(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】光起電性モジュールに使用するための改良された太陽電池ストリング
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20230623BHJP
【FI】
H01L31/04 570
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566205
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2021060925
(87)【国際公開番号】W WO2021219599
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518116503
【氏名又は名称】マイヤー・バーガー・(スウィツァーランド)・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ストラム,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】パペ,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】グリシュケ,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】フラメルスベルガー,ヴァルター
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151EA02
5F151EA05
5F151EA17
5F151EA19
5F151FA13
5F151FA15
(57)【要約】
本発明は、光起電性モジュール用の太陽電池ストリング(1)に関する。当該太陽電池ストリング(1)は、(i)互いに逆極性で向かい合っており、かつ、複数の太陽電池(2a、2b、2c)が部分的に重なり合った箇所の有無にかかわらずストリング方向に屋根板状配列された、複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)のストリングと、(ii)少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)であって、ストリング方向に屋根板状配列された複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の正極および負極を、複数の前記太陽電池の互い違いになった上面上および底面上において機械的かつ電気的に接続するための、ある太陽電池の一方の側から隣の太陽電池(2a、2b、2c)の反対の側へストリング方向に延在する、少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)と、(iii)任意選択的に熱接着箔(4a、4b)である、少なくとも2つの接着剤であって、少なくとも1つの細長い前記相互接続部(3a、3b)と、細長い前記相互接続部を含む各太陽電池の前記上面または前記底面の少なくとも一部と、を覆う、少なくとも2つの接着剤(4a、4b)と、を含み、(a)屋根板状配列された複数の前記太陽電池間に水平方向のギャップがなく、(b)複数の前記接着剤(4a、4b)は、互いに接触しておらず、かつ、1つの太陽電池を越えて延在せず、かつ、複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の任意選択的な部分的に重なり合った前記箇所内に延在せず、かつ、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を少なくとも部分的に覆って、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)に機械的に固着している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電性モジュールに使用するための太陽電池ストリング(1)であって、
(i)互いに逆極性で向かい合っており、かつ、複数の太陽電池(2a、2b、2c)が部分的に重なり合った箇所の有無にかかわらずストリング方向に屋根板状配列された、少なくとも2つの前記太陽電池(2a、2b、2c)のストリングと、
(ii)任意選択的にワイヤ、リボンまたはバスバーである、少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)であって、ストリング方向に屋根板状配列された複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の正極および負極を、複数の前記太陽電池の互い違いになった上面上および底面上において機械的かつ電気的に接続するための、ある太陽電池の一方の側から隣の太陽電池(2a、2b、2c)の反対の側へストリング方向に延在する、少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)と、
(iii)任意選択的に熱接着箔である、少なくとも2つの接着剤(4a、4b)であって、少なくとも1つの細長い前記相互接続部(3a、3b)と、細長い前記相互接続部を含む各太陽電池の前記上面または前記底面の少なくとも一部と、を覆う、少なくとも2つの接着剤(4a、4b)と、
を含み、
(a)屋根板状配列された複数の前記太陽電池間に水平方向のギャップがなく、
(b)複数の前記接着剤(4a、4b)は、互いに接触しておらず、かつ、1つの太陽電池を越えて延在せず、かつ、複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の任意選択的な部分的に重なり合った前記箇所内に延在せず、かつ、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を少なくとも部分的に覆って、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)に機械的に固着している、太陽電池ストリング(1)。
【請求項2】
屋根板状配列された複数の前記太陽電池は、少なくとも部分的に重なり合っており、
前記相互接続部(3a、3b)は、重なり合った領域において、複数の前記太陽電池のうちの少なくとも一方または両方の太陽電池に固着されていない、請求項1に記載の太陽電池ストリング(1)。
【請求項3】
屋根板状配列された複数の前記太陽電池は、重なり合っていない、請求項1に記載の太陽電池ストリング(1)。
【請求項4】
任意選択的にワイヤ、リボンまたはバスバーである、少なくとも1つの細長い前記相互接続部(3a、3b)はさらに、各太陽電池上のすべての接点構造体を接続しており、前記接点構造体は、任意選択的に、接点フィンガである、請求項1~3のいずれか一項に記載の太陽電池ストリング(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの細長い前記相互接続部(3a、3b)の高さまたは直径は、前記太陽電池ストリング(1)内の隣り合う太陽電池の最小垂直方向オフセットを決定しており、前記最小垂直方向オフセットは、任意選択的に、ギャップ(5)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の太陽電池ストリング(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)は、バスバー、リボンおよび金属ワイヤからなる群から選択され、
前記金属ワイヤは、任意選択的に、はんだ付け可能な材料で被覆された金属ワイヤであり、
前記はんだ付け可能な材料は、任意選択的に、Ag、Cu、Bi、In、Pb、Snおよびこれらの組み合わせを含有するはんだであり、
Ag、Cu、Bi、In、Pb、Snおよびこれらの組み合わせを含有する前記はんだは、任意選択的に、SnBi含有はんだ、または、In含有はんだである、請求項1~5のいずれか一項に記載の太陽電池ストリング(1)。
【請求項7】
前記相互接続部(3a、3b)は、前記太陽電池上の導電層に機械的かつ電気的に接触している、請求項1~6のいずれか一項に記載の太陽電池ストリング(1)。
【請求項8】
複数の前記接着箔(4a、4b)は、ポリマー箔であるか、または、ポリマー箔を含み、
前記ポリマー箔は、任意選択的に、デュロプラスト、任意選択的に、EVA(エチレン酢酸ビニル)、TPSE(熱可塑性シリコーンエラストマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TPO(熱可塑性ポリフィンエラストマー)、イオノマー、サーモプラスト;任意選択的に、PVB(ポリビニルブチラール)、シリコーン、ポリオレフィン(PO)、PP(ポリプロピレン);および、サーモデュロプラストの組み合わせからなる群から選択され、
前記ポリマー箔は、任意選択的に、50~250℃の温度範囲内、任意選択的に、60~200℃の温度範囲内、任意選択的に、75~175℃の温度範囲内において、熱接着性を有するポリマー箔である、請求項1~7のいずれか一項に記載の太陽電池ストリング(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の太陽電池ストリング(1)を含む、光起電性モジュール。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、光起電性モジュール用の太陽電池ストリング(1)に関する。当該太陽電池ストリング(1)は、(i)互いに逆極性で向かい合っており、かつ、複数の太陽電池(2a、2b、2c)が部分的に重なり合った箇所の有無にかかわらずストリング方向に屋根板状配列された、複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)のストリングと、(ii)少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)であって、ストリング方向に屋根板状配列された複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の正極および負極を、複数の前記太陽電池の互い違いになった上面上および底面上において機械的かつ電気的に接続するための、ある太陽電池の一方の側から隣の太陽電池(2a、2b、2c)の反対の側へストリング方向に延在する、少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)と、(iii)任意選択的に熱接着箔(4a、4b)である、少なくとも2つの接着剤であって、少なくとも1つの細長い前記相互接続部(3a、3b)と、細長い前記相互接続部を含む各太陽電池の前記上面または前記底面の少なくとも一部と、を覆う、少なくとも2つの接着剤(4a、4b)と、を含み、(a)屋根板状配列された複数の前記太陽電池間に水平方向のギャップがなく、(b)複数の前記接着剤(4a、4b)は、互いに接触しておらず、かつ、1つの太陽電池を越えて延在せず、かつ、複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の任意選択的な部分的に重なり合った前記箇所内に延在せず、かつ、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を少なくとも部分的に覆って、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)に機械的に固着している。
【0002】
典型的には、光起電性モジュールは、個々に製造され、別々に輸送された多くの太陽電池ストリング、すなわち、太陽電池板から組み立てられる。当該太陽電池ストリングは、1つの大きな平坦な本体を形成するように、並べて配列される。太陽電池ストリングにおける複数の太陽電池は、1つの電池の電極側面を隣接する電池の電極側面と接続するワイヤまたはリボンによって電気的に相互接続されており、これにより、電流がストリング方向に流れるようになっている。太陽電池が規則的に平行に配列された太陽電池ストリングは、前面‐前面構成(front-front configuration)を特徴としている。前面‐前面構成では、複数の電池のすべての前面が、同じ電極電荷を有し、ワイヤまたはリボンは、1つの電池の前面電極を、隣接する電池の反対電荷の後面電極と接続することになる。
【0003】
最も一般的な相互接続方式は、ある電池の上面から、それに接続された電池の下面へと、相互接続子の案内ができるように、隣り合う電池間に特定のギャップがあることを特徴とする。
【0004】
代替的な方法では、複数の太陽電池は、わずかな重なり合いによって、したがって、隣り合う電池が直接的に伝導接触できるようにすることによって、接続されてもよい。
【0005】
屋根板状配列された重なり合う太陽電池ストリングは、互いに逆電荷を有する電池電極どうしが近接しているため、従来のワイヤまたはリボンの相互接続子を必要としない。機械的かつ伝導性の接触は、伝導性接着剤混合物等の低抵抗導電性相互接続部材料を加えることによって、ごく普通に達成される。金属化相互接続部(metallization interconnect)は、電流の流れを改善するために、かなり厚い場合が多い。前面‐前面構成の太陽電池間の電気的絶縁のためのギャップはもはや必要とされないので、屋根板状配列された前面‐後面構成の太陽電池および太陽電池ストリングは、より高いモジュール効率を達成する機会を与えるように、より小さい寸法とすることができる。
【0006】
しかしながら、屋根板状配列された複数の太陽電池が重なり合った箇所における相互接続部上の機械的応力には、(マイクロ)クラックを引き起こす可能性があり、場合によっては、熱機械的応力のため、電流の流れの減少または電子の短絡さえ生ずるかもしれない。重なり合った領域において直接接触するように太陽電池を屋根板状配列することには、重なり合う箇所が比較的大きいという、さらなる欠点がある。これは、良好な接触を保証するために必要となる。重なり合った部分はもはや、電流形成に利用可能ではない。
【0007】
国際公開第2019/016118号(A1)には、(i)ストリング方向に屋根板状配列された結果、正極および負極が重なり合っている複数の太陽電池からなるストリングと、(ii)屋根板状配列された複数の前記太陽電池の前記正極および前記負極を電気的に接続するための相互接続部と、(iii)前記ストリングの少なくとも一部に拡がる接着箔であって、(a)屋根板状配列された少なくとも2つの前記太陽電池の(太陽の方を向く)上面、ならびに/または、(b)屋根板状配列された少なくとも2つの前記太陽電池の(遠く離れた)底面、または、(c)ある太陽電池の上面およびそれに重なり合う太陽電池の底面上に配置された接着箔と、を含む太陽電池ストリングが開示されている。この場合、前記接着箔は、前記相互接続部を含み、屋根板状配列された複数の前記太陽電池を機械的に接続して配置するように、重なり合った箇所を接続している。
【0008】
米国特許第7,432,438号(B2)は、光起電性素子の導電性表面に接触させるための電極に関する。前記電極は、電気絶縁性の光学的に透明なフィルムと、前記フィルムの平面上に設けられた接着剤層と、前記接着剤層内に埋め込まれた複数の実質的に平行な導電性のワイヤと、を含む。複数の前記ワイヤは、前記フィルムの前記平面の上にわたって存在し、前記接着剤層は、当該接着剤層内に埋め込まれた複数の前記ワイヤの厚さよりも小さな厚さを有する。複数の前記ワイヤの表面の一部は、前記接着剤層から突出しており、前記表面の少なくとも一部は、前記導電性表面および第1の端子バーへの複数の前記ワイヤのはんだ付けが容易になるように、低融点を有する合金からなるコーティングによって覆われている。
【0009】
本発明の目的は、光起電性モジュールのアセンブリに使用するための、伝導効率に優れ、かつ、機械的に安定な太陽電池ストリングを提供することであり、特に、伝導効率に優れ、かつ、機械的に安定な、屋根板状配列された太陽電池ストリングを提供することである。
【0010】
本発明の第1の態様において、本発明の目的は、光起電性モジュールに使用するための太陽電池ストリング(1)であって、(i)互いに逆極性で向かい合っており、かつ、複数の太陽電池(2a、2b、2c)が部分的に重なり合った箇所の有無にかかわらずストリング方向に屋根板状配列された、少なくとも2つの前記太陽電池(2a、2b、2c)のストリングと、(ii)任意選択的にワイヤ、リボンまたはバスバーである、少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)であって、ストリング方向に屋根板状配列された複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の正極および負極を、複数の前記太陽電池の互い違いになった上面上および底面上において機械的かつ電気的に接続するための、ある太陽電池の一方の側から隣の太陽電池(2a、2b、2c)の反対の側へストリング方向に延在する、少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)と、(iii)任意選択的に熱接着箔である、少なくとも2つの接着剤(4a、4b)であって、少なくとも1つの細長い前記相互接続部(3a、3b)と、細長い前記相互接続部を含む各太陽電池の前記上面または前記底面の少なくとも一部と、を覆う、少なくとも2つの接着剤(4a、4b)と、を含み、(a)屋根板状配列された複数の前記太陽電池間に水平方向のギャップがなく、(b)複数の前記接着剤(4a、4b)は、互いに接触しておらず、かつ、1つの太陽電池を越えて延在せず、かつ、複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の任意選択的な部分的に重なり合った前記箇所内に延在せず、かつ、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を少なくとも部分的に覆って、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)に機械的に固着している、太陽電池ストリング(1)によって達成される。
【0011】
本明細書において定められる「太陽電池ストリング(solar cell string)」という用語には、ストリング方向に隣り合うように配置された複数の太陽電池に沿って、すなわち、一方の端部の太陽電池から反対側の端部の太陽電池への電流の流れの方向に、光起電的に電流を生成し、生成された当該電流を輸送する、2つ以上の太陽電池のすべての機械的かつ伝導性の配列が含まれる。
【0012】
本発明に係る太陽電池ストリングは、光起電性モジュールに使用するためのものである、すなわち、機能性光起電性モジュールの一部を組み立てて、形成するためのものである。任意選択的に、本発明に使用するための太陽電池は、従来の太陽電池である。例えば、半導体材料が、上面および底面(例えば、アノード材料およびカソード材料、すなわち、正極および負極)の間に配置されている。これは、例えば、金属化によって、または、透明な伝導性コーティング、例えば、透明なフィルムコーティングによって、形成されてもよい。
【0013】
本明細書において使用される「ストリング方向に屋根板状配列された(shingled in string direction)」という用語は、ストリング方向に連続する、すなわち、ストリング方向に隣り合う太陽電池が、垂直方向にオフセットしている(ずれている)ことを示すよう意図している。本発明に従って配列された太陽電池のストリングにおいて、複数の太陽電池は、重なり合った箇所の有無にかかわらず屋根板状配列されている(複数の太陽電池は、重なり合って屋根板状配列されているか、または、重なり合わずに屋根板状配列されている)。これは、連続する複数の太陽電池が、互いを部分的に覆っている、すなわち、上側の電池が、垂直方向にオフセットした下側の太陽電池を部分的に遮光しているか、あるいは、連続する複数の太陽電池が、垂直方向にオフセットしているが、水平方向のギャップを形成していない、ということを意味する。
【0014】
垂直方向にオフセットした下側の太陽電池における重なり合った縁部領域は、得られる太陽モジュールにおける遮光に起因する、光起電的活性の損失を回避するように、任意選択的に最小化されている。
【0015】
本発明に係る太陽電池ストリングは、少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)であって、ストリング方向に屋根板状配列された複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の正極および負極を、複数の前記太陽電池の互い違いになった上面上および底面上において機械的かつ電気的に接続するための、ある太陽電池の一方の側から隣の太陽電池(2a、2b、2c)の反対の側へストリング方向に延在する、少なくとも1つの細長い導電性の相互接続部(3a、3b)を含む。少なくとも1つの細長い導電性の前記相互接続部(3a、3b)は、任意選択的に、ワイヤまたはバスバーである。
【0016】
本発明の代替的な一実施形態では、本発明に係る太陽電池ストリング(1)は、屋根板状配列された複数の前記太陽電池が、少なくとも部分的に重なり合っており、前記相互接続部(3a、3b)が、重なり合った領域において、複数の前記太陽電池のうちの少なくとも一方または両方の太陽電池に固着されていない、太陽電池ストリングである。この代替形態は、屋根板状配列された太陽電池ストリングにより、重なり合った領域において、いくらかの追加の機械的可撓性が維持されるという利点を有する。
【0017】
別の代替実施形態では、屋根板状配列された複数の前記太陽電池は、前記太陽電池ストリング内において、重なり合っていない。
【0018】
本発明に係る太陽電池ストリングにおいて、屋根板状配列された複数の前記太陽電池の複数の電極を機械的かつ電気的に接続するための相互接続部は、上記の機能を果たす任意の材料であってもよい。例えば、少なくとも1つの細長い前記相互接続部(3a、3b)は、任意選択的にワイヤ、リボンまたはバスバーであり、さらに、各太陽電池上のすべての接点構造体を接続してもよい。前記接点構造体は、任意選択的に、接点フィンガである。
【0019】
任意選択的な一実施形態では、本発明に係る太陽電池ストリング(1)は、少なくとも1つの細長い前記相互接続部(3a、3b)の高さまたは直径が、前記太陽電池ストリング(1)内の隣り合う太陽電池の最小垂直方向オフセット(5)を決定しており、前記最小垂直方向オフセット(5)は、任意選択的に、ギャップ(5)である、太陽電池ストリングである。言い換えれば、連続する隣り合う前記太陽電池は、前記相互接続部のみによって垂直方向に分離し、かつ機械的に接続されており、相互接続部の機械的可撓性が、前記太陽電池ストリングの可撓性を実質的に決定している。
【0020】
例えば、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)は、バスバー、リボンおよび金属ワイヤからなる群から選択され、前記金属ワイヤは、任意選択的に、はんだ付け可能な材料で被覆された金属ワイヤであり、前記はんだ付け可能な材料は、任意選択的に、Ag、Cu、Bi、In、Pb、Snおよびこれらの組み合わせを含有するはんだであり、Ag、Cu、Bi、In、Pb、Snおよびこれらの組み合わせを含有する前記はんだは、任意選択的に、SnBi含有はんだ、または、In含有はんだである。非限定的な一実施形態では、前記相互接続部(3a、3b)は、前記太陽電池上の導電層に機械的かつ電気的に接触していてもよい。
【0021】
本発明に係る太陽電池ストリングは、少なくとも2つの接着剤(4a、4b)であって、少なくとも1つの細長い前記相互接続部(3a、3b)と、細長い前記相互接続部を含む各太陽電池の前記上面または前記底面の少なくとも一部と、を覆う、少なくとも2つの接着剤(4a、4b)を含む。少なくとも2つの前記接着剤(4a、4b)は、任意選択的に、熱接着箔である。
【0022】
一般的な理解では、太陽電池の上面上において使用される接着剤、すなわち太陽の方を向く接着剤は、太陽電池内における光起電的プロセスを開始および継続するように、太陽光に対して透明である必要がある。接着剤が、光起電的活性を有する上面に太陽光が到達するのを実質的に妨げない場合、または、接着剤が、太陽電池の底部、すなわち、遮光されている側に配置されている場合には、当該接着剤は透明でなくてもよい。
【0023】
複数の前記接着剤(4a、4b)は、例えば、接着箔であり、任意選択的に、熱接着箔である。複数の前記接着剤(4a、4b)は、ポリマー箔であるか、または、ポリマー箔を含み、前記ポリマー箔は、任意選択的に、デュロプラスト、任意選択的に、EVA(エチレン酢酸ビニル)、TPSE(熱可塑性シリコーンエラストマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TPO(熱可塑性ポリオレフィンエラストマー)、イオノマー、サーモプラスト;任意選択的に、PVB(ポリビニルブチラール)、シリコーン、ポリオレフィン(PO)、PP(ポリプロピレン)、イオノマー;および、サーモデュロプラストの組み合わせからなる群から選択され、前記ポリマー箔は、任意選択的に、50~250℃の温度範囲内、任意選択的に、60~200℃の温度範囲内、任意選択的に、75~175℃の温度範囲内において、熱接着性を有するポリマー箔である。
【0024】
本発明に係る太陽電池ストリングは、(a)屋根板状配列された複数の前記太陽電池間に水平方向のギャップがなく、すなわち、複数の前記太陽電池が部分的に重なり合っているか、または、隣り合う電池間の水平方向距離、すなわちギャップ(5)がゼロであり、(b)複数の前記接着剤(4a、4b)が、互いに接触しておらず、かつ、1つの太陽電池を越えて延在せず、かつ、複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)の任意選択的な部分的に重なり合った前記箇所内に延在せず、かつ、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を少なくとも部分的に覆って、少なくとも1つの前記相互接続部(3a、3b)を複数の前記太陽電池(2a、2b、2c)に機械的に固着している、という点においてユニークである。
【0025】
本明細書に記載された太陽電池ストリングおよびその実施形態は、多くの利点を有する。例えば、接着剤、特に接着箔は、各太陽電池上において相互接続部/ワイヤを固着するだけであり、隣の太陽電池へ延在していない。それゆえ、機械的安定性、限定的可撓性および接続性は、太陽電池を接続する相互接続部のみによって実質的に提供される。また、これらの相互接続部は、連続する複数の太陽電池間のいかなる水平方向のギャップにも及んでいない。これにより、太陽電池間の相互接続部を過度に曲げたときの機械的応力が回避されるが、いくらかの限定的な機械的可撓性が提供される。これは、言うまでもなく、使用する相互接続部材料の可撓性、ならびに、使用する相互接続部材料の寸法および形状(例えば、ワイヤ形状またはリボン形状)に依存する。
【0026】
任意選択的に、接着剤(例えば、熱接着箔)は、連続する複数の太陽電池が部分的に重なり合った領域内に延在していない。
【0027】
本発明の別の実施形態では、太陽電池ストリング内の連続する複数の太陽電池が重なり合った領域における相互接続部は、複数の前記太陽電池に対して、電気的または機械的に接続されていない(例えば、はんだ付けされていない)。これにより、高価な接続材料、例えば、はんだペースト(例えば、銀含有はんだペースト)が節約される。
【0028】
また、太陽電池ストリング内における連続する2つの太陽電池が部分的に重なり合った領域内にいかなる接着剤(例えば、熱接着箔)も延在していない代替形態に関しては、接着剤ラミネーション中の応力がより小さくなり、その結果、工程歩留まりが改善される。また、接着箔が無いため、ラミネーション後における相互接続子上の曲げ応力が低減する。
【0029】
一般に、本発明に係る太陽電池ストリングは、より可撓性が大きいが、例えば、輸送中の機械的応力、気象衝撃(weather impact)による機械的応力等の機械的応力に対する弾性を有する。また、本発明に係る太陽電池ストリングは、容易かつ経済的に製造ができる。なぜならば、例えば、まず、相互接続部(例えば、ワイヤ)が接着剤(例えば、箔)に配置および固定され、続いて、屋根板状配列配置構成において、太陽電池の配置および固定が行われてもよいからである。あるいは、まず、相互接続部(例えば、ワイヤ)が連続する複数の太陽電池に配置および固定され、続いて、接着箔の配置および固定が行われてもよい。
【0030】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載された太陽電池ストリングの製造方法、および、太陽電池ストリングを含む光起電性モジュールに関する。
【0031】
以下では、本発明を、代表的な実施例および図面によって例示する。これらの実施例および図面はいずれも、添付の特許請求の範囲を超えて本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0032】
(参照符号のリスト)
(1)太陽電池ストリング
(2)(2a、2b、2c) 太陽電池
(3a、3b) 導電性の相互接続部
(4a、4b) 接着剤(任意選択的に、熱接着箔)
(5)太陽電池ストリング内の隣り合う太陽電池の垂直方向オフセット(ギャップ)
(図面)
図1は、本発明による光起電性モジュールのアセンブリに使用するための、端部において部分的に重なり合った連続する3つの太陽電池2a、2b、2cを有する、屋根板状配列された太陽電池ストリング1を概略的に示す図である。例えば本明細書に記載されているように、相互接続部3a、相互接続部3bは、例えば、バスバー、リボンおよび金属ワイヤとして実装されてもよく、任意選択的に、はんだ付け可能な材料で被覆された金属ワイヤとして実装されてもよい。破線は、その構造体が太陽電池の下に配置されていることを示す。例えば、相互接続部3aは、太陽電池2aの(太陽に向けられた)上部に配置されており、太陽電池2bの下に配置されている場合の(遮光された)相互接続部3bとして続いている。接着箔4aは、透明である。一方、接着箔4bは、実際の運用ではいずれにせよ遮光されるため、任意選択的に、透明でなくてもよい。接着箔4aは、相互接続部3aを太陽電池2aの上面に接着しており、太陽電池2aおよび太陽電池2bが部分的に重なり合った箇所5内にはわずかに延在している。それゆえ、接着箔4aは、相互接続部3aの高さまたは直径とともに、最小垂直方向オフセットに寄与している。代替実施形態では、接着箔4aは、重なり合った箇所5内に延在せず、垂直方向オフセットは、相互接続部3aの高さまたは直径のみによって決定されている。接着箔4bは、相互接続部3bを太陽電池2bの底面に接着、すなわち固着しており、任意選択的に、太陽電池2aおよび太陽電池2bが部分的に重なり合った箇所5内に延在していてもよく、または、延在していなくてもよい。任意選択的に、相互接続部3a、相互接続部3bは、重なり合った領域5において、太陽電池2a、太陽電池2bに接着、すなわち固着されていなくてもよく、相互接続部3a、相互接続部3bは、当該相互接続部3a、当該相互接続部3bの形状、材料特性および柔軟性に応じて、限定的な機械的可撓性を有してもよく、例えば曲げることができてもよい。
【0033】
図2は、
図1における太陽電池ストリングの一実施形態の側面図である。接着剤4a、接着剤4bは、例えば、熱接着箔であり、相互接続部3a、相互接続部3bを太陽電池2に接着しているが、重なり合った領域内には延在していない。太陽電池の垂直方向オフセットは、相互接続部3a、相互接続部3bの高さまたは直径によって、実質的に決定されている。
【0034】
図3は、任意選択されたワイヤ形状の相互接続部3a、ワイヤ形状の相互接続部3bを有する、
図2の太陽電池ストリングの側面図である。太陽電池2の垂直方向オフセットは、相互接続部3a、相互接続部3bの直径によって、実質的に決定されている。接着箔4a、接着箔4bは、複数の太陽電池2が重なり合った領域内に延在していない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による光起電性モジュールのアセンブリに使用するための、端部において部分的に重なり合った連続する3つの太陽電池2a、2b、2cを有する、屋根板状配列された太陽電池ストリング1を概略的に示す図である。
【
図2】
図1における太陽電池ストリングの一実施形態の側面図である。
【
図3】任意選択されたワイヤ形状の相互接続部3a、ワイヤ形状の相互接続部3bを有する、
図2の太陽電池ストリングの側面図である。
【国際調査報告】