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特表2023-527888ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するための加硫性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するための加硫性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 11/00 20060101AFI20230623BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
C08L11/00
C08K5/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573734
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2021064503
(87)【国際公開番号】W WO2021245011
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】20177870.1
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516112462
【氏名又は名称】アランセオ・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・サリ
(72)【発明者】
【氏名】ハイナー・シュタンゲ
(72)【発明者】
【氏名】スザンナ・リーバー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・タシュナー
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC091
4J002EN036
4J002FD206
(57)【要約】
本発明は、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するための加硫性組成物、及びその製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するための加硫性組成物であって:
-少なくともクロロプレン、元素硫黄、及びキサントゲンジスルフィドから重合させた硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーと;
-非求核性塩基であって、2つ、又は2つを超える結合した環を含む二環式又は多環式のアミン塩基である非求核性塩基と、
を含む、
加硫性組成物。
【請求項2】
前記硫黄変性ポリクロロプレン加硫物が、チアゾール化合物、カルバメート化合物及びチウラム化合物、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの促進剤の存在下で形成される、請求項1に記載の加硫性組成物。
【請求項3】
前記非求核性塩基が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の加硫性組成物。
【請求項4】
前記硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーが2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項5】
前記硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーが、前記重合の開始時に≧0.2phm、特に≦1phmの量の元素硫黄の存在下で形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項6】
前記硫黄変性クロロプレンコポリマーが、前記重合反応の前記開始時に≦0.4phmの量で存在する前記キサントゲンジスルフィドの存在下で調製される、請求項1~5のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項7】
加硫剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の加硫性組成物。
【請求項8】
ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物の製造方法であって:
a)元素硫黄及びキサントゲンジスルフィドの存在下でクロロプレンを重合させて硫黄変性ポリクロロプレンを形成するステップと;
b)ステップa)で形成された前記硫黄変性ポリクロロプレンを非求核性塩基の存在下で加硫させて、前記ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するステップであって、前記非求核性塩基が、2つ、又は2つを超える結合した環を含む二環式又は多環式のアミン塩基であるステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
ステップb)が、特にチアゾール化合物、カルバメート化合物、及びチウラム化合物の少なくとも1つから選択される促進剤の存在下で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記非求核性塩基が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
ステップa)において、硫黄が、前記重合反応の前記開始時に≧0.2phmの量、特に<1phmまでの量で存在する、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップa)において、前記キサントゲンジスルフィドが、前記重合反応の前記開始時に≦0.4phmの量で存在する、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
さらなるモノマー単位としてのジクロロ-2,3-ブタジエンの存在下でステップa)が行われる、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~7のいずれか一項に記載の加硫性組成物から形成された加硫物、又は請求項8~13のいずれか一項に記載の方法によって形成された加硫物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレンに関する。特に、本発明は、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレンを形成するための加硫性組成物に関する。さらに、本発明は、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物の製造方法に関し、最後に本発明は、それによって得られる加硫物に関する。
【背景技術】
【0002】
硫黄変性ポリクロロプレンゴムは、優れた動的性質を示すので広範囲の用途に用いられる。
【0003】
(特許文献1)には、テトラアルキルチウラムジスルフィド(TATD)を用いてラテックス中で硫黄変性ポリクロロプレンゴムを解膠できることが開示されている。しかし、TATDは、揮発性のn-ニトロソアミンを発生する。N-ニトロソアミンは遺伝毒性及び発癌性である。TATD硫黄変性ポリクロロプレンゴムは、比較的高い分子量で製造され、次に、共重合した硫黄及びTATDの組み合わせのため、これらは配合中に素練りすることができる。混合中にムーニー粘度が低下することで、優れた分散が得られ、最終製品の容易な加工性が促進される。TATD硫黄変性ポリクロロプレンゴムは、長年使用されており、使用される処理装置の要求にTATD硫黄変性ポリクロロプレンゴムの架橋速度を最適化するために、多くの加硫性混合物が開発されている。
【0004】
ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレンは、一般に当技術分野において周知である。
【0005】
(特許文献2)には、ニトロソアミン形成性添加剤(例えばオクタミン(octamine))の非存在下で、アルカリ分散液中、キサントゲンスルフィド単独、又はメルカプトベンゾチアゾールとの組み合わせのいずれかによって、クロロプレン/硫黄コポリマーを解膠させたことが開示されている。金属酸化物が、通常の硬化剤である。(特許文献2)の方法によると、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド(DIXD)によって調節されたクロロプレン及び硫黄のコポリマーが得られる。このクロロプレン/硫黄コポリマーは、望ましくない高いムーニー粘度を有する。さらに得られるクロロプレン/硫黄コポリマーの架橋は遅く、したがって効率が低い。
【0006】
(特許文献3)には、ジアルキルキサントゲンジスルフィドなどの変性剤の存在下で重合させたクロロプレン/硫黄コポリマーの解膠であって、このようなコポリマーのアルカリラテックスに、式R-SH(式中、Rは、特に、変性剤としてメルカプトベンゾチアゾールを得るためのアリールチアゾールを含む)のチオールである変性剤を加えることによる解膠が開示されている。最終ポリマー中の残留メルカプタン量(nDDMは、危険物に分類される)、及び回避すべきである。
【0007】
(特許文献4)には、チオウレア系加硫促進剤が特殊な添加剤で代替されるハロゲン含有ゴム組成物が開示されている。このハロゲン含有ゴム組成物は、置換又は非置換チアゾリジンチオン-2、及びイミダゾール基、さらに必要に応じてジアザビシクロ基を含む化合物を、ハロゲン含有ゴムと混合することによって得られる。特に、(特許文献4)には、分子量調節剤の種類により硫黄変性タイプ、メルカプタン変性タイプ、及びキサントゲン変性タイプとなるクロロプレンゴムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第9,475,895 B2号明細書
【特許文献2】米国特許第5,483,006号明細書
【特許文献3】米国特許第3,984,609号明細書
【特許文献4】特開2002-060550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
人間の健康に対するニトロソアミンの悪影響のため、従来技術の問題を克服する必要があるニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレンのための加硫性組成物のさらなる開発が引き続き必要とされている。向上した架橋速度、処理装置との適合性を有し、粘度に関して良好な加工性を示し、同時に加硫性組成物中、及び/又は加硫物としての最終組成物として少なくとも同等の機械的性質及び/又は物理的性質を維持する、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレンのための加硫性組成物が必要とされている。
【0010】
以上の問題が本発明によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、本発明は、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するための加硫性組成物に関する。この加硫性組成物は、少なくとも:
-少なくともクロロプレン、元素硫黄、及びキサントゲンジスルフィドから重合させた硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーと;
-少なくとも1つの非求核性塩基であって、2つ、又は2つを超える結合した環を含む二環式又は多環式のアミン塩基である非求核性塩基と、
を含む。
【0012】
さらなる一態様では、本発明は、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物の製造方法に関する。
a)元素硫黄及びキサントゲンジスルフィドの存在下でクロロプレンを重合させて硫黄変性ポリクロロプレンを形成するステップと;
b)ステップa)で形成された硫黄変性ポリクロロプレンを少なくとも1つの非求核性塩基の存在下で加硫させてニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するステップであって、非求核性塩基が、2つ、又は2つを超える結合した環を含む二環式又は多環式のアミン塩基であるステップと、
を含む方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明及びその利点の徹底的な理解のため、以下の詳細な説明が参照される。
【0014】
本明細書に開示される詳細な説明の種々の態様及び実施形態は、本発明の製造及び使用のための特定の方法の説明であり、請求項及び詳細な説明を考慮した場合に、発明の範囲を限定するものではないことを認識すべきである。本発明の異なる態様及び実施形態からの特徴を、本発明の異なる態様及び実施形態の特徴と組み合わせ可能なことも認識されるであろう。
【0015】
第1の態様では、本発明は、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するための加硫性組成物に関する。
-少なくともクロロプレン、元素硫黄、及びキサントゲンジスルフィドから重合させた硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーと;
-少なくとも1つの非求核性塩基であって、2つ、又は2つを超える結合した環を含む二環式又は多環式のアミン塩基である非求核性塩基と、
を含む加硫性組成物。
【0016】
ポリクロロプレン(クロロプレンゴム又はCR)は、少なくともクロロプレン(2-クロロ-1,3-ブタジエン)のポリマーである。ポリクロロプレンの製造は、例えば、P.R.Johnson,Rubber Chemistry and Technology(1976),Vol 49,Issue 3,pages 650-702(この教示は参照により本明細書に援用される)に記載されるようなクロロプレンの乳化重合によって行うことができる。
【0017】
ポリクロロプレンは、その機械的性質及び動的性質、老化及び溶媒に対する抵抗性、並びにその優れた難燃性により知られている。硫黄変性ポリクロロプレンも当技術分野において周知であり、反発弾性、優れた引裂強度及び耐屈曲疲労性などのさらなる利点が得られる。
【0018】
上記加硫性組成物は、硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーを含む。この硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーは、いわゆるフリーラジカル乳化重合によってクロロプレン及び元素硫黄の重合により形成され、次に、キサントゲンジスルフィドなどの連鎖移動剤を用いた解膠によって結合開裂がさらに行われる。連鎖移動剤は、分子量を制御し、同時に、乳化重合及び/又はラテックスと形成された固体との熟成の最中及び/又は後に解膠剤として機能するように(as act as)、直接エマルジョンに加えられる。
【0019】
キサントゲンジスルフィドは、非イオン性エーテル化合物を含むことができる。キサントゲンジスルフィドは、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド(DIXD)などのジアルキルキサントゲンジスルフィドであってよい。硫黄変性クロロプレンコポリマーは、キサントゲンジスルフィドの存在下で重合され、このキサントゲンジスルフィドは、重合反応開始時に≦0.4phm、特に>0phmの量で存在する。この実施形態によると、ムーニー粘度のさらなる低下が可能となることがあり、それによって加工性がさらに向上する。特に、キサントゲンジスルフィドが、重合開始時に前述の規定量の≦0.4phmで存在する場合に、ムーニー粘度が顕著に改善されることが分かる可能性がある。しかし、粘度が依然として高いので、良好な充填剤の分散、加工性、及び機械的性質が依然として得られる。反応終了時にさらにキサントゲンジスルフィドが加えられるので、キサントゲンジスルフィドは<1phmの量で存在する。
【0020】
少なくとも1つの非求核性塩基は、2つ、又は2つを超える結合した環を含む二環式又は多環式のアミン塩基であり、したがって、不十分な求核試薬となる立体障害のある有機塩基である。少なくとも1つの非求核性塩基は、≧0.05phr~≦5phrの量、好ましくは≧1.5phr~≦2phrの量で存在することができる。上記最小量は、ムーニー粘度を低下させ、架橋密度及び速度を調整するために必要であり、最大量ではスコーチが早くなりすぎ、適切ではない。最適な結果は、≧1.5phr~≦2phrの量で観察され、これによってムーニー粘度、圧縮永久ひずみ、及び架橋速度の有利な低下が得られ、加硫物中の架橋密度が増加する。
【0021】
少なくとも1つの非求核性塩基は、二環式又は多環式のアミン塩基であり、2つ(二)、又は2つを超える(ポリ)、結合した環(環状)、例えば3つ、4つ、又はさらには4つを超える結合した環を含む。これらの環は、好ましくは主として炭素から形成される。しかし、環は少なくとも1つのヘテロ原子を含むことができる。少なくとも1つのヘテロ原子は窒素であってよい。二環式又は多環式の環状構造又はそれぞれの環の下部構造は、例えば、シクロアルカン、芳香族、及びその他の種類の環を含むことができる。環は、3原子以上のサイズと、縮合が形成され、したがってエッジトゥエッジ(edge-to-edge)結合で結合する結合との組み合わせで提供される。さらに、多環式は、二環式、三環式、四環式、すなわち1つを超える環を含むことができる。二環式又は多環式のアミン塩基が、ジアザビシクロ化合物を含むことが好ましく、このような化合物は、ビシクロ縮合構造として形成され、2つの窒素原子が環状構造に含まれる。環状構造、特に部分環状構造、したがって多環式環のそれぞれの構造に関して、それぞれの部分環状構造が5~8員、例えば6~7員で構成されることが好ましい。したがって、ジアザ環状構造の場合、それぞれの部分環状構造が、ヘテロ原子として2つの窒素原子と、環状構造の前述の規定の量又は員数になるためのそれぞれの量の炭素原子とを含むことが好ましい場合がある。窒素原子に関して、1つ以上の窒素原子が、ただ1つの環状構造の一部となる、又は2つ以上の環状構造の一部となることが好ましい場合がある。少なくとも1つの非求核性塩基がアミドである場合、これは好ましくはリチウムジイソプロピルアミドから選択される。少なくとも1つの非求核性塩基は、好ましくはジ-tert-ブチルピリジンである。少なくとも1つの非求核性塩基は、好ましくはN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。少なくとも1つの非求核性塩基は、好ましくは、(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)の少なくとも1つから選択される。
【0022】
上記加硫性組成物は、少なくとも1つの架橋剤をさらに含むことができる。少なくとも1つの架橋剤は、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛、四酸化三鉛、三酸化鉄、二酸化チタン、酸化カルシウム、及びハイドロタルサイト、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属酸化物であってよい。
【0023】
上記加硫性組成物は、当業者に周知の少なくとも1つの添加剤又はそれらの任意の組み合わせを含むこともできる。少なくとも1つの添加剤は、熱老化安定剤、加工助剤、可塑剤、及び充填剤であってよい。充填剤は、無機充填剤、N110~N990の範囲のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛、及びアラミド繊維であってよい。少なくとも1つの添加剤は、0.5phr~200phrの量で用いることができる。
【0024】
上記加硫性組成物は、混合後にムーニー粘度の低下を示す。このムーニー粘度の低下によって、改善された加工性を得ることができる。したがって、本発明による、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するための加硫性組成物、及びそれより得られる加硫物の顕著な利点によって、織物被覆、カレンダリング(calendaring)、ベルト製品、防振緩衝装置、隔離及び潜水服などの発泡製品などの所望の用途におけるその使用が容易になる。
【0025】
ムーニー粘度の低下とは別に、それより得られる加硫物は、引張強度、破断時伸び、及び圧縮永久ひずみなどの当技術分野において望ましい少なくとも同等の機械的性質を有したことが分かった。したがって、ムーニー粘度の低下に起因する改善された加工性は、依然として有利な機械的性質とともに実現される。
【0026】
さらに、制御可能な架橋密度は、用途によっては有利となり(例えばホース、バネは、高架橋性で低圧縮永久ひずみが必要となる)、硬化速度を増加させることができ、これは、それより得られる加硫物の性質を改善するためのさらなる有効な手段となる。
【0027】
驚くべきことに、本発明により、上記の利点が得られることが分かった。
【0028】
硫黄変性ポリクロロプレンコポリマー加硫物は、少なくとも1つの促進剤の存在下で形成することができる。したがって、加硫性組成物は少なくとも1つの促進剤を含むことができる。少なくとも1つの促進剤を用いることで、ムーニー粘度をさらに低下させることができ、加硫物を形成する場合に架橋密度及び速度が調節される。
【0029】
少なくとも1つの促進剤は、チアゾール化合物、カルバメート化合物、及びチウラム化合物、又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つであってよい。
【0030】
チアゾール化合物は、チアゾールをベースとする化合物であってよく、例えばMBT(2-メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2-メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、又は銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、及び2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾールを用いることができる。チアゾール化合物は好ましくはメルカプトベンゾトアゾール(mercaptobenzothoazole)(MBTS)である。
【0031】
カルバメート化合物は、ジチオカルバメート、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZEPC)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛(ZPD)、亜鉛-N-ペンタメチレンジチオカルバメート(Z5MC)、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDT)、亜鉛-2-エチルヘキサノエート(ZEH)、ジノニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZNDNC)、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス(BIDD)、ニッケルジブチルジチオカルバメート(NDBC)、セレンジエチルジチオカルバメート(SeEDC)、ジメチルジチオカルバミン酸セレン(SeDMC)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SEDC)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TeEDC)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TeDEC)、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SMDC)、及びジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SBC)であってよい。
【0032】
チウラム化合物はチウラムジスルフィドであってよく、又はチウラムポリスルフィドを用いることができる。チウラムジスルフィドは、好ましくは、テトラベンジルチウラムジスルフィド(tetrabenzylthiurame disulphide)(TBzTD)である。チウラムポリスルフィド ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(dipentamethylenethiurame hexasulphide)(DPTH)、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド(dipentamethylenethiurame monosulphide)(DPTM)、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド(dipentamethylenethiurame disulphide)(DPTD)、N,N’-ジエチル-N,N’-ジフェニルチウラムジスルフィド(N,N’-diethyl-N,N’-diphenylthiurame disulphide)(EPTDM)、及びジメチルジフェニルチウラムジスルフィド(dimethyldiphenylthiurame disulphide)(MPTD)。
【0033】
少なくとも1つの促進剤は、チアゾール化合物のメルカプトベンゾトアゾール(mercaptobenzothoazole)(MBTS)と、チウラム化合物のテトラベンジルチウラムジスルフィド(tetrabenzylthiurame disulphide)(TBzTD)との組み合わせが好ましい。
【0034】
硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーは、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(DCB)モノマー単位をさらに含むことができる。2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(DCB)の量は、硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーの0を超え10重量%以下の範囲内である。この実施形態によると、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(DCB)によって、結果として得られるコポリマーの結晶化の速度及び程度が低下するので、低温で用いるための低結晶性グレードを得ることができる。
【0035】
好ましくは、硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーは、重合反応開始時に≧0.2phmの量の元素硫黄の存在下で形成される。言い換えると、コポリマーを形成するとき、したがってモノマー単位を重合させるときに、元素硫黄が、重合反応の開始前又は開始時、例えば重合反応を開始する前に加えられる。したがってこの実施形態は、それぞれの量の硫黄含有結合を最終生成物中に示すことができる。この実施形態によると、ムーニー粘度の特に有効な低下が実現可能となりうる。さらに、コポリマーの機械的性質は、硫黄が0.2phm以下の量で存在する実施形態よりも改善される。特に、引張強度は、硫黄が重合開始時に前述の規定の量で存在する場合に改善されることが分かっている。
【0036】
硫黄の供給に関して、硫黄変性クロロプレンコポリマーは、重合反応の開始時に≦1phmの量の元素硫黄の存在下で調製されることがさらに好ましい。この場合も、言い換えると、コポリマーを形成するとき、したがってモノマー単位を重合させるとき、元素硫黄は、重合反応の開始時又は開始前、例えば重合反応の開始前に加えられる。この実施形態によると、解膠、又はミリング(加工性)によるムーニー粘度の低下を改善することができる。しかし、粘度は依然として十分高く、そのため良好な分散、加工性、及び機械的性質が依然として得られる。さらに、この実施形態により老化特性が改善される。
【0037】
さらなる一態様では、本発明は、ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物の製造方法に関する。
a)元素硫黄及びキサントゲンジスルフィドの存在下でクロロプレンを重合させて硫黄変性ポリクロロプレンを形成するステップと;
b)ステップa)で形成された硫黄変性ポリクロロプレンを少なくとも1つの非求核性塩基の存在下で加硫させてニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物を形成するステップであって、非求核性塩基が、2つ、又は2つを超える結合した環を含む二環式又は多環式のアミン塩基であるステップと、
を含む方法。
【0038】
上記方法によって、ステップb)中にムーニー粘度の低下を示す組成物が得られ、それによって組成物の改善された加工性を得ることができる。したがって、本発明によるニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレンの顕著な利点は、複数の用途に適用可能である。
【0039】
ムーニー粘度の低下とは別に、上記方法によって形成されたニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレン加硫物は、少なくとも同等の、引張強度、破断時伸び及び圧縮永久ひずみなどの機械的性質を有することが分かった。したがって、ムーニー粘度の低下に起因する改善された加工性は、依然として望ましい機械的性質とともに実現される。
【0040】
これとは別に、架橋密度及び硬化速度は、記載の方法によって調節可能なことがさらに分かり、このことは加硫性生物の性質を改善するためのさらに有効な手段となる。
【0041】
前述のようなチアゾール化合物、カルバメート化合物、及びチウラム化合物の少なくとも1つから選択される少なくとも1つの促進剤、又はそれらの任意の組み合わせの存在下で、硫黄変性ポリクロロプレンコポリマーが形成されることがさらに好ましい場合がある。
【0042】
さらに好ましくは、硫黄は、重合反応の開始時に≧0.2phm、特に<1phmまでの量で存在する。特に、硫黄のそれぞれの量が、重合反応が開始する前に重合混合物に加えられる。この実施形態によると、非求核性塩基と混合するとムーニー粘度を特に効果的に低下させることができ、それによって特に好ましい加工性を得ることができる。これとは別に、コポリマーの機械的性質は、0.2phm以下の量などのより少ない量で硫黄が存在する一実施形態よりも改善される。特に、重合開始時に、硫黄が前述の規定の量で存在する場合に、引張強度が改善されることが分かる可能性がある。
【0043】
さらなる一実施形態では、ステップa)は、さらなるモノマー単位としてのジクロロ-2,3-ブタジエン(DCB)の存在下で行われる。これによって、硫黄変性クロロプレンコポリマーは、さらに好ましくは、ジクロロ-2,3-ブタジエン(DCB)モノマー単位を含むコポリマーとなることが可能となる。例えば、加硫性組成物中に存在するコポリマーは、前述の名称のモノマー単位、すなわち硫黄、クロロプレン、及びジクロロ-2,3-ブタジエンからなるターポリマーであってよい。
【0044】
さらに、キサントゲンジスルフィドは、好ましくは、重合反応開始時に≦0.4phmの量で存在することができる。例えば、キサントゲンジスルフィドは、重合反応開始前に重合混合物に加えることができる。この実施形態では、ムーニー粘度を低下させることができ、それによって特に良好な加工性が得られる。
【0045】
少なくとも1つの非求核性塩基は、前述のものであってよい。
【0046】
少なくとも1つの非求核性塩基は、加硫反応前に、≧0.05phr~≦5phrの量、好ましくは≧1.5phr~≦2phrの量で存在することができる。
【0047】
ニトロソアミンフリーのポリクロロプレンゴムを形成できるようにするため、上記方法は、ニトロソアミン形成性化合物、すなわち従来の促進剤を用いずに行われる。
【0048】
ニトロソアミンフリーの硫黄変性ポリクロロプレンの形成方法のさらなる利点及び特徴に関して、これは加硫性組成物、加硫物、及び実施例に言及される。
【0049】
加硫性組成物から形成される、又は前述の方法によって形成される加硫物についてさらに説明する。
【0050】
例えば、本発明による加硫物は、改善された加工性を有し、したがって広い用途範囲に役立つ。このことは特に、混合開始時に高粘度であることによって示され、それによって充填剤を効果的に分散させることができ、さらに終了時に低粘度であることによって、容易なカレンダリング(calendaring)、織物被覆、及びさらなる用途が可能となる。さらに、硬化特性が、標準的なクロロプレン/硫黄コポリマーよりも改善される。例えば、従来の金属酸化物硬化剤を用いて硬化させると、ニトロソアミン前駆体を含まない解膠コポリマーは遅い硬化を示す。さらに、最終コポリマーは、同等の硬化状態が実現されない。スコーチは、最初に加硫が望ましくない速さになるため望ましくなく、これによって処理時間領域が狭くなり、処理装置をふさぐので、加工性が非効率的になる。
【0051】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって実証される。
【実施例
【0052】
「phr」は、加硫物の場合、ゴム100部(重量)当たりの部数を意味する。クロロプレンゴムを含むすべてのエラストマー成分の全体が100phrに相当する。
【0053】
「phm」は、100のモノマー当たりの部数を意味する。重合処方に用いられる場合、モノマー量(すなわちクロロプレン及び場合によりコモノマー)は100phmに相当する。
【0054】
架橋密度(MDR)は、40分間、170℃において0.5°の角度及び1.7Hzの振動周波数を用いてムービングダイレオメーター(MDR 2000E)を用いて求めた。
【0055】
引張強度(TS)の場合、加硫性混合物を170℃で加硫させることによって2mmのシートを製造した。これらのシートからダンベル型試験試料を打ち抜いた。ASTM D2240-81に準拠して引張強度及び破断時伸び(EB)を求めた。
【0056】
ASTM D2240-81に準拠してデュロメーターを用いて硬度を求めた。
【0057】
DIN ISO 850 Part Aに準拠して圧縮永久ひずみ(CS)を求めた。
【0058】
Goodrich試験(MTS)DIN 53533 T3-88 Goodrich;400Hz-Elastomer-Pruefsystem 831.20;MTS Systems GmbH製。
【0059】
ML1+4/100℃、DIN ISO 289-1に準拠してムーニー粘度を求めた。
【0060】
【表1】
【0061】
CR-1:1668gの脱イオン水を、98.06gの水中のロジン酸カリウム塩(55%)(Sylvaros RS 200)と、32.55gのBaykanol PQ(ナフタレンスルホン酸(Naphtalenesulfonic acid)、ホルムアルデヒドを有するポリマー、ナトリウム塩、水中(30%)のCAS 9084-06-4)と、3.78gのMarlon A350(ベンゼンスルホン酸、C10-13-アルキル誘導体、水中(60%のナトリウム塩CAS 68411-30-3)との混合物に加え、撹拌した。続いて、連続撹拌下で10.41gのKOHプリル(純度87%)を加えて、いわゆる水相を形成した。この溶液が透明のときに、0.9gのアントラキノン2スルホン酸ナトリウム塩を加え、窒素を用いた混合物の酸素除去を少なくとも8時間行った。
【0062】
2.25gのジイソプロピルキサントゲンジスルフィド(DIXD)を1500gのクロロプレン中に溶解させた。この溶液を、6リットルの二重ジャケット窒素フラッシュ反応器に上記水相とともに導入した。反応器の内容物を撹拌下で44℃まで混合した。反応器温度が安定してすぐに、11.56gの水中の硫黄分散液(52%の硫黄含有量)を120gの水とともに加えた。開始剤(水中3重量%の過硫酸カリウム)を加えることによってただちに重合を開始した。約3時間反応時間内に75%のモノマー変換率が実現されるように添加流量を選択した。75%のモノマー変換率が実現されると、過硫酸カリウム溶液の添加を停止し、20mlの脱イオン水中の1.1gのヒドロキノンを反応器に加えた。反応器温度を20℃まで下げた。次に、82.5gの水相中の74.5gのクロロプレン中の8.25gのDIXDの溶液のエマルジョンを反応器に加えた。反応していないモノマーは、減圧(150mbar)下のサイクロン中の蒸気蒸留によって除去した。
【0063】
上記モノマーを含まないラテックスを、水中0.1MのHClでpH=7.5まで中和し、-20℃で凍結させ、凍結乾燥して固体ポリクロロプレンを得た。
【0064】
CR-2:重合開始前に加えた硫黄分散液の量が8.67gであり、重合終了後に加えたDIXD/クロロプレン/水相エマルジョンが2.81gの硫黄分散液をさらに含んだことを除けば、CR 1の場合と同じである。
【0065】
CR-3:重合開始前に加えた硫黄分散液の量が5.78gであり、重合終了後に加えたDIXD/クロロプレン/水相エマルジョンが5.76gの硫黄分散液をさらに含んだことを除けば、CR 1の場合と同じである。
【0066】
CR-4:反応開始時のクロロプレン中のDIXD量が1.50gであったことを除けば、CR 1の場合と同じである。
【0067】
CR-5:重合開始前に加えた硫黄分散液の量が28.85gであったことを除けば、CR 1の場合と同じである。
【0068】
CR-6:モノマー混合物が1455gのクロロプレン及び45gのジクロロ-2,3-ブタジエンで構成されることを除けば、CR-1の場合と同じである。
【0069】
CR-7:モノマー混合物が1395gのクロロプレン及び105gのジクロロ-2,3-ブタジエンで構成されることを除けば、CR-1の場合と同じである。
【0070】
CR-8:反応開始時のクロロプレン中のDIXD量が6.00gであったことを除けば、CR 1の場合と同じである。
【0071】
ゴム組成物の製造、加硫、及び特性決定
Harburg Freudenberger製の密閉式ミキサーGK1.5を65%の充填率で用いた。設定温度30℃であり、混合は40prmで行った。
【0072】
以下のステップが確認された:
0~0.5分=ポリマー添加
0.5~3.0分=カーボンブラック、MgO、ステアリン酸
3分=洗浄及びZnOの添加。遅い添加によりスコーチを回避する。
4分=終了
【0073】
すべてのさらなる添加剤は、Troester製の30℃に冷却したローラーを有する混合ロールシステム(WNU3)上で加えた。ローラーの直径は200mmであった。安定したシートが得られるように、ローラーの回転速度及びフリクション比の制御を行った。
【0074】
均質化を実現するために、上記シートの左を3回、右を3回切断し、次に5回折りたたんだ。次に混合を終了し、生成物をローラーからブランケットの形態で取り出した。このブランケットをプレス中170℃において40分間加硫させた。
【0075】
以下の材料を提供されたままの状態で使用した。
【0076】
Baypren(登録商標)616 VP - ジイソプロピルキサントゲネートジスルフィド(キサントゲンジスルフィド)で解膠されたクロロプレン及び硫黄のコポリマー、ムーニー粘度48MU(CAS:9010-98-4)。
【0077】
Baypren(登録商標)611 - TETDで解膠されたクロロプレン及び硫黄のコポリマー、ムーニー粘度48MU(CAS:9010-98-4)。
【0078】
非求核性塩基 - Rhenogran(登録商標)XLA-60 - Rheinchemieより供給される60%の活性化アミンと遅延剤との相乗的な組み合わせ、40%のアクリルコポリマー及び分散剤(CAS-Number:6674-22-2)、(DBU濃度≧25重量%-<wt.-40%)。
【0079】
非求核性塩基 - 1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、Sigma Aldrichより入手(CAS番号:280-57-9)。
【0080】
添加剤 - Regal SRF - ASTM N772の目標に承認されるCabotのカーボンブラック(CAS番号:1333-86-4)。
【0081】
架橋剤 - Maglite(登録商標)DE - CP Hallより市販される酸化マグネシウム(CAS番号:1309-48-4)。
【0082】
架橋剤 - Grillo-Werke AGのZinc Oxide Red Seal(CAS番号:1314-13-2)。
【0083】
Edenor C18 98-100 - Oleo solutionsのステアリン酸(CAS番号:57-11-4)。
【0084】
促進剤 - Rhenogran(登録商標)MBTS-80 - Rheinchemieより供給される80%のジベンゾチアジルジスルフィド(CAS番号:120-78-5)。
【0085】
促進剤 - Rhenogran(登録商標)TBzTD-70 - Rheinchemieより供給される70%(CAS番号:10591-85-2)。
【0086】
実施例:以下の表中のすべての実施例の特性決定を行った。それぞれの実施例の後のは、本発明によるものである。
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
非求核性塩基(DABCO又はXLA-60)を用いることで、本発明の実施例の場合にムーニー粘度の低下を確認できた。非求核性塩基(DACBO又はXLA-60)に加えて、MBTS又はTBzTDのような促進剤が用いられる場合、さらなる向上の場合、ムーニー粘度の低下。評価に関して、+は良好を意味し、++は優秀を意味する。
【0090】
【表4】
【0091】
非求核性塩基と、硫黄と共重合させDIXDを加えたクロロプレンゴムとの組み合わせを用いることで、本発明の試料の場合、ムーニー粘度が低下するだけでなく、架橋密度及び硬化速度も増加する。非求核性塩基と、硫黄と共重合させTETDを加えたクロロプレンゴムとの組み合わせを用いると、架橋密度の変化は生じない。
【0092】
【表5】
【0093】
非求核性塩基と、硫黄と共重合させDIXDを加えたクロロプレンゴムとの組み合わせを用いると、圧縮永久ひずみが低下し(実施例4対3)、一方、非求核性塩基と、硫黄と共重合させTETDを加えたクロロプレンゴムとの組み合わせを用いると、圧縮永久ひずみが増加する(実施例2対1)。Mは、%(示される数値)の伸びの応力値である引張曲線の説明を示している。
【0094】
【表6】
【0095】
非求核性塩基と、硫黄と共重合させDIXDを加えたクロロプレンゴムとの組み合わせを用いると、内部温度はあまり上昇しないが、温度上昇は少なくなり(実施例4対3)、一方、非求核性塩基と、硫黄と共重合させTETDを加えたクロロプレンゴムとの組み合わせを用いると、内部温度が上昇し、温度上昇も増加する(実施例2対1)。
【0096】
【表7】
【0097】
重合開始中に加えた硫黄の量を、CR-1から3で0.4phmから0.3phm及び0.2phmまで変化させ、CR-5は、重合開始中に1phmの硫黄を加えて重合させた。
【0098】
【表8】
【0099】
重合開始中に加えた硫黄の量は、非求核性塩基とともにムーニー粘度の増加に対して重要である。0.2phmを超えると、ムーニー粘度の低下は、実験結果13、14、16、及び17の場合に確認することができる。開始中に加えた1phmの硫黄を用いて重合させたクロロプレンのムーニー粘度は非常に低く、その結果、材料の加工が困難な粘着性となる。
【0100】
【表9】
【0101】
重合開始時に加えた0.2phm~1phmの間の硫黄の硫黄含有量によって、良好な引張強度及び圧縮永久ひずみが得られる。
【0102】
【表10】
【0103】
【表11】
【0104】
【表12】
【0105】
重合中の3及び7phmのDCBの添加を、クロロプレン及び0.4phmの硫黄と組み合わせる。
【0106】
【表13】
【0107】
非求核性塩基を伴う、硫黄、クロロプレン、及びDCBを含むポリマーの同様の挙動を確認することができる。ムーニー粘度が低下する。
【0108】
【表14】
【0109】
すべてのポリマーで架橋速度及び密度は同程度であり、DCB含有量とは無関係である。すべてのポリマーの機械的性質は優秀である。
【0110】
このように本発明及びその利点について説明してきたが、本明細書に開示される本発明の種々の態様及び実施形態は、本発明の製造及び使用のための特定の方法の単なる説明であることを認識すべきである。
【0111】
本発明の種々の態様及び実施形態は、添付の請求項、及び上記の詳細な説明を考慮した場合の本発明の範囲を限定するものではない。
【0112】
特許証による保護が望ましいことは、以下の請求項に記載される。
【国際調査報告】