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特表2023-527721通過到達領域が取り付けられた布物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】通過到達領域が取り付けられた布物品
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/20 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
A41D27/20 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569507
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 AT2021000009
(87)【国際公開番号】W WO2021237255
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】A145/2020
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522444139
【氏名又は名称】ファースト ウエスト ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】522444140
【氏名又は名称】クチャルコ,イェジー フランチシェク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クチャルコ,イェジー フランチシェク
【テーマコード(参考)】
3B035
【Fターム(参考)】
3B035AA18
3B035AB09
3B035AB11
3B035AC20
3B035AC24
3B035AD15
(57)【要約】
本発明は、人の手全体のための通過到達領域(2)が取り付けられた布物品であって、通過到達領域(2)が、別個の布面(4)であって、その端部で、周囲布面(3)内の穴の端部に接続される別個の布面(4)を有し、別個の布面(4)と、それを取り囲む周囲布面(3)の領域とが、それぞれの弾性緩和状態及びそれぞれの折り目のない状態で互いに平面状に配置することができ、別個の布面(4)の材料が、周囲布面(3)の材料よりもさらにより柔軟に伸張可能である、布物品に関する。別個の布面(4)の端部及び穴の端部は同じ形状及びサイズを有する。別個の布面(4)内に、別個の布面(4)によって全体的に取り囲まれる開口部(5)が配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の手全体のための通過到達領域(2)が取り付けられ、前記通過到達領域(2)が、周囲布面(3)に固定される別個の布面(4)であって、前記別個の布面(4)と、それを取り囲む前記周囲布面(3)の領域とが、それぞれの弾性緩和状態及びそれぞれのしわのない状態で互いに平面状に配置できるように前記周囲布面(3)に固定される前記別個の布面(4)を有し、前記別個の布面(4)の材料は、前記周囲布面(3)の材料よりも単位面積当たりでさらにより柔軟に弾性伸張することができ、開口部(5)が前記別個の布面(4)内に配置される布物品であって、
前記開口部(5)が、前記別個の布面(4)によって完全に取り囲まれ、前記別個の布面(4)のすべての外側端部からある距離で存在し、前記別個の布面(4)が、前記周囲布面(3)内の切り抜き部分中に挿入され、前記別個の布面(4)の前記端部と、前記切り抜き部分の端部とが互いに接続され、前記切り抜き部分の前記端部と、前記別個の布面(4)の前記端部とは、前記2つの布面(3、4)が平面状で及び弾性緩和状態の場合に、同じ形状及びサイズを有することを特徴とする布物品。
【請求項2】
前記別個の布面(4)に隣接する領域内で、前記別個の布面(4)の前記材料と、単位面積当たりで少なくとも同程度離れて同程度の柔軟性で弾性伸張可能である縁(6)によって前記開口部(5)が縁取られることを特徴とする請求項1に記載の布物品。
【請求項3】
前記別個の布面(4)内の前記開口部(5)が、前記周囲材料の弾性緩和状態において直線状のスロットの形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の布物品。
【請求項4】
好ましくはスナップファスナー(7)の形態である作動可能な閉鎖機構が、前記開口部(5)に取り付けられ、前記開口部(5)の幅を選択的に調節するため用いることができることを特徴とする請求項3に記載の布物品。
【請求項5】
内側及び外側を有し、前記開口部(5)が、折りたたみ可能なカバーストリップ(10)によって前記布物品の前記外側上で覆われることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の布物品。
【請求項6】
前記通過到達領域(2)が前記布物品のポケット(8)内に通じることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の布物品。
【請求項7】
前記周囲布面(3)に対して直角における前記ポケット(8)の垂直投影面積が、前記通過到達領域(2)の面積より大きく、好ましくは2倍を超えることを特徴とする請求項6に記載の布物品。
【請求項8】
前記開口部(5)を有する前記別個の布面(4)が、その外側上で、さらなる開口部(11)を有するさらなる布面で覆われ、前記さらなる開口部(11)が、例えばジッパーによって選択的に閉じることができることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の布物品。
【請求項9】
衣服製品(1)であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の布物品。
【請求項10】
前記通過到達領域(2)が、前記衣服製品(1)の内ポケット及び外ポケットの間の連結部であることを特徴とする請求項9及び請求項6又は7のいずれか一項に記載の布物品。
【請求項11】
前記通過到達領域(2)がポケット内に通じるのではなく、前記衣服製品(1)の外側から、前記衣服製品(1)によって覆われる空間内に通じることを特徴とする請求項9及び請求項1~7のいずれか一項に記載の布物品。
【請求項12】
前記衣服製品(1)が、上半身用の衣服製品であり、前記上半身用の前記衣服製品が人によって目的通りに着用される場合、前記通過到達領域(2)の前記開口部(5)が、前記人の身体に対して、へその5cm下からへその10cm上に延在する高さ範囲内に位置し、前記身体の対称面から10cmを超えて離れることはないように、前記通過到達領域(2)が配置されることを特徴とする請求項9又は11に記載の布物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過到達(reach-through)領域が取り付けられた布物品に関する。この布物品は典型的には衣服製品であるが、特に、例えばポケット又はバックパックであってもよい。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2016007665 A1号、及び米国特許出願公開第2016295933 A1号のそれぞれには、中になにも入っていない状態で面状のポケットであって、その内部空間は、内側布面及び外側布面によって範囲が定められ、内側布面は、ポケットの区域を越えて延在し、外側布面は内側布面上に縫い付けられ、外側布面の材料は、内側布面の材料よりもさらにより柔軟に弾性伸張可能なポケットを有するパンツが開示されている。ポケットの内部空間に対する通過到達開口部は、内側布面端部の区画上に配置される。人が目的通りにパンツを着用し、ポケットの中にはなにも入っていないとき、内側布面は人の体に対して面状に位置し、外側布面は内側布面に対して面状に位置し、通過到達開口部は狭まって1つの線になる。パンツが、それを着用する人の体によって形状が維持されない場合、通過到達開口部は、力の外部作用がない場合でさえもかなりの程度で開くことがあり、意図せずポケットから物体が落下する危険性がある。
【0003】
米国特許出願公開第2020029637 A1号にも、ポケットであって、その内部領域は、内側布面及び外側布面によって範囲が定められ、内側布面は、ポケットの区域を越えて延在し、外側布面は内側布面上に縫い付けられるポケットを有する衣服製品が開示されている。内側布面と、外側布面の端部領域との間に延在する開口部は、良好な弾性伸縮性を有する第3の布面で縁取られ、これは引き伸ばされた状態でほぼ漏斗の形態を有する。適用可能な場合、大きな漏斗状開口部を境界とする弾性布面の端部領域は、外側布面及び内側布面に縫い付けられる。適用可能な場合、小さな漏斗状開口部を境界とする弾性布面の端部領域は、別の布には縫い付けられず、ポケットの内部空間に対する通過到達開口部を形成する。この通過到達開口部は、物体が通過できるように可逆的に弾性伸張可能であることが意図される。上記第3の布面は、衣服製品が目的通りに使用される場合に、内側布面と外側布面との間で圧縮される。通過到達開口部を通して到達する手を引き抜いた後に、魅力的でない形で衣服製品から垂れ下がらないように、上記第3の布面を、内側の漏斗状開口部の領域内で内側布面又は外側布面に縫い付けることもできる。これによって、ポケットの容量が減少する。
【0004】
米国特許出願公開第2015007379 A1号には、環状に閉じた管に成形される弾性面状布材料で構成され、意図するように着用した場合、人の臀部と腰との間の移行領域を取り囲み、体に対して平坦で密接して位置するポケットが開示される。この環状ポケットは、典型的にはスポーツ活動に使用されるパンツ又は別の衣服製品の上部ベルト状部品であってよい。このポケット開口部は、管状構造の側面に弾性の縁が設けられた比較的小さい孔であり、布材料の弾性によって、この孔は、可逆的に弾性的に弾性伸張が可能であり、それによって物体が通り抜けることができる。
【0005】
特開2001207318号には、衣服製品の布面の開口部に取り付けるための、ゴム状プラスチックから形成される面状の通過到達領域が記載されている。この場合、この面状の通過到達領域は、布ではなく、すなわち糸から構成されるものではなく、フィルム状で本質的にモノリスの部分であり、周囲の布よりも堅い。これはスロットを有し、その端部は、通過到達動作で弾性的に湾曲して開くことができ、通過到達動作の後に確実に変形が元に戻って再び開始位置で閉じることができる。通過到達領域の触覚的性質及び視覚的性質に問題があり、その通過開口部の可能な幅に関連するその大きな領域の問題がある。
【0006】
米国特許出願公開第2008010718 A1号には、手袋に関して、指先で感じることができるように、それぞれの個別の指先で選択的に押し入ることができる開口部が開示されている。開口部は、手袋の従来の表面材料よりも単位面積当たりでさらにより柔軟に弾性伸張可能な布材料で縁取りされ、上記従来の表面材料が弾性布材料を縁取りしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、人々が衣服のポケットに到達することがほとんどできない又はできない多数の頻繁な状況が存在すること、及び/又は衣服のポケットに到達した後、ポケットを再び閉じるために両手が必要となり、それによって例えば同時に乗り物を運転する場合には閉じることが不可能ななりうることを認識している。さらに、小さな子どもは、衣服製品上の多くの周知の種類のクロージャーを適切に操作することはほとんどできない。
【0008】
対応して、本発明が基礎とする目的は、例えば衣服製品の一部である布面内の例えばポケット開口部として使用可能な通過到達開口部であって、上記通過到達開口部は、手全体で容易に通過到達することができ、通過到達動作の後、通過到達動作の前の状態に自動的に戻り、通過到達される布材料の種類及び通過到達開口部が配置される布面の面積とは無関係に使用できるような寸法である通過到達開口部を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、別個の布面によって人の手全体の通過到達領域を形成することが提案され、上記別個の布面と、それを取り囲む周囲布面の領域とが、それぞれの弾性緩和状態及びそれぞれのしわのない状態で互いに平面状に配置できるように、別個の布面の端部が周囲布面の端部に接続され、別個の布面の材料は、周囲布面の材料よりも単位面積当たりでさらにより柔軟に弾性伸張することができ、別個の布面内に開口部が配置される。この場合、別個の布面は、周囲布面内の切り抜き部分中に挿入され、別個の布面の端部と、周囲布面内の切り抜き部分の端部とが互いに接続され、周囲布面内の切り抜き部分と、別個の布面とは、2つの布面が平面状で及び弾性緩和状態の場合に、同じ形状及びサイズを有し、上記開口部は、別個の布面によって完全に取り囲まれ、別個の布面のすべての外側端部からある距離で存在する。
【0010】
有利なさらなる発展を含む本発明が、本発明による布物品が衣服製品である図面を参照しながら例示され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】前からの観察方向での目的通りに着用された位置で本発明により取り付けられた第1の代表的な衣服製品の詳細を定型化された形態で示している。
図2】前からの観察方向での目的通りに着用された位置で本発明により取り付けられた第2の代表的な衣服製品を定型化された形態で示している。
図3】後からの観察方向での目的通りに着用された位置で本発明により取り付けられた第3の代表的な衣服製品を定型化された形態で示している。
図4】本発明により取り付けられた第4の代表的な衣服製品の詳細を定型化された形態で示している。
【0012】
上記4つの図面において、同じ機能を有する部分は、同じ位置番号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1の衣服製品1は、衣服製品1の周囲布面3内の開口部に挿入される通過到達領域2を有する。これに関して、通過到達領域2は、別個の布面4を有し、これはその領域内で、周囲布面3に取って代わっている。別個の布面4には、開口部5が開けられており、この開口部5は、図示されるように、別個の布面4のすべての外側端部からある距離に存在し、図示されるように、好ましくは縁6によって縁取られている。
【0014】
別個の布面4の材料は、周囲布面3の材料よりもさらにより柔軟に弾性伸張することができる。大きな程度で柔軟性のある方法で弾性伸張可能な材料は、別個の布面4内の開口部5の縁6にも用いられる。このようにして、開口部5の断面積及び周囲長は、弾性緩和状態で比較的小さい寸法となることができ、さらに、開口部5は必要に応じて弾性的に、したがって可逆的に伸張することができるので、手が開口部5を通って到達することができ、又は比較的大きな物体が前記開口部を通過することができる。
【0015】
典型的には縫製によって、別個の布面4の外側端部は、その全長にわたって、周囲布面3の端部に接続される。縫製の代わりに、接着結合、溶着、リベット締めなども可能である。上記面の両方は、弾性緩和した布面3、4の場合に、それらが同じサイズとなるような寸法である。これによって、開口部5からなにも挿入されていない場合に、通過到達領域2とこれを取り囲む布面3とにしわが生じないようにすることができる。
【0016】
別個の布面4の材料は、同じ基本面積に関して、周囲布面3の材料よりもさらにより柔軟に弾性伸張可能である。布材料の面弾性は、本来ゴム状の軟質弾性である伸縮性の糸から構成されることと、面構造を形成するための糸状基本材料の織り合わせ方又は縫い方との両方の理由から得ることができる。面状の弾性織布の製造の専門知識は、布の専門家にはよく知られているので、より正確な形成については、本明細書では詳細に議論しない。
【0017】
別個の布面4内の開口部5は、別個の布面4の材料によってすべての側面上が取り囲まれる孔であり、これによって上記孔は、別個の布面4の端部5の最も近い領域からある距離、好ましくは少なくとも2cmの距離にある。この距離によって実現できることは、手又は比較的大きな物体を通過させるのに必要であれば、開口部5は、その周囲全体に関して、非常に大きな程度まで伸張可能となり、次に、弾性復元力のために、さらなる作用を必要とすることなく、再び大きな程度で確実に狭まることもできることである。
【0018】
場合により、開口部5は別個の布面4によって完全に取り囲まれてよく、その特定の部分は、例えば別個の布面4の端部からわずか数mmの距離まで非常に接近して位置することができる。布面3、4の弾性緩和状態の開口部5の周囲の長さに関して、開口部5は、別個の布面の端部から遠く離れて存在する場合、それと同等まで離して伸張させることはできないが、視覚的利点を得ることができる。
【0019】
好ましくは、開口部5は、弾性緩和した周囲の布材料の場合に、目的通りに衣服製品1を使用する人の親指を除いた平らな手のひらの幅とほぼ同じ長さとなる直線状のスロットの形態で実現され、これに関して、開口部5は、少なくとも、上記人の平らな手全体を長手方向に挿入できるのに十分な弾性伸張が可能となることがさらに好ましい。開口部5の周囲のこのような高い伸縮性は、別個の布面4の材料及び場合により縁6の材料の最小限の弾性を選択することによって容易に実現でき、実験によって最も良く確認することができる。したがって、ポケット2からの物体の意図せぬ落下に対する良好な取扱性及び良好な安全性を最適に併せ持つ。
【0020】
場合により、さらなる作動可能な閉鎖機構を開口部5に取り付けることもでき、これを開口部5の幅の選択的な減少又は増加のために用いることができる。図2中に示されるように、この作動可能な閉鎖機構は、例えば、スナップファスナー7(すなわち、2つの部品が互いに固定されたり、掛け金の力を克服することによって互いに引き離されたりすることができる2つの部品の機構)であってよい。この機構によって開口部のサイズが減少するが、その弾性及び機能は変化しないままである。
【0021】
図2中に示される任意選択の場合、通過到達領域2は、衣服製品1のポケット8(破線で示される輪郭)の中に通じ、上記ポケットは、周囲布面3内にあり、通過到達領域2に加えて開口部9からも到達可能であり、上記開口部は、衣服製品中の周知のポケットの方法で具体化することができる。この場合、開口部9は、本発明による通過到達領域内の開口部5よりも実質的に広い幅で具体化することができる。より広い幅の開口部9は、特別に大きな物体を通過させるために特に用いることができ、より狭い開口部5は、迅速に到達するために用いることができる。
【0022】
しかし、本発明による通過到達領域2は、衣服製品1中のポケットへの唯一の開口部であってもよい。
【0023】
図示されるように、通過到達領域2が衣服製品のポケット8の中に通じる場合、ポケット8の面積は、好ましくは通過到達領域2の面積よりも大きい。これはより正確には、平坦に置いた場合の周囲布面3の面に対して直角におけるポケット8の投影面積が、好ましくは平坦に置いた場合の通過到達領域2の面積よりも大きいことを意味する。好ましくはポケット8の面積(又は上記投影面積)は、通過到達領域の面積のサイズの2倍を超える。
【0024】
本発明のさらなる一変形形態によると、本発明による通過到達領域2は、衣服製品の2つのポケットの間の接続領域であってよく、2つのポケットのそれぞれは、それぞれのさらなる到達開口部を有し、これらの到達開口部の一方は外側衣服製品の外側に通じ、これらの到達開口部の第2のものは衣服製品の内側に通じる。これによって実現されることは、衣服製品の内ポケットには、そのために衣服製品を開く必要なしに、すなわち外ポケットから到達することができ、内ポケットと外ポケットとの間は依然として分離されているということであり、そのため物体は一方のポケットから他方のポケットに意図せず移動することはない。
【0025】
衣服製品上の通過到達領域2は、必ずしも衣服製品のポケットに通じる必要はなく、単に衣服製品の外側から衣服製品によって覆われた空間内に通じることもでき、それによって例えば下にあるさらなる衣服製品に簡単に到達することができる。
【0026】
好ましい一実施形態によると、通過到達領域2は、上半身用の衣服製品上に位置し、上半身用の衣服製品が目的通りに着用される場合、通過到達領域2の開口部5が、上半身用の衣服製品を着用する人の身体に対して、へその5cm下からへその10cm上に延在する高さ範囲内の前面側に配置され、身体の対称面から10cmを超えて離れることはないように特に配置される。これに関して、上半身用の衣服製品は、首の下から人の胴を覆い、人の腕を通す部分を有する人用の衣服製品であり、すなわち典型的にはジャケット、シャツ、ベスト(チョッキ)、又はセーターである。上記配置の結果として、通過到達領域は、衣服製品1を着用する人が、ハーネス又はヒップベルトを有するバックパックを着用する場合、又は車の座席に固定シートベルトを用いて着席する場合も容易に使用することができる。
【0027】
さらなる好ましい一実施形態(図示せず)によると、緩和状態の別個の布面(4)の中又は上の開口部の領域の形状は、細長い形状であり、この領域の最大寸法の方向は、衣服製品を着用する人の身体の対称面から離れる方向に傾いている。
【0028】
図3による例において、上半身用の衣服製品の形態で実現された衣服製品1の後側下部領域上の2つのポケット8に、本発明による通過到達領域2が取り付けられる。この衣服製品1は、例えば自転車に乗る場合に適している。通過到達領域2の開口部5は、弾性緩和状態で細長く、その長手方向は、衣服製品1を着用する人の身体の対称面から離れるように傾いており、それによって、衣服製品1を着用する人は、ポケット8をゆがめることなくポケット8内に快適に到達することができる。通過到達領域2の開口部5の外側で衣服製品にそれぞれのカバーストリップ10が取り付けられる。これは、布材料で構成されるストリップであり、このストリップは、それぞれの開口部5の上にある衣服製品1の領域中の端部領域に接続され、重力以外の作用がなくても、その固定領域から下方にぶら下がり、その結果、それぞれの開口部5を隠す。カバーストリップ10は、通過到達領域2への到達を事実上妨害しないが、非常に効率的には、降雨事象において衣服製品1に流れ落ちる水滴が、ポケット8内に流入しないという効果を有する。
【0029】
図4による例では、ポケット8に対する本発明による通過到達領域2が示される。この場合、示される例ではジッパーの形態である外ポケット開口部11に隠れて通過到達領域2が配置される。ポケット8に到達するためには、外ポケット開口部11と、本発明による通過到達領域の2内ポケット開口部の形態の開口部5を通って到達する必要がある。外ポケット開口部11の周囲は、弾性緩和しているときの通過到達領域2内の開口部5の周囲よりもはるかに長く実現される。この実施方法は、例えば、衣服製品中のポケットからなにかを自由に取り出すために人が片手のみを有するが、取り出した後はポケットを閉じるにはこのために両手が必要となるので、ポケットを閉じる可能性がない状況で有用である。その場合、本発明による通過到達領域2の自己閉鎖機能がポケット8のクロージャーとなり、このことは少なくとも一時的には十分良好となる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】