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特表2023-528069コロナウイルス感染症罹患対象の重症度又は合併症のマーカーとしての可溶性TREM-1
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】コロナウイルス感染症罹患対象の重症度又は合併症のマーカーとしての可溶性TREM-1
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574667
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2021065196
(87)【国際公開番号】W WO2021245293
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】20305604.9
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21160546.4
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521127963
【氏名又は名称】イノトレム
(71)【出願人】
【識別番号】519310698
【氏名又は名称】センター ホスピタリエ リージョナル ユニバーシタイア デ ナンシー
(71)【出願人】
【識別番号】515061558
【氏名又は名称】ユニバーシティ デ ロライン
(71)【出願人】
【識別番号】516086358
【氏名又は名称】サントル ナショナル デ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】521168829
【氏名又は名称】スティヒティング ラドバウド ユニヴェルシテール メディッシュ セントルム
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ガロー,ジーン‐ジャック
(72)【発明者】
【氏名】デライブ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】サルセド‐マギウッリ,マルガリータ
(72)【発明者】
【氏名】ジョリー,ルシエ
(72)【発明者】
【氏名】ジボット,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ムーラン,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ネティア,ミハイ
(72)【発明者】
【氏名】デ ノーイエル,アーリン
(57)【要約】
本発明は、COVID-19などのコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象を、重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスクがある、又は死亡のリスクがあると特定する方法、COVID-19などのコロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症度を評価する方法、並びにCOVID-19などのコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象をモニタリングする方法において、骨髄細胞上で発現する可溶性トリガー受容体-1(sTREM-1)をマーカーとして使用することに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患に罹患している対象を、コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスクがある、又はコロナウイルス感染後に生じる死亡のリスクがあると特定するインビトロ法であって、
前記対象からの生体試料中の骨髄細胞上で発現する可溶性トリガー受容体-1(sTREM-1)のレベルを測定すること;及び
前記対象からの生体試料中の測定されたsTREM-1のレベルを基準値と比較すること
を含むインビトロ法。
【請求項2】
コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患の合併症が、急性呼吸不全又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む呼吸不全;長時間の機械換気、特に、15日超続く長時間の機械換気の必要性を含む呼吸不全の持続、及び抜管失敗;二次感染又は重感染;静脈及び/又は動脈血栓塞栓症を含む血栓合併症;肺塞栓症;心循環不全(心臓血管障害とも呼ばれることもある);急性腎損傷(AKI)などの腎不全;肝不全;及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のインビトロ法。
【請求項3】
対象におけるコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患の重症度を決定するインビトロ法であって、
前記対象からの生体試料中の骨髄細胞上で発現する可溶性トリガー受容体-1(sTREM-1)のレベルを測定すること;及び
前記対象からの生体試料中の測定されたsTREM-1のレベルを基準値と比較すること
を含むインビトロ法。
【請求項4】
前記方法が、前記対象におけるコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患の経時的モニタリングを可能にし、前記方法が、好ましくは少なくとも24時間間隔をあけて、少なくとも2回の機会で取得される前記対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定することを含む、請求項3に記載のインビトロ法。
【請求項5】
前記コロナウイルスが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)であり、コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患がコロナウイルス疾患2019(COVID-19)である、請求項1~4のいずれか一項に記載のインビトロ法。
【請求項6】
sTREM-1のレベルが、sTREM-1の転写レベル又はsTREM-1の翻訳レベルである、請求項1~5のいずれか一項に記載のインビトロ法。
【請求項7】
前記生体試料が、血液試料、好ましくは血清試料である、請求項1~6のいずれか一項に記載のインビトロ法。
【請求項8】
前記対象が入院を必要とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のインビトロ法。
【請求項9】
前記対象が呼吸補助を必要とする、請求項8に記載のインビトロ法。
【請求項10】
sTREM-1のレベルが、入院後3日目に測定される、請求項8又は請求項9に記載のインビトロ法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象、特に、疾患の重症型のリスク又は合併症(複数可)のリスクのある対象の特定及びモニタリングに関する。本発明は、とりわけ、コロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象を特定、評価、モニタリングする方法で使用するためのコロナウイルスによって引き起こされる疾患のマーカーとしての、特に重症度及び/又は合併症(複数可)のマーカーとしての骨髄細胞上で発現する可溶性トリガー受容体-1(sTREM-1)に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
コロナウイルス(CoV)は、コロナウイルス科のリボ核酸(RNA)ウイルスであり、とりわけ、電子顕微鏡で見られるような特徴的な形態、すなわち、そのエンベロープの表面から突出するクラブ形状のスパイクに起因するクラウン様の外観を特徴とする。コロナウイルスは、哺乳動物及び鳥類に感染し、広範囲の呼吸器疾患、胃腸疾患、神経疾患、及び全身性疾患を引き起こす。
【0003】
ヒトコロナウイルスは、最初は、ほとんどの場合、一般的な風邪などのほんの軽度の呼吸器感染症を引き起こすと考えられた。そのため、4種の流行性ヒトCoVは、ヒト成人における上気道感染症の10%~30%を占めると推定される。しかし、近年、重症呼吸器疾患を引き起こす2種類の高病原性コロナウイルス:2003年に最初に特定された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)及び2012年に最初に特定された中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)が、動物保有宿主から出現した。
【0004】
2019年12月に、中国武漢市衛生委員会が、原因不明の新しい感染性呼吸器疾患を特定した。コロナウイルスRNAが、一部の患者において迅速に特定され、2020年1月に、新たに特定されたヒトコロナウイルスSARS-CoV-2の完全ゲノム配列(以前に2019-nCoVとして知られていた)が、中国上海の上海公衆衛生臨床センター&復旦大学公衆衛生学院によって発表された。SARS-COV-2のゲノム配列は、ヒトSARS-CoVのゲノム配列と82%のヌクレオチド同一性を有する(Chanら,Emerg Microbes Infect.2020;9(1):221-236)。さらに、以前にSARS-CoVについて示されたように、SARS-CoV-2は、ウイルスの細胞侵入用受容体としてACE2(アンジオテンシン変換酵素2)を利用する(Hoffmannら,Cell.2020;181(2):271-280.e8)。
【0005】
症状を呈する感染した対象では、SARS-COV-2によって引き起こされる疾患を「コロナウイルス疾患2019」(COVID-19)と呼ぶ。COVID-19は、広い臨床スペクトルを有する呼吸器疾患である。影響を受けた対象の大部分は、軽度又は中程度の症状を経験する。COVID-19は、一般的に、頭痛、筋肉痛、疲労、発熱及び呼吸器症状(乾いた咳、呼吸困難、及び/又は胸の圧迫感など)を含む症状を最初に示す。他の報告された症状には、嗅覚及び/又は味覚の喪失が含まれる。幾人かの対象は、肺炎及び急性呼吸不全につながる可能性があるCOVID-19の重症型を発症する。COVID-19の合併症には、血栓又は血栓塞栓合併症、肺塞栓症、心臓血管障害、腎不全、肝不全及び二次感染が含まれる。COVID-19に罹患している対象の約5%が入院を必要とすると推定され、入院した対象の約15~25%が集中治療室(ICU)への入室を必要とする。SARS-CoV-2感染症は、感染した対象の30~60%において無症候性であるか、又は臨床症状をほとんど若しくは全く生じさせないと考えられる。
【0006】
有効な診断マーカー、予後診断マーカー及びモニタリングマーカーを特定するためのグローバルな取り組みが進行中である。特に、疾患及び/又は合併症の重症型を発症する可能性があるCOVID-19罹患対象を特定して、対象におけるCOVID-19の重症度を評価し、COVID-19罹患対象をモニタリングすることが可能であることは有用である。
【0007】
したがって、SARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19などのコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象、特に、疾患の重症型及び/又は疾患の合併症を発症する可能性がある対象を特定、評価、及びモニタリングすることを可能にするマーカーが依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、SARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19などのコロナウイルスによって引き起こされる疾患のマーカーとして、特に、重症型及び/又は合併症のリスクのある、コロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象を特定する方法、コロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症度を評価する方法、及びコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象をモニタリングする方法において使用されるマーカーとしての、骨髄細胞上で発現する可溶性トリガー受容体-1(sTREM-1)に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の目的は、コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患に罹患している対象を、コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスクがある、又はコロナウイルス感染後に生じる死亡のリスクがあると特定するインビトロ法であって、
-該対象からの生体試料中の骨髄細胞上で発現する可溶性トリガー受容体-1(sTREM-1)のレベルを測定すること;及び
-該対象からの生体試料中の測定されたsTREM-1のレベルを基準値と比較すること
を含むインビトロ法である。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態では、コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患の合併症は、急性呼吸不全又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む呼吸不全;酸素療法(非侵襲的換気を含む)を必要とする呼吸不全;機械換気を必要とする呼吸不全;長時間の機械換気、特に、15日超続く長時間の機械換気の必要性、及び抜管失敗を含む呼吸不全の持続;二次感染又は重感染;静脈及び/又は動脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、及び脳血管障害を含む血栓合併症(血栓塞栓合併症とも呼ばれる);心循環不全(心臓血管障害とも呼ばれることもある);急性腎損傷(AKI)などの腎不全;肝不全;及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0011】
本発明の別の目的は、対象におけるコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患の重症度を決定するインビトロ法であって、
-該対象からの生体試料中の骨髄細胞上で発現する可溶性トリガー受容体-1(sTREM-1)のレベルを測定すること;及び
-該対象からの生体試料中の測定されたsTREM-1のレベルを基準値と比較すること
を含むインビトロ法である。
【0012】
一実施形態では、対象におけるコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患の重症度を決定する方法は、対象において経時的なモニタリングを可能にし、好ましくは少なくとも24時間間隔をあけて、少なくとも2回の機会で取得される対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定することを含む。
【0013】
一実施形態では、コロナウイルスは重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)であり、コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)である。
【0014】
一実施形態では、sTREM-1のレベルは、sTREM-1の転写レベル又はsTREM-1の翻訳レベルである。一実施形態では、生体試料は、血液試料、好ましくは血清試料である。
【0015】
一実施形態では、対象は入院を必要とする。一実施形態では、対象は呼吸補助を必要とする。一実施形態では、sTREM-1のレベルは、入院後3日目に測定される。
【0016】
定義
本発明において、以下の用語は以下の意味を有する。
【0017】
「TREM-1」は、「骨髄細胞上で発現するトリガー受容体-1」を指し、CD354とも呼ばれることもある。TREM-1は、骨髄細胞上で顕著に発現する免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーに属する膜結合型糖タンパク質受容体である。TREM-1は、DAP12(12kDaのDNAX活性化タンパク質)と呼ばれるアダプタータンパク質の助けを借りて下流のシグナル伝達経路を活性化する。TREM-1は、3つの別々のドメイン:Ig様構造(主としてリガンド結合を担う)、膜貫通部分、及びDAP12と結合する細胞質テールを含む。特に断りのない限り、TREM-1タンパク質は、最後に2000年10月1日に修正されたUniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NP99-1及び最後に2005年11月22日に修正されたUniProtKB受託番号Q38L15-1に対応する配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する。TREM-1についてはいくつかの転写物が知られている。TREM1-201と一般的に呼ばれる転写物(転写物ID ensembl ENST00000244709.8)は、配列番号1に記載のアミノ酸配列をコードする。一般的にTREM1-202と呼ばれ、TREM-1アイソフォーム2としても知られている転写物(ensembl転写物ID ENST00000334475.10)は、配列番号2に記載のアミノ酸配列(UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NP99-2に対応する)をコードする。TREM1-207と一般的に呼ばれ、TREM-1アイソフォーム3としても知られる転写物(ensembl転写物ID ENST00000591620.1)は、配列番号3に記載のアミノ酸配列(UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NP99-3に対応する)をコードする。一般的にTREM1-204と呼ばれる転写物(ensembl転写物ID ENST00000589614.5)は、配列番号4に記載のアミノ酸配列(最後に2013年1月9日に修正されたUniProtKB/Swiss-Prot受託番号K7EKM5-1に対応する)をコードする。
【0018】
「骨髄細胞上で発現する可溶性トリガー受容体-1」の「sTREM-1」は、TREM-1の膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを欠くTREM-1の可溶型を指す。一実施形態では、sTREM-1は、そのため、TREM-1の細胞外ドメインの可溶型に対応する。可溶性TREM-1は、マトリックスメタロプロテイナーゼによって、膜固定されたTREM-1からのTREM-1 Ig様エクトドメインのタンパク質分解切断によって生成され得る(Gomez-Pinaら,J Immunol.2007 Sep 15;179(6):4065-73)。一実施形態では、sTREM-1は、そのため、骨髄細胞の膜、特に活性化された骨髄細胞から放出された切断型TREM-1に対応する。sTREM-1がTREM-1 mRNAのオルタナティブスプライシングから生じることも示唆された。TREM-1スプライスバリアントは、Baruahらによって2015年に特性が明らかにされ(J Immunol.2015 Dec 15;195(12):5725-31)、一次及び二次ヒト好中球顆粒から分泌されることが見出された。一実施形態では、sTREM-1は、そのため、TREM-1スプライスバリアント、特に、一般的にTREM1-202と呼ばれ、TREM-1アイソフォーム2としても知られる、配列番号2に記載のアミノ酸配列をコードするTREM-1転写物に対応する。
【0019】
数字の前の「約」は、前記数字の値のプラス又はマイナス10%、又はそれより小さい値を包含する。そのため、例えば、「約10」は9~11の範囲の値を包含し、「約100」は90~110の範囲の値を包含する。用語「約」が指す値は、それ自体も具体的に、好ましく開示されることを理解されたい。
【0020】
「バイオマーカー」又は「生物学的マーカー」は、対象からの生体試料中で測定することができる変数を指す。
【0021】
「電気化学発光免疫測定法(ECLIA)」は、シグナルの検出が、電気化学発光、すなわち、発光する化学発光反応の前に電気化学反応が先行する化学発光の形態に基づく免疫測定法を指す。
【0022】
2以上のポリペプチドの配列間の関係において、本発明で使用する「同一性」又は「同一の」は、2以上のアミノ酸残基のストリング間の一致数によって決定されるポリペプチド間の配列関連性の程度を指す。「同一性」は、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアライメント(もしあれば)を有する2以上の配列のうちの小さい方の配列間の同一の一致の割合を測定する。関連するポリペプチドの同一性は、公知の方法によって容易に計算することができる。そのような方法には、計算分子生物学(Computational Molecular Biology)Lesk,A.M.(編),Oxford University Press,New York,1988;バイオコンピューティング:インフォマティクス及びゲノムプロジェクト(Biocomputing:Informatics and Genome Projects),Smith,D.W.(編),Academic Press,New York,1993;配列データのコンピューター解析(Computer Analysis of Sequence Data),パート1,Griffin,A.M.,及びGriffin,H.G.(編),Humana Press,New Jersey,1994;分子生物学における配列解析(Sequence Analysis in Molecular Biology),von Heinje,G.,Academic Press,1987;配列解析プライマー(Sequence Analysis Primer),Gribskov,M.及びDevereux,J.(編),M.Stockton Press,New York,1991;並びにCarilloら,SIAM J.Applied Math.48,1073(1988)に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。同一性を決定する好ましい方法は、試験配列間で最も高い一致を与えるように設計される。同一性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータプログラム法には、GAP(Devereuxら,Nucl.Acid.Res.\2巻,387(1984)を含むGCGプログラムパッケージ;遺伝計算グループ,ウィスコンシン大学マディソン校,ウィスコンシン州),BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Altschulら,J.MoI.Biol.215,403-410(1990))が含まれる。BLASTXプログラムは、米国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)及び他の供給元(BLASTマニュアル、Altschulら NCB/NLM/NIH Bethesda,Md.20894;Altschulら,J.MoI.Biol.215,403-410(1990))から公開されている。周知のスミス-ウォーターマンアルゴリズムも、同一性を決定するために使用され得る。
【0023】
「測定すること」又は「測定」、あるいは「検出すること」又は「検出」は、対象からの生体試料中の所与の物質、すなわちsTREM-1の存在、不在、分量、又は量(有効量であり得る)を評価することを意味する。本明細書で使用する「測定すること」又は「測定」、あるいは「検出すること」又は「検出」は、生体試料内及び対象内の前記物質、すなわち、sTREM-1の定性的又は定量的濃度(例えば、血中濃度又は血漿濃度)の導出を含む。
【0024】
「呼吸補助」は、対象が経験する呼吸困難又は呼吸不全を代償するために対象に施される任意の手段を指す。そのような手段の例には、マスク、鼻カニューレ又は鼻プロング、陽圧、高流量鼻酸素による酸素補給、非侵襲的換気(NIV)(例えば、閉塞マスク)などの酸素療法(標準酸素療法又は酸素補給とも呼ばれる);気管挿管及び/又は気管切開を必要とする侵襲的機械換気(IMV);及び体外式膜型人工肺(ECMO)が含まれる。本明細書で使用する「呼吸補助」は、そのため、酸素療法と侵襲的機械換気(IMV)の両方を包含する。
【0025】
「機械換気」は、気管挿管及び/又は気管切開を必要とする呼吸補助、及び体外式膜型人工肺(ECMO)を含む侵襲性呼吸補助を指す。本明細書で使用する用語「機械換気」及び「侵襲的機械換気」は、交換可能である。
【0026】
「標準治療」は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19を罹患している入院患者に日常的に提供される治療を指す。標準治療は、例えば、以下のもの:上記で定義した呼吸補助、昇圧療法(例えば、フェニレフリン、ノルエピネフリン、エピネフリン、バソプレシン、及び/又はドーパミン)、流体療法、抗菌療法、抗ウイルス療法、心血管補助、腎代替療法、及び鎮静のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0027】
「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。本発明によれば、対象は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特に、SARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患している哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0028】
本明細書で使用する「確認されたCOVID-19の検査診断」は、対象からの試料(鼻腔スワブからの試料、口腔咽頭スワブからの試料、喀痰試料、下気道吸引液、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭洗浄液/吸引液又は鼻腔吸引液など)中のSARS-CoV-2の存在を検出することを可能にするrRT-PCR(リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)検査、又は対象からの試料(血液試料など)中のSARS-CoV-2に対する抗体の存在を検出することを可能にする抗体検査(酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)など)などの臨床検査により確認されたSARS-CoV-2に起因するCOVID-19を指す。
【0029】
「コロナウイルスによって引き起こされる疾患」及び「コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患」は、交換可能であり、前記対象の生体内でコロナウイルスが存在することにより、対象に誘発される任意の症状又は症状のセットを指す。
【0030】
「治療すること」又は「治療」は、治療的処置、予防(prophylactic)(若しくは予防(preventative))的処置、又は治療的処置と予防(prophylactic)(若しくは予防(preventative))的処置の両方を指し、その目的は、それを必要とする対象において、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19の症状又は徴候の1以上を予防、低減、軽減及び/又は減速する(和らげる)ことである。コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19の症状には、発熱並びに呼吸補助(例えば、酸素補給、非侵襲的換気、侵襲的機械換気、体外式膜型人工肺(ECMO))を必要とし得る乾いた咳及び/又は呼吸困難などの呼吸症状が含まれるが、これらに限定されない。コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19の徴候には、対象からの生体試料中で検出されたウイルス負荷(viral load)(ウイルス負荷(viral burden)又はウイルス力価としても知られる)も含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、「治療すること」又は「治療」は、治療的処置を指す。別の実施形態では、「治療すること」又は「治療」は、予防(prophylactic)(又は予防(preventive))的処置を指す。さらに別の実施形態では、「治療すること」又は「治療」は、予防(prophylactic)(又は予防(preventive))的処置と治療的処置の両方を指す。
【0031】
詳細な説明
本発明は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患(コロナウイルス感染によって引き起こされる疾患とも呼ばれる)のマーカーとして、特に前記疾患の重症度及び/又は合併症(複数可)のマーカーとして骨髄細胞上で発現するトリガー受容体-1(TREM-1)、特に、骨髄細胞上で発現する可溶性トリガー受容体-1(sTREM-1)に関する。本発明はまた、本明細書に記載のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象を特定、評価、及びモニタリングする方法で使用するためのマーカーとして、特に、前記疾患の重症度及び/又は合併症(複数可)のマーカーとしてのTREM-1レベル、特に、sTREM-1レベルに関する。
【0032】
本発明は、そのため、本明細書に記載のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象を特定、評価、及びモニタリングする方法であって、
-該対象からの生体試料において、本明細書に記載のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-該対象からの生体試料中で測定されたTREM-1、特にsTREM-1のレベルと、本明細書に記載の基準値を比較すること
を含むか、又はそれらからなる方法に関する。
【0033】
TREM-1(骨髄細胞上で発現するトリガー受容体-1)は、骨髄細胞上で顕著に発現するIgスーパーファミリーに属する糖タンパク質受容体である。sTREM-1は、TREM-1の膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを欠いているTREM-1の可溶型である。理論に束縛されることを望まないが、本出願者らは、Nod様受容体(NLR)及びToll様受容体(TLR)を含むPRR(病原体認識受容体)関与は、細胞膜におけるTREM-1の発現及び/又はその動員及びクラスター化の上方制御を誘発し、その二量体化及び多量体化をもたらすことを示唆する。前記NLR及びTLR活性化は、DAMP(危険関連分子パターン)又はPAMP(病原体関連分子パターン)と結びつくことによって生じ得る。特に、前記NLR及びTLR活性化は、無菌炎症条件下で、DAMP及び/又はアラーミンと結びつくことによって又はPAMPと結びつくことによって感染条件下で生じ得る。NLR及びTLRのこの活性化は、プロテアーゼ、特にメタロプロテイナーゼの上方制御を誘導し、これが、次に、多数の標的の中で、膜固定されたTREM-1のタンパク質分解切断によって可溶性TREM-1の遊離を誘導する(Gomez-Pinaら,J Immunol.2007 Sep 15;179(6):4065-73)。前記タンパク質分解切断は、TREM-1受容体の二量体化に依存する。sTREM-1は、そのため、骨髄細胞の膜、特に活性化骨髄細胞から放出され、sTREM-1放出は、TREM-1活性化のマーカーとなる。一実施形態では、sTREM-1は、TREM-1の細胞外ドメインの可溶型に対応する。一実施形態では、sTREM-1は、骨髄細胞の膜、特に活性化骨髄細胞から放出された切断型TREM-1に対応する。
【0034】
一実施形態によれば、TREM-1のレベルは、TREM-1転写物のレベルである。
【0035】
公知のTREM-1転写物の例には、配列番号1に対応するアミノ酸配列をコードするTREM1-201と一般的に呼ばれる転写物(転写物ID ensembl ENST00000244709.8)、配列番号2に対応するアミノ酸配列をコードし、TREM1-202と一般的に呼ばれTREM-1アイソフォーム2としても知られている転写物(ensembl転写物ID ENST00000334475.10)、配列番号3に対応するアミノ酸配列をコードし、TREM1-207と一般的に呼ばれ、TREM-1アイソフォーム3としても知られている転写物(ensembl転写物ID ENST00000591620.1)、配列番号4に対応するアミノ酸配列をコードするTREM1-204と一般的に呼ばれる転写物(ensembl転写物ID ENST00000589614.5)が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
一実施形態では、TREM-1転写物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4に記載のアミノ酸配列をコードする。一実施形態では、TREM-1転写物は、配列番号1、配列番号3又は配列番号4に記載のアミノ酸配列をコードする。一実施形態では、sTREM-1は、配列番号1の変異型、配列番号3の変異型又は配列番号4の変異型である。
【0037】
一実施形態では、配列番号1、配列番号3又は配列番号4の変異型は、それぞれ配列番号1、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸配列の少なくとも25個の連続するアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、175、180又は185個の連続するアミノ酸を含むか、又はそれらからなるアミノ酸配列である。一実施形態では、配列番号1、配列番号3又は配列番号4の変異型は、それぞれ配列番号1、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸配列、及びそれぞれ配列番号1、配列番号3若しくは配列番号4のC末端及び/又はN末端の追加のアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなるアミノ酸配列であり、追加のアミノ酸の数は、例えば、C末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸及び/又はN末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸などの1~50、好ましくは1~20、より好ましくは1~10個のアミノ酸の範囲内である。一実施形態では、配列番号1、配列番号3又は配列番号4の変異型は、典型的には、1以上のアミノ酸置換(複数可)、欠失(複数可)、付加(複数可)及び/又は挿入(複数可)によってそれぞれ配列番号1、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列である。一実施形態では、前記置換(複数可)、欠失(複数可)、付加(複数可)及び/又は挿入(複数可)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸に影響を及ぼし得る。一実施形態では、配列番号1、配列番号3又は配列番号4の変異型は、それぞれ配列番号1、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、又は少なくとも96%、97%、98%、99%以上の同一性を有する少なくとも25個のアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、175、180又は185個のアミノ酸のアミノ酸配列である。一実施形態では、配列番号1、配列番号3又は配列番号4の変異型は、それぞれ配列番号1、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、又は少なくとも96%、97%、98%、99%以上の同一性を有するアミノ酸配列である。
【0038】
一実施形態によれば、TREM-1のレベルは、sTREM-1のレベルである。
【0039】
一実施形態では、sTREM-1は、プロテアーゼ、好ましくはマトリックスメタロペプチダーゼ、より好ましくはマトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)による、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する膜結合TREM-1の切断によって生成される細胞外断片に対応する。
【0040】
一実施形態では、sTREM-1は、配列番号1のアミノ酸21~205に対応する配列番号5に記載のアミノ酸配列(ATKLTEEKYELKEGQTLDVKCDYTLEKFASSQKAWQIIRDGEMPKTLACTERPSKNSHPVQVGRIILEDYHDHGLLRVRMVNLQVEDSGLYQCVIYQPPKEPHMLFDRIRLVVTKGFSGTPGSNENSTQNVYKIPPTTTKALCPLYTSPRTVTQAPPKSTADVSTPDSEINLTNVTDIIRVPVFN)を有する。
【0041】
一実施形態では、sTREM-1は、配列番号1のアミノ酸31~205に対応する配列番号6に記載のアミノ酸配列(LKEGQTLDVKCDYTLEKFASSQKAWQIIRDGEMPKTLACTERPSKNSHPVQVGRIILEDYHDHGLLRVRMVNLQVEDSGLYQCVIYQPPKEPHMLFDRIRLVVTKGFSGTPGSNENSTQNVYKIPPTTTKALCPLYTSPRTVTQAPPKSTADVSTPDSEINLTNVTDIIRVPVFN)を有する。
【0042】
sTREM-1はまた、TREM-1 mRNAのオルタナティブスプライシングから生じてもよい。TREM-1スプライスバリアントは、Baruahらによって2015年に特性が明らかにされ(J Immunol.2015 Dec 15;195(12):5725-31)、一次及び二次ヒト好中球顆粒から分泌されることが見出された。一実施形態では、sTREM-1はTREM-1スプライスバリアントに対応する。一実施形態では、sTREM-1は、配列番号2に記載のアミノ酸配列をコードする、一般的にTREM1-202と呼ばれ、TREM-1アイソフォーム2としても知られているTREM-1転写物に対応する。一実施形態では、sTREM-1は、そのため、配列番号2に記載のアミノ酸配列(MRKTRLWGLLWMLFVSELRAATKLTEEKYELKEGQTLDVKCDYTLEKFASSQKAWQIIRDGEMPKTLACTERPSKNSHPVQVGRIILEDYHDHGLLRVRMVNLQVEDSGLYQCVIYQPPKEPHMLFDRIRLVVTKGFRCSTLSFSWLVDS)を有する。
【0043】
一実施形態では、sTREM-1は、配列番号1のアミノ酸31~137に対応する配列番号7に記載のアミノ酸配列(LKEGQTLDVKCDYTLEKFASSQKAWQIIRDGEMPKTLACTERPSKNSHPVQVGRIILEDYHDHGLLRVRMVNLQVEDSGLYQCVIYQPPKEPHMLFDRIRLVVTKGF)を含み、200個以下のアミノ酸、好ましくは185個以下のアミノ酸の長さを有する。
【0044】
一実施形態では、sTREM-1は、配列番号2、配列番号5又は配列番号6に記載のアミノ酸配列を有する。一実施形態では、sTREM-1は、配列番号5又は配列番号6に記載のアミノ酸配列を有する。
【0045】
一実施形態では、sTREM-1は、配列番号2の変異型、配列番号5の変異型又は配列番号6の変異型である。一実施形態では、sTREM-1は、配列番号5の変異型又は配列番号6の変異型である。
【0046】
一実施形態では、配列番号2、配列番号5又は配列番号6の変異型は、それぞれ配列番号2、配列番号5又は配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも25個の連続するアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、175、180又は185個の連続するアミノ酸を含むか、又はそれらからなるアミノ酸配列である。一実施形態では、配列番号2、配列番号5又は配列番号6の変異型は、それぞれ配列番号2、配列番号5又は配列番号6のアミノ酸配列、及びそれぞれ配列番号2、配列番号5若しくは配列番号6のC末端及び/又はN末端の追加のアミノ酸配列を含むか、又はそれらからなるアミノ酸配列であり、追加のアミノ酸の数は、例えば、C末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸及び/又はN末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸などの1~50、好ましくは1~20、より好ましくは1~10個のアミノ酸の範囲内である。一実施形態では、配列番号2、配列番号5又は配列番号6の変異型は、典型的には、1以上のアミノ酸置換(複数可)、欠失(複数可)、付加(複数可)及び/又は挿入(複数可)によってそれぞれ配列番号2、配列番号5又は配列番号6のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列である。一実施形態では、前記置換(複数可)、欠失(複数可)、付加(複数可)及び/又は挿入(複数可)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸に影響を及ぼし得る。一実施形態では、配列番号2、配列番号5又は配列番号6の変異型は、それぞれ配列番号2、配列番号5又は配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、又は少なくとも96%、97%、98%、99%以上の同一性を有する少なくとも25個のアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、175、180又は185個のアミノ酸のアミノ酸配列である。一実施形態では、配列番号2、配列番号5又は配列番号6の変異型は、それぞれ配列番号2、配列番号5又は配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、又は少なくとも96%、97%、98%、99%以上の同一性を有するアミノ酸配列である。一実施形態では、配列番号2、配列番号5又は配列番号6の変異型は、配列番号1ではない。
【0047】
一実施形態では、sTREM-1は、配列番号2の断片、配列番号5の断片、又は配列番号6の断片である。一実施形態では、sTREM-1は、配列番号5の断片又は配列番号6の断片である。
【0048】
一実施形態では、配列番号2、配列番号5又は配列番号6の断片は、それぞれ配列番号2、配列番号5又は配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも25個の連続するアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、175、180又は185個の連続するアミノ酸を含むか、又はそれらからなるアミノ酸配列である。一実施形態では、配列番号2の断片は、配列番号2のアミノ酸配列の少なくとも25個の連続するアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、135、140、又は145個の連続するアミノ酸を含むか、又はそれらからなるアミノ酸配列である。一実施形態では、配列番号5の断片は、配列番号5のアミノ酸配列の少なくとも25個の連続するアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、175、又は180個の連続するアミノ酸を含むか、又はそれらからなるアミノ酸配列である。一実施形態では、配列番号6の断片は、配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも25個の連続するアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、155、160、165、又は170個の連続するアミノ酸を含むか、又はそれらからなるアミノ酸配列である。
【0049】
本発明者らは、驚くべきことに、対象からの生体試料中で測定されたsTREM-1のレベルを、本明細書に記載の方法で詳述されるように、前記対象に影響を及ぼすコロナウイルスによって引き起こされる疾患のマーカーとして、特に前記疾患の重症度及び/又は合併症のマーカーとして使用することができることを示した。
【0050】
一実施形態では、コロナウイルスは、ヒトコロナウイルスである。一実施形態では、コロナウイルスは、アルファコロナウイルス又はベータコロナウイルス、好ましくはベータコロナウイルスである。
【0051】
アルファコロナウイルスの例には、HCoV-NHやNew Havenヒトコロナウイルスとして知られることもある、ヒトコロナウイルス229E(HCoV-229E)及びヒトコロナウイルスNL63(HCoV-NL63)が含まれるが、これらに限定されない。ベータコロナウイルスの例には、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV-OC43)、ヒトコロナウイルスHKU1(HCoV-HKU1)、新型コロナウイルス2012又はHCoV-EMCとして以前に知られた中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)、SARS-CoV-1又はSARS-クラシックとしても知られる重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、及び2019-nCoV又は新型コロナウイルス2019としても知られる重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
一実施形態では、コロナウイルスは、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2を含むか又はそれらからなる群から選択される。一実施形態では、コロナウイルスは、MERS-CoV、SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2を含むか又はそれらからなる群から選択される。
【0053】
一実施形態では、コロナウイルスはMERSコロナウイルス、特に中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こすMERS-CoVである。そのため、一実施形態では、対象はMERS-CoVによって引き起こされるMERSに罹患している。
【0054】
一実施形態では、コロナウイルスはSARSコロナウイルスである。一実施形態では、コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすSARS-CoV(SARS-CoV-1とも呼ばれる)又はCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2である。そのため、一実施形態では、対象は、SARS-CoV(SARS-CoV-1とも呼ばれる)によって引き起こされるSARS又はSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患している。一実施形態では、コロナウイルスはCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2である。そのため、一実施形態では、対象は、SARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患している。
【0055】
本明細書で使用する「SARS-CoV-2」は、中国武漢で最初に特定されたSARS-CoV-2及びそれらの任意の変異型を包含する。SARS-CoV-2の変異型は、それらの非構造レプリカーゼポリタンパク質並びにS(スパイク)タンパク質又は糖タンパク質、E(エンベロープ)タンパク質、M(膜)タンパク質、及びN(ヌクレオカプシド)タンパク質として知られている4つの構造タンパク質を含むそれらのタンパク質のいずれかに1以上の変異(複数可)が存在することによって互いに異なり得る。特に、SARS-CoV-2の変異型は、それらのSタンパク質における1以上の変異(複数可)の存在によって互いに異なっていてよい。1273個のアミノ酸からなるSタンパク質の参照配列は、最後に2020年4月22日に修正されたUniProtKB受託番号P0DTC2に対応する配列番号14に記載されている。
【0056】
米国疾病管理予防センター(CDC)によって示されているように、SARS-CoV-2変異型の例には、
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):69del、70del、144del、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H、及び必要に応じてE484K、S494P、及び/若しくはK1191Nを含むアルファ(WHOラベル)、VUI-202012/01、VOC-202012/01、20I/501Y.V1としても又は口語で「UK変異型又はイギリス変異型又は英国変異型」として知られる変異型B.1.1.7;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):D80A、D215G、241del、242del、243del、K417N、E484K、N501Y、D614G、A701Vを含むベータ(WHOラベル)、20H/501Y.V2(以前は20C/501Y.V2)としても又は口語で「南アフリカ」変異型として知られる変異型B.1.351;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):L18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、D614G、H655Y、T1027Iを含むガンマ(WHOラベル)、20J/501Y.V3としても又は口語で「ブラジル変異型」として知られる変異型P.1;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):E484K、D614G、V1176F、及び任意選択でF565Lを含むゼータ(WHOラベル)又はブラジルで最初に検出された変異型の20Jとして知られる変異型P.2;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):L452R、E484Q、D614Gを含む20A/484Qとしても又は口語で「インド変異型」として知られる変異型B.1.617;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):G142D、E154K、L452R、E484Q、D614G、P681R、Q1071H、及び任意選択でT95Iを含むカッパ(WHOラベル)又はインドで最初に検出された変異型の20A/S:154Kとしても知られる変異型B.1.617.1;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):T19R、156del、157del、R158G、L452R、T478K、D614G、P681R、D950N、及び任意選択でG142Dを含むデルタ(WHOラベル)又はインドで最初に検出された変異型の20A/S:478Kとしても知られる変異型B.1.617.2;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):T19R、G142D、L452R、E484Q、D614G、P681R、D950Nを含む、インドで最初に検出された変異型である変異型B.1.617.3;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):L452R、D614Gを含むイプシロン(WHOラベル)又は20C/S:452Rとしても知られる変異型B.1.427;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):S13I、W152C、L452R、D614Gを含む20C/S:452Rとしても知られる変異型B.1.429;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):A67V、69del、70del、144del、E484K、D614G、Q677H、F888Lを含むイータ(WHOラベル)又は20A/S:484Kとしても知られる変異型B.1.525;
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):T95I、D253G、D614G、及び任意選択でL5F、S477N、E484K、及び/又はA701Vを含むイオタ(WHOラベル)又は20C/S:484Kとしても知られる変異型B.1.526;並びに
-以下の変異(配列番号21の配列に基づいて):D80G、144del、F157S、L452R、D614G、D950H、及び任意選択でT791I及び/又はT859Nを含む20Cとしても知られる変異型B.1.526.1
が含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
そのため、一実施形態では、対象は、SARS-CoV-2又はSARS-CoV-2の任意の変異型によって引き起こされるCOVID-19に罹患している。一実施形態では、対象は、変異型B.1.1.7(アルファ)、変異型B.1.351(ベータ)、変異型P.1(ガンマ)、変異型P.2(ゼータ)、変異型B.1.617、変異型B.1.617.1(カッパ)、変異型B.1.617.2(デルタ)、及び/又は変異型B.1.617.3を含むか又はそれらからなる群から選択されるSARS-CoV-2変異型によって引き起こされるCOVID-19に罹患している。一実施形態では、対象は、SARS-CoV-2変異型B.1.1.7(アルファ)によって引き起こされるCOVID-19に罹患している。一実施形態では、対象は、SARS-CoV-2変異型B.1.617、又は関連変異型のB.1.617.1(カッパ)、B.1.617.2(デルタ)及び/又はB.1.617.3のいずれかによって引き起こされるCOVID-19に罹患している。
【0058】
一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、入院していない。一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、入院している。
【0059】
一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、入院しているが、集中治療室(ICU)への入室を必要としない。一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、入院しており、ICUへの入室を必要とする。一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、ICUに入院している。
【0060】
一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、入院しており、呼吸補助を必要としない。一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、入院しており、呼吸補助を必要とする。
【0061】
一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、入院しており、非侵襲的換気(NIV)を必要とする。一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、入院しており、侵襲的機械換気(IMV)を必要とする。一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、ICUに入院し、呼吸補助を必要とする。一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、ICUに入院しており、IMVを必要とする。一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、ICUに入院しており、IMV下にある。一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象は、ICUに入院し、6時間、12時間、18時間、24時間、30時間、36時間、42時間、又は48時間未満、好ましくは48時間未満の間IMV下にあった。
【0062】
一実施形態では、対象は、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に関連付けられる急性呼吸不全又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に罹患している。
【0063】
一実施形態では、対象は男性である。一実施形態では、対象は女性である。
【0064】
一実施形態では、対象は大人である。そのため、一実施形態では、対象は、18、19、20又は21歳より年を取っている。一実施形態では、対象は子供である。そのため、一実施形態では、対象は、18、17、16又は15歳未満である。
【0065】
一実施形態では、対象は、85、80、75、70、65又は60歳より若い。一実施形態では、対象は、85歳以下である。一実施形態では、対象は、60、65又は70歳より年を取っている。一実施形態では、対象は、60、65又は70歳より年を取っており、85歳より若い。一実施形態では、対象は60歳以上である。一実施形態では、対象は60歳以上であり、85歳より若い。
【0066】
一実施形態では、対象は、少なくとも1つの併存疾患に罹患している。
【0067】
本明細書で使用する「併存疾患」は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患を有する対象に共存する疾患又は状態を指す。
【0068】
コロナウイルスによって引き起こされる疾患を有する対象に共存し得る併存疾患の例には、喘息、自己免疫若しくは自己炎症性疾患又は症状、心血管疾患又は症状、慢性気管支炎、慢性腎疾患、慢性肝疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、糖尿病、肺気腫、高血圧、免疫不全、悪性腫瘍(すなわち、癌)、肥満、肺高血圧症、及び重度の呼吸状態が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
一実施形態では、対象は、喘息、自己免疫性若しくは自己炎症性疾患又は状態、心血管疾患又は状態、慢性気管支炎、慢性腎疾患、慢性肝疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、糖尿病、肺気腫、高血圧、免疫不全、悪性腫瘍(すなわち、癌)、肥満、肺高血圧症、及び重度の呼吸状態を含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つの併存疾患を呈する。
【0070】
本明細書に記載の方法によれば、TREM-1のレベル、特にsTREM-1のレベルは、上記のように、対象からの生体試料中で測定される。
【0071】
本明細書で使用する「生体試料」は、対象から単離、収集された又は集められた生体試料を指し、限定されないが、例として、対象から取得されるホモジネート又は可溶化された組織などの体液、細胞試料及び/又は組織抽出物を含むことができる。
【0072】
一実施形態では、本発明は、対象から生体試料を取得することを含まない。そのため、一実施形態では、対象からの生体試料は、対象から予め取得された生体試料である。前記生体試料は、本明細書に記載のように使用する前に適切な条件で保存してよい。
【0073】
一実施形態では、対象からの生体試料は体液試料である。体液の例には、血液、血漿、血清、リンパ、尿、気管支肺胞洗浄液、脳脊髄液、汗又はそれらの任意の他の身体分泌物又は誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明によれば、「血液」には、全血、血漿、血清、循環上皮細胞、構成要素、又は血液の任意の他の誘導体が含まれる。
【0075】
一実施形態では、対象からの生体試料は血液試料である。一実施形態では、対象からの生体試料は、全血試料又は血漿試料である。血漿試料を取得するための方法は、臨床検査室で日常的に使用される。一実施形態では、対象からの全血試料又は血漿試料を処理して、血清試料を取得する。全血試料又は血漿試料から血清試料を取得する方法は、臨床検査室で日常的に使用される。
【0076】
一実施形態では、生体試料は、血液試料、血漿試料又は血清試料である。したがって、一実施形態では、TREM-1レベル、特にsTREM-1レベルは、血液レベル、血漿レベル、又は血清レベルである。
【0077】
一実施形態では、対象からの生体試料は、組織抽出物である。組織抽出物は、組織生検及び解剖学的材料から日常的に得られる。
【0078】
本明細書で使用する「TREM-1レベル」、特に「sTREM-1レベル」の用語「レベル」は、TREM-1、特にsTREM-1の発現レベルを指す。あるいは、それは、TREM-1の、特にsTREM-1の転写レベル(すなわち、mRNA又はcDNAのレベル)又はTREM-1、特にsTREM-1の翻訳レベル(すなわち、タンパク質のレベル)を指すことができる。発現レベルは、細胞内又は細胞外で検出され得る。
【0079】
本発明によれば、TREM-1、特にsTREM-1のレベルは、当技術分野における任意の公知の方法によって測定され得る。転写レベル又は翻訳レベルなどの発現レベルを測定する方法は、当業者によく知られている。
【0080】
一実施形態では、「TREM-1レベル」、特に「sTREM-1レベル」の用語「レベル」は、TREM-1、特にsTREM-1の分量、量、又は濃度を指す。そのため、対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、前記生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1の分量、量、又は濃度を指す。
【0081】
一実施形態によれば、TREM-1、特にsTREM-1のレベルは、タンパク質レベル、タンパク質の分量、タンパク質の量、又はタンパク質の濃度を指す。
【0082】
一実施形態では、TREM-1のレベルは、上記の配列番号1、配列番号3及び/若しくは配列番号4に記載のアミノ酸配列、並びに/又はそれらの変異型のレベルを指す。
【0083】
一実施形態では、TREM-1のレベルは、sTREM-1のレベルである。
【0084】
一実施形態では、sTREM-1のレベルは、上記の配列番号2、配列番号5及び/若しくは配列番号6に記載のアミノ酸配列、並びに/又はそれらの断片及び/又は変異型のレベルを指す。一実施形態では、sTREM-1のレベルは、上記の配列番号5及び/若しくは配列番号6に記載のアミノ酸配列、並びに/又はそれらの断片及び/若しくは変異型のレベルを指す。
【0085】
TREM-1、特にsTREM-1の翻訳レベル(すなわち、TREM-1タンパク質又はsTREM-1タンパク質のレベル)を測定する方法は、当業者によく知られており、免疫組織化学、マルチプレックス法(Luminex(登録商標)など)、免疫測定法、ウエスタンブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、サンドイッチELISA、マルチプレックスELISA、キャピラリーベースELISA(ELLA(登録商標)プラットフォームなど)、電気生成化学発光又は電気化学発光免疫測定法(ECLIA)とも呼ばれる電気化学発光(ECL)、酵素結合蛍光アッセイ(ELFA)、蛍光結合免疫吸着アッセイ(FLISA)、酵素免疫測定(EIA)、放射免疫測定(RIA)、フローサイトメトリー(FACS)、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(BLI)、免疫クロマトグラフィーアッセイ(ICA)(NEXUS IB10、Sphingotechなど)及び質量分析ベースのアプローチを含むが、これらに限定されない。
【0086】
典型的には、上記のような生体試料中のTREM-1タンパク質、特にsTREM-1タンパク質のレベルを測定することは、生体試料中のTREM-1又はsTREM-1と選択的に相互作用することができる結合パートナーと生体試料とを接触させることを含み得る。
【0087】
一実施形態では、上記のような生体試料中のTREM-1タンパク質、特にsTREM-1タンパク質のレベルを測定することは、ポリクローナル又はモノクローナル抗体などの抗体の使用を含む。
【0088】
TREM-1、特にsTREM-1の検出を可能にする抗体の例には、ヒトTREM-1のMet1-Arg200アミノ酸に対して作られたポリクローナル抗体(R&D Systemsの参照番号AF1278)、ヒトTREM-1のAla21-Asn205に対して作られたモノクローナル抗体(R&D Systemsの参照番号MAB1278)、精製抗ヒトCD354(TREM-1)抗体(クローンTREM-26、BioLegendからの参照番号314902)、精製抗ヒトCD354(TREM-1)抗体(クローンTREM-37、BioLegendからの参照番号316102)、モノクローナルマウス抗ヒトsTREM1(クローン15G7、USBioからの参照番号298099)、マウス抗ヒトTREM1(クローン2E2、USBioからの参照番号134704)が含まれるが、これらに限定されない。sTREM-1の検出を可能にする抗体の他の非限定的な例には、以下の特許又は特許出願:米国特許公開第2013/150559号、同第2013/211050号、同第2013/309239号、WO2013/120553及び米国特許第8,106,165号に記載されているsTREM-1及び/又はTREM-1抗体が含まれる。
【0089】
一実施形態では、上記のような生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベル、特にsTREM-1タンパク質のレベルを測定することは、ELISA、ECLIA又はELFAの使用を含む。
【0090】
ELISAは、そのため、生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定するために使用されてよく、例えば、アッセイプレートのウェルは、TREM-1、又はsTREM-1を認識する少なくとも1つの抗体でコーティングされる。次いで、TREM-1若しくはsTREM-1を含む又は含むと疑われる生体試料を、コーティングウェルに添加する。抗体-TREM-1複合体又は抗体-sTREM-1複合体の形成を可能にするのに十分なインキュベーションの期間の後、プレートを洗浄して、非結合部分を除去し、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合したTREM-1又はsTREM-1を認識する二次抗体などの検出用に標識した二次結合分子を添加することができる。二次結合分子を、任意の捕捉された抗体-TREM-1複合体、又は抗体-sTREM-1複合体と反応させ、プレート洗浄し、二次結合分子の存在を当技術分野で周知の方法を使用して検出する。市販のアッセイ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キットが利用可能であることが理解される。そのため、ELISAの例には、TREM-1 Quantikine ELISAキット(R&D Systemsからの参照番号DTRM10C)、ヒトTREM-1 DuoSet(R&D Systemsからの参照番号DY1278B及びDY1278BE)、sTREM-1 ELISA(iQProductsからの参照番号sTREM-1 ELISA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
ECLIAはまた、生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定するために使用されてよく、例えば、TREM-1若しくはsTREM-1を含む又は含むと疑われる生体試料を、ビオチン化された一方の抗体(捕捉抗体)とルテニウム錯体で標識されている他方の抗体(すなわち、検出抗体)のサンドイッチ抗体-TREM-1複合体又は抗体-sTREM-1複合体を形成するために、異なるエピトープ上でTREM-1又はsTREM-1を認識する少なくとも2つの抗体とインキュベートする。サンドイッチ複合体の形成を可能にするのに十分なインキュベーション期間の後、サンドイッチ複合体がビオチンとストレプトアビジンの相互作用を介して粒子に結合するように、ストレプトアビジンコーティング微粒子(ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズなど)を添加する。分析装置の測定セル内におくと、微粒子が電極の表面上に磁気で捕捉される。未結合部分を除去し、電極に電圧を印加し、ルテニウム錯体を励起すると、620nmで発光する。発光した光は、分析装置の測定セル内の光電子増倍管によって測定される。このようなECLIAの例には、Elecsys(登録商標)(Roche Diagnostics)が含まれる。
【0092】
ELFAは、生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定するために使用されてもよく、例えば、容器は、TREM-1又はsTREM-1を認識する少なくとも1つの抗体でコーティングされる。次いで、TREM-1若しくはsTREM-1を含む又は含むと疑われる生体試料を容器に添加する。抗体-TREM-1複合体又は抗体-sTREM-1複合体の形成を可能にするのに十分なインキュベーション期間の後、容器を洗浄して、未結合部分を除去することができ、酵素(例えば、アルカリホスファターゼなど)で標識した二次結合分子を添加する。二次結合分子を、任意の捕捉された抗体-TREM-1複合体、又は抗体-sTREM-1複合体と反応させ、容器を洗浄し、酵素による加水分解後に蛍光になる酵素の基質(リン酸4-メチル-ウンベリフェリルなど)の添加時に放出される蛍光を測定することによって二次結合分子の存在を検出する。ELFAの例には、VIDAS(登録商標)(Biomerieux)が含まれる。
【0093】
一実施形態によれば、TREM-1、特にsTREM-1のレベルは、核酸レベル、核酸の分量、核酸の量又は核酸の濃度を指す。一実施形態では、核酸は、RNA、好ましくはmRNA、又はcDNAである。
【0094】
一実施形態では、TREM-1のレベルは、TREM-1転写物のレベルである。
【0095】
一実施形態では、TREM-1核酸のレベルは、上記の配列番号1、配列番号3及び/若しくは配列番号4に記載のアミノ酸配列、並びに/又はその変異型をコードするmRNA又はcDNAのレベルを指す。
【0096】
一実施形態では、TREM-1のレベルは、sTREM-1のレベルである。
【0097】
一実施形態では、sTREM-1核酸のレベルは、上記の配列番号2、配列番号5及び/若しくは配列番号6に記載のアミノ酸配列、並びに/又はその断片及び/若しくは変異型をコードするmRNA又はcDNAのレベルを指す。一実施形態では、sTREM-1核酸のレベルは、上記の配列番号5及び/若しくは配列番号6に記載のアミノ酸配列、並びに/又はその断片及び/若しくは変異型をコードするmRNA又はcDNAのレベルを指す。
【0098】
上記の生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1の転写レベル(すなわち、TREM-1 mRNA又はcDNAのレベル、特にsTREM-1 mRNA又はcDNAのレベル)を測定する方法は、当業者によく知られており、RT-PCRによって得られたアンプリコンのハイブリダイゼーション、例えば次世代DNA配列決定(NGS)又はRNA-seq(「ホールトランスクリプトームショットガンシーケンシング」としても知られている)などの配列決定を含むが、これらに限定されないPCR、qPCR、RT-PCR、RT-qPCR、ノーザンブロット、例えばマイクロアレイの使用などのハイブリダイゼーション技術、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0099】
一実施形態では、TREM-1核酸レベル、特にsTREM-1核酸レベルは、それぞれ配列番号8及び配列番号9に記載のヌクレオチド配列を有するフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用して測定される。一実施形態では、TREM-1核酸レベル、特にsTREM-1核酸レベルは、それぞれ配列番号10及び配列番号11に記載のヌクレオチド配列を有するフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用して測定される。一実施形態では、TREM-1核酸レベル、特にsTREM-1核酸レベルは、それぞれ配列番号12及び配列番号13に記載のヌクレオチド配列を有するフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用して測定される。
【0100】
一実施形態では、上記の生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、ベースラインにおけるレベル、すなわちベースラインTREM-1レベル、特にベースラインsTREM-1レベルである。一実施形態では、ベースラインレベルは、医療の開始前、療法の投与前又は投与開始時、入院時、集中治療室(ICU)への入室時又は機械換気の開始時に対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルである。一実施形態では、ベースラインレベルは、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患の診断後、特に、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患の病院での診断後に測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルである。一実施形態では、ベースラインレベルは、入院第1日目に測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルである。一実施形態では、ベースラインレベルは、ICU入室の第1日目に測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルである。一実施形態では、ベースラインレベルは、機械換気の第1日目に測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルである。
【0101】
一実施形態では、上記の生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、入院後、特に集中治療室(ICU)への入室後、又は機械換気の開始後12時間、24時間、36時間、48時間、60時間又は72時間以内に測定される(又は入院後12時間、24時間、36時間、48時間、60時間又は72時間以内に、上記の対象から取得された生体試料中で測定される)TREM-1、特にsTREM-1のレベルである。一実施形態では、上記の生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、入院後、特に集中治療室(ICU)への入室後、又は機械換気の開始後12時間、24時間、36時間、48時間、60時間又は72時間の時点で測定される(又は入院後12時間、24時間、36時間、48時間、60時間又は72時間の時点で、上記の対象から取得された生体試料中で測定される)TREM-1、特にsTREM-1のレベルである。
【0102】
一実施形態では、上記の生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、入院後、特に集中治療室(ICU)への入室後、又は機械換気の開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日目に測定される(又は入院後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日目に、上記の対象から取得された生体試料中で測定される)TREM-1、特にsTREM-1のレベルである。言い換えると、一実施形態では、上記の生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、入院後、特に集中治療室(ICU)への入室後、又は機械換気の開始後第1、第2、第3、第4、第5、第6、又は第7日目に測定される(又は入院後第1、第2、第3、第4、第5、第6、又は第7日目に、上記の対象から取得された生体試料中で測定される)TREM-1、特にsTREM-1のレベルである。
【0103】
一実施形態では、上記の生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、入院後、特に集中治療室(ICU)への入室後、又は機械換気の開始後3日目に測定される(又は入院後3日目に、上記の対象から取得された生体試料中で測定される)TREM-1、特にsTREM-1のレベルである。言い換えると、一実施形態では、上記の生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、入院後、特に集中治療室(ICU)への入室後、又は機械換気の開始後3日目に測定される(又は入院後3日目に、上記の対象から取得された生体試料中で測定される)TREM-1、特にsTREM-1のレベルである。
【0104】
本明細書に記載の方法によれば、上記の対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、基準値と比較される。
【0105】
一実施形態によれば、基準値は、基準TREM-1レベル、特に、基準sTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。
【0106】
一実施形態によれば、基準TREM-1レベル、特に基準sTREM-1レベルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して決定される。
【0107】
一実施形態によれば、所与の方法又はアッセイを使用して決定される基準TREM-1レベル、特に基準sTREM-1レベルは、別の方法又はアッセイを使用して決定される対応する基準TREM-1レベル、特に対応する基準sTREM-1レベルを包含する。所与の方法又はアッセイで得られたレベルから始めて、当業者は、別の方法又はアッセイで得られた対応するレベルを決定する方法を知っている。決定する方法は、例えば、(i)2つの異なる方法又はアッセイを使用して、本明細書に記載の基準集団などの所与の基準集団の対象から取得された試料中のレベルを測定し、ひいては、前記所与の基準集団について2セットの測定値を取得すること;及び(ii)所与の基準集団について得られた2セットの測定値の間の相関を決定することを含む。
【0108】
一実施形態では、ELISAを使用して決定される基準TREM-1レベル、特に基準sTREM-1レベルは、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)又は酵素結合蛍光アッセイ(ELFA)などの別の免疫測定法を使用して決定される対応する基準TREM-1レベル、特に対応する基準sTREM-1レベルを包含する。一実施形態では、ELISAを使用して決定される基準TREM-1レベル、特に基準sTREM-1レベルは、ECLIAを使用して決定される対応する基準TREM-1レベル、特に対応する基準sTREM-1レベルを包含する。
【0109】
一実施形態では、基準値は、基準集団から導出される。一実施形態では、基準値は、例えば、類似の年齢範囲の対象、又は同一若しくは類似の民族グループ内の対象を含む集団研究から導出される。
【0110】
一実施形態によれば、基準値は、実質的に健康な1以上の対象から取得された生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。一実施形態では、「実質的に健康な対象」は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患を有するか若しくは罹患していると診断又は特定されていない対象である。一実施形態では、「実質的に健康な対象」は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患又は任意の他の感染症を有するか若しくは罹患していると診断又は特定されていない対象である。一実施形態では、「実質的に健康な対象」は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、又は免疫系からの応答を誘導する任意の他の疾患、又はTREM-1経路の活性化を誘導する任意の他の疾患を有するか若しくは罹患していると診断又は特定されていない対象である。そのため、一実施形態では、基準値は、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準TREM-1レベル、特に、基準sTREM-1レベルである。
【0111】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲であるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0112】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約450pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0113】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約50、75、100、125、150、175、200、225、又は250pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、75、100、125、150、175、200、225、又は250pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0114】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、又は415pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0115】
一実施形態によれば、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された1以上の対象からの生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。そのため、一実施形態では、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される基準TREM-1レベル、特に基準sTREM-1レベルである。
【0116】
一実施形態では、基準値は、数学的アルゴリズムから得られる上記の基準集団の統計分析及び/又はリスク予測データ、並びにコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19の計算された指標から導出することができる。
【0117】
一実施形態では、上記の基準集団から導出される基準値は、前記基準集団の平均TREM-1レベル、特に平均sTREM-1レベルである。一実施形態では、上記の基準集団から導出される基準値は、前記基準集団のTREM-1レベルの中央値、特にsTREM-1レベルの中央値である。
【0118】
一実施形態では、上記の基準集団から導出される基準値は、TREM-1三分位数(tercile)(又は三分位数(tertile))、特に、sTREM-1三分位数(又は三分位数(tertile))、すなわち、前記基準集団の第1のTREM-1三分位数、特に、第1のsTREM-1三分位数、又は第2のTREM-1三分位数、特に、第2のsTREM-1三分位数である。
【0119】
本発明のこの実施形態によれば、
-第1の三分位数(tercile)(又は三分位数(tertile))は、基準集団内の測定されるTREM-1又はsTREM-1レベルの1/3がその値より低く、かつ基準集団内の測定されるTREM-1又はsTREM-1レベルの2/3がその値を上回るTREM-1値又はsTREM-1値に対応する;並びに
-第2の三分位数(tercile)(又は三分位数(tertile))は、基準集団内の測定されるTREM-1又はsTREM-1レベルの2/3がその値より低く、かつ基準集団内の測定されるTREM-1又はsTREM-1レベルの1/3がその値を上回るTREM-1値又はsTREM-1値に対応する。
【0120】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約20pg/mL~約6000pg/mL、好ましくは約30pg/mL~約2000pg/mL、より好ましくは約50pg/mL~約1000pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約20pg/mL~約6000pg/mL、好ましくは約30pg/mL~約2000pg/mL、より好ましくは約50pg/mL~約1000pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0121】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0122】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0123】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約350pg/mL~約1200pg/mL、好ましくは約600pg/mL~約1100pg/mL、より好ましくは約700pg/mL~約1000pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0124】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。
【0125】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995又は1000pg/mLのTREM-1レベル、特に、sTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0126】
一実施形態によれば、基準値は、個人化された基準値であり、すなわち、基準値は、対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルである。
【0127】
一実施形態では、個人化された基準値は、ベースラインで対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、すなわち、ベースラインTREM-1レベル、特にベースラインsTREM-1レベルである。一実施形態では、ベースラインレベルは、医療の開始前に対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルである。一実施形態では、ベースラインレベルは、入院時又はICUへの入室時に対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルである。一実施形態では、ベースラインレベルは、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患の診断後、特に、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患の病院での診断後に測定されるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルである。一実施形態では、ベースラインレベルは、療法の投与前又は投与の開始時、特に、本明細書に記載のTREM-1阻害剤の投与前又は投与の開始時に対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルである。
【0128】
一実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、上記の対象からの生体試料中の少なくとも別のバイオマーカーのレベルを測定すること、対象からの生体試料中で測定された前記少なくとも別のバイオマーカーのレベルを本明細書に記載の基準値と比較することをさらに含む。
【0129】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の対象からの生体試料中のインターロイキン-6(IL-6)のレベルを測定し、対象からの生体試料中で測定されたIL-6のレベルをIL-6の基準値と比較することをさらに含む。
【0130】
IL-6は、炎症、免疫応答、及び造血に対して顕著な効果を有するサイトカインである。IL-6レベルを測定する方法は、当業者によく知られており、免疫組織化学、マルチプレックス法、免疫測定法、ウエスタンブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、サンドイッチELISA、マルチプレックスELISA、キャピラリーベースELISA、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、酵素結合蛍光アッセイ(ELFA)、蛍光結合免疫吸着アッセイ(FLISA)、酵素免疫測定(EIA)、放射免疫測定(RIA)、フローサイトメトリー(FACS)、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(BLI)、免疫クロマトグラフィーアッセイ(ICA)及び質量分析ベースのアプローチを含むが、これらに限定されない。
【0131】
一実施形態によれば、IL-6基準値は、基準IL-6レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。
【0132】
一実施形態によれば、基準IL-6レベルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して決定される。
【0133】
上述したように、タンパク質のレベルの測定値が前記測定値を決定するために使用される方法又はアッセイに依存して変化し得ることは当業者にはよく知られている。したがって、一実施形態によれば、所与の方法又はアッセイを使用して決定される基準IL-6レベルは、別の方法又はアッセイを使用して決定される対応する基準IL-6レベルを包含する。一実施形態では、ELISAを使用して決定される基準IL-6レベルは、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)又は酵素結合蛍光アッセイ(ELFA)などの別の免疫測定法を使用して決定される対応する基準IL-6レベルを包含する。一実施形態では、ELISAを使用して決定される基準IL-6レベルは、ECLIAを使用して決定される対応する基準IL-6レベルを包含する。
【0134】
一実施形態では、IL-6基準値は、上記で定義した実質的に健康な1以上の対象(複数可)から取得された生体試料中のIL-6レベルの測定から導出される。一実施形態では、IL-6基準値は、上記で定義した実質的に健康な対象の基準集団から導出される。
【0135】
一実施形態では、IL-6基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患している、若しくは罹患していたと診断又は特定された1以上の対象から取得された生体試料中のIL-6レベルの測定から導出される。一実施形態では、IL-6基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される。
【0136】
一実施形態では、IL-6基準値は、約20pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約200pg/mL~約300pg/mLの範囲のIL-6レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、IL-6基準値は、約100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、370、375、380、385、390、395、又は400pg/mLのIL-6レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、IL-6基準値は、約200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、又は300pg/mLのIL-6レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。
【0137】
一実施形態では、上記のIL-6レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルは、ELISAを使用して決定されるか、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するIL-6レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0138】
本発明の1つの目的は、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象を、コロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスク、並びに/又は死亡のリスクがあると特定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルを上記の基準値と比較すること
を含むか、又はそれらからなるインビトロ法である。
【0139】
一実施形態では、本発明は、COVID-19に罹患している対象を、COVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスク、並びに/又は死亡のリスクがあると特定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されたsTREM-1のレベルを上記の基準値と比較すること
を含むか又はそれらからなるインビトロ法に関する。
【0140】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症型、特にCOVID-19の重症型は、入院を必要とすると定義される。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症型、特にCOVID-19の重症型は、ICUへの入室を必要とすると定義される。
【0141】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症型、特にCOVID-19の重症型は、上記で定義した呼吸補助を必要とすると定義される。一実施形態では、呼吸補助は、マスク又は鼻プロング、陽圧、高流量鼻酸素による酸素補給(酸素療法とも呼ばれる);非侵襲的換気(NIV);気管挿管及び/又は気管切開を必要とする侵襲的機械換気(IMV);及び体外式膜型人工肺(ECMO)を含むか、又はそれらからなる群から選択される。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症型、特にCOVID-19の重症型は、上記の侵襲的機械換気を必要とすると定義される。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症型、特にCOVID-19の重症型は、長時間の呼吸補助、特に長時間の侵襲的機械換気を必要とすると定義される。
【0142】
一実施形態では、長時間の呼吸補助、特に長時間の侵襲的機械換気は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日、好ましくは少なくとも15日間続く呼吸補助、特に侵襲的機械換気である。一実施形態では、長時間の呼吸補助、特に長時間の侵襲的機械換気は、少なくとも1、2、3、4、又は5週間(複数可)、好ましくは少なくとも2週間続く呼吸補助、特に侵襲的機械換気である。一実施形態では、長時間の呼吸補助、特に長時間の侵襲的機械換気は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日超、好ましくは15日超続く呼吸補助、特に侵襲的機械換気である。一実施形態では、長時間の呼吸補助、特に長時間の侵襲的機械換気は、1、2、3、4、又は5週間(複数可)超、好ましくは2週間超の呼吸補助、特に侵襲的機械換気である。
【0143】
コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の合併症の例には、急性呼吸不全又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む呼吸不全;酸素療法を必要とする呼吸不全(非侵襲的換気を含む);機械換気を必要とする呼吸不全;長時間の機械換気、特に15日超続く長時間の機械換気の必要性、及び抜管失敗を含む呼吸不全の持続;二次感染又は重感染;静脈及び/又は動脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、及び脳血管障害を含む血栓合併症(血栓塞栓合併症とも呼ばれる)又は血栓塞栓事象;心循環不全(心臓血管障害とも呼ばれることもある);急性腎損傷(AKI)などの腎不全;肝不全;及びこれらの任意の組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0144】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の1以上の合併症(複数可)は、呼吸不全;呼吸不全の持続;二次感染又は重感染;血栓合併症(血栓塞栓合併症とも呼ばれる);心循環不全(心臓血管障害とも呼ばれることもある);腎不全;肝不全を含むか、又はそれらからなる群から選択される。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の合併症は、急性呼吸不全又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む呼吸不全;酸素療法を必要とする呼吸不全(非侵襲的換気を含む);機械換気を必要とする呼吸不全;長時間の機械換気、特に15日超続く長時間の機械換気の必要性、及び抜管失敗を含む呼吸不全の持続;二次感染又は重感染;静脈及び/又は動脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、及び脳血管障害を含む血栓合併症(血栓塞栓合併症とも呼ばれる)又は血栓塞栓事象;心循環不全(心臓血管障害とも呼ばれることもある);急性腎損傷(AKI)などの腎不全;肝不全;及びこれらの任意の組み合わせを含むか、又はそれらからなる群から選択される。
【0145】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の合併症は、呼吸不全である。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の合併症は、酸素療法を必要とする呼吸不全、機械換気を必要とする呼吸不全、急性呼吸不全及び/又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の合併症は、上記で定義される長時間の機械換気の必要性、及び抜管失敗を含む呼吸不全の持続である。
【0146】
一実施形態では、対象が肺炎又は菌血症の臨床的、検査的若しくは放射線学的徴候又は症状を示し、任意選択で、培養で陽性が確認されたときに、二次感染と診断される。
【0147】
一実施形態では、血栓合併症(血栓塞栓合併症又は血栓塞栓事象とも呼ばれる)は、静脈及び/又は動脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、及び/又は脳血管障害を含むか、又はそれらからなる。
【0148】
一実施形態では、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、ベルリン定義(ARDS Definition Task Force,Ranieriら,JAMA.2012;307(23):2526-2533)に従って診断される。
【0149】
一実施形態では、急性腎損傷は、腎臓病のグローバル転帰の改善(KDIGO)診療ガイドライン(Khwaja,Nephron Clin Pract.2012;120(4):c179-c184)に従って診断される。
【0150】
一実施形態では、心不全は、トロポニンの血清レベルの上昇、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の血清レベルの上昇、心不全の臨床的若しくは放射線学的特徴、及び/又は心臓機能の薬理学的若しくは機械的補助の必要性のうちの1以上の存在として定義される。
【0151】
一実施形態では、血管障害は、血管拡張の臨床的又は検査的特徴、低い全身血管抵抗若しくは血圧、及び/又は適切な血圧を維持するための昇圧薬血管収縮剤の必要性のうちの1以上として定義される。
【0152】
一実施形態では、トロポニンの血清レベルが12pg/mLより大きい場合、又は血管収縮剤の必要性がある場合に、心循環不全と診断される。
【0153】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象の死亡のリスクは、総死亡のリスクである。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象の死亡のリスクは、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の症状又は合併症からの死亡のリスクである。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象の死亡のリスクは、コロナウイルス感染後、特にSARS-CoV-2感染後に生じる死亡のリスクである。
【0154】
一実施形態では、対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルが上記の基準値より高いことは、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスク、並びに/又は死亡のリスクを示す。
【0155】
一実施形態では、基準値は、上記で定義される実質的に健康な1以上の対象から取得された生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。一実施形態では、基準値は、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準sTREM-1レベルである。
【0156】
一実施形態では、前記基準値は、約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲のsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲のsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、約50、75、100、125、150、175、200、225又は250pg/mLのsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、75、100、125、150、175、200、225又は250pg/mLのsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0157】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約450pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mLの範囲のsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0158】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0159】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、又は415pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0160】
一実施形態では、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された1以上の対象から取得された生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。一実施形態では、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される基準sTREM-1レベルである。
【0161】
一実施形態では、前記基準値は、約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0162】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0163】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約350pg/mL~約1200pg/mL、好ましくは約600pg/mL~約1100pg/mL、より好ましくは約700pg/mL~約1000pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0164】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0165】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995又は1000pg/mLのTREM-1レベル、特に、sTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0166】
一実施形態では、対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルが基準値より高いことは、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスクを示す。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約100pg/mL~約400pg/mL、好ましくは約130pg/mL~約300pg/mL、より好ましくは約130pg/mL~約200pg/mL、さらにより好ましくは約135pg/mL~約190pg/mLのTREM-1レベル、特に、sTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、又は250pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、又は200pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0167】
一実施形態では、対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルが基準値より高いことは、死亡のリスクを示す。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約200pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、より好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0168】
一実施形態によれば、本方法は、上記の対象からの生体試料中のインターロイキン-6(IL-6)のレベルを測定し、対象からの生体試料中で測定されたIL-6のレベルを上記のIL-6基準値と比較することをさらに含む。
【0169】
一実施形態では、対象からの生体試料中で測定されるIL-6のレベルが上記のIL-6基準値よりも高いことは、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスク、並びに/又は死亡のリスクを示す。
【0170】
一実施形態では、本発明は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象を、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスク、並びに/又は死亡のリスクがあると特定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されたsTREM-1のレベルを、上記の実質的に健康な対象の基準集団から導出される、又は上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される基準値、好ましくは基準sTREM-1レベルと比較すること
を含むか、又はそれらからなり、対象からの生体試料中で測定されるsTREM-1のレベルが基準値よりも高いことは、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか若しくは発症するリスク、又は死亡のリスクを示すインビトロ法に関する。
【0171】
一実施形態では、本発明は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象を、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスク、並びに/又は死亡のリスクがあると特定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること、及び上記の対象からの生体試料中のIL-6のレベルを測定すること;並びに
-対象からの生体試料中で測定されたsTREM-1のレベルを、上記のsTREM-1基準レベルと比較すること、及び対象からの生体試料中で測定されたIL-6のレベルを、上記のIL-6基準レベルと比較すること、
を含むか、又はそれらからなり、対象からの生体試料中で測定されるsTREM-1のレベルがsTREM-1基準レベルよりも高いこと及び対象からの生体試料中で測定されるIL-6のレベルがIL-6基準レベルよりも高いことは、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスク、並びに/又は死亡のリスクを示すインビトロ法に関する。
【0172】
本発明の別の目的は、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患に罹患している対象の予後を決定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されたTREM-1、特にsTREM-1のレベルを、上記の基準値と比較すること
を含むか、又はそれらからなるインビトロ法である。
【0173】
一実施形態では、本発明は、COVID-19に罹患している対象の予後を決定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されたsTREM-1のレベルを上記の基準値と比較すること
を含むか、又はそれらからなるインビトロ法に関する。
【0174】
一実施形態では、対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルが上記の基準値より高いことは、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象の予後不良を示す。
【0175】
一実施形態では、予後不良は、合併症を発症するリスクが高い並びに/又は死亡のリスクが高いと定義される。
【0176】
一実施形態では、基準値は、上記で定義される実質的に健康な1以上の対象から取得された生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。一実施形態では、基準値は、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準sTREM-1レベルである。
【0177】
一実施形態では、前記基準値は、約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲のsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲であるsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、約50、75、100、125、150、175、200、225又は250pg/mLのsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、75、100、125、150、175、200、225又は250pg/mLのsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0178】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約450pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0179】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0180】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、又は415pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0181】
一実施形態によれば、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された1以上の対象からの生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。一実施形態では、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される基準sTREM-1レベルである。
【0182】
一実施形態では、前記基準値は、約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0183】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0184】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約350pg/mL~約1200pg/mL、好ましくは約600pg/mL~約1100pg/mL、より好ましくは約700pg/mL~約1000pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0185】
一実施形態では、前記基準値は、約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0186】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995又は1000pg/mLのTREM-1レベル、特に、sTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0187】
一実施形態によれば、対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルが基準値よりも高いことは、合併症を発症するリスクが高いと定義されている予後不良を示す。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約100pg/mL~約400pg/mL、好ましくは約130pg/mL~約300pg/mL、より好ましくは約130pg/mL~約200pg/mL、さらにより好ましくは約135pg/mL~約190pg/mLのTREM-1レベル、特に、sTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、又は250pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、又は200pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0188】
一実施形態によれば、対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルが基準値よりも高いことは、死亡のリスクが高いと定義されている予後不良を示す。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約200pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、より好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、好ましくはELISAを使用して決定した場合に約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0189】
一実施形態によれば、本発明の方法は、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを少なくとも2回の機会で測定することを含む。言い換えると、一実施形態では、本発明の方法は、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを経時的に数回測定することを含む。そのため、一実施形態では、本発明の方法は、上記の対象から取得されたいくつかの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを経時的に測定することを含むことを理解されたい。
【0190】
一実施形態では、対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルの少なくとも2回の測定は、少なくとも24時間、36時間、48時間、60時間、又は72時間の間隔があいている。一実施形態では、対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルの少なくとも2回の測定は、少なくとも1、2又は3日の間隔があいている。
【0191】
一実施形態では、本発明の方法は、24時間ごと、36時間ごと、48時間ごと、60時間ごと又は72時間ごとに、上記の対象からの生体試料中のTREM-1のレベル、特にsTREM-1のレベルを測定することを含む。一実施形態では、本発明の方法は、1日ごと、2日又は3日ごとに、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定することを含む。
【0192】
一実施形態では、上記の基準値よりも高く、経時的に安定か又は増加する対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象の予後不良を示す。
【0193】
一実施形態では、経時的に安定である対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日にわたって安定である対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルである。一実施形態では、経時的に増加する対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12日間にわたって増加する対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルである。
【0194】
一実施形態では、本発明は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象の予後を決定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されたsTREM-1のレベルを、上記の実質的に健康な対象の基準集団から導出される、又は上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患している、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される基準値、好ましくは基準sTREM-1レベルと比較すること
を含むか、又はそれらからなり、
基準値よりも高い対象からの生体試料中で測定されるsTREM-1のレベル、好ましくは、上記の基準値よりも高く、経時的に安定か又は増加する対象からの生体試料中で測定されるsTREM-1のレベルは、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象の予後不良を示すインビトロ法に関する。
【0195】
本発明の別の目的は、対象における上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症度を決定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルを基準値と比較すること
を含むか、又はそれらからなるインビトロ法である。
【0196】
一実施形態では、本発明は、対象におけるCOVID-19の重症度を決定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されたsTREM-1のレベルを上記の基準値と比較すること
を含むか、又はそれらからなるインビトロ法に関する。
【0197】
一実施形態では、対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、前記対象におけるコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症度と相関する。
【0198】
一実施形態では、対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルが、上記の基準値と比較して高いほど、前記対象におけるコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症度が高い。
【0199】
一実施形態では、基準値は、上記で定義したように実質的に健康な1以上の対象から取得された生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。一実施形態では、基準値は、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準sTREM-1レベルである。
【0200】
一実施形態では、前記基準値は、約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲のsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲であるsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、約50、75、100、125、150、175、200、225、又は250pg/mLのsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、75、100、125、150、175、200、225、又は250pg/mLのsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0201】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約450pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mLの範囲であるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0202】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0203】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、又は415pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0204】
一実施形態によれば、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された1以上の対象からの生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。一実施形態では、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される基準sTREM-1レベルである。
【0205】
一実施形態では、前記基準値は、約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0206】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0207】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約350pg/mL~約1200pg/mL、好ましくは約600pg/mL~約1100pg/mL、より好ましくは約700pg/mL~約1000pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0208】
一実施形態では、前記基準値は、約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0209】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、又は1000pg/mLのTREM-1レベル、特に、sTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0210】
一実施形態では、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症型、特に重症型COVID-19は、入院を必要とする、及び/又はICUへの入室を必要とすると定義される。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症型、特に重症型COVID-19は、上記のような呼吸補助を必要とすると定義される。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患の重症型、特に重症型COVID-19は、上記の侵襲的機械換気を必要とすると定義される。
【0211】
一実施形態では、本発明は、対象におけるコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症度を決定するインビトロ法であって、
-上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されたsTREM-1のレベルを、上記の実質的に健康な対象の基準集団から導出される、又は上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患している、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される基準値、好ましくは基準sTREM-1レベルと比較すること
を含むか、又はそれらからなり、
対象からの生体試料中で測定されるsTREM-1のレベルが、上記の基準値と比較して高いほど、前記対象におけるコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症度が高いインビトロ法に関する。
【0212】
一実施形態によれば、本発明の方法は、好ましくは少なくとも24時間間隔をあけて、少なくとも2回の機会で、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定することを含む。言い換えると、一実施形態では、本発明の方法は、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを、上記のように経時的に数回測定することを含む。上述したように、一実施形態では、本発明の方法は、上記の対象から取得されたいくつかの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを経時的に測定することを含むことを理解されたい。
【0213】
そのため、一実施形態では、本発明の方法は、対象におけるコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患の経時的なモニタリングを可能にする。
【0214】
そのため、本発明の別の目的は、対象における上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患をモニタリングするインビトロ法であって、
-好ましくは少なくとも24時間間隔をあけて、少なくとも2回の機会で、上記の対象からの生体試料中のTREM-1のレベル、特にsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルを基準値と比較すること
を含むか、又はそれらからなるインビトロ法である。
【0215】
一実施形態では、本発明は、対象におけるCOVID-19をモニタリングするインビトロ法であって、
-好ましくは少なくとも24時間間隔をあけて、少なくとも2回の機会で、上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されるsTREM-1のレベルを基準値と比較すること
を含むか、又はそれらからなるインビトロ法に関する。
【0216】
一実施形態では、本発明の方法は、少なくとも24時間、36時間、48時間、60時間又は72時間間隔をあけて少なくとも2回の機会で、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定することを含む。一実施形態では、本発明の方法は、少なくとも1、2又は3日間隔をあけて少なくとも2回の機会で、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定することを含む。
【0217】
上記で示したように、少なくとも2回の機会で、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定することは、少なくとも2回の機会で取得された上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定することを意味すると理解されたい。
【0218】
一実施形態では、本発明の方法は、24時間ごと、36時間ごと、48時間ごと、60時間ごと又は72時間ごとに、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定することを含む。一実施形態では、本発明の方法は、1日ごと、2日又は3日ごとに、上記の対象からの生体試料中のTREM-1、特にsTREM-1のレベルを測定することを含む。
【0219】
一実施形態によると、経時的に安定か又は増加する対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、対象における上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の悪化を示す。
【0220】
したがって、一実施形態では、経時的に減少する対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、対象における上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の軽減を示す。
【0221】
一実施形態によれば、基準値は、個人化された基準値であり、すなわち、基準値は、対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルである。一実施形態では、個人化された基準値は、ベースラインで対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、すなわち、ベースラインTREM-1又はsTREM-1レベルである。一実施形態では、ベースラインTREM-1又はsTREM-1レベルは、医療の開始前に対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1又はsTREM-1レベルである。一実施形態では、ベースラインTREM-1又はsTREM-1レベルは、入院時又はICUへの入室時に対象から取得された生体試料中で測定されるTREM-1又はsTREM-1レベルである。
【0222】
一実施形態によれば、上記の基準値よりも高く、経時的に安定か又は増加する対象からの生体試料中で測定されるTREM-1、特にsTREM-1のレベルは、対象における上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の悪化を示す。
【0223】
一実施形態では、基準値は、上記で定義した実質的に健康な1以上の対象から取得された生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。一実施形態では、基準値は、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準sTREM-1レベルである。
【0224】
一実施形態では、前記基準値は、約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲のsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約20pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約50pg/mL~約250pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約200pg/mLの範囲であるsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、約50、75、100、125、150、175、200、225、又は250pg/mLのsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、75、100、125、150、175、200、225又は250pg/mLのsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0225】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約500pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約450pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0226】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、又は120pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0227】
一実施形態では、実質的に健康な対象の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、又は415pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に、対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0228】
一実施形態によれば、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された1以上の対象からの生体試料中のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベルの測定から導出される。一実施形態では、基準値は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しているか、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される基準sTREM-1レベルである。
【0229】
一実施形態では、前記基準値は、約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約50pg/mL~約800pg/mL、好ましくは約75pg/mL~約600pg/mL、より好ましくは約100pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約130pg/mL~約400pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0230】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130pg/mL~約600pg/mL、好ましくは約200pg/mL~約500pg/mL、より好ましくは約250pg/mL~約400pg/mL、さらにより好ましくは約300pg/mL~約375pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0231】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約350pg/mL~約1200pg/mL、好ましくは約600pg/mL~約1100pg/mL、より好ましくは約700pg/mL~約1000pg/mLの範囲のTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0232】
一実施形態では、前記基準値は、約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、前記基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、前記基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、又は430pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿又は血清レベルである。一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ELISAを使用して決定した場合に約300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400pg/mLのTREM-1レベル、特にsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にECLIAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0233】
一実施形態では、基準値、好ましくは、上記の基準集団から導出される基準値は、ECLIAを使用して決定した場合に約700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995又は1000pg/mLのTREM-1レベル、特に、sTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベル、又は別の免疫測定法、特にELISAを使用して決定される対応するTREM-1レベル、特に対応するsTREM-1レベル、好ましくは、血液、血漿若しくは血清レベルである。
【0234】
一実施形態では、本発明は、対象におけるコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19をモニタリングするインビトロ法であって、
-好ましくは少なくとも24時間間隔をあけて、少なくとも2回の機会で、上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されるsTREM-1のレベルを基準値、好ましくは、ベースラインにおいて対象から取得された生体試料中で測定されたsTREM-1レベルなどの個人化された基準値と比較すること
を含むか、又はそれらからなり、経時的に安定か又は増加する、対象からの生体試料中で測定されるsTREM-1のレベルは、対象における上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の悪化を示すインビトロ法に関する。
【0235】
一実施形態では、本発明は、対象におけるコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19をモニタリングするインビトロ法であって、
-好ましくは少なくとも24時間間隔をあけて、少なくとも2回の機会で、上記の対象からの生体試料中のsTREM-1のレベルを測定すること;及び
-対象からの生体試料中で測定されたsTREM-1のレベルを、上記の実質的に健康な対象の基準集団から導出される、又は上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にSARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19に罹患している、若しくは罹患していたと診断又は特定された対象の基準集団から導出される基準値、好ましくは基準sTREM-1レベルと比較すること
を含むか、又はそれらからなり、
上記の基準値よりも高く、経時的に安定か又は増加する対象からの生体試料中で測定されるsTREM-1のレベルは、対象における上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の悪化を示すインビトロ法に関する。
【0236】
本発明はまた、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスクがある、又は死亡のリスクがあると特定された対象に適合したケアを提供する方法であって、
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象を、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスクがある、又は死亡のリスクがあると特定すること;及び
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか若しくは発症するリスクがある、又は死亡のリスクがあると特定された対象に適合したケアを提供すること
を含むか、又はそれらからなる方法に関する。
【0237】
本発明の別の目的は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、予後不良を有すると特定された対象に適合したケアを提供する方法であって、
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象を、上記のように予後不良を有すると特定すること;及び
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、予後不良を有すると特定された対象に適合したケアを提供すること
を含むか、又はそれらからなる方法である。
【0238】
本発明の別の目的は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型を有すると特定された対象に適合したケアを提供する方法であって、
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象を、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型を有すると特定すること;及び
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型を有すると特定された対象に適合したケアを提供すること
を含むか、又はそれらからなる方法である。
【0239】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、上記のように特定された対象に適合したケアを提供することは、以下のもの:
-対象をモニタリングすること、特に上記の対象をモニタリングすること;
-対象に呼吸補助を提供すること、特に、対象に酸素補給、非侵襲的換気(NIV)、又は侵襲的機械換気(IMV)を提供すること;
-集中治療室(ICU)に対象を受け入れること
のうちの少なくとも1つを含むか、又はそれらからなる。
【0240】
一実施形態では、対象をモニタリングすることは、例えば、彼/彼女の酸素飽和度のモニタリング、彼/彼女の動脈血ガス及び/又は静脈血ガスのモニタリング、又は彼/彼女の酸素の動脈分圧/吸気酸素分率すなわちPaO/FiO(mmHg)の比のモニタリングにより対象の呼吸機能をモニタリングすることを含むか、又はそれらからなる。
【0241】
一実施形態では、対象をモニタリングすることは、例えば、彼/彼女のSOFAスコア(もともとは敗血症関連臓器不全評価と呼ばれていた、連続臓器不全評価(Sequential Organ Failure Assessment)(SOFA)スコア)の決定により対象の臓器機能をモニタリングすることを含むか、又はそれらからなる。SOFAスコアリングシステム(Vincentら,Crit Care Med.1998 Nov;26(11):1793-800)は、呼吸系の評価(すなわち、PaO2/FiO2(mmHg));神経系の評価(すなわち、グラスゴー・コーマ・スケール);心臓血管系の評価(すなわち、平均動脈圧又は必要とされる血管収縮剤の投与);肝機能の評価(すなわち、ビリルビン(mg/dL又はμmol/L));凝固の評価(すなわち、血小板数);及び腎臓機能の評価(すなわち、クレアチニン(mg/dL又はμmol/L)又は尿量(mL/d))に依存する。
【0242】
本発明はまた、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有する又は発症するリスク、又は死亡のリスクがあると特定された対象を治療する方法であって、
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象を、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスクがあるか、又は死亡のリスクがあると特定すること;並びに
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型及び/若しくは合併症を有するか又は発症するリスクがあるか、又は死亡のリスクがあると特定された対象を治療すること
を含むか、又はそれらからなる方法に関する。
【0243】
本発明の別の目的は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、予後不良を有すると特定された対象を治療する方法であって、
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象を上記のように予後不良を有すると特定すること;及び
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、予後不良を有すると特定された対象を治療すること
を含むか、又はそれらからなる方法である。
【0244】
本発明の別の目的は、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型を有すると特定された対象を治療する方法であって、
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象を、上記のコロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型を有すると特定すること;及び
-コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19の重症型を有すると特定された、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患している対象を治療すること
を含むか、又はそれらからなる方法である。
【0245】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、上記のように特定された対象を治療することは、以下のもの:上記で定義した呼吸補助、血管収縮剤療法(例えば、フェニレフリン、ノルエピネフリン、エピネフリン、バソプレシン、及び/又はドーパミンなど)、輸液療法、抗菌療法、抗ウイルス療法、心血管補助、腎代替療法、鎮静、又はそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを前記対象に投与することを含むか、又はそれからなる。
【0246】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、上記のように特定された対象を治療することは、前記対象に抗ウイルス剤、抗インターロイキン6(抗IL-6)剤、ステロイド、クロロキン又はヒドロキシクロロキンなどの別の薬剤、又はそれらの任意の混合物を投与することを含むか、又はそれからなる。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、上記のように特定された対象を治療することは、前記対象に抗ウイルス剤、抗インターロイキン6(抗IL-6)剤、クロロキン又はヒドロキシクロロキンなどの別の薬剤、又はそれらの任意の混合物を投与することを含むか、又はそれからなる。
【0247】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、上記のように特定された対象を治療することは、以下のもの:上記で定義したような呼吸補助、血管収縮剤療法(例えば、フェニレフリン、ノルエピネフリン、エピネフリン、バソプレシン、及び/又はドーパミンなど)、輸液療法、抗菌療法、抗ウイルス療法、心血管補助、腎代替療法、鎮静、抗ウイルス剤、抗インターロイキン6(抗IL-6)剤、若しくはクロロキン又はヒドロキシクロロキンなどの別の薬剤、又はそれらの任意の混合のうちの少なくとも1つを前記対象に投与することを含むか、又はそれらからなる。
【0248】
抗ウイルス剤の例には、限定されないが、レムデシビル、並びにロピナビルとリトナビルの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)が含まれる。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、上記のように特定された対象を治療することは、前記対象にレムデシビル、又はロピナビルとリトナビルの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)を投与することを含むか、又はそれからなる。
【0249】
本明細書で使用する抗IL-6剤は、IL-6(インターロイキン6若しくはインターロイキン-6)又はその受容体(IL-6R)のいずれかを標的とする。抗IL-6剤の例には、トシリズマブ及びサリルマブが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、上記のように特定された対象を治療することは、前記対象にトシリズマブ又はサリルマブを投与することを含むか、又はそれからなる。
【0250】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる医薬活性剤は、デキサメタゾンなどのステロイドである。
【0251】
一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、上記のように特定された対象を治療することは、以下のもの:レムデシビル、ロピナビルとリトナビルの組み合わせ、トシリズマブ、サリルマブ、デキサメタゾンなどのステロイド、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、又はそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを前記対象に投与することを含むか、又はそれからなる。一実施形態では、コロナウイルスによって引き起こされる疾患、特にCOVID-19に罹患しており、上記のように特定された対象を治療することは、以下のもの:レムデシビル、ロピナビルとリトナビルの組み合わせ、トシリズマブ、サリルマブ、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、又はそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つを前記対象に投与することを含むか、又はそれからなる。
【図面の簡単な説明】
【0252】
図1図1A~1Bは、健常ボランティア(HV)とCOVID-19罹患患者におけるsTREM-1のレベルを比較するグラフの組み合わせである。図1Aは、ベースラインにおけるsTREM-1のレベルを示す(1日目)。図1Bは、集中治療室(ICU)への入室後3日目のsTREM-1のレベルを示す。***:p<0.001;****:p<0.0001。
図2図2A~2Bは、生存しているCOVID-19罹患患者(生存者-S)及び生存していないCOVID-19罹患患者(非生存者-NS)におけるsTREM-1のレベルを比較するグラフの組み合わせである。図2Aは、1日目(すなわち、ICUへの入室日)のsTREM-1のレベルを示す。図2Bは、集中治療室(ICU)への入室後3日目のsTREM-1のレベルを示す。:p<0.05;**:p<0.01。
図3図3A~3Bは、健常ボランティア(HV)とCOVID-19罹患患者の異なるグループにおけるsTREM-1のレベルを比較するグラフの組み合わせである:全:COVID-19に罹患している全患者;MV<10:10日未満機械換気下にいたCOVID-19罹患患者;MV≧10及びNS:10日以上機械換気下にいたCOVID-19罹患患者及び機械換気の期間にかかわらず生存していなかった患者(非生存者-NS);MV<15:15日未満機械換気下にいたCOVID-19罹患患者、MV≧15及びNS:15日以上機械換気下にいたCOVID-19罹患患者及び機械換気の期間にかかわらず生存していなかった患者(非生存者-NS)。図3Aは、1日目(すなわち、ICUへの入室日)のsTREM-1のレベルを示す。図3Bは、ICUへの入室後3日目のsTREM-1のレベルを示す。ns:有意でない;:p<0.05;***:p<0.001;****:p<0.0001。
図4図4A~4Bは、COVID-19罹患患者におけるsTREM-1のレベルを経時的に(ICUへの入室後1日目から21日目まで)示すグラフの組み合わせである。図4Aは、15日未満の間(MV<15)機械換気下にあったCOVID-19罹患患者、及び15日以上の間(MV≧15)機械換気下にあったCOVID-19罹患患者における経時的なsTREM-1のレベルを比較する。図4Bは、ベースラインでのトロポニンレベルが12pg/mLより低い(TROPO<12)COVID-19罹患患者及びベースラインでのトロポニンレベルが12pg/mLより高い(TROPO>12)のCOVID-19罹患患者における経時的なsTREM-1のレベルを比較する。欠測データをLOCF(直近の先行観測値で補完する(Last Observed Carry Forward))方法で処理した。
図5図5Aは、ICUへの入室後3日目における、15日未満続く機械換気(MV)と15日以上続く機械換気(MV)とを識別するsTREM-1レベルの能力を評価するROC曲線を示すグラフである。図5Bは、ROC曲線と関連付けられるパラメータを示す表である。
図6図6A~6Dは、侵襲的機械換気から離脱する(すなわち、抜管を始める)COVID-19罹患患者の経時的な割合又は集中治療室から出るCOVID-19罹患患者の経時的な割合を示す発生率曲線(個々の分類器のCox比例ハザード(PH)モデルと全コホートについてのカプラン・マイヤー)の組み合わせである。図6Aは、1日目(ベースライン)における186pg/mLのカットオフsTREM-1レベルに依存する、侵襲的機械換気から離脱する(すなわち、抜管を始める)COVID-19罹患患者の経時的な割合を示す発生率曲線である。図6Bは、3日目における186pg/mLのカットオフsTREM-1レベルに依存する、侵襲的機械換気から離脱する(すなわち、抜管を始める)COVID-19罹患患者の経時的な割合を示す発生率曲線である。図6Cは、1日目(ベースライン)における186pg/mLのカットオフsTREM-1レベルに依存する、集中治療室から出るCOVID-19罹患患者の経時的な割合を示す発生率曲線である。図6Dは、3日目における186pg/mLのカットオフsTREM-1レベルに依存する、集中治療室から出るCOVID-19罹患患者の経時的な割合を示す発生率曲線である。KM全体:患者全コホートの経時的な割合;sTREM-1>186:指示時刻(1日目又は3日目)におけるsTREM-1レベル>186pg/mLを有する患者の経時的な割合;sTREM-1<186:指示時刻(1日目又は3日目)におけるsTREM-1レベル<186pg/mLを有する患者の経時的な割合。
図7図7は、検証コホートを示すフローチャートである。重病を、入院中のICUへの入室が必要であると定義した。データを四分位範囲の中央値として提示する。
図8図8A~Cは、COVID-19患者の異なるグループにおけるsTREM-1の血漿レベルを示すグラフの組み合わせである。図8Aは、中程度の病気の患者(中程度の病気)と重病の患者(重病)における血漿sTREM-1レベルを比較する。重病は、入院中のICUへの入室が必要であると定義した。図8Bは、生存者及び非生存者の血漿sTREM-1レベルを比較する。図8Cは、血栓塞栓事象を有する(TEE)患者と血栓塞栓事象を有していない(TEEなし)患者における血漿sTREM-1レベルを比較する。データを四分位範囲の中央値として提示する。P値は、マン・ホイットニーのU検定を使用して計算した。:p<0.05、***:p<0.001。
図9図9A~Dは、COVID-19患者の異なるグループにおけるsTREM-1の血漿レベルを示すグラフの組み合わせである。図9Aは、結果に応じて病気が中程度のCOVID-19患者における血漿sTREM-1レベルを示す(生存者対非生存者、p値=0.019)。図9Bは、結果に応じて重病のCOVID-19患者における血漿sTREM-1レベルを比較する(生存者対非生存者、p値=0.007)。図9Cは、病気の重症度に応じたCOVID-19の生存患者における血漿sTREM-1レベルを比較する(中程度の病気対重病、p値=0.068)。図9Dは、病気の重症度に応じたCOVID-19非生存患者における血漿sTREM-1レベルを比較する(中程度の病気対重病、p値=0.737)。重病を入院中のICUへの入室が必要であると定義した。データを四分位範囲の中央値として提示する。P値を、マン・ホイットニーのU検定を使用して計算した。ns:有意でない;:p<0.05;**:p<0.01。
図10図10A~Cは、COVID-19患者におけるsTREM-1レベルと他の臨床結果との間の相関を示すグラフの組み合わせである。図10Aは、sTREM-1レベルと全入院期間との間の相関を示す。図10Bは、sTREM-1レベルと全ICU入室期間との間の相関を示す。図10Cは、サンプリング時のsTREM-1レベルと病気の期間との間の相関を示す。図に示すように、相関係数及びp値をスピアマンの順位相関検定を使用して計算した。
図11図11A~Fは、COVID-19患者におけるsTREM-1レベルと炎症マーカーとの間の相関を示すグラフの組み合わせである。図11Aは、sTREM-1レベルと白血球(WBC)数との間の相関を示す。図11Bは、sTREM-1レベルとリンパ球数との間の相関を示す。図11Cは、sTREM-1レベルとC反応性タンパク質(CRP)レベルとの間の相関を示す。図11Dは、sTREM-1レベルとフェリチンレベルとの間の相関を示す。図11Eは、sTREM-1レベルとD-ダイマーレベルとの間の相関を示す。図11Fは、sTREM-1レベルとインターロイキン-6(IL-6)循環濃度との間の相関を示す。図に示すように、相関係数及びp値をスピアマンの順位相関検定を使用して計算した。
図12図12A~Dは、示したバイオマーカー(病院でCOVID-19診断後に取得された第1の試料で測定した)の生存者と非生存者とを識別する能力を評価する受信者操作特性(ROC)曲線の組み合わせである。図12Aは、生存者と非生存者とを識別するsTREM-1レベルの能力を評価するROC曲線である。図12Bは、生存者と非生存者とを識別するC反応性タンパク質(CRP)レベルの能力を評価するROC曲線である。図12Cは、生存者と非生存者とを識別するフェリチンレベルの能力を評価するROC曲線である。図12Dは、生存者と非生存者とを識別するインターロイキン-6(IL-6)循環濃度の能力を評価するROC曲線である。AUC:曲線下面積。
図13図13A~Eは、示したバイオマーカーカットオフ値に依存するCOVID-19罹患患者の経時的な生存率を示すカプラン・マイヤー曲線の組み合わせである。図13Aは、示したsTREM-1カットオフ値に依存するCOVID-19罹患患者の経時的な生存率を示す。図13Bは、示したC反応性タンパク質(CRP)カットオフ値に依存するCOVID-19罹患患者の経時的な生存率を示す。図13Cは、示したフェリチンカットオフ値に依存するCOVID-19罹患患者の経時的な生存率を示す。図13Dは、示したインターロイキン-6(IL-6)カットオフ値に依存するCOVID-19罹患患者の経時的な生存率を示す。図13Eは、sTREM-1とインターロイキン-6(IL-6)カットオフ値の示した組み合わせに依存するCOVID-19罹患患者の経時的な生存率を示す。カットオフ値は、図12A~Dに示す受信者操作特性曲線から導出された最大ユーデン指数に基づいた。ハザード比は、ログランク(マンテル・コックス)検定を使用して計算した。
図14】sTREM-1 Elecsys ECLIA及びsTREM-1 Quantikine ELISAを使用して測定したsTREM-1血漿濃度の散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0253】
実施例
本発明を以下の実施例によってさらに例示する。
【0254】
実施例1:
材料及び方法
研究設計及び参加者
フランスナンシーのCentre Hospitalier Regional Universitaire(CHRU)において、2020年3月15日~2020年3月31日に、WHO(世界保健機構)の暫定ガイダンスに従ってCOVID-19と診断され、集中治療室(ICU)に入室した27人の成人患者を含めた。全患者をポリメラーゼ連鎖反応(鼻/喉スワブ又は肺試料)によりSARS-CoV-2陽性と確認し、急性呼吸窮迫症候群のためにICUに入室させた。この研究は、CHRUナンシー倫理委員会によって承認された(saisine n°196)。
【0255】
定義
培養陽性によって確認された肺炎若しくは菌血症の臨床徴候又は症状を示す患者において二次感染が診断された。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、ベルリン定義(ARDS Definition Task Force,Ranieriら,JAMA.2012;307(23):2526-2533)に従って診断された。急性腎損傷は、腎臓病のグローバル転帰の改善(KDIGO)臨床ガイドライン(Khwaja,Nephron Clin Pract.2012;120(4):c179-c184)に従って診断された。トロポニンの血清レベルが12pg/mLを超えるか、又は血管収縮剤が必要であった場合に、心循環不全と診断された。
【0256】
データ収集及び実験手順
医療記録を集め、遡及的に分析した。ICU入室から1日、3日、6日、14日、及び21日目の退院まで血漿試料を収集した。定期的な血液検査により、血球数、血液検査、血清生化学検査、トロポニン、及びインターロイキン-6(IL-6)のデータを取得した。血漿中の炎症マーカーを、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及びマルチプレックスアッセイにより定量した。
【0257】
sTREM-1測定
sTREM-1レベルを、市販されている研究用ELISAアッセイ(ヒトTREM-1 Quantikine(登録商標)ELISAキット、R&D Systems、参照番号DTRM10C)を使用して、分析用に検証されたELISAベースの方法(生物分析法検証についてのEMAガイドライン EMEA/CHMP/EWP/192217/2009(2011))を使用して測定した。この方法の分析性能及び適合基準を下記の表1にまとめる。
【0258】
【表1】
【0259】
サイトカインアッセイ
血漿中の12種のサイトカイン/ケモカイン及び内皮マーカー(IL-1β(インターロイキン-1β)、IL-6(インターロイキン-6)、IL-8(インターロイキン-8)、IL-10(インターロイキン-10)、MCP-1(単球走化性タンパク質-1)、INFγ(インターフェロンγ)、RANTES(活性化時に制御され、正常T細胞が発現及び分泌する(regulated on activation, normal T cell expressed and secreted))、VEGF(血管内皮増殖因子)、ICAM-1(細胞間接着分子1)、E-セレクチン、P-セレクチン及びVCAM-1(血管細胞接着分子1))の同時検出のために、サイトメトリービーズアレイ(CBA)ヒト可溶性タンパク質Flex Set System(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)を使用した。CBA技術を、製造者の指示に従って実行した。検出感度は、ICAM-1、E-セレクチン、P-セレクチン、VCAM-1については36.06pg/mLであり、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、MCP-1、INFγ、RANTES、VEGFについては9.77pg/mLであった。FCAP Array Infiniteソフトウェア(SoftFlow Group,Hungary)を使用してデータを分析した。あるいは、Ang1(アンジオポエチン-1)及びAng2(アンジオポエチン-2)の血漿濃度を、市販の特異的酵素結合免疫吸着アッセイ(ヒトアンジオポエチン-1/アンジオポエチン-2 Quantikine(登録商標)ELISAキット、R&D Systems)により、製造者の指示に従って測定した。検出限界は10.3pg/mL(Ang1)及び21.3pg/mL(Ang2)であった。
【0260】
統計分析
グループ間のカテゴリー変数を数(%)として表し、χ検定によって比較した。連続変数を中央値(四分位範囲)として表し、マン・ホイットニーのU検定によって比較した。sTREM-1のカットオフ値を示すように受信者操作特性(ROC)曲線を構成した。
【0261】
イベントまでの時間分析を、死亡のペナルティを適用したカプラン・マイヤー生存分析により実施した。欠測値は、示したときに、直近の先行観測値で補完する(LOCF)方法を使用して置き換えた。
【0262】
ICU退室(集中治療室から出る)までの時間と、IVM離脱になるまでの時間(侵襲的機械換気から抜管される、すなわち、抜管までの時間)分析を別々に行った。死亡により打ち切られた対象は、イベントまでの時間分析のために35日目で打ち切られたとみなした。まず、sTREM-1クラスを考慮せずに、積極限推定量(カプラン・マイヤー曲線)を推定した。その後、Cox比例ハザード(PH)モデルを、これらのカテゴリー予測子:1日目(ベースライン)のsTREM-1分類器及び3日目のsTREM-1分類器の各々について別々に適合させた。各Cox PHモデルの各々から、エンドポイントの危険率を、それらの95%信頼区間及びログランク検定からのp値とともに生成した。各Cox PHモデルから、各分類器レベルでの累積発生率関数をプロットし、カプラン・マイヤー曲線に沿ってオーバーレイした。
【0263】
ROC(受信者操作特性)曲線を使用して、サポート分析として分類係数として(i)MV(機械換気)期間<15日又は(ii)MV期間≧15日と非生存者のsTREM-1を調べた。これらの曲線を使用して、感度(真陽性率)と特異度(真陰性率)を調べた。この分析では、1日目と3日目のsTREM-1の値を別々に使用した。ROC曲線の曲線下面積(AUC)を使用してsTREM-1の性能を評価した。
【0264】
結果
健常ボランティアの特徴
健常ボランティアの特徴を下記の表2に示す。
【0265】
【表2】
【0266】
患者の特徴
ベースラインの特徴を下記の表3に示す。
【0267】
【表3】
【0268】
このコホートの27人の患者のうち22人の患者が血管収縮剤を必要とし、17人が12pg/mLを超える心臓トロポニンレベルを有し、2人の患者が3のKDIGOを有し、10人の患者が重度のARDSを示し、13人が中程度のARDSを示し、4人が軽度のARDSを示した。9人の患者が二次感染を発症し、そのうち8人が人工呼吸器関連肺炎(VAP)に罹患していた。3人の患者が死亡し、機械換気(MV)の期間の中央値は15日であった。この値は、33日のペナルティが非生存者のMV期間に起因する場合には変化せず、これは、そのコホートで観察されるMVの最大期間に対応する。
【0269】
11人の患者が15日未満のMV期間を有し、16人が少なくとも15日のMVを有するか、又は死亡した。少なくとも15日のMV期間又は死亡は、男性の方が割合が高く、また、重度のARDSを有する患者の方が割合が高かった。これらの患者はより高い頻度で二次感染を有した。
【0270】
これら2つのグループ間で、3日目の白血球数(WBC)及び好中球を除いて、ベースライン及び3日目の血液検査及び生化学パラメータに有意差は観察されなかったが、値は正常範囲内であった。
【0271】
sTREM-1レベルは、ベースラインと3日目の両方で、健常ボランティア(HV)よりもCOVID-19患者においてより上昇した
健常ボランティア(HV)のsTREM-1血漿濃度の中央値は、103.5pg/mL(IQR(四分位範囲)75.22~124.4)であり、COVID-19患者のsTREM-1血漿濃度の中央値は、ベースラインで161.1pg/mL(IQR 129.4~195.7)であり、3日目に142pg/mL(IQR 108.7~187.3)であった(図1参照)。図1A~Bに示すように、HVのsTREM-1血漿濃度とCOVID-19患者のsTREM-1血漿濃度との差は統計的に異なる。興味深いことに、3人の患者のみが死亡しても、生存していたCOVID-19患者のベースライン(図2A参照)と3日目(図2B参照)の両方のsTREM-1レベルと比較して、非生存者において有意に高いsTREM-1レベルが観察された(図2参照)。非生存者(NS)中のsTREM-1血漿濃度の中央値は、ベースラインで422.6pg/mLであり、3日目に300pg/mLであった。
【0272】
より長い期間の機械換気(MV)下を必要とする患者において、より高いsTREM-1レベルがベースライン(1日目)及び3日目に観察された。
実際、ベースライン及び3日目に、10日未満のMV下を必要とする患者のサブグループと比較して、生存していなかった患者及び10日以上のMV下を必要とする患者を含むサブグループにおいて、sTREM-1血漿濃度の有意差が観察された。この差異は、15日未満のMV下を必要とする患者のサブグループと比較して、非生存者及び15日以上のMV下を必要とする患者を含むサブグループに依然として存在した(図3A~B及び下記の表4参照)。これは、これら2つのサブグループのsTREM-1の動態を調べると、さらに確認された(図4A参照)。実際に、非生存者及び15日以上のMV下の患者は、15日未満のMV下を必要とする患者と比較して、ベースライン(1日目)から退院(21日目)までにsTREM-1のより上昇したレベルを示した。
【0273】
【表4】
【0274】
研究コホートの機械換気(MV)期間の中央値は15日であった(上記表3参照)。上記に示すように、11人の患者は15日未満のMV期間を有し、16人は少なくとも15日のMVを有するか又は死亡した。図3A~Bに示すように、15日未満のMV下を必要とした患者は、健常ボランティア(103.5pg/mL(IQR:75.22~124.4))と比較して、ベースライン及び3日目(それぞれ150pg/mL(IQR:94.48~194.9)及び117.4pg/mL(IQR:106.8~129.9))に類似のsTREM-1レベルを有していた。際立ったことに、15日以上のMV下を必要とする患者及び非生存者は、健常ボランティアと比較して、ベースライン(176.8pg/mL(IQR:147~195.9)、p<0.0001)及び3日目(163.4pg/mL(IQR:142~263.7)、p=0.0003)で有意により高いsTREM-1レベルを有し(図3A~B参照)、15日未満のMV下での発生率を必要とした患者と比較して、3日目に有意により高いsTREM-1レベルを有していた(図3B参照)。
【0275】
図5A~Bに示すように、3日目のsTREM-1濃度は、15日未満のMVを必要とする患者と15日を超えるMVを必要とする患者を特定する際の識別能力のある値をもたらし、曲線下面積は0.733(95%信頼区間0.4633~1.000)であり、p値は0.0431であった。186pg/mLのsTREM-1カットオフ値は、約80%特異度及び90%感度を提供した。186pg/mLのsTREM-1カットオフ値に基づいて、ICU退室までの時間及びIMV離脱までの時間(すなわち、IMVから抜管までの時間)の分析を行った。IVM離脱になる(すなわち、侵襲的機械換気から抜管される)までの時間について、ハザード比(HR)及びそのそれぞれの95%CIは、ベースライン(1日目)で0.411(0.155、1.087)(図6A参照)、及び3日目に0.153(0.034、0.685)(図6B参照)であった。ICU退室(すなわち、集中治療室から出る)までの時間については、HR及びそのそれぞれの95%CIは、ベースライン(1日目)で0.374(0.141、0.992)(図6C参照)、及び3日目に0.151(0.033、0.681)(図6D参照)であった。
【0276】
そのため、データは、ベースライン及び3日目で186pg/mLを超えるsTREM-1レベルを示すCOVID-19患者が、15日以前に抜管するか又は生存する可能性が低いことを示す(ベースラインHR:0.374(95%CI 0.141~0.992)、3日目のHR:0.151(95%CI 0.033~0.681))。
【0277】
sTREM-1と他の臨床パラメータの間の相関
TREM-1経路活性化がCOVID-19の合併症と関連付けられるかどうかをさらに判断するために、sTREM-1と臨床パラメータの間の相関及びCOVID-19の特徴を1日目及び3日目に評価した(以下の表5~7参照)。
【0278】
リンパ球レベルがCOVID-19患者における予後の予測子であることが見出され、COVID-19で亡くなった個人は、生存者よりもリンパ球レベルが明確に低かったことが実証される。興味深いことに、3日目に、sTREM-1は、全COVID-19患者におけるリンパ球数と有意な逆相関を示した(スピアマン r-0.6593(-0.8530~-0.3058)、p値=0.0012、表5参照)。15日未満のMV下を必要とする重症度の低い患者を見ると、この逆相関は失われた(表6参照)が、重症度の高い患者には依然として存在した(スピアマン r-0.5699(-0.8425~-0.06476)、p値0.0291、表7参照)。
【0279】
sTREM-1レベルはまた、3日目のビリルビンレベル(スピアマン r 0.5196(0.07123~0.7933) p値0.0226、表5参照)、並びに尿素及びクレアチンレベル(下記の表5、表6、及び表7参照)、肝臓及び腎臓の疾患又は肝臓及び腎臓の機能障害の異なるマーカーと相関することが見出された。また、全患者におけるsTREM-1とトロポニンレベルとの間に正の相関が見出され(r=0.6559 p=0.0096、表5参照)、この相関は、重症度の高い患者においてさらにより顕著であった(r=-0.8333、p=0.0154、表7参照)。TREM-1経路活性化と心不全との間のこの関係は、12pg/mL超のトロポニンレベルを示す患者におけるsTREM-1の動態を調べることによって確認された:それらは、12pg/mL未満のトロポニンレベルを示す患者と比較して、入院(1日目)から退院(21日目)までにより高いsTREM-1レベルを示した(図4B参照)。
【0280】
臓器機能障害、特に腎臓、肝臓及び/又は心臓の機能障害は、COVID-19患者における主な合併症であり、複雑で不良の結果と関連付けられる。このデータは、TREM-1経路の関与がCOVID-19患者における炎症及び合併症を促進し得ることを確認する。
【0281】
コホートの患者において検出できないレベルのINF-γ、IL-1β、及びVEGF、レベルが上昇したICAM-1、E-セレクチン、P-セレクチン、VCAM-1、IL-6、IL-8、IL-10、MCP-1、RANTES、Ang1、及びAng2が観察された(上記表4参照)。予想外に、sTREM-1は、15日未満のMV下、又は死亡若しくは少なくとも15日のMV下のいずれかによって定義される患者の2つのグループ間で差異を示した唯一のマーカーであった。この差異は、3日目により顕著であり、統計的に有意であった。
【0282】
【表5】
【0283】
【表6】
【0284】
【表7】
【0285】
実施例2:
材料及び方法
研究設計及び参加者
以下に提示する遡及的研究は、オランダのナイメーヘンのラドバウド大学医療センター(Radboudumc)に入院している192人のCOVID-19患者(ICUと非ICUの両方)の検証コホートで行われた。検証コホートは、2020年3月6日~2020年4月15日にRadboudumcに入院しPCRで証明されるか又は臨床診断によりSARS-CoV-2感染を有する患者からなる。COVID-19感染の臨床診断は、徴候及び症状、オランダCOVID-19報告及びデータシステム(CO-RADS)分類による特定のコンピューター断層撮影(CT)所見、及び臨床専門家の最終コンセンサスに基づいて定義された。COVID-19診断患者の95%(183/192)は、診断時にPCRの結果が陽性であった。研究プロトコルは、地元の倫理委員会によって承認された(CMO 2020 6344及びCMO 2016 2963)。全患者又は法定代理人に研究の詳細が通知され、参加を断ることができた。
【0286】
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)血漿を、病院でCOVID-19診断後に臨床検査のための第1回目の定期的な血液採取で収集した(すなわち、ベースライン)。分析のために、疾患の重症度及び死亡率に基づいて患者を層別化した。疾患の重症度を入院中のICU入室の必要性に基づいて定義し、重病を、ICU入室を必要とする患者と定義し、中程度の病気を、入院中にICU入室を必要としない患者と定義した。10人の患者は、サンプリング時には非ICU病棟と認められたが、後に入院中にICU入室を必要とした。これらの患者を重病疾患グループに分類した。
【0287】
データ収集
臨床データ及び実験結果を、電子患者ファイル(EPIC,EPIC Systems Corporation,Verona,WI,USA)から収集し、電子症例報告フォーム(Castor EDC,Amsterdam,the Netherlands)に記録した。白血球(WBC)数、リンパ球数、C反応性タンパク質(CRP)、フェリチン及びD-ダイマーの値を血漿サンプリングの日に収集した。臨床結果(ICU入室、入院期間、ICU入室期間、血栓塞栓事象(TEE)の発生率、及び死亡率)を退院まで記録した。
【0288】
測定及びアッセイ
静脈血をEDTA管に採取した後、室温で、2954g(3800rpm)で10分間遠心分離した。さらなる分析のために、血漿を採取し、分注して、-80℃で保管した。IL-6の濃度を、製造者の指示に従って酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA,Quantikine,R&D systems)を使用して測定し、検出の下限は16pg/mLであった。市販の研究用ELISAアッセイ(ヒトTREM-1 Quantikine(登録商標)ELISAキット、R&D Systems、参照番号DTRM10C)を使用して、規制要件(EMA 2011)に従って分析用に検証されたELISAアッセイを使用して、血漿sTREM-1レベルを測定した。この方法は、定量の下限及び上限はそれぞれ34.2及び2070pg/mLであると検証された。定期的な分析のために、各分析の実行には、3レベルの品質管理(QC)試料(低、中及び高、QC.低=93pg/mL、QC.中=728pg/mL、及びQC.高=1610pg/mL)を含め、標準曲線及びQC試料が適合基準内であれば各実行が受け入れられた。この方法の分析性能及び適合基準を上記表1にまとめる(実施例1参照)。
【0289】
統計分析
得られたデータをSPSSバージョン25.0(IBM Corp.,Armonk,NY,USA)、GraphPad Prismバージョン8.0(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA,USA)、及びMedCalcバージョン19.6.4(MedCalc Software Ltd,Ostend,Belgium)を使用して分析した。グループ間の差異を、連続変数のためのマン・ホイットニーのU検定及び離散変数のためのフィッシャーの正確確率検定によって評価した。sTREM-1の濃度と炎症パラメータとの相関、及びsTREM-1の濃度と入院期間との相関を、スピアマンの順位相関検定により評価した。受信者操作特性(ROC)分析を行い、曲線下面積(AUC)を計算することによっていくつかのバイオマーカーの予後性能を評価した。バイオマーカーに最適なカットオフ値を最大ユーデンJ指数に基づいて定義し、カプラン・マイヤー生存分析による高対低バイオマーカー濃度について入院中の生存率の差異を評価するために使用した。ハザード比はログランク検定に基づいていた。p値<0.05(両側)を統計的に有意であるとみなした。
【0290】
結果
重篤なCOVID-19患者におけるsTREM-1濃度の上昇
COVID-19と診断され、Radboudumcに入院している218人の患者を研究の受け入れについて評価した(図7)。これらのうち、11人の患者が参加を拒否した。さらに、14人の他の患者が、COVID-19診断後の第1回目の定期的な血液採取(ベースライン)から血漿試料が利用できなかったために除外され、測定エラーにより1人の患者が除外された。最終的な研究集団(n=192)を、疾患の重症度(中程度の病気(n=119)及び重病(n=73))及び結果(生存者(n=166)及び非生存者(n=26))に基づいてグループに分けた。ICUへの入室が認められた73人の患者(すなわち、重病の患者)のうち72人が、侵襲的機械換気を必要とした。中程度の病気であった(すなわち、ICUへの入室が認められない)119人の患者のうち109人が、酸素療法を受けた:8人の患者が非侵襲的換気を受け、101人の患者が鼻カニューレ又はマスクによって酸素補給を受けた。以下の表8は、疾患の重症度(すなわち、中程度の病気/重病)に応じてグループに分けたCOVID-19患者の特徴を示す。以下の表9は、予後(すなわち、生存/非生存者)に応じてグループに分けたCOVID-19患者の特徴を示す。
【0291】
【表8】
【0292】
【表9】
【0293】
中程度の病気の患者(すなわち、病棟への入室のみ認められる患者)と比較して、重病の患者は、炎症パラメータ(CRP、D-ダイマー及びIL-6)の濃度が高く、入院もより長く(31日対7日、p<0.001)、死亡率もより高かった(22%対8%、p=0.010)。生存した患者と比較して、非生存者はより高齢(73歳対64歳、p<0.001)であり、ICUへの入室がより高頻度に認められた(62%対34%、p=0.010)。性別、BMI、併存疾患の他の差異はグループ間で観察されなかった。
【0294】
図8Aに示すように、より高いsTREM-1血漿濃度が、中程度の病気の患者と比較して、重病の患者において観察された(それぞれ235pg/mL(IQR 176~319)対195pg/mL(IQR 139~283)、p=0.017)。同様に、図8Bに示すように、非生存者は、生存者と比較してより高いsTREM-1血漿濃度を有していた(それぞれ326pg/mL(IQR 207~445)対199pg/mL(IQR 142~278)、p<0.001)。
【0295】
sTREM-1と疾患の重症度又は死亡率との関係を、これらのサブグループにおいて別々に評価し、生存者対非生存者のsTREM-1濃度の差が最強であることが示された(図9A~D)。
【0296】
さらに、血栓塞栓事象を発症した患者(n=28、14%)は、この合併症のない患者と比較して、sTREM-1濃度が増加していた(図8C、p=0.044)。血栓塞栓事象は、肺塞栓症(n=26)、脳血管障害(n=2)及び深部静脈血栓症(n=1)を包含した。
【0297】
加えて、sTREM-1レベルは、入院及びICU入室の全期間と弱い正の相関があった(それぞれ、r=0.22、p=0.002及びr=0.26、p=0.030、図10A~B)が、ベースライン試料採取時の症状の期間とは相関は見られなかった(r=0.09、p=0.211、図10C)。これらの後者の知見は、sTREM-1が重病の患者の疾患期間中に持続的に増加し得ることを示唆する。
【0298】
sTREM-1濃度及び白血球(WBC)数、リンパ球数、C反応性タンパク質(CRP)、フェリチン、D-ダイマー及びIL-6(それぞれ図11A~F参照)について正の相関が観察された。これらの知見は、sTREM-1濃度が、CRP又はフェリチンなどの標準検査炎症マーカーとは無関係であり得るが、sTREM-1濃度が全身性炎症応答と直接関連付けられることを示す。
【0299】
死亡率に対するsTREM-1の識別能力
図12は、sTREM-1濃度に基づく生存者と非生存者との識別のためのROC曲線(図12A)を提示し、CRP(図12B)、フェリチン(図12C)及びIL-6(図12D)のROC曲線は比較のために提示する。各バイオマーカーについて実施する検査の特徴を、以下の表10に提供する。
【0300】
【表10】
【0301】
sTREM-1のAUCは0.73(95%CI 0.62~0.83)であり、生存者と非生存者との間で適度な識別を示す。sTREM-1の識別能力は、IL-6(AUC=0.77、95%CI 0.65~0.88;p=0.887)の識別能力と同様であったが、しかし、CRP(AUC=0.59、95%CI 0.47~0.72;p=0.132)及びフェリチン(AUC=0.58、95%CI 0.46~0.70;p=0.078)の識別能力よりも、有意差はないが良好であった。
【0302】
次に、sTREM-1の生存分析により、sTREM-1血漿濃度が315pg/mL超である患者が、院内死亡率のリスクが増加した(ハザード比=3.3、95%CI 1.4~7.8)ことが示された(図13A)。CRP(図13B)、フェリチン(図13C)、及びIL-6(図13D)の高い循環濃度についての死亡率のハザード比は、それぞれ、1.2(95%CI 0.4~3.7)、1.9(95%CI 0.7~5.1)、及び2.5(95%CI 0.9~6.9)であった。
【0303】
sTREM-1とIL-6の使用の組み合わせは、生存者と非生存者との間の識別を改善しなかった。sTREM-1とIL-6の組み合わせのAUCは0.79であり、IL-6単独のAUCと統計的有意差はなかった(p=0.562)。同様に、生存分析におけるsTREM-1及びIL-6の使用の組み合わせ(図13E参照)は、2つのバイオマーカー単独のいずれの場合と比較しても有意差を示さなかった。それにもかかわらず、sTREM-1<315pg/mL及びIL-6<237pg/mLを示した患者と比較して、sTREM-1>315pg/mL及びIL-6>237pg/mLを示す患者において有意差が観察された(HR:4.5、p=0.005)。
【0304】
上記の実施例1及び実施例2で提示したデータは、COVID-19患者においてsTREM-1濃度が有意に増加することを実証し、それらが疾患の重症度及び死亡率と相関することを示す(図1~2及び8参照)。ひいては、15日未満の機械換気下を必要とする患者と15日以上の機械換気下を必要とする患者の識別(図5参照)、及び生存者と非生存者の識別(図12A及び13A参照)を、sTREM-1血漿濃度に基づいて行うことができた。したがって、入院又はICUへの入室時に高いsTREM-1を示した患者は、15日前に抜管される又は生存する可能性がより低い(図6参照)。データから、上昇したsTREM-1濃度が心臓血管障害(図4B参照)及び血栓塞栓事象、すなわち、血栓合併症(図8C参照)などの合併症の存在と有意に相関することも実証される。
【0305】
実施例3:
材料及び方法
ELISA(ヒトTREM-1 Quantikine(登録商標)ELISAキット、R&D Systems、参照番号DTRM10C)及びECLIA(Elecsys from Roche Diagnostics)によって、研究NCT03158948で募集した患者から採取した109の血漿試料でsTREM-1を定量化した。
【0306】
ECLIA法は、ビオチン化した第1のsTREM-1特異的抗体と、ルテニウム錯体で標識した第2のsTREM-1特異的抗体と試料をインキュベーションして、サンドイッチ複合体を形成することを含む。ストレプトアビジンコーティング微粒子を添加した後、第2のインキュベーションによりサンドイッチ複合体を微粒子に結合させて、固相を形成させる。次いで、反応混合物を、分析器(Roche Diagnostics社製のCobas分析器)の測定セルに吸引させ、そこで、微粒子を電極の表面上に磁気的に捕捉させる。未結合物質を除去する。電極への電圧の印加により、ルテニウム錯体を励起し、化学発光の放出を誘導して、光電子増倍管によって測定する。結果を検量線により決定する。
【0307】
ELISA法は、プレート(96ウェルプレート)中での試料の第1のインキュベーションを含み、ウェルを捕捉sTREM-1特異的抗体でプレコーティングする。ウェルを数回洗浄した後、試料を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合させた検出用sTREM-1特異的抗体とインキュベートする。数回洗浄した後、比色試薬を添加し、30分後に停止液を添加する。450nmに設定したマイクロプレートリーダー、及びOD 540nmでの波長補正を使用して、30分以内に各ウェル内の光学濃度(OD)を測定する。結果を検量線により決定する。
【0308】
結果
Elecsys sTREM-1 ECLIAアッセイで測定したsTREM-1血漿濃度と、Quantikine sTREM-1 ELISAアッセイで測定したsTREM-1血漿濃度との相関を調べた。結果は、2つの方法で得られたsTREM-1血漿濃度の間で線形関係を示す。図14に示すように、測定値は高度に相関がある(ピアソンのr 0.962、スピアマンのロー 0.962、ケンドールのタウ 0.858)。加重デミング回帰を使用した回帰分析から、50.0(-6.41;106)pg/mlの切片と、2.89(2.74;3.04)の傾きが得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
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図9
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図12-1】
図12-2】
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図13-3】
図14
【国際調査報告】