(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】G12V変異を有するRASに対するHLAクラスII拘束性T細胞受容体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20230623BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20230623BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230623BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230623BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20230623BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230623BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230623BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230623BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20230623BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230623BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230623BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20230623BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20230623BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C07K14/725
C12N15/867 Z
C12N5/10
C12N7/01
A61K38/17
A61K48/00
A61P35/00
A61K47/65
A61K35/76
A61K35/17
C12P21/02 Z
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551537
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 US2021019775
(87)【国際公開番号】W WO2021173902
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510002280
【氏名又は名称】アメリカ合衆国
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン、ノーム
(72)【発明者】
【氏名】ヨセフ、ラミ
(72)【発明者】
【氏名】パリア、ビーマン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ、スティーヴン エー.
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA14
4B065AA90X
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AA97X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BA30
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA44
4C084CA53
4C084NA14
4C084ZB26
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045EA51
4H045FA74
(57)【要約】
単離又は精製されたT細胞受容体(TCR)であって、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII分子によって提示される変異型RASアミノ酸配列に対して抗原特異性を有するTCRが開示される。関連するポリペプチド及びタンパク質、並びに関連する核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、及び医薬組成物も提供される。また、哺乳類におけるがんの存在を検出する方法及び哺乳類におけるがんを治療又は予防する方法も開示される。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号1~3の全て、
(b)配列番号4~6の全て、
(c)配列番号31~33の全て、
(d)配列番号34~36の全て、
(e)配列番号1~6の全て、又は
(f)配列番号31~36の全て
のアミノ酸配列を含む、単離又は精製されたT細胞受容体(TCR)であって、
ヒト白血球抗原(HLA)クラスII分子によって提示される変異型ヒトRASアミノ酸配列に対して抗原特異性を有し、そして、
前記変異型ヒトRASアミノ酸配列が、変異型ヒトKirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、変異型ヒトHarveyラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(HRAS)、又は変異型ヒト神経芽細胞腫ラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(NRAS)のアミノ酸配列であるTCR。
【請求項2】
前記変異型ヒトRASアミノ酸配列が、配列番号30である、請求項1に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項3】
配列番号27の野生型ヒトRASアミノ酸配列に対して抗原特異性を有しない、請求項1又は2に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項4】
前記HLAクラスII分子が、HLA-DP分子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項5】
前記HLAクラスII分子が、HLA-DPB1分子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項6】
前記HLAクラスII分子が、HLA-DPB1*03:01分子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項7】
(i)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(ii)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(iii)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(iv)配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(v)配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(vi)配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(vii)配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(viii)配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(ix)配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(x)配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xi)配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xii)配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xiii)配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xiv)配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xv)配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xvi)配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xvii)配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xviii)配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xix)配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xx)配列番号76のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xxi)配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xxii)配列番号73のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xxiii)配列番号102のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、又は
(xxxix)(i)及び(iii)の両方;(i)及び(vi)の両方;(i)及び(vii)の両方;(i)及び(viii)の両方;(ii)及び(iii)の両方;(ii)及び(vi)の両方;(ii)及び(vii)の両方;(ii)及び(viii)の両方;(iii)及び(iv)の両方;(iii)及び(v)の両方;(iv)及び(vi)の両方;(iv)及び(vii)の両方;(iv)及び(viii)の両方;(v)及び(vi)の両方;(v)及び(vii)の両方;(v)及び(viii)の両方;(ix)及び(x)の両方;(ix)及び(xi)の両方;(ix)及び(xii)の両方;(ix)及び(xiii)の両方;(xiv)及び(xv)の両方;(xvi)及び(xvii)の両方;(xviii)及び(xix)の両方;(xviii)及び(xx)の両方;(xxi)及び(xxii)の両方;若しくは(xxi)及び(xxiii)の両方
のアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項8】
(i)配列番号7、
(ii)配列番号129、
(iii)配列番号8、
(iv)配列番号63、
(v)配列番号130、
(vi)配列番号64、
(vii)配列番号65、
(viii)配列番号66、
(ix)配列番号37、
(x)配列番号38、
(xi)配列番号69、
(xii)配列番号70、
(xiii)配列番号71、
(xiv)配列番号47、
(xv)配列番号48、
(xvi)配列番号49、
(xvii)配列番号50、
(xviii)配列番号67、
(xix)配列番号68、
(xx)配列番号76、
(xxi)配列番号72、
(xxii)配列番号73、
(xxiii)配列番号102、又は
(xxxix)(i)及び(iii)の両方;(i)及び(vi)の両方;(i)及び(vii)の両方;(i)及び(viii)の両方;(ii)及び(iii)の両方;(ii)及び(vi)の両方;(ii)及び(vii)の両方;(ii)及び(viii)の両方;(iii)及び(iv)の両方;(iii)及び(v)の両方;(iv)及び(vi)の両方;(iv)及び(vii)の両方;(iv)及び(viii)の両方;(v)及び(vi)の両方;(v)及び(vii)の両方;(v)及び(viii)の両方;(ix)及び(x)の両方;(ix)及び(xi)の両方;(ix)及び(xii)の両方;(ix)及び(xiii)の両方;(xiv)及び(xv)の両方;(xvi)及び(xvii)の両方;(xviii)及び(xix)の両方;(xviii)及び(xx)の両方;(xxi)及び(xxii)の両方;若しくは(xxi)及び(xxiii)の両方
のアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項9】
(a)配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖定常領域であって、
(i)配列番号17の48位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号17の112位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号17の114位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号17の115位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖定常領域;
(b)配列番号18の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項10】
(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域であって、
(i)配列番号17の48位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号17の112位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号17の114位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号17の115位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖定常領域;
(b)配列番号18の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号18のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項11】
(a)配列番号21のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号21の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号21の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号21の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号21の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(b)配列番号131のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号131の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号131の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号131の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号131の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(c)配列番号22の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号22のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(d)配列番号79のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号79の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号79の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号79の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号79の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(e)配列番号134のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号134の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号134の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号134の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号134の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(f)配列番号80の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号80のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(g)配列番号85の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号85のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(h)配列番号88の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号88のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(i)配列番号41のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号41の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号41の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号41の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号41の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(j)配列番号42の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号42のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(k)配列番号105の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号105のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(l)配列番号110の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号110のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(m)配列番号113の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号113のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(n)(a)及び(c)の両方;(a)及び(g)の両方;(b)及び(c)の両方;(b)及び(g)の両方;(d)及び(f)の両方;(d)及び(h)の両方;(e)及び(f)の両方;若しくは(e)及び(h)の両方;
(o)(i)及び(j)の両方;(i)及び(k)の両方;(i)及び(l)の両方;若しくは(i)及び(m)の両方;
(p)配列番号55のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号55の160位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号55の224位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号55の226位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号55の227位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(q)配列番号56の173位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号56のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(r)配列番号93のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号93の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号93の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号93の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号93の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(s)配列番号94の177位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号94のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(t)配列番号99の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号99のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(u)配列番号57のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号57の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号57の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号57の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号57の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(v)配列番号58の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号58のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(w)配列番号116のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号116の158位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号116の222位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号116の224位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号116の225位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(x)配列番号117の176位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号117のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(y)配列番号122の171位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号122のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(z)(p)及び(q)の両方;(r)及び(s)の両方;若しくは(r)及び(t)の両方;
(aa)(u)及び(v)の両方;(w)及び(x)の両方;若しくは(w)及び(y)の両方;
(bb)配列番号23のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(cc)配列番号133のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(dd)配列番号24のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ee)配列番号83のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(ff)配列番号136のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(gg)配列番号84のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(hh)配列番号87のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ii)配列番号90のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(jj)配列番号77のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(kk)配列番号132のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(ll)配列番号78のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(mm)配列番号81のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(nn)配列番号135のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(oo)配列番号82のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(pp)配列番号86のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(qq)配列番号89のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(rr)配列番号39のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(ss)配列番号40のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(tt)配列番号107のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(uu)配列番号112のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(vv)配列番号115のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ww)配列番号103のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(xx)配列番号104のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(yy)配列番号106のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(zz)配列番号111のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(aaa)配列番号114のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(bbb)(bb)及び(dd)の両方;(cc)及び(dd)の両方;(ee)及び(gg)の両方;(ff)及び(gg)の両方;(bb)及び(hh)の両方;(cc)及び(hh)の両方;(ee)及び(ii)の両方;若しくは(ff)及び(ii)の両方;
(ccc)(jj)及び(ll)の両方;(kk)及び(ll)の両方;(mm)及び(oo)の両方;(nn)及び(oo)の両方;(jj)及び(pp)の両方;(kk)及び(pp)の両方;(mm)及び(qq)の両方;若しくは(nn)及び(qq)の両方;
(ddd)(rr)及び(ss)の両方;(rr)及び(tt)の両方;(rr)及び(uu)の両方;若しくは(rr)及び(vv)の両方;
(eee)(ww)及び(xx)の両方(ww)及び(yy)の両方;(ww)及び(zz)の両方;若しくは(ww)及び(aaa)の両方;
(fff)配列番号51のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(ggg)配列番号52のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(hhh)配列番号97のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(jjj)配列番号101のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(kkk)配列番号91のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(lll)配列番号92のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(mmm)配列番号95のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(nnn)配列番号96のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ooo)配列番号100のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ppp)配列番号53のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(qqq)配列番号54のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(rrr)配列番号120のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むa鎖;
(sss)配列番号121のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ttt)配列番号124のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(uuu)配列番号108のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(vvv)配列番号109のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(www)配列番号118のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むa鎖;
(xxx)配列番号119のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(yyy)配列番号123のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(zzz)(fff)及び(ggg)の両方;(hhh)及び(iii)の両方;若しくは(hhh)及び(jjj)の両方;
(aaaa)(kkk)及び(lll)の両方;(mmm)及び(nnn)の両方;若しくは(mmm)及び(ooo)の両方;
(bbbb)(ppp)及び(qqq)の両方;(rrr)及び(sss)の両方;若しくは(rrr)及び(ttt)の両方、又は
(cccc)(uuu)及び(vvv)の両方;(www)及び(xxx)の両方;若しくは(www)及び(yyy)の両方
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項12】
(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号21の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号21の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号21の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号21の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(b)配列番号131のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号131の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号131の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号131の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号131の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(c)配列番号22の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号22のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(d)配列番号79のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号79の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号79の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号79の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号79の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(e)配列番号134のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号134の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号134の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号134の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号134の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(f)配列番号80の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号80のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(g)配列番号85の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号85のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(h)配列番号88の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号88のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(i)配列番号41のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号41の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号41の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号41の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号41の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(j)配列番号42の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号42のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(k)配列番号105の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号105のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(l)配列番号110の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号110のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(m)配列番号113の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号113のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(n)(a)及び(c)の両方;(a)及び(g)の両方;(b)及び(c)の両方;(b)及び(g)の両方;(d)及び(f)の両方;(d)及び(h)の両方;(e)及び(f)の両方;若しくは(e)及び(h)の両方;
(o)(i)及び(j)の両方;(i)及び(k)の両方;(i)及び(l)の両方;若しくは(i)及び(m)の両方;
(p)配列番号55のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号55の160位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号55の224位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号55の226位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号55の227位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(q)配列番号56の173位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号56のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(r)配列番号93のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号93の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号93の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号93の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号93の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(s)配列番号94の177位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号94のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(t)配列番号99の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号99のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(u)配列番号57のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号57の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号57の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号57の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号57の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(v)配列番号58の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号58のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(w)配列番号116のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号116の158位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号116の222位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号116の224位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号116の225位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(x)配列番号117の176位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号117のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(y)配列番号122の171位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号122のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(z)(p)及び(q)の両方;(r)及び(s)の両方;若しくは(r)及び(t)の両方;
(aa)(u)及び(v)の両方;(w)及び(x)の両方;若しくは(w)及び(y)の両方;
(bb)配列番号23のアミノ酸配列を含むα鎖;
(cc)配列番号133のアミノ酸配列を含むα鎖;
(dd)配列番号24のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ee)配列番号83のアミノ酸配列を含むα鎖;
(ff)配列番号136のアミノ酸配列を含むα鎖;
(gg)配列番号84のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(hh)配列番号87のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ii)配列番号90のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(jj)配列番号77のアミノ酸配列を含むα鎖;
(kk)配列番号132のアミノ酸配列を含むα鎖;
(ll)配列番号78のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(mm)配列番号81のアミノ酸配列を含むα鎖;
(nn)配列番号135のアミノ酸配列を含むα鎖;
(oo)配列番号82のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(pp)配列番号86のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(qq)配列番号89のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(rr)配列番号39のアミノ酸配列を含むα鎖;
(ss)配列番号40のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(tt)配列番号107のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(uu)配列番号112のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(vv)配列番号115のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ww)配列番号103のアミノ酸配列を含むα鎖;
(xx)配列番号104のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(yy)配列番号106のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(zz)配列番号111のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(aaa)配列番号114のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(bbb)(bb)及び(dd)の両方;(cc)及び(dd)の両方;(ee)及び(gg)の両方;(ff)及び(gg)の両方;(bb)及び(hh)の両方;(cc)及び(hh)の両方;(ee)及び(ii)の両方;若しくは(ff)及び(ii)の両方;
(ccc)(jj)及び(ll)の両方;(kk)及び(ll)の両方;(mm)及び(oo)の両方;(nn)及び(oo)の両方;(jj)及び(pp)の両方;(kk)及び(pp)の両方;(mm)及び(qq)の両方;若しくは(nn)及び(qq)の両方;
(ddd)(rr)及び(ss)の両方;(rr)及び(tt)の両方;(rr)及び(uu)の両方;若しくは(rr)及び(vv)の両方;
(eee)(ww)及び(xx)の両方(ww)及び(yy)の両方;(ww)及び(zz)の両方;若しくは(ww)及び(aaa)の両方;
(fff)配列番号51のアミノ酸配列を含むα鎖;
(ggg)配列番号52のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(hhh)配列番号97のアミノ酸配列を含むα鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(jjj)配列番号101のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(kkk)配列番号91のアミノ酸配列を含むα鎖;
(lll)配列番号92のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(mmm)配列番号95のアミノ酸配列を含むα鎖;
(nnn)配列番号96のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ooo)配列番号100のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ppp)配列番号53のアミノ酸配列を含むα鎖;
(qqq)配列番号54のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(rrr)配列番号120のアミノ酸配列を含むa鎖;
(sss)配列番号121のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ttt)配列番号124のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(uuu)配列番号108のアミノ酸配列を含むα鎖;
(vvv)配列番号109のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(www)配列番号118のアミノ酸配列を含むa鎖;
(xxx)配列番号119のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(yyy)配列番号123のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(zzz)(fff)及び(ggg)の両方;(hhh)及び(iii)の両方;若しくは(hhh)及び(jjj)の両方;
(aaaa)(kkk)及び(lll)の両方;(mmm)及び(nnn)の両方;若しくは(mmm)及び(ooo)の両方;
(bbbb)(ppp)及び(qqq)の両方;(rrr)及び(sss)の両方;若しくは(rrr)及び(ttt)の両方、又は
(cccc)(uuu)及び(vvv)の両方;(www)及び(xxx)の両方;若しくは(www)及び(yyy)の両方
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の単離又は精製されたTCR。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のTCRの機能的部分を含む、単離又は精製されたポリペプチドであって、前記機能的部分が、
(a)配列番号1~3の全て、
(b)配列番号4~6の全て、
(c)配列番号31~33の全て、
(d)配列番号34~36の全て、
(e)配列番号1~6の全て、又は
(f)配列番号31~36の全て
のアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項14】
前記機能的部分が、
(i)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(ii)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(iii)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(iv)配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(v)配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(vi)配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(vii)配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(viii)配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(ix)配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(x)配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xi)配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xii)配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xiii)配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xiv)配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xv)配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xvi)配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xvii)配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xviii)配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xix)配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xx)配列番号76のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xxi)配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xxii)配列番号73のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、
(xxiii)配列番号102のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、又は
(xxxix)(i)及び(iii)の両方;(i)及び(vi)の両方;(i)及び(vii)の両方;(i)及び(viii)の両方;(ii)及び(iii)の両方;(ii)及び(vi)の両方;(ii)及び(vii)の両方;(ii)及び(viii)の両方;(iii)及び(iv)の両方;(iii)及び(v)の両方;(iv)及び(vi)の両方;(iv)及び(vii)の両方;(iv)及び(viii)の両方;(v)及び(vi)の両方;(v)及び(vii)の両方;(v)及び(viii)の両方;(ix)及び(x)の両方;(ix)及び(xi)の両方;(ix)及び(xii)の両方;(ix)及び(xiii)の両方;(xiv)及び(xv)の両方;(xvi)及び(xvii)の両方;(xviii)及び(xix)の両方;(xviii)及び(xx)の両方;(xxi)及び(xxii)の両方;若しくは(xxi)及び(xxiii)の両方
のアミノ酸配列(複数可)を含む、請求項13に記載の単離又は精製されたポリペプチド。
【請求項15】
前記機能的部分が、
(i)配列番号7、
(ii)配列番号129、
(iii)配列番号8、
(iv)配列番号63、
(v)配列番号130、
(vi)配列番号64、
(vii)配列番号65、
(viii)配列番号66、
(ix)配列番号37、
(x)配列番号38、
(xi)配列番号69、
(xii)配列番号70、
(xiii)配列番号71、
(xiv)配列番号47、
(xv)配列番号48、
(xvi)配列番号49、
(xvii)配列番号50、
(xviii)配列番号67、
(xix)配列番号68、
(xx)配列番号76、
(xxi)配列番号72、
(xxii)配列番号73、
(xxiii)配列番号102、又は
(xxxix)(i)及び(iii)の両方;(i)及び(vi)の両方;(i)及び(vii)の両方;(i)及び(viii)の両方;(ii)及び(iii)の両方;(ii)及び(vi)の両方;(ii)及び(vii)の両方;(ii)及び(viii)の両方;(iii)及び(iv)の両方;(iii)及び(v)の両方;(iv)及び(vi)の両方;(iv)及び(vii)の両方;(iv)及び(viii)の両方;(v)及び(vi)の両方;(v)及び(vii)の両方;(v)及び(viii)の両方;(ix)及び(x)の両方;(ix)及び(xi)の両方;(ix)及び(xii)の両方;(ix)及び(xiii)の両方;(xiv)及び(xv)の両方;(xvi)及び(xvii)の両方;(xviii)及び(xix)の両方;(xviii)及び(xx)の両方;(xxi)及び(xxii)の両方;若しくは(xxi)及び(xxiii)の両方のアミノ酸配列(複数可)を含む、請求項13に記載の単離又は精製されたポリペプチド。
【請求項16】
(a)配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列であって、
(i)配列番号17の48位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号17の112位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号17の114位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号17の115位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるアミノ酸配列;
(b)配列番号18の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の単離又は精製されたポリペプチド。
【請求項17】
(a)配列番号17のアミノ酸配列であって;
(i)配列番号17の48位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号17の112位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号17の114位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号17の115位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるアミノ酸配列;
(b)配列番号18の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号18のアミノ酸配列;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の単離又は精製されたポリペプチド。
【請求項18】
(a)配列番号21のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号21の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号21の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号21の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号21の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(b)配列番号131のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号131の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号131の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号131の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号131の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(c)配列番号22の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号22のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(d)配列番号79のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号79の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号79の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号79の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号79の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(e)配列番号134のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号134の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号134の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号134の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号134の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(f)配列番号80の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号80のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(g)配列番号85の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号85のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(h)配列番号88の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号88のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(i)配列番号41のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号41の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号41の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号41の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号41の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(j)配列番号42の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号42のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(k)配列番号105の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号105のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(l)配列番号110の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号110のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(m)配列番号113の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号113のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(n)(a)及び(c)の両方;(a)及び(g)の両方;(b)及び(c)の両方;(b)及び(g)の両方;(d)及び(f)の両方;(d)及び(h)の両方;(e)及び(f)の両方;若しくは(e)及び(h)の両方;
(o)(i)及び(j)の両方;(i)及び(k)の両方;(i)及び(l)の両方;若しくは(i)及び(m)の両方;
(p)配列番号55のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号55の160位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号55の224位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号55の226位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号55の227位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(q)配列番号56の173位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号56のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(r)配列番号93のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号93の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号93の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号93の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号93の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(s)配列番号94の177位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号94のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(t)配列番号99の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号99のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(u)配列番号57のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号57の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号57の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号57の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号57の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(v)配列番号58の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号58のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(w)配列番号116のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号116の158位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号116の222位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号116の224位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号116の225位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(x)配列番号117の176位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号117のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(y)配列番号122の171位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号122のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(z)(p)及び(q)の両方;(r)及び(s)の両方;若しくは(r)及び(t)の両方;
(aa)(u)及び(v)の両方;(w)及び(x)の両方;若しくは(w)及び(y)の両方;
(bb)配列番号23のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(cc)配列番号133のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(dd)配列番号24のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ee)配列番号83のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(ff)配列番号136のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(gg)配列番号84のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(hh)配列番号87のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ii)配列番号90のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(jj)配列番号77のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(kk)配列番号132のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(ll)配列番号78のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(mm)配列番号81のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(nn)配列番号135のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(oo)配列番号82のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(pp)配列番号86のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(qq)配列番号89のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(rr)配列番号39のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(ss)配列番号40のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(tt)配列番号107のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(uu)配列番号112のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(vv)配列番号115のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ww)配列番号103のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(xx)配列番号104のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(yy)配列番号106のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(zz)配列番号111のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(aaa)配列番号114のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(bbb)(bb)及び(dd)の両方;(cc)及び(dd)の両方;(ee)及び(gg)の両方;(ff)及び(gg)の両方;(bb)及び(hh)の両方;(cc)及び(hh)の両方;(ee)及び(ii)の両方;若しくは(ff)及び(ii)の両方;
(ccc)(jj)及び(ll)の両方;(kk)及び(ll)の両方;(mm)及び(oo)の両方;(nn)及び(oo)の両方;(jj)及び(pp)の両方;(kk)及び(pp)の両方;(mm)及び(qq)の両方;若しくは(nn)及び(qq)の両方;
(ddd)(rr)及び(ss)の両方;(rr)及び(tt)の両方;(rr)及び(uu)の両方;若しくは(rr)及び(vv)の両方;
(eee)(ww)及び(xx)の両方(ww)及び(yy)の両方;(ww)及び(zz)の両方;若しくは(ww)及び(aaa)の両方;
(fff)配列番号51のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(ggg)配列番号52のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(hhh)配列番号97のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(jjj)配列番号101のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(kkk)配列番号91のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(lll)配列番号92のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(mmm)配列番号95のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(nnn)配列番号96のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ooo)配列番号100のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ppp)配列番号53のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(qqq)配列番号54のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(rrr)配列番号120のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むa鎖;
(sss)配列番号121のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ttt)配列番号124のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(uuu)配列番号108のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖;
(vvv)配列番号109のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(www)配列番号118のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むa鎖;
(xxx)配列番号119のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(yyy)配列番号123のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖;
(zzz)(fff)及び(ggg)の両方;(hhh)及び(iii)の両方;若しくは(hhh)及び(jjj)の両方;
(aaaa)(kkk)及び(lll)の両方;(mmm)及び(nnn)の両方;若しくは(mmm)及び(ooo)の両方;
(bbbb)(ppp)及び(qqq)の両方;(rrr)及び(sss)の両方;若しくは(rrr)及び(ttt)の両方、又は
(cccc)(uuu)及び(vvv)の両方;(www)及び(xxx)の両方;若しくは(www)及び(yyy)の両方
を含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の単離又は精製されたポリペプチド。
【請求項19】
(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号21の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号21の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号21の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号21の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(b)配列番号131のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号131の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号131の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号131の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号131の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(c)配列番号22の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号22のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(d)配列番号79のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号79の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号79の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号79の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号79の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(e)配列番号134のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号134の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号134の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号134の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号134の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(f)配列番号80の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号80のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(g)配列番号85の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号85のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(h)配列番号88の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号88のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(i)配列番号41のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号41の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号41の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号41の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号41の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(j)配列番号42の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号42のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(k)配列番号105の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号105のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(l)配列番号110の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号110のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(m)配列番号113の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号113のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(n)(a)及び(c)の両方;(a)及び(g)の両方;(b)及び(c)の両方;(b)及び(g)の両方;(d)及び(f)の両方;(d)及び(h)の両方;(e)及び(f)の両方;若しくは(e)及び(h)の両方;
(o)(i)及び(j)の両方;(i)及び(k)の両方;(i)及び(l)の両方;若しくは(i)及び(m)の両方;
(p)配列番号55のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号55の160位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号55の224位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号55の226位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号55の227位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(q)配列番号56の173位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号56のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(r)配列番号93のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号93の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号93の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号93の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号93の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(s)配列番号94の177位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号94のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(t)配列番号99の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号99のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(u)配列番号57のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号57の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号57の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号57の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号57の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(v)配列番号58の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号58のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(w)配列番号116のアミノ酸配列を含むα鎖であって、
(i)配列番号116の158位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号116の222位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号116の224位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号116の225位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであるα鎖;
(x)配列番号117の176位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号117のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(y)配列番号122の171位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号122のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(z)(p)及び(q)の両方;(r)及び(s)の両方;若しくは(r)及び(t)の両方;
(aa)(u)及び(v)の両方;(w)及び(x)の両方;若しくは(w)及び(y)の両方;
(bb)配列番号23のアミノ酸配列を含むα鎖;
(cc)配列番号133のアミノ酸配列を含むα鎖;
(dd)配列番号24のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ee)配列番号83のアミノ酸配列を含むα鎖;
(ff)配列番号136のアミノ酸配列を含むα鎖;
(gg)配列番号84のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(hh)配列番号87のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ii)配列番号90のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(jj)配列番号77のアミノ酸配列を含むα鎖;
(kk)配列番号132のアミノ酸配列を含むα鎖;
(ll)配列番号78のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(mm)配列番号81のアミノ酸配列を含むα鎖;
(nn)配列番号135のアミノ酸配列を含むα鎖;
(oo)配列番号82のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(pp)配列番号86のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(qq)配列番号89のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(rr)配列番号39のアミノ酸配列を含むα鎖;
(ss)配列番号40のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(tt)配列番号107のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(uu)配列番号112のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(vv)配列番号115のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ww)配列番号103のアミノ酸配列を含むα鎖;
(xx)配列番号104のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(yy)配列番号106のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(zz)配列番号111のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(aaa)配列番号114のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(bbb)(bb)及び(dd)の両方;(cc)及び(dd)の両方;(ee)及び(gg)の両方;(ff)及び(gg)の両方;(bb)及び(hh)の両方;(cc)及び(hh)の両方;(ee)及び(ii)の両方;若しくは(ff)及び(ii)の両方;
(ccc)(jj)及び(ll)の両方;(kk)及び(ll)の両方;(mm)及び(oo)の両方;(nn)及び(oo)の両方;(jj)及び(pp)の両方;(kk)及び(pp)の両方;(mm)及び(qq)の両方;若しくは(nn)及び(qq)の両方;
(ddd)(rr)及び(ss)の両方;(rr)及び(tt)の両方;(rr)及び(uu)の両方;若しくは(rr)及び(vv)の両方;
(eee)(ww)及び(xx)の両方(ww)及び(yy)の両方;(ww)及び(zz)の両方;若しくは(ww)及び(aaa)の両方;
(fff)配列番号51のアミノ酸配列を含むα鎖;
(ggg)配列番号52のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(hhh)配列番号97のアミノ酸配列を含むα鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(jjj)配列番号101のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(kkk)配列番号91のアミノ酸配列を含むα鎖;
(lll)配列番号92のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(mmm)配列番号95のアミノ酸配列を含むα鎖;
(nnn)配列番号96のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ooo)配列番号100のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ppp)配列番号53のアミノ酸配列を含むα鎖;
(qqq)配列番号54のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(rrr)配列番号120のアミノ酸配列を含むa鎖;
(sss)配列番号121のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(ttt)配列番号124のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(uuu)配列番号108のアミノ酸配列を含むα鎖;
(vvv)配列番号109のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(www)配列番号118のアミノ酸配列を含むa鎖;
(xxx)配列番号119のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(yyy)配列番号123のアミノ酸配列を含むβ鎖;
(zzz)(fff)及び(ggg)の両方;(hhh)及び(iii)の両方;若しくは(hhh)及び(jjj)の両方;
(aaaa)(kkk)及び(lll)の両方;(mmm)及び(nnn)の両方;若しくは(mmm)及び(ooo)の両方;
(bbbb)(ppp)及び(qqq)の両方;(rrr)及び(sss)の両方;若しくは(rrr)及び(ttt)の両方、又は
(cccc)(uuu)及び(vvv)の両方;(www)及び(xxx)の両方;若しくは(www)及び(yyy)の両方
を含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の単離又は精製されたポリペプチド。
【請求項20】
請求項13~19のいずれか一項に記載のポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む、単離又は精製されたタンパク質。
【請求項21】
(a)配列番号1~3のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号4~6のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は
(b)配列番号31~33のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号34~36のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖
を含む、請求項20に記載の単離又は精製されたタンパク質。
【請求項22】
(i)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ii)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(iii)配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(iv)配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(v)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(vi)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(vii)配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(viii)配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ix)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(x)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xi)配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xii)配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xiii)配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xiv)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xv)配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xvi)配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xvii)配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xviii)配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xix)配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xx)配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxi)配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxii)配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxiii)配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号76のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxiv)配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxv)配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号73のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は
(xxvi)配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号102のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖
を含む、請求項20又は21に記載の単離又は精製されたタンパク質。
【請求項23】
(i)配列番号7のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ii)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(iii)配列番号63のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(iv)配列番号130のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(v)配列番号7のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(vi)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(vii)配列番号63のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(viii)配列番号130のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ix)配列番号7のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(x)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xi)配列番号63のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xii)配列番号130のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xiii)配列番号7のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xiv)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xv)配列番号63のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xvi)配列番号130のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xvii)配列番号37のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号38のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xviii)配列番号37のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号69のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xix)配列番号37のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号70のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xx)配列番号37のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号71のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxi)配列番号47のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号48のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxii)配列番号67のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxiii)配列番号67のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号76のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxiv)配列番号49のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号50のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(xxv)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号73のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は
(xxvi)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号102のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖
を含む、請求項20又は21に記載の単離又は精製されたタンパク質。
【請求項24】
(a)配列番号17のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号17の48位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号17の112位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号17の114位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号17の115位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(b)配列番号18の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号18のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の単離又は精製されたタンパク質。
【請求項25】
(a)配列番号17のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号17の48位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号17の112位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号17の114位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号17の115位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(b)配列番号18の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号18のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の単離又は精製されたタンパク質。
【請求項26】
(a)配列番号21のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号21の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号21の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号21の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号21の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(b)配列番号131のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号131の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号131の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号131の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号131の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(c)配列番号22の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号22のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(d)配列番号79のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号79の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号79の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号79の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号79の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(e)配列番号134のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号134の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号134の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号134の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号134の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(f)配列番号80の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号80のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(g)配列番号85の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号85のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(h)配列番号88の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号88のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(i)配列番号41のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号41の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号41の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号41の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号41の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(j)配列番号42の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号42のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(k)配列番号105の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号105のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(l)配列番号110の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号110のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(m)配列番号113の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号113のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(n)(a)及び(c)の両方;(a)及び(g)の両方;(b)及び(c)の両方;(b)及び(g)の両方;(d)及び(f)の両方;(d)及び(h)の両方;(e)及び(f)の両方;若しくは(e)及び(h)の両方;
(o)(i)及び(j)の両方;(i)及び(k)の両方;(i)及び(l)の両方;若しくは(i)及び(m)の両方;
(p)配列番号55のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号55の160位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号55の224位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号55の226位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号55の227位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(q)配列番号56の173位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号56のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(r)配列番号93のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号93の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号93の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号93の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号93の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(s)配列番号94の177位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号94のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(t)配列番号99の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号99のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(u)配列番号57のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号57の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号57の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号57の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号57の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(v)配列番号58の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号58のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(w)配列番号116のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号116の158位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号116の222位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号116の224位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号116の225位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(x)配列番号117の176位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号117のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(y)配列番号122の171位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号122のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(z)(p)及び(q)の両方;(r)及び(s)の両方;若しくは(r)及び(t)の両方;
(aa)(u)及び(v)の両方;(w)及び(x)の両方;若しくは(w)及び(y)の両方;
(bb)配列番号23のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(cc)配列番号133のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(dd)配列番号24のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ee)配列番号83のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(ff)配列番号136のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(gg)配列番号84のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(hh)配列番号87のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ii)配列番号90のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(jj)配列番号77のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(kk)配列番号132のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(ll)配列番号78のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(mm)配列番号81のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(nn)配列番号135のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(oo)配列番号82のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(pp)配列番号86のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(qq)配列番号89のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(rr)配列番号39のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(ss)配列番号40のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(tt)配列番号107のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(uu)配列番号112のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(vv)配列番号115のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ww)配列番号103のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(xx)配列番号104のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(yy)配列番号106のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(zz)配列番号111のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(aaa)配列番号114のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(bbb)(bb)及び(dd)の両方;(cc)及び(dd)の両方;(ee)及び(gg)の両方;(ff)及び(gg)の両方;(bb)及び(hh)の両方;(cc)及び(hh)の両方;(ee)及び(ii)の両方;若しくは(ff)及び(ii)の両方;
(ccc)(jj)及び(ll)の両方;(kk)及び(ll)の両方;(mm)及び(oo)の両方;(nn)及び(oo)の両方;(jj)及び(pp)の両方;(kk)及び(pp)の両方;(mm)及び(qq)の両方;若しくは(nn)及び(qq)の両方;
(ddd)(rr)及び(ss)の両方;(rr)及び(tt)の両方;(rr)及び(uu)の両方;若しくは(rr)及び(vv)の両方;
(eee)(ww)及び(xx)の両方(ww)及び(yy)の両方;(ww)及び(zz)の両方;若しくは(ww)及び(aaa)の両方;
(fff)配列番号51のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(ggg)配列番号52のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(hhh)配列番号97のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(jjj)配列番号101のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(kkk)配列番号91のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(lll)配列番号92のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(mmm)配列番号95のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(nnn)配列番号96のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ooo)配列番号100のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ppp)配列番号53のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(qqq)配列番号54のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(rrr)配列番号120のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(sss)配列番号121のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ttt)配列番号124のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(uuu)配列番号108のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(vvv)配列番号109のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(www)配列番号118のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(xxx)配列番号119のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(yyy)配列番号123のアミノ酸配列と99%同一であるアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(zzz)(fff)及び(ggg)の両方;(hhh)及び(iii)の両方;若しくは(hhh)及び(jjj)の両方;
(aaaa)(kkk)及び(lll)の両方;(mmm)及び(nnn)の両方;若しくは(mmm)及び(ooo)の両方;
(bbbb)(ppp)及び(qqq)の両方;(rrr)及び(sss)の両方;若しくは(rrr)及び(ttt)の両方、又は
(cccc)(uuu)及び(vvv)の両方;(www)及び(xxx)の両方;若しくは(www)及び(yyy)の両方
を含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の単離又は精製されたタンパク質。
【請求項27】
(a)配列番号21のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号21の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号21の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号21の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号21の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(b)配列番号131のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号131の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号131の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号131の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号131の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(c)配列番号22の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号22のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(d)配列番号79のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号79の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号79の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号79の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号79の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(e)配列番号134のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号134の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号134の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号134の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号134の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(f)配列番号80の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号80のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(g)配列番号85の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号85のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(h)配列番号88の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号88のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(i)配列番号41のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号41の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号41の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号41の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号41の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(j)配列番号42の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号42のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(k)配列番号105の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号105のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(l)配列番号110の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号110のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(m)配列番号113の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号113のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(n)(a)及び(c)の両方;(a)及び(g)の両方;(b)及び(c)の両方;(b)及び(g)の両方;(d)及び(f)の両方;(d)及び(h)の両方;(e)及び(f)の両方;若しくは(e)及び(h)の両方;
(o)(i)及び(j)の両方;(i)及び(k)の両方;(i)及び(l)の両方;若しくは(i)及び(m)の両方;
(p)配列番号55のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号55の160位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号55の224位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号55の226位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号55の227位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(q)配列番号56の173位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号56のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(r)配列番号93のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号93の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号93の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号93の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号93の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(s)配列番号94の177位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号94のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(t)配列番号99の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号99のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(u)配列番号57のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号57の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号57の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号57の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号57の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(v)配列番号58の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号58のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(w)配列番号116のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖であって、
(i)配列番号116の158位におけるXが、Thr若しくはCysであり;
(ii)配列番号116の222位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iii)配列番号116の224位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ
(iv)配列番号116の225位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである第1のポリペプチド鎖;
(x)配列番号117の176位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号117のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(y)配列番号122の171位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号122のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(z)(p)及び(q)の両方;(r)及び(s)の両方;若しくは(r)及び(t)の両方;
(aa)(u)及び(v)の両方;(w)及び(x)の両方;若しくは(w)及び(y)の両方;
(bb)配列番号23のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(cc)配列番号133のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(dd)配列番号24のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ee)配列番号83のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(ff)配列番号136のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(gg)配列番号84のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(hh)配列番号87のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ii)配列番号90のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(jj)配列番号77のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(kk)配列番号132のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(ll)配列番号78のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(mm)配列番号81のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(nn)配列番号135のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(oo)配列番号82のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(pp)配列番号86のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(qq)配列番号89のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(rr)配列番号39のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(ss)配列番号40のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(tt)配列番号107のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(uu)配列番号112のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(vv)配列番号115のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ww)配列番号103のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(xx)配列番号104のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(yy)配列番号106のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(zz)配列番号111のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(aaa)配列番号114のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(bbb)(bb)及び(dd)の両方;(cc)及び(dd)の両方;(ee)及び(gg)の両方;(ff)及び(gg)の両方;(bb)及び(hh)の両方;(cc)及び(hh)の両方;(ee)及び(ii)の両方;若しくは(ff)及び(ii)の両方;
(ccc)(jj)及び(ll)の両方;(kk)及び(ll)の両方;(mm)及び(oo)の両方;(nn)及び(oo)の両方;(jj)及び(pp)の両方;(kk)及び(pp)の両方;(mm)及び(qq)の両方;若しくは(nn)及び(qq)の両方;
(ddd)(rr)及び(ss)の両方;(rr)及び(tt)の両方;(rr)及び(uu)の両方;若しくは(rr)及び(vv)の両方;
(eee)(ww)及び(xx)の両方(ww)及び(yy)の両方;(ww)及び(zz)の両方;若しくは(ww)及び(aaa)の両方;
(fff)配列番号51のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(ggg)配列番号52のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(hhh)配列番号97のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(iii)配列番号98のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(jjj)配列番号101のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(kkk)配列番号91のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(lll)配列番号92のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(mmm)配列番号95のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(nnn)配列番号96のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ooo)配列番号100のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ppp)配列番号53のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(qqq)配列番号54のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(rrr)配列番号120のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(sss)配列番号121のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(ttt)配列番号124のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(uuu)配列番号108のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(vvv)配列番号109のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(www)配列番号118のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;
(xxx)配列番号119のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(yyy)配列番号123のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(zzz)(fff)及び(ggg)の両方;(hhh)及び(iii)の両方;若しくは(hhh)及び(jjj)の両方;
(aaaa)(kkk)及び(lll)の両方;(mmm)及び(nnn)の両方;若しくは(mmm)及び(ooo)の両方;
(bbbb)(ppp)及び(qqq)の両方;(rrr)及び(sss)の両方;若しくは(rrr)及び(ttt)の両方、又は
(cccc)(uuu)及び(vvv)の両方;(www)及び(xxx)の両方;若しくは(www)及び(yyy)の両方
を含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の単離又は精製されたタンパク質。
【請求項28】
請求項1~12のいずれか一項に記載のTCR、請求項13~19のいずれか一項に記載のポリペプチド、又は請求項20~27のいずれか一項に記載のタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む、単離又は精製された核酸。
【請求項29】
5’から3’に向かって、第1の核酸配列及び第2のヌクレオチド配列を含む、単離又は精製された核酸であって、前記第1及び第2のヌクレオチド配列が、それぞれ、配列番号7及び8;7及び64;63及び8;63及び64;7及び65;63及び65;7及び66;63及び66;8及び7;64及び7;8及び63;64及び63;65及び7;65及び63;66及び7;66及び63;129及び8;129及び64;129及び65;129及び66;8及び129;64及び129;65及び129;66及び129;130及び8;130及び64;130及び65;130及び66;8及び130;64及び130;65及び130;66及び130;37及び38;37及び69;37及び70;37及び71;38及び37;69及び37;70及び37;71及び37;23及び24;23及び84;83及び24;83及び84;23及び87;83及び87;23及び90;83及び90;24及び23;84及び23;24及び83;84及び83;87及び23;87及び83;90及び23;90及び83;133及び24;133及び84;133及び87;133及び90;24及び133;84及び133;87及び133;90及び133;39及び40;39及び107;39及び112;39及び115;40及び39;107及び39;112及び39;115及び39;136及び24;136及び84;136及び87;136及び90;24及び136;84及び136;87及び136;90及び136;21及び22;21及び80;79及び22;79及び80;21及び85;21及び88;79及び85;79及び88;22及び21;80及び21;22及び79;80及び79;85及び21;88及び21;85及び79;88及び79;131及び22;131及び80;131及び85;131及び88;22及び131;80及び131;85及び131;88及び131;134及び22;134及び80;134及び85;134及び88;22及び134;80及び134;85及び134;88及び134;77及び78;77及び82;81及び78;81及び82;77及び86;81及び86;78及び77;82及び77;78及び81;82及び81;86及び77;86及び81;132及び78;132及び82;132及び86;78及び132;82及び132;86及び132;135及び78;135及び82;135及び86;78及び135;82及び135;86及び135;77及び89;81及び89;89及び77;89及び81;132及び89;89及び132;135及び89;89及び135;41及び42;41及び105;41及び110;41及び113;42及び41;105及び41;110及び41;113及び41;103及び104;103及び111;103及び114;104及び103;111及び103;114及び103;103及び106;106及び103;47及び48;48及び47;67及び68;67及び76;68及び67;76及び67;49及び50;50及び49;72及び73;72及び102;73及び72;102及び72;51及び52;52及び51;53及び54;54及び53;55及び56;56及び55;57及び58;58及び57;91及び92;92及び91;108及び109;109及び108;93及び94;93及び99;94及び93;99及び93;97及び98;97及び101;98及び97;101及び97;95及び96;95及び100;96及び95;100及び95;116及び117;116及び122;117及び116;122及び116;120及び121;120及び124;121及び120;124及び120;118及び119;118及び123;119及び118、又は123及び118のアミノ酸配列をコードしている核酸。
【請求項30】
前記第1及び第2のヌクレオチド配列の間に介在する第3のヌクレオチド配列を更に含み、前記第3のヌクレオチド配列が、切断可能なリンカーペプチドをコードしている、請求項29に記載の単離又は精製された核酸。
【請求項31】
前記切断可能なリンカーペプチドが、配列番号25のアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の単離又は精製された核酸。
【請求項32】
請求項28~31のいずれか一項に記載の核酸を含む、組み換え発現ベクター。
【請求項33】
トランスポゾン又はレンチウイルスベクターである、請求項32に記載の組換え発現ベクター。
【請求項34】
請求項28~31のいずれか一項に記載の核酸又は請求項32若しくは33に記載のベクターによってコードされている、単離又は精製されたTCR、ポリペプチド、又はタンパク質。
【請求項35】
請求項28~31のいずれか一項に記載の核酸又は請求項32若しくは33に記載のベクターが細胞内で発現した結果得られる、単離又は精製されたTCR、ポリペプチド、又はタンパク質。
【請求項36】
配列番号30のペプチドに対して抗原特異性を有するTCRを発現する宿主細胞を生成する方法であって、請求項32又は33に記載のベクターを細胞に導入することを可能にする条件下で前記細胞を前記ベクターと接触させることを含む方法。
【請求項37】
請求項28~31のいずれか一項に記載の核酸又は請求項32若しくは33に記載の組換え発現ベクターを含む、単離又は精製された宿主細胞。
【請求項38】
前記細胞が、ヒトリンパ球である、請求項37記載の宿主細胞。
【請求項39】
前記細胞が、T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞から選択される、請求項37又は38に記載の宿主細胞。
【請求項40】
請求項37~39のいずれか一項に記載の宿主細胞を含む、単離又は精製された細胞の集団。
【請求項41】
請求項1~12、34、若しくは35のいずれか一項に記載のTCR、請求項13~19、34、若しくは35のいずれか一項に記載のポリペプチド、又は請求項20~27、34、若しくは35のいずれか一項に記載のタンパク質を生成する方法であって、前記TCR、ポリペプチド、又はタンパク質が生成されるように、請求項37~39のいずれか一項に記載の宿主細胞又は請求項40に記載の宿主細胞の集団を培養することを含む方法。
【請求項42】
(a)請求項1~12、34、若しくは35のいずれか一項に記載のTCR、請求項13~19、34、若しくは35のいずれか一項に記載のポリペプチド、又は請求項20~27、34、若しくは35のいずれか一項に記載のタンパク質、請求項28~31のいずれか一項に記載の核酸、請求項32若しくは33に記載の組み換え発現ベクター、請求項37~39のいずれか一項に記載の宿主細胞、又は請求項40に記載の細胞の集団と、(b)薬学的に許容し得る担体と、を含む医薬組成物。
【請求項43】
哺乳類におけるがんの存在を検出する方法であって、
(a)前記がんの細胞を含むサンプルを、請求項1~12、34、若しくは35のいずれか一項に記載のTCR、請求項13~19、34、若しくは35のいずれか一項に記載のポリペプチド、又は請求項20~27、34、若しくは35のいずれか一項に記載のタンパク質、請求項28~31のいずれか一項に記載の核酸、請求項32若しくは33に記載の組み換え発現ベクター、請求項37~39のいずれか一項に記載の宿主細胞、請求項40に記載の細胞の集団、又は請求項42に記載の医薬組成物と接触させ、それによって、複合体を形成させることと;
(b)前記複合体を検出することと、
を含み、
前記複合体の検出が、前記哺乳類におけるがんの存在を示す方法。
【請求項44】
哺乳類におけるがんに対する免疫応答の誘導において使用するための、請求項1~12、34、若しくは35のいずれか一項に記載のTCR、請求項13~19、34、若しくは35のいずれか一項に記載のポリペプチド、又は請求項20~27、34、若しくは35のいずれか一項に記載のタンパク質、請求項28~31のいずれか一項に記載の核酸、請求項32若しくは33に記載の組み換え発現ベクター、請求項37~39のいずれか一項に記載の宿主細胞、請求項40に記載の細胞の集団、又は請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項45】
哺乳類におけるがん治療又は予防において使用するための、請求項1~12、34、若しくは35のいずれか一項に記載のTCR、請求項13~19、34、若しくは35のいずれか一項に記載のポリペプチド、又は請求項20~27、34、若しくは35のいずれか一項に記載のタンパク質、請求項28~31のいずれか一項に記載の核酸、請求項32若しくは33に記載の組み換え発現ベクター、請求項37~39のいずれか一項に記載の宿主細胞、請求項40に記載の細胞の集団、又は請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記がんが、12位におけるグリシンがバリンで置換されている変異型ヒトRASアミノ酸配列を発現し、
前記変異型ヒトRASアミノ酸配列が、変異型ヒトKirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、変異型ヒトHarveyラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(HRAS)、又は変異型ヒト神経芽細胞腫ラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(NRAS)のアミノ酸配列であり、
12位が、それぞれ、野生型ヒトKRAS、野生型ヒトHRAS、又は野生型ヒトNRASのタンパク質を参照することによって定義される、請求項43に記載の方法、又は請求項44若しくは45に記載の使用のためのTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、若しくは医薬組成物。
【請求項47】
前記変異型ヒトRASアミノ酸配列が、変異型ヒトKirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)アミノ酸配列である、請求項43若しくは46に記載の方法、又は請求項44~46のいずれか一項に従って使用するためのTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、若しくは医薬組成物。
【請求項48】
前記変異型ヒトRASアミノ酸配列が、変異型ヒト神経芽細胞腫ラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(NRAS)アミノ酸配列である、請求項43若しくは46に記載の方法、又は請求項44~46のいずれか一項に従って使用するためのTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、若しくは医薬組成物。
【請求項49】
前記変異型ヒトRASアミノ酸配列が、変異型ヒトHarveyラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(HRAS)アミノ酸配列である、請求項43若しくは46に記載の方法、又は請求項44~46のいずれか一項に従って使用するためのTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、若しくは医薬組成物。
【請求項50】
前記がんが、膵臓、結腸直腸、肺、子宮内膜、卵巣、又は前立腺のがんである、請求項43及び46~49のいずれか一項に記載の方法、又は請求項44~49のいずれか一項に従って使用するためのTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、若しくは医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、その全体が参照により本明細書に援用される、2020年2月26日出願の米国仮特許出願第62/560,930号の利益を主張する。
【0002】
連邦支援の研究又は開発に関する記述
本発明は、米国国立衛生研究所、国立がん研究所によって、プロジェクト番号ZIABC010984の下、政府の支援を受けて成された。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
電子的に提出された文献の参照による援用
本明細書と同時に提出され、以下の通り特定されるコンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表は、その全体が参照により本明細書に援用される:2021年2月18日付の「751507_ST25.txt」という名称の266,276バイトの1つのASCII(テキスト)ファイル。
【背景技術】
【0004】
幾つかのがんは、特に該がんが転移性かつ切除不能になったとき、非常に限られた治療法の選択肢しか有しない場合がある。例えば、外科手術、化学療法、及び放射線療法等の治療法の進歩にもかかわらず、多くのがん、例えば、膵臓、結腸直腸、肺、子宮内膜、卵巣、及び前立腺のがんの予後は不良である場合がある。従って、がんの更なる治療法に対するアンメットニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、(a)配列番号1~3、(b)配列番号4~6、(c)配列番号31~33、(d)配列番号34~36、(e)配列番号1~6、又は(f)配列番号31~36のアミノ酸配列を含む、単離又は精製されたT細胞受容体(TCR)であって、該TCRが、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII分子によって提示される、12位におけるグリシンがバリンで置換されている変異型ヒトRASアミノ酸配列に対して抗原特異性を有し、該変異型ヒトRASアミノ酸配列が、変異型ヒトKirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、変異型ヒトHarveyラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(HRAS)、又は変異型ヒト神経芽細胞腫ラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(NRAS)のアミノ酸配列であり、12位が、それぞれ、野生型ヒトKRAS、野生型ヒトHRAS、又は野生型ヒトNRASのタンパク質を参照することによって定義されるTCRを提供する。
【0006】
本発明の別の実施形態は、本発明のTCRの機能的部分を含む単離又は精製されたポリペプチドであって、該機能的部分が、(a)配列番号1~3の全て、(b)配列番号4~6の全て、(c)配列番号31~33の全て、(d)配列番号34~36の全て、(e)配列番号1~6の全て、又は(f)配列番号31~36の全てのアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
【0007】
本発明の更に別の実施形態は、本発明のポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む単離又は精製されたタンパク質を提供する。少なくとも1つを含む単離又は精製されたタンパク質を提供する。
【0008】
本発明の更なる実施形態は、本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質に関連する核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、及び医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明の実施形態は、5’から3’に向かって、第1の核酸配列及び第2のヌクレオチド配列を含む、単離又は精製された核酸であって、該第1及び第2のヌクレオチド配列が、それぞれ、配列番号7及び8;7及び64;63及び8;63及び64;7及び65;63及び65;7及び66;63及び66;8及び7;64及び7;8及び63;64及び63;65及び7;65及び63;66及び7;66及び63;129及び8;129及び64;129及び65;129及び66;8及び129;64及び129;65及び129;66及び129;130及び8;130及び64;130及び65;130及び66;8及び130;64及び130;65及び130;66及び130;37及び38;37及び69;37及び70;37及び71;38及び37;69及び37;70及び37;71及び37;23及び24;23及び84;83及び24;83及び84;23及び87;83及び87;23及び90;83及び90;24及び23;84及び23;24及び83;84及び83;87及び23;87及び83;90及び23;90及び83;133及び24;133及び84;133及び87;133及び90;24及び133;84及び133;87及び133;90及び133;39及び40;39及び107;39及び112;39及び115;40及び39;107及び39;112及び39;115及び39;136及び24;136及び84;136及び87;136及び90;24及び136;84及び136;87及び136;90及び136;21及び22;21及び80;79及び22;79及び80;21及び85;21及び88;79及び85;79及び88;22及び21;80及び21;22及び79;80及び79;85及び21;88及び21;85及び79;88及び79;131及び22;131及び80;131及び85;131及び88;22及び131;80及び131;85及び131;88及び131;134及び22;134及び80;134及び85;134及び88;22及び134;80及び134;85及び134;88及び134;77及び78;77及び82;81及び78;81及び82;77及び86;81及び86;78及び77;82及び77;78及び81;82及び81;86及び77;86及び81;132及び78;132及び82;132及び86;78及び132;82及び132;86及び132;135及び78;135及び82;135及び86;78及び135;82及び135;86及び135;77及び89;81及び89;89及び77;89及び81;132及び89;89及び132;135及び89;89及び135;41及び42;41及び105;41及び110;41及び113;42及び41;105及び41;110及び41;113及び41;103及び104;103及び111;103及び114;104及び103;111及び103;114及び103;103及び106;106及び103;47及び48;48及び47;67及び68;67及び76;68及び67;76及び67;49及び50;50及び49;72及び73;72及び102;73及び72;102及び72;51及び52;52及び51;53及び54;54及び53;55及び56;56及び55;57及び58;58及び57;91及び92;92及び91;108及び109;109及び108;93及び94;93及び99;94及び93;99及び93;97及び98;97及び101;98及び97;101及び97;95及び96;95及び100;96及び95;100及び95;116及び117;116及び122;117及び116;122及び116;120及び121;120及び124;121及び120;124及び120;118及び119;118及び123;119及び118、又は123及び118のアミノ酸配列をコードしている核酸を提供する。
【0010】
哺乳類におけるがんの存在を検出する方法、哺乳類におけるがんを治療又は予防する方法、哺乳類におけるがんに対する免疫応答を誘導する方法、配列番号30のペプチドに対して抗原特異性を有するTCRを発現する宿主細胞を生成する方法、並びに本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質を生成する方法が、本発明の実施形態によって更に提供される。
【0011】
追加の実施形態は、本明細書に記載の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】拡大するT細胞を選択するためのインビトロ刺激(IVS)プロトコル中の細胞選別を示すフローサイトメトリーのドットプロットを提示する。REPは、急速拡大プロトコルである。
【
図1B】
図1Aに示したT細胞の選択及び拡大後のインビトロ刺激(IVS)プロトコル中の細胞選別を示すフローサイトメトリーのドットプロットを提示する。
【
図1C】
図1Bに示す通り選別された細胞に対するIFN-γELISpot分析の結果を示すグラフである。
【
図1D】
図1Bに示す通り選別した細胞における41BB/OX40表面マーカーのアップレギュレーションについての分析結果を示すグラフである。
【
図2A】RAS
G12VLP又はRAS
WTLPを負荷したDCと共培養した細胞に対するIFN-γELISpot分析の結果を示すグラフである。
【
図2B】RAS
G12VLP又はRAS
WTLPを負荷したDCと共培養した細胞における41BB/OX40表面マーカーのアップレギュレーションについての分析結果を示すグラフである。
【
図3】TCRによって認識されるMHC-II拘束制限エレメントを同定するために用いたIFN-γELISpot及び41BB/OX40フローサイトメトリーアッセイの結果を示すグラフである。
【
図4A】Jurkat-CD4-NFAT-ルシフェラーゼ細胞株について測定し、次いで、RAS
G12V、RAS
WTLP、又は等量のDMSOを負荷したDCと共培養したルシフェラーゼ活性を示す棒グラフである。
【
図4B-4C】CD3
+/CD8
+をゲートした細胞(
図4B)又はCD3
+/CD4
+をゲートした細胞(
図4C)の4-1BB及びOX40(%4-1BB+/OX40+)発現についてフローサイトメトリーアッセイによって評価したTCR反応性を示すグラフである。(-)は、非形質導入である。
【
図5A】IVSによって刺激し、RAS
G12VLPペプチドでパルスした又はRAS
G12VFLでRNAトランスフェクトした自己DCと共培養した、指定の断片のTILのフローサイトメトリーによる41BB及びOX40の発現の測定値を示すグラフである。ネガティブコントロール:単独で共培養したT細胞、DMSOを負荷したDCと共に培養したPBL。ポジティブコントロール:抗CD3/抗CD28抗体がコンジュゲートしたDynabeadと共に培養したPBL。
*は細胞のプーリングを示す。
【
図5B】TILによって認識されるMHC-II拘束エレメントを同定するために用いたIFN-γELISpotの結果を提示する。
【
図6】TCR1と比較した、TCR65-10のIFN-γELISpotの結果を提示する。
【
図7A-7D】CD4(
図7A)又はCD8(
図7B)にゲートしたTCR1形質導入PBL、及びCD4(
図7C)又はCD8(
図7D)にゲートしたTCR5形質導入PBLの4-1BB及びOX40(%4-1BB+/OX40+)発現のフローサイトメトリーアッセイの結果を示すグラフを提示する。
【
図7E-7G】CD4細胞(
図7E)又はCD8細胞(
図7F)が濃縮されたTCR1形質導入PBLと、CD4細胞又はCD8細胞に分離したTCR5形質導入PBL(
図7G)についてIFN-γ分泌量をELISPOT測定した結果を示すグラフを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
RASファミリーのタンパク質は、低分子GTPaseの大きなファミリーに属する。特定の理論又は機序に縛られるものではないが、変異したとき、RASタンパク質は、多くのヒトのがんの発がん初期におけるシグナル伝達に関与する可能性があると考えられる。単一のアミノ酸置換によって、タンパク質が活性化し得る。変異型RASタンパク質産物は、構成的に活性化され得る。変異型RASタンパク質は、例えば、膵臓がん(例えば、膵がん)、結腸直腸がん、肺がん(例えば、肺腺がん)、子宮内膜がん、卵巣がん(例えば、上皮性卵巣がん)、及び前立腺がん等の様々なヒトのがんのいずれかで発現し得る。ヒトRASファミリーのタンパク質としては、Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)、Harveyラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(HRAS)、及び神経芽細胞腫ラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(NRAS)が挙げられる。
【0014】
KRASは、GTPase KRas、V-Ki-Ras2 Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子、又はKRAS2とも称される。KRASには、KRASバリアントA及びKRASバリアントBの2つの転写物バリアントが存在する。野生型(WT)KRASバリアントAは、配列番号9のアミノ酸配列を有する。野生型(WT)KRASバリアントBは、配列番号10のアミノ酸配列を有する。以後、「KRAS」(変異型又は非変異型(WT))に対する言及は、特に規定のない限り、バリアントA及びバリアントBの両方を指す。活性化されたとき、変異型KRASは、グアノシン-5’-三リン酸(GTP)に結合し、そして、GTPをグアノシン5’-二リン酸(GDP)に変換する。
【0015】
HRASは、RASタンパク質ファミリーの別のメンバーである。HRASは、Harveyラット肉腫ウイルスがんタンパク質、V-Ha-Ras Harveyラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ、又はRasファミリー低分子GTP結合タンパク質H-Rasとも称される。WT HRASは、配列番号11のアミノ酸配列を有する。
【0016】
NRASは、RASタンパク質ファミリーの更に別のメンバーである。NRASは、GTPase NRas、V-Ras神経芽細胞腫RASウイルスがん遺伝子ホモログ、又はNRAS1とも称される。WT NRASは、配列番号12のアミノ酸配列を有する。
【0017】
本発明の実施形態は、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII分子によって提示される12位におけるグリシンがバリンで置換されている変異型ヒトRAS(以後、「変異型RAS」)のアミノ酸配列に対して抗原特異性を有する、単離又は精製されたTCRであって、該変異型ヒトRASのアミノ酸配列が、変異型ヒトKRAS、変異型ヒトHRAS、又は変異型ヒトNRASのアミノ酸配列であり、12位が、それぞれWTヒトKRAS、WTヒトHRAS、又はWTヒトNRASのタンパク質を参照することによって定義されるTCRを提供する。以後、「TCR」に対する言及は、特に規定のない限り、TCRの機能的部分及び機能的バリアントも指す。
【0018】
本発明のTCRは、任意の変異型ヒトRASのタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドのアミノ酸配列に対する抗原特異性を有し得る。本発明の実施形態では、変異型ヒトRASアミノ酸配列は、変異型ヒトKRASアミノ酸配列、変異型ヒトHRASアミノ酸配列、又は変異型ヒトNRASアミノ酸配列である。WTヒトのKRAS、NRAS、及びHRASのタンパク質のアミノ酸配列は、それぞれ、188~189アミノ酸残基長を有し、互いに対して高度の同一性を有する。例えば、WTヒトNRASタンパク質のアミノ酸配列は、WTヒトKRASタンパク質のアミノ酸配列と86.8%同一である。WTヒトNRASタンパク質及びWTヒトKRASタンパク質のアミノ酸残基1~86は、100%同一である。WTヒトHRASタンパク質のアミノ酸配列は、WTヒトKRASタンパク質のアミノ酸配列と86.3%同一である。WTヒトHRASタンパク質及びWTヒトKRASタンパク質のアミノ酸残基1~94は、100%同一である。以後、「RAS」(変異型又は非変異型(WT))に対する言及は、特に規定のない限り、まとめてKRAS、HRAS、及びNRASを指す。
【0019】
本発明の実施形態では、変異型ヒトRASアミノ酸配列は、12位におけるグリシンが置換されているWT RASアミノ酸配列を含み、12位は、それぞれ、WT RASタンパク質を参照して定義される。WT RASタンパク質は、WT KRASタンパク質(配列番号9又は10)、WT HRASタンパク質(配列番号11)、又はWT NRASタンパク質(配列番号12)のいずれであってもよいが、その理由は、上に説明した通り、WTヒトNRASタンパク質及びWTヒトKRASタンパク質のアミノ酸残基1~86が100%同一であり、WTヒトHRASタンパク質及びWTヒトKRASタンパク質のアミノ酸残基1~94も100%同一であるためである。従って、WT KRAS、WT HRAS、及びWT NRASのタンパク質のそれぞれの12位におけるアミノ酸残基は同じである、すなわち、グリシンである。
【0020】
WT RASアミノ酸配列の12位におけるグリシンは、グリシン以外の任意のアミノ酸残基で置換され得る。本発明の実施形態では、該置換は、WT RASアミノ酸配列の12位におけるグリシンのバリンによる置換である。これに関して、本発明の実施形態は、G12V変異を有する任意のWT RASのタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドのアミノ酸配列に対して抗原特異性を有するTCRを提供する。
【0021】
RASの変異及び置換は、本明細書では、WT RASタンパク質のアミノ酸配列を参照して定義される。従って、RASの変異及び置換は、本明細書では、WT RASタンパク質の特定の位置に存在するアミノ酸残基、続いて、位置番号、続いて、検討中の特定の変異又は置換においてその残基に置き換わったアミノ酸残基を参照して記載される。RASアミノ酸配列(例えば、RASペプチド)は、完全長のWT RASタンパク質の全アミノ酸残基よりも少ないアミノ酸残基を含む場合がある。従って、RASアミノ酸配列の特定の例では対応する残基の実際の位置が異なる場合もあるという理解の下、本明細書では、12位は、WT完全長RASタンパク質(すなわち、配列番号9~12のいずれか1つ)を参照して定義される。位置が配列番号9~12のいずれか1つによって定義される通りである場合、用語「G12」とは、配列番号9~12のいずれか1つの12位には通常グリシンが存在することを指し、「G12V」は、配列番号9~12のいずれか1つの12位に通常存在するグリシンがバリンに置き換わっていることを示す。例えば、RASアミノ酸配列の特定の例が、例えば、TEYKLVVVGAGGVGKSALTIQLI(配列番号28)(配列番号9の連続アミノ酸残基2~24に対応する例示的なWT KRASペプチド)である場合、「G12V」とは、たとえ配列番号28における下線付きグリシンの実際の位置が11であろうと、配列番号28における下線付きグリシンのバリンによる置換を指す。以下、G12V変異を有するヒトRASアミノ酸配列を「G12V RAS」と称する。
【0022】
G12V変異を有する完全長RASタンパク質の例を、以下の表1に記載する。
【0023】
【0024】
本発明の実施形態では、TCRは、上記G12V変異を有するRASペプチドに対して抗原特異性を有し、該変異型RASペプチドは、任意の長さを有する。本発明の実施形態では、変異型RASペプチドは、本明細書に記載のHLAクラスII分子のいずれかに結合するのに好適な任意の長さを有する。例えば、TCRは、G12V変異を有するRASペプチドであって、約24アミノ酸残基長を有するRASペプチドに対して抗原特異性を有し得る。変異型RASペプチドは、G12V変異を含む変異型RASタンパク質の任意の連続アミノ酸残基を含み得る。本発明の実施形態では、TCRは、G12V変異を有するRASペプチドであって、約24アミノ酸残基長を有する変異型RASペプチドに対して抗原特異性を有し得る。本発明のG12V TCRによって認識され得るG12V変異を有する特異的ペプチドの例は、24merのMTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLI(配列番号30)であり、配列番号27は、該ペプチドのWTバージョンである。本発明の実施形態では、TCRは、配列番号30の変異型ヒトRASアミノ酸配列に対する抗原特異性を有する。本発明の実施形態では、TCRは、配列番号27の野生型ヒトRASアミノ酸配列に対して抗原特異性を有しない。理論に縛られることを望むものではないが、配列番号30の24merは、プロセシングされ、より小さなセグメントで存在し得る。
【0025】
本発明の実施形態では、本発明のTCRは、HLAクラスII分子によって提示される変異型RASを認識することができる。これに関して、TCRは、HLAクラスII分子の枠内で変異型RASに結合した際に免疫応答を惹起し得る。本発明のTCRは、変異型RASに加えてHLAクラスII分子にも結合することができる。
【0026】
本発明の実施形態では、HLAクラスII分子は、HLA-DR分子である。HLA-DR分子は、α鎖(DPA)とβ鎖(DPB)とのヘテロ二量体である。HLA-DRA鎖は、任意のHLA-DRA鎖であってよい。HLA-DRB鎖は、任意のHLA-DRB鎖であってよい。本発明の実施形態では、HLAクラスII分子は、HLA-DPA1鎖とHLA-DPB1鎖とのヘテロ二量体である。HLA-DPA1分子の例としては、HLA-DPA1*01:03又は02:02のアリルによってコードされているものを挙げることができるが、これらに限定されない。HLA-DPB1分子の例としては、HLA-DPB1*03:01のアリルによってコードされているものを挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、HLAクラスII分子は、HLA-DPA1*01:03又は02:02鎖とHLA-DPB1*03:01鎖とのヘテロ二量体である。
【0027】
本発明のTCRは、養子細胞移入に使用される細胞によって発現されたときを含む、様々な利点のうちのいずれか1つ以上を提供し得る。変異型RASは、がん細胞で発現し、正常非がん細胞では発現しない。特定の理論又は機序に縛られるものではないが、本発明のTCRは、有利なことに、正常非がん細胞の破壊を最小化又は排除しながらがん細胞の破壊を標的とし、それによって、毒性を低減すると考えられる。更に、本発明のTCRは、有利なことに、例えば化学療法、外科手術、又は放射線照射等の他の種類の治療には応答しない変異型RAS陽性がんを成功裏に治療又は予防することができる。RASG12変異は、多くのがんの種類においてみられる最も一般的なホットスポット変異に含まれる。例えば、KRAS G12V変異は、膵臓及び結腸直腸のがんの患者のそれぞれ約27%及び約9%で発現する。更に、RASファミリーのメンバーは、異なるがん型においてG12ホットスポット変異を共有している(例えば、黒色腫におけるNRAS)。更に、本発明のTCRは、操作されていない腫瘍細胞(例えば、インターフェロン(IFN)-γで処理されていない、変異型RAS及びHLA-DRB1*03:01の一方又は両方をコードしているベクターでトランスフェクトされていない、G12V変異を有するRASペプチドでパルスされていない、又はこれらの組み合わせの腫瘍細胞)を認識する能力を提供し得る、変異型RASの高い結合活性での(highly avid)認識を提供することができる。更に、HLA-DPB1*03:01アリルは、米国におけるコーカサス民族のおよそ19%で発現する。従って、本発明のTCRは、他のMHC分子によって提示されるRASを認識するTCRを使用する免疫療法には適格ではない場合があるHLA-DPB1*03:01を発現する患者が含まれるように、免疫療法適格がん患者の数を増加させることができる。更に、本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、ヒトアミノ酸配列を含み、これによって、例えば、マウスアミノ酸配列を含むTCR、ポリペプチド、及びタンパク質と比べてヒト免疫系によって拒絶されるリスクを低減することができる。
【0028】
語句「抗原特異性」とは、本明細書で使用するとき、TCRが、高い結合活性で変異型RASに特異的に結合し、免疫学的に認識できることを意味する。例えば、TCRは、(a)低濃度の変異型RASペプチド(例えば、約0.05ng/mL~約10ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、5ng/mL、8ng/mL、10ng/mL、又は上記値のうちのいずれか2つによって規定される範囲)でパルスした抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞又は(b)標的細胞が変異型RASを発現するように該変異型RASをコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞と共培養した際に、該TCRを発現している約1×104~約1×105個のT細胞が少なくとも約200pg/mL以上(例えば、200pg/mL以上、300pg/mL以上、400pg/mL以上、500pg/mL以上、600pg/mL以上、700pg/mL以上、1000pg/mL以上、5,000pg/mL以上、7,000pg/mL以上、10,000pg/mL以上、20,000pg/mL以上、又は上記値のうちのいずれか2つによって規定される範囲)のIFN-γを分泌した場合、変異型RASについて「抗原特異性」を有するとみなしてよい。本発明のTCRを発現している細胞は、より高濃度の変異型RASペプチドでパルスした抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞と共培養した際にもIFN-γを分泌することができる。HLAクラスII分子は、本明細書に記載のHLAクラスII分子のいずれか(例えば、HLA-DRB1*03:01分子)であってよい。
【0029】
あるいは又は更に、TCRは、ネガティブコントロールが発現するIFN-γの量と比較して、(a)低濃度の変異型RASペプチドでパルスした抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞又は(b)標的細胞が変異型RASを発現するように該変異型RASをコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞と共培養した際に、該TCRを発現しているT細胞が少なくとも2倍多いIFN-γを分泌した場合、変異型RASについて「抗原特異性」を有するとみなしてよい。ネガティブコントロールは、例えば、(i)(a)同濃度の無関係のペプチド(例えば、変異型RASペプチドとは異なる配列を有する別のペプチド)若しくは(b)標的細胞が無関係のペプチドを発現するように該無関係のペプチドをコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞と共培養した、該TCRを発現しているT細胞、又は(ii)(a)同濃度の変異型RASペプチドでパルスした抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞若しくは(b)標的細胞が変異型RASを発現するように該変異型RASをコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞と共培養した、形質導入されていないT細胞(例えば、該TCRを発現しないPBMC由来)であってよい。ネガティブコントロールの標的細胞が発現するHLAクラスII分子は、試験するT細胞と共培養した標的細胞が発現するのと同じHLAクラスII分子である。HLAクラスII分子は、本明細書に記載のHLAクラスII分子のいずれか(例えば、HLA-DRB1*03:01分子)であってよい。IFN-γ分泌は、当技術分野において公知の方法、例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定することができる。
【0030】
あるいは又は更に、TCRは、IFN-γを分泌するネガティブコントロールT細胞の数と比較して、(a)低濃度の変異型RASペプチドでパルスした抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞又は(b)標的細胞が変異型RASを発現するように該変異型RASをコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性HLAクラスII分子陽性標的細胞と共培養した際に、少なくとも2倍多い数の該TCRを発現しているT細胞がIFN-γを分泌した場合、変異型RASについて「抗原特異性」を有するとみなしてよい。HLAクラスII分子、ペプチドの濃度、及びネガティブコントロールは、本発明の他の態様に関して本明細書に記載した通りであってよい。IFN-γを分泌する細胞の数は、当技術分野において公知の方法、例えば、ELISPOTによって測定することができる。
【0031】
あるいは又は更に、TCRは、変異型RASを発現している標的細胞で刺激した後に例えばフローサイトメトリーによって測定したとき、該TCRを発現しているT細胞が1つ以上のT細胞活性化マーカーの発現をアップレギュレートした場合、変異型RASについて「抗原特異性」を有するとみなしてよい。T細胞活性化マーカーの例としては、4-1BB、OX40、CD107a、CD69、及び抗原刺激した際にアップレギュレートされるサイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-2等)が挙げられる。
【0032】
本発明の実施形態は、例えば、TCRのアルファ(α)鎖、TCRのベータ(β)鎖、TCRのガンマ(γ)鎖、TCRのデルタ(δ)鎖、又はこれらの組み合わせ等の2つのポリペプチド(すなわち、ポリペプチド鎖)を含むTCRを提供する。本発明のTCRのポリペプチドは、TCRが変異型RASに対して抗原特異性を有する限り、任意のアミノ酸配列を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、TCRは、天然には存在しない。
【0033】
本発明の実施形態では、TCRは、それぞれがTCRの相補性決定領域(CDR)1、CDR2、及びCDR3を含む可変領域を含む2本のポリペプチド鎖を含む。本発明の実施形態では、TCRは、配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1(α鎖のCDR1)、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2(α鎖のCDR2)、及び配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3(α鎖のCDR3)を含む第1のポリペプチド鎖と、配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1(β鎖のCDR1)、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2(β鎖のCDR2)、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3(β鎖のCDR3)を含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
【0034】
本発明の別の実施形態では、TCRは、配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR1(α鎖のCDR1)、配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR2(α鎖のCDR2)、及び配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR3(α鎖のCDR3)を含む第1のポリペプチド鎖と、配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR1(β鎖のCDR1)、配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR2(β鎖のCDR2)、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR3(β鎖のCDR3)を含む第2のポリペプチド鎖とを含む。
【0035】
これに関して、本発明のTCRは、配列番号1~6及び31~36から選択されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つ以上を含み得る。本発明の実施形態では、TCRは、(a)配列番号1~3の全て、(b)配列番号4~6の全て、(c)配列番号31~33の全て、(d)配列番号34~36の全て、(e)配列番号1~6の全て、又は(f)配列番号31~36の全てのアミノ酸配列を含む。特に好ましい実施形態では、TCRは、(i)配列番号1~6の全て又は(ii)配列番号31~36の全てのアミノ酸配列を含む。
【0036】
配列番号3、6、33、又は36、すなわち、α鎖若しくはβ鎖又は両方のうちのいずれか1つ以上のCDR3は、CDRの最初のアミノ酸の直ぐN末端側のシステイン、若しくは最後のアミノ酸の直ぐC末端側のフェニルアラニン、又は両方を更に含み得る。
【0037】
本発明の実施形態では、TCRは、上記CDRを含むTCRの可変領域のアミノ酸配列を含む。TCRは、ヒト可変領域、例えば、ヒトα鎖可変領域及びヒトβ鎖可変領域を含み得る。これに関して、TCRは、配列番号7(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号129(別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号8(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号37(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5α鎖の可変領域);配列番号38(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号47(IMGTを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号48(IMGTを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号49(IMGTを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5α鎖の可変領域);配列番号50(IMGTを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号63(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号130(別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号64(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号67(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号68(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号72(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5α鎖の可変領域);配列番号73(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号65(別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号66(別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号69(別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号70(4360TCR5β鎖の可変領域 WT N末端シグナルペプチド);配列番号71(別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号76(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1β鎖の別の可変領域);配列番号102(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5β鎖の別の可変領域);配列番号7及び8の両方;配列番号129及び8の両方;配列番号63及び8の両方;配列番号130及び8の両方;配列番号7及び64の両方;配列番号129及び64の両方;配列番号63及び64の両方;配列番号130及び64の両方;配列番号7及び65の両方;配列番号129及び65の両方;配列番号63及び65の両方;配列番号130及び65の両方;配列番号7及び66の両方;配列番号129及び66の両方;配列番号63及び66の両方;配列番号130及び66の両方;配列番号37及び38の両方;配列番号37及び69の両方;配列番号37及び70の両方;配列番号37及び71の両方;配列番号47及び48の両方;配列番号67及び68の両方;配列番号67及び76の両方;配列番号49及び50の両方;配列番号72及び73の両方;又は配列番号72及び102の両方のアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、TCRは、(i)配列番号7及び8の両方;(ii)配列番号63及び64の両方;(iii)配列番号7及び65の両方;(iv)配列番号63及び66の両方;(v)配列番号37及び38の両方;(vi)配列番号37及び70の両方;(vii)配列番号47及び48の両方;(viii)配列番号67及び68の両方;(ix)配列番号67及び76の両方;(x)配列番号49及び50の両方;(xi)配列番号72及び73の両方;又は(xii)配列番号72及び102の両方のアミノ酸配列を含む。
【0038】
本発明のTCRは、α鎖定常領域及びβ鎖定常領域を更に含み得る。定常領域は、例えばヒト又はマウス等の任意の好適な種に由来していてよい。本発明の実施形態では、TCRは、マウスのα及びβ鎖定常領域又はヒトのα及びβ鎖定常領域を更に含む。本明細書で使用するとき、用語「マウス」又は「ヒト」は、本明細書に記載のTCR又はTCRの任意の構成要素(例えば、相補性決定領域(CDR)、可変領域、定常領域、α鎖、及び/又はβ鎖)に言及するとき、それぞれマウス又はヒト由来のTCR(又はその構成要素)、すなわち、それぞれマウスT細胞又はヒトT細胞を起源とするか又は該細胞によってかつて発現されたTCR(又はその構成要素)を意味する。
【0039】
本発明の実施形態は、ヒト可変領域及びマウス定常領域を含むキメラTCRであって、HLAクラスII分子によって提示される変異型ヒトRASアミノ酸配列に対して抗原特異性を有するTCRを提供する。マウス定常領域は、任意の1つ以上の利点を提供し得る。例えば、マウス定常領域は、本発明のTCRが導入される宿主細胞の内因性TCRと本発明のTCRとの不対合を減少させることができる。あるいは又は更に、マウス定常領域は、ヒト定常領域を有する同じTCRと比較して、本発明のTCRの発現を増加させることができる。キメラTCRは、配列番号19(野生型(WT)マウスα鎖定常領域)のアミノ酸配列、配列番号20(WTマウスβ鎖定常領域)、配列番号74(バリアントマウスα鎖定常領域)のアミノ酸配列、配列番号75(バリアントマウスβ鎖定常領域)、又は配列番号19及び20又は74及び75の両方を含み得る。好ましくは、本発明のTCRは、配列番号19及び20又は74及び75の両方のアミノ酸配列を含む。キメラTCRは、本発明の他の態様に関して本明細書に記載するCDR領域のいずれかと組み合わせて、本明細書に記載のマウス定常領域のいずれかを含み得る。これに関して、TCRは、例えば、(a)配列番号1~3及び19の全て;(b)配列番号4~6及び20の全て;(c)配列番号1~3及び74の全て;(d)配列番号4~6及び75の全て;(e)配列番号31~33及び19の全て;(f)配列番号34~36及び20の全て;(g)配列番号31~33及び74の全て;(h)配列番号34~36及び75の全て;(i)配列番号1~6及び19~20の全て;(j)配列番号1~6及び74~75の全て;(k)配列番号31~36及び19~20の全て;又は(l)配列番号31~36及び74~75の全てのアミノ酸配列を含み得る。本発明の別の実施態様では、キメラTCRは、本発明の他の態様に関して本明細書に記載する可変領域のいずれかと組み合わせて、本明細書に記載のマウス定常領域のいずれかを含み得る。これに関して、TCRは、例えば、(i)配列番号7及び19の両方;(ii)配列番号129及び19の両方;(iii)配列番号8及び20の両方;(iv)配列番号7及び74の両方;(v)配列番号129及び74の両方;(vi)配列番号8及び75の両方;(vii)配列番号37及び19の両方;(viii)配列番号38及び20の両方;(ix)配列番号37及び74の両方;(x)配列番号38及び75の両方;(xi)配列番号7~8及び19~20の全て;(xii)配列番号129、8、及び19~20の全て;(xiii)配列番号37~38及び19~20の全て;(xiv)配列番号7~8及び74~75の全て;(xv)配列番号129、8、及び74~75の全て;又は(xvi)配列番号37~38及び74~75の全てのアミノ酸配列を含み得る。
【0040】
本発明の別の実施形態では、TCRは、配列番号23(WTマウス定常領域及びWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖)、配列番号133(WTマウス定常領域及び別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖)、配列番号24(WTマウス定常領域及びバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖)、配列番号39(WTマウス定常領域及びWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のα鎖)、配列番号40(WTマウス定常領域及びバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖)、配列番号51(WTマウス定常領域を有し、IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖)、配列番号52(WTマウス定常領域を有し、IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖)、配列番号53(WTマウス定常領域を有し、IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖)、配列番号54(WTマウス定常領域を有し、IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖)、配列番号77(置換マウス定常領域及びWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖)、配列番号132(置換マウス定常領域及び別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖)、配列番号78(WTマウス定常領域及びバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖)、配列番号81(置換マウス定常領域及びバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖)、配列番号135(置換マウス定常領域及び別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖)、配列番号82(置換マウス定常領域及びWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖)、配列番号83(WTマウス定常領域及びバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖)、配列番号136(WTマウス定常領域及び別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖)、配列番号84(WTマウス定常領域及びWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖)、配列番号91(置換マウス定常領域を有し、IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖)、配列番号92(置換マウス定常領域を有し、IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖)、配列番号95(置換マウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖)、配列番号96(置換マウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖)、配列番号97(WTマウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖)、配列番号98(WTマウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖)、配列番号86(置換マウス定常領域及び別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖)、配列番号87(WTマウス定常領域及び別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖)、配列番号89(置換マウス定常領域及び別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖)、配列番号90(WTマウス定常領域及び別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖)、配列番号100(置換マウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1の別のβ鎖)、配列番号101(WTマウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1の別のβ鎖)、配列番号103(置換マウス定常領域及びWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のα鎖)、配列番号104(置換マウス定常領域及びバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖)、配列番号106(置換マウス定常領域及びWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖)、配列番号107(WTマウス定常領域及びWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖)、配列番号108(置換マウス定常領域を有し、IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖)、配列番号109(置換マウス定常領域を有し、IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖)、配列番号118(置換マウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖)、配列番号119(置換マウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖)、配列番号120(WTマウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖)、配列番号121(WTマウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖)、配列番号111(置換マウス定常領域及び別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖)、配列番号112(WTマウス定常領域及び別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖)、配列番号114(置換マウス定常領域及び別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖)、配列番号115(WTマウス定常領域及び別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖)、配列番号123(置換マウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5の別のβ鎖)、配列番号124(WTマウス定常領域を有し、SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5の別のβ鎖)、配列番号23-24の両方、配列番号133-24の両方、配列番号39-40の両方、配列番号51-52の両方、配列番号53-54の両方、配列番号77-78の両方、配列番号132-78の両方、配列番号81-82の両方、配列番号135-82の両方、配列番号83-84の両方、配列番号136-84の両方、配列番号91-92の両方、配列番号95-96の両方、配列番号97-98の両方、配列番号103-104の両方、配列番号108-109の両方、配列番号118-119の両方、配列番号120-121の両方、配列番号23及び90の両方、配列番号133及び90の両方、配列番号23及び87の両方、配列番号133及び87の両方、配列番号83及び90の両方、配列番号136及び90の両方、配列番号83及び87の両方、配列番号136及び87の両方、配列番号77及び86の両方、配列番号132及び86の両方、配列番号77及び89の両方、配列番号132及び89の両方、配列番号81及び89の両方、配列番号135及び89の両方、配列番号81及び86の両方、配列番号135及び86の両方、配列番号97及び101の両方、配列番号95及び100の両方、配列番号39及び106の両方、配列番号39及び112の両方、配列番号39及び115の両方、配列番号103及び107の両方、配列番号103及び111の両方、配列番号103及び114の両方、配列番号120及び124の両方、又は配列番号118及び123の両方のアミノ酸配列(複数可)を含む。
【0041】
本発明の実施形態では、TCRは、可変領域及び定常領域を含むα鎖と、可変領域及び定常領域を含むβ鎖とを含む。これに関して、TCRは、例えば、(a)(i)配列番号21の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号21の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号21の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号21の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号21のアミノ酸配列を含むα鎖(野生型N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(b)(i)配列番号131の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号131の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号131の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号131の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号131のアミノ酸配列を含むα鎖(野生型N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(c)配列番号22の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号22のアミノ酸配列を含むβ鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖);(d)(i)配列番号41の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号41の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号41の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号41の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号41のアミノ酸配列を含むα鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のα鎖);(e)配列番号42の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号42のアミノ酸配列を含むβ鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖);(f)(a)及び(c)の両方;(g)(b)及び(c)の両方;(h)(d)及び(e)の両方;(i)(i)配列番号55の160位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号55の224位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号55の226位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号55の227位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号55のアミノ酸配列を含むα鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖);(j)配列番号56の173位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号56のアミノ酸配列を含むβ鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖);(k)(i)配列番号57の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号57の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号57の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号57の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号57のアミノ酸配列を含むα鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖);(l)配列番号58の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号58のアミノ酸配列を含むβ鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖);(m)(i)及び(j)の両方;(n)(k)及び(l)の両方;(o)(i)配列番号79の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号79の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号79の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号79の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号79のアミノ酸配列を含むα鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(p)(i)配列番号134の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号134の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号134の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号134の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号134のアミノ酸配列を含むα鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(q)配列番号80の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号80のアミノ酸配列を含むβ鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖);(r)配列番号105の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号105のアミノ酸配列を含むβ鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖);(s)(o)及び(q)の両方;(t)(p)及び(q)の両方;(u)(d)及び(r)の両方;(v)(i)配列番号93の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号93の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号93の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号93の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号93のアミノ酸配列を含むα鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖);(w)配列番号94の177位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号94のアミノ酸配列を含むβ鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖);(x)(i)配列番号116の158位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号116の222位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号116の224位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号116の225位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号116のアミノ酸配列を含むα鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖);(y)配列番号117の176位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号117のアミノ酸配列を含むβ鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖);(z)(v)及び(w)の両方;(aa)(x)及び(y)の両方;(bb)配列番号85の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号85のアミノ酸配列を含むβ鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1の別のβ鎖);(cc)配列番号88の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号88のアミノ酸配列を含むβ鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1の別のβ鎖);(dd)配列番号99の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号99のアミノ酸配列を含むβ鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1の別のβ鎖);(ee)(a)及び(bb)の両方;(ff)(b)及び(bb)の両方;(gg)(o)及び(cc)の両方;(hh)(p)及び(cc)の両方;(ii)(v)及び(dd)の両方;(jj)配列番号110の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号110のアミノ酸配列を含むβ鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5の別のβ鎖);(kk)配列番号113の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号113のアミノ酸配列を含むβ鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5の別のβ鎖);(ll)配列番号122の171位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号122のアミノ酸配列を含むβ鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5の別のβ鎖);(mm)(d)及び(jj)の両方;(nn)(d)及び(kk)の両方;又は(oo)(x)
及び(ll)の両方を含み得る。本発明の実施形態では、配列番号21を含むTCRは、配列番号23(非置換α鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号131を含むTCRは、配列番号133(非置換α鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号22を含むTCRは、配列番号24(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号41を含むTCRは、配列番号39(非置換α鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号42を含むTCRは、配列番号40(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号55を含むTCRは、配列番号51(非置換α鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号56を含むTCRは、配列番号52(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号57を含むTCRは、配列番号53(非置換α鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号58を含むTCRは、配列番号54(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号79を含むTCRは、配列番号83(非置換α鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号134を含むTCRは、配列番号136(非置換α鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号80を含むTCRは、配列番号84(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号93を含むTCRは、配列番号97(非置換α鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号94を含むTCRは、配列番号98(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号85を含むTCRは、配列番号87(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号88を含むTCRは、配列番号90(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号99を含むTCRは、配列番号101(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号116を含むTCRは、配列番号120(非置換α鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号117を含むTCRは、配列番号121(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号105を含むTCRは、配列番号107(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号110を含むTCRは、配列番号112(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号113を含むTCRは、配列番号115(非置換β鎖)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号122を含むTCRは、配列番号124(非置換β鎖)を含まない。
【0042】
本明細書に記載のマウスアルファ定常領域のいずれかの最初のアミノ酸は、配列番号17及び19に提供される通りNとは異なる場合がある。例えば、本明細書に記載の任意のTCRコンストラクト、ポリペプチド、タンパク質などにおいて、この最初のアミノ酸は、マウスアルファ定常領域のいずれかがその位置に異なるアミノ酸を有し得るように、スプリットコドン(可変領域及び定常領域の両方からのヌクレオチドを有する)によってコードされ得る。同様に、本明細書に記載のマウスベータ定常領域のいずれかの最初のアミノ酸は、配列番号18及び20に提供される通りEとは異なる場合があり、例えば、この最初のアミノ酸はスプリットコドンによってコードされ得る。
【0043】
本発明の実施形態では、TCRは、置換定常領域を含む。これに関して、TCRは、例えば、α鎖及びβ鎖の一方又は両方の定常領域に1、2、3、又は4つのアミノ酸置換(複数可)を有する、本明細書に記載のTCRのいずれかのアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、TCRは、α鎖及びβ鎖の一方又は両方のマウス定常領域に1、2、3、又は4つのアミノ酸置換(複数可)を有するマウス定常領域を含む。特に好ましい実施形態では、TCRは、α鎖のマウス定常領域に1、2、3、又は4つのアミノ酸置換(複数可)を有し、β鎖のマウス定常領域に1つのアミノ酸置換を有するマウス定常領域を含む。幾つかの実施形態では、置換定常領域を含むTCRは、有利なことに、非置換(野生型)定常領域を含む親TCRと比較して、変異型RAS+標的の認識の増大、宿主細胞による発現の増加、内因性TCRとの不対合の減少、及び抗腫瘍活性の増大のうちの1つ以上を提供する。一般に、TCRのα鎖及びβ鎖のマウス定常領域の置換アミノ酸配列、それぞれ配列番号17及び18は、非置換マウス定常領域のアミノ酸配列、それぞれ配列番号19及び20の全て又は一部に対応し、配列番号17は、配列番号19と比較して1、2、3、又は4つのアミノ酸置換(複数可)を有し、配列番号18は、配列番号20と比較して1つのアミノ酸配列を有する。これに関して、本発明の実施形態は、(a)(i)48位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)112位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)114位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)115位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号17(α鎖の定常領域);(b)57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号18(β鎖の定常領域);又は(c)配列番号17及び18の両方のアミノ酸配列を含むTCRを提供する。本発明の実施形態では、配列番号17を含むTCRは、配列番号19(α鎖の非置換マウス定常領域)を含まない。本発明の実施形態では、配列番号18を含むTCRは、配列番号20(β鎖の非置換マウス定常領域)を含まない。
【0044】
本発明の実施形態では、置換定常領域は、α鎖及びβ鎖の一方又は両方の定常領域にシステイン置換を含んで、システイン置換TCRを提供する。α鎖及びβ鎖における対向するシステインは、置換TCRのα鎖及びβ鎖の定常領域を互いに連結させ、非置換マウス定常領域を含むTCRには存在しない、ジスルフィド結合を提供する。これに関して、TCRは、配列番号19の48位におけるネイティブなThr(Thr48)及び配列番号20の57位におけるネイティブなSer(Ser57)の一方又は両方がCysで置換され得る、システイン置換TCRであり得る。好ましくは、配列番号19のネイティブなThr48及び配列番号20のネイティブなSer57の両方がCysで置換される。システイン置換TCRの定常領域の配列の例を表2に記載する。本発明の実施形態では、システイン置換TCRは、(i)配列番号17、(ii)配列番号18、又は(iii)配列番号17及び18の両方を含み、配列番号17及び18はいずれも表2に定義される通りである。本発明のシステイン置換TCRは、本明細書に記載のCDR又は可変領域のいずれかに加えて、置換定常領域を含み得る。
【0045】
本発明の実施形態では、システイン置換キメラTCRは、完全長アルファ鎖及び完全長ベータ鎖を含む。システイン置換キメラTCRのアルファ鎖及びベータ鎖の配列の例を表2に記載する。本発明の実施形態では、TCRは、(i)配列番号21、(ii)配列番号131、(iii)配列番号22、(iv)配列番号41、(v)配列番号42、(vi)配列番号21及び22の両方、(vii)配列番号131及び22の両方、(viii)配列番号41及び42の両方、(ix)配列番号55、(x)配列番号56、(xi)配列番号57、(xii)配列番号58、(xiii)配列番号55及び56の両方、又は(xiv)配列番号57及び58の両方、(xv)配列番号79、(xvi)配列番号134、(xvii)配列番号80、(xviii)配列番号105、(xix)配列番号79及び80の両方、(xx)配列番号134及び80の両方、(xxi)配列番号41及び105の両方、(xxii)配列番号93、(xxiii)配列番号94、(xxiv)配列番号116、(xxv)配列番号117、(xxvi)配列番号93及び94の両方、(xxvii)配列番号116及び117の両方、(xxviii)配列番号85、(xxix)配列番号88、(xxx)配列番号99、(xxxi)配列番号21及び85の両方、(xxxii)配列番号131及び85の両方、(xxxiii)配列番号79及び88の両方、(xxxiv)配列番号134及び88の両方、(xxxv)配列番号93及び99の両方、(xxxvi)配列番号110、(xxxvii)配列番号113、(xxxviii)配列番号122、(xxxix)配列番号41及び110の両方、(xl)配列番号41及び113の両方、(xli)配列番号116及び122の両方を含み、配列番号17、18、21、22、41、42、55~58、79、80、85、88、93、94、99、105、110、113、116、117、122、131、及び134は全て、表2に定義される通りである。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
本発明の実施形態では、置換アミノ酸配列は、α鎖の定常領域の膜貫通(TM)ドメインにおける1、2、又は3つのアミノ酸の疎水性アミノ酸による置換を含んで、疎水性アミノ酸で置換されたTCR(本明細書では「LVL修飾TCR」とも称される)を提供する。TCRのTMドメインにおける疎水性アミノ酸置換(複数可)は、TMドメインに疎水性アミノ酸置換(複数可)を有しないTCRと比較して、TCRのTMドメインの疎水性を増大させることができる。これに関して、TCRは、配列番号19のネイティブなSer112、Met114、及びGly115のうちの1、2、又は3つが、独立して、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、又はTrp;好ましくはLeu、Ile、又はValで置換されていてよく;そして、配列番号20のネイティブなSer57がCysで置換されていてよいLVL修飾TCRである。好ましくは、配列番号19のネイティブなSer112、Met114、及びGly115の3つ全てが、独立して、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、又はTrp;好ましくはLeu、Ile、又はValで置換されていてよい。本発明の実施形態では、LVL修飾TCRは、(i)配列番号17、(ii)配列番号18、又は(iii)配列番号17及び18の両方を含み、配列番号17及び18はいずれも表3に定義される通りである。本発明のLVL修飾TCRは、本明細書に記載のCDR又は可変領域のいずれかに加えて、置換定常領域を含み得る。
【0051】
本発明の実施形態では、LVL修飾TCRは、完全長アルファ鎖及び完全長ベータ鎖を含む。LVL修飾TCRのアルファ鎖及びベータ鎖の配列の例を表3に記載する。本発明の実施形態では、LVL修飾TCRは、(i)配列番号21、(ii)配列番号131、(iii)配列番号22、(iv)配列番号41、(v)配列番号42、(vi)配列番号21及び22の両方、(vii)配列番号131及び22の両方、(viii)配列番号41及び42の両方、(ix)配列番号55、(x)配列番号56、(xi)配列番号57、(xii)配列番号58、(xiii)配列番号55及び56の両方、又は(xiv)配列番号57及び58の両方、(xv)配列番号79、(xvi)配列番号134、(xvii)配列番号80、(xviii)配列番号105、(xix)配列番号79及び80の両方、(xx)配列番号134及び80の両方、(xxi)配列番号41及び105の両方、(xxii)配列番号93、(xxiii)配列番号94、(xxiv)配列番号116、(xxv)配列番号117、(xxvi)配列番号93及び94の両方、(xxvii)配列番号116及び117の両方、(xxviii)配列番号85、(xxix)配列番号88、(xxx)配列番号99、(xxxi)配列番号21及び85の両方、(xxxii)配列番号131及び85の両方、(xxxiii)配列番号79及び88の両方、(xxxiv)配列番号134及び88の両方、(xxxv)配列番号93及び99の両方、(xxxvi)配列番号110、(xxxvii)配列番号113、(xxxviii)配列番号122、(xxxix)配列番号41及び110の両方、(xl)配列番号41及び113の両方、(xli)配列番号116及び122の両方を含み、配列番号17、18、21、22、41、42、55~58、79、80、85、88、93、94、99、105、110、113、116、117、122、131、及び134は全て、表3に定義される通りである。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
本発明の実施形態では、置換アミノ酸配列は、α鎖の定常領域の膜貫通(TM)ドメインにおける1、2、又は3つのアミノ酸の疎水性アミノ酸による置換(複数可)と組み合わせて、α鎖及びβ鎖の一方又は両方の定常領域にシステイン置換を含む(本明細書では、「システイン置換LVL修飾TCR」とも称される)。これに関して、TCRは、配列番号19のネイティブなThr48がCysで置換されており;配列番号19のネイティブなSer112、Met114、及びGly115のうちの1、2、又は3つが、独立して、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、又はTrp;好ましくはLeu、Ile、又はValで置換されており;配列番号20のネイティブなSer57がCysで置換されているシステイン置換LVL修飾キメラTCRである。好ましくは、配列番号19のネイティブなSer112、Met114、及びGly115の3つ全てが、独立して、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、又はTrp;好ましくはLeu、Ile、又はValで置換されていてよい。本発明の実施形態では、システイン置換LVL修飾TCRは、(i)配列番号17、(ii)配列番号18、又は(iii)配列番号17及び18の両方を含み、配列番号17及び18はいずれも表4に定義される通りである。本発明のシステイン置換LVL修飾TCRは、本明細書に記載のCDR又は可変領域のいずれかに加えて、置換定常領域を含み得る。
【0062】
実施形態では、システイン置換LVL修飾TCRは、完全長アルファ鎖及び完全長ベータ鎖を含む。本発明の実施形態では、システイン置換LVL修飾TCRは、(i)配列番号21、(ii)配列番号131、(iii)配列番号22、(iv)配列番号41、(v)配列番号42、(vi)配列番号21及び22の両方、(vii)配列番号131及び22の両方、(viii)配列番号41及び42の両方、(ix)配列番号55、(x)配列番号56、(xi)配列番号57、(xii)配列番号58、(xiii)配列番号55及び56の両方、又は(xiv)配列番号57及び58の両方、(xv)配列番号79、(xvi)配列番号134、(xvii)配列番号80、(xviii)配列番号105、(xix)配列番号79及び80の両方、(xx)配列番号134及び80の両方、(xxi)配列番号41及び105の両方、(xxii)配列番号93、(xxiii)配列番号94、(xxiv)配列番号116、(xxv)配列番号117、(xxvi)配列番号93及び94の両方、(xxvii)配列番号116及び117の両方、(xxviii)配列番号85、(xxix)配列番号88、(xxx)配列番号99、(xxxi)配列番号21及び85の両方、(xxxii)配列番号131及び85の両方、(xxxiii)配列番号79及び88の両方、(xxxiv)配列番号134及び88の両方、(xxxv)配列番号93及び99の両方、(xxxvi)配列番号110、(xxxvii)配列番号113、(xxxviii)配列番号122、(xxxix)配列番号41及び110の両方、(xl)配列番号41及び113の両方、(xli)配列番号116及び122の両方を含み、配列番号17、18、21、22、41、42、55~58、79、80、85、88、93、94、99、105、110、113、116、117、122、131、及び134は全て、表4に定義される通りである。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
本発明の実施形態では、システイン置換LVL修飾TCRは、(a)配列番号74(システイン置換LVL修飾TCRのα鎖定常領域);(b)配列番号75(システイン置換LVL修飾TCRのβ鎖定常領域);(c)配列番号77(WT N末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR1のα鎖);(d)配列番号78(バリアントN末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR1のβ鎖);(e)配列番号91(IMGTによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR1のα鎖);(f)配列番号92(IMGTによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR1のβ鎖);(g)配列番号95(SignalPによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR1のα鎖);(h)配列番号96(SignalPによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR1のβ鎖);(i)配列番号81(バリアントN末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR1のα鎖);(j)配列番号82(WT N末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR1のβ鎖);(k)配列番号89(WT N末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR1の別のβ鎖);(l)配列番号86(バリアントN末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR1のβ鎖);(m)配列番号100(SignalPによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR1のβ鎖);(n)配列番号132(別のWT N末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR1のα鎖);(o)配列番号135(別のバリアントN末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR1のα鎖);(p)(a)及び(b)の両方;(q)(c)及び(d)の両方;(r)(e)及び(f)の両方;(s)(g)及び(h)の両方;(t)(i)及び(j)の両方;(u)(i)及び(k)の両方;(v)(c)及び(l)の両方;(w)(g)及び(m)の両方;(x)(n)及び(d)の両方;又は(o)及び(j)の両方を含む。
【0073】
本発明の実施形態では、システイン置換LVL修飾TCRは、(a)配列番号74(システイン置換LVL修飾TCRのα鎖定常領域);(b)配列番号75(システイン置換LVL修飾TCRのβ鎖定常領域);(c)配列番号103(WT N末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR5のα鎖);(d)配列番号104(バリアントN末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR5のβ鎖);(e)配列番号108(IMGTによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR5のα鎖);(f)配列番号109(IMGTによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR5のβ鎖);(g)配列番号118(SignalPによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR5のα鎖);(h)配列番号119(SignalPによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR5のβ鎖);(j)配列番号106(WT N末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR5のβ鎖);(k)配列番号114(WT N末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR5の別のβ鎖);(l)配列番号111(バリアントN末端シグナル配列を有するシステイン置換LVL修飾4360TCR5の別のβ鎖);(m)配列番号123(SignalPによって予測されるN末端シグナル配列を有しないシステイン置換LVL修飾4360TCR5の別のβ鎖);(n)(a)及び(b)の両方;(o)(c)及び(d)の両方;(p)(e)及び(f)の両方;(q)(g)及び(h)の両方;(r)(c)及び(j)の両方;(s)(c)及び(k)の両方;(t)(c)及び(l)の両方;又は(u)(g)及び(m)の両方を含む。
【0074】
また、本明細書に記載のTCRのいずれかの機能的部分を含むポリペプチドが本発明の実施形態によって提供される。用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用するとき、オリゴペプチドを含み、そして、1つ以上のペプチド結合によって接続された一本鎖のアミノ酸を指す。
【0075】
本発明のポリペプチドに関して、機能的部分は、変異型RASに特異的に結合する限り、該機能的部分がその一部であるTCRの連続アミノ酸を含む任意の部分であってよい。用語「機能的部分」は、TCRに関連して使用されるとき、本発明のTCRの任意の部分又は断片であって、該部分又は断片がその一部であるTCR(親TCR)の生物活性を保持している部分又は断片を指す。機能的部分は、例えば、親TCRと同様の程度、同一程度、又はより高程度、(例えば、HLA-DPB1*03:01分子の枠内で)変異型RASに特異的に結合するか又はがんを検出、治療、若しくは予防する能力を保持しているTCRの部分を包含する。親TCRに関連して、機能的部分は、例えば、親TCRの約10%、約25%、約30%、約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又はそれ以上を構成し得る。
【0076】
機能的部分は、該部分のアミノ若しくはカルボキシ末端又は両末端に、親TCRのアミノ酸配列にはみられない追加のアミノ酸を含んでいてもよい。望ましくは、追加のアミノ酸は、例えば、変異型RASに特異的に結合する;及び/又はがんを検出する、がんを治療若しくは予防する能力を有する等の機能的部分の生物学的機能に干渉しない。より望ましくは、追加のアミノ酸は、親TCRの生物活性と比較して生物活性を増強する。
【0077】
ポリペプチドは、本発明のTCRのα鎖及びβ鎖のいずれか又は両方の機能的部分、例えば、本発明のTCRのα鎖及び/又はβ鎖の可変領域(複数可)のCDR1、CDR2、及びCDR3のうちの1つ以上を含む機能的部分を含み得る。本発明の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1(α鎖のCDR1)、配列番号2(α鎖のCDR2)、配列番号3(α鎖のCDR3)、配列番号4(β鎖のCDR1)、配列番号5(β鎖のCDR2)、配列番号6(β鎖のCDR3)、又はこれらの組み合わせのアミノ酸配列を含み得る。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号31(α鎖のCDR1)、配列番号32(α鎖のCDR2)、配列番号33(α鎖のCDR3)、配列番号34(β鎖のCDR1)、配列番号35(β鎖のCDR2)、配列番号36(β鎖のCDR3)、又はこれらの組み合わせのアミノ酸配列を含み得る。
【0078】
これに関して、本発明のポリペプチドは、配列番号1~6及び31~36から選択されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つ以上を含み得る。本発明の実施形態では、TCRは、(a)配列番号1~3の全て、(b)配列番号4~6の全て、(c)配列番号31~33の全て、(d)配列番号34~36の全て、(e)配列番号1~6の全て、又は(f)配列番号31~36の全てのアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、(i)配列番号1~6の全て又は(ii)配列番号31~36の全てのアミノ酸配列を含む。配列番号3、6、33、又は36、すなわち、α鎖若しくはβ鎖又は両方のうちのいずれか1つ以上のCDR3は、CDRの最初のアミノ酸の直ぐN末端側のシステイン、若しくは最後のアミノ酸の直ぐC末端側のフェニルアラニン、又は両方を更に含み得る。
【0079】
本発明の実施形態では、本発明のポリペプチドは、例えば、上記CDR領域の組み合わせを含む本発明のTCRの可変領域を含み得る。これに関して、TCRは、配列番号7(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号129(別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号8(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号37(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5α鎖の可変領域);配列番号38(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号47(IMGTを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号48(IMGTを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号49(IMGTを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5α鎖の可変領域);配列番号50(IMGTを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号63(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号130(別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号64(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号67(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1α鎖の可変領域);配列番号68(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号72(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5α鎖の可変領域);配列番号73(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号65(別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号66(別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1β鎖の可変領域);配列番号69(別のバリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号70(4360TCR5β鎖の可変領域 WT N末端シグナルペプチド);配列番号71(別のWT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5β鎖の可変領域);配列番号76(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1β鎖の別の可変領域);配列番号102(SignalPを用いて予測されたN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5β鎖の別の可変領域);配列番号7及び8の両方;配列番号129及び8の両方;配列番号63及び8の両方;配列番号130及び8の両方;配列番号7及び64の両方;配列番号129及び64の両方;配列番号63及び64の両方;配列番号130及び64の両方;配列番号7及び65の両方;配列番号129及び65の両方;配列番号63及び65の両方;配列番号130及び65の両方;配列番号7及び66の両方;配列番号129及び66の両方;配列番号63及び66の両方;配列番号130及び66の両方;配列番号37及び38の両方;配列番号37及び69の両方;配列番号37及び70の両方;配列番号37及び71の両方;配列番号47及び48の両方;配列番号67及び68の両方;配列番号67及び76の両方;配列番号49及び50の両方;配列番号72及び73の両方;又は配列番号72及び102の両方のアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、TCRは、(i)配列番号7及び8の両方;(ii)配列番号63及び64の両方;(iii)配列番号7及び65の両方;(iv)配列番号63及び66の両方;(v)配列番号37及び38の両方;(vi)配列番号37及び70の両方;(vii)配列番号47及び48の両方;(viii)配列番号67及び68の両方;(ix)配列番号67及び76の両方;(x)配列番号49及び50の両方;(xi)配列番号72及び73の両方;又は(xii)配列番号72及び102の両方のアミノ酸配列を含む。
【0080】
本発明の実施形態では、本発明のポリペプチドは、上記本発明のTCRの定常領域を更に含み得る。これに関して、ポリペプチドは、配列番号19(α鎖のWTマウス定常領域)のアミノ酸配列、配列番号20(β鎖のWTマウス定常領域)、配列番号17、(α鎖の置換マウス定常領域)、配列番号18(β鎖の置換マウス定常領域)、)、配列番号74(バリアントマウスα鎖定常領域)のアミノ酸配列、配列番号75(バリアントマウスβ鎖定常領域)、配列番号19及び20の両方、配列番号17及び18の両方、又は配列番号74及び75の両方を更に含み得る。好ましくは、ポリペプチドは、本発明の他の態様に関して本明細書に記載するCDR領域又は可変領域のいずれかと組み合わせて、配列番号19及び20の両方、配列番号17及び18の両方、又は配列番号74及び75の両方のアミノ酸配列を更に含む。
【0081】
本発明の実施形態では、ポリペプチドは、(a)(i)配列番号17の48位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号17の112位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号17の114位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号17の115位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号17のアミノ酸配列;(b)配列番号18の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号18のアミノ酸配列;又は(c)(a)及び(b)の両方を含む。本発明の実施形態では、ポリペプチドの配列番号17及び18の一方又は両方は、表2~4のいずれか1つに定義される通りである。本明細書で提供されるα鎖定常領域は、N末端のアスパラギンと共に示される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のα鎖定常領域のN末端アミノ酸は、アスパラギン酸である。
【0082】
本発明の実施形態では、本発明のポリペプチドは、本明細書に記載のTCRのα鎖又はβ鎖の全長を含み得る。これに関して、本発明のポリペプチドは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号131;配列番号132;配列番号133;配列番号134;配列番号135;配列番号136;配列番号21及び22の両方、配列番号131及び22の両方、配列番号23及び24の両方、配列番号133及び24の両方、配列番号77及び78の両方、配列番号132及び78の両方、配列番号79及び80の両方、配列番号134及び80の両方、配列番号81及び82の両方、配列番号135及び82の両方、配列番号83及び84の両方、配列番号136及び84の両方、配列番号21及び85の両方、配列番号131及び85の両方、配列番号23及び87の両方、配列番号133及び87の両方、配列番号77及び86の両方、配列番号132及び86の両方、配列番号79及び88の両方、配列番号134及び88の両方、配列番号83及び90の両方、配列番号136及び90の両方、配列番号81及び89の両方、配列番号135及び89、配列番号55、配列番号56、配列番号51、配列番号52、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号55及び56の両方、配列番号51及び52の両方、配列番号91及び92の両方、配列番号93及び94の両方、配列番号95及び96の両方、配列番号97及び98の両方、配列番号93及び99の両方、配列番号95及び100、又は配列番号97及び101の両方のアミノ酸配列を含み得る。これに関して、本発明のポリペプチドは、配列番号41、配列番号42、配列番号39、配列番号40、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号41及び42の両方、配列番号39及び40の両方、配列番号103及び104の両方、配列番号41及び105の両方、配列番号103及び106の両方、配列番号39及び107の両方、配列番号41及び110の両方、配列番号39及び112の両方、配列番号103及び111の両方、配列番号41及び113の両方、配列番号39及び115の両方、配列番号103及び114、配列番号57、配列番号58、配列番号53、配列番号54、配列番号108、配列番号109、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号57及び58の両方、又は配列番号53及び54の両方、配列番号108及び109の両方、配列番号116及び117の両方、配列番号118及び119の両方、配列番号120及び121の両方、配列番号116及び122の両方、配列番号120及び124の両方、又は配列番号118及び123の両方のアミノ酸配列を含み得る。あるいは、本発明のポリペプチドは、本明細書に記載のTCRの両鎖を含み得る。
【0083】
本発明の実施形態では、ポリペプチドは、(a)(i)配列番号21の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号21の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号21の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号21の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号21のアミノ酸配列を含むα鎖(野生型N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(b)(i)配列番号131の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号131の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号131の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号131の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号131のアミノ酸配列を含むα鎖(野生型N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(c)配列番号22の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号22のアミノ酸配列を含むβ鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖);(d)(i)配列番号41の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号41の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号41の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号41の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号41のアミノ酸配列を含むα鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のα鎖);(e)配列番号42の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号42のアミノ酸配列を含むβ鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖);(f)(a)及び(c)の両方;(g)(b)及び(c)の両方;又は(h)(d)及び(e)の両方;(i)(i)配列番号55の160位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号55の224位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号55の226位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号55の227位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号55のアミノ酸配列を含むα鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖);(j)配列番号56の173位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号56のアミノ酸配列を含むβ鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖);(k)(i)配列番号57の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号57の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号57の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号57の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号57のアミノ酸配列を含むα鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖);(l)配列番号58の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号58のアミノ酸配列を含むβ鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖);(m)(i)及び(j)の両方;又は(n)(k)及び(l)の両方;(o)(i)配列番号79の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号79の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号79の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号79の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号79のアミノ酸配列を含むα鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(p)(i)配列番号134の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号134の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号134の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号134の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号134のアミノ酸配列を含むα鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(q)配列番号80の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号80のアミノ酸配列を含むβ鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖);(r)配列番号105の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号105のアミノ酸配列を含むβ鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖);(s)(o)及び(q)の両方;(t)(p)及び(q)の両方;(u)(d)及び(r)の両方;(v)(i)配列番号93の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号93の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号93の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号93の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号93のアミノ酸配列を含むα鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖);(w)配列番号94の177位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号94のアミノ酸配列を含むβ鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖);(x)(i)配列番号116の158位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号116の222位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号116の224位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号116の225位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号116のアミノ酸配列を含むα鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖);(y)配列番号117の176位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号117のアミノ酸配列を含むβ鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖);(z)(v)及び(w)の両方;(aa)(x)及び(y)の両方;(bb)配列番号85の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号85のアミノ酸配列を含むβ鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1の別のβ鎖);(cc)配列番号88の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号88のアミノ酸配列を含むβ鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1の別のβ鎖);(dd)配列番号99の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号99のアミノ酸配列を含むβ鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1の別のβ鎖);(ee)(a)及び(bb)の両方;(ff)(b)及び(bb)の両方;(gg)(o)及び(cc)の両方;(hh)(p)及び(cc)の両方;(ii)(v)及び(dd)の両方;(jj)配列番号110の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号110のアミノ酸配列を含むβ鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5の別のβ鎖);(kk)配列番号113の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号113のアミノ酸配列を含むβ鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5の別のβ鎖);(ll)配列番号122の171位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号122のアミノ酸配列を含むβ鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5の別のβ鎖);(mm)(d)及び(jj)の両方;(nn)(d)及び(kk)の両方;又は(oo)(x)及び(ll)の両方を含む。本発明の実施形態では、ポリペプチドの配列番号21、22、41、42、55~58、79、80、85、88、93、94、99、105、110、113、116、117、122、131、又は134のうちのいずれか1つ以上は、表2~4のいずれか1つに定義される通りである。
【0084】
本発明の実施形態は、更に、本明細書に記載のポリペプチドのうちの少なくとも1つを含むタンパク質を提供する。「タンパク質」とは、1本以上のポリペプチド鎖を含む分子を意味する。
【0085】
実施形態では、本発明のタンパク質は、(a)配列番号1~3のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号4~6のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は(b)配列番号31~33のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号34~36のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖を含み得る。配列番号3、6、33、又は36、すなわち、α鎖若しくはβ鎖又は両方のうちのいずれか1つ以上のCDR3は、CDRの最初のアミノ酸の直ぐN末端側のシステイン、若しくは最後のアミノ酸の直ぐC末端側のフェニルアラニン、又は両方を更に含み得る。
【0086】
本発明の別の実施形態では、タンパク質は、(i)配列番号7のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(ii)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(iii)配列番号63のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(iv)配列番号130のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(v)配列番号7のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(vi)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(vii)配列番号63のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(viii)配列番号130のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号64のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(ix)配列番号7のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(x)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xi)配列番号63のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xii)配列番号130のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号65のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xiii)配列番号7のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xiv)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xv)配列番号63のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xvi)配列番号130のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xvii)配列番号37のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号38のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xviii)配列番号37のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号69のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xix)配列番号37のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号70のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xx)配列番号37のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号71のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xxi)配列番号47のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号48のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xxii)配列番号67のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xxiii)配列番号67のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号76のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xxiv)配列番号49のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号50のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(xxv)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号73のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は(xxvi)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号102のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖を含み得る。
【0087】
本発明のタンパク質は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載する定常領域のいずれかを更に含み得る。これに関して、本発明の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号17のアミノ酸配列を更に含み得、第2のポリペプチド鎖は、配列番号18のアミノ酸配列を更に含み得る。本発明の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号19のアミノ酸配列を更に含み得、第2のポリペプチド鎖は、配列番号20のアミノ酸配列を更に含み得る。本発明の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号74のアミノ酸配列を更に含み得、第2のポリペプチド鎖は、配列番号75のアミノ酸配列を更に含み得る。
【0088】
本発明の実施形態では、タンパク質は、(a)(i)配列番号17の48位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号17の112位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号17の114位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号17の115位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号17のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖;(b)配列番号18の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号18のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は(c)(a)及び(b)の両方を含む。本発明の実施形態では、タンパク質の配列番号17及び18の一方又は両方は、表2~4のいずれか1つに定義される通りである。
【0089】
あるいは又は更に、本発明の実施形態のタンパク質は、(a)(i)配列番号21の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号21の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号21の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号21の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号21のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖(野生型N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(b)(i)配列番号131の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号131の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号131の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号131の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号131のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖(野生型N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(c)配列番号22の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号22のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖);(d)(i)配列番号41の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号41の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号41の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号41の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号41のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のα鎖);(e)配列番号42の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号42のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖);(f)(a)及び(c)の両方;(g)(b)及び(c)の両方;又は(h)(d)及び(e)の両方;(i)(i)配列番号55の160位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号55の224位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号55の226位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号55の227位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号55のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖);(j)配列番号56の173位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号56のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖);(k)(i)配列番号57の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号57の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号57の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号57の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号57のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖);(l)配列番号58の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号58のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(IMGTで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖);(m)(i)及び(j)の両方;又は(n)(k)及び(l)の両方;(o)(i)配列番号79の179位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号79の243位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号79の245位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号79の246位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号79のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(p)(i)配列番号134の180位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号134の244位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号134の246位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号134の247位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号134のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のα鎖);(q)配列番号80の198位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号80のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1のβ鎖);(r)配列番号105の197位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号105のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5のβ鎖);(s)(o)及び(q)の両方;(t)(p)及び(q)の両方;(u)(d)及び(r)の両方;(v)(i)配列番号93の159位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号93の223位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号93の225位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号93の226位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号93のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のα鎖);(w)配列番号94の177位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号94のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1のβ鎖);(x)(i)配列番号116の158位におけるXが、Thr若しくはCysであり;(ii)配列番号116の222位におけるXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;(iii)配列番号116の224位におけるXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;かつ(iv)配列番号116の225位におけるXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、配列番号116のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のα鎖);(y)配列番号117の176位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号117のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5のβ鎖);(z)(v)及び(w)の両方;(aa)(x)及び(y)の両方;(bb)配列番号85の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号85のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR1の別のβ鎖);(cc)配列番号88の187位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号88のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR1の別のβ鎖);(dd)配列番号99の172位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号99のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR1の別のβ鎖);(ee)(a)及び(bb)の両方;(ff)(b)及び(bb)の両方;(gg)(o)及び(cc)の両方;(hh)(p)及び(cc)の両方;(ii)(v)及び(dd)の両方;(jj)配列番号110の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号110のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(バリアントN末端シグナルペプチドを有する4360TCR5の別のβ鎖);(kk)配列番号113の186位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号113のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(WT N末端シグナルペプチドを有する4360TCR5の別のβ鎖);(ll)配列番号122の171位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号122のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖(SignalPで予測したときN末端シグナルペプチドを有しない4360TCR5の別のβ鎖);(mm)(d)及び(jj)の両方;(nn)(d)及び(kk)の両方;又は(oo)(x)及び(ll)の両方を含み得る。本発明の実施形態では、配列番号21、22、41、42、55~58、79、80、85、88、93、94、99、105、110、113、116、117、及び122のうちのいずれか1つ以上は、表2~4のいずれか1つに定義される通りである。
【0090】
本発明のタンパク質は、TCRであってよい。あるいは、例えば、タンパク質が、配列番号21及び22の両方、配列番号131及び22、配列番号23及び24の両方、配列番号133及び24の両方、配列番号77及び78の両方、配列番号132及び78の両方、配列番号79及び80の両方、配列番号134及び80の両方、配列番号81及び82の両方、配列番号135及び82の両方、配列番号83及び84の両方、配列番号136及び84の両方、配列番号21及び85の両方、配列番号131及び85の両方、配列番号23及び87の両方、配列番号133及び87の両方、配列番号77及び86の両方、配列番号132及び86の両方、配列番号79及び88の両方、配列番号134及び88の両方、配列番号83及び90の両方、配列番号136及び90の両方、配列番号81及び89の両方、配列番号135及び89の両方のアミノ酸配列を含む1本のポリペプチド鎖を含む場合、又はタンパク質の第1の及び/若しくは第2のポリペプチド鎖(複数可)が、他のアミノ酸配列、例えば、免疫グロブリン若しくはその一部をコードしているアミノ酸配列を更に含む場合、本発明のタンパク質は、融合タンパク質であってもよい。これに関して、本発明の実施形態は、また、少なくとも1つの他のポリペプチドと共に、本明細書に記載の本発明のポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む融合タンパク質を提供する。他のポリペプチドは、融合タンパク質の別々のタンパク質として存在してもよく、又は本明細書に記載の本発明のポリペプチドのうちの1つとインフレームで(タンデムに)発現するポリペプチドとして存在してもよい。他のポリペプチドは、免疫グロブリン、CD3、CD4、CD8、MHC分子、CD1分子、例えば、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d等が挙げられるがこれらに限定されない、任意のペプチド性若しくはタンパク質性の分子、又はこれらの一部をコードしていてよい。
【0091】
融合タンパク質は、1コピー以上の本発明のポリペプチド及び/又は1コピー以上の他のポリペプチドを含み得る。例えば、融合タンパク質は、1、2、3、4、5、又はそれ以上のコピーの本発明のポリペプチド及び/又は他のポリペプチドを含み得る。融合タンパク質を作製する好適な方法は、当技術分野において公知であり、例えば、組み換え法が挙げられる。
【0092】
本発明の幾つかの実施形態では、本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、α鎖及びβ鎖を連結するリンカーペプチドを含む単一のタンパク質として発現し得る。これに関して、本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、リンカーペプチドを更に含み得る。リンカーペプチドは、有利なことに、宿主細胞における組み換え体のTCR、ポリペプチド、及び/又はタンパク質の発現を促進し得る。リンカーペプチドは、任意の好適なアミノ酸配列を含み得る。例えば、リンカーペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列を含むフリン-SGSG-P2Aリンカーであってよい。リンカーペプチドを含むコンストラクトが宿主細胞によって発現されたら、リンカーペプチドを切断してもよく、その結果、分離されたα鎖及びβ鎖が得られる。本発明の実施形態では、TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、完全長α鎖、完全長β鎖、及びα鎖とβ鎖との間に位置するリンカーペプチドを含むアミノ酸配列、例えば、α鎖-リンカー-β鎖又はβ鎖-リンカー-α鎖を含み得る。
【0093】
本発明の実施形態では、TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、N末端からC末端に向かって、β鎖、リンカー(配列番号25)、及びα鎖を含む、配列番号125に記載のアミノ酸配列を含み得る。バリアントは、配列番号8に記載のβ鎖可変領域(バリアントシグナルペプチドを有する)及び配列番号75に記載の修飾β定常ドメインを含む。バリアントの完全長β鎖は、配列番号78に記載されている。バリアントはまた、配列番号7に記載のα鎖可変領域(WTシグナルペプチドを有する)及び配列番号74に記載の修飾α定常ドメインを含む。バリアントの完全長α鎖は、配列番号77に記載されている。
【0094】
本発明の別の実施形態では、TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、N末端からC末端に向かって、α鎖、リンカー(配列番号25)、及びβ鎖を含む、配列番号126に記載のアミノ酸配列を含み得る。バリアントは、配列番号63に記載のα鎖可変領域(バリアントシグナルペプチドを有する)及び配列番号74に記載の修飾α定常ドメインを含む。バリアントの完全長α鎖は、配列番号81に記載されている。バリアントはまた、配列番号64に記載のβ鎖可変領域(WTシグナルペプチドを有する)及び配列番号75に記載の修飾β定常ドメインを含む。バリアントの完全長β鎖は、配列番号82に記載されている。
【0095】
本発明の実施形態では、TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、N末端からC末端に向かって、β鎖、リンカー(配列番号25)、及びα鎖を含む、配列番号127に記載のアミノ酸配列を含み得る。バリアントは、配列番号38に記載のβ鎖可変領域(バリアントシグナルペプチドを有する)及び配列番号75に記載の修飾β定常ドメインを含む。バリアントの完全長β鎖は、配列番号104に記載されている。バリアントはまた、配列番号37に記載のα鎖可変領域及び配列番号74に記載の修飾α定常ドメインを含む。バリアントの完全長α鎖は、配列番号103に記載されている。
【0096】
本発明の別の実施形態では、TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、N末端からC末端に向かって、α鎖、リンカー(配列番号25)、及びβ鎖を含む、配列番号128に記載のアミノ酸配列を含み得る。バリアントは、配列番号37に記載のα鎖可変領域及び配列番号74に記載の修飾α定常ドメインを含む。バリアントの完全長α鎖は、配列番号103に記載されている。バリアントはまた、配列番号70に記載のβ鎖可変領域(WTシグナルペプチドを有する)及び配列番号75に記載の修飾β定常ドメインを含む。バリアントの完全長β鎖は、配列番号106に記載されている。
【0097】
本発明の実施形態では、TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、N末端からC末端に向かって、β鎖、リンカー(配列番号25)、及びα鎖を含む、配列番号137に記載の別のアミノ酸配列を含み得る。バリアントは、配列番号8に記載のβ鎖可変領域(バリアントシグナルペプチドを有する)及び配列番号75に記載の修飾β定常ドメインを含む。バリアントの完全長β鎖は、配列番号78に記載されている。バリアントはまた、配列番号129に記載のα鎖可変領域及び配列番号74に記載の修飾α定常ドメインを含む。バリアントの完全長α鎖は、配列番号132に記載されている。
【0098】
本発明の別の実施形態では、TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、N末端からC末端に向かって、α鎖、リンカー(配列番号25)、及びβ鎖を含む、配列番号138に記載の別のアミノ酸配列を含み得る。バリアントは、配列番号130に記載の別のα鎖可変領域及び配列番号74に記載の修飾α定常ドメインを含む。バリアントの完全長α鎖は、配列番号135に記載されている。バリアントはまた、配列番号64に記載のβ鎖可変領域(WTシグナルペプチドを有する)及び配列番号75に記載の修飾β定常ドメインを含む。バリアントの完全長β鎖は、配列番号82に記載されている。
【0099】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるTCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、シグナルペプチドを含む、本明細書に開示されるα鎖及び/又はβ鎖を含む。幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるα鎖及び/又はβ鎖のいずれかのシグナルペプチドの配列は、2位において野生型残基に置き換わったアラニン又はヒスチジンの残基を含む。
【0100】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるTCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、シグナルペプチドを欠く、本明細書に開示されるα鎖及び/又はβ鎖の成熟バージョンを含む。シグナルペプチドの配列又はα鎖及び/若しくはβ鎖の成熟形態は、IMGT及びSignalPを含む当技術分野において公知の任意の方法に従って実施することができる。
【0101】
本発明のタンパク質は、本明細書に記載の本発明のポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む、組み換え抗体又はその抗原結合部分であってよい。本明細書で使用するとき、「組み換え抗体」とは、本発明のポリペプチドのうちの少なくとも1つ、及び抗体のポリペプチド鎖又はその抗原結合部分を含む組み換え(例えば、遺伝的に操作された)タンパク質を指す。抗体のポリペプチド又はその抗原結合部分は、抗体の重鎖、軽鎖、重鎖若しくは軽鎖の可変領域若しくは定常領域、単鎖可変断片(scFv)、又はFc、Fab、若しくはF(ab)2’の断片等であってよい。抗体のポリペプチド鎖又はその抗原結合部分は、組み換え抗体の別々のポリペプチドとして存在してよい。あるいは、抗体のポリペプチド鎖又はその抗原結合部分は、本発明のポリペプチドとインフレームで(タンデムに)発現するポリペプチドとして存在してもよい。抗体のポリペプチド又はその抗原結合部分は、本明細書に記載の抗体及び抗体断片のいずれかを含む、任意の抗体のポリペプチド又は任意の抗体断片であってよい。
【0102】
本明細書に記載の本発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質の機能的バリアントは、本発明の範囲に含まれる。用語「機能的バリアント」とは、本明細書で使用するとき、親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質に対して実質的な又は著しい配列の同一性又は類似性を有するTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を指し、該機能的バリアントは、該バリアントがそのバリアントであるTCR、ポリペプチド、又はタンパク質の生物活性を保持している。機能的バリアントは、例えば、親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質と同様の程度、同一程度、又はより高程度、親TCRが抗原特異性を有するか又は親のポリペプチド若しくはタンパク質が特異的に結合する変異型RASに特異的に結合する能力を保持している、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質(親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質)のバリアントを包含する。親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質に関連して、機能的バリアントは、例えば、それぞれ親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質に対してアミノ酸配列が少なくとも約30%、約50%、約75%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又はそれ以上同一であってよい。
【0103】
機能的バリアントは、例えば、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のアミノ酸配列を含み得る。保存的アミノ酸置換は、当技術分野において公知であり、特定の物理的及び/又は化学的特性を有するあるアミノ酸が、同じ化学的又は物理的特性を有する別のアミノ酸に交換されるアミノ酸置換を含む。例えば、保存的アミノ酸置換は、酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸(例えば、Asp又はGlu)による置換、非極性側鎖を有するアミノ酸の、別の非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、Ala、Gly、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Trp、Val等)による置換、塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸(Lys、Arg等)による置換、極性側鎖を有するアミノ酸の、別の極性側鎖を有するアミノ酸(Asn、Cys、Gln、Ser、Thr、Tyr等)による置換等であってよい。
【0104】
あるいは又は更に、機能的バリアントは、少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換を有する親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のアミノ酸配列を含み得る。この場合、非保存的アミノ酸置換が機能的バリアントの生物活性に干渉もせず、阻害もしないことが好ましい。好ましくは、非保存的アミノ酸置換は機能的バリアントの生物活性を増強し、その結果、機能的バリアントの生物活性が、親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質と比べて増大する。
【0105】
本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、タンパク質、機能的バリアント、及び機能的部分の各シグナルペプチドは、存在する場合、該TCR、ポリペプチド、タンパク質、又は機能的バリアントが発現し、そして、HLAクラスII分子によって提示される12位におけるグリシンがバリンで置換されている変異型ヒトRASアミノ酸配列に対する抗原特異性を有する限り、任意の好適なTCRシグナルペプチドであってよい。
【0106】
TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、本明細書に記載の指定のアミノ酸配列(複数可)から本質的になっていてよく、その結果、該TCR、ポリペプチド、又はタンパク質の他の構成要素、例えば、他のアミノ酸が、該TCR、ポリペプチド、又はタンパク質の生物活性を実質的に変化させることはない。これに関して、本発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、例えば、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号21~22の両方、又は配列番号23~24の両方、配列番号41、配列番号42、配列番号39、配列番号40、配列番号41~42の両方、又は配列番号39~40の両方のアミノ酸配列から本質的になっていてよい。また、例えば、本発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、(i)配列番号7、(ii)配列番号8、(iii)配列番号37、(iv)配列番号38、(v)配列番号7及び8の両方、又は(vi)配列番号37及び38の両方のアミノ酸配列(複数可)から本質的になっていてよい。更に、発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、(a)配列番号1~6及び31~36のうちの任意の1つ以上;(b)配列番号1~3の全て;(c)配列番号4~6の全て;(d)配列番号31~33の全て;(e)配列番号34~36の全て;(f)配列番号1~6の全て;又は(g)配列番号31~36の全てのアミノ酸配列から本質的になっていてよい。
【0107】
本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、任意の長さであってよい、すなわち、該TCR、ポリペプチド、又はタンパク質が、その生物活性、例えば、変異型RASに特異的に結合する;哺乳類におけるがんを検出する;又は哺乳類におけるがんを治療若しくは予防する能力等を保持している限り、任意の数のアミノ酸を含んでいてよい。例えば、ポリペプチドは、約50~約5000アミノ酸長の範囲、例えば、約50、約70、約75、約100、約125、約150、約175、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000又はそれ以上のアミノ酸長であってよい。これに関して、本発明のポリペプチドは、オリゴペプチドも含む。
【0108】
本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、1つ以上の天然に存在するアミノ酸の代わりに合成アミノ酸を含んでいてもよい。このような合成アミノ酸は、当技術分野において公知であり、例えば、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、α-アミノn-デカン酸、ホモセリン、S-アセチルアミノメチル-システイン、トランス-3-及びトランス-4-ヒドロキシプロリン、4-アミノフェニルアラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-カルボキシフェニルアラニン、β-フェニルセリンβ-ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、α-ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン-2-カルボン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’-ベンジル-N’-メチル-リジン、N’,N’-ジベンジル-リジン、6-ヒドロキシリジン、オルニチン、α-アミノシクロペンタンカルボン酸、α-アミノシクロヘキサンカルボン酸、α-アミノシクロヘプタンカルボン酸、α-(2-アミノ-2-ノルボルナン)-カルボン酸、α,γ-ジアミノ酪酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、及びα-tert-ブチルグリシンが挙げられる。
【0109】
本発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を、グリコシル化、アミド化、カルボキシル化、リン酸化、エステル化、N-アシル化、例えばジスルフィド架橋を介して環化、又は酸付加塩に変換、及び/又は任意で二量体化若しくは多量体化、又はコンジュゲートしてもよい。
【0110】
本発明のTCR、ポリペプチド、及び/又はタンパク質は、当技術分野において公知の方法、例えば、デノボ合成によって得ることができる。また、ポリペプチド及びタンパク質は、標準的な組み換え法を使用し、本明細書に記載の核酸を使用して組み換え的に生成することができる。例えば、Green and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(2012)を参照。あるいは、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、及び/又はタンパク質は、商業実体によって商業的に合成されてもよい。これに関して、本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、合成であってもよく、組み換え体であってもよく、単離されていてもよく、及び/又は精製されていてもよい。本発明の実施形態は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載する核酸又はベクターのいずれかによってコードされている単離又は精製されたTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を提供する。本発明の別の実施形態は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載する核酸又はベクターのいずれかが細胞内で発現した結果得られる、単離又は精製されたTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を提供する。本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のいずれかを生成する方法であって、該TCR、ポリペプチド、又はタンパク質が生成されるように、本明細書に記載の宿主細胞又は宿主細胞の集団のいずれかを培養することを含む方法を提供する。
【0111】
本発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質(これらの機能的部分又はバリアントのいずれかを含む)、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、宿主細胞の集団、又は抗体若しくはその抗原結合部分のいずれかを含むコンジュゲート、例えばバイオコンジュゲートも本発明の範囲に含まれる。コンジュゲート、及び一般にコンジュゲートを合成する方法は、当技術分野において公知である。
【0112】
本発明の実施形態は、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。「核酸」は、本明細書で使用するとき、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、及び「核酸分子」を含み、一般的に、DNA又はRNAのポリマーを意味し、これは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、天然の、非天然の、又は改変されたヌクレオチドを含有していてもよく、そして、改変されていないオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間にみられるホスホジエステルの代わりに、天然の、非天然の、又は改変されたヌクレオチド間結合、例えば、ホスホロアミデート結合又はホスホロチオエート結合を含有していてもよい。実施形態では、核酸は、相補的DNA(cDNA)を含む。核酸は、任意の挿入、欠失、逆位、及び/又は置換を含まないことが一般に好ましい。しかし、幾つかの例では、本明細書で論じた通り、核酸が1つ以上の挿入、欠失、逆位、及び/又は置換を含むことが好適である場合もある。
【0113】
好ましくは、本発明の核酸は、組み換え体である。本明細書で使用するとき、用語「組み換え体」とは、(i)天然若しくは合成の核酸セグメントを生細胞で複製可能な核酸分子に連結させることによって生細胞の外部で構築される分子、又は(ii)上記(i)に記載されているものの複製によって得られる分子を指す。本明細書における目的のために、複製は、インビトロ複製であってもインビボ複製であってもよい。
【0114】
核酸は、当技術分野において公知の手順を使用して、化学合成及び/又は酵素ライゲーション反応に基づいて構築することができる。例えば、Green及びSambrookら、前掲を参照。例えば、核酸は、天然に存在するヌクレオチド、又は分子の生物学的安定性を増大させるか若しくはハイブリダイゼーションの際に形成される二本鎖の物理的安定性を増大させるように設計された様々に改変されたヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート誘導体及びアクリジン置換ヌクレオチド)を使用して、化学的に合成することができる。核酸を作製するために使用することができる改変ヌクレオチドの例としては、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-置換アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルキューオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、及び2,6-ジアミノプリンが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、本発明の核酸のうちの1つ以上は、商業実体から購入することもできる。
【0115】
核酸は、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のいずれかをコードしている任意のヌクレオチド配列を含み得る。本発明の実施形態では、核酸は、配列番号43~46のいずれか1つのヌクレオチド配列を含み得る(表5)。本発明の実施形態では、核酸は、配列番号43~44の両方又は配列番号アミノ酸配列45~46の両方のヌクレオチド配列を含む。
【0116】
【0117】
本発明の実施形態では、核酸は、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のいずれかをコードしている、コドン最適化されたヌクレオチド配列を含む。特定の理論又は機序に縛られるものではないが、ヌクレオチド配列のコドン最適化は、mRNA転写物の翻訳効率を増大させると考えられる。ヌクレオチド配列のコドン最適化は、ネイティブなコドンを、同じアミノ酸をコードしているが細胞内でより容易に利用可能なtRNAによって翻訳され得る別のコドンで置換し、それによって、翻訳効率を増大させることを伴い得る。また、ヌクレオチド配列の最適化によって、翻訳に干渉するmRNAの二次構造が減少し、それによって、翻訳効率を増大させることもできる。
【0118】
また、本発明は、本明細書に記載の核酸のいずれかのヌクレオチド配列に対して相補的なヌクレオチド配列、又は本明細書に記載の核酸のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0119】
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列は、好ましくは、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする。「高ストリンジェンシー条件」とは、ヌクレオチド配列が、非特異的ハイブリダイゼーションよりも検出可能に多い量で、標的配列(本明細書に記載の核酸のいずれかのヌクレオチド配列)に特異的にハイブリダイズすることを意味する。高ストリンジェンシー条件は、正確な相補的配列を有するポリヌクレオチド又は幾つかの散在している不一致しか含有していないものを、ヌクレオチド配列が一致している幾つかの小さな領域(例えば、3~10塩基)を偶然有するランダム配列と識別する条件を含む。このような相補的な小さな領域は、14~17塩基又はそれ以上の完全長相補体よりも容易に融解するので、高ストリンジェントなシーハイブリダイゼーションによって容易に識別可能になる。比較的高ストリンジェンシー条件は、例えば、約0.02~0.1M NaCl又は等価物、約50~70℃の温度によって提供されるもの等の低塩及び/又は高温条件を含む。このような高ストリンジェンシー条件は、ヌクレオチド配列とテンプレート又は標的鎖との間で(もし存在するとしても)わずかな不一致しか許容せず、本発明のTCRのいずれかの発現を検出するのに特に好適である。一般的に、漸増量のホルムアミドを添加することによって、条件をよりストリンジェントにすることができると理解される。
【0120】
また、本発明は、本明細書に記載の核酸のいずれかと少なくとも約70%以上、例えば、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。これに関して、核酸は、本明細書に記載のヌクレオチド配列のいずれかから本質的になっていてよい。
【0121】
本発明の実施形態は、5’から3’に向かって、第1の核酸配列及び第2のヌクレオチド配列を含む、単離又は精製された核酸であって、第1及び第2のヌクレオチド配列が、それぞれ、7及び8;7及び64;63及び8;63及び64;7及び65;63及び65;7及び66;63及び66;8及び7;64及び7;8及び63;64及び63;65及び7;65及び63;66及び7;66及び63;129及び8;129及び64;129及び65;129及び66;8及び129;64及び129;65及び129;66及び129;130及び8;130及び64;130及び65;130及び66;8及び130;64及び130;65及び130;66及び130;37及び38;37及び69;37及び70;37及び71;38及び37;69及び37;70及び37;71及び37;23及び24;23及び84;83及び24;83及び84;23及び87;83及び87;23及び90;83及び90;24及び23;84及び23;24及び83;84及び83;87及び23;87及び83;90及び23;90及び83;133及び24;133及び84;133及び87;133及び90;24及び133;84及び133;87及び133;90及び133;39及び40;39及び107;39及び112;39及び115;40及び39;107及び39;112及び39;115及び39;136及び24;136及び84;136及び87;136及び90;24及び136;84及び136;87及び136;90及び136;21及び22;21及び80;79及び22;79及び80;21及び85;21及び88;79及び85;79及び88;22及び21;80及び21;22及び79;80及び79;85及び21;88及び21;85及び79;88及び79;131及び22;131及び80;131及び85;131及び88;22及び131;80及び131;85及び131;88及び131;134及び22;134及び80;134及び85;134及び88;22及び134;80及び134;85及び134;88及び134;77及び78;77及び82;81及び78;81及び82;77及び86;81及び86;78及び77;82及び77;78及び81;82及び81;86及び77;86及び81;132及び78;132及び82;132及び86;78及び132;82及び132;86及び132;135及び78;135及び82;135及び86;78及び135;82及び135;86及び135;77及び89;81及び89;89及び77;89及び81;132及び89;89及び132;135及び89;89及び135;41及び42;41及び105;41及び110;41及び113;42及び41;105及び41;110及び41;113及び41;103及び104;103及び111;103及び114;104及び103;111及び103;114及び103;103及び106;106及び103;47及び48;48及び47;67及び68;67及び76;68及び67;76及び67;49及び50;50及び49;72及び73;72及び102;73及び72;102及び72;51及び52;52及び51;53及び54;54及び53;55及び56;56及び55;57及び58;58及び57;91及び92;92及び91;108及び109;109及び108;93及び94;93及び99;94及び93;99及び93;97及び98;97及び101;98及び97;101及び97;95及び96;95及び100;96及び95;100及び95;116及び117;116及び122;117及び116;122及び116;120及び121;120及び124;121及び120;124及び120;118及び119;118及び123;119及び118、又は123及び118のアミノ酸配列をコードしている核酸を提供する。
【0122】
本発明の実施形態では、単離又は精製された核酸は、第1及び第2のヌクレオチド配列の間に介在する第3のヌクレオチド配列を更に含み、該第3のヌクレオチド配列は、切断可能なリンカーペプチドをコードしている。本発明の実施形態では、切断可能なリンカーペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列を含む。
【0123】
本発明の核酸は、組み換え発現ベクターに組み込むことができる。これに関して、本発明は、本発明の核酸のいずれかを含む組み換え発現ベクターを提供する。本発明の実施形態では、組み換え発現ベクターは、α鎖、β鎖、及びリンカーペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む。
【0124】
本明細書における目的のために、用語「組み換え発現ベクター」は、コンストラクトがmRNA、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含み、宿主細胞内で該mRNA、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを発現させるのに十分な条件下でベクターを該細胞と接触させたときに、該細胞が該mRNA、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを発現することを可能にする、遺伝的に改変されたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドのコンストラクトを意味する。本発明のベクターは、全体としては天然には存在しない。しかし、ベクターの一部が天然に存在している場合はある。本発明の組み換え発現ベクターは、DNA及びRNAが挙げられるがこれらに限定されない任意の種類のヌクレオチドを含んでいてよく、該ヌクレオチドは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、合成されても天然源から部分的に入手されてもよく、天然の、非天然の、又は改変されたヌクレオチドを含有していてもよい。組み換え発現ベクターは、天然に存在するヌクレオチド間結合、天然には存在しないヌクレオチド間結合、又は両方の種類の結合を含んでいてよい。好ましくは、天然には存在しないか又は改変されたヌクレオチド又はヌクレオチド間結合は、ベクターの転写も複製も妨げない。
【0125】
本発明の組み換え発現ベクターは、任意の好適な組み換え発現ベクターであってよく、任意の好適な宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトするために使用することができる。好適なベクターとしては、プラスミド及びウイルス等、伝播及び増殖用、若しくは発現用、又は両方のために設計されたものが挙げられる。ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene,LaJolla,CA)、pETシリーズ(Novagen,Madison,WI)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)、及びpEXシリーズ(Clontech,Palo Alto,CA)から選択され得る。λGT10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、及びλNM1149等のバクテリオファージベクターを使用してもよい。植物発現ベクターの例としては、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121、及びpBIN19(Clontech)が挙げられる。動物発現ベクターの例としては、pEUK-Cl、pMAM、及びpMAMneo(Clontech)が挙げられる。好ましくは、組み換え発現ベクターは、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターである。特に好ましい実施形態では、組み換え発現ベクターは、MSGV1ベクターである。本発明の実施形態では、組換え発現ベクターは、トランスポゾン又はレンチウイルスベクターである。
【0126】
本発明の組み換え発現ベクターは、例えば、Green及びSambrookら、前掲に記載されている標準的な組み換えDNA技術を使用して調製することができる。円形又は線形である発現ベクターのコンストラクトは、原核又は真核の宿主細胞において機能する複製系を含有するように調製することができる。複製系は、例えば、ColEl、2μプラスミド、λ、SV40、ウシパピローマウイルス等に由来していてよい。
【0127】
望ましくは、組み換え発現ベクターは、調節配列、例えば、必要に応じて、そして、ベクターがDNAベースであるかRNAベースであるかを考慮して、ベクターが導入される宿主細胞の種類(例えば、細菌、真菌、植物、又は動物)に特異的な転写及び翻訳の開始及び終止のコドンを含む。
【0128】
組み換え発現ベクターは、形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞の選別を可能にする1つ以上のマーカー遺伝子を含んでいてよい。マーカー遺伝子は、殺生物剤耐性、例えば、抗生物質、重金属等に対する耐性、原栄養性を与えるための栄養要求性宿主における補完等を含む。本発明の発現ベクターに好適なマーカー遺伝子は、例えば、ネオマイシン/G418耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ヒスチジノール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、及びアンピシリン耐性遺伝子を含む。
【0129】
組み換え発現ベクターは、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードしているヌクレオチド配列に、又はTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードしているヌクレオチド配列に相補的であるか若しくはハイブリダイズするヌクレオチド配列に動作可能に連結しているネイティブ又は非ネイティブのプロモータを含んでいてよい。例えば、強い、弱い、誘導性、組織特異的、及び発生段階特異的なプロモータの選別は、当業者の技能の範囲内である。同様に、ヌクレオチド配列とプロモータとの組み合わせも当業者の技能の範囲内である。プロモータは、非ウイルスプロモータであってもよく、ウイルスプロモータ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、SV40プロモータ、RSVプロモータ、及びマウス幹細胞ウイルスの末端反復配列にみられるプロモータであってもよい。
【0130】
本発明の組み換え発現ベクターは、一過的発現用、安定的発現用、又は両方のために設計することができる。また、組み換え発現ベクターは、構成的発現用又は誘導性発現用に作製することもできる。
【0131】
更に、組み換え発現ベクターは、自殺遺伝子を含むように作製してもよい。本明細書で使用するとき、用語「自殺遺伝子」とは、自殺遺伝子を発現している細胞を死に至らしめる遺伝子を指す。自殺遺伝子は、該遺伝子が発現した細胞に対して剤、例えば薬物に対する感受性を付与し、そして、該細胞が該剤と接触したとき又は該剤に曝露されたときに該細胞を死に至らしめる遺伝子であってよい。自殺遺伝子は、当技術分野において公知であり、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ニトロレダクターゼ、及び誘導性カスパーゼ9遺伝子系を含む。
【0132】
本発明の別の実施形態は、更に、本明細書に記載の組み換え発現ベクターのいずれかを含む宿主細胞を提供する。本明細書で使用するとき、用語「宿主細胞」とは、本発明の組み換え発現ベクターを含有し得る任意の種類の細胞を指す。宿主細胞は、真核細胞、例えば、植物、動物、真菌、又は藻類であってもよく、原核細胞、例えば、細菌又は原生動物であってもよい。宿主細胞は、培養細胞であっても、初代細胞、すなわち、生物、例えばヒト又はマウスから直接単離された細胞であってもよい。宿主細胞は、接着細胞であっても、懸濁細胞、すなわち、懸濁液中で成長する細胞であってもよい。好適な宿主細胞は、当技術分野において公知であり、例えば、DH5α大腸菌細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、サルVERO細胞、COS細胞、HEK293細胞等が挙げられる。組み換え発現ベクターを増幅又は複製する目的の場合、宿主細胞は、好ましくは、原核細胞、例えばDH5α細胞である。組み換え体のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を生成する目的の場合、宿主細胞は、好ましくは、哺乳類細胞である。最も好ましくは、宿主細胞は、ヒト細胞である。宿主細胞は、任意の細胞型であってよく、任意の種類の組織に由来していてよく、任意の発生段階であってよいが、宿主細胞は、好ましくは、末梢血リンパ球(PBL)又は末梢血単核細胞(PBMC)である。より好ましくは、宿主細胞は、T細胞である。本発明の実施形態では、宿主細胞は、ヒトリンパ球である。本発明の別の実施形態では、宿主細胞は、T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞から選択される。本発明の更に別の実施形態は、配列番号30のペプチドに対して抗原特異性を有するTCRを発現する宿主細胞を生成する方法であって、本明細書に記載のベクターのいずれかを細胞に導入することを可能にする条件下で、該細胞を該ベクターと接触させることを含む方法を提供する。
【0133】
本明細書における目的のために、T細胞は、任意のT細胞、例えば、培養T細胞、例えば初代T細胞、又は培養T細胞株由来のT細胞、例えばJurkat、SupT1等、又は哺乳類から得られたT細胞であってよい。哺乳類から得られる場合、T細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、又は他の組織若しくは流体を含むがこれらに限定されない多数の供給源から得ることができる。また、T細胞は、濃縮又は精製されていてもよい。好ましくは、T細胞は、ヒトT細胞である。T細胞は、任意の種類のT細胞であってよく、任意の発生段階であってよく、CD4+/CD8+二重陽性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞、例えば、Th1及びTh2細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、メモリT細胞(例えば、セントラルメモリT細胞及びエフェクタメモリT細胞)、ナイーブT細胞等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
また、本明細書に記載の少なくとも1つの宿主細胞を含む細胞の集団が本発明によって提供される。細胞の集団は、組み換え発現ベクターのいずれも含まない少なくとも1つの他の細胞、例えば宿主細胞(例えば、T細胞)、又はT細胞以外の細胞、例えばB細胞、マクロファージ、好中球、赤血球、肝細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋肉細胞、脳細胞等に加えて、記載される組み換え発現ベクターのいずれかを含む宿主細胞を含む不均質な集団であってよい。あるいは、細胞の集団は、組み換え発現ベクターを含む(例えば、から本質的になる)宿主細胞を主に含む、実質的に均質な集団であってもよい。また、集団は、該集団の全ての細胞が組み換え発現ベクターを含む1つの宿主細胞のクローンであり、その結果、該集団の全ての細胞が組み換え発現ベクターを含む、細胞のクローン集団であってもよい。本発明の一実施形態では、細胞の集団は、本明細書に記載の組み換え発現ベクターを含む宿主細胞を含むクローン集団である。
【0135】
本発明の実施形態では、集団内の細胞数を、急速に拡大させることができる。T細胞数の拡大は、例えば、米国特許第8,034,334号、同第8,383,099号、米国特許出願公開第2012/0244133号、Dudley et al.,J.Immunother.,26:332-42(2003)、及びRiddell et al.,J.Immunol.Methods,128:189-201(1990)に記載されている通り、当技術分野において公知の多数の方法のいずれかによって実現することができる。実施態様では、T細胞数の拡大は、該T細胞をOKT3抗体、IL-2、及びフィーダーPBMC(例えば、放射線照射された同種PBMC)と共に培養することによって実施される。
【0136】
本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、及び宿主細胞(その集団を含む)は、単離及び/又は精製されてもよい。用語「単離された」は、本明細書で使用するとき、その天然環境から取り出されていることを意味する。用語「精製された」は、本明細書で使用するとき、純度が増大したことを意味するが、「純度」は相対的な用語であり、必ずしも絶対純度と解釈される訳ではない。例えば、純度は、少なくとも約50%であってよく、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、約95%超であってもよく、約100%であってもよい。
【0137】
本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、及び宿主細胞(その集団を含む)(以後、これらの全てをまとめて「本発明のTCR材料」と称する)は、医薬組成物等の組成物に製剤化してもよい。これに関して、本発明は、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、発現ベクター、及び宿主細胞(その集団を含む)のいずれかと、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明のTCR材料のいずれかを含有する本発明の医薬組成物は、1つを超える本発明のTCR材料、例えば、ポリペプチド及び核酸、又は2つ以上の異なるTCRを含んでいてもよい。あるいは、医薬組成物は、別の薬学的活性剤(複数可)又は薬物(複数可)、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン等と組み合わせて、本発明のTCR材料を含み得る。
【0138】
好ましくは、担体は、薬学的に許容し得る担体である。医薬組成物に関して、担体は、検討中の具体的な本発明のTCR材料に従来使用されているもののいずれかであってよい。投与可能な組成物を調製する方法は、当業者に公知であるか又は明らかであり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.,Pharmaceutical Press(2012)により詳細に記載されている。薬学的に許容し得る担体は、使用条件下で有害な副作用も毒性も有しないものであることが好ましい。
【0139】
担体の選択は、具体的な本発明のTCR材料によって、並びに本発明のTCR材料を投与するために使用される具体的な方法によって部分的に決定される。従って、本発明の医薬組成物の様々な好適な製剤が存在する。好適な製剤は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、腫瘍内、又は腹腔内に投与するもののいずれかを含み得る。1つを超える経路を使用して本発明のTCR材料を投与してもよく、特定の例では、特定の経路が別の経路よりも即時かつより有効な応答を提供し得る。
【0140】
好ましくは、本発明のTCR材料は、例えば静脈内に注射することによって投与される。本発明のTCR材料が、本発明のTCRを発現している宿主細胞(又はその集団)であるとき、注射用の細胞のための薬学的に許容し得る担体は、任意の等張担体、例えば、通常生理食塩水(水中約0.90%w/v NaCl、水中約300mOsm/L NaCl、又は水1リットルあたり約9.0g NaCl)、NORMOSOL R電解質溶液(Abbott,Chicago,IL)、PLASMA-LYTE A(Baxter,Deerfield,IL)、水中約5%デキストロース、又は乳酸リンゲル液を含み得る。実施形態では、薬学的に許容し得る担体にヒト血清アルブメンを補給する。
【0141】
本発明の目的のために、投与される本発明のTCR材料の量又は用量(例えば、本発明のTCR材料が1つ以上の細胞である場合は細胞数)は、適切な時間枠にわたって被験体又は動物において例えば治療的又は予防的応答をもたらすのに十分でなければならない。例えば、本発明のTCR材料の用量は、投与時点から約2時間以上、例えば、12~24時間又はそれ以上の期間、がん抗原(例えば、変異型RAS)に結合するか又はがんを検出、治療、若しくは予防するのに十分でなければならない。特定の実施形態では、期間は更に長くてもよい。用量は、具体的な本発明のTCR材料の有効性及び動物(例えば、ヒト)の状態、並びに治療される動物(例えば、ヒト)の体重によって決定される。
【0142】
投与される用量を決定するための多くのアッセイが、当技術分野において公知である。本発明の目的のために、例えば、所与の用量の本発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を発現しているT細胞を哺乳類に投与した際にこのようなT細胞によって標的細胞が溶解する又はIFN-γが分泌される程度を、それぞれ異なる用量のT細胞を与えた哺乳類のセットの中で比較することを含むアッセイを使用して、哺乳類に投与する開始用量を決定することができる。特定の用量を投与した際に標的細胞が溶解する又はIFN-γが分泌される程度は、当技術分野において公知の方法によってアッセイすることができる。
【0143】
本発明のTCR材料の用量は、具体的な本発明のTCR材料の投与に付随し得る任意の有害な副作用の存在、性質、及び程度によっても決定される。典型的には、主治医は、様々な要因、例えば、年齢、体重、全体的な健康状態、食生活、性別、投与される本発明のTCR材料、投与経路、及び治療されるがんの重篤度を考慮して、各個々の患者を治療するための本発明のTCR材料の投与量を決定する。本発明のTCR材料が細胞の集団である実施形態では、注入1回あたりに投与される細胞数は、例えば、約1×106~約1×1012細胞又はそれ以上で変動し得る。特定の実施形態では、1×106細胞未満を投与してもよい。
【0144】
当業者は、本発明のTCR材料を任意の数の方法で修飾してよく、その結果、該修飾を通して本発明のTCR材料の治療又は予防の有効性が増大することを容易に理解するであろう。例えば、本発明のTCR材料を、直接又は架橋を介して間接的に化学療法剤にコンジュゲートしてもよい。化合物の化学療法剤へのコンジュゲートの実施は、当技術分野において公知である。当業者は、架橋及び/又は化学療法剤が一旦本発明のTCR材料に結合したら本発明のTCR材料の機能、すなわち、変異型RASに結合するか又はがんを検出、治療、若しくは予防する能力には干渉しない限り、本発明のTCR材料の機能に必須ではない本発明のTCR材料の部位が、架橋及び/又は化学療法剤を結合させるのに好適な部位であることを認識する。
【0145】
本発明の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、及び細胞の集団は、がんを治療又は予防する方法において使用できることが企図される。特定の理論に縛られるものではないが、本発明のTCRは変異型RASに特異的に結合し、その結果、TCR(又は関連する本発明のポリペプチド若しくはタンパク質)は、細胞によって発現されたとき、変異型RASを発現している標的細胞に対する免疫応答を媒介することができると考えられる。これに関して、本発明は、哺乳類におけるがんを治療又は予防する方法であって、本明細書に記載の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれか、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、タンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む任意の核酸若しくは組み換え発現ベクター、又は本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしている組み換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞の集団を、該哺乳類におけるがんを治療又は予防するのに有効な量、該哺乳類に投与することを含む方法を提供する。
【0146】
本発明の実施形態は、哺乳類におけるがんに対する免疫応答を誘導する方法であって、本明細書に記載の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれか、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む任意の核酸若しくは組み換え発現ベクター、又は本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしている組み換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞の集団を、該哺乳類におけるがんに対する免疫応答を誘導するのに有効な量、該哺乳類に投与することを含む方法を提供する。
【0147】
本発明の実施形態は、哺乳類におけるがんの治療又は予防において使用するための、本明細書に記載の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれか、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、タンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む任意の核酸若しくは組み換え発現ベクター、又は本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしている組み換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞の集団のいずれかを提供する。
【0148】
本発明の実施形態は、哺乳類におけるがんに対する免疫応答の誘導において使用するための、本明細書に記載の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれか、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む任意の核酸若しくは組み換え発現ベクター、又は本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしている組み換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞の集団を提供する。
【0149】
用語「治療する」及び「予防する」、並びにそれから派生する語は、本明細書で使用するとき、必ずしも100%、すなわち、完全な治療又は予防を意味するものではない。どちらかといえば、当業者が潜在的な利点又は治療効果を有すると認識する、様々な程度の治療又は予防が存在する。これに関して、本発明の方法は、哺乳類における任意の量の任意のレベルのがんの治療又は予防を提供することができる。更に、本発明の方法によって提供される治療又は予防は、治療又は予防されるがんの1つ以上の病態又は症状の治療又は予防を含み得る。例えば、治療又は予防は、腫瘍の退縮を促進することを含み得る。また、本明細書における目的のために、「予防」は、がん又はその症状若しくは病態の発生を遅らせることを包含し得る。あるいは又は更に、「予防」は、がん又はその症状若しくは病態の再発を防ぐ又は遅らせることを包含し得る。
【0150】
また、哺乳類におけるがんの存在を検出する方法も提供される。方法は、(i)本明細書に記載の本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、又は医薬組成物のいずれかを、哺乳類由来の1つ以上の細胞を含むサンプルと接触させ、それによって、複合体を形成させることと、(ii)該複合体を検出することとを含み、該複合体の検出が、哺乳類におけるがんの存在を示す。
【0151】
哺乳類におけるがんを検出する本発明の方法に関して、細胞のサンプルは、全細胞、その溶解物、又は全細胞溶解物の画分、例えば、核若しくは細胞質の画分、全タンパク質画分、又は核酸画分を含むサンプルであってよい。
【0152】
がんを検出する本発明の方法の目的のために、接触は、哺乳類に対してインビトロ又はインビボで行ってよい。好ましくは、インビトロで接触させる。
【0153】
また、複合体の検出は、当技術分野において公知の任意の数の方法を通して行うことができる。例えば、本明細書に記載の本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、又は細胞の集団を、検出可能な標識、例えば、放射性同位体、フルオロフォア(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE))、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ)、及び元素粒子(例えば、金粒子)等で標識してよい。
【0154】
宿主細胞又は細胞の集団が投与される本発明の方法の目的のために、細胞は、哺乳類に対して同種又は自己である細胞であってよい。好ましくは、細胞は、哺乳類に対して自己である。
【0155】
本発明の方法に関して、がんは、例えば、急性リンパ球性がん、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、骨がん、脳がん、乳がん、肛門、肛門管、又は肛門直腸のがん、眼のがん、肝内胆管のがん、関節のがん、頸部、胆嚢、又は胸膜のがん、鼻、鼻腔、又は中耳のがん、口腔のがん、膣のがん、外陰部のがん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、子宮頸がん、消化管カルチノイド腫瘍、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、上咽頭がん、非ホジキンリンパ腫、中咽頭のがん、卵巣がん、陰茎のがん、膵臓がん、腹膜、網、及び腸間膜のがん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎がん、皮膚がん、小腸がん、軟組織がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮のがん、尿管がん、並びに膀胱がんのいずれかを含む任意のがんであってよい。好ましいがんは、膵臓、結腸直腸、肺、子宮内膜、卵巣、又は前立腺のがんである。好ましくは、肺がんは肺腺がんであり、卵巣がんは上皮性卵巣がんであり、膵臓がんは膵臓腺がんである。本発明の実施形態では、がんは、変異型ヒトRASアミノ酸配列を発現し、該変異型ヒトRASアミノ酸配列は、変異型ヒトKRAS、変異型ヒトHRAS、又は変異型ヒトNRASのアミノ酸配列である。がんが発現する変異型ヒトKRAS、変異型ヒトHRAS、及び変異型ヒトNRASは、本発明の他の態様に関して本明細書に記載する通りであってよい。
【0156】
本発明の方法において言及される哺乳類は、任意の哺乳類であってよい。本明細書で使用するとき、用語「哺乳類」とは、げっ歯目の哺乳類、例えばマウス及びハムスター、並びにウサギ目の哺乳類、例えばウサギを含むがこれらに限定されない任意の哺乳類を指す。哺乳類は、ネコ及びイヌを含む食肉目の哺乳類であることが好ましい。哺乳類は、ウシ及びブタを含む偶蹄目、又はウマを含む奇蹄目の哺乳類であることがより好ましい。哺乳類は、霊長目、サル目(Ceboids又はSimoids)(サル)、又は真猿亜目(ヒト及び類人猿)の哺乳類であることが最も好ましい。特に好ましい哺乳類は、ヒトである。
【0157】
なお、上記は実施形態の単なる例であるものとする。他の例示的な実施形態は、本明細書における記載の全体から明らかになる。また、これらの実施形態の各々を本明細書で提供される他の実施形態と様々に組み合わせて用いてよいことも、当業者であれば理解するであろう。
【0158】
以下の実施例は、本発明を更に説明するが、無論、いかなる方法でもその範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0159】
実施例1
この実施例は、RASG12Vに対して反応性である末梢血リンパ球(PBL)の同定を示す。
【0160】
PBLを、CD4又はCD8メモリ及びエフェクターT細胞に選別した。
【0161】
CD4又はCD8の細胞が濃縮された患者4360のPBLに対して、インビトロ刺激(IVS)を別々に実施した。10μg/mL RAS
G12Vロングペプチド(LP)(MTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLI、配列番号30)を負荷したDCでPBLを刺激した。2週間の刺激後、T細胞を再刺激し、FACS選別した。
図1Aは、CD4リンパ球T細胞を、RAS
G12VLP IVS後にOX40及び41BB表面マーカーの高発現について選別した(DMSOで処理したDCをネガティブコントロールとして使用)ゲーティングストラテジを示すフローサイトメトリーアッセイのドットプロットを示す。次いで、
図1Aに示す通り、選別された細胞を選別し、14日間急速拡大(REP)を用いて拡大した。
【0162】
次いで、拡大された細胞を、10μg/mL RAS
G12VLPを負荷したDC又はDMSOで処理したDCで刺激した。次いで、
図1Bに示す通り、OX40及び41BB表面マーカーを高発現しているCD4リンパ球T細胞を、単一細胞シーケンシングのために96ウェルプレートに選別した。
【0163】
上記IVS後の細胞を、WT/変異体タンデムミニ遺伝子(TMG)でトランスフェクトしたか、又は1μg/mLのRAS
G12VLP(配列番号30)若しくはRAS
WTLP(MTEYKLVVVGAGGVGKSALTIQLI、配列番号27)を負荷したか、又は等量のDMSOで処理したDCと共に共培養することによって、RASに対する反応性について試験した。刺激し、次いで、REPを用いて拡大したが、上記の通り、そして、
図1Aと同様には選別しなかった細胞(「選別なし」細胞)又はIL2のみで成長させ、、RAS抗原を保有するDCでは刺激しなかった細胞(「IVSなし」細胞)をコントロールとして用いた。また、抗CD28/CD3ビーズを使用した及び使用しなかったT細胞を、それぞれ、ネガティブコントロール及びポジティブコントロールとして使用した。一晩共培養した後、細胞をIFN-γELISpotによって分析し(
図1C)、生/CD3
+/CD4
+をゲートした集団における41BB/OX40表面マーカーのアップレギュレーションについてフローサイトメトリーによって分析した(
図1D)。
【0164】
実施例2
この実施例は、実施例1のPBLの特性評価を示す。
【0165】
図1Bにおける細胞の84.2%に示される通り、RAS
G12VLP IVS後(選別後に1回のREPを含む)、実施例1のCD4 PBL細胞に対して試験を実施した。細胞を、様々な濃度のRAS
G12VLP又はRAS
WTLPを負荷したDCと共培養した。一晩共培養した後、細胞をIFN-γELISpot(
図2A)およびフローサイトメトリー(
図2B、生/CD3
+/CD4
+をゲートした集団における41BB/OX40表面マーカーのアップレギュレーション)を用いて分析した。RAS
G12Vに対する強いアビディティが観察された(約10pg/mL LPまで低下)。
【0166】
IFN-γELISpot(
図3、左軸及び棒)及び41BB/OX40フローサイトメトリーアッセイ(
図3、右軸及び丸)を用いて、RAS
G12VLP IVSを受けたCD4 PBLによって認識されるMHC-II拘束エレメントを同定した。患者のMHC-IIα鎖とβ鎖との様々な組み合わせを含有するDNAプラスミドでトランスフェクトし、RAS
G12VLPを負荷したCOS7と細胞を共培養した。DPB1*03:01によって拘束されたRAS
G12Vに対して細胞反応性がみられた。
【0167】
実施例3
この実施例は、本発明の実施形態に係る、実施例2のPBLのTCRの同定を示す。
【0168】
LP IVS後の患者4360のCD4 PBL(
図1Bに示す通り、そして、実施例1で説明した通り、細胞の84.2%内)から単一細胞シーケンシングにより同定された2つのTCR(TCR1、TCR2)をシーケンシングした。
【0169】
表6は、4360TCR1の配列を示し、CDR配列に下線を引く。
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
TCR2は、ASSSGTGVAEAF(配列番号26)のCDR3β配列を有することが判明した。また、この配列は、最初のアミノ酸(アラニン)のN末端側にシステインを有し、最後のアミノ酸(フェニルアラニン)のC末端側にフェニルアラニンを有することも判明した。
【0174】
4つの腫瘍断片からのDNA抽出物のディープシーケンシング(Adaptive Biotechnologies、Seattle、WA、USA)により、TCR1はこれらの断片のうちの1つに存在するが(100,000細胞中5.7リピート)、TCR2はどの断片にも存在しないことが明らかになった。
【0175】
実施例4
この実施例は、本発明の実施形態に係る、TCR1及びTCR2をコードしているレトロウイルスベクターの構築を示す。
【0176】
ベクターへのクローニングを容易にするために、ベータ鎖のN末端シグナルペプチドの2位におけるアミノ酸残基をアラニンに変更したことを除いて、TCR1のTCRアルファ鎖及びベータ鎖の可変領域をコードしているMSGV1ベースのレトロウイルスベクターを構築した。以下により詳細に記載する通り、野生型TCRに追加の改変を施した。
【0177】
既に記載されている通り、CD22特異的TCRを構築した(Jin et al.,JCI Insight、3(8):e99488(2018)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。簡単に述べると、TCRβ VDJ領域をマウスTCRβ定常鎖に融合させ、TCRα VJ領域をマウスTCRα定常鎖に融合させた。特定の理論や機序に縛られるものではないが、マウス定常領域を用いることでTCRの発現及び機能性が向上すると考えられている(Cohen et al.,Cancer Res.,66(17):8878-8886(2006))。
【0178】
更に、マウスのTCRα及びTCRβの定常鎖をシステイン修飾し、マウスTCRα定常鎖に膜貫通型疎水性変異を導入した。特定の理論や機序に縛られるものではないが、これら修飾は、導入されたTCR鎖を優先的に対合させ、TCRの表面発現及び機能性を高めると考えられる(Cohen et al.,Cancer Res.,67(8):3898-903(2007);Haga-Friedman et al.,J.Immu.,188:5538-5546(2012))。
【0179】
2本の鎖の同等の発現効率を確保するために、TCRβ鎖及びTCRα鎖をフリンSGSG P2Aリンカー(RAKRSGSGATNFSLKQAGDVEENPGP)(配列番号25)によって隔てた(Szymczak et al.,Nat.Biotechnol.,22(5):589-94(2004))。
【0180】
TCR発現カセットをMSGV1ベクターの5’NcoIサイトにクローニングできるように、TCRVβ鎖の2番目のアミノ酸(N末端シグナルペプチド内の2番目のアミノ酸)をアラニン(A)に変更した。発現カセットは、以下の構成を有していた:5’NcoI-VDJβ-mCβ-フリン/SGSG/P2A-VJα-mCα-SalI3’。TCRのヌクレオチド配列を、Genscriptコドン最適化ツールにより、ヒトT細胞での発現についてコドン最適化した。この実施例では、5’TCRβ→TCRα3’配向のバイシストロンベクターの合成について説明するが、TCRβ→TCRαの順序を逆にしてもよい。ベクターの挿入配列を、ヒト組織における発現についてコドン最適化した。
【0181】
実施例5
この実施例は、本発明の実施形態に係る、実施例4のレトロウイルスベクターを使用した、実施例3で同定した実施例2のPBLのTCRの特性評価を示す。
【0182】
TCR1及びTCR2の各々を、Jurkat-CD4-NFAT-ルシフェラーゼ細胞株にウイルス的に形質導入し、次いで、1μg/mLのRAS
G12VLP、RAS
WTLPを負荷したDC、又は等量のDMSOで処理したDCと共培養した。ルシフェラーゼ活性を測定した(
図4A)。
【0183】
患者4360のPBLにTCR1若しくはTCR2を形質導入した、又はネガティブコントロールとして、WT GFP、空プラスミド(モック)を形質導入した若しくは未導入のままとした。ポジティブコントロールには、LP IVS後のPBL(実施例1、
図1及び
図2)を使用した。次いで、細胞を、RAS
G12VLP若しくはRAS
WTLPを負荷した自己DCと共培養した、又はRAS
G12V完全長(FL)(配列番号14)若しくはRAS
WTFL(配列番号10)をトランスフェクトした自己DC mRNAと共培養した。単独で培養したT細胞及びDMSOと共に培養したPBLをネガティブコントロールとして使用した。ポジティブコントロールとして、抗CD3/抗CD28抗体にコンジュゲートしたダイナビーズで活性化したPBLを用いた。また、ポジティブコントロールとして、LP IVS後のPBLを用いた。CD3
+/CD8
+をゲートした細胞(
図4B)又はCD3
+/CD4
+をゲートした細胞(
図4C)の4-1BB及びOX40(%4-1BB+/OX40+)発現について、フローサイトメトリーアッセイによってTCR反応性を評価した。
【0184】
実施例6
この実施例では、IVS後のTILがRASG12Vに対して反応性であり、TCR1と同じMHC-II拘束を認識することが判明したことを示す。
【0185】
TIL断片を細胞源として使用し、IVSで刺激した。TILを、RAS
G12VLPペプチドでパルスした自己DCと共培養した、又はRAS
G12V FLでRNAトランスフェクトした自己DCと共培養した。IVSのどの段階においても、十分な細胞が存在していなかった場合、一部の断片を他の断片と一緒にプールした。単独で共培養したT細胞(TIL)及びDMSOを負荷したDCと共培養したTILをネガティブコントロールとして使用した。ポジティブコントロールとして、抗CD3/抗CD28抗体にコンジュゲートしたダイナビーズと共に培養したTILを用いた。フローサイトメトリーによって41BB及びOX40の発現を測定することにより(
図5A)、そして、IFN-γ分泌のIFN-γ ELISPOT測定(表7)により、IVS後のTILを反応性について試験した。
【0186】
【0187】
IVS後の4360 CD4 TILによって認識されるMHC-II拘束エレメントを、IFN-γELISpotを用いて決定した。患者のMHC-IIα鎖とβ鎖との様々な組み合わせを含有するDNAプラスミドでトランスフェクトし、RAS
G12VLPを負荷したCOS7と細胞を共培養した。ポジティブコントロールとして、TCR1をウイルス的に形質導入したPBLを用いた。結果を
図5Bに示す。IVS後のTILは、TCR1と同じMHC-II拘束を認識することが判明した。
【0188】
実施例7
この実施例は、TILでみられるTCRが腫瘍断片に残存していることを示す。
【0189】
単一細胞シーケンシングを用いて、実施例6に記載の通りIVS後のTILから更に6つのTCR配列が見出された(TCR5~10)。
【0190】
表8は、4360TCR5の配列を示し、CDR配列に下線を引く。
【0191】
【0192】
【0193】
TCR6~10は、以下のCDR3β配列を有することが判明した。TCR6:ASTLQGRAGANVLT(配列番号29);TCR7:ASSQPGLAGGGDTQY(配列番号59);TCR8:ASSQSTSGSGSSIQY(配列番号60);TCR9:ATSRDVGSVEQY(配列番号61);TCR10:ASSPNAGNTEAF(配列番号62)。また、TCR5~10は、最初のアミノ酸(セリン/アラニン)のN末端側にシステインを有することが判明し、そして、TCR5~9は、最後のアミノ酸(チロシン/フェニルアラニン)のC末端側にフェニルアラニンを有することが判明した。
【0194】
患者4360由来の4つの異なる腫瘍断片(FrTu)のディープシーケンシングの結果は、TCR5が試験した断片の全てに存在し、TCR6、8、及び9は、1つの断片に存在し、TCR7は、2つの断片に存在し、TCR10は、いずれにも存在しないことを示す。
【0195】
TCRをウイルス的に形質導入したPBLを、RAS
G12V又はRAS
WTLPを負荷した自己DCと共培養することによって、反応性について試験した。DMSOを負荷したDCをネガティブコントロールとして用いた。ポジティブコントロールとして、抗CD3/抗CD28抗体にコンジュゲートしたダイナビーズと共に培養したPBLを用いた。IFN-γELISPOT測定を行った(
図6)。TCR6、7、9、又は10では反応性が検出されなかった。TCR8は、全ての実験で反応性を示したので、それ以上追跡しなかった。
【0196】
実施例8
この実施例は、本発明の実施形態に係る、TCR5をコードしているレトロウイルスベクターの構築を示す。
【0197】
ベクターへのクローニングを容易にするために、ベータ鎖のN末端シグナルペプチドの2位におけるアミノ酸残基をアラニンに変更したことを除いて、TCR1のTCRアルファ鎖及びベータ鎖の可変領域をコードしているMSGV1ベースのレトロウイルスベクターを構築した。以下により詳細に記載する通り、野生型TCRに追加の改変を施した。
【0198】
既に記載されている通り、CD22特異的TCRを構築した(Jin et al.,JCI Insight,3(8):e99488(2018)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。簡単に述べると、TCRβ VDJ領域をマウスTCRβ定常鎖に融合させ、TCRα VJ領域をマウスTCRα定常鎖に融合させた。特定の理論や機序に縛られるものではないが、マウス定常領域を用いることでTCRの発現及び機能性が向上すると考えられている(Cohen et al.,Cancer Res.,66(17):8878-8886(2006))。
【0199】
更に、マウスのTCRα及びTCRβの定常鎖をシステイン修飾し、マウスTCRα定常鎖に膜貫通型疎水性変異を導入した。特定の理論や機序に縛られるものではないが、これら修飾は、導入されたTCR鎖を優先的に対合させ、TCRの表面発現及び機能性を高めると考えられる(Cohen et al.,Cancer Res.,67(8):3898-903(2007);Haga-Friedman et al.,J. Immu.,188:5538-5546(2012))。
【0200】
2本の鎖の同等の発現効率を確保するために、TCRβ鎖及びTCRα鎖をフリンSGSG P2Aリンカー(RAKRSGSGATNFSLKQAGDVEENPGP)(配列番号25)によって隔てた(Szymczak et al.,Nat.Biotechnol.,22(5):589-94(2004))。
【0201】
TCR発現カセットをMSGV1ベクターの5’NcoIサイトにクローニングできるように、TCRVβ鎖の2番目のアミノ酸(N末端シグナルペプチド内の2番目のアミノ酸)をアラニン(A)に変更した。発現カセットは、以下の構成を有していた:5’NcoI-VDJβ-mCβ-フリン/SGSG/P2A-VJα-mCα-SalI3’。TCRのヌクレオチド配列を、Genscriptコドン最適化ツールにより、ヒトT細胞での発現についてコドン最適化した。この実施例では、5’TCRβ→TCRα3’ 配向のバイシストロンベクターの合成について説明するが、TCRβ→TCRαの順序を逆にしてもよい。ベクターの挿入配列を、ヒト組織における発現についてコドン最適化した。
【0202】
実施例9
この実施例は、本発明の実施形態に係る、TCR1及びTCR5のアビディティを示す。
【0203】
TCR1及びTCR5を、実施例4及び8に記載のレトロウイルスベクターを用いて、PBLにウイルス的に形質導入し、次いで、これを様々な濃度のRAS
G12VLP又はRAS
WTLPを負荷した自己DCと共培養した。4-1BB及びOX40(%4-1BB+/OX40+)の発現のフローサイトメトリーアッセイ並びにIFN-γ分泌のELISPOT測定(3e4細胞あたりのスポット数)の結果を、
図7A~7Gに示す。
【0204】
本明細書に引用した刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参照文献は、各参照文献が個々にかつ具体的に参照によって組み入れられると示されており、その全体が本明細書に記載されているかのように、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0205】
本発明の説明に関連して(特に以下の特許請求の範囲に関連して)用語「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ」、並びに類似の参照対象の使用は、本明細書において他の指定がない限り又は文脈から明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。1つ以上の項目のリストの後の用語「少なくとも1つ」の使用(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」)は、本明細書において他の指定がない限り又は文脈から明らかに矛盾していない限り、列挙される項目から選択される1つの項目(A又はB)又は列挙される項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」は、特に断らない限り、オープンエンドな用語である(すなわち、「含むがこれらに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において他の指定がない限り、単に、範囲内の各別個の値を個々に参照する省略法として機能することを意図し、各別個の値が、本明細書に個々に列挙されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において他の指定がない限り又は文脈から明らかに矛盾していない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供される任意の及び全ての例又は例示的な表現(例えば、「など」)の使用は、特に主張しない限り、単に本発明をより深く解明することを意図し、本発明の範囲の限定を提起するものではない。明細書中の表現はいずれも、任意の請求されていない要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈されるべきではない。
【0206】
本発明を実施するための本発明者らに公知の最良の形態を含む本発明の好ましい実施形態が、本明細書に記載される。好ましい実施形態の変形は、前述の記載を読んだときに当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適宜使用すると予想し、そして、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されているのとは別の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって認められている通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される発明主題の全ての変形及び等価物を含む。更に、その全ての可能な変形における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書において他の指定がない限り又は文脈から明らかに矛盾していない限り、本発明によって包含される。
【配列表】
【国際調査報告】