(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】マイクロニードルパッチ
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
A61M37/00 530
A61M37/00 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505227
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 KR2021015024
(87)【国際公開番号】W WO2022234905
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0057937
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522032327
【氏名又は名称】フェロカ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】FEROKA INC.
【住所又は居所原語表記】411, 412-ho, 14, Seongsui-ro 10-gil Seongdong-gu Seoul 04784 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン イスル
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB40
4C267CC05
4C267GG02
4C267GG14
4C267GG43
(57)【要約】
本発明の多層構造を有するマイクロニードルパッチとして、マイクロニードルパッチは、ベース及び前記ベースの表面から突出して複数の層を有し、前記層が接触する領域に曲率を有するマイクロニードルを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース及び
前記ベースの表面から突出して複数の層を有し、前記層が接触する領域に曲率を有するマイクロニードルを含むマイクロニードルパッチ。
【請求項2】
前記マイクロニードルは、
先端チップ(sharpened tip)が一側に配置され、他側には前記先端チップに向かって凹んだ第1曲面を有する第1層及び
前記第1曲面に面するように配置され、前記第1曲面に対応して突出した第2曲面を有する第2層を備える、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項3】
前記第2層は、
前記第2曲面とは反対側に配置され、前記第2曲面に向かって凹んだ第3曲面を有する、請求項2に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項4】
前記第1曲面の曲率と前記第3曲面の曲率は相異なる、請求項3に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項5】
前記第1曲面及び前記第2曲面のうち少なくとも1つは
複数の曲率を有する、請求項2に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項6】
前記第1曲面は
前記マイクロニードルの長手方向を中心軸として両側の曲率が対称である、請求項2に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項7】
前記マイクロニードルは、
隣接する前記層が接触する領域における粗さと前記マイクロニードルの外側面での粗さとが異なる、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項8】
前記マイクロニードルは、
隣接する前記層の間に配置された接着層を備える、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項9】
前記マイクロニードルは、
前記複数の層のうち少なくとも1つは生体内分解性高分子を含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項10】
ベース及び
前記ベースの表面から突出して複数の層を有するマイクロニードルを含み、
隣接する前記層が接触する領域における粗さと前記マイクロニードルの外側面での粗さとが異なる、マイクロニードルパッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルパッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体内への薬物投与は、伝統的には針が付いた注射で行われていたが、針が付いた注射は大きな痛みを引き起こす。そのため、非侵襲的薬物投与方法も開発されたが、投与量に比べて所要薬物の量が多すぎるという問題がある。
【0003】
このような問題から、薬物送達システム(Drug Delivery System(DDS)について多くの研究が行われてきており、ナノ技術の発達でより大きな進歩を成し遂げられるようになった。
【0004】
マイクロニードルは、従来の注射針とは異なり、痛みのない皮膚貫通及び外傷がないことを特徴とすることができる。また、マイクロニードルは皮膚の角質層を貫通しなければならないため、ある程度の物理的な硬度を必要とすることがある。また、生理活性物質が皮膚の表皮層または真皮層まで到達するための適切な長さも必要とすることがある。また、数百のマイクロニードルの生理活性物質が効果的に皮膚に送達されるためには、マイクロニードルの皮膚透過率が高いと同時に、皮膚に挿入された後、溶解されるまで一定時間維持されなければならない。
【0005】
これにより、精密な量の薬物を送達し、ターゲット位置を正確に設定できるマイクロニードルに対する関心が増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、有効成分を定量的に、目標位置に効果的に送達できるマイクロニードルパッチを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例は、ベース及び前記ベースの表面から突出して複数の層を有し、前記層が接触する領域に曲率を有するマイクロニードルを含むマイクロニードルパッチを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るマイクロニードルパッチは、多層構造を有し、ターゲット位置に正確に有効成分を送達することができる。マイクロニードルは、複数の層状構造を有するため、各層に有効成分を搭載することができる。それにより、マイクロニードルパッチは、有効成分の活性位置に応じて表皮、真皮、皮下脂肪、筋肉のいずれか1つに送達することができる。
【0009】
本発明に係るマイクロニードルパッチは多層構造を有し、各層の生体内分解速度を異なるように設定することができる。マイクロニードルは、各層の分解速度によって有効成分が異なる活性時間を有することができる。
【0010】
本発明に係るマイクロニードルパッチは、各層が曲率を有し、生体内で容易に分解できるようになる。第1層と第2層が曲率を有すると、第1層と第2層とが接触する領域の端で薄く形成されるため、第1層と第2層とを容易に分離できるようになる。
【0011】
本発明に係るマイクロニードルパッチは、各層が曲率を有するため、各層の表面積が増大し、有効成分の送達効果を高めることができる。第1層の第1曲面は第1層の上側表面積を増大し、第2層の第2曲面は第2層の下側表面積を増大する。第1層と第2層の表面積が増大すると、薬物の送達空間が増え、薬物の送達効果が向上されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチを示す斜視図である。
【
図2】
図1のマイクロニードルパッチの断面を示す図である。
【
図5】
図2のマイクロニードルパッチが取り付けられ、薬物が送達される過程を示す図である。
【
図11】本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチを示す図である。
【
図12】
図11のマイクロニードルパッチが取り付けられ、薬物が送達される過程を示す図である。
【
図19】本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチを示す図である。
【
図21】本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチを示す図である。
【
図23】本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例は、ベース及び上記ベースの表面から突出して複数の層を有し、上記層が接触する領域に曲率を有するマイクロニードルを含むマイクロニードルパッチを提供する。
【0014】
また、上記マイクロニードルは、先端チップ(sharpened tip)が一側に配置され、他側には上記先端チップに向かって凹んだ第1曲面を有する第1層及び上記第1曲面に面するように配置され、上記第1曲面に対応して突出した第2曲面を有する第2層を備えることができる。
【0015】
また、上記第2層は、上記第2曲面とは反対側に配置され、上記第2曲面に向かって凹んだ第3曲面を有することができる。
【0016】
また、上記第1曲面の曲率と上記第3曲面の曲率とは異なっていてもよい。
【0017】
また、上記第1曲面及び上記第2曲面のうちの少なくとも1つは、複数の曲率を有することができる。
【0018】
また、上記第1曲面はマイクロニードルの長手方向を中心軸に、両側に曲率が対称であってもよい。
【0019】
また、上記マイクロニードルは、隣接する上記層が接触する領域での粗さと上記マイクロニードルの外側面での粗さとが異なっていてもよい。
【0020】
また、上記マイクロニードルは、隣接する上記層の間に配置された接着層を備えることができる。
【0021】
また、上記マイクロニードルは、上記複数の層のうち少なくとも1つは生体内分解性高分子を含むことができる。
【0022】
本発明の他の側面は、ベース及び上記ベースの表面から突出して複数の層を有するマイクロニードルを含み、隣接する上記層が接触する領域での粗さと上記マイクロニードルの外側面での粗さとが異なる他のマイクロニードルパッチを提供する。
【0023】
上述したもの以外の他の側面、特徴、利点は、以下の図面、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0024】
以下、添付の図面に示された本発明に係る実施例を参照して本発明の構成及び作用を詳細に説明する。
【0025】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、詳細に説明しようとする。本発明の効果及び特徴とそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述する実施例を参照することで明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で実装されてもよい。
【0026】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明するものとし、図面を参照して説明するとき、同一又は対応する構成要素は同一の図面符号を付与し、これに対する重複の説明は省略する。
【0027】
以下の実施例において、第1、第2などの用語は限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で用いられた。
【0028】
以下の実施例において、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0029】
以下の実施例において、含むまたは有するなどの用語は、明細書上に記載された特徴、または構成要素が存在することを意味するものであり、1つまたは複数の他の特徴または構成要素が追加される可能性を予め排除するものではない。
【0030】
図面では、説明の便宜上、構成要素の大きさが誇張または縮小されてもよい。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上任意に示しているため、本発明が必ずしも示されたものに限定されるものではない。
【0031】
ある実施例が他の方法で実装可能である場合、特定の工程順序は、説明される順序と異なる方法で実行されてもよい。例えば、連続して説明される2つの工程が実質的に同時に実行されてもよく、説明される順序とは逆の順序で進行されてもよい。
【0032】
図1は、本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチを示す斜視図であり、
図2は、
図1のマイクロニードルパッチの断面を示す図であり、
図3は、
図2の一部を拡大して示す図であり、
図4は、
図3のA領域の拡大図である。
【0033】
図1~
図4を参照すると、マイクロニードルパッチ100はベース110とマイクロニードル120とを含むことができる。
【0034】
ベース110は、マイクロニードル120が支持され、一面に複数のマイクロニードル120を備えることができる。ベース110の一面は皮膚に接触し、反対側の他面は外部に露出されてもよい。
【0035】
ベース110は、マイクロニードル120が皮膚に埋め込まれると除去されることができる。一例で、ベースは、ユーザが力を加え、皮膚から除去されることができる。別の例として、マイクロニードルパッチ100は、ベース110とマイクロニードル120が接続される部分が先に溶解され、取り付けた後一定時間が経過した後にベース110を除去することができる。また他の例として、マイクロニードルパッチ100は、長時間取り付けた際にベース110が溶解されることができる。また他の例として、ベース110は、ユーザが溶解のための物質を塗布して除去されることができる。
【0036】
一実施例として、ベース110は、マイクロニードル120に含まれた物質のうちいずれか1つを含むことができる。ベース110は、マイクロニードル120などの生分解性物質を含むことができる。例えば、ベース110は、マイクロニードル120の複数の層のうちいずれか1つと同じ物質を含むことができる。
【0037】
選択的な実施例として、ベース110は生理活性物質を含むことができる。マイクロニードルパッチ100を皮膚に取り付けた後、ベース110から出る生理活性物質によって有効薬物を効果的に患者に送達することができる。また、ベース110から出る生理活性物質によって、ベース110とマイクロニードル120が容易に分離できるようになる。
【0038】
一実施例として、ベース110は、マイクロニードル120に最も隣接する層、すなわちマイクロニードル120のチップで最も離隔して配置される層より遅い溶解性を有することができる。マイクロニードル120でベース110に隣接する部分は最も速く溶解するため、ベース110をマイクロニードル120から容易に分離できるようになる。
【0039】
一実施例として、ベース110は水溶性高分子を含むことができる。ベース110は、水溶性高分子で構成されていてもよく、それ以外の添加物(例えば、二糖類など)を含んでいてもよい。また、ベース110は、薬物または有効成分を含まないことが好ましい。
【0040】
ベース110は生体適合性物質を含むことができる。ベース110は、後述するマイクロニードル120のベース物質として選択される生体適合性物質を基本物質として選択することができる。
【0041】
マイクロニードル120は、ベース110の表面から突出し、複数で備えられてもよい。マイクロニードル120は、生体適合性物質と添加剤で形成されることができる。
【0042】
生体適合性物質は、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose(CMC))、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid(HA))、アルギン酸(Alginic acid)、ペクチン(Pectin)、カラギーナン(Carrageenan)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin Sulfate)、デキストラン硫酸(Dextran Sulfate)、キトサン(Chitosan)、ポリリジン(polylysine)、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン(fibrin)、アガロース(Agarose)、プルラン(pullulan)、ポリ酸無水物(polyanhydride)、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリヒドロキシ酪酸(Poly butyric acid)、ポリヒドロキシ吉草酸(Poly valeric acid)、ポリアクリレート(polyacrylate)、エチレン酢酸ビニル(ethylene-vinyl acetate)重合体、アクリル置換セルロースアセテート、ポリビニルクロライド(polyvinyl chloride)、ポリビニルフルオライド(polyvinyl Fluoride)、ポリビニルイミダゾール(polyvinyl)、クロロスルホネートポリオレフィン(chlorosulfonate polyolefins)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)、マルトース(Maltose)、ラクトース(Lactose)、トレハロース(Trehalose)、セロビオス(Cellobiose)、イソマルトース(Isomaltose)、ツラノース(Turanose)、及びラクツロース(Lactulose)のうち少なくともいずれか1つを含むか、これらの高分子を形成するモノマーの共重合体及びセルロースからなる群から選択された1以上の高分子である。
【0043】
添加剤は、トレアロース(trehalose)、オリゴ糖(oligosaccharide)、スクロース(sucrose)、マルトース(maltose)、ラクトース(lactose)、セロビオス(cellobiose)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルギン酸(alginic acid)、ペクチン(Pectin)、カラギーナン(Carrageenan)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin Sulfate)、デキストラン硫酸(dextran Sulfate)、キトサン(Chitosan)、ポリリジン(polylysine)、コラーゲン、ゼラチン、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン(fibrin)、アガロース(Agarose)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)、ゲンチオビオース(gentiobiose)、セトリミド(alkyltrimethylammonium bromide(Cetrimideex)) 、ゲンチアナバイオレット(Gentian Violet)、塩化ベンゼトニウム(benzethonium chloride)、ドクサートナトリウム塩(docusate sodium salt)、スパン系の界面活性剤(a SPAN-type surfactant)、ポリソルベート(polysorbate(Tween))、ラウリル硫酸ナトリウム(SDD)、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)及びオレイン酸グリセリル(glyceryl oleate)のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0044】
ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸だけでなく、ヒアルロン酸塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム及びヒアルロン酸カルシウム)及びそれらの混合物を全て含む意味で使用される。ヒアルロン酸は、架橋ヒアルロン酸及び/または非架橋ヒアルロン酸を含む意味で使用される。
【0045】
本発明の一実装例によれば、本発明のヒアルロン酸は分子量が2kDa~5000kDaである。
【0046】
本発明の他の実装例によれば、本発明のヒアルロン酸は、分子量が100kDa~4500kDa、150kDa~3500kDa、200kDa~2500kDa、220kDa~1500kDa、240kDa~1000kDaまたは240kDa~490kDaである。
【0047】
カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose:CMC)は、公知の様々な分子量のCMCを使用することができる。例えば、本発明で使用されるCMCの平均分子量は90,000kDa、250,000kDa、または700,000kDaである。
【0048】
二糖類は、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロースまたはセロビオスなどがあり、特にスクロース、マルトース、トレハロースを含むことができる。
【0049】
選択的な実施例として、粘着剤を含むことができる。粘着剤は、シリコーン、ポリウレタン、ヒアルロン酸、物理的接着剤(ゲッコ)、ポリアクリル、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチレンビニルアセテート及びポリイソブチレンで構成された群から選択された少なくとも1つ以上の粘着剤である。
選択的な実施例として、マイクロニードル120は金属、高分子ポリマー、または粘着剤をさらに含むことができる。
【0050】
マイクロニードル120は有効成分EMを含むことができる。マイクロニードル120は、少なくとも任意の一部に薬学的、医学的または化粧学的有効成分EMを含むことができる。例えば、非限定的な例として、有効成分はタンパク質/ペプチド医薬を含むが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、シグナル伝達タンパク質またはその一部、抗体またはその一部、単鎖抗体、結合タンパク質またはその結合ドメイン、抗原、接着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及びワクチンのうち少なくともいずれか1つを含む。より詳細には、上記タンパク質/ペプチド医薬は、インスリン、IGF-1(insulinlikegrowth factor1)、成長ホルモン、エリスロポエチン、G-CSF(granulocyte-colony stimulating factors)、GM-CSF(granulocyte/macrophage-) colony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン-1アルファ及びベータ、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-6、インターロイキン-2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin) 、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、 TNF(tumor necrosis factor)、アトビスバン(atobisban)、ブセレリン(buserelin)、セトロレリックス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、デスモプレシン(desmopressin)、ジノルフィンA(dynorphin A)(1-13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRH-II(growth hormone releasing hormone-II)、ゴナドレリン(gonadorelin)、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュプロレリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン(oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカリド(sincalide)、テルリプレシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)α1、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセジン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormone-releasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramLintide)、T-20(enfuvirtide)、チマルファシン(thymalfasin)及びジコノチドのうちいずれか1つを含むことができる。また、有効成分EMは、美白、フィラー、しわ除去または抗酸化剤などの美容成分であってもよい。
【0051】
一実施例において、有効成分EMは、微粒子の形態でマイクロニードル120を形成する溶媒中に分散されたコロイドであってもよい。上記微粒子は、それ自体が有効成分EMであるか、有効成分EMを担持しているコーティング材を含むことができる。
【0052】
有効成分EMは、マイクロニードル120の一部の層に集中的に分布されてもよい。つまり、有効成分EMはマイクロニードル120において特定の高さに配置されるため、効果的に有効成分EMが送達されることができる。
【0053】
別の実施例において、有効成分EMがマイクロニードル120内に溶解されることができる。上述した生分解性物質などのマイクロニードル120のベース物質内に有効成分EMが溶解され、マイクロニードル120を構成することができる。有効成分EMは、上記ベース物質に均一な濃度で溶解されることができ、上述した微粒子のようにマイクロニードル120の特定の高さに集中的に分布することもできる。
【0054】
一実施例において、マイクロニードルパッチ100は、区域に応じて複数の有効成分EMを有することができる。複数のマイクロニードルのうちの第1群のマイクロニードルは、前記複数の有効成分のうちの第1有効成分を含み、前記第1グループとは異なる第2グループのマイクロニードルは、前記複数の有効成分のうちの第2有効成分を含めることができる。
【0055】
一実施例において、マイクロニードル120上に薬学的、医学的または化粧学的有効成分EMをコーティングすることができる。有効成分EMは、マイクロニードル120全体にコーティングされてもよく、マイクロニードル120の一部のみにコーティングされてもよい。あるいは、マイクロニードル120のコーティング層の一部は第1有効成分がコーティングされ、他の一部は第2有効成分がコーティングされてもよい。
【0056】
マイクロニードル120は様々な形状を有することができる。マイクロニードル120は、錐型状を有することができる。例えば、マイクロニードル120は円錐形、三角錐形、四角錐形などの多角形を有することができる。
【0057】
マイクロニードル120は層状構造を有することができる。マイクロニードル120は、積層された複数の層を有することができる。マイクロニードル120を形成する層の数は特定の数に限定されない。ただし、以下では説明の便宜のために2つの層を有するマイクロニードル120を中心に説明する。
【0058】
マイクロニードル120は、端部に配置される第1層121と、第1層121に積層される第2層122とを含むことができる。マイクロニードル120は、隣接する層が接触する領域に曲率を有することができる。つまり、第1層121と第2層122が接触する領域には曲率が形成されることができる。
【0059】
マイクロニードル120は、先端に向かって下に凸の曲率を有することができる。第1層121と第2層122が接触する領域で、チップに隣接する部分が下に凸の形状を有することができる。曲率は、マイクロニードル120の長手方向を中心軸として両側が対称になるよう形成されることができる。
【0060】
第1層121は、先端チップ(sharpened tip、ST)が一側に配置され、他側に先端チップSTに向かって凹んだ第1曲面CS1を有することができる。
【0061】
第1層121は、マイクロニードル120の長手方向の中心に第1点PK1を有し、先端チップSTにおいて第1点PK1間の第1高さh1を有することができる。第1層121は、半径方向外側には第2点PK2を有し、先端チップSTにおいて第2点PK2間の第2高さh2を有することができる。第1高さh1は、第2高さh2より小さく設定されてもよい。
【0062】
一実施例として、先端チップSTで離隔した距離を高さと定義すると、第1層121は、マイクロニードル120の長手方向の中心から半径方向の外側に向かうほど高さが増加することができる。
【0063】
一実施例として、第1層121は曲率を有し、マイクロニードル120の長手方向の中心から外側に向かうほど高さの変化量が変化することができる。例えば、第1層121の中心から外側に向かうほど、高さの変化量は増加することができる。
【0064】
別の実施例として、第1層121は、高さの変化が線形的に変化することができる。図には示されていないが、第1層121の高さは、第1点PK1から第2点PK2に線形的に変化することができる。
【0065】
第2層122は、第1曲面と対向するように配置され、第1曲面CS1に対応して突出した第2曲面CS2を有することができる。第2曲面CS2は第1曲面CS1に接続され、第1曲面CS1と第2曲面CS2とは接触領域を形成することができる。したがって、第2曲面CS2の曲率は、実質的に第1曲面CS1の曲率と同様に設定することができる。
【0066】
図4を参照すると、第1層121と第2層122は、境界領域で同じ曲率Rを有することができる。第1曲面CS1と第2曲面CS2は、境界領域全体にかけて同じ曲率半径を有することができる。
【0067】
マイクロニードル120は曲率を有する層状構造を有するため、各層が容易に分離できるようになる。第1層121と第2層122が接触する部分は、マイクロニードル120の端で薄く形成される。具体的には、
図4において、第1層121の外側面OSと第1曲面CS1との間の距離は比較的に短く形成される。マイクロニードル120が皮膚に挿入されると、外側面OSが生分解され始めるが、第1層121は第1曲面CS1によって容易に剥離されるため、第1層121と第2層122は容易に分解できるようになる。
【0068】
マイクロニードル120は、第1層121及び第2層122のうち少なくとも1つに有効成分EMを含むことができる。マイクロニードル120は、有効成分EMのターゲット位置に応じて、複数の層において少なくとも1つが配置されることができる。
【0069】
一実施例として、
図3に示すように、第1層121に有効成分EMが配置されることができる。皮膚の表面からやや深い位置に薬物をターゲティングするために、有効成分EMは第1層121に含まれてもよい。例えば、有効成分EMを真皮DEM、皮下脂肪層または筋肉に送達するために、有効成分EMは第1層121に搭載されてもよい。
【0070】
別の実施例として、図面には示されていないが、第2層122に有効成分EMが配置されてもよい。比較的に皮膚の表面に隣接した部分に薬物を送達するために、有効成分EMは第2層122に含まれてもよい。例えば、有効成分EMを表皮EPMや表皮に近い真皮DEMに送達するために、有効成分EMは第2層122に搭載されてもよい。
【0071】
また他の実施例として、図面には示されていないが、第1層121と第2層122にそれぞれ同じ有効成分EMが搭載されてもよい。広い範囲の深さで、薬物を送達する必要がある場合には、第1層121と第2層122に同じ薬物を搭載することができる。
【0072】
また他の実施例として、図面には示されていないが、第1層121と第2層122とは異なる有効成分EMが搭載されてもよい。例えば、第1層121に搭載される第1有効成分は真皮DEMをターゲッティングとする薬物であり、第2層122に搭載される第2有効成分EM2は表皮EPMをターゲッティングとする薬物であってもよい。このとき、第1層121と第2層122との生分解速度を調整し、第1有効成分と第2有効成分との送達速度を調整することができる。
【0073】
第1層121と第2層122は、皮膚に挿入された後に分解速度が異なる場合がある。第1層121と第2層122とのいずれか一方は他方より生分解速度が速い場合がある。第1層121と第2層122の分解速度は、各層を構成する生体適合性物質の種類、含有量で設定される場合がある。
【0074】
例えば、第1層121の分解速度が第2層122の分解速度より速い場合、真皮DEMに迅速に有効成分EMを送達することができる。第2層122の分解速度が第1層121の分解速度より速い場合、表皮EPMに迅速に有効成分EMを送達することができる。また、第2層122の分解速度が第1層121の分解速度より速い場合、第2層122が速く分解され、ベース110を迅速に除去することができ、第1層121に搭載された有効成分EMを皮膚内に移植することができる。
【0075】
マイクロニードル120は、各層ごとにそれぞれ異なる剛性を有することができる。マイクロニードル120の第1層121と第2層122はそれぞれ異なる剛性を有することができる。一例として、第1層121が第2層122より大きい剛性を有する場合、第1層121が肌を容易に貫通することができる。その後、第1層121の生体分解速度が速く進めば、皮膚の痛みを最小限に抑えることができる。
図5は、
図2のマイクロニードルパッチが取り付けられ薬物が送達される過程を示す図である。
【0076】
図5を参照すると、マイクロニードルパッチ100が皮膚に取り付けられ、マイクロニードル120の層が生分解されることで薬物を送達することができる。
図5では、有効成分EMが第1層121に搭載され、真皮DEMに送達されることを示しているが、有効成分が第2層122に搭載されると表皮EPMにも送達されることができる。
【0077】
(a)を見ると、マイクロニードルパッチ100は皮膚に取り付けられる。マイクロニードル120は皮膚に挿入され、ベース110は皮膚の上部を覆う。
【0078】
(b)を見ると、マイクロニードル120は皮膚の内部で生分解される。第2層122が先に分解されると、ベース110を容易に分離できるようになる。
【0079】
(c)を見ると、マイクロニードル120から有効成分EMを放出することができる。第1層121が生分解され始めると、内部に搭載された有効成分EMが真皮DEMに送達されることができる。
【0080】
本発明に係る、マイクロニードルパッチ100は多層構造を有し、ターゲット位置に正確に有効成分EMを送達することができる。マイクロニードル120は複数の層状構造を有するため、各層に有効成分EMを搭載することができる。したがって、マイクロニードルパッチ100は、有効成分EMの活性位置に応じて、表皮EPM、真皮DEM、皮下脂肪、筋肉のいずれか1つに送達することができる。
【0081】
本発明に係る、マイクロニードルパッチ100は多層構造を有し、各層の生分解速度を異なるように設定することができる。マイクロニードル120は、各層の分解速度によって有効成分EMが異なる活性時間を有することができる。
【0082】
本発明に係る、マイクロニードルパッチ100は、各層が曲率を有し、生体内で容易に分解できるようになる。第1層121と第2層122が曲率を有する場合、第1層121と第2層122が接触する領域の端で薄く形成されるため、第1層121と第2層122が容易に分離できるようになる。
【0083】
本発明に係る、マイクロニードルパッチ100は、各層が曲率を有するため、各層の表面積が増大し、有効成分EMの送達効果を高めることができる。第1層121の第1曲面CS1は第1層121の上側表面積を増大し、第2層122の第2曲面CS2は第2層122の下側表面積を増大する。第1層121と第2層122の表面積が増大すると、薬物の送達空間が増え、薬物の送達効果が向上されることができる。
【0084】
【0085】
図6を参照すると、マイクロニードル120Aは、隣接する層が接触する領域は所定の粗さを有することができる。マイクロニードル120Aは、隣接する層が接触する領域における粗さとマイクロニードル120Aの外側面OSにおける粗さが異なるように設定されてもよい。
【0086】
第1層121Aと第2層122Aが接触する領域は、第1粗さRG1を有することができる。第1曲面CS1と第2曲面CS2とが接触する部分は、やや粗い表面が形成されてもよい。
【0087】
マイクロニードル120Aの外側面は滑らかに形成される。マイクロニードル120Aの外側面は第2粗さRG2を有し、第2粗さRG2は第1粗さRG1より小さく設定されてもよい。
【0088】
マイクロニードル120Aは、モールドで製造する際、第1層121Aの物質を先にモールドに注入した後に乾燥させて第1層121Aを製造する。その後、第1層121Aの上に第2層122Aの物質を注入、再度乾燥させて第2層122Aを製造する。
【0089】
第1層121Aの外側面OSはモールドの表面によって滑らかに形成されるが、第1層121Aの第1曲面CS1は乾燥工程時に露出されるため粗く形成される。その後、第1層121Aの上に第2層122Aを形成すると、第1曲面CS1と第2曲面は第1粗さRG1を有することになる。第1層121Aと第2層122Aが接触する領域の第1粗さRG1がマイクロニードル120Aの外側面の第2粗さRG2よりも大きいため、マイクロニードルパッチの耐久性と剛性を補強することができる。
【0090】
第1層121Aと第2層122Aの第1粗さRG1によって、第1層121Aと第2層122Aとは緻密に形成される。マイクロニードル120Aを皮膚に挿入するためには、第1層121Aと第2層122Aが所定の剛性を有し、マイクロニードル120Aを挿入する過程で第1層121Aと第2層122Aが分離されてはならない。マイクロニードル120Aは、各層が緻密に形成されるため、マイクロニードルパッチを安全に皮膚に挿入することができる。
【0091】
図7を参照すると、マイクロニードル120Bは、第1層121Bと第2層122Bを備え、第1層121Bと第2層122Bが接触する領域に複数の曲率を有することができる。第1層121Bの第1曲面CS1と第2層122Bの第2曲面CS2のうち少なくとも1つは、複数の曲率を有することができる。
【0092】
第1層121Bは下に凸の第1曲面CS1を有するが、第1曲面CS1は複数の曲率を有することができる。
【0093】
詳細には、第1層121Bは、マイクロニードル120Bの長手方向の中心軸である第1点PK1において第1曲率R1を有し、外側においては第1曲率R1とは異なる第2曲率R2を有することができる。第1曲率R1は、第2曲率R2より大きく形成されてもよい。つまり、第1曲面CS1は、マイクロニードル120Bの長手方向の中心で曲率半径が小さく、外側では曲率半径が増加することができる。
【0094】
第1層121Bのベース物質で、粘度は高く、乾燥によって大きく収縮する物質が提供されると、ベース物質の粘度によってモールドの表面に強く取り付けられた状態で、乾燥工程によって第1層121Bが大きく収縮して形成されてもよい。
【0095】
マイクロニードル120Bの中心軸である第1点PK1で曲率がより小さいため、第1層121Bと第2層122Bとは深い位置まで挿入されることができる。第1層121Bは、単位体積当たり大量の薬物が濃縮され、深い位置に送達されることができる。また、第2層122Bに有効成分EMが搭載された場合には、有効成分EMが深い位置まで到達することができる。
【0096】
また、マイクロニードル120Bの外側を見ると、第2点PK2の近傍で第1層121Bの厚さが薄く形成されるため、第1層121Bと第2層122Bとが容易に分離され、薬物送達効果を高めることができる。
【0097】
図8を参照すると、マイクロニードル120Cは、第1層121Cと第2層122Cを備え、第1層121Cと第2層122Cが接触する領域に複数の曲率を有することができる。第1層121Cの第1曲面CS1と第2層122Cの第2曲面CS2のうち少なくとも1つは、複数の曲率を有することができる。
【0098】
第1層121Cは下に凸の第1曲面CS1を有するが、第1曲面CS1は複数の曲率を有することができる。
【0099】
詳細には、第1層121Cは、マイクロニードル120Cの長手方向の中心軸である第1点PK1において第1曲率R1を有し、外側においては第1曲率R1とは異なる第2曲率R2を有することができる。第1曲率R1は、第2曲率R2より大きく形成されてもよい。つまり、第1曲面CS1は、マイクロニードル120Cの長手方向の中心で曲率半径が大きく、外側では曲率半径が減少することができる。
【0100】
第1層121Cのベース物質で、粘度は低く、乾燥によって比較的に少なく収縮する物質が提供されると、第1点PK1と第2点PK2の差は
図7の実施例に比べて少なく設定されてもよい。
【0101】
図9を参照すると、マイクロニードル120Dは、第1層121Dと第2層122Dとを備え、第1層121Dと第2層122Dとの間に接着層ADLが配置されてもよい。
【0102】
マイクロニードル120Dは、第1層121Dを形成した後、接着物質を添加して接着層ADLを形成し、接着層ADLの上に第2層122Dを形成して製造されてもよい。
【0103】
一実施例として、接着層ADLは、第1層121Dと第2層122Dとの間の接着力を高めることができる物質で形成することができる。また、接着層ADLは、生体適合性物質、生体分解性物質で形成することができる。一例として、接着層ADLは水分層で形成することができる。
【0104】
一実施例として、接着層ADLは、第1層121Dと第2層122Dより生体分解速度が高い物質で形成することができる。マイクロニードル120Dが皮膚に挿入されると、接着層ADLが先に分解されるため、第1層121Dと第2層122Dが分離されることができる。
【0105】
図では、接着層ADLが第1層121Dと第2層122Dとを区別するものとして示されているが、これに限定されるものではない。例えば、接着層ADLは、第1層121Dと第2層122Dが混合された形態を有することができる。第1層121Dのベース物質と第2層122Dのベース物質とが混合された形態で接着層ADLを形成することができる。
【0106】
マイクロニードル120Dは接着層ADLを含むため、第1層121Dと第2層122Dとの結合強度を高めることができる。マイクロニードル120Dが皮膚に挿入される際、マイクロニードルパッチに加えられる外力によって第1層121Dと第2層122Dが容易に分離されない。一方、マイクロニードル120Dが皮膚に挿入された後は接着層ADLが容易に分解され、第1層121Dと第2層122Dを分離することができる。
【0107】
図10を参照すると、マイクロニードル120Eは、第1層121Eと第2層122Eとを備え、マイクロニードル120Eの外側にコーティング層123Eを配置することができる。
【0108】
コーティング層123Eは、第1層121Eと第2層122Eを形成した後に、コーティング液に浸漬して形成されることができる。
【0109】
コーティング層123Eは、生体適合性高分子で形成することができる。コーティング層123Eは皮膚に挿入され分解されることができる。
【0110】
一実施例として、コーティング層123Eは生理活性物質を含むことができる。コーティング層123Eが皮膚に挿入されると、有効成分EMが注入される前に、コーティング層123Eが最初に活性化され、有効成分EMの送達効果を高めることができる。
【0111】
一実施例として、コーティング層123Eは、生体分解速度が速い物質で形成することができる。コーティング層123Eは、第1層121Eまたは第2層122Eより生体分解速度が速い物質で形成され、コーティング層123Eの生体内分解速度は、第1層121Eの生体内分解速度や第2層122Eの生体内分解速度よりも速くてもよい。
【0112】
別の実施例として、コーティング層123Eは、生体分解速度が遅い物質で形成することができる。コーティング層123Eは、第1層121Eまたは第2層122Eより生体分解速度が遅い物質で形成され、コーティング層123Eの生体内分解速度は、第1層121Eの生体内分解速度や第2層122Eの生体内分解速度より遅くてもよい。マイクロニードル120Eを挿入した後、所定の時間が経過した後に薬物が送達され、目標とする適切な時間に有効成分EMを送達することができる。
【0113】
一実施例として、コーティング層123Eは、マイクロニードル120Eの剛性を高めることができる。コーティング層123Eは、第1層121Eと第2層122Eの境界点の外側を覆うため、マイクロニードル120Eが皮膚に挿入される際に第1層121Eと第2層122Eの分離を防ぐことができる。
【0114】
図11は、本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチを示す図である。
【0115】
図11を参照すると、マイクロニードルパッチ200はベース210とマイクロニードル220とを含み、マイクロニードル220は複数の層を備えることができる。マイクロニードル220は、第1層221、第2層222及び第3層223を備えることができる。
【0116】
マイクロニードル220の各層は、生体適合性物質と添加剤とで形成することができる。
【0117】
マイクロニードル220は有効成分EMを含むことができる。マイクロニードル220は、複数の層が積層された構造を有するため、各層に応じて複数の有効成分を配置することができる。
【0118】
図では、第1層221に第1有効成分EM1が配置され、第2層222に第2有効成分EM2が配置された実施例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1層221~第3層223のうち1つのみに有効成分が配置されるか、第1層221~第3層223のうち選択される2つの層に有効成分を配置することができる。また、第1層221~第3層223に全て有効成分を配置することができる。複数の層に配置される有効成分は、互いに同じでも異なっていてもよい。
【0119】
マイクロニードル220は、端部に配置される第1層221と、第1層221に積層される第2層222と、第2層222に積層される第3層223とを備えることができる。マイクロニードル220は、隣接する層が接触する領域に曲率を有することができる。
【0120】
第1層221と第2層222が接触する領域や、第2層222と第3層223が接触する領域には曲率が形成されてもよい。マイクロニードル220は、先端に向かって下に凸の曲率を有することができる。第1層221と第2層222が接触する領域や、第2層222と第3層223が接触する領域には先端に隣接した部分が下に凸の形状を有することができる。
【0121】
第1層221は、先端チップ(sharpened tip、ST)が一側に配置され、他側に先端チップSTに向かって凹んだ第1曲面CS1を有することができる。
【0122】
第2層222は、第1曲面と対向するように配置され、第1曲面CS1に対応して突出した第2曲面CS2を有することができる。また、第2層222は、第2曲面CS2の反対側に配置され、第2曲面CS2に向かって凹んだ第3曲面CS3を有することができる。第3曲面CS3は第3層223と接触することができる。
【0123】
一実施例として、第1層221と第2層222との間に形成される第1曲率RAは、第2層222と第3層223との間に形成される曲率RBと実質的に同じように形成されてもよい。
【0124】
第2曲面CS2は第1曲面CS1に接続され、第1曲面CS1と第2曲面CS2とは接触領域を形成することができる。したがって、第2曲面CS2の曲率は、実質的に第1曲面CS1の曲率と同様に設定することができる。また、第2曲面CS2の曲率は第3曲面CS3の曲率と実質的に同様に設定することができる。あるいは、第2曲面CS2の曲率は、第3曲面CS3の曲率と一部区間で実質的に同じであり、他の一部区間で異なるように設定されてもよい。
【0125】
上述した実施例に係るマイクロニードルパッチ100と同様に、マイクロニードル220は、各層の分解速度を異なるように設定することができる。マイクロニードル220が移植される深さに応じて、各層の有効成分EMが配置され、各層は異なる生体内分解速度を有するため、目標とする時間に適切に送達することができる。
【0126】
例えば、第2有効成分は、第1有効成分の薬物効果を強化するために、第1有効成分が浸透した後に浸透される場合、第1有効成分を搭載した層が先に分解され、その後に第2有効成分を搭載した層が分解されてもよい。
【0127】
マイクロニードル220は曲率を有する層状構造を有するため、各層を容易に分離できるようになる。第1層221と第2層222が接触する部分は、マイクロニードル220の端で薄く形成される。
【0128】
具体的には、第1層221の外側面OSと第1曲面CS1との距離は比較的短く形成される。また、第2層222の外側面と第3曲面CS3との間の距離は比較的短く形成される。マイクロニードル220が皮膚に挿入されると、マイクロニードル220の外側面OSが生分解され始めるが、第1層221は第1曲面CS1によって容易に剥離されるため、第1層221と第2層222は容易に分解できるようになる。また、第2層222は第3曲面CS3によって容易に剥離されるため、第2層222と第3層223は容易に分解できるようになる。
【0129】
図12は、
図11のマイクロニードルパッチが取り付けられ、薬物が送達される過程を示す図である。
【0130】
図12を参照すると、第1有効成分EM1が第1層221に搭載され、第2有効成分EM2が第2層222に搭載されたマイクロニードルパッチ200であり、有効成分の位置に応じて有効成分の送達位置を設定されてもよい。
【0131】
(a)を見ると、マイクロニードルパッチ200が皮膚に取り付けられる。マイクロニードル220は皮膚に挿入され、ベース210は皮膚の上部を覆う。
【0132】
(b)を見ると、マイクロニードル220は皮膚の内部で生分解される。第3層223が先に分解されると、ベース210を容易に分離できるようになる。
【0133】
(c)を見ると、マイクロニードル220から有効成分が放出されてもよい。第1層221が生分解され始めると、内部に搭載された第1有効成分EM1を真皮DEMに送達することができ、第2層222が生分解され始めると、内部に搭載された第2有効成分EM2を真皮DEMに送達することができる。このとき、第1有効成分EM1と第2有効成分EM2とが相互作用し、真皮DEMで薬理効果を強化することができる。
【0134】
図では、有効成分が全て真皮DEMに送達される例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、有効成分が表皮にのみ送達されるか、表皮と真皮の両方を送達されてもよい。
【0135】
本発明に係る、マイクロニードルパッチ200は多層構造を有し、ターゲット位置に正確に有効成分EMを送達することができる。マイクロニードル220は複数の層状構造を有するため、各層に有効成分EMを搭載することができる。したがって、マイクロニードルパッチ200は、有効成分EMの活性位置に応じて、表皮EPM、真皮DEM、皮下脂肪、筋肉のうちいずれか1つに送達することができる。
【0136】
本発明に係る、マイクロニードルパッチ200は多層構造を有し、各層の生分解速度を異なるように設定することができる。マイクロニードル220は、各層の分解速度によって有効成分EMが異なる活性時間を有することができる。
【0137】
本発明に係る、マイクロニードルパッチ200は、各層が曲率を有し、生体内で容易に分解できるようになる。第1層221と第2層222が曲率を有する場合、第1層221と第2層222が接触する領域の端で薄く形成されるため、第1層221と第2層222が容易に分離できるようになる。また、第2層222と第3層223とが曲率を有する場合、第2層222と第3層223とが接触する領域の端で薄く形成されるため、第2層222と第3層223が容易に分離できるようになる。
【0138】
本発明に係る、マイクロニードルパッチ200は、各層が曲率を有するため、各層の表面積が増大し、有効成分EMの送達効果を高めることができる。第1層221の第1曲面CS1は第1層221の上側表面積を増大し、第2層222の第2曲面CS2は第2層222の下側表面積を増大する。また、第2層222の第3曲面CS3は、第2層222の上側表面積を増大し、第3層223の下側の表面積も増大する。第1層221、第2層222、第3層223の表面積が増大すると、薬物の送達空間が増え、薬物の送達効果が向上されることができる。
【0139】
【0140】
図13を参照すると、マイクロニードル220Aは、第1層221A、第2層222A及び第3層223Aを含む。
【0141】
第1層221Aと第2層222Aとの間に形成される第1曲率RAは、第2層222Aと第3層223Aとの間に形成される第2曲率RBとは異なるように設定されてもよい。第1層221Aと第2層222Aとの間に形成される第1曲率RAは、第2層222Aと第3層223Aとの間に形成される第2曲率RBより小さく設定されてもよい。
【0142】
第1層221Aのベース物質は、第2層222Aのベース物質より接着力が弱く、乾燥による収縮が起きにくい物性を有することができる。第1層221Aのベース物質がモールドに注入された後に乾燥され、その後、第2層222Aのベース物質が注入された後に乾燥される。第2層222Aのベース物質は接着性と乾燥による収縮性が大きいため、より大きい曲率を有することができる。
【0143】
第2層222Aは、上部の大きい曲率によって端の厚さが薄く形成される。マイクロニードル220Aが挿入されると、第2層222Aの端が速く分解され、第2層222Aと第3層223Aとは容易に分離できるようになる。
【0144】
図14を参照すると、マイクロニードル220Bは、第1層221B、第2層222B及び第3層223Bを含む。
【0145】
第1層221Bと第2層222Bとの間に形成される第1曲率RAは、第2層222Bと第3層223Bとの間に形成される第2曲率RBとは異なるように設定されてもよい。第1層221Bと第2層222Bとの間に形成される第1曲率RAは、第2層222Bと第3層223Bとの間に形成される第2曲率RBより大きく設定されてもよい。
【0146】
第1層221Bのベース物質は、第2層222Bのベース物質より接着力が強く、乾燥によってより収縮する物性を有することができる。第1層221Bのベース物質がモールドに注入された後に乾燥され、その後、第2層222Bのベース物質が注入された後に乾燥される。第1層221Bのベース物質は接着性と乾燥による収縮性が大きいため、より大きい曲率を有することができる。
【0147】
第1層221Bは、上部の大きい曲率によって端の厚さが薄く形成される。マイクロニードル220Bが挿入されると、第1層221Bの端が速く分解され、第1層221Bと第2層222Bとは容易に分離できるようになる。
【0148】
図15を参照すると、マイクロニードル220Cは、隣接する層が接触する領域は所定の粗さを有することができる。マイクロニードル220Cは、隣接する層が接触する領域における粗さとマイクロニードル220Cの外側面OSにおける粗さが異なるように設定されてもよい。
【0149】
第1層221Cと第2層222Cが接触する領域は、第1粗さRG-1を有することができる。第1層221Cと第2層222Cが接触する部分は、やや粗い表面が形成されてもよい。
【0150】
第2層222Cと第3層223Cが接触する領域は、第2粗さRG-2を有することができる。第2層222Cと第3層223Cが接触する部分は、やや粗い表面が形成されてもよい。
【0151】
マイクロニードル220Cの外側面は滑らかに形成される。マイクロニードル220Cの外側面は第3粗さRG-3を有し、第3粗さRG-3は第1粗さRG-1より小さいか、第2粗さRG-2よりも小さく設定されてもよい。
【0152】
マイクロニードル220Cの外側面OSはモールドの表面によって滑らかに形成されるが、第1層221Cの第1曲面CS1は乾燥工程時に露出されるため粗く形成される。その後、第1層221Cの上に第2層222Cを形成すると、第1層221Cと第2層222Cとの間には第1粗さRG-1を有するようになる。また、第2層222Cの第3曲面CS3は、乾燥工程時に露出されるため粗く形成される。その後、第2層222Cの上に第3層223Cを形成すると、第2層222Cと第3層223Cとの間には第2粗さRG-2が形成される。
【0153】
第1層221Cと第2層222Cが接触する領域の第1粗さRG-1及び/または第2層222Cと第3層223Cが接触する領域の第2粗さRG-2がマイクロニードル220Cの外側面の第3粗さRG-3より大きいため、マイクロニードルパッチの耐久性と剛性を補強することができる。
【0154】
第1粗さRG-1によって、第1層221Cと第2層222Cは緻密に形成され、第2粗さRG-2によって第2層222Cと第3層223Cは緻密に形成される。マイクロニードル220Cを挿入する過程で、各層が分離されてはならない。マイクロニードル220Cは、各層が緻密に形成されるため、マイクロニードルパッチを安全に皮膚に挿入することができる。
【0155】
図16を参照すると、マイクロニードル220Dは、第1層221Dと第2層222Dとの間に第1接着層ADL1が配置され、第2層222Dと第3層223Dとの間に第2接着層ADL2を配置されてもよい。
【0156】
マイクロニードル220Dは、第1層221Dを形成した後、接着物質を添加して第1接着層ADL1を形成し、第1接着層ADL1の上に第2層222Dを形成することができる。その後、第2層222Dの上に接着物質を添加して第2接着層ADL2を形成し、第2接着層ADL2の上に第3層223Dを形成してマイクロニードル220Dを製造することができる。
【0157】
一実施例として、第1接着層ADL1と第2接着層ADL2は、隣接する層間の接着力を高めることができる物質で形成することができる。また、第1接着層ADL1及び第2接着層ADL2は、生体適合性物質、生体分解性物質で形成することができる。一例として、第1接着層ADL1及び第2接着層ADL2は水分層で形成することができる。
【0158】
一実施例として、第1接着層ADL1及び第2接着層ADL2は、第1層221D、第2層222D、第3層223Dより生体分解速度が高い物質で形成することができる。マイクロニードル220Dが皮膚に挿入されると、接着層が先に分解されるため、第1層221Dと第2層222Dや第2層222Dと第3層223Dが分離されてもよい。
【0159】
図では、第1接着層ADL1が第1層221Dと第2層222Dとを区別するものとして示されているが、これに限定されるものではない。例えば、第1接着層ADL1は、第1層221Dと第2層222Dとが混合された形態を有することができる。第1層221Dのベース物質と第2層222Dのベース物質とが混合された形態で第1接着層ADL1を形成することができる。第2接着層ADL2も第1接着層ADL1と同様に形成することができる。
【0160】
マイクロニードル220Dは接着層を含むため、積層した層の結合強度を高めることができる。マイクロニードル220Dが皮膚に挿入される際、マイクロニードルパッチに加えられる外力によって各層は容易に分離されない。一方、マイクロニードル220Dが皮膚に挿入された後には接着層が容易に分解され、第1層221Dと第2層222Dや第2層222Dと第3層223Dが分離されることができる。
【0161】
図17を参照すると、マイクロニードル220Eは、第1層221E、第2層222E、第3層223Eを備え、マイクロニードル220Eの外側にコーティング層224Eが配置することができる。
【0162】
コーティング層224Eは、第1層221E、第2層222E、第3層223Eを形成した後に、コーティング液に浸漬して形成されることができる。
【0163】
コーティング層224Eは生体適合性物質で形成することができる。コーティング層224Eは皮膚に挿入され分解されることができる。
【0164】
一実施例として、コーティング層224Eは生理活性物質を含むことができる。コーティング層224Eが皮膚に挿入されると、有効成分EMが注入される前に、コーティング層224Eが最初に活性化され、有効成分EMの送達効果を高めることができる。
【0165】
一実施例として、コーティング層224Eは、生体分解速度が速い物質で形成することができる。コーティング層224Eは、第1層221E、第2層222E、第3層223Eのいずれか1つより生体分解速度が速い物質で形成することができる。
【0166】
別の実施例として、コーティング層224Eは、生体分解速度が遅い物質で形成することができる。コーティング層224Eは、第1層221E、第2層222E、第3層223Eのいずれか1つより生体分解速度が遅い物質で形成され、コーティング層224Eの生体内分解速度は第1層221Eの生体内分解速度や第2層222Eの生体内分解速度または第3層223Eの生体内分解速度より遅くてもよい。マイクロニードル220Eを挿入した後、所定の時間が経過した後に薬物が送達され、目標とする適切な時間に有効成分を送達することができる。
【0167】
一実施例として、コーティング層224Eは、マイクロニードル220Eの剛性を高めることができる。コーティング層224Eは、第1層221Eと第2層222Eとの境界点の外側を覆うか、第2層222Eと第3層223Eとの境界点を覆うため、マイクロニードル220Eが皮膚に挿入される際、各層が分離されることを防ぐことができる。
【0168】
図18を参照すると、マイクロニードルパッチはベース210とマイクロニードル220Fとを含み、マイクロニードル220Fは第1層221F、第2層222F、第3層223F及び第4層224Fを含むことができる。各層の層状構造は、上述した実施例の層状構造を適用することができる。
【0169】
マイクロニードル220Fは複数の層状構造を有し、層状構造において少なくとも1つは曲率を有することができる。
【0170】
図では、4つの層状構造を示しているが、これに限定されるものではなく、5つ以上の層状構造を有することができる。
【0171】
図19は、本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチを示す図である。
【0172】
図19を参照すると、マイクロニードルパッチ300は、ベース310、マイクロニードル320及びシャフト330を備えることができる。マイクロニードル320は、第1層321と第2層322が層状構造を有し、境界領域に曲率を有することができる。
【0173】
マイクロニードル320には、上述したマイクロニードル120を適用することができる。上述したように、マイクロニードル320は有効成分を目標位置へ精密に送達することができる。
【0174】
シャフト330は、ベース310とマイクロニードル320との間を接続することができる。シャフト330は、マイクロニードル320の長手方向へ所定の長さに延びることができる。シャフト330によってマイクロニードル320を深く挿入することができる。つまり、シャフト330の長さによって、マイクロニードルパッチ300は、有効成分EMを対象体の皮膚において深く送達することができる。
【0175】
シャフト330は生体内で分解され、ベース310を容易に分離することができる。シャフト330はマイクロニードル320より小さい体積を有するため、先に生体内で溶解されることができる。シャフト330が溶解されると、マイクロニードル320は対象体の皮膚内に挿入された状態を維持し、ベース310を容易に除去することができる。
【0176】
シャフト330は、マイクロニードル320より速く生体内で分解されることができる。シャフト330を構成するベース物質は、マイクロニードル320より速く生体内で分解される物質で形成されてもよい。したがって、マイクロニードルパッチ300が対象体の皮膚に挿入されると、シャフト330が迅速に溶解され、ベース310を容易に除去することができる。
【0177】
【0178】
図20を参照すると、マイクロニードルパッチ300Aは、ベース310、マイクロニードル320A及びシャフト330を備えることができる。マイクロニードル320Aは、第1層321A、第2層322A、第3層323Aが層状構造を有し、境界領域に曲率を有することができる。
【0179】
マイクロニードル320Aは、上述したマイクロニードル220を適用することができる。上述したように、マイクロニードル320Aは有効成分を目標位置へ精密に送達することができる。また、シャフト330は有効成分EMを深く送達し、シャフト330を溶解してベース310を容易に除去することができる。
【0180】
図21は、本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチを示す図である。
【0181】
図21を参照すると、マイクロニードルパッチ400は、ベース410、マイクロニードル420及びシャフト430を備えることができる。
【0182】
マイクロニードル420の上面は曲率を有することができる。マイクロニードル420は、シャフト430が接触する面が下に凸の曲率を有することができる。マイクロニードル420の上端が下に凸を形成されるため、上端の端で薄い厚さを有するようになる。マイクロニードル420の上端の端が薄く形成されるため、マイクロニードル420の端は所定の可撓性を有することができる。
【0183】
可撓性を有するマイクロニードル420の端領域によって、マイクロニードル420は対象体の皮膚に容易に挿入され、挿入された状態を維持することができる。
【0184】
図に示されたように、マイクロニードルパッチ400を挿入すると、マイクロニードル420の端領域は外部圧力によってシャフト430に向かって圧縮される。マイクロニードル420は長手方向に圧縮されるため、皮膚に容易に挿入することができる。
【0185】
皮膚に挿入されると、マイクロニードル420の端領域は外側に膨張し、端領域を皮膚の内側で支持することができる。マイクロニードル420が対象体の皮膚内で位置が固定され、ベース410を除去しても、マイクロニードル420の端領域によってマイクロニードル420が引き抜かれない。
【0186】
本発明に係るマイクロニードルパッチ400は、マイクロニードル420の上面の曲率によって対象体の皮膚に容易に挿入され、位置を固定することができる。マイクロニードル420の端領域は可撓性を有するため、マイクロニードル420が皮膚に容易に挿入され、挿入された後に安定して位置を維持することができる。
図22は、
図21の変形例を示す図である。
【0187】
図22を参照すると、マイクロニードルパッチ400Aは、ベース410、マイクロニードル420A及びシャフト430を備えることができる。マイクロニードル420Aは、第1層421Aと第2層422Aを有することができる。
【0188】
第1層421Aと第2層422Aとの境界領域には第1曲率R1を形成することができる。第1層421Aと第2層422Aとの間の構造は、上述した第1層121と第2層122の構造やその変形例の構造を適用することができる。
【0189】
第2層422Aの上面には第2曲率R2を形成することができる。第2層422Aは、第2曲率R2によって端に可撓性を有することができる。可撓性を有する第2層422Aの端領域によって、マイクロニードル420Aは対象体の皮膚に容易に挿入され、挿入された状態を維持することができる。
【0190】
図23は、本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法を示すフローチャートである。
【0191】
図23を参照すると、マイクロニードルパッチは、モールドにベース物質を注入し、それを乾燥して製造することができる。
【0192】
マイクロニードルパッチの製造方法は、モールドに第1ベース物質を注入するステップS10と、第1ベース物質を乾燥させて上面に曲率を有する第1層を形成するステップS20と、第1層の上に第2ベース物質を注入するステップS30と、第2ベース物質を乾燥させて上面に曲率を有する第2層を形成するステップS40と、第2層上にベースを形成するステップS50とを含むことができる。
【0193】
モールドに第1ベース物質を注入するステップS10では、マイクロニードル120の先端チップ(sharpened tip、ST)を形成するために、第1ベース物質をモールド(図示せず)に注入する。第1ベース物質は、生体適合性高分子または粘着剤を含むことができる。選択的な実施例として、第1ベース物質は有効成分EMを含むことができる。
【0194】
第1ベース物質を乾燥させて上面に曲率を有する第1層を形成するステップS20では、第1ベース物質を乾燥させる。このとき、第1ベース物質の粘度と乾燥による収縮性によって、第1層の上面は下に凸を形成することができる。
【0195】
第1層の上に第2ベース物質を注入するステップS30では、第1層121上に第2層を形成するために第2ベース物質を注入する。第2ベース物質は、生体適合性高分子または粘着剤を含むことができる。選択的な実施例として、第2ベース物質は有効成分EMを含むことができる。
【0196】
選択的な実施例として、第2ベース物質を注入する前に接着物質を添加して接着層を形成することができる。
【0197】
第2ベース物質を乾燥させて上面に曲率を有する第2層を形成するステップS40では、第2ベース物質を乾燥させる。このとき、第2ベース物質の粘度と乾燥による収縮性によって、第2層の上面は下に凸を形成することができる。
【0198】
第2層の上にベースを形成するステップS50では、第2層の上にベースを形成することができる。
【0199】
一例として、第2層の上にプレート状に作られたベースを取り付け、複数のマイクロニードルをベースの一面に取り付けることができる。
【0200】
別の例として、第2層の上にベースを構成する第3ベース物質を注入することができる。第3ベース物質が第2層と組み合わされ、ベースの一面に複数のマイクロニードルを配置することができる。
【0201】
別の実施例として、他のモールドに第3ベース物質を注入し、ベースとシャフトを製造することができる。その後、第2層とシャフトを整列し、シャフトを第2層に取り付け、ベースの一面に複数のマイクロニードルを配置することができる。
【0202】
このように、本発明は図に示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、このことから様々な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【0203】
実施例で説明する特定の実行は、一実施例であり、いかなる方法でも実施例の範囲を限定するものではない。また、「必須」、「重要」などのような具体的な言及がなければ、本発明を適用するために必ずしも必要な構成要素ではない可能性がある。
【0204】
実施例の明細書(特に特許請求の範囲において)における「上記」の用語及び同様の指示用語の使用は、単数形及び複数形の両方に対応するものであってもよい。なお、実施例において範囲(range)を記載した場合、上記範囲に属する個別の値を適用した発明を含むもので(これに反する記載がない場合)、詳細の説明に上記範囲を構成する各個別の値を記載したものと同様である。最後に、実施例に係る方法を構成するステップについて明らかに順序を記載、またはそれに反する記載がない場合、上記ステップは適切な順序で行われてもよい。必ずしも上記ステップの記載順序によって実施例が限定されるものではない。実施例における全ての例または例示的な用語(例えば、等)の使用は、単に実施例を詳細に説明するためのものであり、特許請求の範囲によって限定されない限り、上記の例または例示的な用語によって実施例の範囲が限定されるものではない。さらに、当業者は、様々な修正、組み合わせ及び変更が追加された特許請求の範囲またはその均等物の範囲内で設計条件及び要因によって構成され得ることを理解することができる。
【国際調査報告】