a)本開示の組成物(本開示のコンジュゲートを含む組成物)を含む容器と、b)個体の眼に組成物を導入するための手段と、を含み得る。場合によっては、個体の眼に組成物を導入するための手段は針を含む。場合によっては、容器は注射器を含む。場合によっては、装置は滅菌される。場合によっては、装置は埋め込み可能である。
【0265】
本開示の非限定的態様の例
態様セットA
上記の本発明の主題の実施形態を含む態様は、単独でも、1つ以上の他の態様または実施形態と組み合わせても有益であり得る。上記の記載を限定することなく、本開示の特定の非限定的態様が以下に提示される。本開示を読むと当業者には明らかであるように、個々の番号が付された態様のそれぞれは、先行または後続の個々の番号が付された態様のうちのいずれかとともに使用され得るか、または組み合わされ得る。これは、態様のすべてのそのような組み合わせのサポートを提供することを意図し、以下に明示的に記載されている態様の組み合わせに限定することを意図しない。
【0266】
態様1.コンジュゲートであって、前記コンジュゲートが、
a)親和性剤であって、
i)標的リガンド結合ポリペプチド;または
ii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチド
に特異的に結合する、前記親和性剤と;
b)分岐鎖リンカーと;
c)それぞれ独立して、
i)光異性化可能な基;及び
ii)前記標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンド
を含む、2つ以上の光異性化可能な調節因子と
を含む、前記コンジュゲート。
【0267】
態様2.前記親和性剤がベンジルグアニンを含む、態様1に記載のコンジュゲート。
【0268】
態様3.前記親和性剤がクロロアルカンを含む、態様1に記載のコンジュゲート。
【0269】
態様4.前記親和性剤がベンジルシトシンを含む、態様1に記載のコンジュゲート。
【0270】
態様5.前記親和性剤が抗体を含む、態様1に記載のコンジュゲート。
【0271】
態様6.前記親和性剤がアプタマーを含む、態様1に記載のコンジュゲート。
【0272】
態様7.前記親和性剤が小分子またはペプチドを含む、態様1に記載のコンジュゲート。
【0273】
態様8.前記分岐鎖リンカーが、光異性化可能な調節因子をそれぞれ独立して含む2つ以上のアームを含む、態様1~7のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0274】
態様9.前記分岐鎖リンカーが2つのアームを含む、態様8に記載のコンジュゲート。
【0275】
態様10.前記分岐鎖リンカーが4つのアームを含む、態様8に記載のコンジュゲート。
【0276】
態様11.前記分岐鎖リンカーが、式(BL):
(式中、nは1~10の整数である)
である部分を含む、態様1~10のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0277】
態様12.nが1である、態様11に記載のコンジュゲート。
【0278】
態様13.nが3である、態様11に記載のコンジュゲート。
【0279】
態様14.前記光異性化可能な基が、アゾベンゼン、環状アゾベンゼン、アゾヘテロアレーン、フルギド、スピロピラン、トリフェニルメタン、チオインジゴ、ジアリールエテン、及び過密アルケンから選択される部分を含む、態様1~13のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0280】
態様15.前記光異性化可能な基がアゾベンゼンを含む、態様14に記載のコンジュゲート。
【0281】
態様16.前記リガンドがアゴニスト、アンタゴニスト、アロステリックモジュレーター、またはブロッカーである、態様1~15のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0282】
態様17.前記標的リガンド結合ポリペプチドが、転写調節因子、イオンチャネル、カチオンチャネル、リガンド依存性イオンチャネル、電位依存性イオンチャネル、クオラムセンサー、フェロモン受容体、神経伝達物質受容体、Gタンパク質共役受容体、及び酵素から選択される、態様1~16のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0283】
態様18.前記カチオンチャネルがカリウムチャネル、ナトリウムチャネル、またはカルシウムチャネルである、態様17に記載のコンジュゲート。
【0284】
態様19.前記標的リガンド結合ポリペプチドが、グルタミン酸受容体、代謝型グルタミン酸受容体、イオンチャネル型グルタミン酸受容体、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型GABA-A受容体、代謝型GABA-B受容体、代謝型ドーパミン受容体、イオンチャネル型プリン作動性P2X受容体、代謝型プリン作動性P2Y受容体、代謝型セロトニン受容体、イオンチャネル型セロトニン受容体、イオンチャネル型グリシン受容体、カチオンチャネル、カリウムチャネル、カルシウムチャネル、ナトリウムチャネル、プロトンチャネル、アニオンチャネル、またはクロライドチャネルである、態様1~16のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0285】
態様20.システムであって、前記システムが、
a)態様1~19のいずれか1つに記載のコンジュゲートと;
b)融合ポリペプチドであって、
i)前記コンジュゲート中に存在するリガンドに対する結合部位を含む、標的リガンド結合ポリペプチド;及び
ii)前記親和性剤に結合する異種融合パートナー
を含む、前記融合ポリペプチドと
を含む、前記システム。
【0286】
態様21.前記異種融合パートナーが、配列番号1で示されるSNAPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様20に記載のシステム。
【0287】
態様22.前記異種融合パートナーが、配列番号2で示されるCLIPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様20に記載のシステム。
【0288】
態様23.前記異種融合パートナーが、配列番号3で示されるHALOポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様20に記載のシステム。
【0289】
態様24.システムであって、前記システムが、
a)態様1~19のいずれか1つに記載のコンジュゲートと;
b)融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸であって、
i)リガンドに対する結合部位を含む、標的リガンド結合ポリペプチド;及び
ii)前記親和性剤に結合する異種融合パートナー
を含む、前記核酸と
を含む、前記システム。
【0290】
態様25.前記異種融合パートナーが、配列番号1で示されるSNAPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様24に記載のシステム。
【0291】
態様26.前記異種融合パートナーが、配列番号3で示されるHALOポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様24に記載のシステム。
【0292】
態様27.前記異種融合パートナーが、配列番号2で示されるCLIPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様24に記載のシステム。
【0293】
態様28.前記核酸が組換えアデノウイルス随伴ウイルス(AAV)ビリオン中に存在する、態様24~27のいずれか1つに記載のシステム。
【0294】
態様29.前記AAVビリオンが、対応する野生型カプシドポリペプチドを含むAAVビリオンと比較して、AAVビリオンによる網膜細胞の感染性の増加を提供するバリアントカプシドポリペプチドを含む、態様28に記載のシステム。
【0295】
態様30.システムであって、前記システムが、
a)態様1~19のいずれか1つに記載のコンジュゲートと;
b)第1の融合ポリペプチドであって、
i)リガンドに対する結合部位を含む、標的リガンド結合ポリペプチド;及び
ii)異種ポリペプチド
を含む、前記第1の融合ポリペプチドと;
c)第2の融合ポリペプチドであって、
i)前記異種ポリペプチドに結合する抗体;及び
ii)前記親和性剤に結合する異種融合パートナー
を含む、前記第2の融合ポリペプチドと
を含む、前記システム。
【0296】
態様31.前記親和性剤に結合する前記異種融合パートナーが、配列番号1で示されるSNAPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様30に記載のシステム。
【0297】
態様32.前記親和性剤に結合する前記異種融合パートナーが、配列番号3で示されるHALOポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様30に記載のシステム。
【0298】
態様33.前記親和性剤に結合する前記異種融合パートナーが、配列番号2で示されるCLIPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様30に記載のシステム。
【0299】
態様34.前記抗体が単鎖Fvまたはナノボディである、態様30~33のいずれか1つに記載のシステム。
【0300】
態様35.前記異種ポリペプチドがエピトープタグである、態様30~34のいずれか1つに記載のシステム。
【0301】
態様36.システムであって、前記システムが、
a)態様1~19のいずれか1つに記載のコンジュゲートと;
b)融合ポリペプチドであって、
i)前記標的リガンド結合ポリペプチドに特異的に結合する抗体;及び
ii)SNAPポリペプチド、HALOポリペプチド、及びCLIPポリペプチドから選択される、前記親和性剤に結合するポリペプチド
を含む、前記融合ポリペプチドと
を含む、前記システム。
【0302】
態様37.標的ポリペプチドの活性を調節する方法であって、前記方法が、
a)前記標的ポリペプチドを態様1~19のいずれか1つに記載のコンジュゲートと接触させて、光調節可能なポリペプチドを生成することと;
b)前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合をもたらす波長の光に前記光調節可能なポリペプチドを曝露することであって、前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合が、前記光調節可能なポリペプチドの活性を調節する、曝露することと
を含む、前記方法。
【0303】
態様38.前記リガンドがアゴニストであり、前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合が前記光調節可能なポリペプチドの活性化をもたらす、態様37に記載の方法。
【0304】
態様39.前記リガンドがアンタゴニストであり、前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合が前記光調節可能なポリペプチドの、阻害、脱感作、または不活性化をもたらす、態様37に記載の方法。
【0305】
態様40.前記標的ポリペプチドが、転写調節因子、イオンチャネル、カチオンチャネル、リガンド依存性イオンチャネル、電位依存性イオンチャネル、クオラムセンサー、フェロモン受容体、神経伝達物質受容体、酵素、酵素、モータータンパク質、トランスポーター、膜輸送タンパク質、Gタンパク質共役受容体、Gタンパク質、受容体チロシンキナーゼ、足場タンパク質、アダプタータンパク質、細胞骨格タンパク質、接着タンパク質、膜標的タンパク質、分泌を指示するタンパク質、及びタンパク質の局在化ドメインまたはタンパク質相互作用ドメインから選択される、態様37~39のいずれか1つに記載の方法。
【0306】
態様41.前記カチオンチャネルがカリウムチャネル、ナトリウムチャネル、またはカルシウムチャネルである、態様40に記載の方法。
【0307】
態様42.前記標的ポリペプチドが細胞内にある、態様37~41のいずれか1つに記載の方法。
【0308】
態様43.前記細胞がインビボである、態様42に記載の方法。
【0309】
態様44.前記細胞が網膜細胞である、態様43に記載の方法。
【0310】
態様45.光に対する網膜細胞の感受性を増強する方法であって、
前記網膜細胞を光に曝露することを含み、前記網膜細胞が、態様1~19のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは態様20~36のいずれか1つに記載のシステムを含み、前記光が、前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合をもたらす波長のものであり、前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合が、光に対する前記網膜細胞の感受性を増加させる、前記方法。
【0311】
態様46.網膜細胞に光応答性を付与する方法であって、態様1~19のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは態様20~36のいずれか1つに記載のシステムを前記網膜細胞に導入することを含む、前記方法。
【0312】
態様47.光に対する応答性の低下を特徴とする眼障害を治療する方法であって、態様1~19のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは態様20~36のいずれか1つに記載のシステムを、前記眼障害を有する個体の眼に投与することを含む、前記方法。
【0313】
態様48.前記眼障害が遺伝性網膜変性疾患である、態様47に記載の方法。
【0314】
態様49.前記疾患が網膜色素変性症または加齢黄斑変性症である、態様48に記載の方法。
【0315】
態様50.
a)態様1~19のいずれか1つに記載のコンジュゲートと;
b)薬学的に許容される賦形剤と
を含む、組成物。
【0316】
態様51.滅菌されており、発熱物質を含まない、態様50に記載の組成物。
【0317】
態様52.前記薬学的に許容される賦形剤がシクロデキストリンを含む、態様50または態様51に記載の組成物。
【0318】
態様53.前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、または誘導体化シクロデキストリンである、態様52に記載の組成物。
【0319】
態様54.前記コンジュゲートがナノ粒子内にカプセル化されている、態様50~53のいずれか1つに記載の組成物。
【0320】
態様55.前記ナノ粒子がナノミセル、リポソーム、ナノスフェア、またはナノカプセルである、態様54に記載の組成物。
【0321】
態様56.
a)態様50~55のいずれか1つに記載の組成物を含む容器と;
b)個体の眼に組成物を導入するための手段と
を含む、医療装置。
【0322】
態様57.個体の眼に組成物を導入するための手段が針を含む、態様56に記載の装置。
【0323】
態様58.前記容器が注射器を含む、態様56または態様57に記載の装置。
【0324】
態様59.滅菌されている、態様56~58のいずれか1つに記載の装置。
【0325】
態様60.
a)親和性剤と;
b)分岐鎖リンカーと;
c)それぞれ独立して、
i)光異性化可能な基;及び
ii)標識、反応基、または第2の親和性剤
を含む、2つ以上の光異性化可能な調節因子と
を含む、コンジュゲート。
【0326】
態様セットB
上記の本発明の主題の実施形態を含む態様は、単独でも、1つ以上の他の態様または実施形態と組み合わせても有益であり得る。上記の記載を限定することなく、本開示の特定の非限定的態様が以下に提示される。本開示を読むと当業者には明らかであるように、個々の番号が付された態様のそれぞれは、先行または後続の個々の番号が付された態様のうちのいずれかとともに使用され得るか、または組み合わされ得る。これは、態様のすべてのそのような組み合わせのサポートを提供することを意図し、以下に明示的に記載されている態様の組み合わせに限定しない。
【0327】
態様1.眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)コンジュゲートであって、
a)親和性剤であって、
i)標的リガンド結合ポリペプチド;または
ii)標的リガンド結合ポリペプチドに結合するポリペプチド
に特異的に結合する、親和性剤;
b)分岐鎖リンカー;
c)それぞれ独立して、
i)光異性化可能な基;及び
ii)前記標的リガンド結合ポリペプチドに結合するリガンド
を含む、2つ以上の光異性化可能な調節因子
を含む、前記コンジュゲートと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【0328】
態様2.前記親和性剤がベンジルグアニンを含む、態様1に記載の組成物。
【0329】
態様3.前記親和性剤がクロロアルカンを含む、態様1に記載の組成物。
【0330】
態様4.前記親和性剤がベンジルシトシンを含む、態様1に記載の組成物。
【0331】
態様5.前記親和性剤が抗体を含む、態様1に記載の組成物。
【0332】
態様6.前記親和性剤がアプタマーを含む、態様1に記載の組成物。
【0333】
態様7.前記親和性剤が小分子またはペプチドを含む、態様1に記載の組成物。
【0334】
態様8.前記分岐鎖リンカーが、光異性化可能な調節因子をそれぞれ独立して含む2つ以上のアームを含む、態様1~7のいずれか1つに記載の組成物。
【0335】
態様9.前記分岐鎖リンカーが2つのアームを含む、態様8に記載の組成物。
【0336】
態様10.前記分岐鎖リンカーが4つのアームを含む、態様8に記載の組成物。
【0337】
態様11.前記分岐鎖リンカーが、式(BL):
(式中、nは1~10の整数である)
である部分を含む、態様1~10のいずれか1つに記載の組成物。
【0338】
態様12.nが1である、態様11に記載の組成物。
【0339】
態様13.nが3である、態様11に記載の組成物。
【0340】
態様14.前記光異性化可能な基が、アゾベンゼン、環状アゾベンゼン、アゾヘテロアレーン、フルギド、スピロピラン、トリフェニルメタン、チオインジゴ、ジアリールエテン、及び過密アルケンから選択される部分を含む、態様1~13のいずれか1つに記載の組成物。
【0341】
態様15.前記光異性化可能な基がアゾベンゼンを含む、態様14に記載の組成物。
【0342】
態様16.前記リガンドがアゴニスト、アンタゴニスト、アロステリックモジュレーター、またはブロッカーである、態様1~15のいずれか1つに記載の組成物。
【0343】
態様17.前記標的リガンド結合ポリペプチドが、転写調節因子、イオンチャネル、カチオンチャネル、リガンド依存性イオンチャネル、電位依存性イオンチャネル、クオラムセンサー、フェロモン受容体、神経伝達物質受容体、Gタンパク質共役受容体、及び酵素から選択される、態様1~16のいずれか1つに記載の組成物。
【0344】
態様18.前記カチオンチャネルがカリウムチャネル、ナトリウムチャネル、またはカルシウムチャネルである、態様17に記載の組成物。
【0345】
態様19.前記標的リガンド結合ポリペプチドが、グルタミン酸受容体、代謝型グルタミン酸受容体、イオンチャネル型グルタミン酸受容体、イオンチャネル型ニコチン性アセチルコリン受容体、イオンチャネル型GABA-A受容体、代謝型GABA-B受容体、代謝型ドーパミン受容体、イオンチャネル型プリン作動性P2X受容体、代謝型プリン作動性P2Y受容体、代謝型セロトニン受容体、イオンチャネル型セロトニン受容体、イオンチャネル型グリシン受容体、カチオンチャネル、カリウムチャネル、カルシウムチャネル、ナトリウムチャネル、プロトンチャネル、アニオンチャネル、またはクロライドチャネルである、態様1~16のいずれか1つに記載の組成物。
【0346】
態様20.前記光異性化可能な基が、可視光に応答して異性化するアゾベンゼンを含む、態様1~19のいずれか1つに記載の組成物。
【0347】
態様21.前記リガンドがグルタメートである、態様1~20のいずれか1つに記載の組成物。
【0348】
態様22.前記抗体が単鎖Fv(scFv)またはナノボディである、態様5に記載の組成物。
【0349】
態様23.前記抗体が代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)に特異的であり、任意選択で、前記mGluRが、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR5、またはmGluR6である、態様22に記載の組成物。
【0350】
態様24.滅菌されており、発熱物質を含まない、態様1~23のいずれか1つに記載の組成物。
【0351】
態様25.前記薬学的に許容される賦形剤がシクロデキストリンを含む、態様1~24のいずれか1つに記載の組成物。
【0352】
態様26.前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、または誘導体化シクロデキストリンである、態様25に記載の組成物。
【0353】
態様27.前記コンジュゲートがナノ粒子内にカプセル化されている、態様1~26のいずれか1つに記載の組成物。
【0354】
態様28.前記ナノ粒子がナノミセル、リポソーム、ナノスフェア、またはナノカプセルである、態様54に記載の組成物。
【0355】
態様29.眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)システムであって、
a)態様1~23のいずれか1つに記載のコンジュゲート;
b)融合ポリペプチドであって、
i)前記コンジュゲート中に存在する前記リガンドに対する結合部位を含む、標的リガンド結合ポリペプチド;及び
ii)前記親和性剤に結合する異種融合パートナー
を含む、前記融合ポリペプチド
を含む、前記システムと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【0356】
態様30.前記異種融合パートナーが、配列番号1または配列番号4で示されるSNAPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様29に記載の組成物。
【0357】
態様31.前記異種融合パートナーが、配列番号2で示されるCLIPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の組成物。
【0358】
態様32.前記異種融合パートナーが、配列番号3で示されるHALOポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の組成物。
【0359】
態様33.眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)システムであって、
a)請求項1~23のいずれか1つに記載のコンジュゲート;
b)融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸であって、
i)前記リガンドに対する結合部位を含む、標的リガンド結合ポリペプチド;及び
ii)前記親和性剤に結合する異種融合パートナー
を含む、前記核酸
を含む、前記システムと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【0360】
態様34.前記異種融合パートナーが、配列番号1または配列番号4で示されるSNAPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の組成物。
【0361】
態様35.前記異種融合パートナーが、配列番号3で示されるHALOポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の組成物。
【0362】
態様36.前記異種融合パートナーが、配列番号2で示されるCLIPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の組成物。
【0363】
態様37.前記核酸が組換えアデノウイルス随伴ウイルス(AAV)ビリオン中に存在する、請求項33~36のいずれか1つに記載の組成物。
【0364】
態様38.前記AAVビリオンが、対応する野生型カプシドポリペプチドを含むAAVビリオンと比較して、前記AAVビリオンによる網膜細胞の感染性の増加を提供するバリアントカプシドポリペプチドを含む、請求項32に記載の組成物。
【0365】
態様39.眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)システムであって、
a)態様1~23のいずれか1つに記載のコンジュゲート;
b)第1の融合ポリペプチドであって、
i)前記リガンドに対する結合部位を含む、標的リガンド結合ポリペプチド;及び
ii)異種ポリペプチド
を含む、前記第1の融合ポリペプチド;
c)第2の融合ポリペプチドであって、
i)前記異種ポリペプチドに結合する抗体;及び
ii)前記親和性剤に結合する異種融合パートナー
を含む、前記第2の融合ポリペプチド
を含む、前記システムと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【0366】
態様40.前記親和性剤に結合する前記異種融合パートナーが、配列番号1または配列番号4で示されるSNAPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様39に記載の組成物。
【0367】
態様41.前記親和性剤に結合する前記異種融合パートナーが、配列番号3で示されるHALOポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様39に記載の組成物。
【0368】
態様42.前記親和性剤に結合する前記異種融合パートナーが、配列番号2で示されるCLIPポリペプチドアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様39に記載の組成物。
【0369】
態様43.前記抗体が単鎖Fvまたはナノボディである、態様39~42のいずれか1つに記載の組成物。
【0370】
態様44.前記異種ポリペプチドがエピトープタグである、態様39~43のいずれか1つに記載の組成物。
【0371】
態様45.眼内投与のための組成物であって、前記組成物が、
A)システムであって、
a)態様1~23のいずれか1つに記載のコンジュゲート;
b)融合ポリペプチドであって、
i)前記標的リガンド結合ポリペプチドに特異的に結合する抗体;及び
ii)SNAPポリペプチド、HALOポリペプチド、及びCLIPポリペプチドから選択される、親和性剤に結合するポリペプチド
を含む、前記融合ポリペプチド
を含む、前記システムと、
B)眼内投与に適した、薬学的に許容される賦形剤と
を含む、前記組成物。
【0372】
態様46.光に対する網膜細胞の感受性を増強する方法であって、
前記網膜細胞を光に曝露することを含み、前記網膜細胞が、態様1~23のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは態様29~45のいずれか1つに記載のシステムを含み、前記光が、前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合をもたらす波長のものであり、前記光調節可能なポリペプチドへの前記リガンドの結合が、光に対する前記網膜細胞の感受性を増加させる、前記方法。
【0373】
態様47.網膜細胞に光応答性を付与する方法であって、態様1~23のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは態様29~45のいずれか1つに記載のシステムを前記網膜細胞に導入することを含む、前記方法。
【0374】
態様48.光に対する応答性の低下を特徴とする眼障害を治療する方法であって、態様1~29のいずれか1つに記載の組成物または態様29~45のいずれか1つに記載の組成物を、前記眼障害を有する個体の眼に投与することを含む、前記方法。
【0375】
態様49.前記眼障害が遺伝性網膜変性疾患である、態様48に記載の方法。
【0376】
態様50.前記疾患が網膜色素変性症または加齢黄斑変性症である、態様49に記載の方法。
【0377】
態様51.
a)態様1~29のいずれか1つに記載の組成物または態様29~45のいずれか1つに記載の組成物を含む、容器と;
b)個体の眼に組成物を導入するための手段と
を含む、医療装置。
【0378】
態様52.個体の眼に組成物を導入するための手段が針を含む、態様51に記載の装置。
【0379】
態様53.前記容器が注射器を含む、態様51または態様52に記載の装置。
【0380】
態様54.滅菌されている、態様51~53のいずれか1つに記載の装置。
【実施例】
【0381】
以下の実施例は、当業者に本発明をいかに作製及び使用するかの完全な開示及び説明を提供するために進められ、本願発明者が彼らの発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではなく、また以下の実験が実施された全部または唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関して正確さを確実にするための努力がなされてきたが、いくつかの実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別途示されない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、そして圧力は大気圧または大気圧付近である。例えば、bp、塩基対(複数可);kb、キロベース(複数可);pl、ピコリットル(複数可);sまたはsec、秒(複数可);min、分(複数可);hまたはhr、時間(複数可);aa、アミノ酸(複数可);kb、キロベース(複数可);bp、塩基対(複数可);nt、ヌクレオチド(複数可);i.m.、筋肉内(筋肉内に);i.p.、腹腔内(腹腔内に);s.c.、皮下(皮下に);などの標準的な略語が使用され得る。
【0382】
実施例1:2×BGAGと4×BGAGの調製
材料及び方法
一般的な化学的方法
すべての反応は、
図1A~1KのスキームS1~S11に概説されている。
【0383】
クロマトグラフィー及び反応用の溶媒は、モレキュラーシーブ上で乾燥状態でまたはHPLCグレードで購入した。別段の記載がない限り、市販の他の試薬はすべて、さらなる精製を行わずに使用した。LC-MSは、Waters ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、50×2.1mm)を備えたNexera UHPLC システムに接続されたShimadzu MS2020で実行された。緩衝液A:H2O中の0.1%のFA、緩衝液B:アセトニトリル。典型的な勾配は、0.5分間10%B→4.5分間にわたって90%Bへの勾配→0.5分間90%B→0.5分間にわたって99%Bへの勾配で、1mL/分の流速であった。
【0384】
高分解能質量分析(HRMS)は、Shimadzu Nexeraシステムで結合されたBruker maXis II ETDを使用して実行された。機器は、Brukers otofControl 4.1及びHystar 4.1 SR2(4.1.31.1)ソフトウェアを介して制御された。取得レートは3Hzに設定し、次のソースパラメーターをポジティブモードエレクトロスプレーイオン化に使用した:エンドプレートオフセット=500V;キャピラリー電圧=3800V;ネブライザーのガス圧=45psi;ドライガスフロー=10L/分;乾燥温度=250℃。トランスファー、四重極、コリジョンセルの設定は質量範囲に依存し、それぞれの分析対象物の分子量を考慮して微調整された。内部キャリブレーションには、ナトリウム形式のクラスターを使用した。サンプルは、高速液体クロマトグラフィーによって脱塩された。Supelco Titan(商標)C18 UHPLC カラム、1.9μm、ポアサイズ80Å、20×2.1mm、10から98%の0.1%FAを含む水性MeCNの2分間の勾配(H2O:Carl Roth GmbH + Co. KG ROTISOLV(登録商標)Ultra LC-MS;MeCN:Merck KGaA LiChrosolv(登録商標)Acetonitrile hypergrade for LC-MS;LC-MSのためのFA-Merck KGaA LiChropur(登録商標)ギ酸98%~100%)を分離に使用した。10%水性ACN(ハイパーグレード)でのサンプル希釈と注入量は、分析対象物のイオン化効率に応じて選択された。したがって、オンカラムローディングは0.25~5.0ngであった。Bruker’s DataAnalysis 4.4 SR1ソフトウェアによって、記録されたスペクトルの自動内部再キャリブレーションとデータ分析を実行した。
【0385】
分取RP-HPLCは、Supelco Ascentis(登録商標)C18 HPLCカラム(5μm、250×21.2mm)での生成物収集(220、280、360、または460nmにおいて)のための2998PDA検出器を備えたWaters e2695システムで実行された。緩衝液A:H2O中の0.1%のTFA、緩衝液B:アセトニトリル。典型的な勾配は、5分間10%B→45分間にわたって90%Bへの勾配→5分間90%B→5分間にわたって99%Bへの勾配で、8mL/分の流速であった。化合物1、2、25、及びBG-COOH、BC-DBCOは以前に記載されていた(Broichhagen et al.,2015;Levitz et al.,2017)。
【0386】
略語:DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;FA:ギ酸;Su:スクシンイミジル;TFA:トリフルオロ酢酸;TSTU:O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート。
【0387】
注意事項と観察事項:NHSエステルの安定性:TSTUはBGAGの合成に使用される最適なカップリング試薬であり、通常数分以内に酸をその対応するNHS-エステルに変換する。ほとんどのNHSエステルは精製せずにインサイチュで使用されたが、RP-HPLC(化合物4を参照されたい)及び即時の凍結乾燥によって単離することができる。分解をもたらす凍結融解のサイクルを繰り返さないように、分注して-20℃で保存することが推奨される。Fmoc脱保護:Fmocは、固相ペプチド合成で広く使用されている標準的なアミン保護基であり、アミドカップリング(DMF中の活性化剤を使用)とその後の脱保護(DMF中のピペリジンを使用)が高収率で反復的に実行される。これに着想を得て、労力と精製ステップを削減する目的で、TSTUを活性化剤としてDMF中でペプチドカップリングを行い、アミドカップリングが完了した後、5vol%のピペリジンを反応混合物に直接加えた。これは、構造1に基づくすべての青方偏移アゾベンゼン化合物で確実に機能することが我々の手で証明されたが、構造2に基づく赤方偏移アゾベンゼン化合物でこの方法を使用すると、複雑な反応混合物が生じる。RP-HPLCによる精製されるFmoc含有化合物を使用して、TSTUからDMF、DIPEA、及び尿素副生成物を除去し、脱保護試薬としてMeCN中のDBUを使用した。実際、これは赤方偏移化合物によって非常によく許容され、以下の手順で使用される場合に注目される。酸に対するBG、BC、及びHalo同類物の安定性:BGAGは遊離アミンへのNHBoc基の最終的な脱保護を必要とし、TFAが最適な脱保護剤であるが、O-ベンジル化グアニン及びシトシン塩基は強酸に対して不安定であることが示された。TFAは、予冷したTFAを氷上に置いておけばBG含有化合物とともに使用でき、その除去はロータリーエバポレーターではなく、換気の良い化学フードで穏やかな窒素の流れを適用することによって行われることが判明した。BC含有化合物は無傷でこの処理を耐えることができず、これが、NHBoc基が事前に脱保護され、歪み促進アルキンアジドクリック反応が別の直交する方法で実行される理由である。しかしながら、Halo基は、室温でニートTFAに対して不活性である。
【0388】
NHSエステルを生成するための一般的なプロトコールA:1mLのバイアルに1.0当量のDMFに溶解した酸(1mL/10mg)及び4.0当量のDIPEAを入れ、その後1.1当量のTSTUを一度に加えた(1mg未満の量のTSTUの場合、TSTUを過剰に加えないことが重要であるため、原液を調製した)。活性NHSエステルを15分間形成させ、さらに精製することなく使用した。
【0389】
ペプチドカップリング及びインサイチュFmoc脱保護の一般手順B:1mLのバイアルに1.0当量のDMFに溶解したアミン(1mL/10mg)及び4.0当量のDIPEAを入れた。予め形成されたNHSエステル(セクション1.3)を1滴ずつ加え、反応混合物を室温で攪拌した。LCMSに従って完全な変換が見られる(通常、30分未満)と、5vol%のピペリジンを反応混合物に加え、反応物をさらに10分間攪拌した後、5vol%のHOAc及び10vol%の水を添加してクエンチし、RP-HPLCにかけた。
【0390】
分岐のためのペプチドカップリングの一般手順C:1mLのバイアルに3.0当量のDMFに溶解したアミン(1mL/10mg)及び8.0当量のDIPEAを入れた。ビスNHSエステル4(1.0当量)を同量のDMFに溶解し、激しく攪拌しながらゆっくりと滴加した。添加の順序と速度は、副生成物(すなわち、コハク酸のイミド、モノアミド)を最小限に抑えるために重要である。LCMSに従って完全な変換が見られると、反応物を直接脱保護またはクエンチし、RP-HPLCにかけた(下記を参照されたい)。
【0391】
Boc脱保護の一般手順D:15mLファルコンチューブにBoc保護化合物を入れ、氷浴に入れた。予冷した(4℃)TFAをニートで加えた。反応混合物をボルテックスして均一性を確保し、15分間氷上に戻し、穏やかな窒素流下ですべての揮発性物質を除去した。残留物はDMF/水(9/1)で溶解してRP-HPLCにかけた。注:アゾベンゼンを含む反応混合物は、TFAを添加すると濃い赤色になった。
【0392】
合成
5-((2-(2-((6-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル)アミノ)-5-オキソペンタン酸(ハロ-COOH)
4mLのドラムバイアルに100mg(310μmol、1.0当量)のHaloNHBocを入れ、1mLのニートTFAを加えた。溶液を室温で5分間静置した後、穏やかな窒素流下ですべての揮発性物質を除去した。1mLのDMFと160μLのDIPEAを加えた後、35.3mg(310μmol、1.0当量)の無水グルタル酸を一度に加えた。反応混合物を一晩インキュベートした後、160μLのHOAcでクエンチし、水で希釈し、RP-HPLCにかけ、凍結乾燥後に92mg(274μmol)の所望の生成物を透明な油状物として88%の収率で得た。HRMS(ESI):C15H29ClNO5 [M+H]+の理論値:338.1729、実測値:338.1728。
【0393】
ビス(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-D-グルタミン酸(4)
4mLのドラムバイアルに、3mLのDMSOに溶解した300mg(812μmol、1.0当量)の(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル-D-グルタミン酸(3)と850μLのDIPEAを入れ、その後978mg(3.25mmol、4.0当量)のTSTUを一度に添加した。反応混合物を1時間激しく攪拌した後、850μLのHOAcと200μLの水を加えてクエンチし、分取RP-HPLCにかけた。所望の生成物は、凍結乾燥後に白色の粉末として35%の収率(161mg、286μmol)で得られた。注:加水分解を抑制するために、HPLCシステムからの溶出後の即時凍結乾燥を強く推奨する。NHSエステルも加水分解する複数回の凍結融解サイクルを避けるために、生成物を分注した。HRMS(ESI):C28H26N3O10[M+H]+の理論値:564.1613、実測値:564.1614。
【0394】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-(((2,2’-(((R)-2-アミノペンタンジイオル)ビス(アザンジイル))ビス(アセチル))ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸)(5)
【0395】
5を一般手順Cに従って調製し、反応混合物に5vol%のピペリジンを添加することによりインサイチュで脱保護した。反応物をさらに10分間攪拌した後、5vol%のHOAc及び10vol%の水を添加してクエンチし、RP-HPLCにかけた。HRMS(ESI):C61H79N13O18[M+2H]2+の理論値:640.7828、実測値:640.7835。
【0396】
(2S,4S)-2-(4-((4-((E)-(4-((R)-1-アミノ-41-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバモイル)-39,44-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサ-40,45-ジアザヘプタテトラコンタン-47-アミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸(6)
【0397】
6は、一般手順Bに従って調製されたが、第1のステップは50℃で実施された。HRMS(ESI):C88H132N14O31[M+2H]2+の理論値:940.4586、実測値:940.4582。
【0398】
(2S,4S)-2-(4-((4-((E)-(4-((R)-1-(4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)フェニル)-49-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバモイル)-3,7,47,52-テトラオキソ-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38,41,44-ドデカオキサ-2,8,48,53-テトラアザペンタペンタコンタン-55-アミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸(7)
【0399】
7は、ピペリジンを添加せずに、一般手順Aに従って調製されたBG-COOSuを用いて、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C106H150N20O34[M+2H]2+の理論値:1124.0321、実測値:1124.0327。
【0400】
(2S,4S)-2-アミノ-4-(4-((4-((E)-(4-((R)-49-(3-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-アミノ-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-3-オキソプロピル)-1-(4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)フェニル)-3,7,47,50-テトラオキソ-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38,41,44-ドデカオキサ-2,8,48,51-テトラアザトリペンタコンタン-53-アミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)ペンタン二酸(2xBGAG12)
【0401】
2xBGAG12は、一般手順Dに従って調製された。HRMS(ESI):C96H134N20O30[M+2H]2+の理論値:1032.9797、実測値:1032.9787。
【0402】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-(((2,2’-(((R)-2-(5-((4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)ベンジル)アミノ)-5-オキソペンタンアミド)ペンタンジオイル)ビス(アザンジイル))ビス(アセチル))ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸)(8)
【0403】
8は、ピペリジンを添加せずに、第1のステップを50℃で実行して一般手順Aに従って調製されたBG-COOSuを用いて、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C79H95N19O21[M-2H]2-の理論値:821.8402、実測値:821.8413。
【0404】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-(((2,2’-(((R)-2-(5-((4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)ベンジル)アミノ)-5-オキソペンタンアミド)ペンタンジオイル)ビス(アザンジイル))ビス(アセチル))ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-アミノペンタン二酸)(2xBGAG0)
【0405】
2xBGAG0は、一般手順Dに従って調製された。HRMS(ESI):C69H79N19O17[M-2H]2-の理論値:721.7878、実測値:721.7870。
【0406】
(2S,4S)-2-(4-((4-((E)-(4-(1-アミノ-39-オキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサ-40-アザドテトラコンタン-42-アミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸(9)
【0407】
9は、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C55H90N7O21[M+H]+の理論値:1184.6184、実測値:1184.6176。
【0408】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-((((R)-45-アミノ-4,44,48,88-テトラオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85-テトラコサオキサ-3,43,49,89-テトラアザヘノナコンタンジオイル)ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸)(10)
【0409】
10を一般手順Cに従って調製し、反応混合物に5vol%のピペリジンを添加することによりインサイチュで脱保護した。反応物をさらに10分間攪拌した後、5vol%のHOAc及び10vol%の水を添加してクエンチし、RP-HPLCにかけた。HRMS(ESI):C115H186N15O44[M+3H]3+の理論値:827.4264、実測値:824.4261。
【0410】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-((((R)-45-(5-((4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)ベンジル)アミノ)-5-オキソペンタンアミド)-4,44,48,88-テトラオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85-テトラコサオキサ-3,43,49,89-テトラアザヘノナコンタンジオイル)ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸)(11)
【0411】
11は、ピペリジンを添加せずに、第1のステップを50℃で実行して一般手順Aに従って調製されたBG-COOSuを用いて、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C133H204N21O47[M+3H]3+の理論値:949.4744、実測値:949.4747。
【0412】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-((((R)-45-(5-((4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)ベンジル)アミノ)-5-オキソペンタンアミド)-4,44,48,88-テトラオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85-テトラコサオキサ-3,43,49,89-テトラアザヘノナコンタンジオイル)ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-アミノペンタン二酸)(2xBGAG12,v2)
【0413】
2xBGAG12,v2は、一般手順Dに従って調製された。HRMS(ESI):C123H188N21O43[M+3H]3+の理論値:882.7728、実測値:882.7723。
【0414】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-((((R)-45-アミノ-4,44,48,88-テトラオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85-テトラコサオキサ-3,43,49,89-テトラアザヘノナコンタンジオイル))ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸)(12)
【0415】
12を一般手順Cに従って調製し、反応混合物に5vol%のピペリジンを添加することによりインサイチュで脱保護した。反応物をさらに10分間攪拌した後、5vol%のHOAc及び10vol%の水を添加してクエンチし、RP-HPLCにかけた。HRMS(ESI):C115H186N15O44[M+3H]3+の理論値:827.4264、実測値:827.4255。
【0416】
(2S,4S)-2-[3-({4-[(1E)-2-[4-(2-{1-[(4R)-4-[(2R)-2-アミノ-4-{[(1R)-1,3-ビス[(38-{[({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]プロピル]カルバモイル}ブタンアミド]-4-[(38-{[({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]ブタンアミド]-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサノナトリアコンタン-39-アミド}アセトアミド)フェニル]ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)プロピル]-4-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}ペンタン二酸(13)
【0417】
13は、一般手順Bに従って調製されたが、第1のステップは50℃で実施された。HRMS(ESI):C235H375N31O90[M+4H]4+の理論値:1286.3940、実測値:1286.3925。
【0418】
(2S,4S)-2-[3-({4-[(1E)-2-[4-(2-{1-[(4R)-4-[(2R)-2-(4-{[(4-{[(2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ]メチル}フェニル)メチル]カルバモイル}ブタンアミド)-4-{[(1R)-1,3-ビス[(38-{[({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]プロピル]カルバモイル}ブタンアミド]-4-[(38-{[({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]ブタンアミド]-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサノナトリアコンタン-39-アミド}アセトアミド)フェニル]ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)プロピル]-4-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}ペンタン二酸(14)
【0419】
14は、ピペリジンを添加せずに、一般手順Aに従って調製されたBG-COOSuを用いて、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C253H1385N37O93[M+4H]4+の理論値:1360.1807、実測値:1360.1804。
【0420】
(2S,4S)-2-アミノ-4-[3-({4-[(1E)-2-[4-(2-{1-[(4R)-4-[(38-{[({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-アミノ-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]-4-[(2R)-2-(4-{[(4-{[(2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ]メチル}フェニル)メチル]カルバモイル}ブタンアミド)-4-{[(1R)-1,3-ビス[(38-{[({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-アミノ-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)メチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]プロピル]カルバモイル}ブタンアミド]ブタンアミド]-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサノナトリアコンタン-39-アミド}アセトアミド)フェニル]ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)プロピル]ペンタン二酸(4xBGAG12)
【0421】
4xBGAG12は、一般手順Dに従って調製された。HRMS(ESI):C233H363N37O85[M+6H]6+の理論値:840.2541、実測値:840.2533。
【0422】
(2S,4S)-2-(4-((4-((E)-(4-((R)-1-アジド-41-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバモイル)-39,44-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサ-40,45-ジアザヘプタテトラコンタン-47-アミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸(15)
【0423】
15は、脱保護のためにピペリジンを添加することなく、一般手順Bに従って調製された。粗製物をRP-HPLCにかけ、アゾベンゼン含有画分を収集し、乾燥させ、さらなる特性評価を行わずに次のステップに供した。
【0424】
(2S,4S)-2-アミノ-4-(4-((4-((E)-(4-((R)-41-(3-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-アミノ-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-3-オキソプロピル)-1-アジド-39,42-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサ-40,43-ジアザペンタテトラコンタン-45-アミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)ペンタン二酸(16)
【0425】
16は、一般手順Dに従って調製された。HRMS(ESI):C78H115N16O27[M+3H]3+の理論値:569.2700、実測値:569.2705。
【0426】
(2S,4S)-2-アミノ-4-(4-((4-((E)-(4-((R)-41-(3-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-アミノ-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-3-オキソプロピル)-1-(8-(4-((4-(((4-アミノピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)ベンジル)アミノ)-4-オキソブタノイル)-8,9-ジヒドロ-3H-ジベンゾ[b,f][1,2,3]トリアゾロ[4,5-d]アゾシン-3-イル)-39,42-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサ-40,43-ジアザペンタテトラコンタン-45-アミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)ペンタン二酸(2xBCAG12)
【0427】
4mLのドラムバイアルに、MeOHに溶解した16を入れた。BC-DBCOを一度に添加し、反応混合物を一晩インキュベートした後、穏やかな窒素流下ですべての揮発性物質を除去した。粗製物をDMF及び水(9/1)に溶解し、RP-HPLC精製にかけて、凍結乾燥後に2xBCAG12を黄色の粉末として得た。HRMS(ESI):C109H142N21O30[M+3H]3+の理論値:742.0082、実測値:742.0080。
【0428】
(2S,4S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-(4-((4-((E)-(4-(61-クロロ-4,44,48-トリオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55-テトラデカオキサ-3,43,49-トリアザヘンヘキサコンタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)ペンタン二酸(17)
【0429】
17は、ピペリジンを添加せずに、一般手順Aに従って調製されたHalo-COOSuを用いて、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C70H117ClN8O25[M+2H]2+の理論値:753.3913、実測値:753.3917。
【0430】
(2S,4S)-2-アミノ-4-(4-((4-((E)-(4-(61-クロロ-4,44,48-トリオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55-テトラデカオキサ-3,43,49-トリアザヘンヘキサコンタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)ペンタン二酸(ClAG12)
【0431】
ClAG12は、一般手順Dに従って調製された。HRMS(ESI):C65H109ClN8O23[M+2H]2+の理論値:702.3642、実測値:702.3642。
【0432】
(2S,4S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-4-(4-((4-((E)-(4-((R)-5-(3-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-3-オキソプロピル)-64-クロロ-4,7,47,51-テトラオキソ-10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,43,55,58-テトラデカオキサ-3,6,46,52-テトラアザテトラヘキサコンタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)ペンタン二酸(18)
【0433】
18は、ピペリジンを添加せずに、一般手順Aに従って調製されたHalo-COOSuを用いて、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C103H158ClN15O35[M+2H]2+の理論値:1100.5377、実測値:1100.5370。
【0434】
(2S,4S)-2-アミノ-4-(4-((4-((E)-(4-((R)-5-(3-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-アミノ-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-3-オキソプロピル)-64-クロロ-4,7,47,51-テトラオキソ-10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,43,55,58-テトラデカオキサ-3,6,46,52-テトラアザテトラヘキサコンタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)ペンタン二酸(2xClAG12)
【0435】
2xClAG12は、一般手順Dに従って調製された。HRMS(ESI):C93H142ClN15O31[M+2H]2+の理論値:1000.4852、実測値:1000.4853。
【0436】
(2S,4S)-2-(4-((4-((E)-(4-((1-アミノ-39-オキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサ-40-アザドテトラコンタン-42-イル)アミノ)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸(19)
【0437】
19は、ピペリジンを添加せずに一般手順Bに従って調製された。代わりに、RP-HPLC精製後にFmoc保護化合物が得られ、乾燥させ、5%のDBUを添加してMeCN中に再溶解した。反応混合物を1時間インキュベートした後、HOAc及び水の添加によりクエンチし、RP-HPLCにかけた。HRMS(ESI):C55H93N7O20[M+2H]2+の理論値:585.8232、実測値:585.8232。
【0438】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-((((R)-45-アミノ-4,44,48,88-テトラオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85-テトラコサオキサ-3,43,49,89-テトラアザヘノナコンタン-1,91-ジイル)ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸)(20)
【0439】
20は、ピペリジンを添加せずに一般手順Bに従って調製された。代わりに、RP-HPLC精製後にFmoc保護化合物が得られ、乾燥させ、5%のDBUを添加してMeCN中に再溶解した。反応混合物を1時間インキュベートした後、HOAc及び水の添加によりクエンチし、RP-HPLCにかけた。HRMS(ESI):C115H190N15O42[M+3H]3+の理論値:818.1069、実測値:818.1075。
【0440】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-((((R)-45-(5-((4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)ベンジル)アミノ)-5-オキソペンタンアミド)-4,44,48,88-テトラオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85-テトラコサオキサ-3,43,49,89-テトラアザヘノナコンタン-1,91-ジイル)ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン二酸)(21)
【0441】
21は、ピペリジンを添加せずに、第1のステップを50℃で実行して一般手順Aに従って調製されたBG-COOSuを用いて、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C133H208N21O45[M+3H]3+の理論値:940.1549、実測値:940.1546。
【0442】
(2S,2’S,4S,4’S)-4,4’-(((((1E,1’E)-((((R)-45-(5-((4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)ベンジル)アミノ)-5-オキソペンタンアミド)-4,44,48,88-テトラオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85-テトラコサオキサ-3,43,49,89-テトラアザヘノナコンタン-1,91-ジイル)ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))ビス(2-アミノペンタン二酸)(2xBGAG12,460)
【0443】
2xBGAG12,460は、一般手順Dに従って調製された。HRMS(ESI):C123H193N21O41[M+4H]4+の理論値:655.3418、実測値:655.3416。
【0444】
ジメチル(2S,4S)-2-(4-((4-((E)-(4-((1-アミノ-39-オキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサ-40-アザドテトラコンタン-42-イル)アミノ)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-4-オキソブチル)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタンジオエート(23)
【0445】
23は、ピペリジンを添加せずに一般手順Bに従って調製された。代わりに、RP-HPLC精製後にFmoc保護化合物が得られ、乾燥させ、5%のDBUを添加してMeCN中に再溶解した。反応混合物を1時間インキュベートした後、HOAc及び水の添加によりクエンチし、RP-HPLCにかけた。HRMS(ESI):C57H97N7O20[M+2H]2+の理論値:599.8389、実測値:599.8387。
【0446】
テトラメチル4,4’-(((((1E,1’E)-((((R)-45-アミノ-4,44,48,88-テトラオキソ-7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85-テトラコサオキサ-3,43,49,89-テトラアザヘノナコンタン-1,91-ジイル)ビス(アザンジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(ジアゼン-2,1-ジイル))ビス(4,1-フェニレン))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタン-4,1-ジイル))(2S,2’S,4S,4’S)-ビス(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタンジオエート)(24)
【0447】
24は、ピペリジンを添加せずに一般手順Bに従って調製された。代わりに、RP-HPLC精製後にFmoc保護化合物が得られ、乾燥させ、5%のDBUを添加してMeCN中に再溶解した。反応混合物を1時間インキュベートした後、HOAc及び水の添加によりクエンチし、RP-HPLCにかけた。HRMS(ESI):C119H198N15O42[M+3H]3+の理論値:836.7945、実測値:836.7940。
【0448】
1,5-ジメチル(2S,4S)-2-[3-({4-[(1E)-2-{4-[(2-{1-[(4R)-4-[(2R)-2-アミノ-4-{[(1R)-1,3-ビス[(38-{[2-({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-8-メトキシ-5-(メトキシカルボニル)-8-オキソオクタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}アミノ)エチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]プロピル]カルバモイル}ブタンアミド]-4-[(38-{[2-({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-8-メトキシ-5-(メトキシカルボニル)-8-オキソオクタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}アミノ)エチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]ブタンアミド]-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサノナトリアコンタン-39-アミド}エチル)アミノ]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)プロピル]-4-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}ペンタンジオエート(25)
【0449】
25は、ピペリジンを添加せずに一般手順Bに従って調製された。代わりに、RP-HPLC精製後にFmoc保護化合物が得られ、乾燥させ、5%のDBUを添加してMeCN中に再溶解した。反応混合物を1時間インキュベートした後、HOAc及び水の添加によりクエンチし、RP-HPLCにかけた。HRMS(ESI):C243H399N31O86[M+4H]4+の理論値:1282.4460、実測値:1282.4447。
【0450】
1,5-ジメチル(2S,4S)-2-[3-({4-[(1E)-2-{4-[(2-{1-[(4R)-4-[(2R)-2-(4-{[(4-{[(2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ]メチル}フェニル)メチル]カルバモイル}ブタンアミド)-4-{[(1R)-1,3-ビス[(38-{[2-({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-8-メトキシ-5-(メトキシカルボニル)-8-オキソオクタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}アミノ)エチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]プロピル]カルバモイル}ブタンアミド]-4-[(38-{[2-({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-8-メトキシ-5-(メトキシカルボニル)-8-オキソオクタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}アミノ)エチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]ブタンアミド]-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサノナトリアコンタン-39-アミド}エチル)アミノ]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)プロピル]-4-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}ペンタンジオエート(26)
【0451】
4mLのドラムバイアルに25(1.0当量)、BG-COOH(1.1当量)を入れ、DIPEA(4.0当量)及びDMFに溶解した後、HBTU(1.2当量)を一度に加えた。混合物を2時間インキュベートした後、5vol%のHOAcを加えてクエンチし、RP-HPLCにかけた。HRMS(ESI):C261H417N37O89[M+4H]4+の理論値:1374.2328、実測値:1374.2305。
【0452】
(2S,4S)-2-アミノ-4-[3-({4-[(1E)-2-{4-[(2-{1-[(4R)-4-[(38-{[2-({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-アミノ-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}アミノ)エチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]-4-[(2R)-2-(4-{[(4-{[(2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ]メチル}フェニル)メチル]カルバモイル}ブタンアミド)-4-{[(1R)-1,3-ビス[(38-{[2-({4-[(1E)-2-{4-[(5S,7S)-7-アミノ-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}アミノ)エチル]カルバモイル}-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサオクタトリアコンタン-1-イル)カルバモイル]プロピル]カルバモイル}ブタンアミド]ブタンアミド]-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサノナトリアコンタン-39-アミド}エチル)アミノ]フェニル}ジアゼン-1-イル]フェニル}カルバモイル)プロピル]ペンタン二酸(4xBGAG12,460)
【0453】
15mLのファルコンチューブに26を入れ、MeOH/1MのLiOH(1/1)に溶解した。室温で1時間放置し、5vol%のHOAcを加えてクエンチし、RP-HPLCにかけた。アゾベンゼン含有画分(27)をプールして凍結乾燥し、手順1.6に従って0℃でニートTFA中で最終脱保護を行った。HRMS(ESI):C233H372N37O81[M+7H]7+の理論値:712.3736、実測値:712.3733。
【0454】
1-(6-(((S)-5-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-カルボキシペンチル)アミノ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((1E,3E)-5-((Z)-1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)ペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-3H-インドール-1-イウム(30)
【0455】
丸底フラスコに35.0mg(72.4μmol、1.0当量)の1-(5-カルボキシペンチル)-3,3-ジメチル-2-((1E,3E)-5-((Z)-1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)ペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-3H-インドール-1-イウム(29)(Ueno et al.,2011)を入れ、1.5mLのDMSO及び50μLのDIPEAに溶解した。TSTU(21.8mg、72.4μmol、1.0当量)を一度に加え、混合物を30分間インキュベートした後、32.0mg(86.8μmol、1.2当量)のFmoc-Lys-OH(28)を一度に加えた。反応混合物をさらに1時間インキュベートした後、50μLのHOAcを加えてクエンチし、RP-HPLCにかけ、凍結乾燥後に26mg(32.2μmol)の所望の生成物を青色の粉末として45%の収率で得た。HRMS(ESI):C53H61N4O5[M]+の理論値:833.4636、実測値:833.4639。
【0456】
1-(6-(((S)-5-アミノ-6-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ))-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-6-オキソヘキシル)アミノ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((1E,3E)-5-((Z)-1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)ペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-3H-インドール-1-イウム(31)
【0457】
31は、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C66H85N10O10[M]+の理論値:1177.6445、実測値:1177.6452。
【0458】
1-((S)-1-アミノ-41-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバモイル)-39,47-ジオキソ-3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36-ドデカオキサ-40,46-ジアザドペンタコンタン-52-イル)-3,3-ジメチル-2-((1E,3E)-5-((Z)-1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)ペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-3H-インドール-1-イウム(32)
【0459】
32は、一般手順Bに従って調製され、第1のステップは50℃で実施された。HRMS(ESI):C93H139N11O23[M+H]2+の理論値:889.5033、実測値:889.5037。
【0460】
1-((S)-1-(4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)フェニル)-49-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバモイル)-3,7,47,55-テトラオキソ-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38,41,44-ドデカオキサ-2,8,48,54-テトラアザヘキサコンタン-60-イル)-3,3-ジメチル-2-((1E,3E)-5-((Z)-1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)ペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-3H-インドール-1-イウム(33)
【0461】
33は、ピペリジンを添加せずに、一般手順Aに従って調製されたBG-COOSuを用いて、一般手順Bに従って調製された。HRMS(ESI):C111H158N17O24[M+2H]3+の理論値:715.3859、実測値:715.3859。
【0462】
1-((S)-49-((2-((4-((E)-(4-((5S,7S)-7-アミノ-5,7-ジカルボキシヘプタンアミド)フェニル)ジアゼニル)フェニル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバモイル)-1-(4-(((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)オキシ)メチル)フェニル)-3,7,47,55-テトラオキソ-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38,41,44-ドデカオキサ-2,8,48,54-テトラアザヘキサコンタン-60-イル)-3,3-ジメチル-2-((1E,3E)-5-((Z)-1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)ペンタ-1,3-ジエン-1-イル)-3H-インドール-1-イウム(BGAG12-Cy5)
【0463】
BGAG12-Cy5は、一般手順Dに従って調製された。HRMS(ESI):C106H150N17O24[M+2H]3+の理論値:682.0351、実測値:682.0354。
【0464】
略語:DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;FA:ギ酸;Su:スクシンイミジル;TFA:トリフルオロ酢酸;TSTU:O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート。
【0465】
HEK細胞と培養されたニューロンの電気生理学
HEK293T細胞からの全細胞パッチクランプ記録は、以前に記載されたように(Farrants et al.,2018)、トランスフェクションの24~48時間後に実施された。簡潔に述べると、-60mVでの電圧クランプ記録を高カリウム(120mM)溶液中で行い、受容体活性化時に大きな内向き電流を可能にした。
【0466】
培養された皮質ニューロンの全細胞パッチクランプ記録は、トランスフェクションの4~6日後(11~15DIV)に、138mMのNaCl、1.5mMのKCl、1.2mMのMgCl2、2.5mMのCaCl2、10mMのグルコース、及び5mMのHEPES、pH7.4を含む細胞外溶液中(mM)で実施した。含まれる細胞内溶液(mM):140mMのグルコン酸カリウム、10mMのNaCl、5mMのEGTA、2mMのMgCl2、1mMのCaCl2、10mMのHEPES、2mMのMgATP、及び0.3mMのNa2GTP、pH7.2。過分極測定のために、細胞は、光スイッチングの前に電流注入で-60mVに調整された。静止電位が-40mV以下の細胞のみを分析した。
【0467】
別段の記載がない限り、適切な細胞外記録溶液中で、細胞を1~10μMのPORTLとともに37℃で45~60分間インキュベートした。標識効率は、以前に記載されているように決定された(Levitz et al.,2017)。CoolLED pE-4000を使用して、40倍の対物レンズを介して視野全体に照明を適用した。サンプル面の光強度は1~2mW/mm2であった。pClampソフトウェアは、データ取得と照明の制御の両方に使用された。すべての薬物はTocrisから購入し、重力駆動の灌流システムを使用して適用した。
【0468】
結果
光切り替え可能な、直交する、離れて連結されたリガンド(「PORTL」)が設計された。具体的には、SNAP、CLIP、Halo、及びナノボディベースの標識戦略のために、分岐したPORTLが設計及び特性評価された。
【0469】
SNAP-mGluR2にコンジュゲートされた、ベンジルグアニン-アゾベンゼン-グルタメート(「BGAGn」、ここでnはBG(ベンジルグアニン)とアゾベンゼン(A)の間で繰り返されるポリ(エチレングリコール)(PEG)の数である)のプロトタイプシステムの分析が実施された。
【0470】
PORTLシステムの主な利点は、化学部分の柔軟なミックスアンドマッチングによってPORTLを設計及び合成できる能力である(
図2A)。CLIPでタグ付けされたmGluR2の高効率の光学的制御を可能にするために、直交標識を有するSNAPのバリアント(Gautier et al.,2008)、「二重BCAG
12」(
2xBCAG
12)を合成した(スキームS6(
図1F))。
2xBGAG
12と同様に、
2xBCAG
12は、CLIP-mGluR2のほぼ完全な光学的制御を可能にした(
図2B~2D)。分岐は、SNAP-mGluR2を発現する細胞に適用した場合、光電流を示さなかった
2xBCAG
12の特異性を変更しなかった(1mMグルタミン酸に対して2.8±0.3%、n=3細胞)。
【0471】
PORTLのレパートリーを第3の自己標識である直交自殺酵素にさらに拡大することを目標に、塩化アルキルと特異的に反応するHaloタグ(Los et al.,2008)を使用した。ClAG
12(スキームS1、S7(
図1A及び
図1G))を合成した。正常なグルタミン酸感受性を示すN末端Haloタグ付きmGluR2構築物をクローニングした。Halo標的化PORTLの分岐が光スイッチングを増強するという仮説に基づいて、「doubleClAG
12」(
2xClAG
12)(スキームS8(
図1H);
図2E)を合成した。両方のPORTLは、BGAGと同一のスペクトル特性を有するmGluR2の光活性化を示したが(
図2F)、Halo-mGluR2の光活性化の効率は分岐によって増強された(
図2F、2G)。
2xClAG
12の標識効率が特徴付けられた。SNAPタグのBGAG標識と同様の濃度依存性が見られ、飽和には1μMの標識で十分である。この結果は、Haloタグを分岐PORTLアプローチに導入し、ツールキットを3つの異なる直交タンパク質タグに拡張する。
【0472】
アゾベンゼンベースの光スイッチの主な利点は、化合物の光化学特性を調整できる能力のことである。以前に報告された赤方偏移BGAG
12,460により、mGluR2の可視光に誘導される高速緩和光活性化が可能になり、視力回復用途を含むいくつかの状況で有利になる(Berry et al.(2017)Nature Commun. 8:1862)。しかしながら、BGAG
12,460は、おそらく光定常状態でのcisの集団が減少しているため、BGAG
12よりもSNAP-mGluR2の活性化が弱いことを示している(Hull et al.,2018)。「DoubleBGAG
12,460」を合成した(スキームS9(
図1I))。doubleBGAG
12,460によるSNAP-mGluR2の可視光光活性化の増強が観察された。第2の分岐を追加することによるわずかな改善を考慮して、4つのアゾベンゼン-グルタメートを含む
4xBGAG
12,460を設計及び合成した。mGluR2のほぼ完全な光活性化をもたらすさらなる増強が観察された(スキームS10(
図1J);
図3H~J)。BGAG
12の双安定アゾベンゼンとは対照的に、BGAG
12,460ベースのPORTLは暗所で高速緩和を示し、光活性化の振幅を強度依存にすることができる。cis-アゾベンゼンの重要な集団を生成する能力の増強と一致して、分岐はBGAG
12,460の光感受性を増加させた。
【0473】
最後に、テザー光薬理学の長期的な目標は、そのような化合物によって提供される光学的制御を、抗体を介したタンパク質の標的化に組み込むことである。PORTLで標識されたSNAPタグ付きナノボディからなる「ナノボディ-光スイッチコンジュゲート」(NPC)が報告されている。抗GFPナノボディを含むNPCは、GFPタグ付きmGluR2を光活性化できるが、効率は限られている(Farrants et al.,2018)。試験した他のシステムと同様に、2xBGAG12は、mGluR2のNPCを介した光スイッチングの光スイッチ効率を2倍にした。この結果は、分岐したPORTLが光スイッチの効率を改善するための効果的な一般的な戦略であることをさらに裏付けている。
【0474】
図1A~1J(A)SNAP、CLIP、及び、Haloタグ付き受容体のPORTLをミックスアンドマッチ設計するための化学部分のツールセット。(B~D)
2xBCAG
12(B)は、BCAG
12と比較してCLIP-mGluR2光活性化の効率を高める。
*は統計的有意性を示す(独立t検定、p=0.00008)。(E~G)
2xClAG
12(E)は、ClAG
12(F、G)と比較して、Halo-mGluR2の効率を高める。
*は統計的有意性を示す(独立t検定、p=0.006)。(H~J)分岐は、SNAP-mGluR2の可視光媒介(青色のバー=460nm)の光活性化の効率を高める。
*は統計的有意性を示す(独立t検定;BGAG
12,460と
2xBGAG
12,460の間でp=0.02、
2xBGAG
12,460と
4xBGAG
12,460の間でp=0.009)。試験された細胞の数は括弧内に示されている。エラーバーはs.e.m.を示す。
【0475】
実施例2:4xBGAGによる視力回復
屋内強度で視力回復を提供するために感度を増強するために、それぞれが光活性化グルタミン酸を有する4つの分岐を含むBGAG12,460のバージョン(4xBGAG12,460)が使用された。培養細胞において、4xBGAG12,460で効果が約2倍と感度が約5倍増加した。AAVの硝子体内注射を使用して、盲目のrd1マウスのRGCまたはON双極細胞(ON-BC)にSNAP-mGluR2を導入した。これらの細胞タイプのそれぞれにおいて、4xBGAG12,460:SNAP-mGluR2は、自然な光嫌悪行動が回復し、動物は、異なる距離に配置された平行線からなる2つの視覚的手がかりを区別できるようになった。回復した視覚誘導行動の光に対する感度は、1xBGAGの100倍から約250倍に増加した。これは、細胞培養測定から予想されるよりもはるかに高い値である。この増加により、動物は部屋の光の強さでiPadディスプレイを使用して視覚タスクを実行できるようになった。これは、視覚回復への2コンポーネントアプローチの最初のものである。4xBGAGは、野生型の視力限界に近づく線パターン認識をサポートすることが判明した。さらに、4xBGAGは、視覚ディスプレイが8cm/秒で移動するときに、線パターン認識と野生型視覚をサポートすることが判明した。
【0476】
β-シクロデキストリンに4xBGAG12,460を製剤化すると、1回の注射で少なくとも5週間は光の知覚が回復した。ヒトmGluR6(SNAP-mGluR6)に基づくバリアントバージョンは、HEK293細胞のBGAG12,460によって光スイッチされることもでき、mGluR6の特殊なシグナル伝達カスケードとエフェクターチャネルが含まれている光受容細胞によって放出されるグルタミン酸の主要な受容体であるON-BCでさらに効果的であり得ることを示唆している。
【0477】
4xBGAG12,460:SNAP-mGluRシステムは、GPCRオプシンの高感度とBGAG-mGluRの6つの主要な利点:i)堅牢な光応答、ii)光退色の欠如、iii)速い動力学、iv)野生型(視力のある)マウスでは機能しない、光受容体入力を失ったRGCに対する選択性を示唆する(すなわち、入力を保持するRGCとの干渉の欠如)、及びv)有害作用が生じた場合に中止する能力を組み合わせている。
【0478】
材料及び方法
動物、AAV、及び光スイッチ
マウス実験は、カリフォルニア大学動物管理使用委員会の明示的な承認の下で実施された。wtマウス(C57BL/6J)及びrd1マウス(C3H)はJackson Laboratoryから購入し、12時間光/暗サイクルで、食物と水を自由に与えて飼育した。SNAP-mGluR2をコードするcDNAは、RGCでの発現用のヒトシナプシンプロモーター(hsyn-1)またはON-BCでの発現用のマウスgrm6最小プロモーターの4コピーコンカテマー(4×grm6)のいずれかの制御下で確立されたウイルスカセットに挿入され、AAV 2/2-4YFカプシドにパッケージ化された。1010~1012個のウイルスゲノムを含むベクターは、マイクロインジェクションによってrd1マウスの眼の硝子体に2μlの量で送達された。rAAV注射はp30~p60で、インビボ及びインビトロ実験ではp90~p160であった。AAVは、前述のように作成された。
【0479】
光スイッチの調製
光スイッチ化合物は、Broichhagen,J.,et al.(2015)ACS Cent Sci 1,383-393に記載されたプロトコールを使用して合成された。1%DMSO中1mMの最終的な使用液のために、100%医薬品グレードのDMSO(Cryoserv;Bioniche Pharma)中200mMのBGAG12,460(L-ジアステレオマー)の原液を、滅菌PBSで1:100に希釈した。使用液は、投与前に調製するか、冷凍庫に保存して必要に応じて使用するために調製するか、記録浴から回収して再利用のために保存(RTまたは冷凍庫)した。網膜外植片へのBGAG12,460またはBGAG12の適用は、50μM~50nMのBGAG12,460(1%を超えるDMSOを含むPBS中)の濃度で200μLの容量で実施された。インビボ行動実験では、1mMのBGAG12,460溶液(1%DMSOを含むPBS中)の2μL量または3.5μL量(1μLの最終硝子体濃度)を、6週間より前にAAVで治療した眼に注射した。インビボ濃度依存実験では、マウスの眼には5.3μLの容量が含まれていると仮定され、3.5μM、1.825μM、及び0.1825μMのBGAG12,460溶液(1%DMSOを含むPBS中)の2μLの量を眼に注射して、1μM、500nM、及び50nMの最終濃度を得た62。水和徐放用のPBS中5%の医薬品グレードのβシクロデキストリン(シクロデックス)をBGAG12,460と混合して最終濃度3μMとし、2μLをマウスの眼に両側注射した。MAG0460を合成し、100μMの濃度で2μLで投与した。
【0480】
組織の調製と免疫組織化学
AAV2/2-hsyn-SNAP-mGluR2処置後4週間を超えるマウスは、硝子体内に10uMのBGコンジュゲートAlexa Fluor-647染料の1uLを注射された。25時間後、マウスを屠殺し、眼を4%パラホルムアルデヒド(Ted Pella)で固定し(30分)、網膜を取り出し、組織をブロッキング緩衝液[PBS(pH7.4)中の10%正常ヤギ血清、1%BSA、0.5%Triton X-100]で室温2時間インキュベートした。PBSを使用して網膜を完全に洗浄し、DAPI(細胞核染色-青)を含浸させたVectashield(Vector Laboratories)媒体を使用してスライド上にフラットにマウントした。Gaub.,et al. (2014)12に以前に記載されるように、さらにAAV2/2-hsyn-LiGluRと共注入された網膜は、GluK2/K3に対するモノクローナル抗体(Millipore)にさらされ(ブロッキング緩衝液で1:500希釈、4℃で一晩)、続いて二次抗ウサギAlexa 488抗体(Invitrogen)を適用した(1:1,000希釈、室温で2時間)。BGコンジュゲートAlexa Fluor-647によるSNAP-mGluR2のインビトロ連続標識とLiGluRで認識されるGluK2サブユニットの抗体染色も、最小限の固定(10分)を使用して成功裏に達成された。網膜切片の場合、マウント全体をアガロース(Sigma)に埋め込み、ビブラトーム(Leica Microsystems)を使用して中速、最大振動、厚さ200μmで横方向に薄切した。網膜凍結切片またはホールマウントでの免疫組織化学に使用される網膜組織を処理し、共焦点顕微鏡(Leica TCS SP5;Leica Microsystems)で検査した。細胞計数のために、網膜を凍結切片にし、DAPIで染色した。1μm3のZスタック画像(24切片)は、20倍の対物レンズを備えたZeiss LSM-880 NLO Airyscan顕微鏡を使用して得られた。バックグラウンドを最小限に抑え、個別の細胞を区別するためにオフセットを増やして使用し、Imarisソフトウェアを使用して3D画像内の個々の細胞を計数して分析を行った。
【0481】
行動分析
2チャンバーの明暗パッシブ回避試験が実行された。約100μWcm-2での白色光(波長範囲)、または0.5~25μWcm-2での青色光(460/45nm)もしくは緑色光(535/50nm)を均一に分散した光でチャンバーの上に取り付けた。動物の動きは、シャトルボックス上のIRセンサーを使用して追跡された。明るいチャンバーと暗いチャンバーで費やされた時間は、Graphic State及びGraphic State RT(Coulbourn Instruments)を使用して測定及び分析された。
【0482】
恐怖条件付け実験は、チャンバーの天井に取り付けられた視覚的な合図を提示するLEDスクリーンを備えたCoulbournシングルショックチャンバーを使用して実行された。動物は、15分間にわたる0.7mAでの3回のショック試験からなる対または非対の光の合図による恐怖条件付けを受けた。ショックを見越した凍結動作は、CoulbournのFreezeFrameソフトウェアによって記録され、刺激前に収集された動き動作に正規化された。恐怖応答が刺激遷移に条件付けられているかどうかを判断するために、対のコホートと非対のコホートの間でパフォーマンスを比較した。
【0483】
Coulbournシャトルボックス(H10-11M-SC)を使用して、前述の19のように変更された能動的回避を分析したが、今度はiPadタブレット画面がシャトルケージの壁に取り付けられ、それぞれが2本の線の間での方向または距離が異なる2つの画像のいずれかを表示するが、その他の点では形状、サイズ、光強度は同じであった。嫌悪イメージ側は、0.7mAのフットショックと組み合わせた。リコール時に、位置の偏りを避けるために光のパターンを逆にし、それぞれの側で費やした時間を記録した。順応性は、ディスプレイをさまざまな強度に暗くしたり明るくしたりして試験された。
【0484】
結果
非分岐一価BGAG
12,460は、SNAPタグ付きヒトmGluR6で機能する
mGluR6受容体はON-BCで発現し、網膜の他の細胞型では発現しない(Dhingra and Vardi 2012)Wiley Interdiscip. Rev. Membr. Transp. Signal 1:641)。これは、光受容細胞によって放出されるグルタミン酸に対するON-BCの主要な受容体として機能し、この細胞型ではエフェクターシグナル伝達系に対する特殊なGタンパク質シグナル伝達を持っている(Cao et al.(2011)J. Neurosci. 31:11521)。ON-BC用のmGluR6のBGAG光活性化バージョンの作成は、このネイティブのシグナル伝達カスケードを利用して、光に対する応答を強化できると考えられていた。ラットmGluR6のN末端SNAPタグ付きバージョン(SNAP-rmGluR6)は、GIRKチャネルとともに、HEK293細胞で発現した。細胞をBGAG
12,460で標識し、青色(460nm)光の閃光に対する応答を調べた。これらの細胞では光電流は観察されなかった(
図3C)。ヒトmGluR6(SNAP-hmGluR6)をHEK293細胞で発現させ、細胞をBGAG
12,460で標識した。今回は、SNAP-mGluR2と同じくらい大きいGIRK光電流が観察された(
図3C)。SNAP-mGluR2とSNAPhmGluR6のBGAG
12,460光活性化の同様の効力は、mGluR6がそのネイティブのシグナル伝達カスケードとエフェクターチャネルとの特権的なカップリングを持っている場合、後者がON-BCでより効果的である可能性があることを示唆している。
【0485】
図3A~3C。一価BGAG
12,460は、HEK293細胞でラットSNAP-mGluR2及びヒトSNAP-mGluR6 GIRK光電流を誘発する。
図3A。グループII及びIIIのmGluRは、それぞれmGluR2及び6のように、ニューロンのGIRKチャネルにカップリングし、このシステムは非神経細胞株で再構成されるため、BGAG光スイッチにカップリングしたSNAP-mGluR2または6は光によって活性化され、GIRK電流の過分極を誘発する。
図3B。青色(460nm)光は、BGAG
12,460:SNAP-mGluR2を光活性化し、-60mVに電圧クランプされたHEK293細胞において共発現したGIRKチャネルから、[K+]
in=[K+]
out=150mMで内向きK+電流を引き起こす。
図3C。白色光は、SNAPタグ付きラットmGluR2(SNAP-rmGluR2)を発現するBGAG
12,460HEK293細胞でGIRKを活性化し、白色光はラットSNAP-rmGluR6を活性化しないが、ヒトバリアントSNAP-hmGluR6を活性化する。
【0486】
分岐した多価BGAGは、HEK293細胞におけるSNAP-mGluR2活性化の有効性と感度を高める
受容体付着部位(BG)ごとに1つの光活性化グルタミン酸(AG)を持つ(すなわち、それぞれのmGluRサブユニットに1つのリガンドを配置する)、単一の枝を照らすためのBGAG
12,460の感度を高めるために、それぞれが光活性化グルタミン酸を持つ複数の枝に置き換えられた(それにより、サブユニットごとに過剰なリガンドが生成される)(
図4A)(Acosta et al.,2020)。HEK293細胞では、リガンド数を2(
2xBGAG
12,460)及び4(
4xBGAG
12,460)に増やすと、光による受容体の結合と活性化が徐々に増加する。
4xBGAG
12,460は、BGAG
12,460の有効性を約2倍にし、飽和グルタミン酸で達成される最大活性化近くに達する(
図4B~4C)。重要なことに、
4xBGAG
12,460は、HEK293細胞において、約5倍感度を増加させる(強度応答曲線の中間点をシフトする)(
図4D)。
【0487】
図4A~4D。多分岐BGAG
12,460は、HEK293細胞のGIRKチャネルのSNAP-mGluR2活性化の効力と感度を高める。
図4A。
4xBGAG
12,460は、mGluRのそれぞれのサブユニット上のSNAPへの1:1結合のための単一のBG末端と、12-PEGリンカーの4つの分岐とからなり、それぞれの分岐は光切り替え可能なアゾベンゼン-グルタミン酸(AG)を有する。
図4B。SNA-mGluR2にコンジュゲートした
4xBGAG
12,460の代表的な例は、共発現したGIRKチャネルを光活性化して、飽和(1mM)グルタミン酸で得られる最大レベルに近づける。
図4C。SNAP-mGluR2の光活性化効率の依存性。単一、2分岐、及び4分岐のBGAG
12,460を使用によるGIRK電流として読み取られる。
図4D。強度応答曲線は、
4xBGAG
12,460で左にシフトする(感度が高くなる)。
【0488】
4分岐BGAGが高感度光嫌悪を回復
インビトロで培養細胞に見られる感度のこの増加がインビボで網膜に変換されるかどうかを調べるために、AAVを使用して、ヒトシナプシンプロモーター(hSyn)の下でSNAP-mGluR2をコードする遺伝子(AAV2 4YF:hSyn-SNAP-mGluR2)を、盲目のrd1マウスの網膜神経節細胞(RGC)に導入した(
図5A)。数週間後、SNAP-mGluR2の発現とそのBG標識の特異性を評価するために、マウスの光受容細胞が変性した時点で(
図5C)、マウスの硝子体にBG染料(
図5B)を注入した。網膜の横断切片では、主にRGCの樹状突起層に色素が観察された(
図5D)。
【0489】
図5A~5D。AAV2 4YF hSyn-SNAP-mGluR2の硝子体内注射は、rd1マウスのRGCで発現を促進する。
図5A。AAV2 4YF hSyn-SNAP-mGluR2ウイルス送達構築物。
図5B。mGluR2のSNAPタグは、蛍光BG色素で標識できる。
図5C。遺伝性網膜変性による光受容細胞層の喪失を伴う網膜の模式図。
図5D。6週間前にAAV2 4YF hSyn-SNAP-mGluR2に感染し、BG色素で標識されたrd1マウスから単離した網膜の横断切片は、SNAP-mGluR2の発現がRGC樹状突起に限定されていることを示している。
【0490】
BGAG12,460:SNAP-mGluR2が、視覚を回復できるかどうかを判断するために、AAV2 4YF:hSyn-SNAP-mGluR2の硝子体内注射を受けたrd1マウスの別のコホートが、6週間を超えて後に4xBGAG12,460の2回目の硝子体内注射を受けた。次の3~6日間、視覚を2つのパラダイムで試験した。1つ目は、動物が明暗を区別できるかどうかを評価し、そうであれば、検出できる光の強度を決定し、2つ目はその2つの異なる空間線パターンを区別する能力を試験する。
【0491】
自然光嫌悪行動が試験された。2チャンバーのシャトルボックスには、それぞれのチャンバーにiPad-miniが装備されており、そのうちの1つは完全に照明された白いスクリーン(88uW/cm
2)とし、もう一方を黒にする(
図6C)。視力のあるマウスは光恐怖症であり、明るいチャンバーで過ごす時間が短いのに対し、盲目のrd1マウスは2つのチャンバーで同じ時間を過ごす。RGCでSNAP-mGluR2を発現するRd1マウスに、PBS中の
4xBGAG
12,460を硝子体内注射した。
4xBGAG
12,460注射後の最初の1週間で、これらのマウスは、2つのチャンバーで同じ時間を過ごした対照のrd1同腹仔(SNAP-mGluR2を発現せず、
4xBGAG
12,460を注射されてもいない)(
図6D、紫色の破線)と対照的に、照らされたチャンバーよりも暗いチャンバーで多くの時間を過ごした(
図6D、緑色の記号)。
【0492】
4xBGAG
12,460注射の3週間後、SNAP-mGluR2発現rd1マウスの暗色選好は消失し(
図6D、緑色の記号)、一価のBGAG
12,460で以前に見られた低下と一致した(Berry et al.(2017)前出)。おそらく、眼からBGAG
12,460が除去されたためである。β-シクロデキストリンに
4xBGAG
12,460を製剤化すると、眼における持続性が延長されることにより、光知覚の回復期間が延長されるかどうかが試験された。β-シクロデキストリン中の
4xBGAG
12,460が実際に4週間、これまでで最も長い観察期間で光知覚を回復したことが観察された(
図6D、赤色の記号)。この最初の分析に続いて、より長い研究が行われた。β-シクロデキストリン中の
4xBGAG
12,460は、硝子体内注射後6週間で光嫌悪を回復し、7週で約半分に、8週でバックグラウンドに低下したことが判明した(
図6E)。
【0493】
これらの結果は、RGCでの4xBGAG12,460:SNAP-mGluR2は、以前は盲目だったマウスが薄暗い部屋の光を検出できるようになることを示す。これは、はるかに高い強度の光(5mW/cm2)が必要であり、明るいLED光源を必要とする一価BGAG12,460で以前に観察されたものと比較して、ほぼ100倍の感度の顕著な向上を表している(Berry et al.(2017)前出)。
【0494】
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2がまた、ON-BCで光の知覚を回復するかどうか試験された。これを試験するために、SNAP-mGluR2をコードする遺伝子を、同じAAV 4YFベクターを使用してON-BCに導入したが、hSynプロモーターを排他的にON-BCで発現するmGluR6遺伝子のON-BC選択的プロモーターに置き換えた。最小grm6プロモーターの4つのコピーのコンカテマー(4xgrm6)を使用した。rd1マウスにおけるAAV2 4YF:4xgrm6-SNAP-mGluR2の硝子体内注射から約6週間後、PBS中の
4xBGAG
12,460を硝子体内注射し、明/暗光嫌悪アッセイを使用して試験した。注射後の最初の週に、これらの処置されたrd1マウスは暗室でより多くの時間を過ごしたが、この暗色選好は、PBS中の
4xBGAG
12,460の注射後3週目までに消失した(
図6D、灰色の記号)。しかしながら、上記のRGCで見られるように、β-シクロデキストリン中の製剤は、暗所回避の回復を4週間まで延長した(
図6D、青色の記号)。
【0495】
したがって、多価の4xBGAG12,460は、RGCとON-BCの両方でSNAP-mGluR2を十分に強力に活性化し、部屋の明かりのレベルで薄暗い光の検出をサポートし、ステロイドの眼への送達に使用される賦形剤中の製剤は、1回の注射後の作用を数週間延長する。
【0496】
光に対する感度を定量化するために、2チャンバー明/暗システムでの自然光嫌悪の回復は、照明付きチャンバーのさまざまなレベルの照明で比較された。最大の光嫌悪行動は25μW/cm
2で観察され、最大応答の半分が5~25μW/cm
2であり(
図6F)、以前に非分岐BGAGで観察されたものと比較して約250倍の感度の増加があった。
【0497】
図6A~6F。RGCまたはON-BCでの
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2。RGCはrd1マウスの光回避行動を回復する。
図6A及び6B。
4xBGAG
12,460の模式図(A)とβ-シクロデキストリンの分子図(B)。
図6C。2つのiPad miniディスプレイを備えた明/暗2チャンバーシャトルボックスは、1つが照明された白色(88μW/cm
2)であり、もう1つがオフにされる。
図6D。未処理のrd1マウスは、900秒の観察期間の半分を暗室で、残りの半分を明室で過ごす(紫色の点線)。RGCでの発現用にhSyn-SNAP-mGluR2をコードするAAV(緑色と赤色)、またはON-BCでの発現用に4xgrm6-SNAP-mGluR(灰色と青色)をコードするAAVを硝子体内に注射したrd1マウスは、PBS(緑色と灰色)またはβ-シクロデキストリン(赤色と青色)で製剤化された
4xBGAG
12,460を注射してから1週間後、暗チャンバーでより多くの時間を過ごす。しかしながら、PBSで製剤化された
4xBGAG
12,460では、3週間で効果が弱まるが、β-シクロデキストリンで製剤化された場合は4週間持続する。
図6E。未処置のrd1マウスは、900秒の観察期間の半分を暗室で過ごし、残りの半分を明室で過ごす(下の赤色の破線)。RGCでの発現用のhSyn-SNAP-mGluR2をコードするAAVを硝子体内注射したrd1マウスは、β-シクロデキストリンで製剤化された
4xBGAG
12,460の注射後1週間から始まり、暗室(上部の赤色の破線)でより多くの時間を過ごし、6週目まで続く。効果は8週目までに低下し、未処置のrd1マウスと同等の成績を示した。
図6F。光の強度が異なる2チャンバー明/暗ボックスにおける光嫌悪分析は、強度応答関係をもたらす。RGCでの
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2は、25μW/cm
2で最大の光嫌悪反応をサポートし、5~25μW/cm
2で最大応答の半分であり、たまに0.2μW/cm
2で稼働する。
【0498】
4分岐BGAGが高感度線パターン認識を回復する
上記のとおり、RGCまたはON-BCのいずれかで、
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2が高感度の光知覚を付与する。
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2がパターン化されたビジョンをサポートするかどうかを調べた。処置及び未処置のrd1マウスが学習した負の関連タスクで2つの異なる線パターンを識別する能力を試験した。タスクは、それぞれのチャンバーの床が導電性であり、独立した嫌悪的な軽度のフットショックを加えることができる2チャンバーアリーナで実行される。それぞれのチャンバーの遠端にはiPad miniがあり、2つの間隔(1cm対6cm)の1つで平行な垂直線からなる独特の線パターンを示した(
図7B)。マウスは2日間訓練され、その間、チャンバーの1つで軽度のフットショックが与えられた。フットショックに関連する線のパターンは、最初はランダムに割り当てられたが、その後2日間のトレーニングを通じてその動物に対して一貫性が保たれた。3日目はフットショックを与えず、ディスプレイのみを表示した。チャンバーは、嗅覚の手がかりを取り除くために、それぞれのトレーニングまたは試験セッションの前後に完全に洗浄された。部屋の参照視覚的な合図を避けるために、部屋は暗く保たれた。そして、場所の偏りを避けるために、トレーニングの2日目の終わりと試験日の間で嫌悪と非嫌悪の合図を切り替えた。2つの線のパターンを区別するのに十分な視力がある場合、晴眼動物は以前にフットショックに関連付けられていた線のパターンのある側を避けるが、未処置の盲目rd1は、トレーニング中に嫌悪していた側での時間を短縮する位置バイアスを示し、試験日には非嫌悪の視覚的合図を示した(Berry et al.(2017)前出;及びBerry et al.(2019)Nature Commun. 10:1221)。
【0499】
RGCでSNAP-mGluR2を発現するRd1マウスは、PBS中の
4xBGAG
12,460の硝子体内注射後1週間以内に訓練及び試験され、非嫌悪視覚表示の側でより多くの時間を費やした(
図7C)。この行動は、未処置のrd1マウスの行動とはまったく対照的であり、その位置バイアスにより、トレーニング期間中は嫌悪の合図を示したが、試験期間中は非嫌悪の合図を示したチャンバーを好むようになった(
図7C)。ON-BCでSNAP-mGluR2を発現するRd1マウスは、PBS中の
4xBGAG
12,460の硝子体内注射後1週間以内に訓練及び試験され、同様に非嫌悪視覚表示の側でより多くの時間を費やした(
図7C)。非嫌悪関連の視覚的合図を持つチャンバーの強い選好性は、RGCまたはON-BCのいずれかでの
4×BGAG
12,460:SNAP-mGluR2が、空間パターン認識を回復し、1cm対6cm離れた平行線のペアを区別するのに十分な視力が提供されることを示す。
4xBGAG
12,460をβ-シクロデキストリンで製剤化した場合、硝子体内注射後5週間、これら2つの線パターンを区別する能力の回復が持続した(
図8A~8C)。
【0500】
β-シクロデキストリン中の
4xBGAG
12,460の製剤は、光知覚の回復を数週間延長したので(
図6D及び6E)、β-シクロデキストリンが線パターン認識の回復期間も延長するかどうかを調べた。β-シクロデキストリン中の
4xBGAG
12,460により、ON-BCまたはRGCのいずれかでSNAP-mGluR2を含むrd1マウスの能力が回復し、硝子体内注射後5週間、1cmと6cm離れた線のペアを示すiPadディスプレイを区別できることがわかった(
図8A~8C)。5週間の効果は、ON-BCにSNAP-mGluR2を注射してから2週間後の効果と比較して変化がなかったが、RGCにSNAP-mGluR2を持つ動物の約半分に減少した。
【0501】
回復された線パターン認識をさらに評価するために、線を細くし、線間の分離を減らした。0.25cmまたは0.5cmのいずれかで離れた0.5cm幅の線のディスプレイが比較された。2チャンバーシステムでは、決定点からiPadまでの距離が18cmであるため、太さ0.5cmの線が0.5cm離れたディスプレイは、1度あたり0.2サイクルの視運動ドラムの空間周波数に匹敵し、野生型マウスの視力限界に近い(Kretschmer et al.,2017)。マウスは、PBS中の
4xBGAG
12,460の硝子体内注射後に、RGCにおける未処置のrd1マウス及びSNAP-mGluR2を発現するrd1マウスでのフットショックで0.25cmまたは0.5cm離れた線ペアのいずれかをペアリングすることによって訓練された。
4xBGAG
12,460により、rd1マウスがタスクを実行し、野生型マウスと同様に実行できるようになった(
図9)。
【0502】
図7A~7C。RGCまたはON-BCにおける
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2は、rd1マウスで学習した空間パターン認識誘導行動を回復する。
図7A。
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2の模式図。
図7B。iPad miniディスプレイを使用して嫌悪関連条件付け用に構成された2チャンバーシャトルボックスは、一方のチャンバーで1cm、もう一方のチャンバーで6cm離れた白い背景に2つの平行な黒い垂直バーを備えている。
図7C。未処置のrd1マウスは、900秒の観察時間の半分未満を嫌悪側に費やす。これは、トレーニング期間中に嫌悪した反対側に対する位置バイアスのためである。
4xBGAG
12,460注射の1週間以内に、RGCまたはON-BCでSNAP-mGluR2を発現するrd1マウスは、どちらも非嫌悪線パターンディスプレイの選好性を示す。4×BGAGは、SNAP-mGluR2がRGCまたはON-BCのいずれかで発現している場合に、近接線識別視力タスクをサポートする。
【0503】
図8A-8C。
図8A。
4xBGAG
12,460及びβ-シクロデキストリン。
図8B。それぞれのチャンバーのiPadに表示される視覚的合図を示す、関連する嫌悪条件付け用に構成された2チャンバーシャトルボックス:1cmまたは6cm離れた白い背景に幅1cmの黒色のバー。
図8C。β-シクロデキストリン中の
4xBGAG
12,460は、未処置のrd1対照と比較して、ON-BCまたはRGCのいずれかでSNAP-mGluR2を発現するrd1マウスに硝子体内注射後2週間及び5週間、線パターン認識を回復させる(非嫌悪関連ディスプレイを備えたチャンバーを選好)。
【0504】
図9。
4xBGAG
12,460は、rd1マウスのRGCにおける高視力の線パターン認識を回復する。RGCでSNAP-mGluR2を発現するrd1マウスに硝子体内注射した後のPBS中の
4xBGAG
12,460は、C57野生型動物の正常な視力と同様に、線パターンの認識を回復する。ディスプレイは、0.25cmまたは0.5cmのいずれかで離れた0.5cm幅のバーを使用し、空間周波数は通常のマウスの視覚の解像度限界に近づいた。
【0505】
分岐BGAGは、移動するディスプレイでの線パターン認識を回復する。
回復した光応答の開始、減衰、及び回復の動力学は、視覚パターンを認識する能力に影響を及ぼすと予想される。RGCの中波錐体オプシンが静止及び移動の視覚ディスプレイの両方で線パターン認識をサポートし、一方でより遅いロドプシンがディスプレイは静止していてもサポートしない理由を説明するために、照明の終了時にベースラインに戻るのが速く、後続の光パルスへの応答性が回復するのが速いことが提案されている(Berry et al.(2019)前出)。BGAG
12,460:SNAP-mGluR2によるシグナル伝達及び回復が、中波錐体オプシンよりも、光に対する応答の遅延が短く、照明終了後のベースラインへの復帰が速いので(
図10A~10C)(Berry et al.(2017)前出;(Berry et al.(2019)前出)、課題は、BGAG
12,460:SNAP-mGluR2がまた、より高速な移動速度での線パターン認識もサポートするかどうかを調べることであった。これは、ここでは線が動いている点を除いて上記のように(
図8A~8C)、一方のディスプレイでは6cm、他方のディスプレイでは1cm離れた線で、線パターン識別タスクで試験された。RGCにおいて
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2を有するrd1動物は、線表示が4cm/秒または8cm/秒のいずれかで移動した場合、野生型動物と同様に機能したことが判明した(
図11)。対照的に、ディスプレイが1cm/秒で動くときにうまく機能することが示された(Berry et al.(2019)前出)RGCで中波錐体オプシンを発現するrd1動物は、ディスプレイが4cm/秒で移動したときに未処置のrd1動物のレベルで機能した(
図11)。したがって、RGCにおける
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2の速度制限は8cm/秒を超え、一方、RGCにおける中波錐体オプシンのそれは4cm/秒未満である。
【0506】
図10A~10C。RGCにおける、BGAG
12,460:SNAP-mGluR2または中波錐体オプシンを有する、単離されたrd1網膜からのRGCのMEA記録。A)BGAG
12,460の硝子体内注射後の、野生型マウス(Wt;赤色)、RGCにおける中波(MW)錐体オプシンを発現するrd1マウス(黒色)、及びRGCにおけるSNAP-mGluR2を発現するrd1マウス(青色)から単離された3つの代表的な網膜の数十のRGCにおける1秒の光フラッシュに対する平均応答の重ね合わせ。MW-オプシンの遅延応答と比較した、Wt及びBGAG
12,460:SNAP-mGluR2における光の開始に対する短い潜伏応答に注目されたい。B)BGAG
12,460:SNAP-mGluR2の青色光活性化は、照明中に持続的な振幅を伴う即時の抑制を引き起こし、続いて照明の終了後に一時的な興奮性リバウンドを引き起こす。光パルスが短くなる(光子の数が減少する)と、抑制とリバウンド励起の振幅が減少するが、反応速度は変化せず、短い遅延と高速な活性化と非活性化が維持される((Berry et al.(2017)前出より)。C)中波錐体オプシンの緑色光活性化は、遅延後に一時的な励起を引き起こす。光パルスが短くなるにつれて、ピーク応答までの遅延が増加し、非活性化が遅くなる((Berry et al.(2019)前出より)。
【0507】
図11。rd1マウスのRGCにおける
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2は、移動ディスプレイでの線パターンの認識が回復する。嫌悪関連条件付け用に構成された2チャンバーシャトルボックスは、それぞれのチャンバーのiPadに表示される視覚的合図を示す:4cm/秒または8cm/秒で左から右に移動する1cmまたは6cm離れた白い背景に幅1cmの黒色のバー。
【0508】
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2は、新しいオブジェクトの探査を回復する
上記の実験では、
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2が、コンピュータディスプレイを使用したパターン認識を可能にすることを示した。
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2が、周囲の入射光が3次元オブジェクトを照らす自然環境で動作するかどうかを調べた。これに対処するために、新規オブジェクトの認識と探索行動を試験するのに一般的に使用されるオープンフィールドアリーナが採用された。マウスは自然にオープンスペースを避け、周囲の壁に近づく。これらの安全な場所からの探索的な遠出は、新しい刺激によって動機付けられ得る。マウスは探索中に複数の感覚モダリティを使用するが、視覚は空間ナビゲーションにとって重要であることが示されている。アリーナは、2つの異なる新しいオブジェクトを含む立方体で構成されていた。マウスは、動物が壁に沿って歩いたり、他のオブジェクトを探索したりしても、偶発的な遭遇の可能性が低くなるように、オブジェクト自体から十分に離れたアリーナの壁に置かれた。未処置のrd1マウス、及びRGCまたはON-BCのいずれかで
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2を発現するrd1マウスが撮影された。彼らの動きは、最初にアリーナに配置されたときから10分間追跡された。遠方の視覚に依存する可能性が最も高い探索行動の側面、すなわち、新規オブジェクトの探索までの待ち時間が評価された。未処置のrd1マウスは、最初のオブジェクトに長い待ち時間があり、向きを変えるときに偶然オブジェクトに遭遇することがよくあった。データを
図12に示す。RGCまたはON-BCのいずれかにSNAP-mGluR2を含むRd1マウスは、β-シクロデキストリン中の
4xBGAG
12,460の硝子体内注射から5週間後の潜伏期間が短かった。これらの結果は、ON-BCまたはRGCのいずれかにおける
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2が、以前は盲目だった動物に、周囲光の下でオブジェクトの自然な視覚を提供することを示唆している。
【0509】
図12。rd1マウスのRGCまたはON-BCにおける、
4xBGAG
12,460:SNAP-mGluR2は、新規オブジェクト認識をサポートする。オープンフィールド行動アリーナには、2つの新規オブジェクトが含まれていた。マウスを追跡して、移動速度とオブジェクトの探索までの待ち時間を測定した。β-シクロデキストリン中の
4xBGAG
12,460の硝子体内注射の5週間後の、未処置のrd1マウス及びON-BCまたはRGCのいずれかにおいてSNAP-mGluR2を発現するrd1マウスにおける最初のオブジェクトの探索までの待ち時間。
【0510】
本発明をその具体的な実施態様を参照して説明したが、本発明の真の精神と範囲を逸脱することなくさまざまな変更がなされたり、均等物と置き換えたりすることができることは当業者によって理解されるべきである。さらに、特定の状況、物質、物質の組成、プロセス、プロセスステップ、またはステップを本発明の目的、趣旨及び範囲に適合させるために多くの改変がなされ得る。すべてのそのような改変は、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】