(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】フォトバイオモジュレーション療法の低レベルレーザ標的化(targeting)システム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20230623BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A61N5/067
A61N5/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574435
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 AU2021050558
(87)【国際公開番号】W WO2021243418
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522061730
【氏名又は名称】コスメティック エッジ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジャファルザデ,マスード
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PC04
4C082PC08
4C082RA04
4C082RA06
4C082RC00
4C082RE33
4C082RE34
4C082RE35
4C082RL03
4C082RL05
(57)【要約】
フォトバイオモジュレーション療法の低レベルレーザ標的化(targeting)システムは、コントローラと、該コントローラにより制御される低レベルレーザエミッタと、該エミッタに動作可能に連結されていて、該エミッタからの光の投影方向を制御するように該コントローラにより制御されるプロジェクタと、を有する。該コントローラは、使用時に該エミッタからの光を皮膚表面標的エリアに投影して皮下標的領域を標的化するためにプロジェクタを制御するように構成された標的化コントローラを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラと、
前記コントローラにより制御される低レベルレーザエミッタと、
前記エミッタに動作可能に連結されていて、前記エミッタからの光の投影方向を制御するために前記コントローラにより制御されるプロジェクタと、
を含む、フォトバイオモジュレーション療法の低レベルレーザ標的化(targeting)システムであって、
前記コントローラが、使用時に前記エミッタからの光を皮膚表面標的エリア上に投影して、皮下標的領域を標的化するために前記プロジェクタを制御するように構成された標的化コントローラを含み、
前記コントローラが、皮下標的領域を表す地理空間データで構成され、前記標的化コントローラが、前記皮膚表面標的エリアおよび前記地理空間データに関する前記プロジェクタの相対的位置づけに応じて前記プロジェクタを制御するように構成される、
フォトバイオモジュレーション療法の低レベルレーザ標的化システム。
【請求項2】
前記プロジェクタが、光を2軸に向ける、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロジェクタが、前記エミッタの方位を制御する機械的ジンバルを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロジェクタが、光を反射するミラーまたは光を通過させて伝播するプリズムを調整する機械的ジンバルを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロジェクタが、少なくとも1つの回転プリズムを含み、前記エミッタが、前記皮膚表面標的エリアを標的化する前記少なくとも1つの回転プリズムの特有の回転オフセットで動作する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロジェクタが、ビーム形成レンズを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記ビーム形成レンズが、XYラスター走査のためのピンポイントを形成してもよい、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ビーム形成レンズが、前記皮膚表面標的化治療エリアを横切って掃引する線を形成する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロジェクタが、前記皮下標的領域に関して事前設定された位置に設置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、前記皮下標的領域に関して前記プロジェクタの相対的位置を表す相対的位置座標で構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラが、CTスキャナ、CATスキャナ、MRIスキャナ、結腸内視鏡検査、内視鏡検査、X線スキャナ、マンモグラム、および超音波検査の少なくとも1つを含む医療用走査デバイスおよび手順の少なくとも1つから得られた地理空間データを受信するためのデータインターフェースを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
3D患者モデルに関する地理空間データを編集するためのコンピュータ支援モデリング地理空間エディタをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記皮膚表面標的エリアの入射ポイントが、前記プロジェクタおよび前記皮下標的領域の相対的位置づけに応じた侵入深さに従って制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
標的領域を決定するためのセンサに動作可能に連結された範囲指定コントローラをさらに含み、前記標的化コントローラが前記範囲指定コントローラにより決定された前記標的領域に従って前記プロジェクタを制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記センサが、皮膚表面ヒートマップトポグラフィーを決定するように構成された熱センサを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記標的化コントローラが、温度閾値を超える前記表面ヒートマップトポグラフィーのエリアを標的化するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記熱センサが、赤外線カメラを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記熱センサが、レンズにより集束された赤外線エネルギービームを前記皮膚表面標的エリアの表面に照射する赤外線温度センサを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記センサが、皮膚マーキングを同定するように構成された視覚センサを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記皮膚マーキングが、点であり、前記標的化コントローラが、前記点の周囲の領域を標的化するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記皮膚マーキングが、マーキングされた境界であり、前記標的化コントローラが、前記境界内の領域を標的化するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記標的化コントローラが、前記視覚センサにより得られた画像データの境界エリア分析画像処理を利用して、標的化するためにマーキングされた境界内の前記エリアを決定する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記皮膚マーキングが、可視皮膚マーキングである、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記皮膚マーキングが、赤外可視皮膚マーキングである、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
皮膚マーキングが、前記視覚センサによって取得された画像データの表示を参照して示され、前記範囲指定コントローラが、その後、前記示されたマーキングを標的化するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
前記センサが、カメラであり、前記範囲指定コントローラが、前記カメラから受信した画像データの画像処理を利用して前記標的領域を決定する、請求項14に記載のシステム。
【請求項27】
前記範囲指定コントローラが、3D患者モデルの選択された部分を標的化する、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記範囲指定コントローラが、画像認識を利用して、前記選択された部分を認識する、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記システムが、内部に前記エミッタおよびプロジェクタを含む小型アプリケータデバイスを含み、前記アプリケータデバイスが、デジタルディスプレイを有するユーザインターフェースデバイスに動作可能に連結され、前記デジタルディスプレイが、前記システム上の前記コントローラを制御するためにユーザインターフェースを表示する、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記アプリケータデバイスが、前記ユーザインターフェースに取り付けられ、前記コントローラがさらに、標的領域を決定するためにセンサに動作可能に連結された範囲指定コントローラを含み、前記標的化コントローラが、前記ユーザインターフェースデバイスおよび前記経皮標的領域の相対的方位および位置に関わらず前記範囲指定コントローラにより決定された前記標的領域に従って前記プロジェクタを制御する、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記センサが、前記ユーザインターフェースデバイスのカメラである、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記ユーザインターフェースが、前記ユーザインターフェースデバイスのカメラから得られた画像データで拡張された治療エリアを表示する、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
前記アプリケータデバイスが、前記ユーザインターフェースデバイスから物理的に分離されており、前記アプリケータデバイスが、前記アプリケータデバイスの方位を決定するためのジャイロスコープセンサを含み、前記プロジェクタが、前記ジャイロスコープセンサにより決定された前記電子デバイスの前記方位に応じてレーザビームを制御する、請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
前記アプリケータデバイスが、前記ユーザインターフェースデバイスに物理的に取り付けられており、前記プロジェクタが、前記ユーザインターフェースデバイスのジャイロスコープセンサにより決定された前記電子デバイスの前記方位に応じてレーザビームを制御する、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
前記ユーザインターフェースデバイスが、前記システムのカメラから得られた画像データで拡張された前記皮膚表面標的エリアの拡張ビジョンマップ表現を表示する、請求項29に記載のシステム。
【請求項36】
前記マップ表現が、前記標的化コントローラによって標的化するために治療境界をマーキングするように双方向性である、請求項35に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は一般に、フォトバイオモジュレーションに関する。より詳細には本発明は、フォトバイオモジュレーション療法の低レベルレーザ標的化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
フォトバイオモジュレーション療法は、低エネルギーレベルレーザを利用して、赤色光および近赤外光を損傷または病変に当てて、非熱的な光化学効果により、創傷および軟組織の治癒を改善し、炎症を低減し、急性および慢性の両方の疼痛を緩和する。光は、細胞内で生化学的変化を引き起こし、光子が、細胞の光受容体に吸収されて化学変化を引き起こす。
【0003】
本発明は、先行技術の欠陥を少なくとも一部を克服する、もしくは実質的に向上させるフォトバイオモジュレーション療法のための低レベルレーザ標的化システムを提供する、または少なくとも代替法を提供しようとするものである。
【0004】
任意の先行技術の情報が、本明細書で参照される場合、そのような参照は、その情報が当該技術分野の、オーストラリアの、または任意の他の国の、慣例的一般知識の一部を形成することの承認とならないことが理解されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開示の概要
本明細書において、種々の内部組織損傷、外傷、潰瘍、炎症、および同様のものを治療するため、ならびに/または感染を制御するために低レベルレーザを利用するフォトバイオモジュレーションレーザ標的化システムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
該システムは、コントローラと、該コントローラに連結された低レベルレーザエミッタと、を含む。エミッタは、10mW~500mWの間の低電力で、典型的には660nm~905nmの範囲内の赤色および近赤外光を照射して、皮膚表面標的エリアにおよそ5W/cm2の電力密度(放射照度)を送達してもよい。
【0007】
該システムはさらに、エミッタに動作可能に連結されていて、2軸などのエミッタからの光の投影方向を制御するためにコントローラにより制御されるプロジェクタを含む。
【0008】
コントローラは、使用時にエミッタからの光を皮膚表面標的エリア上に向けて皮下標的領域を標的化するためにプロジェクタを制御するように構成された標的化コントローラを含む。
【0009】
該システムは、CTスキャナ、CATスキャナ、MRIスキャナ、結腸内視鏡検査、内視鏡検査、X線、マンモグラム、超音波検査および同様のものなどの医療用走査デバイスおよび手順から得ることができる地理空間データを用いる、精密に標的化された皮下標的領域であってもよい。該システムは、医師が皮下標的領域を患者の身体の3D表現に関して標的化するために地理空間データを構成することを可能にするコンピュータ支援地理空間エディタを含んでもよい。
【0010】
該システムはさらに、標的領域を決定するためのセンサに動作可能に連結された範囲指定コントローラを含んでもよく、標的化コントローラは、範囲指定コントローラにより決定された標的領域に従ってプロジェクタを制御する。
【0011】
該センサは、炎症または同様のものの指標となる皮膚表面ヒートマップトポグラフィーを決定するように構成された熱センサを含んでもよく、標的化コントローラは、とりわけ温度が上昇したエリアを標的化する。
【0012】
該センサは、可視または赤外可視点境界などの適用された皮膚マーキングを同定するように構成された視覚センサを含んでもよい。そのため医師は、標的化コントローラの標的化を制御するために視覚センサにより検出される治療エリアをマーキングしてもよい。
【0013】
範囲指定コントローラはさらに、画像処理を利用してカメラデバイスから得られた画像データを処理して、形状および/または物体認識などの方法で標的化するために身体の様々な領域を同定してもよい。そのため医師は、右膝が治療の標的になるように指定してもよく、範囲指定コントローラは、画像処理を利用して右膝の場所を同定する。
【0014】
範囲指定コントローラはさらに、プロジェクタの位置が皮下標的領域に対して移動する場合には、標的化コントローラの標的化を調整してもよい。
【0015】
実施形態において、該システムの患者使用可能形態は、内部にエミッタおよびプロジェクタを有する小型アプリケータデバイスを含み、該アプリケータデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピューティングデバイスまたは同様のものなどのユーザインターフェースデバイスに動作可能に連結されている。ユーザインターフェースデバイスは、設定値の設定、標的領域のマーキングおよび同様のことをはじめとする制御のためにデバイス上のソフトウエアアプリケーションを実行してもよい。ユーザインターフェースデバイスは、デバイスのカメラから得られた画像データで拡張された治療領域を表示してもよい。アプリケータデバイスは、デバイスの画像および/またはジャイロスコープセンサなどのユーザインターフェースデバイスのセンサを利用してもよい。
【0016】
実施形態において、アプリケータデバイスは、ユーザインターフェースデバイスに取り付けられ得るスモールフォームファクタデバイスであり、ユーザインターフェースデバイスからエミッタに電力供給する、または他の方法で電力を取るために内部に再充電可能なバッテリーを有してもよい。そのため、在宅でのフォトバイオモジュレーション療法の場合、ユーザは、片手でユーザインターフェースデバイスおよび取り付けられたアプリケータデバイスを保持してもよく、該システムは、範囲指定コントローラを利用して(マーキングを検出するため、または身体の部分を認識するために、熱感知または視覚的感知により)、皮下標的領域からのプロジェクタの相対的位置づけに関わらず標的化コントローラの標的化を精密に制御する。
【0017】
本発明の他の態様もまた、開示される。
【0018】
任意の他の形態が本発明の範囲に含まれ得るが、本開示の好ましい実施形態が、添付の図面を参照しながら例示としてのみ、ここに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に従ったフォトバイオモジュレーションレーザ標的化システムを示す。
【
図2】実施形態に従った該システムの例示的な装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態の記載
フォトバイオモジュレーションレーザ標的化システム100は、コントローラ125と、I/Oインターフェース113を介して該コントローラ125により制御される低レベルレーザエミッタ114と、を含む。
【0021】
該システム100はさらに、エミッタ114に動作可能に連結されていてコントローラ125により制御されるプロジェクタ115を含む。
【0022】
コントローラ125は、デジタルデータを処理するためのプロセッサ112を含む。システムバス110を介してプロセッサ112と動作可能に通信して、コンピュータプログラムコード命令を含むデジタルデータを保存するように構成されたメモリーデバイス109が存在する。コンピュータプログラムコード命令は、様々なコンピュータプログラムコードコントローラ108および関連のデータ105に論理的に分割されていてもよい。プロセッサ112は、使用時に本明細書に記載された制御の機能性を実装するための解釈および実行のために、これらのコンピュータプログラムコード命令および関連のデータをメモリーデバイス109から読み出す。
【0023】
コントローラ125は、エミッタ114からの光を皮膚表面標的エリア上に向けて皮下標的領域117を標的化するためにプロジェクタ115を制御するように構成された標的化コントローラ107を含む。
【0024】
エミッタ114は、10mW~500mWの間の低電力で660nm~905nmの範囲内の赤色および近赤外光を照射して、皮膚表面標的エリア116におよそ5W/cm2までの電力密度(放射照度)を送達してもよい。
【0025】
プロジェクタ115は、光を2軸に向けることができ、それによりシステム100は、光を異なる形状およびサイズの皮膚表面標的エリア116上に向けることができる。
【0026】
プロジェクタ115は、エミッタ114の方位を制御する機械的ジンバルを含んでもよい。代替実施形態において、機械的ジンバルは、光を反射するミラーまたは光を通過させて伝播するプリズムを調整してもよい。
【0027】
実施形態において、プロジェクタ115は、少なくとも1つの回転プリズムを含み、エミッタ114は、皮膚表面標的エリア116を標的化するために少なくとも1つの回転プリズムの特有の回転オフセットで動作する。
【0028】
実施形態において、プロジェクタ115は、ビーム形成レンズを含んでもよい。ビーム形成レンズは、XYラスター走査のためのピンポイントを形成してもよい、あるいは皮膚表面標的化治療エリア116を横切って掃引する線を形成してもよい。
【0029】
コントローラ125は、皮下標的領域117を表す地理空間データ104で構成されてもよい。
【0030】
コントローラ125は、医療用スキャナデバイス101または手順から地理空間データ104を受信するためのデータインターフェース111を含んでもよい。医療用走査デバイス101または手順は、CTスキャナ、CATスキャナ、MRIスキャナ、結腸内視鏡検査、内視鏡検査、X線スキャナ、マンモグラム、超音波検査および同様のものを含む。
【0031】
該システム100は、患者スキャナ101から受信した地理空間データを構成するためにコンピュータ支援モデリング地理空間エディタ102を含んでもよい。実施形態において、地理空間エディタ102は、患者特有のパラメータに従ってカスタマイズされ得る患者の身体の3Dモデル表現を含んでもよい。
【0032】
患者スキャナ101から受信したデータに関して、医師は、3Dモデル内の皮下標的領域117を表す地理空間データ104を構成してもよい。例えば正面および側面X線データを参照して、医師は、適切な皮下標的領域117を表すように地理空間データ104を構成してもよい。
【0033】
そのため、標的化コントローラ117は、使用時に地理空間データ104により指定された皮下標的領域117を標的化する。
【0034】
標的化コントローラ117は、皮下標的領域117に対するプロジェクタ115の相対的位置づけに関する地理空間データ104で、皮下標的領域117を標的化してもよい。
【0035】
一実施形態において、プロジェクタ115は、患者に関する設定位置に配置されてもよく、標的化コントローラ117は、皮膚表面標的エリア116と、それによりその下の皮下標的領域117を、プロジェクタ115および患者の相対的位置に関して標的化する。さらなる実施形態において、標的化コントローラ117は、患者からのプロジェクタ115の相対的位置づけを表すX、YおよびZ座標などの位置オフセットで構成されてもよい。
【0036】
実施形態において、コントローラ125は、標的領域(皮膚表面標的エリア116または皮下標的領域117など)を決定するためにセンサに動作可能に連結された範囲指定コントローラ106を含み、標的化コントローラ107は、範囲指定コントローラ106により決定される標的領域に従ってプロジェクタ115を制御する。
【0037】
実施形態において、センサは、皮膚表面ヒートマップトポグラフィーを決定するように構成された熱センサ119を含む。熱センサ119は、患者の皮膚に向けられた赤外線カメラを含んでもよい。或いは熱センサ119は、レンズにより集束された赤外線エネルギービームを皮膚表面標的エリア116の表面に照射して、反射されたビームのエネルギーに従って該標的エリアの表面の温度を決定する、赤外線温度センサを含んでもよい。
【0038】
範囲指定コントローラ106は、標的化コントローラ107による標的化のために温度が上昇した領域を決定してもよい。温度が上昇した領域は、治療を必要とする炎症の指標であってもよい。
【0039】
さらなる実施形態において、センサは、視覚センサ118を含む。一実施形態において、視覚センサ118は、皮膚マーキングを同定するように構成される。例えば医師は、視覚センサ118により検出される可視または赤外可視染色剤のどちらかを用いた皮膚マーキングを利用して治療エリアをマーキングしてもよい。皮膚マーキングは、点を含んでもよく、標的化コントローラ107は、点の周囲の領域を標的化する。代替実施形態において、皮膚マーキングは、境界を含んでもよく、標的化コントローラ107は、境界内の領域を標的化する。標的化コントローラ107は、視覚センサにより得られた画像データの境界エリア分析画像処理を利用して、標的化するためにマーキングされた境界内のエリアを決定してもよい。
【0040】
実施形態において、皮膚マーキングを行う場合、医師は、システム100のデジタルディスプレイ123により表示された視覚センサ118によって取得された画像データを参照して皮膚マーキングを示し、それにより、範囲指定コントローラ106が、その後、示されたマーキングを標的化することを可能にすることができる。例えば、一旦マーキングを行ったら、医師は、マーキングを示すためにデジタルディスプレイ123をタップしてもよい。同様に医師は、マーキングされた境界内でディスプレイ123をタップし、それにより、範囲指定コントローラ106が、その後、境界内の決定されたエリアを標的化することを可能にすることができる。
【0041】
さらなる実施形態において、センサは、カメラを含み、範囲指定コントローラ106は、形状検出および/または物体認識を利用して、標的化するために身体の領域を決定する。例えば範囲指定コントローラ106は、標的化コントローラ107によって標的化するために形状および/または物体認識を利用して患者の身体の部分を認識してもよい。例えば膝を標的化する場合、範囲指定コントローラ106は、形状検出を利用して脚の境界を決定してもよく、さらに物体認識のための形状を利用して上腿と下腿の間の膝の位置を決定してもよい。
【0042】
実施形態において、前述の3Dモデルを利用して、ユーザは、患者の身体の治療する部分を選択してもよい。例えば、医師が表示された3Dモデルから膝を選択し得る場合、3Dモデルが、ディスプレイ123上で表示されてもよい。そのため、範囲指定コントローラ106は、形状および/または物体認識を利用して、標的化するために3Dモデルから選択された膝を認識してもよい。
【0043】
範囲指定コントローラ106および標的化コントローラ107は、使用時に皮膚表面標的化治療エリア116の位置がプロジェクタ115に対して移動する場合を含め、標的化をリアルタイムで調整してもよい。
【0044】
コントローラ125は、調整可能な設定値103で構成されてもよく、実施形態において、例えば治療プログラムを調整するために使用され得る。実施形態において、設定値103は、一定の光またはパルス光のどちらが当てられるか、光エネルギーレベル、照射レベル、治療時間、および治療頻度を設定するためなど、エミッタ114およびプロジェクタ115を制御するために用いられる。
【0045】
エミッタ114およびプロジェクタ115は、侵入深さを調整するために設定値103により制御されてもよい。侵入深さは、エミッタ114のエネルギーレベルにより制御されてもよい。
【0046】
代替実施形態において、侵入深さは、プロジェクタ115および皮下標的領域117の相対的位置づけに関して幾何学的に制御されてもよい。例えばプロジェクタ115の位置が、患者に対して移動するため、皮膚表面標的エリア116上の入射ポイントが、皮下標的領域117に関わらず同じ深さを標的化するように標的化コントローラ107により制御されてもよい。
【0047】
実施形態において、コントローラ115は、ユーザインターフェースデバイス124と動作可能に通信している。ユーザインターフェースデバイス124は、モバイル通信デバイス、タブレットコンピューティングデバイス、または同様のものの形態をとってもよい。ユーザインターフェースデバイス124は、デバイス上のソフトウエアアプリケーションを実行してもよい。
【0048】
ユーザインターフェースデバイス124は、コントローラ125の動作を制御するためのユーザインターフェース122を表示するように構成されたデジタルディスプレイ123を含んでもよい。
【0049】
ユーザインターフェース122は、動作パラメータを表示してもよい。ユーザインターフェース122は、調整され得る設定値121を表示してもよい。
【0050】
ユーザインターフェース122は、ユーザインターフェースデバイス124のカメラから得られた画像データで拡張された皮膚表面標的エリア116の拡張ビジョンマップ表現120を表示してもよい。実施形態において、マップ表現120は、標的化コントローラ107によって標的化するために治療境界をマーキングするように双方向性である。
【0051】
実施形態において、スモールフォームファクタの手持ち式アプリケータデバイス127が、エミッタ114およびプロジェクタ115を含む。アプリケータデバイス127は、ユーザインターフェースデバイス124に動作可能に連結されてもよい。アプリケータデバイス127は、エミッタ114に電力供給するために内部に再充電可能なバッテリーを含んでもよく、またはユーザインターフェースデバイス124から電力を取ってもよい。アプリケータデバイス127は、ユーザインターフェースデバイス124に物理的に取り付けられてもよく、またはそこから分離されていてもよい。
【0052】
この実施形態によれば、プロジェクタ115は、皮下標的領域117に関するユーザインターフェースデバイス124の方位および位置に応じてレーザビームを制御してもよい。
【0053】
例えば、アプリケータデバイス127が、ユーザインターフェースデバイス124に物理的に取り付けられている場合、在宅でのフォトバイオモジュレーション療法の間に両方を片手で保持することができ、範囲指定コントローラ106は、視覚センサ118または熱センサ119と連携して、標的化コントローラ107の標的化を調整する。実施形態において、コントローラは、標的化するためにユーザインターフェースデバイス124の画像センサから得られた画像データを利用し、それによりアプリケータデバイス127自体の画像感知構成部品および関連するコンピュテーションの必要性が回避される。
【0054】
実施形態において、アプリケータデバイス127は、アプリケータデバイスの方位を決定するためにジャイロスコープセンサを含み、プロジェクタ115はさらに、ジャイロスコープセンサにより決定されたアプリケータデバイス127の方位に応じてレーザビームを制御する。同様にシステム100は、ユーザインターフェースデバイス124のジャイロスコープセンサを利用し、それによりアプリケータデバイス127が別個のジャイロスコープセンサを必要とするのを回避してもよい。
【0055】
図2~
図5は、デスクトップ用途に適したシステム100の例示的な物理的装置を示す。
図2は、デジタルディスプレイ123と、その後ろの支持的キックスタンド126と、を有するタブレットコンピューティングデバイスの形態をとるコントローラ125を示す。
【0056】
図3は、設定値コントロール121、マップ表現120および他のグラフィカルユーザインターフェースエレメントを含み得るデジタルディスプレイ123により表示された例示的なグラフィカルユーザインターフェース122を示す。
【0057】
該装置は、内部にLLLエミッタ114と、プロジェクタ115と、を有する別個のアプリケータ127を含んでもよい。
【0058】
アプリケータ127は、スタンドプレート130と、フットプレート135と、を含み得るアプリケータクレイドル128内に保持されてもよい。
図5を参照すると、スタンドプレート130は、クレイドル128のスタンドプレート130に設けられた凹所の、アプリケータ127の後側を保持するフランジ129を含んでもよい。アプリケータ125は、ハンドルステム131およびプロジェクションヘッド132を含んでもよい。アプリケータ125は、ハンドルステム131の遠位端から配線で接続された制御ケーブル136を含んでもよい。アプリケータ127は、アプリケータ127の動作を制御するための制御ボタン132を含んでもよい。
【0059】
プロジェクションヘッド132は、内部の中心に配置された調整可能な光学機器を有するプロジェクタ115を有するフェース(face)133を含んでいてもよく、そこから光が、皮膚表面標的エリア116に投影される。フェース133はさらに、視覚センサ118として赤外線カメラ134を含んでもよい。
【0060】
実施形態において、アプリケータ127は、フォトバイオモジュレーション療法の間、クレイドル128内に置いておいてもよい。代替実施形態において、アプリケータ127は、フォトバイオモジュレーション療法の間、手で持って使用され、アプリケータの標的化は、アプリケータの範囲指定コントローラおよび/またはジャイロスコープセンサにより制御される。
【0061】
説明を目的とする前述の記載では、本発明の徹底した理解を提供するために特有の命名法が用いられた。しかし、本発明を実践するために具体的詳細が必要とされないことは、当業者に明白であろう。したがって、本発明の具体的実施形態の前述の記載は、例示および記載を目的として提示されている。先の教示を考慮すれば明らかに多くの改良および変更が可能であるため、本発明の具体的実施形態の前述の記載は、本発明を網羅する、または開示された精密な形態に限定するものではない。実施形態は、本発明の原理およびその実践適用を最良に説明し、それにより本発明および様々な実施形態を、当業者が、企図される個々の用途に適するような様々な改良を加えて最良に利用することができるように選択および記載された。以下の特許請求の範囲およびその均等物が本発明の範囲を定義するものとする。
【0062】
本明細書で用いる用語「およそ」または同様のものは、他に断りがなければ、言及された値の10%以内であると解釈されなければならない。
【国際調査報告】