(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】加工後変性を有する水溶性繊維およびそれを含有する物品
(51)【国際特許分類】
D06M 11/00 20060101AFI20230626BHJP
D06M 11/38 20060101ALI20230626BHJP
D01F 8/10 20060101ALI20230626BHJP
D04H 1/4309 20120101ALI20230626BHJP
D04H 1/46 20120101ALI20230626BHJP
【FI】
D06M11/00 110
D06M11/38
D01F8/10 C
D04H1/4309
D04H1/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572334
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 US2021035448
(87)【国際公開番号】W WO2021247705
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508122415
【氏名又は名称】モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブライドウェル, ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】ジース, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ナイト, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】シェイ, アリッサ
【テーマコード(参考)】
4L031
4L041
4L047
【Fターム(参考)】
4L031AA13
4L031AB23
4L031AB34
4L031BA10
4L031CA01
4L041BA21
4L041BC02
4L041BC20
4L041CA44
4L041DD11
4L041EE14
4L047AA16
4L047AA18
4L047AA27
4L047BA03
4L047CB10
4L047CC04
4L047CC05
4L047DA00
(57)【要約】
繊維を処理する方法は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む繊維を、加水分解剤溶液と混合して混合物を形成して、繊維の少なくとも一部の加水分解度を増加させるステップを含む。実施形態では、本開示は、一般に、水溶性繊維に関する。より詳細には、本開示は、加水分解によって繊維形成後に変性されたポリビニルアルコールを含む水溶性繊維に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を処理する方法であって、
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む繊維を、加水分解剤溶液と混合して混合物を形成して、前記繊維の少なくとも一部の前記加水分解度を増加させるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記繊維および前記加水分解剤溶液の前記混合物を加熱するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加水分解剤溶液が、前記繊維の前記一部に所定の加水分解度または所定の加水分解度増加の少なくとも1つを提供するのに十分な条件下で混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維が、約1分~約48時間の範囲の時間、前記加水分解剤溶液と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維が、約10℃~約100℃の範囲の温度で、前記加水分解剤溶液と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーが、前記繊維を前記加水分解剤溶液と混合する前に、約79%超かつ約96%未満の加水分解度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記繊維が、前記繊維を前記加水分解剤溶液と混合した後に水溶性である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記加水分解剤溶液が、加水分解剤および溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記加水分解剤が、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ジハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、水またはその組合せを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記加水分解剤が、金属水酸化物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属水酸化物が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、主族金属水酸化物またはその組合せを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加水分解剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化トリアルキルスズまたはその組合せを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記加水分解剤が、前記溶媒の重量に基づいて、約0.2%~約75%(w/w)の量で提供される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記繊維が、前記溶媒に不溶である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒が、極性溶媒を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒が、n-プロパノール、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水またはその組合せからなる群から選択される1つまたは複数の溶媒を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒が、非極性溶媒を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記溶媒が、混合条件下で液体であるアルコールを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒が、第1の溶媒および第2の溶媒の混合物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の溶媒が、極性溶媒を含み、前記第2の溶媒が、非極性溶媒を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の溶媒が、第1の誘電率を有し、前記第2の溶媒が、第2の誘電率を有し、前記第1の誘電率が、前記第2の誘電率よりも高い、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の誘電率および前記第2の誘電率の差が少なくとも3である。請求項21に記載の方法。
【請求項23】
活性化剤を、前記繊維および前記加水分解剤溶液と混合するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、アニオン変性コポリマーを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記アニオン変性コポリマーが、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記繊維が、追加のポリマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記繊維を前記加水分解剤溶液と混合するステップが、コアおよびシースを含む構造を有する横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で実施され、前記コアが、第1の加水分解度を有する前記ポリマーを含み、前記シースが、前記第1の加水分解度よりも高い第2の加水分解度を有する前記ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記繊維を加水分解剤溶液と混合するステップが、前記繊維の内部領域から前記繊維の表面領域への加水分解度の増加勾配を有する横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記繊維を前記加水分解剤溶液と混合するステップが、横断面を有する繊維であって、前記横断面にわたって前記ポリマーが同じ加水分解度を有する、繊維を提供するのに十分な条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約1分間~約24時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記繊維が、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約12時間~約24時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記繊維が、カルボキシレートまたはスルホネート変性を有し、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するアニオン変性コポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約12時間~約24時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記繊維が、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約1時間~約12時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記繊維が、カルボキシレートまたはスルホネート変性を有し、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するアニオン変性コポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約1時間~約12時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記繊維が、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、最大約1時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記繊維が、カルボキシレートまたはスルホネート変性を有し、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するアニオン変性コポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、最大約1時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
繊維を処理する方法であって、
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む繊維の表面を、加水分解剤溶液と接触させて、前記繊維の少なくとも前記表面を含む前記繊維の領域において前記ポリマーの前記加水分解度を増加させるステップ
を含む、方法。
【請求項41】
繊維の表面を加水分解剤溶液と接触させるステップが、浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリントまたはその組合せを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記繊維の前記表面を前記加水分解剤溶液と接触させるステップが、連続インラインプロセスの一部として、前記繊維の形成後に実施される、請求項40に記載の方法
【請求項43】
前記繊維が、前記繊維の前記表面を前記加水分解剤溶液と接触させるステップの間、動いている、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記繊維の前記表面を前記加水分解剤溶液と接触させるステップが、バッチプロセスによってバッチで実施される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記繊維が、ステープル繊維、ステープルヤーン、繊維フィル、ニードルパンチ布、結合繊維またはその組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記繊維の前記表面を前記加水分解剤溶液と接触させた後に、前記繊維を洗浄および乾燥するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記繊維を洗浄するステップが、前記繊維を非溶媒ですすぐことを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記繊維を乾燥するステップが、エアジェット乾燥、撹拌、ボルテックス、遠心分離またはその組合せを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、アニオン変性コポリマーを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記アニオン変性コポリマーが、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記繊維が、追加のポリマーをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せからなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記加水分解剤溶液が、加水分解剤および溶媒を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記加水分解剤が、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト化合物、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、水またはその組合せを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記加水分解剤が、金属水酸化物を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記金属水酸化物が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、主族金属水酸化物またはその組合せを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記金属水酸化物加水分解剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化トリアルキルスズまたはその組合せを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記加水分解剤が、前記溶媒の重量に基づいて、約0.2%~約75%(w/w)の量で提供される、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記繊維が、前記溶媒に不溶である、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記加水分解剤溶液が、活性化剤をさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む複数の繊維を含む不織布ウェブを処理する方法であって、
前記不織布ウェブの少なくとも一部を加水分解剤溶液と接触させて、前記複数の繊維中の前記ポリマーの前記加水分解度を増加させるステップ
を含む、方法。
【請求項63】
前記不織布ウェブの少なくとも一部を加水分解剤溶液と接触させるステップが、浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリントまたはその組合せを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記不織布ウェブの少なくとも一部を加水分解剤溶液と接触させるステップが、前記複数の繊維を結合させて前記不織布ウェブにするのと同時に行われる、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
接触および結合が、化学結合を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
接触および結合が、熱活性化触媒を使用することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、アニオン変性コポリマーを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記アニオン変性コポリマーが、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記繊維が、追加のポリマーをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項71】
前記追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せからなる群から選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記加水分解剤溶液が、加水分解剤および溶媒を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項73】
前記加水分解剤が、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト化合物、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、水またはその組合せを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記加水分解剤が、金属水酸化物を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記金属水酸化物が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、主族金属水酸化物またはその組合せを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記加水分解剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化トリアルキルスズまたはその組合せを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記加水分解剤が、前記溶媒の重量に基づいて、約0.2%~約75%(w/w)の量で提供される、請求項72に記載の方法。
【請求項78】
前記繊維が、前記溶媒に不溶である、請求項72に記載の方法。
【請求項79】
前記加水分解剤溶液が、活性化剤をさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項80】
コア-シェル構造を有する粒子を作製する方法であって、
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む粒子を、加水分解剤溶液と混合して混合物を形成して、前記粒子の表面領域における前記加水分解度を増加させるステップ
を含む、方法。
【請求項81】
前記粒子および前記加水分解剤溶液の前記混合物を加熱するステップをさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記加水分解剤溶液が、所定の加水分解度または前記粒子の中心から前記粒子の外面に向けて増加する前記加水分解度の所定の増加勾配の少なくとも1つを提供するのに十分な条件下で混合される、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記粒子が、約10℃~約100℃の範囲の温度で、約1分間~約48時間の範囲の時間、前記加水分解剤溶液と混合される、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記ポリマーが、前記粒子を前記加水分解剤溶液と混合する前に、約79%超かつ約96%未満の加水分解度を有する、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記粒子が、コア領域およびシェル領域を含むコア構造を有し、前記シェル領域の前記ポリマーが、前記粒子を前記加水分解剤溶液と混合した後に約88%~約96%の範囲の加水分解度を有する、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記粒子が、前記粒子を前記加水分解剤溶液と混合した後に水溶性である、請求項80に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張および相互参照
本出願は、2020年6月2日に出願された米国特許仮出願第63/033,601号の利益を主張し、この出願は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、水溶性繊維に関する。より詳細には、本開示は、加水分解によって繊維形成後に変性されたポリビニルアルコールを含む水溶性繊維に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
不織布ウェブは、伝統的に、包帯、おむつ構成物、女性のケアおよび成人の失禁などのパーソナルケア製品を含む多くの1回使い切り消費者製品、ならびに工業用途、医療用途、清浄用途およびパーソナル/ベビーケアなどにおける1回使い切りワイプに使用される。そのような製品に使用される伝統的な化学物質、例えば、ビスコース、ポリプロピレンまたは綿繊維は、一般に、非持続性であり、非生分解性であり、マイクロプラスチックの潜在的原因因子であり、多くの場合、トイレに流され、廃水処理および下水施設に入ることなどによって不正確に廃棄される。公知のワイプは、ごみ入れに入れて廃棄されなくてはならず、これは、使用者にとって衛生的でも便利でもない場合がある。これらの物品の不適切な廃棄の結果、家の配管が詰まり、住宅および都市廃水システムにおいて、「ファットバーグ」、または固まったグリースおよび調理用脂および使い捨てワイプで構成される生分解性および非生分解性材料の固まった塊の凝集物が形成され、海洋マイクロプラスチックの原因となり得、消費者行動の変化が必要とされ得る。
【0004】
水溶性物品の溶解度プロファイルおよび機序(例えば、熱水溶性対冷水溶性、易溶性対遅延溶性または延長放出)は、物品の最終使用に基づいて調節される必要があり得る。水溶性繊維を含む物品の場合、溶解度プロファイルおよび機序は、一般に、加水分解度または重合度を有する繊維形成材料を選択することによって変動する。しかしながら、繊維形成材料の加水分解度および重合度はまた、繊維形成材料が繊維を形成する能力にも影響する。したがって、所望の溶解度プロファイルを有する繊維をもたらす所望の加水分解度および重合度を有する特定のポリマーで形成された繊維は、繊維形成材料が繊維作製プロセスに耐えられないことがあるため、入手できないことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示の一態様は、100%未満の加水分解度を有する、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーなどの加水分解性ポリマーを含む繊維を処理する方法であって、繊維および加水分解剤溶液を混合して、繊維中のポリマーの少なくとも一部の加水分解度を増加させるステップを含む、方法を提供する。
【0006】
本開示の別の態様は、100%未満の加水分解度を有する、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーなどの加水分解性ポリマーを含む繊維を処理する方法であって、繊維の表面を加水分解剤溶液と接触させて、繊維の少なくとも表面を含む繊維の領域中のポリマーの加水分解度を増加させるステップを含む、方法を提供する。
【0007】
本開示の別の態様は、本開示の方法に従って調製された繊維を提供する。
【0008】
本開示の別の態様は、表面領域および内部領域を有する繊維であって、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーである加水分解性ポリマーを含み、表面領域のポリマーが内部領域のポリマーよりも高い加水分解度を有することによって特徴付けられる横断面を有する、繊維を提供する。必要に応じて、繊維の横断面は、内部領域から表面領域へのポリマーの加水分解度の増加勾配によって特徴付けられる。
【0009】
本開示の別の態様は、コア-シェル構造とも呼ばれるコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を含む繊維であって、100%未満の加水分解度を有する、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーなどの加水分解性ポリマーを含む第1のコア領域と、第1の領域のポリマーよりも高い加水分解度を有するようなポリマーを含む第2のシェル領域とを有する、繊維を提供する。
【0010】
本開示の別の態様は、100%未満の加水分解度を有する、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーなどの加水分解性ポリマーを含む複数の繊維を含む不織布ウェブを処理する方法であって、不織布ウェブの少なくとも一部を加水分解剤溶液と接触させて、不織布ウェブの一部の繊維のポリマーの加水分解度を増加させるステップを含む、方法を提供する。
【0011】
本開示の別の態様は、本開示の方法に従って処理された不織布ウェブを提供する。
【0012】
本開示の別の態様は、本開示の繊維を含む不織布ウェブを提供する。
【0013】
本開示の別の態様は、本開示の方法に従って処理された不織布ウェブまたは本開示の繊維を含む不織布ウェブを含む第1の層を含む多層不織布ウェブを提供する。
【0014】
本開示の別の態様は、内部ポーチ体積部を画定するポーチの形態の、本開示による不織布ウェブを含むポーチを提供する。
【0015】
本開示の別の態様は、本開示の不織布ウェブを含む封止物品を提供する。
【0016】
本開示の別の態様は、本開示の不織布ウェブを含む水に流せる物品を提供する。
【0017】
本開示の別の態様は、着用者側面および外側面を有する吸収コア、ならびに液体取得層を含む着用可能吸収物品であって、液体取得層が、本開示の不織布ウェブを含む、着用可能吸収物品を提供する。
【0018】
さらなる態様および利点は、以下の詳細な説明の検討から、当業者に明らかになる。繊維、不織布ウェブ、ポーチ、物品およびそれらの作製方法は、様々な形態の実施形態が可能である一方、本明細書の以下の記載は、本開示が例示であることの理解とともに特定の実施形態を含み、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図されていない。
【0019】
本開示の理解をさらに促進するために、14の図を本明細書に添付する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1A~1Dは、様々な繊維形状の横断面を示し、線は繊維の直径を示す。
【0021】
【
図2A】
図2Aは、コア-シース構造によって特徴付けられる丸繊維の横断面を示し、シース202のポリマーは、コア201のポリマーよりも高い加水分解度を有する。
【0022】
【
図2B】
図2Bは、内部領域301から表面領域302へのポリマーの加水分解度の増加勾配によって特徴付けられる丸繊維の横断面を示す。
【0023】
【
図2C】
図2Cは、横断面にわたってポリマーが同じ加水分解度を有することによって特徴付けられる丸繊維の横断面を示す。
【0024】
【
図3】
図3は、第1のコア領域401、第2のシースまたはシェル領域402、ならびに第1および第2の領域間に配置された2つの中間領域403Aおよび403Bを有する丸繊維の横断面を示し、繊維の横断面は、第1の領域から第2の領域へのポリマーの加水分解度の増加勾配によって特徴付けられる。
【0025】
【
図4】
図4は、本明細書に記載の液体放出試験において使用するためのワイヤフレームケージ(その中に含まれた水溶性ポーチをより良好に示すために、上部は開放して示されている)の図である。
【0026】
【
図5】
図5は、スタンドに載せられたビーカー、ビーカー中にケージを下降させるためのロッドを保持するスタンド、止めネジ(図示せず)を有する軸つばによって固定可能なロッドを含む液体放出試験を実施するための装置を示す。
【0027】
【
図6A】
図6Aは、1の柔らかさ等級を有する本開示の不織布ウェブの顕微鏡写真画像である。
【0028】
【
図6B】
図6Bは、5の柔らかさ等級を有する本開示の不織布ウェブの顕微鏡写真画像である。
【0029】
【
図7】
図7は、ウェブの外面を100および101と記した不織布ウェブを示す。
【0030】
【
図8】
図8は、繊維を10℃~23℃の範囲の温度の水と接触させて、繊維の長手方向軸に沿った収縮率を測定するために使用する装置設定を示す。
【0031】
【
図9】
図9は、繊維を、それぞれ溶媒(メタノールまたは10%メタノール/90%ヘキサン)中、0.05Mの塩基(NaOHまたはKOH)で、40℃で1分間処理する前および処理した後の繊維(繊維A)のATR-FTIR結果を示す。
【0032】
【
図10】
図10は、10℃または23℃の温度の水と接触させた繊維での異なる加水分解度を有する異なる繊維の長手方向軸に沿った繊維収縮率を示す。
【0033】
【
図11】
図11は、加熱メタノールに曝露する前および曝露した後の例示の繊維(繊維A)を有する不織布ウェブの破壊時間(秒)および崩壊時間(秒)を示す。
【0034】
【
図12】
図12は、異なる加水分解度を有する繊維を含む不織布ウェブの破壊時間(秒)を示す。
【0035】
【
図13】
図13は、異なる加水分解度を有する繊維を含む不織布ウェブの崩壊時間(秒)を示す。
【0036】
【
図14】
図14は、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む例示のブロックの内部(「内側」)領域および表面(「外側」)領域のATR-FTIR結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
背景に記載される通り、所望の溶解度プロファイルを有する繊維をもたらす所望の加水分解度および重合度を有する特定のポリマーで形成された繊維は、繊維形成材料が、繊維作製プロセスに耐えられないことがあるため、入手できないことがある。したがって、他の方法では利用できない溶解度プロファイルを入手するために、繊維形成後に繊維の溶解度プロファイルを変性する方法を提供することが有利であると考えられる。
【0038】
さらに、繊維またはそれから調製された水溶性物品の溶解度プロファイルは、特定の最終使用のために設計され得るため、在庫管理のために繊維形成後に繊維の溶解度プロファイルを変性する方法を提供することは有利であると考えられる。加水分解度、およびしたがって、繊維の溶解度プロファイルを加工後変性できる能力により、有利には、1つまたは複数の繊維種類から開始して様々な繊維種類を入手することが可能になると考えられる。
【0039】
本明細書において、繊維またはその表面を加水分解剤溶液と接触させることによって、繊維またはその表面を処理して、繊維またはその表面を構成する加水分解性ポリマーの加水分解度を増加させる方法が提供される。本開示の方法は、有利には、繊維を構成する加水分解性ポリマーの平均加水分解度の増加を有する繊維、コア-シース構造を有する繊維であって、シースもしくは表面領域のポリマーがコアもしくは内部領域のポリマーよりも高い加水分解度を有する、繊維、ならびに/または内部領域から表面領域への、繊維を構成するポリマーの加水分解度の増加勾配を有する繊維を提供することができる。必要に応じて、加水分解性ポリマーは、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む。本明細書で使用される場合、「酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つ」および「酢酸ビニル部分および/またはビニルアルコール部分」は、酢酸ビニル部分のみ、ビニルアルコール部分のみ、または酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分の両方を含む加水分解性ポリマーの例を記載する。実施形態では、本開示の繊維は、加水分解剤溶液での処理前に水溶性であり、加水分解剤溶液での処理後に水溶性のままである。実施形態では、本開示の繊維は、加水分解剤溶液での処理前には冷水溶性であり、加水分解剤溶液での処理後には熱水溶性である。実施形態では、本開示の繊維は、加水分解剤溶液での処理前に冷水溶性であり、繊維の外面の少なくとも一部は、加水分解剤溶液での処理後に熱水溶性である。実施形態では、繊維は、加水分解剤溶液での処理前に水溶性ではなく、繊維は、加水分解剤溶液での処理後に水溶性である。実施形態では、繊維は、繊維を加水分解剤と混合した後に水溶性ではない。
【0040】
本開示の方法および繊維は、これらに限定されないが、繊維の微細構造に対する制御をもたらすこと、繊維の溶解度プロファイルおよび/もしくは機序を変更すること、繊維の化学剤への化学適合性を向上すること、繊維の吸収容量を増加させること、繊維の内部への活物質の充填を増加させるおよび/もしくは制御すること、ならびに/または繊維の内部からの組成物もしくは活物質の放出に対する制御をもたらすことを含む1つまたは複数の利益を提供し得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「水溶性」という用語は、本明細書で示される通りMSTM-205に従って決定して、特定の温度において300秒もしくそれ未満の溶解時間を有する任意の不織布ウェブもしくはそれを含有する物品、または本明細書に開示の単一繊維溶解度を決定する方法に従って、特定の温度において30秒未満の完全溶解時間を有する任意の繊維をいう。例えば、溶解度パラメーターは、6ミル(約152μm)の厚さを有する不織布ウェブまたはそれから作製された物品の特性であり得る。不織布ウェブの溶解時間は、必要に応じて、約100℃、約90℃、約80℃、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約20℃、または約10℃の温度で、200秒もしくはそれ未満、100秒もしくはそれ未満、60秒もしくはそれ未満、または30秒もしくはそれ未満であり得る。溶解温度が指定されていない実施形態では、水溶性不織布ウェブは、約100℃以下の温度で300秒またはそれ未満の溶解時間を有する。繊維は、約100℃、約90℃、約80℃、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約20℃、または約10℃の温度で、30秒またはそれ未満の完全溶解時間を有し得る。本明細書で使用される場合、繊維が、本明細書に開示の単一繊維溶解度を決定する方法に従って、特定の温度において30秒超の完全溶解時間を有する場合、繊維は「不溶性」、「水不溶性」または「水に不溶性」である。完全溶解温度が指定されていない実施形態では、水溶性繊維は、約100℃以下の温度で30秒またはそれ未満の完全溶解時間を有し、水不溶性繊維は、約100℃以下の温度で30秒超の完全溶解時間を有する。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「冷水溶性」という用語は、MSTM-205に従って決定して、10℃で300秒またはそれ未満の溶解時間を有する任意の不織布ウェブをいう。例えば、溶解時間は、必要に応じて、10℃で200秒もしくはそれ未満、100秒もしくはそれ未満、60秒もしくはそれ未満、または30秒であり得る。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、繊維に関連する「冷水溶性」という用語は、本明細書に開示の単一繊維溶解度を決定する方法に従って、10℃またはそれ未満の温度で30秒またはそれ未満の完全溶解時間を有する繊維をいう。
【0042】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「水分散性」という用語は、特定の温度における水浸時に不織布ウェブまたは物品がより小さな構成片に物理的に分離する、不織布ウェブまたはそれを含有する物品をいう。より小さな破片は、肉眼で可視であっても可視でなくてもよく、水に懸濁したままであってもなくてもよく、最終的に溶解してもしなくてもよい。分散温度が指定されていない実施形態では、不織布ウェブまたはポーチは、MSTM-205に従って、約100℃またはそれ未満の温度で300秒またはそれ未満で崩壊する。例えば、崩壊時間は、必要に応じて、MSTM-205に従って、約80℃、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約20℃、または約10℃の温度で、200秒もしくはそれ未満、100秒もしくはそれ未満、60秒もしくはそれ未満、または30秒もしくはそれ未満であり得る。例えば、そのような分散パラメーターは、6ミル(約152μm)の厚さを有する不織布ウェブまたはそれから作製された物品の特性であり得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「水に流せる」という用語は、ウェブ(複数可)またはポーチ(複数可)の廃棄の結果、そのような物品が給排水システムの配管内に留まるまたは経時的に蓄積してそのような配管の閉塞を引き起こすことのないような、水性環境、例えば、下水システムに分散性である物品、例えば不織布ウェブまたはポーチをいう。フラッシング性に関するINDA/EDANA規格は、28RPMおよび18°傾斜角を使用した60分間のスロッシュボックス試験後に、95%超の出発材料が12.5mm篩を通過しなくてはならないことを要求する。本明細書で示されるフラッシング性試験は、より厳格なフラッシング性試験を提供する。本明細書で市販ワイプAと呼ばれる、水に流せるワイプの形態の市販の不織布ウェブは、水に流せることが保証されており、本明細書で示されるフラッシング性試験によって測定して、20秒の崩壊時間を有する。したがって、本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「水に流せる」という用語は、本明細書で示されるフラッシング性試験によって測定して、市販ワイプAのパーセント分解(20%)を満たすまたはそれを超えるパーセント崩壊を有する物品、例えば、不織布ウェブまたはポーチをいう。水に流せる不織布ウェブおよびそれを含有する物品は、再利用法においてより処理可能である、あるいは例えば、浄化用の都市下水処理システムに単純に流すことができ、使用後、ウェブ、構造体またはポーチが埋め立て、焼却またはその他の廃棄の必要がないという利点を有する。
【0044】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「不織布ウェブ」という用語は、配置構成(例えば、カーディング法によって)され、互いに結合した繊維を含む、それらからなるまたはそれらから本質的になるウェブまたはシートをいう。したがって、不織布ウェブという用語は、不織布繊維ベースのウェブの簡略表記と考えることができる。さらに、本明細書で使用される場合、「不織布ウェブ」は、例えば、その表面にラミネートされたフィルムを有する不織布ウェブまたはシートを含む不織布ウェブまたはシートを含む任意の構造を含む。繊維から不織布ウェブを調製する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるNonwoven Fabrics Handbook, prepared by Ian Butler, edited by Subhash Batra et al., Printing by Design, 1999に記載されている。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「フィルム」という用語は、例えば、キャスティングまたは押出法によって調製された連続フィルムまたはシートをいう。
【0045】
「含む」とは、本明細書で使用される場合、様々な構成成分、成分またはステップが、本開示を実施するのに合同して用いることができることを意味する。したがって、「含む」という用語は、より限定的な用語「から本質的になる」および「からなる」を包含する。本組成物は、本明細書に開示の必要なおよび必要に応じた要素のうちの任意のものを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る。例えば、熱成形パケットは、非熱成形フィルムまたは不織布ウェブ(例えば、蓋部分)および例えばインクジェットプリントによる必要に応じたフィルム上のマーキングを含みながら、その熱成形特性の使用について本明細書に記載の不織布ウェブ「から本質的になり」得る。本明細書に例示的に開示される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素またはステップの非存在下で好適に実施されてもよい。
【0046】
本明細書で言及されるすべてのパーセンテージ、部および比は、場合により、本開示の不織布ウェブもしくはフィルム組成物の総乾燥重量、またはパケット内容物組成物の総重量に基づき、すべての測定は、別に指定されない限り、約25℃で行われる。すべてのそのような重量は、活性レベルに基づき、したがって、別に指定されない限り、市販材料に含まれ得る担体または副生成物を含まない。
【0047】
本明細書で示されるすべての範囲は、範囲のすべての可能な部分集合およびそのような部分集合範囲の任意の組合せを含む。既定では、別に述べられない限り、範囲は述べられた端点を含む。値の範囲が提示される場合、その範囲の上限と下限との間に介在する各値、およびその述べられた範囲の任意の他の述べられたまたは介在する値は、本開示内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して含まれてもよく、また、述べられた範囲の任意の特に除外された限界を条件に、本開示内に包含される。述べられた範囲が、一方または両方の限界を含む場合、含まれる限界のいずれかまたは両方を除く範囲もまた、本開示の一部であることが企図される。
【0048】
例えば、記載の主題のパラメーターまたは記載の主題と関連する範囲の一部として本明細書に記載の任意の数値について、記載の一部を形成する代替案は、特定の数値を囲む機能的に等価な範囲である(例えば、「40mm」と開示される寸法について、企図される代替の実施形態は、「約40mm」である)ことが明らかに企図される。
【0049】
本明細書で使用される場合、パケット(複数可)およびポーチ(複数可)という用語は、交換可能と考えられるべきである。ある特定の実施形態では、パケット(複数可)およびポーチ(複数可)という用語は、それぞれ、不織布ウェブおよび/またはフィルムを使用して作製された容器、ならびに例えば測定用量送達系の形態の、その中に封止された材料を好ましくは有する完全封止容器をいうために使用される。封止ポーチは、加熱封止、溶媒溶接および接着封止(例えば、水溶性接着剤の使用による)などのプロセスおよび特徴を含む任意の好適な方法から作製され得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「wt.%」および「wt%」という用語は、言及される物品または組成物全体、例えば、不織布ウェブもしくはフィルム中の残留水分(適用可能な場合)を含む不織布ウェブもしくはフィルムまたはラミネート構造体の「乾燥」(非水)重量部、あるいはポーチ内に封入された組成物(適用可能な場合)の重量部の特定の要素の組成をいうことが意図される。
【0051】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「PHR」(「phr」)という用語は、言及されるポリマー含有物品、例えば、水溶性フィルム、繊維もしくは不織布ウェブ、または繊維もしくはフィルムを作製するのに使用された溶液中の水溶性ポリマー(別に指定されない限り、PVOHまたは他のポリマーのいずれであれ)100部当たりの部の特定の要素の組成をいうことが意図される。
【0052】
不織布ウェブ、ポーチおよび関連物品、ならびに作製方法および使用方法は、別に述べられない限り、以下にさらに記載される追加の必要に応じた要素、特徴およびステップ(実施例および図に示されるものを含む)のうちの1つまたは複数の任意の組合せを含む実施形態を含むことが企図される。
【0053】
繊維形成材料
【0054】
一般に、本開示の繊維は、単一の繊維形成材料または繊維形成材料の組合せ(すなわち、ブレンド)を含み得る。単一の繊維は、1つもしくは複数の水溶性繊維形成材料、1つもしくは複数の非水溶性繊維形成材料、または水溶性および非水溶性繊維形成材料の組合せを含み得る。本開示の繊維は、一般に、合成繊維形成材料、天然繊維形成材料、植物ベースの繊維形成材料、バイオベースの繊維形成材料、生分解性繊維形成材料、堆肥化可能な繊維形成材料、またはその組合せを含み得る。植物ベースの繊維形成材料は、天然に存在し得(例えば、綿)、または再構成され得る(例えば、竹)。
【0055】
一般に、本開示の繊維は、加水分解剤との接触前に加水分解性基を含む繊維形成材料を含む。加水分解性基は、一般に、(a)酸もしくは塩基触媒の存在下で、求核基、例えば、水もしくはヒドロキシルイオンで、置換され得る任意の官能基、(b)求核基により開環され得る環状官能基(例えば、ラクトンなどの環状エステル)、(c)酵素の存在下で、水により切断されてポリマー主鎖上に-OH部分をもたらし得る官能基、および/または(d)還元されてポリマー主鎖上に-OH部分をもたらし得る任意の官能基を含む。好適な加水分解性基は、これらに限定されないが、エステル、アミド、エーテル、アセタール、ニトリル、スルフィドリルまたはその組合せを含む。加水分解性基を含む好適なポリマーは、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、100%未満の加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマー、ポリ(N-ビニルアセトアミド)ポリマー、ポリビニルブチラールポリマー、ポリ(ブチルアクリレート)ポリマー、ポリ(ブチルメタクリレート)ポリマー、酢酸セルロースポリマー、ポリアクリロニトリルポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ポリマー、ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)ポリマー、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)ポリマー、ポリ(メチルビニルエーテル)ポリマー、ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)ポリマー、ポリ(N-ビニルホルムアミド)ポリマー、ポリ(N-ビニルカプロラクタム)ポリマー、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリ乳酸およびその組合せを含む。
【0056】
実施形態では、本開示の繊維は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む。そのようなポリマーは、加水分解性である。別に明らかに示されない限り、「酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、酢酸ビニルのみ、ビニルアルコールのみ、または酢酸ビニルおよびビニルアルコールの両方から得られた少なくとも1つの部分を有する任意のポリマーを包含すると理解される。一部の実施形態では、そのようなポリマー(またはそのポリマー)の好適な例は、限定なしに、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーおよびその組合せを含む。例えば、ポリビニルアルコールコポリマーは、一部の実施形態では、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである。例えば、一部の実施形態では、変性ポリビニルアルコールコポリマーは、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せなどの追加の基をさらに含む酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーであってもよいアニオン変性コポリマーを含む。そのような酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーはまた、例えば、ブレンド中に、追加のポリマーを含んでもよい。
【0057】
別に明らかに示されない限り、「加水分解度」という用語は、ポリマーが最初に有するすべての加水分解性部分のうちの加水分解された部分のパーセンテージ(例えば、モルパーセンテージ)として理解される。例えば、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーの場合、ヒドロキシル基による酢酸ビニル部分のエステル基の部分的な置き換えが加水分解の間に起こり、酢酸ビニル部分はビニルアルコール部分になる。ポリ酢酸ビニルホモポリマーの加水分解度は、ゼロであると考えられ、一方、ポリビニルアルコールホモポリマーの加水分解度は、100%である。酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーの加水分解度は、酢酸ビニルおよびビニルアルコール部分合計のうちのビニルアルコール部分のパーセンテージに等しく、ゼロ~100%の間である。
【0058】
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルの、加水分解または鹸化とも呼ばれる加アルコール分解によって調製され得る合成ポリマーである。事実上すべてのアセテート基がアルコール基に変換された完全加水分解PVOHは、強く水素結合した、高度に結晶性のポリマーであり、約140°F(約60℃)より高温の熱水にのみ溶解する。ポリ酢酸ビニルの加水分解後、十分な数のアセテート基が残留することが可能である場合、つまり、PVOHポリマーが部分的に加水分解された場合、ポリマーは、より弱く水素結合し、結晶性が低く、一般に、約50°F(約10℃)未満の冷水に可溶である。そのため、部分的に加水分解されたポリマーは、PVOHコポリマーであるビニルアルコール-酢酸ビニルコポリマーであるが、一般に、「ポリビニルアルコール(PVOH)」または「PVOHポリマー」と呼ばれる。簡潔にするため、本明細書で使用される「PVOHポリマー」という用語は、ビニルアルコール部分、例えば、50%またはそれよりも多いビニルアルコール部分を含むホモポリマー、コポリマーおよび変性コポリマーを包含すると理解される。
【0059】
本明細書に記載の繊維は、ポリ酢酸ビニル、1つもしくは複数のポリビニルアルコール(PVOH)ホモポリマー、1つもしくは複数のポリビニルアルコールコポリマー、またはその組合せを含み得る。本明細書で使用される場合、「ホモポリマー」という用語は、一般に、単一種類のモノマー反復単位を有するポリマー(例えば、単一のモノマー反復単位からなるまたはそれから本質的になるポリマー鎖)を含む。「PVOH」の特定の場合、加水分解性ポリマーまたは酢酸ビニル部分もしくはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーの例としての「PVOHポリマー」という用語は、加水分解度に応じたビニルアルコールモノマー単位および酢酸ビニルモノマー単位の分布からなるポリマー(例えば、ビニルアルコールおよび酢酸ビニルモノマー単位からなるまたはそれらから本質的になるポリマー鎖)を含む。100%加水分解の限定的な場合、PVOHホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみを有する真のホモポリマーを含み得る。一部の実施形態では、本開示の繊維および/またはフィルムは、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むそのようなポリマーを含む。一部の実施形態では、本開示の繊維および/またはフィルムは、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む熱水溶性ポリマーを含む。
【0060】
一部の実施形態では、本明細書に記載の加水分解性ポリマーは、変性ポリビニルアルコール、例えば、コポリマーを含む。変性ポリビニルアルコールは、酢酸ビニル/ビニルアルコール基に加えて1種または複数種のモノマーを含むコポリマーまたは高次ポリマー(例えば、ターポリマー)を含み得る。必要に応じて、変性は、例えば、エチレン、プロピレン、N-ビニルピロリドンまたは他の非電荷モノマー種によってもたらされた中性である。必要に応じて、変性は、例えば、正電荷モノマー種によってもたらされたカチオン変性である。必要に応じて、変性は、アニオン変性である。したがって、一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、アニオン変性ポリビニルアルコールを含む。アニオン変性ポリビニルアルコールは、アニオン性モノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位および必要に応じて酢酸ビニルモノマー単位(すなわち、完全には加水分解されていない場合)を含む部分または完全加水分解PVOHコポリマーを含み得る。一部の実施形態では、PVOHコポリマーは、2種またはそれよりも多種のアニオン性モノマー単位を含み得る。PVOHコポリマーに使用できるアニオン性モノマー単位の一般クラスは、スルホン酸ビニルモノマーおよびそれらのエステル、モノカルボン酸ビニルモノマー、それらのエステルおよび無水物、重合性二重結合を有するジカルボン酸モノマー、それらのエステルおよび無水物、ならびに前述のもののうちの任意のもののアルカリ金属塩に対応するビニル重合単位を含む。好適なアニオン性モノマー単位の例は、ビニル酢酸、マレイン酸、モノアルキルマレエート、ジアルキルマレエート、無水マイレン酸、フマル酸、モノアルキルフマレート、ジアルキルフマレート、イタコン酸、モノアルキルイタコネート、ジアルキルイタコネート、シトラコン酸、モノアルキルシトラコネート、ジアルキルシトラコネート、シトラコン酸無水物、メサコン酸、モノアルキルメサコネート、ジアルキルメサコネート、グルタコン酸、モノアルキルグルタコネート、ジアルキルグルタコネート、グルタコン酸無水物、アルキルアクリレート、アルカアクリレート(alkacrylate)、ビニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、前述のもののアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウムまたは他のアルカリ金属塩)、前述のもののエステル(例えば、メチル、エチルまたは他のC1~C4もしくはC6アルキルエステル)、および前述のものの組合せ(例えば、複数種類のアニオン性モノマーまたは同じアニオン性モノマーの等価形態)を含むビニルアニオン性モノマーに対応するビニル重合単位を含む。一部の実施形態では、PVOHコポリマーは、中性、アニオン性およびカチオン性モノマー単位から選択される2種またはそれよりも多種のモノマー単位を含み得る。
【0061】
PVOHコポリマーの1つまたは複数のモノマー単位の組込みレベル/変性のレベルは、特に限定されない。実施形態では、1つまたは複数のモノマー単位/変性は、約1mol.%または2mol.%~約6mol.%または10mol.%の範囲(様々な実施形態において、例えば、少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5もしくは4.0mol.%および/または最大約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0もしくは10mol.%)の量でPVOHコポリマー中に存在する。実施形態では、変性はアニオン変性であり、アニオン性モノマー単位は、約1mol.%または2mol.%~約6mol.%または10mol.%の範囲(様々な実施形態において、例えば、少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5もしくは4.0mol.%および/または最大約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0もしくは10mol.%)の量でPVOHコポリマー中に存在する。
【0062】
ポリビニルアルコールは、溶解特徴の変化にかけられ得る。コ-ポリ(酢酸ビニル=ビニルアルコール)ポリマー(PVOHコポリマー)のアセテート基は、酸またはアルカリ性加水分解のいずれかによって加水分解できることが当業者に公知である。加水分解度が増加するにつれて、PVOHコポリマーで作製されたポリマー組成物は、増加した機械的強度を有するが、より低温で溶解度が減少する(例えば、溶解のために熱水温度が必要である)。したがって、PVOHコポリマーのアルカリ性環境(例えば、洗濯用漂白添加剤から生じる)への曝露により、ポリマーは、所与の水性環境(例えば、冷水媒体)に迅速にかつ完全に溶解するものから、水性環境にゆっくりおよび/または不完全に溶解するものに転換され得、洗浄サイクルの終了時に未溶解のポリマー残留物が生じる可能性がある。
【0063】
例えば、ビニルアルコール/加水分解メチルアクリレートナトリウム塩ポリマーなどのペンダントカルボキシル基を有するPVOHコポリマーは、隣接するペンダントカルボキシルとアルコール基との間でラクトン環を形成し得、したがって、PVOHコポリマーの水溶解度が減少する。強塩基の存在下で、ラクトン環は、比較的温暖(周囲)および高湿度条件で数週間の過程をかけて開環できる(例えば、ラクトン開環反応を介して、対応するペンダントカルボキシルおよびアルコール基が形成し、水溶解度が増加する)。したがって、ペンダントカルボキシル基を有さないPVOHコポリマーで観察される効果とは逆に、そのようなPVOHコポリマーは、保存の間のポリマーとポーチ内部のアルカリ性組成物との間の化学的相互作用に起因して、より可溶性になり得ると考えられる。
【0064】
重合性ビニル結合を有する特定のスルホン酸およびその誘導体は、酢酸ビニルと共重合して、強塩基の存在下で安定である冷水溶性PVOHポリマーをもたらし得る。水溶性フィルムの配合物中で使用されるこれらのコポリマーの塩基触媒加アルコール分解生成物は、迅速に溶解するビニルアルコール-スルホネート塩コポリマーである。PVOHコポリマーのスルホネート基は、水素イオンの存在下でスルホン酸基に逆戻りし得るが、スルホン酸基は、ポリマーの優れた冷水溶解度をなおもたらす。実施形態では、ビニルアルコール-スルホネート塩コポリマーは、残留アセテート基を含有せず(すなわち、完全に加水分解されている)、したがって、酸またはアルカリ性加水分解のいずれによってもさらに加水分解できない。一般に、変性量が増加するにつれて、水溶解度は増加し、したがって、スルホネートまたはスルホン酸基を介した十分な変性により、水素結合および結晶性が阻害され、冷水への溶解が可能になる。酸性または塩基性種の存在下で、コポリマーは、スルホネートまたはスルホン酸基を除いて一般に影響を受けず、これは、酸性または塩基性種の存在下でさえ、優れた冷水溶解度を維持する。好適なスルホン酸コモノマー(および/またはそれらのアルカリ金属塩誘導体)の例は、ビニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸および2-スルホエチルアクリレートを含み、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)のナトリウム塩が好ましいコモノマーである。
【0065】
繊維形成ポリマーは、ポリビニルアルコールポリマーまたはそれ以外のいずれであれ、ブレンドできる。ポリマーブレンドが、ポリビニルアルコールポリマーのブレンドを含む場合、PVOHポリマーブレンドは、PVOHコポリマーまたは1種もしくは複数種のアニオン性モノマー単位(例えば、PVOH ター(またはより高級コ-)ポリマー)を含む変性PVOHコポリマーを含み得る第1のPVOHポリマー(「第1のPVOHポリマー」)、ならびにPVOHコモポリマーまたは1種もしくは複数種のアニオン性モノマー単位(例えば、PVOH ター(またはより高級コ-)ポリマー)を含む変性PVOHコポリマーを含み得る第2のPVOHポリマー(「第2のPVOHポリマー」)を含み得る。一部の態様では、PVOHポリマーブレンドは、第1のPVOHポリマーおよび第2のPVOHポリマー(例えば、2つのポリマーの二元ブレンド)のみを含む。あるいは、または加えて、PVOHポリマーブレンドまたはそれから作製された繊維もしくは不織布ウェブは、他のポリマー(例えば、一般に他のポリマー、特に他のPVOHベースのポリマー、またはその両方)を含まない、または実質的に含まないことを特徴とし得る。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」とは、第1および第2のPVOHポリマーが、水溶性繊維またはフィルム中の水溶性ポリマーの総量の少なくとも95wt.%、少なくとも97wt.%または少なくとも99wt.%を構成することを意味する。他の態様では、繊維は、1種または複数種の追加の水溶性ポリマーを含み得る。例えば、PVOHポリマーブレンドは、第3のPVOHポリマー、第4のPVOHポリマー、第5のPVOHポリマーなど(例えば、アニオン性モノマー単位を含むまたは含まない1種または複数種の追加のPVOHコポリマーまたは変性PVOHコポリマー)を含み得る。例えば、繊維は、PVOHポリマー以外(例えば、アニオン性モノマー単位を含むまたは含まないPVOHコポリマーまたは変性PVOHコポリマー以外)の少なくとも第3(または第4、第5など)の水溶性ポリマーを含み得る。
【0066】
本開示の繊維に含まれるPVOHコポリマーの加水分解度(DH)は、約75%~約99.9%(例えば、冷水溶性組成物の場合、約79%~99.9%、約79%~約92%、約80%~約90%、約88%~92%、約86.5%~約89%、または約88%、90%もしくは92%;約90%~約99%、約92%~約99%、約95%~約99%、約98%~約99%、約98%~約99.9%、約96%、約98%、約99%または99%超)の範囲であり得る。加水分解度が減少するにつれて、ポリマーから作製された繊維は、減少した機械的強度を有するが、約20℃未満の温度でより速く溶解する。加水分解度が増加するにつれて、ポリマーから作製された繊維またはフィルムは、機械的強度が高くなる傾向があり、熱成形性が減少する傾向がある。加水分解度は、ポリマーの水溶解度が温度依存性であるように選択でき、したがって、ポリマーから作製された繊維の溶解度も影響される。1つの選択肢では、繊維またはフィルムは冷水溶性である。任意の他のモノマー(例えば、アニオン性モノマーと共重合しないホモポリマー)を含まないコ-ポリ(酢酸ビニル=ビニルアルコール)ポリマーの場合、10℃未満の温度の水に可溶である冷水溶性繊維は、約75%~約90%の範囲、または約80%~約90%の範囲、または約85%~約90%の範囲の加水分解度を有するPVOHを含み得る。別の選択肢では、繊維は熱水溶性である。任意の他のモノマー(例えば、アニオン性モノマーと共重合しないホモポリマー)を含まないコ-ポリ(酢酸ビニル=ビニルアルコール)ポリマーの場合、少なくとも約60℃の温度の水に可溶である熱水溶性繊維は、少なくとも約98%の加水分解度を有するPVOHを含み得る。
【0067】
ポリマーブレンドの加水分解度はまた、算術加重、平均加水分解度
【数1】
によって特徴付けることができる。例えば、2種またはそれよりも多種のPVOHポリマーを含むPVOHポリマーの
【数2】
は、式
【数3】
(式中、W
iはそれぞれのPVOHポリマーのモルパーセンテージであり、H
iは、それぞれの加水分解度である)によって計算される。ポリマーが特定の加水分解度を有するといわれる場合、ポリマーは、指定の加水分解度を有する単一のポリビニルアルコールポリマーまたは指定の平均加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーのブレンドであり得る。
【0068】
PVOHポリマーの粘度(μ)は、英国規格EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield試験法に記載の通り、ULアダプターを備えるBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製した溶液を測定することによって決定される。20℃における4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を記述するのが国際標準である。本明細書で特定されるすべての粘度(単位センチポアズ(cp))は、別に指定されない限り、20℃における4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度をいうと理解されるべきである。同様に、ポリマーが特定の粘度を有する(または有さない)と記載される場合、別に指定されない限り、特定の粘度は、ポリマーの平均粘度であり、これは、本質的に、対応する分子量分布、すなわち、以下に記載の通りの加重自然対数平均粘度を有することが意図される。PVOHポリマーの粘度は、PVOHポリマーの重量平均分子量
【数4】
と相関し、多くの場合、粘度は、
【数5】
の代わりとして使用されることが、当技術分野で周知である。
【0069】
実施形態では、PVOHポリマーは、約1.0~約50.0cP、約1.0~約40.0cP、または約1.0~約30.0cP、例えば、約4cP、8cP、15cP、18cP、23cPまたは26cPの粘度を有し得る。実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約1.0~約40.0cP、または約5cP~約23cP、例えば、約1cP、1.5cP、2cP、2.5cP、3cP、3.5cP、4cP、4.5cP、5cP、5.5cP、6cP、6.5cP、7cP、7.5cP、8cP、8.5cP、9cP、9.5cP、10cP、11cP、12cP、13cP、14cP、15cP、17.5cP、18cP、19cP、20cP、21cP、22cP、23cP、24cP、25cP、26cP、27cP、28cP、29cP、30cP、31cP、32cP、33cP、34cP、35cPまたは40cPの粘度を有し得る。実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約21cP~26cPの粘度を有し得る。実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約5cP~14cPの粘度を有し得る。実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約5cP~約23cPの粘度を有し得る。
【0070】
参考のために、ポリマーブレンドにおいて、第1のPVOHポリマーは、第1の20℃における4%溶液粘度(μ
1)を有すると示され、第2のPVOHポリマーは、第2の20℃における4%溶液粘度(μ
2)を有すると示される。様々な実施形態では、第1の粘度μ
1は、約4cP~約70cP(例えば、少なくとも約4、8、10、12もしくは16cPおよび/または最大約12、16、20、24、28、30、32、35、37、40、45、48、50、56、60もしくは70cP、例えば、約4cP~約70cp、約4cp~約60cp、約4cP~約46cP、約4cP~約24cP、約10cP~約16cP、または約10cP~約20cP、または約20cP~約30cP)の範囲であり得る。あるいは、または加えて、第2の粘度μ
2は、約4cP~約70cP(例えば、少なくとも約4、8、10、12もしくは16cPおよび/または最大約12、16、20、24、28、30、32、35、37、40、45、48、50、56、60もしくは70cP、例えば、約12cP~約30cP、約10cP~約16cP、または約10cP~約20cP、または約20cP~約30cP)の範囲であり得る。PVOHポリマーブレンドが、PVOHポリマーおよびPVOHコポリマーから選択される3種またはそれよりも多種のPVOHポリマーを含む場合、前述の粘度値は、各PVOHポリマーまたはPVOHコポリマーに個々に当てはまり得る。したがって、第1のPVOHコポリマーおよび第2のPVOHコポリマーを含む水溶性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、約30,000~約175,000、または約30,000~約100,000、または約55,000~約80,000の範囲であり得る。PVOHポリマーブレンドの平均粘度をいう場合、加重自然対数平均粘度
【数6】
が使用される。2種またはそれよりも多種のPVOHポリマーを含むPVOHポリマーの
【数7】
は、式
【数8】
(式中、μ
iは、それぞれのPVOHポリマーの粘度である)によって計算される。
【0071】
水溶性繊維がポリビニルアルコールホモポリマーおよびポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含む実施形態では、ホモポリマーおよびコポリマーの相対量は、特に限定されない。ポリビニルアルコールホモポリマーは、水溶性ポリマーブレンドの総重量の約15wt.%~約70wt.%、例えば、水溶性ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも約15wt.%、少なくとも約20wt.%、少なくとも約25wt.%、少なくとも約30wt.%、少なくとも約40wt.%、少なくとも約50wt.%または少なくとも約60wt.%および最大約70wt.%、最大約60wt.%、最大約50wt.%、最大約40wt.%または最大約30wt.%を構成し得、単一のホモポリマーまたは1種もしくは複数種のホモポリマー(例えば、粘度および/または加水分解度の差を有する)のブレンドであり得る。水溶性ポリマーブレンドの残部は、水溶性ポリビニルアルコールコポリマーであり得る。理論に縛られることを意図することなく、ホモポリマーの量が約15wt.%未満に減少するにつれて、ポリビニルアルコールホモポリマーおよびコポリマーのブレンドが繊維を形成する能力が減少すると考えられる。水溶性ポリビニルアルコールコポリマーは、水溶性ポリマーブレンドの総重量の約30wt.%~約85wt.%、例えば、水溶性ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも約30wt.%、少なくとも約40wt.%、少なくとも約50wt.%、少なくとも約60wt.%、少なくとも約70wt.%、少なくとも約75wt.%または少なくとも約80wt.%および最大約85wt.%、最大約80wt.%、最大約70wt.%、最大約60wt.%、最大約50wt.%または最大約40wt.%を構成し得、単一のコポリマーまたは1種もしくは複数種のコポリマーのブレンドであり得る。ブレンドは、ポリビニルアルコールホモポリマーおよびポリビニルアルコールコポリマーからなり得る。ブレンドは、ポリビニルアルコールホモポリマーおよび複数のポリビニルアルコールコポリマーからなり得る。ブレンドは、1種よりも多いポリビニルアルコールホモポリマーおよび1種よりも多いポリビニルアルコールコポリマーからなり得る。
【0072】
実施形態では、繊維は、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む。実施形態では、繊維は、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む。実施形態では、繊維は、ポリビニルアルコールコポリマーを含む。実施形態では、繊維は、変性ポリビニルアルコールコポリマーを含む。実施形態では、繊維は、アニオン変性コポリマーであるポリビニルアルコールコポリマーを含む。実施形態では、繊維は、アニオン変性コポリマーを含み、アニオン変性は、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む。実施形態では、ポリビニルアルコールポリマーは、繊維を加水分解剤溶液と混合する前に、水溶性である。実施形態では、ポリマーは、繊維を加水分解剤溶液と混合する前に、約79%超かつ約99.9%未満(例えば、約79%~約96%)の加水分解度を有する。
【0073】
本開示の繊維は、これらに限定されないが、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルランを含むポリ酢酸ビニルおよびPVOH以外の水溶性ポリマー、これらに限定されないが、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナンおよび水溶性デンプンを含む水溶性天然ポリマー、これらに限定されないが、変性デンプン、エトキシル化デンプンおよびヒドロキシプロピル化デンプンを含む水溶性ポリマー誘導体、前述のもののコポリマーおよび前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せを含み得る。なお他の水溶性ポリマーは、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびその塩、水溶性セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、追加のポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートおよび前述のもののうち任意のものの組合せを含み得る。そのような水溶性ポリマーは、PVOHまたはそれ以外のいずれであれ、種々の供給源から市販されている。
【0074】
実施形態では、繊維は、ポリビニルアルコールポリマーと、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せを含む追加のポリマーとを含む。
【0075】
繊維は、水不溶性繊維形成材料をさらに含み得る。好適な水不溶性繊維形成材料は、これらに限定されないが、綿、ポリエステル、コポリエステル、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、木材パルプ、フラッフパルプ、マニラ麻、ビスコース、不溶性セルロース、不溶性デンプン、大麻、ジュート、亜麻、ラミー、サイザル麻、バガス、芭蕉繊維、シロマツ、絹、腱、カットガット、毛、シーシルク、モヘア、アンゴラ、カシミア、コラーゲン、アクチン、ナイロン、ダクロン、レーヨン、竹繊維、モーダル、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維、ポリエステル、コポリエステル、ポリラクチド(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)およびその組合せを含む。実施形態では、水不溶性繊維は、綿またはレーヨンを含まない。実施形態では、水不溶性繊維は、毛、ジアセテート、トリアセテート、ナイロン、PLA、PET、PPまたはその組合せを含む。
【0076】
繊維は、本明細書において補助または二次成分と呼ばれる非繊維形成材料をさらに含み得る。補助剤は、これらに限定されないが、活性剤、可塑剤、可塑剤相溶化剤、界面活性剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、脱粘着剤、消泡剤、層状シリケート型ナノクレイなどのナノ粒子(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)、漂白剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムまたはその他)、苦味剤(例えば、安息香酸デナトニウム、デナトニウム糖および塩化デナトニウムなどのデナトニウム塩;スクロースオクタアセタート;キニーネ;ケルセチンおよびナリンゲニンなどのフラボノイド;ならびにカシンおよびブルシンなどのカシノイド)および辛味剤(例えば、カプサイシン、ピペリン、アリルイソシアネートおよびレシニフェラトキシン(resinferatoxin))などの嫌悪剤、ならびに他の機能性成分などの活性剤および処理剤を、その意図される目的に好適な量で含み得る。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「補助剤」は、二次添加剤、処理剤および活性剤を含む。特定のそのような補助剤および処理剤は、水溶性繊維、水不溶性繊維、不織布ウェブにおける使用に好適なもの、または水溶性フィルムにおける使用に好適なものから選択され得る。
【0077】
実施形態では、本開示の繊維は、補助剤を含まない。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、繊維に関して「補助剤を含まない」とは、繊維が、繊維の総重量に基づいて、約0.01wt.%未満、約0.005wt.%未満、または約0.001wt.%未満の補助剤を含むことを意味する。
【0078】
可塑剤は、材料(通常、樹脂またはエラストマー)に添加されて、その材料をより柔らかく、より可撓性にし(ポリマーのガラス転移温度を低下させることによって)、加工しやすくする液体、固体または半固体である。あるいは、ポリマーは、ポリマーまたはモノマーを化学変性することによって、内部から可塑化され得る。加えて、または代わりに、ポリマーは、好適な可塑化剤を添加することによって、外部から可塑化され得る。水は、PVOHおよびこれらに限定されないが、水溶性ポリマーを含む他のポリマーの非常に効率のよい可塑剤として認識されているが、しかしながら、ポリマーフィルムは、低および高相対湿度を含む周囲条件の変動に対して少なくともある程度の抵抗(頑強性)を有する必要があるため、水の揮発性により、その利用は制限される。
【0079】
可塑剤は、これらに限定されないが、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、最大400MWのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPDiol(登録商標))、エタノールアミンおよびその混合物を含み得る。繊維中に提供される非水可塑剤の総量は、総繊維重量に基づいて、約1wt.%~約45wt.%、または約5wt.%~約45wt.%、または約10wt.%~約40wt.%、または約20wt.%~約30wt.%、約1wt.%~約4wt.%、または約1.5wt.%~約3.5wt.%、または約2.0wt.%~約3.0wt.%の範囲、例えば、約1wt.%、約2.5wt.%、約5wt.%、約10wt.%、約15wt.%、約20wt.%、約25wt.%、約30wt.%、約35wt.%または約40wt.%であり得る。
【0080】
繊維に使用するための界面活性剤は、当技術分野で周知である。フィルムに使用するための界面活性剤も、当技術分野で周知であり、本開示の繊維および/または不織布ウェブにおいて好適に使用できる。必要に応じて、界面活性剤は、加工の間、繊維の分散を補助するために含まれる。本開示の繊維に好適な界面活性剤は、これらに限定されないが、スルホコハク酸ジアルキル、グリセロールおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸の乳酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、アルキルポリエチレングリコールエーテル、レシチン、グリセロールおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸のアセチル化エステル、ミリスチルジメチルアミンオキシド、トリメチルタローアルキルアンモニウムクロリド、第四級アンモニウム化合物、約8~24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸アルキル、アルキルポリエトキシレートサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、モノエタノールアミン、ラウリルアルコールエトキシレート、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、その塩および前述のもののうちの任意のものの組合せを含む。
【0081】
好適な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性および双性イオン性クラスを含み得る。好適な界面活性剤は、これらに限定されないが、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、モノエタノールアミン、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコールおよびアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩および第四級化ポリオキシエチレン化アミン(カチオン性)、約8~24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸アルキル、アルキルポリエトキシレートサルフェートおよびアルキルベンゼンスルホネート(アニオン性)、ならびにアミンオキシド、N-アルキルベタインおよびスルホベタイン(双性イオン性)を含む。他の好適な界面活性剤は、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、グリセリンおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸の乳酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセリンおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、ならびに脂肪酸のアセチル化エステル、ならびにその組合せを含む。様々な実施形態では、繊維中の界面活性剤の量は、約0.01wt.%~約2.5wt.%、約0.1wt.%~約2.5wt.%、約1.0wt.%~約2.0wt.%、約0.01wt%~0.25wt%、または約0.10wt%~0.20wt%の範囲である。
【0082】
実施形態では、本開示の繊維および/または不織布ウェブは、活性剤を含み得る。活性剤は、繊維自体に、もしくは不織布ウェブのカーディングの間に添加してもよく、および/または結合前に不織布ウェブに添加してもよい。カーディングの間に繊維に添加された活性剤は、不織布ウェブ全体にわたって分布し得る。カーディング後であるが結合前に不織布ウェブに添加される活性剤は、不織布ウェブの1つまたは両方の面に選択的に添加できる。さらに、活性剤は、不織布ウェブから調製したポーチまたは他の物品の表面に添加できる。実施形態では、活性剤は、複数の繊維の一部として提供されるか、不織布ウェブ内に分散するか、不織布ウェブの面上に提供されるか、またはそれらの組合せである。
【0083】
活性剤は、少なくとも約1wt%、または約1wt%~約99wt%の範囲の量で繊維および/または不織布ウェブ中に存在する場合、不織布ウェブに追加の機能性を提供する。実施形態では、活性剤は、これらに限定されないが、酵素、油、香料、着色料、臭気吸収剤、芳香剤、殺虫剤、肥料、活性化剤、酸触媒、金属触媒、イオン捕捉剤、洗剤、殺菌剤、界面活性剤、漂白剤、漂白成分、布柔軟剤またはその組合せを含む1つまたは複数の成分を含み得る。実施形態では、活性剤は、着色料、界面活性剤またはその組合せを含み得る。活性剤は、固体(例えば、粉末、顆粒、結晶、フレークまたはリボン)、液体、マル(mull)、ペースト、ガスなどを含む任意の所望の形態を取り得、必要に応じて、カプセル化され得る。
【0084】
ある特定の実施形態では、活性剤は、酵素を含んでもよい。好適な酵素は、6つの従来の酵素委員会(EC)分類、すなわち、EC1のオキシドレダクターゼ(酸化/還元反応を触媒する)、EC2のトランスフェラーゼ(官能基、例えば、メチルまたはホスフェート基を転移する)、EC3のヒドロラーゼ(様々な結合の加水分解を触媒する)、EC4のリアーゼ(加水分解および酸化以外の手段によって様々な結合を切断する)、EC5のイソメラーゼ(分子内の異性化変化を触媒する)、およびEC6のリガーゼ(2つの分子を共有結合により結合する)のいずれか1つに分類される酵素を含む。そのような酵素の例は、EC1のデヒドロゲナーゼおよびオキシダーゼ、EC2のトランスアミナーゼおよびキナーゼ、EC3のリパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、マンナーゼおよびペプチダーゼ(プロテアーゼまたはタンパク質分解酵素としても公知)、EC4のデカルボキシラーゼ、EC5のイソメラーゼおよびムターゼ、ならびにEC6のシンセターゼおよびシンターゼを含む。各分類からの好適な酵素は、例えば、米国特許第9,394,092号に記載されており、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
洗濯および食器洗浄の用途に使用するための酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、デヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ、キナーゼ、セルラーゼ、マンナーゼ、ペプチダーゼ、デカルボキシラーゼ、イソメラーゼ、ムターゼ、シンセターゼ、シンターゼおよび漂白剤の形成を触媒するオキシド-レダクターゼ酵素を含むオキシド-レダクターゼ酵素のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0086】
芳香剤以外の油は、着香料および着色料を含み得る。
【0087】
一クラスの実施形態では、活性剤は、香料または香料の組合せを含む。好適な香料は、これらに限定されないが、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリンの油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、ならびに合成香料および柑橘油を含む天然果物香料を含む。
【0088】
一部の実施形態では、活性剤は、着色料または着色料の組合せであってもよい。好適な着色料の例は、食品着色剤、カラメル、パプリカ、シナモンおよびサフランを含む。好適な着色料の他の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,002,789号に見出すことができる。
【0089】
別のクラスの実施形態は、活性剤として1つまたは複数の臭気吸収剤を含む。本開示による活性剤として使用するのに好適な臭気吸収剤は、これらに限定されないが、ゼオライトおよびリシノール酸の錯体亜鉛塩を含む。臭気吸収活性剤はまた、これらに限定されないが、ラダナム、エゴノキの抽出物およびアビエチン酸の誘導体を含むほぼ臭気中性芳香剤として当技術分野で周知の定着剤を含み得る。
【0090】
別のクラスの実施形態は、活性剤として1つまたは複数の芳香剤を含む。本明細書で使用される場合、芳香剤という用語は、十分に揮発して香りを生じる任意の適用可能材料をいう。活性剤として芳香剤を含む実施形態は、ヒトに心地のよい香りである芳香剤、または代わりに、ヒト、動物および/もしくは昆虫が忌避する香りである芳香剤を含み得る。好適な芳香剤は、これらに限定されないが、レモン、リンゴ、チェリー、ブドウ、セイヨウナシ、パイナップル、オレンジ、イチゴ、ラズベリーを含む果物、ジャコウ、ならびにこれらに限定されないが、ラベンダーのようなもの、バラのようなもの、アヤメのようなものおよびカーネーションのようなものを含む花の香りを含むが、これらに限定されない。必要に応じて、芳香剤は、また着香料ではないものである。他の芳香剤は、これらに限定されないが、ローズマリー、タイムおよびセージを含む草木の香り、ならびにマツ、トウヒおよび他の森の匂い由来の森林の香りを含む。芳香剤はまた、これらに限定されないが、精油を含む様々な油、またはこれらに限定されないが、ペパーミント、スペアミントなどを含む植物材料由来であってもよい。好適な芳香油は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,458,754号に見出すことができる。
【0091】
芳香剤は、香水を含み得る。香水は、ニート香水、カプセル化香水またはその混合物を含んでもよい。好ましくは、香水は、ニート香水を含む。香水の一部は、コア-シェルカプセルにカプセル化されてもよい。別の種類の実施形態では、香水は、コア-シェルカプセルにカプセル化されない。
【0092】
本明細書で使用される場合、「香水」という用語は、香水原材料(PRM)および香水調合物を包含する。「香水原材料」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも約100g/molの分子量を有し、単独または他の香水原材料と共にのいずれかで臭気、芳香、エッセンスまたは香りを付与するのに有用な化合物をいう。本明細書で使用される場合、「香水成分」および「香水原材料」という用語は、交換可能である。「調合物」という用語は、本明細書で使用される場合、2つまたはそれよりも多くのPRMの混合物をいう。
【0093】
適用可能な昆虫忌避芳香剤は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,664,064号に開示のジクロルボス、ピレトリン、アレスリン、ナレドおよび/またはフェンチオン殺虫剤のうちの1つまたは複数を含む。好適な昆虫忌避剤は、シトロネラール(3,7-ジメチル-6-オクタナール)、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)、バニリン、ならびにウコン(Curcuma longa)、コブミカン(Citrus hystrix)、コウスイガヤ(Cymbopogon winterianus)およびタイバジル(Ocimum americanum)から抽出された揮発油である。さらに、適用可能な昆虫忌避剤は、昆虫忌避剤の混合物であり得る。
【0094】
一クラスの実施形態では、本開示による活性剤は、1つまたは複数の殺虫剤(pesticide)を含む。好適な殺虫剤は、これらに限定されないが、殺虫剤(insecticide)、除草剤、殺ダニ剤、殺真菌剤および幼虫駆除剤を含み得る。
【0095】
別のクラスの実施形態は、活性剤として1つまたは複数の肥料を含む。本明細書で使用される場合、肥料という用語は、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ホウ素、塩素、銅、鉄、マンガン、モリブデンまたは亜鉛のうちの1つまたは複数を放出する任意の適用可能な材料に当てはまる。好適な肥料は、これらに限定されないが、ゼオライトを含む。例えば、クリノプチロライトは、カリウムを放出し、アンモニウムが予備充填された場合、窒素も放出し得るゼオライトである。
【0096】
一クラスの実施形態は、活性剤として酸触媒を含む。本明細書で使用される場合、酸触媒という用語は、プロトン源として役立ち、それによって、化学反応を促進する任意の種をいう。一種の実施形態では、酸触媒は、非酸化性有機酸である。好適な有機酸は、パラ-トルエンスルホン酸である。一部の実施形態では、酸触媒である活性剤は、これらに限定されないが、アセタール化、エステル化またはエステル交換を含む反応を促進する。さらなる酸触媒反応は、当技術分野で周知である。
【0097】
一クラスの実施形態では、活性剤は、金属触媒を含む。これらの触媒は、これらに限定されないが、酸化または還元、水素化、カルボニル化、C-H結合活性化および漂白を含む反応を媒介する。金属触媒として使用するのに好適な金属は、これらに限定されないが、VIIIAおよびIB遷移金属、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、銀、オスミウム、金およびイリジウムを含む。触媒反応を媒介する金属は、任意の好適な酸化状態のものであり得る。
【0098】
代替の実施形態では、活性剤は、必要に応じて、イオン捕捉剤であってもよい。好適なイオン捕捉剤は、これらに限定されないが、ゼオライトを含む。必要に応じて、ゼオライトは、軟水化剤として、封入された洗濯用洗剤または食器洗浄用洗剤を含む水溶性パケットに添加され得る。
【0099】
無機および有機漂白剤は、本明細書における使用に好適な清浄活性剤である。無機漂白剤は、これらに限定されないが、過ホウ酸、過炭酸、過リン酸、過硫酸および過ケイ酸塩を含む過酸化水素化塩を含む。無機過酸化水素化塩は、通常、アルカリ金属塩である。アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書における使用に好適な過酸化水素化物である。有機漂白剤は、ジアシルおよびテトラアシルペルオキシド、とりわけ、これらに限定されないが、ジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸およびジペルオキシヘキサデカン二酸を含む有機ペルオキシ酸を含み得る。過酸化ジベンゾイルは、本開示による好適な有機ペルオキシ酸である。他の有機漂白剤は、ペルオキシ酸を含み、特定の例は、アルキルペルオキシ酸およびアリルペルオキシ酸である。
【0100】
一クラスの実施形態では、活性剤は、60℃およびそれ未満の温度で清浄の過程の漂白作用を強化する有機過酸前駆体を含む漂白増感剤を含み得る。本明細書における使用に好適な漂白増感剤は、過加水分解条件下で、1~10個の炭素原子、もしくは2~4個の炭素原子、および/または必要に応じて置換過安息香酸を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸(peroxoycarboxylic acids)をもたらす化合物を含む。好適な物質は、特定の炭素原子の数のO-アシルおよび/もしくはN-アシル基、ならびに/または必要に応じて置換ベンゾイル基を有する。好適な物質は、これらに限定されないが、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に、1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特に、テトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド、特に、N-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特に、n-ノナノイル-またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-またはイソ-NOBS)、カルボン酸無水物、特に、無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテートおよび2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフランおよびまたトリエチルアセチルシトレート(TEAC)を含む。
【0101】
活性剤として布柔軟剤を含む実施形態では、様々な、洗い流す布柔軟剤、とりわけ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,062,647号のきめ細かいスメクタイト粘土、および当技術分野で公知の他の柔軟剤粘土が、必要に応じて、織物清浄と同時に利益のある布柔軟剤を提供するために使用できる。粘土柔軟剤は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,375,416号および同第4,291,071号に開示の通り、アミンおよびカチオン性柔軟剤と組み合わせて使用できる。
【0102】
実施形態では、活性剤は、殺菌剤を含み得る。本明細書における使用に好適な殺菌剤は、これらに限定されないが、過酸化水素、無機ペルオキシドおよびその前駆体、メタ重亜硫酸ナトリウム、第四級アンモニウムカチオンベースの化合物、塩素、活性炭および次亜塩素酸塩を含み得る。
【0103】
実施形態では、活性剤は、界面活性剤を含み得る。本明細書における使用に好適な界面活性剤は、これらに限定されないが、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、モノエタノールアミン、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコールおよびアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩および第四級化ポリオキシエチレン化アミン(カチオン性)、約8~24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸アルキル、アルキルポリエトキシレートサルフェートおよびアルキルベンゼンスルホネート(アニオン性)、アミンオキシド、N-アルキルベタインおよびスルホベタイン(双性イオン性)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、グリセリンおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチル酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセリンおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、ならびに脂肪酸のアセチル化エステル、ならびにその組合せを含み得る。
【0104】
活性剤は、固体であっても液体であってもよい。固体である活性剤は、少なくとも約0.01μmの平均粒径(例えば、Dv50)、または例えば、約0.01μm~約2mmの範囲のサイズを有し得る。液体活性剤は、不織布ウェブに直接塗布してもよく、担体粉末と混合してもよく、またはマイクロカプセル化してもよい。担体粉末を含む実施形態では、担体粉末の平均粒径は、少なくとも約0.01μm、または例えば、約0.01μm~約2mmの範囲であり得る。
【0105】
一クラスの実施形態では、活性剤はカプセル化され、活性剤の制御放出が可能になる。好適なマイクロカプセルは、メラミンホルムアルデヒド、ポリウレタン、ウレアホルムアルデヒド、キトサン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラヒドロフラン、ゼラチン、アラビアゴム、デンプン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アラビノガラクタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリ(エチレンビニルアセテート)、硝酸セルロース、シリコーン、ポリ(ラクチドコ-グリコリド)、パラフィン、カルナウバ、鯨ろう、蜜ろう、ステアリン酸、ステアリルアルコール、グリセリルステアレート、シェラック、酢酸フタル酸セルロース、ゼインおよびその組合せのうちの1つまたは複数を含む、またはそれらから作製され得る。一種の実施形態では、マイクロカプセルは、少なくとも約0.1ミクロン、または例えば、約0.1ミクロン~約200ミクロンの範囲の平均粒径(例えば、Dv50)によって特徴付けられる。代替の実施形態では、マイクロカプセルは、個々の粒子の凝集体を形成し得、例えば、個々の粒子は、少なくとも約0.1ミクロン、または約0.1ミクロン~約200ミクロンの範囲の平均粒径を有する。
【0106】
処理される繊維は、当技術分野で公知の任意のプロセス、例えば、湿式冷却ゲル紡糸、熱可塑性繊維紡糸、メルトブローン、スパンボンド、電界紡糸、回転紡糸、連続フィラメント製造手法、トウ繊維製造手法およびその組合せによって形成できる。
【0107】
実施形態では、繊維は、湿式冷却ゲル紡糸、メルトブローン、スパンボンドまたはその組合せによって形成された繊維を含む。実施形態では、繊維は、湿式冷却ゲル紡糸によって形成された繊維を含む。実施形態では、繊維は水溶性繊維を含み、それから調製された不織布ウェブは、連続メルトブローン法で形成される。実施形態では、繊維は水溶性繊維を含み、それから調製された不織布ウェブは、連続スパンボンド法で形成される。繊維および不織布ウェブを調製するために使用したプロセスによってそれを呼ぶことが、当技術分野において標準的である。したがって、本明細書において、例えば、「メルトブローン繊維」または「カーディング不織布ウェブ」への任意の参照は、特定のメルトブローンまたはカーディング法についてのプロダクト・バイ・プロセスの限定と理解されるべきではなく、むしろ、単に特定の繊維またはウェブを特定すると理解されるべきである。したがって、加工用語は、述べられた繊維および/または不織布を任意の特定のプロセスによる調製に限定することなく、繊維および/または不織布を区別するために使用されてもよい。
【0108】
処理される繊維は、二成分繊維として形成できる。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「二成分繊維」とは、繊維形成材料のブレンドを含む繊維をいうのではなく、むしろ、繊維形成材料の2つまたはそれよりも多くの別個の領域を含み、繊維形成材料の組成が領域によって異なる繊維をいう。二成分繊維の例は、これらに限定されないが、コア-シース(またはコア-シェル)二成分繊維、海島型の二成分繊維および横並び二成分繊維を含む。コア-シース二成分繊維は、一般に、繊維形成材料の第1の組成物(例えば、単一の繊維形成材料または繊維形成材料の第1のブレンド)を有するコア、および繊維形成材料の第2の組成物(例えば、コア材料とは異なる単一の繊維形成材料、またはコアの繊維形成材料の第1のブレンドとは異なる繊維形成材料の第2のブレンド)を有するシースを含む。海島型二成分繊維は、一般に、繊維形成材料の第1の組成物を有する第1の連続する「海」領域、およびその中に分散した、第1の組成物とは異なる繊維形成材料の第2の組成物を有する目立たない「島」領域を含む。横並び二成分繊維は、一般に、繊維の長さにわたり、繊維形成材料の第1の組成物を含む第1の領域と、これに隣接する、繊維の長さにわたり、第1の組成物とは異なる繊維形成材料の第2の組成物を含む、少なくとも第2の領域とを含む。
【0109】
繊維の形状は、特に限定されず、これらに限定されないが、丸形、楕円(リボンとも呼ばれる)、三角形(デルタとも呼ばれる)、三葉形および/または他の多葉形状を含む横断面形状を有し得る(
図1)。繊維の形状は、完全に幾何学的である必要はなく、例えば、丸い横断面形状を有する繊維は、横断面領域として完全な円を有する必要はなく、三角形の横断面形状を有する繊維は、一般に、丸みのある角を有することが理解される。
【0110】
繊維の直径とは、最長の横断面軸に沿った繊維の横断面直径をいうことが理解される。繊維が特定の直径を有する(または有さない)と記載される場合、別に指定されない限り、特定の直径は、参照される特定の繊維型の平均直径である、すなわち、ポリビニルアルコール繊維形成材料から調製された複数の繊維は、複数の繊維にわたる算術平均繊維直径を有することが意図される。典型的には「直径」を有さないと考えられる形状、例えば、三角形または多葉形状の場合、直径とは、繊維形状を囲む円の直径をいう(
図1)。
【0111】
本開示の繊維は、約10ミクロン~300ミクロン、例えば、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも25ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも100ミクロンまたは少なくとも125ミクロンおよび最大約300ミクロン、最大約275ミクロン、最大約250ミクロン、最大約225ミクロン、最大約200ミクロン、最大約100ミクロン、最大約50ミクロン、最大約45ミクロン、最大約40ミクロンまたは最大約35ミクロンの範囲、例えば、約10ミクロン~約300ミクロン、約50ミクロン~約300ミクロン、約100ミクロン~約300ミクロン、約10ミクロン~約50ミクロン、約10ミクロン~約45ミクロン、または約10ミクロン~約40ミクロンの範囲の直径を有し得る。実施形態では、繊維は、100ミクロン超~約300ミクロンの直径を有し得る。実施形態では、繊維は、セルロースを含み、約10ミクロン~約50ミクロン、約10ミクロン~約30ミクロン、約10ミクロン~約25ミクロン、約10ミクロン~約20ミクロン、または約10ミクロン~約15ミクロンの範囲の直径を有する。実施形態では、繊維は、水溶性繊維形成材料を含み、約50ミクロン~約300ミクロン、約100ミクロン~約300ミクロン、約150ミクロン~約300ミクロン、または約200ミクロン~約300ミクロンの直径を有する。実施形態では、本開示の不織布ウェブを調製するのに使用される複数の水溶性繊維の直径は、実質的に均一な直径を有する。本明細書で使用される場合、繊維直径は、繊維間の直径のばらつきが10%未満、例えば、8%もしくはそれ未満、5%もしくはそれ未満、2%もしくはそれ未満、または1%もしくはそれ未満である場合、「実質的に均一」である。実質的に均一な直径を有する繊維は、湿式冷却ゲル紡糸法または熱可塑性繊維紡糸法によって調製できる。さらに、繊維種類のブレンドが使用される場合、繊維ブレンドの平均直径は、個々の繊維種類の加重平均を使用して決定できる。
【0112】
本開示の繊維は、任意の長さのものであり得る。実施形態では、繊維の長さは、約20mm~約100mm、約20~約90、約30mm~約80mm、約10mm~約60mm、または約30mm~約60mm、例えば、少なくとも約30mm、少なくとも約35mm、少なくとも約40mm、少なくとも約45mmまたは少なくとも約50mmおよび最大約100mm、最大約95mm、最大約90mm、最大約80mm、最大約70mmまたは最大約60mmの範囲であり得る。実施形態では、繊維の長さは、約30mm未満、または約0.25mm~約30mm未満、例えば、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.75mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2.5mm、少なくとも約5mm、少なくとも約7.5mmまたは少なくとも約10mmおよび最大約29mm、最大約28mm、最大約27mm、最大約26mm、最大約25mm、最大約20mmまたは最大約15mmの範囲であり得る。繊維は、押出ポリマー混合物を切断および/またはクリンプすることによって任意の長さに調製できる。実施形態では、繊維は、例えば、スパンボンド、メルトブローン、電界紡糸および回転紡糸などのプロセスによって調製された連続フィラメントであり得、連続フィラメントは、ウェブ形態に直接調製され、提供される。さらに、繊維種類のブレンドが使用される場合、繊維の平均長さは、個々の繊維種類の加重平均を使用して決定できる。
【0113】
本開示の繊維は、任意の長さ対直径(L/D)比を有し得る。実施形態では、繊維の長さ対直径比は、約2超、約3超、約4超、約6超、約10超、約50超、約60超、約100超、約200超、約300超、約400超、または約1000超であり得る。有利には、不織布ウェブの触覚は、不織布組成物中の繊維のL/D比、および様々なL/D比を有する繊維のそれぞれの量を使用して制御できる。一般に、繊維のL/Dが減少するにつれて、硬度および曲げ耐性は増加し、手触りがより粗くなる。本開示の繊維は、一般に、繊維が約0.5~約15、または約0.5~約25、または約1~約5の範囲の低L/D比を有する場合、それを含む不織布ウェブに粗い感触を付与する。そのような低L/D繊維は、不織布ウェブ中の繊維の総重量に基づいて、約0~約50重量%の範囲、例えば、約0.5wt.%~約25wt.%、または約1wt.%~約15wt.%の範囲の量で不織布ウェブ中に提供され得る。不織布ウェブ中の低L/D繊維の量が既知でない場合、量は、不織布ウェブの顕微鏡写真の目視検査によって推定できる。
図6に示される通り、全繊維集団に基づいて、目に見えてより大きな直径およびより短い切断率を有する繊維の集団を観察できる。
図6Aは、0%の低L/D繊維および1の柔らかさ等級を有する不織布ウェブの顕微鏡写真であり、一方、
図6Bは、25%の低L/D繊維および5の柔らかさ等級を有する不織布ウェブの顕微鏡写真である。
【0114】
本開示の繊維は、任意の靭性を有し得る。繊維の靭性は、繊維の粗度と相関する。一般に、繊維の靭性が減少するにつれて、繊維の粗度は増加する。本開示の繊維は、約1~約100cN/dtex、もしくは約1~約75cN/dtex、もしくは約1~約50cN/dtex、もしくは約1~約45cN/dtex、もしくは約1~約40cN/dtex、もしくは約1~約35cN/dtex、もしくは約1~約30cN/dtex、もしくは約1~約25cN/dtex、もしくは約1~約20cN/dtex、もしくは約1~約15cN/dtex、もしくは約1~約10cN/dtex、もしくは約1~約5cN/dtex、もしくは約3~約8cN/dtex、もしくは約4~約8cN/dtex、もしくは約6~約8cN/dtex、もしくは約4~約7cN/dtex、もしくは約10~約20、もしくは約10~約18、もしくは約10~約16の範囲、または約1cN/dtex、約2cN/dtex、約3cN/dtex、約4cN/dtex、約5cN/dtex、約6cN/dtex、約7cN/dtex、約8cN/dtex、約9cN/dtex、約10cN/dtex、約11cN/dtex、約12cN/dtex、約13cN/dtex、約14cN/dtex、もしくは約15cN/dtexの靭性を有し得る。実施形態では、繊維は、約3cN/dtex~約10cN/dtexの靭性を有し得る。実施形態では、繊維は、約7cN/dtex~約10cN/dtexの靭性を有し得る。実施形態では、繊維は、約4cN/dtex~約8cN/dtexの靭性を有し得る。実施形態では、繊維は、約6cN/dtex~約8cN/dtexの靭性を有し得る。
【0115】
本開示の繊維は、任意の繊度を有し得る。繊維の繊度は、所与の厚さのヤーンの横断面に、どれくらいの量の繊維が存在するかと相関する。繊維繊度は、長さに対する繊維質量の比である。繊維繊度の主物理単位は1texであり、これは、1gの重量で1000mの繊維に等しい。典型的には、1g/10,000mの繊維を表す単位dtexが使用される。繊維の繊度は、不織布ウェブの好適な硬度/手触り、ねじり剛性、光の反射および相互作用、染料および/または他の活性剤/添加剤の吸収、製造プロセスにおける繊維紡糸の容易さ、ならびに完成物品の均一性を有する不織布ウェブをもたらすように選択できる。一般に、繊維の繊度が増加するにつれて、それから得られる不織布は、より高い均一性、改善された引張強度、伸展性および光沢を示す。さらに、理論によって縛られることを意図することなく、繊維が細いほど、密度に基づいてより大きい繊維と比較して、よりゆっくりした溶解時間になると考えられる。さらに、理論に縛られることを意図することなく、繊維のブレンドが使用される場合、繊維の平均繊度は、個々の繊維成分の加重平均を使用して決定できる。繊維は、非常に微細(dtex≦1.22)、微細(1.22≦dtex≦1.54)、中程度(1.54≦dtex≦1.93)、わずかに粗い(1.93≦dtex≦2.32)、および粗い(dtex≧2.32)を特徴付けられ得る。本開示の不織布ウェブは、非常に微細、微細、中程度、わずかに粗い、またはその組合せの繊維を含み得る。実施形態では、繊維は、約1dtex~約10dtex、約1dtex~約7dtex、約1dtex~約5dtex、約1dtex~約3dtex、または約1.7dtex~約2.2dtexの範囲の繊度を有する。実施形態では、繊維は、約1.7dtexの繊度を有する。実施形態では、繊維は、約2.2dtexの繊度を有する。
【0116】
湿式冷却ゲル紡糸
【0117】
実施形態では、本開示の繊維は、湿式冷却ゲル紡糸法に従って形成され、湿式冷却ゲル紡糸法は、
(a)繊維形成材料(ポリマー)を溶液に溶解して、ポリマー混合物を形成するステップであって、ポリマー混合物が、必要に応じて、補助剤を含む、ステップ;
(b)ポリマー混合物を、スピナレットノズルを通して固化浴に押出して、押出ポリマー混合物を形成するステップ;
(c)押出ポリマー混合物を溶媒交換浴に通過させるステップ;
(d)必要に応じて、押出ポリマー混合物を湿式延伸するステップ;および
(e)押出ポリマー混合物を仕上処理して繊維を提供するステップ
を含む。
【0118】
繊維形成ポリマーが溶解される溶媒は、好適には、ポリマーが可溶である任意の溶媒であり得る。実施形態では、ポリマーが溶解される溶媒は、極性非プロトン溶媒を含む。実施形態では、ポリマーが溶解される溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。
【0119】
一般に、固化浴は、押出ポリマー混合物をゲル化するための冷却溶媒を含む。固化浴は、一般に、押出ポリマー混合物の固化を促進する任意の温度であり得る。固化浴は、ポリマーが可溶である溶媒およびポリマーが不溶である溶媒の混合物を含み得る。ポリマーが不溶である溶媒は、一般に、一次溶媒であり、ポリマーが不溶である溶媒は、混合物の50%超を構成する。
【0120】
固化浴の通過後、押出ポリマー混合物ゲルは、1つまたは複数の溶媒交換浴に通過させてもよい。溶媒交換浴は、ポリマーが可溶である溶媒をポリマーが不溶である溶媒に交換するために用意されて、押出ポリマー混合物をさらに固化し、ポリマーが可溶である溶媒を、より容易に蒸発する溶媒に交換し、それによって、乾燥時間を短縮する。溶媒交換浴は、ポリマーが可溶である溶媒とポリマーが不溶である溶媒の勾配を有する一連の溶媒交換浴、ポリマーが不溶である溶媒のみを有する一連の溶媒交換浴、またはポリマーが不溶である溶媒のみを有する単一溶媒交換浴を含み得る。
【0121】
完成繊維は、時に、ステープル繊維、ショートカット繊維またはパルプと呼ばれることがある。実施形態では、仕上処理は、押出ポリマー混合物を乾燥することを含む。実施形態では、仕上処理は、押出ポリマー混合物を切断またはクリンプして、個々の繊維を形成することを含む。押出ポリマー混合物の湿式延伸により、押出ポリマー混合物、したがって、それから切断される繊維の直径は実質的に均一になる。延伸は、当技術分野で周知である通り、押出とは別個のものである。特に、押出とは、樹脂混合物をスピナレットヘッドに強制的に通過させることによって繊維を作製する作業をいい、一方、延伸とは、繊維を機械的に機械加工方向に引いて、繊維強度および靭性が増加するようにポリマー鎖配向および結晶度を向上させることをいう。
【0122】
繊維が湿式冷却ゲル紡糸法から調製される実施形態では、繊維形成ポリマーは、一般に、本明細書に一般に記載の通り、任意の繊維形成ポリマーまたはそのブレンド、例えば、2種またはそれよりも多種の異なるポリマーであり得る。前述の実施形態の改良では、ポリマー(複数可)は、例えば、10~10,000,000、例えば、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750または少なくとも1000および最大10,000,000、最大5,000,000、最大2,500,00、最大1,000,000、最大900,000、最大750,000、最大500,000、最大250,000、最大100,000、最大90,000、最大75,000、最大50,000、最大25,000、最大12,000、最大10,000、最大5,000または最大2,500の範囲、例えば、1000~約50,000、1000~約25,000、1000~約12,000、1000~約5,000、1000~約2,500、約50~約12,000、約50~約10,000、約50~約5,000、約50~約2,500、約50~約1000、約50~約900、約100~約800、約150~約700、約200~約600、または約250~約500の範囲の任意の重合度(DP)を有し得る。実施形態では、DPは、少なくとも1,000である。実施形態では、繊維形成ポリマーは、1000~約50,000、1000~約25,000、1000~約12,000、1000~約5,000、1000~約2,500、約50~約12,000、約50~約10,000、約50~約5,000、約50~約2,500、約50~約1000、約50~約900、約100~約800、約150~約700、約200~約600、または約250~約500の範囲の重合度(DP)を有するポリビニルアルコールポリマーを含む。実施形態では、繊維形成ポリマーは、1000~約50,000、1000~約25,000、1000~約12,000、1000~約5,000、または1000~約2,500の範囲のDPを有するポリビニルアルコールを含む。
【0123】
湿式冷却ゲル紡糸法は、有利には、水溶性ポリマーのブレンドを含む繊維を提供すること、繊維の直径に対する制御を提供すること、比較的大きな直径の繊維を提供すること、繊維の長さに対する制御を提供すること、繊維の靭性に対する制御を提供すること、高靭性繊維を提供すること、高い重合度を有するポリマーから繊維を提供すること、および/または自己支持不織布ウェブを提供するために使用できる繊維を提供することなどの1つまたは複数の利点を提供する。スパンボンド、メルトブローン、電界紡糸および回転紡糸などの連続プロセスは、一般に、水溶性ポリマーをブレンドすること(例えば、様々なポリマーのメルトインデックスを一致させることが困難であることに起因して)、大直径(例えば、50ミクロン超)の繊維を形成すること、繊維の長さを制御すること、高靭性繊維を提供すること、または高重合度を有するポリマーの使用を可能にしない。さらに、湿式冷却ゲル紡糸法は、有利には、溶融加工可能なポリマーのみに限定されず、したがって、非常に高い分子量、高融点、低メルトフローインデックス、またはその組合せを有する繊維形成材料から作製された繊維を入手でき、加熱押出法によって調製された繊維と比較して、より強い物理特性および異なる化学機能性を有する繊維が提供される。
【0124】
ステープル繊維および連続繊維を調製する方法は、当技術分野で周知である。ステープル繊維または連続繊維がカーディングされると、不織布ウェブは結合する。ステープル繊維を結合する方法は当技術分野で周知であり、エア結合(熱)、カレンダー結合(熱と圧力)および化学結合によるものを含み得る。本開示の不織布ウェブは、熱的にまたは化学的に結合し得る。不織布ウェブは、一般に、様々な孔径、モルホロジーおよびウェブ不均質性の多孔性であり得る。繊維の物理特性および結合の種類は、得られる不織布ウェブの多孔度に影響し得る。カレンダー結合は、熱および圧力を付与することによって実現され、典型的には、カーディング法によって製造された孔径、形状および配列を維持する。カレンダー結合のための条件は、当業者であれば、容易に決定できる。一般に、付与される熱および/または圧力が低すぎる場合、繊維は、自立ウェブを形成するのに十分に結合せず、熱および/または圧力が高すぎる場合、繊維は一緒に融合し始める。繊維化学は、カレンダー結合のための熱および/または圧力の上限および下限を決定する。理論に縛られることを意図することなく、235℃超の温度では、ポリビニルアルコールベースの繊維は分解すると考えられる。繊維のカレンダー結合のためのエンボス加工の方法は公知である。エンボス加工は、片側エンボス加工または両面エンボス加工であり得る。典型的には、水溶性繊維のエンボス加工は、規則的円形アレイからなる単一のエンボス加工ロールおよび平坦面を有する鋼ロールを使用した片側エンボス加工を含む。エンボス加工が増加する(例えば、ウェブに表面特徴が付与される)につれて、ウェブの表面積は増加する。理論に縛られることを意図することなく、ウェブの表面積が増加するにつれて、ウェブの溶解度は増加すると予想される。したがって、不織布ウェブの溶解度特性は、有利には、エンボス加工により表面積を変更することによって調節できる。
【0125】
カレンダー結合とは対照的に、化学結合は、繊維の調製から残された廃ポリマーの結合剤溶液を使用して、カーディング繊維を圧力下でコーティングし、その結果、カーディングの孔と比べてより小さく、規則的でない孔が生じ得る。溶媒は、結合剤を可溶化する任意の溶媒であり得る。化学結合溶液の溶媒は、一部の実施形態では、水である。理論に縛られることを意図することなく、化学結合に使用されるポリマー溶液が十分濃縮されているおよび/または十分な圧力が付与される場合、非多孔性水分散性不織布ウェブが形成され得ると考えられる。化学結合に使用される溶媒は、ウェブ中に存在する繊維の部分的な可溶化を誘発して、繊維を一緒に溶接し、結合させる。溶液中に提供されるポリビニルアルコール結合剤は、溶接プロセスを補助して、より機械的に頑強なウェブを提供する。ポリマー溶液の温度は、特に限定されず、室温(約23℃)で提供され得る。
【0126】
一部の実施形態では、繊維の第2の層を使用して不織布ウェブを結合することができる。理論に縛られることを意図することなく、メルトブローン法によって調製した繊維、例えば、水溶性繊維は、インラインプロセスを使用して、不織布ウェブを結合するのに使用できると考えられる。特に、不織布ウェブは、メルトブローン法ステーションを通過して、その結果、メルトブローン繊維が、溶融押出後に堆積され、メルトブローン繊維が冷却および固化するにつれて、互いに結合し、それらが堆積された不織布ウェブに結合し得る。メルトブローン繊維は、長さがミクロからナノ規模であり得、メルトブローン繊維が、最終不織布ウェブ中の繊維の総重量に基づいて、最終不織布ウェブの約15重量%、約12重量%、約10重量%、約8重量%、約6重量%、または約5重量%を構成するように、不織布ウェブ上に提供され得る。理論に縛られることを意図することなく、約5%~約15%のメルトブローン繊維の含有は、不織布ウェブの溶解度特性を実質的に変化させることなく、不織布ウェブの機械的完全性を増加させ得ると考えられる。一般に、ポリビニルアルコール繊維形成材料を使用してメルトブローン繊維を調製する場合、メルトブローン法は低粘度および高メルトフローインデックスのポリマーを必要とするため、ポリビニルアルコールポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーとなる。
【0127】
孔径は、これらに限定されないが、ブルナウアー-エメット-テーラー理論(BET)、小角X線散乱(SAXS)および分子吸着を含む高倍率規則的表面分析技術を使用して決定できる。
【0128】
一般に、本開示の繊維は、当技術分野で公知の任意の繊維加工によって形成でき、次いで、加工後に加水分解により処理される。
【0129】
本開示は、本明細書に記載の通りの酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーなどの加水分解性ポリマーを含む繊維を処理する方法を提供する。実施形態では、方法は、100%未満の加水分解度を有するそのようなポリマーを含む繊維および加水分解剤溶液を混合して、繊維の少なくとも一部の加水分解度を増加させるステップを含む。加水分解剤溶液は、加水分解剤および溶媒を含み得る。加水分解剤溶液との混合後の繊維の加水分解度は、本明細書に開示の滴定法または減衰全反射フーリエ変換赤外(ATR-FTIR)分光法に従って決定できる。滴定法は、繊維についての平均加水分解度を決定する。繊維の横断面にわたって一定の加水分解度によって特徴付けられる繊維の場合、一定加水分解度は、繊維についての平均加水分解度である。繊維の横断面が加水分解度のコア-シース型の分布または勾配分布を有することによって特徴付けられる繊維の場合、滴定試験は、繊維のすべての断面にわたる平均加水分解度を提供する。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、繊維の任意の部分(例えば、外部、シース部分、内部)が、出発繊維の加水分解度と比べて、混合後に増加した加水分解度を有する場合、繊維の少なくとも一部は増加した加水分解度を有する。繊維の任意の部分への加水分解度の増加の結果、滴定法によって決定した繊維の平均加水分解度が増加することが理解される。したがって、滴定法によって決定して、繊維の平均加水分解度が、混合前の繊維の平均加水分解度と比べて、繊維を加水分解剤溶液と混合した後に高くなる場合、繊維中のポリマーの少なくとも一部の加水分解度は増加していると理解される。ATR-FTIRの技術は、カルボニル基などの化学基に対応するシグナルに基づいて、試料表面での加水分解度の正確な測定を提供する。
【0130】
一般に、混合は、繊維を加水分解剤溶液に浸漬することを含み得る。実施形態では、混合は、繊維および加水分解剤溶液の混合物を撹拌することを含み得る。
【0131】
実施形態では、方法は、加水分解剤溶液および繊維を、所定の加水分解度および/または所定の加水分解度増加を繊維に提供するのに十分な条件下で混合するステップを含む。一般に、処理された繊維の加水分解度および/または処理された繊維の加水分解度の増加は、反応条件を変更することによって設計および制御できる。所定の加水分解度および/または加水分解度の増加を提供するように変更され得る反応条件は、加水分解剤の選択、加水分解剤溶液中の加水分解剤の濃度の選択、反応(混合)時間、反応(混合)温度、加水分解剤溶液のための溶媒の選択、および活性化剤の必要に応じた含有を含む。
【0132】
一般に、反応時間が増加するにつれて、加水分解度は増加する。したがって、反応時間は、繊維を構成するポリマー、例えば、酢酸ビニルおよびビニルアルコール部分を有するコポリマー(または変性コポリマー)の加水分解度の所望の増加を提供するように選択できる。反応時間は、約1分~約48時間、例えば、約1分~約10分(例えば、1分、2分、5分、または10分)、約2分~約36時間、約2分~約24時間、約2分~約12時間、約2分~約6時間、約2分~約4時間、約2分~約2時間、約2分~約1時間、約5分~約1時間、約5分~約2時間、約5分~約5時間、約5分~約10時間、約5分~約12時間、約5分~約24時間、約10分~約24時間、約15分~約24時間、約30分~約24時間、約1時間~約24時間、約2時間~約24時間、約3時間~約24時間、約4時間~約24時間、約5時間~約24時間、約6時間~約24時間、約8時間~約24時間、約10時間~約24時間、約12時間~約24時間、約12時間~約18時間、約14時間~約20時間、または約16時間~約24時間であり得る。実施形態では、混合は、約2分~約48時間であり得る。実施形態では、混合は、約12~約36時間であり得る。実施形態では、混合は、約18~約28時間であり得る。
【0133】
一般に、反応温度が増加するにつれて、加水分解速度は増加する。したがって、反応温度は、反応時間と組み合わせて、繊維を構成するポリマー、例えば、酢酸ビニルおよびビニルアルコール部分を有するコポリマー(または変性コポリマー)の加水分解度の所望の増加を提供するように選択できる。反応温度は、繊維が溶解または分解されず、溶媒が加熱条件下で液体のままである限り、特に限定されない。反応温度は、約10℃~約200℃、約10℃~約190℃、約10℃~約180℃、約10℃~約170℃、約10℃~約160℃、約10℃~約150℃、約10℃~約140℃、約10℃~約130℃、約10℃~約120℃、約10℃~約110℃、約10℃~約100℃、約10℃~約90℃、約10℃~約80℃、約10℃~約70℃、約10℃~約60℃、約10℃~約50℃、約10℃~約40℃、約10℃~約30℃、約20℃~約100℃、約20℃~約90℃、約20℃~約80℃、約30℃~約100℃、約30℃~約90℃、約30℃~約80℃、約30℃~約70℃、約30℃~約60℃、または約30℃~約50℃であり得る。理論に縛られることを意図することなく、高温において、溶媒の極性が増加するにつれて、繊維は膨張、ゲル化および/または溶解し始めると考えられる。したがって、反応温度は、溶媒と組み合わせて、繊維が不溶のままであり、分解しないように選択できる。実施形態では、方法は、繊維および加水分解剤溶液の混合物を加熱するステップをさらに含む。
【0134】
加水分解剤の選択は、加水分解反応の速度に影響し得る。したがって、加水分解剤は、反応時間および温度と組み合わせて、繊維を構成するポリマー、例えば、酢酸ビニルおよびビニルアルコール部分を有するコポリマー(または変性コポリマー)の加水分解度の所望の増加を提供するように選択できる。加水分解が、エステルまたはアミドの酸または塩基で触媒されたエステル交換によって行われる実施形態では、反応速度は、加水分解剤の求核性強度、および二次因子(secondary factory)として、加水分解剤溶液の溶媒中の加水分解剤の溶解度に基づいて変更され得る。加水分解が官能基の-OH部分への還元によって行われる実施形態では、反応速度は、加水分解剤の還元強度、および二次因子として、加水分解剤溶液の溶媒中の加水分解剤の溶解度に基づいて変更され得る。
【0135】
加水分解剤は、ポリマー主鎖の官能基を-OH部分に加水分解もしくは還元し得る、および/またはそれを触媒し得る任意の薬剤であり得る。加水分解剤の非限定例は、これらに限定されないが、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、水およびその組合せを含む。実施形態では、加水分解剤は、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、水またはその組合せを含む。実施形態では、加水分解剤は、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、またはその組合せを含む。実施形態では、加水分解剤は、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ハイポホスファイト、リンの酸、水酸化アンモニウムまたはその組合せを含む。実施形態では、加水分解剤は、金属水酸化物、水酸化アンモニウムまたはその組合せを含む。実施形態では、加水分解剤は、金属水酸化物を含む。実施形態では、金属水酸化物加水分解剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、主族金属水酸化物またはその組合せを含む。実施形態では、金属水酸化物加水分解剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化トリアルキルスズまたはその組合せを含む。実施形態では、金属水酸化物加水分解剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはその組合せを含む。実施形態では、金属水酸化物加水分解剤は、水酸化ナトリウムを含む。
【0136】
一般に、加水分解剤溶液中の加水分解剤の濃度が増加するにつれて、反応速度は増加する。したがって、加水分解剤濃度は、反応時間、反応温度および加水分解剤の選択と組み合わせて、繊維を構成するポリマー、例えば、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーの加水分解度の所望の増加を提供するように選択できる。一般に、加水分解溶液中の加水分解剤の濃度は、任意の濃度であり得る。典型的には、濃度は、提供された加水分解剤のすべてが溶液中にあるように選択される。実施形態では、加水分解剤は、溶媒の重量に基づいて、約0.2%~約75%(w/w)、例えば、約0.2%~約75%、約0.2%~約50%、約0.2%~約25%、約0.5%~約20%、約1%~約18%、約2%~約16%、約5%~約15%、約8%~約12%、または約10%の量で提供され得る。実施形態では、加水分解剤は、溶媒の重量に基づいて、約0.2%~約25%(w/w)の量で提供される。実施形態では、加水分解剤は、溶媒の重量に基づいて、約2%~約25%(w/w)の量で提供される。実施形態では、加水分解剤は、溶媒の重量に基づいて、約5%~約15%(w/w)の量で提供される。
【0137】
加水分解剤溶液の溶媒は、一般に、加水分解剤が可溶であり、処理される繊維が、処理が行われる温度で、繊維が溶媒と接触する継続時間にわたって不溶である、任意の溶媒であり得る。実施形態では、繊維は処理前に溶媒に不溶である。実施形態では、繊維は、処理の間、溶媒に不溶である。実施形態では、繊維は、処理後、溶媒に不溶である。一般に、溶媒は、反応時間、反応温度、加水分解剤の選択およびその濃度と組み合わせて、繊維を構成するポリマー、例えば、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーの加水分解度の所望の増加を提供するように選択できる。溶媒の極性が増加するにつれて、繊維のポリマーマトリックス中への溶媒の拡散は、一般に増加し、その結果、ポリマーマトリックス中への加水分解剤の拡散が増加する。理論に縛られることを意図することなく、溶媒の極性が増加するにつれて、繊維の内側/コアセクションの加水分解度が増加し得、加水分解度は、繊維の横断面にわたって増加し得ると考えられる。さらに、理論に縛られることを意図することなく、溶媒の極性が減少するにつれて、繊維のポリマーマトリックス中への溶媒の拡散は一般に減少し、加水分解度は、繊維の表面/外部/シース/シェルの部分におけるポリマーでのみ増加し得る。繊維の表面/外部/シース/シェルの部分における繊維のポリマーの加水分解の結果、また、繊維の横断面にわたる加水分解度が平均的に増加する。さらに理論に縛られることを意図することなく、溶媒の組合せを使用して、処理された繊維のポリマーの加水分解度の拡散制御された半径方向勾配を提供し得る。
【0138】
実施形態では、加水分解剤溶液のための溶媒は、Hansen溶解度パラメーター(HSP)によって特徴付けられ得る。理論に縛られることを意図することなく、3つのHSP値である分散、モル体積および水素結合は、ポリビニルアルコールの混和性、したがって、特定の溶媒による溶媒和または膨張の指標であると考えられ、さらに、水素結合は、これらの予想される挙動のうちの最大の予測因子であり、すべてのパラメーターの合計であるHtotalもまた予測的であると考えられる。一般に、溶媒のHSP値がポリビニルアルコールのHSP値より低い場合、溶媒およびポリビニルアルコール間でHSP値が異なるほど、ポリビニルアルコール中への溶媒の拡散率は低くなる。理論に縛られることを意図することなく、溶媒のHtotal値が、ポリビニルアルコールのHtotal値よりも約4~約15単位低い場合、ポリビニルアルコール中への溶媒取込み速度および溶媒の拡散率は、溶媒取込み、したがって加水分解剤取込みの勾配が生じるようなものであり、内側のコア領域と比べて表面領域での加水分解度がより高い、横断面にわたる繊維の加水分解度の勾配が提供されると考えられる。理論に縛られることを意図することなく、溶媒のHtotal値が、ポリビニルアルコールのHtotal値よりも約4~約15単位高い場合、ポリビニルアルコール中への溶媒取込み速度および溶媒の拡散率は、溶媒取込み、したがって加水分解剤取込みが、素早く生じるようなものであり、ポリビニルアルコール繊維の横断面にわたって均一な加水分解度が提供されると考えられる。さらに、理論に縛られることを意図することなく、溶媒のHtotal値が繊維のポリビニルアルコールのHtotal値よりも15単位を超えて低い場合、拡散率は、繊維の外側表面のみが加水分解剤で処理されるように制限され、溶媒のHtotal値が繊維のポリビニルアルコールのHtotal値よりも15単位を超えて高い場合、溶媒は、繊維のポリビニルアルコールを溶解すると考えられる。
【0139】
実施形態では、溶媒は、極性溶媒を含む。実施形態では、溶媒は、オクタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、ペンタノール、ブタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、エチレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、グリセロール、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水またはその組合せを含む。実施形態では、溶媒は、n-オクタノール、n-ヘプタノール、n-ヘキサノール、n-ペンタノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水またはその組合せを含む。実施形態では、溶媒は、n-プロパノール、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水またはその組合せを含む。実施形態では、溶媒は、混合条件下で液体であるアルコールを含む。実施形態では、溶媒は、メタノールを含む。実施形態では、溶媒は、メタノールおよび少なくとも1つの追加の溶媒を含む。実施形態では、溶媒は、メタノールおよび水を含む。実施形態では、溶媒は、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールおよびオクタノールのうちの少なくとも1つを水と組み合わせて含む。実施形態では、溶媒は、DMSOおよび水を含む。実施形態では、溶媒は、DMSOおよび水を含み、DMSOおよび水は、約40/60~80/20の重量比で提供される。理論に縛られることを意図することなく、水の量が60%を超えて増加する、またはDMSOの量が約80%を超えて増加するにつれて、それぞれの溶媒のポリビニルアルコールとの相互作用が増加し、その結果、ポリマーの膨張およびゲル化が増加すると考えられる。
【0140】
実施形態では、溶媒は、非極性溶媒を含む。実施形態では、溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルペンタン、ペンタン、シクロプロパン、ジオキサン、ベンゼン、ピリジン、キシレン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルムまたはその組合せを含む。
【0141】
実施形態では、溶媒は、第1の溶媒および第2の溶媒の混合物を含む。実施形態では、第1の溶媒は、極性溶媒を含み、第2の溶媒は、非極性溶媒を含む。実施形態では、第1の溶媒は、第1の誘電率を有し、第2の溶媒は、第2の誘電率を有し、第1の溶媒の誘電率は、第2の溶媒の誘電率よりも高い。実施形態では、第1の誘電率は、5もしくはそれ未満、4もしくはそれ未満、3もしくはそれ未満、または2もしくはそれ未満である。実施形態では、第2の誘電率は、5超、7.5超、10超、15超、18超、20超、25超、または30超である。実施形態では、第1の誘電率および第2の誘電率の差は、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも8、または少なくとも10である。溶媒が第1の溶媒および第2の溶媒の混合物を含む実施形態では、第1の溶媒および第2の溶媒は、任意の比で提供され得、ただし、加水分解剤は、混合物に可溶であり、繊維は、処理前、処理中および処理後に、混合物に不溶である。実施形態では、第1の溶媒および第2の溶媒は、約99/1~約1/99、約95/5~約5/95、約90/10~10/90、約85/15~約15/85、約80/20~約20/80、約75/25~約25/75、約70/30~約30/70、約65/35~約35/65、約60/40~約40/60、約55/45~約45/55または約50/50の重量比で提供され得る。
【0142】
一部の実施形態では、第1の溶媒はメタノールであり、第2の溶媒はヘキサンである。メタノールおよびヘキサンは、任意の好適な重量比または体積比であり得る。例えば、10重量%のメタノールおよび90重量%のヘキサンを含む溶媒は、本明細書に記載の通りのポリマーを含む繊維の少なくとも一部の二次鹸化を触媒する。
【0143】
実施形態では、本開示の方法は、活性化剤を繊維および加水分解剤溶液と混合するステップをさらに含む。活性化剤は、加水分解剤による繊維の処理を促進する任意の添加剤であり得る。活性化剤は、例えば、繊維のポリマーと加水分解剤との間の反応の活性化エネルギーを低減する触媒、またはポリマーマトリックス中への加水分解剤の拡散を促進する化合物を含み得る。
【0144】
反応条件はまた、処理された繊維の溶解度機序ならびに/または吸収能および保持を設計および制御するために選択できる。例えば、反応条件は、(a)シースのポリマーがコアのポリマーよりも高い加水分解度を有するコア-シース構造(
図2A)、(b)内部領域から表面領域へのポリマーの加水分解度の増加半径方向勾配(
図2B、
図3)、または(c)横断面にわたって一貫した加水分解度(
図2C)によって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するように選択でき、得られた繊維は、異なる溶解度機序(例えば、即時放出、遅延放出、または誘発放出)ならびに/または吸収能および保持特性を有し得る。所定の繊維構造を提供するように変更され得る反応条件は、加水分解剤の選択、加水分解剤溶液中の加水分解剤の濃度の選択、反応(混合)時間、反応(混合)温度、加水分解剤溶液のための溶媒の選択、および活性化剤の必要に応じた含有を含む。
【0145】
コア-シース構造を有する繊維は、本明細書に記載の通りの100%未満の加水分解度を有するポリマーを有する繊維を、繊維の内側コア領域への溶媒および加水分解剤の半径方向拡散を最小にするのに十分な条件下で、加水分解剤溶液で処理することによって調製できる。繊維の内側コア領域への溶媒および加水分解剤の拡散は、例えば、短い反応時間、低反応温度を選択し、および/または非極性溶媒を含むことによって最小にできる。実施形態では、本開示の方法の混合は、シースのポリマーがコアのポリマーよりも高い加水分解度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有するポリビニルアルコール繊維を提供するのに十分な条件下で実施される。実施形態では、シースのポリマーがコアのポリマーよりも高い加水分解度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有するポリビニルアルコール繊維を提供するのに十分な条件は、加水分解剤溶液中に、20もしくはそれ未満、18もしくはそれ未満、14もしくはそれ未満、または10もしくはそれ未満の誘電率を有する溶媒を含むことを含む。実施形態では、シースのポリマーがコアのポリマーよりも高い加水分解度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有するポリビニルアルコール繊維を提供するのに十分な条件は、繊維および加水分解剤溶液を、約10℃~約30℃、約10℃~約25℃、または約15℃~約25℃の範囲の温度で混合することを含む。実施形態では、シースのポリマーがコアのポリマーよりも高い加水分解度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有するポリビニルアルコール繊維を提供するのに十分な条件は、繊維および加水分解剤溶液を、約2分~約6時間、約2分~約4時間、約5分~約3時間、約10分~約2時間、または約15分~約1時間の時間、混合することを含む。実施形態では、シースのポリマーがコアのポリマーよりも高い加水分解度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有するポリビニルアルコール繊維を提供するのに十分な条件は、加水分解剤溶液中に、20もしくはそれ未満、18もしくはそれ未満、14もしくはそれ未満、または10もしくはそれ未満の誘電率を有する溶媒を含むこと、繊維および加水分解剤溶液を、約10℃~約30℃、約10℃~約25℃、または約15℃~約25℃の範囲の温度で混合すること、ならびに繊維および加水分解剤溶液を、約2分~約6時間、約2分~約4時間、約5分~約3時間、約10分~約2時間、または約15分~約1時間の時間、混合することを含む。シースのポリマーがコアのポリマーよりも高い加水分解度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有するそのような繊維は、繊維の内部に提供された活物質の遅延放出特性、繊維の内部に提供された活物質の誘発放出、横断面にわたって一貫した加水分解度を有する繊維と比べて増加した吸収力、および/または横断面にわたって一貫した加水分解度を有する繊維と比べて改善された吸収流体の保持を提供し得る。
【0146】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、繊維からの活物質の「遅延放出」とは、活物質の全体が、繊維の最終使用用途の条件下で溶媒(通常、水)と接触した場合、繊維から即時放出されないことを意味する。例えば、活物質を含有し、洗濯用途に使用される繊維は、洗浄条件下で、活物質の全体を即時放出しないことがある。むしろ、活物質は、経時的に繊維から拡散し得る。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、繊維からの活物質の「誘発放出」とは、誘発条件が満たされるまで、活物質は繊維から一切放出されないことを意味する。例えば、活物質を含有し、洗濯用途に使用される繊維は、洗浄水が所定の温度および/またはpHに達するまで、活物質を放出しないことがある。
【0147】
誘発条件は、これらに限定されないが、温度、pH、UV/VIS放射、IR放射、イオンの存在、触媒の存在またはその組合せを含み得る。
【0148】
理論に縛られることを意図することなく、シースのポリマーがコアのポリマーよりも高い加水分解度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維は、シースの存在により、流体と接触した場合にコアが膨張することが可能になり、繊維の崩壊なしに吸収能が増加することが可能になり、繊維が熱水への浸漬などの誘発条件と接触するまで流体が保持されるため、横断面にわたって一貫した加水分解度を有する繊維と比べて増加した流体吸収および/または保持を有し得ると考えられる。
【0149】
シース構造の厚さが増加するにつれて、流体で膨張して飽和したコアを有する繊維の安定性は増加するが、流体を吸収するためのコア中の利用可能なポリマーの量は減少する。シースの厚さは、繊維のポリマー構造中への加水分解剤の拡散を制御することによって制御できる。繊維の内側部分の処理は拡散制御されるため、シースは、繊維の外縁周りの厚さのばらつきを有し得、シースの内側部分は、シースの外面におけるポリマーの加水分解度より低いが、繊維の中心におけるポリマーの加水分解度より高い加水分解度を有し得ることが理解される。したがって、一部の実施形態では、繊維の横断面は、コア-シース構造によって特徴付けられ得、また、繊維の内側部分から繊維の外部分への増加勾配を有することを特徴とし得る。
【0150】
増加する半径方向勾配構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維は、100%未満の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーまたは変性コポリマーなどのポリマーを有する繊維を、繊維の内側領域への溶媒および加水分解剤の半径方向拡散を変更するのに十分な条件下で、加水分解剤溶液で処理することによって調製できる。実施形態では、内側領域から外部領域への増加半径方向勾配構造によって特徴付けられる横断面を有するポリビニルアルコール繊維は、異なる拡散速度(同時または段階的)を有する複数の溶媒を使用し、繊維中への溶媒および加水分解剤の拡散速度を変更するように混合中に温度を変化させ、ならびに/または反応時間を、一部の加水分解剤が内側領域に拡散して、ポリマーの加水分解度を変更するのを可能にするのに十分長いが、内側部分のポリマーが、外部/表面部分のポリマーと同じ程度に加水分解するのを可能にするほどには長くないように選択して、調製できる。実施形態では、本開示の方法の混合は、繊維の内部領域から繊維の表面領域へのポリマーの加水分解度の増加勾配によって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で実施される。加水分解度の増加勾配によって特徴付けられる横断面を有するそのような繊維は、繊維の内部に提供された活物質の遅延放出特性、繊維の内部に提供された活物質の誘発放出、横断面にわたって一貫した加水分解度を有する繊維と比べて増加した吸収力、および/または改善された吸収流体の保持を提供し得る。
【0151】
コア-シース構造および/または増加半径方向構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維は、コア/内側領域に充填された活性剤を有し得る。活物質が、繊維を活性剤の溶液と接触させ、活性剤溶液をポリマー構造中に拡散することを可能にすることによって、コア/内側領域に充填され得る結果、繊維のコア/内側領域が活性剤溶液を吸収し、膨張する。活性剤は、活性剤溶液溶媒に可溶である本明細書に開示の任意の活性剤であり得る。溶媒は、本明細書に開示の任意の溶媒であり得る。理論に縛られることを意図することなく、溶媒の極性が増加するにつれて、繊維のコア/内側領域への拡散速度が増加すると考えられる。例示的な溶媒は、水であり、ただし、活性剤溶液の水は、繊維のコア/内側領域および繊維のシース/シェル/外部領域を構成するポリマーの溶解温度よりも低い温度で維持される。
【0152】
横断面(全体)にわたって同じ加水分解度を有するポリマーによって特徴付けられる横断面を有する繊維は、100%未満の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーまたは変性コポリマーなどのポリマーを有する繊維を、繊維の内側コア領域への溶媒および加水分解剤の半径方向拡散を最大にするのに十分な条件下で、加水分解剤溶液で処理することによって調製できる。溶媒および加水分解剤の繊維の内側コア領域への拡散は、例えば、長い反応時間、高反応温度を選択し、および/または高度に極性の溶媒を含むことによって最大にできる。実施形態では、本開示の方法の混合は、横断面にわたってポリマーが同じ加水分解度を有することによって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で実施される。
【0153】
理論に縛られることを意図することなく、繊維形成材料としてポリビニルアルコールコポリマーまたは変性コポリマーを含む繊維の場合、繊維の横断面にわたる平均加水分解度は、繊維の溶解度機序および繊維の吸収能に関する情報を伝えると考えられる。特に、理論に縛られることを意図することなく、繊維の横断面にわたる平均加水分解度が増加するにつれて、繊維は、水温の上昇に伴って水中でより長く残存すると予想されると考えられる。さらに、理論に縛られることを意図することなく、繊維の横断面にわたる平均加水分解度が増加するにつれて、繊維の吸収能は減少すると考えられる。
【0154】
有利には、繊維の内側領域中のポリマーの加水分解度と比べて繊維の表面領域におけるポリマーの加水分解度が増加するにつれて、繊維のバルク溶解度は減少し、繊維全体にわたって一貫した加水分解度を有する繊維を単に選択することと比べて、繊維の溶解度パラメーターおよび繊維の異なる溶解度特性をより正確に調節することが可能になる。
【0155】
本開示は、加水分解性ポリマーを含む繊維を処理する方法であって、100%未満の加水分解度を有する、本明細書に記載の通りの酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーなどの加水分解性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコールコポリマーまたは変性コポリマー)を含む繊維の表面を、加水分解剤溶液と接触させて、繊維の少なくとも表面を含む繊維の領域における加水分解性ポリマーの加水分解度を増加させるステップを含む、方法をさらに提供する。実施形態では、接触は、浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリントまたはその組合せによるものであり得る。加水分解性ポリマーは、本明細書に開示の任意の加水分解性ポリマーであり得る。実施形態では、加水分解性ポリマーは、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含み、これは、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せからなる群から選択され得る。加水分解剤溶液は、本明細書に開示の任意の加水分解剤および本明細書に開示の任意の溶媒を含み得る。実施形態では、方法は、連続インラインプロセスの一部として、繊維の形成後に、繊維の表面を加水分解剤溶液と接触させるステップをさらに含み得る。例えば、繊維は、第1のステーションにおいてポリマー混合物から形成でき、次いで、第2のステーションに移されて、繊維の表面が処理され得る。別の例では、繊維は、ポリビニルアルコール繊維供給ステーション、ポリビニルアルコール繊維処理ステーションおよびポリビニルアルコール繊維収集ステーションを含む装置で処理できる。実施形態では、繊維は、繊維の表面の接触の間、動いている。実施形態では、繊維の表面を加水分解剤溶液と接触させるステップは、バッチプロセスによってバッチで実施される。例えば、繊維は、バルクで調製でき、不織布ウェブへの繊維の形成前に加水分解剤で処理できる。実施形態では、繊維は、ステープル繊維、ステープルヤーン、繊維フィル、ニードルパンチ布、結合繊維またはその組合せを含む。実施形態では、繊維は、ステープル繊維を含む。実施形態では、方法は、繊維の表面を加水分解剤溶液と接触させた後に、繊維を洗浄および乾燥するステップをさらに含む。洗浄は、繊維を非溶媒ですすぐことによるものであり得る。繊維の乾燥は、エアジェット乾燥、撹拌、ボルテックスまたは遠心分離によるものであり得る。
【0156】
本明細書に開示の方法は、繊維を構成するポリマーの少なくとも一部の加水分解度を増加させるように繊維を処理することを記載しているが、繊維は、繊維を構成するポリマーの少なくとも一部の加水分解度を減少させるように処理され得ることが理解される。したがって、本開示は、ポリビニルアルコールポリマーの少なくとも一部をアシル化する方法であって、ポリビニルアルコールポリマーを含む繊維を、アシル化剤溶液と混合して、繊維中のポリビニルアルコールポリマーの少なくとも一部の加水分解度を減少させるステップを含む、方法をさらに提供する。
【0157】
混合条件は、繊維を加水分解剤溶液と混合するための本明細書に記載の条件のうちの任意のものであり得る。加水分解剤の代わりに、アシル化剤溶液は、アシル化剤を含む。混合条件は、加水分解度を増加させる方法に関して本明細書に記載の通り、所定の加水分解度または所定の加水分解度の減少を提供するように選択できる。アシル化剤溶液で処理された繊維は、シースのポリマーがコアのポリマーよりも小さい加水分解度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面、内部領域から表面領域へのポリマーの加水分解度の減少勾配によって特徴付けられる横断面、または断面にわたって同じ加水分解度を有するポリマーによって特徴付けられる横断面を有し得る。
【0158】
アシル化剤は、ペンダントヒドロキシル(-OH)またはアミン(-NR2)を有するポリマーと接触した場合、ペンダントヒドロキシルまたはアミンの水素をアシル基(R-C(O)-)に変換する任意の薬剤であり得る。好適なアシル化剤は、これらに限定されないが、アルデヒド、アシル無水物、塩化アシルおよびアシル補酵素を含む。実施形態では、アシル化剤は、塩酸などの酸触媒の存在下でアルデヒドを含む。実施形態では、アシル化剤は、必要に応じて、第三級または芳香族アミン塩基の存在下で、無水酢酸および/または塩化アセチルを含む。実施形態では、アシル化剤は、酵素であるアセチルトランスフェラーゼの存在下、アセチル補酵素A(アセチル-CoA)を含む。
【0159】
本開示は、本開示の方法に従って処理した繊維を提供する。
【0160】
本開示は、表面領域および内部領域を有する繊維であって、加水分解性ポリマーを含み、表面領域の加水分解性ポリマーが内部領域の加水分解性ポリマーよりも高い加水分解度を有することによって特徴付けられる横断面を有する、繊維を提供する。実施形態では、本開示は、表面領域および内部領域を有する繊維であって、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含み、表面領域のポリマーが内部領域のポリマーよりも高い加水分解度を有することによって特徴付けられる横断面を有する、繊維を提供する。
【0161】
本開示の繊維は、内部領域から表面領域への加水分解性ポリマーの加水分解度の増加勾配によって特徴付けられる繊維の横断面を有し得る。実施形態では、本開示の繊維は、内部領域から表面領域へのポリマーの加水分解度の増加勾配によって特徴付けられる繊維の横断面を有し得る。
【0162】
図3に示される通り、本開示は、コア-シース構造によって特徴付けられる横断面を含む繊維であって、100%未満の加水分解度を有する加水分解性ポリマーを含む第1のコア領域(
図3において401と示される)、および第1の領域の加水分解性ポリマーよりも高い加水分解度を有する加水分解性ポリマーを含む第2のシース領域(
図3において402と示される)を含む、繊維を提供する。実施形態では、繊維は、コア-シース構造によって特徴付けられる横断面を含み得、繊維は、100%未満の加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーを含む第1のコア領域、および第1の領域のポリマーよりも高い加水分解度を有するポリマーを含む第2のシース領域を含む。実施形態では、繊維は、第1および第2の領域間に配置され、第1の領域の加水分解性ポリマーよりも高く、第2の領域の加水分解性ポリマーより低い加水分解度を有する加水分解性ポリマーを含む第3の中間領域(
図3において403と示される)をさらに含む。実施形態では、第1、第2および第3の領域の加水分解性ポリマーは、ポリビニルアルコールポリマーを含み得る。実施形態では、繊維は、第1および第2の領域間に配置された複数の第3の中間領域(
図3において403A、403Bと示される)を含み得、繊維の横断面は、第1の領域から第2の領域への加水分解性ポリマーの加水分解度の増加勾配によって特徴付けられる。実施形態では、複数の第3の中間領域は、ポリビニルアルコールポリマーを含み得、繊維の横断面は、第1の領域から第2の領域へのポリマーの加水分解度の増加勾配によって特徴付けられる。
【0163】
実施形態では、本開示の繊維は、約1%、約2%、約3%、約5%、約7%、約10%、約11%、約12%、約15%、約18%、約20%、約23%、約25%、約27%、または約29%、例えば、1%~29%、約1%~約25%、約1%~約20%、約2%~約18%、約2%~約15%、約3%~約12%、または約3%~約11%の範囲の、第1および第2の領域中のポリマーの加水分解度の差を有し得る。実施形態では、繊維の横断面は、平均半径によって特徴付けられ得、第2の領域は、繊維の平均半径の約0.5%、例えば、約1%、約2%、約3%、約5%、約7%、約9%、約10%、約12%、約15%、約20%、約25%、約50%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約94%、約96%、または約98%、例えば、約1%~約98%、約1%~約90%、約1%~約75%、約1%~約50%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約12%、約1%~約10%、約1%~約8%、約1%~約6%、約1%~約5%、約1%~約4%、約2%~約25%、約4%~約25%、約6%~約35%、または約8%~約20%の範囲を構成し得る。
【0164】
実施形態では、第1、第2および必要に応じた第3の領域中の加水分解性ポリマーは、同じ重合度を有する。実施形態では、第1、第2および必要に応じた第3の領域中の加水分解性ポリマーは、同じ重合度を有するポリビニルアルコールを含む。実施形態では、第1、第2および必要に応じた第3の領域中の加水分解性ポリマーは、同じ変性度を有する変性ポリビニルアルコールポリマーを含む。
【0165】
コア-シース構造または勾配加水分解度によって特徴付けられる横断面を有する本明細書に開示の繊維は、繊維のシースおよび/または表面領域においてより高い加水分解度を有すると記載されているが、繊維は、繊維のシースおよび/または表面領域のポリマーの加水分解度が、コアおよび/または内側表面領域のポリマーの加水分解度より低いように調製できる(すなわちアシル化剤により)ことが理解される。したがって、本開示は、表面領域および内部領域を有する繊維であって、加水分解性ポリマーを含み、表面領域の加水分解性ポリマーが内部領域の加水分解性ポリマーよりも低い加水分解度を有することによって特徴付けられる横断面を有する、繊維をさらに提供する。実施形態では、本開示は、表面領域および内部領域を有する繊維であって、ポリビニルアルコールポリマーを含み、表面領域のポリビニルアルコールポリマーが内部領域のポリビニルアルコールポリマーよりも低い加水分解度を有することによって特徴付けられる横断面を有する、繊維を提供する。
【0166】
本開示の繊維は、内部領域から表面領域への加水分解性ポリマーの加水分解度の減少勾配によって特徴付けられる繊維の横断面を有し得る。実施形態では、本開示の繊維は、内部領域から表面領域へのポリマーの加水分解度の減少勾配によって特徴付けられる繊維の横断面を有し得る。
【0167】
本開示で提供される表面領域および内部領域を有する繊維において、内部領域中のポリマーは、第1の加水分解度を有し、表面領域中のポリマーは、第1の加水分解度よりも高い第2の加水分解度を有する。一部の実施形態では、第1の加水分解度は、約79%~約96%の範囲であり、第2の加水分解度は、約88%~100%、例えば、約90%~100%、約88%~99%、または約90%~約99%の範囲である。一部の実施形態では、第1の加水分解度は、約79%~約92%の範囲であり、第2の加水分解度は、約88%~約96%の範囲である。
【0168】
繊維は、23℃の水への200秒未満の溶解時間を有する。繊維は、10℃~23℃の範囲の温度の水と接触時、20%~70%の範囲の、繊維の長手方向軸に沿った収縮率を有する。実施形態では、内部領域中のポリマーは、約72℃~約72.9℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有し、表面領域中のポリマーは、約73℃~約85℃の範囲のTgを有する。
【0169】
一部の実施形態では、本開示で提供される繊維は、長手方向軸、および繊維の長手方向軸に垂直な横断面を有する。繊維は、長手方向軸の少なくとも一部に沿ってコアおよびシース構造をさらに有する。繊維は、100%未満の第1の加水分解度を有する、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含むコアおよびシース構造のコア領域を含む。
【0170】
繊維は、横断面のコア領域から半径方向に外向きに配置されたコアおよびシース構造のシース領域を有する。シース領域は、第1の加水分解度よりも高い第2の加水分解度を有する、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む。本明細書に記載の通り、実施形態では、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーは、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む。第1の加水分解度と第2の加水分解度との間の差は、少なくとも1%である。第1の加水分解度と第2の加水分解度との間の差は、1%~29%の範囲であってもよい。第1および第2の加水分解度は、上記の通りの範囲内であり得る。例えば、約88%~約96%の範囲の第2の加水分解度を有するシース領域では、繊維は、23℃の水への200秒未満の溶解時間を有し、繊維は、10℃~23℃の範囲の温度の水に含浸後に、約20%~約70%の範囲の乾燥収縮率を有し、シース領域中のポリマーは、約73℃~約85℃の範囲のガラス転移温度を有する。コアおよびシース(またはシェル)構造は、上記の通り、少なくとも1つの中間層を含んでもよい。
【0171】
本開示はまた、第1の領域および第2の領域を含む繊維を提供する。第1の領域は、100%未満の第1の加水分解度を有する、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む。第2の領域は、第1の加水分解度よりも高い第2の加水分解度を有する、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む。実施形態では、そのようなポリマーは、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む。繊維は、長手方向軸を有する。第1の領域は、長手方向軸に沿って繊維のコア領域を形成し、第2の領域は、コア領域の少なくとも一部を取り囲む繊維のシース領域を形成する。繊維は、長手方向軸に垂直な横断面を有する。
【0172】
繊維は、横断面の第1および第2の領域間に配置された中間領域をさらに含んでもよい。中間領域は、第1の加水分解度よりも高く、第2の加水分解度より低い第3の加水分解度を有するポリマーを含む。繊維は、長手方向軸に垂直な横断面を有する。繊維は、ポリマーを含み第1の領域と第2の領域との間に配置された複数の中間領域をさらに含んでもよく、横断面は、第1の領域から第2の領域への加水分解度の増加勾配を有する。上記の通り、第1の加水分解度と第2の加水分解度との間の差は、少なくとも1%、例えば、1%~29%の範囲である。第1の領域、第2の領域および第3の領域の各々のポリマーは、同じ重合度を有してもよく、例えば、ポリマーは、同じ変性度を有する変性ポリビニルアルコールポリマーを含む。
【0173】
不織布ウェブ
【0174】
本開示の不織布ウェブは、一般に、2つの外面を有するシート様構造体であり、不織布ウェブは、複数の繊維を含む。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、不織布ウェブの「外面」とは、
図7において100および101で示されるシート様構造体の面をいう。不織布ウェブとは、一般に、互いに結合した繊維の配置構成をいい、繊維は、織られても、編まれてもいない。一般に、複数の繊維は、任意の配向で配置構成され得る。実施形態では、複数の繊維は、ランダムに配置構成される(すなわち、配向を有さない)。実施形態では、複数の繊維は、一方向配向で配置構成される。実施形態では、複数の繊維は、二方向配向で配置構成される。一部の実施形態では、複数の繊維は、不織布ウェブの異なる領域において異なる配置構成を有する多方向性である。実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の水溶性繊維を含み得る。実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の水不溶性繊維を含み得る。実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の水溶性繊維および1つまたは複数の異なる種類の水不溶性繊維を含み得る。実施形態では、不織布ウェブは、1つまたは複数の異なる種類の水溶性繊維および1つまたは複数の異なる種類の水不溶性繊維を含み得る。実施形態では、不織布ウェブは、水溶性繊維からなる、または水溶性繊維から本質的になり得る。実施形態では、不織布ウェブは、水不溶性繊維からなる、または水不溶性繊維から本質的になり得る。一部の実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の繊維形成材料を含み得る(すなわち、すべての繊維が同じ組成の繊維形成材料を有する)が、1つまたは複数の繊維形成法、例えば、湿式冷却ゲル紡糸、熱可塑性繊維紡糸、メルトブローン、スパンボンドまたはその組合せによって調製された繊維を含み得る。一部の実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の繊維形成材料を含み得、繊維は、単一の繊維形成法から作製される。一部の実施形態では、不織布ウェブは、2つまたはそれよりも多くの繊維形成材料(例えば、異なる組成の繊維形成材料を有する繊維のブレンド、繊維形成材料のブレンドを含む繊維、またはその両方)を含み得、繊維は、1つまたは複数の繊維形成法、例えば、湿式冷却ゲル紡糸、熱可塑性繊維紡糸、メルトブローン、スパンボンドまたはその組合せによって調製され得る。一部の実施形態では、不織布ウェブは、2つまたはそれよりも多くの繊維形成材料を含み得、繊維は、単一の繊維形成法から作製される。実施形態では、不織布ウェブの繊維は、実質的に同じ直径または異なる直径を有し得る。
【0175】
本開示の不織布ウェブが、第1の繊維および第2の繊維を含む繊維のブレンドを含む実施形態では、第1および第2の繊維は、長さ対直径(L/D比、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(Tg)、繊維形成材料、色またはその組合せの差を有し得る。
【0176】
当技術分野で十分理解されている通り、機械加工方向(MD)という用語は、例えば、市販の不織布作製機で不織布ウェブが製造される際にウェブが進行する方向をいう。同様に、交差方向(CD)という用語は、機械加工方向に垂直なウェブの平面の方向をいう。不織布複合物品、ワイプ、吸収物品または本開示の不織布複合物品を含む他の物品に関して、これらの用語は、物品の製造に使用される不織布ウェブに関して物品の対応する方向をいう。
【0177】
不織布ウェブの靭性は、ウェブを調製するのに使用された繊維の靭性と同じまたは異なり得る。理論に縛られることを意図することなく、不織布ウェブの靭性は、不織布ウェブの強度に関連し、靭性がより高いほど、不織布ウェブの強度がより高くなると考えられる。一般に、不織布ウェブの靭性は、異なる靭性を有する繊維を使用することによって修正できる。不織布ウェブの靭性はまた、加工によって影響され得る。一般に、本開示の水分散性ウェブは、比較的高い靭性を有し得、すなわち、水分散性不織布ウェブは、物品および/またはポーチを調製するための単独材料として使用できる自己支持ウェブである。実施形態では、不織布ウェブは自己支持ウェブである。反対に、メルトブローン、電界紡糸および/または回転紡糸法により調製された不織布ウェブは、典型的には、低い靭性を有し、自己支持ではない、または物品もしくはポーチを形成するための単独ウェブとして使用することができない場合がある。したがって、一部の実施形態では、不織布ウェブは、自己支持ではなく、第2の不織布ウェブおよび/または水溶性フィルムと組み合わせて使用される。
【0178】
実施形態では、本開示の不織布ウェブは、約0.5~約1.5、約0.75~約1.5、約0.80~約1.25、約0.90~約1.1、もしくは約0.95~約1.05の範囲、または約1の、機械加工方向の靭性の交差方向の靭性に対する比(MD:CD)を有し得る。実施形態では、本開示の不織布ウェブは、約0.8~約1.25の靭性比MD:CDを有する。実施形態では、本開示の不織布ウェブは、約0.9~約1.1の靭性比MD:CDを有する。実施形態では、本開示の不織布ウェブは、約1の靭性を有する。理論に縛られることを意図することなく、靭性比MD:CDが1に近づくにつれて、不織布の耐久性が増加し、使用の間、例えば、本開示の不織布ウェブを含む水に流せるワイプでこする、または着用可能吸収物品の着用の間の動きによって引き起こされる不織布の引張(pulling/tugging)により不織布に応力が付与された場合、不織布の分解への優れた抵抗を付与すると考えられる。
【0179】
本開示の不織布ウェブは、水溶性フィルムと比べて粗い表面を有し得、これにより、表面と水溶性フィルムとの間よりも表面と不織布ウェブとの間の接触が減少する。有利には、この表面粗度により、消費者の感触が改善され(すなわち、ゴムのような手触りではなく布のような手触りになる)、美観が改善される(すなわち、水溶性フィルムよりも光沢が少なくなる)、ならびに/または加工機/型の表面に沿ってウェブを延伸する必要がある熱成形および/もしくは垂直形成、充填および封止されたおよび/またはマルチチャンバーのパケットの調製における加工性が促進され得る。したがって、繊維は、抗力を生じるほど粗くなることなく、得られる不織布ウェブに表面粗度をもたらすのに十分粗くなくてはならない。
【0180】
不織布ウェブは、坪量によって特徴付けることができる。不織布の坪量は、不織布の単位面積当たり質量である。坪量は、当技術分野で公知の通り、製造条件を変更することによって修正できる。不織布ウェブは、結合前および結合後で同じ坪量を有し得る。あるいは、結合法により、不織布ウェブの坪量は変化し得る。例えば、結合が、熱および圧力の付与によって起こる場合、不織布の厚さ(したがって不織布の面積)は、減少し得、それによって、坪量は増加する。したがって、本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、不織布の坪量とは、結合後の不織布の坪量をいう。
【0181】
本開示の不織布ウェブは、約0.1g/m2~約700g/m2、約0.5g/m2~約600g/m2、約1g/m2~約500g/m2、約1g/m2~約400g/m2、約1g/m2~約300g/m2、約1g/m2~約200g/m2、約1g/m2~約100g/m2、約30g/m2~約100g/m2、約20g/m2~約100g/m2、約20g/m2~約80g/m2または約25g/m2~約70g/m2の範囲の任意の坪量を有し得る。
【0182】
実施形態では、不織布ウェブはカーティングされ得、約5g/m2~約15g/m2、約7g/m2~約13g/m2、約9g/m2~約11g/m2または約10g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブはカーディングされ得、30g/m2またはそれよりも大きい、例えば、30g/m2~約70g/m2、約30g/m2~約60g/m2、約30g/m2~約50g/m2、約30g/m2~約40g/m2、または約30g/m2~約35g/m2の範囲の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブはメルトスパンされ得、約1g/m2~約20g/m2、約2g/m2~約15g/m2、約3g/m2~約10g/m2、約5g/m2~約15g/m2、約7g/m2~約13g/m2、約9g/m2~約11g/m2の範囲、または約10g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブはメルトスパンされ得、約0.1g/m2~約10g/m2、約0.1g/m2~約8g/m2、約0.2g/m2~約6g/m2、約0.3g/m2~約4g/m2、約0.4g/m2~約2g/m2、または約0.5g/m2~約1g/m2の坪量を有し得る。
【0183】
坪量には、不織布の繊維体積密度および多孔度が関係する。調製時および結合前の不織布ウェブは、一般に、約30体積%またはそれ未満の繊維密度を有し、すなわち、所与の体積の不織布について、30%またはそれ未満の体積が、繊維から構成され、残りの体積は空気である。したがって、不織布ウェブは、一般に高度に多孔性である。不織布の繊維体積密度および多孔度は、反比例に関連する不織布の特性であり、例えば、約30体積%の繊維体積密度を有する不織布は、約70体積%の多孔度を有することになる。繊維体積密度が増加するにつれて、多孔度が減少することは、当技術分野において十分理解されている。繊維体積密度は、不織布の坪量を増加させることによって、例えば、熱および圧力の付与による結合によって、潜在的に不織布の厚さ(したがって、体積)を減少させることによって、増加させることができる。したがって、本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、不織布の繊維体積密度および多孔度とは、結合後の不織布の繊維体積密度および多孔度をいう。
【0184】
本開示の不織布ウェブは、約50%~約95%、例えば、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%もしくは少なくとも約80%および最大約95%、最大約90%、最大約85%、最大約80%、最大約75%、最大約70%の範囲、または約50%~約95%、約50%~約80%、約50%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約90%、約75%~約85%、約75%~約90%、もしくは約75%~約95%の範囲の任意の多孔度を有し得る。
【0185】
孔径は、これらに限定されないが、ブルナウアー-エメット-テーラー理論(BET)、小角X線散乱(SAXS)および分子吸着を含む高倍率規則的表面分析技術を使用して決定できる。
【0186】
本開示の不織布ウェブは、任意の厚さを有し得る。好適な厚さは、これらに限定されないが、約5~約10,000μm(1cm)、約5~約5,000μm、約5~約1,000μm、約5~約500μm、約200~約500μm、約5~約200μm、約20~約100μm、または約40~約90μm、または約50~80μm、または約60~65μm、例えば、50μm、65μm、76μm、または88μmを含み得る。本開示の不織布ウェブは、高ロフトまたは低ロフトを特徴とし得る。一般に、ロフトとは、厚さの坪量に対する比をいう。高ロフト不織布ウェブは、厚さの坪量に対する高い比によって特徴付けることができる。本明細書で使用される場合、「高ロフト」とは、本明細書で定義される通りの坪量および200μmを超える厚さを有する本開示の不織布ウェブをいう。不織布ウェブの厚さは、ASTM D5729-97、ASTM D5736およびISO 9073-2:1995に従って決定でき、例えば、不織布ウェブを2Nの負荷にかけ、厚さを測定することを含み得る。高ロフト材料は、当技術分野で公知の方法、例えば、エアスルー結合、またはクロスラッパーを使用して未結合ウェブをそれ自体の上に折り畳んで、ロフトおよび坪量を作るクロスラップに従って使用できる。理論に縛られることを意図することなく、フィルムの溶解度がフィルムの厚さに依存し得る水溶性フィルムとは反対に、水溶性繊維を含む不織布ウェブの溶解度は、ウェブの厚さに依存しないと考えられる。これに関して、フィルムの厚さに関わらず、個々の繊維により水溶性フィルムよりも大きい表面積がもたらされるため、水の繊維への到達、およびそれによって、水溶性不織布ウェブ中の繊維の溶解を制限するパラメーターは、坪量であると考えられる。
【0187】
本開示の不織布ウェブの水溶解度は、一般に、ウェブを調製するのに使用した繊維(複数可)の種類および水分散性ウェブの坪量の関数である。理論に縛られることを意図することなく、単独の繊維形成材料を含む単独の繊維種類を含む不織布ウェブの場合、不織布ウェブの溶解度プロファイルは、この不織布ウェブを調製するのに使用した繊維(複数可)と同じ溶解度プロファイルに従い、繊維の溶解度プロファイルは、一般に、この繊維が調製される繊維形成ポリマー(複数可)と同じ溶解度プロファイルに従うと考えられる。例えば、PVOH繊維を含む不織布ウェブの場合、ポリマーの加水分解度は、不織布ウェブの水溶解度もまた影響を受けるように選択できる。一般に、所与の温度において、ポリマーの加水分解度が、部分加水分解(88%DH)から完全加水分解(≧98%DH)に増加するにつれて、ポリマーの水溶解度は、一般に、減少する。したがって、1つの選択肢では、不織布ウェブは、冷水溶性であり得る。いずれの他のモノマーも含まない(例えば、アニオン性モノマーと共重合されていない)コ-ポリ(酢酸ビニル=ビニルアルコール)ポリマーの場合、10℃未満の温度の水に可溶性である冷水溶性ウェブは、約75%~約90%の範囲、または約80%~約90%の範囲、または約85%~約90%の範囲の加水分解度を有するPVOHコポリマーの繊維を含み得る。別の選択肢では、不織布ウェブは、熱水溶性であり得る。いずれの他のモノマーも含まない(例えば、アニオン性モノマーと共重合されていない)コ-ポリ(酢酸ビニル=ビニルアルコール)ポリマーの場合、少なくとも約60℃の温度の水に可溶性である熱水溶性ウェブは、少なくとも約98%の加水分解度を有するPVOHコポリマーの繊維を含み得る。
【0188】
PVOHコポリマーの変性により、PVOHコポリマーの溶解度が増加する。したがって、所与の温度において、変性PVOHコポリマーから調製された水分散性不織布ウェブの溶解度は、PVOHコポリマーと同じ加水分解度を有する、変性を有さないPVOHコポリマーから調製された不織布ウェブの溶解度よりも高いと予想される。これらの傾向に従って、特定の溶解度特徴を有する水分散性不織布ウェブが、設計できる。
【0189】
驚くべきことに、各繊維種類が単独の繊維形成材料を有する繊維種類のブレンドを含む不織布ウェブの場合、不織布ウェブの溶解度は、繊維種類のブレンドの場合に予想される通りの混合物の規則に従わない。むしろ、2つの繊維種類のブレンドを含む不織布ウェブの場合、2つの繊維種類が1:1以外の比で提供された場合、不織布の溶解度はあまり可溶性ではない繊維(すなわち、完全に溶解するためにより高温が必要であり、完全溶解温度より低い温度でよりゆっくり溶解する繊維)の溶解度に向かう傾向がある。繊維の1:1ブレンドを含む不織布ウェブの場合、不織布ウェブの溶解度は、一般に、1:1ブレンド以外のブレンドを含む不織布ウェブの溶解度より低かった(すなわち、所与の温度において、1:1ブレンドを含む不織布ウェブは、破壊、崩壊および溶解まで、例えば、3:1および1:3比の繊維種類を含む不織布ウェブよりも長くかかった)。この傾向は、とりわけ、あまり可溶性ではない繊維の完全溶解温度より低い温度で顕著であった。
【0190】
不織布ウェブ中の水不溶性繊維の含有はまた、特定の溶解度および/または遅延放出特性を有する不織布ウェブ(例えば、不織布ウェブが水分散性ポーチに含まれる場合)を設計するのに使用できる。理論に縛られることを意図することなく、不織布ウェブに含まれる水不溶性繊維の重量パーセント(不織布ウェブの総重量に基づく)が増加するにつれて、不織布ウェブの溶解度は一般に減少し、不織布ウェブを含むポーチの遅延放出特性は一般に増加すると考えられる。水溶性繊維の溶解温度またはそれよりも高い温度における水との接触時、水溶性繊維および水不溶性繊維を含む不織布ウェブは、水溶性繊維が溶解するにつれて細線化し始め、それによってウェブ構造体が分解する、および/または不織布ウェブの孔の孔径が増加する。一般に、ウェブ構造体の分解または孔径の増加がより大きいほど、より速く水がポーチの内容物に達し、より速くポーチの内容物が放出される。同様に、本開示の不織布ウェブを含むポーチの内容物の遅延放出は、異なる溶解特性および/または異なる溶解温度を有する水溶性繊維のブレンドを使用することによって実現できる。一般に、ポリビニルアルコール繊維形成材料を含む水溶性繊維を含む不織布ウェブの場合、水溶性繊維の完全溶解温度の50%もしくはそれよりも高い水温(例えば、70℃の完全溶解温度を有する繊維の場合、40℃)において、繊維はポリマーネットワークの膨張および軟化を受けるが、構造体全体はインタクトなままとなる。不織布ウェブが水溶性繊維および水不溶性繊維を含む実施形態では、可溶性繊維の不溶性繊維に対する比は特に限定されない。水溶性繊維は、繊維の総重量の約1重量%~約99重量%、約20重量%~約80重量%、約40重量%~約90重量%、約50重量%~約90重量%、または約60重量%~約90重量%を構成し得、水不溶性繊維は、繊維の総重量の約1重量%~約99重量%、約20重量%~約80重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、または約10重量%~約40重量%を構成し得る。
【0191】
さらに、不織布ウェブの坪量が増加するにつれて、ウェブの溶解速度は減少し、ただし、より多くの材料が溶解するため、繊維組成および結合パラメーターは一定のままである。例えば、所与の温度において、PVOHポリマー(複数可)を含む繊維から調製され、例えば、40g/m2の坪量を有する水溶性ウェブは、例えば、30g/m2の坪量を有するそれ以外は同一の不織布ウェブよりもゆっくり溶解すると予想される。この関係は、とりわけ、溶解のための水の温度が不織布ウェブを構成する繊維の完全溶解温度より低い場合に顕著であった。したがって、坪量はまた、水分散性不織布ウェブの溶解特徴を修正するために使用できる。不織布ウェブは、約1g/m2~約700g/m2、約1g/m2~約600g/m2、約1g/m2~約500g/m2、約1g/m2~約400g/m2、約1g/m2~約300g/m2、約1g/m2~約200g/m2、約1g/m2~約100g/m2、約30g/m2~約100g/m2、約20g/m2~約100g/m2、約20g/m2~約80g/m2、約25g/m2~約70g/m2、または約30g/m2~約70g/m2の範囲の任意の坪量を有し得る。
【0192】
さらに、カレンダー設定は、本開示の不織布ウェブの溶解度プロファイルに二次的な影響を有する。例えば、同一の繊維化学および同様の坪量を有する不織布ウェブの場合、所与のカレンダー圧において、不織布ウェブ溶解時間は、一般に、カレンダー温度が増加するにつれて増加する。この関係は、とりわけ、溶解のための水の温度が不織布ウェブを構成する繊維の完全溶解温度より低い場合に顕著であった。
【0193】
理論に縛られることを意図することなく、水溶性不織布ウェブの溶解度(例えば、MSTM-205に従う、溶解までの時間の点で)は、同じPVOHポリマーから調製された同じサイズ(L×W)および/または質量の水溶性フィルムの溶解度を超えると予想されると考えられる。これは、フィルムと比較して不織布において見出される、より速い溶解をもたらすより大きい表面積に起因する。
【0194】
本開示の不織布ウェブは、本明細書に開示の任意の補助剤を含み得る。補助剤は、ウェブ全体を通して、例えば、繊維間に分散され得る、または不織布ウェブの1つもしくは複数の表面に塗布され得る。補助剤は、当技術分野で周知の通り、メルトスパン法の間に、Kimberly Clarkによって開発された「同時形成」法を使用して不織布ウェブに添加できる。補助剤はまた、任意の好適な手段で、不織布ウェブまたはそれから調製された物品の1つまたは複数の面に添加され得る。
【0195】
実施形態では、本開示の不織布ウェブは、実質的に補助剤を含まない。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「実質的に補助剤を含まない」とは、不織布ウェブが、不織布ウェブの総重量に基づいて、約0.01wt.%未満、約0.005wt.%未満、または約0.001wt.%未満の補助剤を含むことを意味する。
【0196】
一実施形態では、1つまたは複数の静止粉末スプレーガンを使用して、補助剤粉末流を、1つまたは1つよりも多い方向からウェブまたは物品に向け、一方では、ウェブまたは物品は、ベルトコンベヤによってコーティングゾーンを通って運搬される。代替の実施形態では、物品は、空気中補助剤粉末の懸濁物を通して運ばれる。なお別の代替の実施形態では、物品は、筒状装置において補助剤粉末とタンブル混合される。任意の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、静電力を用いて、補助剤粉末と物品との間の誘引が強化される。この種類のプロセスは、典型的には、粉末粒子を負に帯電させ、これらの荷電粒子を接地物品に方向付けることに基づく。他の代替の実施形態では、これらに限定されないが、粉末と接触した回転ブラシを含む二次転移ツールによって、または粉末を容器から物品に転移できる粉末化グローブによって、補助剤粉末は物品に塗布される。なお別の実施形態では、補助剤粉末は、粉末を非水性溶媒または担体に溶解または懸濁し、次いで、これを不織布または物品上に噴霧およびスプレーすることによって、塗布される。一種の実施形態では、溶媒または担体は、その後蒸発し、補助剤粉末が後に残される。一クラスの実施形態では、補助剤粉末は、正確な投入量で不織布または物品に塗布される。このクラスの実施形態は、閉鎖システム乾燥潤滑剤塗布機器、例えば、PekuTECH粉末塗布装置PM 700 Dを利用する。このプロセスでは、補助剤粉末は、必要に応じてバッチ式または連続して、塗布機器の供給トラフに供給される。不織布ウェブまたは物品は、標準回転ドラムポーチ装置の出口ベルトから粉末塗布装置のコンベヤベルト上に転移され、ここで制御された投入量の補助剤が不織布ウェブまたは物品に塗布される。
【0197】
液体補助剤は、例えば、スピンキャスティング、エアロゾル化溶液などの溶液のスプレー、ロールコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、押出、ナイフコーティング、およびその組合せによって、不織布ウェブまたは物品に塗布できる。
【0198】
実施形態では、不織布ウェブは、着色、顔料により着色および/または染料により着色されて、水溶性フィルムと比べて改善された美的効果を提供し得る。好適な着色料は、指示染料、例えば、pH指示薬(例えば、チモールブルー、ブロモチモール、チモールフタレインおよびチモールフタレイン)、水分/水指示薬(例えば、ハイドロクロミック(hydrochromic)インクまたはロイコ染料)、あるいは温度が上昇および/または下降するとインクの色が変化するサーモクロミックインクを含み得る。好適な着色料は、これらに限定されないが、トリフェニルメタン染料、アゾ染料、アントラキノン染料、ペリレン染料、インジゴイド染料、食品、薬物および化粧用(FD&C)着色料、有機顔料、無機顔料、またはその組合せを含む。着色料の例は、これらに限定されないが、FD&C赤色#40、赤色#3、FD&C黒色#3、黒色#2、マイカベースの真珠光沢顔料、FD&C黄色#6、緑色#3、青色#1、青色#2、二酸化チタン(食品グレード)、ブリリアントブラックおよびその組合せを含む。
【0199】
水溶性繊維に含まれる場合、着色料は、水溶性ポリマー混合物の0.01重量%~25重量%、例えば、水溶性ポリマー混合物の0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、および24重量%の量で提供され得る。
【0200】
有利には、本開示の不織布ウェブは、熱および/または水(例えば、湿度)の存在下で優先収縮を示し得る。したがって、不織布ウェブは、パケットに形成される場合、熱および/または水収縮され得る。さらに有利には、本開示の不織布ウェブは、高熱および水分環境(例えば、38℃および80%相対湿度(RH))での保存後に、頑強性(すなわち、機械特性)の増加および溶解度性能の改善を示し得る。組成上同様の水溶性フィルムに基づいた予測では、頑強性および溶解度性能は高熱および水分条件での保存によって影響されないと考えられるため、そのような頑強性の増加および溶解度性能の改善は驚くべきことである。特に、調整環境からの同等の水溶性フィルムの除去後、水溶性フィルムはフィルムの性能特性の長期間または永続変化をもたらさない周囲環境と再平衡化する。
【0201】
本開示の不織布ウェブは、単一層として使用でき、または他の不織布ウェブおよび/もしくは水溶性フィルムと層化できる。一部の実施形態では、不織布ウェブは、不織布ウェブの単一層を含む。一部の実施形態では、不織布ウェブは、不織布ウェブの2つまたはそれよりも多くの層を含む多層不織布ウェブである。1つまたは複数の層は、互いにラミネートできる。前述の実施形態の改良では、2つまたはそれよりも多くの層は同じであり得る(例えば、同じ繊維から調製でき、同じ坪量を有する)。前述の実施形態の改良では、2つまたはそれよりも多くの層は異なり得る(例えば、異なる種類の繊維から調製できる、および/または異なる坪量を有し得る)。実施形態では、不織布ウェブは、水溶性フィルムにラミネートできる。前述の実施形態の改良では、不織布ウェブおよび水溶性フィルムは、同じポリマー(例えば、特定の粘度、加水分解度、および変性ポリマーの場合には変性の量を有するPVOHコポリマーまたは変性コポリマー)から調製できる。前述の実施形態の改良では、不織布ウェブおよび水溶性フィルムは、異なるポリマー(例えば、不織布ウェブの繊維を調製するのに使用されるポリマーは、水溶性フィルムを構成するポリマーとは異なる繊維化学(例えば、変性)、粘度、重合度、加水分解度および/または溶解度を有し得る)から調製できる。有利には、多層不織布ウェブおよびラミネートは、それから作製されたポーチまたはパケットの水蒸気透過率(MVTR)を調節するのに使用できる。多層材料は、当技術分野で公知の様々なプロセス、例えば、溶融押出、コーティング(例えば、溶媒コーティング、水性コーティングまたは固体コーティング)、スプレー接着、材料移行、熱間ラミネーション、冷間ラミネーションおよびその組合せに従って、調製できる。
【0202】
多層不織布ウェブは、個々の層の坪量の合計である坪量を有し得る。したがって、多層不織布ウェブは、溶解するのに、単一層として提供される個々の層のうちの任意のもより長くかかる。実施形態では、多層不織布は、約1g/m2~約100g/m2の範囲の坪量を有し得る。さらに、理論に縛られることを意図することなく、孔径および孔配置構成が層間で異質である場合、各層の孔は整列せず、それによって、個々の層よりも小さい孔を有する多層不織布ウェブが提供されると考えられる。したがって、非多孔性水分散性不織布ウェブは、複数の多孔性水分散性不織布ウェブを層化することによって調製できる。
【0203】
不織布ウェブはまた、水溶性フィルムにラミネートできる。ラミネートは、これらに限定されないが、熱および圧力、化学結合ならびに/または溶媒溶接を含む当技術分野で公知の任意の方法を使用して形成できる。化学結合は、不織布ウェブの表面および/または水溶性フィルムの表面をイオンまたは共有結合により官能化し、不織布ウェブの表面が水溶性フィルムの表面と接触した場合に化学反応が起こり、不織布ウェブおよび水溶性フィルムを一緒に共有結合することを含み得る。多層不織布ウェブは、3つまたはそれよりも多くの層を含み得る。実施形態では、多層不織布ウェブは、水溶性フィルムを含む第1の層、不織布ウェブを含む第2の層、および水溶性フィルムを含む第3の層を含み得る。実施形態では、多層不織布ウェブは、不織布ウェブを含む第1の層、水溶性フィルムを含む第2の層、および不織布ウェブを含む第3の層を含み得る。
【0204】
有利には、ラミネートは、例えば、熱成形の間に付与される熱を使用して、不織布ウェブおよび水溶性フィルム層を一緒に結合して、ポーチ形成と同時に、調製できる。水溶性フィルムは、不織布ウェブと同じ溶解度および/もしくは化学適合性特徴を有し得、または水溶性フィルムは、不織布ウェブとは異なる溶解度および/もしくは化学適合性特徴を有し得る。実施形態では、水溶性フィルムは、不織布ウェブと同じ溶解度および/または化学適合性特徴を有する。一部の実施形態では、水溶性フィルムは、不織布ウェブとは異なる溶解度および/または化学適合性特徴を有する。有利には、水溶性フィルムが不織布ウェブとは異なる溶解度および/または化学適合性特徴を有する場合、ラミネートを使用して、第1の溶解度および/または化学適合性を有する内部表面、ならびに第2の溶解度および/または化学適合性を有する外面を有するポーチを形成できる。
【0205】
ラミネートに使用される水溶性フィルムは、任意の水溶性フィルム、例えば、当技術分野で既に公知のものであり得る。水溶性フィルムを形成するのに使用されるポリマーは、任意の水溶性ポリマーまたはその組合せ、例えば本明細書に記載のものであり得る。水溶性フィルムは、少なくとも約50wt.%、55wt.%、60wt.%、65wt.%、70wt.%、75wt.%、80wt.%、85wt.%、もしくは90wt.%および/または最大約60wt.%、70wt.%、80wt.%、90wt.%、95wt.%、もしくは99wt.%の水溶性ポリマー、例えば、PVOHポリマーまたはポリマーブレンドを含有し得る。
【0206】
水溶性フィルムは、他の補助剤および処理剤、例えば、これらに限定されないが、可塑剤、可塑剤相溶化剤、界面活性剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、脱粘着剤、消泡剤、層状シリケート型ナノクレイなどのナノ粒子(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)、漂白剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムまたはその他)、苦味剤(例えば、安息香酸デナトニウム、デナトニウム糖および塩化デナトニウムなどのデナトニウム塩;スクロースオクタアセタート;キニーネ;ケルセチンおよびナリンゲニンなどのフラボノイド;ならびにカシンおよびブルシンなどのカシノイド)および辛味剤(例えば、カプサイシン、ピペリン、アリルイソシアネートおよびレシニフェラトキシン)などの嫌悪剤、ならびに他の機能性成分などを、その意図される目的に好適な量で含有し得る。可塑剤を含む実施形態が好ましい。そのような薬剤の量は、個々にまたはまとめて、フィルムの最大約50wt.%、20wt%、15wt%、10wt%、5wt.%、4wt%および/または少なくとも0.01wt.%、0.1wt%、1wt%、もしくは5wt%であり得る。
【0207】
本開示は、加水分解性ポリマー、例えば、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む複数の繊維を含む不織布ウェブを処理する方法であって、本明細書に記載の通り、不織布ウェブの少なくとも一部を加水分解剤溶液と接触させて、不織布ウェブの一部の繊維の加水分解性ポリマーの加水分解度を増加させるステップを含む、方法を提供する。実施形態では、加水分解剤と接触する不織布ウェブの部分は、不織布ウェブの面であり得る。実施形態では、接触は、浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリントまたはその組合せによるものであり得る。実施形態では、接触は、複数の繊維を結合させて不織布ウェブにするのと同時に行われる。実施形態では、接触および結合は、化学結合を含む。実施形態では、接触および結合は、熱活性化触媒を含む。加水分解性ポリマーは、本明細書に開示の任意の加水分解性ポリマーであり得る。実施形態では、加水分解性ポリマーは、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含み、これは、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーおよびその組合せから選択され得る。実施形態では、ポリビニルアルコールコポリマーは、アニオン変性コポリマーを含む。実施形態では、アニオン変性コポリマーは、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む。実施形態では、繊維は、追加のポリマーをさらに含む。加水分解剤溶液は、本明細書に開示の任意の加水分解剤および本明細書に開示の任意の溶媒を含み得る。実施形態では、加水分解剤は、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト化合物、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、水またはその組合せを含む。実施形態では、加水分解剤は、溶媒の重量に基づいて、約0.2%~約75%(w/w)の量で提供される。実施形態では、繊維は、処理前、処理中、および処理後に溶媒に不溶である。実施形態では、加水分解剤溶液は、活性化剤をさらに含む。
【0208】
本開示は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%またはそれ未満かつ0%超の加水分解度を有するポリマーなどのポリマーを含む複数の繊維を含む不織布ウェブを処理する方法であって、不織布ウェブの少なくとも一部をアシル化剤溶液と接触させて、不織布ウェブの一部の繊維のポリマーの加水分解度を減少させるステップを含む、方法を提供する。実施形態では、アシル化剤と接触する不織布ウェブの部分は、不織布ウェブの面であり得る。実施形態では、接触は、浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリントまたはその組合せによるものであり得る。実施形態では、接触は、複数の繊維を結合させて不織布ウェブにするのと同時に行われる。実施形態では、接触および結合は、化学結合を含む。実施形態では、接触および結合は、熱活性化触媒を含む。ポリマーは、アシル化され得る水酸化物またはアミン基を含む本明細書に開示の任意の加水分解性ポリマーであり得る。実施形態では、加水分解性ポリマーは、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーおよびその組合せなどのポリビニルアルコールポリマーを含む。実施形態では、ポリビニルアルコールコポリマーは、アニオン変性コポリマーを含む。実施形態では、アニオン変性コポリマーは、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む。実施形態では、繊維は、追加のポリマーをさらに含む。アシル化剤溶液は、本明細書に開示の任意のアシル化剤および本明細書に開示の任意の溶媒を含み得る。実施形態では、繊維は、処理前、処理中、および処理後に溶媒に不溶である。
【0209】
本開示は、本開示の方法に従って処理した不織布ウェブをさらに提供する。本開示は、本開示の繊維を含む不織布ウェブを提供する。本開示は、本開示の方法に従って処理された不織布ウェブまたは本開示の繊維を含む不織布ウェブを含む第1の層を含む多層不織布ウェブを提供する。
【0210】
生分解性
【0211】
ポリビニルアルコールポリマーは、一般に、好気性、嫌気性、土壌および堆肥条件下(水の存在下)、水および酵素の存在下で分解するため、生分解性である。一般に、ポリビニルアルコールポリマーの加水分解度が、最大約80%増加するにつれて、ポリビニルアルコールポリマーの生分解活性は増加する。理論に縛られることを意図することなく、80%超の加水分解度の増加は、生分解性に認識できるほどには影響しないと考えられる。さらに、ポリビニルアルコールポリマーのヒドロキシル基の立体規則性は、生物分解活性レベルに対して大きな効果を有し、ポリマー配列のヒドロキシル基がよりアイソタクチックであるほど、分解活性は高くなる。理論に縛られることを意図することなく、土壌および/または堆肥生分解について、フィルムと比べて、不織布ウェブによってもたらされるポリマー表面積が増加することに起因して、ポリビニルアルコール繊維から調製された不織布ウェブは、同様のポリビニルアルコールポリマーから調製された水溶性フィルムと比べてより高い生分解活性レベルを有すると考えられる。さらに、理論に縛られることを意図することなく、ポリビニルアルコールポリマーの重合度は、ポリマーにより調製されたフィルムまたは不織布ウェブの生分解性にほとんどまたはまったく効果を有さない一方、重合温度はポリマーの結晶度および凝集状態に影響を及ぼし得るため、重合温度は、フィルムまたは不織布の生分解性に対する効果を有し得ると考えられる。特に、結晶度が減少するにつれて、ポリマー鎖ヒドロキシル基は、ポリマー構造中であまり整列しなくなり、ポリマー鎖は、より不規則になり、鎖が非晶質凝集体として蓄積することが可能になり、それによって、規則的なポリマー構造の利用性が減少し、生分解活性は、ポリマーが溶解しない土壌および/または堆肥生分解機序について減少すると予想される。理論に縛られることを意図することなく、ポリビニルアルコールポリマーのヒドロキシル基の立体規則性は、生物分解活性レベルに対して大きな効果を有するため、ヒドロキシル基以外の官能基の置換(例えば、アニオン性AMPS官能基、カルボキシレート基またはラクトン基)は、官能基自体もまた生分解性であり、ポリマーの生分解性が置換により増加し得る場合でない限り、同じ加水分解度を有するポリビニルアルコールホモポリマーまたはコポリマーと比べて生物分解活性レベルを低下させると予想されると考えられる。さらに、置換ポリビニルアルコール(または変性ポリビニルアルコールコポリマー)の生物分解活性レベルは、対応するホモポリマーまたはコポリマーの生物分解活性レベルより低くあり得る一方、置換ポリビニルアルコールは、なお生分解性を示すと考えられる。
【0212】
生分解活性を決定する方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるChiellini et al., Progress in Polymer Science, Volume 28, Issue 6, 2003, pp. 963-1014に記載の通り、当技術分野で公知である。さらなる方法および規格は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるECHA's Annex XV Restriction Report - Microplastics, Version number 1, January 11, 2019に見出すことができる。好適な規格は、OECD 301B(易生分解性)、OECD 301B(強化された生分解)、OECD 302B(固有の生分解性)、OECD 311(嫌気性)およびASTM D5988(土壌)を含む。
【0213】
実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、規格の易生分解性、強化された生分解または固有の生分解のものであり得る。本明細書で使用される場合、「易分解」という用語は、前記ECHA’s Annex XVに記載の通りのOECD 301B試験に従って、材料(例えば、繊維)が、試験の開始の28日以内に60%生分解(ミネラル化)に達する場合に満たされる規格をいう。本明細書で使用される場合、「強化された分解」という用語は、前記ECHA’s Annex XVに記載の通りのOECD 301B試験に従って、材料(例えば、繊維)が、試験の開始から60日以内に60%生分解に達する場合に満たされる規格をいう。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、易分解の規格を満たす。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、易分解または強化された分解の規格を満たす。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、固有の分解の規格を満たす。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、強化された分解の規格を満たす。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、固有の分解、強化された分解または易分解の規格を満たす。実施形態では、本開示のラミネート(不織布およびフィルム)は、易分解または強化された分解の規格を満たす。
【0214】
使用
【0215】
本開示の不織布ウェブは、様々な市販用途に好適である。本開示の不織布ウェブの好適な市販用途は、これらに限定されないが、水分散性または水に流せるポーチおよびパケット;医療使用、例えば、サージカルマスク、医療包装、靴用カバー、創傷被覆材および薬物送達;例えば、ガソリンおよび石油、選鉱、真空バッグ、エアフィルターおよびアレルゲン膜またはラミネート用のろ過システム;例えば、ボディワイプ、化粧除去用ワイプ、角質除去布、化粧道具のためのパーソナルケア製品、ならびに着用可能吸収物品、例えば、おむつおよび成人失禁用製品;オフィス用品、例えば、ショッピングバッグまたは封筒;ならびにその他、例えば、眼鏡拭きワイプ、室内清掃ワイプ、植物用のポッティング材、抗菌ワイプ、農業用シードストリップ、布柔軟剤シート、衣類/洗濯バッグ、食品包装、食品ケアワイプ、ペットケアワイプ、研磨ツール、塵除去および手指清浄を含み得る。
【0216】
封止ポーチ
【0217】
本開示は、内部ポーチ体積部を画定するポーチの形態の、本開示による不織布ウェブを含むポーチをさらに提供する。一部の実施形態では、ポーチは、本開示の水溶性フィルムおよび不織布ウェブを含むラミネートを含み得る。ポーチは、水分散性ポーチ、必要に応じて、水溶性ポーチおよび/または水に流せるポーチであり得る。本開示は、本開示の不織布ウェブを含むパケットを調製する方法であって、不織布ウェブをポーチの形態に形成するステップ、ポーチに封入される組成物を充填するステップ、およびポーチを封止してパケットを形成するステップを含む、方法をさらに提供する。一部の実施形態では、封止は、加熱封止、溶媒溶接、接着封止またはその組合せを含み得る
【0218】
本明細書に開示の不織布ウェブおよびラミネートは、水性環境中に放出するための組成物を中に含有する内部ポーチ体積部を画定するポーチの形態の封止物品を作るのに有用である。「封止物品」は、例えば、コンパートメントがオフガスする固体を封入する実施形態では、必要に応じて、通気穴を有する封止コンパートメントを包含するが、より一般的には、完全封止コンパートメントとなる。
【0219】
ポーチは、単一のコンパートメントまたは複数のコンパートメントを含んでもよい。ポーチは、境界面において封止された2層の不織布ウェブもしくはラミネートから、またはそれ自体の上に折り畳まれ、封止された単一の不織布ウェブもしくはラミネートから形成され得る。不織布ウェブまたはラミネートは、ポーチの少なくとも1つの側壁、必要に応じてポーチ全体、および好ましくは少なくとも1つの側壁の外側表面を形成する。別の種類の実施形態では、不織布ウェブまたはラミネートは、例えば、コンパートメント間の隔壁として、パケットの内側壁を形成する。不織布ウェブまたはラミネートはまた、例えば、外部壁、内側壁および/またはコンパートメントの蓋として、水溶性フィルムと組み合わせて使用できる。
【0220】
ポーチに封入される組成物は、例えば、本明細書に記載の様々な組成物のうちの任意のものを含み、特に限定されない。複数のコンパートメントを含む実施形態では、各コンパートメントは、同一および/または異なる組成物を含有してもよい。次に、組成物は、これらに限定されないが、液体、固体、ゲル、ペースト、マル、圧縮固体(錠剤)およびその組合せ(例えば、液体に懸濁された固体)を含む任意の好適な形態をとってもよい。
【0221】
一部の実施形態では、ポーチは、複数のコンパートメントを含む。複数のコンパートメントは、一般に、コンパートメントがポーチ内部の隔壁を共有するように重ねられる。マルチコンパートメントポーチのコンパートメントは、同じまたは異なるサイズおよび/または体積であってもよい。本マルチコンパートメントポーチのコンパートメントは、任意の好適な方法で分離または結合され得る。実施形態では、第2および/または第3および/または後続のコンパートメントが、第1のコンパートメント上に重ねられる。一実施形態では、第3のコンパートメントは、第2のコンパートメント上に重ねられてもよく、これは次に、サンドイッチ構成で第1のコンパートメント上に重ねられる。あるいは、第2および第3のコンパートメントは、第1のコンパートメント上に重ねられてもよい。しかしながら、第1、第2および/または第3および/または後続のコンパートメントは、横並びまたは同心円に配向されることも等しく想定される。コンパートメントは、各コンパートメントが切り取り線で個々に分離されるストリングに包装されてもよい。したがって、各コンパートメントは、最終使用者によってストリングの残部から個々に引き離されてもよい。一部の実施形態では、第1のコンパートメントは、例えば、タイヤとリムの配置またはポーチインポーチの配置で、少なくとも第2のコンパートメントによって取り囲まれていてもよい。
【0222】
コンパートメントの幾何学は、同じであっても異なっていてもよい。実施形態では、必要に応じた第3および後続のコンパートメントは各々、第1および第2のコンパートメントと比較して異なる幾何学および形状を有する。これらの実施形態では、必要に応じた第3および後続のコンパートメントは、第1または第2のコンパートメントに対する設計で配置構成される。設計は、装飾的、教育的、または図解的、例えばコンセプトもしくは指示を図解するおよび/または製品の由来を示すために使用されてもよい。
【0223】
ポーチを作製する方法
【0224】
ポーチおよびパケットは、任意の好適な機器および方法を使用して作製されてよい。例えば、単一コンパートメントポーチは、当技術分野で一般に公知の垂直式充填、水平式充填または回転ドラム充填技術を使用して作製されてもよい。そのようなプロセスは、連続または間欠のいずれであってもよい。不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルム、またはラミネート構造体は、その展性を増加させるために湿らせおよび/または加熱されてもよい。方法はまた、不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルムまたはラミネート構造体を好適な型に引き入れるための真空の使用を含んでもよい。不織布ウェブまたはラミネートを型に引き入れる真空は、不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルムまたはラミネート構造体が表面の水平部分上になってから、約0.2~約5秒間、または約0.3~約3、または約0.5~約1.5秒間付与され得る。この真空は、例えば、10mbar~1000mbarの範囲、または100mbar~600mbarの範囲の圧力下を提供するようなものであり得る。
【0225】
パケットが作製されてもよい型は、ポーチの必要な寸法に応じて任意の形状、長さ、幅および深さを有し得る。型はまた、所望の場合、サイズおよび形状が互いに様々であってもよい。例えば、最終ポーチの体積は、約5ml~約300ml、または約10ml~150ml、または約20ml~約100mlであってもよく、型のサイズは、それに従って調節される。
【0226】
熱成形
【0227】
熱成形性不織布ウェブまたはラミネートは、熱および力の付与を通して成形できるものである。不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルムまたはラミネート構造体の熱成形は、不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルムまたはラミネート構造体を加熱し、それを成形し(例えば、型中で)、次いで、得られた不織布ウェブまたはラミネートを冷却し、その際に不織布ウェブまたはラミネートがその形状、例えば、型の形状を保持するプロセスである。熱は、好適な手段を使用して付与されてよい。例えば、不織布ウェブまたはラミネートは、表面上に供給される前にまたは表面上に供給されたら、加熱要素下または熱気中を通過させることによって直接加熱されてもよい。あるいは、不織布ウェブまたはラミネートは、例えば、表面を加熱することによって、または不織布ウェブもしくはラミネート上に熱品目を適用することによって、間接的に、加熱されてもよい。実施形態では、不織布ウェブまたはラミネートは、赤外光を使用して加熱される。不織布ウェブまたはラミネートは、約50℃~約200℃、約50℃~約170℃、約50℃~約150℃、約50℃~約120℃、約60℃~約130℃、約70℃~約120℃、または約60℃~約90℃の範囲の温度に加熱されてもよい。熱成形は、以下のプロセスのうちの任意の1つまたは複数によって実施できる:熱軟化不織布ウェブもしくはラミネートの型上への手動ドレーピング、または軟化不織布ウェブもしくはラミネートの型への圧力誘導成形(例えば、真空形成)、または形成およびトリミングステーションへの正確に既知の温度を有する新たな押出シートの自動高速インデクシング、または不織布ウェブもしくはラミネートの自動配置、プラグおよび/もしくは空気伸張および加圧形成。
【0228】
あるいは、不織布ウェブまたはラミネートは、任意の好適な手段、例えば、表面上に供給される前にもしくは表面上に供給されたら、不織布ウェブもしくはラミネート上に湿潤剤(水、ポリマー組成物、不織布ウェブもしくは積層組成物用の可塑剤、または前述のものの任意の組合せを含む)をスプレーすることによって直接、あるいは表面を湿潤することによって、または不織布ウェブもしくはラミネート上に湿品目を適用することによって間接的に、湿潤され得る。
【0229】
不織布ウェブまたはラミネートは、加熱および/または湿潤されると、好ましくは真空を使用して、適切な型に引き入れられてもよい。成形不織布ウェブまたはラミネートの充填は、任意の好適な手段を利用することによって実現できる。実施形態では、最も好ましい方法は、製品形態および必要な充填速度に依存する。実施形態では、成形不織布ウェブまたはラミネートは、インライン充填技術によって充填される。次いで、充填された開放パケットは、第2の不織布ウェブまたはラミネートを使用して、任意の好適な方法によって、閉鎖されてポーチが形成される。これは、水平配置および連続した一定の動きの間に実現されてもよい。閉鎖は、第2の不織布ウェブまたはラミネート、好ましくは、水溶性不織布ウェブまたはラミネートを、開放パケットに対してその上に連続して供給し、次いで、好ましくは、第1および第2の不織布ウェブまたはラミネートを一緒に、典型的には型間の領域、したがってパケット間で封止することによって実現されてもよい。
【0230】
ポーチの封止
【0231】
ポーチおよび/またはその個々のコンパートメントを封止する任意の好適な方法を利用してよい。そのような手段の非限定例は、加熱封止、溶媒溶接、溶媒または湿潤封止およびその組合せを含む。典型的には、封止が形成される領域のみが、熱または溶媒で処理される。熱または溶媒は、任意の方法によって、典型的には閉鎖材料に、典型的には、封止が形成される領域のみに適用され得る。溶媒または湿潤封止または溶接が使用される場合、熱も付与されることが好ましいことがある。好ましい湿潤または溶媒封止/溶接法は、例えば、これをこれらの領域上にスプレーまたはプリントし、次いで、これらの領域上に圧力を付与して封止を形成することによって、型間の領域上または閉鎖材料上に溶媒を選択的に塗布することを含む。例えば、封止ロールおよびベルト(必要に応じて、熱も供給する)が使用できる。
【0232】
実施形態では、内側不織布ウェブまたはラミネートは、溶媒封止によって、外側不織布ウェブ(複数可)またはラミネート(複数可)に封止される。封止溶液は、一般に、水溶液である。実施形態では、封止溶液は、水を含む。実施形態では、封止溶液は、水を含み、1つまたは複数のポリオール、ジオールおよび/またはグリコール、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、1,5-ペンタンジオール(1,5-pantanediol)(ペンタメチレングリコール)、1,6-ヘキサンジオール(ヘキサメチレングリコール)、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、様々なポリエチレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)およびその組合せをさらに含む。実施形態では、封止溶液は、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマール、マルチトール、ラクチトールを含む。実施形態では、封止溶液は、水溶性ポリマーを含む。
【0233】
封止溶液は、内側および外側不織布ウェブまたはラミネートを接着するのに好適な任意の量で、内側不織布ウェブまたはラミネートの境界面領域に塗布できる。本明細書で使用される場合、「コート重量」という用語は、不織布ウェブまたはラミネート1平方メートル当たりの溶液のグラムの単位の不織布ウェブまたはラミネートに塗布される封止溶液の量をいう。一般に、封止溶媒のコート重量が低すぎる場合、不織布ウェブまたはラミネートは、十分に接着せず、縫い目におけるポーチ不良のリスクが増加する。さらに、封止溶媒のコート重量が高すぎる場合、境界面領域からの溶媒移行のリスクが増加し、ポーチの側面にエッチホールが形成し得る確率が増加する。コート重量ウィンドウとは、良好な接着を維持し、エッチホールの形成を回避しながら所与のフィルムに塗布できるコート重量の範囲をいう。ウィンドウが幅広いほど、広範囲の操作下で頑強な封止を提供するため、幅広いコート重量ウィンドウが望ましい。好適なコート重量ウィンドウは、少なくとも約3g/m2、または少なくとも約4g/m2、または少なくとも約5g/m2、または少なくとも約6g/m2である。
【0234】
パケットの切断
【0235】
形成されたパケットは、切断デバイスによって切断されてもよい。切断は、任意の公知の方法を使用して実現され得る。切断はまた、連続方式で、好ましくは一定速度で、好ましくは水平位置で行われることが好ましい場合がある。切断デバイスは、例えば、鋭利な品目、または熱品目、またはレーザーであり得、後者の場合、熱品目またはレーザーは、フィルム/封止領域を通して「燃やす」。
【0236】
マルチコンパートメントポーチの形成および充填
【0237】
マルチコンパートメントポーチの異なるコンパートメントは、横並びのスタイルでまたは同心円スタイルで一緒に作製されてもよく、得られた結合したポーチは、切断によって分離されてもされなくてもよい。あるいは、コンパートメントは、別々に作製され得る。
【0238】
実施形態では、ポーチは、a)第1のコンパートメントを形成するステップ(上記の通り);b)ステップ(a)で形成された閉鎖コンパートメント内またはそのすべてで凹部を形成して、第1のコンパートメントの上に重ねられた第2の成形コンパートメントを生成するステップ;c)第3の不織布ウェブ、ラミネートまたはフィルムによって第2のコンパートメントを充填および閉鎖するステップ;d)第1、第2および第3の不織布ウェブ、ラミネートまたはフィルムを封止するステップ;ならびにe)不織布ウェブまたはラミネートを切断してマルチコンパートメントポーチを製造するステップを含むプロセスに従って作製されてもよい。ステップ(b)で形成される凹部は、ステップ(a)で調製されたコンパートメントに真空を付与することによって達成されてもよい。
【0239】
実施形態では、欧州特許出願第08101442.5号または米国特許出願公開第2013/240388A1号またはWO2009/152031に記載通り、第2および/または第3のコンパートメントは、別のステップで作製され、次いで、第1のコンパートメントと組み合わせられ得る。
【0240】
実施形態では、ポーチは、a)必要に応じて、加熱および/または真空を使用し、第1の不織布ウェブまたはラミネートを使用して、第1の形成機で第1のコンパートメントを形成するステップ;b)第1のコンパートメントに第1の組成物を充填するステップ;c)必要に応じて、第2のコンパートメントに第2の組成物を充填するステップ;d)第1および必要に応じた第2のコンパートメントを、第2の不織布ウェブまたはラミネートにより第1の不織布ウェブまたはラミネートに封止するステップ;ならびにe)不織布ウェブまたはラミネートを切断して、マルチコンパートメントポーチを製造するステップを含むプロセスに従って作製されてもよい。
【0241】
実施形態では、ポーチは、a)必要に応じて、加熱および/または真空を使用し、第1の不織布ウェブまたはラミネートを使用して、第1の形成機で第1のコンパートメントを形成するステップ;b)第1のコンパートメントに第1の組成物を充填するステップ;c)第2の形成機で、必要に応じて、加熱および真空を使用して、第2の不織布ウェブまたはラミネートを変形させて、第2および必要に応じて第3の成形コンパートメントを作製するステップ;d)第2および必要に応じて第3のコンパートメントを充填するステップ;e)第2および必要に応じて第3のコンパートメントを、第3の不織布ウェブまたはラミネートを使用して封止するステップ;f)封止された第2および必要に応じて第3のコンパートメントを、第1のコンパートメント上に配置するステップ;g)第1、第2および必要に応じて第3のコンパートメントを封止するステップ;ならびにh)不織布ウェブまたはラミネートを切断してマルチコンパートメントポーチを製造するステップを含むプロセスに従って作製されてもよい。
【0242】
第1および第2の形成機は、上記のプロセスを実施するそれらの適性に基づいて選択してもよい。実施形態では、第1の形成機は、好ましくは、水平式形成機であり、第2の形成機は、好ましくは、第1の形成機の上に位置する、好ましくは、回転ドラム形成機である。
【0243】
適切な供給ステーションの使用によって、いくつかの異なるもしくは別個の組成物および/または異なるもしくは別個の液体、ゲルもしくはペースト組成物を組み込むマルチコンパートメントポーチを製造することが可能となる場合があることが理解されるべきである。
【0244】
実施形態では、不織布ウェブもしくはラミネートおよび/またはポーチは、好適な材料、例えば活性剤、潤滑剤、嫌悪剤またはその混合物をスプレーまたは撒粉される。実施形態では、不織布ウェブもしくはラミネートおよび/またはポーチは、例えば、インクおよび/または活性剤でプリントされる。
【0245】
垂直形成、充填および封止
【0246】
実施形態では、本開示の不織布ウェブまたはラミネートは、封止物品に形成され得る。実施形態では、封止物品は、垂直形成、充填および封止物品である。垂直形成、充填および封止(VFFS)法は、従来の自動化プロセスである。VFFSは、不織布ウェブまたはラミネートの単一片を垂直に配向された供給管の周りに巻くアセンブリ機などの装置を含む。機械は、不織布ウェブまたはラミネートの相対する端部を一緒に加熱封止または他の方法で固定して、側部封止を作出し、不織布ウェブまたはラミネートの中空管を形成する。続いて、機械は、加熱封止または他の方法で底部封止を作出し、それによって、上部封止が後で形成される開放上部を有する容器部分が規定される。機械は、開放上部端を通して容器部分に特定の量の流動性生成物を導入する。容器に所望量の生成物が含まれたら、機械は不織布ウェブまたはラミネートを、例えば、上部封止を作出する別の加熱封止デバイスに送る。最後に、機械は、不織布ウェブまたはラミネートを、フィルムを上部封止の直上で切断して充填パッケージを提供するカッターに送る。
【0247】
操作の間、アセンブリ機は、不織布ウェブまたはラミネートをロールから送りパッケージを形成する。したがって、不織布ウェブまたはラミネートは、機械を通って容易に進むことができなくてはならず、機械アセンブリに接着してはならず、加工中に破壊されるほど脆くあってはならない。
【0248】
ポーチ内容物
【0249】
任意の実施形態では、ポーチは、ポーチの規定された内部体積に組成物を収容(封入)し得る。組成物は、液体、固体またはその組合せから選択され得る。組成物が液体を含む実施形態では、不織布ウェブは、水溶性フィルムでラミネートされた非多孔性不織布ウェブまたは多孔性不織布ウェブであり得、水溶性フィルムは、ポーチの内側表面を形成する。組成物が固体である実施形態では、ポーチは、非多孔性不織布ウェブ、水溶性フィルムでラミネートされた多孔性不織布ウェブまたは多孔性不織布ウェブを含み得る。ポーチが多孔性不織布ウェブを含む実施形態では、固体組成物の粒径は、不織布ウェブの孔径よりも小さい。
【0250】
実施形態では、本開示の封止物品は、内部ポーチ体積部中に、液体洗濯洗剤、農業用組成物、自動食器洗浄用組成物、家事用清浄組成物、水処理組成物、パーソナルケア組成物、食品および栄養組成物、工業用清浄組成物、医療用組成物、殺菌性組成物、ペット用組成物、オフィス用組成物、家畜用組成物、産業用組成物、水産業用組成物、商用組成物、軍事用組成物、リクリエーション用組成物またはその組合せを含む組成物を封入し得る。実施形態では、本開示の水分散性封止物品は、内部ポーチ体積部中に、液体洗濯洗剤、農業用組成物、自動食器洗浄用組成物、家事用清浄組成物、水処理組成物、パーソナルケア組成物、食品および栄養組成物、工業用洗浄組成物またはその組合せを含む組成物を封入し得る。実施形態では、本開示の水分散性封止物品は、内部ポーチ体積部中に、液体洗濯洗剤、農業用組成物、自動食器洗浄用組成物、家事用清浄組成物、水処理組成物、パーソナルケア組成物またはその組合せを含む組成物を封入し得る。実施形態では、本開示の水分散性封止物品は、内部ポーチ体積部中に、農業用組成物または水処理組成物を含む組成物を封入し得る。
【0251】
本明細書で使用される場合、「液体」は、自由流動液体、ならびにペースト、ゲル、泡およびムースを含む。液体の非限定例は、軽量および重量液体洗剤組成物、手洗いおよび/または機械洗浄用の食器洗剤;硬質表面清浄組成物、布強化剤、一般的に洗濯に使用される洗剤ゲル、漂白剤および洗濯用添加剤、シェービングクリーム、スキンケア、ヘアケア組成物(シャンプーおよびコンディショナー)、ならびにボディウォッシュを含む。そのような洗剤組成物は、界面活性剤、漂白剤、酵素、香水、染料または着色料、溶媒およびその組合せを含んでもよい。必要に応じて、洗剤組成物は、洗濯洗剤、食器洗浄用洗剤、硬質表面清浄組成物、布強化剤組成物、シェービングクリーム、スキンケア、ヘアケア組成物(シャンプーおよびコンディショナー)およびボディウォッシュ、ならびにその組合せからなる群から選択される。
【0252】
液体の非限定例は、農業用組成物、自動車用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、水産業用組成物、医療用組成物、商用組成物、軍事用および準軍事用組成物、オフィス用組成物、リクリエーションおよび公園用組成物、ペット用組成物、および水処理組成物を含み、任意のそのような使用に適用可能な清浄および洗剤組成物を含む。
【0253】
ガス、例えば浮遊泡、または固体、例えば粒子が、液体内に含まれてもよい。本明細書で使用される場合、「固体」は、これらに限定されないが、粉末、凝集体およびその混合物を含む。固体の非限定例は、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードルおよびパールボールを含む。固体組成物は、これらに限定されないが、丸洗いできる利益、前処理利益および/または美的効果を含む技術的利益を提供し得る。
【0254】
組成物は、非家事用ケア組成物であってもよい。例えば、非家事用ケア組成物は、農業用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、水産業用組成物、医療用組成物、商用組成物、軍事用および準軍事用組成物、オフィス用組成物、リクリエーションおよび公園用組成物、ペット用組成物、および水処理組成物から選択され得、任意のそのような使用に適用可能な清浄および洗剤組成物を含むが布および家事用ケア組成物を除く。
【0255】
一種の実施形態では、組成物は、農薬、例えば、1つまたは複数の殺虫剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、忌避剤、誘引剤、枯れ葉剤(defoliament)、植物成長調整剤、肥料、殺菌剤、微量栄養素および微量元素を含み得る。好適な農薬および二次剤は、米国特許第6,204,223号および4,681,228号、ならびにEP0989803A1に記載されている。例えば、好適な除草剤は、パラコート塩(例えば、二塩化パラコートまたはパラコートビス(メチルサルフェート)、ジクワット塩(例えば、二臭化ジクワットまたはアルギン酸ジクワット)、およびグリホセートまたはその塩もしくはエステル(例えば、グリホセートイソプロピルアンモニウム、グリホセートセスキナトリウム、またはサルホセートとしても公知のグリホセートトリメシウム)を含む。作物防疫化学物質の不適合対は、例えば米国特許第5,558,228号に記載の通り、別のチャンバーで使用できる。使用できる作物防疫化学物質の不適合対は、例えば、ベンスルフロンメチルおよびモリネート;2,4-Dおよびチフェンスルフロンメチル;2,4-Dおよびメチル2-[[[[N-4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-N-メチルアミノ]カルボニル]アミノ]-スルホニル]ベンゾエート;2,4-Dおよびメトスルフロンメチル;マンネブまたはマンコゼブおよびベノミル;グリホセートおよびメトスルフロンメチル;トラロメトリンおよび任意のオルガノホスフェート、例えば、モノクロトホスまたはジメトエート;ブロモキシニルおよびN-[[4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)-アミノ]カルボニル]-3-(エチルスルホニル)-2-ピリジン-スルホンアミド;ブロモキシニルおよびメチル2-[[[[(4-メチル-6-メトキシ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]カルボニル]アミノ]スルホニル]-ベンゾエート;ブロモキシニルおよびメチル2-[[[[N-(4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-N-メチルアミノ]カルボニル]アミノ]-スルホニル]ベンゾエートを含む。別の関連する種類の実施形態では、組成物は、必要に応じて土壌と一緒に、さらに必要に応じて、例えば、米国特許第8,333,033号に記載の種類の実施形態を含む、マルチ、砂、ピートモス、水ゼリークリスタルおよび肥料から選択される1つまたは複数の追加の成分と一緒に、1つまたは複数の種を含み得る。
【0256】
別の種類の実施形態では、組成物は、水処理剤である。そのような薬剤は、例えば、米国特許出願公開第2014/0110301号および米国特許第8,728,593号に記載の通り、積極的酸化化学物質などの激しい化学物質を含み得る。例えば、消毒剤は、次亜塩素酸塩、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムおよび次亜塩素酸リチウム;塩素化イソシアヌレート、例えば、ジクロロイソシアヌル酸(「ジクロロ」またはジクロロ-s-トリアジントリオン、1,3-ジクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも呼ばれる)およびトリクロロイソシアヌル酸(「トリクロロ」または1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも呼ばれる)を含み得る。消毒化合物の塩および水和物もまた企図される。例えば、ジクロロイソシアヌル酸は、中でもジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物として提供されてもよい。臭素含有消毒剤、中でも例えば、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、ジブロモシアノ酢酸アミド、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン;および2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオールもまた、単位用量包装適用に使用するのに好適であり得る。酸化剤は、米国特許第7,476,325号に記載のもの、例えば、ペルオキシ一硫酸水素カリウムであり得る。組成物は、例えば、米国特許出願公開第2008/0185347号に記載の通りのpH調節化学物質であり得、例えば、組成物が水と接触した場合に発泡性であり、水のpHを調節するように、酸性成分およびアルカリ性成分を含み得る。好適な成分は、重炭酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、水酸化カリウム、スルファミン酸、有機カルボン酸、スルホン酸およびリン酸二水素カリウムを含む。緩衝剤ブレンドは、例えば、ホウ酸、炭酸ナトリウム、グリコール酸およびオキソン一過硫酸を含み得る。
【0257】
水処理剤は、例えば、米国特許出願公開第2014/0124454号に記載の通り、凝集剤であり得るまたはそれを含み得る。凝集剤は、ポリマー凝集剤、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(diallydimethylammonium chloride)(DADMAC)のアクリルアミドコポリマー、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)、3-メチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)またはアクリル酸;カチオン性ポリアクリルアミド;アニオン性ポリアクリルアミド;中性ポリアクリルアミド;ポリアミン;ポリビニルアミン;ポリエチレンイミン;ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド;ポリオキシエチレン;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸;ポリリン酸;ポリスチレンスルホン酸;またはその任意の組合せを含み得る。凝集剤は、キトサンアセテート、キトサンラクテート、キトサンアジペート、キトサングルタメート、キトサンスクシネート、キトサンマレート、キトサンシトレート、キトサンフマレート、キトサン塩酸塩およびその組合せから選択され得る。水処理組成物は、ホスフェート除去物質、例えば、ジルコニウム化合物、希土類ランタニド塩、アルミニウム化合物、鉄化合物またはその組合せから選択される1つまたは複数を含み得る。
【0258】
組成物は、例えば、米国特許出願第2006/0172910号に記載の通り、水垢除去組成物、例えば、クエン酸もしくはマレイン酸、またはその硫酸塩、またはその任意の混合物であり得る。
【0259】
微粒子、例えば、US RE29059 Eに記載の通りの、例えば、羽毛;例えば、米国特許出願公開第2004/0144682号および2006/0173430号に記載の通りの超吸収性ポリマー;例えば、米国特許第3,580,390号および米国特許出願公開第2011/0054111号に記載の通りの顔料およびティンター;例えば、米国特許第8,163,104号に記載の通りのろう付用フラックス(例えば、アルカリ金属フルオロアルミネート、アルカリ金属フルオロシリケートおよびアルカリ金属フルオロジンケート);米国特許出願公開第2007/0003719号に記載の通りの食料品(例えば、コーヒー粉末または乾燥スープ);ならびに例えば、米国特許第4,466,431号に記載の通りの創傷被覆材を含む様々な他の種類の組成物が、本明細書に記載のパケットにおける使用を企図される。
【0260】
洗濯用、洗濯添加剤および/または布強化剤組成物を含むポーチにおいて、組成物は、以下の非限定的なリストの成分のうちの1つまたは複数を含んでもよい:布ケア有益剤;洗浄酵素;堆積助剤;レオロジー調整剤;ビルダー;漂白剤(bleach);漂白剤(bleaching agent);漂白前駆体;漂白増強剤;漂白触媒;香水および/または香水マイクロカプセル(例えば、U.S.5,137,646を参照されたい);香水充填ゼオライト;デンプンカプセル化アコード(starch encapsulated accord);ポリグリセリンエステル;美白剤;真珠光沢剤;酵素安定化システム;アニオン性色素の固定剤、アニオン性界面活性の錯化剤およびその混合物を含む捕捉剤;蛍光増白剤または蛍光剤;これらに限定されないが、土壌放出ポリマーおよび/または土壌懸濁ポリマーを含むポリマー;分散剤;消泡剤;非水性溶媒;脂肪酸;泡抑制剤、例えば、シリコーン泡抑制剤(米国特許第2003/0060390A1号、段落65~77を参照);カチオン性デンプン(U.S.2004/0204337A1およびUS2007/0219111A1を参照されたい);スカム分散剤(U.S.2003/0126282A1、段落89~90を参照されたい);直接染料;色調染料(U.S.2014/0162929A1を参照されたい);着色料;乳白剤;酸化防止剤;ハイドロトロープ、例えば、トルエンスルホネート、クメンスルホネートおよびナフタレンスルホネート;色斑;着色ビーズ、球または押出物;クレイ軟化剤;抗細菌剤。これらの成分のうちの任意の1つまたは複数は、米国特許出願公開第U.S.2010/305020A1号、米国公開番号2003/0139312A1号および米国特許出願公開第U.S.2011/0023240A1号にさらに記載されている。加えて、または代替的に、組成物は、界面活性剤、第四級アンモニウム化合物および/または溶媒系を含んでもよい。第四級アンモニウム化合物は、布強化剤組成物、例えば、布柔軟剤中に存在してもよく、構造NR4
+(式中、Rは、アルキル基またはアリール基である)の正に帯電した多原子イオンである第四級アンモニウムカチオンを含む。
【0261】
複合物品
【0262】
本開示の複合物品は、少なくとも2層の不織布ウェブを含む。本開示の複合物品は、第1の直径を有する第1の複数の繊維を含む第1の不織布ウェブの第1の層と、第2の直径を有する第2の複数の繊維を含む第2の不織布ウェブの第2の層と、ならびに第1の不織布ウェブの少なくとも一部および第2の不織布ウェブの少なくとも一部を含む第1の境界面であって、第1の不織布ウェブの一部および第2の不織布ウェブの一部が融合している、第1の境界面とを有し得、第2の直径が第1の直径よりも小さい。複合物品の任意の不織布層は、それにラミネートされた水溶性フィルムを含み得る。
【0263】
本開示の複合物品は、これらに限定されないが、単一層の複合物品単独と同一の不織布ウェブと比べて増加した機械的強度、単一層の複合物品単独と同一の不織布ウェブと比べて向上した液体取得機能(例えば、おむつの液体取得層、またはこぼれたものを吸収するワイプ)、ならびに/または単一層の複合物品単独と同一の不織布ウェブと比べて向上した液体保持および/もしくは活性組成物(例えば、ウェットワイプの活性ローション)を含む1つまたは複数の利点を提供し得る。
【0264】
第1の不織布ウェブの少なくとも一部および第2の不織布ウェブの少なくとも一部を含む第1の境界面は、第1および第2の不織布ウェブが重なり、第1の複数の繊維および第2の複数の繊維が混在する複合体の領域である。一般に、第1の境界面を形成する第1の不織布ウェブの一部は、第1の不織布ウェブの外面である。実施形態では、第1の境界面は、第1の不織布ウェブの厚さの50%もしくはそれ未満、第1の不織布ウェブの厚さの40%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、10%もしくはそれ未満、5%もしくはそれ未満、2.5%もしくはそれ未満、または1%もしくはそれ未満を構成する。実施形態では、第1の境界面は、第1の不織布の厚さの少なくとも0.1%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、または少なくとも5%を構成する。実施形態では、第1の境界面は、第1の不織布の厚さの約0.1%~約25%を構成する。一般に、境界面を形成する第2の不織布ウェブの一部は、第2の不織布ウェブの外面である。実施形態では、境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの75%もしくはそれ未満、70%もしくはそれ未満、60%もしくはそれ未満、50%もしくはそれ未満、40%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、または15%もしくはそれ未満を構成する。実施形態では、第1の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、または少なくとも40%を構成する。実施形態では、第1の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの約1%~約75%を構成する。
【0265】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、各ウェブからの繊維の少なくとも一部が、他のウェブからの繊維に結合している場合、2層の不織布ウェブは「融合」している。本明細書に記載の通り、繊維の結合は、繊維の絡合を含む。2層の不織布ウェブは、任意の好適な方法を使用して融合し得る。実施形態では、第1の不織布ウェブの一部および第2の不織布ウェブの一部は、熱融合している、溶媒融合している、またはその両方である。実施形態では、第1の不織布ウェブの一部および第2の不織布ウェブの一部は、熱融合している。熱融合は、熱および/または圧力の使用を含み得る。実施形態では、2つの別々の不織布ウェブの一方または両方は、繊維が柔らかくなるまで加熱でき、次いで、ウェブは、一緒に圧縮され、繊維が冷却されると、各ウェブからの繊維の少なくとも一部が、他のウェブからの繊維の少なくとも一部に結合する。実施形態では、第1および第2の不織布ウェブの一方または両方は、メルトスパンされ、加熱された柔らかい繊維が、ダイアセンブリを通過した後、予備形成不織布ウェブに直接適用され、融合境界面を形成する予備形成不織布の繊維に融合するように、インラインプロセスに適用され得る。実施形態では、第1の不織布ウェブの一部および第2の不織布ウェブの一部は、溶媒融合している。溶媒融合は、結合剤溶液を不織布ウェブの一方または両方に塗布し、続いて、乾燥時、各ウェブからの繊維の少なくとも一部が他のウェブからの繊維の少なくとも一部に結合するように、不織布ウェブを接触させることを含み得る。溶媒融合は、2つの別々の予備形成ウェブを含む別々のプロセスとして行われ得、または、結合剤溶液が予備形成不織布ウェブに塗布され、第2の不織布ウェブが、連続プロセスにおいて予備形成不織布ウェブ上で形成されるインラインプロセスであり得る。不織布ウェブの溶媒融合のための結合剤溶液は、結合について本明細書に記載の任意の結合剤溶液であり得る。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「予備形成不織布ウェブ」は、形成されているが結合されていない不織布ウェブ、および形成され、結合された不織布ウェブを包含する。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「別々の不織布ウェブ」は、ステープル繊維のカーディングもしくはエアレイドによって、または連続プロセスによって形成された不織布ウェブを包含し、不織布ウェブは、結合していても、結合していなくてもよい。実施形態では、2つの不織布ウェブの融合はまた、不織布ウェブの一方または両方を結合するために使用できる。
【0266】
実施形態では、第1の境界面は溶媒融合され、溶媒は、水、エタノール、メタノール、DMSO、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される。実施形態では、第1の境界面は溶媒融合され、溶媒は、水、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される。実施形態では、第1の境界面は、ポリビニルアルコールを含む結合剤溶液および水、グリセリンまたはその組合せを使用して、溶媒融合される。実施形態では、第1の境界面は、ポリビニルアルコール、ラテックスまたはその組合せを含む結合剤溶液、および水、グリセリンまたはその組合せを使用して、溶媒融合される。
【0267】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、第1の種類の繊維の平均繊維直径が、第2の種類の繊維の平均繊維直径より小さい場合、第1の種類の繊維は、第2の種類の繊維の直径「よりも小さい」直径を有する。例えば、第1の種類の繊維は、第2の種類の繊維と重なる直径サイズ分布を有し得、第1の種類の繊維についての平均繊維直径が、第2の種類の繊維の平均繊維直径よりも小さい限り、より小さい直径をなお有する。実施形態では、より小さい繊維種類は、より大きい繊維種類の直径サイズ分布の最小直径よりも小さい平均繊維直径を有する。SO137:2015に概説される通り、投射顕微鏡撮像を使用して差が可視化できる場合、直径の差が存在する。実施形態では、例えば、複数のメルトスパン層が使用される場合、より小さい繊維種類とより大きい繊維種類との間の直径の差は、サブミクロンであり得る。実施形態では、より小さい繊維種類とより大きい繊維種類との間の直径の差は、約1ミクロン~約300ミクロン、約5ミクロン~約300ミクロン、約5ミクロン~約250ミクロン、約5ミクロン~約200ミクロン、約10ミクロン~約150ミクロン、約10ミクロン~約100ミクロン、約10ミクロン~約90ミクロン、約15ミクロン~約80ミクロン、約15ミクロン~約70ミクロン、約20ミクロン~約60ミクロン、約20ミクロン~約50ミクロン、または約25ミクロン~約45ミクロンであり得る。実施形態では、より小さい繊維種類とより大きい繊維種類との間の直径の差は、約5ミクロン~約75ミクロンであり得る。実施形態では、より小さい繊維種類とより大きい繊維種類との間の直径の差は、約20ミクロン~約80ミクロンであり得る。理論に縛られることを意図することなく、不織布ウェブが融合しており、第2の不織布ウェブが第1の不織布ウェブよりも小さい繊維直径を有する2つの不織布ウェブの複合体を提供することにより、有利には、複合物品の吸着/吸収速度および流体容量、流体が優先的に移動するより大きい直径の繊維からより小さい直径の繊維への直接吸着/吸収が改善し得;単一直径材料と比較して、不織布複合物品の表面対体積比が増加し得、その結果、単一直径材料を有する不織布と比較して、充填容量が増加し、そして/または分散が改善し、そして/または不織布複合物品の全溶解が改善すると考えられる。個々のウェブ層の繊維の平均直径は、本明細書で提示される任意の直径であり得る。実施形態では、第1の不織布の第1の層の第1の複数の繊維は、約10ミクロン~約300ミクロン、約50ミクロン~約300ミクロン、または約100ミクロン超~約300ミクロンの直径を有し得る。実施形態では、第1の複数の繊維は、約100ミクロン超~約300ミクロンの平均直径を有し得る。不織布複合材料の不織布層が、異なる直径を有する繊維種類のブレンドを含む実施形態では、繊維直径の分布が一峰性である場合、平均繊維直径とは、ブレンドの平均繊維直径をいう。繊維種類のブレンドは、二峰性またはそれよりも高次の不織布層の繊維直径の分布を有し得る。繊維のブレンドが二峰性またはより高次峰性直径分布を有する場合、繊維がブレンドの最小直径繊維の分布の平均より小さい平均繊維直径を有する場合、繊維は前記ブレンドの繊維よりも小さい直径を有し、繊維がブレンドのより大きい直径繊維の分布の平均よりも大きい平均繊維直径を有する場合、繊維は前記ブレンドの繊維よりも大きい。
【0268】
実施形態では、複合物品は、第3の複数の繊維を含む第3の不織布ウェブの第3の層をさらに含む。不織布複合物品が第3の不織布ウェブの第3の層を含む実施形態では、第2の層は、第1の層と第3との層の間に設けられ得、第2の不織布ウェブの少なくとも第2の部分および第3の不織布ウェブの少なくとも一部は、融合して第2の境界面をもたらし得る。第2の不織布ウェブの少なくとも第2の部分および第3の不織布ウェブの少なくとも一部を含む第2の境界面は、第2および第3の不織布ウェブが重なり、第2の複数の繊維および第3の複数の繊維が混在する複合体の領域である。一部の実施形態では、第2の不織布ウェブの第2の層の厚さに応じて、第1の複数の繊維および第3の複数の繊維は、第1の境界面と第2の境界面との間に明らかな線引きがないように、混在および/または融合されてもよい。一般に、第2の境界面を形成する第2の不織布ウェブの一部は、第1の不織布ウェブに融合した第2の不織布ウェブの外面とは反対側の第2の不織布ウェブの外面である。実施形態では、第2の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの75%もしくはそれ未満、70%もしくはそれ未満、60%もしくはそれ未満、50%もしくはそれ未満、40%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、または15%もしくはそれ未満を構成する。実施形態では、第2の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、または少なくとも40%を構成する。実施形態では、第2の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの約1%~約75%を構成する。実施形態では、第2の境界面を形成する第3の不織布ウェブの一部は、第3の不織布ウェブの外面である。実施形態では、第2の境界面は、第3の不織布ウェブの厚さの50%もしくはそれ未満、第1の不織布ウェブの厚さの40%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、10%もしくはそれ未満、5%もしくはそれ未満、2.5%もしくはそれ未満、または1%もしくはそれ未満を構成する。実施形態では、第2の境界面は、第3の不織布の厚さの少なくとも0.1%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、または少なくとも5%を構成する。実施形態では、第2の境界面は、第3の不織布の厚さの約0.1%~約25%を構成する。
【0269】
実施形態では、第2の不織布ウェブの第2の部分および第3の不織布ウェブの一部は、熱融合している、溶媒融合している、またはその両方である。実施形態では、第2の不織布ウェブの第2の部分および第3の不織布ウェブの一部は、熱融合している。実施形態では、第2の不織布ウェブの第2の部分および第3の不織布ウェブの一部は、溶媒融合している。
【0270】
実施形態では、第2の境界面は溶媒融合され、溶媒は、水、エタノール、メタノール、DMSO、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される。実施形態では、第2の境界面は溶媒融合され、溶媒は、水、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される。実施形態では、第2の境界面は、ポリビニルアルコールを含む結合剤溶液および水、グリセリンまたはその組合せを使用して、溶媒融合される。実施形態では、第2の境界面は、ポリビニルアルコール、ラテックスまたはその組合せを含む結合剤溶液、および水、グリセリンまたはその組合せを使用して、溶媒融合される。
【0271】
実施形態では、第1の不織布ウェブの第1の層および第2の不織布ウェブの第2の層は、異なる多孔度を有する。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、不織布ウェブの多孔度の差が少なくとも約1%である場合、2つの不織布ウェブは「異なる多孔度」を有する。実施形態では、複合物品の不織布ウェブの2つの層間の多孔度の差は、約1%~約20%であり得る。例えば、複合物品の不織布ウェブの1つの層は、約80%の多孔度を有し得、複合物品の不織布ウェブの第2の層は、約85%の多孔度を有し得、多孔度の差は5%である。実施形態では、第2の不織布ウェブの多孔度は、第1の不織布ウェブの多孔度より低い。実施形態では、第2の不織布ウェブの多孔度は、第1の不織布ウェブの多孔度と同じである。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、2つの不織布ウェブ間の多孔度値の差が1%未満である場合、2つの不織布ウェブは「同じ多孔度」を有する。
【0272】
複合物品が第3の不織布ウェブの第3の層を含む実施形態では、第3の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブと同じまたは異なる多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブと同じ多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブとは異なる多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブより低い多孔度であり得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第2の不織布ウェブと同じ多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第2の不織布ウェブとは異なる多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第2の不織布ウェブより低い多孔度であり得る。実施形態では、第2の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブより低い多孔度であり得、第3の不織布ウェブは、第2の不織布ウェブより低い多孔度であり得る。実施形態では、不織布複合物品は、不織布ウェブの層間で多孔度の勾配を有し得、複合材料構造体の1つの外面は最大多孔度を有し得、複合材料構造体の他の外面は最小多孔度を有し得る。実施形態では、複合材料構造体は、不織布ウェブの層間で多孔度の勾配を有し得、複合材料構造体の外面は最大多孔度を有し得、複合材料構造体の中間層(複数可)は最小多孔度を有し得る。実施形態では、複合材料構造体は、不織布ウェブの第4のまたはそれよりも多数の層を含み得、中間層(複数可)は、不織布ウェブの第2および第3の層(4層複合材料構造体の場合)、または不織布ウェブの第3の層(5層複合材料構造体の場合)を含み得る。
【0273】
理論に縛られることを意図することなく、複合材料構造体の多孔度が勾配を含む場合、複合材料構造体は、有利には、より多孔性の外面から多孔性の低い外面または多孔性の低い中間層(複数可)への強化された液体の吸水を有すると考えられる。
【0274】
複合物品の任意の所与の不織布層の複数の繊維は、本明細書に開示の繊維のうちの任意のものであり得、同じであっても異なっていてもよい。実施形態では、第1の複数の、第2の複数の、および第3の複数の繊維の繊維形成材料の組成は、同じであっても異なっていてもよく、例えば、直径、長さ、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(T
g)、繊維形成材料、色またはその組合せの任意の差を有する。以下の表1は、不織布層が3種の異なる繊維組成を有する繊維を含み得る企図される複合物品を示しており、「A」、「B」および「C」の各文字は、特定の繊維組成をいい、「-」は、企図される複合物品が不織布ウェブの第3の層を含まないことを意味する。繊維組成A、BおよびCの各々は、(a)単一の繊維形成材料を含む単一の繊維種類、(b)繊維形成材料のブレンドを含む単一の繊維種類、(c)各繊維種類が単一繊維形成材料を含む繊維種類のブレンド、(d)各繊維種類が繊維形成材料のブレンドを含む繊維種類のブレンド、または(e)各繊維種類が単一繊維形成材料もしくは繊維形成材料のブレンドを含む繊維種類のブレンドであり得る。
【表1】
【0275】
実施形態では、第1の複数の繊維は、水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料を含む。実施形態では、第2の複数の繊維は、水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料を含む。実施形態では、第1の複数の繊維および第2の複数の繊維は、水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料を含む。第3の複数の繊維を有する不織布ウェブの第3の層を含む実施形態では、第3の複数の繊維は、水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料を含み得る。実施形態では、ポリビニルアルコール繊維形成材料は、複数の繊維の1つまたは複数の繊維種類中に存在し得る。第1の複数、第2の複数、または第3の複数の繊維のうちの任意のものの水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料は、本明細書に開示の任意の水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料であり得る。第1の複数の繊維、第2の複数の繊維および/または第3の複数の繊維の2つまたはそれよりも多くがポリビニルアルコール繊維形成材料を含む実施形態では、ポリビニルアルコールは、各複数において同じであっても異なってもよく、各複数において単独繊維形成材料または繊維形成材料のブレンドの一部であり得、各複数が異なるポリビニルアルコール繊維を含む場合、長さ対直径の比(L/D)、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(Tg)、繊維化学、色またはその組合せの差があり得る。
【0276】
実施形態では、第1の複数の繊維、第2の複数の繊維および/または第3の複数の繊維の繊維は、ポリビニルアルコール繊維形成材料以外の繊維形成材料を含み得る。
【0277】
実施形態では、第1の不織布ウェブは、約0.5~約1.5の靭性比(MD:CD)を有する。実施形態では、第1の不織布ウェブは、約0.8~約1.25のMD:CDを有する。実施形態では、第1の不織布ウェブは、約0.9~約1.1のMD:CDを有する。実施形態では、第2の不織布ウェブは、約0.5~約1.5の靭性比(MD:CD)を有する。実施形態では、第2の不織布ウェブは、約0.8~約1.25のMD:CDを有する。実施形態では、第2の不織布ウェブは、約0.9~約1.1のMD:CDを有する。実施形態では、第3の不織布ウェブは、約0.5~約1.5の靭性比(MD:CD)を有する。実施形態では、第3の不織布ウェブは、約0.8~約1.25のMD:CDを有する。実施形態では、第3の不織布ウェブは、約0.9~約1.1のMD:CDを有する。実施形態では、不織布複合物品は、約0.5~約1.5、約0.8~約1.25、約0.9~約1.1、または約0.95~約1.05の範囲の靭性比(MD:CD)を有する。実施形態では、不織布複合物品は、約0.8~約1.5のMD:CDを有する。実施形態では、不織布複合物品は、約0.9~1.1のMD:CDを有する。不織布複合物品のMD:CDは、複合物品中に存在する不織布ウェブの各個々の層のMD:CD比に関係する。理論に縛られることを意図することなく、複合物品のMD:CDは、不織布ウェブの各層のMDおよびCDを個々に考慮することによっては決定できないが、不織布複合物品のMDおよびCDは、測定しなくてはならないと考えられる。理論に縛られることを意図することなく、不織布複合物品の靭性比MD:CDが1に近づくにつれて、複合物品の耐久性が増加し、使用の間に不織布に応力が付与された場合の不織布の分解に対する優れた抵抗が付与されると考えられる。さらに、理論に縛られることを意図することなく、少なくとも一層のメルトスパン不織布ウェブを含む複合物品のMD:CD比は、すべてカーディング層を含むことを除いて同一の複合物品よりも1:1に近いMD:CD比を有すると考えられる。
【0278】
本開示の不織布複合物品の坪量は特に限定されず、約5g/m2~約150g/m2、約5g/m2~約125g/m2、約5g/m2~約100g/m2、約5g/m2~約70g/m2、約5g/m2~約50g/m2、約5g/m2~約30g/m2の範囲であり得る。実施形態では、本開示の不織布複合物品は、約5g/m2~約50g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、本開示の不織布複合物品は、約50g/m2~約150g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第1の層は、約30g/m2~約70g/m2の坪量を有し得、不織布複合物品は、約60g/m2~約150g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第1の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第1の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得、不織布複合物品は、約15g/m2~約50g/m2の範囲の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第3の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第1の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得、不織布ウェブの第3の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第2の層は、複合物品の総重量に基づいて、約2.5wt.%~約10wt.%で複合物品に含まれ得る。実施形態では、不織布ウェブの第2の層は、複合物品の総重量に基づいて、約2.5wt.%~約10wt.%で複合物品に含まれ得、不織布ウェブの第1の層は、複合物品の総重量に基づいて、約90wt.%~約97.5wt.%で複合物品に含まれ得る。実施形態では、不織布ウェブの第2の層は、複合物品の総重量に基づいて、約2.5wt.%~約10wt.%で複合物品に含まれ得、不織布ウェブの第1の層および不織布ウェブの第3の層は一緒に、複合物品の総重量に基づいて、約90wt.%~約97.5wt.%で含まれる。実施形態では、不織布ウェブの第3の層は、複合物品の総重量に基づいて、約2.5wt.%~約10wt.%で複合物品に含まれ得、不織布ウェブの第1の層および不織布ウェブの第2の層は一緒に、複合物品の総重量に基づいて、約45wt.%~約48wt.%で含まれる。
【0279】
実施形態では、第1の複数の繊維の繊維直径は、実質的に均一であり得る。実施形態では、第2の複数の繊維の繊維直径は、実質的に均一であり得る。実施形態では、第3の複数の繊維の繊維直径は、実質的に均一であり得る。実施形態では、第1の複数の繊維および第3の複数の繊維の繊維直径は、実質的に均一であり得る。実施形態では、第1の複数の繊維、第2の複数の繊維および第3の複数の繊維の各々の繊維直径は、実質的に均一であり得る。
【0280】
実施形態では、不織布複合物品は、第1の層のみを含む同一の物品と比べて、機械加工方向、交差方向またはその両方において、改善された弾性率、引張強度、伸び、靭性またはその組合せを有し得る。実施形態では、不織布複合物品は、第1の層のみを含む同一の物品と比べて、機械加工方向において、改善された弾性率、引張強度、伸び、靭性またはその組合せを有し得る。実施形態では、不織布複合物品は、第1の層のみを含む同一の物品と比べて、交差方向において、改善された弾性率、引張強度、伸びまたはその組合せを有し得る。実施形態では、不織布複合物品は、第1の層のみを含む同一の物品と比べて、機械加工方向および交差方向において、改善された弾性率、引張強度、伸び、靭性またはその組合せを有し得る。
【0281】
複合物品を調製する方法
【0282】
一般に、複合物品は、不織布ウェブの2つまたはそれよりも多くの層を、第1の層の少なくとも一部および第2の層の一部が融合しており、それによって境界面を形成するように組み合わせるのに好適な当技術分野で公知の任意のプロセスを使用して作製できる。
【0283】
実施形態では、本開示の不織布複合物品を形成する方法は、
(a)第1の不織布ウェブの少なくとも一部を第2の不織布ウェブの少なくとも一部に融合し、それによって第1の境界面を形成するのに十分な条件下で、第1の不織布ウェブを含む第1の層上に、第2の不織布ウェブを含む第2の層を堆積させるステップ;および
(b)第2の不織布ウェブの少なくとも第2の部分を第3の不織布ウェブの少なくとも一部に融合し、それによって第2の境界面を形成するのに十分な条件下で、必要に応じて、第2の不織布ウェブを含む第2の層上に、第3の不織布ウェブを含む第3の層を堆積させるステップ
を含み得る。
【0284】
実施形態では、ステップ(a)および(b)は、複合材料構造体に追加の不織布層、例えば、第4の不織布層、第5の不織布層などを含むように繰り返され得る。
【0285】
一般に、第1の不織布ウェブの少なくとも一部を第2の不織布ウェブの少なくとも一部に融合するおよび/または第2の不織布ウェブの少なくとも第2の部分を第3の不織布ウェブの少なくとも一部に融合するのに十分な条件は、本明細書に記載の通りの熱融合および/または溶媒融合を含み得る。
【0286】
前述の方法の実施形態では、第1の層は、カーディング不織布ウェブを含み得る。前述の方法の実施形態では、第3の層は、カーディング不織布ウェブまたはメルトスパン不織布ウェブを含み得る。前述の方法の実施形態では、第2の層は、メルトスパン不織布ウェブまたはエアレイド不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はメルトスパン不織布ウェブを含み得、第3の層はカーディング不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はメルトブローン不織布ウェブを含み得、第3の層はカーディング不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第2の層は、エアレイド不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第3の層はメルトスパン不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第3の層はメルトブローン不織布ウェブを含み得る。実施形態では、不織布複合物品は、5層の不織布ウェブを含み得、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第3の層はメルトスパン不織布ウェブを含み得、第4の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第5の層はカーディング不織布ウェブを含み得る。実施形態では、不織布複合物品は、5層の不織布ウェブを含み得、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第3の層はメルトブローン不織布ウェブを含み得、第4の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第5の層はカーディング不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第2の不織布ウェブは、セルロース繊維形成材料を含み得る。
【0287】
水に流せるワイプ
【0288】
本開示の水に流せるワイプは、本開示の不織布ウェブおよび/または本開示による複合物品を含み得る。
【0289】
水に流せるワイプは、本開示の複数の繊維を含み得、複数の繊維は、水溶性繊維および必要に応じて、水不溶性繊維を含み得る。
【0290】
水に流せるワイプが水溶性繊維および水不溶性繊維を含む不織布ウェブを含む実施形態では、水不溶性繊維の水溶性繊維に対する比は、約1:18~約4:1、約1:10~約3:1、約1:5~約2:1、または約1:2~約2:1の範囲、例えば、約1:18、1:16、1:14、1:12、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、または4:1であり得る。
【0291】
本開示の水に流せるワイプは、清浄ローションを含み得る。本開示の水に流せるワイプは、一般に、ワイプ製造プロセスの湿潤ステップの間に、清浄ローションによって繊維を容易に湿潤させることを可能にするのに十分高い表面エネルギーを有する繊維を含む。したがって、実施形態では、水に流せるワイプの不織布複合物品の少なくとも1つの外層の少なくとも一部は、親水性繊維を含む。実施形態では、水に流せるワイプを調製するのに使用される不織布複合物品の各外層の少なくとも一部は、親水性繊維を含む。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「親水性繊維」とは、その表面が親水性である任意の繊維をいう。繊維は、繊維が例えば親水性繊維形成材料を含む、繊維がシース中に親水性繊維形成材料を含むコア/シース型二成分繊維である、および/または繊維がその表面に親水性材料を含むように表面処理されている場合、親水性表面を有し得る。理論に縛られることを意図することなく、不織布の親水性繊維は、不織布の表面からの液体の毛細管作用/吸水を促進し得、親水性繊維を含まない同一の不織布と比べて改善された液体取得を提供すると考えられる。
【0292】
ワイプの用途の非限定例は、表面の清浄、皮膚の清浄、自動車用途、ベビーケア、女性のケア、毛髪清浄、ならびに化粧、皮膚コンディショナー、軟膏、日焼け止め、昆虫忌避剤、薬品、ワニスの除去または塗布、あるいは工業および機関清浄を含む。
【0293】
ローション組成物
【0294】
本開示の水に流せるワイプは、基材を湿潤して清浄を促進するローション組成物を含み得る。水に流せるワイプがパーソナルケアワイプである実施形態では、ローション組成物はまた、例えば、皮膚を鎮静、軟化もしくはケアする、ローションの感触を改善する、皮膚からの残留物の除去を改善する、心地のよい香りをもたらすおよび/または細菌増殖を防止するための成分を含んでもよい。
【0295】
ローション組成物は、生理学的皮膚pHに近い約5.5またはそれに近いpHを有し得る。低pHローション組成物は、約3.8またはそれに近いpHを有し得、ワイプがアルカリ性残留物、例えば、腸排泄物からの残留物を除去するために使用される場合、有用であり得、およそ5の健康な酸性皮膚pHに回復するのを助ける、および/または糞便酵素を不活化することによって、腸排泄物からの刺激物を非刺激性にする。低pHローションはまた、微生物増殖を阻害し得る。ローション組成物のpHが約4またはそれ未満である実施形態では、第1の複数の繊維、第2の複数の繊維および/または第3の複数の繊維の繊維は、ポリビニルアルコールコポリマーを含み得る。コポリマーは、繊維ブレンドの繊維中の単独繊維形成材料として、または繊維形成材料のブレンドを含む繊維中の繊維形成材料の一成分として提供され得る。前述の実施形態の改良では、繊維は、ポリビニルアルコールコポリマーおよびホモポリマーのブレンドを含み得る。ポリビニルアルコールコポリマーおよびホモポリマーは、約1:1~約4:1の比で提供され得る。前述の実施形態のさらなる改良では、ポリビニルアルコールコポリマー含有繊維は、非水溶性繊維とブレンドされ得る。
【0296】
ローション組成物は、スーパーウェッター、レオロジー改質剤、軟化剤および/または乳化剤を含み得る。スーパーウェッターは、ローション組成物の総重量に対して約0.01重量%~0.2重量%のスーパーウェッターの量で存在し得る。スーパーウェッターは、トリシロキサン、ポリエーテルジメチコン(ポリエーテル官能基は、PEG、PPGまたはその混合物である)、および前述のものの混合物からなる群から選択され得る。
【0297】
レオロジー改質剤は、ローション組成物の総重量に基づいて約0.01重量%~0.5重量%のレオロジーの量で存在し得る。レオロジー改質剤は、キサンタンガム、変性キサンタンガムおよびその組合せからなる群から選択され得る。
【0298】
軟化剤は、存在する場合、粘稠軟化剤であってもよい。好適な軟化剤は、これらに限定されないが、PEG-10ヒマワリ油グリセリド、ヒマワリ油、パーム油、オリーブ油、エミュー油、ババス油、マツヨイグサ油、パーム核油、肝油、綿実油、ホホバ油、メドウフォーム種子油、スイートアーモンド油、キャノーラ油、ダイズ油、アボカド油、ベニバナ油、ココナッツ油、ゴマ油、米ぬか油、ブドウ種子油、鉱油、イソプロピルステアレート、イソステアリルイソノナノエート、ジエチルヘキシルフマレート、ジイソステアリルマレート、トリイソセチルシトレート、ステアリルステアレート、メチルパルミテート、メチルヘプチルイソステアレート、ワセリン、ラノリン油およびラノリンワックス、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコールおよび2-ヘキシル-デカノールのような長鎖アルコール、ミリスチルアルコール、様々な分子量のジメチコン液およびその混合物、PPG-15ステアリルエーテル(arlatone Eとしても公知)、シアバター、オリーブバター、ヒマワリバター、ココナッツバター、ホホババター、ココアバター、スクアランおよびスクアレン、イソパラフィン、様々な分子量のポリエチレングリコール、様々な分子量のポリプロピレングリコールまたはその混合物を含む。
【0299】
乳化剤は、存在する場合、室温で固体であってもよい。好適な乳化剤は、これらに限定されないが、ラウレス-23、セテス-2、セテス-10、セテス-20、セテス-21、セテアレス-20、ステアレス-2、ステアレス-10、ステアレス-20、オレス-2、オレス-10、オレス-20、ステアレス-100、ステアレス-21、PEG-40ソルビタンペルオレエート、PEG-8ステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-50ステアレート、PEG-100ステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタントリオレート、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、PEG-40水添ヒマシ油、クエン酸エステル、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、蜜ろう、カルナウバワックス、オゾケライトワックス、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコールおよびその混合物を含む。
【0300】
実施形態では、清浄ローションは、軟化剤および乳化剤を含む水性エマルジョンを含む。
【0301】
清浄ローションは、これらに限定されないが、グリセリン、プロピレングリコールおよびホスホリピドを含む保水剤;本明細書に記載の精油および香水などの芳香剤;保存剤;酵素;着色料;油吸収剤;殺虫剤;肥料;活性化剤;酸触媒;金属触媒;イオン捕捉剤;洗剤;殺菌剤;界面活性剤;漂白剤;漂白成分;ならびに布柔軟剤をさらに含み得る。実施形態では、清浄ローションは、芳香剤、保存剤、酵素、着色料、油吸収剤、殺虫剤、イオン捕捉剤、洗剤、殺菌剤またはその組合せを含む。
【0302】
保存剤は、液体ローション、水に流せるワイプおよび/またはワイプが使用される基材における微生物の増殖を防止する。保存剤は、疎水性であっても、親水性であってもよい。好適な保存剤は、これらに限定されないが、メチルパラベン、プロピルパラベンなどのパラベン、アルキルグリシネート、ヨウ素誘導体およびその組合せを含む。
【0303】
ローション充填量は、150%~480%であり得る。本明細書で使用される場合、「充填」とは、不織布ウェブまたは複合物品をローション組成物と組み合わせるために使用される方法、すなわち浸漬、スプレー、キスロールなどに関わらず、不織布ウェブまたは複合物品をローション組成物と組み合わせることをいい、すなわち、ローション組成物は不織布ウェブまたは複合物品の上または中に充填される。「ローション充填量」とは、不織布ウェブまたは複合物品の上または中に充填されるローションの量をいい、乾燥(非充填)不織布ウェブまたは複合物品の重量に対するローションの重量のパーセンテージとして表される。水に流せるワイプは、使用の間、基材(例えば、皮膚または清浄される別の表面)にいくらかのローションが容易に転移できる程度にローションを充填されることが望ましい場合がある。転移は、清浄を促進する、使用者に心地のよい感覚(滑らかな皮膚感または蒸発による清涼感など)をもたらす、および/または基材に有益な機能を提供する化合物の転移を可能にし得る。
【0304】
水に流せるワイプは、ワイプを構成する繊維間に高密度の格子間空間を有する不織布ウェブまたは複合物品であり得る。基材に転移するのに十分なローションをワイプの表面で利用可能に維持するために、ワイプ中の格子間空間の大部分は、ローションで満たされ得る。例えば、十分な湿潤感を提供することによって、使用者に、ローションが基材への転移に利用可能であることを知らせるのに十分な量で過剰のローションをワイプ中に充填できるように、格子間空間のローションは、基材への転移に容易には利用できなくてもよい。有利には、水に流せるワイプに使用される不織布複合物品は、本明細書に記載の通りの多孔度の勾配を有し得、これは、ローションのワイプへの充填を促進し得る。
【0305】
水に流せるワイプは、不織布ウェブまたは複合物品を、乾燥繊維質複合体1グラム当たり少なくとも1グラムの液体清浄ローションで湿潤することによって作製できる。清浄ローションを不織布ウェブまたは複合物品に送達する好適な方法は、これらに限定されないが、水浸、スプレー、埋め込み、押出コーティングおよびディップコーティングを含む。湿潤後、湿潤複合物品は、所望により折り畳まれ、積層され、長さに切断され、包まれ得る。水に流せるワイプは、一般に、取り扱いに好都合であるのに十分な寸法である一方、下水システムに容易に廃棄するのに十分小さい。湿潤複合物品は、製造プロセスの間、そのような寸法に切断もしくは折り畳むことができ、またはより大きなサイズであり、切り取り線などの、使用者が個々のワイプを所望のサイズにウェブから分離することを可能にする手段を有し得る。
【0306】
実施形態では、本開示の水に流せるワイプは、本開示の不織布ウェブおよび清浄ローションを含む。実施形態では、本開示の水に流せるワイプは、本開示の不織布複合物品および清浄ローションを含む。実施形態では、本開示の水に流せるワイプは、本開示の不織布複合物品および清浄ローションからなる。
【0307】
吸収物品
【0308】
本開示の不織布ウェブおよび不織布複合物品は、吸収物品の液体取得層として使用できる。吸収物品は、よだれ掛け、胸部パッド、ケアマット、清浄パッド(例えば、床清浄パッド)、おむつ、パンツ型おむつ、失禁ライナー、パッドおよび他の物品(例えば、成人失禁用おむつ、成人失禁用パッド、成人失禁用パンツ、トイレトレーニングライナー、トイレトレーニングパッド、トイレトレーニングパンツおよびペットトレーニング用パッド、例えば、子犬用パッド)、陰唇間デバイス、月経パッド、パンツライナー、生理用ナプキン、タンポン、こぼれたものの吸収マット、こぼれたものの吸収パッド、こぼれたものの吸収ロール、創傷被覆材などを含み得る。一態様では、前述の物品のうちの任意のものは、使い捨て品であり得る。「使い捨て」という用語は、単回使用後に廃棄されることを設計または意図された物品をいう。つまり、使い捨て物品は、洗濯または他の方法で回復もしくは再使用されることを意図されず、実施形態では、洗濯、回復または再使用ができない場合がある。
【0309】
本明細書で使用される場合、「吸収物品」という用語は、身体浸出液などの液体を吸収および含有する物品を含む。「吸収物品」という用語は、おむつ、失禁用物品、生理用ナプキンなどを含むことが意図される。「失禁用物品」という用語は、成人または他の失禁者のいずれによって着用されるのであれ、パッド、下着(ベルト等などの何らか種類の支持システムによって所定位置に保持されたパッド)、吸収物品の挿入物、吸収物品の容量ブースター、ブリーフ、ベッドパッドなどを含むことが意図される。少なくとも一部のそのような吸収物品は、月経血または血液、腟分泌物、尿、汗、母乳および腸排泄物などの体液の吸収が意図される。
【0310】
本明細書で使用される場合、「おむつ」とは、着用者の皮膚に対して配置されて、身体から排出される様々な浸出液を吸収および含有することが意図されるデバイスをいう。おむつは、一般に、乳児および失禁者によって、着用者のウエストおよび脚を一周するように胴の下部に着用される。おむつの例は、乳児または成人用おむつ、およびトレーニングパンツなどのパンツ様おむつを含む。「トレーニングパンツ」とは、本明細書で使用される場合、乳児または成人着用者向けに設計されたウエスト開口部および脚開口部を有する使い捨て下着をいう。パンツは、着用者の脚を脚開口部に挿入し、パンツを着用者の胴の下部周囲の位置に移動させることによって着用者の所定位置に配置され得る。パンツは、これらに限定されないが、再固定可能および/または再固定不可能な結合(例えば、縫い目、溶接、接着、密着ボンド、ファスナーなど)を使用して物品の部分に一緒に接続することを含む任意の好適な技術によって予備形成されていてもよい。パンツは、物品の周囲に沿った任意の位置(例えば、横側固定、前面ウエスト固定)で予備形成されていてもよい。
【0311】
本開示の吸収物品は、典型的には、液体透過性トップシート、トップシートに接続された液体不透過性バックシート、ならびにトップシートとバックシートとの間の液体取得層および吸収コアを含む。吸収物品が着用可能物品(例えば、失禁用物品、生理用ナプキンなど)である実施形態では、物品は、着用者側面および外側面を有し得る。一般に、液体透過性トップシートは、吸収物品の着用者側面にあり、液体不透過性バックシートは、外側面にある。吸収コアは、一般に、シート様構造であり、着用可能物として提供される場合、着用者側面および外側面を有する。
【0312】
一般に、液体透過性トップシートは、当技術分野で公知の任意の液体透過性トップシートであり得る。着用可能物品の場合、トップシートは、完全または部分的に伸縮自在にされ得、またはトップシートと吸収コアとの間に空所を備えるように短縮され得る。一般に、液体不透過性バックシートは、当技術分野で公知の任意の液体不透過性バックシートであり得る。バックシートは、吸収コアによって吸収され、物品内に含有される浸出液が、吸収物品が接触し得る任意の基材と接触することを防止する。バックシートは、液体不透過性であり、不織布および熱可塑性フィルムなどのプラスチック薄膜の積層物を含み得る。好適なバックシートフィルムは、Terre Haute、Ind.のTredegar Industries Inc.によって製造され、商品名X15306、X10962およびX10964で販売されているものを含む。他の好適なバックシート材料は、液体がバックシートを通過するのを防止しながらも、吸収物品から蒸気を逃がすことができる通気性材料を含み得る。例示的な通気性材料は、織物ウェブ、不織布ウェブなどの材料、ならびに日本のMitsui Toatsu Colによって表示名ESPOIR NOで製造されているものおよびBay City、Tex.のEXXON Chemical Co.によって表示名EXXAIREで製造されているものなどの複合材料を含み得る。
【0313】
吸収コアは、トップシートとバックシートとの間に配置される。吸収コアは、一般に、尿および他の身体浸出液などの液体を吸収および保持することが可能な任意の吸収材料を含み得る。吸収コアは、使い捨ておむつ、および超吸収性ポリマー、細砕木材パルプ(エアフェルト)、クレープ加工セルロースワッディング;吸収性発泡体、吸収性スポンジ、吸収性ゲル化材料、または任意の他の公知の吸収材料、または材料の組合せなどの他の吸収物品に一般に使用される多種多様な液体吸収材料を含み得る。吸収コアは、少量(約10%未満)の非液体吸収性材料、例えば、接着剤、ワックス、油などを含み得る。
【0314】
一般に、液体取得層は、水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料を含む複数の繊維を含む本開示の不織布ウェブを含む。複数の繊維は、単一の繊維種類または繊維種類のブレンドを含み得、繊維は、単独ポリビニルアルコール繊維形成材料またはポリビニルアルコール繊維形成材料を含む繊維形成材料のブレンドを含み得る。
【0315】
実施形態では、液体取得層は、吸収コアとトップシートとの間に設けられ得る。着用可能な実施形態では、液体取得層は、吸収コアの着用者側面に設けられ得る。実施形態では、液体取得層は、吸収コアとバックシートとの間に設けられ得る。着用可能な実施形態では、液体取得層は、吸収コアの外側面上に設けられ得る。実施形態では、液体取得層は、吸収コアを包む。液体取得層は、吸収コアを包む単一シートであり得、または接続された2つの個々の層として設けられ得る。理論に縛られることを意図することなく、吸収コアとバックシートとの間、または吸収コアの外側面上に液体取得層を含むことは、トップシート側および/または着用者側面からの液体のいかなる流出も捕捉する追加の液体取得材料を設けることによって、有利には、吸収物品からの液体の漏れが防止すると考えられる。
【0316】
一般に、液体取得層は、吸収コアと直接接触し得、吸収コアと液体取得層との間に空間を含み得、または吸収コアと液体取得層との間に介在層を含み得る。実施形態では、液体取得層は、吸収コアと接触している。実施形態では、吸収物品は、取得層と吸収コアとの間に設けられた介在層を含む。実施形態では、液体取得層は、トップシート側/着用者側面で吸収コアと接触しており、介在層が、バックシート側/外側面の取得層と吸収コアとの間に設けられている。実施形態では、液体取得層は、バックシート側/外側面で吸収コアと接触しており、介在層が、トップシート側/着用者側面の取得層と吸収コアとの間に設けられている。介在層は、例えば、液体が、堆積点から吸収コアの全面積を被覆するように拡がるのを助けて促進するために含まれる第2の液体透過性層または液体取得層であり得る。
【0317】
実施形態では、吸収物品は、本開示の不織布ウェブである液体取得層を含む。実施形態では、着用可能吸収物品は、本開示の不織布ウェブである液体取得層を含む。実施形態では、吸収物品は、本開示の不織布複合物品である液体取得層を含む。実施形態では、着用可能吸収物品は、本開示の不織布複合物品である液体取得層を含む。
溶解および崩壊試験(MSTM-205)
【0318】
不織布ウェブ、水溶性フィルムまたはラミネート構造体は、当技術分野で公知の方法であるMonoSol試験法205(MSTM 205)に従って、溶解時間および崩壊時間によって特徴付け、または試験できる。例えば、米国特許第7,022,656号を参照されたい。以下に提供される記載は、不織布ウェブを指すが、これは、水溶性フィルムまたはラミネート構造体にも等しく適用可能である。
機器および材料は、以下を含む:
600mLビーカー、
磁気撹拌器(Lablineモデル番号1250または等価物)、
磁気撹拌棒(5cm)、
温度計(0~100℃±1℃)、
鋳型、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)、
タイマー(0~300秒、秒単位の精度)、
Polaroid 35mmスライドマウント(または等価物)、
MonoSol 35mmスライドマウントホルダー(または等価物)、および
蒸留水。
【0319】
試験される各不織布ウェブについて、不織布ウェブ試料から、3.8cm×3.2cm標本の3つの試験標本を切断する。標本は、ウェブの領域からウェブの横方向に沿って均等に間を空けて切断するべきである。次いで、各試験標本を、以下の手順を使用して分析する。
【0320】
各標本を、別々の35mmスライドマウンドに固定する。
【0321】
ビーカーに500mLの蒸留水を満たす。温度計で水温を測定し、必要であれば、水を加熱または冷却して、溶解を決定する温度、例えば、20℃(約68°F)で温度を維持する。
【0322】
水のカラム高さに印を付ける。ホルダーのベースに磁気撹拌器を置く。ビーカーを磁気撹拌器の上に置き、ビーカーに磁気撹拌棒を入れ、撹拌機を作動させ、水カラムのおよそ5分の1の高さの渦が生じるまで撹拌速度を調節する。渦の深さに印を付ける。
【0323】
35mmスライドマウントホルダーのワニ口クランプに、スライドマウントの長端が水面に平行になるように35mmスライドマウントを固定する。ホルダーの深さ調節は、落としたときに、クランプの端部が水面の0.6cm下になるように設定するべきである。不織布ウェブ表面が水の流れに垂直になるように、スライドマウント短端の一方をビーカーの側面に接し、他端を攪拌棒の中心に対して直接配置するべきである。
【0324】
1回の動作で、固定したスライドおよびクランプを、水中に落とし、タイマーを起動する。破壊は、試料がスライド内で傷ついたとき、例えば、穴ができたときに起こる。崩壊は、不織布ウェブが分離し、試料材料がスライドに残っていないときに起こる。すべての可視不織布ウェブがスライドマウントから離れたら、スライドを水から取り出し、一方、未溶解の不織布ウェブ断片について溶液のモニタリングを継続する。溶解は、すべての不織布ウェブ断片が可視ではなくなり、溶液が透明になったときに起こる。繊維が低加水分解度(例えば、約65~88%)を有するポリビニルアルコールから調製されている不織布試料の場合、破壊および溶解は同時に生じ得る。破壊と溶解との間に5秒またはそれよりも長い差がある場合、溶解時間は、破壊時間とは独立して記録する。
【0325】
細線化時間もまた、MSTM-205を使用して決定できる。不織布ウェブの細線化は、不織布ウェブを構成する繊維の一部が溶解し、一方、他の繊維がインタクトなままであるときに起こる。ウェブの細線化は、ウェブの崩壊の前に起こる。細線化は、不織布ウェブの不透明度の減少、または透明度の増加によって特徴付けられる。不透明から次第に増加する透明度への変化は、視覚的に観察できる。MSTM-205の間、固定したスライドおよびクランプが水中に落下した後、不織布ウェブの不透明度/透明度をモニタリングする。不透明度/透明度の変化が観察されなくなった(すなわち、ウェブが不透明にならなくなるまたはより透明にならなくなる)時点で、その時間を細線化時間として記録する。
【0326】
結果は、以下のもの:完全な試料の同定、個々および平均崩壊および溶解時間、ならびに試料を試験したときの水温を含むべきである。
単一繊維溶解度を決定する方法
【0327】
単一繊維の溶解度は、水分解温度によって特徴付けることができる。繊維分解温度は、以下の通り決定できる。2mg/dtexの充填量を、100mmの固定長を有する繊維に負荷する。水温は、1.5℃で開始し、次いで、繊維が分解するまで、2分毎に1.5℃の増分で上昇させる。繊維が分解する温度を、水分解温度として記す。
【0328】
単一繊維の溶解度はまた、完全溶解の温度によって特徴付けることもできる。完全溶解の温度は、以下の通り決定できる。2mmの固定長さを有する0.2gの繊維を、100mLの水に添加する。水温は、1.5℃で開始し、次いで、繊維が完全に溶解するまで、2分毎に1.5℃の増分で上昇させる。試料を、各温度においてかき混ぜる。繊維が30秒未満で完全に溶解する温度を、完全溶解温度として記す。
直径試験法
【0329】
別個の繊維または不織布ウェブ内の繊維の直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡、および画像分析ソフトウェアを使用して決定する。繊維が測定のために好適に拡大されるように、200~10,000倍の倍率を選択する。SEMを使用した場合、試料は、金またはパラジウム化合物でスパッタリングして、電子ビーム中での繊維の帯電および振動を回避する。繊維直径を決定するための手動手順を、SEMまたは光学顕微鏡で撮った画像(モニタースクリーン上)から使用する。マウスおよびカーソルツールを使用して、ランダムに選択した繊維の端部を探し、次いで、繊維の他方の端部までその幅にわたって(すなわち、その点で繊維方向に垂直に)測定する。縮尺を合わせ、較正した画像分析ツールにより、縮尺を合せたミクロン単位の実際の読取りが得られる。不織布ウェブ内の繊維について、SEMまたは光学顕微鏡を使用して、不織布ウェブの試料にわたっていくつかの繊維をランダムに選択する。不織布ウェブ材料の少なくとも2つの部分を切断し、この方法で試験する。合せて少なくとも100回、そのような測定を行い、次いで、すべてのデータを、統計分析のために記録する。記録したデータを使用して、繊維の平均(幾何平均(mean))、繊維の標準偏差および繊維直径の中央値を計算する。
引張強度、弾性率および伸び試験
【0330】
引張強度(TS)試験に従って引張強度、弾性率(MOD)試験に従って弾性率(または引張応力)、および伸び試験に従って伸びによって特徴付けられ、または試験される不織布ウェブ、水溶性フィルムまたはラミネート構造体は、以下の通り分析する。以下に提供される記載は、不織布ウェブを指すが、これは、水溶性フィルムまたはラミネート構造体にも等しく適用可能である。手順は、ASTM D 882(「薄プラスチックシートの引張特性に関する標準試験法」)または等価物に従う引張強度の決定および10%伸びにおける弾性率の決定を含む。INSTRON引張試験装置(モデル5544引張試験機または等価物)を、不織布ウェブデータの収集のために使用する。各々、寸法安定性および再現性を確実にする信頼性の高い切断ツールで切断した最小で3つの試験標本を、各測定について機械加工方向(MD)(適用可能な場合)で試験する。試験は、23±2.0℃および35±5%相対湿度の標準研究室雰囲気で行う。引張強度または弾性率の決定のために、不織布ウェブの1インチ幅(2.54cm)の試料を調製する。次いで、試料をINSTRON引張試験機に移して、試験を進める一方、35%相対湿度環境への曝露を最小にする。引張試験機は、製造業者の説明書に従って調製し、500Nロードセルを備え、較正する。正確なグリップおよび面を取付ける(ゴムコーティングされた25mm幅の、モデル番号2702-032面を有するINSTRONグリップ、または等価物)。試料を、引張試験機に嵌め、分析して、100%弾性率(すなわち、100%フィルム伸びを実現するのに必要な応力)、引張強度(すなわち、フィルムを破壊するのに必要な応力)、および伸び%(初期試料長さと比べた、破壊時の試料長さ)を決定する。一般に、試料の伸び%が高いほど、不織布ウェブの加工性特徴(例えば、パケットまたはポーチへの増加した形成性)が良好になる。
坪量の決定
【0331】
坪量は、ASTM D3776/D3776M-09a(2017)に従って決定する。簡潔には、少なくとも130cm2の面積を有する不織布標本、または試料の異なる位置から取った、少なくとも130cm2の総面積を有するいくつかのより小さいダイカット標本を切断する。±0.001gの分解能のトップローディング化学秤で標本(複数可)を秤量して、質量を決定する。秤は、ドラフトシールドを使用して、気流および他の外乱から保護する。布の標本を、一緒に秤量してもよい。質量を、1平方ヤード当たりオンス、1線形ヤード当たりオンス、1ポンド当たり線形ヤードまたは平方メートル当たりグラムで3有効桁まで計算する。
水蒸気透過率の決定
【0332】
水蒸気透過率(MVTR)は、MSTM-136に従って決定する。MVTRは、試料を通して、1日当たりどれくらいの水分が移動するかを定義する。以下に提供される記載は、不織布ウェブを指すが、これは、水溶性フィルムまたはラミネート構造体にも等しく適用可能である。
【0333】
機器および材料は、以下を含む:
Permatran-Wモデル3/34(または等価物)、
窒素の高圧ガスシリンダー(99.7%またはそれよりも高い)、
レギュレータ-ティー(パーツ番号027-343)、
主ライン供給レギュレータ、
HPLCグレード水(または等価物)、
Luerlokチップを備える10ccシリンジ(パーツ番号800-020)、
粉末不含グローブ、
高真空グリース(パーツ番号930-022)、
(2)試験セル、
切断鋳型、
切断ボード、
持ち手つきレーザーブレード、および
耐切創性グローブ。
【0334】
Permatran W-モデル3/34の調製:確実に、窒素圧力レベルを300psi超、担体ガスレギュレータ-ティーの圧力読取りを29psi(32psiを超えてはならない)にし、主ライン供給レギュレータ圧力を35psiに設定する。機器パネルの扉を開いて加湿器を利用して、水レベルを確認する。水レベルが低い場合、シリンジにHPLCグレードの水を満たし、シリンジに取付けたルアーをリザーバの「充填口」に挿入する。「充填バルブ」を、2~3回、反時計回りに回すことによって開き、次いで、プランジャーをシリンジに押し込んで、水をリザーバに入れる。「充填バルブ」を閉め、シリンジを取り外す。注:水レベルが、リザーバに隣接して印を付けた線を超えないようにする。
【0335】
試料の調製および試験:試験される各不織布ウェブについて、試料ウェブを取り、切断ボードに平らに置く。ウェブの上部に鋳型を置き、持ち手つきレーザーブレードを使用して試料を切り出す。試料を切り出す際は、耐切創性グローブを確実に装着する。試料を横によけておく。試験セルの上部部分の封止表面に高真空グリースでグリースを塗る。フィルム試料を試験セルの上部部分の上部に載せる。注:配向が重要な場合がある。均質材料の場合、配向は重要ではない。多層のラミネート材料の場合、セルの上部に向けて、バリアコーティングまたはラミネートが上になるように多層フィルムまたはラミネートを置く。例えば、片面ワックスコーティングPVOHウェブは、ワックス側を上にして載せ、ワックスを担体ガス(窒素)に向けて置くべきである。試験セルの上部部分を試験セルの底部部分の上部に置く。試験セルが、良好な封止で一緒に確実にクランプされるようにする。セルロード/アンロードボタンを押して、セルトレイを開く。試験セルの前および後端部を掴み、真っ直ぐ下に下げる。やさしくパネルに向けて真っ直ぐ押し込むことによって、セルトレイを完全に閉める。セルロード/アンロードボタンを押して、セルをクランプする。注:カチッと音をさせるべきである。第2の試料について繰り返す。
【0336】
試料が充填され、機器の用意ができた後、試験パラメーターを設定しなくてはならない。注:試験パラメーターは、セルパラメーターおよび機器パラメーターの2種類がある。セルパラメーターは、各セルに特異的である一方、機器パラメーターはすべてのセルに共通である。スクリーンの「試験ボタン」にタッチする。「自動試験」の「タブA」を選択する。「セルタブ」にタッチする。各吹き出しをタッチすることによって以下を入力する:ID、面積(cm2)、厚さ(ミル)。注:鋳型の面積は50cm2である。「タブB」について繰り返す。「機器タブ」にタッチする。各吹き出しをタッチすることによって以下を入力する:セル温度(℃)および試験ガスRH(%)。注:100%RHを確実にオフに設定する。セル温度は、最小10℃~最大40℃に設定できる。試験ガスRHは、最小5%~90%に設定できる。100%RHが必要である場合、異なる方法が必要である。「タブB」について繰り返す。試験パラメーターを設定したら、試料数に応じて「選択したものを開始」または「すべて開始」を選択する。注:フロントパネルの各セルについてのインジケータランプが緑であれば、試験の開始を示している。
表面抵抗率測定
【0337】
不織布ウェブおよびフィルムの表面抵抗率は、ASTM D257に従って測定できる。
柔らかさ等級
【0338】
本開示の不織布ウェブまたはポーチの手触りは、試料の柔らかさに関連し、関連する試験法を使用して評価できる。柔らかさ評価を実施する試験者は、清潔な手を使用して、88%の加水分解度を有するポリビニルアルコールホモポリマーからなり、2.2dtex/51mm切片を有する繊維からなる不織布ウェブを含み、1(最も柔らかい)の柔らかさ等級を有する対照材料、ならびに75%ポリビニルアルコールホモポリマーからなり、88%の加水分解度を有し、2.2/51mm切片を有する繊維および25%の22dtex/38mmのPET繊維からなり、5(最も粗い(roughest/coarsest))の柔らかさ等級を有する対照材料と比較して、本開示の不織布ウェブおよび物品の柔らかさ等級を決定するための何であれ個々に選択した方式または方法で、試料を触る。ハンドパネルは盲検研究で実施することで、評定者が試料名の認識によって意見を変えないようにする。試料は、1~5で等級付けた。
フラッシング性試験
【0339】
本開示の不織布ウェブおよび/またはラミネートの浄化用または都市下水処理システムへの水で流せる性能は、水に流せる製品としての認定基準である、以下に提示される通りの修正INDA/EDANAに従って決定できる。以下の試験は、不織布ウェブ試料を参照するが、この方法は、ラミネート構造体についても使用できることが理解される。
【0340】
機器および材料は、以下を含む:
ロッキングデジタルプラットフォームシェーカー、
2つの透明なプラスチック製の12×5×3.9インチ容器、
2つの篩(12.5mm開口)、
乾燥不織布ウェブ試料、および
100℃のオーブン。
【0341】
パラメーターは以下を含む:
18RPMおよび11°傾斜間隔に設定したロッキングプラットフォーム、
容器当たり1Lの水道水、ならびに
30分の試験時間。
【0342】
試験手順:
1. 2つの容器をロッキングプラットフォームに置く。この方法は、2つの試料を同時に試験する。
2. ビーカーに水道水1Lを量り入れ、1つのプラスチック容器に注ぐ。他方の容器について繰り返す。試験開始前に、容器中の水道水を確実に15℃±1℃にする。
3. 初期乾燥試験試料の重量(初期試料質量(g))および篩の重量(初期篩質量(g))を記録し、独立して記録する。
4. デジタルロッキングプラットフォームで適切なパラメーターを設定する。
5. 各試験試料をそれらの対応する容器に入れ、直ちに撹拌プロセスを開始する(プラットフォームを揺らす)。
6. プロセスが完了したら(30分後)、各容器を取り、それらの対応する篩を通して注ぐ。篩プレートの10cm上の高さで注ぐ。
7. 容器をすすいで篩に入れ、残留する試験試料をすべて確実に除去する。
8. 篩を100℃のオーブンに45分間入れて、すべての水を確実に蒸発させる。
9. 篩および残留試験試料の重量を一緒に(総最終質量(g))記録する。
10. 総保持試料質量(最終試料質量(g))を計算する:
最終試料質量(g)=総最終質量(g)-初期篩質量(g)
11. パーセント(%)崩壊を計算する:
%崩壊=[1-(最終試料質量(g)/初期試料質量(g))]×100
12. 確実に、篩を清浄し、乾燥し、次の試験の開始前に再秤量する。
13. 各特定の試験試料についてN=3の反復が完了するまで試験を繰り返す。
【0343】
試料が少なくとも20%に等しいまたはそれよりも高いパーセント崩壊を有する場合、試料は、浄化用または都市下水処理システムに流すことによって廃棄するのに十分水に流すことができる。実施形態では、本開示の不織布ウェブ、ラミネートおよびポーチは、フラッシング性試験によって測定して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%のパーセント崩壊を有し得る。
液体放出試験
【0344】
図4は、本明細書に記載の液体放出試験において使用するためのワイヤフレームケージ(その中に含まれた水溶性ポーチをより良好に示すために、上部は開放して示されている)の図である。
【0345】
図5は、スタンドに載せられたビーカー、ビーカー中にケージを下降させるためのロッドを保持するスタンド、止めネジ(図示せず)を有する軸つばによって固定可能なロッドを含む液体放出試験を実施するための装置を示す。
【0346】
液体放出試験に従って遅延溶解度によって特徴付けられるまたは遅延溶解度について試験される水溶性不織布ウェブ、フィルムおよび/またはポーチは、以下の材料を使用して以下の通り分析される:
2Lビーカーおよび1.2リットルの脱イオン(DI)水、
試験対象の水溶性ポーチ;ポーチは、2週間、38℃で事前にコンディショニングする;結果の比較のために、試験するすべての不織布ウェブは、同じ坪量を有するべきであり、試験するすべてのフィルムは、同じ厚さ、例えば、88μmまたは76μmを有するべきである、
温度計、
ワイヤケージ、ならびに
タイマー。
【0347】
実験を行う前に、実験を5回繰り返すのに十分なDI水が利用可能であることを確認し、ワイヤケージおよびビーカーが清潔で乾燥していることを確認する。
【0348】
ワイヤフレームケージは、端部の尖っていないプラスチックコーティングされたワイヤケージ(4インチ×3.54インチ×2.54インチ)または等価物である。ワイヤのゲージは約1.25mmであるべきであり、ワイヤは、0.5インチ(1.27cm)四方のサイズの開口部を有するべきである。試験ポーチ30を含むケージ28の例の画像が
図4に示されている。
【0349】
試験の設定のため、ポーチをケージで引っかくことなく、ポーチを動かすための自由空間を可能にしながら、水溶性ポーチを注意深くケージに入れる。ポーチをワイヤケージにきつく縛ることはしないが、確実に固定し、ケージから出てこないようにする。ケージ内でのポーチの向きは、存在する場合、ポーチの自然な浮力が可能となるようにするべきである(すなわち、ポーチが浮き上がる面が、上向きになるように配置する)。ポーチが対称的である場合、ポーチの向きは、一般に問題ではない。
【0350】
次に、2Lビーカーに1200ミリリットルの20℃のDI水を満たす。
【0351】
次に、ポーチを封入したワイヤフレームケージを水中に下降させる。ケージがビーカーの底部から1インチ(2.54cm)となっていることを確認する。ポーチのすべての側面が完全に沈んでいることを確かめる。ケージが安定であり、動かないことを確認し、ポーチを水中に下降させたらすぐにタイマーを起動する。ビーカー中の水に対するケージの位置は、任意の好適な手段、例えば、ビーカーの上に固定したクランプおよびケージの上部に取付けたロッドを使用することによって調節および維持できる。クランプは、ケージの位置を固定するようにロッドに係合でき、ケージを水中に下降させるために、クランプの張力は低下させることができる。摩擦係合の他の手段、例えば、
図5に示される通りの止めネジを有する軸つば(止めネジは図示せず)を、クランプの代わりに使用できる。
図5は、スタンドに載せたビーカーを示し、スタンドは、ケージ(図示せず)をビーカー中に下降させるためのロッドを保持し、ロッドは、例えば、摩擦によって、またはロッドの穴(図示せず)との係合によって、ロッドに係合する止めネジ(図示せず)を有する軸つばの使用によって、固定垂直位置を保持することができる。
【0352】
液体内容物の放出は、沈んだポーチから液体が出たことを視覚により最初に確認したときとして定義される。
繊維の加水分解度の決定
【0353】
滴定法。繊維の加水分解度は、滴定を使用して決定できる。特に、既知量のポリビニルアルコール繊維は、混合物を70℃超の温度で撹拌および加熱することによって、200mLの脱イオン水に溶解する。すべてのPVOHが溶解したら、溶液を室温に冷却する。溶液が冷却されたら、4~5滴のフェノールフタレイン指示薬溶液を、20.0mLの0.5N NaOH溶液と共にPVOH溶液に添加する。溶液を混合し、室温で最短2時間静置する。この時間の後、20.0mLの0.5N硫酸を溶液に添加し、混合する。溶液がわずかにピンク色に変わり、溶液が無色に戻らずにこの色を最短30秒間維持する時点である終点まで、溶液を0.1N NaOH溶液で滴定する。前述の手順で得られた測定値を使用し、以下の計算からPVOHのDHを決定する
【数9】
式中:
A1:残留アセテート基(wt%)、
A2:残留アセテート基(モル%)、
DH:加水分解度(モル%)、
Vsample:試料の滴定の間に添加した0.1N NaOH溶液の体積(mL)、
Vblank:ブランクの滴定の間に添加した0.1N NaOH溶液の体積(mL)、
N:滴定ステップに使用した標準化0.1N NaOH溶液の公称濃度、
Wtsample:試料質量(g)、および
P:PVOH試料の純度=100-(揮発性物質(wt%)+酢酸ナトリウム(wt%))。
【0354】
FTIR方法。FTIRを使用して、減衰全反射法(ATR)を介して繊維表面の外側部分の加水分解度を決定できる。この方法が測定する繊維の深さは、特定のATR装置、特に使用される結晶に依存する。約1730cm-1(ケトンピーク、残留アセテート基に起因)および約1420cm-1(参照ピーク)でのピーク高さの比を求めることによって、既知加水分解度に対してPVOH樹脂についての同じ比をプロットすることによって得られた等式を使用して、未知試料の加水分解度を決定できる。
【0355】
勾配試験方法。繊維の加水分解度の勾配は、断面X線光電子分光法(XPS)、深度XPS、NMR技術、紫外光電子分光法(UPS)、環境SCMまたはオージェ電子分光法(AESまたはSAM)を使用して決定および定量できる。
【0356】
XPS分析の場合、この方法が測定する繊維の深さは、断面の関数として加水分解度の変化を決定する深さプロファイルのためのXPS分析の間に使用される特定のイオンビームに依存する。完全には加水分解されていないPVOHのアセテート基のカルボキシルおよびカルボニル基を表す287.6eVおよび288.8eVにおけるデコンボリュートされたピークの、PVOHのヒドロキシル基に対応する286.5eVおよび532.8eVにおけるデコンボリュートされたピークに対する比を求めることによって、既知加水分解度に対してPVOH樹脂についての同じ比をプロットすることによって得られた等式を使用して、未知試料の加水分解度を決定できる。この方法は、イオンビームスパッタリングステージ間で繰り返して、PVOH繊維の完全な深さプロファイルおよび断面にわたる加水分解度の変化を得ることができる。XPS法は、Gilbert et al "Depth-profiling X-ray photoelectron spectroscopy (XPS) analysis of interlayer diffusion in polyelectrolyte multilayers" PNAS, vol. 110, no. 17, 6651-6656 (2013)(https://www.pnas.org/content/pnas/1/10/17/6651.full.pdfで入手可能)およびEuropean Polymer Journal 126 (2020) 109544に記載されており、それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0357】
AES法は、ASTM E984-12に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
繊維収縮率(%)の測定
【0358】
MonoSol標準操作手順を使用して、10℃~23℃の範囲の温度の水と接触する際に、繊維の長手方向軸に沿った繊維の収縮率を測定する。
【0359】
材料は以下を含む:
繊維試料(およそ3グラム)、
500mLビーカー、
冷脱イオン水(冷蔵庫に入れる)、
脱イオン水、
ペーパークリップ、
ワニ口クランプ(溶解度スタンド)、
撹拌プレート、および
タイマー。
【0360】
試料は、以下のステップにより調製する:
小さな束の繊維がペーパークリップおよびワニ口クランプに確実に保持されるようにもつれていない繊維の小さな束(およそ0.013グラム(g)~0.015gの重量)を得る;
ペーパークリップを持ち、ペーパークリップの断面を通して繊維の一端を引っ張る;
各試験温度、例えば、23℃および10℃でN=3の反復で、試験する必要のある各繊維についてこれを行う。
【0361】
図8に示される通りの試験装置は、以下の通り設定する:
500mLビーカーにそれぞれの温度の400mLの水を充填し、水温は、試験前および試験中に温度プローブを使用して確認する;
物差しを、物差しがクランプに平行に吊り下がるように、ワニ口クランプの上部にテープで留める;
ビーカーを撹拌プレート上に、溶解度スタンドを撹拌プレートの隣に置き、繊維の長さを読み取ることができるようにビーカー中に物差しを沈める。
【0362】
試験手順は、以下のステップを含む:
ペーパークリップで留めた繊維の自由端をワニ口クランプに取付ける;
試験試料をビーカー中に沈め、物差しの隣に並べる;
タイマーを起動し、繊維の初期長さを記録する。試験試料繊維長さは、ワニ口クリップの端部からペーパークリップの上部までである(
図8に示される通り);
2分後、繊維の最終長さを記録する;
クランプを水から引き上げ、試料繊維をクランプから取り外す。クランプの外側および内側は、各試験の間で確実に完全に乾燥させる。
【0363】
繊維の収縮率は以下の等式を使用して計算する:
【数10】
【0364】
水との接触後、本開示で提供される繊維は、水を吸収し、横断面で膨張し、一方、長手方向に沿ってその長さの収縮を示す。
【0365】
個々にまたは組み合わせて使用できる1つまたは複数の必要に応じた特徴が、以下の段落に記載される。必要に応じて、処理される繊維は、ポリ酢酸ビニル繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、ポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、79~99%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、88%~96%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、88%、92%または96%の加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、ポリビニルアルコールコポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、アニオン変性コポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、ポリビニルアルコールコポリマーおよびアニオン変性PVOHコポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。
【0366】
必要に応じて、加水分解剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムおよびその組合せからなる群から選択される水酸化物塩を含む。必要に応じて、加水分解剤は、水酸化ナトリウムを含む。必要に応じて、加水分解剤は、水酸化カリウムを含む。必要に応じて、加水分解剤溶液の溶媒は、メタノールを含む。必要に応じて、加水分解剤溶液の溶媒は、メタノールおよび水を含む。必要に応じて、加水分解剤溶液の溶媒は、DMSOおよび水を含む。必要に応じて、加水分解剤溶液の溶媒は、処理条件下で液体であるアルコールを含む。
【0367】
必要に応じて、処理される繊維および加水分解剤溶液の混合は、繊維を加水分解剤溶液に浸漬することを含む。必要に応じて、混合は、繊維および加水分解剤溶液の混合物を加熱することを含む。必要に応じて、混合は、繊維および加水分解剤溶液の混合物を、約30℃~約60℃の温度に加熱することを含む。必要に応じて、混合は、繊維および加水分解剤の混合物を、最大約1時間加熱することを含む。必要に応じて、混合は、繊維および加水分解剤の混合物を、約1時間~約6時間加熱することを含む。必要に応じて、混合は、繊維および加水分解剤の混合物を、約6時間~約24時間加熱することを含む。
【0368】
必要に応じて、処理される繊維は、加水分解剤溶液と接触させて、繊維の少なくとも表面を含む繊維の領域において、繊維の加水分解性ポリマーの加水分解度を増加させることができる。必要に応じて、接触は、浸漬により得る。必要に応じて、接触は、ディップコーティングにより得る。必要に応じて、接触は、スプレーにより得る。必要に応じて、接触は、ブラッシングにより得る。必要に応じて、接触は、ロール塗により得る。
【0369】
一部の実施形態では、加水分解剤溶液は、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、混合するステップは、繊維を加水分解剤溶液に浸漬することを含み、加水分解剤溶液中の繊維の混合物は、約1分間~約24時間で約30℃~60℃の温度に加熱される。繊維は、本明細書に記載の通り、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む。例えば、一部の実施形態では、繊維は、88%、92%もしくは96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマー、または88%、92%もしくは96%の加水分解度を有する、カルボキシレートまたはスルホネート変性を有するアニオン変性コポリマーを含む。加水分解剤溶液は、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含む。混合は、繊維を加水分解剤溶液に浸漬することを含み、加水分解剤溶液中の繊維の混合物は、約30℃~60℃の温度にある時間、例えば、約12時間~約24時間、または約1時間~約12時間、または約1分間~約1時間、加熱される。
【0370】
酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーの加水分解反応は、以下の通り、スキーム(1)に例示される:
【化1】
【0371】
そのようなコポリマーは、本明細書に記載の通り、ポリビニルアルコールコポリマーであり、変性ポリビニルアルコールコポリマーであり得る。
【0372】
本開示はまた、コア-シース構造を有するまたはコア-シェル構造とも呼ばれる粒子、およびそのような粒子を作製する方法を提供する。繊維に関する組成物および方法を含む本開示は、粒子にも適用可能である。本明細書で使用される場合、「粒子」という用語は、任意の好適な形状および/または任意の好適なサイズを有してもよい微粒子形態の任意の生成物を包含することが理解される。実施形態では、粒子は、規則的なまたは均一形状、例えば、球、立方体、直方体、円柱、楕円体または不規則な形状を有してもよい。実施形態では、粒径は、ミクロンレベルまたはミリメートルレベルであってもよい。例えば、粒子は、任意の好適な形態、例えば、ビーズ、マイクロスフェアまたは粉末形態を有してもよい。一部の実施形態では、粒子は、約1ミクロン~約1,000ミクロン、例えば、約5ミクロン~約100ミクロン、約10ミクロン~約100ミクロン、約2ミクロン~約10ミクロンの範囲のサイズ、または任意の他の好適なサイズもしくは範囲を有してもよい。一部の実施形態では、粒子は、約1ミリメートル(mm)~約10mm、例えば、約1mm~5mm、約1mm~2mmの範囲のサイズ、または任意の他の好適なサイズもしくは範囲を有してもよい。
【0373】
実施形態では、粒子は、コア領域、およびコア領域を少なくとも部分的に被覆、収容または取り囲むシェル領域を含むコア-シェル構造を有する。コア領域は、本明細書に記載の通り、100%未満の第1の加水分解度を有する、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む。例の実施形態では、シェル領域は、コア領域から半径方向に外向きに配置される。シェル領域は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、第1の加水分解度よりも高い第2の加水分解度を有するポリマーを含む。一部の実施形態では、粒子は、コア領域の中心からシェル領域の外面への半径方向に延びるポリマーの加水分解度の増加勾配を有する。本明細書に記載の通り、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーは、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む。例えば、ポリビニルアルコールコポリマーは、一部の実施形態では、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである。ポリビニルアルコールコポリマーは、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せをさらに含むようにアニオン変性されてもよい。
【0374】
実施形態では、コア-シェル構造を有する粒子を作製する方法は、本明細書に記載の通りの加水分解性ポリマーを含む粒子(または特定量の粒子)を加水分解剤溶液と混合して、混合物を形成して、粒子の表面領域、例えばシェル領域における加水分解度を増加させる少なくとも1つのステップを含む。ポリマーは、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の第1の加水分解度を有する。実施形態では、粒子は、均一組成を有する。得られる粒子は、コア領域およびシェル領域(または表面領域)を含むコア-シェル構造を有する。本明細書に記載の通り、加水分解剤溶液は、加水分解剤および溶媒を含む。粒子および加水分解剤溶液の混合物は、加熱されてもよい。加水分解剤溶液は、所定の加水分解度または粒子の中心から粒子の外面に向けて増加する加水分解度の所定の増加勾配の少なくとも1つを提供するのに十分な条件下で混合される。粒子は、上記の通り、約10℃~約100℃の範囲の温度で、約1分間~約48時間の範囲の時間、加水分解剤溶液と混合されてもよい。ポリマーは、混合するステップの前に、約79%超かつ約96%未満の加水分解度を有してもよい。シース領域のポリマーは、混合するステップの後に約88%~約96%の範囲の第2の加水分解度を有する。得られる粒子は、混合するステップの後に水溶性である。
【0375】
別の態様では、本開示はまた、表面領域すなわちシース領域、およびコア領域を含む、コア-シース構造を有するまたはコア-シェル構造とも呼ばれる3次元物品、ならびにそのような物品を作製する方法を提供する。繊維または粒子に関する組成物および方法を含む本開示は、任意の3次元物品にも適用可能である。シース領域は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、コア領域のポリマーについての第1の加水分解度よりも高い第2の加水分解度を有するポリマーを含む。一部の実施形態では、物品は、コア領域の中心からシース領域の外面に向かって延びるポリマーの加水分解度の増加勾配を有する。物品は、任意の好適なサイズおよび形状を有してもよく、使用後に使い捨ておよび水中に溶解可能であり得る。
【0376】
以下の段落は、本開示のさらなる態様を記載する。
1. 繊維を処理する方法であって、
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む繊維を、加水分解剤溶液と混合して混合物を形成して、前記繊維の少なくとも一部の前記加水分解度を増加させるステップ
を含む、方法。
2. 前記繊維および前記加水分解剤溶液の前記混合物を加熱するステップをさらに含む、項1に記載の方法。
3. 前記加水分解剤溶液が、前記繊維の前記一部に所定の加水分解度または所定の加水分解度増加の少なくとも1つを提供するのに十分な条件下で混合される、項1または2に記載の方法。
4. 前記繊維が、約1分~約48時間の範囲の時間、前記加水分解剤溶液と混合される、項1~3のいずれかに記載の方法。
5. 前記繊維が、約10℃~約100℃の範囲の温度で、前記加水分解剤溶液と混合される、項1~4のいずれかに記載の方法。
6. 前記ポリマーが、前記繊維を前記加水分解剤溶液と混合する前に、約79%超かつ約96%未満の加水分解度を有する、項1~5のいずれかに記載の方法。
7. 前記繊維が、前記繊維を前記加水分解剤溶液と混合した後に水溶性である、項1~6のいずれかに記載の方法。
8. 前記加水分解剤溶液が、加水分解剤および溶媒を含む、項1~7のいずれかに記載の方法。
9. 前記加水分解剤が、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ジハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、水またはその組合せを含む、項8に記載の方法。
10. 前記加水分解剤が、金属水酸化物を含む、項8に記載の方法。
11. 前記金属水酸化物が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、主族金属水酸化物またはその組合せを含む、項10に記載の方法。
12. 前記加水分解剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化トリアルキルスズまたはその組合せを含む、項8に記載の方法。
13. 前記加水分解剤が、前記溶媒の重量に基づいて、約0.2%~約75%(w/w)の量で提供される、項8~12のいずれかに記載の方法。
14. 前記繊維が、前記溶媒に不溶である、項8~13のいずれかに記載の方法。
15. 前記溶媒が、極性溶媒を含む、項8~14のいずれかに記載の方法。
16. 前記溶媒が、n-プロパノール、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水またはその組合せからなる群から選択される1つまたは複数の溶媒を含む、項8~15のいずれかに記載の方法。
17. 前記溶媒が、非極性溶媒を含む、項8に記載の方法。
18. 前記溶媒が、混合条件下で液体であるアルコールを含む、項8に記載の方法。
19. 前記溶媒が、第1の溶媒および第2の溶媒の混合物を含む、項8に記載の方法。
20. 前記第1の溶媒が、極性溶媒を含み、前記第2の溶媒が、非極性溶媒を含む、項19に記載の方法。
21. 前記第1の溶媒が、第1の誘電率を有し、前記第2の溶媒が、第2の誘電率を有し、前記第1の誘電率が、前記第2の誘電率よりも高い、項19に記載の方法。
22. 前記第1の誘電率および前記第2の誘電率の差が少なくとも3である。項21に記載の方法。
23. 活性化剤を、前記繊維および前記加水分解剤溶液と混合するステップをさらに含む、項1~22のいずれかに記載の方法。
24. 酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む、項1~23のいずれかに記載の方法。
25. 前記ポリビニルアルコールコポリマーが、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである、項24に記載の方法。
26. 前記ポリビニルアルコールコポリマーが、アニオン変性コポリマーを含む、項24に記載の方法。
27. 前記アニオン変性コポリマーが、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む、項26に記載の方法。
28. 前記繊維が、追加のポリマーをさらに含む、項1~27のいずれかに記載の方法。
29. 前記追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せからなる群から選択される、項28に記載の方法。
30. 前記繊維を前記加水分解剤溶液と混合するステップが、コアおよびシースを含む構造を有する横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で実施され、前記コアが、第1の加水分解度を有する前記ポリマーを含み、前記シースが、前記第1の加水分解度よりも高い第2の加水分解度を有する前記ポリマーを含む、項1~29のいずれかに記載の方法。
31. 前記繊維を加水分解剤溶液と混合するステップが、前記繊維の内部領域から前記繊維の表面領域への加水分解度の増加勾配を有する横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で実施される、項1~30のいずれかに記載の方法。
32. 前記繊維を前記加水分解剤溶液と混合するステップが、横断面を有する繊維であって、前記横断面にわたって前記ポリマーが同じ加水分解度を有する、繊維を提供するのに十分な条件下で実施される、項1~31のいずれかに記載の方法。
33. 前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約1分間~約24時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、項1に記載の方法。
34. 前記繊維が、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約12時間~約24時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、項1に記載の方法。
35. 前記繊維が、カルボキシレートまたはスルホネート変性を有し、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するアニオン変性コポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約12時間~約24時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、項1に記載の方法。
36. 前記繊維が、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約1時間~約12時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、項1に記載の方法。
37. 前記繊維が、カルボキシレートまたはスルホネート変性を有し、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するアニオン変性コポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、約1時間~約12時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、項1に記載の方法。
38. 前記繊維が、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、最大約1時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、項1に記載の方法。
39. 前記繊維が、カルボキシレートまたはスルホネート変性を有し、約88%、約92%または約96%の加水分解度を有するアニオン変性コポリマーを含み、前記加水分解剤溶液が、水酸化ナトリウムおよびメタノールを含み、前記混合するステップが、前記繊維を前記加水分解剤溶液に浸漬することを含み、前記加水分解剤溶液中の前記繊維の前記混合物が、最大約1時間で約30℃~約60℃の温度に加熱される、項1に記載の方法。
40. 繊維を処理する方法であって、
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む繊維の表面を、加水分解剤溶液と接触させて、前記繊維の少なくとも前記表面を含む前記繊維の領域において前記ポリマーの前記加水分解度を増加させるステップ
を含む、方法。
41. 繊維の表面を加水分解剤溶液と接触させるステップが、浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリントまたはその組合せを含む、項40に記載の方法。
42. 前記繊維の前記表面を前記加水分解剤溶液と接触させるステップが、連続インラインプロセスの一部として、前記繊維の形成後に実施される、項40または41に記載の方法
43. 前記繊維が、前記繊維の前記表面を前記加水分解剤溶液と接触させるステップの間、動いている、項40~42のいずれかに記載の方法。
44. 前記繊維の前記表面を前記加水分解剤溶液と接触させるステップが、バッチプロセスによってバッチで実施される、項40~43のいずれかに記載の方法。
45. 前記繊維が、ステープル繊維、ステープルヤーン、繊維フィル、ニードルパンチ布、結合繊維またはその組合せのうちの少なくとも1つを含む、項40~44のいずれかに記載の方法。
46. 前記繊維の前記表面を前記加水分解剤溶液と接触させた後に、前記繊維を洗浄および乾燥するステップをさらに含む、項40~45のいずれかに記載の方法。
47. 前記繊維を洗浄するステップが、前記繊維を非溶媒ですすぐことを含む、項46に記載の方法。
48. 前記繊維を乾燥するステップが、エアジェット乾燥、撹拌、ボルテックス、遠心分離またはその組合せを含む、項40~47のいずれかに記載の方法。
49. 酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む、項40~48のいずれかに記載の方法。
50. 前記ポリビニルアルコールコポリマーが、アニオン変性コポリマーを含む、項49に記載の方法。
51. 前記アニオン変性コポリマーが、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む、項50に記載の方法。
52. 前記繊維が、追加のポリマーをさらに含む、項40~51のいずれかに記載の方法。
53. 前記追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せからなる群から選択される、項52に記載の方法。
54. 前記加水分解剤溶液が、加水分解剤および溶媒を含む、項40~53のいずれかに記載の方法。
55. 前記加水分解剤が、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト化合物、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、水またはその組合せを含む、項54に記載の方法。
56. 前記加水分解剤が、金属水酸化物を含む、項54に記載の方法。
57. 前記金属水酸化物が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、主族金属水酸化物またはその組合せを含む、項56に記載の方法。
58. 前記金属水酸化物加水分解剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化トリアルキルスズまたはその組合せを含む、項56に記載の方法。
59. 前記加水分解剤が、前記溶媒の重量に基づいて、約0.2%~約75%(w/w)の量で提供される、項54に記載の方法。
60. 前記繊維が、前記溶媒に不溶である、項54に記載の方法。
61. 前記加水分解剤溶液が、活性化剤をさらに含む、項54に記載の方法。
62. 酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む複数の繊維を含む不織布ウェブを処理する方法であって、
前記不織布ウェブの少なくとも一部を加水分解剤溶液と接触させて、前記複数の繊維中の前記ポリマーの前記加水分解度を増加させるステップ
を含む、方法。
63. 前記不織布ウェブの少なくとも一部を加水分解剤溶液と接触させるステップが、浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリントまたはその組合せを含む、項62に記載の方法。
64. 前記不織布ウェブの少なくとも一部を加水分解剤溶液と接触させるステップが、前記複数の繊維を結合させて前記不織布ウェブにするのと同時に行われる、項62または63に記載の方法。
65. 接触および結合が、化学結合を含む、項64に記載の方法。
66. 接触および結合が、熱活性化触媒を使用することを含む、項64に記載の方法。
67. 酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む、項62~66のいずれかに記載の方法。
68. 前記ポリビニルアルコールコポリマーが、アニオン変性コポリマーを含む、項67に記載の方法。
69. 前記アニオン変性コポリマーが、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む、項68に記載の方法。
70. 前記繊維が、追加のポリマーをさらに含む、項62~69のいずれかに記載の方法。
71. 前記追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラゲナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せからなる群から選択される、項70に記載の方法。
72. 前記加水分解剤溶液が、加水分解剤および溶媒を含む、項62~71のいずれかに記載の方法。
73. 前記加水分解剤が、金属水酸化物、金属水素化物、サルファイト化合物、二酸化硫黄、ジチオネート、チオサルフェート、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、ジチオトレイトール、ホスファイト、ハイポホスファイト、リンの酸、硫酸、スルホン酸、塩酸、水酸化アンモニウム、水またはその組合せを含む、項72に記載の方法。
74. 前記加水分解剤が、金属水酸化物を含む、項72に記載の方法。
75. 前記金属水酸化物が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、主族金属水酸化物またはその組合せを含む、項74に記載の方法。
76. 前記加水分解剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化トリアルキルスズまたはその組合せを含む、項75に記載の方法。
77. 前記加水分解剤が、前記溶媒の重量に基づいて、約0.2%~約75%(w/w)の量で提供される、項72~76のいずれかに記載の方法。
78. 前記繊維が、前記溶媒に不溶である、項72~77のいずれかに記載の方法。
79. 前記加水分解剤溶液が、活性化剤をさらに含む、項72~78のいずれかに記載の方法。
80. コア-シェル構造を有する粒子を作製する方法であって、
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含み、100%未満の加水分解度を有するポリマーを含む粒子を、加水分解剤溶液と混合して混合物を形成して、前記粒子の表面領域における前記加水分解度を増加させるステップ
を含む、方法。
81. 前記粒子および前記加水分解剤溶液の前記混合物を加熱するステップをさらに含む、項80に記載の方法。
82. 前記加水分解剤溶液が、所定の加水分解度または前記粒子の中心から前記粒子の外面に向けて増加する前記加水分解度の所定の増加勾配の少なくとも1つを提供するのに十分な条件下で混合される、項80または81に記載の方法。
83. 前記粒子が、約10℃~約100℃の範囲の温度で、約1分間~約48時間の範囲の時間、前記加水分解剤溶液と混合される、項80~82のいずれかに記載の方法。
84. 前記ポリマーが、前記粒子を前記加水分解剤溶液と混合する前に、約79%超かつ約96%未満の加水分解度を有する、項80~83のいずれかに記載の方法。
85. 前記粒子が、コア領域およびシェル領域を含むコア構造を有し、前記シェル領域の前記ポリマーが、前記粒子を前記加水分解剤溶液と混合した後に約88%~約96%の範囲の加水分解度を有する、項80~84のいずれかに記載の方法。
86. 前記粒子が、前記粒子を前記加水分解剤溶液と混合した後に水溶性である、項80~85のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0377】
使用した繊維
表2に示される通り、それぞれ88%、96%、98%および99.99%の加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む4つの繊維、繊維A、繊維B、繊維Cおよび繊維Dを、出発材料として使用した。これらの繊維は、均一組成を有し、表2に示される追加特性を有する。本明細書に記載の実施例および比較例において、使用している繊維は、2.2dtexの繊度を有する。
【0378】
【0379】
88%の加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む繊維Aの試料を、単独繊維形成材料として、以下の通り加工後加水分解した。実施例において、ビニルアルコール部分を含むポリマーは、「ポリビニルアルコールポリマー」と呼ばれ、そのようなポリマーを含む繊維は、「ポリビニルアルコール繊維」と呼ばれる。5グラム(g)のポリビニルアルコール繊維を、メタノール中の水酸化ナトリウムの10%溶液に浸漬した。繊維は、メタノールに溶解しなかった。得られた混合物を、24時間で60℃に加熱した。24時間後、混合物を冷却し、繊維をメタノールから分離した。得られた加水分解繊維を乾燥して、残留メタノールを除去した後、本明細書に開示の滴定法を使用して、加水分解度を測定した。加水分解繊維の加水分解度は、滴定法を使用して、99.9%であることが見出された。
【0380】
したがって、実施例1は、本開示の方法を使用して、加工後加水分解ポリビニルアルコール繊維を調製することを示す。
(実施例2)
【0381】
88%、92%または96%の加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを、単独繊維形成材料として、または他の繊維形成材料と組み合わせて含む繊維を、以下の通り加工後加水分解する。5gのポリビニルアルコール繊維を、約20またはそれよりも高い誘電率を有する溶媒またはその混合物(すなわち、10重量%メタノールおよび90重量%ヘキサン)中の水酸化ナトリウムの25%溶液に浸漬する。繊維は、溶媒に溶解しない。得られた混合物を、12時間で60℃に加熱する。12時間後、混合物を冷却し、繊維を溶媒から分離する。得られた加水分解繊維を乾燥して、残留溶媒を除去した後、本明細書に開示の滴定法を使用して、加水分解度を測定する。加水分解繊維の加水分解度は、滴定法を使用して、99.9%であることが見出される。
【0382】
したがって、実施例2は、本開示の方法を使用して、加工後加水分解ポリビニルアルコール繊維を調製することを示す。
(実施例3)
【0383】
88%、92%または96%の加水分解度を有する酢酸ビニルのコポリマーを、単独繊維形成材料として、または他の繊維形成材料と組み合わせて含む繊維を、以下の通り加工後加水分解する。5gのポリビニルアルコール繊維を、メタノール中の水酸化ナトリウムの10%溶液に浸漬する。繊維は、溶媒に溶解しない。得られた混合物を、1~6時間で60℃に加熱する。1~6時間後、混合物を冷却し、繊維を溶媒から分離する。得られた加水分解繊維を乾燥して、残留溶媒を除去した後、本明細書に開示の通りの溶液滴定法およびATR-FTIR法を使用して、加水分解度を測定する。加水分解繊維は、内側領域から表面領域へのポリマーの加水分解度の増加勾配を有する横断面を有することが見出される。
【0384】
したがって、実施例3は、本開示の方法を使用して、勾配構造によって特徴付けられる横断面を有する、本開示の加工後加水分解ポリビニルアルコール繊維を調製することを示す。
(実施例4)
【0385】
88%、92%または96%の加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを、単独繊維形成材料として、または他の繊維形成材料と組み合わせて含む繊維を、以下の通り加工後加水分解する。5gのポリビニルアルコール繊維を、DMSO/水の60/40(w/w)混合物中の水酸化ナトリウムの10%溶液に浸漬する。繊維は、溶媒に溶解しない。得られた混合物を、最大1時間で60℃に加熱する。次いで、混合物を冷却し、繊維を溶媒から分離する。得られた加水分解繊維を乾燥して、残留溶媒を除去した後、本明細書に開示の通りの溶液滴定法およびATR-FTIR法を使用して、加水分解度を測定する。加水分解繊維は、繊維の表面のポリマーのみがコアのポリマーよりも高い加水分解度を有する、コア-シース構造を有する横断面を有することが見出される。
【0386】
したがって、実施例4は、本開示の方法を使用して、コア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有する、本開示の加工後加水分解ポリビニルアルコール繊維を調製することを示す。
(実施例5)
【0387】
88%、92%または96%の加水分解度を有するポリビニルアルコールを、単独繊維形成材料として、または他の繊維形成材料と組み合わせて含む繊維を、以下の通り加工後加水分解する。5gのポリビニルアルコール繊維を、メタノール中の水酸化ナトリウムの10%溶液に浸漬する。繊維は、溶媒に溶解しない。得られた混合物を、1~6時間で60℃に加熱する。1~6時間後、混合物を冷却し、繊維を溶媒から分離する。得られた加水分解繊維を乾燥して、残留溶媒を除去した後、本明細書に開示の通りの溶液滴定法およびATR-FTIR法を使用して、加水分解度を測定する。加水分解繊維は、内部領域から表面領域への加水分解度の増加勾配を有する横断面を有することが見出される。
【0388】
したがって、実施例5は、本開示の方法を使用して、内部領域から表面領域に向かって増加する加水分解度勾配によって特徴付けられる横断面を有する、本開示の加工後加水分解ポリビニルアルコール繊維を調製することを示す。
(実施例6~46)
【0389】
実施例6~46は、二次鹸化反応を介して様々な溶解度の「コアおよびシース」構造を作出することによる、冷水溶性繊維の溶解度プロファイルの制御をさらに例示する。1,700の重合度および88%の加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む繊維Aを、出発材料として使用した。繊維または繊維Aを含む不織布ウェブを、それぞれ、増加範囲の温度(20、30、40、50または60℃)で、増加範囲の時間(1、2、5または10分間)、塩基濃度(0.05M)を維持しながらバッチプロセスで処理した。どれくらい多くの繊維が変性されるべきかに応じて、試料を完全に鹸化するのに必要な塩基の量を計算して、反応にどの程度塩基を添加するかを決定した。スキーム(1)の反応を参照すると、例えば、3gの繊維(繊維A)完全に加水分解するのに必要なNaOHの計算量は、0.299gである。
【0390】
試料は、以下の手順を使用して作製した:塩基(NaOHまたはKOH)ペレットを、乳棒と乳鉢ですりつぶし、次いで、60℃で5時間、真空オーブンに入れた。そのような塩基を、使用前に12時間、乾燥器でさらに乾燥し、次いで、各使用後に乾燥器に戻した。計算量の乾燥NaOHまたはKOHおよび対応する量の溶媒を、得られる反応溶液のモル濃度が0.05Mとなるように、好適なサイズのErlenmeyerフラスコに添加した。撹拌棒を反応フラスコ中に入れて、塩基が確実に溶媒に完全に溶解するようにした。必要な場合、溶解を促進するために加熱を使用することがあった。タイマーおよび長い鉗子を使用した。真空フラスコおよびポンプを備えたブフナー漏斗洗浄ステーションを設定した。所定量の繊維を反応フラスコに入れ、タイマーを起動した。繊維を、指定の時間間隔(例えば、それぞれ1、2、5、10分)で反応溶液から引き出し、真空ろ過条件下でブフナー漏斗中、メタノールですすいだ。得られた変性繊維を完全に乾燥した。変性繊維を、ラベルを付けた大きな計量ボートに入れ、ドラフト中で終夜乾燥させた。変性繊維が乾燥した後、変性繊維試料を、ATR-FTIRを使用して分析した。この手順は、2インチ×1インチ不織布ウェブ(各時間間隔について3つ)をワニ口クランプを介して溶液中に吊り下げたことを除き、繊維A不織布ウェブを処理するための湿式バッチプロセスについて同じであった。
【0391】
各得られた試料の加水分解度を、ポリマー鎖に存在するヒドロキシル基の量を定量する滴定技術、および/または試料中のアセテート基(1715cm-1ピーク)の損失を定量するART-FTIRによって決定した。示差走査熱量測定(DSC)を使用して、変性試料のガラス転移温度(Tg)値および転移を試験した。
【0392】
別に明らかに記載されない限り、ATR-FTIRを使用して得られた繊維または不織布ウェブの加水分解度は、試料表面またはシース領域に関するものである。そのような試料の内部またはコア領域における加水分解度は、未処理の試料の加水分解度と同じであり得る。
(実施例6)
【0393】
繊維(繊維A)を、メタノール中の0.05M NaOHで、50℃で10分間処理した。得られた変性繊維の表面を、ATR-FTIR下で分析した。少なくとも3つの繊維または同じ繊維の3つの領域を試験した。ATR-FTIR曲線は、顕著な差はなく、互いに重なった。これらの結果は、同じ条件下で繊維の同一の加水分解度および均一な変性を示す。
(実施例7~10)
【0394】
繊維Aの4つの試料を、それぞれ、溶媒(メタノールまたは10%メタノール/90%ヘキサン)中、0.05Mの塩基(NaOHまたはKOH)で、40℃で1分間処理した。これら4つの試料、実施例7~10について、塩基および溶媒の組合せは以下の通りである:それぞれ、KOHおよびメタノール(MeOH)、NaOHおよびMeOH、KOHおよびMeOH/ヘキサン、ならびにNaOHおよびMeOH/ヘキサン。比較例1は、繊維Aである。
【0395】
実施例7~10および比較例1のATR-FTIR曲線を示す
図9を参照すると、10%メタノールおよび90%ヘキサンを有する溶媒は、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む繊維の二次鹸化を触媒することが見出された。
【0396】
繊維Aの試料をまた、メタノール中の0.05M NaOHで、異なる温度で異なる時間間隔、例えば、50℃で、それぞれ1分間、2分間、5分間および10分間処理した。加水分解度の変化率から導出したモデルに基づいて、二次鹸化は、温度駆動の二次反応であることが見出された。
(実施例11~22)
【0397】
表3は、処理された繊維である実施例11~22の反応条件および結果を示す。繊維は、NaOHで処理した。結果は、それぞれ88%および96%の加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む繊維AおよびBであり、繊維全体にわたって均一な組成および構造を有する比較例1および2と比較した、加水分解度、繊維収縮率およびガラス転移温度(Tg)を含む。実施例11~22は、繊維Aの試料からの処理された繊維であった。実施例11~22の加水分解度値は、繊維の表面またはシース領域でATR-FTIRを使用して得た。そのような試料の内部またはコア領域における加水分解度は、未処理の繊維の加水分解度と同じであり得る。
【0398】
【0399】
図10は、10℃または23℃の温度の水と接触している間の異なる加水分解度を有する異なる繊維の繊維収縮率を示す。実施例11~22などの変性繊維は、水で膨張し、直ちに可溶化しない能力において、繊維AおよびBなどの比較例よりも優れている。96.8%の加水分解度を有する変性繊維(実施例18)は、より低い加水分解度を有するそのコアが水で膨張しても、インタクトなままである、そのシースにおけるそのより高い加水分解度に起因して、収縮について最高の親和性を示す。得られた繊維は、例えば、10℃~23℃の範囲の異なる水温においてそれらの性能を維持する。
【0400】
表3に示される通り、処理された繊維のガラス転移(Tg)温度は、加水分解度の増加に伴って増加する。DSC曲線において、変性繊維は広範囲のガラス転移を示し、これは、より低いおよびより高い加水分解度を有する種などの複数の種が、そのような繊維試料中に存在することを示唆する。そのようなガラス転移は、溶解度を犠牲にすることなく、製造および結合能を強化する。
【0401】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して、処理の前および後の繊維試料中のポリマーの分子量および多分散度を試験した。表4は、実施例15~18および比較例1~2のポリマーの分子量および多分散度の結果を示す。屈折率増分(dn/dc)は、0.146mL/gであった。統計分析は、異なる条件下での処理の前および後で繊維試料のポリマーの分子量および重合度に有意差はないことを示す。鹸化または加水分解反応のみが起こり、望ましくない変換、例えば、エステル化、分解および/または架橋は、本明細書に記載の反応条件を使用することによって、抑制および制御される。
【0402】
【0403】
表5は、処理された不織布ウェブである実施例23~34の反応条件および結果を示す。不織布ウェブは、KOHで処理した。本開示において、繊維、不織布ウェブまたはブロックなどの試料の、KOHまたはNaOHによる処理は、有意差を生じないことが見出された。結果は、比較例3~8の結果と比較した、加水分解度、柔らかさ、ならびに23℃、40℃および60℃における破壊時間および崩壊時間などの溶解度試験結果を含む。比較例3、5、6および7は、それぞれ88%、96%、98%、99.99%の均一な加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む繊維(それぞれ、繊維A、繊維B、繊維Cおよび繊維D)を有する不織布ウェブである。比較例4は、熱メタノールに曝露した(50℃で10分間)繊維Aを有する不織布ウェブである。実施例23~34は、繊維(繊維A)を含む処理不織布ウェブであった。実施例23~34の加水分解度値は、繊維の表面またはシース領域でATR-FTIRを使用して得た。そのような試料の内部またはコア領域における加水分解度は、未処理の繊維の加水分解度と同じであり得る。
【0404】
【0405】
図11は、加熱メタノールに曝露(例えば、50℃で10分間)する前および曝露した後の例示的な繊維(繊維A)を有する不織布ウェブの破壊時間(秒)および崩壊時間(秒)を例示する。
図12~13は、異なる加水分解度を有する繊維を含む不織布ウェブの破壊時間および崩壊時間を示す。未処理の不織布ウェブと比較して、同様またはより高い加水分解度測定値を有する処理または変性された不織布ウェブは、改善された溶解度を示す。より高い加水分解度を有する比較例は、ゲル化を示すことがあり、水に溶解しないことがある。しかしながら、高い加水分解度を有する変性繊維および不織布構造体は、水に溶解可能である。変性繊維および不織布構造体は、比較例5(繊維B不織布ウェブ)とは反対に、ゲル化の前に破壊し分かれる。
【0406】
表5において、柔らかさデータは、1(粗い)~5(柔らかい)に等級付けられる。試験した3つの試料は、処理をしていない比較例よりもはるかに高い柔らかさを示す。
(実施例35~46)
【0407】
表6は、処理されたブロック試料である実施例35~46の反応条件および結果を示す。ブロック試料は、88%の加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーで作製した。これらの試料を、KOHで処理した。各ブロック試料は、1.5センチメートル(cm)×1.5cm×0.5cmのサイズを有した。処理および乾燥後、0.1mm~0.5mmの範囲の厚さを有する試料をブロック試料から切り出し、次いで、ATR-FTIRを使用して試験する。結果は、内部(「内側」)領域および表面(「外側」)領域における加水分解度値を含む。
図14は、それぞれのATR-FTIR曲線を示す。二次鹸化は、トウ繊維の表面に限られ、したがって、試料の外側領域においてより高い加水分解度および内側領域においてより低い加水分解度を作出する。
【0408】
【0409】
前述の記載は理解の明快さのためにのみ示され、当業者には本開示の範囲内の変更が明らかであり得るため、前述の記載から不必要な制限が理解されるべきではない。
【0410】
本明細書で引用されるすべての特許、刊行物および参考文献は、完全に参照により本明細書に組み込まれる。本開示と組み込まれる特許、刊行物および参考文献との間で矛盾がある場合、本開示が優先するべきである。
【国際調査報告】