(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ポリウレタン組成物、それを用いて調製された製品及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/38 20060101AFI20230623BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20230623BHJP
C08G 18/65 20060101ALI20230623BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
C08G18/38 019
C08G18/10
C08G18/65 011
C08G18/76
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556182
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 CN2020081994
(87)【国際公開番号】W WO2021195824
(87)【国際公開日】2021-10-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ヤンピン
(72)【発明者】
【氏名】ニエ、トーウェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ピン
(72)【発明者】
【氏名】フォン、シャオカン
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA08
4J034CA03
4J034CA04
4J034CA05
4J034CA15
4J034CA17
4J034CB04
4J034CB05
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC05
4J034CC08
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4J034CC61
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4J034KC35
4J034KD02
4J034KD04
4J034KD08
4J034KD12
4J034KE02
4J034QA03
4J034QB13
4J034QB17
4J034RA01
4J034RA04
4J034RA08
4J034RA11
4J034RA12
(57)【要約】
ポリウレタン組成物が提供される。ポリウレタン組成物は、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート化合物並びに/又は当該少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート化合物及び少なくとも1つの第1のポリオールの反応により形成されたイソシアネート末端キャッププレポリマーを含む1つのポリイソシアネート成分と、少なくとも1つの第2のポリオールと、少なくとも1つの窒素原子並びに少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基を有する架橋剤と、を含む。ポリウレタン組成物を使用することによって調製されたポリウレタン製品は、改善された作業時間、耐老化性、耐候性、色安定性、加工性及び貯蔵安定性を達成することができる。ポリウレタン製品を調製するための方法及びポリウレタン製品の性能特性を改善するための方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン組成物であって、
少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート化合物並びに/又は前記少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート化合物及び少なくとも1つの第1のポリオールの反応から誘導されたイソシアネート末端キャッププレポリマーを含む1つのポリイソシアネート成分と、
少なくとも1つの第2のポリオールと、
少なくとも1つの窒素原子並びに少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基を有する架橋剤と、を含む、ポリウレタン組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタン組成物が、
(A)前記芳香族ポリイソシアネート化合物及び/又は前記イソシアネート末端キャッププレポリマーを含む成分Aと、
(B)少なくとも1つの第2のポリオール及び前記架橋剤を含む成分Bと、を含む2成分組成物である、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項3】
前記架橋剤が、式(I)によって表され、
【化1】
式中、R
1、R
2、及びR
3の各々が独立して、水素、C
1-C
10アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、メチル(ヒドロキシル)C
1-C
9アルキレン、エチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン、プロピル(ヒドロキシル)C
1-C
7アルキレン、ブチル(ヒドロキシル)C
1-C
6アルキレン、ジメチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン、ジエチル(ヒドロキシル)C
1-C
6アルキレン、ジプロピル(ヒドロキシル)C
1-C
4アルキレン、ジ(C
1-C
10アルキル基)アミノ、ジ(C
1-C
10アルキル基)アミノ-C
1-C
10アルキレン、ジ[メチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン]アミノ及びジ[メチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン]アミノ-C
1-C
10アルキレンからなる群から選択され、但し、前記架橋剤が、少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基を含むことを条件とする、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項4】
前記架橋剤が、3~6個の二級ヒドロキシル基及び/又は三級ヒドロキシル基を含む、請求項3に記載のポリウレタン組成物。
【請求項5】
前記架橋剤が、トリ(2-ヒドロキシル-エチル)アミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソブタノールアミン、トリイソペンタノールアミン、テトラ(2-ヒドロキシル-エチル)ジアミン、テトラ(イソブタノール)ジアミン、テトラ(イソペンタノール)ジアミン、トリ(tert-ブタノール)アミン、トリ(tert-ペンタノール)アミン、トリ(tert-ヘキサノール)アミン、N,N,N’’,N’’-テトラ(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項6】
前記架橋剤の量が、前記成分Bの総重量に基づいて、0.1~10重量%である、請求項2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項7】
前記成分Aが、過酸化物分解剤を更に含む、請求項2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項8】
前記過酸化物分解剤が、脂肪族有機ホスファイト、芳香族有機ホスファイト、脂肪族硫黄エーテル、芳香族硫黄エーテル及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
前記過酸化物分解剤の量が、前記成分Aの総重量に基づいて、0.1~17.5重量%である、請求項7に記載のポリウレタン組成物。
【請求項9】
前記芳香族ポリイソシアネート化合物が、少なくとも1つの芳香族環を含み、全てのイソシアネート基が、前記芳香族環と、それらの間にいずれの連結基も存在することなく直接結合している、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項10】
前記成分Bが、鎖延長剤、触媒、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、着色剤、染料、顔料、静電気防止試薬、可塑剤、難燃剤及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項11】
前記芳香族ポリイソシアネート化合物が、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
6-C
15芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
7-C
15芳香脂肪族ポリイソシアネート、そのカルボジイミド修飾誘導体及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
前記第1のポリオール及び前記第2のポリオールの各々が独立して、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
2-C
16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む前記C
2-C
16脂肪族多価アルコールの二量体、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む前記C
2-C
16脂肪族多価アルコールの三量体、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
6-C
15脂環式又は芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
7-C
15芳香脂肪族多価アルコール、500~5,000の分子量を有するポリエステルポリオール、200~5,000の分子量を有するポリカーボネートポリオール、2~5の平均官能価及び200~12,000の平均分子量を有するポリエーテルポリオール、少なくとも2つのアミノ基を含むC
2-C
10ポリアミン、少なくとも2つのチオール基を含むC
2-C
10ポリチオール、少なくとも1つのヒドロキシル基及び少なくとも1つのアミノ基を含むC
2-C
10アルカノールアミン、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する植物油並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物を使用することによって調製された、ポリウレタン製品。
【請求項13】
請求項12に記載のポリウレタン製品を調製するための方法であって、
i)前記ポリイソシアネート成分を提供する工程と、
ii)前記ポリイソシアネート成分を前記第2のポリオール及び前記架橋剤と反応させて、前記ポリウレタン製品を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項14】
ポリウレタン製品の性能特性を改善するための方法であって、前記ポリウレタン製品のポリウレタン鎖において、少なくとも1つの窒素原子並びに少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基を有する架橋剤から誘導された少なくとも1つの繰り返し単位を共有結合させる工程を含み、前記性能特性が、作業時間、耐老化性、耐候性、色安定性、加工性及び貯蔵安定性のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリウレタン組成物、組成物を使用することによって調製されたポリウレタン製品、ポリウレタン製品を調製するための方法及びポリウレタン製品の性能特性を改善するための方法に関する。ポリウレタン組成物は、改善された流動性及び延長された作業時間を示し、ポリウレタン製品は、強化された耐老化性、耐候性、色安定性、貯蔵安定性及びより良好な加工性などの優れた特性を呈する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン材料は、様々な形状に発泡することができ、通常、主にポリオールと触媒、界面活性剤、発泡剤などの任意の添加剤とを含む第1の成分を、ポリオールをポリイソシアネートと反応させることによって得られる1つ以上のイソシアネート末端キャッププレポリマーを含む第2の成分と反応させる工程を含む2成分プロセスを介して作製される。2つの成分は高速でブレンドされ、次いで、所望の形状の様々な型に移される。過去数十年にわたって、発泡ポリウレタン材料は、靴製造(例えば、靴底)及び自動車産業(例えば、一体型スキンフォームのバンパー及びアームレスト)のような幅広い最終用途に用いられてきた。ポリウレタン材料の1つの重要な用途は、ガスケットがガラス窓、特に車の窓の外周の周りに成形される窓カプセル化であり、ガスケットは窓を車のフレームに取り付けるのに役立つ。この成形ポリウレタンガスケット材料は、高速離型性及び良好な光安定性などの非常に厳しい要件を満たさなければならない。この態様には、芳香族イソシアネートと比較してより良好な光安定性を提供するため、脂肪族又は脂環式イソシアネートが通常好ましい選択肢である。しかしながら、脂肪族又は脂環式イソシアネートは通常、価格がより高く、低い反応性を示し、したがって離型サイクルが長く、得られたポリウレタンは劣った物理的強度を示す。例えば、イソシアネート若しくはイソシアネート反応性化合物原料の分子構造を修飾し、特定の加工添加剤を含むことによって、上記の利点を保持しながら上記の当該利点を保持することができる独特のポリウレタンシステムを開発するための多大な努力がなされているが、これらの以前の研究のいずれも、技術的目的を達成することに成功しておらず、増加された揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭などのいくつかの新たな問題もまた生じ、それらはカプセル化窓が車の部分的な内部であるため、自動車産業において特に好ましくない。
【0003】
上記の理由から、ポリウレタン製造業界では、上記の性能特性を経済的な方式で改善することができるポリウレタン組成物を開発する必要性が依然としてある。継続的な調査の結果、本発明者らは、驚くべきことに、上記の目標の全てを達成し得るポリウレタン組成物を開発した。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、独特のポリウレタン組成物、組成物を使用することによって調製された成形ポリウレタン製品、ポリウレタン製品を調製するための方法及びポリウレタン製品の性能特性を改善するための方法を提供する。
【0005】
本開示の第1の態様では、本開示は、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート並びに/又は当該少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート化合物及び少なくとも1つの第1のポリオールの反応から誘導されたイソシアネート末端キャッププレポリマーを含む1つのポリイソシアネート成分と、少なくとも1つの第2のポリオールと、少なくとも1つの窒素原子並びに少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基を有する架橋剤と、を含むポリウレタン組成物を提供する。本開示の好ましい実施形態では、ポリウレタン組成物は、(A)芳香族ポリイソシアネート化合物及び/又はイソシアネート末端キャッププレポリマーを含む成分Aと、(B)2つの第2のポリオール及び架橋剤を含む成分Bと、を含む2成分組成物である。本開示の別の好ましい実施形態によれば、架橋剤は、式(I)によって表され、
【化1】
式中、R
1、R
2、及びR
3の各々は独立して、水素、C
1-C
10アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、メチル(ヒドロキシル)C
1-C
9アルキレン、エチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン、プロピル(ヒドロキシル)C
1-C
7アルキレン、ブチル(ヒドロキシル)C
1-C
6アルキレン、ジメチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン、ジエチル(ヒドロキシル)C
1-C
6アルキレン、ジプロピル(ヒドロキシル)C
1-C
4アルキレン、ジ(C
1-C
10アルキル基)アミノ、ジ(C
1-C
10アルキル基)アミノ-C
1-C
10アルキレン、ジ[メチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン]アミノ及びジ[メチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン]アミノ-C
1-C
10アルキレンからなる群から選択され、但し、架橋剤が、少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基を含むことを条件とする。架橋剤は、好ましくは、3~6個の二級及び/又は三級ヒドロキシル基を含む。より好ましくは、架橋剤は、トリ(2-ヒドロキシル-エチル)アミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソブタノールアミン、トリイソペンタノールアミン、テトラ(2-ヒドロキシル-エチル)ジアミン、テトラ(イソブタノール)ジアミン、テトラ(イソペンタノール)ジアミン、トリ(tert-ブタノール)アミン、トリ(tert-ペンタノール)アミン、トリ(tert-ヘキサノール)アミン、N,N,N’’,N’’-テトラ(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレン-トリアミン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。本開示の好ましい実施形態では、架橋剤の量は、成分Bの総重量に基づいて、0.1~10重量%である。本開示の別の好ましい実施形態によれば、成分Aは、過酸化物分解剤を更に含む。過酸化物分解剤は、好ましくは、脂肪族有機ホスファイト、芳香族有機ホスファイト、脂肪族硫黄エーテル、芳香族硫黄エーテル及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、過酸化物分解剤の量は、成分Aの総重量に基づいて、0.1~17.5重量%である。本開示の別の好ましい実施形態によれば、芳香族ポリイソシアネート化合物は、少なくとも1つのアリール基を含み、全てのイソシアネート基は、アリールと、それらの間にいずれの連結基も存在することなく直接結合している。本開示の別の好ましい実施形態によれば、成分Bは、鎖延長剤、触媒、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、着色剤、染料、顔料、静電気防止試薬、可塑剤、難燃剤及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む。本開示の別の好ましい実施形態によれば、ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
6-C
15芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
7-C
15芳香脂肪族(araliphatic)ポリイソシアネート、そのカルボジイミド修飾誘導体及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、第1のポリオール及び第2のポリオールの各々は独立して、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
2-C
16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
2-C
16脂肪族多価アルコールの二量体、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
2-C
16脂肪族多価アルコールの三量体、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
6-C
15脂環式又は芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC
7-C
15芳香脂肪族多価アルコール、500~5,000の分子量を有するポリエステルポリオール、200~5,000の分子量を有するポリカーボネートポリオール、2~5の平均官能価及び200~12,000の平均分子量を有するポリエーテルポリオール、少なくとも2つのアミノ基を含むC
2-C
10ポリアミン、少なくとも2つのチオール基を含むC
2-C
10ポリチオール、少なくとも1つのヒドロキシル基及び少なくとも1つのアミノ基を含むC
2-C
10アルカノールアミン、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する植物油並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0006】
本開示の第2の態様では、本開示は、本開示に従うポリウレタン組成物を使用することによって調製されたポリウレタン製品を提供する。
【0007】
本開示の第3の態様では、本開示は、本開示に従うポリウレタン製品を調製するための方法を提供し、方法は、i)イソシアネート成分を提供する工程と、ii)イソシアネート成分を第2のポリオール及び架橋剤と反応させて、ポリウレタン製品を形成する工程と、を含む。
【0008】
本開示の第4の態様では、本開示は、ポリウレタン製品の性能特性を改善するための方法を提供し、方法は、ポリウレタン製品のポリウレタン鎖において、少なくとも1つの窒素原子並びに少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基を有する架橋剤から誘導された少なくとも1つの繰り返し単位を共有結合させる工程を含み、性能特性は、作業時間、流動性、耐老化性、耐候性、色安定性、加工性及び貯蔵安定性のうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0011】
本明細書で開示されるように、「及び/又は」は、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、端点を含む。特に記載がない限り、全ての百分率及び比率は重量に基づいて計算され、全ての分子量は数平均分子量である。
【0012】
本開示の一実施形態によれば、ポリウレタン組成物は、少なくとも1つのポリイソシアネート成分(A)及びポリオール成分又はイソシアネート反応性成分(B)を含む「2成分」、「2部分」、又は「2パッケージ」組成物であり、遊離イソシアネート基を有するポリイソシアネート成分(A)は、芳香族ポリイソシアネート化合物及び/又は当該芳香族ポリイソシアネート化合物を第1のポリオールと反応させることによって調製されるイソシアネート末端キャッププレポリマーを含み、ポリオール/イソシアネート反応性成分(B)は、少なくとも1つの第2のポリオール、少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基とを有する特別な架橋剤、並びにいくつかの任意の添加剤を含む。本開示の好ましい実施形態によれば、過酸化物分解剤はまた、ポリウレタン製品の光安定性の更なる増強を達成するためにポリイソシアネート成分(A)に添加され、これは、以下で具体的に考察される。本開示の文脈において、「ポリイソシアネート成分(A)」及び「成分A」という用語は、互換的に使用され、「ポリオール成分(B)」、「イソシアネート反応性成分(B)」及び「成分B」という用語は、互換的に使用される。ポリイソシアネート成分(A)及びポリオール/イソシアネート反応性成分(B)は、別々に輸送及び保管され、モータ窓のガスケットなどのポリウレタン製品の製造中に適用されるすぐ前又は直前に組み合わされる。組み合わされると、成分(A)のイソシアネート基は、成分(B)のイソシアネート反応性基(特にヒドロキシル基)と反応してポリウレタンを形成する。いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、アミノ並びに二級及び/又は三級ヒドロキシル基を有する特別な架橋剤は、ポリウレタン製品の性能特性を予想外に改善することができると考えられる。
【0013】
様々な実施形態では、成分Aは、(a)芳香族ポリイソシアネート化合物と、(b)当該芳香族ポリイソシアネート化合物と第1のポリオールとの間の反応から誘導されるイソシアネート末端キャッププレポリマーと、(c)(a)及び(b)の混合物と、を含み得る。本開示の好ましい実施形態によれば、成分Aは、(a)及び(b)の混合物を含む。本開示の様々な実施形態によれば、成分Aに使用されるポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族化合物である。本開示の好ましい実施形態によれば、ポリイソシアネート化合物は、少なくとも1つの芳香族環(例えば、アリール基又はヘテロアリール基)を含み、ポリイソシアネート化合物中の全てのイソシアネート基は、芳香族環と、それらの間にいずれの連結基も存在することなく直接結合している。好ましい実施形態では、芳香族ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC6-C15芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC6-C15芳香族ポリイソシアネートの二量体、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC6-C15芳香族ポリイソシアネートの三量体、少なくとも2つイソシアネート基を含むC7-C15芳香脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つイソシアネート基を含むC7-C15芳香脂肪族ポリイソシアネートの二量体、少なくとも2つイソシアネート基を含むC7-C15芳香脂肪族ポリイソシアネートの三量体及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。上記の芳香族ポリイソシアネートのカルボジイミド修飾誘導体もまた、成分Aを調製するために使用されてもよく、カルボジイミド修飾誘導体という用語は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むカルボジイミド修飾C6-C15芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC6-C15芳香族ポリイソシアネートのカルボジイミド修飾二量体、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC6-C15芳香族ポリイソシアネートのカルボジイミド修飾三量体、少なくとも2つイソシアネート基を含むカルボジイミド修飾C7-C15芳香脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つイソシアネート基を含むC7-C15芳香脂肪族ポリイソシアネートのカルボジイミド修飾二量体、少なくとも2つイソシアネート基を含むC7-C15芳香脂肪族ポリイソシアネートのカルボジイミド修飾三量体及びそれらの組み合わせを含み得る。別の好ましい実施形態では、好適な芳香族ポリイソシアネート化合物には、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluene diisocyanate、TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(diphenylmethanediisocyanate、MDI)の様々な異性体、カルボジイミド修飾MDI生成物、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、又はそれらの混合物が含まれる。一般に、芳香族ポリイソシアネート化合物の量は、ポリウレタン製品及び窓ガスケットの実際の要件に基づいて変化し得る。例えば、例示的な一実施形態としては、芳香族ポリイソシアネート化合物の含有量は、ポリウレタン組成物の総重量に基づいて、15重量%~60重量%、又は20重量%~50重量%、又は23重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%であり得る。本開示の好ましい実施形態によれば、ポリイソシアネート化合物の量は、イソシアネート基が、第1のポリオール、第2のポリオール、架橋剤、及び任意の追加の添加剤又は調整剤に含まれるヒドロキシル基の総モル量に対して化学量論的モル量で存在するように、適切に選択される。本開示の好ましい実施形態によれば、芳香族ポリイソシアネート化合物を少なくとも1つの第1のポリオールと反応させることによって調製されるポリイソシアネート成分(A)は、2~50重量%、好ましくは6~49重量%、例えば10~40重量%、12~32重量%のNCO基含有量を有し、また上記の端点値のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲のNCO含有量を有し得る。本開示の別の好ましい実施形態によれば、芳香族ポリイソシアネート化合物を少なくとも1つの第1のポリオールと反応させることによって調製されるポリイソシアネート成分(A)は、室温で1500mPa・s未満の粘度を有する。
【0014】
本開示の様々な実施形態によれば、第1のポリオール及び第2のポリオールの各々は独立して、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC2-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC2-C16脂肪族多価アルコールの二量体、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC2-C16脂肪族多価アルコールの三量体、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC6-C15脂環式又は芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC7-C15芳香脂肪族多価アルコール、500~5,000の分子量を有するポリエステルポリオール、200~5,000の分子量を有するポリカーボネートポリオール、2~5の平均官能価及び200~12,000の平均分子量を有するポリエーテルポリオール、少なくとも2つのアミノ基を含むC2-C10ポリアミン、少なくとも2つのチオール基を含むC2-C10ポリチオール、少なくとも1つのヒドロキシル基及び少なくとも1つのアミノ基を含むC2-C10アルカノールアミン、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する植物油並びにそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。本出願の好ましい一実施形態では、第1のポリオールは、エチレンジオール、プロピレンジオール、ブチレンジオール、ジエチレンジオール、トリエチレンジオール、ジプロピレンジオール、トリプロピレンジオール及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される単量体ポリオールである。本出願の別の好ましい実施形態では、第2のポリオールは、2~5の平均官能価及び200~12,000の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む。本出願の別の好ましい実施形態では、第2のポリオールの含有量は、成分Bの重量に基づいて、少なくとも60重量%である。本出願の別の好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオールは、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドから誘導されるコポリマーであり、ポリエチレンオキシドから誘導される重合単位の量は、ポリエーテルポリオールの総重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは15重量%未満である。本出願の別の好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオール中の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%のヒドロキシル基は、一級OH基である。いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、ポリエーテルポリオールの上記の特性は、効率的な硬化及び離型を達成するために有益である。
【0015】
本開示の様々な実施形態によれば、ポリエーテルポリオールは、一般に、触媒の存在下で、プロピレンオキシド(propylene oxide、PO)、エチレンオキシド(ethylene oxide、EO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン及びそれらの混合物から選択される1つ以上のアルキレンオキシドと、適切なスタータ分子との重合によって調製される。典型的なスタータ分子には、分子中に少なくとも2個、好ましくは4~8個のヒドロキシル基を有するか、又は2つ以上の一級アミン基を有する化合物が含まれる。好適なスタータ分子は、例えば、アニリン、EDA、TDA、MDA及びPMDAを含む群から、より好ましくはTDA及びPMDAを含む群から、最も好ましくはTDAから選択される。TDAを使用する場合、全ての異性体を、単独で、又は任意の所望の混合物において使用することができる。例えば、2,4-TDA、2,6-TDA、2,4-TDA及び2,6-TDAの混合物、2,3-TDA、3,4-TDA、3,4-TDA及び2,3-TDAの混合物、並びに上記の全ての異性体の混合物も使用することができる。分子中に少なくとも2個、好ましくは2~8個のヒドロキシル基を有するスタータ分子として、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、糖化合物、例えば、グルコース、ソルビトール、マンニトール及びスクロース、多価フェノール、フェノールとホルムアルデヒドのオリゴマー縮合生成物などのレゾール、並びにフェノール、ホルムアルデヒド及びジアルカノールアミンのマンニッヒ縮合物、並びにまたメラミンを使用することが好ましい。ポリエーテルポリオールを調製するための触媒には、アニオン重合用の水酸化カリウムなどのアルカリ触媒、又はカチオン重合用の三フッ化ホウ素などのルイス酸触媒が含まれ得る。好適な重合触媒には、水酸化カリウム、水酸化セシウム、三フッ化ホウ素、又はヘキサシアノコバルト酸亜鉛若しくは四ホスファゼニウム化合物などの二重シアン化物錯体(double cyanide complex、DMC)触媒が含まれ得る。本開示の好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオールは、(メトキシ)ポリエチレングリコール((methoxy)polyethylene glycol、MPEG)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、又は一級ヒドロキシル末端基及び二級ヒドロキシル末端基を有するエチレンエポキシド及びプロピレンエポキシドのコポリマーを含む。
【0016】
本開示の様々な実施形態によれば、本開示の技術的ブレイクスルーのうちの1つは、ポリウレタン組成物中に、少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基とを含む特別な架橋剤を含むことにある。架橋剤は、成分A及びBとは無関係の成分として、又は成分Bの一部としてのいずれかで提供され得る。本出願の好ましい実施形態によれば、架橋剤は、成分Bに含まれ、成分Aには含まれない。本開示の別の実施形態によれば、架橋剤は、式(I)によって表される分子構造を有し、
【化2】
式I
式中、R
1、R
2、及びR
3の各々は独立して、水素、C
1-C
10アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、メチル(ヒドロキシル)C
1-C
9アルキレン、エチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン、プロピル(ヒドロキシル)C
1-C
7アルキレン、ブチル(ヒドロキシル)C
1-C
6アルキレン、ジメチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン、ジエチル(ヒドロキシル)C
1-C
6アルキレン、ジプロピル(ヒドロキシル)C
1-C
4アルキレン、ジ(C
1-C
10アルキル基)アミノ、ジ(C
1-C
10アルキル基)アミノ-C
1-C
10アルキレン、ジ[メチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン]アミノ及びジ[メチル(ヒドロキシル)C
1-C
8アルキレン]アミノ-C
1-C
10アルキレンからなる群から選択され、但し、第1の架橋剤が、少なくとも1つの二級基及び/又は三級ヒドロキシル基を含むことを条件とする。本開示の別の好ましい実施形態によれば、架橋剤は、3~6個の二級及び/又は三級ヒドロキシル基を含む。本開示の別の好ましい実施形態によれば、架橋剤は、トリ(2-ヒドロキシル-エチル)アミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソブタノールアミン、トリイソペンタノールアミン、テトラ(2-ヒドロキシル-エチル)ジアミン、テトラ(イソブタノール)ジアミン、テトラ(イソペンタノール)ジアミン、トリ(tert-ブタノール)アミン、トリ(tert-ペンタノール)アミン、トリ(tert-ヘキサノール)アミン、N,N,N’’,N’’-テトラ(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
本開示の別の好ましい実施形態によれば、架橋剤の量は、成分Bの総重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは1.0~6.0重量%である。
【0018】
本開示の様々な実施形態によれば、本開示の別の技術的ブレイクスルーは、成分Aに過酸化物分解剤を含めることにある。本開示の文脈では、「過酸化物分解剤」は、過酸化物(すなわち、過酸化物架橋基「-O-O-」を有する化合物)を、フリーラジカルを含まず、反応に対して不活性で熱安定性である生成物に分解することができる試薬を指す。本出願の好ましい実施形態によれば、過酸化物分解剤は、加水分解性でありやすい。過酸化物分解剤の例としては、脂肪族有機ホスファイト、芳香族有機ホスファイトなどのP(III)含有有機化合物、及び脂肪族硫黄エーテル、芳香族硫黄エーテルなどの硫黄含有有機化合物、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。本開示の好ましい実施形態によれば、過酸化物分解剤は、2つ以上のホスファイト基及び少なくとも2つのフェニル環を含む芳香族有機ホスファイトである。より好ましくは、過酸化物分解剤は、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイトである。本開示の好ましい実施形態によれば、過酸化物分解剤の量は、成分Aの総重量に基づいて、0.1~17.5重量%、例えば、0.5~15重量%、又は1~12重量%、又は1.5~10重量%、又は2~8重量%、又は2.5~6重量%、又は3~5重量%であり得る。過酸化物分解剤の量はまた、上記の端点値のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内であり得る。本開示の好ましい実施形態によれば、過酸化物分解剤は、成分Aに含まれ、成分Bに添加されない。いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、過酸化物分解剤は、例えば、ポリウレタン組成物中の他の成分と組み合わせて、ある特定の相乗効果をもたらし得、最終的なポリウレタン製品において改善された耐候性と残留触媒の阻害された負の影響を効果的に達成することができると推定される。
【0019】
本開示の様々な実施形態では、ポリウレタン組成物は、触媒、鎖延長剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、着色剤、染料、顔料及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤を更に含み得る。更に、ポリウレタン組成物はまた、静電気防止試薬、可塑剤、難燃剤、上に具体的に定義されるもの以外の架橋剤、発泡剤、泡安定剤、粘着付与剤、レオロジー調整剤、充填剤、水捕捉剤、界面活性剤、溶媒、希釈剤、滑り止め剤、防腐剤、殺生物剤及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の追加の添加剤を更に含み得る。これらの添加剤は、独立した成分として伝達及び保管され得、成分(A)及び(B)の組み合わせの少し前又は直前にポリウレタン組成物に組み込まれ得る。代替的に、これらの添加剤は、それらが、イソシアネート基又はイソシアネート反応性基に対して化学的に不活性である場合、成分(A)及び(B)のいずれかに含まれ得る。本開示の好ましい実施形態によれば、上記の鎖延長剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、着色剤、染料及び顔料は、成分Bに含まれる。
【0020】
ポリイソシアネート化合物と第1のポリオールとの間の反応、及びポリイソシアネート成分(A)と第2のポリオールとの間の反応は、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の反応を促進することができる1つ以上の触媒の存在下で起こり得る。理論に限定されるものではないが、触媒には、例えば、グリシン塩;三級アミン;トリアルキルホスフィン及びジアルキルベンジルホスフィンなどの三級ホスフィン;モルホリン誘導体;ピペラジン誘導体;Be、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co及びNiなどの金属と、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどから得られるものなどの様々な金属のキレート;塩化第二鉄及び塩化第二スズなどの強酸の酸性金属塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、Ni及びCuなどの様々な金属を有する有機酸の塩;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクタノエート、スズ(II)ジエチルヘキサノエート及びスズ(II)ジラウレート、並びに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテートなどの有機スズ化合物;有機カルボン酸のビスマス塩、例えば、オクタン酸ビスマス;三価及び五価のAs、Sb及びBiの有機金属誘導体、並びに鉄及びコバルトの金属カルボニル;テトライソプロピルチタネート、テトラ(n-ブチル)チタネート、テトラオクチルチタネート、チタン酢酸塩、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)及びチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)などのチタン(IV)系触媒;ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムヘキサフルオロアセチルアセトネート、ジルコニウムトリフルオロアセチルアセトネート、テトラキス(エチルトリフルオロアセチル-アセトネート)ジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンジオネート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)及びジルコニウムジイソプロポキシビス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンジオネート)などのジルコニウム系触媒;又はそれらの混合物が含まれ得る。本開示の最も好ましい実施形態によれば、成分Aと成分Bとの間の反応のための触媒は、有機カルボン酸のビスマス塩、例えば、オクタン酸ビスマス(III)又はネオデカン酸ビスマス(III)である。
【0021】
本出願の好ましい実施形態によれば、成分AとBとの間の反応のための触媒は、上記の有機金属触媒である。
【0022】
一般に、本明細書で使用される触媒の含有量は、ゼロより大きく、ポリウレタン組成物の総重量に基づいて、最大3.0重量%、好ましくは最大2.5重量%、より好ましくは最大2.0重量%である。
【0023】
ポリウレタン材料を形成する反応物中には鎖延長剤が存在し得る。本開示の文脈において、鎖延長剤は、上記の特別な架橋剤とは異なり、すなわち、鎖延長剤は、少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの二級及び/又は三級ヒドロキシル基とを有する化合物ではない。本開示の一実施形態によれば、鎖延長剤は、分子当たり2個のイソシアネート反応性基を有し、かつイソシアネート反応性基当たりの当量が300未満、好ましくは200未満及び特に31~125である化学物質である。イソシアネート反応性基は、好ましくは、ヒドロキシル、一級脂肪族又は芳香族アミノ又は二級脂肪族又は芳香族アミノ基である。代表的な鎖延長剤には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3-クロロ-4-アミノフェニル)メタン、ジメチルチオ-トルエンジアミン及びジエチルトルエンジアミンが含まれる。本開示の別の好ましい実施形態によれば、鎖延長剤は、イソシアネート反応性基としてヒドロキシル基のみを含む短鎖ポリオール延長剤である。より好ましくは、鎖延長剤は、2~12個の炭素原子を含み、かつ2.0~8.0のヒドロキシル官能価を有するポリオールである。本発明の好ましい実施形態によれば、鎖延長剤は、脂肪族ポリオール又はシクロ-脂肪族ポリオールである。鎖延長剤の好ましい例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール及び1,4-シクロヘキサンジメタノール又はそれらの異性体が挙げられる。本開示の好ましい実施形態によれば、鎖延長剤の量は、成分Bの総重量に基づいて、1~20重量%、例えば、2~16重量%、又は4~12重量%、又は6~10重量%、又は7~8重量%である。
【0024】
抗酸化剤は、好ましくは、成分Bに含まれるが、成分Aには含まれない。本開示の好ましい実施形態によれば、抗酸化剤は、置換フェノール型抗酸化剤であり、より好ましくは、立体障害のあるフェノール型である。本開示の好ましい実施形態によれば、抗酸化剤の量は、成分Bの総重量に基づいて、0.3~2重量%、例えば、0.5~1重量%である。
【0025】
UV吸収剤は、好ましくは、成分Bに含まれるが、成分Aには含まれない。本開示の好ましい実施形態によれば、吸収剤は、ベンゾトリアゾール型UV吸収剤であり、より好ましくは、2-(2H-ベンゾトリアゾ-2-イル)-6-ドデシル-4-メチル-フェノールである。本開示のより好ましい実施形態によれば、UV吸収剤の量は、成分Bの総重量に基づいて、0.5~2.5重量%、例えば、1.0~1.8重量%である。
【0026】
光安定剤は、好ましくは、成分Bに含まれるが、成分Aには含まれない。本開示の好ましい実施形態によれば、光安定剤は、ヒンダード脂肪族光安定剤(hindered aliphatic light stabilizer、HALS)、好ましくは、置換脂環式アミンHALSであり、より好ましくは、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートである。本開示のより好ましい実施形態によれば、UV吸収剤の量は、成分Bの総重量に基づいて、0.5~2.5重量%、例えば、1.0~1.8重量%である。
【0027】
着色剤、顔料及び染料は、成分A又は成分Bのいずれかに含まれ得、好ましくは、成分Bに含まれるが、成分Aには含まれない。本開示の好ましい実施形態によれば、着色剤、顔料及び染料は、カーボンブラック、二酸化チタン及びイソインドリノンを含む。本開示のより好ましい実施形態によれば、UV吸収剤の量は、成分Bの総重量に基づいて、0.3~3.0重量%である。
【0028】
本発明は、多くの用途で使用され得る幅広いガスケットのための材料の調製に適用可能である。ガスケットは、例えば、自動車及びトラック、航空機を含む任意の他のタイプの輸送車両、並びに様々なタイプの農業、産業及び建設機器に使用することができる。本開示の様々な実施形態によれば、ポリウレタン製品は、少なくとも500kg/m3、例えば、500~1200kg/m3、600~1100kg/m3、700~1000kg/m3、又は800~900kg/m3の密度を有する。
【0029】
本開示の好ましい実施形態によれば、ポリウレタン組成物は、その中に意図的に添加された水又は水分を実質的に含まない。例えば、「水を含まない」又は「非含水」とは、ポリウレタン組成物を調製するために使用された全ての原料の混合物が、原料の混合物の総重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは100重量ppm未満、より好ましくは50重量ppm未満、より好ましくは10重量ppm未満、より好ましくは1重量ppm未満を構成することを意味する。
【0030】
本開示の好ましい実施形態によれば、ポリウレタン材料は、90~120の指数で反応射出成形(reaction injection molding、RIM)によって調製され、指数100は、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との間のモル比が1.00であることを意味する。様々な実施形態では、ポリウレタン材料は、成分A及び成分Bを室温又は30~120℃の高温で、好ましくは40~90℃で、より好ましくは50~70℃で、例えば、0.1秒~10時間、好ましくは5秒~3時間、より好ましくは10秒~60分の持続時間にわたり混合することによって調製される。混合は、噴霧装置、混合ヘッド、又は容器内で実施され得る。混合後、混合物は、ガスケットの形状又は他の任意の適切な形状で、空洞内に注入され得る。この空洞は、任意に大気圧に保つか、又は部分的に大気圧未満の圧力に排気することができる。代替的に、混合物をモータのガラスパネルに直接適用することもできる。
【0031】
反応すると、混合物は型の形状を採るか、基材に付着してポリウレタン材料を生成し、これを部分的に又は完全に、のいずれかで硬化させる。ポリウレタンポリマーの硬化を促進するための好適な条件は、約20℃~約150℃の温度を含む。いくつかの実施形態では、硬化は、約30℃~約120℃の温度で行われる。他の実施形態では、硬化は、約35℃~約110℃の温度で行われる。様々な実施形態では、硬化のための温度は、ポリウレタンポリマーがその温度でゲル化及び/又は硬化するのに必要な持続時間に少なくとも一部に基づいて選択され得る。硬化時間はまた、例えば、特定の成分(例えば、触媒及びその量)、並びに製造される物品のサイズ及び形状を含む他の要因に依存するであろう。
【0032】
上記の説明は、一般的であることを意図しており、本発明の全ての可能な実施形態を含むことを意図していない。同様に、以下の実施例は、例示のみを目的として提供されており、いかなるようにも本発明を規定又は制限することを意図するものではない。当業者は、特許請求の範囲の範囲内の他の実施形態が、本明細書に開示される本発明の明細書及び/又は実施の検討から明らかになることを十分に認識するであろう。そのような他の実施形態は、特定の成分並びにそれらの構成及び割合;混合及び反応条件、容器、展開装置並びにプロトコル;性能及び選択性;製品及び副産物の識別;その後の加工及び使用などの選択を含み得、当業者は、そのようなものが本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲内で変化し得ることを認識するであろう。
【実施例】
【0033】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例において説明する。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に示される配合に限定されない。むしろ、実施例は単に本開示の発明に関する。
【0034】
実施例で使用される原料の情報を以下の表1に列挙する。
【0035】
【0036】
ポリウレタン材料の調製の一般的な説明
本発明の実施例及び比較実施例は、以下の表2に要約される成分A及び成分Bの配合、並びに反応条件を使用して実施し、これらの本発明の実施例及び比較実施例の特性評価結果もまた、その中に要約し、カーボンブラックをCP 6001に事前分散させて、25重量%のポリオール分散液を形成し、ポリイソシアネート成分(A)を、Hyperlast(商標)LE5021を過酸化物分解剤JPP-100(4.80重量%)と混合することによって事前に作製した。
【0037】
成分A及び成分Bを、3000rpmで6秒間、スピードミキサーを使用して室温で混合した。次いで、混合物の特性を成形及び硬化前に特性評価した。
【0038】
成形されたポリウレタンエラストマー製品を、ポリオール成分及びプレポリマー成分を3000rpmで6秒間スピードミキサーを使用して混合し、次いで、混合物を室温で開いた垂直のアルミニウム型に注ぐことによって調製した。成形された材料を室温で24時間硬化させ、離型してPU成形品を生成した。次に、成形品から試験試料を切り取り、耐候性試験機(weather-o-meter、WOM)の特性評価を行った。
【0039】
クリームタイム及び固体化時間の特性評価
クリームタイム及び固体化時間を、各試料の作業時間及び離型時間の評価のために記録し、クリームタイムは、カーボンブラックを有さない試料で特性評価した。関連する分野の要件は、15秒より長いクリームタイム及び40秒未満の固体化時間を有する試料によって満たされ得る。
【0040】
貯蔵安定性の特性評価
貯蔵安定性は、50℃で7日間、ポリオール成分の貯蔵あり又はなしの混合物のクリームタイム及び固体化時間の比較によって評価した。50℃で1週間ポリオール成分を使用して調製された混合物は、「新鮮な」ポリオール成分を使用することによって調製された混合物のものと同等のクリームタイム及び固体化時間を呈することが必要とされる。
【0041】
総VOCの特性評価
総VOCを以下の手順に従って測定した:試料を23℃/50%相対湿度で72時間硬化させた。次いで、試料を、密封可能なポリエチレンバッグにパッケージングし、次いで、試験まで-18℃で保管される、アルミニウム箔の2つの層で包んだ。約70gの試料を切り取り、10Lのガスバッグに入れた。7Lの窒素をガスバッグに充填した。次いで、ガスバッグを、分析前に65℃で2時間貯蔵した。次いで、4LのガスをDNPH-シリカカートリッジを通してパージした。次いで、カートリッジを3.5mLのアセトニトリルで洗浄し、1mLのアセトニトリルで溶出した。次いで、アセトニトリル溶液の試料を、カルボニル分析のためにHPLCに注入した。関連する分野の要件は、100ppm未満のTVOCを有する試料によって満たされ得る。
【0042】
耐候性特性の特性評価
ポリウレタンエラストマー製品の耐候特性(WOM試験)を、PSA D27-1389に従って評価し、それは以下のように簡単に導入した:
(a)試験片を、キセノンランプによって放出され、かつ適合された光学フィルタを通して濾過された連続光に曝露する;
(b)光は、340nmで0.55W/m2の放射照度を有する;
(c)温度計温度を、70±2℃に設定した;
(d)乾球温度を、50±2℃に設定した;
(注:温度計及び乾球温度を、自動モードで連続的に調整した)
(e)試験片を、その曝露側で18分の散布段階、続いて102分の非散布段階を含む1つの散布サイクルに供した;
(f)相対湿度を、散布なしの持続時間で50%±5%に維持し、乾球温度(T℃dry-bulb)と上記の相対湿度が適用されたときの温度(T℃humid)との間の温度差(ΔT)は、10.5℃(ΔT=T℃dry-bulb-T℃humid)である。
【0043】
1000時間の放射照度後の色変化(ΔE)を、ポリウレタン製品の耐候性を評価するために特徴評価した。
【0044】
【表2】
注:
a.星印(
*)は比較実施例を示す。
b.色の変化(ΔE)は、1000時間の放射照度後の色の変化を指し、値は、本発明の実施例1のもの(すなわち、E-03)に基づいて正規化された。
c.システムの高揮発性に起因して色の変化は決定されなかった。
d.乏しい加工性に起因して色の変化は決定されなかった。
e.乏しい貯蔵安定性に起因して色の変化は決定されなかった。
f.成分Aについての各成分の量を、成分Bの総量を100重量%として取ることによって重量百分率で表した。
【0045】
上の表2から見ることができるように、本発明の実施例で使用されるものとは異なる触媒を含む比較実施例1は、はるかに高い総VOC値を呈する。その架橋剤が、二級ヒドロキシルではなく一級ヒドロキシル基を含む有機アミンである比較実施例2は、優れた流動性及びより長い作業時間を示す本発明の実施例のものと比較したとき、はるかに短いクリームタイムを呈する。更に、成分Aに過酸化物分解剤JPP-100を含まない実施例2は、成分Aに過酸化物分解剤JPP-100を含む実施例5の耐候性よりも特に低い耐候性を有する。
【0046】
比較実施例3と本発明の実施例との比較は、成分B(成分Aの代わり)に当該過酸化物分解剤JPP-100を含めることが、乏しい貯蔵安定性(クリームタイム及び固体化時間によって表される)をもたらすことを示す。
【0047】
実施例6~8:
TiPOAを等量のジイソプロパノールアミン(実施例6)、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン(実施例7)及びトリ(tert-ブタノール)アミン(実施例8)で置き換えたことを除いて、本発明の実施例1の正確な手順を繰り返すことによって、3つの追加の本発明の実施例を実施した。これら3つの実施例6~8の全てが、本発明の実施例1のものと同等の貯蔵安定性(クリームタイム及び固体化時間によって表される)及び耐候性を呈することが明らかになる。
【国際調査報告】