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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(54)【発明の名称】補強要素を有する複合材料圧力容器
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/06 20060101AFI20230622BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
F17C1/06
F16J12/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577709
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2021066143
(87)【国際公開番号】W WO2021255041
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】20180605.6
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521525527
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・ニュー・エナジーズ・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・クリエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘールト・ナウエン
【テーマコード(参考)】
3E172
3J046
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA01
3E172BB10
3E172BB13
3E172BC01
3E172BC04
3E172BD03
3E172CA14
3E172CA25
3E172DA36
3E172EA02
3E172EB02
3J046AA02
3J046AA14
3J046BA03
3J046BB02
3J046CA04
3J046DA05
3J046EA02
(57)【要約】
本発明は、複合材料圧力容器用の補強要素に関し、前記補強要素は、複合材料圧力容器のプラスチックライナーの中空シャフトに挿入されて中空シャフトを塞ぐように設けられ、前記中空シャフトは、ライナーの向かい合った壁を接続し、前記補強要素は、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維によって構成された中央部分と2つの外側部分とを備え、補強要素の中央部分は、中空シャフトの寸法と実質的に等しい寸法を有し、完全な部分であり、2つの外側部分は、広げてライナーの向かい合った壁の外面に固定することができる。本発明はまた、補強要素を備える複合材料圧力容器、および前記複合材料圧力容器を製造するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料圧力容器(2)用の補強要素(1)であって、前記補強要素(1)が、前記複合材料圧力容器(2)のプラスチックライナー(20)の中空シャフト(200)に挿入されて前記中空シャフト(200)を塞ぐように設けられ、前記中空シャフト(200)が、前記プラスチックライナー(20)の向かい合った壁を接続し、前記補強要素(1)が、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維(13)によって構成された中央部分(10)と2つの外側部分(11、12)とを備え、前記補強要素(1)の前記中央部分(10)が、前記中空シャフト(200)の中央部分(2001)の寸法と実質的に等しい寸法を有し、完全な部分であり、前記2つの外側部分(11、12)は、広げて前記プラスチックライナー(20)の向かい合った壁の外面に固定することができる、複合材料圧力容器(2)用の補強要素(1)。
【請求項2】
前記プラスチックライナー(20)の一方の壁の外面に固定されるように設けられた前記補強要素の一方の広げられた外側部分(11、12)の表面と前記補強要素(1)の前記中央部分(10)のセクションとの間の比率が、少なくとも5以上である、請求項1に記載の複合材料圧力容器(2)用の補強要素(1)。
【請求項3】
前記補強要素(1)の前記中央部分(10)および前記補強要素(1)の前記2つの外側部分(11、12)の前記連続繊維(13)が、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、およびアラミド繊維からなる群から選択される、請求項1または2に記載の複合材料圧力容器(2)用の補強要素(1)。
【請求項4】
a)向かい合った表面の対を備えるプラスチックライナー(20)であって、前記対のうちの少なくとも1つの対の前記向かい合った表面が、複数の中空シャフト(200)によって接続され、前記複数の中空シャフト(200)の端部が前記表面と一体であり、前記プラスチックライナー(20)が、前記中空シャフト(200)を横断して、前記中空シャフト(200)の中央部分(2001)に隣接する前記プラスチックライナー(20)の外面(2000)に接続された補強要素(1)をさらに備える、プラスチックライナー(20)と、
b)前記プラスチックライナー(20)を囲む繊維強化ポリマーシェル(21)であって、補強繊維(2100)および第2の樹脂マトリクスを含む連続繊維強化複合材料マトリクス(210)からから作られる、繊維強化ポリマーシェル(21)と、
を備える複合材料圧力容器(2)であって、
前記補強要素(1)が、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維(13)によって構成された中央部分(10)および2つの外側部分(11、12)を備え、前記補強要素(1)の前記中央部分(10)が、前記中空シャフト(200)の中央部分(2001)の寸法に実質的に等しい寸法を有し、完全な部分であり、前記補強要素(1)の前記2つの外側部分(11、12)が広げられて、前記プラスチックライナー(20)の向かい合った壁の外面に固定され、
前記補強要素(1)の前記連続繊維(13)が、前記プラスチックライナー(20)の向かい合った壁の外面および前記中空シャフト(200)の表面と平行である、複合材料圧力容器(2)。
【請求項5】
インサート(14)が、前記広げられた外側部分(11、12)の中央に配置されている、請求項4に記載の複合材料圧力容器(2)。
【請求項6】
前記インサート(14)が、金属インサートおよび繊維強化ペーストインサートの群から選択される、請求項5に記載の複合材料圧力容器(2)。
【請求項7】
前記プラスチックライナー(20)と前記補強要素(1)の前記広げられた外側部分(11、12)との間に配置された中間補強手段(16)を備える、請求項4から6のいずれか一項に記載の複合材料圧力容器(2)。
【請求項8】
前記中間補強手段(16)が樹脂含浸マットである、請求項7に記載の複合材料圧力容器(2)。
【請求項9】
少なくとも2つの隣接する補強要素(1)の前記広げられた外側部分(11、12)の前記連続繊維(13)が絡み合っている、請求項4から8のいずれか一項に記載の複合材料圧力容器(2)。
【請求項10】
前記中空シャフト(200)の外側部分がフレア状で前記プラスチックライナー(20)の外面に窪みを形成する、請求項4から9のいずれか一項に記載の複合材料圧力容器(2)。
【請求項11】
ガス入力部または出力部(17)が中空シャフト(200)に配置されている、請求項4から10のいずれか一項に記載の複合材料圧力容器。
【請求項12】
複合材料圧力容器(2)を製造するための方法であって、
結合ポイント(22)を有するプラスチックライナー(20)を成形するステップと、
前記結合ポイント(22)を切り取ることによって中空シャフト(200)を形成するステップと、
第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維(13)によって構成された中央部分(10)と少なくとも2つの外側部分(11、12)とを備える補強要素(1)を前記中空シャフト(22)に挿入するステップと、
前記補強要素(1)の前記外側部分(11、12)を広げるステップと、
前記補強要素(1)の前記外側部分(11、12)を前記プラスチックライナー(20)の外面に貼り付けるステップと、
前記プラスチックライナー(20)を囲む繊維強化ポリマーシェル(21)を巻くステップと、
前記複合材料圧力容器(2)を硬化させるステップと、
を含む、複合材料圧力容器(2)を製造するための方法。
【請求項13】
前記補強要素(1)の前記広げられた外側部分(11、12)にインサート(14)を挿入するステップを含む、請求項12に記載の複合材料圧力容器を製造するための方法。
【請求項14】
前記プラスチックライナー(20)と前記補強要素(1)の前記広げられた外側部分(11、12)との間に配置される中間補強手段を貼り付けるステップであって、前記補強要素の前記外側部分を広げる前記ステップの前に行われる、ステップを含む、請求項12または13に記載の複合材料圧力容器を製造するための方法。
【請求項15】
前記補強要素(1)の前記中央部分(10)を硬化させるステップが、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維によって構成された中央部分と2つの外側部分とを備える補強要素(1)を前記中空シャフト(22)に挿入する前記ステップの前に行われる、請求項12から14のいずれか一項に記載の複合材料圧力容器を製造するための方法。
【請求項16】
請求項4から11のいずれか一項に記載の複合材料圧力容器を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮天然ガス(CNG:compressed natural gas)タンク、圧縮水素ガス(CHG:compressed hydrogen gas)タンク、液化石油ガス(LPG:liquefied petroleum gas)タンクなどとして一般的に使用されている、インナーライナーを備えるタイプの複合材料圧力容器であって、インナーライナーは、繊維強化ポリマーシェルに囲まれ、プラスチック製で内部空洞を形成する、複合材料圧力容器に関する。特に、本発明の複合材料圧力容器は、特に変形しにくい。本発明はまた、前記複合材料圧力容器用の補強要素、前記複合材料圧力容器を製造するための方法、および前記複合材料圧力容器の少なくとも1つを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧で流体を貯蔵するための複合材料圧力容器は、金属圧力容器よりも軽量であるため、特に、輸送分野(自動車、航空宇宙、鉄道など)で燃料として圧縮流体を貯蔵するための圧力容器など、容器が移動する場合に有利である。複合材料圧力容器は、典型的には、ポリマー、例えば、PAまたはHDPEから作られるインナーライナーを備える。インナーライナーは、内部空洞を画定し、一般に、内部空洞を閉じるドーム形のキャップが両側に配置された、長手方向軸X1に沿って延在する実質的に円筒部分を備える。加圧流体を内部空洞に注入したり、内部空洞から抜き出したりするために、対応するコネクタを備えた少なくとも1つの開口が設けられている。圧力容器が加圧流体で満たされるとき、構造体を強固にして、内部空洞内の高圧に耐えられるようにするために、インナーライナーは繊維強化ポリマーシェル内に閉じ込められている。複合材料圧力容器の例は、例えば、特許文献1に記載されている。残念ながら、複合材料圧力容器は、その円筒形状により、車両の構造体への挿入が困難である。
【0003】
特許文献2は、例えば、現在のガソリンタンクの代わりに、より容易に車両に組み込むことができる円筒形以外の形状を有する複合材料圧力容器を開示している。この複合材料圧力容器は複数の管状要素を備え、複数の管状要素は、補強ストリップを備え、補強ストリップは、管状要素を通過し、前記管状要素に隣接する内包材の面に接続される。それにもかかわらず、このような複合材料圧力容器は、圧力サイクル変動中に高いせん断応力、特に層間せん断応力を受け、それは、複合圧力容器の早期ブレーキにつながり、耐破裂圧力を低下させる可能性がある。さらに、同じストリップが2つの異なる管状要素を通過するように配置することは容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018007367号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1067300号明細書
【特許文献3】仏国特許出願第18 72197号
【特許文献4】仏国特許出願公開第1431135号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】国際連合、「Adoption of Uniform Technical Prescriptions for Wheeled Vehicles, Equipment and Parts which can be Fitted and/or be Used on Wheeled Vehicles and the Conditions for Reciprocal Recognition of Approvals Granted on the Basis of these Prescriptions」に関する追記109:規則第110号、2014年6月25日
【非特許文献2】国際連合、「Adoption of Uniform Technical Prescriptions for Wheeled Vehicles, Equipment and Parts which can be Fitted and/or be Used on Wheeled Vehicles and the Conditions for Reciprocal Recognition of Approvals Granted on the Basis of these Prescriptions」に関する追記133:規則第134号、2015年6月25日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、円筒形以外の形状で、容易に車両へ組み込むことができ、容易に製造することができる、高圧力変動に対応できる複合材料圧力容器に対する必要性が存在する。
【0007】
本発明は、圧力サイクル変動時に引き起こされる複合材料圧力容器のせん断応力を低減する複合材料圧力容器の形状の制限の問題に対する解決策を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特に、本発明は、複合材料圧力容器用の補強要素に関し、前記補強要素は、複合材料圧力容器のプラスチックライナーの中空シャフトに挿入されて中空シャフトを塞ぐように設けられ、前記中空シャフトは、中央部分を備え、プラスチックライナーの向かい合った壁を接続し、前記補強要素は、中央部分と2つの外側部分とを備え、補強要素は、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維によって構成され、補強要素の中央部分は、中空シャフトの中央部分の寸法と実質的に等しい寸法を有し、完全な部分であり、2つの外側部分は、広げてライナーの向かい合った壁の外面に固定することができる。補強要素の中央部分および2つの外側部分は、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維からなり、本質的にそれらからなることが好ましい。
【0009】
「連続繊維」という表現によって、補強要素の繊維が、ライナーと接触する表面に沿って全て一体であり、ライナーの表面のプロファイルと平行であり、外側部分の先端部の繊維の長さが、フレア状でライナーの外面に窪みを形成する中空シャフトの外側部分を塞ぐことができるような長さであることを意味するように意図する。言い換えれば、広げられるように設けられた外側部分の先端部は、ライナーとの接触を最大化するために、傾斜形状を有することができることが好ましい。「2つの外側部分は、広げることができる」という表現によって、補強要素の2つの外側部分の、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維の全ての繊維が、中空シャフトの外側部分の輪郭に従って、中空シャフトの外側部分の輪郭に隣接する向かい合った壁の外面を覆うように広がることができるほど十分に可撓性があることを意味するように意図する。補強要素の2つの外側部分が、外側部分にわたって展開されて広げられることが理解される。それは、片手に持った皮をむいたバナナのようなものであり、バナナの皮は、握った親指と人差し指との輪郭に従い、握った親指と人差し指との輪郭に隣接する手の残りを覆うように広げられる。「完全な部分である」という表現によって、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維が、補強要素の中央部分において、広げられていないことを意味するように意図する。
【0010】
「補強要素の中央部分の寸法」および「中空シャフトの中央部分の寸法」によって、それぞれ、補強要素および中空シャフトの横断面における中央部分の寸法を意味するように意図する。このような横断面は、それぞれ、補強要素および中空軸の主軸の方向と考えることができる、それぞれ、補強要素および中空軸の長手方向に関して与えられる。典型的には、補強要素および中空シャフトの長手方向は、それぞれ、プラスチックライナーの向かい合った両方の壁に対して垂直に延在する。例えば、前記寸法は、中央部分の直径に関係する。
【0011】
また、中央部分と2つの外側部分とを備える補強要素の全体が、補強要素の全長にわたって延在する複数の連続繊維からなることも理解されよう。
【0012】
連続繊維は、ライナーの頂部「水平」面から始まり、プラスチックライナーの中空シャフトを通り、ライナーの反対側の底部「水平」面まで達する。「水平面」という表現によって、中空シャフトの主軸が地面に対して鉛直であるように複合材料圧力容器が向けられたときに水平であるプラスチックライナーの表面を意味するように意図することが好ましい。
【0013】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器用の補強要素は、ライナーの一方の壁の外面に固定されるように設けられた補強要素の一方の広げられた外側部分の表面と補強要素の中央部分のセクションとの間の比率が、少なくとも5以上であるように構成される。ライナーの一方の壁の外面に固定されるように設けられた一方の広げられた外側部分の表面と中央部分のセクションとの間の比率が少なくとも5以上であることにより、有利にも、複合材料圧力容器の構造に生じる応力をより良く分配することができ、せん断力を低減する。さらに、前記比率により、接触面を増大して、特に、補強要素とプラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルとの間を接続する樹脂のせん断応力を低減することができる。この比率により、所与の自動車の環境に対して限定的な減容が可能になる。せん断応力は、非特許文献1および2に規定されているように複合材料圧力容器の圧力サイクル試験中に特に試験される。これに続いて、複合材料圧力容器の補強要素および繊維強化ポリマーシェルの使用される材料の量、したがって重量が制限され得る。
【0014】
公称作動圧力が200バール~250バールのCNG容器に対して、補強要素の中央部分の制限された断面積の大きさが100mm~300mmであり、プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルへの荷重伝達のための許容等価接続面が、典型的には、3000mm~15000mmであることが好ましい。「等価接続面」という表現によって、プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルの内面と接触するように設けられた補強要素の広げられた外側部分の外面を意味するように意図する。「等価接続面」は、プラスチックライナーの外面の中空シャフトの外側端部、すなわち中空シャフトの開口によって画定される表面に等しいことが好ましい。
【0015】
プラスチックライナーの壁の外面に固定されるように設けられた補強要素の2つの広げられた外側部分の表面が等しいことが好ましい。これにより、複合材料圧力容器によって引き起こされる応力の良好なバランスを得ることができる。
【0016】
物体の「外面」または「内面」という表現によって、それぞれ、複合材料圧力容器の内部の反対側の方向の表面、および複合材料圧力容器の内部方向の表面を意味するように意図する。
【0017】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器用の補強要素は、補強要素の中央部分がロッドであるように構成される。これにより、複合材料圧力容器のプラスチックライナーの中空シャフトに補強要素を最も容易に挿入することができることが有利である。この円形断面により、補強要素の全周への均一な荷重分布が可能になるが、正方形、長方形、複数のローブなど、他の断面も可能であり得る。
【0018】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器用の補強要素は、補強要素の中央部分および補強要素の2つの外側部分の連続繊維が、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、およびアラミド繊維からなる群から選択されるように構成される。連続繊維に含浸させる第1の樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であることが好ましい。補強要素の中央部分および2つの外側部分の連続繊維に含浸させる第1の樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、またはポリウレタン樹脂などの高分子樹脂であることがより好ましい。
【0019】
鋼製の補強要素と比較して、本発明による補強要素は、重量および体積の低減を可能にする。さらに、連続繊維を使用することにより、接続または連結の必要性を回避することができ、それによって、補強要素およびプラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルの重量および体積を低減するとともに、応力集中を減少させることができる。
【0020】
本発明の目的はまた、
a)向かい合った表面の対を備えるプラスチックライナーであって、これらの対のうちの少なくとも1つの対の向かい合った表面は、複数の中空シャフトによって接続され、複数の中空シャフトの端部はこれらの表面と一体であり、プラスチックライナーは、中空シャフトを横断して、中空シャフトの中央部分に隣接するプラスチックライナーの外面に接続された補強要素をさらに備える、プラスチックライナーと、
b)プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルであって、補強繊維および第2の樹脂マトリクスを含む連続繊維強化複合材料マトリクスから作られる、繊維強化ポリマーシェルと、
を備える複合材料圧力容器に関し、
- ここで、補強要素は、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維によって構成された中央部分と2つの外側部分とを備え、補強要素の中央部分は、中空シャフトの寸法に実質的に等しい寸法を有し、完全な部分であり、2つの外側部分は広げられて、プラスチックライナーの向かい合った壁の外面に固定され、
- ここで、補強要素の連続繊維は、ライナーの向かい合った壁の外面および中空シャフトの表面と平行である。
【0021】
本発明による複合材料圧力容器は、高圧力変動に対応し、車両への組み込みがより容易である。本発明による複合材料圧力容器は、複数の中空シャフトを備えるプラスチックライナーを備え、前記プラスチックライナーにおいて、中空シャフトに隣接するプラスチックライナーの外面に接続された補強要素は中空シャフトを横断する。
【0022】
中空シャフトの中央部分は、管状の形状を有することが好ましい。
【0023】
プラスチックライナーは、タンクを満たすための、かつ空にするための少なくとも1つの開口を含む。プラスチックライナーは、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリウレタン、シリコーンなどの熱可塑性ポリマー材料または熱硬化性ポリマー材料(「熱硬化性(thermoset)」と略す)の射出成形または回転成形または押出ブロー成形によって製造される。熱可塑性ポリマー材料は、補強繊維を入れて複合材料を構成することが有利である。補強繊維は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、ポリマー繊維、シリカ繊維、ポリエチレン繊維、天然繊維、繊維金属、金属合金繊維、またはセラミック繊維である。これらの繊維により、プラスチックライナーの変形に対する抵抗力が増大する。補強繊維が入った高分子材料では、補強繊維と高分子材料とが絡み合って一体材料を形成する。このような複合材料は、本出願人による2018年11月30日出願の特許文献3に記載されている。
【0024】
あるいは、ライナーは、フィラメントを巻くことによって製造される。フィラメントを巻くことによって容器を製造する例は、特許文献4に記載されている。
【0025】
次いで、このプラスチックライナーは、繊維強化ポリマーシェルで覆われ、これは、タンク内に入っている流体によって及ぼされる圧力(内圧と略す)に耐えることができなければならないタンクの本体、すなわち、タンクの耐圧構造体を構成する。繊維強化ポリマーシェルは、一般にタンクを密封する必要はない。
【0026】
この繊維強化ポリマーシェルは、
- 一般的に、ガラス、カーボン、バサルトの連続繊維、またはシリカ繊維、さらには植物繊維などの類似のものから形成される補強材と、
- 繊維(フィラメントを巻くプロセス)と同時に、または、外皮が、乾燥した「プリフォーム」を形成するように製造された後に付着される第2の樹脂と、
からなる。次いで、この乾燥したプリフォームは、必要な剛性を与えるために固められる。この固化は、第2の樹脂の注入、第2の樹脂の前記プリフォームへの浸透(注入によるプロセス)、または、さらには真空下での第2の樹脂によるプリフォームの含浸を用いて行われる。
【0027】
補強要素の中央部分および2つの外側部分の複数の連続繊維に含浸させる第1の樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である。第1の樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、またはポリウレタン樹脂などの高分子樹脂であることがより好ましい。
【0028】
プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルの第2の樹脂も、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である。第1の樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、またはポリウレタン樹脂などの高分子樹脂であることがより好ましい。第1の樹脂と第2の樹脂とは、同じ材料で作られることが好ましい。補強要素の中央部分および2つの外側部分の連続繊維は、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、およびアラミド繊維からなる群から選択される。
【0029】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器は、プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルの内面と、補強要素の外側部分の外面と、が直接接触するように構成される。プラスチック製ライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルの内面と補強要素の外側部分の外面との間に隙間がないことにより、ライナーの亀裂、または複合材料圧力容器の構造における脆弱点の存在の危険性が低減される。最後に、隙間がないことにより、繊維強化ポリマーシェルのフィラメントを巻くための平らな表面を有することができる。
【0030】
特定の実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器は、ライナーと接触している補強要素の表面がライナーの表面に付着するように構成される。
【0031】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器は、広げられた外側部分の中央にインサートが配置されるように構成される。インサートは、金属インサートおよび繊維強化ペーストインサートの群から選択されることが好ましい。繊維強化ペーストインサートの繊維は、連続繊維、ロングチョップド繊維、ショートチョップド繊維、粉砕繊維、またはそれらの少なくとも2つの組合せからなる群から選択される。インサートが、補強要素の第1の樹脂および/または繊維強化ポリマーシェルの第2の樹脂と適合性のある材料から作られることにより、非特許文献1および2による圧力サイクル試験に対する耐性が高くなることができることが有利である。さらに、ペーストに入っている炭素繊維の量が多いと、このインサートの早期亀裂または早期破損につながる高い圧縮抵抗を有する非常に硬い構成要素になる。繊維ペーストの1つの追加の利点は、堆積時にあらゆる表面の凹凸に対応できることであり、これにより、ペーストと補強要素との間、またはペーストと繊維強化ポリマーシェルとの間のいかなる空隙の存在も防止する。
【0032】
ペースト内部に組み込まれる繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、またはシリカ繊維、さらには植物繊維などの類似のものであり得る。
【0033】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器は、インサートの上方に配置されたブロッキング手段を備える。前記ブロッキング手段は、第3の樹脂を含浸させた繊維ディスクであることが好ましい。
【0034】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器は、プラスチックライナーと補強要素の広げられた外側部分との間に配置された中間補強手段を備える。中間補強手段により、補強要素の荷重は、プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルによりよく伝達し、したがって、せん断応力を低減することができる。中間補強手段により、より小さな「等価接続面積」が得られ、より容易に一体化することができ、それによって、重量および体積に関する利益が得られる。中間補強手段は樹脂含浸マットであることが好ましい。鋼またはアルミニウムなどの金属製の中間補強手段と比較して、樹脂含浸マット製の中間補強手段は、重量に関する利益が得られる。中間補強手段は、補強要素および/またはプラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルと同じ材料から作られることが好ましい。中間補強手段を、補強要素および/またはプラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルと同様の材料から作ることにより、複合材料圧力容器へのより良い一体化が可能になり、それは、中間補強手段、補強要素、およびプラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルの間でのより良い接着をもたらす。中間補強手段、補強要素、およびプラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルは、複合材料圧力容器の他の部分と同時に硬化することができ、それにより均質な複合材料構造体になる。
【0035】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器は、少なくとも2つの隣接する補強要素の広げられた外側部分の連続繊維が絡み合っているように構成される。少なくとも2つの隣接する補強要素の広げられた外側部分の繊維を絡み合わせることにより、国際連合の非特許文献1および2による複合材料圧力容器の圧力サイクル耐性を高めるより良い荷重分布が得られる。さらに、この解決策は、補強要素が互いに接近する必要がある場合に特に好ましい。
【0036】
特定の実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器は、中空シャフトの外側部分が、フレア状で中空シャフトの中央部分に隣接するプラスチックライナーの外面に窪みを形成するようなものである。ライナーの形状の窪みは、補強要素の配置後、窪みの存在(平らな表面になることが好ましい)により、プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルを下向きに巻く(descent winding)ことができることを可能にすることが有利である。
【0037】
別の特定の実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器は、ガス入力部または出力部が中空シャフトに配置されるように構成される。
【0038】
本発明の他の目的は、複合材料圧力容器を製造するための方法を提供することであり、本方法は、
・結合ポイント(kiss-point)を有するプラスチックライナーを成形するステップと、
・結合ポイントを切り取ることによって中空シャフトを形成するステップと、
・第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維によって構成された中央部分と2つの外側部分とを備える補強要素を中空シャフトに挿入するステップと、
・補強要素の外側部分を広げるステップと、
・補強要素の外側部分をプラスチックライナーの外面に貼り付けるステップと、
・プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルを巻くステップであって、シェルの繊維は、巻く前、巻いているとき、巻いた後に、第2の樹脂を含浸させることが好ましい、ステップと、
・複合材料圧力容器を硬化させるステップと、
を含む。
【0039】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器を製造するための方法は、補強要素を硬化させるステップ、好ましくは補強要素を部分的に硬化させるステップを含む。補強要素を硬化させるステップ、好ましくは補強要素を部分的に硬化させるステップは、補強要素の中央部分に行われることが好ましい。補強要素を硬化させる前記ステップ、好ましくは補強要素を部分的に硬化させる前記ステップは、局所加熱(IR)またはUV硬化によって行われる。シェルの繊維に第2の樹脂を含浸させるステップは、硬化させるステップの前に行われる。
【0040】
特定の実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器を製造するための方法は、補強要素の広げられた外側部分に、好ましくは補強要素の広げられた外側部分の中央にインサートを挿入するステップを含む。インサートの上方に配置されるブロッキング手段を配置するステップは、インサートを挿入するステップの後に行われることが好ましい。
【0041】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器を製造するための方法は、ライナーと補強要素の広げられた外側部分との間に配置される中間補強手段を貼り付けるステップを含み、前記ステップは、補強要素の外側部分を広げるステップの前に行われる。
【0042】
好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料圧力容器を製造するための方法は、補強要素の中央部分を硬化させるステップを含み、前記硬化させるステップは、ポリマーを含浸させた複数の連続繊維によって構成された中央部分と2つの外側部分とを備える補強要素を中空シャフトに挿入するステップの前に行われる。
【0043】
本発明の別の目的は、上で詳述した本発明による複合材料圧力容器を備える車両を提供することである。
【0044】
本発明の上記の、および他の特質、特徴、および利点は、例によって本発明の原理を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになろう。この説明は、本発明の範囲を限定するのではなく、例示のためだけに与えられている。以下に引用される参照図は、添付図面を指す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】複合材料圧力容器に挿入された、本発明による補強要素の第1の実施形態の鉛直方向の断面図である。
図2】複合材料圧力容器に挿入された、本発明による補強要素の第2の実施形態の鉛直方向の断面図である。
図3】本発明による複合材料圧力容器の第1の実施形態の鉛直方向の部分断面図である。
図4】本発明による複合材料圧力容器の第1の実施形態における中間補強手段の固定ステップを示す、上方から見た図である。
図5】広げられた外側部分によって覆われる面を示す図である。
図6】本発明による複合材料圧力容器の第2の実施形態の鉛直方向の断面図である。
図7】中空シャフトに配置されたガス入力部または出力部を備える、本発明による複合材料圧力容器の鉛直方向の断面図である。
図8】本発明による複合材料圧力容器の製造方法の、結合ポイントを有するプラスチックライナーを成形するステップを示す鉛直方向の断面図である。
図9】本発明による複合材料圧力容器の製造方法の、結合ポイントを切り取ることによって中空シャフトを形成するステップを示す鉛直方向の断面図である。
図10】本発明による複合材料圧力容器の製造方法の、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維によって構成された中央部分と少なくとも2つの外側部分とを備える補強要素を中空シャフトに挿入するステップを示す鉛直方向の断面図である。
図11】本発明による複合材料圧力容器の製造方法の、補強要素の外側部分を広げ、補強要素の外側部分をプラスチックライナーの外面に貼り付けるステップを示す鉛直方向の断面図である。
図12】本発明による複合材料圧力容器の製造方法の、補強要素の広げられた外側部分の間にインサートを挿入するステップを示す鉛直方向の断面図である。
図13】本発明による複合材料圧力容器の製造方法の、プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルを巻くステップを示す鉛直方向の断面図である。
図14】a)およびb)は、プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェルの可能な巻きパターンを示す図である。
図15】繊維強化ポリマーシェルを巻くための固定点として使用されるボスの可能な位置を示す図である。
図16】複合材料圧力容器のガス入力部または出力部の可能な位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
異なる図において、同じ参照符号は、同じまたは類似の要素を指す。
【0047】
本発明は、特定の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明されるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明する図面は、概略的なものに過ぎず、非限定的なものである。図面では、いくつかの要素の大きさは、例示のために誇張され、縮尺通りに描かれていない場合がある。寸法および相対的な寸法は、本発明の実施への実際の変形に対応していない。
【0048】
特許請求の範囲で使用される「備える、含む(comprising)」という用語は、その後に列挙される手段に限定されると解釈すべきではなく、他の要素またはステップを除外するものではないことに留意されたい。したがって、言及されるような、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を特定するが、他の特徴、整数、ステップ、もしくは構成要素、またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないと解釈されたい。したがって、「手段AおよびBを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。それは、本発明に関して、デバイスの単に関連する構成要素がAおよびBであることを意味する。
【0049】
図1は、複合材料圧力容器(2)に挿入された、本発明による補強要素(1)の第1の実施形態の鉛直方向の断面図である。補強要素(1)は、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維(13)によって構成された中央部分(10)と2つの外側部分(11、12)とを備える。繊維(13)は、ライナー(20)と接触する表面に沿って全て一体であり、ライナー(20)の表面のプロファイルと平行であり、外側部分(11、12)の先端部の繊維(13)の長さは、フレア状でプラスチックライナー(20)の外面に窪みを形成する中空シャフト(200)の外側部分(2000)を塞ぐことができるような長さである。広げられるように設けられた外側部分(11、12)の先端部は、ライナー(20)との接触を最大化するために、傾斜形状を有することができることが好ましい。補強要素(1)は、複合材料圧力容器(2)のプラスチックライナー(20)の中空シャフト(200)を塞ぎ、前記中空シャフト(200)は、プラスチックライナー(20)の向かい合った壁を接続する。補強要素(1)の中央部分(10)は、中空シャフト(200)の中央部分(2001)の寸法と実質的に等しい寸法を有し、完全な部分であり、補強要素の2つの外側部分(11、12)は、広げてプラスチックライナー(20)の向かい合った壁の外面に固定することができる。複合材料圧力容器(2)のプラスチックライナー(20)は、プラスチックライナー(20)を囲む繊維強化ポリマーシェル(21)を備え、前記繊維強化ポリマーシェル(21)は、補強繊維(2100)および第2の樹脂マトリクスを備える連続繊維強化複合材料マトリクス(210)から作られる。補強要素(1)は、2つの外側部分(11、12)にインサート(14)を備える。前記インサート(14)は、広げられた外側部分(11、12)の中央に配置される。インサート(14)は、金属インサートおよびチョップド炭素繊維ペーストインサートの群から選択されることが好ましい。インサートは、補強要素の第1の樹脂および/または繊維強化ポリマーシェル外側複合材料の第2の樹脂と適合性のある材料から作られることが有利である。
【0050】
図2は、複合材料圧力容器(2)に挿入された、本発明による補強要素(1)の第2の実施形態の鉛直方向の断面図である。補強要素(1)は、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維(13)によって構成された中央部分(10)と2つの外側部分(11、12)とを備える。繊維(13)は、ライナー(20)と接触する表面に沿って全て一体であり、ライナー(20)の表面のプロファイルと平行であり、外側部分(11、12)の先端部の繊維(13)の長さは、フレア状でプラスチックライナー(20)の外面に窪みを形成する中空シャフト(200)の外側部分(2000)を塞ぐことができるような長さである。広げられるように設けられた外側部分(11、12)の先端部は、ライナー(20)との接触を最大化するために、傾斜形状を有することができることが好ましい。補強要素(1)は、複合材料圧力容器(2)のプラスチックライナー(20)の中空シャフト(200)を塞ぎ、前記中空シャフト(200)は、プラスチックライナー(20)の向かい合った壁を接続する。補強要素(1)の中央部分(10)は、中空シャフト(200)の中央部分(2001)の寸法と実質的に等しい寸法を有し、完全な部分であり、補強要素の2つの外側部分(11、12)は、広げてプラスチックライナー(20)の向かい合った壁の外面に固定することができる。複合材料圧力容器(2)のプラスチックライナー(20)は、プラスチックライナー(20)を囲む繊維強化ポリマーシェル(21)を備え、前記繊維強化ポリマーシェル(21)は、補強繊維(2100)および第2の樹脂マトリクスを備える連続繊維強化複合材料マトリクス(210)から作られる。補強要素(1)は、2つの外側部分(11、12)にインサート(14)を備える。前記インサート(14)は、広げられた外側部分(11、12)の中央に配置される。インサート(14)は、金属インサートおよびチョップド炭素繊維ペーストインサートの群から選択されることが好ましい。インサートは、補強要素の第1の樹脂および/または繊維強化ポリマーシェル外側複合材料の第2の樹脂と適合性のある材料から作られることが有利である。補強要素(1)は、インサート(14)の上方に配置されたブロッキング手段(15)を備える。前記ブロッキング手段は、第3の樹脂を含浸させた繊維ディスクであることが好ましい。
【0051】
図3は、本発明による複合材料圧力容器(2)の第1の実施形態の鉛直方向の部分断面図である。複合材料圧力容器(2)は、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維(13)によって構成された中央部分(10)と2つの外側部分(11、12)とを有する2つの補強要素(1)を備える。繊維(13)は、ライナー(20)と接触する表面に沿って全て一体であり、ライナー(20)の表面のプロファイルと平行であり、外側部分(11、12)の先端部の繊維(13)の長さは、フレア状でプラスチックライナー(20)の外面に窪みを形成する中空シャフト(200)の外側部分(2000)を塞ぐことができるような長さである。広げられるように設けられた外側部分(11、12)の先端部は、ライナー(20)との接触を最大化するために、傾斜形状を有することができることが好ましい。補強要素(1)は、複合材料圧力容器(2)のプラスチックライナー(20)の中空シャフト(200)を塞ぎ、前記中空シャフト(200)は、プラスチックライナー(20)の向かい合った壁を接続する。補強要素(1)の中央部分(10)は、中空シャフト(200)の中央部分(2001)の寸法と実質的に等しい寸法を有し、完全な部分であり、補強要素の2つの外側部分(11、12)は、広げてプラスチックライナー(20)の向かい合った壁の外面に固定することができる。中空シャフト(200)の外側部分は、フレア状であり、プラスチックライナー(20)の外面に窪みを形成する。複合材料圧力容器(2)のプラスチックライナー(20)は、プラスチックライナー(20)を囲む繊維強化ポリマーシェル(21)を備え、前記繊維強化ポリマーシェル(21)は、補強繊維(2100)および第2の樹脂マトリクスを備える連続繊維強化複合材料マトリクス(210)から作られる。補強要素(1)は、2つの外側部分(11、12)にインサート(14)を備える。前記インサート(14)は、広げられた外側部分(11、12)の中央に配置される。インサート(14)は、金属インサートおよびチョップド炭素繊維ペーストインサートの群から選択されることが好ましい。インサートは、補強要素の第1の樹脂および/または繊維強化ポリマーシェル外側複合材料の第2の樹脂と適合性のある材料から作られることが有利である。複合材料圧力容器は、プラスチックライナー(20)と補強要素(1)の広げられた外側部分(11、12)との間に配置された中間補強手段(16)を備える。中間補強手段は、樹脂含浸マットであることが有利である。中間補強手段(16)は、この場合、いくつかの中空シャフトを覆ってもよく、中間補強手段(16)は、中空シャフト(200)に補強要素(1)を挿入することを可能にする開口を備える。
【0052】
図4は、本発明による複合材料圧力容器(2)の第1の実施形態における中間補強手段(16)の固定ステップを示す、上方から見た図である。中間補強手段(16)は、複数の開口(161)を備える。中間補強手段の各開口(161)は、中空シャフトの開口端の上部に配置される。補強要素が各中空シャフトに挿入され、補強要素の外側部分(11、12)が広げられる。インサート(14)は、広げられた外側部分(11、12)の中央に挿入される。
【0053】
図5は、広げられた外側部分(11、12)によって覆われる面を示す。
【0054】
図6は、本発明による複合材料圧力容器(2)の第2の実施形態の鉛直方向の断面図である。複合材料圧力容器(2)は、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維(13)によって構成された中央部分(10)と2つの外側部分(11、12)とを有する2つの補強要素(1)を備える。繊維(13)は、ライナー(20)と接触する表面に沿って全て一体であり、ライナー(20)の表面のプロファイルと平行であり、外側部分(11、12)の先端部の繊維(13)の長さは、フレア状でプラスチックライナー(20)の外面に窪みを形成する中空シャフト(200)の外側部分(2000)を塞ぐことができるような長さである。広げられるように設けられた外側部分(11、12)の先端部は、ライナー(20)との接触を最大化するために、傾斜形状を有することができることが好ましい。補強要素(1)は、複合材料圧力容器(2)のプラスチックライナー(20)の中空シャフト(200)を塞ぎ、前記中空シャフト(200)は、プラスチックライナー(20)の向かい合った壁を接続する。補強要素(1)の中央部分(10)は、中空シャフト(200)の中央部分(2001)の寸法と実質的に等しい寸法を有し、完全な部分であり、補強要素の2つの外側部分(11、12)は、広げてプラスチックライナー(20)の向かい合った壁の外面に固定することができる。中空シャフト(200)の外側部分は、フレア状であり、プラスチックライナー(20)の外面に窪みを形成する。複合材料圧力容器(2)のプラスチックライナー(20)は、プラスチックライナー(20)を囲む繊維強化ポリマーシェル(21)を備え、前記繊維強化ポリマーシェル(21)は、補強繊維および第2の樹脂マトリクスを備える連続繊維強化複合材料マトリクス(210)から作られる。補強要素(1)は、2つの外側部分(11、12)にインサート(14)を備える。前記インサート(14)は、広げられた外側部分(11、12)の中央に配置される。インサート(14)は、金属インサートおよびチョップド炭素繊維ペーストインサートの群から選択されることが好ましい。インサートは、補強要素の第1の樹脂および/または繊維強化ポリマーシェル外側複合材料の第2の樹脂と適合性のある材料から作られることが有利である。少なくとも2つの隣接する補強要素(1)の広げられた外側部分(11、12)の連続繊維(13)は、絡み合っている。
【0055】
図7は、中空シャフト(200)に配置されたガス入力部または出力部(17)を備える、本発明による複合材料圧力容器(2)を示す。
【0056】
図8は、本発明による複合材料圧力容器(2)の製造方法の、結合ポイント(22)を有するプラスチックライナー(20)を成形するステップを示す鉛直方向の断面図である。中空シャフト(200)は、中央部分(2001)と、フレア状でプラスチックライナー(20)の外面に窪みを形成する外側部分(2000)と、を備える。結合ポイント(22)は依然として存在している。
【0057】
図9は、本発明による複合材料圧力容器(2)の製造方法の、結合ポイント(22)を切り取ることによって中空シャフト(200)を形成するステップを示す鉛直方向の断面図である。得られた中空シャフト(200)は、中央部分(2001)と、フレア状でプラスチックライナー(20)の外面に窪みを形成する外側部分(2000)と、を備える。中空シャフトの中央部分は、管状であることが好ましい。
【0058】
図10は、本発明による複合材料圧力容器(2)の製造方法の、第1の樹脂を含浸させた複数の連続繊維によって構成された中央部分(10)と少なくとも2つの外側部分(11、12)とを備える補強要素(1)を中空シャフト(200)に挿入するステップを示す鉛直方向の断面図である。
【0059】
図11は、本発明による複合材料圧力容器(2)の製造方法の、補強要素(1)の外側部分(11、12)を広げ、補強要素(1)の外側部分(11、12)をプラスチックライナー(20)の外面に貼り付けるステップを示す鉛直方向の断面図である。
【0060】
図12は、本発明による複合材料圧力容器(2)の製造方法の、補強要素(1)の広げられた外側部分(11、12)の間にインサート(14)を挿入するステップを示す鉛直方向の断面図である。
【0061】
図13は、本発明による複合材料圧力容器(2)の製造方法の、プラスチックライナー(20)を囲む繊維強化ポリマーシェル(21)を巻くステップを示す鉛直方向の断面図である。
【0062】
図14a)および図14b)は、プラスチックライナーを囲む繊維強化ポリマーシェル(21)の可能な巻きパターンを示す。
【0063】
図15は、繊維強化ポリマーシェル(21)を巻くための固定点として使用されるボスの可能な位置を示す図である。前記固定点は、一方の側のボス(18)、および複合材料圧力容器の反対側に配置された「ブラインド」ボス、すなわち開口のないボスである。
【0064】
図16は、ガス入力部または出力部(30、31、32)の可能な位置を示す。
【符号の説明】
【0065】
1 補強要素
2 複合材料圧力容器
10 中央部分
11 外側部分
12 外側部分
13 繊維
14 インサート
15 ブロッキング手段
16 中間補強手段
17 ガス入力部または出力部
18 ボス
20 プラスチックライナー
21 繊維強化ポリマーシェル
22 結合ポイント
30 ガス入力部または出力部
31 ガス入力部または出力部
32 ガス入力部または出力部
161 開口
200 中空シャフト
210 連続繊維強化複合材料マトリクス
2000 外側部分
2001 中央部分
2100 補強繊維
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a)】
図14b)】
図15
図16
【国際調査報告】