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特表2023-527611焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20230623BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20230623BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20230623BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20230623BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20230623BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20230623BHJP
   C22C 33/02 20060101ALI20230623BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20230623BHJP
   C01B 35/04 20060101ALI20230623BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20230623BHJP
【FI】
H01F1/057 170
H01F1/057 110
H01F1/057 130
H01F41/02 G
B22F9/04 C
B22F9/04 D
B22F9/04 E
B22F3/00 F
B22F3/02 R
B22F3/24 B
C22C33/02 J
C22C33/02 K
C22C38/00 303D
C01B35/04 D
B22F1/00 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551233
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 CN2021104449
(87)【国際公開番号】W WO2022227278
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110484517.2
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110486417.3
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110486410.1
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516293598
【氏名又は名称】江西金力永磁科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JL MAG RARE-EARTH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 81, West Jinling Road, Development Zone, Ganzhou City, Jiangxi 341000, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファユン マオ
(72)【発明者】
【氏名】ツォンヤオ マオ
(72)【発明者】
【氏名】ヂーフォン フゥァン
(72)【発明者】
【氏名】チャンシャン スン
(72)【発明者】
【氏名】ユンポン チェン
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
4K017AA04
4K017BA06
4K017BB01
4K017BB05
4K017BB06
4K017BB07
4K017BB08
4K017BB09
4K017BB12
4K017DA04
4K017EA03
4K017EA08
4K017EA09
4K018AA27
4K018BA18
4K018CA04
4K018CA11
4K018CA23
4K018DA21
4K018DA32
4K018FA08
4K018KA45
5E040AA04
5E040AA19
5E040BD01
5E040CA01
5E040HB03
5E040HB11
5E040HB17
5E040NN01
5E040NN06
5E040NN18
5E062CC05
5E062CD04
5E062CG01
5E062CG02
5E062CG03
(57)【要約】
本発明は、式R100-x-y1-y2-zy1y2で示される焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体であり、3つの異なるスキームを含み、A合金元素にジルコニウム、ジルコニウム又はニオブ元素を添加し、特定の添加量を最適化して設計し、残りの成分を特別に設計することにより、磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させ、高性能を持ち、生産コストを削減し、また、プロセスが簡単で、適用範囲が広く、大規模な工業的生産に適している焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示される焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
100-x-y1-y2-zy1y2 (I)
(スキーム1:x、y1、y2及びzは、対応する元素の質量パーセントであり、28.5%≦x≦32.5%、0%≦y1≦1.0%、0.67%≦y2≦2.4%、0.85%≦z≦1.0%であり、
Rは、Pr、Nd、Dy、Tb及びHoから選ばれる1種又は複数種であり、
Mは、Ti、Nb、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つTiの含有量は0~0.12%であり、Nbの含有量は0~0.29%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%であり、
Aは、Cu、Ga、Al及びZrであり、
Tは、Fe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.3~2.5%であり、残部はFeである。
或いは、スキーム2:x、y1、y2及びzは、対応する元素の質量パーセントであり、28.5%≦x≦32.0%、0%≦y1≦1.0%、0.60%≦y2≦2.30%、0.86%≦z≦0.98%であり、
Rは、Pr、Nd、La、Ce、Dy、Tb及びHoから選ばれる1種又は複数種であり、
Mは、Zr、Nb、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つZrの含有量は0~0.19%であり、Nbの含有量は0~0.29%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%であり、
Aは、Cu、Ga、Al及びTiであり、且つCuの含有量は0.2~0.55%であり、Gaの含有量は0.25~0.55%であり、Alの含有量は0.02~0.8%であり、Tiの含有量は0.13~0.4%であり、
Tは、Fe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.2~2.0%であり、残部はFeである。
或いは、スキーム3:x、y1、y2及びzは、対応する元素の質量パーセントであり、28.7%≦x≦32.8%、0%≦y1≦1.0%、0.77%≦y2≦2.60%、0.86%≦z≦1.01%であり、
Rは、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種であり、
Mは、Ti、Zr、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つZrの含有量は0~0.19%であり、Tiの含有量は0~0.12%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%であり、
Aは、Cu、Ga、Al及びNbであり、且つCuの含有量は0.2~0.55%であり、Gaの含有量は0.25~0.55%であり、Alの含有量は0.02~0.7%であり、Nbの含有量は0.3~0.8%であり、
Tは、Fe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.4~2.3%であり、残部はFeである。)
【請求項2】
スキーム1は、Prの含有量が0~14.5%であり、Ndの含有量が14~32.5%であり、Tbの含有量が0~5.0%であり、Dyの含有量が0~5.0%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項3】
Prの含有量は5~10%であり、Ndの含有量は20~25.5%であり、Dyの含有量は0~3%である、ことを特徴とする請求項2に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項4】
スキーム1は、Cuの含有量が0.2~0.6%であり、Gaの含有量が0.25~0.55%であり、Alの含有量が0.02~0.6%であり、Zrの含有量が0.2~0.65%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項5】
スキーム1は、Cuの含有量が0.3~0.5%であり、Gaの含有量が0.35~0.5%であり、Alの含有量が0.1~0.5%であり、Zrの含有量が0.3~0.6%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項6】
スキーム1は、Coの含有量が0.5~2.0%であり、Bの含有量が0.90~0.98%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項7】
スキーム1は、上記MがTi及びNbから選ばれる1種又は2種であり、Tiの含有量が0~0.1%であり、Nbの含有量が0~0.15%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項8】
スキーム2は、Prの含有量が0~14.5%であり、Ndの含有量が14~32.5%であり、Tbの含有量が0~4.5%であり、Dyの含有量が0~4.5%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項9】
Prの含有量は7~9%であり、Ndの含有量は20~25.5%であり、Dyの含有量は0~3%である、ことを特徴とする請求項8に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項10】
スキーム2は、Cuの含有量が0.2~0.5%であり、Gaの含有量が0.35~0.45%であり、Alの含有量が0.1~0.6%であり、Tiの含有量が0.2~0.35%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項11】
スキーム2は、Coの含有量が0.5~1.5%であり、Bの含有量が0.90~0.98%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項12】
スキーム2は、上記MがZr及びNbから選ばれる1種又は2種であり、Zrの含有量が0~0.15%であり、Nbの含有量が0~0.20%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項13】
スキーム3は、Prの含有量が0~14.5%であり、Ndの含有量が14.5~32%であり、Tbの含有量が0~4.3%であり、Dyの含有量が0~4.3%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項14】
スキーム3は、Prの含有量が5~10%であり、Ndの含有量が20~26%であり、Dyの含有量が1.5~3%である、ことを特徴とする請求項13に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項15】
スキーム3は、Cuの含有量が0.25~0.50%であり、Gaの含有量が0.30~0.45%であり、Alの含有量が0.1~0.45%であり、Nbの含有量が0.4~0.55%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項16】
スキーム3は、Coの含有量が0.5~1.5%であり、Bの含有量が0.90~0.96%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項17】
スキーム3は、上記MがZr及びTiから選ばれる1種又は2種であり、Zrの含有量が0~0.15%であり、Tiの含有量が0~0.10%である、ことを特徴とする請求項1に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法であって、
A)ネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体の原料をストリップキャスト法により処理し、ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯を得るステップと、
B)前記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯に水素化粉砕及び気流粉砕を順に行い、ネオジム-鉄-ホウ素粉末を得るステップと、
C)前記ネオジム-鉄-ホウ素粉末に配向成形及び焼結を順に行い、焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得るステップと、を含む製造方法。
【請求項19】
前記ストリップキャスト法による処理の温度は1400~1500℃であり、前記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯の厚さは0.10~0.60mmであり、
前記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1~3hであり、水素吸蔵温度は20~300℃であり、水素放出時間は3~7hであり、水素放出温度は550~600℃であり、
前記気流粉砕過程中、潤滑剤を加えて粉砕し、前記潤滑剤は水素化粉砕より得られた混合細粉の質量の0.02~0.1%であり、前記気流粉砕された粉末の粒度は2~10μmである、ことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記配向成形は、順に行う配向プレス及び静水圧プレスを含み、
前記配向成形の磁界強度は1.2~3Tであり、
前記焼結は、温度が1000~1200℃であり、時間が5~15hであり、真空度が0.02Pa以下であり、
前記焼結後にさらに時効処理を含み、前記時効処理は第1時効処理及び第2時効処理を含み、
前記第1時効処理の温度は800~980℃であり、前記第1時効処理の時間は2~15時間であり、
前記第2時効処理の温度は420~580℃であり、前記第2時効処理の時間は1~8時間である、ことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、2021年04月30日に、中国特許局に出願された出願番号が202110484517.2、発明名称が「ジルコニウム含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、2021年04月30日に、中国特許局に出願された出願番号が202110486417.3、発明名称が「チタンを含有する焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、2021年04月30日に、中国特許局に出願された出願番号が202110486410.1、発明名称が「ニオブを含有する焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全内容は援用により本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、磁性材料製造の技術分野に関し、特に、焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
焼結ネオジム鉄ホウ素は、これまでに発見された最も高いエネルギー密度を持つ永久磁石であり、現在、大規模に商品化されている。焼結型ネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体は、その発見以来、コンピューターのハードディスク、ハイブリッド車、医療、風力発電などの多くの分野で広く使用されており、その適用範囲及び生産量は、特に新エネルギー車の分野で、年々増加している。
ネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体の多くの用途は、高温環境であるため、高い残留磁束密度だけでなく、高い保磁力も有する必要である。なかでも、保磁力は、永久磁石材料の主なパラメータであり、保磁力が高いほど減磁耐性が強くなることを示す。応用する場合には、ネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体の保磁力が高いほど優れる必要であり、これによりネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体は良い温度安定性を有し、高温条件下で動作できるようにすることができる。ネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体の保磁力を向上させる一般的な方法は、Dy及びTbを使用してNd部分的に置き換えて保磁力を向上させる。ただし、重希土類Dy及びTbは、残留磁束密度を低減させ、また、Dy及びTbは希土類政策の攻撃に対して脆弱であるため、価格が不安定になったり、大きく変動したりするリスクをもたらす。
従って、磁石の総合性能をさらに向上させ、磁性体の保磁力、残留磁束密度及び磁気エネルギー積のいずれもを向上させるとともに、重希土類元素を使用しないか、又はより少量使用するのは、この分野の技術者によって研究の焦点及びホットスポットになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって解決される技術的問題は、焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供することであり、本願で提供される焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体は、高い残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記状況に鑑みて、本願は、式(I)で示される焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供する。
100-x-y1-y2-zy1y2 (I);
スキーム1:x、y1、y2及びzは、対応する元素の質量パーセントであり、28.5%≦x≦32.5%、0%≦y1≦1.0%、0.67%≦y2≦2.4%、0.85%≦z≦1.0%である。
Rは、Pr、Nd、Dy、Tb及びHoから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Ti、Nb、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つTiの含有量は0~0.12%であり、Nbの含有量は0~0.29%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%である。
Aは、Cu、Ga、Al及びZrである。
Tは、Fe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.3~2.5%であり、残部はFeである。
或いは、スキーム2:x、y1、y2及びzは、対応する元素の質量パーセントであり、28.5%≦x≦32.0%、0%≦y1≦1.0%、0.60%≦y2≦2.30%、0.86%≦z≦0.98%である。
Rは、Pr、Nd、La、Ce、Dy、Tb及びHoから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Zr、Nb、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つZrの含有量は0~0.19%であり、Nbの含有量は0~0.29%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%である。
Aは、Cu、Ga、Al及びTiであり、且つCuの含有量は0.2~0.55%であり、Gaの含有量は0.25~0.55%であり、Alの含有量は0.02~0.8%であり、Tiの含有量は0.13~0.4%である。
Tは、Fe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.2~2.0%であり、残部はFeである。
或いは、スキーム3:x、y1、y2及びzは、対応する元素の質量パーセントであり、28.7%≦x≦32.8%、0%≦y1≦1.0%、0.77%≦y2≦2.60%、0.86%≦z≦1.01%である。
Rは、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Ti、Zr、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つZrの含有量は0~0.19%であり、Tiの含有量は0~0.12%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%である。
Aは、Cu、Ga、Al及びNbであり、且つCuの含有量は0.2~0.55%であり、Gaの含有量は0.25~0.55%であり、Alの含有量は0.02~0.7%であり、Nbの含有量は0.3~0.8%である。
Tは、Fe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.4~2.3%であり、残部はFeである。
【0006】
好ましくは、スキーム1は、Prの含有量が0~14.5%であり、Ndの含有量が14~32.5%であり、Tbの含有量が0~5.0%であり、Dyの含有量が0~5.0%である。
好ましくは、Prの含有量は5~10%であり、Ndの含有量が20~25.5%であり、Dyの含有量が0~3%である。
好ましくは、スキーム1は、Cuの含有量が0.2~0.6%であり、Gaの含有量が0.25~0.55%であり、Alの含有量が0.02~0.6%であり、Zrの含有量が0.2~0.65%である。
好ましくは、スキーム1は、Cuの含有量が0.3~0.5%であり、Gaの含有量が0.35~0.5%であり、Alの含有量が0.1~0.5%であり、Zrの含有量が0.3~0.6%である。
好ましくは、スキーム1は、Coの含有量が0.5~2.0%であり、Bの含有量が0.90~0.98%である。
好ましくは、スキーム1は、上記MがTi及びNbから選ばれる1種又は2種であり、Tiの含有量が0~0.1%であり、Nbの含有量が0~0.15%である。
好ましくは、スキーム2は、Prの含有量が0~14.5%であり、Ndの含有量が14~32.5%であり、Tbの含有量が0~4.5%であり、Dyの含有量が0~4.5%である。
好ましくは、Prの含有量は7~9%であり、Ndの含有量は20~25.5%であり、Dyの含有量は0~3%である。
好ましくは、スキーム2は、Cuの含有量が0.2~0.5%であり、Gaの含有量が0.35~0.45%であり、Alの含有量が0.1~0.6%であり、Tiの含有量が0.2~0.35%である。
好ましくは、スキーム2は、Coの含有量が0.5~1.5%であり、Bの含有量が0.90~0.98%である。
好ましくは、スキーム2は、上記MがZr及びNbから選ばれる1種又は2種であり、Zrの含有量が0~0.15%であり、Nbの含有量が0~0.20%である。
好ましくは、スキーム3は、Prの含有量が0~14.5%であり、Ndの含有量が14.5~32%であり、Tbの含有量が0~4.3%であり、Dyの含有量が0~4.3%である。
好ましくは、スキーム3は、Prの含有量が5~10%であり、Ndの含有量が20~26%であり、Dyの含有量が1.5~3%である。
好ましくは、スキーム3は、Cuの含有量が0.25~0.50%であり、Gaの含有量が0.30~0.45%であり、Alの含有量が0.1~0.45%であり、Nbの含有量が0.4~0.55%である。
好ましくは、スキーム3は、Coの含有量が0.5~1.5%であり、Bの含有量が0.90~0.96%である。
好ましくは、スキーム3は、上記MがZr及びTiから選ばれる1種又は2種であり、Zrの含有量が0~0.15%であり、Tiの含有量が0~0.10%である。
【0007】
本願は、さらに、上記焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法であって、
A)ネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体の原料をストリップキャスト法により処理し、ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯を得るステップと、
B)上記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯に水素化粉砕及び気流粉砕を順に行い、ネオジム-鉄-ホウ素粉末を得るステップと、
C)上記ネオジム-鉄-ホウ素粉末に配向成形及び焼結を順に行い、焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得るステップと、を含む製造方法を提供する。
好ましくは、上記ストリップキャスト法による処理の温度は1400~1500℃であり、上記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯の厚さは0.10~0.60mmであり、
上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1~3hであり、水素吸蔵温度は20~300℃であり、水素放出時間は3~7hであり、水素放出温度は550~600℃である。
上記気流粉砕過程中、潤滑剤を加えて粉砕し、上記潤滑剤は、水素化粉砕により得られた混合細粉の質量の0.02~0.1%であり、上記気流粉砕された粉末の粒度は2~10μmである。
好ましくは、上記配向成形は、順に行う配向プレス及び静水圧プレスを含み、
上記配向成形の磁界強度は1.2~3Tであり、
上記焼結は、温度が1000~1200℃であり、時間が5~15hであり、真空度が0.02Pa以下であり、
上記焼結後、さらに時効処理を含み、上記時効処理は第1時効処理及び第2時効処理を含み、
上記第1時効処理の温度は800~980℃であり、上記第1時効処理の時間は2~15時間であり、
上記第2時効処理の温度は420~580℃であり、上記第2時効処理の時間は1~8時間である。
【0008】
スキーム1については、本発明は、ジルコニウム含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供し、それは、多くの合金元素にZr元素を添加し、特定の添加量が最適化されて設計して、残りの組分を合理的に設計し、Zr元素をCu元素と結合し、Zr-Cu合金相を形成し、磁性相の粒界に濃化したジルコニウム-銅相は磁石が減磁する場合に磁壁移動の「ピン止め」のピン止め中心になり、磁壁の移動を阻害することにより、磁性体合金の固有保磁力を向上させるとともに、磁性相の結晶粒界に対するジルコニウム-銅相の移動は、「ピン止め」効果を生み出し、焼結抵抗温度を高め、異常粒成長を引き起こさず、しかも、磁気相の変化をよく効果的に阻止し、結晶粒を微細化することができ、さらに、磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させ、Cu元素とGa元素がCu-Ga合金相を形成し、その低融点を利用して粒界に湿潤性を与え、磁気交換相互作用を弱める効果があり、保磁力をある程度向上させることができるが、残留磁束密度及び磁気エネルギー積を向上できない固有の欠陥がある。
本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法は、高性能のネオジム-鉄-ホウ素磁性材料を製造できるだけでなく、重希土類元素を増加することなく磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させることもでき、生産コストを削減し、また、プロセスが簡単で、適用範囲が広く、大規模な工業的生産に適している。
実験結果は、本発明で提供されるジルコニウム含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を使用する場合、同じグレードのネオジム-鉄-ホウ素磁性体よりも、残留磁束密度が低下しなく、保磁力の増加値が1kOeを超えることを示している。
【0009】
スキーム2については、本発明は、チタン含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供し、それは、多くの合金元素にTi元素を添加し、且つその添加量を増加し、残りの成分を合理的に設計し、Ti元素をCu元素と結合してCu-Ti合金相を形成し、磁性相の粒界に濃化した銅-チタン相は磁石が減磁する場合に磁壁移動の「ピン止め」のピン止め中心になり、磁壁の移動を阻害することにより、磁性体合金の固有保磁力を向上させるとともに、磁性相の結晶粒界に対する銅-チタン相の移動は、「ピン止め」効果を生み出し、焼結抵抗温度を高め、且つ異常粒成長を引き起こさず、しかも、磁気相の変化をよく効果的に阻止し、結晶粒を微細化することができ、さらに、磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させ、Cu元素とGa元素がCu-Ga合金相を形成し、その低融点を利用して粒界に湿潤性を与え、磁気交換相互作用を弱める効果があり、Ti元素とB元素がTi-B相を形成し、チタン-ホウ素相は、粒界を最適化して保磁力を大幅に高め、粒界の欠陥を減らし、粒界の減磁防止能力を向上させることができる。
本発明で提供される含チタンネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法は、高性能のネオジム-鉄-ホウ素磁性材料を製造できるだけでなく、重希土類元素を増加することなく磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させることもでき、生産コストを削減し、また、プロセスが簡単で、適用範囲が広く、大規模な工業的生産に適している。
実験結果は、本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体を使用する場合、同じグレードのネオジム-鉄-ホウ素磁性体よりも、残留磁束密度が低下しなく、保磁力の増加値が1.3kOeを超えることを示している。
【0010】
スキーム3については、本発明は、Nb含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供し、それは、多くの合金元素にNb元素を添加し、且つその添加量を増加し、残りの成分を合理的に設計し、Nb元素をB元素と結合し、磁性相の粒界に濃化したニオブ硼相は磁石が減磁する場合に磁壁移動の「ピン止め」のピン止め中心になり、磁壁の移動を阻害することにより、磁性体合金の固有保磁力を向上させるとともに、磁性相の結晶粒界に対するニオブリッチ相の移動は「ピン止め」効果を生み出し、磁性相の成長を非常に効果的に防ぎ、結晶粒を微細化することができ、さらに、磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させ、Cu-Ga-Al合金相元素は、合金の低融点を利用して粒界に湿潤性を与え、磁気交換相互作用を弱める効果があり、焼結中、拡散作用によりネオジム-鉄-ホウ素の主相の組織に入り、焼結抵抗温度を高め、且つ異常粒成長を引き起こさず、保磁力をある程度向上させることができるが、残留磁束密度及び磁気エネルギー積を向上できない固有の欠陥がある。
本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法は高性能のネオジム-鉄-ホウ素磁性材料を製造できるだけでなく、重希土類元素を増加することなく磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させることもでき、生産コストを削減し、また、プロセスが簡単で、適用範囲が広く、大規模な工業的生産に適している。
実験結果は、本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体を使用する場合、同じグレードのネオジム-鉄-ホウ素磁性体よりも、残留磁束密度が低下しなく、保磁力の増加値が1.0kOeを超えることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をさらに理解するために、本発明に係る好ましい実施形態を、実施例により説明するが、以下の記載は、本発明の特徴やメリットをさらに説明するためのものであり、本発明の請求範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
本発明のすべての原材料は、それらの純度が特に限定されなく、工業用純度又はネオジム-鉄-ホウ素磁性体の分野で使用される通常の純度を使用することが好ましい。
以下、本願で提供されるスキーム1、スキーム2、スキーム3を詳しく説明する。
スキーム1については、
本発明は、式(I)で示されるジルコニウム含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供する。
100-x-y1-y2-zy1y2 (I);
(式中、x、y1、y2及びzは、対応する元素の質量パーセントであり、28.5%≦x≦32.5%、0%≦y1≦1.0%、0.67%≦y2≦2.4%、0.85%≦z≦1.0%であり、
Rは、Pr、Nd及びRHから選ばれる1種又は複数種であり、RHは、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種であり、
Mは、Ti、Nb、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つTiの含有量は0~0.12%であり、Nbの含有量は0~0.29%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%であり、
Aは、Cu、Ga、Al及びZrであり、
Tは、Fe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.3~2.5%であり、残部はFeである。)
本発明は、上記式Iの具体的な定義が特に限定されなく、当業者によく知られているそのような表現であればよく、質量比として理解することができる。
【0012】
本発明の式Iで示される一般式において、上記Rは、Pr、Nd及びRHから選ばれる1種又は複数種であり、RHは、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種であり、Rの含有量は28.5~32.5%であり、より具体的には、Prの含有量は0~14.5%であり、Ndの含有量は14~32.5%であり、Tbの含有量0~5.0%、Dyの含有量は0~5.0%であり、より具体的には、Prの含有量は5~10%であり、Ndの含有量は20~25.5%であり、Dyの含有量は0~3%であり、より具体的には、Prの含有量は5.5、5.9、6.0、6.2、6.3、6.4、7.0、7.2、7.9、8.2、8.4又は9.8であり、Ndの含有量は21.5、22.6、23.0、23.2、23.5、23.9、24.2、24.8、25.2又は25.5であり、Dyの含有量は0、0.6、1.5、1.8、2.5又は3.0である。
上記Mは、Ti、Nb、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つTiの含有量は0~0.12%であり、Nbの含有量は0~0.29%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%である。本願では、M結晶粒を微細化し、粒界を濡らし、磁石の靭性及び加工性を改善させることができ、より具体的には、上記MはTi及びNbから選ばれる1種又は2種であり、Tiの含有量は0~0.1%であり、Nbの含有量は0~0.15%である。
Aは、Cu、Ga、Al及びZrであり、Zrは、Zr-Cu、Cu-Ga合金相を形成し、粒界を最適化し、粒界を濡らし、残留磁束密度Brを変化させず、保磁力Hcjを大幅に向上させ、且つRFe13A化合物を形成し、保磁力を向上させることができる。具体的には、Cuの含有量は0.2~0.6%であり、Gaの含有量は0.25~0.55%であり、Alの含有量は0.02~0.6%であり、Zrの含有量は0.2~0.65%であり、より具体的には、Cuの含有量は0.3~0.48%であり、Gaの含有量は0.35~0.5%であり、Alの含有量は0.1~0.5%であり、Zrの含有量は0.3~0.6%である。
Tは、具体的にFe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.3~2.5であり、残部はFeであり、より具体的には、Coの含有量は0.5~2.0%である。
本願では、Bの含有量は0.85~1.0%であり、より具体的には、Bの含有量は0.90~0.98%である。
【0013】
本発明は、ジルコニウムを含有する高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供し、ジルコニウムの複合添加、特に、特定の単一元素及び全体的な添加量の設計により、ジルコニウムリッチ相の「ピン止め」効果は晶粒の組織構成を最適化し、保磁力を向上させるだけでなく、同時に残留磁束密度及び磁気エネルギー積も向上させる。ここで、添加されるジルコニウム元素が少なすぎると、ピン止め効果は顕著ではないが、ジルコニウム元素の添加量が多すぎると、粒界で濃化された非磁性相の体積が増加し、厚さが増加し、磁性相間の分離が発生し、交換相互作用が弱まり、合金残留磁束密度を低減させ、また、硬度が低減し、加工性が低下する。
本発明は、さらに、上記のようなジルコニウム含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法であって、
A)ネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体の原料をストリップキャスト法により処理し、ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯を得るステップと、
B)上記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯に水素化粉砕及び気流粉砕を順に行い、ネオジム-鉄-ホウ素粉末を得るステップと、
C)上記ネオジム-鉄-ホウ素粉末に配向成形及び焼結を順に行い、ジルコニウム含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得るステップと、を含む製造方法を提供する。
本発明の上記ステップでは、ネオジム-鉄-ホウ素原料の選択原則及び好ましい範囲については、特に明記しない限り、ネオジム-鉄-ホウ素の原料の選択原則及び好ましい範囲に対応することが好ましく、ここでは贅言しない。
本発明は、ネオジム-鉄-ホウ素の原料が急冷凝固薄帯の製造プロセスを経た後、ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯を得る。
本発明は、上記ネオジム-鉄-ホウ素原料の供給源が特に限定されなく、当業者に周知の従来の磁石原料の供給源であればよく、当業者は、実際の生産状況、製品要件、品質管理および他の要因に従って選択および調整することができる。
【0014】
本発明は、上記急冷凝固薄帯の製造プロセスの具体的なステップ及びパラメータが特に限定されなく、当業者に周知の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体製造過程の急冷凝固薄帯の製造プロセスのステップ及びパラメータであればよく、当業者は、実際の生産状況、製品要件、品質管理および他の要因に従って選択および調整することができ、本発明にかかる急冷凝固薄帯の製造プロセスの温度は、1450~1490℃であることが好ましく、1460~1480℃であることがより好ましい。上記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯の厚さは、0.10~0.60mmであることが好ましく、0.30~0.40mmであることがより好ましい。
本発明は、その後、上記ステップで得られたネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯に水素化粉砕及び気流粉砕を順に行った後、ネオジム-鉄-ホウ素粉末を得る。本発明は、上記水素化粉砕の具体的なステップが特に限定されなく、当業者に周知の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体製造過程の水素化粉砕プロセスのステップであればよい。本発明にかかる水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は、1~3hであることが好ましく、1.5~2.5hであることがより好ましく、上記水素吸蔵温度は、20~300℃であることが好ましく、120~200℃であることがより好ましく、水素放出時間は、3~7hであることが好ましく、4~5hであることがより好ましく、上記水素放出温度は、550~600℃であることが好ましく、570~580℃であることがより好ましい。
本発明に係る水素化粉砕後、さらに、水冷のステップを含むことが好ましい。上記水冷の時間は、1~3hであることが好ましく、1.5~2.5hであることがより好ましい。
気流粉砕の粉砕効果をさらに向上させるために、上記気流粉砕は、潤滑剤を加える気流粉砕であることが好ましい。本発明は、上記潤滑剤が特に限定されなく、以当業者に周知の磁性体気流粉砕用潤滑剤であればよい。上記混合細粉に占める本発明に係る潤滑剤の質量比は、0.02%~0.1%であることが好ましく、0.05%~0.08%であることがより好ましい。
本発明に係る粉砕後の平均粒度、即ち、混合細粉の平均粒度は、2~5μmであることが好ましく、3~4μmであることがより好ましい。
本発明は、最後に上記ステップで得られたネオジム-鉄-ホウ素粉末に配向成形及び焼結を順に行った後、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得る。本発明は、かかる配向成形の具体的なステップが特に限定されなく、当業者に周知の磁性体配向成形の具体的なステップであればよく、当業者は、実際の生産状況、製品要件および品質要件などの要因に従って選択して調整することができ、本発明にかかる配向成形は配向プレス及び静水圧プレスというステップを含むことが好ましく、磁場配向成形は、密閉された無酸素または低酸素のグローブボックス内で実施され、操作全体および静水圧プレス過程中に製品が無酸素または低酸素性であることを確保することがより好ましい。
【0015】
本発明に係る配向プレスの磁界強度は、1.2~3Tであることが好ましく、1.6~2.4Tであることがより好ましく、上記配向プレスの時間は、2~10sであることが好ましく、3~9sであることがより好ましい。上記静水圧プレスの圧力は、120~240MPaであることが好ましく、160~200Mpaであることが好ましく、上記静水圧プレスの保持時間は、30~120sであることが好ましく、70~80sであることがより好ましい。本発明は、最終的な磁性体製品の性能をさらに保証し、改善するために、上記配向プレス後の磁石ブランクの密度は、3.8~4.3g/cmであることが好ましく、3.9~4.1g/cmであることがより好ましい。上記静水圧プレス後の磁石ブランクの密度は、4.5~5.0g/cmであることが好ましく、4.6~4.9g/cmであることがより好ましい。
本発明は、最後に上記ステップで得られた磁石ブランクを焼結し、本発明は、上記焼結の具体的なステップが特に限定されなく、当業者に周知の磁性体焼結の具体的なステップであればよく、本発明に係る焼結は、真空焼結であることが好ましく、上記焼結後、さらに時効処理のステップを含むことが好ましく、上記時効処理は、第1時効処理及び第2時効処理を含むことがより好ましく。
本発明にかかる焼結の温度は、1000~1200℃であることが好ましく、1050~1150℃であることがより好ましく、上記焼結の時間は、5~15hであることが好ましく、6~10hであることがより好ましい。本発明にかかる焼結の真空度は、0.02Pa以下であることが好ましく、0.01Pa以下であることがより好ましい。最終的な磁性体製品の性能をさらに保証し、改善するために、上記焼結後の磁石ブランクの密度は、7.4~7.7g/cmであることが好ましく、7.5~7.65g/cmであることがより好ましい。
【0016】
本発明は、上記時効処理の具体的なステップ及びパラメータが特に限定されなく、当業者に周知の磁性体時効処理の具体的なステップであればよい。本発明にかかる第1時効処理の温度は、800~980℃であることが好ましく、840~960℃であることがより好ましく、上記第1時効処理の時間は、2~15時間であることが好ましく、3~6時間であることがより好ましい。上記第2時効処理の温度は、420~580℃であることが好ましく、440~560℃であることがより好ましく、上記第2時効処理の時間は、1~6時間であることが好ましく、3~4時間であることがより好ましい。
本発明は、上記磁性体の全体的な調製プロセスが特に限定されなく、当業者に周知の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造過程、即ち、原料が配合、急冷凝固薄帯の製造プロセス(溶製)、水素化粉砕、粉末の配向プレス成形及び真空焼結などのステップを経たブランクは、さらに表面処理及び加工を施した後、成品としてネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得ることができる。
本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法は、高性能のネオジム-鉄-ホウ素磁性材料を製造できるだけでなく、重希土類元素を増加することなく磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させることもでき、生産コストを削減し、また、プロセスが簡単で、適用範囲が広く、大規模な工業的生産に適している。
実験結果は、本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体を使用する場合、同じグレードのネオジム-鉄-ホウ素磁性体よりも、残留磁束密度が低下しなく、保磁力の増加値が1kOeを超えることを示している。
【0017】
スキーム2については、
本発明は、式(I)で示されるチタン含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供する。
100-x-y1-y2-zy1y2 (I);
(式中、x、y1、y2及びzは、対応する元素の質量パーセントであり、28.5%≦x≦32.0%、0%≦y1≦1.0%、0.60%≦y2≦2.30%、0.86%≦z≦0.98%であり、
Rは、Pr、Nd、La、Ce、Dy、Tb及びHoから選ばれる1種又は複数種であり、
Mは、Zr、Nb、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つZrの含有量は0~0.19%であり、Nbの含有量は0~0.29%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%であり、
Aは、Cu、Ga、Al及びTiであり、且つCuの含有量は0.2~0.55%であり、Gaの含有量は0.25~0.55%であり、Alの含有量は0.02~0.8%であり、Tiの含有量は0.13~0.4%であり、
Tは、Fe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.2~2.0%であり、残部はFeである。)
本発明は、上記の式Iの具体的な定義が特に限定されなく、当業者によく知られているそのような表現であればよく、質量比として理解することができる。
本発明の式Iで示される一般式において、上記Rは、Pr、Nd、La、Ce、Dy、Tb及びHoから選ばれる1種又は複数種であり、Rの含有量は28.5~32.0%であり、より具体的には、Prの含有量は0~14.5%であり、Ndの含有量は14~32.5%であり、Tbの含有量は0~4.5%であり、Dyの含有量は0~4.5%であり、より具体的には、Prの含有量は7~9%であり、Ndの含有量は20~25.5%であり、Dyの含有量は0~3%であり、より具体的には、Prの含有量は7.0%、7.2%、7.5%、7.8%、8.0%、8.2%、8.5%又は8.8%であり、Ndの含有量は21.5%、21.7%、22.5%、22.8%、23.0%、23.3%、23.5%、24.0%、24.2%、24.8%、25.2%又は25.5%であり、Dyの含有量は0、1.8%、2.5%又は3.0%である。
上記Mは、Zr、Nb、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つZrの含有量は0~0.19%であり、Nbの含有量は0~0.29%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%である。本願では、Mは結晶粒を微細化し、磁性体の靭性及び加工性を改善させる。より具体的には、上記MはZr及びNbから選ばれる1種又は2種であり、Zrの含有量は0~0.15%であり、Nbの含有量は0~0.20%であり、Zr及びNb元素は添加しなくてもよく微量に添加してもよい。
【0018】
Aは、Cu、Ga、Al及びTiであり、Aの元素は、Ti-B、Ti-Cu、Cu-Ga合金相を形成し、粒界を最適化し、粒界を濡らし、残留磁束密度Brを変化せず、保磁力Hcjを大幅に向上させ、且つRFe13Aを形成して反強磁性を持ち、保磁力を増加させることができる。具体的には、Cuの含有量は0.2~0.55%であり、Gaの含有量は0.25~0.55%であり、Alの含有量は0.02~0.8%であり、Tiの含有量は0.13~0.4%である。より具体的には、Cuの含有量は0.2~0.5%であり、Gaの含有量は0.35~0.45%であり、Alの含有量は0.1~0.45%であり、Tiの含有量は0.2~0.35%であり、より具体的には、Cuの含有量は0.2%、0.25%、0.28%、0.30%、0.32%、0.35%、0.40%又は0.45%であり、Gaの含有量は0.35%、0.38%、0.40%、0.42%又は0.45%であり、Alの含有量は0.1%、0.18%、0.19%、0.20%、0.22%、0.26%、0.30%、0.32%、0.35%、0.40%、0.45%又は0.48%であり、Tiの含有量は0.2%、0.22%、0.25%、0.28%、0.30%、0.32%、0.33%、0.35%、0.40%、0.42%、0.45%、0.48%又は0.5%である。
Tは、具体的にFe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.2~2.0であり、残部はFeであり、より具体的には、Coの含有量は0.5~1.5%である。
本願では、Bの含有量は0.86~0.98%であり、より具体的には、Bの含有量は0.90~0.98%である。
本発明は、チタンを含有する高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供し、チタンの複合添加、特に特定の単一元素の使用及び全体的な添加量の設計により、チタンリッチ相の「ピン止め」効果は晶粒の組織構成を最適化して、保磁力を向上させるだけでなく、同時に残留磁束密度及び磁気エネルギー積も向上させるとともに、Ti-B合金を形成し、粒界を最適化し、保磁力を大幅に向上させる。ここで、添加したチタン元素が少なすぎると、ピン止め効果は顕著ではないが、チタン元素の添加量が多すぎると、粒界で濃化された非磁性相の体積が増加し、厚さが増加し、磁性相間の分離が発生し、交換相互作用が弱まり、合金残留磁束密度を低減させ、また、硬度が低減し、加工性が低下する。
【0019】
本発明は、さらに、上記のようなチタン含有ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法であって、
A)ネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体の原料をストリップキャスト法により処理し、ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯を得るステップと、
B)上記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯に水素化粉砕及び気流粉砕を順に行い、ネオジム-鉄-ホウ素粉末を得るステップと、
C)上記ネオジム-鉄-ホウ素粉末に配向成形及び焼結を順に行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得るステップと、を含む製造方法を提供する。
本発明に係る上記ステップでは、ネオジム-鉄-ホウ素原料の選択原則及び好ましい範囲、特に明記しない限り、ネオジム-鉄-ホウ素の原料中の選択原則及び好ましい範囲に対応することが好ましく、ここでは贅言しない。
本発明は、ネオジム-鉄-ホウ素の原料に急冷凝固薄帯の製造プロセスを施した後、ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯を得る。
本発明は、上記ネオジム-鉄-ホウ素原料の供給源が特に限定されなく、当業者に周知の従来の磁石原料の供給源であればよく、当業者は、実際の生産状況、製品要件、品質管理および他の要因に従って選択および調整することができる。
本発明は、上記急冷凝固薄帯の製造プロセスの具体的なステップ及びパラメータが特に限定されなく、当業者に周知の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体製造過程の急冷凝固薄帯の製造プロセスのステップ及びパラメータであればよく、当業者は、実際の生産状況、製品要件、品質管理および他の要因に従って選択および調整することができ、本発明にかかる急冷凝固薄帯の製造プロセスの温度は、1450~1490℃であることが好ましく、1455~1485℃であることがより好ましく、1460~1480℃であることがより好ましく、1465~1475℃であることがより好ましい。上記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯の厚さは、0.10~0.60mmであることが好ましく、0.20~0.50mmであることがより好ましく、0.25~0.35mmであることがより好ましい。
【0020】
本発明は、その後、上記ステップで得られたネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯に水素化粉砕及び気流粉砕を順に行った後、ネオジム-鉄-ホウ素粉末を得る。本発明は、上記水素化粉砕の具体的なステップが特に限定されなく、当業者に周知の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体製造過程の水素化粉砕プロセスのステップであればよい。本発明にかかる水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は、1~3hであることが好ましく、1.2~2.8hであることがより好ましく、1.5~2.5hであることがより好ましく、上記水素吸蔵温度は、20~300℃であることが好ましく、70~250℃であることがより好ましく、120~200℃であることがより好ましく、水素放出時間は、3~7hであることが好ましく、3.5~6.5hであることがより好ましく、4~5hであることがより好ましく、上記水素放出温度は、550~600℃であることが好ましく、560~590℃であることがより好ましく、570~580℃であることがより好ましい。
本発明に係る水素化粉砕後、さらに、水冷のステップを含むことが好ましい。上記水冷の時間は、1~3hであることが好ましく、1.2~2.8hであることがより好ましく、1.5~2.5hであることがより好ましい。
気流粉砕の粉砕効果をさらに向上させるために、上記気流粉砕は、潤滑剤を加える気流粉砕であることが好ましい。本発明は、上記潤滑剤が特に限定されなく、当業者に周知の磁性体気流粉砕用潤滑剤であればよい。上記混合細粉に占める本発明に係る潤滑剤の質量比は、0.02%~0.1%であることが好ましく、0.03%~0.09%であることがより好ましく、0.05%~0.08%であることがより好ましい。
本発明にかかる粉砕後の平均粒度、即ち混合細粉の平均粒度は、2~5μmであることが好ましく、2.5~4.5μmであることがより好ましく、3~4μmであることがより好ましい。
本発明は、最後に上記ステップで得られたネオジム-鉄-ホウ素粉末に配向成形及び焼結を順に行った後、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得る。本発明は、かかる配向成形の具体的なステップが特に限定されなく、当業者に周知の磁性体配向成形の具体的なステップであればよい、当業者は、実際の生産状況、製品要件および品質要件などの要因に従って選択して調整することができ、本発明にかかる配向成形は配向プレス及び静水圧プレスというステップを含むことが好ましく、磁場配向成形は、密閉された無酸素または低酸素のグローブボックス内で実施され、操作全体および静水圧プレス過程中に製品が無酸素または低酸素性であることを確保するであることがより好ましい。
【0021】
本発明にかかる配向プレスの磁界強度は、1.2~3Tであることが好ましく、1.7~2.5Tであることがより好ましく、1.6~2.4Tであることがより好ましく、上記配向プレスの時間は、2~10sであることが好ましく、3~9sであることがより好ましく、5~7sであることがより好ましい。上記静水圧プレスの圧力は、120~240MPaであることが好ましく、150~210Mpaであることがより好ましく、160~200Mpaであることがより好ましく、上記静水圧プレスの保持時間は、30~120sであることが好ましく、50~100sであることがより好ましく、70~80sであることがより好ましい。本発明は、最終的な磁性体製品の性能をさらに保証し、改善するために、上記配向プレス後の磁石ブランクの密度は、3.8~4.3g/cmであることが好ましく、3.9~4.2g/cmであることがより好ましく、4.0~4.1g/cmであることがより好ましい。上記静水圧プレス後の磁石ブランクの密度は、4.5~5.0g/cmであることが好ましく、4.6~4.9g/cmであることがより好ましく、4.7~4.8g/cmであることがより好ましい。
本発明は、最後に上記ステップで得られた磁石ブランクを焼結し、本発明は、上記焼結の具体的なステップが特に限定されなく、当業者に周知の磁性体焼結の具体的なステップであればよく、本発明にかかる焼結は、真空焼結であることが好ましく、上記焼結後、さらに時効処理のステップを含むことが好ましく、上記時効処理は、第1時効処理及び第2時効処理を含むことがより好ましく。
本発明にかかる焼結の温度は、1000~1200℃であることが好ましく、1025~1175℃であることがより好ましく、1040~1150℃であることがより好ましく、1050~1080℃であることがより好ましく、上記焼結の時間は、5~15hであることが好ましく、7~13hであることがより好ましく、8~10hであることがより好ましい。本発明にかかる焼結の真空度は、0.02Pa以下であることが好ましく、0.015Pa以下であることがより好ましく、0.01Pa以下であることがより好ましい。最終的な磁性体製品の性能をさらに保証し、改善するために、上記焼結後の磁石ブランクの密度は、7.4~7.7g/cmであることが好ましく、7.45~7.65g/cmであることがより好ましく、7.5~7.6g/cmであることがより好ましい。
【0022】
本発明は、上記時効処理の具体的なステップ及びパラメータが特に限定されなく、当業者に周知の磁性体時効処理の具体的なステップであればよい。本発明にかかる第1時効処理の温度は、800~980℃であることが好ましく、820~960℃であることがより好ましく、上記第1時効処理の時間は、1~10時間であることが好ましく、2~8時間であることがより好ましい。上記第2時効処理の温度は、420~580℃であることが好ましく、440~560℃であることがより好ましく、上記第2時効処理の時間は、1~8時間であることが好ましく、2~7時間であることがより好ましい。
本発明は、上記磁性体の全体的な調製プロセスが特に限定されなく、当業者に周知の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造過程、即ち、原料が配合、急冷凝固薄帯の製造プロセス(溶製)、水素化粉砕、粉末の配向プレス成形及び真空焼結などのステップを経たブランクは、さらに表面処理及び加工を施した後、成品としてネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得ることであればよい。
本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法は、高性能のネオジム-鉄-ホウ素磁性材料を製造できるだけでなく、重希土類元素を増加することなく磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させることもでき、生産コストを削減し、また、プロセスが簡単で、適用範囲が広く、大規模な工業的生産に適している。
実験結果は、本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体を使用する場合、同じグレードのネオジム-鉄-ホウ素磁性体よりも、残留磁束密度が低下しなく、保磁力の増加値が1.3kOeを超えることを示している。
スキーム3については、
本発明は、式(I)で示されるNb含有焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供する。
100-x-y1-y2-zy1y2 (I);
(式中、x、y1、y2及びzは、対応する元素の質量パーセントであり、28.7%≦x≦32.8%、0%≦y1≦1.0%、0.77%≦y2≦2.60%、0.86%≦z≦1.01%であり、
Rは、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種であり、
Mは、Ti、Zr、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つZrの含有量は0~0.19%であり、Tiの含有量は0~0.12%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%であり、
Aは、Cu、Ga、Al及びNbであり、且つCuの含有量は0.2~0.55%であり、Gaの含有量は0.25~0.55%であり、Alの含有量は0.02~0.7%であり、Nbの含有量は0.3~0.8%であり、
Tは、Fe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.4~2.3%であり、残部はFeである。)
本発明は、上記の式Iの具体的な定義が特に限定されなく、当業者によく知られているそのような表現であればよく、質量比として理解することができる。
【0023】
本発明の式Iで示される一般式において、上記Rは、Pr、Nd及びRHから選ばれる1種又は複数種であり、RHは、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種であり、Rの含有量は29.0~32.0%であり、より具体的には、Prの含有量は0~14.5%であり、Ndの含有量は14.5~32%であり、Tbの含有量は0~4.3%であり、Dyの含有量は0~4.3%であり、より具体的には、Prの含有量は5~10%であり、Ndの含有量は20~26%であり、Dyの含有量は1.5~3%であり、より具体的には、Prの含有量は6.0、6.1、6.2、6.3、6.9、7.4、7.7、7.9、8.1、8.4、8.7又は9.0であり、Ndの含有量は22.7、23.0、23.6、23.9、24.2、24.8、25.4又は25.9であり、Dyの含有量は0、1.8、2.8又は3.0である。
上記Mは、Ti、Zr、Hf及びMnから選ばれる1種又は複数種であり、且つZrの含有量は0~0.19%であり、Tiの含有量は0~0.12%であり、Hfの含有量は0~1.0%であり、Mnの含有量は0~1.0%である。本願では、Mは結晶粒を微細化し、磁性体の靭性及び加工性を改善させる。より具体的には、上記MはZr及びTiから選ばれる1種又は2種であり、Zrの含有量は0~0.15%であり、Tiの含有量は0~0.10%である。ここで、Zr、Tiの役割は前のものと異なることを強調する必要がある。
Aは、Cu、Ga、Al及びNbであり、AはNb-B、Cu-Ga合金相を形成し、粒界を最適化し、粒界を濡らし、残留磁束密度Brを変化せず、保磁力Hcjを大幅に向上させ、且つRFe13Aを形成して反強磁性を持ち、保磁力を増加させることができる。具体的には、Cuの含有量は0.2~0.55%であり、Gaの含有量は0.25~0.55%であり、Alの含有量は0.02~0.7%であり、Nbの含有量は0.3~0.8%である。より具体的には、Cuの含有量は0.25~0.45%であり、Gaの含有量は0.30~0.45%であり、Alの含有量は0.1~0.4%であり、Nbの含有量は0.4~0.55%であり、より具体的には、Cuの含有量は0.2%、0.25%、0.28%、0.30%、0.32%、0.35%、0.40%又は0.45%であり、Gaの含有量は0.30%、0.32%、0.35%、0.38%、0.40%、0.42%又は0.45%であり、Alの含有量は0.1%、0.18%、0.19%、0.20%、0.22%、0.26%、0.30%、0.32%、0.35%又は0.40%であり、Nbの含有量は0.40%、0.42%、0.45%、0.48%、0.50%、0.52%又は0.55%である。
Tは、具体的にFe及びCoから選ばれ、Coの含有量は0.4~2.3%であり、残部はFeであり、より具体的には、Coの含有量は0.5~1.5%である。
本願ではBの含有量は0.86~1.01%、より具体的には、Bの含有量は0.90~0.96%である。
【0024】
本発明は、ニオブを含有する高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供し、ニオブの複合添加、特に特定の単一元素の使用及び全体的な添加量の設計により、Nb-B相を形成し、ニオブ-ホウ素リッチ相の「ピン止め」効果は晶粒の組織構成を最適化し、保磁力を向上させるだけでなく、同時に残留磁束密度及び磁気エネルギー積も向上させる。ここで、添加したニオブ元素が少なすぎると、ピン止め効果は顕著ではないが、ニオブ元素の添加量が多すぎると、粒界で濃化された非磁性相の体積が増加し、厚さが増加し、磁性相間の分離が発生し、交換相互作用が弱まり、合金残留磁束密度を低減させ、また、硬度が低減し、加工性が低下する。
本発明は、さらに、上記ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法であって、
A)ネオジム-鉄-ホウ素焼結磁性体の原料をストリップキャスト法により処理し、ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯を得るステップと、
B)上記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯に水素化粉砕及び気流粉砕を順に行い、ネオジム-鉄-ホウ素粉末を得るステップと、
C)上記ネオジム-鉄-ホウ素粉末に配向成形及び焼結を順に行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得るステップと、を含む製造方法を提供する。
本発明に係る上記ステップでは、ネオジム-鉄-ホウ素原料の選択原則及び好ましい範囲、特に明記しない限り、ネオジム-鉄-ホウ素の原料中の選択原則及び好ましい範囲に対応することが好ましく、ここでは贅言しない。
本発明は、ネオジム-鉄-ホウ素の原料に急冷凝固薄帯の製造プロセスを施した後、ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯を得る。
本発明は、上記ネオジム-鉄-ホウ素原料の供給源が特に限定されなく、当業者に周知の従来の磁石原料の供給源であればよく、当業者は、実際の生産状況、製品要件、品質管理および他の要因に従って選択および調整することができる。
本発明は、上記急冷凝固薄帯の製造プロセスの具体的なステップ及びパラメータが特に限定されなく、当業者に周知の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体製造過程の急冷凝固薄帯の製造プロセスのステップ及びパラメータであればよく、当業者は、実際の生産状況、製品要件、品質管理および他の要因に従って選択および調整することができる、本発明にかかる急冷凝固薄帯の製造プロセスの温度は、1450~1490℃であることが好ましく、1460~1480℃であることがより好ましく。上記ネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯の厚さは、0.10~0.60mmであることが好ましく、0.20~0.40mmであることがより好ましい。
本発明は、その後、上記ステップで得られたネオジム-鉄-ホウ素の急冷凝固薄帯に水素化粉砕及び気流粉砕を順に行った後、ネオジム-鉄-ホウ素粉末を得る。本発明は、上記水素化粉砕の具体的なステップが特に限定されなく、当業者に周知の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体製造過程の水素化粉砕プロセスのステップであればよい。本発明にかかる水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は、1~3hであることが好ましく、1.5~2.5hであることがより好ましく、上記水素吸蔵温度は、20~300℃であることが好ましく、120~200℃であることがより好ましく、水素放出時間は、3~7hであることが好ましく、3.5~6.5hであることがより好ましく、4~5hであることがより好ましく、上記水素放出温度は、550~600℃であることが好ましく、570~590℃であることがより好ましい。
本発明にかかる水素化粉砕後、さらに、水冷のステップを含むことが好ましい。上記水冷の時間は、1~3hであることが好ましく、1.5~2.5hであることがより好ましい。
気流粉砕の粉砕効果をさらに向上させるために、上記気流粉砕は、潤滑剤を加える気流粉砕であることが好ましい。本発明は、上記潤滑剤が特に限定されなく、当業者に周知の磁性体気流粉砕用潤滑剤であればよい。上記混合細粉に占める本発明に係る潤滑剤の質量比は、0.02%~0.1%であることが好ましく、0.03%~0.09%であることがより好ましい。
本発明にかかる粉砕後の平均粒度、即ち、混合細粉の平均粒度は、2~5μmであることが好ましく、3~4μmであることがより好ましい。
【0025】
本発明は、最後に上記ステップで得られたネオジム-鉄-ホウ素粉末に配向成形及び焼結を順に行った後、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得る。本発明は、上記配向成形の具体的なステップが特に限定されなく、当業者に周知の磁性体配向成形の具体的なステップであればよい、当業者は、実際の生産状況、製品要件および品質要件などの要因に従って選択して調整することができ、本発明にかかる配向成形は配向プレス及び静水圧プレスというステップを含むことが好ましい、磁場配向成形は、密閉された無酸素または低酸素のグローブボックス内で実行され、操作全体および静水圧プレス過程中に製品が無酸素または低酸素性であることを確保することがより好ましい。
本発明にかかる配向プレスの磁界強度は、1.2~3Tであることが好ましく、1.7~2.5Tであることがより好ましく、上記配向プレスの時間は、2~10sであることが好ましく、5~8sであることがより好ましい。上記静水圧プレスの圧力は、120~240MPaであることが好ましく、160~200Mpaであることがより好ましく、上記静水圧プレスの保持時間は、30~120sであることが好ましく、50~100sであることがより好ましく、70~80sであることがより好ましい。本発明は、最終的な磁性体製品の性能をさらに保証し、改善するために、上記配向プレス後の磁石ブランクの密度は、3.8~4.3g/cmであることが好ましく、4.0~4.2g/cmであることがより好ましい。上記静水圧プレス後の磁石ブランクの密度は、4.5~5.0g/cmであることが好ましく、4.6~4.8g/cmであることがより好ましい。
本発明は、最後に上記ステップで得られた磁石ブランクを焼結し、本発明は、上記焼結の具体的なステップが特に限定されなく、当業者に周知の磁性体焼結の具体的なステップであればよく、本発明にかかる焼結は、真空焼結であることが好ましく、上記焼結後、さらに時効処理のステップを含むことが好ましく、上記時効処理は、第1時効処理及び第2時効処理を含むことがより好ましく。
本発明にかかる焼結の温度は、1000~1200℃であることが好ましく、1050~1150℃であることがより好ましく、上記焼結の時間は、5~15hであることが好ましく、7~13hであることがより好ましい。本発明にかかる焼結の真空度は、0.02Pa以下であることが好ましく、0.015Pa以下であることがより好ましく。最終的な磁性体製品の性能をさらに保証し、改善するために、上記焼結後の磁石ブランクの密度は、7.4~7.7g/cmであることが好ましく、7.45~7.65g/cmであることがより好ましい。
本発明は、上記時効処理の具体的なステップ及びパラメータが特に限定されなく、当業者に周知の磁性体時効処理の具体的なステップであればよい。本発明にかかる第1時効処理の温度は、800~950℃であることが好ましく、820~930℃であることがより好ましく、上記第1時効処理の時間は、2~15時間であることが好ましく、5~10時間であることがより好ましい。上記第2時効処理の温度は、420~580℃であることが好ましく、435~565℃であることがより好ましく、上記第2時効処理の時間は、1~8時間であることが好ましく、2~7時間であることがより好ましい。
本発明は、上記磁性体の全体的な調製プロセスが特に限定されなく、当業者に周知の焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造過程であって、原料が配合、急冷凝固薄帯の製造プロセス(溶製)、水素化粉砕、粉末の配向プレス成形及び真空焼結などのステップを経たブランクについて、さらに表面処理及び加工を施した後、成品としてネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得ることであればよく。
本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法は、高性能のネオジム-鉄-ホウ素磁性材料を製造できるだけでなく、重希土類元素を増加することなく磁性体合金の残留磁束密度、保磁力及び磁気エネルギー積を向上させることもでき、生産コストを削減し、また、プロセスが簡単で、適用範囲が広く、大規模な工業的生産に適している。
実験結果は、本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素磁性体を使用する場合、同じグレードのネオジム-鉄-ホウ素磁性体よりも、残留磁束密度が低下しなく、保磁力の増加値が1.0kOeを超えることを示している。
以下、本発明をさらに理解するために、本発明で提供されるネオジム-鉄-ホウ素及びその製造方法を実施例を参照して詳しく説明しているが、本発明の保護範囲は、以下の実施例に限定されていない。
【0026】
【表1】
【0027】
実施例1
表1に示される実施例1に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1460℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し平均厚さ0.30mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、この鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は580℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.8μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17320ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1060℃で6時間焼結した後、910℃で2時間の時効処理を行い、最後に、515℃で4時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例1を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と比較例1で製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表2に示す、表2は実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0028】
【表2】
【0029】
表1及び表2より、実施例1及び比較例1aでは、Zrが同じであり、Cu、Gaが範囲よりも小さく、保磁力が1.09kOe異なり、比較例1bにZrを添加していない場合には、保磁力が1.05kOe異なることが分かった。
【0030】
実施例2
表1に示される実施例2に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1450℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.28mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、この鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は580℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.8μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17500ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1070℃で6時間焼結し、次いで、910℃で2時間の時効処理を行い、最後に、515℃で4時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得る。
同様の手順で比較例2を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表3に示し、表3は、実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0031】
【表3】
【0032】
表1及び表3より、実施例2及び比較例2では、Alが範囲よりも大きく、且つZrが範囲よりも小さく、保磁力が1.58kOe異なることが分かった。
【0033】
実施例3
表1に示される実施例3に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1440℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.32mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記ネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は580℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.8μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17560ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1080℃で6時間焼結し、次いで、900℃で2時間の時効処理を行い、最後に、515℃で4時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例3を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表4に示し、表4は、実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0034】
【表4】
【0035】
表1及び表4より、実施例3及び比較例3aでは、Zrが同じであり、Cuが範囲を超え、保磁力が0.10kOe異なり、実施例3及び比較例3bでは、Zrが同じであり、Gaが範囲を超え、保磁力が1.01 kOe異なり、実施例3及び比較例3cでは、Zrが同じであり、Alが範囲を超え、保磁力が0.86kOe異なることが分かった。
【0036】
実施例4
表1に示される実施例4に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1455℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.0.26mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は580℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.8μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17700ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1090℃で6時間焼結し、次いで、910℃で2時間の時効処理を行い、最後に、505℃で4時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得る。
同様の手順で比較例4を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表5に示し、表5は、実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0037】
【表5】
【0038】
表1及び表5より、実施例4及び比較例4aでは、Zrが範囲を超え、Cu、Ga範囲よりも小さく、保磁力が1.31kOe異なることが分かった。
【0039】
実施例5
表1に示される実施例5に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1465℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.28mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は580℃であり、2時間冷却し、その粉体を気流粉砕し、粒度3.8μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17500ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理して磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1100℃で6時間焼結し、次いで、920℃で2時間の時効処理を行い、最後に、535℃で4時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例5を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表6に示し、表6は、実施例及び比較例の磁性体の性能データ表。
【0040】
【表6】
【0041】
表1及び表6より、実施例5及び比較例5では、Zrが範囲を超え、保磁力が1.76kOe異なることが分かった。
実施例6~9の製造方法は実施例1と同様であり、違いはZrの含有量のみであり、具体的には、表1に示した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体は性能を測定して比較し、結果は、表7に示し、表7は、実施例及び比較例の磁性体の性能データ表である。
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
実施例10
表8に示される実施例10に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1460℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.30mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は600℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17320ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理して磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1070℃で6時間焼結し、次いで、910℃で2時間の時効処理を行い、最後に525℃で5時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例10a及び比較例10bを作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と比較例10で製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表9に示し、表9は実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0045】
【表9】
【0046】
表8及び表9より、実施例10及び比較例10aでは、Tiが同じであり、Cu、Gaが範囲よりも小さく、保磁力が1.41kOe異なり、実施例10と実施例10bを比較しては、Tiを添加していない場合に、保磁力が2.70kOe異なることが分かった。
【0047】
実施例11
表8に示される実施例11に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1465℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.28mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は600℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17500ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理して磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1070℃で6時間焼結し、次いで、910℃で2時間の時効処理を行い、最後に525℃で5時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例11を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表10に示し、表10は実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0048】
【表10】
【0049】
表1及び表3より、実施例11及び比較例11では、Tiが範囲よりも小さく、保磁力が1.5kOe異なることが分かった。
【0050】
実施例12
表8に示される実施例12に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1468℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.32mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は600℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17560ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1070℃で6時間焼結し、次いで、910℃で2時間の時効処理を行い、最後に525℃で5時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例12を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表11に示し、表11は実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0051】
【表11】
【0052】
表8及び表11より、実施例12及び比較例12aでは、Tiが同じであり、Cuが範囲を超え、保磁力が0.420kOe異なり、実施例12及び比較例12bでは、Tiが同じであり、Gaが範囲を超え、保磁力が1.10kOe異なり、実施例12及び比較例12cでは、Tiが同じであり、Alが範囲を超え、保磁力が1.30kOe異なることが分かった。
【0053】
実施例13
表8に示される実施例13に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1458℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.29mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は600℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17700ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1070℃で6時間焼結し、次いで、910℃で2時間の時効処理を行い、最後に525℃で5時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。同様の手順で比較例13を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表12に示し、表12は実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0054】
【表12】
【0055】
表8及び表13より、実施例13及び比較例13aではTiが範囲を超え、Cu、Ga範囲よりも小さく、保磁力が1.94kOe異なることが分かった。
【0056】
実施例14
表8に示される実施例14に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1465℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.28mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は600℃であり、2時間冷却し、その粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17500ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1070℃で6時間焼結し、次いで、910℃で2時間の時効処理を行い、最後に525℃で4時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例14を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表13に示し、表13は、実施例及び比較例の磁性体の性能データ表である。
【0057】
【表13】
【0058】
表8及び表13より、実施例14及び比較例14では、Tiが範囲を超え、保磁力が1.66kOe異なることが分かった。
【0059】
【表14】
【0060】
実施例15
表14に示される実施例15に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1460℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.30mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は580℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17320ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1060℃で8時間焼結し、次いで、880℃で8時間の時効処理を行い、最後に500℃で6時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例15a及び比較例15bを作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と比較例15で製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表15に示し、表15は実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0061】
【表15】
【0062】
表14及び表15より、実施例15及び比較例15aでは、Nbが同じであり、Cu、Gaが範囲よりも小さく、保磁力が1.20kOe異なり、実施例15と実施例15bを比較すると、Nbを添加していない場合に、保磁力が2.16kOe異なることが分かった。
【0063】
実施例16
表14に示される実施例16に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1465℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.28mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は580℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17500ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1050℃で8時間焼結し、次いで、900℃で8時間の時効処理を行い、最後に510℃で7時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例16を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表16に示し、表16は実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0064】
【表16】
【0065】
表14及び表16より、実施例16及び比較例16では、Nbが範囲よりも小さく、保磁力が1.3kOe異なることが分かった。
【0066】
実施例17
表14に示される実施例17に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1465℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.32mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は580℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17560ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、磁石ブランクを1065℃で8時間焼結し、次いで、900℃で8時間の時効処理を行い、最後に510℃で7時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例17a、比較例17b及び比較例17cを作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表17に示し、表17は実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0067】
【表17】
【0068】
表14及び表17より、実施例17及び比較例17aでは、Nbが同じであり、Cuが範囲を超え、保磁力が1.10kOe異なり、実施例17及び比較例17bでは、Nbが同じであり、Gaが範囲を超え、保磁力が1.20kOe異なり。実施例17及び比較例17cでは、Nbが同じであり、Alが範囲を超え、保磁力が1.37kOe異なることが分かった。
【0069】
実施例18
表14に示される実施例18に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1460℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.29mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は580℃であり、2時間冷却し、得られた粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17700ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、上記磁石ブランクを1060℃で6時間焼結し、次いで、890℃で8時間の時効処理を行い、最後に510℃で6時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例18を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表18に示し、表18は実施例及び比較例で製造された磁性体の性能データ表である。
【0070】
【表18】
【0071】
表14及び表18より、実施例18及び比較例18aでは、Nbが範囲を超え、Cu、Gaが範囲よりも小さく、保磁力が1.5kOe異なることが分かった。
【0072】
実施例19
表14に示される実施例19に従って原料を配合して得られた原材料を、真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶融物を1465℃でキャストし、回転速度40rpmの銅ロール上で冷却し、平均厚さ0.28mmのネオジム-鉄-ホウ素合金鋳片を得、上記鋳片を水素化粉砕し、上記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は1時間であり、水素放出時間は5時間であり、水素放出温度は590℃であり、2時間冷却し、その粉体を気流粉砕し、粒度3.4μmの粉末を得、製造された粉末を密閉された無酸素のグローブボックスにて17500ガウスの磁場下で磁場配向成形処理し、その後、200MPaで静水圧プレス処理し、磁石ブランクを得、磁石ブランクを1060℃で8時間焼結し、次いで、900℃で7時間の時効処理を行い、最後に500℃で6時間の時効処理を行い、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得た。
同様の手順で比較例19を作製した。
本発明にかかる方法により製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体と通常のネオジム-鉄-ホウ素磁性体を並行試験で比較した結果は、表19に示し、表19は実施例及び比較例の磁性体の性能データ表である。
【0073】
【表19】
【0074】
表14及び表19より、実施例19及び比較例19では、Nbが範囲を超え、保磁力が2.0kOe異なることが分かった。
【0075】
以上の実施例の説明は、本発明の方法及び主旨を理解することを助けるためにのみ使用される。当業者にとっては、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に若干の改良及び修飾を行うこともでき、これらの改良及び修飾も特許請求の範囲内にあることを指摘すべきである。
開示される実施例についての上述した説明によっては、当業者が本発明を実現、或いは使用できる。これらの実施例に対する様々な修正は、当業者にとって自明なものである。本明細書で定義される一般原理は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実施形態においても実現できる。したがって、本発明は、本明細書に記載されたこれらの実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示された原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲と合致するべきである。
【国際調査報告】