(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】形質移入デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/87 20060101AFI20230626BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230626BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230626BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230626BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230626BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230626BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230626BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230626BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20230626BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20230626BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230626BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230626BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20230626BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230626BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230626BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230626BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230626BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230626BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230626BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230626BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230626BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230626BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230626BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230626BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20230626BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230626BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20230626BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230626BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
C12N15/87 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 D
C12N5/10
C12N5/0783
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/55
C12N15/54
A61K35/17
A61P7/06
A61P37/02
A61P7/04
A61P21/04
A61P3/06
A61P43/00 105
A61P27/02
A61P13/02
A61P17/00
A61P25/14
A61P25/00
A61P7/00
A61P15/00
A61P35/00
A61P9/00
A61P3/10
A61P25/18
A61P25/28
A61P25/16
A61P19/00
A61P13/12
A61P1/16 101
A61P1/04
A61P7/02
A61P29/00
A61P35/02
A61P1/00
A61P1/16
A61P1/18
A61P13/08
A61P13/10
A61P15/02
A61P1/02
A61P11/02
A61P31/12
A61P31/04
A61P33/00
A61P31/18
A61P33/06
A61P31/22
A61P25/08
A61P25/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573657
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 US2021034251
(87)【国際公開番号】W WO2021242857
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522464311
【氏名又は名称】トランスサイトス,リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】TRANSCYTOS, LLC
【住所又は居所原語表記】21 Main Street, Suite 2, Sturbridge, Massachusetts 01566,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100130443
【氏名又は名称】遠藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】オットー ジェイ. プロハスカ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ファッシング
(72)【発明者】
【氏名】フィティ アイ. オルジャイトゥグ
(72)【発明者】
【氏名】テレサ エル. オケーフェ
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァス シャンカラ
(72)【発明者】
【氏名】アルムガム ラグナタン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ボノー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB11
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4B065AB01
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4C087ZB38
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4C087ZC55
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、分子又は組成物を細胞又は細胞様体に導入する方法、組立体、システム、キット、及びデバイスである。溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する組立体は、その基端部において第1の内径又は断面積を有し、遠端部と基端部との間に延在する内壁及び外壁を有する剛性容器と、基端部において容器に挿入可能なプランジャと、遠端部近傍の内壁のみの少なくとも1つの狭窄部又は遠端部近傍の内壁及び外壁の少なくとも1つの狭窄部とを備え、少なくとも1つの狭窄部は、容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有し、プランジャは容器に沿って軸方向に移動可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する組立体であって、
その基端部において第1の内径又は断面積を有し、遠端部と基端部との間に延在する内壁及び外壁を有する剛性容器と、
前記基端部において前記容器に挿入可能なプランジャと、
前記遠端部近傍の前記内壁のみの少なくとも1つの狭窄部又は前記遠端部近傍の前記内壁及び前記外壁の少なくとも1つの狭窄部と、
を備え、
前記少なくとも1つの狭窄部は、前記容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有し、前記プランジャは前記容器に沿って軸方向に移動可能である、組立体。
【請求項2】
前記容器は、前記容器の内壁から突出するリップルを含む、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記狭窄部は、前記細胞又は前記細胞様体の直径の1.2倍~100倍の直径を有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記狭窄部は、前記細胞又は前記細胞様体の直径の2倍~10倍の直径を有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記プランジャは、遠端部及び基端部を有するロッドを備え、前記プランジャの前記遠端部は円錐形又は円柱形先端部を備え、前記プランジャの前記基端部は、前記プランジャを電動アームに取り付けるように構成される、請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
前記容器の内壁の平均粗度は10nm~1μmである、請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
前記粗度は、細胞断片を前記容器の前記内壁に吸収させることによって作成される、請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記容器は複数の狭窄部を備える、請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
前記狭窄部は、長さ0.2~10mmを有する流路を形成する、請求項1に記載の組立体。
【請求項10】
前記容器は、複数の狭窄部を備えた着脱可能なインサートを備える、請求項1に記載の組立体。
【請求項11】
前記複数の狭窄部は、同じ内径若しくは断面積、異なる内径若しくは断面積、又はそれらの組合せを有する、請求項8に記載の組立体。
【請求項12】
前記複数の凶作部は、同じ内径もしくは断面積、異なる内径もしくは断面積、またはそれらの組み合わせを有する、請求項10に記載の組立体。
【請求項13】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する組立体であって、
遠端部と基端部との間に延在する内壁及び外壁を有する剛性容器であって、前記外壁及び前記内壁は、前記遠端部と前記基端部との間の前記容器の前記中央部分において狭まって狭窄部を形成する、剛性容器と、
前記基端部近傍において前記容器に移動可能に配置されたプランジャと、
前記細胞又は前記細胞様体の直径の1.2倍~100倍の直径を有する前記狭窄部と、
を備えた、組立体。
【請求項14】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する組立体であって、
第1の内径又は断面積、第1の端部、及び第2の端部を有する可撓性容器と、
前記可撓性容器の少なくとも1つの断面を圧縮することによって形成される少なくとも1つの狭窄部と、
前記第1若しくは第2の端部の少なくとも一方に位置決めされた着脱可能なプランジャ又は前記第1の端部及び前記第2の端部の各々に位置決めされた着脱可能なプランジャと、
を備え、
前記少なくとも1つの狭窄部は、前記容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する、組立体。
【請求項15】
前記狭窄部は、前記細胞又は前記細胞様体の直径の1.2倍~100倍の直径を有する、請求項14に記載の組立体。
【請求項16】
前記プランジャは、前記容器に沿って軸方向に移動可能である、請求項14に記載の組立体。
【請求項17】
前記少なくとも1つの狭窄セクションは、少なくとも1つの可動式ウェッジ又は少なくとも1つの可動式ローラによって形成される、請求項14に記載の組立体。
【請求項18】
前記容器は複数の狭窄部を備える、請求項14に記載の組立体。
【請求項19】
前記容器は、複数の狭窄部を備えた着脱可能なインサートを備える、請求項14に記載の組立体。
【請求項20】
前記複数の狭窄部は、同じ内径若しくは断面積、異なる内径若しくは断面積、又はそれらの組合せを有する、請求項18に記載の組立体。
【請求項21】
前記複数の狭窄部は、同じ内径若しくは断面積、異なる内径若しくは断面積、又はそれらの組合せを有する、請求項19に記載の組立体。
【請求項22】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する組立体であって、
第1の内径又は断面積、第1の端部、及び第2の端部を有する可撓性容器と、
前記容器を圧縮して狭窄部を形成する、前記容器に沿って移動可能な少なくとも1つの移動可能なウェッジと、
前記容器の前記第1の端部及び前記第2の端部に固定された静止キャップと、
を備え、
前記少なくとも1つの狭窄部は、前記容器の前記第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する、組立体。
【請求項23】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するマイクロ流体デバイスであって、
第1の内径又は断面積を有する少なくとも1つのチャネルと、
前記チャネルと連続した少なくとも1つの狭窄セクションと、
少なくとも部分的に前記チャネルに入るように構成された少なくとも1つの構造と、
を備え、
前記少なくとも1つの狭窄セクションは、前記チャネルの第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有し、前記狭窄部は、前記細胞又は前記細胞様体の直径の1.2倍~100倍の直径を有する、マイクロ流体デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの構造は、プランジャ又は可撓性シートである、請求項23に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項25】
前記デバイスは複数のチャネルを備え、前記チャネルの各々は狭窄部又は複数の狭窄部を備える、請求項23に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項26】
前記複数の狭窄部は、同じ内径若しくは断面積、異なる内径若しくは断面積、又はそれらの組合せを有する、請求項25に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項27】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するシステムであって、
モータに取り付けられた少なくとも1つのアームを備えた器具であって、前記モータは前記少なくとも1つのアームを軸方向に移動させるように構成される、器具と、
少なくとも1つの、請求項1に記載の組立体と、
を備えた、システム。
【請求項28】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するシステムであって、
モータに取り付けられた少なくとも1つのアームを備えた器具であって、前記モータは前記少なくとも1つのアームを軸方向に移動させるように構成される、器具と、
少なくとも1つの、請求項14に記載の組立体と、
を備えた、システム。
【請求項29】
前記システムは、複数の、請求項1に記載の組立体を備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記システムは、複数の、請求項14に記載の組立体を備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記プランジャは前記アームに取り付けられる、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
複数のプランジャは、前記アーム又は複数のアームに取り付けられる、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1つの狭窄セクションは、少なくとも1つの可動式ウェッジ又は少なくとも1つの可動式ローラによって形成され、前記可動式ウェッジ又は前記可動式ローラは少なくとも1つのアームに取り付けられる、請求項27に記載のシステム。
【請求項34】
前記少なくとも1つの狭窄セクションは、複数の可動式ウェッジ又は複数の可動式ローラによって形成され、前記複数の可動式ウェッジ又は前記複数の可動式ローラは、前記アーム又は複数のアームに取り付けられる、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するシステムであって、
モータに取り付けられた少なくとも1つのアームを備えた器具であって、前記モータは前記少なくとも1つのアームを軸方向に移動させるように構成される、器具と、
前記構造は前記アームに取り付けられたプランジャである、少なくとも1つの、請求項23に記載のマイクロ流体デバイスと、
を備えた、システム。
【請求項36】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するシステムであって、
少なくとも1つの圧電積層を備えた器具と、
前記構造は前記圧電積層と接触する可撓性シートである、少なくとも1つの、請求項23に記載のマイクロ流体デバイスと、
を備えた、システム。
【請求項37】
少なくとも1つの光学センサを更に備える請求項27に記載のシステム。
【請求項38】
少なくとも1つの光学センサを更に備える請求項29に記載のシステム。
【請求項39】
少なくとも1つの光学センサを更に備える請求項35に記載のシステム。
【請求項40】
少なくとも1つの光学センサを更に備える請求項36に記載のシステム。
【請求項41】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するキットであって、
少なくとも1つの、請求項1に記載の組立体と、
前記容器内に含まれる少なくとも1つの形質移入溶液及び/又は別個のバイアル内の少なくとも1つの形質移入溶液と、
を備えた、キット。
【請求項42】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するキットであって、
少なくとも1つの、請求項14に記載の組立体と、
前記容器内に含まれる少なくとも1つの形質移入溶液及び/又は別個のバイアル内の少なくとも1つの形質移入溶液と、
を備えた、キット。
【請求項43】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するキットであって、
少なくとも1つの、請求項23に記載のマイクロ流体デバイスと、
前記少なくとも1つのチャネル内に含まれる少なくとも1つの形質移入溶液及び/又は別個のバイアル内の少なくとも1つの形質移入溶液と、
を備えた、キット。
【請求項44】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する方法であって、
a)細胞又は細胞様体及び形質移入材料を含み、少なくとも1つの可動構造と接触している溶液を提供することと、
b)前記可動構造を移動させることにより、前記細胞又は前記細胞様体の直径の1.2倍~100倍の直径を有する少なくとも1つの狭窄部に少なくとも1回、前記溶液を通すことと、
を含む、方法。
【請求項45】
前記試料溶液はガス材料又は固体材料を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記可動構造は、剛性容器に挿入可能であり、前記容器に沿って軸方向に移動可能なプランジャである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記可動構造は、少なくとも1つの可動式ウェッジ又はローラによって圧縮可能な可撓性容器である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記可動式ウェッジ又はローラの形状、サイズ、及び位置の少なくとも1つは、前記狭窄部の前記サイズを調整するように選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記可動構造は、マイクロ流体デバイスのチャネルに少なくとも部分的に挿入可能なプランジャである、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記可動構造は、マイクロ流体デバイスのチャネルに少なくとも部分的に挿入可能な可撓性シートである、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記溶液は、2回以上、前記少なくとも1つの狭窄部を通る、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する方法であって、
a)細胞又は細胞様体及び形質移入材料を含む溶液を提供することと、
b)請求項1に記載の組立体による少なくとも1つの剛性容器に前記溶液を装填することであって、前記溶液は前記プランジャと接触する、前記装填することと、
c)前記プランジャを前記容器内で軸方向に移動させて、前記溶液を少なくとも1回、前記少なくとも1つの狭窄部に通すことと、
を含む、方法。
【請求項53】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する方法であって、
a)細胞又は細胞様体及び形質移入材料を含む溶液を提供することと、
b)請求項14に記載の組立体による少なくとも1つの可撓性容器に前記溶液を装填することであって、前記溶液は前記可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、
c)少なくとも1つのウェッジ又はローラを前記容器に沿って軸方向に移動させて、前記試料溶液を少なくとも1回、前記少なくとも1つの狭窄部に通すことと、
を含む、方法。
【請求項54】
溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する方法であって、
a)細胞又は細胞様体及び形質移入材料を含む溶液を提供することと、
b)少なくとも1つの、請求項23に記載のマイクロ流体デバイスに前記溶液を装填することであって、前記溶液は前記構造と接触する、前記装填することと、
c)前記少なくとも1つのチャネル内で前記構造を移動させて、前記溶液を少なくとも1回、前記少なくとも1つの狭窄部に通すことと、
を含む、方法。
【請求項55】
前記形質移入材料は、遺伝材料、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、無機化合物、合成ポリマー、薬物、医薬組成物、又はそれらの混合物を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
前記遺伝材料は、抗体、抗体断片、又はキメラ抗原受容体(CAR)をコードする発現ベクターを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記形質移入材料は、CRISPR構成要素、TALENタンパク質、ZFNタンパク質、メガヌクレアーゼ、又はCreリコンビナーゼを含む遺伝子編集成分を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記細胞は、原核細胞、真核細胞、又は細胞様体を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記原核細胞は、細菌、シアノバクテリア、又は古細菌である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記真核細胞は、動物細胞、植物細胞、原生生物、酵母、又は真菌である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記細胞様体は、エクソソーム、小胞、細胞小器官、膜結合細胞内小胞、細胞由来若しくは合成由来膜結合小胞、又は細胞由来若しくは合成由来細胞内小胞である、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記真核細胞は、上皮細胞、造血細胞、幹細胞、脾臓細胞、腎細胞、膵細胞、肝細胞、神経細胞、グリア細胞、筋細胞、心臓細胞、肺細胞、眼細胞、骨髄細胞、配偶子、胎児臍帯血細胞、前駆細胞、腫瘍細胞、末梢血単核球、及び免疫細胞からなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記免疫細胞は、T細胞、B細胞、白血球、リンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞(DC)、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞、顆粒球、自然リンパ球、単球、マクロファージ、好塩基球、好酸球、及び好中球からなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記免疫細胞はヒトT細胞である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
感染因子から対象を保護する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、前記感染因子又は前記感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)請求項1に記載の組立体による少なくとも1つの剛性容器に前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記プランジャと接触する、前記装填することと、
d)前記プランジャを前記容器内で軸方向に移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通して、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
e)前記形質移入された細胞又は細胞様体を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項66】
感染因子から対象を保護する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、前記感染因子又は前記感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)請求項14に記載の組立体による少なくとも1つの可撓性容器に前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、
d)少なくとも1つのウェッジ又はローラを前記容器に沿って軸方向に移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通し、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
e)前記形質移入された細胞又は細胞様体を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項67】
感染因子から対象を保護する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、前記感染因子又は前記感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)少なくとも1つの、請求項23に記載のマイクロ流体デバイスに前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記構造と接触する、前記装填することと、
d)前記構造を前記少なくとも1つのチャネル内で移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通し、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
e)前記形質移入された細胞又は細胞様体を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項68】
感染因子又は前記感染因子によって産生される有毒物質によって生じる感染を防ぐに当たり使用される細胞又は細胞様体を調製する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、前記感染因子又は前記感染因子によって産生される前記有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)請求項1、14、又は23の何れか一項に記載の組立体による少なくとも1つの剛性容器に前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記プランジャと接触する、前記装填することと、
d)前記プランジャを前記容器内で軸方向に移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通して、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
を含み、
それにより、感染因子又は前記感染因子によって産生される有毒物質によって生じる感染を防ぐに当たり使用される細胞又は細胞様体を調製する、
方法。
【請求項69】
感染因子から対象を保護する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、前記感染因子又は前記感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)少なくとも1つの、請求項23に記載のマイクロ流体デバイスに前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記構造と接触する、前記装填することと、
d)前記構造を前記少なくとも1つのチャネル内で移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通し、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
を含み、
前記対象に前記形質移入した細胞又は細胞様体が投与される、
方法。
【請求項70】
哺乳類から細胞を単離するステップを更に含む請求項65~69の何れか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすステップを更に含む請求項65~70の何れか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記感染因子は細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、又はプリオンである、請求項65~70の何れか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記有毒物質は毒素又はアレルゲンである、請求項65~70の何れか一項に記載の方法。
【請求項74】
CAR-T細胞を調製する方法であって、
a)自己T細胞又は同種T細胞を提供することと、
b)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液と前記T細胞を混合して、試料溶液を形成することと、
c)請求項1に記載の組立体による少なくとも1つの剛性容器に前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記プランジャと接触する、前記装填することと、
d)前記プランジャを前記容器内で軸方向に移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通して、前記T細胞に形質移入することと、
を含む、方法。
【請求項75】
CAR-T細胞を調製する方法であって、
a)自己T細胞又は同種T細胞を提供することと、
b)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液と前記T細胞を混合して、試料溶液を形成することと、
c)請求項14に記載の組立体による少なくとも1つの可撓性容器に前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、
d)少なくとも1つのウェッジ又はローラを前記容器に沿って軸方向に移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通し、前記T細胞に形質移入することと、
を含む、方法。
【請求項76】
CAR-T細胞を調製する方法であって、
a)自己T細胞又は同種T細胞を提供することと、
b)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液と前記T細胞を混合して、試料溶液を形成することと、
c)少なくとも1つの、請求項23に記載のマイクロ流体デバイスに前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記構造と接触する、前記装填することと、
d)前記構造を前記少なくとも1つのチャネル内で移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通し、前記T細胞に形質移入することと、
を含む、方法。
【請求項77】
疾患又は障害を有する対象を治療する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液とT細胞を混合して、試料溶液を形成することと、
c)少なくとも1つの、請求項1、14、又は23の何れか一項に記載のマイクロ流体デバイスに前記試料溶液を装填することであって、前記試料は構造と接触する、前記装填することと、
d)前記構造を前記少なくとも1つのチャネル内で移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通して、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
e)前記形質移入された細胞又は細胞様体を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項78】
疾患又は障害を有する対象を治療する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液とT細胞を混合して、試料溶液を形成することと、
c)少なくとも1つの、請求項1、14、又は23の何れか一項に記載のマイクロ流体デバイスに前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記構造と接触する、前記装填することと、
d)前記構造を前記少なくとも1つのチャネル内で移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を少なくとも1つの狭窄部に通して、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
e)前記対象に、前記形質移入された細胞又は細胞様体が投与されることと、
を含む、方法。
【請求項79】
哺乳類から細胞を単離するステップを更に含む請求項74~78の何れか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記疾患又は障害は、鎌状赤血球貧血、重症複合免疫不全症(ADA-SCID/X-SCID)、嚢胞性繊維症、血友病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、家族性高脂血症、α1アンチトリプシン欠損症、慢性肉芽腫、ファンコニー貧血、ゴーシェ病、レーバー先天性黒内障、フェニルケトン尿症、地中海貧血症、眼皮膚白皮症、ハンチントン病、筋緊張性ジストロフィー、神経線維腫症、多発性嚢胞腎、低リン血症性くる病、レット症候群、非閉塞性精子産生不全、脆弱X症候群、フリートライヒ失調症、脊髄小脳失調症、ファン・デル・ウンデ症候群、がん、心疾患、糖尿病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、カナバン病、シャルコー・マリー・トゥース病、色盲、ネコ鳴き症候群、ダウン症、血色素症、クラインフェルター症候群、プラダー・ウィリー症候群、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病及びターナー症候群、1p36欠失症候群、18p欠失症候群、21水酸化酵素欠損症、22q11.2欠失症候群、α1アンチトリプシン欠損症、AAA症候群(アカラシア・アジソン病・無涙症候群)、アースコグ・スコット症候群、ABCD症候群、無セルロプラスミン血症、無手足症、軟骨無発生症2型、軟骨無形成症、急性間欠性ポルフィリン症、アデニロコハク酸リアーゼ欠損症、副腎白質ジストロフィー、アラジール症候群、ADULT症候群、エカルディ・グティエール症候群、白化症、アレキサンダー病、アルカプトン尿症、アルポート症候群、小児交互性片麻痺、筋萎縮性側索硬化症-前頭側頭型認知症、アルストローム症候群、アルツハイマー病、遺伝性エナメル質形成不全症、アミノレブリン酸脱水酵素欠損ポルフィリン症、アンドロゲン不応症、アンジェルマン症候群、アペール症候群、関節拘縮・腎機能不全・胆汁うっ滞症候群、毛細血管拡張性運動失調症、アクセンフェルト症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、ベンジャミン症候群、ビオチニダーゼ欠損症、ブヨルンスタッド症候群、ブルーム症候群、バート・ホッグ・デュベ症候群、ブロディーミオパシー、ブルンナー症候群、CADASIL症候群、CARASIL症候群、慢性肉芽腫、屈曲肢異形成症、カナバン病、カーペンター症候群、大脳形成異常・神経障害・魚鱗癬・角皮症症候群(SEDNIK)、嚢胞性繊維症、シャルコ・マリ・ツース病、CHARGE症候群、チェディアック・東症候群、鎖骨頭蓋異骨症、コケイン症候群、コフィン・ローリー症候群、コーエン症候群、コラーゲン異常症(2型及び11型)、色盲、先天性無痛無汗症(CIPA)、先天性筋ジストロフィー、コルネリア・デ・ランゲ症候群(CDLS)、カウデン病、CPO欠損症(コプロポルフィリン症)、頭蓋・水晶体・縫合異形成症、ネコ鳴き症候群、クローン病、クルーゾン症候群、クルーゾン皮膚骨格症候群(黒色表皮腫を伴うクルーゾン症候群)、ダリエー病、デント病(遺伝性高カルシウム尿症)、デニス・ドラッシュ症候群、ド・グルーシー症候群、ダウン症、ディジョージ症候群、遠位型遺伝性運動性ニューロパチー、遠位型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ドラベ症候群、エドワーズ症候群、エーラス・ダンロス症候群、エメリー・ドレイフス症候群、表皮水疱症、骨髄性プロトポルフィリン症、ファンコニー貧血(FA)、ファブリー病、第V因子ライデン血栓形成傾向、致死性家族性不眠症、家族性大腸腺腫症、家族性自律神経失調症、家族性クロイツフェルトヤコブ病、ファインゴールド症候群、FG症候群、脆弱X症候群、フリードライヒ運動失調症、G6PD欠乏症、ガラクトース血症、ゴーシェ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、ギレスピー症候群、グルタル酸尿症(1型及び2型)、GRACILE症候群、慢性肉芽腫、グリシェリ症候群、ヘイリー・ヘイリー病、道化師様魚鱗癬、遺伝性ヘモクロマトーシス、血友病、骨髄肝性ポルフィリン症、遺伝性コプロポルフィリン症、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー・ウェーバー・レンドゥ症候群)、遺伝性封入体ミオパチー、遺伝性多発性外骨腫症、遺伝性痙性対まひ(乳児期発症上行性遺伝性痙性対麻痺)、ヘルマンスキー・パドラック症候群、遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)、内臓転位、ホモシスチン尿症、ハンチントン病、ハンター症候群、ハーラー症候群、ハッチンソン・ギルフォード早老症候群、家族性高コレステロール血症、高リジン血症、原発性高シュウ酸尿症、高フェニルアラニン血症、低αリポ蛋白血症(タンジール病)、軟骨低発生症、軟骨低形成症、低リン血症性くる病、免疫不全・セントロメア不安定・顔面異常症候群(ICF症候群)、色素失調症、坐骨膝蓋骨異形成症、アイソダイセントリック(Isodicentric)15、ジャクソン・ワイス症候群、ジュベール症候群、若年性原発性側索硬化症(JPLS)、ケロイド障害、クラインフェルター症候群、クニースト骨異形成症、小崎過成長症候群、クラッベ病、クフォー・ラケブ症候群、LCAT欠損症、レーバー先天性黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リー・フラウメニ症候群、肢帯型筋ジストロフィー、リンチ症候群、リポタンパクリパーゼ欠損症、悪性高熱症、メープルシロップ尿症、マルファン症候群、マロトー・ラミー症候群、マキューン・オルブライト症候群、マクラウド症候群、MEDNIK症候群、家族性地中海熱、メンケス病、メトヘモグロビン血症、メチルマロン酸血症、ミクロ症候群、小頭症、モルキオ症候群、モワット・ウィルソン症候群、ムエンケ症候群、多発性内分泌腫瘍症1型(ウェルマー症候群)、多発性内分泌腫瘍症2型、筋ジストロフィー、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型及びベッカー型)、ミオスタチン関連筋肥大、筋緊張性ジストロフィー、ナトビッチ(Natowicz)症候群、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、ニーマン・ピック病、非ケトーシス型高グリシン血症、非閉塞性(Nonobstructuive)精子産生不全、非症候性難聴、ヌーナン症候群、ノーマン・ロバーツ症候群、眼皮膚白皮症、オグデン症候群、オーメン症候群、骨形成不全症、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症、パーキンソン病、パトー症候群(13トリソミー)、PCC欠乏症(プロピオン酸血症)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、ペンドレッド症候群、ポイツ・イェガース症候群、パイフェル症候群、フェニルケトン尿症、ピペコリン酸血、ピット・ホプキンス症候群、多発性嚢胞腎疾患、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、ポルフィリン症、プラダー・ウィリー症候群、原発性線毛機能不全(PCD)、原発性肺高血圧症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、疑似ゴーシェ病、弾性線維性仮性黄色腫、網膜色素変性症、レット症候群、ローベルト症候群、ルビンスタイン・テイビ症候群(RSTS)、サンドホフ病、サンフィリポ症候群、シュワルツ・ヤンペル症候群、シェーグレン・ラルソン症候群、先天性脊椎骨端骨異形成症(SED)、シュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群、鎌状赤血球貧血、シデリウス型X連鎖精神遅滞症候群、鉄芽球性貧血、スライ症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群、スミス・マギニス症候群、シュナイダー・ロビンソン症候群、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症(1-29型)、SSB症候群(SADDAN)、シュタルガルト病(黄斑変性症)、スティックラー症候群(多形)、ストラドウィック症候群(脊椎骨端骨幹端異形成、ストラドウィック型)、テイ・サックス病、ビオプテリン代謝異常症、地中海貧血症、致死性骨異形成症、トリーチャーコリンズ症候群、結節性硬化症(TSC)、ターナー症候群、アッシャー症候群、ファン・デル・ウンデ症候群、異型ポルフィリン症、フォン・ヒッペル・リンドウ病、ワールデンブルグ症候群、ヴァイセンバッハー・ツヴェイミューラー症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ウッドハウス・サカティ症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、色素性乾皮症、X連鎖知的障害及び巨精巣症(脆弱X症候群)、X連鎖球脊髄性筋萎縮症(球脊髄性筋萎縮症)、Xp11.2重複症候群、X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)、X連鎖鉄芽球性貧血(XLSA)、47XXX(別名トリプルX症候群)、XXXX症候群(別名48XXXX)、XXXXX症候群(別名49XXXXX)、XYY症候群(別名47XYY)、ツェルウェーガー症候群、がん、心疾患、糖尿病、統合失調症、上皮細胞由来のがん種(乳房、前立腺、肺、膵臓、及び結腸で発症するがんを含む)、結合組織(即ち骨組織、軟骨組織、脂肪組織、及び神経組織)から生じる肉腫、造血細胞から生じるリンパ腫及び白血病、多能性細胞由来であり、殆どの場合、精巣及び卵巣に存在する胚細胞性腫瘍、未熟な「前駆細胞」又は胚組織由来の芽細胞腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、心臓がん、星状細胞腫、脳幹グリオーマ、毛様細胞性星状細胞腫、上衣腫、原始神経外胚葉性腫瘍、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、グリオーマ、髄芽腫、神経芽細胞腫、乏突起神経膠腫、松果体星状細胞腫、下垂体腺腫、視経路及び視床下部膠腫、乳がん、湿潤性小葉がん、管状がん、湿潤性篩状癌、髄様がん、男性乳がん、葉状腫瘍、炎症性乳がん、副腎皮質がん、膵島細胞がん(膵島)、多発性内分泌腫瘍症候群、副甲状腺がん、褐色細胞腫、甲状腺がん、メルケル細胞癌、ブドウ膜黒色腫、網膜芽細胞腫、肛門がん、虫垂がん、胆管がん、大腸がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃(Gastric)(胃(stomach))がん、消化管カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、肝細胞がん、膵がん(島細胞)、直腸がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮体がん、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣がん、上皮性卵巣がん(表面上皮間質腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、陰茎がん、腎細胞がん、腎盂尿管(移行上皮がん)、前立腺がん、精巣がん、妊娠性絨毛腫瘍、腎盂尿管(移行上皮がん)、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ウィルムス腫瘍、食道がん、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん、上咽頭がん、口腔がん、中咽頭がん、副鼻腔がん及び鼻腔がん、咽頭がん、唾液腺がん、下咽頭がん、急性混合白血病、急性好酸球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性樹状細胞白血病、AIDS関連リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、B細胞性前リンパ球性白血病、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、肝脾T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、大顆粒リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、肥満細胞性白血病、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、菌状息肉腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、前駆Bリンパ芽球性白血病、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚濾胞性リンパ腫、原発性皮膚免疫細胞腫、原発性体液性リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、セザリー症候群、脾臓周辺帯リンパ腫、T細胞性前リンパ球性白血病、基底細胞がん、メラノーマ、皮膚がん(非メラノーマ)、気管支腺腫/カルチノイド、肺小細胞がん、中皮腫、非小細胞肺がん、胸膜肺芽腫、喉頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、AIDS関連のがん、カポジ肉腫、類上皮血管内皮種(EHE)、線維形成性小円形細胞腫瘍、並びに脂肪肉腫からなる群から選択される、請求項74~79の何れか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記試料溶液は、トランスポザーゼ酵素、エンドヌクレアーゼ酵素、トランスポザーゼ酵素をコードする遺伝材料、又はエンドヌクレアーゼ酵素をコードする遺伝材料を更に含む、請求項74~80の何れか一項に記載の方法。
【請求項82】
がんを治療する方法であって、
a)請求項74~80の何れか一項に記載の方法によって調製されたT細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことと、
b)それを必要とする対象に前記形質移入されたT細胞を投与することと、
を含む、方法。
【請求項83】
がんを治療する方法であって、
a)請求項74~80の何れか一項に記載の方法によって調製されたT細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすこと
を含み、対象に、前記形質移入された細胞又は細胞様体が投与される、方法。
【請求項84】
前記がんは血液がんである、請求項82又は83に記載の方法。
【請求項85】
前記血液がんは、非ホジキンリンパ腫又は急性リンパ性白血病である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)少なくとも1つの、請求項1に記載の剛性容器に前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記プランジャと接触する、前記装填することと、
d)前記プランジャを前記容器内で軸方向に移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通し、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
e)前記形質移入された細胞又は細胞様体を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項87】
遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)少なくとも1つの、請求項14に記載の可撓性容器に前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、
d)少なくとも1つのウェッジ又はローラを前記容器に沿って軸方向に移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通し、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
e)前記形質移入された細胞又は細胞様体を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項88】
遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)少なくとも1つの、請求項23に記載のマイクロ流体デバイスに前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記構造と接触する、前記装填することと、
d)前記構造を前記少なくとも1つのチャネル内で移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通し、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
e)前記形質移入された細胞又は細胞様体を前記対象に投与することと、
を含む、方法。
【請求項89】
遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療するに当たり使用される細胞を調製する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)請求項1、14、又は23の何れか一項に記載の組立体による少なくとも1つの剛性容器に前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記プランジャと接触する、前記装填することと、
d)前記プランジャを前記容器内で軸方向に移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通して、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
を含み、
それにより、遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する患者を治療するに当たり使用される細胞を調製する、
方法。
【請求項90】
遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法であって、
a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、
b)前記細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、
c)少なくとも1つの、請求項23に記載のマイクロ流体デバイスに前記試料溶液を装填することであって、前記試料は前記構造と接触する、前記装填することと、
d)前記構造を前記少なくとも1つのチャネル内で移動させて、少なくとも1回、前記試料溶液を前記少なくとも1つの狭窄部に通し、前記細胞又は細胞様体に形質移入することと、
を含み、
前記対象に前記形質移入された細胞又は細胞様体が投与される、
方法。
【請求項91】
哺乳類から細胞を単離するステップを更に含む請求項86~90の何れか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすステップを更に含む請求項86~91の何れか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記疾患又は症状は、単一遺伝子障害、多遺伝子障害、神経疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、がん疾患、眼疾患、又は感染疾患であり、前記遺伝子治療は、欠陥遺伝子若しくは不適応遺伝子の置換、異常細胞の変性若しくは死滅、又は治療タンパク質の産生誘導を含む、請求項86~92の何れか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記疾患又は症状は単一遺伝子障害又は多遺伝子障害であり、前記単一遺伝子障害又は前記多遺伝子障害は、鎌状赤血球貧血、重症複合免疫不全症(ADA-SCID/X-SCID)、嚢胞性繊維症、血友病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、家族性高脂血症、α1アンチトリプシン欠損症、慢性肉芽腫、ファンコニー貧血、ゴーシェ病、レーバー先天性黒内障、フェニルケトン尿症、地中海貧血症、眼皮膚白皮症、ハンチントン病、筋緊張性ジストロフィー、神経線維腫症、多発性嚢胞腎、低リン血症性くる病、レット症候群、非閉塞性精子産生不全、脆弱X症候群、フリートライヒ失調症、脊髄小脳失調症、ファン・デル・ウンデ症候群、がん、心疾患、糖尿病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、カナバン病、シャルコー・マリー・トゥース病、色盲、ネコ鳴き症候群、ダウン症、血色素症、クラインフェルター症候群、プラダー・ウィリー症候群、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病、及びターナー症候群からなる群から選択される、請求項86~93の何れか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記感染疾患は、慢性ウイルス感染、マイコバクテリア感染、細菌感染、又は寄生虫感染から生じる、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記感染疾患は、HIV/AIDS、肝炎、マラリア、ヘルペス、バークホルデリア、クロイツフェルトヤコブ、及びヒトパピローマウイルスからなる群から選択される、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記がん疾患は、頭部がん、頸部がん、前立腺がん、脾臓がん、脳腫瘍、皮膚がん、肝臓がん、結腸がん、乳がん、腎臓がん、及び中皮腫からなる群から選択される、請求項93に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年5月26日付けで出願された米国仮特許出願第63/030,025号の優先権を主張する。上記優先権出願の内容は全体的に参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
形質移入-生細胞への分子又は組成物、例えばDNA、RNA、又はタンパク質の導入-は、生物医学的研究、創薬、及び遺伝子治療における基本の重要な遺伝子工学プロセスである。世界中の科学者により、がん、肥満、心疾患、糖尿病、関節炎、物質乱用、パーキンソン病、アルツハイマー病等の疾患並びに不安及び老化に関連するテーマを研究するために使用されている。形質移入は、ホルモン(例えばインスリン)、抗体、及びワクチン等の組み換えヒトタンパク質の産生を可能にするとともに、ペプチド、タンパク質、DNA、及びRNAを用いる治療に基づく疾患治療を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
形質移入プロセス自体は何十年も前に発見されたが、今まで大抵、特定の細胞種類との併用に制限されてきた。既存の技術は3つの群に広く分類することができる:化学、生物、及び物理。カチオン性脂質形質移入、リン酸カルシウム形質移入、DEAEデキストラン形質移入、及び他のカチオンポリマーによる送達(例えばポリブレン、PEI、デンドリマー)等の化学的方法は、担体分子を使用して、形質移入中の負荷電核酸を中和又は正電荷付与する。生物学的方法は、遺伝子操作されたウイルスに頼って遺伝子を細胞に移入する(形質導入としても知られている)。電気穿孔、微粒子銃粒子送達(粒子衝撃)、直接顕微注入、及びレーザ媒介形質移入(フォトトランスフェクション)等の物理的方法は、分子を細胞の細胞質又は核に直接送達する。全ての種類の細胞に適用することができる方法又は全ての種類の分子の送達に使用することができる方法はない。さらに、そのような技法は、効率が低く(形質移入される細胞数が少ない)、生存率が低く(生き残る細胞数が少ない)、ばらつきが大きく、細胞毒性が高く、且つ免疫細胞及び幹細胞を含む主要な疾患に関連する最も重要な種類の細胞の多くに材料を導入することができないため、研究及び疾患治療における大きなボトルネックを示す。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示されるのは、形質移入を実行するデバイス、システム、キット、及び方法である。
【0005】
効率が高く(形質移入される細胞数が多い)、生存率が高く(生き残る細胞数が多い)、ばらつきが小さく、細胞毒性が低く、細胞回復が速く、且つ多くのサイズ及び種類の細胞を形質転換することが可能な形質移システム及び方法が依然として必要とされている。
【0006】
少なくとも1つの実施形態の一態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する組立体が提供され、本組立体は、基端部において第1の内径又は断面積を有し、遠端部と基端部との間に延在する内壁及び外壁を有する剛性容器と、基端部において容器に挿入可能なプランジャと、遠端部近傍の内壁のみの少なくとも1つの狭窄部又は遠端部近傍の内壁及び外壁の少なくとも1つの狭窄部とを含み、少なくとも1つの狭窄部は、容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有し、プランジャは容器に沿って軸方向に移動可能である。
【0007】
本組立体の幾つかの実施形態において、容器は、容器の内壁から突出するリップルを含む。
【0008】
本組立体の幾つかの実施形態において、狭窄部は、細胞又は細胞様体の直径の1.2倍~100倍の直径を有する。
【0009】
本組立体の幾つかの実施形態において、狭窄部は、細胞又は細胞様体の直径の2倍~10倍の直径を有する。
【0010】
本組立体の幾つかの実施形態において、プランジャは、遠端部及び基端部を有するロッドを含み、プランジャの遠端部は円錐形又は円柱形先端部であり、プランジャの基端部は、プランジャを電動アームに取り付けるように構成される。
【0011】
本組立体の幾つかの実施形態において、容器の内壁の平均粗度は10nm~1μmである。
【0012】
本組立体の幾つかの実施形態において、粗度は、細胞断片を容器の内壁に吸収させることによって作成される。
【0013】
別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する組立体が提供され、本組立体は、第1の内径又は断面積、第1の端部、及び第2の端部を有する可撓性容器と、可撓性容器の少なくとも1つの断面を圧縮することによって形成される少なくとも1つの狭窄部と、任意に、第1若しくは第2の端部の少なくとも一方に位置決めされた着脱可能なプランジャ又は第1の端部及び第2の端部の各々に位置決めされた着脱可能なプランジャとを含み、少なくとも1つの狭窄セクションは、容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する。
【0014】
本組立体の幾つかの実施形態において、プランジャは、容器に沿って軸方向に移動可能であり、又は容器の両端部における静止キャップで置換される。
【0015】
本組立体の幾つかの実施形態において、少なくとも1つの狭窄セクションは、少なくとも1つの可動式ウェッジ又は少なくとも1つの可動式ローラによって形成される。
【0016】
上述した本組立体の幾つかの実施形態において、容器は複数の狭窄部を含む。複数の狭窄部の各々は、同じ内径若しくは断面積、異なる内径若しくは断面積、又はそれらの組合せを有することができる。幾つかの実施形態において、狭窄部は、長さ0.2~10mmを有する流路を形成する。上述した本組立体の幾つかの実施形態において、容器は、複数の狭窄部を有する着脱可能なインサートを含む。
【0017】
少なくとも1つの実施形態の一態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する組立体が提供され、本組立体は、遠端部と基端部との間に延在する内壁及び外壁を有する剛性容器であって、外壁及び内壁は、遠端部と基端部との間の容器の中央部分において狭まって狭窄部を形成する、剛性容器と、基端部近傍において容器に移動可能に配置されたプランジャと、細胞又は細胞様体の直径の1.2倍~100倍の直径を有する狭窄部とを含む。
【0018】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するマイクロ流体デバイスが提供され、本マイクロ流体デバイスは、第1の内径又は断面積、第1の端部、及び第2の端部を有する可撓性容器と、容器に沿って移動可能であり、容器を圧縮して狭窄部を形成する少なくとも1つの可動式ウェッジと、容器の第1及び第2の端部に固定される静止キャップとを含み、少なくとも1つの狭窄部は、容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有し、狭窄部は、細胞又は細胞様体の直径の1.2倍~100倍の直径を有する。
【0019】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するマイクロ流体デバイスが提供され、本マイクロ流体デバイスは、第1の内径又は断面積を有する少なくとも1つのチャネルと、チャネルと連続した少なくとも1つの狭窄セクションと、少なくとも部分的にチャネルに入るように構成された少なくとも1つの構造とを含み、少なくとも1つの狭窄セクションは、チャネルの第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する。
【0020】
本マイクロ流体デバイスの幾つかの実施形態において、少なくとも1つの構造は、プランジャ又は可撓性シートである。
【0021】
本マイクロ流体デバイスの幾つかの実施形態において、本デバイスは複数のチャネルを含む。本マイクロ流体デバイスの幾つかの実施形態において、1つ又は複数のチャネルは複数の狭窄部を含む。複数の狭窄部の各々は、同じ内径若しくは断面積、異なる内径若しくは断面積、又はそれらの組合せを有する。
【0022】
本明細書に記載の組立体及びマイクロ流体デバイスの少なくとも幾つかの実施形態において(単独であれ、後述するようにシステムの一部としてであれ関係なく)、狭窄セクションの内径は、形質移入されている細胞又は細胞様体の直径の約1.2倍~100倍であり、狭窄セクションの内側断面積は、形質移入されている細胞又は細胞様体の断面積の約1.5倍~10,000倍である。
【0023】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するシステムが提供され、本システムは、モータに取り付けられた少なくとも1つのアームを備えた器具であって、モータは少なくとも1つのアームを軸方向に移動させるように構成される、器具と、少なくとも1つの組立体とを含み、少なくとも1つの組立体は、第1の内径又は断面積、遠端部と基端部との間延びる内壁及び外壁を含む剛性容器と、基端部において容器に挿入可能なプランジャと、遠端部における内壁のみの少なくとも1つの狭窄部又は遠端部近傍の内壁及びが壁の少なくとも1つの狭窄部とを含み、少なくとも1つの狭窄部は、容器の第1の内径又は断面積よりも小さい第2の内径又は断面積を有し、プランジャは容器に沿って軸方向に移動可能である。
【0024】
本システムの幾つかの実施形態において、プランジャは少なくとも1つのアームに取り付けられる。幾つかの実施形態において、複数のプランジャがアームに取り付けられ、又は複数のプランジャが複数のアームに取り付けられる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するシステムが提供され、本システムは、モータに取り付けられた少なくとも1つのアームを備えた器具であって、モータは少なくとも1つのアームを軸方向に移動させるように構成される、器具と、少なくとも1つの組立体とを含み、少なくとも1つの組立体は、第1の内径又は断面積、第1の端部、及び第2の端部を有する可撓性容器と、可撓性容器の少なくとも1つの断面を圧縮することによって形成される少なくとも1つの狭窄部と、任意に、第1若しくは第2の端部の少なくとも一方に位置決めされた着脱可能なプランジャ又は第1の端部及び第2の端部の各々に位置決めされた着脱可能なプランジャとを含み、少なくとも1つの狭窄部は、容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する。
【0026】
本システムの幾つかの実施形態において、少なくとも1つの狭窄セクションは、少なくとも1つの可動式ウェッジ又は少なくとも1つの可動式ローラによって形成される。特定の実施形態において、ウェッジ又はローラは少なくとも1つのアームに取り付けられる。他の実施形態において、複数のウェッジ又はローラがアームに取り付けられ、又は複数のウェッジ又はローラが複数のアームに取り付けられる。
【0027】
上述したシステムの幾つかの実施形態において、システムは複数の組立体を含む。
【0028】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するシステムが提供され、本システムは、モータに取り付けられた少なくとも1つのアームを含む器具であって、前記モータは前記少なくとも1つのアームを軸方向に移動させるように構成される、器具と、少なくとも1つのマイクロ流体デバイスとを含み、少なくとも1つのマイクロ流体デバイスは、第1の内径又は断面積を有する少なくとも1つのチャネルと、チャネルと連続した少なくとも1つの狭窄セクションと、少なくとも部分的にチャネルに入るように構成された少なくとも1つの構造とを含み、少なくとも1つの狭窄セクションは、チャネルの第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有し、少なくとも1つの構造は、少なくとも1つのアームに取り付けられた少なくとも1つのプランジャである。
【0029】
本システムの幾つかの実施形態において、複数のプランジャがアームに取り付けられ、又は複数のプランジャが複数のアームに取り付けられる。
【0030】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するシステムが提供され、本システムは、少なくとも1つの圧電積層を含む器具と、少なくとも1つのマイクロ流体デバイスとを含み、少なくとも1つのマイクロ流体デバイスは、第1の内径又は断面積を有する少なくとも1つのチャネルと、チャネルと連続した少なくとも1つの狭窄セクションと、少なくとも部分的にチャネルに入るように構成された少なくとも1つの構造とを含み、少なくとも1つの狭窄セクションは、チャネルの第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有し、少なくとも1つの構造は、少なくとも1つの圧電スタックと接触する少なくとも1つの可撓性シートである。
【0031】
本システムの幾つかの実施形態において、複数の可撓性シートが圧電スタックと接触し、又は複数の可撓性シートが複数の圧電スタックと接触する。
【0032】
上述したシステムの何れか1つの幾つかの実施形態において、1つ又は複数のチャネルは複数の狭窄部を含む。複数の狭窄部の各々は、同じ内径若しくは断面積、異なる内径若しくは断面積、又はそれらの組合せを有する。
【0033】
上述したシステムの何れか1つの幾つかの実施形態において、本システムは少なくとも1つの光学センサを更に含む。
【0034】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するキットが提供され、本キットは、第1の内径又は断面積、遠端部と基端部との間延びる内壁及び外壁を含む剛性容器と、基端部において容器に挿入可能なプランジャと、遠端部における内壁のみの少なくとも1つの狭窄部又は遠端部近傍の内壁及びが壁の少なくとも1つの狭窄部と、少なくとも1つの容器内に含まれる少なくとも1つの形質移入溶液及び/又は別個のバイアル内の少なくとも1つの形質移入溶液とを含み、少なくとも1つの狭窄部は、容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有し、プランジャは容器に沿って軸方向に移動可能である。
【0035】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するキットが提供され、本キットは、第1の内径又は断面積、第1の端部、及び第2の端部を含む可撓性容器と、可撓性容器の少なくとも1つの断面を圧縮することによって形成される少なくとも1つの狭窄部と、任意に、第1若しくは第2の端部の少なくとも一方に位置決めされた着脱可能なプランジャ又は第1の端部及び第2の端部の各々に位置決めされた着脱可能なプランジャと、少なくとも1つの容器内に含まれる少なくとも1つの形質移入溶液及び/又は別個のバイアル内の少なくとも1つの形質移入溶液とを含み、少なくとも1つの狭窄セクションは、容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する。
【0036】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入するキットが提供され、本キットは、第1の内径又は断面積を有する少なくとも1つのチャネルを含む少なくとも1つのマイクロ流体デバイスと、チャネルと連続した少なくとも1つの狭窄セクションと、少なくとも1つのチャネルに少なくとも部分的に入るように構成された少なくとも1つの構造と、少なくとも1つのチャネル内に含まれる少なくとも1つの形質移入溶液及び/又は少なくとも1つの別個のバイアル内の少なくとも1つの形質移入溶液とを含み、少なくとも1つの狭窄セクションは、チャネルの第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する。
【0037】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する方法が提供され、本方法は、a)細胞又は細胞様体及び形質移入材料を含み、少なくとも1つの可動構造と接触している溶液を提供することと、b)可動構造を移動させることにより、細胞又は細胞様体の直径の1.2倍~100倍の直径を有す少なくとも1つの狭窄部に少なくとも1回、試料溶液を通すことを含む。
【0038】
本方法の幾つかの実施形態において、可動構造は、剛性容器に挿入可能であり、容器に沿って軸方向に移動可能なプランジャである。容器は、第1の内径又は断面積、遠端部と基端部との間に延在する内壁及び外壁と、遠端部における内壁のみの少なくとも1つの狭窄部又は遠端部近傍の内壁及びが壁の少なくとも1つの狭窄部とを含み、少なくとも1つの狭窄部は、容器の第1の内径又は断面積よりも小さい第2の内径又は断面積を有する。したがって、本方法は、上述した適切な組立体及びシステムを使用して実行される。
【0039】
本方法の幾つかの実施形態において、可動構造は、少なくとも1つの可動式ウェッジ又はローラによって圧縮可能な可撓性容器である。可撓性容器は、内面と、第1の内径又は断面積、第1の端部、及び第2の端部と、任意に、第1又は第2の端部の少なくとも一方に位置決めされた着脱可能なプランジャ又は第1及び第2の端部の各々に位置決めされた着脱可能なプランジャとを含み、可撓性容器を圧縮することによって形成される少なくとも1つの狭窄部は、容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する。したがって、本方法は、上述した適切な組立体及びシステムを使用して実行される。幾つかの実施形態において、可動式ウェッジ又はローラの形状、サイズ、及び位置の少なくとも1つは、狭窄部のサイズを調整するように選択される。
【0040】
本方法の幾つかの実施形態において、可動構造は、マイクロ流体デバイスのチャネルに少なくとも部分的に挿入可能なプランジャである。マイクロ流体デバイスは、第1の内径又は断面積を有する少なくとも1つのチャネルと、チャネルと連続した少なくとも1つの狭窄セクションとを含み、少なくとも1つの狭窄セクションは、チャネルの第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する。したがって、本方法は、上述した適切な組立体及びシステムを使用して実行される。
【0041】
本方法の幾つかの実施形態において、可動構造は、マイクロ流体デバイスのチャネルに少なくとも部分的に挿入可能な可撓性シートである。マイクロ流体デバイスは、第1の内径又は断面積を有する少なくとも1つのチャネルと、チャネルと連続した少なくとも1つの狭窄セクションとを含み、少なくとも1つの狭窄セクションは、チャネルの第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する。したがって、本方法は、上述した適切な組立体及びシステムを使用して実行される。
【0042】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する方法が提供され、本方法は、a)細胞又は細胞様体及び形質移入材料を含む溶液を提供することと、b)第1の内径又は断面積を含む少なくとも1つの剛性容器であって、容器の第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積と、プランジャとを有する少なくとも1つの剛性容器に溶液を装填することであって、溶液はプランジャと接触する、前記装填することと、c)プランジャを容器内で軸方向に移動させて、溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通すこととを含む。
【0043】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する方法が提供され、本方法は、a)細胞又は細胞様体及び形質移入材料を含む溶液を提供することと、b)少なくとも1つの可撓性容器に溶液を装填することであって、少なくとも1つの可撓性容器は、内面と、第1の内径又は断面積と、第1及び第2の端部とを含むとともに、容器の第1の内径又は断面よりも小さな第2の内径又は断面積を有する、可撓性容器の少なくとも1つの断面を圧縮することによって形成される少なくとも1つの狭窄部と、任意に、第1若しくは第2の端部の少なくとも一方に位置決めされた着脱可能なプランジャ又は第1の端部及び第2の端部の各々に位置決めされた着脱可能なプランジャとを含み、溶液は可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、c)少なくとも1つのウェッジ又はローラを容器に沿って移動させて、溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通すこととを含む。
【0044】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、溶液中の分子を細胞又は細胞様体に導入する方法が提供され、a)細胞又は細胞様体及び形質移入材料を含む溶液を提供することと、b)溶液を少なくとも1つのマイクロ流体デバイスに装填することであって、少なくとも1つのマイクロ流体デバイスは、第1の内径又は断面積を有する少なくとも1つのチャネルと、チャネルの第1の内径又は断面積よりも小さな第2の内径又は断面積を有する、チャネルと連続した少なくとも1つの狭窄部と、チャネルに少なくとも部分的に入るように構成された少なくとも1つの構造とを含み、試料は構造と接触する、前記装填することと、c)構造をチャネル内で移動させて、溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通すこととを含む。幾つかの実施形態において、構造は少なくとも1つのプランジャ又は可撓性シートである。
【0045】
本方法の幾つかの実施形態において、形質移入材料は、遺伝材料、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、無機化合物、合成ポリマー、薬物、医薬組成物、又はそれらの混合物を含む。特定の実施形態において、形質移入材料は、抗体又は抗体の断片であるタンパク質である。他の実施形態において、遺伝材料は、抗体、抗体断片、又はキメラ抗原受容体(CAR)をコードする発現ベクターを含む。更に他の実施形態において、形質移入材料は、遺伝子編集成分又は遺伝子編集複合体を含むリボ核タンパク質(RNP)等のタンパク質と遺伝材料との混合物である。特定の実施形態において、遺伝子編集成分又は遺伝子編集複合体は、Casタンパク質又はCpf1タンパク質及びガイドRNA(gRNA)、ドナーDNA、又はCRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)等のCRISPR成分を含む。更に他の実施形態において、遺伝子編集成分又は遺伝子編集複合体は、TALENタンパク質、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、メガヌクレアーゼ、又はCreリコンビナーゼを含む。
【0046】
本方法の幾つかの実施形態において、細胞は原核細胞又は真核細胞を含む。特定の実施形態において、原核細胞は、細菌、シアノバクテリア、又は古細菌である。特定の実施形態において、真核細胞は、動物細胞、植物細胞、酵母、原生生物、又は真菌である。本方法の幾つかの実施形態において、細胞様体は、エクソソーム、小胞、細胞小器官、膜結合細胞内小胞、細胞由来若しくは合成由来膜結合小胞、又は細胞由来若しくは合成由来細胞内小胞である。
【0047】
更に他の実施形態において、真核細胞は、上皮細胞、造血細胞、幹細胞、脾臓細胞、腎細胞、膵細胞、肝細胞、神経細胞、グリア細胞、筋細胞、心臓細胞、肺細胞、眼細胞、骨髄細胞、配偶子(卵母細胞及び精子細胞)、胎児臍帯血細胞、前駆細胞、腫瘍細胞、末梢血単核球、及び免疫細胞を含み、免疫細胞は、白血球、リンパ球、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞(DC)、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞、単球、マクロファージ、好塩基球、好酸球、又は好中球を含む。更に他の実施形態において、真核細胞は、NIH 3T3細胞、藻類、CHO細胞、Cos-7細胞、上皮細胞、HEK293細胞、ヒーラ細胞、HepG2細胞、HT-29細胞、B細胞、ヒト胚性幹細胞、HUVEC、ジャーカット細胞、K562細胞、MCF7細胞、MDCK細胞、マウス胚性幹細胞、間葉幹細胞、PBMC、PC12細胞、初代星状細胞、ラット全血細胞、ラット後根神経節細胞、赤血球、ラット神経幹細胞、SF9細胞、SH-SY5Y細胞、脾臓細胞、U266細胞、U87ヒトグリオブラストーマ細胞、P.パストリス細胞、S.セレビシエ細胞、又はヒト卵母細胞である。特定の実施形態において、免疫細胞はヒトT細胞である。
【0048】
本方法の幾つかの実施形態において、試料溶液は2回以上、狭窄部に通される。特定の実施形態において、試料溶液は約1~100回、好ましくは約30回、狭窄部に通される。他の実施形態において、試料溶液は約10~90回、狭窄部に通される。他の実施形態において、試料溶液は約15~50回、狭窄部に通される。幾つかの実施形態において、試料溶液は約15回、狭窄部に通される。幾つかの実施形態において、試料溶液は約20回、狭窄部に通される。
【0049】
本方法の幾つかの実施形態において、試料溶液は平均流量約10μl/sec~約1000μl/secで狭窄部に通される。
【0050】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、感染因子から対象を保護する方法が提供され、本方法は、a)任意に、細胞を哺乳類から単離することと、b)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、c)細胞又は細胞様体を、感染因子又は感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、d)試料溶液を本明細書に記載される組立体による少なくとも1つの剛性容器に装填することであって、試料はプランジャと接触する、前記装填することと、e)プランジャを容器内で軸方向に移動させて、少なくとも1回、試料溶液を少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、f)任意に、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことと、g)上記形質移入された細胞又は細胞様体を対象に注入することとを含む。
【0051】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、感染因子から対象を保護する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、b)細胞又は細胞様体を、感染因子又は感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、c)本明細書に記載の組立体による少なくとも1つの剛性容器に試料溶液を装填することであって、試料はプランジャと接触する、前記装填することと、d)プランジャを容器内で軸方向に移動させて、少なくとも1回、試料溶液を少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、e)上記形質移入された細胞又は細胞様体を対象に注入することとを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞を哺乳類から単離することを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含む。
【0052】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、感染因子から対象を保護する方法が提供され、本方法は、a)任意に、細胞を哺乳類から単離することと、b)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、c)細胞又は細胞様体を、感染因子又は感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、d)試料溶液を本明細書に記載される組立体による少なくとも1つの可撓性容器に装填することであって、試料は可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、e)少なくとも1つのウェッジ又はローラを容器に沿って軸方向に移動させて、試料を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、f)任意に、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことと、g)上記形質移入された細胞又は細胞様体を対象に注入することとを含む。
【0053】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、感染因子から対象を保護する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、b)細胞又は細胞様体を、感染因子又は感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、c)試料溶液を本明細書に記載される組立体による少なくとも1つの可撓性容器に装填することであって、試料は可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、d)少なくとも1つのウェッジ又はローラを容器に沿って軸方向に移動させて、試料を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、e)上記形質移入された細胞又は細胞様体を対象に注入することとを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞を哺乳類から単離することを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含む。
【0054】
少なくとも1つの実施形態の更に別の態様において、感染因子から対象を保護する方法が提供され、本方法は、a)任意に、細胞を哺乳類から単離することと、b)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、c)細胞又は細胞様体を、感染因子又は感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、d)少なくとも1つの、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスに上記試料溶液を装填することであって、試料は構造と接触する、前記装填することと、e)構造を少なくとも1つのチャネル内で移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、f)任意に、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことと、g)上記形質移入された細胞又は細胞様体を対象に注入することとを含む。
【0055】
感染因子から対象を保護する方法の幾つかの実施形態において、感染因子は細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、又はプリオンであり、上記有毒物質は毒素又はアレルゲンである。
【0056】
少なくとも1つの実施形態の更に別の態様において、感染因子から対象を保護する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、b)細胞又は細胞様体を、感染因子又は感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、c)少なくとも1つの、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスに上記試料溶液を装填することであって、試料は構造と接触する、前記装填することと、d)構造を少なくとも1つのチャネル内で移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、e)上記形質移入された細胞又は細胞様体を対象に注入することとを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞を哺乳類から単離することを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含む。
【0057】
感染因子から対象を保護する方法の幾つかの実施形態において、感染因子は細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、又はプリオンであり、上記有毒物質は毒素又はアレルゲンである。
【0058】
少なくとも1つの実施形態の更に別の態様において、感染因子から対象を保護する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供(又は取得)することと、b)細胞又は細胞様体を、感染因子又は感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、c)少なくとも1つの、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスに上記試料溶液を装填することであって、試料は構造と接触する、前記装填することと、d)構造を少なくとも1つのチャネル内で移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することとを含み、それにより、感染因子又は感染因子によって産生された有毒物質によって生じた感染を防止するに当たり使用される細胞又は細胞様体を調製する。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞を哺乳類から単離することを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含む。
【0059】
感染因子から対象を保護する方法の幾つかの実施形態において、感染因子は細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、又はプリオンであり、上記有毒物質は毒素又はアレルゲンである。
【0060】
少なくとも1つの実施形態の更に別の態様において、感染因子から対象を保護する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供(又は取得)することと、b)細胞又は細胞様体を、感染因子又は感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターを含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、c)少なくとも1つの、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスに上記試料溶液を装填することであって、試料は構造と接触する、前記装填することであって、上記対象に上記形質移入された細胞又は細胞様体が問うよされる、前記装填することとを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞を哺乳類から単離することを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含む。
【0061】
感染因子から対象を保護する方法の幾つかの実施形態において、感染因子は細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、又はプリオンであり、上記有毒物質は毒素又はアレルゲンである。
【0062】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、CAR-T細胞を調製する方法が提供され、本方法は、a)任意に、哺乳類からT細胞を単離することと、b)自己T細胞又は同種T細胞を提供することと、c)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液とT細胞を混合して、試料溶液を形成することと、d)本明細書に記載される組立体による少なくとも1つの剛性容器に試料溶液を装填することであって、試料はプランジャと接触する、前記装填することと、e)プランジャを容器内で軸方向に移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、T細胞に形質移入することとを含む。
【0063】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、CAR-T細胞を調製する方法が提供され、本方法は、a)任意に、哺乳類からT細胞を単離することと、b)自己T細胞又は同種T細胞を提供することと、c)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液とT細胞を混合して、試料溶液を形成することと、d)本明細書に記載される組立体による少なくとも1つの可撓性容器に試料溶液を装填することであって、試料は可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、e)少なくとも1つのウェッジ又はローラを容器に沿って軸方向に移動させて、少なくとも1回、試料溶液を少なくとも1つの狭窄部に通し、T細胞に形質移入することとを含む。
【0064】
少なくとも1つの実施形態の更に別の態様において、CAR-T細胞を調製する方法が提供され、本方法は、a)任意に、哺乳類からT細胞を単離することと、b)自己T細胞又は同種T細胞を提供することと、c)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液とT細胞を混合して、試料溶液を形成することと、d)少なくとも1つの、請求項14に記載のマイクロ流体デバイスに試料溶液を装填することであって、試料は構造と接触する、前記装填することと、e)構造を少なくとも1つのチャネル内で移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、T細胞に形質移入することとを含む。
【0065】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、CAR-T細胞を調製する方法が提供され、本方法は、a)自己T細胞又は同種T細胞を提供(又は取得)することと、b)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液とT細胞を混合して、試料溶液を形成することと、c)本明細書に記載の組立体による少なくとも1つの剛性容器に試料溶液を装填することであって、試料はプランジャと接触する、前記装填することと、d)プランジャを容器内で軸方向に移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、T細胞に形質移入することとを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞を哺乳類から単離することを含む。
【0066】
CAR-T細胞を調製する方法の幾つかの実施形態において、試料溶液は、トランスポザーゼ酵素、エンドヌクレアーゼ酵素、トランスポザーゼ酵素をコードする遺伝材料、又はエンドヌクレアーゼ酵素をコードする遺伝材料を更に含む。
【0067】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、疾患又は障害を有する対象を治療する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供(又は取得)することと、b)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液とT細胞を混合して、試料溶液を形成することと、c)本明細書に記載される少なくとも1つのマイクロ流体デバイスに上記試料溶液を装填することであって、試料は構造と接触する、前記装填することと、d)構造を少なくとも1つのチャネル内で移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、e)形質移入された細胞又は細胞様体を上記対象に投与することとを含む。幾つかの実施形態において、疾患又は障害は、鎌状赤血球貧血、重症複合免疫不全症(ADA-SCID/X-SCID)、嚢胞性繊維症、血友病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、家族性高脂血症、α1アンチトリプシン欠損症、慢性肉芽腫、ファンコニー貧血、ゴーシェ病、レーバー先天性黒内障、フェニルケトン尿症、地中海貧血症、眼皮膚白皮症、ハンチントン病、筋緊張性ジストロフィー、神経線維腫症、多発性嚢胞腎、低リン血症性くる病、レット症候群、非閉塞性精子産生不全、脆弱X症候群、フリートライヒ失調症、脊髄小脳失調症、ファン・デル・ウンデ症候群、がん、心疾患、糖尿病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、カナバン病、シャルコー・マリー・トゥース病、色盲、ネコ鳴き症候群、ダウン症、血色素症、クラインフェルター症候群、プラダー・ウィリー症候群、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病及びターナー症候群、1p36欠失症候群、18p欠失症候群、21水酸化酵素欠損症、22q11.2欠失症候群、α1アンチトリプシン欠損症、AAA症候群(アカラシア・アジソン病・無涙症候群)、アースコグ・スコット症候群、ABCD症候群、無セルロプラスミン血症、無手足症、軟骨無発生症2型、軟骨無形成症、急性間欠性ポルフィリン症、アデニロコハク酸リアーゼ欠損症、副腎白質ジストロフィー、アラジール症候群、ADULT症候群、エカルディ・グティエール症候群、白化症、アレキサンダー病、アルカプトン尿症、アルポート症候群、小児交互性片麻痺、筋萎縮性側索硬化症-前頭側頭型認知症、アルストローム症候群、アルツハイマー病、遺伝性エナメル質形成不全症、アミノレブリン酸脱水酵素欠損ポルフィリン症、アンドロゲン不応症、アンジェルマン症候群、アペール症候群、関節拘縮・腎機能不全・胆汁うっ滞症候群、毛細血管拡張性運動失調症、アクセンフェルト症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、ベンジャミン症候群、ビオチニダーゼ欠損症、ブヨルンスタッド症候群、ブルーム症候群、バート・ホッグ・デュベ症候群、ブロディーミオパシー、ブルンナー症候群、CADASIL症候群、CARASIL症候群、慢性肉芽腫、屈曲肢異形成症、カナバン病、カーペンター症候群、大脳形成異常・神経障害・魚鱗癬・角皮症症候群(SEDNIK)、嚢胞性繊維症、シャルコ・マリ・ツース病、CHARGE症候群、チェディアック・東症候群、鎖骨頭蓋異骨症、コケイン症候群、コフィン・ローリー症候群、コーエン症候群、コラーゲン異常症(2型及び11型)、色盲、先天性無痛無汗症(CIPA)、先天性筋ジストロフィー、コルネリア・デ・ランゲ症候群(CDLS)、カウデン病、CPO欠損症(コプロポルフィリン症)、頭蓋・水晶体・縫合異形成症、ネコ鳴き症候群、クローン病、クルーゾン症候群、クルーゾン皮膚骨格症候群(黒色表皮腫を伴うクルーゾン症候群)、ダリエー病、デント病(遺伝性高カルシウム尿症)、デニス・ドラッシュ症候群、ド・グルーシー症候群、ダウン症、ディジョージ症候群、遠位型遺伝性運動性ニューロパチー、遠位型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ドラベ症候群、エドワーズ症候群、エーラス・ダンロス症候群、エメリー・ドレイフス症候群、表皮水疱症、骨髄性プロトポルフィリン症、ファンコニー貧血(FA)、ファブリー病、第V因子ライデン血栓形成傾向、致死性家族性不眠症、家族性大腸腺腫症、家族性自律神経失調症、家族性クロイツフェルトヤコブ病、ファインゴールド症候群、FG症候群、脆弱X症候群、フリードライヒ運動失調症、G6PD欠乏症、ガラクトース血症、ゴーシェ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、ギレスピー症候群、グルタル酸尿症(1型及び2型)、GRACILE症候群、慢性肉芽腫、グリシェリ症候群、ヘイリー・ヘイリー病、道化師様魚鱗癬、遺伝性ヘモクロマトーシス、血友病、骨髄肝性ポルフィリン症、遺伝性コプロポルフィリン症、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー・ウェーバー・レンドゥ症候群)、遺伝性封入体ミオパチー、遺伝性多発性外骨腫症、遺伝性痙性対まひ(乳児期発症上行性遺伝性痙性対麻痺)、ヘルマンスキー・パドラック症候群、遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)、内臓転位、ホモシスチン尿症、ハンチントン病、ハンター症候群、ハーラー症候群、ハッチンソン・ギルフォード早老症候群、家族性高コレステロール血症、高リジン血症、原発性高シュウ酸尿症、高フェニルアラニン血症、低αリポ蛋白血症(タンジール病)、軟骨低発生症、軟骨低形成症、低リン血症性くる病、免疫不全・セントロメア不安定・顔面異常症候群(ICF症候群)、色素失調症、坐骨膝蓋骨異形成症、アイソダイセントリック(Isodicentric)15、ジャクソン・ワイス症候群、ジュベール症候群、若年性原発性側索硬化症(JPLS)、ケロイド障害、クラインフェルター症候群、クニースト骨異形成症、小崎過成長症候群、クラッベ病、クフォー・ラケブ症候群、LCAT欠損症、レーバー先天性黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リー・フラウメニ症候群、肢帯型筋ジストロフィー、リンチ症候群、リポタンパクリパーゼ欠損症、悪性高熱症、メープルシロップ尿症、マルファン症候群、マロトー・ラミー症候群、マキューン・オルブライト症候群、マクラウド症候群、MEDNIK症候群、家族性地中海熱、メンケス病、メトヘモグロビン血症、メチルマロン酸血症、ミクロ症候群、小頭症、モルキオ症候群、モワット・ウィルソン症候群、ムエンケ症候群、多発性内分泌腫瘍症1型(ウェルマー症候群)、多発性内分泌腫瘍症2型、筋ジストロフィー、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型及びベッカー型)、ミオスタチン関連筋肥大、筋緊張性ジストロフィー、ナトビッチ(Natowicz)症候群、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、ニーマン・ピック病、非ケトーシス型高グリシン血症、非閉塞性(Nonobstructuive)精子産生不全、非症候性難聴、ヌーナン症候群、ノーマン・ロバーツ症候群、眼皮膚白皮症、オグデン症候群、オーメン症候群、骨形成不全症、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症、パーキンソン病、パトー症候群(13トリソミー)、PCC欠乏症(プロピオン酸血症)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、ペンドレッド症候群、ポイツ・イェガース症候群、パイフェル症候群、フェニルケトン尿症、ピペコリン酸血、ピット・ホプキンス症候群、多発性嚢胞腎疾患、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、ポルフィリン症、プラダー・ウィリー症候群、原発性線毛機能不全(PCD)、原発性肺高血圧症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、疑似ゴーシェ病、弾性線維性仮性黄色腫、網膜色素変性症、レット症候群、ローベルト症候群、ルビンスタイン・テイビ症候群(RSTS)、サンドホフ病、サンフィリポ症候群、シュワルツ・ヤンペル症候群、シェーグレン・ラルソン症候群、先天性脊椎骨端骨異形成症(SED)、シュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群、鎌状赤血球貧血、シデリウス型X連鎖精神遅滞症候群、鉄芽球性貧血、スライ症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群、スミス・マギニス症候群、シュナイダー・ロビンソン症候群、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症(1-29型)、SSB症候群(SADDAN)、シュタルガルト病(黄斑変性症)、スティックラー症候群(多形)、ストラドウィック症候群(脊椎骨端骨幹端異形成、ストラドウィック型)、テイ・サックス病、ビオプテリン代謝異常症、地中海貧血症、致死性骨異形成症、トリーチャーコリンズ症候群、結節性硬化症(TSC)、ターナー症候群、アッシャー症候群、ファン・デル・ウンデ症候群、異型ポルフィリン症、フォン・ヒッペル・リンドウ病、ワールデンブルグ症候群、ヴァイセンバッハー・ツヴェイミューラー症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ウッドハウス・サカティ症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、色素性乾皮症、X連鎖知的障害及び巨精巣症(脆弱X症候群)、X連鎖球脊髄性筋萎縮症(球脊髄性筋萎縮症)、Xp11.2重複症候群、X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)、X連鎖鉄芽球性貧血(XLSA)、47XXX(別名トリプルX症候群)、XXXX症候群(別名48XXXX)、XXXXX症候群(別名49XXXXX)、XYY症候群(別名47XYY)、ツェルウェーガー症候群、がん、心疾患、糖尿病、統合失調症、上皮細胞由来のがん種(乳房、前立腺、肺、膵臓、及び結腸で発症するがんを含む)、結合組織(即ち骨組織、軟骨組織、脂肪組織、及び神経組織)から生じる肉腫、造血細胞から生じるリンパ腫及び白血病、多能性細胞由来であり、殆どの場合、精巣及び卵巣に存在する胚細胞性腫瘍、未熟な「前駆細胞」又は胚組織由来の芽細胞腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、心臓がん、星状細胞腫、脳幹グリオーマ、毛様細胞性星状細胞腫、上衣腫、原始神経外胚葉性腫瘍、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、グリオーマ、髄芽腫、神経芽細胞腫、乏突起神経膠腫、松果体星状細胞腫、下垂体腺腫、視経路及び視床下部膠腫、乳がん、湿潤性小葉がん、管状がん、湿潤性篩状癌、髄様がん、男性乳がん、葉状腫瘍、炎症性乳がん、副腎皮質がん、膵島細胞がん(膵島)、多発性内分泌腫瘍症候群、副甲状腺がん、褐色細胞腫、甲状腺がん、メルケル細胞癌、ブドウ膜黒色腫、網膜芽細胞腫、肛門がん、虫垂がん、胆管がん、大腸がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃(Gastric)(胃(stomach))がん、消化管カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、肝細胞がん、膵がん(島細胞)、直腸がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮体がん、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣がん、上皮性卵巣がん(表面上皮間質腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、陰茎がん、腎細胞がん、腎盂尿管(移行上皮がん)、前立腺がん、精巣がん、妊娠性絨毛腫瘍、腎盂尿管(移行上皮がん)、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ウィルムス腫瘍、食道がん、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん、上咽頭がん、口腔がん、中咽頭がん、副鼻腔がん及び鼻腔がん、咽頭がん、唾液腺がん、下咽頭がん、急性混合白血病、急性好酸球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性樹状細胞白血病、AIDS関連リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、B細胞性前リンパ球性白血病、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、肝脾T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、大顆粒リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、肥満細胞性白血病、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、菌状息肉腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、前駆Bリンパ芽球性白血病、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚濾胞性リンパ腫、原発性皮膚免疫細胞腫、原発性体液性リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、セザリー症候群、脾臓周辺帯リンパ腫、T細胞性前リンパ球性白血病、基底細胞がん、メラノーマ、皮膚がん(非メラノーマ)、気管支腺腫/
カルチノイド、肺小細胞がん、中皮腫、非小細胞肺がん、胸膜肺芽腫、喉頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、AIDS関連のがん、カポジ肉腫、類上皮血管内皮種(EHE)、線維形成性小円形細胞腫瘍、並びに脂肪肉腫からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、溶液は、トランスポザーゼ酵素、エンドヌクレアーゼ酵素、トランスポザーゼ酵素をコードする遺伝材料、又はエンドヌクレアーゼ酵素をコードする遺伝材料を更に含む。
【0068】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、疾患又は障害を有する対象を治療する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、b)少なくとも、キメラ抗原受容体をコードする遺伝材料を含む溶液とT細胞を混合して、試料溶液を形成することと、c)本明細書に記載される少なくとも1つのマイクロ流体デバイスに上記溶液を装填することであって、溶液は構造と接触する、前記装填することと、d)構造を少なくとも1つのチャネル内で移動させて、溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、e)形質移入された細胞又は細胞様体を上記対象に投与することとを含む。幾つかの実施形態において、疾患又は障害は、鎌状赤血球貧血、重症複合免疫不全症(ADA-SCID/X-SCID)、嚢胞性繊維症、血友病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、家族性高脂血症、α1アンチトリプシン欠損症、慢性肉芽腫、ファンコニー貧血、ゴーシェ病、レーバー先天性黒内障、フェニルケトン尿症、地中海貧血症、眼皮膚白皮症、ハンチントン病、筋緊張性ジストロフィー、神経線維腫症、多発性嚢胞腎、低リン血症性くる病、レット症候群、非閉塞性精子産生不全、脆弱X症候群、フリートライヒ失調症、脊髄小脳失調症、ファン・デル・ウンデ症候群、がん、心疾患、糖尿病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、カナバン病、シャルコー・マリー・トゥース病、色盲、ネコ鳴き症候群、ダウン症、血色素症、クラインフェルター症候群、プラダー・ウィリー症候群、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病、ターナー症候群、1p36欠失症候群、18p欠失症候群、21水酸化酵素欠損症、22q11.2欠失症候群、α1アンチトリプシン欠損症、AAA症候群(アカラシア・アジソン病・無涙症候群)、アースコグ・スコット症候群、ABCD症候群、無セルロプラスミン血症、無手足症、軟骨無発生症2型、軟骨無形成症、急性間欠性ポルフィリン症、アデニロコハク酸リアーゼ欠損症、副腎白質ジストロフィー、アラジール症候群、ADULT症候群、エカルディ・グティエール症候群、白化症、アレキサンダー病、アルカプトン尿症、アルポート症候群、小児交互性片麻痺、筋萎縮性側索硬化症-前頭側頭型認知症、アルストローム症候群、アルツハイマー病、遺伝性エナメル質形成不全症、アミノレブリン酸脱水酵素欠損ポルフィリン症、アンドロゲン不応症、アンジェルマン症候群、アペール症候群、関節拘縮・腎機能不全・胆汁うっ滞症候群、毛細血管拡張性運動失調症、アクセンフェルト症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、ベンジャミン症候群、ビオチニダーゼ欠損症、ブヨルンスタッド症候群、ブルーム症候群、バート・ホッグ・デュベ症候群、ブロディーミオパシー、ブルンナー症候群、CADASIL症候群、CARASIL症候群、慢性肉芽腫、屈曲肢異形成症、カナバン病、カーペンター症候群、大脳形成異常・神経障害・魚鱗癬・角皮症症候群(SEDNIK)、嚢胞性繊維症、シャルコ・マリ・ツース病、CHARGE症候群、チェディアック・東症候群、鎖骨頭蓋異骨症、コケイン症候群、コフィン・ローリー症候群、コーエン症候群、コラーゲン異常症(2型及び11型)、色盲、先天性無痛無汗症(CIPA)、先天性筋ジストロフィー、コルネリア・デ・ランゲ症候群(CDLS)、カウデン病、CPO欠損症(コプロポルフィリン症)、頭蓋・水晶体・縫合異形成症、ネコ鳴き症候群、クローン病、クルーゾン症候群、クルーゾン皮膚骨格症候群(黒色表皮腫を伴うクルーゾン症候群)、ダリエー病、デント病(遺伝性高カルシウム尿症)、デニス・ドラッシュ症候群、ド・グルーシー症候群、ダウン症、ディジョージ症候群、遠位型遺伝性運動性ニューロパチー、遠位型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ドラベ症候群、エドワーズ症候群、エーラス・ダンロス症候群、エメリー・ドレイフス症候群、表皮水疱症、骨髄性プロトポルフィリン症、ファンコニー貧血(FA)、ファブリー病、第V因子ライデン血栓形成傾向、致死性家族性不眠症、家族性大腸腺腫症、家族性自律神経失調症、家族性クロイツフェルトヤコブ病、ファインゴールド症候群、FG症候群、脆弱X症候群、フリードライヒ運動失調症、G6PD欠乏症、ガラクトース血症、ゴーシェ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、ギレスピー症候群、グルタル酸尿症(1型及び2型)、GRACILE症候群、慢性肉芽腫、グリシェリ症候群、ヘイリー・ヘイリー病、道化師様魚鱗癬、遺伝性ヘモクロマトーシス、血友病、骨髄肝性ポルフィリン症、遺伝性コプロポルフィリン症、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー・ウェーバー・レンドゥ症候群)、遺伝性封入体ミオパチー、遺伝性多発性外骨腫症、遺伝性痙性対まひ(乳児期発症上行性遺伝性痙性対麻痺)、ヘルマンスキー・パドラック症候群、遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)、内臓転位、ホモシスチン尿症、ハンチントン病、ハンター症候群、ハーラー症候群、ハッチンソン・ギルフォード早老症候群、家族性高コレステロール血症、高リジン血症、原発性高シュウ酸尿症、高フェニルアラニン血症、低αリポ蛋白血症(タンジール病)、軟骨低発生症、軟骨低形成症、低リン血症性くる病、免疫不全・セントロメア不安定・顔面異常症候群(ICF症候群)、色素失調症、坐骨膝蓋骨異形成症、アイソダイセントリック(Isodicentric)15、ジャクソン・ワイス症候群、ジュベール症候群、若年性原発性側索硬化症(JPLS)、ケロイド障害、クラインフェルター症候群、クニースト骨異形成症、小崎過成長症候群、クラッベ病、クフォー・ラケブ症候群、LCAT欠損症、レーバー先天性黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リー・フラウメニ症候群、肢帯型筋ジストロフィー、リンチ症候群、リポタンパクリパーゼ欠損症、悪性高熱症、メープルシロップ尿症、マルファン症候群、マロトー・ラミー症候群、マキューン・オルブライト症候群、マクラウド症候群、MEDNIK症候群、家族性地中海熱、メンケス病、メトヘモグロビン血症、メチルマロン酸血症、ミクロ症候群、小頭症、モルキオ症候群、モワット・ウィルソン症候群、ムエンケ症候群、多発性内分泌腫瘍症1型(ウェルマー症候群)、多発性内分泌腫瘍症2型、筋ジストロフィー、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型及びベッカー型)、ミオスタチン関連筋肥大、筋緊張性ジストロフィー、ナトビッチ(Natowicz)症候群、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、ニーマン・ピック病、非ケトーシス型高グリシン血症、非閉塞性(Nonobstructuive)精子産生不全、非症候性難聴、ヌーナン症候群、ノーマン・ロバーツ症候群、眼皮膚白皮症、オグデン症候群、オーメン症候群、骨形成不全症、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症、パーキンソン病、パトー症候群(13トリソミー)、PCC欠乏症(プロピオン酸血症)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、ペンドレッド症候群、ポイツ・イェガース症候群、パイフェル症候群、フェニルケトン尿症、ピペコリン酸血、ピット・ホプキンス症候群、多発性嚢胞腎疾患、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、ポルフィリン症、プラダー・ウィリー症候群、原発性線毛機能不全(PCD)、原発性肺高血圧症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、疑似ゴーシェ病、弾性線維性仮性黄色腫、網膜色素変性症、レット症候群、ローベルト症候群、ルビンスタイン・テイビ症候群(RSTS)、サンドホフ病、サンフィリポ症候群、シュワルツ・ヤンペル症候群、シェーグレン・ラルソン症候群、先天性脊椎骨端骨異形成症(SED)、シュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群、鎌状赤血球貧血、シデリウス型X連鎖精神遅滞症候群、鉄芽球性貧血、スライ症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群、スミス・マギニス症候群、シュナイダー・ロビンソン症候群、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症(1-29型)、SSB症候群(SADDAN)、シュタルガルト病(黄斑変性症)、スティックラー症候群(多形)、ストラドウィック症候群(脊椎骨端骨幹端異形成、ストラドウィック型)、テイ・サックス病、ビオプテリン代謝異常症、地中海貧血症、致死性骨異形成症、トリーチャーコリンズ症候群、結節性硬化症(TSC)、ターナー症候群、アッシャー症候群、ファン・デル・ウンデ症候群、異型ポルフィリン症、フォン・ヒッペル・リンドウ病、ワールデンブルグ症候群、ヴァイセンバッハー・ツヴェイミューラー症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ウッドハウス・サカティ症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、色素性乾皮症、X連鎖知的障害及び巨精巣症(脆弱X症候群)、X連鎖球脊髄性筋萎縮症(球脊髄性筋萎縮症)、Xp11.2重複症候群、X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)、X連鎖鉄芽球性貧血(XLSA)、47XXX(別名トリプルX症候群)、XXXX症候群(別名48XXXX)、XXXXX症候群(別名49XXXXX)、XYY症候群(別名47XYY)、ツェルウェーガー症候群、がん、心疾患、糖尿病、統合失調症、上皮細胞由来のがん種(乳房、前立腺、肺、膵臓、及び結腸で発症するがんを含む)、結合組織(即ち骨組織、軟骨組織、脂肪組織、及び神経組織)から生じる肉腫、造血細胞から生じるリンパ腫及び白血病、多能性細胞由来であり、殆どの場合、精巣及び卵巣に存在する胚細胞性腫瘍、未熟な「前駆細胞」又は胚組織由来の芽細胞腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、心臓がん、星状細胞腫、脳幹グリオーマ、毛様細胞性星状細胞腫、上衣腫、原始神経外胚葉性腫瘍、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、グリオーマ、髄芽腫、神経芽細胞腫、乏突起神経膠腫、松果体星状細胞腫、下垂体腺腫、視経路及び視床下部膠腫、乳がん、湿潤性小葉がん、管状がん、湿潤性篩状癌、髄様がん、男性乳がん、葉状腫瘍、炎症性乳がん、副腎皮質がん、膵島細胞がん(膵島)、多発性内分泌腫瘍症候群、副甲状腺がん、褐色細胞腫、甲状腺がん、メルケル細胞癌、ブドウ膜黒色腫、網膜芽細胞腫、肛門がん、虫垂がん、胆管がん、大腸がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃(Gastric)(胃(stomach))がん、消化管カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、肝細胞がん、膵がん(島細胞)、直腸がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮体がん、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣がん、上皮性卵巣がん(表面上皮間質腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、陰茎がん、腎細胞がん、腎盂尿管(移行上皮がん)、前立腺がん、精巣がん、妊娠性絨毛腫瘍、腎盂尿管(移行上皮がん)、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ウィルムス腫瘍、食道がん、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん、上咽頭がん、口腔がん、中咽頭がん、副鼻腔がん及び鼻腔がん、咽頭がん、唾液腺がん、下咽頭がん、急性混合白血病、急性好酸球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性樹状細胞白血病、AIDS関連リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、B細胞性前リンパ球性白血病、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、肝脾T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、大顆粒リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、肥満細胞性白血病、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、菌状息肉腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、前駆Bリンパ芽球性白血病、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚濾胞性リンパ腫、原発性皮膚免疫細胞腫、原発性体液性リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、セザリー症候群、脾臓周辺帯リンパ腫、T細胞性前リンパ球性白血病、基底細胞がん、メラノーマ、皮膚がん(非メラノーマ)、気管支腺腫/カルチノイド、肺小細胞
がん、中皮腫、非小細胞肺がん、胸膜肺芽腫、喉頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、AIDS関連のがん、カポジ肉腫、類上皮血管内皮種(EHE)、線維形成性小円形細胞腫瘍、並びに脂肪肉腫からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、溶液は、トランスポザーゼ酵素、エンドヌクレアーゼ酵素、トランスポザーゼ酵素をコードする遺伝材料、又はエンドヌクレアーゼ酵素をコードする遺伝材料を更に含む。
【0069】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、がんを治療する方法が提供され、本方法は、a)任意に、本明細書に記載された方法によって調製されたT細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことと、b)必要とする対象に形質移入されたT細胞を注入することとを含む。がんを治療する方法の幾つかの実施形態において、がんは、非ホジキンリンパ腫又は急性リンパ性白血病を含む血液がんである。
【0070】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、がんを治療する方法が提供され、本方法は、a)必要とされる対象に形質移入されたT細胞を注入することを含む。がんを治療する方法の幾つかの実施形態において、がんは、非ホジキンリンパ腫又は急性リンパ性白血病を含む血液がんである。幾つかの実施形態において、本方法は、本明細書に記載された方法によって調製されたT細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含む。
【0071】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、がんを治療する方法が提供され、本方法は、本明細書に記載された方法によって調製されたT細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含み、上記対象に、形質移入された細胞又は細胞様体が投与される。癌を治療する方法の幾つかの実施形態において、がんは、非ホジキンリンパ腫又は急性リンパ性白血病を含む血液がんである。
【0072】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法が提供され、本方法は、a)任意に、細胞を哺乳類から単離することと、b)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、c)細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、d)本明細書に記載される組立体による少なくとも1つの剛性容器に試料溶液を装填することであって、試料はプランジャと接触する、前記装填することと、e)プランジャを容器内で軸方向に移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞態様に形質移入することと、f)任意に、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことと、g)対象に、形質移入された細胞又は細胞態様を注入することとを含む。
【0073】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、b)細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、c)本明細書に記載される組立体による少なくとも1つの剛性容器に試料溶液を装填することであって、試料はプランジャと接触する、前記装填することと、d)プランジャを容器内で軸方向に移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、e)対象に、形質移入された細胞又は細胞態様を注入することとを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞を哺乳類から単離することを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含む。
【0074】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法が提供され、本方法は、a)任意に、細胞を哺乳類から単離することと、b)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、c)細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、d)本明細書に記載される組立体による少なくとも1つの可撓性容器に試料溶液を装填することであって、試料は可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、e)少なくとも1つのウェッジ又はローラを容器に沿って軸方向に移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することと、f)任意に、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことと、g)対象に、形質移入された細胞又は細胞態様を注入することとを含む。
【0075】
少なくとも1つの実施形態の別の態様において、遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、b)細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、c)本明細書に記載される組立体による少なくとも1つの可撓性容器に試料溶液を装填することであって、試料は可撓性容器の内面と接触する、前記装填することと、d)少なくとも1つのウェッジ又はローラを容器に沿って軸方向に移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入し、それにより、遺伝子治療を使用して、疾患又は症状を有する対象を治療するに当たり使用される細胞を調製することとを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞を哺乳類から単離することを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含む。
【0076】
少なくとも1つの実施形態の更に別の態様において、遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法が提供され、本方法は、a)自己細胞、同種細胞、又は細胞様体を提供することと、b)細胞又は細胞様体を、核酸、タンパク質、又はそれらの混合物を含む溶液と混合して、試料溶液を形成することと、c)本明細書に記載される少なくとも1つのマイクロ流体デバイスに試料溶液を装填することであって、試料は構造と接触する、前記装填することと、d)構造を少なくとも1つのチャネル内で移動させて、試料溶液を少なくとも1回、少なくとも1つの狭窄部に通して、細胞又は細胞様体に形質移入することであって、上記対象に、形質移入された細胞又は細胞様体が投与される、形質移入することとを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞を哺乳類から単離することを含む。幾つかの実施形態において、本方法は、細胞をex vivoで増殖させて、細胞数を増やすことを含む。
【0077】
遺伝子治療を使用して疾患又は症状を有する対象を治療する方法の幾つかの実施形態において、疾患又は症状は、単一遺伝子障害、多遺伝子障害、神経疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、がん疾患、眼疾患、又は感染疾患である。幾つかの実施形態において、遺伝子治療は、欠陥遺伝子若しくは不適応遺伝子の置換、異常細胞の変性若しくは死滅、又は治療タンパク質の産生誘導を含む。
【0078】
幾つかの実施形態において、疾患又は症状は単一遺伝子障害又は多遺伝子障害であり、単一遺伝子障害又は多遺伝子障害は、鎌状赤血球貧血、重症複合免疫不全症(ADA-SCID/X-SCID)、嚢胞性繊維症、血友病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、家族性高脂血症、α1アンチトリプシン欠損症、慢性肉芽腫、ファンコニー貧血、ゴーシェ病、レーバー先天性黒内障、フェニルケトン尿症、地中海貧血症、眼皮膚白皮症、ハンチントン病、筋緊張性ジストロフィー、神経線維腫症、多発性嚢胞腎、低リン血症性くる病、レット症候群、非閉塞性精子産生不全、脆弱X症候群、フリートライヒ失調症、脊髄小脳失調症、ファン・デル・ウンデ症候群、がん、心疾患、糖尿病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、カナバン病、シャルコー・マリー・トゥース病、色盲、ネコ鳴き症候群、ダウン症、血色素症、クラインフェルター症候群、プラダー・ウィリー症候群、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病、又はターナー症候群を含む。
【0079】
幾つかの実施形態において、感染疾患は、慢性ウイルス感染、マイコバクテリア感染、細菌感染、又は寄生虫感染から生じる。幾つかの実施形態において、感染疾患は、HIV/AIDS、肝炎、マラリア、ヘルペス、バークホルデリア、クロイツフェルトヤコブ、及びヒトパピローマウイルスである。
【0080】
幾つかの実施形態において、がん疾患は、頭部がん、頸部がん、前立腺がん、脾臓がん、脳腫瘍、皮膚がん、肝臓がん、結腸がん、乳がん、腎臓がん、及び中皮腫である。
【0081】
本開示の他の特徴及び利点は、本開示の好ましい実施形態の以下の説明から及び特許請求の範囲から明らかになろう。別記されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は全て、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料は、本開示の実施又はテストに使用することができるが、適した方法及び材料について以下説明する。本明細書に引用される全ての公開された外国特許及び特許出願は、参照により本明細書に援用され得。本明細書で引用されている、他の全ての公開されている参照、文献、原稿、及び科学文献は、参照により本明細書に援用される。加えて、材料、方法、及び例は例示にすぎず、限定を意図しない。
【0082】
実施形態は本開示の異なる態様下で説明されるが、該当する場合又は特に否定されない場合、本明細書に記載の実施形態の何れか1つを任意の他の1つ又は複数の実施形態と組み合わせることが可能なことが企図される。
【0083】
これら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明によって開示且つ/又は包含される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図2A-E】種々の容器/プランジャ組立体実施形態を示す。
【
図2F-J】平坦な容器/プランジャ組立体の種々の図(側面及び上面)を示す。
【
図2K】プランジャが、圧電スタックに結合された可撓性シートである平坦な容器/プランジャ組立体を示す。
【
図2M-O】平坦構造上の高密度容器/プランジャシステムの大量作製方式を示す。
【
図2P-Q】複数の狭窄部を有する容器組立体実施形態を示す。
【
図2R】複数の狭窄部を有するインサートを有する容器組立体実施形態を示す。
【
図3D】プランジャが挿入された代替の容器組立体実施形態を示す。
【
図4】容器/プランジャ組立体を含む形質移入システムの筐体を示す。
【
図5】形質移入プロセス中のプランジャ位置設定を示す。
【
図6A-C】代替のプランジャ/容器組立体実施形態を示す。
【
図9】4.7kbプラスミド発現ベクターを用いた形質移入から4週間後のGFP4の発現を示すNIH/3T3細胞の写真を示し(左パネル:光学顕微鏡、右パネル:蛍光顕微鏡)、NIH/3T3細胞は、47/47マイクロリットル/秒の流量で15サイクル、50RL毛管を使用して完全培地において15μgのpAcGFPベクター(4.7kb)を用いて形質移入され、形質移入効率は約10%であった。
【
図10】Alexa Fluor488で標識された22kDaタンパク質を用いて形質移入してから6時間後及び24時間後の核局在化緑色蛍光の発現を示す、NIH/3T3細胞の写真を示し(左パネル:光学顕微鏡、右パネル:蛍光顕微鏡)、NIH/3T3細胞は、Alexa Fluor488と共役する22kDaタンパク質を用いて形質移入され、形質移入は、50RL毛管を使用して、8μgタンパク質を有する100μl形質移入溶液中に100,000個の細胞を用い、30/30マイクロリットル/秒の流量で15サイクルにわたって実行され、形質移入効率は95%よりも大きかった。
【
図11】Alexa Fluor488で標識された22kDaタンパク質を用いて形質移入してから6時間後及び24時間後の核局在化緑色蛍光の発現を示す、ヒーラ細胞の写真を示し(左パネル:光学顕微鏡、右パネル:蛍光顕微鏡)、形質移入は、50RL毛管を使用して、8μgタンパク質を有する100μl形質移入溶液中に100,000個の細胞を用い、30/30マイクロリットル/秒の流量で15サイクルにわたって実行され、形質移入効率は95%よりも大きかった。
【
図12】細胞生存率に対する流量の影響を示す写真を示し、概ね100,000個のNIH/3T3細胞を、10%ウシ胎仔血清を含むDMEM完全培地中に懸濁させ、50RL毛管に45/45、70/70、及び100/100マイクロリットル/秒の流量で15サイクルにわたって通し、流量値は内向き又は外向きの流量を示し、形質移入から2時間後及び24時間後に細胞を撮影し、流量が上がるにつれて、細胞カウントは下がり、24時間の時点は、細胞が手順を生き抜き、通常の増殖を経ることが可能であったことを示す。
【
図13】細胞生存率に対する流量の影響を示す写真を示し、概ね100,000個のNIH/3T3細胞を、Dulbeccoリン酸緩衝食塩水(DPBS)中に懸濁させ、50RL毛管に45/45、70/70、及び100/100マイクロリットル/秒の流量で15サイクルにわたって通し、流量値は内向き又は外向きの流量を示し、形質移入から2時間後及び24時間後に細胞を撮影し、流量が上がるにつれて、細胞カウントは下がり、24時間の時点は、細胞が手順を生き抜き、通常の増殖を経ることが可能であったことを示す。
【
図14】細胞生存率に対する流量の影響を示す写真を示し、概ね100,000個のNIH/3T3細胞を、10%ウシ胎仔血清を含むDMEM完全培地中に懸濁させ、80RL毛管に70/70、100/100、及び114/114マイクロリットル/秒の流量で15サイクルにわたって通し、流量値は内向き又は外向きの流量を示し、形質移入から2時間後及び24時間後に細胞を撮影し、流量が上がるにつれて、細胞カウントは下がり、24時間の時点は、細胞が手順を生き抜き、通常の増殖を経ることが可能であったことを示す。
【
図15】細胞生存率に対する流量の影響を示す写真を示し、概ね100,000個のNIH/3T3細胞を、Dulbeccoのリン酸緩衝食塩水(DPBS)中に懸濁させ、80RL毛管に70/70、100/100、及び114/114マイクロリットル/秒の流量で15サイクルにわたって通し、流量値は内向き又は外向きの流量を示し、形質移入から2時間後及び24時間後に細胞を撮影し、流量が上がるにつれて、細胞カウントは下がり、24時間の時点は、細胞が手順を生き抜き、通常の増殖を経ることが可能であったことを示す。
【
図16】非操作コントロール細胞の写真を示し、概ね100,000個のNIH/3T3細胞を、10%ウシ胎仔血清を含むDMEM完全培地中又はDulbeccoのリン酸緩衝食塩水(DPBS)中に懸濁させたが、毛管を通さず、プレーティングから2時間後及び24時間後に細胞を撮影した。
【
図17】ボツリヌス神経毒素血清型A(BoNT/A)に結合する可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)をコードするcDNAに機能的にリンクされたヒト伸長因子1(EF1a)プロモーターを含む哺乳類発現ベクターのタンパク質の図を示し、VH及びVLはリンカー配列及びウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化配列によって隔てられる。
【
図18】EF-1aプロモーター、抗CD19scFV、cDNA、スペーサ配列、ヒトCD8α膜貫通ドメイン、CD28細胞内シグナル伝達ドメイン、FcエプシロンRIのガンマ鎖、及びBGH多アデニル化配列を含む抗CD19CARをコードする機能カセットと、EGFP及びBGH多アデニル化配列をコードするcDNAに機能的にリンクされたサイトメガロウイルスプロモーターを含む増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードする第2の機能カセットとを含む哺乳類発現ベクターの一部の図である。
【
図19A-B】(A)SERPINA1遺伝子座位の生殖細胞系マップの線図表現(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/5265)及び(B)SERPINA1遺伝子に機能的にリンクされたcMycタグ配列を有するDNAコンストラクトの線図表現である。
【
図20】複数のセンサを用いたプロセスフロー例の模式図である。
【
図21】1つのセンサ及び1つのフィードバック制御ループを有するプロセスフロー例の模式図である。
【
図22】4.7kbのpAcGFPベクターを用いた形質移入後のGFPの発現を示すヒトT細胞(左パネル:位相像、右パネル:蛍光顕微鏡像)の一連の写真である。
【
図23】容器(例えば毛管)及びインペラポンプを含むシステムを示す。
【
図24】CAR-T細胞キルアッセイの結果を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本開示は、少なくとも部分的に、分子及び細胞又は細胞様体を狭窄部に通すことによって溶液中の分子を細胞又は細胞様体に形質移入する方法に基づく。本開示は、形質移入を実行するデバイス、システム、及び方法を提供する。適切な狭窄部直径又は断面積(細胞よりも大きく、したがって、細胞が機械的に圧搾されない)が、(a)プランジャが試料溶液と接触する、容器と組み合わせられたプランジャ、及び/又は(b)狭窄部が形成される特定の方法(即ちそのジオメトリ)、例えば容器の最小直径又は断面積と最大直径又は断面積との間の短距離又は長距離、及び/又は(c)試料溶液がいかに容器に引き込まれ、再び押し戻されるか(例えば流量及び滞留時間)、及び/又は(b)容器の内面の表面の粗度、及び/又は(e)狭窄部の断面積のジオメトリ(例えば円形又は多角形)と組み合わせられた場合、形質移入は成功する。本明細書に提供されるデバイス、システム、キット、及び方法は、高い形質移入効率、高い細胞生存率、低いばらつき、低い細胞毒性、高速の細胞回復、及び複数の細胞サイズ及び種類に形質移入する能力を提供するため、重要である。
【0086】
デバイス/器具/システム
図1に模式的に示される形質移入システム100が開示される。システム100は一般に、形質移入チャンバ又は容器(例えば毛細管)及びプランジャを含む容器/プランジャ組立体101を含む。組立体101は、より詳細に後述するように、モータがプランジャを容器内において線形運動で前後に移動させるように、モータ114(例えばリニアモータ)に接続される。モータ114は、電源118に電気的に接続され、ユーザインターフェース120に接続されたユーザプログラマブルユニット116によって制御される。幾つかの実施形態において、ユーザインターフェース120は、モバイルパーソナルコンピュータ、タブレット、又はスマートフォンであり得る。ユーザインターフェース120は、ネットワーク接続を介してプログラマブルユニット116と通信し得る。幾つかの実施形態において、ネットワーク接続は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線技術であることができる。しかしながら、他の種類のユーザインターフェース120及びネットワーク接続も本開示によって企図される。システム100は、更に後述するように、筐体内に少なくとも部分的に囲まれるように構成される。
【0087】
これより
図2Aを参照して、形質移入システム100で使用される容器/プランジャ組立体101の第1の非限定的な実施形態を示す。容器/プランジャ組立体101は一般に、容器102と、容器102内に挿入可能なプランジャ110とを備える。幾つかの実施形態において、容器102は、開かれた基端部104a及び開かれた遠端部104bを有する剛性材料(ホウケイ酸ガラス等)で作られた中空円筒形体104を含む。しかしながら、多角形等の他の形状の本体104も本開示によって企図される。本体104の基端部104aは、本体104の内壁105によって画定される第1の直径D
1を有する。幾つかの実施形態において、第1の直径D1は約5.0μm~約100.0mmであり、好ましくは約2.2mmである。本体の遠端部104bは、試料溶液154に挿入するためのs先端部106を含む。
図2Aに示されるように、先端部106の対向する内壁105の少なくとも一方は、先端部106が、第1の直径D
1よりも小さくなるように選択された第2の直径D
2を有する狭窄部108を画定するように、本体104の遠端部104bに向かって狭まる(例えば0.2mm~10mmの距離にわたり)。遠端部104bにおける先端部106の終わりに向かって、狭窄部108は広くなる。
図2Aの実施形態において、両内壁105は、狭窄部108が本体104の中心軸に沿って配置されるように、等しい厚さまで狭まる。しかしながら、内壁105の一方のみが、狭窄部108が本体104の中心軸からずれるように狭まることができることが企図される。特に、狭窄部108の最小直径D
2は、形質移入中の細胞の直径の1.2倍~100倍であるように選択される。即ち、細胞直径は典型的には、約4.5μm(ラット全血細胞)~約120μm(ヒト卵母細胞)の範囲である。したがって、狭窄部108の最小直径D
2は、約5.4μm~約12000μm(即ち約0.0054mm~約12.0mm)の範囲であるように選択される。
【0088】
幾つかの実施形態において、狭窄部108の最小直径の各側の流路長は約0.2mm~10mmである。最小直径狭窄部108における流路距離は0.1μm~10mmであることができる。プランジャ110は、容器102の基端部104aを通して挿入可能であり、容器102内で軸方向に移動可能であるように構成される。プランジャ110の実施形態について
図2及び
図3に関してより詳細に説明する。
【0089】
幾つかの実施形態において、狭窄セクションを含む容器の内壁は、形質移入プロセス中、ガス球密度(gas sphere density)及びサイズを制御するような粗度を有する。表面粗度は、フローの境界条件、ひいては細胞に付与される応力/エネルギーを制御且つ変更する。粗度に応じて、試料溶液と容器との間の境界面における局所フローは、層流から非層流に変更することができ、最適な形質移入結果の達成に必要な狭窄部サイズ及び流量要件に影響する。容器の内面表面の平均粗度数は1nm~10μmの範囲、より具体的には10nm~1μmの範囲であることができる。容器の内壁は、エッチング、サンドブラスト、成形、表面への分子若しくは粒子の吸着、又は表面への分子若しくは粒子の化学結合等の既知の機械的又は化学的粗化法によって粗化することができる。
【0090】
一実施形態において、表面粗度は、分子を表面上に吸着させることによって作成され、それにより、形質移入率が大幅に上がる。特定の実施形態において、表面粗度は、細胞断片を狭窄部近傍の容器の内壁に吸着させることによって作成された。光学顕微鏡法を用いて定性的に査定される形質移入効率は、大幅に上がった(50%越の改善)。粗度は、細胞直径と同様の寸法であり、即ち1~10μmの範囲であった。
【0091】
図2B~
図2Eは、容器/プランジャ組立体101内に狭窄部108を形成する代替の方法を示す。
図2Bにおいて、狭窄部108は、本体104の外径D
3が「砂時計」形をなすように、本体104の外径D
3の狭まりにより本体104の中心軸に沿って形成される。例えば、外径D
3は1mm~5mmの距離にわたって狭まり、次いで本体104の遠端部104bへの1mm~5mmの距離にわたって再び広がり得る。
図2Cにおいて、本体104は、金属、窒化物、酸化物、カーバイド、及びポリマー等の可撓性材料を含む。本体に使用することができるポリマーの代表的な例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、ラテックス、及び他のエラストマーがある。少なくとも1つのウェッジ126が片側又は両側から本体104内に締められて、狭窄部108を形成する。一方のプランジャ110aが狭窄部108の近くに位置決めされ、別のプランジャ110bが狭窄部108の逆側に位置決めされる。プランジャ110aと110bとの間の距離は、試料溶液154の所望の容量に基づいて様々であることができる。両プランジャ110a、110bは試料溶液154と接触し、両プランジャ110a、110bは同じ方向に移動して、狭窄部108を通るように試料溶液154を駆動する。試料溶液154が狭窄部108を通ると、プランジャ110a、110bは各々逆方向に移動する。この前後移動は、所望のサイクル数、繰り返すことができる。他の実施形態において、プランジャは、キャップ110cと狭窄部108との間に相対線形運動がある限り、狭窄部108を形成するウェッジ126a、126bが本体104に沿って移動する際、位置が固定されたキャップ110cで置換される。ウェッジ126a、126bの形状、サイズ、及び位置は、狭窄部のサイズを変更するように調整することができる。
【0092】
図2Dにおいて、本体104は可撓性材料で作られ、基端部104a及び遠端部104bは両方とも、試料溶液154が充填された後、プラグ又はキャップで封止される。狭窄部108は、本体104に沿って位置決めされたローラ128によって形成され、ローラ128は本体104に向けて下げられて、2つの固定されたキャップ110c間に本体104の中心軸からずれた移動狭窄部108を作り出す。この実施形態において、ローラ128は本体104の長さに沿って側方に移動し、それにより試料溶液154は狭窄部108を通って流れるように強いられる。代替的には、
図2Eに示されるように、2つのローラ128a、128bを使用して、本体104の長さに沿って連携して回転して、2つの固定されたキャップ110c間に本体104の中心軸に沿った移動狭窄部108を作り出すことができる。したがって、これらの実施形態において、プランジャの機能はローラ128、128a、128bによって実行され、これらは移動すると、容器104内の溶液を狭窄部108に押し通す。
【0093】
他の実施形態
図2F~
図2Kにおいて、容器102は、SU8構造、他の付加層、例えばSiO
2、Si
3N
4を用いた表面微細加工、非矩形構造用の格子面(graded surface)エッチング(イオンミリング)、Siバルク微細加工、DRIE法、Si埋め込みキャビティ技術(BOSCH)、又はマイクロ成形及びマイクロプリント技法等の当業者に既知の小型化及び微細化技法を使用して平坦な表面又は基板160上に設計される。そのような容器102(例えばマイクロ流体デバイス)は、非常に小さな試料溶液量(例えば10μl以下)が関わる形質移入に使用されるように構成される。容器102は、平坦構造162によって形成された1つ又は複数の狭窄部108を有する1つ又は複数の流路又はチャネル164を含む。全ての実施形態において、プランジャ110a、110bは、容器102内に挿入可能であり、試料溶液154を1つ又は複数の狭窄部108に通すように構成される。容器は管接続166を含み、これは、デバイスのマイクロ流体構造と形質移入前試料溶液リザーバとの間の境界面をなす。狭窄部を含むマイクロ流体構造の他端部に配置された管接続境界面もあり、この管接続は、マイクロ流体構造と形質移入後試料収集リザーバとの間の境界面をなす。
図2Fは、厚膜及び薄膜作製プロセスを使用する形質移入デバイスの設計の断面図であり、
図2Gは上面図であり、
図2I~
図2Jは
図2Fの特定のエリア/部分の断面である。幾つかの実施形態
図2Kにおいて、プランジャは、圧電スタック113a、113bと接触し、圧電スタック113a、113bによって給電される可撓性シート111a、111bである。幾つかの実施形態において、圧電相互作用が弾性表面波デバイスによって提供される。可撓性シートは、窒化物、酸化物、金属、及びポリマー等の無機材料で作ることができる。使用することができる代表的なポリマーには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、及びポリカプロラクトンがある。形質移入後、試料が、本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスの狭窄部分の他端部に接続されるバルクリザーバに収集されることが更に企図される。
図2F~
図2Kの更に他の実施形態において、容器102は、大量の試料(例えば数リットル)を使用して形質移入を実行するために、フロースルーシステムとして設計される。大量試料システムでは、管166は延長され、又は大型容器に繋がる。
【0094】
図2Lにおいて、本体104は、試料溶液154が充填された可撓性材料で作られる。狭窄部108は、本体104に沿って位置決めされ、本体104に向かって下がり、本体104の中心軸からずれた移動狭窄部108を作り出すローラ128によって形成される。この実施形態において、ローラ128は、シャトル組立体188/190を移動させることによって本体104の長さに沿って側方に移動し、それにより、試料溶液154が狭窄部108を通って流れるように強いる。追加又は代替として、本体104は駆動ローラ182に沿って側方平面に沿って移動し、試料溶液154が狭窄部108を通って流れるように強いる。本体104内の試料溶液154の運動は、外部遮断機構186を押下して本体104を完全に閉じることによって停止することができる。駆動ローラ182は、押下/退避機構184によって退避して、本体104を駆動ローラ182外に移動させて、形質移入後の試料を収集することができる。本体104には、基端部又は遠端部(図示せず)における開口部180を通して試料溶液154が充填される。
図2Lに示されるようなデバイスの機能動作は、
図2Dに示されるようなデバイスのものと同等である。
【0095】
図2M~
図2Oは、平坦式シリアルシート作製からロールツーロール作製までの容器/プランジャの大量作製を可能にする作製方式を示す。
図2Mは、加熱ステップ又はポリマー架橋ステップを用いてサポートされて、ツールからシート形熱可塑性又は架橋可能ポリマーシートにチャネルパターンを転写することができるエンボスプロセスを示す。膨大な並列チャネルシステムを製造することができる。
【0096】
図2Nは、熱接合、接着接合、又は溶剤接合等の方法に基づく接合プロセスを示す。一方又は両方のシートは予め形成することができる。さらに、2つ以上の層を接合して、3Dチャネルシステムを平面に形成することができる。半円の断面を有するチャネルを有する2つの予め形成されたシートを使用することにより、所望の場合、円形断面の容器構造を作ることができる。
【0097】
図2Oは、作製方式をいかにロールツーロールプロセスに移すことができるかを示す。
【0098】
プランジャは、接合プロセスステップ前又は後、チャネル内に直接挿入することができ、又はポリマーシートの形成された入口を通して接続することができる。熱可塑性架橋可能ポリマーを使用することができ、好ましくは、生体適合性材料が使用される。
【0099】
図2Pは、2つ以上の狭窄部108a及び108bを有する容器102を示す。プランジャ(図示せず)は基端部104aにおいて挿入される。これは、2つの狭窄部がある説明のための例であるが、3つ以上の狭窄部を有する容器も考えられる。複数の狭窄部は、同じ直径若しくは断面積又は異なる直径若しくは断面積であることができる。異なる直径又は断面積を有することの一利点は、最小狭窄部が、試料内の最大の細胞のいかなる機械的圧搾又は制約も回避するのに十分に大きい限り、異なるサイズの細胞に同時に形質移入することができることである。
【0100】
図2Qは、複数の狭窄部108a、108b、108cと、喀痰部110a及び110bにプランジャを有する容器102を示す。プランジャは同じ方向に移動して、細胞及び形質移入する分子を含む試料溶液154を複数の狭窄部に通す。これは3つの狭窄部がある説明のための例であるが、様々な数の狭窄部を有する容器も考えられる。複数の狭窄部は、同じ直径若しくは断面積又は異なる直径若しくは断面積であることができる。
【0101】
図2Rは、複数の狭窄部108a~108fと、同じ方向に移動して、細胞及び形質移入される分子を含む試料溶液154を複数の狭窄部に通す2つのプランジャ110a及び110bとを有する容器102の側面図を示す。狭窄部は着脱可能なインサート107内に配置される。インサート107の断面図(AからB)は、複数の狭窄部108a~108f及び記されていない他の狭窄部を示す。インサートは、複数の容器又は複数のチャネルを含み、各容器又はチャネルは少なくとも1つの狭窄部を有する。複数の狭窄部は、同じ直径若しくは断面積又は異なる直径若しくは断面積であることができる。この説明のための実施形態は、大量の試料を形質移入するのに有利である。
【0102】
図2S及び
図2Tは、平滑ではなく、むしろ内壁105から離れて、試料溶液154を含むことができる容器102の内部空間に突出するリップル109a~109fを含む内壁105を有する容器102を示す。
図2Sにおいて、リップル109a~109fは「円形」構成で示されており、即ち、示される断面図では、リップル109a~109fは、3D空間において、リップル109a~109fが円筒形容器102に一連の円を形成するように、互いに直接対向しない。
図2Tでは、リップル109a~109fは「螺旋」構成で示されており、即ち、示される断面図では、リップル109a~109fは、3D空間において、リップル109a~109fが管状容器102に螺旋を形成するように、互いに直接対向するように見えない。最小狭窄部108に関しては、
図2Sは比較的長い線形距離(1mm以上)にわたる狭窄部108’’を示し、それと比較して、
図2Tは、より短い線形距離(1mm未満)にわたる狭窄部108’を示す。これらの特徴が変更可能且つ相互交換可能であり、例えば、容器が、長い線形距離の狭窄部とペアになった螺旋リップルを有してもよく、又は容器が短い線形距離の狭窄部とペアになった円形リップルを有してもよいことが考えられる。
【0103】
図2Uは、平滑な内壁105、容器102の出口、即ち遠端部104bに配置された最小狭窄部を有する容器102を示す。この代表的な例では、容器の内壁105は非対称である。
【0104】
図2S~
図2Uの図示の容器102では、プランジャ110(図示せず)は、基端部104aの、遠端部104bに可能な限り近い開始位置に挿入可能である。幾つかの実施形態において、高形質移入結果を得るために、即ち、例えば細胞の30%を越える、多数の形質移入された細胞又は細胞様体を得るために、試料溶液154は、プランジャ110と接触するようにそのような容器102に予め装填される。
【0105】
これより
図3A及び
図3Bを参照して、容器/プランジャ組立体101のプランジャ110の実施形態を側面図で示す。
図3Aに示されるように、プランジャ110は、基端部130a及び遠端部130bを有するロッド130を備える。ロッド130は、ステンレス鋼又はプラスチック等の剛性材料で構成し得る。先端部132は、プランジャ110の遠端部130bに結合される。先端部132は、ポリイミド又はTeflon(商標)等の「粘着しない」性質を有するポリマー並びにポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、及びポリカプロラクトン等の生体適合性ポリマー及びポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びコラーゲン等の生分解性材料で構成し得る。先端部132は円錐形(
図3A)又は円筒形(
図3B)を有し得、容器102の狭窄部108に可能な限り近くに挿入され、容器102の第1の直径D
1内に気密且つ液密封止を形成するような寸法である。先端部132の長さは約1mm~3mmであり得る。ロッド130の基端部130aは、更に後述するように、形質移入システム100の電動アーム140(図示せず)にプランジャ110を取り付けるように構成されたアタッチメント134を有する。プランジャ110の全長は、プランジャ110が容器102に完全に挿入されたとき、容器102の基端部104aが電動アーム140の移動を制限しないように、プランジャ110の基端部130aが容器102の開放基端部104aを越えて延びるよう選択される。容器102に挿入されたとき、プランジャ110の先端部132は、試料溶液-プランジャ境界面に空気が存在しないように、試料溶液154と接触する。同様に、プランジャが圧電スタック113a、113bによって給電される可撓性シート111a、111bである実施形態において、可撓性シート111a、111bは、試料溶液-可撓性シート境界面に空気が存在しないように、試料溶液154と接触する。
【0106】
上述した実施形態
図2A~
図2Lにおいて、容器又はチャネルは円筒形であり、直径という用語はその通常の意味で使用される。即ち、円筒形容器の断面の直径又は直径は、円の中心を通る線分又は端点が円上にある線分を指す。代替の実施形態において、容器又はチャネルは楕円形又は多角形であることができる。多角形の代表的な例には、三角形、正方形、矩形、五角形、六角形、七角形、八角形等がある。多角形容器又はチャネルの場合、断面積は、形質移入中の細胞の断面積の1.5倍~10,000倍である。偶数の辺を有する多角形容器又はチャネルの場合、対向する壁間の最小距離は、細胞直径の少なくとも1.2倍である。全ての場合で、細胞が通る容器又はチャネルの最小サイズは、細胞が狭窄部を通る際、細胞のいかなる機械的圧搾又は制約も回避するのに十分に大きいものでなければならない。
【0107】
図3C及び
図3Dは、プランジャ110が容器102に挿入された状態の容器/プランジャ組立体101の実施形態を示す。幾つかの実施形態において、容器102は熱可塑性材料を使用して成形される。プランジャ110の先端部132は円錐形であり、鈍端(
図3C)又は尖端(
図3D)を有する。先端部132を含むプランジャ110は、熱可塑性材料を使用して成形される。
図3Dにおいて、プランジャ/先端部110/132は、プランジャ/先端部110/132と容器の内壁との間に空間があったとしてもわずかなように、容器102の狭窄セクションに適合するように成形される。
【0108】
これより
図4を参照して、容器/プランジャ組立体101を含み、容器/プランジャ組立体101を動作させるための筐体150の一実施形態を透視図で示す。筐体150は、主にベンチ若しくはテーブルに配置されるようなサイズであり得、又は代替的には可動式である。
図4に示されるように、筐体150は、形質移入システム100のモータ114及びユーザプログラマブルユニット116を収容する。モータ114は、モータ114がアーム140を線形「前後」運動で移動させるように、可動式アーム140に結合される。そしてアーム140は、アーム140が容器102を通して線形運動でプランジャ110を移動させるように、プランジャ110のアタッチメント134に結合される。容器102は、容器102の先端部106が試料溶液154と接触するように、クランプ142又は他の構造によって筐体150に対して固定し得る。容器102を保護するために、シールド152を筐体150に取り付け得る。幾つかの実施形態において、形質移入システム100は、容器/プランジャ組立体101を通る前及び通った後、試料溶液154を保持するための試料リザーバ115を含む。
【0109】
これより
図5を参照すると、ユーザインターフェース120を使用して、容器102の本体104内のプランジャ110の開始位置122を設定する。開始位置122において、プランジャ110は本体104の基端部104aにおいて挿入され、狭窄部108の可能な限り近くのエリア(即ち容器102の内壁105が狭窄し始めるポイント)に進められる。プランジャ110の先端部132と狭窄部108の端部との間の容積には、試料溶液154とプランジャ110との間に空気空間がないように、試料溶液154が予め充填される。代替的には、プランジャ110の先端部132と狭窄部108の端部との間の容積には、形質移入される細胞を差し引いた試料溶液(即ちバッファー又は培地溶液)が予め充填される。幾つかの実施形態において、プランジャが試料溶液と直接接触していることが形質移入結果にとって重要であるため、そのような事前充填が好ましい。プランジャと試料溶液との間にエアギャップがある場合、エアギャップによりギャップのサイズに応じた膨張及び収縮が生じ得るため、試料溶液の流量は再現可能に制御することができない。これは、狭窄部を通る試料溶液の精密制御を低下させるか、又はなくし、したがって、形質移入結果の再現性を低下させるか、又はなくす。
【0110】
事前充填は、医療用シリンジで気泡がなくなるのと同様に達成される。即ち、細胞あり又は細胞なしの試料溶液が、プランジャ110を遠端部から引き離すことによって容器102に追加され、組立体101は、空気が逃げるように反転され、プランジャ110は容器102の遠端部に向かって押下される。次いでユーザインターフェース120を使用して、プランジャ110の移動を、プランジャ110を狭窄部108から離れて移動させる所望の「前」速度まで加速させることができる。そしてこれは、狭窄部108を通して、細胞及び形質移入される分子含む試料溶液154を容器102中に引き入れる。プランジャ110はまず、オフセット位置124に移動する。次いでユーザインターフェース120を使用して、プランジャ110の移動を減速させ、所望量の試料溶液154が狭窄部108を通って移動完了した第2の位置123で停止させることができる。次いでユーザインターフェース120を使用して、プランジャ110を狭窄部108に向けて移動させ、狭窄部108を通して試料溶液154を押す所望の「後」速度までプランジャ110の移動を加速させることができる。次いでユーザインターフェース120を使用して、プランジャ110の移動を減速させ、開始位置122からずれた第3の位置124で停止させることができる。次いでプランジャ110の前後移動は、所望のサイクル数、繰り返される。所望のサイクル数が完了した後、プランジャ110は第3の位置124から元の開始位置122に移動する。各流入(位置124から123への移動)と流出(位置123から124への移動)との間で、プランジャ位置はある時間期間(125a及び125b)にわたって保持される。
【0111】
図6A~
図6Cは、容器102を予め充填するための代替の設計を示す。
図6A及び
図6Bは、プランジャ110を通って延びる封止可能な真空管を含み、これは試料溶液154をリザーバ115(図示せず)から容器102に引き入れるのに使用することができる。
図6Cは、プランジャ110に付着した非圧縮性材料132aを有する代替の設計を示す。
図6Cの代替は、まず、高粘度変形可能フェーズの非圧縮性材料132aをプランジャ110の表面上に配置することによって形成される。次いで、狭窄部に「適合」するまで、プランジャ110を狭窄部108に向かって押す。次いでプランジャは加熱されて、粘性材料を非圧縮性材料132aに硬化させる。
【0112】
本開示により、システム100が、試料溶液154を所望の温度に維持するための加熱ユニットを含むことができることが企図される。例えば、ペルチェデバイスが、特に室温よりも高い又は低い温度での動作サイクルが求められる場合、低熱エネルギーバランスで温度調整及び制御を行う実用的な方法を提供する。
図7Aは、小試料流体量での試料流体温度制御ユニット200を示し、小容器容積を有する断熱材で囲まれた熱ブロック201を使用することができる。穴203が、本明細書に記載されるシステムの容器102に適合するのに適切なサイズの銅円柱体に穿孔される。ペルチェデバイス205の両側での試料開口部の近くで、温度センサ207が熱ブロック201に取り付けられて、試料容器に適用される温度を測定し、温度制御ループへのフィードバックを提供する。ペルチェデバイス205の下には、熱交換器211及びベンチレータ213がある。
【0113】
図7Bは、温度ブロック201及び試料穴203の正面図である。
【0114】
図7Cは、熱ブロック201及び断熱材209の周縁に向かって延びるスロットのような試料穴203を有する一実施形態を示す。形質移入プロセスを観測するための切り込みが断熱材215に存在する。熱ブロック201は、接着されたガラス板217又はカットされたガラス管の一部で閉じられる。
【0115】
ブロックは、容器102を穴203に挿入することができるように、容器-プランジャ組立体の下の形質移入器具のフロントパネルに搭載される。
【0116】
システム100が、複数のプランジャ110を動作させる複数のアーム140を含むことができることが更に企図され、各プランジャ110は容器102の内部に配置される。複数の容器102は、種々の試料溶液量を収容するように、異なるサイズであることができる。各狭窄部を通る異なるプランジャ速度及び異なるサイクル数等の種々の形質移入パラメータに適応するために、複数のアーム140は複数のモータ114に接続することができる。
【0117】
システム100が、任意にユーザインターフェースに接続された光センサ(図示せず)を含むことができることが更に企図される。
【0118】
図23は、容器(例えば毛管)及びインペラぽん法を含む一実施形態を示す。この実施形態において、流体(即ち細胞及び形質移入される分子と一緒の試料溶液)は、プランジャの線形運動ではなく、回転部品(インペラ)を通して移動する。インペラポンプは、ポンプケースに沿って試料流体を駆動する回転構成要素を含む。ポンプケースは、狭窄部を有する容器に接続され、したがって、流体はポンプから容器及び狭窄部を通して駆動される。これにより、容器狭窄部を通る試料流体の連続フローが可能になり、したがって、大量の試料流体に対応することができる形質移入デバイス設計が可能になる。オープンインペラ及びセミクローズド又はクローズドインペラが使用可能であるのと同様に、プロペラ、パドル、又はタービンの概念を使用した軸方向又は半径方向設計も使用可能である。
【0119】
本明細書に開示されるデバイス、器具、及びシステムにおいて、プランジャは試料溶液と直接接触する。プランジャは、部品のいずれも圧縮可能ではなく、試料溶液と混ざらず、且つ試料溶液と直接接触する限り、固体部品、液体部品、又はそれらの組合せからなることができる。
【0120】
ポンプのインペラ設計には、試料溶液を移動させるポンプの部品と試料溶液自体との間には空気又は圧縮可能な境界面はない。
【0121】
ポンプ設計は、ダイレクトリフト、変位、又は重力ポンプ設計であることができる。他の設計には、往復(プランジャが前後に移動する)設計又は回転(例えばインペラ)設計があり、正変位ポンプ又は遠心流若しくは軸流ポンプのいずれかになる。これらの設計には、マイクロポンプ設計及び内歯車ポンプ設計、スクリューポンプ設計、シャトルブロックポンプ設計、可撓性、摺動、若しくは回転ベーンポンプ設計、外周ピストンポンプ設計、可撓性インペラポンプ設計、螺旋捻転型ルーツポンプ設計(例えばウェンデルコルベン(Wendelkolben)ポンプ)、若しくは液封式ポンプ設計;ピストンポンプ設計、プランジャポンプ設計、ダイアフラムポンプ設計、ロープポンプ設計、チェーンポンプ設計、歯車ポンプ設計、スクリューポンプ設計、蠕動ポンプ設計、又は三連式プランジャポンプ設計がある。
【0122】
プランジャは、先に列記した固体プランジャと直に接触する安定化強磁性流体から油まで及ぶことができる。本明細書に記載されるプランジャに加えて、流体の流れを生じさせるあらゆるものはプランジャとして使用することができる。
【0123】
成功の鍵は、プランジャが、部品のいずれも圧縮可能ではなく、試料溶液と混ざらず、且つ試料溶液と直に接触する限り、固体、液体、又はそれらの組合せからなることである。
【0124】
キット
形質移入を実行するためのキットが開示される。幾つかの実施形態において、キットは、本明細書に記載されるような容器/プランジャ組立体を含む。他の実施形態において、キットは本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスを含む。幾つかの実施形態において、キットはバッファー又は培地を含み、バッファー又は培地は、別個のバイアルで提供することもでき、容器/プランジャ組立体内若しくはマイクロ流体デバイス内に含まれて提供することもできる。幾つかの実施形態において、バッファー又は培地は細胞又は細胞様体を含む。
【0125】
幾つかの実施形態において、キットは、本開示の方法に従って使用するための使用指示を更に含む。幾つかの実施形態において、これらの使用指示は、本明細書に記載される方法の何れかに従った形質移入の実行の仕方の説明を含む。一般に、使用指示は、試薬の種類(例えばバッファー及び/又は培地)、量、及び濃度、細胞又は細胞様体の濃度、プランジャ位置、加速度及び減速度を含むプランジャ速度、並びにプランジャ保持時間についての情報を含む。
【0126】
方法
溶液中の分子又は組成物を細胞又は細胞様体に導入する方法が開示される。
【0127】
幾つかの実施形態において、分子又は組成物は、細胞又は細胞様体と一緒に溶液中に存在する。幾つかの実施形態において、溶液又はその試料は、狭窄セクションを有する本明細書に記載されるような容器に装填される。溶液又はその試料は、少なくとも1回、狭窄部に通される。
【0128】
幾つかの実施形態の方法を実行する場合、プランジャは試料溶液と直接接触することができる。
【0129】
理論による拘束を意図せず、本明細書に記載される形質移入プロセスが、エンドサイトーシスを引き起こし、溶液又はその試料に含まれる分子又は組成物の形質移入を生じさせる気体球及び真空球の生成をトリガーすると信じられる。幾つかの実施形態において、生成される球は約0.1nm~約100μmである。他の実施形態において、生成される球は約1μm~約10μmである。他の実施形態において、生成される球は約1μm、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約5μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm、又は約150μmである。球はプランジャ移動に起因して生成し得るが、幾つかの実施形態において、ガス(即ち気体球)又は固体材料(即ち固体球)は、試料装填中に追加されて、試料溶液の粘度、フローパターン、又は他のパラメータを変更し得る。気体球の代表的な例には、限定ではなく、酸素、窒素、又は二酸化炭素の追加によって作られるものがある。固体球の代表的な例には、限定ではなく、ガラスビード、ラテックスビード、ポリマービード、糖粒子、塩粒子、セルロース粒子、ポリマー粒子、脂質ビヒクル、リポソームビヒクル、又は不活性細胞等の不活性有機又は無機材料がある。幾つかの実施形態において、生体適合性ポリマーを粒子又はビードに使用することができる。粒子又はビードに使用することができるポリマーの代表的な例には、限定ではなく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(フマル酸プロピレン)(PPF)、ポリ(propylene fumarate)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、及びコラーゲンがある。
【0130】
気体球の核生成及び気体球の密度は、容器又はチャネルの内面の粗度及び形質移入溶液中のガスの分圧によって制御することができる。算術平均粗度は1nm~10μm、より具体的には10nm~1μmの範囲であることができる。ガス分圧は、形質移入溶液の1000パスカル~200,000パスカル、より具体的には10,000パスカル~120,000パスカルの範囲であることができる。
【0131】
幾つかの実施形態において、分子又は組成物が導入されている細胞(即ち形質移入されている細胞)は原核細胞又は真核細胞である。原核細胞の代表的な例には、細菌、シアノバクテリア、又は古細菌がある。真核細胞の代表的な例には、動物細胞、植物細胞、原生生物、及び真菌がある。幾つかの実施形態において、分子又は組成物が導入されている細胞(即ち形質移入されている細胞)は、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、基底細胞、脂肪細胞、角膜実質細胞、軟骨細胞、赤血球(red blood cell)、赤血球(erythrocyte)、網状赤血球、又は血小板を含む造血細胞、幹細胞(造血幹細胞、胚性幹細胞、又は誘導多能性幹細胞を含む)、脾臓細胞、腎細胞、膵細胞、肝細胞、神経細胞、グリア細胞、筋細胞、平滑筋細胞、心臓細胞、肺細胞、眼細胞、骨髄細胞、配偶子(卵母細胞及び精子細胞)、胎児臍帯血細胞、前駆細胞、腫瘍細胞、末梢血単核球、免疫細胞(限定ではなく白血球、リンパ球、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞(DC)、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞、顆粒球、自然リンパ球、単球、マクロファージ、好塩基球、好酸球、又は好中球を含む)を含む動物細胞である。
【0132】
幾つかの実施形態において、細胞は、生理学的不活性な細胞、例えば阻害、UV不活化、除核、無核化、又は加熱死滅された細胞を含む。特定の実施形態において、細胞は、非生殖細胞又は人工膜を有する合成細胞を含む。特定の実施形態において、細胞は正常細胞、感染した細胞、又は異常細胞を含む。
【0133】
幾つかの実施形態において、細胞は一次細胞である。他の実施形態において、細胞は培養される。幾つかの実施形態において、細胞は、本明細書に記載される方法で使用されるとき、細胞の大半が同じ細胞周期フェーズであるように同期される。
【0134】
幾つかの実施形態において、細胞は自己細胞である。自己細胞は、ドナー及びレシピエントの両方として機能する1つの対象からの細胞であり、即ち、細胞は対象から単離され、ex vivoで修飾又は処理され、同じ対象に再び導入される。他の実施形態において、細胞は同種細胞である。同種細胞は、ドナー対象から単離され、ex vivoで修飾又は処理され、ドナー対象と異なるレシピエント対象に導入される細胞である。
【0135】
幾つかの実施形態において、分子又は組成物は細胞様体に導入される。細胞様体の代表的な例には、限定ではなく、エクソソーム、小胞、細胞小器官、膜結合細胞内小胞、細胞由来又は合成由来膜結合小胞、及び細胞由来又は合成由来細胞内小胞がある。
【0136】
上述したように、幾つかの実施形態において、細胞は、細胞の直径の2倍~10倍の狭窄部に通される。典型的には、動物細胞は約4.5μm~120μmの範囲の細胞直径を有する。代表的な細胞及びそれらの平均直径を表1に列記する。
【0137】
【0138】
幾つかの実施形態において、形質移入前、細胞は生理学的pH(pH7.4)の細胞培養培地又は緩衝液中に懸濁する。緩衝液の代表的な例には、リン酸緩衝食塩水(PBS)及びM199、RPMIー1640、DMEM、又はIMDM等の細胞培養培地がある。他の生理学的適合性の緩衝液及び細胞培養培地が当技術分野で既知であり、形質移入される細胞の種類と細胞に導入される材料との組合せに基づいて適宜選択することができる。
【0139】
種々の実施形態において、約1000万個の細胞までが100μl溶液中に含まれる。幾つかの実施形態において、約100万個の細胞が100μl溶液中に含まれる。他の実施形態において、約1万個の細胞が100μl溶液中に含まれる。本明細書に記載される方法で使用される組立体のサイズ及び形状は、数千万個又はそれを越える細胞を含む数リットルまで及び数リットルを越える試料容量から1個以上の細胞を含むサブマイクロリットルという小量に適応するように様々であることができる。
【0140】
種々の実施形態において、細胞に導入される分子又は組成物には、限定ではなく、核酸、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ウイルス化合物(例えばウイルス及びウイルス様粒子)、有機及び/又は無機化合物、合成ポリマー、薬物、医薬組成物、又はそれらの組合せ若しくは混合物がある。
【0141】
核酸の代表的な例には、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、DNA/RNAハイブリッド分子、及びin vivo又はin vitroでDNA又はRNAの安定性又は半減期を増大させる1つ又は複数のヌクレオチドが修飾されたDNA又はRNAがある。幾つかの実施形態において、DNAはcDNA及びメチル化DNAを含む。幾つかの実施形態において、RNAはmRNA、tRNA、rRNA、siRNA、shRNA、PiRNA、RNAi、miRNA、及びdsRNAを含む。幾つかの実施形態において、核酸はベクター、プラスミド、又はトランスポゾンである。幾つかの実施形態において、核酸は、タンパク質又はペプチドをコードする核酸を有する発現ベクターである。特定の実施形態において、発現ベクターは抗体、抗体断片、又はキメラ抗原受容体(CAR)をコードする。
【0142】
合成ポリマーの代表的な例には、ペプチド核酸(PNA)がある。ウイルス化合物の代表的な例には、ウイルス及びウイルス様粒子がある。
【0143】
タンパク質の代表的な例には、限定ではなく、構造タンパク質(例えばケラチン)、収縮タンパク質(例えばアクチン)、貯蔵タンパク質(例えば卵白)、防御タンパク質(例えば抗体)、輸送タンパク質(例えばヘモグロビン)、シグナル伝達タンパク質(例えばホルモン)、及び酵素タンパク質(例えばラクトース)がある。特定の実施形態において、タンパク質は抗体、抗原、ホルモン、酵素、又は任意の天然タンパク質である。ペプチドの代表的な例には、限定ではなく、合成タンパク質又は天然若しくは合成短鎖ペプチドがある。
【0144】
抗体の代表的な例には、限定ではなく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体がある。抗体は、任意の種の動物、例えばヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、又はネコから取得し得る。幾つかの実施形態において、使用し得る抗体のクラスには、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、及びIgE抗体がある。使用し得る抗体又は抗体断片には、単鎖抗体、F(ab’)2断片、Fab断片、単鎖可変断片(scFv)、Fv断片、例えばジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、単一可変領域ドメイン(dAbs)、ミニボディ(minibody)、コンビボディ(combibody)、ダイアボディ及びマルチscFv等の多価抗体、ナノボディ等のラクダ科からの単一ドメイン又は遺伝子操作されたヒト等価物、及びFab発現ライブラリによって産生される断片がある。
【0145】
細胞に導入される分子又は組成物の組合せの代表的な例には、タンパク質と遺伝材料(即ち核酸)との混合物、例えば遺伝子編集成分又は遺伝子編集複合体を含むリボヌクレオタンパク質(RNP)がある。特定の実施形態において、遺伝子編集成分又は遺伝子編集複合体は、限定ではなく、Casタンパク質又はCpf1タンパク質及びガイドRNA(gRNA)、ドナーDNA、又はCRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)等のCRISPR成分を含む。更に他の実施形態において、遺伝子編集成分又は遺伝子編集複合体は、限定ではなく、TALENタンパク質、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、メガヌクレアーゼ、又はCreリコンビナーゼを含む。
【0146】
医薬組成物の代表的な例には、限定ではなく、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、抗細菌薬、抗マイコバクテリア薬、抗真菌薬、抗増殖剤、アポトーシス促進剤、抗遊走剤(anti-migration agent)、毒素結合剤、受容体分解薬、内部シグナル伝達カスケード分断薬(internal signalling cascade disruptor)、及び抗アポトーシス剤がある。
【0147】
形質移入効率に影響する1つのパラメータには、形質移入ごとに使用される遺伝材料(例えば核酸)又はタンパク質の量がある。幾つかの実施形態において、形質移入ごとに使用されるDNA又はタンパク質の量は約20~150μg/mlである。他の実施形態において、形質移入ごとに使用されるDNA又はタンパク質の量は約1~1000μg/mlである。他の実施形態において、形質移入ごとに使用されるDNA又はタンパク質の量は、約1μg/ml、約10μg/ml、約20μg/ml、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、約90μg/ml、約100μg/ml、約110μg/ml、約120μg/ml、約130μg/ml、約140μg/ml、約150μg/ml、約160μg/ml、約170μg/ml、約180μg/ml、約190μg/ml、約200μg/ml、約300μg/ml、約400μg/ml、約500μg/ml、約600μg/ml、約700μg/ml、約800μg/ml、約900μg/ml、又は約1000μg/mlである。形質移入効率に影響する別のパラメータには、形質移入ごとに使用される遺伝材料(例えば核酸)又はタンパク質のサイズがある。
【0148】
プランジャの速度、加速率及び減速率、並びに保持時間も形質移入効率に影響する。保持時間の例は、1~5秒、5分、10分、又はそれよりも長い時間を含むことができる。幾つかの実施形態において、形質移入試料の流量は約10~約1000μl/secである。特定の実施形態において、内向き及び外向きの流量は同じである。流量の代表的な例には、30/30、40/40、45/45、47/47、50/50、60/60、70/70、80/80、90/90、100/100、及び114/114μl/secがある。更に他の実施形態において、内向き及び外向きの流量は異なることができる。流量は、細胞の種類、細胞のサイズ、容器及び狭窄部のサイズ、並びに形質移入溶液の量を含む種々のパラメータに基づいて調節することができる。流量はプランジャ速度によって決まる。円筒管内を流れる溶液の流量は断面積において均一ではなく、ガウス分布に従うため、本明細書に記載される流量は平均流量である。さらに、狭窄セクションにおける流量ははるかに高速である。狭窄部にわたる流量もガウス分布に従うが、この分布は、容器の非狭窄セクションよりもはるかに急である。
図12~
図16は、細胞生存率に対する流量の影響を示す。
【0149】
フローサイクル数、即ち形質移入される細胞及び分子又は組成物を含む試料が狭窄部を通る回数は、形質移入効率に影響する別のパラメータである。1回のフローサイクルは、1つの流入ステップ及び1つの流出ステップを含む。したがって、細胞は、各フローサイクルで2回、狭窄部を通る。幾つかの実施形態において、フローサイクル数は2サイクル以上である。特定の実施形態において、フローサイクル数は5~25サイクル、好ましくは15サイクルである。
【0150】
本開示の形質移入方法によって修飾される細胞及び細胞様体(本明細書では「形質移入される細胞」、「形質移入される細胞様体」、「修飾される細胞」、「修飾される細胞様体」、「遺伝子操作される細胞」、又は「遺伝子操作される細胞様体」と同義で呼ばれる)は、人間又は動物の疾患の治療、置換細胞の作製、及び創薬を含め、多様な用途で使用することができる。加えて、本開示の形質移入方法によって修飾される細胞及び細胞様体は、製造(例えば生物学的治療薬の生成)、農業及び栄養学的価値の改善(例えば遺伝子組換え生物「GMO」)、又は環境調節(例えば環境毒素の消化)に使用することができる。
【0151】
本明細書に記載される容器及び方法を使用して調製された遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体の治療に有効な集団は、それを必要とする対象に投与することができる。対象に投与される遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体の数は、治療される症状の場所、種類、重症度、治療を受ける個人の年齢及び症状等に応じて広く変わる。幾つかの実施形態において、医師は使用に適切な用量を決定し得る。一般に、約1×104~約1×1010個の遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体を含む、遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体の治療に有効な集団を含む製剤が投与される。幾つかの実施形態において、約1×105~約1×109個の遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体、約5×105~約5×108個の遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体、又は約1×106~約1×107個の遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体を含む、遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体の治療に有効な集団を含む製剤が投与される。
【0152】
遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体の治療に有効な集団を含む製剤は、それを必要とする対象に、許容可能な医療行為に従って投与し得る。例示的な投与モードは静脈注射である。他のモードには、限定ではなく、腫瘍内、皮内、皮下(s.c.、s.q.、sub-Q、Hypo)、筋肉内(i.m.)、腹腔内(i.p.)、動脈内、髄内、心臓内、関節内(関節)、関節滑液嚢内(滑液エリア)、頭蓋内(対流増加送達を含む)、脊髄内、及び髄腔内(脊髄液)がある。製剤の非経口注射又は注入に有用な任意の既知のデバイスが、そのような投与モードを行うのに使用することができる。そのような製剤は、バッファー、例えば中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝食塩水等;炭水化物、例えばグルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチド又はアミノ酸、例えばグリシン;抗酸化剤;キレート剤、例えばEDTA又はグルタチオン;アジュバント(例えば水酸化アルミニウム);及び防腐剤を含み得る。
【0153】
本明細書に開示される容器及び方法によって形質移入される遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体の治療に有効な集団の用途の代表的な一例は、感染因子からの対象の保護又は対象が感染因子に感染する尤度の低減である。幾つかの実施形態において、そのような方法は、本明細書に記載されるシステム及び組立体を使用して形質移入された細胞様体、自己細胞、又は同種細胞を提供することを含む。形質移入後、細胞又は細胞様体は、感染因子からの保護を必要とする対象に注入される。幾つかの実施形態において、注入前、形質移入された細胞は任意に、ex vivoで増殖されて、細胞数を上げる。幾つかの実施形態において、形質移入材料は、感染因子又は感染因子によって産生される有毒物質に結合する抗体又は抗体断片をコードする発現ベクターであることができる。
【0154】
感染因子の代表的な例には、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、及びプリオンがある。感染因子によって産生される有毒物質の代表的な例には、毒素(例えばボツリヌス毒素)及びアレルゲンがある。
【0155】
本明細書に開示される容器及び方法によって形質移入される遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体の治療に有効な集団の用途の別の代表的な例は、治療処置に使用されるCAR-T細胞の産生である。幾つかの実施形態において、そのような方法は、本明細書に記載されるシステム及び組立体を使用して形質移入された自己細胞又は同種細胞を提供することを含む。形質移入後、細胞は治療を必要とする対象に注入される。幾つかの実施形態において、注入前、形質移入された細胞は、ex vivoで増殖されて、細胞数を上げる。幾つかの実施形態において、形質移入材料は、例えばアデノ関連ウイルス(AAV)ベクター若しくはプラスミドにパッケージングされた腫瘍関連抗原に結合するキメラ抗原受容体をコードするドナーDNAであるか、又はDNA小環、線形dsDNA、若しくはmRNAとして提供される。mRNAを使用してキメラ抗原受容体を発現するようにT細胞を遺伝子修飾することは、高速で経済的な方法を提供するが、導入遺伝子は宿主細胞ゲノムに統合されず、したがって、発現は、T細胞の増殖を通して急速に薄まる。幾つかの実施形態において、RNA形質移入は、潜在的な毒性を評価するため又は治療の副作用を制限するために使用される。宿主細胞ゲノムへのドナーDNA(プラスミド又は小環)の非標的化統合は、スリーピングビューティ又はpiggyBac等のトランスポザーゼ酵素との同時形質移入によって達成することができる。宿主細胞ゲノムへのドナーDNA(AAV又は線形dsDNA)の標的化統合は、ジンクフィンガー、TALEN、又はCRISPR/Cas9等のエンドヌクレアーゼ酵素との同時形質移入によって達成することができる。
【0156】
本明細書に開示される形質移入方法によって生成されるCAR-T細胞は、腫瘍関連抗原に結合するキメラ抗原受容体を発現するようにT細胞を遺伝子操作することによってがんの治療に使用することができる。ユニバーサルCARは、腫瘍関連抗原を認識し、「タグ」を発現するように修飾された抗体ベースの分子を含むユニバーサルCAR及び「タグ」を認識して「タグ」に結合するユニバーサルCAR-T細胞を含め、他のCAR-T細胞戦略も当技術分野で既知である。別の戦略は、SUPRA CARという名称のスプリットCARシステムであり、これは、細胞外ロイシンジッパーを含むzipCAR-T細胞を、第2のロイシンジッパーに融合されたscFvドメイン(zipFv)と組み合わせる。CAR-T細胞を用いて治療されるがんの代表的な例には、限定ではなく、血液がん、例えば非ホジキンリンパ腫及び急性リンパ性白血病がある。CAR-T細胞は、固形腫瘍の治療に使用することもできる。
【0157】
本明細書に開示される方法によって形質移入される遺伝子操作された細胞又は遺伝子操作された細胞様体の治療に有効な集団の用途の別の代表的な例は、遺伝子治療用途である。遺伝子治療は一般に3つのカテゴリに入る:i)欠陥遺伝子又は不適応遺伝子の置換(例えば単一遺伝子又は多遺伝子疾患又は障害の症状の治療又は少なくとも改善)、ii)異常細胞(例えばがん細胞又はHIV等のウイルスに感染した細胞)の変性又は死滅、及びiii)治療タンパク質の産生誘導(例えば、細胞によりインスリンの産生及び分泌を促進することによる糖尿病の治療又は細胞によりインターフェロンの産生及び分泌を促進することによるC型肝炎の治療)。幾つかの実施形態において、形質移入材料は、i)疾患若しくは障害と関連する欠陥遺伝子又は不適応遺伝子の置換、ii)異常細胞の変性若しくは死滅、又はiii)治療タンパク質の産生誘導に適切な導入遺伝子をコードするドナーDNAを含む。上述したような遺伝子操作されたCAR-T細胞と同様に、形質移入材料は、導入遺伝子を宿主ゲノムに統合するように機能するタンパク質又はタンパク質をコードする遺伝材料を更に含むことができる。代表的な例には、限定ではなく、トランスポザーゼ酵素(スリーピングビューティ及びpiggyBac等)、エンドヌクレアーゼ酵素(ジンクフィンガー、TALEN、及びCRISPR/Cas9等)、トランスポザーゼ酵素をコードする遺伝材料(即ち核酸)、又はエンドヌクレアーゼ酵素をコードする遺伝材料(即ち核酸)がある。
【0158】
本明細書に開示される形質移入方法によって促進される遺伝子治療を使用して治療することができる疾患又は症状の代表的な例には、限定ではなく、単一遺伝子障害、多遺伝子障害、神経疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、がん、眼疾患、及び感染疾患がある。
【0159】
本明細書に開示される形質移入方法を使用して産生される遺伝子操作された細胞を用いて治療することができる単一遺伝子障害及び多遺伝子障害の代表的な例には、限定ではなく、鎌状赤血球貧血、重症複合免疫不全症(ADA-SCID/X-SCID)、嚢胞性繊維症、血友病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、家族性高脂血症、α1アンチトリプシン欠損症、慢性肉芽腫、ファンコニー貧血、ゴーシェ病、レーバー先天性黒内障、フェニルケトン尿症、地中海貧血症、眼皮膚白皮症、ハンチントン病、筋緊張性ジストロフィー、神経線維腫症、多発性嚢胞腎、低リン血症性くる病、レット症候群、非閉塞性精子産生不全、脆弱X症候群、フリートライヒ失調症、脊髄小脳失調症、ファン・デル・ウンデ症候群、がん、心疾患、糖尿病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、カナバン病、シャルコー・マリー・トゥース病、色盲、ネコ鳴き症候群、ダウン症、血色素症、クラインフェルター症候群、プラダー・ウィリー症候群、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病、及びターナー症候群がある。
【0160】
本明細書に開示される形質移入方法を使用して産生される遺伝子操作された細胞を用いて治療することができる単一遺伝子障害及び多遺伝子障害の追加の代表的な例には、限定ではなく、1p36欠失症候群、18p欠失症候群、21水酸化酵素欠損症、22q11.2欠失症候群、α1アンチトリプシン欠損症、AAA症候群(アカラシア・アジソン病・無涙症候群)、アースコグ・スコット症候群、ABCD症候群、無セルロプラスミン血症、無手足症、軟骨無発生症2型、軟骨無形成症、急性間欠性ポルフィリン症、アデニロコハク酸リアーゼ欠損症、副腎白質ジストロフィー、アラジール症候群、ADULT症候群、エカルディ・グティエール症候群、白化症、アレキサンダー病、アルカプトン尿症、アルポート症候群、小児交互性片麻痺、筋萎縮性側索硬化症-前頭側頭型認知症、アルストローム症候群、アルツハイマー病、遺伝性エナメル質形成不全症、アミノレブリン酸脱水酵素欠損ポルフィリン症、アンドロゲン不応症、アンジェルマン症候群、アペール症候群、関節拘縮・腎機能不全・胆汁うっ滞症候群、毛細血管拡張性運動失調症、アクセンフェルト症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、ベンジャミン症候群、ビオチニダーゼ欠損症、ブヨルンスタッド症候群、ブルーム症候群、バート・ホッグ・デュベ症候群、ブロディーミオパシー、ブルンナー症候群、CADASIL症候群、CARASIL症候群、慢性肉芽腫、屈曲肢異形成症、カナバン病、カーペンター症候群、大脳形成異常・神経障害・魚鱗癬・角皮症症候群(SEDNIK)、嚢胞性繊維症、シャルコ・マリ・ツース病、CHARGE症候群、チェディアック・東症候群、鎖骨頭蓋異骨症、コケイン症候群、コフィン・ローリー症候群、コーエン症候群、コラーゲン異常症(2型及び11型)、色盲、先天性無痛無汗症(CIPA)、先天性筋ジストロフィー、コルネリア・デ・ランゲ症候群(CDLS)、カウデン病、CPO欠損症(コプロポルフィリン症)、頭蓋・水晶体・縫合異形成症、ネコ鳴き症候群、クローン病、クルーゾン症候群、クルーゾン皮膚骨格症候群(黒色表皮腫を伴うクルーゾン症候群)、ダリエー病、デント病(遺伝性高カルシウム尿症)、デニス・ドラッシュ症候群、ド・グルーシー症候群、ダウン症、ディジョージ症候群、遠位型遺伝性運動性ニューロパチー、遠位型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ドラベ症候群、エドワーズ症候群、エーラス・ダンロス症候群、エメリー・ドレイフス症候群、表皮水疱症、骨髄性プロトポルフィリン症、ファンコニー貧血(FA)、ファブリー病、第V因子ライデン血栓形成傾向、致死性家族性不眠症、家族性大腸腺腫症、家族性自律神経失調症、家族性クロイツフェルトヤコブ病、ファインゴールド症候群、FG症候群、脆弱X症候群、フリードライヒ運動失調症、G6PD欠乏症、ガラクトース血症、ゴーシェ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、ギレスピー症候群、グルタル酸尿症(1型及び2型)、GRACILE症候群、慢性肉芽腫、グリシェリ症候群、ヘイリー・ヘイリー病、道化師様魚鱗癬、遺伝性ヘモクロマトーシス、血友病、骨髄肝性ポルフィリン症、遺伝性コプロポルフィリン症、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー・ウェーバー・レンドゥ症候群)、遺伝性封入体ミオパチー、遺伝性多発性外骨腫症、遺伝性痙性対まひ(乳児期発症上行性遺伝性痙性対麻痺)、ヘルマンスキー・パドラック症候群、遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)、内臓転位、ホモシスチン尿症、ハンチントン病、ハンター症候群、ハーラー症候群、ハッチンソン・ギルフォード早老症候群、家族性高コレステロール血症、高リジン血症、原発性高シュウ酸尿症、高フェニルアラニン血症、低αリポ蛋白血症(タンジール病)、軟骨低発生症、軟骨低形成症、低リン血症性くる病、免疫不全・セントロメア不安定・顔面異常症候群(ICF症候群)、色素失調症、坐骨膝蓋骨異形成症、アイソダイセントリック(Isodicentric)15、ジャクソン・ワイス症候群、ジュベール症候群、若年性原発性側索硬化症(JPLS)、ケロイド障害、クラインフェルター症候群、クニースト骨異形成症、小崎過成長症候群、クラッベ病、クフォー・ラケブ症候群、LCAT欠損症、レーバー先天性黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リー・フラウメニ症候群、肢帯型筋ジストロフィー、リンチ症候群、リポタンパクリパーゼ欠損症、悪性高熱症、メープルシロップ尿症、マルファン症候群、マロトー・ラミー症候群、マキューン・オルブライト症候群、マクラウド症候群、MEDNIK症候群、家族性地中海熱、メンケス病、メトヘモグロビン血症、メチルマロン酸血症、ミクロ症候群、小頭症、モルキオ症候群、モワット・ウィルソン症候群、ムエンケ症候群、多発性内分泌腫瘍症1型(ウェルマー症候群)、多発性内分泌腫瘍症2型、筋ジストロフィー、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型及びベッカー型)、ミオスタチン関連筋肥大、筋緊張性ジストロフィー、ナトビッチ(Natowicz)症候群、神経線維腫症I型、神経線維腫症II型、ニーマン・ピック病、非ケトーシス型高グリシン血症、非閉塞性(Nonobstructuive)精子産生不全、非症候性難聴、ヌーナン症候群、ノーマン・ロバーツ症候群、眼皮膚白皮症、オグデン症候群、オーメン症候群、骨形成不全症、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症、パーキンソン病、パトー症候群(13トリソミー)、PCC欠乏症(プロピオン酸血症)、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、ペンドレッド症候群、ポイツ・イェガース症候群、パイフェル症候群、フェニルケトン尿症、ピペコリン酸血、ピット・ホプキンス症候群、多発性嚢胞腎疾患、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、ポルフィリン症、プラダー・ウィリー症候群、原発性線毛機能不全(PCD)、原発性肺高血圧症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、疑似ゴーシェ病、弾性線維性仮性黄色腫、網膜色素変性症、レット症候群、ローベルト症候群、ルビンスタイン・テイビ症候群(RSTS)、サンドホフ病、サンフィリポ症候群、シュワルツ・ヤンペル症候群、シェーグレン・ラルソン症候群、先天性脊椎骨端骨異形成症(SED)、シュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群、鎌状赤血球貧血、シデリウス型X連鎖精神遅滞症候群、鉄芽球性貧血、スライ症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群、スミス・マギニス症候群、シュナイダー・ロビンソン症候群、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症(1-29型)、SSB症候群(SADDAN)、シュタルガルト病(黄斑変性症)、スティックラー症候群(多形)、ストラドウィック症候群(脊椎骨端骨幹端異形成、ストラドウィック型)、テイ・サックス病、ビオプテリン代謝異常症、地中海貧血症、致死性骨異形成症、トリーチャーコリンズ症候群、結節性硬化症(TSC)、ターナー症候群、アッシャー症候群、ファン・デル・ウンデ症候群、異型ポルフィリン症、フォン・ヒッペル・リンドウ病、ワールデンブルグ症候群、ヴァイセンバッハー・ツヴェイミューラー症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ウッドハウス・サカティ症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、色素性乾皮症、X連鎖知的障害及び巨精巣症(脆弱X症候群)、X連鎖球脊髄性筋萎縮症(球脊髄性筋萎縮症)、Xp11.2重複症候群、X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)、X連鎖鉄芽球性貧血(XLSA)、47XXX(別名トリプルX症候群)、XXXX症候群(別名48XXXX)、XXXXX症候群(別名49XXXXX)、XYY症候群(別名47XYY)、ツェルウェーガー症候群、がん、心疾患、糖尿病、並びに統合失調症がある。
【0161】
本明細書に開示される形質移入方法を使用して産生されるCAR-T細胞又は他の遺伝子操作された細胞を用いて治療することができるがんの種類の代表的な例には、限定ではなく、上皮細胞由来のがん種(乳房、前立腺、肺、膵臓、及び結腸で発症するがんを含む)、結合組織(即ち骨組織、軟骨組織、脂肪組織、及び神経組織)から生じる肉腫、造血細胞から生じるリンパ腫及び白血病、多能性細胞由来であり、殆どの場合、精巣及び卵巣に存在する胚細胞性腫瘍、並びに未熟な「前駆細胞」又は胚組織由来の芽細胞腫がある。
【0162】
本明細書に開示される形質移入方法を使用して産生されるCAR-T細胞又は他の遺伝子操作された細胞を用いて治療することができるがんの代表的な例には、限定ではなく、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、心臓がん、星状細胞腫、脳幹グリオーマ、毛様細胞性星状細胞腫、上衣腫、原始神経外胚葉性腫瘍、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、グリオーマ、髄芽腫、神経芽細胞腫、乏突起神経膠腫、松果体星状細胞腫、下垂体腺腫、視経路及び視床下部膠腫、乳がん、湿潤性小葉がん、管状がん、湿潤性篩状癌、髄様がん、男性乳がん、葉状腫瘍、炎症性乳がん、副腎皮質がん、膵島細胞がん(膵島)、多発性内分泌腫瘍症候群、副甲状腺がん、褐色細胞腫、甲状腺がん、メルケル細胞癌、ブドウ膜黒色腫、網膜芽細胞腫、肛門がん、虫垂がん、胆管がん、大腸がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃(Gastric)(胃(stomach))がん、消化管カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、肝細胞がん、膵がん(島細胞)、直腸がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮体がん、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣がん、上皮性卵巣がん(表面上皮間質腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、陰茎がん、腎細胞がん、腎盂尿管(移行上皮がん)、前立腺がん、精巣がん、妊娠性絨毛腫瘍、腎盂尿管(移行上皮がん)、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ウィルムス腫瘍、食道がん、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん、上咽頭がん、口腔がん、中咽頭がん、副鼻腔がん及び鼻腔がん、咽頭がん、唾液腺がん、下咽頭がん、急性混合白血病、急性好酸球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性樹状細胞白血病、AIDS関連リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、B細胞性前リンパ球性白血病、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、肝脾T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、大顆粒リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、肥満細胞性白血病、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、菌状息肉腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、前駆Bリンパ芽球性白血病、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚濾胞性リンパ腫、原発性皮膚免疫細胞腫、原発性体液性リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、セザリー症候群、脾臓周辺帯リンパ腫、T細胞性前リンパ球性白血病、基底細胞がん、メラノーマ、皮膚がん(非メラノーマ)、気管支腺腫/カルチノイド、肺小細胞がん、中皮腫、非小細胞肺がん、胸膜肺芽腫、喉頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、AIDS関連のがん、カポジ肉腫、類上皮血管内皮種(EHE)、線維形成性小円形細胞腫瘍、並びに脂肪肉腫がある。
【0163】
本明細書において、範囲は「約」ある特定の値から且つ/又は「約」別の特定の値までとして表現することができる。そのような範囲が表現される場合、別の態様は、そのある特定の値から且つ/又はその別の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用によって概数として表現される場合、その特定の値は別の態様を形成することが理解される。各範囲の端点は、他方の端点との関連でも他方の端点から切り離しても意味があることが理解される。本明細書に多くの値が開示されており、各値が、その値自体に加えて、「約」その特定の値としても本明細書に開示されていることも理解される。本願全体を通して、データは多くの異なる形式で提供されており、このデータが、そのデータ点の任意の組合せに関して、終点及び起点並びに範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点「15」が開示される場合、10及び15を越える、それ以上、それ未満、それ以下、及びそれと等しい点に加え、10と15との間も開示されていると見なされることが理解される。2つの特定の単位間の各単位も開示されることも理解される。例えば、10及び15が開示される場合、11、12、13、及び14も開示される。本明細書において提供される範囲は、その範囲内の全ての値の省略表現であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群からの任意の数字、数字の組合わせ、又は部分範囲を含むとともに、上記整数間に介在する全ての少数点値、例えば1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、及び1.9も含むと理解される。部分範囲に関して、範囲の何れかの端点から広がる「入れ子式部分範囲」が特に企図される。例えば、1~50という例示的な範囲の入れ子式部分範囲は、一方向において1~10、1~20、1~30、及び1~40又は逆方向において50~40、50~30、50~20、及び50~10を含むことができる。
【0164】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、本開示を説明し定義するために、「約」及び「略」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る不確実性の固有の程度を表すために使用される。「約」及び「略」という用語は、本明細書では、定量的表現が、問題となっている趣旨の基本機能の変化を生じさせずに、述べられた参照から変化し得る程度を表すためにも使用される。「備える(comprise)」、「含む(include)」、及び/又は各々の複数形は、非限定的であり、列記した部品を含み、それとともに、列記されていない追加の部品を含むことが可能である。「及び/又は」は非限定的であり、列記された部品の1つ又は複数及び列記された部品の組合せを含む。
【0165】
別段のことが定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は全て、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料は、本開示の実施又はテストに使用することができるが、適した方法及び材料について以下説明する。本明細書で触れられた全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献は全体的に、参照により本明細書に援用される。競合する場合、定義を含め、本明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び例は単なる例示にすぎず、限定を意図しない。
【0166】
これより、本開示の例示的な実施形態を詳細に参照する。本開示は例示的な実施形態と併せて説明されるが、本開示をそれらの実施形態に限定する意図がないことが理解されよう。それとは対照的に、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の趣旨及び範囲内に含むことができる代替、変更、及び均等物の包含が意図される。当技術分野で周知の標準的な技法又は特に以下説明する技法を利用した。
【実施例】
【0167】
実施例1:狭窄部を有する形質移入容器を製造する方法
図8は、形質移入容器102の狭窄部を作製するシステム300の図である。プログラマブルコンピュータ301が、容器102を搭載するホルダを有するモータ303を制御する。モータは、長手方向軸に沿って容器を回転させる。コンピュータは、所望の狭窄部直径及び形状が達成されるまで、火炎の先端部がモータ307により、容器を加熱するように容器に沿って精密に位置決めされるように、マイクロ火炎の位置及びサイズも制御する。狭窄部の直径は顕微鏡を使用して測定され、直径データはコンピュータに通信され、所望の結果が達成されたとき(例えば
図2Aでのような遠端部狭窄又は
図2Bでのような砂時計設計)、火炎及び回転プロセスは停止した。
【0168】
以下の例では、狭窄部を有する容器としてガラス毛管を使用した。
【0169】
実施例2:DNA形質移入
NIH/3T3細胞株(マウス;細胞直径約15μm)又はヒーラ細胞株(ヒト;細胞直径約12~14μm)を使用してDNA形質移入を実行した。サイトメガロウイルスプロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するプラスミドベクター4.7kbをDNA形質移入に使用した。全ての形質移入は、細胞が生理学的緩衝液(Dulbecco改変最小培地(DMEM)である培地199又はDulbeccoリン酸緩衝食塩水)に形質移入混合物1ミリリットル当たり細胞100万~1000万個の細胞密度で分散した状態で実行された。本明細書で使用される場合、「形質移入混合物」及び「形質移入溶液」は同義で使用され、緩衝液、形質移入される分子、及び形質移入の効率を高めるために溶液に含まれ得る他の何かを含む。形質移入反応ごとに約100マイクロリットルの形質移入混合物を使用した。形質移入ごとに使用されたDNA量は、1ミリリットル当たり20~150マイクログラムで変化した。
【0170】
形質移入が実行されてから24時間後(
図9)、蛍光顕微鏡法を用いてGFPの細胞質発現を検出することにより、DNA形質移入の結果を評価した。GFP発現レベルは弱い発現から非常に強い発現まで様々であった。発現強度は、細胞集団の固有の異質性により、細胞間で変化する。GFPの発現は、細胞の細胞質へのプラスミドDNAの導入、細胞核へのプラスミドの輸送、続く細胞核でのRNA転写、及び細胞質GFPを生じさせるRNAの翻訳の成功を示した。
【0171】
推定DNA形質移入効率は、効率が幾つかのパラメータに依存することを示した。4.7kbプラスミドDNAの相対形質移入効率を表2に提示する。15μgのDNAを含む100μlの形質移入溶液中に概ね250,000個のNIH/3T3細胞を再懸濁させ、表2に示される種々の流量で15サイクルを使用して、形質移入を実行した。種々の流量での毛管の種々の寸法を分析した。「相対」効率を「+」符号で示す。効率は+から++「+」は概ね5~14%の細胞の相対形質移入効率を表し、「++」は概ね15~29%の細胞の相対形質移入効率を表し、「+++」は概ね30~59%の細胞の相対形質移入効率を表し、「++++」は概ね60~100%の細胞の相対形質移入効率を表す。これは、使用されるパラメータ間で比較される、GFPを発現する細胞数に基づく。この研究では、流量114/114(内向き/外向き)の80RL毛管は、4.7kbプラスミドで最高のDNA形質移入効率をもたらした。
【0172】
表2:4.7kb pAcGFP-1プラスミドでのDNA形質移入効率
【表2】
【0173】
表2の1列目は、使用された毛管(即ち容器)を反映している。値50μm、70μm、80μm、及び100μmは、狭窄部での最小直径を示す。「RL」は、最小狭窄部直径への容器の内径の低下が、より長い距離(約1mm~約25mm)にわたって生じたことを示し、それに対して、「RS」は、最小直径への容器の内径の低下がより短い長さ(即ち内径の低下がより急であった;約0.1mm~1mm)にわたって達成されたことを示す。したがって、内径の低下開始から最小直径までの距離は、約0.1mm~25mmである。
【0174】
実施例3:タンパク質形質移入
核局在化された22kDaタンパク質に共役されたAlexa Fluor488と共に50RL毛管を使用したタンパク質形質移入研究において、細胞生存率及び形質移入効率は両方とも95%(
図10及び
図11)を越えた。
図10は、15サイクルにわたって毎秒30/30の流量を使用して8μgのタンパク質を用いた形質移入から6時間後及び24時間後のNIH/3T3細胞を示す。
図11は、15サイクルにわたって毎秒30/30の流量を使用して8μgのタンパク質を用いた形質移入から6時間後及び24時間後のヒーラ細胞を示す。
【0175】
実施例4:細胞生存度に対する毛管狭窄部サイズの影響
種々の狭窄部のガラス毛管を使用して、DNA、RNA、又はタンパク質を形質移入混合物に添加せずに15サイクルにわたって細胞を流した。結果を
図12~
図16に提示する。非操作細胞、即ち毛管を通過しなかった細胞を対照実験として使用した。狭窄部が狭く、流量が高いほど、累進的な細胞損失に繋がったことが観測された。
【0176】
フローサイトメータを使用して細胞数を数えることにより、形質移入に起因した細胞生存/細胞損失を定量した。毛管を通過しなかったNIH-3T3細胞を対照として使用した。実験群では、同数の細胞(概ね100,000個)をM199培養培地又はDulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水に懸濁させて、表3に示されるように4つの異なる流量で15サイクルにわたって2つの毛管サイズに通した。より小さい毛管である50RLは、80RL毛管と比較して全流量でより高い細胞損失レベルを示した。
【0177】
表3:形質移入から生じる細胞生存/細胞損失に対する流量の影響
【表3】
【0178】
実施例5:BoNT/A中毒からの治療的保護を提供するscFV生物学的薬物の自己産生
BoNT/A(ボツリヌス神経毒素血清型A)結合ドメイン(Hc)及びBGHポリアデニル化配列に強く結合し中和する単鎖FV(scFV)をコードするcDNA遺伝子に機能的にリンクするEF-1aプロモーターを含む哺乳類発現ベクターを設計した。ベクターの残りの配列は、レシピエント細胞内で複製が可能なほど十分なウイルス配列を含まない。一例のベクターは、CMVプロモーターがEf-1aプロモーターで置換され、ネオマイシンの選択可能なマーカーが削除されたpcDNA3である。この組合せは、哺乳類細胞での複製を促進するあらゆる配列を回避しながら、広範囲の細胞でのscFVの高発現を可能にする。
【0179】
全血をBalb/cマウスから抽出し、細胞及びプールされた血液を安定化させながら、詰まりを抑制するためにクエン酸塩、リン酸塩、ブドウ糖、及びアデニン(CPDA)を含む管に入れる。全血をFicoll-Paque勾配にわたって層化し、スピンさせて単核白血球(WBC)を濃縮する。単離されたWBCをPBSで2回洗浄し、50μl中に1.5×105細胞のPBSを用いて再懸濁させた。抗BoNT/A scFVをコードする100μgの発現ベクターを細胞に添加し、RTで5~10分間、プレインキュベートする。次いで細胞/DNA混合物を15~25サイクルの正及び負の流体圧力に付し、短期間、回復させる。
【0180】
細胞を培地に21日間プレーティングし、毎日、培地及び試料を採取して、形質移入された一次細胞によって産生されている抗BoNT/AscFVの量を測定する。必要に応じて、新鮮な培地を追加する。
【0181】
細胞は高分化しており、正常な細胞寿命ステージを変更するいかなるDNAも受け取っていないため、時間の経過に伴い、細胞は正常な細胞配列に屈して死ぬ。形質移入された細胞が老化するにつれて、培地中のscFVの濃度は低下し、最後には消失する。
【0182】
実施例6:マウスにおけるBoNT/A中毒からの治療的保護
実施例5に記載される実験は、以下の変更を行って繰り返される。上記のように、血液をBalb/cマウスから抽出し、WBCを単離し、述べたように形質移入する。細胞をプレーティングする代わりに、形質移入されたWBCを追加のBalb/cマウスにゆっくりと注入する。数日後、致死未満から致死に及ぶ様々な用量のBoNT/Aをマウスに注入する。BoNT/A中毒の発症及び死亡についてマウスを監視し、形質移入された発現ベクター及び生物学的薬物タンパク質の保護効果を特定する。形質移入されたWBCによって経時産生された抗BoNT/AscFVの量について、これもまた抗BoNT/AscFV形質移入されたWBCが注入された対照マウスを経時テストする。
【0183】
実施例7:悪性B細胞を破壊する抗CD19 CAR-T細胞の作製
抗CD19CARコンストラクト及びBGHポリアデニル化配列をコードするcDNA遺伝子に機能的にリンクするEF-1aプロモーターを含む哺乳類発現ベクターを設計した。抗CD19CARコンストラクトは、Dr.Kochendenferによって米国特許出願公開第2017/0107286A1号明細書に記載されるものと同様である。scFVに加えて、CARコンストラクトは、細胞外スペーサ、ヒトCD8アルファの膜貫通領域、ヒトCD28由来の細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、及びFcエプシロンRIのガンマ鎖を含む。ベクターの残りの配列は、レシピエント細胞内で複製が可能なほど十分なウイルス配列を含まない。一例のベクターは、ネオマイシンの選択可能なマーカーがGFPの機能カセットで置換されたpcDNA3である。この組合せは、哺乳類細胞での複製を促進するあらゆる配列を回避しながら、広範囲の細胞でのCARコンストラクトの高発現を可能にする。GFPは、形質移入に成功した細胞の監視に使用することができる緑色蛍光タンパク質の内部発現を可能にする。
【0184】
ヒト全血を標準血液収集によって取得して、細胞及びプールされたを安定化させながら、詰まりを抑制するためにクエン酸塩、リン酸塩、ブドウ糖、及びアデニン(CPDA)を含む血液収集バッグに入れられる。全血を遠心沈殿させ、上澄みを破棄することにより、赤血球を溶解させる。ペレットをRBC溶解液中に再懸濁させ、10分後、PBS中で希釈し、遠心沈降させ、PBS中で洗浄する。磁気ビーズと共役した抗CD4抗体又は抗CD8抗体を白血球に添加し、磁性カラムを通して滴下させる。洗浄後、カラムを消磁させ、CD4及びCD8T細胞を収集する。
【0185】
CD4及びCD8T細胞をPBSで2回洗浄し、50μlのPBS中に2.5×105個の細胞として再懸濁させる。100μgの抗CD19 CAR発現ベクターを細胞に添加して、RTで5~10分間プレインキュベートする。次いで細胞/DNA混合物を15~25サイクルの正及び負の流体圧力に付し、短期間、回復させる。
【0186】
形質移入後、細胞を抗CD3/抗CD28ビーズを用いて培養し、活性化されたCAR-T細胞の増殖をトリガーする。種々の時間において、抗CD3抗CARコンストラクト及びGFP FACSスクリーニングのために、試料を採取する。
【0187】
実施例8:形質移入されたT細胞を使用した細胞キルアッセイ
形質移入されたT細胞がヒト標的細胞株をキルする能力を測定するために、ヒトCD19発現の高レベルの表面発現を有するRaji(ATCC CCL86)を取得する。Raji細胞は、悪性B細胞の代理として使用される。Raji細胞をまずCellTracker Red(Thermofisher)で染色し、洗浄して全ての余剰色素を除去する。Raji細胞及びCAR発現T細胞を様々な濃度で組み合わせて、培地に配置する。それから36時間にわたる種々の時間において、Raji細胞の消失、そしてそれに続くRed Cell Tracker色素の消失を探してFACScanにより試料を分析する。CAR-T細胞の存在の後に、抗CD3及び抗CD19-CAR抗体及びGFPが続くことができる。Raji細胞破壊が最高率の時間フレームが特定される場合、実験は繰り返されるが、共焦点顕微鏡が後に続き、数分ごとに測定値が取得される。
【0188】
実施例9:修復された肝細胞の作製
ヒトSERPINA1遺伝子の生殖細胞系領域配列を含むDNAベクターを設計した。c-Mycタグを追加するために、c-MycのcDNA配列をSERPINA1遺伝子の最後のコドンとその停止コドンとの間に挿入する。これにより、CRISPR標的遺伝子置換を首尾良く経た細胞において観測することができるSERPINA1タンパク質の作製が可能になる。
【0189】
実施例10:ヒト肝細胞における標的遺伝子置換
AAT酵素欠乏患者からの肝細胞は容易に取得できないため、CRISPR技術を使用して、正常なSERPINA1遺伝子をタグ付き版で置換する代理実験を代わりに行う。この実験では、ヒト新生児肝細胞株ATCC CRL4021をATCCから取得し、培地で増殖させる。付着性細胞株であるため、非酵素細胞解離試薬(Thermo-Fisher)を使用して、単細胞プレップを作製する。肝細胞をPBSで2回洗浄し、50μlのPBS中に2.5×10
5個の細胞として再懸濁させる。様々な量のガイドRNA、Cas-9結合とSERPINA1ゲノムDNA(
図19A)から選ばれた20merとの組み合わせ、及び様々な量のストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9(SpCas9)(ポリープ)を細胞と組み合わせ、RTで5~10分間プレインキュベートする。タグ付きSERPINA1遺伝子(
図19B)のみを含む対照形質移入を使用して、ランダムDNA挿入の量を可視化する(標的遺伝子置換と対比して)。次いで細胞/RNA/タンパク質又は対照細胞/DNA混合物を15~25サイクルの正及び負の流体圧力に付し、短期間、回復させてから、プレーティングする。続く数日にわたり、形質移入された細胞の試料を収穫し、タンパク質プレップの作製に使用する。形質移入されない肝細胞試料は対照として使用される。タンパク質プレップをアクリルアミドゲル上で分離し、膜に移す。標準ウエスタン法に従い、膜をまず、抗α1アンチトリプシン抗体(Thermofisher)を用いて可視化して、c-Mycタグ付き及びタグなしの両方のAAT酵素の総量を特定し、次いで抗c-Myc抗体を用いて可視化する。総量とタグ付きAAT酵素との比率を使用して、標的遺伝子をヒト肝細胞に置換させるに当たりどの実験組合せが最も有効であったかを判断する。
【0190】
実施例11:ヒトT細胞の形質移入
単離されたヒトT細胞を4人の異なる人から取得し、T細胞培養培地を有する培地に配置した。T細胞を収穫し、80/80マイクロリットル/秒の流量で15サイクル、70RL毛管を使用して完全培地において15μgのpAcGFPベクター(4.7kb)を形質移入した。形質移入後、T細胞を培地に戻し、異なる時点で、GFPの出現について観測した。
図22に示される結果は、GFPの発現に基づく形質移入の成功を示す。
【0191】
実施例12:計算的流体力学(CFD)モデリング
本発明者らの指示の下、企業であるIMPACTの科学者が、狭窄部における流体フローをモデリングし、細胞が狭窄部を通って流れるとき(ベルヌーイ圧ではない)、剪断力/応力が細胞の歪みを生じさせ、したがって、細胞が変形する様式が、細胞を包含する緩衝液の粘度を変更することによって影響を受け、又は制御されることができることを発見した。したがって、異なる緩衝系を、細胞に導入されている分子の種類及び形質移入されている細胞の種類の両方に合わせることができる。
【0192】
IMPACTは、最小内径(I.D.)50μmを有する毛管ジオメトリをモデリングするCFDを実行した。モデルは、プランジャが流量50μL/sで毛管を通して液体を押す事例に基づいた。この場合、液体粘度は水様と仮定した。
【0193】
以下の表において、IMPACTのCFD予測をTimm Tanzeglock(“A Novel Lobed Taylor-Couette Bioreactor for the Cultivation of Shear Sensitive Cells and Tissues”,DSc thesis presented to ETH,Zurich,2008)のものと比較する。D_毛管は最小I.D.であり、Qは定常状態流量であり、U_毛管は毛管の最小I.D.部分での平均速度であり、tau_壁は毛管の中央400μmにわたる壁剪断応力範囲であり、tau_伸長は毛管の200μm入口領域にわたる伸長応力範囲であり、tau_ISは乱流に起因した流体力学的応力であり、デルタPは毛管にわたる予測圧力降下である。
【0194】
【0195】
IMPACTのCFD予測は上記表の1行目に提示されており、一方、Tanzeglockの予測は残りの行を占めている。IMPACTによりモデリングされた条件下で、壁剪断応力は、細胞膜に「孔」を生成するのに十分に高い大きさである。壁剪断応力(tau_壁)は、入口及び出口の影響による影響をあまり受けない。したがって、細胞膜に対する剪断応力の影響は、最小毛管I.D.の長さを変更し、ひいては剪断応力への露出時間を変更することによって調整することができる。流量が同じ場合、粘度を上げると、剪断応力も上がる。伸長応力(tau_伸長)は主に、毛管への入口で生じる。毛管の長尺化は、伸長応力に対して影響があったとしても極わずかである。粘度を上げると、伸長応力も上がる。乱流応力(tau_IS)は主に、流れが毛管を出る際に生じる。これもまた、毛管の長さによる影響を受けない。粘度を上げると、乱流応力は下がる。
【0196】
IMPACT又はTanzeglockにより予測される大きさの圧力降下は、細胞膜に影響すると予期されない。Tanzeglockは、測定が容易なパラメータを使用して自身のCFDモデルを評価する好都合な手段として圧力降下のCFD予測を含んだが、細胞に対する圧力降下の影響を考慮しなかった。細胞は圧縮不可能な流体を含み、圧縮不可能な流体中に懸濁するため、数気圧のオーダの懸濁液の圧力変化に起因して、細胞膜に対して応力を及ぼす明確なメカニズムは存在しない。(IMPACTにより予測されたデルタP値は約3atmに対応する)。細胞壁を有する細胞への影響は、Hartmannら(“Mechanical stresses in cellular structures under high hydrostatic pressure”,Innovative Food Science and Emerging Technologies,7:1-12,2006)により報告されているように、極めて高い静水圧(>4000atm)で観測されている。
【0197】
圧力による力は、圧力勾配が、細胞サイズと同等の長さ尺度で生じる場合、フロー事件において細胞に影響し得る。これは、インターシャル小領域に乱流がある場合-即ち、コルモゴロフ渦サイズが細胞よりも小さい場合である。このファクタはtau_ISにより合算される。そのような微視的圧力勾配は乱流によって生じ、ベルヌーイ効果に関連しない。
【0198】
IMPACTが研究した1組の条件下で、即時CFD分析は、研究中の15μm細胞よりも小さな乱流渦と関連する流体力学的応力が、細胞膜に影響する可能性が最も高いことを示す。加えて、剪断応力及び伸長応力の影響も、観測された効果に寄与し得る。ベルヌーイ効果に起因した、懸濁した細胞に対する圧力降下の影響は、細胞膜に影響する可能性が非常に低い。
【0199】
実施例13:新たなパンデミックの発生からの最前線の人員の迅速保護
2019年の終わりに、新規コロナウイルスであるSARS-Cov-19が国際的パンデミック及び世界的対応を引き起こした。フルゲノム配列が2020年初めに公開され、ワクチンに向けた競争が可能になった。多くの安全規則が緩和されても、最善の成果として、2021年初頭までに、わずか約100万回のワクチン投与しか準備できない(米国の人口だけでも3億3千万)。一方、ファーストレスポンダーである医療従事者及び多くの患者は罹患し死亡しつつある。危機は特に、医療施設及び軍施設で深刻であるが、食糧及び必需品を含め、深刻な経済破綻も引き起こしつつある。危機は2022年まで続き、恐らくはその先も続くと予測される。
【0200】
新たな感染因子が常に発生している(即ちSARS、エボラ)が、以前は小さな領域に限られてきた。グローバリズムに伴い、今では、感染因子がいかに急速に拡散し得るかが知られている。最前線の防衛者及びレスポンダーに素早く作成し配備することができる新たな治療方法が必要とされている。私達を安全に維持する人々が守れられてこそ、私達は他人を守ることができる。
【0201】
ワクチンは、病気を防ぐに当たり圧倒的に重要であるが、作製に数年かかる。配備された場合であっても、有効免疫が接種者で有効になるには数週間かかる。ワクチンは、免疫系応答の多くの他の構成物質をトリガーする。一方法は、免疫系をトリガーして、プロセスをブロックする抗体を作ることができるB細胞を生成することにより、感染をブロックすることを含む。SARS-Cov-19の場合、抗体はウイルスのスパイクタンパク質が、肺のアンジオテンシン変換酵素2タンパク質(ACE2)及び他の細胞に付着することを阻止し、ひいてはウイルスが細胞に侵入して細胞を感染させないようにしなければならない。しかしながら、接種者のこの免疫獲得は、ワクチン接種後、数週間から数ヶ月かかる。医療危機では、与えられるワクチンが準備されている場合であっても、最前線の防御者及びレスポンダーは、ワクチンが免疫を誘導している間に死亡することになる。
【0202】
防御抗体は作製することができ、1年までバイアルに貯蔵することができるが、新たな防御抗体は作製、製造、及び必要な場所への配送に数年かかる。これは、崩御抗体の例を見つけ、次いで研究所において合成抗体を哺乳類細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)内で製造することによって行われる。新たな遺伝子の作製は数週間で達成することができるが、製造プロセスのセットアップに1~2+年かかる。間に合わせの対策として、抗体は、SARS-Cov-19から回復した人々から収集され、症状が重い患者に提供される。しかし、供給元は様々であり、無菌を保証することは不可能である。
【0203】
トランスサイトーシスの抗体プロセス(TAbP):
トランスサイトーシスのTAbP工程は、(a)Ab DNAを取得すること、(b)B細胞(10~50mlの血液)を接種者(即ち医療従事者、ファーストレスポンダー、患者、軍人)から収穫すること、(c)トランスサイトーシスの組立体、デバイス、システム、キット、及び方法の少なくとも1つを使用して、B細胞に合成保護抗体(単鎖可変断片/scFV等)のDNAを形質移入すること、(d)形質移入されたB細胞を接種者に戻すことであって、それにより、数時間以内に、形質移入されたB細胞が保護抗体を産生し、数週間にわたって保護抗体を産生し続ける、戻すことである。
【0204】
最も重要なことに、トランスサイトーシス細胞改変(「形質移入」)プロセスは、ウイルス形質移入技法を必要とする既存のヒト治療とは違い、非ウイルス技術を使用する。ウイルスを使用する場合、治療は一回しか使用することができず、免疫無防御患者では使用することができない。
【0205】
したがって、トランスサイトーシスTAbPプロセスは大きな利点を提供する:トランスサイトーシスTAbPプロセスは非ウイルス形質移入工程を使用するため、接種者は繰り返し治療を受けることが可能である。
【0206】
実施例14:機能性研究/キルアッセイ結果
分析に使用された細胞の種類
エフェクター細胞:CAR-Tベクターを使用して本技術を用いて改変(形質移入)されたヒトT細胞及び非改変(対照)T細胞
標的細胞:細胞表面にCD19を発現しているRaji細胞(ATCCカタログ番号CCL86)をこの実験において標的細胞として使用した。赤色蛍光タンパク質(RFP)を安定して発現するように標的細胞をトランスサイトーシスにおいて改変し、高RFP発現細胞を流動選別した。フロー分析による定量を容易にするために、RFP発現Raji細胞を標的細胞として使用した。
使用されたベクター:CMVプロモーターの制御下で抗CD19キメラ受容体を発現し、内部リボソーム侵入部位(IRES)の制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)マーカーを発現するキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)プラスミドベクター
【0207】
形質移入及びキルアッセイ
1日目-トランスサイトーシス法を使用してヒトT細胞にCAR-Tベクターを形質移入した。
2日目-キメラ抗原を発現するT細胞を発現するGFPを流動選別により精製した。精製されたCAR-T細胞又は非改変T細胞(対照細胞)を1:3の比率(T細胞:Raji-RFP細胞)でRaji-RFP細胞と混合し、約18時間、細胞間相互作用及びキリングのためにインキュベートした。Raji-RFP細胞のみを第2の対照として含めた。
3日目-フロー分析により細胞を分析して、高発現RFP細胞(生存細胞)数及び弱RFP発現細胞(不全細胞/死細胞)数を測定し、生存細胞:死標的細胞の比率を特定した。
【0208】
結果を
図24に提示し、
図24は、形質移入された一次ヒトT細胞が、ウイルス形質移入されたT細胞と同じ機能を示すことを示す。即ち、攻撃を認識し、がん細胞を殺す。
【0209】
結果の解釈:
CAR-T細胞+標的細胞分析は、CAR-T細胞が、概ね18~20時間のインキュベーションで標的細胞の83%を殺したことを示した。
【0210】
対照T細胞に標的細胞を加えたものは、52%生存細胞対48%死細胞(平均3反応)を示した。
【0211】
標的細胞のみは、59%生存細胞対41%死細胞(平均3反応)を示した。
【0212】
参照による援用
本明細書において引用又は参照された全文献及び本明細書において引用された文献において引用又は参照されている全文献は、本明細書又は参照により本明細書に援用される任意の文献で触れられている任意の製品の任意の製造業者の指示、説明、製品仕様、及び製品シートと共に、参照により本明細書に援用され、本開示の実施に採用し得る。
【0213】
均等物
本明細書に記載された詳細な説明及び実施形態は、例示のみを目的として例として与えられており、本開示への限定として決して見なされないことが理解される。本開示に鑑みて種々の修正又は変更が当業者に示唆され、本願の趣旨及び範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲内であると見なされる。本開示のシステム、方法、及びプロセスと関連する追加の有利な特徴及び機能が、添付の特許請求の範囲から明らかになろう。さらに、当業者は、ただの日常的な実験を使用して、本明細書に記載される開示の特定の実施形態への多くの均等物を認識するか、又は突き止めることが可能であろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【国際調査報告】