(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】漏れ電流コレクタと磁気シールドを組み込んだ機器装着用軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 41/00 20060101AFI20230623BHJP
H02K 11/02 20160101ALI20230623BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20230623BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20230623BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20230623BHJP
F16C 19/52 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
F16C41/00
H02K11/02
H02K11/215
H02K5/173 A
F16C19/06
F16C19/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546386
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2021052095
(87)【国際公開番号】W WO2021152082
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508275098
【氏名又は名称】エヌティエヌーエスエヌアール・ルルマン
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダム・エティエンヌ
【テーマコード(参考)】
3J217
3J701
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
3J217JA02
3J217JA13
3J217JA24
3J217JA34
3J217JA44
3J217JB16
3J217JB25
3J217JB36
3J217JB55
3J217JB63
3J217JB70
3J217JC10
3J701AA02
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA79
3J701EA01
3J701FA21
3J701FA26
3J701FA48
3J701GA01
5H605AA11
5H605CC04
5H605EB10
5H605EB17
5H611AA01
5H611AA03
5H611BB01
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR02
5H611UA01
(57)【要約】
【課題】電磁妨害に対して影響を受けにくい一体型の漏れ電流リターンを有する機器装着用軸受を提供する。
【解決手段】固定外輪16と回転内輪20を備える機器装着用軸受10は、エンコーダ30と、このエンコーダ30に対向して読み取り距離の位置に配置された読取ヘッド36と、この内輪20に直接的または間接的に接続可能な環状の接触子46に摺動接触できる漏れ電流コレクタ44からなるセンサアセンブリ34とを備えている。このエンコーダ30と読取ヘッド36は、外輪16と漏れ電流コレクタ44の間に軸方向に配置されている。漏れ電流コレクタ44と固定外輪16との間の導電性電気接続部54は、エンコーダ30および読取ヘッド36を取り囲んで外輪16から漏れ電流コレクタ44に延びる、強磁性材料の磁気シールドを形成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの環状のガイドトラック(18)を形成する固定外輪(16)と、
前記外輪の前記ガイドトラック(18)の反対側に位置する少なくとも1つの環状のガイドトラック(22)を形成する内輪(20)であって、前記外輪の前記ガイドトラックと前記内輪(20)の前記ガイドトラック(22)の回転の対称軸である回転軸を中心に前記外輪に対して回転可能な前記内輪とを備えた機器装着用軸受(10)であって、
前記内輪(20)に固定された環状のエンコーダ(30)と、
前記外輪(16)に固定されたセンサアセンブリ(34)であって、前記エンコーダ(30)に対向して且つ前記エンコーダから読み取り距離の位置に配置された読取ヘッド(36)を備えるセンサアセンブリ(34)と、
前記内輪(20)に直接的または間接的に固定可能な環状接触部(46)と摺動接触可能な漏れ電流コレクタ(44)とを有し、
前記漏れ電流コレクタ(44)と前記固定外輪(16)との間の導電性電気接続部(54)とを有する機器装着用軸受(10)において、
前記エンコーダ(30)および前記読取ヘッド(36)は、前記外輪(16)と前記漏れ電流コレクタ(44)との間に軸方向に配置され、前記導電性電気接続部(54)は、前記エンコーダ(30)および前記読取ヘッド(36)を囲んで前記外輪(16)から前記漏れ電流コレクタ(44)まで延在して強磁性材料でできた磁気シールドを構成する導電性電気接続部(54)とを備えることを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の機器装着用軸受(10)において、前記漏れ電流コレクタ(44)が、前記環状接触部(46)を摩擦するブラシを有することを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の機器装着用軸受(10)において、静止時に、前記漏れ電流コレクタ(44)が、270°より大きい角度領域にわたって前記環状接触部(46)と接触することを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【請求項4】
請求項3に記載の機器装着用軸受(10)において、静止時に、前記漏れ電流コレクタ(44)が前記環状接触部(46)と環状に接触する機器装着用軸受(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の機器装着用軸受(10)において、前記環状接触部(46)が、環状スリーブ(48)によって形成され、前記スリーブ(48)について、
前記スリーブ(48)が、前記エンコーダ(30)の前記読取ヘッド(36)に面する面と軸方向に重なるように軸方向に延在する構成、
前記スリーブ(48)が、前記読取ヘッド(36)と軸方向に重なるように軸方向に延在する構成、
前記スリーブ(48)が、前記内輪(20)に対して直接的または間接的に支持する構成、
前記スリーブ(48)が、前記内輪(20)に電気的に接続される構成、
前記スリーブ(48)が、主軸(12)に電気的に接続される構成、
前記スリーブ(48)が、前記漏れ電流コレクタ(44)のための円筒形の摩擦面(46)を有する構成、
前記スリーブ(48)が、径方向外側に突出するフランジ(62)を有し、前記漏れ電流コレクタ(44)が前記フランジ(62)と前記読取ヘッド(36)の間に軸方向に配置される構成、
のうちの1つまたは複数の構成を有することを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の機器装着用軸受(10)において、前記磁気シールド(54)について、
前記磁気シールド(54)が、強磁性体および導電性材料の少なくとも1枚のシート(54、54A、54B)を有する構成、
前記磁気シールド(54)が、強磁性体および導電性材料のシート(54A、54B)を複数枚重ね合わせて構成される構成、
前記磁気シールド(54)が、前記読取ヘッド(36)を覆う円筒部(56)を有する構成、
前記磁気シールド(54)が、前記読取ヘッド(36)を覆う円筒部(56)の端部から径方向内側かつ前記漏れ電流コレクタ(44)に向かって延在する端部(58)を有する構成、
のうちの1つまたは複数の構成を有することを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の機器装着用軸受(10)において、前記漏れ電流コレクタ(44)の一部が、前記磁気シールド(54)の2枚のシート(54A、54B、58A、58B、58C)の間にクランプされることを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【請求項8】
請求項7に記載の機器装着用軸受(10)において、前記2枚のシートの第1のシート(54A)が軸方向に延びて読取ヘッド(36)を覆う円筒部を形成し、前記2枚のシートの第2のシート(54B、58B、58C)が好ましくは、
前記第2のシート(58B、58C)が、前記読取ヘッド(36)を覆う円筒部を形成するようには軸方向に延在しない構成、
前記第2のシート(54B)が、前記読取ヘッド(36)を覆う円筒部を形成するように軸方向に延在する構成、
前記第2のシート(54B、58B)が、前記第1のシート(54A)と前記読取ヘッド(36)との間に配置される構成、
前記第1のシート(54A)が、前記第2のシート(58C)と前記読取ヘッド(36)との間に配置されている構成、
のうちの1つの構成を有することを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の機器装着用軸受(10)において、前記磁気シールド(54)が前記外輪に圧着、焼き嵌め、接着、溶接されることを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の機器装着用軸受(10)において、前記センサアセンブリ(34)が前記磁気シールド(54)を介して前記外輪(16)に固定されることを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の機器装着用軸受(10)において、前記磁気シールド(54)が、前記磁気シールド(54)の外側に配置された前記読取ヘッド(36)と前記センサアセンブリ(34)の電気装置(40)との間を電導体(42)が通過するための開口(60)を備え、前記開口(60)が好ましくは、
前記開口(60)が、前記磁気シールド(54)の円筒壁(56)に配置される構成、
前記開口(60)が、前記磁気シールド(54)の横壁(58)に配置される構成、
のうちの1つの構成を有することを特徴とする機器装着用軸受(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に対して回転する動的アセンブリであって支持体に電気的に接続される動的アセンブリを案内する機器装着用軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車/ハイブリッド車のモータは、モータが備える転がり軸受に電流が流れることにより故障する可能性がある。この漏れ電流は、軸受が備え得るセンサの測定に影響を与え、センサの故障につながる原因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願第1872463号
【特許文献2】独国特許出願公開第19910130号
【特許文献3】欧州特許出願第1335059号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に記載されているように、グラファイトブラシ、又はより優れたカーボンファイバーブラシを使用する電流リターンシステムがあり、これは壊れることなく、メンテナンスフリーであると記載されている。しかしながら、これは、モータに追加される非一体化部品であり、追加の組み立て作業を必要とし、軸方向の寸法が大きくなる。
【0005】
特許文献2には、回転速度を決定するために回転軸に固定されるパルス測定装置が記載されており、この装置は漏れ電流を戻すための電気接続を内蔵している。このパルスセンサは、環状のガイドトラックを形成する固定外輪と、外輪のガイドトラックの反対側に位置する環状のガイドトラックを形成する内輪と、内輪に固定された環状エンコーダと、外輪に固定されたセンサアセンブリと、内輪に間接的に固定された環状接触子と摺接することができる漏れ電流コレクタとを備え、内輪は、外輪のガイドトラックおよび内輪のガイドトラックの回転の対称軸である回転軸を中心として外輪に対して移動可能であり、センサアセンブリは、環状エンコーダと対向し且つ環状エンコーダから読み取り距離の位置に配置された読取ヘッドを有する。しかし、このような装置は、軸方向の寸法が大きく、周囲の電磁波障害からセンサを保護することができない。
【0006】
特許文献3では、ドラム機械に、ドラムと機械のフレームにそれぞれ関連する導電性要素間に電気的接続を有する機器装着用転がり軸受を備えることが提案されている。この電気的接続は、機械に付随するセンサアセンブリの固定部に一端が固定され、他端が機器装着用転がり軸受の回転部と摩擦する導電性ブレードから構成される。この電気的接続は、センサユニットと導電性エンコーダホイールの間、またはセンサユニットと転がり軸受の回転輪の間に配置される。この場合、軸方向にコンパクトになるが、センサは周囲の電磁波の影響を受けやすいままである。
【0007】
本発明は、先行技術の欠点を改善し、特に電気自動車又はハイブリッド自動車の電動モータ使用環境において起こり得る電磁妨害に対して影響を受けにくい一体型の漏れ電流リターンを有する機器装着用軸受を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によると、
少なくとも1つの環状のガイドトラックを形成する固定外輪と、
前記外輪の前記ガイドトラックの反対側に位置する少なくとも1つの環状のガイドトラックを形成する内輪であって、前記外輪の前記ガイドトラックと前記内輪の前記ガイドトラックの回転の対称軸である回転軸を中心に外輪に対して回転移動可能な前記内輪と、
前記内輪に固定された環状のエンコーダと、
前記外輪に固定されたセンサアセンブリであって、前記エンコーダに対向し且つ前記エンコーダから読み取り距離の位置に配置された読取ヘッドを備えるセンサアセンブリと、
前記内輪に直接的または間接的に固定可能な環状接触部と摺動接触可能な漏れ電流コレクタと、
前記漏れ電流コレクタと前記固定外輪との間の導電性電気接続部とを有する機器装着用軸受が提案される。
【0009】
本発明によれば、エンコーダと読取ヘッドは、外輪と漏れ電流コレクタとの間に軸方向に配置され、導電性電気接続部は、強磁性材料からなる磁気シールドであってエンコーダと読取ヘッドを囲んで外輪から漏れ電流コレクタへ向けて延在する磁気シールド、を備えている。
【0010】
よって、回転案内機能とエンコーダの読み取り機能を組み合わせた機器装着用軸受は、特に、軸受によって案内される回転アセンブリの接地のため、および読取ヘッドの磁気シールドのための追加の電流リターン機能を組み込み、電流リターンは、必要に応じて、読取ヘッドの高周波電磁シールドにさらに寄与することができる。
【0011】
軸受は、滑り軸受であってもよく、好ましくは、ガイドトラック上を循環する転動体を有する転がり軸受であってもよい。
【0012】
エンコーダは、1つまたは複数の多極性トラックから構成されてもよく、好ましくは、磁気エンコーダであってもよい。このようなエンコーダは、それぞれが交互に配置されたN極とS極からなる1つまたは複数のトラックからなり、規則的であっても規則的でなくてもよい。あるいは、エンコーダは、トーンホイールであってもよい。読取ヘッドは、エンコーダによって生じる磁界の変動に感応する1つまたは複数の素子を有する。
【0013】
読取ヘッドは、軸方向にエンコーダと対向し得る。その場合、エンコーダは、好ましくは、読取ヘッドと軸受の内輪との間にある。あるいは、読取ヘッドは、径方向でエンコーダと対向し得る。その場合、読取ヘッドは、好ましくは、エンコーダの径方向外側に位置する。
【0014】
一実施形態によれば、漏れ電流コレクタは、環状接触部を摩擦するブラシを備える。このブラシは、最大限の長寿命化のために、グラファイトまたはカーボンファイバーブラシとすることができる。
【0015】
一実施形態によれば、静止時に、漏れ電流コレクタが、270°より大きい角度領域にわたって環状接触部と接触していることが提示されている。好ましくは、静止時に、漏れ電流コレクタが環状接触部と環状に接触していることが提示されている。このように、漏れ電流コレクタは、読取ヘッドの高周波電磁シールドに寄与する。
【0016】
一実施形態によれば、環状接触部は、環状スリーブによって形成されており、このスリーブについて、
-スリーブが、エンコーダの前記読取ヘッドに面する面と軸方向に重なるように軸方向に延びている構成、
-スリーブが、読取ヘッドと軸方向に重なるように軸方向に延在する構成、
-スリーブが、内輪を直接的または間接的を支持する構成、
-スリーブが、内輪に電気的に接続されている構成、
-スリーブが、主軸に電気的に接続されている構成、
-スリーブが、漏れ電流コレクタに対し円筒形の摩擦面を有している構成、
-スリーブが、径方向外側に突出するフランジを有し、漏れ電流コレクタがフランジと読取ヘッドの間に軸方向に配置されている構成、
のうちの1つまたは複数の構成を有する。
【0017】
フランジは、磁気シールドと軸受によって案内される回転アセンブリとの間の距離を縮めることによって、磁力線を案内することに寄与する。
【0018】
スリーブは、軟鉄、鋼、特にフェライト系又はマルテンサイト系ステンレス鋼、又はミューメタルなどの強磁性材料で有利に作ることができる。
【0019】
種々の実施形態によれば、磁気シールドについて、
-磁気シールドが、強磁性体および導電性材料の少なくとも1枚のシートを有している構成、
-磁気シールドが、強磁性体および導電性材料のシートを複数枚重ね合わせて構成されている構成、
-磁気シールドが、読取ヘッドを覆う円筒部を有している構成、
-磁気シールドが、読取ヘッドを覆う円筒部の端部から径方向内側に且つ漏れ電流コレクタに向かって延在する端部を有する構成、
のうちの1つまたは複数の構成を有することが提示されている。
【0020】
公知の方法で、磁気シールドは、条片を形成するようにシートを積み重ねることによって補強される。
一実施形態によれば、漏れ電流コレクタの一部は、磁気シールドの2枚のシートの間にクランプされる。好ましくは、2枚のシートの第1のシートが軸方向に延在して読取ヘッドを覆う円筒部を形成し、2枚のシートの第2のシートについて、好ましくは、
-第2のシートが、読取ヘッドを覆う円筒部を形成するように軸方向に延在しない構成、
-第2のシートが、読取ヘッドを覆う円筒部を形成するように軸方向に延在する構成、
-第2のシートが、第1のシートと読取ヘッドとの間に配置される構成、
-第1のシートが、第2のシートと読取ヘッドとの間に配置される構成、
のうちの1つの構成を有する。
【0021】
特に簡単に組み立てるため、磁気シールドを外輪に圧着、焼き嵌め、接着、溶接することが提示されている。
【0022】
特に有利な実施形態によれば、センサアセンブリは、磁気シールドを介して外輪に固定される。
【0023】
一実施形態によれば、磁気シールドが、磁気シールドの外側に配置された読取ヘッドとセンサアセンブリの電気装置との間を電導体が通過するための開口を備え、この開口について、好ましくは、
-開口が、磁気シールドの円筒壁に配置されている構成、
-開口が、磁気シールドの横壁に配置されている構成、
のうちの1つの構成を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参考にしながら、以下の開示内容を読むことで明らかになるであろう。
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る機器装着用軸受である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る機器装着用軸受の詳細図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に係る機器装着用軸受の詳細図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態に係る機器装着用軸受の詳細図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態に係る機器装着用軸受の詳細図である。
【
図6】本発明の第6の実施形態に係る機器装着用軸受の詳細図である。
【0025】
より明確にするために、すべての図において、同一または類似の要素には同一の参照符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1の実施形態]
図1は、固定構造物14に対して回転する主軸12に取り付けられた機器装着用軸受10を示す。軸受10は転がり軸受であり、環状のガイドトラック18を形成する固定外輪16と、外輪16のガイドトラック18の反対側に位置する環状のガイドトラック22を形成する内輪20と、ガイドトラック18、22上を循環する転動体24と、必要に応じて転動体を保持するためのケージ26と、必要に応じて転動体24とガイドトラック18、22を機械的または化学的な外部攻撃から保護するか、軸受領域に潤滑材を閉じ込めるか、あるいはこれら二つの機能を同時に行うためのシール28から構成されている。公知の態様において、主軸12に焼き嵌めされた内輪20は、外輪16のガイドトラック18と内輪20のガイドトラック22の回転の対称軸である回転軸100を中心に外輪16に対して相対的に回転可能である。
【0027】
環状のエンコーダ30は、任意の適切な手段、例えば、内輪20の内周に圧着または焼き嵌めしたエンコーダキャリア32によって、内輪20に固定される。
【0028】
センサアセンブリ34は、外輪16に固定される。このセンサアセンブリ34は、環状のエンコーダ30と軸方向に対向し且つ読み取り距離の位置に配置された読取ヘッド36と、絶縁性および非磁性材料でできたセンサ本体38であって、例えば電気コネクタ、電気ケーブル、ケーブルグランド、または場合によっては電子信号処理カードであってもよい電気装置40を支持するセンサ本体38と、読取ヘッド36と電気装置40の間の有線電気接続42とから構成される。この実施形態では、エンコーダ30は、軸受10の外輪16、内輪20と読取ヘッド36との間に配置される。
【0029】
機器装着用軸受10はまた、センサアセンブリ34に固定された漏れ電流コレクタ44を有し、ここでは、主軸12を完全に囲み、主軸12に直接焼き嵌めした環状の金属スリーブ48の円筒摩擦面46に対して径方向に摺動接触する環状ブラシで構成される。エンコーダ30と読取ヘッド36は、外輪16と漏れ電流コレクタ44の間に軸方向に配置される。
【0030】
好ましくは、スリーブ48は、少なくとも読取ヘッド36と軸方向に重なるように、好ましくは読取ヘッド36に面するエンコーダ30の面を軸方向に重なるように延在し、必要に応じてエンコーダ30の下に軸方向に延在する。
【0031】
エンコーダキャリア32は、スリーブ48と内輪20との間にクランプされる。このアセンブリは、主軸12の肩部50と弾性リング52とによって軸方向に停止される。エンコーダキャリアは、軸受の内輪とスリーブとの間に電気的接続を形成してエンコーダ30の周りの力線を案内するように、強磁性材料で金属製である。
【0032】
漏れ電流コレクタ44と軸受10の外輪16との間の導電性電気接続部54は、導電性材料の環状シートによって構成され、このシートは、外輪16から、エンコーダ30および読取ヘッド36を囲む漏れ電流コレクタ44へと延在している。こうして、主軸12と導電性電気接続部54との間に電気経路が確立され、この電気経路は、軸受10の内輪20および外輪16、ガイドトラック18、22、ならびに転動体24を迂回して、主軸12に焼き嵌めしたスリーブ48と、漏れ電流コレクタ44を通過する。
【0033】
より具体的には、この電気接続部は、読取ヘッド36を覆う円筒部56と、円筒部56の一端から径方向内側に、漏れ電流コレクタ44に向かって延びる平面環状部58とを有する。電気接続部54の外輪16への機械的な取り付けは、特に、圧着、フープ、または電気的接触を保持する他の任意の手段、例えば接着または溶接、または締結要素により行われる。
【0034】
読取ヘッド36と電気装置40との間を電導体42が通過するために、円筒部56に小さな開口60が形成されている。
【0035】
この実施形態では、センサアセンブリ34の絶縁材料38からなるセンサ本体は、シート54上に成形され、したがって、センサアセンブリ34を支持してセンサアセンブリ34を外輪16に固定する機械的機能、および、必要に応じて、固定構造物14に対するセンサの角度割出機能を有している。漏れ電流コレクタ44は、シート54の壁と読取ヘッド36との間にクランプされる。
【0036】
注目すべき点として、漏れ電流コレクタ44と外輪16との間の電気接続部54は、読取ヘッド36とエンコーダ30の周囲に磁気シールドを形成するように、強磁性材料で作られている。この部分の機械的、電気的、磁気的機能の集積により、軟鉄、鋼、特にフェライト鋼またはマルテンサイト鋼、ミューメタルなどの強磁性材料が好まれる。好ましくは、転動体24の案内を主機能とする外輪16の構成材料も当然ながら強磁性体であり、読取ヘッド36の周囲の磁力線の案内に参加するように、この部分、特に軌道面では用途によって求められる機械特性を有する鋼が好ましいと考えられる。
【0037】
[第2の実施形態]
図2に示される第2の実施形態によれば、読取ヘッド36を電気装置40に接続する導線42の通路開口60は、導電性電気接続部54の平面端壁58に形成されている。
【0038】
[第3の実施形態]
図3に示される第3の実施形態によれば、導電性電気接続部54は、複数のシート、ここでは磁気シールド性能を向上させるために読取ヘッドおよび/またはエンコーダを囲む円筒形部と、漏れ電流コレクタを取り付ける役割を果たす端部とを共に有する2枚のシート54A、54Bによって構成されている。実際には、漏れ電流コレクタ44は、2枚のシート54A,54Bの間に挟み込まれる。2枚のシート54A、54Bは、堅く取り付けることができ、または接着することができる。
【0039】
[第4の実施形態]
図4に示される第4の実施形態によれば、導電性電気接続部54の端部58のみが、例えば互いに溶接された2枚のシート58A、58Bを有し、漏れ電流コレクタ44をクランプする役割を果たす。
【0040】
[第5の実施形態]
図5に示される第5の実施形態によれば、漏れ電流コレクタ44は、シート54と、シート54の端部58に溶接された金属部品または絶縁ワッシャであり得る付加部品58Cとの間にクランプされる。この実施形態は、漏れ電流コレクタ44がシート54の外側から取り付けられており、組み立てが特に簡単である。
【0041】
[第6の実施形態]
図6に示される第6の実施形態によれば、スリーブ48は、径方向外側に且つ電気接続部54に向かって突出するフランジ62を有し、漏れ電流コレクタ44は、フランジ62と読取ヘッド36の間に軸方向に配置される。このように、磁力線を主軸12に導くことにより、磁気シールドが改善される。また、外部からの汚染(埃、油、水)に対する漏れ電流コレクタ44の保護も改善される。
【0042】
当然のことながら、図に示され、上述された例は、例示的かつ非限定的な目的のためにのみ提供されるものである。他の形態を提供するために、例示された様々な実施形態を組み合わせることが可能であることが明示的に提示される。
【0043】
本発明は、あらゆるタイプの転がり軸受または滑り軸受に適用可能である。
【0044】
スリーブ48の漏れ電流コレクタ44との接触面46は、例えば回転軸に対して垂直な面とするか、または円錐状にするなど、様々な方法で面の向きを定めてもよい。必要であれば、接触面46は主軸12に組み込むことができる。
【国際調査報告】