(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】NPR鉄筋棒材の加工プロセス
(51)【国際特許分類】
B23P 23/00 20060101AFI20230623BHJP
B21D 45/00 20060101ALI20230623BHJP
B21H 3/00 20060101ALI20230623BHJP
B21B 1/16 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B23P23/00 Z
B21D45/00 Z
B21H3/00 Z
B21B1/16 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511207
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2020118267
(87)【国際公開番号】W WO2021032215
(87)【国際公開日】2021-02-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520176038
【氏名又は名称】ファ,マンチャオ
【氏名又は名称原語表記】HE,Manchao
(71)【出願人】
【識別番号】520176049
【氏名又は名称】シア,ミン
【氏名又は名称原語表記】XIA,Min
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ファ,マンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】シア,ミン
(72)【発明者】
【氏名】グゥオ,ホンイェン
(72)【発明者】
【氏名】リィー,ホンチァオ
【テーマコード(参考)】
4E002
【Fターム(参考)】
4E002AC13
4E002BD03
(57)【要約】
NPR鉄筋棒材の加工プロセスであって、NPR鉄筋は、冷間加工状態であり、その降伏強度が800Mpa~950Mpaであり、引張強度が900MPa~1100MPaであり、最大伸び率≧10~40%であり、加工プロセスのステップとしては、一字状材料供給工程L20、巻き戻し工程L30、レベリング工程L40、突合せ溶接工程L50、グリットブラスト工程L60、曲がり取り工程L70、先付け工程L80、液圧ヘッドプッシング工程L90、冷間引抜螺旋工程L10、直進式連続伸線牽引工程L11、予備曲がり取り工程L12、精密曲がり取り工程L13、切断工程L14を含む。この加工プロセスは、NPR鉄筋、NPR冷間圧延螺旋鉄筋、NPRプレストレスト鉄筋の全自動インテリジェント化の生産要求を満たすことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NPR鉄筋棒材の加工プロセスであって、前記NPR鉄筋は、冷間加工状態であり、その降伏強度が800Mpa~950Mpaであり、引張強度が900MPa~1100MPaであり、最大伸び率≧10~40%であり、前記加工プロセスのステップとして、
材料供給ラックの一端が動かずに固定されるようにして、鉄筋の首尾溶接を行い、鉄筋の先端頭部にノンストップの首尾溶接を実現する一字状材料供給工程L20と、
鉄筋の進行方向に従って、一字状巻き戻し機に牽引動力を供給するとともに、鉄筋に対する初期的なレベリングを行い、インテリジェント産業用制御機器によって伸線機と同期化して、後続の工程のために鉄筋を同期して搬送する巻き戻し工程L30と、
鉄筋ホイールによる転動レベリング方式を採用し、鉄筋を繰り返し曲げることにより、鉄筋の応力を失わせ、鉄筋を平直とし、その表面に傷がないようにするレベリング工程L40と、
PLCデジタル制御技術を採用し、鉄筋の直径に合わせて電流の大きさを制御し、鉄筋の溶接に必要な時間及び溶接電流に従って鉄筋を溶接し、溶接完了後に鉄筋の溶接表面のバリを自動的に除去する突合せ溶接工程L50と、
インテリジェントデジタル制御技術を採用して統括制御機器とネットワーキング通信を行い、加工すべき鉄筋の直径及び鉄筋表面の要求に応じてスチールグリットの吐出量を自動的に調整して、NPR熱間圧延鉄筋の表面における酸化スケール及び表面欠陥に対してオンライン処理を行うグリットブラスト工程L60と、
鉄筋表面に対するグリットブラスト処理の後に、曲がり取り機を介して曲がり取りを行い、鉄筋をより平直とする曲がり取り工程L70と、
先付けプロセスを採用して、生産ラインによる頭通しの起動のたびに、鉄筋頭部の線材における「水線」又は「楕円」などの表面形状欠陥を修正又は除去する先付け工程L80と、
鉄筋頭部をスパイラルダイスまで押し進めて順次にスパイラルダイスを通過させる工程であって、伸線機の要求に応じて、ダイス通過後の鉄筋頭部の長さを設定可能である液圧ヘッドプッシング工程L90と、
ローラーダイスによる冷間圧延方式を採用して螺旋鉄筋の生産を行う冷間引抜螺旋工程L10と、
原材料を直線の形態で前方に引き送り続け、鉄筋把持装置によって鉄筋を前方へ繰り返し交差させて鉄筋を引っ張る直進式連続伸線牽引工程L11と、
多輪式十字交差による360度曲線ローリングを採用して曲がり取りを行い、鉄筋の内部応力を除去させる予備曲がり取り工程であって、予備曲がり取り中には、鉄筋の螺旋リブを損傷することがない予備曲がり取り工程L12と、
多輪十字又は水平曲がり取り法を採用して、予備曲がり取りの上で精密曲がり取りを行う精密曲がり取り工程L13と、
NPR鉄筋棒材に対してオンライン切断を行う工程であって、切断長さは、4~12メートル/本の範囲内で調整可能である切断工程L14と、
を含む、ことを特徴とするNPR鉄筋棒材の加工プロセス。
【請求項2】
切断工程L14の後に、さらに、
転動式ラックを採用して鉄筋を整列する工程であって、鉄筋は、螺旋伝送軸によって位置規制装置まで推し進められた後に整列され、螺旋装置により回転して搬送トラフに押し込まれ、鉄筋が整然とされる整列工程L15と、
中央統括コントローラから与えられたデータ指令に基づき、指令された本数などの情報データ、搬送距離、搬送滞留時間に従って、搬送、整列を行う工程であって、ミス無しで鉄筋を正確な位置に搬送してから梱包を行うことができるインテリジェント搬送工程L16と、
結束機が鉄筋の結束を行う工程であって、鉄筋束は、閉じられた線通路システムを通ってから、予め設定された結束位置に止められて結束が行われるインテリジェント梱包工程L17と、
中央統括コントローラから与えられた搬送距離、搬送滞留時間のデータ指令に基づいて、鉄筋を材料排出位置まで搬送する搬送工程L18と、
中央統括コントローラから指令を出して、鉄筋の長さに応じて材料排出位置を制御し、鉄筋を指定位置へドラッグして完成品保管ホッパに入れるインテリジェント材料排出工程L19と、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の加工プロセス。
【請求項3】
一字状材料供給工程L20の前に、さらに、
インテリジェント化統括制御システムが光ファイバケーブルを経由してリモートコンピュータサーバに接続されるようにして、サーバを介して、リモートからのワンタッチ自動起動停止を実現し、サーバを介して、生産ライン機器の稼働状態及び生産情報を確認するインテリジェント化統括制御工程L01を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の加工プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材生産の技術分野に関し、具体的には、NPR鉄筋棒材の加工プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、NPR新材料は、一般的なねじ節鉄筋及びプレストレスト鉄筋の局所的な変形破断という欠陥を克服し、高強度且つ高靭性を実現しており、その降伏強度が900Mpaまで達し、最大伸び率が20%以上である。全自動インテリジェント化NPR冷間圧延(冷延伸)鉄筋棒材生産ラインが主にNPR新材料の冷間加工に用いられ、製品が主にNPR鉄筋、NPR冷間圧延螺旋鉄筋、NPRプレストレスト鉄筋となる。
【0003】
全自動インテリジェント化のNPR冷間圧延(冷延伸)鉄筋の生産は、首尾溶接、鉄筋の錆除去、ワイヤホイール又はショットブラストやグリットブラストによる錆除去、巻き戻し、ペイオフ、レベリング、先付け(ポインティング)又は液圧ヘッドプッシング、冷間圧延スパイラルマシン又は冷間圧延によるリブ付け又は伸線ダイスを介して行われる。直進式連続伸線機によって牽引し、引抜縮径加工を行った後、予備曲がり取り、精密曲がり取り、サイジング、切断、材料排出フレーム、搬送機構による梱包及び搬送、材料反転フレームによる材料反転を経る。
【0004】
従来の一般的な鉄筋冷間加工生産ラインは、酸洗、ボンデライジングを経た後に、砲式ラック又はペイオフリールを採用してペイオフし、円盤式伸線機を採用して牽引伸線を行い、先付けを採用して、伸線ダイスにより冷延伸を行ってから、曲がり取り(ストレートニング)、切断を行うようになっており、NPR鉄筋の加工にそのまま適用することはできない。
【0005】
従来の一般的な鉄筋冷間加工生産ラインには、以下の技術的欠点が存在している。
【0006】
(1)従来の酸化スケール除去プロセスは、酸洗、ボンデライジングを採用しており、国の環境保護の規制要件を満たすことができず、オンラインデジタル化生産を遂行することができない。
【0007】
(2)従来の砲式巻き戻しラックは、低炭素鉄筋、小径鉄筋のみに適用でき、高炭素鉄筋又は大径高炭素鉄筋、特にNPR鉄筋のような、外力によって抵抗力が生じ得る鉄筋には適用できない。また、円盤式の材料供給ラックは、高強度鉄筋又は大径鉄筋のペイオフに適用できない。上述の2つのペイオフ方式は、a)生産ラインダウンタイムのない連続生産を確保できず、b)高強度鉄筋、大径鉄筋のペイオフ要件を満たすことができない。
【0008】
(3)従来の鉄筋溶接機は、低炭素又は一般的な高炭素鋼線の溶接要件のみを満たすことができる。a)大径高強度、オーステナイト系鉄筋の溶接要件を満たすことができず、b)バリの自動除去機能を果たすことができず、c)デジタル化操作を遂行することができない。
【0009】
(4)従来の鉄筋は、先付け又は先削りによって頭通し(ヘッドスレッディング)が行われているため、作業員の労働強度が大きいとともに、操作中にも安全リスクが存在しており、また、鉄筋の圧延ヘッドの長さが長すぎて、先付け部分が実用に生かせなく、廃棄物として処分することしかできず、原材料の浪費は極めて大きい。
【0010】
(5)従来のプロセスは、伸線ダイスを採用して縮径成形を行っているが、高強度鋼線又はオーステナイト系鉄筋の加工中において、伸線ダイスの使用寿命が非常に短く、わずか2~3トンの加工であり、ダイスにかかる使用コストが極めて高く、加工コスト費用全体に占める比率が60%程度に達している。そして、ダイスの交換も必要であり、ダイス交換時に作業員にかける労働強度も大きく、時間も労力もかかってしまう。また、線通しを繰り返すことによって鉄筋の原材料の浪費も大きくなる。さらに、グリースによる潤滑が必要であり、鉄筋の加工コストを増加させてしまう。
【0011】
(6)従来の一般的な鉄筋冷間加工生産ラインは、自動化生産を遂行できないため、遠隔監視制御できず、生産された鉄筋について、ソーストラッキングすることもできず、原材料から加工へ、そしてインテリジェント化倉庫保管に至るまでの全行程に対するインテリジェント化監視制御を実現することができない。
【0012】
以上をまとめて、従来の一般的な鉄筋冷間加工生産ライン及び加工プロセスは、NPR鉄筋、NPR冷間圧延螺旋鉄筋、NPRプレストレスト鉄筋の全自動インテリジェント化の生産要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【0013】
本発明の実施例では、NPR鉄筋、NPR冷間圧延螺旋鉄筋、NPRプレストレスト鉄筋の全自動インテリジェント化の生産要求を満たすための、NPR鉄筋棒材の加工プロセスが提供される。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、NPR鉄筋棒材の加工プロセスを提供する。このNPR鉄筋棒材の加工プロセスにおいて、前記NPR鉄筋は、冷間加工状態であり、その降伏強度が800Mpa~950Mpaであり、引張強度が900MPa~1100MPaであり、最大伸び率≧10~40%である。また、このNPR鉄筋棒材の加工プロセスは、ステップ(工程)として、
材料供給ラックの一端が動かずに固定されるようにして、鉄筋の首尾溶接を行い、鉄筋の先端頭部にノンストップの首尾溶接を実現する一字状材料供給工程L20と、
鉄筋の進行方向に従って、一字状巻き戻し機に牽引動力を供給するとともに、鉄筋に対する初期的なレベリングを行い、インテリジェント産業用制御機器によって伸線機と同期化して、後続の工程のために鉄筋を同期して搬送する巻き戻し工程L30と、
鉄筋ホイールによる転動レベリング方式を採用し、鉄筋を繰り返し曲げることにより、鉄筋の応力を失わせ、鉄筋を平直とし、その表面に傷がないようにするレベリング工程L40と、
PLCデジタル制御技術を採用し、鉄筋の直径に合わせて電流の大きさを制御し、鉄筋の溶接に必要な時間及び溶接電流に従って鉄筋を溶接し、溶接完了後に鉄筋の溶接表面のバリを自動的に除去する突合せ溶接工程L50と、
インテリジェントデジタル制御技術を採用して統括制御機器とネットワーキング通信を行い、加工すべき鉄筋の直径及び鉄筋表面の要求に応じてスチールグリットの吐出量を自動的に調整して、NPR熱間圧延鉄筋の表面における酸化スケール及び表面欠陥に対してオンライン処理を行うグリットブラスト工程L60と、
鉄筋表面に対するグリットブラスト処理の後に、曲がり取り機を介して曲がり取りを行い、鉄筋をより平直とする曲がり取り工程L70と、
先付けプロセスを採用して、生産ラインによる頭通しの起動のたびに、鉄筋頭部の線材における「水線」又は「楕円」などの表面形状欠陥を修正又は除去する先付け工程L80と、
鉄筋頭部をスパイラルダイスまで押し進めて順次にスパイラルダイスを通過させる工程であって、伸線機の要求に応じて、ダイス通過後の鉄筋頭部の長さを設定可能である液圧ヘッドプッシング工程L90と、
ローラーダイスによる冷間圧延方式を採用して螺旋鉄筋の生産を行う冷間引抜螺旋工程L10と、
原材料を直線の形態で前方に引き送り続け、鉄筋把持装置によって鉄筋を前方へ繰り返し交差させて鉄筋を引っ張る直進式連続伸線牽引工程L11と、
多輪式十字交差による360度曲線ローリングを採用して曲がり取りを行い、鉄筋の内部応力を除去させる予備曲がり取り工程であって、予備曲がり取り中には、鉄筋の螺旋リブを損傷することがない予備曲がり取り工程L12と、
多輪十字又は水平曲がり取り法を採用し、予備曲がり取りの上で精密曲がり取りを行う精密曲がり取り工程L13と、
NPR鉄筋棒材に対してオンライン切断を行う工程であって、切断長さは、4~12メートル/本の範囲内で調整可能である切断工程L14と、
を含む。
【0015】
また、前記NPR鉄筋棒材の加工プロセスは、切断工程L14の後に、
転動式ラックを採用して鉄筋を整列する工程であって、鉄筋は、螺旋伝送軸によって位置規制装置まで推し進められた後に整列され、螺旋装置により回転して搬送トラフに押し込まれ、鉄筋が整然とされる整列工程L15と、
中央統括コントローラから与えられたデータ指令に基づき、指令された本数などの情報データ、搬送距離、搬送滞留時間に従って、搬送、整列を行う工程であって、ミス無しで鉄筋を正確な位置に搬送してから梱包を行うことができるインテリジェント搬送工程L16と、
結束機が鉄筋の結束を行う工程であって、鉄筋束は、閉じられた線通路システムを通ってから、予め設定された結束位置に止められて結束が行われるインテリジェント梱包工程L17と、
中央統括コントローラから与えられた搬送距離、搬送滞留時間のデータ指令に基づいて、鉄筋を材料排出位置まで搬送する搬送工程L18と、
中央統括コントローラから指令を出して、鉄筋の長さに応じて材料排出位置を制御し、鉄筋を指定位置へドラッグして完成品保管ホッパに入れるインテリジェント材料排出工程L19と、
をさらに含む。
【0016】
また、前記NPR鉄筋棒材の加工プロセスは、一字状材料供給工程L20の前に、
インテリジェント化統括制御システムが光ファイバケーブルを経由してリモートコンピュータサーバに接続されるようにして、サーバを介して、リモートからのワンタッチ自動起動停止を実現し、サーバを介して、生産ライン機器の稼働状態及び生産情報を確認するインテリジェント化統括制御工程L01をさらに含む。
【0017】
本発明のNPR鉄筋棒材の加工プロセスでは、グリットブラスト工程L60が従来技術における酸洗ステップに取って代わることで、国の環境保護の規制要件を満たすとともに、オンラインデジタル化生産も可能になっており、一字状材料供給工程L20及び巻き戻し工程L30が従来技術に使用されていた砲式巻き戻しラックに取って代わることで、生産ラインダウンタイムがなく、且つ牽引中における鉄筋の表面損傷、湾曲などの現象も回避され、高強度鉄筋、大径鉄筋のペイオフ要件を満たしており、それに、他の工程については、全行程のインテリジェント化が実現可能であり、NPR鉄筋棒材の加工要求を満たすとともに、NPR鉄筋、NPR冷間圧延螺旋鉄筋、NPRプレストレスト鉄筋の全自動インテリジェント化の生産要求を満たしている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例におけるNPR鉄筋棒材の加工プロセスのフローの模式図である。
【
図2】本発明の実施例におけるNPR鉄筋棒材の加工プロセスの具体的なフローの模式図である。
【
図3】全自動インテリジェント化NPR冷間圧延(冷延伸)鉄筋棒材生産ラインのインテリジェント化統括制御システムの模式図である。
【
図4】本発明の実施例におけるNPR鉄筋棒材の加工プロセスによって製造されたNPR鉄筋の螺旋リブの写真である。
【
図5】本発明の実施例におけるNPR鉄筋棒材の加工プロセスによって製造されたNPR鉄筋の引張実験曲線の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面及び具体的な実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明を限定するものではない。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施例によれば、NPR鉄筋棒材の加工プロセスが提供されており、全自動インテリジェント化NPR冷間圧延(冷延伸)鉄筋棒材生産ラインによって加工を行い、前記NPR鉄筋は、冷間加工状態であり、その降伏強度が800Mpa~950Mpaであり、引張強度が900MPa~1100MPaであり、最大伸び率≧10~40%である。前記加工プロセスのステップとしては、以下の工程が含まれる。
【0021】
インテリジェント化統括制御工程L01:インテリジェント化統括制御システムが光ファイバケーブルを経由してリモートコンピュータサーバに接続されるようにして、サーバを介して、リモートからのワンタッチ自動起動停止を実現する。また、サーバを介して、生産ライン機器の稼働状態及び生産情報を確認する。各機器の制御パネル、ボタン、PLCモジュール、電源モジュール、コンタクタなどの他の必要な電気装置を介して自動又は手動での制御操作を行うことが可能である。機器の機器名称、稼働状態、鉄筋生産量情報などの機器関連パラメータを確認することが可能である。
【0022】
一字状材料供給工程L20:材料供給ラックの一端が動かずに固定されるようにして、鉄筋の首尾溶接を行い、鉄筋の先端頭部にノンストップの首尾溶接を実現する。拡張、巻き戻しを経て、一字状材料供給ラックの中心に入った鉄筋が牽引、ペイオフされる際に、一字状ラックの回転端が回転して発生する力により、鉄筋は、原材料の巻き付け方式に従って正常に進行され、原材料の回転方向とは逆方向にデコイリング、ペイオフされることが可能となるため、鉄筋のデコイリング、ペイオフ時に、軸方向にねじり力が発生することがなく、ペイオフ中には、鉄筋の尾部が固定されて動かないままであることで、ノンストップの首尾溶接を実現でき、その結果、ノンストップで鉄筋を正常に生産し続けることができる。
【0023】
巻き戻し工程L30:鉄筋の進行方向に従って、一字状巻き戻し機に牽引動力を供給するとともに、鉄筋に対する初期的なレベリングを行い、インテリジェント産業用制御機器によって伸線機と同期化して、後続の工程のために鉄筋を同期して搬送する。これにより、鉄筋が平直、且つ同速で後続のレベリング、グリットブラストなどの装置へ搬送されることが可能となり、牽引中における鉄筋の表面損傷、湾曲などの現象が回避される。
【0024】
レベリング工程L40:鉄筋ホイールによる転動レベリング方式を採用し、鉄筋を繰り返し曲げることにより、鉄筋の応力を失わせ、鉄筋を平直とし、その表面に傷がないようにする。これにより、鉄筋は、直線の形態で後続のグリットブラスト又はワイヤホイールによる錆除去機器に好適に入ることができる。
【0025】
突合せ溶接工程L50:PLCデジタル制御技術を採用し、鉄筋の直径に合わせて電流の大きさを制御し、鉄筋の溶接に必要な時間及び溶接電流に従って鉄筋を溶接し、溶接完了後に鉄筋の溶接表面のバリを自動的に除去する。溶接機は、高炭素鋼線、低炭素鋼線、オーステナイト系鉄筋、NPR鉄筋を溶接することができるだけでなく、溶接完了後に鉄筋の溶接表面のバリを自動的に除去することもでき、且つ統括制御機器とネットワーキング通信することも可能で、オンライン溶接作業又は初期原材料の貯蔵溶接作業を遂行することができる。
【0026】
グリットブラスト工程L60:従来の酸洗プロセスに取って代わるために、インテリジェントデジタル制御技術を採用して統括制御機器とネットワーキング通信を行い、加工すべき鉄筋の直径及び鉄筋表面の要求に応じてスチールグリットの吐出量を自動的に調整して、NPR熱間圧延鉄筋の表面における酸化スケール及び表面欠陥に対してオンライン処理を行い、処理の最大速度が80メートル/分に達し、処理後の表面は、光輝化されながら、酸化スケール及び表面欠陥がない。スチールグリットの吐出速度、鉄筋の進行が停止する時、鉄筋表面が完全に処理されていない時に、自動的に警報を出してストップするとともに、情報を中央統括コントローラに送信する。
【0027】
曲がり取り工程L70:鉄筋表面に対するグリットブラスト処理の後に、曲がり取り機(ストレートナ)を介して曲がり取りを行い、鉄筋をより平直とする。曲がり取り工程によれば、鉄筋は、偏心せずに、中心に位置するように維持されることができ、冷間圧延後の鉄筋の周りにおける螺旋リブのリブ高さが完全に一致することを確保される。
【0028】
先付け工程L80:先付けプロセスを採用して、生産ラインによる頭通しの起動のたびに、鉄筋頭部の線材における「水線」又は「楕円」などの表面形状欠陥を修正又は除去する。これにより、冷間圧延中に鉄筋頭部が使用できないという鉄筋頭部についての問題が有効に解決される。
【0029】
液圧ヘッドプッシング工程L90:鉄筋頭部をスパイラルダイスまで押し進めて順次にスパイラルダイスを通過させ、伸線機の要求に応じて、ダイス通過後の鉄筋頭部の長さを設定可能である。これにより、鉄筋がダイスを通過する時に、先付け又は先削りによってもたらされる鉄筋の大量浪費が回避され、作業員の労働強度が低減され、時間の無駄使いも抑えられ、自動化を実現するための肝心なプロセスである。
【0030】
冷間引抜螺旋工程L10:ローラーダイスによる冷間圧延方式を採用して螺旋鉄筋の生産を行い、即ち、一つの専用回転装置において母材の通過する円周方向に複数のローラーダイスが均等に設置され、母材が伸線機によって牽引されて回転装置を通過する時に、複数のローラーダイスが転動摩擦によって母材の表面に螺旋溝を加工する。
【0031】
直進式連続伸線牽引工程L11:原材料を直線の形態で前方に引き送り、2つの回転カムによって2つの鉄筋伸線トロリーをドラッグして、トロリーに液圧又は空気圧の鉄筋把持装置が備えられており、鉄筋把持装置によって鉄筋を前方へ繰り返し交差させて鉄筋を引っ張る(人間の両手のようになる)。ちなみに、当該機器は、デジタル制御PLC中央制御機器によって制御されて中央処理装置に繋がっており、生産ライン全体の牽引動力を提供している。
【0032】
予備曲がり取り工程L12:多輪式十字交差による360度曲線ローリングを採用して曲がり取りを行い、鉄筋の内部応力を除去させ、予備曲がり取り中には、鉄筋の螺旋リブを損傷させることがなく、且つ中央処理装置と繋がっている。
【0033】
精密曲がり取り工程L13:多輪十字又は水平曲がり取り法を採用して、予備曲がり取りの上で精密曲がり取りを行う。当該機器は、インテリジェント液圧曲がり取り装置及び空気圧牽引装置を採用し、完全にインテリジェント化操作とされ、且つ中央処理装置と繋がっており、また、鉄筋の切断長さにデータを提供するとともに鉄筋の首尾接続部位の剪断にデータを提供するためのインテリジェント長さ測定装置が装着されており、鉄筋首尾の自動監視、剪断が実現される。
【0034】
切断工程L14:液圧、窒素ガスエネルギー貯蔵+サーボシステム+直線ガイドレールを採用して、NPR鉄筋棒材に対してオンライン切断を行い、切断長さは、4~12メートル/本の範囲内で調整可能であり、鉄筋の切断長さの誤差が小さく、切断面が平直であり(カッターとしては、二重円筒カッターを採用)、切断速度が速く、長時間、高頻度の切断作業に耐えられ、正確にシステムの制御を遂行し、通信情報を伝達することができ、且つ中央処理装置と繋がっている。
【0035】
本発明のNPR鉄筋棒材の加工プロセスでは、グリットブラスト工程L60が従来技術における酸洗ステップに取って代わることで、国の環境保護の規制要件を満たすとともに、オンラインデジタル化生産も可能になっており、一字状材料供給工程L20及び巻き戻し工程L30が従来技術に使用されていた砲式巻き戻しラックに取って代わることで、生産ラインダウンタイムがなく、且つ牽引中における鉄筋の表面損傷、彎曲などの現象も回避され、高強度鉄筋、大径鉄筋のペイオフ要件を満たしており、それに、他の工程については、全行程のインテリジェント化を実現可能であり、NPR鉄筋棒材の加工要求を満たすとともに、NPR鉄筋、NPR冷間圧延螺旋鉄筋、NPRプレストレスト鉄筋の全自動インテリジェント化の生産要求を満たしている。
【0036】
上述した冷間引抜螺旋工程L10は、冷間引抜螺旋装置を介して行われ、ローラーダイスによる冷間圧延方式を採用して螺旋鉄筋の生産を行い、即ち、一つの専用回転装置において母材の通過する円周方向に複数のローラーダイスが均等に設置され、母材が伸線機によって牽引されて回転装置を通過する時に、複数のローラーダイスが転動摩擦によって母材表面に螺旋溝を加工する。冷間引抜加工方式と比べて、ローラーダイスによる冷間圧延方式を採用して螺旋鉄筋の加工を行う場合、伸線機の牽引力が半減されるため、ダイスの使用寿命は、鉄筋3000~5000トンの加工まで達することが可能となり、ダイス寿命の延長により、人工操作による頻繁なダイス交換を行う必要がなくなり、ダイスにかかる費用を90%以上節約することができるとともに、加工中に潤滑グリース、潤滑粉又は潤滑油の使用も不要で、生産コスト及び人工操作の労働強度が大幅に低減され、生産効率が向上される。従来技術に比べて、人力が20%以上、電力消費が60%以上節約され、生産能力が20%以上向上され、毎年各生産ライン毎に300万~500万元が節約される。
【0037】
切断工程L14の後には、さらに、以下のステップを含むことが好ましい。
【0038】
整列工程L15:転動式ラックを採用して鉄筋を整列し、鉄筋は、螺旋伝送軸によって位置規制装置まで推し進められた後に整列され、螺旋装置により回転して搬送トラフに押し込まれ、鉄筋が整然とされる。鉄筋束全体の端面が平直であり、カットされたように整然としており、まちまちになるなどの現象がない。
【0039】
インテリジェント搬送工程L16:中央統括コントローラから与えられたデータ指令に基づき、指令された本数などの情報データ、搬送距離、搬送滞留時間に従って、搬送、整列を行い、ミス無しで鉄筋を正確な位置に搬送してから梱包を行うことができる。本工程を実現する機器は、U字型搬送トラフ、N個の水平型ドラッグローラー及びN個の縦置ローラー、バッフル板、材料反転装置、デジタル制御エンコーダ、長さ測定、クランプ装置、計数装置で構成され、PLC、周波数変換器、中央コントローラなどによって制御されて、インテリジェント搬送が実現される。
【0040】
インテリジェント梱包工程L17:結束ヘッドが上の位置にあり、且つ結束線が既に線通路システムに送り込まれていると、結束機が鉄筋の結束を行い、鉄筋束は、閉じられた線通路システムを通ってから、予め設定された結束位置に止められて結束が行われる。インテリジェント梱包工程は、インテリジェント結束機によって遂行される。インテリジェント結束機は、台座、結束ヘッド、液圧ステーション、電気操作ボックス及びペイオフフレームといった主要部材を含む。台座には2つのレール付き溝形鋼が設けられており、台座は、結束機フレーム、液圧ステーション及び制御キャビネットを支持するために用いられる。結束ヘッドは、線通路システム、線送り機構、キンクヘッド及び切断ブロックなどの構造を含む。液圧ステーションは、結束機一体型液圧動力ステーションであり、タンク容量が約400リットルであり、1台の可変容量プランジャポンプが配置され、自動アンロードの節電機能を有しており、タンクには、自動棒材結束機の作業要求を満たすために、液位及び温度モニタリングが実装されるとともに、加熱器、冷却器、フィルタなどの一般的な構成も実装されている。電気操作ボックスは、制御パネル、ボタン、PLCモジュール、電源モジュール、コンタクタ、回路遮断器などの他の必要な装置を含み、自動及び手動操作に適用可能で、且つ中央統括コントローラと通信して統括制御データを受信し、一連の梱包作業を遂行するようになっている。
【0041】
ペイオフフレームは、1組の線引き出し装置と、結束線を保管するための線保管フレームとを含む。
【0042】
搬送工程L18:中央統括コントローラから与えられた搬送距離、搬送滞留時間のデータ指令に基づいて、鉄筋を材料排出位置まで搬送する。本工程を実現する機器は、U字型搬送トラフ、N個の水平型ドラッグローラー及びN個の縦置ローラー、バッフル板、材料反転装置、デジタル制御コード、長さ測定、クランプ装置、計数装置で構成され、PLC、周波数変換器、中央コントローラなどによって制御されて、インテリジェント搬送が実現される。
【0043】
インテリジェント材料排出工程L19:中央統括コントローラから指令を出して、鉄筋の長さに応じて材料排出位置を制御し、鉄筋を指定位置へドラッグして完成品保管ホッパに入れる。本工程を実現する機器は、U字型溝、N個の水平型ドラッグローラー、PLC周波数変換器、産業用制御装置、揺動レバー、デジタル制御液圧ポンプステーション、圧力調整可能な装置で構成される。
【0044】
上述したNPR冷間圧延(冷延伸)鉄筋棒材の加工プロセスは、少ない汚染、低いエネルギー消費、インテリジェント化、高い自動化レベルという利点を有し、且つ品質制御が安定し、生産コストが低い。特に、一般的な鉄筋冷間加工に存在する環境保護、自動化レベルが低く、ダイス消耗が激しく、エネルギー消費が高く、並びに、NPR鉄筋を直接加工できないなどの一連の問題を解決した。NPR鉄筋の原材料は、全自動インテリジェント化NPR冷間圧延(冷延伸)鉄筋棒材生産ラインの加工によって、高強度且つ高靭性を実現しており、降伏強度が900MPaまで達し、最大伸び率が20%以上となる。
【0045】
留意すべきなのは、ここで使用した用語は、あくまでも具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本願による例示的な実施形態を限定することを意図しない。ここで使用したものは、文脈から別途の明確な説明がない限り、単数形は、複数形も含むことを意図しており、また、本明細書において、「包含」及び/又は「含む」という用語が使用される場合、それは、特徴、ステップ、操作、デバイス、コンポーネント及び/又はそれらの組合せが存在することを意味すると理解されるべきである。
【0046】
勿論、以上は、本発明の好適な実施形態である。当業者にとって、本発明の基本原理から逸脱することなく、いくつかの改良及び修飾をさらに行うことができるが、これらの改良と修飾も本発明の保護範囲に含まれると見なされるべきである。
【国際調査報告】