(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】不連続な金属層を有する取引カード
(51)【国際特許分類】
B42D 25/305 20140101AFI20230623BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20230623BHJP
B42D 25/373 20140101ALI20230623BHJP
【FI】
B42D25/305
B32B15/04 B
B42D25/373
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573685
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 US2021034426
(87)【国際公開番号】W WO2021247353
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516351810
【氏名又は名称】コンポセキュア,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】アダム ロウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エサウ
【テーマコード(参考)】
2C005
4F100
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HB09
2C005KA02
2C005KA09
2C005KA40
4F100AA33D
4F100AB01B
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4F100JL10E
4F100JN01D
(57)【要約】
例えばガラス又は他の透明層のような第1の層の面上に配置された、所望の程度の渦電流分断を有する不連続な金属層を有する取引カード。第1の層に配置された取引モジュールは、不連続な金属層から電気的に絶縁される。不連続な金属層は、例えば肉眼では不透明に見えるパターンのようなハーフトーンパターンを形成する、複数の分離した金属部材を含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1のガラス層と、
前記ガラス層の第1の面に配置され、所望の程度の渦電流分断を有する不連続な金属層と、
前記第1のガラス層中に配置され、前記不連続な金属層から電気的に絶縁されている、接触、非接触、又は二重インタフェースの取引モジュールと、を備える取引カード。
【請求項2】
前記不連続な金属層が複数の不連続部を有する金属層を備える、請求項1に記載の取引カード。
【請求項3】
前記複数の不連続部がパターンを形成する、請求項2に記載の取引カード。
【請求項4】
前記複数の不連続部が、予め定められたレベルより小さいエネルギーの存在下で、隣接する金属領域の渦電流の同期を回避するように構成された、請求項2又は3に記載の取引カード。
【請求項5】
不連続な金属層が複数の分離した金属部材を備える、請求項1に記載の取引カード。
【請求項6】
前記複数の分離した金属部材がパターンを形成する、請求項5に記載の取引カード。
【請求項7】
前記複数の金属部材の各々が、少なくとも予め定められた最小限の距離だけ隣接する金属部材から隔てられている、請求項5又は6に記載の取引カード。
【請求項8】
前記予め定められた最小限の距離が、予め定められたレベルのエネルギーより小さいエネルギーの存在下で、隣接するハーフトーンドットの間のエネルギーの橋渡しを回避するために算出される距離である、請求項7に記載の取引カード。
【請求項9】
前記予め定められたレベルのエネルギーが、非接触の取引カード読み取り装置の最大の場の強度を含む、請求項4又は8に記載の取引カード。
【請求項10】
前記パターンがハーフトーンパターンを備える、請求項3又は6に記載の取引カード。
【請求項11】
前記ハーフトーンパターンが前記カードの第1の面全体に均一に分布する前記複数の金属部材又は不連続部を備える、請求項10に記載の取引カード。
【請求項12】
前記ハーフトーンパターンが、ハーフトーン画像を形成する偏在を有する、前記複数の金属部材、前記複数の不連続部又はそれらの組み合わせを備える、請求項10に記載の取引カード。
【請求項13】
前記ハーフトーンパターンが、金属部材と非金属部材との組合せを含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項14】
前記ハーフトーンパターンの形が連続な不透明層として人の眼に認識可能である、請求項10~13のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項15】
第2のガラス層をさらに備える、請求項1~14のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項16】
前記不連続な金属層が、前記第1のガラス層と前記第2のガラス層との間に配置される、請求項15に記載の取引カード。
【請求項17】
前記第2のガラス層の面上に配置された金属化ブースタアンテナをさらに含み、前記金属化ブースタアンテナが前記取引モジュールに結合され又は結合するように構成され、前記ガラスの第1の層上の前記不連続な金属層から電気的に絶縁されている、請求項15に記載の取引カード。
【請求項18】
前記金属化ブースタアンテナが、前記第1のガラス層と前記第2のガラス層との間に配置された前記第2のガラス層の内面上に配置される、請求項17に記載の取引カード。
【請求項19】
前記不連続な金属層と前記金属化ブースタアンテナとの間に配置された電気絶縁層を更に備える、請求項17に記載の取引カード。
【請求項20】
前記電気絶縁層が非金属層を備える、請求項19に記載の取引カード。
【請求項21】
前記金属化ブースタアンテナが、前記第1のガラス層から外側に向いた前記第2のガラス層の外面に配置された、請求項17に記載の取引カード。
【請求項22】
前記金属化アンテナの上をおおう保護コーティングを更に備える、請求項21に記載の取引カード。
【請求項23】
前記金属化ブースタアンテナが透明である、請求項17~22のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項24】
前記金属化アンテナが酸化インジウムスズ(ITO)を備える、請求項23に記載の取引カード。
【請求項25】
前記不連続な金属層が前記第1のガラス層の第1の外面に配置される、請求項1~14のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項26】
前記第1のガラス層の第2の外面上に配置された金属化ブースタアンテナをさらに備え、前記金属化ブースタアンテナが前記取引モジュールに結合された又は結合するように構成された、請求項25に記載の取引カード。
【請求項27】
前記不連続な金属層の隣接した金属部材の間に配置された電気絶縁材料をさらに備える、請求項5~14及び25~26のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項28】
前記不連続な金属層をおおって配置された電気絶縁材料を更に備える、請求項1~27のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項29】
前記ガラスの第1の層がフレキシブルガラス又は順応ガラスを備える、請求項1~28のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項30】
前記第1のガラス層及び前記第2のガラス層の一方又は両方がフレキシブルガラス又は順応ガラスを含む、請求項15に記載の取引カード。
【請求項31】
前記フレキシブルガラスが、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ホウ素含有アルミノケイ酸塩ガラス、サファイヤガラス又はイオン交換強化ガラスを備える、請求項29又は30に記載の取引カード。
【請求項32】
前記第1のガラス層の第2の面が、印刷インク層、ラミネート層、レーザーパターン層、被覆層、写真平板層、印刷OLED層、埋め込み電子回路層、又は真空蒸着層から構成されるグループから選択された付加的な層と接触している、請求項1~24のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項33】
一つ以上の付加的な層をさらに含む、請求項1~32のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項34】
前記一つ以上の付加的な層は、印刷インク層、ラミネート層、レーザーパターン層、被覆層、写真平板層、印刷OLED層、埋め込み電子回路層、又は真空蒸着層から構成されるグループから選択される、請求項33に記載の取引カード。
【請求項35】
第1の層と、
前記第1の層の第1の面上に配置され、ハーフトーンパターンを形成する複数の分離した金属部材を備える不連続な金属層と、
前記第1の層内に配置され、前記不連続な金属層から電気的に絶縁されている、接触、非接触、又は二重インタフェースの取引モジュールと、を備える取引カード。
【請求項36】
予め定められたレベルのエネルギーより小さいエネルギーの存在下で、少なくとも隣接する分離した金属部材の間のエネルギーの橋渡しを回避するために算出された予め定められた最小限の距離だけ、前記複数の分離した金属部材の各々が隣接する金属部材から隔てられる、請求項35に記載の取引カード。
【請求項37】
前記予め定められたレベルのエネルギーが非接触の取引カード読み取り装置の最大の場の強度を含む、請求項36に記載の取引カード。
【請求項38】
前記第1の層が非金属層を備える、請求項35~37のいずれか1項に記載の取引カード。
【請求項39】
前記非金属層が透明材料を備える、請求項38に記載の取引カード。
【請求項40】
前記非金属層の下に配置された下部の層をさらに含み、前記ハーフトーンパターンが前記下部の層の可視性を隠す連続した不透明層として人の眼に認識可能である、請求項38又は39に記載の取引カード。
【請求項41】
前記下部の層が金属層を備える、請求項40に記載の取引カード。
【請求項42】
前記下部の金属層が複数の不連続部を備える、請求項41に記載の取引カード。
【請求項43】
前記不連続な金属層が、前記カードの下部の面又は層の可視性が得られるようにする一つ以上の透過領域を含む、請求項1又は39の取引カード。
【請求項44】
前記一つ以上の透過領域を通して見える前記下部の面又は層がもう一つの不連続な金属層を含む、請求項43に記載の取引カード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月1日に出願された、「不連続な金属層を有する取引カード(TRANSACTION CARDS WITH DISCONTINUOUS METAL STRATA)」という名称の米国仮特許出願第63/032,911号の優先権を主張し、すべての目的のためにこの仮特許出願の内容全体を参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
ガラスを含む取引カードは、特許文献1及び特許文献2を含むがこれらに限定されない多数の特許及び出願に記載されている。同様に、金属を含む取引カードは、特許文献3を含むがこれらに限定されない多数の特許及び出願に記載されている。非接触又はデュアルインタフェース取引機能を有する金属カードの設計についての1つの考慮すべき事柄は、金属層の金属が、非接触モードの操作性に影響を及ぼしうる電磁干渉を引き起こす傾向があるということである。金属カードの1つの利点は、カードの全体の重み、見た目(look and feel)であり、それが消費者に所望される。特許文献3が、金属の好ましさを維持すると共に非接触の操作性を最大にする1つの構造を提供する一方で、本分野において、固有の美的魅力、最大の操作性、及び優れた製造コストを備えるカードに対する開発の必要性は残る。
【0003】
特許文献4等には、取引カードの金属及びガラス層の種々の組合せが開示されているが、金属及びガラスの組合せは、固有の美感及び非接触モードでの最大の操作性を有する、金属を含むカードに対する継続的な所望に応えるための、新規な構造についての固有の機会を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9,269,032号明細書
【特許文献2】米国特許第8,756,680号明細書
【特許文献3】米国特許第9,390,366号明細書
【特許文献4】米国特許第8,725,589号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2021/154898号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2019/291316号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2019/236434号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Erb他、「3段階の階層的な自己集合による長距離秩序を有する均一な金属ナノ構造(Uniform metal nanostructures with long-range order via three-step hierarchical self-assembly)」、Science Advances, 第1巻第10号 (2015年11月6日)
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様は、少なくとも第1のガラス層、ガラス層の第1の面に配置され、所望の程度の渦電流分断(eddy current disruption)を有する不連続な金属層、及び、第1のガラス層中に配置され、不連続な金属層から電気的に絶縁されている、接触、非接触、又は二重インタフェースの取引モジュール、を備える取引カードを含む。
【0007】
1つの実施形態において、不連続な金属層は複数の不連続部を有する金属層を備えてもよく、予め定められたレベルのエネルギー、例えば非接触の取引カード読み取り装置の最大定格の場の強度より小さいエネルギーの存在下で、隣接する金属領域の渦電流の同期を回避するように複数の不連続部が構成されるパターン、例えばハーフトーンパターン等の不連続部が形成されてもよい。
【0008】
他の実施形態では、不連続な金属層は複数の分離した金属部材(metal features)を備えてもよく、金属部材はパターン、例えばハーフトーンパターンを形成してもよく、そのパターンにおいては、複数の金属部材の各々は、少なくとも予め定められた最小限の距離によって、例えば、非接触の取引カード読み取り装置の最大定格の場の強度のような、予め定められたレベルのエネルギーより小さいエネルギーの存在下で、隣接するハーフトーンドットの間のエネルギーの橋渡しを回避するために算出される距離によって、隣接する金属部材から分離されている。
【0009】
不連続な金属層のハーフトーンパターンは、カードの第1の面全体に均一に分布する複数の金属部材若しくは不連続部を備えてもよく、又は、ハーフトーンパターンは、複数の金属部材、複数の不連続部若しくはそれらの組み合わせを備えてもよく、均一な分布は、ハーフトーン画像を形成する偏在を有する。ハーフトーンパターンは、金属部材と非金属部材との組合せを含んでもよい。一部の実施形態では、ハーフトーンパターンは、連続な不透明層として人の眼に認識可能と認められる不連続層を形成する。
【0010】
一部の実施形態は、第2のガラス層を備えてもよい。このような実施形態では、不連続な金属層は、第1のガラス層と第2のガラス層との間に配置されてもよい。金属化ブースタアンテナは、ガラスの第1の層上の不連続な金属層から電気的に絶縁され、支払モジュールに結合されて又は結合するように構成されて、第2のガラス層の面に配置されてもよい。一部の実施形態では、金属化ブースタアンテナは、例えば不連続な金属層と金属化ブースタアンテナとの間に配置された電気絶縁(例えば非金属)層を伴い、第1のガラス層と第2のガラス層との間に配置された第2のガラス層の内面に配置されてもよい。他の実施形態では、金属化ブースタアンテナは、第1のガラス層から外側に向いた第2のガラス層の外面に配置されてもよい。
【0011】
さらに他の実施形態では、不連続な金属層は第1のガラス層の第1の外面に配置され、金属化ブースタアンテナは第1のガラス層の第2の外面に配置される。
【0012】
保護コーティングが金属化アンテナの上方に配置されてもよい。金属化ブースタアンテナは、例えば酸化インジウムスズ(ITO)を備えるアンテナのように、透明でもよい。
【0013】
電気絶縁材料が、不連続な金属層の隣接した金属部材の間に配置されてもよい。ガラスは、フレキシブルガラス(flexible glass)又は順応ガラス(conformable glass)、例えばアルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ホウ素含有アルミノケイ酸塩ガラス、サファイヤガラス又はイオン交換強化ガラス等、を備えてもよい。カードの付加的な層が、印刷インク層、ラミネート層、レーザーパターン層、被覆層、写真平板層、印刷OLED層、埋め込み電子回路層、又は真空蒸着層を含んでもよい。
【0014】
本発明の別の態様は、第1の層、第1の層の第1の面に配置され、ハーフトーンパターンを形成する複数の分離した金属部材を備える不連続な金属層、及び、第1の層に配置され、不連続な金属層から電気的に絶縁されている、接触、非接触、又は二重インタフェースの取引モジュール、を有する取引カードを含む。複数の金属部材の各々は、隣接する金属部材から、予め定められたレベルのエネルギー、例えば非接触取引カード読み取り装置の最大の場の強度より小さいエネルギーの存在下で、少なくとも隣接するハーフトーンドットの間のエネルギーの橋渡しを回避するために算出された予め定められた最小限の距離だけは少なくとも隔てられる。第1の層は、例えば透明材料のような非金属層を備えてもよい。ハーフトーンパターンは、例えば複数の不連続部を有する下部の金属層のような下部の層の可視性を隠す、連続した不透明層として人の眼に認識可能でもよい。
【0015】
本発明の態様の実施形態によれば、不連続な金属層は、カードの下部の面又は層の可視性が得られるようにする一つ以上の透過領域を含んでもよい。透過領域を通して見える下部の面又は層は、もう一つの不連続な金属層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、不連続な金属層を有する取引カードの好ましいガラス層の部分の断面図である。
【
図1B】
図1Bは、コア層の分離した部材を示す、
図1Aのカードの部分の好ましい部分の平面図である。
【
図1C】
図1Cは、一方の面の不連続な金属層と反対面の金属化アンテナとを有する取引カードの断面図である。
【
図1D】
図1Dは、金属層中の穴によって中断される連続金属層を有するカードの、好ましい部分の平面図である。
【
図2】
図2は、2枚のガラス層と不連続な金属層とを有する、好ましい取引カードの実施形態の部分の断面図である。
【
図3】
図3は、不連続な金属層をおおって配置されたコーティングを有する取引カードの、好ましいガラス層の部分の断面図である。
【
図4】
図4は、2枚のガラス層、不連続な金属層、及び金属化アンテナ層を有する、好ましい取引カードの実施形態の部分の断面図である。
【
図5】
図5は、複数のガラス層と複数の不連続な金属層とを有する、好ましい取引カードの実施形態の部分の断面図である。
【0017】
ここで
図1A及び1Bを参照すると、取引カードの部分10は、基板12、複数の分離した部材15を備える不連続な金属層14、及び取引モジュール16を備える。本明細書で言及される様に、取引モジュールは、カード読み取り装置との、接触のみ、非接触のみ、又は二重インタフェース(接触及び非接触)の相互作用を可能とする、いずれのタイプの取引を実行するように構成されたいずれのモジュールでもよく、特に、クレジットカード、デビットカードなどで一般に見られる金融取引を実行するように構成された取引モジュール(時に「支払モジュール」と呼ばれる)でもよい。非接触型モジュールは、無線周波数(RF)通信を用いて、非接触型スマートカード通信のためのISO/IEC14443国際規格に従って作動する無線自動識別(RFID)集積回路を備える。しかしながら、本発明は、いずれの特定のタイプの取引カード又は取引モジュールにも限定されない。
【0018】
基板12は、好ましくは、限定的ではないが例えばフレキシブルガラス又は順応ガラス、例えばアルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ホウ素含有アルミノケイ酸塩ガラス、サファイヤガラス又はイオン交換強化ガラスのようなガラス層である。そのようなフレキシブルガラス又は順応ガラスの多数の例は従来技術において公知で、それらの有する耐破損特性及び強度のために好まれる。そのようなガラスは、一部の取引カードで見られる従来のプラスチック層より密度が高くもあり、したがって、カードの全体の見た目に一層の重み又は重量を添える。好ましい実施形態がフレキシブルガラス又は順応ガラスの組成物を備えるが、本明細書で用いられる「ガラス」という用語は、典型的には無機であり、典型的には主要な成分としてSiO2を含み、透明又は半透明であり、アモルファス非晶質の化合物ならびに、時に「水晶」とも呼ばれる結晶質の化合物を含む、任意の非高分子化学組成(すなわち非プラスチック)を有する任意の材料を指す。加えて、許容可能なガラス層は、(通常、中間層によって結合された、それぞれがガラス及びプラスチックである一つ以上の層を備える)合わせガラス、強化(toughened)(風冷強化(tempered))ガラスを含む、「安全ガラス」及び、掘り込みガラス(engraved glass)として知られる種類のガラスを含んでもよい。透明性又は半透明性を有するガラス層が一定の利点を有するかもしれないが、本発明の実施形態は、不透明であるか又はもっぱら半透明の他の非金属又は非プラスチック材料(例えばセラミック)を備える芯材を有する実施形態を含んでもよい。コア層が1枚の層として記載されたが、コア層は、同一又は異なるタイプのガラスの複数ガラス層を含む複数の材料層の複合体を備えてもよい。
【0019】
不連続な金属層14は、好ましくは複数の分離した金属部材15を備える。「層」という用語は、本明細書において、少なくとも一部の実施形態において、分離した金属部材はバルク金属層又は箔層と同様には連続層を形成しないことを反映するために、何らかの「広げられた又は横たえられた」ものというラテン語の意味に整合して用いられる。しかしながら、後に本明細書において開示される他の実施形態では、不連続な金属層は、確かに隣接する金属領域の間の充分な量の渦電流分断を伴う層を備えてもよいが、連続層を形成してもよい。一部の実施形態では、分離した金属部材は形成の瞬間から分離しているが、他の実施形態では、金属層は部材の間に渦電流分断を生じさせるように加工されてもよく、部材が分断を提供する空間の距離を備えてもよい。
【0020】
金属層のための適切な金属は、アルミニウム、銀、銅、金、ロジウム、タングステン、チタン及び、所望の色彩効果を生成するための非金属要素を含む非金属要素(例えば窒化チタン)を含有する合金を含む、上記の金属の合金を含んでもよいが、本発明はいずれの特定の金属又は合金にも限定されない。例えば、異なる色の数多くの着色表面コーティングが、金(TiN)、ローズゴールド(ZrN)、ブロンズ(TiAlN)、青(TiAlN)、黒(TiAlCN)ならびに暗赤色(ZrN)などのように、例えばPVDによって得ることができる。金属部材は、所望の色を得るために、さらに、又は代わりに、熱処理されてもよい。丸い断面を有するように記載されているが、部材が任意の断面を有してもよいことを理解すべきである。同様に、長手方向断面で円錐台形状を有するように記載されているが、部材は、半球状及び、丸い又は平坦な最上部を含む、長手方向断面では任意の形状を有してもよい。「分離した」という用語は、各金属部材が、
図1Bに示すように、少なくとも予め定められた最小限の距離「d」だけ隣接する金属部材から隔てられていることを意味することを意図している。好ましくは、隣接する部材の間の予め定められた最小限の距離は、予め定められたレベルより小さいエネルギーの存在下で、隣接するハーフトーンドットの間のエネルギーの橋渡しを回避するために算出される距離である。金属部材が分離していない実施形態では、部材は、カードとカード読み取り装置の間の所望の距離で取引を処理するための通信を阻害するように、予め定められたレベルのエネルギーで隣接する金属領域の渦電流が同期することを回避するために充分な程度の、互いに対する渦電流分断を別の方法で有する。予め定められたエネルギーレベルは、非接触の取引カード読み取り装置の代表的な最大定格の場の強度と一致してもよい。例えば、取引カードの非接触処理のためのポイント オブ サービス(POS)端末で見られる代表的なエネルギー密度の端値は、0.5-12.5 A/m
2(平方メートル当たりのアンペア)の値域を含んでもよい。
【0021】
不連続な金属層の複数の分離した金属部材は、好ましくはハーフトーンパターンを形成する。ハーフトーンパターンはカードの面全体に均一に分布する複数の金属部材によって定められてもよく、或いは、複数の金属部材にはハーフトーン画像を形成する偏在があってもよい。従来技術において公知のように、ハーフトーンは、非常に小さく互いに非常に近接した間隔で配置された複数のドットを用いることで、人の眼が複数のドットを連続色調と解釈する技術である。ハーフトーンドットのサイズ及び/又は間隔は、明トーンと暗トーンの間にグラデーション(graradient)のような効果を生成するように変化させてもよい。ハーフトーン処理は、例えば印刷の分野で複写技術として一般的に用いられ、この技術では明トーンと暗トーンの間のグラデーションがグレースケール画像を形成するために用いられてもよい。同様に、異なる色インク(例えばCYMK色彩設計のシアン、イエロー、マゼンタ及び黒)を用いてハーフトーンパターンで印刷されるグレースケール画像の組合せが、フルカラープリントの内容を形成するために組み合わされてもよい。従来の印刷において、明暗のグラデーションは、各印刷された「ドット」が各隣接ドットから分離している、より明るいトーンから、印刷されたドットが互いに非常に近接し、インクの隣接ドットが互いに分離したインクの無い穴で互いに繋がっている、より暗いトーンに及んでもよい。金属部材間の分離が金属層によって生じるRF通信に対する効果を最小化することが重要である本発明の実施形態では、金属部材の大多数又は少なくとも相当な部分は、ハーフトーンパターンの各「ドット」が隣接ドットから分離した金属被覆パターンに好ましくは従う。しかしながら、トーンのグラデーションが視覚画像を生成するために組合わされる実施形態では、ハーフトーン画像の少なくともある部分は、一部のハーフトーンドットが互いにつながる金属被覆パターンの部分を含んでもよい。しかしながら、一般に、金属被覆パターンは、カードの少なくとも選択された領域の中で、そして好ましくはカードの端と支払モジュールの周囲との間に、金属の連続パスを作ることを回避するように配置される。1つの領域における分離した金属部材のハーフトーンパターン、及び他の領域におけるバルク又は箔金属の不連続部の組合せが、設けられてもよい。
【0022】
金属部材は、ドットがガラス基板上に直接生成される物理又は化学蒸着プロセス、基板上への固体層又は箔の堆積と残留する部材の間からのエッチングによる金属の除去、又は、例えばインクジェット、リソグラフィ、又は付加製造(すなわち3Dプリント)処理を用いることなどによる印刷、を含むがこれらに限定されない、従来技術において公知の任意の方法によって付着させてもよい。例えば、1つの実施形態において、フォトレジストが基板に堆積され、マスクを通して化学線(例えばUV)によって露光されてフォトレジストの露光部を硬化させ、未硬化部分が除去されてもよい。続いて、金属が、フォトレジストがない領域の基板に金属部材を作成し、フォトレジストが残る場所のフォトレジストに金属を蒸着させる蒸着プロセス(例えばCVD又はPVD)を用いて蒸着されてもよい。続いてフォトレジストが除去され、金属部材が残る。前記において、マスクは金属部材の間の隙間に一致するマスクの穴を化学線が通ることが出来るネガティブマスクであるので、金属部材を蒸着させることが望ましくない領域の基板の上に硬化したフォトレジストが残る。別のプロセスでは、例えばPVD又はCVDプロセスによって連続した金属層が基板に配され、フォトレジストが金属層をおおって配され、金属部材に対応する穴を有するポジティブマスクを通してレジストが化学線に露光される。未硬化フォトレジストは除去されて、フォトレジストによって保護されていない領域の金属のエッチングによる除去を行うエッチングプロセスが実行される。続いてフォトレジストが除去され、金属部材が残る。さらに他の実施形態では、金属部材が連続した固体金属層から形成され、金属の不必要な部分が、例えばレーザー又は電子ビーム(焦束電子ビーム)のような集束エネルギーによって除去され、金属部材だけが残るようにしてもよい。さらに他の実施形態では、金属部材は、硬化性樹脂又は易焼結性樹脂に含まれる金属粒子によって形成されてもよい。他の実施形態では、その内容を参照により本明細書に援用される、非特許文献1に記載されたように、ドット形状又はワイヤ状の金属ナノ構造が、ジブロック共重合体テンプレート上の自己組織化した単分子層として配列状に用意されてもよい。
【0023】
分離した金属部材を有する実施形態を主に記載してきたが、逆設計も、不連続な金属層を通した充分なRF透過率を可能にする金属領域間の充分な渦電流分断を提供してもよいことを理解すべきである。例えば、
図1Dに示すように、金属層15の穴の配列12は、一つ以上の細長い不連続部又はスリット、例えば、そのうちの一つ以上が好ましくはカードの周辺まで伸びるか、カードの周辺まで伸びる非金属領域と連通する一つ以上の線13、に結合されてもよい。金属層のマルチスリット設計は、その内容を参照により本明細書に援用される、2020年2月7日に出願された、「二重インタフェース金属取引装置及びその製造プロセス(DI METAL TRANSACTION DEVICES AND PROCESSES FOR THE MANUFACTURE THEREOF)」という名称の特許文献5の米国仮特許出願第62/971,439号に広く記載されている。少なくとも一部の空間が隣接する空間から分離して連通しない金属部材の間の空間を与える他の実施形態では、マイクロメッシュ又はナノメッシュが準備され基板に固着されてもよい。そのような金属メッシュパターンは、マルチスリット又は細長い不連続部を使用によって、さもなければ相互に連結する金属領域と、それに付随したカードの比較的大きな部分全体に広がる渦電流とを生成する金属領域を分断する、恩恵も得ることができる。
【0024】
一部の実施形態では、カードの部分10がそれ以上のものを持たない独立したカードを構成してもよいが、他の実施形態では、部分10が、印刷層、保護層、及び、ホログラム、コード(バーコード又はQRコード(登録商標))、磁気ストライプ、署名欄、印刷層、エンボス加工層、埋め込み電子機器などのようなセキュリティ機能を含むがこれに限定されない取引カードに共通な他の機能的又は美的特徴を含んでいる層を含む、
図1Aに記載されない一つ以上の付加的な装飾的又は機能的な層を含んでもよいことを理解すべきである。電子回路をカードに埋め込む方法は、「取引カードのためのオーバーモールドされた電子部品及びその製造方法(OVERMOLDED ELECTRONIC COMPONENTS FOR TRANSACTION CARDS AND METHODS OF MAKING THEREOF)」という名称の、2019年6月14日に出願された特許文献6に広く記載されており、この出願に対して優先権が主張され、又はそこから優先権を主張する、2016年7月27日に出願され、且つ関連する出願は、その内容全体を参照により本明細書に援用される。付加的な層は、印刷インク層、ラミネート層、レーザーパターン化された層、被覆層、フォトリソグラフ層、印刷されたOLED層、又は真空蒸着層の一つ以上を含んでもよい。
図1にて(及び本明細書において記載される図のいずれにおいても)図示される種々の部材の相対寸法は、原寸比例であることを意図しない。
【0025】
ここで
図1Cを参照すると、カードの実施形態は、第1のガラス層12、ガラス層12の1つの面上に配置される不連続な金属層14、及びガラス層の反対面の上に配置される金属化アンテナ17を備えるカード部分10、を含むように記載されている。取引モジュール16は、第1のガラス層12中に配置されている。他の実施形態では、付加的な装飾的又は機能的な層、例えば、時に埋め込み用樹脂と呼ばれるUVにより又は熱的に硬化される重合化合物のような、金属化アンテナ(metallized antenna)17の上を被覆する保護コーティング18(好ましくは透明)が、積み重ねの任意の部分に存在してもよい。金属化ブースタアンテナ17は、例えば酸化インジウムスズ(ITO)から形成されるような、透明なものでもよい。金属化アンテナ17は、ガラス面に対する連続金属層の堆積及び金属の一部をエッチングで除去して所望のアンテナ構造を残すことを含む、公知技術の任意の方法によって作製されてもよい。ブースタアンテナ17は、通信性能を高めるために、取引モジュール16と誘導的に結合するか、又は物理的、電気的に接続する。
【0026】
ここで
図2を参照すると、カード実施形態20は、第1のガラス層22、上記の通りの不連続な金属層24、及び第2のガラス層28を含み、取引モジュール26が第1のガラス層22中に配置されているように記載されている。金属層24は、第1のガラス層22上に、第1のガラス層22と第2のガラス層28との間に配置されている。ガラス層22、28という外側層の間に挟まれている内側層としての不連続な金属層24のこの位置は、金属層24を損耗から保護する。他の実施形態では、付加的な装飾的又は機能的な層は、積み重ねの任意の部分に存在してもよい。取引モジュール26が完全に第1のガラス層22中に配置されている様に記載されているが、他の実施形態は、不連続な金属層24を通って第2のガラス層28まで伸びている取引モジュール26を含んでもよい。取引モジュール26が、接触又は二重インタフェースモジュールでは一般的であるように、カード20の外面と同じ高さの最上面を有するように記載されているが、非接触のみのモジュールはカード20の最上面より完全に下に配置されてもよい。本明細書において記載されている設計を有する好ましいカードは、接触のみ、非接触のみ、又は二重インタフェース(DI)である取引モジュールを有するカードを含んでもよい。
【0027】
ここで
図3を参照すると、カード実施形態30は、第1のガラス層32、上記の通りの不連続な金属層34、保護層37、及び、第1のガラス層32中に配置され、保護層37の最上面と同じ高さの最上面を有する取引モジュール36を有する。記載されたように、保護層37は金属部材35の間のギャップを埋め、不連続な金属層34をおおって配置される。一部の実施形態では、保護層37は金属部材35の間のギャップを埋めるが、不連続な金属層34の上を覆うように広がりはせず、他の実施形態では、保護層37は不連続な金属層34を覆って広がるが、金属部材35の間には存在しないでもよいことを理解すべきである。さらに他の実施形態では、保護層37は、金属部材35の間のギャップを部分的に埋めるだけでもよい。保護層37は、好ましくは電気的な断路器及び絶縁体として作用する非金属層であり、分離及び絶縁の効果は、分離/絶縁層無しよりもRF通信に対する干渉をより少なくしつつ、部材の間のより小さい間隔配置を可能にすることができる。他の実施形態では、付加的な装飾的又は機能的な層は、積み重ねの任意の部分に存在してもよい。必要であるか又は所望される範囲で、特にカードATM規格に確認する為に、遮断物等から恩恵を受ける任意の実装において、保護層37は赤外線遮断化合物を含んでもよい。例えば、
図3に記載される実施形態は、金属化アンテナ層をおおう保護層37の有無にかかわらず、
図1Cに示す金属化アンテナ層を含んでもよい。
【0028】
ここで
図4を参照すると、カード実施形態40は、第1のガラス層42、不連続な金属層44、第1のガラス層42中に配置された支払モジュール46、第2のガラス層48、及び第2のガラス層48をおおって配置された金属化アンテナ層47を含む。不連続な金属層44及び金属化アンテナ47は、互いに向かいあっている第1の及び第2のガラス層42、48それぞれの内面に両方とも配置されていて、不連続な金属層44からアンテナ層47を絶縁、分離するために、不連続な金属層44と金属化アンテナ47との間に配置される非金属層45(例えばPVC、PET、又は他のポリマー層及び/又は粘着層)を含んでもよい。第2のガラス層48の外面の層49は、印刷インク層、ラミネート層、レーザーパターン層、被覆層、写真平板層、印刷OLED層、又は真空蒸着層を備えてもよい。付加的な装飾的又は機能的な層も、積み重ねの任意の部分に存在してもよい。一部の実施形態では、ラミネート層は、金属層であってもよく、前記参照された特許文献5の米国仮特許出願第62/971,439号に記載されているように、例えば細長い切れ込みの性質を帯びた一つ以上の不連続部を有する以外は連続である金属層、好ましくはRF不可視(RF-invisible)又は殆ど不可視の金属層であってもよい。
【0029】
いずれの特定の構成にも限定されないが、金属部材15は、好ましくは少なくとも32ドット/インチ(DPI)(1センチメートル当たり12.6ドット(dpcm))の密度でガラス層に配置され、32~6.5×10の14乗(6.5E14)DPI(12.6~2.56×10の14乗(2.56E14)dpcm)の値域(電子ビームリソグラフィーの現在の技術的な上限)、より好ましくは、ハーフトーンパターンが不連続層に不透明な外観を与えることを意図する実施形態では、480~4800DPI(190~1900dpcm)の値域であってもよい。特に、用語DPI(又はdpcm)は、一般に線形水平計測(linear vertical measure)の単位当たりのドットの数に関係し、一方、LPI(又はインチ当たりの線数)は、一般に印刷工程の線形的な垂直計測の単位当たりの水平線の数に関係する。多くの印刷工程は、一つの方向において他の方向と比較して異なる能力を有する。本明細書において用いられるように、DPI又はDPCMの計量は、水平又は垂直のいずれか又は両方の寸法を指すことを意図しており、水平はカードの相対的により長い寸法を指し、垂直はカードの相対的により短い寸法を指す。
【0030】
他の実施形態は、意図されたパターンを形成する為に、人の眼に視覚的に認識可能なほど十分大きなサイズを有する部材15を含んでもよく、そのパターンは、画像を作成するドットの幾何学的配置、又は点描芸術技法を用いて形成された視覚パターンを含んでもよい。部材15は、グラフィカルな/芸術的な目的のための異なる色調を有する異なるタイプの部材を用いて、異なるタイプの金属又は金属と非金属の組合せで提供されてもよい。例えば、ドットは、2色調のグラフィックを作成するために、銀の色調を有する金属(例えばアルミニウム)から黒の色調を有する金属(例えば黒ルテニウム又は黒ニッケル)の範囲に及んでもよい。
【0031】
2以上の異なる色調の使用が、4色印刷画像を生成するか又は近似する色調を含む、異なる色調を有する視覚画像を生成するために用いられてもよい。例えば、ZrN(赤)、TiAlN(青)、TiN(金)及びTiAlCN(黒)のような金属性の物質の色彩の嗜好が、CMYK画像の対応する分版(separation)を近似するために用いられてもよい。金属及び非金属の組合せにおいて、非金属は、例えば、金属と同じ色調を有するインクを含んでもよく、そうすることによって、金属部材を予め定められた間隔に残すことを可能とするために、より暗い色調を組み込んだ視覚効果が非金属部材によって形成されてもよい。他の実施形態では、非金属インクは、4色の分版の一つ以上の色の代わりをする金属ハーフトーンパターンと組み合わせて用いられてもよい。例えば、4色の画像は、導電性の(又は相対的に導電性がより高い)金属(例えば黄色のための金及び黒のための黒ニッケルの)から形成される黄及び黒、及び非導電性の(又は相対的に導電性がより低い)インクから形成されるマゼンタ及びシアンの部材の組合せから形成されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、より暗い色調及びより明るい色調は、暗い色調の領域の中で互いに完全に隔てられてはいない金属中間調ドットを含む相対的により暗い色調の一部の領域、及び複数の金属中間調ドットが全て互いに隔てられている相対的により明るい色調の領域を用いて、もっぱら金属部材によって形成されてもよい。
【0032】
相対的により明るい及びより暗い領域は、FM又はAMドット周波数変調によって形成されてもよく、FM変調は視覚パターンの全体にわたって同一サイズのドットを用いることを伴い、ドットの間隔の変化が色調の変化を形成し、AM変調は、色調の変化を形成するために同じ相対間隔で中心に異なるサイズのドットを用いることを伴う。ハーフトーン印刷の分野において公知のように、例えばAM変調が色調範囲の1つの部分に用いられ、FM変調が別の範囲に用いられるように、AM及びFM変調の組合せが用いられてもよい。
【0033】
本明細書においては、主にガラス層に複数の電気的に絶縁された部材を用いることに関して述べたが、本明細書において記載される方法が、限定的ではないが例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等の非ガラス透明(又は半透明)ポリマー基板を含み、限定的ではないが高密度ポリエステル(HDPE)、低密度ポリエステル(LDPE)及びグリコール変性ポリエステル(PETG)、ポリカーボネート、アクリル(メタクリル酸メチルエステル(polymethlamethacrylate))、酪酸塩(酢酸酪酸セルロース)、ガラス強化エポキシラミネート材料(例えばFR4)、ポリプロピレン及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、並びにセラミックを含む非透明/非半透明の基板を含むがこれらに限定されない非ガラス透明(又は半透明)ポリマー基材を含む、任意のタイプ基板に実行されてもよいことを理解すべきである。一部の実施形態では、例えば、すべての目的のためにその内容を参照により本明細書に援用される「二重インタフェース金属取引装置及びその製造プロセス(DI METAL TRANSACTION DEVICES AND PROCESSES FOR THE MANUFACTURE THEREOF)」という名称の特許文献5の米国仮特許出願第62/971,439号、及び、いずれも「二重インタフェース容量性埋め込み金属カード(DI CAPACITIVE EMBEDDED METAL CARD)」という名称の、2018年1月30日に出願された米国仮特許出願第62/623,936号に対する優先権を主張する2018年3月22日に出願された特許文献7(状況:係属中)等の、不連続部を有する層等、下部の層を隠すために本明細書において記載されているような、ハーフトーンパターンを用いることが望ましい場合もある。
【0034】
実施形態は、分離した金属部材を備える不連続な金属層を有する第1の透明層、及び複数の不連続部を有する金属層を備える不連続な金属層を備える第2の透明層の組合せを備えてもよい。カードは、層の1つの領域に分離した金属部材を備える不連続な層を有し、別の領域に複数の不連続部を有する連続した金属領域を有する、一つ以上の透明層も含んでよい。透明層の一部の領域には、(層の第2の面上の第2の金属層の可視性が得られるようにする、層の第1の面上の第1の金属層の透過性を含む)カードの他の層への透過性が得られるようにする金属の不存在部があってもよい。複数の透明層は、各層の一つ以上の面の全部よりは少ない面を覆っている、対応する不連続な層を各々有しており、下部の面又は層に可視性を与える透過性の領域を、三次元的な光学的効果を生成する為に生成するパターンの組合せの中に含んでもよい。したがって、例えば、
図5に示すように、カード50は、取引モジュール56が埋め込まれる第1の透明層58を有してもよい。第2の透明層52には、その第1の面に配置された第1の不連続な金属層54、及び、層52の反対面の上の第2の不連続な金属層53の可視性が得られるようにする金属の不存在部が領域51内にあってもよい。図示されてはいないが、付加的な下部の層(図示せず)に可視性が得られるようにする更なる透明な(金属製ではない)領域が、層53内に存在してもよい。透明部分を有する実施形態では、透明部分は、カード検知装置(例えば、一般的に860又は950nmの波長を有するLEDを用いる現金自動預け払い機(ATM))によって用いられる赤外線(IR)波長を遮断するために充分に非透過(すなわちISO/IEC10373標準を満たす様に)になっていてもよい。IR遮断能力は、基板(又は別の層)を形成する透明材料の添加物、コーティング、又はIRフィルタリング特性を有する層によって与えられてもよい。
【0035】
本明細書においては、特定の実施形態を参照して本発明を図示して説明したが、本発明は、示した詳細に限定することを意図するものではない。むしろ、特許請求の範囲の均等物の範囲内及び領域内で、本発明から逸脱することなく詳細にさまざまな修正を加えることができる。
【国際調査報告】