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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/14 20060101AFI20230623BHJP
   F16K 17/26 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
F16K15/14 A
F16K17/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541929
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 US2020023102
(87)【国際公開番号】W WO2021188092
(87)【国際公開日】2021-09-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520141302
【氏名又は名称】アプター グループ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガウス,デイヴ
(72)【発明者】
【氏名】オナード,マーク
【テーマコード(参考)】
3H058
3H060
【Fターム(参考)】
3H058AA14
3H060AA12
3H060BB08
3H060DD02
(57)【要約】
弁100、200、300が、第1の側面120、220、320と、第2の側面124、224、324と、本体104、204、304を貫通し、第2の側面124、224、324における流路開口136、236、336を画定する流路128、228、328とを有する、本体104、204、304を備える。本体104、204、304は、流路開口136、236、336を取り囲む弁座148、248、348を有する。弁は、本体104、204、304に装着されるアンカー152、252、352と、弁座148、248、348に対してシールするシール部分184、284、384を画定する、アンカー152、252、352から延在するフランジ156、256、356とを有する、弁部材108、208、308を備える。弁は、フランジ156、256、356と第2の側面124、224、324との間に位置する支点112、212、312を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノーマルクローズの弁(100、200、300)であって、i)前記弁(100、200、300)の第1の側(113、213、313)の圧力が、前記弁(100、200、300)の第2の側(114、214、314)の圧力に対して、所定の圧力分だけ超過することに応じて、前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)と前記第2の側(114、214、314)との間で前記弁(100、200、300)を通る連通を確立するように自動的に開放することができ、及びii)前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)と前記第2の側(114、214、314)との間で前記弁(100、200、300)を通る連通を確立するように選択的に開放することもでき、前記弁(100、200、300)は、
I.本体(104、204、304)であって、
A.第1の側面(120、220、320)及び第2の側面(124、224、324)と、
B.前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間で前記本体(104、204、304)を貫通し、i)前記本体の第1の側面(120、220、320)における流路開口(132、232)と、ii)前記本体の第2の側面(124、224、324)における流路開口(136、236、336)とを画定する少なくとも1つの流路(128、228、328)と、
C.i)前記第2の側面(124、224、324)に位置し、ii)前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)を取り囲む弁座(148、248、348)と
を画定する、本体(104、204、304)と、
II.弁部材(108、208、308)であって、
A.i)最初に設置された、前記本体(104、204、304)に対する第1の位置と、ii)選択的に機械的に維持可能な、前記本体(104、204、304)に対する第2の位置との間の動きに適応するように、前記本体(104、204、304)に装着されるアンカー(152、252、352)と、
B.撓み可能で弾性であり、i)前記アンカー(152、252、352)から横方向に延在し、ii)前記アンカー(152、252、352)が前記本体(104、204、304)に対する前記第1の位置にあり、前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)の圧力が、前記弁(100、200、300)の前記第2の側(114、214、314)の圧力に対して、所定の圧力分以上に超過しないとき、前記第2の側面(124、224、324)における前記弁座(148、248、348)と、前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)の周囲でシール係合するシール部分を画定する、フランジ(156、256、356)と
を有する、弁部材(108、208、308)と、
III.前記フランジ(156、256、356)と前記第2の側面(124、224、324)との間で、前記弁部材(108、208、308)及び/又は前記本体(104、204、304)のうちの一方に位置する支点(112、212、312)であって、
前記本体(104、204、304)に対する前記第2の位置に向けて、前記アンカー(152、252、352)を押すと、
前記支点(112、212、312)の周りに、前記フランジ(156、256、356)の少なくとも一部が旋回し、
これによって、前記シール部分の少なくとも一部が撓んで、前記第2の側面(124、224、324)上の前記弁座(148、248、348)とのシール係合から外れて、
前記弁(100、200、300)が開いて、
前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)と前記第2の側(114、214、314)との間で、前記弁(100、200、300)を通る連通を確立させ、
前記弁(100、200、300)が選択的に開放されることを可能とする、支点(112、212、312)と
を備える、前記弁。
【請求項2】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、容器内の第2の圧力を超える容器外の第1の圧力にさらされ得る容器の一部であり、
前記フランジ(156、256、356)は、前記容器の外部に位置する、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間に延在するように設けられる複数の前記流路(128、228、328)を有し、
前記流路(128、228、328)のそれぞれは、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)が円形の軌跡上に位置するように、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)における流路開口(136、236、336)を画定する、請求項1に記載の弁。
【請求項4】
前記弁(100、200、300)であって、
前記弁部材(108、208、308)の前記フランジ(156、256、356)は、前記アンカー(152、252、352)から延在する概ね円形形態を有する可撓性で弾性のメンブレンであり、
前記弁部材(108、208、308)の前記シール部分は、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)における前記複数の前記流路開口(136、236、336)の周囲の前記弁座(148、248、348)にシール係合する環状リップ(184、284、384)である、請求項3に記載の弁。
【請求項5】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間に延在する装着孔(140、240、340)を画定し、
前記弁部材(108、208、308)の前記アンカー(152、252、352)は、i)前記装着孔(140、240、340)に収容される中間部(164)と、ii)前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)において前記装着孔(140、240、340)を越えて延在する第1の端部(160)と、iii)前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)において前記装着孔(140、240、340)を越えて延在する第2の端部(168)とを有し、
前記弁部材(108、308、308)の前記フランジ(156、256、356)は、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)に隣接した位置にあり、前記アンカー(152、252、352)の前記第2の端部(168)から延在し、
前記アンカー(152、252、352)の前記第1の端部(160)は、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)から前記第2の側面(124、224、324)に向かう方向において、前記装着孔(140、240、340)を通る前記第1の端部(160)の動きを阻止するように、拡径され、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)に隣接して延在するとともに、前記第1の側面(120、220、320)に係合する、請求項1に記載の弁。
【請求項6】
前記弁(100、200、300)であって、前記フランジ(156、256、356)は、前記アンカー(152、252、352)を前記第1の位置に付勢するシール力によって、前記シール部分が前記弁座(148、248、348)に係合することができるように十分な弾性を有し、
前記アンカー(152、252、352)の前記拡径された第1の端部(160)は、前記装着孔(140、240、340)に隣接して前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)に引き付けられ、前記アンカー(152、252、352)が前記付勢に打ち勝つのに十分な外力によって動かされない限り、前記アンカー(152、252、352)を前記第1の位置に維持する、請求項5に記載の弁。
【請求項7】
前記弁(100)であって、前記支点(112)は、前記本体(104)の前記第2の側面(124)から前記弁部材のフランジ(156)に向かって突出する柱である、請求項1に記載の弁。
【請求項8】
前記弁(200)であって、前記支点(212)は、前記弁部材(208)の前記フランジ(256)から前記本体(204)の前記第2の側面(224)に向かって突出する柱である、請求項1に記載の弁。
【請求項9】
前記弁(300)であって、
前記支点(312)は、
i)前記本体(304)の前記第2の側面(324)から前記弁部材(308)の前記フランジ(356)に向かって突出し、
ii)前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲に延在する
環状壁であり、
前記環状壁は、前記フランジ(356)が前記環状壁に係合すると、そこを貫流させる少なくとも1つのチャネル(390)を画定する、請求項1に記載の弁。
【請求項10】
前記弁(300)であって、
前記支点(312)は、
i)前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲で、前記弁部材(308)の前記フランジ(356)から前記本体(304)の前記第2の側面(324)に向かって突出し、
ii)前記弁部材(308)の前記シール部分から横方向に離隔され、
iii)前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲で前記第2の側面(324)に係合するように構成される
環状壁であり、
前記環状壁は、前記環状壁が前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲で前記第2の側面(324)に係合すると、そこを貫流させる少なくとも1つのチャネル(390)を画定する、請求項1に記載の弁。
【請求項11】
前記弁(100、200、300)であって、前記弁部材(108、208、308)は、約40ショアAのデュロメータ硬さを有するシリコーンから形成される、請求項1に記載の弁。
【請求項12】
前記弁(100、200、300)であって、前記フランジ(156、256、356)は、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)に面しない、曲率半径(R2)を規定する上面(192)を有し、前記フランジ(156、256、356)は、前記第2の側面(124、224、324)に面する、曲率半径(R1)を規定する底面(188)を更に有し、
前記底面(188)の前記曲率半径(R1)は、前記上面(190)の前記曲率半径(R2)よりも大きい、請求項1に記載の弁。
【請求項13】
前記弁(100、200、300)であって、前記弁(100、200、300)は、前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)の圧力が、前記弁(100、200、300)の前記第2の側(114、214、314)の圧力を約20600パスカル超過すると、前記弁(100、200、300)を通る連通を確立するように自動的に開放するように構成される、請求項1に記載の弁。
【請求項14】
前記弁(100、200、300)であって、前記弁部材(108、208、308)は、前記弁部材(108、208、308)の前記アンカー(152、252、352)が所定の手動圧迫力にさらされると、前記本体(104、204、304)に対する前記第2の位置に機械的に維持可能である、請求項1に記載の弁。
【請求項15】
前記弁(100、200、300)であって、前記アンカー(152、252、352)は、中心軸(116、216、316)を規定し、前記支点(112、212、312)は、前記中心軸(116、216、316)を基準として、前記本体の第2の側面(124、224、324)において前記流路開口(136、236、336)の径方向外方に位置する、請求項1に記載の弁。
【請求項16】
前記弁(100、200)であって、前記支点(112、212)は、前記弁部材(108、208)及び/又は前記本体(104、204)の前記第2の側面(124、224)のうちの一方に位置する4つの丸みを帯びた柱の形態を有し、前記柱は、円形の軌跡上に位置する、請求項1に記載の弁。
【請求項17】
前記弁(100、200、300)であって、前記本体(104、204、304)は、4つの流路(128、228、328)を有し、前記4つの流路(128、228、328)のそれぞれは、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間に延在する弧状のスロットの形態を有する、請求項1に記載の弁。
【請求項18】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、容器のための成形された熱可塑性インサートであり、前記容器は、前記容器内の第2の圧力を超える前記容器外の第1の圧力にさらされ得、
前記弁部材(108、208、308)は、成形されたエラストマーであり、
前記弁部材(108、208、308)は、前記弁部材(108、208、308)の前記フランジ(156、256、356)が前記容器の外部に位置するように、前記本体(104、204、304)とともに配置される、請求項1に記載の弁。
【請求項19】
前記弁(100、200、300)は、可撓性パウチの形態の容器と組み合わされ、前記パウチの開口に位置する、請求項1に記載の弁。
【請求項20】
弁(100、200、300)であって、
I.第1の側面(120、220、320)及び第2の側面(124、224、324)を有する本体(104、204、304)であって、前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間で前記本体(104、204、304)を貫通し、
i)前記第1の側面(120、220、320)における流路開口(132、232)と、
ii)前記第2の側面(124、224、324)における流路開口(136、236、336)と、
を画定する少なくとも1つの流路(128、228、328)を画定する、本体(104、204、304)と、
II.弁部材(108、208、308)であって、
i)前記本体(104、204、304)に対して可動であり、
ii)第1の領域(172)と、前記第1の領域(172)から延在する第2の領域(176)と、前記第2の領域(176)から延在する第3の領域(180)とを有する可撓性で弾性のフランジ(156、256、356)を有し、前記第3の領域(180)は、シール部分を有し、前記シール部分は、前記弁(100、200、300)が、前記弁(100、200、300)を通る連通を防止するように閉鎖された初期状態にあるとき、前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)の周囲で前記第2の側面(124、224、324)にシール係合するように構成される、弁部材(108、208、308)と、
III.前記第2の領域(176)と前記第2の側面(124、224、324)との間で、前記弁部材(108、208、308)及び/又は前記本体(104、204、304)のうちの一方に位置する支点(112、212、312)であって、前記弁部材(108、208、308)が前記本体(104、204、304)に対して押され、前記第1の領域(172)が前記第2の側面(124、224、324)に向かって動くと、前記第2の領域(176)が前記支点(112、212、312)の周りに旋回し、前記第3の領域(180)の前記シール部分の少なくとも一部が撓んで、前記第2の側面(124、224、324)とのシール係合から外れ、前記弁(100、200、300)を通る連通を確立する、支点(112、212、312)と、
を備える、前記弁。
【請求項21】
ノーマルクローズの弁(100、200、300)であって、i)前記弁(100、200、300)の第1の側(113、213、313)の圧力が、前記弁(100、200、300)の第2の側(114、214、314)の圧力に対して、所定の圧力分だけ超過することに応じて、前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)と前記第2の側(114、214、314)との間で前記弁(100、200、300)を通る連通を確立するように自動的に開放することができ、及びii)前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)と前記第2の側(114、214、314)との間で前記弁(100、200、300)を通る連通を確立するように選択的に開放することもでき、前記弁(100、200、300)は、
I.本体(104、204、304)であって、
A.第1の側面(120、220、320)及び第2の側面(124、224、324)と、
B.前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間で前記本体(104、204、304)を貫通し、i)前記本体の第1の側面(120、220、320)における流路開口(132、232)と、ii)前記本体の第2の側面(124、224、324)における流路開口(136、236、336)とを画定する少なくとも1つの流路(128、228、328)と、
C.i)前記第2の側面(124、224、324)に位置し、ii)前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)を取り囲む弁座(148、248、348)と
を画定する、本体(104、204、304)と、
II.弁部材(108、208、308)であって、
A.i)最初に設置された、前記本体(104、204、304)に対する第1の位置と、ii)選択的に機械的に維持可能な、前記本体(104、204、304)に対する第2の位置との間の動きに適応するように、前記本体(104、204、304)に装着されるアンカー(152、252、352)と、
B.撓み可能で弾性であり、i)前記アンカー(152、252、352)から横方向に延在し、ii)前記アンカー(152、252、352)が前記本体(104、204、304)に対する前記第1の位置にあり、前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)の圧力が、前記弁(100、200、300)の前記第2の側(114、214、314)の圧力に対して、所定の圧力分以上に超過しないとき、前記第2の側面(124、224、324)における前記弁座(148、248、348)と、前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)の周囲でシール係合するシール部分を画定する、フランジ(156、256、356)と
を有する、弁部材(108、208、308)と、
III.前記フランジ(156、256、356)と前記第2の側面(124、224、324)との間で、前記弁部材(108、208、308)及び/又は前記本体(104、204、304)のうちの一方に位置する支点(112、212、312)であって、
前記本体(104、204、304)に対する前記第2の位置に向けて、前記アンカー(152、252、352)を押すと、
前記支点(112、212、312)の周りに、前記フランジ(156、256、356)の少なくとも一部が旋回し、
これによって、前記シール部分の少なくとも一部が撓んで、前記第2の側面(124、224、324)上の前記弁座(148、248、348)とのシール係合から外れて、
前記弁(100、200、300)が開いて、
前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)と前記第2の側(114、214、314)との間で、前記弁(100、200、300)を通る連通を確立させ、
前記弁(100、200、300)が選択的に開放されることを可能とする、支点(112、212、312)と
を備える、前記弁。
【請求項22】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、容器内の第2の圧力を超える容器外の第1の圧力にさらされ得る容器の一部であり、
前記フランジ(156、256、356)は、前記容器の外部に位置する、請求項21に記載の弁。
【請求項23】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間に延在するように設けられる複数の前記流路(128、228、328)を有し、
前記流路(128、228、328)のそれぞれは、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)が円形の軌跡上に位置するように、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)における流路開口(136、236、336)を画定する、請求項21又は22に記載の弁。
【請求項24】
前記弁(100、200、300)であって、
前記弁部材(108、208、308)の前記フランジ(156、256、356)は、前記アンカー(152、252、352)から延在する概ね円形形態を有する可撓性で弾性のメンブレンであり、
前記弁部材(108、208、308)の前記シール部分は、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)における前記複数の前記流路開口(136、236、336)の周囲の前記弁座(148、248、348)にシール係合する環状リップ(184、284、384)である、請求項23に記載の弁。
【請求項25】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間に延在する装着孔(140、240、340)を画定し、
前記弁部材(108、208、308)の前記アンカー(152、252、352)は、i)前記装着孔(140、240、340)に収容される中間部(164)と、ii)前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)において前記装着孔(140、240、340)を越えて延在する第1の端部(160)と、iii)前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)において前記装着孔(140、240、340)を越えて延在する第2の端部(168)とを有し、
前記弁部材(108、308、308)の前記フランジ(156、256、356)は、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)に隣接した位置にあり、前記アンカー(152、252、352)の前記第2の端部(168)から延在し、
前記アンカー(152、252、352)の前記第1の端部(160)は、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)から前記第2の側面(124、224、324)に向かう方向において、前記装着孔(140、240、340)を通る前記第1の端部(160)の動きを阻止するように、拡径され、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)に隣接して延在するとともに、前記第1の側面(120、220、320)に係合する、請求項21~24のいずれか一項に記載の弁。
【請求項26】
前記弁(100、200、300)であって、前記フランジ(156、256、356)は、前記アンカー(152、252、352)を前記第1の位置に付勢するシール力によって、前記シール部分が前記弁座(148、248、348)に係合することができるように十分な弾性を有し、
前記アンカー(152、252、352)の前記拡径された第1の端部(160)は、前記装着孔(140、240、340)に隣接して前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)に引き付けられ、前記アンカー(152、252、352)が前記付勢に打ち勝つのに十分な外力によって動かされない限り、前記アンカー(152、252、352)を前記第1の位置に維持する、請求項25に記載の弁。
【請求項27】
前記弁(100)であって、前記支点(112)は、前記本体(104)の前記第2の側面(124)から前記弁部材のフランジ(156)に向かって突出する柱である、請求項21~26のいずれか一項に記載の弁。
【請求項28】
前記弁(200)であって、前記支点(212)は、前記弁部材(208)の前記フランジ(256)から前記本体(204)の前記第2の側面(224)に向かって突出する柱である、請求項21~26のいずれか一項に記載の弁。
【請求項29】
前記弁(300)であって、
前記支点(312)は、
i)前記本体(304)の前記第2の側面(324)から前記弁部材(308)の前記フランジ(356)に向かって突出し、
ii)前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲に延在する
環状壁であり、
前記環状壁は、前記フランジ(356)が前記環状壁に係合すると、そこを貫流させる少なくとも1つのチャネル(390)を画定する、請求項21~26のいずれか一項に記載の弁。
【請求項30】
前記弁(300)であって、
前記支点(312)は、
i)前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲で、前記弁部材(308)の前記フランジ(356)から前記本体(304)の前記第2の側面(324)に向かって突出し、
ii)前記弁部材(308)の前記シール部分から横方向に離隔され、
iii)前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲で前記第2の側面(324)に係合するように構成される
環状壁であり、
前記環状壁は、前記環状壁が前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲で前記第2の側面(324)に係合すると、そこを貫流させる少なくとも1つのチャネル(390)を画定する、請求項21~26のいずれか一項に記載の弁。
【請求項31】
前記弁(100、200、300)であって、前記弁部材(108、208、308)は、約40ショアAのデュロメータ硬さを有するシリコーンから形成される、請求項21~30のいずれか一項に記載の弁。
【請求項32】
前記弁(100、200、300)であって、前記フランジ(156、256、356)は、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)に面しない、曲率半径(R2)を規定する上面(192)を有し、前記フランジ(156、256、356)は、前記第2の側面(124、224、324)に面する、曲率半径(R1)を規定する底面(188)を更に有し、
前記底面(188)の前記曲率半径(R1)は、前記上面(190)の前記曲率半径(R2)よりも大きい、請求項21~31のいずれか一項に記載の弁。
【請求項33】
前記弁(100、200、300)であって、前記弁(100、200、300)は、前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)の圧力が、前記弁(100、200、300)の前記第2の側(114、214、314)の圧力を約20600パスカル超過すると、前記弁(100、200、300)を通る連通を確立するように自動的に開放するように構成される、請求項21~32のいずれか一項に記載の弁。
【請求項34】
前記弁(100、200、300)であって、前記弁部材(108、208、308)は、前記弁部材(108、208、308)の前記アンカー(152、252、352)が所定の手動圧迫力にさらされると、前記本体(104、204、304)に対する前記第2の位置に機械的に維持可能である、請求項21~33のいずれか一項に記載の弁。
【請求項35】
前記弁(100、200、300)であって、前記アンカー(152、252、352)は、中心軸(116、216、316)を規定し、前記支点(112、212、312)は、前記中心軸(116、216、316)を基準として、前記本体の第2の側面(124、224、324)において前記流路開口(136、236、336)の径方向外方に位置する、請求項21~34のいずれか一項に記載の弁。
【請求項36】
前記弁(100、200)であって、前記支点(112、212)は、前記弁部材(108、208)及び/又は前記本体(104、204)の前記第2の側面(124、224)のうちの一方に位置する4つの丸みを帯びた柱の形態を有し、前記柱は、円形の軌跡上に位置する、請求項21~26のいずれか一項に記載の弁。
【請求項37】
前記弁(100、200、300)であって、前記本体(104、204、304)は、4つの流路(128、228、328)を有し、前記4つの流路(128、228、328)のそれぞれは、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間に延在する弧状のスロットの形態を有する、請求項21~36のいずれか一項に記載の弁。
【請求項38】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、容器のための成形された熱可塑性インサートであり、前記容器は、前記容器内の第2の圧力を超える前記容器外の第1の圧力にさらされ得、
前記弁部材(108、208、308)は、成形されたエラストマーであり、
前記弁部材(108、208、308)は、前記弁部材(108、208、308)の前記フランジ(156、256、356)が前記容器の外部に位置するように、前記本体(104、204、304)とともに配置される、請求項21~37のいずれか一項に記載の弁。
【請求項39】
前記弁(100、200、300)は、可撓性パウチの形態の容器と組み合わされ、前記パウチの開口に位置する、請求項21~38のいずれか一項に記載の弁。
【請求項40】
弁(100、200、300)であって、
I.第1の側面(120、220、320)及び第2の側面(124、224、324)を有する本体(104、204、304)であって、前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間で前記本体(104、204、304)を貫通し、
i)前記第1の側面(120、220、320)における流路開口(132、232)と、
ii)前記第2の側面(124、224、324)における流路開口(136、236、336)と、
を画定する少なくとも1つの流路(128、228、328)を画定する、本体(104、204、304)と、
II.弁部材(108、208、308)であって、
i)前記本体(104、204、304)に対して可動であり、
ii)第1の領域(172)と、前記第1の領域(172)から延在する第2の領域(176)と、前記第2の領域(176)から延在する第3の領域(180)とを有する可撓性で弾性のフランジ(156、256、356)を有し、前記第3の領域(180)は、シール部分を有し、前記シール部分は、前記弁(100、200、300)が、前記弁(100、200、300)を通る連通を防止するように閉鎖された初期状態にあるとき、前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)の周囲で前記第2の側面(124、224、324)にシール係合するように構成される、弁部材(108、208、308)と、
III.前記第2の領域(176)と前記第2の側面(124、224、324)との間で、前記弁部材(108、208、308)及び/又は前記本体(104、204、304)のうちの一方に位置する支点(112、212、312)であって、前記弁部材(108、208、308)が前記本体(104、204、304)に対して押され、前記第1の領域(172)が前記第2の側面(124、224、324)に向かって動くと、前記第2の領域(176)が前記支点(112、212、312)の周りに旋回し、前記第3の領域(180)の前記シール部分の少なくとも一部が撓んで、前記第2の側面(124、224、324)とのシール係合から外れ、前記弁(100、200、300)を通る連通を確立する、支点(112、212、312)と、
を備える、前記弁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、1つ以上の流動性物質の流れを制御する弁に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの弁は、入れ物又は他の容器の比較的剛性の高い本体又は壁に装着することができる、比較的可撓性があり弾性の弁部材を備える。本体は、容器の内部を容器の外部から分離し、又は代替的には、本体は、入れ物若しくは他の容器内の異なるチャンバーを分離することができる。本体には、本体を貫通し、弁の両側間で流路を通る単数又は複数の流動性物質(例えば、液体、気体、固体粒子)の流れに適応する1つ以上の流路を設けることができる。弁は、ノーマルクローズ(常閉)型とすることができ、弁の両側間の差圧が所定値を超えないとき、可撓性弁部材の一部が流路の周囲で本体の表面に対してシールする。このノーマルクローズの弁は、弁を通る一方の側から他方の側への流動性物質の流れを阻止又は実質的に防止する。
【0003】
弁の両側間の差圧が所定値を超えると、弁の片側におけるより高い圧力が、可撓性弁部材の固有弾性に打ち勝ち、可撓性弁部材を本体の表面から遠ざけ、流路を露出させる。流路が露出すると、弁の高圧側から弁の低圧側への流動性物質の流れに適応する。弁部材の弾性により、弁の両側間の差圧が所定値を下回ると、弁部材が本体に対してシールするように戻る。
【0004】
1つのそのような弁は、(1)近位端部と容器の開口に装着される遠位端部とを有する細長い中央部と、(2)容器の開口にわたってシールする、中央部の近位端部から横方向外方に延在する環状シールフランジとによって画定される傘様の形状を有する、可撓性で弾性の弁部材を含む傘形逆止弁である。
【0005】
傘形状の弁部材は、環状シールフランジの下側又は底部における圧力がフランジの頂側又は頂部における圧力を超えると、通り抜ける流れを可能にするように開放する一方逆止弁を画定する。
【0006】
そのようなタイプの傘形逆止弁の形態は、米国特許第5,507,318号、同第6,951,295号、及び同第7,243,676号に開示されている。これらの特許の記載は、本明細書に関連する範囲及び本明細書に矛盾しない範囲で、参照により本明細書に援用する。
【0007】
本発明の発明者らは、少なくともいくつかの用途において、本体に装着される傘型の弁部材を含み、一方弁として機能することに限定されず、異なる動作モードでは二方弁として選択的に機能することができる、改善された弁を提供することが望ましいことを見出した。
【0008】
本発明の発明者らは、少なくともいくつかの用途に対して、容易に組立て、分解、及び/又は洗浄することができるような改善された弁を提供することが望ましいことを更に突き止めた。
【0009】
本発明の発明者らは、少なくともいくつかの用途に対して、(1)ノーマルクローズ状態と、(2)弁の使用者又は十分な剛性の物品によって、弁部材が機械的に係合されたときに、機械的に維持可能である開放状態との双方を有する弁を提供することが望ましいことも突き止めた。
【0010】
本発明の発明者らは、少なくともいくつかの用途に対して、以下の利点のうちの1つ以上を有するように、流動性物質容器とともに使用されるように構成することができる改善された弁を提供することが望ましいことも突き止めた。その利点とは、(1)製造及び/又は組立てが容易であること、(2)製造及び/又は組立てのコストが比較的低いこと、(3)係合する物品又は弁の使用者によって加えられる弁を解放するのに必要な力のユニットごとのばらつきが少ないこと、並びに(4)一貫した動作特性を有する弁を製造するための、製品不良率が低減された、効率的で高品質な大量生産技術による弁の製造に適応すること、である。
【0011】
本発明の発明者らは、従来技術によってこれまで教示又は想定されなかった新規の有利な特徴を有するとともに、上述の効果又は特徴のうちの1つ以上を有する設計に適応することができる弁を提供する方法を見出した。
【発明の概要】
【0012】
本発明の発明者らは、弁を通る(一方の側から他方の側への)選択的な流れを可能にする改善された弁を提供する方法を見出した。弁は、流動性物質の容器(オストミーパウチ又は袋等)に組み付けることができ、又は、容器若しくはシステムの外部と内部との間に開口を有する他の何らかのタイプの流動性物質処理システム(ミキサー用の入れ物等)に組み込むことができる。
【0013】
本発明の1つの態様によれば、弁は、ノーマルクローズ(常閉)型であり、(i)弁の第1の側の圧力が、弁の第2の側の圧力に対して、所定の圧力分だけ超過することに応じて、弁の第1の側と第2の側との間で弁を通る連通を確立するように自動的に開放することができ、及び(ii)弁の第1の側と第2の側との間で弁を通る連通を確立するように選択的に開放することができる。弁は、第1の側面及び第2の側面を画定する本体を備える。本体は、本体の第1の側面と本体の第2の側面との間を貫通し、(i)本体の第1の側面における流路開口と、(ii)本体の第2の側面における流路開口とを画定する少なくとも1つの流路を画定する。本体は、(i)本体の第2の側面に位置し、(ii)本体の第2の側面における流路開口を取り囲む弁座を更に備える。
【0014】
弁は、(i)最初に設置された、本体に対する第1の位置と、(ii)選択的に機械的に維持可能な、本体に対する第2の位置との間の動きに適応するように、本体に装着されるアンカーを有する可動な弁部材を備える。弁部材は、(i)アンカーから横方向に延在し、(ii)アンカーが本体に対する第1の位置にあり、弁の第1の側の圧力が、弁の第2の側の圧力に対して、所定の圧力分以上に超過しないとき、本体の第2の側面における流路開口の周囲で本体の第2の側面における弁座にシール係合するシール部分を画定する、撓み可能な弾性フランジを更に備える。
【0015】
弁は、弁部材のフランジと本体の第2の側面との間で、弁部材及び本体のうちの一方に位置する支点を有しており、本体に対する第2の位置に向けて、アンカーを押すと、支点の周りに、弁部材のフランジの少なくとも一部が旋回し、これによって、シール部分の少なくとも一部が撓んで、本体の第2の側面上の弁座とのシール係合から外れて、弁が開いて、弁の第1の側と第2の側との間で、弁を通る連通を確立させ、弁が選択的に開放される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、本体は、容器内の第2の圧力を超える容器外の第1の圧力にさらされ得る容器の一部である。弁部材のフランジは、容器の外部に位置する。
【0017】
本発明の別の態様によれば、本体は、本体の第1の側面と第2の側面との間に延在するように設けられる複数の流路を有する。流路のそれぞれは、本体の第2の側面における流路開口が、本体の第2の側面における円形の軌跡上に位置するように、本体の第2の側面における流路開口を画定する。
【0018】
本発明の更に別の態様によれば、弁部材のフランジは、アンカーから延在する概ね円形形態を有する可撓性で弾性のメンブレンである。弁部材のシール部分は、本体の第2の側面における複数の流路開口の周囲の弁座にシール係合する環状リップである。
【0019】
本発明の1つの形態において、本体は、本体の第1の側面と第2の側面との間に延在する装着孔を画定する。弁部材のアンカーは、(i)装着孔に収容される中間部と、(ii)本体の第1の側面において装着孔を越えて延在する第1の端部と、(iii)本体の第2の側面において装着孔を越えて延在する第2の端部とを有する。弁部材のフランジは、本体の第2の側面に隣接した位置にあり、アンカーの第2の端部から延在する。アンカーの第1の端部は、上記本体の第1の側面から本体の第2の側面に向かう方向において、装着孔を通るアンカーの第1の端部の動きを阻止するように、拡径され、上記本体の第1の側面に隣接して延在するとともに、第1の側面に係合する。
【0020】
本発明の別の形態によれば、弁部材のフランジは、弁部材のアンカーを第1の位置に付勢するシール力によって、シール部分が本体の弁座に係合することができるように十分な弾性を有し、アンカーの拡径された第1の端部は、装着孔に隣接して本体の第1の側面に引き付けられ、弁部材のアンカーが付勢に打ち勝つのに十分な外力によって動かされない限り、弁部材のアンカーを第1の位置に維持する。
【0021】
本発明のまた別の態様によれば、支点は、本体の第2の側面から弁部材のフランジに向かって突出する柱である。
【0022】
本発明の別の態様によれば、支点は、弁部材のフランジから本体の第2の側面に向かって突出する柱である。
【0023】
本発明の1つの形態において、支点は、(i)本体の第2の側面から弁部材のフランジに向かって突出し、(ii)本体の第2の側面における流路開口の周囲に延在する環状壁である。環状壁は、弁部材のフランジが環状壁に係合すると、そこを貫流させる少なくとも1つのチャネルを画定する。
【0024】
本発明のまた別の態様において、支点は、(i)本体の第2の側面における流路開口の周囲で、弁部材のフランジから上記本体の第2の側面に向かって突出し、(ii)弁部材のシール部分から横方向に離隔され、(iii)本体の第2の側面における流路開口の周囲で本体の第2の側面に係合するように構成される、環状壁である。環状壁は、環状壁が本体の第2の側面における流路開口の周囲で本体の第2の側面に係合すると、そこを貫流させる少なくとも1つのチャネルを画定する。
【0025】
本発明の別の態様によれば、弁部材は、約40ショアAのデュロメータ硬さを有するシリコーンから形成される。
【0026】
本発明のまた別の態様によれば、弁部材のフランジは、本体の第2の側面に面しない、第1の曲率半径を規定する上面を有する。フランジは、本体の第2の側面に面する、第2の曲率半径を規定する底面を有する。第2の曲率半径は、第1の曲率半径よりも大きい。
【0027】
本発明の別の態様によれば、弁は、弁の第1の側の圧力が弁の第2の側の圧力を約20600パスカル超過すると、弁を通る連通を確立するように自動的に開放するように構成される。
【0028】
本発明の別の態様によれば、弁部材は、弁のアンカーが所定の閾値の圧迫力にさらされると、本体に対する第2の位置に機械的に維持可能である。
【0029】
本発明の1つの形態において、アンカーは、中心軸を規定し、支点は、中心軸を基準として、本体の第2の側面において流路開口の径方向外方に位置する。
【0030】
本発明の1つの形態において、支点は、弁部材又は本体の第2の側面のうちの一方に位置する4つの丸みを帯びた柱の形態を有する。各柱は、円形の軌跡上に位置する。
【0031】
本発明の1つの形態によれば、本体は、4つの流路を有し、4つの流路のそれぞれは、本体の第1の側面と第2の側面との間に延在する弧状のスロットの形態を有する。
【0032】
本発明の1つの形態において、本体は、容器のための成形された熱可塑性インサートであり、容器は、容器内の第2の圧力を超える容器外の第1の圧力にさらされ得る。弁部材は、成形されたエラストマーであり、フランジが容器の外部に位置するように、本体とともに配置される。
【0033】
本発明の1つの特定の形態によれば、弁は、第1の側面及び第2の側面を有する本体を備える。本体は、第1の側面と第2の側面との間で本体を貫通し、(i)本体の第1の側面における流路開口と、(ii)本体の第2の側面における流路開口とを画定する少なくとも1つの流路を画定する。
【0034】
弁の特定の形態は、(i)本体に対して可動であり、(ii)第1の領域と、第1の領域から延在する第2の領域と、第2の領域から延在する第3の領域とを有する可撓性で弾性のフランジを有する弁部材を更に備える。第3の領域は、シール部分を有し、シール部分は、弁が、弁を通る連通を防止するように閉鎖した初期状態にあるとき、本体の第2の側面における流路開口の周囲で本体の第2の側面にシール係合するように構成される。
【0035】
弁の特定の形態は、弁部材のフランジの第2の領域と本体の第2の側面との間で弁部材及び本体のうちの一方に位置する支点を更に有し、弁部材が本体に対して押され、弁部材のフランジの第1の領域が本体の第2の側面に向かって動くと、弁部材のフランジの第2の領域が支点の周りに旋回し、弁部材のフランジの第3の領域のシール部分の少なくとも一部が撓んで、本体の第2の側面とのシール係合から外れ、弁を通る連通を確立する。
【0036】
本発明の多数の他の利点及び特徴は、本発明の以下の詳細な説明、特許請求の範囲及び添付図面から容易に明らかとなる。
【0037】
本明細書の一部をなす添付図面において、同様の符号は、図面を通して同様の部分を示すのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明に係る弁の第1の実施形態を上から見た拡大部分等角図であり、図1は、応力のかからない閉鎖位置にあり、弁の本体の断片的な一部に組み付けられた弁部材を示している。
図2図2は、図1の弁を下から見た拡大部分等角図である。
図3図3は、図1の弁を上から見た拡大部分分解等角図である。
図4図4は、図1の弁を下から見た部分分解等角図である。
図5図5は、図1の弁の拡大部分平面図である。
図6図6は、図1の弁の拡大部分底面図である。
図7図7は、図5の平面7-7に沿った図1の弁の拡大部分断面図である。
図8図8は、図5の平面8-8に沿った図1の弁の拡大部分断面図である。
図8A図8Aは、図5の平面8-8に沿った図1の弁の拡大部分断面図であるが、図8Aは、弁を、弁の第1の側における過圧状態によってもたらされる第1の開放位置において示している。
図9図9は、図1の弁の拡大部分平面図であるが、図9は、弁を、弁の上側に使用者の指が係合することによってもたらされる第2の開放位置において示している(指は図9には示していない)。
図10図10は、図9の平面10-10に沿った図1の弁の拡大部分断面図であり、図10は、弁を、弁の上側に使用者の指が係合することによってもたらされる第2の開放位置において示している。
図11図11は、図9の平面11-11に沿った図1の弁の拡大部分断面図であり、図11は、弁を、弁の上側に使用者の指が係合することによってもたらされる第2の開放位置において示している。
図12図12は、本発明に係る弁の第2の実施形態の拡大部分平面図であり、図12は、応力のかからない閉鎖位置にあり、弁の本体の断片的な一部に組み付けられた弁部材の第2の実施形態を示している。
図13図13は、図12の弁を下から見た拡大部分分解等角図である。
図14図14は、図12の平面14-14に沿った図12の弁の拡大部分断面図である。
図15図15は、図12の平面15-15に沿った図12の弁の拡大部分断面図である。
図16図16は、本発明に係る弁の第3の実施形態を上から見た拡大部分分解等角図である。
図17図17は、図16の弁の拡大部分平面図であり、図17は、応力のかからない閉鎖位置における弁部材を示している。
図18図18は、図17の平面18-18に沿った図16の弁の拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の弁は、多くの異なる形態の実施形態が可能であるが、本明細書及び添付図面は、本発明の例としていくつかの特定の形態のみを開示している。ただし、本発明は、そうして記載された実施形態に限定されることを意図していない。
【0040】
図1図11は、符号100によって示す、本発明に係る弁の第1の実施形態を示している。図8を参照すると、弁100は、3つの主要な機能要素、すなわち、(i)本体104と、(ii)弁部材108と、(iii)支点112とを有する。弁100は、1つ以上の流動性物質(例えば、気体、液体、固体粒子)が弁100を通って、弁100の第1の側113と弁100の第2の側114との間で(一方向又は双方向に)連通することを選択的に可能にするために用いることができる。弁100は、通常、容器、チャンバー、又はシステムの内部と外部との間の開口に位置する。本体104は、そのような容器、チャンバー、若しくはシステムの一部とすることができ、又はそれらと一体とすることができる。代替的に、本体104は、容器、チャンバー、又はシステムにおける開口に取り付けられるか又は保持されるインサート又は別個の部品とすることができる。
【0041】
弁100は、特に、内部が真空にさらされることがある容器に設置されるようになっており、弁100の使用者は、弁100の容器の外部に位置する部分に、直接又は間接的に、選択的に係合し、弁100の一部を動かし、容器の外部から容器の内部への流動性物質(例えば、空気)の流れを可能にすることができる。
【0042】
説明を容易にするために、本発明の弁は、図面に関して、使用者又は十分な剛性の物品に係合するようになっている流動性物質容器又はシステムに設置されたときに、弁がとり得る概ね水平の向きで説明される。使用者又は物品は、上方から弁に接触し、弁の一部を下方に動かすことができる。本明細書において、「軸方向」、「径方向」、及び「横方向」という用語は、弁部材104の中心を通って概ね鉛直に延在する軸116(図3図7図8)に関して用いられる。本明細書において使用される場合、「軸方向外方」という表現は、軸116に沿って図の上方向を指す。「軸方向内方」という表現は、軸116に沿って図の下方向を指す。本明細書において使用される場合、「径方向内方」という表現は、軸116に対して垂直で、軸116に向かう方向を指す。「径方向外方」という表現は、軸116に対して垂直で、軸116から離れる方向を指す。「横方向外方」という表現は、軸116から離れ、かつ軸116に対して垂直の平面内にある方向を指す。しかしながら、本発明の弁100は、図示の向き以外の向きで製造、保管、移送、使用、又は販売することができることが理解されよう。
【0043】
弁100は、様々な設計を有する多様な従来の又は特別な流動性物質容器又はシステム(例えば、流動性物質ハンドリング又は処理システム、分配システム等)とともに使用するのに好適である。これらのシステムの詳細は、図示又は記載していないが、当該技術分野における、そのような容器又はシステムを理解している当業者には明らかであろう。容器は、例えば、剛性のボトル又は可撓性の袋とすることができる。また、弁100は、周囲大気圧未満、周囲大気圧、又は周囲大気圧を超える圧力で流動性物質を含む、リザーバー、流動性物質処理システム、又は流動性物質分配システム(圧力がシステム内の流動性物質の静水頭に由来するシステム、及び/又は内部で流動性物質の加圧を発生させるか若しくは生じさせるシステムを含む)に設置することができる。
【0044】
弁100は、弁100の使用者によって機械的に(すなわち、手動で)操作することができ、又は、弁100の一部を撓ませて弁100を開放するのに十分な剛性のある機構、プローブ、若しくは他の物品によって操作してもよい。そのような機構、プローブ、又は物品は図示していないが、そのような特徴部は、当業者には容易に設計することができる。そのような特徴部の詳細な説明は、本発明の理解に必須ではなく、したがって、本発明の新規の態様の理解を容易にするのに必要な程度しか本明細書においては論じない。
【0045】
図1及び図2を参照すると、弁100の本体104が部分的にのみ示されている。本体104は、容器の開口に若しくは容器の開口にわたって固定されるインサート若しくは受け部とすることができるか、又は容器の一体部分とすることができる。本体104は、任意の好適な形状又は厚さを有することができることが理解されよう。例えば、本体104は、別個の容器の開口にスナップ留め接続によって取外し可能に固定される熱可塑性ディスク又は薄肉部品の形態を有することができる。いくつかの用途では、インサートは、接着剤、溶接、圧入等によって容器に取外し不能に固定することができる。代替的に、本体104は、容器自体の内部又は外部における壁の一部とすることができる。本体104は、十分に剛性のある熱可塑性物質(例えば、ポリプロピレン又はポリエチレン)から成形又は形成することが好ましいが、金属等の他の材料又は複合材を本体104に用いてもよい。目下好ましい1つの形態において、本体104は、可撓性のオストミーバッグ又はパウチの開口に接続される比較的剛性の高い継手又はポートであり、弁100は、使用者が係合することで、本体104の両側間での流動性物質の出入りを可能にすることができる。
【0046】
図3及び図4を参照すると、本体104は、第1の側面120及び第2の側面124を画定する。弁100の目下好ましい1つの用途において、第1の側面120は、(選択的に真空にさらされる)容器の内部に面し、第2の側面124は、(通常は周囲気圧にある)容器の外部に面する。本体104は、4つの流路128を画定し、4つの流路128のそれぞれは、概して、軸116に中心を置く弧状のスロットの形態である。各流路128は、本体104の第1の側面120にある流路開口132(図4)と、本体104の第2の側面124にある流路開口136(図3)とを画定する。各流路128は、図8に見ることができるように、軸116に対して平行な方向に本体104の厚さを貫通するが、流路128のうちの1つ以上が、他の方向に本体104を貫通しても、他の形状(図示せず)を有してもよいことが理解されよう。
【0047】
図3及び図4をなおも参照すると、本体104は、以下に詳細に論じる、弁部材108の一部を受ける装着孔140を画定する。装着孔140は、円形であり、軸116に中心を置く。
【0048】
図3図7、及び図8を参照すると、図示の第1の実施形態の弁100の支点112は、本体104の第2の側面124に位置するとともに、本体104の第2の側面124から弁部材108に向かって突出する4つの柱112の形態を有する。各支点柱112は、以下に論じる、弁部材108の一部に接触する丸みを帯びた先端部144を有する。加えて、各支点柱112は、本体104の第1の側面124において流路開口136を横方向外方に越えたところに位置する。
【0049】
図示の第1の実施形態の弁100は、本体104と一体の柱112の形態の支点112を有するが、支点柱112は、本体104と一体である必要はないことが理解されよう。例えば、支点柱112は、本体104とは別個に形成し、その後、二次的な製造プロセス(例えば、接着剤を用いた接着、バイインジェクション成形、溶接、クランプ留め、圧入等)によって本体104に取り付けることができる。さらに、これに代えて、以下に論じる弁の他の図示の実施形態のように、支点柱112は、(本体104の代わりに)弁部材108に取り付けるか又は弁部材108と一体形成してもよい。
【0050】
図示の第1の実施形態の弁100の支点柱112は、本体104から弁部材108に突出する4つの丸みを帯びた柱の形態を有するが、支点柱112は、いくつかの用途ではそのような形状に必ずしも限定されないことが理解されよう。例えば、支点112は、本体104又は弁部材108のいずれかから突出する単一の柱の形態を有することができる。代替的に、支点112は、本体104又は弁部材108のいずれかから突出する壁の形態を有してもよい。
【0051】
図7及び図8をなおも参照すると、図示の第1の実施形態の弁100の本体104は、弁100が閉鎖されたとき(図7及び図8)、流路128の周囲にシールを形成する弁部材108の一部と協働する環状の弁座148を画定する。弁座148は、本体104の第2の側面124において流路開口136の横方向外方に位置するとともに、流路開口136を取り囲む。図示の第1の実施形態の弁100の弁座148は、本体104において実質的に平坦面の形態を有するが、弁座148は、弁部材108と協働してシールを形成するのに好適な他の形状を有してもよい。例えば、弁座148は、本体104において隆起するか、又は本体104内に窪んだ面とすることができる。加えて、弁座148は、弁部材108に設置された嵌合機能部と協働し、シールを形成することができるように、ノッチ、リブ、又はテクスチャ加工することができる。
【0052】
図示の第1の実施形態の弁100の弁部材108は、傘様の形態を有し、可撓性で弾性であり、圧力開放式で自己閉鎖式のものである。概ね関連する種類の傘形弁の形態が、米国特許第6,951,295号及び国際公開第2014/089082号に開示されている。これらの特許の記載は、本明細書に関連する範囲及び本明細書に矛盾しない範囲で、参照により本明細書に援用する。
【0053】
弁部材108は、特に飲料、食品、又は混合物を含む液体及び気体等の流動性物質とともに使用されるのに好適である。弁部材108は、可撓性で、柔軟であり、弾性である材料から、一体構造又は1部品構造として成形されることが好ましい。上記材料として、アメリカ合衆国において、Dow Corning Corporation社により、D.C.99-595及びRBL-9595-40という名称で販売されているシリコーンゴム等のシリコーンゴムを含む、熱硬化性合成ポリマー等のエラストマーを挙げることができる。別の好適なシリコーンゴム材料が、アメリカ合衆国において、Wacker Silicone Company社により、Wacker 3003-40という名称で販売されている。
【0054】
弁部材108は、他の熱硬化性材料、又は他のエラストマー材料、又は熱可塑性ポリマー若しくは熱可塑性エラストマーから成形することもできる。これらの材料には、例えば、熱可塑性プロピレン、エチレン、ウレタン、及びスチレン等(それらのハロゲン化された対応物質を含む)の材料に基づくものが含まれる。例えば、使用され得る特定の非シリコーン材料として、アメリカ合衆国オハイオ州44062、ミドルフィールド、マディソン通り14910にオフィスを構えるGold Key Processing, Inc.社によって、アメリカ合衆国においてGrade Z1118という名称で販売されているようなエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)がある。使用され得る別の非シリコーン材料として、アメリカ合衆国オハイオ州44223、カヤホガフォールズ、アスコットパークウェイ101にオフィスを構えるGraphic Arts Rubber社によって、アメリカ合衆国においてGrade GK0445081-2という名称で販売されているようなニトリルゴムがある。多くの用途において、材料は、単数又は複数の流動性物質が弁部材108に接触して反応及び/又は異物混入することを防ぐように、実質的に不活性であることが望ましい。
【0055】
図示の弁部材108は単一の材料から形成されるが、いくつかの用途では、弁部材108は、同じ又は異なる物質の2つ以上の層によって画定される材料から形成することができることが理解されよう。例えば、弁部材108の材料の1つの層は、シリコーンゴムから形成することができ、弁部材108の材料の1つ以上の他の層は、1つ以上の異なる物質の被膜、処理剤、又は積層から形成することができる。別の例として、弁部材108は、いくつかの部分がエラストマー材料から形成され、他の部分が金属ばね又は剛性の熱可塑性物質等の他の材料から形成される複合構造として形成することができる。
【0056】
弁部材108は、成形されたままの、実質的に応力のかからない静止位置又は状態(図3及び図4)を有する。組付け形態(図7及び図8)では、以下に詳細に説明するように、弁部材は、弁の本体104における装着構成によって少なくとも僅かに応力を受けることができ、或る特定の動作条件中に十分に流体密のシールが形成されるようになっている。弁部材108は、第1の動作モードにおいて、弁部材108の下の過圧状態等に応じて自動的に開放することができる(図8A)。加えて、以下に記載するように、弁部材108は、使用者の指又は十分な剛性の物品によって機械的に、第2の動作モードにおける別の開放位置又は状態に選択的に付勢することができる(図10及び図11に示されている)。
【0057】
図7図8、及び図10を参照すると、弁部材108は、本体104に装着されるアンカー152と、本体104における弁座148にシール係合するようにアンカー152から横方向外方に延在する環状フランジ156という主要な構成要素を有する。アンカー152は、特許請求の範囲において、本体104に対する「第1の位置」と称する、僅かに応力を受けた設置形態を有する(図7及び図8)。アンカー152は、特許請求の範囲において、本体104に対する「第2の位置」と称する、機械的に作動又は移動した形態を更に有する(図10)。
【0058】
ここで、図7図8図8A、及び図10を参照すると、アンカー152は、拡径された第1の端部160を有し、本体104の装着孔140に完全に挿入されると、第1の端部160が本体104の第1の側面120に位置するようになっている。拡径された第1の端部160は、滑らかなテーパー状の先端部と、当接面162を画定する弧状の広がった部分とを画定し(図7図8図8A、及び図10に見て取れる)、当接面162により、アンカー152を装着孔140を通して最初に設置した後、第1の端部160が装着孔140を通って元に戻る動きが防止又は阻止される。アンカー152は、本体104の装着孔140内に収まる中間部164(図7)を更に有する。アンカー152は、本体104の第2の側面124に隣接して位置する第2の端部168も有し、弁部材のフランジ156は、第2の端部168から延在する。
【0059】
弁部材108は、図7及び図8に示されている以外の方法で本体104に組み付けることができ、それにより、弁部材108は、本体104における孔140内に保持される必要はなく、そこから弁部材のフランジ156が延在することが理解されよう。例えば、弁部材108のアンカー152は、以下に論じるように、アンカー152の一部が弁の機械的な開放に適応するように環状フランジ156の撓みに適応するのであれば、接着、クランプ留め、成形、熱接合、又は別の方法で本体104の第2の側面124に取り付けることができる。
【0060】
図8を参照すると、弁部材のフランジ156は、アンカー152に直接つながり、アンカー152から横方向に延在する第1の環状領域172を画定する。第2の環状領域176が、第1の環状領域172から横方向に延在し、フランジ156の横方向外方端部における第3の環状領域180において終端する。第3の領域180の終端部は、アンカー152が本体104に対する第1の位置にあるとき(図8に示されている)、本体104における弁座148にシール接触する環状リップ184の形態のシール部分を有する。より具体的には、フランジ156の弾性により、リップ184が弁座148に対して押し付けられ、フランジの第1の端部160の当接面162を本体の第1の側面120に対して引き付けて、アンカー152を第1の位置に保持する。それにより、シールリップ184によって弁座148に対して及ぼされるいくらかのシール力が確立される。弁部材108の固有の弾性に起因して、弁100は、弁にわたって作用する選択された設計に基づく最小差圧に関して、弁の第1の側113における圧力が弁の第2の側114における圧力を設計に基づく最小差圧分だけ超えるまで、弁を閉鎖状態に保つように設計することができる。さらに、弁の第2の側114における圧力が弁の第1の側113における圧力を超えると、リップ184と弁座148との間のシールが流体密となり、弁100の第1の側113と弁の第2の側114との間の実質的な連通を防止又は最小化する。
【0061】
弁部材108のフランジ156は、弁部材108が開放差圧又は手動力にさらされる場合に弁100の適切な開閉を達成するように、特定の容器又はシステムにおいて及び空気等の特定のタイプの流動性物質に用いるために構成されることが好ましい。例えば、弁100の片側又は両側113、114における任意の流動性物質の圧力、粘度、及び密度が、考慮されるべき要素である。弁部材108の材料の剛性及びデュロメータ硬さが、考慮されるべき更なる要素である。弁部材108は、約40ショアAのデュロメータ硬さを有するシリコーン材料から形成されることが好ましい。しかしながら、発明者は、いくつかの用途において、弁部材108のデュロメータ硬さは、予め選択した通気圧力を達成するために増減させることができることを見出した。
【0062】
図5に見ることができるように、弁部材108のアンカー152及びフランジ156は、平面図において概ね円形形態を有し、中心軸116(図7において見て取れる)に対して概ね同心関係を有する。アンカー152は概ね円筒形として示されており、フランジ156は概ね環状として示されているが、これらの構造部は、他の形状を有してもよい。例えば、アンカー152及び/又はフランジ156は、三角形、四角形、又は別の多角形の形状を有することができる。さらに、アンカー152及び/又はフランジ156は、非対称及び/又は不規則な形状とすることができる。
【0063】
ここで図7を参照すると、軸116を通る鉛直断面に沿って見た場合、フランジ156は、弁部材108が本体104に装着され、弁100がノーマルクローズ状態にあるとき、概ね凹状形態を有する底面188を画定する。底面188は、曲率半径Rを有する。軸116を通る鉛直断面に沿って見た場合、フランジ156は、弁部材108が本体104に装着され、弁100がノーマルクローズ状態にあるとき、概ね凸状形態を有する上面192を更に画定する。上面192は、曲率半径Rを有する。上面192の曲率半径Rは、底面188の曲率半径Rよりも小さい。
【0064】
フランジ156を断面において見た場合、図7及び図8に示されているように、第1の環状領域172は第2の環状領域176よりも厚く、第2の環状領域176は第3の環状領域180よりも厚い。この形態は、目下想定される製品用途にとって、本体104に対する弁部材108の望ましい開放作用及び閉鎖作用をもたらすのに役立つ。他の製品用途及び/又は設計の変形形態において、3つの環状領域の相対的な厚さは異なる場合がある。
【0065】
図示の第1の実施形態の弁100は、いくつかの異なる方法で開放することができる。図8Aを参照すると、弁100は、弁100の第1の側113(及びフランジの底面188の下、リップ184と弁座148との間のシールの横方向内方)における圧力が弁100の第2の側114(シールリップ184の外方)における圧力を所定の分だけ超過すると開放するノーマルクローズ逆止弁として機能することができる。フランジの底面188に作用する圧力がフランジ156の固有の弾性、及びフランジの上面192に作用する対抗圧力を超過すると、フランジ156は、本体104から持ち上がり、リップ184が弁座148から分離する。リップ184が弁座148から分離することにより、弁の第2の側114における流路128が露出し、概して、弁100の第1の側113(高圧側)から流路128を通り、横方向外方にリップ184を越えて弁100の第2の側114(低圧側)に至る方向において、流動性物質が弁100を通って流れることが可能である(図8Aにおいて矢印190で示されている)。
【0066】
目下想定される商業製品において、図示の第1の実施形態の弁100は、弁の第1の側113(高圧側)と弁の第2の側114(低圧側)との間の差圧が約20600パスカル未満に留まる場合、実質的に閉鎖状態を保つように設計される。
【0067】
弁の第1の側113(高圧側)と弁の第2の側114(低圧側)との間の差圧が所定の分を下回ると、弁100は、図7及び図8に示されている閉鎖位置に自動的に戻る。すなわち、フランジ156の弾性により、リップ184を本体104の弁座148にシール式に再係合するように付勢し、シールを再び確立する。流路128を取り囲むシールを再び確立することにより、流動性物質が弁100を通って弁の第1の側113及び弁の第2の側114から流れることを防止又は最小化する。このようにして、弁100は、(1)弁の第2の側114から弁の第1の側113への流れを防止する、並びに(2)弁100の弁の第1の側113における圧力が弁の第2の側114における圧力を所定の分超過することに応じて(すなわち、弁の第1の側113の圧力は、弁の第2の側114における圧力と弾性シールフランジ156の固有の閉鎖力とを足したものに打ち勝つのに十分な大きさでなくてはならない)、弁の第1の側113から弁の第2の側114への流れを開放及び可能にするように、ノーマルクローズ逆止弁として機能することができる。
【0068】
ここで図10及び図11を参照すると、弁100は、指又は十分な剛性の物品(図示せず)が、弁シールを開放する程度に弁部材108を本体104に対して撓ませるのに十分な力で、弁部材108のアンカー152の頂端部に押し付けられると、第2の方法又は代替的な方法で開放又は作動することができる。指をアンカー152に対して下方に押し付けると(図10)、アンカー152及び弁部材のフランジ156は、軸116に沿って下方に並進する。アンカーの中間部164は、装着孔140を介して本体104に対する第2の位置へと下方に並進し、それにより、当接面162が動いて本体104との係合から外れる。
【0069】
図10及び図11をなおも参照すると、アンカー152の下方の動きにより、フランジの第1の領域172(図10)が本体104の第2の側面124に引っ張られる。第1の領域172を本体104に向かって動かすと、フランジの第2の領域176(図10)が支点柱112に接触する。支点柱112とフランジの第2の領域176とが接触することにより、フランジの第2の領域176が上方に撓み、フランジの第3の領域180(図10)を、本体104の第2の側面124から離れるように動かし(すなわち、上方に旋回させ)、それにより、本体104における弁座148からシール部分184が係脱する。リップ184が弁座148から分離することで、流路128が露出し、流動性物質が弁100を通って流れることを可能にする。また、そのような流れは、弁100の第1の側113及び第2の側114における相対圧力に応じていずれの方向にもなり得る。図11において、流れ矢印192は、第2の側114におけるより高い圧力から第1の側113におけるより低い圧力への流れを表す。
【0070】
アンカー152に対して作用する外的に印加される力が所定の分を下回ると(例えば、使用者が指を離すと(図11))、弁100は、図7及び図8に示されている閉鎖位置に自動的に戻る。すなわち、弁部材108のアンカー152及びフランジ156の弾性により、弁部材108が上方に並進し、それにより、フランジの第2の領域176が支点柱112との接触から係脱する。支点柱112が弾性のフランジの第2の領域176から係脱することにより、フランジの第2の領域176が通常の撓みのない形態に戻り、フランジの第3の領域180が本体104の方に戻って、リップ184が本体104の弁座148とのシールを再び確立するようになっている。したがって、リップ184が流路128を密閉式に取り囲む状態に戻り、弁100を閉鎖すると同時に、アンカー152の上方への並進により、アンカー152が本体104に対する第1の位置に戻り、アンカーの当接面162が本体104に再び係合し、弁部材のフランジ156が本体104の第2の面124と弾性係合することによって、第1の位置に維持されるようになっている(図7)。
【0071】
図示の第1の実施形態の弁100において、弁部材108は、アンカー152の頂部が所定の閾値の力にさらされると、本体104に対して、機械的に維持可能な開放又は作動位置(図10及び図11に示されている)に動くように設計される。
【0072】
発明者は、複数の動作モードを有する弁100等の改善された弁を提供することが、様々な容器又はシステムにおける単数又は複数の流動性物質の流れを制御するのに望ましい場合があることを見出した。特に、弁100は、内部が部分真空下にある、及び外部が大気圧以上の圧力にさらされる容器の開口において使用することが特に好適とすることができる。以下に詳細に説明されるように、弁100の使用者は、弁100を選択的に作動させ、外部の周囲空気を部分的に真空化された容器の内部に流れさせることによって、容器内の圧力と容器外の圧力とを平衡化することができる。弁100は、容器内の圧力が容器外の圧力を所定の分超過した場合に、自動的に開放して、流動性内容物が容器内から容器外に流れることを可能にすることによって、容器内部の過圧を防止する役目を更に果たすことができる。
【0073】
発明者は、複数の動作モードを有する弁100等の改善された弁を提供することは、他のタイプのマルチモード弁と比較した場合、より安価かつ容易に製造することができることを見出した。特に、弁100は、ばね、ボール、及び/又は組立てが必要な多数の構成要素を含む複雑なマルチモード弁よりも低コストで製造することができる。
【0074】
例えば、(i)弁が図示のものとは異なる向きで容器若しくはシステム上に、若しくは容器若しくはシステムとともに設置される場合、(ii)弁が設置される容器若しくは設置される弁を含む容器が、目下想定されるものとは異なる温度若しくは圧力にさらされる場合、又は(iii)弁が設置される容器が衝撃、波動、及び/又は衝突を受けやすい場合等、いくつかの用途においては、より大きな差圧でも閉鎖状態を維持するように、弁100を改変することが望ましい場合がある。
【0075】
更に他の用途、例えば、使用者(又は弁を開放させるのに用いられる剛性物品)が利用可能な駆動力が限られている場合(例えば、手に関節炎を有する使用者のために容器又はシステムが設計されている場合に当てはまり得る)において、はるかに低い外力にさらされた場合でも弁100が開放するように、弁100を改変することが望ましい場合がある。
【0076】
本発明に係る第2の実施形態の弁200が、図12図15に示されている。図示の第2の実施形態の弁200は、図示の第1の実施形態の弁100に関して上記に詳細に論じたものと全く同じ材料又は物質から形成又は作製することができる。図示の第2の実施形態の弁200は、第1の実施形態の弁100と同じ基本要素、すなわち、比較的剛性の高い本体204と、比較的可撓性のある弾性の弁部材208と、本体204と弁部材208との間に位置する支点212とを有する。図14及び図15に見ることができるように、弁200は、第1の側213及び第2の側214を有する。弁部材208は、中心軸216を規定する。
【0077】
第2の実施形態の弁200は、第1の実施形態の弁100と同様に機能する。第1の実施形態の弁100に関しては、図1図11に示されている第1の実施形態の特徴部を指すために、100番台の3桁の符号が用いられているが、図12図15に示されている第2の実施形態の弁200の特徴部を指すのには、200番台の3桁の符号が用いられている。各符号の末尾2桁が同じものは、2つの実施形態において同様の又は機能的に類似した要素を示している。第1の実施形態の弁100のそのような特徴部の上記の詳細な説明は、そのような前述の説明が後述の説明と矛盾しない限り、第2の実施形態の弁200にも当てはまる。
【0078】
図13図15を参照すると、本体204は、第1の側面220及び第2の側面224を画定し、第1の側面220における開口232と、第2の側面224における開口236(図15において見て取れる)とを有する4つの流路228を有する。中央装着孔240が、軸216に沿って本体200を貫通し、弁部材208の一部を受けるようになっている。本体の第2の側面224は、第2の側面224における流路開口236の横方向外方に位置する環状弁座248を画定する。
【0079】
ここで図14及び図15を参照すると、弁部材208は、中央アンカー252と、中央アンカー252から横方向外方に延在するフランジ256とを有する。フランジ256は、環状シール部分又はリップ284において終端し、弁座248に対してシールされるようになっている。フランジ256は、底面288を更に画定する。
【0080】
第2の実施形態の弁200は、支点柱212が弁部材208の底面288(すなわち、底面288の一部)に位置する点で、第1の実施形態の弁100とは異なる。支点柱212は、本体の第2の側面224に向かって突出する4つの丸みを帯びた柱212を含む。弁200の使用者によってアンカー252が押され、本体204に対する第1の位置から本体204に対する及び本体204に向かう第2の位置に動くと、支点柱212は、本体の第2の側面224に接触する機能を果たす。支点柱212が本体204と接触すると、リップ284を弁座248から離れるように旋回させる及び持ち上げる機能を果たし、それにより、本体204の第2の側224における流路開口236(図15)が露出し、弁200を通る(いずれの方向にもおける)流動性物質の連通を可能にする。支点212(すなわち、各支点柱212)がエラストマー製である場合、例えば、支点柱212がエラストマー製弁部材208と一体形成される場合、使用者がアンカー252を更に下方に付勢して、弁200を開放状態に完全に作動させるのに必要な、弁200における適応性が増す(支点柱212が比較的剛性の高い熱可塑性材料から形成される第1の実施形態の弁100と比較した場合)ことが理解されよう。
【0081】
第2の実施形態の弁200の支点212(すなわち、支点柱212)は、弁部材208と一体として示されているが、支点柱212は、弁部材208と一体である必要はないことが理解されよう。例えば、支点柱212は、最初に弁部材208とは別個に形成し、その後、二次的な製造プロセス(例えば、接着、バイインジェクション成形、熱接合、クランプ留め、圧入等)によって弁部材208に取り付けることができる。図示の第2の実施形態の弁200の支点212は、弁部材208の底面288から本体204に向かって突出する4つの丸みを帯びた柱212の形態を有するが、支点212は、いくつかの用途ではそのような形状に必ずしも限定されないことが更に理解されよう。例えば、支点212は、弁部材208から突出する1つのみの柱の形態を有することができる。代替的に、支点212は、弁部材208から下方に突出する壁の形態を有することができる。
【0082】
第2の実施形態の弁200は、第1の実施形態の弁100等の他のタイプの弁と比較した場合、より容易に製造することができ、より低コストとすることができる。
【0083】
加えて、弁部材208に位置する支点212を有する第2の実施形態の弁200は、本体204が、支点212を有するように改変することができない標準化された平面部分である用途において、より望ましい又は更には必要である場合がある。
【0084】
本発明に係る第3の実施形態の弁300が図16図18に示されている。以下に詳細に論じるように、図示の第3の実施形態の弁300は、図示の第1の実施形態の弁100と概ね同様に機能し、弁300の第1の側313と弁300の第2の側314との間の(いずれの方向にもおける)流動性物質の連通を制御するために、本体304、弁部材308、及び支点312という基本的な機能要素を有する。第1の実施形態の弁100に関しては、図1図11に示されている第1の実施形態の特徴部を指すために、100番台の3桁の符号が用いられているが、図16図18における第3の実施形態の弁300の特徴部を指すのには、300番台の3桁の符号が用いられている。各符号の末尾2桁が同じものは、第1の実施形態及び第3の実施形態において同様の又は機能的に類似した要素を示している。第1の実施形態の弁100のそのような特徴部の上述の詳細な説明は、そのような前述の説明が後述の説明と矛盾しない限り、第3の実施形態の弁300にも当てはまる。
【0085】
図16及び図18を参照すると、弁部材308は、概ね中心軸316に沿って本体304に組み付けられる。本体304は、第1の側面320及び第2の側面324を画定する。本体304は、第2の側面324における開口336(図16)をそれぞれ画定する4つの流路328(図16)を有する。中央装着孔340が、本体304を貫通し、弁部材308の一部を受けるようになっている。本体の第2の側面324は、第2の側面324における開口336の横方向外方に位置する環状弁座348を画定する。弁部材308は、中央アンカー352と、中央アンカー352から横方向外方に延在するフランジ356とを有する。フランジ356は、環状シール部分又はリップ384において終端し、弁300が図18に示されているようなノーマルクローズ位置にあるとき、弁座348に対してシールされるようになっている。
【0086】
第3の実施形態の弁300は、第3の実施形態の弁300の支点312が、本体の第2の側面324において流路開口336を横方向に越えた周囲に延在する環状壁312の形態を有する点で、第1の実施形態の弁100とは異なる。この壁は、弁300の使用者によってアンカー352が下方に付勢され、弁部材308が壁の頂部に接触すると、弁300の両側313、314間の流動性物質の連通を可能にするために、スロット、孔、又はチャネル390を有する。壁312の形態の支点312は、その他の点では、第1の実施形態の弁100に関して上述したのと同様に機能する。したがって、弁部材308が下方に押されると、本体304に対する弁部材308の下方への相対的な動きにより、支点壁312が弁部材308と係合し、フランジ356の遠位端部を上方に旋回させ、それにより、リップ384が弁座348から離れるように持ち上がり、流路開口336(図16)が露出し、流路328及びチャネル390を介して弁を通る流動性物質の連通が可能になる。支点壁312は、単一のチャネル390の代わりに一連の溝又は他の不連続部を画定するように改変することができることが理解されよう。また、支点壁は、一連の個別の離隔した弧状のリッジの形態を有することができる。また別の代替形態において、支点壁312は、流路開口336の全周360度を完全に囲むことができ、チャネル390は、通り抜ける流れを可能にするように、壁を径方向に貫通する1つ以上の穴又は他の孔に置き換えることができる。支点壁312は、上から見ると円形として示されているが、いくつかの用途において、壁は、他の形状、例えば、四角形、三角形、多角形、非対称、又は他の不規則な形態を有することができることが更に理解されよう。
【0087】
弁300が機械的に維持された開放状態にある場合、流動性物質の流れは、リップ384の下の弁300の第2の側314におけるより高圧の環境から、チャネル390を通り、流路328内に、そして、弁300の第1の側313におけるより低圧の環境へと移動することができる。流動性物質の流れは、弁300の第1の側313と第2の側314との間の相対圧力に応じて反転させることができることが理解されよう。
【0088】
図示の第3の実施形態の弁300の支点壁312は、本体304と一体の壁として示されているが、支点壁312は、本体304と一体である必要はないことが理解されよう。例えば、支点壁312は、最初に本体304とは別個に形成又は作製し、その後、二次的な製造プロセス(例えば、接着剤による接着、バイインジェクション成形、熱接合、クランプ留め、圧入等)によって取り付けることができる。さらに、支点壁312は、弁の本体304に位置する代わりに、弁部材308と一体形成してもよい。
【0089】
本明細書において、本発明の弁の動作に構成要素の構成及び配置がいかにして影響を与え得るかに関して、様々な理論及び説明を記載したが、そのような理論及び説明によって制限されることは意図されないことが理解されよう。さらに、添付の特許請求の範囲の範囲内にある全ての構造は、そのような弁の動作が、本明細書に提示された説明及び理論によって説明することができないというだけでは、特許請求の範囲の範囲から除外されることが意図されない。
【0090】
本発明の種々の変形形態及び変更形態は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなる。例示の実施形態及び例は、単に例として提供され、本発明の範囲を制限することは意図していない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノーマルクローズの弁(100、200、300)であって、i)前記弁(100、200、300)の第1の側(113、213、313)の圧力が、前記弁(100、200、300)の第2の側(114、214、314)の圧力に対して、所定の圧力分だけ超過することに応じて、前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)と前記第2の側(114、214、314)との間で前記弁(100、200、300)を通る連通を確立するように自動的に開放することができ、及びii)前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)と前記第2の側(114、214、314)との間で前記弁(100、200、300)を通る連通を確立するように選択的に開放することもでき、前記弁(100、200、300)は、
I.本体(104、204、304)であって、
A.第1の側面(120、220、320)及び第2の側面(124、224、324)と、
B.前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間で前記本体(104、204、304)を貫通し、i)前記本体の第1の側面(120、220、320)における流路開口(132、232)と、ii)前記本体の第2の側面(124、224、324)における流路開口(136、236、336)とを画定する少なくとも1つの流路(128、228、328)と、
C.i)前記第2の側面(124、224、324)に位置し、ii)前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)を取り囲む弁座(148、248、348)と
を画定する、本体(104、204、304)と、
II.弁部材(108、208、308)であって、
A.i)最初に設置された、前記本体(104、204、304)に対する第1の位置と、ii)選択的に機械的に維持可能な、前記本体(104、204、304)に対する第2の位置との間の動きに適応するように、前記本体(104、204、304)に装着されるアンカー(152、252、352)と、
B.撓み可能で弾性であり、i)前記アンカー(152、252、352)から横方向に延在し、ii)前記アンカー(152、252、352)が前記本体(104、204、304)に対する前記第1の位置にあり、前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)の圧力が、前記弁(100、200、300)の前記第2の側(114、214、314)の圧力に対して、所定の圧力分以上に超過しないとき、前記第2の側面(124、224、324)における前記弁座(148、248、348)と、前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)の周囲でシール係合するシール部分を画定する、フランジ(156、256、356)と
を有する、弁部材(108、208、308)と、
III.前記フランジ(156、256、356)と前記第2の側面(124、224、324)との間で、前記弁部材(108、208、308)及び/又は前記本体(104、204、304)のうちの一方に位置する支点(112、212、312)であって、
前記本体(104、204、304)に対する前記第2の位置に向けて、前記アンカー(152、252、352)を押すと、
前記支点(112、212、312)の周りに、前記フランジ(156、256、356)の少なくとも一部が旋回し、
これによって、前記シール部分の少なくとも一部が撓んで、前記第2の側面(124、224、324)上の前記弁座(148、248、348)とのシール係合から外れて、
前記弁(100、200、300)が開いて、
前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)と前記第2の側(114、214、314)との間で、前記弁(100、200、300)を通る連通を確立させ、
前記弁(100、200、300)が選択的に開放されることを可能とする、支点(112、212、312)と
を備える、前記弁。
【請求項2】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、容器内の第2の圧力を超える容器外の第1の圧力にさらされ得る容器の一部であり、
前記フランジ(156、256、356)は、前記容器の外部に位置する、請求項に記載の弁。
【請求項3】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間に延在するように設けられる複数の前記流路(128、228、328)を有し、
前記流路(128、228、328)のそれぞれは、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)が円形の軌跡上に位置するように、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)における流路開口(136、236、336)を画定する、請求項又はに記載の弁。
【請求項4】
前記弁(100、200、300)であって、
前記弁部材(108、208、308)の前記フランジ(156、256、356)は、前記アンカー(152、252、352)から延在する概ね円形形態を有する可撓性で弾性のメンブレンであり、
前記弁部材(108、208、308)の前記シール部分は、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)における前記複数の前記流路開口(136、236、336)の周囲の前記弁座(148、248、348)にシール係合する環状リップ(184、284、384)である、請求項に記載の弁。
【請求項5】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間に延在する装着孔(140、240、340)を画定し、
前記弁部材(108、208、308)の前記アンカー(152、252、352)は、i)前記装着孔(140、240、340)に収容される中間部(164)と、ii)前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)において前記装着孔(140、240、340)を越えて延在する第1の端部(160)と、iii)前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)において前記装着孔(140、240、340)を越えて延在する第2の端部(168)とを有し、
前記弁部材(108、308、308)の前記フランジ(156、256、356)は、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)に隣接した位置にあり、前記アンカー(152、252、352)の前記第2の端部(168)から延在し、
前記アンカー(152、252、352)の前記第1の端部(160)は、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)から前記第2の側面(124、224、324)に向かう方向において、前記装着孔(140、240、340)を通る前記第1の端部(160)の動きを阻止するように、拡径され、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)に隣接して延在するとともに、前記第1の側面(120、220、320)に係合する、請求項のいずれか一項に記載の弁。
【請求項6】
前記弁(100、200、300)であって、前記フランジ(156、256、356)は、前記アンカー(152、252、352)を前記第1の位置に付勢するシール力によって、前記シール部分が前記弁座(148、248、348)に係合することができるように十分な弾性を有し、
前記アンカー(152、252、352)の前記拡径された第1の端部(160)は、前記装着孔(140、240、340)に隣接して前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)に引き付けられ、前記アンカー(152、252、352)が前記付勢に打ち勝つのに十分な外力によって動かされない限り、前記アンカー(152、252、352)を前記第1の位置に維持する、請求項に記載の弁。
【請求項7】
前記弁(100)であって、前記支点(112)は、前記本体(104)の前記第2の側面(124)から前記弁部材のフランジ(156)に向かって突出する柱である、請求項のいずれか一項に記載の弁。
【請求項8】
前記弁(200)であって、前記支点(212)は、前記弁部材(208)の前記フランジ(256)から前記本体(204)の前記第2の側面(224)に向かって突出する柱である、請求項のいずれか一項に記載の弁。
【請求項9】
前記弁(300)であって、
前記支点(312)は、
i)前記本体(304)の前記第2の側面(324)から前記弁部材(308)の前記フランジ(356)に向かって突出し、
ii)前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲に延在する
環状壁であり、
前記環状壁は、前記フランジ(356)が前記環状壁に係合すると、そこを貫流させる少なくとも1つのチャネル(390)を画定する、請求項のいずれか一項に記載の弁。
【請求項10】
前記弁(300)であって、
前記支点(312)は、
i)前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲で、前記弁部材(308)の前記フランジ(356)から前記本体(304)の前記第2の側面(324)に向かって突出し、
ii)前記弁部材(308)の前記シール部分から横方向に離隔され、
iii)前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲で前記第2の側面(324)に係合するように構成される
環状壁であり、
前記環状壁は、前記環状壁が前記第2の側面(324)における前記流路開口(336)の周囲で前記第2の側面(324)に係合すると、そこを貫流させる少なくとも1つのチャネル(390)を画定する、請求項のいずれか一項に記載の弁。
【請求項11】
前記弁(100、200、300)であって、前記弁部材(108、208、308)は、約40ショアAのデュロメータ硬さを有するシリコーンから形成される、請求項10のいずれか一項に記載の弁。
【請求項12】
前記弁(100、200、300)であって、前記フランジ(156、256、356)は、前記本体(104、204、304)の前記第2の側面(124、224、324)に面しない、曲率半径(R2)を規定する上面(192)を有し、前記フランジ(156、256、356)は、前記第2の側面(124、224、324)に面する、曲率半径(R1)を規定する底面(188)を更に有し、
前記底面(188)の前記曲率半径(R1)は、前記上面(190)の前記曲率半径(R2)よりも大きい、請求項11のいずれか一項に記載の弁。
【請求項13】
前記弁(100、200、300)であって、前記弁(100、200、300)は、前記弁(100、200、300)の前記第1の側(113、213、313)の圧力が、前記弁(100、200、300)の前記第2の側(114、214、314)の圧力を約20600パスカル超過すると、前記弁(100、200、300)を通る連通を確立するように自動的に開放するように構成される、請求項12のいずれか一項に記載の弁。
【請求項14】
前記弁(100、200、300)であって、前記弁部材(108、208、308)は、前記弁部材(108、208、308)の前記アンカー(152、252、352)が所定の手動圧迫力にさらされると、前記本体(104、204、304)に対する前記第2の位置に機械的に維持可能である、請求項13のいずれか一項に記載の弁。
【請求項15】
前記弁(100、200、300)であって、前記アンカー(152、252、352)は、中心軸(116、216、316)を規定し、前記支点(112、212、312)は、前記中心軸(116、216、316)を基準として、前記本体の第2の側面(124、224、324)において前記流路開口(136、236、336)の径方向外方に位置する、請求項14のいずれか一項に記載の弁。
【請求項16】
前記弁(100、200)であって、前記支点(112、212)は、前記弁部材(108、208)及び/又は前記本体(104、204)の前記第2の側面(124、224)のうちの一方に位置する4つの丸みを帯びた柱の形態を有し、前記柱は、円形の軌跡上に位置する、請求項のいずれか一項に記載の弁。
【請求項17】
前記弁(100、200、300)であって、前記本体(104、204、304)は、4つの流路(128、228、328)を有し、前記4つの流路(128、228、328)のそれぞれは、前記本体(104、204、304)の前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間に延在する弧状のスロットの形態を有する、請求項16のいずれか一項に記載の弁。
【請求項18】
前記弁(100、200、300)であって、
前記本体(104、204、304)は、容器のための成形された熱可塑性インサートであり、前記容器は、前記容器内の第2の圧力を超える前記容器外の第1の圧力にさらされ得、
前記弁部材(108、208、308)は、成形されたエラストマーであり、
前記弁部材(108、208、308)は、前記弁部材(108、208、308)の前記フランジ(156、256、356)が前記容器の外部に位置するように、前記本体(104、204、304)とともに配置される、請求項17のいずれか一項に記載の弁。
【請求項19】
前記弁(100、200、300)は、可撓性パウチの形態の容器と組み合わされ、前記パウチの開口に位置する、請求項18のいずれか一項に記載の弁。
【請求項20】
弁(100、200、300)であって、
I.第1の側面(120、220、320)及び第2の側面(124、224、324)を有する本体(104、204、304)であって、前記第1の側面(120、220、320)と前記第2の側面(124、224、324)との間で前記本体(104、204、304)を貫通し、
i)前記第1の側面(120、220、320)における流路開口(132、232)と、
ii)前記第2の側面(124、224、324)における流路開口(136、236、336)と、
を画定する少なくとも1つの流路(128、228、328)を画定する、本体(104、204、304)と、
II.弁部材(108、208、308)であって、
i)前記本体(104、204、304)に対して可動であり、
ii)第1の領域(172)と、前記第1の領域(172)から延在する第2の領域(176)と、前記第2の領域(176)から延在する第3の領域(180)とを有する可撓性で弾性のフランジ(156、256、356)を有し、前記第3の領域(180)は、シール部分を有し、前記シール部分は、前記弁(100、200、300)が、前記弁(100、200、300)を通る連通を防止するように閉鎖された初期状態にあるとき、前記第2の側面(124、224、324)における前記流路開口(136、236、336)の周囲で前記第2の側面(124、224、324)にシール係合するように構成される、弁部材(108、208、308)と、
III.前記第2の領域(176)と前記第2の側面(124、224、324)との間で、前記弁部材(108、208、308)及び/又は前記本体(104、204、304)のうちの一方に位置する支点(112、212、312)であって、前記弁部材(108、208、308)が前記本体(104、204、304)に対して押され、前記第1の領域(172)が前記第2の側面(124、224、324)に向かって動くと、前記第2の領域(176)が前記支点(112、212、312)の周りに旋回し、前記第3の領域(180)の前記シール部分の少なくとも一部が撓んで、前記第2の側面(124、224、324)とのシール係合から外れ、前記弁(100、200、300)を通る連通を確立する、支点(112、212、312)と、
を備える、前記弁。
【国際調査報告】