(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】石鹸または消毒剤の正確に制御された出力投与のためのディスペンサおよびディスペンサシステム
(51)【国際特許分類】
A47K 5/12 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
A47K5/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573684
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 US2021035414
(87)【国際公開番号】W WO2021247678
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506190555
【氏名又は名称】ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マックノルティー,ジョン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ドナルド アール
(72)【発明者】
【氏名】ブロック,マーク エー
(72)【発明者】
【氏名】カーティス,チップ ダブリュー
(57)【要約】
石鹸、消毒剤、またはローションを分配するためのディスペンサ駆動モータを動的に制御するための典型的な電力システム。典型的な石鹸、消毒剤、またはローションのディスペンサは、ハウジングと、石鹸、消毒剤、または、ローションを保持するための容器を受けるレセプタクルと、石鹸、消毒剤、または、ローションの容器と、容器に固定されるポンプとを含む。典型的な石鹸、消毒剤、または、ローションのディスペンサは、電源、モータ、および、モータをポンプに結合するアクチュエータを含む。更に、典型的な石鹸、消毒剤、またはローションのディスペンサは、電源およびモータと回路通信するパルス幅変調回路を含む。アクチュエータの1作動サイクルの動きで、石鹸、消毒剤、または、ローションの1回分量が分配される。パルス幅変調回路は、複数の電圧パルスをモータに供給してアクチュエータを1作動サイクル動かす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
流体を保持するための容器と、
前記容器の内部と流体連通する順次作動するポンプであって、
前記ポンプが、少なくとも1つの液体ポンプダイアフラムと少なくとも2つの空気ポンプダイアフラムとを備える、ポンプと、
ディスペンサプロセッサと、
電源と、
モータと、
エンコーダと、
前記電源および前記モータと回路通信するパルス幅変調回路と、
を備え、
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに複数の信号を前記プロセッサに供給し、
前記パルス幅変調回路は、前記モータの1回転の少なくとも一部に関して第1のデューティサイクルの形態で電力を前記モータに供給し、
前記プロセッサは、前記モータの各回転を通じて前記モータの速度を複数回決定し、
前記パルス幅変調回路は、前記モータの回転の前記少なくとも一部の後、前記モータの前記決定された速度に応じて選択された速度を維持するように前記デューティサイクルを調整し、
前記プロセッサは、前記エンコーダからの前記複数の信号を利用して、前記モータが選択された回転数に達したかどうかを決定し、
前記プロセッサは、前記パルス幅変調回路に、前記ポンプの選択された回転数で前記モータへの電力供給を停止させ、
前記回転数が5を超える、
石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項2】
ブレーキを更に備える、請求項1に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項3】
前記ブレーキが機械式ブレーキである、請求項2に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項4】
前記ブレーキが電気ブレーキである、請求項2に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項5】
前記ブレーキは、前記モータの端子を短絡して前記モータを停止させるトランジスタを備える、請求項4に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項6】
前記ブレーキがスイッチを備え、前記スイッチが前記モータの端子間の電圧極性を切り換える、請求項4に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項7】
前記ブレーキがスイッチおよびレジスタを備え、前記スイッチが前記レジスタを前記モータの端子間に配置して前記モータを停止させる、請求項4に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項8】
前記パルス幅変調回路が前記モータへの電力供給を停止するときに前記ブレーキが設定される、請求項2に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項9】
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに少なくとも4つの信号を前記プロセッサに供給する、請求項1に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項10】
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに少なくとも8つの信号を前記プロセッサに供給する、請求項1に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項11】
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに少なくとも4つの信号を前記プロセッサに供給する、請求項1に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項12】
ハウジングと、
液体の容器と、
前記容器と流体連通するポンプであって、
前記ポンプが複数のポンプダイアフラムを有し、前記ポンプの1回転が前記ポンプダイアフラムのそれぞれを圧縮し、及び拡張する、ポンプと、
ディスペンサプロセッサと、
電源と、
モータと、
エンコーダと、
前記電源および前記モータと回路通信するパルス幅変調回路と、
を備え、
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに前記モータの速度を示す複数の信号を前記プロセッサに供給するように構成され、
前記パルス幅変調回路は、前記モータの1回転の少なくとも一部に関して少なくとも約80%の第1のデューティサイクルを供給し、
前記プロセッサは、前記モータの各回転を通じて前記モータの速度を複数回決定し、
前記パルス幅変調回路は、前記デューティサイクルを調整して、前記モータの回転の前記少なくとも一部の後、少なくとも毎分1200回転の選択された速度を維持し、
前記プロセッサは、前記ポンプが約5回転した後、前記モータが約30回転する前に、前記パルス幅変調回路に前記モータへの電力供給を停止させる、
石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項13】
ブレーキを更に備える、請求項12に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項14】
前記ブレーキが機械式ブレーキである、請求項12に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項15】
前記ブレーキが電気ブレーキである、請求項12に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項16】
前記ブレーキは、前記モータの端子を短絡して前記モータを停止させるトランジスタを備える、請求項15に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項17】
前記ブレーキがスイッチを備え、前記スイッチが前記モータの端子間の電圧極性を切り換える、請求項15に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項18】
前記ブレーキがスイッチおよびレジスタを備え、前記スイッチが前記レジスタを前記モータの端子間に配置して前記モータを停止させる、請求項15に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項19】
前記第1のデューティサイクルが少なくとも約90%である、請求項12に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項20】
前記選択された速度が毎分少なくとも約1700回転である、請求項12に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項21】
前記パルス幅回路は、前記モータが約25回転する前に前記モータへの電力供給を停止する、請求項12に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項22】
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに少なくとも4つの信号を前記プロセッサに供給する、請求項12に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項23】
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに少なくとも8つの信号を前記プロセッサに供給する、請求項12に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項24】
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに少なくとも4つの信号を前記プロセッサに供給する、請求項12に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項25】
ハウジングと、
石鹸または消毒剤を保持する容器と、
前記容器の内部と流体連通するポンプと、
ディスペンサプロセッサと、
電源と、
モータと、
エンコーダと、
前記電源および前記モータと回路通信するパルス幅変調回路と、
ブレーキと、
を備え、
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに複数の信号を前記プロセッサに供給し、
前記プロセッサは、前記モータの各回転を通じて前記モータの速度を複数回決定し、
前記パルス幅変調回路は、デューティサイクルを調整して選択された速度を維持し、
前記プロセッサは、前記モータの設定された回転数後にブレーキを適用させる、
石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項26】
前記ブレーキは、前記モータの完全な1回転未満で前記モータを停止させる、請求項25に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項27】
前記ブレーキは、前記モータの完全回転の半分未満で前記モータを停止させる、請求項25に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項28】
前記ブレーキが機械式ブレーキである、請求項25に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項29】
前記ブレーキが電気ブレーキである、請求項25に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項30】
前記ブレーキは、前記モータの端子を短絡して前記モータを停止させるトランジスタを備える、請求項29に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項31】
前記ブレーキがスイッチを備え、前記スイッチが前記モータの端子間の電圧極性を切り換える、請求項29に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項32】
前記ブレーキがスイッチおよびレジスタを備え、前記スイッチが前記レジスタを前記モータの端子間に配置して前記モータを停止させる、請求項29に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項33】
ハウジングと、
流体を保持するための容器と、
前記容器の内部と流体連通するポンプと、
ディスペンサプロセッサと、
電源と、
ステッピングモータであって、
前記ステッピングモータのそれぞれの完全回転が複数の等しいステップに分割され、
前記プロセッサが、前記ステップに応じて前記ステッピングモータの回転数を決定し、
前記プロセッサが、前記ステップに応じて前記ステッピングモータの速度を決定する、ステッピングモータと、
前記電源および前記ステッピングモータと回路通信するパルス幅変調回路と、
を備え、
前記パルス幅変調回路は、デューティサイクルを調整して、選択された速度を維持し、
前記プロセッサは、前記モータが該モータの設定回転数を停止するようにする、
石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項34】
ブレーキを更に備える、請求項33に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項35】
前記ステッピングモータの速度を選択された速度に維持するように構成される回路を更に備える、請求項33に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項36】
ハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に位置する、石鹸または消毒剤を有する容器を受けるためのレセプタクルと、
前記容器の内部と流体連通するポンプと、
ディスペンサプロセッサと、
ディスペンサメモリと、
電源と、
モータと、
エンコーダと、
前記モータに電力を供給するための電力回路であって、
前記電力回路が、前記プロセッサ、前記電源、および、前記モータと回路通信する、電力回路と、
前記モータの設定回転数にわたって前記モータに電力を供給させて前記設定回転数に達した後に前記モータを停止させるための前記メモリに記憶されたロジックであって、
前記設定数が、前記ポンプの5回転よりも大きく、前記ポンプの約30回転よりも少ない、ロジックと
を備える、石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項37】
ブレーキを更に備える、請求項36に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項38】
前記電力回路が前記モータへの電力供給を停止するときに前記ブレーキが設定される、請求項37に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項39】
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに少なくとも4つの信号を前記プロセッサに供給する、請求項36に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項40】
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに少なくとも8つの信号を前記プロセッサに供給する、請求項36に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項41】
前記エンコーダは、前記モータのそれぞれの回転ごとに少なくとも4つの信号を前記プロセッサに供給する、請求項36に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項42】
前記ポンプは、前記容器に固定されるとともに、前記容器と共に取り外し可能である、請求項36に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項43】
前記ポンプは、前記ハウジングに固定されるとともに、前記容器が取り外されるときに前記ディスペンサと共に残る、請求項36に記載の石鹸または消毒剤ディスペンサ。
【請求項44】
流体を保持するための容器、モータ、前記モータによって駆動されるポンプ、電源、物体センサ、プロセッサ、エンコーダ、および、パルス幅変調回路を有するディスペンサを用意するステップと、
前記物体センサによって物体の存在を検出するステップと、
第1のデューティサイクルを伴う電力信号を前記パルス幅変調回路が前記モータに出力するようにするステップと、
前記モータの速度を示す複数の信号を前記エンコーダから受信するステップと、
前記第1のデューティサイクルから1つまたは複数の第2のデューティサイクルに変更して、前記モータの速度を選択されたモータ速度に近づけさせるステップと、
前記ポンプが前記モータによって駆動されると、流体が前記ディスペンサから送出され、
前記モータの回転数を決定するステップと、
前記ポンプの選択された回転数が発生したと決定すると、前記パルス幅変調回路に前記モータへの電力供給を停止させるステップと、
を含む、石鹸または消毒剤を分配する方法。
【請求項45】
前記モータを制動するステップを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
石鹸または消毒剤を保持するための容器、モータ、前記モータによって駆動されるポンプ、電源、物体センサ、プロセッサ、および、エンコーダを有するディスペンサを用意するステップと、
前記物体センサによって物体の存在を検出するステップと、
前記モータに電力を供給して前記ポンプの回転を引き起こすステップと、
前記モータの位置を示す複数の信号を前記エンコーダから受信するステップと、
前記ポンプがモータによって駆動されるときに、
流体が前記ディスペンサから送出され、
前記ポンプの回転数を決定するステップと、
前記ポンプの設定回転数の後に前記モータへの通電を切るステップであって、前記回転数が約5よりも大きい、ステップと、
を含む、石鹸または消毒剤を分配する方法。
【請求項47】
前記モータを停止させるためにブレーキを適用するステップを更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ブレーキを適用するステップは、機械式ブレーキを適用することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ブレーキを適用するステップは、電気ブレーキを適用することを含む、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年6月3日に出願された、「石鹸または消毒剤の正確に制御された出力投与のためのディスペンサおよびディスペンサシステム(DISPENSERS AND DISPENSER SYSTEMS FOR PRECISELY CONTROLLED OUTPUT DOSING OF SOAP OR SANITIZER)」と題される、米国仮特許出願第63/033,892号の優先権および利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、非接触石鹸および消毒剤ディスペンサシステムに関し、より詳細には、石鹸または消毒剤の出力投与量を正確に制御したディスペンサに関する。
【背景技術】
【0003】
ハンズフリー(またはタッチフリー)ディスペンサでは、液体または泡ポンプは、一般に、駆動サイクルを通じてポンプを駆動して1回分量の流体を分配するアクチュエータによって作動される。今日の石鹸ディスペンサおよび消毒剤ディスペンサで主に使用される液体ポンプおよび泡ポンプは、ドームポンプおよびピストンポンプである。幾つかのディスペンサは、回転式容量型ポンプを利用していた。
【0004】
分配チューブを回転させて圧縮するホイール上に複数のローラを有するポンプである回転式容量型ポンプ(これらのポンプは、例えば静脈内点滴システムなどのデバイスで使用されることが多い)は、かなり正確な1回分量サイズを有するが、分配速度は、1回分量の石鹸または消毒剤を分配するのに実用的ではない。更に、回転式容量型ポンプを用いて泡石鹸または消毒剤を作成することは、必要な分配速度に起因して実現不可能である。
【0005】
一部の先行技術のディスペンサは、例えば、1回分量の分配をもたらす1秒の「オンタイム」などの時間に基づいて1回分量の流体を送達する。結果として、ディスペンサにおけるバッテリ電圧は、分配される液体の量に影響を与える。バッテリ電圧が低下すると、ポンプモータの回転速度が遅くなるため、バッテリの劣化に伴い流体の分配量が減少する。
【0006】
殆どの先行技術のディスペンサは、液体の単一「ショット」および/または泡を形成するために一緒に混合される液体の単一ショットおよび単一ショットを分配する。換言すれば、液体形式または泡形式の石鹸または消毒剤のそれぞれの1回分量ごとに単一の液体ポンプチャンバが液体で満たされて分配される。ディスペンサが1回分量の石鹸または消毒剤を分配するときに、単一の液体ポンプチャンバが完全に満たされないまたは完全に空にならない場合がある。したがって、液体の単一ショットを分配する単一の液体ポンプチャンバは、多くの場合、一貫性のない液体分配1回分量サイズを有する。
【0007】
先行技術のディスペンサでは、これらのポンプにおける所定の分配数にわたって分配される「平均1回分量」サイズはかなり一貫しているが、それぞれの個々の分配の個々の量または1回分量サイズはしばしば変化する。例えば、平均分配1回分量は、例えば、10回の分配にわたって1分配当たり1.2ミリリットルとなり得るが、その平均を構成する個々の1回分量は、例えば、分配1回分量当たり1.0~1.4ミリリットルまで変化し得る。例えば、流体を保持する容器内の異なる真空圧、ポンプが完全にプライミングしていない、個々のポンプ間の製造上の差異、詰め替え品における流体の液位、分配間の時間の長さ、モータのオーバーラン、バッテリ充電、ポンプライフサイクルなど、1回分量の不一致につながるさまざまな要因がある。
【0008】
投与の不一致を克服するために、少なくとも選択された最小量が毎回確実に分配されるように、分配量をより高い分配量に設定することを決定できる。このやり方は、一般に、多くの個々の分配サイクル中にわたって実際に必要とされるよりも多くの流体を分配することになる。このやり方は過剰投与と呼ばれることがある。過剰投与は、詰め替えユニットあたり(または満タン容器あたり)の分配回数を減らし、運用コストと、詰め替え品または詰め替え容器の交換と関連するコストとを増大させる。更に、多くの人は、使用ごとにディスペンサに複数分配の流体を分配させ、その結果、更にコストが増大し、詰め替えユニットを頻繁に交換することになる。したがって、より正確にまたは精密に制御された分配量を有するディスペンサ、および、選択された量の流体を短時間で分配するディスペンサが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
典型的な石鹸、消毒剤、および、ローションのディスペンサが本明細書に開示される。典型的な石鹸または消毒剤ディスペンサは、ハウジングと、流体を保持するための容器と、容器の内部と流体連通するポンプと、ディスペンサプロセッサと、電源と、モータと、エンコーダと、電源およびモータと回路通信するパルス幅変調回路と、ブレーキとを含む。エンコーダは、モータのそれぞれの回転ごとに複数の信号をプロセッサに供給する。プロセッサは、モータの各回転を通じてモータの速度を複数回決定する。パルス幅変調回路は、デューティサイクルを調整して、選択された速度を維持する。更に、プロセッサは、モータの設定回転数の後にブレーキが適用されるようにする。
【0010】
他の典型的な石鹸または消毒剤ディスペンサは、ハウジング、流体を保持するための容器、容器の内部と流体連通するポンプ、ディスペンサプロセッサ、電源、および、ステッピングモータを含む。ステッピングモータのそれぞれの完全回転は、複数の等しいステップに分割される。プロセッサは、ステップに応じてステッピングモータの回転数を決定する。プロセッサは、ステップに応じてステッピングモータの速度を決定する。パルス幅変調回路も含まれる。パルス幅変調回路は、デューティサイクルを調整して、選択された速度を維持し、また、プロセッサは、モータがモータの設定回転数を停止するようにする。
【0011】
他の典型的な石鹸または消毒剤ディスペンサは、ハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に位置する、石鹸または消毒剤を有する容器を受けるためのレセプタクルとを含む。ポンプは容器の内部と流体連通している。ディスペンサは、ディスペンサプロセッサと、電源と、モータと、エンコーダと、プロセッサ、電源およびモータと回路通信するパルス幅変調回路と、を更に含む。
【0012】
石鹸または消毒剤を分配するための典型的な方法論は、流体を保持するための容器、モータ、モータによって駆動されるポンプ、電源、物体センサ、プロセッサ、エンコーダ、および、パルス幅変調回路を有するディスペンサを用意するステップを含む。この方法論は、物体センサによって物体の存在を検出するステップと、パルス幅変調回路が第1のデューティサイクルを伴う電力信号をモータに出力するようにするステップと、モータの速度を示す複数の信号をエンコーダから受信するステップと、第1のデューティサイクルから1つまたは複数の第2のデューティサイクルに変更して、モータの速度を選択されたモータ速度に近づけさせるステップとを更に含む。ポンプがモータによって駆動されると、液体がディスペンサから送出される。方法論は、モータの回転数を決定するステップと、モータの選択された回転数が発生したと決定すると、パルス幅変調回路にモータへの電力供給を停止させるステップとを更に含む。幾つかの実施形態において、典型的な方法論は、モータおよび/またはポンプの回転を停止するようにブレーキが設定されるようにするステップを更に含む。
【0013】
本発明のこれらならびに他の特徴および利点は、以下の説明および添付図面に関してより良く理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】取り外し可能な詰め替えユニットを有する典型的なディスペンサの一般的で例示的な概略図である。
【0015】
【
図2】典型的な取り外し可能な詰め替えユニットの図である。
【0016】
【
図3-4】ディスペンサモータを駆動するためのパルス幅変調されたデューティサイクルの典型的な例示の図である。
【0017】
【
図5】分配されるべき流体の1回分量を正確に制御するための典型的な方法論またはロジックフロー図である。
【0018】
【
図6】分配されるべき流体の1回分量を正確に制御するための他の典型的な方法論またはロジックフロー図である。
【0019】
【
図7】分配されるべき流体の1回分量を正確に制御するための更に他の典型的な方法論またはロジックフロー図である。
【0020】
【
図8-10】ディスペンサモータを停止するための典型的なブレーキ回路の図である。
【0021】
【
図11】分配されるべき流体の1回分量を正確に制御するための更に他の典型的な方法論またはロジックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、本開示の全体にわたって使用される典型的な用語の定義を含む。全ての用語の単数形と複数形はいずれもそれぞれの意味に含まれる。別段に言及される場合を除き、全ての用語の大文字および非大文字の形式は、それぞれの意味に含まれる。
【0023】
本明細書で使用される「回路通信」は、デバイス間の通信関係を示す。直接的な電気的接続、電磁気的接続、および、光接続と、間接的な電気的接続、電磁気的接続、および、光接続は、回路通信の例である。2つのデバイスは、信号が何らかの他のデバイスによって変更されるかどうかに関係なく、一方のデバイスからの信号が他方のデバイスにより受信される場合、回路通信状態にある。例えば、以下、すなわち、増幅器、フィルタ、変圧器、オプトアイソレータ、デジタルまたはアナログバッファ、アナログ積分器、他の電子回路、光ファイバトランシーバまたは衛星のうちの1つまたは複数によって分離される2つのデバイスは、信号が中間デバイスによって変更されても、一方のデバイスからの信号が他方のデバイスに通信されれば、回路通信状態にある。他の例として、電磁センサは、それが信号から電磁放射線を受信する場合、信号と回路通信状態にある。最後の例として、互いに直接接続されないが、いずれも例えばCPUなどの第3のデバイスとインタフェースをとることができる2つのデバイスは回路通信状態にある。
【0024】
また、本明細書で使用される、電圧と、デジタル化された電圧を表す値とは、この出願の目的のために同等であるとみなされ、したがって、本明細書で使用される「電圧」という用語は、信号、または、信号を表すプロセッサにおける値、または、信号を表す値から決定されるプロセッサにおける値のいずれかを指す。
【0025】
本明細書で使用される「信号」は、1つまたは複数の電気信号、アナログまたはデジタル信号、1つまたは複数のコンピュータ命令、ビットまたはビットストリームなどを含むが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書で使用される「回路」と同義の「ロジック」は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/または、機能を果たすまたはアクションを実行するためのそれぞれの組み合わせを含むが、これらに限定されない。例えば、所望の用途またはニーズに基づいて、ロジックは、ソフトウェア制御されたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)または他のプログラムされたロジックデバイスなどのディスクリートロジックを含み得る。ロジックは、ソフトウェアとして完全に具現化することもできる。本明細書で特定されて説明される回路は、所望の機能を果たすために多くの異なる形態を有することができる。
【0027】
詳細な説明で特定される値は、典型例であり、特定のディスペンサおよび/または詰め替え形態に関して必要に応じて決定される。したがって、本明細書に開示されて特許請求の範囲に記載される発明概念は、本明細書に開示される実施形態を説明するために使用される特定の値または値の範囲に限定されない。
【0028】
図1は、正確に制御された出力1回分量を有するディスペンサ100を示す。ディスペンサ100はハウジング102を含む。ハウジング102は、図示のように、ディスペンサ内に設置された構成要素および詰め替えユニット110を完全に取り囲むことができる。幾つかの実施形態において、ハウジング102は詰め替えユニット110を部分的に取り囲むだけである。幾つかの実施形態では、ハウジング102が閉塞体116を取り囲む。詰め替えユニット110は取り外し可能で交換可能である。詰め替えユニット110は、設置位置を示すために破線で示され、詰め替えユニット110がディスペンサ100から取り外されることを示すために実線で示される。
【0029】
ハウジング102内にはシステム回路130が位置する。システム回路130は、単一の回路基板上にあってもよく、または、複数の回路基板上にあってもよい。更に、システム回路130の一部は、回路基板上になくてもよく、むしろ、必要に応じて他の構成要素に個別に実装されて電気的に接続されまたは結合されてもよい。この実施形態において、システム回路130は、プロセッサ132、メモリ133、任意選択的なヘッダ134、任意選択的な永久電源136、任意選択的な電圧調整器138、任意選択的なドアスイッチ回路140、物体センサ142、モータ150、任意選択的なコンデンサバンク145、任意選択的なコンデンサ制御回路146、任意選択的な交換可能な電源インタフェースレセプタクル144、任意選択的なパルス幅変調回路180、および、スイッチングデバイス182、モータエンコーダ150および任意選択的なブレーキ150を含む。
【0030】
モータ148はポンプ190を駆動する。この典型的な実施形態において、ポンプ190は、例えば、以下に特定されて本明細書に組み込まれるものなど、順次作動されるロータリーダイアフラム泡ポンプである。この典型的な実施形態において、ポンプ190は、永久ポンプであり、詰め替えユニット110がディスペンサ100から取り外されるときにディスペンサハウジング102に固定されたままである。
【0031】
この典型的な実施形態において、ポンプ190は、泡ポンプであり、(詰め替えユニット110がディスペンサ100に装着される場合)空気入口192を通じて空気を引き込んで液体入口191から液体を引き込む。ポンプ190は、ディスペンサ100から泡を分配するための泡出口196を有する。幾つかの実施形態において、ポンプ190は、液体ポンプであり、任意選択的な空気入口192を必要としない。幾つかの実施形態において、ポンプ190は、詰め替えユニット110の一部であり、または、詰め替えユニット110に固定され、取り外されて詰め替えユニットと置き換えられる。幾つかの実施形態において、詰め替えユニット110は、定期的に詰め替えされて、取り外されたり交換されたりしない永久容器または半永久容器と置き換えられる。この典型的な実施形態において、ディスペンサ100は、以下で更に詳しく説明するようにエンコーダ152および任意選択的なブレーキ154を含む。ポンプ190はダイレクトドライブポンプであり、モータ150の各回転はポンプの1回転に相関する。
【0032】
順次作動する泡ポンプは、複数の小さなダイアフラム、例えば、順次拡張および収縮する3つのダイアフラムまたは4つのダイアフラムを有する。これらのポンプは、一般に、1つの液体ポンプダイアフラムと2つ以上の空気ポンプダイアフラムを有する。ダイアフラムは小さい。幾つかの実施形態では、1回分量の泡石鹸または消毒剤を生成するために、各ポンプダイアフラムを10回~30回拡張および圧縮する必要がある。幾つかの実施形態では、1回分量の泡石鹸または消毒剤を生成するために、ポンプダイアフラムを12回~28回拡張および圧縮する必要がある。幾つかの実施形態では、1回分量の泡石鹸または消毒剤を生成するために、ポンプダイアフラムの14回~26回の拡張および圧縮が必要である。幾つかの実施形態では、1回分量の泡石鹸または消毒剤を生成するために、ポンプダイアフラムの16回~24回の拡張および圧縮が必要である。幾つかの実施形態では、1回分量の泡石鹸または消毒剤を生成するために、ポンプダイアフラムを16回~20回拡張および圧縮する必要がある。幾つかの実施形態では、1回分量の泡石鹸または消毒剤を生成するために、ポンプダイアフラムの約18回の拡張および圧縮が必要である。
【0033】
流体の単一の分配中に複数回拡張および圧縮しなければならない小さな液体ポンプチャンバを有することは、出力量の精度を高めるのに役立つ。例えば、分配間の時間、真空圧、詰め替え容器内の充填レベルなどの変数は、流体の1回分量ごとに複数の液体ポンプ圧縮および拡張を使用することによって最小限に抑えられる。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも約5回圧縮される。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも約8回圧縮される。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも約10回圧縮される。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも約12回圧縮される。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも約14回圧縮される。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも約16回圧縮される。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも約18回圧縮される。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも5回圧縮されるが、流体のそれぞれの分配ごとに約30回を超えない。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも10回圧縮されるが、流体のそれぞれの分配ごとに約25回を超えない。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも10回圧縮されるが、流体のそれぞれの分配ごとに約22回を超えない。幾つかの実施形態では、液体ポンプチャンバは、流体のそれぞれの分配ごとに少なくとも10回圧縮されるが、流体のそれぞれの分配ごとに約20回を超えない。
【0034】
典型的な順次作動ダイアフラムポンプおよび関連するディスペンサは、米国特許第9,943,196号、米国特許第10,065,199号、米国特許第10,080,466号、米国特許第10,080,467号、米国特許第10,143,339号、および、米国特許第10,080,468号に示されて記載され、これらの特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
更に、タッチフリーディスペンサにおける典型的な構成要素は、「近距離場応答を利用する電子的に適合された分配システムおよび関連方法(Electronically Keyed Dispensing System And Related Methods Utilizing Near Field Response)」と題される米国特許第7,837,066号、「電源を含むタッチフリーディスペンサおよび詰め替えユニット用の電源システム(Power Systems For Touch-Free Dispensers and Refill Units Containing a Power Source)」と題される米国特許第9,172,266号、「測定された量の材料をハンズフリー分配するための装置(Apparatus for Hands-Free Dispensing of a Measured Quantity of Material)」と題される米国特許第7,909,209号、「測定された量の材料をハンズフリー分配するための装置(Apparatus for Hands-Free Dispensing of a Measured Quantity of Material)」と題される米国特許第7,611,030号、「近距離場応答を利用する電子的に適合された分配システムおよび関連方法(Electronically Keyed Dispensing Systems and Related Methods Utilizing Near Field Response)」と題される米国特許第7,621,426号、および、「単一セル動作およびバッテリバンキングを伴うタッチフリーディスペンサ(Touch-Free Dispenser with Single Cell Operation and Battery Banking)」と題される米国特許公開第8,960,498号に示されて記載され、これらの特許は全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。開示された特徴または構成要素のうちの1つまたは複数の様々な構成要素がディスペンサ100で使用され得る。
【0036】
プロセッサ132は、例えば、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)などのディスクリートロジック、他のプログラムされたロジックデバイスなど、任意のタイプのプロセッサであってもよい。プロセッサ132は任意選択的なヘッダ134と回路通信状態にある。ヘッダ134は、ユーザがシステム回路130に接続して、回路をプログラムし、回路で診断を実行し、および/または、回路から情報を取り出すことができるようにする回路接続ポートである。幾つかの実施形態において、ヘッダ134は、上記で特定された機能をハード接続なしで且つ幾つかの実施形態では遠隔的に実行できるように構成された、例えば無線RF、ブルートゥース(登録商標)、ANT(登録商標)などの無線送信/受信回路を含む。
【0037】
プロセッサ132は、メモリ133と回路通信状態にある。メモリ133は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラム可能なリードオンリーメモリ(PROM)、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能なリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュ、ROMなど、または、異なるタイプのメモリの組み合わせなどの任意のタイプのメモリであってもよい。幾つかの実施形態では、メモリ133がプロセッサ132とは別個であり、幾つかの実施形態では、メモリ133がプロセッサ132上または内部に存在する。
【0038】
例えば、1つまたは複数のバッテリなどの任意選択的な永久電源136も設けられる。永久電源136は、好ましくは、ディスペンサ100の寿命にわたって永久電源136を交換する必要がないように設計される。永久電源136は、電圧調整回路138と回路通信状態にある。1つの典型的な実施形態において、電圧調整回路138は、プロセッサ132、物体センサ142、調整された電力を必要とする任意の他の構成要素に調整された電力を供給する。永久電源136は、少量の電力を必要として永久電源136を時期尚早に消耗させない他の回路に電力を供給するために使用されてもよい。永久電源が使用されない場合、または、任意選択的に永久電源を伴う場合でも、電圧調整回路138が別の電源に接続される。
【0039】
また、プロセッサ132も、ディスペンサ100のドア(図示せず)がいつ閉じられるかをプロセッサ132が知ることができるように、任意選択的なドア回路140と回路通信状態にある。幾つかの実施形態において、ドアは、ユーザが詰め替え品を取り外して交換するまたは容器を詰め替えすることができるようにするために開く従来のドアまたはディスペンサカバーである。幾つかの実施形態において、「ドア」は、電子機器にアクセスするためにおよび/または詰め替えユニットを取り外して交換できるようにするために開くことができるディスペンサの単なる一部である。幾つかの実施形態において、プロセッサ132は、ドアが開いている場合にディスペンサ100が流体の1回分量を分配できるようにしない。ドア回路140は、例えば、機械的スイッチ、磁気スイッチ、近接スイッチなどの任意のタイプの回路であってもよい。
【0040】
プロセッサ132も、物体が分配領域に存在するかどうかを検出するために物体センサ142と回路通信状態にある。物体センサ142は、例えば、赤外線センサおよび検出器、近接センサ、撮像センサ、熱センサなど、任意のタイプの受動または能動物体センサであってもよい。
【0041】
更に、プロセッサ132は、任意選択的なパルス幅変調回路180と回路通信状態にある。パルス幅変調回路180はスイッチングデバイス182と回路通信状態にある。この典型的な実施形態において、スイッチングデバイス182は、コンデンサ145のバンクおよびモータ150と回路通信状態にある。幾つかの実施形態において、スイッチングデバイス182は、単独でまたは任意選択的なコンデンサ145のバンクと組み合わせて、異なる電源(図示せず)と回路通信状態にある。幾つかの実施形態において、コンデンサ145のバンクは、1つまたは複数のバッテリおよび/または1つまたは複数の充電式バッテリと交換される。動作中、プロセッサ132は、1つまたは複数の信号をパルス幅変調回路180に供給し、これにより、パルス幅変調回路180は、スイッチングデバイス182を制御して、コンデンサ145によって供給される電力を変調し、モータ150を駆動する。変調された電力信号のより詳細な説明については後述する。モータ148(および任意の関連する歯車装置)は、泡ポンプ190(幾つかの実施形態では液体ポンプであってもよい)を動作させる。
【0042】
この典型的な実施形態では、ディスペンサ100がエンコーダ152を含む。エンコーダ152は、例えば、光学エンコーダであってもよい。幾つかの実施形態において、エンコーダ152は、モータ150の1回転あたり少なくとも約4回、プロセッサ132に出力を供給する。幾つかの実施形態において、エンコーダ152は、モータの1回転あたり少なくとも約8回、プロセッサ132に出力を供給する。幾つかの実施形態において、エンコーダ152は、モータの1回転あたり少なくとも約16回、プロセッサ132に出力を供給する。幾つかの実施形態では、エンコーダ152が4スロット光学エンコーダである。幾つかの実施形態では、エンコーダ152が8スロット光学エンコーダである。幾つかの実施形態では、エンコーダ152が16スロットエンコーダである。エンコーダ152は、モータ150の回転および/またはその一部を正確にカウントするために使用される。幾つかの実施形態では、エンコーダ152は、ポンプ190の回転および/またはその一部を正確にカウントするために使用される。
【0043】
この典型的な実施形態では、ディスペンサ100が任意選択的なブレーキ154も含む。正確な1回分量サイズ/体積が分配されたことを示す、必要な回転数および/またはその一部に達した後、任意選択的なブレーキ154を使用して、モータ150および/またはポンプ190を停止することができる。ブレーキ154がない場合、モータ150は、回転(またはフリーホイール)し続け、必要以上の流体を分配することができる。更に、例えば、モータ速度、流体容器112内の真空圧、駆動電圧など、様々な要因がフリーホイール回転量に影響を与える可能性がある。したがって、フリーホイールの移動量は、分配ごとに異なる場合があり、駆動電圧、容器内の真空圧などに基づいて時々異なる場合がある。任意選択的なブレーキ154の使用は、フリーホイール移動に起因する個々の分配間の1回分量サイズの変動を軽減および/または防止する1つの方法である。幾つかの実施形態では、フリーホイールの移動は、一貫しており、正確な1回分量に必要な回転数および/またはその一部を決定する際に考慮することができ、また、そのような実施形態では、任意選択的なブレーキ154が必要とされない場合がある。
【0044】
幾つかの実施形態では、ブレーキ154が機械式ブレーキである。従来のブレーキは、例えば、モータを停止させるために1つまたは複数のブレーキパッド(図示せず)によって把持されるモータシャフト(図示せず)上のロータ(図示せず)を含み得る。幾つかの実施形態では、ブレーキ154は、電気ブレーキまたは動的ブレーキである。電気または動的ブレーキの例示的な実施形態が、
図7~
図9に関連して示されて説明される。
【0045】
この典型的な実施形態において、詰め替えユニット110は、
図1のディスペンサ100に挿入されて仮想線で示され、
図2でも実線で示される。したがって、これは、詰め替えユニット110がディスペンサ100に容易に挿入されてユニットとしてディスペンサ100から取り除かれることを示す。詰め替えユニット110は、容器112および閉塞体116を含む。幾つかの実施形態において、容器112は潰れない容器であり、また、空気が容器内に流れ込むことができるようにして容器112の潰れを防止するために、通気孔(図示せず)が閉塞体116に含まれる。幾つかの実施形態では、容器112が折り畳み可能な容器であり、容器112から流体が除去されると潰れる。幾つかの実施形態において、詰め替えユニット110は、個人衛生のために使用される発泡性石鹸、消毒剤、ローション、保湿剤、または、他の発泡性液体などの発泡性液体113も含む。幾つかの実施形態において、詰め替えユニット110は、泡ディスペンサではなく液体ディスペンサで使用するためのものであり、例えば、個人衛生のために使用される石鹸、消毒剤、ローション、保湿剤、または、他のものなど、発泡していないまたは発泡可能ではない液体で満たされる。
【0046】
更に、幾つかの実施形態において、詰め替えユニット110は、任意選択的で交換可能なエネルギー源120を含む。交換可能なエネルギー源120は、電池、例えば、単一の「AA」電池、コイン電池、9ボルト電池などの任意の電源であってよい。幾つかの実施形態において、交換可能なエネルギー源120は、詰め替えユニット110の内容物を分配するためにモータ150(および任意の関連する歯車装置)に直接動力を与えるのに十分な電力を含まない。
【0047】
交換可能なエネルギー源120は、詰め替えユニット110と共にディスペンサ100に挿入され、ディスペンサ100から詰め替えユニット110と共に取り外される。好ましくは、詰め替えユニット110には交換可能なエネルギー源120が取り付けられるが、幾つかの実施形態では、交換可能なエネルギー源120は、詰め替えユニット110と共に別個に設けられる。しかしながら、いずれの場合においても、一般に、交換可能なエネルギー源120が詰め替えユニット110を備えて詰め替えユニット110と共にまたは同時に取り外される。幾つかの実施形態では、詰め替えユニット110が交換可能な電源を有さず、また、ディスペンサ100は、詰め替えユニット110から電力を受け取ることなく詰め替えユニット110の内容物を分配するのに十分な電力を受ける。
【0048】
この典型的な実施形態において、システム回路130は、コンデンサ145のバンク、および、プロセッサ132と回路通信状態にあるコンデンサ制御回路146も含む。コンデンサ145のバンクおよびコンデンサ制御回路146は、交換可能なエネルギー源インタフェースレセプタクル144およびPWMスイッチ182と回路通信状態にある。交換可能なエネルギー源インタフェースレセプタクル144は、詰め替えユニット110がディスペンサ100に挿入されるときに交換可能なエネルギー源120を受けるおよび/またはさもなければ交換可能なエネルギー源120と電気的に結合するように構成される。幾つかの実施形態では、コンデンサおよびコンデンサ回路が1つまたは複数のバッテリと置き換えられる。
【0049】
幾つかの実施形態では、動作中、詰め替えユニット110がディスペンサ100に挿入されると、プロセッサ132およびコンデンサ制御回路146は、コンデンサ145のバンクを並列に充電させる。幾つかの典型的な実施形態では、2つ以上のコンデンサが存在する。幾つかの実施形態において、コンデンサは、1回分量の泡を分配するために必要な電力がモータ150および関連する歯車装置に給電するには大きすぎる。大きすぎるコンデンサは、コンデンサの定格電圧よりも低いレベルまで充電されることが好ましい。コンデンサ145のバンクは全容量未満に充電されるため、コンデンサが所定期間にわたってアイドル状態にあるとき、コンデンサにおける放電は少ない。幾つかの実施形態において、コンデンサは、それらの全容量の約50%未満まで充電される。幾つかの実施形態において、コンデンサは、それらの全容量の約75%未満まで充電される。幾つかの実施形態において、コンデンサは、それらの全容量の約90%未満まで充電される。
【0050】
物体が分配ゾーン内にあるとプロセッサ132が物体センサ142を介して決定すると、プロセッサ132により、コンデンサ制御回路146は、コンデンサ145を直列に配置して、スイッチングデバイス182に電力を供給し、パルス幅変調回路180と協働するスイッチングデバイス182は、モータ150に給電して泡ポンプ190を動作させるべく変調された電力を提供する。1回分量が分配された時点で、プロセッサ132は、コンデンサ145の電荷をチェックする。電荷が閾値を下回る場合、プロセッサ132は、コンデンサ制御回路146にコンデンサ145を充電させる。コンデンサ145は並列に充電される。
【0051】
幾つかの実施形態において、プロセッサ132は、詰め替えユニット110に残っている流体の量を監視する。プロセッサ132は、モータの回転を数えることにより、例えば、レベルセンサ、近接センサ、赤外線検出を用いて流体の液位を検出することによって、流体の量を監視することができ、それにより、詰め替えユニット110から除去された流体の正確な量を決定し、それを詰め替えユニット内の流体の総量などと比較することができる。幾つかの実施形態では、詰め替えユニットから除去された流体の量を示す値が詰め替えユニット110に記憶されるため、その詰め替えユニットが異なるディスペンサに移動される場合、ディスペンサは詰め替えユニット110に残っている流体の量を決定することができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、詰め替えユニット110が空であるまたは空に近いとプロセッサ132が決定すると、プロセッサ132は、交換可能なエネルギー源120に、コンデンサ145をそれらの最大充電まで充電させ、あるいは、交換可能なエネルギー源120が完全に排出されるまでまたは可能な限り排出されるまでコンデンサ145を充電させる。したがって、詰め替えユニット110および交換可能なエネルギー源120が取り外されると、可能な限り多くのエネルギーが交換可能なエネルギー源120から取り除かれる。
【0053】
典型的なディスペンサ100が電源としてのコンデンサと共に示されて記載されるが、例えば再充電可能なバッテリなど、他のタイプの電源が使用されてもよい。上記のタッチフリーディスペンサのための回路に関する更なる典型的ディスペンサおよびより詳細は、2013年2月19日に出願された「タッチフリーディスペンサ用の電源システムおよび電源を含む詰め替えユニット(Power Systems for Touch Free Dispensers and Refill Units Containing a Power source)」と題される米国特許出願第13/770,360号により完全に記載されて示されており、この米国特許出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
図3は、パルス幅変調回路180およびスイッチングデバイス182による典型的な波形出力を示す。この典型的な実施形態では、電圧が5ボルトで、1サイクルが0.2秒である。波形は25%のデューティサイクルを表し、これは、モータが約5ボルトで約0.05秒の長さの電圧パルスを受信し、その後、0.15秒間実質的に電圧がないことを意味する。同様に、
図4は、パルス幅変調回路180およびスイッチングデバイス182による他の典型的な波形出力を示す。この典型的な実施形態では、電圧が5ボルトで、1サイクルが0.2秒である。波形は50%のデューティサイクルを表し、これは、モータが約5ボルトで約0.1秒の長さの電圧パルスを受信し、その後、0.1秒間実質的に電圧がないことを意味する。任意の適切なデューティサイクルを使用することができる。一般に、デューティサイクルは10%のデューティサイクルよりも大きい。更に、デューティサイクルは、分配サイクル全体で一定である必要はない。例えば、分配サイクルが1秒の場合、波形は25%のデューティサイクルで始まり、負荷が増大するにつれて90%のデューティサイクルに増大し、負荷が減少するにつれて25%のデューティサイクルに降下して戻り得る。
【0055】
典型的なデューティサイクルは、10%のデューティサイクルから100%のデューティサイクルの間でとなり得る。好ましくは、デューティサイクルは約40%~約95%である。
【0056】
パルス幅またはデューティサイクルは、モータ150の速度を制御するために、プロセッサ132によって迅速に変更され得る。この典型的な実施形態では、ポンプ190が順次作動ダイアフラムポンプである。この典型的な実施形態では、ポンプ190が4つのダイアグラムを有する。1つのダイアフラムが液体を圧送し、他の3つのダイアフラムが空気を圧送する。空気と液体が混ざり合って泡になり、この泡がディスペンサから出る。
【0057】
この特定の実施形態では、モータ150がポンプ192を直接駆動する。したがって、モータ150の速度はポンプの速度と同じ速度である。幾つかの実施形態では、モータに対するポンプの速度を増減するために、1つまたは複数の歯車などを使用することができる。
【0058】
幾つかの典型的な実施形態では、モータの速度を設定または選択された速度に制御することが望ましい場合がある。設定または選択された速度は、例えば、毎分約1300回転(「RPM」)~約2200RPMの速度となり得る。幾つかの実施形態において、設定速度は、例えば、約1300RPM~約2100RPMの速度であってもよい。幾つかの実施形態において、設定速度は、例えば、約1400RPM~約2000RPMの速度であってもよい。幾つかの実施形態において、設定速度は、例えば、約1500RPM~約1900RPMの速度であってもよい。幾つかの実施形態において、設定速度は、例えば、約1600RPM~約1800RPMの速度であってもよい。
【0059】
以下の典型的な実施形態において、設定速度は、約1700RPM(または毎秒約28.3回転)になるように選択されている。パルス幅信号は、モータ150を1700RPMで駆動するように選択され、これにより、所望の1回分量の流体を送達するのに十分な時間にわたってポンプ190が1700RPMで駆動される。この典型的な実施形態において、ポンプ190は、ポンプ190およびモータ150の18回転で所望の1回分量の流体を送達する。この典型的な実施形態において、パルス幅信号は、モータ190の最初の1/2~5/8回転にわたって90%に設定される。モータが回転を開始した後、パルス幅はモータの実際の速度に基づいて調整される。エンコーダ152は、モータ150の速度および累積回転数を示すフィードバックをプロセッサ132に供給する。この特定の実施形態において、エンコーダ152は、8スロット光学エンコーダであり、モータ150の1回転あたり8回、プロセッサにフィードバックを供給する。モータ速度が1700RPMよりも高い場合には、パルス幅が減少される。モータ速度が1700RPM未満の場合、パルス幅が増大される。幾つかの実施形態において、フィードバック信号は、1回転あたり4回以上プロセッサ132に送達される。モータ速度フィードバックを受けて速度を制御することにより、プロセッサ132はより一貫した出力を与えることができる。
【0060】
更に、プロセッサ132は、エンコーダ152から受信した信号を使用して、モータ150および/またはポンプ190が正確な回転数および/またはその一部を確実に回転するようにすることによって、出力の量を正確に制御することができる。したがって、ポンプ190は、毎回実質的に正確に同じ量の流体を分配する。本明細書で使用される「実質的に」という用語は、流体の約+/-0.1ミリリットルを意味する。好ましい実施形態では、モータの速度およびモータ/ポンプの回転数の両方を利用して、非常に正確な分配出力を得る。
【0061】
この正確な出力量は、例えば、バッテリ電圧、モータ回転速度、詰め替えユニット内の真空圧などの要因に関係なく分配される。分配の時間の長さは異なる場合があるが、回転数は一定のままである。幾つかの実施形態では、ポンプの回転数が8から30までの間で選択される回転数である。幾つかの実施形態では、ポンプの回転数が10から28までの間で選択される回転数である。幾つかの実施形態では、ポンプの回転数が12から26までの間で選択される回転数である。幾つかの実施形態では、ポンプの回転数が14から24までの間で選択される回転数である。幾つかの実施形態では、ポンプの回転数が16から22までの間で選択される回転数である。幾つかの実施形態では、ポンプの回転数が16から20までの間で選択される回転数である。幾つかの実施形態では、ポンプの回転数が18回転数である。
【0062】
モータの回転数(またはその一部)を受信して回転数(またはその一部)を制御することにより、プロセッサ132は、より正確な出力量を供給することができる。更に、幾つかの実施形態では、モータの速度および回転数の両方を制御することにより、プロセッサ132は、正確な出力量を正確な時間内に分配することができる。
【0063】
幾つかの実施形態では、ステッピングモータ(図示せず)が使用される。ステッピングモータを使用する場合には、エンコーダは不要である。ステッピングモータの構造は、1完全回転を同じ数の「ステップ」に分解する。したがって、プロセッサ132は、エンコーダを必要とせずに、モータの速度および/またはRPMをステップに応じて決定することができる。更に、プロセッサ132は、ステップ数に基づいてモータおよび/またはポンプの回転数を決定することができる。その結果、ステッピングモータが使用されるまたはエンコーダが使用されるかどうかに関係なく、プロセッサ132は、モータの速度および/または回転数を制御できるようにする速度および/または位置フィードバックを受ける。
【0064】
本明細書では、典型的な方法論およびロジック図が提供される。別段言及されなければ、更なるブロックまたはステップが含まれてもよく、より少ないブロックまたはステップが使用されてもよく、ブロックまたはステップが異なる順序で実行されてもよく、1つの方法論またはロジック図からの1つまたは複数のブロックが他の方法論またはブロック図に組み込まれてもよい。
【0065】
図5は、ディスペンサを制御するための典型的な方法論またはロジック
図500である。典型的な方法論500はブロック502で開始する。ブロック504で、物体が検出ゾーンで検出される。物体は、例えば赤外線(「IR」)物体センサなどの物体センサによって検出され、IR物体センサは、IR送信機とIR受信機とを含む。物体を検出すると、ブロック506で、ディスペンサプロセッサによりPWM回路が電力をモータに送信する。PWM回路によってモータに送信される電力は、例えば約5ボルトの電圧などのパルス電圧である。幾つかの実施形態では、最初に、選択されたデューティサイクルに従って電圧がパルス化される。好ましくは、選択されたデューティサイクルは90%よりも大きい。この実施形態では、例えば、初期デューティサイクルを約95%に設定することができる。ブロック506でモータに通電された時点で、プロセッサは、モータに接続されるモータエンコーダから信号を受信し始める。モータエンコーダは、モータの完全回転ごとに複数の信号をプロセッサに供給し始める。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり4つ以上の信号をプロセッサに供給する。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり8つ以上の信号をプロセッサに供給する。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり12個以上の信号をプロセッサに供給する。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり16個以上の信号をプロセッサに供給する。好ましくは、完全回転の前、より好ましくは回転の4分の3の前に、プロセッサは、エンコーダによって供給される信号に応じてモータの速度を制御し始める。ブロック510で、プロセッサは、モータの速度を決定し、モータ速度を設定または選択された速度と比較する。この典型的な実施形態において、選択された速度は、例えば、1800RPMであってもよい。ブロック508で、測定された速度が1800RPMよりも大きいとプロセッサが決定する場合、ブロック512で、電圧パルスの幅またはデューティサイクルが低減または減少される。ブロック508で、測定された速度が1800RPM未満であるとプロセッサが決定する場合、ブロック508で、電圧パルスの幅またはデューティサイクルが広げられるまたは増大される。ブロック512で、モータおよび/またはポンプの所望のまたは設定された数の旋回または回数が完了したかどうかについての決定がなされる。この典型的な実施形態において、モータの回転または旋回の所望の数または設定数は、例えば、完全な18回転である。設定数、この典型的な実施形態では18に達していない場合、ロジックまたは方法論は、モータの速度が決定されるブロック508にループバックする。このようにして、プロセッサは、モータの各回転中に電圧パルスの幅を複数回調整することができる。設定数に達した場合、方法論はブロック514に進み、そこで、プロセッサはPWM回路にモータへの電力供給を停止させるまたはモータへの通電を切り、方法論はブロック518で終了するまたはブロック504にループバックする。
【0066】
図6は、ディスペンサを制御するための典型的な方法論またはロジック
図600である。典型的な方法論600はブロック602で開始する。ブロック604で、物体が検出ゾーンで検出される。物体は、例えば、赤外線(「IR」)物体センサなどの物体センサによって検出され、IR物体センサは、IR送信機とIR受信機とを含む。物体を検出すると、ブロック606で、ディスペンサプロセッサによりPWM回路が電力をモータに送信する。PWM回路によってモータに送信される電力は、例えば約5ボルトの電圧などのパルス電圧である。最初に、電圧が選択されたデューティサイクルにしたがってパルス化される。この実施形態では、例えば、初期デューティサイクルを約95%に設定することができる。ブロック606でモータに通電された時点で、プロセッサは、モータに接続されるモータエンコーダから信号を受信し始める。モータエンコーダは、モータの完全回転ごとに複数の信号をプロセッサに供給し始める。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり4つ以上の信号をプロセッサに供給する。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり8つ以上の信号をプロセッサに供給する。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり12個以上の信号をプロセッサに供給する。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり16個以上の信号をプロセッサに供給する。好ましくは、完全回転の前、より好ましくは回転の4分の3の前に、プロセッサは、エンコーダによって供給される信号に応じてモータの速度を制御し始める。ブロック608で、プロセッサは、モータの速度を決定し、モータ速度を設定または選択された速度と比較する。この典型的な実施形態において、選択された速度は、例えば、1800RPMであってもよい。ブロック608で、測定された速度が1800RPMよりも大きいとプロセッサが決定する場合、ブロック610で、電圧パルスの幅またはデューティサイクルが低減または減少される。ブロック608で、測定された速度が1800RPM未満であるとプロセッサが決定する場合、ブロック610で、電圧パルスの幅またはデューティサイクルが広げられるまたは増大される。ブロック612で、モータまたはポンプの所望のまたは設定された数の回転が完了したかどうかについての決定がなされる。この典型的な実施形態では、モータ回転の所望の数または設定数は、例えば、完全な18回転である。設定数、この典型的な実施形態では18に達していない場合、ロジックまたは方法論は、モータの速度が決定されるブロック608にループバックする。このようにして、プロセッサは、モータの各回転中に電圧パルスの幅を複数回調整することができる。設定された回転数または回転に達した場合、方法論がブロック614に進み、そこで、プロセッサはPWM回路にモータへの電力供給を停止させるまたはモータへの通電を切る。ブロック616で、手動でまたは電気ブレーキ回路を介してブレーキをかける。ブレーキは、モータおよび関連するポンプを非常に迅速に停止する。したがって、ブレーキは、ポンプが正確な回転数だけ回転し、したがって、正確に制御された1回分量の流体を分配するようにする。典型的な実施形態は、ブロック618で終了するまたはブロック604にループバックする。
【0067】
図7は、ディスペンサを制御するための典型的な方法論またはロジック
図700である。典型的な方法論700はブロック702で開始する。ブロック704で、物体が検出ゾーンで検出される。物体は、例えば赤外線(「IR」)物体センサなどの物体センサによって検出され、IR物体センサは、IR送信機とIR受信機とを含む。物体を検出すると、ブロック706で、ディスペンサプロセッサにより駆動回路が電力をモータに送信する。モータエンコーダは、モータの完全回転ごとに複数の信号をプロセッサに供給し始める。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり4つ以上の信号をプロセッサに供給する(4つの信号は、例えば、4分の1回転ごとに1つの信号である)。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり8つ以上の信号をプロセッサに供給する。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり12個以上の信号をプロセッサに供給する。幾つかの実施形態において、モータエンコーダは、1完全回転あたり16個以上の信号をプロセッサに供給する。ブロック712において、モータおよび/またはポンプの所望のまたは設定された数の旋回または回転が完了したかどうかについての決定がなされる。この典型的な実施形態において、モータの回転または旋回の所望の数または設定数は、例えば、完全な18回転である。設定数、この例示的な実施形態では18に達していない場合、ロジックまたは方法論はブロック706にループバックし、モータは通電され続ける。設定数に達した場合、方法論はブロック714に進み、そこで、プロセッサは駆動回路にモータへの電力供給を停止させるまたはモータへの通電を切り、方法論はブロック718で終了するまたはブロック704にループバックする。幾つかの実施形態では、モータのブレーキまたは動的ブレーキを適用してモータを停止する。
【0068】
図8は、電子ブレーキ回路800の典型的な実施形態である。この典型的な実施形態は、モータ810および二極スイッチ850を含む。二極スイッチ850は、制御信号860を介してプロセッサ(図示せず)によって制御される。スイッチ850が位置「a」(実線で示される)にあり且つモータ810が通電されると、電力ライン852の正電圧がモータ810の端子1に接続され、電力ライン854の負(または中性)電圧がモータ810の端子2に接続される。モータ810が設定された回転数だけ回転すると、プロセッサ(図示せず)はスイッチ850を瞬間的に「b」位置に動かす。更に、プロセッサ(図示せず)は、ライン852,854への電力をオフにする。スイッチを「b」位置に瞬間的に動かすと、モータ810の端子2に正電圧が瞬間的に印加され、負(または中性)電圧が端子1に印加される。スイッチ850は、モータを停止するのに十分長い間「b」位置にあるが、モータ810が逆回転を開始するのに十分な長さではない。モータ810が停止すると、スイッチは「a」位置に戻される。
【0069】
図9は、電子ブレーキ回路900の典型的な実施形態である。この典型的な実施形態は、モータ910およびトランジスタ950を含む。トランジスタ950は、制御信号960を介してプロセッサ(図示せず)によって制御される。モータ910が通電されると、電力ライン952上の正電圧がモータ910の端子1に接続され、電力ライン954上の負(または中性)電圧がモータ910の端子2に接続される。モータ910が設定された回転数だけ回転すると、プロセッサ(図示せず)は、ライン852,854への電力をオフにし、トランジスタ950を瞬間的にオンにする。トランジスタ950をオンにすると、モータ端子1,2間に短絡が生じ、モータ910が停止する。モータ910が停止すると、トランジスタ950はオフになる。
【0070】
図10は、電子ブレーキ回路1000の典型的な実施形態である。この典型的な実施形態は、モータ1010、二極スイッチ1050、および、レジスタ1070を含む。二極スイッチ1050は、制御信号1060を介してプロセッサ(図示せず)によって制御される。スイッチ1050が位置「a」(実線で示される)にあり且つモータ1010が通電されると、電力ライン1052上の正電圧がモータ1010の端子1に接続され、電力ライン1054上の負(または中性)電圧がモータ1010の端子2に接続される。モータ1010が設定された回転数だけ回転すると、プロセッサ(図示せず)はスイッチ1050を「b」位置に動かす。更に、プロセッサ(図示せず)はライン1052,1054への電力をオフにする。スイッチ1050を「b」位置に動かすと、レジスタ1070がモータ1010の端子1,2間に配置され、モータ1010が停止する。モータ1010が停止した時点で、スイッチ1050が「a」位置に戻る。
【0071】
図11は、ディスペンサを制御するための典型的な方法論またはロジック
図1100である。典型的な方法論1100はブロック1102で始まる。ブロック1104で、物体が検出ゾーンで検出される。物体は、例えば、赤外線(「IR」)物体センサなどの物体センサによって検出され、IR物体センサは、IR送信機とIR受信機とを含む。物体が検出されると、ブロック1106で、ディスペンサプロセッサにより駆動回路が電力をモータに送信する。ブロック1108で、カウンタがリセットされる。ブロック1110で、カウンタ1110の値が増加される。ブロック1112で、設定された回転数が満たされているかどうかに関する決定が行なわれる。ブロック1112で設定された回転数を満たしていないと決定される場合、完全回転が行なわれた時点で、方法論がブロック1110にループバックし、カウンタの値が増加され、方法論がブロック1112に進む。ブロック1112で、設定した回転数が満たされるかどうかに関する決定がなされる。設定された回転数を満たした場合、ブロック1114でモータへの通電が切られる。ブロック1116で、ブレーキがかけられる。幾つかの実施形態において、モータは、ブレーキをかけることによって停止される。ブレーキは、機械式ブレーキでも電気式ブレーキでもよい。
【0072】
本発明の様々な発明の態様、概念、および、特徴は、典型的な実施形態において組み合わせて具現化されるものとして本明細書で説明および例示され得るが、これらの様々な態様、概念、および、特徴は、多くの代替的な実施形態において、個別にまたは様々な組み合わせでおよびそれらの部分組み合わせで使用され得る。添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限したり、何らかの形で限定したりすることは出願人の意図ではない。本明細書で明示的に除外されない限り、そのような組み合わせおよび部分的組み合わせは全て、本発明の範囲内にあることが意図されている。更に、代替の材料、構造、構成、方法、回路、デバイス、および、構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、制御ロジック、形成に関する代替、適合性および機能などの本発明の様々な態様、概念、および、特徴に関する様々な代替の実施形態が本明細書に記載される場合があるが、そのような説明は、現在知られているまたは今後開発されるかにかかわらず、利用可能な代替実施形態の完全または網羅的なリストであることを意図していない。当業者は、たとえそのような実施形態が本明細書に明示的に開示されていなくても、本発明の範囲内の追加の実施形態および使用に発明の態様、概念または特徴の1つまたは複数を容易に採用することができる。更に、本発明の幾つかの特徴、概念、または態様が好ましい構成または方法であるとして本明細書に記載されている場合でも、そのような説明は、明示的に述べられていない限り、そのような特徴が必要とされまたは必要であることを示唆することを意図していない。更に、典型的または代表的な値および範囲を含めて、本開示の理解を助けることができる。しかしながら、そのような値および範囲は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、明確に述べられている場合にのみ臨界値または範囲であることを意図している。更に、様々な態様、特徴、および概念が本明細書において発明的または発明の一部を形成するものとして明示的に特定される場合があるが、そのような特定は排他的であることを意図するものではなく、むしろ、本明細書に十分に記載される発明的な態様、概念、および特徴が、そのようなものとしてまたは特定の発明の一部として明示的に特定されることなく存在し得る。典型的な方法またはプロセスの説明は、全ての場合に必要であるとして全てのステップを含めることに限定されず、また、明示的に述べられていない限り、ステップが提示される順序が必要とされるまたは必要であると解釈されるわけではない。
【国際調査報告】