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特表2023-527616ニアアイディスプレイのための仮想画像送達システム
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  • 特表-ニアアイディスプレイのための仮想画像送達システム 図1
  • 特表-ニアアイディスプレイのための仮想画像送達システム 図2
  • 特表-ニアアイディスプレイのための仮想画像送達システム 図3A
  • 特表-ニアアイディスプレイのための仮想画像送達システム 図3B
  • 特表-ニアアイディスプレイのための仮想画像送達システム 図3C
  • 特表-ニアアイディスプレイのための仮想画像送達システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ニアアイディスプレイのための仮想画像送達システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230623BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552395
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 IL2021050651
(87)【国際公開番号】W WO2021245664
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/032,767
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツィオン・アイゼンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】シモン・グレイバーニク
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AB23
2H149BA27
2H149FD10
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA47
2H199CA48
2H199CA53
2H199CA54
2H199CA62
2H199CA64
(57)【要約】
第1の導波路であって、ディスプレイエンジンによって提供される入力仮想画像を受信するための入力開口と、受信された入力仮想画像からの光を第1の導波路から反射するように位置決めされた第1の複数の第1のファセットと、を含む、第1の導波路と、第1の導波路から反射された光を受け取るように構成された第2の導波路であって、受け取った光を第2の導波路から反射させて、入力に応答する出力仮想画像をアイモーションボックス(EMB)に投影するように位置決めされた第2の複数の第2のファセットを含む、第2の導波路と、第1および第2の複数のファセットの数の合計に等しいファセットの総数より少ない数の異なる部分反射コーティングから選択された各ファセット上に形成された部分反射コーティングと、を備え、出力仮想画像は、80%以上の忠実度を示す、画像送達システム(IDS)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニアアイディスプレイ(NED)のための画像送達システム(IDS)であって、前記IDSは、
第1の導波路であって、ディスプレイエンジンによって提供される入力仮想画像を受信するための入力開口と、前記受信された入力仮想画像からの光を前記第1の導波路から反射するように位置決めされた第1の複数の第1のファセットと、を含む、第1の導波路と、
前記第1の導波路から反射された前記光を受け取るように構成された第2の導波路であって、前記受け取った光を前記第2の導波路から反射させて、前記入力に応答する出力仮想画像をアイモーションボックス(EMB)に投影するように位置決めされた第2の複数の第2のファセットを含む、第2の導波路と、
前記第1および第2の複数のファセットの数の合計に等しいファセットの総数より少ない数の異なる部分反射コーティングから選択された各ファセット上に形成された部分反射コーティングと、を備え、
前記出力仮想画像は、前記入力仮想画像を再現する際に80%以上の忠実度を示す、IDS。
【請求項2】
前記異なる部分反射コーティングの前記数は、約20以下である、請求項1に記載のIDS。
【請求項3】
前記異なる部分反射コーティングの前記数は、前記第1の導波路については約15以下であり、前記第2の導波路については約5以下である、請求項2に記載のIDS。
【請求項4】
前記異なる部分反射コーティングの前記数は、2に等しく、第1および第2の異なる反射コーティングを含む、請求項3に記載のIDS。
【請求項5】
すべての前記第1のファセットは、前記第1のコーティングでコーティングされている、請求項4に記載のIDS。
【請求項6】
すべての前記第2のファセットは、前記第2のコーティングでコーティングされている、請求項5に記載のIDS。
【請求項7】
s偏光に対する前記第1のコーティングの反射率は、約40°から約76°への前記第1のファセット上の入射角の増加とともに実質的に単調に減少する、請求項5または6に記載のIDS。
【請求項8】
p偏光に対する前記第1のコーティングの反射率は、約40°から約76°への前記第1のファセット上の入射角の増加とともに実質的に単調に増加する、請求項7に記載のIDS。
【請求項9】
約40°~約76°の前記第1のファセット上の入射角に対して、s反射率は、p反射率よりも大きい、請求項8に記載のIDS。
【請求項10】
s偏光に対する前記第2のコーティングの反射率は、約40°未満の前記第2のファセットへの入射角の減少とともに実質的に単調に減少する、請求項5~9のいずれか一項に記載のIDS。
【請求項11】
p偏光に対する前記第2のコーティングの反射率は、約50°未満の前記第2のファセットへの入射角の減少とともに実質的に単調に増加する、請求項10に記載のIDS。
【請求項12】
約50°未満の前記第2のファセット上の入射角に対して、s反射率は、p反射率よりも大きい、請求項11に記載のIDS。
【請求項13】
仮想画像をEMBに提供するためのシステムであって、前記システムは、
先行請求項のいずれか一項に記載のIDSと、
前記IDSに入力仮想画像を提供する装置と、を備える、システム。
【請求項14】
前記入力仮想画像を提供する前記装置は、前記IDSの第2のファセットに入射する前記入力仮想画像からの光がs偏光の成分よりも大きいp偏光の成分を有するように、前記入力仮想画像内の光の偏光を構成する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記p偏光の強度は、前記s偏光の強度の3倍よりも大きい、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
ニアアイディスプレイ(NED)のアイモーションボックス(EMB)に投影される、ディスプレイエンジンによって生成された仮想画像のコピーの忠実度を制御する方法であって、前記方法は、
前記ディスプレイエンジンによって提供されるs偏光とp偏光との間の比を、前記画像のFOVにおける前記光の伝搬の角度方向の関数として制御することと、
前記sと偏光との間の前記比に応じた反射率を有する複数のファセットから前記光を前記EMBに反射することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記比を制御することは、s偏光の強度よりも実質的に大きいp偏光の強度を提供することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
s偏光に対する前記ファセットの反射率は、約40°未満の前記ファセットへの入射角の減少とともに実質的に単調に減少する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
p偏光に対する前記ファセットの反射率は、約50°未満の前記ファセットへの入射角の減少とともに実質的に単調に増加する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
約50°未満の前記ファセット上の入射角に対して、s反射率は、p反射率よりも大きい、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2020年6月01日に出願された米国仮特許出願第63/032,767号の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、ニアアイディスプレイ(NED)画像を提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
普及中のヘッドセット、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、およびスマートアイウェアを使用して、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)など、任意の種々の新しい特質の現実がユーザに提供されており、コンピュータ生成された「仮想画像」がユーザの眼に提供されている。VRの場合、画像は没入型であり、ユーザの実環境の画像は遮断される。ARおよびMRの場合、画像は、ユーザが自分の視野(FOV)内で見るユーザの実環境内のシーンの「実画像」上に重ね合わされる。仮想画像は、例として、実画像、ユーザによって実行されるタスク、および/または明示的もしくは暗黙的なユーザ要求に関連する娯楽および/または情報資料をユーザに提供することができる。
【0004】
従来、ニアアイディスプレイ(NED)と称されるディスプレイシステムは、ユーザに仮想画像を提供している。NEDは、仮想画像を生成する、シリコン上液晶(LCOS)、有機発光ダイオード(OLED)、またはレーザビーム走査(LBS)マイクロディスプレイなどのコンピュータ制御ディスプレイエンジンと、生成された仮想画像を見るためにユーザの眼に送達する画像送達システムとを備える。画像送達システムは、少なくとも1つの導光光学要素(LOE)を備え、導光光学要素は、約5mm以下の特性寸法を有する比較的小さい入力開口において仮想画像を受信し、画像を眼の近くの出力開口に伝搬し、この出力開口を通して、仮想画像は、ユーザによる視認のためにアイモーションボックス(EMB)の中に導かれる。ユーザの眼がEMB内に位置決めされると、仮想画像は、ユーザの瞳孔を通過して、ユーザの網膜上に到達する。ユーザがNEDと眼との位置を合わせることなく快適に仮想画像を見ることができるようにEMBを満たすために、NEDの少なくとも1つのLOEは、一般に、NEDが仮想画像をEMBに透過させる比較的大きい拡大された出力開口を有するように構成される。
【0005】
実用的なNEDは、概して、人間工学的制約、技術的制約、および経済的制約を複合的に満たすことが必要とされており、快適に使用できる大きいEMBを有し、小型軽量でエネルギー効率がよく、過度に邪魔な光学アーチファクトがなく、クリアで比較的高忠実度の仮想画像を提供するように構成することが有利であるとされる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一実施形態の一態様は、EMBに仮想画像のFOVを投影するNEDで使用するための、良好な画像送達システム(GOODIS)とも称される画像デリバリシステムを提供することに関する。EMBは、ディスプレイエンジンがGOODISに提供する仮想画像のFOVの有利な高忠実度コピーである。GOODISは、入力開口においてディスプレイエンジンから仮想画像を受信し、受信した仮想画像からの光を、ファセットとも称される複数の部分反射性の、任意選択的に誘電性のミラーから反射して、仮想画像を拡大された出力開口に送達し、そこから仮想画像が、ユーザが見るためにEMBに投影される。ディスプレイエンジンから受け取られる光の偏光、および/または入射角の関数としての少なくとも1つのファセットに対するs偏光および/またはp偏光に対する誘電体コーティングの反射率は、有利な忠実度を提供するように構成される。一実施形態において、有利な忠実度を提供するGOODIS内の各ファセットは、同じ2つの異なる部分反射性の、任意選択的に誘電体コーティングのうちの1つでコーティングされる。
【0007】
EMBに投影されたFOVの忠実度とは、投影されたFOV内の角度方向に沿って伝搬する光の強度が、ディスプレイエンジンがGOODISに提供する仮想画像のFOV内の同じまたはパリティ反転されたそれぞれの角度方向に沿って伝搬する光の強度に均一に比例する程度を指す。EMBに投影されるFOVは、1)投影されたFOV内の異なる角度方向に沿って投影された光の強度が、実質的に同じ比例定数によって、入力FOV内の同じ、またはパリティ反転されたそれぞれの角度方向に沿って投影された光の強度に比例し、2)比例定数が、EMB内の投影されたFOVの位置に比較的依存しない場合に、ディスプレイエンジンによって提供されるFOV(入力FOVとも称される)に比較的均一に比例する。
【0008】
本開示の一実施形態によると、GOODISは、第1および第2のLOEと、ディスプレイエンジンによって生成された仮想画像からの光がそれを通して受信される、第1のLOE上に位置する入力開口と、仮想画像からの光がそれを通してEMBに投影される、第2のLOE上に位置する出力開口とを備える。各LOEは、2つの平行な全内部反射(TIR)面と、互いに平行な埋め込みファセットのアレイとを有する導波路を備える。各導波路内のファセットは、導波路に入射する光が導波路内を伝搬する導波路の伝搬方向に対して傾斜している。第1の導波路上に位置する入力開口に入る光は、第1の導波路の伝搬方向に沿って伝搬し、導波路内のファセットによって導波路から反射されて、第2の導波路に入る。第1の導波路から第2の導波路に入る光は、第2の導波路の伝搬方向に沿って伝搬し、導波路から反射され、第2の導波路内のファセットによって出力開口を介してEMBに投影される。第1および第2の導波路の伝搬方向は、任意選択的に直交し、第1および第2の導波路は、直交する伝搬方向の各々に沿って入力開口を拡張するように協働する。
【0009】
提示の便宜上、第1の導波路に沿った光の伝搬は、デカルト座標系のx軸に沿っていると仮定し、第2の導波路に沿って伝搬する光は、y軸に沿って伝搬すると仮定し、アイボックスは、第2の導波路の出力開口に面してz軸に沿って位置すると仮定する。第1の導波路および第2の導波路は、それぞれ、x導波路およびy導波路と称され得、それらのそれぞれの埋め込まれたファセットは、xファセットおよびyファセットと称され得、第1のLOEおよび第2のLOEは、それぞれ、xLOEおよびyLOEと称され得る。入力開口においてディスプレイエンジンから受信される仮想画像は、入力仮想画像と称されてもよく、GOODISによってEMBに投影される画像は、出力仮想画像と称されてもよい。
【0010】
GOODIS内の導波路のファセット上に入射するGOODISの導波路を伝搬する光は、概して、s偏光成分およびp偏光成分の両方を含む。s偏光は、光の入射面に垂直な偏光を指し、p偏光は、入射面に平行な偏光を指す。各ファセットは、入射光からの光を、それぞれxファセットおよびyファセットの場合には直接的または間接的に、GOODISによってEMBに投影される出力FOV内の角度方向の一部に沿ってEMBに向かって反射する。I(αm)が、ディスプレイエンジンによって生成される所与の仮想入力画像の入力FOV内のm番目の角度方向αmに沿って伝搬する光の強度を表すものとする。Po k(p,αm)およびPo k(s,αm)は、それぞれ、ファセットに入射する所与の入力仮想画像内の光からFOVの角度方向αmにあるk番目のファセットによって反射されるp光およびs光の強度を表すとし、以下の式に従う。
TPo k,m≡[Po k(p,αm)+Po k(s,αm)] (1)
【0011】
所与の仮想入力画像に応答してGOODISによってEMBに投影される出力仮想画像のFOVは、GOODISが以下の制約条件を満たす場合、(1-δ)%の忠実度までの入力仮想画像のFOVの比較的高い忠実度のコピーであるとみなすことができる。
[(|TPo k,m-TPo j,n|/AVG(TPo k,m,TPo j,n))<δ%|I(αm)=I(αn),∀(j,k),∀(m,n)] (2)
【0012】
式(2)によって与えられる制約条件は、任意の2つの異なる角度方向または同じ角度方向に沿って所与の入力仮想画像の入力FOV内で伝搬される同じ強度の光に対して、ファセットが、出力仮想画像の出力FOV内の同じそれぞれの角度方向に沿ってEMBに向かって実質的に同じ強度の光を反射することを必要とする。この制約条件は、入力仮想画像内の特徴の相対輝度を、GOODISによってEMBに投影される投影出力仮想画像内のδ%よりも良好に保つように機能する。この制約条件はまた、EMBにおける出力FOVの位置とは無関係に、投影された出力仮想画像の出力FOVにおける光の強度のδ%よりも良好な均一性を提供する。本開示の一実施形態によれば、x導波路およびy導波路のうちの少なくとも1つにおけるファセット上のコーティングは、制約条件を有利に満たすように構成される。
【0013】
一実施形態において、コーティングは、コーティングの異なる構成についての反復モンテカルロ光線追跡と、コーティングの所与の構成が所望の忠実度を有するGOODISを提供する構成に収束したときを示すコスト関数とに応答して決定することができる。本開示の一実施形態によるファセットのコーティングをモデル化し決定するために利用可能な複数の自由度のうち、s偏光および/もしくはp偏光の入射角、ファセットの数、ファセット間の間隔、ならびに/またはそれらのそれぞれの傾斜角の関数としての任意選択の誘電体コーティングの反射率のうちの少なくとも1つまたは2つ以上の任意の組み合わせが挙げられる。コーティングの構成は、所望の忠実度を提供し、有利には、構成がコスト関数の値に応じた基準を満たしたときに制約条件を満たすとみなすことができる。
【0014】
この概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の実施形態の非限定的な例は、この段落の後に列挙される添付の図面を参照して以下に説明される。2つ以上の図に現れる同一の特徴は、それらが現れる複数の図において同じラベルでラベル付けされ得る。図中の本開示の一実施形態の所与の特徴を表すアイコンにラベル付けするラベルは、所与の特徴を参照するために使用され得る。図に示される特徴の寸法は、提示の便宜および明確さのために選択されており、必ずしも縮尺どおりに示されていない。
【0016】
図1】本開示の一実施形態による、第1および第2のLOEを備える良好な画像送達システム(GOODIS)の幾何学形状を概略的に示しており、第1および第2のLOEは、第1のLOE内に位置する入力開口を第2のLOE内に位置する出力開口に二次元で拡張するように協働する。
図2】本開示の一実施形態による、図1に示されるGOODISの幾何学的形状の関数としての光伝搬を概略的に示す。
図3A】本開示の一実施形態による、GOODISを特徴付ける有利な忠実度を提供することに寄与する、第1のLOE内のGOODISのファセット上に入射するp光およびs光に対する入射角の関数としての誘電体コーティングの反射率の概略グラフを示す。
図3B】本開示の一実施形態による、GOODISを特徴付ける有利な忠実度を提供することに寄与する、第2のLOE内のGOODISのファセット上に入射するp光およびs光に対する入射角の関数としての誘電体コーティングの反射率の概略グラフを示す。
図3C】本開示の一実施形態による、第1のLOEの中への仮想画像入力からの光が第1のLOEのTIR面に対して実質的にp偏光されると仮定した場合の、第1のLOEから第2のLOEの中へ反射されるs偏光およびp偏光の依存性の概略グラフを示す。
図4】本開示の一実施形態による、図3Aおよび図3Bに示す誘電体コーティングでコーティングされたファセットを有するGOODISの動作を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本考察において、特に明記しない限り、本開示の一実施形態の1つ以上の特徴の条件または関係特性を修飾する「実質的に」および「約」などの形容詞は、条件または特性が、それが意図される用途のための実施形態の動作のために許容可能な公差内で定義されることを意味すると理解される。本開示における一般的な用語が、例示的なインスタンスまたは例示的なインスタンスのリストを参照することによって示される場合はいつでも、参照される1つ以上のインスタンスは、一般的な用語の非限定的な例示的なインスタンスとしてのものであり、一般的な用語は、参照される特定の例示的なインスタンスまたは複数のインスタンスに限定されることを意図しない。別段の指示がない限り、説明および特許請求の範囲における「または」という語は、排他的な「または」ではなく包含的な「または」であると考えられ、それが結合する項目のうちの少なくとも1つ、または2つ以上の項目の任意の組み合わせを示す。
【0018】
図1は、本開示の一実施形態によるGOODIS20を概略的に示しており、GOODIS20は、導波路31および導波路に埋め込まれたファセット40を有するx-LOE30と、導波路51および導波路に埋め込まれたファセット60を有するy-LOE50とを備える。表示の便宜上、GOODIS20の特徴および形状は、座標系21に対して空間的に参照される。
【0019】
x導波路31とも称される導波路31は、任意選択的に、座標系21のxy平面に平行な比較的大きい平行フェース面32および33と、xz平面に平行な比較的狭い上端面34および下端面35とを有する直角プリズムである。図1に示すディスプレイエンジン70などのディスプレイエンジンによって生成された画像からの光は、任意選択的にプリズム入力カプラ71によって、x導波路の端面37上に位置する入力開口36を通して導波路31に結合される。入力開口36を通ってx導波路31に入る光は、TIR面32および33とも称されるフェース面32および33から繰り返し全内部反射(TIR)されて、TIR面間で前後に跳ね返り、x導波路内を正のx方向に沿って伝搬して、ファセット40に到達し入射する。
【0020】
例として、x導波路31に入力され、xz平面に平行なx導波路の中央平面38内を伝搬し、TIR面32および33から全反射されてTIR面間で前後に跳ね返る光線が、矢印23によって概略的に表されている。任意選択的に、x導波路31に入射すると、ブロック矢印25によって概略的に示される光線23の光の偏光は中央平面38に平行であり、中央平面はTIR面32および33に対する光線の入射面であるので、光線は入射面に対してp偏光される。
【0021】
ファセット40は、任意選択的に、互いに平行であり、TIR面32および33に垂直であり、下端面35およびx軸に対して傾斜角βxだけ傾斜している。各ファセット40の法線41は、y軸に対して傾斜角βxだけ回転している。以下に説明するように、各ファセット40は、ファセットに入射するx導波路31内を伝搬する光の一部を、下端面35を介して導波路51内に反射する。例えば、光線23がファセット40に入射すると、ファセットは光線内の光の一部をy導波路51内に反射する。光線23は、TIR面32および33に対してp偏光されるが、ファセットの法線41が中央平面内にないので、ファセット40に対しては、光線はp偏光およびs偏光の両方を含むことに留意されたい。
【0022】
y導波路51とも称される導波路51もまた、任意選択的に直角プリズムである。導波路は、xy平面に平行な比較的大きい平行なTIRフェース面52および53と、yz平面に平行な比較的狭い左端面54および右端面55とをそれぞれ有する。x導波路31内のファセット40によってy導波路51内に反射された光は、フェース面52および53から繰り返しTIR反射されて、TIR面間で前後に跳ね返り、y軸に沿ってy導波路51内を伝搬して、y導波路のファセット60に到達して入射する。ファセット60は、任意選択的に、互いに平行であり、側面54および55に垂直である。ファセットは、TIR面52およびy軸に対して傾斜角βyだけ傾斜している。ファセット60の各々に対する法線61は、z軸に対して傾斜角βyだけ回転される。以下に説明するように、各ファセット60は、y軸に沿ってy導波路51内を伝搬し、TIRフェース面53上の出力開口57を通ってファセットに入射する光の一部を、ユーザ(図示せず)が見るためにEMB80に反射する。
【0023】
図1に示すGOODIS20は、高さh、幅w、深さdの厚さを有する。x導波路31は高さh1を有し、y導波路51は高さh2を有する。両方の導波路は、任意選択的に、GOODISの幅wに実質的に等しい同じ幅と、同じ厚さまたは深さdとを有する。高さhは、(h1+h2)に等しくてもよい。数値例として、一実施形態において、hは、約30mm(ミリメートル)~約50mmの値、30mm~約50mmの高さh、および約1.0mm~約3mmの深さを有してもよい。一実施形態におけるx導波路31の高さh1は、約10mm~約20mmであってもよく、高さh2は、約10mm~40mmであってもよい。x導波路31は、約25°~約65°の傾斜角βxで傾斜した約20個~約30個のファセット40を有してもよい。y導波路51は、約20°~約70°の傾斜角βyで傾斜した約8個~約12個のファセット60を有することができる。
【0024】
図2は、ディスプレイエンジン70によって生成された仮想画像からの光線の伝搬を概略的に示しており、この光線は、入力カプラ71によってGOODIS20内に結合されてx導波路31に沿って進み、ファセット40によってy導波路51内に反射され、その後、y導波路内のファセット60によってEMB80に向かって反射される。
【0025】
x導波路31において、ファセットが光線をy導波路51に反射するファセット40上の点に収束する矢印の三角形クラスタは、ディスプレイエンジン70から受け取られた光線がファセットに入射する角度方向を含むFOVのxy平面内の断面を表している。例として、光線の角度伝搬方向の三角形クラスタ101、102、および103によって表される3つのFOVxy断面が、それぞれラベル40-1、40-2、および40-3によって個別化されたファセット40の選択について図2に示されている。実線矢印121によって表されるFOVxy断面101、102、および103内の光線は、実線矢印131によって表される角度方向に沿ってy導波路51内に反射され、y導波路内のファセット60は、光をEMB80内に正常に反射する。しかしながら、ファセット40上に入射し、y導波路51内に反射される仮想画像のFOV内の光線からのすべての光が、EMB80内に正常に反射されるわけではない。FOV断面101、102、または103内の破線矢印122は、ファセット40-1、40-2、または40-3がそれぞれ、ファセット60がEMB80から逸れた光を反射する破線矢印132によって表される角度方向に沿ってy導波路51内に反射する光線を表す。光がファセット60によってEMB80に正常に反射される光線の角度方向を表す実線の矢印131は、出力開口57を指して示されている。EMB80に到達しない光をファセット60が反射する光線の角度方向を表す破線矢印132は、出力開口57の外側の領域に向かって示されている。
【0026】
図2の影付き領域401、402、および403は、ファセット40-1、40-2、および40-3がそれぞれ光線を反射する角度方向の範囲を概略的に示しており、ファセット60は、光線をEMB80に正常に反射する。ファセットがそれぞれ入射光線を反射する範囲401、402、および403内の中央角度方向は、範囲内の比較的長い実線矢印131によって示されている。範囲401、402、および403の中央角度方向は、それぞれファセット40-1、40-2、および40-3の法線41に対して、角度θ1、θ2、およびθ3に沿って向けられている。角度θ1、θ2、θ3は、範囲内の中央角度方向に沿って反射される光線の入射角および反射角である。出口開口57に対するファセット40-1、40-2および40-3の位置の結果として、図2に概略的に示されるように、θ1>θ2>θ3である。極めて一般的に、ファセット40が光線を反射し、続いてファセット60がEMB80に光を正常に反射する入射の中央角度方向および対応する反射角度方向は、入力開口36からのファセットの距離とともに減少する。
【0027】
同様に、ファセット40によってy導波路51内に反射された光線からファセット60がEMB80内に反射する光の中央角度方向は、x導波路31の底面35からのファセット60の距離とともに減少する。ファセット60の選択に対する中央角度方向は、実線矢印151によって表されている。中央角度方向151とファセット60の選択のための法線61との間の反射角は、φ1、φ2、およびφ3とラベル付けされ、より大きい下付き文字は、底面35からより遠いファセット60に関連付けられた角度を識別するものである。
【0028】
上記の考察は、GOODIS20の異なるファセットが、ディスプレイエンジン70からEMB80への仮想画像の入力FOVの異なる角度部分を反射することを示している。また、概して、高忠実度の出力画像を達成するために、x導波路31内のファセット40が入力開口36から遠いほど、ファセット上でより小さい入射角AOIを有する入力FOVの部分からの光に対するファセットの反射率がより大きくなり、ファセットがEMB内のxのより大きい値に反射するはずである。。同様に、y導波路51内のファセット60がx導波路31の下端面35から遠ければ遠いほど、ファセット上のより小さいAOIを有する入力FOVの部分からの光に対するファセットの反射率がより大きくなり、ファセットがEMB内のyのより大きな値に反射するはずである。
【0029】
k(x)などの「x」指数は、x導波路31内のファセット40を指定し、指数の値が入力開口36からの指定ファセット40の距離とともに増加するものとする。同様に、k(y)などの「y」指数は、y導波路51内のファセット60を指定し、指数の値が表面35からの指定ファセット60の距離とともに増加するものとする。式(2)および(3)によって表される高忠実度の出力仮想画像を提供するための制約条件は、ファセット40に対する制約条件を表すように記述することができ、ファセット40は、xファセット40とも称されることがある。
[(|TPo k(x),m-TPo j(x),n|/AVG(TPo k(x),m,TPo j(x),n))<δ%|I(αm)=I(αn),∀(j(x),k(x)),∀(m,n)] (3)
同様に、任意選択的にyファセット40と称されるファセット60に対する制約条件は、次のように記述することができる。
[(|TPo k(y),m-TPo j(y),n|/AVG(TPo k(y),m,TPo j(y),n))<δ%|I(αm)=I(αn),∀(j(y),k(y)),∀(m,n)] (4)
【0030】
制約条件(3)および(4)は、複雑な制約条件であり、各xファセット40および各yファセット60に対して異なる専用の反射コーティングを有することなく満たすことは、通常比較的困難である。一実施形態によれば、GOODISは、p光およびs光の反射率の差を有利に使用してファセット40および60上にコーティングを提供し、GOODISがEMB80を提供する仮想画像の有利な忠実度を提供する。一実施形態において、導波路31のxファセット40には、図3Aのグラフ540によって示される入射角AOIの関数としてp光およびs光に対する反射率を提供する同じ部分反射コーティングが提供される。一実施形態において、導波路51のyファセット60には、図3Bのグラフ560によって示される入射角AOIの関数としてp光およびs光に対する反射率を提供する同じコーティングが提供される。
【0031】
グラフ540および560にそれぞれ示される反射率を示すAOI依存部分反射コーティングを有するファセット40および60は、種々の材料および製造プロセスのいずれかを使用して製造することができる。例えば、ファセットは、予め形成されたプリズムの表面上に部分反射コーティングを堆積させ、プリズムを互いに接合することによって生成されてもよい。プリズムは、BK-7などのケイ酸塩材料を所望の形状に研削および研磨することによって、あるいは好適なポリマーまたはゾル-ゲルを射出成形することによって製造することができる。コーティングは、例として、二酸化ハフニウム(HfO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)および/または五酸化タンタル(Ta25)などの種々の好適な材料のいずれかから形成することができる。
【0032】
一実施形態において、ディスプレイエンジン70および/またはプリズム入力カプラ71は、仮想画像をGOODIS20に提供するように構成され、仮想画像からの光は、光がx導波路31に入ると、TIRフェース面32および33上の光の入射面に対して実質的にp偏光される。図3Aに示すように、x導波路31への入力におけるp偏光およびファセット40の反射率について、ファセット40によって反射された光の偏光が光の入射角に依存する結果として、ファセット40によってy導波路51に反射された光の偏光がファセット60への入射角に依存することは、実質的に図3Cのグラフ550によって示されるとおりである。sssssss
【0033】
グラフ550は、x導波路31に入力され、図3Aに示される反射率を有するファセット40によって反射されるp偏光に対して、y導波路に入る光が、約40度のy導波路ファセットへの入射角でs成分よりも約4倍に近いp成分を有することを示している。グラフ3Bによって示されるように、p光およびs光に対するファセット60の反射率は、それぞれ、入射角とともに減少および増加する。結果として、y導波路51に入るp偏光が優勢となり、p光およびs光の反射率の依存性により、ファセット60によって同じ所与の角度方向にEMB80内に投影される光の強度のy軸に沿った均一性が有利に促進される。
【0034】
例えば、グラフ540および560によって与えられる反射率、ならびに本開示の一実施形態によるx導波路31に入力されるp偏光仮想画像では、GOODIS20は、x方向およびy方向の両方に沿って約70%を超える有利な忠実度を示すEMB80における仮想画像を提供する。80%の忠実度の場合、出力仮想画像は、ディスプレイエンジン70およびプリズム入力カプラによって提供される仮想入力画像の相対輝度を約30%以内に保ち、同じ角度方向に沿ってEMB内に投影される光の強度のEMBにおける空間均一性を約30%以内に保つ。
【0035】
図4は、入力仮想画像75に対する有利な忠実度によって特徴付けられるEMB80における出力仮想画像85を提供する際のGOODIS20ならびにファセット40および60の動作を概略的に示しており、入力仮想画像75は、入力仮想画像の均一な陰影によって示される実質的に均一な明度によって特徴付けられる。ファセットがEMB80に向かって反射する入力仮想画像75および出力仮想画像85の部分に関連するxファセット40-1および40-3のp偏光およびs偏光の反射率の値は、中央AOI角θ1およびθ3に関連付けられたグラフ540のコピーに示されている。ファセットがEMB80に向かって反射する入力仮想画像75および出力仮想画像85の部分に関連する表面35にそれぞれ最も近いおよび最も遠いファセット60に対するp偏光およびs偏光の反射率の値は、中央AOI角度φ1およびφ3に関連付けられたグラフ560のコピーに示されている。出力仮想画像85は完全な忠実度を示さない場合があるが、出力仮想画像の陰影の均一性は、出力仮想画像が約70%の忠実度を明示し、x方向およびy方向の両方に沿って相対強度および空間均一性を約30%に保つことを概略的に示すことを意図している。
【0036】
上記の説明は、2つの異なる反射コーティングのみを用いるGOODIS20の一実施形態を参照しているが、本開示の一実施形態は、xファセット40のための同じ単一の部分反射コーティングおよびyファセット60のための異なる同じ単一の部分反射コーティングに限定されないことに留意されたい。例えば、一実施形態によるGOODIS20は、ファセット40の2つ以上のグループの各々に対して異なる部分反射性のpコーティングおよびsコーティングを有することができる。同様に、一実施形態によるGOODIS20は、ファセット60の2つ以上のグループの各々に対して異なる部分反射性のpコーティングおよびsコーティングを有することができる。概して、異なるそれぞれのpおよびsのAOI依存性を有する部分反射コーティングの数が増加するにつれて、本開示の一実施形態によるGOODISによって提供される仮想画像の忠実度が増加する。また、図3Cおよび図4は、x導波路31に入射する光がTIR面32および33(図1)に対してp偏光されていると仮定しているが、本開示の実施形態の実施はp偏光入力に限定されないことに留意されたい。x導波路31に入力されるp偏光およびs偏光の異なる相対強度は、ファセット40および60の異なる反射率と協調して、本開示の一実施形態によるGOODISによって提供される有利な忠実度の出力画像を提供することができる。
【0037】
本出願の説明および特許請求の範囲において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、および「有する(have)」、ならびにそれらの活用形の各々は、動詞の1つ以上の目的語が必ずしも動詞の1つ以上の主語の構成要素、要素、または部分の完全な列挙ではないことを示すために使用される。
【0038】
本出願における本開示の実施形態の説明は、例として提供されており、本開示の範囲を限定することを意図していない。説明される実施形態は、異なる特徴を含み、それらのすべてが全実施形態において必要とされるわけではない。一部の実施形態は、特徴のうちの一部のみ、または特徴の可能な組み合わせを利用する。説明される本開示の実施形態の変形例、および説明される実施形態において言及される特徴の異なる組み合わせを含む実施形態は、当業者に想起されるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】