(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】リチウム補充機器
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20230623BHJP
【FI】
H01M4/139
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558148
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2022082840
(87)【国際公開番号】W WO2022227963
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202120890273.3
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐永強
(72)【発明者】
【氏名】費新路
(72)【発明者】
【氏名】謝斌
(72)【発明者】
【氏名】陳仕通
(72)【発明者】
【氏名】李克強
(72)【発明者】
【氏名】馮涛
(72)【発明者】
【氏名】趙豐剛
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050CB11
5H050GA03
5H050GA29
5H050HA12
(57)【要約】
本出願は、リチウム膜を極板に被覆させるためのリチウム補充機器を開示する。このリチウム補充機器は、前記リチウム膜を前記極板に被覆させるように前記極板と前記リチウム膜とをロールプレスするための第一のローラと第二のローラとを含むロールプレス機構と、前記ロールプレス機構に接続され、前記第一のローラと前記第二のローラとの間の隙間及び/又はロール圧力を調整制御するための調整機構と、前記ロールプレス機構を通過した後の前記極板の長さを検出するための第一の検出機構と、前記第一の検出機構により測定された長さと目標長さとの比較結果に基づいて、前記ロールプレス機構を通過した後の前記極板の長さが前記目標長さに近づくように前記調整機構を制御するように構成されるコントローラとを含む。上記態様は、タブズレを回避し、電池単体の歩留まりを向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム膜を極板に被覆させるためのリチウム補充機器であって、
前記リチウム膜を前記極板に被覆させるように前記極板と前記リチウム膜とをロールプレスするための第一のローラと第二のローラとを含むロールプレス機構と、
前記ロールプレス機構に接続され、前記第一のローラと前記第二のローラとの間の隙間及び/又はロール圧力を調整制御するための調整機構と、
前記ロールプレス機構を通過した後の前記極板の長さを検出するための第一の検出機構と、
前記第一の検出機構により測定された長さと目標長さとの比較結果に基づいて、前記ロールプレス機構を通過した後の前記極板の長さが前記目標長さに近づくように前記調整機構を制御するように構成されるコントローラとを含む、リチウム補充機器。
【請求項2】
前記極板には、前記極板の長さ方向に沿って間隔をあけて複数のマーク点が設けられ、前記第一の検出機構は、前記ロールプレス機構を通過した後の隣接する二つの前記マーク点の間の距離を検出するように構成される、請求項1に記載のリチウム補充機器。
【請求項3】
前記ロールプレス機構は、前記第一のローラ及び/又は前記第二のローラを駆動するためのサーボモータをさらに含み、
前記第一の検出機構は、
前記極板のテープ走行方向に沿って、前記ロールプレス機構の下流に設けられ、前記マーク点が検出された時に信号を発するように構成される検出ユニットと、
隣接する二つの前記マーク点の間の距離を得るために2回の前記信号の間隔期間における前記サーボモータのエンコーダの位置差分を読み取るための読み取りユニットとを含む、請求項2に記載のリチウム補充機器。
【請求項4】
前記検出ユニットは、前記極板の厚さ方向における両側にそれぞれ位置する発射端と受信端とを含む対向型光電センサであり、前記マーク点は、貫通孔であり、前記発射端から発射される光線は、前記貫通孔を通過して前記受信端に受信される、請求項3に記載のリチウム補充機器。
【請求項5】
前記リチウム補充機器は、
前記極板のテープ走行方向に沿って、前記ロールプレス機構の上流に設けられ、前記ロールプレス機構を通過する前の前記極板の厚さを検出するための第二の検出機構をさらに含み、
前記コントローラは、前記第二の検出機構に通信接続され、前記第二の検出機構により測定された厚さに基づいて前記目標長さを取得するように構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載のリチウム補充機器。
【請求項6】
前記第二の検出機構は、予め設定される単位時間内に、前記ロールプレス機構を通過する前の前記極板の複数の厚さを検出するように構成され、前記コントローラは、前記第二の検出機構により測定された複数の厚さに基づいて、平均厚さを算出し、前記平均厚さに基づいて前記目標長さを取得するように構成される、請求項5に記載のリチウム補充機器。
【請求項7】
前記調整機構は、前記第一のローラと前記第二のローラとの隙間を調整制御するための第一の調整コンポーネントと、前記第一のローラと前記第二のローラとの間のロール圧力を調整制御するための第二の調整コンポーネントとを含み、前記コントローラは、前記第一の検出機構により測定された長さと前記目標長さとの比較結果に基づいて、前記第一の調整コンポーネント及び/又は前記第二の調整コンポーネントを制御するように構成される、請求項1から6のいずれか1項に記載のリチウム補充機器。
【請求項8】
前記ロールプレス機構は、フレームと、前記フレームに移動可能に設けられる第一のアダプタ座と、前記フレームに固設される第二のアダプタ座とをさらに含み、前記第一のローラは、前記第一のアダプタ座に設けられ、前記第二のローラは、前記第二のアダプタ座に設けられ、
前記第一の調整コンポーネントは、前記第一のローラと前記第二のローラとの隙間を調整制御するために、前記第二のアダプタ座に対して近接又は離間するように前記第一のアダプタ座を駆動可能に構成され、前記第二の調整コンポーネントは、前記第一のローラと前記第二のローラとの間のロール圧力を調整制御するために、前記第一のアダプタ座を介して前記第一のローラに駆動力を付与するように構成される、請求項7に記載のリチウム補充機器。
【請求項9】
前記第一の調整コンポーネントは、第一の駆動モジュールと、第一の斜面ブロックと、第二の斜面ブロックと、測距センサとを含み、
前記第一の斜面ブロックと前記第二の斜面ブロックは、前記第一のアダプタ座と前記第二のアダプタ座との間に設けられ、前記第一の斜面ブロックは、前記第一のアダプタ座に固定的に接続され、前記第一の斜面ブロックと前記第二の斜面ブロックは、対向する側にスライド嵌合可能な斜面が設けられ、
前記測距センサは、前記コントローラに通信接続され、前記第一のアダプタ座と前記第二のアダプタ座との間隔を検出するために用いられ、前記第一の駆動モジュールは、前記第二の斜面ブロックに接続され、前記第二の斜面ブロックを移動させるように駆動することにより、前記第一の斜面ブロックを前記斜面に沿ってスライドさせるように駆動するために用いられる、請求項8に記載のリチウム補充機器。
【請求項10】
前記第二の調整コンポーネントは、前記フレームに取り付けられ、かつ前記第一のアダプタ座に接続される第二の駆動モジュールと、前記コントローラに通信接続され、かつ前記第二の駆動モジュールと前記第一のアダプタ座との間に設けられる圧力センサとを含む、請求項8又は9に記載のリチウム補充機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池製造の技術分野に関し、特にリチウム補充機器に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年04月27日に提出された名称が「リチウム補充機器」である中国特許出願202120890273.3の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く、長寿命などの利点を有するので、電気自動車、消費系電子製品などの分野で広く用いられる。リチウムイオン電池は、初めての充電中に、SEI膜(即ち固体電解質膜)が形成されるため、リチウムの一部が消費され、ひいては正極材料であるリチウムの損失を引き起こし、電池の容量が減少され、最終的には初期の効率が低下してしまう。初めての充電中における電池の電池容量の不可逆的な低下を減少させるために、業界では、リチウム補充機器により極板表面にリチウム被覆を行うことが多い。
【0004】
一般的には、リチウム補充後の極板は、巻回プロセスにて電池単体の製造に用いられるが、巻回過程において各タブが一緒に積み重ねられると、タブズレが極めて発生しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例は、タブズレを回避し、電池単体の歩留まりを向上させるためのリチウム補充機器を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本出願の実施例は、以下の技術案を採用する。
【0007】
本出願の実施例は、リチウム膜を極板に被覆させるためのリチウム補充機器であって、
前記リチウム膜を前記極板に被覆させるように前記極板と前記リチウム膜とをロールプレスするための第一のローラと第二のローラとを含むロールプレス機構と、
前記ロールプレス機構に接続され、前記第一のローラと前記第二のローラとの間の隙間及び/又はロール圧力を調整制御するための調整機構と、
前記ロールプレス機構を通過した後の前記極板の長さを検出するための第一の検出機構と、
前記第一の検出機構により測定された長さと目標長さとの比較結果に基づいて、前記ロールプレス機構を通過した後の前記極板の長さが前記目標長さに近づくように前記調整機構を制御するように構成されるコントローラとを含むリチウム補充機器を提供する。
【0008】
本出願の実施例によるリチウム補充機器では、第一の検出機構は、リチウム補充後の極板の長さをリアルタイムで検出することができ、コントローラは、リチウム補充後の極板の長さを目標長さと比較し、第一のローラと第二のローラとの間の隙間及び/又はロール圧力を調整制御して、さらに極板のリチウム補充後の長さが徐々に目標長さに近づくように調整機構をフィードバック制御することができる。本出願の実施例における第一の検出機構は、リチウム補充後の極板の長さを検出し、検出精度が厚さの検出よりも高いので、調整機構によってリチウム補充後の極板の長さを正確に調整して、リチウム補充後の極板の長さを目標長さに近づけることができ、これにより、巻回・積み重ね時に極板のタブズレの発生を回避し、さらに電池単体の歩留まりを向上させることができる。
【0009】
いくつかの実施例では、前記極板には、前記極板の長さ方向に沿って間隔をあけて複数のマーク点が設けられ、前記第一の検出機構は、前記ロールプレス機構を通過した後の隣接する二つの前記マーク点の間の距離を検出するように構成される。このように、第一の検出機構は、隣接する二つのマーク点の間隔を検出することにより、単一の極板ユニットのリチウム補充後の長さを取得することができる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記ロールプレス機構は、前記第一のローラ及び/又は前記第二のローラを駆動するためのサーボモータをさらに含み、
前記第一の検出機構は、
前記極板のテープ走行方向に沿って、前記ロールプレス機構の下流に設けられ、前記マーク点が検出された時に信号を発するように構成される検出ユニットと、
隣接する二つの前記マーク点の間の距離を得るために2回の前記信号の間隔期間における前記サーボモータのエンコーダの位置差分を読み取るための読み取りユニットとを含む。
【0011】
このように、検出ユニットと読み取りユニットとの協働作動により、2回の信号の間隔期間におけるサーボモータの回転ストロークを正確に読み取ることができ、極板がロールプレスされる時にその搬送距離がローラの回転ストロークと相関があり、また、ローラの回転ストロークがサーボモータの回転ストロークと相関があるため、隣接する二つのマーク点の間隔を取得することができる。このような検出方式の検出精度及び検出効率は、いずれも比較的高い。
【0012】
いくつかの実施例では、前記検出ユニットは、前記極板の厚さ方向における両側にそれぞれ位置する発射端と受信端とを含む対向型光電センサであり、前記マーク点は、貫通孔であり、前記発射端から発射される光線は、前記貫通孔を通過して前記受信端に受信される。このように、極板の搬送中に、貫通孔は、発射端と受信端とに対向し、発射端から発射された光線は、貫通孔を介して受信端まで透過することができ、さらに検出ユニットによるマーク点の検出が実現される。
【0013】
いくつかの実施例では、前記リチウム補充機器は、
前記極板のテープ走行方向に沿って、前記ロールプレス機構の上流に設けられ、前記ロールプレス機構を通過する前の前記極板の厚さを検出するための第二の検出機構をさらに含み、
前記コントローラは、前記第二の検出機構に通信接続され、前記第二の検出機構により測定された厚さに基づいて前記目標長さを取得するように構成される。
【0014】
ロールプレス機構によりロールプレスされる前の極板の受入材料の厚さの均一性が比較的良く、即ちロールプレス機構を通過する前の極板の厚さのバラツキが比較的小さいため、第二の検出機構は、極板の受入材料の厚さを正確に検出することができ、さらにコントローラによって対応する目標長さをマッチングさせることができる。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第二の検出機構は、予め設定される単位時間内に、前記ロールプレス機構を通過する前の前記極板の複数の厚さを検出するように構成され、前記コントローラは、前記第二の検出機構により測定された複数の厚さに基づいて、平均厚さを算出し、前記平均厚さに基づいて前記目標長さを取得するように構成される。このように、複数回検出して平均値を求めることにより検出誤差を減少させ、検出の正確性を向上させ、目標長さをより正確にマッチングさせることができる。
【0016】
いくつかの実施例では、前記調整機構は、前記第一のローラと前記第二のローラとの隙間を調整制御するための第一の調整コンポーネントと、前記第一のローラと前記第二のローラとの間のロール圧力を調整制御するための第二の調整コンポーネントとを含み、前記コントローラは、前記第一の検出機構により測定された長さと前記目標長さとの比較結果に基づいて、前記第一の調整コンポーネント及び/又は前記第二の調整コンポーネントを制御するように構成される。このように、調整機構は、第一のローラと第二のローラとの間の隙間とロール圧力を調整する機能を併せ備える。
【0017】
いくつかの実施例では、前記ロールプレス機構は、フレームと、前記フレームに移動可能に設けられる第一のアダプタ座と、前記フレームに固設される第二のアダプタ座とをさらに含み、前記第一のローラは、前記第一のアダプタ座に設けられ、前記第二のローラは、前記第二のアダプタ座に設けられ、
前記第一の調整コンポーネントは、前記第一のローラと前記第二のローラとの隙間を調整制御するために、前記第二のアダプタ座に対して近接又は離間するように前記第一のアダプタ座を駆動可能に構成され、前記第二の調整コンポーネントは、前記第一のローラと前記第二のローラとの間のロール圧力を調整制御するために、前記第一のアダプタ座を介して前記第一のローラに駆動力を付与するように構成される。
【0018】
このように、第一の調整コンポーネントは、第一のアダプタ座と第二のアダプタ座との関係を調整することにより、第一のローラと第二のローラとの隙間を調整制御することができ、第二の調整コンポーネントは、第一のアダプタ座と第二のアダプタ座との関係を調整することにより、第一のローラと第二のローラとの間のロール圧力を調整制御することができる。上記の調整中に、第一のローラと第二のローラの正常な回転に干渉することはない。
【0019】
いくつかの実施例では、前記第一の調整コンポーネントは、第一の駆動モジュールと、第一の斜面ブロックと、第二の斜面ブロックと、測距センサとを含み、
前記第一の斜面ブロックと前記第二の斜面ブロックは、前記第一のアダプタ座と前記第二のアダプタ座との間に設けられ、前記第一の斜面ブロックは、前記第一のアダプタ座に固定的に接続され、前記第一の斜面ブロックと前記第二の斜面ブロックは、対向する側にスライド嵌合可能な斜面が設けられ、
前記測距センサは、前記コントローラに通信接続され、前記第一のアダプタ座と前記第二のアダプタ座との間隔を検出するために用いられ、前記第一の駆動モジュールは、前記第二の斜面ブロックに接続され、前記第二の斜面ブロックを移動させるように駆動することにより、前記第一の斜面ブロックを前記斜面に沿ってスライドさせるように駆動するために用いられる。
【0020】
このように、測距センサは、第一のローラと第二のローラとの間の隙間をリアルタイムで検出することができ、ロールプレス機構による極板のロールプレス時に極板が目標長さに近づくように、コントローラにより閉ループ制御を実現することができる。
【0021】
いくつかの実施例では、前記第二の調整コンポーネントは、前記フレームに取り付けられ、かつ前記第一のアダプタ座に接続される第二の駆動モジュールと、前記コントローラに通信接続され、かつ前記第二の駆動モジュールと前記第一のアダプタ座との間に設けられる圧力センサとを含む。このように、圧力センサは、第一のローラと第二のローラとの間のロール圧力を検出してフィードバックするために用いられ、ロールプレス機構による極板のロールプレス時に極板が目標長さに近づくように、コントローラにより閉ループ制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここに説明される図面は、本出願に対するさらなる理解を与えるために用いられ、本出願の一部を構成しており、本出願の例示的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するために用いられ、本出願に対する不当な限定を構成しない。
図面は、実際の縮尺に応じて描かれたものではない。
【
図1】本出願の実施例に開示されるリチウム補充機器の構造概略図である。
【
図2】
図1のロールプレス機構の作動原理概略図である。
【
図3】本出願の実施例に開示される第一の検出機構の作動原理概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下は、本出願の具体的な実施例及び該当する図面を結び付けながら、本出願の実施例の技術案を明瞭且つ完全に記述する。明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本出願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0024】
特に定義がない限り、本出願で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者が通常理解している意味と同じであり、本出願において、出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためにのみ使用され、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「を有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における用語である「第一の」、「第二の」などは、特定の順序又は主従関係を記述するためではなく、異なる対象を区別するために用いられる。
【0025】
本出願で「実施例」と言及することは、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が、本出願の少なくとも一つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各箇所にこのフレーズが現れるとして、必ずしもいずれも同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と排他的に独立した実施例又は代替の実施例でもない。当業者は、本出願に記述された実施例が他の実施例との組み合わせが可能であると明示的且つ暗黙的に理解している。
【0026】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定又は限定しない限り、用語である「取り付ける」、「繋がる」、「接続」、「装着」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は一体に接続されてもよく、直接に繋がってもよく、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本出願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0027】
本出願における用語である「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを含むことを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0028】
本出願に現れる「複数」とは、二つ以上(二つを含む)であり、同様に、「複数組」とは、2組以上(2組を含む)であり、「複数枚」とは、2枚以上(2枚を含む)である。
【0029】
本出願では、言及される電池は、より高い電圧と容量を提供するために一つ又は複数の電池単体を含む単一の物理モジュールを意味する。例えば、本出願に言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。
【0030】
リチウムイオン電池は、繰り返し充放電機能を実現可能なコア部材が電池単体における電極コンポーネントであり、電極コンポーネントは、正極極板と、負極極板と、セパレータとを含む。リチウムイオン電池は、主にリチウムイオンが正極極板と負極極板との間で移動することにより作動する。
【0031】
そのうち、正極極板は、正極集電体と、正極集電体の表面に塗布された正極活物質層とを含み、正極活物質層がコーティングされていない集電体は、正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極タブとされる。一般的には、リチウムイオン電池では、正極集電体は、アルミニウム箔であってもよく、正極活物質層は、三元リチウム、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム又はリン酸鉄リチウムなどであってもよい。
【0032】
負極極板は、負極集電体と、負極集電体の表面に塗布された負極活物質層とを含み、負極活物質層がコーティングされていない集電体は、負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極タブとされる。一般的には、リチウムイオン電池では、負極集電体は、銅箔であってもよく、負極活物質層は、炭素又はシリコンなどであってもよい。
【0033】
リチウムイオン電池は、初めての充放電中に固体電解質膜が形成され、固体電解質膜は、一部のリチウムを消費し、リチウムの損失をもたらし、さらにリチウムイオン電池容量の損失を招く。リチウムイオン電池の初めての充放電中の活性リチウム損失を補償するために、極板の成形過程において、予め極板の活物質層上に活性リチウムを補充する必要がある。現在、一般的には、リチウム補充機器によって極板表面にリチウム被覆を行うことにより、初めての充電中におけるリチウムイオン電池の容量の不可逆的な低下を減少させ、さらにリチウムイオン電池の容量とサイクル寿命を向上させる。
【0034】
極板のリチウム補充プロセスは、主に、ロールプレスによってリチウムテープを薄く圧延してリチウム膜を形成する圧延プロセスと、ロールプレスによってリチウム膜を極板の表面に被覆させる被覆プロセスとを含む。具体的には、極板の製造プロセスでは、その上のリチウム付着がマイクロメートルオーダーの厚さに達することが要求され、圧延プロセスによりミリメートルオーダーのリチウムテープをマイクロメートルオーダーのリチウム膜に圧延する必要がある。しかし、マイクロメートルオーダーのリチウム膜は、その自身の強度の影響のため、独立してテープとして形成することができなくなり、即ちリチウムテープは薄く圧延される過程でテープ破断という問題が生じる。そのため、リチウムテープを圧延する時には、薄く圧延されたリチウム膜を基材に付着させ、基材を担体としてリチウム膜がテープとして形成できることを確保する必要があり、リチウム膜が付着した基材をリチウム付着基材と呼んでもよい。
【0035】
被覆プロセスでは、極板とリチウム付着基材は、リチウム補充機器におけるロールプレス機構に同時に送り込まれる。リチウム膜と基材との間の接着力がリチウム膜と極板との間の接着力よりも小さいため、ロールプレスされた後に、リチウム膜は極板の表面に付着される。極板のテープ走行に伴い、極板は、リチウム膜に牽引作用を与え、リチウム膜を基材の表面から剥離させる。このように、極板表面へのリチウム膜の被覆プロセスが実現される。
【0036】
従来技術のリチウム補充機器によって極板に対してリチウム補充処理を行った後、リチウム補充後の極板は、後続の巻回・積み重ねの過程においてタブズレの問題がよく発生するが、タブズレは、電池単体の作動性能に深刻な影響を与える。説明すべきこととして、タブは、電池単体と外部とのエネルギー伝達の媒体であるため、極板の成形過程においてタブの整列性を保証する必要がある。上記問題に対して、発明者は、リチウム補充後の極板の厚さを検出し、ロールプレス機構を調整制御することにより、リチウム補充後の極板の厚さを調整し、それによってリチウム補充後の極板の厚さの均一性を保証し、タブズレ問題を改善させる。
【0037】
しかし、上記対処を講じても、リチウム補充後の極板は、巻回・積み重ね時に依然としてタブズレ問題が存在する。更なる検討を経て、発明者は、上記問題は、主にリチウム補充後の極板の厚さのバラツキが比較的大きいため、厚さ検出精度が低いことに起因することを見出した。具体的には、リチウム補充プロセスにおいて、極板とリチウム付着基材がロール圧を受けると、極板は圧力を受けて不均一な伸びが生じ、その厚さ寸法の変化には必然的に不確定性が存在し、さらにその厚さバラツキが大きくなるとともに、リチウム補充後の極板は、ロール圧を受けるため、その表面に微細の縞が形成され、これらの縞も極板の厚さバラツキをさらに悪化させることになる。そのため、リチウム補充後の極板に明らかに大きな厚さバラツキが存在する場合に、リチウム補充後の極板に対して厚さ検出を行うと、必然的に検出精度が低いという問題が存在し、さらにロールプレス機構による、リチウム補充後の極板の寸法調整には極めて大きな誤差が生じ、最終的には依然としてタブズレの問題が存在する。
【0038】
これに基づいて、本出願の実施例は、第一の検出機構を設けて極板のリチウム補充後の長さを検出し、リチウム補充後の極板の長さを目標長さと比較し、比較結果によって調整機構をフィードバック制御して第一のローラと第二のローラとの間の関係を調整制御することにより、極板のリチウム補充後の長さを目標長さに近づけるリチウム補充機器を提供する。本出願の実施例によるリチウム補充機器は、リチウム補充後の極板の長さを直接に検出するので、長さ寸法の検出は、幅寸法の検出のように大きなバラツキが存在しない。このように、リチウム補充後の極板の長さ寸法を正確に検出し、ロールプレス機構によりリチウム補充後の極板の長さ寸法を正確に調整して、タブズレ問題の発生を回避することができる。
【0039】
図1は、本出願の実施例のリチウム補充機器の構造概略図を示した。このリチウム補充機器は、リチウム膜Lを極板Pに被覆させるために用いられ、ロールプレス機構100と、調整機構200と、第一の検出機構300と、コントローラ(図示せず)とを含む。
【0040】
そのうち、ロールプレス機構100は、被覆プロセスを実施するために用いられる。具体的には、ロールプレス機構100は、リチウム膜Lを極板Pに被覆させるように極板Pとリチウム膜Lとをロールプレスするための第一のローラ110と第二のローラ120とを含む。
【0041】
一般的には、このリチウム補充機器は、極板搬送機構とリチウム膜搬送機構とをさらに含み、極板搬送機構は、極板Pを第一のローラ110と第二のローラ120との間に送り込むために用いられ、リチウム膜搬送機構は、第一のローラ110と第二のローラ120による極板Pとリチウム付着基材へのロールプレスが可能になるように、リチウム付着基材を第一のローラ110と第二のローラ120との間に送り込むことにより、リチウム膜Lと極板Pがロールプレスされる時に被覆を実現するために用いられる。
【0042】
図2は、
図1のロールプレス機構100の作動原理概略図を示した。
図2に示すように、リチウム付着基材におけるリチウム膜Lを極板Pの表面に円滑に付着させるために、一般的には、極板Pの表面粗さが基材Mの表面粗さよりも大きくなるように設けられる。このように、リチウム膜Lと基材Mとの間の接着力は、リチウム膜Lと極板Pとの間の接着力よりも小さくなり、ロールプレスされた後に、リチウム膜Lは極板Pの表面に付着される。極板Pのテープ走行に伴い、極板Pは、リチウム膜Lに牽引作用を与え、リチウム膜Lを基材Mの表面から剥離させ、さらにリチウム膜Lの極板P表面への被覆が実現される。無論、他の実施の形態では、例えば極板Pとリチウム付着基材のテープ走行速度又は第一のローラ110と第二のローラ120のロール圧力などのパラメータを調整することにより、リチウム膜Lと基材Mとの間の接着力がリチウム膜Lと極板Pとの間の接着力よりも小さくなるようにしてもよい。
【0043】
図1に示すように、極板搬送機構は、一般的には、極板Pをセットするための極板巻出しローラ500と極板巻取りローラ600とを含んでもよく、極板Pは、極板巻出しローラ500と極板巻取りローラ600に巻回して設けられてもよい。極板Pの搬送方向に合わせるために、極板Pのテープ走行方向に沿って、極板巻出しローラ500は、ロールプレス機構100の上流に設けられ、極板巻取りローラ600は、ロールプレス機構100の下流に設けられる。
【0044】
説明すべきこととして、極板Pは、テープ走行時に極板巻出しローラ500により巻出され、ロールプレス機構100を通過して極板巻取りローラ600に搬送される。極板巻出しローラ500とロールプレス機構100と極板巻取りローラ600は、いずれも極板Pのテープ走行方向上に位置し、上流と下流とは、加工手順の前後関係である。例えば、極板巻出しローラ500がロールプレス機構100の上流に位置し、極板巻取りローラ600がロールプレス機構100の下流に位置するとは、加工手順に従って、極板Pが、まず極板巻出しローラ500により巻出され、そしてロールプレス機構100によってロールプレスされた後、さらに極板巻取りローラ600により巻取られることである。
【0045】
極板Pのテープ走行方向に沿って、リチウム膜搬送機構は、ロールプレス機構100の下流に設けられた基材巻取りローラ700を含んでもよい。基材Mは、基材巻取りローラ700に巻回して接続され、基材巻取りローラ700は、基材Mに巻取り作用を与えるとともに、リチウム付着基材全体に対して牽引作用を与えることにより、リチウム付着基材が円滑に搬送される。無論、極板Pのテープ走行方向に沿って、リチウム膜搬送機構は、ロールプレス機構100の上流に設けられた基材巻出しローラ800をさらに含んでもよく、基材巻取りローラ700と基材巻出しローラ800は、共にリチウム付着基材のセット基盤となり、基材巻取りローラ700と基材巻出しローラ800の位置に基づいて、リチウム付着基材のレイアウト位置を調整することができ、リチウム付着基材が搬送中に極板Pと干渉することを回避することができる。
【0046】
調整機構200は、リチウム補充後の極板Pの長さが目標長さに近づくように、リチウム補充処理後の極板Pの長さを調整するために用いられる。具体的には、この調整機構200は、ロールプレス機構100に接続され、第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間及び/又はロール圧力を調整制御するために用いられる。
【0047】
理解すべきこととして、本出願の実施例では、調整機構200は、第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間又はロール圧力を調整制御する機能のみを備えてもよく、第一のローラと第二のローラ120との間の隙間とロール圧力を調整制御する機能を併せ備えてもよい。
【0048】
調整機構200により第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間を調整制御することにより、第一のローラ110と第二のローラ120との間の極板Pとリチウム膜Lとを通過させるための通行空間の大きさを変化させることができる。上記隙間が小さく調整されると、リチウム被覆後の極板Pがより薄く圧延されるため、リチウム補充後の極板Pの長さが増加することになる。上記隙間が大きく調整されると、リチウム被覆後の極板Pがより厚く圧延されるため、リチウム補充後の極板Pの長さが減少することになる。
【0049】
調整機構200により第一のローラ110と第二のローラ120との間のロール圧力を調整制御することにより、極板Pとリチウム膜Lとが受けるロールプレス効果を変化させることができる。上記ロール圧力が小さく調整されると、極板Pとリチウム膜Lとが受けるロールプレス作用が減少するため、リチウム被覆後の極板Pがより厚くなり、リチウム補充後の極板Pの長さが減少することになる。上記ロール圧力が大きく調整されると、極板Pとリチウム膜Lとが受けるロールプレス作用が増大するため、リチウム被覆後の極板Pがより薄くなり、リチウム補充後の極板Pの長さが増加することになる。
【0050】
前述と組み合わせて、本出願の実施例の調整機構200は、前記内容において、リチウム膜Lと基材Mとの間の接着力、及びリチウム膜Lと極板Pとの間の接着力を調整するための機能を兼ね備えてもよい。
【0051】
第一の検出機構300は、ロールプレス機構100を通過した後の極板Pの長さ、即ちリチウム補充後の極板Pの長さを検出するために用いられる。
【0052】
コントローラは、このリチウム補充機器における各構成部分の閉ループ制御機能を実現するために用いられる。具体的には、コントローラは、第一の検出機構300と調整機構200とにそれぞれ通信接続されることにより、第一の検出機構300及び調整機構200との通信インタラクションを実現することができる。
【0053】
それに加えて、コントローラは、第一の検出機構300により測定された長さと目標長さとの比較結果に基づいて、ロールプレス機構100を通過した後の極板Pの長さが目標長さに近づくように調整機構200を制御するように構成される。具体的な作動過程において、第一の検出機構300は、検出されたリチウム補充後の極板Pの長さをコントローラにフィードバックし、コントローラは、第一の検出機構300により測定された長さを目標長さと比較することができる。第一の検出機構300により測定された長さが目標長さよりも大きければ、コントローラは、調整機構200を制御してリチウム補充後の極板Pの長さを減少させるように調整制御し、第一の検出機構300により測定された長さが目標長さよりも小さければ、コントローラは、調整機構200を制御してリチウム補充後の極板Pの長さを増加させるように調整制御する。
【0054】
第一の検出機構300は、リチウム補充後の極板Pの長さをリアルタイムで検出し、コントローラによる、第一の検出機構300により測定された長さと目標長さとの比較処理及び調整機構200に対する制御はいずれも継続して行われるので、このリチウム補充機器における各構成部分の閉ループ制御機能が実現される。上記の調整過程において、調整機構200は、直前の極板ユニットのリチウム補充後の長さに基づいて、その次の極板ユニットに対するロールプレス処理パラメータを補正して、さらに後続の極板Pの受入材料が調整機構200による絶え間ない補正の調整過程においてそのリチウム補充後の長さが徐々に目標長さに近づくことを確保することができる。
【0055】
説明すべきこととして、極板Pは、一般的には、巻回機により裁断されて独立した極板ユニットとして成形される。裁断の前に、極板Pの長さが比較的長く、第一の検出機構300により測定された長さは、一つの極板ユニットとして成形される部分の長さであり、目標長さは、一つの極板ユニットとして成形される部分の経験値長さ又は性能に比較的優れた長さである。後続の記述を容易にするために、本出願の実施例では、極板Pに対するパラメータ検出は、いずれも極板ユニット単位を基本とする。
【0056】
本出願の実施例では、第一の検出機構300は、リチウム補充後の極板Pの長さを検出する。極板Pの長さ寸法はその厚さ寸法よりもはるかに大きく、極板Pの長さ寸法の変化状況はその厚さ寸法の変化状況よりも直感的であるため、リチウム補充後の極板Pの長さの検出難易度はより小さく、検出精度は必然的により高くなり、このように、検出時に比較的大きな誤差が生じることを回避することができる。第一の検出機構300により取得されたデータがより正確である場合に、コントローラは、このデータに基づいて目標長さと正確に比較し、さらに調整機構200へより正確な調整命令を下達することができる。
【0057】
それと同時に、コントローラの制御下で、調整機構200は、後続の極板Pの受入材料をリチウム補充後の長さが目標長さに近づくように調整する。目標長さが通常一致しているため、このようにこのリチウム補充機器によるリチウム補充後の極板Pにおける一つの極板ユニットとして成形される部分の長さもほぼ等しく、明らかな長さ寸法の伸び差が存在しなくなるので、後続の巻回・積み重ね過程における極板Pのタブ整列の実現を確保し、タブズレを回避することができる。
【0058】
説明すべきこととして、各極板ユニットの寸法はほぼ同じであるため、極板ユニットとして成形される各部分の長さがすべて目標長さに近づくことを前提に、その厚さ寸法がタブズレ問題の原因となる影響は極めて小さい。本出願の実施例では、コントローラの具体的なタイプを限定せず、例えば、PLC(即ちProgrammable Logic Controller、プログラマブル論理コントローラ)、産業用PCなどであってもよい。
【0059】
上述の説明から分かるように、本出願の実施例によるリチウム補充機器では、第一の検出機構300は、リチウム補充後の極板Pの長さをリアルタイムで検出することができ、コントローラは、リチウム補充後の極板Pの長さを目標長さと比較し、第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間及び/又はロール圧力を調整制御して、さらに極板Pのリチウム補充後の長さが徐々に目標長さに近づくように調整機構200をフィードバック制御することができる。本出願の実施例における第一の検出機構300は、リチウム補充後の極板Pの長さを検出し、検出精度が厚さの検出よりも高いので、調整機構200によってリチウム補充後の極板Pの長さを正確に調整して、リチウム補充後の極板Pの長さを目標長さに近づけることができ、これにより、巻回・積み重ね時に極板Pのタブズレの発生を回避し、さらに電池単体の歩留まりを向上させることができる。
【0060】
極板Pのリチウム補充プロセスは、極板Pの使用時の性能品質を確保するために、極板Pの両面に対してリチウム被覆を行う必要がある。一般的には、
図1と
図2に示すように、本出願の実施例のリチウム補充機器は、両面リチウム被覆機能を備え、この場合、このリチウム補充機器は、2組のリチウム膜搬送機構を含んでもよく、2組のリチウム膜搬送機構は、それぞれ極板Pの両側表面に対応してリチウム付着基材を搬送し、2組のリチウム付着基材と極板Pがロールプレス機構100を通過すると、極板Pの両側表面には、いずれもリチウム膜Lが被覆される。
【0061】
無論、本出願の実施例では、このリチウム補充機器による極板Pに対する具体的なリチウム補充方式を限定せず、片面リチウム被覆機能のみを備えてもよく、この場合、このリチウム補充機器は、1組のリチウム膜搬送機構のみを含み、リチウム膜搬送機構は、極板Pの一方の表面にリチウム付着基材を搬送し、リチウム付着基材と極板Pがロールプレス機構100を通過すると、極板Pは、一方の表面のみにリチウム膜Lが被覆される。この実施の形態では、片側にリチウムが被覆された極板Pに対して両側リチウム被覆を実現するために、極板Pのリチウムが被覆されていない一方の表面をリチウム膜搬送機構に向かってロールプレス機構100に再び送り込み、2回のリチウム被覆によって、極板Pの両面リチウム被覆を実現することができる。又は、極板Pの製造ラインは、二つの本出願の実施例のリチウム補充機器を含み、二つのリチウム補充機器は、それぞれ極板Pの両側表面に対応してリチウム被覆を行う。
【0062】
本出願の実施例では、リチウム補充後の極板Pの長さを検出する具体的な方式を限定しない。例えば、第一の検出機構300は、タブの幅とタブの間隔を測定することにより、両者の和を極板Pの長さとしてもよいが、このような検出方式は、煩雑であり、検出効率が比較的低い。
【0063】
図3は、本出願の実施例の第一の検出機構300の作動原理概略図を示した。リチウム補充後の極板Pの長さの測定を容易にするために、本出願の実施例では、
図3に示すように、極板Pには、極板Pの長さ方向に沿って間隔をあけて複数のマーク点P1が設けられ、第一の検出機構300は、ロールプレス機構100を通過した後の隣接する二つのマーク点P1の間の距離を検出するように構成されてもよい。理解すべきこととして、この実施の形態では、隣接する二つのマーク点P1は、極板Pに予め設定される単一の極板ユニットの長さ領域を識別するために用いられ、後にマーク点P1にて極板Pを裁断することで極板ユニットが得られる。このような場合に、隣接する二つのマーク点P1の間隔は、単一の極板ユニットの長さを表し、基準となるマーク点P1の作用に基づいて、第一の検出機構300は、リチウム補充後の極板Pの長さを円滑に検出することができる。
【0064】
本出願の実施例では、第一の検出機構300がリチウム補充後の極板Pの長さを検出する方式は、複数あり、即ち本出願の実施例では、第一の検出機構300の具体的なタイプを限定しない。例えば、第一の検出機構300は、CCDカメラ(即ちcharge coupled device camera、イメージセンサカメラ)であってもよく、CCDカメラによりリチウム補充後の極板Pの画像を撮影することにより、カメラシステムは、画像のうちの測定対象領域における隣接する二つのマーク点P1の間隔を算出し、リチウム補充後の極板Pの長さデータを生成することができる。
【0065】
別の具体的な実施の形態では、本出願の実施例のロールプレス機構100は、第一のローラ110及び/又は第二のローラ120を駆動するためのサーボモータをさらに含んでもよく、第一の検出機構300は、極板Pのテープ走行方向に沿って、ロールプレス機構100の下流に設けられ、マーク点P1が検出された時に信号を発するように構成される検出ユニットと、隣接する二つのマーク点P1の間の距離を得るために2回の信号の間隔期間におけるサーボモータのエンコーダの位置差分を読み取るための読み取りユニット(図示せず)とを含む。
【0066】
説明すべきこととして、本出願の実施例では、サーボモータの設置数を限定せず、第一のローラ110又は第二のローラ120を駆動するためのサーボモータを一つだけ設置してもよく、かつこのサーボモータは、読み取りユニットと協働して、隣接する二つのマーク点P1の間の距離を表し、サーボモータによって駆動されていないローラは、他の駆動構造によって駆動されてもよい。サーボモータは、二つ設置されてもよく、二つのサーボモータは、それぞれ第一のローラ110と第二のローラ120を駆動し、読み取りユニットは、そのうちの一つのサーボモータのエンコーダのデータを読み取って隣接する二つのマーク点P1の間の距離を表してもよい。
【0067】
具体的には、極板Pがロールプレス機構100を通過してテープ走行を行うため、極板Pの搬送速度とローラエッジの線速度とは同速であり、検出ユニットにより測定された2回の信号の間隔期間において、ローラ(第一のローラ110及び/又は第二のローラ120)の回転ストロークは、隣接する二つのマーク点P1の間の距離となる。ローラがサーボモータによって駆動されるため、ローラの回転ストロークは、サーボモータの回転ストロークと相関があり、サーボモータの回転ストロークに基づいて、サーボモータとローラとのギヤ比関係と合わせて、ローラの回転ストロークを得ることができる。
【0068】
それと同時に、サーボモータのエンコーダは、サーボモータの回転時の角変位を検出することができ、2回の信号の間隔期間における位置差分を算出することにより、サーボモータの回転ストロークが得られ、前述と組み合わせて、ローラの回転ストロークが得られ、さらに隣接する二つのマーク点P1の間の距離を表すことができる。
【0069】
上記実施の形態では、エンコーダによりサーボモータ回転の角変位の検出データをもとに直接算出を行い、得られた隣接する二つのマーク点P1の間の距離はより正確なものになり、第一の検出機構300の検出精度と検出効率を向上させた。
【0070】
本出願の実施例では、検出ユニットのタイプは、複数であってもよい。例えば、検出ユニットは、近接スイッチであってもよく、極板P上のマーク点P1は、トリガー構造となり、検出ユニットがマーク点P1に近接すると、検出ユニットは、応答して信号を発する。近接スイッチは、容量式の近接スイッチ、電磁式の近接スイッチ、赤外線誘導式の近接スイッチなどであってもよい。
【0071】
図1と
図3に示すように、別の具体的な実施の形態では、本出願の実施例の検出ユニットは、極板Pの厚さ方向における両側にそれぞれ位置する発射端と受信端とを含む対向型光電センサであり、マーク点P1は、貫通孔であり、発射端から発射される光線は、貫通孔を通過して受信端に受信されるようにしてもよい。
【0072】
理解すべきこととして、発射端は、光線を発射することができ、光線は受信端に向かって投射されてもよく、無論、受信端は、光線受信を実現するために、発射端から発射される光線の伝播経路上に配置される必要があり、このようにして、対向型光電センサにおける検出回路が信号を検出することができる。一般的には、光線は、極板Pに遮断されるため、受信端に投射されにくく、検出回路により信号を検出することが困難となり、このような状態は、極板Pが、そのマーク点P1が発射端と受信端とに対向する位置まで搬送されるまで続き、極板Pがこの位置に搬送された時、マーク点P1が貫通孔であるため、光線は貫通孔を通過して受信端に投射されることができ、隣接する二つのマーク点P1にて検出回路が2回オンされるので、2回の信号を検出することができる。
【0073】
説明すべきこととして、上記マーク点P1が貫通孔である実施の形態では、リチウム膜Lは、貫通孔で光線の通過を妨げることはない。具体的には、タブ上に貫通孔が開設されている場合、リチウム膜Lは、タブ上に被覆されないため、光線の伝播に影響を与えない。極板Pの本体部分に貫通孔が開設されている場合、リチウム膜Lと極板Pとがロール圧を受けてリチウム被覆が実現される時、マーク点P1が貫通孔であるため、貫通孔の領域はリチウム膜Lに貼り合わせることができず、貫通孔に対応するリチウム膜Lは、依然として基材Mに付着し、基材Mとこの部分のリチウム膜Lとに接着作用が存在するため、リチウム補充後の極板P上の貫通孔であっても依然として露出状態であり、光線の伝播に影響を与えない。
【0074】
本出願の実施例では、リチウム補充後の極板Pの目標長さを決定する方式は、複数あり、例えば、目標長さの経験値をコントローラに直接入力してもよい。しかし、上記経験的な目標長さを採用した場合、実際の極板Pの受入材料を基に得られたものではないため、このように、リチウム補充後の極板Pに対して長さ調整制御を行う時に、偏差が生じやすく、さらに極板Pの性能品質に影響を与える。
【0075】
これに基づいて、本出願の実施例のリチウム補充機器は、極板Pのテープ走行方向に沿って、ロールプレス機構100の上流に設けられ、ロールプレス機構100を通過する前の極板Pの厚さを検出するための第二の検出機構400をさらに含んでもよい。コントローラは、第二の検出機構400に通信接続され、第二の検出機構400により測定された厚さに基づいて目標長さを取得するように構成される。
【0076】
具体的には、第二の検出機構400は、極板Pのリチウム補充前の厚さを検出することができ、かつ第二の検出機構400は、コントローラと通信インタラクションを行うことができ、検出された厚さをコントローラにフィードバックすることができ、コントローラは、内部アルゴリズムに基づいて目標長さをマッチングして算出することができる。
【0077】
極板Pの受入材料は、ロールプレス機構100のロールプレス作用を受けていないため、その厚さ均一性が良く、即ち極板Pの受入材料の厚さバラツキが比較的小さい。このような場合、第二の検出機構400の検出精度が比較的高く、第二の検出機構400により測定された厚さにマッチングされる目標長さもより正確なものになるとともに、この実施の形態における目標長さは、実際の極板Pの受入材料の寸法パラメータのマッチングにより得られるものであるので、リチウム補充後の長さの調整制御を行う時に偏差が生じず、極板Pの性能品質を確保した。
【0078】
本出願の実施例では、第二の検出機構400の具体的なタイプを限定せず、レーザ厚さセンサ、超音波厚さセンサ、磁気厚さセンサなどであってもよい。
【0079】
さらに、本出願の実施例の第二の検出機構400は、予め設定される単位時間内に、ロールプレス機構100を通過する前の極板Pの複数の厚さを検出するように構成され、コントローラは、第二の検出機構400により測定された複数の厚さに基づいて、平均厚さを算出し、平均厚さに基づいて目標長さを取得するように構成される。理解すべきこととして、第二の検出機構400は、予め設定される単位時間内に、複数の極板ユニットのリチウム補充前の厚さを検出することができ、コントローラは、複数の極板ユニットのリチウム補充前の厚さデータに基づいて平均厚さを算出する。第二の検出機構400は、検出時に常に微小な誤差が存在するが、本実施の形態では、複数回検出して平均値を求めることにより検出誤差を減少させ、このようにして検出の正確性を向上させ、目標長さをより正確にマッチングさせることができる。
【0080】
本出願の実施例では、予め設定される単位時間の具体的な取り値を制限せず、1s、10sなどであってもよい。
【0081】
図1に示すように、調整機構200に第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間とロール圧力を調整制御する機能を併せ持たせるために、本出願の実施例の調整機構200は、第一のローラ110と第二のローラ120との隙間を調整制御するための第一の調整コンポーネント210と、第一のローラ110と第二のローラ120との間のロール圧力を調整制御するための第二の調整コンポーネント220とを含み、コントローラは、第一の検出機構300により測定された長さと目標長さとの比較結果に基づいて、第一の調整コンポーネント210及び/又は第二の調整コンポーネント220を制御するように構成されてもよい。
【0082】
理解すべきこととして、本出願の実施例による調整機構200は、第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間又はロール圧力に対する調整制御を選択的に実現してもよい。無論、第一の調整コンポーネント210と第二の調整コンポーネント220とを同時に制御して、第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間とロール圧力を調整制御してもよい。
【0083】
一般的には、
図1に示すように、ロールプレス機構100は、フレーム130と、フレーム130に移動可能に設けられる第一のアダプタ座140と、フレーム130に固設される第二のアダプタ座150とをさらに含み、第一のローラ110は、第一のアダプタ座140に設けられ、第二のローラ120は、第二のアダプタ座150に設けられるようにしてもよい。具体的には、第一のアダプタ座140は、第一のローラ110の取付ベースであり、第一のローラ110は、第一のアダプタ座140に回転嵌合され、通常、軸受を介して両者の回転嵌合が実現され、このようにして、第一のローラ110は干渉されることなく円滑に回転を実現することができる。第二のアダプタ座150は、第二のローラ120の取付ベースであり、第二のローラ120は、第二のアダプタ座150に回転嵌合され、通常、軸受を介して両者の回転嵌合が実現され、このようにして、第二のローラ120は干渉されることなく円滑に回転を実現することができる。第一のアダプタ座140は、フレーム130に対して移動可能であるため、即ち第一のアダプタ座140は、第二のアダプタ座150に対して移動可能であり、さらに第一のローラ110が第二のローラ120に対して移動可能になり、このようにして、第一のローラ110と第二のローラ120との間の関係を調整制御することができる。
【0084】
それに加えて、第一の調整コンポーネント210は、第一のローラ110と第二のローラ120との隙間を調整制御するために、第二のアダプタ座150に対して近接又は離間するように第一のアダプタ座140を駆動可能に構成され、第二の調整コンポーネント220は、第一のローラ110と第二のローラ120との間のロール圧力を調整制御するために、第一のアダプタ座140を介して第一のローラ110に駆動力を付与するように構成される。具体的には、このような場合に、第一の調整コンポーネント210が、第二のアダプタ座150に向かって移動するように第一のアダプタ座140を駆動すると、第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間を小さく調整することができ、第一の調整コンポーネント210が、第二のアダプタ座150から離間して移動するように第一のアダプタ座140を駆動すると、第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間を大きく調整することができる。第二の調整コンポーネント220が第一のアダプタ座140を介して第一のローラ110に第二のローラ120に向かう駆動力を付与すると、第一のローラ110と第二のローラ120との間のロール圧力を大きく調整することができ、第二の調整コンポーネント220が第一のアダプタ座140を介して第一のローラ110に第二のローラ120から離反する駆動力を付与すると、第一のローラ110と第二のローラ120との間のロール圧力を小さく調整することができる。
【0085】
無論、第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間とロール圧力の調整制御については、第一の検出機構300により測定された長さと目標長さとの比較結果に基づいて具体的に実施する必要がある。
【0086】
図1に示すように、本出願の実施例の第一の調整コンポーネント210は、第一の駆動モジュール211と、第一の斜面ブロック212と、第二の斜面ブロック213と、測距センサ214とを含んでもよい。
【0087】
そのうち、第一の斜面ブロック212と第二の斜面ブロック213は、第一のアダプタ座140と第二のアダプタ座150との間に設けられ、第一の斜面ブロック212は、第一のアダプタ座140に固定的に接続され、第一の斜面ブロック212と第二の斜面ブロック213は、対向する側にスライド嵌合可能な斜面が設けられ、測距センサ214は、コントローラに通信接続され、第一のアダプタ座140と第二のアダプタ座150との間隔を検出するために用いられ、第一の駆動モジュール211は、第二の斜面ブロック213に接続され、第二の斜面ブロック213を移動させるように駆動することにより、第一の斜面ブロック212を斜面に沿ってスライドさせるように駆動するために用いられる。
【0088】
具体的には、第一の駆動モジュール211は、第二の斜面ブロック213を駆動して移動させる時、第二の斜面ブロック213を第一の斜面ブロック212に対して移動させることができ、かつ両者の相対的な移動は、斜面に沿って行われる相対的なスライドであり、斜面の案内作用により、第二の斜面ブロック213の水平スライドを第一の斜面ブロック212の上下スライドに変換することができる。無論、本出願の実施例では、第一の斜面ブロック212と第二の斜面ブロック213の具体的なスライド方向を限定せず、第二の斜面ブロック213の水平に沿うスライド、及び第一の斜面ブロック212の上下に沿うスライドは、この実施の形態において例示的な説明に過ぎない。
【0089】
第一の斜面ブロック212が第一のアダプタ座140に固定的に接続されるため、第一の斜面ブロック212が第二の斜面ブロック213によってスライドされる時、第一のアダプタ座140は、第二のアダプタ座150に対して移動し、さらに第一のローラ110と第二のローラ120との間の隙間の調整制御が実現される。通常、第二の斜面ブロック213は、第二のアダプタ座150上にスライド可能に設けられるが、本出願の実施例では、第二の斜面ブロック213の設置位置を限定せず、例えば第二の斜面ブロック213は、フレーム130上にスライド可能に設けられてもよい。
【0090】
測距センサ214は、第一のアダプタ座140と第二のアダプタ座150との間隔を検出することにより、第一のローラ110と第二のローラ120との間隔を表す。また、測距センサ214は、コントローラとの通信インタラクションが可能で、第一のローラ110と第二のローラ120との間隔のデータをコントローラにフィードバックして、このリチウム補充機器の閉ループ制御機能を強化させることができる。
【0091】
本出願の実施例では、第一の駆動モジュール211のタイプは、複数であってもよい。例えば、第一の駆動モジュール211は、油圧伸縮機構、空気圧伸縮機構、リニアモータなどであってもよく、第一の駆動モジュール211は、第二の斜面ブロック213を直接駆動してスライドさせるものであってもよい。
【0092】
第一の駆動モジュール211による第二の斜面ブロック213に対する駆動の安定性と精度を向上させるために、スクリューロッド215を介して第一の駆動モジュール211と第二の斜面ブロック213とを接続してもよく、第一の駆動モジュール211は、スクリューロッド215を駆動して回転させ、第二の斜面ブロック213は、スクリューロッド215に嵌合される。この場合、第一の駆動モジュール211は、通常のモータである。
【0093】
上記のタイプに加えて、本出願の実施例の第一の調整コンポーネント210は、他のタイプであってもよい。例えば、第一の調整コンポーネント210は、駆動構造のみを含み、駆動構造は、第一のアダプタ座140に直接接続され、第一のローラ110を駆動して第二のローラ120に対して移動させる。
【0094】
図1に示すように、本出願の実施例の第二の調整コンポーネント220は、フレーム130に取り付けられ、かつ第一のアダプタ座140に接続される第二の駆動モジュール221と、コントローラに通信接続され、かつ第二の駆動モジュール221と第一のアダプタ座140との間に設けられる圧力センサ222とを含んでもよい。
【0095】
具体的には、ニュートンの第3法則によれば、力の作用は相互であり、極板Pが第一のローラ110と第二のローラ120との間で受けるロールプレス作用には反力が存在して圧力センサ222に伝達されるため、圧力センサ222により、極板Pが受けるロール圧力の大きさを検出することができる。それと同時に、圧力センサ222は、コントローラと通信インタラクションすることができ、第一のローラ110と第二のローラ120による極板Pに対するロール圧力をコントローラにフィードバックして、このリチウム補充機器の閉ループ制御機能を強化させることができる。
【0096】
本出願の実施例では、第二の駆動モジュール221のタイプは、複数あってもよく、例えば油圧シリンダ、電気シリンダなどであってもよい。無論、本出願の実施例では、第二の調整コンポーネント220の具体的なタイプを限定せず、例えば第二の調整コンポーネント220は、第一のアダプタ座140に駆動力を付与する駆動構造のみを含んでもよい。
【0097】
説明すべきこととして、第二のアダプタ座150により、第二のローラ120は、フレーム130に対して固定的に設けられる。第一のローラ110が移動する時に第二のローラ120に対して近接又は離反することを確保するために、通常、第一のアダプタ座140は、第一のローラ110の移動軌跡を拘束するために、予め設定される軌道上をスライドするように設けられる。
【0098】
最後に説明すべきこととして、以上の各実施例が本出願の技術案を説明するためにのみ使用されるが、それに限定されるものではない。前記各実施例を参照しながら本出願を詳細に説明したが、当業者は、依然として前記各実施例に記載された技術案を修正し、又はその一部又は全ての技術特徴に均等の置き換えを行うことができるが、これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神と範囲から逸脱させるものではないことは理解すべきである。
【符号の説明】
【0099】
100 ロールプレス機構
110 第一のローラ
120 第二のローラ
130 フレーム
140 第一のアダプタ座
150 第二のアダプタ座
200 調整機構
210 第一の調整コンポーネント
211 第一の駆動モジュール
212 第一の斜面ブロック
213 第二の斜面ブロック
214 測距センサ
215 スクリューロッド
220 第二の調整コンポーネント
221 第二の駆動モジュール
222 圧力センサ
300 第一の検出機構
400 第二の検出機構
500 極板巻出しローラ
600 極板巻取りローラ
700 基材巻取りローラ
800 基材巻出しローラ
L リチウム膜
M 基材
P 極板
P1 マーク点
【国際調査報告】