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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20230623BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230623BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20230623BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20230623BHJP
   H01M 50/191 20210101ALI20230623BHJP
   H01M 50/195 20210101ALI20230623BHJP
   H01M 50/198 20210101ALI20230623BHJP
   H01M 50/197 20210101ALI20230623BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20230623BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20230623BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20230623BHJP
   H01M 50/564 20210101ALI20230623BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20230623BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/052
H01M10/0566
H01M50/193
H01M50/191
H01M50/195
H01M50/198
H01M50/197
H01M10/04 Z
H01M10/0568
H01M50/548 101
H01M50/564
H01M50/562
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570429
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 IB2021054292
(87)【国際公開番号】W WO2021234585
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】2005140
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514110783
【氏名又は名称】アイ テン
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ガベン,ファビアン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011HH01
5H011HH09
5H011HH12
5H011HH13
5H011JJ00
5H011KK00
5H011KK04
5H028AA05
5H028BB00
5H028BB02
5H028BB03
5H028BB04
5H028BB05
5H028BB10
5H028BB17
5H028CC01
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC11
5H028EE04
5H028EE06
5H028HH00
5H028HH08
5H028HH10
5H029AJ02
5H029AJ03
5H029AJ14
5H029BJ02
5H029BJ12
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ23
5H029CJ24
5H029CJ30
5H029DJ03
5H029DJ16
5H029EJ05
5H029EJ06
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ12
5H029HJ14
5H029HJ19
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA13
5H043EA12
5H043JA15E
5H043JA19E
5H043JA22E
5H043KA11E
5H043KA12E
5H043KA22E
5H043KA44E
5H043LA00E
5H043LA21E
5H043LA31E
5H043LA41E
(57)【要約】
平面視においてx列及びy行を含む(x×y)の数の電池を形成するスタックを作製し、該スタックは、それぞれ陰極階層及び陽極階層の、交互の連続する階層によって形成され、各階層は、複数のそれぞれの陽極一次予備成形部及び陰極一次予備成形部、複数のそれぞれの陽極二次予備成形部及び陰極二次予備成形部を含み、該予備成形部により、電池の一次本体及び二次本体並びに当該一次本体と二次本体との間の空きゾーンと呼ぶゾーンを形成し、平面視における、2つの隣接する該空きゾーンの間において、対の主切断をなし、陽極接続ゾーン及び陰極接続ゾーンを露出させ、所定の列から形成された所定の電池を、少なくとも1つの隣接する列から形成された少なくとも1つの他の隣接する電池から分離する、リチウムイオン電池の製造方法を提供する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電池(1000)を製造する方法であって、それぞれの前記電池が、前記電池(1000)の正面方向(ZZ)において交互になるように互いに上下に配置した少なくとも1つの陽極部(110)及び少なくとも1つの陰極部(140)を含み、
前記電池において、前記陽極部(110)は、
陽極集電体基板(10)、少なくとも1つの陽極層(20)、及び場合によっては電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)を含み、並びに、
前記電池において、前記陰極部(140)は、
陰極集電体基板(40)、少なくとも1つの陰極層(50)、及び場合によっては電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)を含み、
前記電池(1000)は、6つの面、すなわち、
-互いに対向する、特に互いに平行である、それぞれの前記陽極部(110)及びそれぞれの前記陰極部(140)に略平行である、表面(F1、F2)と呼ぶ2つの面、
-互いに対向する、特に互いに平行である、横方向面(F3、F5)と呼ぶ2つの面、並びに、
-互いに対向する、特に互いに平行である、縦方向面(F4、F6)と呼ぶ2つの面を有し、
前記電池の前記第1縦方向面(F6)が、少なくとも1つの陽極接続ゾーン(1002)を含み、前記電池の第2縦方向面(F4)が、少なくとも1つの陰極接続ゾーン(1006)を含み、前記陽極接続ゾーン(1002)と前記陰極接続ゾーン(1006)とが横方向に対向していて、
-それぞれの前記陽極部(110)及びそれぞれの前記陰極部(140)は、電極、電解質、及び集電体基板のいずれの材料からの自由空間(113、143)によってそれぞれの二次本体(112、142)から隔てられたそれぞれの一次本体(111、141)を含み、
-前記電池が、前記電池の前記正面方向(ZZ)において複数の自由空間(113)を含むとき、
-それぞれの前記陽極部(110)におけるそれぞれの前記一次本体(111)とそれぞれの前記二次本体(112)との間に形成された前記自由空間は重ね合わせられ、
-それぞれの前記陰極部(140)におけるそれぞれの前記一次本体(141)とそれぞれの前記二次本体(142)との間に形成された自由空間は重ね合わせられ、並びに、
-それぞれの前記陽極部(110)及びそれぞれの前記陰極部(140)の前記自由空間は一致せず、
前記製造方法は、
(a)平面視において、x列(xは厳密に1より大きい)及びy行(yは1以上)を含んで、(x×y)の数の電池を形成する、スタック(I)を作製するステップであって、
このスタックは、それぞれ陰極階層(SC)及び陽極階層(SA)である、交互の連続する階層(SA、SC)によって形成され、それぞれの前記陰極階層(SC)は(x×y)の数の陰極部(140)を形成するようにする一方、それぞれの前記陽極階層(SA)は(x×y)の数の陽極部(110)を形成するようにし、
それぞれの前記階層(SA、SC)は、それぞれ陽極一次予備成形部(111’)及び陰極一次予備成形部(141’)であって、それぞれの一次本体(111、141)を形成するようにする複数の一次予備成形部(111’、141’)、それぞれ陽極二次予備成形部(112’)及び陰極二次予備成形部(142’)であって、それぞれの二次本体(112、142)を形成するようにする複数の二次予備成形部(112’、142’)、を含み、前記一次予備成形部(111’、141’)と前記二次予備成形部(112’、142’)とは、前記自由空間(113、143)の少なくとも1つを形成するようにする空きゾーン(80’’、70’’)と呼ぶゾーンによって互いに隔てられ、前記電池が、前記電池の前記正面方向(ZZ)において複数の自由空間(113)を含むとき、
-異なる前記陽極階層(SA)の前記空きゾーン(80’’)が重ね合わせられ、
-異なる前記陰極階層(SC)の前記空きゾーン(70’’)が重ね合わせられ、並びに、
-それぞれの前記陽極階層(SA)及びそれぞれの前記陰極階層(SC)の前記空きゾーン(80’’、70’’)が一致しないように、スタック(I)を作製するステップと、
(b)ステップ(a)において得られた前記スタック(I)の熱処理及び/又は機械的圧縮を行って、固化したスタックを形成するステップと、
(c)平面視における、2つの隣接する空きゾーン(80’’、70’’)の間において、対の主切断(DYn、DY’n)をして、前記陽極接続ゾーン(1002)及び前記陰極接続ゾーン(1006)を露出させ、所定の列(R)から形成された所定の電池を、少なくとも1つの隣接する列(Rn+1)から形成された少なくとも1つの他の隣接する電池から分離するステップと、を含む方法。
【請求項2】
それぞれの前記階層(SA、SC)を一片の箔によって形成し、前記空きゾーンを特に前記箔における材料落下部(70、80、70’、80’)に対応させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
それぞれの前記階層(SA、SC)は、複数の独立のストリップ(A、A、A、C、C、Cn)によって形成し、前記空きゾーン(113’、143’)を、隣接する前記ストリップに面する縁部(LA、LC)同士の間に画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
スロットと称する小空きゾーン(80、70)と呼ぶ空きゾーンを作製し、小空きゾーンと呼ぶ、それぞれの前記空きゾーンは、単一の自由空間を形成するようにする、請求項1~3のうちの1項に記載の方法。
【請求項5】
ノッチと称する大空きゾーン(80’、70’)と呼ぶ空きゾーンを作製し、それぞれの前記大空きゾーンは、同じ列の複数の自由空間、特に前記同じ列(R)のすべての自由空間を形成するようにする、請求項1~3のうちの1項に記載の方法。
【請求項6】
前記空きゾーン(70、70’、80、80’)は、矩形形状、特にI字形状を有する、請求項1~5のうちの1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)の後、ステップ(d)の間、所定の行(L)を、前記固化したスタックに属する少なくとも1つの隣接する行(Ln-1、Ln+1)から分離することができる補助的な一対の切断(DXn、DX’n)をする、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(e)の間、ステップ(b)において得られた前記固化したスタックの含浸、又はステップ(d)を行うときステップ(d)において得られた電池(1000)の前記行(L)の含浸を、液体電解質又はリチウム塩を含有するイオン性液体などのリチウムイオン担体相によって行って、前記セパレータ層(31)に電解質を含浸させるようにする、請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(c)の前、及びステップ(e)を行う場合はステップ(e)の後、又はステップ(e)を行なわず、ステップ(d)を行う場合はステップ(d)の後、又はステップ(e)及び(d)を行わない場合はステップ(b)の後に、電池(1000)の前記固化したスタック又は前記行(L)を封止するステップ(f)を行い、前記ステップ(f)において、
好ましくは、電池(1000)の前記スタック(I)又は前記行(L)の外周部、好ましくは、電池(1000)の前記スタックの前記表面(F1、F2)又は前記行(L)の前記表面(FF1、FF2)、電池(1000)の前記スタック(I)の前記横方向面(F3、F5)及び前記縦方向面(F4、F6)又は前記行(L)の前記横方向面(FF3、FF5)及び前記縦方向面(FF4、FF6)を、封止システム(95)によって覆い、
前記封止システム(95)は、好ましくは、
-任意で、電池(1000)の前記スタック(I)又は前記行(L)の前記外周部上に堆積された、好ましくはパリレン、パリレンタイプF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ、及び/又はそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの第1被覆層、
-任意で、電池(1000)の前記スタック(I)の前記外周部又は電池(1000)の前記行(L)の前記外周部又は前記第1被覆層上に原子層堆積によって堆積された電気絶縁材料から構成される第2被覆層、並びに、
-好ましくは10-5g/m.d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有するとともに、電池(1000)の前記スタック(I)の前記外周部又は電池(1000)の前記行(L)の前記外周部又は前記第1被覆層上に堆積された、セラミック材料及び/又は低融点ガラス、好ましくは融点が600℃未満のガラスから構成される、少なくとも1つの第3耐水被覆層を含み、
少なくとも1つの第2被覆層と少なくとも1つの第3被覆層とのシーケンスを、z回(z≧1)繰り返すことができ、少なくとも前記第3被覆層の外周部上に堆積させることができ、前記封止システムの最終層は、好ましくは10-5g/m.d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有するとともに、セラミック材料及び/又は低融点ガラスから構成される、耐水被覆層とする、請求項1~8のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(c)の後、少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)、好ましくは少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)を含む少なくとも前記第1縦方向面(F6)を、前記スタック(I)と外部導電性素子との電気的接触を確保することができる陽極コンタクト部材(97’)によって覆い、
少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)、好ましくは少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)を含む少なくとも前記第2縦方向面(F4)を、前記スタック(I)と外部導電性素子との電気的接触を確保することができる陰極コンタクト部材(97’’)によって覆うステップ(g)を行い、
ステップ(i)は、
-電気伝導性粒子を添加した材料の、好ましくは電気伝導性粒子を添加したポリマー樹脂及び/又はゾルゲル法により得られる材料から形成される、第1電気接続層を、少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)及び少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)、好ましくは、少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)を含む少なくとも前記第1縦方向面(F6)及び少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)を含む少なくとも前記第2縦方向面(F4)上に堆積させるステップと、
-任意で、前記第1層が、電気伝導性粒子を添加したポリマー樹脂及び/又はゾルゲル法により得られる材料から形成されるとき、乾燥ステップ、その後に、前記ポリマー樹脂及び/又はゾルゲル法により得られる前記材料を重合するステップと、
-前記第1電気接続層に配置した金属箔を含む第2電気接続層を、前記第1層上に堆積させるステップと、
-任意で、導電性インクを含む第3電気接続層を前記第2電気接続層上に堆積させるステップとを含む、請求項1~9のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(d)を行うときステップ(d)において、及び/又はステップ(c)においてする前記切断を、レーザーアブレーションによってなす、好ましくは、ステップ(d)を行うときステップ(d)において、及び/又はステップ(c)においてするすべての切断をレーザーによってなす、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの空きゾーン(70、80)からの、特に大多数の空きゾーンのそれぞれからの、特に前記一式の空きゾーンのそれぞれからの少なくとも1つの横断チャネル(75、85)を形成し、前記横断チャネルは、前記電解質の前記含浸を促進するため、少なくとも隣接する主切断(DY1、DY2)まで延びる、請求項1~11のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
電池(1000)の主平面に対する正面方向(ZZ)において交互になるように互いに上下に配置した少なくとも1つの陽極部(110)及び少なくとも1つの陰極部(140)を含み、スタック(I)を形成する電池(1000)であって、
前記陽極部(110)は、陽極集電体基板(10)、少なくとも1つの陽極層(20)、及び場合によっては電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)を含み、並びに、
前記陰極部(140)は、陰極集電体基板(40)、少なくとも1つの陰極層(50)、及び場合によっては電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)を含み、
前記電池(1000)は、6つの面、すなわち、
-互いに対向する、特に互いに平行である、それぞれの前記陽極部(110)、それぞれの前記陰極部(140)、前記陽極集電体基板(10)、前記陽極層(20)、前記電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)、前記陰極層(50)、及び、前記陰極集電体基板(40)に略平行である、表面(F1、F2)と呼ぶ2つの面、
-互いに対向する、特に互いに平行である、横方向面(F3、F5)と呼ぶ2つの面、
-並びに、互いに対向する、特に互いに平行である、縦方向面(F4、F6)と呼ぶ2つの面を有し、
前記電池の前記第1縦方向面(F6)が、少なくとも1つの陽極接続ゾーン(1002)を含み、前記電池の第2縦方向面(F4)が、少なくとも1つの陰極接続ゾーン(1006)を含み、前記陽極接続ゾーン(1002)と前記陰極接続ゾーン(1006)とが横方向に対向していて、
-それぞれの前記陽極部(110)及びそれぞれの前記陰極部(140)は、電極、電解質、及び集電体基板のいずれの材料からの自由空間(113、143)によってそれぞれの二次本体(112、142)から隔てられたそれぞれの一次本体(111、141)を含み、
-前記電池が、前記電池の前記主平面に対する正面方向(ZZ)において複数の自由空間(113)を含むとき、
-それぞれの前記陽極部(110)におけるそれぞれの前記一次本体(111)とそれぞれの前記二次本体(112)との間に形成された自由空間は重ね合わせられ、
-それぞれの前記陽極部(110)におけるそれぞれの前記一次本体(141)とそれぞれの前記二次本体(142)との間に形成された自由空間は重ね合わせられ、並びに、
-それぞれの前記陽極部(110)及びそれぞれの前記陰極部(140)の自由空間は一致しないというようにされ、
前記電池は、前記スタック(I)の外周部を少なくとも部分的に覆う封止システムを含み、前記封止システム(95)は、前記スタックの前記表面(F1、F2)、前記横方向面(F3、F5)、及び前記少なくとも部分的に縦方向面(F4、F6)を覆い、
前記陽極接続ゾーン(1002)及び前記陰極接続ゾーン(1006)のみ、
好ましくは、少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)を含む前記第1縦方向面(F6)、及び少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)を含む前記第2縦方向面(F4)が、前記封止システム(95)で覆われないようにされ、前記封止システム(95)は、
-任意で、前記スタック(I)の前記外周部の少なくとも一部の上に堆積された、好ましくはパリレン、パリレンタイプF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ、及び/又はそれらの混合物から選択される、第1被覆層、
-任意で、前記スタック(I)の前記外周部の少なくとも一部の上又は前記第1被覆層の上に原子層堆積によって堆積された電気絶縁材料から構成される、第2被覆層、
-好ましくは10-5g/m.d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有するとともに、前記スタック(I)の前記外周部の少なくとも一部の上又は前記第1被覆層の上に堆積された、セラミック材料及び/又は低融点ガラス、好ましくは融点が600℃未満のガラスから構成される、少なくとも1つの第3耐水被覆層を含み、
前記第2被覆層が存在するとき、
連続する前記第2被覆層と前記第3被覆層とは、z回(z≧1)繰り返すことができ、少なくとも前記第3被覆層の外周部上に堆積され、
前記封止システムの最終層は、好ましくは10-5g/m.d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有するとともに、セラミック材料及び/又は低融点ガラスから構成される、耐水被覆層である、電池(1000)。
【請求項14】
少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)、好ましくは少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)を含む前記第1縦方向面(F6)を、陽極コンタクト部材(97’)によって覆い、
少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)、好ましくは少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)を含む前記第2縦方向面(F4)を、陰極コンタクト部材(97’’)によって覆い、
前記陽極コンタクト部材(97’)及び前記陰極コンタクト部材(97’’)は、前記スタック(I)と外部導電性素子との電気的接触を確保することができる、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記陽極コンタクト部材(97’)及び前記陰極コンタクト部材(97’’)のそれぞれが、
-少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)及び少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)上、好ましくは、少なくとも前記陰極接続ゾーン(1002)を含む前記第1縦方向面(F6)及び少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)を含む前記第2縦方向面(F4)上に配置されるとともに、電気伝導性粒子を添加した材料、好ましくは、電気伝導性粒子を添加したポリマー樹脂及び/又はゾルゲル法により得られる材料、さらにより好ましくは、黒鉛を添加したポリマー樹脂を含む、第1電気接続層、並びに、
-電気伝導性粒子を添加した材料の前記第1層上に配置された金属箔を含む第2電気接続層を含む、請求項13又は14に記載の電池。
【請求項16】
1mAh以下の容量を有する、請求項13~15のいずれか1項に記載の電池。
【請求項17】
1mAhより大きい容量を有する、請求項13~15のいずれか1項に記載の電池。
【請求項18】
少なくとも1つの自由空間(113、143)、特に大多数の前記自由空間、特にすべての自由空間を、前記電解質の含浸を促進するために用いられる空隙(115、145)によって延長し、前記空隙は、前記二次本体(112、142)を通って、反対の縦方向面(F4、F6)まで延びる、請求項13~16のいずれか1項に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池の分野、さらに具体的にはリチウムイオン電池に関する。本発明は、寿命を向上させる新しいアーキテクチャを有する電池、特にリチウムイオン電池を製造する新しい方法に関与する。
【背景技術】
【0002】
充電可能な全固体リチウムイオン電池が知られている。特許文献1(I-TEN)は、順に陽極層及び電解質層で覆った導電性基板を含む陽極箔、並びに順に陰極層及び電解質層で覆った導電性基板を含む陰極箔から製造したリチウムイオン電池を記載しており、これらの箔は、堆積の前又は後に、U字形状パターンに切断される。その後、これらの箔は、いくつかの単位セルのスタックを構成するように交互に積み重ねられる。陽極箔及び陰極箔を切断するパターンは、陰極及び陽極のスタックが横方向にオフセットされるように、「ヘッド・トゥ・テイル」の構成に配置される。その後、約10ミクロンの厚さを有する封止システムを、スタック上、及びスタック内に存在する空いている空隙に堆積する。この封止システムは、切断平面における構造の剛性を確保し、電池セルを大気から保護する。スタックを作製して封止すると、単位電池を得るため、電池の陰極接続ゾーン及び陽極接続ゾーンを切断平面のそれぞれにおいて露出させるように、切断平面に沿って切断される。この切断時に、封止システムが引きはがされ、電池の封止が不連続となり得ることが分かっている。また、これらの陰極接続ゾーン及び陽極接続ゾーンが現れている終端部(すなわち、電気的接触部)を追加することも知られている。
【0003】
しかしながら、この既知の解決手段にはいくつかの難点があり得ると認められる。実際に、電極の位置、特に多層電池における電極の縁部の近接性及び切断部の良好性に応じて、典型的にクリープによるショートの形態で端部に漏れ電流が認められ得る。このクリープによるショートは、電池周りに、並びに陰極接続ゾーン及び陽極接続ゾーン周りに封止システムを使用するにもかかわらず、電池の性能を低下させる。さらに、電池において、特に、電池縁部における電極の横方向オフセットによってもたらされる空間における電池の縁部において、封止システムの不十分な堆積が存在することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/001584号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した先行技術におけるいくつかの難点を少なくとも部分的に克服すること、特に高エネルギー密度及び高出力密度を備えた充電式リチウムイオン電池を得ることを目的とする。
【0006】
特に、高エネルギー密度及び高出力密度を備えた充電式リチウムイオン電池の製造効率を高めること、及びより低いコストでより効率的な封止を行うことを目的とする。
【0007】
特に、クリープによる又は偶発的なショートのリスクを下げ、自然放電の少ない電池を製造することができる方法を提示することを目的とする。
【0008】
特に、極めて長い寿命を有する電池を、簡単で、確実、かつ、迅速に製造することができる方法を提案することを目的とする。
【0009】
また、簡単、高速、かつ、コスト効率がよい電池を製造する方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の目的は、少なくとも1つの電池(1000)を製造するための電池であって、各電池が、電池(1000)の正面方向(ZZ)において交互になるように互いに上下に配置した少なくとも1つの陽極部(110)及び少なくとも1つの陰極部(140)を含み、
上述の電池において、上述の陽極部(110)は、
陽極集電体基板(10)、少なくとも1つの陽極層(20)、及び場合によっては電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)を含み、並びに、
上述の電池において、上述の陰極部(140)は、
陰極集電体基板(40)、少なくとも1つの陰極層(50)、及び場合によっては電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)を含み、
上述の電池(1000)は、6つの面、すなわち、
-互いに対向する、特に互いに平行である、各陽極部(110)及び各陰極部(140)に略平行である、表面(F1、F2)と呼ぶ2つの面、
-互いに対向する、特に互いに平行である、横方向面(F3、F5)と呼ぶ2つの面、並びに、
-互いに対向する、特に互いに平行である、縦方向面(F4、F6)と呼ぶ2つの面を有し、
電池の第1縦方向面(F6)が、少なくとも1つの陽極接続ゾーン(1002)を含み、電池の第2縦方向面(F4)が、少なくとも1つの陰極接続ゾーン(1006)を含み、上述の陽極接続ゾーン(1002)と陰極接続ゾーン(1006)とが横方向に対向しており、
-各陽極部(110)及び各陰極部(140)は、電極、電解質、及び集電体基板のいずれの材料からの自由空間(113、143)によってそれぞれの二次本体(112、142)から隔てられたそれぞれの一次本体(111、141)を含み、
-電池が、該電池の上述の正面方向(ZZ)において複数の自由空間(113)を含むとき、
-各陽極部(110)における各一次本体(111)と各二次本体(112)との間に形成された自由空間は重ね合わせられ、
-各陰極部(140)における各一次本体(141)と各二次本体(142)との間に形成された自由空間は重ね合わせられ、並びに、
-各陽極部(110)及び各陰極部(140)の自由空間は一致せず、
上述の製造方法は、
(a)平面視において、x列(xは厳密に1より大きい)及びy行(yは1以上)を含んで、(x×y)の数の電池を形成する、スタック(I)を作製するステップであって、
このスタックは、それぞれ陰極階層(SC)及び陽極階層(SA)である、交互の連続する階層(SA、SC)によって形成され、各陰極階層(SC)は(x×y)の数の陰極部(140)を形成するようにする一方、各陽極階層(SA)は(x×y)の数の陽極部(110)を形成するようにし、
各階層(SA、SC)は、それぞれ陽極一次予備成形部(111’)及び陰極一次予備成形部(141’)であって、それぞれの一次本体(111、141)を形成するようにする複数の一次予備成形部(111’、141’)、それぞれ陽極二次予備成形部(112’)及び陰極二次予備成形部(142’)であって、それぞれの二次本体(112、142)を形成するようにする複数の二次予備成形部(112’、142’)、を含み、一次予備成形部(111’、141’)と二次予備成形部(112’、142’)とは、上述の自由空間(113、143)の少なくとも1つを形成するようにする空きゾーン(80’’、70’’)と呼ぶゾーンによって互いに隔てられ、電池が、該電池の正面方向(ZZ)において複数の自由空間(113)を含むとき、
-異なる陽極階層(SA)の空きゾーン(80’’)が重ね合わせられ、
-異なる陰極階層(SC)の空きゾーン(70’’)が重ね合わせられ、並びに、
-各陽極階層(SA)及び各陰極階層(SC)の空きゾーン(80’’、70’’)が一致しないように、スタック(I)を作製するステップと、
(b)ステップ(a)において得られたスタック(I)の熱処理及び/又は機械的圧縮を行って、固化したスタックを形成するステップと、
(c)平面視における、2つの隣接する空きゾーン(80’’、70’’)の間において、対の主切断(DYn、DY’n)をして、陽極接続ゾーン(1002)及び陰極接続ゾーン(1006)を露出させ、所定の列(R)から形成された所定の電池を、少なくとも1つの隣接する列(Rn+1)から形成された少なくとも1つの他の隣接する電池から分離するステップと、を含む。
【0011】
第1の実施形態において、各階層(SA、SC)を一片の箔によって形成し、空きゾーンを特に箔における材料落下部(70、80、70’、80’)に対応させる。
【0012】
他の実施形態において、各階層(SA、SC)は、複数の独立のストリップ(A、A、A、C、C、C)によって形成し、空きゾーン(113’、143’)を、隣接するストリップに面する縁部(LA、LC)同士の間に画定する。
【0013】
本発明の第1の変形において、スロットと称する小空きゾーン(80、70)と呼ぶ空きゾーンを作製し、小空きゾーンと呼ぶ各空きゾーンは、単一の自由空間を形成するようにする。
【0014】
本発明の第2の変形において、ノッチと称する大空きゾーン(80’、70’)と呼ぶ空きゾーンを作製し、各大空きゾーンは、同じ列の複数の自由空間、特に上述の同じ列(R)のすべての自由空間を形成するようにする。
【0015】
本発明の有利な特徴において、空きゾーン(70、70’、80、80’)は、矩形形状、特にI字形状を有している。
【0016】
本発明の一特徴において、ステップ(b)の後、ステップ(d)の間、所定の行(L)を、上述の固化したスタックに属する少なくとも1つの隣接する行(Ln-1、Ln+1)から分離することができる補助的な一対の切断(DXn、DX’n)をする。
【0017】
本発明の他の特徴において、ステップ(e)の間、ステップ(b)において得られた固化したスタックの含浸、又はステップ(d)を行うときステップ(d)において得られた電池(1000)の行(L)の含浸を、液体電解質又はリチウム塩を含有するイオン性液体などのリチウムイオン担体相によって行って、上述のセパレータ層(31)に電解質を含浸させるようにする。
【0018】
本発明の一つの特徴において、ステップ(c)の前、及びステップ(e)を行う場合はステップ(e)の後、又はステップ(e)を行わず、ステップ(d)を行う場合はステップ(d)の後、又はステップ(e)及び(d)を行わない場合はステップ(b)の後に、
電池(1000)の固化したスタック又は行(L)を封止するステップ(f)を行い、ステップ(f)において、好ましくは、電池(1000)のスタック(I)又は行(L)の外周部、好ましくは、電池(1000)のスタックの表面(F1、F2)又は行(L)の表面(FF1、FF2)、電池(1000)のスタック(I)の横方向面(F3、F5)及び縦方向面(F4、F6)又は行(L)の横方向面(FF3、FF5)及び縦方向面(FF4、FF6)を、封止システム(95)によって覆い、
上述の封止システム(95)は、好ましくは、
-任意で、電池(1000)のスタック(I)又は行(L)の外周部上に堆積された、好ましくはパリレン、パリレンタイプF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ、及び/又はそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの第1被覆層、
-任意で、電池(1000)のスタック(I)の外周部又は電池(1000)の行(L)の外周部又は第1被覆層上に原子層堆積によって堆積された電気絶縁材料から構成される第2被覆層、並びに、
-好ましくは10-5g/m.d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有するとともに、電池(1000)のスタック(I)の外周部又は電池(1000)の行(L)の外周部又は第1被覆層上に堆積された、セラミック材料及び/又は低融点ガラス、好ましくは融点が600℃未満のガラスから構成される、少なくとも1つの第3耐水被覆層を含み、
少なくとも1つの第2被覆層と少なくとも1つの第3被覆層とのシーケンスを、z回(z≧1)繰り返すことができ、少なくとも第3被覆層の外周部上に堆積させることができ、封止システムの最終層は、好ましくは10-5g/m.d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有するとともに、セラミック材料及び/又は低融点ガラスから構成される、耐水被覆層とする。
【0019】
本発明の他の特徴において、ステップ(c)の後、少なくとも陽極接続ゾーン(1002)、好ましくは少なくとも陽極接続ゾーン(1002)を含む少なくとも第1縦方向面(F6)を、スタック(I)と外部導電性素子との電気的接触を確保することができる陽極コンタクト部材(97’)によって覆い、
少なくとも陰極接続ゾーン(1006)、好ましくは少なくとも陰極接続ゾーン(1006)を含む少なくとも第2縦方向面(F4)を、スタック(I)と外部導電性素子との電気的接触を確保することができる陰極コンタクト部材(97’’)によって覆うステップ(g)を行い、
ステップ(i)は、
-電気伝導性粒子を添加した材料の、好ましくは電気伝導性粒子を添加したポリマー樹脂及び/又はゾルゲル法により得られる材料から形成される、第1電気接続層を、少なくとも陽極接続ゾーン(1002)及び少なくとも陰極接続ゾーン(1006)、好ましくは、少なくとも陽極接続ゾーン(1002)を含む少なくとも第1縦方向面(F6)及び少なくとも陰極接続ゾーン(1006)を含む少なくとも第2縦方向面(F4)上に堆積させるステップと、
-任意で、上述の第1層が、電気伝導性粒子を添加したポリマー樹脂及び/又はゾルゲル法により得られる材料から形成されるとき、乾燥ステップ、その後に、上述のポリマー樹脂及び/又はゾルゲル法により得られる材料を重合するステップと、
-第1電気接続層に配置した金属箔を含む第2電気接続層を、第1層上に堆積させるステップと、
-任意で、導電性インクを含む第3電気接続層を第2電気接続層上に堆積させるステップとを含む。
【0020】
本発明のさらに他の特徴において、ステップ(d)を行うときステップ(d)において、及び/又はステップ(c)においてする切断を、レーザーアブレーションによってなし、好ましくは、ステップ(d)を行うときステップ(d)において、及び/又はステップ(c)においてするすべての切断をレーザーによってなす。
【0021】
また、本発明は、電池(1000)の主平面に対する正面方向(ZZ)において交互になるように互いに上下に配置した少なくとも1つの陽極部(110)及び少なくとも1つの陰極部(140)を含み、スタック(I)を形成する電池(1000)に関し、
上述の陽極部(110)は、陽極集電体基板(10)、少なくとも1つの陽極層(20)、及び場合によっては電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)を含み、並びに、
上述の陰極部(140)は、陰極集電体基板(40)、少なくとも1つの陰極層(50)、及び場合によっては電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)を含み、
上述の電池(1000)は、6つの面、すなわち、
-互いに対向する、特に互いに平行である、各陽極部(110)、各陰極部(140)、陽極集電体基板(10)、陽極層(20)、電解質材料の層(30)又は電解質を含浸させたセパレータの層(31)、陰極層(50)、及び、陰極集電体基板(40)に略平行である、表面(F1、F2)と呼ぶ2つの面、
-互いに対向する、特に互いに平行である、横方向面(F3、F5)と呼ぶ2つの面、
-並びに、互いに対向する、特に互いに平行である、縦方向面(F4、F6)と呼ぶ2つの面を有し、
電池の第1縦方向面(F6)が、少なくとも1つの陽極接続ゾーン(1002)を含み、電池の第2縦方向面(F4)が、少なくとも1つの陰極接続ゾーン(1006)を含み、上述の陽極接続ゾーン(1002)と陰極接続ゾーン(1006)とが横方向に対向していて、
-各陽極部(110)及び各陰極部(140)は、電極、電解質、及び集電体基板のいずれの材料からの自由空間(113、143)によってそれぞれの二次本体(112、142)から隔てられたそれぞれの一次本体(111、141)を含み、
-電池が、該電池の主平面に対する正面方向(ZZ)において複数の自由空間(113)を含むとき、
-各陽極部(110)における各一次本体(111)と各二次本体(112)との間に形成された自由空間は重ね合わせられ、
-各陽極部(110)における各一次本体(141)と各二次本体(142)との間に形成された自由空間は重ね合わせられ、並びに、
-各陽極部(110)及び各陰極部(140)の自由空間は一致しないというようにされ、
電池は、スタック(I)の外周部を少なくとも部分的に覆う封止システムを含み、該封止システム(95)は、スタックの表面(F1、F2)、横方向面(F3、F5)、及び少なくとも部分的に縦方向面(F4、F6)を覆い、
陽極接続ゾーン(1002)及び陰極接続ゾーン(1006)のみ、
好ましくは、少なくとも陽極接続ゾーン(1002)を含む第1縦方向面(F6)、及び少なくとも陰極接続ゾーン(1006)を含む第2縦方向面(F4)が、上述の封止システム(95)で覆われないようにされ、上述の封止システム(95)は、
-任意で、スタック(I)の外周部の少なくとも一部の上に堆積された、好ましくはパリレン、パリレンタイプF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ、及び/又はそれらの混合物から選択される、第1被覆層、
-任意で、スタック(I)の外周部の少なくとも一部の上又は第1被覆層の上に原子層堆積によって堆積された電気絶縁材料から構成される、第2被覆層、
-好ましくは10-5g/m.d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有するとともに、スタック(I)の外周部の少なくとも一部の上又は第1被覆層の上に堆積された、セラミック材料及び/又は低融点ガラス、好ましくは融点が600℃未満のガラスから構成される、少なくとも1つの第3耐水被覆層を含み、
上述の第2被覆層が存在するとき、
連続する上述の第2被覆層と上述の第3被覆層とは、z回(z≧1)繰り返すことができ、少なくとも第3被覆層の外周部上に堆積され、
封止システムの最終層は、好ましくは10-5g/m.d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有するとともに、セラミック材料及び/又は低融点ガラスから構成される、耐水被覆層である。
【0022】
本発明の電池の有利な特徴において、陽極接続ゾーン(1002)、好ましくは少なくとも陽極接続ゾーン(1002)を含む第1縦方向面(F6)を、陽極コンタクト部材(97’)によって覆い、
少なくとも陰極接続ゾーン(1006)、好ましくは少なくとも陰極接続ゾーン(1006)を含む第2縦方向面(F4)を、陰極コンタクト部材(97’’)によって覆い、
上述の陽極コンタクト部材(97’)及び陰極コンタクト部材(97’’)は、スタック(I)と外部導電性素子との電気的接触を確保することができる。
【0023】
本発明の電池の他の特徴において、陽極コンタクト部材(97’)及び陰極コンタクト部材(97’’)のそれぞれは、
-少なくとも陽極接続ゾーン(1002)及び少なくとも陰極接続ゾーン(1006)上、好ましくは、少なくとも陰極接続ゾーン(1002)を含む第1縦方向面(F6)及び少なくとも陰極接続ゾーン(1006)を含む第2縦方向面(F4)上に配置されるとともに、電気伝導性粒子を添加した材料、好ましくは、電気伝導性粒子を添加したポリマー樹脂及び/又はゾルゲル法により得られる材料、さらにより好ましくは、黒鉛を添加したポリマー樹脂を含む、第1電気接続層、並びに、
-電気伝導性粒子を添加した材料の第1層上に配置された金属箔を含む第2電気接続層を含む。
【0024】
第1の実施形態において、本発明における電池は、1mAh以下の容量を有する。
【0025】
他の実施形態において、本発明における電池は、1mAhより大きい容量を有する。
【0026】
非限定的な例として提示される添付の図面は、本発明の種々の態様及び実施形態を表す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明における電池を製造する方法によるスタックを形成するために用いられる陽極箔及び陰極箔の斜視図であり、これらの陽極箔及び陰極箔は、小空きゾーンと呼ぶ空きゾーン、すなわちスロットを有する。
図2図2は、図1における箔の1つ、特に陽極箔を示す平面図である。
図3図3は、本発明における、陽極箔及び陰極箔のスタック、並びに隣接する箔に形成された小空きゾーン、すなわちスロットを示す平面図である。
図4図4は、本発明における、隣接する箔に形成された小空きゾーン、すなわちスロットを示す拡大した平面図である。
図5図5は、隣接する箔に形成されたこれらの小空きゾーン、すなわちこれらのスロットを示す、これも拡大した斜視図である。
図6図6は、先の図面におけるスタックに形成された様々なスロットに行われる切断ステップを示す平面図である。
図7図7は、切断線DX及びDX’に従ってスタックを切断した後に得られた本発明における電池の行を示す平面図である。
図8図8は、スロットを有する陽極箔及び陰極箔の本発明におけるスタックを示す、図6に示す切断線DX’に対応する断面線VIII-VIIIに沿った断面図である。
図9図9は、スロットを有する陽極箔及び陰極箔、並びに一次陽極本体、二次陽極本体、一次陰極本体、及び二次陰極本体の本発明におけるスタックを示す、図6に示す切断線DX’に対応する断面線VIII-VIIIに沿った断面図である。
図10図10は、特に先の図面の方法に従って得られる、封止システムで封止した本発明における電池の行を示す、切り取った斜視図である。
図11図11は、特に先の図面の方法に従って得られる、封止システムを含む本発明における電池を示す、切り取った斜視図である。
図12図12は、特に先の図面の方法に従って得られる、封止システムを含む本発明における電池を示し、スタック、並びに陽極一次本体、陽極二次本体、陰極一次本体、及び陰極二次本体を示す、切り取った斜視図である。
図13図13は、特に先の図面の方法に従って得られる、封止システム及びコンタクト部材を含む本発明における電池を示す、断面線VIII-VIII又は切断線DX’に沿った断面図である。
図14図14は、先行技術にかかる電池を示す切り取った斜視図である。
図15図15は、本発明の第1の変形における、陽極箔及び陰極箔のスタック、並びに隣接する箔に作製された大空きゾーンと呼ぶゾーン、すなわちノッチを示す平面図である。
図16図16は、本発明の第1の変形におけるこれまでの図面のスタックに形成された様々なノッチに行われる切断ステップを示し、この同じ変形において得られる電池を示す、平面図である。
図17図17は、本発明の第2の変形における、陽極ストリップ及び陰極ストリップのスタック、並びに隣接するストリップ同士の間に設けられた空間を示す平面図である。
図18図18は、本発明の第2の変形におけるスタックを示す図17に示す切断線DX’に沿った断面図である。
図19図19は、図6に類似して、スタックに形成されたスロットの変形を示す平面図である。
図20図20は、図19におけるスロットを備えたスタックにより得られる電池を模式的に示す平面図である。
図21図21は、図19に類似して、本発明に属さないスロットの変形を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本電池には、原則として次のような幾何学的名称が付されている。
ZZは、正面方向と呼び、すなわち本発明における電池の様々なスタック層の平面に垂直な方向である。
XXは、縦方向と呼び、スタック層の平面に含まれ、平面視における、すなわち正面方向における、本発明における電池のスタックを形成するこれらの層の最大寸法に平行な方向である。
YYは、横方向又は横断方向と呼び、スタック層の平面に含まれ、平面視において、これらの層の最小寸法に平行な方向である。
【0029】
また、原則として、これらの3つの方向のそれぞれに関連する2つの向きを、図11又は図12に再現する箔の平面に対して示している。
【0030】
したがって、図11又は図12に再現する箔の平面に対して、方向XXには右向き及び左向きを関連付け、方向YYには前方向き及び後方向きを関連付け、方向ZZには上方向き及び下方向きを関連付けている。
【0031】
また、原則として、図11又は図12に再現する箔の平面に対して、右から左に向く第1縦方向XX’、及び第1縦方向XX’とは反対の、すなわち左から右に向く第2縦方向XX’’を定義する。常に図11又は図12に再現する箔の平面に対して、前方から後方へ向く第1横方向YY’、第1横方向とは反対の第2横方向YY’’、上から下へ向く第1正面方向ZZ’、及び第1正面方向とは反対の第2正面方向ZZ’’とを定義する。
【0032】
封止システムのバリア特性の特徴を記述するため、本記載では、封止システムの水蒸気透過率の特徴を記述するWVTR係数(水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate))を参照する。WVTR係数がより低いと、封止システムの耐水性がより高くなる。水蒸気透過率(WVTR)は、米国特許第7,624,621号明細書に記載の事項であるとともに、また、雑誌のThin Solid Films 550(2014)85-89に掲載されている、A.Morlier等による「Structural properties of ultraviolet cured polysilazane gas barrier layers on polymer substrates」という刊行物に記載されている方法を使用して測定することができる。
【0033】
本発明は、図11及び図12に示すような電池の製造を目的とする。
【0034】
図11及び図12に関して、電池1000の正面方向ZZにおいて交互になるように互いに上下に配置した少なくとも1つの陽極部110及び少なくとも1つの陰極部140を含む、本発明における電池1000の1つを示す。
【0035】
本発明における電池1000の各陽極部110は、電池1000の正面方向ZZに、陽極集電体基板10、少なくとも1つの陽極層20、及び場合によっては電解質材料の層30又は電解質を含浸させたセパレータの層31を含む。
【0036】
本発明における電池1000の各陰極部140は、電池1000の正面方向ZZに、陰極集電体基板40、少なくとも1つの陰極層50、及び場合によっては電解質材料の層30又は電解質を含浸させたセパレータの層31を含む。
【0037】
図11に示すように、本発明における電池1000は6面を有する。
-互いに対向する、例えば互いに平行である、一般に各陽極部110及び各陰極部140に平行である、表面F1、F2と呼ぶ2つの面、
-互いに対向する、例えば互いに平行である、横方向面F3、F5と呼ぶ2つの面、並びに、
-互いに対向する、例えば互いに平行である、縦方向面F4、F6と呼ぶ2つの面を定義する。
【0038】
図11に示すように、電池1000の第1縦方向面F6は、少なくとも1つの陽極接続ゾーン1002を含む。電池1000の第2縦方向面F4は、少なくとも1つの陰極接続ゾーン1006を含む。このように、陽極接続ゾーン1002及び陰極接続ゾーン1006は、横方向に対向する。さらに、各陽極部110及び各陰極部140は、電池1000の縦方向XXに、電極、電解質、及び集電体基板のいずれの材料からの自由空間113、143によってそれぞれの二次本体112、142から隔てられたそれぞれの一次本体111、141を含む。したがって、各陰極部140において、一次本体141、電極、電解質、及び集電体基板のいずれの材料からの自由空間143、並びに二次本体142が、電池1000の第1縦方向XX’に互いに隣接して配置されている。同様に、各陽極部110において、一次本体111、電極、電解質、及び集電体基板のいずれの材料からの自由空間113、並びに二次本体112が、電池1000の第1縦方向XX’と反対の第2縦方向XX’’に互いに隣接して配置されている。
【0039】
図11に示すように、本発明における電池1000は、非限定的な例として、該電池の上述の正面方向ZZに複数の自由空間113、143を含む。このように、平面視において、各陽極部110における各一次本体111と各二次本体112との間に形成された自由空間は重ね合わせられ、各陰極部140における各一次本体141と各二次本体142との間に形成された自由空間は重ね合わせられる。さらに、各陽極ユニット110及び各陰極ユニット140の自由空間113、143は一致しない。
【0040】
本発明における電池は、縦方向XXにおいて、x列(xは厳密に1より大きい)及びy行(yは1以上)を含んで、(x×y)の数の電池を形成する、スタックIから形成される。
【0041】
上述のスタックIは、それぞれが陰極階層SC、SC、SC、…SC及び陽極階層SA、SA、SA、…SAである、交互の連続する階層によって形成され、各陰極階層SC、SC、SC、…SCは(x×y)の数の陰極部140を形成するために用いられる一方、各陽極階層SA、SA、SA、…SAは(x×y)の数の陽極部110を形成するために用いられる。
【0042】
本発明におけるスタックIの各陽極階層SA、SA、SA、…SAは、最終的な電池1000の正面方向ZZに平行な、スタックIの正面方向ZZに、陽極集電体基板10、少なくとも1つの陽極層20、及び場合によっては電解質材料の層30又は電解質を含浸させたセパレータの層31を含む。
【0043】
本発明におけるスタックIの各陰極階層SC、SC、SC、…SCは、最終的な電池1000の正面方向ZZに平行な、スタックIの正面方向ZZに、陰極集電体基板40、少なくとも1つの陰極層50、及び場合によっては電解質材料の層30又は電解質を含浸させたセパレータの層31を含む。
【0044】
各階層SA、SA、SA、…SA、SC、SC、SC、…SCは、
-それぞれ陽極一次予備成形部111’及び陰極一次予備成形部141’であって、それぞれの一次本体111、141を形成するようにする複数の一次予備成形部111’、141’、
-それぞれ陽極二次予備成形部112’及び陰極二次予備成形部142’であって、それぞれの二次本体112、142を形成するようにする複数の二次予備成形部112’、142’を含む。
【0045】
一次予備成形部111’、141’と二次予備成形部112’、142’とは、電池1000の上述の自由空間113、143の少なくとも1つを形成するために用いられる空きゾーン80’’、70’’と呼ぶゾーンによって互いに隔てられる。
【0046】
本発明の第1の実施形態において、本発明の方法は、まず、交互の階層SA、SA、SA、…SA、SC、SC、SC、…SCのスタックIを作製するステップを含む。この第1の実施形態では、これらの階層のそれぞれが、一片をなす箔である。以下において、これらの様々な箔を、場合によって、「陽極箔」又は「陰極箔」と呼ぶ。より詳細に示すように、各陽極箔は複数の電池の陽極を形成するために用いられ、各陰極箔は複数の電池の陰極を形成するために用いられる。図1に示す例では、小空きゾーン、すなわちスロットを有する2つの陰極箔5e、及び小空きゾーン、すなわちスロットを有する2つの陽極箔2eを示した。実際には、このスタックは、典型的には10~1000の間に含まれる、より大きい数の箔によって形成される。反対の極性である交互の箔のスタックIを構成するために用いられる、スロットを有する陰極箔5eの数は、スロットを有する陽極箔2eの数と同一である。
【0047】
有利な実施形態では、これらの箔のそれぞれはその4つの角部に穿孔7を有し、これらの穿孔7が重ね合わせられるとき、これらの箔のすべての陰極とすべての陽極とが、以下にさらに詳細に説明するように、本発明に従って配置されるようになる(図1図2図3、及び図15参照)。これらの穿孔7は、製造後の陽極箔及び陰極箔上に、又は陽極箔及び陰極箔の製造前の基板箔10、40上に、任意の適切な手段によって作製することができる。
【0048】
各陽極箔は、以下陽極層20と呼ぶ、陽極材料の活性層20で被覆した陽極集電体基板10を含む。各陰極箔は、以下陰極層50と呼ぶ、陰極材料の活性層50で被覆した陰極集電体基板40を含む。これらの活性層のそれぞれは固体、より具体的には緻密性又は多孔性とすることができる。さらに、反対の極性である2つの活性層間のいずれの電気的接触も防ぐため、電解質層30又は後から電解質を含浸させたセパレータ層31を、それまでに活性層で被覆したこれらの集電体基板の少なくとも1つの活性層上に、反対の活性層に接触させて、配置する。電解質層30又はセパレータ層31を、陽極層20及び/又は陰極層50上に配置することができ、電解質層30又はセパレータ層31は、それを含む陽極箔及び/又は陰極箔の一体的な部分である。
【0049】
有利には、それぞれ陽極集電体基板10及び陰極集電体基板40の2面を、それぞれ陽極層20及び陰極層50で、及び任意でそれぞれ陽極層20及び陰極層50上に配置した電解質層30又はセパレータ層31で被覆する。この場合、それぞれ陽極集電体基板10及び陰極集電体基板40は、2つの隣接する単位セル100、100’の集電体として機能する。電池にこれらの基板を使用することで、高エネルギー密度及び高出力密度を備えた充電式電池の製造効率を高めることができる。
【0050】
陽極箔の1つの機械的構造を以下に記載し、他の陽極箔は同一の構造を有する。さらに、以下で示すように、陰極箔は陽極箔のも構造と同様の構造を有する。
【0051】
図2に示すように、スロット80を有する陽極箔2eは、実質的に矩形型の四辺形形状を有する。これは、以下に記載する、スロット80、すなわち、電極、電解質、及び集電体基板のいずれの材料もない小空きゾーンと呼ぶ空きゾーンが形成された、穿孔中心ゾーン4と呼ぶ中心ゾーンを画定する。これらのスロットの位置に対して、これらのスロット80の横方向に対応する、箔の横方向又は横断方向YYと呼ぶ方向、及び方向YYに対して垂直の、箔の水平方向XXと呼ぶ方向を定義している。中心ゾーン4は、固体である、すなわちスロット80を有しない、周辺フレーム6に隣接する。このフレーム6の機能は、特に各箔を確実に容易に扱えるということである。
【0052】
上述のスロット80は、互いに上下に配置された行L~Lに沿って、且つ互いに隣接する列R~Rに沿って分布する。非限定的な例として、表面実装部品型(以下SMC)のマイクロ電池を製造するという文脈において、使用する陽極箔及び陰極箔は100mm×100mmのプレートとすることができる。典型的に、これらの箔の行の数は10~500の間に含まれ、列の数は10~500の間に含まれる。求められる電池容量に応じて、その寸法は変わり得、陽極箔及び陰極箔の行の数及び列の数はそれに応じて適応させることができる。言い換えると、使用する陽極箔及び陰極箔の寸法は、要求に応じて調整することができる。図2に示すように、2つの隣接する行は材料のブリッジ8によって隔てられ得、その幅はIとして示され、これは0.05mm~5mmの間に含まれる。2つの隣接する列は第2の材料のブリッジ9によって隔てられ得、その長さはLとして示され、これは0.05mm~5mmの間に含まれる。陽極箔及び陰極箔のこれらの材料のブリッジ8、9は、これらの箔に十分な機械的剛性を与えて、容易に扱うことができるようになる。
【0053】
上述のスロット70、80は貫通スロットであり、すなわち、以下でより詳細に示すように、箔のそれぞれ上面及び下面である、反対の面において開放する。これらのスロット70、80は、好ましくは、典型的に矩形型の四辺形形状を有する。示した例において、これらのスロットはそれぞれI字形状を有し、非常に使用し易くなっている。これらのスロット70、80は、陽極材料又は陰極材料を堆積させる前に、集電体基板上に直接的に、化学エッチング、電気鋳造、レーザー切断、微小穿孔法、又はプレス加工によって、それ自体既知の方法で、作製することができる。
【0054】
また、これらのスロット70、80は、
-陽極材料層若しくは陰極材料層で被覆した集電体基板上に、又は
-それ自体を電解質層若しくはセパレータ層で被覆した、陽極材料層若しくは陰極材料層で被覆した集電体基板上に、すなわち陽極箔若しくは陰極箔上に、作製することができる。
【0055】
上述のスロット70、80をそうした被覆した基板上に作製するとき、該スロット70、80は、例えば、レーザー切断(又はレーザーアブレーション)、フェムト秒レーザー切断、微小穿孔法、又はプレス加工によって、それ自体既知の方法で作製することができる。
【0056】
図3に示すように、各陰極箔にはまた、各陽極箔の陽極スロット80と同じ数で設けられた、種々の行及び列の陰極スロット70が設けられている。スロット70の作製後に得られる陰極箔は、以下、スロットを有する陰極箔5eと呼ぶ。
【0057】
平面視において、図3に示すように、すべての陰極箔5eに作製した陰極スロット70は一致する、すなわち互いに重なり合う。同様に、すべての陽極箔2eに作製した陽極スロット80は一致する、すなわち互いに重なり合う。
【0058】
これから、陽極箔のすべてのスロット80が同一であり、陰極箔のすべてのスロット70が同一であるとして、図3図4、及び図5に示すようなスロット70、80について説明する。
【0059】
各陽極スロット80は、好ましくは、典型的に矩形型の四辺形形状を有する。
【0060】
留意点として、
・I80は、陽極スロット80全体の幅であり、典型的に0.25mm~10mmの間に含まれ、
・L80は、その長さであり、典型的に0.01mm~0.5mmの間に含まれる。
【0061】
特に図4及び図5に示すように、各陰極スロット70の構造は、実質的に各陽極スロット80の構造と類似しており、すなわち、各陰極スロット70は、好ましくは、典型的に矩形型の四辺形形状を有する。
【0062】
陰極スロット70の寸法は、好ましくは、陽極スロット80の寸法と同一である。
【0063】
留意点として、
・I70は、陰極スロット70全体の幅であり、典型的に0.25mm~10mmの間に含まれ、
・L70は、その長さであり、典型的に0.01mm~0.5mmの間に含まれる。
【0064】
上述で示すように、陽極スロット80及び陰極スロット70の構造は同様である。さらに、平面視において、陽極スロット80は陰極スロット70に対して縦方向XXにオフセットされている。このように、平面視において、陽極スロット80と陰極スロット70とは一致せず、互いに異なる。
【0065】
スタックIは、スロット80を有する少なくとも1つの陽極箔2eと、スロット70を有する少なくとも1つの陰極箔5eとの交互の配置を含んでいる。したがって、陽極集電体基板10、陽極層20、電解質材料層30及び/又は後から電解質を含浸させたセパレータ層31、陰極層50、並びに陰極集電体基板40を連続的に含む、少なくとも1つの単位セル100が得られる。
【0066】
このスタックIは、平面視において、
-すべての陰極箔5eに作製した陰極スロット70が一致する、すなわち互いに重なり合う、
-すべての陽極箔2eに作製した陽極スロット80が一致する、すなわち互いに重なり合う、
-陽極スロット80と陰極スロット70とが一致せず、互いに異なる、というように作製される。
【0067】
上述の電池が複数の単位セル100、100’、100’’を含む場合、上述の単位セル100、100’、100’’は、図11に示すように電池の主平面に対する正面方向ZZに、上下に配置され、すなわち重ね合わせられ、好ましくは、
o陽極集電体基板10が、2つの隣接する単位セル100、100’、100’’の陽極集電体基板10であり、及び、
o陰極集電体基板40が、2つの隣接する単位セル100、100’、100’’の陰極集電体基板40である、というようになる。
【0068】
上述のスタックにはその全体的な機械的安定性を確保することを目的とするステップを行うということが考えられる。それ自体既知のタイプであるこれらのステップは、特に、スロット80、70を有する種々の異なる箔2e、5eの熱処理及び/又は機械的処理を含む。以下において示すように、こうして固化したこのスタックにより、個々の電池を形成することができ、その数はY行の数及びX列の数の間の製品と等しいものである。
【0069】
このため、図6に関して、3つの行Ln-1~Ln+1及び3つの列Rn-1~Rn+1を示している。以下において、複数の電池を形成するようにするスタックに属する電池の行を行と呼ぶ。所与の行に形成する電池の数は、スタックの列の数に対応する。本発明において、またスタックIが、以下電池の行Lとも呼ぶ複数の行を含むとき、図7に示すように、第1の対の切断DX及びDX’をして、上述の固化したスタックから形成した電池の少なくとも1つの他の行Ln-1、Ln+1に対して電池1000の行Lを分離する。始めから終わりまでする、すなわちスタックの高さ全体に延びる各切断を、それ自体既知の方法で行う。非限定的な例として、ソーイングによる切断、特に、ダイシング、ギロチンによる切断、又はさらにレーザーによる切断が言及され得る。さらに、電池を形成しない、スタックにおける箔のゾーン90をドットフィリングで示す一方、スロットの容積部は空白で残している。
【0070】
図3の隣接する箔に形成したスロットの拡大図である図6において特に示すように、各切断DX、DX’は、電池の正面方向ZZで、どちらの向きにもかたよりのない状態でなされる。切断DX及びDX’は、好ましくは互いに平行であり、好ましくは陽極スロット80及び陰極スロット70のアライメントの両方に対して垂直に行う。切断DX及びDX’は、材料落下部90を定めるように、陽極スロット80及び陰極スロット70を通ってスタックの高さ全体になされる。
【0071】
再び図6に関して、最終的な各電池は、好ましくは互いに平行である第1の対の切断DX及びDX’によって後方及び前方において、並びに好ましくは互いに平行である第2の対の切断DY及びDY’によって左及び右において、画定されている。
【0072】
この図6では、電池1000は、第1の対の切断DX及びDX’に従って並びに第2の対の切断DY及びDY’に従って一旦得られた電池1000がハッチングで示されている。
【0073】
図8は、電池の行Lを通って延びる、図6に示す切断線DXに対応する断面線VIII~VIIIに沿った断面図である。図8では、スロットを有する2つの陽極箔2eとスロットを有する2つの陰極箔5eとの交互の配置を示している。同じ図では、図6にも示したスロット70、80と隣接する単位セルとを、本発明の有利な実施形態において示している。
【0074】
小空きゾーン、すなわちスロットを有する陽極箔2eは、任意でそれ自体を電解質層30又は後から電解質を含浸させたセパレータ層31で被覆した、陽極層20で被覆した、陽極集電体基板10を含む。小空きゾーン、すなわちスロットを有する各陰極箔5eは、任意でそれ自体を電解質層30又は後から電解質を含浸させたセパレータ層31で被覆した、陰極材料の活性層50で被覆した、陰極集電体基板40を含む。反対の極性である2つの活性層の間、すなわち陽極層20と陰極層50との間のいずれの電気的接触も防ぐため、少なくとも1つの電解質層30及び/又は電解質を含浸させた若しくは後から電解質を含浸させた少なくとも1つのセパレータ層31を配置する。図8では、陽極集電体基板10、陽極層20、少なくとも1つの電解質材料層30又は電解質を含浸させた若しくは後から電解質を含浸させたセパレータ層31、陰極層50、及び陰極集電体基板40を連続的に含む、単位セル100を示す。
【0075】
有利には、単位セル100’の陽極集電体基板10は、隣接する単位セル100’’の陽極集電体基板10に接合することができる。同様に、2つの隣接する単位セル100、100’の陰極集電体基板を互いに接合することができる。
【0076】
有利な実施形態では、それぞれ陽極集電体基板10及び陰極集電体基板40は、特に図8に示すように、2つの隣接する単位セルの集電体として機能することができる。これまでに説明したように、それぞれ陽極集電体基板10及び陰極集電体基板40の2面を、それぞれ陽極層20及び陰極層50で被覆し、並びに任意で、それぞれ陽極層20及び陰極層50上に配置した電解質層30又はセパレータ層31で被覆する。これにより、電池の製造効率を高めることができる。
【0077】
図8に示すように、スロットを有する各陽極箔2eとスロットを有する各陰極箔5eとは、平面視において、
-すべての陰極箔5eに作製した陰極スロット70が一致する、すなわち互いに重なり合う、
-すべての陽極箔2eに作製した陽極スロット80が一致する、すなわち互いに重なり合う、
-陽極スロット80と陰極スロット70とが一致せず、互いに異なる、というように配置される。
【0078】
図9では、スロットを有する2つの陽極箔2eとスロットを有する2つの陰極箔5eとの交互の配置を示している。同じ図では、電池1000を行Lの電池の他の電池から分離することができる切断線DY、DY’、電池の長さL1000図6にも示すスロット70、80、及び本発明の有利な実施態様における隣接する単位セルを示す。図9では、図8と同様に、第2の対の切断DY、DY’は、陽極部110と陰極部140との両方を通って、すなわち、
-電池1000の各陰極部140において、電解質、セパレータ、集電体基板、及び電極、特に陰極のいずれの材料からの自由空間143、70によって二次本体142から分離された一次本体141を有するように、陰極スロット70からの距離L142において、
-電池1000の各陽極部110において、電解質、セパレータ、集電体基板、及び電極、特に陽極のいずれの材料からの自由空間113、80によって二次本体112から分離された一次本体111を有するように、陽極スロット80からの距離L112において、なされるということが留意される。
【0079】
この特徴は、先行技術に対して切断の質を高めることができ、電池の縦方向面F6、F4においてショートを防ぐことができ、漏れ電流を防ぐことができ、陽極接続ゾーン1002及び陰極接続ゾーン1006において電気的接触し易くすることができるので、特に有利である。
【0080】
図9に関して、各単位電池1000において、
o陰極部140における一次本体141と二次本体142との間に存在する自由空間143に対応する陰極スロット70、
o典型的に0.01mm~0.5mmの間に含まれ、陰極部140における一次本体141と二次本体142との間に存在する自由空間143の長さL143に対応する、陰極スロット70全体の長さL70
o典型的にXXXXmm~XXXXXmmの間に含まれる、陰極部140における二次本体142の長さL142
o陽極部110における一次本体111と二次本体112との間の自由空間113に対応する陽極スロット80、
o典型的に0.01mm~0.5mmの間に含まれ、陽極部110における一次本体111と二次本体112との間に存在する自由空間113の長さL113に対応する、陽極スロット80全体の長さL80
o典型的に0.01mm~0.5mmの間に含まれる、陽極部110における二次本体112の長さL112、が留意される。
【0081】
有利には、スロットを有する陽極箔2e及びスロットを有する陰極箔5eのスタックを作製した後、スタックIを、熱処理及び/又は機械的処理(この処理は、圧力及び高温の同時適用を含む熱圧縮処理であり得る)によって固化する。電池の組み立てを可能とするスタックの熱処理を、有利には、50℃~500℃の間に含まれる温度、好ましくは350℃より低い温度で行う。組み立てられる、スロットを有する陽極箔2e及びスロットを有する陰極箔5eのスタックの機械的圧縮を、10MPa~100MPaの間、好ましくは20MPa~50MPaの間に含まれる圧力で行う。
【0082】
電池を構成する、箔の固化したスタックの作製を先ほど記載した。また、スタックIが、以下電池の行Lとも呼ぶ複数の行を含むとき、補助的な切断と呼ぶ第1の対の切断DX及びDX’をして、上述の固化したスタックから形成された電池の少なくとも1つの他の行Ln-1、Ln+1から、電池1000の所定の行Lを分離することが可能である。始めから終わりまでなされる、すなわちスタックの高さ全体に延びる各切断を、上述のように、それ自体既知の方法で行う。
【0083】
セパレータを電解質のホストマトリックスとして使用するとき、最初のスタックIが複数の電池の行Lを含んで、第1の対の切断(DX、DX’)をして、上述の固化したスタックから形成された電池(1000)の少なくとも1つの他の行(Ln-1、Ln+1)から、電池(1000)の所定の行(L)を分離すると、これまでに得た電池1000の固化したスタック又は行Lを含浸させることができる。これまでに得た電池1000の固化したスタック又は行Lの含浸は、液体電解質又はリチウム塩を含有するイオン性液体などのリチウムイオン担体相によって行って、上述のセパレータ層(31)に電解質を含浸させるようにすることができる。
【0084】
一般に、本発明の範囲内において、セパレータ、また電極に含浸させることが可能である。また、上述の構造は、含浸させた固体及び/若しくはメソポーラス電極の組み合わせを含むことができ、並びに/又は固体電解質及び/若しくは含浸させたセパレータを含むことができる。
【0085】
場合によってはリチウムイオン担体相を含浸させた、電池1000の固化したスタックI又は行Lを作製した後、電池1000のこのスタック又はこの行Lは、図10に示すように、電池セルを大気から確実に保護するため、封止システム95を堆積させることで封止される。
【0086】
こうして封止した電池の行Lは6面、すなわち、
-互いに対向する、例では互いに平行である、陽極部に略平行である、陰極部に略平行である、陽極集電体基板10に略平行である、陽極層20、電解質材料の層30又は電解質を含浸させたセパレータの層31、陰極層50、及び、陰極集電体基板40に平行である、表面FF1、FF2と呼ぶ2つの面、
-互いに対向する、特に互いに平行であり、電池1000の横方向面F3、F5に平行である、横方向面FF3、FF5と呼ぶ2つの面、
-並びに、互いに対向する、特に互いに平行であり、電池1000の縦方向面F4、F6に平行である、縦方向面FF4、FF6と呼ぶ2つの面、を有する。
【0087】
封止システムは、有利には、バリア層として機能するため、化学的に安定し、高温に耐え、大気を通さない必要がある。
【0088】
スタックは、
-任意で、陽極箔2e及び陰極箔5eのスタックIの外周部上に、及び好ましくはまた各陽極部110及び各陰極部140の一次本体111、141と二次本体112、142との間に存在する自由空間113、143に堆積された、好ましくはパリレン、パリレンタイプF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ、及び/又はそれらの混合物から選択される、第1緻密絶縁被覆層、並びに、
-任意で、陽極箔2e及び陰極箔5eのスタックIの外周部上に、及び好ましくはまた各陽極部110及び各陰極部140の一次本体111、141と二次本体112、142との間に存在する自由空間113、143に、又は上述の第1被覆層上に、原子層堆積によって堆積された電気絶縁材料から構成される、第2被覆層、並びに、
-特に有利には、好ましくは10-5g/m.d未満のWVTR係数を有するとともに、陽極箔2e及び陰極箔5eのスタックIの外周部上に、及び好ましくはまた各陽極部110及び各陰極部140の一次本体111、141と二次本体112、142との間に存在する自由空間113、143に、又は上述の第1被覆層上に堆積された、セラミック材料及び/又は低融点ガラス、好ましくは融点が600℃未満のガラスから構成される、少なくとも1つの第3耐水被覆層を含む封止システムで覆うことができ、
少なくとも1つの第2被覆層と少なくとも1つの第3被覆層とのシーケンスは、z回(z≧1)繰り返して少なくとも第3被覆層の外周部上に堆積することができ、封止システムの最終層は、好ましくは10-5g/m.d未満のWVTR係数を有するとともに、セラミック材料及び/又は低融点ガラスから構成される、耐水被覆層である。
【0089】
このシーケンスをz回繰り返すことができ、z≧1である。これはバリア効果を示し、zの値が大きくなると、バリア効果はなおさら大きくなる。
【0090】
このように、剛性及び耐水性が高い封止が得られ、これが特に封止システムとコンタクト部材との間の境界部において水蒸気の通過を防ぐ(図13に示す境界部AA参照)。
【0091】
典型的に、任意である第1被覆層は、シリコーン(例えば含浸によって若しくはヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)からプラズマ支援化学気相堆積によって堆積)、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリ-パラ-キシリレン(ポリ(p-キシリレン)とも呼ばれるが、パリレンとしてよく知られている)、及び/又はそれらの混合物によって形成される群から選択される。第1被覆層は、堆積させると、電池の感応成分をその環境から保護することができる。上述の第1被覆層の厚さは、好ましくは0.5μm~3μmの間に含まれる。
【0092】
電池の電解質及び電極層が多孔性を有するとき、この第1被覆層は特に有用であり、バリア効果も有する平坦化層として機能する。一例として、この第1層は、電池1000のスタックI又は行Lの表面に存在する貫通微細多孔へのアクセスを閉鎖するため、電池1000のスタック又は行Lのすべてのアクセス可能な表面、特に電池1000のスタック又は又は行Lの外周をライニングすることが可能である。
【0093】
この第1被覆層において、様々なパリレンの変異体を使用することができる。これは、パリレンタイプC、パリレンタイプD、パリレンタイプN(CAS1633-22-3)、パリレンタイプF、又はパリレンタイプC、D、N、及び/若しくはFの混合物から作製することができる。パリレンは、高い熱力学的安定性、溶媒に対する優れた耐性、及び極めて低い透過性を有する、誘電性で、透明、半結晶性の材料である。また、パリレンはバリア特性も有する。パリレンタイプFが、本発明の範囲内において好ましい。
【0094】
この第1被覆層は、有利には、電池のスタック表面に化学気相堆積(CVD)によって堆積させたガス状モノマーを凝縮させることによって得られ、これにより、スタックの利用可能な表面すべてにおいて、コンフォーマルで、薄く、均一の被覆部となる。この第1被覆層は有利には剛性が高く、軟性面であるとは考えられない。
【0095】
これも任意である第2被覆層は、電気絶縁材料、好ましくは無機材料から構成される。これは、これまでに第1被覆層で覆ったスタックの利用可能な表面すべてにおいてコンフォーマルな被覆部を得るように、原子層堆積(ALD)、PECVD、HDPCVD(高密度プラズマ化学気相堆積)、又はICPCVD(誘導結合プラズマ化学気相堆積)によって堆積される。ALDによって堆積させた層は機械的に極めて脆弱であり、その保護的役割を確実にするため剛性が高い支持面を必要とする。可撓性面に脆弱層を堆積させることで割れを形成し得、この保護層の完全性を失わせ得る。さらに、ALDによって堆積させた層の成長は基板の特性によって影響を受ける。様々な化学特性のゾーンを有する基板にALDによって堆積させた層は、不均質に成長することになり、この保護層の完全性を失わせ得る。このため、存在する場合、この任意の第2層は、化学的に均質に成長する基板を確保する上述の任意の第1層に当接することが好ましい。
【0096】
ALD堆積技術は、完全に密封して合致するように極めて粗い表面を覆うことに特に良好に適合する。これにより、穴などの欠陥のないコンフォーマルな層(「ピンホールのない」層と呼ぶ層、すなわち穴がない層)を作製することができ、極めて良好なバリアを示す。このWVTR係数は極めて低い。この第2層の厚さは、有利には、所望のガス気密性レベル、すなわち所望のWVTR係数に応じて選択され、特にALD、PECVD、HDPCVD、及びICPCVDのなかで使用する堆積技術によって決まる。
【0097】
上述の第2被覆層は、例えば、Al、Taの酸化物、窒化物、リン酸塩、酸窒化物、又はシロキサン型の形態の、セラミック材料、ガラス状材料、又はガラスセラミック材料から作製することができる。この第2被覆層は、好ましくは、10nm~5μmの間、好ましくは10nm~50nmの間に含まれる厚さを有する。
【0098】
第1被覆層上にALD、PECVD、HDPCVD、又はICPCVDによって堆積されるこの第2被覆層は、一方で、構造の耐水性を確保する、すなわち、物体内の水の移動を防ぐことができ、他方で、その劣化を防ぐため、大気から、特に空気や湿気、熱暴露から、好ましくはパリレンタイプFの第1被覆層を保護することができる。したがって、この第2被覆層は封止した電池の寿命を向上させる。
【0099】
また、上述の第2被覆層は、陽極箔及び陰極箔のスタックに、すなわち上述の第1被覆層を堆積させていない場合、直接堆積させることができる。
【0100】
第3被覆層は耐水性が高い必要があり、好ましくは10-5g/m.d未満のWVTR係数を有する。この第3被覆層は、陽極箔及び陰極箔のスタックの外周部又は第1被覆層上に堆積される、セラミック材料及び/又は低融点ガラス、好ましくは融点が600℃未満のガラスから構成される。この第3層に使用するセラミック及び/又はガラス材料は、有利には、
-低融点ガラス(典型的に600℃未満)、好ましくはSiO-B、Bi-B、ZnO-Bi-B、TeO-V、PbO-SiO
-酸化物、窒化物、酸窒化物、Si、SiO、SiON、アモルファスシリコン、又はSiC、から選択される。
【0101】
これらのガラスは、成形又はディップ被覆によって堆積させることができる。
【0102】
セラミック材料は、有利には、低温で、PECVDによって、又は好ましくはHDPCVD又はICPCVDによって堆積され、これらの方法により、良好な密封特性を有する層を堆積させることができる。
【0103】
特に図10に示すように、こうして封止したスタック又はこうして封止した電池1000の行Lは、その後、第2の対の切断DY及びDY’に従って任意の適切な手段で切断され、単位電池を得て、各単位電池1000の陽極接続ゾーン1002及び陰極接続ゾーン1006を露出させる。有利には、図10に示すように、電池100の行Lは、対の切断DYn-1及びDY’n-1、DY及びDY’、DYn+1及びDY’n+1に従って切断されて、単位電池1000を得る。このようにして、切断線DY’n-1、DYは、切断線DY’及びDYn+1のように一致する。これにより、有効な切断数を減らすことができるので、電池の製造効率を向上させることができる。
【0104】
本発明において、特に有利な方法で、図11に示すような第2の対の切断DY、DY’は、陽極部110と陰極部140との両方を通って、すなわち、
-電池1000の各陰極部140において、電解質、セパレータ、集電体基板、及び電極、特に陰極のいずれの材料からの自由空間143、70によって二次本体142から分離された一次本体141を有するように、陰極スロット70からの距離L142において、
-電池1000の各陽極部110において、電解質、セパレータ、集電体基板、及び電極、特に陽極のいずれの材料からの自由空間113、80によって二次本体112から分離された一次本体111を有するように、陽極スロット80からの距離L112において、なされるということが留意される。
【0105】
図11及び図12は、本発明における切り取った電池を示す。
【0106】
それぞれ陰極接続ゾーン1006及び陽極接続ゾーン1002が現れているところにおいてコンタクト部材97、97’、97’’(電気コンタクト)を付加する。これらのコンタクトゾーンは、好ましくは、集電するため電池のスタックの対向する側部に配置される(側方集電体)。コンタクト部材97、97’、97’’は、少なくとも陰極接続ゾーン1006上及び少なくとも陽極接続ゾーン1002上に、好ましくは、少なくとも陰極接続ゾーン1006を含む封止して切断したスタックの面上、及び少なくとも陽極接続ゾーン1002を含む被覆して切断したスタックの面上に、配置される(図13参照)。
【0107】
したがって、スタックIと外部導電性素子との電気的接触を確保することができる陽極コンタクト部材97’によって、少なくとも陽極接続ゾーン1002、好ましくは少なくとも陽極接続ゾーン1002を含む少なくとも第1縦方向面F6、より好ましくは少なくとも陽極接続ゾーン1002を含む第1縦方向面F6と、この第1縦方向面F6に隣接する面F1、F2、F3、F5の端部97’aとを覆う。さらに、スタックIと外部導電性素子との電気的接触を確保することができる陰極コンタクト部材97’’によって、少なくとも陰極接続ゾーン1006、好ましくは少なくとも陰極接続ゾーン1006を含む少なくとも第2縦方向面F4、より好ましくは少なくとも陰極接続ゾーン1006を含む第2縦方向面F4と、この第2縦方向面F4に隣接する面F1、F2、F3、F5の端部97’’aとを覆う(図13参照)。
【0108】
好ましくは、コンタクト部材97、97’、97’’は、これまでに示したように陰極接続ゾーン1006及び陽極接続ゾーン1002に近接して、電気伝導性粒子を添加した材料、好ましくは、電気伝導性粒子を添加した、ポリマー樹脂及び/又はゾルゲル法により得られる材料、さらにより好ましくは、黒鉛を添加したポリマー樹脂を含む第1電気接続層と、該第1電気接続層上に配置された金属箔からなる第2層とを続けて含む、電気接続層のスタックからなる。
【0109】
第1電気接続層は、電気回路が熱ストレス及び/又は振動ストレスを受けるときに電気的接触を断つことなく接続性に「柔軟性」を与えながら、その後の第2電気接続層を固定することができる。
【0110】
第2電気接続層は、有利には金属箔である。この第2電気接続層は、電池を湿気から永続的に保護するために使用される。一般に、所定の厚さの材料において、金属は、セラミック系のものより耐水性が高い、一般に水分子の通過に対して封止性が高くないポリマー系のものよりさらに耐水性が高い、極めて耐水性が高い膜を作製することができる。これは、コンタクト部材においてWVTR係数を下げることによって電池のカレンダー寿命を長くすることができる。
【0111】
有利には、導電性インクを含む第3電気接続層を第2電気接続層上に堆積させることができ、これはWVTR係数を下げるために使用され、これにより、電池寿命を長くする。
【0112】
コンタクト部材97、97’、97’’により、端部のそれぞれにおいて交互の正負の電気接続をなすことができる。これらのコンタクト部材97、97’、97’’により、異なる電池素子同士の間で電気接続を並列にすることができる。このため、陰極接続部のみが一端において利用可能であり、陽極接続部が他端において利用可能である。
【0113】
特許文献1は、交互に積み重ねられるとともに横方向にオフセットされた陽極箔及び陰極箔からなり、電池2000のセルを大気から確実に保護するため封止システム2095で封止した、複数の単位セルのスタック(図14参照)を記載している。陽極接続ゾーン2002及び陰極接続ゾーン2006を露出させて、単位電池を得ることを可能にするこれらの封止スタックの切断は、交互に連続する電極と封止システムとを通過する断面において行われる。先行技術の電池における電極と封止システムとの間に存在する密度の差のため、この断面においてなされる切断により、断面近傍の封止システムが裂けて、ゆえにショートを発生させるリスクを引き起こす。特許文献1において、封止時に、封止層はU字形状切断部を有する箔のスタックの間隙を埋める。これらの間隙に導入されるこの封止層は厚く、スタックにあまり良好に付着せず、その後の切断時に封止システム2095が裂けるリスクを引き起こす。
【0114】
本発明において、このリスクは、平面視において以下のようなスロットを有する本発明における箔の使用によって取り除かれる。
-すべての陰極箔5eに作製した陰極スロット70(電解質、セパレータ、集電体基板、及び電極、特に陰極のいずれの材料からの自由空間143、70を形成する)が一致する、すなわち互いに重なり合う、
-すべての陽極箔2eに作製した陽極スロット80(電解質、セパレータ、集電体基板、及び電極、特に陽極のいずれの材料からの自由空間113、80を形成する)が一致する、すなわち互いに重なり合う、並びに、
-陽極スロット80と陰極スロット70とが一致せず、互いに異なる。
【0115】
このように、電池1000の各陰極部140は、電解質、セパレータ、集電体基板、及び電極、特に陰極のいずれの材料からの自由空間143、70によって二次本体142から分離された一次本体141を含む。同様に、電池1000の各陽極部110は、電解質、セパレータ、集電体基板、及び電極、特に陽極のいずれの材料からの自由空間113、80によって二次本体112から分離された一次本体111を含む(図11参照)。
【0116】
熱プレスしたスタックの機械的構造は、陰極箔と陽極箔とが交互に重ね合わされているため、切断線DY’及びDYに沿う切断部近傍の剛性が極めて高い。スロットを有する箔を使用する、そうした剛性構造の使用により、材料落下部を極力少なくしながら、切断時の不具合の数を少なくし、切断速度を高め、電池の製造効率を向上させることができる。
【0117】
本発明において、切断DY’及びDYは、よりよい品質の良好な切断をもたらす同等の密度である、スロットを有する陽極箔2e及びスロットを有する陰極箔5eを通ってなされる。さらに、電極、電解質、及び/又は、集電体基板のいずれの材料からの自由空間の存在により、いずれのショートのリスクも抑える。
【0118】
図11に示すように、各陰極部140は、一次本体141、二次本体142、並びに電極、電解質、及び/又は集電体基板のいずれの材料も含まない空間143を含む。後者は、その長さL70、L143が上述の陰極スロット70の長さに対応し、電池1000の幅全体にわたって横方向YYに延びる。同様に、各陽極部110は、主本体111、二次本体112、並びに電極、電解質、及び/又は集電体基板のいずれの材料も含まない空間113を含む。後者は、その長さL80、L113が上述の陽極スロット80の長さに対応し、電池1000の幅全体にわたって横方向YYに延びる。
【0119】
陽極接続ゾーン1002及び陰極接続ゾーン1006は、図11及び図12に示すように、好ましくは横方向に対向している。
【0120】
本発明における電池の個々の構造により、電池の縦方向面F6、F4においてショートを防ぐことができ、漏れ電流を防ぐことができ、陽極接続ゾーン1002及び陰極接続ゾーン1006において電気的接触点を容易にする。
【0121】
本発明における電池は、様々な変形に従って作製することができる。図15及び図16は本発明の第1の実施形態の変形を示す。これら図15及び図16の変形と上述の主要な変形との唯一の違いは、陽極箔及び陰極箔がスロット70、80(電極、電解質、及び/又は集電体基板のいずれの材料も含まない小空きゾーンと呼ぶ空きゾーン)ではなく、ノッチ70’、80’を有することにある。これらのノッチは、電極、電解質、及び/又は集電体基板のいずれの材料も含まない大空きゾーンと呼ぶゾーンを形成する。この変形において、それぞれ陽極ノッチ80’及び陰極ノッチ70’は、列R1において互いに隣接して配置される。これらのそれぞれの陽極ノッチ80’及び陰極ノッチ70’は、好ましくは、典型的に矩形型の四辺形形状を有する。図示した例において、これらのノッチはまた、第1の実施形態のスロットのようにI字形状を有する。しかしながら、上述より明らかであるように、これらのノッチ70’、80’は、実質的にスロットよりも長尺である、すなわち、スロットの縦方向の寸法よりもはるかに大きい縦方向の寸法を有する。つまり、図15及び図16の変形は、各陽極ノッチ80’及び各陰極ノッチ70’の両方が、上下に配置したすべての行L~Lに共通するので、上述の主要な変形とは異なる。
【0122】
このように、行Lに位置するスロット70、80は、行Ln-1及び/又はLn+1に位置する隣接スロットの少なくとも1つと一致する。この場合、図15に示すように、2つの隣接する行は材料のブリッジによって隔てられていない。
【0123】
しかしながら、2つの隣接する列は、陽極箔及び陰極箔に十分な機械的剛性を与えて容易に扱うことができるようにする、材料のブリッジ9によって隔てられている。
【0124】
上述の陽極箔及び陰極箔のスタックにはその全体的な機械的安定性を確保することを目的とするステップを行うということが考えられる。それ自体既知のタイプのこれらのステップは、これまでに記載したように、様々な箔のスタックの熱処理及び/又は機械的圧縮を特に含む。これまでに示したように、このスタックにより、個々の電池を形成でき、その数はY行の数及びX列の数の積と等しい。
【0125】
このため、図16に関して、3つの行Ln-1~Ln+1及び3つの列Rn-1~Rn+1を示している。本発明において、第1の対の切断DX及びDX’を行ごとにする。始めから終わりまでなされる、すなわちスタックの高さ全体に延びる各切断を、上述のように、それ自体既知の方法で行う。
【0126】
含浸、封止、切断線DY及びDY’に沿う切断、少なくとも陽極接続ゾーン及び陰極接続ゾーンへのコンタクト部材の堆積というその後のステップを、有利には、これまでに示したように行う。スロット70、80の代わりに、第1の変形におけるノッチ70’、80’を使用することにより、材料落下部90を少なくして、単位電池1000の製造を最適化することができる。ノッチ70’、80’の配置が異なるとしても、本発明の第1の変形において得られる電池1000は、あらゆる点において、本発明において得られる電池と同一である。
【0127】
図17及び図18は本発明の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態と上述の第1の実施形態との主な違いは、スタックの階層の形状にある。上述のように、第1の実施形態は、それぞれ一片の箔によって形成される階層を使用する。しかしながら、第2の実施形態において、各階層は、第1の実施形態の箔によって形成される平面に対応するそれぞれの陽極平面PA及び陰極平面PCにおいて互いに隣接して配置される、連続するストリップによって形成される。
【0128】
図18において、最初の4つの階層のみ、すなわち、最初の2つの陽極階層SA及びSA、並びに最初の2つの陰極階層SC及びSCを示す。各陽極階層を、連続する陽極ストリップA~Ax及びA’1~A’xによって形成し、図17及び図18において、最初の4つのA~A及びA’~A’のみを示し、一方で、各陰極階層を、連続する陰極ストリップC1~Cx及びC’1~C’xによって形成し、図において、最初の4つのC~C及びC’~C’のみを示す。陽極階層及び陰極階層の両方の各階層において、ストリップの数は列の数に対応する。さらに、各階層において、隣接するストリップにおける対向する側方縁部LA及びLCは、それぞれ自由空間80’’及び70’’を定める。
【0129】
それぞれのこれらの陽極ストリップA、A、A、A、及び陰極ストリップC、C、C、Cは、好ましくは、典型的に矩形型の四辺形形状を有する。
【0130】
それぞれのこれらの陽極ストリップ及び陰極ストリップは、本発明において又は本発明の第1の変形において使用するそれぞれ陽極箔及び陰極箔と同じ化学構造を有する。
【0131】
したがって、言い換えると、この第2の実施形態は、それぞれ陽極ストリップ及び陰極ストリップの異なるストリップが互いに独立するという点で、第1の実施形態と実質的に異なる。
【0132】
このように、各陽極ストリップA、A、A、A、及び陰極ストリップC、C、C、Cは、上述のようにそれぞれ陽極箔及び陰極箔を形成するように固体周辺フレームに接続されていない。
【0133】
本発明の第2の実施形態において、所定の列Rxにおいて、陽極ストリップA、A、A、Aは、上下に配置したすべての行L~Lに共通し、陰極ストリップC、C、C、Cは、上下に配置したすべての行L~Lに共通する。
【0134】
本発明の第2の実施形態において、図18に示すように、電池の主平面に平行の陽極平面PAに沿ってアライメントした陽極ストリップA、A、A、A、電池の主平面に平行の陰極平面PCに沿ってアライメントした陰極ストリップC、C、C、C、2つの隣接する陽極ストリップA、Aの間に縦方向に形成された自由空間80’’、及び2つの隣接する陰極ストリップC、Cの間に縦方向に形成された自由空間70’’を配置して、
-列Rに位置する各陽極ストリップAを、列Rn-1に位置する電池1000の二次本体として部分的に使用し、列Rに位置する電池1000の一次本体として部分的に使用する、
-各陰極ストリップCn+1を、列Rn+1に位置する電池1000の二次本体として部分的に使用し、列Rに位置する電池1000の一次本体として部分的に使用する、というようになる。
【0135】
上述の陽極ストリップ及び陰極ストリップのスタックにはその全体的な機械的安定性を確保することを目的とするステップを行うということが考えられる。それ自体既知のタイプのこれらのステップは、これまでに記載したように、様々なストリップのスタックの熱処理及び/又は機械的圧縮を特に含む。これまでに示したように、このスタックにより、個々の電池を形成でき、その数はY行の数及びX列の数の積と等しい。
【0136】
このため、図17に関して、3つの行Ln-1~Ln+1及び3つの列Rn-1~Rn+1を示している。本発明において、第1の対の切断DX及びDX’を行ごとにする。始めから終わりまでなされる、すなわちスタックの高さ全体に延びる各切断を、これまでに示したように、それ自体既知の方法で行う。
【0137】
含浸、封止、図18に示すように切断線DY及びDY’に沿う切断、少なくとも陽極接続ゾーン及び陰極接続ゾーンへのコンタクト部材の堆積というその後のステップを、有利には、これまでに示したように行う。第2の変形における陽極ストリップA、A、A、A、及び陰極ストリップC、C、C、Cを使用することにより、材料落下部90を少なくして、単位電池1000の製造を最適化することができる。陽極ストリップA、A、A、A、及び陰極ストリップC、C、C、Cの配置が異なるとしても、本発明の第2の実施形態において得られる電池1000は、あらゆる点において、第1の実施形態において小空きゾーン又は大空きゾーンを有する箔から得られる電池と同一である。
【0138】
図19は、図6に示す実施形態の変形を示す。この図19のスタックは、各空きゾーン70、80がそれぞれのチャネル75、85によって延長されるという点で、図6に記載するスタックと異なる。各チャネルは、空きゾーンから、対向する切断線DY1又はDY2を超えて横方向に延びる。このように、この切断をするとき、このチャネルを通過することができる。
【0139】
これらのチャネルの構造に関して、様々な可能性を考えることができる。典型的に、陽極チャネル85は、陰極チャネル75のように互いに重ね合わされる。さらに、各陽極チャネルは、オフセット配置を行えるとすると、典型的に陰極チャネルの延長部に位置する。さらに、同じ空きゾーンにおいて、複数の陽極チャネル及び/又は複数の陰極チャネルを作製するように設けることができる。Z方向において、各チャネルが空きゾーンの高さ全体にわたって延びるように設けることができる。あるいは、このチャネルは、上部分、又は下部分、又はさらに中間部分において、この高さの一部のみにわたって延びることができる。
【0140】
陽極チャネル及び陰極チャネル両方のこれらのチャネルの存在により、特定の利点を得る。実際に、これらのチャネルにより、特に電解質の含浸を促進することができる。
【0141】
図20は、図19に部分的に示す箔によって実施する方法において一旦作製した最終的な電池1000を示す。各電池は、それぞれの自由空間113及び143から二次本体112及び142に延びる陽極空隙115及び陰極空隙145を含む。これらの空隙は、上述のチャネルから形成されるが、より長さが小さいことが留意される。実際に、記載したように、チャネルは切断線を超えて延びる。しかしながら、空隙115及び145は、これらの切断部によって画定される電池の対向する縦方向面F4及びF6にのみ延びる。
【0142】
図21は、本発明の範囲内に該当しないさらなる変形を示す。この変形は、特に本出願人を代表とする国際公開第2020/136313号の教示に基づいており、これにおいて、空きゾーンが全体的にH字形状を有している。この文献の教示において、図21の570又は580などの各空きゾーンは、2つの主凹部571又は581及び572又は582を含み、これらは接続導管部573又は583によって互いに接続されている。
【0143】
図21の変形において、チャネル575及び585を作製し、そのそれぞれは主凹部と平行であるようにそれぞれの導管部573及び583を延長させる。図19の実施形態のように、各チャネルは、それぞれの切断線DY1及びDY2を超えて延びる。関連する技術的な効果は、図19図20の実施形態の効果に比較され、すなわち、チャネル575又は585の存在によって電解質のより良好な含浸を確保することである。
【0144】
本発明における方法は、特に、全固体電池、すなわち電極及び電解質が固体であり、固相に含浸させた液相すら含まない電池の製造に適合する。
【0145】
本発明における方法は、特に、電解質を含浸させた少なくとも1つのセパレータ31を含む疑似固体とみなされる電池の製造に適合する。上述のセパレータは、好ましくは、
- 30%を超える、好ましくは35%~50%の間に含まれる、さらにより好ましくは40%~50%の間に含まれる気孔率、好ましくはメソポーラス気孔率、
- 50nm未満の平均径D50の孔を有する、多孔性無機層である。
【0146】
セパレータの厚さは、有利には、特性を減じることなく電池の最終厚を小さくするように、20μm未満であり、好ましくは5μm~10μmの間に含まれる。セパレータの孔は、電解質、好ましくは、リチウム塩を含有する液体電解質又はイオン性液体などのリチウムイオン担体相によって、含浸させる。孔、特にメソ孔において「ナノ閉じ込めした」又は「ナノ捕捉した」液体は出ることができない。これは、本明細書において「メソポーラス構造の吸収」と呼ぶ現象に関連しており(リチウムイオン電池の文脈では文献に記載されているとは認められない)、セルを真空下に置いたときでも出ることができない。このように、電池は疑似固体であると考えられる。
【0147】
本発明における電池は、
-約1mAh以下の容量(一般に「マイクロ電池」と呼ぶ)、
-又は、約1mAhを超える容量を有するような設計及び形状とすることができる。
【0148】
典型的に、マイクロ電池は、マイクロエレクトロニクス製造方法に適合するように設計される。
【0149】
これらの出力範囲のそれぞれにおける電池は、
-「全固体」タイプの層、すなわち、含浸液相若しくはペースト相(該液相若しくはペースト相は、電解質として機能可能なリチウムイオン伝導媒体とすることができる)のない層か、
-層を疑似固体と考えることができるように、この層内に自発的に入るとともにこの層から出ることのない、典型的にはリチウムイオン伝導媒体である、液相若しくはペースト相を含浸させた、メソポーラスの「全固体」タイプの層か、
-又は、含浸させた多孔層(すなわち、液相若しくはペースト相を含浸させることができ、この層にウェッティング特性を与える開放孔のネットワークを有する層)と共に作製することができる。
【符号の説明】
【0150】
図面及び本明細書において、以下の符号を使用する。
1000 本発明における電池
1002 陽極接続ゾーン
1006 陰極接続ゾーン
100、100’、100’’ 単位セル
10 陽極集電体基板
20 陽極層
30 電解質材料層/電解質層
31 電解質を含浸させた又は後から含浸させたセパレータ層/セパレータ層
50 陰極層
40 陰極集電体基板
80 陽極箔のスロット、陽極スロット、陽極小空きゾーン
80’ 陽極ノッチ/陽極大空きゾーンと呼ぶ空きゾーン
80 陽極スロット80の全幅/全横方向寸法
80 陽極スロットの全長/全縦方向寸法
80’ 陽極ノッチの全長/全縦方向寸法
80’’ 陽極自由空間の全長/全縦方向寸法
70 陰極箔のスロット、陰極スロット、陰極小空きゾーン
70’ 陰極ノッチ/陰極大空きゾーンと呼ぶ空きゾーン
70 陰極スロット70の全幅/全横方向寸法
70 陰極スロットの全長/全縦方向寸法
70’ 陰極ノッチの全長/全縦方向寸法
70’’ 陰極自由空間の全長/全縦方向寸法
110 陽極部
111、141 それぞれ110及び140の一次本体
112、142 それぞれ110及び140の二次本体
113、143 それぞれ111と112との間、141と142との間の自由空間
140 陰極部
LA 陽極ストリップの側方縁部
LC 陰極ストリップの側方縁部
SA、SA、SA、…SA 陽極階層
SC、SC、SC、…SC 陰極階層
111’、141’ それぞれSA及びSCの一次予備成形部
112’、142’ それぞれSA及びSCの二次予備成形部
80’、70’’ それぞれ111’と112’との間、141’と142’との間の空きゾーン
80’’ 縦方向において2つの隣接する陽極ストリップ同士の間に形成された自由空間/陽極自由空間
70’’ 縦方向において2つの隣接する陰極ストリップ同士の間に形成された自由空間/陰極自由空間
112 二次本体110の長さ
113 111と112との間の自由空間の長さ
142 二次本体140の長さ
143 141と142との間の自由空間の長さ
、C、C、C、C、C’、C’、C’、C’、C’ 陰極ストリップ
、A、A、A、A、A’、A’、A’、A’、A’ 陽極ストリップ
90 材料落下部
95 封止システム
97 コンタクト部材
97’ 陽極コンタクト部材
97’a 縦方向面F6に隣接する面F1、F2、F3、F5の端部を覆う陽極コンタクト部材突起
97’’ 陰極コンタクト部材
97’’a 縦方向面F4に隣接する面F1、F2、F3、F5の端部を覆う陰極コンタクト部材突起
1000 電池の長さ
I 空きゾーンを有する陽極箔及び空きゾーンを有する陰極箔のスタック/少なくとも1つの単位セルのスタック
2e スロット又はノッチなどの空きゾーンを有する陽極箔
5e スロット又はノッチなどの空きゾーンを有する陰極箔
4 基本部を有する陽極箔の穿孔された中央ゾーン
6 基本部を有する陽極箔の周辺フレーム
7 陽極箔及び陰極箔の4つの端部に存在する穿孔
8 2つの行の間における材料のブリッジ
ブリッジの幅
9 スロットの2つの列の間における第2の材料のブリッジ
第2の材料のブリッジの長さ
XX スタック/電池の縦方向又は水平方向
YY スタック/電池の横方向又は横断方向
ZZ スタック/電池の正面方向
L、L、Ln-1、Ln+1 スロットの行/電池の行
R、R、Rn-1、Rn+1 スロットの列
PA、PA’ 陽極平面
PC、PC’ 陰極平面
DXn-1、DX’n-1、DX、DX’、DXn+1、DX’n+1 補助的な切断と呼ぶ第1の対の切断
DYn-1、DY’n-1、DY、DY’、DYn+1、DY’n+ 主切断と呼ぶ第2の対の切断
AA 封止システム及びコンタクト部材の間の境界部
2000 先行技術による電池
200、200’、200’’ 先行技術による電池の単位セル
2002 先行技術による電池の陽極接続ゾーン
2006 先行技術による電池の陰極接続ゾーン
295 先行技術による電池の封止システム
F1、F2 スタック(I)/電池(1000)の表面
F3、F5 スタック(I)/電池(1000)の横方向面
F4、F6 スタック(I)/電池(1000)の縦方向面
FF1、FF2 電池の行(L)の表面
FF3、FF5 電池の行(L)の横方向面
FF4、FF6 電池の行(L)の縦方向面
図1
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【国際調査報告】