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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】時間多重線量測定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20230623BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/067
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022567571
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 US2021030539
(87)【国際公開番号】W WO2021226001
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】63/020,142
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522375637
【氏名又は名称】ルメダ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクドウガル,トレヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,イー
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PC10
4C082PE09
4C082PG13
4C082PJ30
4C082PL03
4C082RA02
4C082RC09
4C082RE17
4C082RJ03
4C082RL02
4C082RL13
4C082RL16
4C082RL24
(57)【要約】
治療用光送達装置及び方法を開示する。本装置は、光源と、複数の光検出デバイスと対になった複数の発光デバイスとを含み、発光デバイスの各々は、送達光学スイッチのチャネルと光学的に連通し、複数の光検出デバイスの各々は、検出光学スイッチのチャネルと光学的に連通している。複数の発光デバイスは、アプリケータ光フラップ内に固定的に位置決めされる。本システムは、検出器光学スイッチと光学的に連通する光学検出器を更に含む。本システムは、送達光学スイッチ、検出器光学スイッチ、及び光源を制御する光電子コントローラを更に含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学光送達システムであって、
光源と、
コンピュータプロセッサ及び光デバイスコントローラを有する光電子コントローラと、
複数の光学出力チャネルを有する送達光学スイッチであって、前記送達光学スイッチは、前記光源に光学的に結合され、前記光電子コントローラに電気的に結合されている、送達光学スイッチと、
複数の発光デバイスであって、前記複数の発光デバイスの各発光デバイスは、前記複数の光学出力チャネルのそれぞれの光学出力チャネルに光学的に結合されている、複数の発光デバイスと、を備え、
前記光電子コントローラは、前記光源を前記複数の光学出力チャネルの各々と選択的に光学的に結合させて、前記複数の発光デバイスの各々の放射照度レベルを作り出すように、前記送達光学スイッチを制御するように構成されている、光学光送達システム。
【請求項2】
前記光電子コントローラが、所望の完全な標的を作り出すために、滞留時間の間、前記複数の発光デバイスの各々の前記放射照度レベルを作り出すように更に構成されている、請求項1に記載の光学光送達システム。
【請求項3】
その中に配設され、人体内に位置決めされるように適合された複数の長手方向チャネルを有する可撓性アプリケータフラップであって、前記複数の発光デバイスの各々が、前記複数の長手方向チャネルのそれぞれの長手方向チャネル内の所定の場所に固定的に位置決めされている、可撓性アプリケータフラップを更に備える、請求項2に記載の光学光送達システム。
【請求項4】
光学検出器と、
複数の光学入力チャネルを有する検出器光学スイッチであって、前記検出器光学スイッチは前記光電子コントローラに電気的に結合されている、検出器光学スイッチと、
複数の検出器ファイバであって、前記複数の検出器ファイバの各検出器ファイバは、前記複数の発光デバイスのそれぞれの発光デバイスに近接して位置決めされ、前記それぞれの発光デバイスの各々からの少なくとも1つの光学パラメータを検出するように構成されており、前記複数の検出器ファイバの各検出器ファイバは、複数の光学入力チャネルのそれぞれの光学入力チャネルに光学的に結合されている、複数の検出器ファイバと、を更に備え、
前記光電子コントローラは、前記複数の光学入力チャネルの各々を前記光学検出器に選択的に光学的に結合するように前記検出器光学スイッチを制御するように構成されており、
前記光学検出器は、前記複数の検出器ファイバからの前記少なくとも1つの光学パラメータに基づいて出力信号を作り出すように適合されている、請求項2に記載の光学光送達システム。
【請求項5】
前記光電子コントローラが、前記出力信号を受信し、所定の治療計画に従って前記複数の発光デバイスの各それぞれの発光デバイスの前記少なくとも1つの光学パラメータ及び前記滞留時間を調整するように更に構成されている、請求項4に記載の光学光送達システム。
【請求項6】
前記光電子コントローラが、閉ループ制御で動作するように構成されている、請求項5に記載の光学光送達システム。
【請求項7】
前記光源が、少なくとも1つの半導体レーザを備える、請求項2に記載の光学光送達システム。
【請求項8】
前記送達光学スイッチ及び前記検出器光学スイッチが各々、MEMSタイプの光学スイッチを備える、請求項4に記載の光学光送達システム。
【請求項9】
前記所定の治療計画が、光力学的療法計画である、請求項5に記載の光学光送達システム。
【請求項10】
前記複数の発光デバイスの前記発光デバイスの各々が、長さを有し、前記長さが、複数の異なる長さを含むことができる、請求項2に記載の光学光送達システム。
【請求項11】
前記放射照度レベル及び前記滞留時間とともに、前記所望の完全な標的を作り出すように、前記複数の異なる長さが選択される、請求項10に記載の光学光送達システム。
【請求項12】
光力学的療法を提供するための方法であって、前記方法が、
標的組織に対する放射照度パターンを判定することと、
前記放射照度パターンを作り出すために、複数の発光デバイスから発光デバイスサブセットを選択することと、
前記発光デバイスサブセットの各々の光力学的療法計画を判定することと、
前記複数の発光デバイスサブセットの各々の初期滞留時間計画及び初期電力レベル計画を策定することと、
前記複数の発光デバイスを前記標的組織に近接する所定の位置に位置決めすることと、
前記発光デバイスサブセットの各々を順次選択することと、
前記初期電力レベル計画に従って初期電力レベルで治療光を前記発光デバイスサブセットの各々に送達することと、
実際の治療光の光学パラメータを検出することと、
前記光学パラメータを前記光力学的療法計画と比較することと、
前記初期電力レベルを更新された電力レベルに調整することと、
新しい滞留時間計画を計算することと、
前記発光デバイスサブセットの各々の総滞留時間及び総電力レベルを合計することと、
前記光力学的療法計画に従って前記放射照度パターンを完了することと、を含む、光力学的療法を提供する方法。
【請求項13】
前記複数の発光デバイスを可撓性アプリケータフラップ内に固定的に位置決めすることを更に含む、請求項12に記載の光力学的療法を提供する方法。
【請求項14】
前記発光デバイスサブセットの各々を前記順次選択するステップが、光学スイッチを使用することを含む、請求項12に記載の光力学的療法を提供するための方法。
【請求項15】
実際の治療光の光学パラメータを前記検出するステップが、複数の検出器ファイバを使用することを含み、前記複数の検出器ファイバの各々が、前記発光デバイスサブセットのそれぞれの発光デバイスと対にされている、請求項12に記載の光力学的療法を提供するための方法。
【請求項16】
前記対になったそれぞれの発光デバイスと協調して前記複数の検出器ファイバを順次選択することを更に含む、請求項15に記載の光力学的療法を提供する方法。
【請求項17】
前記複数の発光デバイスから発光デバイスサブセットを前記選択するステップが、前記標的組織の撮像データを使用して前記放射照度パターンをモデル化することと、前記標的組織の幾何学的形状と実質的に合致する前記放射照度パターンを作り出すように前記複数の発光デバイスから前記発光デバイスサブセットを選択することと、を含む、請求項15に記載の光力学的療法を提供するための方法。
【請求項18】
時間多重線量測定システムであって、
治療光を作り出すためのレーザ光源と、
前記治療光を標的組織に送達するように構成された送達システムと、
前記治療光の少なくとも1つのパラメータを監視するように構成された検出システムと、
前記標的組織上に放射照度パターンを作り出すように前記送達システムを制御するように構成された制御システムと、を備える、時間多重線量測定システム。
【請求項19】
前記送達システムが、前記治療光を複数の円筒形光拡散器に選択的に結合するための送達光学スイッチを備え、前記制御システムが、前記複数の発光デバイスの各々の放射照度レベルを作り出すように更に構成されている、請求項18に記載の時間多重線量測定システム。
【請求項20】
前記送達光学スイッチが、所望の完全な標的を作り出す滞留時間の間、前記複数の円筒形光拡散器の各々の前記放射照度レベルを作り出すように制御される、請求項19に記載の時間多重線量測定システム。
【請求項21】
前記送達が、その中に配設され、前記標的組織に近接して人体内に位置決めされるように適合された複数の長手方向チャネルを有する可撓性アプリケータフラップを更に備え、前記複数の円筒形光拡散器の各々が、前記複数の長手方向チャネルのそれぞれの長手方向チャネル内の所定の場所に固定的に位置決めされている、請求項20に記載の時間多重線量測定システム。
【請求項22】
前記検出システムが、
光学検出器と、
複数の検出器ファイバであって、前記複数の検出器ファイバの各検出器ファイバは、前記複数の円筒形光拡散器のそれぞれの円筒形光拡散器に近接して位置決めされ、前記それぞれの円筒形光拡散器の各々からの前記治療光の前記少なくとも1つのパラメータを検出するように構成されている、複数の検出器ファイバと、
前記複数の検出器ファイバの各検出器ファイバを選択的に結合するための検出器光学スイッチと、を備え、
前記制御システムが、前記複数の円筒形光拡散器のそれぞれの円筒形光拡散器及び前記複数の検出器ファイバのうちの検出器ファイバの対が前記治療光の前記少なくとも1つのパラメータを前記光学検出器に送達するように、前記送達光学スイッチの位置及び前記検出器光学スイッチの位置を制御する、請求項21に記載の時間多重線量測定システム。
【請求項23】
前記制御システムが、所定の治療計画に従って、複数の円筒形光拡散器の各それぞれの円筒形光拡散器の前記治療光の前記少なくとも1つのパラメータ及び前記滞留時間を調整するように更に構成されている、請求項22に記載の時間多重線量測定システム。
【請求項24】
前記レーザ光源が、少なくとも1つの半導体レーザを備える、請求項18に記載の時間多重線量測定システム。
【請求項25】
前記送達光学スイッチ及び前記検出器光学スイッチは各々、MEMSタイプの光学スイッチを備える、請求項22に記載の時間多重線量測定システム。
【請求項26】
前記所定の治療計画が、光力学的療法計画である、請求項23に記載の時間多重線量測定システム。
【請求項27】
前記複数の円筒形光拡散器の前記円筒形光拡散器の各々が、長さを有し、前記長さが、複数の異なる長さを含むことができる、請求項20に記載の時間多重線量測定システム。
【請求項28】
前記放射線レベル及び前記滞留時間とともに、前記複数の異なる長さが、前記所望の完全な標的を作り出すように選択される、請求項27に記載の時間多重線量測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年5月5日の出願日を有する米国特許仮出願第63/020142号の利益を主張する。上記出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、光力学的療法に関する。
【0003】
[関連技術の説明]
光療法は、複数の方法で病態の治療に使用され得る。例えば、光療法は、標的腫瘍の近位又は標的腫瘍内部に配置された光ファイバデバイスを通した治療用光の送達を伴う。
【0004】
光療法は、治療用光を吸収し、周囲の組織成分(例えば、酸素)と相互作用して、標的組織を破壊することができる反応性種を生成する光増感薬剤(すなわち、光増感剤)の先行投与と組み合わせることができる。この形態の療法は、光力学的療法(PDT)として知られている。PDTは、光(レーザによって提供される光など)を使用して、非毒性の光増感剤を活性化する。
【0005】
加えて、又は代替的に、光のエネルギーは、光エネルギーを熱に変換する血液又は外部添加剤(金属粒子など)によって吸収され、標的腫瘍組織の破壊を誘発することができる。
【0006】
典型的な先行技術の光療法では、治療を成功させるために、腫瘍全体に十分な用量の光を照射することが重要であり得る。腫瘍又は組織に光が送達される場所及び量を知ることが困難であることは、先行技術の欠陥である。
【0007】
光力学的光療法(PDT)送達システム及び方法の例は、米国特許出願公開第2018/0207442号明細書に開示されており、PDTが、組織の治療のために使用される。遠位端に取り付けられた拡散器を有する複数の光送達カテーテル(LTC)が、所定の治療計画に従って組織内に提供及び配置され、LTCは、それを通って配設された第1の治療ファイバを含み、LTCは、それを通って配設された線量測定ファイバを含む。ある用量の光は、所定の治療計画に従って、第1の治療ファイバを介して光拡散器を介して組織に提供される。拡散器は、標的組織内に手動で位置決めされ、光は、線量測定ファイバを使用して監視される。
【0008】
PDTの別の例は、米国特許出願公開第2018/0207441号明細書に見出すことができ、そこでは、治療領域への光用量の送達を制御するために、遠位端から光を放射する光ファイバを有する可撓性ガイド(フラップ)を使用するシステム及び方法が開示されている。このアプローチは、標的領域に準拠したフラップを用いて、信頼性の低い光用量の送達を克服する。線量測定制御は、コンピュータ制御モータを使用して、標的組織上で既知の速度で球体内でレーザファイバを直線的に移動させることによって改善され得る。
【0009】
図1を参照すると、カテーテル2内に配設され、光ファイバ5に光学的に接続された円筒形光拡散器1と、カテーテル4内に配設され、光ファイバ6に光学的に接続された円筒形光拡散器3とが示されている。円筒形光拡散器1は、カテーテル2の直線長さに沿って第1の位置に配設され、円筒形光拡散器3は、カテーテル4の直線長さに沿って第2の位置(第1の位置に対して)に位置決めされていることが分かる。円筒形光拡散器から放射される光を所定の標的領域上に位置決めするために、手動手段及び自動手段によって、円筒形光拡散器をカテーテル内で物理的に移動させることが先行技術において知られている。ここで図2を参照すると、光電子機器11及び光フラップ7を含む先行技術のPDTシステム10が示されている。光フラップ7は、Freiburgフラップを備えることができ、カテーテル内に位置決めされてもされなくてもよい円筒形光拡散器1、3、15、17を含む。光フラップ7は、円筒形光拡散器1、3、15、17からそれぞれ放射された治療光を検出するための検出器ファイバ19、20、21、22を更に含む。そのような先行技術の実施形態では、光電子機器11は、複数のレーザ及び複数の検出器を含むことが典型的である。この特定の例では、個々のレーザ23、24、25、26は、光ファイバによってそれぞれ円筒形光拡散器1、3、15、17に光学的に結合されている。更に、検出器ファイバ19、20、21、22は、個々の検出器27、28、29、30にそれぞれ光学的に結合されている。光電子機器11は、他の構成要素の中でも、レーザ及び検出器のための制御ハードウェア及びソフトウェアを更に含む。そのようなPDTシステム10に関する既知の問題は、各拡散器及び検出器に対して別個のレーザ及び検出器を使用することによって、PDTシステムが高価であり、扱いにくく、規模拡張が困難であり、非常に多くの構成要素があるという事実に起因して、信頼性及び精度が問題となることである。
【0010】
必要とされるのは、精度及び性能が向上しており、先行技術に見られるものよりも、より単純で、より安価で、より信頼性があり、かつ規模拡張がより容易である、PDTシステムである。
【発明の概要】
【0011】
1つ以上のコンピュータのシステムは、動作中にシステムにアクションを実行させる、システム上にインストールされたソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによって、特定の動作又はアクションを実行するように構成され得る。1つ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されたときに、装置にアクションを実行させる命令を含むことによって、特定の動作又はアクションを実行するように構成され得る。一般的な一態様は、光学光送達システムを含む。光学光送達システムはまた、光源と、コンピュータプロセッサ及び光デバイスコントローラを有する光電子コントローラと、複数の光学出力チャネルを有する送達光学スイッチであって、送達光学スイッチは、光源に光学的に結合され、光電子コントローラに電気的に結合されている、送達光学スイッチと、複数の発光デバイスであって、複数の発光デバイスの各発光デバイスは、複数の光学出力チャネルのそれぞれの光学出力チャネルに光学的に結合されている、複数の発光デバイスと、を備え、光電子コントローラは、光源を複数の光学出力チャネルの各々と選択的に光学的に結合させて、複数の発光デバイスの各々の放射照度レベルを作り出すように、送達光スイッチを制御するように構成されている。
【0012】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。光学光送達システムにおいて、光電子コントローラは、所望の完全な標的を作り出すために、滞留時間の間、複数の発光デバイスの各々の放射照度レベルを作り出すように更に構成されている。複数の発光デバイスの各々は、複数の長手方向チャネルのそれぞれの長手方向チャネル内の所定の場所に静的に位置決めされている。光学光送達システムは、光学検出器と、複数の光学入力チャネルを有する検出器光学スイッチであって、検出器光学スイッチは光電子コントローラに電気的に結合されている、検出器光学スイッチと、複数の検出器ファイバであって、複数の検出器ファイバの各検出器ファイバは、複数の発光デバイスのそれぞれの発光デバイスに近接して位置決めされ、それぞれの発光デバイスの各々からの少なくとも1つの光学パラメータを検出するように構成されており、複数の検出器ファイバの各検出器ファイバは、複数の光学入力チャネルのそれぞれの光学入力チャネルに光学的に結合されている、複数の検出器ファイバと、を更に含み、光電子コントローラは、複数の光学入力チャネルの各々を光学検出器に選択的に光学的に結合するように検出器光学スイッチを制御するように構成されており、光学検出器は、複数の検出器ファイバからの少なくとも1つの光学パラメータに基づいて出力信号を作り出すように適合されている。光電子コントローラは、出力信号を受信し、所定の治療計画に従って複数の発光デバイスの各それぞれの発光デバイスの少なくとも1つの光学パラメータ及び滞留時間を調整するように更に構成されている。光電子コントローラは、閉ループ制御で動作するように構成されている。所定の治療計画は、光力学的治療計画である。送達光学スイッチ及び検出器光学スイッチは各々、MEMSタイプの光学スイッチを含み得る。光源は、少なくとも1つの半導体レーザを含み得る。複数の発光デバイスの発光デバイスの各々は、長さを有し、長さは、複数の異なる長さを含み得る。放射照度レベル及び滞留時間とともに、所望の完全な標的を作り出すように複数の異なる長さが選択される。
【0013】
一般的な一態様は、光力学的療法を提供するための方法を含む。本方法はまた、標的組織に対する放射照度パターンを作り出すために、複数の発光デバイスの各々の光力学的療法計画を判定することと、複数の発光デバイスの各々の初期滞留時間計画及び初期電力レベル計画を策定することと、複数の発光デバイスを標的組織に近接する所定の異なる位置に位置決めすることと、発光デバイスの各々を順次選択することと、初期電力レベル計画に従って初期電力レベルで治療光を発光デバイスに送達することと、実際の治療光の光学パラメータを検出することと、光学パラメータを光力学的療法計画と比較することと、初期電力レベルを更新された電力レベルに調整することと、新しい滞留時間計画を計算することと、複数の発光デバイスの各々の総滞留時間及び総電力レベルを合計することと、光力学的療法計画に従って放射照度ターンを完了することと、を含む。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、及び1つ以上のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含み、各々は本方法のアクションを実行するように構成されている。
【0014】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。光力学的療法を提供するための方法は、複数の発光デバイスを可撓性アプリケータフラップ内に位置決めすることを含み得る。選択するステップは、光学スイッチを使用することを含み得る。検出するステップは、複数の検出器ファイバを使用することを含み得、複数の検出器ファイバの各々は、複数の発光デバイスのそれぞれの発光デバイスと対にされている。光力学的療法を提供するための方法は、対になったそれぞれの発光デバイスと協調して複数の検出器ファイバを順次選択することを含み得る。光力学的療法を提供するための方法は、複数の発光デバイスの各々の長さを選択することを含み得る。
【0015】
一般的な一態様は、時間多重線量測定システムを含む。時間多重線量測定システムはまた、治療光を作り出すためのレーザ光源と、治療光を標的組織に送達するように構成された送達システムと、治療光の少なくとも1つのパラメータを監視するように構成された検出システムと、標的組織上に放射照度パターンを作り出すように送達システムを制御するように構成された制御システムとを含む。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、及び1つ以上のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含み、各々は本方法のアクションを実行するように構成されている。
【0016】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。時間多重線量測定システムにおいて、送達システムは、治療光を複数の円筒形光拡散器に選択的に結合するための送達光学スイッチを含み得、制御システムは、複数の発光デバイスの各々の放射照度レベルを作り出すように更に構成されている。送達光学スイッチは、所望の完全な標的を作り出す滞留時間の間、複数の円筒形光拡散器の各々の放射照度レベルを作り出すように制御される。送達は、その中に配設され、標的組織に近接して人体内に位置決めされるように適合された複数の長手方向チャネルを有する可撓性アプリケータフラップを更に含み得、複数の円筒形光拡散器の各々は、複数の長手方向チャネルのそれぞれの長手方向チャネル内の所定の場所に静的に位置決めされている。検出システムは、光学検出器と、複数の検出器ファイバであって、複数の検出器ファイバの各検出器ファイバは、複数の円筒形光拡散器のそれぞれの円筒形光拡散器に近接して位置決めされ、それぞれの円筒形光拡散器の各々からの治療光の少なくとも1つのパラメータを検出するように構成されている、複数の検出器ファイバと、複数の検出器ファイバの各検出器ファイバを選択的に結合するための検出器光学スイッチと、を含み得、制御システムは、複数の円筒形光拡散器のそれぞれの円筒形光拡散器及び複数の検出器ファイバのうちの検出器ファイバの対が治療光の少なくとも1つのパラメータを光学検出器に送達するように、送達光学スイッチの位置及び検出器光学スイッチの位置を制御する。時間多重線量測定システムにおいて、制御システムは、所定の治療計画に従って、複数の円筒形光拡散器の各それぞれの円筒形光拡散器の治療光の少なくとも1つのパラメータ及び滞留時間を調整するように更に構成されている。所定の治療計画は、光力学的治療計画である。送達光学スイッチ及び検出器光学スイッチは各々、MEMSタイプの光学スイッチを含み得る。複数の円筒形光拡散器の円筒形光拡散器の各々は、長さを有し、長さは複数の異なる長さを含むことができる。放射照度レベル及び滞留時間とともに、所望の完全な標的を作り出すように複数の異なる長さが選択される。レーザ光源は、少なくとも1つの半導体レーザを含み得る。説明された技術の実装形態は、ハードウェア、方法若しくはプロセス、又はコンピュータアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の上述の特徴が詳細に理解できるように、上記で簡潔にまとめられた本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって行われてもよく、そのうちのいくつかは添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示が他の同様に有効な実施形態を認め得るため、その範囲を限定するものとみなされるべきではないことに留意されたい。
【0018】
図1】先行技術の円筒形光拡散器及びカテーテル配置の図である。
【0019】
図2】先行技術のPDTシステムの図である。
【0020】
図3】本開示による、PDTシステムの放射照度プロファイルのグラフ表現である。
【0021】
図4】本開示による、PDTシステムの概略図である。
【0022】
図5】本開示による、光療法システムを使用するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態の以下の詳細な説明では、添付の図面を参照し、それらは、実施形態の一部を形成し、その中には、本明細書に記載の例を実施し得る特定の実施形態が例示として示されている。他の実施形態が利用され得、構造的変化が本開示の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解されたい。
【0024】
本開示は、PDTシステムのための経済的かつ効率的な様式で、特定の場所への光の送達を最適化するために放射照度パターンを変化させる能力を伴う、標的に向けられた光の所望の放射照度パターン及び流束量の制御に関する。本開示は、更に、送達された放射照度光度及び流束量を正確に測定する能力に関する。
【0025】
ここで図3を参照すると、PDTシステムの実施形態の放射照度パターン8を判定するための装置及び方法が示されており、複数の円筒形光拡散器が、ここでは円筒形光拡散器1、3は2個だけであるが、カテーテルの内部に位置決めされ、次いで、アプリケータ光フラップ7のチャネルの内部に配置され得る。複数の円筒形光拡散器は、異なる長さを有する拡散器を含むことができ、拡散器は、アプリケータフラップ7のチャネル内に固定され、かつ、本明細書において後でより詳細に開示するように、個別にアドレス指定され得る。光フラップ7は、進行癌の治療の送達を容易にする、任意の公知の可撓性アプリケータフラップを備えることができる。いくつかの公知のアプリケータフラップとしては、Elekta製のFreiburgフラップ及びMick Radio-Nuclear Instrumentsから入手可能なH.A.Mアプリケーションが挙げられる。光フラップ7は、厚さ8mmで光透過性であるシリコーンゴムの可撓性パッドを備えることができる。カテーテルのアレイは、その中の長手方向チャネルに相互に平行に埋め込まれることができ、実施形態では、10mm離間され、5mmの一貫した光源-組織間距離を作り出す。光フラップ7は、それが適用される表面の形状に準拠する。光フラップ7はまた、本開示の範囲から逸脱することなく、カテーテル、代替材料、及びカスタム形状を伴わない実施形態を含むことができる。円筒形光拡散器1、3は、後で本明細書でより詳細に開示されるように、光源に選択的に光学的に結合される。円筒形光拡散器は、ある線量の治療光を人体の標的領域に送達するために、所定の波長(nm)、流束量(J/cm)及び滞留時間(秒)で光源から光を伝送するように構成されている。好適な円筒形光拡散器の一実施形態は、Rakuten Medicalから入手可能なモデルRD-50である。円筒形光拡散器1、3の位置は、フラップ7内に固定され、放射照度分布は、標的の幾何学形状に合致するように制御される。放射照度パターン8は、PDTを使用して治療される標的組織の標的幾何学形状に基づいて判定される。標的幾何学形状は、磁気共鳴画像、X線写真などから構成される撮像データを使用して判定されることができ、デジタル形式であり、患者の身体上の場所を基準とすることができる。その中から2個の円筒形拡散器1、3を選択した光フラップ7を有するPDTシステムの実施形態に関して本明細書において上記に開示しているが、明確にするために、複数の他の光拡散器は示されていない。いくつかの実施形態では、円筒形光拡散器は、3つの状態、すなわち、オン、オフ、及び滞留時間を有する。複数の円筒形光拡散器を有することの新規性により、そのようなシステムが、空間分解能、時間分解能、及び線量測定分解能に関してより高い分解能を伴う、最適化された治療放射照度プロファイルを作り出すことが可能になる。例えば、光フラップ7内に1×6アレイを形成するように互いに隣接して、又は2×3アレイ若しくは他のパターンを形成するようにエンドツーエンドで位置決めすることができる6個の光拡散器を含み、6個の光拡散器の各々が3つの状態を有する実施形態では、複数の円筒形拡散器の中からの複数の選択は、3個又は64個の場合であり、各々は別個の放射照度プロファイルアレイを有する。そのような実施形態は、標的組織の場所、形状及びサイズにより厳密に合致する、最適化された治療放射照度プロファイルを判定するために、より高い空間分解能を提供する。複数のチャネルを有する光フラップ7は、更に高いレベルの分解能を提供するために、(6個の例と比較して)相対的に多数の円筒形光拡散器を収容することができることを当業者は理解されたい。例えば、8個の円筒形光拡散器を有する実施形態は、3個又は6,561個の別個の放射照度パターンを提供し、16個の円筒形光拡散器を有する実施形態は、316個又は43,046,721個の別個の放射照度パターンを提供する、などである。本明細書において後で開示するように、本開示の装置は、複数の円筒形光拡散器のサブセットの選択的アドレス指定が、標的組織に実質的に合致する放射照度パターンを作り出すことを可能にする。
【0026】
本開示のこの方法及びシステムを使用して、円筒形光拡散器は、プロセスが組み合わされると、各円筒形光拡散器の個々の露光が組み合わされて所望の放射照度パターン「完全な標的」8を作り出すような様式で、放射照度パターンを提供するようにモデル化されることができる。放射照度パターン8の形状及びサイズ(cm)の両方が、ヒトの標的組織を治療するための完全な標的を達成するための重要な要因であることを、当業者は理解されたい。図示する例では、円筒形光拡散器1、3の位置が、放射照度パターン8を作り出す。放射照度パターンがモデル化されると、円筒形光拡散器のサブセットの数、サイズ、及び配置は、複数の円筒形光拡散器から選択される。次いで、光フラップは、撮像データを使用して、標的組織に近接して取り外し可能に位置決めされる。次いで、治療計画は、本明細書において以下で更に詳細に開示するように、発光デバイスを移動又は再位置決めすることなく、実行され、完了されることができる。患者に対して移動しない装置を用いて治療計画を完了する能力は、先行技術の能力を上回る有意な利点を有することを、当業者には理解されたい。この例では、2個の円筒形光拡散器のみを示しているが、本開示の装置及び方法を使用して、任意の数の円筒形光拡散器のモデリングを実行することができる。
【0027】
図4を参照すると、光電子コントローラ51、光源52、送達光学スイッチ53、光フラップ54、検出器光学スイッチ55、及び検出器56の形態の制御システムを含む、本開示のある特定の実施形態による時間多重線量測定(TMD)システム50の形態の光学光送達システムが示されている。ある特定の実施形態では、検出器光学スイッチ55及び検出器56は、検出システムを備えることができる。ある特定の実施形態では、送達光学スイッチ53及び検出器光学スイッチ55は、より高い信頼性及び自動化技術と統合する能力を可能にする、微小電気機械システム(MEMS)タイプの光学スイッチを備えることができる。光フラップ54は、任意の公知のタイプの光フラップ54を備えることができ、その中に固定的に位置決めされた複数の円筒形光拡散器を含み、明確にするために、4つのそのような円筒形光拡散器のみが示されている。図示する例では、複数の円筒形光拡散器のサブセット、すなわち円筒形光拡散器57、58、59、60は、それぞれ送達光ファイバ61、62、63、64によって送達光学スイッチ53の光学的に結合された光学出力チャネルである。いくつかの実施形態では、円筒形光拡散器57、58、59、60は、500ミクロンコアを備えることができる。図に示すように、円筒形光拡散器57、58、59、60は、異なる長さを有することができ、様々な長さは、放射照度パターン8を構成することに寄与する。より短い円筒形光拡散器58、60は、より長い円筒形光拡散器57、59よりも小さい個々の放射照度パターンを含み、その長さは、所望の全体的な放射照度パターン8を作り出すように選択されることを、当業者は理解されたい。好適な送達光ファイバの一実施形態は、125ミクロンのマルチモードグレーデッドインデックスファイバである。TMDシステム50は、検出器光ファイバ65、66、67、68を更に含み、検出器光学スイッチ55のそれぞれの光学入力チャネルに光学的に接続され、円筒形光拡散器57、58、59、60からそれぞれ放射される実際の治療光の少なくとも1つの光学パラメータを検出するように適合される。いくつかの実施形態では、検出器光ファイバ65、66、67、68は、500ミクロンコアを含むことができる。好適な検出器光ファイバの一実施形態は、等方プローブ、例えば、Rakuten Medicalから入手可能なモデルIP-85である。光学パラメータは、光の存在、電力レベル、エネルギーレベル、波長、拡散パターンなどを含むことができる。TMDシステム50のこの実施形態では、円筒形光拡散器57、58、59、60及び検出器光ファイバ65、66、67、68の位置は、それぞれ互いに対して固定され、フラップ54内にあることに留意されたい。本開示のこの態様は、検出器光ファイバ65、66、67、68の較正及び精度、並びにそれによってTMDシステム50の全体的な精度を発明的に高める。図示する実施形態では、検出器ファイバの各々は、対になったそれぞれの円筒形光拡散器を有し、円筒形光拡散器57は検出器光ファイバ65と対になり、円筒形光拡散器58は検出器光ファイバ66と対になり、円筒形光拡散器59は検出器光ファイバ67と対になり、円筒形光拡散器60は検出器光ファイバ68と対になる。この特定の実施形態では、単一の光源52は、送達光学スイッチ53に光学的に結合され、検出器光学スイッチ55は、単一の検出器56に光学的に結合される。コントローラ51は、円筒形光拡散器及び検出器光ファイバの合致した対は、それぞれ光源52及び光学検出器56と光学的に連通するように、送達光学スイッチ53及び検出器光学スイッチ55を協調して制御するように構成されている。光源52の好適な実施形態は、単一の半導体レーザを備えることができるレーザ光源を備える。円筒形光拡散器57、58、59、60は、可撓性の円筒形光拡散器で構成されることができる。この実施形態は4つの光拡散器57、58、59、60を含むが、N個の拡散器を有する他の実施形態が企図され、Nは、4、4より多い及び4より少ないものとすることができる。円筒形光拡散器57、58、59、60は、光を表面全体にわたって均一に拡散させるように構成され、多くの先行技術の照明用途において光拡散器としても知られていることに留意されたい。光フラップ2は、組織表面に準拠するための可撓性を有し、かつ円筒形光拡散器57、58、59、60から光が発することを可能にする光透過性品質を有する任意の好適な材料を含むことができる。コントローラ51は、コンピュータプロセッサ、光デバイスコントローラ、ソフトウェア、及び記憶能力を含み、光源52、送達光学スイッチ53、検出器光学スイッチ55、及び検出器56と電気的に連通する。PDT処置中の使用に先立って、円筒形光拡散器及び検出器光ファイバの対は、円筒形光拡散器の出力電力対検出器光ファイバから測定された検出電力を特徴付けるように較正される。
【0028】
本明細書において後でより詳細に記載するように、TMDシステム50は、送達光学スイッチ53を使用して時間多重化される単一の光源52を発明的に使用して、複数の円筒形光拡散器57、58、59、60を通して治療光線量を送達し、更に、送達光学スイッチと協調して検出器光学スイッチ55を使用して時間多重化される単一の検出器56を使用して、円筒形光拡散器を通して送達される治療光線量に関する情報を収集する。検出器56の一実施形態は、Thorlabsから市販されているモデルPDA 100A2検出器などのシリコン(Si)フリースペース増幅光学検出器である。コントローラ51は、レーザ52及び送達光学スイッチ53を制御して、本明細書では滞留時間とも称される時間量を制御し、各個々の拡散器(円筒形光拡散器57、58、59、60)は、治療光並びにレーザの電力レベルを受容し、所定の放射照度レベル(mW/cm)、すなわち輝度を滞留時間の間、各拡散器に送達する。放射照度レベルは、使用される特定のタイプの光増感剤を少なくとも活性化するように選択されることが、当業者には理解されたい。コントローラ51の一実施形態は、CanaKitから市販されているRaspberry Pi-4、8ギガバイトなどのマルチコンポーネントプロセッサボードである。特定の拡散器の滞留時間の間、コントローラ51は、検出器光学スイッチ55を更に制御して、光学接続をそれぞれの検出器ファイバに提供し、検出器信号を検出器56に提供するように構成されている。TMD50の動作中、検出器56からのフィードバック出力信号がコントローラ51に提供され、コントローラは、所定の光力学的療法計画に従って対象となる標的全体にわたって平均放射照度パターンを作り出すために、総滞留時間にわたって各拡散器に送達される累積総電力レベルを合計する。コントローラ51は、検出器56からのフィードバック出力信号を使用し、アルゴリズムを用いて送達光学スイッチ53の各スイッチ位置の滞留時間と滞留時間の電力レベルとを作り出し、治療光線量を各スイッチ位置のそれぞれの拡散器に渡す。コントローラ51は、プロセスが組み合わされたときに治療光線量送達の所望の「完全な標的」を作り出すように各円筒形光拡散器の個々の露光が組み合わされるような様式で、送達光学スイッチ53及び検出器光学スイッチ55内のスイッチ位置間で同時に移動する。所定の治療計画と合致する治療光の所望の完全な標的が送達されると、コントローラ51はプロセスを終了させる。TMDシステム50は、複数の円筒形光拡散器を使用するため、先行技術のように、処置中に発光円筒形光拡散器の位置を操作する必要はない。加えて、TMDシステム50は、単一の光源52を使用し、更に単一の検出器56を使用するため、システムは、複数のそのような光源及び検出器を較正する要件をなくす。TMDシステム50は、先行技術のシステムと比較した場合、構成要素の数を著しく減少させ、システムの全体的な信頼性を高めることを、当業者は留意されたい。
【0029】
図5を更に参照すると、動作中、TMDシステム50は、有利には、閉ループ制御で動作することができる。ステップ80において、円筒形光拡散器57、58、59、60は、フラップ54内の長手方向チャネル内のそれらの位置と、本明細書において上記に開示するような所望の放射照度パターンを提供する治療光放射能力とに起因して、複数の円筒形光拡散器から選択される。4つの円筒形光拡散器のサブセットが示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、N個までの任意の数の拡散器を含むことができる。加えて、円筒形光拡散器57、58、59、60は、フラップ54内に固定的に位置決めされ、先行技術の方法とは異なり、フラップ内の所定の場所は、PDT処置全体の間、患者の身体に対して静止したままである。ステップ81において、ユーザは、所望の標的幾何学形状及び線量測定計画を含む、所定の治療計画をコントローラ51に提供することができる。標的幾何学的形状は、磁気共鳴画像、X線写真などで構成されることができ、デジタル形態であり、患者の身体上の場所を規準とすることができる。線量測定計画は、所望の治療レベル、光増感薬のタイプ、及び他の関連要因に基づくことができる。ステップ82において、コントローラ51のコンピュータプロセッサは、円筒形光拡散器57、58、59、60の各々の初期滞留時間計画及び初期電力レベル計画を策定することができる。フラップ54は、ステップ83において、患者の標的領域、例えば、PDTのために選択された組織又は臓器の上に配置されることができ、円筒形光拡散器57、58、59、60は、本明細書において上記に開示しているように、標的領域に対する最適な放射照度パターンを提供するように制御される。選択するステップ84において、対象の円筒形光拡散器の各々について、コントローラ51は、例えば、円筒形光拡散器57から開始して、光源52を所定の電力レベルに通電して治療光を作り出し、治療光を送達光ファイバ61及び円筒形光拡散器57に送達するチャネルに送達光学スイッチ53を設定するように構成されることができ、治療光は、ステップ85において、詳細な滞留時間及び電力レベル制御計画に従って、初期滞留時間の間、円筒形光拡散器から標的領域の一部分に放射される。送達光学スイッチ53が、治療光を送達光ファイバ61に送達するように設定されるのとほぼ同時に、コントローラ51は、検出器光学スイッチ55を、検出するステップ86において、実際の電力レベルインジケータを含む、検出器65からの実際の治療光の一部分を受容するチャネルに設定し、その実際の治療光の一部分は、検出器56によって、コントローラ51に送信される電気フィードバック出力信号に変換される。ステップ87において、コントローラ51は、円筒形光拡散器57の滞留時間を追跡し、所定の電力レベルを実際の電力レベルインジケータと比較し、それが詳細な滞留時間及び電力レベル制御計画を満たすかどうかを判定する。ステップ87において、対象の円筒形光拡散器を通して送達された治療光が、詳細な滞留時間及び電力レベル制御計画を満たさない場合、コントローラ51は、新しい滞留時間計画及び更新された電力レベルを判定することができ、検出器56によって伝送される電気信号に基づいて、円筒形光拡散器57の電力レベル及び滞留時間を調整することができる。電力レベルが計画と合致する場合、TMDシステム50は、治療光を対象の円筒形光拡散器に送達し続け、検出された治療光を監視し続けて、詳細な滞留時間及び電力レベル制御計画が対象の円筒形光拡散器に対して満たされることを保証する。ステップ88において、詳細な滞留時間及び電力レベル制御計画が対象の特定の円筒形光拡散器に対して満たされると、コントローラ51は、複数の円筒形光拡散器57、58、59、60の全てがアドレス指定されたかどうかを判定する。次いで、TMDシステム50のコントローラ51は、残りの円筒形光拡散器58、59、60の各々を選択するように順次移動し、同様に、それぞれの円筒形光拡散器の詳細な滞留時間及び電力レベル制御計画に従って、ステップ84に戻って開始して、円筒形光拡散器の各々を通して送達される治療光を制御することができる。個々の詳細な滞留時間及び電力レベル制御計画が対象の円筒形光拡散器に対して満たされ、所定の治療計画を完了するために要求される円筒形光拡散器の全てが、同様に選択的にアドレス指定される限り、円筒形光拡散器の各々にアドレス指定するシーケンスは重要ではない。複数の円筒形光拡散器57、58、59、60の全てがアドレス指定されると、TMDシステム50の治療計画は終了する。
【0030】
本開示の別の態様では、TMDシステム50は、機械学習システムにおける属性としてコントローラ51によって判定された所望の放射照度パターン、電力レベル及び滞留時間を使用するPDTシステム内に包含されることができる。そのようなPDTシステムは、2021年3月19日に出願された同時係属中の特許協力条約特許出願第PCT/US21/23176号に開示されており、当該特許出願の開示はその全体が本明細書に含まれる。そのようなシステムでは、コントローラ51は、複数の光ファイバ61、62、63、64に出力される光の状態を制御するように更に適合され、その状態は、開示した他の状態に加えて電力レベル及び滞留時間を含む。
【0031】
当業者には理解されるように、TMDシステム50及びその使用方法は、多くの利点を提供する。開示した実施形態は、PDTのための複数の発光デバイスの時間多重化及び電力レベル制御を可能にする。開示したTMDの実施形態は、標的領域への治療光の正確で、安定した、高速で、微細で、かつ連続的に調整可能な送達を提供する。
【0032】
本明細書において開示され、特許請求される方法の全ては、本開示に照らして、過度の実験なしに成され、かつ、実行されることができる。本開示の装置及び方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、本開示の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、変形形態が、方法に対し、及び本明細書に記載の方法のステップ又は一連のステップにおいて適用され得ることは、当業者には明らかであろう。加えて、開示する装置に対して改変が行われてもよく、構成要素は、同じ又は類似の結果が達成されるであろう場合、排除されるか、又は本明細書に記載の構成要素と置換されてもよい。当業者に明らかな全てのそのような類似の置換及び改変は、本発明の趣旨、対象範囲、及び概念の範囲内であるとみなされる。
【0033】
本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書に記載されているが、以下の特許請求の範囲に現在記載されている本開示の範囲から逸脱することなく、様々な改変及び変更を行うことができる。そのため、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきであり、全てのそのような改変は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。特定の実施形態に関して本明細書に記載される任意の利益、利点、又は問題に対する解決策は、いずれか又は全ての特許請求の範囲の重要な、必要な、又は必須の特徴又は要素として解釈されることを意図していない。
【0034】
特に明記しない限り、「第1の」及び「第2の」などの用語は、そのような用語が記載する要素を任意に区別するために使用される。したがって、これらの用語は、そのような要素の時間的又は他の優先順位付けを示すことを必ずしも意図するものではない。用語「結合された」又は「動作可能に結合された」は、必ずしも直接的ではなく、必ずしも機械的ではないが、接続されていると定義される。用語「a」及び「an」は、別段の定めがない限り、1つ以上として定義され、用語「comprise」(及び「comprises」及び「comprising」などの任意の形態のcomprise)、「have」(及び「has」及び「having」などの任意の形態のhave)、「include」(及び「includes」及び「including」などの任意の形態のinclude)、及び「contain」(及び「contains」及び「containing」などの任意の形態のcontain)は、オープンエンドの連結動詞である。結果として、1つ以上の要素を「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、又は「含有する(contains)」システム、デバイス、又は装置は、それらの1つ以上の要素を有するが、これらの1つ以上の要素のみを有することに限定されない。同様に、1つ以上の動作を「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、又は「含有する(contains)」方法又はプロセスは、それらの1つ以上の動作を有するが、それらの1つ以上の動作のみを有することに限定されない。
【0035】
上記は、本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の実施形態及び更なる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0207442号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0207441号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学光送達システムであって、
単一の光源と、
コンピュータプロセッサ及び光デバイスコントローラを有する光電子コントローラと、
複数の光学出力チャネルを有する送達光学スイッチであって、前記送達光学スイッチは、前記単一の光源に直接的に光学的に結合され、前記光電子コントローラに電気的に結合されている、送達光学スイッチと、
複数の発光デバイスであって、前記複数の発光デバイスの各発光デバイスは、前記複数の光学出力チャネルのそれぞれの光学出力チャネルに光学的に結合されている、複数の発光デバイスと、
可撓性アプリケータフラップであって、その中に複数の平行長手方向チャネルが配設され、前記複数の発光デバイスの各々は、前記複数の平行長手方向チャネルのそれぞれの長手方向チャネル内の所定の場所に固定的に位置決めされている、可撓性アプリケータフラップと、を備え、
前記可撓性アプリケータフラップは、標的組織の表面に対して人体内に位置決めされ、かつ標的組織の表面の形状に準拠するように構成されており、
前記光電子コントローラは、前記単一の光源を前記複数の光学出力チャネルの各々と選択的に光学的に結合させて、前記複数の発光デバイスの各々の放射照度レベルを作り出すように、前記送達光学スイッチを制御するように構成されている、光学光送達システム。
【請求項2】
前記光電子コントローラが、前記表面上に放射照度パターンを作り出して完全な標的を作り出すために、滞留時間の間、前記複数の発光デバイスの各々の前記放射照度レベルを作り出すように更に構成されている、請求項1に記載の光学光送達システム。
【請求項3】
光学検出器と、
複数の光学入力チャネルを有する検出器光学スイッチであって、前記検出器光学スイッチは前記光電子コントローラに電気的に結合されている、検出器光学スイッチと、
複数の検出器ファイバであって、前記複数の検出器ファイバの各検出器ファイバは、前記複数の発光デバイスのそれぞれの発光デバイスに近接して前記アプリケータフラップのそれぞれのチャネル内に位置決めされ、前記それぞれの発光デバイスの各々からの少なくとも1つの光学パラメータを検出するように構成されており、前記複数の検出器ファイバの各検出器ファイバは、複数の光学入力チャネルのそれぞれの光学入力チャネルに直接的に光学的に結合されている、複数の検出器ファイバと、を更に備え、
前記光電子コントローラは、前記複数の光学入力チャネルの各々を前記光学検出器に選択的に光学的に結合するように前記検出器光学スイッチを制御するように構成されており、
前記光学検出器は、前記複数の検出器ファイバからの前記少なくとも1つの光学パラメータに基づいて出力信号を作り出すように適合されている、請求項2に記載の光学光送達システム。
【請求項4】
前記光電子コントローラが、前記出力信号を受信し、所定の治療計画に従って前記複数の発光デバイスの各それぞれの発光デバイスの前記少なくとも1つの光学パラメータ及び前記滞留時間を調整するように更に構成されている、請求項に記載の光学光送達システム。
【請求項5】
前記光電子コントローラが、閉ループ制御で動作するように構成されている、請求項に記載の光学光送達システム。
【請求項6】
前記単一の光源が半導体レーザを備える、請求項2に記載の光学光送達システム。
【請求項7】
前記送達光学スイッチ及び前記検出器光学スイッチが各々、MEMSタイプの光学スイッチを備える、請求項に記載の光学光送達システム。
【請求項8】
前記所定の治療計画が、光力学的療法計画である、請求項に記載の光学光送達システム。
【請求項10】
前記複数の発光デバイスの前記発光デバイスの各々が、長さを有し、前記長さが、複数の異なる長さを含むことができ、前記放射照度レベル及び前記滞留時間とともに、前記複数の異なる長さは、前記放射照度パターンを作り出すように選択される、請求項2に記載の光学光送達システム。
【請求項11】
光力学的療法を提供するための方法であって、前記方法が、
標的組織に対する放射照度パターンを判定することと、
複数の平行長手方向チャネルが中に配設された可撓性アプリケータフラップを提供することと、
複数の発光デバイスを提供することと、
前記複数の発光デバイスの各々を、前記複数の平行長手方向チャネルのそれぞれの長手方向チャネル内の所定の場所に位置決めすることと、
前記複数の発光デバイスの各々にそれぞれの光ファイバを結合することと、
前記放射照度パターンを作り出すために、複数の発光デバイスから発光デバイスサブセットを選択することと、
前記発光デバイスサブセットの各々の光力学的療法計画を判定することと、
前記複数の発光デバイスサブセットの各々の初期滞留時間計画及び初期電力レベル計画を策定することと、
前記可撓性アプリケータフラップを前記標的組織に近接する所定の位置に位置決めすることと、
前記発光デバイスサブセットの各々を順次選択することと、
前記初期電力レベル計画に従って初期電力レベルで治療光を前記発光デバイスサブセットの各々の前記それぞれの光ファイバに送達することと、
実際の治療光の光学パラメータを検出することと、
前記光学パラメータを前記光力学的療法計画と比較することと、前記初期電力レベルを更新された電力レベルに調整することと、
新しい滞留時間計画を計算することと、
前記発光デバイスサブセットの各々の総滞留時間及び総電力レベルを合計することと、
前記光力学的療法計画に従って前記放射照度パターンを完了することと、を含む、光力学的療法を提供する方法。
【請求項12】
前記複数の発光デバイスを前記可撓性アプリケータフラップ内に固定的に位置決めすることを更に含む、請求項11に記載の光力学的療法を提供する方法。
【請求項12】
前記発光デバイスサブセットの各々を前記順次選択するステップが、前記複数の光ファイバの各々と光学的に連通し、かつ単一のレーザ光源と直接的に光学的に連通する光学スイッチを使用することを含む、請求項11に記載の光力学的療法を提供するための方法。
【請求項13】
実際の治療光の光学パラメータを前記検出するステップが、複数の検出器ファイバを使用することを含み、前記複数の検出器ファイバの各々が、前記発光デバイスサブセットのそれぞれの発光デバイスと対にされている、請求項11に記載の光力学的療法を提供するための方法。
【請求項14】
前記対になったそれぞれの発光デバイスと協調して前記複数の検出器ファイバを順次選択することを更に含む、請求項13に記載の光力学的療法を提供する方法。
【請求項15】
前記複数の発光デバイスから発光デバイスサブセットを前記選択するステップが、前記標的組織の撮像データを使用して前記放射照度パターンをモデル化することと、前記標的組織の幾何学的形状と実質的に合致する前記放射照度パターンを作り出すように前記複数の発光デバイスから前記発光デバイスサブセットを選択することと、を含む、請求項13に記載の光力学的療法を提供するための方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年5月4日の出願日を有するPCT出願第PCT/US21/30539と同様に、2020年5月5日の出願日を有する米国特許仮出願第63/020142号の利益を主張する。上記出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】