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特表2023-527960ステータコア、ステータ、及びそれらを備える発電システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】ステータコア、ステータ、及びそれらを備える発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20230626BHJP
   H02K 21/24 20060101ALI20230626BHJP
   H02K 3/47 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
H02K3/04 D
H02K21/24 G
H02K3/47
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022565657
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 IB2020054053
(87)【国際公開番号】W WO2021220037
(87)【国際公開日】2021-11-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522418082
【氏名又は名称】シスクレナー グローバル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】キニョネス バスキュナン,ギレルモ エンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ネダー,クリスチャン ジェイコブ
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
5H621
【Fターム(参考)】
5H603BB02
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB14
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB02
5H603CC14
5H603CC18
5H603CE02
5H604BB03
5H604BB10
5H604BB13
5H604CC01
5H604CC04
5H604CC20
5H621BB01
5H621BB02
5H621BB10
5H621GA04
5H621GA12
5H621HH01
(57)【要約】
電磁ブレーキの影響を実質的に低減し、これにより発電効率を向上させるように構成されるステータコアを提供するために、かつ、発電効率を向上させるためにそのようなステータコアを具現化できる発電システムを提供するために、磁気誘導または電磁誘導による発電用ステータコアは、核と、核の周りに巻き付けられるワイヤと、を含み、ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻かれることが、本明細書に開示される。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核と、
前記核の周りに巻き付けられたワイヤと、
を含み、
前記ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられる、
磁気誘導または電磁誘導による発電用ステータコア。
【請求項2】
各ワイヤ交点は2対の対向する角度を形成し、第1対の各角度をpとし、第2対の各角度をqとし、pは一般に前記巻き方向から離れて向き合い、qは一般に前記巻き方向に沿って向き合う、請求項1に記載のステータコア。
【請求項3】
前記角度pは、好ましくは90度である、請求項2に記載のステータコア。
【請求項4】
前記核は非磁化可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載のステータコア。
【請求項5】
前記核はエアコアである、請求項4に記載のステータコア。
【請求項6】
少なくとも1つのステータコアと、
前記ステータコアを保持するためのレセプタクルと、
を含み、
前記ステータコアは、核と、前記核の周りに巻き付けられたワイヤと、を含み、
前記ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられる、
磁気誘導または電磁誘導による発電用ステータ。
【請求項7】
前記核は非磁化可能である、請求項6に記載のステータ。
【請求項8】
前記レセプタクルは略対称形状を有する、請求項6または7に記載のステータ。
【請求項9】
前記レセプタクルは電気絶縁材料からなる、請求項6から8のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項10】
1つ以上の電気相を生成するためのステータであって、
複数のステータコアを含み、前記複数のステータコアの数は前記電気相の数の倍数である、請求項6から8のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項11】
前記レセプタクルは、前記ステータコアの位置を均等に分布させるために前記複数のステータコアを保持するように構成される、請求項10に記載のステータ。
【請求項12】
前記ステータコアは、1対、複数対、または奇数で電気的に接続される、請求項10または11に記載のステータ。
【請求項13】
軸の周りを回転可能に構成され、少なくとも1つの磁石を含む少なくとも1つのロータと、
静止するように構成され、少なくとも1つのステータコアを含む少なくとも1つのステータと、
を含み、
前記ステータコアは、核と、前記核の周りに巻き付けられたワイヤと、を含み、
前記ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられ、
システムは、前記ロータが前記軸の周りを回転するように誘導するための機械的エネルギーを受けるように構成される、
磁気誘導または電磁誘導による発電用システム。
【請求項14】
前記核は非磁化可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
1つ以上の電気相を生成するためのシステムであって、
前記ステータは複数のステータコアを含み、前記複数のステータの数は前記電気相の数の倍数である、請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
1つ以上の電気相を生成するためのシステムであって、
前記ロータは複数の磁石を有し、前記複数の磁石の数は、下記の式の積を切り上げることにより決定される、請求項13から15のいずれか一項に記載のシステム:
【数1】

ここで、NEPは前記電気相の数であり、NSCは前記ステータコアの数である。
【請求項17】
前記磁石と前記核は、略同じ断面寸法を有する、請求項13から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
複数のステータを含む、請求項13から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
複数のロータを含む、請求項13から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
複数のステータ及び複数のロータを含み、前記複数のステータ及びロータは、同軸上に、交互に、直接接触せずに整列している、請求項13から17のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電に関し、特に、発電システム用のステータコアに関する。
【背景技術】
【0002】
機械的エネルギーの変換を利用する発電システムは、通常、ロータ(rotor)とステータ(stator)とを有するシステムを備える。ステータは、1つまたは複数のステータコアを有することが知られており、各ステータコアは、磁気コアまたは核の周りに電気誘導線を巻き付けることで作られる。このような発電機の作動は、ロータが移動しようとする方向に逆らって作用する反力(reaction force)を引き起こす磁界を誘導して、発電回転を遅らせる。この「電磁ブレーキ」により、システムへの機械的なエネルギー入力が失われ、発電効率が低下する。
【0003】
これまで多くの文献が、発電機の出力を向上させる試みを提案してきた。例えば、米国特許出願公開第2010/019,608-A1号は、より大きな誘導領域を提供し、結果として磁気飽和を回避するために、内側に複数の平行なワイヤスロットを有するステータを提案している。米国特許出願公開第2006/290,224-A1号は、反対の極が互いに向き合っている状態で、所定の距離で離間している2つ以上の永久磁石から構成される発電機を開示している。さらに、米国特許第9,584,056-B2号は、発電効率が低下するような狭い最適回転速度範囲の問題に対処するための多相マルチコイル発電機を提供している。
【0004】
前述のいずれも、電磁ブレーキの問題に効果的に対処していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の概念は、電磁ブレーキの影響を実質的に低減し、これにより発電効率を向上させるように構成されたステータコアを提供することに関する。本開示の別の概念は、発電を向上させるためにそのようなステータコアを実装できる発電システムを提供することに関する。したがって、本開示は、そのような概念の態様及び実施可能性を例示する実施形態を提供する。好適な実施形態については、詳細に後述する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
別段の記載がない限り、本明細書で言及する用語「電磁ブレーキ」とは、発電機のロータが移動しようとする方向に逆らって作用する反力(reaction force)を意味し、それによって発電回転を減少させることを意図している。
【0007】
別段の指示がない限り、特定の用語は、以下の説明で一般的な説明のみを目的として使用されており、いかなる方法でも本開示の概念の範囲を制限すると解釈されるべきではない。同様に、本明細書における任意の特定の構成、図、及び寸法は、例示の目的のためのものであり、本技術開示の概念の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0008】
第1態様において、一実施形態は、磁気誘導または電磁誘導による発電用ステータコアであり、ステータコアは、核と、核の周りに巻き付けられたワイヤとを含み、ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられる。
【0009】
第2態様において、一実施形態は、磁気誘導または電磁誘導による発電用ステータであり、ステータは、少なくとも1つのステータコアと、ステータコアを保持するレセプタクル(receptacle)とを含み、ステータコアは、核と、核の周りに巻き付けられたワイヤとを含み、ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられる。
【0010】
第3態様において、一実施形態は、磁気誘導または電磁誘導による発電用システムであり、システムは、少なくとも1つのロータと、少なくとも1つのステータと、を含む。(i)前記ロータは、軸を中心に回転可能に構成され、かつ、永久磁石または電磁石であってもよい少なくとも1つの磁石を含む。(ii)前記ステータは、静止するように構成され、少なくとも1つのステータコアを含み、ステータコアは、核と、核の周りに巻き付けられたワイヤとを含み、ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられる。前記システムは、ロータを軸周りに回転させるための機械的エネルギーを受けるように構成されている。任意選択で、ステータは、ステータコアを保持するための少なくとも1つのレセプタクルを有する。
【0011】
上記の第1、第2及び第3の態様による実施形態は、各ワイヤ交点が2対の対向する角度を形成するように構成されてもよく、ここで、第1対の各角度をpとし、第2対の各角度をqとし、pは一般に巻き方向から離れて向き合い、qは一般に巻き方向に沿って向き合う。
【0012】
好ましくは、角度pは90度である。
【0013】
さらに、実施形態の核(nucleus)は、好ましくは非磁化可能であり、より好ましくはエアコアである。
【0014】
上記の第2または第3態様による実施形態は、好ましくは、実施形態のレセプタクルが実質的に対称形状を有するように構成されてもよい。この実施形態のレセプタクルは幅広い材料で形成されてもよいが、レセプタクルは、好ましくは電気絶縁材料で形成され、より好ましくは成形ファイバーグラスから形成される。
【0015】
上記の第2または第3態様による実施形態において、ステータは、1つ以上の電気相(electricity phase)を生成するためのものであり、複数のステータコアを含むことが好ましい。さらに好ましくは、そのような複数のステータコアの数は、生成を意図した電気相の数の倍数である。また、そのような実施形態のレセプタクルが複数のステータコアを保持するためのものである場合、そのようなレセプタクルは、好ましくは、ステータコアの位置が均等に分布するように複数のステータコアを保持するように構成される。さらに、複数のステータコアは、1対(pair)、複数対(pairs)、または奇数(odd number)で電気的に接続される。
【0016】
上記の第3態様による実施形態において、システムは1つ以上の電気相を生成するためのものであり、ロータは複数の磁石を含むことが好ましい。より好ましくは、このような複数の磁石(NRM)の数は、下記の式(expresson)の積を切り上げることによって決定される。
【0017】
【数1】

ここで、NEPは意図する電気相の数であり、NSCはステータコアの数である。計算の例は、この概要(Summary)の後半で提供される。
【0018】
好ましくは、磁石及び核(nucleus/nuclei)は、略同じ断面寸法を有する。
【0019】
システムが複数のステータ及び/または複数のロータを含むことも好ましい。より好ましくは、システムは、複数のステータ及び/又は複数のロータを含み、このような複数のステータ及びロータは、同軸上に、交互に、直接接触せずに整列している。
【0020】
上記の第3態様による一実施形態において、意図する動作中の任意のインスタンスで各ステータコアがロータの磁石にさらされるように、ロータ及びステータ及びそれらの整列を構成することも好ましい。これは、ほぼ同じサイズを有するように、(i)すべてのステータコアの中心が位置する周囲を有する第1仮想円と、(ii)すべてのロータの磁石の中心が位置する周囲を有する第2仮想円と、を構成することにより、かつ、第1及び第2仮想円が同心円となるようにロータ及びステータを整列することにより、可能になることが望ましい。
【0021】
上記の第3態様による実施形態は、ロータが複数の磁石を含むように構成されてもよい。このような場合、ロータの磁石の数は、好ましくは、ステータにおけるステータコアの数と、生成が意図された電気相の数によって決まる係数とにより変わる。より好ましくは、計算は下記のように表される。
【0022】
【数2】
【0023】
【数3】

ここで、C=係数、NEP=意図する電気相の数、NRM=ロータにおけるロータの好ましい磁石数、NSC=ステータにおけるステータコアの数である。なお、数式(2)におけるCの式(expresson)を数式(3)に代入すると、上記数式(1)が得られる。
【0024】
計算の例:二相発電の場合、Cは1+1/2=1.5であり、三相発電の場合、Cは1+1/3=1.33であり、四相発電の場合、Cは1+1/4=1.25である、などがある。
【0025】
さらなる例として、三相発電用のステータのレセプタクルによって3つのステータコアが保持される場合、Cは1.33であり、したがってロータにおける好ましい磁石数はNRM=1.33×3=3.99であり、1つのロータあたり4つの磁石に切り上げられる。同様に、三相発電用のステータレセプタクルによって6つのステータコアが保持される場合、Cは1.33であり、したがってロータにおける好ましい磁石数はNRM=1.33×6=7.98であり、1つのロータあたり8つの磁石に切り上げられ、このように続く。
【0026】
上記の第3態様による実施形態において、数式(1)(または、等価的に、数式(3)と共に数式(2))に基づく好ましい磁石数を実現する場合、ステータコアの好ましい直径は、磁石に直径により変わる。より好ましくは、計算は下記のように表される。
【0027】
【数4】
【0028】
【数5】

ここで、DSC,I=ステータコアの核の直径により定義される、ステータコアの好ましい内径、DRM=ロータの磁石の直径、DSC,O,max=ステータコアのコアの周りに巻き付けられたワイヤの層により形成される直径により定義される、ステータコアの好ましい最大外径、C=上記の数式(2)及び数式(3)による係数である。
【0029】
例えば、三相発電(C=1.33)に直径30mmの磁石を使用する場合、ステータコアの内径は、好ましくはDSC、I=DRM=30mmである。また、ステータコアの外径は、好ましくは、DSC,O,max=2×1.33×30=79.8mmより大きくない。
【0030】
さらに例えば、四相発電(C=1.25)に直径30mmの磁石を使用する場合、ステータコアの内径は、好ましくはDSC、I=DRM=30mmである。また、ステータコアの外径は、好ましくは、DSC,O,max=2×1.25×30=75mmより大きくない。
【0031】
さらに、ステータコアの厚さは、任意の相タイプの電気を生成するために、DSC、IまたはDRMよりも小さいことが好ましい。
【0032】
上記の第3態様による実施形態において、意図した動作中に、同一の位相の電気を生成するために、同一のステータのレセプタクルにおけるすべてのステータコアが同一のインスタンスで同一の磁気極性にさらされるように、ロータ及びステータを位置合わせることも好ましい。複数のステータが同軸に整列される実施形態において、これは、好ましくは、前のステータの第1位置(または第1位置のセット)及び後のステータの第2位置(または第2位置のセット)に、同一の電気相を生成するためのステータコアを配置することによって可能になり、第2位置/位置のセットが、第1位置/位置のセットから角変位を形成する。2つ以上のステータが同軸に整列している実施形態において、そのような角変位は、1つのステータから次のステータへと増加することが好ましい。このような場合、角変位の増分は下記のように表されることがより好ましい。
【0033】
【数6】

ここで、θ=角変位の好ましい増分(度単位)、NRM=上記の数式(1)または数式(3)による、ロータにおけるロータの好ましい磁石数である。
【0034】
例えば、ロータの好ましい磁石数が8であり、その数を実現する場合、1つのステータから次のステータへの角変位の好ましい増分はθ=360°/8=45度である。これは、任意のステータで電気相を生成するためのステータコアが、隣接するステータで同じ電気相を生成するためのステータコアから45度離れて配置されることを意味する。
【0035】
1つのロータごとに複数の磁石が存在する上記の第3態様による実施形態において、磁石は、ロータの各面から見て、磁石のいずれか1つが隣接する磁石の極性とは反対の極性を有するように位置決めすることが好ましい。
【0036】
本開示の概念による実施形態は、直列接続または並列接続のいずれかに対応するために、同じ概念内で調整することができる。
【0037】
技術的概念をより良く理解するために、添付の図面を参照して、非限定的な例のみを用いて、態様の好適な実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1Aは、本発明の技術的概念の態様によるステータコアの好適な実施形態を示し(縮尺通りではない)、図1Bは、好適な実施形態に係る、図1Aの部分Iによるステータコア巻線の拡大図を示す(縮尺通りではない)。
図2】本発明の技術的概念の態様によるステータの好適な実施形態を示す(縮尺通りではない)。
図3図3Aは、本発明の技術的概念の態様による複数のステータの好ましい軸アライメントを示し(縮尺通りではない)、図3Bは、本発明の技術的概念の態様により整列されたときの、複数のステータにおけるステータコアの好ましい角度アライメントを示し(縮尺通りではない)、図3Cは、本発明の技術的概念の態様により整列されたときの、複数のステータにおける1つの電気相に対するステータコアの好ましい直列接続を示し(縮尺通りではない)、図3Dは、本発明の技術的概念の態様により整列されたときの、複数のステータにおける3つの電気相に対するステータコアの好ましい直列接続を示す(縮尺通りではない)。
図4】本発明の技術的概念の態様によるロータの好適な実施形態を示す(縮尺通りではない)。
図5図5Aは、本発明の技術的概念の態様によるロータ及びステータの好ましいアセンブリを示し(縮尺通りではない)、図5Bは、本発明の技術的概念の態様により組み立てられたときの、ロータ、ステータ、及びそれらの特徴の好ましい軸アライメントを示し(縮尺通りではない)、図5Cは、本発明の技術的概念の態様により組み立てられたときの、ロータ、複数のステータ、及びそれらの特徴の好ましい角度アライメントを示す(縮尺通りではない)。
図6】本発明の技術的概念の態様による発電システムの好適な実施形態を示す(縮尺通りではない)。
図7】代替の実施形態に係るステータコア巻線の拡大図を示す(縮尺通りではない)。
図8図8Aは、代替の実施形態に係る、複数のステータにおける1つの電気相に対するステータコアの並列接続を示し(縮尺通りではない)、図8Bは、代替の実施形態に係る、複数のステータにおける3つの電気相に対するステータコアの並列接続を示す(縮尺通りではない)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の説明は、好適な実施形態を説明するために提供されるものであり、例としてのみ提供されることに留意されたい。本明細書における任意の特定の構成、図、及び寸法は、例示の目的のためのものであり、本技術開示の概念の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0040】
図1Aは、本発明の技術的概念の態様による発電用ステータコア100の一実施形態を示す。この好適な実施形態において、ステータコア100は、直径0.32mmの円形断面を有する固体銅ステータコアワイヤ102から構成される。前記構成は、ステータコアワイヤ102を核の周りに巻き付けることにより行われる。磁化可能なコアは、意図された回転中にさらなる電磁ブレーキを引き起こす可能性があるため、そのような核は、非磁化可能なコア(non-magnetizable core)であることが好ましい。好適な実施形態の場合、核はエアコア104であり、その周りにステータコアワイヤ102の層が巻き付けられ、ほぼ円筒形のスプール106を形成する。ここで、エアコア104によって提供される開口部によって画定される直径は、DSC、Iとして表されるステータコア100の「内径」であり、エアコア104の周りに巻き付けられ、スプール106を形成するステータコアワイヤ102の最外層によって画定される直径は、DSC、Oとして表されるステータコア100の「外径」である。好適な実施形態において、DSC、I=30mm、DSC、O=70mm、ステータコア100の厚さは12mmである。さらに、同じスプール106を形成する同じステータコアワイヤ102の長さに沿って複数のワイヤ交点108を形成するように、ステータコアワイヤ102を巻き付ける。
【0041】
図1Bは、好適な実施形態に係るワイヤ交点108の形成に関するさらなる詳細を示す。特に、図1Bは、ステータコアワイヤ102の巻線から形成された絶縁層110を示す。好適な実施形態において、複数の絶縁層110は、エアコア104(図1Bには示されていない)の周りに同心状に積み重ねられ、前述の図1Aに係るスプール106を形成する。ここで、ステータコアワイヤ102は、同一層110内で、ステータコアワイヤ102が交差して編み込まれ、ワイヤ交点108が形成されるように、所定の巻き方向112に向かって巻回される。これと関係なく、本開示の概念によるワイヤ交点108は、異なる巻き方によって形成されてもよく、これは、代替の実施形態の例として後述する。
【0042】
図1Bによれば、各ワイヤ交点108は2対の対向する角度を形成し、第1対の各角度をpとし、第2対の各角度はqとし、pは概ね巻き方向112から離れて向き合い、qは概ね巻き方向112に沿って向き合う。ワイヤ交点108は、任意のサイズの角度p及びqを形成するように構成されてもよい。しかし、好適な実施形態によれば、前記ワイヤ交点108は、約90度の大きさを有する角度p及びqを形成する。
【0043】
好適な実施形態において、図1A及び図1Bに係るステータコア100は、発電用ステータ200の一部を形成する。図2は、好適な実施形態のさらなる態様を示し、ステータ200は、ステータコア100の位置が均等に分布するようにステータコア100を保持するためのステータコアレセプタクル202を含む。好適な実施形態によるステータコアレセプタクル202は、シャフト404(図2において図示せず;後述)を非接触で挿入するためのほぼ円形状のステータの中心孔204を有するディスクのアウトラインを有するように、成形ファイバーグラスから形成される。ステータコアレセプタクル202はさらに、ステータコアレセプタクル202への開口部によって画定される同数のステータコアスロット206、ステータコアスロット206の軸、及びほぼ並列であるステータの中心孔204を提供することにより、ステータコア100を保持するように構成される。ステータコアスロット206の寸法は、ステータコア100が十分に挿入されるように構成される。ステータコアスロット206の全てがステータコア100で満たされ、ステータコア100の全てが意図したとおりにステータコアレセプタクル202により保持されるとき、ステータ200が実質的に対称である方法で、ステータコアレセプタクル202がステータコア100をステータコアレセプタクル202の縁部(edge)に近くに保持できるように、好適な実施形態におけるステータコアスロット206は、ステータコアレセプタクル202上に位置決めされる。
各ステータコア100は、対応する各ステータコアスロット206と永久的または一時的に結合または締結することができる。好適な実施形態において、ステータコアスロット206の所定の位置でファイバーグラス成形プロセス中に、ステータコア100をステータコアレセプタクル202に埋め込むことにより、ステータコア100をステータコアスロット206の内面に永続的に結合する。さらに、この実施形態におけるステータコアレセプタクル202は、補助ロッド406に接触挿入するための6つの周辺孔208(図2において図示せず;後述)を有する。
【0044】
図2にさらに示すように、1つのステータ200は、好ましくは、三相電気を生成する目的で3対のステータコア100を保持するように構成される。ここで示されていない他の実施形態における各ステータ200当たりのステータコア100の数は、6個より少ないまたは多い奇数または偶数であり得ることに留意されたい。このような数は、本開示の概念から逸脱することなく、意図された電気相の数に直接依存する。
【0045】
ステータコア100が、好適な実施形態のために意図したように、ステータコアレセプタクル202によって保持された状態にあるとき、ステータコア100の「対(pair;ペア)」は、2つの各ステータコア100が、同一のステータコアレセプタクル202上で互いに最も離れた2つのステータコアスロット206に配置されることを意味することにさらに留意されたい。図2は、同じ対(ペア)に属する2つのステータコア100を大文字の「A」、「B」、「C」で表すことでペアリング(ベア化)の概念を示す。
【0046】
好適な実施形態において、各ベアのステータコア100は、同じベアの両方のステータコア100と接触する結合ワイヤ210を配置することにより電気的に接続される。この実施形態において、結合ワイヤ210は、ステータコアワイヤ102よりも大きな直径を有する。上述のように、ステータコア100の数は、実施形態によって生成されることを意図した電気相の数に直接対応する。図2は、ステータコア100の各対の好ましい接続を示し、「A」対(ペア)は、第1相の電気を生成するためのものであり、「B」対(ペア)は、第2相の電気を生成するためのものであり、「C」対(ペア)は、第3相の電気を生成するためのものである。
【0047】
図3Aは、好適な実施形態のさらに別の態様の一部を示す。ここで、5つのステータ200は、意図したように、すべてのステータコアスロット206に挿入されて結合されたステータコア100を有する。5つのステータ200は、ステータコアレセプタクル202の周辺孔208を介して補助ロッド406を挿入することにより、同軸に位置合わせされて固定される。好適な実施形態において、6つの補助ロッド406がある(6つのうちの1つが図3Aから省略されている)。一方、シャフト404は、直接接触することなく、すべてのステータ200の中心孔204を通って突出するように位置決めされる。ステータ200も互いに直接接触しない。このようにして、各ステータ200の断面によって画定される平面がほぼ平行になるように、また、隣接する平面間の距離がほぼ等しくなるように、組み立てられたステータ200は、それらのほぼ円形の断面を他のステータ200の断面に向ける。
【0048】
図3Bはさらに、異なるステータ200におけるステータコア100間の好ましい位置関係を示す。前述のように、この好適な実施形態は、三相電気を生成するための例示であり、各ステータ200は6つのステータコア100を有する。また、前述したように、各ステータコア100は、ステータコア100が生成しようとする電気相を表すために「A」、「B」、または「C」で示される。さらに、同じステータ200におけるステータコア100は、上記の図2で説明したように電気的に接続されることに留意されたい。しかしながら、このような電気接続は、簡潔にするために図3Bから省略されている。
【0049】
図3Bに示すように、相(phase)「A」から開始して、同じステータ200のステータコア100に割り当てられた電気相は、前に示した順序に従う:「A」で示される任意のステータコア100から開始し、同じステータ200で時計回りに進み、その順序は、この好適な実施形態において常にA、C、B、A、C、Bである。
【0050】
図3Bは、「A」相が割り当てられたステータコア100のうちの1つに概念的に取り付けられた仮想の三角形のマーカを提供する。これは、同一のステータ200における「A」相の相手側(counterpart)と区別するためである。さらに参照するために、図3Bの5つのステータ200は、ステータNo.1、ステータNo.2、ステータNo.3、ステータNo.4として左から右に呼ばれる。さらにまた参照するために、任意のステータ200の12時の位置を0度位置と呼び、そこから時計回りに回転すると角度が増加する。
【0051】
図3Bによれば、ステータNo.1のマーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される0度の位置を示す。マーカから始まり時計回りに進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0052】
次はステータNo.2であり、マーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される45度の位置を示す。マーカから始まり時計方向に進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0053】
次はステータNo.3であり、マーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される90度の位置を示す。マーカから始まり時計方向に進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0054】
次はステータNo.4であり、マーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される135度の位置を示す。マーカから始まり時計方向に進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0055】
次はステータNo.5であり、マーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される180度の位置を示す。マーカから始まり時計方向に進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0056】
マーカを参照すると、図3Bに係る角変位は、ステータ200のいずれか1つから次のステータまで45度ずつ増加する(すなわち、θ=45度)。
【0057】
図3A及び図3Bに係る上記の構成は、同一の電気相を生成するためのステータコア100が同一のインスタンスで磁化される一方、異なる電気相を生成するためのステータコア100が異なるインスタンスで磁化される方法で、三相電気を生成するためのステータコア100を提供することを目的とする。この目的は、異なるステータ200の間の同一電気相間の電位差を回避することにより、望ましくない放電を回避しつつ達成される。これらの構成はまた、以下で後述するさらなる重要性を有する。同様に、磁化のインスタンスについては後述する。
【0058】
図3Cは、好適な実施形態による異なるステータ200のステータコア100間の電気的接続を示す。以下の図3Cの説明において、マーカ;「A」、「B」及び「C」相;ステータNo.1~No.5;度位置(degree position);などへの言及は、図3Bの説明で前述したものと同じ意味を持つことに留意されたい。
【0059】
特に、図3Cは、ステータ200(及びそのステータコア100)が直列に接続された好適な実施形態を示す。このような接続の選択は、好適な実施形態に付随するものであるが、本発明の技術的概念を実施する上で決して必須ではない。並列接続の例は、代替の実施形態として後述する。
【0060】
さらに特に、図3Cは、電気相「A」が割り当てられたステータコア100に関してのみ、ステータ200間の直列接続を示す。
【0061】
図3Cによれば、ステータNo.1は、0度及び180度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.2は、45度及び225度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.3は、90度及び270度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.4は、135度及び315度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.5は、180度及び0度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有する。
【0062】
図3Cは、好ましい直列接続の順序をさらに示す:
ステータNo.1から開始:0度の位置、及び180度の位置;
ステータNo.2に続く:225度の位置、及び45度の位置;
ステータNo.3に続く:90度の位置、及び270度の位置;
ステータNo.4に続く:315度の位置、及び135度の位置;及び
ステータNo.5に続く:180度の位置、及び0度の位置。
【0063】
この好ましいパターンによれば、同一のステータ200における1つの位置から次の位置に始まり180度増加し、1つのステータ200における1つの位置から次のステータ200における次の位置に続いて45度増加する。当技術分野の当業者は、この好適な実施形態の「B」相及び「C」相に対する直接接続を実現するために、または5つより多いステータ200がある場合などの他の実施形態における直列接続を実現するために、前述の教示を適用できるであろう。
【0064】
いずれの場合も、図3Dは、好適な実施形態によって生成されることを意図した3つの電気相の直列接続を示す。図3Dについての詳細な説明は、図3Cで述べたパターンに従うので、簡潔にするために省略する。
【0065】
図4は、好適な実施形態の態様によるロータ300を示す。ここで、ロータ300は、ディスクの外形を有し、剛性材料、好ましくは合成繊維、より好ましくはアラミド繊維、さらに好ましくはパラアラミド繊維からなる磁石レセプタクル302を含む。あるいは、そのような剛性材料は繊維強化プラスチック(fiber reinforced plastic)であってもよく、強化繊維(reinforcing fiber)は、好ましくはナイロン6及びアラミド繊維を含む合成繊維である。
【0066】
図4の磁石レセプタクル302は、ロータの中心孔304と、磁石レセプタクル302を通る円筒形の開口部によって画定される8つの磁石スロット306とを含む。磁石スロット306のそれぞれは、磁石308を保持するための手段を含む。好適な実施形態において、そのような手段は、一対の弾性部材310、好ましくは細長い非金属ストリップ/フィンを、それぞれの磁石スロット306の内面に取り付け、磁石スロット306の異なる端部に位置するほぼ対向する縁部(エッジ)312に近接して提供することにより実現され、そこから弾性部材310は、縁部312から概ね離れて突出し、磁石スロット306を部分的にカバーするように構成され、これによりその部分的なカバーにより提供された側面開口部314を通して磁石308を意図的に挿入または取り外しすることができ、同時に、(後述する)好適な実施形態の意図的な動作中のロータ300の動きによって引き起こされる可能性のある磁石308の意図しない取り外しを防止することができる。
【0067】
図4は、磁石308が、好ましくは磁石レセプタクル302の縁部に近接し、隣接する磁石308からほぼ均一な距離で離れて保持されることをさらに示す。
【0068】
好適な実施形態において、8つの磁石308は、極性が隣接する磁石308(すなわち、北、南、北、南、北、南、北、及び南)(図4において、北極は「+」で表され、南極は「-」で表される)の間で交互になるように設定される。
【0069】
図4に示す好適な実施形態において、磁石レセプタクル302の寸法は、直径約192mm、ロータの中心孔304から磁石スロット306の中心までの距離約75.75mm、及び厚さ約11mmである。ここで、ロータの中心孔304は、シャフト404(図4には図示せず、後述)の断面形状と係合するための手段を提供するために、ほぼ六角柱の形状を有する物体を係合して収容するように構成された開口部である。この好適な実施形態において、ロータの中心孔304の各側面は、磁石スロット306の直径にほぼ相当する長さを有する。
【0070】
磁石308は、永久磁石または電磁石であってもよい。好適な実施形態において、磁石308は、ほぼ円筒形のネオジム磁石である。したがって、磁石スロット306は、そのような寸法の磁石306を十分に収容し、磁石308を保持する前述の手段を収容するように構成される。この好適な実施形態において、磁石308は、直径30mm及び厚さ10mmである。
【0071】
図5Aは、5つのステータ200及び6つのロータ300がシャフト404及び補助ロッド406に組み立てられる、好適な実施形態によるさらなる態様を示す。ステータ200の各々は、2つのロータ300によって両側から直接接触することなく側面視されており、1つのステータ200と1つのロータ300との間で交互に配置される、ほぼ同軸上に整列された部材の列を形成し、このような列の最初の部材と最後の部材がロータ300である。各ステータ200とその隣接するロータ300は、この好適な実施形態の意図された動作中に、磁気誘導がそのような部材にわたって影響を及ぼすように十分に離間されている(詳細は後述)。補助ロッド406は、ステータ200の周辺孔208に挿通してステータ200と直接接触し、より好ましくはネジ(図示せず)で位置固定される。しかし、補助ロッド406は、ロータ300と直接接触しない。これは、ロータ300よりも大きな直径を有するステータ200と、ロータ300の縁部(エッジ)よりも共通軸から離れた位置にある周辺孔208とによって可能になる。一方、シャフト404は、ステータの中心孔204及びロータの中心孔304を通って共通軸に沿って突出するが、シャフト404は、ロータの中心孔304のみと直接接触する。これは、ロータの中心孔304よりも大きな直径を有するステータの中心孔204によって可能になる。
【0072】
この好適な実施形態において、最も近いロータ300間の距離は実質的に均一であり、約14mmである。
【0073】
また、図5Aのステータ200は、上記の図3A図3B図3C及び図3Dにより整列及び構成されることが好ましい。一方、図5Aのロータ300は、1つのロータ300上の磁石308の北極(+)が、次のロータ300の別の磁石308の南極(-)に対して、ほぼ同じ軸方向の整列に沿って、かつ、全体にわたって向き合うように配置されることが好ましい。換言すれば、上記の図3B図3C、及び図3Dに係るステータ200及びステータコア100の構成とは対照的に、異なるロータ300の磁石308は、図5Aの任意の角変位に従わない。すべてのロータ300の磁石308は、同じ角度位置にある場合、その極性(+、-)を同じ方向に向ける。
【0074】
ここで、シャフト404は、図5Aにより組み立てられたときにロータの中心孔304と係合するように、ほぼ六角形の断面領域を有する。一方、ステータの中心孔204は、図5Aにより組み立てられたときにシャフト404との直接の接触または係合を回避するためのクリアランス(clearance)を提供するように、ほぼ円形状であり、シャフト404よりも実質的により広い。このようにして、シャフト404が機械的動力を受けて回転すると(詳細は後述)、シャフト404は、係合するロータ300のみを回転させ、係合しないステータ200を静止状態のままにする。
【0075】
図5Bは、好適な実施形態に関連するさらなる態様を示す。図5Bでは、図5Aに係るアセンブリからの1つのロータ300及び1つのステータ200のみを示し、簡潔にするために他の構成要素を省略する。この図において、ステータ200は、上記の図3B図3C及び図3Dに係るステータNo.1である。図5Bは、ステータ200におけるステータコア100、ロータ300における磁石308の、この好適な実施形態の寸法及び配置に焦点を当てている。特に、図5Bは、ロータ300(図5Bの左側)とステータ200(図5Bの右側)との正面図を並べて比較したものであり、これらは、先の図5Aで示したように、シャフト404、補助ロッド406などと組み立てられたものと仮定すると、ステータ200及びロータ300の中心は、同じレベルに揃っている。
【0076】
図5Bによれば、磁石308の直径(DRM)は、ステータコア100の内径(DSC,I)とほぼ同じで、30mmである(すなわち、DRM=DSC,I=30mm)。.
【0077】
図5Bによれば、ステータ200は、6つのステータコア100すべての中心が位置する周囲を有する第1仮想円を有し、ロータ300は、8つの磁石308すべての中心が位置する周囲を有する第2仮想円を有する。この好適な実施形態によれば、第1仮想円及び第2仮想円は、略同じ周囲を有し、約480mmである。図5Bに想定される図5Aの組立状態では、ステータ200とロータ300は共通の中心を共有する。したがって、共通平面上に投影された場合(例えば、ステータ200からロータ300上に第1仮想円を投影した場合、またはその逆の場合)、2つの周囲は互いに実質的に重なり合う。
【0078】
図5Cは、好適な実施形態に関連するさらに多くの態様を示す。図5Cでは、図5Aに係るアセンブリからの1つのロータ300及び4つのステータ200のみを示し、簡潔にするために他の構成要素を省略する。この図において、4つのステータ200は、上記の図3B図3C、及び図3Dに係るステータNo.1、No2、No3、及びNo4である。図5Cは、ステータ200におけるステータコア100、ロータ300における磁石308の、この好適な実施形態の角度関係に焦点を当てている。特に、図5Cは、ロータ300(図5Cの左側)とステータNo.1、No.2、No.3、及びNo.4(図5Cの右側に向かってロータ300に隣接するものから開始)との正面図を並べて比較したものであり、これらは、先の図5Aで示したように、シャフト404、補助ロッド406などと組み立てられたものと仮定すると、ステータ100及びロータ300の中心は、同じレベルに揃っている。
【0079】
図5Cにおいて、仮想円周上に8つの磁石308が均等に分布している場合、1つの磁石308の中心から次の磁石308の中心までの円弧は、その仮想円内で約45度の角度を形成する。前記45度は、図3B図3C及び図3Dに関連して前述したように、1つのステータ200から次のステータへの角変位の増分に相当する。したがって、図5Cは、ロータ300の0度及び180度の位置にある磁石308が、ステータNo.1の「A」相ステータコア100と整列しており、ロータ300の45度及び225度の位置にある磁石308が、ステータNo.2の「A」相ステータコア100と整列しており、ロータ300の90度及び270度の位置にある磁石308が、ステータNo.3の「A」相ステータコア100と整列しており、ロータ300の135度及び315度の位置にある磁石308が、ステータNo.4の「A」相ステータコア100と整列していることを示す。
【0080】
図5Cは、好適な実施形態が静止状態にあるときの角度アライメントの単純な例として機能し、また、そのような好適な実施形態が意図したとおりに動作しているときの所定のインスタンスにおける角度アライメントの単純な例として機能する。
【0081】
図6は、好適な実施形態に係るさらに別の態様を示す。これらの態様において、5つのステータ200と6つのロータ300の列は、図5A図5B及び図5Cによるシャフト404と組み立てられ、ステータ200、ロータ300、シャフト404の主要部及び補助ロッド406を覆うためのフレーム402を含む外部ケース400とさらに組み立てられる。この好適な実施形態において、フレーム402の長さはシャフト404の長さよりも短く、シャフト404がフレーム402の範囲(confine)を通過できるように、側面開口部408はフレーム402の対向側を介して設けられる。それにより、側面開口部408の直径は、意図した操作中にシャフト404が通過及び回転するのに十分なクリアランスを提供する必要がある。前述の構成要素は、シャフト404の長さに沿った軸が地面に対して実質的に水平になり、ステータ200及びロータ300がフレーム402、地面、及び互いに直接接触しないように組み立てられることが望ましい。フレーム402は、固体材料、好ましくは非導電性かつ非磁化可能な材料からなる箱であることが望ましく、ステータ200及びロータ300の実質的な全体を覆うように作る必要はない。図6に示すように、フレーム402は、本技術開示の意図する動作に影響を与えることなく、そのような構成要素を緩く覆うように設計されている。好ましくは、外部ケース400は、シャフト404を支持する手段及び補助ロッド406を支持する手段を提供するべきである。
【0082】
この好適な実施形態において、シャフト404を支持する前記手段は、一対のピローブロック軸受410を提供することで実現される。図6では、ピローブロック軸受410を、側面開口部408を有するフレーム402の側面から概ね離れて突出するフレーム延長部412に取り付けて締結する。各ピローブロック軸受410の各フレーム延長部412への締結は、従来の締結手段によって行われてもよい。ブロック軸受410及びフレーム延長部412は、側面開口部408に十分に近い位置に配置されることが望ましく、これにより、両方の側面開口部408を通過したシャフト404は、ピローブロック軸受410を介して挿入されて支持され得る。構造的支持に加えて、ピローブロック軸受410は、この好適な実施形態の意図された通常の動作中にシャフト404の回転を容易にすること目的としている。
【0083】
この好適な実施形態において、補助ロッド406を支持する上記の手段は、補助ロッド406をフレーム402に取り付けることにより、具体的には、補助ロッド406の各端部をフレーム402の各側にねじ込むことによって実現される。
【0084】
外部ケース400においてステータ200の各独立相を直列に接続した後、電気相ごとに2本の出力線(図示せず)が使用される。このような出力線(図示せず)は、厚さ0.1mmの過負荷ヒューズ(図示せず)に接続され、ヒューズから任意の電気消費装置に接続される。図6はまた、シャフト404が、一方の端部の近くで、機械的動力500を供給する手段にさらに結合されていることも示す。この好適な実施形態に係る例によれば、そのような手段は、4.8馬力のガソリンエンジン502である。ガソリンエンジン502は、ベルト508が係合可能に取り付けられたプーリ506からなる動力伝達機構504と結合される。この好適な実施形態において、実質的に1:1のサイズ比の2つのプーリ506があり、ベルト508はゴム製のV型歯付きベルトである。プーリ506のうちの1つはガソリンエンジン502と結合され、別のプーリ506はシャフト404と結合される。したがって、各プーリ506は、場合によっては、ガソリンエンジン502によって駆動されてシャフト404を駆動するのに十分な嵌合及び係合を提供するように構成されるべきである。
【0085】
意図した操作に関する説明は、機械的動力を供給する手段500から始まる。好適な実施形態において、ガソリンエンジン502が始動し、動力伝達機構504を介して伝達される機械的動力を提供する。具体的に、そのような機械的動力は第1プーリ506の回転を駆動し、続いてこれは取り付けベルト508を引っ張り、シャフト404に係合可能に結合された第2プーリ506の回転を駆動する引っ張り動作を誘導する。その結果、シャフト404は、外部ケース400のフレーム402の両側に位置するピローブロック軸受410の支持及び促進により回転する。現在回転しているシャフト404は、さらに6つのロータ300に係合し、5つのステータ200には係合しないため、ロータ300のみが回転し、ステータ200は補助ロッド406の助けにより静止したままである。
【0086】
ロータ300の回転中、磁石スロット306によって保持された磁石308は、各ステータ200上に保持されたステータコア100を磁化するための磁場を提供する。ロータ300の回転により、そのような磁化は、ロータ300が動き続けている限り、連続的に交互に発生する-すなわち、ステータコア100は、第1方向の磁場によって磁化され、次いで、反対方向である第2方向の磁場によって磁化される。この好適な実施形態は、負荷を有する4,500~5,000RPMの回転速度及び関係1:1で効果的に動作するが、この例のRPM範囲は、決して本発明の技術的概念に係る実施形態の動作限界を示唆するものではない。このような交互磁化は交互する現在電気の発生を誘導する。ステータ200ごとに3対のステータコア100を有する好適な実施形態において、生成された電気は三相である。
【0087】
上記の態様が発電効率を改善できる理由は、出願人には完全には知られていないが、そのようなワイヤ交点108を設けることによりステータコア100を形成することは、電磁ブレーキベクトルを互いに対向させて相殺し合うように導き、これにより、既存の発電システムで通常発生する遅延効果が実質的に低減すると考えられる。この観点から、本開示による態様は、(レンツの法則に従って自然に生じる)電磁ブレーキを抑制するというよりも、電磁ブレーキを効果的に非遅延の方向に導くということである。
【0088】
代替の実施形態。
以下の代替の実施形態は、本発明の技術的概念の幅を明確にするための、かつ、本発明の技術的概念に含まれるさらなる調整を提案するためのさらなる例であることを意図しており、したがって、限定的に解釈されるべきではない。
【0089】
ステータコアにワイヤ交点を形成。
前述の図1Bに係るワイヤ交点108を形成する例に加えて、ワイヤ交点108を、図7に示す代替の構成により形成することもできる。この代替の実施形態において、ステータコアワイヤ102は、同じ層(layer)内に織り込まれていない。その代わりに、ステータコアワイヤ102は、複数の隣接層110Aによりワイヤ交点108が形成されるように、所定の巻き方向112に巻き付けられる。この代替案は、本開示の概念によるステータコア100の構成が、同じ層内ではなく同じスプール106内でのステータコアワイヤ102の有効な交差に依存していることを示す。換言すれば、ステータコアワイヤ102は交差する必要があるが、織る必要はなく、直接接触する必要もない。
【0090】
また、上述の好適な実施形態は、核(すなわち、エアコア104)の周りに1つのステータコアワイヤ102を巻き付けることによりワイヤ交点108の形成を選択するが、そのようなワイヤ交点108はまた、核の周りに2つ以上のステータコアワイヤ102を巻き付けることにより形成されてもよい。このような代替の実施形態(図示せず)では、2本以上のステータコアワイヤ102を、巻き付けを容易にするために1つ以上の位置で接合してもよい。このようなステータコアワイヤ102を接合する手段の例としては、ステータコアワイヤ102の端部(またはそれに近い位置)同士を結び合わせる方法と、ステータコアワイヤ102の端部(またはそれに近い位置)を核(すなわち、核がエアコア104ではない実施形態において)に固定する方法と、が挙げられる。
【0091】
ステータ間の並列接続。
前述の図3C及び図3Dに係る、異なるステータ200のステータコア100間の直列接続の例に加えて、電気的接続は任意選択的に並列接続であってもよい。図8Aは、5つのステータ200が並列に接続されるさらに別の代替の実施形態を示す。上記の図3Cと同様に、図8Aは、電気相「A」が割り当てられているステータコア100に対してのみ、ステータ200間の並列接続を示している。
【0092】
図8Aは、「A」相が割り当てられたステータコア100に概念的に取り付けられた仮想の三角形のマーカを提供する。これは、同一のステータ200における「A」相の相手側と区別するためである。さらに参照するために、図8Aの5つのステータ200は、ステータNo.1、ステータNo.2、ステータNo.3、ステータNo.4として左から右に呼ばれる。さらにまた参照するために、任意のステータ200の12時の位置を0度位置と呼び、そこから時計回りに回転すると角度が増加する。
【0093】
図8Aによれば、ステータNo.1は、0度及び180度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.2は、45度及び225度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.3は、90度及び270度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.4は、135度及び315度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.5は、180度及び0度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有する。図8Aは、好ましい並列接続の順序をさらに示す:
ステータNo.1:0度の位置は第1ノード212に接続され、180度の位置は第2ノード214に接続され、0度の位置は180度の位置に接続される。
ステータNo.2:225度の位置は第1ノード212に接続され、45度の位置は第2ノード214に接続され、225度の位置は45度の位置に接続される。
ステータNo.3:90度の位置は第1ノード212に接続され、270度の位置は第2ノード214に接続され、90度の位置は270度の位置に接続される。
ステータNo.4:315度の位置は第1ノード212に接続され、135度の位置は第2ノード214に接続され、315度の位置は135度の位置に接続される。
ステータNo.5:180度の位置は第1ノード212に接続され、0度の位置は第2ノード214に接続され、180度の位置は0度の位置に接続される。
【0094】
ここで、同一のステータ200における同一の電気相のステータコア100は直接接続される。一方、異なるステータ200のステータコア100間には直接的な接続はないが、異なるステータ200のステータコア100は、第1ノード212及び第2ノード214を介して間接的に接続される。特に、第1ノード212に接続された1つのステータ200におけるの1つの位置から、225度増加した次のステータ200における位置もまた、第1ノード212に接続される。同様に、第2ノード214に接続された1つのステータ200上の1つの位置から、度合いが225によって増加する次のステータ200上の位置もまた、第2ノード214に接続される。当技術分野の当業者は、この代替の実施形態の「B」相及び「C」相に対する並列接続を実現するために、または5つより多いステータ200がある場合などの他の代替の実施形態における並列接続を実現するために、前述の教示を適用できるであろう。
【0095】
いずれの場合も、図8Bは、代替の実施形態を実施することによって生成されることを意図したすべての電気相の並列接続を示す。図8Bについての詳細な説明は、図8Aで述べたパターンに従うので、簡潔にするために省略する。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
【手続補正書】
【提出日】2021-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の周りを回転可能に構成され、少なくとも1つの磁石を含む少なくとも1つのロータと、
静止するように構成され、少なくとも1つのステータコアを含む少なくとも1つのステータと、
を備え、
前記ステータコアは、核と、前記核の周りに巻き付けられたワイヤと、を含み、
前記ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられ、
システムは、前記ロータが前記軸の周りを回転するように誘導するための機械的エネルギーを受けるように構成され、
前記ロータと前記ステータは、交互に、同軸上に、直接接触せずに整列しており、
前記磁石と前記核は、略同じ断面寸法を有する、
電磁誘導により1つ以上の電気相を生成するシステム。
【請求項2】
前記磁石の数は、下記の式の積を切り上げることにより決定される、請求項1に記載のシステム:
【数1】
ここで、N RM は前記磁石の数であり、N EP は前記電気相の数であり、N SC は前記ステータコアの数である。
【請求項3】
SC はN EP の倍数である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
各ワイヤ交点は2対の対向する角度を形成し、各角度が略90度である、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記核は非磁化性である、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム
【請求項6】
前記核はエアコアである、請求項に記載のシステム
【請求項7】
前記ステータは、前記ステータコアを保持するためのレセプタクルを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記レセプタクルは略対称形状を有する、請求項に記載のシステム
【請求項9】
前記レセプタクルは電気絶縁材料からなる、請求項に記載のシステム
【請求項10】
前記レセプタクルは、前記ステータコアの位置を均等に分布するために複数のステータコアを保持するように構成される、請求項に記載のシステム
【請求項11】
前記ステータコアは、1対、複数対、または奇数で電気的に結合される、請求項10に記載のシステム
【請求項12】
複数のステータを備える、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
複数のロータを備える、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
固定されたステータに対して相対的にロータを回転させるステップを含み、
前記ロータと前記ステータは、交互に、同軸上に、直接接触せずに整列しており、
前記ロータは、少なくとも1つの磁石を備え、
前記ステータは、少なくとも1つのステータコアを備え、
前記ステータコアは、核と、前記核の周りに巻き付けられるワイヤと、を備え、
前記ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻かれ、
前記磁石及び前記核は、略同じ断面寸法を有する、
電磁誘導により1つ以上の電気相を生成するプロセス。
【請求項15】
複数のロータは同時に回転する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記磁石の数は、下記の式の積を切り上げることにより決定される、請求項14に記載のプロセス:
【数1】
ここで、N RM は前記磁石の数であり、N EP は前記電気相の数であり、N SC は前記ステータコアの数である。
【請求項17】
SC はN EP の倍数である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ロータの前記回転により、前記ステータコアが、第1方向の磁場によって及び第2方向の磁場によって交互に磁化される、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ステータは、複数のステータコアを備え、その位置が前記ステータ上に均等に分布する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
前記核はエアコアである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項21】
2つ以上の独立した磁化可能なワイヤを反対方向に巻くステップを含む、ワイヤスプールの製造方法。
【請求項22】
前記ワイヤを連続的かつ交互に巻き、前記巻きは、コイルの中心及び/又は底部から開始し、前記コイルの表面上の2本のワイヤで終了し、前記コイルが磁気的に誘導されるときに電気的に導通するように、前記ワイヤは始点で結合される、請求項21に記載の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電に関し、特に、発電システム用のステータコアに関する。
【背景技術】
【0002】
機械的エネルギーの変換を利用する発電システムは、通常、ロータ(rotor)とステータ(stator)とを有するシステムを備える。ステータは、1つまたは複数のステータコアを有することが知られており、各ステータコアは、磁気コアまたは核の周りに電気誘導線を巻き付けることで作られる。このような発電機の作動は、ロータが移動しようとする方向に逆らって作用する反力(reaction force)を引き起こす磁界を誘導して、発電回転を遅らせる。この「電磁ブレーキ」により、システムへの機械的なエネルギー入力が失われ、発電効率が低下する。
【0003】
これまで多くの文献が、発電機の出力を向上させる試みを提案してきた。例えば、米国特許出願公開第2010/019,608-A1号は、より大きな誘導領域を提供し、結果として磁気飽和を回避するために、内側に複数の平行なワイヤスロットを有するステータを提案している。米国特許出願公開第2006/290,224-A1号は、反対の極が互いに向き合っている状態で、所定の距離で離間している2つ以上の永久磁石から構成される発電機を開示している。さらに、米国特許第9,584,056-B2号は、発電効率が低下するような狭い最適回転速度範囲の問題に対処するための多相マルチコイル発電機を提供している。
【0004】
前述のいずれも、電磁ブレーキの問題に効果的に対処していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の概念は、電磁ブレーキの影響を実質的に低減し、これにより発電効率を向上させるように構成されたステータコアを提供することに関する。本開示の別の概念は、発電を向上させるためにそのようなステータコアを実装できる発電システムを提供することに関する。したがって、本開示は、そのような概念の態様及び実施可能性を例示する実施形態を提供する。好適な実施形態については、詳細に後述する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
別段の記載がない限り、本明細書で言及する用語「電磁ブレーキ」とは、発電機のロータが移動しようとする方向に逆らって作用する反力(reaction force)を意味し、それによって発電回転を減少させることを意図している。
【0007】
別段の指示がない限り、特定の用語は、以下の説明で一般的な説明のみを目的として使用されており、いかなる方法でも本開示の概念の範囲を制限すると解釈されるべきではない。同様に、本明細書における任意の特定の構成、図、及び寸法は、例示の目的のためのものであり、本技術開示の概念の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0008】
第1態様において、一実施形態は、磁気誘導または電磁誘導による発電用ステータコアであり、ステータコアは、核と、核の周りに巻き付けられたワイヤとを含み、ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられる。
【0009】
第2態様において、一実施形態は、磁気誘導または電磁誘導による発電用ステータであり、ステータは、少なくとも1つのステータコアと、ステータコアを保持するためのレセプタクル(receptacle)とを含み、ステータコアは、核と、核の周りに巻き付けられたワイヤとを含み、ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられる。
【0010】
第3態様において、一実施形態は、磁気誘導または電磁誘導による発電用システムであり、システムは、少なくとも1つのロータと、少なくとも1つのステータと、を含む。(i)前記ロータは、軸を中心に回転可能に構成され、かつ、永久磁石または電磁石であってもよい少なくとも1つの磁石を含む。(ii)前記ステータは、静止するように構成され、少なくとも1つのステータコアを含み、ステータコアは、核と、核の周りに巻き付けられたワイヤとを含み、ワイヤは、複数のワイヤ交点を形成するように巻き方向に巻き付けられる。前記システムは、ロータを軸周りに回転させるための機械的エネルギーを受けるように構成されている。任意選択で、ステータは、ステータコアを保持するための少なくとも1つのレセプタクルを有する。
【0011】
上記の第1、第2及び第3の態様による実施形態は、各ワイヤ交点が2対の対向する角度を形成するように構成されてもよく、ここで、第1対の各角度をpとし、第2対の各角度をqとし、pは一般に巻き方向から離れて向き合い、qは一般に巻き方向に沿って向き合う。
【0012】
好ましくは、角度pは90度である。
【0013】
さらに、実施形態の核(nucleus)は、好ましくは非磁化可能であり、より好ましくはエアコアである。
【0014】
上記の第2または第3態様による実施形態は、好ましくは、実施形態のレセプタクルが実質的に対称形状を有するように構成されてもよい。この実施形態のレセプタクルは幅広い材料で形成されてもよいが、レセプタクルは、好ましくは電気絶縁材料で形成され、より好ましくは成形ファイバーグラスから形成される。
【0015】
上記の第2または第3態様による実施形態において、ステータは、1つ以上の電気相(electricity phase)を生成するためのものであり、複数のステータコアを含むことが好ましい。さらに好ましくは、そのような複数のステータコアの数は、生成を意図した電気相の数の倍数である。また、そのような実施形態のレセプタクルが複数のステータコアを保持するためのものである場合、そのようなレセプタクルは、好ましくは、ステータコアの位置が均等に分布するように複数のステータコアを保持するように構成される。さらに、複数のステータコアは、1対(pair)、複数対(pairs)、または奇数(odd number)で電気的に接続される。
【0016】
上記の第3態様による実施形態において、システムは1つ以上の電気相を生成するためのものであり、ロータは複数の磁石を含むことが好ましい。より好ましくは、このような複数の磁石(NRM)の数は、下記の式(expresson)の積を切り上げることによって決定される。
【0017】
【数1】
ここで、NEPは意図する電気相の数であり、NSCはステータコアの数である。計算の例は、この概要(Summary)の後半で提供される。
【0018】
好ましくは、磁石及び核(nucleus/nuclei)は、略同じ断面寸法を有する。
【0019】
システムが複数のステータ及び/または複数のロータを含むことも好ましい。より好ましくは、システムは、複数のステータ及び/又は複数のロータを含み、このような複数のステータ及びロータは、同軸上に、交互に、直接接触せずに整列している。
【0020】
上記の第3態様による一実施形態において、意図する動作中の任意のインスタンスで各ステータコアがロータの磁石にさらされるように、ロータ及びステータ及びそれらの整列を構成することも好ましい。これは、ほぼ同じサイズを有するように、(i)すべてのステータコアの中心が位置する周囲を有する第1仮想円と、(ii)すべてのロータの磁石の中心が位置する周囲を有する第2仮想円と、を構成することにより、かつ、第1及び第2仮想円が同心円となるようにロータ及びステータを整列することにより、可能になることが望ましい。
【0021】
上記の第3態様による実施形態は、ロータが複数の磁石を含むように構成されてもよい。このような場合、ロータの磁石の数は、好ましくは、ステータにおけるステータコアの数と、生成が意図された電気相の数によって決まる係数とにより変わる。より好ましくは、計算は下記のように表される。
【0022】
【数2】
【0023】
【数3】
ここで、C=係数、NEP=意図する電気相の数、NRM=ロータにおけるロータの好ましい磁石数、NSC=ステータにおけるステータコアの数である。なお、数式(2)におけるCの式(expresson)を数式(3)に代入すると、上記数式(1)が得られる。
【0024】
計算の例:二相発電の場合、Cは1+1/2=1.5であり、三相発電の場合、Cは1+1/3=1.33であり、四相発電の場合、Cは1+1/4=1.25である、などがある。
【0025】
さらなる例として、三相発電用のステータのレセプタクルによって3つのステータコアが保持される場合、Cは1.33であり、したがってロータにおける好ましい磁石数はNRM=1.33×3=3.99であり、1つのロータあたり4つの磁石に切り上げられる。同様に、三相発電用のステータレセプタクルによって6つのステータコアが保持される場合、Cは1.33であり、したがってロータにおける好ましい磁石数はNRM=1.33×6=7.98であり、1つのロータあたり8つの磁石に切り上げられ、このように続く。
【0026】
上記の第3態様による実施形態において、数式(1)(または、等価的に、数式(3)と共に数式(2))に基づく好ましい磁石数を実現する場合、ステータコアの好ましい直径は、磁石に直径により変わる。より好ましくは、計算は下記のように表される。
【0027】
【数4】
【0028】
【数5】
ここで、DSC,I=ステータコアの核の直径により定義される、ステータコアの好ましい内径、DRM=ロータの磁石の直径、DSC,O,max=ステータコアのコアの周りに巻き付けられたワイヤの層により形成される直径により定義される、ステータコアの好ましい最大外径、C=上記の数式(2)及び数式(3)による係数である。
【0029】
例えば、三相発電(C=1.33)に直径30mmの磁石を使用する場合、ステータコアの内径は、好ましくはDSC、I=DRM=30mmである。また、ステータコアの外径は、好ましくは、DSC,O,max=2×1.33×30=79.8mmより大きくない。
【0030】
さらに例えば、四相発電(C=1.25)に直径30mmの磁石を使用する場合、ステータコアの内径は、好ましくはDSC、I=DRM=30mmである。また、ステータコアの外径は、好ましくは、DSC,O,max=2×1.25×30=75mmより大きくない。
【0031】
さらに、ステータコアの厚さは、任意の相タイプの電気を生成するために、DSC、IまたはDRMよりも小さいことが好ましい。
【0032】
上記の第3態様による実施形態において、意図した動作中に、同一の位相の電気を生成するために、同一のステータのレセプタクルにおけるすべてのステータコアが同一のインスタンスで同一の磁気極性にさらされるように、ロータ及びステータを位置合わせることも好ましい。複数のステータが同軸に整列される実施形態において、これは、好ましくは、前のステータの第1位置(または第1位置のセット)及び後のステータの第2位置(または第2位置のセット)に、同一の電気相を生成するためのステータコアを配置することによって可能になり、第2位置/位置のセットが、第1位置/位置のセットから角変位を形成する。2つ以上のステータが同軸に整列している実施形態において、そのような角変位は、1つのステータから次のステータへと増加することが好ましい。このような場合、角変位の増分は下記のように表されることがより好ましい。
【0033】
【数6】
ここで、θ=角変位の好ましい増分(度単位)、NRM=上記の数式(1)または数式(3)による、ロータにおけるロータの好ましい磁石数である。
【0034】
例えば、ロータの好ましい磁石数が8であり、その数を実現する場合、1つのステータから次のステータへの角変位の好ましい増分は θ=360°/8=45度である。これは、任意のステータで電気相を生成するためのステータコアが、隣接するステータで同じ電気相を生成するためのステータコアから45度離れて配置されることを意味する。
【0035】
1つのロータごとに複数の磁石が存在する上記の第3態様による実施形態において、磁石は、ロータの各面から見て、磁石のいずれか1つが隣接する磁石の極性とは反対の極性を有するように位置決めすることが好ましい。。
【0036】
本開示の概念による実施形態は、直列接続または並列接続のいずれかに対応するために、同じ概念内で調整することができる。
【0037】
技術的概念をより良く理解するために、添付の図面を参照して、非限定的な例のみを用いて、態様の好適な実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1Aは、本発明の技術的概念の態様によるステータコアの好適な実施形態を示し(縮尺通りではない)、図1Bは、好適な実施形態に係る、図1Aの部分Iによるステータコア巻線の拡大図を示す(縮尺通りではない)。
図2】本発明の技術的概念の態様によるステータの好適な実施形態を示す(縮尺通りではない)。
図3図3Aは、本発明の技術的概念の態様による複数のステータの好ましい軸アライメントを示し(縮尺通りではない)、図3Bは、本発明の技術的概念の態様により整列されたときの、複数のステータにおけるステータコアの好ましい角度アライメントを示し(縮尺通りではない)、図3Cは、本発明の技術的概念の態様により整列されたときの、複数のステータにおける1つの電気相に対するステータコアの好ましい直列接続を示し(縮尺通りではない)、図3Dは、本発明の技術的概念の態様により整列されたときの、複数のステータにおける3つの電気相に対するステータコアの好ましい直列接続を示す(縮尺通りではない)。
図4】本発明の技術的概念の態様によるロータの好適な実施形態を示す(縮尺通りではない)。
図5図5Aは、本発明の技術的概念の態様によるロータ及びステータの好ましいアセンブリを示し(縮尺通りではない)、図5Bは、本発明の技術的概念の態様により組み立てられたときの、ロータ、ステータ、及びそれらの特徴の好ましい軸アライメントを示し(縮尺通りではない)、図5Cは、本発明の技術的概念の態様により組み立てられたときの、ロータ、複数のステータ、及びそれらの特徴の好ましい角度アライメントを示す(縮尺通りではない)。
図6】本発明の技術的概念の態様による発電システムの好適な実施形態を示す(縮尺通りではない)。
図7】代替の実施形態に係るステータコア巻線の拡大図を示す(縮尺通りではない)。
図8図8Aは、代替の実施形態に係る、複数のステータにおける1つの電気相に対するステータコアの並列接続を示し(縮尺通りではない)、図8Bは、代替の実施形態に係る、複数のステータにおける3つの電気相に対するステータコアの並列接続を示す(縮尺通りではない)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の説明は、好適な実施形態を説明するために提供されるものであり、例としてのみ提供されることに留意されたい。本明細書における任意の特定の構成、図、及び寸法は、例示の目的のためのものであり、本技術開示の概念の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0040】
図1Aは、本発明の技術的概念の態様による発電用ステータコア100の一実施形態を示す。この好適な実施形態において、ステータコア100は、直径0.32mmの円形断面を有する固体銅ステータコアワイヤ102から構成される。前記構成は、ステータコアワイヤ102を核の周りに巻き付けることにより行われる。磁化可能なコアは、意図された回転中にさらなる電磁ブレーキを引き起こす可能性があるため、そのような核は、非磁化可能なコア(non-magnetizable core)であることが好ましい。好適な実施形態の場合、核はエアコア104であり、その周りにステータコアワイヤ102の層が巻き付けられ、ほぼ円筒形のスプール106を形成する。ここで、エアコア104によって提供される開口部によって画定される直径は、DSC、Iとして表されるステータコア100の「内径」であり、エアコア104の周りに巻き付けられ、スプール106を形成するステータコアワイヤ102の最外層によって画定される直径は、DSC、Oとして表されるステータコア100の「外径」である。好適な実施形態において、DSC、I=30mm、DSC、O=70mm、ステータコア100の厚さは12mmである。さらに、同じスプール106を形成する同じステータコアワイヤ102の長さに沿って複数のワイヤ交点108を形成するように、ステータコアワイヤ102を巻き付ける。ステータコアワイヤ102が複数のワイヤ交点108を形成することを達成するために、ステータコアの製造方法が用いられる。前記方法は、その構成において、スプール106が終了するまで、2本以上の独立した磁化可能なワイヤ(すなわち、ステータコアワイヤ102)を反対方向(一方は時計回り、他方は反時計回り)に巻くこと、好ましくは連続して交互に巻くこと、すなわち、時計回りに巻かれた第1ワイヤのターンと、反時計回りに巻かれた第2ワイヤの次のターンとを交互に繰り返すことを含む。上記の巻線はすべて、スプール106の中心及び/または底部から始まり、スプール106の表面上の2本のワイヤ102で終わる。これらのワイヤ102は、スプール106が磁気的に誘導されたときに電気的連続性を有するように最初に結合される。
【0041】
図1Bは、好適な実施形態に係るワイヤ交点108の形成に関するさらなる詳細を示す。特に、図1Bは、ステータコアワイヤ102の巻線から形成された絶縁層110を示す。好適な実施形態において、複数の絶縁層110は、エアコア104(図1Bには示されていない)の周りに同心状に積み重ねられ、前述の図1Aに係るスプール106を形成する。ここで、ステータコアワイヤ102は、同一層110内で、ステータコアワイヤ102が交差して編み込まれ、ワイヤ交点108が形成されるように、所定の巻き方向112に向かって巻回される。この好適な実施形態において、図1Bに示すように、時計回りのターンは、反時計回りのターンの等価回数を有する。これと関係なく、本開示の概念によるワイヤ交点108は、異なる巻き方によって形成されてもよく、これは、代替の実施形態の例として後述する。
【0042】
図1Bによれば、各ワイヤ交点108は2対の対向する角度を形成し、第1対の各角度をpとし、第2対の各角度はqとし、pは概ね巻き方向112から離れて向き合い、qは概ね巻き方向112に沿って向き合う。ワイヤ交点108は、任意のサイズの角度p及びqを形成するように構成されてもよい。しかし、好適な実施形態によれば、前記ワイヤ交点108は、約90度の大きさを有する角度p及びqを形成する。
【0043】
好適な実施形態において、図1A及び図1Bに係るステータコア100は、発電用ステータ200の一部を形成する。図2は、好適な実施形態のさらなる態様を示し、ステータ200は、ステータコア100の位置が均等に分布するようにステータコア100を保持するためのステータコアレセプタクル202を含む。好適な実施形態によるステータコアレセプタクル202は、シャフト404(図2において図示せず;後述)を非接触で挿入するためのほぼ円形状のステータの中心孔204を有するディスクのアウトラインを有するように、成形ファイバーグラスから形成される。ステータコアレセプタクル202はさらに、ステータコアレセプタクル202への開口部によって画定される同数のステータコアスロット206、ステータコアスロット206の軸、及びほぼ並列であるステータの中心孔204を提供することにより、ステータコア100を保持するように構成される。ステータコアスロット206の寸法は、ステータコア100が十分に挿入されるように構成される。ステータコアスロット206の全てがステータコア100で満たされ、ステータコア100の全てが意図したとおりにステータコアレセプタクル202により保持されるとき、ステータ200が実質的に対称である方法で、ステータコアレセプタクル202がステータコア100をステータコアレセプタクル202の縁部(edge)に近くに保持できるように、好適な実施形態におけるステータコアスロット206は、ステータコアレセプタクル202上に位置決めされる。
各ステータコア100は、対応する各ステータコアスロット206と永久的または一時的に結合または締結することができる。好適な実施形態において、ステータコアスロット206の所定の位置でファイバーグラス成形プロセス中に、ステータコア100をステータコアレセプタクル202に埋め込むことにより、ステータコア100をステータコアスロット206の内面に永続的に結合する。さらに、この実施形態におけるステータコアレセプタクル202は、補助ロッド406に接触挿入するための6つの周辺孔208(図2において図示せず;後述)を有する。
【0044】
図2にさらに示すように、1つのステータ200は、好ましくは、三相電気を生成する目的で3対のステータコア100を保持するように構成される。ここで示されていない他の実施形態における各ステータ200当たりのステータコア100の数は、6個より少ないまたは多い奇数または偶数であり得ることに留意されたい。このような数は、本開示の概念から逸脱することなく、意図された電気相の数に直接依存する。
【0045】
ステータコア100が、好適な実施形態のために意図したように、ステータコアレセプタクル202によって保持された状態にあるとき、ステータコア100の「対(pair;ペア)」は、2つの各ステータコア100が、同一のステータコアレセプタクル202上で互いに最も離れた2つのステータコアスロット206に配置されることを意味することにさらに留意されたい。図2は、同じ対(ペア)に属する2つのステータコア100を大文字の「A」、「B」、「C」で表すことでペアリング(ベア化)の概念を示す。
【0046】
好適な実施形態において、各ベアのステータコア100は、同じベアの両方のステータコア100と接触する結合ワイヤ210を配置することにより電気的に接続される。この実施形態において、結合ワイヤ210は、ステータコアワイヤ102よりも大きな直径を有する。上述のように、ステータコア100の数は、実施形態によって生成されることを意図した電気相の数に直接対応する。図2は、ステータコア100の各対の好ましい接続を示し、「A」対(ペア)は、第1相の電気を生成するためのものであり、「B」対(ペア)は、第2相の電気を生成するためのものであり、「C」対(ペア)は、第3相の電気を生成するためのものである。
【0047】
図3Aは、好適な実施形態のさらに別の態様の一部を示す。ここで、5つのステータ200は、意図したように、すべてのステータコアスロット206に挿入されて結合されたステータコア100を有する。5つのステータ200は、ステータコアレセプタクル202の周辺孔208を介して補助ロッド406を挿入することにより、同軸に位置合わせされて固定される。好適な実施形態において、6つの補助ロッド406がある(6つのうちの1つが図3Aから省略されている)。一方、シャフト404は、直接接触することなく、すべてのステータ200の中心孔204を通って突出するように位置決めされる。ステータ200も互いに直接接触しない。このようにして、各ステータ200の断面によって画定される平面がほぼ平行になるように、また、隣接する平面間の距離がほぼ等しくなるように、組み立てられたステータ200は、それらのほぼ円形の断面を他のステータ200の断面に向ける。
【0048】
図3Bはさらに、異なるステータ200におけるステータコア100間の好ましい位置関係を示す。前述のように、この好適な実施形態は、三相電気を生成するための例示であり、各ステータ200は6つのステータコア100を有する。また、前述したように、各ステータコア100は、ステータコア100が生成しようとする電気相を表すために「A」、「B」、または「C」で示される。さらに、同じステータ200におけるステータコア100は、上記の図2で説明したように電気的に接続されることに留意されたい。しかしながら、このような電気接続は、簡潔にするために図3Bから省略されている。
【0049】
図3Bに示すように、相(phase)「A」から開始して、同じステータ200のステータコア100に割り当てられた電気相は、前に示した順序に従う:「A」で示される任意のステータコア100から開始し、同じステータ200で時計回りに進み、その順序は、この好適な実施形態において常にA、C、B、A、C、Bである。
【0050】
図3Bは、「A」相が割り当てられたステータコア100のうちの1つに概念的に取り付けられた仮想の三角形のマーカを提供する。これは、同一のステータ200における「A」相の相手側(counterpart)と区別するためである。さらに参照するために、図3Bの5つのステータ200は、ステータNo.1、ステータNo.2、ステータNo.3、ステータNo.4として左から右に呼ばれる。さらにまた参照するために、任意のステータ200の12時の位置を0度位置と呼び、そこから時計回りに回転すると角度が増加する。
【0051】
図3Bによれば、ステータNo.1のマーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される0度の位置を示す。マーカから始まり時計回りに進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0052】
次はステータNo.2であり、マーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される45度の位置を示す。マーカから始まり時計方向に進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0053】
次はステータNo.3であり、マーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される90度の位置を示す。マーカから始まり時計方向に進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0054】
次はステータNo.4であり、マーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される135度の位置を示す。マーカから始まり時計方向に進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0055】
次はステータNo.5であり、マーカは、「A」相ステータコア100のうちの1つが配置される180度の位置を示す。マーカから始まり時計方向に進み、割り当てられた電気相の順序はA、C、B、A、C、Bである。
【0056】
マーカを参照すると、図3Bに係る角変位は、ステータ200のいずれか1つから次のステータまで45度ずつ増加する(すなわち、θ=45度)。
【0057】
図3A及び図3Bに係る上記の構成は、同一の電気相を生成するためのステータコア100が同一のインスタンスで磁化される一方、異なる電気相を生成するためのステータコア100が異なるインスタンスで磁化される方法で、三相電気を生成するためのステータコア100を提供することを目的とする。この目的は、異なるステータ200の間の同一電気相間の電位差を回避することにより、望ましくない放電を回避しつつ達成される。これらの構成はまた、以下で後述するさらなる重要性を有する。同様に、磁化のインスタンスについては後述する。
【0058】
図3Cは、好適な実施形態による異なるステータ200のステータコア100間の電気的接続を示す。以下の図3Cの説明において、マーカ;「A」、「B」及び「C」相;ステータNo.1~No.5;度位置(degree position);などへの言及は、図3Bの説明で前述したものと同じ意味を持つことに留意されたい。
【0059】
特に、図3Cは、ステータ200(及びそのステータコア100)が直列に接続された好適な実施形態を示す。このような接続の選択は、好適な実施形態に付随するものであるが、本発明の技術的概念を実施する上で決して必須ではない。並列接続の例は、代替の実施形態として後述する。
【0060】
さらに特に、図3Cは、電気相「A」が割り当てられたステータコア100に関してのみ、ステータ200間の直列接続を示す。
【0061】
図3Cによれば、ステータNo.1は、0度及び180度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.2は、45度及び225度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.3は、90度及び270度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.4は、135度及び315度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.5は、180度及び0度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有する。
【0062】
図3Cは、好ましい直列接続の順序をさらに示す:
ステータNo.1から開始:0度の位置、及び180度の位置;
ステータNo.2に続く:225度の位置、及び45度の位置;
ステータNo.3に続く:90度の位置、及び270度の位置;
ステータNo.4に続く:315度の位置、及び135度の位置;及び
ステータNo.5に続く:180度の位置、及び0度の位置。
【0063】
この好ましいパターンによれば、同一のステータ200における1つの位置から次の位置に始まり180度増加し、1つのステータ200における1つの位置から次のステータ200における次の位置に続いて45度増加する。当技術分野の当業者は、この好適な実施形態の「B」相及び「C」相に対する直接接続を実現するために、または5つより多いステータ200がある場合などの他の実施形態における直列接続を実現するために、前述の教示を適用できるであろう。
【0064】
いずれの場合も、図3Dは、好適な実施形態によって生成されることを意図した3つの電気相の直列接続を示す。図3Dについての詳細な説明は、図3Cで述べたパターンに従うので、簡潔にするために省略する。
【0065】
図4は、好適な実施形態の態様によるロータ300を示す。ここで、ロータ300は、ディスクの外形を有し、剛性材料、好ましくは合成繊維、より好ましくはアラミド繊維、さらに好ましくはパラアラミド繊維からなる磁石レセプタクル302を含む。あるいは、そのような剛性材料は繊維強化プラスチック(fiber reinforced plastic)であってもよく、強化繊維(reinforcing fiber)は、好ましくはナイロン6及びアラミド繊維を含む合成繊維である。
【0066】
図4の磁石レセプタクル302は、ロータの中心孔304と、磁石レセプタクル302を通る円筒形の開口部によって画定される8つの磁石スロット306とを含む。磁石スロット306のそれぞれは、磁石308を保持するための手段を含む。好適な実施形態において、そのような手段は、一対の弾性部材310、好ましくは細長い非金属ストリップ/フィンを、それぞれの磁石スロット306の内面に取り付け、磁石スロット306の異なる端部に位置するほぼ対向する縁部(エッジ)312に近接して提供することにより実現され、そこから弾性部材310は、縁部312から概ね離れて突出し、磁石スロット306を部分的にカバーするように構成され、これによりその部分的なカバーにより提供された側面開口部314を通して磁石308を意図的に挿入または取り外しすることができ、同時に、(後述する)好適な実施形態の意図的な動作中のロータ300の動きによって引き起こされる可能性のある磁石308の意図しない取り外しを防止することができる。
【0067】
図4は、磁石308が、好ましくは磁石レセプタクル302の縁部に近接し、隣接する磁石308からほぼ均一な距離で離れて保持されることをさらに示す。
【0068】
好適な実施形態において、8つの磁石308は、極性が隣接する磁石308(すなわち、北、南、北、南、北、南、北、及び南)(図4において、北極は「+」で表され、南極は「-」で表される)の間で交互になるように設定される。
【0069】
図4に示す好適な実施形態において、磁石レセプタクル302の寸法は、直径約192mm、ロータの中心孔304から磁石スロット306の中心までの距離約75.75mm、及び厚さ約11mmである。ここで、ロータの中心孔304は、シャフト404(図4には図示せず、後述)の断面形状と係合するための手段を提供するために、ほぼ六角柱の形状を有する物体を係合して収容するように構成された開口部である。この好適な実施形態において、ロータの中心孔304の各側面は、磁石スロット306の直径にほぼ相当する長さを有する。
【0070】
磁石308は、永久磁石または電磁石であってもよい。好適な実施形態において、磁石308は、ほぼ円筒形のネオジム磁石である。したがって、磁石スロット306は、そのような寸法の磁石306を十分に収容し、磁石308を保持する前述の手段を収容するように構成される。この好適な実施形態において、磁石308は、直径30mm及び厚さ10mmである。
【0071】
図5Aは、5つのステータ200及び6つのロータ300がシャフト404及び補助ロッド406に組み立てられる、好適な実施形態によるさらなる態様を示す。ステータ200の各々は、2つのロータ300によって両側から直接接触することなく側面視されており、1つのステータ200と1つのロータ300との間で交互に配置される、ほぼ同軸上に整列された部材の列を形成し、このような列の最初の部材と最後の部材がロータ300である。各ステータ200とその隣接するロータ300は、この好適な実施形態の意図された動作中に、磁気誘導がそのような部材にわたって影響を及ぼすように十分に離間されている(詳細は後述)。補助ロッド406は、ステータ200の周辺孔208に挿通してステータ200と直接接触し、より好ましくはネジ(図示せず)で位置固定される。しかし、補助ロッド406は、ロータ300と直接接触しない。これは、ロータ300よりも大きな直径を有するステータ200と、ロータ300の縁部(エッジ)よりも共通軸から離れた位置にある周辺孔208とによって可能になる。一方、シャフト404は、ステータの中心孔204及びロータの中心孔304を通って共通軸に沿って突出するが、シャフト404は、ロータの中心孔304のみと直接接触する。これは、ロータの中心孔304よりも大きな直径を有するステータの中心孔204によって可能になる。
【0072】
この好適な実施形態において、最も近いロータ300間の距離は実質的に均一であり、約14mmである。
【0073】
また、図5Aのステータ200は、上記の図3A図3B図3C及び図3Dにより整列及び構成されることが好ましい。一方、図5Aのロータ300は、1つのロータ300上の磁石308の北極(+)が、次のロータ300の別の磁石308の南極(-)に対して、ほぼ同じ軸方向の整列に沿って、かつ、全体にわたって向き合うように配置されることが好ましい。換言すれば、上記の図3B図3C、及び図3Dに係るステータ200及びステータコア100の構成とは対照的に、異なるロータ300の磁石308は、図5Aの任意の角変位に従わない。すべてのロータ300の磁石308は、同じ角度位置にある場合、その極性(+、-)を同じ方向に向ける。
【0074】
ここで、シャフト404は、図5Aにより組み立てられたときにロータの中心孔304と係合するように、ほぼ六角形の断面領域を有する。一方、ステータの中心孔204は、図5Aにより組み立てられたときにシャフト404との直接の接触または係合を回避するためのクリアランス(clearance)を提供するように、ほぼ円形状であり、シャフト404よりも実質的により広い。このようにして、シャフト404が機械的動力を受けて回転すると(詳細は後述)、シャフト404は、係合するロータ300のみを回転させ、係合しないステータ200を静止状態のままにする。
【0075】
図5Bは、好適な実施形態に関連するさらなる態様を示す。図5Bでは、図5Aに係るアセンブリからの1つのロータ300及び1つのステータ200のみを示し、簡潔にするために他の構成要素を省略する。この図において、ステータ200は、上記の図3B図3C及び図3Dに係るステータNo.1である。図5Bは、ステータ200におけるステータコア100、ロータ300における磁石308の、この好適な実施形態の寸法及び配置に焦点を当てている。特に、図5Bは、ロータ300(図5Bの左側)とステータ200(図5Bの右側)との正面図を並べて比較したものであり、これらは、先の図5Aで示したように、シャフト404、補助ロッド406などと組み立てられたものと仮定すると、ステータ200及びロータ300の中心は、同じレベルに揃っている。
【0076】
図5Bによれば、磁石308の直径(DRM)は、ステータコア100の内径(DSC,I)とほぼ同じで、30mmである(すなわち、DRM=DSC,I=30mm)。.
【0077】
図5Bによれば、ステータ200は、6つのステータコア100すべての中心が位置する周囲を有する第1仮想円を有し、ロータ300は、8つの磁石308すべての中心が位置する周囲を有する第2仮想円を有する。この好適な実施形態によれば、第1仮想円及び第2仮想円は、略同じ周囲を有し、約480mmである。図5Bに想定される図5Aの組立状態では、ステータ200とロータ300は共通の中心を共有する。したがって、共通平面上に投影された場合(例えば、ステータ200からロータ300上に第1仮想円を投影した場合、またはその逆の場合)、2つの周囲は互いに実質的に重なり合う。
【0078】
図5Cは、好適な実施形態に関連するさらに多くの態様を示す。図5Cでは、図5Aに係るアセンブリからの1つのロータ300及び4つのステータ200のみを示し、簡潔にするために他の構成要素を省略する。この図において、4つのステータ200は、上記の図3B図3C、及び図3Dに係るステータNo.1、No2、No3、及びNo4である。図5Cは、ステータ200におけるステータコア100、ロータ300における磁石308の、この好適な実施形態の角度関係に焦点を当てている。特に、図5Cは、ロータ300(図5Cの左側)とステータNo.1、No.2、No.3、及びNo.4(図5Cの右側に向かってロータ300に隣接するものから開始)との正面図を並べて比較したものであり、これらは、先の図5Aで示したように、シャフト404、補助ロッド406などと組み立てられたものと仮定すると、ステータ100及びロータ300の中心は、同じレベルに揃っている。
【0079】
図5Cにおいて、仮想円周上に8つの磁石308が均等に分布している場合、1つの磁石308の中心から次の磁石308の中心までの円弧は、その仮想円内で約45度の角度を形成する。前記45度は、図3B図3C及び図3Dに関連して前述したように、1つのステータ200から次のステータへの角変位の増分に相当する。したがって、図5Cは、ロータ300の0度及び180度の位置にある磁石308が、ステータNo.1の「A」相ステータコア100と整列しており、ロータ300の45度及び225度の位置にある磁石308が、ステータNo.2の「A」相ステータコア100と整列しており、ロータ300の90度及び270度の位置にある磁石308が、ステータNo.3の「A」相ステータコア100と整列しており、ロータ300の135度及び315度の位置にある磁石308が、ステータNo.4の「A」相ステータコア100と整列していることを示す。
【0080】
図5Cは、好適な実施形態が静止状態にあるときの角度アライメントの単純な例として機能し、また、そのような好適な実施形態が意図したとおりに動作しているときの所定のインスタンスにおける角度アライメントの単純な例として機能する。
【0081】
図6は、好適な実施形態に係るさらに別の態様を示す。これらの態様において、5つのステータ200と6つのロータ300の列は、図5A図5B及び図5Cによるシャフト404と組み立てられ、ステータ200、ロータ300、シャフト404の主要部及び補助ロッド406を覆うためのフレーム402を含む外部ケース400とさらに組み立てられる。この好適な実施形態において、フレーム402の長さはシャフト404の長さよりも短く、シャフト404がフレーム402の範囲(confine)を通過できるように、側面開口部408はフレーム402の対向側を介して設けられる。それにより、側面開口部408の直径は、意図した操作中にシャフト404が通過及び回転するのに十分なクリアランスを提供する必要がある。前述の構成要素は、シャフト404の長さに沿った軸が地面に対して実質的に水平になり、ステータ200及びロータ300がフレーム402、地面、及び互いに直接接触しないように組み立てられることが望ましい。フレーム402は、固体材料、好ましくは非導電性かつ非磁化可能な材料からなる箱であることが望ましく、ステータ200及びロータ300の実質的な全体を覆うように作る必要はない。図6に示すように、フレーム402は、本技術開示の意図する動作に影響を与えることなく、そのような構成要素を緩く覆うように設計されている。好ましくは、外部ケース400は、シャフト404を支持する手段及び補助ロッド406を支持する手段を提供するべきである。
【0082】
この好適な実施形態において、シャフト404を支持する前記手段は、一対のピローブロック軸受410を提供することで実現される。図6では、ピローブロック軸受410を、側面開口部408を有するフレーム402の側面から概ね離れて突出するフレーム延長部412に取り付けて締結する。各ピローブロック軸受410の各フレーム延長部412への締結は、従来の締結手段によって行われてもよい。ブロック軸受410及びフレーム延長部412は、側面開口部408に十分に近い位置に配置されることが望ましく、これにより、両方の側面開口部408を通過したシャフト404は、ピローブロック軸受410を介して挿入されて支持され得る。構造的支持に加えて、ピローブロック軸受410は、この好適な実施形態の意図された通常の動作中にシャフト404の回転を容易にすること目的としている。
【0083】
この好適な実施形態において、補助ロッド406を支持する上記の手段は、補助ロッド406をフレーム402に取り付けることにより、具体的には、補助ロッド406の各端部をフレーム402の各側にねじ込むことによって実現される。
【0084】
外部ケース400においてステータ200の各独立相を直列に接続した後、電気相ごとに2本の出力線(図示せず)が使用される。このような出力線(図示せず)は、厚さ0.1mmの過負荷ヒューズ(図示せず)に接続され、ヒューズから任意の電気消費装置に接続される。図6はまた、シャフト404が、一方の端部の近くで、機械的動力500を供給する手段にさらに結合されていることも示す。この好適な実施形態に係る例によれば、そのような手段は、4.8馬力のガソリンエンジン502である。ガソリンエンジン502は、ベルト508が係合可能に取り付けられたプーリ506からなる動力伝達機構504と結合される。この好適な実施形態において、実質的に1:1のサイズ比の2つのプーリ506があり、ベルト508はゴム製のV型歯付きベルトである。プーリ506のうちの1つはガソリンエンジン502と結合され、別のプーリ506はシャフト404と結合される。したがって、各プーリ506は、場合によっては、ガソリンエンジン502によって駆動されてシャフト404を駆動するのに十分な嵌合及び係合を提供するように構成されるべきである。
【0085】
意図した操作に関する説明は、機械的動力を供給する手段500から始まる。好適な実施形態において、ガソリンエンジン502が始動し、動力伝達機構504を介して伝達される機械的動力を提供する。具体的に、そのような機械的動力は第1プーリ506の回転を駆動し、続いてこれは取り付けベルト508を引っ張り、シャフト404に係合可能に結合された第2プーリ506の回転を駆動する引っ張り動作を誘導する。その結果、シャフト404は、外部ケース400のフレーム402の両側に位置するピローブロック軸受410の支持及び促進により回転する。現在回転しているシャフト404は、さらに6つのロータ300に係合し、5つのステータ200には係合しないため、ロータ300のみが、補助ロッド406の助けにより静止したままのステータ200に対して、同時にそして相対的に回転する。
【0086】
ロータ300の回転中、磁石スロット306によって保持された磁石308は、各ステータ200上に保持されたステータコア100を磁化するための磁場を提供する。ロータ300の回転により、そのような磁化は、ロータ300が動き続けている限り、連続的に交互に発生する-すなわち、ステータコア100は、第1方向の磁場によって磁化され、次いで、反対方向である第2方向の磁場によって磁化される。この好適な実施形態は、負荷を有する4,500~5,000RPMの回転速度及び関係1:1で効果的に動作するが、この例のRPM範囲は、決して本発明の技術的概念に係る実施形態の動作限界を示唆するものではない。このような交互磁化は交流電気の発生を誘導する。ステータ200ごとに3対のステータコア100を有する好適な実施形態において、生成された電気は三相である。
【0087】
上記の態様が発電効率を改善できる理由は、出願人には完全には知られていないが、そのようなワイヤ交点108を設けることによりステータコア100を形成することは、電磁ブレーキベクトルを互いに対向させて相殺し合うように導き、これにより、既存の発電システムで通常発生する遅延効果が実質的に低減すると考えられる。この観点から、本開示による態様は、(レンツの法則に従って自然に生じる)電磁ブレーキを抑制するというよりも、電磁ブレーキを効果的に非遅延の方向に導くということである。
【0088】
代替の実施形態。
以下の代替の実施形態は、本発明の技術的概念の幅を明確にするための、かつ、本発明の技術的概念に含まれるさらなる調整を提案するためのさらなる例であることを意図しており、したがって、限定的に解釈されるべきではない。
【0089】
ステータコアにワイヤ交点を形成。
前述の図1Bに係るワイヤ交点108を形成する例に加えて、ワイヤ交点108を、図7に示す代替の構成により形成することもできる。この代替の実施形態において、ステータコアワイヤ102は、同じ層(layer)内に織り込まれていない。その代わりに、ステータコアワイヤ102は、複数の隣接層110Aによりワイヤ交点108が形成されるように、所定の巻き方向112に巻き付けられる。この代替案は、本開示の概念によるステータコア100の構成が、同じ層内ではなく同じスプール106内でのステータコアワイヤ102の有効な交差に依存していることを示す。換言すれば、ステータコアワイヤ102は交差する必要があるが、織る必要はなく、直接接触する必要もない。
【0090】
また、上述の好適な実施形態は、核(すなわち、エアコア104)の周りに1つのステータコアワイヤ102を巻き付けることによりワイヤ交点108の形成を選択するが、そのようなワイヤ交点108はまた、核の周りに2つ以上のステータコアワイヤ102を巻き付けることにより形成されてもよい。このような代替の実施形態(図示せず)では、2本以上のステータコアワイヤ102を、巻き付けを容易にするために1つ以上の位置で接合してもよい。このようなステータコアワイヤ102を接合する手段の例としては、ステータコアワイヤ102の端部(またはそれに近い位置)同士を結び合わせる方法と、ステータコアワイヤ102の端部(またはそれに近い位置)を核(すなわち、核がエアコア104ではない実施形態において)に固定する方法と、が挙げられる。
【0091】
ステータ間の並列接続。
前述の図3C及び図3Dに係る、異なるステータ200のステータコア100間の直列接続の例に加えて、電気的接続は任意選択的に並列接続であってもよい。図8Aは、5つのステータ200が並列に接続されるさらに別の代替の実施形態を示す。上記の図3Cと同様に、図8Aは、電気相「A」が割り当てられているステータコア100に対してのみ、ステータ200間の並列接続を示している。
【0092】
図8Aは、「A」相が割り当てられたステータコア100に概念的に取り付けられた仮想の三角形のマーカを提供する。これは、同一のステータ200における「A」相の相手側と区別するためである。さらに参照するために、図8Aの5つのステータ200は、ステータNo.1、ステータNo.2、ステータNo.3、ステータNo.4として左から右に呼ばれる。さらにまた参照するために、任意のステータ200の12時の位置を0度位置と呼び、そこから時計回りに回転すると角度が増加する。
【0093】
図8Aによれば、ステータNo.1は、0度及び180度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.2は、45度及び225度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.3は、90度及び270度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.4は、135度及び315度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有し、ステータNo.5は、180度及び0度の位置に2つの「A」相ステータコア100を有する。図8Aは、好ましい並列接続の順序をさらに示す:
ステータNo.1:0度の位置は第1ノード212に接続され、180度の位置は第2ノード214に接続され、0度の位置は180度の位置に接続される。
ステータNo.2:225度の位置は第1ノード212に接続され、45度の位置は第2ノード214に接続され、225度の位置は45度の位置に接続される。
ステータNo.3:90度の位置は第1ノード212に接続され、270度の位置は第2ノード214に接続され、90度の位置は270度の位置に接続される。
ステータNo.4:315度の位置は第1ノード212に接続され、135度の位置は第2ノード214に接続され、315度の位置は135度の位置に接続される。
ステータNo.5:180度の位置は第1ノード212に接続され、0度の位置は第2ノード214に接続され、180度の位置は0度の位置に接続される。
【0094】
ここで、同一のステータ200における同一の電気相のステータコア100は直接接続される。一方、異なるステータ200のステータコア100間には直接的な接続はないが、異なるステータ200のステータコア100は、第1ノード212及び第2ノード214を介して間接的に接続される。特に、第1ノード212に接続された1つのステータ200におけるの1つの位置から、225度増加した次のステータ200における位置もまた、第1ノード212に接続される。同様に、第2ノード214に接続された1つのステータ200上の1つの位置から、度合いが225によって増加する次のステータ200上の位置もまた、第2ノード214に接続される。当技術分野の当業者は、この代替の実施形態の「B」相及び「C」相に対する並列接続を実現するために、または5つより多いステータ200がある場合などの他の代替の実施形態における並列接続を実現するために、前述の教示を適用できるであろう。
【0095】
いずれの場合も、図8Bは、代替の実施形態を実施することによって生成されることを意図したすべての電気相の並列接続を示す。図8Bについての詳細な説明は、図8Aで述べたパターンに従うので、簡潔にするために省略する。
【国際調査報告】