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特表2023-527822モータコントローラ及びこれを備えた車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】モータコントローラ及びこれを備えた車両
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230623BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572500
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2021094671
(87)【国際公開番号】W WO2021238745
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】202020926651.4
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼玉卓
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼万国
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼星春
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA04
5H770AA05
5H770AA21
5H770DA03
5H770DA21
5H770EA01
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770PA11
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA06
5H770QA22
5H770QA25
5H770QA28
5H770QA35
(57)【要約】
本開示は、モータコントローラ(1)及びこれを備えた車両(1000)を開示し、モータコントローラ(1)は、順に積層された低圧制御層(110)、駆動層(120)及び電力層(130)が内部に画定されたボックス(100)と、低圧制御ユニット(200)と、駆動ユニット(300)と、電力ユニット(400)と、を含み、低圧制御ユニット(200)は、低圧制御層(110)に設置され、駆動ユニット(300)は、駆動層(120)に設置され、電力ユニット(400)は、電力層(130)に設置され、ボックス(100)の低圧制御層(110)と駆動層(120)との間に位置する部分は、電磁シールドである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された低圧制御層、駆動層及び電力層が順に内部に画定されたボックスと、
前記低圧制御層に設置された低圧制御ユニットと、
前記駆動層に設置された駆動ユニットと、
前記電力層に設置された電力ユニットと、を含み、
前記ボックスの前記低圧制御層と前記駆動層との間に位置する部分は、電磁シールドであることを特徴とするモータコントローラ。
【請求項2】
前記ボックスは、
第1ボックスと、
前記第1ボックスの一側に取り付けられ、前記第1ボックスと共に前記低圧制御層を画定する第1カバー板と、
前記第1ボックスの他側に取り付けられ、前記第1ボックスと共に前記駆動層を画定する第2ボックスと、
前記第2ボックスの前記第1ボックスに背向する側に取り付けられ、前記第2ボックスと共に前記電力層を画定する第2カバー板と、を含み、
前記電磁シールドは、前記第1ボックスの前記第2ボックスに向かう側に形成されることを特徴とする請求項1に記載のモータコントローラ。
【請求項3】
前記低圧制御ユニットは、
前記第1ボックスに設置された低圧統合制御基板と、
前記第1ボックスに設置されたブリーダー抵抗と、
前記低圧統合制御基板に設置され、前記第1カバー板から露出する低圧プラグ端子と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のモータコントローラ。
【請求項4】
前記駆動ユニットは、
前記第2ボックスに設置された第1IGBTモジュール組立体及び第2IGBTモジュール組立体と、
前記第2ボックスに設置された直流ホール及び交流ホールと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のモータコントローラ。
【請求項5】
第1磁気リング及び第2磁気リングをさらに含み、前記第1IGBTモジュール組立体は、第1IGBTモジュールと、第1信号線により前記低圧制御ユニットに接続された第1駆動板と、を含み、前記第1磁気リングは前記第1信号線にスリーブされ、
前記第2IGBTモジュール組立体は、第2IGBTモジュールと、第2信号線により前記低圧制御ユニットに接続された第2駆動板と、を含み、前記第2磁気リングは、前記第2信号線にスリーブされることを特徴とする請求項4に記載のモータコントローラ。
【請求項6】
前記電力ユニットは、
前記第2ボックスに設置された昇圧回路と、
前記昇圧回路に接続され、前記第2ボックスから突出する直流コネクタと、
昇圧回路に接続され、前記第2ボックスから突出する配電コネクタと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のモータコントローラ。
【請求項7】
前記昇圧回路は、第3磁気リングが統合されたコンデンサと、インダクタと、を含むことを特徴とする請求項6に記載のモータコントローラ。
【請求項8】
前記昇圧回路は、Yコンデンサが統合されたコンデンサと、インダクタと、を含むことを特徴とする請求項6に記載のモータコントローラ。
【請求項9】
前記昇圧回路は、第3磁気リング及びYコンデンサが統合されたコンデンサと、インダクタと、を含むことを特徴とする請求項6に記載のモータコントローラ。
【請求項10】
前記ボックスは、前記駆動層と前記電力層との間に位置し、前記駆動ユニット及び前記電力ユニットから熱を放散させる冷媒通路を備えることを特徴とする請求項1に記載のモータコントローラ。
【請求項11】
前記冷媒通路の一端に接続された液体注入管と、
前記冷媒通路の他端に接続された液体排出管と、をさらに含み、
前記液体注入管と前記液体排出管は、それぞれ前記ボックスの対向する2つの側壁に設置される、ことを特徴とする請求項10に記載のモータコントローラ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のモータコントローラを含むことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、出願日が2020年5月27日、出願番号が202020926651.4、名称が「モータコントローラ及びこれを備えた車両」である特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、モータ制御の技術分野に関し、特にモータコントローラ及びそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術における車両について、そのモータコントローラには、統合レベルを向上させるために、デュアルモータ制御機能が統合される。該統合型モータコントローラは、積層構造を用いて、ある程度でモータコントローラ全体の体積を減少させる。しかしながら、該種類のモータコントローラは、EMC(電磁両立性)が低く、耐干渉能力が低いとともに、外部放射強度が高く、車両全体の他の機能の効果に影響しやすい。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決することを目的とする。このために、本開示は、構造がコンパクトで、電磁両立性が良く、耐干渉能力が高く、外部放射強度が低いなどの利点を有するモータコントローラを提供する。
【0005】
本開示は、前記モータコントローラを備えた車両をさらに提供する。
【0006】
本開示の第1態様の実施例に係るモータコントローラは、順に積層された低圧制御層、駆動層及び電力層が内部に画定されたボックスと、前記低圧制御層に設置された低圧制御ユニットと、前記駆動層に設置された駆動ユニットと、前記電力層に設置された電力ユニットと、を含み、前記ボックスの前記低圧制御層と前記駆動層との間に位置する部分は、電磁シールドである。
【0007】
本開示の実施例に係るモータコントローラは、構造がコンパクトで、電磁両立性が良く、耐干渉能力が高く、外部放射強度が低いなどの利点を有する。
【0008】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記ボックスは、第1ボックスと、前記第1ボックスの一側に取り付けられ、前記第1ボックスと共に前記低圧制御層を画定する第1カバー板と、前記第1ボックスの他側に取り付けられ、前記第1ボックスと共に前記駆動層を画定する第2ボックスと、前記第2ボックスの前記第1ボックスに背向する側に取り付けられ、前記第2ボックスと共に前記電力層を画定する第2カバー板と、前記電磁シールドは、前記第1ボックスの前記第2ボックスに向かう側に形成される。
【0009】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記低圧制御ユニットは、前記第1ボックスに設置された低圧統合制御基板と、前記第1ボックスに設置されたブリーダー抵抗と、前記低圧統合制御基板に設置され、前記第1カバー板から露出する低圧プラグ端子と、を含む。
【0010】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記駆動ユニットは、前記第2ボックスに設置された第1IGBTモジュール組立体及び第2IGBTモジュール組立体と、前記第2ボックスに設置された直流ホール及び交流ホールと、を含む。
【0011】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記モータコントローラは、第1磁気リング及び第2磁気リングをさらに含み、前記第1IGBTモジュール組立体は、第1IGBTモジュールと、第1信号線により前記低圧制御ユニットに接続された第1駆動板と、を含み、第1磁気リングは、前記第1信号線にスリーブされ、前記第2IGBTモジュール組立体は、第2IGBTモジュールと、第2信号線により前記低圧制御ユニットに接続された第2駆動板と、を含み、前記第2磁気リングは、前記第2信号線にスリーブされる。
【0012】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記電力ユニットは、前記第2ボックスに設置された昇圧回路と、前記昇圧回路に接続され、前記第2ボックスから突出する直流コネクタと、昇圧回路に接続され、前記第2ボックスから突出する配電コネクタと、を含む。
【0013】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記昇圧回路は、第3磁気リングが統合されたコンデンサと、インダクタと、を含む。
【0014】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記昇圧回路は、Yコンデンサが統合されたコンデンサと、インダクタと、を含む。
【0015】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記昇圧回路は、第3磁気リング及びYコンデンサが統合されたコンデンサと、インダクタと、を含む。
【0016】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記ボックスは、前記駆動層と前記電力層との間に位置し、前記駆動ユニット及び前記電力ユニットから熱を放散させる冷媒通路を備える。
【0017】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記モータコントローラは、前記冷媒通路の一端に接続された液体注入管と、前記冷媒通路の他端に接続された液体排出管と、をさらに含み、前記液体注入管と前記液体排出管は、それぞれ前記ボックスの対向する2つの側壁に設置される。
【0018】
本開示の第2態様の実施例に係る車両は、本開示の第1態様の実施例に係るモータコントローラを含む。
【0019】
本開示の第2態様の実施例に係る車両は、本開示の第1態様の実施例に係るモータコントローラにより、構造がコンパクトで、電磁両立性が良く、耐干渉能力が高く、外部放射強度が低く、空間利用率が高いなどの利点を有する。
【0020】
本開示の追加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか、又は、本開示の実施により把握される。
【0021】
本開示の上記及び/又は追加的な態様及び利点は以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の実施例に係るモータコントローラの構造概略図である。
図2】本開示の実施例に係るモータコントローラの正面図である。
図3】本開示の実施例に係るモータコントローラの分解図である。
図4】本開示の実施例に係るモータコントローラの低圧制御層のレイアウト概略図である。
図5】本開示の実施例に係るモータコントローラの駆動層のレイアウト概略図である。
図6】本開示の実施例に係るモータコントローラの第2ボックスの平面図である。
図7】本開示の実施例に係るモータコントローラの電力層のレイアウト概略図である。
図8】本開示の実施例に係る車両のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。図面を参照して説明される実施例は例示的なものである。以下、本開示の実施例を詳細に説明する。
【0024】
なお、本開示の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本開示を限定するものであると理解してはならない。
【0025】
本開示の説明において、「複数」とは、2以上を意味する。
【0026】
以下、図面を参照して、本開示の実施例に係るモータコントローラ1を説明する。
【0027】
図1図7に示すように、本開示に係るモータコントローラ1は、ボックス100と、低圧制御ユニット200と、駆動ユニット300と、電力ユニット400と、を含む。
【0028】
ボックス100内には、順に積層された低圧制御層110、駆動層120及び電力層130が画定される。低圧制御ユニット200は、低圧制御層110に設置される。駆動ユニット300は、駆動層120に設置される。電力ユニット400は、電力層130に設置される。ボックス100の低圧制御層110と駆動層120との間に位置する部分は、電磁シールドである。
【0029】
例えば、低圧制御ユニット200の動作電圧は、6V~12Vであり、例えば8Vである。電力ユニット400の動作電力は、600uF~800uFである。上記電磁シールドは、金属材料で製造されてもよい。低圧制御層110、駆動層120及び電力層130は、ボックス100の上下方向に沿って間隔を隔てて設置され、駆動層120は、低圧制御層110と電力層130との間に位置し、換言すれば、低圧制御層110、駆動層120及び電力層130は、上下方向に沿って順に配列される。駆動ユニット300の動作電圧は、低圧制御ユニット200の動作電圧よりも遥かに高く、電力ユニット400の動作電力は、駆動ユニット300の動作電力及び低圧制御ユニット200の動作電力よりも高い。
【0030】
本開示の実施例に係るモータコントローラ1において、ボックス100内には、順に積層された低圧制御層110、駆動層120及び電力層130が画定される。低圧制御ユニット200は、低圧制御層110に設置される。駆動ユニット300は、駆動層120に設置される。ボックス100の低圧制御層110と駆動層120との間に位置する部分は、電磁シールドである。駆動ユニット300の動作電圧は低圧制御ユニット200の動作電圧よりも遥かに高いので、駆動ユニット300は、動作中に低圧制御層200に対して強い電磁干渉を有する。このため、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300を階層的に設置することにより、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300との間の距離を増加させ、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300との間の電磁両立性(Electronicmagnetic Compatible、EMC)を改善し、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300との間に電磁シールドが設置されることにより、駆動ユニット300の放射干渉を防止することができる。駆動ユニット300の干渉信号は、低圧制御ユニット200に到達する前に、電磁シールドにより減衰される。このようにして、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300との間の電磁両立性をさらに改善し、耐干渉能力を向上させ、外部放射強度を減少させる。
【0031】
また、電力ユニット400は、電力層130に設置される。理解できるように、電力ユニット400の動作電力は、低圧制御ユニット200の動作電力及び駆動ユニット300の動作電力よりも遥かに高い。このため、電力ユニット400の体積は、低圧制御ユニット200の体積及び駆動ユニット300の体積よりも遥かに大きい。電力ユニット400は、単独でボックス100の1層に配置される。体積の大きな電力ユニット400を一様に配置してもよい。モータコントローラ1の積層構造を組み合わせて、モータコントローラ1のコンパクト性を向上させ、モータコントローラ1の体積を大幅に縮小することができ、モータコントローラ1の小型化に有利である。
【0032】
このようにして、本開示の実施例に係るモータコントローラ1は、構造がコンパクトで、電磁両立性が良く、耐干渉能力が高く、外部放射強度が低いなどの利点を有する。
【0033】
本開示のいくつかの実施例によれば、図3に示すように、ボックス100は、第1ボックス140と、第2ボックス150と、第1カバー板160と、第2カバー板170と、を含む。
【0034】
第1カバー板160は、第1ボックス140の一側に取り付けられ、第1ボックス140と共に低圧制御層110を画定し、第2ボックス150は、第1ボックス140の他側に取り付けられ、第1ボックス140と共に駆動層120を画定する。第2カバー板170は、第2ボックス150の第1ボックス140に背向する側に取り付けられ、第2ボックス150と共に電力層130を画定する。上記電磁シールドは、第1ボックス140の第2ボックス150に向かう側に形成される。このようにして、モータコントローラ1の体積が小さいことを保証し、モータコントローラ1全体の構造安定性を向上させる。
【0035】
例えば、第1カバー板160は、第1ボックス140の上方に取り付けられる。第2ボックス150は、第1ボックス140の下方に取り付けられる。第2カバー板170は、第2ボックス150の下方に取り付けられる。上記電磁シールドは、第1ボックス140の下方に形成される。第2カバー板170には、モータコントローラ1全体の重量を軽減し、コストを低減するように、複数の透かし彫り部が設置される。
【0036】
本開示のいくつかの実施例によれば、図4に示すように、低圧制御ユニット200は、低圧統合制御基板210と、ブリーダー抵抗220と、低圧プラグ端子230と、を含む。低圧統合制御基板210は、第1ボックス140に設置される。ブリーダー抵抗220は、第1ボックス140に設置される。低圧プラグ端子230は、低圧統合制御基板210に設置され、第1カバー板160から露出する。
【0037】
図4に示すように、低圧制御ユニット200の低圧プラグ端子230は、第1ボックス140の後側に位置し、低圧制御ユニット200の左後側領域に位置し、低圧制御ユニット200の上方に位置し、低圧制御ユニット200に接続される。ブリーダー抵抗220は、低圧制御ユニット200の右前方に位置する。
【0038】
例えば、低圧統合制御基板210は、低圧プラグ端子230を介して車両コントローラ(Vehicle control unit、VCU)に電気的に接続され、車両コントローラの信号に基づいて車両モータの動作を制御する。ブリーダー抵抗220は、車両が駐車しているなどの場合に、モータコントローラ1におけるコンデンサ素子に貯蔵されたエネルギーを消費する。コンデンサ素子に貯蔵されたエネルギーを放出するために2min~3minを必要とする。これにより、ユーザがモータコントローラ1を取り外すときに感電することを防止し、モータコントローラ1の信頼性を向上させる。
【0039】
本開示のいくつかの実施例によれば、図7に示すように、電力ユニット400は、第2ボックス150に設置された昇圧回路と、上記昇圧回路に接続され、第2ボックス150から突出する直流コネクタ410と、昇圧回路に接続され、第2ボックス150から突出する配電コネクタ420と、を含む。
【0040】
本開示のいくつかの実施例によれば、上記昇圧回路は、第3磁気リングが統合されたコンデンサ430と、インダクタ440と、を含む。
【0041】
本開示のいくつかの実施例によれば、上記昇圧回路は、Yコンデンサが統合されたコンデンサ430と、インダクタ440と、を含む。
【0042】
本開示のいくつかの実施例によれば、上記昇圧回路は、第3磁気リング及びYコンデンサが統合されたコンデンサ430と、インダクタ440と、を含む。
【0043】
図7に示すように、インダクタ440は、第2ボックス150の下面の中心領域に位置する。コンデンサ430は、インダクタ440の周方向に沿ってインダクタ440を取り囲む。直流コネクタ410は、第2ボックス150の下面の右後側領域に位置する。配電コネクタ420は、第2ボックス150の下面の右前側領域に位置する。
【0044】
例えば、コンデンサ430は、薄膜コンデンサであってもよい。コンデンサ430にバスコンデンサ及び昇圧コンデンサがさらに統合される。ブリーダー抵抗220は、主に上記バスコンデンサにおける電気エネルギーを消費する。上記昇圧コンデンサ及び上記インダクタ440は、上記昇圧回路を構成する。直流コネクタ410は、車両における電源に接続される。上記昇圧回路は、それぞれ直流コネクタ410と配電コネクタ420に接続される。上記電源の電気エネルギーは、直流コネクタ410を通過した後に上記昇圧回路に流れ、さらに昇圧回路により電圧を高めた後に配電コネクタ420に流れ、配電コネクタ420は、車両の電気機器(例えば、エアコン)に給電することができる。
【0045】
また、Yコンデンサ及び第3磁気リングは、コンデンサ430の直流入口に設置される。理解できるように、直流と交流との間に電磁干渉が存在する。Yコンデンサは、コモンモード干渉を抑制することができる。第3磁気リングは、コンデンサ430の耐干渉能力を向上させることができる。このようにして、モータコントローラ1の電磁両立性をさらに改善する。また、直流コネクタ410と配電コネクタ420は、それぞれ、モータコントローラ1の両端に設置され、直流コネクタ410内の電流と配電コネクタ420内の電流との間に電磁干渉が発生することも防止し、モータコントローラ1の電磁両立性をさらに改善する。
【0046】
本開示のいくつかの実施例によれば、図5に示すように、駆動ユニット300は、第2ボックス150に設置された第1IGBTモジュール組立体及び第2IGBTモジュール組立体と、第2ボックス150に設置された直流ホール350及び交流ホール360と、を含む。
【0047】
モータコントローラ1は、第1磁気リング370と、第2磁気リング380と、をさらに含む。上記第1IGBTモジュール組立体は、第1IGBTモジュール310と、第1信号線240により低圧制御ユニット200に接続された第1駆動板330と、を含む。第1磁気リング370は、第1信号線240にスリーブされる。上記第2IGBTモジュール組立体は、第2IGBTモジュール320と、第2信号線250により低圧制御ユニット200に接続された第2駆動板340と、を含む。第2磁気リング380は、第2信号線250にスリーブされる。
【0048】
図5に示すように、第1IGBTモジュール組立体と第2IGBTモジュール組立体は、前後方向に沿って間隔を隔てて設置される。第1信号線240は、第1駆動板330に取り付けられ、第1駆動板330の後側領域に位置する。第2信号線250は、第2駆動板340に取り付けられ、第2駆動板340の後側領域に位置する。第1IGBTモジュール310は、第1駆動板330の左側に位置する。第2IGBTモジュール320は、第2駆動板340の左側に位置する。第1磁気リング370は、第1信号線240にスリーブされて、第1駆動板330の上方に位置する。第2磁気リング380は、第2信号線250にスリーブされて、第2駆動板340の上方に位置する。交流ホール360と直流ホール350は、いずれも上記第1IGBTモジュール組立体と第2IGBTモジュール組立体の左側に位置する。交流ホール360は、直流ホール350の前方に位置する。また、図7に示すように、交流ホール360の一部は、第2ボックス150の下面に位置し、インダクタ440の左側に位置し、前後方向において直流コネクタ410と配電コネクタ420との間に位置する。
【0049】
例えば、直流ホール350は、コンデンサ430と2つのIGBTモジュール組立体との間の直流信号を収集する。交流ホール360は、2つのIGBTモジュールの三相出力端子とコンデンサ430との間の交流信号を収集する。図5に示すように、コンデンサ430の少なくとも一部は、それぞれ2つのIGBTモジュール組立体に接続されるように、駆動層120に伸びる。直流ホール350及び交流ホール360は、構造を低圧統合制御基板210にフィードバックする。低圧統合制御基板210は、フィードバックに基づいてモータのパラメータを調整し制御して、車両の通常運転を保証することができる。
【0050】
第1信号線240及び第2信号線250は、いずれもPWM(Pulse width modulation、パルス幅変調)線であってもよい。磁気リングは、回路の耐干渉能力を向上させ、ノイズを抑制することができるため、第1磁気リング370及び第2磁気リング380は、駆動ユニット300の高電圧干渉が低圧統合制御基板210に結合されることをさらに防止し、モータコントローラ1のEMCをさらに改善することができる。
【0051】
また、モータコントローラ1は、三相線射出成形部品620と、三相線カバー640と、をさらに含む。三相線射出成形部品620は、2つのIGBTモジュール310の三相出力の銅バスバーを固定する。三相線射出成形部品620は、絶縁体であることにより、ボックス100に流れる上記銅バスバーの高電圧を低減することができ、モータコントローラ1の高電圧が車両の他の部品に接続されることを回避し、モータコントローラ1の使用安全性を向上させるだけでなく、モータコントローラ1の外部放射強度を低下させる。図1及び図2に示すように、三相線カバー640は、モータコントローラ1の三相ソケットを構成する。車両のモータは、三相線カバー640により構成された上記三相ソケットを介してモータコントローラ1に電気的に接続できる。
【0052】
本開示のいくつかの実施例によれば、図6に示すように、ボックス100は、駆動層120と電力層130との間に位置し、駆動ユニット300及び電力ユニット400から熱を放散させる冷媒通路500を備える。
【0053】
本開示のいくつかの実施例において、冷媒通路500は、第2ボックス150に設置される。第2ボックス150は、製造時に摩擦圧接により、第2ボックス150と一体成形された冷媒通路500を備える。関連技術における第2ボックス150を単独で製造した後に水路板を取り付けて冷却水通路を画定することに比べて、組立フローを簡略化し、生産効率を向上させ、かつ冷媒通路500と第2ボックス150との間の構造安定性がより高い。
【0054】
駆動ユニット300における上記第1IGBTモジュール組立体と第2IGBTモジュール組立体は、動作過程において熱を生成する。冷媒通路500内の冷媒(例えば、水)は、上記第1IGBTモジュール組立体と第2IGBTモジュール組立体の放熱効率を向上させ、上記第1IGBTモジュール組立体と第2IGBTモジュール組立体の動作効率を保証し、上記第1IGBTモジュール組立体と第2IGBTモジュール組立体が過熱により損傷することを防止することができる。電力ユニット400におけるコンデンサ430及びインダクタ440も熱を生成する。冷媒通路500内の冷媒(例えば、水)は、コンデンサ430及びインダクタ440の放熱効率を向上させ、コンデンサ430及びインダクタ440の動作効率を保証し、コンデンサ430及びインダクタ440が過熱により損傷することを防止することができる。このようにして、モータコントローラ1の信頼性を向上させる。
【0055】
このようにして、冷媒通路500は、2つのIGBTモジュール組立体、コンデンサ430及びインダクタ440の4つの部品から熱を同時に放散させることができ、モータコントローラ1の空間利用率を大幅に向上させ、冷媒通路500の体積を減少させ、モータコントローラ1の統合レベルを向上させ、それによりモータコントローラ1の小型化に有利である。
【0056】
本開示のいくつかの実施例によれば、図6に示すように、モータコントローラ1は、冷媒通路500の一端に接続された液体注入管510と、冷媒通路500の他端に接続された液体排出管520と、をさらに含む。液体注入管510と液体排出管520は、それぞれ、ボックス100の対向する2つの側壁に設置される。
【0057】
例えば、冷媒通路500は、モータコントローラ1の長さ方向に沿って延在する。2つのIGBTモジュール組立体は、冷媒通路500の長さ方向に沿って間隔を隔てて設置される。各IGBTモジュール組立体の長さ方向は、いずれも冷媒通路500の長さ方向と同じである。液体注入管510及び液体排出管520の設置により、冷媒通路500における冷媒をタイムリーに連続的に交換することを容易にし、冷媒通路500の冷却効率を保証する。また、液体注入管510と液体排出管520は、冷媒通路500の長さ方向の両端に位置する。このようにして、冷媒通路500における冷媒の流れ方向は、2つのIGBTモジュール組立体の配置方向と同じとなり、上記冷媒が2つのIGBTモジュール組立体を十分に流れるため、上記冷媒と2つのIGBTモジュール組立体との接触面積を保証し、さらに放熱効果を向上させる。
【0058】
以下、図面を参照して、本開示の実施例に係る車両1000を説明し、上記車両1000は、本開示の実施例に係るモータコントローラ1を含む。
【0059】
例えば、図1図8に示すように、モータコントローラ1は、ボックス100から取り外すことができる可動支持脚610と、位置決めピン630と、をさらに含む。モータコントローラ1は、可動支持脚610を交換することにより異なるタイプの車両1000に取り付けられ、モータコントローラ1の適用性を向上させる。また、モータコントローラ1は、位置決めピン630により車両1000との接続の安定性を向上させる。
【0060】
本開示の実施例に係る車両1000は、本開示の実施例に係るモータコントローラ1により、構造がコンパクトで、電磁両立性が良く、耐干渉能力が高く、外部放射強度が低く、空間利用率が高いなどの利点を有する。
【0061】
本開示の実施例に係るモータコントローラ1の他の構成例及び操作は、当業者にとって既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0062】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。
【0063】
本開示の実施例を示し、説明したが、当業者であれば理解できるように、本開示の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその等価範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0064】
1 モータコントローラ
100 ボックス
110 低圧制御層
120 駆動層
130 電力層
140 第1ボックス
150 第2ボックス
160 第1カバー板
170 第2カバー板
200 低圧制御ユニット
210 低圧統合制御基板
220 ブリーダー抵抗
230 低圧プラグ端子
240 第1信号線
250 第2信号線
300 駆動ユニット
310 第1IGBTモジュール
320 第2IGBTモジュール
330 第1駆動板
340 第2駆動板
350 直流ホール
360 交流ホール
370 第1磁気リング
380 第2磁気リング
400 電力ユニット
410 直流コネクタ
420 配電コネクタ
430 コンデンサ
440 インダクタ
500 冷媒通路
510 液体注入管
520 液体排出管
610 可動支持脚
620 三相線射出成形部品
630 位置決めピン
640 三相線カバー
1000 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本開示の実施例に係るモータコントローラ1において、ボックス100内には、順に積層された低圧制御層110、駆動層120及び電力層130が画定される。低圧制御ユニット200は、低圧制御層110に設置される。駆動ユニット300は、駆動層120に設置される。ボックス100の低圧制御層110と駆動層120との間に位置する部分は、電磁シールドである。駆動ユニット300の動作電圧は低圧制御ユニット200の動作電圧よりも遥かに高いので、駆動ユニット300は、動作中に低圧制御層110に対して強い電磁干渉を有する。このため、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300を階層的に設置することにより、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300との間の距離を増加させ、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300との間の電磁両立性(Electronicmagnetic Compatible、EMC)を改善し、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300との間に電磁シールドが設置されることにより、駆動ユニット300の放射干渉を防止することができる。駆動ユニット300の干渉信号は、低圧制御ユニット200に到達する前に、電磁シールドにより減衰される。このようにして、低圧制御ユニット200と駆動ユニット300との間の電磁両立性をさらに改善し、耐干渉能力を向上させ、外部放射強度を減少させる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
例えば、直流ホール350は、コンデンサ430と2つのIGBTモジュール組立体との間の直流信号を収集する。交流ホール360は、2つのIGBTモジュールの三相出力端子とコンデンサ430との間の交流信号を収集する。図5に示すように、コンデンサ430の少なくとも一部は、それぞれ2つのIGBTモジュール組立体に接続されるように、駆動層120に伸びる。直流ホール350及び交流ホール360は、結果を低圧統合制御基板210にフィードバックする。低圧統合制御基板210は、フィードバックに基づいてモータのパラメータを調整し制御して、車両の通常運転を保証することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
また、モータコントローラ1は、三相線射出成形部品620と、三相線カバー640と、をさらに含む。三相線射出成形部品620は、2つのIGBTモジュールの三相出力の銅バスバーを固定する。三相線射出成形部品620は、絶縁体であることにより、ボックス100に流れる上記銅バスバーの高電圧を低減することができ、モータコントローラ1の高電圧が車両の他の部品に接続されることを回避し、モータコントローラ1の使用安全性を向上させるだけでなく、モータコントローラ1の外部放射強度を低下させる。図1及び図2に示すように、三相線カバー640は、モータコントローラ1の三相ソケットを構成する。車両のモータは、三相線カバー640により構成された上記三相ソケットを介してモータコントローラ1に電気的に接続できる。
【国際調査報告】