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特表2023-527917β-ラクタム化合物、その使用およびその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】β-ラクタム化合物、その使用およびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/12 20060101AFI20230623BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230623BHJP
   A61K 31/433 20060101ALI20230623BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
C07D417/12 CSP
A61P31/04
A61K31/433
A61K31/427
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574453
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2021091320
(87)【国際公開番号】W WO2021244199
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】202010488264.1
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522469534
【氏名又は名称】インスティテュート オブ メディシナル バイオテクノロジー、チャイニーズ アカデミー オブ メディカル サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF MEDICINAL BIOTECHNOLOGY, CHINESE ACADEMY OF MEDICAL SCIENCES
【住所又は居所原語表記】NO 1, Tiantan Xili, Dongcheng District, Beijing 100050, China
(71)【出願人】
【識別番号】522469545
【氏名又は名称】グァンヂョウ エイチシー ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU HC PHARMACEUTICAL CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1102, 1103, 1104, 1105, 1201 and 1301, Building C, 288 Shenzhou Road, Huangpu District, Guangzhou, Guangdong 510000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン ダンチン
(72)【発明者】
【氏名】タン シェン
(72)【発明者】
【氏名】ユー シュエフ
(72)【発明者】
【氏名】リ シウェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン イエンシャン
(72)【発明者】
【氏名】ルー シィ
(72)【発明者】
【氏名】リ イエンホン
(72)【発明者】
【氏名】フー シンシン
(72)【発明者】
【氏名】フオ シハオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シウフン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC62
4C063CC67
4C063DD02
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC82
4C086BC86
4C086GA07
4C086GA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、下記の一般式(I)で示される化合物に関し、RおよびRのそれぞれは、独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換基を有するC1~10の直鎖状もしくは分枝状のアルキルを表し、または、RおよびRは共に、3~8個の環炭素原子を有するシクロアルキルを形成しており、RおよびRのそれぞれは、独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換基を有するC1~10の直鎖状もしくは分枝状のアルキル、もしくは任意選択で置換基を有するC6~12アリールを表し、または、RおよびRは共に、3~8個の環炭素原子を有するシクロアルキルを形成しており、XはCまたはNを表し、Yは、任意選択で置換基を有する直鎖状もしくは分枝状で2~6個の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表す。本化合物は、細菌、とりわけグラム陰性菌に対する抗菌性が良好であり、薬物耐性が低く、様々な病状についての有効処置の見通しが良好である。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩であって、
【化1】
式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、
およびRは共に、C3~8シクロアルキルを形成しており、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、XはCまたはNを表し、
Yは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~6アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表す、
一般式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
前記化合物が以下の一般式(I-1)で示され、
【化2】
式中、
、R、R、R、およびXは上記で定義した通りである、
請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項3】
前記化合物が以下の一般式(A)で示され、
【化3】
式中、
、R、R、およびRは上記で定義した通りである、
請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項4】
およびRが共にC3~8シクロアルキルを形成している、請求項1から3のいずれかに記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項5】
前記化合物が以下の式で示される化合物である、請求項1から4のいずれかに記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【化4】
【請求項6】
前記化合物が以下の一般式(I-2)で示され、
【化5】
式中、
は、任意選択で置換されたC3~7アルケニルまたはアルキニルを表し、Xは上記で定義した通りである、
請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項7】
前記化合物が以下の一般式(B)で示され、
【化6】
式中、
は上記で定義した通りである、
請求項6に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項8】
前記化合物が、下記で示される化合物から選択される、請求項7に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【化7】
【請求項9】
式(1)の化合物を式(2)の化合物と反応させて式(3)の化合物を得る工程aであって、
【化8】
式中、
PGは保護基を表し、
およびRは、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、
およびRは共に、C3~8シクロアルキルを形成しており、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、XはCまたはNを表し、
Yは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~6アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表す、
工程aと、
式(3)の化合物をトリフルオロ酢酸およびトリエチルシランと反応させることにより前記保護基を除去して、一般式(I)の化合物を得る工程bであって、
【化9】
式中、
、R、R、R、X、およびYは上記で定義した通りである、
工程bと、
を含む、一般式(I)の化合物を作製する方法。
【請求項10】
グラム陰性菌に対する抗菌剤の製造における一般式(I)の化合物の使用であって、
【化10】
式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、
およびRは共に、C3~8シクロアルキルを形成しており、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、XはCまたはNを表し、
Yは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~6アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表す、
一般式(I)の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なβ-ラクタム化合物およびその作製方法に関する。前記β-ラクタム化合物は、細菌、とりわけグラム陰性菌に対する抗菌効果が優れていながらも、無視できるほどの薬物耐性しか示さず、従って特性の優れた抗菌剤の作製に適している。
【背景技術】
【0002】
現在までに、β-ラクタム、アミノグリコシド、テトラサイクリン、フルオロキノロン、グリコペプチド、およびマクロライドなどの様々な抗菌剤が開発されている。特に、β-ラクタム、例えば以下の式で示されるアズトレオナムは、その広い抗菌スペクトル、強い抗菌活性、β-ラクタマーゼなどに対する高い安定性、および低い毒性により、重度の細菌感染症の治療において最も重要な抗菌薬の1つとなっている。しかし、アズトレオナムは一部の細菌、とりわけグラム陰性菌に対しては、抗菌活性が不十分である。この欠点を克服するために、アズトレオナムの誘導体が次々と合成され、研究されてきた。例えば、下記に挙げる特許文献1~3には、アズトレオナムの関連誘導体が開示されている。しかし、現在利用可能であるアズトレオナムの誘導体をそれらの薬物耐性に関して改良する余地がまだ十分にある。
【0003】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第106164072号明細書
【特許文献2】米国特許第4816582号明細書
【特許文献3】国際公開第2017/050218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、グラム陰性菌に対する抗菌活性が優れていながらも、無視できるほどの薬物耐性しか示さない新規なβ-ラクタム化合物の提供、またその使用および作製方法についての技術的課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明について、以下に説明する。
【0007】
[1]一般式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩であって、
【化2】
式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、RおよびRは共に、C3~8シクロアルキルを形成しており、
およびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
XはCまたはNを表し、
Yは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~6アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表す、
一般式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【0008】
[2]前記化合物が以下の一般式(I-1)で示され、
【化3】
式中、
、R、R、R、およびXは上記で定義した通りである、
[1]に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【0009】
[3]前記化合物が以下の一般式(A)で示され、
【化4】
式中、
、R、R、およびRは上記で定義した通りである、
[1]または[2]に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【0010】
[4]RおよびRが共にC3~8シクロアルキルを形成している、[1]から[3]のいずれかに記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【0011】
[5]RおよびRが共にC3~8シクロアルキルを形成している、[1]から[4]のいずれかに記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【0012】
[6]前記化合物が下記の式で示される化合物である、[1]から[4]のいずれかに記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【化5】
【0013】
[7]前記化合物が、以下の一般式(I-2)で示され、
【化6】
式中、
は、任意選択で置換されたC3~7アルケニルまたはアルキニルを表し、
Xは上記で定義した通りである、
[1]に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【0014】
[8]前記化合物が以下の一般式(B)で示され、
【化7】
式中、
は上記で定義した通りである、
[7]に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【0015】
[9]前記化合物が、下記で示される化合物から選択される、[8]に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【化8】
【0016】
[10]式(1)の化合物を式(2)の化合物と反応させて式(3)の化合物を得る工程aであって、
【化9】
式中、
PGは保護基を表し、
およびRは、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
およびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
XはCまたはNを表し、
Yは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~6アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表す、
工程aと、
式(3)の化合物をトリフルオロ酢酸およびトリエチルシランと反応させることにより前記保護基を除去して、一般式(I)の化合物を得る工程bであって、
【化10】
式中、
、R、R、R、X、およびYは上記で定義した通りである、
工程bと、
を含む、一般式(I)の化合物を作製する方法。
【0017】
[11]グラム陰性菌に対する抗菌剤の製造における一般式(I)の化合物の使用であって、
【化11】
式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、RおよびRは共に、C3~8シクロアルキルを形成しており、
およびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、RおよびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
XはCまたはNを表し、
Yは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~6アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表す、
一般式(I)の化合物の使用。
【発明の効果】
【0018】
本発明の化合物は、大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、エンテロバクター・クロアカ、エンテロバクター・アエロゲネス、サルモネラ・チフィ、セラチア・マルセセンス、シトロバクター・フロインデイ、プロビデンシア・レットゲリ、プロテウス・ブルガリス、プロテウス・ミラビリス、ステノトロホモナス・マルトフィリア、およびシゲラ・フレックスネリなどのグラム陰性菌に対する抗菌活性が優れていながらも、無視できるほどの薬物耐性しか示さない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、この中で使用する用語を、以下のように定義する。
【0020】
「任意選択で置換された」という用語は、1つまたは複数の位置で、後に列挙される2つ以上の基の任意の1つまたは任意の組合せによって置換されていることを意味する。
【0021】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であり得る。
【0022】
「C1~X(例えばC1~10)アルキル」という用語は、1~X(例えば1~10)個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、およびヘキシルを意味する。これは、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、…CX(例えばC10)などの様々な形態構造のアルキル基として解釈することができ、上記に列挙した代表的な基に限定されるものではない。
【0023】
上述の様々な形態構造のアルキル基は、あり得る様々な直鎖状または分枝状の基、例えばn-ブチル、イソブチル、およびtert-ブチルなどのブチルを指す。
【0024】
「C3~X(例えばC3~8)シクロアルキル」という用語は、3~X(例えば3~8)個の環形成炭素原子を有するシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルを意味する。これは、C3、C4、C5、C6、…CX(例えばC8)などの様々な形態構造のシクロアルキル基として解釈することができ、上記に列挙した代表的な基に限定されるものではない。
【0025】
「C6~X(例えばC6~12)アリール」という用語は、6~X(例えば6~12)個の炭素原子を有するアリール基を意味する。これは、C6、C7、C8、…CX(例えばC12)などの様々な形態構造のアリール基として解釈することができ、上記に列挙した代表的な基に限定されるものではない。
【0026】
「C2~X(例えばC2~6)アルケニル」という用語は、2~X(例えば2~6)個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルケニル基を意味する。これは、C2、C3、…CX(例えばC6)などの様々な形態構造のアルケニル基として解釈することができ、上記に列挙した代表的な基に限定されるものではない。
【0027】
「C2~X(例えばC2~6)アルキニル」という用語は、2~X(例えば2~6)個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキニル基を意味する。これは、C2、C3、…CX(例えばC6)などの様々な形態構造のアルキニル基として解釈することができ、上記に列挙した代表的な基に限定されるものではない。
【0028】
「カルボキシル」という用語は、基-COOHを意味する。
【0029】
この中で使用される置換基は、1つまたは複数のハロゲン原子を任意選択で有するC1~C6アルコキシ、1つまたは複数のハロゲン原子を任意選択で有するC1~C6アルキル、1つまたは複数のハロゲン原子を任意選択で有するC1~C6アルキルチオ、チオ、オキソ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、およびハロゲン原子からなる群より選択される。
【0030】
本発明の化合物中に光学異性体および幾何異性体が存在する場合、光学異性体および幾何異性体には、それらのあり得るすべての異性体形態が含まれる。
【0031】
一態様では、本発明は、以下の一般式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供し、
【化12】
式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
およびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
XはCまたはNを表し、
Yは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~6アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表す。
【0032】
およびRは、互いに独立して、
水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、RおよびRは共に、C3~8シクロアルキルを形成しており、好ましくは任意選択で置換された直鎖状または分枝状のC1~10アルキルを表し、
より好ましくは、任意選択で置換された直鎖状または分枝状のC1~6アルキルを表し、
さらに好ましくは、任意選択で置換された直鎖状または分枝状のC1~3アルキルを表し、
特に好ましくはメチルを表す。
【0033】
およびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、RおよびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
好ましくは、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~6アルキルを表し、または、RおよびRは共にC3~6シクロアルキルを形成しており、
より好ましくは、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~6アルキルを表し、または、RおよびRは共にC3~6シクロアルキルを形成しており、
特に好ましくは、水素原子もしくはイソプロピルを表し、または、RおよびRは共にC3~6シクロアルキルを形成している。
【0034】
Yは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~6アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表し、好ましくは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~4アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表し、特に好ましくは、任意選択で置換されたビニル、任意選択で置換されたエチニル、またはカルボキシルを表す。
【0035】
本発明による化合物の形態は、下記に列挙することができる。
【0036】
[形態1]Yがカルボキシルを表す本発明による一般式(I)の化合物、すなわち下記に示す一般式(I-1)の化合物であり、
【化13】
式中、
、R、R、R、およびXは上記で定義した通りである。
【0037】
[形態2]Yが任意選択で置換されたC2~6アルケニルまたはアルキニルを表す本発明による一般式(I)の化合物、すなわち下記に示す一般式(I-2)の化合物であり、
【化14】
式中、
は、任意選択で置換されたC3~7アルケニルまたはアルキニルを表し、
Xは上記で定義した通りである。
【0038】
[形態3]以下の一般式(I-1-1)の化合物であり、
【化15】
式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子、メチルまたはエチルを表し、
環AはC3~6シクロアルキルを表し、
XはCまたはNを表す。
【0039】
[形態4]以下の一般式(I-1-2)の化合物であり、
【化16】
式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子、メチルまたはエチルを表し、
は、エチル、イソプロピル、フェニル、またはC3~6シクロアルキルを表し、
XはCまたはNを表す。
【0040】
[形態5]以下の一般式(I-1-3)の化合物であり、
【化17】
式中、
環AはC3~6シクロアルキルを表し、
環BはC3~6シクロアルキルを表し、
XはCまたはNを表す。
【0041】
[形態6]以下の一般式(A)の化合物であり、
【化18】
式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
およびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成している。
【0042】
[形態7]以下の一般式(B)の化合物であり、
【化19】
式中、
は、任意選択で置換されたC3~7アルケニルまたはアルキニルを表す。
【0043】
[形態8]以下の式の化合物である。
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【0044】
別の態様では、本発明は、下記の一般式(I)の化合物の作製方法を提供し、その方法は、
式(1)の化合物を式(2)の化合物と反応させて式(3)の化合物を得る工程aであって、
【化29】
式中、
PGは保護基を表し、
R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
およびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
XはCまたはNを表し、
Yは、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC2~6アルケニルもしくはアルキニル、またはカルボキシルを表す、
工程aと、
式(3)の化合物をトリフルオロ酢酸およびトリエチルシランと反応させることにより保護基を除去して、一般式(I)の化合物を得る工程bであって、
【化30】
式中、
、R、R、R、X、およびYは上記で定義した通りである、
工程bと、
を含む。
【0045】
本発明による一般式(I)の化合物の作製方法の形態は、下記に列挙することができる。
【0046】
[形態I]
以下の合成経路による一般式(A)の化合物の作製方法であり、
【化31】
式中、
およびRは、互いに独立して、水素原子、もしくは任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキルを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
およびRは、互いに独立して、水素原子、任意選択で置換された直鎖状もしくは分枝状のC1~10アルキル、もしくは任意選択で置換されたC6~12アリールを表し、または、
およびRは共にC3~8シクロアルキルを形成しており、
PG1およびPG2は保護基を表す。
【0047】
上記工程1aにおいて、化合物7aを溶媒に溶解し、トリエチルアミンを添加し、トリフェニルクロロメタンを数回に分けて添加する。その混合物を、反応が完了するまで室温で反応させて、中間体7bを得る。
【0048】
上記工程1aの反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
上記工程1bにおいて、化合物7bを1,4-ジオキサン/水(50:50)に溶解し、水酸化ナトリウムを添加する。その混合物を、出発物質が消失するまで連続撹拌しながら反応させる。1,4-ジオキサンを減圧下で蒸発させることによって除去する。その溶液をpH2~3に調整し、撹拌、濾過する。濾過ケーキを、濾液が中性になるまで水で洗浄する。濾過ケーキを収集し、乾燥させて化合物7cを得る。
【0050】
上記工程1において、化合物1およびジフェニルブロモメタンを有機溶媒中に分散させ、室温で撹拌する。DBU(1,8-ジアザビシクロ-7-ウンデセン)を添加する。その混合物を70~80℃に加熱し、出発物質がさらに減少しなくなるまで撹拌しながら反応させ、室温まで冷却する。反応液を抽出する。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮する。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物2を得る。
【0051】
上記工程1の反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0052】
上記工程2において、化合物2およびジフェニルホスホリルヒドロキシルアミンを有機溶媒中に分散させ、窒素で3~4回パージし、0℃で撹拌する。続いて、ナトリウムtert-ブトキシドを添加する。その混合物を、反応物が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で反応させる。反応溶液に飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、撹拌、濾過して不溶性物質を除去し、化合物3を得る。
【0053】
上記工程2の反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0054】
上記工程3において、化合物7cを有機溶媒中に分散させ、撹拌しながら、化合物3のメタノール溶液を室温で添加する。その混合物を、出発物質が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で反応させる。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物4を得る。
【0055】
上記工程3の反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0056】
上記工程4において、化合物4を有機溶媒中に分散させる。HATU(2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、NaHCO、および化合物8を、それぞれ添加する。その混合物を、出発物質が完全に変換されるまで、撹拌しながら室温で反応させる。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物5を得る。
【0057】
上記工程4の反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0058】
上記工程5において、化合物5を有機溶媒に溶解し、-5~-10℃で撹拌する。そこに、トリエチルシランおよびトリフルオロ酢酸を添加する。その混合物を、反応が完了するまで一定温度で反応させる。溶媒を、減圧下、室温で蒸発させることによって除去する。残留物を精製して、目的生成物として一般式(A)の化合物を得る。
【0059】
上記工程5の反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、無水ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0060】
[形態II]
以下の合成経路による一般式(B)の化合物の作製方法であり、
【化32】
式中、
は、任意選択で置換されたC3~7アルケニルまたはアルキニルを表し、
PG2は保護基を表す。
【0061】
上記工程1において、化合物7を有機溶媒に溶解し、トリエチルアミンを添加し、トリフェニルクロロメタンを数回に分けて添加する。その混合物を、反応が完了するまで撹拌しながら室温で反応させ、次いで抽出、乾燥、濃縮して化合物8を得る。
【0062】
上記工程1の反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0063】
上記工程2において、化合物8を有機溶媒に溶解する。KCOおよび臭化アリルを続けて添加する。その混合物を、反応が完了するまで撹拌しながら室温で反応させ、次いで抽出、乾燥、濃縮して化合物9を得る。
【0064】
上記工程2の反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0065】
上記工程3において、化合物9を1,4-ジオキサン/水(50:50)に溶解し、室温で撹拌し、水酸化ナトリウムを添加する。その混合物を、出発物質が消失するまで連続撹拌しながら反応させる。1,4-ジオキサンを減圧下で蒸発させることによって除去する。その溶液をpH2~3に調整し、撹拌、濾過し、濾液が中性になるまで水で洗浄して化合物10を得る。
【0066】
上記工程4において、化合物10を有機溶媒中に分散させる。HATU(2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、NaHCO、および化合物8を、それぞれ添加する。その混合物を、出発物質が完全に変換されるまで撹拌しながら室温で反応させ、次いで、カラムクロマトグラフィーにより精製して化合物11を得る。
【0067】
上記工程4の反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0068】
上記工程5において、化合物11を有機溶媒に溶解し、-5~-10℃で撹拌する。そこに、トリエチルシランおよびトリフルオロ酢酸を添加する。その混合物を、反応が完了するまで一定温度で反応させる。溶媒を、減圧下、室温で蒸発させることによって除去する。残留物を精製して、目的生成物として一般式(B)の化合物を得る。
【0069】
上記工程5の反応に使用することができる有機溶媒としては、例えば、無水ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0070】
さらなる態様において、本発明は、グラム陰性菌に対する抗菌剤の製造における一般式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0071】
次に、本発明による化合物の例を、以下に具体的に記載する。
【0072】
~Rがすべて水素原子であり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、 R~Rがすべてメチルであり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRがエチルであり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、Rが水素原子であり、Rがプロピルであり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、Rが水素原子であり、Rがブチルであり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRがいずれもプロピルであり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRがいずれもブチルであり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRがいずれもペンチルであり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRがいずれもヘキシルであり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRが共にシクロプロピルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRが共にシクロブチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRが共にシクロペンチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRが共にシクロヘキシルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRが共にシクロヘプチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがメチルであり、RおよびRが共にシクロオクチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、Rがエチルであり、Rが水素原子であり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、Rがイソプロピルであり、Rが水素原子であり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、Rがフェニルであり、Rが水素原子であり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、Rがシクロプロピルであり、Rが水素原子であり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、Rがシクロブチルであり、Rが水素原子であり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、Rがシクロペンチルであり、Rが水素原子であり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、Rがシクロヘキシルであり、Rが水素原子であり、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
が水素原子であり、Rがエチルであり、RおよびRが共にシクロプロピルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
が水素原子であり、Rがエチルであり、RおよびRが共にシクロブチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
が水素原子であり、Rがエチルであり、RおよびRが共にシクロペンチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
が水素原子であり、Rがエチルであり、RおよびRが共にシクロヘキシルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもエチルであり、RおよびRが共にシクロプロピルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもエチルであり、RおよびRが共にシクロブチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもエチルであり、RおよびRが共にシクロペンチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもエチルであり、RおよびRが共にシクロヘキシルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがC原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRが共にシクロプロピルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがN原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRが共にシクロブチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがN原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRが共にシクロペンチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがN原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもメチルであり、RおよびRが共にシクロヘキシルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがN原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもエチルであり、RおよびRが共にシクロプロピルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがN原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもエチルであり、RおよびRが共にシクロブチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがN原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもエチルであり、RおよびRが共にシクロペンチルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがN原子である、一般式(I)の化合物、
およびRがいずれもエチルであり、RおよびRが共にシクロヘキシルを形成しており、Yがカルボキシルであり、XがN原子である、一般式(I)の化合物、
がアリルであり、XがC原子である、一般式(I-2)の化合物、
がプロパルギルであり、XがC原子である、一般式(I-2)の化合物、
がブテニルであり、XがC原子である、一般式(I-2)の化合物、
がブチニルであり、XがC原子である、一般式(I-2)の化合物、
がアリルであり、XがN原子である、一般式(I-2)の化合物、
がプロパルギルであり、XがN原子である、一般式(I-2)の化合物、
がブテニルであり、XがN原子である、一般式(I-2)の化合物、
がアリルであり、XがN原子である、一般式(I-2)の化合物、および同種のもの。
【0073】
本発明による化合物は、上記に列挙した化合物の例に限定されるものではない。
【0074】
この中で使用される「医薬的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的効力が、それ自体で、概して、生物学的にまたはその他の点で有害な特性を有しないことを保証する塩を指す。多くの場合、本発明の化合物は、アミノおよび/もしくはカルボキシルまたは他の類似の基の存在下で、酸および/または塩基の塩を形成することができる。
【0075】
医薬的に許容される塩は、無機塩および有機塩を含む。
【0076】
本発明の化合物と無機塩を形成することができる無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニアなどが挙げられる。
【0077】
本発明の化合物と無機塩を形成することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。
【0078】
本発明の化合物と有機塩を形成することができる有機塩基としては、例えば、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミンなどが挙げられる。
【0079】
本発明の化合物と有機塩を形成することができる有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸などが挙げられる。
【実施例
【0080】
以下、本発明を、作製例および試験例を参照してより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
化合物(A-1)~(A-7)の具体的な合成経路を以下に示す。
【化33】
【0082】
<作製例>
作製例1:化合物(A-1)の合成
【化34】
【0083】
工程1a:化合物7a(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、トリエチルアミン(2.0mmol)を添加し、トリフェニルクロロメタン(1.2mmol)を数回に分けて添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、撹拌しながら室温で6時間反応させ、次いで水/酢酸エチルで抽出した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、目的化合物7bを得た。
【0084】
工程1b:化合物7b(1.0mmol)を1,4-ジオキサン(5v/g)/水(5v/g)に溶解し、室温で撹拌し、水酸化ナトリウム(5.0mmol)を添加した。その混合物を、TLCにより確認して出発物質が消失するまで、連続撹拌しながら反応させた。1,4-ジオキサンを、減圧下で蒸発させることによって除去した。その溶液をpH2~3に調整し、10分間撹拌し、濾過し、濾液が中性になるまで水で洗浄した。濾過ケーキを収集し、乾燥させて化合物7cを得た。
【0085】
工程1:化合物1a
【化35】
(1.0mmol)およびジフェニルブロモメタン(1.1mmol)をトルエン(10.0v/g)中に分散させ、室温で撹拌した。DBU(1.5mmol)を添加した。その混合物を70~80℃に加熱し、TLCにより確認して出発物質がさらに減少しなくなるまで、12~16時間撹拌しながら反応させ、室温まで冷却した。水(10.0v/g×2)を添加することで反応溶液を抽出し、水相を、次に酢酸エチル(10v/g×2)で洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2aを半透明の油として得た(後に凝固させた)[H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)7.42-7.31(m,10H),6.96(s,1H),1.44(dd,J=8.1,4.9Hz,2H),1.25(dd,J=8.1,4.9Hz,2H)]。
【0086】
工程2:化合物2a(1.0mmol)およびジフェニルホスホリルヒドロキシルアミン(1.1mmol)を無水テトラヒドロフラン溶液(10.0v/g)中に分散させ、窒素で3~4回パージし、0℃で撹拌した。続いて、ナトリウムtert-ブトキシド(1.5mmol)を添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応物が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で1~2時間反応させた。反応溶液に飽和塩化ナトリウム溶液(5.0v/g)を添加し、30分間撹拌し、濾過して不溶性物質を除去した。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液に酢酸エチル(10.0v/g)および水(5.0v/g)を添加し、分配した。有機相を水で1回洗浄した。複数の水相を合わせ、次に酢酸エチルで洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮して、化合物3aを油として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)7.46-7.27(m,10H),6.84(s,1H),6.36(s,2H),1.30-1.22(m,4H)]。
【0087】
工程3:化合物7cをメタノール(10.0v/g)中に分散させた。室温で撹拌しながら、化合物3aのメタノール溶液を添加した。その混合物を、TLCにより確認して出発物質が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で30分間反応させた。溶媒を、減圧下で蒸発させることによって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより単離し、化合物4aをオフホワイトの固形物として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)8.84(s,1H),7.51-7.15(m,25H),6.86(s,2H),1.48-1.28(m,4H)]。
【0088】
工程4:化合物4a(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解した。室温で撹拌しながら、HATU(1.2mmol)、NaHCO(2.0mmol)、および化合物8(1.3mmol)をそれぞれ添加した。その混合物を、確認して出発物質が消失するまで、連続撹拌しながら一定温度で12時間反応させた。その溶液を酢酸エチル(10.0v/g)で希釈し、水で2回洗浄した。水相を、次に酢酸エチルで1回洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物5aをオフホワイトの泡状固形物として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.29(d,J=7.9Hz,1H),8.91(s,1H),7.45-7.43(m,3H),7.36-7.33(m,6H),7.32-7.22(m,15H),6.86(s,1H),6.76(d,J=0.5Hz,1H),4.56(d,J=7.9Hz,1H),1.50-1.40(m,5H),1.30(m,2H),1.20(s,2H)]。
【0089】
工程5:上記の白色固形物5a(1.0mmol)を無水ジクロロメタン(10.0v/g)に溶解し、-5~-10℃で撹拌した。トリエチルシラン(2.0mmol)およびトリフルオロ酢酸(100.0mmol)をその中に添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、一定温度で5~6時間反応させた。溶媒を、減圧下、室温で蒸発させることによって除去した。残留物に酢酸エチルを添加し、室温で1時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキをさらに酢酸エチルで3回洗浄し、収集、乾燥した。上記の固形物をメタノール/水に溶解し、pre-HPLC(YMC ODS-A、5um、10×250mm、2.5mL/min、2%~50%アセトニトリル/0.1%ギ酸-水)による調製および単離に供して、目的生成物(A-1)を得た。
【0090】
H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.40(d,J=7.9Hz,1H),6.89(s,1H),4.62(d,J=8.0Hz,1H),1.44(s,3H),1.36(m,4H),1.25(s,3H).13C NMR(151MHz,DMSO)δ(ppm)173.7,169.8,161.9,111.6,68.3,63.3,61.3,60.2,23.8,21.0,16.2.13C NMR(151MHz,DMSO)δ173.7,169.8,161.9,111.6,68.3,63.3,61.3,60.2,23.8,21.0,16.2.HRMS:cacled for C1417[M-H]462.0396,found 462.0394.
【0091】
作製例2:化合物(A-2)の合成
【化36】
【0092】
化合物(A-2)の合成方法については、化合物(A-1)の合成を参照されたい。
【0093】
2b:H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)7.44(d,J=7.4Hz,4H),7.37(t,J=7.6Hz,4H),7.29(t,J=7.3Hz,2H),6.83(s,1H),5.87(s,1H),2.47-2.40(m,2H),2.16-2.07(m,2H),1.89-1.74(m,2H);
3b:H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)7.35(ddd,J=46.9,31.4,7.3Hz,10H),6.85(s,1H),6.11(s,2H),2.35(ddd,J=13.4,7.2,3.7Hz,2H),2.22-2.09(m,2H),1.92-1.74(m,2H);
4b:H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)8.58(s,1H),7.50-7.15(m,25H),6.78(s,1H),6.12(s,1H),2.42(s,2H),2.25-2.22(m,2H),1.96-1.69(m,2H).(不純物を50%含有する、Z21eを参照されたい);
(A-2):1H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.56(d,J=7.3Hz,1H),6.89(s,1H),4.66(d,J=7.8Hz,1H),2.45(s,2H),2.35-2.19(m,2H),1.99-1.79(m,2H),1.46(s,3H),1.32(s,3H).13C NMR(151MHz,DMSO)δ(ppm)173.6,170.3,161.8,129.5,128.8,126.7,111.5,83.7,68.4,61.4,30.6,30.5,23.7,21.0,13.9.HRMS:cacled for C1519[M+Na]500.0516,found 500.0500.
【0094】
作製例3:化合物(A-3)の合成
【化37】
【0095】
工程1:化合物1c
【化38】
(1.0mmol)およびジフェニルブロモメタン(1.1mmol)をトルエン(10.0v/g)中に分散させた。DBU(1.5mmol)を添加した。その混合物を70~80℃に加熱し、TLCで確認して出発物質がさらに減少しなくなるまで、撹拌しながら12~16時間反応させ、次いで室温まで冷却した。水(10.0v/g×2)を添加することで反応溶液を抽出した。次に酢酸エチル(10v/g×2)で水層を洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2cを半透明の油として得た(後に凝固させた)[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)7.45-7.24(m,10H),6.80(s,1H),5.27(s,1H),2.03-1.91(m,2H),1.79-1.63(m,6H)]。
【0096】
工程2:化合物2c(1.0mmol)およびジフェニルホスホリルヒドロキシルアミン(1.1mmol)を無水テトラヒドロフラン溶液(10.0v/g)中に分散させ、窒素で3~4回パージし、次いで0℃で撹拌した。ナトリウムtert-ブトキシド(1.5mmol)を添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応物が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で1~2時間反応させた。反応溶液に飽和塩化ナトリウム溶液(5.0v/g)を添加し、30分間撹拌し、濾過して不溶性物質を除去した。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液に酢酸エチル(10.0v/g)および水(5.0v/g)を添加し、分配した。有機相を水で1回洗浄した。複数の水相を合わせ、次に酢酸エチルで洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮して、化合物3cを油として得、さらに精製することなく、これを後続反応で直接使用した。
【0097】
工程3:化合物7cをメタノール(10.0v/g)中に分散させた。室温で撹拌しながら、化合物3cのメタノール溶液を添加した。その混合物を、TLCにより確認して出発物質が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で30分間反応させた。溶媒を、減圧下で蒸発させることによって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物4cをオフホワイトの固形物として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)8.86(s,1H),7.50-7.17(m,25H),6.80(s,1H),6.78(s,1H),2.11-1.94(m,4H),1.69-1.68(d,4H)]。
【0098】
工程4:化合物4c(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、室温で撹拌した。HATU(1.2mmol)、NaHCO(2.0mmol)、および化合物8(1.3mmol)をそれぞれ添加した。その混合物を、確認して出発物質が消失するまで、連続撹拌しながら一定温度で12時間反応させた。その混合物を酢酸エチル(10.0v/g)で希釈し、水で2回洗浄した。水相を、次に酢酸エチルで1回洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物5cをオフホワイトの泡状固形物として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.35(d,J=7.6Hz,1H),8.88(s,1H),7.48-7.17(m,25H),6.80(s,1H),6.68(s,1H),4.57(d,J=7.7Hz,1H),2.16-1.90(m,4H),1.81-1.57(m,4H),1.45(s,3H),1.27(s,3H)]。
【0099】
工程5:上記の白色固形物5c(1.0mmol)を無水ジクロロメタン(10.0v/g)に溶解し、-5~-10℃で撹拌した。トリエチルシラン(2.0mmol)およびトリフルオロ酢酸(100.0mmol)を添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、一定温度で5~6時間反応させた。溶媒を、減圧下、室温で蒸発させることによって除去した。残留物に酢酸エチルを添加し、室温で1時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキをさらに酢酸エチルで3回洗浄し、収集、乾燥した。上記の固形物をメタノール/水に溶解し、pre-HPLC(YMC ODS-A、5um、10×250mm、2.5mL/min、2%~50%アセトニトリル/0.1%ギ酸-水)による調製および単離に供して、目的生成物(A-3)を得た。
【0100】
H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.51(d,J=7.6Hz,1H),6.86(s,1H),4.63(d,J=7.7Hz,1H),2.09-1.97(m,4H),1.73-1.64(m,4H),1.46(s,3H),1.29(s,3H). 13C NMR(151MHz,DMSO)δ(ppm)174.83,163.48,161.82,149.85,140.60,110.92,92.84,68.28,61.44,35.83,24.64,24.51,23.75,20.91.HRMS:cacled for C1621[M-H]490.0708,found 490.0700.
【0101】
作製例4:化合物(A-4)の合成
【化39】
【0102】
工程1:化合物1d
【化40】
(1.0mmol)およびジフェニルブロモメタン(1.1mmol)をトルエン(10.0v/g)中に分散させ、室温で撹拌した。DBU(1.5mmol)を添加した。その混合物を70~80℃に加熱し、TLCにより確認して出発物質がさらに減少しなくなるまで、撹拌しながら12~16時間反応させ、室温まで冷却した。水(10.0v/g×2)を添加することで反応溶液を抽出した。次に酢酸エチル(10v/g×2)で水層を洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2dを半透明の油として得た(後に凝固させた)[[α]25 -27.0(c0.10,MeOH);H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)7.44-7.26(m,10H),6.84(s,1H),5.37(d,J=6.0Hz,1H),3.95(dd,J=5.8,5.2Hz,1H),2.07-1.95(m,1H),0.86(d,J=6.9Hz,3H),0.78(d,J=6.8Hz,3H)]。
【0103】
工程2:化合物2d(1.0mmol)およびジフェニルホスホリルヒドロキシルアミン(1.1mmol)を無水テトラヒドロフラン溶液(10.0v/g)中に分散させ、窒素で3~4回パージし、0℃で撹拌した。続いて、ナトリウムtert-ブトキシド(1.5mmol)を添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応物が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で1~2時間反応させた。反応溶液に飽和塩化ナトリウム溶液(5.0v/g)を添加し、30分間撹拌し、濾過して不溶性物質を除去した。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液に酢酸エチル(10.0v/g)および水(5.0v/g)を添加し、分配した。有機相を水で1回洗浄した。複数の水相を合わせ、次に酢酸エチルで洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮して、化合物3dを油として得た[[α]25 -59.0(c0.10,MeOH);H NMR(600MHz,CDCl)δ7.37-7.26(m,10H),7.00(s,1H),4.11(d,J=5.3Hz,1H),2.11-2.06(m,1H),0.92(d,J=6.9Hz,3H),0.87(d,J=6.9Hz,3H)]。
【0104】
工程3:化合物7cをメタノール(10.0v/g)中に分散させた。室温で撹拌しながら、化合物3dのメタノール溶液を添加した。その混合物を、TLCにより確認して出発物質が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で30分間反応させた。溶媒を、減圧下で蒸発させることによって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物4dをオフホワイトの固形物として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)8.84(s,1H),7.51-7.15(m,25H),6.86(s,1H),6.81(s,1H),4.49(d,J=5.9Hz,1H),2.18-2.04(m,1H),0.86(dd,J=19.0,6.7Hz,6H).不純物H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)8.82(s,1H),7.48-7.11(m,25H),6.81(s,1H),6.27(s,1H)]。
【0105】
工程4:化合物4d(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、室温で撹拌した。HATU(1.2mmol)、NaHCO(2.0mmol)、および化合物8(1.3mmol)を添加した。その混合物を、確認して出発物質が消失するまで、連続撹拌しながら一定温度で12時間反応させた。その溶液を酢酸エチル(10.0v/g)で希釈し、水で2回洗浄した。水相を、次に酢酸エチルで1回洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物5dをオフホワイトの泡状固形物として得、それを、次の反応工程で直接使用した。
【0106】
工程5:上記の白色固形物5d(1.0mmol)を無水ジクロロメタン(10.0v/g)に溶解し、-5~-10℃で撹拌した。トリエチルシラン(2.0mmol)およびトリフルオロ酢酸(100.0mmol)をその中に添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、一定温度で5~6時間反応させた。溶媒を、減圧下、室温で蒸発させることによって除去した。残留物に酢酸エチルを添加し、室温で1時間撹拌し、次いで濾過した。濾過ケーキを酢酸エチルで3回洗浄し、収集、乾燥した。上記の固形物をメタノール/水に溶解し、pre-HPLC(YMC ODS-A、5um、10×250mm、2.5mL/min、2%~50%アセトニトリル/0.1%ギ酸-水)による調製および単離に供して、目的生成物(A-4)を得た。
【0107】
H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.58(d,J=7.5Hz,1H),6.89(s,1H),4.65(d,J=7.6Hz,1H),4.37(d,J=5.2Hz,1H),2.13-2.07(m,1H),1.45(s,3H),1.30(s,3H),1.00-0.86(m,6H).13C NMR(151MHz,DMSO)δ172.2,170.2,164.4,163.5,161.8,11.7,111.4,87.6,68.1,61.4,30.1,23.8,21.1,18.8,18.2.HRMS:cacled for C1521[M+Na]502.0673,found 502.0677.
【0108】
作製例5:化合物(A-5)の合成
【化41】
【0109】
工程1:化合物1e
【化42】
(1.0mmol)およびジフェニルブロモメタン(1.1mmol)をトルエン(10.0v/g)中に分散させた。室温で撹拌しながら、DBU(1.5mmol)を添加した。その混合物を70~80℃に加熱し、TLCで確認して出発物質がさらに減少しなくなるまで、撹拌しながら12~16時間反応させ、次いで室温まで冷却した。水(10.0v/g×2)を添加することで反応溶液を抽出した。次に酢酸エチル(10v/g×2)で水層を洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2eを半透明の油として得た(後硬化)[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)7.43-7.26(m,10H),6.84(s,1H),5.37(d,J=6.0Hz,1H),3.95(dd,J=5.9,5.0Hz,1H),2.07-1.98(m,1H),0.86(d,J=6.9Hz,3H),0.78(d,J=6.8Hz,3H)]。
【0110】
工程2:化合物2e(1.0mmol)およびジフェニルホスホリルヒドロキシルアミン(1.1mmol)を無水テトラヒドロフラン溶液(10.0v/g)中に分散させ、窒素で3~4回パージし、次いで0℃で撹拌した。続いて、ナトリウムtert-ブトキシド(1.5mmol)を添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応物が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で1~2時間反応させた。反応溶液に飽和塩化ナトリウム溶液(5.0v/g)を添加し、30分間撹拌し、濾過して不溶性物質を除去した。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液に酢酸エチル(10.0v/g)および水(5.0v/g)を添加し、分配した。有機相を水で1回洗浄した。複数の水相を合わせ、次に酢酸エチルで洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮して、化合物3eを油として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)7.43-7.40(m,4H),7.37-7.34(m,4H),7.31-7.27(m,2H),6.89(s,1H),6.20(s,2H),3.94(d,J=5.8Hz,1H),1.95(m,1H),0.82(m,6H)]。
【0111】
工程3:化合物7cをメタノール(10.0v/g)中に分散させた。室温で撹拌しながら、化合物3eのメタノール溶液を添加した。その混合物を、TLCにより確認して出発物質が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で30分間反応させた。溶媒を、減圧下で蒸発させることによって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物4eをオフホワイトの固形物として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)8.57(s,1H),7.39-7.19(m,25H),6.84(s,1H),6.12(s,1H),4.27(d,J=5.8Hz,1H),2.09-1.92(m,1H),0.91-0.79(m,6H)]。
【0112】
工程4:化合物4e(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、室温で撹拌した。HATU(1.2mmol)、NaHCO(2.0mmol)、および化合物8(1.3mmol)をそれぞれ添加した。その混合物を、確認して出発物質が消失するまで、連続撹拌しながら一定温度で12時間反応させた。その溶液を酢酸エチル(10.0v/g)で希釈し、水で2回洗浄した。水相を、次に酢酸エチルで1回洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物5eをオフホワイトの泡状固形物として得、それを次の工程で直接使用した。
【0113】
工程5:上記の白色固形物5e(1.0mmol)を無水ジクロロメタン(10.0v/g)に溶解し、-5~-10℃で撹拌した。トリエチルシラン(2.0mmol)およびトリフルオロ酢酸(100.0mmol)をその中に添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、一定温度で5~6時間反応させた。溶媒を、減圧下、室温で蒸発させることによって除去した。残留物に酢酸エチルを添加し、室温で1時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを酢酸エチルで3回洗浄し、収集、乾燥した。上記の固形物をメタノール/水に溶解し、pre-HPLC(YMC ODS-A、5um、10×250mm、2.5mL/min、2%~50%アセトニトリル/0.1%ギ酸-水)による調製および単離に供して、目的生成物(A-5)を得た。
【0114】
H NMR(600MHz,DMSO)δ9.53(d,J=7.4Hz,1H),6.87(s,1H),4.62(d,J=7.5Hz,1H),4.31(d,J=5.7Hz,1H),2.08(dd,J=13.1,6.6Hz,1H),1.45(s,3H),1.30(s,3H),0.96(dd,J=15.5,6.7Hz,6H).13C NMR(151MHz,DMSO)δ172.4,169.9,166.0,163.6,161.8,111.2,110.1,87.6,68.2,61.4,30.2,23.9,20.9,19.0,18.3.HRMS:cacled for C1521[M+Na]502.0673,found 502.0661.
【0115】
作製例6:化合物(A-6)の合成
【化43】
【0116】
工程3:化合物7cをメタノール(10.0v/g)中に分散させた。室温で撹拌しながら、化合物3aのメタノール溶液を添加した。その混合物を、TLCにより確認して出発物質が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で30分間反応させた。溶媒を、減圧下で蒸発させることによって除去した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物4eをオフホワイトの固形物として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)8.84(s,1H),7.51-7.15(m,25H),6.86(s,2H),1.48-1.28(m,4H)]。
【0117】
工程4:化合物4e(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、室温で撹拌した。HATU(1.2mmol)、NaHCO(2.0mmol)、および化合物8(1.3mmol)をそれぞれ添加した。その混合物を、確認して出発物質が消失するまで、連続撹拌しながら一定温度で12時間反応させた。その溶液を酢酸エチル(10.0v/g)で希釈し、水で2回洗浄した。水相を、次に酢酸エチルで1回洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物5eをオフホワイトの泡状固形物として得た[H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.29(d,J=7.9Hz,1H),8.91(s,1H),7.45-7.43(m,3H),7.36-7.33(m,6H),7.32-7.22(m,15H),6.86(s,1H),6.76(d,J=0.5Hz,1H),4.56(d,J=7.9Hz,1H),1.50-1.40(m,5H),1.30(m,2H),1.20(s,2H)]。
【0118】
工程5:上記の白色固形物5e(1.0mmol)を無水ジクロロメタン(10.0v/g)に溶解し、-5~-10℃で撹拌した。トリエチルシラン(2.0mmol)およびトリフルオロ酢酸(100.0mmol)をその中に添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、一定温度で5~6時間反応させた。溶媒を、減圧下、室温で蒸発させることによって除去した。残留物に酢酸エチルを添加し、室温で1時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを酢酸エチルで3回洗浄し、収集、乾燥した。上記の固形物をメタノール/水に溶解し、pre-HPLC(YMC ODS-A、5um、10×250mm、2.5mL/min、2%~50%アセトニトリル/0.1%ギ酸-水)による調製および単離に供して、目的生成物(A-6)を得た。
【0119】
H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.40(d,J=7.9Hz,1H),6.89(s,1H),4.62(d,J=8.0Hz,1H),1.44(s,3H),1.36(m,4H),1.25(s,3H).13C NMR(151MHz,DMSO)δ(ppm)173.7,169.8,161.9,111.6,68.3,63.3,61.3,60.2,23.8,21.0,16.2.13C NMR(151MHz,DMSO)δ173.7,169.8,161.9,111.6,68.3,63.3,61.3,60.2,23.8,21.0,16.2.HRMS:calcd for C1316[M-H]463.0347.
【0120】
作製例7:化合物(A-7)の合成
【化44】
【0121】
工程1:化合物1g
【化45】
(1.0mmol)およびジフェニルブロモメタン(1.1mmol)をトルエン(10.0v/g)中に分散させ、室温で撹拌した。DBU(1.5mmol)を添加した。その混合物を70~80℃に加熱し、TLCにより確認して出発物質がさらに減少しなくなるまで、12~16時間撹拌しながら反応させ、室温まで冷却した。水(10.0v/g×2)を添加することで反応溶液を抽出した。次に酢酸エチル(10v/g×2)で水層を洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2gを半透明の油として得た(後に凝固させた)。
【0122】
工程2:化合物2g(1.0mmol)およびジフェニルホスホリルヒドロキシルアミン(1.1mmol)を無水テトラヒドロフラン溶液(10.0v/g)中に分散させ、窒素で3~4回パージし、次いで0℃で撹拌した。続いて、ナトリウムtert-ブトキシド(1.5mmol)を添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応物が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で1~2時間反応させた。反応溶液に飽和塩化ナトリウム溶液(5.0v/g)を添加し、30分間撹拌し、濾過して不溶性物質を除去した。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液に酢酸エチル(10.0v/g)および水(5.0v/g)を添加し、分配した。有機相を水で1回洗浄した。複数の水相を合わせ、次に酢酸エチルで洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮して、油性化合物3gを得、これを、さらに精製することなく後続反応で直接使用した。
【0123】
工程3:化合物7cをメタノール(10.0v/g)中に分散させた。室温で撹拌しながら、化合物3gのメタノール溶液を添加した。その混合物を、TLCにより確認して出発物質が完全に変換されるまで、撹拌しながら一定温度で30分間反応させた。溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去して、オフホワイトの固形物の化合物4gを粗生成物として得、これを次の反応工程で直接使用した。
【0124】
工程4:化合物4g(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、室温で撹拌した。HATU(1.2mmol)、NaHCO(2.0mmol)、および化合物8(1.3mmol)をそれぞれ添加した。その混合物を、確認して出発物質が消失するまで、連続撹拌しながら一定温度で12時間反応させた。その溶液を酢酸エチル(10.0v/g)で希釈し、水で2回洗浄した。水相を、次に酢酸エチルで1回洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮して、化合物5gの粗生成物をオフホワイトの泡状固形物として得、これを次の反応工程で直接使用した。
【0125】
工程5:上記の白色固形物5g(1.0mmol)を無水ジクロロメタン(10.0v/g)に溶解し、-5~-10℃で撹拌した。トリエチルシラン(2.0mmol)およびトリフルオロ酢酸(100.0mmol)をその中に添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、一定温度で5~6時間反応させた。溶媒を、減圧下、室温で蒸発させることによって除去した。残留物に酢酸エチルを添加し、室温で1時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキをさらに酢酸エチルで3回洗浄し、収集、乾燥した。上記の固形物をメタノール/水に溶解し、pre-HPLC(YMC ODS-A、5um、10×250mm、2.5mL/min、2%~50%アセトニトリル/0.1%ギ酸-水)による調製および単離に供して、目的生成物(A-7)を得た。
【0126】
H NMR(600MHz,DMSO)δ9.37(s,1H),6.72(s,1H),4.60(d,1H),4.22(s,1H),2.02(s,1H),1.43(s,3H),1.29(s,3H),0.93(s,6H).HRMS:calcd for C1723[M-H]504.0864,found 504.0850.
【0127】
化合物(B-1)~(B-2)の具体的な合成経路を下記に示す。
【化46】
【0128】
作製例8:化合物(B-1)の合成
【化47】
【0129】
工程1:化合物7(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、トリエチルアミン(2.0mmol)を添加し、トリフェニルクロロメタン(1.2mmol)を数回に分けて添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、撹拌しながら室温で6時間反応させ、次いで水/酢酸エチルで抽出した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮して、目的化合物8aを粗生成物として得た。
【0130】
工程2:化合物8a(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解した。KCO(2.0mmol)および臭化アリル(1.2mmol)を続けて添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、撹拌しながら室温で6時間反応させ、次いで水/酢酸エチルで抽出した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮して、粗生成物として目的化合物9aを得た。
【0131】
工程3:化合物9a(1.0mmol)を1,4-ジオキサン(5v/g)/水(5v/g)に溶解し、室温で撹拌した。水酸化ナトリウム(5.0mmol)を添加した。その混合物を、TLCにより確認して出発物質が消失するまで、連続撹拌しながら反応させた。1,4-ジオキサンを減圧下で蒸発させることによって除去した。その溶液をpH2~3に調整し、次いで10分間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを、濾液が中性になるまで水で洗浄した。濾過ケーキを収集し、乾燥させて化合物10aを得た。
【0132】
工程4:化合物10a(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、室温で撹拌した。HATU(1.2mmol)、NaHCO(2.0mmol)、および化合物8(1.3mmol)をそれぞれ添加した。その混合物を、確認して出発物質が消失するまで、連続撹拌しながら一定温度で12時間反応させた。その混合物を酢酸エチル(10.0v/g)で希釈し、水で2回洗浄した。水相を、次に酢酸エチルで1回洗浄した。複数の有機相を合わせ、乾燥、濃縮して、オフホワイトの泡状固形物の化合物11aを得、これを次の反応工程で直接使用した。
【0133】
工程5:上記の白色固形物11a(1.0mmol)を無水ジクロロメタン(10.0v/g)に溶解し、-5~-10℃で撹拌した。トリエチルシラン(2.0mmol)およびトリフルオロ酢酸(100.0mmol)をその中に添加した。その混合物を、TLCにより確認して反応が完了するまで、一定温度で5~6時間反応させた。溶媒を、減圧下、室温で蒸発させることによって除去した。残留物に酢酸エチルを添加し、室温で1時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを酢酸エチルで3回洗浄し、収集、乾燥した。上記の固形物をメタノール/水に溶解し、pre-HPLC(YMC ODS-A、5um、10×250mm、2.5mL/min、2%~50%アセトニトリル/0.1%ギ酸-水)による調製および単離に供して、目的生成物(B-1)を得た。
【0134】
H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.60(d,J=7.8Hz,1H),6.85(s,1H),6.00-5.60(m,1H),5.36-5.31(m,1H),5.24-5.21(m,1H),4.64(dd,J=5.4,1.3Hz,2H),4.62(d,J=7.8Hz,1H),1.44(s,3H),1.26(s,4H).HRMS:calcd for C1317[M-H]418.0486,found 418.0484.
【0135】
作製例9:化合物(B-2)の合成
【化48】
【0136】
化合物(B-2)の合成方法については、化合物(B-1)の合成を参照されたい。
【0137】
H NMR(600MHz,DMSO)δ(ppm)9.64(d,JJ=7.8Hz,1H),6.89(s,1H),4.76(s,2H),4.61(d,J=7.8Hz,1H),3.57(t,J=2.4Hz,1H),1.44(s,3H),1.28(s,3H).HRMS:calcd for C1314[M-H] 416.0329,found 416.0315.
【0138】
<生物活性試験>
抗菌活性評価法(MICアッセイ)
この研究では、CLSI/NCCLS標準のガイドラインに従って、2倍希釈寒天培地プレーティング法およびDenley Multipoint Inoculator A400を使用することによって、本発明の化合物をそれらの抗菌活性について試験した。加水分解カゼインペプトン(ミューラー・ヒントン寒天培地)ブロスおよびブレイン・ハート・インフュージョンにより、被験菌株を増幅した。この研究で使用した菌株は、ATCCから購入されたか、中国の病院で臨床的に単離された細菌株であった。陽性対照として、アズトレオナム、ポリミキシン、またはレボフロキサシンを使用した。各薬物を、128.0、64.0、32.0、16.0、8.0、4.0、2.0、1.0、0.5、0.25、0.125、0.06、および0.03μg/mLなどの所望の濃度に加水分解カゼイン・ペプトン・ブロスで希釈し、次いでそれらの薬物をそれぞれのウェルに入れ、十分に混合した。接種後、被験菌株を35℃の一定温度で18時間インキュベートし、それらの増殖レベルを観察した。ウェルにおいて微生物が増殖していない薬物濃度を、最も低い最小発育阻止濃度(MIC)として記録した。本発明による化合物A-1~A-7およびB-1~B-2、ならびに対照としてのアズトレオナム(AZN)、コリスチンB、およびレボフロキサシンは、下記の表1~表4に示す抗菌活性を示した。
【0139】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
注:上記の表において、ESBLはβ-ラクタマーゼを意味し、NDM-1はニューデリー・メタロ-β-ラクタマーゼI型を意味し、CREはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌を意味し、(+)は耐性があることを意味し、(-)は耐性がないことを意味し、薬物耐性項目の下に記録がなければ、それは細菌が耐性を示す酵素は限定されないことを意味する。
【0140】
表1~表4から、本発明によるβ-ラクタム化合物は、対照としてのアズトレオナム、コリスチンB、およびレボフロキサシンと比較して、より低い最小発育阻止濃度で投与され、細菌、とりわけグラム陰性菌に対する抗菌効果がより良好であり、極めて低い薬物耐性を示したことから、特性の優れた抗菌剤の作製に適していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明によるβ-ラクタム化合物は、抗菌効果が優れていながらも、無視できるほどの薬物耐性しか示さない抗菌剤の製造に使用するのに適している。
【国際調査報告】