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特表2023-527820フランジカルボキシル酸ジエステルの2,4-異性体に基づく可塑剤の生産及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】フランジカルボキシル酸ジエステルの2,4-異性体に基づく可塑剤の生産及び使用
(51)【国際特許分類】
   C08K 5/1535 20060101AFI20230623BHJP
   C07D 307/68 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
C08K5/1535
C07D307/68 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572498
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 IB2021054711
(87)【国際公開番号】W WO2021240471
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/031,949
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519003620
【氏名又は名称】ブラスケン・エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】BRASKEM S.A.
【住所又は居所原語表記】Rua Eteno,1561,Complexo Petroquimico de Camacari,42810-000 Camacari-BA,Brazil
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】シカロニ フェルナンデス,フェリペ
(72)【発明者】
【氏名】エストラーダ ゴウベイア,イウリ
(72)【発明者】
【氏名】ロドルフォ,ジュニア.,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ガルセス ロペス,マテウス シュレイネル
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002AB041
4J002BD031
4J002BE061
4J002BG021
4J002CF071
4J002CF181
4J002CG001
4J002CH021
4J002CK021
4J002CN011
4J002EL066
4J002FD026
(57)【要約】
本開示は、概して、2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物、化合物を調製する方法、ポリマーと、化合物とを含むポリマー組成物、ポリマー組成物を調製する方法、ポリマー組成物を含むポリマー製品、及びポリマー製品で化合物を可塑剤として使用する方法に関する。本開示の2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルは、ポリマー組成物において標準的なフタル酸及びテレフタル酸系可塑剤のものよりも高い可塑化効率を有する。2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルで可塑化されたポリマー製品は、従来のフタル酸及びテレフタル酸系可塑剤で可塑化された同じポリマー製品と比較して、改善された柔軟性、耐久性、加工性及び安全性を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料を可塑化するための化合物であって、前記化合物が、式Iの化学構造を有する2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)のジアルキルエステルであり、
【化1】

式中、R及びRが各々、2-エチルヘキサノール、エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、2-プロピルヘプタノール、C~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C~C13一価脂肪族一級アルコールのアルキルラジカルを表す、化合物。
【請求項2】
R1及びR2の各々が、エチルヘキサノールに由来するアルキルラジカルであり、結果として生じる化合物が、ジ(エチルヘキシル)-2,4-フラノエートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式Iの化学構造を有する2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物を調製するプロセスであって、
1)2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)又は2,4-FDCAの誘導体を合成することと、
2)前記2,4-FDCA又は前記2,4-FDCAの誘導体をアルコールでエステル化して、前記式Iの化学構造を有する2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルを得ることと、を含み、
【化2】

式中、R及びRが各々、2-エチルヘキサノール、エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、2-プロピルヘプタノール、C~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C~C13一価脂肪族一級アルコールのアルキルラジカルを表す、プロセス。
【請求項4】
前記2,4-FDCA又は前記2,4-FDCAの誘導体が、再生可能な材料から合成されて、バイオベースの2,4-FDCA又は2,4-FDCAの誘導体を生産する、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記バイオベースの2,4-FDCA又は前記2,4-FDCAの誘導体が、ASTM D6866によって決定される約90%超のバイオベースの炭素を有する、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
ブレンステッド酸、ルイス酸、有機酸、無機酸、金属触媒及び金属エステル、金属アルコキシド、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるエステル化触媒の存在下で、前記2,4-FDCA又は前記2,4-FDCAの誘導体と反応させるために化学量論的過剰量(モルで5~100%過剰)の前記アルコールを使用することを含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項7】
前記2,4-FDCA又は前記2,4-FDCAの誘導体の前記2,4-FDCAのジアルキルエステルへの実質的に完全な変換後に、真空蒸発によって過剰な前記アルコールを除去することを更に含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
活性炭を使用して、結果として生じた前記2,4-FDCAのジアルキルエステルからチタン触媒を除去することを更に含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項9】
ポリマーと、式Iの化学構造を有する2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む組成物であって、
【化3】

式中、R及びRが各々、2-エチルヘキサノール、エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、2-プロピルヘプタノール、C~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C~C13一価脂肪族一級アルコールのアルキルラジカルを表す、組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、PVC、ポリビニルブチラール(PVB)、熱可塑性ポリウレタン(PU)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリエーテル、ポリ硫化物、ポリスチレン(PS)のポリスルホンホモポリマー及びコポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、デンプン、熱可塑性デンプン(TPS)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、前記ポリマーが、ポリ塩化ビニル(PVC)である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物が、前記ポリマーの100重量部当たり1~300重量部、又は任意選択的に10~150重量部若しくは15~80重量部の量で前記組成物中に存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、0.1%~75%に及ぶASTM D6866によって決定されるバイオベースの炭素含有量を示す、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
光安定剤、酸安定剤、熱安定剤、紫外線安定剤、充填剤、補強剤、殺生物剤、膨張剤、脱型添加剤、潤滑剤、流動改質剤、衝撃改質剤、顔料、難燃剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を更に含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
~C13フタル酸ジアルキル、安息香酸アルキル、トリメリト酸トリアルキル、アジピン酸ジアルキル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、グリセリルエステル、イソソルビドエステル、エポキシ化植物油、完全に又は部分的にエポキシ化された飽和及び不飽和脂肪酸エステル、クエン酸トリエステル、アルキルピロリドン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される追加の可塑剤を更に含み、好ましくは、前記追加の可塑剤が、非フタル酸ジエステルである、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
ポリマーと、式Iの化学構造を有する2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む組成物を調製する方法であって、
前記ポリマーを前記2,4-FDCAのジアルキルエステルと混合して、混合物を形成することと、
前記混合物を加工して、前記2,4-FDCAのジアルキルエステルを組み込み、均質化することと、を含み、
【化4】

式中、R及びRが各々、2-エチルヘキサノール、エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、2-プロピルヘプタノール、C~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C~C13一価脂肪族一級アルコールのアルキルラジカルを表す、方法。
【請求項16】
粉末又はペレット形態の前記ポリマー、前記2,4-FDCAのジアルキルエステル、好適な添加剤をともに混合して、乾燥混成物を形成することと、
前記可塑剤がポリマーに組み込まれ、それと均質化されるまで、前記乾燥混成物を製粉することと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記製粉することが、2本ロールミルで行われ、前記製粉することが、3分超である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ポリマーと、式Iの化学構造を有する2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む、ポリマー製品であって、
【化5】

式中、R及びRが各々、2-エチルヘキサノール、エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、2-プロピルヘプタノール、C~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C~C13一価脂肪族一級アルコールのアルキルラジカルを表す、ポリマー製品。
【請求項19】
前記ポリマー製品が、塗料、インク、接着剤又は接着剤成分、シーリング化合物、コーティング組成物、ラッカー、プラスチゾル、合成皮革、溶剤、潤滑油、床仕上げ材、アンダーボディ保護材、布地コーティング、ケーブル又はワイヤー絶縁体、押出成形品、及びフィルムからなる群から選択される、請求項18に記載のポリマー製品。
【請求項20】
ポリマー製品を生産する方法であって、
粉末又はペレット形態のポリマー、及び式Iの化学構造を有する2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物を混合して、乾燥混成物を形成することと、
前記乾燥混成物を加工して、前記2,4-FDCAのジアルキルエステルを前記ポリマーに組み込み、均質化された組成物を形成することと、
カレンダー加工、押出成形、又は射出成形によって前記均質化された組成物を加工して、前記ポリマー製品を形成することと、を含み、
【化6】

式中、R及びRが各々、2-エチルヘキサノール、エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、2-プロピルヘプタノール、C~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C~C13一価脂肪族一級アルコールのアルキルラジカルを表す、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示があらゆる目的のために参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、2020年5月29日に出願された米国仮特許出願第63/031,949号の出願に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物、化合物を調製する方法、化合物を含む組成物、化合物を含む組成物を調製する方法、可塑剤として化合物を含むポリマー製品、及びポリマー製品を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
可塑剤は、ポリマー材料に可塑剤を添加し、ポリマー材料中のそれらの含有量を調整することによって、柔軟性、耐久性、及び加工性などのポリマー材料の物理的性質を制御することが容易であるため、ポリマー産業では添加剤として広く使用されている。このクラスの添加剤は、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂産業で特に活用されており、2017年のデータによると、世界中の全ての可塑剤消費量の約90%を占めている。したがって、可塑剤は、本質的に剛性の材料を極めて柔軟性の製品に変換させることによって、特に応用の点からPVC業界で重要な役割を果たす。
【0004】
可塑剤は、応用の観点から、PVCを最も万能な熱可塑性物質のうちの1つにすることに関与している。例えば、PVC樹脂が、可塑剤の含有量に応じて異なるレベルの柔軟性を有し得る一方で、剛性PVC材料(破断時伸長率<15%)は、通常、配合物に可塑剤を有しておらず、半剛性材料(約280%における伸長率)は、質量で最大4分の1の可塑剤を有する。可塑剤含有量は、柔軟及び非常に柔軟な用途(伸長率>380%)において表出レベルに達し、PVC配合物は、重量でポリマーよりも多くの可塑剤を有し得る。
【0005】
可塑剤として作用するために好適な性質を有する分子のクラス内で、フタル酸ジエステルは、伝統的に、技術的特性及び性能特性を低い生産コストと組み合わせることによって活用されてきた。これらの従来の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)及びフタル酸ジイソデシル(DIDP)などのフタル酸由来可塑剤が挙げられる。フタル酸由来の可塑剤は、現在、全世界の可塑剤生産の約65%を構成している。無水フタル酸由来の可塑剤は、それらの優勢な歴史的使用にもかかわらず、それらによって引き起こされる環境及び健康問題と関連付けられる深刻な危機に直面している。具体的には、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)及びその代謝産物であるフタル酸モノ-2-エチルヘキシルは、過去30年間にわたっていくつかの研究では、男性の生殖系に悪影響を及ぼすとともに、胎児発達及び肥満の間に問題を誘発する、内分泌攪乱物質として認識されている。
【0006】
多数の独立した研究で実証されたリスクに直面して、政府機関は、特定の品目へのフタル酸由来の可塑剤の使用を制御、低減、又は禁止さえするために、いくつかの規制を課している。例えば、European Commission(欧州委員会)は、DEHP及び他のフタル酸誘導体をREACHリストに含めている。2007年以来、DEHP、並びにフタル酸ベンジルブチル(BBP)、フタル酸ジブチル(DBP)、及びフタル酸ジイソブチル(DIBP)などの他のフタル酸誘導体は、口腔包装食品、玩具、及び子供用物品では禁止されている。2015年に、これらの制限は、他の汎用品目にも拡張され、代替的な可塑剤を開発するようにPVC市場に更に圧力をかけた。同様に、U.S.Consumer Product Safety Commission(米国消費者製品安全委員会)は、カリフォルニア州政府による以前の判決によって動かされ、2017年にこれらの化合物の使用について消費者に警告する規制を承認した。したがって、0.1重量%を超えるフタル酸塩を含有する全ての材料は、配合物中のそれらの存在について警告するラベルを必要とする。この理由により、これらのフタル酸塩のうちのいくつかは、一般的に「ラベル付き可塑剤」と呼ばれる。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、式Iの化学構造を有する2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物であって、
【化1】

式中、R及びRは各々、2-エチルヘキサノール、エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-プロピルヘプタノール、C~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C~C13一価脂肪族一級アルコールのアルキルラジカルを表す。
【0008】
一実施形態では、R及びRは、2つの異なるアルキルラジカルである。別の実施形態では、R及びRは、好ましくは、同じアルキルラジカルである。更に別の実施形態では、Rは、直鎖アルキルラジカル又は分枝アルキルラジカルである。更に別の実施形態では、Rは、直鎖アルキルラジカル又は分枝アルキルラジカルである。
【0009】
本開示の別の態様は、上記に示される式Iの化学構造を有する2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物を調製するプロセスを提供し、本プロセスは、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)又はその誘導体を合成することと、2,4-FDCA又はその誘導体をアルコールでエステル化して、上記に示される式Iの化学構造を有する2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルを得ることとを含み、式中、R及びRは各々、2-エチルヘキサノール、エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-プロピルヘプタノール、C~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C~C13一価脂肪族一級アルコールのアルキルラジカルを表す。一実施形態では、R及びRは、同じアルキルラジカルであるか、又は2つの異なるアルキルラジカルである。このプロセスから生じる2,4-フランジカルボン酸ジエステルは、アルコールのアルキル鎖の長さ及び構造の変化に応じて、それらの性質を調整させることができる。
【0010】
別の実施形態では、2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物は、異性体C~C13フランジカルボン酸ジアルキルを含み、異性体C~C13ジアルキル基は、非分岐、単一、二重、三重、及び四重分岐アルキル鎖、並びにそれらの混合物から選択される。
【0011】
別の実施形態では、2,4-FDCA又は2,4-FDCAの誘導体は、再生可能な材料から合成されて、バイオベースの2,4-FDCA又は2,4-FDCAの誘導体を生産する。一実施形態では、バイオベースの2,4-FDCA又は2,4-FDCAの誘導体は、ASTM D6866によって決定される、約0.1%~約99%、約0.1%~約90%、約0.1%~約75%、又は好ましくは90%超のバイオベースの炭素を有する。
【0012】
別の実施形態では、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)は、2,4-フランジカルボン酸の化合物ジアルキルエステルが、一価脂肪族一級アルコールの供給源に応じて、典型的にはASTM D6866に従って測定される、約0.1%~約99%、約90%超、又は好ましくは29%~90%超などの異なるレベルのバイオベースの炭素を含有することを可能にする、再生可能な材料から合成される。
【0013】
別の実施形態では、2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物を調製するプロセスは、任意選択的に、ブレンステッド酸及びルイス酸、有機及び無機酸、又はスズ(II)誘導体などの金属触媒、並びにチタン及びジルコニウムエステルなどの金属エステル、並びに酸化アンチモン及びゼオライトなどの金属アルコキシドなどのエステル化触媒の存在下で、2,4-FDCA又は2,4-FDCAの好適な誘導体と反応させるために化学量論的過剰(モルで5~100%)の可塑化アルコールを使用することを含む。
【0014】
別の実施形態では、2,4-FDCAのジアルキルエステルを調製するプロセスは、2,4-FDCA又は2,4-FDCAの好適な誘導体の2,4-FDCAのジアルキルエステルへの完全な変換後に、真空蒸発によって過剰なアルコールを除去することを更に含む。
【0015】
別の実施形態では、2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物を調製するプロセスは、結果として生じた2,4-FDCAのジアルキルエステルからチタン触媒などの不純物を除去することを更に含む。一実施形態では、2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物を調製するプロセスは、得られた化合物をジクロロメタンに溶解させて、溶液を形成することと、溶液を活性炭で処理して、チタン触媒などの不純物を木炭に吸収することと、処理された溶液を濾過して、木炭及び木炭に吸収された不純物を除去することと、真空下でジクロロメタンを蒸発させることとを更に含む。
【0016】
本開示の別の態様は、ポリマーと、可塑剤として上記で論じられる2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む、組成物であり、2,4-FDCA化合物のジアルキルエステルは、ポリマーの100重量部の当たり化合物の1~300、より好ましくは10~150、更により好ましくは15~80重量部の量で組成物中に存在する。
【0017】
一実施形態では、組成物は、約0.1%~約90%、約90%超、又は好ましくは約0.1%~約75%に及ぶ、ASTM D6866によって決定されるバイオベースの炭素含有量を示す。
【0018】
別の実施形態では、ポリマーは、PVC、ポリビニルブチラール(PVB)、熱可塑性ポリウレタン(PU)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリエーテル、ポリ硫化物、ポリスチレン(PS)のポリスルホンホモポリマー及びコポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、デンプン、熱可塑性デンプン(TPS)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0019】
一実施形態では、ポリマーは、ポリ塩化ビニル(PVC)である。別の実施形態では、PVCは、懸濁液、バルク、溶液、エマルション又はマイクロ懸濁液重合プロセスに由来する。
【0020】
別の実施形態では、組成物は、光安定剤、酸安定剤、熱安定剤、紫外線安定剤、充填剤及び補強剤、殺生物剤、膨張剤、脱型添加剤、潤滑剤、流動改質剤、衝撃改質剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、顔料、並びに難燃剤などのポリマー組成物で典型的に使用される1つ以上の好適な添加剤を更に含む。
【0021】
別の実施形態では、組成物は、C~C13フタル酸ジアルキル、安息香酸アルキル、トリメリト酸トリアルキル、アジピン酸ジアルキル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、グリセリルエステル、イソソルビドエステル、エポキシ化植物油、完全に又は部分的にエポキシ化され得る飽和及び不飽和脂肪酸エステル、クエン酸トリエステル、アルキルピロリドン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される追加の可塑剤を更に含む。
【0022】
別の実施形態では、追加の可塑剤は、好ましくは、非フタル酸ジエステル(オルト可塑剤とも称される)である。
【0023】
本開示の別の態様は、ポリマーと、可塑剤として上記で論じられる2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む、組成物を調製する方法であり、本方法は、粉末又はペレット/顆粒形態のポリマー、2,4-FDCAのジアルキルエステル、並びにCa/Zn安定剤及びステアリン酸などの他の添加剤をともに混合して、乾燥混成物を形成することと、乾燥混成物を2本ロールミルの中に充填することと、ミルを3分超加工して、可塑剤の組み込み及び組成物の均質化を促進することとを含む。
【0024】
本開示の別の態様は、ポリマーと、可塑剤として上記で論じられる2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む、組成物を含むポリマー製品を提供する。
【0025】
一実施形態では、ポリマー製品は、塗料、インク、接着剤又は接着剤成分、シーリング化合物、コーティング組成物、ラッカー、プラスチゾル、合成皮革、溶剤、潤滑油、床仕上げ材、アンダーボディ保護材、布地コーティング、ケーブル又はワイヤー絶縁体、押出成形品、及びフィルムからなる群から選択される。ポリマー製品は、カレンダー加工、押出成形、射出成形、又は組成物中の添加剤を効果的に溶融及び混合することができる任意の他の加工技法などの従来の手段によって生産される。
【0026】
別の実施形態では、ポリマー製品は、約0.1%~約90%、約90%超、又は好ましくは約0.1%~約75%に及ぶ、ASTM D6866によって決定されるバイオベースの炭素含有量を示す。
【0027】
本開示の別の態様は、ポリマーと、上記で論じられる可塑剤としての2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む、組成物を含むポリマー製品を作製する方法であり、本方法は、粉末又はペレット/顆粒形態のポリマー、2,4-FDCAのジアルキルエステル、並びにCa/Zn安定剤及びステアリン酸などの他の添加剤をともに混合して、乾燥混成物を形成することと、乾燥混成物を2本ロールミルの中に充填することと、ミルを3分超加工して、可塑剤の組み込み及び組成物の均質化を促進することと、カレンダー加工、押出成形、射出成形、又はポリマー組成物をポリマー製品に変換するために好適な任意の他の加工技法によって、結果として生じた均質化された組成物をポリマー製品に加工することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】標準的なフタル酸及びテレフタル酸系可塑剤を含む比較対照試料と対比した、可塑剤として本開示の2,4-FDCAのジアルキルエステルを含む化合物の試験試料のショアA硬度を示す。
図2】標準的なフタル酸及びテレフタル酸系可塑剤を含む比較対照試料と対比した、可塑剤として本開示の2,4-FDCAのジアルキルエステルを含む化合物の試験試料の熱重量曲線を示す。
図3】DOPを含む比較例と対比した、可塑剤として本開示の2,4-FDCAのジアルキルエステルを含む化合物の試験試料を用いた移動試験から得られた重量減少の曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
PVCを含むポリマー材料で使用され得る、フランジカルボン酸ジエステルの2,4-異性体に基づく新しい可塑剤が本明細書に記載される。これらの可塑剤は、既存の可塑剤の上述の不利点のうちの1つ以上を克服し得るか、又は少なくとも有用な代替物を提供し得る。また、フランジカルボン酸ジエステルの2,4-異性体に基づく可塑剤を調製する費用対効果の高いプロセスも記載される。このプロセスは、既存の可塑剤のプロセスのものと比較して費用対効果が高くあり得る。また、フランジカルボン酸ジエステルの2,4-異性体に基づく可塑剤を含む組成物、並びにそのような組成物を調製する方法も開示される。また、現在の既存の可塑剤で可塑化された同じ材料と比較して、改善された、又は少なくとも等しい柔軟性、耐久性、加工性、及び安全性を有するフランジカルボン酸ジエステルの2,4-異性体に基づく可塑剤を含む、ポリマー材料も開示される。
【0030】
本明細書で表される全ての割合は、別様に表されない限り、組成物の総重量の重量によるものである。本明細書でpHを参照するとき、値は、標準的な機器を用いて25℃で測定されるpHに対応する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値の範囲内の数、例えば、参照される数値の-10%~+10%、好ましくは参照される数値の-5%~+5%、より好ましくは参照される数値の-1%~+1%、最も好ましくは参照される数値の-0.1%~+0.1%の範囲を指すと理解される。
【0032】
本明細書における全ての数値範囲は、範囲内の全ての整数、全体又は分数を含むと理解されるべきである。更に、これらの数値範囲は、その範囲内の任意の数値又は数値のサブセットを対象とした請求項への支持を提供するものとして解釈されるべきである。例えば、1~10の開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲を支持するものとして解釈されるべきである。
【0033】
本開示及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別様に指示しない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「a component(構成要素)」又は「the component」への言及は、2つ以上の構成要素を含む。
【0034】
「comprise」、「comprises」、及び「comprising」(含む)という用語は、排他的ではなく包括的に解釈されるものである。同様に、「include」、「including」(含む)、「containing」(含有する)、及び「having」(有する)という用語は全て、そのような構築が文脈で明確に禁止されていない限り、包含的であると解釈されるべきである。更にこの点に関して、これらの用語は、記述された特徴の存在を特定するが、追加の特徴又は更なる特徴の存在を除外しない。
【0035】
それでもなお、本明細書に開示される組成物及び方法は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素を欠く場合がある。したがって、「含む」という用語を使用する実施形態の開示は、(i)識別された構成要素又はステップ、また、追加の構成要素又はステップを有する実施形態の開示、(ii)識別された構成要素又はステップ「から本質的になる」実施形態の開示、及び(iii)識別された構成要素又はステップ「からなる」実施形態の開示である。本明細書に開示される任意の実施形態は、本明細書に開示される任意の他の実施形態と組み合わせられ得る。
【0036】
「X及び/又はY」の文脈で使用される「及び/又は」という用語は、「X」、若しくは「Y」、又は「X及びY」として解釈されるべきである。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」、若しくは「Y」、又は「X及びY」として解釈されるべきである。
【0037】
本明細書で使用される場合、「例」及び「など」という用語は、特に用語の列挙が続くときに、単に例示的かつ例証的であり、排他的又は包括的と見なされるべきではない。
【0038】
特定の構成要素に関して使用される場合の「実質的になし」という用語は、存在する構成要素のうちのいずれかが、約1.0重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満、又はより好ましくは約0.1重量%未満などの約2.0重量%未満を構成することを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合の「可塑剤」という用語は、ポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマーに添加されて、粘度を減少させ、かつポリマーの柔軟性を増加させ、したがって、ポリマーを軟化させることなどのポリマーの物理的性質を変化させる、添加剤を指す。軟化は、可塑剤をポリマーに溶解させ、ポリマーのガラス転移温度(T)を低下させることによってもたらされる。ポリマー中の可塑剤の種類及び濃度を変化させることによって、ポリマーの性質は、要件に合わせられ得る。ポリマー中の可塑剤濃度を増加させることは、柔軟性を増加させ、引張強度を減少させ、ポリマーの硬度を低減する。可塑剤はまた、最終用途製品の改善された柔軟性及び耐久性も提供しながら、改善された化合物加工特性を達成することを可能にする。可塑剤は、概して、分子量で100~1000g/モルを有する有機分子である。標準又は従来の可塑剤には、概して、フタル酸及びテレフタル酸系可塑剤が含まれる。
【0040】
本明細書で使用される場合の「可塑剤効率」又は「可塑化効率」という用語は、ポリマー製品をより軟質にする可塑剤の能力を指し、ポリマー製品中のフタル酸ジオクチル(DOP)について見出される硬度の勾配に対する硬度対可塑剤濃度の勾配の比として報告される。
【0041】
本明細書で使用される場合の「2,4-FDCAの誘導体」という用語は、2,4-フランジカルボン酸ジメチル(2,4-DMFDCA)、2,4-フランジカルボン酸ジエチル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される2,4-FDCAのジエステルを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合の「好適な添加剤」という用語は、光安定剤、酸安定剤、熱安定剤、紫外線安定剤、酸化防止剤(AO)、帯電防止剤、充填剤、補強剤、殺生物剤、膨張剤、脱型添加剤、潤滑剤、流動改質剤、衝撃改質剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、顔料、難燃剤、2,4-FDCAのジアルキルエステル以外の追加の可塑剤、及びそれらの組み合わせなどのポリマー産業で典型的に使用されるいずれか1つ以上の添加剤を指す。追加の可塑剤としては、C~C13フタル酸ジアルキル、安息香酸アルキル、トリメリト酸トリアルキル、アジピン酸ジアルキル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、グリセリルエステル、イソソルビドエステル、エポキシ化植物油、完全に若しくは部分的にエポキシ化された飽和及び不飽和脂肪酸エステル、クエン酸トリエステル、アルキルピロリドン、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
新しい可塑剤の持続可能な開発との関連で、2,5-フランジカルボン酸(2,5-FDCA)誘導体は、テレフタル酸塩に新しい次元の競合をもたらす可能性のある再生可能な構成成分のように思われる。このプラットフォームの主な魅力のうちの1つは、これらの酸が発酵経路によって糖から生産され得ることである。例えば、WO2012/113609、WO2012/11360、DE102009028975A1、WO2011/023491、及び米国特許第9,175,148号は、概して、配合物中のPVCのための可塑剤として(それぞれ)側方アルキルC、C、C、C10及びC11~C13を提示する、2,5-FDCAのジエステルの適用が、5~200phr(PVC樹脂の100部当たりの部分)に及ぶことを記載している。これらのフラン可塑剤は、適合性及び移動に関してフタル酸様性能を示す。同様の結果が、Polym.Chem.,2019,10,5324-5332、及びJournal of Polymer Science,Part A:Polymer Chemistry 54,11-332016で見出される。非フタル酸溶液の採用を推進してきた性質である、毒性に関しては、Matos et al.は、概して、2,5-FDCA系可塑剤であるジエチルヘキシルフラノエート(2,5-DEHFとしても知られている)が、類似のテレフタル酸毒性を示すその代謝産物を有することを、出版物Materials 2019,12,2336に記載している。FDCAの他の異性体の使用に関して、米国特許第10,294,347号は、2,5及び2,3-FDCAジアルキルエステルの生産、並びにPVC中のC~C22可塑剤としてのそれらの使用を教示している。しかしながら、現在までに、これらのジエステルのうちのいずれも、近い将来に商品化の見込みがあるほど十分に成熟していない。
【0044】
フタル酸由来の可塑剤、テレフタル酸由来の可塑剤、及び2,5-FDCAジエステル由来の可塑剤を含む、現在の既存の可塑剤と比較して、柔軟性、耐久性、加工性、及び安全性などの改善された、又は少なくとも等しい性質をポリマーに提供する、PVCを含むポリマーのための新しく、好ましくは再生可能な可塑剤が本明細書に開示される。本明細書に記載される本開示の新しい可塑剤及び新しい可塑剤を作製するプロセスは、フラン分野で可塑剤生産業者が直面する障壁を回避し、2,4-FDCAの手頃な価格のフランジエステルの生産を促進することが可能であり得る。驚くべきことに、これらの2,4-FDCAジエステルで可塑化されたPVC組成物は、本開示の図1に示されるように、PVC組成物中の現在存在している可塑剤のものと比較して、同じ可塑剤濃度でより低いショアA硬度を示した。実験結果は、本開示に従って開発された2,4-FDCAジエステルのうちのいくつかが、現在存在している可塑剤よりも高い可塑化効率を有することを実証した。驚くべきことに、これらの2,4-FDCAジエステルはまた、ポリマー組成物中の現在存在している可塑剤よりも低い移動及び有利な安全性も実証した。
【0045】
PVCを含むポリマー材料で使用され得る、本開示のフランジカルボン酸ジエステルの2,4-異性体に基づく新しい可塑剤が本明細書に記載される。これらの可塑剤は、既存の可塑剤の上述の不利点のうちの1つ以上を克服し得るか、又は少なくとも有用な代替物を提供し得る。また、フランジカルボン酸ジエステルの2,4-異性体に基づく可塑剤を調製する費用対効果の高いプロセスも記載される。このプロセスは、既存の可塑剤のプロセスのものと比較して費用対効果が高くあり得る。また、フランジカルボン酸ジエステルの2,4-異性体に基づく可塑剤を含む組成物、並びにそのような組成物を調製する方法も開示される。また、現在の既存の可塑剤で可塑化された同じ材料と比較して、改善された、又は少なくとも等しい柔軟性、耐久性、加工性、及び安全性を有するフランジカルボン酸ジエステルの2,4-異性体に基づく可塑剤を含む、ポリマー材料も開示される。
【0046】
本開示の一態様では、式Iの化学構造を有する2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの革新的な非フタル酸化合物が開示され、
【化2】

式中、R1及びR2は各々、2-エチルヘキサノール、エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、2-プロピルヘプタノール、C6~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C4~C13一価脂肪族一級アルコールのアルキルラジカルを表す。
【0047】
一実施形態では、R及びRは、2つの異なるアルキルラジカルである。別の実施形態では、R及びRは、好ましくは、同じアルキルラジカルである。更に別の実施形態では、Rは、直鎖アルキルラジカルである。更に別の実施形態では、Rは、分枝アルキルラジカルである。更に別の実施形態では、Rは、直鎖アルキルラジカルである。更に別の実施形態では、Rは、分枝アルキルラジカルである。更に別の実施形態では、R1及びR2の各々は、エチルヘキサノールに由来するアルキルラジカルであり、結果として生じる化合物は、ジ(エチルヘキシル)-2,4-フラノエートである。
【0048】
本開示の別の態様では、上記に示される式Iの化学構造を有する2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの革新的な非フタル酸化合物を調製するプロセスも記載される。本プロセスは、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)又は2,4-FDCAの誘導体を合成することと、2,4-FDCA又は2,4-FDCAの誘導体をアルコールでエステル化して、上記で論じられる式Iの化学構造を有する2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルを得ることとを含み、式中、R及びRは各々、2-エチルヘキサノール、n-ブタノール、イソノニルアルコール、イソブタノール、イソデシルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、2-プロピルヘプタノール、C~C11直鎖アルコール、トリデシルアルコール、イソオクチルアルコール、アミルアルコール、及び上記の一般構造を有するアルコールの他の構造異性体を含むがこれらに限定されない、C~C13一価脂肪族一級アルコールに由来するアルキルラジカルを表す。一実施形態では、R及びRは、同じアルキルラジカルである。別の実施形態では、R及びRは、2つの異なるアルキルラジカルである。このプロセスから生じる2,4-フランジカルボン酸ジエステルは、アルコールに由来するアルキル鎖の長さ及び構造の変化に応じて、それらの性質を調整させることができる。
【0049】
別の実施形態では、新しいフラン異性体、すなわち、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)は、本質的に環境への影響が低い発酵プロセスを通して再生可能な供給源から合成される。更に、本プロセスは、この新しい異性体の生産コストを、テレフタル酸及び無水フタル酸のものに適合するレベルにすることができる。別の実施形態では、2,4-FDCAは、Org.Proc.Res.Dev.2003,7,1,74-81,Anti-Infective Agents,2012,10,55-71、及びACS Sustainable Chem.Eng.2016,4,3,1707-1714に記載されるようないくつかの合成ステップを含む、触媒経路を介して生産される。最終的なジエステルを生じさせるためのエステル化は、フラン二酸(この場合、2,5-FDCA)が、硫酸(1重量%)の存在下で160℃で6時間、過剰な2-エチル-ヘキサノールと反応し得る、Materials 2019,12,2336で論じられている方法論から適合され得る。このステップは、バイオベース又は油ベースの2,4-FDCAのいずれかを用いて再現され得る。
【0050】
別の実施形態では、2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物は、異性体C~C13フランジカルボン酸ジアルキルを含み、異性体C~C13ジアルキル基は、非分岐、単一、二重、三重、及び四重分岐アルキル鎖、並びにそれらの混合物から選択される。
【0051】
別の実施形態では、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)又はその誘導体は、再生可能な材料、例えば、糖から合成され、2,4-フランジカルボン酸の化合物ジアルキルエステルが、典型的にはASTM D6866に従って試験及び測定される、異なるレベルのバイオベースの炭素を含有することを可能にする、バイオベースの2,4-FDCAを生産する。
【0052】
別の実施形態では、可塑剤は、バイオベースの炭素含有量を示す。上述のように、可塑剤中の全バイオベースの炭素又は再生可能な炭素は、両方の成分の供給源に応じて、バイオベースのフランジカルボン酸及び/又は可塑化アルコールから寄与され得る。ASTM D6866は、現代のバイオマス系投入物から生じる炭素を、化石系投入物に由来する炭素と区別する。バイオマスは、いずれの炭素14も含有しない化石燃料などの他の材料と容易に区別される、十分に特徴付けられた量の炭素14を含有する。バイオマス中の炭素14の量が知られているため、再生可能な供給源からの炭素の割合は、試料中の全有機炭素から容易に計算され得る。
【0053】
別の実施形態では、化合物は、約0.1%~約99%、約0.1%~約90%、約0.1%~約75%、又は好ましくは約29%~90%超に及ぶ、ASTM D6866によって決定されるバイオベースの炭素含有量を示す。
【0054】
別の実施形態では、2,4-FDCAは、例えば、米国特許出願第16/806,728号(まだ公開されていない)に記載されているように、ヘキソース、ペントース、グリセロール、CO、スクロース、及び/又はそれらの組み合わせを含む、炭素源を含む原料から2,4-FDCAを生産することが可能な組換え微生物によって生産される。米国特許出願第16/806,728号の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
別の実施形態では、2,4-FDCAは、米国特許第9,284,290号、Green Chem.,2014,16,1957-1966,ACS Sustainable Chem.Eng.2016,4,3,1707-1714、及び米国特許第8,455,668号に記載される経路などの再生可能な供給源及び触媒経路から得られる。米国特許第9,284,290号の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。不均化経路によって2,4-FDCAを合成するための方法は、以下のステップ:a)バイオベースのフロ酸塩を得るために、触媒及びアルカリ溶液の存在下でフルフラール化合物を酸化させるステップであって、触媒が、Au/TiO、Au/C、Au/ZnO、Au/Fe又は他のAu触媒からなる群から選択される、ステップと、b)金属系触媒の存在下でフロ酸塩を攪拌下で加熱して、反応混合物を調製し、反応混合物を室温まで冷却するステップと、c)2,4-FDCA及び2,5-FDCAの混合物を得るために、項目b)で得られた反応混合物からフランを収集するステップと、d)2,4-FDCAを収集及び精製するために、項目c)で得られた混合物に抽出又は他の分離方法を受けさせるステップとを含む。
【0056】
別の実施形態では、2,4-FDCA又はその誘導体は、再生可能な供給源及び触媒経路、例えば、ACS Sustainable Chem.Eng.2016,4,3,1707-1714、及び米国特許第8,455,668号に記載されるものから得られる。米国特許第8,455,668号の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。グリセロール誘導体、グリセルアルデヒド、又はジヒドロキシアセトンから開始して、5-HMF又は4-HMFが、バッチプロセスにおける塩基触媒縮合及び酸触媒脱水ステップを通して得られ得る。4-HMF酸化は、2,4-FDCAをもたらすであろう。
【0057】
別の実施形態では、2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物を調製するプロセスは、任意選択的に、ブレンステッド酸及びルイス酸、有機及び無機酸、又はスズ(II)誘導体などの金属触媒、並びにチタン及びジルコニウムエステルなどの金属エステル、並びに酸化アンチモン及びゼオライトなどの金属アルコキシドなどのエステル化触媒の存在下で、2,4-FDCA又は2,4-FDCAの好適な誘導体と反応させるために化学量論的過剰(モルで5~100%)の可塑化アルコールを使用することを含む。別の実施形態では、2,4-FDCAのジアルキルエステルを調製するプロセスは、2,4-FDCA又は2,4-FDCAの好適な誘導体の2,4-FDCAのジアルキルエステルへの完全な変換後に、真空蒸発によって過剰なアルコールを除去することを更に含む。
【0058】
別の実施形態では、2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物を調製するプロセスは、得られた化合物をジクロロメタンに溶解させて、溶液を形成することと、溶液を活性炭で処理して、チタン触媒などの不純物を木炭に吸収することと、処理された溶液を濾過して、木炭及び木炭に吸収された不純物を除去することと、真空下でジクロロメタンを蒸発させることとを更に含む。
【0059】
本開示の別の態様は、ポリマーと、ポリマーの100重量部当たり化合物の1~300、より好ましくは10~150、更により好ましくは15~80重量部の量で可塑剤として上記に論じられる2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物をと含む、組成物を提供する。
【0060】
一実施形態では、ポリマーは、ポリ塩化ビニル(PVC)である。
【0061】
別の実施形態では、ポリマーは、PVC、ポリビニルブチラール(PVB)、熱可塑性ポリウレタン(PU)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリエーテル、ポリ硫化物、ポリスチレン(PS)のポリスルホンホモポリマー及びコポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、デンプン、熱可塑性デンプン(TPS)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0062】
別の実施形態では、PVCは、懸濁液、バルク溶液、エマルション又はマイクロ懸濁液重合プロセスに由来する。
【0063】
別の実施形態では、2,4-FDCA化合物のジアルキルエステルは、ポリマーの100重量部当たり化合物の1~300、より好ましくは10~150、更により好ましくは15~80重量部の量で組成物中に存在する。
【0064】
別の実施形態では、組成物は、光、酸、熱、及び紫外線安定剤、充填剤及び補強剤、殺生物剤、膨張剤、脱型添加剤、潤滑剤、流動改質剤、衝撃改質剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、顔料、並びに難燃剤などのポリマー組成物で典型的に使用される1つ以上の好適な添加剤を更に含む。
【0065】
別の実施形態では、組成物は、C~C13フタル酸ジアルキル、安息香酸アルキル、トリメリト酸トリアルキル、アジピン酸ジアルキル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸アルキル、グリセリルエステル、イソソルビドエステル、エポキシ化植物油、完全に又は部分的にエポキシ化され得る飽和及び不飽和脂肪酸エステル、クエン酸トリエステル、アルキルピロリドン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される追加の可塑剤を更に含む。
【0066】
別の実施形態では、追加の可塑剤は、好ましくは、非フタル酸ジエステル(オルト可塑剤とも称される)である。
【0067】
本開示の別の態様は、ポリマーと、可塑剤として上記で論じられる2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む、組成物を調製する方法を提供し、本方法は、粉末又はペレット形態のポリマー、2,4-FDCAのジアルキルエステル、並びにCa/Zn安定剤及びステアリン酸などの他の添加剤をともに混合して、乾燥混成物を形成することと、乾燥混成物を2本ロールミルの中に充填することと、ミルを3分超加工して、可塑剤の組み込み及び組成物の均質化を促進することとを含む。
【0068】
更に別の態様では、本開示は、ポリマーと、可塑剤として上記で論じられる2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む、組成物を含むポリマー製品を提供する。
【0069】
一実施形態では、ポリマー製品は、塗料、インク、接着剤又は接着剤成分、シーリング化合物、コーティング組成物、ラッカー、プラスチゾル、合成皮革、溶剤、潤滑油、床仕上げ材、アンダーボディ保護材、布地コーティング、ケーブル又はワイヤー絶縁体、押出成形品、及びフィルムからなる群から選択される。ポリマー製品は、カレンダー加工、押出成形、又は組成物中の添加剤を効果的に溶融及び混合することができる任意の他の技法などの従来の手段によって生産される。
【0070】
本開示の更に別の態様は、ポリマーと、上記で論じられる可塑剤としての2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物とを含む、組成物を含むポリマー製品を作製する方法を提供する。第1に、粉末又はペレット/顆粒形態のポリマー、2,4-FDCAのジアルキルエステル、並びにCa/Zn安定剤及びステアリン酸などの他の添加剤は、ともに混合され、乾燥混成物を形成し得る。乾燥混成物は、ミル、例えば、2本ロールミルに投入され得る。乾燥混成物は、例えば、可塑剤の組み込み及び組成物の均質化を促進するために、例えば、3分間、ミル内で加工される。結果として生じた均質化された組成物は、カレンダー加工、押出成形、射出成形、又はポリマー組成物をポリマー製品に変換するために好適な任意の他の加工技法によって、ポリマー製品に加工され得る。
【0071】
本開示の利点は、可塑剤としての2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物が、フタル酸由来の可塑剤よりも高い可塑化効率、及び修飾トリグリセリド由来のものなどの脂肪族可塑剤よりも低い移動/滲出を有し得ることである。したがって、2,4-FDCAのジアルキルエステルの化合物で可塑化されたPVC製品などのポリマー製品は、より長い貯蔵期間、配合中のより低い添加要件、より低い硬度値、及び経時的により信頼性及び耐久性の高い性能を示す。
【0072】
本開示の別の利点は、2,4-FDCA(2,4-DEHF)のジアルキルエステルの化合物が、より低い揮発性を有し得ることである。低減した対称性及び中心分子セグメント内のヘテロ原子の存在に由来する双極子モーメントなどの構造パラメータに基づいて、PVC組成物中の可塑剤としての2,4-DEHFは、PVC組成物ではフタル酸及びテレフタル酸系可塑剤よりも低い相対移動度を示すことが予想される。
【0073】
本開示の別の利点は、PVC組成物中の2,4-FDCA(2,4-DEHF)のジアルキルエステルが、PVC組成物ではアジピン酸塩などの脂肪族可塑剤、植物油及びエポキシ化植物油などのそれらの誘導体、及びそれらのエステルよりも低い相対移動度を示し得ることである。
【0074】
この利点は、2,4-FDCAの分枝ジアルキルエステルの生産を通して更に拡大され得る。結果として、可塑剤として2,4-FDCAの分枝ジアルキルエステルを用いて調製された組成物は、滲出又は蒸発の結果としての可塑剤の損失の低減を示すことができる。この特性はまた、当業者が組成物の調製中に使用される量を更に制御し、経時的に性質をより確実に制御することができるため、より信頼性の高い加工に変換され得る。この点に関して、2,4-FDCAジエステルは、カレンダー加工、押出成形、射出成形、又は配合物中の添加剤を効果的に溶融及び混合することができる任意の他の技法などの従来の手段によって組成物を生産するために、PVC樹脂に組み込まれ得る。
【実施例
【0075】
本開示は、以下の非限定的な実施例によって更に例証される。
【0076】
実施例1
グルコースからの米国特許出願第16/806,728号に記載される組換え微生物による2,4-FDCAのインビボ生産を、約2.2g/LのKHPO、9.4g/LのKHPO、1.3g/Lの(NHSO、10mg/Lのチアミン、320mg/LのEDTA-NaOH、2mg/LのCoCl・6HO、10mg/LのMnSO・HO、5mg/LのCuSO・5H2mg/LのHBO、2mg/LのNaMoO・2HO、54mg/LのZnSO・7HO、1mg/LのNiSO・6HO、100mg/Lのクエン酸鉄(III)、100mg/LのCaCl・2HO、0.3g/LのMgSO・HOを含む、定義された培地を使用して、振盪フラスコ発酵において3回評価した。炭素源を、10g/Lのグルコースによって提供し、硫酸窒素を、2,4-FDCAの生産のための窒素源として使用した。エルレンマイヤーフラスコに、組換え株を0.1の初期光学密度(OD600)まで接種し、37℃、225rpmで約48時間インキュベートした。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)による48時間の上清の分析が、14±2mg/Lの2,4-FDCAの生産を示した。本明細書で使用される場合の「EDTA-NaOH」という用語は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び水酸化ナトリウム(NaOH)の可溶性塩を指す。
【0077】
実施例2
研究が、本開示の可塑剤としての2,4-FDCAを調製する手順の非限定的実施例を調査した。
【0078】
この非限定的実施例では、不均化経路によって2,4-FDCAを合成するための手順は、以下のステップ:a)バイオベースのフロ酸塩を得るために、触媒及びアルカリ溶液の存在下でフルフラール化合物を酸化させるステップであって、触媒が、Au/TiO、Au/C、Au/ZnO、Au/Fe又は他のAu触媒からなる群から選択される、ステップと、b)金属系触媒の存在下でフロ酸塩を攪拌下で加熱して、反応混合物を調製し、反応混合物を室温まで冷却するステップと、c)2,4-FDCA及び2,5-FDCAの混合物を得るために、項目b)で得られた反応混合物からフランを収集するステップと、d)2,4-FDCAを収集及び精製するために、項目c)で得られた混合物に抽出又は他の分離方法を受けさせるステップとを含む。手順は、以下でより詳細に記載される。
【0079】
フルフラールからフロ酸を調製するための手順:フルフラールの酸化
【0080】
フルフラール(3.00グラム、31.22mmol)を40mlの水に溶解させた。1当量(31.75mmol、1.02当量)の塩基(NaOH)及び0.012グラムのAu/TiO2触媒(ex-Strem-Autek;1.2重量%のAu、Au粒径2~3nm)を水中のフルフラール溶液に添加した。100mlの反応容器(Buchi glasuster picoclave)を閉じ、オーバーヘッド攪拌を適用した。酸素圧(303974.99PaのO)を反応混合物に印加した。反応混合物を50℃に置いた。1時間の反応後、圧力は約1気圧まで低下し、反応容器を303974.99PaのOまで再加圧し、その後、一晩撹拌した。一晩撹拌した後、反応を停止させ、触媒を濾別した。溶媒(水)を回転式蒸発器によって除去し、真空を印加した。フロ酸ナトリウムの収率は、94.9%であった。
【0081】
上記の反応における金触媒の使用は、多くの場合、Pt又はPdなどの他の金属系触媒よりも少し選択的であり、反応で使用される状況下では、後続の不均化反応に必要とされる同じ基本条件下で作用する不均一触媒の組み合わせが有利である。
【0082】
この反応は、後続の不均化反応のための投入物としての役割を果たし得る、フルフラールからフロ酸塩を得ることの効率を実証する。
【0083】
2,4-FDCA及び2,5-FDCAの混合物の生産のためのプロセス
6.00gのK-フロエート(39.95mmol)及び2.20gのCdl(6.01mmol)をともによく粉砕し、3つ口フラットフランジ反応容器の中に充填した。次いで、混合物を、窒素の連続(非常に遅い)流下で、機械オーバーヘッド攪拌器を使用して攪拌しながら、265℃における塩浴中で加熱した。反応の経過中に、形成されたフランを、ディーン・スタークトラップ及びCO/アセトン氷浴(-78℃)を介して収集し、1.35グラム(理論量の95%)のフランを生じさせた。4時間後、反応を停止させ、室温で1時間冷却させた。このようにして得られた黒色の硬質固体物質を水(50mL)に溶解させた。残留量の不水溶性黒色材料を濾別し、12NのHClを使用して深黄色の濾液を酸性化した(pH1まで)。2,5-FDCAを沈殿させ、濾別した。2,5-FDCAの理論量の60.9%を単離した。不溶性黒色材料を濾別した後の反応混合物のNMR分析は、K-フロエートが90%を超えて変換されており、0.32:0.68の比で2,4-FDCA及び2,5-FDCAの混合物が存在することを示した。これと、単離された60.9%の2,5-FDCAとに基づいて、K-フロエートが89%の理論的収率においてフランジカルボン酸の混合物に不均化されていることが計算され得る。
【0084】
2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)の精製のための手順
反応粗混合物(2,4-FDCA、2,5-FDCA、2-フロ酸、及びCdl)は、アセトンを使用したソックレー抽出を8時間受けた。室温まで冷却した後、アセトン不溶性白色結晶性粉末をNMRによって分析し、これはプロトンシグナルを示さなかった。アセトン可溶性部分を回収し、溶媒を回転式蒸発器内で減圧下で蒸発させた。NMR分析は、粗混合物中の2,4-FDCA、2,5-FDCA及び2-フロ酸の存在を示した。次いで、混合物をクロロホルムと室温で10分間激しく攪拌し、濾過した。このプロセスを、2-フロ酸が混合物から完全に除去されるまで繰り返した。次いで、生成物を真空オーブン内で40℃で12時間乾燥させた。2,4-FDCAの溶解度差が、室温でアセトンにおいて比較的高かったため、同じ技法(以前にクロロホルムで適合された)をアセトンで繰り返して、2,5-FDCAから2,4-FDCAを分離した。したがって、アセトン可溶性部分を分離し、ともに組み合わせ、回転式蒸発器内で減圧下で蒸発させ、100%定性的ではなかったが、85%以上の純度であった2,4-FDCAを生じさせ、調査は、2,4-FDCAの100%純粋な化合物を得るためのより正確な方法を見出すために進行中である。
【0085】
本明細書に記載されるプロセスの使用は、少なくとも7重量%、好ましくは少なくとも15~20重量%、より好ましくは少なくとも32重量%の2,4-FDCA収率を可能にする(生成物の残りの画分は、基本的に2,5-FDCAである)。2,4-FDCAは、有害、有毒、又は望ましくない副産物を生産しない単純な2段階プロセスを通して、安価で再生可能な供給原料、例えば、フルフラールから生産される(主な副産物であるフランは、実際に極めて興味深い用途を有する)。
【0086】
実施例3
研究が、本開示の可塑剤のために2,4-FDCAを調製する手順の非限定的実施例を調査した。
【0087】
250mLの被覆ガラス反応器内で、ジヒドロキシアセトン(10.0g、0.11mol、1当量)を脱イオン水(100mL)に溶解させた。溶液を0℃まで冷却し、Ambersep-900塩基性イオン交換樹脂(27.8g)を添加した。次いで、混合物を0℃で24時間攪拌した。樹脂を除去するための濾過後、生成物を凍結乾燥させた。
【0088】
100mLの丸底フラスコ内で、生成物をDMSO(50mL)に再溶解させ、それにAmberlyst-15酸性イオン交換樹脂(5.0g)を添加した。このセットアップは、脱水中に生成された水を回収するためのディーン・スターク装置を装備していた。混合物を110℃で5時間撹拌し、次いで、室温まで冷却し、濾過した。濾液を真空下で濃縮して、ほとんどのDMSOを除去し、温度を50℃未満に維持した。次に、生成物をジクロロメタン/NaHCO(1M)分離によって抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。最終生成物(4-及び5-HMFの混合物)を褐色の粘性物として得た。
【0089】
250mLの丸底フラスコ内で、4-HMFを水酸化ナトリウム水溶液(100mLの脱イオン水中の9.2gのNaOH)に溶解させた。混合物を0℃まで冷却し、過マンガン酸カリウム(3.4g、22mmol、34当量)を添加した。次いで、溶液を0℃で15分間撹拌した。酸化マンガンの沈殿物を濾別し、濃縮HCl溶液を慎重に濾過に添加して、温度を5℃未満に維持しながら、pHを1にした。結果として生じる混合物をジエチルエーテル(×2)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。生成物を黄色の粉末として得た。
【0090】
実施例4
研究が、本開示の2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物を合成するプロセスを調査した。
【0091】
2,4-FDCA部分に基づく新規のジアルキルジエステルは、以下のスキーム1に記載されるように、Ti触媒の存在下で2-エチル-ヘキサノールを用いたメチル-フラノエートのエステル化を介して調製される。2,4-フランジカルボン酸ジメチル(2,4-DMFDCA)(4.4g、23.9mmol、1当量)及び2-エチル-1-ヘキサノール(9.34g、71.7mmol、3当量)を10mLの丸底フラスコの中に充填した。セットアップをアルゴンガスでパージした。次いで、反応混合物を、常に攪拌しながら115℃で15分間加熱した。混合物の完全な溶融を観察した後、2.9mLのトルエン中の触媒Ti(OiPr)(0.34g、1.2mmol)を、アルゴンガスの連続流下でフラスコの中に添加した。温度を140℃まで上昇させ、3時間攪拌した。過剰な2-エチル-1-ヘキサノールを真空蒸発によって除去した。次いで、得られた粗生成物を20mLのジクロロメタンに溶解させ、チタン触媒を排除し、生成物を変色させるために活性炭によって処理した。木炭の濾過及び真空下でのジクロロメタンの蒸発後、最終生成物を82%(7.5g)の収率及び98.0重量%の純度を有する琥珀色の油として得た(1H NMR滴定)。
【0092】
合成プロトコル及び合成の成功は、FTIR(フーリエ変換赤外)分光法及びH NMR(H核磁気共鳴)によって確認された。FTIRは、結果として生じるエステルに特徴的な値に移行したカルボニル伸張(-C=O)(1500~1750cm-1)に関連する領域のシグナルの詳細な分析を通して、反応の成功を確認した。(C-C-O-)及び(O-C-C)伸張を指し、また、エステル生成物に特徴的な他のシグナルが、それぞれ、1240及び1050cm-1で見出された。更に、H NMRは、フラン部分におけるアルキル残基の付着を確認した、4.2ppmにおける特徴的なシグナルの存在を通して標的化されたジアルキルエステルの形成を確認した。残留アルコールの痕跡は、FTIRでもH NMR分析でも見出されなかった。
【化3】
【0093】
結果として生じた2,4-FDCAのジアルキルエステルの熱安定性などの相補的性質が、熱重量分析(TGA)及び動的走査熱量測定(DSC)によって調査される。この特性は、PVCに典型的に使用される加工ウィンドウと比較され、そのような可塑剤の適用性を実証し、かつ安定性に関して市販の可塑剤に対してこの新規の分子を基準に従って評価するために使用され得る。
【0094】
熱重量分析(TGA)が行われている。TGA分析及び試験結果は、以下の実施例6及び図2に詳述される。
【0095】
同じ合成プロトコルが、二酸形態の2,4-FDCAから始めて複製され得、唯一の違いは、反応相中のメタノールの代わりの水の凝縮であり、化石及びバイオベースの供給源の両方からの2,4-FDCA及びその誘導体に由来する。更に、合成プロトコルは、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、1-ノナノール、イソノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、並びにそれらの単、二、三、及び四分岐構造異性体、並びに記載されるアルコールの混合物などの異なる鎖長(C~C13に及ぶ)を有するアルコールに適応することができる。
【0096】
実施例5
研究が、PVCと、本開示の2,4-FDCAのジアルキルエステルの可塑剤とを含む、ポリマー組成物の乾燥混成物を調製するプロセスを調査した。
【0097】
後の段階で、2,4-FDCAのジアルキルエステル、具体的には、ジエチルヘキシル2,4-フラノエート(2,4-DEHF)を調製し、可塑剤として使用して、柔軟性PVC組成物を生産し、加工性及び最終性能に関して2,4-DEHFの使用と関連付けられた有利な性質を実証した。その目的のために、好適な容積のビーカー内で、具体的な量の本開示の新規の2,4-DEHF可塑剤を、Ca/Zn安定剤及びステアリン酸などの添加剤とともにPVC樹脂粉末(Braskem Norvic SP 700RA、公称K値57)の中に添加することによって、乾燥混成物を生産した。成分をスパチュラで完全に混合し、乾燥混成物を形成した。乾燥混成物をMecanoplastの2本ロールミルの中に手動で供給し、手動混合で3分にわたって加工して、均質化を促進し、可塑剤の組み込みを促進した。2,4-DEHFを含む柔軟性PVC化合物を生産するために、ゲル化挙動によって追跡される、混合物の可塑化をもたらすために適切な任意の他の時間を使用することができる。本開示の試験試料は、カレンダー加工によって調製されたが、同時に化合物に可塑剤を組み込みながら、PVCを変換するために好適な任意の他の加工技法を使用することができる。カレンダー加工するとき、ロールをそれぞれ110℃及び140℃まで加熱したが、条件は、PVCを軟化させ、加工/混合を効果的に可能にするために好適な任意の他の温度及びロール速度に調整され得る。
【0098】
PVC組成物は、本明細書では、一例として40phr(PVC樹脂の100部当たりの部分)の可塑剤を用いて具体的に生産されたが、1~300phrの可塑剤の含有量が、市販の対応物と比較して、この2,4-フラノエートジエステルの予期される相対的なより低い移動に基づいて好適である。2,4-DEHF可塑剤以外に、フタル酸及び非フタル酸対照可塑剤を、上記の同じ方法論を通して比較対照試料の調製に使用した。2つの供給業者からのDOTPの試料を試験したため、DOTP_1及びDOTP_2である。
【0099】
本開示の試験試料及び比較対照試料の組成物が、以下の表1に記載される。
【表1】
【0100】
上記の表1に列挙された可塑剤の化学名が、以下に詳述される:
DEHF(本開示の可塑剤)-本開示の2,4-FDCAのジアルキルエステルの一例である、ジエチルヘキシル2,4-フラノエート(2,4-DEHF)(又はビス(2-エチルヘキシル)2,4-フラノエート、
DOPT-テレフタル酸ジエチルヘキシル(又はテレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル))-表1でDOPTの後に使用される単位名1及び2は、異なる供給業者を指す、
DOP-フタル酸ジエチルヘキシル(又はフタル酸ビス(2-エチルヘキシル))、
DOA-アジピン酸ジオクチル、
DINP-フタル酸ジイソノニル、
INBRAFLEX 5.0-エポキシ化大豆油の非特定エステルの市販の配合物、
INBRAFLEX 3.8-非特定エポキシ化大豆油の市販の配合物、及び
DRAPEX 6.8-エポキシ化大豆油の市販の配合物。
【0101】
実施例6
研究が、2,4-DEHFで可塑化されたPVC組成物の熱的性質を調査した。
【0102】
本開示の2,4-FDCAのジアルキルエステルで可塑化されたPVC組成物の熱的性能を、TGA(熱重量分析)によって決定した。約10mgの化合物試料、N雰囲気下で室温~1000℃、10℃/分の加熱速度を使用して、試験を実行した。標準的なフタル酸及びテレフタル酸系可塑剤DOPを含む比較対照試料と対比した、可塑剤として本開示の2,4-FDCAのジアルキルエステルを含む化合物の試験試料の結果として生じた熱重量曲線が、図2に示される。
【0103】
図2は、本発明のジアルキルエステルを用いて調製された化合物の熱安定性を、市販のDOPを用いて調製された比較試料と比較する。図2の試験結果は、本発明の可塑剤(2,4-FDCAのジアルキルエステル)で調製された結果として生じる化合物が、標準的なフタル酸及びテレフタル酸系可塑剤で調製された化合物と比較して優れた熱安定性を有することを実証した。
【0104】
実施例7
研究が、ショアA硬度を使用して、本開示の可塑剤の可塑化効率を調査した。
【0105】
ショアA硬度試験は、標準化された針が試料を貫通する深さを硬度スケールと相関させることによって、所与のPVC組成物の軟度を精査する。この点に関して、可塑剤の可塑化効率は、PVC樹脂を軟化させる可塑剤の能力として理解され得る。したがって、硬度値が低いほど、所与の可塑剤の可塑化効率が高くなる。これは、硬度値が特定のグレードを特徴付けるために使用され、配合調整が典型的に標的ショアA値範囲を目指して設計されるため、PVC部門では非常に重要な側面である。
【0106】
異なる可塑剤で可塑化されたPVC組成物のショアA硬度を、ASTM D2240規格に従って決定し、試験結果を図1に示す。図1に示されるように、本開示の2,4-DEHFで可塑化されたPVC組成物の試験試料は、フタル酸及びテレフタル酸系対応物について観察されたものよりも低いショアA硬度値を示した。実験結果は、新規の2,4-DEHF可塑剤が、PVC組成物中の標準的なフタル酸及びテレフタル酸系可塑剤のものよりも高い可塑化効率をPVC組成物で示すことを明確に実証した。したがって、フタル酸又はテレフタル酸系可塑剤と比較して、本明細書に記載される本開示のジエステルを使用することによって、可塑剤含有量を低減し、標的硬度値を有する所与のPVC組成物を達成することが可能である。
【0107】
実施例8
研究が、多くの用途において重要であり得る、PVC組成物中の本開示の可塑剤の永続性を調査した。
【0108】
永続性は、PVC組成物から食品、包装表面、又はPVC組成物と接触している任意の他の品目への滲出に対する所与の可塑化分子(又は任意の他の添加剤)の耐性と結び付けられる。特にフタル酸塩と関連付けられる問題である、汚染及び有害物質への使用者の曝露に関連する問題以外に、この現象もまた、経時的な性能の負の変化に関与している。
【0109】
移動試験をオーブン内で行い、規格ANBT-NBR NM-IEC 60811-3-2に従って、潜在的な滲出現象をシミュレート及び加速した。本発明の化合物1及び比較例4(表1に示される)の試料を、105℃の温度に曝露させ、可塑剤の移動に関連する重量減少測定を、試験開始後24時間(h)、48時間、72時間及び168時間(1週間)の間隔で記録した。比較例4が、フタル酸可塑剤に基づくため、この試験のために選択され、したがって、用途の観点及び構造の観点からより重要な比較である。DOPを含む比較例と対比した、可塑剤として本開示の2,4-FDCAのジアルキルエステルを含む化合物の試験試料を用いた移動試験から得られた結果として生じた重量減少曲線が、図3に示される。
【0110】
図3は、本発明の2,4-FDCAのジアルキルエステルで調製されたPVC化合物が、DOPで調製されたPVC化合物と比較すると、実験全体にわたって全体的により少ない重量減少を提示したことを実証する。低減した対称性、分岐単位の存在、及び2,4-DEHFの中心分子セグメント内のヘテロ原子の存在に由来する双極子モーメントなどの構造パラメータに基づいて、2,4-DEHFは、上記の比較などで、同等のペンダントアルキル側鎖を有するフタル酸可塑剤と比較すると、PVC組成物ではより低い相対的移動度を提示する。
【0111】
要約すると、本発明者らは、驚くべきことに、図1に示されるショアA硬度の実験結果が、本開示の2,4-FDCA可塑剤のジアルキルエステルがPVC組成物中の標準的なフタル酸及びテレフタル酸系可塑剤のものよりも高い可塑化効率をPVC組成物で示すことを実証することを見出した。本発明者はまた、驚くべきことに、本発明の可塑剤(2,4-FDCAのジアルキルエステル)を用いて調製された化合物が、それぞれ、図2及び図3に示されるように、標準的なフタル酸及びテレフタル酸系塑剤を用いて調製された化合物と比較して、優れた熱安定性及びより良好な永続性を有することも見出した。図1図3に実証される実験結果の組み合わせは、ポリマー組成物及び製品における可塑剤としての性能に関して、これらの新しいジアルキルエステルの好適性を実証する。
【0112】
本明細書に開示される現在好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明白であろう。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつその意図された利点を減少させることなく行われ得る。したがって、そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
可塑剤は、応用の観点から、PVCを最も万能な熱可塑性物質のうちの1つにすることに関与している。例えば、PVC樹脂が、可塑剤の含有量に応じて異なるレベルの柔軟性を有し得る一方で、剛性PVC材料(破断時伸長率<15%)は、通常、配合物に可塑剤を有しておらず、半剛性材料(破断時伸長率~約280%)は、質量で最大4分の1の可塑剤を有する。可塑剤含有量は、柔軟及び非常に柔軟な用途(伸長率>380%)において表出レベルに達し、PVC配合物は、重量でポリマーよりも多くの可塑剤を有し得る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
別の実施形態では、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)は、2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物が、一価脂肪族一級アルコールの供給源に応じて、典型的にはASTM D6866に従って測定される、約0.1%~約99%、約90%超、又は好ましくは29%~90%超などの異なるレベルのバイオベースの炭素を含有することを可能にする、再生可能な材料から合成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
別の実施形態では、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)又はその誘導体は、再生可能な材料、例えば、糖から合成され、2,4-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの化合物が、典型的にはASTM D6866に従って試験及び測定される、異なるレベルのバイオベースの炭素を含有することを可能にする、バイオベースの2,4-FDCAを生産する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
上記の表1に列挙された可塑剤の化学名が、以下に詳述される:
DEHF(本開示の可塑剤)-本開示の2,4-FDCAのジアルキルエステルの一例である、ジエチルヘキシル2,4-フラノエート(2,4-DEHF)(又はビス(2-エチルヘキシル)2,4-フラノエート
DOPT-テレフタル酸ジエチルヘキシル(又はテレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル))-表1でDOPTの後に使用される単位名1及び2は、異なる供給業者を指す、
DOP-フタル酸ジエチルヘキシル(又はフタル酸ビス(2-エチルヘキシル))、
DOA-アジピン酸ジオクチル、
DINP-フタル酸ジイソノニル、
INBRAFLEX 5.0-エポキシ化大豆油の非特定エステルの市販の配合物、
INBRAFLEX 3.8-非特定エポキシ化大豆油の市販の配合物、及び
DRAPEX 6.8-エポキシ化大豆油の市販の配合物。


【国際調査報告】