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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】電気手術装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20230626BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20230626BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20230626BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
H02J50/10
A61B18/18
H02J50/20
H02J7/00 301D
H02J7/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573405
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2021064860
(87)【国際公開番号】W WO2021245173
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】2008464.6
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリス
【テーマコード(参考)】
4C160
5G503
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK22
4C160KK37
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB02
5G503DA07
5G503FA03
5G503GB08
5G503GB09
(57)【要約】
無線で充電し得る再充電可能な電源を有する電気手術装置が提供される。装置は、電磁(EM)エネルギー(例えば、無線周波数エネルギーまたはマイクロ波周波数エネルギー)を生成するための発振器と、発振器のためにエネルギー送達プロファイルを選択するように動作可能なコントローラと、電磁エネルギーを出力に伝達するための給電構造と、発振器に電力を供給するように構成された再充電可能な電源と、送信機から電力を無線で受信し、受信した電力を再充電可能な電源に供給するように構成された誘導結合器を含む受信機回路とを含む。エネルギー送達プロファイルの選択は、一例では発振器をオンまたはオフに切り替えることを伴う場合もあれば、いくつかの実施形態では、パルスプロファイルの選択などのより複雑な操作を含む場合もある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術装置であって、
電磁エネルギーを発生させるための発振器と、
前記発振器のためにエネルギー送達プロファイルを選択するように動作可能なコントローラと、
前記電磁エネルギーを出力に伝達するための給電構造と、
前記発振器に電力を供給するように構成された再充電可能な電源と、
送信機から電力を無線で受信し、受信した電力を前記再充電可能な電源に供給するように構成された誘導結合器を備える受信機回路と
を備える、前記電気手術装置。
【請求項2】
前記給電構造が変圧器を備える、請求項1に記載の電気手術装置。
【請求項3】
前記誘導結合器が、前記変圧器の二次コイルを備える、請求項2に記載の電気手術装置。
【請求項4】
前記変圧器の一次コイルの1巻きごとに、前記変圧器の二次コイルの少なくとも10巻きがある、請求項2または請求項3に記載の電気手術装置。
【請求項5】
前記装置が、無線周波数電磁エネルギー発生器を備え、前記給電構造が、前記無線周波数電磁エネルギーを前記出力に伝達するために無線周波数チャネルを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項6】
前記装置が、マイクロ波周波数電磁エネルギー発生器を備え、前記給電構造が、前記マイクロ波周波数電磁エネルギーを前記出力に伝達するためにマイクロ波チャネルを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項7】
前記再充電可能な電源がリチウムイオンポリマー電池である、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項8】
前記受信機回路から電力を受信するための第1のモードと、前記発振器に電力を提供するための第2のモードとの間で前記再充電可能な電源を切り替えるように動作可能なスイッチング回路をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項9】
前記コントローラが前記スイッチング回路を操作するように構成される、請求項8に記載の電気手術装置。
【請求項10】
前記受信機回路が、前記再充電可能な電源の有線充電を可能にするように構成される、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項11】
前記出力が、前記再充電可能な電源を充電するためのエネルギーを受信するように構成されたコネクタを形成する、請求項10に記載の電気手術装置。
【請求項12】
前記出力から電磁エネルギーを受信するように接続された電気手術器具をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項13】
前記電気手術器具が前記出力に取り外し可能に接続される、請求項12に記載の電気手術装置。
【請求項14】
前記電気手術器具がバイポーラ同軸切断ツールである、請求項12または請求項13に記載の電気手術装置。
【請求項15】
前記電気手術装置が、ユーザーが手で持てるように適合されたハウジングを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項16】
電気手術システムであって、
請求項1~15のいずれか1項に記載の電気手術装置と、
前記電気手術装置に電力を無線で提供するための送信機と
を備える、前記電気手術システム。
【請求項17】
前記送信機が、誘導結合を介して前記受信機回路に電力を送信するように構成された誘導結合器を有する送信機回路を備える、請求項16に記載の電気手術システム。
【請求項18】
前記送信機が、前記電気手術装置の一部分を受け入れるように適合されたハウジングを備える、請求項16または17に記載の電気手術システム。
【請求項19】
前記電気手術装置に有線電力伝達を提供するために、前記電気手術装置との有線電気接続を形成するように構成された有線充電器をさらに備える、請求項16~18のいずれか1項に記載の電気手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織を治療するために使用され得る無線周波数及び/またはマイクロ波周波数の電磁エネルギーを発生させるための電気手術装置に関する。特に、本発明は、無線で充電し得る再充電可能な電源を有する電気手術装置に関する。いくつかの実施形態では、再充電可能な電源は、有線充電用に構成される。
【背景技術】
【0002】
電気外科手術は、例えば、無線周波数(RF)及び/またはマイクロ波の電磁(EM)エネルギーを使用して、組織を切断及び/または凝固させることによって生体組織を治療するためにRF及び/またはマイクロ波周波数のEMエネルギーを利用する。通常、電気外科手術は、RF及び/またはマイクロ波のEMエネルギーを提供するために大型の発生器の使用を必要とする。しかしながら、ソリッドステート技術の進歩は、現在ではより小型の発生器が可能であり、これらの発生器が移動可能であり得ることを意味する。
【0003】
GB2486343は、生体組織を治療するためにRFエネルギーとマイクロ波エネルギーの両方を送達する電気手術装置用の制御システムを開示している。プローブに送達されるRFエネルギーとマイクロ波エネルギーの両方のエネルギー送達プロファイルは、プローブに伝達されたRFエネルギーのサンプリングされた電圧及び電流の情報と、プローブに及びプローブから伝達されたマイクロ波エネルギーについて順方向にサンプリングされ、反射された電力情報に基づいて設定される。
【0004】
図1は、GB2486343に説明される電気手術装置400の概略図を示す。装置は、RFチャネル及びマイクロ波チャネルを含む。RFチャネルは、生体組織の治療(例えば、切断、または乾燥)に適した電力レベルでRF周波数電磁信号を生成し制御するための構成要素を含む。マイクロ波チャネルは、生体組織の治療(例えば、凝固または焼灼)に適した電力レベルでマイクロ波周波数電磁信号を生成し制御するための構成要素を含む。
【0005】
マイクロ波チャネルは、マイクロ波周波数供給源402と、それに続いて電力スプリッタ424(例えば3dB電力スプリッタ)(供給源402からの信号を2つの分岐に分割する)とを有する。電力スプリッタ424からの一方の分岐が、マイクロ波チャネルを形成し、マイクロ波チャネルは、制御信号V10を介してコントローラ406によって制御される可変減衰器404と、制御信号V11を介してコントローラ406によって制御される信号変調器408とを含む電力制御モジュール、及び治療に適した電力レベルでプローブ420から送達させるための順方向マイクロ波EM放射線を発生させるための駆動増幅器410及び電力増幅器412を含む増幅器モジュールを有する。増幅器モジュールの後、マイクロ波チャネルは、マイクロ波信号カップリングモジュール(マイクロ波信号検出器の一部を構成する)と続く。マイクロ波信号カップリングモジュールは、サーキュレータ416であって、その第1及び第2のポート間の経路に沿ってマイクロ波EMエネルギーを供給源からプローブへ送達するように接続されたサーキュレータ416と、サーキュレータ416の第1のポートにおける順方向結合器414と、サーキュレータ416の第3のポートにおける反射結合器418とを含む。反射結合器を通った後、第3のポートからのマイクロ波EMエネルギーは電力ダンプ負荷422で吸収される。またマイクロ波信号カップリングモジュールは、順方向結合信号または反射結合信号のいずれかを検出用にヘテロダイン受信部に接続するために制御信号V12を介してコントローラ406によって操作されるスイッチ415を含む。
【0006】
電力スプリッタ424からの他方の分岐は測定チャネルを形成する。測定チャネルは、マイクロ波チャネル上で増幅するラインナップをバイパスし、よって、プローブから低電力信号を送達するよう構成される。本実施形態では、制御信号V13を介してコントローラ406によって制御される一次チャネル選択スイッチ426は、プローブに送達するためのマイクロ波チャネルまたは測定チャネルのいずれかからの信号を選択するよう動作可能である。マイクロ波信号発生器を低周波RF信号から保護するために、一次チャネル選択スイッチ426とプローブ420との間に高域通過フィルタ427が接続される。
【0007】
測定チャネルは、プローブから反射された電力の位相及び大きさを検出するように構成された構成要素を含む。検出によって、材料(例えば、プローブの遠位端に存在する生体組織)についての情報が得られ得る。測定チャネルは、サーキュレータ428であって、その第1及び第2のポート間の経路に沿ってマイクロ波EMエネルギーを供給源402からプローブへ送達するように接続されたサーキュレータ428を含む。プローブから戻る反射信号は、サーキュレータ428の第3のポートに向けられる。サーキュレータ428は、順方向信号と反射信号との間に分離を提供して、正確な測定を容易にするために使用される。しかしながら、サーキュレータはその第1のポートと第3のポートとの間に完全な分離を提供しない、すなわち順方向信号の一部は第3のポートへと漏出し、反射信号に干渉するので、(順方向結合器430から)順方向信号の一部を(注入結合器432を介して)第3のポートから出てくる信号に注入して戻す搬送波相殺回路が使用される。搬送波相殺回路は、注入部分が、第1のポートから第3のポートへ漏出するいかなる信号とも、その信号を相殺するために180°位相がずれていることを保証する位相調整器434を含む。また、搬送波相殺回路は、注入部分の大きさが、いかなる漏出信号とも同じであることを保証する信号減衰器436を含む。
【0008】
順方向信号におけるいかなるドリフトも補償するために、測定チャネル上に順方向結合器438が設けられている。順方向結合器438の結合出力と、サーキュレータ428の第3のポートからの反射信号とは、スイッチ440のそれぞれの入力端子に接続される。このスイッチ440は、結合された順方向信号、または反射信号のいずれかを、検出する目的で、ヘテロダイン受信部に接続するために、制御信号V14を介してコントローラ406によって作動される。
【0009】
スイッチ440の出力(すなわち、測定チャネルからの出力)とスイッチ415の出力(すなわち、マイクロ波チャネルからの出力)とが、二次チャネル選択スイッチ442のそれぞれの入力端子に接続されている。二次チャネル選択スイッチ442は、一次チャネル選択スイッチとともに、制御信号V15を介してコントローラ406によって動作可能であり、測定チャネルがプローブにエネルギーを供給しているときに測定チャネルの出力がヘテロダイン受信部に接続されること、及びマイクロ波チャネルがプローブにエネルギーを供給しているときにマイクロ波チャネルの出力がヘテロダイン受信部に接続されることを確実にする。
【0010】
ヘテロダイン受信部は、二次チャネル選択スイッチ442が出力した信号から位相及び大きさ情報を抽出するために用いられる。このシステムでは、シングルヘテロダイン受信部を示しているが、必要ならば、信号がコントローラに入る前にソース周波数を2度ミックスダウンするダブルヘテロダイン受信部(2つの局部発振器及び混合器を含む)を使用してもよい。ヘテロダイン受信部は、局部発振器444と、二次チャネル選択スイッチ442によって出力される信号をミックスダウンするための混合器448とを備える。局部発振器信号の周波数は、混合器448からの出力が、コントローラ406で受信されるのに適した中間周波数になるように選択される。局部発振器444及びコントローラ406を高周波マイクロ波信号から保護するために、帯域通過フィルタ446、450が設けられる。
【0011】
コントローラ406は、ヘテロダイン受信部の出力を受信して、そこから、マイクロ波または測定チャネル上の順方向及び/または反射信号の位相及び大きさを示す情報を決定する(例えば、抽出する)。この情報を使用して、マイクロ波チャネルの高電力マイクロ波EM放射またはRFチャネルの高電力RF EM放射の送達を制御することができる。上記のように、ユーザーは、ユーザーインタフェース452を介してコントローラ406と対話し得る。
【0012】
図1に示すRFチャネルは、制御信号V16を介してコントローラ406によって制御されるゲートドライバ456に接続されたRF周波数供給源454を含む。ゲートドライバ456は、ハーフブリッジ構成であるRF増幅器458に動作信号を供給する。ハーフブリッジ配置のドレイン電圧は、可変DC電源460を介して制御可能である。出力変圧器462が、生成されたRF信号を、プローブ420に送達するためのライン上に転送する。そのライン上には、高周波マイクロ波信号からRF信号発生器を保護するために、低域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、帯域消去フィルタ、またはノッチフィルタ464が接続されている。
【0013】
変流器466が、組織負荷に送達される電流を測定するためにRFチャネル上に接続されている。電圧を測定するために、分圧器468(出力変圧器から一部が取り出され得る)が使用される。分圧器468及び変流器466からの出力信号(すなわち、電圧及び電流を示す電圧出力)は、それぞれの緩衝増幅器470、472及び電圧クランプ用ツェナーダイオード474、476、478、480によって調整された後、コントローラ406に直接接続される(図1に信号B及びCとして示す)。
【0014】
位相情報を得るために、電圧及び電流信号(B及びC)は位相比較器482(例えば、EXORゲート)にも接続される。位相比較器482の出力電圧はRC回路484によって積分されて、電圧波形と電流波形との間の位相差に比例する電圧出力(図1ではAとして示す)を形成する。この電圧出力(信号A)は、コントローラ406に直接接続される。
【0015】
マイクロ波/測定チャネル及びRFチャネルは、信号結合器114に接続される。信号結合器114は、両方の種類の信号を別個にまたは同時に、ケーブルアセンブリ116に沿ってプローブ420に伝達する。プローブ420から、それは患者の生体組織内に送達される(例えば、放射される)。
【0016】
導波管アイソレータ(図示せず)を、マイクロ波チャネルと信号結合器との間の接合部に設けてもよい。導波管アイソレータは3つの機能を行うように構成してもよい。(i)非常に高いマイクロ波電力(例えば、10Wよりも大きい)を通過させること、(ii)RF電力の通過をブロックすること、(iii)高耐電圧(例えば、10kVよりも大きい)をもたらすこと。容量構造(DCブレークとしても知られる)を、導波管アイソレータに(例えば、導波管アイソレータ内に)または導波管アイソレータに隣接して、設けてもよい。容量構造の目的は、隔離障壁にわたる容量結合を減らすことである。
【0017】
本発明は、電気手術装置の改善を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
最も一般的には、本発明は、無線で充電し得る再充電可能な電源を有する電気手術装置を提供する。
【0019】
本発明の第1の態様によれば、電磁(EM)エネルギー(例えば、無線周波数エネルギーまたはマイクロ波周波数エネルギー)を発生させるための発振器と、発振器のためにエネルギー送達プロファイルを選択するように動作可能なコントローラと、電磁エネルギーを出力に伝達するための給電構造と、発振器に電力を供給するように構成された再充電可能な電源と、送信機から電力を無線で受信し、受信した電力を再充電可能な電源に供給するように構成された誘導結合器を含む受信機回路とを含む、電気手術装置が提供される。エネルギー送達プロファイルの選択は、一例では発振器をオンまたはオフに切り替えることを伴う場合もあれば、いくつかの実施形態では、パルスプロファイルの選択などのより複雑な操作を含む場合もある。
【0020】
このようにして、本発明の電気手術装置は、無線で充電し得る。これは、外科の状況または環境で特に重要であり得る、例えば手で持って操作でき、より操作しやすいことによって、電気手術装置が改善された人間工学を有することが容易にし得る。本発明による電気手術装置は、電気外科手術(例えば、切断、凝固、アブレーションなど)での使用に限定されるのではなく、滅菌設備(例えば、熱プラズマまたは非熱プラズマの生成を伴う)など、EMエネルギーを必要とする他の器具とも使用し得ることが想定される。
【0021】
有利なことに、受信機回路は、共振誘導回路などの共振回路を形成し得る。例えば、受信機回路は、コンデンサ、及び任意選択で、誘導結合器と直列または並列に接続し得る抵抗器をさらに含み得る。このようにして、受信機回路は、共振誘導結合によって電力を受信するように構成され得、これにより、送信機から受信機回路へのエネルギー伝達の効率を高め得る。
【0022】
任意選択で、受信機回路は、受信した交流(AC)信号を直流(DC)信号に変換するために整流器及び調整器をさらに含み得る。例えば、整流器は、全波ブリッジ整流器、半波整流器、またはセンタータップ整流器であってよい。
【0023】
好ましくは、給電構造は変圧器を含み得る。例えば、変圧器は、生成されたEMエネルギーを出力への送達用のラインに伝達し得る。以下に説明されるように、変圧器は、EMエネルギーが無線周波数(RF)エネルギーである実施形態で特に好ましい場合がある。好ましくは、変圧器の一次コイルの1巻きごとに、変圧器の二次コイルの少なくとも10巻きがある。例えば、変圧器の一次コイルは4巻きを有し得、変圧器の二次コイルは40巻きを有し得るため、一次コイルの1巻きごとに、二次コイルの10巻きがある。代わりに、変圧器の一次コイルは、15巻きを有し得、変圧器の二次コイルは200巻きを有し得るため、一次コイルの1巻きごとに二次コイルの13を超える巻きがある。いくつかの例では、各コイルの長さは20mmであってよく、各コイルの直径は25mmであってよい。コンデンサは、例えば約158nFのキャパシタンスを有する二次コイルに接続され得る。例えば、二次コイルの共振周波数は400kHzであってよい。また、一次コイル及び/または二次コイルは、例えば空芯または中実芯を有するソレノイドコイル(例えば、ストレートコアコイル)であってよい。400kHzで共振周波数を提供することによって、変圧器は、発振器から出力への最適な電力送達を保証するために、例えば、電気外科手術を実行するためなどの電気手術装置の動作の周波数に特に適し得る。言うまでもなく、これらのパラメータは、例えば、電気外科手術を容易にするために、または無線充電を最適化するために、400kHz以外の周波数であってよい所望の共振周波数を達成するために任意の他の適切な方法で変えられ得、400kHzの調整された共振周波数が、説明されたパラメータに他の値を使用することによって、または別の適切な方法で達成され得ることも想定される。いくつかの実施形態では、変圧器は、例えば、フェライトまたは鉄塵などの磁性材料の中実芯を有し得る。これは、例えばトロイダル磁心の形であってよく、コアは、一次コイルが巻き付けられた第1のセクション及び二次コイルが巻き付けられた第2のセクションの2つのU字形のセクションから形成され、U字形の各アームの端部でフィールド結合が発生する。中実芯は、コイルのサイズ及び抵抗損失を減少させる上で空芯に優って有利である場合がある。
【0024】
代替の巻数及び巻数比は、再充電可能な電源の特徴を、出力での多様な負荷及び負荷インピーダンスに送達するために必要とされる電圧及び電流に一致させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、チョーク及びコンデンサは、変圧器の一次コイル及び/または二次コイルで使用され得、電磁干渉(EMI)フィルタリング及びスイッチングの特性を改善するために、共振フィルタ構造を形成し得る。任意の適切な共振周波数を選んでよいが、好ましくは、そのような変圧器及びフィルタ構造の全体的な通過帯域は、400kHzに共振ピークを有するように調整される。
【0025】
有利なことに、誘導結合器は変圧器の二次コイルを含み得る。そのような構成によって、無線充電用の追加の受信機コイルを必要とせずに電源を無線で再充電することが可能になり、これによって装置の重量は減少し、デバイスの人間工学がさらに改善する。代わりに、本明細書に説明される変圧器の二次コイルの特性及びパラメータ(例えば、長さ、巻数、コア種類)は、受信機回路の誘導結合器に使用し得る。
【0026】
任意選択で、装置は、無線周波数(RF)電磁エネルギー発生器を含み得、給電構造は、マイクロ波周波数EMエネルギーを出力に伝達するために無線周波数チャネルを含み得る。例えば、無線周波数チャネルは、RF EMエネルギーを伝達するために適合され得、図1に関して上述されるRFチャネルのありとあらゆる特徴を含み得る。このようにして、電気手術装置は、RFエネルギーを電気手術器具に送達するために適合され得る。いくつかの実施形態では、図1のRFチャネルの特定の構成要素は省略される場合がある。例えば、コントローラ406は、いくつかの他の構成要素(例えば、470、472、474、476、478、480、482、484)によって提供される機能のいくつかを提供し得るため、これらの他の構成要素は、機能を低下させることなく省略することができる。
【0027】
さらにまたは代わりに、装置は、マイクロ波周波数EMエネルギー発生器を含み得、給電構造は、マイクロ波周波数EMエネルギーを出力に伝達するためにマイクロ波チャネルを含み得る。例えば、マイクロ波周波数チャネルは、マイクロ波EMエネルギーを伝達するために適合され得、図1に関して上述されるマイクロ波チャネルの任意の特長を含み得る。RFチャネルに関して上述されるように、いくつかの実施形態では、マイクロ波チャネルの特定のハードウェアコンポーネントは省略され得、それらの機能は代わりにコントローラソフトウェアによって実行され得る。
【0028】
RF EMエネルギー発生器及びマイクロ波周波数EMエネルギー発生器のそれぞれが存在する実施形態では、RFチャネル及びマイクロ波チャネルは、それぞれのRFエネルギー及びマイクロ波エネルギーを伝達するための物理的に別々の信号経路を含み得る。いくつかの例では、給電構造は、RF EMエネルギーとマイクロ波周波数EMエネルギーを出力に伝達するための(本明細書では電力結合器とも呼ばれる場合がある)信号結合器を含み得る。
【0029】
例えば、発振器はRF発振器またはマイクロ波周波数発振器であってよく、それぞれRF EMエネルギー発生器またはマイクロ波周波数EMエネルギー発生器の一部を形成し得る。すなわち、電気手術装置は、RF EMエネルギー発生器のみを含む場合があるため、発振器はRF EMエネルギー発生器の一部を形成し得る。代わりに、電気手術装置は、マイクロ波EMエネルギー発生器のみを含む場合があるため、発振器は、マイクロ波EMエネルギー発生器の一部を形成し得る。他の実施形態では、発振器が、必要に応じてRF EMエネルギー発生器またはマイクロ波EMエネルギー発生器のいずれかの一部を形成し得るように、RF EMエネルギー発生器及びマイクロ波EMエネルギー発生器のそれぞれが存在する場合がある。例えば、発振器は、RF EMエネルギー及びマイクロ波周波数EMエネルギーの一方しか発生させ得ない場合があり、RF EMエネルギー及びマイクロ波周波数EMエネルギーの他方のエネルギーを発生させることができる第2の発振器が設けられる場合がある。第2の発振器は、再充電可能な電源から電力を受信し得、コントローラによって操作され得、発振器に類似する場合がある。代わりに、発振器は、RF EMエネルギーとマイクロ波周波数EMエネルギーの両方を発生させることができる場合があり、第2の発振器が存在しない場合がある。
【0030】
コンデンサまたは超コンデンサも使用し得るが、好ましくは、再充電可能な電源は電池である。例えば、電池はリチウムイオン電池、またはリチウムイオンポリマーまたはリチウムポリマー(LiPo)電池であってよい。電源の選択は、デバイスの所望の特性に依存する場合がある。例えば、電源は、より高い電流またはより高い電圧を提供するその能力に基づいて選び得る。いくつかの例では、装置は、例えば、電源電圧が放電時に降下するときに出力電力を変化させるために、または電力をよりうまく利用するために、電源からの供給電圧を変化させ得るDC-DCコンバータを含み得る。
【0031】
好ましくは、電気手術装置は、受信機回路から電力を受信するための第1のモードと、発振器に電力を提供するための第2のモードとの間で再充電可能な電源を切り替えるためにスイッチング回路をさらに含む。例えば、コントローラが、スイッチング回路を操作するように構成される場合もあれば、スイッチング回路がコントローラとは無関係に操作される場合もある。
【0032】
好ましくは、受信機回路はまた、誘導結合器を使用する無線充電に加え、再充電可能な電源の有線充電も可能にするように構成され得る。例えば、有線充電を可能にするために、受信機回路は、再充電可能な電源を充電するためのエネルギーを受信するためのコネクタを含み得る。一実施形態では、コネクタは、1つまたは複数のガルバニック接点、または任意の他の適切な電気コネクタの形で提供され得る。さらにまたは代わりに、出力は、コネクタを提供するように構成され得るため、再充電可能な電源は、出力を介してエネルギーを電気手術装置に、受信機回路に送達することによって充電され得る。受信機回路をこのように構成することによって、再充電可能な電源は、無線充電を使用せずに追加的に再充電し得、有線充電は、特定の状況では所望である場合があるより速い充電速度を提供することができる。例えば、臨床状態(例えば、無菌状態)が、再充電可能な電源が無線でまたは有線接続によってのどちらかで充電する必要があることを決定する場合がある。有線充電は、例えば主電源を使用する場合がある。任意選択で、コネクタは、受信機回路を介して再充電可能な電源を充電するために高速充電電流を受信するように適合され得る。
【0033】
任意選択で、電気手術装置は、出力から電磁エネルギーを受信するように接続され、おそらく、受信した電磁エネルギーを、例えば患者の上または中の治療部位にある生体組織に送達するように構成された電気手術器具を含み得る。例えば、電気手術器具は、QMAコネクタなどを介して出力に取り外し可能に接続されて、電気手術装置を様々な電気手術器具とともに使用することを可能にし得る。代わりに、電気手術器具は、電気手術装置と一体であってよい。特定の実施形態では、電気手術器具は、切断器具、凝固器具、アブレーション器具、またはRF EMエネルギーまたはマイクロ波EMエネルギーなどのEMエネルギーを使用し得る任意の他の器具であってよい。好ましくは、電気手術器具は、バイポーラ同軸切断ツールを含み得、例えば、器具を有する電気手術装置は、組織を切断するために使用できる400kHz 150Wの連続波信号を生成できる場合がある。例えば、熱プラズマまたは非熱プラズマを生成するように構成され得る他の電気手術器具も考慮され得る。いくつかの例では、電気手術器具は、同軸ケーブルと、同軸ケーブルの遠位端に取り付けられたプローブ先端とを含み得、プローブ先端は、EMエネルギーを組織に放射し得る。
【0034】
有利なことに、電気手術装置は、ユーザーが手で持てるように適合されたハウジングを含み得る。ハウジングは、発振器、コントローラ、給電構造、再充電可能な電源、及び受信機回路を(例えば、完全に)含み、包み込み得る。電気手術装置が電気手術器具を含む場合、ハウジングは、器具の一部またはすべてを包み込まない場合がある。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に関して上述される電気手術装置と、電気手術装置に電力を無線で提供するための送信機とを含む、電気手術システムが提供される。
【0036】
好ましくは、送信機は、誘導結合(例えば、非共振誘導結合)を介して受信機回路に電力を送信するように構成された誘導結合器を有する送信機回路を含み得る。いくつかの例では、電力は、共振誘導結合によって電気手術装置に無線で送達され得、受信機回路、及びいくつかの例では、送信機回路も共振回路である。
【0037】
任意選択で、送信機は、電気手術装置の一部分を受け入れるように適合されたハウジングを含み得る。例えば、装置のハウジング及び送信機のハウジングは、送信機と電気手術装置との間の電力伝達の最大効率を保証する固定された相対位置にそれらを保持するための対応するインターロック部分を有し得る。
【0038】
任意選択で、電気手術システムは、電気手術装置との有線電気接続を形成するように構成された有線充電器をさらに含み得る。有線充電器は、例えば電気手術装置の電源を再充電するために、電気手術装置に電力を無線ではなく送達するように構成され得る。有線接続は、1つまたは複数のガルバニック接点、または任意の他の適切な電気コネクタを含み得る。さらにまたは代わりに、出力は、コネクタを提供するように構成され得るため、再充電可能な電源は、出力を介してエネルギーを電気手術装置に、受信機回路に送達することによって充電され得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「受信機回路」は、一般に、再充電可能な電源の充電に関与する任意の回路を示すために使用される。これは、再充電可能な電源(いくつかの実施形態では、誘導結合器など)の充電専用に提供される特徴、及び他の機能も実行する特徴(出力が有線充電用のコネクタも形成する場合の出力、二次コイルが無線充電用の誘導結合器として使用される場合の変圧器の二次コイルなど)を含み得る。
【0040】
本明細書において、用語「内側」とは、同軸ケーブル、プローブ先端、及び/またはアプリケータの中心(例えば軸)に、半径方向により近いことを意味する。用語「外側」は、同軸ケーブル、プローブ先端、及び/またはアプリケータの中心(軸)から、半径方向により遠いことを意味する。
【0041】
本明細書では、用語「導電性」は、文脈による別段の指示がない限り、電気伝導性という意味で使用される。
【0042】
本明細書では、用語「近位」及び「遠位」は、アプリケータの端部を指す。使用時、近位端は、RFエネルギー及び/またはマイクロ波エネルギーを発生させる発生器により近く、一方、遠位端は、発生器からより遠い。
【0043】
本明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数範囲であるが、好ましくは1GHz~60GHzの範囲を示すように広範に使用され得る。検討された具体的な周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び25GHzである。対照的に、本明細書は、「無線周波数」または「RF」を使用して、例えば最大300MHz、好ましくは10kHz~1MHz、最も好ましくは400kHzという、少なくとも3桁低い周波数範囲を示す。送達されるマイクロ波エネルギーを最適化できるように、マイクロ波周波数は調整され得る。例えば、プローブ先端は、特定の周波数(例えば900MHz)で動作するように設計され得るが、使用時に最も効率的な周波数は異なる場合がある(例えば866MHz)。
【0044】
用語「電気外科的な」は、手術中に使用され、無線周波数及び/またはマイクロ波周波数の電磁(EM)エネルギーを利用する器具、装置、またはツールに関連して使用される。
【0045】
ここで、本発明の特徴が、下記に提供される本発明の実施例の詳細説明において、添付図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】先行技術の電気手術装置の全体的な概略図であり、上述される。
図2】電気手術装置の簡略化された概略図である。
図3】本発明の第1の実施形態による電気手術システムの概略図である。
図4】本発明の第2の実施形態による電気手術システムの概略図である。
図5】本発明の第3の実施形態による電気手術システムの概略図である。
図6】本発明の第4の実施形態による電気手術システムの概略図である。
図7】本発明の実施形態で使用され得る送信機の概略図である。
図8a】本発明の実施形態による電気手術システムを示す。
図8b】本発明の実施形態による電気手術システムを示す。
図9a】本発明の実施形態による電気手術装置のカットスルー画像を示す。
図9b】本発明の実施形態による電気手術装置のカットスルー画像を示す。
図10】本発明の別の実施形態による電気手術システムの概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明、その他のオプションと構成
本発明は、無線で充電し得る再充電可能な電源を有する電気手術装置に関する。
【0048】
図2は、電気手術装置10の簡略化された概略図を示し、電気手術装置10に関して本発明の利点が以下に説明される。一般に、概略図は、図1に関して上述される電気手術装置に類似する電気手術装置10の簡略化されたバージョンを示す。しかしながら、電気手術装置10は、無線周波数(RF)またはマイクロ波周波数の電磁(EM)エネルギーを発生させるための単一の発振器12のみを含んでいるため、装置10は、RFチャネルまたはマイクロ波チャネルの一方しか含んでいないが、装置400は、RFチャネルとマイクロ波チャネルの両方を含む。
【0049】
例えば図1に関して上述される増幅器、電力スプリッタなどの他の構成要素は、RF EMエネルギーもしくはマイクロ波EMエネルギーを操作するために、及び/または送達及び/または反射されるRFエネルギーもしくはマイクロ波エネルギーを監視するために存在し得るが、明確にするために図2では省略されている。特に、発振器12が、RF EMエネルギーを発生させるように構成される例では、装置10は、同軸ケーブル18への送達のためにライン上にRF信号を転送するために、RFチャネル内に変圧器を含み得る。例えば、同軸ケーブル18は、電気手術器具の一部を形成する場合もあれば、電気手術器具にエネルギーを送達するために提供される場合もある。特定の実施形態では、同軸ケーブル18は、例えば、QMAコネクタなどによって装置10に取り外し可能に接続され得る。
【0050】
図1に関して上述されるように機能の多くを実行するように構成され得るコントローラ14が提供されるが、特に、コントローラ14は、発振器12のためにエネルギー送達プロファイルを選択するように動作可能である。コントローラ14はまた、電気手術器具から透過及び/または反射される放射線を監視し得る。例えば、RF EMエネルギーが供給される実施形態では、コントローラ14は、送信信号の電流及び電圧を監視し得る。マイクロ波EMエネルギーが供給される実施形態では、コントローラ14は、送信信号及び反射信号を監視し得る。
【0051】
電気手術装置10は、発振器12にエネルギーを供給するための再充電可能な電源16を含む。コンデンサまたは超コンデンサなどの任意の適切な再充電可能な電源を考慮し得るが、例えば、再充電可能な電源16は、リチウムポリマー電池などの電池を含み得る。電気手術装置10は、再充電可能である内部電源16を含むので、装置10は、容易に携帯でき、動作するために主電源を必要とする装置または発生器と比較すると、より便利である。本発明は、特に、電源16を無線で充電するための手段に関する。
【0052】
発振器12は、給電構造を介して同軸ケーブル18に接続されており、給電構造は、RFチャネルまたはマイクロ波チャネルの一部を形成し得る。同軸ケーブル18は、電気手術器具(図示せず)に電気手術エネルギーを伝達するために使用される。例えば、電気手術装置10は、RFエネルギーまたはマイクロ波エネルギーを使用して生体組織の切断、切開、凝固、またはアブレーションを実行することができるプローブとともに使用され得、組織を治療するための、またはより一般に滅菌(例えば、デバイス及び機械の滅菌)のためのプラズマを生成するために使用され得る。
【0053】
図3は、本発明の実施形態である電気手術システム20の概略図である。電気手術システム20は、電気手術装置22と、電気手術装置22に電力を無線で提供するための送信機24とを含む。
【0054】
電気手術装置22は、無線周波数(RF)エネルギーを発生させるための発振器26を含む。コントローラ28は、発振器26のためにエネルギー送達プロファイルを選択し、装置22の他の機能を制御するように動作可能である。例えば、コントローラ28は、発振器26をオフ及びオンにするように動作可能であってよい。給電構造は、RFエネルギーを電気手術器具に送達するために使用され得る同軸ケーブル30にRFエネルギーを伝達する。給電構造は、生成されたRF信号を同軸ケーブル30に転送するために変圧器32を含む。いくつかの実施形態では、給電構造は、変圧器32の二次コイルから同軸ケーブル30にエネルギーを伝達するためにツイストペアケーブルを含み得る。同軸ケーブル30からのフィードバック経路34は、コントローラ28が、出力に伝達されるRF信号の電流及び電圧を監視し、発振器26の出力を相応して調整することを可能にするために、コントローラ28に接続される。例えば、図1に関して上述されるように、RFチャネルの他の特徴が存在する場合もあるが、明確にするために図3では省略されている。再充電可能な電源36は、発振器26に電力を提供する。電源36を再充電するために、装置22は、送信機24から電力を無線で受信するための受信機回路38を含む。受信機回路38は、例えば、誘導結合によって送信機24の対応する誘導結合器から電力を受信するための、ワイヤのコイルの形のインダクタを含む誘導結合器を含む。例えば、ワイヤのコイルは、200巻きを含み得、25mmの長さ及び20mmの直径を有し得る。特定の実施形態では、ワイヤのコイルは、好ましくはフェライトまたは鉄塵のコアなどの磁性材料から作られるコアの周りに巻き付けられ得る。言うまでもなく、誘導結合器のパラメータは、誘導結合器が任意の適切な形をとり得るように変更され得る。いくつかの例では、送信機24と受信機回路38との間のエネルギー伝達の効率を高めるために、コアは、一般に、(送信機及び受信機のコアが、無線電力伝達のためにともに配置されるときに概してトロイダル形状を形成するように)送信機24のコイルの一致するU字形のコアに対応し得るU字形で提供され得る。言うまでもなく、コアが任意の適切な形状で提供され得ることが想定される。コントローラ28は、制御ライン42を介してスイッチ40を操作するように構成される。スイッチ40を操作することによって、電源36は、例えば電気外科手術を実行するための動作モードで発振器26と、または例えば再充電可能な電源36を充電するための再充電モードで受信機回路38と選択的に接続することができる。
【0055】
いくつかの例では、受信機回路38はさらに、コンデンサと、任意選択で、受信機回路が共振誘導回路を形成するように誘導結合器と直列にまたは並列に接続し得る抵抗器とを含み得る。所望の共振特性を得るためにコンデンサ及び抵抗器の任意の組み合わせを選び得るが、例えば、400kHzでの共振の場合、158nFのキャパシタンスが使用され得る(C=1/((2π×400×10×1×10-6)。例えば、受信機回路38は、任意の適切な周波数で共振するように構成され得、400kHzは例としてのみ与えられる。このように回路、及び任意選択で抵抗器を提供することによって、受信機回路38は、共振誘導結合によって送信機24から電力を受信するように構成され得る。有利なことに、受信機回路38はまた、受信電圧をACからDCに変換するために整流器及び調整器を含み得る。
【0056】
誘導結合器は、好ましくは、電気手術装置22のハウジングの側壁の近くに配置される。このようにして、コイルは、電気手術装置22が、送信機24に対して適切に配置されるときに、送信機24によって生成される磁場の実質的にすべてが二次コイルを通過し、送信機24と電気手術装置52との間の電力伝達の効率を最大化することを保証するように配置される。
【0057】
送信機24はまた、充電源46から電力を受信して、振動磁場を生成し、それによって受信機回路38の対応する誘導結合器で電流を誘導するように構成された誘導結合器44を含む。充電源46は、例えば主電源または電池パックを含み得る。電気手術システム20で使用し得る送信機の例は、図7に示されている。
【0058】
RF信号の電流及び電圧を監視することに加えて、コントローラ28は、再充電可能な電源36の充電及び放電を監視するように構成され得る。例えば、コントローラ28は、再充電可能な電源36の寿命を最大化するのに役立てるための電池管理システムを形成するために、電荷平衡回路、過熱遮断器、及び他の機能を含み得る。一実施形態では、コントローラ28は、受信電圧をACからDCに変換するために整流回路を含み得る。いくつかの実施形態では、受信機回路38のコイルが、送信機24のコイルとは異なる種類のコアを有する場合があることを理解されたい。例えば、一方のコイルは空芯を有する場合があり、他方のコイルは中実芯(例えば、鉄粉/鉄塵のコア)を有する場合がある。代わりに、両方のコアとも同じ、例えば空芯または中実芯であってもよい。
【0059】
図4は、本発明のさらなる実施形態である第2の電気手術システム50の概略図を示す。上述の構成要素に同等である構成要素には、対応する参照番号が付され、その説明は繰り返されない。
【0060】
電気手術システム50は、電気手術装置52と、送信機24とを含む。送信機24は、例えば、図7に示される送信機24であってよい。
【0061】
本実施形態では、電気手術装置52は、送信機24から電力を無線で受信するための専用の誘導結合器を含まない。代わりに、この機能を実行するために、変圧器32の二次コイルが使用される。送信機24の誘導結合器44は、振動磁場を生成し、それによって変圧器32の第2のコイルで電流を誘導するために充電源26から電力を受信する。いくつかの例では、図3に関して上述されるように、コンデンサ、及び任意選択で抵抗器は、共振誘導回路を形成するために、直列にまたは並列に、のどちらかで変圧器32の二次コイルに接続され得る。コントローラ28は、誘導電流による充電のために、変圧器32の二次コイルに再充電可能な電源36を選択的に接続するために、制御ライン58を介してスイッチ54、56を操作するように構成される。動作モードでは、コントローラ28は、スイッチ54、56を操作して、電源36を発振器26に電気的に接続して、電気外科手術用のRF EMエネルギーを発生させることができる。図示されていないが、チョーク及びコンデンサなどの追加の回路が、電磁干渉(EMI)を除去し、スイッチング特性を改善するために、変圧器32の一次コイル及び/または二次コイルに接続され得る。特定の実施形態では、変圧器32の一次コイル及び二次コイルのそれぞれは、25mmの直径及び20mmの長さを有する空芯ソレノイドであり得る。一次コイルは、15巻きを有し得、二次コイルは200巻きを有し得る。約158nFのキャパシタンスは、二次コイルに接続され得る。このようにして、変圧器32は、例えば、送信機24と組み合わせて、無線充電用の受信機として使用するのに特に適した、400kHzの調整された共振周波数を有し得る。言うまでもなく、これらのパラメータは、400kHz以外の周波数であってよい所望の共振周波数を達成するために任意の他の適切な方法で変えられ得、400kHzの調整された共振周波数が、説明されるパラメータに他の値を使用することによって、または別の適切な方法で達成され得ることも想定される。
【0062】
無線充電のための受信機として二次コイルを使用することによって、一次コイルと比較して巻数がより多いことは、送信機24からリンクされる磁束からより高い電圧を得ることができることを意味する。言うまでもなく、変圧器32は、他のコア材料、好ましくはフェライトまたは鉄粉もしくは鉄塵などの磁性材料を含み得る。
【0063】
このようにして電源36の無線充電のために変圧器32の二次コイルを使用することによって、専用の無線充電コイルは必要とされない。これにより、電気手術装置52の構成要素の重量及びサイズは小さく保たれ、可搬性が可能になり、いくつかの例では、電気手術装置52は手持ち式であり得る。
【0064】
変圧器32の二次コイルを、無線充電用の誘導結合器として使用することを可能にするために、変圧器32は、好ましくは電気手術装置52のハウジングの側壁の近くに配置される。このようにして、二次コイルは、電気手術装置52が、送信機24に対して適切に配置されるときに、送信機24によって生成される磁場の実質的にすべてが二次コイルを通過し、送信機24と電気手術装置52との間の電力伝達の効率を最大化することを保証するように配置される。変圧器32の一次コイルは、充電時、二次コイルよりもはるかに低い誘導電圧を受信する。しかしながら、いくつかの例では、コントローラ28は、装置が充電しているときに、変圧器32の一次コイル側に接続された構成要素を保護するために回路を含み得る。
【0065】
図5は、本発明のさらなる実施形態である第3の電気手術システム60の概略図である。上述の構成要素に同等である構成要素には、対応する参照番号が付され、その説明は繰り返されない。
【0066】
電気手術システム60は、電気手術装置62と、送信機24とを含む。本実施形態では、電気手術装置62は、同軸ケーブル30を介した電気手術器具への送達のためにマイクロ波周波数電磁(EM)エネルギーを発生させるように構成された発振器64を含む。したがって、電気手術装置62は、発振器64と同軸ケーブル30との間にマイクロ波チャネルを含むが、RFチャネルは含まない。したがって、図1に関して上述されるマイクロ波チャネルの特徴は、いくつかの構成には含まれる場合があるが、明確にするために図5からは省略されている。送信機24は、例えば図7に関して以下に説明される送信機であってよい。
【0067】
マイクロ波チャネルは、サーキュレータ66であって、その第1及び第2のポート間の経路に沿ってマイクロ波EMエネルギーを発振器64から同軸ケーブル30へ送達するように接続されたサーキュレータ66を含む。サーキュレータ66の第3のポート(図示せず)は、例えば図1に関して上述されるように、電力ダンプ負荷で吸収される反射結合器に接続され得る。結合器68は、反射信号の一部をコントローラ28に向けて、コントローラ28が、フィードバック経路34を介して反射信号を監視及び分析することを可能にする、マイクロ波チャネル内に設けられる。例えば、結合器68の動作は、図1の結合器414及び/または418の動作に類似してよい。言うまでもなく、マイクロ波チャネルのフィードバックまたは測定の他の方法が、代替策として、または本明細書に説明されるそれらの方法に加えて検討され得ることが想定される。例えば、いくつかの実施形態では、結合器68は省略され得る。
【0068】
電気手術装置62は、図3に関して上述したのと実質的に同じ方法で送信機24から受信されたエネルギーを使用して、再充電可能な電池36を再充電するように構成された受信機回路38を含む。
【0069】
図6は、本発明の第4の実施形態による電気手術システム70の概略図である。上述の構成要素に同等である構成要素には、対応する参照番号が付され、その説明は繰り返されない。
【0070】
電気手術システムは、電気手術装置72と、送信機24とを含む。本実施形態では、電気手術装置72は、それぞれエネルギーを同軸ケーブル30に供給するように構成された、RF発振器26とマイクロ波周波数発振器64の両方を含む。したがって、電気手術装置は、RF発振器26から同軸ケーブル30にRFエネルギーを伝達するように構成されたRFチャネルと、マイクロ波発振器64から同軸ケーブル30にマイクロ波周波数エネルギーを伝達するように構成されたマイクロ波チャネルとを含む。RFチャネル及びマイクロ波チャネルは、それぞれ、いくつかの例では、図1に関して上述される構成要素、及び図3図5に関して上述される構成要素を含み得る。電気手術装置72は、RFチャネルからRFエネルギーを取得し、マイクロ波チャネルからマイクロ波周波数エネルギーを取得し、それらを、同軸ケーブル30に送達される単一の出力の上に結合するように構成された結合器74を含む。コントローラ28は、マイクロ波フィードバックチャネル34aを通って同軸ケーブル30に送達され、同軸ケーブル30を介して反射されるマイクロ波周波数エネルギーを監視し、RFフィードバックチャネル34bを通って同軸ケーブルに送達されるRFエネルギーを監視するように構成される。
【0071】
本実施形態では、電気手術装置72は、図4に関して上述されるように、RFチャネル上で変圧器32の二次コイルを使用して電池36を充電するために送信機24から電力を無線で受信し得る。
【0072】
電気手術システム70は、それによってRF及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを送達するための、無線で再充電可能である電気手術装置72を提供する。したがって、電気手術装置72はより便利であり、携帯型装置が有利である状況で使用され得る。
【0073】
図7は、本発明の実施形態と使用され得る送信機24の概略図である。例えば、送信機24は、電気手術装置を充電するために使用される充電クレードルに配置され得る。
【0074】
図7に見られるように、発振器100は、増幅器102に振動制御信号を提供する。振動制御信号は、MHz範囲(例えば、9.9MHz)の周波数を有する振動電圧信号であってよい。増幅器102は、この振動制御信号を増幅して、振動制御信号と同じ周波数を有するが、振動駆動信号がMOSFET104を駆動するほど十分な電力を所持するようにより強力である振動駆動信号を形成する。具体的には、MOSFET104は、電圧制御された電流源であるため、振動駆動信号に基づいて(電流源105を使用して)振動電流信号を生成する。振動電流信号は、制御信号及び駆動信号と同じ周波数を有する。この振動電流信号は、次に一次(または送信機)誘導結合器110に提供される。一次誘導結合器110は、電磁誘導を介して振動磁場を生成するために振動電流信号を使用する。
【0075】
一次誘導結合器110は、コンデンサ106及びインダクタ108を有する直列インダクタ-コンデンサ(LC)回路を含む。インダクタ108が、いくつかの実施形態では、コア材料に巻き付けられ得るワイヤのコイルを含むことを理解されたい。したがって、一次誘導結合器110は、共振回路である。発振器100の周波数、コンデンサ106のキャパシタンス、及びインダクタ108のインダクタンスの特定の値は、共振が発生するように選ばれる。共振は、送信機及び受信機の物理的な幾何学形状によって設定されたパラメータに基づいて発生するように設定し得る。このようにして、インダクタ108のコイルは、振動磁場を生成する。振動磁場は、上述の電気手術装置内の対応する誘導結合器で電流を誘導するために使用され得るため、再充電可能な電源36を再充電し得る。誘導結合器110が、いくつかの実施形態では非共振誘導結合器であってよいことを理解されたい。
【0076】
特定の実施形態では、一次誘導結合器110は、送信機24によって生成される磁場の実質的にすべてが電気手術装置(図3図6に関して上述されるなど)の受信機コイルを通過し、送信機24と電気手術装置との間の電力伝達の効率を最大化することを保証するために送信機24のハウジングの側壁の近くに配置される。一次誘導結合器110は、フェライトまたは鉄粉のコアなどの磁性コア材料に巻き付けられたワイヤのコアを含み得る。いくつかの例では、コアは、電気手術装置内の受信機回路の誘導結合器と一致するように概してU字形であってよく、その結果、2つのU字形のコアは、無線電力伝達のためにともに配置されて、概してトロイダルな形状を形成する。
【0077】
図8aは、本発明の一実施形態による電気手術システム80の画像を示す。電気手術システム80は、電気手術装置82と、送信機92とを含む。図8bは、図8aの構成での充電コイルの配置を示すカットスルー画像を示す。
【0078】
電気手術装置82は、例えば図3から図6のいずれかに関して上述される電気手術装置であってよい。特に、電気手術装置82は、図3から図6のいずれかに示される電気手術エネルギーを発生させるための回路を含むハウジング84を含む。ハウジング84は、好ましくは、電気外科手術などを実行するためにユーザーが手で持てるようなサイズ及び形状に作られる。ハウジング84の上面には、装置82用のコントロールパネル86が設けられている。例えば、コントロールパネル86は、RF発振器及び/またはマイクロ波周波数発振器を作動させて電気外科手術のためのEMエネルギーを発生させるためにユーザーによって動作可能であるオン/オフボタンを有し得る。オン/オフボタンは、装置82の動作モードを選ぶために装置82内のコントローラに接続され得る。いくつかの実施形態では、オン/オフボタンは、RF専用モード、マイクロ波専用モード、及び/またはRF EMエネルギーとマイクロ波周波数EMエネルギーの両方ともが発生するモードを周期的に繰り返すためにユーザーによって動作可能であってよい。いくつかの実施形態では、電気手術装置がオフにされるとき、コントローラは、上記に図3図6を参照して説明されるように、装置82内の再充電可能な電池を受信機回路に接続するために装置82内のスイッチを操作するように構成される。
【0079】
ハウジングの外面、特にコントロールパネル86はまた、例えば、画面によってまたはLEDによって提供され得る、例えば電池ステータスインジケータなどの他の視覚的ディスプレイを含み得る。電池ステータスインジケータによって、ユーザーは、再充電可能な電池内に残っている電荷の量を確認することが可能になるため、例えば、いつ充電を必要とする場合があるのか、またはいつ電池が完全に充電されるのか、または充電中であるのかが示される。他の視覚的ディスプレイまたはインジケータ、または可聴トランスデューサ、振動トランスデューサ、もしくは触覚トランスデューサは、必要に応じてハウジング84上にまたは装置82内に存在する場合がある。
【0080】
図8bに示されるように、電気手術装置82は、ハウジング84内に、送信機92からエネルギーを無線で受信するための受信誘導結合器88を含む。特に、誘導結合器88は、ワイヤのコイルである。例えば、図3図6に関して上述されるように、誘導結合器88は、無線充電用の専用コイルである場合もあれば、変圧器の一部を形成する場合もある。いくつかの実施形態では、ワイヤのコイルは、フェライトまたは鉄粉のコアなどの、例えば磁性材料の中実芯に巻き付けられ得る。誘導結合器88は、送信機92内で送信誘導結合器98との誘導結合を最大化するために、ハウジング84の下側に配置される。
【0081】
電気手術装置82は、電気外科手術を実行するために使用され得る電気手術器具90をさらに含む。例えば、電気手術器具90は、生体組織を切断及び/または切除するために使用され得る。器具90は、発生したEMエネルギーを受信するために、例えば、図3図6に関して上述されるように、ハウジング84内の回路の出力に接続される。電気手術器具90は、ハウジング84に取り外し可能に取り付けられる場合もあれば、いくつかの実施形態では、ハウジング84の恒久的な固定具である場合もある。
【0082】
送信機92は、電気手術装置82用のドッキングステーションまたはクレードルとして提供され、電気手術装置82の電池を充電するために電気手術装置82に無線でエネルギーを送信する。送信機92はハウジング94を含み、ハウジング94の上面は、装置82が使用されていないときに電気手術装置82を受け入れるように適合される。ハウジング94は、例えば装置82を再充電するために、図7に示されるような回路を含み得る。ハウジング94は、装置82のハウジング84内の対応する凹部に係合する突起96を含む。ハウジング94は、それによって充電のために最適な位置に装置82を保持し、突起96は、装置82が送信機92から偶発的にノックされ(knocked)ないことを保証するのに役立つため、充電の継続性を保証する。
【0083】
図8bに示されるように、送信機は、電気手術装置82にエネルギーを無線で送信するためにハウジング94内に配置された送信誘導結合器98を含む。特に、誘導結合器98は、ワイヤのコイルである。いくつかの実施形態では、ワイヤのコイルは、例えばフェライトまたは鉄粉のコアなどの磁性材料の中実芯に巻き付けられ得る。誘導結合器98は、電気手術装置82内で受信誘導結合器86との誘導結合を最大化するために、ハウジング84の上側に配置される。
【0084】
図9a及び図9bは、電気手術装置120a、120bの断面図であり、装置120a、120b内の受信誘導結合器122a、122b、122cの代替位置を示す。電気手術装置120a、120bは、上述の電気手術装置の特徴のいずれかを含み得る。送信機回路126a、126b、126cに接続された送信誘導結合器124a、124b、124cも示されている。送信誘導結合器124a、124b、124c及び送信機回路126a、126b、126cは、例えば図8a及び図8bに示される送信機などの送信機内に収容され得、上述の送信機の特徴のいずれかを含み得る。言うまでもなく、好ましい実施形態では、誘導結合器122a、122b、122cの1つしか、電気手術装置120a、120b内に存在し得ないことを理解されるであろう。また、受信誘導結合器122aは、送信誘導結合器124a及び送信回路126aと使用するために配置されることも理解されるであろう。残りの誘導結合器も同様に対応する。
【0085】
図10は、電気手術装置200と、送信機210と、有線充電器220とを含む、電気手術システムの回路図を示す。本実施形態では、電気手術装置200は、再充電可能な電源の無線充電と有線充電の両方を可能にするように構成された受信機回路を含む。要件に従って、他の構成要素が、示されている構成要素に加えて含まれ得る。明確にするために、図10の回路図は、無線充電及び有線充電に関連する電気手術装置の出力部の一般化された概略図であることを理解されたい。電気手術装置の残りの態様は、上述される上記図から当業者に明らかであろう。
【0086】
本実施形態では、電気手術装置200は、2つの発振器を含む。第1の発振器は、マイクロ波チャネル及び入力MWを介してマイクロ波周波数エネルギーを提供する(入力MWは、マイクロ波チャネルの一部を形成し得る)。第2の発振器は、RFチャネル及び入力PRI_1、PRI_2を介してRFエネルギーを提供する(入力PRI_1及びPRI_2は、RFチャネルの一部を形成し得る)。RFチャネルは、上記の図3図4、及び図6に関して説明されるのと同様に機能する一次コイル(L4)及び二次コイル(L5)を有する変圧器を含む。RFチャネルはまた、変圧器の両側に並列に接続されたコンデンサ(C9、C13)を含む。コンデンサ(C9、C13)は、出力コネクタ(CONNECTOR、GND)へのRF電力の伝達を改善し、一部の状況では、電磁干渉を引き起こす場合があるRF電力の不必要な高調波をブロックするために、変圧器(L4、L5)とのフィルタ構造を形成するのに役立つ。
【0087】
マイクロ波チャネル及びRFチャネルはそれぞれ、例えば電気手術器具にマイクロ波エネルギー及び/またはRFエネルギーを供給するために出力(CONNECTOR、GND)に接続される。いくつかの実施形態では、出力(CONNECTOR、GND)は、QMAコネクタなどを含み得る。チョーク(X2)及びコンデンサ(C5)は、マイクロ波エネルギーがRFチャネルに到達する、及びRFエネルギーがマイクロ波チャネルに到達するのを防ぎながら、マイクロ波チャネルとRFチャネルの両方からのエネルギーが出力(CONNECTOR、GND)に到達することを可能にする結合器回路の例を形成する。例えば、チョーク(X2)は、マイクロストリップ、ストリップライン、または空洞共振器として実装され得る4分の1波長の短絡である場合がある。
【0088】
RFチャネル及びマイクロ波チャネルは、図1を参照して上述されるように、1つまたは複数の追加の構成要素を含み得ることを理解されたい。
【0089】
コントローラは直接的に示されていないが、コントローラが、送達及び/または反射されるRFエネルギーまたはマイクロ波エネルギーを監視することを可能にするためにコントローラに接続される検知回路が示されている(CPL、V_SENSE、I_SENSE、GND)。結合器(X1)は、コントローラがマイクロ波電力(CPL)を検知することを可能にするためにマイクロ波チャネルに存在する。結合器(X1)は、RF電力には敏感ではない。コンデンサ(C5)は、RF電力が、その高いインピーダンスによりマイクロ波発振器及び結合器(X1)に到達するのを防がれることを保証する。RF電流検知回路は、一次巻線(L3)及び二次巻線(L6)、抵抗器(R1)、並びに任意選択でDCブロックコンデンサ(C1)を有する変圧器によって形成される-RF電流検知回路は、コネクタ(CONNECTOR、GND)に流れるRF電流の割合を検知するために使用され、マイクロ波電力に敏感ではない。RF電圧検知回路は、RFチャネルに接続され、2つの抵抗器(R9、R10)と、任意選択でDCブロックコンデンサ(C4)とを含む分圧器によって形成される-RF電圧検知回路は、RF出力電圧の割合を測定する。RF電流検知回路(L3、L6、R1、C1)、RF電圧検知回路(R9、R10、C4)、及びマイクロ波電力検知結合器(X1)は、充電システム(有線充電または無線充電のどちらか)にとって必須ではなく、コントロールが、RF及び/またはマイクロ波送達を監視することを可能にするために回路がどのように構成され得るのかを明示するための一例としてのみ示される。
【0090】
電気手術装置200はまた、接続CHGを介して再充電可能な電源(図示せず)に接続される受信機回路を含む。受信機回路は、有線接続または無線接続による充電を可能にするように構成される。受信機回路は、送信機210から電力を無線で受信するための誘導結合器を形成する二次コイル(L5)を含む。受信機回路はまた、有線充電器220から有線接続を介して電力を受信するための出力(CONNECTOR、GND)を含む。受信機回路が、前の図を参照して上述される1つまたは複数の追加の構成要素を含み得ることを理解されたい。
【0091】
送信機210は、電源(V2)と、上記の図3図4図6、及び図7に関して実質的に上述された方法での無線充電を可能にするために、RFチャネル上で変圧器の二次コイル(L5)で電流を誘導するために使用され得る送信誘導結合器(L1)とを含む。いくつかの実施形態では、送信機210は、共振誘導結合による無線充電を可能にするために、さらにコンデンサと、任意選択で抵抗器とを含み得る。変圧器の二次コイル(L5)で誘導される電流は、コンデンサ(C5)によってマイクロ波チャネルに到達するのを防がれる。
【0092】
有線充電器220は、電源(V3)と、1対の接点(CONNECTOR、GND)とを含む。電源(V3)は、例えば主電源である場合もあれば、有線充電器220内部の電源(例えば、電池)である場合もある。有線充電器220は、出力(CONNECTOR、GND)によって形成されたコネクタを介して電気手術装置200に、及び受信機回路にエネルギーを送達するように構成される。他の実施形態では、電気手術装置200は、エネルギーを受信機回路に送達するために有線充電器220と結合するように構成された1つまたは複数の追加の接点を含み得る。有線充電器(220)から提供される電流は、コンデンサ(C5)によってマイクロ波チャネルに到達するのを防がれる。
【0093】
図10の1つのバージョンでは、送信機210及び有線充電器220が、物理的に別々のデバイスであることを理解されたい。例えば、送信機210は、図8aに示されるものに類似した無線充電クレードルであってよく、有線充電器は、主電源に接続するための別個の接続デバイス(例えば、ケーブル)であってよい。しかしながら、図10の別のバージョンでは、送信機210及び有線充電器220は、同じ物理デバイス内に収容され得る。例えば、デバイスは、図8aに示されるものと類似した充電クレードルであってよいが、クレードル内に含まれる電源(例えば、電池)から有線充電を提供するために修正され得る。
【0094】
前述の説明、または下記の特許請求の範囲、または添付図面で開示され、特定の形態で表された、すなわち必要に応じて、開示される機能を実行するための手段、または開示される結果を得るための方法もしくはプロセスに関して表された特徴は、本発明を多様な形態で実現するために、別々に、またはかかる特徴を任意に組み合わせて、利用されてもよい。
【0095】
本発明は前述の例示的な実施形態と併せて説明されたが、本開示が当業者に与えられた場合、多くの均等の変更形態及び変形形態が当業者には明らかであろう。したがって、上で説明された本発明の例示的な実施形態は、例示的であり限定的でないと判断される。記載される実施形態への様々な変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに行われ得る。
【0096】
疑義を避けるために、本明細書に提供される理論的説明は、読者の理解を向上させる目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0097】
下記の請求項を含む本明細書の全体を通じて、文脈上別異の解釈を要さない限り、用語「~を有する(have)」、「~を備える(comprise)」、及び「~を含む(include)」、並びに「~を有する(having)」、「~を備える(comprises)」、「~を備える(comprising)」、及び「~を含む(including)」などの変形は、記載された構成要素もしくはステップ、または構成要素群もしくはステップ群の包含を示唆するが、いずれの他の構成要素もしくはステップ、または構成要素群もしくはステップ群の除外も示唆しないことが理解されよう。
【0098】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段に示されない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。範囲は、「約」ある特定値から、及び/または「約」別の特定値までとして、本明細書では表され得る。このような範囲が表される場合に、別の実施形態は、ある特定値から及び/または別の特定値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により、値が近似として表される場合、特定値が別の実施形態を形成することが理解されよう。数値に関連する用語「約」は、随意であり、例えば10%±を意味する。
【0099】
本明細書で使用される用語「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」は、いくつかの状況下で特定の利点を提供し得る本発明の実施形態を指す。しかし、同じまたは異なる環境下では、他の実施形態が好ましい場合もあることを理解されたい。したがって、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味または示唆するものではなく、他の実施形態を本開示の範囲または特許請求の範囲から除外することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術装置であって、
電磁エネルギーを発生させるための発振器と、
前記発振器のためにエネルギー送達プロファイルを選択するように動作可能なコントローラと、
前記電磁エネルギーを出力に伝達するための給電構造と、
前記発振器に電力を供給するように構成された再充電可能な電源と、
送信機から電力を無線で受信し、受信した電力を前記再充電可能な電源に供給するように構成された誘導結合器を備える受信機回路と
を備え、
前記給電構造が変圧器を備え、
前記誘導結合器が、前記変圧器の二次コイルを備える、
前記電気手術装置。
【請求項2】
前記変圧器の一次コイルの1巻きごとに、前記変圧器の二次コイルの少なくとも10巻きがある、請求項1に記載の電気手術装置。
【請求項3】
前記装置が、無線周波数電磁エネルギー発生器を備え、前記給電構造が、前記無線周波数電磁エネルギーを前記出力に伝達するために無線周波数チャネルを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項4】
前記装置が、マイクロ波周波数電磁エネルギー発生器を備え、前記給電構造が、前記マイクロ波周波数電磁エネルギーを前記出力に伝達するためにマイクロ波チャネルを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項5】
前記再充電可能な電源がリチウムイオンポリマー電池である、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項6】
前記受信機回路から電力を受信するための第1のモードと、前記発振器に電力を提供するための第2のモードとの間で前記再充電可能な電源を切り替えるように動作可能なスイッチング回路をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項7】
前記コントローラが前記スイッチング回路を操作するように構成される、請求項6に記載の電気手術装置。
【請求項8】
前記受信機回路が、前記再充電可能な電源の有線充電を可能にするように構成される、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項9】
前記出力が、前記再充電可能な電源を充電するためのエネルギーを受信するように構成されたコネクタを形成する、請求項8に記載の電気手術装置。
【請求項10】
前記出力から電磁エネルギーを受信するように接続された電気手術器具をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項11】
前記電気手術器具が前記出力に取り外し可能に接続される、請求項10に記載の電気手術装置。
【請求項12】
前記電気手術器具がバイポーラ同軸切断ツールである、請求項10または請求項11に記載の電気手術装置。
【請求項13】
前記電気手術装置が、ユーザーが手で持てるように適合されたハウジングを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術装置。
【請求項14】
電気手術システムであって、
請求項1~13のいずれか1項に記載の電気手術装置と、
前記電気手術装置に電力を無線で提供するための送信機と
を備える、前記電気手術システム。
【請求項15】
前記送信機が、誘導結合を介して前記受信機回路に電力を送信するように構成された誘導結合器を有する送信機回路を備える、請求項14に記載の電気手術システム。
【請求項16】
前記送信機が、前記電気手術装置の一部分を受け入れるように適合されたハウジングを備える、請求項14または15に記載の電気手術システム。
【請求項17】
前記電気手術装置に有線電力伝達を提供するために、前記電気手術装置との有線電気接続を形成するように構成された有線充電器をさらに備える、請求項14~16のいずれか1項に記載の電気手術システム。
【国際調査報告】