(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】車両用変速機のパーキングロック装置及び車両用変速機
(51)【国際特許分類】
F16H 63/34 20060101AFI20230623BHJP
F16H 61/30 20060101ALI20230623BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20230623BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
F16H63/34
F16H61/30
B60T1/06 G
F16D63/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570414
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2021067573
(87)【国際公開番号】W WO2022008270
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】102020004107.8
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ハーゼンカンプ
【テーマコード(参考)】
3J058
3J067
【Fターム(参考)】
3J058AB21
3J058BA67
3J058CC13
3J058CD34
3J058FA01
3J058FA07
3J067AA21
3J067AB11
3J067BA51
3J067DB04
3J067DB06
3J067DB34
3J067FA05
3J067FA57
3J067FB83
3J067GA01
(57)【要約】
本発明は、パーキングロック装置(10)であって、パーキングロックギア(12)を有し、ロック位置と解放位置との間で移動可能である歯止め(20)を有し、作動ピストン(26)であって、作動ピストン(26)が変位軸線(32)に沿って変位可能であることにより、歯止め(20)の移動がロック位置と解放位置との間で生じ得る、作動ピストン(26)を有し、旋回軸(54)を中心として旋回可能なラッチレバー(52)を有し、及びソレノイド(56)であって、ソレノイド(56)を使用して、ラッチレバー(52)が一方の位置から他方の位置に旋回可能である、ソレノイド(56)を有し、旋回軸(54)は、変位軸線(32)に対して垂直である、パーキングロック装置(10)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用変速機のパーキングロック装置(10)であって、前記車両用変速機のシャフトに相対回転不能に接続可能なパーキングロックギア(12)を有し、前記パーキングロックギア(12)を回転が起きないように固定する少なくとも1つのロック位置と、前記パーキングロックギア(12)を回転のために解放する少なくとも1つの解放位置との間で、前記パーキングロックギア(12)に対して移動可能である歯止め(20)を有し、作動ピストン(26)であって、前記作動ピストン(26)が変位軸線(32)に沿って前記パーキングロックギア(12)に対して、かつ前記歯止め(20)に対して変位可能であることにより、前記歯止め(20)の移動が前記ロック位置と前記解放位置との間で生じ得る、前記作動ピストン(26)を有し、第1の位置として、前記変位軸線(32)に沿って生じる移動が起きないように前記作動ピストン(26)を固定する少なくとも1つの係止位置と、第2の位置として、前記変位軸線(32)に沿って生じる移動のために前記作動ピストン(26)を解放する少なくとも1つの解除位置との間で、旋回軸(54)を中心として前記作動ピストン(26)に対して旋回可能なラッチレバー(52)を有し、及びソレノイド(56)であって、前記ソレノイド(56)を使用して、前記ラッチレバー(52)が前記位置のうちの一方から他方の位置に旋回可能である、前記ソレノイド(56)を有し、
前記旋回軸(54)は、前記変位軸線(32)に対して垂直に延びる、前記パーキングロック装置(10)において、
前記ソレノイド(56)は、磁場を提供可能である、又は提供する少なくとも1つの磁石要素(64)を有し、及び少なくとも1つの作動要素(66)であって、前記少なくとも1つの作動要素(66)は、前記磁場を使用して前記磁石要素(64)に対してかつ前記ラッチレバー(52)に対して作用方向(40)に並進移動可能であることにより、前記ラッチレバー(52)は、前記一方の位置から前記他方の位置に旋回可能であり、前記作用方向(40)は、前記変位軸線(32)に対して平行に延びている、又は前記変位軸線(32)と一致する、前記少なくとも1つの作動要素(66)を有し、
前記ソレノイド(56)、前記ラッチレバー(52)、及び前記作動ピストン(26)は、前記変位軸線(32)に沿って以下の順序:ソレノイド(56)、ラッチレバー(52)、作動ピストン(26)の順に配置されていることを特徴とする、パーキングロック装置(10)。
【請求項2】
前記歯止め(20)は、前記解放位置と前記ロック位置との間で前記歯止め軸(22)を中心として旋回可能であり、したがって移動可能であり、前記歯止め軸(22)は、前記変位軸線(32)に対して垂直に延びていることを特徴とする、請求項1に記載のパーキングロック装置(10)。
【請求項3】
前記パーキングロックギア(12)は、前記解放位置では回転軸(24)を中心として回転可能であり、前記ロック位置では前記歯止め(20)を使用して前記回転軸(24)を中心として生じる回転が起きないように固定され、前記回転軸(24)は、前記歯止め軸(22)対して平行に延びていることを特徴とする、請求項2に記載のパーキングロック装置(10)。
【請求項4】
前記作動ピストン(26)と同軸に配置され、前記変位軸線(32)に沿って前記作動ピストン(26)と一緒に移動可能な、少なくとも1つの凹部(68)を有するピストンロッド(30)であって、前記ラッチレバー(52)は、前記凹部(68)に前記係止位置において少なくとも部分的に収容可能であることにより、前記作動ピストン(26)は、前記変位軸線(32)に沿って生じる移動が起きないように固定される、前記ピストンロッド(30)、により特徴付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のパーキングロック装置(10)。
【請求項5】
前記作動ピストン(26)は、前記ピストンロッド(30)とは別個に形成され、前記ピストンロッド(30)上に配置され、少なくとも前記変位軸線(32)に沿って前記ピストンロッド(30)に固定されていることを特徴とする、請求項4に記載のパーキングロック装置(10)。
【請求項6】
前記作動ピストン(26)は、前記ピストンロッド(30)に押し付けられ、それによって少なくとも前記変位軸線(32)に沿って前記ピストンロッド(30)に固定されていることを特徴とする、請求項5に記載のパーキングロック装置(10)。
【請求項7】
前記ソレノイド(56)に追加して設けられる移動要素(70)であって、前記移動要素(70)は、前記ラッチレバー(52)に対して、前記変位軸線(32)に平行に延びる移動方向(38)に液圧で並進移動可能であることにより、前記ラッチレバー(52)は、前記第1の位置から前記第2の位置に、又は前記第2の位置から前記第1の位置に旋回可能である、前記移動要素(70)、により特徴付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のパーキングロック装置(10)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のパーキングロック装置(10)を備える、車両用変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の車両用変速機用のパーキングロック装置に関する。更に、本発明は、車両用変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、形状接続式に係合するためにパーキングロックギアに設けられたロック要素を作動させるために設けられている、軸線方向に変位可能な少なくとも1つの作動コーンを備える、自動車変速機に組み込むためのパーキングロックモジュールが開示されている。
【0003】
特許文献2、特許文献3、及び特許文献4には、歯止めと、歯止めを移動するための作動ピストンと、作動ピストンを係止するためのラッチレバーと、を備えるパーキングロック装置が開示されており、そのパーキングロック装置では、ラッチレバーの旋回軸は、作動ピストンの変位軸線に対して垂直に配置されている。
【0004】
他方で、特許文献5及び特許文献6には、作動ピストンを備えるパーキングロック装置が示されており、そのパーキングロック装置では、確かに、旋回軸を中心として回転可能なラッチレバーではないが、代わりに別のラッチ装置が設けられており、そのラッチ装置では、ラッチ装置と協働するソレノイドの作用方向は、作動ピストンの変位軸線に対して平行に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2015 008 709 A1
【特許文献2】EP 1 679 456 A1
【特許文献3】DE 198 20 920 A1
【特許文献4】EP 3 067 591 A1
【特許文献5】DE 10 2018 216 728 A1
【特許文献6】DE 10 2012 004 157 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、車両用変速機のパーキングロック装置及びそのようなパーキングロック装置を備える車両用変速機を作製することにより、パーキングロック装置に必要な設置スペースを特にわずかに抑えることができるようにすることである。とりわけ、そのパーキングロック装置は、パーキングロック装置が使用される車両用変速機に必要な設置スペースをわずかに抑えることができるように形成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、請求項1の特徴を有するパーキングロック装置、及び請求項8の特徴を有する車両用変速機によって解決される。本発明の目的に応じた発展形態を含む有利な実施形態は、その他の請求項に記載されている。
【0008】
本発明の第1の態様は、特に自動車用に設けられている車両用変速機の、単にパーキングロックとも称するパーキングロック装置に関する。これは、車両用変速機がその完成品状態で、パーキングロック装置を有することを意味する。例えば、車両用変速機は、その完成品状態で、例えば、内燃機関又は電気モータとして形成された自動車の駆動エンジンによって駆動することができるシャフトを有する。更に、車両用変速機が設けられている自動車は、シャフトを介して駆動エンジンによって駆動することができる少なくとも1つの車輪を有する。その場合、例えば、車輪は、トルクを伝達するようにシャフトに接続されている又は少なくともシャフトに接続可能である。車輪は、車道上で自動車を車両垂直方向で下向きに支持可能である、又は支持されている接地要素である。自動車が車道上で車輪を介して車両垂直方向で下向きに支持されている間、例えば、自動車が道路に沿って運転される場合、車輪は、車道上を直接転がる。その場合、車輪は、例えば、自己支持型シャーシとして設計された自動車の車体に対して回転する。以下でより詳細に説明するように、パーキングロック装置を使用して、車体に対して生じるシャフトの回転を、ひいては車体に対して生じる車輪の回転を防ぐことができ、その結果、例えば、パーキングロック装置を使用して自動車を、特に、自動車のパーキングブレーキ又は常用ブレーキに応じて、所望しない自然発車が起きないように固定することができる。これは、自動車が傾斜地に停められている場合、すなわち駐車されている場合、特に有利である。
【0009】
自動車は、車両用変速機を有し、車両用変速機を介して、車輪を駆動エンジンによって駆動することができる。その場合、パーキングロック装置は、例えば、車両用変速機に、例えば、特にオートマチック変速機として形成された車両用変速機の構成要素に組み込まれている。その場合、シャフトは、例えば、車両用変速機のシャフトである。特に、シャフトは、車両用変速機の出力シャフトであり得る。パーキングロック装置がシャフトを、ひいては車輪を解放すると、シャフト及び車輪は、変速機ハウジングとも称する車両用変速機のハウジングに対して回転することができる。しかし、パーキングロック装置は、シャフトを、ひいては車輪を変速機ハウジングに対して生じる回転が起きないように固定することができ、それにより、シャフト及び車輪を、変速機ハウジングに対して、かつ車体に対して回転しないようにすることができる。その結果、自動車は、所望しない自然発車が起きないように固定することができる。
【0010】
その場合、パーキングロック装置は、パーキングロックギアを有し、パーキングロックギアは、車両用変速機のシャフトに相対回転不能に接続可能である、又は接続されている。更に、パーキングロック装置は、歯止めを含み、歯止めは、パーキングロックギアに対して、かつ、例えば、変速機ハウジングに対して、パーキングロックギアを回転が起きないように固定する少なくとも1つのロック位置と、パーキングロックギアを回転のために解放する少なくとも1つの解放位置との間で移動可能である。歯止めは、例えば、変速機ハウジングで移動可能に保持されている。ロック位置では、歯止めは、特に形状接続式にパーキングロックギアと協働することができ、それにより、パーキングロックギア、ひいてはシャフトは、変速機ハウジングに対して生じる回転が起きないように固定される。その結果、車輪もまた回転が起きないように固定され、それにより、自動車は、所望しない自然発車が起きないように固定することができる。解放位置では、歯止めは、例えば、パーキングロックギアと協働しないため、パーキングロックギア、ひいてはシャフトは、解放位置では変速機ハウジングに対して回転することができる。したがって、車輪もまた車体に対して回転することができる。
【0011】
パーキングロック装置は、更に作動ピストンを有し、作動ピストンは、変位軸線に沿ってパーキングロックギアに対して、かつ歯止めに対して、かつ好適には変速機ハウジングに対してもまた変位可能である。作動ピストンの変位によって、歯止めの移動は、ロック位置と解放位置との間で生じ得る。これは、特に以下を意味すると理解することができる。すなわち、作動ピストンが、例えば、変位軸線に対して平行に延びている又は変位軸線と一致する、第1の方向に、パーキングロックギアに対して、かつ歯止めに対して、かつまた変速機ハウジングに対して変位する場合、その結果、例えば、解放位置からロック位置への歯止めの移動が生じ得る。作動ピストンが、例えば、変位軸線に対して平行に延びている又は変位軸線と一致し、かつ第1の方向とは反対の第2の方向に、パーキングロックギアに対して、かつ歯止めに対して、かつ変速機ハウジングに対してもまた変位する場合、その結果、例えば、特に、作動ピストンがロック位置から解放位置への歯止めの移動を可能にするように、すなわち、歯止めのそのような移動とは逆ではないように、ロック位置から解放位置への歯止めの移動が生じ得る。例えば、作動ピストンは、機械的ばねを使用して、特に機械的圧縮ばねを使用して、第1の方向に変位可能である。代替的又は追加的に、作動ピストンは、特に機械的ばねが起きないように、すなわち機械的ばねによって提供されるばね力が起きないように、例えば、液圧で第2の方向に変位することができる。
【0012】
更に、パーキングロック装置は、ラッチレバーを有し、ラッチレバーは、作動ピストンに対して、かつ好適には変速機ハウジングに対してもまた、変位軸線に沿う移動が起きないように作動ピストンを固定する少なくとも1つの係止位置と、変位軸線に沿って生じる移動のために作動ピストンを解放する少なくとも1つの解除位置との間で、旋回軸を中心として旋回可能である。その場合、係止位置は、ラッチレバーの第1の位置である。換言すれば、係止位置は、第1の位置と称する。解除位置は、ラッチレバーの第2の位置である。換言すれば、解除位置は、第2の位置とも称する。例えば、ラッチレバーは、係止位置では、特に、上述のばね力が起きないように、特にばね力によって又は機械的ばねによって生じ得る作動ピストンの第1の方向への変位を防止する。しかし、解除位置では、ラッチレバーは、作動ピストンを解除し、その結果、例えば、ラッチレバーの解除位置では、作動ピストンは、機械的ばねを使用して、すなわち、機械的ばねによって提供されるばね力を使用して、第1の方向に変位することができる。
【0013】
更に、パーキングロック装置は、ソレノイドを含み、ソレノイドを使用して、ラッチレバーは、位置のうちの一方から他方の位置へと旋回可能である。好適には、一方の位置は、係止位置であるため、好適には、他方の位置は、解除位置である。ただし、一方の位置が解除位置であり、他方の位置が係止位置であることももちろん考えられる。ただし、一方の位置が係止位置であり、他方の位置が解除位置である場合には、特に高い信頼性を実現することができるのは、例えばその場合、パーキングロック装置が外部から、すなわちパーキングロック装置に関して、パーキングロック装置に追加して外付けされた装置からエネルギーを供給することなく、ラッチレバーを係止位置に留めることができる、特に保持することができるからである。
【0014】
このときパーキングロック装置に必要な設置スペースを特にわずかな範囲に抑えることができるようにするために、旋回軸が変位軸線に対して垂直に延びていることが、それ自体既知の方法で提供されている。これは、特に以下のように理解すべきである。すなわち、旋回軸は、第1の平面に対して垂直に延びているため、旋回軸は、第1の平面の第1の垂直平面である。変位軸線は、第2の平面に対して垂直に延びているため、変位軸線は、第2の平面の第2の垂直平面である。その場合、旋回軸が変位軸線に対して垂直に延びているという特徴は、第1の平面が第2の平面に対して垂直に延びている、又はその逆であることを意味すると理解すべきである。本発明は、従来のパーキングロック装置では、旋回軸が変位軸線に対して平行に延びているという知見に基づいている。これにより、ソレノイドを側方に、したがって不適切に配置せざるを得ず、このことから、過大な必要な設置スペースが生じる。更に、その場合、ラッチレバーは、非常に大きな摩擦力でのみ、すなわち、非常に大きな摩擦力を過剰に使用することによってのみ、一方の位置から他方の位置へとソレノイドを使用して移動することができるため、ソレノイドは、わずかな設置スペースで、軽量かつ安価に形成する必要がある。
【0015】
一方では、ソレノイドは、旋回軸を変位軸線に対して垂直に延びているように又は変位軸線に対して垂直に配置することによって、特にわずかな設置スペースで配置することができるため、パーキングロック装置に必要な設置スペースは、全体として特にわずかに抑えることができる。他方では、ラッチレバーを一方の位置から他方の位置へと旋回させるために、ソレノイドを使用して非常に小さな摩擦力のみを克服する必要がある。その結果、ソレノイド自体は、特にわずかな設置スペースで、安価かつ軽量に形成することができる。
【0016】
パーキングロック装置に必要な設置スペース及びパーキングロック装置を含む車両用変速機に必要な設置スペースを特にわずかな範囲内に抑えることができるようにするために、本発明によれば、ソレノイドが磁石要素を有し、磁石要素を使用して磁場が提供可能である、又は提供されていることが企図されている。磁石要素は、永久磁石であってもよく、永久磁石を使用して、磁場は、特に恒久的に提供されている又は提供される。更に、磁石要素は、例えば、少なくとも1つ又は正確に1つのコイルを有する電磁石であることが考えられる。電磁石に電気エネルギー、特に電流を供給することにより、電磁石は、磁場を提供することができる。電磁石に電気エネルギーが供給されない場合には、磁気要素による磁場の提供は行われない。したがって、ラッチレバーを特に必要に応じて一方の位置から他方の位置へと移動することができる。更に、ソレノイドは、少なくとも1つの作動要素を有し、作動要素は、磁場を使用して、磁石要素に対して、かつラッチレバーに対して作用方向に並進移動可能である。これは、例えば、磁場から少なくとも間接的に、特に直接、作動要素に作用し、かつ磁場とも称する作動力をもたらすように、例えば、磁場が作動要素と、特に作動要素を形成する材料と、相互作用することができることを意味する。作動力を使用して、作動要素は、磁石要素に対して、かつラッチレバーに対して作用方向に並進移動可能であることにより、ラッチレバーは、一方の位置から他方の位置へと旋回可能であり、更に換言すれば、作動要素が磁場を使用して又は磁力を使用して作用方向に並進移動される場合、その結果、ラッチレバーは、一方の位置から他方の位置へと旋回する。その場合、必要な設置スペースを特にわずかに抑えるために、作用方向は、変位軸線に対して平行に延びているか、又は作用方向は、変位軸線に一致する。
【0017】
更に、本発明によれば、ソレノイド、ラッチレバー、及び作動ピストンが変位軸線に沿って、すなわち、変位軸線に対して平行に延びている直線に沿って、又は変位軸線と一致する直線に沿って、以下の順序:ソレノイド、ラッチレバー、作動ピストンの順に、すなわち連続して配置されていることが企図されている。その結果、パーキングロック装置を含む車両用変速機に必要な設置スペースを更に削減することができる。
【0018】
パーキングロック装置は、例えば、更に作動コーンを有し、作動コーンは、変位軸線に沿って作動ピストンを変位させることによって、パーキングロックギアに対して、かつ歯止めに対して、かつ変速機ハウジングに対してもまた変位可能である。その場合、作動ピストンは、例えば、作動コーンと連結されている又は連結されていない。作動コーンは、特に、第1の方向に生じる作動ピストンの変位によって、作動コーンがパーキングロックギアに対して、かつ歯止めに対して第1の方向に変位可能であるように、作動ピストンに連結されており、それにより、作動コーンを介して又は作動コーンを使用して、歯止めは、解放位置からロック位置へと移動可能である。第2の方向に生じる作動ピストンの変位によって、例えば、作動コーンは、歯止めに対して、かつパーキングロックギアに対して第2の方向に変位可能であり、それにより、歯止めは、ロック位置から解放位置へと移動可能である、すなわち、それにより、作動コーンは、ロック位置から解放位置への歯止めの移動を可能にする。作動コーンは、例えば、外周側面を有し、外周側面は、コニカル形状である、すなわち、円錐形状又は円錐台形状に形成されており、例えば、第2の方向に拡大している、又は言い換えると第1の方向に先細になっている。例えば、作動コーンが第1の方向に変位する場合、例えば、コニカル形状の外周側面は、歯止めから外れ、それにより、歯止めは、解放位置からロック位置へと移動する。その後、作動コーンが、例えば、第2の方向に変位すると、続いて、歯止めをロック位置から解放位置へと移動することができる。
【0019】
その場合、好適には、ソレノイド、戻り止めレバーとも称するラッチレバー、作動ピストン、及び作動ピストンが、例えば、特にソレノイドの軸線方向と一致する変位軸線に沿って、以下の順序:ソレノイド、ラッチレバー、作動ピストン、作動コーンの順に配置されていることが企図されている。その結果、必要な設置スペースは、特にわずかに抑えることができる。
【0020】
更なる実施形態は、歯止めが歯止め軸を中心として解放位置とロック位置との間で、パーキングロックギアに対して、かつ好適には変速機ハウジングに対してもまた旋回可能であり、それによって移動可能であることを特徴とする。その場合、パーキングロック装置に必要な設置スペースを特にわずかな範囲に抑えることができるようにするために、好適には、歯止め軸が変位軸線に対して垂直に延びていることが企図されている。したがって、旋回軸は、旋回軸に対して平行に延び、したがって第1の平面に対して垂直である。
【0021】
その場合、パーキングロックギア、ひいてはシャフトが解放位置で作動ピストンに対して、したがって変速機ハウジングに対して回転軸を中心として回転可能であり、ロック位置で回転軸を中心として生じる回転が起きないように歯止めを使用して固定されている場合に特に有利であることが明らかとなった。その場合、必要な設置スペースを特にわずかに抑えることができるようにするために、好適には、回転軸が歯止め軸に対して平行に、したがって旋回軸に対して平行に、したがって第1の平面に対して垂直に延びていることが企図されている。
【0022】
本発明の更なる特に有利な実施形態では、パーキングロック装置は、作動ピストンに対して同軸に配置され、作動ピストンと共に変位方向に沿って歯止めに対して、かつパーキングロックギアに対して、かつ変速機ハウジングに対して変位可能なピストンロッドを含む。ピストンロッドは、特にラッチレバーに対向するその端部に、係合輪郭部とも称する凹部を有し、その凹部に、ラッチレバーは、係止位置で少なくとも部分的に収容可能である、又は収容されている。これにより、作動ピストンは、変位軸線に沿って生じる移動が起きないように固定することができる。換言すれば、ラッチレバーは、係止位置で対応する係合輪郭部に係合することができ、それにより、ラッチレバーは、係止位置で作動ピストンと形状接続式に協働することができる。これにより、作動ピストンは、特にわずかな設置スペースで、かつ確実な方法で、特に第1の方向の所望しない変位が起きないように固定することができる。
【0023】
その場合、作動ピストンがピストンロッドとは別個に形成され、ピストンロッド上に配置され、少なくとも変位軸線に沿ってピストンロッドに固定されている場合、特に有利であることが明らかとなった。
【0024】
その場合、必要な設置スペースを特にわずかに抑えることができるようにするために、本発明の更なる形態では、作動ピストンがピストンロッドに押し付けられ、それによって少なくとも変位軸線に沿ってピストンロッドに固定されていることが企図されている。
【0025】
特に設置空間を節約する方法でパーキングロック装置の特に高い信頼性を実現することができるようにするために、本発明の更なる形態では、パーキングロック装置がソレノイドに追加して設けられた移動要素を有し、移動要素が変位軸線に対して平行に延びている移動方向でラッチレバーに対して液圧で並進移動可能であることにより、ラッチレバーは、一方の位置から他方の位置へと旋回可能であることが企図されている。
【0026】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様によるパーキングロック装置を有する車両用変速機に関する。本発明の第1の態様の利点及び有利な形態は、本発明の第2の態様の利点及び有利な形態であると見なすことができ、逆もまた同様である。
【0027】
本発明の他の利点、特徴、及び詳細は、好ましい実施例の以下の説明及び図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】図面の単一の図は、自動車(図示せず)用、特に自動車の車両用変速機(図示せず)用の、単にパーキングロックとも称するパーキングロック装置10の概略部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
自動車は、駆動エンジンと、車両用変速機と、車両用変速機を介して駆動エンジンによって駆動することができる、車両車輪とも称する少なくとも2つの車輪と、を有する。これにより、自動車は、全体として駆動される。その場合、パーキングロック装置10は、車両用変速機の構成要素である。車両用変速機は、変速機ハウジングと、シャフト、例えば、車両用変速機の出力シャフトと、を有し、シャフトは、トルクを伝達するように車輪に恒久的に連結されている。
【0030】
その場合、パーキングロック装置10は、シャフトと同軸に配置され、かつシャフト上に配置されたパーキングロックギア12を有し、パーキングロックギア12は、相対回転不能に、特に恒久的にシャフトに接続することができる。パーキングロックギア12は、歯車14を有し、歯車14は、パーキングロックギア12の円周方向に連続して配置され、かつ互いに離間された歯16を有する。歯車14のそれぞれの歯溝18は、パーキングロックギア12の円周方向に直接又はじかに連続するそれぞれ2つの歯16の間に配置されている。
【0031】
更に、パーキングロック装置10は、歯止め20を有し、歯止め20は、パーキングロックギア12に対して、かつ変速機ハウジングに対して歯止め軸22を中心として、図に示した少なくとも1つのロック位置と少なくとも1つの解放位置との間で旋回可能である。ロック位置では、歯止め20は、歯溝18のうちの1つ、したがって歯車14に係合し、それにより、歯止め20は、パーキングロックギア12と形状接続式に協働し、パーキングロックギア12を介してシャフトと協働する。その結果、ロック位置では、パーキングロックギア12、ひいてはシャフトは、歯止め20を使用して回転軸24を中心としてかつ変速機ハウジングに対して生じる回転が起きないように固定されている。換言すれば、ロック位置では、パーキングロックギア12、ひいてはシャフトは、回転軸24を中心として変速機ハウジングに対して回転することができない。しかし、解放位置では、歯止め20は、パーキングロックギア12と係合していないため、歯止め20は、解放位置では歯車14に係合しない。その結果、歯止め20は、解放位置では回転軸24を中心として変速機ハウジングに対して生じる回転のためにパーキングロックギア12、ひいてはシャフトを解放する。
【0032】
更に、パーキングロック装置10は、作動ピストン26を有し、作動ピストン26は、パーキングロック装置10のハウジング28内に並進移動可能に収容されている。更に、パーキングロック装置10は、ピストンロッド30を含み、作動ピストン26は、ピストンロッド30とは別個に形成され、特に固定的にピストンロッド30と接続されている。その結果、作動ピストン26と、作動ピストン26と共にピストンロッド30とは、パーキングロックギア12に対して、歯止め20に対して、ハウジング28に対して、かつ変速機ハウジングに対して、変位軸線32に沿って変位可能であり、それにより、歯止め20の移動は、ロック位置と解放位置との間で生じ得る。作動ピストン26及びハウジング28はそれぞれ、作用チャンバ34を部分的に画定し、作用チャンバ34内に流体、特に作動液を導入可能である。更に、パーキングロック装置10は、機械的圧縮ばねとして機能する機械的ばね36を含み、機械的ばね36は、変位軸線に沿って、一方では、少なくとも間接的に、特に直接、作動ピストン26で支持されている又は支持可能であり、他方では、少なくとも間接的に、特に直接、ハウジング28で支持されている又は支持可能である。作動液が作用チャンバ34に導入される場合、その結果、単にピストンとも称する作動ピストン26と、ピストンと共にピストンロッド30とは、図において矢印38により具体的に示した、変位軸線32に対して平行に延びている又は変位軸線32と一致する第1の方向に、ハウジング28に対して変位する。これにより、ばね36は、圧縮され、それによって、ばね35は、ばね力を提供する。ばね力は、図において矢印40で具体的に示した第2の方向に作用し、第2の方向は、第1の方向とは逆向きであり、変位軸線32に対して平行に延びている又は変位軸線32と一致する。作動液が作用チャンバ34から排出される、又は作動チャンバ34から作動液が流出可能となる場合、ばね36は、少なくとも部分的に弛緩することができる。その結果、ピストンと、ピストンと共にピストンロッド30とは、ばね36を使用して、すなわち、ばね36によって提供されるばね力を使用して、変位軸線32に沿って第2の方向にハウジング28に対して変位する。
【0033】
更に、パーキングロック装置10は、シフトリンケージ42を含み、シフトリンケージ42は、シフトロッド44、更なる機械的ばね46、及びコーンはロックコーンとも称する作動コーン48を有する。シフトロッド44は、例えば、ピストンロッド30とは別個に形成され、特に柔軟に、ピストンロッド30と、特に、シフトロッド44が変位軸線に沿ってピストンロッド30と共に変位可能であるように連結されている。したがって、例えば、ピストンロッド30が第1の方向にハウジング28に対して変位する場合、その結果、シフトロッド44は、第1の方向にハウジング28に対してピストンロッド30と共に変位する。ピストンロッド30が第2の方向に変位する場合、その結果、シフトロッド44は、第2の方向にハウジング28に対してピストンロッド30と共に変位する。作動コーン48は、例えば、シフトロッド44の軸線方向にシフトロッド44に対して変位可能である。特に、作動コーン48は、シフトロッド44の軸線方向にシフトロッド44に対して変位可能に、シフトロッド44上に配置することができる。その結果、例えば、作動コーン48がシフトロッド44に対して変位する場合、作動コーン48は、シフトロッド44を使用して案内される。作動コーン48は、シフトロッド44の軸線方向に、ロックコーンばねとも称するばね46を介してシフトロッド44で支持可能である、又は支持されている。換言すれば、ばね46は、シフトロッド44の軸線方向に、一方では、少なくとも間接的に、特に直接、作動コーン48で支持可能である、又は支持されており、他方では、少なくとも間接的に、特に直接、シフトロッド44で支持可能である、又は支持されている。ピストンロッド30に対するシフトロッド44の少なくとも1つの位置において、例えば、シフトロッド44の軸線方向は、変位軸線32と一致する。これは、図に示されている。例えば、作動コーン48が第1の方向にシフトロッド44に対して変位する場合、その結果、ばね46は、圧縮されるため、ばね46は、ばね力を提供する。ばね力を使用して、作動コーン48は、第2の方向にシフトロッド44に対して変位することができる。
【0034】
唯一の図は、パーキングロック装置10の係合状態又は作動状態にあるパーキングロック装置10を示す。係合状態又は作動状態では、歯止め20は、そのロック位置にある。パーキングロック装置10を係合解除するため、又は非作動にするために、すなわち、パーキングロック装置10をその係合状態から、歯止め20がパーキングロックギア12を、回転軸24を中心として変速機ハウジングに対して生じる回転のために解放する、その係合解除状態又は非作動状態にするために、ピストン、ひいてはピストンロッド30と、シフトロッド44と、シフトロッド44を介して作動コーン48とは、第1の方向にハウジング28に対して変位する。これにより、ロック位置から解放位置への歯止め20の移動が生じる、又は可能になる。全体として、シフトリンケージ42がピストンロッド30と共に変位軸線32に沿ってハウジング28に対して変位可能であることが理解可能である。
【0035】
パーキングロック装置10を係合するため、又は作動させるために、作動液が作用チャンバ34から流出可能になり得る。その結果、ピストン、ひいてはピストンロッド30及びシフトロッド44は、ばね36を使用してハウジング28に対して第2の方向に変位する。その場合、歯止め20が歯溝18のうちの1つに係合することができるような回転位置にパーキングロックギアがある場合、作動コーン48、特に作動コーン48のコーン形状の外周側面50は、歯止め20から滑って外れ、その結果、歯止め20は、側面50を使用して解放位置からロック位置へと移動する。
【0036】
しかし、歯止め20が動いても歯溝18のうちの1つと係合することができず、代わりに歯16のうちの1つと支持接触することにより、最初は解放位置からロック位置への歯止め20の移動が防止される、いわゆる噛み合い外れ位置となる場合、ピストン、ピストンロッド30、及びシフトロッド44が第1の方向にハウジング28に対して移動するにもかかわらず、第1の方向への作動コーン48の移動が回避され、それにより、ばね46は、張力がかかる、特に圧縮される。その結果、ばね46は、ばね力を作動コーン48に加える。次に、例えば、自動車が更に少し転がると、シャフト、ひいてはパーキングロックギア12は、噛み合い外れ位置が解消されるように、回転軸24を中心として変速機ハウジングに対して回転し、その結果、歯止め20は、歯溝18のうちの1つの中へと移動することができ、ばね46が弛緩するため、作動コーン48は、ばね46を使用してハウジング28に対して第1の方向に移動する。この場合、側面50は、歯止め20から滑って外れ、それにより、歯止め20は、歯溝18のうちの1つの中へと動かされ、したがって、ロック位置へと移動する。
【0037】
更に、パーキングロック装置10は、戻り止めレバーとも称するラッチレバー52を有し、ラッチレバー52は、旋回軸54を中心としてハウジング28に対して、かつ変速機ハウジングに対して、図に示した少なくとも1つの係止位置と少なくとも1つの解除位置との間で旋回可能である。係止位置では、パーキングロック装置10が係合解除されたとき、ピストンロッド30、ひいては作動ピストン26は、ラッチレバー52を使用してハウジング28に対して第2の方向に生じる変位が起きないように、ばね36によって提供されるばね力とは反対に、特に形状接続式に固定され、それにより、ばね36によって提供されるばね力によって生じるパーキングロック装置10の所望しない係合は、回避される。しかし、解除位置では、ラッチレバー52は、ピストンロッド30及び作動ピストン26を、第2の方向にハウジング28に対して生じる、例えば、ばね36によって提供されるばね力を使用して引き起こされる又は生じ得る変位のために解放し、その結果、解除位置では、ばね36は、ピストンロッド30と、ピストンロッド30を介して作動ピストン26とを、第2の方向にハウジング28に対して変位させ、その結果、解放位置からロック位置への歯止め20の移動が生じ得る。
【0038】
更に、パーキングロック装置10は、ソレノイド56として形成されたアクチュエータを含み、ソレノイド56を使用して、電気エネルギー又は電流を利用して、ラッチレバー52は、旋回軸54を中心として係止位置から解除位置へとハウジング28に対して変位可能である。単一の図の画面を参照すると、ソレノイド56は、ラッチレバー52をハウジング28に対して時計回りに旋回させることができ、その結果、係止位置から解除位置に旋回させることができる。そのために、ソレノイド56は、ラッチレバー52の第1の領域B1と少なくとも間接的に、特に直接、協働することができる。これは、ソレノイド56、特にソレノイド56の作動要素が力をラッチレバー52の領域B1に加えることができることを意味する。この力は、旋回軸54を中心として作用するトルクをもたらし、このトルクは、図の画面に関して時計回りに作用する。これにより、ラッチレバー52は、係止位置から解除位置へと旋回する。ラッチレバー52が旋回軸54を中心として第1の旋回方向又は回転方向に旋回可能であり、その結果、係止位置から解除位置に旋回可能であることが理解可能である。その場合、ラッチレバー52には、リターンスプリングとも称する更なる機械的ばね58が組み込まれている。ラッチレバー52が第1の回転方向に、したがって、係止位置から解除位置へと旋回する場合、ばね58は、張力がかかる、特に圧縮される。その結果、ばね58は、ラッチレバー52に作用するばね力を、ばね58によって提供され、ラッチレバー52に作用するばね力から第2のトルクが作用するように提供し、第2のトルクは、旋回軸54を中心として第1の回転方向とは逆向きの第2の回転方向に作用する。したがって、ラッチレバー52は、特に、ラッチレバー52が第1の回転方向に旋回した後で、第2のトルクを使用して第2の回転方向に、したがって、解除位置から戻って係止位置へと旋回し、特に係止位置に保持することができる。その場合、ばね58は、一方では、少なくとも間接的に、特に直接、ラッチレバー52で支持可能である、又は支持されており、他方では、少なくとも間接的に、特に直接、ハウジング28で支持可能である、又は支持されている。
【0039】
このときパーキングロック装置10に必要な設置スペースを特にわずかな範囲に抑えることができるようにするために、旋回軸54は、変位軸線32に対して垂直に延びている。換言すれば、旋回軸54は、変位軸線32に対して垂直に配置されている。
【0040】
パーキングロック装置10はまた、ハウジング28とは別個に形成され、かつハウジング28に接続されたカバー要素60を含み、カバー要素60によって、作用チャンバ34は、部分的に画定されている。カバー要素60は、ピストンロッド30が貫通する貫通開口部62を有する。したがって、カバー要素60は、ピストンロッドガイドであり、ピストンロッドガイドを使用して、ピストンロッド30は、ハウジング28に対して、かつカバー要素60に対して、かつ変位軸線32に沿うその変位の際に案内される又は案内され得る。
【0041】
ソレノイド56は、例えば、電磁石として形成された、図において特に概略的に示されている少なくとも1つの磁石要素64を有する。磁石要素64を使用して、磁場は、提供可能である、又は提供されている。更に、ソレノイド56は、作動要素66を含み、作動要素66は、磁場を使用して、矢印によって具体的に示された、したがって、第2の方向と一致する作用方向に、磁石要素64に対して、ラッチレバー52に対して、かつハウジング28に対して並進移動可能である、すなわち、変位可能である。作動要素66が磁石要素64を使用して作用方向に、したがって、第2の方向に移動される場合、作動要素66は、上述の力を領域B1に加え、それにより、ラッチレバー52は、第1の回転方向にハウジング28に対して旋回する。したがって、ラッチレバー52は、係止位置から解除位置へと旋回する。その場合、作用方向は、変位軸線32に対して平行に延びているか、又は作用方向は、変位軸線32と一致する。更に、ソレノイド56、ラッチレバー52、ピストンロッド30、及びシフトリンケージ42は、変位軸線32に沿って以下の順序:ソレノイド56、ラッチレバー52、作動ピストン26、シフトリンケージ42の順に配置されている。更に、歯止め軸22もまた、変位軸線32に対して垂直に延びている。回転軸24は、歯止め軸22に対して平行に延び、したがって同様に変位軸線32に対して垂直である。
【0042】
作動ピストン26及びピストンロッド30を、変位軸32に沿った、第2の方向へハウジング28に対して生じる変位が起きないように特に確実に固定するために、ピストンロッド30は、特にラッチレバー52に対向するその端部Eにおいて、係合輪郭部とも称する凹部68を有し、凹部68は、例えば、ピストンロッド30の円周方向でピストンロッド30の周囲を完全に取り囲むように延在する。パーキングロック装置10が係合解除されており、ラッチレバー52がその係止位置にある場合、ラッチレバー52は、凹部68に係合し、それにより、ピストンロッド30、ひいては作動ピストン26は、変位軸線32に沿った変位が起きないように形状接続式に固定されている。
【0043】
更に、パーキングロック装置10は、ソレノイド56に追加して設けられ、ソレノイド56に関して外部にあるピストン70の形態の移動要素を有し、それは、作用チャンバ34に追加して設けられた更なる作用チャンバ72を部分的に画定する。作用チャンバ72はまた、ハウジング28によって部分的に画定されている。作用チャンバ72内に、1種の作動液又は複数種の作動液を導入することができる。これにより、ピストン70は、ハウジング28に対して第1の方向に変位する。その結果、ピストン70は、ラッチレバー52の第2の領域B2に第2の力を加える。この第2の力は、旋回軸54を中心として第1の回転方向に作用する更なるトルクをもたらす。したがって、ラッチレバー52は、ピストン70を使用して係止位置から解除位置へと旋回することができる。その場合、特に旋回軸54に対して垂直であり、変位軸線32に対して垂直に延びている方向に関して、領域B1は、旋回軸54の向こう側に配置されているが、領域B2は、旋回軸54のこちら側に配置されている。
【0044】
ソレノイド56、ラッチレバー52、ピストンロッド30、及びシフトロッド44の直列の記載の配置は、ソレノイド56の特にスリムな、したがってわずかな設置スペースで軽量の設計を可能にする。ラッチレバー52での反力は、この場合、反力は、例えば、ばね58がばね力を使用してラッチレバー52を係止位置に維持することからもたらされ、旋回軸54でのみ支持し、それにより、ラッチレバー52は、特に小さな摩擦で係止位置から解除位置へと旋回し、したがって、ロック解除することができる。したがって、ソレノイド56は、ラッチレバー52をロック解除するために、ラッチレバー52に小さな作動力を加えるだけでよく、それにより、ソレノイド56は、特にわずかな設置スペースで寸法設定することができる。したがって、パーキングロック装置10に必要な設置スペース及び重量を特にわずかな範囲に抑えることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 パーキングロック装置
12 パーキングロックギア
14 歯車
16 歯
18 歯溝
20 歯止め
22 歯止め軸
24 回転軸
26 作動ピストン
28 ハウジング
30 ピストンロッド
32 変位軸線
34 作用チャンバ
36 ばね
38 矢印
40 矢印
42 シフトリンケージ
44 シフトロッド
46 ばね
48 作動コーン
50 外周側面
52 ラッチレバー
54 旋回軸
56 ソレノイド
58 ばね
60 カバー要素
62 貫通開口部
64 磁石要素
66 作動要素
68 凹部
70 ピストン
72 作用チャンバ
B1、B2 領域
E 端部
【図】
【国際調査報告】