IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2023-528007固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS)
<>
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図1
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図2
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図3
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図4
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図5
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図6
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図7
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図8
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図9
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図10
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図11
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図12
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図13
  • 特表-固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS) 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS)
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/32 20060101AFI20230626BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230626BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230626BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K47/32
A61K47/14
A61K47/10
A61K9/107
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572718
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2021064025
(87)【国際公開番号】W WO2021239798
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】20176977.5
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン-パスカル シュミート
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ベアンハート
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア エンゲル
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン メアス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エンドレス
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076DD08F
4C076DD09F
4C076DD39A
4C076DD46
4C076DD46F
4C076EE13
4C076EE23F
4C076FF15
(57)【要約】
本発明は、(i)メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマー;(ii)少なくとも1種の医薬的有効成分;(iii)少なくとも1種の脂質成分;および(iv)少なくとも1種の界面活性剤を含む、医薬組成物に関する。さらに、本発明は、薬剤として使用するための本発明の医薬組成物に関する。最後に、本発明は、固体の自己ナノ乳化薬物送達システムを製造する特定の方法およびそれによって得られた固体の自己ナノ乳化薬物送達システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマー;
(ii)少なくとも1種の医薬的有効成分;
(iii)少なくとも1種の脂質成分;
(iv)少なくとも1種の界面活性剤;
(v)任意で少なくとも1種の溶媒;
(vi)任意で(i)とは異なる、少なくとも1種の(メタ)アクリルコポリマー;および
(vii)任意で少なくとも1種の添加剤
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーが、
i)50,000~500,000g/molの平均分子量M;および/または
ii)65~100℃のガラス転移温度T
を有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーが、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーである、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーが、少なくとも1種の開始剤および少なくとも1種の連鎖移動剤の存在下で、
40~60重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、
15~35重量%のブチルメタクリレート;および
15~35重量%のメチルメタクリレート
のラジカル重合によって得られ、その際、モノマーの合計が100重量%である、請求項1から3までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の医薬的有効成分が、37℃で1mlの水中で0.1mg未満の溶解度を有し、かつ/またはセレコキシブ、エファビレンツおよびフェノフィブラートまたはそれらの混合物から選択される、請求項1から4までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の脂質成分が、C~C12脂肪酸トリグリセリド;C13~C21脂肪酸トリグリセリド;プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;グリセリルトリカプリレート/トリカプレート;グリセリルトリリシノレート;ラウリン酸トリグリセリド;グリセリルジベヘネート;リノール酸およびオレイン酸トリグリセリド;リノール酸、オレイン酸、およびパルミチン酸トリグリセリド;オレイン酸エチル;ミリスチン酸イソプロピル;モノリノール酸トリグリセリド/ジグリセリド/モノグリセリド;グリセリルトリカプリレート/トリカプレート/トリラウレート;オレイン酸;オレイン酸およびパルミチン酸トリグリセリド;パルミチン酸、オレイン酸、およびリノール酸トリグリセリド;オレイン酸、リノール酸、およびパルミチン酸トリグリセリド;リノール酸、オレイン酸、およびパルミチン酸トリグリセリド;リノール酸、オレイン酸、α-リノレン酸、およびパルミチン酸トリグリセリド;リノール酸、オレイン酸、およびステアリン酸トリグリセリド;グリセリルトリアセテート;グリセリルトリカプリレート;硬質脂肪またはそれらの任意の混合物から選択される、請求項1から5までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の界面活性剤が、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル;ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル;モノオレイン酸グリセリル;カプリレートおよびカプレートモノグリセリド/ジグリセリド;モノカプリル酸グリセリル;プロピレングリコールモノカプリレート;ポリオキシル-35水素化ヒマシ油;ポリオキシル-40水素化ヒマシ油;ラウロイルポリオキシル-32グリセリド;ステアロイルポリオキシル-32グリセリド;ポリオキシル-15ヒドロキシステアレート;ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのトリブロックコポリマー;オレイルポリオキシル-6グリセリド;リノレオイルポリオキシル-6グリセリド;ラウロイルポリオキシル-6グリセリド;カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド;プロピレングリコールモノラウレート;ポリオキシル-40ステアレート;ジアセチル化モノグリセリド;ポリグリセリル-3ジオレエート;ソルビタンモノラウレート;ソルビタンモノオレエート;ソルビタンセスキオレエート;ソルビタントリオレエート;グリセリルモノステアレート;d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート;およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートまたはそれらの任意の混合物から選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の溶媒が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール6000、プロパン-1,2,3-トリオール、(z)-オクタデカ-9-エニルアミン、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、2-ピロリドン、テトラエチレングリコールおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはそれらの任意の混合物から選択される、請求項1から7までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項9】
(i)とは異なる、前記少なくとも1種の(メタ)アクリルコポリマーが、前記モノマーの総重量を基準として40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルメタクリレートを重合させることによって得られたメタクリレートコポリマーである、請求項1から8までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の添加剤が、付着防止剤;バインダー;フレーバー;顔料;崩壊剤;滑剤;流動調整剤;酸化防止剤;甘味料;および帯電防止剤;またはそれらの混合物から選択される、請求項1から9までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
(i)が、組成物の総重量を基準として40~99重量%で存在し;かつ
(ii)~(vii)が、組成物の総重量を基準として1~60重量%で存在し、ここで、成分(ii)~(vii)の総重量を基準として、それぞれ、
(ii)が、0.1~50重量%で存在し;
(iii)が、5~60重量%で存在し;
(iv)が、1~60重量%で存在し;
(v)が、0~35重量%で存在し;
(vi)が、0~84重量%で存在し;
(vii)が、0~10重量%で存在する、請求項1から10までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項12】
固体の自己ナノ乳化薬物送達システムである、請求項1から11までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項13】
薬剤としての使用するための、請求項1から12までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項14】
固体の自己ナノ乳化薬物送達システムの製造方法であって、
請求項1から11までのいずれか1項記載の化合物(ii)~(iv)および任意で(v)を混合することにより、自己ナノ乳化薬物送達システムを供給し、その後、
得られた自己ナノ乳化薬物送達システムを、ホットメルト押出し、噴霧乾燥、吸着、エレクトロスピニング、エレクトロスプレー、振動によるプリル化、造粒または超臨界流体化によって請求項1から11までのいずれか1項記載の化合物(i)ならびに任意で化合物(vi)および(vii)に適用し、固体の自己ナノ乳化薬物送達システムを得る工程
を含むか、またはそれらからなる、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法によって得られた固体の自己ナノ乳化薬物送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、
(i)メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマー;
(ii)少なくとも1種の医薬的有効成分;
(iii)少なくとも1種の脂質成分;および
(iv)少なくとも1種の界面活性剤
を含む、医薬組成物に関する。さらに、本発明は、薬剤として使用するための本発明の医薬組成物に関する。最後に、本発明は、固体の自己ナノ乳化薬物送達システムを製造する特定の方法およびそれによって得られた固体の自己ナノ乳化薬物送達システムに関する。
【0002】
背景
自己ナノ乳化薬物送達システム(SNEDDS)が、医薬組成物の分野では周知である。このシステムは、薬物の可溶化を改善するために難水溶性有効成分のエマルションを使用する。概して、液体または半液体のSNEDDSと固体のSNEDDS(S-SNEDDS)との2種類が知られている。SNEDDSの液体または半液体の特性は、経口用途のための投与の観点でおよび保存安定性の欠如の観点から欠点としてしばしば見られるが、固体の自己ナノ乳化システムが好ましい。
【0003】
固体の自己ナノ乳化薬物送達システムを提供する一般的な方法、または隣接する自己微小乳化薬物送達システム(SMEDDS)の分野における一般的な方法は、例えば、以下に開示されている:
【0004】
欧州特許第2101729号明細書には、これに関して、マイクロエマルションを固体状態に転化するためのいくつかの方法が記載されている。これらは、コロイド状二酸化ケイ素への吸着、コロイド状二酸化ケイ素および疎水性コロイド状二酸化ケイ素による個々の相の安定化、ポリエチレングリコール分散液への配合、ならびに噴霧乾燥である。
【0005】
Silva, D. Luis Antonio, et al.(International Journal of Pharmaceutics 541 (2018) 1 - 10)には、ホットメルト押出しによる固体の自己微小乳化薬物送達システム(S-SMEDDS)の製造が記載されている。S-SMEDDSは、カルベジロールおよび脂質混合物を、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)とブレンドすることによって製造された。最も低い薬物濃度および最も高い温度および再循環時間で調製された押出物は、pH6.8で完全かつ迅速な薬物放出を促進した。
【0006】
中国特許出願公開第107308133号明細書には、AEROSIL(登録商標)200を吸着剤として使用するSMEDDSを含有するクルクミンを含むS-SMEDDSが記載されている。
【0007】
本発明者らの課題は、S-SNEDDSのベースとして適しており、ベースポリマーとして使用される他のタイプのポリマーと比較して同一であるかまたは改善された薬物放出および安定性の特性を示す、メタクリルコポリマーをベースとする医薬組成物を提供することであった。
【0008】
この点に関して、本発明の発明者らは、驚くべきことに、メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマー、特にジメチルアミノプロピルメタクリルアミドをベースポリマーとして含む医薬組成物が課題を解決し得ることを見出した。
【0009】
対照的に、例えば、中国特許出願公開第107308133号明細書に開示されている、メタクリルアミドに由来する単位を含まない、EUDRAGIT(登録商標)E 100のような(メタ)アクリルポリマーは、S-SNEDDSの形成を試みる際に加工上の問題を引き起こすため、適していない。
【0010】
発明の概要
したがって、第1の態様では、本発明は、
(i)メタクリルアミド、好ましくはジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマー;
(ii)少なくとも1種の医薬的有効成分;
(iii)少なくとも1種の脂質成分;および
(iv)少なくとも1種の界面活性剤
を含む、医薬組成物に関する。
【0011】
第2の態様では、本発明は、薬剤として使用するための本発明の医薬組成物に関する。
【0012】
第3の態様では、本発明は、本発明の医薬組成物の成分を、ホットメルト押出し、噴霧乾燥、吸着、エレクトロスピニング、エレクトロスプレー、振動によるプリル化、造粒または超臨界流体化することによって固体の自己ナノ乳化薬物送達システムを製造する特定の方法に関する。
【0013】
最後に、第4の態様では、本発明は、本発明の方法により得られる固体の自己ナノ乳化薬物送達システムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】USP装置IIにおいて500mlの0.1NのHCl中にセレコキシブおよびセレコキシブ薬物物質を配合した固体のSNEDDSの溶解プロファイルを示す図である。それぞれの値は、平均±S.D.(n=3)を示す。
図2】USP装置IIにおいて500mlの0.1NのHCl中にセレコキシブおよびセレコキシブ薬物物質を配合したポリマーおよび薬物物質(PODS)の溶解プロファイルを示す図である。それぞれの値は、平均±S.D.(n=3)を示す。
図3】USP装置IIにおいて500mlの0.1NのHCl中にエファビレンツおよびエファビレンツ薬物物質を配合した固体のSNEDDSの溶解プロファイルを示す図である。それぞれの値は、平均±S.D.(n=3)を示す。
図4】USP装置IIにおいて500mlの0.1NのHCl中にエファビレンツおよびエファビレンツ薬物物質を配合したPODSの溶解プロファイルを示す図である。それぞれの値は、平均±S.D.(n=3)を示す。
図5】USP装置IIにおいて500mlの0.1NのHCl中にフェノフィブラートおよびフェノフィブラート薬物物質を配合した固体のSNEDDSの溶解プロファイルを示す図である。それぞれの値は、平均±S.D.(n=3)を示す。
図6】USP装置IIにおいて500mlの0.1NのHCl中にフェノフィブラートおよびフェノフィブラート薬物物質を配合したPODSの溶解プロファイルを示す図である。それぞれの値は、平均±S.D.(n=3)を示す。
図7】USP装置IIにおいて500mlの0.1NのHCl中にセレコキシブおよびセレコキシブ薬物物質を配合した固体のSNEDDS(3カ月間保存した後)の溶解プロファイルを示す図である。それぞれの値は、平均±S.D.(n=3)を示す。
図8】USP装置IIにおいて500mlの0.1NのHCl中にセレコキシブおよびセレコキシブ薬物物質を配合したPODS(3カ月間保存した後)の溶解プロファイルを示す図である。それぞれの値は、平均±S.D.(n=3)を示す。
図9】薬物物質セレコキシブに関する「ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(2:1:1(重量比))(E-173 kDa、E-254 kDa、E-281 kDa、E-305 kDa)」の、薬物放出とMとの間の相関関係を示す図である。固体のSNEDDSデータについての式および相関係数は、以下の通りである:y=-0.0011x+0.2194x+96.553(r=0.9969)であり、PODSデータについては、以下の通りである:y=0.0019x-1.442x+268.77(r=0.9984)。
図10】薬物物質セレコキシブに関する「ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(2:1:1(重量比))(E-173 kDa、E-254 kDa、E-281 kDa、E-305 kDa)」の薬物放出とTとの間の相関関係を示す図である。固体のSNEDDSデータについての式および相関係数は、以下の通りである:y=-0.0544x+6.1381x-46.627(r=0.9994)であり、PODSデータについては、以下の通りである:y=0.3088x-57.577x+2690.2(r=0.9999)。
図11】薬物物質エファビレンツに関する「ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(2:1:1(重量比))(E-173 kDa、E-254 kDa、E-281 kDa、E-305 kDa)」の薬物放出とMとの間の相関関係を示す図である。固体のSNEDDSデータについての式および相関係数は、以下の通りである:y=-0.0052x+1.9413x-75.651(r=0.9315)であり、PODSデータについては、以下の通りである:y=-0.0013x-0.1487x+89.971(r=0.9787)。
図12】薬物物質エファビレンツに関する「ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(2:1:1(重量比))(E-173 kDa、E-254 kDa、E-281 kDa、E-305 kDa)」の薬物放出とTとの間の相関関係を示す図である。固体のSNEDDSデータについての式および相関係数は、以下の通りである:y=-0.4676x+73.923x-2817.1(r=0.9756)であり、PODSデータについては、以下の通りである:y=0.0133x-2.3858x+342.57(r=0.9516)。
図13】薬物物質フェノフィブラートに関する「ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(2:1:1(重量比))(E-173 kDa、E-254 kDa、E-281 kDa、E-305 kDa)」の薬物放出とMとの間の相関関係を示す図である。固体のSNEDDSデータについての式および相関係数は、以下の通りである:y=-0.0032x+1.0836x-2.4189(r=0.9988)、PODSデータについては、以下の通りである:y=0.0016x-0.9196x+134.97(r=1)。
図14】薬物物質フェノフィブラートに関する「ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(2:1:1(重量比))(E-173 kDa、E-254 kDa、E-281 kDa、E-305 kDa)」の薬物放出とTとの間の相関関係を示す図である。固体のSNEDDSデータについての式および相関係数は、以下の通りである:y=-0.2446x+37.029x-1312.2(r=0.9963)であり、PODSデータについては、以下の通りである:y=0.2022x-35.955x+1598.2(r=0.9990)。
【0015】
詳細な説明
本発明は、
(i)メタクリルアミド、好ましくはアルキルメタクリルアミドもしくはアミノアルキルメタクリルアミド、より好ましくはC1~5アルキルメタクリルアミドもしくはジメチルアミノ、C1~5アルキルメタクリルアミドもしくはジエチルアミノ、C1~5アルキルメタクリルアミド、最も好ましくはジメチルアミノプロピルメタクリルアミド;および好ましくは少なくとも1種のアルキルメタクリレート、より好ましくは少なくとも1種のC1~5アルキルメタクリレート、最も好ましくはメチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートに由来する単位を含むか、またはそれらからなる少なくとも1種のメタクリルコポリマー;
(ii)少なくとも1種の医薬的有効成分;
(iii)少なくとも1種の脂質成分;
(iv)少なくとも1種の界面活性剤;
(v)任意で少なくとも1種の溶媒;
(vi)任意で(i)とは異なる、少なくとも1種の(メタ)アクリルコポリマー;ならびに
(vii)任意で少なくとも1種の添加剤
を含むか、またはそれらからなる医薬組成物に関する。
【0016】
さらに、本発明は、薬剤として使用するための本発明による医薬組成物に関し、好ましくは、該医薬組成物は、ヒトまたは動物の被験体の疾患の治療において、包含される医薬的有効成分の溶解度を、医薬的有効成分単独と比較して増強する。
【0017】
さらに、本発明は、固体の自己ナノ乳化薬物送達システムの製造方法であって、以下の工程:
本発明による化合物(ii)~(iv)および任意で(v)を混合することにより、自己ナノ乳化薬物送達システムを提供し、その後、
得られた自己ナノ乳化薬物送達システムを、ホットメルト押出し、噴霧乾燥、吸着、エレクトロスピニング、エレクトロスプレー、振動によるプリル化、造粒または超臨界流体化によって、好ましくはホットメルト押出しによって、より好ましくは140~180℃、好ましくは145~170℃の温度でのホットメルト押出しによって本発明による化合物(i)ならびに任意で化合物(vi)および(vii)に適用し、固体の自己ナノ乳化薬物送達システムを得る工程
を含むか、またはそれらからなる、方法に関する。
【0018】
最後に、本発明は、本発明の方法により得られる固体の自己ナノ乳化薬物送達システムに関する。
【0019】
本発明のこれらおよび他の態様、実施形態、特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲の検討を通じて当業者には明らかになるであろう。本発明の1つの態様からのあらゆる特徴は、本発明の他のあらゆる態様において使用され得る。さらに、本明細書に含まれる実施例は、本発明を説明および例示することを意図しているが、本発明を限定することを意図しておらず、特に、本発明はこれらの実施例に限定されないことが容易に理解されるであろう。
【0020】
本発明によれば、ポリマーが、特定のモノマーを重合して得られる単位を含み、次いでこれらの単位としてポリマー中に含まれることは、ポリマーの観点から「に由来する単位」という特徴によって理解される。例えば、メタクリルアミドに由来する単位とは、重合に適したメタクリルアミド基を有するモノマーが使用されることを意味する。この特徴は、メタクリルアミド、それ自体を含むだけでなく、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのようなメタクリルアミド基を含有する他のモノマーも同様に含む。
【0021】
「x~y」の形式で示される数値範囲には、記載された値も含まれる。いくつかの好ましい数値範囲がこの形式で示されている場合、様々な終点の組み合わせから結果として得られる全ての範囲も含まれることは自明である。
【0022】
本明細書で使用される「1種以上」は、少なくとも1種に関し、かつ1、2、3、4、5、6、7、8、9種またはそれ以上の参照種を含む。同様に、「少なくとも1種」は、1種以上、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9種またはそれ以上を意味する。本明細書において任意の成分に関連して使用される「少なくとも1種」は、化学的に異なる分子の数、すなわち参照種の異なる種類の数を指すが、分子の総数を指していない。例えば、「少なくとも1種の界面活性剤」は、界面活性剤の定義内に入る少なくとも1種類の分子が使用されることだけでなく、この定義内に入る2種以上の異なる種類の界面活性剤が存在し得ることも意味するが、たった1種類の界面活性剤の1種以上の分子しか存在しないことを意味するものではない。
【0023】
組成物または製剤に関して本明細書で与えられる全てのパーセンテージは、特に明記しない限り、各組成物の総重量に対する重量%に関する。
【0024】
化合物に関して本発明による「実質的に含まない」は、化合物が、組成物の特性に影響を与えない量でのみ存在することができ、特に、それぞれの化合物は、組成物の総重量を基準として3重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満で存在するか、またはまったく存在しないことを意味する。
【0025】
重量平均分子量Mおよび数平均分子量Mは、GPCまたはSEC(ゲル浸透クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィー)分析(例えば、H. F. Mark et al., Encyclopaedia of Polymer Science and Engineering, 2nd Edition, Vol. 10, pages 1 ff., J. Wiley, 1989)によって、好ましくはポリスチレン標準を使用して決定され得る。
【0026】
ガラス転移温度Tは、DIN EN ISO 11357-2:2013によるDSC(示差走査熱量測定)分析(可塑剤を添加せずに100ppm未満の残留モノマー含有量(ReMo)で測定、加熱速度10℃/分、窒素雰囲気)によって決定され得る。
【0027】
Z平均粒度Dは、ISO 22412:2017“Particle size analysis - Dynamic light scattering (DLS)”に従って動的光散乱(DLS)によって決定され得る。多分散指数(PDI)は、相関データへの2パラメータフィット(累積分析)から決定される。PDIの決定に使用される計算は、ISO標準文書22412:2017に定義されている。
【0028】
コポリマー中の重合したモノマー単位の量、したがってモノマー転化率は、好ましくは1H-NMR分光法によって決定される。この方法は、例えば、重水素化MeOHd4を用いたEUDRAGIT(登録商標)E POの1H NMR分光法について、例えば、米国特許第8,399,523号明細書、図2、第1表に開示されているように、当該分野の当業者にはよく知られている。
【0029】
また、重合したモノマー単位の量は、揮発性物質の除去前、例えば、乾燥(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに関するHPLC分析ならびにブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートに関するGC分析)前の最終コポリマー調製物中の残留モノマー含有量(ReMo)のあまり複雑ではない決定とその後の計算によっても間接的に決定され得る。この方法は、当該分野の当業者にはよく知られている(例えば、国際公開第2012/048740号、第20頁を参照)。
【0030】
メタクリルアミド(i)に由来する単位を含むメタクリルコポリマー
本発明によれば、医薬組成物の分野で使用され得る、メタクリルアミド、好ましくはジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに由来する単位を含む任意のメタクリルコポリマーは、概して好適である。メタクリルコポリマーの分野の当業者は、このようなポリマーを、特にラジカル重合、好ましくはフリーラジカル重合によって得る方法を知っている。
【0031】
一実施形態では、メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーは、10,000~500,000g/mol、好ましくは50,000~310,000g/mol、より好ましくは100,000~295,000g/mol、より好ましくは150,000~260,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0032】
一実施形態では、メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーは、15,000~100,000、好ましくは40,000~85,000g/molの数平均分子量Mを有する。
【0033】
一実施形態では、メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーは、2.0~5、好ましくは3.5~4.5の多分散度を有する。
【0034】
一実施形態では、メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーは、65~100℃、好ましくは70~82℃のガラス転移温度Tを有する。
【0035】
一実施形態では、少なくとも1種のメタクリルコポリマーは、エポキシ基などの反応性基を実質的に含まない。一実施形態では、少なくとも1種のメタクリルコポリマーは、更なる重合反応を受けることができない。
【0036】
一実施形態では、メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーは、好ましくは、コポリマーの総重量を基準として、少なくとも34重量%、より好ましくは35~55重量%、最も好ましくは45~50重量%の、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド由来の単位を含む、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーである。
【0037】
一実施形態では、メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーは、
40~60重量%、好ましくは45~55重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、
15~35重量%、好ましくは20~30重量%のブチルメタクリレート;および
15~35重量%、好ましくは20~30重量%のメチルメタクリレートのラジカル重合、好ましくはフリーラジカル重合によって得られ、その際、少なくとも1種の開始剤、好ましくはジ-(3,5,5)トリメチルヘキサノイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ビスデカノイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ベンゾイルペルオキシド、2,2-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、1,1-ジ-tert-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2-(1-シアン-1-メチル(エチル)アゾカルボキサミド、tert-ブチルペルオキシアセテート、tert-ブチルペルオキシピバレートまたはそれらの混合物から選択される少なくとも1種の開始剤、
より好ましくは、tert-ブチルペルオキシネオデカノエートおよびtert-ブチルペルオキシピバレートまたはそれらの混合物から選択される少なくとも1種の開始剤;
ならびに少なくとも1種の連鎖移動剤、好ましくは、四塩化炭素、四臭化炭素、ブロモトリクロロメタン、4-メチルベンゼンチオール、イソオクチル3-メルカプトプロピオネート、ペンタフェニルエタン、tert-ノニルメルカプタン、4,4’-チオビスベンゼンチオールおよびn-ドデシルメルカプタンから選択される少なくとも1種の連鎖移動剤、より好ましくはn-ドデシルメルカプタンである連鎖移動剤の存在下で、任意で少なくとも1種の溶媒の存在下で、モノマーの合計は100重量%である。
【0038】
重合反応のためには、これらの反応で使用するのに適したあらゆる溶媒が一般的に適している。
【0039】
モノマー供給物中のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドの初期量が既知である場合、コポリマー中のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドの重合単位の量(重量)は、合計および個々の残留モノマー含有量(ReMo)の分析によって決定され、したがって計算され得る。合計および個々の残留モノマー含有量は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定され得る。HPLCによる合計および個々の残留モノマー含有量の決定は、当業者によく知られている。
【0040】
モノマーのジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートは、通常、反応において異なる転化率でラジカル重合される。差は、重合条件およびラジカル重合法に依存する。ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートのモノマー転化率は、比較的高く、初期のモノマー供給物に対して重合モノマーの約95重量%以上、95重量%超~99.9重量%までの同じ範囲にある。ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのモノマー転化率は、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートのモノマー転化率よりも比較的若干低く、初期のモノマー供給物に対して重合されたモノマーの約85重量%以上、85重量%~95重量%である。これは、初期のモノマー供給物中のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド:ブチルメタクリレート:メチルメタクリレートの重量比が、例えば、50:25:25の重量比である場合、コポリマー中の重合単位の比は、例えば、47:26:27だけ異なっていてもよいことを意味する。転化率は、重合条件、例えば、反応の温度および持続時間に依存するだけでなく、重合開始剤および連鎖移動剤の選択にも依存する。
【0041】
好ましいコポリマーは、40~60重量%、好ましくは45~55重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、15~35重量%、好ましくは20~30重量%のブチルメタクリレートおよび15~35重量%、好ましくは20~30重量%のメチルメタクリレートから重合されたジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーであり、モノマーの合計は、100重量%であり;その際、コポリマー中のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドの重合単位の量は、該コポリマーの総重量を基準として、34重量%以上、34~60重量%または40~57重量%である。好ましくは、コポリマー中の重合単位の量は、45~55重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、23~28重量%のブチルメタクリレート、および23~28重量%のメチルメタクリレートである。
【0042】
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーは、好ましくは、少なくとも1種の重合開始剤および少なくとも1種の連鎖移動剤の存在下でのラジカル重合、特にフリーラジカル重合によって製造され得る。モノマーのモノマー転化率は、好ましくは、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドについて85重量%以上、ブチルメタクリレートについて95重量%以上、メチルメタクリレートについて95重量%以上である。これらのモノマー転化率は、例えば、tert-ブチルペルオキシネオデカノエートおよびtert-ブチルペルオキシピバレートが重合開始剤として使用され、n-ドデシルメルカプタンが、連鎖移動剤として、例えば、溶媒n-プロパノールの存在下で、例えば、50~80℃の重合温度で使用される場合に達成され得る。
【0043】
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーの例示的な製造方法は、以下の通りである。モノマーのジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(例えば、500.0g)、ブチルメタクリレート(例えば、250.0g)およびメチルメタクリレート(例えば、250.0g)は、混合装置において、例えば、マグネチックバー、還流冷却器および窒素注入口を備えた3,000mlの丸底フラスコに添加される。反応容器は、70~90℃、例えば、82℃で予熱された水浴に置かれる。内部温度が約60~70℃、例えば、65℃に達した場合、n-ドデシルメルカプタン(例えば、3.0g、5.0g、9.0gまたは15.0g)が添加されて、プロセス中のポリマーの分子量が制御される一方で、0.1~1重量%(モノマーの重量に基づいて計算)のtert-ブチルペルオキシネオデカノエート(例えば、6.0g)および80~120重量%(モノマーの重量に基づいて計算)のn-プロパノール(例えば、1,000g)の溶液が、例えば、2~10g/分(例えば、5g/分)の連続流量で添加されて、ラジカル重合が開始される。80~85℃の温度で約2~4時間後、例えば、3時間後に、0.1~1重量%(モノマーの重量に基づいて計算)の第2の開始剤、例えば、tert-ブチルペルオキシピバレート(例えば、0.5g)が使用されて、例えば、60~120分間、例えば、90分間で反応が完了する。n-プロパノールを、例えば、48時間かけて除去するために、混合物は、冷却され、30~50℃、例えば、40℃のオーブンに移され得る。ポリマーは、脱イオン水を用いて精製され、その後、例えば、50℃で10日間かけて乾燥され得る。乾燥した粗いポリマーは、Retsch GmbH(ハーン、独国)製のUltra Centrifugal Mill ZM 200を用いて、粉砕およびミリング(例えば、メッシュサイズ:0.25mm)され得る。
【0044】
少なくとも1種のメタクリルコポリマーは、粉末形態で使用することができ、好ましくは1~1,000μm、より好ましくは100~500μmの範囲の平均粒度Dを有する。粉末は、ミリングおよび粉砕により得ることができる。
【0045】
医薬的有効成分(ii)
当業者に公知の任意の医薬的有効成分または医薬的有効成分の混合物は、医薬組成物およびS-SNEDDSに配合され得る。しかしながら、本発明の医薬組成物は、難水溶性の医薬的有効成分または保存後に高い薬物損失を示す医薬的有効成分にとって非常に有用である。好ましくは、医薬的有効成分は、経口投与後に、難溶性、特に難水溶性の薬物であり得る。
【0046】
医薬的有効成分(ii)は、(USPにおいて難溶性薬物について定義されるように)37℃で1mlの水に対して、0.1mg未満の医薬的有効成分、好ましくは純粋な医薬的有効成分の溶解度を示し得る。医薬的有効成分の溶解性の決定は、当業者に周知である。例えば、過剰量の医薬的有効成分が、一定量の水に入れられて、混合される。医薬的有効成分の溶解量は、次に、適切な分析方法、例えば、分光法により決定される。
【0047】
一実施形態では、少なくとも1種の医薬的有効成分は、アカラブルチニブ、アルベンダゾール、アレンドロン酸、アリピプラゾール、アセナピン、アタザナビル、アトルバスタチン、BETd-260ブレオマイシン、ボセンタン、BRD4デグレーダAT1、ブプレノルフィン、ブデソニド、カモスタット、カンデサルタン、カルバマゼピン、カルベジロール、セレコキシブ、シラザプリル、クラリスロマイシン、クロドロン酸、クロピドグレル、クルクミン、シタラビン、ダルナビル、ダサチニブ、デフェラシロックス、デキサメタゾン、デクスランソプラゾール、ジクロフェナク、ジルチアゼム、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロキセチン、デュタステリド、エファビレンツ、エルバスビル、エプロサルタン、エルロチニブ、エストラジオール、エチドロン酸、エトラビリン、エベロリムス、エゼチミブ、フェロジピン、フェノフィブラート、フルコナゾール、フルオロウラシル、フォルチニブ系PROTAC 7、グリメピリド、グラゾプレビル、グリセオフルビン(griseovulvin)、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシクロロキン、イブプロフェン、イマチニブ、イルベサルタン、イリノテカン、イトラコナゾール、イバカフトール、イベルメクチン、レジパスビル、ラモトリギン、リネゾリド、リシノプリル、ロピナビル、ロサルタン、ルメファントリン、メフロキシン、メサラジン、メトトレキサート、メトプロロール、モダフィニル、モエキシプリル、モルヒネ、ミコフェノレート、ナロキソン、ニフェジピン、ニロチニブ、ニルバジピン、ニトレンジピン、オランザピン、オルメサルタン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パクリタキセル、パミドロン酸、パラセタモル、ペメトレキセド、ペリンドプリル、フェニトイン、ピブレンタスビル、ピオグリタゾン、プレドニゾン、プロゲステロン、ケチアピン、ラロキシフェン、ラルテグラビル、ラミプリル、レバミピド、レムデシビル、リルピビリン、リセドロン酸、リスペリドン、リトナビル、リバーロキサバン、リバスチグミン、ロスバスタチン、セレギリン、セベラマー、シブトラミン、シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、シタグリプチン、ソホスブビル、ソラフェニブ、スピラプリル、スニチニブ、タクロリムス、タダラフィル、タモキシフェン、テラプレビル、テルミサルタン、テノキシカム、テルブタリン、チカグレロル、チルドロン酸、トランドラプリル、トログリタゾン、ウミフェノビル、バルサルタン、ベルパタスビル、ベムラフェニブ、ベラパミル、ジプラジドン、ゾレドロン酸およびZXH-3-26から選択され得るか、または該当する場合には、それらの医薬的に許容される塩形態またはそれらの混合物から選択され得る。
【0048】
別の実施形態では、少なくとも1種の医薬的有効成分は、ブドウ生成物またはプロアントシアニンまたはアントシアニン、特にビルベリーまたはブラッククラント由来のレスベラトロール、可溶性食物繊維生成物、例えば、オオバコ種子、ブロッコリー(スルファン)、および大豆またはクローバー(イソフラボノイド)、フラボノイド、亜麻種子由来のα-リノレン酸、ビタミンA、ビタミンK2、補酵素Q10、ケルセチン、トランス-レスベラトロール、ならびにマリゴールド花弁由来のβ-カロテンから選択される。
【0049】
好ましくは、少なくとも1種の医薬的有効成分は、セレコキシブ、エファビレンツおよびフェノフィブラートまたはそれらの混合物から選択され得る。
【0050】
脂質成分(iii)
医薬組成物に使用され得る任意の脂質成分は、概して好適である。
【0051】
少なくとも1種の脂質成分(iii)は、中鎖トリグリセリド(C~C12脂肪酸)、長鎖トリグリセリド(C13~C21脂肪酸)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Captex(登録商標)200)、トリカプリン酸グリセリル/トリカプレート(Captex(登録商標)300)、トリリシノール酸グリセリル(ヒマシ油)、中鎖トリグリセリド(ラウリン酸)(ココナッツ油)、ジベヘン酸グリセリル(Compritol(登録商標)888 ATO)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸)(コーン油)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸)(綿実油)、オレイン酸エチル(Crodamol(商標)EO)、トリカプリル酸グリセリル/トリカプレート(Crodamol(商標)GTCC)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM-100)、トリカプリル酸グリセリル/トリカプレート(Labrafac(商標)CC)、トリカプリル酸グリセリル/トリカプレート(Labrafac(商標)lipophil WL 1349)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Labrafac(商標)PG)、長鎖トリグリセリド/ジグリセリド/モノグリセリド(モノリノレエート)(Maisine(登録商標)CC)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート/トリラウレート(Miglyol(登録商標)812)、オレイン酸(Pamolyn(商標)100オレイン酸)、トリグリセリド(オレイン酸、パルミチン酸)(オリーブ油)、トリグリセリド(パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸)、トリグリセリド(オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸)(パーム油)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸、α-リノレン酸、パルミチン酸)(ごま油)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸)(大豆油)、グリセリルトリアセテート(Kollisolv(登録商標)GTA)、グリセリルトリカプリレート(Tricaprylin(登録商標))、硬質脂肪(トリグリセリド/ジグリセリド)および硬質脂肪(トリグリセリド)(Witepsol(登録商標)H35)またはそれらの任意の混合物から選択され得る。
【0052】
括弧付きの上記リストの表現は、脂質成分の主成分を示す(例:中鎖トリグリセリド(ラウリン酸))。スラッシュの付いた上記のリスト中の表現は、脂質成分の要素を示す(例:トリカプリル酸グリセリル/トリカプレート/トリラウレート)。
【0053】
界面活性剤(iv)
医薬組成物に使用され得る任意の界面活性剤は、概して好適である。
【0054】
少なくとも1種の界面活性剤(iv)は、1種以上の界面活性剤を含み得、かつポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、モノオレイン酸グリセリル、中鎖モノグリセリド/ジグリセリド(カプリレート、カプレート)、モノカプリル酸グリセリル、プロピレングリコールモノカプリレート、ポリオキシル-35水素化ヒマシ油、ポリオキシル-40水素化ヒマシ油、ラウロイルポリオキシル-32グリセリド、ステアロイルポリオキシル-32グリセリド、ポリオキシル-15ヒドロキシステアレート、ポロキサマー188(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのトリブロックコポリマー)、ポロキサマー407(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのトリブロックコポリマー)、オレイルポリオキシル-6グリセリド、リノレオイルポリオキシル-6グリセリド、ラウロイルポリオキシル-6グリセリド、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、プロピレングリコールモノラウレート(タイプII)、プロピレングリコールモノラウレート(タイプI)、ポリオキシル-40ステアレート、ジアセチル化モノグリセリド、グリセリルモノオレエート、ポリグリセリル-3ジオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、グリセリルモノステアレート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(d-TPGS)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートまたはそれらの任意の混合物から選択され得る。
【0055】
溶媒(v)
医薬組成物に使用され得る任意の溶媒は、概して好適である。
【0056】
少なくとも1種の溶媒(v)は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、プロパン-1,2,3-トリオール、(z)-オクタデカ-9-エニルアミン、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、2-ピロリドンおよびテトラエチレングリコールまたはそれらの任意の混合物から選択され得る。
【0057】
一実施形態では、組成物は、本質的に溶媒を含まない。
【0058】
(i)とは異なる(メタ)アクリルコポリマー(vi)
本発明の医薬組成物は、さらに、(i)とは異なる、少なくとも1種の(メタ)アクリルコポリマーを含み得る。概して、医薬組成物に適した全ての(メタ)アクリルコポリマーが使用され得る。
【0059】
一実施形態では、少なくとも1種の(メタ)アクリルコポリマーは、モノマーの総重量を基準として、40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルアクリレートを重合させることによって得られたメタクリレートコポリマーである。
【0060】
適したポリマーは、例えば、Evonik Nutrition & Care GmbH(ダルムシュタット、独国)からEUDRAGIT(登録商標)の商品名で市販されている。
【0061】
一実施形態では、(i)と(vi)との重量比は、9:1~1:1、好ましくは4:1~2:1である。
【0062】
添加剤(vii)
(i)~(vi)とは異なる、医薬組成物に使用され得る任意の添加剤は、概して好適である。
【0063】
添加剤は、好ましくは、付着防止剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;充填剤、例えば、ラクトース、マンニトール、デンプン、セルロースおよびそれらの誘導体;バインダー、例えば、ポリアクリレート、デンプン、グアー、キサンタン、アルギン酸塩、カラギーナン、ペクチン、トラガカント、多糖類およびそれらの誘導体;フレーバー、例えば、ミント、チェリー、アニス、バニラ、ラズベリー;色、例えば、天然着色剤、アゾおよびキサンテン化合物;顔料、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム;崩壊剤、例えば、デンプン、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、炭酸水素ナトリウム、好ましくはクエン酸と組み合わせたもの(発泡錠の場合);滑剤、例えば、シリカゲル、ヒュームドシリカ、タルク、炭酸マグネシウム;流動調整剤(flow regulator)、例えば、高分散二酸化ケイ素;酸化防止剤、例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル、セレン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン;甘味料、例えば、スクロース、ソルビトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテーム;および帯電防止剤、例えば、アルキルスルホネートまたは第四級アンモニウム化合物、好ましくはポリスチレンと組み合わせたもの;またはそれらの混合物から選択される。
【0064】
自己ナノ乳化薬物送達システム(SNEDDS)および固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS)
自己ナノ乳化薬物送達システムは、水または胃腸液と接触した状態でナノエマルションを形成し、残留する。ナノエマルションの分野の当業者は、一般的に知られている方法を用いて、本発明の自己ナノ乳化薬物送達システムを調製する方法を知っている。ナノエマルション中の粒子のZ平均サイズD(Z平均粒度D)は、1~1,000nm、多くの場合に100~500nm、または10~100nmであり得る。ナノエマルションの形成は、医薬組成物の製造中に、または医療専門家もしくは生体内で起こり得る。形成は、乳化成分および医薬的有効成分が、水性媒体、好ましくは水に添加された場合に起こる。一実施形態では、形成は、混合物を撹拌しながらかつ/または混合物を30~60℃、好ましくは45~55℃、より好ましくは50℃に加熱しながら実施される。撹拌および/または加熱は、均質な混合物の提供を改善し得る。
【0065】
自己ナノ乳化薬物送達システムの乳化成分は、通常、脂質成分、少なくとも1種の界面活性剤および任意に溶媒、すなわち成分(iii)~(iv)を含むか、またはこれらからなる。当業者は、成分を選択し、送達される医薬的有効成分に対する成分の量を調整する方法を知っている。したがって、乳化成分(iii)および(iv)または(iii)~(v)は、医薬的有効成分(ii)と混合されて溶液となり、これが自己ナノ乳化薬物送達システム(SNEDDS)を形成する。
【0066】
本発明における自己ナノ乳化薬物送達システム(SNEDDS)および担体、ポリマー(i)ならびに任意で(vi)は、加工後に、例えば、ホットメルト押出し、噴霧乾燥、吸着、エレクトロスピニング、エレクトロスプレー、振動によるプリル化、造粒または超臨界流体技術によって、固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS)を形成する。好ましい一実施形態では、S-SNEDDSは、ホットメルト押出しによって得られる。添加剤(vii)が存在する場合、添加剤は、好ましくはポリマー(i)および任意で(vi)と混ぜ合わせられる。好ましい実施形態では、ポリマー(i)および任意で(vi)ならびに任意の添加剤(vii)は、粉末の形である。より好ましくは、それらは、1~1,000μm、最も好ましくは100~500μmの範囲にある平均粒度Dを有する。粉末は、従来のミリングおよび粉砕により得ることができる。
【0067】
例えば、本発明のS-SNEDDSは、140~180℃、好ましくは145~170℃の温度でホットメルト押出しによって得られる。一実施形態では、成分は、二軸スクリュー押出機中で押し出され得る。一実施形態では、成分は、二軸押出機中で約30~100Ncmのトルクで押し出され得る。好ましくは、成分は、二軸押出機中で約45~85Ncmのトルクで押し出され得る。押し出された塊は、ストランドの形で押出機から出てもよく、これは粉砕およびミリングによって粉末製品に破砕され得る。
【0068】
一実施形態では、SNEDDSは、SNEDDSの総重量を基準として0.1~50重量%、好ましくは5~50重量%、10~25重量%の少なくとも1種の医薬的有効成分(ii);
5~60重量%、好ましくは10~50重量%、25~35重量%の少なくとも1種の脂質成分(iii);
10~60重量%、好ましくは10~50重量%、40~50重量%の少なくとも1種の界面活性剤(iv);
0~35重量%、好ましくは0.01~25重量%の少なくとも1種の溶媒(v)を含むか、またはそれらからなる。
【0069】
一実施形態では、S-SNEDDSは、S-SNEDDSの総重量を基準として1~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは20~40重量%のSNEDDSを含む。
【0070】
固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS)は、
a)20~40重量%のSNEDDSであって
a1)10~25重量%のセレコキシブを医薬的有効成分として、
a2)25~35重量%の中鎖トリグリセリドを脂質成分として、
a3)40~50重量%のポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエート)、2~10重量%のラウロイルポリオキシル-32グリセリドおよび2~10重量%のd-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(d-TPGS)を界面活性剤成分として
含むか、またはそれらからなり、成分a1)~a3)が合計100重量%となり得る、SNEDDSと、
b)80~60重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーと、
の混合物、好ましくはホットメルト押出しされた混合物を含み得る。混合物の成分a)およびb)は、合計100重量%になり得る。
【0071】
固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS)は、
a)20~40重量%のSNEDDSであって
a1)20~30重量%のエファビレンツを医薬的有効成分として、
a2)15~25重量%のミリスチン酸イソプロピルを脂質成分として
a3)20~30重量%のポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)および1~8重量%のd-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(d-TPGS)を界面活性剤として、
a4)25~35重量%のジエチレングリコールモノエチルエーテルを溶媒として、
含むか、またはそれらからなり、成分a1)~a4)が合計100重量%となり得る、SNEDDSと、
b)80~60重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーと
の混合物、好ましくはホットメルト押出しされた混合物を含み得る。混合物の成分a)およびb)は、合計100重量%となり得る。
【0072】
固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS)は、
a)20~40重量%のSNEDDSであって
a1)10~20重量%のフェノフィブラートを医薬的有効成分として、
a2)15~25重量%の中鎖トリグリセリドを脂質成分として、
a3)5~15重量%のポリオキシ-23ラウリルエーテル、45~55重量%のポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)-ソルビタンモノオレエート)および5~15重量%のd-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(d-TPGS)を界面活性剤として
含み、溶液の成分a1)~a3)が合計100%となり得る、SNEDDSと、
b)80~60重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーと、
の混合物、好ましくはホットメルト押出しされた混合物を含み得る。混合物の成分a)およびb)は、合計100重量%となり得る。
【0073】
薬剤としての使用
本発明の固体の自己ナノ乳化薬物送達システム(S-SNEDDS)を含む医薬組成物は、薬剤としての使用(使用方法)に適しており、これは好ましくは、ヒトまたは動物の被験体の疾患の治療において、含まれる医薬的有効成分の溶解性を、医薬的有効成分単独と比較して高める。
【0074】
本発明は特に、以下の項目に関する:
1.医薬組成物であって、
(i)メタクリルアミド、好ましくはアルキルメタクリルアミドもしくはアミノアルキルメタクリルアミド、より好ましくは、C1~5アルキルメタクリルアミドもしくはジメチルアミノ、C1~5アルキルメタクリルアミドもしくはジエチルアミノ、C1~5アルキルメタクリルアミド、最も好ましくは、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに由来する単位;ならびに好ましくは、アルキルメタクリレート、より好ましくは、少なくとも1種のC1~5アルキルメタクリレート、最も好ましくは、メチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートに由来する単位を含むか、またはそれらからなる少なくとも1種のメタクリルコポリマー;
(ii)少なくとも1種の医薬的有効成分;
(iii)少なくとも1種の脂質成分;
(iv)少なくとも1種の界面活性剤;
(v)任意で少なくとも1種の溶媒;
(vi)任意で(i)とは異なる、少なくとも1種の(メタ)アクリルコポリマー;ならびに
(vii)任意で少なくとも1種の添加剤
を含むか、またはそれらからなる、医薬組成物。
【0075】
2.メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーが、
i)50,000~500,000g/mol、好ましくは100,000~295,000g/mol、より好ましくは150,000~260,000g/molの平均分子量M;および/または
ii)65~100℃、好ましくは70~85または82℃のガラス転移温度T;および/または
iii)ビニルピロリドンに由来する単位がないこと;および/または
iv)最大3つの異なる単位
を有する、項目1記載の医薬組成物。
【0076】
3.メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーが、
i)ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドおよびアルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を含むか、またはそれらからなるか;あるいは
ii)ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドおよびC1~5アルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を含むか、またはそれらからなるか;あるいは
iii)ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドおよび2つの異なるC1~5アルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を含むか、またはそれらからなるか;あるいは
iv)ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドおよび2つの異なるC1~5アルキルメタクリレートに由来する単位を含むか、またはそれらからなるか;あるいは
v)好ましくは、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートのコポリマー;より好ましくは、コポリマーの総重量を基準として、少なくとも34重量%またはより好ましくは35~55重量%、最も好ましくは45~50重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに由来する単位を含むコポリマーである、項目1または2記載の医薬組成物。
【0077】
4.メタクリルアミドに由来する単位を含む少なくとも1種のメタクリルコポリマーが、少なくとも1種の開始剤、好ましくはジ-(3,5,5)トリメチルヘキサノイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ビスデカノイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ベンゾイルペルオキシド、2,2-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、1,1-ジ-tert-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2-(1-シアン-1-メチル(エチル)アゾカルボキサミド、tert-ブチルペルオキシアセテート、tert-ブチルペルオキシピバレートまたはそれらの混合物から選択される少なくとも1種の開始剤、より好ましくはtert-ブチルペルオキシネオデカノエートおよびtert-ブチルペルオキシピバレートまたはそれらの混合物から選択される少なくとも1種の開始剤と、少なくとも1種の連鎖移動剤、好ましくは四塩化炭素、四臭化炭素、ブロモトリクロロメタン、4-メチルベンゼンチオール、イソオクチル3-メルカプトプロピオネート、ペンタフェニルエタン、tert-ノニルメルカプタン、4,4’-チオビスベンゼンチオールおよびn-ドデシルメルカプタンから選択される少なくとも1種の連鎖移動剤、より好ましくはn-ドデシルメルカプタンである少なくとも1種の連鎖移動剤と、任意で少なくとも1種の溶媒との存在下での、
40~60重量%、好ましくは45~55重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、
15~35重量%、好ましくは20~30重量%のブチルメタクリレート;および
15~35重量%、好ましくは20~30重量%のメチルメタクリレート
のラジカル重合、好ましくはフリーラジカル重合によって得られ、その際、モノマーの合計は100重量%である、項目1から3までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0078】
5.少なくとも1種の医薬的有効成分が、37℃で1mlの水中で0.1mg未満の溶解度を有し、かつ/またはセレコキシブ、エファビレンツおよびフェノフィブラートまたはそれらの混合物から選択される、項目1から4までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0079】
6.少なくとも1種の脂質成分が、中鎖トリグリセリド(C~C12脂肪酸)、長鎖トリグリセリド(C13~C21脂肪酸)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Captex(登録商標)200)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート(Captex(登録商標)300)、グリセリルトリリシノレート(ヒマシ油)、中鎖トリグリセリド(ラウリン酸)(ココナッツ油)、グリセリルジベヘネート(Compritol(登録商標)888 ATO)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸)(コーン油)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸)(綿実油)、オレイン酸エチル(Crodamol(商標)EO)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート(Crodamol(商標)GTCC)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM-100)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート(Labrafac(商標)CC)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート(Labrafac(商標)lipohil WL1349)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(Labrafac(商標)PG)、長鎖トリグリセリド/ジグリセリド/モノグリセリド(モノリノレエート)(Maisine(登録商標)CC)、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート/トリラウレート(Miglyol(登録商標)812)、オレイン酸(Pamolyn(商標)100オレイン酸)、トリグリセリド(オレイン酸、パルミチン酸)(オリーブ油)トリグリセリド(パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸)、トリグリセリド(オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸)(パーム油)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸、α-リノレン酸、パルミチン酸)(ごま油)、トリグリセリド(リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸)(大豆油)、グリセリルトリアセテート(Kollisolv(登録商標)GTA)、グリセリルトリカプリレート(Tricaprylin(登録商標))、硬質脂肪(トリグリセリド/ジグリセリド)および硬質脂肪(トリグリセリド)(Witepsol(登録商標)H35)またはそれらの任意の混合物から選択される、項目1から5までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0080】
7.少なくとも1種の界面活性剤が、ポリオキシエチレン-(23)ラウリルエーテル(Brij(登録商標)35)、ポリオキシエチレン-(2)オレイルエーテル(Brij(登録商標)92)、グリセリルモノオレエート(Capmul(登録商標)、GMO-50)、中鎖モノグリセリド/ジグリセリド(カプリレート、カプレート)(Capmul(登録商標)MCM)、グリセリルモノカプリレート(Capmul(登録商標)MCM C-8)、プロピレングリコールモノカプリレート(Capmul(登録商標)PG-8)、プロピレングリコールモノカプリレート(Capryol(商標)90)、ポリオキシル-35水素化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)EL、Kolliphor(登録商標)EL)ポリオキシル-40水素化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH 40、Kolliphor(登録商標)RH 40)、ラウロイルポリオキシル-32グリセリド(Gelucire(登録商標)44/14)、ステアロイルポリオキシル-32グリセリド(Gelucire(登録商標)50/13)、ポリオキシル-15ヒドロキシステアレート(Kolliphor(登録商標)HS 15、Solutol(登録商標)HS 15)、ポロキサマー188(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのトリブロックコポリマー)(Kolliphor(登録商標)P 188、Lutrol(登録商標)F 68、Pluronic(登録商標)F 68)、ポロキサマー407(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのトリブロックコポリマー)(Kolliphor(登録商標)P 407、Lutrol(登録商標)F 127、Pluronic(登録商標)F 127)、オレオイルポリオキシル-6グリセリド(Labrafil(登録商標)M 1944 CS)、リノレオイルポリオキシル-6グリセリド(Labrafil(登録商標)M 2125 CS)、ラウロイルポリオキシル-6グリセリド(Labrafil(登録商標)M 2130 CS)、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド(Labrasol(登録商標))、プロピレングリコールモノラウレート(タイプII)(Lauroglycol(商標)90)、プロピレングリコールモノラウレート(タイプI)(Lauroglycol(商標)FCC)、ポリオキシル-40ステアレート(Myrj(商標)S40)、ジアセチル化モノグリセリド(Myvacet(商標)9-45K NF)、グリセリルモノオレエート(Peceol(商標))、ポリグリセリル-3ジオレエート(Plurol(登録商標)Oleique CC497)、ソルビタンモノラウレート(Span(登録商標)20)、ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標)80)、ソルビタンセスキオレエート(Span(登録商標)83)、ソルビタントリオレエート(Span(登録商標)85)、グリセリルモノステアレート(SustOleo(商標)GMS-SE)、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(d-TPGS)(Tocophersolan(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)60)およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)またはそれらの任意の混合物から選択される、項目1から6までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0081】
8.少なくとも1種の溶媒が、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Carbitol(商標))、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール6000、プロパン-1,2,3-トリオール(グリセリン)、(z)-オクタデカ-9-エニルアミン(オレイルアミン)、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、2-ピロリドン(Soluphor(登録商標)P)、テトラエチレングリコールおよびジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol(登録商標)HP)またはそれらの任意の混合物から選択される、項目1から7までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0082】
9.(i)とは異なる少なくとも1種の(メタ)アクリルコポリマーが、モノマーの総重量を基準として40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルメタクリレートを重合させることによって得られたメタクリレートコポリマーである、項目1から8までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0083】
10.少なくとも1種の添加剤が、付着防止剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;充填剤、例えば、ラクトース、マンニトール、デンプン、セルロースおよびそれらの誘導体;バインダー、例えば、ポリアクリレート、デンプン、グアー、キサンタン、アルギン酸塩、カラギーナン、ペクチン、トラガカント、多糖類およびそれらの誘導体;フレーバー、例えば、ミント、チェリー、アニス、バニラ、ラズベリー;色、例えば、天然着色剤、アゾおよびキサンテン化合物;顔料、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム;崩壊剤、例えば、デンプン、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、炭酸水素ナトリウム、好ましくはクエン酸と組み合わせたもの(発泡錠の場合);滑剤、例えば、シリカゲル、ヒュームドシリカ、タルク、炭酸マグネシウム;流動調整剤、例えば、高分散二酸化ケイ素;酸化防止剤、例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル、セレン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン;甘味料、例えば、スクロース、ソルビトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテーム;および帯電防止剤、例えば、アルキルスルホネートまたは第四級アンモニウム化合物、好ましくはポリスチレンと組み合わせたもの;またはそれらの混合物から選択される、項目1から9までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0084】
11.(i)が、組成物の総重量を基準として40~99重量%、好ましくは80~99重量%、より好ましくは90~99重量%で存在し;
(ii)~(vii)が、組成物の総重量を基準として1~60重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは1~10重量%で存在し、ここで、成分(ii)~(vii)の総重量を基準として、それぞれ、
(ii)が、0.1~50重量%、好ましくは0.5~20重量%、より好ましくは1~10重量%で存在し;
(iii)が、5~60重量%、好ましくは10~45重量%、より好ましくは15~35重量%で存在し;
(iv)が、1~60重量%、好ましくは3~55重量%、より好ましくは5~50重量%で存在し;
(v)が、0~35重量%、好ましくは0.01~32重量%、より好ましくは15~30重量%で存在し;
(vi)が、0~84重量%、好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~40重量%で存在し;
(vii)が、0~10重量%、好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.1~2重量%で存在し;
好ましくは、成分(i)~(vii)の合計は、組成物の総重量を基準として100重量%である、項目1から10までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0085】
12.固体の自己ナノ乳化薬物送達システムであり、好ましくはホットメルト押出し、噴霧乾燥、吸着、エレクトロスピニング、エレクトロスプレー、振動によるプリル化、造粒または超臨界流体技術によって得られる、項目1から11までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0086】
13.薬剤として使用するための、好ましくは、含まれる医薬的有効成分の溶解性を、ヒトまたは動物の被験体の疾患の治療における医薬的有効成分単独と比較して増強する、項目1から12までのいずれか1つ記載の医薬組成物。
【0087】
14.固体の自己ナノ乳化薬物送達システムの製造方法であって、
項目1から11までのいずれか1つ記載の化合物(ii)~(iv)および任意で(v)を混合することにより、自己ナノ乳化薬物送達システムを供給し、その後、
得られた自己ナノ乳化薬物送達システムを、項目1から11までのいずれか1項の、好ましくは粉末形態の、化合物(i)ならびに任意で化合物(vi)および(vii)に、ホットメルト押出し、噴霧乾燥、吸着、エレクトロスピニング、エレクトロスプレー、振動によるプリル化、造粒または超臨界流体化によって、好ましくはホットメルト押出しによって、より好ましくは140~180℃、好ましくは145~170℃の温度でのホットメルト押出しによって適用して、固体の自己ナノ乳化薬物送達システムを得る工程を含むか、またはそれらからなる、方法。
【0088】
15.ホットメルト押出しを、二軸スクリュー押出機中で、好ましくは30~100Ncm、より好ましくは45~85Ncmのトルクで行う、項目14記載の方法。
【0089】
16.項目14または15記載の方法によって得られる固体の自己ナノ乳化薬物送達システム。
【0090】
実施例
材料および方法
材料
セレコキシブ(4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド)を、モデル化合物として使用し、Aarti Drugs Ltd.(ムンバイ、インド)から得た。エファビレンツ((4S)-6-クロロ-4-(2-シクロプロピルエチニル)-4-(トリフルオロメチル)-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2-オン)を、Angene International Ltd.(ロンドン、英国)から得て、フェノフィブラート(プロパン-2-イル2-[4-(4-クロロベンゾイル)フェノキシ]-2-メチルプロパノエート)を、D.K. Pharma Chem PVT Ltd.(マハラシュトラ、インド)から得た。ポリオキシエチレン(80)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(d-TPGS)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM-100)およびポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij(登録商標)35)を、Sigma Aldrich(シュタインハイム、独国)から購入した。ラウロイルポリオキシル-32グリセリド(Gelucire(登録商標)44/14)およびジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol(登録商標)HP)は、Gattefosse SAS(サン・プリエスト、仏国)の厚意によって寄贈された。中鎖トリグリセリド(Miglyol(登録商標)812)を、Caesar & Loretz GmbH(ヒルデン、独国)から得た。ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(モノマー重量比2:1:1)(E-173 kDa、E-254 kDa、E-281 kDa、E-305 kDa)は、Evonik Nutrition & Care GmbH(ダルムシュタット、独国)の研究開発による製品である。ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(Soluplus(登録商標))、ポリビニルピロリドン-ポリビニルアセテートコポリマー(Kollidon(登録商標)VA 64)およびポリビニルピロリドン(Kollidon(登録商標)17 PF)を、BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン、独国)から購入した。ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(AQOAT(登録商標)AS-MMP)は、信越化学株式会社(東京、日本)の厚意によって寄贈された。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Affinisol(登録商標)HPMC 100 LV)は、Dow Chemical Company(シュヴァルバッハ・アム・タウヌス、独国)により供給された。他の全ての化学物質および溶媒は、分析グレードのものであり、市販されていた。
【0091】
方法
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(2:1:1(重量比))の製造
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーを製造するために、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(500.0g)、ブチルメタクリレート(250.0g)およびメチルメタクリレート(250.0g)のモノマーを、マグネチックバー、還流冷却器および窒素注入口を備えた3,000mlの丸底フラスコに加えた。反応容器を、82℃の予熱された水浴に入れた。内部温度が65℃に達した際に、n-ドデシルメルカプタン(3.0g、5.0g、9.0gまたは15.0g)を直ちに加えて、プロセス中のポリマーの分子量を制御する一方、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート(6.0g)およびn-プロパノール(1,000g)の溶液を、5g/分の連続流量で加えて、フリーラジカル重合を開始した。80~85℃の温度で約3時間後、第2の開始剤、tert-ブチルペルオキシピバレート(0.5g)が、さらに90分以内に反応を完了させた。混合物を冷却し、40℃のオーブンに移して、n-プロパノールを48時間かけて除去した。ポリマーを、脱イオン水を使用して精製し、その後50℃で10日間にわたって乾燥させた。乾燥した粗いポリマーを、Retsch GmbH(ハーン、独国)製のUltra Centrifugal Mill ZM 200を使用して粉砕した(メッシュサイズ:0.25mm)。
【0092】
得られたのは、173 kDa、254 kDa、281 kDa、および305 kDaの異なる重量平均分子量を有する4種のコポリマーであり、以下ではポリマーE-173 kDa、E-254 kDa、E-281kDA、およびE-305 kDaと呼んだ。
【0093】
残留モノマー(ReMo)分析およびモノマー転化率
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーの残留モノマーを、乾燥前に、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに関するHPLC分析ならびにブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートに関するGC分析を使用して分析した。残留モノマー分析の結果(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドについて6.16重量%、ブチルメタクリレートについて0.002重量%、およびメチルメタクリレートについて0.035重量%)に基づいて、2:1:1(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド:ブチルメタクリレート:メチルメタクリレート)のモノマー比を考慮して、平均モノマー転化率を、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドについて87.68%、ブチルメタクリレートについて99.99%、メチルメタクリレートについて99.86%で計算した。これにより、46.74重量%のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、26.65重量%のブチルメタクリレートおよび26.61重量%のメチルメタクリレートの最終的なポリマー組成物が得られる。
【0094】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーの分子量分布を、Agilent Technologies(フランクフルト・アム・マイン、独国)から得た、ポンプ(G1310A)、オートサンプラー(G1313A)、カラムオーブン(G1316A)、RI検出器(G1362A)および制御モジュール(G1323B)を含むAgilent 1100シリーズGPC-SEC分析システムを使用して決定した。分離を、GRAMプレカラム(8×50mm、10μm)および別の3つのGRAMカラム(8×300mm、10μm)を用いて達成し、全て60℃で維持した。溶離液は、n,n-ジメチルアセトアミド:臭化リチウム:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS):水(1000:2:2:10w/w)からなり、流量を1ml/分に設定し、注入量100μlを適用した。RI検出器を40℃で維持し、ポリメチルメタクリレート溶液(1g/l)を標準として使用した。ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーの数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)および多分散性指数(PDI)を決定した(第12表を参照)。
【0095】
ホットメルト押出しによるS-SNEDDSの調製
化合物1~4および特定の医薬的有効成分(以下、薬物とも呼ばれる)の化学量論比のブレンド(第1表~第3表)を、これらの物質をビーカーガラス中で適度な磁気撹拌下に約30分間混合することによって調製した。ブレンドを、撹拌しながら50℃の温度に供した。得られたSNEDDS溶液を、規定の混合比を考慮して、特定のポリマー(第4表、第6表、および第8表)に加えた。溶液/ポリマーブレンドを、円錐形スクリュー設計を示したThermo Fisher Scientific(ドライアイヒ、独国)製の共回転HAAKE MiniLab二軸スクリュー押出機を使用してホットメルト押出し技術により加工した。適用されるスクリュー速度、トルクおよびプロセス温度を記録することによって、ホットメルト押出しプロセスを特性評価した(第4表、第6表および第8表)。連続的に生成したストランドを、押出機のノズルで排出させ、搬送ベルトを使用して搬送しながら冷却し、最終的に粗い顆粒に細断した。顆粒を、Retsch GmbH(ハーン、独国)製の超遠心ミルZM 200を使用して粉砕した(メッシュサイズ:0.25mm)。得られた粉末は、全ての更なる研究に使用した製造されたS-SNEDDSの剤形であった。加えて、ポリマーと薬物物質(PODS)とのブレンド(第5表、第7表、および第9表)を、上述のホットメルト押出しプロセスによって処理し、PODSと比較して異なる特性に関してSNEDDSの効果を評価した。
【0096】
薬物物質、PODSおよび固体のSNEDDSの溶解試験
溶解実験を、USP 42-NF 37(2019)に従って行った。
【0097】
溶解実験を、25mgの薬物物質または相当量のPODSまたは固体のSNEDDSを用いて、ERWEKA GmbH(ホイゼンシュタム、独国)製のUSP apparatus II(DT 800 LH)を使用して実施した。パドル速度を100rpmに設定し、全ての実験を500mlの0.1N塩酸中で行った。溶解試験を120分にわたり行った。
【0098】
セレコキシブを分析するためのHPLC法
セレコキシブの定量に使用される高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム(Agilent 1260 Infinity)は、第四級ポンプ(G1311B)、オートサンプラー(G1329B)、カラムオーブン(G1316A)およびUV検出器(G1314C)からなり、全てAgilent Technologies(フランクフルト・アム・マイン、独国)から得られた。分離を、40℃で維持したKnauer Nucleosil 100-7 C18(125×4.6mm、7μm)カラムを使用して達成した。移動相は、アセトニトリル:水:トリエチルアミン混合物(300:300:0.9v/v)からなっており、リン酸でpH3.00に調整した。流量を1.8ml/分に設定した。5μlの注入量を適用し、セレコキシブを254nmで検出した。0.13~542μg/mlの濃度範囲では、分析曲線は、線形であった(r=0.999995)。この方法は、0.05μg/mlの定量限界で、正確(100.2~102.1%)かつ精密(CV2.46%)であることが分かった。実行時間は、7分であると定義された。選択性を決定し(製剤賦形剤)、薬物保持時間に干渉は認められなかった。さらに、ピーク面積は、実験に用いた全ての賦形剤の存在下で変化しなかった。
【0099】
エファビレンツを分析するためのHPLC法
エファビレンツの定量に使用される高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム(Agilent 1260 Infinity)は、第四級ポンプ(G1311B)、オートサンプラー(G1329B)、カラムオーブン(G1316A)およびUV検出器(G1314C)からなり、全てAgilent Technologies(フランクフルト・アム・マイン、独国)から得られた。分離は、22℃で維持されたSymmetry 300 C18(250×4.6mm、5μm)カラムを使用して達成した。移動相は、アセトニトリル:緩衝液(pH3.60に調整されたリン酸水素二ナトリウム/リン酸)混合物(290:210v/v)からなっていた。流量を1.5ml/分に設定した。20μlの注入量を適用し、エファビレンツを247nmで検出した。0.13~515μg/mlの濃度範囲では、分析曲線は、線形であった(r=0.999894)。この方法は、0.05μg/mlの定量限界で、正確(101.4~103.0%)かつ精密(CV4.05%)であることが分かった。実行時間は、10分であると定義された。選択性を決定し(製剤賦形剤)、薬物保持時間に干渉は認められなかった。さらに、ピーク面積は、実験に用いた全ての賦形剤の存在下で変化しなかった。
【0100】
フェノフィブラートのHPLC分析方法
フェノフィブラートの定量に使用される高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム(Agilent 1260 Infinity)は、第四級ポンプ(G1311B)、オートサンプラー(G1329B)、カラムオーブン(G1316A)およびUV検出器(G1314C)からなり、全てAgilent Technologies(フランクフルト・アム・マイン、独国)から得られた。分離は、22℃で維持されたSymmetry 300 C18(150×4.6mm、5μm)カラムを使用して達成した。移動相は、アセトニトリル:水混合物(70:30v/v)からなっており、リン酸でpH2.50に調整した。流量を2.0ml/分に設定した。20μlの注入量を適用し、フェノフィブラートを286nmで検出した。0.13~526μg/mlの濃度範囲では、分析曲線は、線形であった(r=0.999992)。この方法は、0.05μg/mlの定量限界で、正確(101.2~101.4%)かつ精密(CV2.42%)であることが分かった。実行時間は、6分であると定義された。選択性を決定し(製剤賦形剤)、薬物保持時間に干渉は認められなかった。さらに、ピーク面積は、実験に用いた全ての賦形剤の存在下で変化しなかった。
【0101】
示差走査熱量測定(DSC)分析(DIN EN ISO 11357-2:2013)
配合された薬物が非晶質(ガラス転移)または結晶質(溶融/結晶化ピーク)の外観を示したか否かを判定するために、固体のSNEDDSおよびPODSを、DSCにより熱的に分析した。ガラス転移は、非晶質または部分的に非晶質の材料内で、硬くて比較的脆い凍結状態から溶融状態またはもっと正確に言えばゴム状態への可逆的転移である。固体のSNEDDSおよびPODSのサーモグラムにおける結晶特性および/または非晶質特性に関する変化および/またはシフトを確認するために、純粋な薬物物質の融点およびポリマーのガラス転移温度を調査した。5~10mgの試料を、それぞれ小さな穴の開いたアルミニウム鍋に量り入れ、蓋を冷間封止し、不活性窒素雰囲気下で連続的に測定を行いながら、0℃から始めて200℃までの加熱-冷却-加熱サイクルに曝した。一定の加熱/冷却速度を、10℃/分に設定した。得られたサーモグラムにおいて、吸熱提示法を用いて、温度に対して熱流をプロットする。評価は、2回目の加熱サイクルに基づいており、表示の値は、ガラス転移区間での平均値である。Mettler Toledo(ギーセン、独国)製のDSC 3+(DSC-HC01)を用いて分析を行った。
【0102】
安定性試験
固体のSNEDDSおよびPODSを、Binder GmbH(トゥットリンゲン、独国)製の人工気候室内で一定の制御された条件(30℃/65%RH)で6カ月間保存した。試料を、30mlの琥珀色のグラスで保持し、スクリューキャップで閉じた。3カ月後および6カ月後に、試料を取り出し、外観、薬物放出、およびDSCに関する結果を、製造時の試料のデータと比較した。
【0103】
SNEDDS溶液の組成
【表1】
【表2】
【表3】
【0104】
固体のSNEDDSおよびPODSの組成およびホットメルト押出しプロセスのパラメータ
評価した全てのポリマーを、20%のSNEDDS溶液負荷までしか処理できなかったSoluplus(登録商標)を除いて、ホットメルト押出しにより30%のSNEDDS溶液負荷で処理した。Soluplus(登録商標)は、全ての固体のSNEDDS製剤の中で最も低いSNEDDS溶液負荷を示し、したがって、最も低い薬物負荷を示した。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0105】
DSC分析による薬物、純粋なポリマー、PODSおよび固体のSNEDDSの熱特性評価
【表10】
【表11】
【0106】
残留モノマー(ReMo)分析およびモノマー転化率
残留モノマー分析(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが6.16重量%、ブチルメタクリレートが0.002重量%、およびメチルメタクリレートが0.035重量%)の結果(第12表の平均値)に基づいて、モノマー比を2:1:1(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド:ブチルメタクリレート:メチルメタクリレート)とした場合、平均モノマー転化率を、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが87.68%、ブチルメタクリレートが99.99%、メチルメタクリレートが99.86%と算出した。これにより、最終的なポリマー組成は、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが46.74重量%、ブチルメタクリレートが26.65重量%、メチルメタクリレートが26.61重量%となる。
【表12】
【0107】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
記載されたGPC法を実行して、4つの異なる濃度の連鎖移動剤n-ドデシルメルカプタンを用いて合成したジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマーについて、数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)および多分散性指数(PDI)を測定した。結果を第13表に示す。
【表13】
【0108】
溶解試験
セレコキシブを配合した固体のSNEDDSについての最高レベルの薬物放出を、E-173 kDaによって達成した(図1)。さらに、この製剤は、実施した溶解試験の120分間を通して安定であり、沈殿を全く示さなかった。一般に、セレコキシブを配合したPODSと比較して、固体のSNEDDSは、より高いレベルの薬物放出と、より速いレベルの薬物放出を示した。セレコキシブ、E-173 kDaおよびSoluplus(登録商標)を配合したPODSについては、120分後に約88%の最も高い薬物放出を示した(図2)。
【0109】
エファビレンツを配合した固体のSNEDDSについての最高レベルの薬物放出を、E-173 kDaによって、そのすぐ後にSoluplus(登録商標)およびE-254 kDaによって達成した(図3)。これらの3つの製剤は、実施した溶解試験の120分間にわたり安定であり、全く沈殿を示さなかった。一般に、エファビレンツを配合したPODSと比較して、固体のSNEDDSは、より高いレベルの薬物放出ならびにより速い薬物放出を示した。エファビレンツを配合したPODSについては、E-173 kDaおよびSoluplus(登録商標)は、120分後に約80%の最も高い薬物放出を示した(図4)。
【0110】
フェノフィブラートを配合した固体のSNEDDSについての最高レベルの薬物放出を、E-173 kDaおよびKollidon(登録商標)VA64によって、そのすぐ後にSoluplus(登録商標)、Affinisol(登録商標)HPMC 100 LVおよびKollidon(登録商標)17 PFによって達成した(図5)。これらの5種の製剤は、実施した溶解試験の120分間を通して安定であり、沈殿を全く示さなかった。一般に、フェノフィブラートを配合したPODSと比較して、固体のSNEDDSは、より高いレベルの薬物放出ならびにより速い薬物放出を示した。フェノフィブラートを配合したPODSについて、E-173 kDaは、120分後に約30%の最も高い薬物放出を顕著に示した(図6)。フェノフィブラートの初期バースト放出を、Soluplus(登録商標)について同定し、続いて試験10分後に沈殿させた(図6)。
【0111】
安定性試験
外観
定義された一定の条件下(30℃/65%RH)で3カ月の保存の後、ほぼ全ての試料は、集塊の顕著な形成を示さず、容易に還流することができた。ポリマーのSoluplus(登録商標)を用いて製造した固体のSNEDDSでは、薬物物質セレコキシブを含む試料でより大きな集塊が見られた。
【0112】
溶解試験(3カ月保存した後)
固体のSNEDDSおよびPODSの溶解試験を、薬物物質セレコキシブのための前述の方法を使用して実施し、120分後の薬物放出のパーセンテージを決定した(図7および図8)。ポリマーに応じた製造時の試料と比較して、薬物放出の様々な減少を、検出することができた(第14表)。AQOAT(登録商標)AS-MMPは、3カ月の保存後に薬物放出の減少を示さなかった。薬物放出の減少がなかったこのポリマーとは別に、E-173 kDaは、保存後の固体のSNEDDSならびにPODSについての薬物放出の相対的損失が最も少ないことを示した。Kollidon(登録商標)17 PF、E-281 kDaおよびE-305 kDaを除いて、いずれの固体のSNEDDSも、対応するPODS製剤と比較して、保存後の薬物放出の損失がより少ないことが明らかになった。
【表14】
【0113】
薬物放出とガラス転移温度(T)/分子量(M)との相関
Evonik Nutrition & Care GmbH(ダルムシュタット、独国)の研究開発によるコポリマーについて、「ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(2:1:1、重量比)(E-173 kDa、E-254 kDa、E-281 kDa、E-305 kDa)」、薬物放出とそのTまたはMとの相関関係が提示される。相関を重視したデータ(前述)を図9~14に示す。薬物物質セレコキシブおよびフェノフィブラートについてのデータは、薬物放出とT/Mとの完全な相関(r=1)をほぼ示した(図9図10図13、および図14)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】