(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】Z選択的オレフィンメタセシスによるフェロモン誘導体の合成方法
(51)【国際特許分類】
C07C 6/04 20060101AFI20230623BHJP
C07C 11/02 20060101ALI20230623BHJP
C07C 67/293 20060101ALI20230623BHJP
C07C 69/145 20060101ALI20230623BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230623BHJP
【FI】
C07C6/04
C07C11/02
C07C67/293
C07C69/145
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573697
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 US2021035257
(87)【国際公開番号】W WO2021247583
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518173953
【氏名又は名称】プロビビ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ワンプラー キース エム.
(72)【発明者】
【氏名】ピーダーソン リチャード エル.
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC29
4H006AC48
4H006BA22
4H006BA23
4H006BA39
4H006BA44
4H006BA45
4H006BA47
4H006BA52
4H006BD10
4H039CA20
4H039CJ30
(57)【要約】
低いZ異性体純度のオレフィン原料から高いZ異性体純度の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法が本明細書に開示される。本方法は、脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、アシル化アルケノールまたはアルケナールアセタールなどのオレフィンメタセシス反応パートナーと内部オレフィンとをZ選択的メタセシス触媒の存在下で接触させる工程を含む。様々な態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は昆虫フェロモンである。フェロモン組成物およびそれらの使用方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Z富化脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法であって、Z富化脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと内部オレフィンとを第8族遷移金属メタセシス触媒の存在下で接触させる工程を含み、ここで
脂肪族オレフィンメタセシス生成物がアシル化アルケノールまたはアルケナールアセタールであり、
オレフィンメタセシス反応パートナーがZオレフィンおよびEオレフィンの混合物を出発Z:E比で含み、
脂肪族オレフィンメタセシス生成物がZオレフィンおよびEオレフィンの混合物を生成物Z:E比で含み、
生成物Z:E比が出発Z:E比よりも高い、方法。
【請求項2】
メタセシス触媒がZ選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
脂肪族オレフィンメタセシス生成物が少なくとも97%~99% Zである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
脂肪族オレフィンメタセシス生成物が99%超 Zである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
メタセシス反応パートナーが約1%~約50% Eである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
脂肪族オレフィンメタセシス生成物が式I:
のアシル化アルケノールであり;
メタセシス反応パートナーが式III:
の化合物であり;
内部オレフィンが式IV:
の化合物であり;
R
1が、HおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2が、C
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数であり;
第8族遷移金属メタセシス触媒がZ選択的第8族遷移金属触媒である、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
Z選択的メタセシス触媒が式Vの構造:
を有し、
式中、
Mは、ルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択され;
XおよびYは独立して、SおよびOからなる群より選択され;
Zは、S(=O)、O、N、およびハロゲンからなる群より選択され;
添字mは、2、4、3、1、および0より選択される整数であり;
添字nは、0、1、2、3、または4より選択される整数であり;
各R
aは独立して、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され; あるいは、1個のR
aは隣接するR
aと一緒になって非置換もしくは置換二環または非置換もしくは置換多環を形成し;
各R
bは独立して、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され; あるいは、1個のR
bは隣接するR
bと一緒になって非置換もしくは置換二環または非置換もしくは置換多環を形成し;
R
cは、水素およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され;
各R
d、R
e、R
f、およびR
gは独立して、水素およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され;
R
12およびR
13は独立して、2,6-ジ-イソプロピルフェニル、2,4,6-トリ-イソプロピルフェニル、2,6-ジ-アダマンチルフェニル、2-イソプロピル-6-tert-ブチルフェニル、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル、および2,6-ジ-tert-ブチルフェニルからなる群より選択され;
各R
14は独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニル、および水素からなる群より選択され;
R
15は、水素、ハロゲン、およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され、あるいは、R
15および1個のR
14は一緒になって結合を形成する、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
Mがルテニウムであり;
XおよびYがSであり;
Zが、S(=O)およびOからなる群より選択され;
添字mが2であり;
添字nが0であり;
各R
aが独立して、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、およびアリールからなる群より選択され;
R
cが水素であり;
各R
d、R
e、R
f、およびR
gが水素であり;
各R
14が独立して、メチル、イソプロピル、ベンジル、およびtert-ブチルからなる群より選択される、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
メタセシス触媒が、以下からなる群:
より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項10】
脂肪族オレフィンメタセシス生成物の合成が、アシル化剤と式II:
のアルケノールとを接触させることで、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成する工程を含む、請求項6記載の方法。
【請求項11】
アシル化剤が無水酢酸である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
脂肪族オレフィンメタセシス反応パートナーの合成が、式IIa:
(式中、R
4は、HおよびC
1~8アルキルからなる群より選択される)
の不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元することで、式IIのアルケノールを形成する工程を含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
式IIのアルケノールを形成する工程が、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と塩基とを水素化触媒および水素ガスの存在下で接触させる工程を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
式IIのアルケノールを形成する工程が、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と還元剤とを接触させる工程を含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
還元剤が水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
不飽和脂肪族カルボキシル誘導体が天然油に由来する、請求項12記載の方法。
【請求項17】
天然油が、アーモンド油、キャノーラ油、アボカド油、アルガン油、ナタネ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、麻実油、マカダミア油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、亜麻仁油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、ホホバ油、カラシ油、グンバイナズナ油、アマナズナ油、ヒマシ油、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
植物系不純物を除去するために、メタセシスの前に不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、アルケノール、またはオレフィンメタセシス反応パートナーを蒸留する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
脂肪族オレフィンメタセシス生成物が式VI:
のアルケナールアセタールであり;
メタセシス反応パートナーが式VII:
の化合物であり;
内部オレフィンが式IV:
の化合物であり;
R
1がC
1~6アルキルであり;
R
2が、C
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数であり;
第8族遷移金属メタセシス触媒がZ選択的第8族遷移金属触媒である、
請求項1記載の方法。
【請求項20】
メタセシス生成物を式VIII:
のアルケナールに変換する工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
脂肪族オレフィンメタセシス生成物の合成が、内部オレフィンを形成するために、末端オレフィンとメタセシス触媒とを接触させることで、内部オレフィンを形成する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
内部オレフィンが式VIa:
の化合物であり;
末端オレフィンが式IVb:
の化合物である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
内部オレフィンを形成するためのメタセシス触媒がZ選択的ルテニウム触媒またはZ選択的タングステン触媒である、請求項21または22記載の方法。
【請求項24】
R
1がC
1~3アルキルであり、R
2がC
1~12アルキルであり、R
3がC
1~12アルキルであり、yが5~15の範囲の整数であり、zが0~7の範囲の整数である、請求項6記載の方法。
【請求項25】
式IIIのメタセシス反応パートナーが脂肪族C
12~C
30オレフィンアセテートであり;
式IVの内部オレフィンがC
4~C
20内部オレフィンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物がC
8~C
28(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである、
請求項6記載の方法。
【請求項26】
式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーが(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり;
式IVの内部オレフィンが(Z)-デカ-5-エンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物が(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートである、
請求項6記載の方法。
【請求項27】
式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーが(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり;
式IVの内部オレフィンが(Z)-ヘキサ-3-エンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物が(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテートである、
請求項6記載の方法。
【請求項28】
式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーが(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテートであり;
式IVの内部オレフィンが(Z)-ヘキサ-3-エンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物が(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートである、
請求項6記載の方法。
【請求項29】
脂肪族オレフィンメタセシス生成物の合成が、内部オレフィンと接触させる前にオレフィンメタセシス反応パートナーと前処理試薬とを接触させる工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項30】
前処理試薬が、アルミナ、トリエチルアルミニウム、およびマグネシウムアルミニウムイソプロポキシドからなる群より選択される、請求項29記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2020年6月1日出願の米国仮特許出願第63/032,932号の優先権を主張するものであり、この出願はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
食糧に対する世界的需要が高まるに従って、有効な害虫防除の必要性が増加している。従来の殺虫剤は、容易に入手可能であり、急速に作用し、信頼性が高いことから、最も人気のある化学防除剤に含まれる。しかし、これらの化学物質の過用、誤用、および濫用によって、耐性害虫、自然環境の変化、およびいくつかの場合では環境損害が生じている。
【0003】
害虫集団を防除するための昆虫フェロモンの使用は、従来の殺虫剤に対する実行可能で、安全で、環境に優しい代替手段として人気が増加している。これらの分子は、1950年代後期に発見されて以降、大量捕獲、誘引・死滅、および交尾妨害を含む種々の方法を通じて昆虫集団を減少させる上で有効性を示している。特に、後者の方法は、無毒の害虫防除手段となっており、天然フェロモンを遮蔽することで混乱および交尾妨害を引き起こす合成フェロモンの能力を利用するものである。
【0004】
フェロモンは農業用昆虫防除において著しい可能性を示すが、現在利用可能な技術を使用してフェロモンを合成するコストは非常に高く、このため高価値作物以外でこの持続可能な技術を広範に使用することができなくなっている。したがって、昆虫フェロモンならびに関連する芳香剤、香料、およびポリマー中間体の費用効率の高い生産のための新規技術を開発する必要性が存在する。本発明は、低コスト原料から合成昆虫フェロモンを含む高いZ異性体純度の広範な不飽和脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成することが可能な合成方法によって、この必要性に対処するものである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】オレイルアルコールを形成するためのオレイン酸メチルの接触水素化を示す。
【
図2】酢酸オレイルと(Z)-デカ-5-エンとを使用する立体保持オレフィンクロスメタセシスによるZ9-14Acの合成を示す。
【
図3】酢酸オレイルと(Z)-ヘキサ-3-エンとを使用する立体保持オレフィンクロスメタセシスによるZ9-12Acの合成を示す。
【
図4】ホホバ油アセテートと(Z)-ヘキサ-3-エンとを使用する立体保持オレフィンクロスメタセシスによるメタセシスホホバ油アセテートの合成を示す。
【
図5】市販のホホバ油と(Z)-ヘキサ-3-エンとを使用する立体保持オレフィンクロスメタセシスとそれに続く還元によるクロスメタセシスホホバ油アルコールの合成を示す。
【発明の概要】
【0006】
発明の簡単な概要
Z富化脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法が本明細書において提供される。本方法は、Z富化脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと内部オレフィンとを第8族遷移金属メタセシス触媒の存在下で接触させる工程を含み、ここで
脂肪族オレフィンメタセシス生成物はアシル化アルケノールまたはアルケナールアセタールであり、
オレフィンメタセシス反応パートナーはZオレフィンおよびEオレフィンの混合物を出発Z:E比で含み、
脂肪族オレフィンメタセシス生成物はZオレフィンおよびEオレフィンの混合物を生成物Z:E比で含み、
生成物Z:E比は出発Z:E比よりも高い。
【0007】
いくつかの態様では、本発明は、式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法であって、脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーと、式IV:
の内部オレフィンとを、メタセシス触媒の存在下で接触させる工程を含み、式中、
R
1がHおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2がC
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数であり;
メタセシス触媒がZ選択的第8族遷移金属触媒である、方法を提供する。
【0008】
いくつかの態様では、メタセシス触媒はZ選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒である。
【0009】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法において使用されるメタセシス触媒は、式V:
の構造を有するZ選択的メタセシス触媒であり、
式中、
Mはルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択され;
XおよびYは独立してSおよびOからなる群より選択され;
ZはO、S(=O)、N、およびハロゲンからなる群より選択され;
各添字mおよび添字nは0、1、2、3、および4より独立して選択される整数であり;
各R
aは独立してハロゲン、C
1~C
6アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され; あるいは、1個のR
aは隣接するR
aと一緒になって非置換もしくは置換二環または非置換もしくは置換多環を形成し;
各R
bは独立してハロゲン、C
1~C
6アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され; あるいは、1個のR
bは隣接するR
bと一緒になって非置換もしくは置換二環または非置換もしくは置換多環を形成し;
R
cは水素およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され;
各R
d、R
e、R
f、およびR
gは独立して水素およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され;
R
12およびR
13は独立して2,4,6-トリ-イソプロピルフェニル、2,6-ジ-イソプロピルフェニル、2,6-ジ-アダマンチルフェニル、2-イソプロピル-6-tert-ブチルフェニル、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル、および2,6-ジ-tert-ブチルフェニルからなる群より選択され;
各R
14は独立して水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、およびフェニルからなる群より選択され;
R
15は水素、ハロゲン、およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され、あるいは、R
15および1個のR
14は一緒になって結合を形成する。
【0010】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、アシル化剤と式II:
のアルケノールとを接触させることで、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成する工程をさらに含む。
【0011】
いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIa:
の不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元することで、式IIのアルケノールを形成する工程をさらに含み、
式中、R
4はHおよびC
1~8アルキルからなる群より選択される。
【0012】
いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物の合成は、末端オレフィンとメタセシス触媒とを接触させることで、内部オレフィンを形成する工程を含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
I. 序論
本発明は、低い異性体純度を有する内部オレフィンの立体保持オレフィンクロスメタセシスを通じた高純度脂肪族オレフィン誘導体(例えば直鎖鱗翅類フェロモン; SCLP)の合成のための方法を提供する。様々な低純度脂肪族オレフィン誘導体原料および内部オレフィン原料をZ選択的オレフィンメタセシス触媒との組み合わせで使用することを通じて、高いZ純度を有する多種多様なフェロモンを得ることができる。本発明は、高純度SCLPを調製するための低い異性体純度で市販のオレフィン原料の使用を可能にし、これにより当技術の産業上の利用可能性を大きく増加させる。
【0014】
II. 定義
以下の定義および略語は、本発明の解釈に使用されるべきものである。本明細書において使用される「発明」または「本発明」という用語は、非限定的用語であり、任意の単一の態様を指すようには意図されておらず、すべてのありうる態様を包含する。
【0015】
本発明において使用される「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有する(has)」、「有すること(having)」、「含む(contains)」、「含むこと(containing)」という用語、またはその任意の他の変形は、非排他的包含を網羅するように意図されている。要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみ必ずしも限定されるものではなく、明確に列挙されていないかまたは当該の組成物、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有のものではない他の要素を含みうる。さらに、明確に背反する記載がない限り、「または」は包括的な「または」を意味し、排他的な「または」を意味しない。
【0016】
数値を修正するために本明細書において使用される「約(about)」および「約(around)」という用語は、該明示値の周辺の閉鎖的範囲を示す。「X」が値であるとすれば、「約X(about X)」または「約X(around X)」は0.9X~1.1Xの値、特定の場合では0.95X~1.05Xまたは0.98X~1.02Xの値を示すであろう。「約X(about X)」または「約X(around X)」に対する任意の言及は少なくとも値X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、および1.05Xを具体的に示す。したがって、「約X(about X)」および「約X(around X)」は、例えば「0.99X」という請求項での限定に対する書面の記載による裏付けを教示および提示するように意図されている。
【0017】
本明細書において使用される「実質的に」という用語は、約85~100%、例えば85~99.9%、90~99.9%、95~99.9%、98~99.9%、または99~99.9%の値の範囲を記述する。
【0018】
本明細書において使用される「大部分は」という用語は、50%超の範囲、例えば約51~100%、75~99.9%、85~98.5%、または約95~99%の範囲の割合を意味する。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上別途明らかな断りがない限り、複数の言及対象を含む。したがって、例えば、「脂肪族オレフィンメタセシス生成物」に対する言及は、1種の脂肪族オレフィンメタセシス生成物、および2種以上の脂肪族オレフィンメタセシス生成物の組み合わせまたは混合物(例えば脂肪族Z-オレフィンおよび脂肪族E-オレフィンメタセシス生成物の混合物)を含み、「不飽和脂肪族カルボキシル誘導体」に対する言及は、1種の不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、および2種以上の不飽和脂肪族カルボキシル誘導体の組み合わせまたは混合物を含み、「アルケノール」に対する言及は、1種のアルケノール、および2種以上のアルケノールの組み合わせまたは混合物を含み、「置換基」に対する言及は、1種の置換基、および2種以上の置換基の組み合わせなどを包含する。
【0020】
本明細書において使用される「メタセシス生成物」という用語は、メタセシス反応によって形成される少なくとも1個の二重結合を含むオレフィンを意味する。本明細書において使用される「脂肪族オレフィンメタセシス生成物」という用語は、構造R-C(O)O-R'を有し、Rが以下に記載のアルキル基であり、R'が少なくとも4個の炭素原子、例えば4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40個の炭素原子を含む直鎖アルケニル基である、メタセシス反応によって形成されるオレフィン含有化合物の1種(すなわち、オレフィンおよびメタセシス反応パートナーから形成されるメタセシス生成物の1種)を意味する。いくつかの態様では、R'はC4~C30直鎖アルケニル基である。非限定的な例として、「不飽和脂肪族エステルアセテート」とは、R-C(O)O-R'のRがメチル基であり、R'がC2~C26直鎖アルケニル基である、オレフィンメタセシス反応パートナーとオレフィンとのクロスメタセシスにより得られる脂肪族オレフィンメタセシス生成物のことである。本発明においては、「C8~C28(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテート」も脂肪族オレフィンメタセシス生成物の非限定的な例である。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物はフェロモン、例えば直鎖鱗翅類フェロモン(SCLP)である。
【0021】
本明細書において使用される「メタセシス反応」という用語は、1個または複数の炭素-炭素二重結合を含む化合物(例えばオレフィン性化合物)間での、炭素-炭素二重結合の形成および開裂によるアルキリデン単位(すなわちR2C=単位)の交換を包含する触媒反応を意味する。メタセシスは、同じ構造を有する2個の分子間で生じることもあり(セルフメタセシスとしばしば呼ばれる)、かつ/または異なる構造を有する2個の分子間で生じることもある(クロスメタセシスとしばしば呼ばれる)。
【0022】
本明細書において使用される「フェロモン」という用語は、生物により分泌および放出されかつ同じ種または密接に関連する種の第2の生物により検出される、物質または物質の特徴的混合物を意味する。通常、第2の生物によるフェロモンの検出は、一定の行動的反応または発生過程などの特定の反応を促進する。例えば、昆虫フェロモンは交尾および集合などの行動に影響しうる。フェロモンの例としては、鱗翅類(すなわち、シャクガ科、ヤガ科、ヒトリガ科、およびドクガ科に属するガおよびチョウ)により生成される化合物、例えばC10~C18アセテート、C10~C18アルコール、C10~C18アルデヒド、およびC17~C23ポリエンが挙げられるがそれに限定されない。「不飽和フェロモン」とは、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する任意のフェロモンを意味する。
【0023】
本明細書において使用される「接触させること」という用語は、少なくとも2つの別個の種が反応しうるようにそれらを接触させるプロセスを意味する。しかし、得られる反応生成物が、添加試薬間の反応により直接、または該反応混合物中で生成されうる該添加試薬のうち1種または複数に由来する中間体から生成可能であることを認識すべきである。
【0024】
本明細書において使用される「メタセシス反応パートナー」という用語は、メタセシス反応においてオレフィンと反応することで新たな炭素-炭素二重結合を形成しうる、炭素-炭素二重結合を有する化合物を意味する。メタセシス反応パートナーは脂肪族オレフィン含有化合物、例えばオレフィンメタセシス反応パートナーでありうる。「オレフィンメタセシス反応パートナー」という用語は、構造R-C(O)O-R'を有し、Rが以下に記載のアルキル基であり、R'が少なくとも4個の炭素原子、例えば4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40個の炭素原子を含む直鎖アルケニル基である、化合物を意味する。いくつかの態様では、R'はC6~C34直鎖アルケニル基である。例えば、「不飽和脂肪族アルコールアセテート」とは、R-C(O)O-R'のRがメチル基であり、R'がC4~C28直鎖アルケニル基である、オレフィンメタセシス反応パートナーのことである。オレフィンメタセシス反応パートナーのさらなる非限定的な例としては、R-C(O)O-R'のRがメチル基であり、R'がC10~C28直鎖アルケニル基である、「脂肪族C12~C30オレフィンアセテート」および「C10~C28脂肪族アルケノールのアセテートエステル」が挙げられる。
【0025】
本明細書において使用される「オレフィン」という用語は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む直鎖状(straight-chain)(例えば直鎖状(linear))または分岐状の炭化水素化合物、およびその誘導体を意味する。オレフィンは非置換でもよく、アルコール基、保護アルコール基、カルボキシレート基、およびカルボン酸エステル基を含む1個または複数の官能基で置換されていてもよい。本明細書において使用される「オレフィン」という用語は、2個以上の炭素-炭素二重結合を有する炭化水素(例えばジオレフィン、トリオレフィンなど)を包含する。2個以上の炭素-炭素二重結合を有する炭化水素、およびその誘導体は「ポリエン」とも呼ばれる。「脂肪族オレフィン」という用語は、少なくとも4個の炭素原子を有するオレフィンを意味し、脂肪族オレフィンは例えば4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40個の炭素原子を有しうる。オレフィンは末端二重結合(「末端オレフィン」)および/または内部二重結合(「内部オレフィン」)を含みうる。いくつかの態様では、本発明の方法において使用されるオレフィンは4~26個の炭素原子を有する。特定の他の態様では、本発明の方法において使用されるオレフィンは、4~26個の炭素原子をどこかに有するオレフィンの混合物を含む。
【0026】
本明細書において使用される「内部オレフィン」という用語は、各オレフィン性炭素(すなわち炭素-炭素二重結合の炭素; C=C)が少なくとも1個の非水素置換基で置換されたオレフィン(例えばR1'R2'C=CR3'R4'; 式中、R1'およびR2'のうち少なくとも一方は水素ではなく、R3'およびR4'のうち少なくとも一方は水素ではない)を意味する。内部オレフィンは二置換、三置換、または四置換でありうる(例えば二置換内部オレフィン: R5'HC=CHR8'および/またはHR6'C=CR7'H; 三置換内部オレフィン: R5'R6'C=CHR8'、R5'R6'C=CR7'H、R5'HC=CR7'R8'、および/またはHR6'C=CR7'R8'; ならびに四置換内部オレフィン: R5'R6'C=CR7'R8'; 式中、R5'、R6'、R7'、およびR8'は同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して置換されていてもよい脂肪族基、置換されていてもよいヘテロ脂肪族基、または官能基である)。
【0027】
本明細書において使用される「末端オレフィン」という用語は、一方のオレフィン性炭素(すなわち炭素-炭素二重結合の炭素; C=C)が少なくとも1個の非水素置換基で置換されていて、他方のオレフィン性炭素が置換されていない、オレフィン(例えばR9'R10'C=CH2; 式中、R9'およびR10'のうち少なくとも一方または両方は水素ではない)を意味する。末端オレフィンは一置換または二置換でありうる(例えば一置換末端オレフィン: R9'HC=CH2および/またはHR10'C=CH2; ならびに二置換末端オレフィン: R9'R10'C=CH2; 式中、R9'およびR10'は同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して置換されていてもよい脂肪族基、置換されていてもよいヘテロ脂肪族基、または官能基である)。
【0028】
「脂肪族オレフィン誘導体」とは、本発明の方法において使用されるオレフィン出発原料または脂肪族オレフィン出発原料から得られる化合物を意味する。脂肪族オレフィン誘導体の例としては不飽和脂肪族アルコール(すなわちアルケノール)、不飽和脂肪族アルコールアセテートおよび不飽和脂肪族エステルアセテート(例えばオレフィンメタセシス反応パートナーおよび脂肪族オレフィンメタセシス生成物)、不飽和脂肪族アルデヒド、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体(例えば不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸アルキルエステル)、ならびにポリエンが挙げられるがそれに限定されない。本発明においては、「メタセシス生成物」および「脂肪族オレフィンメタセシス生成物」はいずれも脂肪族オレフィン誘導体の1種である。いくつかの態様では、本発明の方法において使用される脂肪族オレフィン誘導体は6~34個の炭素原子を有する。いくつかの態様では、本発明の方法に従って合成される脂肪族オレフィン誘導体は6~30個の炭素原子を有する。特定の他の態様では、本発明の方法において使用される脂肪族オレフィン誘導体は、4~34個の炭素原子をどこかに有する脂肪族オレフィン誘導体の混合物を含む。特定の他の態様では、本発明の方法に従って合成される脂肪族オレフィン誘導体は、4~30個の炭素原子をどこかに有する脂肪族オレフィン誘導体の混合物を含む。
【0029】
Δ9-不飽和オレフィンとは、オレフィン鎖の末端から9番目の炭素-炭素結合が二重結合であるオレフィン(例えばΔ9-不飽和脂肪族アルコール、Δ9-不飽和脂肪族アルコールアセテート、Δ9-不飽和脂肪族エステルアセテート、Δ9-不飽和脂肪族アルデヒド、Δ9-不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、Δ9-不飽和脂肪酸、Δ9-不飽和脂肪酸アルキルエステルなど)を意味する。例えば、Δ9-不飽和脂肪酸とは、オレフィン鎖のカルボン酸末端から数えて9番目の炭素-炭素結合が二重結合であるオレフィン性カルボン酸を意味する。Δ9-不飽和脂肪酸の例としては9-デセン酸、オレイン酸(すなわち(Z)-オクタデカ-9-エン酸)、およびエライジン酸(すなわち(E)-オクタデカ-9-エン酸)が挙げられるがそれに限定されない。別の非限定的な例として、Δ9-不飽和脂肪族エステルアセテートとは、オレフィン鎖のアセテート末端から数えて9番目の炭素-炭素結合が二重結合であるオレフィン性エステルアセテートを意味する。Δ9-不飽和脂肪族エステルアセテートの例としては酢酸9-デセニル、(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、および(E)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートが挙げられるがそれに限定されない。
【0030】
同様に、Δ11-不飽和オレフィンとは、オレフィン鎖の末端から11番目の炭素-炭素結合が二重結合であるオレフィン(例えばΔ11-不飽和脂肪族アルコール、Δ11-不飽和脂肪族アルコールアセテート、Δ11-不飽和脂肪族エステルアセテート、Δ11-不飽和脂肪族アルデヒド、Δ11-不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、Δ11-不飽和脂肪酸、Δ11-不飽和脂肪酸アルキルエステルなど)を意味する。例えば、Δ11-不飽和脂肪酸とは、オレフィン鎖のカルボン酸末端から数えて11番目の炭素-炭素結合が二重結合であるオレフィン性カルボン酸を意味する。Δ11-不飽和脂肪酸の例としては11-ドデセン酸、ゴンド酸(すなわち(Z)-イコサ-11-エン酸または(Z)-エイコサ-11-エン酸)、およびtrans-ゴンド酸(すなわち(E)-イコサ-11-エン酸または(E)-エイコサ-11-エン酸)が挙げられるがそれに限定されない。接頭辞「イコサ」および「エイコサ」が、20個の炭素を有する炭化水素鎖(例えば完全飽和C20炭化水素鎖、すなわちアルキル; または1個もしくは複数の不飽和単位を含むC20炭化水素鎖、すなわちアルケニルもしくはオレフィン)を意味するように互換的に使用されることに留意すべきである。別の非限定的な例として、Δ11-不飽和脂肪族エステルアセテートとは、オレフィン鎖のアセテート末端から数えて11番目の炭素-炭素結合が二重結合であるオレフィン性エステルアセテートを意味する。Δ11-不飽和脂肪族エステルアセテートの例としては酢酸11-ドデセニル、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、および(E)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートが挙げられるがそれに限定されない。
【0031】
本明細書において使用される「アルケノール」および「脂肪族アルケノール」という用語は、互換的に使用されるものであり、構造R'-ORを有し、R'が少なくとも4個の炭素原子、例えば4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、または30個の炭素原子を含む直鎖アルケニル基であり、Rが水素またはアルコール保護基である、化合物を意味する。いくつかの態様では、R'はC6~C34直鎖アルケニル基である。非限定的な例として、「C10~C28脂肪族アルケノール」とは、R'-ORのRが水素であり、R'がC10~C28直鎖アルケニル基である、アルケノール(すなわち脂肪族アルケノール)のことである。
【0032】
本明細書において使用される「不飽和脂肪族カルボキシル誘導体」という用語は、カルボキシル部分を含みかつ本発明の方法において使用される、脂肪族オレフィン化合物を意味する。本明細書において使用される「カルボキシル」という用語は、式「-C(O)O-」の基を表す。本発明においては、不飽和脂肪族カルボニル誘導体は「不飽和脂肪酸」および「不飽和脂肪酸アルキルエステル」を含む。本明細書において使用される「不飽和脂肪酸」という用語は、構造R'-C(O)OHを有し、R'が少なくとも4個の炭素原子、例えば4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40個の炭素原子を含む直鎖アルケニル基である、化合物を意味する。いくつかの態様では、R'-C(O)OHのR'はC6~C34直鎖アルケニル基である。非限定的な例として、「C12~C30不飽和脂肪酸」とは、R'-C(O)OHのR'がC11~C29直鎖アルケニル基である、不飽和脂肪酸のことである。本明細書において使用される「不飽和脂肪酸アルキルエステル」という用語は、構造R'-C(O)O-Rを有し、R'が少なくとも4個の炭素原子、例えば4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40個の炭素原子を含む直鎖アルケニル基であり、Rが以下に記載のアルキル基である、化合物を意味する。いくつかの態様では、R'-C(O)O-RのR'はC6~C34直鎖アルケニル基である。非限定的な例として、「C12~C30不飽和脂肪酸メチルエステル」とは、R'-C(O)O-RのRがメチル基であり、R'がC10~C28直鎖アルケニル基である、不飽和脂肪酸アルキルエステルのことである。不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は、異なる不飽和脂肪酸の混合物または異なる不飽和脂肪酸アルキルエステルの混合物でありうる。いくつかの態様では、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は天然油または天然油誘導体から得られる。
【0033】
本明細書において使用される「異性体」という用語は、別の分子と同じ化学式を有するが異なる化学構造を有する、分子を意味する。すなわち、異性体は、同じ数の各元素の原子を含むが、各元素の原子について異なる配置を有する。異性体は「構造異性体」および「立体異性体」を含む。「構造異性体(structural isomers)」(「構造異性体(constitutional isomers)」とも呼ばれる)では、原子は異なる結合順序を有する。構造異性体は、異なるIUPAC名を有しており、同じ官能基に属していても属していなくてもよい。この種類の異性体は、炭化水素鎖が不定の分岐量を有する骨格異性体、および鎖上での官能基の位置に関係する位置異性体; ならびに分子式が同じであるが官能基が異なる官能基異性を含む。
【0034】
本明細書において使用される「位置異性体」という用語は、第2の化合物と同じ炭素骨格および官能基を有するが、炭素骨格の上または中での官能基の位置が異なる、第1の化合物を意味する。特定の態様では、1つの位置異性体は、官能基(例えばアルケン、ヒドロキシル、アルデヒド、およびアセチルなど)が位置する炭素骨格での位置が、該異性体に対する位置異性体に比べて異なりうる。例えば、(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートの位置異性体は(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートである。というのも、(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートが(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートと(Z)-デカ-5-エンとのクロスメタセシスにより生成され、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートが(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテートと(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシスにより生成されるからである。
【0035】
立体異性体では、結合構造は同じであるが、空間における原子および官能基の幾何配置が異なる。このクラスの異性体は、重ね合わせることができない互いの鏡像である異性体である鏡像異性体、および鏡像ではない立体異性体であるジアステレオマーを含む。幾何異性体またはシス/トランス異性体は、結合における置換基原子の立体化学的配向が異なるジアステレオマーである。本明細書に記載のオレフィンおよび脂肪族オレフィン誘導体内の二重結合は、異なる分子である幾何異性体をそれぞれ表す2つのありうる立体配置のうち一方に分子を固定することで分子の回転を妨げる。これらの幾何異性体は、炭素鎖が二重結合の反対側(トランス側)に接続される場合、E(ドイツ語の単語エントゲーゲンに由来。反対にの意)と呼ばれ、同じ側(シス側)に接続される場合、Z(ツザンメン。一緒にの意)と呼ばれる。したがって、本明細書に記載のオレフィンおよび脂肪族オレフィン誘導体は(E)配置、(Z)配置、または(E)配置と(Z)配置との混合形態でありうる。別の種類の異性体である配座異性体(conformational isomers)(配座異性体(conformers))は、特定の化合物に応じて回転異性体、ジアステレオマー、または鏡像異性体でありうる。
【0036】
本明細書において使用される「立体選択率」という用語は、化合物(すなわち本明細書に記載のオレフィンもしくは脂肪族オレフィン誘導体)の特定の立体異性体を異性体的に純粋な形態(例えば約90% Z異性体もしくは約90% E異性体)で生成するか、または本明細書に記載の方法に従ってメタセシス触媒の存在下で脂肪族オレフィン誘導体の特定の立体異性体を特に生成する能力を記述する。本発明においては、「立体選択的な」または「選択的な」とは、1つの立体異性体を第2の立体異性体に比べて優先的に生じさせる、すなわち、望まれる立体異性体のそれほど望まれない立体異性体に対する比が1:1を超えるメタセシス生成物または脂肪族オレフィンメタセシス生成物を生じさせる、クロスメタセシス反応を意味する。
【0037】
「Z立体選択率」または「Z選択率」は、化合物(すなわち本明細書に記載のオレフィンもしくは脂肪族オレフィン誘導体)のZ異性体をZ異性体的に純粋な形態、もしくは大部分が純粋な形態、もしくは実質的に純粋な形態で生成するか; または本明細書に記載の方法に従ってメタセシス触媒の存在下でi.) メタセシス反応パートナー(例えばアシル化オレフィンメタセシス反応パートナー)のE異性体およびZ異性体の混合物とii.) E異性体およびZ異性体の混合物であっても少なくとも95% Zであってもよいオレフィンとの組み合わせから脂肪族オレフィン誘導体のZ異性体を特に生成する能力を記述する。さらに、本発明においては、「Z立体選択的な」または「Z選択的な」とは、Z異性体をE異性体に比べて優先的に生じさせる、すなわち、Z異性体のE異性体に対する比が1:1を超えるZ-脂肪族オレフィンメタセシス生成物を生じさせる、クロスメタセシス反応を意味する。「Z選択的触媒」とは、本発明のクロスメタセシス反応方法においてZ-脂肪族オレフィンメタセシス生成物を優先的に生成する本明細書に記載の第8族遷移金属触媒を意味する。Z選択率を、形成される異性体生成物の割合として表してもよい。例えば、本発明の方法に従って調製される脂肪族オレフィン誘導体(例えばメタセシス生成物、脂肪族オレフィンメタセシス生成物など)は少なくとも80% Z、通常は85%超 Z、または90% Z、または95% Z、好ましくは97%超 Z、または98%超 Z、または99%超 Z、または99.5%超 Z、または99.9%超 Zである。
【0038】
個々の異性体においては、「異性体純度」または「異性体的に純粋な」という用語は、互換的に使用されるものであり、オレフィンまたは脂肪族オレフィン誘導体のすべての異性体形態の総量または総濃度に対するオレフィンまたは脂肪族オレフィン誘導体の特定の異性体の量または濃度を指す。本発明の方法に従って調製される各脂肪族オレフィン誘導体(例えばメタセシス生成物、脂肪族オレフィンメタセシス生成物など)は実質的にZ異性体的に純粋である。言い換えれば、本発明の方法に従って調製される脂肪族オレフィン誘導体(例えばメタセシス生成物、脂肪族オレフィンメタセシス生成物など)は80%超 Z異性体、通常は85%超 Z異性体、または90% Z異性体、または95% Z異性体、より好ましくは97%超 Z異性体、または98%超 Z異性体、または99%超 Z異性体、または99.5%超 Z異性体、または99.9%超 Z異性体である。
【0039】
本明細書において使用される「Z:E比」という用語は、Z異性体(例えばZ-脂肪族オレフィンメタセシス生成物)の量のE異性体(例えばE-脂肪族オレフィンメタセシス生成物)の量に対する割合を意味する。本明細書において使用される「Z富化された」という用語は、前駆体材料(例えばメタセシス反応パートナー)よりも高いZ:E比を有する材料(例えばメタセシス生成物)を意味する。
【0040】
本明細書において使用される「低い異性体純度」という用語は、90%未満 Z異性体(すなわち10%以上 E異性体)である、本発明の方法において使用されるかまたは本発明の方法から生成されるオレフィン、メタセシス反応パートナー、オレフィン出発原料、オレフィン含有反応物、および脂肪族オレフィン誘導体(例えばアルケノール、不飽和脂肪族アルコールアセテート、不飽和脂肪族エステルアセテート、オレフィンメタセシス反応パートナー、脂肪族オレフィンメタセシス生成物、不飽和脂肪族アルデヒド、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、メタセシス生成物など)を意味する。
【0041】
本明細書において使用される「高度にZ選択的な」という用語は、形成されるメタセシス生成物および/または脂肪族オレフィンメタセシス生成物の85%超がZ配置であることを意味する。
【0042】
本明細書において使用される「メタセシス触媒」という用語は、メタセシス反応を触媒する任意の触媒または触媒系を意味する。当業者は、メタセシス触媒が、反応速度を増加させるようにメタセシス反応に関与しうるが、反応中にそれ自体消費されないことを認識するであろう。「ルテニウム触媒」とは、1個または複数のルテニウム原子を有するメタセシス触媒を意味する。「オスミウム触媒」とは、1個または複数のオスミウム原子を有するメタセシス触媒を意味する。
【0043】
本明細書において使用される「形成すること」および「変換すること」という用語は、互換的に使用されるものであり、出発原料と少なくとも1種の試薬とを反応させることで中間体種または生成物を形成することを意味する。形成すること、または変換することは、中間体と少なくとも1種の試薬とを反応させることでさらなる中間体種または生成物を形成することを含んでもよい。
【0044】
「官能基」という用語は、当技術分野において公知である任意の官能基を包含する。
【0045】
本明細書において使用される「アシル」という用語は、Rが以下に記載のアルキル基である官能基-C(O)-Rを意味する。
【0046】
本明細書において使用される「アシル化すること」という用語は、アルコール基(-OH)をRが以下に記載のアルキル基であるエステル基(-OC(O)-R)に変換することを意味する。
【0047】
本明細書において使用される「アシル化剤」という用語は、化合物に-C(O)-R部分を付加するために基質化合物と反応可能な化合物を意味する。アシル化剤を使用することで、例えば、ヒドロキシル部分(すなわち-OH)を有する化合物上にエステル(すなわち-C(O)O-R)を形成することができる。本発明において有用なアシル化剤は1種または複数のC1~C20直鎖もしくは分岐鎖アルキルもしくはアリールカルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、ジケテン、またはアセト酢酸エステルでありうる。本発明におけるアシル化剤としての使用に好適なカルボン酸無水物の例としては無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ヘキサン酸、無水2-エチルヘキサン酸、無水ノナン酸、無水ラウリン酸、無水パルミチン酸、無水ステアリン酸、無水安息香酸、置換無水安息香酸、無水フタル酸、および無水イソフタル酸が挙げられるがそれに限定されない。本発明におけるアシル化剤としての使用に好適なカルボン酸ハロゲン化物の例としては塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化ヘキサノイル、塩化2-エチルヘキサノイル、塩化ラウロイル、塩化パルミトイル、および塩化ステアロイルが挙げられる。本発明におけるアシル化剤としての使用に好適なアセト酢酸エステルの例としてはアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチル、およびアセト酢酸tert-ブチルが挙げられるがそれに限定されない。
【0048】
本明細書において使用される「アルケニル」という用語は、1個または複数の二重結合を有する本明細書に定義のアルキル基を意味する。「ヘテロアルケニル」という用語は、1個または複数の炭素原子がヘテロ原子(すなわち窒素、酸素、または硫黄。窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態を含む)で置き換えられたアルケニル基を意味する。
【0049】
本明細書において使用される「還元すること」という用語は、水素化触媒または還元剤から基質化合物への電子密度移動を意味する。通常、電子密度移動は、基質化合物への水素の付加を含むプロセスにより生じる。
【0050】
本明細書において使用される「還元剤」という用語は、カルボン酸基(すなわち-C(O)OH)をアルコール基(すなわち-CH2-OH)に還元する上で有効な任意の試薬を意味する。還元剤の例としては水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、および水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが挙げられるがそれに限定されない。
【0051】
本明細書において使用される「水素化触媒」という用語は、Rが以下に記載のアルキル基であるアルキルエステル基(すなわち-C(O)O-R)をアルコール基(すなわち-CH2-OH)に水素化する上で有効な任意の触媒を意味する。水素化触媒は不均一系触媒または均一系触媒でありうる。
【0052】
本発明においては、「不均一系の」という用語は、1種または複数の試薬または関与物質(すなわち不均一系触媒)が反応媒体に溶解しない反応条件、言い換えれば、1種または複数の試薬または関与物質が一緒に混合される際に他の溶媒、試薬、化合物、または基質(例えば液体または蒸気)とは異なる相(例えば固体触媒)にある反応条件を意味する。「均一系の」という用語は、すべての試薬または関与物質(すなわち均一系触媒)が反応媒体に可溶性である(すなわち、一緒に混合される際に他の溶媒、試薬、化合物、または基質と同じ相にある)反応条件を意味する。「不均一系の」および「均一系の」という用語は触媒を指すこともある。例えば、「不均一系触媒」とは、反応媒体に溶解しない触媒、言い換えれば、一緒に混合される際に他の溶媒、試薬、化合物、または基質(例えば液体または蒸気)とは異なる相(例えば固体触媒)にある触媒を意味する。「均一系触媒」とは、反応媒体に可溶性である(すなわち、一緒に混合される際に他の溶媒、試薬、化合物、または基質と同じ相にある)触媒を意味する。
【0053】
本明細書において使用される「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、完全飽和しているかまたは1個もしくは複数の不飽和単位を含む、直鎖状(すなわち非分岐状)または分岐状の置換または非置換炭化水素鎖、あるいは、完全飽和しているかまたは1個もしくは複数の不飽和単位を含むが、芳香族ではなく、分子の残りに対する1個の結合点を有する、単環式炭化水素、二環式炭化水素、または三環式炭化水素(本明細書では「炭素環」または「脂環式」とも呼ばれる)を意味する。別途指定がない限り、脂肪族基は1~30個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの態様では、脂肪族基は1~20個の脂肪族炭素原子を含む。他の態様では、脂肪族基は1~10個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の態様では、脂肪族基は1~5個の脂肪族炭素原子を含み、さらに他の態様では、脂肪族基は1、2、3、または4個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの態様では、「脂環式」(または「炭素環」)とは、完全飽和しているかまたは1個もしくは複数の不飽和単位を含むが、芳香族ではなく、分子の残りに対する1個の結合点を有する、単環式C3~C6炭化水素またはC8~C10二環式炭化水素を意味する。好適な脂肪族基としては直鎖状または分岐状の置換または非置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびその混成体、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、または(シクロアルキル)アルケニルが挙げられるがそれに限定されない。「ヘテロ脂肪族」という用語は、脂肪族基の少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子(すなわち窒素、酸素、または硫黄。窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態を含む)で置き換えられた脂肪族基を意味する。
【0054】
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、当技術分野における通常の意味が与えられ、指示された数の炭素原子を有する直鎖状(straight chain)(すなわち直鎖状(linear))または分岐状の飽和脂肪族基を含む。直鎖または分岐鎖アルキルは約1~40個の炭素原子、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、または40個の炭素原子を骨格に有する。いくつかの態様では、直鎖(straight chain)または直鎖(linear)アルキルはC1~C30であり、分岐鎖アルキルはC3~C30である。いくつかの場合では、直鎖または分岐鎖アルキルは骨格中に約1~20個の炭素原子を有する。いくつかの態様では、直鎖または分岐鎖アルキル基は骨格中に約1~10個の炭素原子を有し、例えばC1~2、C1~3、C1~4、C1~5、C1~6、C1~7、C1~8、C1~9、C1~10、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C3~4、C3~5、C3~6、C4~5、C4~6、およびC5~6である。例えば、C1~10アルキルとしてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、アルキル基は低級アルキル基であることができ、ここで低級アルキル基は1~4個の炭素原子を含む(例えば直鎖低級アルキルではC1~C4)。
【0055】
本明細書において使用される「ヘテロアルキル」という用語は、当技術分野における通常の意味が与えられ、1個または複数の炭素原子がヘテロ原子(例えば酸素、窒素、硫黄など)で置き換えられた本明細書に記載のアルキル基を意味する。ヘテロアルキル基の例としてはアルコキシ、ポリ(エチレングリコール)-、アルキル置換アミノなどが挙げられるがそれに限定されない。
【0056】
本明細書において使用される「アルコキシ」という用語は、Rが上記定義のアルキル基である-OR部分を意味する。「シリルアルキル」という用語は、少なくとも1個の炭素原子がケイ素原子で置き換えられた本明細書に定義のアルキル基を意味する。「シリルオキシ」という用語は、各Rが独立してH、本明細書に記載のアルキル、置換アルキル、アリール、および置換アリールからなる群より選択される-OSiR3部分を意味する。
【0057】
本明細書において使用される「シクロアルキル」という用語は、分子の残りに対する1個の結合点を有する飽和単環式炭化水素基、二環式炭化水素基、または三環式炭化水素基を意味する。シクロアルキル基はアルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む。いくつかの態様では、シクロアルキル環は、環が単環式または二環式である環構造中に約3~10個の炭素原子を有し、あるいは環構造中に約5、6、または7個の炭素を有する。
【0058】
本明細書において使用される「アルキニル」という用語は、1個または複数の三重結合を有する本明細書に定義のアルキル基を意味する。
【0059】
本明細書において使用される「アリール」という用語は、単独でまたは「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」などのより大きな部分の一部として使用されるものであり、合計5~14環員を有し、系中の少なくとも1個の環が芳香族であり、系中の各環が3~7環員を含む、単環系または二環系を意味する。「アリール」という用語は「アリール環」という用語と互換的に使用可能である。本発明の特定の態様では、「アリール」とは、1個または複数の置換基を有しうる、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどを含むがそれに限定されない芳香環系を意味する。芳香環が1個または複数の非芳香環に縮合した基、例えばインダニル、フタルイミジル、ナフチミジル(naphthimidyl)、フェナントリジニル、またはテトラヒドロナフチルなども、本明細書において使用される「アリール」という用語の範囲内に含まれる。「アリールオキシ」という用語は、Rが上記定義のアリール基である-OR部分を意味する。
【0060】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」および「ヘテロアル-(heteroar-)」という用語は、単独でまたはより大きな部分、例えば「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアラルコキシ」の一部として使用されるものであり、5~10個の環原子を有する基(すなわち単環式または二環式)、いくつかの態様では5、6、9、または10個の環原子を有する基を意味する。いくつかの態様では、当該の環は、環状配列中に共有された6、10、または14個のπ電子を有し、炭素原子に加えて1~5個のヘテロ原子を有する。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素、または硫黄を意味し、窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリール基としてはチエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、およびプテリジニルが挙げられるがそれに限定されない。本明細書において使用される「ヘテロアリール」および「ヘテロアル-」という用語は、芳香族複素環が1個または複数のアリール環、脂環式環、またはヘテロシクリル環に縮合し、結合基または結合点が芳香族複素環上にある、基も含む。非限定的な例としてはインドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。ヘテロアリール基は単環式または二環式でありうる。「ヘテロアリール基」という用語は「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、または「芳香族複素環」という用語と互換的に使用可能であり、いずれの用語も置換されていてもよい環を含む。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルキル基を意味し、ここでアルキル部分およびヘテロアリール部分は独立して置換されていてもよい。
【0061】
アリール基およびヘテロアリール基の例としてはフェニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、およびピリミジニルなどが挙げられるがそれに限定されない。アリール基およびヘテロアリール基が、金属中心に配位する配位子として使用される場合、アリール基およびヘテロアリール基が、金属中心に配位するために十分なイオン性を有しうることを理解すべきである。例えば、本明細書に記載のようにピロールなどのヘテロアリール基が窒素含有配位子として使用される場合、ピロール基が、金属中心に配位するために十分なイオン性を有する(例えば、ピロリルを確定するために十分に脱プロトン化されている)ということを理解すべきである。いくつかの場合では、アリール基またはヘテロアリール基は、金属中心に配位するために十分なイオン性を有する少なくとも1個の官能基、例えばビフェノレート基を含みうる。
【0062】
本明細書において使用される「複素環(heterocycle)」、「ヘテロシクリル」、「複素環基」、および「複素環(heterocyclic ring)」という用語は、互換的に使用されるものであり、飽和または部分不飽和でありかつ炭素原子に加えて上記定義の1個または複数のヘテロ原子(例えば1~4個のヘテロ原子)を有する安定な5~7員単環部分または7~10員二環式複素環部分を意味する。複素環の環原子に関して使用される場合、「窒素」という用語は置換窒素を含む。一例として、酸素、硫黄、または窒素より選択される1~3個のヘテロ原子を有する飽和または部分不飽和環中では、窒素はN(例えば3,4-ジヒドロ-2H-ピロリル中で)、NH(例えばピロリジニル中で)、または+NR(例えばN-置換ピロリジニル中で)でありうる。
【0063】
複素環は、安定な構造を生じさせる任意のヘテロ原子または炭素原子においてそのペンダント基に結合可能であり、いずれの環原子も置換されていてもよい。これらの飽和または部分不飽和複素環基の例としてはテトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびキヌクリジニルが挙げられるがそれに限定されない。「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環基(heterocyclic group)」、「複素環部分」、および「複素環基(heterocyclic radical)」という用語は、本明細書において互換的に使用されるものであり、ヘテロシクリル環が1個または複数のアリール環、ヘテロアリール環、または脂環式環に縮合した基、例えばインドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロキノリニルも含む。ヘテロシクリル基は単環式または二環式でありうる。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルで置換されたアルキル基を意味し、ここでアルキル部分およびヘテロシクリル部分は独立して置換されていてもよい。
【0064】
「ハロゲン」および「ハロ」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味するように互換的に使用される。
【0065】
本明細書において使用される「保護基」という用語は、官能基を非反応性にするが、官能基を回復させるために除去可能でもある、化学部分を意味する。「アルコール保護基」の例としてはベンジル; tert-ブチル; トリチル; tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS; TBS); 4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジルオキシカルボニル(Dmnb); プロパルギルオキシカルボニル(Poc); などが挙げられるがそれに限定されない。「アミン保護基」の例としてはベンジルオキシカルボニル; 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc); tert-ブチルオキシカルボニル(Boc); アリルオキシカルボニル(Alloc); p-トルエンスルホニル(Tos); 2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル(Pmc); 2,2,4,6,7-ペンタメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf); メシチル-2-スルホニル(Mts); 4-メトキシ-2,3,6-トリメチルフェニルスルホニル(Mtr); アセトアミド; フタルイミド; などが挙げられるがそれに限定されない。Green and Wuts (Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Ed. 2007, Wiley-Interscience, New York)に記載のものを例えば含む他のアルコール保護基およびアミン保護基は当業者に公知である。
【0066】
本明細書に記載のように、本発明の化合物は「置換されていてもよい」部分を含みうる。一般に、「置換された」という用語は、「任意で(optionally)」という用語が先行する場合であれ、そうでない場合であれ、指定された部分の1個または複数の水素が好適な置換基で置き換えられることを意味する。別途指示がない限り、「置換されていてもよい」基は、基の置換可能な各位置において好適な置換基を有しうるし、任意の所与の構造中の2つ以上の位置が特定の群より選択される2個以上の置換基で置換されていてもよい場合、置換基は各位置において同じでも異なっていてもよい。一般に、本発明が想定する置換基の組み合わせは、安定なまたは化学的に実行可能な化合物を形成させるものである。本明細書において使用される「安定な」という用語は、本明細書に開示される1つまたは複数の目的でのその生成、検出、ならびに特定の態様ではその回収、精製、および使用を可能にする条件に供される際に実質的に改変されない、化合物を意味する。
【0067】
「置換されていてもよい」基の置換可能な炭素原子上の好適な一価の置換基は独立してハロゲン; -(CH2)0~4Rα; -(CH2)0~4ORα; -O(CH2)0~4Rα; -O-(CH2)0~4C(O)ORα; -(CH2)0~4CH(ORα)2; -(CH2)0~4SRα; Rαで置換されていてもよい-(CH2)0~4Ph; Rαで置換されていてもよい-(CH2)0~4O(CH2)0~1Ph; Rαで置換されていてもよい-CH=CHPh; Rαで置換されていてもよい-(CH2)0~4O(CH2)0~1-ピリジル; -NO2; -CN; -N3; -(CH2)0~4N(Rα)2; -(CH2)0~4N(Rα)C(O)Rα; -N(RO)C(S)Rα; -(CH2)0~4N(Rα)C(O)NRα
2; -N(Rα)C(S)NRα
2; -(CH2)0~4N(Rα)C(O)ORα; -N(Rα)N(Rα)C(O)Rα; -N(Rα)N(Rα)C(O)NRα
2; -N(Rα)N(Rα)C(O)ORα; -(CH2)0~4C(O)Rα; -C(S)Rα; -(CH2)0~4C(O)ORα; -(CH2)0~4C(O)SRα; -(CH2)0~4C(O)OSiRα
3; -(CH2)0~4OC(O)Rα; -OC(O)(CH2)0~4SR-SC(S)SRα; -(CH2)0~4SC(O)Rα; -(CH2)0~4C(O)NRα
2; -C(S)NRα
2; -C(S)SRα; -SC(S)SRα; -(CH2)0~4OC(O)NRα
2; -C(O)N(ORα)Rα; -C(O)C(O)Rα; -C(O)CH2C(O)Rα; -C(NORα)Rα; -(CH2)0~4SSRα; -(CH2)0~4S(O)2Rα; -(CH2)0~4S(O)2ORα; -(CH2)0~4OS(O)2Rα; -S(O)2NRα
2; -(CH2)0~4S(O)Rα; -N(Rα)S(O)2NRα
2; -N(Rα)S(O)2Rα; -N(ORα)Rα; -C(NH)NRα
2; -P(O)2Rα; -P(O)Rα
2; -OP(O)Rα
2; -OP(O)(ORα)2; SiRα
3; -(C1~4直鎖状もしくは分岐状)アルキレン)O-N(Rα)2; または-(C1~4直鎖状もしくは分岐状)アルキレン)C(O)O-N(Rα)2であり、ここで各Rαは以下に定義のように置換されていてもよく、独立して水素、C1~6脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、-CH2-(5~6員ヘテロアリール環)、または、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員飽和環、部分不飽和環、もしくは芳香環であり、あるいは、上記定義にかかわらず、2個の独立して出現するRαは、それらの間に介在する原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、以下に定義のように置換されていてもよい単環式または二環式の3~12員飽和環、部分不飽和環、または芳香環を形成する。
【0068】
Rα(または、2個の独立して出現するRαをそれらの間に介在する原子と一緒にすることで形成される環)上の好適な一価の置換基は独立してハロゲン; -(CH2)0~2Rβ; -(ハロRβ); -(CH2)0~2OH; -(CH2)0~2ORβ; -(CH2)0~2CH(ORβ)2; -O(ハロRβ); -CN; -N3; -(CH2)0~2C(O)Rβ; -(CH2)0~2C(O)OH; -(CH2)0~2C(O)ORβ; -(CH2)0~2SRβ; -(CH2)0~2SH; -(CH2)0~2NH2; -(CH2)0~2NHRβ; -(CH2)0~2NRβ
2; -NO2; SiRβ
3; -OSiRβ
3; -C(O)SRβ; -(C1~4直鎖状もしくは分岐状アルキレン)C(O)ORβ; または-SSRβであり、ここで各Rβは非置換であるか、または、「ハロ」が先行する場合には1個もしくは複数のハロゲンでのみ置換されており、かつ、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員飽和環、部分不飽和環、もしくは芳香環より独立して選択される。Rαの飽和炭素原子上の好適な二価の置換基としては=Oおよび=Sが挙げられる。
【0069】
「置換されていてもよい」基の飽和炭素原子上の好適な二価の置換基としては=O; =S; =NNRγ
2; =NNHC(O)Rγ; =NNHC(O)ORγ; =NNHS(O)2Rγ; =NRγ; =NORγ; -O(C(Rγ
2))2~3O-; または-S(C(Rγ
2))2~3S-が挙げられ、ここで、独立して出現する各Rγは、水素、以下に定義のように置換されていてもよいC1~6脂肪族、または、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換5~6員飽和環、部分不飽和環、もしくは芳香環より選択される。「置換されていてもよい」基の隣接する置換可能な炭素に結合する好適な二価の置換基としては-O(CRβ
2)2~3O-が挙げられ、ここで、独立して出現する各Rβは、水素、以下に定義のように置換されていてもよいC1~6脂肪族、または、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換5~6員飽和環、部分不飽和環、もしくは芳香環より選択される。
【0070】
Rγの脂肪族基上の好適な置換基としてはハロゲン、-Rδ、-(ハロRδ)、-OH、-ORδ、-O(ハロRδ)、-CN、-C(O)OH、-C(O)ORδ、-NH2、-NHRδ、-NRδ
2、または-NO2が挙げられ、ここで各Rδは非置換であるか、または、「ハロ」が先行する場合には1個もしくは複数のハロゲンでのみ置換されており、かつ、独立してC1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員飽和環、部分不飽和環、もしくは芳香環である。
【0071】
「置換されていてもよい」基の置換可能な窒素上の好適な置換基としては-Rε、-NRε
2、-C(O)Rε、-C(O)ORε、-C(O)C(O)Rε, -C(O)CH2C(O)Rε、-S(O)2Rε、-S(O)2NRε
2、-C(S)NRε
2、-C(NH)NRε
2、または-N(Rε)S(O)2Rεが挙げられ、ここで各Rεは独立して水素、以下に定義のように置換されていてもよいC1~6脂肪族、非置換-OPh、または、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換5~6員飽和環、部分不飽和環、もしくは芳香環であり、あるいは、上記定義にかかわらず、2個の独立して出現するRεは、それらの間に介在する原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換で単環式または二環式の3~12員飽和環、部分不飽和環、または芳香環を形成する。
【0072】
Rεの脂肪族基上の好適な置換基は独立してハロゲン、-Rδ、-(ハロRδ)、-OH、-ORδ、-CN、-C(O)OH、-C(O)ORδ、-NH2、-NHRδ、-NRδ
2、または-NO2であり、ここで各Rδは非置換であるか、または、「ハロ」が先行する場合には1個もしくは複数のハロゲンでのみ置換されており、かつ、独立してC1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員飽和環、部分不飽和環、もしくは芳香環である。
【0073】
いくつかの態様では、「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むことが想定され、「許容される」とは、当業者に公知の原子価化学則の文脈においてである。いくつかの場合では、一般に、「置換された」とは、本明細書に記載の置換基による水素原子の置き換えを意味しうる。しかし、本明細書において使用される「置換された」は、分子がそれにより同定される主要官能基を、例えば「置換された」該官能基が置換を通じて異なる官能基になるように、置き換えかつ/または改変することを包含しない。例えば、「置換フェニル」基は、フェニル部分をなお含まなければならず、本定義においては、置換により改変されて例えばシクロヘキシル基になることはできない。広範な局面では、許容される置換基は、有機化合物の非環状および環状の、分岐状および非分岐状の、炭素環式および複素環式の、芳香族および非芳香族の置換基を含む。例示的な置換基としては例えば本明細書に記載の置換基が挙げられる。許容される置換基は、適切な有機化合物について1個でも複数でもよく、同じでも異なっていてもよい。例えば、置換アルキル基はCF3でありうる。本発明において、窒素などのヘテロ原子は水素置換基、および/または該ヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有しうる。本発明は、有機化合物の許容される置換基によって限定されるようには決して意図されない。
【0074】
置換基の例としてはアルキル、アリール、アリールアルキル、環状アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ペルハロアルコキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、アジド、アミノ、ハロゲン、アルキルチオ、オキソ、アシルアルキル、カルボキシエステル、カルボキシル、カルボキサミド、ニトロ、アシルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアリール、アルキルアリール、アルキルアミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アルキルスルホニル、カルボキサミドアルキルアリール、カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ、アミノカルボキサミドアルキル、シアノ、アルコキシアルキル、ペルハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキルなどが挙げられるがそれに限定されない。
【0075】
本明細書において使用される「天然油」という用語は、植物供給源または動物供給源に由来する油を意味する。別途指示がない限り、「天然油」という用語は天然油誘導体を含む。別途指示がない限り、植物供給源または動物供給源は改変された植物供給源または動物供給源(例えば遺伝子改変された植物供給源または動物供給源)であってもよい。天然油の例としては植物油、藻類油、魚油、動物性脂肪、トール油、これらの油の誘導体、これらの油のうちいずれかの組み合わせなどが挙げられるがそれに限定されない。
【0076】
「植物油」という用語は、植物(例えば野菜、果実、葉、茎、灌木、花、種子、もしくは木の実)の任意の好適な成分またはその任意の組み合わせに由来する天然油または天然油誘導体を意味する。植物油の代表的で非限定的な例としてはアーモンド油、キャノーラ油、アボカド油、アルガン油、ナタネ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、麻実油、マカダミア油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、亜麻仁油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、ホホバ油、カラシ油、グンバイナズナ油、アマナズナ油、およびヒマシ油が挙げられる。動物性脂肪の代表的で非限定的な例としてはラード、牛脂、家禽脂、イエローグリース、および魚油が挙げられる。トール油は木材パルプ製造の副生成物である。「天然種子油」とは、植物の果実(または他の成分)よりもむしろ植物の種子から特に得られる天然植物油の1種を意味する。したがって、すべての植物油が種子油であるわけではない。例えば、オリーブ油およびピーナッツ油は天然種子油ではない。天然種子油の代表的で非限定的な例としてはアーモンド油、キャノーラ油、アボカド油、アルガン油、ナタネ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、麻実油、マカダミア油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、亜麻仁油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、ホホバ油、カラシ油、グンバイナズナ油、アマナズナ油、およびヒマシ油が挙げられる。
【0077】
「天然油誘導体」とは、当技術分野において公知の方法のいずれか1つまたは組み合わせを使用して天然油から誘導される化合物(または化合物の混合物)を意味する。これらの方法としては鹸化、油脂分解、エステル交換反応、エステル化、水素化(部分または完全)、異性化、酸化、還元、およびメタセシスが挙げられるがそれに限定されない。天然油誘導体の代表的で非限定的な例としてはガム、リン脂質、ソーダ油滓、ダーク油、留出物または留出物スラッジ、脂肪酸、および脂肪酸アルキルエステル(例えば2-エチルヘキシルエステルなどの非限定的な例)、ならびにそのヒドロキシ置換変種が挙げられる。例えば、天然油誘導体は、天然油グリセリドから誘導される脂肪酸メチルエステル(「FAME」)でありうる。
【0078】
「汚染物質」という用語は、広範かつ非限定的に、オレフィンメタセシスにおいて使用される基質と混合された任意の不純物を、その存在量にかかわらず意味する。「触媒被毒汚染物質」とは、メタセシス触媒の性能に悪影響を与える可能性を有する汚染物質を意味する。触媒被毒汚染物質の例としては水、過酸化物、およびヒドロペルオキシドが挙げられるがそれに限定されない。
【0079】
III. 脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法
いくつかの態様では、本発明は、Z富化脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法であって、Z富化脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと内部オレフィンとを第8族遷移金属メタセシス触媒の存在下で接触させる工程を含み、ここで
脂肪族オレフィンメタセシス生成物がアシル化アルケノールまたはアルケナールアセタールであり、
オレフィンメタセシス反応パートナーがZオレフィンおよびEオレフィンの混合物を出発Z:E比で含み、
脂肪族オレフィンメタセシス生成物がZオレフィンおよびEオレフィンの混合物を生成物Z:E比で含み、
生成物Z:E比が出発Z:E比よりも高い、方法を提供する。
【0080】
本発明の方法は高度にZ選択的であり、形成されるメタセシス生成物の80%超はZ配置である。より特別には、本発明の方法は、少なくとも97% Zである脂肪族オレフィンメタセシス生成物、例えば式Iの化合物を生成する。さらに、本発明は、低いZ異性体純度のオレフィン原料から高いZ異性体純度の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を生成するための方法を提供する。
【0081】
いくつかの態様では、式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法が提供される。本方法は、脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーと、式IV:
の内部オレフィンとを、メタセシス触媒の存在下で接触させる工程を含み、式中、
R
1はHおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2はC
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3はC
1~18アルキルであり;
添字yは0~17の範囲の整数であり;
添字zは0~17の範囲の整数であり;
メタセシス触媒はZ選択的第8族遷移金属触媒である。
【0082】
いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は式VI:
のアルケナールアセタールであり;
メタセシス反応パートナーは式VII:
の化合物であり;
内部オレフィンは式IV:
の化合物であり;
R
1はC
1~6アルキルであり;
R
2はC
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3はC
1~18アルキルであり;
添字yは0~17の範囲の整数であり;
添字zは0~17の範囲の整数であり;
第8族遷移金属メタセシス触媒はZ選択的第8族遷移金属触媒である。
【0083】
脂肪族オレフィン誘導体のメタセシス
いくつかの態様では、式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーと、式IV:
の内部オレフィンとを、Z選択的第8族遷移金属触媒メタセシス触媒(例えばZ選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒)の存在下で接触させる工程を含み、式中、
R
1はHおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2はC
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3はC
1~18アルキルであり;
添字yは0~17の範囲の整数であり;
添字zは0~17の範囲の整数である。
【0084】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、アシル化剤と式II:
のアルケノールとを接触させることで、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成する工程をさらに含む。
【0085】
いくつかの態様では、式IIのアルケノールと接触させることで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために使用されるアシル化剤は無水酢酸である。
【0086】
式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために好適な任意のアシル化剤を本発明の方法において使用することができる。好適なアシル化剤の例としては、酸無水物(例えば無水酢酸)、酸塩化物(例えば塩化アセチル)、活性化エステル(例えばカルボン酸ペンタフルオロフェニルエステル)、および、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはカルボニルジイミダゾールなどのカップリング剤と共に使用されるカルボン酸が挙げられる。通常、アルケノールに対して1~10モル当量のアシル化剤を使用する。例えば、1~5当量のアシル化剤または1~2当量のアシル化剤を使用することができる。いくつかの態様では、アルケノールに対して約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5モル当量のアシル化剤(例えば無水酢酸)を使用して式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成する。
【0087】
塩基を使用することでアシル化剤によるアルケノールのアシル化を促進することができる。好適な塩基の例としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヒューニッヒ塩基(すなわちN,N-ジイソプロピルエチルアミン)、2,6-ルチジン(すなわち2,6-ジメチルピリジン)を含むルチジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)、キヌクリジン、およびコリジンが挙げられる。2種以上の塩基の組み合わせを使用することができる。通常、アルケノールに対して1モル当量未満の塩基を本発明の方法において使用する。例えば、0.05~0.9モル当量または0.1~0.5モル当量の塩基を使用することができる。いくつかの態様では、アルケノールに対して約0.05、0.1、0.15、または0.2モル当量の塩基(例えば酢酸ナトリウム)をアシル化剤(例えば無水酢酸)との組み合わせで使用することで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成する。
【0088】
任意の好適な溶媒を、アルケノールをアシル化するために使用することができる。好適な溶媒としてはトルエン、塩化メチレン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、石油エーテル、およびそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。あるいは、(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール(すなわちオレイルアルコール)などのアルケノールと無水酢酸などのアシル化剤および酢酸ナトリウムなどの塩基とをさらなる溶媒なしで組み合わせてもよい。通常、アシル化反応を約25℃~約100℃の範囲の温度で、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために十分な期間にわたって行う。反応を、反応に使用される特定のアルケノールおよびアシル化剤に応じて、数分間~数時間またはそれ以上の範囲の期間にわたって行うことができる。例えば、反応を約40℃、または約50℃、または約60℃、または約70℃、または約80℃で約10分間、または約30分間、または約1時間、または約2時間、または約4時間、または約8時間、または約12時間行うことができる。
【0089】
したがって、いくつかの態様では、本発明は、式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法であって、式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式II:
のアルケノールとを接触させる工程; および
脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと式IV:
の内部オレフィンとを、Z選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒の存在下で接触させる工程を含み、式中、
R
1がHおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2がC
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数である、方法を提供する。
【0090】
いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIa:
の不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元することで、式IIのアルケノールを形成する工程をさらに含み、
式中、R
4はHおよびC
1~8アルキルからなる群より選択される。
【0091】
いくつかの態様では、式IIのアルケノールを形成する工程は、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と塩基とを水素化触媒および水素ガスの存在下で接触させる工程を含む。均一系条件または不均一系条件を使用することができる。均一系条件の例としては、連結遷移金属触媒を使用する水素化分解(Werkmeister, S. et al. Org. Process Res. Dev. 2014, 18, 289-302; Tan, et al. Org. Lett. 2015, 17 (3), 454; Spasyuk, D. et al. J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 3743; WO 2014/139030)およびシラン試薬を使用する金属水素化物触媒還元反応(Mimoun, H. J. Org. Chem. 1999, 64, 2582; 米国特許第6,533,960号)が挙げられるがそれに限定されない。不均一系条件の例としては、式IIのアルケノールを形成するための、クロマイト、アルミナ、または他の材料に担持されたZnOまたはCuO/ZnOを使用する式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体の水素化分解が挙げられるがそれに限定されない。式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を式IIのアルケノールに還元するための条件の任意の好適な組み合わせを本発明の方法において使用することができる。
【0092】
いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体から式IIのアルケノールを形成するために使用される水素化触媒は、ピンサー型または三座もしくは四座配位子を含む均一系遷移金属触媒である。好適な均一系遷移金属触媒の非限定的な例としてはジクロロトリフェニルホスフィン[ビス(2-(エチルチオ)エチル)アミン]ルテニウム(II)およびジクロロトリフェニルホスフィン[2-(ジフェニルホスフィノ)-N-(2-ピリジニルメチル)エタンアミン]ルテニウム(II)が挙げられる。当業者は、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体(例えばアルキルエステル含有化合物)を対応するアルケノール(例えばアルコール含有化合物)に還元するために好適な水素化触媒を選択することができるであろう。Werkmeister, S. et al. Org. Process Res. Dev. 2014, 18, 289-302に記載の触媒を例えば含む、アルキルエステル基をアルコール基に水素化するために好適な他の均一系遷移金属触媒が、当業者に公知である。通常、水素化触媒は、水素ガスおよび好適な塩基、例えばナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert-ブトキシドなどの存在下、準化学量論的量(例えば触媒量)で使用される。いくつかの態様では、式IIのアルケノールを形成する工程は、不飽和脂肪酸アルキルエステルである式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と塩基とを水素化触媒および水素ガスの存在下で接触させる工程を含む。いくつかの態様では、式IIのアルケノールを形成する工程は、式IIaのR4がC1~8アルキルである式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と塩基とを水素化触媒および水素ガスの存在下で接触させる工程を含む。
【0093】
いくつかの態様では、式IIのアルケノールを形成する工程は、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と還元剤とを接触させる工程を含む。水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(CN 103319704; Chandrasekhar, et al. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 909)、ならびに水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(「SMEAH」; 商品名RED-AL、SYNHYDRIDE、およびVITRIDEでも知られる)などの任意の好適な還元剤を、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を式IIのアルケノールに還元するために使用することができる。いくつかの態様では、還元剤は水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムである。
【0094】
通常、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体に対して1~2モル当量の還元剤を使用する。いくつかの態様では、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体に対して約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5モル当量の還元剤を使用して対応するアルケノールを形成する。いくつかの態様では、式IIのアルケノールを形成する工程は、不飽和脂肪酸である式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と還元剤とを接触させる工程を含む。いくつかの態様では、式IIのアルケノールを形成する工程は、式IIaのR4がHである式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と還元剤とを接触させる工程を含む。通常、不飽和脂肪酸還元反応を約-78℃~約25℃の範囲の温度で、アルケノールを形成するために十分な期間にわたって行う。反応を、反応に使用される特定の不飽和脂肪酸および還元剤に応じて、数分間~数時間またはそれ以上の範囲の期間にわたって行うことができる。例えば、アルミニウム試薬(例えば水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム)による(Z)-イコサ-11-エン酸の還元を、約0℃~約20℃の範囲の温度で1~2時間行うことができる。
【0095】
任意の好適な溶媒を式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元する(例えば塩基ならびに水素化触媒および水素ガスで、または還元剤で)ために使用することができる。好適な溶媒としてはトルエン、塩化メチレン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、石油エーテル、およびそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。
【0096】
したがって、いくつかの態様では、本発明は、式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法であって、式II:
のアルケノールを形成するために、式IIa:
の不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元する工程;
式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤とアルケノールとを接触させる工程; および
脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと式IV:
の内部オレフィンとを、Z選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒の存在下で接触させる工程を含み、式中、
R
1がHおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2がC
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
R
4がHおよびC
1~8アルキルからなる群より選択され;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数である、方法を提供する。
【0097】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法のうちいずれかに従って式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成することは、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーとオレフィンとを接触させる前に該オレフィンメタセシス反応パートナーと前処理試薬とを接触させる工程をさらに含んでもよい。いくつかの態様では、前処理試薬はアルミナおよびマグネシウムアルミニウムイソプロポキシドからなる群より選択される。いくつかの態様では、前処理試薬はアルミナである。いくつかの態様では、前処理試薬はマグネシウムアルミニウムイソプロポキシドである。
【0098】
いくつかの態様では、式Iおよび式IIIのR1はHおよびC1~6アルキルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R1はHである。いくつかの態様では、R1はC1~6アルキルである。いくつかの態様では、R1はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、および1-エチル-2-メチルプロピルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R1はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、およびn-ヘキシルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R1はHおよびC1~3アルキルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R1はH、メチル、エチル、およびプロピルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R1はH、メチル、およびエチルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R1はHおよびメチルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R1はメチルである。
【0099】
いくつかの態様では、式IIa、式II、および式IIIのR2はC1~18アルキルおよびC2~18アルケニルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はC1~18アルキルである。いくつかの態様では、R2はC2~18アルケニルである。いくつかの態様では、R2はC1~18アルキル、C2~18アルキル、C3~18アルキル、C4~18アルキル、C5~18アルキル、C6~18アルキル、C6~18アルキル、C7~18アルキル、C8~18アルキル、C9~18アルキル、C10~18アルキル、C11~18アルキル、C12~18アルキル、C13~18アルキル、C14~18アルキル、C15~18アルキル、C16~18アルキル、およびC17~18アルキルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はC2~18アルケニル、C3~18アルケニル、C4~18アルケニル、C5~18アルケニル、C6~18アルケニル、C7~18アルケニル、C8~18アルケニル、C9~18アルケニル、C10~18アルケニル、C11~18アルケニル、C12~18アルケニル、C13~18アルケニル、C14~18アルケニル、C15~18アルケニル、C16~18アルケニル、およびC17~18アルケニルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、およびオクタデシルからなる群より選択される直鎖C1~18アルキルである。いくつかの態様では、R2は、ビニル、プロペニル、n-ブテニル、n-ペンテニル、n-ヘキセニル、n-ヘプテニル、n-オクテニル、n-ノネニル、n-デセニル、n-ウンデセニル、n-ドデセニル、n-トリデセニル、n-テトラデセニル、n-ペンタデセニル、n-ヘキサデセニル、n-ヘプタデセニル、およびn-オクタデセニルからなる群より選択される、炭化水素鎖内の任意の位置において炭素-炭素二重結合を有する直鎖C2~18アルケニルである。
【0100】
いくつかの態様では、式IIa、式II、および式IIIのR2はC1~12アルキルおよびC2~12アルケニルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、ビニル、プロペニル、n-ブテニル、n-ペンテニル、n-ヘキセニル、n-ヘプテニル、n-オクテニル、n-ノネニル、n-デセニル、n-ウンデセニル、およびn-ドデセニルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はC1~12アルキルである。いくつかの態様では、R2はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、およびn-ドデシルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はn-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、およびn-デシルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、およびn-ノニルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はn-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R2はn-オクチルである。いくつかの態様では、R2はHではない。
【0101】
いくつかの態様では、式IIIのR3はC1~18アルキルである。いくつかの態様では、R3はC1~18アルキル、C1~17アルキル、C1~16アルキル、C1~15アルキル、C1~14アルキル、C1~13アルキル、C1~12アルキル、C1~11アルキル、C1~10アルキル、C1~9アルキル、C1~8アルキル、C1~7アルキル、C1~6アルキル、C1~5アルキル、C1~4アルキル、C1~3アルキル、およびC1~2アルキルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R3はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、およびオクタデシルからなる群より選択される直鎖C1~18アルキルである。いくつかの態様では、R3はC1~12アルキルである。いくつかの態様では、R3はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、およびn-ドデシルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R3はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R3はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、およびn-ヘプチルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R3はエチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、およびn-ヘキシルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R3はn-ブチルである。いくつかの態様では、R3はn-プロピルである。いくつかの態様では、R3はエチルである。いくつかの態様では、R3はHではない。
【0102】
いくつかの態様では、式IIaのR4はHおよびC1~8アルキルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R4はHである。いくつかの態様では、R4はC1~8アルキルである。いくつかの態様では、R4はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、ヘプチル、およびオクチルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R4はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R4はHおよびC1~3アルキルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R4はH、メチル、エチル、およびプロピルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R4はH、メチル、およびエチルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R4はHおよびメチルからなる群より選択される。いくつかの態様では、R4はHである。いくつかの態様では、R4はメチルである。R4がHである場合、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は不飽和脂肪酸である。R4がC1~8アルキルまたはC1~3アルキルである場合、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は不飽和脂肪酸アルキルエステルである。
【0103】
いくつかの態様では、式I、式IIa、式II、および式IIIの添字yは0~17の範囲の整数である。いくつかの態様では、添字yは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17である。いくつかの態様では、添字yは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16である。いくつかの態様では、添字yは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。いくつかの態様では、添字yは5~15の範囲の整数である。いくつかの態様では、添字yは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。いくつかの態様では、添字yは6、7、8、9、10、11、12、または13である。いくつかの態様では、添字yは7、9、11、または13である。いくつかの態様では、添字yは7である。いくつかの態様では、添字yは9である。いくつかの態様では、式Iおよび式IVの添字zは0~17の範囲の整数である。いくつかの態様では、添字zは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17である。いくつかの態様では、添字zは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14である。いくつかの態様では、添字zは0~7の範囲の整数である。いくつかの態様では、添字zは0、1、2、3、4、5、6、または7である。いくつかの態様では、添字zは0~5の範囲の整数である。いくつかの態様では、添字zは0、1、2、3、4、または5である。いくつかの態様では、添字zは1、2、3、または4である。いくつかの態様では、添字zは1である。いくつかの態様では、添字zは2である。いくつかの態様では、添字zは3である。
【0104】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法を使用することで式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を調製し、式中、yは0であり、zは4であり; あるいは、yは1であり、zは3であり; あるいは、yは3であり、zは1であり; あるいは、yは4であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは5であり; あるいは、yは1であり、zは4であり; あるいは、yは2であり、zは3であり; あるいは、yは3であり、zは2であり; あるいは、yは4であり、zは1であり; あるいは、yは5であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは6であり; あるいは、yは1であり、zは5であり; あるいは、yは2であり、zは4であり; あるいは、yは4であり、zは2であり; あるいは、yは5であり、zは1であり; あるいは、yは6であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは7であり; あるいは、yは1であり、zは6であり; あるいは、yは2であり、zは5であり; あるいは、yは3であり、zは4であり; あるいは、yは4であり、zは3であり; あるいは、yは5であり、zは2であり; あるいは、yは6であり、zは1であり; あるいは、yは7であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは8であり; あるいは、yは1であり、zは7であり; あるいは、yは2であり、zは6であり; あるいは、yは3であり、zは5であり; あるいは、yは5であり、zは3であり; あるいは、yは6であり、zは2であり; あるいは、yは7であり、zは1であり; あるいは、yは8であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは9であり; あるいは、yは1であり、zは8であり; あるいは、yは2であり、zは7であり; あるいは、yは3であり、zは6であり; あるいは、yは4であり、zは5であり; あるいは、yは5であり、zは4であり; あるいは、yは6であり、zは3であり; あるいは、yは7であり、zは2であり; あるいは、yは8であり、zは1であり; あるいは、yは9であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは10であり; あるいは、yは1であり、zは9であり; あるいは、yは2であり、zは8であり; あるいは、yは3であり、zは7であり; あるいは、yは4であり、zは6であり; あるいは、yは6であり、zは4であり; あるいは、yは7であり、zは3であり; あるいは、yは8であり、zは2であり; あるいは、yは9であり、zは1であり; あるいは、yは10であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは11であり; あるいは、yは1であり、zは10であり; あるいは、yは2であり、zは9であり; あるいは、yは3であり、zは8であり; あるいは、yは4であり、zは7であり; あるいは、yは5であり、zは6であり; あるいは、yは6であり、zは5であり; あるいは、yは7であり、zは4であり; あるいは、yは8であり、zは3であり; あるいは、yは9であり、zは2であり; あるいは、yは10であり、zは1であり; あるいは、yは11であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは12であり; あるいは、yは1であり、zは11であり; あるいは、yは2であり、zは10であり; あるいは、yは3であり、zは9であり; あるいは、yは4であり、zは8であり; あるいは、yは5であり、zは7であり; あるいは、yは7であり、zは5であり; あるいは、yは8であり、zは4であり; あるいは、yは9であり、zは3であり; あるいは、yは10であり、zは2であり; あるいは、yは11であり、zは1であり; あるいは、yは12であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは13であり; あるいは、yは1であり、zは12であり; あるいは、yは2であり、zは11であり; あるいは、yは3であり、zは10であり; あるいは、yは4であり、zは9であり; あるいは、yは5であり、zは8であり; あるいは、yは6であり、zは7であり; あるいは、yは7であり、zは6であり; あるいは、yは8であり、zは5であり; あるいは、yは9であり、zは4であり; あるいは、yは10であり、zは3であり; あるいは、yは11であり、zは2であり; あるいは、yは12であり、zは1であり; あるいは、yは13であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは14であり; あるいは、yは1であり、zは13であり; あるいは、yは2であり、zは12であり; あるいは、yは3であり、zは11であり; あるいは、yは4であり、zは10であり; あるいは、yは5であり、zは9であり; あるいは、yは6であり、zは8であり; あるいは、yは8であり、zは6であり; あるいは、yは9であり、zは5であり; あるいは、yは10であり、zは4であり; あるいは、yは11であり、zは3であり; あるいは、yは12であり、zは2であり; あるいは、yは13であり、zは1であり; あるいは、yは14であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは15であり; あるいは、yは1であり、zは14であり; あるいは、yは2であり、zは13であり; あるいは、yは3であり、zは12であり; あるいは、yは4であり、zは11であり; あるいは、yは5であり、zは10であり; あるいは、yは6であり、zは9であり; あるいは、yは7であり、zは8であり; あるいは、yは8であり、zは7であり; あるいは、yは9であり、zは6であり; あるいは、yは10であり、zは5であり; あるいは、yは11であり、zは4であり; あるいは、yは12であり、zは3であり; あるいは、yは13であり、zは2であり; あるいは、yは14であり、zは1であり; あるいは、yは15であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは16であり; あるいは、yは1であり、zは15であり; あるいは、yは2であり、zは14であり; あるいは、yは3であり、zは13であり; あるいは、yは4であり、zは12であり; あるいは、yは5であり、zは11であり; あるいは、yは6であり、zは10であり; あるいは、yは7であり、zは9であり; あるいは、yは9であり、zは7であり; あるいは、yは10であり、zは6であり; あるいは、yは11であり、zは5であり; あるいは、yは12であり、zは4であり; あるいは、yは13であり、zは3であり; あるいは、yは14であり、zは2であり; あるいは、yは15であり、zは1であり; あるいは、yは16であり、zは0であり; あるいは、yは1であり、zは16であり; あるいは、yは2であり、zは15であり; あるいは、yは3であり、zは14であり; あるいは、yは4であり、zは13であり; あるいは、yは5であり、zは12であり; あるいは、yは6であり、zは11であり; あるいは、yは7であり、zは10であり; あるいは、yは8であり、zは9であり; あるいは、yは9であり、zは8であり; あるいは、yは10であり、zは7であり; あるいは、yは11であり、zは6であり; あるいは、yは12であり、zは5であり; あるいは、yは13であり、zは4であり; あるいは、yは14であり、zは3であり; あるいは、yは15であり、zは2であり; あるいは、yは16であり、zは1であり; あるいは、yは17であり、zは0であり; あるいは、yは0であり、zは17であり; あるいは、yは1であり、zは17であり; あるいは、yは2であり、zは16であり; あるいは、yは3であり、zは15であり; あるいは、yは4であり、zは14であり; あるいは、yは5であり、zは13であり; あるいは、yは6であり、zは12であり; あるいは、yは7であり、zは11であり; あるいは、yは8であり、zは10であり; あるいは、yは10であり、zは8であり; あるいは、yは11であり、zは7であり; あるいは、yは12であり、zは6であり; あるいは、yは13であり、zは5であり; あるいは、yは14であり、zは4であり; あるいは、yは15であり、zは3であり; あるいは、yは16であり、zは2であり; あるいは、yは17であり、zは1である。いくつかの態様では、yおよびzはいずれも0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17である。
【0105】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はC1~3アルキルであり、R2はC1~12アルキルであり、R3はC1~12アルキルであり、yは5~15の範囲の整数であり、zは0~7の範囲の整数である。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はHおよびメチルからなる群より選択され; R2はn-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、およびn-デシルであり; R3はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、およびn-ヘプチルからなる群より選択され; yは6~14の範囲の整数であり; zは1~4の範囲の整数である。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はメチルであり; R2はn-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチルからなる群より選択され; R3はエチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、およびn-ヘキシルからなる群より選択され; yは7、9、11、および13からなる群より選択される整数であり; zは1、2、および3からなる群より選択される整数である。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はメチルであり; R2はn-オクチルであり; R3はエチルおよびn-ブチルからなる群より選択され; yは7、9、11、および13からなる群より選択される整数であり; zは1および3からなる群より選択される整数である。
【0106】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIIのメタセシス反応パートナーは脂肪族C12~C30オレフィンアセテートであり; 式IVの内部オレフィンはC4~C20内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC8~C28(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。いくつかの態様では、式IIIのメタセシス反応パートナーは脂肪族C16~C28オレフィンアセテートであり; 式IVの内部オレフィンはC4~C12内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC12~C24(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。いくつかの態様では、式IIIのメタセシス反応パートナーは脂肪族C18~C26オレフィンアセテートであり; 式IVの内部オレフィンはC6~C10内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC14~C22(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。
【0107】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載の式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法を提供し、ここで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーはオクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、イコサ-11-エン-イル アセテート、ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、テトラコサ-15-エン-1-イル アセテート、またはそれらの混合物を含む群より選択される。いくつかの態様では、オレフィンメタセシス反応パートナーはオクタデカ-9-エン-1-イル アセテートと、イコサ-11-エン-イル アセテート、ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、およびテトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーとからなる。いくつかの態様では、オレフィンメタセシス反応パートナーはオクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、イコサ-11-エン-イル アセテート、ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、およびテトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される。いくつかの態様では、オレフィンメタセシス反応パートナーはオクタデカ-9-エン-1-イル アセテートである。いくつかの態様では、オレフィンメタセシス反応パートナーはイコサ-11-エン-1-イル アセテートである。いくつかの態様では、オレフィンメタセシス反応パートナーはドコサ-13-エン-1-イル アセテートである。いくつかの態様では、オレフィンメタセシス反応パートナーはテトラコサ-15-エン-1-イル アセテートである。
【0108】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載の式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法を提供し、ここで式IVのオレフィンはヘキサデカ-8-エン、テトラデカ-7-エン、ドデカ-6-エン、デカ-5-エン、オクタ-4-エン、またはヘキサ-3-エンを含む群より選択される。いくつかの態様では、オレフィンはヘキサデカ-8-エン、テトラデカ-7-エン、ドデカ-6-エン、デカ-5-エン、オクタ-4-エン、およびヘキサ-3-エンからなる群より選択される。いくつかの態様では、オレフィンはテトラデカ-7-エン、ドデカ-6-エン、デカ-5-エン、オクタ-4-エン、およびヘキサ-3-エンからなる群より選択される。いくつかの態様では、オレフィンはドデカ-6-エン、デカ-5-エン、オクタ-4-エン、およびヘキサ-3-エンからなる群より選択される。いくつかの態様では、オレフィンはデカ-5-エン、オクタ-4-エン、およびヘキサ-3-エンからなる群より選択される。いくつかの態様では、オレフィンはデカ-5-エンである。いくつかの態様では、オレフィンはオクタ-4-エンである。いくつかの態様では、オレフィンはヘキサ-3-エンである。
【0109】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載の式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法を提供し、ここで脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテート、またはそれらの混合物を含む群より選択される。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される。
【0110】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エン、(Z)-オクタ-4-エン、および(Z)-ヘキサ-3-エンからなる群より選択され; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0111】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0112】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-オクタ-4-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0113】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0114】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテートである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートである。
【0115】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はC1~3アルキルであり、R2はC1~12アルキルであり、R3はC1~12アルキルであり、yは5~15の範囲の整数であり、zは0~7の範囲の整数である。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はHおよびメチルからなる群より選択され; R2はn-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、およびn-デシルであり; R3はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、およびn-ヘプチルからなる群より選択され; yは6~14の範囲の整数であり; zは1~4の範囲の整数である。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はメチルであり; R2はn-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチルからなる群より選択され; R3はエチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、およびn-ヘキシルからなる群より選択され; yは7、9、11、および13からなる群より選択される整数であり; zは1、2、および3からなる群より選択される整数である。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はメチルであり; R2はn-オクチルであり; R3はエチルおよびn-ブチルからなる群より選択され; yは7、9、11、および13からなる群より選択される整数であり; zは1および3からなる群より選択される整数である。
【0116】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIのアルケノールはC10~C28脂肪族アルケノールであり; 式IIIのメタセシス反応パートナーはC10~C28脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり; 式IVの内部オレフィンはC4~C20内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC8~C28(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。いくつかの態様では、式IIのアルケノールはC14~C26脂肪族アルケノールであり; 式IIIのメタセシス反応パートナーはC14~C26脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり; 式IVの内部オレフィンはC4~C12内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC12~C24(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。いくつかの態様では、式IIのアルケノールはC16~C24脂肪族アルケノールであり; 式IIIのメタセシス反応パートナーはC16~C24脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり; 式IVの内部オレフィンはC6~C10内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC14~C22(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。
【0117】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載の式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法を提供し、ここで式IIのアルケノールはオクタデカ-9-エン-1-オール、イコサ-11-エン-1-オール、ドコサ-13-エン-1-オール、テトラコサ-15-エン-オール、またはそれらの混合物を含む群より選択される。いくつかの態様では、アルケノールはオクタデカ-9-エン-1-オール、イコサ-11-エン-1-オール、ドコサ-13-エン-1-オール、およびテトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される。いくつかの態様では、アルケノールはオクタデカ-9-エン-1-オールである。いくつかの態様では、アルケノールはイコサ-11-エン-1-オールである。いくつかの態様では、アルケノールはドコサ-13-エン-1-オールである。いくつかの態様では、アルケノールはテトラコサ-15-エン-オールである。
【0118】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、(Z)-ドコサ-13-エン-1-オール、および(Z)-テトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エン、(Z)-オクタ-4-エン、および(Z)-ヘキサ-3-エンからなる群より選択され; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0119】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、(Z)-ドコサ-13-エン-1-オール、および(Z)-テトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0120】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、(Z)-ドコサ-13-エン-1-オール、および(Z)-テトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-オクタ-4-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0121】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、(Z)-ドコサ-13-エン-1-オール、および(Z)-テトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0122】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オールであり; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オールであり; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテートである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIのアルケノールは(Z)-イコサ-11-エン-1-オールであり; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートである。
【0123】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はC1~3アルキルであり、R2はC1~12アルキルであり、R3はC1~12アルキルであり、R4はHおよびC1~3アルキルからなる群より選択され、yは5~15の範囲の整数であり、zは0~7の範囲の整数である。いくつかの態様では、R1はC1~3アルキルであり、R2はC1~12アルキルであり、R3はC1~12アルキルであり、R4はC1~3アルキルであり、yは7であり、zは1~5の範囲の整数である。いくつかの態様では、R1はC1~3アルキルであり、R2はC1~12アルキルであり、R3はC1~12アルキルであり、R4はHであり、yは5~15の範囲の整数であり、zは1~5の範囲の整数である。
【0124】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はHおよびメチルからなる群より選択され; R2はn-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、およびn-デシルであり; R3はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、およびn-ヘプチルからなる群より選択され; R4はHおよびメチルからなる群より選択され; yは6~14の範囲の整数であり; zは1~4の範囲の整数である。いくつかの態様では、R1はメチルであり; R2はn-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチルからなる群より選択され; R3はエチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、およびn-ヘキシルからなる群より選択され; R4はメチルであり; yは7、9、11、および13からなる群より選択される整数であり; zは1、2、および3からなる群より選択される整数である。いくつかの態様では、R1はメチルであり; R2はn-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチルからなる群より選択され; R3はエチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、およびn-ヘキシルからなる群より選択され; R4はHであり; yは7、9、11、および13からなる群より選択される整数であり; zは1、2、および3からなる群より選択される整数である。
【0125】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、式中、R1はメチルであり; R2はn-オクチルであり; R3はエチルおよびn-ブチルからなる群より選択され; R4はメチルであり; yは7、9、11、および13からなる群より選択される整数であり; zは1および3からなる群より選択される整数である。いくつかの態様では、R1はメチルであり; R2はn-オクチルであり; R3はエチルおよびn-ブチルからなる群より選択され; R4はメチルであり; yは7からなる群より選択される整数であり; zは1および3からなる群より選択される整数である。いくつかの態様では、R1はメチルであり; R2はn-オクチルであり; R3はエチルおよびn-ブチルからなる群より選択され; R4はHであり; yは7、9、11、および13からなる群より選択される整数であり; zは1および3からなる群より選択される整数である。いくつかの態様では、R1はメチルであり; R2はn-オクチルであり; R3はエチルおよびn-ブチルからなる群より選択され; R4はHであり; yは7からなる群より選択される整数であり; zは1および3からなる群より選択される整数である。
【0126】
いくつかの態様では、式IIaのR4がC1~8アルキル(例えばC1-3アルキル、メチルなど)である場合、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は不飽和脂肪酸アルキルエステルである。したがって、いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルを還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはC11~C29不飽和脂肪酸メチルエステルであり; 式IIのアルケノールはC10~C28脂肪族アルケノールであり; 式IIIのメタセシス反応パートナーはC10~C28脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり; 式IVの内部オレフィンはC4~C20内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC8~C28(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはC15~C27不飽和脂肪酸メチルエステルであり; 式IIのアルケノールはC14~C26脂肪族アルケノールであり; 式IIIのメタセシス反応パートナーはC14~C26脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり; 式IVの内部オレフィンはC4~C12内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC12~C24(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはC17~C25不飽和脂肪酸メチルエステルであり; 式IIのアルケノールはC16~C24脂肪族アルケノールであり; 式IIIのメタセシス反応パートナーはC16~C24脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり; 式IVの内部オレフィンはC6~C10内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC14~C22(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。
【0127】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載の式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法を提供し、ここで式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル オクタデカ-9-エノエート、メチル イコサ-11-エノエート、メチル ドコサ-13-エノエート、メチル テトラコサ-15-エノエート、またはそれらの混合物を含む群より選択される。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル オクタデカ-9-エノエートと、メチル イコサ-11-エノエート、メチル ドコサ-13-エノエート、およびメチル テトラコサ-15-エノエートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーとからなる。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル オクタデカ-9-エノエート、メチル イコサ-11-エノエート、メチル ドコサ-13-エノエート、およびメチル テトラコサ-15-エノエートからなる群より選択される。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル オクタデカ-9-エノエートである。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル イコサ-11-エノエートである。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル ドコサ-13-エノエートである。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル テトラコサ-15-エノエートである。
【0128】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルを還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル (Z)-オクタデカ-9-エノエート、メチル (Z)-イコサ-11-エノエート、メチル (Z)-ドコサ-13-エノエート、およびメチル (Z)-テトラコサ-15-エノエートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、(Z)-ドコサ-13-エン-1-オール、および(Z)-テトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エン、(Z)-オクタ-4-エン、および(Z)-ヘキサ-3-エンからなる群より選択され; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0129】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルを還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル (Z)-オクタデカ-9-エノエートであり; 式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オールであり; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートである。
【0130】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルを還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル (Z)-オクタデカ-9-エノエートであり; 式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オールであり; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテートである。
【0131】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルを還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル (Z)-エイコサ-11-エノエートであり; 式IIのアルケノールは(Z)-エイコサ-11-エン-1-オールであり; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-エイコサ-11-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートである。接頭辞「イコサ」および「エイコサ」は、20個の炭素を有する炭化水素鎖を指すように互換的に使用される(すなわち、メチル (Z)-エイコサ-11-エノエート、(Z)-エイコサ-11-エン-1-オール、および(Z)-エイコサ-11-エン-1-イル アセテートはそれぞれメチル (Z)-イコサ-11-エノエート、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、および(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテートに対応する)。
【0132】
いくつかの態様では、式IIaのR4がHである場合、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は不飽和脂肪酸である。したがって、いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸はC10~C28不飽和脂肪酸であり; 式IIのアルケノールはC10~C28脂肪族アルケノールであり; 式IIIのメタセシス反応パートナーはC10~C28脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり; 式IVの内部オレフィンはC4~C20内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC8~C28(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸はC14~C26不飽和脂肪酸であり; 式IIのアルケノールはC14~C26脂肪族アルケノールであり; 式IIIのメタセシス反応パートナーはC14~C26脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり; 式IVの内部オレフィンはC4~C12内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC12~C24(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸はC16~C24不飽和脂肪酸であり; 式IIのアルケノールはC16~C24脂肪族アルケノールであり; 式IIIのメタセシス反応パートナーはC16~C24脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり; 式IVの内部オレフィンはC6~C10内部オレフィンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物はC14~C22(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである。
【0133】
いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載の式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法を提供し、ここで式IIaの不飽和脂肪酸はオクタデカ-9-エン酸、イコサ-11-エン酸、ドコサ-13-エン酸、テトラコサ-15-エン酸、またはそれらの混合物を含む群より選択される。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸はオクタデカ-9-エン酸と、イコサ-11-エン酸、ドコサ-13-エン酸、およびテトラコサ-15-エン酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーとからなる。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸はオクタデカ-9-エン酸、イコサ-11-エン酸、ドコサ-13-エン酸、およびテトラコサ-15-エン酸からなる群より選択される。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸はオクタデカ-9-エン酸である。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸はイコサ-11-エン酸である。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸はドコサ-13-エン酸である。いくつかの態様では、不飽和脂肪酸はテトラコサ-15-エン酸である。
【0134】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸は(Z)-オクタデカ-9-エン酸、(Z)-イコサ-11-エン酸、(Z)-ドコサ-13-エン酸、および(Z)-テトラコサ-15-エン酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、(Z)-ドコサ-13-エン-1-オール、および(Z)-テトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エン、(Z)-オクタ-4-エン、および(Z)-ヘキサ-3-エンからなる群より選択され; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0135】
いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は天然油に由来する。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は、天然油または天然油誘導体から得られる不飽和脂肪酸である。本発明の方法における使用に好適な天然油または天然油誘導体としては、(Z)-オクタデカ-9-エン酸、(Z)-イコサ-11-エン酸、(Z)-ドコサ-13-エン酸、(Z)-テトラコサ-15-エン酸、またはそれらの混合物を含む天然油および/またはその誘導体が挙げられる。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸はアーモンド油、キャノーラ油、アボカド油、アルガン油、ナタネ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、麻実油、マカダミア油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、亜麻仁油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、ホホバ油、カラシ油、グンバイナズナ油、アマナズナ油、ヒマシ油、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される天然油から得られる。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸はキャノーラ油、アボカド油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、ベニバナ油、大豆油、ヒマワリ油、ホホバ油、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される天然油から得られる。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸はキャノーラ油、アボカド油、オリーブ油、ベニバナ油、ホホバ油、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される天然油から得られる。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸はキャノーラ油、アボカド油、ホホバ油、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される天然油から得られる。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸はキャノーラ油およびホホバ油からなる群より選択される天然油から得られる。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪酸はホホバ油から得られる。
【0136】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸は、天然油またはその誘導体から得られ、(Z)-オクタデカ-9-エン酸、(Z)-イコサ-11-エン酸、(Z)-ドコサ-13-エン酸、および(Z)-テトラコサ-15-エン酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、(Z)-ドコサ-13-エン-1-オール、および(Z)-テトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0137】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸は、天然油またはその誘導体から得られ、(Z)-オクタデカ-9-エン酸、(Z)-イコサ-11-エン酸、(Z)-ドコサ-13-エン酸、および(Z)-テトラコサ-15-エン酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、(Z)-ドコサ-13-エン-1-オール、および(Z)-テトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-オクタ-4-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0138】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸は、天然油またはその誘導体から得られ、(Z)-オクタデカ-9-エン酸、(Z)-イコサ-11-エン酸、(Z)-ドコサ-13-エン酸、および(Z)-テトラコサ-15-エン酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、(Z)-イコサ-11-エン-1-オール、(Z)-ドコサ-13-エン-1-オール、および(Z)-テトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0139】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸は(Z)-オクタデカ-9-エン酸であり; 式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オールであり; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-デカ-5-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートである。
【0140】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸は(Z)-オクタデカ-9-エン酸であり; 式IIのアルケノールは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オールであり; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテートである。
【0141】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式IIのアルケノールを形成するために、式IIaの不飽和脂肪酸を還元する工程、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式IIのアルケノールとを接触させる工程、および式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーと式IVの内部オレフィンとを接触させる工程を含み、ここで式IIaの不飽和脂肪酸は(Z)-イコサ-11-エン酸であり; 式IIのアルケノールは(Z)-イコサ-11-エン-1-オールであり; 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテートであり; 式IVの内部オレフィンは(Z)-ヘキサ-3-エンであり; 式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートである。
【0142】
(E)-反応パートナーおよびオレフィンからの(Z)-メタセシス生成物
本明細書に記載の方法を使用することでメタセシス反応パートナーおよびオレフィンから式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を調製し、ここで脂肪族オレフィンメタセシス生成物は実質的にZ配置であり、メタセシス反応パートナーおよび/またはオレフィンはE配置の異性体を含む。いくつかの態様では、97%超のZ異性体を含む脂肪族オレフィンメタセシス生成物が本明細書に記載の方法に従って形成され、ここでメタセシス反応パートナーは1%以上のE異性体を含み、オレフィンは0%~15%またはそれ以上のE異性体を含む。
【0143】
したがって、いくつかの態様では、本発明は、式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法であって、脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーと、式IV:
の内部オレフィンとを、Z選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒の存在下で接触させる工程を含み、式中、
R
1がHおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2がC
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数であり;
脂肪族オレフィンメタセシス生成物が少なくとも97% Zである、方法を提供する。
【0144】
いくつかの態様では、式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式II:
のアルケノールとを接触させる工程; および
脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと式IV:
の内部オレフィンとを、Z選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒の存在下で接触させる工程
を含み、式中、
R
1はHおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2はC
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3はC
1~18アルキルであり;
添字yは0~17の範囲の整数であり;
添字zは0~17の範囲の整数であり;
脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Zである。
【0145】
いくつかの態様では、式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法は、式II:
のアルケノールを形成するために、式IIa:
の不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元する工程;
式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤とアルケノールとを接触させる工程; および
脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと式IV:
の内部オレフィンとを、Z選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒の存在下で接触させる工程
を含み、式中、
R
1はHおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2はC
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3はC
1~18アルキルであり;
R
4はHおよびC
1~8アルキルからなる群より選択され;
添字yは0~17の範囲の整数であり;
添字zは0~17の範囲の整数であり;
脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Zである。
【0146】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法を使用することで式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を調製し、ここで脂肪族オレフィンメタセシス生成物は97%超 Zである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は約97.1% Z~約99.9% Zである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は約97.2% Z、97.4% Z、97.5% Z、97.6% Z、97.8% Z、97.9% Z、98.0% Z、98.1% Z、98.2% Z、98.4% Z、98.5% Z、98.6% Z、98.8% Z、98.9% Z、99.0% Z、99.1% Z、99.2% Z、99.3% Z、99.4% Z、99.5% Z、99.6% Z、99.7% Z、99.8% Z、または約99.9% Zである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は98%超 Zである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は99%超 Zである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は約99.1% Z、99.2% Z、99.3% Z、99.4% Z、99.5% Z、99.6% Z、99.7% Z、99.8% Z、約99.9% Z、または約100.0% Zである。
【0147】
したがって、本発明は、本明細書に記載の式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法を提供し、ここで脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテート、またはそれらの混合物を含む群より選択され、ここで脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。
【0148】
いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-オクタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-イコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み、ここで脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-トリデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ペンタデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘプタデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-ノナデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み、ここで脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含み、ここで脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。
【0149】
いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートからなる群より選択され、ここで脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートであり、ここで(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートは少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテートであり、ここで(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテートは少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物は(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートであり、ここで(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートは少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。
【0150】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、ここで式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、式IIのアルケノール、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナー、および/または式IVのオレフィンのうち1つまたは複数は少なくとも1% Eである。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、式IIのアルケノール、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナー、および/または式IVのオレフィンのうち1つまたは複数は約1.5% E~約50% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、式IIのアルケノール、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナー、および/または式IVのオレフィンのうち1つまたは複数は約1.5% E、約3.0% E、約5.0% E、約8.0% E、約10% E、約15% E、約20% E、約25% E、約30% E、約35% E、約40% E、約45% E、または約50% Eである。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、式IIのアルケノール、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナー、および/または式IVのオレフィンのうち1つまたは複数は約1.5% E~約45% E、約3.0% E~約40% E、約5.0% E~約35% E、約8.0% E~約30% E、約10% E~約25% E、または約15% E~約20% Eである。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、式IIのアルケノール、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナー、および/または式IVのオレフィンのうち1つまたは複数に関するE:Z(トランス:シス)比は約1:30、約1:20、約1:10、約1:6、約1:4、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、約1:1.2、または約1:1である。
【0151】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、ここで式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは少なくとも1% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは約1.5% E~約50% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは約1.5% E、約3.0% E、約5.0% E、約8.0% E、約10% E、約15% E、約20% E、約25% E、約30% E、約35% E、約40% E、約45% E、または約50% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーは約1.5% E~約45% E、約3.0% E~約40% E、約5.0% E~約35% E、約8.0% E~約30% E、約10% E~約25% E、または約15% E~約20% Eである。いくつかの態様では、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーのE:Z(トランス:シス)比は約1:30、約1:20、約1:10、約1:6、約1:4、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、約1:1.2、または約1:1であり、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。
【0152】
したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載の方法のうちいずれかに従って調製される式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーはオクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、イコサ-11-エン-イル アセテート、ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、テトラコサ-15-エン-1-イル アセテート、またはそれらの混合物を含む群より選択され、ここでオレフィンメタセシス反応パートナーは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンメタセシス反応パートナーはオクタデカ-9-エン-1-イル アセテートと、イコサ-11-エン-イル アセテート、ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、およびテトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーとからなり、ここでオレフィンメタセシス反応パートナーは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンメタセシス反応パートナーはオクタデカ-9-エン-1-イル アセテート、イコサ-11-エン-イル アセテート、ドコサ-13-エン-1-イル アセテート、およびテトラコサ-15-エン-1-イル アセテートからなる群より選択され、ここでオレフィンメタセシス反応パートナーは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0153】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーはオクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり、ここでオクタデカ-9-エン-1-イル アセテートは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンメタセシス反応パートナーはイコサ-11-エン-1-イル アセテートであり、ここでイコサ-11-エン-1-イル アセテートは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンメタセシス反応パートナーはドコサ-13-エン-1-イル アセテートであり、ここでドコサ-13-エン-1-イル アセテートは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンメタセシス反応パートナーはテトラコサ-15-エン-1-イル アセテートであり、ここでテトラコサ-15-エン-1-イル アセテートは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0154】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、ここで式IVのオレフィンは少なくとも1% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IVのオレフィンは約1.5% E~約50% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IVのオレフィンは約1.5% E、約3.0% E、約5.0% E、約8.0% E、約10% E、約15% E、約20% E、約25% E、約30% E、約35% E、約40% E、約45% E、または約50% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IVのオレフィンは約1.5% E~約45% E、約3.0% E~約40% E、約5.0% E~約35% E、約8.0% E~約30% E、約10% E~約25% E、または約15% E~約20% Eである。いくつかの態様では、式IVのオレフィンのE:Z(トランス:シス)比は約1:30、約1:20、約1:10、約1:6、約1:4、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、約1:1.2、または約1:1であり、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。
【0155】
したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載の方法のうちいずれかに従って調製される式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IVのオレフィンはヘキサデカ-8-エン、テトラデカ-7-エン、ドデカ-6-エン、デカ-5-エン、オクタ-4-エン、またはヘキサ-3-エンを含む群より選択され、ここでオレフィンは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンはヘキサデカ-8-エン、テトラデカ-7-エン、ドデカ-6-エン、デカ-5-エン、オクタ-4-エン、およびヘキサ-3-エンからなる群より選択され、ここでオレフィンは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンはテトラデカ-7-エン、ドデカ-6-エン、デカ-5-エン、オクタ-4-エン、およびヘキサ-3-エンからなる群より選択され、ここでオレフィンは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0156】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IVのオレフィンはドデカ-6-エン、デカ-5-エン、オクタ-4-エン、およびヘキサ-3-エンからなる群より選択され、ここでオレフィンは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンはデカ-5-エン、オクタ-4-エン、およびヘキサ-3-エンからなる群より選択され、ここでオレフィンは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンはデカ-5-エンであり、ここでデカ-5-エンは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンはオクタ-4-エンであり、ここでオクタ-4-エンは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、オレフィンはヘキサ-3-エンであり、ここでヘキサ-3-エンは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0157】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、ここで式IIのアルケノールは少なくとも1% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIのアルケノールは約1.5% E~約50% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIのアルケノールは約1.5% E、約3.0% E、約5.0% E、約8.0% E、約10% E、約15% E、約20% E、約25% E、約30% E、約35% E、約40% E、約45% E、または約50% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIのアルケノールは約1.5% E~約45% E、約3.0% E~約40% E、約5.0% E~約35% E、約8.0% E~約30% E、約10% E~約25% E、または約15% E~約20% Eである。いくつかの態様では、式IIのアルケノールのE:Z(トランス:シス)比は約1:30、約1:20、約1:10、約1:6、約1:4、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、約1:1.2、または約1:1であり、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。
【0158】
したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載の方法のうちいずれかに従って調製される式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIのアルケノールはオクタデカ-9-エン-1-オール、イコサ-11-エン-1-オール、ドコサ-13-エン-1-オール、テトラコサ-15-エン-オール、またはそれらの混合物を含む群より選択され、ここでアルケノールは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、アルケノールはオクタデカ-9-エン-1-オール、イコサ-11-エン-1-オール、ドコサ-13-エン-1-オール、およびテトラコサ-15-エン-オールからなる群より選択され、ここでアルケノールは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0159】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIのアルケノールはオクタデカ-9-エン-1-オールであり、ここでオクタデカ-9-エン-1-オールは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、アルケノールはイコサ-11-エン-1-オールであり、ここでイコサ-11-エン-1-オールは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、アルケノールはドコサ-13-エン-1-オールであり、ここでドコサ-13-エン-1-オールは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、アルケノールはテトラコサ-15-エン-オールであり、ここでテトラコサ-15-エン-オールは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0160】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、ここで式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は少なくとも1% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は約1.5% E~約50% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は約1.5% E、約3.0% E、約5.0% E、約8.0% E、約10% E、約15% E、約20% E、約25% E、約30% E、約35% E、約40% E、約45% E、または約50% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体は約1.5% E~約45% E、約3.0% E~約40% E、約5.0% E~約35% E、約8.0% E~約30% E、約10% E~約25% E、または約15% E~約20% Eである。いくつかの態様では、式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体のE:Z(トランス:シス)比は約1:30、約1:20、約1:10、約1:6、約1:4、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、約1:1.2、または約1:1であり、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zである。
【0161】
したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載の方法のうちいずれかに従って調製される式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル オクタデカ-9-エノエート、メチル イコサ-11-エノエート、メチル ドコサ-13-エノエート、メチル テトラコサ-15-エノエート、またはそれらの混合物を含む群より選択され、ここで不飽和脂肪酸アルキルエステルは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル オクタデカ-9-エノエートと、メチル イコサ-11-エノエート、メチル ドコサ-13-エノエート、およびメチル テトラコサ-15-エノエートからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーとからなり、ここで不飽和脂肪酸アルキルエステルは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル オクタデカ-9-エノエート、メチル イコサ-11-エノエート、メチル ドコサ-13-エノエート、およびメチル テトラコサ-15-エノエートからなる群より選択され、ここで不飽和脂肪酸アルキルエステルは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0162】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル オクタデカ-9-エノエートであり、ここでメチル オクタデカ-9-エノエートは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル イコサ-11-エノエートであり、ここでメチル イコサ-11-エノエートは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル ドコサ-13-エノエートであり、ここでメチル ドコサ-13-エノエートは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、不飽和脂肪酸アルキルエステルはメチル テトラコサ-15-エノエートであり、ここでメチル テトラコサ-15-エノエートは約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0163】
したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載の方法のうちいずれかに従って調製される式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪酸はオクタデカ-9-エン酸、イコサ-11-エン酸、ドコサ-13-エン酸、テトラコサ-15-エン酸、またはそれらの混合物を含む群より選択され、ここで不飽和脂肪酸は約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪酸はオクタデカ-9-エン酸と、イコサ-11-エン酸、ドコサ-13-エン酸、およびテトラコサ-15-エン酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーとからなり、ここで不飽和脂肪酸は約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪酸はオクタデカ-9-エン酸、イコサ-11-エン酸、ドコサ-13-エン酸、およびテトラコサ-15-エン酸からなる群より選択され、ここで不飽和脂肪酸は約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0164】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、式IIaの不飽和脂肪酸はオクタデカ-9-エン酸であり、ここでオクタデカ-9-エン酸は約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、不飽和脂肪酸はイコサ-11-エン酸であり、ここでイコサ-11-エン酸は約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、不飽和脂肪酸はドコサ-13-エン酸であり、ここでドコサ-13-エン酸は約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物は少なくとも97% Z、98%超 Z、または99%超 Zであり、不飽和脂肪酸はテトラコサ-15-エン酸であり、ここでテトラコサ-15-エン酸は約8.0%~約30% E、約10%~約25% E、または約15%~約20% Eである。
【0165】
メタセシス触媒
いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための上記方法において使用されるメタセシス触媒は、式Vの構造:
を有するZ選択的メタセシス触媒であり、
式中、
Mはルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択され;
XおよびYは独立してSおよびOからなる群より選択され;
ZがOおよびS(=O)からなる群より選択され;
各添字mおよび添字nは0、1、2、3、および4より独立して選択される整数であり;
各R
aは独立してハロゲン、C
1~C
6アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され; あるいは、1個のR
aは隣接するR
aと一緒になって非置換もしくは置換二環または非置換もしくは置換多環を形成し;
各R
bは独立してハロゲン、C
1~C
6アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され; あるいは、1個のR
bは隣接するR
bと一緒になって非置換もしくは置換二環または非置換もしくは置換多環を形成し;
R
cは水素およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され;
各R
d、R
e、R
f、およびR
gは独立して水素およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され;
R
12およびR
13は独立して2,4,6-トリ-イソプロピルフェニル、2,6-ジ-イソプロピルフェニル、2,6-ジ-アダマンチルフェニル、2-イソプロピル-6-tert-ブチルフェニル、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル、および2,6-ジ-tert-ブチルフェニルからなる群より選択され;
各R
14は独立して水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、およびフェニルからなる群より選択され;
R
15は水素、ハロゲン、およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され、あるいは、R
15および1個のR
14は一緒になって結合を形成する。
【0166】
いくつかの態様では、Z選択的メタセシス触媒は式Vの構造を有し、式中、Mはルテニウムであり; XおよびYはSであり; ZはOおよびS(=O)からなる群より選択され; 添字mは2であり; 添字nは0であり; 各Raは独立してハロゲン、C1~C6アルキル、およびアリールからなる群より選択され; Rcは水素であり; 各Rd、Re、Rf、およびRgは水素であり; R12およびR13は独立して2,4,6-トリ-イソプロピルフェニル、2,6-ジ-イソプロピルフェニル、2,6-ジ-アダマンチルフェニル、2-イソプロピル-6-tert-ブチルフェニル、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル、および2,6-ジ-tert-ブチルフェニルからなる群より選択され; 各R14は独立してメチル、イソプロピル、ベンジル、およびtert-ブチルからなる群より選択され; R15は水素、ハロゲン、およびC1~C6アルキルからなる群より選択され、あるいは、R15および1個のR14は一緒になって結合を形成する。
【0167】
いくつかの態様では、式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法において使用されるメタセシス触媒は、以下からなる群:
より選択されるZ選択的メタセシス触媒である。
【0168】
【0169】
本明細書において提供される方法において有用な他の触媒としては、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるWO 2018/191373、WO 2018/038928、WO 2018/034931、WO 2017/100585、ならびに米国特許第10,857,350号; 第10,774,035号; 第9,938,253号; および第6,921,735号に記載の触媒が挙げられるがそれに限定されない。Zachmannら(Chem. Eur. J. 2021, 27, 7663-7666)およびGrudzienら(Chem. Eur. J. 2014, 20,2819-2828)に記載の触媒を使用してもよい。
【0170】
メタセシス反応条件
通常、Z選択的メタセシス触媒は、反応混合物中にて準化学量論的量(例えば触媒量)で与えられる。特定の態様では、当該の量は、どちらの試薬が化学量論的過剰量であるかによるが、化学反応の制限試薬に対して約0.001~約50mol%(0.1~5000ppm)の範囲である。いくつかの態様では、触媒は制限試薬に対して約40mol%以下で存在する。いくつかの態様では、触媒は制限試薬に対して約30mol%以下で存在する。いくつかの態様では、触媒は制限試薬に対して約20mol%未満、約10mol%未満、約5mol%未満、約2.5mol%未満、約1mol%未満、約0.5mol%未満、約0.1mol%未満、約0.015mol%未満、約0.01mol%未満、約0.0015mol%未満、またはそれ以下で存在する。いくつかの態様では、触媒は制限試薬に対して約2.5mol%~約5mol%の範囲で存在する。いくつかの態様では、反応混合物は約0.01~0.1mol%の触媒(例えば0.5mol%の触媒)を含む。触媒錯体の分子式が2種以上の金属を含む場合、反応に使用される触媒錯体の量を相応に調整することができる。
【0171】
触媒添加量を反応混合物のオレフィン含有量との関連で表すこともできる。例えば、メタセシス触媒は反応混合物中の二重結合の総数に対して約0.1ppm~約500ppmの範囲の量で存在しうる。反応混合物は二重結合1個当たり0.1~100ppm、または約1~100ppm、または約1~75ppm、または約1~50ppm、または約3~50ppmの触媒を含みうる。
【0172】
いくつかの場合では、本明細書に記載の方法を溶媒の非存在下で(例えば未希釈で)行うことができる。いくつかの場合では、本方法は1種または複数の溶媒の使用を含みうる。本発明における使用に好適でありうる溶媒の例としてはベンゼン、p-クレゾール、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、グリコール、ジエチルエーテル、石油エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチル-リン酸トリアミド、酢酸エチル、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリンなど、およびそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、溶媒はベンゼン、トルエン、ペンタン、塩化メチレン、およびTHFより選択される。特定の態様では、溶媒はベンゼンである。
【0173】
いくつかの態様では、本方法を減圧下で行う。これは、メタセシス反応の途中でエチレンなどの揮発性副生成物が生成されうる場合に有利でありうる。例えば、反応容器からのエチレン副生成物の除去によって、有利なことに、メタセシス反応の平衡が所望の生成物の形成のほうに移動しうる。いくつかの態様では、本方法を約760torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約700torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約650torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約600torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約550torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約500torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約450torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約400torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約350torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約300torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約250torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約200torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約150torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約100torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約90torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約80torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約70torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約60torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約50torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約40torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約30torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約20torr未満の圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約20torrの圧力で行う。
【0174】
いくつかの態様では、本方法を約19torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約18torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約17torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約16torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約15torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約14torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約13torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約12torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約11torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約10torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約10torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約9torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約8torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約7torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約6torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約5torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約4torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約3torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約2torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約1torrの圧力で行う。いくつかの態様では、本方法を約1torr未満の圧力で行う。
【0175】
いくつかの態様では、2種のメタセシス反応物(すなわちメタセシス反応パートナーおよびオレフィン)は等モル量で存在する。いくつかの態様では、2種のメタセシス反応物は等モル量で存在しない。特定の態様では、2種の反応物は約20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、または1:20のモル比で存在する。特定の態様では、2種の反応物は約10:1のモル比で存在する。特定の態様では、2種の反応物は約7:1のモル比で存在する。特定の態様では、2種の反応物は約5:1のモル比で存在する。特定の態様では、2種の反応物は約2:1のモル比で存在する。特定の態様では、2種の反応物は約1:10のモル比で存在する。特定の態様では、2種の反応物は約1:7のモル比で存在する。特定の態様では、2種の反応物は約1:5のモル比で存在する。特定の態様では、2種の反応物は1:2のモル比で存在する。
【0176】
いくつかの態様では、1モル当量のオレフィンと1モル当量のオレフィンメタセシス反応パートナーとを接触させる。いくつかの態様では、約1.5、2、2.5、または3モル当量のオレフィンと1モル当量のメタセシス反応パートナーとを接触させる。いくつかの態様では、約1.5モル当量のオレフィンと1モル当量のメタセシス反応パートナーとを接触させる。
【0177】
一般に、本明細書に開示される多くのZ選択的メタセシス触媒との反応は15%超、例えば50%超、75%超、または90%超の収率を生じさせる。さらに、反応物および生成物は沸点の少なくとも5℃の差、例えば20℃超の差または40℃超の差を生じさせるように選択される。さらに、Z選択的メタセシス触媒の使用によって副生成物よりもはるかに速やかに生成物が形成されることから、これらの反応をできるだけ速やかに実行することが望ましいことがある。特に、反応を約24時間未満、例えば12時間未満、または8時間未満、または4時間未満で行う。有利なことに、本発明の方法は、数ミリグラム~数百キログラムまたはそれ以上の範囲の規模でメタセシス生成物を生じさせる。例えば、本方法を約1~10グラムの式IVの内部オレフィン、または約10~100グラムの式IVの内部オレフィン、または約100~500グラムの式IVの内部オレフィン、または約500~1000グラムの式IVの内部オレフィンを使用して行うことができる。本方法を少なくとも1、5、10、25、50、100、または1,000キログラムの出発原料を使用して行うことができる。メタセシス反応をWO 2011/046872に例えば記載のメタセシス反応器を使用して行うことができ、該反応器を、特定の生成物流または副生成物流(例えばオレフィン流、C2~C3化合物流、またはC3~C5化合物流)を分離および/または再利用するための1つまたは複数の下流分離装置との組み合わせで操作することができる。メタセシス反応器および分離装置を1つまたは複数の吸着剤床との組み合わせで操作することで、触媒からのメタセシス化生成物の分離、ならびに所望の生成物の精製用の装置の洗浄および乾燥を促進することができる。メートルトン規模で生成物を得るように還元反応、アシル化反応、およびメタセシス反応を行うことができる。
【0178】
当業者は、時間、温度、および溶媒が互いに依存しうること、ならびに、本発明の方法においてメタセシス生成物を調製するうえで、1つを変更すると他を変更することが必要になりうることを認識するであろう。メタセシス工程は種々の温度および時間で進行しうる。一般に、本発明の方法における反応を数分間~数日間の反応時間を使用して行う。例えば、約12時間~約7日間の反応時間を使用することができる。いくつかの態様では、1~5日間の反応時間を使用することができる。いくつかの態様では、約10分間~約10時間の反応時間を使用することができる。一般に、本発明の方法における反応を約0℃~約200℃の温度で行う。例えば、反応を15~100℃で行うことができる。いくつかの態様では、反応を20~80℃(例えば20~60℃)で行うことができる。いくつかの態様では、反応を100~150℃で行うことができる。
【0179】
本発明の方法において使用されるオレフィン、メタセシス反応パートナー、オレフィン出発原料、オレフィン含有反応物、および脂肪族オレフィン誘導体(例えばアルケノール、不飽和脂肪族アルコールアセテート、不飽和脂肪族エステルアセテート、オレフィンメタセシス反応パートナー、脂肪族オレフィンメタセシス生成物、不飽和脂肪族アルデヒド、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、メタセシス生成物など)ならびに他の材料を任意の好適な供給源から得ることができる。いくつかの態様では、本発明の方法において使用されるメタセシス反応パートナーを天然油および/またはその誘導体(例えば上記の不飽和脂肪酸)から得る。
【0180】
いくつかの態様では、天然油から誘導される材料を含む、メタセシス反応中に反応させるべき材料は、メタセシス触媒の性能に悪影響を与える可能性を有する1種または複数の汚染物質を含む。これらの汚染物質は「触媒毒」または「触媒被毒汚染物質」と呼ばれることがある。汚染物質のレベルを本明細書に記載の方法に従って減少させることができる。いくつかの態様では、材料は複数の汚染物質を含み、本方法は2種以上の汚染物質のレベルを減少させることを含む。いくつかの態様では、材料は複数の汚染物質を含み、本方法は3種以上の汚染物質のレベルを減少させることを含む。いくつかの態様では、材料は複数の汚染物質を含み、本方法は4種以上の汚染物質のレベルを減少させることを含む。いくつかの態様では、材料は複数の汚染物質を含み、本方法は5種以上の汚染物質のレベルを減少させることを含む。
【0181】
代表的汚染物質としては水、過酸化物、過酸化物分解生成物、ヒドロペルオキシド、プロトン性材料、極性材料、ルイス塩基性触媒毒など、およびそれらの組み合わせが挙げられるがそれに限定されない。いくつかの汚染物質が複数のカテゴリーに適切に分類されうる(例えば、アルコールはプロトン性材料および極性材料の両方と見なされうる)ことを理解すべきである。さらに、異なる触媒が、特定の汚染物質、および1種の触媒の性能に悪影響を与える汚染物質に対して異なる感受性を示しうることを理解すべきである。
【0182】
メタセシス反応中に反応させるべき基質中に汚染物質として発見されうる代表的プロトン性材料としては、酸素に結合した水素原子を有する材料(例えばカルボン酸、アルコールなど)、および/または窒素に結合した水素原子を有する材料(例えば第一級アミン、第二級アミンなど)が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、天然油基質中で特に、但し天然油基質中だけではないが、プロトン性材料汚染物質はカルボン酸官能基、ヒドロキシル官能基、またはそれらの組み合わせを含みうる。いくつかの態様では、プロトン性材料は遊離脂肪酸、ヒドロキシル含有材料、MAG、DAGなど、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0183】
メタセシス反応中に反応させるべき基質中に汚染物質として発見されうる代表的極性材料としては、オキシジェネートなどのヘテロ原子含有材料が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、極性材料はアルコール、アルデヒド、エーテルなど、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0184】
メタセシス反応中に反応させるべき基質中に汚染物質として発見されうる代表的ルイス塩基性触媒毒としては、ヘテロ原子含有材料が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、ルイス塩基性触媒毒はN含有材料、P含有材料、S含有材料など、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0185】
汚染物質を含む反応材料は、1種または複数の汚染物質の潜在的に有害な効果を軽減する1種または複数の調節剤によって処理可能である。本発明の方法において(個々に、または組み合わせで順次もしくは同時に)使用可能な調節剤としては熱、モレキュラーシーブ、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカゲル、モンモリロナイト粘土、フラー土、漂白土、珪藻土、ゼオライト、カオリン、活性金属(例えばCu、Mgなど)、酸無水物(例えば無水酢酸など)、活性炭(すなわち活性木炭)、ソーダ灰、金属水素化物(例えばCaH2などのアルカリ土類金属水素化物)、金属硫酸塩(例えば硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属硫酸塩; 硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属硫酸塩; および硫酸アルミニウム、硫酸カリウムマグネシウムなどの他の金属硫酸塩)、金属ハロゲン化物(例えば塩化カリウムなどのアルカリ土類金属ハロゲン化物)、金属炭酸塩(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなど)、金属ケイ酸塩(例えばケイ酸マグネシウムなど)、五酸化リン、金属アルミニウム水素化物(例えばLiAlH4、NaAlH4などのアルカリ金属アルミニウム水素化物)、アルキルアルミニウム水素化物(例えばDIBALH)、金属水素化ホウ素(例えばLiBH4、NaBH4などのアルカリ金属水素化ホウ素)、有機金属試薬(例えばグリニャール試薬; n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムなどの有機リチウム試薬; トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム)、金属アミド(例えばリチウムジイソプロピルアミドや、KHMDSなどの金属ビス(トリメチルシリル)アミド)、パラジウム炭素(Pd/C)触媒、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0186】
いくつかの態様では、調節剤は金属アルキル化合物である。いくつかの態様では、金属Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、またはガリウムでありうる。好適なアルキル基Rの例としてはメチル、エチル、ブチル、ヘキシル、デシル、テトラデシル、およびエイコシル(すなわちイコシル)が挙げられるがそれに限定されない。金属アルキル化合物の例としてはMg(CH3)2、Mg(C2H5)2、Mg(C2H5)(C4H9)、Mg(C4H9)2、Mg(C6H13)2、Mg(C12H25)2、Zn(CH3)2、Zn(C2H5)2、Zn(C4H9)2、Zn(C4H9)(C8H17)、Zn(C6H13)2、Zn(C6H3)2、Al(C2H5)3、Al(CH3)3、Al(n-C4H9)3、Al(C8H17)3、Al(イソ-C4H9)3、Al(C12H25)3、およびそれらの組み合わせが挙げられるがそれに限定されない。金属アルキル化合物としては、1個または複数のハロゲン基または水素化物基を有する物質、例えば二塩化エチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、グリニャール試薬、水素化ジイソブチルアルミニウムなども挙げられる。
【0187】
いくつかの態様では、メタセシス反応材料(例えば天然油または天然油誘導体)の処理は、反応材料と金属アルキル化合物とを接触させ、同時にまたは別に反応材料と水素化物含有化合物とを接触させることを含みうる。いくつかの態様では、反応材料を同時に金属アルキル化合物および水素化物含有化合物と接触させる場合、水素化物含有化合物は金属アルキル化合物に含まれうる。例えば、いくつかの場合では、トリアルキルアルミニウム化合物などの特定の金属アルキル化合物を作製するために使用されるプロセスによって特定の濃度の水素化物含有化合物を形成することができる。しかし、他の態様では、金属アルキル化合物と1種または複数の水素化物含有化合物とを組み合わせることができる。あるいは、いくつかの態様では、メタセシス反応材料を別の反応工程において水素化物含有化合物で処理することができ、この工程は、金属アルキル化合物による反応材料の処理の前に、後に、または前および後の両方に行われうる。
【0188】
任意の好適な水素化物含有化合物を使用することができる。いくつかの態様では、水素化物含有化合物は金属アルミニウム水素化物(例えばLiAIH4、NaAlH4などのアルカリ金属アルミニウム水素化物)、アルキルアルミニウム水素化物(例えばDIBALH)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様では、水素化物含有化合物はDIBALHなどのアルキルアルミニウム水素化物である。
【0189】
いくつかの態様では、メタセシス反応材料と水素化物含有化合物とを接触させることは、反応材料と金属アルキル化合物とを接触させることと同じ工程において行われる。いくつかの態様では、処理組成物中の金属アルキル化合物対水素化物含有化合物の重量対重量比は2:1~、または5:1~、または10:1~、または15:1~、または20:1~1000:1である。いくつかの態様では、処理組成物中の金属アルキル化合物対水素化物含有化合物の重量対重量比は少なくとも2:1、または少なくとも5:1、または少なくとも10:1、または少なくとも15:1、または少なくとも20:1である。
【0190】
特定の場合では、Z選択的メタセシス触媒を基質にゆっくりと加えることを通じて、該触媒の有効性を向上させることができる(例えば、ターンオーバー数を増加させることができ、または全触媒添加量を減少させることができる)。ゆっくりと添加する場合、1回の完全バッチ添加量と同じターンオーバー数を実現するうえで、全触媒添加量を少なくとも10%、少なくとも20%、または少なくとも30%減少させることができる。全触媒添加量をゆっくりと加えることは、1時間当たり触媒約10重量ppm(ppmwt/時)、5ppmwt/時、1ppmwt/時、0.5ppmwt/時、0.1ppmwt/時、0.05ppmwt/時、または0.01ppmwt/時の平均速度で反応材料に分割触媒添加量を加えることを含みうる。いくつかの態様では、触媒を約0.01~10ppmwt/時、0.05~5ppmwt/時、または0.1~1ppmwt/時の速度でゆっくりと加える。触媒をゆっくりと加えることは、5分毎、15分毎、30分毎、1時間毎、2時間毎、4時間毎、12時間毎、または1日毎の頻度でのバッチ添加で実行可能である。他の態様では、ゆっくりと加えることは連続的添加プロセスで行われる。
【0191】
いくつかの態様では、内部オレフィン(Z5-デセン)およびメタセシス反応パートナー(例えば酢酸オレイル)を2:1~10:1(例えば5:1)の範囲の比で組み合わせて、アルミニウム試薬(例えば1重量%マグネシウムアルミニウムイソプロポキシド)で処理した後、メタセシス触媒(例えば以下に記載のルテニウム触媒3)を二重結合1個当たり1~100ppm(例えば3~50)の添加量で加える。
【0192】
内部オレフィンの調製
いくつかの態様では、脂肪族オレフィンメタセシス生成物の合成は、末端オレフィンとメタセシス触媒とを接触させることで、内部オレフィンを形成する工程を含む。いくつかの態様では、内部オレフィンは式VIa:
の化合物であり;
末端オレフィンは式IVb:
の化合物である。
【0193】
いくつかの態様では、内部オレフィンはZ選択的ルテニウム触媒またはZ選択的タングステン触媒を使用して調製される。いくつかの態様では、内部オレフィンは式XIの構造:
を有するメタセシス触媒を使用して調製され、
式中、
Mはタングステンであり;
R
206aはアリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、それぞれ置換されていてもよく;
R
210aはピロリル、イミダゾリル、インドリル、ピラゾリル、アザインドリル、またはインダゾリルであり、それぞれ置換されていてもよく;
R
211aは置換されていてもよいアリールであり;
R
208aは水素原子、アルキル、またはアルコキシであり;
R
207bは水素原子、-O-(C
1~6アルキル)、-CH
2-O-(C
1~6アルキル)、ヘテロアルコキシ、または-N(C
1~6アルキル)
2であり;
R
207cおよびR
207dは独立して水素原子、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、ハロゲン原子、-NO
2、アミド、またはスルホンアミドである。
【0194】
いくつかの態様では、R
210aはピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、アザインドリル、またはインダゾリルであり、それぞれ置換されていてもよく; R
208aは水素原子である。R
206aはフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジイソプロピルフェニル、2-トリフルオロメチルフェニル、ペンタフルオロフェニル、tert-ブチル、または1-アダマンチルである。いくつかの態様では、R
207bはメトキシであり、R
207cは水素であり、R
207dは水素である。いくつかの態様では、R
206aは
である。
【0195】
いくつかの態様では、内部オレフィンは式XIIの構造:
を有するメタセシス触媒を使用して調製され、
式中、
M
300はルテニウムであり;
L
301は下記構造:
を有する配位子であり、
式中、
Q
300はヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンより選択され、ここでQ内の隣接原子上の2個以上の置換基は連結してさらなる環構造を形成してもよく、
R
303およびR
304は独立してヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、または置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルより選択される;
Q
301はM
300とR
303の炭素原子との間の結合であり;
R
305、R
306、R
307、およびR
308はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロ原子含有アルケニル、ヘテロアルケニル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、カルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アミノスルホニル、モノアルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニル、ニトリル、ニトロ、アルキルスルフィニル、トリハロアルキル、ペルフルオロアルキル、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、ナイトレート、シアノ、イソシアネート、ヒドロキシル、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ハロゲン置換アミド、トリフルオロアミド、スルフィド、ジスルフィド、スルホネート、カルバメート、シラン、シロキサン、ホスフィン、ホスフェート、またはボレートからなる群より選択され、ここでR
305、R
306、R
307、およびR
308の任意の組み合わせは連結して1個または複数の環状基を形成してもよく;
X
301はハロゲン化物、ナイトレート、アルキル、アリール、アルコキシ、アルキルカルボキシレート、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボキシレート、アシル、アシルオキシ、アルキルスルホナト、アリールスルホナト、アルキルスルファニル、アリールスルファニル、アルキルスルフィニル、およびアリールスルフィニルからなる群より選択され;
Y
300はN、O、S、およびPからなる群より選択されるヘテロ原子であり;
Y
300がOまたはSである場合、添字qは1であり、Y
300がNまたはPである場合、添字qは2であり;
Z
300は水素、アルキル、アリール、官能化アルキル、または官能化アリールより選択され、ここで官能基は独立してアルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、ナイトレート、シアノ、イソシアネート、ヒドロキシル、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、トリフルオロアミド、スルフィド、ジスルフィド、カルバメート、シラン、シロキサン、ホスフィン、ホスフェート、またはボレート; メチル、イソプロピル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、ベンジル、フェニル、およびトリメチルシリルからなる群より選択される。
【0196】
「ヒドロカルビル」とは、直鎖種、分岐種、環状種、飽和種、および不飽和種を含む、1個~約30個の炭素原子、好ましくは1個~約24個の炭素原子、最も好ましくは1個~約12個の炭素原子を含む一価のヒドロカルビル基、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基などを意味する。「ヒドロカルビレン」とは、1個~約30個の炭素原子を含む二価のヒドロカルビル部分を意味する。
【0197】
いくつかの態様では、Q300はヒドロカルビレン基(例えばエチレン)である。いくつかの態様では、配位子L301は1,3二置換4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イリデン部分である。いくつかの態様では、R303はアダマンチル基もしくは置換アダマンチル基、または置換C3~12シクロアルキル基である。いくつかの態様では、R304は二置換アリール基(例えば、両オルト環位が例えばイソプロピル基で置換されたフェニル基)または三置換アリール基(例えば、両オルト環位およびパラ環位が例えばメチル基で置換されたフェニル基)である。
【0198】
いくつかの態様では、R305、R306、R307、およびR308は水素である。いくつかの態様では、Y300はOである。いくつかの態様では、Z300はアルキル(例えばイソプロピル)である。いくつかの態様では、X301はナイトレートである。
【0199】
末端オレフィン(例えば1-ヘキセン)からの内部オレフィン(例えばZ5-デセン)の調製のためのメタセシス反応を、アシル化アルケノールメタセシス生成物およびアルケナールアセタールメタセシス生成物の調製について先に記載のように行うことができる。いくつかの態様では、式IVbの末端オレフィン(例えば1-ヘキセン)と以下に示すルテニウム触媒:
とを組み合わせる。
【0200】
いくつかの態様では、触媒は反応混合物中の二重結合の総数に対して約1ppm~約50ppm(例えば3~50ppmまたは5~10ppm)の範囲の量で存在する。いくつかの態様では、反応を約20℃~約60℃の範囲の温度(例えば50℃)で1~8時間またはそれ以上行う。反応をさらなる溶媒の非存在下、未希釈で行ってもよい。
【0201】
組成物およびその使用
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法に従って調製される脂肪族オレフィンメタセシス生成物はフェロモンである。したがって、本明細書において調製されるフェロモンを昆虫防除組成物としての使用のために製剤化することができる。フェロモン組成物は担体を含んでもよく、かつ/またはディスペンサーに収容されていてもよい。担体は不活性の液体または固体でありうるがそれに限定されない。
【0202】
固体担体の例としては、カオリン、ベントナイト、ドロマイト、炭酸カルシウム、タルク、粉末状マグネシア、フラー土、ワックス、石膏、珪藻土、ゴム、プラスチック、シリカ、およびチャイナクレーなどの充填剤が挙げられるがそれに限定されない。液体担体の例としては水; エタノール、ブタノール、またはグリコールなどのアルコール、およびメチルグリコールアセテートなどのそれらのエーテルまたはエステル; アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはイソホロンなどのケトン; ヘキサン、ペンタン、またはヘプタンなどのアルカン; キシレンまたはアルキルナフタレンなどの芳香族炭化水素; 鉱物油または植物油; トリクロロエタンまたは塩化メチレンなどの脂肪族塩素化炭化水素; クロロベンゼンなどの芳香族塩素化炭化水素; ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはN-メチルピロリドンなどの水溶性または強極性溶媒; 液化ガス; ならびにそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。餌または摂食刺激物質を担体に加えてもよい。
【0203】
フェロモン組成物を、雰囲気中にゆっくりと放出されるように、かつ/または放出後の分解から保護されるように製剤化することができる。例えば、フェロモン組成物をマイクロカプセル、生分解性フレーク、およびパラフィンワックス系マトリックスなどの担体に収容することができる。
【0204】
フェロモン組成物は、他の化合物が該組成物の活性に実質的に干渉しないという条件で、他のフェロモンまたは誘引剤を含みうる。フェロモン組成物は殺虫剤を含んでもよい。好適な殺虫剤の例としてはブプロフェジン、ピリプロキシフェン、フロニカミド、アセタミプリド、ジノテフラン、クロチアニジン、アセフェート、マラチオン、キナルホス(quinolphos)、クロルピリホス(chloropyriphos)、プロフェノホス、ベンジオカルブ、ビフェントリン、クロルピリホス、シフルトリン、ダイアジノン、除虫菊、フェンプロパトリン、キノプレン、殺虫性石鹸または殺虫性油、およびそれらの混合物が挙げられるがそれに限定されない。
【0205】
特定の環境中でフェロモン組成物を該組成物の放出用のディスペンサーとの組み合わせで使用することができる。当技術分野において公知である任意の好適なディスペンサーを使用することができる。当該ディスペンサーの例としては、フェロモンがそこを通じてゆっくりと放出される透過性障壁を有するリザーバを含むバブルキャップや、パッド、ビーズ、管、ロッド、スパイラル、またはボールが挙げられるがそれに限定されず、これらはゴム、プラスチック、革、綿、脱脂綿、木材、または木材製品でできており、フェロモン組成物と共に含浸される。例えば、ポリ塩化ビニル積層体、ペレット、顆粒、フェロモン組成物がそこから蒸発するロープもしくはスパイラル、またはラバーセプタムである。当業者は、適用、貯蔵、輸送、または取り扱いに関する所望の様式に好適な担体および/またはディスペンサーを選択することができるであろう。
【0206】
(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート、(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート、および(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートなどの種々のフェロモンを本発明の方法に従って調製し、上記のように製剤化することができる。例えば、本発明の方法を使用することで、(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートであるツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)性フェロモンを調製することができる。ツマジロクサヨトウ性フェロモンを、ツマジロクサヨトウ性フェロモンと脂肪酸エステル(セバシン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、もしくはアラキン酸エステルなどの)または脂肪族アルコール(ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、トリデセノール、テトラデカノール、テトラデセノール、テトラデカジエノール、ペンタデカノール、ペンタデセノール、ヘキサデカノール、ヘキサデセノール、ヘキサデカジエノール、オクタデセノール、およびオクタデカジエノールなどの)との混合物を収容するポリマー容器を有するフェロモン持続放出装置との組み合わせで使用することができる。ポリマー容器は、ポリオレフィンまたはオレフィン成分含有共重合体でできた管、アンプル、またはバッグでありうる。オオタバコガ(Helicoverpa armigera)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、およびハマキガ科(Tortricidae)などの他の害虫の性フェロモンをこの種類のフェロモン持続放出装置において使用することができる。通常、性フェロモンは10~16個の炭素原子を有する1種もしくは複数の脂肪族酢酸エステル化合物(例えば酢酸デシル、酢酸デセニル、酢酸デカジエニル、酢酸ウンデシル、酢酸ウンデセニル、酢酸ドデシル、酢酸ドデセニル、酢酸ドデカジエニル、酢酸トリデシル、酢酸トリデセニル、酢酸トリデカジエニル、酢酸テトラデシル、酢酸テトラデセニル、酢酸テトラデカジエニルなど)および/または10~16個の炭素原子を有する1種もしくは複数の脂肪族アルデヒド化合物(例えば7-ヘキサデセナール、11-ヘキサデセナール、13-オクタデセナールなど)を含む。
【0207】
本発明の方法に従って調製されるフェロモン、および該フェロモンを含む組成物を使用することで、様々な環境中で昆虫の行動および/または増殖を制御することができる。該フェロモンを使用することで、例えば雄虫または雌虫を特定の標的領域に誘引するかまたはそこから撃退することができる。該フェロモンを使用することで昆虫を誘引して脆弱な作物領域から引き離すことができる。また、該フェロモンを使用することで、例えば、昆虫のモニタリング、大量捕獲、誘惑/誘引・死滅、または交尾妨害用の戦略の一部として昆虫を誘引することができる。
【0208】
大量捕獲は、保護すべき作物が損害を被る前に高比率の昆虫が除去されるように、該作物中に高密度のトラップを配置することを包含する。誘惑/誘引・死滅技術は、昆虫が疑似餌に誘引されたときに死滅剤に供されることを除けば同様である。死滅剤が殺虫剤である場合、ディスペンサーは、昆虫が有効量の殺虫剤を摂取するように誘導する餌または摂食刺激物質を収容してもよい。
【0209】
当業者は、種々の異なるトラップが可能であることを認識するであろう。当該トラップの好適な例としては水トラップ、粘着トラップ、および一方向トラップが挙げられる。粘着トラップには多くの種類がある。粘着トラップの一例は、ボール紙構造を有し、断面が三角形または楔形であり、内面が非乾燥粘着物質でコーティングされている。昆虫は粘着面に接触して捕捉される。水トラップは、昆虫を捕獲するために使用される水および洗剤の皿を含む。洗剤は、水の表面張力を破壊することで、皿に誘引された昆虫を水中で溺死させる。一方向トラップは、昆虫がトラップに入るように仕向けるが、昆虫が出ることを妨げる。本発明のトラップは、昆虫に対する誘引力を付加するために明るく着色されていてもよい。
【0210】
トラップは、昆虫が侵入する(または侵入する可能性がある)領域に位置づけられる。一般に、トラップは木もしくは大きな植物またはその近傍に位置し、フェロモンは昆虫をトラップに誘引する。そこで昆虫は捕捉され、固定化され、かつ/または例えばトラップに存在する死滅剤によりトラップ内で死滅しうる。
【0211】
また、本発明の方法に従って調製されるフェロモンを使用して交尾を妨害することができる。交尾妨害戦略としては錯乱、軌跡遮蔽、および軌跡誤追跡が挙げられる。昆虫を高濃度のフェロモンに常に曝露することで、雌虫が放出する正常レベルのホルモンに雄虫が応答することを妨げることができる。軌跡遮蔽は、フェロモンを使用することで、雌虫が放出するフェロモンの軌跡を破壊する。軌跡誤追跡は、フェロモンの数多くのスポットを高濃度で配置することで、追跡すべき多くの誤った軌跡を雄虫に示すことにより行われる。十分に多い量で放出されると、雄虫は性フェロモンの天然供給源(雌虫)を見つけることができなくなり、したがって交尾は起こり得ない。
【0212】
標的領域内の昆虫の数(例えばトラップに捕捉された昆虫の数)をカウントすることで、昆虫集団を調査またはモニタリングすることができる。園芸家による点検によって、集団のライフステージに関する情報を得ることができる。どこに昆虫がいるかを知り、どれほど多くの昆虫がいるかを知り、昆虫のライフステージを知ることで、殺虫剤または他の処理剤がどこでいつ許容されるかに関して情報に基づく決定を行うことが可能になる。例えば、昆虫の大集団の発見は、昆虫除去のための方法の使用を必然的に伴いうる。新たな生息地への侵入に関する早期警告により、集団が管理不能になる前に行動をとることが可能になりうる。逆に、昆虫の小集団の発見は、集団のモニタリングを続けるだけで十分であるという決定につながりうる。昆虫集団が特定の閾値に到達したときにのみ昆虫が防除されるように、昆虫集団を定期的にモニタリングすることができる。これにより、昆虫の費用対効果の高い防除が実現され、殺虫剤の使用による環境への影響が減少する。
【0213】
当業者には明らかなように、特定の用途に使用されるフェロモンまたはフェロモン組成物の量は、侵入の種類およびレベル; 使用される組成物の種類; 有効成分の濃度; 組成物をどのようにして与えるか、例えば使用されるディスペンサーの種類; 処理される場所の種類; 本方法を使用すべき時間の長さ; ならびに温度、風速および風向、降雨、ならびに湿度などの環境要因などのいくつかの要因に応じて変動しうる。当業者は、所与の用途における使用に有効なフェロモンまたはフェロモン組成物の量を確定することができるであろう。
【実施例】
【0214】
IV. 実施例
実施例1
オレイルアルコールの合成
市販のオレイルアルコールは、プロセスにおいて使用される不均一系触媒(すなわち亜クロム酸銅)が必然的に伴う極端な条件が理由で、異性化由来の不純物(すなわちエライジルアルコール)を含んでいる。場合によっては、[Ru-SNS]または[Ru-PNP]などの均一系触媒および比較的穏和な条件を使用して高純度オレイルアルコールを調製することがある(
図1参照)。
【0215】
典型的な調製では、オレイン酸メチルと塩基(すなわちナトリウムエトキシド)、場合によっては溶媒(すなわちテトラヒドロフラン)、および触媒量のエステル水素化触媒(すなわち[Ru-SNS]または[Ru-PNP])とを反応器中で組み合わせる。次に反応器を30~60℃に加熱し、水素ガスで5~30barに加圧する。反応が完了したとき、反応器を減圧し、内容物を水または水溶液(すなわち塩酸水溶液)で洗浄して反応副生成物を除去する。必要であれば、生成物を蒸留などの方法でさらに精製してもよい。Ru-SNSおよびRu-PNPを使用して生成されたオレイルアルコールはZ選択率98%超および二重結合の過剰還元率1.0%未満を示す。
【0216】
実施例2
酢酸オレイルの合成
条件A:
磁気攪拌子を備えた丸底フラスコにオレイルアルコール(1モル当量)、ジクロロメタン、およびNEt3(3モル当量)を加えた。フラスコを不活性雰囲気下に置き、外部氷浴で冷却した。フラスコに無水酢酸(2モル当量)を滴下した後、触媒量の4-ジメチルアミノピリジンを加えた。反応混合物を室温に終夜ゆっくりと昇温させた。16時間後、反応液を水で反応停止させ、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。炭酸水素ナトリウムおよび塩化ナトリウムの両方の飽和水溶液でさらに洗浄した後、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを使用して乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾去し、すべての揮発性成分を減圧除去して黄色~無色の油状物を収率95%超で得た。
【0217】
条件B:
磁気攪拌子を備えた丸底フラスコにオレイルアルコール(1モル当量)および触媒量の無水酢酸ナトリウムを加えた。フラスコを不活性雰囲気下に置き、攪拌しながら60℃に加熱した。無水酢酸(1.2モル当量)を反応温度が60℃を超えない速度で加えた。16時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、水で反応停止させた。有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを使用して乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾去して黄色~無色の油状物を収率95%超で得た。
【0218】
オレイルアルコールの商業的供給源によっては、これらの手順により得られる酢酸オレイルのZ:E比は80:20と低く、概して95:5を超えなかった。
【0219】
実施例3
メタセシス反応用のZ-内部オレフィンの合成
【0220】
Z-内部オレフィンの合成に関する一般的手順
シス選択的金属メタセシス触媒(例えばタングステン触媒またはルテニウム触媒)による末端オレフィンのメタセシスによってZ-内部オレフィンを合成する。メタセシス反応中に生成されたエチレンを不活性ガス、例えば窒素またはアルゴンでスパージングする。あるいは、出発原料を反応系に残しながら適切な減圧を適用することでエチレンを除去してもよい。
【0221】
還流冷却器および任意的な不活性ガス入口を収容する反応器に末端オレフィン(水100ppm未満; 過酸化物価(PV)0.1meq/Kg未満)1.0molを加え、不活性ガスで15分間脱気する。タングステン触媒を使用する場合、カプリン酸メチルなどの飽和エステル(内部オレフィンに対して1000~5000 mol ppm)を加える。トリエチルアルミニウム(TEAl; 末端オレフィン1molに対して1000~3000 mol ppm)を加え、1時間~24時間(例えば4時間~8時間)攪拌する。ルテニウム触媒を使用する場合、活性アルミナプラグを通じて出発原料を濾過することが、水100ppm未満およびPV 0.1meq/Kg未満を得るために効率的な前処理である。
【0222】
シス選択的触媒(末端オレフィン1molに対して3~50 mol ppm)を1回で加え、攪拌を開始する。不活性ガススパージングを流量15~30L/h/Kgで開始する。あるいは、減圧を使用することでエチレンの除去を促進してもよく、通常の圧力は400Torr~30Torrの範囲である。還流冷却器を使用することで出発原料を反応器中に保持する。メタセシス反応を1~30時間、通常は4~8時間実行する。
【0223】
タングステン触媒を末端オレフィン1molに対して3000~5000 mol ppmのアルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、オレイルアルコールなど)で不活性化する。アルコールの慎重な選択により出発原料および中間体のリサイクルが可能になる。アルコールの添加により該メタセシス触媒が不活性化され、過剰のトリエチルアルミニウムが分解される。ルテニウム触媒にはテトラエチレンペンタミン(TEPA; 触媒に対して100モル過剰)を加え、還流温度に1時間加熱する。両触媒での通常の反応収率は50%~70%であり、Z選択率は97%超である。
【0224】
Z5-デセンの合成
Z5-デセンの合成はZ選択的触媒による未希釈1-ヘキセンのセルフメタセシスを包含する。生成されたエチレンを反応液から減圧除去する。エチレンの効率的な除去は高い収率および高いZ選択率の一因となる。還流冷却器、不活性ガス入口、および磁気攪拌子を収容する250mL丸底三つ口フラスコに1-ヘキセン(水濃度50ppm未満および過酸化物価(PV)0.1meq/Kg未満)40.8g(0.49mol)を加えた。材料を50℃に昇温させながら窒素で15~30分間脱気した。ルテニウム触媒1(2.6mg、3.92x10
-6モル、8ppm/二重結合)を1回で加えた。還流冷却器の上部をダイヤフラムポンプに接続し、減圧を適用した。減圧を160Torr~90Torrで制御した。
【0225】
7時間後、GC分析はZ5-デセンの収率75.9%およびZ選択率99%を示した。TEPA(触媒に対して100モル当量)を加えてルテニウム触媒を反応停止させた。反応混合物を減圧蒸留して(170Torrで沸点114℃)、Z5-デセン(24.2g、0.17mol)を単離収率71.4%およびZ選択率99%で得た。表1の実験3~14を参照。
【0226】
(表1)ルテニウム触媒1を使用するZ5-デセンの合成
a GC面積(%)。
b [((Z+E)5-デセンの面積% x EOR質量)/5-デセンの理論質量] x 100
【0227】
表1に概要を示すさらなる実験では、1-ヘキセンとルテニウム触媒1とを20℃~60℃で反応させてZ5-デセンを収率60%~80%およびZ選択率99%で得た。ルテニウム触媒1は耐気性および耐湿性があり、昆虫フェロモンなどのファインケミカルの製造中の取り扱いを容易にする上で特に有利である。ルテニウム触媒1は、他のシス選択的触媒に対するZ:E比の改善および収率の増加、例えば収率の10%増加を一貫して示すことがわかった。これらの利点によって類を見ない経済的な製造プロセスが可能になる。
【0228】
Z5-デセンの合成
1-ヘキセンとタングステン触媒2とを20℃~40℃で反応させてZ5-デセンを収率60%~70%およびZ選択率97%超で得た。表2および表3参照。
【0229】
Z3-ヘキセンの合成
1-ブテンと触媒1または触媒2とを-10℃~10℃で反応させてZ3-ヘキセンを得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。35%を超える収率が得られる。
【0230】
Z4-オクテンの合成
1-ペンテンと触媒1または触媒2とを15℃~30℃で反応させてZ4-オクテンを得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。50%を超える収率が得られる。
【0231】
Z3-ヘキセンおよびZ5-デセンの合成
1-ブテンの効率を増加させるための技術として、1-ブテンで飽和した1-ヘキセンと触媒1または触媒2とを10℃~40℃で反応させてZ5-デセン、Z3-オクテン、およびZ3-ヘキセンを得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。Z5-デセン、Z3-オクテン、およびZ3-ヘキセンの合計について、使用される1-ヘキセンおよび1-ブテンに対して60%を超える収率が得られる。
【0232】
(表2)タングステン触媒2を使用するZ5-デセンの合成
*デカ-5-エンの収率はGC-FID面積%(E+Z)に反応終了(EOR)質量を掛けてデカ-5-エンの理論質量で割ることで計算される
【0233】
(表3)タングステン触媒2を使用するZ5-デセンの合成
*デカ-5-エンの収率はGC-FID面積%(E+Z)に反応終了(EOR)質量を掛けてデカ-5-エンの理論質量で割ることで計算される
【0234】
Z7-テトラデセンの合成
1-オクテンと触媒1または触媒2とを15℃~30℃で反応させてZ7-テトラデセンを得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。50%を超える収率が得られる。
【0235】
Z9-オクタデセンの合成
1-デセンと触媒1または触媒2とを15℃~30℃で反応させてZ9-オクタデセンを得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。60%を超える収率が得られる。
【0236】
9-デセン酸メチル(9-DAME)からZ9-オクタデセン-ジオエート1,18-ジメチルエステル(ODDA)へのセルフメタセシス
9-DAMEと触媒1または触媒2とを20℃~40℃および1Torr未満の減圧下で反応させてODDAを得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。ODDAを薄膜蒸発により精製する。
【0237】
酢酸9-デセニルからZ9-オクタデセン-ジニル 1,18-ジアセテート(ODDAc2)へのセルフメタセシス
酢酸9-デセニルと触媒1または触媒2とを20℃~40℃および1Torr未満の減圧下で反応させてODDAc2を得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。ODDAc2を薄膜蒸発により精製する。
【0238】
酢酸8-ノネニルからZ8-ヘキサデセン-ジニル 1,16-ジアセテート(HDDAc2)へのセルフメタセシス
酢酸8-ノネニルと触媒1または触媒2とを20℃~40℃および1Torr未満の減圧下で反応させてHDDAc2を得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。HDDAc2を薄膜蒸発により精製する。
【0239】
酢酸7-オクテニルからZ7-テトラデセン-ジニル 1,14-ジアセテート(TDDAc2)へのセルフメタセシス
酢酸7-オクテニルと触媒1または触媒2とを20℃~40℃および1Torr未満の減圧下で反応させてZ7-テトラデセン-ジニル 1,14-ジアセテートTDDAc2を得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。TDDAc2を薄膜蒸発により精製する。
【0240】
9-デセナールアセタールからZ9-オクタデセン-1,18-ジアール 1,18-ジアセタール(ODDA(アセタール)2)へのセルフメタセシス
9-デセナールアセタール(アセタールはジメチルアセタール、ジエチルアセタール、エチレングリコールアセタール、プロピレングリコールアセタールでありうるがそれに限定されない)と触媒1または触媒2とを20℃~40℃および1Torr未満の減圧下で反応させてODDA(アセタール)2を得る。Z選択率が97%に低下する場合に、または24時間後に、反応をワークアップする。ODDA(アセタール)2を薄膜蒸発により精製する。
【0241】
実施例4
酢酸オレイルと(Z)-デカ-5-エンとのクロスメタセシス
市販の酢酸オレイル(Z9-18Ac)はZ9-12AcおよびZ9-14AcなどのZ9フェロモンの製造用の低コスト商品原料である。しかし、酢酸オレイルの製造において使用される水素化および蒸留の性質が理由で、著しい量(約20%)のシス/トランス異性化が生じ、これによりエライジルアルコール(E9-18Ac)が形成される。したがって、入手可能な材料から調製されるメタセシス生成物は著しい量のE-オレフィン不純物を含むと予想された。しかし、以下に詳述するように、メタセシス反応が触媒3、触媒4、および触媒5などの触媒によって行われた際に、生成物中の驚くほど高いZ含有量(99%超)が得られたことが現在わかった。
【0242】
図2に示すように、触媒3、触媒4、または触媒5の存在下での酢酸オレイル(Z9-18Acまたは「OA」)と(Z)-デカ-5-エンとのクロスメタセシスによって(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテート(Z9-14Ac)およびメタセシス共生成物が形成される。
【0243】
クロスメタセシススクリーニング反応に関する一般的手順
不活性雰囲気中でバイアルにオレフィン原料(すなわちOAおよび(Z)-デカ-5-エン)ならびに磁気攪拌子を加えた。メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)のジクロロメタン中ストック溶液を調製した。酢酸オレイルおよび(Z)-デカ-5-エンを収容するバイアルに所要量の触媒溶液を加え、得られた混合物を周囲温度(約30℃)で攪拌した。反応液を通常は2時間攪拌した後、添加メタセシス触媒の量に対して過剰のトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンを加えた。次に、反応停止した試料に水およびジクロロメタンを加えた。次に有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。GC分析はHP-5またはHP-88キャピラリーカラムを使用して行った。GCデータを下記式を使用して分析した。
【0244】
触媒効率を最大化するための酢酸オレイルの前処理
クロスメタセシスに関する上記の一般的手順を使用して、酢酸オレイル(前処理済みまたは前処理なし)0.5mmol、(Z)-デカ-5-エン1.5mmol、および触媒3または触媒4 0.113μmolまたは0.038μmolを組み合わせた。前処理済みの酢酸オレイルは、アルミナ床上での保管または均一系マグネシウムアルミニウムイソプロポキシド(MgAl2(O-i-Pr)8)との反応によって精製したものである。MgAl2(O-i-Pr)8を使用する前処理の場合では、試薬および酢酸オレイル原料を混合し、周囲温度で約20時間保管した後、前処理試薬を除去することなくスクリーニング反応を行った。反応をGCを使用して分析した。触媒効率に対する酢酸オレイル前処理の効果を表4に示す。
【0245】
【0246】
以下に記載のように、トリエチルアルミニウム(TEAl)を前処理に使用してもよい。
【0247】
マグネシウムアルミニウムイソプロポキシド前処理条件の最適化
クロスメタセシスに関する上記の一般的手順を使用して、酢酸オレイル(MgAl2(O-i-Pr)8で前処理済みまたは前処理なし)0.5mmol、(Z)-デカ-5-エン1.5mmol、および触媒3または触媒4 0.113μmolまたは0.038μmolを組み合わせた。前処理済みの酢酸オレイルは均一系MgAl2(O-i-Pr)8との反応によって精製したものであり、この反応では、MgAl2(O-i-Pr)8および酢酸オレイル原料を混合し、周囲温度で約1日間、2日間、4日間、8日間、または20日間保管した後、前処理試薬を除去することなくスクリーニング反応を行った。これらの前処理最適化スクリーニング反応のGC分析の結果を表5に示す。
【0248】
【0249】
酢酸オレイルと(Z)-デカ-5-エンとのクロスメタセシスにおける生成物E/Z異性化の動態試験
上記の一般的手順を使用して、酢酸オレイル0.5mmol、(Z)-デカ-5-エン1.5mmol、および触媒3または触媒4 0.113μmolを組み合わせた。アリコートを反応開始の0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、または5時間後に取得し、GCで分析することで生成物のZ含有量に対する長期の反応時間の効果を確定した。これらのE/Z異性化スクリーニング反応のGC分析の結果を表6に示す。
【0250】
【0251】
酢酸オレイルと(Z)-デカ-5-エンとの分取規模のクロスメタセシス
アルゴン充填グローブボックス中で、攪拌子を備えた3リットル丸底フラスコに、いずれも活性アルミナで既に処理された(Z)-デカ-5-エン(620.4g、4.42mol)および酢酸オレイル(458.5g、1.48mol)を加えた。フラスコにルテニウム触媒3(0.375g、0.442mmol)を加え、反応液を周囲温度で攪拌した。5時間後、フラスコの内容物をジャケット付き5リットルフラスコに移した。トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン(1Mイソプロパノール溶液30mL、68当量)を加え、内容物を60℃で18時間攪拌した。次に反応混合物を水1リットルで2回洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、フリット付き中多孔度漏斗を通じて濾過して淡黄色液体を得た。混合物を0.1Torr未満での減圧分留で精製した。純度85%のZ9-14Ac(0.63mol、酢酸オレイルに対するモル収率43%)であることがGC分析で判明した主画分183gをヘッド温度89~100℃で収集した。
【0252】
実施例5
酢酸オレイルと(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシス
図3に示すように、触媒3の存在下での酢酸オレイル(Z9-18Acまたは「OA」)と(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシスによって(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート(Z9-12Ac)およびメタセシス共生成物(図示せず)が形成される。
【0253】
攪拌子を備えたフラスコに、いずれも既に精製処理された(Z)-ヘキサ-3-エン(3mol)および酢酸オレイル(1mol)を加える。平衡変換率に到達するために必要な量の触媒3をフラスコに加え、反応液を周囲温度で攪拌する。反応が完了したとき、触媒をトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンの添加により不活性化し、内容物を攪拌しながら加熱する。次に反応混合物を水で洗浄し、有機層を分離する。有機層を乾燥させた後、減圧分留で精製して純粋な(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート(Z9-12Ac)を得る。
【0254】
実施例6
酢酸オレイルと(Z)-デカ-5-エンとのクロスメタセシスにおける出発原料組成物の試験
酢酸オレイルおよびZ5-デセンからのZ9-14Ac(Z9-テトラデセニルアセテート)の合成
オレイルアルコール(JarchemまたはBASF)を無水酢酸および触媒量の酢酸ナトリウムでアセチル化し、ワークアップし、薄膜蒸発により精製した。酢酸オレイルのZ:E比は80:20と低く、概して95:5を超えなかった。不活性ガス入口および磁気攪拌子を収容する2L丸底三つ口フラスコに酢酸オレイル(310g、1.0mol)およびZ5-デセン(700g、5.0mol)をいずれも水濃度100ppm未満およびPV 0.1meq/Kg未満で加えた。反応混合物を窒素で30分間脱気した。マグネシウムアルミニウムイソプロポキシド(CAS番号69207-83-6)(10g、1重量%)を加え、反応液を45℃で24時間攪拌した。ルテニウム立体保持メタセシス触媒4(304mg、0.4mmol; 内部二重結合1molに対して50 mol ppm)を1回で加え、攪拌を開始した。反応液を45℃で5時間攪拌した。5時間後、TEPA(触媒に対して100モル過剰)を加え、120℃に1時間加熱した。反応液を45℃に冷却し、1M HCl 250mLによって過剰量およびTEPA-触媒複合体を除去した。炭酸水素ナトリウム(200mL、飽和水溶液)を加え、混合し、水相を除去した。
【0255】
粗反応混合物を、最低8個の理論段を収容する分留塔での減圧蒸留によって精製した。Z5-デセンおよびZ5-テトラデセンを160Torr減圧下で除去した。生成物Z9-14Ac(203g、0.8mol、0.2Torrで沸点105℃~110℃)をルテニウム触媒4によって良好な収率および優れた選択率で得た。生成物を純度95%およびZ選択率99.4%で単離した。主不純物はZ9-オクタデセン(3%)であった。メタセシス反応において加えるZ5-デセンの当量を多くすること、および改良された蒸留条件を使用することで、Z9-オクタデセン濃度を最小化することができる。さらに、ルテニウム触媒4は、静電荷を生じさせる傾向がない結晶性材料であり、このことは製造中の取り扱いに特に有利である。
【0256】
Z5-デセンなどの非官能化オレフィン中での結合幾何配置の効果も試験した。酢酸オレイルと、異なるE/Z比を有する5-デセン異性体の混合物とを反応させた。この異性体混合物は、Z5-デセン(95% Z)と異なる比の5-デセン異性体の熱力学的混合物(E/Z = 81.5/18.5%)とを混合することで調製されたものである。結果を以下の表7に示す。デセン出発原料が約60% E5-デセンであった場合でも約95%という著しいZ選択率が観察された。
【0257】
【0258】
実施例7
ホホバ油アセテートの合成
丸底フラスコ中で、市販のホホバ油(3.5kg)をトルエン中、約0℃で1.2モル当量の水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムを使用して還元した。反応混合物を硫酸水溶液で反応停止させた後、水で洗浄した。次に粗製のホホバ油アルコールをトルエン中、75~95℃で過剰量の無水酢酸および触媒量の無水酢酸ナトリウムを使用してアセチル化した。ワークアップ後、ホホバ油アセテートの最終モル収率は85%超となった。GC分析は、最終生成物の組成が(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテート5.2面積%、(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテート55.6面積%、(Z)-ドコサ-13-エン-1-イル アセテート30.4面積%、(Z)-テトラコサ-15-エン-1-イル アセテート6.17面積%、および未同定2.6面積%であったことを示した。
【0259】
実施例8
ホホバ油アセテートと(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシス
図4に示すように、触媒3、触媒4、または触媒5の存在下での市販のホホバ油から調製されるホホバ油アセテート(「JOA」)と(Z)-ヘキサ-3-エンとの混合物のクロスメタセシスにより(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテート(Z9-12Ac)、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテート(Z11-14Ac)、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-イル アセテート(Z13-16Ac)、(Z)-オクタデカ-15-エン-1-イル アセテート(Z15-18Ac)、およびメタセシス共生成物が形成される。
【0260】
クロスメタセシススクリーニング反応に関する一般的手順
不活性雰囲気中でフラスコにオレフィン原料(すなわちホホバ油アセテートおよび2~4モル過剰の(Z)-ヘキサ-3-エン)ならびに磁気攪拌子を加えた。触媒3または触媒4のジクロロメタン中ストック溶液を調製した。ホホバ油アセテート(JOA)および(Z)-ヘキサ-3-エンを収容するフラスコに所要量の触媒溶液を加え、得られた混合物を周囲温度(約30℃)で攪拌した。反応液を通常は2時間攪拌した後、添加メタセシス触媒の量に対して過剰のトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンを加えた。次に、反応停止した試料に水およびジクロロメタンを加えた。次に有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。GC分析はHP-5またはHP-88キャピラリーカラムを使用して行った。GCデータを下記式を使用して分析した。
【0261】
ホホバ油アセテートと様々な量の(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシス
クロスメタセシスに関する上記の一般的手順を使用して、調製されたJOA 100mmolおよび2モル当量または4モル当量の(Z)-ヘキサ-3-エンと二重結合1個当たり75ppm(mol)の触媒3とを1時間組み合わせて、反応収率および選択率に対する基質添加量の効果を調査した。反応をGCを使用して分析した。結果を表8に示す。
【0262】
【0263】
触媒3または触媒4によるホホバ油アセテートと(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシス
クロスメタセシスに関する上記の一般的手順を使用して、調製されたJOA 100mmolおよび(Z)-ヘキサ-3-エン300mmolと二重結合1個当たり2000ppm、300ppm、または150ppm(mol)の触媒3または触媒4とを組み合わせて、反応収率および選択率に対する触媒の効果を調査した。反応をGCを使用して分析した。結果を表9に示す。
【0264】
【0265】
様々な量の触媒によるホホバ油アセテートと(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシス
クロスメタセシスに関する上記の一般的手順を使用して、調製されたJOA 100mmolおよび(Z)-ヘキサ-3-エン300mmolと二重結合1個当たり2000ppm、300ppm、または150ppm(mol)の触媒3とを組み合わせて、反応収率および選択率に対する触媒添加量の効果を調査した。反応をGCを使用して分析した。結果を表10に示す。
【0266】
【0267】
実施例9
ホホバ油と(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシス
以下の
図5に示すように、触媒4または触媒6の存在下での市販のホホバ油(すなわち脂肪酸混合物)と(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシスによってクロスメタセシスホホバ油脂肪酸およびメタセシス共生成物(図示せず)が形成される。次にクロスメタセシスホホバ油脂肪酸を対応するクロスメタセシスホホバ油アルコールである(Z)-ドデカ-9-エン-1-オール(Z9-12OH)、(Z)-テトラデカ-11-エン-1-オール(Z11-14OH)、(Z)-ヘキサデカ-13-エン-1-オール(Z13-16OH)、および(Z)-オクタデカ-15-エン-1-オール(Z15-18OH)に還元する。
【0268】
触媒4または触媒6によるホホバ油と(Z)-ヘキサ-3-エンとのクロスメタセシス
クロスメタセシスに関する上記の一般的手順を使用して、市販のホホバ油(「JO」)(50mmol)および(Z)-ヘキサ-3-エン(300mmol)をメタセシス触媒4またはメタセシス触媒6を使用するクロスメタセシスに供した。反応を周囲温度で2時間行った。GC分析の前に、クロスメタセシスJO試料(すなわちクロスメタセシスホホバ油脂肪酸の混合物)を実施例7「ホホバ油アセテートの合成」に記載の手順に従って水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムを使用する還元に供した。次に得られたクロスメタセシスJOアルコールをさらに分析せずに分析することで(Z)-テトラデカ-11-エン-1-オール(Z11-14OH)の含有量およびZ11-14OH生成物のZ選択率を確定した。GCデータを下記式を使用して分析した。結果を表11に示す。
【0269】
【0270】
実施例10
農業用途における使用のための官能化オレフィン生成物の合成
ルテニウム立体保持メタセシス触媒による一般的クロスメタセシス反応条件
不活性ガス入口を備えた反応器に官能化内部オレフィン(例えば酢酸オレイル)1.0molおよび非官能化Z-内部オレフィン(例えばZ5-デセン)3~6モル当量をいずれも水100ppm未満およびPV 0.1meq/Kg未満で加える。内部オレフィンを不活性ガスで15分間脱気する。トリエチルアルミニウム(内部オレフィン1molに対して1000~3000 mol ppm)を加え、1時間~24時間攪拌する。あるいは、活性アルミナプラグを通じて出発原料を濾過することが、100ppm未満およびPV 0.1meq/Kg未満を得るために効率的な前処理である。触媒3、触媒4、触媒5などのルテニウム立体保持メタセシス触媒(内部二重結合1個当たり3~50ppm)を1回で加え、攪拌を開始する。通常は反応を20℃~60℃で実行する。TEPA(触媒に対して100モル過剰)を加え、還流温度に1時間加熱して触媒を不活性化する。両触媒での通常の反応収率は50%~85%であり、Z選択率は97%超である。精製および単離を充填床減圧分留により達成する。
【0271】
ODDAc2およびZ5-デセンからのZ9-14Acの合成
ODDAc2(1mol)およびZ5-デセン(ODDAc2 1mol当たりZ5-デセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-14Acを充填床減圧分留で単離してZ9-14AcをZ選択率97%超で得る。
【0272】
酢酸オレイルおよびZ3-ヘキセンからのZ9-12Ac(Z7-ドデセニルアセテート)の合成
上記のようにオレイルアルコールを酢酸オレイルに変換し、精製する。酢酸オレイル(1mol)およびZ3-ヘキセン(酢酸オレイル1mol当たりZ3-ヘキセン3~6mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-12Acを充填床減圧分留によりZ選択率97%超で単離する。Z9-オクタデセンなどの不純物のレベルを3%未満に保持する。
【0273】
ODDAc2およびZ3-デセンからのZ9-12Acの合成
ODDAc2(1mol)およびZ3-ヘキセン(ODDAc2 1mol当たりZ3-ヘキセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで1~8時間処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-12Acを充填床減圧分留で単離してZ9-12AcをZ選択率97%超で得る。
【0274】
酢酸オレイルおよびZ3-オクテンからのZ9-14AcおよびZ9-12Acの合成
上記のようにオレイルアルコールを酢酸オレイルに変換し、精製する。酢酸オレイル(1mol)およびZ3-オクテン(酢酸オレイル1mol当たりZ3-オクテン3~6mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-14AcおよびZ9-12Acを充填床減圧分留で単離する。Z9-14AcおよびZ9-12Acはいずれも純度95%超およびZ選択率97%超で単離される。Z9-オクタデセンなどの不純物のレベルを3%未満に保持する。
【0275】
ODDAc2およびZ3-オクテンからのZ9-14AcおよびZ9-12Acの合成
ODDAc2(1mol)およびZ3-オクテン(ODDAc2 1mol当たりZ3-オクテン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-14AcおよびZ9-12Acを充填床減圧分留で単離する。Z9-14AcおよびZ9-12Acはいずれも純度95%超およびZ選択率97%超で単離される。
【0276】
HDDAc2およびZ4-オクテンからのZ8-12Ac(酢酸Z8-ドデセニル)の合成
HDDAc2(1mol)およびZ4-オクテン(HDDAc2 1mol当たりZ4-オクテン3~6mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z8-12Acを充填床減圧分留により純度95%超およびZ選択率97%超で単離する。
【0277】
TDDAc2およびZ5-デセンからのZ7-12Acの合成
TDDAc2(1mol)およびZ5-デセン(TDDAc2 1mol当たりZ5-デセン3~6mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z7-12Acを充填床減圧分留により純度95%超およびZ選択率97%超で単離する。
【0278】
酢酸オレイルおよびZ7-テトラデセンからのZ9-16Ac(Z9-ヘキサデセニルアセテート)の合成
上記のようにオレイルアルコールを酢酸オレイルに変換し、精製する。酢酸オレイル(1mol)およびZ7-テトラデセン(酢酸オレイル1mol当たりZ7-テトラデセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-16Acを充填床減圧分留により純度95%超およびZ選択率97%超で単離する。Z9-オクタデセンなどの不純物のレベルを1%未満に保持する。
【0279】
ODDAc2およびZ7-テトラデセンからのZ9-16Acの合成
ODDAc2(1mol)およびZ7-テトラデセン(ODDAc2 1mol当たりZ7-テトラデセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-16Acを充填床減圧分留で単離することでZ9-16Acを純度95%超およびZ選択率97%超で単離する。
【0280】
ODDA(アセタール)2およびZ7-テトラデセンからのZ9-16アセタール(Z9-16アセタールとはZ9-ヘキサデセナールアセタールのことである)の合成
ODDA(アセタール)2(1mol)およびZ7-テトラデセン(ODDA(アセタール)2 1mol当たりZ7-テトラデセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-16アセタールを充填床減圧分留で単離することでZ9-16アセタールを純度90%超およびZ選択率95%超で単離する。
【0281】
ODDAc2およびZ9-オクタデセンからのZ9-18Ac(Z9-18AcとはZ9-オクタデセニルアセテートのことである)の合成
ODDAc2(1mol)およびZ9-オクタデセン(ODDAc2 1mol当たりZ9-オクタデセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-18Acを充填床減圧分留で単離することでZ9-18Acを純度95%超およびZ選択率97%超で単離する。
【0282】
ODDA(アセタール)2およびZ9-オクタデセンからのZ9-18アセタール(Z9-18アセタールとはZ9-オクタデセナールアセタールのことである)の合成
ODDA(アセタール)2(1mol)およびZ9-オクタデセン(ODDAc2 1mol当たりZ9-オクタデセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-18アセタールを充填床減圧分留で単離することでZ9-18アセタールを純度90%超およびZ選択率95%超で単離する。
【0283】
ホホバ油からホホバアセテートへの還元およびアセチル化によるホホバアセテートの合成
ホホバ油(Greenchem)を等量の無水トルエンで希釈し、1.5モル当量のVitrideでホホバエステル1molに還元する。還元が完了した後、水相がpH 1未満になるまで反応液を硫酸で慎重に希釈し、ブラインで洗浄する。有機相を単離し、水を共沸除去することで無水にする。無水ホホバアルコールを酢酸オレイルについて先に記載のようにアセチル化する。ホホバアセテートを薄膜蒸発により収率約80%で精製する。ホホバアセテートの組成はZ9-18Ac約5%、Z11-20Ac約55%、Z13-22Ac約35%、およびZ15-24Ac約5%となる。
【0284】
ホホバアセテートおよびZ3-ヘキセンからのZ9-12Ac、Z11-14Ac(Z11-テトラデセニルアセテート)、およびZ13-16Ac(Z13-ヘキサデセニルアセテート)の合成
ホホバアセテート(1mol)およびZ3-ヘキセン(ホホバアセテート1mol当たりZ3-ヘキセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-12Ac、Z11-14Ac、およびZ13-16Acを充填床減圧分留で単離する。Z9-12Ac、Z11-14Ac、およびZ13-16Acは純度95%超およびZ選択率97%超で単離される。
【0285】
ホホバアセテートおよびZ5-デセンからのZ9-14Ac、Z11-16Ac(Z11-ヘキサデセニルアセテート)、およびZ13-18Ac(Z13-ヘキサデセニルアセテート)の合成
ホホバアセテート(1mol)およびZ5-デセン(ホホバアセテート1mol当たりZ5-デセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-14Ac、Z11-16Ac、およびZ13-18Acを充填床減圧分留で単離する。Z9-14Ac、Z11-16Ac、およびZ13-18Acは純度95%超およびZ選択率97%超で単離される。
【0286】
ホホバ油からホホバアセタールへの還元、酸化、およびアセタール形成によるホホバアセタールの合成
ホホバアルコールを上記のように調製する。無水ホホバアルコールをアルデヒドに酸化する(例えばStahl酸化、Swern酸化、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)酸化などによって)。ホホバアルデヒドを過剰量のアルコールおよび触媒量の酸を使用してアセタール(例えばジメチルアセタール、ジエチルアセタール、エチレングリコールアセタール、またはプロピレングリコールアセタール)に変換する。アセタールを薄膜蒸発により単離収率約70%で精製する。ホホバアセタールの組成はZ9-18アセタール約5%、Z11-20アセタール約55%、Z13-22アセタール約35%、およびZ15-24アセタール約5%となる。
【0287】
ホホバアセタールおよびZ5-デセンからのZ9-14アセタール(Z9-テトラデセナールアセタール)、Z11-16アセタール(Z11-ヘキサデセナールアセタール)、およびZ13-18アセタール(Z13-オクタデセナールアセタール)の合成
ホホバアセタール(1mol)およびZ5-デセン(ホホバアセタール1mol当たりZ5-デセン4~8mol)を攪拌し、窒素で15分間脱気し、トリエチルアルミニウムで処理する。ルテニウム立体保持メタセシス触媒(例えば触媒3、触媒4、または触媒5)を加え、反応をGC分析でモニタリングする。Z9-14アセタール、Z11-16アセタール、およびZ13-18アセタールを充填床減圧分留で単離する。Z9-14アセタール、Z11-16アセタール、およびZ13-18アセタールは純度80%超およびZ選択率90%超で単離される。
【0288】
例示的な態様
本明細書に開示される主題に従って提供される例示的態様としては、特許請求の範囲および下記の態様が挙げられるがそれに限定されない。
【0289】
1. Z富化脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法であって、Z富化脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと内部オレフィンとを第8族遷移金属メタセシス触媒の存在下で接触させる工程を含み、ここで
脂肪族オレフィンメタセシス生成物がアシル化アルケノールまたはアルケナールアセタールであり、
オレフィンメタセシス反応パートナーがZオレフィンおよびEオレフィンの混合物を出発Z:E比で含み、
脂肪族オレフィンメタセシス生成物がZオレフィンおよびEオレフィンの混合物を生成物Z:E比で含み、
生成物Z:E比が出発Z:E比よりも高い、方法。
【0290】
2. 脂肪族オレフィンメタセシス生成物が式I:
のアシル化アルケノールであり;
メタセシス反応パートナーが式III:
の化合物であり;
内部オレフィンが式IV:
の化合物であり;
R
1が、HおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2が、C
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数であり;
第8族遷移金属メタセシス触媒がZ選択的第8族遷移金属触媒である、
態様1記載の方法。
【0291】
3. メタセシス触媒がZ選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒である、態様1または2記載の方法。
【0292】
4. 脂肪族オレフィンメタセシス生成物が少なくとも97% Zである、態様1~3のいずれか一項記載の方法。
【0293】
5. 脂肪族オレフィンメタセシス生成物が98%超 Zである、態様1~3のいずれか一項記載の方法。
【0294】
6. 脂肪族オレフィンメタセシス生成物が99%超 Zである、態様1~3のいずれか一項記載の方法。
【0295】
7. メタセシス反応パートナーが約1%~約50% Eである、態様1~6のいずれか一項記載の方法。
【0296】
8. 脂肪族オレフィンメタセシス生成物の合成が、アシル化剤と式II:
のアルケノールとを接触させることで、式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを形成する工程を含む、態様2~7のいずれか一項記載の方法。
【0297】
9. アシル化剤が無水酢酸である、態様8記載の方法。
【0298】
10. 脂肪族オレフィンメタセシス反応パートナーの合成が、式IIa:
(式中、R
4は、HおよびC
1~8アルキルからなる群より選択される)
の不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元することで、式IIのアルケノールを形成する工程を含む、態様8または9記載の方法。
【0299】
11. 式IIのアルケノールを形成する工程が、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と塩基とを水素化触媒および水素ガスの存在下で接触させる工程を含む、態様10記載の方法。
【0300】
12. 式IIのアルケノールを形成する工程が、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と還元剤とを接触させる工程を含む、態様10記載の方法。
【0301】
13. 還元剤が水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムである、態様12記載の方法。
【0302】
14. 式IIのアルケノールが約1%~約50% Eである、態様8~13のいずれか一項記載の方法。
【0303】
15. 脂肪族オレフィンメタセシス生成物が式VI:
のアルケナールアセタールであり;
メタセシス反応パートナーが式VII:
の化合物であり;
内部オレフィンが式IV:
の化合物であり;
R
1がC
1~6アルキルであり;
R
2が、C
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数であり;
第8族遷移金属メタセシス触媒がZ選択的第8族遷移金属触媒である、
態様1記載の方法。
【0304】
16. メタセシス生成物を式VIII:
のアルケナールに変換する工程をさらに含む、態様15記載の方法。
【0305】
17. 脂肪族オレフィンメタセシス生成物の合成が、末端オレフィンとメタセシス触媒とを接触させることで、内部オレフィンを形成する工程を含む、態様1~16のいずれか一項記載の方法。
【0306】
18. 内部オレフィンが式VIa:
の化合物であり;
末端オレフィンが式IVb:
の化合物である、態様20記載の方法。
【0307】
19. 内部オレフィンを形成するためのメタセシス触媒がZ選択的ルテニウム触媒またはZ選択的タングステン触媒である、態様17または18記載の方法。
【0308】
20. 式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法であって、
式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤と式II:
のアルケノールとを接触させる工程; および
脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと式IV:
の内部オレフィンとを、Z選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒の存在下で接触させる工程を含み、式中、
R
1が、HおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2が、C
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数であり;
脂肪族オレフィンメタセシス生成物が少なくとも97% Zである、方法。
【0309】
21. アシル化剤が無水酢酸である、態様20記載の方法。
【0310】
22. 式IIのアルケノールが約1%~約50% Eである、態様20または21記載の方法。
【0311】
23. 式I:
の脂肪族オレフィンメタセシス生成物を合成するための方法であって、
式II:
のアルケノールを形成するために、式IIa:
の不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元する工程;
式III:
のオレフィンメタセシス反応パートナーを形成するために、アシル化剤とアルケノールとを接触させる工程; および
脂肪族オレフィンメタセシス生成物を形成するために、オレフィンメタセシス反応パートナーと式IV:
の内部オレフィンとを、Z選択的ルテニウム触媒またはZ選択的オスミウム触媒の存在下で接触させる工程を含み、式中、
R
1が、HおよびC
1~6アルキルからなる群より選択され;
R
2が、C
1~18アルキルおよびC
2~18アルケニルからなる群より選択され;
R
3がC
1~18アルキルであり;
R
4が、HおよびC
1~8アルキルからなる群より選択され;
添字yが0~17の範囲の整数であり;
添字zが0~17の範囲の整数であり;
脂肪族オレフィンメタセシス生成物が少なくとも97% Zである、方法。
【0312】
24. 式IIのアルケノールを形成するために式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元する工程が、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と塩基とを水素化触媒および水素ガスの存在下で接触させる工程を含む、態様23記載の方法。
【0313】
25. 式IIのアルケノールを形成するために式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体を還元する工程が、不飽和脂肪族カルボキシル誘導体と還元剤とを接触させる工程を含む、態様23記載の方法。
【0314】
26. 還元剤が水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムである、態様25記載の方法。
【0315】
27. アシル化剤が無水酢酸である、態様23~26のいずれか一項記載の方法。
【0316】
28. 式IIのアルケノールが約1%~約50% Eである、態様23~27のいずれか一項記載の方法。
【0317】
29. R1がC1~3アルキルであり、R2がC1~12アルキルであり、R3がC1~12アルキルであり、yが5~15の範囲の整数であり、zが0~7の範囲の整数である、態様2~28のいずれか一項記載の方法。
【0318】
30. R1がC1~3アルキルであり、R2がC1~12アルキルであり、R3がC1~12アルキルであり、R4がC1~3アルキルであり、yが7であり、zが1~5の範囲の整数である、態様10、11、23、および24のいずれか一項記載の方法。
【0319】
31. R1がC1~3アルキルであり、R2がC1~12アルキルであり、R3がC1~12アルキルであり、R4がHであり、yが5~15の範囲の整数であり、zが1~5の範囲の整数である、態様10、12、23、および25のいずれか一項記載の方法。
【0320】
32. 式IIIのメタセシス反応パートナーが脂肪族C12~C30オレフィンアセテートであり;
式IVの内部オレフィンがC4~C20内部オレフィンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物がC8~C28(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである、
態様2~7のいずれか一項記載の方法。
【0321】
33. 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーが(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり;
式IVの内部オレフィンが(Z)-デカ-5-エンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物が(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートである、
態様2~7および32のいずれか一項記載の方法。
【0322】
34. 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーが(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり;
式IVの内部オレフィンが(Z)-ヘキサ-3-エンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物が(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテートである、
態様2~7および32のいずれか一項記載の方法。
【0323】
35. 式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーが(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテートであり;
式IVの内部オレフィンが(Z)-ヘキサ-3-エンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物が(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートである、
態様2~7および32のいずれか一項記載の方法。
【0324】
36. 式IIのアルケノールがC10~C28脂肪族アルケノールであり;
式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーがC10~C28脂肪族アルケノールのアセテートエステルであり;
式IVの内部オレフィンがC4~C20内部オレフィンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物がC8~C28(Z)-不飽和脂肪族エステルアセテートである、
態様8~31のいずれか一項記載の方法。
【0325】
37. 式IIのアルケノールが(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オールであり;
式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーが(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり;
式IVの内部オレフィンが(Z)-デカ-5-エンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物が(Z)-テトラデカ-9-エン-1-イル アセテートである、
態様10~36のいずれか一項記載の方法。
【0326】
38. 式IIのアルケノールが(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オールであり;
式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーが(Z)-オクタデカ-9-エン-1-イル アセテートであり;
式IVの内部オレフィンが(Z)-ヘキサ-3-エンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物が(Z)-ドデカ-9-エン-1-イル アセテートである、
態様10~36のいずれか一項記載の方法。
【0327】
39. 式IIのアルケノールが(Z)-イコサ-11-エン-1-オールであり;
式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーが(Z)-イコサ-11-エン-1-イル アセテートであり;
式IVの内部オレフィンが(Z)-ヘキサ-3-エンであり;
式Iの脂肪族オレフィンメタセシス生成物が(Z)-テトラデカ-11-エン-1-イル アセテートである、
態様10~36のいずれか一項記載の方法。
【0328】
40. 脂肪族オレフィンメタセシス生成物の合成が、内部オレフィンと接触させる前にオレフィンメタセシス反応パートナーと前処理試薬とを接触させる工程を含む、態様1~38のいずれか一項記載の方法。
【0329】
41. 前処理試薬が、アルミナ、トリエチルアルミニウム、およびマグネシウムアルミニウムイソプロポキシドからなる群より選択される、態様40記載の方法。
【0330】
42. 不飽和脂肪族カルボキシル誘導体が天然油に由来する、態様10~12および23~25のいずれか一項記載の方法。
【0331】
43. 天然油が、アーモンド油、キャノーラ油、アボカド油、アルガン油、ナタネ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、麻実油、マカダミア油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、亜麻仁油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、ホホバ油、カラシ油、グンバイナズナ油、アマナズナ油、ヒマシ油、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様42記載の方法。
【0332】
44. 植物系不純物を除去するために、メタセシスの前に式IIaの不飽和脂肪族カルボキシル誘導体、式IIのアルケノール、または式IIIのオレフィンメタセシス反応パートナーを蒸留する工程をさらに含む、態様42または43記載の方法。
【0333】
45. 植物系不純物が1種または複数のタンパク質を含む、態様44記載の方法。
【0334】
46. Z選択的メタセシス触媒が式Vの構造:
を有し、
式中、
Mは、ルテニウムおよびオスミウムからなる群より選択され;
XおよびYは独立して、SおよびOからなる群より選択され;
Zは、O、S(=O)、N、およびハロゲンからなる群より選択され;
各添字mおよび添字nは、0、1、2、3、および4より独立して選択される整数であり;
各R
aは独立して、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され; あるいは、1個のR
aは隣接するR
aと一緒になって非置換もしくは置換二環または非置換もしくは置換多環を形成し;
各R
bは独立して、ハロゲン、C
1~C
6アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され; あるいは、1個のR
bは隣接するR
bと一緒になって非置換もしくは置換二環または非置換もしくは置換多環を形成し;
R
cは、水素およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され;
各R
d、R
e、R
f、およびR
gは独立して、水素およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され;
R
12およびR
13は独立して、2,4,6-トリ-イソプロピルフェニル、2,6-ジ-イソプロピルフェニル、2,6-ジ-アダマンチルフェニル、2-イソプロピル-6-tert-ブチルフェニル、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル、および2,6-ジ-tert-ブチルフェニルからなる群より選択され;
各R
14は独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、およびフェニルからなる群より選択され;
R
15は水素、ハロゲン、およびC
1~C
6アルキルからなる群より選択され、あるいは、R
15および1個のR
14は一緒になって結合を形成する、
態様2~45のいずれか一項記載の方法。
【0335】
47. Mがルテニウムであり;
XおよびYがSであり;
Zが、OおよびS(=O)からなる群より選択され;
添字mが2であり;
添字nが0であり;
各Raが独立して、ハロゲン、C1~C6アルキル、およびアリールからなる群より選択され;
Rcが水素であり;
各Rd、Re、Rf、およびRgが水素であり;
各R14が独立して、メチル、イソプロピル、ベンジル、およびtert-ブチルからなる群より選択される、
態様46記載の方法。
【0336】
48. メタセシス触媒が、以下からなる群:
より選択される、態様46または47記載の方法。
【0337】
以上の発明を、明確性および理解のために例証および例示を用いて若干詳細に説明してきたが、当業者は、特定の変更および修正を添付の特許請求の範囲内で実施することができることを認識するであろう。本明細書において引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、および配列アクセッション番号は、あらゆる目的で参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【国際調査報告】