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特表2023-528035ヒドロキシル化シクロペンチルピリミジン化合物を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】ヒドロキシル化シクロペンチルピリミジン化合物を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/70 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
C07D239/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573449
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2021065873
(87)【国際公開番号】W WO2021254920
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】20180148.7
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カルドレ, ダイニス
(72)【発明者】
【氏名】セデルマイヤー, イェルク
(57)【要約】
(R)-5-メチル-4-(ピペラジン-1-イル)-5,6-ジヒドロ-7H-シクロペンタ[d]ピリミジン-7-オンの大規模製造に関連するイパタセルチブの中間体を合成するための方法が、本明細書に提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、
ここで、方法は連続フロー反応を含み、この連続フロー反応は、式(II)の化合物:
[式中、
はアミノ保護基であり;かつ
MはMgXであり、ここでXはBrである]
又はそれらの薬学的に許容される塩の環化を含む、方法。
【請求項2】
連続フロー反応が、
(a)式(III)の化合物
[式中、
はアミノ保護基であり;かつ
はブロモである]
又はその薬学的に許容される塩をMg金属化剤と接触させて、式(I)の化合物を形成すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(III)の化合物が、式(IV)の化合物
[式中、Rはアミノ保護基である]
又はその薬学的に許容される塩である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
金属化剤がiPrMgBrである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記連続フロー反応が、配位エーテル溶媒若しくは非配位無極性溶媒、又はそれらの混合物中で行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記連続フロー反応が、配位エーテル溶媒中で行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記連続フロー反応が、非配位無極性溶媒中で行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
配位エーテル溶媒が、EtOEt、MeOtBu、iPrOiPr、ジオキサン、cペンチルOMe、THF、MeTHF、又はそれらの混合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
非配位無極性溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、若しくはキシレン、又はそれらの混合物である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
iPrMgBrがMeTHF中にある、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式(IV)の化合物が、EtOEt、MeOtBu、iPrOiPr、ジオキサン、cペンチルOMe、THF、MeTHF、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、若しくはキシレン、又はそれらの混合物中にある、請求項3から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
式(IV)の化合物が、MeTHF及びトルエンを含む混合物中にある、請求項13に記載の方法。
【請求項13】
iPrMgBrが式(IV)の化合物に添加される、請求項4から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)において、式(III)の化合物が式(II)の化合物に移され、式(II)の化合物がMg-イミン錯体に移され;かつ、
が水素又はアミノ保護基であり、ステップ(b)において、酸性塩水溶液がステップ(a)から得られた混合物に添加され、それによって式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を形成する、
請求項2から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
Mg-イミン錯体が懸濁液中の固体である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物
をトルエン及びMeTHFの混合物中に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrをステップ(a)の可溶化した化合物に添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(c)酸性塩水溶液を添加すること;
(d)水に塩基を添加すること;及び
(e)式(I)の化合物を単離すること
を含む、方法。
【請求項17】
iPrMgBrの式(IV)の化合物に対するモル比が、約1:1から約1.5:1までである、請求項4から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
iPrMgBrの式(IV)の化合物に対するモル比が、約1.3から約1までである、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
iPrMgBrの式(IV)の化合物に対するモル比が約1:1である、請求項17又は請求項18に記載の方法。
【請求項20】
iPrMgBrが、1つ以上のステップにおいて式(IV)の化合物に添加される、請求項4から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
酸性塩水溶液が、酢酸、HCl、HSO、NaHSO、HPO、NaHPO、NaHPO、NaHクエン酸塩、NHCl、若しくはシュウ酸、又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項14から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
酸性塩水溶液がNaHSOである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
式(I)の化合物が、任意選択的に、(a)洗浄;(b)蒸留;(c)沈殿;及び(d)乾燥される、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
方法が再結晶ステップを必要としない、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
方法が1つ以上の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内で行われる、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
方法が、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つのCSTRを使用して行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
方法が5つのCSTRを使用して行われる、請求項25又は請求項26に記載の方法。
【請求項28】
有機溶媒中の式(IV)の化合物の溶液を含む第1のCSTRを含み、有機溶媒が、EtOEt、MeOtBu、iPrOiPr、ジオキサン、cペンチルOMe、THF、MeTHF、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、若しくはキシレン、又はそれらの混合物などの1つ以上の成分を含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
式(IV)の化合物が、MeTHF及びトルエンの混合物中にある、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第1のCSTR内の式(IV)の化合物の溶液に、MeTHF中のiPrMgBrが添加される、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項31】
iPrMgBrの式(IV)の化合物に対するモル比が約1:1である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
MeTHF及びトルエンの懸濁液中の式(IV)及びMg-イミン錯体の化合物の混合物を含む第2のCSTRを含み、ここで、この混合物にMeTHF中の約0.3当量のiPrMgBrが添加される、請求項25から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
第1のCSTRの内容物が第2のCSTRに移送される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
第3のCSTRをさらに含み、ここで、第2のCSTRの内容物が第3のCSTRに移送され、第3のCSTR内で撹拌される、請求項25から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
式(IV)の化合物をiPrMgBrと反応させることによって、Mg-イミン錯体が懸濁液中の固体として形成され、CSTR間で懸濁液として移送される、請求項25から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
第4のCSTRを含み、それにNaHSO水溶液が添加される、請求項25から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
第4のCSTR内にNaHSO水溶液を添加した後の二相混合物のpHが、約1から約3までである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
第4のCSTR内の二相混合物のpHが約2である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
第3のCSTRの内容物が第4のCSTRに添加され、それによって式(I)の化合物を形成する、請求項25から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
第4のCSTRをさらに含み、第2のCSTRの内容物が第4のCSTRに移送される、請求項25から33及び請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
第5のCSTRを含み、それに水中の塩基の溶液が添加される、請求項25から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
水中の塩基として、水中のNaOHが添加される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
NaOHの添加後の第5のCSTR内の二相混合物のpHが、約4から約7までである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
NaOHの添加後の第5のCSTR内の二相混合物のpHが、約4.6±0.2である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第1の分離容器をさらに含む、請求項25から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
第5のCSTRの内容物が、第1の分離容器に移され、それによって有機相と水相を分離する、請求項46に記載の方法。
【請求項47】
生成物含有有機相が、(a)水で洗浄;(b)蒸留;(c)沈殿;及び(d)乾燥されて、式(I)の化合物を単離する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
第6のCSTRをさらに含み、それに水が添加される、請求項25から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
分離後の有機相が第6のCSTRに移送される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
第2の分離容器をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
第6のCSTRの内容物が第2の分離容器に移され、それによって有機相と水相を分離する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
有機相が、(i)蒸留;(ii)沈殿;及び(iii)乾燥されて、式(I)の化合物を単離する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
実質的に図1に従って行われる、請求項1から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
実質的に図2に従って行われる、請求項1から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
がtert-ブチルオキシカルボニルである、請求項1から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中のNaOHを添加してpHを約5に設定し、反応を進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して、有機相中の式(I)の化合物を分離すること
を含む、方法。
【請求項57】
式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し(第1のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し(第2のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し(第3のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を約4.45分間進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中のNaOHを添加してpHを約5に設定し、反応を約4.45分間進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して、有機相中の式(I)の化合物を分離すること
を含む、方法。
【請求項58】
Mg-イミン錯体が、懸濁液中の固体として形成される、請求項56又は請求項57に記載の方法。
【請求項59】
生成物含有有機相が、(i)水で洗浄され;(ii)蒸留され;(iii)沈殿され;かつ(iv)乾燥される、請求項56から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
第6のCSTRをさらに含み、それに水が添加される、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
分離後の有機相が第6のCSTRに移送される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
第2の分離容器をさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
第6のCSTRの内容物が第2の分離容器に移され、それによって有機相と水相を分離する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
請求項63に記載の方法であって、有機相が、(i)蒸留され;(ii)沈殿され;かつ(iii)乾燥される、請求項63に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が本明細書に参照により援用される、2020年6月16日出願の欧州特許出願第20180148.7号の利益並びにそれに対する優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
(R)-5-メチル-4-(ピペラジン-1-イル)-5,6-ジヒドロ-7H-シクロペンタ[d]ピリミジン-7-オン及びそのN-保護誘導体の大規模製造に関連するイパタセルチブの中間体を合成するための方法が、本明細書に提供される。
【背景技術】
【0003】
AKT(プロテインキナーゼBとしても知られる)は、ある特定のヒト腫瘍において過剰発現するセリン/トレオニンプロテインキナーゼである。イパタセルチブは、現在、固形腫瘍、胃がん、及び前立腺がんの治療のための臨床試験で評価されているAKT阻害剤である。イパタセルチブは、例えば、米国特許第8,063,050号(例えば、実施例14を参照)、並びに国際公開第2008/006040号に開示されている。
【0004】
(R)-5-メチル-4-(ピペラジン-1-イル)-5,6-ジヒドロ-7H-シクロペンタ[d]ピリミジン-7-オン、又はそのN-保護誘導体は、イパタセルチブの合成における中間体として用いられる。この中間体を調製するためのさまざまな異なるプロセスが、例えば、国際公開第2013/173736号、国際公開第2013/173768号、及び国際公開第2016/049414号に報告されている。
【0005】
(R)-5-メチル-4-(ピペラジン-1-イル)-5,6-ジヒドロ-7H-シクロペンタ[d]ピリミジン-7-オン、又はそのN-保護誘導体(Rは水素又はアミノ保護基である)
【0006】
しかしながら、化学プロセスのスケールアップは、例えば不純物の増加又は収率の低下などの予期せぬ状態を引き起こす可能性があることが知られている。したがって、収率を増加させる、及び/又は不純物を減少させる、イパタセルチブの合成のための改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
上記問題及び当技術分野における他の問題に対する解決策が、本明細書に提供される。
【0008】
(R)-5-メチル-4-(ピペラジン-1-イル)-5,6-ジヒドロ-7H-シクロペンタ[d]ピリミジン-7-オン(式(1)の化合物、ここで、Rは水素である)を調製するための方法が本明細書に提供され、該方法は、連続フロー反応を含む。そのN-保護誘導体(式(1)の化合物、ここで、Rはアミノ保護基である)を調製するための方法もまた提供される。
【0009】
一実施態様では、上記の連続フロー反応は、式(II)の化合物又はその薬学的に許容される塩を環化して、式(I)の化合物:
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり;かつ
MはLi又はMgXであり、ここで、XはBr又はIである]
又はその薬学的に許容される塩を提供することを含む。
【0010】
ある特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0011】
一実施態様では、上述した連続フロー反応は、式(II)の化合物
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり;かつ
MはLi又はMgXであり、ここで、XはBr又はIである]
又はそれらの薬学的に許容される塩を環化することを含む。
【0012】
ある特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0013】
一実施態様では、上述した連続フロー反応は、式(II)の化合物
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり;かつ
MはMgXであり、ここでXはBr又はIである]
又はそれらの薬学的に許容される塩を環化することを含む。
【0014】
ある特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0015】
ある特定の実施態様では、MはMgBrである。ある特定の実施態様では、Rはアミノ保護基であり、MはMgBrである。
【0016】
例えば、ある特定の実施態様では、上述した連続フロー反応は、式(II)の化合物:
[式中、
はアミノ保護基であり;かつ
MはMgBrである]
又はそれらの薬学的に許容される塩を環化することを含む。
一実施態様では、連続フロー反応は、iPrMgBrを金属化試薬として含む。
【0017】
iPrMgBrは、非常に速い反応、(とりわけ)二量体化副生成物のレベルの低下、及び容易に単離される最終生成物を伴った、連続モード処理を可能にする。
【0018】
一態様では、図1によって例示されるプロセスが本明細書に提供される。
【0019】
別の態様では、図2によって例示されるプロセスが本明細書に提供される。
【0020】
第3の態様では、本明細書に記載される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の調製プロセスが本明細書に提供され、該プロセスは連続フロー反応を含み、ここで、ステップ(a)において、配位エーテル溶媒若しくは非配位無極性溶媒、又はこのような溶媒の混合物中の式(III)の化合物、又はその薬学的に許容される塩(式中、Rは上で定義した通りであり、Rはヨード又はブロモである)は、MeTHF中のiPrMgBrと反応して固体Mg-イミン錯体を形成し、ステップ(b)において、酸性塩水溶液がステップ(a)から得られた混合物に添加され、それによって式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を形成する。
【0021】
本明細書に記載されるプロセスは、次の利点の1つ以上を有する:
(i)収率が10~20%向上する、
(ii)一過性の反応中間体の沈殿は、さらなる分解からそれを保護する、
(iii)改善されたプロセスの堅牢性及びより優れた制御性、
(iv)純度の向上、
(v)仕様を満たすために追加の再結晶を必要としない、
(vi)最小限のスケールアップ因子と、短い生産保留時間、及び
(vii)イパタセルチブ1トンあたりのスケールアッププロセスにおける大幅なコスト削減。
【0022】
本実施態様は、非限定的な実施態様を例示することが意図されている詳細な説明及び例を参照することによって、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】化合物4から化合物1(又はそれらの薬学的に許容される塩)までの連続フロー反応を示す、本明細書に記載されるプロセスの1つの図。矢印は、連続撹拌槽型反応器(CSTR)間のフローを示している。流速は、本明細書に記載されているように決定される。
図2】化合物4から化合物1(又はそれらの薬学的に許容される塩)までの連続フロー反応を示す、本明細書に記載されるプロセスの1つの図。矢印は、連続撹拌槽型反応器(CSTR)間のフローを示している。流速は、本明細書に記載されているように決定される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、当該技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、Singleton et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 1994); Sambrook et al., MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, Cold Springs Harbor Press (Cold Springs Harbor, NY 1989)を参照のこと。本開示の実施においては、本明細書に記載されるものと類似した又は同等のいずれかの方法、装置、及び材料を使用することができる。
【0025】
Li又はMg金属化剤、例えばiPrMgBrを使用して本明細書に記載される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を合成するプロセスが、本明細書に提供される。本明細書に記載される方法は、連続モード動作を可能にし、再結晶化を含む追加の精製ステップの必要性を回避するという点で、以前に記載された方法より優れた利点を有する。本明細書に記載されるMeTHF中のiPrMgBrとの反応は、初期のプロセスステップの間に、懸濁液中の固体のMg-イミン錯体をもたらす。他のプロセスと比較して、この驚くべき結果は、望ましくない不純物を形成する連続的な過剰反応を軽減することにより、収率の増加と純度プロファイルの向上に寄与する。幾つかの例では、本明細書に記載されるプロセスを使用するスケールアップ反応は、本明細書に記載される他のプロセスと比較して、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の収率を約10~20%増加させる。
【0026】
これより、添付の構造及び式に例が示されている、ある特定の実施態様を詳細に参照する。これらの実施態様は、本開示をこれらの実施態様に限定することを意図していないことが理解されよう。反対に、本開示は、本開示の範囲内に含まれうる、すべての代替例、修正、及び等価物を網羅することを意図するものである。
【0027】
当業者であれば、本開示の実施に使用することができる、本明細書に記載されるものに類似している又は同等である多数の方法及び材料を認識するであろう。本開示は、決して記載される方法及び材料に限定されるものではない。組み込まれる文献及び同様の資料のうちの1つ以上が、定義される用語、用語の用法、記載される技術などを含むがこれらに限定されない本出願と異なるか、又は矛盾する場合は、本出願が優先される。
【0028】
「薬学的に許容される塩」という用語は、生物学的に又は他の点で望ましくないものではない塩を意味する。薬学的に許容される塩には、酸付加塩及び塩基付加塩の両方が含まれる。「薬学的に許容される」という語句は、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分及び/又はそれを用いて処置されている哺乳動物と、化学的及び/又は毒物学的に適合しなければならないことを示す。
【0029】
「薬学的に許容される酸付加塩」という用語は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸などの無機酸と、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸「メシラート」、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸などの有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸、及びスルホン酸類から選択される有機酸とで形成されるような薬学的に許容される塩を意味する。
【0030】
「薬学的に許容される塩基付加塩」という用語は、有機塩基又は無機塩基で形成される薬学的に許容される塩を意味する。許容される無機塩基の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、及びアルミニウム塩が含まれる。薬学的に許容される有機非毒性塩基に由来する塩には、天然の置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、及びポリアミン樹脂を含む、第一級、第二級、及び第三級アミン、置換アミンの塩が含まれる。
【0031】
「約」という用語は、本明細書では、「おおよそ」、「~の範囲」、「だいたい」、又は「その前後」を意味するために用いられる。「約」という用語が数値範囲と組み合わせて用いられる場合、記載された数値の上限及び下限を拡大することによってその範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、本明細書では、記載された値より上及び下の数値を20%の変動で修正するために用いられる。
「アミノ保護基」とは、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳細に記載されている基であり、所与の化学反応においてアミノ官能基を保護する。例示的なアミノ保護基には、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:(i)アミドR(C=O)-基、例えば、ホルミル、アセチル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、及びフェニルアセチル;(ii)カルバメートRO(C=O)-基、ここで、Rは、メチル、エチル、9-フルオレニルメチル(Fmoc)、2,2,2-トリクロロエチル(Troc)、2-トリメチルシリルエチル(Teoc)、tert-ブチル(Boc)、及びベンジル(Cbz)である;(iii)スルホンアミドR-(SO)-基、ここで、Rは、トルエン、ベンゼン、メチル、トリフルオロメチル、及び2-ニトロベネン(2-nitrobenene)である;(iv)R-CH-基、ここで、Rは、ベンゼンラジカル、トルエンラジカル、パラメトキシベンゼンラジカル(PMB)、又は2-(トリメチルシリル)エトキシ(SEM)である、及び(v)(R)C-基、ここで、Rはベンゼンラジカル(トリチル)である。一実施態様では、アミノ保護基は、アセチル(CHC=O)-、Ac)、トリフルオロアセチル(CFC=O)-)、ベンジル(PhCH-、Bn)、トリフェニルメチル((Ph)C-、トリチル)、p-トルエンスルホニル(pCH-Ph-SO-)、p-メトキシベンジル(pCHO-Ph-CH-、PMB)、tert-ブチルオキシカルボニル(tBuOC(=O)-、Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(9-フルオレニルメチル-C(=O)、及びカルボベンジルオキシ(PhCHOC(=O)-)であり、これらの一部は酸性条件下で不安定であると考えられている。一実施態様では、アミノ保護基は、アセチル(CHC=O)-、Ac)、トリフルオロアセチル(CFC=O)-、トリフェニルメチル((Ph)C-、トリチル)、p-トルエンスルホニル(pCH-Ph-SO-)、p-メトキシベンジル(pCHO-Ph-CH-、PMB)、tert-ブチルオキシカルボニル(tBuOC(=O)-、Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(9-フルオレニルメチル-C(=O)、及びカルボベンジルオキシ(PhCHOC(=O)-)である、これらの各々は酸性条件下で不安定であると考えられている。好ましい一実施態様では、アミノ保護基はtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)である。
【0032】
「連続フロー反応」は、本明細書では、バッチ生産ではなく、連続的に流れる流れにおいて行われる化学反応を意味するために用いられる。言い換えれば、ポンプは流体をフローシステムに移動させ、そこで流体が互いに接触する。これらの流体が反応性の場合、反応が起こる。幾つかの実施態様では、マイクロリアクタが用いられる。幾つかの実施態様では、管形反応器又はプラグフロー反応器が用いられる。他の幾つかの実施態様では、連続撹拌槽型反応器(CSTR)が用いられる。
【0033】
一実施態様では、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩の調製方法が提供され、ここで、該方法は、連続フロー反応を含み、式(I)の化合物のRは、水素又はアミノ保護基である。
【0034】
本明細書の一実施態様では、連続フロー反応は、式(II)の化合物
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり;かつ
MはLi又はMgである]
又はそれらの薬学的に許容される塩の環化を含む。
【0035】
ある特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0036】
一実施態様では、上述した連続フロー反応は、式(II)の化合物
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり;かつ
MはLi又はMgXであり、ここで、XはBr又はIである]
又はそれらの薬学的に許容される塩を環化することを含む。
【0037】
一実施態様では、Mは、MgXの形態のMgである。
【0038】
ある特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0039】
一実施態様では、上述した連続フロー反応は、式(II)の化合物
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり;かつ
MはMgXであり、ここでXはBr又はIである]
又はそれらの薬学的に許容される塩を環化することを含む。
【0040】
ある特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0041】
ある特定の実施態様では、XはBrである。
【0042】
例えば、好ましい実施態様では、上述した連続フロー反応は、式(II)の化合物
[式中、
はアミノ保護基であり;かつ
MはMgBrである]
又はそれらの薬学的に許容される塩を環化することを含む。
【0043】
一実施態様では、連続フロー反応は、
(a)式(III)の化合物
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり、
はヨード又はブロモである]
又はその薬学的に許容される塩を、Li又はMg金属化剤と接触させて、式(I)の化合物を形成すること
を含む。
【0044】
ある特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0045】
一実施態様では、式(III)の化合物(ここで、Rはブロモである)は、式(IV)の化合物:
又はその薬学的に許容される塩であり、式中、Rは、水素又はアミノ保護基である。
【0046】
好ましい一実施態様では、式(III)の化合物は、式(IV)の化合物
又はその薬学的に許容される塩であり、式中、Rはアミノ保護基である。
【0047】
一実施態様では、金属化剤はiPrMgBrである。
【0048】
一実施態様では、アミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、フタルイミジル、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジリデニル、p-トルエンスルホニル、p-メトキシベンジル、tert-ブチルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、又はカルボベンジルオキシである。一実施態様では、アミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、トリフェニルメチル、p-トルエンスルホニル、p-メトキシベンジル、tert-ブチルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、又はカルボベンジルオキシである。好ましい一実施態様では、アミノ保護基は、tert-ブチルオキシカルボニルである。
【0049】
別の実施態様では、Rは水素である。
【0050】
一実施態様では、非配位無極性溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、又はそれらの混合物である。一実施態様では、非配位無極性溶媒は、トルエンである。
【0051】
一実施態様では、配位エーテル溶媒は、ジエチルエーテル(EtOEt)、tert-ブチルメチルエーテル(MeOtBu)、ジイソプロピルエーテル(iPrOiPr)、ジオキサン、cペンチルOMe、テトラヒドロフラン(THF)、又はメチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、又はそれらの混合物である。一実施態様では、配位エーテル溶媒はジエチルエーテルである。別の実施態様では、配位エーテル溶媒はMeTHFである。
【0052】
一実施態様では、Li及びMg金属化剤は、iPrMgCl、iPrMgCl*LiCl、iPrMgBr、iPrMgI、tBuMgCl、sBuMgCl、sBuMgCl*LiCl、nBuLi、sBuLi、nHexLiからなる群より選択される。
【0053】
好ましい一実施態様では、Li及びMg金属化剤は、iPrMgBrである。さらなる一実施態様では、iPrMgBrはMeTHF中にある。
【0054】
一実施態様では、式(III)の化合物は、EtOEt、MeOtBu、iPrOiPr、ジオキサン、cペンチルOMe、THF、MeTHF、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、若しくはキシレン、又はそれらの混合物中にある。好ましい実施態様では、式(III)の化合物は、MeTHF及びトルエンを含む混合物中にある。
【0055】
本明細書に記載されるプロセスの一実施態様では、iPrMgBrは、連続撹拌槽型反応器(CSTR)を使用して、1つ以上の部分で複数回投与することにより、式(III)の化合物に添加される。iPrMgBrが式(III)の化合物に添加される場合、添加は、1つ以上のステップ(例えば、式(III)の化合物とiPrMgBrとの第1の反応ステップ、及び式(III)の化合物と追加量のiPrMgBrとの第2の反応ステップ)にわたって行うことができる。グリニャール反応中に生成される熱は高くなる可能性があり、iPrMgBrの分離又は連続添加により、過剰な熱の望ましくない影響を低減することができる。さらには、逐次添加の場合、iPrMgBrの2回以上の添加は、iPrMgBrの有効な局所濃度を低下させ、反応効率を促進し、式(III)の化合物と式(I)の化合物との二量体化を含むがこれに限られない望ましくない副生成物の形成を低減することができる。
【0056】
好ましい一実施態様では、式(IV)の化合物は、MeTHF及びトルエンを含む混合物中にある。
【0057】
本明細書に記載されるプロセスの一実施態様では、iPrMgBrが1つ以上のステップにおいて式(IV)の化合物に添加される。iPrMgBrが式(IV)の化合物に添加される場合、添加は、1つ以上のステップ(例えば、式(IV)の化合物とiPrMgBrとの第1の反応ステップ、及び式(IV)の化合物と追加量のiPrMgBrとの第2の反応ステップ)にわたって行うことができる。グリニャール反応中に生成される熱は高くなる可能性があり、iPrMgBrの分離又は連続添加により、過剰な熱の望ましくない影響を低減することができる。さらには、逐次添加の場合、iPrMgBrの2回以上の添加は、iPrMgBrの有効な局所濃度を低下させ、反応効率を促進し、式(IV)の化合物と式(I)の化合物との二量体化を含むがこれに限られない望ましくない副生成物の形成を低減することができる。
【0058】
一実施態様では、ステップ(a)において、式(III)の化合物は式(II)の化合物に移され、式(II)の化合物はMg-イミン錯体に移され、Rは水素又はアミノ保護基であり、ここで、ステップ(b)において、酸性塩水溶液がステップ(a)から得られた混合物に添加され、それによって式(I)の化合物を形成する。
【0059】
一実施態様では、Mg-イミン錯体は、懸濁液中の固体として形成され、Rは、水素又はアミノ保護基である。一実施態様では、Rはアミノ保護基である。一実施態様では、Rはtert-ブチルオキシカルボニルである。
【0060】
一実施態様では、Mg-イミン錯体は、酸性塩と反応するまでは、懸濁液中で固体である。固体は、全体的な連続プロセスフローによって懸濁液として移送される。固体は、全体的なプロセスフローによってCSTR間で懸濁液として移送される。
【0061】
一実施態様では、Mg-イミン錯体は、以下に示す群から選択され、
【化1】
ここで、nは1から無限大までである。もう1つの実施態様では、nは、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー又はポリマー複合体を形成する範囲内にある。
【0062】
好ましい一実施態様では、Mg-イミン錯体は、以下に示す群から選択される:
【化2】
ここで、mは0から無限大までである。
【0063】
一実施態様では、mは、0から100、0から200、0から300、0から400、0から500、0から1000、0から5000、又は0から10000までの範囲にある。ある特定の実施態様では、複合体はモノマーである(ここで、mは0である)。ある特定の実施態様では、複合体はダイマーである(ここで、mは1である)。ある特定の実施態様では、複合体はテトラマーである(ここで、mは3である)。ある特定の実施態様では、複合体はポリマーであり、例えば、m>1から無限大までであり、例えば、mは、2から100、2から200、2から300、2から400、2から500、2から1000、2から5000、又は2から10000までの範囲にある。ある特定の実施態様では、懸濁液中の固体は、Mg-イミン錯体の混合物を含む。
【0064】
配位子Lは、Br、反応で用いられる任意の溶媒(例えば、配位エーテル溶媒)、上に示されるNN-配位子、及びそれらの任意の組合せからなる群より選択される。別の実施態様では、Mg-イミン錯体は、異なるMg-イミン錯体の混合物を含む。
【0065】
Mg-イミン錯体はイオン性を有しているため、連続フロー反応内で懸濁液中(無極性溶媒混合物であるMeTHF及びトルエン中)で固体を形成する。本発明の条件下では、Mg-イミン錯体は沈殿し、連続流とともに固体として輸送される。
【0066】
一実施態様では、iPrMgBrの式(III)の化合物に対するモル比は、約1:1から約1.5:1までである。別の実施態様では、iPrMgBrの式(III)の化合物に対するモル比は、約1.3:1である。さらに別の実施態様では、iPrMgBrの式(III)の化合物に対するモル比は、約1:1である。
【0067】
一実施態様では、iPrMgBrの式(IV)の化合物に対するモル比は、約1:1から約1.5:1までである。別の実施態様では、iPrMgBrの式(IV)の化合物に対するモル比は、約1.3:1である。さらに別の実施態様では、iPrMgBrの式(IV)の化合物に対するモル比は、約1:1である。
【0068】
特定の理論に縛られはしないが、懸濁液中の固体Mg-イミン錯体は、溶液中の場合よりもゆっくりと反応し、それによって望ましくない連続的な副生成物の形成及び収率の低下を低減する。したがって、本明細書に記載されるプロセスは、式(I)の化合物の純度を高め、他のプロセスと比較して全体的な収率を増加させる。さらには、本明細書に記載されるある特定の実施態様では、該方法は、より選択的でよりクリーンな反応であるため、式(I)の化合物を得るために再結晶ステップを必要としない。
【0069】
一実施態様では、酸性塩水溶液は、HCl、HSO、NaHSO、HPO、NaHPO、NaHPO、NaHPO、NaHクエン酸塩、NHCl、若しくはシュウ酸、又はそれらの混合物である。
【0070】
水性/水溶液とは、水、又は水を含む他の溶媒を意味する。
【0071】
一実施態様では、酸性塩は、HCl、HSO、NaHSO、HPO、NaHPO、NaHPO、NaHPO、NaHクエン酸塩、NHCl、若しくはシュウ酸の水溶液、又はそれらの混合物である。
【0072】
一実施態様では、酸性塩水溶液は、水性のHSO又はNaHSOである。別の実施態様では、酸性塩は、水性のNaHPO、NaHPO、又はNaHPOである。
【0073】
一実施態様では、酸性塩はNaHSO水溶液である。
【0074】
本明細書に記載されるプロセスは、1つ以上の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内で行うことができる。このような実施態様では、プロセスは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つのCSTRにおいて行われる。一実施態様では、プロセスは、少なくとも5つのCSTRにおいて行われる。別の実施態様では、プロセスは、5つのCSTRにおいて行われる。
【0075】
プロセスがCSTRを使用して行われる場合、一実施態様では、有機溶媒中の式(III)の化合物の溶液を含む第1のCSTRであり、有機溶媒は、EtOEt、MeOtBu、iPrOiPr、ジオキサン、cペンチルOMe、THF、MeTHF、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、若しくはキシレン、又はそれらの混合物のうちの1つ以上を含む。一実施態様では、混合物はMeTHFを含む。別の実施態様では、混合物はトルエンを含む。別の実施態様では、式(III)の化合物は、MeTHF及びトルエンの混合物中にある。
【0076】
1つのこのような実施態様では、プロセスは、式(III)の化合物の溶液にMeTHF中のiPrMgBrを添加することを含む。第1のCSTR内でのiPrMgBrの式(III)の化合物に対するモル比は、本明細書に記載される通りである。一実施態様では、第1のCSTR内でのiPrMgBrの式(III)の化合物に対するモル比は、約1:1である。一実施態様では、第1のCSTRの滞留時間は、約5分から約30分である。一実施態様では、第1のCSTRの滞留時間は約15分である。一実施態様では、式(III)の化合物は式(IV)の化合物である。
【0077】
「滞留時間」という用語は、連続フローシステムの滞留時間分布(RTD)を指し、分子又は化合物がリアクタのセットアップ内で費やすことができる時間量を表す確率分布関数である。
【0078】
式(III)の化合物とiPrMgBrとの反応が第1のCSTR内で行われる場合、プロセスは、第2のCSTRをさらに含むことができる。一実施態様では、1.3当量のMeTHF中のiPrMgBrが、1つ又は2つのステップにおいて添加される。一実施態様では、第1の添加内で、MeTHF中のr1.0当量のiPrMgBが第1のCSTR内の反応混合物に添加され、反応させた後、MeTHF中の0.3当量のiPrMgBrの第2の添加が行われる。一実施態様では、反応は、MeTHF及びトルエンの懸濁液中の式(IV)及びMg-イミン錯体の化合物の混合物を含む第2のCSTRを含み、ここで、この混合物にMeTHF中の約0.3当量のiPrMgBrが添加される。
【0079】
一実施態様では、第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し、反応させる。
【0080】
一実施態様では、第2のCSTRの滞留時間は約5分から約30分である。一実施態様では、第2のCSTRの滞留時間は約15分である。
【0081】
一実施態様では、第2のCSTRの滞留時間は、式(III)の化合物を残さずに、MeTHF及びトルエンの懸濁液中でMg-イミン錯体を形成する(例えば、反応が完了する)のに十分である。このような実施態様では、第2のCSTRの滞留時間が本明細書に記載されているように十分である場合、第2のCSTRの内容物を本明細書に提供される第4のCSTRに移す(すなわち、本明細書に記載される第3のCSTRをスキップする)ことができる。第3のCSTRがスキップされる場合、CSTRの番号付けは変更されないままである。一実施態様では、式(III)の化合物は式(IV)の化合物である。
【0082】
一実施態様では、第2のCSTRの滞留時間が式(III)の化合物を残さずにMg-イミン錯体を形成するには不十分である(例えば、反応が完了しない)場合、プロセスは、第3のCSTRを含み、第2のCSTRの内容物が第3のCSTRに移送され、第3のCSTR内で撹拌される。一実施態様では、第3のCSTRの滞留時間は、約5分から約30分である。一実施態様では、第3のCSTRの滞留時間は約15分である。一実施態様では、第3のCSTR内での1.3当量のiPrMgBrとの反応は、完了するまで行われる(例えば、出発材料化合物である式(III)が存在しない)。一実施態様では、式(III)の化合物は式(IV)の化合物である。
【0083】
一実施態様では、式(III)の化合物をiPrMgBrと反応させることにより、Mg-イミン錯体が、懸濁液中の固体として形成され、CSTR間を懸濁液又はスラリーとして移送される。別の実施態様では、固体のMg-イミン錯体は懸濁液中にある。
【0084】
一実施態様では、式(IV)の化合物をiPrMgBrと反応させることによって、Mg-イミン錯体が、懸濁液中の固体として形成され、CSTR間で懸濁液として移される。別の実施態様では、Mg-イミン錯体は、MeTHF及びトルエンの懸濁液中にある。
【0085】
一実施態様では、第2又は第3のCSTRの内容物は、第4のCSTRに移送され、それによって二相混合物(エマルション)を形成する。第4のCSTRは、本明細書に記載される酸性塩水溶液を含む。一実施態様では、酸性塩はNaHSO水溶液である。第4のCSTR内の二相混合物のpHは、約1から約3までのpHに調整し、維持することができる。一実施態様では、NaHSO水溶液を添加した後の二相混合物のpHは、約2である。一実施態様では、第4のCSTRの滞留時間は、約2分から約10分である。別の実施態様では、第4のCSTRの滞留時間は、約3分から約8分である。別の実施態様では、第4のCSTRの滞留時間は、約4分から約6分である。別の実施態様では、第4のCSTRの滞留時間は、約4分である。別の実施態様では、第4のCSTRの滞留時間は、約5分である。別の実施態様では、第4のCSTRの滞留時間は、約4.45分である。
【0086】
上述した式(I)の化合物の製剤は、式(I)の化合物を第4のCSTR内で混合物の水相へと分配させることができる。一実施態様では、式(I)の化合物の窒素原子は、NaHSO水溶液との接触後にプロトン化される。
【0087】
一実施態様では、プロセスは、水中の塩基を含む第5のCSTRを含む。塩基は、NaOH、KOH、NaCO、及びKCOからなる群より選択される。一実施態様では、塩基はNaOHである。
【0088】
別の実施態様では、プロセスは、水中のNaOHを含む第5のCSTRを含む。一実施態様では、エマルションとしての第4のCSTRの内容物は、第5のCSTRに移送され、それによって二相混合物を形成する。一実施態様では、水中のNaOHを添加した後の二相混合物は、約4から約7のpHを有する。一実施態様では、水中のNaOHを添加した後の二相混合物は、約4から約5.5のpHを有する。別の実施態様では、水中のNaOHを添加した後の二相混合物のpHは、約4.8±0.2である。別の実施態様では、水中のNaOHを添加した後の二相混合物のpHは、約4.6±0.2である。一実施態様では、式(I)の化合物の窒素原子は、約5のpHで脱プロトン化され、式(I)の化合物が有機相に分配される。一実施態様では、第5のCSTRの滞留時間は、約2分から約10分である。別の実施態様では、第5のCSTRの滞留時間は、約3分から約8分である。別の実施態様では、第5のCSTRの滞留時間は、約4分から約6分である。別の実施態様では、第5のCSTRの滞留時間は、約4分である。別の実施態様では、第5のCSTRの滞留時間は、約5分である。別の実施態様では、第5のCSTRの滞留時間は、約4.45分である。
【0089】
本明細書に記載されるプロセスは、1つ以上の分離容器をさらに含むことができる。一実施態様では、第5のCSTRの内容物は、第1の分離容器に移され、それによって有機相と水相を分離する。一実施態様では、得られた有機相を、(i)水で洗浄;(ii)蒸留;(iii)沈殿;及び(iv)乾燥されて、式(I)の化合物を単離する又はその薬学的に許容される塩を単離する。
【0090】
本明細書に記載されるプロセスはまた、水を含む第6のCSTRをさらに含むことができる。一実施態様では、分離容器から得られた有機相が第6のCSTRに添加される。別の実施態様では、本明細書に記載されるプロセスは、第2の分離容器をさらに含み、そこで第6のCSTRの内容物が第2の分離容器に添加され、それによって有機相と水相を分離する。一実施態様では、得られた分離した有機相を、(i)蒸留;(ii)沈殿;及び(iii)乾燥して、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を単離する。
【0091】
一実施態様では、式(I)の化合物において、Rは、式(1)の化合物を表すHである:
【0092】
これは、そのN-保護誘導体を脱保護することによって形成され、ここで、Rはアミノ保護基である。式(I)の化合物又は本明細書に記載される他のいずれかの化合物の脱保護は、当業者に知られている任意の方法によって達成することができ、通常、本発明の連続フロー反応後のイパタセルチブの合成の後半に行われる。
【0093】
本明細書に記載される化合物は、不斉中心又はキラル中心を含んでいてもよく、したがって、異なる立体異性形態で存在しうる。ジアステレオマー、エナンチオマー、及びアトロプ異性体、並びにそれらの混合物、例えばラセミ混合物を含むがこれらに限定されない本発明の化合物のすべての立体異性体形態は、本発明の一部を形成することが意図されている。
【0094】
さらに別の態様では、本明細書に記載される式(I)の化合物の調製のためのプロセスが本明細書に提供され、該プロセスは、
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrをステップ(a)の可溶化した化合物に最初に添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによって追加のMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し、それによって追加のMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成すること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中の塩基を添加してpHを約5に設定すること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して式(I)の化合物を分離すること
を含む。
【0095】
ある特定の実施態様では、Rは、本明細書に記載される通りである。特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0096】
さらに別の態様では、本明細書に記載される式(I)の化合物の調製のためのプロセスが本明細書に提供され、該プロセスは、
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrをステップ(a)の可溶化した化合物に最初に添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成すること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中のNaOHを添加してpHを約5に設定すること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して式(I)の化合物を分離すること
を含む。
【0097】
ある特定の実施態様では、Rは、本明細書に記載される通りである。特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0098】
さらに別の態様では、本明細書に記載される式(I)の化合物の調製のためのプロセスが本明細書に提供され、該プロセスは、
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し(第1のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し(第2のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し(第3のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を約4.45分間進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中の塩基を添加してpHを約5に設定し、反応を約4.45分間進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して式(I)の化合物を分離すること
を含む。
【0099】
ある特定の実施態様では、Rは、本明細書に記載される通りである。特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0100】
さらに別の態様では、本明細書に記載される式(I)の化合物の調製のためのプロセスが本明細書に提供され、該プロセスは、
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し(第1のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し(第2のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによって追加のMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し(第3のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによって追加のMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を約4.45分間進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中の塩基を添加してpHを約5に設定し、反応を約4.45分間進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して式(I)の化合物を分離すること
を含む。
【0101】
ある特定の実施態様では、Rは、本明細書に記載される通りである。特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0102】
さらに別の態様では、本明細書に記載される式(I)の化合物の調製のためのプロセスが本明細書に提供され、該プロセスは、
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し(第1のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること:
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し(第2のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによって追加のMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し(第3のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによって追加のMg-イミン錯体を懸濁液において懸濁液中の固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を約4.45分間進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中のNaOHを添加してpHを約5に設定し、反応を約4.45分間進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して式(I)の化合物を分離すること
を含む。
【0103】
ある特定の実施態様では、Rは、本明細書に記載される通りである。特定の実施態様では、Rはアミノ保護基である。
【0104】
上記プロセスのこのような実施態様では、温度、濃度、移動速度、反応時間、及び容量などの条件は、本明細書に記載されている通りである。
【0105】
幾つかの実施態様では、プロセスは、NMR、HPLC、又はIRによるオンラインモニタリングを含む。
【0106】
好ましい一実施態様では、式(I)の化合物又は本明細書に記載される他のいずれかの化合物の脱保護は、当業者に知られている任意の方法によって達成することができ、連続フロー反応の後に行われる。幾つかの好ましい実施態様では、式(I)の化合物は、次の反応ステップにおいてアミノ保護形態として用いられ、脱保護は幾つかの反応ステップの後に行われる。
【0107】
実施態様:
実施態様1:式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、連続フロー反応を含み、式(I)の化合物のRが水素又はアミノ保護基である、方法。
【0108】
実施態様1A:式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、連続フロー反応を含み、式(I)の化合物のRがアミノ保護基である、方法。
【0109】
実施態様2:連続フロー反応が、式(II)の化合物
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり;かつ
MはLi又はMgである]
又はそれらの薬学的に許容される塩の環化を含む、実施態様1に記載の方法。
【0110】
実施態様2A:連続フロー反応が、式(II)の化合物
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり;かつ
MはMgXであり、ここでXはBr又はIである]
又はそれらの薬学的に許容される塩の環化を含む、実施態様1に記載の方法。
【0111】
実施態様2B:連続フロー反応が、式(II)の化合物
[式中、
はアミノ保護基であり;かつ
MはMgXであり、ここでXはBr又はIである]
又はそれらの薬学的に許容される塩の環化を含む、実施態様1に記載の方法。
【0112】
実施態様2C:連続フロー反応が、式(II)の化合物
[式中、
はアミノ保護基であり;かつ
MはMgXであり、ここでXはBrである]
又はそれらの薬学的に許容される塩の環化を含む、実施態様1に記載の方法。
【0113】
実施態様3:MがMgである、実施態様2に記載の方法。
【0114】
実施態様4:連続フロー反応が、
(a)式(III)の化合物
[式中、
は水素又はアミノ保護基であり;かつ
はヨード又はブロモである];
又はその薬学的に許容される塩をLi又はMg金属化剤と接触させて、式(I)の化合物を形成すること
を含む、実施態様2又は実施態様3に記載の方法。
【0115】
実施態様4a:連続フロー反応が、
(a)式(III)の化合物
[式中、
はアミノ保護基であり;かつ
はヨード又はブロモである]
又はその薬学的に許容される塩を、Li又はMg金属化剤と接触させて、式(I)の化合物を形成すること
を含む、実施態様2又は実施態様3に記載の方法。
【0116】
実施態様5:式(III)の化合物が、式(IV)の化合物
又はその薬学的に許容される塩であり、式中、Rは、水素又はアミノ保護基である、実施態様4に記載の方法。
【0117】
実施態様5:式(III)の化合物が、式(IV)の化合物
又はその薬学的に許容される塩であり、式中、Rはアミノ保護基である、実施態様4に記載の方法。
【0118】
実施態様6:金属化剤がiPrMgBrである、実施態様5に記載の方法。
【0119】
実施態様7:前記連続フロー反応が、配位エーテル溶媒若しくは非配位無極性溶媒、又はそれらの混合物中で行われる、実施態様1から6のいずれかに記載の方法。
【0120】
実施態様8:前記連続フロー反応が、配位エーテル溶媒中で行われる、実施態様1から7のいずれかに記載の方法。
【0121】
実施態様9:前記連続フロー反応が、非配位無極性溶媒中で行われる、実施態様1から7のいずれかに記載の方法。
【0122】
実施態様10:配位エーテル溶媒が、EtOEt、MeOtBu、iPrOiPr、ジオキサン、cペンチルOMe、THF、又はMeTHFである、実施態様8に記載の方法。
【0123】
実施態様11:非配位無極性溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、若しくはキシレン、又はそれらの混合物である、実施態様9に記載の方法。
【0124】
実施態様12:iPrMgBrがMeTHF中にある、実施態様6から11のいずれかに記載の方法。
【0125】
実施態様13:式(IV)の化合物が、EtOEt、MeOtBu、iPrOiPr、ジオキサン、cペンチルOMe、THF、MeTHF、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、若しくはキシレン、又はそれらの混合物中にある、実施態様5から12のいずれかに記載の方法。
【0126】
実施態様14:式(IV)の化合物が、MeTHF及びトルエンを含む混合物中にある、実施態様13に記載の方法。
【0127】
実施態様15:iPrMgBrが式(IV)の化合物に添加される、実施態様6から14のいずれかに記載の方法。
【0128】
実施態様16:ステップ(a)において、式(III)の化合物が式(II)の化合物に移され、式(II)の化合物が固体としてMg-イミン錯体に移され、Rが水素又はアミノ保護基であり、ここで、ステップ(b)において、酸性塩水溶液がステップ(a)から得られた混合物に添加され、それによって式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を形成する、実施態様4から15のいずれかに記載の方法。
【0129】
実施態様17:Mg-イミン錯体は懸濁液中の固体として形成され、Rは、水素又はアミノ保護基である、実施態様16に記載の方法。
【0130】
実施態様17a:Mg-イミン錯体は懸濁液中の固体として形成され、Rはアミノ保護基である、実施態様17に記載の方法。
【0131】
実施態様18:iPrMgBrの式(IV)の化合物に対するモル比が約1:1から約1.5:1までである、実施態様6から17のいずれかに記載の方法。
【0132】
実施態様19:iPrMgBrの式(IV)の化合物に対する比が約1.3から約1までである、実施態様6から18のいずれかに記載の方法。
【0133】
実施態様20:iPrMgBrの式(IV)の化合物に対する比が約1:1である、実施態様6から19のいずれかに記載の方法。
【0134】
実施態様21:iPrMgBrが1つ以上のステップにおいて式(IV)の化合物に添加される、実施態様6から20のいずれかに記載の方法。
【0135】
実施態様22:酸性塩水溶液が、酢酸、HCl、HSO、NaHSO、HPO、NaHPO、NaHPO、NaHクエン酸塩、NHCl、若しくはシュウ酸、又はそれらの混合物からなる群より選択される、実施態様16から21のいずれかに記載の方法。
【0136】
実施態様23:酸性塩水溶液がNaHSOである、実施態様22に記載の方法。
【0137】
実施態様24:式(I)の化合物が、任意選択的に、(a)洗浄;(b)蒸留;(c)沈殿;及び(d)乾燥される、実施態様1から23のいずれかに記載の方法。
【0138】
実施態様25:方法が再結晶ステップを必要としない、実施態様1から24のいずれかに記載の方法。
【0139】
実施態様26:方法が、1つ以上の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内で行われる、実施態様1から25のいずれかに記載の方法。
【0140】
実施態様27:方法が、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つのCSTRを使用して行われる、実施態様26に記載の方法。
【0141】
実施態様28:方法が、5つのCSTRを使用して行われる、実施態様26又は実施態様27に記載の方法。
【0142】
実施態様29:有機溶媒中の式(IV)の化合物の溶液を含む第1のCSTRを含み、有機溶媒が、EtOEt、MeOtBu、iPrOiPr、ジオキサン、cペンチルOMe、THF、MeTHF、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、若しくはキシレン、又はそれらの混合物のうちの1つ以上を含む、実施態様26から28のいずれかに記載の方法。
【0143】
実施態様30:式(IV)の化合物が、MeTHF及びトルエンの混合物中にある、実施態様29に記載の方法。
【0144】
実施態様31:式(IV)の化合物の溶液にMeTHF中のiPrMgBrが添加される、実施態様29又は実施態様30に記載の方法。
【0145】
実施態様32:iPrMgBrの式(IV)の化合物に対するモル比が約1:1である、実施態様31に記載の方法。
【0146】
実施態様33:MeTHF及びトルエンの懸濁液中の式(IV)、Mg-イミン錯体の化合物の混合物を含む第2のCSTRを含み、そこで、この混合物に約0.3当量のMeTHF中のiPrMgBrが添加される、実施態様26から32のいずれかに記載の方法。
【0147】
実施態様34:第1のCSTRの内容物が第2のCSTRに移送される、実施態様33に記載の方法。
【0148】
実施態様35:第3のCSTRをさらに含み、ここで、第2のCSTRの内容物が第3のCSTRに移送され、第3のCSTR内で撹拌される、実施態様26から34のいずれかに記載の方法。
【0149】
実施態様36:式(IV)の化合物をiPrMgBrと反応させることによって、懸濁液中の固体としてMg-イミン錯体が形成され、CSTR間で懸濁液として移送される、実施態様26から35のいずれかに記載の方法。
【0150】
実施態様37:第4のCSTRを含み、それにNaHSO水溶液が添加される、実施態様26から36のいずれかに記載の方法。
【0151】
実施態様38:第4のCSTR内にNaHSO水溶液を添加した後の二相混合物のpHが、約1から約3までである、実施態様37に記載の方法。
【0152】
実施態様39:第4のCSTR内の二相混合物のpHが約2である、実施態様38に記載の方法。
【0153】
実施態様40:第3のCSTRの内容物が第4のCSTRに添加され、それによって式(I)の化合物を形成する、実施態様26から39のいずれかに記載の方法。
【0154】
実施態様41:第4のCSTRをさらに含み、ここで、第2のCSTRの内容物が第4のCSTRに移送される、実施態様26から34及び実施態様36から40のいずれかに記載の方法。
【0155】
実施態様42:第5のCSTRを含み、それに水中の塩基の溶液が添加される、実施態様26から41のいずれかに記載の方法。塩基は、NaOH、KOH、NaCO、及びKCOからなる群より選択される。第5のCSTRを含み、それに水中のNaOHの溶液が添加される、実施態様26から41のいずれかに記載の方法。
【0156】
実施態様43:NaOHの添加後の第5のCSTR内の二相混合物のpHが約4から約7までである、請求項42に記載の方法。
【0157】
実施態様43A:NaOHの添加後の第5のCSTR内の二相混合物のpHが約4から約5.5までである、請求項42に記載の方法。
【0158】
実施態様44:NaOHの添加後の第5のCSTR内の二相混合物のpHが約4.8±0.2である、請求項43に記載の方法。
【0159】
実施態様44A:NaOHの添加後の第5のCSTR内の二相混合物のpHが約4.6±0.2である、請求項43に記載の方法。
【0160】
実施態様45:第1の分離容器をさらに含む、実施態様26から44のいずれかに記載の方法。
【0161】
実施態様46:第5のCSTRの内容物が分離容器に移され、それによって有機相と水相を分離する、実施態様45に記載の方法。
【0162】
実施態様47:実施態様46に記載の方法であって、有機相が、(a)水で洗浄;(b)蒸留;(c)沈殿;及び(d)乾燥されて、式(I)の化合物を単離する、実施態様46に記載の方法。
【0163】
実施態様48:第6のCSTRをさらに含み、それに水が添加される、実施態様26から47のいずれかに記載の方法。
【0164】
実施態様49:分離後の有機相が第6のCSTRに移送される、実施態様48に記載の方法。
【0165】
実施態様50:第2の分離容器をさらに含む、実施態様49に記載の方法。
【0166】
実施態様51:第6のCSTRの内容物が第2の分離容器に移され、それによって有機相と水相を分離する、実施態様50に記載の方法。
【0167】
実施態様52:実施態様51に記載の方法であって、有機相が、(i)蒸留;(ii)沈殿;及び(iii)乾燥されて、式(I)の化合物を単離する、実施態様51に記載の方法。
【0168】
実施態様53:実質的に図1に従って行われる、実施態様1から52のいずれかに記載の方法。
【0169】
実施態様54:実質的に図2に従って行われる、実施態様1から52のいずれかに記載の方法。
【0170】
実施態様55:Rがtert-ブチルオキシカルボニルである、実施態様1から54のいずれかに記載の方法。
【0171】
実施態様56A:式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物:
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること:
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中のNaOHを添加してpHを約5に設定し、反応を進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を分離すること
を含む、方法。
【0172】
実施態様56B:式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること:
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中のNaOHを添加してpHを約5に設定し、反応を進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を分離すること
を含む、方法。
【0173】
実施態様56C:式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し(第1のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し(第2のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し(第3のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を約4.45分間進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中のNaOHを添加してpHを約5に設定し、反応を約4.45分間進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を分離すること
を含む、方法。
【0174】
実施態様56D:実施態様56A:式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し、それによってMg-イミン錯体を固体として形成すること:
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによって追加のMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し、それによって追加のMg-イミン錯体を固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中のNaOHを添加してpHを約5に設定し、反応を進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を分離すること
を含む、方法。
【0175】
実施態様56E:式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物:
を、第1の連続撹拌槽型反応器(CSTR)内でトルエン及びMeTHFの混合物に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrを第1のCSTR内のステップ(a)の可溶化した化合物に添加し(第1のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(c)第1のCSTRの内容物を第2のCSTRに移し(第2のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それにMeTHF中のiPrMgBrを添加し、それによって追加のMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(d)第2のCSTRの内容物を第3のCSTRに移し、それにトルエンを添加し(第3のCSTRは約15分の滞留時間を有する)、それによって追加のMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(e)第3のCSTRの内容物を第4のCSTRに移し、それにNaHSO水溶液を添加してpHを約2に設定し、それによって式(I)の化合物を形成し、反応を約4.45分間進行させること;
(f)第4のCSTRの内容物を第5のCSTRに移し、それに水中のNaOHを添加してpHを約5に設定し、反応を約4.45分間進行させること;及び
(g)第5のCSTRの内容物を第1の分離容器に移して、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を分離すること
を含む、方法。
【0176】
上述したように、第3のCSTRは、どの実施態様でもスキップすることができる。この場合、次のCSTRの番号付けは同じままである。
【0177】
実施態様57:実施態様56に記載の方法であって、生成物含有有機相が、(a)水で洗浄;(b)蒸留;(c)沈殿;及び(d)乾燥される、実施態様56に記載の方法。
【0178】
実施態様58:第6のCSTRをさらに含み、それに水が添加される、実施態様56に記載の方法。
【0179】
実施態様59:分離後の有機相が第6のCSTRに移送される、実施態様58に記載の方法。
【0180】
実施態様60:第2の分離容器をさらに含む、実施態様59に記載の方法。
【0181】
実施態様61:第6のCSTRの内容物が第2の分離容器に移され、それによって有機相と水相を分離する、請求項60に記載の方法。
【0182】
実施態様62:実施態様61に記載の方法であって、有機相が式(I)の化合物を含み、(i)蒸留;(ii)沈殿;及び(iii)乾燥される、実施態様61に記載の方法。
【0183】
実施態様63:式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物
をトルエン及びMeTHFの混合物中に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrをステップ(a)の可溶化した化合物に添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(c)酸性塩水溶液を添加すること;
(d)水に塩基を添加すること;及び
(e)式(I)の化合物を単離すること
を含む、方法。
【0184】
実施態様64:式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、次のステップ:
(a)式(IV)の化合物
をトルエン及びMeTHFの混合物中に可溶化すること;
(b)MeTHF中のiPrMgBrをステップ(a)の可溶化した化合物に添加し、それによってMg-イミン錯体を懸濁液中の固体として形成すること;
(c)NaHSO水溶液を添加すること;
(d)水中のNaOHを添加すること;及び
(e)式(I)の化合物を単離すること
を含む、方法。
【0185】
実施態様65.式(I)の化合物
又はそれらの薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、連続フロー反応を含み、式中、Rは水素又はアミノ保護基である、方法。
【0186】
実施態様66.連続フロー反応が、式(II)の化合物
又はそれらの薬学的に許容される塩の環化を含み、式中、Rは水素又はアミノ保護基であり、MはLi又はMgである、実施態様65に記載の方法。
【0187】
実施態様66a.実施態様65に記載の方法であって、連続フロー反応が、式(II)の化合物
又はそれらの薬学的に許容される塩の環化を含み、式中、Rはアミノ保護基であり、MはLi又はMgXであり、ここでXはBr又はIである、実施態様65に記載の方法。
【実施例
【0188】
次の実施例は、限定ではなく、例示として提示されている。
【0189】
実施例1:
【化3】
機器:3×100mL及び2×250mLの二重ジャケット反応器。オーバーフロー管(ID=3.0mm)を各反応器に配置し、充填量を50mLに制御した。インペラーミキサを備えたオーバーヘッドスターラーを使用した。4×Huberサーモスタット及びび6×連続Syrdos2シリンジポンプ(シリンジ容量1.0~10.0mL)を使用した。PTFEチューブ(ID=0.8mm及び1.58mm)、2×pH Electode InLab-Semi-Micro-L及び5×温度プローブPT100を使用した。水平ガラス分離カラム(50mL)を液/液相分離に使用した。
【0190】
すべての連続撹拌槽型反応器(CSTR)には、反応器の容積を個別に調整するためのオーバーフロー管(ID=3mm)が備わっていた。CSTR1は正確に48.8mLに調整したが、CSTR2~5は50.0mLの容積を有していた。各個別のCSTRの滞留時間は、次の式によって示されるように、反応器の容積と流量の結果である。
【0191】
滞留時間[分]=容積[mL]/流量[mL/分]
【0192】
原料溶液の調製:
フィードA(tert-ブチル(R)-4-(6-ブロモ-5-(1-シアノプロパン-2-イル)ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシラート(化合物4)):
【0193】
化合物4(143.6g)を、トルエン(772.9g)及びMeTHF(295.3g)の混合物にて可溶化した。得られた茶色がかった溶液の最終濃度は0.26Mであった。
【0194】
フィードB(MeTHF中のiPrMgBr):iPrMgBrをMeTHF中の40%(w/w)溶液(約2.95M)として供給し、供給されたまま直接使用した。
【0195】
フィードC(NaHSO水溶液):NaHSO*HO(57.5g)を水(942.5g)にて可溶化した。得られた透明な溶液の最終濃度は5.0%(w/w)であった。
【0196】
フィードD(NaOH水溶液):NaOH(80.0g)を水(990.4g)にて可溶化した。得られた透明な溶液の最終濃度は2.0Mであった。
【0197】
フィードE(トルエン):生成物の流れを希釈するための純溶媒として、トルエンを使用した。
【0198】
実施例2:立ち上げフェーズ(バッチモード)
すべてのシリンジポンプと移送ラインを2倍量の供給溶液でパージした。
【0199】
CSTR1及びCSTR2にそれぞれフィードA(44.9mL)を入れた。フィードB(263.6μL、1.00当量)をディップチューブ経由でCSTR1に15分間かけて添加し、ITを27℃に維持した。添加後、得られた懸濁液は、CSTR1内の化合物4の約75%の変換を示した。フィードB(342.7μL、1.30当量)ディップチューブ経由でCSTR2に15分間かけて添加し、ITを27℃に維持した。添加後、得られた懸濁液は、CSTR2内の化合物4の約95%の変換を示した。CSTR3にトルエン(15mL)を添加して最小攪拌量に到達させ、ITを27℃に調整した。CSTR4に水(40mL)を入れ、フィードC(NaHSO水溶液)のpH制御添加を有効にして、内部温度15℃でpH2に調整し、維持した。CSTR5に水(40mL)を入れ、フィードD(NaOH水溶液)のpH制御添加を有効にして、25℃のITでpH=5に調整し、維持した。
【0200】
実施例3:完全連続動作
6つのポンプすべてをそれぞれの流速で同時に始動し(例えば、図1及び図2を参照)、反応質量を重力によってCSTRからCSTRへと連続的にオーバーフローさせた。速度を参照用に以下に提供する。
【0201】
CSTR5から出る液体/液体の二相流を、2つの層を分離するためにインラインセトラユニットに導いた(図1及び図2参照)。所望の化合物1を含む上(有機)層を回収し、下(水)層を廃棄へと誘導した。
【0202】
バッチモードでの化合物1の単離
有機層を蒸留(IT35℃、約10mbar)によって所定の残留量まで濃縮し、続いて反溶媒混合物(n-ヘプタン:メチル-tertブチルエーテル - 1:1.5体積/体積)を45℃のITで90分間にわたって添加して、化合物1の沈殿を完了させた。スラリーをITが0℃になるまで冷却した後、濾過した。得られた濾過ケーキを0℃のITで溶媒混合物(n-ヘプタン:メチル-tertブチルエーテル - 1:1.5体積/体積)で洗浄した。重量が一定になるまで、生成物を50℃のジャケット温度及び減圧下で乾燥させた。化合物1を淡黄色からオフホワイトの粉末として80~85%の収率で単離した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-cfe) δ 8.60 (s, 1 H), 3.82 (m, 2H), 3.72 (m, 1 H), 3.65 (m, 2H), 3.50 (m, 2H), 3.42 (m, 2H), 2.90 (dd, 1 H, J = 7, 19 Hz), 2.25 (dd, 1 H, J = 2, 19 Hz), 1.41 (s, 9H), 1.19 (d, 3H, J = 7 Hz); 13C NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 205.75, 161.96, 158.89, 157.97, 154.34, 137.39, 79.67, 45.77, 43.39, 43.25, 31.22, 28.52, 20.40; [α]436 20 + 453.7 (c = 1 , MeOH);C17H24 403のHRMS計算値[M+H]+:333.1921、実測値:333.1916。
【0203】
本明細書で用いられる技術用語及び科学用語はすべて、同じ意味を有する。用いられる数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するために努力してきたが、幾らかの実験的な誤差及び偏差が考慮されるべきである。
【0204】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise、comprises、及びcomprising)」という語句は、文脈上別段の必要がある場合を除き、非排他的な意味で用いられる。本明細書に記載される実施態様は、「からなる」及び/又は「から本質的になる」実施態様を含むことが理解される。
【0205】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別のことを指示しない限り、範囲の上限及び下限と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在する値との間の、下限の単位の10分の1までの各介在値が、本明細書に包含されるものと理解されたい。より小さい範囲(rangers)に独立して含めることができるこれらの小さい範囲の上限及び下限もまた、記載された範囲における具体的に除かれる限界値を条件として、本明細書に包含される。記載された範囲に限界値の一方又は両方が含まれる場合、それらの含まれる限界値のいずれか又は両方を除く範囲もまた、本明細書に含まれる。
【0206】
前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有する、これらの発明が関係する当業者には、本明細書に記載される発明の多くの修正及び他の実施態様が思い浮かぶであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施態様に限定されるべきではなく、修正及び他の実施態様は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されているものと理解されたい。本明細書では特定の用語が用いられているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ用いられているのであって、限定の目的ではない。
図1
図2
【国際調査報告】