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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】エポキシリン酸エステル
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/14 20060101AFI20230623BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20230623BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20230623BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20230623BHJP
   C09J 167/02 20060101ALI20230623BHJP
   C09J 5/04 20060101ALI20230623BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20230623BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
C08G59/14
C09J201/00
C09J175/08
C09J11/08
C09J167/02
C09J5/04
C08G18/10
B32B27/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566615
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 US2021028753
(87)【国際公開番号】W WO2021247161
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/035,008
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】リー、ツォーチー
(72)【発明者】
【氏名】ズパンシック、ジョセフ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クオ、インチョン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、チエ
【テーマコード(参考)】
4F100
4J034
4J036
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AB10B
4F100AB33B
4F100AK07C
4F100AK41A
4F100AK42D
4F100AK51A
4F100AK53A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CB00A
4F100EH46
4F100JK06
4F100JL11A
4F100YY00A
4J034BA03
4J034BA07
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DF01
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4J034EA12
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4J034JA41
4J034JA42
4J034MA24
4J034QB11
4J034QB13
4J034RA08
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4J040ED031
4J040EF131
4J040EF281
4J040KA43
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA06
4J040PB19
(57)【要約】
構造が2つ以上のポリエステル結合を含む、1つ以上のエポキシリン酸エステルを含む組成物が提供される。また、1つ以上のエポキシ末端ポリエステルを、1つ以上のリン酸と反応させることを含む、エポキシリン酸エステルを作製する方法も提供される。更に、1つ以上のエポキシリン酸エステルと、1つ以上の多官能性イソシアネートプレポリマーと、1つ以上の多官能性イソシアネート反応性化合物と、を含む、接着剤組成物が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の構造(I)を有するエポキシリン酸エステルを含む組成物であって、
【化1】
式中、R、R、R、及びRの各々が、独立して、水素又は有機基であり、pが、0~3であり、各PESTが、構造(II)を有し、
【化2】
式中、各R及び各Rが、有機基であり、nが、2以上であり、各EPOXが、構造(III)を有し、
【化3】
式中、各Qが、有機基である、組成物。
【請求項2】
、R、R、及びRの各々が、水素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、脂肪族基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物を作製する方法であって、前記方法が、1つ以上のエポキシ末端ポリエステルを、1つ以上のリン酸と反応させることを含む、方法。
【請求項5】
1つ以上の多官能性イソシアネートプレポリマーと、1つ以上の多官能性イソシアネート反応性化合物と、1つ以上の請求項1に記載の組成物と、を含む、接着剤組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物が、前記接着剤組成物の総重量に基づいて、2重量%以下の量で存在する、請求項5に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記接着剤組成物が、
a)前記接着剤組成物中の前記イソシアネート反応性化合物の全てと、前記接着剤組成物中の前記エポキシリン酸エステルの全てと、を含む、パックAと、
b)前記接着剤組成物中の前記イソシアネート化合物の全てを含む、パックBとからなる、2つの別個のパックの形態である、請求項5に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
積層体を作製する方法であって、
A)請求項5に記載の接着剤組成物の層を、第1のフィルムの第1の面に適用することと、
B)第2のフィルムの第1の面を、請求項5に記載の接着剤組成物の前記層と接触させることと、
C)請求項5に記載の接着剤組成物の前記層を硬化させることと、を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法によって形成された積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
積層接着剤は、例えば、様々な種類のパッケージのため、かつ工業的積層のための可撓性積層体の生成に広く使用されている。無溶剤積層接着剤は、溶媒系及び水系積層接着剤の両方に対して利点を有し、これらの利点としては、例えば、エネルギー消費の削減、運転コストの削減、並びに環境、健康、及び安全基準に対するコンプライアンスの改善を含む、例えば、積層プロセスの改善が挙げられる。過去には、無溶剤積層接着剤は、典型的には、いくつかの性能の欠点を示していた。例えば、無溶剤積層接着剤は、典型的には、以下の性能基準、特に金属積層構造が試験された場合、ボイルインバッグ性能、化学的劣化性能、レトルト性能のうちの1つ以上において、溶媒系及び/又は水系積層接着剤ほど良好ではなかった。
【背景技術】
【0002】
過去には、接着促進化合物が無溶剤積層接着剤に添加されていた。接着促進化合物としては、例えば、エポキシ樹脂、シラン化合物、カルボン酸、機能性材料、リン酸、及びリン酸エステルが挙げられた。場合によっては、接着促進化合物は、積層体の性能を改善するように見えたが、接着促進化合物はまた、接着剤のポットライフも短縮し、これによって、積層体を生成するプロセスにおいて困難が引き起こされた。
【0003】
国際公開第2015/168670号は、溶媒系積層接着剤を改善する際に使用された特定のリン酸エステルを開示している。積層接着剤組成物に含まれる場合、上記で考察された性能基準のうちの1つ以上に従って、好ましくは積層接着剤組成物のポットライフの望ましくない短縮を伴わずに、積層体の性能を改善する新しい組成物を提供することが望ましい。独立して、溶媒系接着剤中又は無溶剤接着剤中のいずれかへの使用に好適である新しい組成物を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本発明の記述である。
【0005】
本発明の第1の態様は、1つ以上の構造(I)を有するエポキシリン酸エステルを含む組成物であり、
【0006】
【化1】
式中、R、R、R、及びRの各々は、独立して、水素又は有機基であり、
pは、0~3であり、各PESTは、構造(II)を有し、
【0007】
【化2】
式中、各R及び各Rは、有機基であり、nは、2以上であり、各EPOXは、構造(III)を有し、
【0008】
【化3】
式中、各Qは、有機基である。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の組成物を作製する方法であり、この方法は、1つ以上のエポキシ末端ポリエステルを、1つ以上のリン酸と反応させることを含む。
【0010】
本発明の第3の態様は、1つ以上の多官能性イソシアネートプレポリマーと、1つ以上の多官能性イソシアネート反応性化合物と、1つ以上の第1の態様に記載の組成物と、を含む、接着剤組成物である。
【0011】
本発明の第4の態様は、
A)第3の態様に記載の接着剤組成物の層を、第1のフィルムの第1の面に適用することと、
B)第2のフィルムの第1の面を、第3の態様に記載の接着剤組成物の層と接触させることと、
C)第3の態様に記載の接着剤組成物の層を硬化させることと、を含む、積層体を作製する方法である。
【0012】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の方法によって形成された積層体である。
【0013】
以下は、本発明の詳細な説明である。
【0014】
本明細書で使用される場合、以下の用語は、文脈が別途明確に示さない限り、指定された定義を有する。
【0015】
本明細書で使用される場合、有機基は、共有結合を通して互いに接続され、1つ以上の炭素原子を含有する原子の基である。本明細書で使用される場合、酸末端ポリエステルカーネルは、上記に定義された構造(II)を有するPEST基である。本明細書で使用される場合、エステル結合は、構造(IV)を有する基である。
【0016】
【化4】
3つ以上のエステル結合を有する化合物は、ポリエステルである。本明細書で使用される場合、エポキシ末端化合物は、構造(V)を有し、
【0017】
【化5】
式中、Qは、有機基である。Qが1つ以上の酸末端ポリエステルカーネルを含有する場合、構造(V)は、本明細書ではエポキシ末端ポリエステルとして知られている。
【0018】
本明細書で使用される場合、エーテル結合は、酸素原子が2つの炭素原子に接続され、エーテル結合がエステル結合の一部ではない構造-O-を有する。エーテル結合を含有する有機基は、エーテル基である。3つ以上のエーテル結合を有する化合物は、ポリエーテルである。
【0019】
本明細書で使用される場合、「多酸」は、2つ以上のカルボン酸基を有する化合物であり、それらの各々は、中性形態又はアニオン形態であり得る。二酸は、正確に2つのカルボン酸基を有する多酸である。
【0020】
本明細書で使用される場合、ポリオールは、2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物であり、ジオールは、正確に2つのヒドロキシル基を有するポリオールである。トリオールは、正確に3つのヒドロキシル基を有するポリオールである。ポリエーテルでもあるポリオールは、ポリエーテルポリオールである。ポリエステルでもあるポリオールは、ポリエステルポリオールである。天然油ポリオールは、1つ以上の植物、1つ以上の動物から抽出される1つ以上の油、又はこれらの混合物に含有されるポリオールである。ほとんどの天然油ポリオールは、ペンダントヒドロキシル基を有する脂肪トリグリセリドの構造を有する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「リン酸」のクラスは、リン原子に結合しているか、又はそのような化合物のOH基からのH原子の除去によって形成され得るアニオンを有する、1つ以上のOH基を有する任意の化合物を含む。リン酸の例としては、リン酸(オルトリン酸又はリン(V)酸としても知られる)、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、他のオリゴリン酸及びポリリン酸、シクロリン酸、これらのアニオン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される場合、多官能性イソシアネート化合物は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。本明細書で使用される場合、ウレタン結合は、構造(VI)を有する基である。
【0023】
【化6】
本明細書で使用される場合、尿素結合は、構造(VII)を有する基である。
【0024】
【化7】
【0025】
本明細書で使用される場合、多官能性イソシアネートモノマーは、800g/mol以下のモル質量を有する多官能性イソシアネート化合物である。本明細書で使用される場合、多官能性イソシアネートプレポリマーは、800g/molを超えるモル質量を有し、ウレタン結合若しくは尿素結合又はこれらの混合物から選択される2つ以上の基を有する多官能性イソシアネート化合物である。本明細書で使用される場合、リン酸エステル結合は、構造(VIIIA)を有する基であり、リン酸基は、構造(VIIIB)を有する基である。
【0026】
【化8】
式中、R21及びR22は、各々独立して、水素又は有機基である。
【0027】
本明細書で使用される場合、イソシアネート反応性基は、イソシアネート基と反応することができるイソシアネート以外の基である。一般的なイソシアネート反応性基は、ヒドロキシル基及びアミン基である。本明細書で使用される場合、イソシアネート反応性化合物は、1つ以上のイソシアネート反応性基を有する化合物である。本明細書で使用される場合、多官能性イソシアネート反応性化合物は、2つ以上のイソシアネート反応性基を有する化合物である。
【0028】
化合物の酸価(acid value、AV)は、ASTM 974(American Society of Testing and Materials、West Conshohocken,PA,USA)によって決定され、化合物1グラム当たりのKOHのmgの単位で報告される。化合物のヒドロキシル価(OH数又はOHNとも称される)は、ASTM 4274(American Society of Testing and Materials、West Conshohocken,PA,USA)によって決定され、化合物1グラム当たりのKOHのmgの単位で報告される。化合物のエポキシ当量(epoxy equivalent weight、EEW)は、ASTM D1652によって決定され、g/molの単位で報告される。ポリマー材料の分子量は、本明細書において、サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography、SEC)を使用して、数平均分子量であるMnか、又は重量平均分子量であるMwで特徴付けられる。Mn及びMwは、g/mol又は同等にダルトンの単位で報告される。化合物のNCO%は、化合物の総重量のパーセンテージとして、その化合物中の全てのイソシアネート基の重量であり、NCO%は、ASTM D2572によって評価される。
【0029】
本明細書で使用される場合、溶媒は、15℃~25℃を含む温度範囲にわたって液体である組成物である。
【0030】
材料の粘度は、25℃又は任意の特定の温度で、Brookfield粘度計によって決定される。以下に詳細に示されるように、粘度計の特定のモデル及び特定の測定条件は、試験される材料に適したものとして選択される。
【0031】
本明細書で使用される場合、フィルムは、0℃~40℃を含む温度範囲にわたって固体である物体である。フィルムの1つの寸法は、1mm以下であり、他方の2つの寸法は、各々5cm以上である。1mm以下である寸法は、フィルムの厚さとして知られており、厚さに垂直である2つの表面は、フィルムの面として知られている。
【0032】
本発明は、上記に定義された構造(I)を有するエポキシリン酸エステルを伴う。好ましくは、R、R、R、及びRの各々は、8個以下の炭素原子、より好ましくは6個以下の炭素原子、より好ましくは4個以下の炭素原子を有する。好ましくは、R、R、R、及びRのうちの1つ以上は、水素であり、より好ましくは、R及びRのうちの1つ以上は、水素であり、またR及びRのうちの1つ以上は、水素であり、より好ましくは、R、R、R、及びRの各々は、水素である。
【0033】
好ましくは、pは、0、1、2、又は3、より好ましくは0、1、又は2である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、構造(I)を有する化合物の混合物を含有し、(おそらく他の1つ以上の差異の中で)pの異なる値を有する。
【0034】
pが2又は3である場合、構造(I)は、直鎖状に配置されたp単位を示す。p単位の中で、任意の1つの単位におけるPEST基は、任意の他の単位におけるPEST基と同じであり得るか、又は異なり得る。一般に、構造(I)に示される各PEST基は、構造(I)に示される任意の他のPEST基と同じであり得るか、又は異なり得る。
【0035】
各PEST基は、構造(II)に適合し、これは、直鎖状に配置されたn単位を示す。それらのn単位の中で、全てのR基は、全ての他のR基と同じであり得るか、又はn単位の中で、2つ以上の異なるR基が存在し得る。同様に、それらのn単位の中で、全てのR基は、全ての他のR基と同じであり得るか、又はn単位の中で、2つ以上の異なるR基が存在し得る。構造(II)における括弧外のR基は、括弧内のR基のいずれかと同じであり得るか、又は異なり得る。任意のR基は、任意のR基と同じであり得るか、又は異なり得る。任意選択的に、R及びRの各々は、独立して、分岐であり得るか、かつ/又は、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミン基、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合、尿素結合、又はこれらの組み合わせを含む追加の結合及び/又は置換基を有し得る。
【0036】
各R及び各Rは、独立して、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。各R及び各Rは、独立して、任意選択的に、例えば、ヒドロキシル、ホスフェート、又はこれらの混合物などの、1つ以上の官能基を含有する。好ましくは、R基又はR基のいずれも、イソシアネート基を有さない。各R及び各Rは、独立して、任意選択的に、例えば、エーテル結合、ウレタン結合、尿素結合、リン酸エステル結合、及びこれらの組み合わせなどの、エステル結合以外の1つ以上の結合を含有する。
【0037】
好ましくは、Rは、14個以下の炭素原子、より好ましくは10個以下の炭素原子を有する。好ましくは、Rは、2個以上の炭素原子を有する。好ましくは、Rは、炭素原子又は水素原子以外の原子を有さない。Rは、脂肪族(すなわち、芳香環を含有しない)、芳香族(すなわち、1つ以上の芳香環を含有する)、脂肪族基の混合物、芳香族基の混合物、又は1つ以上の脂肪族基と1つ以上の芳香族基との混合物であり得る。脂肪族R基の中でも、8個以下の炭素原子を有するアルキル基が好ましく、より好ましくは、6個以下の炭素原子を有するアルキル基である。芳香族R基の中でも、縮合又は非縮合であり得る、かつ置換又は非置換であり得る、2つ以下の芳香環を有する芳香族基が好ましく、より好ましくは、6個の炭素原子の単一の芳香環を有する芳香族基であり、より好ましくは、6個の炭素原子の単一の芳香環を有する非置換芳香族基である。好ましくは、脂肪族R基と芳香族R基との混合物であるR基が存在する。
【0038】
好ましくは、Rは、10個以下の炭素原子、より好ましくは8個以下の炭素原子、より好ましくは6個以下の炭素原子を有する。好ましくは、Rは、芳香環を含有しない。好ましくは、Rは、酸素原子、炭素原子、又は水素原子以外の原子を有さない。好ましいR基は、アルキル基若しくはエーテル基のいずれかであるか、又はアルキルR基とエーテルR基との混合物が存在し得る。アルキルR基の中でも、4個以下の炭素原子を有するものが好ましい。エーテルR基は、構造-(-R-O-R10-)-を有し、R及びR10の各々は、独立して、アルキル基である。好ましくは、R及びR10の各々は、4個以下の炭素原子を有する。好ましくは、アルキルR基とエーテルR基との混合物が存在する。
【0039】
好ましくは、nは、4以上である。好ましくは、nは、100以下、より好ましくは50以下、より好ましくは20以下である。
【0040】
EPOX基に関して、pが2又は3である場合、構造(I)は、直鎖状に配置されたp単位を示す。1つの単位内で、任意のEPOX基は、同じ単位内の別のEPOX基と同じあり得るか、又は異なり得る。p単位の中で、任意の1つの単位における任意のEPOX基は、任意の他の単位における任意のEPOX基と同じであり得るか、又は異なり得る。一般に、構造(I)に示される各EPOX基は、構造(I)に示される任意の他のEPOX基と同じであり得るか、又は異なり得る。
【0041】
各EPOX基は、上記の構造(III)に適合する。構造(III)において、Qは、任意選択的に、例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、エポキシ、又はこれらの混合物などの、1つ以上の官能基を含有する。任意選択的に、Qは、分岐構造である。Qは、任意選択的に、例えば、エーテル結合、ウレタン結合、尿素結合、及びこれらの組み合わせなどの、エステル結合以外の1つ以上の結合を含有する。好ましくは、Qは、脂肪族基であり、より好ましくは、Qは、アルキル基であり、より好ましくは、Qは、直鎖状アルキル基である。好ましくは、Qは、12個以下の炭素原子、より好ましくは8個以下の炭素原子、より好ましくは6個以下の炭素原子を有する。好ましくは、Qは、2個以上の炭素原子、より好ましくは3個以上の炭素原子を有する。
【0042】
本発明の任意の組成物は、溶媒を含有し得るか、又は含有し得ない。溶媒が存在する場合、好ましい溶媒は、炭化水素ではない1つ以上の化合物を含有する。好適な溶媒としては、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、メチルブチルケトン、他の有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
構造(I)のエポキシリン酸エステルは、任意の方法によって作製され得る。好ましくは、構造(I)のエポキシリン酸エステルは、本明細書において方法(A)と称される方法によって作製され、この方法は、1つ以上のエポキシ末端ポリエステルを、1つ以上のリン酸と反応させる工程を含む。エポキシ末端ポリエステルは、構造(V)において上記で定義され、リン酸のクラスは、上記で定義される。
【0044】
方法Aの実施において、エポキシ末端ポリエステルは、好ましくは構造(IX)を有する。
【0045】
【化9】
式中、Q及びPESTの定義及び選好は、上記で考察されている。
【0046】
方法(A)の実施において、リン酸の中で好ましい選択は、600g/mol以下、より好ましくは400g/mol以下、より好ましくは200g/mol以下、より好ましくは100g/mol以下のモル質量を有するリン酸である。好ましい選択は、オルトリン酸である。
【0047】
好ましくは、方法(A)の実施において、リン酸をエポキシ末端ポリエステルと接触させる場合、リン酸は、水溶液の形態である。水中のリン酸の好ましい濃度は、溶液の重量に基づいて、50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。水溶液中では、リン酸は、中性のリン酸とそのアニオンとの混合物として存在すると考えられる。例えば、水溶液中では、オルトリン酸は、オルトリン酸、オルトリン酸アニオン(ホスフェートアニオンとも称される)、水素ホスフェートアニオン、及び二水素ホスフェートのうちの2つ以上の混合物として存在すると考えられる。
【0048】
方法(A)の実施において、エポキシ末端ポリエステル及びリン酸は、1つ以上の構造(I)のエポキシリン酸エステルを生成するための化学反応をもたらす任意の条件下で一緒にされ得る。エポキシ末端ポリエステルは、溶媒中の溶液中の溶質の形態であり得るか、又はニートであり得る。「ニート」とは、エポキシ末端ポリエステルが溶媒を含有しないか、又はさもなければエポキシ末端ポリエステルの総重量に基づいて、0~2重量%、より好ましくは0~1重量%の量で溶媒を含有することを意味する。
【0049】
好ましいエポキシ末端ポリエステルは、1グラム当たり1mg未満のKOH、より好ましくは1グラム当たり0.5mg未満のKOH、より好ましくは1グラム当たり0.2mg未満のKOHの酸価を有する。エポキシ末端ポリエステルの粘度は、25℃、#27スピンドル、20rpmで、DV-II+Brookfield粘度計によって測定される。
【0050】
ニートエポキシ末端ポリエステルの中で、好ましいエポキシ末端ポリエステルは、50mPas以上、より好ましくは100mPas以上の25℃での粘度を有する。ニートエポキシ末端ポリエステルの中で、好ましいエポキシ末端ポリエステルは、2,000mPas以下、より好ましくは1,000mPas以下、より好ましくは500mPas以下の25℃での粘度を有する。ニートエポキシ末端ポリエステルの中で、好ましいエポキシ末端ポリエステルは、500g/mol以上、より好ましくは1,000g/mol以上のエポキシ当量を有する。ニートエポキシ末端ポリエステルの中で、好ましいエポキシ末端ポリエステルは、5,000g/mol以下、より好ましくは2,500g/mol以下のエポキシ当量を有する。ニートエポキシ末端ポリエステルの中で、好ましいエポキシ末端ポリエステルは、500g/mol以上、より好ましくは1,000g/mol以上のMnを有する。ニートエポキシ末端ポリエステルの中で、好ましいエポキシ末端ポリエステルは、10,000g/mol以下、より好ましくは5,000g/mol以下のMnを有する。
【0051】
エポキシ末端ポリエステルが溶液中に溶解した溶質として存在する場合、好ましくは、溶液は、50mPas以上、より好ましくは100mPas以上の25℃での粘度を有する。エポキシ末端ポリエステルが溶液中に溶解した溶質として存在する場合、好ましくは、溶液は、2,000mPas以下、より好ましくは1,000mPas以下、より好ましくは500mPas以下の25℃での粘度を有する。エポキシ末端ポリエステルが溶液中に溶解した溶質として存在する場合、好ましくは、エポキシ末端ポリエステルは、1000g/mol以上、より好ましくは2,000g/mol以上のエポキシ当量を有する。エポキシ末端ポリエステルが溶液中に溶解した溶質として存在する場合、好ましくは、エポキシ末端ポリエステルは、15,000g/mol以下、より好ましくは7,500g/mol以下のエポキシ当量のエポキシ当量を有する。エポキシ末端ポリエステルが溶液中に溶解した溶質として存在する場合、好ましくは、エポキシ末端ポリエステルは、100g/mol以上、より好ましくは1,000g/mol以上のMnを有する。エポキシ末端ポリエステルが溶液中に溶解した溶質として存在する場合、好ましくは、エポキシ末端ポリエステルは、30,000g/mol以下、より好ましくは15,000g/mol以下のMnを有する。
【0052】
好ましくは、エポキシ末端ポリエステル及びリン酸を一緒にする場合、エポキシ末端ポリエステル及びリン酸の両方が液体であるような条件である。すなわち、ニートエポキシ末端ポリエステルは、それらの条件下で液体であることが好ましく、リン酸は、水中での液体溶液の形態であることが好ましい。エポキシ末端ポリエステル及びリン酸を一緒にする場合、結果は、反応混合物AMである。好ましくは、エポキシ末端ポリエステル又はリン酸溶液のいずれかと反応する追加の原料は、反応混合物AMに含まれない。好ましくは、エポキシ末端ポリエステル及びリン酸溶液以外の反応混合物AM中に存在する全ての原料の量は、反応混合物AMの総重量に基づいて、0~5重量%、より好ましくは0~2重量%、より好ましくは0~1重量%である。
【0053】
方法(A)の実施において、エポキシ末端ポリエステルは、任意の方法によって作製され得る。エポキシ末端ポリエステルを作製する好ましい方法(本明細書では、方法(A1)と称される)では、1つ以上のカルボキシル末端ポリエステルは、1つ以上のエポキシ末端化合物と反応する。
【0054】
方法(A1)の実施において、カルボキシル末端ポリエステルは、構造H-PEST-Hを有し、PESTは、上記で定義され、R、R、及びnの許容可能で好ましい定義は、上記のものと同じである。
【0055】
方法(A1)で使用されるエポキシ末端化合物は、構造(X)を有し、
【0056】
【化10】
式中、Qの定義及び選好は、上記で考察されたように、Qのものと同じである。
【0057】
好ましくは、エポキシ末端化合物の1分子当たりのエポキシ基の数は、5以下、より好ましくは4以下、より好ましくは3以下、より好ましくは2である。好ましくは、エポキシ末端化合物のモル質量は、2,000g/mol以下、より好ましくは1,000g/mol以下、より好ましくは500g/mol以下、より好ましくは250g/mol以下である。
【0058】
好ましくは、カルボキシル末端ポリエステルがエポキシ末端化合物と反応する場合、モル基準で過剰のエポキシ基が使用される。
【0059】
カルボキシル末端ポリエステルが使用される場合、カルボキシル末端ポリエステルは、任意の方法によって作製され得る。カルボキシル末端ポリエステルを作製する好ましい方法では、1つ以上の多酸が1つ以上のポリオールと反応して、ポリエステルを生成する。好ましくは、モル基準で過剰のカルボキシル基が使用される。
【0060】
多酸の中でも、1分子当たりのカルボキシル基の数が3以下であるものが好ましく、より好ましくは、2であるものである。好ましい多酸は、14個以下の炭素原子、より好ましくは10個以下の炭素原子を有する。好ましい多酸は、1つ以上の芳香環を含有する。好ましい多酸は、カルボキシル基の外側に水素及び炭素以外の原子を有さない。
【0061】
ポリオールの中でも、1分子当たりのヒドロキシル基の数が3以下であるものが好ましく、より好ましくは、2であるものである。好ましいポリオールは、8個以下の炭素原子、より好ましくは6個以下の炭素原子、より好ましくは4個以下の炭素原子を有する。好ましいポリオールは、2つのカルボキシル基の間に、1つ以上の芳香環、1つ以上の脂肪族基、又はこれらの組み合わせを含有する。好ましいポリオールは、ヒドロキシル基の外側に水素及び炭素以外の原子を有さない。
【0062】
好ましくは、カルボキシル末端ポリエステルは、50以上、より好ましくは75以上、より好ましくは100以上の酸価を有する。好ましくは、カルボキシル末端ポリエステルは、500以下の酸価を有する。カルボキシル末端ポリエステルの粘度は、Brookfield CAP2000+粘度計によって測定される。好ましくは、カルボキシル末端ポリエステルは、20,000mPas以上、より好ましくは50,000mPas以上、より好ましくは100,000mPas以上の25℃での粘度を有する。好ましくは、カルボキシル末端ポリエステルは、800,000mPas以下、より好ましくは500,000mPas以下の25℃での粘度を有する。好ましくは、カルボキシル末端ポリエステルは、200g/mol以上、より好ましくは400g/mol以上のMnを有する。好ましくは、カルボキシル末端ポリエステルは、5,000g/mol以下、より好ましくは2,000g/mol以下のMnを有する。
【0063】
構造(I)のエポキシリン酸エステルは、任意の目的のために使用され得る。好ましい使用は、エポキシリン酸エステルと、1つ以上の多官能性イソシアネート反応性化合物と、1つ以上の多官能性イソシアネートプレポリマーとを含有する接着剤組成物中の原料としてのものである。
【0064】
接着剤組成物は、溶媒を含み得るか、又は含み得ない。溶媒が存在する場合、溶媒の量は、接着剤組成物の重量に基づいて、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。溶媒が存在する場合、溶媒の量は、接着剤組成物の重量に基づいて、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。好ましくは、接着剤組成物は、溶媒をほとんど又は全く含有しない。すなわち、好ましくは、接着剤組成物中の溶媒の量は、接着剤組成物の総重量に基づいて、0~10重量%、より好ましくは0~5重量%、より好ましくは0~2重量%、より好ましくは0~1重量%である。
【0065】
接着剤組成物に含めるための好ましい多官能性イソシアネートプレポリマーは、接着剤組成物中の他の原料と混合する前に、溶媒中の溶液中の溶質の形態であり得るか、又は溶媒をほとんど若しくは全く有さない形態であり得る。多官能性イソシアネートプレポリマー中に溶媒がほとんど又は全く存在しない実施形態の中で、溶媒の量は、多官能性イソシアネートプレポリマーの総重量に基づいて、0~10重量%、より好ましくは0~5重量%、より好ましくは0~2重量%、より好ましくは0~1重量%である。
【0066】
接着剤組成物に含めるための多官能性イソシアネートプレポリマーは、任意選択的に、単官能性又は多官能性イソシアネートモノマーを含有する。
【0067】
好ましい多官能性イソシアネートプレポリマーは、5%以上、より好ましくは10重量%以上の総NCO%を有する。好ましい多官能性イソシアネートプレポリマーは、30%以下、より好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下のNCO%を有する。
【0068】
多官能性イソシアネートプレポリマーの粘度は、#27スピンドル、20rpm、25℃で、Brookfield粘度計DV-II+によって決定される。好ましい多官能性イソシアネートプレポリマーは、500mPas以上、より好ましくは1,000mPas以上の25℃での粘度を有する。好ましい多官能性イソシアネートプレポリマーは、100,000mPas以下、より好ましくは50,000mPas以下の25℃での粘度を有する。
【0069】
好ましい多官能性イソシアネートプレポリマーは、1つ以上の多官能性イソシアネートモノマーと1つ以上のポリオールとの反応生成物である。多官能性イソシアネートプレポリマーの作製に使用する好ましい多官能性イソシアネートモノマーは、正確に2つのイソシアネート基を有する。多官能性イソシアネートプレポリマーの作製に使用する好ましいポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール、天然油ポリオール、及びこれらの混合物から選択される。
【0070】
接着剤組成物は、好ましくは、1つ以上の多官能性イソシアネート反応性化合物を含有する。好ましくは、接着剤組成物は、1つ以上のポリオールを含有する。接着剤組成物中に存在するポリオールとしては、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びこれらのブレンドが挙げられる。接着剤組成物中に存在するポリオールとしては、好ましくは、ジオール、トリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。接着剤組成物中に存在するポリオールは、好ましくは、300g/mol以上、より好ましくは500g/molのMwを有する1つ以上のポリオールを含む。接着剤組成物中に存在するポリオールは、好ましくは、5,000g/mol以下、より好ましくは2,500g/mol以下のMwを有する1つ以上のポリオールを含む。
【0071】
好ましくは、接着剤組成物は、多官能性イソシアネート化合物、多官能性イソシアネート反応性化合物、及び構造(I)のエポキシリン酸エステル以外の任意の化合物の量をほとんど又は全く含有しない。すなわち、好ましくは、多官能性イソシアネート化合物、多官能性イソシアネート反応性化合物、及び構造(I)のリン酸エステル以外の全ての化合物の量は、接着剤組成物の重量に基づいて、0~10重量%、より好ましくは0~5重量%、より好ましくは0~2重量%、より好ましくは0~1重量%である。
【0072】
接着剤組成物は、任意の方法によって作製され得る。好ましい方法では、イソシアネート化合物の不在下で、接着剤組成物に使用されるイソシアネート反応性化合物の全て及びエポキシリン酸エステルの全てを含有する混合物(本明細書では「パックA」と称される)が作製される。好ましくは、別個の混合物(本明細書では「パックB」と称される)は、イソシアネート反応性化合物の不在下で、接着剤組成物に使用される全てのイソシアネート化合物を含有する。好ましくは、パックA及びパックBは、別個に保管され、次いで、接着剤組成物が使用される少し前に、パックAとパックBとを接触させ、一緒に混合して、反応性混合物を形成し、次いで、基材に塗布される。
【0073】
パックAは、溶媒を含有し得るか、又は溶媒をほとんど若しくは全く含有し得ない。パックAが溶媒を含有する場合、好ましくは、パックA中の溶媒の量は、パックAの重量に基づいて、10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。パックAが溶媒を含有する場合、好ましくは、パックA中の溶媒の量は、パックAの重量に基づいて、80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。パックAが溶媒をほとんど又は全く含有しない場合、好ましくは、パックA中の溶媒の量は、パックAの重量に基づいて、0~5重量%、より好ましくは0~2重量%、より好ましくは0~1重量%である。
【0074】
パックAとは別に、パックBは、溶媒を含有し得るか、又は溶媒をほとんど若しくは全く含有し得ない。パックBが溶媒を含有する場合、好ましくは、パックB中の溶媒の量は、パックBの重量に基づいて、10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。パックBが溶媒を含有する場合、好ましくは、パックB中の溶媒の量は、パックBの重量に基づいて、80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。パックBが溶媒をほとんど又は全く含有しない場合、好ましくは、パックB中の溶媒の量は、パックBの重量に基づいて、0~5重量%、より好ましくは0~2重量%、より好ましくは0~1重量%である。
【0075】
パックAとパックBとを接触させ、一緒に混合する場合、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との間の化学反応(「硬化反応」)が開始することが予期される。好ましくは、パックAとパックBとを接触させ、一緒に混合する場合、得られる反応性混合物は、液体である。最終的に、硬化反応は、反応性混合物の粘度を徐々に上昇させ、最終的に、反応性混合物を基材に塗布することが困難又は不可能になるような高い粘度をもたらすことが予期される。本明細書では、4,500mPasの(スピンドル#27を用い、20rpmで、Brookfield DV-II+粘度計によって測定された)粘度値は、接着剤組成物が過度の困難なく基板に塗布され得る最大粘度としている。4,500mPasに到達するまでの混合時間は、本明細書では「ポットライフ」として知られている。好ましくは、ポットライフは、反応性混合物が困難なく基材に塗布され得るように十分に長いものである。混合操作及び接着剤組成物を基材に塗布する操作は、任意選択的に、室温を超える、例えば30~50℃の温度で実行され得る。
【0076】
接着剤組成物は、任意の対の基材を一緒に結合するために使用され得る。好ましい基材はフィルムである。一方のフィルムの面を圧力下で第2のフィルムの面に結合させるプロセスは、積層と称され、得られる結合物品は、積層体として知られている。好ましいフィルムは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及び金属である。好ましくは、フィルムのうちの1つ以上は、金属、好ましくはアルミニウムである。積層は、典型的には、積層機を使用して実行される。
【0077】
以下は、本発明の実施例である。特に記載のない限り、室温(約23℃)で操作を実行した。
【0078】
実施例に記載される組成物を調製するために使用される原材料を以下に記載する。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例に記載される組成物を調製するために使用される更なる原材料を以下に記載する。
【0081】
【表2】
【0082】
積層
ポリオール(以下に示される構造(I)の1つ以上の化合物を含む)及びイソシアネートプレポリマーを、実施例で指定された比で混合し、混合物を一次フィルムに塗布し、続いて、標準条件下でNordmeccanica Labocombiパイロットラミネーターを使用して二次フィルムで積層した。積層後に様々な間隔で、2つのフィルム間の結合強度を測定した。7日後、ボイルインバッグ試験及び化学的劣化試験のために、パウチを、積層体構造を使用して作製し、1:1:1のソース(等重量部のケチャップ、酢、及び植物油のブレンド)で充填した;以下に記載されるように、3体積%の酢酸水溶液を使用してレトルト試験を実施した。
【0083】
結合強度測定
90度T型剥離試験を、2.54cm(1インチ)幅の細片に切断された積層体試料に対して行い、25.4cm/分(10インチ/分)の速度で、50Nのロードセルを備えたThwing Albert(商標)QC-3A剥離試験機で引っ張った。積層体中の2つのフィルムが分離(剥離)するときの、引っ張り中の力の平均(2.54cmの幅当たりのグラム、又はg/インチ)を記録した。フィルムのうちの1つが伸張又は破断した場合、最大の力又は破断時の力(2.54cmの幅当たりのグラム、又はg/インチ)を記録した。値は、各試料について少なくとも4つの同一の細片にわたる平均を表す。破壊モード(failure mode、FM)又は破壊のモード(mode of failure、MOF)を、以下のように記録した:
FS=フィルムの伸張
FT=フィルムの裂け又は破断
DL:剥離、二次フィルムが一次フィルムから分離
AT:接着剤転移(接着剤は、一次フィルムに接着し損ない、二次フィルムに転移される)。
AS:接着剤亀裂又は凝集破壊(接着剤は、一次フィルム及び二次フィルムの両方の上に見られる)。
【0084】
ボイルインバッグ試験手順
積層体を、上記のようにPrelam Al/GF-19又はPrelam/CPPから作製した。23cm×30.5cm(9インチ×12インチ)シートの積層体のうちの1つを、一方の層のポリマーフィルムが他方の層のポリマーフィルムと接触するように折り返して、約23cm×15.3cm(9インチ×6インチ)の二層を得た。端部をペーパーカッターでトリミングして、約12.7×17.8cm(5インチx7インチ)の折り畳まれた断片を得た。2つの長辺及び1つの短辺を端部でヒートシールして、10.2cm×15.2cm(4インチx6インチ)の内部サイズを有する完成パウチを得た。ヒートシールを、276kpa(40psi)の油圧で、177℃(350°F)で1秒間行った。各試験のために、2つ又は3つのパウチを作製した。
【0085】
パウチを、開口縁を通して、100±5mlの1:1:1のソース(等しい重量部のケチャップ、酢、及び植物油のブレンド)で充填した。試験中にヒートシール不良を引き起こし得るので、ヒートシール領域上への充填物の跳ね上がりを回避した。充填後、パウチの内側への空気の封じ込めを最小限に抑える様式で、パウチの上部を密封した。試験中にパウチの漏れを引き起こすであろう密封部に傷がないことを確実にするために、パウチの4つの側面全てについて密封が完全であることを検査した。欠陥のあるパウチは、廃棄し、交換した。場合によっては、試験中に新たな追加の傷が発生したか否かを識別するために、積層体の傷に印を付けた。
【0086】
ポットに2/3の水を充填し、沸騰させた。沸騰しているポットに蓋をして、水及び蒸気の損失を最小限にした。試験中、ポットを観察して、沸騰を維持するのに十分な水が存在することを確認した。パウチを沸騰水に入れ、そこで30分間維持した。パウチを取り出し、トンネリング、ブリスタリング、層間剥離、又は漏れの程度を、マークされた既存の傷のいずれかと比較した。観察結果を記録した。パウチを切り開き、空にし、石鹸及び水ですすいだ。1つ以上の2.54cm(1インチ)幅の細片をパウチから切断し、先に記載された標準結合強度試験に従って、積層体結合強度を測定した。これは、パウチの中身を取り出した後可能な限りすぐに行った。パウチの内部を検査し、任意の他の視覚的欠陥を記録した。
【0087】
化学的劣化試験手順
パウチを、上記のようにPrelam Al/GF-19、又はPrelam/CPPから作製された積層体を使用して、上記のボイルインバッグ試験と同様に作製した。次いで、パウチを、開口縁を通して、ボイルインバッグ試験において上記のような100±5mlの1:1:1ソースで充填した。
【0088】
次いで、1:1:1のソースを含有するパウチを、60℃に設定された対流式オーブン内に100時間入れた。劣化後にパウチを取り出し、トンネリング、ブリスタリング、層間剥離、又は漏れの程度を、マークされた既存の傷のいずれかと比較した。観察結果を記録した。パウチを切り開き、空にし、石鹸及び水ですすいだ。1つ以上の2.54cm(1インチ)細片をパウチから切断し、先に記載された標準結合強度試験に従って、積層体結合強度を測定した。これは、パウチの中身を取り出した後可能な限りすぐに行った。パウチの内部を検査し、任意の他の視覚的欠陥を記録した。
【0089】
レトルト試験手順
パウチを、上記のようにPrelam/CPPから作製された積層体を使用して、ボイルインバッグ試験における上記の手順を使用して作製した。次いで、1:1:1ソースの代わりに蒸留水(DI水)又は3(体積)%酢酸水溶液を使用したことを除いて、ボイルインバッグ試験において上記のように、パウチに充填及び密封した。
【0090】
次いで、DI水又は3%酢酸溶液を含有するパウチを、121℃に設定されたSTERISオートクレーブ内に1時間置いた。レトルト後にパウチを取り出し、トンネリング、ブリスタリング、層間剥離、又は漏れの程度を、マークされた既存の傷のいずれかと比較した。観察結果を記録した。パウチを切り開き、空にし、石鹸及び水ですすいだ。1つ以上の2.54cm(1インチ)細片をパウチから切断し、先に記載された標準結合強度試験に従って、積層体結合強度を測定した。これは、パウチの中身を取り出した後可能な限りすぐに行った。パウチの内部を検査し、任意の他の視覚的欠陥を記録した。
【0091】
ポットライフ測定
溶剤フリー接着剤のポットライフを、Brookfield DV-II+粘度計によって40℃で決定した。所定の温度における接着剤のポットライフは、その温度で接着剤が4500mPasに達するのにかかる時間として定義され、スピンドル#27を用い、20rpmで、Brookfield DV-II+粘度計で測定された。
【0092】
材料の調製
パックBに使用するためのイソシアネート反応性ポリオールの調製
エポキシリン酸エステルの調製
予備実施例1:カルボン酸末端ポリエステルの調製:
【0093】
【表3】
【0094】
項目1~4を周囲温度(約25~30℃)で反応器に充填した。反応混合物を、窒素下で撹拌しながら100℃にゆっくりと加熱した。次いで、反応温度を225℃に上昇させ、225℃に保持した。理論上の水の約50%が蒸発したとき、AV及びプロセス内粘度を監視した。AVが約80mgKOH/グラム未満になるまで、反応器を225℃に維持した。樹脂を125℃未満に冷却し、次いで、項目5を添加し、樹脂混合物を125~130℃で0.50時間維持した。反応器の温度を225℃にゆっくりと上昇させ、次いで、225℃に維持して、AVを最終目標特性まで減少させるために、必要に応じて約435mmHgの真空度を適用した。AV及びプロセス内粘度を監視し、AVが約160mgKOH/g未満になるまで、反応を225℃に維持した。樹脂を約150℃に冷却し、濾過し、パッケージ化した。
【0095】
最終樹脂は、以下の特性:153mg KOH/gの酸価(AV)、650g/molのM、1550g/molのM、2650g/molのM、173,750mPasの25℃での(Brookfield CAP2000+粘度計によって測定された)粘度を有していた。
【0096】
予備実施例2-エポキシ末端ポリエステルの調製:
【0097】
【表4】
【0098】
1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテル(D.E.R.(登録商標)731又はErisys(登録商標)GE-21)、予備実施例1のカルボン酸末端ポリエステル、及び触媒を反応器に充填した。樹脂混合物を、135~140℃にゆっくりと加熱した。反応を135~140℃で約0.50時間維持し、次いで、150~155℃に加熱し、150~155℃で約1.5~2時間維持し、次いで、AV及びプロセス内粘度を監視した。反応を150~155℃に維持し、AVが1.0mg KOH/g未満になるまでAV及びプロセス内粘度を監視した。樹脂を約80℃に冷却し、酢酸エチルを添加し、次いで、約55~60℃に冷却し続け、次いで、移送し、パッケージ化した。
【0099】
生成物は、最終特性:0.1mg KOH/g未満のAV、288.67mPasの25℃でのプロセス内粘度、1353.6g/molのEEW、79.6mg KOH/gのOH数、SEC分析:1,850g/molのM、30,000g/molのM、186,550g/molのM、16.2の多分散度を有していた。
【0100】
実施例3(a)及び予備実施例3(b):異なる種類のエポキシリン酸エステルの調製:
1Lのマルチネック丸底フラスコを70℃のオーブンに入れて、一晩乾燥させた。予備実施例2のエポキシ末端ポリエステルの指定量をフラスコに充填し、25~30℃に維持した。連続的窒素流及び強い撹拌下で、表1に示されるリン含有化合物を、所望の量でゆっくりとフラスコに添加した。反応温度を監視し、温度を50℃未満に維持するために必要な冷却手順をとった。発熱がおさまった後、反応を、連続的窒素流及び強い撹拌下で、30~35℃で一晩続けた。反応中、酸価が特定の値で安定するまで監視し、生成物をフラスコから注ぎ出し、45℃の真空オーブンで4~5日間完全に乾燥させて、酢酸エチル及び残留水を全て除去し、後の調査に使用した。
【0101】
【表5】
【0102】
比較例4:比較のリン酸エステル接着促進剤(エポキシリン酸エステルではない)の調製
ポリエーテルポリオールをポリリン酸(polyphosphoric acid、PPA)及びジイソシアネートと反応させた。生成物は、以下の特性:100%の固形分、24mg KOH/gのAV、270mg KOH/gのOH数、17,820mPa・sの25℃での粘度、780g/molのM、1415g/molのM、2325g/molのM、1.82の多分散度のSEC分析を有していた。
【0103】
多官能性イソシアネート反応性化合物(ポリオール)が、VORANOL(商標)CP755及びVORANOL(商標)CP1055及び接着促進剤のブレンドである接着剤配合物。
VORANOL(商標)CP755及びVORANOL(商標)CP1055を、最初に70:30の重量比でブレンドして、ベースの共反応物を作製した。次いで、促進剤を、CP 755/CP 1055ポリオール混合物に表2Aに列挙される濃度で添加して、パックBを作製した。ブレンドを、Flacktek高速ミキサーを使用して、3000rpmの速度で1分間混合した。促進剤予備実施例3(a)の性能を、予備実施例3(b)のものと直接比較した。
【0104】
パックAのための多官能性イソシアネートプレポリマーの調製
予備実施例5:多官能性イソシアネートプレポリマーを作製する際に使用されるポリエステル樹脂の調製:
【0105】
【表6】
【0106】
項目1~5を、凝縮器、機械的撹拌機、窒素パージ、及び真空能力を備えた5リットルの反応器に充填した。反応混合物を大気条件で145~155℃にゆっくりと加熱し、145~155℃で1時間維持し、次いで、225~230℃までゆっくりと傾斜させた。大気条件で225~230℃での水分発生量が減少すると、反応器に真空を適用し(約250~300mmHg)、AVが2.5mg KOH/g以下になるまでAVを監視した。AVが2.5mgKOH/g以下である場合、樹脂を約150~160℃に冷却し、濾過し、パッケージ化した。
【0107】
ポリエステルは、約2.0mgKOH/gのAV及び57.5mgKOH/gのOH数を有していた。
【0108】
予備実施例6:多官能性イソシアネートプレポリマーを作製する際に使用されるポリエステル樹脂の調製:
【0109】
【表7】
【0110】
項目1~3を、凝縮器、機械的撹拌機、窒素パージ、及び真空能力を備えた5リットルの反応器に充填した。反応混合物を大気条件下で145~155℃にゆっくりと加熱し、145~155℃で1時間維持し、次いで、225~230℃までゆっくりと傾斜させた。大気条件で225~230℃での水分発生量が減少すると、反応器に真空を適用し(約250~300mmHg)、AVを監視した。AVが10.0mg KOH/g以下である場合、項目4を反応器に添加した。AVが2.0mg KOH/g以下になるまで、反応器を225~230℃、約200~250mmHgの真空に維持した。AVが2.5mgKOH/g以下である場合、樹脂を約150~160℃に冷却し、濾過し、パッケージ化した。
【0111】
ポリエステルは、約1.8mgKOH/gのAV及び111mgKOH/gのOHNを有していた。
【0112】
予備実施例7:接着剤組成物のパックBに使用するためのMDI末端ポリウレタンプレポリマー(すなわち、多官能性イソシアネートプレポリマー)の調製。
【0113】
【表8】
【0114】
機械的撹拌機、凝縮器、及び窒素パージを備えた5リットルの反応器に、項目4を50℃で充填し、次いで、項目1を50℃で反応器に充填し、反応混合物を約60~65℃に発熱させた。約1時間後、反応混合物が60~65℃で安定したとき、項目2及び3を反応器に添加し、反応混合物を約85~90℃に発熱させ、次いで、85℃で3時間保持した。85℃で3時間保持した後、項目5を反応器に添加し、85℃で2時間保持した。樹脂を60℃以下に冷却し、濾過し、パッケージ化した。
【0115】
生成物は、以下の特性:100%の固形分、13.4%のNCO%、9780mPa・sの25℃での(スピンドル#27を用い、20rpmで、Brookfield DV-II+によって測定された)粘度を有していた。
【0116】
表2A.CP755/CP1055に基づく接着剤組成物の組成。示す量はグラム単位である。
【0117】
【表9】
【0118】
表2B.粘度対時間。示される結果は、ポットライフ試験の定義において上記のように測定される40℃での粘度である。単位は、mPasである。
【0119】
【表10】
【0120】
【表11】
【0121】
実施例9、10、及び11は全て、40分を超え、100分未満のポットライフを有し、これは、許容可能である。比較例8は、112分のポットライフを有し、これは、望ましくない長さである。
【0122】
次いで、比較例8と実施例9~11との混合物を、1.05ポンド/連(1.71g/m)のコーティング重量で、Prelam Al箔(箔側)又は92LBT(PET)フィルム上に塗布し、続いて、Nordmeccanica LaboCombiラミネーターを使用して、GF-19(PE)フィルムで積層した。積層体を、4時間後、1日後、7日後、ボイルインバッグ後、及び化学的劣化後の結合強度について試験した。結果を、表3A及び3Bに列挙する。
【0123】
表3A及び3Bにおいて、実施例9及び実施例10は、prelamAl//GF-19構造において、予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステルの使用により、結合強度及びボイルインバッグ耐性が有意に向上し、その向上は、促進剤濃度に強く依存していることを明白に示している。また、予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステルの添加に起因して、化学的劣化後の結合強度が2倍になった。一方、実施例11は、prelamAl//GF-19において、乾燥結合性能、ボイルインバッグ性能、劣化性能のいくらかの改善を、比較例8に比べて示すが、その改善は、やや限定的であった。予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステルは、予備実施例3(b)と比較してはるかに良好な接着促進効果を呈することを示唆している。加えて、表3Bに示されるような92LBT(PET)//GF-19構造において、乾燥結合強度はまた、予備実施例3(a)又は予備実施例3(b)のいずれかの使用によって有意に改善されている。
【0124】
ボイルインバッグ及び化学的劣化試験では、実施例9、10、及び11は、十分に許容可能に機能し、比較例8よりもわずかに悪いが、比較例8の性能に匹敵する性能を示す。
【0125】
乾燥結合試験では、ホスフェートエポキシエステルを有するPET/GF-19構造の破壊のモードは、ボイルインバッグ試験前に接着剤亀裂(Adhesive Split、AS)を呈するリン酸エポキシエステルを有さない対照例8と比較して、フィルム引き裂き(Film Tear、FT)であることに留意されたい。乾燥結合試験では、FT破壊モードは、接着剤組成物の優れた性能を示すとみなされる。
【0126】
表3A.箔//PE構造上の比較例8及び実施例9~11で調製された積層体の乾燥結合性能。試料の形成後に、乾燥結合を様々な間隔で測定した。結果を、破壊モードとともに、試料の幅の2.54cm当たりの力をグラム(g/インチ)単位で報告する。
【0127】
【表12】
【0128】
表3B.PET//PE構造上の比較例8及び実施例9~11で調製された積層体のボイルインバッグ及び化学的劣化性能。量及び単位は、表3Aのものと同じである。
【0129】
【表13】
【0130】
多官能性イソシアネート反応性成分としてMOR-FREE(商標)C-411を使用する接着剤組成物(パックA中)。
多官能性イソシアネート反応性成分としてMOR-FREE(商標)C-411を使用し(パックA中)、多官能性イソシアネートプレポリマーとしてMOR-FREE(商標)L75-164を使用する(パックB中)接着剤組成物。
【0131】
接着剤組成物を、1.74g/m(1.07ポンド/連)のコーティング重量で塗布した。
【0132】
促進剤を、表4に列挙される濃度でMOR-FREE(商標)C-411ポリオールに添加した。試験される促進剤は、2つの異なる荷重レベルでの、予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステルであった。また、ポリリン酸(115グレード)(PP酸)を比較例15として試験し、以下の実施例14と同じレベルのリン元素に維持した。ブレンドを、Flacktek高速ミキサーを使用して、3000rpmの速度で1分間混合した。
【0133】
表4.比較例12、実施例13~14、及び比較例15における共反応物ブレンドの組成。示す量はグラム単位である。促進剤濃度は、完全な接着剤組成物の重量に基づく重量%である。
【0134】
【表14】
【0135】
40部(重量)のポリオールブレンドを、100部(重量)のMOR-FREE(商標)L75-164イソシアネートプレポリマーと混合した。次いで、混合物を、1.07ポンド/連(1.74g/m)のコーティング重量で、Prelamフィルム上に塗布し、続いて、Nordmeccanica LaboCombiラミネーターを使用して、GF-19フィルムで積層した。積層体を、3時間後、1日後、7日後、ボイルインバッグ後、及び化学的劣化後の結合強度について試験した。結果を以下の表5に列挙する。
【0136】
乾燥結合強度(1日及び7日)並びにボイルインバッグ後の結合強度は、促進剤の使用によって有意に改善され得ることが分かる。対照例12は、ボイルインバッグ試験後の非常に低い接着強度を有するが、一方、予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステルを用いた試料は、例外的な結合強度を有し、その値は、リン酸塩濃度で有意に上昇した。加えて、化学的劣化試験後の結合強度も、実施例14対実施例13に示されるように、エポキシホスフェートをより高濃度で使用することによって有意に向上した。一方、ポリリン酸を用いたボイルインバッグ及び化学的劣化試験後の結合強度(比較例15)は、実施例14で得られた値と比較してはるかに低い。
【0137】
表5.比較例12、実施例13~14、及び比較例15の箔//PE構造上の配合物で調製された積層体の乾燥結合、ボイルインバッグ、及び化学的劣化性能。乾燥結合を試料の形成後の時間間隔で試験した。全ての値は、試料幅の2.54cm当たりのグラムの単位(g/インチ)である。
【0138】
【表15】
【0139】
多官能性イソシアネート反応性成分としてMOR-FREE(商標)C-411を使用し(パックA中)、多官能性イソシアネートプレポリマーとしてMOR-FREE(商標)L75-164を使用する(パックB中)接着剤組成物。接着剤組成物を、2.22g/m(1.7ポンド/連)のコーティング重量で塗布した。
【0140】
促進剤を、表6に列挙される濃度でMOR-FREE(商標)C-411ポリオールに添加した。試験される促進剤は、2つの異なる荷重レベルでの、予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステルであった。また、予備実施例2のエポキシ末端ポリエステル、オルトリン酸(85%水溶液)(ortho-phosphoric acid、OPA)、及び予備実施例4のリン酸エステルを、比較例として評価した。比較例19~21は、以下の実施例18と同じレベルのリン元素に維持された。ブレンドを、Flacktek高速ミキサーを使用して、3000rpmの速度で1分間混合した。
【0141】
表6.比較例16、実施例17~18、及び比較例19~21における共反応物ブレンドの組成。示す量はグラム単位である。促進剤濃度は、接着剤組成物の総重量に基づく促進剤の重量パーセントである。
【0142】
【表16】
【0143】
40部(重量)のポリオールブレンドを、100部(重量)のMOR-FREE(商標)L75-164イソシアネートプレポリマーと混合した。次いで、混合物をポットライフについて試験し、結果を表7に示す。また、混合物を、1.7ポンド/連(2.77g/m)のコーティング重量で、Prelamフィルム上に塗布し、続いて、Nordmeccanica LaboCombiラミネーターを使用して、GF-19フィルムで積層した。積層体を、3時間後、1日後、7日後、ボイルインバッグ後、及び化学的劣化後の結合強度について試験した。結果を、以下の表8A及び8Bに列挙する。
【0144】
表7A.粘度対時間(分)(「分」)。示される結果は、ポットライフ試験の定義において上記のように測定される40℃での粘度である。単位は、mPasである。
【0145】
【表17】
【0146】
表7B.実施例17~18並びに比較例16及び19~21の接着剤組成物のポットライフ。
【0147】
【表18】
【0148】
この種類の接着剤組成物について、このポリオール及びこのイソシアネートプレポリマーを使用して、実施例17及び18は、許容可能なポットライフを示す。
【0149】
表8A及び8Bに示されるように、Prelam//GF-19及びPrelam Al//CPP構造の両方において、乾燥結合強度(1日及び7日)並びにボイルインバッグ後の結合強度は、予備実施例2のエポキシ基末端ポリエステルを、配合物中の添加剤として直接適用した比較例19の場合を除き、全ての種類の促進剤(本発明の実施例及び比較例の両方)の使用により、有意に改善され得る。エポキシ末端ポリエステル(本発明のエポキシリン酸エステルとは異なる)は、それ自体単独では、有効性能促進添加剤ではないことが分かる。
【0150】
対照例16は、ボイルインバッグ試験後の非常に低い接着強度を有するが、一方、予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステルを用いた試料は、例外的な結合強度を有し、その値は、実施例17対実施例18に示されるようなリン酸塩濃度で有意に上昇した。同じレベルのリン元素で適用されたにもかかわらず、オルトリン酸(比較例20)及び予備実施例4のリン酸エステル(比較例21)は、予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステルほど効率的に性能を向上させることができなかった。加えて、化学的劣化試験後の結合強度も、実施例17対実施例18と同様に、エポキシリン酸エステルをより高濃度で使用することによって有意に向上した。一方、オルトリン酸(比較例20)及び予備実施例4のリン酸エステル(比較例21)による化学的劣化試験後の結合強度は、実施例18で得られた値と比較してはるかに低い。
【0151】
Prelam Al//CPP構造において、レトルト試験後、対照実施例16で調製された積層体、及び予備実施例2のエポキシ末端ポリエステルによって変性された積層体(比較例19)は、完全に剥離した。比較として、予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステル、予備実施例4のオルトリン酸及びリン酸エステルの変性配合物で作成された積層体は、依然として非常に適切な結合強度を保持することができ、予備実施例3(a)のエポキシリン酸エステルは、最適な結果を示した。
【0152】
表8A.比較例16、実施例17~18、及び比較例19~21のPrelamA1//GF-19構造の配合物で調製された積層体の乾燥結合、ボイルインバッグ、及び化学的劣化性能。結果を、破壊モードとともに、試料の幅の2.54cm当たりの力をグラム(g/2.54cm又はg/インチ)単位で報告する。
【0153】
【表19】
【0154】
表8B.比較例16、実施例17~18、及び比較例19~21のAl//3ミルCPP構造上の配合物で調製された積層体の乾燥結合、ボイルインバッグ、化学的劣化、及びレトルト性能。結果を、破壊モードとともに、試料の幅の2.54cm当たりの力をグラム(g/2.54cm又はg/インチ)単位で報告する。
【0155】
【表20】

【国際調査報告】