(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】金めっき浴及び金めっき最終仕上げ
(51)【国際特許分類】
C23C 18/44 20060101AFI20230626BHJP
C23C 18/32 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
C23C18/44
C23C18/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572472
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 US2021028899
(87)【国際公開番号】W WO2021242458
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501407311
【氏名又は名称】マクダーミッド エンソン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】バーナーズ、ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】アベル-タティス、エメリー
【テーマコード(参考)】
4K022
【Fターム(参考)】
4K022AA02
4K022AA04
4K022AA11
4K022AA31
4K022AA42
4K022BA03
4K022BA14
4K022BA36
4K022CA06
4K022DA01
4K022DA03
4K022DB01
4K022DB04
4K022DB07
4K022DB08
(57)【要約】
溶液からの金を基材上に堆積させることができる自己触媒金浴であって、基材は、上に1つ以上の金属層を有する、自己触媒金浴。自己触媒金浴は、(a)キレート剤と、(b)金塩と、(c)還元剤であって、還元剤は有機分子を含み、有機分子は有機分子上に2つ以上の炭素原子を有する、還元剤と、を含む。基材上の1つ以上の金属層の表面上に金をめっきするプロセスもまた含まれる。金めっき浴を使用して、ENIGプロセス、ENEPIGプロセス、EPAGプロセス、ダイレクト・ゴールド・オーバー・コッパー・プロセス、又はゴールド・オーバー・シルバー・プロセスにおいて形成され得る1つ以上の金属層の表面に最終仕上げを堆積させることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液からの金を表面に堆積させることができる自己触媒金浴であって、前記自己触媒金浴は、
a.キレート剤と、
b.金塩と、
c.還元剤であって、還元は有機分子を含み、前記有機分子は前記有機分子上に2つ以上の炭素原子を有する、還元剤と、を含む、自己触媒金浴。
【請求項2】
前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸、ロッシェル塩、カルボン酸、及びそれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の自己触媒金浴。
【請求項3】
前記金塩は、シアン化金カリウム、亜硫酸金、ヨウ化金、塩化金、臭化金、及びこれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の自己触媒金浴。
【請求項4】
前記還元剤は、追加のアルコール、カルボン酸及び/又は窒素族を含む、請求項1に記載の自己触媒金浴。
【請求項5】
前記還元剤は、2つ以上の炭素原子を含有するアルデヒド亜硫酸水素塩化合物である、請求項1に記載の自己触媒金浴。
【請求項6】
前記還元剤は、2-メトキシベンズアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム付加化合物、アセトン亜硫酸水素ナトリウム付加化合物、コハク酸アルデヒド亜硫酸水素ナトリウム付加化合物、P-アニスアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム付加化合物、グルタルアルデヒド亜硫酸水素塩付加化合物、及びそれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の自己触媒金浴。
【請求項7】
前記自己触媒金浴は、約6~約9の範囲のpHに維持される、請求項1に記載の自己触媒金浴。
【請求項8】
前記自己触媒金浴は、約75~約95℃の範囲の温度で維持される、請求項1に記載の自己触媒金浴。
【請求項9】
自己触媒型金めっきによって基材上に金最終仕上げを提供する方法であって、前記方法は、
a)上に1つ以上の金属層を有する基材を提供する工程と、
b)前記1つ以上の金属層を有する前記基材を金めっき浴と接触させて、金金属を上に堆積させる工程であって、前記金めっき浴は、
b)前記基材の表面を、
i)キレート剤と、
ii)金塩と、
iii)還元剤であって、前記還元剤は有機分子を含み、前記有機分子は前記有機分子上に2つ以上の炭素原子を有する、還元剤と、を含む、自己触媒金めっき溶液と接触させることを含む、工程と、を含み、
前記金は、前記1つ以上の金属層上に堆積され、前記1つ以上の金属層のはんだ付け性が増大する、方法。
【請求項10】
前記1つ以上の金属層は、パラジウム及び/又はニッケルを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金は、半導体基材又はプリント回路基板の銅の特徴部の上の無電解ニッケルめっき層上にめっきされる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記無電解ニッケル層は、前記ニッケル層の金堆積物への拡散を防止するために、前記ニッケル層の上部にパラジウムめっき膜を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金めっき浴は、前記1つ以上の金属層の前記表面に最終仕上げを堆積させ、前記1つ以上の金属層は、ENIGプロセス、ENEPIGプロセス、EPAGプロセス、ダイレクト・ゴールド・オーバー・コッパー・プロセス、又はゴールド・オーバー・シルバー・プロセスにおいて形成される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
前記基材は回路基板であり、金は前記回路基板上の前記1つ以上の金属層に最終仕上げとして堆積され、堆積された前記金は前記1つ以上の金属層のはんだ付け性を増大させる、請求項9に記載のプロセス。
【請求項15】
前記還元剤は、追加のアルコール、カルボン酸及び/又は窒素族を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記還元剤は、2つ以上の炭素原子を含有するアルデヒド亜硫酸水素塩化合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記還元剤は、2-メトキシベンズアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム付加化合物、アセトン亜硫酸水素ナトリウム付加化合物、コハク酸アルデヒド亜硫酸水素ナトリウム付加化合物、P-アニスアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム付加化合物、グルタルアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム付加化合物、及びそれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
金属膜積層体を上に含む回路基板であって、前記金属膜積層体は、ENIGプロセス、ENEPIGプロセス、EPAGプロセス、ダイレクト・ゴールド・オーバー・コッパー・プロセス、又はゴールド・オーバー・シルバー・プロセスにおいて形成された1つ以上の金属層を含み、金めっき仕上げは請求項9に記載の方法によって前記金属膜積層体に堆積されている、回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には回路基板又はIC基材のはんだ付け性を増大させるための最終的な金表面処理に関する。
【背景技術】
【0002】
表面処理は、接続性を向上させるために使用される。表面処理の一例は、プリント回路基板の最終表面処理に最も好適である金めっきを伴う。金めっきは、金の電導性、耐薬品性、及び耐酸化性などの優れた物理的特性、並びに電子構成部品を取り付ける際のはんだ取り付け信頼性を有する。ニッケルめっきは、典型的には、無電解金めっきのベース金属として使用される。表面仕上げ/処理により、基板からデバイスへの接続の保護、又は形成を行う。無電解ニッケルめっきがプリント回路基板の銅配線上で行われた後に無電解金めっきが行われる方法は、以下:
a)無電解Ni/浸漬Au(Electroless Ni/Immersion Au、ENIG)、
b)無電解Ni/自己触媒Au(Electroless Ni/Autocatalytic Au、ENAG)、
c)無電解Ni/浸漬Au/自己触媒Au(Electroless Ni/Immersion Au/Autocatalytic Au、ENIGAG)、
d)無電解Ni/無電解Pd/浸漬Au(Electroless Ni/Electroless Pd/Immersion Au、ENEPIG)、
e)ダイレクトAuオーバーCu(Direct Au over Cu)、及び
f)AuオーバーAg(Au over Ag)を含むが、これらに限定されない。
【0003】
電子構成部品及び半導体部品の製造及び開発が進行し続けるに従って、めっき技術の向上もまた必要とされている。例えば、めっき技術を使用して、半導体パッケージを製造する際に低電気抵抗を有する銅などの金属を使用して基材上に回路パターンを形成し、その後、ニッケルめっき、パラジウムめっき、及び金めっきを行って、接合部分を形成することができる。
【0004】
無電解ニッケル/浸漬金めっきプロセスは、プリント回路基板又は電子部品の取り付けプロセスにおいて高い信頼性を必要とする用途の表面処理に使用される場合が多い。例えば、無電解ニッケル/浸漬金では、浸漬金層は、下地の無電解ニッケルめっきを酸化から保護する。
【0005】
更に、ニッケルめっき被膜は、はんだによって引き起こされる銅回路の浸食を防止するためのバリア膜として使用される場合が多い。その後、パラジウムめっき膜を、ニッケルめっき被膜の金めっき被膜への拡散を防止するためのバリア膜として使用することができる。金めっき被膜は、低電気抵抗及び良好なはんだ濡れ性を有するため、金被覆されためっき膜を最終仕上げに適用して、はんだ付け性及び/又はワイヤ接合性を含む優れた接合特性を有する接合部分を生成することができ、めっき被膜は、ニッケル及び/又はパラジウムなどの下地金属から製造されためっき被膜並びに金めっき膜を含む。
【0006】
更に、めっき被膜と下地金属との間の接着を確実にするために、パラジウムなどの下地金属を浸漬金めっきすることが知られている。しかしながら、浸漬金めっきは、下地金属が完全に置換されたときに反応を停止させるため、浸漬金めっきは、形成される金めっき層の厚さを制限する場合がある。一方、ワイヤボンディングによって接合された特定の部分には、厚い金めっき被膜の形成が必要となり得る。厚い金めっき被膜を形成するために、接着を確実にするように、下地金属を浸漬金めっき処理に供し、次いで、下地金属を還元型無電解金めっきに更に供する、2つの工程を必要とする金めっき処理が行われる。
【0007】
めっき処理操作自体はまた、パラジウムなどの下地金属を浸漬金めっき処理に供し、次いで、下地金属を還元型無電解金めっき処理に供することによって複雑になる場合がある。浸漬金めっき処理は、めっき被膜と下地金属との間の酸化還元電位の差を使用して金を堆積させる。浸漬金めっき処理は、下地金属の重度の腐食を部分的に形成する場合がある。無電解金めっき浴は、下地金属の腐食を抑制することができるが、無電解金めっき浴の安定性に関連する問題がある場合があり、めっきされた金のめっき不備及び好ましくない外観を生じさせる。
【0008】
浸漬金めっきでは、金がニッケルを溶解し、それによってニッケルを腐食させるように、下地ニッケル層とめっき浴との間のレドックス電位の差を使用して金を堆積させる。更に、金膜上でのニッケルの拡散が起こり、それによってワイヤボンディング性を低下させる。これを避けるために、無電解ニッケル/浸漬金めっき膜に対して還元金めっきを更に実施して、厚い金膜を作製し、それによって、ワイヤボンディング性を低下させることを抑制することができるが、これはコストの問題を伴う。
【0009】
無鉛はんだを使用する望ましさに一部起因して、Sn-Ag-Cuはんだの使用傾向があった。しかしながら、従来の錫-鉛共晶はんだと比較した場合、はんだ接合時により大きな熱負荷が必要であり、ボンディング特性が低下する付随的な問題を伴う。この問題を回避するために、無電解ニッケルめっき層と浸漬金めっき層との間にパラジウム膜を無電解パラジウムめっきによって挟む方法が開発されている。
【0010】
自己触媒及び無電解金めっき浴は不安定になる傾向があり、めっき溶液中の高価な金塩及び金金属の沈殿をもたらす。したがって、金めっき溶液を安定化するために使用される添加剤を注意深く選択することによって、この不安定性を回避することが所望されると考えられる。
【0011】
その主題が全体として参照により本明細書に組み込まれている、Kurosakaらに対する米国特許第8,124,174号は、水溶性金化合物、錯化剤、ホルムアルデヒド、及び/又はホルムアルデヒド亜硫酸水素塩付加物、及びアミン化合物を含む無電解金めっき浴を記載している。しかしながら、ホルムアルデヒド及び/又はホルムアルデヒド亜硫酸水素塩付加物の使用は、本質的に金めっき浴の不安定性を引き起こすことが見出されている。
【0012】
したがって、金めっき浴の不安定性を引き起こさない他の還元剤を発見することが所望されると考えられる。言い換えれば、安定性を改善させ、腐食を低減させ、堆積物のはんだ付け性を保つことができる金めっき浴を提供することが所望されていると考えられる。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、下地基材上に金めっき層又は膜を提供することができる無電解金めっき浴を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、下地ニッケル又はパラジウムめっき層上に金めっき層を提供することができる無電解金めっき浴を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、最終回路基板の高いはんだ付け性を示す金めっき層を提供することである。
【0016】
本発明の更に別の目的は、電気接触界面の良好な導電性を示す金めっき層を提供することである。
【0017】
本発明の更に別の目的は、良好な安定性を提供する金めっき浴を提供することである。
【0018】
本発明の更に別の目的は、金又は金塩を沈殿させない金めっき浴を提供することである。
【0019】
その目的のために、一実施形態では、本発明は、全般的には、
A)キレート剤と、
B)金塩と、
C)還元剤であって、還元剤はアルデヒド及び/又はアルデヒド亜硫酸水素塩付加化合物を含む、還元剤と、を含む、金めっき浴に関する。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、全般的には、
A)上に堆積された金属膜を有する基材を提供する工程と、
B)基材を金めっき浴と接触させて、上に金金属を堆積させる工程と、
C)十分な量の金をめっきして、金属化基材のはんだ付け性を増大させる工程と、を含む、基材を金属化させる方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の発明者らは、より高分子量の還元剤の使用並びに還元剤に結合した追加の炭素原子及び/又は酸素原子を含有することが、以前に記載されたホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド付加物よりも、浴内析出(plate out)、並びに金及び金塩の析出に対するより大きな安定性を示す金めっき浴を生成することができることを予想外に発見した。一実施形態では、本明細書に記載の金めっき浴は、最終的な回路基板のはんだ付け性を増大させることができる。したがって、本明細書に記載の金めっき浴を使用することにより、最終仕上げ被覆を下地金属層(無電解金又は無電解パラジウムなど)に適用して、はんだ付け性を維持することができる。
【0022】
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、単数及び複数の両方を指す。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「約」とは、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を意味し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、及び依然として更により好ましくは+/-0.1%以下の変動を、このような変動が本明細書に記載される本発明で実施するために適切である限り、含むことを意味する。更に、修飾語「約」が意味する値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0024】
本明細書で使用する場合、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図で示されるように、別の要素(複数可)又は特徴部(feature)(複数可)に対する1つの要素又は機構の関係を説明するための説明を容易にするために使用される。「前部(front)」及び「後部(back)」という用語は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」とは、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上のその他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0026】
本明細書で使用するとき、特定の要素又は化合物に関し、「実質的に含まない」又は「本質的に含まない」とは、上記で定義されていない場合、所与の元素又は化合物が、浴分析のための金属めっきの当業者に周知である通常の分析手段によって検出されないことを意味する。このような方法としては、典型的には、原子吸光分光法、滴定法、UV-Vis分析法、二次イオン質量分析法、及びその他の一般的に利用可能な分析方法が挙げられる。
【0027】
本発明は、全般的には、浸漬堆積及び/又は無電解堆積によって、溶液から表面上に金又は金合金を堆積させるための自己触媒金浴に関する。
【0028】
一実施形態では、本明細書に記載の金めっき浴は、
A)キレート剤と、
B)金塩と、
C)還元剤であって、還元剤は有機分子を含み、有機分子は有機分子上に2つ以上の炭素原子を有する、還元剤と、を含む。
【0029】
キレート剤は、典型的には、無電解又は自己触媒金めっき浴において錯化剤として用いられることが知られている化合物である。キレート剤又は錯化剤の例としては、リン酸、ホウ酸、ロッシェル塩、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3-プロパンジアミン四酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジヒドロキシルグリシン、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、ヒドロキシエチリデン二リン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンリン酸)、これらのアルカリ金属(例えば、ナトリウム又はカリウム)塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。これらの錯化剤は、単独で又は組み合わせて使用され得る。好ましい一実施形態では、キレート剤又は錯化剤は、エチレンジアミン四酢酸又はその塩である。別の好ましい実施形態では、錯化剤は、エチレンジアミン四酢酸、リンゴ酸、又はそのアルカリ土類金属若しくはアンモニウム塩のうちの1つ以上を含み、更により好ましくは、錯化剤は、エチレンジアミン四酢酸、ナトリウム塩、及びリンゴ酸ナトリウムの組み合わせを含み得る。
【0030】
キレート剤又は錯化剤は、約2.0~約100g/L、より好ましくは約5~約75g/L、最も好ましくは約10~約50g/Lの濃度で金めっき浴中で使用される。
【0031】
濃度がこの範囲を下回ると、金属が溶解するため、堆積速度は遅くなり得る。更に、この範囲を超える濃度は、めっき浴の機能に付加的な利益を提供しない。
【0032】
金塩は、好ましくは水溶性金塩である。好適な水溶性金塩としては、シアン化金カリウム、シアン化金ナトリウム、シアン化金アンモニウムなどのシアン化金、並びに金の硫化物、硫酸塩、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、硝酸塩、メタンスルホン酸塩、テトラアミン錯体、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、酸化物などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの水溶性金塩は、単独で、又は互いに組み合わせて使用することができることにも留意されたい。好ましい一実施形態では、金塩は、シアン化金カリウムである。
【0033】
水溶性金塩は、約0.5~約5.0g/L、より好ましくは約0.2~約3.0g/Lの濃度で、最も好ましくは約0.5~約1.5g/Lの濃度で組成物中で使用される。
【0034】
本発明の無電解金めっき浴のpHは、好ましくは約5~約10、より好ましくは約6~約9の範囲、最も好ましくは約8.0である。pHが列挙された範囲よりも小さい場合、堆積速度は遅くなり得るが、列挙された範囲を超えると、めっき浴が不安定になり得る。上記に基づいて、必要に応じて、pH調整剤を金めっき溶液に添加することができる。好適なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、硫酸、リン酸、ホウ酸、及び自己触媒又は無電解金めっき浴で使用可能な他の同様の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
無電解金めっき浴は、典型的には高温に維持され、例えば、約60~約100℃の範囲内、より好ましくは約70~約95℃の範囲の温度、最も好ましくは約80~約88℃の温度に維持される。
【0036】
本発明の金めっき浴で使用可能な還元剤は、アルデヒド、ジアルデヒド、又はケトン、より好ましくはアルデヒド、バイアルデヒド(bialdehyde)、又はケトンの亜硫酸水素塩付加化合物であることを特徴とする。
【0037】
好ましい一実施形態では、アルデヒドは、少なくとも2つの炭素原子を含有する。例えば、アルデヒドは、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、α-メチルバレルアルデヒド、β-メチルバレルアルデヒド、γ-メチルバレルアルデヒドなどの脂肪族飽和アルデヒド、グリオキサール、コハク酸ジアルデヒド、グルタルアルデヒドなどの脂肪族ジアルデヒド、クロトンアルデヒドなどの脂肪族不飽和アルデヒド、ベンズアルデヒド、o-ニトロベンズアルデヒド、m-ニトロベンズアルデヒド、p-ニトロベンズアルデヒド、o-トルアルデヒド(tolaldehyde)、m-トルアルデヒド、p-トルアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、又はグルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、マルトース、ラクトースなどのアルデヒド基(-CHO)を有する糖であってもよい。本発明の発明者らはまた、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドの亜硫酸水素塩付加化合物が安定した浴組成を提供しないことを見出したため、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド亜硫酸水素塩付加化合物は、本発明の浴で使用可能ではなく、本明細書に記載の組成物及びプロセスから具体的に除外される。すなわち、本発明の実施において使用可能なアルデヒドは、2つ以上の炭素原子を含有しなければならない。
【0038】
一実施形態では、アルデヒド、バイアルデヒド、又はケトンはまた、追加のアルコール、カルボン酸基、及び/又は窒素原子を含有し得る。好ましい実施形態では、本明細書に記載の還元剤は、少なくとも炭素原子を含有し、それに結合した追加のアルコール基、カルボン酸基、及び/又は窒素族(nitrogen group)を更に含有する単一又は複数のアルデヒド基である。
【0039】
本発明で使用可能ないくつかの好ましいアルデヒド亜硫酸水素塩付加化合物の例としては、p-アニスアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム塩、2-メトキシベンズアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム塩、及びインドール-3-アセトアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用可能な好ましいバイアルデヒド亜硫酸水素塩付加化合物の例としては、オキシアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム塩、コハク酸アルデヒド亜硫酸水素ナトリウム塩、及びグルタルアルデヒドナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施において使用可能なケトン亜硫酸水素塩付加化合物の一例は、アセトン亜硫酸水素ナトリウム塩である。他のアルデヒド、バイアルデヒド、及びケトンの亜硫酸水素塩付加化合物もまた、本発明の実施において使用可能であると考えられ、当業者に既知であると考えられる。
【0040】
上記の付加化合物はナトリウム塩を含むが、亜硫酸水素塩付加化合物のカリウム塩及びアンモニウム塩もまた本発明の実施において使用可能であると考えられ、当業者に既知であると考えられる。
【0041】
還元剤の濃度は、典型的には約0.5~約25g/L、より好ましくは約1~約20g/L、最も好ましくは約3~約10g/Lの範囲内である。
【0042】
一実施形態では、金めっき浴はまたアミンを含む。好適なアミンの例としては、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、又はエイコデシルアミンなどのアミノ基を含有するアルキルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。更に、アミノ基を有する化合物は、分岐構造を有し得る。他の好適なアミンは、それぞれの主題が参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、例えば、Kurosakaらに対する米国特許第8,124,174号及びAsakawaらに対する米国特許第8,771,409号に記載されている。一実施形態では、アミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びそれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0043】
使用される場合、アミンは、約0.1~約100g/Lの濃度、より好ましくは約0.5~約10g/Lの濃度のめっき浴において使用される。
【0044】
一実施形態では、還元剤とアミン化合物との間のモル比は、好ましくは約1:30~約3:1、より好ましくは1:10~1:1の範囲である。
【0045】
所望に応じて、金めっき浴はまた、界面活性剤、結晶化調整剤、緩衝剤、平坦化剤、厚さ制御剤(thickness controlling agent)、消泡剤、及び他の同様の化合物を含むがこれらに限定されない他の好適な添加剤を含有し得る。
【0046】
好ましい一実施形態では、金めっき浴は、例えば、かき混ぜることによって軽度に撹拌される。加えて、浴は、周期的又は継続的に濾過され得る。
【0047】
金電気めっき浴は、所望の範囲内の成分の濃度を維持するように定期的に又は継続的に監視され得る。
【0048】
本明細書に記載されるように、一実施形態では、本明細書に記載の金めっき浴を使用して、ENIGプロセス、ENEPIGプロセス、EPAGプロセス、ダイレクト・ゴールド・オーバー・コッパー(direct gold over copper)・プロセス、又はゴールド・オーバー・シルバー(gold over silver)・プロセスなどにおいて、下地金属層に最終仕上げを生成する。
【0049】
したがって、本発明は、はんだ付け性を保つために、回路基板上の金属への最終仕上げとして、プリント回路基板業界で使用可能である。最終仕上げは、回路基板が部品、特に表面実装用の部品と、首尾よくはんだ付けされることを可能にする。
【0050】
一実施形態では、本発明は、無電解ニッケル浸漬金(electroless nickel immersion gold、ENIG)プロセス又は無電解ニッケル無電解白金浸漬金(electroless nickel electroless platinum immersion gold、ENEPIG)プロセスにおける最終仕上げとして使用される。
【0051】
本明細書に記載された発明は、従来技術の金めっき浴と比較して、安定性を改善し、浴内析出を低減させる浸漬及び/又は自己触媒金浴を提供する。
【0052】
別の実施形態では、本発明はまた、全般的には基材上に金最終仕上げを提供する方法であって、当該方法は、
A)上に金属層を有する基材を提供する工程と、
B)金属層を金めっき浴と接触させて、金金属を上に堆積させる工程であって、金めっき浴は、
i)キレート剤と、
ii)金塩と、
iii)還元剤であって、還元剤は、有機分子を含み、有機分子は、有機分子上に2つ以上の炭素原子を有する、還元剤と、を含む、工程と、を含む、方法に関する。
【0053】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載の金めっき浴は、様々な下地金属にわたる最終仕上げとして使用することができる。上記に基づいて、一実施形態では、基材は、金属層、好ましくは基材上に堆積されためっき膜を含む。一実施形態では、基材は、上に金属膜が堆積された回路基板又はIC基材を含む。堆積された金属膜は、限定ではなく、例としてEN、ENEP、ENIPであり得る。
【0054】
上に金属層を有する基材を、好ましくは、所望の厚さを達成するのに十分な期間、金めっき浴中に基材を浸漬することによって、金めっき浴と接触させる。一実施形態では、所望の厚さは、金属膜積層体のはんだ付け性を増大させるのに十分な厚さである。一実施形態では、所望の厚さは、約0.001~約40μm、より好ましくは約0.01~約10μm、最も好ましくは約0.05~約1μmの範囲である。めっき時間は、単に、所望の厚さを達成するのに必要な時間である。
【0055】
ENIGめっきプロセスでは、触媒型無電解ニッケルめっき膜は、既知の無電解ニッケルプロセスによって下地基材上に堆積される。
【0056】
無電解ニッケルめっき膜が触媒を介してめっきされる表面(例えば、銅基材の表面)上に堆積される場合、触媒として機能する金属は、ニッケル、コバルト、鉄、銀、金、ルテニウム、パラジウム、白金などを含み、そのうちパラジウムが好ましい。触媒の堆積量は、無電解ニッケル膜がめっきされる表面上に堆積される程度まで活性化するのに十分なものであり得る。
【0057】
一実施形態では、無電解ニッケルめっき浴は、水溶性ニッケル塩、還元剤、及び錯化剤を含む。好適な水溶性ニッケル塩としては、硫酸ニッケル及び塩化ニッケルが挙げられる。好適な還元剤としては、次亜リン酸塩又は次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ヒドラジン、又は類似の化合物が挙げられる。錯化剤としては、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、又はクエン酸などのカルボン酸、これらのナトリウム塩、及びグリシン、アラニン、イミノ二酢酸、アルギニン、又はグルタミン酸などのアミノ酸が挙げられる。他の実施形態では、無電解ニッケル浴はまた、硫黄化合物を含有する。
【0058】
形成された無電解ニッケルめっき膜は、好ましくは0.1~20μm、より好ましくは1~15μmの厚さを有するべきである。厚さが0.1μmより小さい場合、ワイヤボンディング性が低下する懸念がある。20μmを超えると、めっき時間が長くなり、生産性が悪化する可能性があり、したがってコスト面で不利である。
【0059】
ENEPIGめっきプロセスでは、触媒無電解ニッケルめっき膜は、上に無電解パラジウムめっき膜が堆積されている。
【0060】
無電解パラジウムめっき膜は、浸漬型浴、還元型浴(ギ酸浴、次亜リン酸浴、又は亜リン酸浴)又は他の同様のタイプの浴を含む、様々な浴から堆積させることができる。一実施形態では、例えば、パラジウム化合物、錯化剤としての使用のためのアンモニア及びアミン化合物から選択される少なくとも1つの化合物、還元剤としての使用のための次亜リン酸及び次亜リン酸塩から選択される少なくとも1つの次亜リン酸化合物、並びに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸塩、及び不飽和カルボン酸誘導体から選択される少なくとも1つの不飽和カルボン酸化合物を含むことを特徴とする無電解パラジウムめっき浴におけるめっき膜を形成することが好ましい。
【0061】
パラジウム化合物は、水に可溶性である任意の化合物であってよいが、例えば、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩酸塩(tetraamine palladium chloride)などが挙げられ得る。パラジウム浴はまた、還元剤として次亜リン酸及び次亜リン酸塩から選択される少なくとも1つの成分を含有し得る。更に、アンモニア及びアミン化合物のうちの少なくとも1つは、錯化剤として組成物中に含有され得る。無電解パラジウムめっき浴はまた、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸塩、及び不飽和カルボン酸誘導体から選択される少なくとも1つの不飽和カルボン酸化合物を含み得る。
【0062】
無電解パラジウムめっき浴は、好ましくは4~10、より好ましくは6~8のpHを有する。無電解パラジウムめっき膜の厚さは、好ましくは0.001~1.0μm、より好ましくは0.01~0.3μmの範囲である。溶液のpHは、好適なpH調整剤を添加することによって調整され得る。
【0063】
従来の浸漬金めっき浴とは異なり、本発明の無電解金めっき浴は、置換反応及び還元反応の両方が同じめっき浴中で進行する置換-還元型の無電解金めっき浴である。一般式(1)又は(2)で表され、特定のタイプの構造を有するアルデヒド及び/又はアルデヒド亜硫酸水素塩付加物並びにアミン化合物が金めっき浴に含まれているため、本発明の無電解金めっき浴は、金を置換反応によって下地金属上に堆積させるだけでなく、触媒として最初に堆積した金を介して還元剤によって更に金を堆積させることを可能にする。
【0064】
本発明の無電解金めっき浴は、パラジウム表面を活性化させ、パラジウムを触媒として使用しながら、還元剤によって、金を堆積させることを可能にする。金めっき膜をパラジウム上で厚膜化できるように、堆積された金を触媒として使用して金を更に堆積させることができる。
【0065】
本発明の無電解金めっき浴をパラジウムめっき膜と接触させると、パラジウムめっき膜の表面は、無電解金めっき処理に供され得る。この場合、0.01~2μmの厚さの金めっき膜を、例えば5~60分の接触時間において形成することができる。金めっき膜は、例えば、0.002~0.03μm/分の堆積速度で形成することができる。
【0066】
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例を参照して説明する。
【0067】
実施例1:
25μmの銅層を含有する回路基板の試験部分を、無電解ニッケル浴(MacDermid,Inc.製のAffinity1.0)においてめっきして、Ni/Pを約5μmの厚さに堆積させた。
【0068】
試験部分をすすぎ、約0.1μmの堆積物の厚さが得られるまで80℃で動作させた以下の金めっき浴内に沈めた。
シアン化金カリウム1.2g/L
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩20g/L
グルタルアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム塩5g/L
リンゴ酸ナトリウム20g/L
残部D.I.水
【0069】
溶液のpHを、硫酸又は水酸化カリウムのいずれか一方でpH8に調整した。
【0070】
得られた金堆積物は光り、均一であった。Ni/P層の非常な腐食(hyper corrosion)に関して試験部分を検査すると、特徴部のいずれにおいても腐食は見られなかった。金浴は安定しており、溶液の浴内析出はなかった。延長された使用時に浴内に溶解されたニッケルの量は、表面上に堆積された金の少なくとも一部が、溶液からの自己触媒還元によって堆積され、堆積された金の一部分のみが、ニッケルとの浸漬置換由来であることを実証した。
【0071】
実施例2:
25μmの銅を含有する回路基板の試験部分を無電解ニッケル浴(MacDermid,Inc.製のAffinity1.0)においてめっきして、Ni/Pを約5μmの厚さに堆積させ、Ni/P上の第2の堆積物を、無電解パラジウム浴(MacDermid,Inc.製のAffinity Pd)から0.05μmの厚さまで堆積させた。試験部分をすすぎ、約0.1μmの堆積物の厚さが得られるまで以下の金めっき浴に沈めた。
シアン化金カリウム1.2g/L
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩20g/L
グルタルアルデヒド亜硫酸水素ナトリウム塩5g/L
リンゴ酸ナトリウム20g/L
残部D.I.水
【0072】
溶液のpHを、硫酸又は水酸化カリウムのいずれか一方でpH8に調整した。
【0073】
得られた金堆積物は光り、均一であった。Ni/P層の非常な腐食に関して試験部分を検査すると、特徴部のいずれにおいても腐食は見られなかった。金浴は安定しており、溶液の浴内析出はなかった。
【0074】
実施例3:
実施例1における配合に、10g/Lのヒドロキシルエチルエチレンジアミンを溶液に添加した。実施例1と同じ部分を、約0.1μmの堆積物になるまで、80℃で金において再びめっきした。得られた金の堆積物は光り、光沢があった。この場合も、Ni/P層の非常な腐食は見られなかった。金浴は安定しており、浴内析出はなかった。
【0075】
比較例1:
アルデヒド還元剤を含有しない金浴を使用して、同じ試験を実施した。浴は、金の自己触媒還元を有さない浸漬金浴(MacDermid,Inc.製のAffinity1.0)であった。実施例1と同じ部分を、約0.1μmの金の堆積が得られるまで80℃でめっきした。試験部分を検査すると、金浸漬反応がNi/P層を非常に腐食させているため、Ni/P層の非常な腐食が観察された。
【0076】
比較例2:
以下の配合を有する金浴を調製し、安定性について試験した。
シアン化金カリウム1.2g/L
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩20g/L
ホルムアルデヒド亜硫酸水素塩付加物5g/L
リンゴ酸ナトリウム20g/L
残部D.I.水
【0077】
溶液のpHを、硫酸又は水酸化カリウムのいずれか一方でpH8に調整した。
【0078】
浴を5日間、5時間/日、80℃で維持した。浴は安定せず、タンクの底部で金の浴内析出を示した。
【0079】
実施例に示されるように、本明細書に記載の還元剤を利用するめっき浴を使用して、従来技術のめっき浴と比較して、耐食性がより高く、はんだ付け性が高くなる金堆積物を生成することができる。本明細書に記載のめっき浴はまた、改善された安定性を示し、浴内析出していない。
【0080】
本明細書に記載の無電解金めっき方法は、例えば、プリント回路基板、セラミック基材、半導体基材、及びICパッケージの配線回路装着部分又は端子部分の金めっき処理のために使用することができる。
【0081】
最後に、以下の「特許請求の範囲」は、本明細書に記載される本発明の一般的な特徴及び具体的な特徴の全て、並びに言語の問題としてその間にあり得る本発明の範囲の全ての記述を網羅することを意図していることも理解されたい。
【国際調査報告】