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2023-528022表盤上における三次元的オブジェクトの形成
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  • -表盤上における三次元的オブジェクトの形成 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】表盤上における三次元的オブジェクトの形成
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/10 20060101AFI20230626BHJP
   G04B 45/00 20060101ALI20230626BHJP
   G04B 19/12 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G04B19/10 Z
G04B45/00 D
G04B19/10 E
G04B19/12 A
G04B19/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022573276
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2021066146
(87)【国際公開番号】W WO2021255043
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】20180566.0
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519195497
【氏名又は名称】ルバテル・エ・ワイエルマン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルノー,フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ,ピエール
(57)【要約】
【課題】 複雑な形を有する携行型時計のためのオブジェクトを形成する。
【解決手段】 本発明は、携行型時計の表盤及び/又は携行型時計のベゼル上に三次元的オブジェクト(220)を堆積によって形成する方法(500)に関する。この方法(500)は、少なくとも、少なくとも1つの支持体(210)を用意し(510)、接着層(120)を堆積させる(520)。オブジェクト(220)の輪郭(229)は、複数のポリマー層(130)の堆積によって空洞(225)が形成(540)されるように境界策定(530)されて、少なくとも1つの仕上げ層(140)の堆積(520)によってオブジェクト(220)が空洞(225)を充填(550)することによってオブジェクト(220)が形成されるようにする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは携行型時計のための、オブジェクト(220)を堆積によって形成する方法(500)であって、
前記オブジェクト(220)には、周部、少なくとも1つの第1の面(221)、及び/又は体積があり、
この方法(500)は、
少なくとも1つの受け面(211)がある少なくとも1つの支持体(210)を用意するステップ(510)と、
接着層(120)を前記少なくとも1つの受け面(211)上に堆積させるステップ(520)と、
堆積させた接着層(120)上に、前記オブジェクト(220)の前記周部、前記少なくとも1つの第1の面(221)及び/又は前記体積に対応する輪郭(229)の境界策定を行うステップ(530)と、
前記オブジェクト(220)の前記周部、前記少なくとも1つの第1の面(221)及び/又は前記体積に対応する前記接着層(120)の部分が、好ましくは自由であるように、上を向くようにされて、前記接着層(120)上に複数のポリマー層(130)を堆積させることによって前記輪郭(229)に沿って空洞(225)を形成するステップ(540)と、
前記接着層(120)の前記部分上に、少なくとも1つの仕上げ層(140)を堆積させる(520)ことによって、前記空洞(225)を充填するステップ(550)と、
前記支持体(210)の前記少なくとも1つの受け面(211)を露出させるように、前記複数のポリマー層(130)及び堆積させた前記接着層(120)に対して表面処理を行うステップ(560)と、を備える
ことを特徴とする方法(500)。
【請求項2】
前記オブジェクト(220)には、前記少なくとも1つの第1の面(221)よりも曲がっている少なくとも1つの第2の面(222)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(500)。
【請求項3】
前記空洞(225)及び/又は輪郭(229)は、前記オブジェクト(220)の正中線(223)に沿って形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法(500)。
【請求項4】
前記正中線(223)は、前記少なくとも1つの受け面(211)と斜めの角度を形成する
ことを特徴とする請求項3に記載の方法(500)。
【請求項5】
前記オブジェクト(220)は、前記複数のポリマー層(130)にアンダーカット(224)を形成する、又は
前記オブジェクト(220)は、アンダーカット(224)を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項6】
前記空洞(225)は、付加製造によって形成する(540)
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項7】
前記接着層(120)は、Au、Cu、Ag、In、Pt、Pd、Ni、Ti、Ta、Cr、Th又はこれらの材料の合金から選択された少なくとも1種類の材料を含む
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの仕上げ層(140)は、Au、Pt、Ag、Cr、Pd又はこれらの材料の合金から選択される少なくとも1種類の材料を含む
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項9】
前記表面処理(560)は、酸洗及び/又は剥離によって行う
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項10】
前記支持体(210)は、セラミックスによって作られている
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項11】
前記接着層(120)の前記堆積(520)は、前記少なくとも1つの受け面(211)と接触するように行う
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項12】
少なくとも1つの支持体(210)と、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法(500)を実行して作られたオブジェクト(220)と、を備える
ことを特徴とする携行型時計。
【請求項13】
前記少なくとも1つの支持体(210)は、表盤又はベゼルである
ことを特徴とする請求項12に記載の携行型時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトを形成する方法に関する。特に、本発明は、層を堆積させることによって、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の表盤の三次元的オブジェクトを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材上にパターンを形成するための技術は、従来技術においていくつか存在する。しかし、これらの技術では、アンダーカットがあるオブジェクトを作ることはできない。
【0003】
特に、現状の方法は、指向性のある光線を用いて、断面が長方形や台形やひし形のような多角形のパターンを形成する。
【0004】
現状、より複雑な形は、この方法では可能ではなく、例えば、丸まった輪郭や曲面を作ることはできない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、好ましくは携行型時計のための、オブジェクトを堆積によって形成する方法を提供することによって、前記課題を完全に又は部分的に克服することを提案するものである。
【0006】
前記オブジェクトには、周部、少なくとも1つの第1の面、及び/又は体積があり、この方法は、少なくとも1つの受け面がある少なくとも1つの支持体を用意するステップと、接着層を前記少なくとも1つの受け面上に堆積させるステップと、堆積させた接着層上に、前記オブジェクトの前記周部、前記少なくとも1つの第1の面及び/又は前記体積に対応する輪郭の境界策定を行うステップと、前記オブジェクトの前記周部、前記少なくとも1つの第1の面及び/又は前記体積に対応する前記接着層の部分が、好ましくは自由であるように、上を向くようにされるように、前記接着層上に複数のポリマー層を堆積させることによって前記輪郭に沿って空洞を形成するステップと、前記接着層の前記部分上に、少なくとも1つの仕上げ層を堆積させることによって、前記空洞を充填するステップと、前記支持体の前記少なくとも1つの受け面を露出させるように、前記複数のポリマー層及び堆積させた前記接着層に対して表面処理を行うステップと、を備える。
【0007】
これによって、丸まった輪郭や曲面のような複雑な形を有するオブジェクトを作ることができるようになる。
【0008】
一実施形態において、前記オブジェクトには、前記少なくとも1つの第1の面よりも曲がっている少なくとも1つの第2の面がある。
【0009】
これによって、曲面など複雑な形を有するオブジェクトを作ることができるようになる。
【0010】
一実施形態において、前記空洞及び/又は輪郭は、前記オブジェクトの正中線に沿って形成される。
【0011】
一実施形態において、前記正中線は、前記少なくとも1つの受け面と斜めの角度を形成する。
【0012】
一実施形態において、前記オブジェクトは、前記複数のポリマー層にアンダーカットを形成する、又は前記オブジェクトは、アンダーカットを含む。
【0013】
上記のいずれによっても、アンダーカットがある複雑な形を有するオブジェクトを作ることができる。
【0014】
一実施形態において、前記空洞は、付加製造によって形成される。
【0015】
上記のいずれによっても、アンダーカットがある複雑な形を有するオブジェクトを作ることができる。
【0016】
一実施形態において、前記接着層は、Au、Cu、Ag、In、Pt、Pd、Ni、Ti、Ta、Cr、Th又はこれらの材料の合金から選択される少なくとも1種類の材料を含む。
【0017】
一実施形態において、前記少なくとも1つの仕上げ層は、これらの材料から選択される少なくとも1種類の材料を含む。
【0018】
これらの材料のおかげで、付加製造によって複雑な形を作ることができる。
【0019】
一実施形態において、前記表面処理は、酸洗及び/又は剥離によって行う。
【0020】
これのおかげで、前記支持体の前記少なくとも1つの受け面は、視覚的外観を良くすることができる。
【0021】
一実施形態において、前記支持体は、セラミックスによって作られている。
【0022】
一実施形態において、前記接着層の前記堆積は、前記少なくとも1つの受け面と接触するように行う。
【0023】
これによって、前記少なくとも1つの受け面を導電性にすることができる。
【0024】
本発明は、少なくとも1つの支持体と、本発明の前記方法を実行して作られたオブジェクトとを備える携行型時計に関する。
【0025】
一実施形態において、前記少なくとも1つの支持体は、表盤又はベゼルである。
【0026】
以下、添付の図面を用いて本発明について詳細に説明する。これは例として与えられるものであり、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る堆積方法500を示している。
図2】アンダーカット224及び/又は曲面があるオブジェクトの例を示している。
図3】アンダーカット224及び/又は曲面があるオブジェクトの例を示している。
図4】前記堆積方法500に従って作られた携行型時計の表盤の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図2及び3は、形のために複雑であるとされるいくつかのオブジェクトを示している。具体的には、これらのオブジェクトには、少なくとも1つの曲面があり、アンダーカット224があり、このために、これらの形を工業規模で再現することは難しい。
【0029】
特に、現状の方法はほとんど、指向性のある光線を用いて、断面が長方形であるパターンを形成する。
【0030】
しかし、曲面であれば、ユーザーから好評を得られる外観を得ることができる。このために、出願人は、図1に示している、好ましくはセラミックスによって作られた、少なくとも1つの支持体210上に、オブジェクト220を形成するための堆積方法500を提案するものであり、このオブジェクト220は、携行型時計の表盤210又は携行型時計のベゼル210の形態であることができる。
【0031】
オブジェクト220には、周部、少なくとも1つの第1の面221、図2及び3に示しているようにこの少なくとも1つの第1の面221よりも曲がっている少なくとも1つの第2の面222、及び/又は体積があることができる。
【0032】
第1のステップにおいて、少なくとも1つの受け面211がある前記少なくとも1つの支持体210が用意される(510)。その後に、接着層120を前記少なくとも1つの受け面211上に堆積させ(520)、この接着層120は、PVD、CVDやPE CVD、又はALDのような乾燥プロセスを用いて、Au、Cu、Ag、In、Pt、Pd、Ni、Ti、Ta、Cr、Th又はこれらの材料の合金から選択された少なくとも1種類の材料によって作られた、1つ又は複数の層によって形成することができ、好ましくは、前記少なくとも1つの受け面211を導電性にするように前記少なくとも1つの受け面211に接触する。
【0033】
堆積された前記接着層120上における前記オブジェクト220の輪郭229を決めるために境界策定を行う(530)。前記輪郭229は、前記オブジェクト220の前記周部、前記少なくとも1つの第1の面221、前記少なくとも1つの第2の面222及び/又は前記体積に対応する。図1~4におけるオブジェクト220のすべてにおいて、アンダーカット224が存在することがわかる。前記アンダーカット224は、ポジ型又はネガ型であることがあり、光源に指向性があってアンダーカットがあるオブジェクトを作ることができないために、現状の方法では作ることができず、特に、例えば、携行型時計の表盤上のオブジェクトを作ることができない。
【0034】
前記輪郭229の境界策定530は、好ましくは前記オブジェクト220の正中線223に沿って、前記輪郭229に沿って空洞225を形成540するために不可欠である。オブジェクト220の正中線は、前記少なくとも1つの受け面211に対して垂直であるが、いくつかの実施形態において、前記正中線223は、前記少なくとも1つの受け面211に対して斜めの角度を形成していることができる。
【0035】
前記オブジェクト220の前記周部、前記少なくとも1つの第1の面221及び/又は前記体積に対応する前記接着層120の部分が、好ましくは自由であるように、上を向いているように、前記接着層120上に付加製造によって複数のポリマー層130を堆積させることによって空洞225を形成する(540)。すなわち、前記接着層120の前記部分は、ポリマー層130で覆われないことができる。
【0036】
前記接着層120の、好ましくは自由である、前記上を向いた部分にある、空洞225は、前記材料又は前記材料の合金から選択される少なくとも1種類の材料を含む少なくとも1つの仕上げ層140の堆積520によって充填される。これらの材料は、付加製造によって複雑な形を作ることを可能にするように選択される。
【0037】
最適な外観を得るために、堆積させた前記複数のポリマー層130上及び前記接着層120に対して、例えば酸洗及び/又は剥離によって、表面処理560を行って、前記支持体210の前記少なくとも1つの受け面211を露出させ、前記支持体210の前記少なくとも1つの受け面211に良い外観を与えることができる。上面が前記少なくとも1つの第2の面222である場合、前記少なくとも1つの第2の面222は、ポリマー層130で覆われ、前記表面処理560は、前記少なくとも1つの第2の面222の外観を損なわずに前記上面上に存在する前記複数のポリマー層130を除去する。
【0038】
したがって、本発明のおかげで、丸まった輪郭や曲面のような複雑な形を有するオブジェクトを作ることができ、したがって、新規で高い評価を得られる外観を有する携行型時計の表盤210及び/又は携行型時計のベゼル210を作ることができる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトを形成する方法に関する。特に、本発明は、層を堆積させることによって、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の表盤の三次元的オブジェクトを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材上にパターンを形成するための技術は、従来技術においていくつか存在する。しかし、これらの技術では、アンダーカットがあるオブジェクトを作ることはできない。
【0003】
特に、現状の方法は、指向性のある光線を用いて、断面が長方形や台形やひし形のような多角形のパターンを形成する。
【0004】
現状、より複雑な形は、この方法では可能ではなく、例えば、丸まった輪郭や曲面を作ることはできない。
【0005】
欧州特許出願EP3536826A1は、請求項1の前文において、携行型時計のためのオブジェクトの形成のための堆積方法を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、好ましくは携行型時計のための、オブジェクトを堆積によって形成する方法を提供することによって、前記課題を完全に又は部分的に克服することを提案するものである。前記オブジェクトには、周部、少なくとも1つの第1の面、及び/又は体積があり、この方法は、少なくとも1つの受け面がある少なくとも1つの支持体を用意するステップと、接着層を前記少なくとも1つの受け面上に堆積させるステップと、堆積させた接着層上に、前記オブジェクトの前記周部、前記少なくとも1つの第1の面及び/又は前記体積に対応する輪郭の境界策定を行うステップと、前記オブジェクトの前記周部、前記少なくとも1つの第1の面及び/又は前記体積に対応する前記接着層の部分が、好ましくは自由であるように、上を向くようにされるように、前記接着層上に複数のポリマー層を堆積させることによって前記輪郭に沿って空洞を形成するステップと、前記接着層の前記部分上に、少なくとも1つの仕上げ層を堆積させることによって、前記空洞を充填するステップと、前記支持体の前記少なくとも1つの受け面を露出させるように、前記複数のポリマー層及び堆積させた前記接着層に対して表面処理を行うステップと、を備える。
【0007】
これによって、丸まった輪郭や曲面のような複雑な形を有するオブジェクトを作ることができるようになる。
【0008】
一実施形態において、前記オブジェクトには、前記少なくとも1つの第1の面よりも曲がっている少なくとも1つの第2の面がある。
【0009】
これによって、曲面など複雑な形を有するオブジェクトを作ることができるようになる。
【0010】
一実施形態において、前記空洞及び/又は輪郭は、前記オブジェクトの正中線に沿って形成される。
【0011】
一実施形態において、前記正中線は、前記少なくとも1つの受け面と斜めの角度を形成する。
【0012】
一実施形態において、前記オブジェクトは、前記複数のポリマー層にアンダーカットを形成する、又は前記オブジェクトは、アンダーカットを含む。
【0013】
上記のいずれによっても、アンダーカットがある複雑な形を有するオブジェクトを作ることができる。
【0014】
一実施形態において、前記空洞は、付加製造によって形成される。
【0015】
上記のいずれによっても、アンダーカットがある複雑な形を有するオブジェクトを作ることができる。
【0016】
一実施形態において、前記接着層は、Au、Cu、Ag、In、Pt、Pd、Ni、Ti、Ta、Cr、Th又はこれらの材料の合金から選択される少なくとも1種類の材料を含む。
【0017】
一実施形態において、前記少なくとも1つの仕上げ層は、これらの材料から選択される少なくとも1種類の材料を含む。
【0018】
これらの材料のおかげで、付加製造によって複雑な形を作ることができる。
【0019】
一実施形態において、前記表面処理は、酸洗及び/又は剥離によって行う。
【0020】
これのおかげで、前記支持体の前記少なくとも1つの受け面は、視覚的外観を良くすることができる。
【0021】
一実施形態において、前記支持体は、セラミックスによって作られている。
【0022】
一実施形態において、前記接着層の前記堆積は、前記少なくとも1つの受け面と接触するように行う。
【0023】
これによって、前記少なくとも1つの受け面を導電性にすることができる。
【0024】
本発明は、少なくとも1つの支持体と、本発明の前記方法を実行して作られたオブジェクトとを備える携行型時計に関する。
【0025】
一実施形態において、前記少なくとも1つの支持体は、表盤又はベゼルである。
【0026】
以下、添付の図面を用いて本発明について詳細に説明する。これは例として与えられるものであり、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る堆積方法500を示している。
図2】アンダーカット224及び/又は曲面があるオブジェクトの例を示している。
図3】アンダーカット224及び/又は曲面があるオブジェクトの例を示している。
図4】前記堆積方法500に従って作られた携行型時計の表盤の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図2及び3は、形のために複雑であるとされるいくつかのオブジェクトを示している。具体的には、これらのオブジェクトには、少なくとも1つの曲面があり、アンダーカット224があり、このために、これらの形を工業規模で再現することは難しい。
【0029】
特に、現状の方法はほとんど、指向性のある光線を用いて、断面が長方形であるパターンを形成する。
【0030】
しかし、曲面であれば、ユーザーから好評を得られる外観を得ることができる。このために、出願人は、図1に示している、好ましくはセラミックスによって作られた、少なくとも1つの支持体210上に、オブジェクト220を形成するための堆積方法500を提案するものであり、このオブジェクト220は、携行型時計の表盤210又は携行型時計のベゼル210の形態であることができる。
【0031】
オブジェクト220には、周部、少なくとも1つの第1の面221、図2及び3に示しているようにこの少なくとも1つの第1の面221よりも曲がっている少なくとも1つの第2の面222、及び/又は体積があることができる。
【0032】
第1のステップにおいて、少なくとも1つの受け面211がある前記少なくとも1つの支持体210が用意される(510)。その後に、接着層120を前記少なくとも1つの受け面211上に堆積させ(520)、この接着層120は、PVD、CVDやPE CVD、又はALDのような乾燥プロセスを用いて、Au、Cu、Ag、In、Pt、Pd、Ni、Ti、Ta、Cr、Th又はこれらの材料の合金から選択された少なくとも1種類の材料によって作られた、1つ又は複数の層によって形成することができ、好ましくは、前記少なくとも1つの受け面211を導電性にするように前記少なくとも1つの受け面211に接触する。
【0033】
堆積された前記接着層120上における前記オブジェクト220の輪郭229を決めるために境界策定を行う(530)。前記輪郭229は、前記オブジェクト220の前記周部、前記少なくとも1つの第1の面221、前記少なくとも1つの第2の面222及び/又は前記体積に対応する。図1~4におけるオブジェクト220のすべてにおいて、アンダーカット224が存在することがわかる。前記アンダーカット224は、ポジ型又はネガ型であることがあり、光源に指向性があってアンダーカットがあるオブジェクトを作ることができないために、現状の方法では作ることができず、特に、例えば、携行型時計の表盤上のオブジェクトを作ることができない。
【0034】
前記輪郭229の境界策定530は、好ましくは前記オブジェクト220の正中線223に沿って、前記輪郭229に沿って空洞225を形成540するために不可欠である。オブジェクト220の正中線は、前記少なくとも1つの受け面211に対して垂直であるが、いくつかの実施形態において、前記正中線223は、前記少なくとも1つの受け面211に対して斜めの角度を形成していることができる。
【0035】
前記オブジェクト220の前記周部、前記少なくとも1つの第1の面221及び/又は前記体積に対応する前記接着層120の部分が、好ましくは自由であるように、上を向いているように、前記接着層120上に付加製造によって複数のポリマー層130を堆積させることによって空洞225を形成する(540)。すなわち、前記接着層120の前記部分は、ポリマー層130で覆われないことができる。
【0036】
前記接着層120の、好ましくは自由である、前記上を向いた部分にある、空洞225は、前記材料又は前記材料の合金から選択される少なくとも1種類の材料を含む少なくとも1つの仕上げ層140の堆積520によって充填される。これらの材料は、付加製造によって複雑な形を作ることを可能にするように選択される。
【0037】
最適な外観を得るために、堆積させた前記複数のポリマー層130上及び前記接着層120に対して、例えば酸洗及び/又は剥離によって、表面処理560を行って、前記支持体210の前記少なくとも1つの受け面211を露出させ、前記支持体210の前記少なくとも1つの受け面211に良い外観を与えることができる。上面が前記少なくとも1つの第2の面222である場合、前記少なくとも1つの第2の面222は、ポリマー層130で覆われ、前記表面処理560は、前記少なくとも1つの第2の面222の外観を損なわずに前記上面上に存在する前記複数のポリマー層130を除去する。
【0038】
したがって、本発明のおかげで、丸まった輪郭や曲面のような複雑な形を有するオブジェクトを作ることができ、したがって、新規で高い評価を得られる外観を有する携行型時計の表盤210及び/又は携行型時計のベゼル210を作ることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行型時計のためのオブジェクト(220)を堆積によって形成する方法(500)であって、
前記オブジェクト(220)には、周部、少なくとも1つの第1の面(221)、及び/又は体積があり、
この方法(500)は、
少なくとも1つの受け面(211)がある少なくとも1つの支持体(210)を用意するステップ(510)と、
前記少なくとも1つの受け面(211)を導電性にするように、Au、Cu、Ag、In、Pt、Pd、Ni、Ti、Ta、Cr、Th又はこれらの材料の合金から選択された少なくとも1種類の材料によって作られた1つ又は複数の層によって形成されている接着層(120)を前記少なくとも1つの受け面(211)上に堆積させるステップ(520)と、
堆積させた接着層(120)上に、前記オブジェクト(220)の前記周部、前記少なくとも1つの第1の面(221)及び/又は前記体積に対応する輪郭(229)の境界策定を行うステップ(530)と、
前記オブジェクト(220)の前記周部、前記少なくとも1つの第1の面(221)及び/又は前記体積に対応する前記接着層(120)の部分が、好ましくは自由であるように、上を向くようにされて、ポリマー層(130)によって覆われないように、前記接着層(120)上に複数のポリマー層(130)を堆積させることによって前記輪郭(229)に沿って空洞(225)を形成するステップ(540)と、
前記接着層(120)の前記部分上に、Au、Cu、Ag、In、Pt、Pd、Ni、Ti、Ta、Cr、Th又はこれらの材料の合金から選択される少なくとも1種類の材料を含む少なくとも1つの仕上げ層(140)を堆積させる(520)ことによって、前記空洞(225)を充填するステップ(550)と、
前記支持体(210)の前記少なくとも1つの受け面(211)を露出させるように、前記複数のポリマー層(130)及び堆積させた前記接着層(120)に対して表面処理を行うステップ(560)と、を備え、
前記複数のポリマー層(130)の前記堆積は、付加製造によって行う
ことを特徴とする方法(500)。
【請求項2】
前記オブジェクト(220)には、前記少なくとも1つの第1の面(221)よりも曲がっている少なくとも1つの第2の面(222)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(500)。
【請求項3】
前記空洞(225)及び/又は輪郭(229)は、前記オブジェクト(220)の正中線(223)に沿って形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法(500)。
【請求項4】
前記正中線(223)は、前記少なくとも1つの受け面(211)と斜めの角度を形成する
ことを特徴とする請求項3に記載の方法(500)。
【請求項5】
前記オブジェクト(220)は、前記複数のポリマー層(130)にアンダーカット(224)を形成する、又は
前記オブジェクト(220)は、アンダーカット(224)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(500)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの仕上げ層(140)は、Au、Pt、Ag、Cr、Pd又はこれらの材料の合金から選択される少なくとも1種類の材料を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(500)。
【請求項7】
前記表面処理(560)は、酸洗及び/又は剥離によって行う
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(500)。
【請求項8】
前記支持体(210)は、セラミックスによって作られている
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(500)。
【請求項9】
前記接着層(120)の前記堆積(520)は、前記少なくとも1つの受け面(211)と接触するように行う
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(500)。
【請求項10】
少なくとも1つの支持体(210)と、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法(500)を実行して作られたオブジェクト(220)と、を備える
ことを特徴とする携行型時計。
【請求項11】
前記少なくとも1つの支持体(210)は、表盤又はベゼルである
ことを特徴とする請求項10に記載の携行型時計。
【国際調査報告】